Wikibooks jawikibooks https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8 MediaWiki 1.42.0-wmf.26 first-letter メディア 特別 トーク 利用者 利用者・トーク Wikibooks Wikibooks・トーク ファイル ファイル・トーク MediaWiki MediaWiki・トーク テンプレート テンプレート・トーク ヘルプ ヘルプ・トーク カテゴリ カテゴリ・トーク Transwiki Transwiki‐ノート TimedText TimedText talk モジュール モジュール・トーク 高校化学 電池と電気分解 0 7279 246467 236193 2024-04-10T08:34:39Z 2400:4051:4460:AA00:4C16:9314:53F:7026 /* 融解塩の電解 */ wikitext text/x-wiki {{pathnav|高等学校の学習|高等学校理科|高等学校 化学|pagename=電池と電池分解|frame=1|small=1}} == イオン化傾向 == 金属の水または水溶液中での、陽イオンへのなりやすさを'''イオン化傾向'''(ionization tendency)という。 === 亜鉛と銅のイオン化傾向 === 硫酸銅 <chem>CuSO4</chem> 水溶液に亜鉛板Znを入れると、亜鉛の表面に銅が付着する。これは、亜鉛Znは銅Cuよりもイオン化傾向が大きいため、<chem>Zn</chem> がイオン化し、<chem>Cu</chem> の単体が析出したためである。 * <chem>Zn -> Zn^2+ + 2e^-</chem> * <chem>Cu^2+ + 2e^- -> Cu</chem> === 銅と銀のイオン化傾向 === 銅と銀のイオン化傾向を比べるために、硝酸銀AgNO<sub>3</sub>の溶液に銅板を入れる。すると、銅板の表面に銀が析出する。いっぽう、銅は陽イオンとなり溶ける。この銅イオンのため溶液はしだいに青くなる。以上の変化を反応式で書くと、 :<chem>Cu + 2Ag^+ -> Cu^2+ + 2Ag</chem> なお、この反応で生じた銀を、生じ方が樹木が伸びるように析出した銀が伸びることから'''銀樹'''(ぎんじゅ)という。 また、硫酸銅 CuSO<sub>4</sub> の溶液に銀板Agをいれても、変化しない。 これらのことから、銅は銀よりもイオン化傾向が大きいことがわかる。 === イオン化列 === さまざまな溶液や金属の組み合わせで、イオン化傾向の比較の実験を行った結果、イオン化傾向の大きさが決定された。 イオン化傾向の大きい金属を並べた金属のイオン化列は、以下のようになる。 : Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H<sub>2</sub>) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au 水素は金属では無いが比較のため、イオン化列に加えられる。金属原子は他にもあるが、高校化学ではこの金属のイオン化列がよく使われる。 語呂合わせとして、 「{{Ruby|リッチ|Li}}に{{Ruby|か|K}}そう{{Ruby|か|Ca}}{{Ruby|な|Na}}、{{Ruby|ま|Mg}}{{Ruby|あ|Al}}、{{Ruby|あ|Zn}}{{Ruby|て|Fe}}{{Ruby|に|Ni}}{{Ruby|すん|Sn}}{{Ruby|な|Pb}}、{{Ruby|ひ|H2}}{{Ruby|ど|Cu}}{{Ruby|す|Hg}}{{Ruby|ぎ|Ag}}る{{Ruby|ハク|Pt}}{{Ruby|金|Au}}」 がある。 <!-- {| class="wikitable" |+ イオン化列と反応性 ! イオン化列 || K || Ca || Na || Mg || Al || Zn || Fe || Ni || Sn || Pb || (H<sub>2</sub>) || Cu || Hg || Ag || Pt || Au  |- |空気中での反応||colspan="3" |速やかに酸化 ||colspan="9" |表面に酸化皮膜 ||colspan="4" |酸化されない。  |- |水との反応||colspan="3" |常温で反応して水素を発生。||colspan="4" |高温の水蒸気と反応||colspan="9" |<div align="center">反応しない。</div> |- |酸との反応||colspan="11" |塩酸、希硫酸と反応して水素を発生する。 ||colspan="3" |酸化力の強い酸(HNO<sub>3</sub>など)に溶ける。  ||colspan="2" |王水にのみ溶ける。  |} ==== 酸素との反応性 ==== イオン化傾向の大きい金属の溶解も、酸化の現象も、ともに物質からの電子の放出の現象であるように、一般にイオン化傾向が大きい金属ほど、酸化をされやすい金属である。 実際にK、Ca、Naの純物質の表面は、空気中ではすぐに酸化をして金属光沢を失い、放置すると内部まで酸化をする。 Mg、Al、Fe、Cuなどは、空気中に放置すると、やがて表面に酸化物の皮膜を生じる。酸化物の皮膜の化学式はそれぞれ、MgO 、Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 、Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 、Cu<sub>2</sub>O、CuO などである。 ==== 水との反応 ==== 水との反応と、イオン化傾向との関係については、アルカリ金属やアルカリ土類金属のK , Ca , Naとは、常温で水と激しく反応し、水酸化物を生じ、また、水素を発生する。 マグネシウム Mg は常温の水とは反応しづらく、沸騰させた水にMgを入れた場合や、高温の水蒸気に Mg を作用させた場合には、反応して水酸化物および水素を発生する。 :Mg + 2H<sub>2</sub>O → Mg(OH)<sub>2</sub> + H<sub>2</sub> Al、Zn、Feでは、金属を加熱した状態で、高温の水蒸気を作用させると反応が起こり、酸化物および水素を発生する。反応後の生じる物質は、「水酸化物」では無く、「酸化物」なので注意。 :2Al + 3H<sub>2</sub>O → Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> + 3H<sub>2</sub> :3Fe + 4H<sub>2</sub>O → Fe <sub>3</sub>O<sub>4</sub> + 4H<sub>2</sub> Niおよび、Niよりイオン化傾向の小さい金属は、水とは反応しない。 ==== 酸との反応 ==== 一般に、水素よりもイオン化傾向の大きい金属の単体は、希硫酸や塩酸などと反応し、酸のH<sup>+</sup>を還元するので水素を発生し、金属自身は陽イオンになる。 * Mgと酸 Mgは希塩酸とも強く反応し、水素を生じる。 (KやCaについては、溶媒の水そのものと激しく反応するので、ここでは考察対象から外される。) * Al,Zn,Feと酸 Al,Zn,Feは希塩酸 HCl や希硫酸 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> とも反応し、水素を発生する。 :2Al + 3H<sub>2</sub>O → Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> + 3H<sub>2</sub> :Zn + 2HCl → ZnCl<sub>2</sub> + H<sub>2</sub> :Fe + H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> → FeSO<sub>4</sub> + H<sub>2</sub> * Pbと酸 Pbは希酸とは反応しない。 * Cu,Hg,Agと酸 Cu,Hg,Agは塩酸や希硫酸には溶けない。これらCuとHgとAgは、水素よりもイオン化傾向が小さい。これを溶かす酸には、硝酸HNO<sub>3</sub>か、熱した濃硫酸H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>が必要である。これらの酸(HNO<sub>3</sub> あるいは H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>)は、強い酸化力をもつ。 :(濃硝酸) 3Cu + 8HNO<sub>3</sub> → 3Cu( NO<sub>3</sub> )<sub>2</sub> + 2NO + 4H<sub>2</sub>O :(希硝酸) Cu + 4HNO<sub>3</sub> → Cu( NO<sub>3</sub> )<sub>2</sub> + 2NO<sub>2</sub> + 2H<sub>2</sub>O :(熱濃硫酸) Cu + 2H2SO<sub>4</sub> → CuSO<sub>4</sub> + 2H<sub>2</sub>O + 2SO<sub>2</sub> これらの反応のとき、水素は発生せず、希硝酸では NO が発生し、濃硝酸では NO<sub>2</sub> が発生し、硫酸では二酸化硫黄 SO<sub>2</sub> が発生する。 --> == 電池の仕組み == 二種類の金属単体を電解質水溶液に入れ、極間を導線でつなぐと電池ができる。これはイオン化傾向が大きい金属が電子を放出して陽イオンとなって溶け、電子が導線を伝って、水溶液中のイオン化傾向の小さい金属のイオンが電子を得て析出するためである。 電子の流れ出す側の電極の金属を'''負極'''(negative electrode)という。電子を受け取る側の金属の電極を'''正極'''(positive electrode)という。 正極と負極の電位差を'''起電力'''という。正極で還元される物質を'''正極活物質'''、負極で酸化される物質を'''負極活物質'''という。 == 各種電池 == === ダニエル電池 === [[ファイル:Galvanic cell-ja.png|サムネイル]] 亜鉛板Znを入れたZnSO<sub>4</sub>水溶液と、銅板Cuを入れたCuSO<sub>4</sub>水溶液を、両方の溶液が混ざらないように素焼き板(溶液は混合しないがイオンは通過できる)などで区切った電池をダニエル電池(Daniell cell)という。素焼き板の間をSO<sub>4</sub><sup>2-</sup>が亜鉛板側に移動する。CuSO<sub>4</sub>水溶液は濃く、ZnSO<sub>4</sub>水溶液は薄い方がよい(Znの溶出が進み、Cuの析出が進む方向)。 陽極(負極)での反応 :Zn → Zn<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup> 陰極(正極)での反応 :Cu<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup> → Cu</sub> 電池式:(-) Zn| ZnSO<sub>4</sub>aq | CuSO<sub>4</sub>aq |Cu (+) 起電力:1.1 V === 乾電池 === [[画像:Zincbattery.png|200px|thumb|right|マンガン乾電池の内部構造<br>1.正極端子 2.集電体(炭素棒) 3.負極(亜鉛) 4.正極(二酸化マンガン) 5.電解液(塩化亜鉛・塩化アンモニウム) 6.負極端子]] 電池の電解液は液体なので、そのままでは持ち運びに不便である。電解液を糊状にして携帯できるようにした電池を'''乾電池'''(dry cell)という。 代表的な乾電池に'''マンガン乾電池'''(zinc–carbon battery)がある。 ;マンガン乾電池 電池式:(-) Zn | ZnCl<sub>2</sub>aq, NH<sub>4</sub>Claq | MnO<sub>2</sub>,C (+) 起電力:1.5 V 反応式は、負極では亜鉛が以下のように反応して溶け出る。 :<math> \mathrm{ Zn \rightarrow Zn^{2+} + 2e^- } </math> :<math> \mathrm{ Zn^{2+}+4NH_4^{+} \rightarrow [Zn(NH_3)_4]^{2+} + 4H^+ } </math> 正極の炭素棒は電子を媒介するだけで、炭素は反応しない。電子を受け取るのはMnO<sub>2</sub>である。 === 二次電池 === ダニエル電池や乾電池は、使用していると、だんだん起電力が低下し、再び電池として使えるようにすることは出来ない。このような電池を'''一次電池'''(primary cell)という。充電によって、放電時との逆反応が起こし、繰り返して使用できる電池を蓄電池または'''二次電池'''(secondary cell)という。 電池から電流を取り出している状態を'''放電'''(discharge)という。 === 鉛蓄電池 === 鉛蓄電池は代表的な二次電池で、自動車のバッテリーなどに利用される。[[ファイル:Photo-CarBattery.jpg|200px|thumb|鉛蓄電池の外観。(自動車用)]] 電池式:(-) Pb | H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>aq | PbO<sub>2</sub> (+) 起電力:2.1 V '''放電''' 放電時の反応は、 負極:<chem>Pb + SO4^2- -> PbSO4 + 2e^-</chem> 正極:<chem>PbO2 + 4H^+ + SO4^2- + 2e^- -> PbSO4 + 2H2O</chem> である。放電では、正極と負極の両方に、<chem>PbSO4</chem> が付着する。電解液である硫酸は消費され、硫酸の濃度は低下していく。 ;充電 充電時は放電の逆反応が起こる。 負極:<chem>PbSO4 + 2e^- -> Pb + SO4^2-</chem> 正極:<chem>PbSO4 + 2H2O -> PbO2 + 4H^+ + SO4^2- + 2e^-</chem> 鉛蓄電池の反応をまとめると次のようになる。 <chem>Pb + 2H2SO4 + PbO2 <=>[{discharge}][{charge}] 2PbSO4 + 2H2O</chem> 放電時は、極板の質量が増加し、硫酸の濃度が減少する。 充電時は、極板の質量が減少し、硫酸の濃度が増加する。 === 燃料電池 === [[Image:Solid oxide fuel cell protonic.svg|thumb|燃料電池。 (水素-酸素系)<br>左側から供給された水素 H<sub>2</sub> の一部は、正極でイオン化され、負極にたどり着き、酸素 O<sub>2</sub> と反応し水になる。<br>anode = 陰極 , cathode = 正極 , Fuel = 燃料 , electrolyte = 電解質 .]] 水素などの陽極の燃料を、触媒を用いてイオン化させ、余った電子を取り出す電池。陽極の燃料が水素の場合は、陰極で酸素および回収した電子と反応し水になる。 様々な方式の燃料電池がある。 '''リン酸型燃料電池'''の場合、 :(ー)H<sub>2</sub>|H<sub>3</sub>PO<sub>4</sub>aq|O<sub>2</sub>(+) 電解質にリン酸水溶液を用いている。負極に水素を供給する必要があり、正極に酸素を供給する必要のある電池である。 負極で起きる反応は、 :(負極) 2H<sub>2</sub> → 4H<sup>+</sup> +4e<sup>-</sup> である。負極で生じた水素イオンが電解質を移動し、反対側の正極にまで達し、つぎの反応が起きる。 :(正極) O<sub>2</sub> + 4H<sup>+</sup> +4e<sup>-</sup> → 2H<sub>2</sub>O つまり、水素イオンが酸素によって酸化したわけである。つまり、水素イオンが燃焼したわけである。 この方式の燃料電池の反応式については、高校生はとりあえず、負極で水素が反応して水素イオンが発生することを、覚えておけばよい。そして、正極では酸素と反応して水が生じることを覚えておけばよい。 起電力は約1.2Vである。このリン酸型燃料電池は、酸素の酸化によって生じたエネルギーの一部を、電気エネルギーにしている装置として、解釈できる。 水の電気分解の、逆の原理であると、解釈してよい。 なお、正極と負極は多孔質になっており、水素や酸素を通過させられるようになっている。 この燃料電池の生成物が水なので、環境にやさしいと考えられおり、開発が進められていて、一部は実用化もしている。 また、反応源の水素を発生するためにも、電気分解などの電力エネルギーなど、なんらかのエネルギーが必要なことから、この電池は、水素のエネルギーを電気エネルギーに変換している装置として、解釈もできる。 '''アルカリ型燃料電池'''とは、電解質に水酸化カリウム KOH などを用いる方式である。 :(ー)H<sub>2</sub>|KOHaq|O<sub>2</sub>(+) 他に、固体高分子型や固体酸化物型などがある。 === リチウムイオン電池 === リチウムイオン電池は軽く、起電力が大きいので、携帯電話やノートパソコンなどに幅広く利用されている。 :負極: Liと黒鉛Cの化合物 :電解液: リチウム塩および有機溶媒 :正極: コバルト酸リチウム LiCoO<sub>2</sub> :起電力: 約 4V :ニ次電池 === ※ 参考: その他の実用電池 === 実用電池には上述した乾電池や鉛蓄電池の他にも、さまざまな電池があるが、イオン化傾向を利用しているということなどの基本的な仕組みは、あまり変わらない。 その他の実用されている化学電池には、 * アルカリマンガン電池 * 銀電池 * リチウム電池 * ニッケルカドミウム電池 などがある。 {| class="wikitable" |+ 実用電池 (一次電池) |- ! rowspan="2"| 名称 || colspan="3" |電池の構成|| rowspan="2"| 起電力 |- ! 負極 !! 電解質 !! 正極 |- ! マンガン電池 | Zn | ZnCl<sub>4</sub>, NH<sub>4</sub>Cl | MnO<sub>2</sub> | 1.5 V |- ! アルカリマンガン乾電池 | Zn | KOH | MnO<sub>2</sub> | 1.5 V |- ! リチウム電池 | Li | 有機電解質 | MnO<sub>2</sub> など | 3.0 V |- ! 銀電池 | Zn | KOH | Ag<sub>2</sub>O | 1.55 V |- ! 空気亜鉛電池<br>(空気電池) | Zn | KOH | O<sub>2</sub> | 1.4 V |- |} {| class="wikitable" |+ 実用電池 (二次電池) |- ! rowspan="2"| 名称 || colspan="3" |電池の構成|| rowspan="2"| 起電力 |- ! 負極 !! 電解質 !! 正極 |- ! 鉛蓄電池 | Pb | H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> | PbO<sub>2</sub> | 2.0 V |- ! ニッケル・カドミウム電池 | Cd | KOH | NiO(OH) | 1.2 V |- ! ニッケル水素電池 | MH<br>(水素吸蔵合金) | KOH | NiO(OH) | 1.2 V |- ! リチウムイオン電池 | Liをふくむ黒鉛 | リチウム塩 | LiCoO<sub>2</sub> | 3.7 V |- |} ;アルカリマンガン電池 :負極: Zn :電解液: KOH水溶液 :正極: MnO<sub>2</sub> :起電力: 1.5V ;銀電池 :負極: Zn :電解液: KOH水溶液 :正極: Ag<sub>2</sub>O :起電力: 1.55V :一次電池 銀電池は電圧が安定しているため、時計や電子体温計などに用いられる場合が多い。 ;リチウム電池 :負極: Li :電解液: LiClO<sub>4</sub> および有機溶媒 :正極: (CF)<sub>n</sub> :起電力: 3.0V :一次電池 リチウムは水と反応するので、電解質に水を使うことができない。このため、エチレンカーボネートなどの有機物を電解に用いる。 リチウム電池は長寿命のため、時計や電卓、心臓用ペースメーカなどに用いられている。 ;空気電池 :一次電池 空気電池は軽量なので、よく補聴器に用いられている。購入時には、空気の侵入をふせぐシールが貼られている。使用し始める際には、シールをはがす。シールをはがすと放電が始まる。はがしたシールを貼り直しても、保存は効かない。 ;ニッケルカドミウム電池 :負極: Cd :電解液: KOH水溶液 :正極: オキシ水酸化ニッケル NiO(OH) :起電力: 1.2V :ニ次電池 ニッケルカドミウム電池は電動工具などによく利用されている。カドミウムの有害性の問題があるので、生産量は減少しており、代替品としてニッケル水素電池に置き換えられていっている。 ;ニッケル水素電池 :負極: 水素吸蔵合金(MH) :電解液: KOH水溶液 :正極: オキシ水酸化ニッケル NiO(OH) :起電力: 1.3V :ニ次電池 負極の水素吸蔵合金は、結晶格子の間に水素を取り込め、必要に応じて取り込んだ水素を放出できる。ニッケル水素電池は自動車のハイブリッドカーのバッテリーに用いられる。なお、水素記号のことを記号でMHと表す場合もある。 '''ボルタ電池'''[[File:ボルタの電池.svg|thumb|400px|ボルタの電池の原理図。酸が硫酸ではなく塩酸 HCl の場合。]]ボルタ電池は教科書では次のような説明がされるが、不正確な部分があるため、定期試験で出題されない限りは、覚える必要はない。 :希硫酸 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> の中に亜鉛板Znと銅板Cuを入れたもの。 負極(亜鉛板)での反応 :Zn → Zn<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup> 正極(銅板)での反応 :2H<sup> + </sup> + 2e<sup>-</sup> → H<sub>2</sub>↑ ==== 起電力 ==== ボルタの電池では、得られる両極間の電位差は、1.1Vである。起電力は、両電極の金属の組み合わせによって決まる物質固有の値である。 ==== 電池と酸化還元との関係 ==== ボルタの電池の亜鉛板で起きている反応は、電子を放出することから酸化反応である。また銅板で起きている反応は、電子を受けとっているので還元反応である。 === 電池図 === ボルタ電池の構造を以下のような文字列に表した場合、このような表示を'''電池図'''あるいは'''電池式'''という。 :(-) Zn | H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>aq |Cu (+) aqは水のことである。H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>aqと書いて、硫酸水溶液を表している。 ==== 分極 ==== ボルタ電池では、正極の銅板で発生する水素が銅板を包むので、銅板と溶媒とのあいだの電子の移動が妨げられる'''分極'''が起きる。このような分極を防ぐために酸化剤を溶液に加える。この分極を防ぐ目的で加える酸化剤を'''減極剤'''という。減極剤としては過酸化水素水 H<sub>2</sub>O<sub>2</sub>,またはMnO<sub>2</sub>,またはPbO<sub>2</sub>を使用する。{{clear}} == 電気分解 == 電解質の水溶液に、電極を2本入れて、それぞれの電極に、外部の直流電源から電気を通じると、各電極で水溶液中の物質に化学反応を起こせる。これを'''電気分解'''という。 電気分解で、直流電源の負極につないだ側の電極を'''陰極'''という。 電気分解で、直流電源の正極につないだ側の電極を'''陽極'''という。 陰極の電荷は、電源の負極から電子が送られてくるので、陰極は負電荷に帯電する。いっぽう、陽極の電荷は、正電荷に帯電する。 なお、電気分解の電極には、化学的に安定な白金 Pt や炭素 C などを用いる。 電気分解のさい、陽極では酸化反応が起こり、陰極では還元反応が起こる。 この電気分解の実用例として、金属の精錬に利用されている。 陰イオンのイオン化傾向は<chem>NO3^- > SO4^2- > OH^- > Cl^- > Br^- > I^-</chem>である。語呂合わせとして、{{Ruby|昇|NO3-}}{{Ruby|龍|SO4^2-}}の{{Ruby|水|OH-}}は{{Ruby|演|Cl-}}{{Ruby|習|Br-}}{{Ruby|用|I-}}がある。 === 電気分解の反応 === ==== 陰極での反応 ==== 水溶液の電気分解では、水溶液中で、もっとも還元されやすい物質が電子を受け取り、還元反応が起こる。 :・ なので、Cu<sup>2+</sup>、Ag<sup>+</sup>などのイオン化傾向の小さい金属イオンが溶けていれば、これらの金属が析出する。 :・ K<sup>2+</sup>、Na<sup>+</sup>などのイオン化傾向の大きい金属イオンしか溶けてない場合、かわりにH<sub>2</sub>Oが還元されるため水素H<sub>2</sub>が発生する。 ==== 陽極での反応 ==== 電極がPt,Au,炭素の場合、イオン化傾向が OH<sup>-</sup> より小さい Cl<sup>-</sup>,I<sup>-</sup> ,Br<sup>-</sup> があれば、酸化されてCl<sub>2</sub>、I<sub>2</sub>などが発生する。 イオン化傾向が OH<sup>-</sup> より大きい SO<sub>4</sub><sup>2-</sup>、NO<sub>3</sub><sup>-</sup> は酸化されにくいため、かわりにH<sub>2</sub>Oが還元される酸素O<sub>2</sub>が発生する。 塩基性溶液では、OH<sup>-</sup>が酸化されてO<sub>2</sub>が発生する。 白金や炭素以外の物質を陽極(Cuの場合が多い)にした場合、陽極が酸化されて溶け出す。 === 塩化銅水溶液の電気分解 === 電極には、炭素電極または白金 Pt を用いる。塩化銅CuCl<sub>2</sub>水溶液では、陰極付近の水溶液では、電源から電子が送られてくるので以下の還元反応が起こり、陰極からは銅が析出する。 :陰極: Cu + 2e<sup>-</sup> → Cu 陽極では、電源へ電子が奪われるので、以下の酸化反応が起こり、陽極からは塩素が発生する。 :陽極: 2Cl<sup>-</sup> → Cl<sub>2</sub> + 2e<sup>-</sup> === 硫酸銅(II)水溶液の電気分解 === 電極には、白金 Pt を用いるとする。硫酸銅 CuSO<sub>4</sub> 水溶液。 :陰極: Cu<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup> → Cu 陰極での反応は還元反応である。 :陽極: 2H<sub>2</sub>O → O<sub>2</sub> + 4H<sup>+</sup> + 4e<sup>-</sup> 陽極での反応は酸化反応である。 この硫酸銅での電気分解の現象は、銅の電気精錬に応用されている。 === 水の電気分解 === 純水な水は電気を通さないので、導電性を高めるために硫酸か水酸化ナトリウムを加える。 ;水酸化ナトリウムを加えた場合 H2とNaのイオン化傾向を比べた場合、Na>H<sub>2</sub>なので、陰極で還元されるのは水素イオンH<sup>+</sup>である。 :陰極: 2H<sup>+</sup> + 2e<sup>-</sup> → H<sub>2</sub>↑ 陰極では、水素H<sub>2</sub>が発生。 :陽極: O<sub>2</sub>が発生。<br /> === 電気分解の実用例 === ==== 水酸化ナトリウムの製造 ==== 工業的な水酸化ナトリウムの製造にはイオン交換膜法が使われている。 [[File:イオン交換膜法によるNaOHの製造法.svg|thumb|500px|イオン交換膜法によるNaOHの製造法<br>(※ この反応で陰極側に加える液体は、図では「純水」としてあるが、実際は導電性をもたせるために、うすめの水酸化ナトリウムを加える。検定教科書では「純水」と表記してある教科書もあるので、高校生は、気にしなくて良い。)]] 図のように陽イオン交換膜による隔壁でへだてて片方に陽極、もう片方に陰極の電極を配置する。 そして、陽極側にNaCl水溶液を入れる。電圧をなにも加えて無い状体では、NaイオンとClイオンに分離している。 そして電圧を加えると、電気分解が起きる。 陰極では :<math> \mathrm{ 2H_2O + 2e^- \rightarrow H_2 + 2OH^- } </math>  (還元) 陽極では :<math> \mathrm{ 2Cl^- \rightarrow Cl_2 + 2e^-} </math>  (酸化) という反応が起きる。 その結果、Cl<sup>-</sup>イオンが発生する。このCl<sup>-</sup>イオンは陽イオン交換膜を通れず、Cl<sup>-</sup>イオンはそのまま陽極側にとどまる。そしてCl<sup>-</sup>イオンは陽極のプラス電荷を受け取って塩素ガスになり気体となって排出される。 いっぽうで、Na<sup>+</sup>イオンはそのまま水溶液中にとどまり、また陽イオン交換膜を通過する。 いっぽう陰極側ではOH<sup>-</sup>は陽イオン交換膜を通過できないので、そのまま陰極側にとどまる。また、水素イオンH<sup>+</sup>は陰極で電荷を受け取り、水素ガスを発生して、排出される。 こうして、陰極側の溶液ではNa<sup>+</sup>イオンとOH<sup>-</sup>イオンばかりになる。 Naはイオン化傾向が水よりも大きいので、陰極ではNa<sup>+</sup>はイオンのままである。なので陰極では水H<sub>2</sub>Oだけが還元されてOH<sup>-</sup>ができる。 こうして、陰極ではNaOHの濃度の高い水溶液が得られる。この水溶液を濃縮することによって、水酸化ナトリウムNaOHが得られる。 ;隔膜法 以前は、アスベストなどをもちいた隔膜法(かくまくほう)が用いられていた。この隔膜法も、電気分解を用いる。濃い食塩水(塩化ナトリウム水溶液)を電気分解する方法で水酸化ナトリウムは生産できる。電気分解したときに、塩素の気体が発生するので、気体を排出することにより、溶液中にNa<sup>+</sup>イオンを多くさせている。 なお、陽イオン交換膜をもちいた方法とは違い、隔膜法の隔膜では塩素イオンも通過してしまうので、この方法では、得られる水溶液に不純物としてNaClが混ざる。 またなお、陽極は炭素Cである。陰極は鉄網Feである。隔膜の外部を鉄網で覆っている。 陽極では :<math> \mathrm{ 2Cl^- \rightarrow Cl_2 + 2e^-} </math> 陰極では :<math> \mathrm{ 2H_2O + 2e^- \rightarrow H_2 + 2OH^- } </math> という反応が起きる。Naはイオン化傾向が水よりも大きいので、水が還元されてOH<sup>-</sup>ができる。 陰極で発生したOH<sup>-</sup>によってNaOHができるが、そのままだと陽極のCl2と反応してしまいNaClになってしまうので、NaとClとを結合させず隔離するために、隔膜としてアスベスト(「石綿」ともいう。)などでつくった多孔質の膜を用いる。アスベストは人体に有害である。 なお、水酸化ナトリウムのことを苛性ソーダ(かせい)ともいう。 ==== 銅の精錬 ==== [[File:Electrorefining copper jp.svg|thumb|400px|銅の電気精錬]] 銅の鉱石を、コークスCなどとの加熱反応で還元したものは、純度が約99%で、'''粗銅'''とよばれる。粗銅には、亜鉛や銀などの不純物が含まれるので、純度をあげためには、不純物を分離する必要があり、そのために電解が利用されている。 硫酸銅(II)水溶液をもちいる。そのさいの電極(陽極)に、純度をあげたい銅を用いる。つまり、粗銅を陽極に用いる。純度の高い銅を陰極に用いる。電気分解により、次の反応が起こる。 :陰極: Cu<sup>2</sup> + 2e<sup>-</sup> → Cu :陽極: Cu → Cu<sup>2</sup> + 2e<sup>-</sup> 陽極からは、銅だけが溶け出すのではなく、イオン化傾向の大きい鉄や亜鉛やニッケルなども溶け出す。しかし陰極で析出するのは、ほとんど銅だけなので、よって陰極にて高純度の銅が得られる、という仕組みである。 粗銅中に含まれている銀や金はイオン化傾向が銅よりも小さいため、陽極の下に沈殿する。これを'''陽極泥'''(ようきょくでい、anode slime)という。 陰極には純度の高い純度99.99%程度の銅が析出する。これを純銅という。 ==== 融解塩の電解 ==== アルミニウムやマグネシウムやアルカリ金属やアルカリ土類金属はイオン化傾向が大きいため、そのイオンをふくむ溶液を電気分解しても、アルミニウムなどの単体は得られない。そこで、イオン化傾向の大きい金属を電気分解で得たいときは、塩や酸化物を融解し、これを電気分解することで単体を得る。このような方法を、'''溶融塩電解'''('''熔融塩電解'''、ようゆうえん でんかい)または'''融解塩電解'''という。 ===== アルミニウムの精錬 ===== 酸化アルミニウムAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>の電気分解によって、アルミニウムが得られる。 酸化アルミニウムAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は、鉱石のボーキサイト(Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>・nH<sub>2</sub>O)から、つくられる。そのボーキサイトからの酸化アルミニウムのつくりかたの説明は省略する(検定教科書でも、くわしい説明は省略)。Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は、アルミナとも呼ばれる。 アルミニウムを得たい場合、アルミナAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>は融点 2072 °Cと非常に高いため、そのままでは融解させづらい。そこで融点を下げるため、氷晶石Na<sub>3</sub> AlF<sub>6</sub>(融点 1012℃)を、割合が氷晶石9.5重量%ほど加えると、溶融温度が下がり、融点が約970℃になる。これを炭素電極によって電気分解によって、陰極で、アルミニウムができる。 陽極では、電極の炭素が空気中の酸素と反応して、COやCO<sub>2</sub>ができる。 :(陰極) Al<sup>3+</sup> + 3e<sup>-</sup> → Al この一連のアルミニウムの電解方法を'''ホール・エルー法'''(Hall-Héroult process)という。 === 電気分解と電気量との関係 === ==== 単位の定義 ==== ;クーロン 1A(アンペア)の電流が1秒間、流れこんで貯まったときの電気量を1'''クーロン'''という。記号はCである。 電気量をQ[C]とすると、電流i[A]で時間t秒の電流を流した場合は、Q[C]とi[A]とt[S]の関係は、 :Q = i × t である。 ;ファラデー定数 1molの電子がもつ電荷は約96 500 Cである。そこで、この96 500 C/mol を'''ファラデー定数'''(Faraday constant)という。 電子1個の電荷は :e = 1.60×10<sup>-9</sup> [C] である。 計算を実際にしてみると、電子1個の電荷に、1モルぶんの粒子の個数を掛け算したものは、下記のように、たしかにファラデー定数になる。 :<math> 1.60 \times 10^{-19} \times 6.02 \times 10^{23} = 96500 </math> ==== ファラデーの電気分解の法則 ==== * 電気分解によって、電極で変化する物質量は、与えた電気量に比例する。 * 電気分解によって、価数の異なる物質の変化を比べた場合、同じ電気量で変化する物質量は物質の価数に反比例する。あるいは物質の(1/価数)に比例する。 この法則を、電気分解における'''ファラデーの法則'''という。 ;例1 AgNO<sub>3</sub>の電気分解では、電流1Fで物質量'''1mol'''のAgが析出する。なぜなら、Agは1価であり、反応式は :<math> \mathrm{ Ag^+ + e^- \rightarrow Ag } </math> のように反応するからである。 ;例2 CuSO<sub>4</sub>の電気分解では、電流1Fで'''0.5mol'''のCuが析出する。なぜなら、Cuは'''2'''価であり、反応式は :<math> \mathrm{ Cu^{2+} + 2e^- \rightarrow Cu } </math> のように反応するから、銅を1分子析出させるのに電子が2個必要だからである。 ;例3 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>の電気分解では、電流1Fで'''0.5mol'''のH<sub>2</sub>が発生する。反応式は :<math> \mathrm{ 2H^+ + 2e^- \rightarrow H_2 } </math> のように反応するから、水素H<sub>2</sub>を1分子発生させるのに電子が2個必要だからである。 これ等の例のように、発生物の物質量を求める場合の手順は、 # まず反応式を書いてから、 # その式での、電子eの係数と生成物の係数との比を元に、発生物の物質量を計算する。 というふうに計算する。 [[カテゴリ:高等学校化学|てんちとてんきふんかい]] [[カテゴリ:電気分解]] qwdkc9ah952f11vdgj8ezahqsaw29mk 高校生活ガイド 0 18818 246454 245771 2024-04-10T05:19:03Z すじにくシチュー 12058 /* 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 */ ほか、基本的に'''探求学習は求められていない'''のが総合型選抜の実態です。 wikitext text/x-wiki : [[小学校・中学校・高等学校の学習]] > [[高等学校の学習]] > 高校生活ガイド {{Stub}} {{独自研究の可能性}} 編集者の主観的な表現が含まれている可能性があります。このページをある程度の参考として、高校入学に向けて心構えを持つことは大切です。 しかし通常、入学時には新入生を対象とした説明が行われるため、そちらをより参考にすべきです。 また日本の高校についての詳しい情報はwikipedia[https://ja.wikipedia.org/wiki/高等学校]を参照してください。 ---- == 高校は義務教育ではない == === 説明 === 高校は、義務教育ではありません。したがって、さまざまな事情により高校を退学することはありえます。そのあとに他の高校に入りなおす義務もありません。非行などに対する懲戒処分として、校長から謹慎や退学を命じられることもありえます。 日本では中学校までは年齢主義をとるため、1年間在籍しているだけで次の学年に進級できます。しかし高校では、規定の時間数以上の授業に出席をし、考査等で一定の成績を収めることが進級の必要条件です。つまり、出席や成績の状況次第で留年をすることがあります。 学校にもよりますが、中堅レベル以上の普通科高校の場合、高校の定期考査では、中学と比べて試験問題が難しくなるのが一般的です。教科書の内容が中学と比べすることが高度になり、また大学受験に対応するため、定期考査に難しい問題が出される場合があります。 このため、定期考査の試験対策をしないと、いわゆる赤点を取る可能性が高いです。赤点とは、定期考査等の結果が基準点を下回ることです。詳しい規定は学校によりますが、基準は「固定された点数(30点など)未満」や「平均点の半分未満」などです。赤点をとってしまった場合にはいくつかの処置がとられます。 # 補習参加の上、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習はないが、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習参加の上、課題を提出すれば合格とする。追試はない。 # 補習に参加すれば合格とする。追試はない。 これらの救済措置の結果、合格となれば進級できますが、不合格のままの科目を残している場合は進級ができず、留年となります。このあたりの規定は学校ごとに大きく異なりますので、詳しくは学校の先生の指示に従ってください。 === 転校 === また、高校では他校への編入はかなりハードルが高いです。遠隔地への転居などの場合でも現地の学校に自動的に入学することはできず、編入試験が課されます。 学校になじめず転学を希望したいという場合でも、通信制高校や夜間高校などへ転学せざるを得ないという場合もありえます。 == 科目の選択 == 高校では、履修する科目を選択する場面が多くあります。まず、学校ごとに開講される科目が異なりますので、学校を選んだ時点で履修科目の幅は狭まっています。その上で、高校に入学して以降も、様々な場面で科目を選択する場面があります。 * 主な選択科目(現行課程) ** 地歴科:世界史A・B、日本史A・B、地理A・B(世界史A・Bはどちらかを必ず履修しなければなりません) ** 公民科:現代社会、倫理、政治経済 ** 理科:化学基礎・物理基礎・生物基礎・地学基礎、物理・生物・化学・地学 ** 芸術科目:音楽、美術、書道、工芸 なお中学にある技術・家庭科の「技術」分野は、高校では取り扱われず家庭分野のみの家庭科となっています。普通科高校では、職業教育はありません。 高校の検定教科書の購入は、全科目とも学校教科書の販売を扱っている取次店(とりつぎてん)で買えます。自分が何歳になっても取次店で高校教科書を買えますので、高校生は検定教科書を入手したいだけなら、その選択科目を履修する必要はありません。 :(※ 検定教科書の購入方法については『[[小学校・中学校・高等学校の学習/検定教科書の購入方法]]』に解説がある。) === 芸術科目 === 普通科高校での芸術科目は、音楽・美術・書道・工芸の中からどれか一つを選ぶ選択制になっています。1年生でどれか1つを選択必修、他学年では開講しない、という学校が多いかと思います。芸術科目は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶのが安全でしょう。もし音楽を履修した場合、授業ではまったく美術や書道が取り扱われません。これはどの芸術科目を選んだ場合にも同様です。好きでもないことを、1年間も毎週2時間ほど練習することは苦行ですので、芸術科目の選択は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶべきです。 なお、現在の中学3年までの芸術科目が、90年代までは高校1年や2年で習っていた内容です。現在の高校1年の芸術科目では、「脱・ゆとり教育」などの影響もあり、90年代の高校芸術科目よりも細かく、専門性のやや高まった事を習ってますので、そういう点からも、興味の無い芸術科目は、履修しないのが無難です。 さて、もし美大・音大または芸術系専門学校などの芸術系の進路を希望する場合は、その分野の科目を履修しておくのが無難ですが、全生徒を対象とする芸術科目だけではどのみち練習量が大幅に不足ですので、外部の芸術系進路用の予備校などで習う必要があります。 なお、音大・美大・教育大を除く一般の大学では、芸術の授業が無い場合が大半です。このため、人によっては高校が最後の学校での芸術教育になる場合も多くあります。 === 文系・理系 === ==== 文理選択とは ==== 普通科高校では、多くの場合2年生次(一部は3年生次)<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190726-00010000-yom-soci&p=1 「『文系か理系か』早すぎる選択…受験科目に専念するため、大半が高1で決定」2019年7月26日読売新聞オンライン]</ref>に、文系か理系のどちらかの類型を選択することが一般的です。これは、普通科高校生の多くが目指す大学進学にあたって、入試に対応するためにはポイントを絞る必要があるためです。この選択は一度選択してしまうと卒業まで変更することは、現実にはできない(後述)ため、慎重に選択する必要があります。文理選択までに、進学したい進路先をよく考えておかねばなりません。 少数例ですが学校によってはコースが分かれずに、文系志望の生徒にも数学IIIなどの理系科目を教える文理両立の高校の場合もあります。たとえ文理両立の高校でも、3年生では選択科目が増えてきます。高校普通科の全科目を履修するのは、たとえ文理両立の高校でも、授業時間の制限のため、不可能です。 また、「国際科」・「理数科」などの普通科以外の進学系の学科では、そもそも入学当初から文理選択がなくて、その学科の類型のカリキュラムとなることが普通です。たとえば理数科では、そもそも全生徒が理系のカリキュラムになり、文系特化のカリキュラムは選べません。 ;私大の推薦入試に関わる 推薦入試で大学に入学するなら文理選択は関係ないかというと、そんなことはありません。私立大学の推薦受験(指定校推薦のほか、「総合型選抜」も学校推薦型総合型選抜という推薦の一種です)では、受験生に特定の科目の履修を条件づける場合があります。たとえば、私立の理系学部を推薦受験する場合は、条件として数学III、および進学先学科に応じた「物理」・「生物」・「化学」などの科目の履修を条件づける場合もあります。なぜ科目制限するかというと、科目制限しないと文系科目だけで好成績を取って、理系科目が出来ないのに推薦入学してしまう受験生が出現してしまうからです。 文系科目でも、一部の難関私大では、文系学部の推薦入試の要件に、地歴公民など文系科目での必要単位数を設けている場合があります。理系コースだとその出願単位数を満たせない場合があるので、文系志望なら高校では文系コースを履修するのが無難でしょう。 ==== どうやって選択するか ==== 文理選択をするにあたっては、進路先としてどのような大学・学部を考えるかを最優先しましょう。間違っても、科目の得意不得意で選んではいけません。後でつまらない思いをします。なお、勘違いされやすいことですが、英語は文系・理系ともに大学入試で要求されることが一般的なので、「英語が苦手だから理系」という選択はやめましょう。 また、「数学が苦手だから文系」という選択肢をとる生徒が少なからずいますが、こちらも先のことを考えると安易であるといえます。というのも、いわゆる文系に属する学部学科でも数学を使うことがあり、「文系なら数学を使わなくても済む」とは限らないからです。具体的には経済学部・経営学部・社会学部では入試の段階で数学が必要な場合もあります(有名どころでは慶應義塾大学経済学部や商学部、早稲田大学政治経済学部)し、入試で使わなくとも大学の授業では必修とされることは珍しくありません。 なお、芸術系大学・短大・専門学校の志望や、体育大志望などは、文系を選ぶのが無難です。内容が文系かというとそうではないのですが、少なくとも高度な理系科目の学力は要求されないためです。また、大学でスポーツ推薦などを受け入れている学部も、社会学部や文学部・経済学部など、いわゆる文系とされる学部です。経済学部は、日本では文系の学部として扱われます。企業からの視点も、経済学部卒を文系の人間として扱います。また芸術系卒や体育大卒も、企業からの視点では、彼らを文系の人間として扱います。 2020年代の現在、高大連携や探求学習があり、進学校の文系コースなどでは志望学科に近い分野の卒業論文のようなレポートなどを仕上げる学校もあったり、近隣の提携先の私立文系大学の授業を受けられたりなどの機会があるので、私大文系の推薦入試などで論文を自己アピール材料にできる場合もあります。このため、文系志望なら文系コースを選択するのが無難でしょう。 もし高校卒業後に浪人した場合、どんなに高大連携や卒業論文などの機会を得ようとしても、制度的に浪人生は不可能です(高校生以外はその機会がありません)。なので、高校在学中は志望分野にしたがったコースをそのまま選ぶのが安全です。 昔話ですが、平成初期のまだ探求学習の無かった時代ならば、文系志望でもあえて理系コースを選ぶという手法もありましたが、しかし令和の今ではその手法は上述の理由で時代遅れでしょう(高大連携などの利点を損失するので)。例外として、よほどの底辺高校で、文系コースが事実上の高卒就職コースとしてしか機能してない高校とかでない限り、平均以上の学力の高校ならば文系志望者は文系コースを選ぶのが無難でしょう。 現在、多くの大学の文系学科で、高校3年レベルの数学科目を履修でき、しかも大学の単位を取得できます(場合によっては高校2年レベルの数学で大学の単位取得できます)。底辺大学でなくても、です。このため、高校3年生の時点でわざわざ高大連携の機会を損失してまで、数学III・Cなどを履修するメリットは少ないのです。 ==== 「文転」「理転」について ==== 理系から文系にクラスを変える'''文転'''、文系から理系にクラスを変える'''理転'''も可能ですが、現実的にはどちらも厳しい道を歩むことになります。 一番の違いは数学の扱いでしょう。理系の場合、3年になってからも新しいことを3年の2学期終わり頃までは授業で習いますが、文系の3年生の授業では夏ごろには新たな単元は扱われなくなり、その後は入試対策や過去問演習などの復習が増えてくる、という特性があります。また、文系では理系の生徒が学ぶ科目である数学IIIは履修しない、理科の「基礎」でない科目は履修しないなどが一般的です。したがって、3年になってから理転しようとしてもスタートラインから極めて大きな差ができてしまいます。よって、文系から理系に「理転」すると、全く習ってないことが続出するので、大学受験対策が間に合わず、ほぼ浪人が確定です。 文転は前述の理転に比べれば多少はマシですが、古文漢文や地歴・公民での学習量などの積み重ねの差は小さくはなく、一般の生徒よりも努力しなければ文系のまま2年3年と進んだ場合に比べて進路が狭まることは否めません。また、学校によっては文理で地歴・公民の進度・内容が違い、2年次に習っていなかったものを文転してから改めて学ぶ必要が出てくる場合があります。当然、その分学習量が増えるため、「文転は理転に比べて楽」という噂を鵜呑みにしてはいけません。 == 推薦入試の時代変化 == === 特化型が有利 === 大学受験への総合型選抜によくあるシステムは、高校受験とは違います。 要求されるのは教科の高さではなく、英検などの保有資格です。たとえ難関高校で通知表が5段階中で全教科5であっても、英検準1級を取ってないと難関大学へは出願そのものが出来ません。 さらに、保有資格の合計点は要求されません。たとえば「英検準2級、ドイツ語検定4級、理系」みたいな子よりも、「英検だけ準1級」という子が評価されるのが日本の私大への推薦システムです。「英検準2級、ドイツ語検定4級」みたいな子は、そもそも難関大学の推薦には'''出願できない'''システムです。 英検などの保有資格で特定言語に特化した級の高さの上、さらに通知表が平均4.0以上などが要求されます。 このため、たとえば意欲的な高校生が、取得しなくても高校卒業できる科目(例えば一部の私立の進学高校の第二外国語)などで低い成績を取ると、かえって推薦が不利になります(最悪、出願できなくなる)。推薦に要求されるのは合計単位数ではなく評定の'''平均値'''なのです。 1990年代の大学改革での各種の新型の推薦の導入当初、どうも高校受験のようなものだと高校生が誤解したようで、90年代の当時は一部の意欲的な高校生が、学業と併行(へいこう)して色々な課外活動を頑張りましたが、しかし2020年代の令和の推薦システムは全くそういうシステムではありません。 1999年『分数ができない大学生』シリーズで、合計値ではなく平均値で見ると、かえって上述のように不公平になると既に指摘されていたにもかかわらず、一向に平均値順に評価するのを日本の難関私大は辞めていません。 美術とか音楽とかの才能に秀でた人を評価したいなら、べつに美術の一芸入試とかじゃなくって、3教科とか5教科の入試教科に美術や音楽の実技試験などを加えればいいじゃないかと1999年ごろにもう指摘されているにもかかわらず、そういう合計点を見るような改革は、日本の早慶マーチ的な大学受験では何も行われていません。 高校入試ですら、もうちょっと合計的な能力を見ていますが、日本の大学はそれ未満です。 あるいは、もし「合計点を見る方式が間違っている」とすると、その難関私大の指定校や付属校の高校への入試の選抜システムも間違っていることになるので、私大はもう言い逃れが出来ません。 日本の私大の受験システムは完全に矛盾しており、論理が破綻(はたん)しています。そういう矛盾を気にしない人が私大の総長をしているのです。 === 模試の確約システムは無い === 高校入試だと、模試の「確約」(かくやく)というシステムが私立受験でありますが、しかし大学入試の場合、私大受験にも模試の'''「確約」システムは無い'''のです。なお高校入試の「確約」システムとは、たとえば埼玉県の「北辰テスト」(ほくしんテスト)とか神奈川県・東京の「W模擬」や千葉・東京「V模擬」などの地域模試で高い偏差値を取った人を、私立高校の受験のさいに加点するシステムです。 英検やTOEICなど英語の資格以外に、外部テストは使えません。英語1教科だけです。たとえば駿台模試とか河合模試とかは、出願の要件に入っていません。 高校受験の地域模試よりも教科数が減っており、選抜方法が大学では劣化しています。 「模試が民間テストに過ぎず公的ではないので、不適切」だとすると(1990年代、自民党がこういう論調で高校受験の模試を批判しました)、その私大の指定校の多くも不適切な高校入試を行っていることになり、私大は論理破綻しており支離滅裂です。1990年代、私立高校入試の「確約」を自民党議員は批判したのに、彼らの主導する大学入試の推薦システムは、まさに、まるで英検による「確約」システムのようなものです。 === 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 === 総合型選抜についての、よくある勘違いとして、まるで高校入試の内申点のようなものだと勘違いする人が、後を絶ちません。しかし、両者はまったく違うシステムです。 大学にもよりますが、英検で一定以上の級(たとえば2級以上)を持っていないと(またはTOEICで同等のスコア以上)、難関大学へは、総合型選抜の出願そのものが不可能だったりする場合もあります。 たとえ部活と学業を頑張ろうが、総合型選抜の出願条件のクリアには、なりません。部活で全国大会にまで勝ち進めばスポーツ推薦などの入試に出願する要件はクリアできるでしょうが、しかしそこまで勝ち進めないかぎり、どんなに偏差値の高い高校で、部活と学業の両立をがんばろうが、そもそもの出願条件をクリアできません。 難関大学の総合型選抜の出願条件はたいてい、英検2級以上またはTOEICのハイスコアです。部活は出願条件ではないのです。 {{コラム|「総合型選抜」の英検重視の変化に注意| なお総合型選抜などの推薦の要件として、多くの私立大学で2020年代以降、高校での履修科目だけでなく英検2級以上やTOEICのハイスコアなどを要求している私大もあります。ほか、履修科目全部の評定平均がたとえば4.0以上<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>など要求する例もあります。英文科だけではなく歴史学科や経済学部<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>などですら要求されます。 大学によっては「英検2級以上」などの試験名の表現ではなく「CEFR B1以上」と表現している場合もあります。英語の資格は多々ありますので、共通した評価基準として CEFR (セファール)という国際基準があります。なお、CEFR という試験は無く、英検で上位の級に合格したりTOEICなどでハイスコアを取ると、CEFRでのランクが与えられる仕組みです。なお、CEFR B2が英検準1級、CEFR C1 が英検1級の合格に相当です。 難関私大だと総合型選抜で要求する水準が英検準1級 相当以上になる場合もあります<ref>[https://exam.52school.com/rikkyo/admissions/undergraduate/guidelines/J_guideline/pdf/J_24guideline.pdf たとえば立教(英検 準1級相当 以上)]</ref><ref>[https://www.chuo-u.ac.jp/common_d/connect/admission/2024/special/11_1.pdf 中央大の2種類ある方式のうち片方は外国語型で、英検 準1級相当 以上]</ref>。総合型選抜や自己推薦などによる入試方式をねらっている人は、履修科目だけに目をとらわれず、英検などの資格取得も必要な場合もあります。 {{コラム|大学の英語の授業の実態| なお、これらの難関私大で英検準1を総合型選抜に要求する理由の元ネタのひとつは、'''それらの大学の教養課程の英語の授業内容が、英検準1級の英語長文のレベルだから'''でしょう。大学によっては高校レベルの英検2級の英語しか授業で要求しない場合もあるのですが(なぜなら学部専攻の科目(たとえば経済学部なら経済学が専攻)で忙しい。ほか、第二外国語(ドイツ語やフランス語など)が始まるので)、しかしそれでも大学によっては英語の授業で英検準1級を要求する大学もいくつかあるようです。 余談ですが、大学では専攻や第二外国語が忙しいので、実は大学では一般的な英語力は、直接的には それほど向上しません(例外として、英文科や国際系学科の以外は)。経済学などの専門用語とかの英語は専攻が経済学なら覚えますが。私大のパンフレットとかにある、やれ「留学」「海外姉妹校」だの「充実した語学教育」だのなんだのは、まあ宣伝です。誇大広告ですが、まあ大学側からすれば「努力目標」とでも言い訳できます。 }} ともかく大学の推薦入試について、親世代・昭和後半の生まれ世代での大学推薦入試の常識とは少し変わっていますので、注意しましょう。 ただし履修科目の高度性と英語資格とを両方を要求するのは、よほどの難関大学の難関学部以外では基本的には無いので、直接的には生徒個人にとっては両立をめざす必要性は低いのですが、しかし高校全体での大学合格実績に関わってきます。高校の大学合格実績が将来的に高くなれば、そのぶん卒業後の出身校の指定校推薦の枠も増えるので、出身高校の評判が上がっていき将来の自分の評判も上がるわけです。 }} ほか、基本的に'''探求学習は求められていない'''のが総合型選抜の実態です。よほど探究論文などで日本有数の成果を出せないかぎり(そしてそれを大会などに出場して高評価を得たこと客観的に証明できないかぎり)、英検準1級や2級やTOEICハイスコアを持ってなければ英検・TOEICなどの足切りにかかってしまい、出願そのものが不可能になってしまいからです。文科省は建前としては探求学習と総合型選抜を関連づけて喧伝しれいるかもしれませんが、その建前は実際の大学入試では崩壊しています。つまり、文科省の行政は失敗しました。 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視になっています<ref>[https://studychain.jp/324/ 『指定校推薦の校内選考とは?いつ?落ちる?校内選考を解説』2023/12/21 ]</ref><ref>[https://www.池内塾.com/bby/daigakujuken/suisentoeiken.html 『指定校推薦にも英検が影響します。』]</ref><ref>[https://tendoblog.com/20210829-2/ 『指定校の出願に英検が必要な大学 2021版/評定平均以外の出願条件まとめ 』 2021.10.17 ]</ref>。昭和の常識とは違います。 落ち目の高校からの指定校で学力不足の子が進学したら大学側は困るので、大学によっては英検などの条件を追加し始めています。 === フンボルト理念とは違う「総合型」選抜 === ;フンボルト理念に違反する英語特化型の総合型選抜 私大の総合型選抜は、けっして総合力を要求していません。 たとえば英検準1級以上を出願の要件にしている大学は、どんなに英語以外の数学とか物理も勉強していても、英検も2級に合格して高校レベルの英語力を証明できていても、なのに英検準1級以上でないかぎりは出願の時点で不可能であり、足切りされてしまうのです。英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも、理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが、私大の「総合型選抜」です。 つまり私大の「総合型選抜」は単に、既存の一芸入試などの選抜方法やら数学オリンピックとかの、ともかく大学で使えそうな一芸入試を'''併合'''(へいごう)しただけです。英語一芸入試とか数学一芸入試を併合しただけです。「人種のサラダボウル」みたいに、まじりあってないものを併合・混合しただけです。けっして「人種のるつぼ」のように混合して化学変化を起こしているわけではありません。 このため、英語特化とか数学特化みたいに、一点特化型の選抜になっているのが「総合型選抜」です。つまり総合型選抜はサラダボウル型入試です。 学問的に重要なこととして、難関私大の教育学における総合型選抜は、教育学でいう'''フンボルト理念に違反'''している選抜方法になっています。フンボルト理念とは、初等中等教育あたり(小学校入学 ~ 高校卒業まで)において、どういうわけか国数英理社の5教科をぜんぶ教えると、教育成果が高い、という経験則にもとづいて、なるべく5教科全科目を教えようとする教育方針のことです。 :※ 小中校の教育についての「フンボルト理念」と、大学教育についての「フンボルト理念」とは違います。このページでは高校教育の話をしているので、小中高の教育のほうのフンボルト理念です。この小中高の教育については「フンボルトの人格形成の理論」とか「フンボルトの陶冶(とうや)の理論」みたいにも言います。Bildungstheorie が元の語であり<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/csssej/21/0/21_23/_pdf/-char/ja 宮本 勇一 著『教育課程改革に対するフンボルトの陶冶理論の今日的意義』 ]</ref>、英語だかドイツ語だかでビルドゥングスとも言います。 :※ なお、大学教育のほうのフンボルト理念については、ドイツの教育学者フンボルトの名を冠した1810年ごろからの理念ですが、しかし2001年のドイツの教育学者シルヴィア・パレチェクの教育史の研究によると、実際はアメリカで発祥した教育理念の可能性が高いとのことです<ref>[https://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/246.html 潮木 守一 (桜美林大学大学院招聘教授)『「フンボルト理念」とは神話だったのか?-自己理解の“進歩”と“後退”』 ]</ref>。なお、その発祥元のアメリカすら、ドイツのフンボルト理念の権威を信じて、ドイツにエリートを留学して、教育学をドイツからアメリカに持ち帰ったとのことです。 :※ 大学のほうの「フンボルト理念」は、教育と研究を一体とするものです。つまり、フンボルトよりもずっと前の時代は、学生は基本的に研究をせず、したがって学生参加のゼミなども無かったのが当時の大学の実態でした。それを改革して学生にも研究させようぜっていうのが、上述のようにドイツとかアメリカとかの大学です。 簡単そうに英検2級とか言いますが、しかし実際の現役高校生は数学とか理科とかも勉強した上で英検も取るわけです。理系志望の高校生なんか、数学IIIと専門「物理」・「化学」・「生物」とかを勉強した上で、その上で英検2級をとるのは、かなりの負担です。 その英検2級ですら負担なのに、英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが私大の「総合型選抜」です。 もちろん、こんなのが「総合」でないことはもう2001年くらいに教育界隈では分かっており、ヒットした書籍『分数の出来ない大学生』シリーズで、慶応大教員の数学者の戸瀬信之(とせのぶゆき)などによって(なお、戸瀬本人の学は東大の数学科出身)、当時の「総合学習」型重視の大学入試の形骸化を批判して、おおむね発言内容「数学も見ないのに、何が総合だ」みたいに批判していました。それから20年以上たっても、何も改善出来てないのが日本の私大です。 戸瀬は当時から「英会話とかができるよりも、(数学なども含む)5教科の学力を国際的なレベルにまで高めるほうが重要だ」みたいな事を言っていました。英語ができるだけの人なら、米英に行けば無職でも出来ます。 べつに2001年に戸瀬が発見したわけではなく、芸人のビートたけしの中高生の時代、母の 北野さき さんは、たけしの兄[[w:北野大]](きたの まさる、1942年生まれ)が高校時代で大学受験のとき、「英文科に行きたいか、理系に行きたいかで迷ってる」みたいなことを言った時、「英語は米英ならルンペン(遊民。今でいう無職みたいなの)でも出来る」と諭して(さとして)理系の学部に進学させたほどです。 べつに、「私大の英語特化型の入試が悪い」とは言ってませんが、しかし少なくともフンボルト理念には明確に違反しています。英語だけではフンボルト理念の理想でないことは、上述のたけしの兄のエピソードからも分かるように昭和の時代から分かっていることです。平成の時代も、戸瀬信之の例からも分かるように、英語だけではフンボルト理念ではありません。 フンボルト理念そのものに学問的な疑いがあるなら大学人はそういえばいいと思いますが、しかしそういう話を早慶マーチからは聞きません。その早慶マーチの私立大学に教育学部もあったりするのですが、なんとも思わないのでしょうか。 == 高校の部活の問題点 == === 探求学習に部活制度が対応していない === 総合型選抜(AO入試)対策などとして部活の問題点を考えた場合(情操教育とかそういう議論はキリがないので考えないでおきます)、部活の制度の致命的な問題として、部活の制度自体は、昨今の「探求学習」に対応していません。 ==== 放課後探究や課外探究など ==== 探求学習のためには、自分の興味ある分野を積極的に調べる必要があります。高校のなかには、夏休み<ref>[https://www.toshimagaoka.ed.jp/education/inquiry/ 『探究的な活動 | 豊島岡女子学園 中学校・高等学校』 ]</ref>や放課後<ref>[https://www.hs.reitaku.jp/39820/ 『放課後探究活動 “ReaLab” がスタート! | お知らせ | 麗澤中学・高等学校(千葉県柏市の中高一貫・共学校)』 ]</ref><ref>[https://www.komabagakuen.ac.jp/news/?p=6887 『探究の部屋へようこそ! - 駒場学園高等学校』2022.09.06]</ref><ref>[https://kaga-teiju.jp/archive523/ 『探究学習で魅力ある高校に! 加賀市だからこそ学べる教育で、グローカル人材を育成する。』2023年8月29日 ]</ref>などの課外活動でも探求しています。 「私大のAO入試(今は「総合型選抜」と言う)の対策のために部活動をしているのに、その部活動のせいで、探求学習が大してできず、不利になってしまった」なんて事にならないよう、調節をしてください。 例外として公式大会で全国大会の出場などをねらえる強豪校などでないかぎり、探求学習の時間の確保を忘れてはいけません。決して「放課後を全部、部活で使ってしまい、図書館で調べ学習のための本を借りる時間が無い」なんて事にならないようにしてください。 なお、トーナメント戦の公式大会では、原理的に半数は1回戦で敗退します。「一回戦敗退」と聞くとなんとなく弱そうに見えますが、しかし実は半分の人数の参加者は初戦の1回戦で敗退して終わるのです。2回戦敗退までに、なんと当初の参加者の75%もが敗退します。 世間の人はどうも、部活に対する労力の投資効率を勘違いしている感じがします。どうも、「自分たちのチームが平均的な強さなら、4回戦くらいまでは進むだろう」みたいに世間は錯覚していそうです。しかし違います。平均的な強さのチームは、1回戦~2回戦で敗退なのが、トーナメント方式の原理です。 また、これを読んでいる学校教育関係者は、もし自校の部活の時間が長大な場合、考え直してください。 「歴史部」とか「科学部」みたいな部活そのもので探求を行う部活ならば別ですが、そうでない野球部とか吹奏楽部とか言った探究を行わない部活については、昭和のような長時間の部活のままでは問題です。 探究をする場合、決して単に読書をするだけではなく、さらにそれをレポートにまとめて体系的かつ分かりやすく説明できなければいけません。このため、時間が掛かります。 また、探究の大会イベントがあります。生徒は可能なら、地域などの教育団体や受験産業や私大の主催する「探究コンテスト」などに応募するのも良いでしょう。また、教師側は、生徒にそういう大会の存在を教えなければいけません。 生徒の側も、自分で少しはどのような大会があるかを調べる必要があります。昨今の高校の先生は忙しいので、生徒側が自分で積極的に調べる必要があります。 ==== 放課後講座や放課後補習 ==== * 私立の放課後講座 上記の放課後探究とは別に、進学校では、放課後に英語や数学などの講座が週に1日ずつ(英数で合計2日の放課後ぶん)開講されている場合もあり<ref>[https://koutoubu.kaichigakuen.ed.jp/schoollife/ 『学校生活 | 開智高等学校 - 学校法人開智学園』]</ref>、そもそもの部活の時間数が、私立進学校は元から少ない仕組みなのです。 * 私立の放課後補習 ほか、他校でも、定期テスト以外に小テストがたびたびあり、成績の悪い人には放課後などに補習があります(放課後補習)。もし定期テストの結果が悪くなると、推薦の要件である評定平均の基準が満たせなくなるので、現代の進学校の高校では、こういう補習が昭和よりも多いのです。テスト前に補習をみっちりやって、推薦のための評定平均を確実に確保させるのです。 こういった放課後探究や放課後補習などのため、進学校では、そもそもの部活の日数そのものが他校よりも少ないのが正体なのです。 現代の総合型選抜や公募推薦の要件として、評定平均が要求されます(たとえば通知表の5段階評価で4.0以上とか要求されます)。また、評定平均のつけかたは、昭和は相対評価でしたが(「4」以上はクラスの何割の人数までとか昭和の時代では人数制限があった)、現代では絶対評価に変わっていますので、5段階評価で4以上の成績を取る人が多くても現代では問題ありません。 この評定平均の水準もまたトンデモであり、高校偏差値のどんなに低い 高校偏差値37高校の評定平均4.0以上でも出願条件の一つをクリアできてしまいます。逆に、高校偏差値のとても高い、高校偏差値70台の進学校での評定平均4.0以上をもし生徒が満たせないと、総合型選抜に出願できなくなってしまうのです。つまり、出願条件では高校偏差値に関係なく、同等に扱われてしまいます。 高校偏差値30台の底辺高校が、生徒に英語ばかりを勉強させて英検だけ2級や準1級ととらせれば、あとの国数理社などの教科はザルな定期テストでもいいので全科目で評定平均4.0以上をとらせれば、難関大学の出願条件クリアになってしまうのです。 進学校は対抗のため、なんとしても4.0以上を生徒に取らせる必要があり、だから補習 三昧(ざんまい)で、定期テストで高得点を確実にとらせるのです。でないと、高校偏差値37の生徒に、総合型選抜の枠がうばわれていまいます。 「低偏差値高校と高偏差値高校とで、別々の定期テストを受けているのに、総合型選抜の出願基準で要求される評定平均が同じ数値」という不公平があります。そして負担を負うのは、高偏差値高校の側です。 本来、底偏差値高校と進学校の定期テストは、まったく別々の難度の定期テストなのですから、大学側は本来、定期テストの難度や要求される習熟度に応じて、出願条件にある評定平均の基準値を変えるべきですが、しかし大学側はそれを怠っています。 部活の制度は、まだロクにインターネットも何も無かった、ネットで調べられなかった時代の遺物なので、現代のAO入試などの受験制度に対応しておらず、決して放課後をフルに部活に投入してはいけません。 ==== 中学の時点で部活の時間が少ない中高一貫校 ==== 地味な差ですが、中高一貫校では、中学段階の時間割も、高校に準じた時間割なので、そのため授業時間数が長く、週に2日、午後4:30まで中学でも授業があったりします。これは国公立の中高一貫校でも同様です。実際、神戸大学付属の中高一貫校の時間割がそうなっています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/curriculum/education/ 『教育課程 | 神戸大学附属中等教育学校』]</ref>。(なお、一般的な公立中学では、午後3:30までが授業です。) このように、進学校では時間割などで元から、部活に与えられられた時間が少ないのです。 けっして、べつに部活と学業の両立が上手いのではなく、そもそも部活の時間が少ないのが、上述のいくつもの進学校を調査した結果の事実です。 {{コラム|総合型選抜| なお、私大でも、総合型選抜の枠は意外と少ない大学も多くあります(多くが指定校推薦や付属などから受験生を取る)。たとえば同志社大学と近畿大学は、総合型の枠がかなり少ないです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=1dwCtMmUDqI (動画)山内太地 『高大接続改革は失敗なのか?!関西の高校が探究をがんばれない理由があった!』、2022/10/13 ]</ref>。なので、あまり総合型選抜対策(つまり探究)だけに時間を投入するのも問題です。基本は学校の勉強と一般入試対策です。 '''総合型選抜は専願'''なのが普通です。他大との総合型選抜の併願は困難な大学が多くあります<ref>[https://you2.jp/labo/6174/ 『総合型選抜や学校推薦型選抜は「併願」できる?―「一校ルール」を突破しよう | 洋々LABO』 ]</ref>。このため、年明け前は1校しか大学受験できないのが基本です。たとえ募集要項では「専願」という言い回しでは書いてなくても、「合格後の入学を'''確約'''できる者」とか「本学への入学を'''第一志望'''とする者」など確約・第一志望などの条件があれば、それは専願という意味です。 なお、私大の総合型選抜の出願の要件として、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求して足切りとしている私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。 ほか、総合型選抜の推薦の要件としてよくあるのは評定平均 4.0 以上とかですが、しかし評定平均は高校によって採点の基準が甘かったりするので大学側が信用していないのでしょう。そのため、足切りとして英検2級以上などを大学側が要求しているのでしょう。2020年以降の現代、評定平均のつけかたは絶対評価です。昭和生まれ・平成初期生まれの世代は評定平均が絶対相対(3.0が平均だった)のです。今は「評定平均4.0以上の生徒です」と言っても平均より優秀かどうか不明ですので、それだけでは信用できません。 難関大学などだと、総合型選抜のエントリー期間が9月中の場合もあります。それ以降は志願できません。 ほか、総合型選抜に限った話ではないのですが、合格しても、入学手続きの締め切りが短く、4日間くらいしかないような大学も多々あります。出願方法がweb出願に限る大学、または合格発表がweb出願に限る大学もあります。 }} == 大学の部活動の問題点 == :※ 高校生活というより大学生活かもしれませんが、しかし高校3年のさいの志望校決めに大きく関わってきますので、とりあえず、ついでにこのページで紹介します。(大学進学後に問題点に気づいても、遅いので。) === 音楽室など教室の問題 === ==== 芸術・家庭科の設備の不足 ==== 一般的な日本の大学では、部活について、体育以外の音楽・美術・家庭科などの分野の設備が不足しています。どちらかというと、日本の大半の大学では、比較的に体育科目だけ、音楽などよりも設備が充実しています(体育館の充実など)。 もし読者が、音楽・美術の分野を、高校の授業以上に学習・練習することを志望する場合、決して「大学に合格してから 吹奏楽部/美術部 に入ろう」なんて考えずに、高校のうちから希望の分野に近い部活に入ることを強く推奨します。 具体的に言うと、文学部・経済学部・法学部や理系の学部などの多くの大学で、高校のような体育館(あるいは高校以上の体育館)は存在するにもかかわらず、一方で高校のような音楽室も美術室も存在しない場合が大半でしょう。 このため、もし読者が将来的な大学進学を予定している場合、たとえば「大学に入ってから美術を勉強しよう」などと思っても、高校のような美術部の訓練を大学ではあまり受けられない場合もあります。 そもそも、多くの大学で、美術教師も音楽教師もいない場合もあります。なぜなら、美大・音大ではない一般の大学には、そもそも美術科目や音楽科目の授業が無いからです。 かつて大学の必修科目で体育科目がありましたが(平成の規制緩和で現代では体育は必修ではなくなっている)、しかし音楽・美術・家庭科などは元から一般の大学では必修ではなく、そのため一般の大学では科目の存在自体をしてないのが普通なのが美術・音楽・家庭科などの実情です。 あるいは音楽の場合なら、仮に大学に音楽室が存在したとしても、例えば大学の音楽室なら一般の教室をすこし防音化したものにすぎず(たとえばガラス窓が単に2重窓になったのと、教室入り口のドアが分厚くなっただけで、他は一般教室と同じだったりする)、あまり音楽室(のようなもの)が本格的でなかったりします。このため、大学の音楽系の部屋では使用できる楽器が限られる場合もあります。 ただし、多くの大学で運動部が存在するので運動部の応援のために吹奏楽部が存在するのが普通なので、まだ吹奏楽部はなんとかなります。軽音楽サークルはどうだか知りませんが、多くの大学で軽音楽サークルが存在していますので、なんとかなるかもしれません。 問題は、美術です。美術室に限っては大学では存在すらしない場合もあり、一般の教室や部室などを流用したりする場合もあります。このため、油絵など有機系の塗料を使うものは大学では描けない場合もあります。水彩の絵の具を大学で使うのも、なかなかキツい場合があります(家で絵の具を使うことになるかもしれません)。 たとえば私大とその付属高校によっては、私大本体よりも付属高校のほうが音楽・美術に関する設備が上回っている場合すら、ありえます。 このため、「大学に入ってから〇〇(音楽・美術など)の部活を始めよう」とか思ってると、高校以下の設備、顧問からの高校以下の教育で始めることになってしまいます。なので、音楽・美術の部活に入ってみたいと思っている場合、高校から始めるのが安全です。 そもそも大学の場合、吹奏楽部やイラスト系部活・同好会の顧問の教員が、その科目の専攻でない場合もあるかもしれません。 ==== 体育設備の注意点 ==== '''校庭の無い'''私立大学もあります。 大学の体育の設備について、都心23区内や京都・大阪などの中心街にある私立大学の場合、一見すると室内の体育設備が充実しているようにパンフレット紹介されていたりする大学もありますが、よくよくネットで公式情報を調べると都心キャンパス・中心街キャンパスにそもそも'''校庭の無い'''私立大学も多々あります(大学での体育の授業は室内ばかり、とか。部活の運動部はキャンパスから電車で行くレベルで離れた郊外の練習場を使っている)。「存在する設備」だけでなく「存在しない設備」にも注意しましょう。 高校の場合、1年ごとに体育が週2~4時間だったりするのに、一方で大学では4年間で体育が週に2時間だったりします。大学は科目の選択の自由度が高いので、週2時間以上の時間数の体育科目を授業で受けられる場合もありますが、しかし専攻科目の授業の増大により、時間的に必修以上に体育などの科目に充てるのは難しくなっているのが21世紀の現状です。 都心でない郊外でも、体育設備が歴史的な経緯で比較的に充実しているのにかかわらず、21世紀では大学の授業が難しくなったりと忙しくなり、せっかくの体育設備がそれほど使えない場合もあります。 ;理科室の少ない大学も・・・ なお理科室も、高校は 生物室 ・ 化学室 ・ 物理室&地学室 とかで3室以上があったのに、一方で大学だと、大学によっては「第一理科室」「第二理科室」みたいに理科室の数が2室に減っている場合もあります。 もしかしたら小・中学校みたいに大学でも理科室が1室かもしれません(大学にも寄る)。大学の進学前に、事前に覚悟しておくこと。 まあ、中学技術家庭科であった木工室・金工室などは高校には無いし、(教育学部や工学部以外の)多くの大学にも当然ながら無いです。まあ、木工や金工はイザとなれば、近所のホームセンターで工具を買ってきて自分で工作すれば済みます。設備が必要な場合でも、市町村の職業訓練所みたいな公共施設もありますので、その分野に就職する気になった場合は職業訓練所も参考に。 === サークル部室が少ない大学も・・・ === 大学では、土地不足や、学生運動の対策などで、部活や同好会などに各部の専用の部室が無い場合もあります。大学の場合、「学生会館」などの名前のサークル棟で他の部活とまとめて、時間や月日を決めて期間限定で借りるシステムになっている場合もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 弱小の部活でも専用の部室があるのは、高校卒業までです。なので高校時代に部活を楽しみましょう。 理科系の大学や国公立の大学など、サークル棟は狭かったり、校舎から遠かったりします<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 === 医学部と法学部では部活動は困難 === 医歯薬系など医療系の大学なんて学業も忙しいので、国公立の医療系学部の場合、もはや文化祭の出し物の練習などしている暇はありません。たとえば、医学部のある総合大学の文化部の出し物を見ても、メンバーの学科には医学部の部員は基本、いません。理系メンバーがいるとしても、せいぜい工学部や理学部などです。工学部といっても、国際情報なんとか学科だの社会情報なんとか学科だの、そういった学際分野の人かもしれません。 運動部などだと、テレビ番組でも大学駅伝や大学野球を見ても公式大会に出場するのは文系の学部学科の人ばかりなので、運動部については理系の学科では学業と部活動との両立が難しいと知っている読者も多いと思います。実は文化部でも同様、理系の学科では学業と文化部との両立は困難です。 見落としがちですが法学部も同様、国家試験などを目指す場合には学業と部活動との両立は困難です。官僚や、裁判官や検察や弁護士などの法曹、などへの就職を考える場合、法学部は、部活動をあきらめる必要があります。 官庁に限らず市役所や都道府県庁など、多くの役所への就職活動は、年齢制限があります。このため、専門以外のことを練習する時間は、(採用試験にある教養試験の対策を除けば)あまり、ないのです。 公務員で、年齢制限がほぼ無いのは(ただし定年に近いと、さすがに業界未経験者は不採用)、たとえば公立小中学校・公立高校の教員などです。しかしそれは、教職課程や教育学部の話であるので、法学部の就職先とは異なります。 法曹とは、弁護士・裁判官・検察の3つです(「法曹三者」ともいう)。これら法曹三者では、司法試験への合格が必要です。さらに、司法試験の受験資格は「ロースクールの修了から5年以内に5回まで」という時間的な制限があります。 このため、司法試験が必要な職業では、大学院に入ってしまうと部活動は無理です。実質的には、学部の段階でもう、司法試験志望者には部活動は無理です。 さて、官僚や裁判官や検察などの法曹には、高い専門性が求められます。しかし、教養については、高さと広さは求められないのです。あくまで、学歴フィルターに引っかからない程度の学力と、それらの放送の採用試験の「教養問題」で高得点を取れる程度の教養があれば十分なのです。 それ以上の教養や分野外の知識については、法曹の仕事では専門家に依頼します。 たとえば裁判で、自動車事故を扱う場合でも、裁判官は自動車工学や道路工学なんて知らないので、工業大学や自動車メーカーなどの専門家にアドバイスをもらいます。このように、裁判官には、専門家にアドバイスをもらう制度があります。(鑑識(かんしき)や鑑定(かんてい)などの制度です。) 官庁でも、たとえばスポーツ庁が文科省の管轄だからといって、文科省の役人の多くにはスポーツの腕前は不要です。文化庁は文科省の管轄ですが、文科省の役人の多くは、楽器もロクに演奏できないし、絵の画力も人並みでしょう。 官僚や弁護士などの国家試験や採用試験を目指さないなら、法学部でも部活動との両立は可能ですので、私学などのスポーツ推薦で法学部に入学している人もいると思います。 だから、テレビの大学駅伝や大学野球などの選手に、法学部の人もいるかもしれません。 しかし、官僚などを目指す場合、基本的には部活動との両立は困難です。部活動に在籍することは可能ですが、しかし公式試合などの出場などができるほどに技量を高めるトレーニングを積むのは、時間的に、国公立の法学部ではとても困難です。 === 大学の宗教サークル === そのほか、大学のサークル活動の問題点として、一部の悪質な宗教系のサークルが、正体を隠して新入生などに勧誘活動している、という実態もあります<ref>三菱総合研究所・全国大学生活協同組合連合会・日本コープ共済連生活協同組合連合会 著『大学生が狙われる50の危険』、青春出版社、2023年2月2日 発売</ref>。 大学進学した際、サークルより部活動に入ったほうが良いと教員が個人的意見を言ったりするのには、このような事情もあるかもしれません。もちろん、多くのサークルはマジメにサークル名通りの活動をしていると思いますが、残念ながら一部の詐欺的な悪質サークルを、日本の大学では排除できません。 やはり部活動などは高校時代のうちに熱心に活動したほうが良いでしょう。 大学の文化祭などに行くと、そういった悪質サークルにも遭遇してしまいます。なので高校生のうちは、文化祭を見るなら、高校(自校も他校も)の文化祭を重点的に回るのが良いでしょう。大学のサークルには期待しないほうが良いでしょう。 === 高校図書室・大学図書館の音楽書や美術書などの問題 === 部屋だけの問題ではありません。大学の図書室の蔵書と、高校の図書室の蔵書の関係も、似たような問題があります。具体的に言うと、高校図書室の音楽書・美術書のほうが、大半の大学の音楽書・美術書の本棚よりも本格的かもしれません。 なお、大学の「教養課程」というので習う科目の「経済学」「法学」「英語」「ドイツ語」「フランス語」(ドイツ語・フランス語は「第二外国語」でよくある)「数学」「理科」などは、さすがに高校よりもレベルの高い専門書が大学の図書館にそろえてあります。(「体育」は教養課程でありますが、あまりスポーツの技法書とか大学図書館には置いてありません。) しかし、その教養課程から外れる、音楽・美術とかの専門書、あるいは演劇部のための演劇書など部活動のための専門書については、高校よりも大学図書館の蔵書レベルが劣るか、ハナっから蔵書が無いとかだったりします。大学の進学前に覚悟すること。 まあ、書籍については高校卒業も一般の書店で購入できるので、あまり高校時代に急いで読む必要はありません。ですが、できれば高校在学中に図書室にどんな蔵書があるかは確認しておくと、後々の人生で、大学の専攻以外の分野での良書を確認するのに役立つかもしれませません。 大学の場合、たとえ総合大学やマンモス大学であったり、あるいは教育学部を持っていても、学部や学科によって校舎が他市町村レベルや下手したら他県レベルで離れていたりするので、そのせいで、大学生が学部の専門外の内容の蔵書を確認するには、異なる学部の蔵書を確認する必要があり、したがって異なる地域の校舎の蔵書を確認する羽目になり、ともかく大学だと専門外の書籍の確認がかなり面倒です。 大学図書館が、日曜日だと閉館している場合がよくあります。多くの大学の図書館では、授業中の月曜~土曜が開館日なので、よって日曜が閉館日なのです。このため、仮に大学生が「日曜日に大学の他学部の図書館を見学しよう」とか思っても、しかし日曜日はその他学部の図書館が閉館しているので蔵書を見れません。なので、高校在学中に、将来的に進学しそうな分野の専門外の書籍についても、高校図書室で蔵書を確認したほうが良いでしょう。 高校時代に、図書室の蔵書を全体的に眺めるだけでもいいので、眺めておきましょう。大学は学部の専門外の分野になると蔵書が高校よりも劣る場合が大半です。 == 特別活動 == === 基本 === 授業以外の活動にどう取り組むかは、校則に触れない範囲で個人の自由です。 中学校と異なるのは、大学入試には部活の実績や委員会活動・生徒会活動などの活動実績は要求されておらず、一般入試では部活などの活動実績があっても試験結果には加点されないということです。調査書の提出はありますが、高校入試と違い、高校卒業見込みであることの確認に使われるのみで、内容はほぼ考慮されません。 推薦入試や総合型選抜(かつての「AO入試」)を行っている大学では部活などの実績が考慮される場合がありますが、基本的に、多くの高校生は一般入試で大学進学することになります。それを踏まえたうえで、特別活動に力を入れるも入れないも、個人の自由です。 なお、総合型選抜をよく行っている大学と学部は基本、私大の文系学部です。一応、例外的にいくつかの国公立大学や理系の学部でも小さい枠で総合型選抜などを行っていますが、国公立では対象となる大学は少なく、また、理系学部では総合型選抜は基本的に無い傾向です。 ただし、医歯薬系や看護など医療系の大学では一般入試に面接などがあるので、その面接において部活や委員会活動の活動実績についても聞かれる可能性があります。とはいえ、いくら「医者は体力勝負」とか言っても、スポーツがいくらできても肝心の勉強ができなければ不合格なのは言うまでもありません。 また、理系の学部の入試で自己推薦入試を受験する場合、一般に評価される活動は決して部活ではなく、大学によりますが数学オリンピックとか全国高校化学グランプリなど、高校の学外での理系の公式大会での成績だったりします。(たとえば早稲田の理工はそうです<ref>[https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2022/08/2022_AO.pdf 『』P224] 2023年12月08日に閲覧. </ref>) 指定校推薦と総合型選抜は、まったく異なった受験です。混同しないように。指定校推薦で必要なのは基本、よほど授業態度が悪いとか出席日数が極端に悪いとかでない限りは、必要なのは高校時代の定期試験での高得点です。いくら部活で部長をしようが、委員会で委員長をしようが、それは指定校推薦の条件には基本的に関係ありません。 大学によっては、体育大学の体育学科の推薦をもらいたいなら運動部の公式大会での成績とかも考慮事項になるかもしれませんが、それは指定校というよりも自己推薦型入試でしょう。 例外的に、体育大と高校の運動部の大会の成績とか、音大と高校生音楽コンクールの順位などのように、高校の部活の内容が志望大学の学業と直結するものでもない限り、部活動の成績よりも普通の教科の成績が指定校推薦では優先されます。 なお、指定校推薦による募集を行っているのは私大です。 ;スポーツ推薦など また、いわゆる「スポーツ推薦」は、制度的には「特別推薦」というものです。スポーツ推薦は、指定校推薦ではありません。特別推薦では、学校長の推薦書は必要ですが、しかし指定校とは違って高校に枠が割り当てされていません。 このため、たとえばスポーツの苦手な人が、どんなに偏差値の高い高校に入って、そこで運動部に入って部長をしようが、全国大会や関東大会(関東地方の高校の場合)などの公式大会などで高い順位を取らないかぎりはスポーツ推薦はもらえません。 ;芸術などの推薦や総合型選抜 高校の音楽コンクールや美術コンテストなどでの全国大会とかの推薦や総合型選抜については、大学や学部学科ごとに傾向が大きく異なるので、早めに志望業界の学部の募集要項などを幾つか確認してください。 たとえば、音楽志望の場合、教育学部の音楽教師の学科を考えている場合なら、いくら音楽だけが得意でも、肝心の5教科の学業が苦手だと教員採用試験に合格しない可能性が高くなるので教師としては不適格です。なので、教育学部の受験では、音楽だけしか出来ない人は、よほど音楽の業績が優れていない限りは、不合格になる可能性が高いと考えられます(教師には高めの学力が要求されるので)。 いっぽう、文学部や経済学部では、特に必須の国家試験とかありませんので、教育学部ほどは受験で学力を要求されない可能性もあります(大学にもよる)。 このように、学部や学科によって、要求される学力の程度が違うので、ある程度は傾向を把握したうえで高校生活を送るのが受験対策としては安全です。 例として音楽をあげましたが、美術と美術教師の学科でも同じですし、演劇部などでも同じです。 === リンク(※未完成なので読まなくていい) === * 部活での文書管理などのノウハウについては、右のリンクが予定されていますが、未完成です(※ 現状、読む必要はありません)。 リンク:[[高等学校部活動]] == 普通科高校と実業高校 == 普通科高校は大学進学を目指す生徒に特化したカリキュラム、実業高校は高卒での就職を目指す生徒に特化したカリキュラムが組まれています。また、実業高校が持つ企業とのパイプも普通科高校は持っていません。したがって、高卒で就職する場合は、実業高校卒の方が有利です。家庭の経済事情で、大学への進学が難しい家庭はこの事に注意してください。いっぽう大学進学は、工業高校や商業高校などの実業高校の卒業生でも、法的には問題なく大学受験が可能です。ですが、現実的には大学受験は普通科高校生の方が有利です。特に職業高校への進学にこだわりが無ければ、将来的に大学進学したいなら、普通科高校を卒業したほうが大学進学しやすいでしょう。 職業高校というと「落ちこぼれの不良が集まる底辺校」というイメージを持っている人がいるかもしれませんが、それは過去のことです。実業高校は就職活動の面接に臨むことができ、その後即戦力として就職できる生徒を育てるために、生徒指導はきちんと行われている学校が多いです。また実習や資格取得のための検定が多くあるため、そのための勉強の忙しさは普通科高校には劣りません。 == 高校と大学と、中学との違い == :全体的な傾向 基本的に高校では、出欠確認とか委員会とかは、中学とほぼ同じです。とりあえず入学時は、高校についてだけ知っていれば十分です。 === 委員会や生徒会 === :※ 説明の都合上、高校だけでなく大学についても説明したほうが分かりやすいし大学AO入試(総合型選抜)対策にもなるので、ついでに大学も説明します。 ;高校に委員会はある。大学には無い 委員会や生徒会などについて、中学と高校は、ほぼ同じです。公立高校でも私立高校でも、特に差はありません。つまり、「保健委員会」とか「図書委員会」とか、多くの高校にあります。 いっぽう、大学には基本、委員会はありません。つまり、大学に「保健委員会」とかはありません。健康診断とかの提出物は、大学ではお医者さんまたは学校の職員の人などに渡します。 大学図書館には司書がいます。大学では、図書の受付の委員会業務も存在しません。大学では、学生には図書業務はさせません。 ;高校に生徒会はある。大学では「学生会」「学生自治会」「学友会」 高校には、生徒会はありますし、もちろん体育館とかで生徒会長に誰を選ぶかを全校生徒(もしくは全2年生)で投票です。 大学では「学友会」や「学生自治会」や「学生会」とか言うのが、生徒会に相当する組織です。大学では、いちいち全校集会とかで投票しません。というか、大学に全校集会そのものがありません。入学式と卒業式とで、それぞれ新入生と卒業生が一斉に集まるだけです。 なお、大学の「校友会」は卒業生の組織ですので、誤解なきよう。 === ホームルームなど === ;高校にはホームルームがある。大学には無い 高校には中学と同様、ホームルームや出席とか朝礼・終礼があるのが一般的です。ホームルームで担任(たんにん)の教師から、いろいろと一斉に連絡されます。 大学にはホームルームとか無いので、連絡は基本、掲示板です。大学の校内に掲示板(実物)があります。 書いてて気づきましたが、つまり高校には掲示板は基本的にはないです。 また、大学は朝の1時間目の授業が、ホームルームや出欠などなく、いきなり(授業が)始まります。つまり大学には、朝のホームルームとか出席(朝の「はい元気です」のアレ)とか朝礼・終礼や「起立・きをつけ・礼」がありません。 === 学校行事の有無 === ==== 修学旅行・林間学校など ==== 高校では旅行先が遠くなるかもしれません。修学旅行・林間学校(もしくは臨海学校)じたいは、どの高校でも存在します。 たとえば、関東在住なら、中学校では修学旅行先として京都や東北が旅行先だったのが、高校では沖縄や北海道などが旅行先になるかもしれません。 いっぽう、大学に修学旅行・林間学校などはありません。研究室で、もしかしたら夏休みあたりに2~3日の合宿を大学の近場(その地域の小中学校の修学旅行先あたり)でするかもしれません。 ==== 運動会・体育祭 ==== 高校にも体育祭(運動会)は存在します。 いっぽう、大学には体育祭はないのが普通です。そもそも大学にはクラス(学級)が無いので、クラス対抗の競争とか原理的に無いのです。 ==== 文化祭 ==== 高校にも大学にも文化祭があるのが一般的です。 == 定時制・通信制高校 == 定時制と通信制の高校に通う(または、それを考えている)方はサブページをお読みください。 * [[高校生活ガイド/定時制]] * [[高校生活ガイド/通信制]] == 大学入試の総合型選抜でどうしても部活などの能力をアピールしたいなら == 神戸大学付属の中等教育学校(いわゆる中高一貫校)の、探究論文のためのガイドライン中で「課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン」として、下記のように言われています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/education/kp/materials/2023_kuss_handbook.pdf 『2023 年度 Kobe ポート・インテリジェンス・プロジェクト 課題研究・卒業研究ハンドブック』P.17]</ref>。べつに総合型選抜の自己アピール書は論文ではないので、下記のままに従って書く必要は無いですが(そもそも文字数制限があるので、自己アピール書に論文は書けない)、しかし論文というのは下記のような書き方ですし、下記を高校生に要求している国公立の高校も日本に存在します。 <blockquote> 第 1 版(2023 年 4 月 4 日) 課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン * 制作物のみをもって論文の完全な代替とすることは認めない。あくまで課題論文の提出は全員に求 める。 * 課題論文に別添する形で、制作物やその写真、実演の録画を提出することは認める。その場合、課 題論文の規定字数相当の内容があるか否かの判断は、制作物の量・質を考慮して行うものとする。 * 具体的には、課題論文の序論・結論に相当する部分が制作物により代替されうるとは通常考えられ ない。一方、本論に相当する部分の大部分を制作物により代替することは十分に考えられる。 * 序論には本研究の社会的・学問的(芸術的)意義を述べるとともに、本研究で取り組む問い、もしく は明文化された問いの形になりづらければ課題について明記することが求められる。5 年生以上は 先行する制作の事例について分析し、本研究の新規性について明記することも求められる。 * 本論部分では、序論で述べた課題を解決するための制作方針について述べるとともに、実際の制 作物やその写真、実演や制作物作動の様子の録画を添付する。 * 何らかの課題を解決するための制作方針が明記されていることは、制作が研究として認められるた めの必須要素であり、これがない制作は本校の課題研究としては認められない。何らかの創作を伴 う制作であればその創作方針が明示されるべきである。既存作品(楽曲等)の実演を制作物として 課題研究とする場合は、それに対する自身の解釈や、身体操作の独自の工夫などを実演方針として 明示することが求められるのであって、解決すべき課題に特に対応しない実演や単なる模倣は本校 の課題研究としては認められるものでない。 * 結論部分では、別添した制作物によって序論で明示した課題が解決されたことを主張することが求 められる。加えて、本研究において解決しきれなかった課題を展望として述べることも推奨される。 </blockquote> 文中に「5年生」とあるのは、中高一貫校なので、中学からの通算の年数を数えている(高校2年生に相当)。 本節では、文学部や経済学部や法学部などへの総合型選抜を念頭に、話します(美大とか音大とかは念頭に置いていません。また、私大の体育学部なども念頭に置いてません。) 「高校生が部活などで頑張ったのは分かった。」「問題は、それ、志望する大学での研究と、どう関係あるの?」、これを説明することが望まれます。 なのに、なんの説明もなく、「制作物のみをもって」(論文の完全な)「代替とすること」は、社会通念上、認められないのです。 特に国公立の大学の場合、税金を使って大学が運営されているので、研究に社会的・学問的(芸術的)な「意義」の説明がなければいけません。志望者に、説明責任があります。 単に、「スポーツが得意」とか「絵が上手い」とか、それは建前上は、国公立の総合型選抜では求めていないでしょう(私大はどうか知らない)。そういうのは、私大の「スポーツ推薦」とか「文化活動推薦」みたいな、別の方式の推薦を受けてください。 上記引用中に「 何らかの課題を解決するための制作方針が明記」とあるように、部活などの活動の努力や成果(客観的に第三者機関によって証明できる成果)を、社会の課題解決にどう結び付けるかが、言えることが望まれます。 実際に、社会の課題を解決することまでは、要求されていません。金銭的・時間的に、解決までは無理です。そもそも長年のあいだ解決できなかった社会課題だから、たかが高校生ごときのお子様でも発見できる「課題」として残っているのです。 自身で解決しようとするのではなく、これから、学問の力によって、課題の一部でいいので、解決までの道すじを社会でつくろうとする事に、あなたも協力するために自発的にあれこれすることが望まれているのです(具体的に何をするかは個々人による)。 基本的に、学問の多くは、再現性や言語化を重視します。分野によっては、再現性だけは低い分野もあるかもしれませんが(たとえば歴史学などは実験が不可能なので、再現性は低いかもしれない)、しかし言語化はそれでも可能なはずです。 美大や音大などは例外かもしれません。しかし、もし文学部や経済学部や法学部などを志望するなら、言語化をして、税金をあずかっている国公立の大学教員たちの納得のいく説明をできなければいけません。 もし、そういう言語化がイヤなら、そもそも文学部や経済学部などの学問に向いていません。文学作家に向いているかどうかは知りませんが、しかし文学部の国文科と言うのは決して小説家の養成所ではありません(そういうのは専門学校です)。例えるなら、文学部の歴史学科の研究者が、たとえ戦国大名を研究することはあっても、研究者自身がけっして大名になる必要は無いのと同様に、文学部の国文科では小説家になること自体は求められていません。 ましてや、国公立の大学の文学部などは、断じてスポーツ選手の養成機関でもありません。 上記の当wikiの説明では、説明の都合上、国公立を例に説明しましたが、私大の志望でも上記のような事はすこしは考えるべきでしょう。私大だって、私学助成金などの税金の財源とした補助金をもらっています。また、大学教授は科研費などの補助金を国からもらう際、国への説明責任があるわけです。 上記の引用が出来たからって、合格するかどうかは知りません。ただ、割とハッキリ言えるのは、もし上記の引用が出来ない人が合格しても、例外としてスポーツ推薦で難関大に合格するような余程(よほど)の業績ではないかぎり(全国大会のトップ8入りとかでないかぎり)、研究への情熱の評価ではなく、単に全国大会などの業績によるスポーツ推薦・文化活動推薦が適用されて合格したに過ぎない、という事です。 == 出典・脚注 == <references /> == 参考文献 == *[https://shingaku.mynavi.jp/ マイナビ進学] *[https://allabout.co.jp/gm/gt/2066/ All About学習・勉強法] [[category:高校生活|*]] 774tcq1bd65w2pjzj1bvpjyj4ckmaz6 246455 246454 2024-04-10T05:19:34Z すじにくシチュー 12058 /* 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 */ typo wikitext text/x-wiki : [[小学校・中学校・高等学校の学習]] > [[高等学校の学習]] > 高校生活ガイド {{Stub}} {{独自研究の可能性}} 編集者の主観的な表現が含まれている可能性があります。このページをある程度の参考として、高校入学に向けて心構えを持つことは大切です。 しかし通常、入学時には新入生を対象とした説明が行われるため、そちらをより参考にすべきです。 また日本の高校についての詳しい情報はwikipedia[https://ja.wikipedia.org/wiki/高等学校]を参照してください。 ---- == 高校は義務教育ではない == === 説明 === 高校は、義務教育ではありません。したがって、さまざまな事情により高校を退学することはありえます。そのあとに他の高校に入りなおす義務もありません。非行などに対する懲戒処分として、校長から謹慎や退学を命じられることもありえます。 日本では中学校までは年齢主義をとるため、1年間在籍しているだけで次の学年に進級できます。しかし高校では、規定の時間数以上の授業に出席をし、考査等で一定の成績を収めることが進級の必要条件です。つまり、出席や成績の状況次第で留年をすることがあります。 学校にもよりますが、中堅レベル以上の普通科高校の場合、高校の定期考査では、中学と比べて試験問題が難しくなるのが一般的です。教科書の内容が中学と比べすることが高度になり、また大学受験に対応するため、定期考査に難しい問題が出される場合があります。 このため、定期考査の試験対策をしないと、いわゆる赤点を取る可能性が高いです。赤点とは、定期考査等の結果が基準点を下回ることです。詳しい規定は学校によりますが、基準は「固定された点数(30点など)未満」や「平均点の半分未満」などです。赤点をとってしまった場合にはいくつかの処置がとられます。 # 補習参加の上、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習はないが、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習参加の上、課題を提出すれば合格とする。追試はない。 # 補習に参加すれば合格とする。追試はない。 これらの救済措置の結果、合格となれば進級できますが、不合格のままの科目を残している場合は進級ができず、留年となります。このあたりの規定は学校ごとに大きく異なりますので、詳しくは学校の先生の指示に従ってください。 === 転校 === また、高校では他校への編入はかなりハードルが高いです。遠隔地への転居などの場合でも現地の学校に自動的に入学することはできず、編入試験が課されます。 学校になじめず転学を希望したいという場合でも、通信制高校や夜間高校などへ転学せざるを得ないという場合もありえます。 == 科目の選択 == 高校では、履修する科目を選択する場面が多くあります。まず、学校ごとに開講される科目が異なりますので、学校を選んだ時点で履修科目の幅は狭まっています。その上で、高校に入学して以降も、様々な場面で科目を選択する場面があります。 * 主な選択科目(現行課程) ** 地歴科:世界史A・B、日本史A・B、地理A・B(世界史A・Bはどちらかを必ず履修しなければなりません) ** 公民科:現代社会、倫理、政治経済 ** 理科:化学基礎・物理基礎・生物基礎・地学基礎、物理・生物・化学・地学 ** 芸術科目:音楽、美術、書道、工芸 なお中学にある技術・家庭科の「技術」分野は、高校では取り扱われず家庭分野のみの家庭科となっています。普通科高校では、職業教育はありません。 高校の検定教科書の購入は、全科目とも学校教科書の販売を扱っている取次店(とりつぎてん)で買えます。自分が何歳になっても取次店で高校教科書を買えますので、高校生は検定教科書を入手したいだけなら、その選択科目を履修する必要はありません。 :(※ 検定教科書の購入方法については『[[小学校・中学校・高等学校の学習/検定教科書の購入方法]]』に解説がある。) === 芸術科目 === 普通科高校での芸術科目は、音楽・美術・書道・工芸の中からどれか一つを選ぶ選択制になっています。1年生でどれか1つを選択必修、他学年では開講しない、という学校が多いかと思います。芸術科目は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶのが安全でしょう。もし音楽を履修した場合、授業ではまったく美術や書道が取り扱われません。これはどの芸術科目を選んだ場合にも同様です。好きでもないことを、1年間も毎週2時間ほど練習することは苦行ですので、芸術科目の選択は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶべきです。 なお、現在の中学3年までの芸術科目が、90年代までは高校1年や2年で習っていた内容です。現在の高校1年の芸術科目では、「脱・ゆとり教育」などの影響もあり、90年代の高校芸術科目よりも細かく、専門性のやや高まった事を習ってますので、そういう点からも、興味の無い芸術科目は、履修しないのが無難です。 さて、もし美大・音大または芸術系専門学校などの芸術系の進路を希望する場合は、その分野の科目を履修しておくのが無難ですが、全生徒を対象とする芸術科目だけではどのみち練習量が大幅に不足ですので、外部の芸術系進路用の予備校などで習う必要があります。 なお、音大・美大・教育大を除く一般の大学では、芸術の授業が無い場合が大半です。このため、人によっては高校が最後の学校での芸術教育になる場合も多くあります。 === 文系・理系 === ==== 文理選択とは ==== 普通科高校では、多くの場合2年生次(一部は3年生次)<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190726-00010000-yom-soci&p=1 「『文系か理系か』早すぎる選択…受験科目に専念するため、大半が高1で決定」2019年7月26日読売新聞オンライン]</ref>に、文系か理系のどちらかの類型を選択することが一般的です。これは、普通科高校生の多くが目指す大学進学にあたって、入試に対応するためにはポイントを絞る必要があるためです。この選択は一度選択してしまうと卒業まで変更することは、現実にはできない(後述)ため、慎重に選択する必要があります。文理選択までに、進学したい進路先をよく考えておかねばなりません。 少数例ですが学校によってはコースが分かれずに、文系志望の生徒にも数学IIIなどの理系科目を教える文理両立の高校の場合もあります。たとえ文理両立の高校でも、3年生では選択科目が増えてきます。高校普通科の全科目を履修するのは、たとえ文理両立の高校でも、授業時間の制限のため、不可能です。 また、「国際科」・「理数科」などの普通科以外の進学系の学科では、そもそも入学当初から文理選択がなくて、その学科の類型のカリキュラムとなることが普通です。たとえば理数科では、そもそも全生徒が理系のカリキュラムになり、文系特化のカリキュラムは選べません。 ;私大の推薦入試に関わる 推薦入試で大学に入学するなら文理選択は関係ないかというと、そんなことはありません。私立大学の推薦受験(指定校推薦のほか、「総合型選抜」も学校推薦型総合型選抜という推薦の一種です)では、受験生に特定の科目の履修を条件づける場合があります。たとえば、私立の理系学部を推薦受験する場合は、条件として数学III、および進学先学科に応じた「物理」・「生物」・「化学」などの科目の履修を条件づける場合もあります。なぜ科目制限するかというと、科目制限しないと文系科目だけで好成績を取って、理系科目が出来ないのに推薦入学してしまう受験生が出現してしまうからです。 文系科目でも、一部の難関私大では、文系学部の推薦入試の要件に、地歴公民など文系科目での必要単位数を設けている場合があります。理系コースだとその出願単位数を満たせない場合があるので、文系志望なら高校では文系コースを履修するのが無難でしょう。 ==== どうやって選択するか ==== 文理選択をするにあたっては、進路先としてどのような大学・学部を考えるかを最優先しましょう。間違っても、科目の得意不得意で選んではいけません。後でつまらない思いをします。なお、勘違いされやすいことですが、英語は文系・理系ともに大学入試で要求されることが一般的なので、「英語が苦手だから理系」という選択はやめましょう。 また、「数学が苦手だから文系」という選択肢をとる生徒が少なからずいますが、こちらも先のことを考えると安易であるといえます。というのも、いわゆる文系に属する学部学科でも数学を使うことがあり、「文系なら数学を使わなくても済む」とは限らないからです。具体的には経済学部・経営学部・社会学部では入試の段階で数学が必要な場合もあります(有名どころでは慶應義塾大学経済学部や商学部、早稲田大学政治経済学部)し、入試で使わなくとも大学の授業では必修とされることは珍しくありません。 なお、芸術系大学・短大・専門学校の志望や、体育大志望などは、文系を選ぶのが無難です。内容が文系かというとそうではないのですが、少なくとも高度な理系科目の学力は要求されないためです。また、大学でスポーツ推薦などを受け入れている学部も、社会学部や文学部・経済学部など、いわゆる文系とされる学部です。経済学部は、日本では文系の学部として扱われます。企業からの視点も、経済学部卒を文系の人間として扱います。また芸術系卒や体育大卒も、企業からの視点では、彼らを文系の人間として扱います。 2020年代の現在、高大連携や探求学習があり、進学校の文系コースなどでは志望学科に近い分野の卒業論文のようなレポートなどを仕上げる学校もあったり、近隣の提携先の私立文系大学の授業を受けられたりなどの機会があるので、私大文系の推薦入試などで論文を自己アピール材料にできる場合もあります。このため、文系志望なら文系コースを選択するのが無難でしょう。 もし高校卒業後に浪人した場合、どんなに高大連携や卒業論文などの機会を得ようとしても、制度的に浪人生は不可能です(高校生以外はその機会がありません)。なので、高校在学中は志望分野にしたがったコースをそのまま選ぶのが安全です。 昔話ですが、平成初期のまだ探求学習の無かった時代ならば、文系志望でもあえて理系コースを選ぶという手法もありましたが、しかし令和の今ではその手法は上述の理由で時代遅れでしょう(高大連携などの利点を損失するので)。例外として、よほどの底辺高校で、文系コースが事実上の高卒就職コースとしてしか機能してない高校とかでない限り、平均以上の学力の高校ならば文系志望者は文系コースを選ぶのが無難でしょう。 現在、多くの大学の文系学科で、高校3年レベルの数学科目を履修でき、しかも大学の単位を取得できます(場合によっては高校2年レベルの数学で大学の単位取得できます)。底辺大学でなくても、です。このため、高校3年生の時点でわざわざ高大連携の機会を損失してまで、数学III・Cなどを履修するメリットは少ないのです。 ==== 「文転」「理転」について ==== 理系から文系にクラスを変える'''文転'''、文系から理系にクラスを変える'''理転'''も可能ですが、現実的にはどちらも厳しい道を歩むことになります。 一番の違いは数学の扱いでしょう。理系の場合、3年になってからも新しいことを3年の2学期終わり頃までは授業で習いますが、文系の3年生の授業では夏ごろには新たな単元は扱われなくなり、その後は入試対策や過去問演習などの復習が増えてくる、という特性があります。また、文系では理系の生徒が学ぶ科目である数学IIIは履修しない、理科の「基礎」でない科目は履修しないなどが一般的です。したがって、3年になってから理転しようとしてもスタートラインから極めて大きな差ができてしまいます。よって、文系から理系に「理転」すると、全く習ってないことが続出するので、大学受験対策が間に合わず、ほぼ浪人が確定です。 文転は前述の理転に比べれば多少はマシですが、古文漢文や地歴・公民での学習量などの積み重ねの差は小さくはなく、一般の生徒よりも努力しなければ文系のまま2年3年と進んだ場合に比べて進路が狭まることは否めません。また、学校によっては文理で地歴・公民の進度・内容が違い、2年次に習っていなかったものを文転してから改めて学ぶ必要が出てくる場合があります。当然、その分学習量が増えるため、「文転は理転に比べて楽」という噂を鵜呑みにしてはいけません。 == 推薦入試の時代変化 == === 特化型が有利 === 大学受験への総合型選抜によくあるシステムは、高校受験とは違います。 要求されるのは教科の高さではなく、英検などの保有資格です。たとえ難関高校で通知表が5段階中で全教科5であっても、英検準1級を取ってないと難関大学へは出願そのものが出来ません。 さらに、保有資格の合計点は要求されません。たとえば「英検準2級、ドイツ語検定4級、理系」みたいな子よりも、「英検だけ準1級」という子が評価されるのが日本の私大への推薦システムです。「英検準2級、ドイツ語検定4級」みたいな子は、そもそも難関大学の推薦には'''出願できない'''システムです。 英検などの保有資格で特定言語に特化した級の高さの上、さらに通知表が平均4.0以上などが要求されます。 このため、たとえば意欲的な高校生が、取得しなくても高校卒業できる科目(例えば一部の私立の進学高校の第二外国語)などで低い成績を取ると、かえって推薦が不利になります(最悪、出願できなくなる)。推薦に要求されるのは合計単位数ではなく評定の'''平均値'''なのです。 1990年代の大学改革での各種の新型の推薦の導入当初、どうも高校受験のようなものだと高校生が誤解したようで、90年代の当時は一部の意欲的な高校生が、学業と併行(へいこう)して色々な課外活動を頑張りましたが、しかし2020年代の令和の推薦システムは全くそういうシステムではありません。 1999年『分数ができない大学生』シリーズで、合計値ではなく平均値で見ると、かえって上述のように不公平になると既に指摘されていたにもかかわらず、一向に平均値順に評価するのを日本の難関私大は辞めていません。 美術とか音楽とかの才能に秀でた人を評価したいなら、べつに美術の一芸入試とかじゃなくって、3教科とか5教科の入試教科に美術や音楽の実技試験などを加えればいいじゃないかと1999年ごろにもう指摘されているにもかかわらず、そういう合計点を見るような改革は、日本の早慶マーチ的な大学受験では何も行われていません。 高校入試ですら、もうちょっと合計的な能力を見ていますが、日本の大学はそれ未満です。 あるいは、もし「合計点を見る方式が間違っている」とすると、その難関私大の指定校や付属校の高校への入試の選抜システムも間違っていることになるので、私大はもう言い逃れが出来ません。 日本の私大の受験システムは完全に矛盾しており、論理が破綻(はたん)しています。そういう矛盾を気にしない人が私大の総長をしているのです。 === 模試の確約システムは無い === 高校入試だと、模試の「確約」(かくやく)というシステムが私立受験でありますが、しかし大学入試の場合、私大受験にも模試の'''「確約」システムは無い'''のです。なお高校入試の「確約」システムとは、たとえば埼玉県の「北辰テスト」(ほくしんテスト)とか神奈川県・東京の「W模擬」や千葉・東京「V模擬」などの地域模試で高い偏差値を取った人を、私立高校の受験のさいに加点するシステムです。 英検やTOEICなど英語の資格以外に、外部テストは使えません。英語1教科だけです。たとえば駿台模試とか河合模試とかは、出願の要件に入っていません。 高校受験の地域模試よりも教科数が減っており、選抜方法が大学では劣化しています。 「模試が民間テストに過ぎず公的ではないので、不適切」だとすると(1990年代、自民党がこういう論調で高校受験の模試を批判しました)、その私大の指定校の多くも不適切な高校入試を行っていることになり、私大は論理破綻しており支離滅裂です。1990年代、私立高校入試の「確約」を自民党議員は批判したのに、彼らの主導する大学入試の推薦システムは、まさに、まるで英検による「確約」システムのようなものです。 === 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 === 総合型選抜についての、よくある勘違いとして、まるで高校入試の内申点のようなものだと勘違いする人が、後を絶ちません。しかし、両者はまったく違うシステムです。 大学にもよりますが、英検で一定以上の級(たとえば2級以上)を持っていないと(またはTOEICで同等のスコア以上)、難関大学へは、総合型選抜の出願そのものが不可能だったりする場合もあります。 たとえ部活と学業を頑張ろうが、総合型選抜の出願条件のクリアには、なりません。部活で全国大会にまで勝ち進めばスポーツ推薦などの入試に出願する要件はクリアできるでしょうが、しかしそこまで勝ち進めないかぎり、どんなに偏差値の高い高校で、部活と学業の両立をがんばろうが、そもそもの出願条件をクリアできません。 難関大学の総合型選抜の出願条件はたいてい、英検2級以上またはTOEICのハイスコアです。部活は出願条件ではないのです。 {{コラム|「総合型選抜」の英検重視の変化に注意| なお総合型選抜などの推薦の要件として、多くの私立大学で2020年代以降、高校での履修科目だけでなく英検2級以上やTOEICのハイスコアなどを要求している私大もあります。ほか、履修科目全部の評定平均がたとえば4.0以上<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>など要求する例もあります。英文科だけではなく歴史学科や経済学部<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>などですら要求されます。 大学によっては「英検2級以上」などの試験名の表現ではなく「CEFR B1以上」と表現している場合もあります。英語の資格は多々ありますので、共通した評価基準として CEFR (セファール)という国際基準があります。なお、CEFR という試験は無く、英検で上位の級に合格したりTOEICなどでハイスコアを取ると、CEFRでのランクが与えられる仕組みです。なお、CEFR B2が英検準1級、CEFR C1 が英検1級の合格に相当です。 難関私大だと総合型選抜で要求する水準が英検準1級 相当以上になる場合もあります<ref>[https://exam.52school.com/rikkyo/admissions/undergraduate/guidelines/J_guideline/pdf/J_24guideline.pdf たとえば立教(英検 準1級相当 以上)]</ref><ref>[https://www.chuo-u.ac.jp/common_d/connect/admission/2024/special/11_1.pdf 中央大の2種類ある方式のうち片方は外国語型で、英検 準1級相当 以上]</ref>。総合型選抜や自己推薦などによる入試方式をねらっている人は、履修科目だけに目をとらわれず、英検などの資格取得も必要な場合もあります。 {{コラム|大学の英語の授業の実態| なお、これらの難関私大で英検準1を総合型選抜に要求する理由の元ネタのひとつは、'''それらの大学の教養課程の英語の授業内容が、英検準1級の英語長文のレベルだから'''でしょう。大学によっては高校レベルの英検2級の英語しか授業で要求しない場合もあるのですが(なぜなら学部専攻の科目(たとえば経済学部なら経済学が専攻)で忙しい。ほか、第二外国語(ドイツ語やフランス語など)が始まるので)、しかしそれでも大学によっては英語の授業で英検準1級を要求する大学もいくつかあるようです。 余談ですが、大学では専攻や第二外国語が忙しいので、実は大学では一般的な英語力は、直接的には それほど向上しません(例外として、英文科や国際系学科の以外は)。経済学などの専門用語とかの英語は専攻が経済学なら覚えますが。私大のパンフレットとかにある、やれ「留学」「海外姉妹校」だの「充実した語学教育」だのなんだのは、まあ宣伝です。誇大広告ですが、まあ大学側からすれば「努力目標」とでも言い訳できます。 }} ともかく大学の推薦入試について、親世代・昭和後半の生まれ世代での大学推薦入試の常識とは少し変わっていますので、注意しましょう。 ただし履修科目の高度性と英語資格とを両方を要求するのは、よほどの難関大学の難関学部以外では基本的には無いので、直接的には生徒個人にとっては両立をめざす必要性は低いのですが、しかし高校全体での大学合格実績に関わってきます。高校の大学合格実績が将来的に高くなれば、そのぶん卒業後の出身校の指定校推薦の枠も増えるので、出身高校の評判が上がっていき将来の自分の評判も上がるわけです。 }} ほか、基本的に'''探求学習は求められていない'''のが総合型選抜の実態です。よほど探究論文などで日本有数の成果を出せないかぎり(そしてそれを大会などに出場して高評価を得たこと客観的に証明できないかぎり)、英検準1級や2級やTOEICハイスコアを持ってなければ英検・TOEICなどの足切りにかかってしまい、出願そのものが不可能になってしまうからです。文科省は建前としては探求学習と総合型選抜を関連づけて喧伝しているかもしれませんが、その建前は実際の大学入試では崩壊しています。つまり、文科省の行政は失敗しました。 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視になっています<ref>[https://studychain.jp/324/ 『指定校推薦の校内選考とは?いつ?落ちる?校内選考を解説』2023/12/21 ]</ref><ref>[https://www.池内塾.com/bby/daigakujuken/suisentoeiken.html 『指定校推薦にも英検が影響します。』]</ref><ref>[https://tendoblog.com/20210829-2/ 『指定校の出願に英検が必要な大学 2021版/評定平均以外の出願条件まとめ 』 2021.10.17 ]</ref>。昭和の常識とは違います。 落ち目の高校からの指定校で学力不足の子が進学したら大学側は困るので、大学によっては英検などの条件を追加し始めています。 === フンボルト理念とは違う「総合型」選抜 === ;フンボルト理念に違反する英語特化型の総合型選抜 私大の総合型選抜は、けっして総合力を要求していません。 たとえば英検準1級以上を出願の要件にしている大学は、どんなに英語以外の数学とか物理も勉強していても、英検も2級に合格して高校レベルの英語力を証明できていても、なのに英検準1級以上でないかぎりは出願の時点で不可能であり、足切りされてしまうのです。英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも、理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが、私大の「総合型選抜」です。 つまり私大の「総合型選抜」は単に、既存の一芸入試などの選抜方法やら数学オリンピックとかの、ともかく大学で使えそうな一芸入試を'''併合'''(へいごう)しただけです。英語一芸入試とか数学一芸入試を併合しただけです。「人種のサラダボウル」みたいに、まじりあってないものを併合・混合しただけです。けっして「人種のるつぼ」のように混合して化学変化を起こしているわけではありません。 このため、英語特化とか数学特化みたいに、一点特化型の選抜になっているのが「総合型選抜」です。つまり総合型選抜はサラダボウル型入試です。 学問的に重要なこととして、難関私大の教育学における総合型選抜は、教育学でいう'''フンボルト理念に違反'''している選抜方法になっています。フンボルト理念とは、初等中等教育あたり(小学校入学 ~ 高校卒業まで)において、どういうわけか国数英理社の5教科をぜんぶ教えると、教育成果が高い、という経験則にもとづいて、なるべく5教科全科目を教えようとする教育方針のことです。 :※ 小中校の教育についての「フンボルト理念」と、大学教育についての「フンボルト理念」とは違います。このページでは高校教育の話をしているので、小中高の教育のほうのフンボルト理念です。この小中高の教育については「フンボルトの人格形成の理論」とか「フンボルトの陶冶(とうや)の理論」みたいにも言います。Bildungstheorie が元の語であり<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/csssej/21/0/21_23/_pdf/-char/ja 宮本 勇一 著『教育課程改革に対するフンボルトの陶冶理論の今日的意義』 ]</ref>、英語だかドイツ語だかでビルドゥングスとも言います。 :※ なお、大学教育のほうのフンボルト理念については、ドイツの教育学者フンボルトの名を冠した1810年ごろからの理念ですが、しかし2001年のドイツの教育学者シルヴィア・パレチェクの教育史の研究によると、実際はアメリカで発祥した教育理念の可能性が高いとのことです<ref>[https://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/246.html 潮木 守一 (桜美林大学大学院招聘教授)『「フンボルト理念」とは神話だったのか?-自己理解の“進歩”と“後退”』 ]</ref>。なお、その発祥元のアメリカすら、ドイツのフンボルト理念の権威を信じて、ドイツにエリートを留学して、教育学をドイツからアメリカに持ち帰ったとのことです。 :※ 大学のほうの「フンボルト理念」は、教育と研究を一体とするものです。つまり、フンボルトよりもずっと前の時代は、学生は基本的に研究をせず、したがって学生参加のゼミなども無かったのが当時の大学の実態でした。それを改革して学生にも研究させようぜっていうのが、上述のようにドイツとかアメリカとかの大学です。 簡単そうに英検2級とか言いますが、しかし実際の現役高校生は数学とか理科とかも勉強した上で英検も取るわけです。理系志望の高校生なんか、数学IIIと専門「物理」・「化学」・「生物」とかを勉強した上で、その上で英検2級をとるのは、かなりの負担です。 その英検2級ですら負担なのに、英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが私大の「総合型選抜」です。 もちろん、こんなのが「総合」でないことはもう2001年くらいに教育界隈では分かっており、ヒットした書籍『分数の出来ない大学生』シリーズで、慶応大教員の数学者の戸瀬信之(とせのぶゆき)などによって(なお、戸瀬本人の学は東大の数学科出身)、当時の「総合学習」型重視の大学入試の形骸化を批判して、おおむね発言内容「数学も見ないのに、何が総合だ」みたいに批判していました。それから20年以上たっても、何も改善出来てないのが日本の私大です。 戸瀬は当時から「英会話とかができるよりも、(数学なども含む)5教科の学力を国際的なレベルにまで高めるほうが重要だ」みたいな事を言っていました。英語ができるだけの人なら、米英に行けば無職でも出来ます。 べつに2001年に戸瀬が発見したわけではなく、芸人のビートたけしの中高生の時代、母の 北野さき さんは、たけしの兄[[w:北野大]](きたの まさる、1942年生まれ)が高校時代で大学受験のとき、「英文科に行きたいか、理系に行きたいかで迷ってる」みたいなことを言った時、「英語は米英ならルンペン(遊民。今でいう無職みたいなの)でも出来る」と諭して(さとして)理系の学部に進学させたほどです。 べつに、「私大の英語特化型の入試が悪い」とは言ってませんが、しかし少なくともフンボルト理念には明確に違反しています。英語だけではフンボルト理念の理想でないことは、上述のたけしの兄のエピソードからも分かるように昭和の時代から分かっていることです。平成の時代も、戸瀬信之の例からも分かるように、英語だけではフンボルト理念ではありません。 フンボルト理念そのものに学問的な疑いがあるなら大学人はそういえばいいと思いますが、しかしそういう話を早慶マーチからは聞きません。その早慶マーチの私立大学に教育学部もあったりするのですが、なんとも思わないのでしょうか。 == 高校の部活の問題点 == === 探求学習に部活制度が対応していない === 総合型選抜(AO入試)対策などとして部活の問題点を考えた場合(情操教育とかそういう議論はキリがないので考えないでおきます)、部活の制度の致命的な問題として、部活の制度自体は、昨今の「探求学習」に対応していません。 ==== 放課後探究や課外探究など ==== 探求学習のためには、自分の興味ある分野を積極的に調べる必要があります。高校のなかには、夏休み<ref>[https://www.toshimagaoka.ed.jp/education/inquiry/ 『探究的な活動 | 豊島岡女子学園 中学校・高等学校』 ]</ref>や放課後<ref>[https://www.hs.reitaku.jp/39820/ 『放課後探究活動 “ReaLab” がスタート! | お知らせ | 麗澤中学・高等学校(千葉県柏市の中高一貫・共学校)』 ]</ref><ref>[https://www.komabagakuen.ac.jp/news/?p=6887 『探究の部屋へようこそ! - 駒場学園高等学校』2022.09.06]</ref><ref>[https://kaga-teiju.jp/archive523/ 『探究学習で魅力ある高校に! 加賀市だからこそ学べる教育で、グローカル人材を育成する。』2023年8月29日 ]</ref>などの課外活動でも探求しています。 「私大のAO入試(今は「総合型選抜」と言う)の対策のために部活動をしているのに、その部活動のせいで、探求学習が大してできず、不利になってしまった」なんて事にならないよう、調節をしてください。 例外として公式大会で全国大会の出場などをねらえる強豪校などでないかぎり、探求学習の時間の確保を忘れてはいけません。決して「放課後を全部、部活で使ってしまい、図書館で調べ学習のための本を借りる時間が無い」なんて事にならないようにしてください。 なお、トーナメント戦の公式大会では、原理的に半数は1回戦で敗退します。「一回戦敗退」と聞くとなんとなく弱そうに見えますが、しかし実は半分の人数の参加者は初戦の1回戦で敗退して終わるのです。2回戦敗退までに、なんと当初の参加者の75%もが敗退します。 世間の人はどうも、部活に対する労力の投資効率を勘違いしている感じがします。どうも、「自分たちのチームが平均的な強さなら、4回戦くらいまでは進むだろう」みたいに世間は錯覚していそうです。しかし違います。平均的な強さのチームは、1回戦~2回戦で敗退なのが、トーナメント方式の原理です。 また、これを読んでいる学校教育関係者は、もし自校の部活の時間が長大な場合、考え直してください。 「歴史部」とか「科学部」みたいな部活そのもので探求を行う部活ならば別ですが、そうでない野球部とか吹奏楽部とか言った探究を行わない部活については、昭和のような長時間の部活のままでは問題です。 探究をする場合、決して単に読書をするだけではなく、さらにそれをレポートにまとめて体系的かつ分かりやすく説明できなければいけません。このため、時間が掛かります。 また、探究の大会イベントがあります。生徒は可能なら、地域などの教育団体や受験産業や私大の主催する「探究コンテスト」などに応募するのも良いでしょう。また、教師側は、生徒にそういう大会の存在を教えなければいけません。 生徒の側も、自分で少しはどのような大会があるかを調べる必要があります。昨今の高校の先生は忙しいので、生徒側が自分で積極的に調べる必要があります。 ==== 放課後講座や放課後補習 ==== * 私立の放課後講座 上記の放課後探究とは別に、進学校では、放課後に英語や数学などの講座が週に1日ずつ(英数で合計2日の放課後ぶん)開講されている場合もあり<ref>[https://koutoubu.kaichigakuen.ed.jp/schoollife/ 『学校生活 | 開智高等学校 - 学校法人開智学園』]</ref>、そもそもの部活の時間数が、私立進学校は元から少ない仕組みなのです。 * 私立の放課後補習 ほか、他校でも、定期テスト以外に小テストがたびたびあり、成績の悪い人には放課後などに補習があります(放課後補習)。もし定期テストの結果が悪くなると、推薦の要件である評定平均の基準が満たせなくなるので、現代の進学校の高校では、こういう補習が昭和よりも多いのです。テスト前に補習をみっちりやって、推薦のための評定平均を確実に確保させるのです。 こういった放課後探究や放課後補習などのため、進学校では、そもそもの部活の日数そのものが他校よりも少ないのが正体なのです。 現代の総合型選抜や公募推薦の要件として、評定平均が要求されます(たとえば通知表の5段階評価で4.0以上とか要求されます)。また、評定平均のつけかたは、昭和は相対評価でしたが(「4」以上はクラスの何割の人数までとか昭和の時代では人数制限があった)、現代では絶対評価に変わっていますので、5段階評価で4以上の成績を取る人が多くても現代では問題ありません。 この評定平均の水準もまたトンデモであり、高校偏差値のどんなに低い 高校偏差値37高校の評定平均4.0以上でも出願条件の一つをクリアできてしまいます。逆に、高校偏差値のとても高い、高校偏差値70台の進学校での評定平均4.0以上をもし生徒が満たせないと、総合型選抜に出願できなくなってしまうのです。つまり、出願条件では高校偏差値に関係なく、同等に扱われてしまいます。 高校偏差値30台の底辺高校が、生徒に英語ばかりを勉強させて英検だけ2級や準1級ととらせれば、あとの国数理社などの教科はザルな定期テストでもいいので全科目で評定平均4.0以上をとらせれば、難関大学の出願条件クリアになってしまうのです。 進学校は対抗のため、なんとしても4.0以上を生徒に取らせる必要があり、だから補習 三昧(ざんまい)で、定期テストで高得点を確実にとらせるのです。でないと、高校偏差値37の生徒に、総合型選抜の枠がうばわれていまいます。 「低偏差値高校と高偏差値高校とで、別々の定期テストを受けているのに、総合型選抜の出願基準で要求される評定平均が同じ数値」という不公平があります。そして負担を負うのは、高偏差値高校の側です。 本来、底偏差値高校と進学校の定期テストは、まったく別々の難度の定期テストなのですから、大学側は本来、定期テストの難度や要求される習熟度に応じて、出願条件にある評定平均の基準値を変えるべきですが、しかし大学側はそれを怠っています。 部活の制度は、まだロクにインターネットも何も無かった、ネットで調べられなかった時代の遺物なので、現代のAO入試などの受験制度に対応しておらず、決して放課後をフルに部活に投入してはいけません。 ==== 中学の時点で部活の時間が少ない中高一貫校 ==== 地味な差ですが、中高一貫校では、中学段階の時間割も、高校に準じた時間割なので、そのため授業時間数が長く、週に2日、午後4:30まで中学でも授業があったりします。これは国公立の中高一貫校でも同様です。実際、神戸大学付属の中高一貫校の時間割がそうなっています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/curriculum/education/ 『教育課程 | 神戸大学附属中等教育学校』]</ref>。(なお、一般的な公立中学では、午後3:30までが授業です。) このように、進学校では時間割などで元から、部活に与えられられた時間が少ないのです。 けっして、べつに部活と学業の両立が上手いのではなく、そもそも部活の時間が少ないのが、上述のいくつもの進学校を調査した結果の事実です。 {{コラム|総合型選抜| なお、私大でも、総合型選抜の枠は意外と少ない大学も多くあります(多くが指定校推薦や付属などから受験生を取る)。たとえば同志社大学と近畿大学は、総合型の枠がかなり少ないです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=1dwCtMmUDqI (動画)山内太地 『高大接続改革は失敗なのか?!関西の高校が探究をがんばれない理由があった!』、2022/10/13 ]</ref>。なので、あまり総合型選抜対策(つまり探究)だけに時間を投入するのも問題です。基本は学校の勉強と一般入試対策です。 '''総合型選抜は専願'''なのが普通です。他大との総合型選抜の併願は困難な大学が多くあります<ref>[https://you2.jp/labo/6174/ 『総合型選抜や学校推薦型選抜は「併願」できる?―「一校ルール」を突破しよう | 洋々LABO』 ]</ref>。このため、年明け前は1校しか大学受験できないのが基本です。たとえ募集要項では「専願」という言い回しでは書いてなくても、「合格後の入学を'''確約'''できる者」とか「本学への入学を'''第一志望'''とする者」など確約・第一志望などの条件があれば、それは専願という意味です。 なお、私大の総合型選抜の出願の要件として、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求して足切りとしている私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。 ほか、総合型選抜の推薦の要件としてよくあるのは評定平均 4.0 以上とかですが、しかし評定平均は高校によって採点の基準が甘かったりするので大学側が信用していないのでしょう。そのため、足切りとして英検2級以上などを大学側が要求しているのでしょう。2020年以降の現代、評定平均のつけかたは絶対評価です。昭和生まれ・平成初期生まれの世代は評定平均が絶対相対(3.0が平均だった)のです。今は「評定平均4.0以上の生徒です」と言っても平均より優秀かどうか不明ですので、それだけでは信用できません。 難関大学などだと、総合型選抜のエントリー期間が9月中の場合もあります。それ以降は志願できません。 ほか、総合型選抜に限った話ではないのですが、合格しても、入学手続きの締め切りが短く、4日間くらいしかないような大学も多々あります。出願方法がweb出願に限る大学、または合格発表がweb出願に限る大学もあります。 }} == 大学の部活動の問題点 == :※ 高校生活というより大学生活かもしれませんが、しかし高校3年のさいの志望校決めに大きく関わってきますので、とりあえず、ついでにこのページで紹介します。(大学進学後に問題点に気づいても、遅いので。) === 音楽室など教室の問題 === ==== 芸術・家庭科の設備の不足 ==== 一般的な日本の大学では、部活について、体育以外の音楽・美術・家庭科などの分野の設備が不足しています。どちらかというと、日本の大半の大学では、比較的に体育科目だけ、音楽などよりも設備が充実しています(体育館の充実など)。 もし読者が、音楽・美術の分野を、高校の授業以上に学習・練習することを志望する場合、決して「大学に合格してから 吹奏楽部/美術部 に入ろう」なんて考えずに、高校のうちから希望の分野に近い部活に入ることを強く推奨します。 具体的に言うと、文学部・経済学部・法学部や理系の学部などの多くの大学で、高校のような体育館(あるいは高校以上の体育館)は存在するにもかかわらず、一方で高校のような音楽室も美術室も存在しない場合が大半でしょう。 このため、もし読者が将来的な大学進学を予定している場合、たとえば「大学に入ってから美術を勉強しよう」などと思っても、高校のような美術部の訓練を大学ではあまり受けられない場合もあります。 そもそも、多くの大学で、美術教師も音楽教師もいない場合もあります。なぜなら、美大・音大ではない一般の大学には、そもそも美術科目や音楽科目の授業が無いからです。 かつて大学の必修科目で体育科目がありましたが(平成の規制緩和で現代では体育は必修ではなくなっている)、しかし音楽・美術・家庭科などは元から一般の大学では必修ではなく、そのため一般の大学では科目の存在自体をしてないのが普通なのが美術・音楽・家庭科などの実情です。 あるいは音楽の場合なら、仮に大学に音楽室が存在したとしても、例えば大学の音楽室なら一般の教室をすこし防音化したものにすぎず(たとえばガラス窓が単に2重窓になったのと、教室入り口のドアが分厚くなっただけで、他は一般教室と同じだったりする)、あまり音楽室(のようなもの)が本格的でなかったりします。このため、大学の音楽系の部屋では使用できる楽器が限られる場合もあります。 ただし、多くの大学で運動部が存在するので運動部の応援のために吹奏楽部が存在するのが普通なので、まだ吹奏楽部はなんとかなります。軽音楽サークルはどうだか知りませんが、多くの大学で軽音楽サークルが存在していますので、なんとかなるかもしれません。 問題は、美術です。美術室に限っては大学では存在すらしない場合もあり、一般の教室や部室などを流用したりする場合もあります。このため、油絵など有機系の塗料を使うものは大学では描けない場合もあります。水彩の絵の具を大学で使うのも、なかなかキツい場合があります(家で絵の具を使うことになるかもしれません)。 たとえば私大とその付属高校によっては、私大本体よりも付属高校のほうが音楽・美術に関する設備が上回っている場合すら、ありえます。 このため、「大学に入ってから〇〇(音楽・美術など)の部活を始めよう」とか思ってると、高校以下の設備、顧問からの高校以下の教育で始めることになってしまいます。なので、音楽・美術の部活に入ってみたいと思っている場合、高校から始めるのが安全です。 そもそも大学の場合、吹奏楽部やイラスト系部活・同好会の顧問の教員が、その科目の専攻でない場合もあるかもしれません。 ==== 体育設備の注意点 ==== '''校庭の無い'''私立大学もあります。 大学の体育の設備について、都心23区内や京都・大阪などの中心街にある私立大学の場合、一見すると室内の体育設備が充実しているようにパンフレット紹介されていたりする大学もありますが、よくよくネットで公式情報を調べると都心キャンパス・中心街キャンパスにそもそも'''校庭の無い'''私立大学も多々あります(大学での体育の授業は室内ばかり、とか。部活の運動部はキャンパスから電車で行くレベルで離れた郊外の練習場を使っている)。「存在する設備」だけでなく「存在しない設備」にも注意しましょう。 高校の場合、1年ごとに体育が週2~4時間だったりするのに、一方で大学では4年間で体育が週に2時間だったりします。大学は科目の選択の自由度が高いので、週2時間以上の時間数の体育科目を授業で受けられる場合もありますが、しかし専攻科目の授業の増大により、時間的に必修以上に体育などの科目に充てるのは難しくなっているのが21世紀の現状です。 都心でない郊外でも、体育設備が歴史的な経緯で比較的に充実しているのにかかわらず、21世紀では大学の授業が難しくなったりと忙しくなり、せっかくの体育設備がそれほど使えない場合もあります。 ;理科室の少ない大学も・・・ なお理科室も、高校は 生物室 ・ 化学室 ・ 物理室&地学室 とかで3室以上があったのに、一方で大学だと、大学によっては「第一理科室」「第二理科室」みたいに理科室の数が2室に減っている場合もあります。 もしかしたら小・中学校みたいに大学でも理科室が1室かもしれません(大学にも寄る)。大学の進学前に、事前に覚悟しておくこと。 まあ、中学技術家庭科であった木工室・金工室などは高校には無いし、(教育学部や工学部以外の)多くの大学にも当然ながら無いです。まあ、木工や金工はイザとなれば、近所のホームセンターで工具を買ってきて自分で工作すれば済みます。設備が必要な場合でも、市町村の職業訓練所みたいな公共施設もありますので、その分野に就職する気になった場合は職業訓練所も参考に。 === サークル部室が少ない大学も・・・ === 大学では、土地不足や、学生運動の対策などで、部活や同好会などに各部の専用の部室が無い場合もあります。大学の場合、「学生会館」などの名前のサークル棟で他の部活とまとめて、時間や月日を決めて期間限定で借りるシステムになっている場合もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 弱小の部活でも専用の部室があるのは、高校卒業までです。なので高校時代に部活を楽しみましょう。 理科系の大学や国公立の大学など、サークル棟は狭かったり、校舎から遠かったりします<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 === 医学部と法学部では部活動は困難 === 医歯薬系など医療系の大学なんて学業も忙しいので、国公立の医療系学部の場合、もはや文化祭の出し物の練習などしている暇はありません。たとえば、医学部のある総合大学の文化部の出し物を見ても、メンバーの学科には医学部の部員は基本、いません。理系メンバーがいるとしても、せいぜい工学部や理学部などです。工学部といっても、国際情報なんとか学科だの社会情報なんとか学科だの、そういった学際分野の人かもしれません。 運動部などだと、テレビ番組でも大学駅伝や大学野球を見ても公式大会に出場するのは文系の学部学科の人ばかりなので、運動部については理系の学科では学業と部活動との両立が難しいと知っている読者も多いと思います。実は文化部でも同様、理系の学科では学業と文化部との両立は困難です。 見落としがちですが法学部も同様、国家試験などを目指す場合には学業と部活動との両立は困難です。官僚や、裁判官や検察や弁護士などの法曹、などへの就職を考える場合、法学部は、部活動をあきらめる必要があります。 官庁に限らず市役所や都道府県庁など、多くの役所への就職活動は、年齢制限があります。このため、専門以外のことを練習する時間は、(採用試験にある教養試験の対策を除けば)あまり、ないのです。 公務員で、年齢制限がほぼ無いのは(ただし定年に近いと、さすがに業界未経験者は不採用)、たとえば公立小中学校・公立高校の教員などです。しかしそれは、教職課程や教育学部の話であるので、法学部の就職先とは異なります。 法曹とは、弁護士・裁判官・検察の3つです(「法曹三者」ともいう)。これら法曹三者では、司法試験への合格が必要です。さらに、司法試験の受験資格は「ロースクールの修了から5年以内に5回まで」という時間的な制限があります。 このため、司法試験が必要な職業では、大学院に入ってしまうと部活動は無理です。実質的には、学部の段階でもう、司法試験志望者には部活動は無理です。 さて、官僚や裁判官や検察などの法曹には、高い専門性が求められます。しかし、教養については、高さと広さは求められないのです。あくまで、学歴フィルターに引っかからない程度の学力と、それらの放送の採用試験の「教養問題」で高得点を取れる程度の教養があれば十分なのです。 それ以上の教養や分野外の知識については、法曹の仕事では専門家に依頼します。 たとえば裁判で、自動車事故を扱う場合でも、裁判官は自動車工学や道路工学なんて知らないので、工業大学や自動車メーカーなどの専門家にアドバイスをもらいます。このように、裁判官には、専門家にアドバイスをもらう制度があります。(鑑識(かんしき)や鑑定(かんてい)などの制度です。) 官庁でも、たとえばスポーツ庁が文科省の管轄だからといって、文科省の役人の多くにはスポーツの腕前は不要です。文化庁は文科省の管轄ですが、文科省の役人の多くは、楽器もロクに演奏できないし、絵の画力も人並みでしょう。 官僚や弁護士などの国家試験や採用試験を目指さないなら、法学部でも部活動との両立は可能ですので、私学などのスポーツ推薦で法学部に入学している人もいると思います。 だから、テレビの大学駅伝や大学野球などの選手に、法学部の人もいるかもしれません。 しかし、官僚などを目指す場合、基本的には部活動との両立は困難です。部活動に在籍することは可能ですが、しかし公式試合などの出場などができるほどに技量を高めるトレーニングを積むのは、時間的に、国公立の法学部ではとても困難です。 === 大学の宗教サークル === そのほか、大学のサークル活動の問題点として、一部の悪質な宗教系のサークルが、正体を隠して新入生などに勧誘活動している、という実態もあります<ref>三菱総合研究所・全国大学生活協同組合連合会・日本コープ共済連生活協同組合連合会 著『大学生が狙われる50の危険』、青春出版社、2023年2月2日 発売</ref>。 大学進学した際、サークルより部活動に入ったほうが良いと教員が個人的意見を言ったりするのには、このような事情もあるかもしれません。もちろん、多くのサークルはマジメにサークル名通りの活動をしていると思いますが、残念ながら一部の詐欺的な悪質サークルを、日本の大学では排除できません。 やはり部活動などは高校時代のうちに熱心に活動したほうが良いでしょう。 大学の文化祭などに行くと、そういった悪質サークルにも遭遇してしまいます。なので高校生のうちは、文化祭を見るなら、高校(自校も他校も)の文化祭を重点的に回るのが良いでしょう。大学のサークルには期待しないほうが良いでしょう。 === 高校図書室・大学図書館の音楽書や美術書などの問題 === 部屋だけの問題ではありません。大学の図書室の蔵書と、高校の図書室の蔵書の関係も、似たような問題があります。具体的に言うと、高校図書室の音楽書・美術書のほうが、大半の大学の音楽書・美術書の本棚よりも本格的かもしれません。 なお、大学の「教養課程」というので習う科目の「経済学」「法学」「英語」「ドイツ語」「フランス語」(ドイツ語・フランス語は「第二外国語」でよくある)「数学」「理科」などは、さすがに高校よりもレベルの高い専門書が大学の図書館にそろえてあります。(「体育」は教養課程でありますが、あまりスポーツの技法書とか大学図書館には置いてありません。) しかし、その教養課程から外れる、音楽・美術とかの専門書、あるいは演劇部のための演劇書など部活動のための専門書については、高校よりも大学図書館の蔵書レベルが劣るか、ハナっから蔵書が無いとかだったりします。大学の進学前に覚悟すること。 まあ、書籍については高校卒業も一般の書店で購入できるので、あまり高校時代に急いで読む必要はありません。ですが、できれば高校在学中に図書室にどんな蔵書があるかは確認しておくと、後々の人生で、大学の専攻以外の分野での良書を確認するのに役立つかもしれませません。 大学の場合、たとえ総合大学やマンモス大学であったり、あるいは教育学部を持っていても、学部や学科によって校舎が他市町村レベルや下手したら他県レベルで離れていたりするので、そのせいで、大学生が学部の専門外の内容の蔵書を確認するには、異なる学部の蔵書を確認する必要があり、したがって異なる地域の校舎の蔵書を確認する羽目になり、ともかく大学だと専門外の書籍の確認がかなり面倒です。 大学図書館が、日曜日だと閉館している場合がよくあります。多くの大学の図書館では、授業中の月曜~土曜が開館日なので、よって日曜が閉館日なのです。このため、仮に大学生が「日曜日に大学の他学部の図書館を見学しよう」とか思っても、しかし日曜日はその他学部の図書館が閉館しているので蔵書を見れません。なので、高校在学中に、将来的に進学しそうな分野の専門外の書籍についても、高校図書室で蔵書を確認したほうが良いでしょう。 高校時代に、図書室の蔵書を全体的に眺めるだけでもいいので、眺めておきましょう。大学は学部の専門外の分野になると蔵書が高校よりも劣る場合が大半です。 == 特別活動 == === 基本 === 授業以外の活動にどう取り組むかは、校則に触れない範囲で個人の自由です。 中学校と異なるのは、大学入試には部活の実績や委員会活動・生徒会活動などの活動実績は要求されておらず、一般入試では部活などの活動実績があっても試験結果には加点されないということです。調査書の提出はありますが、高校入試と違い、高校卒業見込みであることの確認に使われるのみで、内容はほぼ考慮されません。 推薦入試や総合型選抜(かつての「AO入試」)を行っている大学では部活などの実績が考慮される場合がありますが、基本的に、多くの高校生は一般入試で大学進学することになります。それを踏まえたうえで、特別活動に力を入れるも入れないも、個人の自由です。 なお、総合型選抜をよく行っている大学と学部は基本、私大の文系学部です。一応、例外的にいくつかの国公立大学や理系の学部でも小さい枠で総合型選抜などを行っていますが、国公立では対象となる大学は少なく、また、理系学部では総合型選抜は基本的に無い傾向です。 ただし、医歯薬系や看護など医療系の大学では一般入試に面接などがあるので、その面接において部活や委員会活動の活動実績についても聞かれる可能性があります。とはいえ、いくら「医者は体力勝負」とか言っても、スポーツがいくらできても肝心の勉強ができなければ不合格なのは言うまでもありません。 また、理系の学部の入試で自己推薦入試を受験する場合、一般に評価される活動は決して部活ではなく、大学によりますが数学オリンピックとか全国高校化学グランプリなど、高校の学外での理系の公式大会での成績だったりします。(たとえば早稲田の理工はそうです<ref>[https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2022/08/2022_AO.pdf 『』P224] 2023年12月08日に閲覧. </ref>) 指定校推薦と総合型選抜は、まったく異なった受験です。混同しないように。指定校推薦で必要なのは基本、よほど授業態度が悪いとか出席日数が極端に悪いとかでない限りは、必要なのは高校時代の定期試験での高得点です。いくら部活で部長をしようが、委員会で委員長をしようが、それは指定校推薦の条件には基本的に関係ありません。 大学によっては、体育大学の体育学科の推薦をもらいたいなら運動部の公式大会での成績とかも考慮事項になるかもしれませんが、それは指定校というよりも自己推薦型入試でしょう。 例外的に、体育大と高校の運動部の大会の成績とか、音大と高校生音楽コンクールの順位などのように、高校の部活の内容が志望大学の学業と直結するものでもない限り、部活動の成績よりも普通の教科の成績が指定校推薦では優先されます。 なお、指定校推薦による募集を行っているのは私大です。 ;スポーツ推薦など また、いわゆる「スポーツ推薦」は、制度的には「特別推薦」というものです。スポーツ推薦は、指定校推薦ではありません。特別推薦では、学校長の推薦書は必要ですが、しかし指定校とは違って高校に枠が割り当てされていません。 このため、たとえばスポーツの苦手な人が、どんなに偏差値の高い高校に入って、そこで運動部に入って部長をしようが、全国大会や関東大会(関東地方の高校の場合)などの公式大会などで高い順位を取らないかぎりはスポーツ推薦はもらえません。 ;芸術などの推薦や総合型選抜 高校の音楽コンクールや美術コンテストなどでの全国大会とかの推薦や総合型選抜については、大学や学部学科ごとに傾向が大きく異なるので、早めに志望業界の学部の募集要項などを幾つか確認してください。 たとえば、音楽志望の場合、教育学部の音楽教師の学科を考えている場合なら、いくら音楽だけが得意でも、肝心の5教科の学業が苦手だと教員採用試験に合格しない可能性が高くなるので教師としては不適格です。なので、教育学部の受験では、音楽だけしか出来ない人は、よほど音楽の業績が優れていない限りは、不合格になる可能性が高いと考えられます(教師には高めの学力が要求されるので)。 いっぽう、文学部や経済学部では、特に必須の国家試験とかありませんので、教育学部ほどは受験で学力を要求されない可能性もあります(大学にもよる)。 このように、学部や学科によって、要求される学力の程度が違うので、ある程度は傾向を把握したうえで高校生活を送るのが受験対策としては安全です。 例として音楽をあげましたが、美術と美術教師の学科でも同じですし、演劇部などでも同じです。 === リンク(※未完成なので読まなくていい) === * 部活での文書管理などのノウハウについては、右のリンクが予定されていますが、未完成です(※ 現状、読む必要はありません)。 リンク:[[高等学校部活動]] == 普通科高校と実業高校 == 普通科高校は大学進学を目指す生徒に特化したカリキュラム、実業高校は高卒での就職を目指す生徒に特化したカリキュラムが組まれています。また、実業高校が持つ企業とのパイプも普通科高校は持っていません。したがって、高卒で就職する場合は、実業高校卒の方が有利です。家庭の経済事情で、大学への進学が難しい家庭はこの事に注意してください。いっぽう大学進学は、工業高校や商業高校などの実業高校の卒業生でも、法的には問題なく大学受験が可能です。ですが、現実的には大学受験は普通科高校生の方が有利です。特に職業高校への進学にこだわりが無ければ、将来的に大学進学したいなら、普通科高校を卒業したほうが大学進学しやすいでしょう。 職業高校というと「落ちこぼれの不良が集まる底辺校」というイメージを持っている人がいるかもしれませんが、それは過去のことです。実業高校は就職活動の面接に臨むことができ、その後即戦力として就職できる生徒を育てるために、生徒指導はきちんと行われている学校が多いです。また実習や資格取得のための検定が多くあるため、そのための勉強の忙しさは普通科高校には劣りません。 == 高校と大学と、中学との違い == :全体的な傾向 基本的に高校では、出欠確認とか委員会とかは、中学とほぼ同じです。とりあえず入学時は、高校についてだけ知っていれば十分です。 === 委員会や生徒会 === :※ 説明の都合上、高校だけでなく大学についても説明したほうが分かりやすいし大学AO入試(総合型選抜)対策にもなるので、ついでに大学も説明します。 ;高校に委員会はある。大学には無い 委員会や生徒会などについて、中学と高校は、ほぼ同じです。公立高校でも私立高校でも、特に差はありません。つまり、「保健委員会」とか「図書委員会」とか、多くの高校にあります。 いっぽう、大学には基本、委員会はありません。つまり、大学に「保健委員会」とかはありません。健康診断とかの提出物は、大学ではお医者さんまたは学校の職員の人などに渡します。 大学図書館には司書がいます。大学では、図書の受付の委員会業務も存在しません。大学では、学生には図書業務はさせません。 ;高校に生徒会はある。大学では「学生会」「学生自治会」「学友会」 高校には、生徒会はありますし、もちろん体育館とかで生徒会長に誰を選ぶかを全校生徒(もしくは全2年生)で投票です。 大学では「学友会」や「学生自治会」や「学生会」とか言うのが、生徒会に相当する組織です。大学では、いちいち全校集会とかで投票しません。というか、大学に全校集会そのものがありません。入学式と卒業式とで、それぞれ新入生と卒業生が一斉に集まるだけです。 なお、大学の「校友会」は卒業生の組織ですので、誤解なきよう。 === ホームルームなど === ;高校にはホームルームがある。大学には無い 高校には中学と同様、ホームルームや出席とか朝礼・終礼があるのが一般的です。ホームルームで担任(たんにん)の教師から、いろいろと一斉に連絡されます。 大学にはホームルームとか無いので、連絡は基本、掲示板です。大学の校内に掲示板(実物)があります。 書いてて気づきましたが、つまり高校には掲示板は基本的にはないです。 また、大学は朝の1時間目の授業が、ホームルームや出欠などなく、いきなり(授業が)始まります。つまり大学には、朝のホームルームとか出席(朝の「はい元気です」のアレ)とか朝礼・終礼や「起立・きをつけ・礼」がありません。 === 学校行事の有無 === ==== 修学旅行・林間学校など ==== 高校では旅行先が遠くなるかもしれません。修学旅行・林間学校(もしくは臨海学校)じたいは、どの高校でも存在します。 たとえば、関東在住なら、中学校では修学旅行先として京都や東北が旅行先だったのが、高校では沖縄や北海道などが旅行先になるかもしれません。 いっぽう、大学に修学旅行・林間学校などはありません。研究室で、もしかしたら夏休みあたりに2~3日の合宿を大学の近場(その地域の小中学校の修学旅行先あたり)でするかもしれません。 ==== 運動会・体育祭 ==== 高校にも体育祭(運動会)は存在します。 いっぽう、大学には体育祭はないのが普通です。そもそも大学にはクラス(学級)が無いので、クラス対抗の競争とか原理的に無いのです。 ==== 文化祭 ==== 高校にも大学にも文化祭があるのが一般的です。 == 定時制・通信制高校 == 定時制と通信制の高校に通う(または、それを考えている)方はサブページをお読みください。 * [[高校生活ガイド/定時制]] * [[高校生活ガイド/通信制]] == 大学入試の総合型選抜でどうしても部活などの能力をアピールしたいなら == 神戸大学付属の中等教育学校(いわゆる中高一貫校)の、探究論文のためのガイドライン中で「課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン」として、下記のように言われています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/education/kp/materials/2023_kuss_handbook.pdf 『2023 年度 Kobe ポート・インテリジェンス・プロジェクト 課題研究・卒業研究ハンドブック』P.17]</ref>。べつに総合型選抜の自己アピール書は論文ではないので、下記のままに従って書く必要は無いですが(そもそも文字数制限があるので、自己アピール書に論文は書けない)、しかし論文というのは下記のような書き方ですし、下記を高校生に要求している国公立の高校も日本に存在します。 <blockquote> 第 1 版(2023 年 4 月 4 日) 課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン * 制作物のみをもって論文の完全な代替とすることは認めない。あくまで課題論文の提出は全員に求 める。 * 課題論文に別添する形で、制作物やその写真、実演の録画を提出することは認める。その場合、課 題論文の規定字数相当の内容があるか否かの判断は、制作物の量・質を考慮して行うものとする。 * 具体的には、課題論文の序論・結論に相当する部分が制作物により代替されうるとは通常考えられ ない。一方、本論に相当する部分の大部分を制作物により代替することは十分に考えられる。 * 序論には本研究の社会的・学問的(芸術的)意義を述べるとともに、本研究で取り組む問い、もしく は明文化された問いの形になりづらければ課題について明記することが求められる。5 年生以上は 先行する制作の事例について分析し、本研究の新規性について明記することも求められる。 * 本論部分では、序論で述べた課題を解決するための制作方針について述べるとともに、実際の制 作物やその写真、実演や制作物作動の様子の録画を添付する。 * 何らかの課題を解決するための制作方針が明記されていることは、制作が研究として認められるた めの必須要素であり、これがない制作は本校の課題研究としては認められない。何らかの創作を伴 う制作であればその創作方針が明示されるべきである。既存作品(楽曲等)の実演を制作物として 課題研究とする場合は、それに対する自身の解釈や、身体操作の独自の工夫などを実演方針として 明示することが求められるのであって、解決すべき課題に特に対応しない実演や単なる模倣は本校 の課題研究としては認められるものでない。 * 結論部分では、別添した制作物によって序論で明示した課題が解決されたことを主張することが求 められる。加えて、本研究において解決しきれなかった課題を展望として述べることも推奨される。 </blockquote> 文中に「5年生」とあるのは、中高一貫校なので、中学からの通算の年数を数えている(高校2年生に相当)。 本節では、文学部や経済学部や法学部などへの総合型選抜を念頭に、話します(美大とか音大とかは念頭に置いていません。また、私大の体育学部なども念頭に置いてません。) 「高校生が部活などで頑張ったのは分かった。」「問題は、それ、志望する大学での研究と、どう関係あるの?」、これを説明することが望まれます。 なのに、なんの説明もなく、「制作物のみをもって」(論文の完全な)「代替とすること」は、社会通念上、認められないのです。 特に国公立の大学の場合、税金を使って大学が運営されているので、研究に社会的・学問的(芸術的)な「意義」の説明がなければいけません。志望者に、説明責任があります。 単に、「スポーツが得意」とか「絵が上手い」とか、それは建前上は、国公立の総合型選抜では求めていないでしょう(私大はどうか知らない)。そういうのは、私大の「スポーツ推薦」とか「文化活動推薦」みたいな、別の方式の推薦を受けてください。 上記引用中に「 何らかの課題を解決するための制作方針が明記」とあるように、部活などの活動の努力や成果(客観的に第三者機関によって証明できる成果)を、社会の課題解決にどう結び付けるかが、言えることが望まれます。 実際に、社会の課題を解決することまでは、要求されていません。金銭的・時間的に、解決までは無理です。そもそも長年のあいだ解決できなかった社会課題だから、たかが高校生ごときのお子様でも発見できる「課題」として残っているのです。 自身で解決しようとするのではなく、これから、学問の力によって、課題の一部でいいので、解決までの道すじを社会でつくろうとする事に、あなたも協力するために自発的にあれこれすることが望まれているのです(具体的に何をするかは個々人による)。 基本的に、学問の多くは、再現性や言語化を重視します。分野によっては、再現性だけは低い分野もあるかもしれませんが(たとえば歴史学などは実験が不可能なので、再現性は低いかもしれない)、しかし言語化はそれでも可能なはずです。 美大や音大などは例外かもしれません。しかし、もし文学部や経済学部や法学部などを志望するなら、言語化をして、税金をあずかっている国公立の大学教員たちの納得のいく説明をできなければいけません。 もし、そういう言語化がイヤなら、そもそも文学部や経済学部などの学問に向いていません。文学作家に向いているかどうかは知りませんが、しかし文学部の国文科と言うのは決して小説家の養成所ではありません(そういうのは専門学校です)。例えるなら、文学部の歴史学科の研究者が、たとえ戦国大名を研究することはあっても、研究者自身がけっして大名になる必要は無いのと同様に、文学部の国文科では小説家になること自体は求められていません。 ましてや、国公立の大学の文学部などは、断じてスポーツ選手の養成機関でもありません。 上記の当wikiの説明では、説明の都合上、国公立を例に説明しましたが、私大の志望でも上記のような事はすこしは考えるべきでしょう。私大だって、私学助成金などの税金の財源とした補助金をもらっています。また、大学教授は科研費などの補助金を国からもらう際、国への説明責任があるわけです。 上記の引用が出来たからって、合格するかどうかは知りません。ただ、割とハッキリ言えるのは、もし上記の引用が出来ない人が合格しても、例外としてスポーツ推薦で難関大に合格するような余程(よほど)の業績ではないかぎり(全国大会のトップ8入りとかでないかぎり)、研究への情熱の評価ではなく、単に全国大会などの業績によるスポーツ推薦・文化活動推薦が適用されて合格したに過ぎない、という事です。 == 出典・脚注 == <references /> == 参考文献 == *[https://shingaku.mynavi.jp/ マイナビ進学] *[https://allabout.co.jp/gm/gt/2066/ All About学習・勉強法] [[category:高校生活|*]] 1359jasf0n95n8bf93nrovoz2yk1vw2 246456 246455 2024-04-10T05:26:32Z すじにくシチュー 12058 /* 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 */ wikitext text/x-wiki : [[小学校・中学校・高等学校の学習]] > [[高等学校の学習]] > 高校生活ガイド {{Stub}} {{独自研究の可能性}} 編集者の主観的な表現が含まれている可能性があります。このページをある程度の参考として、高校入学に向けて心構えを持つことは大切です。 しかし通常、入学時には新入生を対象とした説明が行われるため、そちらをより参考にすべきです。 また日本の高校についての詳しい情報はwikipedia[https://ja.wikipedia.org/wiki/高等学校]を参照してください。 ---- == 高校は義務教育ではない == === 説明 === 高校は、義務教育ではありません。したがって、さまざまな事情により高校を退学することはありえます。そのあとに他の高校に入りなおす義務もありません。非行などに対する懲戒処分として、校長から謹慎や退学を命じられることもありえます。 日本では中学校までは年齢主義をとるため、1年間在籍しているだけで次の学年に進級できます。しかし高校では、規定の時間数以上の授業に出席をし、考査等で一定の成績を収めることが進級の必要条件です。つまり、出席や成績の状況次第で留年をすることがあります。 学校にもよりますが、中堅レベル以上の普通科高校の場合、高校の定期考査では、中学と比べて試験問題が難しくなるのが一般的です。教科書の内容が中学と比べすることが高度になり、また大学受験に対応するため、定期考査に難しい問題が出される場合があります。 このため、定期考査の試験対策をしないと、いわゆる赤点を取る可能性が高いです。赤点とは、定期考査等の結果が基準点を下回ることです。詳しい規定は学校によりますが、基準は「固定された点数(30点など)未満」や「平均点の半分未満」などです。赤点をとってしまった場合にはいくつかの処置がとられます。 # 補習参加の上、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習はないが、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習参加の上、課題を提出すれば合格とする。追試はない。 # 補習に参加すれば合格とする。追試はない。 これらの救済措置の結果、合格となれば進級できますが、不合格のままの科目を残している場合は進級ができず、留年となります。このあたりの規定は学校ごとに大きく異なりますので、詳しくは学校の先生の指示に従ってください。 === 転校 === また、高校では他校への編入はかなりハードルが高いです。遠隔地への転居などの場合でも現地の学校に自動的に入学することはできず、編入試験が課されます。 学校になじめず転学を希望したいという場合でも、通信制高校や夜間高校などへ転学せざるを得ないという場合もありえます。 == 科目の選択 == 高校では、履修する科目を選択する場面が多くあります。まず、学校ごとに開講される科目が異なりますので、学校を選んだ時点で履修科目の幅は狭まっています。その上で、高校に入学して以降も、様々な場面で科目を選択する場面があります。 * 主な選択科目(現行課程) ** 地歴科:世界史A・B、日本史A・B、地理A・B(世界史A・Bはどちらかを必ず履修しなければなりません) ** 公民科:現代社会、倫理、政治経済 ** 理科:化学基礎・物理基礎・生物基礎・地学基礎、物理・生物・化学・地学 ** 芸術科目:音楽、美術、書道、工芸 なお中学にある技術・家庭科の「技術」分野は、高校では取り扱われず家庭分野のみの家庭科となっています。普通科高校では、職業教育はありません。 高校の検定教科書の購入は、全科目とも学校教科書の販売を扱っている取次店(とりつぎてん)で買えます。自分が何歳になっても取次店で高校教科書を買えますので、高校生は検定教科書を入手したいだけなら、その選択科目を履修する必要はありません。 :(※ 検定教科書の購入方法については『[[小学校・中学校・高等学校の学習/検定教科書の購入方法]]』に解説がある。) === 芸術科目 === 普通科高校での芸術科目は、音楽・美術・書道・工芸の中からどれか一つを選ぶ選択制になっています。1年生でどれか1つを選択必修、他学年では開講しない、という学校が多いかと思います。芸術科目は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶのが安全でしょう。もし音楽を履修した場合、授業ではまったく美術や書道が取り扱われません。これはどの芸術科目を選んだ場合にも同様です。好きでもないことを、1年間も毎週2時間ほど練習することは苦行ですので、芸術科目の選択は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶべきです。 なお、現在の中学3年までの芸術科目が、90年代までは高校1年や2年で習っていた内容です。現在の高校1年の芸術科目では、「脱・ゆとり教育」などの影響もあり、90年代の高校芸術科目よりも細かく、専門性のやや高まった事を習ってますので、そういう点からも、興味の無い芸術科目は、履修しないのが無難です。 さて、もし美大・音大または芸術系専門学校などの芸術系の進路を希望する場合は、その分野の科目を履修しておくのが無難ですが、全生徒を対象とする芸術科目だけではどのみち練習量が大幅に不足ですので、外部の芸術系進路用の予備校などで習う必要があります。 なお、音大・美大・教育大を除く一般の大学では、芸術の授業が無い場合が大半です。このため、人によっては高校が最後の学校での芸術教育になる場合も多くあります。 === 文系・理系 === ==== 文理選択とは ==== 普通科高校では、多くの場合2年生次(一部は3年生次)<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190726-00010000-yom-soci&p=1 「『文系か理系か』早すぎる選択…受験科目に専念するため、大半が高1で決定」2019年7月26日読売新聞オンライン]</ref>に、文系か理系のどちらかの類型を選択することが一般的です。これは、普通科高校生の多くが目指す大学進学にあたって、入試に対応するためにはポイントを絞る必要があるためです。この選択は一度選択してしまうと卒業まで変更することは、現実にはできない(後述)ため、慎重に選択する必要があります。文理選択までに、進学したい進路先をよく考えておかねばなりません。 少数例ですが学校によってはコースが分かれずに、文系志望の生徒にも数学IIIなどの理系科目を教える文理両立の高校の場合もあります。たとえ文理両立の高校でも、3年生では選択科目が増えてきます。高校普通科の全科目を履修するのは、たとえ文理両立の高校でも、授業時間の制限のため、不可能です。 また、「国際科」・「理数科」などの普通科以外の進学系の学科では、そもそも入学当初から文理選択がなくて、その学科の類型のカリキュラムとなることが普通です。たとえば理数科では、そもそも全生徒が理系のカリキュラムになり、文系特化のカリキュラムは選べません。 ;私大の推薦入試に関わる 推薦入試で大学に入学するなら文理選択は関係ないかというと、そんなことはありません。私立大学の推薦受験(指定校推薦のほか、「総合型選抜」も学校推薦型総合型選抜という推薦の一種です)では、受験生に特定の科目の履修を条件づける場合があります。たとえば、私立の理系学部を推薦受験する場合は、条件として数学III、および進学先学科に応じた「物理」・「生物」・「化学」などの科目の履修を条件づける場合もあります。なぜ科目制限するかというと、科目制限しないと文系科目だけで好成績を取って、理系科目が出来ないのに推薦入学してしまう受験生が出現してしまうからです。 文系科目でも、一部の難関私大では、文系学部の推薦入試の要件に、地歴公民など文系科目での必要単位数を設けている場合があります。理系コースだとその出願単位数を満たせない場合があるので、文系志望なら高校では文系コースを履修するのが無難でしょう。 ==== どうやって選択するか ==== 文理選択をするにあたっては、進路先としてどのような大学・学部を考えるかを最優先しましょう。間違っても、科目の得意不得意で選んではいけません。後でつまらない思いをします。なお、勘違いされやすいことですが、英語は文系・理系ともに大学入試で要求されることが一般的なので、「英語が苦手だから理系」という選択はやめましょう。 また、「数学が苦手だから文系」という選択肢をとる生徒が少なからずいますが、こちらも先のことを考えると安易であるといえます。というのも、いわゆる文系に属する学部学科でも数学を使うことがあり、「文系なら数学を使わなくても済む」とは限らないからです。具体的には経済学部・経営学部・社会学部では入試の段階で数学が必要な場合もあります(有名どころでは慶應義塾大学経済学部や商学部、早稲田大学政治経済学部)し、入試で使わなくとも大学の授業では必修とされることは珍しくありません。 なお、芸術系大学・短大・専門学校の志望や、体育大志望などは、文系を選ぶのが無難です。内容が文系かというとそうではないのですが、少なくとも高度な理系科目の学力は要求されないためです。また、大学でスポーツ推薦などを受け入れている学部も、社会学部や文学部・経済学部など、いわゆる文系とされる学部です。経済学部は、日本では文系の学部として扱われます。企業からの視点も、経済学部卒を文系の人間として扱います。また芸術系卒や体育大卒も、企業からの視点では、彼らを文系の人間として扱います。 2020年代の現在、高大連携や探求学習があり、進学校の文系コースなどでは志望学科に近い分野の卒業論文のようなレポートなどを仕上げる学校もあったり、近隣の提携先の私立文系大学の授業を受けられたりなどの機会があるので、私大文系の推薦入試などで論文を自己アピール材料にできる場合もあります。このため、文系志望なら文系コースを選択するのが無難でしょう。 もし高校卒業後に浪人した場合、どんなに高大連携や卒業論文などの機会を得ようとしても、制度的に浪人生は不可能です(高校生以外はその機会がありません)。なので、高校在学中は志望分野にしたがったコースをそのまま選ぶのが安全です。 昔話ですが、平成初期のまだ探求学習の無かった時代ならば、文系志望でもあえて理系コースを選ぶという手法もありましたが、しかし令和の今ではその手法は上述の理由で時代遅れでしょう(高大連携などの利点を損失するので)。例外として、よほどの底辺高校で、文系コースが事実上の高卒就職コースとしてしか機能してない高校とかでない限り、平均以上の学力の高校ならば文系志望者は文系コースを選ぶのが無難でしょう。 現在、多くの大学の文系学科で、高校3年レベルの数学科目を履修でき、しかも大学の単位を取得できます(場合によっては高校2年レベルの数学で大学の単位取得できます)。底辺大学でなくても、です。このため、高校3年生の時点でわざわざ高大連携の機会を損失してまで、数学III・Cなどを履修するメリットは少ないのです。 ==== 「文転」「理転」について ==== 理系から文系にクラスを変える'''文転'''、文系から理系にクラスを変える'''理転'''も可能ですが、現実的にはどちらも厳しい道を歩むことになります。 一番の違いは数学の扱いでしょう。理系の場合、3年になってからも新しいことを3年の2学期終わり頃までは授業で習いますが、文系の3年生の授業では夏ごろには新たな単元は扱われなくなり、その後は入試対策や過去問演習などの復習が増えてくる、という特性があります。また、文系では理系の生徒が学ぶ科目である数学IIIは履修しない、理科の「基礎」でない科目は履修しないなどが一般的です。したがって、3年になってから理転しようとしてもスタートラインから極めて大きな差ができてしまいます。よって、文系から理系に「理転」すると、全く習ってないことが続出するので、大学受験対策が間に合わず、ほぼ浪人が確定です。 文転は前述の理転に比べれば多少はマシですが、古文漢文や地歴・公民での学習量などの積み重ねの差は小さくはなく、一般の生徒よりも努力しなければ文系のまま2年3年と進んだ場合に比べて進路が狭まることは否めません。また、学校によっては文理で地歴・公民の進度・内容が違い、2年次に習っていなかったものを文転してから改めて学ぶ必要が出てくる場合があります。当然、その分学習量が増えるため、「文転は理転に比べて楽」という噂を鵜呑みにしてはいけません。 == 推薦入試の時代変化 == === 特化型が有利 === 大学受験への総合型選抜によくあるシステムは、高校受験とは違います。 要求されるのは教科の高さではなく、英検などの保有資格です。たとえ難関高校で通知表が5段階中で全教科5であっても、英検準1級を取ってないと難関大学へは出願そのものが出来ません。 さらに、保有資格の合計点は要求されません。たとえば「英検準2級、ドイツ語検定4級、理系」みたいな子よりも、「英検だけ準1級」という子が評価されるのが日本の私大への推薦システムです。「英検準2級、ドイツ語検定4級」みたいな子は、そもそも難関大学の推薦には'''出願できない'''システムです。 英検などの保有資格で特定言語に特化した級の高さの上、さらに通知表が平均4.0以上などが要求されます。 このため、たとえば意欲的な高校生が、取得しなくても高校卒業できる科目(例えば一部の私立の進学高校の第二外国語)などで低い成績を取ると、かえって推薦が不利になります(最悪、出願できなくなる)。推薦に要求されるのは合計単位数ではなく評定の'''平均値'''なのです。 1990年代の大学改革での各種の新型の推薦の導入当初、どうも高校受験のようなものだと高校生が誤解したようで、90年代の当時は一部の意欲的な高校生が、学業と併行(へいこう)して色々な課外活動を頑張りましたが、しかし2020年代の令和の推薦システムは全くそういうシステムではありません。 1999年『分数ができない大学生』シリーズで、合計値ではなく平均値で見ると、かえって上述のように不公平になると既に指摘されていたにもかかわらず、一向に平均値順に評価するのを日本の難関私大は辞めていません。 美術とか音楽とかの才能に秀でた人を評価したいなら、べつに美術の一芸入試とかじゃなくって、3教科とか5教科の入試教科に美術や音楽の実技試験などを加えればいいじゃないかと1999年ごろにもう指摘されているにもかかわらず、そういう合計点を見るような改革は、日本の早慶マーチ的な大学受験では何も行われていません。 高校入試ですら、もうちょっと合計的な能力を見ていますが、日本の大学はそれ未満です。 あるいは、もし「合計点を見る方式が間違っている」とすると、その難関私大の指定校や付属校の高校への入試の選抜システムも間違っていることになるので、私大はもう言い逃れが出来ません。 日本の私大の受験システムは完全に矛盾しており、論理が破綻(はたん)しています。そういう矛盾を気にしない人が私大の総長をしているのです。 === 模試の確約システムは無い === 高校入試だと、模試の「確約」(かくやく)というシステムが私立受験でありますが、しかし大学入試の場合、私大受験にも模試の'''「確約」システムは無い'''のです。なお高校入試の「確約」システムとは、たとえば埼玉県の「北辰テスト」(ほくしんテスト)とか神奈川県・東京の「W模擬」や千葉・東京「V模擬」などの地域模試で高い偏差値を取った人を、私立高校の受験のさいに加点するシステムです。 英検やTOEICなど英語の資格以外に、外部テストは使えません。英語1教科だけです。たとえば駿台模試とか河合模試とかは、出願の要件に入っていません。 高校受験の地域模試よりも教科数が減っており、選抜方法が大学では劣化しています。 「模試が民間テストに過ぎず公的ではないので、不適切」だとすると(1990年代、自民党がこういう論調で高校受験の模試を批判しました)、その私大の指定校の多くも不適切な高校入試を行っていることになり、私大は論理破綻しており支離滅裂です。1990年代、私立高校入試の「確約」を自民党議員は批判したのに、彼らの主導する大学入試の推薦システムは、まさに、まるで英検による「確約」システムのようなものです。 === 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 === 総合型選抜についての、よくある勘違いとして、まるで高校入試の内申点のようなものだと勘違いする人が、後を絶ちません。しかし、両者はまったく違うシステムです。 大学にもよりますが、英検で一定以上の級(たとえば2級以上)を持っていないと(またはTOEICで同等のスコア以上)、難関大学へは、総合型選抜の出願そのものが不可能だったりする場合もあります。 たとえ部活と学業を頑張ろうが、総合型選抜の出願条件のクリアには、なりません。部活で全国大会にまで勝ち進めばスポーツ推薦などの入試に出願する要件はクリアできるでしょうが、しかしそこまで勝ち進めないかぎり、どんなに偏差値の高い高校で、部活と学業の両立をがんばろうが、そもそもの出願条件をクリアできません。 難関大学の総合型選抜の出願条件はたいてい、英検2級以上またはTOEICのハイスコアです。部活は出願条件ではないのです。 {{コラム|「総合型選抜」の英検重視の変化に注意| なお総合型選抜などの推薦の要件として、多くの私立大学で2020年代以降、高校での履修科目だけでなく英検2級以上やTOEICのハイスコアなどを要求している私大もあります。ほか、履修科目全部の評定平均がたとえば4.0以上<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>など要求する例もあります。英文科だけではなく歴史学科や経済学部<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>などですら要求されます。 大学によっては「英検2級以上」などの試験名の表現ではなく「CEFR B1以上」と表現している場合もあります。英語の資格は多々ありますので、共通した評価基準として CEFR (セファール)という国際基準があります。なお、CEFR という試験は無く、英検で上位の級に合格したりTOEICなどでハイスコアを取ると、CEFRでのランクが与えられる仕組みです。なお、CEFR B2が英検準1級、CEFR C1 が英検1級の合格に相当です。 難関私大だと総合型選抜で要求する水準が英検準1級 相当以上になる場合もあります<ref>[https://exam.52school.com/rikkyo/admissions/undergraduate/guidelines/J_guideline/pdf/J_24guideline.pdf たとえば立教(英検 準1級相当 以上)]</ref><ref>[https://www.chuo-u.ac.jp/common_d/connect/admission/2024/special/11_1.pdf 中央大の2種類ある方式のうち片方は外国語型で、英検 準1級相当 以上]</ref>。総合型選抜や自己推薦などによる入試方式をねらっている人は、履修科目だけに目をとらわれず、英検などの資格取得も必要な場合もあります。 {{コラム|大学の英語の授業の実態| なお、これらの難関私大で英検準1を総合型選抜に要求する理由の元ネタのひとつは、'''それらの大学の教養課程の英語の授業内容が、英検準1級の英語長文のレベルだから'''でしょう。大学によっては高校レベルの英検2級の英語しか授業で要求しない場合もあるのですが(なぜなら学部専攻の科目(たとえば経済学部なら経済学が専攻)で忙しい。ほか、第二外国語(ドイツ語やフランス語など)が始まるので)、しかしそれでも大学によっては英語の授業で英検準1級を要求する大学もいくつかあるようです。 余談ですが、大学では専攻や第二外国語が忙しいので、実は大学では一般的な英語力は、直接的には それほど向上しません(例外として、英文科や国際系学科の以外は)。経済学などの専門用語とかの英語は専攻が経済学なら覚えますが。私大のパンフレットとかにある、やれ「留学」「海外姉妹校」だの「充実した語学教育」だのなんだのは、まあ宣伝です。誇大広告ですが、まあ大学側からすれば「努力目標」とでも言い訳できます。 }} ともかく大学の推薦入試について、親世代・昭和後半の生まれ世代での大学推薦入試の常識とは少し変わっていますので、注意しましょう。 ただし履修科目の高度性と英語資格とを両方を要求するのは、よほどの難関大学の難関学部以外では基本的には無いので、直接的には生徒個人にとっては両立をめざす必要性は低いのですが、しかし高校全体での大学合格実績に関わってきます。高校の大学合格実績が将来的に高くなれば、そのぶん卒業後の出身校の指定校推薦の枠も増えるので、出身高校の評判が上がっていき将来の自分の評判も上がるわけです。 }} ほか、基本的に'''探求学習は求められていない'''のが総合型選抜の実態です。よほど探究論文などで日本有数の成果を出せないかぎり(そしてそれを大会などに出場して高評価を得たこと客観的に証明できないかぎり)、英検準1級や2級やTOEICハイスコアを持ってなければ英検・TOEICなどの足切りにかかってしまい、出願そのものが不可能になってしまうからです。よって、少なくとも、探求学習の業績は二の次です。そういう出願基準になっています。 文科省は建前としては探求学習と総合型選抜を関連づけて喧伝しているかもしれませんが、その建前は実際の大学入試では崩壊しています。つまり、文科省の行政は失敗しました。 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視になっています<ref>[https://studychain.jp/324/ 『指定校推薦の校内選考とは?いつ?落ちる?校内選考を解説』2023/12/21 ]</ref><ref>[https://www.池内塾.com/bby/daigakujuken/suisentoeiken.html 『指定校推薦にも英検が影響します。』]</ref><ref>[https://tendoblog.com/20210829-2/ 『指定校の出願に英検が必要な大学 2021版/評定平均以外の出願条件まとめ 』 2021.10.17 ]</ref>。昭和の常識とは違います。 落ち目の高校からの指定校で学力不足の子が進学したら大学側は困るので、大学によっては英検などの条件を追加し始めています。 === フンボルト理念とは違う「総合型」選抜 === ;フンボルト理念に違反する英語特化型の総合型選抜 私大の総合型選抜は、けっして総合力を要求していません。 たとえば英検準1級以上を出願の要件にしている大学は、どんなに英語以外の数学とか物理も勉強していても、英検も2級に合格して高校レベルの英語力を証明できていても、なのに英検準1級以上でないかぎりは出願の時点で不可能であり、足切りされてしまうのです。英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも、理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが、私大の「総合型選抜」です。 つまり私大の「総合型選抜」は単に、既存の一芸入試などの選抜方法やら数学オリンピックとかの、ともかく大学で使えそうな一芸入試を'''併合'''(へいごう)しただけです。英語一芸入試とか数学一芸入試を併合しただけです。「人種のサラダボウル」みたいに、まじりあってないものを併合・混合しただけです。けっして「人種のるつぼ」のように混合して化学変化を起こしているわけではありません。 このため、英語特化とか数学特化みたいに、一点特化型の選抜になっているのが「総合型選抜」です。つまり総合型選抜はサラダボウル型入試です。 学問的に重要なこととして、難関私大の教育学における総合型選抜は、教育学でいう'''フンボルト理念に違反'''している選抜方法になっています。フンボルト理念とは、初等中等教育あたり(小学校入学 ~ 高校卒業まで)において、どういうわけか国数英理社の5教科をぜんぶ教えると、教育成果が高い、という経験則にもとづいて、なるべく5教科全科目を教えようとする教育方針のことです。 :※ 小中校の教育についての「フンボルト理念」と、大学教育についての「フンボルト理念」とは違います。このページでは高校教育の話をしているので、小中高の教育のほうのフンボルト理念です。この小中高の教育については「フンボルトの人格形成の理論」とか「フンボルトの陶冶(とうや)の理論」みたいにも言います。Bildungstheorie が元の語であり<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/csssej/21/0/21_23/_pdf/-char/ja 宮本 勇一 著『教育課程改革に対するフンボルトの陶冶理論の今日的意義』 ]</ref>、英語だかドイツ語だかでビルドゥングスとも言います。 :※ なお、大学教育のほうのフンボルト理念については、ドイツの教育学者フンボルトの名を冠した1810年ごろからの理念ですが、しかし2001年のドイツの教育学者シルヴィア・パレチェクの教育史の研究によると、実際はアメリカで発祥した教育理念の可能性が高いとのことです<ref>[https://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/246.html 潮木 守一 (桜美林大学大学院招聘教授)『「フンボルト理念」とは神話だったのか?-自己理解の“進歩”と“後退”』 ]</ref>。なお、その発祥元のアメリカすら、ドイツのフンボルト理念の権威を信じて、ドイツにエリートを留学して、教育学をドイツからアメリカに持ち帰ったとのことです。 :※ 大学のほうの「フンボルト理念」は、教育と研究を一体とするものです。つまり、フンボルトよりもずっと前の時代は、学生は基本的に研究をせず、したがって学生参加のゼミなども無かったのが当時の大学の実態でした。それを改革して学生にも研究させようぜっていうのが、上述のようにドイツとかアメリカとかの大学です。 簡単そうに英検2級とか言いますが、しかし実際の現役高校生は数学とか理科とかも勉強した上で英検も取るわけです。理系志望の高校生なんか、数学IIIと専門「物理」・「化学」・「生物」とかを勉強した上で、その上で英検2級をとるのは、かなりの負担です。 その英検2級ですら負担なのに、英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが私大の「総合型選抜」です。 もちろん、こんなのが「総合」でないことはもう2001年くらいに教育界隈では分かっており、ヒットした書籍『分数の出来ない大学生』シリーズで、慶応大教員の数学者の戸瀬信之(とせのぶゆき)などによって(なお、戸瀬本人の学は東大の数学科出身)、当時の「総合学習」型重視の大学入試の形骸化を批判して、おおむね発言内容「数学も見ないのに、何が総合だ」みたいに批判していました。それから20年以上たっても、何も改善出来てないのが日本の私大です。 戸瀬は当時から「英会話とかができるよりも、(数学なども含む)5教科の学力を国際的なレベルにまで高めるほうが重要だ」みたいな事を言っていました。英語ができるだけの人なら、米英に行けば無職でも出来ます。 べつに2001年に戸瀬が発見したわけではなく、芸人のビートたけしの中高生の時代、母の 北野さき さんは、たけしの兄[[w:北野大]](きたの まさる、1942年生まれ)が高校時代で大学受験のとき、「英文科に行きたいか、理系に行きたいかで迷ってる」みたいなことを言った時、「英語は米英ならルンペン(遊民。今でいう無職みたいなの)でも出来る」と諭して(さとして)理系の学部に進学させたほどです。 べつに、「私大の英語特化型の入試が悪い」とは言ってませんが、しかし少なくともフンボルト理念には明確に違反しています。英語だけではフンボルト理念の理想でないことは、上述のたけしの兄のエピソードからも分かるように昭和の時代から分かっていることです。平成の時代も、戸瀬信之の例からも分かるように、英語だけではフンボルト理念ではありません。 フンボルト理念そのものに学問的な疑いがあるなら大学人はそういえばいいと思いますが、しかしそういう話を早慶マーチからは聞きません。その早慶マーチの私立大学に教育学部もあったりするのですが、なんとも思わないのでしょうか。 == 高校の部活の問題点 == === 探求学習に部活制度が対応していない === 総合型選抜(AO入試)対策などとして部活の問題点を考えた場合(情操教育とかそういう議論はキリがないので考えないでおきます)、部活の制度の致命的な問題として、部活の制度自体は、昨今の「探求学習」に対応していません。 ==== 放課後探究や課外探究など ==== 探求学習のためには、自分の興味ある分野を積極的に調べる必要があります。高校のなかには、夏休み<ref>[https://www.toshimagaoka.ed.jp/education/inquiry/ 『探究的な活動 | 豊島岡女子学園 中学校・高等学校』 ]</ref>や放課後<ref>[https://www.hs.reitaku.jp/39820/ 『放課後探究活動 “ReaLab” がスタート! | お知らせ | 麗澤中学・高等学校(千葉県柏市の中高一貫・共学校)』 ]</ref><ref>[https://www.komabagakuen.ac.jp/news/?p=6887 『探究の部屋へようこそ! - 駒場学園高等学校』2022.09.06]</ref><ref>[https://kaga-teiju.jp/archive523/ 『探究学習で魅力ある高校に! 加賀市だからこそ学べる教育で、グローカル人材を育成する。』2023年8月29日 ]</ref>などの課外活動でも探求しています。 「私大のAO入試(今は「総合型選抜」と言う)の対策のために部活動をしているのに、その部活動のせいで、探求学習が大してできず、不利になってしまった」なんて事にならないよう、調節をしてください。 例外として公式大会で全国大会の出場などをねらえる強豪校などでないかぎり、探求学習の時間の確保を忘れてはいけません。決して「放課後を全部、部活で使ってしまい、図書館で調べ学習のための本を借りる時間が無い」なんて事にならないようにしてください。 なお、トーナメント戦の公式大会では、原理的に半数は1回戦で敗退します。「一回戦敗退」と聞くとなんとなく弱そうに見えますが、しかし実は半分の人数の参加者は初戦の1回戦で敗退して終わるのです。2回戦敗退までに、なんと当初の参加者の75%もが敗退します。 世間の人はどうも、部活に対する労力の投資効率を勘違いしている感じがします。どうも、「自分たちのチームが平均的な強さなら、4回戦くらいまでは進むだろう」みたいに世間は錯覚していそうです。しかし違います。平均的な強さのチームは、1回戦~2回戦で敗退なのが、トーナメント方式の原理です。 また、これを読んでいる学校教育関係者は、もし自校の部活の時間が長大な場合、考え直してください。 「歴史部」とか「科学部」みたいな部活そのもので探求を行う部活ならば別ですが、そうでない野球部とか吹奏楽部とか言った探究を行わない部活については、昭和のような長時間の部活のままでは問題です。 探究をする場合、決して単に読書をするだけではなく、さらにそれをレポートにまとめて体系的かつ分かりやすく説明できなければいけません。このため、時間が掛かります。 また、探究の大会イベントがあります。生徒は可能なら、地域などの教育団体や受験産業や私大の主催する「探究コンテスト」などに応募するのも良いでしょう。また、教師側は、生徒にそういう大会の存在を教えなければいけません。 生徒の側も、自分で少しはどのような大会があるかを調べる必要があります。昨今の高校の先生は忙しいので、生徒側が自分で積極的に調べる必要があります。 ==== 放課後講座や放課後補習 ==== * 私立の放課後講座 上記の放課後探究とは別に、進学校では、放課後に英語や数学などの講座が週に1日ずつ(英数で合計2日の放課後ぶん)開講されている場合もあり<ref>[https://koutoubu.kaichigakuen.ed.jp/schoollife/ 『学校生活 | 開智高等学校 - 学校法人開智学園』]</ref>、そもそもの部活の時間数が、私立進学校は元から少ない仕組みなのです。 * 私立の放課後補習 ほか、他校でも、定期テスト以外に小テストがたびたびあり、成績の悪い人には放課後などに補習があります(放課後補習)。もし定期テストの結果が悪くなると、推薦の要件である評定平均の基準が満たせなくなるので、現代の進学校の高校では、こういう補習が昭和よりも多いのです。テスト前に補習をみっちりやって、推薦のための評定平均を確実に確保させるのです。 こういった放課後探究や放課後補習などのため、進学校では、そもそもの部活の日数そのものが他校よりも少ないのが正体なのです。 現代の総合型選抜や公募推薦の要件として、評定平均が要求されます(たとえば通知表の5段階評価で4.0以上とか要求されます)。また、評定平均のつけかたは、昭和は相対評価でしたが(「4」以上はクラスの何割の人数までとか昭和の時代では人数制限があった)、現代では絶対評価に変わっていますので、5段階評価で4以上の成績を取る人が多くても現代では問題ありません。 この評定平均の水準もまたトンデモであり、高校偏差値のどんなに低い 高校偏差値37高校の評定平均4.0以上でも出願条件の一つをクリアできてしまいます。逆に、高校偏差値のとても高い、高校偏差値70台の進学校での評定平均4.0以上をもし生徒が満たせないと、総合型選抜に出願できなくなってしまうのです。つまり、出願条件では高校偏差値に関係なく、同等に扱われてしまいます。 高校偏差値30台の底辺高校が、生徒に英語ばかりを勉強させて英検だけ2級や準1級ととらせれば、あとの国数理社などの教科はザルな定期テストでもいいので全科目で評定平均4.0以上をとらせれば、難関大学の出願条件クリアになってしまうのです。 進学校は対抗のため、なんとしても4.0以上を生徒に取らせる必要があり、だから補習 三昧(ざんまい)で、定期テストで高得点を確実にとらせるのです。でないと、高校偏差値37の生徒に、総合型選抜の枠がうばわれていまいます。 「低偏差値高校と高偏差値高校とで、別々の定期テストを受けているのに、総合型選抜の出願基準で要求される評定平均が同じ数値」という不公平があります。そして負担を負うのは、高偏差値高校の側です。 本来、底偏差値高校と進学校の定期テストは、まったく別々の難度の定期テストなのですから、大学側は本来、定期テストの難度や要求される習熟度に応じて、出願条件にある評定平均の基準値を変えるべきですが、しかし大学側はそれを怠っています。 部活の制度は、まだロクにインターネットも何も無かった、ネットで調べられなかった時代の遺物なので、現代のAO入試などの受験制度に対応しておらず、決して放課後をフルに部活に投入してはいけません。 ==== 中学の時点で部活の時間が少ない中高一貫校 ==== 地味な差ですが、中高一貫校では、中学段階の時間割も、高校に準じた時間割なので、そのため授業時間数が長く、週に2日、午後4:30まで中学でも授業があったりします。これは国公立の中高一貫校でも同様です。実際、神戸大学付属の中高一貫校の時間割がそうなっています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/curriculum/education/ 『教育課程 | 神戸大学附属中等教育学校』]</ref>。(なお、一般的な公立中学では、午後3:30までが授業です。) このように、進学校では時間割などで元から、部活に与えられられた時間が少ないのです。 けっして、べつに部活と学業の両立が上手いのではなく、そもそも部活の時間が少ないのが、上述のいくつもの進学校を調査した結果の事実です。 {{コラム|総合型選抜| なお、私大でも、総合型選抜の枠は意外と少ない大学も多くあります(多くが指定校推薦や付属などから受験生を取る)。たとえば同志社大学と近畿大学は、総合型の枠がかなり少ないです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=1dwCtMmUDqI (動画)山内太地 『高大接続改革は失敗なのか?!関西の高校が探究をがんばれない理由があった!』、2022/10/13 ]</ref>。なので、あまり総合型選抜対策(つまり探究)だけに時間を投入するのも問題です。基本は学校の勉強と一般入試対策です。 '''総合型選抜は専願'''なのが普通です。他大との総合型選抜の併願は困難な大学が多くあります<ref>[https://you2.jp/labo/6174/ 『総合型選抜や学校推薦型選抜は「併願」できる?―「一校ルール」を突破しよう | 洋々LABO』 ]</ref>。このため、年明け前は1校しか大学受験できないのが基本です。たとえ募集要項では「専願」という言い回しでは書いてなくても、「合格後の入学を'''確約'''できる者」とか「本学への入学を'''第一志望'''とする者」など確約・第一志望などの条件があれば、それは専願という意味です。 なお、私大の総合型選抜の出願の要件として、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求して足切りとしている私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。 ほか、総合型選抜の推薦の要件としてよくあるのは評定平均 4.0 以上とかですが、しかし評定平均は高校によって採点の基準が甘かったりするので大学側が信用していないのでしょう。そのため、足切りとして英検2級以上などを大学側が要求しているのでしょう。2020年以降の現代、評定平均のつけかたは絶対評価です。昭和生まれ・平成初期生まれの世代は評定平均が絶対相対(3.0が平均だった)のです。今は「評定平均4.0以上の生徒です」と言っても平均より優秀かどうか不明ですので、それだけでは信用できません。 難関大学などだと、総合型選抜のエントリー期間が9月中の場合もあります。それ以降は志願できません。 ほか、総合型選抜に限った話ではないのですが、合格しても、入学手続きの締め切りが短く、4日間くらいしかないような大学も多々あります。出願方法がweb出願に限る大学、または合格発表がweb出願に限る大学もあります。 }} == 大学の部活動の問題点 == :※ 高校生活というより大学生活かもしれませんが、しかし高校3年のさいの志望校決めに大きく関わってきますので、とりあえず、ついでにこのページで紹介します。(大学進学後に問題点に気づいても、遅いので。) === 音楽室など教室の問題 === ==== 芸術・家庭科の設備の不足 ==== 一般的な日本の大学では、部活について、体育以外の音楽・美術・家庭科などの分野の設備が不足しています。どちらかというと、日本の大半の大学では、比較的に体育科目だけ、音楽などよりも設備が充実しています(体育館の充実など)。 もし読者が、音楽・美術の分野を、高校の授業以上に学習・練習することを志望する場合、決して「大学に合格してから 吹奏楽部/美術部 に入ろう」なんて考えずに、高校のうちから希望の分野に近い部活に入ることを強く推奨します。 具体的に言うと、文学部・経済学部・法学部や理系の学部などの多くの大学で、高校のような体育館(あるいは高校以上の体育館)は存在するにもかかわらず、一方で高校のような音楽室も美術室も存在しない場合が大半でしょう。 このため、もし読者が将来的な大学進学を予定している場合、たとえば「大学に入ってから美術を勉強しよう」などと思っても、高校のような美術部の訓練を大学ではあまり受けられない場合もあります。 そもそも、多くの大学で、美術教師も音楽教師もいない場合もあります。なぜなら、美大・音大ではない一般の大学には、そもそも美術科目や音楽科目の授業が無いからです。 かつて大学の必修科目で体育科目がありましたが(平成の規制緩和で現代では体育は必修ではなくなっている)、しかし音楽・美術・家庭科などは元から一般の大学では必修ではなく、そのため一般の大学では科目の存在自体をしてないのが普通なのが美術・音楽・家庭科などの実情です。 あるいは音楽の場合なら、仮に大学に音楽室が存在したとしても、例えば大学の音楽室なら一般の教室をすこし防音化したものにすぎず(たとえばガラス窓が単に2重窓になったのと、教室入り口のドアが分厚くなっただけで、他は一般教室と同じだったりする)、あまり音楽室(のようなもの)が本格的でなかったりします。このため、大学の音楽系の部屋では使用できる楽器が限られる場合もあります。 ただし、多くの大学で運動部が存在するので運動部の応援のために吹奏楽部が存在するのが普通なので、まだ吹奏楽部はなんとかなります。軽音楽サークルはどうだか知りませんが、多くの大学で軽音楽サークルが存在していますので、なんとかなるかもしれません。 問題は、美術です。美術室に限っては大学では存在すらしない場合もあり、一般の教室や部室などを流用したりする場合もあります。このため、油絵など有機系の塗料を使うものは大学では描けない場合もあります。水彩の絵の具を大学で使うのも、なかなかキツい場合があります(家で絵の具を使うことになるかもしれません)。 たとえば私大とその付属高校によっては、私大本体よりも付属高校のほうが音楽・美術に関する設備が上回っている場合すら、ありえます。 このため、「大学に入ってから〇〇(音楽・美術など)の部活を始めよう」とか思ってると、高校以下の設備、顧問からの高校以下の教育で始めることになってしまいます。なので、音楽・美術の部活に入ってみたいと思っている場合、高校から始めるのが安全です。 そもそも大学の場合、吹奏楽部やイラスト系部活・同好会の顧問の教員が、その科目の専攻でない場合もあるかもしれません。 ==== 体育設備の注意点 ==== '''校庭の無い'''私立大学もあります。 大学の体育の設備について、都心23区内や京都・大阪などの中心街にある私立大学の場合、一見すると室内の体育設備が充実しているようにパンフレット紹介されていたりする大学もありますが、よくよくネットで公式情報を調べると都心キャンパス・中心街キャンパスにそもそも'''校庭の無い'''私立大学も多々あります(大学での体育の授業は室内ばかり、とか。部活の運動部はキャンパスから電車で行くレベルで離れた郊外の練習場を使っている)。「存在する設備」だけでなく「存在しない設備」にも注意しましょう。 高校の場合、1年ごとに体育が週2~4時間だったりするのに、一方で大学では4年間で体育が週に2時間だったりします。大学は科目の選択の自由度が高いので、週2時間以上の時間数の体育科目を授業で受けられる場合もありますが、しかし専攻科目の授業の増大により、時間的に必修以上に体育などの科目に充てるのは難しくなっているのが21世紀の現状です。 都心でない郊外でも、体育設備が歴史的な経緯で比較的に充実しているのにかかわらず、21世紀では大学の授業が難しくなったりと忙しくなり、せっかくの体育設備がそれほど使えない場合もあります。 ;理科室の少ない大学も・・・ なお理科室も、高校は 生物室 ・ 化学室 ・ 物理室&地学室 とかで3室以上があったのに、一方で大学だと、大学によっては「第一理科室」「第二理科室」みたいに理科室の数が2室に減っている場合もあります。 もしかしたら小・中学校みたいに大学でも理科室が1室かもしれません(大学にも寄る)。大学の進学前に、事前に覚悟しておくこと。 まあ、中学技術家庭科であった木工室・金工室などは高校には無いし、(教育学部や工学部以外の)多くの大学にも当然ながら無いです。まあ、木工や金工はイザとなれば、近所のホームセンターで工具を買ってきて自分で工作すれば済みます。設備が必要な場合でも、市町村の職業訓練所みたいな公共施設もありますので、その分野に就職する気になった場合は職業訓練所も参考に。 === サークル部室が少ない大学も・・・ === 大学では、土地不足や、学生運動の対策などで、部活や同好会などに各部の専用の部室が無い場合もあります。大学の場合、「学生会館」などの名前のサークル棟で他の部活とまとめて、時間や月日を決めて期間限定で借りるシステムになっている場合もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 弱小の部活でも専用の部室があるのは、高校卒業までです。なので高校時代に部活を楽しみましょう。 理科系の大学や国公立の大学など、サークル棟は狭かったり、校舎から遠かったりします<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 === 医学部と法学部では部活動は困難 === 医歯薬系など医療系の大学なんて学業も忙しいので、国公立の医療系学部の場合、もはや文化祭の出し物の練習などしている暇はありません。たとえば、医学部のある総合大学の文化部の出し物を見ても、メンバーの学科には医学部の部員は基本、いません。理系メンバーがいるとしても、せいぜい工学部や理学部などです。工学部といっても、国際情報なんとか学科だの社会情報なんとか学科だの、そういった学際分野の人かもしれません。 運動部などだと、テレビ番組でも大学駅伝や大学野球を見ても公式大会に出場するのは文系の学部学科の人ばかりなので、運動部については理系の学科では学業と部活動との両立が難しいと知っている読者も多いと思います。実は文化部でも同様、理系の学科では学業と文化部との両立は困難です。 見落としがちですが法学部も同様、国家試験などを目指す場合には学業と部活動との両立は困難です。官僚や、裁判官や検察や弁護士などの法曹、などへの就職を考える場合、法学部は、部活動をあきらめる必要があります。 官庁に限らず市役所や都道府県庁など、多くの役所への就職活動は、年齢制限があります。このため、専門以外のことを練習する時間は、(採用試験にある教養試験の対策を除けば)あまり、ないのです。 公務員で、年齢制限がほぼ無いのは(ただし定年に近いと、さすがに業界未経験者は不採用)、たとえば公立小中学校・公立高校の教員などです。しかしそれは、教職課程や教育学部の話であるので、法学部の就職先とは異なります。 法曹とは、弁護士・裁判官・検察の3つです(「法曹三者」ともいう)。これら法曹三者では、司法試験への合格が必要です。さらに、司法試験の受験資格は「ロースクールの修了から5年以内に5回まで」という時間的な制限があります。 このため、司法試験が必要な職業では、大学院に入ってしまうと部活動は無理です。実質的には、学部の段階でもう、司法試験志望者には部活動は無理です。 さて、官僚や裁判官や検察などの法曹には、高い専門性が求められます。しかし、教養については、高さと広さは求められないのです。あくまで、学歴フィルターに引っかからない程度の学力と、それらの放送の採用試験の「教養問題」で高得点を取れる程度の教養があれば十分なのです。 それ以上の教養や分野外の知識については、法曹の仕事では専門家に依頼します。 たとえば裁判で、自動車事故を扱う場合でも、裁判官は自動車工学や道路工学なんて知らないので、工業大学や自動車メーカーなどの専門家にアドバイスをもらいます。このように、裁判官には、専門家にアドバイスをもらう制度があります。(鑑識(かんしき)や鑑定(かんてい)などの制度です。) 官庁でも、たとえばスポーツ庁が文科省の管轄だからといって、文科省の役人の多くにはスポーツの腕前は不要です。文化庁は文科省の管轄ですが、文科省の役人の多くは、楽器もロクに演奏できないし、絵の画力も人並みでしょう。 官僚や弁護士などの国家試験や採用試験を目指さないなら、法学部でも部活動との両立は可能ですので、私学などのスポーツ推薦で法学部に入学している人もいると思います。 だから、テレビの大学駅伝や大学野球などの選手に、法学部の人もいるかもしれません。 しかし、官僚などを目指す場合、基本的には部活動との両立は困難です。部活動に在籍することは可能ですが、しかし公式試合などの出場などができるほどに技量を高めるトレーニングを積むのは、時間的に、国公立の法学部ではとても困難です。 === 大学の宗教サークル === そのほか、大学のサークル活動の問題点として、一部の悪質な宗教系のサークルが、正体を隠して新入生などに勧誘活動している、という実態もあります<ref>三菱総合研究所・全国大学生活協同組合連合会・日本コープ共済連生活協同組合連合会 著『大学生が狙われる50の危険』、青春出版社、2023年2月2日 発売</ref>。 大学進学した際、サークルより部活動に入ったほうが良いと教員が個人的意見を言ったりするのには、このような事情もあるかもしれません。もちろん、多くのサークルはマジメにサークル名通りの活動をしていると思いますが、残念ながら一部の詐欺的な悪質サークルを、日本の大学では排除できません。 やはり部活動などは高校時代のうちに熱心に活動したほうが良いでしょう。 大学の文化祭などに行くと、そういった悪質サークルにも遭遇してしまいます。なので高校生のうちは、文化祭を見るなら、高校(自校も他校も)の文化祭を重点的に回るのが良いでしょう。大学のサークルには期待しないほうが良いでしょう。 === 高校図書室・大学図書館の音楽書や美術書などの問題 === 部屋だけの問題ではありません。大学の図書室の蔵書と、高校の図書室の蔵書の関係も、似たような問題があります。具体的に言うと、高校図書室の音楽書・美術書のほうが、大半の大学の音楽書・美術書の本棚よりも本格的かもしれません。 なお、大学の「教養課程」というので習う科目の「経済学」「法学」「英語」「ドイツ語」「フランス語」(ドイツ語・フランス語は「第二外国語」でよくある)「数学」「理科」などは、さすがに高校よりもレベルの高い専門書が大学の図書館にそろえてあります。(「体育」は教養課程でありますが、あまりスポーツの技法書とか大学図書館には置いてありません。) しかし、その教養課程から外れる、音楽・美術とかの専門書、あるいは演劇部のための演劇書など部活動のための専門書については、高校よりも大学図書館の蔵書レベルが劣るか、ハナっから蔵書が無いとかだったりします。大学の進学前に覚悟すること。 まあ、書籍については高校卒業も一般の書店で購入できるので、あまり高校時代に急いで読む必要はありません。ですが、できれば高校在学中に図書室にどんな蔵書があるかは確認しておくと、後々の人生で、大学の専攻以外の分野での良書を確認するのに役立つかもしれませません。 大学の場合、たとえ総合大学やマンモス大学であったり、あるいは教育学部を持っていても、学部や学科によって校舎が他市町村レベルや下手したら他県レベルで離れていたりするので、そのせいで、大学生が学部の専門外の内容の蔵書を確認するには、異なる学部の蔵書を確認する必要があり、したがって異なる地域の校舎の蔵書を確認する羽目になり、ともかく大学だと専門外の書籍の確認がかなり面倒です。 大学図書館が、日曜日だと閉館している場合がよくあります。多くの大学の図書館では、授業中の月曜~土曜が開館日なので、よって日曜が閉館日なのです。このため、仮に大学生が「日曜日に大学の他学部の図書館を見学しよう」とか思っても、しかし日曜日はその他学部の図書館が閉館しているので蔵書を見れません。なので、高校在学中に、将来的に進学しそうな分野の専門外の書籍についても、高校図書室で蔵書を確認したほうが良いでしょう。 高校時代に、図書室の蔵書を全体的に眺めるだけでもいいので、眺めておきましょう。大学は学部の専門外の分野になると蔵書が高校よりも劣る場合が大半です。 == 特別活動 == === 基本 === 授業以外の活動にどう取り組むかは、校則に触れない範囲で個人の自由です。 中学校と異なるのは、大学入試には部活の実績や委員会活動・生徒会活動などの活動実績は要求されておらず、一般入試では部活などの活動実績があっても試験結果には加点されないということです。調査書の提出はありますが、高校入試と違い、高校卒業見込みであることの確認に使われるのみで、内容はほぼ考慮されません。 推薦入試や総合型選抜(かつての「AO入試」)を行っている大学では部活などの実績が考慮される場合がありますが、基本的に、多くの高校生は一般入試で大学進学することになります。それを踏まえたうえで、特別活動に力を入れるも入れないも、個人の自由です。 なお、総合型選抜をよく行っている大学と学部は基本、私大の文系学部です。一応、例外的にいくつかの国公立大学や理系の学部でも小さい枠で総合型選抜などを行っていますが、国公立では対象となる大学は少なく、また、理系学部では総合型選抜は基本的に無い傾向です。 ただし、医歯薬系や看護など医療系の大学では一般入試に面接などがあるので、その面接において部活や委員会活動の活動実績についても聞かれる可能性があります。とはいえ、いくら「医者は体力勝負」とか言っても、スポーツがいくらできても肝心の勉強ができなければ不合格なのは言うまでもありません。 また、理系の学部の入試で自己推薦入試を受験する場合、一般に評価される活動は決して部活ではなく、大学によりますが数学オリンピックとか全国高校化学グランプリなど、高校の学外での理系の公式大会での成績だったりします。(たとえば早稲田の理工はそうです<ref>[https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2022/08/2022_AO.pdf 『』P224] 2023年12月08日に閲覧. </ref>) 指定校推薦と総合型選抜は、まったく異なった受験です。混同しないように。指定校推薦で必要なのは基本、よほど授業態度が悪いとか出席日数が極端に悪いとかでない限りは、必要なのは高校時代の定期試験での高得点です。いくら部活で部長をしようが、委員会で委員長をしようが、それは指定校推薦の条件には基本的に関係ありません。 大学によっては、体育大学の体育学科の推薦をもらいたいなら運動部の公式大会での成績とかも考慮事項になるかもしれませんが、それは指定校というよりも自己推薦型入試でしょう。 例外的に、体育大と高校の運動部の大会の成績とか、音大と高校生音楽コンクールの順位などのように、高校の部活の内容が志望大学の学業と直結するものでもない限り、部活動の成績よりも普通の教科の成績が指定校推薦では優先されます。 なお、指定校推薦による募集を行っているのは私大です。 ;スポーツ推薦など また、いわゆる「スポーツ推薦」は、制度的には「特別推薦」というものです。スポーツ推薦は、指定校推薦ではありません。特別推薦では、学校長の推薦書は必要ですが、しかし指定校とは違って高校に枠が割り当てされていません。 このため、たとえばスポーツの苦手な人が、どんなに偏差値の高い高校に入って、そこで運動部に入って部長をしようが、全国大会や関東大会(関東地方の高校の場合)などの公式大会などで高い順位を取らないかぎりはスポーツ推薦はもらえません。 ;芸術などの推薦や総合型選抜 高校の音楽コンクールや美術コンテストなどでの全国大会とかの推薦や総合型選抜については、大学や学部学科ごとに傾向が大きく異なるので、早めに志望業界の学部の募集要項などを幾つか確認してください。 たとえば、音楽志望の場合、教育学部の音楽教師の学科を考えている場合なら、いくら音楽だけが得意でも、肝心の5教科の学業が苦手だと教員採用試験に合格しない可能性が高くなるので教師としては不適格です。なので、教育学部の受験では、音楽だけしか出来ない人は、よほど音楽の業績が優れていない限りは、不合格になる可能性が高いと考えられます(教師には高めの学力が要求されるので)。 いっぽう、文学部や経済学部では、特に必須の国家試験とかありませんので、教育学部ほどは受験で学力を要求されない可能性もあります(大学にもよる)。 このように、学部や学科によって、要求される学力の程度が違うので、ある程度は傾向を把握したうえで高校生活を送るのが受験対策としては安全です。 例として音楽をあげましたが、美術と美術教師の学科でも同じですし、演劇部などでも同じです。 === リンク(※未完成なので読まなくていい) === * 部活での文書管理などのノウハウについては、右のリンクが予定されていますが、未完成です(※ 現状、読む必要はありません)。 リンク:[[高等学校部活動]] == 普通科高校と実業高校 == 普通科高校は大学進学を目指す生徒に特化したカリキュラム、実業高校は高卒での就職を目指す生徒に特化したカリキュラムが組まれています。また、実業高校が持つ企業とのパイプも普通科高校は持っていません。したがって、高卒で就職する場合は、実業高校卒の方が有利です。家庭の経済事情で、大学への進学が難しい家庭はこの事に注意してください。いっぽう大学進学は、工業高校や商業高校などの実業高校の卒業生でも、法的には問題なく大学受験が可能です。ですが、現実的には大学受験は普通科高校生の方が有利です。特に職業高校への進学にこだわりが無ければ、将来的に大学進学したいなら、普通科高校を卒業したほうが大学進学しやすいでしょう。 職業高校というと「落ちこぼれの不良が集まる底辺校」というイメージを持っている人がいるかもしれませんが、それは過去のことです。実業高校は就職活動の面接に臨むことができ、その後即戦力として就職できる生徒を育てるために、生徒指導はきちんと行われている学校が多いです。また実習や資格取得のための検定が多くあるため、そのための勉強の忙しさは普通科高校には劣りません。 == 高校と大学と、中学との違い == :全体的な傾向 基本的に高校では、出欠確認とか委員会とかは、中学とほぼ同じです。とりあえず入学時は、高校についてだけ知っていれば十分です。 === 委員会や生徒会 === :※ 説明の都合上、高校だけでなく大学についても説明したほうが分かりやすいし大学AO入試(総合型選抜)対策にもなるので、ついでに大学も説明します。 ;高校に委員会はある。大学には無い 委員会や生徒会などについて、中学と高校は、ほぼ同じです。公立高校でも私立高校でも、特に差はありません。つまり、「保健委員会」とか「図書委員会」とか、多くの高校にあります。 いっぽう、大学には基本、委員会はありません。つまり、大学に「保健委員会」とかはありません。健康診断とかの提出物は、大学ではお医者さんまたは学校の職員の人などに渡します。 大学図書館には司書がいます。大学では、図書の受付の委員会業務も存在しません。大学では、学生には図書業務はさせません。 ;高校に生徒会はある。大学では「学生会」「学生自治会」「学友会」 高校には、生徒会はありますし、もちろん体育館とかで生徒会長に誰を選ぶかを全校生徒(もしくは全2年生)で投票です。 大学では「学友会」や「学生自治会」や「学生会」とか言うのが、生徒会に相当する組織です。大学では、いちいち全校集会とかで投票しません。というか、大学に全校集会そのものがありません。入学式と卒業式とで、それぞれ新入生と卒業生が一斉に集まるだけです。 なお、大学の「校友会」は卒業生の組織ですので、誤解なきよう。 === ホームルームなど === ;高校にはホームルームがある。大学には無い 高校には中学と同様、ホームルームや出席とか朝礼・終礼があるのが一般的です。ホームルームで担任(たんにん)の教師から、いろいろと一斉に連絡されます。 大学にはホームルームとか無いので、連絡は基本、掲示板です。大学の校内に掲示板(実物)があります。 書いてて気づきましたが、つまり高校には掲示板は基本的にはないです。 また、大学は朝の1時間目の授業が、ホームルームや出欠などなく、いきなり(授業が)始まります。つまり大学には、朝のホームルームとか出席(朝の「はい元気です」のアレ)とか朝礼・終礼や「起立・きをつけ・礼」がありません。 === 学校行事の有無 === ==== 修学旅行・林間学校など ==== 高校では旅行先が遠くなるかもしれません。修学旅行・林間学校(もしくは臨海学校)じたいは、どの高校でも存在します。 たとえば、関東在住なら、中学校では修学旅行先として京都や東北が旅行先だったのが、高校では沖縄や北海道などが旅行先になるかもしれません。 いっぽう、大学に修学旅行・林間学校などはありません。研究室で、もしかしたら夏休みあたりに2~3日の合宿を大学の近場(その地域の小中学校の修学旅行先あたり)でするかもしれません。 ==== 運動会・体育祭 ==== 高校にも体育祭(運動会)は存在します。 いっぽう、大学には体育祭はないのが普通です。そもそも大学にはクラス(学級)が無いので、クラス対抗の競争とか原理的に無いのです。 ==== 文化祭 ==== 高校にも大学にも文化祭があるのが一般的です。 == 定時制・通信制高校 == 定時制と通信制の高校に通う(または、それを考えている)方はサブページをお読みください。 * [[高校生活ガイド/定時制]] * [[高校生活ガイド/通信制]] == 大学入試の総合型選抜でどうしても部活などの能力をアピールしたいなら == 神戸大学付属の中等教育学校(いわゆる中高一貫校)の、探究論文のためのガイドライン中で「課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン」として、下記のように言われています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/education/kp/materials/2023_kuss_handbook.pdf 『2023 年度 Kobe ポート・インテリジェンス・プロジェクト 課題研究・卒業研究ハンドブック』P.17]</ref>。べつに総合型選抜の自己アピール書は論文ではないので、下記のままに従って書く必要は無いですが(そもそも文字数制限があるので、自己アピール書に論文は書けない)、しかし論文というのは下記のような書き方ですし、下記を高校生に要求している国公立の高校も日本に存在します。 <blockquote> 第 1 版(2023 年 4 月 4 日) 課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン * 制作物のみをもって論文の完全な代替とすることは認めない。あくまで課題論文の提出は全員に求 める。 * 課題論文に別添する形で、制作物やその写真、実演の録画を提出することは認める。その場合、課 題論文の規定字数相当の内容があるか否かの判断は、制作物の量・質を考慮して行うものとする。 * 具体的には、課題論文の序論・結論に相当する部分が制作物により代替されうるとは通常考えられ ない。一方、本論に相当する部分の大部分を制作物により代替することは十分に考えられる。 * 序論には本研究の社会的・学問的(芸術的)意義を述べるとともに、本研究で取り組む問い、もしく は明文化された問いの形になりづらければ課題について明記することが求められる。5 年生以上は 先行する制作の事例について分析し、本研究の新規性について明記することも求められる。 * 本論部分では、序論で述べた課題を解決するための制作方針について述べるとともに、実際の制 作物やその写真、実演や制作物作動の様子の録画を添付する。 * 何らかの課題を解決するための制作方針が明記されていることは、制作が研究として認められるた めの必須要素であり、これがない制作は本校の課題研究としては認められない。何らかの創作を伴 う制作であればその創作方針が明示されるべきである。既存作品(楽曲等)の実演を制作物として 課題研究とする場合は、それに対する自身の解釈や、身体操作の独自の工夫などを実演方針として 明示することが求められるのであって、解決すべき課題に特に対応しない実演や単なる模倣は本校 の課題研究としては認められるものでない。 * 結論部分では、別添した制作物によって序論で明示した課題が解決されたことを主張することが求 められる。加えて、本研究において解決しきれなかった課題を展望として述べることも推奨される。 </blockquote> 文中に「5年生」とあるのは、中高一貫校なので、中学からの通算の年数を数えている(高校2年生に相当)。 本節では、文学部や経済学部や法学部などへの総合型選抜を念頭に、話します(美大とか音大とかは念頭に置いていません。また、私大の体育学部なども念頭に置いてません。) 「高校生が部活などで頑張ったのは分かった。」「問題は、それ、志望する大学での研究と、どう関係あるの?」、これを説明することが望まれます。 なのに、なんの説明もなく、「制作物のみをもって」(論文の完全な)「代替とすること」は、社会通念上、認められないのです。 特に国公立の大学の場合、税金を使って大学が運営されているので、研究に社会的・学問的(芸術的)な「意義」の説明がなければいけません。志望者に、説明責任があります。 単に、「スポーツが得意」とか「絵が上手い」とか、それは建前上は、国公立の総合型選抜では求めていないでしょう(私大はどうか知らない)。そういうのは、私大の「スポーツ推薦」とか「文化活動推薦」みたいな、別の方式の推薦を受けてください。 上記引用中に「 何らかの課題を解決するための制作方針が明記」とあるように、部活などの活動の努力や成果(客観的に第三者機関によって証明できる成果)を、社会の課題解決にどう結び付けるかが、言えることが望まれます。 実際に、社会の課題を解決することまでは、要求されていません。金銭的・時間的に、解決までは無理です。そもそも長年のあいだ解決できなかった社会課題だから、たかが高校生ごときのお子様でも発見できる「課題」として残っているのです。 自身で解決しようとするのではなく、これから、学問の力によって、課題の一部でいいので、解決までの道すじを社会でつくろうとする事に、あなたも協力するために自発的にあれこれすることが望まれているのです(具体的に何をするかは個々人による)。 基本的に、学問の多くは、再現性や言語化を重視します。分野によっては、再現性だけは低い分野もあるかもしれませんが(たとえば歴史学などは実験が不可能なので、再現性は低いかもしれない)、しかし言語化はそれでも可能なはずです。 美大や音大などは例外かもしれません。しかし、もし文学部や経済学部や法学部などを志望するなら、言語化をして、税金をあずかっている国公立の大学教員たちの納得のいく説明をできなければいけません。 もし、そういう言語化がイヤなら、そもそも文学部や経済学部などの学問に向いていません。文学作家に向いているかどうかは知りませんが、しかし文学部の国文科と言うのは決して小説家の養成所ではありません(そういうのは専門学校です)。例えるなら、文学部の歴史学科の研究者が、たとえ戦国大名を研究することはあっても、研究者自身がけっして大名になる必要は無いのと同様に、文学部の国文科では小説家になること自体は求められていません。 ましてや、国公立の大学の文学部などは、断じてスポーツ選手の養成機関でもありません。 上記の当wikiの説明では、説明の都合上、国公立を例に説明しましたが、私大の志望でも上記のような事はすこしは考えるべきでしょう。私大だって、私学助成金などの税金の財源とした補助金をもらっています。また、大学教授は科研費などの補助金を国からもらう際、国への説明責任があるわけです。 上記の引用が出来たからって、合格するかどうかは知りません。ただ、割とハッキリ言えるのは、もし上記の引用が出来ない人が合格しても、例外としてスポーツ推薦で難関大に合格するような余程(よほど)の業績ではないかぎり(全国大会のトップ8入りとかでないかぎり)、研究への情熱の評価ではなく、単に全国大会などの業績によるスポーツ推薦・文化活動推薦が適用されて合格したに過ぎない、という事です。 == 出典・脚注 == <references /> == 参考文献 == *[https://shingaku.mynavi.jp/ マイナビ進学] *[https://allabout.co.jp/gm/gt/2066/ All About学習・勉強法] [[category:高校生活|*]] 87eha1a6lfvwwngtssq377avd46a0gh 246458 246456 2024-04-10T05:52:15Z すじにくシチュー 12058 /* 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 */ wikitext text/x-wiki : [[小学校・中学校・高等学校の学習]] > [[高等学校の学習]] > 高校生活ガイド {{Stub}} {{独自研究の可能性}} 編集者の主観的な表現が含まれている可能性があります。このページをある程度の参考として、高校入学に向けて心構えを持つことは大切です。 しかし通常、入学時には新入生を対象とした説明が行われるため、そちらをより参考にすべきです。 また日本の高校についての詳しい情報はwikipedia[https://ja.wikipedia.org/wiki/高等学校]を参照してください。 ---- == 高校は義務教育ではない == === 説明 === 高校は、義務教育ではありません。したがって、さまざまな事情により高校を退学することはありえます。そのあとに他の高校に入りなおす義務もありません。非行などに対する懲戒処分として、校長から謹慎や退学を命じられることもありえます。 日本では中学校までは年齢主義をとるため、1年間在籍しているだけで次の学年に進級できます。しかし高校では、規定の時間数以上の授業に出席をし、考査等で一定の成績を収めることが進級の必要条件です。つまり、出席や成績の状況次第で留年をすることがあります。 学校にもよりますが、中堅レベル以上の普通科高校の場合、高校の定期考査では、中学と比べて試験問題が難しくなるのが一般的です。教科書の内容が中学と比べすることが高度になり、また大学受験に対応するため、定期考査に難しい問題が出される場合があります。 このため、定期考査の試験対策をしないと、いわゆる赤点を取る可能性が高いです。赤点とは、定期考査等の結果が基準点を下回ることです。詳しい規定は学校によりますが、基準は「固定された点数(30点など)未満」や「平均点の半分未満」などです。赤点をとってしまった場合にはいくつかの処置がとられます。 # 補習参加の上、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習はないが、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習参加の上、課題を提出すれば合格とする。追試はない。 # 補習に参加すれば合格とする。追試はない。 これらの救済措置の結果、合格となれば進級できますが、不合格のままの科目を残している場合は進級ができず、留年となります。このあたりの規定は学校ごとに大きく異なりますので、詳しくは学校の先生の指示に従ってください。 === 転校 === また、高校では他校への編入はかなりハードルが高いです。遠隔地への転居などの場合でも現地の学校に自動的に入学することはできず、編入試験が課されます。 学校になじめず転学を希望したいという場合でも、通信制高校や夜間高校などへ転学せざるを得ないという場合もありえます。 == 科目の選択 == 高校では、履修する科目を選択する場面が多くあります。まず、学校ごとに開講される科目が異なりますので、学校を選んだ時点で履修科目の幅は狭まっています。その上で、高校に入学して以降も、様々な場面で科目を選択する場面があります。 * 主な選択科目(現行課程) ** 地歴科:世界史A・B、日本史A・B、地理A・B(世界史A・Bはどちらかを必ず履修しなければなりません) ** 公民科:現代社会、倫理、政治経済 ** 理科:化学基礎・物理基礎・生物基礎・地学基礎、物理・生物・化学・地学 ** 芸術科目:音楽、美術、書道、工芸 なお中学にある技術・家庭科の「技術」分野は、高校では取り扱われず家庭分野のみの家庭科となっています。普通科高校では、職業教育はありません。 高校の検定教科書の購入は、全科目とも学校教科書の販売を扱っている取次店(とりつぎてん)で買えます。自分が何歳になっても取次店で高校教科書を買えますので、高校生は検定教科書を入手したいだけなら、その選択科目を履修する必要はありません。 :(※ 検定教科書の購入方法については『[[小学校・中学校・高等学校の学習/検定教科書の購入方法]]』に解説がある。) === 芸術科目 === 普通科高校での芸術科目は、音楽・美術・書道・工芸の中からどれか一つを選ぶ選択制になっています。1年生でどれか1つを選択必修、他学年では開講しない、という学校が多いかと思います。芸術科目は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶのが安全でしょう。もし音楽を履修した場合、授業ではまったく美術や書道が取り扱われません。これはどの芸術科目を選んだ場合にも同様です。好きでもないことを、1年間も毎週2時間ほど練習することは苦行ですので、芸術科目の選択は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶべきです。 なお、現在の中学3年までの芸術科目が、90年代までは高校1年や2年で習っていた内容です。現在の高校1年の芸術科目では、「脱・ゆとり教育」などの影響もあり、90年代の高校芸術科目よりも細かく、専門性のやや高まった事を習ってますので、そういう点からも、興味の無い芸術科目は、履修しないのが無難です。 さて、もし美大・音大または芸術系専門学校などの芸術系の進路を希望する場合は、その分野の科目を履修しておくのが無難ですが、全生徒を対象とする芸術科目だけではどのみち練習量が大幅に不足ですので、外部の芸術系進路用の予備校などで習う必要があります。 なお、音大・美大・教育大を除く一般の大学では、芸術の授業が無い場合が大半です。このため、人によっては高校が最後の学校での芸術教育になる場合も多くあります。 === 文系・理系 === ==== 文理選択とは ==== 普通科高校では、多くの場合2年生次(一部は3年生次)<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190726-00010000-yom-soci&p=1 「『文系か理系か』早すぎる選択…受験科目に専念するため、大半が高1で決定」2019年7月26日読売新聞オンライン]</ref>に、文系か理系のどちらかの類型を選択することが一般的です。これは、普通科高校生の多くが目指す大学進学にあたって、入試に対応するためにはポイントを絞る必要があるためです。この選択は一度選択してしまうと卒業まで変更することは、現実にはできない(後述)ため、慎重に選択する必要があります。文理選択までに、進学したい進路先をよく考えておかねばなりません。 少数例ですが学校によってはコースが分かれずに、文系志望の生徒にも数学IIIなどの理系科目を教える文理両立の高校の場合もあります。たとえ文理両立の高校でも、3年生では選択科目が増えてきます。高校普通科の全科目を履修するのは、たとえ文理両立の高校でも、授業時間の制限のため、不可能です。 また、「国際科」・「理数科」などの普通科以外の進学系の学科では、そもそも入学当初から文理選択がなくて、その学科の類型のカリキュラムとなることが普通です。たとえば理数科では、そもそも全生徒が理系のカリキュラムになり、文系特化のカリキュラムは選べません。 ;私大の推薦入試に関わる 推薦入試で大学に入学するなら文理選択は関係ないかというと、そんなことはありません。私立大学の推薦受験(指定校推薦のほか、「総合型選抜」も学校推薦型総合型選抜という推薦の一種です)では、受験生に特定の科目の履修を条件づける場合があります。たとえば、私立の理系学部を推薦受験する場合は、条件として数学III、および進学先学科に応じた「物理」・「生物」・「化学」などの科目の履修を条件づける場合もあります。なぜ科目制限するかというと、科目制限しないと文系科目だけで好成績を取って、理系科目が出来ないのに推薦入学してしまう受験生が出現してしまうからです。 文系科目でも、一部の難関私大では、文系学部の推薦入試の要件に、地歴公民など文系科目での必要単位数を設けている場合があります。理系コースだとその出願単位数を満たせない場合があるので、文系志望なら高校では文系コースを履修するのが無難でしょう。 ==== どうやって選択するか ==== 文理選択をするにあたっては、進路先としてどのような大学・学部を考えるかを最優先しましょう。間違っても、科目の得意不得意で選んではいけません。後でつまらない思いをします。なお、勘違いされやすいことですが、英語は文系・理系ともに大学入試で要求されることが一般的なので、「英語が苦手だから理系」という選択はやめましょう。 また、「数学が苦手だから文系」という選択肢をとる生徒が少なからずいますが、こちらも先のことを考えると安易であるといえます。というのも、いわゆる文系に属する学部学科でも数学を使うことがあり、「文系なら数学を使わなくても済む」とは限らないからです。具体的には経済学部・経営学部・社会学部では入試の段階で数学が必要な場合もあります(有名どころでは慶應義塾大学経済学部や商学部、早稲田大学政治経済学部)し、入試で使わなくとも大学の授業では必修とされることは珍しくありません。 なお、芸術系大学・短大・専門学校の志望や、体育大志望などは、文系を選ぶのが無難です。内容が文系かというとそうではないのですが、少なくとも高度な理系科目の学力は要求されないためです。また、大学でスポーツ推薦などを受け入れている学部も、社会学部や文学部・経済学部など、いわゆる文系とされる学部です。経済学部は、日本では文系の学部として扱われます。企業からの視点も、経済学部卒を文系の人間として扱います。また芸術系卒や体育大卒も、企業からの視点では、彼らを文系の人間として扱います。 2020年代の現在、高大連携や探求学習があり、進学校の文系コースなどでは志望学科に近い分野の卒業論文のようなレポートなどを仕上げる学校もあったり、近隣の提携先の私立文系大学の授業を受けられたりなどの機会があるので、私大文系の推薦入試などで論文を自己アピール材料にできる場合もあります。このため、文系志望なら文系コースを選択するのが無難でしょう。 もし高校卒業後に浪人した場合、どんなに高大連携や卒業論文などの機会を得ようとしても、制度的に浪人生は不可能です(高校生以外はその機会がありません)。なので、高校在学中は志望分野にしたがったコースをそのまま選ぶのが安全です。 昔話ですが、平成初期のまだ探求学習の無かった時代ならば、文系志望でもあえて理系コースを選ぶという手法もありましたが、しかし令和の今ではその手法は上述の理由で時代遅れでしょう(高大連携などの利点を損失するので)。例外として、よほどの底辺高校で、文系コースが事実上の高卒就職コースとしてしか機能してない高校とかでない限り、平均以上の学力の高校ならば文系志望者は文系コースを選ぶのが無難でしょう。 現在、多くの大学の文系学科で、高校3年レベルの数学科目を履修でき、しかも大学の単位を取得できます(場合によっては高校2年レベルの数学で大学の単位取得できます)。底辺大学でなくても、です。このため、高校3年生の時点でわざわざ高大連携の機会を損失してまで、数学III・Cなどを履修するメリットは少ないのです。 ==== 「文転」「理転」について ==== 理系から文系にクラスを変える'''文転'''、文系から理系にクラスを変える'''理転'''も可能ですが、現実的にはどちらも厳しい道を歩むことになります。 一番の違いは数学の扱いでしょう。理系の場合、3年になってからも新しいことを3年の2学期終わり頃までは授業で習いますが、文系の3年生の授業では夏ごろには新たな単元は扱われなくなり、その後は入試対策や過去問演習などの復習が増えてくる、という特性があります。また、文系では理系の生徒が学ぶ科目である数学IIIは履修しない、理科の「基礎」でない科目は履修しないなどが一般的です。したがって、3年になってから理転しようとしてもスタートラインから極めて大きな差ができてしまいます。よって、文系から理系に「理転」すると、全く習ってないことが続出するので、大学受験対策が間に合わず、ほぼ浪人が確定です。 文転は前述の理転に比べれば多少はマシですが、古文漢文や地歴・公民での学習量などの積み重ねの差は小さくはなく、一般の生徒よりも努力しなければ文系のまま2年3年と進んだ場合に比べて進路が狭まることは否めません。また、学校によっては文理で地歴・公民の進度・内容が違い、2年次に習っていなかったものを文転してから改めて学ぶ必要が出てくる場合があります。当然、その分学習量が増えるため、「文転は理転に比べて楽」という噂を鵜呑みにしてはいけません。 == 推薦入試の時代変化 == === 特化型が有利 === 大学受験への総合型選抜によくあるシステムは、高校受験とは違います。 要求されるのは教科の高さではなく、英検などの保有資格です。たとえ難関高校で通知表が5段階中で全教科5であっても、英検準1級を取ってないと難関大学へは出願そのものが出来ません。 さらに、保有資格の合計点は要求されません。たとえば「英検準2級、ドイツ語検定4級、理系」みたいな子よりも、「英検だけ準1級」という子が評価されるのが日本の私大への推薦システムです。「英検準2級、ドイツ語検定4級」みたいな子は、そもそも難関大学の推薦には'''出願できない'''システムです。 英検などの保有資格で特定言語に特化した級の高さの上、さらに通知表が平均4.0以上などが要求されます。 このため、たとえば意欲的な高校生が、取得しなくても高校卒業できる科目(例えば一部の私立の進学高校の第二外国語)などで低い成績を取ると、かえって推薦が不利になります(最悪、出願できなくなる)。推薦に要求されるのは合計単位数ではなく評定の'''平均値'''なのです。 1990年代の大学改革での各種の新型の推薦の導入当初、どうも高校受験のようなものだと高校生が誤解したようで、90年代の当時は一部の意欲的な高校生が、学業と併行(へいこう)して色々な課外活動を頑張りましたが、しかし2020年代の令和の推薦システムは全くそういうシステムではありません。 1999年『分数ができない大学生』シリーズで、合計値ではなく平均値で見ると、かえって上述のように不公平になると既に指摘されていたにもかかわらず、一向に平均値順に評価するのを日本の難関私大は辞めていません。 美術とか音楽とかの才能に秀でた人を評価したいなら、べつに美術の一芸入試とかじゃなくって、3教科とか5教科の入試教科に美術や音楽の実技試験などを加えればいいじゃないかと1999年ごろにもう指摘されているにもかかわらず、そういう合計点を見るような改革は、日本の早慶マーチ的な大学受験では何も行われていません。 高校入試ですら、もうちょっと合計的な能力を見ていますが、日本の大学はそれ未満です。 あるいは、もし「合計点を見る方式が間違っている」とすると、その難関私大の指定校や付属校の高校への入試の選抜システムも間違っていることになるので、私大はもう言い逃れが出来ません。 日本の私大の受験システムは完全に矛盾しており、論理が破綻(はたん)しています。そういう矛盾を気にしない人が私大の総長をしているのです。 === 模試の確約システムは無い === 高校入試だと、模試の「確約」(かくやく)というシステムが私立受験でありますが、しかし大学入試の場合、私大受験にも模試の'''「確約」システムは無い'''のです。なお高校入試の「確約」システムとは、たとえば埼玉県の「北辰テスト」(ほくしんテスト)とか神奈川県・東京の「W模擬」や千葉・東京「V模擬」などの地域模試で高い偏差値を取った人を、私立高校の受験のさいに加点するシステムです。 英検やTOEICなど英語の資格以外に、外部テストは使えません。英語1教科だけです。たとえば駿台模試とか河合模試とかは、出願の要件に入っていません。 高校受験の地域模試よりも教科数が減っており、選抜方法が大学では劣化しています。 「模試が民間テストに過ぎず公的ではないので、不適切」だとすると(1990年代、自民党がこういう論調で高校受験の模試を批判しました)、その私大の指定校の多くも不適切な高校入試を行っていることになり、私大は論理破綻しており支離滅裂です。1990年代、私立高校入試の「確約」を自民党議員は批判したのに、彼らの主導する大学入試の推薦システムは、まさに、まるで英検による「確約」システムのようなものです。 === 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 === 総合型選抜についての、よくある勘違いとして、まるで高校入試の内申点のようなものだと勘違いする人が、後を絶ちません。しかし、両者はまったく違うシステムです。 大学にもよりますが、英検で一定以上の級(たとえば2級以上)を持っていないと(またはTOEICで同等のスコア以上)、難関大学へは、総合型選抜の出願そのものが不可能だったりする場合もあります。 たとえ部活と学業を頑張ろうが、総合型選抜の出願条件のクリアには、なりません。部活で全国大会にまで勝ち進めばスポーツ推薦などの入試に出願する要件はクリアできるでしょうが、しかしそこまで勝ち進めないかぎり、どんなに偏差値の高い高校で、部活と学業の両立をがんばろうが、そもそもの出願条件をクリアできません。 難関大学の総合型選抜の出願条件はたいてい、英検2級以上またはTOEICのハイスコアです。部活は出願条件ではないのです。 {{コラム|「総合型選抜」の英検重視の変化に注意| なお総合型選抜などの推薦の要件として、多くの私立大学で2020年代以降、高校での履修科目だけでなく英検2級以上やTOEICのハイスコアなどを要求している私大もあります。ほか、履修科目全部の評定平均がたとえば4.0以上<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>など要求する例もあります。英文科だけではなく歴史学科や経済学部<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>などですら要求されます。 大学によっては「英検2級以上」などの試験名の表現ではなく「CEFR B1以上」と表現している場合もあります。英語の資格は多々ありますので、共通した評価基準として CEFR (セファール)という国際基準があります。なお、CEFR という試験は無く、英検で上位の級に合格したりTOEICなどでハイスコアを取ると、CEFRでのランクが与えられる仕組みです。なお、CEFR B2が英検準1級、CEFR C1 が英検1級の合格に相当です。 難関私大だと総合型選抜で要求する水準が英検準1級 相当以上になる場合もあります<ref>[https://exam.52school.com/rikkyo/admissions/undergraduate/guidelines/J_guideline/pdf/J_24guideline.pdf たとえば立教(英検 準1級相当 以上)]</ref><ref>[https://www.chuo-u.ac.jp/common_d/connect/admission/2024/special/11_1.pdf 中央大の2種類ある方式のうち片方は外国語型で、英検 準1級相当 以上]</ref>。総合型選抜や自己推薦などによる入試方式をねらっている人は、履修科目だけに目をとらわれず、英検などの資格取得も必要な場合もあります。 {{コラム|大学の英語の授業の実態| なお、これらの難関私大で英検準1を総合型選抜に要求する理由の元ネタのひとつは、'''それらの大学の教養課程の英語の授業内容が、英検準1級の英語長文のレベルだから'''でしょう。大学によっては高校レベルの英検2級の英語しか授業で要求しない場合もあるのですが(なぜなら学部専攻の科目(たとえば経済学部なら経済学が専攻)で忙しい。ほか、第二外国語(ドイツ語やフランス語など)が始まるので)、しかしそれでも大学によっては英語の授業で英検準1級を要求する大学もいくつかあるようです。 余談ですが、大学では専攻や第二外国語が忙しいので、実は大学では一般的な英語力は、直接的には それほど向上しません(例外として、英文科や国際系学科の以外は)。経済学などの専門用語とかの英語は専攻が経済学なら覚えますが。私大のパンフレットとかにある、やれ「留学」「海外姉妹校」だの「充実した語学教育」だのなんだのは、まあ宣伝です。誇大広告ですが、まあ大学側からすれば「努力目標」とでも言い訳できます。 }} ともかく大学の推薦入試について、親世代・昭和後半の生まれ世代での大学推薦入試の常識とは少し変わっていますので、注意しましょう。 ただし履修科目の高度性と英語資格とを両方を要求するのは、よほどの難関大学の難関学部以外では基本的には無いので、直接的には生徒個人にとっては両立をめざす必要性は低いのですが、しかし高校全体での大学合格実績に関わってきます。高校の大学合格実績が将来的に高くなれば、そのぶん卒業後の出身校の指定校推薦の枠も増えるので、出身高校の評判が上がっていき将来の自分の評判も上がるわけです。 }} ほか、基本的に'''探求学習は求められていない'''のが総合型選抜の実態です。よほど探究論文などで日本有数の成果を出せないかぎり(そしてそれを大会などに出場して高評価を得たこと客観的に証明できないかぎり)、英検準1級や2級やTOEICハイスコアを持ってなければ英検・TOEICなどの足切りにかかってしまい、出願そのものが不可能になってしまうからです。よって、少なくとも、探求学習の業績は二の次です。そういう出願基準になっています。 文科省は建前としては探求学習と総合型選抜を関連づけて喧伝しているかもしれませんが、その建前は実際の大学入試では崩壊しています。つまり、文科省の行政は失敗しました。 総合型選抜では、「事前課題」として小論のテーマが大学側から与えられます(事前課題方式の総合型選抜の場合)。よって、自分でテーマを選ぶことは基本、総合型選抜では、無いです。作成する書類の呼び方は「小論」ではなく「レポート」と言われるかもしれませんが、基本的に400文字~1200文字ていどであり、採点の都合があり、少し長めの小論文くらいの長さなのが実態です。 また、記入用紙のデータは大学側が用意または指定するのが一般的です。なので、プリンタが無いと、受験不可能です。 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視になっています<ref>[https://studychain.jp/324/ 『指定校推薦の校内選考とは?いつ?落ちる?校内選考を解説』2023/12/21 ]</ref><ref>[https://www.池内塾.com/bby/daigakujuken/suisentoeiken.html 『指定校推薦にも英検が影響します。』]</ref><ref>[https://tendoblog.com/20210829-2/ 『指定校の出願に英検が必要な大学 2021版/評定平均以外の出願条件まとめ 』 2021.10.17 ]</ref>。昭和の常識とは違います。 落ち目の高校からの指定校で学力不足の子が進学したら大学側は困るので、大学によっては英検などの条件を追加し始めています。 === フンボルト理念とは違う「総合型」選抜 === ;フンボルト理念に違反する英語特化型の総合型選抜 私大の総合型選抜は、けっして総合力を要求していません。 たとえば英検準1級以上を出願の要件にしている大学は、どんなに英語以外の数学とか物理も勉強していても、英検も2級に合格して高校レベルの英語力を証明できていても、なのに英検準1級以上でないかぎりは出願の時点で不可能であり、足切りされてしまうのです。英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも、理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが、私大の「総合型選抜」です。 つまり私大の「総合型選抜」は単に、既存の一芸入試などの選抜方法やら数学オリンピックとかの、ともかく大学で使えそうな一芸入試を'''併合'''(へいごう)しただけです。英語一芸入試とか数学一芸入試を併合しただけです。「人種のサラダボウル」みたいに、まじりあってないものを併合・混合しただけです。けっして「人種のるつぼ」のように混合して化学変化を起こしているわけではありません。 このため、英語特化とか数学特化みたいに、一点特化型の選抜になっているのが「総合型選抜」です。つまり総合型選抜はサラダボウル型入試です。 学問的に重要なこととして、難関私大の教育学における総合型選抜は、教育学でいう'''フンボルト理念に違反'''している選抜方法になっています。フンボルト理念とは、初等中等教育あたり(小学校入学 ~ 高校卒業まで)において、どういうわけか国数英理社の5教科をぜんぶ教えると、教育成果が高い、という経験則にもとづいて、なるべく5教科全科目を教えようとする教育方針のことです。 :※ 小中校の教育についての「フンボルト理念」と、大学教育についての「フンボルト理念」とは違います。このページでは高校教育の話をしているので、小中高の教育のほうのフンボルト理念です。この小中高の教育については「フンボルトの人格形成の理論」とか「フンボルトの陶冶(とうや)の理論」みたいにも言います。Bildungstheorie が元の語であり<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/csssej/21/0/21_23/_pdf/-char/ja 宮本 勇一 著『教育課程改革に対するフンボルトの陶冶理論の今日的意義』 ]</ref>、英語だかドイツ語だかでビルドゥングスとも言います。 :※ なお、大学教育のほうのフンボルト理念については、ドイツの教育学者フンボルトの名を冠した1810年ごろからの理念ですが、しかし2001年のドイツの教育学者シルヴィア・パレチェクの教育史の研究によると、実際はアメリカで発祥した教育理念の可能性が高いとのことです<ref>[https://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/246.html 潮木 守一 (桜美林大学大学院招聘教授)『「フンボルト理念」とは神話だったのか?-自己理解の“進歩”と“後退”』 ]</ref>。なお、その発祥元のアメリカすら、ドイツのフンボルト理念の権威を信じて、ドイツにエリートを留学して、教育学をドイツからアメリカに持ち帰ったとのことです。 :※ 大学のほうの「フンボルト理念」は、教育と研究を一体とするものです。つまり、フンボルトよりもずっと前の時代は、学生は基本的に研究をせず、したがって学生参加のゼミなども無かったのが当時の大学の実態でした。それを改革して学生にも研究させようぜっていうのが、上述のようにドイツとかアメリカとかの大学です。 簡単そうに英検2級とか言いますが、しかし実際の現役高校生は数学とか理科とかも勉強した上で英検も取るわけです。理系志望の高校生なんか、数学IIIと専門「物理」・「化学」・「生物」とかを勉強した上で、その上で英検2級をとるのは、かなりの負担です。 その英検2級ですら負担なのに、英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが私大の「総合型選抜」です。 もちろん、こんなのが「総合」でないことはもう2001年くらいに教育界隈では分かっており、ヒットした書籍『分数の出来ない大学生』シリーズで、慶応大教員の数学者の戸瀬信之(とせのぶゆき)などによって(なお、戸瀬本人の学は東大の数学科出身)、当時の「総合学習」型重視の大学入試の形骸化を批判して、おおむね発言内容「数学も見ないのに、何が総合だ」みたいに批判していました。それから20年以上たっても、何も改善出来てないのが日本の私大です。 戸瀬は当時から「英会話とかができるよりも、(数学なども含む)5教科の学力を国際的なレベルにまで高めるほうが重要だ」みたいな事を言っていました。英語ができるだけの人なら、米英に行けば無職でも出来ます。 べつに2001年に戸瀬が発見したわけではなく、芸人のビートたけしの中高生の時代、母の 北野さき さんは、たけしの兄[[w:北野大]](きたの まさる、1942年生まれ)が高校時代で大学受験のとき、「英文科に行きたいか、理系に行きたいかで迷ってる」みたいなことを言った時、「英語は米英ならルンペン(遊民。今でいう無職みたいなの)でも出来る」と諭して(さとして)理系の学部に進学させたほどです。 べつに、「私大の英語特化型の入試が悪い」とは言ってませんが、しかし少なくともフンボルト理念には明確に違反しています。英語だけではフンボルト理念の理想でないことは、上述のたけしの兄のエピソードからも分かるように昭和の時代から分かっていることです。平成の時代も、戸瀬信之の例からも分かるように、英語だけではフンボルト理念ではありません。 フンボルト理念そのものに学問的な疑いがあるなら大学人はそういえばいいと思いますが、しかしそういう話を早慶マーチからは聞きません。その早慶マーチの私立大学に教育学部もあったりするのですが、なんとも思わないのでしょうか。 == 高校の部活の問題点 == === 探求学習に部活制度が対応していない === 総合型選抜(AO入試)対策などとして部活の問題点を考えた場合(情操教育とかそういう議論はキリがないので考えないでおきます)、部活の制度の致命的な問題として、部活の制度自体は、昨今の「探求学習」に対応していません。 ==== 放課後探究や課外探究など ==== 探求学習のためには、自分の興味ある分野を積極的に調べる必要があります。高校のなかには、夏休み<ref>[https://www.toshimagaoka.ed.jp/education/inquiry/ 『探究的な活動 | 豊島岡女子学園 中学校・高等学校』 ]</ref>や放課後<ref>[https://www.hs.reitaku.jp/39820/ 『放課後探究活動 “ReaLab” がスタート! | お知らせ | 麗澤中学・高等学校(千葉県柏市の中高一貫・共学校)』 ]</ref><ref>[https://www.komabagakuen.ac.jp/news/?p=6887 『探究の部屋へようこそ! - 駒場学園高等学校』2022.09.06]</ref><ref>[https://kaga-teiju.jp/archive523/ 『探究学習で魅力ある高校に! 加賀市だからこそ学べる教育で、グローカル人材を育成する。』2023年8月29日 ]</ref>などの課外活動でも探求しています。 「私大のAO入試(今は「総合型選抜」と言う)の対策のために部活動をしているのに、その部活動のせいで、探求学習が大してできず、不利になってしまった」なんて事にならないよう、調節をしてください。 例外として公式大会で全国大会の出場などをねらえる強豪校などでないかぎり、探求学習の時間の確保を忘れてはいけません。決して「放課後を全部、部活で使ってしまい、図書館で調べ学習のための本を借りる時間が無い」なんて事にならないようにしてください。 なお、トーナメント戦の公式大会では、原理的に半数は1回戦で敗退します。「一回戦敗退」と聞くとなんとなく弱そうに見えますが、しかし実は半分の人数の参加者は初戦の1回戦で敗退して終わるのです。2回戦敗退までに、なんと当初の参加者の75%もが敗退します。 世間の人はどうも、部活に対する労力の投資効率を勘違いしている感じがします。どうも、「自分たちのチームが平均的な強さなら、4回戦くらいまでは進むだろう」みたいに世間は錯覚していそうです。しかし違います。平均的な強さのチームは、1回戦~2回戦で敗退なのが、トーナメント方式の原理です。 また、これを読んでいる学校教育関係者は、もし自校の部活の時間が長大な場合、考え直してください。 「歴史部」とか「科学部」みたいな部活そのもので探求を行う部活ならば別ですが、そうでない野球部とか吹奏楽部とか言った探究を行わない部活については、昭和のような長時間の部活のままでは問題です。 探究をする場合、決して単に読書をするだけではなく、さらにそれをレポートにまとめて体系的かつ分かりやすく説明できなければいけません。このため、時間が掛かります。 また、探究の大会イベントがあります。生徒は可能なら、地域などの教育団体や受験産業や私大の主催する「探究コンテスト」などに応募するのも良いでしょう。また、教師側は、生徒にそういう大会の存在を教えなければいけません。 生徒の側も、自分で少しはどのような大会があるかを調べる必要があります。昨今の高校の先生は忙しいので、生徒側が自分で積極的に調べる必要があります。 ==== 放課後講座や放課後補習 ==== * 私立の放課後講座 上記の放課後探究とは別に、進学校では、放課後に英語や数学などの講座が週に1日ずつ(英数で合計2日の放課後ぶん)開講されている場合もあり<ref>[https://koutoubu.kaichigakuen.ed.jp/schoollife/ 『学校生活 | 開智高等学校 - 学校法人開智学園』]</ref>、そもそもの部活の時間数が、私立進学校は元から少ない仕組みなのです。 * 私立の放課後補習 ほか、他校でも、定期テスト以外に小テストがたびたびあり、成績の悪い人には放課後などに補習があります(放課後補習)。もし定期テストの結果が悪くなると、推薦の要件である評定平均の基準が満たせなくなるので、現代の進学校の高校では、こういう補習が昭和よりも多いのです。テスト前に補習をみっちりやって、推薦のための評定平均を確実に確保させるのです。 こういった放課後探究や放課後補習などのため、進学校では、そもそもの部活の日数そのものが他校よりも少ないのが正体なのです。 現代の総合型選抜や公募推薦の要件として、評定平均が要求されます(たとえば通知表の5段階評価で4.0以上とか要求されます)。また、評定平均のつけかたは、昭和は相対評価でしたが(「4」以上はクラスの何割の人数までとか昭和の時代では人数制限があった)、現代では絶対評価に変わっていますので、5段階評価で4以上の成績を取る人が多くても現代では問題ありません。 この評定平均の水準もまたトンデモであり、高校偏差値のどんなに低い 高校偏差値37高校の評定平均4.0以上でも出願条件の一つをクリアできてしまいます。逆に、高校偏差値のとても高い、高校偏差値70台の進学校での評定平均4.0以上をもし生徒が満たせないと、総合型選抜に出願できなくなってしまうのです。つまり、出願条件では高校偏差値に関係なく、同等に扱われてしまいます。 高校偏差値30台の底辺高校が、生徒に英語ばかりを勉強させて英検だけ2級や準1級ととらせれば、あとの国数理社などの教科はザルな定期テストでもいいので全科目で評定平均4.0以上をとらせれば、難関大学の出願条件クリアになってしまうのです。 進学校は対抗のため、なんとしても4.0以上を生徒に取らせる必要があり、だから補習 三昧(ざんまい)で、定期テストで高得点を確実にとらせるのです。でないと、高校偏差値37の生徒に、総合型選抜の枠がうばわれていまいます。 「低偏差値高校と高偏差値高校とで、別々の定期テストを受けているのに、総合型選抜の出願基準で要求される評定平均が同じ数値」という不公平があります。そして負担を負うのは、高偏差値高校の側です。 本来、底偏差値高校と進学校の定期テストは、まったく別々の難度の定期テストなのですから、大学側は本来、定期テストの難度や要求される習熟度に応じて、出願条件にある評定平均の基準値を変えるべきですが、しかし大学側はそれを怠っています。 部活の制度は、まだロクにインターネットも何も無かった、ネットで調べられなかった時代の遺物なので、現代のAO入試などの受験制度に対応しておらず、決して放課後をフルに部活に投入してはいけません。 ==== 中学の時点で部活の時間が少ない中高一貫校 ==== 地味な差ですが、中高一貫校では、中学段階の時間割も、高校に準じた時間割なので、そのため授業時間数が長く、週に2日、午後4:30まで中学でも授業があったりします。これは国公立の中高一貫校でも同様です。実際、神戸大学付属の中高一貫校の時間割がそうなっています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/curriculum/education/ 『教育課程 | 神戸大学附属中等教育学校』]</ref>。(なお、一般的な公立中学では、午後3:30までが授業です。) このように、進学校では時間割などで元から、部活に与えられられた時間が少ないのです。 けっして、べつに部活と学業の両立が上手いのではなく、そもそも部活の時間が少ないのが、上述のいくつもの進学校を調査した結果の事実です。 {{コラム|総合型選抜| なお、私大でも、総合型選抜の枠は意外と少ない大学も多くあります(多くが指定校推薦や付属などから受験生を取る)。たとえば同志社大学と近畿大学は、総合型の枠がかなり少ないです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=1dwCtMmUDqI (動画)山内太地 『高大接続改革は失敗なのか?!関西の高校が探究をがんばれない理由があった!』、2022/10/13 ]</ref>。なので、あまり総合型選抜対策(つまり探究)だけに時間を投入するのも問題です。基本は学校の勉強と一般入試対策です。 '''総合型選抜は専願'''なのが普通です。他大との総合型選抜の併願は困難な大学が多くあります<ref>[https://you2.jp/labo/6174/ 『総合型選抜や学校推薦型選抜は「併願」できる?―「一校ルール」を突破しよう | 洋々LABO』 ]</ref>。このため、年明け前は1校しか大学受験できないのが基本です。たとえ募集要項では「専願」という言い回しでは書いてなくても、「合格後の入学を'''確約'''できる者」とか「本学への入学を'''第一志望'''とする者」など確約・第一志望などの条件があれば、それは専願という意味です。 なお、私大の総合型選抜の出願の要件として、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求して足切りとしている私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。 ほか、総合型選抜の推薦の要件としてよくあるのは評定平均 4.0 以上とかですが、しかし評定平均は高校によって採点の基準が甘かったりするので大学側が信用していないのでしょう。そのため、足切りとして英検2級以上などを大学側が要求しているのでしょう。2020年以降の現代、評定平均のつけかたは絶対評価です。昭和生まれ・平成初期生まれの世代は評定平均が絶対相対(3.0が平均だった)のです。今は「評定平均4.0以上の生徒です」と言っても平均より優秀かどうか不明ですので、それだけでは信用できません。 難関大学などだと、総合型選抜のエントリー期間が9月中の場合もあります。それ以降は志願できません。 ほか、総合型選抜に限った話ではないのですが、合格しても、入学手続きの締め切りが短く、4日間くらいしかないような大学も多々あります。出願方法がweb出願に限る大学、または合格発表がweb出願に限る大学もあります。 }} == 大学の部活動の問題点 == :※ 高校生活というより大学生活かもしれませんが、しかし高校3年のさいの志望校決めに大きく関わってきますので、とりあえず、ついでにこのページで紹介します。(大学進学後に問題点に気づいても、遅いので。) === 音楽室など教室の問題 === ==== 芸術・家庭科の設備の不足 ==== 一般的な日本の大学では、部活について、体育以外の音楽・美術・家庭科などの分野の設備が不足しています。どちらかというと、日本の大半の大学では、比較的に体育科目だけ、音楽などよりも設備が充実しています(体育館の充実など)。 もし読者が、音楽・美術の分野を、高校の授業以上に学習・練習することを志望する場合、決して「大学に合格してから 吹奏楽部/美術部 に入ろう」なんて考えずに、高校のうちから希望の分野に近い部活に入ることを強く推奨します。 具体的に言うと、文学部・経済学部・法学部や理系の学部などの多くの大学で、高校のような体育館(あるいは高校以上の体育館)は存在するにもかかわらず、一方で高校のような音楽室も美術室も存在しない場合が大半でしょう。 このため、もし読者が将来的な大学進学を予定している場合、たとえば「大学に入ってから美術を勉強しよう」などと思っても、高校のような美術部の訓練を大学ではあまり受けられない場合もあります。 そもそも、多くの大学で、美術教師も音楽教師もいない場合もあります。なぜなら、美大・音大ではない一般の大学には、そもそも美術科目や音楽科目の授業が無いからです。 かつて大学の必修科目で体育科目がありましたが(平成の規制緩和で現代では体育は必修ではなくなっている)、しかし音楽・美術・家庭科などは元から一般の大学では必修ではなく、そのため一般の大学では科目の存在自体をしてないのが普通なのが美術・音楽・家庭科などの実情です。 あるいは音楽の場合なら、仮に大学に音楽室が存在したとしても、例えば大学の音楽室なら一般の教室をすこし防音化したものにすぎず(たとえばガラス窓が単に2重窓になったのと、教室入り口のドアが分厚くなっただけで、他は一般教室と同じだったりする)、あまり音楽室(のようなもの)が本格的でなかったりします。このため、大学の音楽系の部屋では使用できる楽器が限られる場合もあります。 ただし、多くの大学で運動部が存在するので運動部の応援のために吹奏楽部が存在するのが普通なので、まだ吹奏楽部はなんとかなります。軽音楽サークルはどうだか知りませんが、多くの大学で軽音楽サークルが存在していますので、なんとかなるかもしれません。 問題は、美術です。美術室に限っては大学では存在すらしない場合もあり、一般の教室や部室などを流用したりする場合もあります。このため、油絵など有機系の塗料を使うものは大学では描けない場合もあります。水彩の絵の具を大学で使うのも、なかなかキツい場合があります(家で絵の具を使うことになるかもしれません)。 たとえば私大とその付属高校によっては、私大本体よりも付属高校のほうが音楽・美術に関する設備が上回っている場合すら、ありえます。 このため、「大学に入ってから〇〇(音楽・美術など)の部活を始めよう」とか思ってると、高校以下の設備、顧問からの高校以下の教育で始めることになってしまいます。なので、音楽・美術の部活に入ってみたいと思っている場合、高校から始めるのが安全です。 そもそも大学の場合、吹奏楽部やイラスト系部活・同好会の顧問の教員が、その科目の専攻でない場合もあるかもしれません。 ==== 体育設備の注意点 ==== '''校庭の無い'''私立大学もあります。 大学の体育の設備について、都心23区内や京都・大阪などの中心街にある私立大学の場合、一見すると室内の体育設備が充実しているようにパンフレット紹介されていたりする大学もありますが、よくよくネットで公式情報を調べると都心キャンパス・中心街キャンパスにそもそも'''校庭の無い'''私立大学も多々あります(大学での体育の授業は室内ばかり、とか。部活の運動部はキャンパスから電車で行くレベルで離れた郊外の練習場を使っている)。「存在する設備」だけでなく「存在しない設備」にも注意しましょう。 高校の場合、1年ごとに体育が週2~4時間だったりするのに、一方で大学では4年間で体育が週に2時間だったりします。大学は科目の選択の自由度が高いので、週2時間以上の時間数の体育科目を授業で受けられる場合もありますが、しかし専攻科目の授業の増大により、時間的に必修以上に体育などの科目に充てるのは難しくなっているのが21世紀の現状です。 都心でない郊外でも、体育設備が歴史的な経緯で比較的に充実しているのにかかわらず、21世紀では大学の授業が難しくなったりと忙しくなり、せっかくの体育設備がそれほど使えない場合もあります。 ;理科室の少ない大学も・・・ なお理科室も、高校は 生物室 ・ 化学室 ・ 物理室&地学室 とかで3室以上があったのに、一方で大学だと、大学によっては「第一理科室」「第二理科室」みたいに理科室の数が2室に減っている場合もあります。 もしかしたら小・中学校みたいに大学でも理科室が1室かもしれません(大学にも寄る)。大学の進学前に、事前に覚悟しておくこと。 まあ、中学技術家庭科であった木工室・金工室などは高校には無いし、(教育学部や工学部以外の)多くの大学にも当然ながら無いです。まあ、木工や金工はイザとなれば、近所のホームセンターで工具を買ってきて自分で工作すれば済みます。設備が必要な場合でも、市町村の職業訓練所みたいな公共施設もありますので、その分野に就職する気になった場合は職業訓練所も参考に。 === サークル部室が少ない大学も・・・ === 大学では、土地不足や、学生運動の対策などで、部活や同好会などに各部の専用の部室が無い場合もあります。大学の場合、「学生会館」などの名前のサークル棟で他の部活とまとめて、時間や月日を決めて期間限定で借りるシステムになっている場合もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 弱小の部活でも専用の部室があるのは、高校卒業までです。なので高校時代に部活を楽しみましょう。 理科系の大学や国公立の大学など、サークル棟は狭かったり、校舎から遠かったりします<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 === 医学部と法学部では部活動は困難 === 医歯薬系など医療系の大学なんて学業も忙しいので、国公立の医療系学部の場合、もはや文化祭の出し物の練習などしている暇はありません。たとえば、医学部のある総合大学の文化部の出し物を見ても、メンバーの学科には医学部の部員は基本、いません。理系メンバーがいるとしても、せいぜい工学部や理学部などです。工学部といっても、国際情報なんとか学科だの社会情報なんとか学科だの、そういった学際分野の人かもしれません。 運動部などだと、テレビ番組でも大学駅伝や大学野球を見ても公式大会に出場するのは文系の学部学科の人ばかりなので、運動部については理系の学科では学業と部活動との両立が難しいと知っている読者も多いと思います。実は文化部でも同様、理系の学科では学業と文化部との両立は困難です。 見落としがちですが法学部も同様、国家試験などを目指す場合には学業と部活動との両立は困難です。官僚や、裁判官や検察や弁護士などの法曹、などへの就職を考える場合、法学部は、部活動をあきらめる必要があります。 官庁に限らず市役所や都道府県庁など、多くの役所への就職活動は、年齢制限があります。このため、専門以外のことを練習する時間は、(採用試験にある教養試験の対策を除けば)あまり、ないのです。 公務員で、年齢制限がほぼ無いのは(ただし定年に近いと、さすがに業界未経験者は不採用)、たとえば公立小中学校・公立高校の教員などです。しかしそれは、教職課程や教育学部の話であるので、法学部の就職先とは異なります。 法曹とは、弁護士・裁判官・検察の3つです(「法曹三者」ともいう)。これら法曹三者では、司法試験への合格が必要です。さらに、司法試験の受験資格は「ロースクールの修了から5年以内に5回まで」という時間的な制限があります。 このため、司法試験が必要な職業では、大学院に入ってしまうと部活動は無理です。実質的には、学部の段階でもう、司法試験志望者には部活動は無理です。 さて、官僚や裁判官や検察などの法曹には、高い専門性が求められます。しかし、教養については、高さと広さは求められないのです。あくまで、学歴フィルターに引っかからない程度の学力と、それらの放送の採用試験の「教養問題」で高得点を取れる程度の教養があれば十分なのです。 それ以上の教養や分野外の知識については、法曹の仕事では専門家に依頼します。 たとえば裁判で、自動車事故を扱う場合でも、裁判官は自動車工学や道路工学なんて知らないので、工業大学や自動車メーカーなどの専門家にアドバイスをもらいます。このように、裁判官には、専門家にアドバイスをもらう制度があります。(鑑識(かんしき)や鑑定(かんてい)などの制度です。) 官庁でも、たとえばスポーツ庁が文科省の管轄だからといって、文科省の役人の多くにはスポーツの腕前は不要です。文化庁は文科省の管轄ですが、文科省の役人の多くは、楽器もロクに演奏できないし、絵の画力も人並みでしょう。 官僚や弁護士などの国家試験や採用試験を目指さないなら、法学部でも部活動との両立は可能ですので、私学などのスポーツ推薦で法学部に入学している人もいると思います。 だから、テレビの大学駅伝や大学野球などの選手に、法学部の人もいるかもしれません。 しかし、官僚などを目指す場合、基本的には部活動との両立は困難です。部活動に在籍することは可能ですが、しかし公式試合などの出場などができるほどに技量を高めるトレーニングを積むのは、時間的に、国公立の法学部ではとても困難です。 === 大学の宗教サークル === そのほか、大学のサークル活動の問題点として、一部の悪質な宗教系のサークルが、正体を隠して新入生などに勧誘活動している、という実態もあります<ref>三菱総合研究所・全国大学生活協同組合連合会・日本コープ共済連生活協同組合連合会 著『大学生が狙われる50の危険』、青春出版社、2023年2月2日 発売</ref>。 大学進学した際、サークルより部活動に入ったほうが良いと教員が個人的意見を言ったりするのには、このような事情もあるかもしれません。もちろん、多くのサークルはマジメにサークル名通りの活動をしていると思いますが、残念ながら一部の詐欺的な悪質サークルを、日本の大学では排除できません。 やはり部活動などは高校時代のうちに熱心に活動したほうが良いでしょう。 大学の文化祭などに行くと、そういった悪質サークルにも遭遇してしまいます。なので高校生のうちは、文化祭を見るなら、高校(自校も他校も)の文化祭を重点的に回るのが良いでしょう。大学のサークルには期待しないほうが良いでしょう。 === 高校図書室・大学図書館の音楽書や美術書などの問題 === 部屋だけの問題ではありません。大学の図書室の蔵書と、高校の図書室の蔵書の関係も、似たような問題があります。具体的に言うと、高校図書室の音楽書・美術書のほうが、大半の大学の音楽書・美術書の本棚よりも本格的かもしれません。 なお、大学の「教養課程」というので習う科目の「経済学」「法学」「英語」「ドイツ語」「フランス語」(ドイツ語・フランス語は「第二外国語」でよくある)「数学」「理科」などは、さすがに高校よりもレベルの高い専門書が大学の図書館にそろえてあります。(「体育」は教養課程でありますが、あまりスポーツの技法書とか大学図書館には置いてありません。) しかし、その教養課程から外れる、音楽・美術とかの専門書、あるいは演劇部のための演劇書など部活動のための専門書については、高校よりも大学図書館の蔵書レベルが劣るか、ハナっから蔵書が無いとかだったりします。大学の進学前に覚悟すること。 まあ、書籍については高校卒業も一般の書店で購入できるので、あまり高校時代に急いで読む必要はありません。ですが、できれば高校在学中に図書室にどんな蔵書があるかは確認しておくと、後々の人生で、大学の専攻以外の分野での良書を確認するのに役立つかもしれませません。 大学の場合、たとえ総合大学やマンモス大学であったり、あるいは教育学部を持っていても、学部や学科によって校舎が他市町村レベルや下手したら他県レベルで離れていたりするので、そのせいで、大学生が学部の専門外の内容の蔵書を確認するには、異なる学部の蔵書を確認する必要があり、したがって異なる地域の校舎の蔵書を確認する羽目になり、ともかく大学だと専門外の書籍の確認がかなり面倒です。 大学図書館が、日曜日だと閉館している場合がよくあります。多くの大学の図書館では、授業中の月曜~土曜が開館日なので、よって日曜が閉館日なのです。このため、仮に大学生が「日曜日に大学の他学部の図書館を見学しよう」とか思っても、しかし日曜日はその他学部の図書館が閉館しているので蔵書を見れません。なので、高校在学中に、将来的に進学しそうな分野の専門外の書籍についても、高校図書室で蔵書を確認したほうが良いでしょう。 高校時代に、図書室の蔵書を全体的に眺めるだけでもいいので、眺めておきましょう。大学は学部の専門外の分野になると蔵書が高校よりも劣る場合が大半です。 == 特別活動 == === 基本 === 授業以外の活動にどう取り組むかは、校則に触れない範囲で個人の自由です。 中学校と異なるのは、大学入試には部活の実績や委員会活動・生徒会活動などの活動実績は要求されておらず、一般入試では部活などの活動実績があっても試験結果には加点されないということです。調査書の提出はありますが、高校入試と違い、高校卒業見込みであることの確認に使われるのみで、内容はほぼ考慮されません。 推薦入試や総合型選抜(かつての「AO入試」)を行っている大学では部活などの実績が考慮される場合がありますが、基本的に、多くの高校生は一般入試で大学進学することになります。それを踏まえたうえで、特別活動に力を入れるも入れないも、個人の自由です。 なお、総合型選抜をよく行っている大学と学部は基本、私大の文系学部です。一応、例外的にいくつかの国公立大学や理系の学部でも小さい枠で総合型選抜などを行っていますが、国公立では対象となる大学は少なく、また、理系学部では総合型選抜は基本的に無い傾向です。 ただし、医歯薬系や看護など医療系の大学では一般入試に面接などがあるので、その面接において部活や委員会活動の活動実績についても聞かれる可能性があります。とはいえ、いくら「医者は体力勝負」とか言っても、スポーツがいくらできても肝心の勉強ができなければ不合格なのは言うまでもありません。 また、理系の学部の入試で自己推薦入試を受験する場合、一般に評価される活動は決して部活ではなく、大学によりますが数学オリンピックとか全国高校化学グランプリなど、高校の学外での理系の公式大会での成績だったりします。(たとえば早稲田の理工はそうです<ref>[https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2022/08/2022_AO.pdf 『』P224] 2023年12月08日に閲覧. </ref>) 指定校推薦と総合型選抜は、まったく異なった受験です。混同しないように。指定校推薦で必要なのは基本、よほど授業態度が悪いとか出席日数が極端に悪いとかでない限りは、必要なのは高校時代の定期試験での高得点です。いくら部活で部長をしようが、委員会で委員長をしようが、それは指定校推薦の条件には基本的に関係ありません。 大学によっては、体育大学の体育学科の推薦をもらいたいなら運動部の公式大会での成績とかも考慮事項になるかもしれませんが、それは指定校というよりも自己推薦型入試でしょう。 例外的に、体育大と高校の運動部の大会の成績とか、音大と高校生音楽コンクールの順位などのように、高校の部活の内容が志望大学の学業と直結するものでもない限り、部活動の成績よりも普通の教科の成績が指定校推薦では優先されます。 なお、指定校推薦による募集を行っているのは私大です。 ;スポーツ推薦など また、いわゆる「スポーツ推薦」は、制度的には「特別推薦」というものです。スポーツ推薦は、指定校推薦ではありません。特別推薦では、学校長の推薦書は必要ですが、しかし指定校とは違って高校に枠が割り当てされていません。 このため、たとえばスポーツの苦手な人が、どんなに偏差値の高い高校に入って、そこで運動部に入って部長をしようが、全国大会や関東大会(関東地方の高校の場合)などの公式大会などで高い順位を取らないかぎりはスポーツ推薦はもらえません。 ;芸術などの推薦や総合型選抜 高校の音楽コンクールや美術コンテストなどでの全国大会とかの推薦や総合型選抜については、大学や学部学科ごとに傾向が大きく異なるので、早めに志望業界の学部の募集要項などを幾つか確認してください。 たとえば、音楽志望の場合、教育学部の音楽教師の学科を考えている場合なら、いくら音楽だけが得意でも、肝心の5教科の学業が苦手だと教員採用試験に合格しない可能性が高くなるので教師としては不適格です。なので、教育学部の受験では、音楽だけしか出来ない人は、よほど音楽の業績が優れていない限りは、不合格になる可能性が高いと考えられます(教師には高めの学力が要求されるので)。 いっぽう、文学部や経済学部では、特に必須の国家試験とかありませんので、教育学部ほどは受験で学力を要求されない可能性もあります(大学にもよる)。 このように、学部や学科によって、要求される学力の程度が違うので、ある程度は傾向を把握したうえで高校生活を送るのが受験対策としては安全です。 例として音楽をあげましたが、美術と美術教師の学科でも同じですし、演劇部などでも同じです。 === リンク(※未完成なので読まなくていい) === * 部活での文書管理などのノウハウについては、右のリンクが予定されていますが、未完成です(※ 現状、読む必要はありません)。 リンク:[[高等学校部活動]] == 普通科高校と実業高校 == 普通科高校は大学進学を目指す生徒に特化したカリキュラム、実業高校は高卒での就職を目指す生徒に特化したカリキュラムが組まれています。また、実業高校が持つ企業とのパイプも普通科高校は持っていません。したがって、高卒で就職する場合は、実業高校卒の方が有利です。家庭の経済事情で、大学への進学が難しい家庭はこの事に注意してください。いっぽう大学進学は、工業高校や商業高校などの実業高校の卒業生でも、法的には問題なく大学受験が可能です。ですが、現実的には大学受験は普通科高校生の方が有利です。特に職業高校への進学にこだわりが無ければ、将来的に大学進学したいなら、普通科高校を卒業したほうが大学進学しやすいでしょう。 職業高校というと「落ちこぼれの不良が集まる底辺校」というイメージを持っている人がいるかもしれませんが、それは過去のことです。実業高校は就職活動の面接に臨むことができ、その後即戦力として就職できる生徒を育てるために、生徒指導はきちんと行われている学校が多いです。また実習や資格取得のための検定が多くあるため、そのための勉強の忙しさは普通科高校には劣りません。 == 高校と大学と、中学との違い == :全体的な傾向 基本的に高校では、出欠確認とか委員会とかは、中学とほぼ同じです。とりあえず入学時は、高校についてだけ知っていれば十分です。 === 委員会や生徒会 === :※ 説明の都合上、高校だけでなく大学についても説明したほうが分かりやすいし大学AO入試(総合型選抜)対策にもなるので、ついでに大学も説明します。 ;高校に委員会はある。大学には無い 委員会や生徒会などについて、中学と高校は、ほぼ同じです。公立高校でも私立高校でも、特に差はありません。つまり、「保健委員会」とか「図書委員会」とか、多くの高校にあります。 いっぽう、大学には基本、委員会はありません。つまり、大学に「保健委員会」とかはありません。健康診断とかの提出物は、大学ではお医者さんまたは学校の職員の人などに渡します。 大学図書館には司書がいます。大学では、図書の受付の委員会業務も存在しません。大学では、学生には図書業務はさせません。 ;高校に生徒会はある。大学では「学生会」「学生自治会」「学友会」 高校には、生徒会はありますし、もちろん体育館とかで生徒会長に誰を選ぶかを全校生徒(もしくは全2年生)で投票です。 大学では「学友会」や「学生自治会」や「学生会」とか言うのが、生徒会に相当する組織です。大学では、いちいち全校集会とかで投票しません。というか、大学に全校集会そのものがありません。入学式と卒業式とで、それぞれ新入生と卒業生が一斉に集まるだけです。 なお、大学の「校友会」は卒業生の組織ですので、誤解なきよう。 === ホームルームなど === ;高校にはホームルームがある。大学には無い 高校には中学と同様、ホームルームや出席とか朝礼・終礼があるのが一般的です。ホームルームで担任(たんにん)の教師から、いろいろと一斉に連絡されます。 大学にはホームルームとか無いので、連絡は基本、掲示板です。大学の校内に掲示板(実物)があります。 書いてて気づきましたが、つまり高校には掲示板は基本的にはないです。 また、大学は朝の1時間目の授業が、ホームルームや出欠などなく、いきなり(授業が)始まります。つまり大学には、朝のホームルームとか出席(朝の「はい元気です」のアレ)とか朝礼・終礼や「起立・きをつけ・礼」がありません。 === 学校行事の有無 === ==== 修学旅行・林間学校など ==== 高校では旅行先が遠くなるかもしれません。修学旅行・林間学校(もしくは臨海学校)じたいは、どの高校でも存在します。 たとえば、関東在住なら、中学校では修学旅行先として京都や東北が旅行先だったのが、高校では沖縄や北海道などが旅行先になるかもしれません。 いっぽう、大学に修学旅行・林間学校などはありません。研究室で、もしかしたら夏休みあたりに2~3日の合宿を大学の近場(その地域の小中学校の修学旅行先あたり)でするかもしれません。 ==== 運動会・体育祭 ==== 高校にも体育祭(運動会)は存在します。 いっぽう、大学には体育祭はないのが普通です。そもそも大学にはクラス(学級)が無いので、クラス対抗の競争とか原理的に無いのです。 ==== 文化祭 ==== 高校にも大学にも文化祭があるのが一般的です。 == 定時制・通信制高校 == 定時制と通信制の高校に通う(または、それを考えている)方はサブページをお読みください。 * [[高校生活ガイド/定時制]] * [[高校生活ガイド/通信制]] == 大学入試の総合型選抜でどうしても部活などの能力をアピールしたいなら == 神戸大学付属の中等教育学校(いわゆる中高一貫校)の、探究論文のためのガイドライン中で「課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン」として、下記のように言われています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/education/kp/materials/2023_kuss_handbook.pdf 『2023 年度 Kobe ポート・インテリジェンス・プロジェクト 課題研究・卒業研究ハンドブック』P.17]</ref>。べつに総合型選抜の自己アピール書は論文ではないので、下記のままに従って書く必要は無いですが(そもそも文字数制限があるので、自己アピール書に論文は書けない)、しかし論文というのは下記のような書き方ですし、下記を高校生に要求している国公立の高校も日本に存在します。 <blockquote> 第 1 版(2023 年 4 月 4 日) 課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン * 制作物のみをもって論文の完全な代替とすることは認めない。あくまで課題論文の提出は全員に求 める。 * 課題論文に別添する形で、制作物やその写真、実演の録画を提出することは認める。その場合、課 題論文の規定字数相当の内容があるか否かの判断は、制作物の量・質を考慮して行うものとする。 * 具体的には、課題論文の序論・結論に相当する部分が制作物により代替されうるとは通常考えられ ない。一方、本論に相当する部分の大部分を制作物により代替することは十分に考えられる。 * 序論には本研究の社会的・学問的(芸術的)意義を述べるとともに、本研究で取り組む問い、もしく は明文化された問いの形になりづらければ課題について明記することが求められる。5 年生以上は 先行する制作の事例について分析し、本研究の新規性について明記することも求められる。 * 本論部分では、序論で述べた課題を解決するための制作方針について述べるとともに、実際の制 作物やその写真、実演や制作物作動の様子の録画を添付する。 * 何らかの課題を解決するための制作方針が明記されていることは、制作が研究として認められるた めの必須要素であり、これがない制作は本校の課題研究としては認められない。何らかの創作を伴 う制作であればその創作方針が明示されるべきである。既存作品(楽曲等)の実演を制作物として 課題研究とする場合は、それに対する自身の解釈や、身体操作の独自の工夫などを実演方針として 明示することが求められるのであって、解決すべき課題に特に対応しない実演や単なる模倣は本校 の課題研究としては認められるものでない。 * 結論部分では、別添した制作物によって序論で明示した課題が解決されたことを主張することが求 められる。加えて、本研究において解決しきれなかった課題を展望として述べることも推奨される。 </blockquote> 文中に「5年生」とあるのは、中高一貫校なので、中学からの通算の年数を数えている(高校2年生に相当)。 本節では、文学部や経済学部や法学部などへの総合型選抜を念頭に、話します(美大とか音大とかは念頭に置いていません。また、私大の体育学部なども念頭に置いてません。) 「高校生が部活などで頑張ったのは分かった。」「問題は、それ、志望する大学での研究と、どう関係あるの?」、これを説明することが望まれます。 なのに、なんの説明もなく、「制作物のみをもって」(論文の完全な)「代替とすること」は、社会通念上、認められないのです。 特に国公立の大学の場合、税金を使って大学が運営されているので、研究に社会的・学問的(芸術的)な「意義」の説明がなければいけません。志望者に、説明責任があります。 単に、「スポーツが得意」とか「絵が上手い」とか、それは建前上は、国公立の総合型選抜では求めていないでしょう(私大はどうか知らない)。そういうのは、私大の「スポーツ推薦」とか「文化活動推薦」みたいな、別の方式の推薦を受けてください。 上記引用中に「 何らかの課題を解決するための制作方針が明記」とあるように、部活などの活動の努力や成果(客観的に第三者機関によって証明できる成果)を、社会の課題解決にどう結び付けるかが、言えることが望まれます。 実際に、社会の課題を解決することまでは、要求されていません。金銭的・時間的に、解決までは無理です。そもそも長年のあいだ解決できなかった社会課題だから、たかが高校生ごときのお子様でも発見できる「課題」として残っているのです。 自身で解決しようとするのではなく、これから、学問の力によって、課題の一部でいいので、解決までの道すじを社会でつくろうとする事に、あなたも協力するために自発的にあれこれすることが望まれているのです(具体的に何をするかは個々人による)。 基本的に、学問の多くは、再現性や言語化を重視します。分野によっては、再現性だけは低い分野もあるかもしれませんが(たとえば歴史学などは実験が不可能なので、再現性は低いかもしれない)、しかし言語化はそれでも可能なはずです。 美大や音大などは例外かもしれません。しかし、もし文学部や経済学部や法学部などを志望するなら、言語化をして、税金をあずかっている国公立の大学教員たちの納得のいく説明をできなければいけません。 もし、そういう言語化がイヤなら、そもそも文学部や経済学部などの学問に向いていません。文学作家に向いているかどうかは知りませんが、しかし文学部の国文科と言うのは決して小説家の養成所ではありません(そういうのは専門学校です)。例えるなら、文学部の歴史学科の研究者が、たとえ戦国大名を研究することはあっても、研究者自身がけっして大名になる必要は無いのと同様に、文学部の国文科では小説家になること自体は求められていません。 ましてや、国公立の大学の文学部などは、断じてスポーツ選手の養成機関でもありません。 上記の当wikiの説明では、説明の都合上、国公立を例に説明しましたが、私大の志望でも上記のような事はすこしは考えるべきでしょう。私大だって、私学助成金などの税金の財源とした補助金をもらっています。また、大学教授は科研費などの補助金を国からもらう際、国への説明責任があるわけです。 上記の引用が出来たからって、合格するかどうかは知りません。ただ、割とハッキリ言えるのは、もし上記の引用が出来ない人が合格しても、例外としてスポーツ推薦で難関大に合格するような余程(よほど)の業績ではないかぎり(全国大会のトップ8入りとかでないかぎり)、研究への情熱の評価ではなく、単に全国大会などの業績によるスポーツ推薦・文化活動推薦が適用されて合格したに過ぎない、という事です。 == 出典・脚注 == <references /> == 参考文献 == *[https://shingaku.mynavi.jp/ マイナビ進学] *[https://allabout.co.jp/gm/gt/2066/ All About学習・勉強法] [[category:高校生活|*]] 0dn7k6pdx9dgjmb6cfdwp7ndota652i 246460 246458 2024-04-10T06:16:01Z すじにくシチュー 12058 /* 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 */ また、「高大接続改革」についても必然的に、例外として志望校そのものと提携している高校に在学でもしてない限りは、あまり総合型選抜には関係ないのが実態です。 wikitext text/x-wiki : [[小学校・中学校・高等学校の学習]] > [[高等学校の学習]] > 高校生活ガイド {{Stub}} {{独自研究の可能性}} 編集者の主観的な表現が含まれている可能性があります。このページをある程度の参考として、高校入学に向けて心構えを持つことは大切です。 しかし通常、入学時には新入生を対象とした説明が行われるため、そちらをより参考にすべきです。 また日本の高校についての詳しい情報はwikipedia[https://ja.wikipedia.org/wiki/高等学校]を参照してください。 ---- == 高校は義務教育ではない == === 説明 === 高校は、義務教育ではありません。したがって、さまざまな事情により高校を退学することはありえます。そのあとに他の高校に入りなおす義務もありません。非行などに対する懲戒処分として、校長から謹慎や退学を命じられることもありえます。 日本では中学校までは年齢主義をとるため、1年間在籍しているだけで次の学年に進級できます。しかし高校では、規定の時間数以上の授業に出席をし、考査等で一定の成績を収めることが進級の必要条件です。つまり、出席や成績の状況次第で留年をすることがあります。 学校にもよりますが、中堅レベル以上の普通科高校の場合、高校の定期考査では、中学と比べて試験問題が難しくなるのが一般的です。教科書の内容が中学と比べすることが高度になり、また大学受験に対応するため、定期考査に難しい問題が出される場合があります。 このため、定期考査の試験対策をしないと、いわゆる赤点を取る可能性が高いです。赤点とは、定期考査等の結果が基準点を下回ることです。詳しい規定は学校によりますが、基準は「固定された点数(30点など)未満」や「平均点の半分未満」などです。赤点をとってしまった場合にはいくつかの処置がとられます。 # 補習参加の上、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習はないが、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習参加の上、課題を提出すれば合格とする。追試はない。 # 補習に参加すれば合格とする。追試はない。 これらの救済措置の結果、合格となれば進級できますが、不合格のままの科目を残している場合は進級ができず、留年となります。このあたりの規定は学校ごとに大きく異なりますので、詳しくは学校の先生の指示に従ってください。 === 転校 === また、高校では他校への編入はかなりハードルが高いです。遠隔地への転居などの場合でも現地の学校に自動的に入学することはできず、編入試験が課されます。 学校になじめず転学を希望したいという場合でも、通信制高校や夜間高校などへ転学せざるを得ないという場合もありえます。 == 科目の選択 == 高校では、履修する科目を選択する場面が多くあります。まず、学校ごとに開講される科目が異なりますので、学校を選んだ時点で履修科目の幅は狭まっています。その上で、高校に入学して以降も、様々な場面で科目を選択する場面があります。 * 主な選択科目(現行課程) ** 地歴科:世界史A・B、日本史A・B、地理A・B(世界史A・Bはどちらかを必ず履修しなければなりません) ** 公民科:現代社会、倫理、政治経済 ** 理科:化学基礎・物理基礎・生物基礎・地学基礎、物理・生物・化学・地学 ** 芸術科目:音楽、美術、書道、工芸 なお中学にある技術・家庭科の「技術」分野は、高校では取り扱われず家庭分野のみの家庭科となっています。普通科高校では、職業教育はありません。 高校の検定教科書の購入は、全科目とも学校教科書の販売を扱っている取次店(とりつぎてん)で買えます。自分が何歳になっても取次店で高校教科書を買えますので、高校生は検定教科書を入手したいだけなら、その選択科目を履修する必要はありません。 :(※ 検定教科書の購入方法については『[[小学校・中学校・高等学校の学習/検定教科書の購入方法]]』に解説がある。) === 芸術科目 === 普通科高校での芸術科目は、音楽・美術・書道・工芸の中からどれか一つを選ぶ選択制になっています。1年生でどれか1つを選択必修、他学年では開講しない、という学校が多いかと思います。芸術科目は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶのが安全でしょう。もし音楽を履修した場合、授業ではまったく美術や書道が取り扱われません。これはどの芸術科目を選んだ場合にも同様です。好きでもないことを、1年間も毎週2時間ほど練習することは苦行ですので、芸術科目の選択は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶべきです。 なお、現在の中学3年までの芸術科目が、90年代までは高校1年や2年で習っていた内容です。現在の高校1年の芸術科目では、「脱・ゆとり教育」などの影響もあり、90年代の高校芸術科目よりも細かく、専門性のやや高まった事を習ってますので、そういう点からも、興味の無い芸術科目は、履修しないのが無難です。 さて、もし美大・音大または芸術系専門学校などの芸術系の進路を希望する場合は、その分野の科目を履修しておくのが無難ですが、全生徒を対象とする芸術科目だけではどのみち練習量が大幅に不足ですので、外部の芸術系進路用の予備校などで習う必要があります。 なお、音大・美大・教育大を除く一般の大学では、芸術の授業が無い場合が大半です。このため、人によっては高校が最後の学校での芸術教育になる場合も多くあります。 === 文系・理系 === ==== 文理選択とは ==== 普通科高校では、多くの場合2年生次(一部は3年生次)<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190726-00010000-yom-soci&p=1 「『文系か理系か』早すぎる選択…受験科目に専念するため、大半が高1で決定」2019年7月26日読売新聞オンライン]</ref>に、文系か理系のどちらかの類型を選択することが一般的です。これは、普通科高校生の多くが目指す大学進学にあたって、入試に対応するためにはポイントを絞る必要があるためです。この選択は一度選択してしまうと卒業まで変更することは、現実にはできない(後述)ため、慎重に選択する必要があります。文理選択までに、進学したい進路先をよく考えておかねばなりません。 少数例ですが学校によってはコースが分かれずに、文系志望の生徒にも数学IIIなどの理系科目を教える文理両立の高校の場合もあります。たとえ文理両立の高校でも、3年生では選択科目が増えてきます。高校普通科の全科目を履修するのは、たとえ文理両立の高校でも、授業時間の制限のため、不可能です。 また、「国際科」・「理数科」などの普通科以外の進学系の学科では、そもそも入学当初から文理選択がなくて、その学科の類型のカリキュラムとなることが普通です。たとえば理数科では、そもそも全生徒が理系のカリキュラムになり、文系特化のカリキュラムは選べません。 ;私大の推薦入試に関わる 推薦入試で大学に入学するなら文理選択は関係ないかというと、そんなことはありません。私立大学の推薦受験(指定校推薦のほか、「総合型選抜」も学校推薦型総合型選抜という推薦の一種です)では、受験生に特定の科目の履修を条件づける場合があります。たとえば、私立の理系学部を推薦受験する場合は、条件として数学III、および進学先学科に応じた「物理」・「生物」・「化学」などの科目の履修を条件づける場合もあります。なぜ科目制限するかというと、科目制限しないと文系科目だけで好成績を取って、理系科目が出来ないのに推薦入学してしまう受験生が出現してしまうからです。 文系科目でも、一部の難関私大では、文系学部の推薦入試の要件に、地歴公民など文系科目での必要単位数を設けている場合があります。理系コースだとその出願単位数を満たせない場合があるので、文系志望なら高校では文系コースを履修するのが無難でしょう。 ==== どうやって選択するか ==== 文理選択をするにあたっては、進路先としてどのような大学・学部を考えるかを最優先しましょう。間違っても、科目の得意不得意で選んではいけません。後でつまらない思いをします。なお、勘違いされやすいことですが、英語は文系・理系ともに大学入試で要求されることが一般的なので、「英語が苦手だから理系」という選択はやめましょう。 また、「数学が苦手だから文系」という選択肢をとる生徒が少なからずいますが、こちらも先のことを考えると安易であるといえます。というのも、いわゆる文系に属する学部学科でも数学を使うことがあり、「文系なら数学を使わなくても済む」とは限らないからです。具体的には経済学部・経営学部・社会学部では入試の段階で数学が必要な場合もあります(有名どころでは慶應義塾大学経済学部や商学部、早稲田大学政治経済学部)し、入試で使わなくとも大学の授業では必修とされることは珍しくありません。 なお、芸術系大学・短大・専門学校の志望や、体育大志望などは、文系を選ぶのが無難です。内容が文系かというとそうではないのですが、少なくとも高度な理系科目の学力は要求されないためです。また、大学でスポーツ推薦などを受け入れている学部も、社会学部や文学部・経済学部など、いわゆる文系とされる学部です。経済学部は、日本では文系の学部として扱われます。企業からの視点も、経済学部卒を文系の人間として扱います。また芸術系卒や体育大卒も、企業からの視点では、彼らを文系の人間として扱います。 2020年代の現在、高大連携や探求学習があり、進学校の文系コースなどでは志望学科に近い分野の卒業論文のようなレポートなどを仕上げる学校もあったり、近隣の提携先の私立文系大学の授業を受けられたりなどの機会があるので、私大文系の推薦入試などで論文を自己アピール材料にできる場合もあります。このため、文系志望なら文系コースを選択するのが無難でしょう。 もし高校卒業後に浪人した場合、どんなに高大連携や卒業論文などの機会を得ようとしても、制度的に浪人生は不可能です(高校生以外はその機会がありません)。なので、高校在学中は志望分野にしたがったコースをそのまま選ぶのが安全です。 昔話ですが、平成初期のまだ探求学習の無かった時代ならば、文系志望でもあえて理系コースを選ぶという手法もありましたが、しかし令和の今ではその手法は上述の理由で時代遅れでしょう(高大連携などの利点を損失するので)。例外として、よほどの底辺高校で、文系コースが事実上の高卒就職コースとしてしか機能してない高校とかでない限り、平均以上の学力の高校ならば文系志望者は文系コースを選ぶのが無難でしょう。 現在、多くの大学の文系学科で、高校3年レベルの数学科目を履修でき、しかも大学の単位を取得できます(場合によっては高校2年レベルの数学で大学の単位取得できます)。底辺大学でなくても、です。このため、高校3年生の時点でわざわざ高大連携の機会を損失してまで、数学III・Cなどを履修するメリットは少ないのです。 ==== 「文転」「理転」について ==== 理系から文系にクラスを変える'''文転'''、文系から理系にクラスを変える'''理転'''も可能ですが、現実的にはどちらも厳しい道を歩むことになります。 一番の違いは数学の扱いでしょう。理系の場合、3年になってからも新しいことを3年の2学期終わり頃までは授業で習いますが、文系の3年生の授業では夏ごろには新たな単元は扱われなくなり、その後は入試対策や過去問演習などの復習が増えてくる、という特性があります。また、文系では理系の生徒が学ぶ科目である数学IIIは履修しない、理科の「基礎」でない科目は履修しないなどが一般的です。したがって、3年になってから理転しようとしてもスタートラインから極めて大きな差ができてしまいます。よって、文系から理系に「理転」すると、全く習ってないことが続出するので、大学受験対策が間に合わず、ほぼ浪人が確定です。 文転は前述の理転に比べれば多少はマシですが、古文漢文や地歴・公民での学習量などの積み重ねの差は小さくはなく、一般の生徒よりも努力しなければ文系のまま2年3年と進んだ場合に比べて進路が狭まることは否めません。また、学校によっては文理で地歴・公民の進度・内容が違い、2年次に習っていなかったものを文転してから改めて学ぶ必要が出てくる場合があります。当然、その分学習量が増えるため、「文転は理転に比べて楽」という噂を鵜呑みにしてはいけません。 == 推薦入試の時代変化 == === 特化型が有利 === 大学受験への総合型選抜によくあるシステムは、高校受験とは違います。 要求されるのは教科の高さではなく、英検などの保有資格です。たとえ難関高校で通知表が5段階中で全教科5であっても、英検準1級を取ってないと難関大学へは出願そのものが出来ません。 さらに、保有資格の合計点は要求されません。たとえば「英検準2級、ドイツ語検定4級、理系」みたいな子よりも、「英検だけ準1級」という子が評価されるのが日本の私大への推薦システムです。「英検準2級、ドイツ語検定4級」みたいな子は、そもそも難関大学の推薦には'''出願できない'''システムです。 英検などの保有資格で特定言語に特化した級の高さの上、さらに通知表が平均4.0以上などが要求されます。 このため、たとえば意欲的な高校生が、取得しなくても高校卒業できる科目(例えば一部の私立の進学高校の第二外国語)などで低い成績を取ると、かえって推薦が不利になります(最悪、出願できなくなる)。推薦に要求されるのは合計単位数ではなく評定の'''平均値'''なのです。 1990年代の大学改革での各種の新型の推薦の導入当初、どうも高校受験のようなものだと高校生が誤解したようで、90年代の当時は一部の意欲的な高校生が、学業と併行(へいこう)して色々な課外活動を頑張りましたが、しかし2020年代の令和の推薦システムは全くそういうシステムではありません。 1999年『分数ができない大学生』シリーズで、合計値ではなく平均値で見ると、かえって上述のように不公平になると既に指摘されていたにもかかわらず、一向に平均値順に評価するのを日本の難関私大は辞めていません。 美術とか音楽とかの才能に秀でた人を評価したいなら、べつに美術の一芸入試とかじゃなくって、3教科とか5教科の入試教科に美術や音楽の実技試験などを加えればいいじゃないかと1999年ごろにもう指摘されているにもかかわらず、そういう合計点を見るような改革は、日本の早慶マーチ的な大学受験では何も行われていません。 高校入試ですら、もうちょっと合計的な能力を見ていますが、日本の大学はそれ未満です。 あるいは、もし「合計点を見る方式が間違っている」とすると、その難関私大の指定校や付属校の高校への入試の選抜システムも間違っていることになるので、私大はもう言い逃れが出来ません。 日本の私大の受験システムは完全に矛盾しており、論理が破綻(はたん)しています。そういう矛盾を気にしない人が私大の総長をしているのです。 === 模試の確約システムは無い === 高校入試だと、模試の「確約」(かくやく)というシステムが私立受験でありますが、しかし大学入試の場合、私大受験にも模試の'''「確約」システムは無い'''のです。なお高校入試の「確約」システムとは、たとえば埼玉県の「北辰テスト」(ほくしんテスト)とか神奈川県・東京の「W模擬」や千葉・東京「V模擬」などの地域模試で高い偏差値を取った人を、私立高校の受験のさいに加点するシステムです。 英検やTOEICなど英語の資格以外に、外部テストは使えません。英語1教科だけです。たとえば駿台模試とか河合模試とかは、出願の要件に入っていません。 高校受験の地域模試よりも教科数が減っており、選抜方法が大学では劣化しています。 「模試が民間テストに過ぎず公的ではないので、不適切」だとすると(1990年代、自民党がこういう論調で高校受験の模試を批判しました)、その私大の指定校の多くも不適切な高校入試を行っていることになり、私大は論理破綻しており支離滅裂です。1990年代、私立高校入試の「確約」を自民党議員は批判したのに、彼らの主導する大学入試の推薦システムは、まさに、まるで英検による「確約」システムのようなものです。 === 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 === 総合型選抜についての、よくある勘違いとして、まるで高校入試の内申点のようなものだと勘違いする人が、後を絶ちません。しかし、両者はまったく違うシステムです。 大学にもよりますが、英検で一定以上の級(たとえば2級以上)を持っていないと(またはTOEICで同等のスコア以上)、難関大学へは、総合型選抜の出願そのものが不可能だったりする場合もあります。 たとえ部活と学業を頑張ろうが、総合型選抜の出願条件のクリアには、なりません。部活で全国大会にまで勝ち進めばスポーツ推薦などの入試に出願する要件はクリアできるでしょうが、しかしそこまで勝ち進めないかぎり、どんなに偏差値の高い高校で、部活と学業の両立をがんばろうが、そもそもの出願条件をクリアできません。 難関大学の総合型選抜の出願条件はたいてい、英検2級以上またはTOEICのハイスコアです。部活は出願条件ではないのです。 {{コラム|「総合型選抜」の英検重視の変化に注意| なお総合型選抜などの推薦の要件として、多くの私立大学で2020年代以降、高校での履修科目だけでなく英検2級以上やTOEICのハイスコアなどを要求している私大もあります。ほか、履修科目全部の評定平均がたとえば4.0以上<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>など要求する例もあります。英文科だけではなく歴史学科や経済学部<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>などですら要求されます。 大学によっては「英検2級以上」などの試験名の表現ではなく「CEFR B1以上」と表現している場合もあります。英語の資格は多々ありますので、共通した評価基準として CEFR (セファール)という国際基準があります。なお、CEFR という試験は無く、英検で上位の級に合格したりTOEICなどでハイスコアを取ると、CEFRでのランクが与えられる仕組みです。なお、CEFR B2が英検準1級、CEFR C1 が英検1級の合格に相当です。 難関私大だと総合型選抜で要求する水準が英検準1級 相当以上になる場合もあります<ref>[https://exam.52school.com/rikkyo/admissions/undergraduate/guidelines/J_guideline/pdf/J_24guideline.pdf たとえば立教(英検 準1級相当 以上)]</ref><ref>[https://www.chuo-u.ac.jp/common_d/connect/admission/2024/special/11_1.pdf 中央大の2種類ある方式のうち片方は外国語型で、英検 準1級相当 以上]</ref>。総合型選抜や自己推薦などによる入試方式をねらっている人は、履修科目だけに目をとらわれず、英検などの資格取得も必要な場合もあります。 {{コラム|大学の英語の授業の実態| なお、これらの難関私大で英検準1を総合型選抜に要求する理由の元ネタのひとつは、'''それらの大学の教養課程の英語の授業内容が、英検準1級の英語長文のレベルだから'''でしょう。大学によっては高校レベルの英検2級の英語しか授業で要求しない場合もあるのですが(なぜなら学部専攻の科目(たとえば経済学部なら経済学が専攻)で忙しい。ほか、第二外国語(ドイツ語やフランス語など)が始まるので)、しかしそれでも大学によっては英語の授業で英検準1級を要求する大学もいくつかあるようです。 余談ですが、大学では専攻や第二外国語が忙しいので、実は大学では一般的な英語力は、直接的には それほど向上しません(例外として、英文科や国際系学科の以外は)。経済学などの専門用語とかの英語は専攻が経済学なら覚えますが。私大のパンフレットとかにある、やれ「留学」「海外姉妹校」だの「充実した語学教育」だのなんだのは、まあ宣伝です。誇大広告ですが、まあ大学側からすれば「努力目標」とでも言い訳できます。 }} ともかく大学の推薦入試について、親世代・昭和後半の生まれ世代での大学推薦入試の常識とは少し変わっていますので、注意しましょう。 ただし履修科目の高度性と英語資格とを両方を要求するのは、よほどの難関大学の難関学部以外では基本的には無いので、直接的には生徒個人にとっては両立をめざす必要性は低いのですが、しかし高校全体での大学合格実績に関わってきます。高校の大学合格実績が将来的に高くなれば、そのぶん卒業後の出身校の指定校推薦の枠も増えるので、出身高校の評判が上がっていき将来の自分の評判も上がるわけです。 }} ほか、基本的に'''探求学習は求められていない'''のが総合型選抜の実態です。よほど探究論文などで日本有数の成果を出せないかぎり(そしてそれを大会などに出場して高評価を得たこと客観的に証明できないかぎり)、英検準1級や2級やTOEICハイスコアを持ってなければ英検・TOEICなどの足切りにかかってしまい、出願そのものが不可能になってしまうからです。よって、少なくとも、探求学習の業績は二の次です。そういう出願基準になっています。 文科省は建前としては探求学習と総合型選抜を関連づけて喧伝しているかもしれませんが、その建前は実際の大学入試では崩壊しています。つまり、文科省の行政は失敗しました。また、「高大接続改革」についても必然的に、例外として志望校そのものと提携している高校に在学でもしてない限りは、あまり総合型選抜には関係ないのが実態です。少なくとも、英検など英語資格で足切りしている大学では、その級以上を保有してないかぎり、高大連携の授業をどんなに頑張ろうが、出願そのものが足切りのせいで不可能です。 さて、総合型選抜では、「事前課題」として小論のテーマが大学側から与えられます(事前課題方式の総合型選抜の場合)。よって、自分でテーマを選ぶことは基本、総合型選抜では、無いです。作成する書類の呼び方は「小論」ではなく「レポート」と言われるかもしれませんが、基本的に400文字~1200文字ていどであり、採点の都合があり、少し長めの小論文くらいの長さなのが実態です。 また、記入用紙のデータは大学側が用意または指定するのが一般的です。なので、プリンタが無いと、受験不可能です。 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視になっています<ref>[https://studychain.jp/324/ 『指定校推薦の校内選考とは?いつ?落ちる?校内選考を解説』2023/12/21 ]</ref><ref>[https://www.池内塾.com/bby/daigakujuken/suisentoeiken.html 『指定校推薦にも英検が影響します。』]</ref><ref>[https://tendoblog.com/20210829-2/ 『指定校の出願に英検が必要な大学 2021版/評定平均以外の出願条件まとめ 』 2021.10.17 ]</ref>。昭和の常識とは違います。 落ち目の高校からの指定校で学力不足の子が進学したら大学側は困るので、大学によっては英検などの条件を追加し始めています。 === フンボルト理念とは違う「総合型」選抜 === ;フンボルト理念に違反する英語特化型の総合型選抜 私大の総合型選抜は、けっして総合力を要求していません。 たとえば英検準1級以上を出願の要件にしている大学は、どんなに英語以外の数学とか物理も勉強していても、英検も2級に合格して高校レベルの英語力を証明できていても、なのに英検準1級以上でないかぎりは出願の時点で不可能であり、足切りされてしまうのです。英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも、理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが、私大の「総合型選抜」です。 つまり私大の「総合型選抜」は単に、既存の一芸入試などの選抜方法やら数学オリンピックとかの、ともかく大学で使えそうな一芸入試を'''併合'''(へいごう)しただけです。英語一芸入試とか数学一芸入試を併合しただけです。「人種のサラダボウル」みたいに、まじりあってないものを併合・混合しただけです。けっして「人種のるつぼ」のように混合して化学変化を起こしているわけではありません。 このため、英語特化とか数学特化みたいに、一点特化型の選抜になっているのが「総合型選抜」です。つまり総合型選抜はサラダボウル型入試です。 学問的に重要なこととして、難関私大の教育学における総合型選抜は、教育学でいう'''フンボルト理念に違反'''している選抜方法になっています。フンボルト理念とは、初等中等教育あたり(小学校入学 ~ 高校卒業まで)において、どういうわけか国数英理社の5教科をぜんぶ教えると、教育成果が高い、という経験則にもとづいて、なるべく5教科全科目を教えようとする教育方針のことです。 :※ 小中校の教育についての「フンボルト理念」と、大学教育についての「フンボルト理念」とは違います。このページでは高校教育の話をしているので、小中高の教育のほうのフンボルト理念です。この小中高の教育については「フンボルトの人格形成の理論」とか「フンボルトの陶冶(とうや)の理論」みたいにも言います。Bildungstheorie が元の語であり<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/csssej/21/0/21_23/_pdf/-char/ja 宮本 勇一 著『教育課程改革に対するフンボルトの陶冶理論の今日的意義』 ]</ref>、英語だかドイツ語だかでビルドゥングスとも言います。 :※ なお、大学教育のほうのフンボルト理念については、ドイツの教育学者フンボルトの名を冠した1810年ごろからの理念ですが、しかし2001年のドイツの教育学者シルヴィア・パレチェクの教育史の研究によると、実際はアメリカで発祥した教育理念の可能性が高いとのことです<ref>[https://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/246.html 潮木 守一 (桜美林大学大学院招聘教授)『「フンボルト理念」とは神話だったのか?-自己理解の“進歩”と“後退”』 ]</ref>。なお、その発祥元のアメリカすら、ドイツのフンボルト理念の権威を信じて、ドイツにエリートを留学して、教育学をドイツからアメリカに持ち帰ったとのことです。 :※ 大学のほうの「フンボルト理念」は、教育と研究を一体とするものです。つまり、フンボルトよりもずっと前の時代は、学生は基本的に研究をせず、したがって学生参加のゼミなども無かったのが当時の大学の実態でした。それを改革して学生にも研究させようぜっていうのが、上述のようにドイツとかアメリカとかの大学です。 簡単そうに英検2級とか言いますが、しかし実際の現役高校生は数学とか理科とかも勉強した上で英検も取るわけです。理系志望の高校生なんか、数学IIIと専門「物理」・「化学」・「生物」とかを勉強した上で、その上で英検2級をとるのは、かなりの負担です。 その英検2級ですら負担なのに、英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが私大の「総合型選抜」です。 もちろん、こんなのが「総合」でないことはもう2001年くらいに教育界隈では分かっており、ヒットした書籍『分数の出来ない大学生』シリーズで、慶応大教員の数学者の戸瀬信之(とせのぶゆき)などによって(なお、戸瀬本人の学は東大の数学科出身)、当時の「総合学習」型重視の大学入試の形骸化を批判して、おおむね発言内容「数学も見ないのに、何が総合だ」みたいに批判していました。それから20年以上たっても、何も改善出来てないのが日本の私大です。 戸瀬は当時から「英会話とかができるよりも、(数学なども含む)5教科の学力を国際的なレベルにまで高めるほうが重要だ」みたいな事を言っていました。英語ができるだけの人なら、米英に行けば無職でも出来ます。 べつに2001年に戸瀬が発見したわけではなく、芸人のビートたけしの中高生の時代、母の 北野さき さんは、たけしの兄[[w:北野大]](きたの まさる、1942年生まれ)が高校時代で大学受験のとき、「英文科に行きたいか、理系に行きたいかで迷ってる」みたいなことを言った時、「英語は米英ならルンペン(遊民。今でいう無職みたいなの)でも出来る」と諭して(さとして)理系の学部に進学させたほどです。 べつに、「私大の英語特化型の入試が悪い」とは言ってませんが、しかし少なくともフンボルト理念には明確に違反しています。英語だけではフンボルト理念の理想でないことは、上述のたけしの兄のエピソードからも分かるように昭和の時代から分かっていることです。平成の時代も、戸瀬信之の例からも分かるように、英語だけではフンボルト理念ではありません。 フンボルト理念そのものに学問的な疑いがあるなら大学人はそういえばいいと思いますが、しかしそういう話を早慶マーチからは聞きません。その早慶マーチの私立大学に教育学部もあったりするのですが、なんとも思わないのでしょうか。 == 高校の部活の問題点 == === 探求学習に部活制度が対応していない === 総合型選抜(AO入試)対策などとして部活の問題点を考えた場合(情操教育とかそういう議論はキリがないので考えないでおきます)、部活の制度の致命的な問題として、部活の制度自体は、昨今の「探求学習」に対応していません。 ==== 放課後探究や課外探究など ==== 探求学習のためには、自分の興味ある分野を積極的に調べる必要があります。高校のなかには、夏休み<ref>[https://www.toshimagaoka.ed.jp/education/inquiry/ 『探究的な活動 | 豊島岡女子学園 中学校・高等学校』 ]</ref>や放課後<ref>[https://www.hs.reitaku.jp/39820/ 『放課後探究活動 “ReaLab” がスタート! | お知らせ | 麗澤中学・高等学校(千葉県柏市の中高一貫・共学校)』 ]</ref><ref>[https://www.komabagakuen.ac.jp/news/?p=6887 『探究の部屋へようこそ! - 駒場学園高等学校』2022.09.06]</ref><ref>[https://kaga-teiju.jp/archive523/ 『探究学習で魅力ある高校に! 加賀市だからこそ学べる教育で、グローカル人材を育成する。』2023年8月29日 ]</ref>などの課外活動でも探求しています。 「私大のAO入試(今は「総合型選抜」と言う)の対策のために部活動をしているのに、その部活動のせいで、探求学習が大してできず、不利になってしまった」なんて事にならないよう、調節をしてください。 例外として公式大会で全国大会の出場などをねらえる強豪校などでないかぎり、探求学習の時間の確保を忘れてはいけません。決して「放課後を全部、部活で使ってしまい、図書館で調べ学習のための本を借りる時間が無い」なんて事にならないようにしてください。 なお、トーナメント戦の公式大会では、原理的に半数は1回戦で敗退します。「一回戦敗退」と聞くとなんとなく弱そうに見えますが、しかし実は半分の人数の参加者は初戦の1回戦で敗退して終わるのです。2回戦敗退までに、なんと当初の参加者の75%もが敗退します。 世間の人はどうも、部活に対する労力の投資効率を勘違いしている感じがします。どうも、「自分たちのチームが平均的な強さなら、4回戦くらいまでは進むだろう」みたいに世間は錯覚していそうです。しかし違います。平均的な強さのチームは、1回戦~2回戦で敗退なのが、トーナメント方式の原理です。 また、これを読んでいる学校教育関係者は、もし自校の部活の時間が長大な場合、考え直してください。 「歴史部」とか「科学部」みたいな部活そのもので探求を行う部活ならば別ですが、そうでない野球部とか吹奏楽部とか言った探究を行わない部活については、昭和のような長時間の部活のままでは問題です。 探究をする場合、決して単に読書をするだけではなく、さらにそれをレポートにまとめて体系的かつ分かりやすく説明できなければいけません。このため、時間が掛かります。 また、探究の大会イベントがあります。生徒は可能なら、地域などの教育団体や受験産業や私大の主催する「探究コンテスト」などに応募するのも良いでしょう。また、教師側は、生徒にそういう大会の存在を教えなければいけません。 生徒の側も、自分で少しはどのような大会があるかを調べる必要があります。昨今の高校の先生は忙しいので、生徒側が自分で積極的に調べる必要があります。 ==== 放課後講座や放課後補習 ==== * 私立の放課後講座 上記の放課後探究とは別に、進学校では、放課後に英語や数学などの講座が週に1日ずつ(英数で合計2日の放課後ぶん)開講されている場合もあり<ref>[https://koutoubu.kaichigakuen.ed.jp/schoollife/ 『学校生活 | 開智高等学校 - 学校法人開智学園』]</ref>、そもそもの部活の時間数が、私立進学校は元から少ない仕組みなのです。 * 私立の放課後補習 ほか、他校でも、定期テスト以外に小テストがたびたびあり、成績の悪い人には放課後などに補習があります(放課後補習)。もし定期テストの結果が悪くなると、推薦の要件である評定平均の基準が満たせなくなるので、現代の進学校の高校では、こういう補習が昭和よりも多いのです。テスト前に補習をみっちりやって、推薦のための評定平均を確実に確保させるのです。 こういった放課後探究や放課後補習などのため、進学校では、そもそもの部活の日数そのものが他校よりも少ないのが正体なのです。 現代の総合型選抜や公募推薦の要件として、評定平均が要求されます(たとえば通知表の5段階評価で4.0以上とか要求されます)。また、評定平均のつけかたは、昭和は相対評価でしたが(「4」以上はクラスの何割の人数までとか昭和の時代では人数制限があった)、現代では絶対評価に変わっていますので、5段階評価で4以上の成績を取る人が多くても現代では問題ありません。 この評定平均の水準もまたトンデモであり、高校偏差値のどんなに低い 高校偏差値37高校の評定平均4.0以上でも出願条件の一つをクリアできてしまいます。逆に、高校偏差値のとても高い、高校偏差値70台の進学校での評定平均4.0以上をもし生徒が満たせないと、総合型選抜に出願できなくなってしまうのです。つまり、出願条件では高校偏差値に関係なく、同等に扱われてしまいます。 高校偏差値30台の底辺高校が、生徒に英語ばかりを勉強させて英検だけ2級や準1級ととらせれば、あとの国数理社などの教科はザルな定期テストでもいいので全科目で評定平均4.0以上をとらせれば、難関大学の出願条件クリアになってしまうのです。 進学校は対抗のため、なんとしても4.0以上を生徒に取らせる必要があり、だから補習 三昧(ざんまい)で、定期テストで高得点を確実にとらせるのです。でないと、高校偏差値37の生徒に、総合型選抜の枠がうばわれていまいます。 「低偏差値高校と高偏差値高校とで、別々の定期テストを受けているのに、総合型選抜の出願基準で要求される評定平均が同じ数値」という不公平があります。そして負担を負うのは、高偏差値高校の側です。 本来、底偏差値高校と進学校の定期テストは、まったく別々の難度の定期テストなのですから、大学側は本来、定期テストの難度や要求される習熟度に応じて、出願条件にある評定平均の基準値を変えるべきですが、しかし大学側はそれを怠っています。 部活の制度は、まだロクにインターネットも何も無かった、ネットで調べられなかった時代の遺物なので、現代のAO入試などの受験制度に対応しておらず、決して放課後をフルに部活に投入してはいけません。 ==== 中学の時点で部活の時間が少ない中高一貫校 ==== 地味な差ですが、中高一貫校では、中学段階の時間割も、高校に準じた時間割なので、そのため授業時間数が長く、週に2日、午後4:30まで中学でも授業があったりします。これは国公立の中高一貫校でも同様です。実際、神戸大学付属の中高一貫校の時間割がそうなっています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/curriculum/education/ 『教育課程 | 神戸大学附属中等教育学校』]</ref>。(なお、一般的な公立中学では、午後3:30までが授業です。) このように、進学校では時間割などで元から、部活に与えられられた時間が少ないのです。 けっして、べつに部活と学業の両立が上手いのではなく、そもそも部活の時間が少ないのが、上述のいくつもの進学校を調査した結果の事実です。 {{コラム|総合型選抜| なお、私大でも、総合型選抜の枠は意外と少ない大学も多くあります(多くが指定校推薦や付属などから受験生を取る)。たとえば同志社大学と近畿大学は、総合型の枠がかなり少ないです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=1dwCtMmUDqI (動画)山内太地 『高大接続改革は失敗なのか?!関西の高校が探究をがんばれない理由があった!』、2022/10/13 ]</ref>。なので、あまり総合型選抜対策(つまり探究)だけに時間を投入するのも問題です。基本は学校の勉強と一般入試対策です。 '''総合型選抜は専願'''なのが普通です。他大との総合型選抜の併願は困難な大学が多くあります<ref>[https://you2.jp/labo/6174/ 『総合型選抜や学校推薦型選抜は「併願」できる?―「一校ルール」を突破しよう | 洋々LABO』 ]</ref>。このため、年明け前は1校しか大学受験できないのが基本です。たとえ募集要項では「専願」という言い回しでは書いてなくても、「合格後の入学を'''確約'''できる者」とか「本学への入学を'''第一志望'''とする者」など確約・第一志望などの条件があれば、それは専願という意味です。 なお、私大の総合型選抜の出願の要件として、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求して足切りとしている私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。 ほか、総合型選抜の推薦の要件としてよくあるのは評定平均 4.0 以上とかですが、しかし評定平均は高校によって採点の基準が甘かったりするので大学側が信用していないのでしょう。そのため、足切りとして英検2級以上などを大学側が要求しているのでしょう。2020年以降の現代、評定平均のつけかたは絶対評価です。昭和生まれ・平成初期生まれの世代は評定平均が絶対相対(3.0が平均だった)のです。今は「評定平均4.0以上の生徒です」と言っても平均より優秀かどうか不明ですので、それだけでは信用できません。 難関大学などだと、総合型選抜のエントリー期間が9月中の場合もあります。それ以降は志願できません。 ほか、総合型選抜に限った話ではないのですが、合格しても、入学手続きの締め切りが短く、4日間くらいしかないような大学も多々あります。出願方法がweb出願に限る大学、または合格発表がweb出願に限る大学もあります。 }} == 大学の部活動の問題点 == :※ 高校生活というより大学生活かもしれませんが、しかし高校3年のさいの志望校決めに大きく関わってきますので、とりあえず、ついでにこのページで紹介します。(大学進学後に問題点に気づいても、遅いので。) === 音楽室など教室の問題 === ==== 芸術・家庭科の設備の不足 ==== 一般的な日本の大学では、部活について、体育以外の音楽・美術・家庭科などの分野の設備が不足しています。どちらかというと、日本の大半の大学では、比較的に体育科目だけ、音楽などよりも設備が充実しています(体育館の充実など)。 もし読者が、音楽・美術の分野を、高校の授業以上に学習・練習することを志望する場合、決して「大学に合格してから 吹奏楽部/美術部 に入ろう」なんて考えずに、高校のうちから希望の分野に近い部活に入ることを強く推奨します。 具体的に言うと、文学部・経済学部・法学部や理系の学部などの多くの大学で、高校のような体育館(あるいは高校以上の体育館)は存在するにもかかわらず、一方で高校のような音楽室も美術室も存在しない場合が大半でしょう。 このため、もし読者が将来的な大学進学を予定している場合、たとえば「大学に入ってから美術を勉強しよう」などと思っても、高校のような美術部の訓練を大学ではあまり受けられない場合もあります。 そもそも、多くの大学で、美術教師も音楽教師もいない場合もあります。なぜなら、美大・音大ではない一般の大学には、そもそも美術科目や音楽科目の授業が無いからです。 かつて大学の必修科目で体育科目がありましたが(平成の規制緩和で現代では体育は必修ではなくなっている)、しかし音楽・美術・家庭科などは元から一般の大学では必修ではなく、そのため一般の大学では科目の存在自体をしてないのが普通なのが美術・音楽・家庭科などの実情です。 あるいは音楽の場合なら、仮に大学に音楽室が存在したとしても、例えば大学の音楽室なら一般の教室をすこし防音化したものにすぎず(たとえばガラス窓が単に2重窓になったのと、教室入り口のドアが分厚くなっただけで、他は一般教室と同じだったりする)、あまり音楽室(のようなもの)が本格的でなかったりします。このため、大学の音楽系の部屋では使用できる楽器が限られる場合もあります。 ただし、多くの大学で運動部が存在するので運動部の応援のために吹奏楽部が存在するのが普通なので、まだ吹奏楽部はなんとかなります。軽音楽サークルはどうだか知りませんが、多くの大学で軽音楽サークルが存在していますので、なんとかなるかもしれません。 問題は、美術です。美術室に限っては大学では存在すらしない場合もあり、一般の教室や部室などを流用したりする場合もあります。このため、油絵など有機系の塗料を使うものは大学では描けない場合もあります。水彩の絵の具を大学で使うのも、なかなかキツい場合があります(家で絵の具を使うことになるかもしれません)。 たとえば私大とその付属高校によっては、私大本体よりも付属高校のほうが音楽・美術に関する設備が上回っている場合すら、ありえます。 このため、「大学に入ってから〇〇(音楽・美術など)の部活を始めよう」とか思ってると、高校以下の設備、顧問からの高校以下の教育で始めることになってしまいます。なので、音楽・美術の部活に入ってみたいと思っている場合、高校から始めるのが安全です。 そもそも大学の場合、吹奏楽部やイラスト系部活・同好会の顧問の教員が、その科目の専攻でない場合もあるかもしれません。 ==== 体育設備の注意点 ==== '''校庭の無い'''私立大学もあります。 大学の体育の設備について、都心23区内や京都・大阪などの中心街にある私立大学の場合、一見すると室内の体育設備が充実しているようにパンフレット紹介されていたりする大学もありますが、よくよくネットで公式情報を調べると都心キャンパス・中心街キャンパスにそもそも'''校庭の無い'''私立大学も多々あります(大学での体育の授業は室内ばかり、とか。部活の運動部はキャンパスから電車で行くレベルで離れた郊外の練習場を使っている)。「存在する設備」だけでなく「存在しない設備」にも注意しましょう。 高校の場合、1年ごとに体育が週2~4時間だったりするのに、一方で大学では4年間で体育が週に2時間だったりします。大学は科目の選択の自由度が高いので、週2時間以上の時間数の体育科目を授業で受けられる場合もありますが、しかし専攻科目の授業の増大により、時間的に必修以上に体育などの科目に充てるのは難しくなっているのが21世紀の現状です。 都心でない郊外でも、体育設備が歴史的な経緯で比較的に充実しているのにかかわらず、21世紀では大学の授業が難しくなったりと忙しくなり、せっかくの体育設備がそれほど使えない場合もあります。 ;理科室の少ない大学も・・・ なお理科室も、高校は 生物室 ・ 化学室 ・ 物理室&地学室 とかで3室以上があったのに、一方で大学だと、大学によっては「第一理科室」「第二理科室」みたいに理科室の数が2室に減っている場合もあります。 もしかしたら小・中学校みたいに大学でも理科室が1室かもしれません(大学にも寄る)。大学の進学前に、事前に覚悟しておくこと。 まあ、中学技術家庭科であった木工室・金工室などは高校には無いし、(教育学部や工学部以外の)多くの大学にも当然ながら無いです。まあ、木工や金工はイザとなれば、近所のホームセンターで工具を買ってきて自分で工作すれば済みます。設備が必要な場合でも、市町村の職業訓練所みたいな公共施設もありますので、その分野に就職する気になった場合は職業訓練所も参考に。 === サークル部室が少ない大学も・・・ === 大学では、土地不足や、学生運動の対策などで、部活や同好会などに各部の専用の部室が無い場合もあります。大学の場合、「学生会館」などの名前のサークル棟で他の部活とまとめて、時間や月日を決めて期間限定で借りるシステムになっている場合もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 弱小の部活でも専用の部室があるのは、高校卒業までです。なので高校時代に部活を楽しみましょう。 理科系の大学や国公立の大学など、サークル棟は狭かったり、校舎から遠かったりします<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 === 医学部と法学部では部活動は困難 === 医歯薬系など医療系の大学なんて学業も忙しいので、国公立の医療系学部の場合、もはや文化祭の出し物の練習などしている暇はありません。たとえば、医学部のある総合大学の文化部の出し物を見ても、メンバーの学科には医学部の部員は基本、いません。理系メンバーがいるとしても、せいぜい工学部や理学部などです。工学部といっても、国際情報なんとか学科だの社会情報なんとか学科だの、そういった学際分野の人かもしれません。 運動部などだと、テレビ番組でも大学駅伝や大学野球を見ても公式大会に出場するのは文系の学部学科の人ばかりなので、運動部については理系の学科では学業と部活動との両立が難しいと知っている読者も多いと思います。実は文化部でも同様、理系の学科では学業と文化部との両立は困難です。 見落としがちですが法学部も同様、国家試験などを目指す場合には学業と部活動との両立は困難です。官僚や、裁判官や検察や弁護士などの法曹、などへの就職を考える場合、法学部は、部活動をあきらめる必要があります。 官庁に限らず市役所や都道府県庁など、多くの役所への就職活動は、年齢制限があります。このため、専門以外のことを練習する時間は、(採用試験にある教養試験の対策を除けば)あまり、ないのです。 公務員で、年齢制限がほぼ無いのは(ただし定年に近いと、さすがに業界未経験者は不採用)、たとえば公立小中学校・公立高校の教員などです。しかしそれは、教職課程や教育学部の話であるので、法学部の就職先とは異なります。 法曹とは、弁護士・裁判官・検察の3つです(「法曹三者」ともいう)。これら法曹三者では、司法試験への合格が必要です。さらに、司法試験の受験資格は「ロースクールの修了から5年以内に5回まで」という時間的な制限があります。 このため、司法試験が必要な職業では、大学院に入ってしまうと部活動は無理です。実質的には、学部の段階でもう、司法試験志望者には部活動は無理です。 さて、官僚や裁判官や検察などの法曹には、高い専門性が求められます。しかし、教養については、高さと広さは求められないのです。あくまで、学歴フィルターに引っかからない程度の学力と、それらの放送の採用試験の「教養問題」で高得点を取れる程度の教養があれば十分なのです。 それ以上の教養や分野外の知識については、法曹の仕事では専門家に依頼します。 たとえば裁判で、自動車事故を扱う場合でも、裁判官は自動車工学や道路工学なんて知らないので、工業大学や自動車メーカーなどの専門家にアドバイスをもらいます。このように、裁判官には、専門家にアドバイスをもらう制度があります。(鑑識(かんしき)や鑑定(かんてい)などの制度です。) 官庁でも、たとえばスポーツ庁が文科省の管轄だからといって、文科省の役人の多くにはスポーツの腕前は不要です。文化庁は文科省の管轄ですが、文科省の役人の多くは、楽器もロクに演奏できないし、絵の画力も人並みでしょう。 官僚や弁護士などの国家試験や採用試験を目指さないなら、法学部でも部活動との両立は可能ですので、私学などのスポーツ推薦で法学部に入学している人もいると思います。 だから、テレビの大学駅伝や大学野球などの選手に、法学部の人もいるかもしれません。 しかし、官僚などを目指す場合、基本的には部活動との両立は困難です。部活動に在籍することは可能ですが、しかし公式試合などの出場などができるほどに技量を高めるトレーニングを積むのは、時間的に、国公立の法学部ではとても困難です。 === 大学の宗教サークル === そのほか、大学のサークル活動の問題点として、一部の悪質な宗教系のサークルが、正体を隠して新入生などに勧誘活動している、という実態もあります<ref>三菱総合研究所・全国大学生活協同組合連合会・日本コープ共済連生活協同組合連合会 著『大学生が狙われる50の危険』、青春出版社、2023年2月2日 発売</ref>。 大学進学した際、サークルより部活動に入ったほうが良いと教員が個人的意見を言ったりするのには、このような事情もあるかもしれません。もちろん、多くのサークルはマジメにサークル名通りの活動をしていると思いますが、残念ながら一部の詐欺的な悪質サークルを、日本の大学では排除できません。 やはり部活動などは高校時代のうちに熱心に活動したほうが良いでしょう。 大学の文化祭などに行くと、そういった悪質サークルにも遭遇してしまいます。なので高校生のうちは、文化祭を見るなら、高校(自校も他校も)の文化祭を重点的に回るのが良いでしょう。大学のサークルには期待しないほうが良いでしょう。 === 高校図書室・大学図書館の音楽書や美術書などの問題 === 部屋だけの問題ではありません。大学の図書室の蔵書と、高校の図書室の蔵書の関係も、似たような問題があります。具体的に言うと、高校図書室の音楽書・美術書のほうが、大半の大学の音楽書・美術書の本棚よりも本格的かもしれません。 なお、大学の「教養課程」というので習う科目の「経済学」「法学」「英語」「ドイツ語」「フランス語」(ドイツ語・フランス語は「第二外国語」でよくある)「数学」「理科」などは、さすがに高校よりもレベルの高い専門書が大学の図書館にそろえてあります。(「体育」は教養課程でありますが、あまりスポーツの技法書とか大学図書館には置いてありません。) しかし、その教養課程から外れる、音楽・美術とかの専門書、あるいは演劇部のための演劇書など部活動のための専門書については、高校よりも大学図書館の蔵書レベルが劣るか、ハナっから蔵書が無いとかだったりします。大学の進学前に覚悟すること。 まあ、書籍については高校卒業も一般の書店で購入できるので、あまり高校時代に急いで読む必要はありません。ですが、できれば高校在学中に図書室にどんな蔵書があるかは確認しておくと、後々の人生で、大学の専攻以外の分野での良書を確認するのに役立つかもしれませません。 大学の場合、たとえ総合大学やマンモス大学であったり、あるいは教育学部を持っていても、学部や学科によって校舎が他市町村レベルや下手したら他県レベルで離れていたりするので、そのせいで、大学生が学部の専門外の内容の蔵書を確認するには、異なる学部の蔵書を確認する必要があり、したがって異なる地域の校舎の蔵書を確認する羽目になり、ともかく大学だと専門外の書籍の確認がかなり面倒です。 大学図書館が、日曜日だと閉館している場合がよくあります。多くの大学の図書館では、授業中の月曜~土曜が開館日なので、よって日曜が閉館日なのです。このため、仮に大学生が「日曜日に大学の他学部の図書館を見学しよう」とか思っても、しかし日曜日はその他学部の図書館が閉館しているので蔵書を見れません。なので、高校在学中に、将来的に進学しそうな分野の専門外の書籍についても、高校図書室で蔵書を確認したほうが良いでしょう。 高校時代に、図書室の蔵書を全体的に眺めるだけでもいいので、眺めておきましょう。大学は学部の専門外の分野になると蔵書が高校よりも劣る場合が大半です。 == 特別活動 == === 基本 === 授業以外の活動にどう取り組むかは、校則に触れない範囲で個人の自由です。 中学校と異なるのは、大学入試には部活の実績や委員会活動・生徒会活動などの活動実績は要求されておらず、一般入試では部活などの活動実績があっても試験結果には加点されないということです。調査書の提出はありますが、高校入試と違い、高校卒業見込みであることの確認に使われるのみで、内容はほぼ考慮されません。 推薦入試や総合型選抜(かつての「AO入試」)を行っている大学では部活などの実績が考慮される場合がありますが、基本的に、多くの高校生は一般入試で大学進学することになります。それを踏まえたうえで、特別活動に力を入れるも入れないも、個人の自由です。 なお、総合型選抜をよく行っている大学と学部は基本、私大の文系学部です。一応、例外的にいくつかの国公立大学や理系の学部でも小さい枠で総合型選抜などを行っていますが、国公立では対象となる大学は少なく、また、理系学部では総合型選抜は基本的に無い傾向です。 ただし、医歯薬系や看護など医療系の大学では一般入試に面接などがあるので、その面接において部活や委員会活動の活動実績についても聞かれる可能性があります。とはいえ、いくら「医者は体力勝負」とか言っても、スポーツがいくらできても肝心の勉強ができなければ不合格なのは言うまでもありません。 また、理系の学部の入試で自己推薦入試を受験する場合、一般に評価される活動は決して部活ではなく、大学によりますが数学オリンピックとか全国高校化学グランプリなど、高校の学外での理系の公式大会での成績だったりします。(たとえば早稲田の理工はそうです<ref>[https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2022/08/2022_AO.pdf 『』P224] 2023年12月08日に閲覧. </ref>) 指定校推薦と総合型選抜は、まったく異なった受験です。混同しないように。指定校推薦で必要なのは基本、よほど授業態度が悪いとか出席日数が極端に悪いとかでない限りは、必要なのは高校時代の定期試験での高得点です。いくら部活で部長をしようが、委員会で委員長をしようが、それは指定校推薦の条件には基本的に関係ありません。 大学によっては、体育大学の体育学科の推薦をもらいたいなら運動部の公式大会での成績とかも考慮事項になるかもしれませんが、それは指定校というよりも自己推薦型入試でしょう。 例外的に、体育大と高校の運動部の大会の成績とか、音大と高校生音楽コンクールの順位などのように、高校の部活の内容が志望大学の学業と直結するものでもない限り、部活動の成績よりも普通の教科の成績が指定校推薦では優先されます。 なお、指定校推薦による募集を行っているのは私大です。 ;スポーツ推薦など また、いわゆる「スポーツ推薦」は、制度的には「特別推薦」というものです。スポーツ推薦は、指定校推薦ではありません。特別推薦では、学校長の推薦書は必要ですが、しかし指定校とは違って高校に枠が割り当てされていません。 このため、たとえばスポーツの苦手な人が、どんなに偏差値の高い高校に入って、そこで運動部に入って部長をしようが、全国大会や関東大会(関東地方の高校の場合)などの公式大会などで高い順位を取らないかぎりはスポーツ推薦はもらえません。 ;芸術などの推薦や総合型選抜 高校の音楽コンクールや美術コンテストなどでの全国大会とかの推薦や総合型選抜については、大学や学部学科ごとに傾向が大きく異なるので、早めに志望業界の学部の募集要項などを幾つか確認してください。 たとえば、音楽志望の場合、教育学部の音楽教師の学科を考えている場合なら、いくら音楽だけが得意でも、肝心の5教科の学業が苦手だと教員採用試験に合格しない可能性が高くなるので教師としては不適格です。なので、教育学部の受験では、音楽だけしか出来ない人は、よほど音楽の業績が優れていない限りは、不合格になる可能性が高いと考えられます(教師には高めの学力が要求されるので)。 いっぽう、文学部や経済学部では、特に必須の国家試験とかありませんので、教育学部ほどは受験で学力を要求されない可能性もあります(大学にもよる)。 このように、学部や学科によって、要求される学力の程度が違うので、ある程度は傾向を把握したうえで高校生活を送るのが受験対策としては安全です。 例として音楽をあげましたが、美術と美術教師の学科でも同じですし、演劇部などでも同じです。 === リンク(※未完成なので読まなくていい) === * 部活での文書管理などのノウハウについては、右のリンクが予定されていますが、未完成です(※ 現状、読む必要はありません)。 リンク:[[高等学校部活動]] == 普通科高校と実業高校 == 普通科高校は大学進学を目指す生徒に特化したカリキュラム、実業高校は高卒での就職を目指す生徒に特化したカリキュラムが組まれています。また、実業高校が持つ企業とのパイプも普通科高校は持っていません。したがって、高卒で就職する場合は、実業高校卒の方が有利です。家庭の経済事情で、大学への進学が難しい家庭はこの事に注意してください。いっぽう大学進学は、工業高校や商業高校などの実業高校の卒業生でも、法的には問題なく大学受験が可能です。ですが、現実的には大学受験は普通科高校生の方が有利です。特に職業高校への進学にこだわりが無ければ、将来的に大学進学したいなら、普通科高校を卒業したほうが大学進学しやすいでしょう。 職業高校というと「落ちこぼれの不良が集まる底辺校」というイメージを持っている人がいるかもしれませんが、それは過去のことです。実業高校は就職活動の面接に臨むことができ、その後即戦力として就職できる生徒を育てるために、生徒指導はきちんと行われている学校が多いです。また実習や資格取得のための検定が多くあるため、そのための勉強の忙しさは普通科高校には劣りません。 == 高校と大学と、中学との違い == :全体的な傾向 基本的に高校では、出欠確認とか委員会とかは、中学とほぼ同じです。とりあえず入学時は、高校についてだけ知っていれば十分です。 === 委員会や生徒会 === :※ 説明の都合上、高校だけでなく大学についても説明したほうが分かりやすいし大学AO入試(総合型選抜)対策にもなるので、ついでに大学も説明します。 ;高校に委員会はある。大学には無い 委員会や生徒会などについて、中学と高校は、ほぼ同じです。公立高校でも私立高校でも、特に差はありません。つまり、「保健委員会」とか「図書委員会」とか、多くの高校にあります。 いっぽう、大学には基本、委員会はありません。つまり、大学に「保健委員会」とかはありません。健康診断とかの提出物は、大学ではお医者さんまたは学校の職員の人などに渡します。 大学図書館には司書がいます。大学では、図書の受付の委員会業務も存在しません。大学では、学生には図書業務はさせません。 ;高校に生徒会はある。大学では「学生会」「学生自治会」「学友会」 高校には、生徒会はありますし、もちろん体育館とかで生徒会長に誰を選ぶかを全校生徒(もしくは全2年生)で投票です。 大学では「学友会」や「学生自治会」や「学生会」とか言うのが、生徒会に相当する組織です。大学では、いちいち全校集会とかで投票しません。というか、大学に全校集会そのものがありません。入学式と卒業式とで、それぞれ新入生と卒業生が一斉に集まるだけです。 なお、大学の「校友会」は卒業生の組織ですので、誤解なきよう。 === ホームルームなど === ;高校にはホームルームがある。大学には無い 高校には中学と同様、ホームルームや出席とか朝礼・終礼があるのが一般的です。ホームルームで担任(たんにん)の教師から、いろいろと一斉に連絡されます。 大学にはホームルームとか無いので、連絡は基本、掲示板です。大学の校内に掲示板(実物)があります。 書いてて気づきましたが、つまり高校には掲示板は基本的にはないです。 また、大学は朝の1時間目の授業が、ホームルームや出欠などなく、いきなり(授業が)始まります。つまり大学には、朝のホームルームとか出席(朝の「はい元気です」のアレ)とか朝礼・終礼や「起立・きをつけ・礼」がありません。 === 学校行事の有無 === ==== 修学旅行・林間学校など ==== 高校では旅行先が遠くなるかもしれません。修学旅行・林間学校(もしくは臨海学校)じたいは、どの高校でも存在します。 たとえば、関東在住なら、中学校では修学旅行先として京都や東北が旅行先だったのが、高校では沖縄や北海道などが旅行先になるかもしれません。 いっぽう、大学に修学旅行・林間学校などはありません。研究室で、もしかしたら夏休みあたりに2~3日の合宿を大学の近場(その地域の小中学校の修学旅行先あたり)でするかもしれません。 ==== 運動会・体育祭 ==== 高校にも体育祭(運動会)は存在します。 いっぽう、大学には体育祭はないのが普通です。そもそも大学にはクラス(学級)が無いので、クラス対抗の競争とか原理的に無いのです。 ==== 文化祭 ==== 高校にも大学にも文化祭があるのが一般的です。 == 定時制・通信制高校 == 定時制と通信制の高校に通う(または、それを考えている)方はサブページをお読みください。 * [[高校生活ガイド/定時制]] * [[高校生活ガイド/通信制]] == 大学入試の総合型選抜でどうしても部活などの能力をアピールしたいなら == 神戸大学付属の中等教育学校(いわゆる中高一貫校)の、探究論文のためのガイドライン中で「課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン」として、下記のように言われています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/education/kp/materials/2023_kuss_handbook.pdf 『2023 年度 Kobe ポート・インテリジェンス・プロジェクト 課題研究・卒業研究ハンドブック』P.17]</ref>。べつに総合型選抜の自己アピール書は論文ではないので、下記のままに従って書く必要は無いですが(そもそも文字数制限があるので、自己アピール書に論文は書けない)、しかし論文というのは下記のような書き方ですし、下記を高校生に要求している国公立の高校も日本に存在します。 <blockquote> 第 1 版(2023 年 4 月 4 日) 課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン * 制作物のみをもって論文の完全な代替とすることは認めない。あくまで課題論文の提出は全員に求 める。 * 課題論文に別添する形で、制作物やその写真、実演の録画を提出することは認める。その場合、課 題論文の規定字数相当の内容があるか否かの判断は、制作物の量・質を考慮して行うものとする。 * 具体的には、課題論文の序論・結論に相当する部分が制作物により代替されうるとは通常考えられ ない。一方、本論に相当する部分の大部分を制作物により代替することは十分に考えられる。 * 序論には本研究の社会的・学問的(芸術的)意義を述べるとともに、本研究で取り組む問い、もしく は明文化された問いの形になりづらければ課題について明記することが求められる。5 年生以上は 先行する制作の事例について分析し、本研究の新規性について明記することも求められる。 * 本論部分では、序論で述べた課題を解決するための制作方針について述べるとともに、実際の制 作物やその写真、実演や制作物作動の様子の録画を添付する。 * 何らかの課題を解決するための制作方針が明記されていることは、制作が研究として認められるた めの必須要素であり、これがない制作は本校の課題研究としては認められない。何らかの創作を伴 う制作であればその創作方針が明示されるべきである。既存作品(楽曲等)の実演を制作物として 課題研究とする場合は、それに対する自身の解釈や、身体操作の独自の工夫などを実演方針として 明示することが求められるのであって、解決すべき課題に特に対応しない実演や単なる模倣は本校 の課題研究としては認められるものでない。 * 結論部分では、別添した制作物によって序論で明示した課題が解決されたことを主張することが求 められる。加えて、本研究において解決しきれなかった課題を展望として述べることも推奨される。 </blockquote> 文中に「5年生」とあるのは、中高一貫校なので、中学からの通算の年数を数えている(高校2年生に相当)。 本節では、文学部や経済学部や法学部などへの総合型選抜を念頭に、話します(美大とか音大とかは念頭に置いていません。また、私大の体育学部なども念頭に置いてません。) 「高校生が部活などで頑張ったのは分かった。」「問題は、それ、志望する大学での研究と、どう関係あるの?」、これを説明することが望まれます。 なのに、なんの説明もなく、「制作物のみをもって」(論文の完全な)「代替とすること」は、社会通念上、認められないのです。 特に国公立の大学の場合、税金を使って大学が運営されているので、研究に社会的・学問的(芸術的)な「意義」の説明がなければいけません。志望者に、説明責任があります。 単に、「スポーツが得意」とか「絵が上手い」とか、それは建前上は、国公立の総合型選抜では求めていないでしょう(私大はどうか知らない)。そういうのは、私大の「スポーツ推薦」とか「文化活動推薦」みたいな、別の方式の推薦を受けてください。 上記引用中に「 何らかの課題を解決するための制作方針が明記」とあるように、部活などの活動の努力や成果(客観的に第三者機関によって証明できる成果)を、社会の課題解決にどう結び付けるかが、言えることが望まれます。 実際に、社会の課題を解決することまでは、要求されていません。金銭的・時間的に、解決までは無理です。そもそも長年のあいだ解決できなかった社会課題だから、たかが高校生ごときのお子様でも発見できる「課題」として残っているのです。 自身で解決しようとするのではなく、これから、学問の力によって、課題の一部でいいので、解決までの道すじを社会でつくろうとする事に、あなたも協力するために自発的にあれこれすることが望まれているのです(具体的に何をするかは個々人による)。 基本的に、学問の多くは、再現性や言語化を重視します。分野によっては、再現性だけは低い分野もあるかもしれませんが(たとえば歴史学などは実験が不可能なので、再現性は低いかもしれない)、しかし言語化はそれでも可能なはずです。 美大や音大などは例外かもしれません。しかし、もし文学部や経済学部や法学部などを志望するなら、言語化をして、税金をあずかっている国公立の大学教員たちの納得のいく説明をできなければいけません。 もし、そういう言語化がイヤなら、そもそも文学部や経済学部などの学問に向いていません。文学作家に向いているかどうかは知りませんが、しかし文学部の国文科と言うのは決して小説家の養成所ではありません(そういうのは専門学校です)。例えるなら、文学部の歴史学科の研究者が、たとえ戦国大名を研究することはあっても、研究者自身がけっして大名になる必要は無いのと同様に、文学部の国文科では小説家になること自体は求められていません。 ましてや、国公立の大学の文学部などは、断じてスポーツ選手の養成機関でもありません。 上記の当wikiの説明では、説明の都合上、国公立を例に説明しましたが、私大の志望でも上記のような事はすこしは考えるべきでしょう。私大だって、私学助成金などの税金の財源とした補助金をもらっています。また、大学教授は科研費などの補助金を国からもらう際、国への説明責任があるわけです。 上記の引用が出来たからって、合格するかどうかは知りません。ただ、割とハッキリ言えるのは、もし上記の引用が出来ない人が合格しても、例外としてスポーツ推薦で難関大に合格するような余程(よほど)の業績ではないかぎり(全国大会のトップ8入りとかでないかぎり)、研究への情熱の評価ではなく、単に全国大会などの業績によるスポーツ推薦・文化活動推薦が適用されて合格したに過ぎない、という事です。 == 出典・脚注 == <references /> == 参考文献 == *[https://shingaku.mynavi.jp/ マイナビ進学] *[https://allabout.co.jp/gm/gt/2066/ All About学習・勉強法] [[category:高校生活|*]] trf6uf7utujlkoj81k4fwzjcj69isn6 246461 246460 2024-04-10T06:19:39Z すじにくシチュー 12058 /* 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 */ wikitext text/x-wiki : [[小学校・中学校・高等学校の学習]] > [[高等学校の学習]] > 高校生活ガイド {{Stub}} {{独自研究の可能性}} 編集者の主観的な表現が含まれている可能性があります。このページをある程度の参考として、高校入学に向けて心構えを持つことは大切です。 しかし通常、入学時には新入生を対象とした説明が行われるため、そちらをより参考にすべきです。 また日本の高校についての詳しい情報はwikipedia[https://ja.wikipedia.org/wiki/高等学校]を参照してください。 ---- == 高校は義務教育ではない == === 説明 === 高校は、義務教育ではありません。したがって、さまざまな事情により高校を退学することはありえます。そのあとに他の高校に入りなおす義務もありません。非行などに対する懲戒処分として、校長から謹慎や退学を命じられることもありえます。 日本では中学校までは年齢主義をとるため、1年間在籍しているだけで次の学年に進級できます。しかし高校では、規定の時間数以上の授業に出席をし、考査等で一定の成績を収めることが進級の必要条件です。つまり、出席や成績の状況次第で留年をすることがあります。 学校にもよりますが、中堅レベル以上の普通科高校の場合、高校の定期考査では、中学と比べて試験問題が難しくなるのが一般的です。教科書の内容が中学と比べすることが高度になり、また大学受験に対応するため、定期考査に難しい問題が出される場合があります。 このため、定期考査の試験対策をしないと、いわゆる赤点を取る可能性が高いです。赤点とは、定期考査等の結果が基準点を下回ることです。詳しい規定は学校によりますが、基準は「固定された点数(30点など)未満」や「平均点の半分未満」などです。赤点をとってしまった場合にはいくつかの処置がとられます。 # 補習参加の上、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習はないが、追試で一定点をとれば合格とする。 # 補習参加の上、課題を提出すれば合格とする。追試はない。 # 補習に参加すれば合格とする。追試はない。 これらの救済措置の結果、合格となれば進級できますが、不合格のままの科目を残している場合は進級ができず、留年となります。このあたりの規定は学校ごとに大きく異なりますので、詳しくは学校の先生の指示に従ってください。 === 転校 === また、高校では他校への編入はかなりハードルが高いです。遠隔地への転居などの場合でも現地の学校に自動的に入学することはできず、編入試験が課されます。 学校になじめず転学を希望したいという場合でも、通信制高校や夜間高校などへ転学せざるを得ないという場合もありえます。 == 科目の選択 == 高校では、履修する科目を選択する場面が多くあります。まず、学校ごとに開講される科目が異なりますので、学校を選んだ時点で履修科目の幅は狭まっています。その上で、高校に入学して以降も、様々な場面で科目を選択する場面があります。 * 主な選択科目(現行課程) ** 地歴科:世界史A・B、日本史A・B、地理A・B(世界史A・Bはどちらかを必ず履修しなければなりません) ** 公民科:現代社会、倫理、政治経済 ** 理科:化学基礎・物理基礎・生物基礎・地学基礎、物理・生物・化学・地学 ** 芸術科目:音楽、美術、書道、工芸 なお中学にある技術・家庭科の「技術」分野は、高校では取り扱われず家庭分野のみの家庭科となっています。普通科高校では、職業教育はありません。 高校の検定教科書の購入は、全科目とも学校教科書の販売を扱っている取次店(とりつぎてん)で買えます。自分が何歳になっても取次店で高校教科書を買えますので、高校生は検定教科書を入手したいだけなら、その選択科目を履修する必要はありません。 :(※ 検定教科書の購入方法については『[[小学校・中学校・高等学校の学習/検定教科書の購入方法]]』に解説がある。) === 芸術科目 === 普通科高校での芸術科目は、音楽・美術・書道・工芸の中からどれか一つを選ぶ選択制になっています。1年生でどれか1つを選択必修、他学年では開講しない、という学校が多いかと思います。芸術科目は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶのが安全でしょう。もし音楽を履修した場合、授業ではまったく美術や書道が取り扱われません。これはどの芸術科目を選んだ場合にも同様です。好きでもないことを、1年間も毎週2時間ほど練習することは苦行ですので、芸術科目の選択は、自分の好きな芸術表現の科目を選ぶべきです。 なお、現在の中学3年までの芸術科目が、90年代までは高校1年や2年で習っていた内容です。現在の高校1年の芸術科目では、「脱・ゆとり教育」などの影響もあり、90年代の高校芸術科目よりも細かく、専門性のやや高まった事を習ってますので、そういう点からも、興味の無い芸術科目は、履修しないのが無難です。 さて、もし美大・音大または芸術系専門学校などの芸術系の進路を希望する場合は、その分野の科目を履修しておくのが無難ですが、全生徒を対象とする芸術科目だけではどのみち練習量が大幅に不足ですので、外部の芸術系進路用の予備校などで習う必要があります。 なお、音大・美大・教育大を除く一般の大学では、芸術の授業が無い場合が大半です。このため、人によっては高校が最後の学校での芸術教育になる場合も多くあります。 === 文系・理系 === ==== 文理選択とは ==== 普通科高校では、多くの場合2年生次(一部は3年生次)<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190726-00010000-yom-soci&p=1 「『文系か理系か』早すぎる選択…受験科目に専念するため、大半が高1で決定」2019年7月26日読売新聞オンライン]</ref>に、文系か理系のどちらかの類型を選択することが一般的です。これは、普通科高校生の多くが目指す大学進学にあたって、入試に対応するためにはポイントを絞る必要があるためです。この選択は一度選択してしまうと卒業まで変更することは、現実にはできない(後述)ため、慎重に選択する必要があります。文理選択までに、進学したい進路先をよく考えておかねばなりません。 少数例ですが学校によってはコースが分かれずに、文系志望の生徒にも数学IIIなどの理系科目を教える文理両立の高校の場合もあります。たとえ文理両立の高校でも、3年生では選択科目が増えてきます。高校普通科の全科目を履修するのは、たとえ文理両立の高校でも、授業時間の制限のため、不可能です。 また、「国際科」・「理数科」などの普通科以外の進学系の学科では、そもそも入学当初から文理選択がなくて、その学科の類型のカリキュラムとなることが普通です。たとえば理数科では、そもそも全生徒が理系のカリキュラムになり、文系特化のカリキュラムは選べません。 ;私大の推薦入試に関わる 推薦入試で大学に入学するなら文理選択は関係ないかというと、そんなことはありません。私立大学の推薦受験(指定校推薦のほか、「総合型選抜」も学校推薦型総合型選抜という推薦の一種です)では、受験生に特定の科目の履修を条件づける場合があります。たとえば、私立の理系学部を推薦受験する場合は、条件として数学III、および進学先学科に応じた「物理」・「生物」・「化学」などの科目の履修を条件づける場合もあります。なぜ科目制限するかというと、科目制限しないと文系科目だけで好成績を取って、理系科目が出来ないのに推薦入学してしまう受験生が出現してしまうからです。 文系科目でも、一部の難関私大では、文系学部の推薦入試の要件に、地歴公民など文系科目での必要単位数を設けている場合があります。理系コースだとその出願単位数を満たせない場合があるので、文系志望なら高校では文系コースを履修するのが無難でしょう。 ==== どうやって選択するか ==== 文理選択をするにあたっては、進路先としてどのような大学・学部を考えるかを最優先しましょう。間違っても、科目の得意不得意で選んではいけません。後でつまらない思いをします。なお、勘違いされやすいことですが、英語は文系・理系ともに大学入試で要求されることが一般的なので、「英語が苦手だから理系」という選択はやめましょう。 また、「数学が苦手だから文系」という選択肢をとる生徒が少なからずいますが、こちらも先のことを考えると安易であるといえます。というのも、いわゆる文系に属する学部学科でも数学を使うことがあり、「文系なら数学を使わなくても済む」とは限らないからです。具体的には経済学部・経営学部・社会学部では入試の段階で数学が必要な場合もあります(有名どころでは慶應義塾大学経済学部や商学部、早稲田大学政治経済学部)し、入試で使わなくとも大学の授業では必修とされることは珍しくありません。 なお、芸術系大学・短大・専門学校の志望や、体育大志望などは、文系を選ぶのが無難です。内容が文系かというとそうではないのですが、少なくとも高度な理系科目の学力は要求されないためです。また、大学でスポーツ推薦などを受け入れている学部も、社会学部や文学部・経済学部など、いわゆる文系とされる学部です。経済学部は、日本では文系の学部として扱われます。企業からの視点も、経済学部卒を文系の人間として扱います。また芸術系卒や体育大卒も、企業からの視点では、彼らを文系の人間として扱います。 2020年代の現在、高大連携や探求学習があり、進学校の文系コースなどでは志望学科に近い分野の卒業論文のようなレポートなどを仕上げる学校もあったり、近隣の提携先の私立文系大学の授業を受けられたりなどの機会があるので、私大文系の推薦入試などで論文を自己アピール材料にできる場合もあります。このため、文系志望なら文系コースを選択するのが無難でしょう。 もし高校卒業後に浪人した場合、どんなに高大連携や卒業論文などの機会を得ようとしても、制度的に浪人生は不可能です(高校生以外はその機会がありません)。なので、高校在学中は志望分野にしたがったコースをそのまま選ぶのが安全です。 昔話ですが、平成初期のまだ探求学習の無かった時代ならば、文系志望でもあえて理系コースを選ぶという手法もありましたが、しかし令和の今ではその手法は上述の理由で時代遅れでしょう(高大連携などの利点を損失するので)。例外として、よほどの底辺高校で、文系コースが事実上の高卒就職コースとしてしか機能してない高校とかでない限り、平均以上の学力の高校ならば文系志望者は文系コースを選ぶのが無難でしょう。 現在、多くの大学の文系学科で、高校3年レベルの数学科目を履修でき、しかも大学の単位を取得できます(場合によっては高校2年レベルの数学で大学の単位取得できます)。底辺大学でなくても、です。このため、高校3年生の時点でわざわざ高大連携の機会を損失してまで、数学III・Cなどを履修するメリットは少ないのです。 ==== 「文転」「理転」について ==== 理系から文系にクラスを変える'''文転'''、文系から理系にクラスを変える'''理転'''も可能ですが、現実的にはどちらも厳しい道を歩むことになります。 一番の違いは数学の扱いでしょう。理系の場合、3年になってからも新しいことを3年の2学期終わり頃までは授業で習いますが、文系の3年生の授業では夏ごろには新たな単元は扱われなくなり、その後は入試対策や過去問演習などの復習が増えてくる、という特性があります。また、文系では理系の生徒が学ぶ科目である数学IIIは履修しない、理科の「基礎」でない科目は履修しないなどが一般的です。したがって、3年になってから理転しようとしてもスタートラインから極めて大きな差ができてしまいます。よって、文系から理系に「理転」すると、全く習ってないことが続出するので、大学受験対策が間に合わず、ほぼ浪人が確定です。 文転は前述の理転に比べれば多少はマシですが、古文漢文や地歴・公民での学習量などの積み重ねの差は小さくはなく、一般の生徒よりも努力しなければ文系のまま2年3年と進んだ場合に比べて進路が狭まることは否めません。また、学校によっては文理で地歴・公民の進度・内容が違い、2年次に習っていなかったものを文転してから改めて学ぶ必要が出てくる場合があります。当然、その分学習量が増えるため、「文転は理転に比べて楽」という噂を鵜呑みにしてはいけません。 == 推薦入試の時代変化 == === 特化型が有利 === 大学受験への総合型選抜によくあるシステムは、高校受験とは違います。 要求されるのは教科の高さではなく、英検などの保有資格です。たとえ難関高校で通知表が5段階中で全教科5であっても、英検準1級を取ってないと難関大学へは出願そのものが出来ません。 さらに、保有資格の合計点は要求されません。たとえば「英検準2級、ドイツ語検定4級、理系」みたいな子よりも、「英検だけ準1級」という子が評価されるのが日本の私大への推薦システムです。「英検準2級、ドイツ語検定4級」みたいな子は、そもそも難関大学の推薦には'''出願できない'''システムです。 英検などの保有資格で特定言語に特化した級の高さの上、さらに通知表が平均4.0以上などが要求されます。 このため、たとえば意欲的な高校生が、取得しなくても高校卒業できる科目(例えば一部の私立の進学高校の第二外国語)などで低い成績を取ると、かえって推薦が不利になります(最悪、出願できなくなる)。推薦に要求されるのは合計単位数ではなく評定の'''平均値'''なのです。 1990年代の大学改革での各種の新型の推薦の導入当初、どうも高校受験のようなものだと高校生が誤解したようで、90年代の当時は一部の意欲的な高校生が、学業と併行(へいこう)して色々な課外活動を頑張りましたが、しかし2020年代の令和の推薦システムは全くそういうシステムではありません。 1999年『分数ができない大学生』シリーズで、合計値ではなく平均値で見ると、かえって上述のように不公平になると既に指摘されていたにもかかわらず、一向に平均値順に評価するのを日本の難関私大は辞めていません。 美術とか音楽とかの才能に秀でた人を評価したいなら、べつに美術の一芸入試とかじゃなくって、3教科とか5教科の入試教科に美術や音楽の実技試験などを加えればいいじゃないかと1999年ごろにもう指摘されているにもかかわらず、そういう合計点を見るような改革は、日本の早慶マーチ的な大学受験では何も行われていません。 高校入試ですら、もうちょっと合計的な能力を見ていますが、日本の大学はそれ未満です。 あるいは、もし「合計点を見る方式が間違っている」とすると、その難関私大の指定校や付属校の高校への入試の選抜システムも間違っていることになるので、私大はもう言い逃れが出来ません。 日本の私大の受験システムは完全に矛盾しており、論理が破綻(はたん)しています。そういう矛盾を気にしない人が私大の総長をしているのです。 === 模試の確約システムは無い === 高校入試だと、模試の「確約」(かくやく)というシステムが私立受験でありますが、しかし大学入試の場合、私大受験にも模試の'''「確約」システムは無い'''のです。なお高校入試の「確約」システムとは、たとえば埼玉県の「北辰テスト」(ほくしんテスト)とか神奈川県・東京の「W模擬」や千葉・東京「V模擬」などの地域模試で高い偏差値を取った人を、私立高校の受験のさいに加点するシステムです。 英検やTOEICなど英語の資格以外に、外部テストは使えません。英語1教科だけです。たとえば駿台模試とか河合模試とかは、出願の要件に入っていません。 高校受験の地域模試よりも教科数が減っており、選抜方法が大学では劣化しています。 「模試が民間テストに過ぎず公的ではないので、不適切」だとすると(1990年代、自民党がこういう論調で高校受験の模試を批判しました)、その私大の指定校の多くも不適切な高校入試を行っていることになり、私大は論理破綻しており支離滅裂です。1990年代、私立高校入試の「確約」を自民党議員は批判したのに、彼らの主導する大学入試の推薦システムは、まさに、まるで英検による「確約」システムのようなものです。 === 「総合型選抜」の英検重視の変化に注意 === 総合型選抜についての、よくある勘違いとして、まるで高校入試の内申点のようなものだと勘違いする人が、後を絶ちません。しかし、両者はまったく違うシステムです。 大学にもよりますが、英検で一定以上の級(たとえば2級以上)を持っていないと(またはTOEICで同等のスコア以上)、難関大学へは、総合型選抜の出願そのものが不可能だったりする場合もあります。 たとえ部活と学業を頑張ろうが、総合型選抜の出願条件のクリアには、なりません。部活で全国大会にまで勝ち進めばスポーツ推薦などの入試に出願する要件はクリアできるでしょうが、しかしそこまで勝ち進めないかぎり、どんなに偏差値の高い高校で、部活と学業の両立をがんばろうが、そもそもの出願条件をクリアできません。 難関大学の総合型選抜の出願条件はたいてい、英検2級以上またはTOEICのハイスコアです。部活は出願条件ではないのです。 {{コラム|「総合型選抜」の英検重視の変化に注意| なお総合型選抜などの推薦の要件として、多くの私立大学で2020年代以降、高校での履修科目だけでなく英検2級以上やTOEICのハイスコアなどを要求している私大もあります。ほか、履修科目全部の評定平均がたとえば4.0以上<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>など要求する例もあります。英文科だけではなく歴史学科や経済学部<ref>[https://www.toyo.ac.jp/nyushi/pdf/admission/admission-data/requirements-special/public-recruitment_entry-exam_2024.pdf たとえば東洋大(各学部の条件の側で英検2級相当 以上を要求)]</ref>などですら要求されます。 大学によっては「英検2級以上」などの試験名の表現ではなく「CEFR B1以上」と表現している場合もあります。英語の資格は多々ありますので、共通した評価基準として CEFR (セファール)という国際基準があります。なお、CEFR という試験は無く、英検で上位の級に合格したりTOEICなどでハイスコアを取ると、CEFRでのランクが与えられる仕組みです。なお、CEFR B2が英検準1級、CEFR C1 が英検1級の合格に相当です。 難関私大だと総合型選抜で要求する水準が英検準1級 相当以上になる場合もあります<ref>[https://exam.52school.com/rikkyo/admissions/undergraduate/guidelines/J_guideline/pdf/J_24guideline.pdf たとえば立教(英検 準1級相当 以上)]</ref><ref>[https://www.chuo-u.ac.jp/common_d/connect/admission/2024/special/11_1.pdf 中央大の2種類ある方式のうち片方は外国語型で、英検 準1級相当 以上]</ref>。総合型選抜や自己推薦などによる入試方式をねらっている人は、履修科目だけに目をとらわれず、英検などの資格取得も必要な場合もあります。 {{コラム|大学の英語の授業の実態| なお、これらの難関私大で英検準1を総合型選抜に要求する理由の元ネタのひとつは、'''それらの大学の教養課程の英語の授業内容が、英検準1級の英語長文のレベルだから'''でしょう。大学によっては高校レベルの英検2級の英語しか授業で要求しない場合もあるのですが(なぜなら学部専攻の科目(たとえば経済学部なら経済学が専攻)で忙しい。ほか、第二外国語(ドイツ語やフランス語など)が始まるので)、しかしそれでも大学によっては英語の授業で英検準1級を要求する大学もいくつかあるようです。 余談ですが、大学では専攻や第二外国語が忙しいので、実は大学では一般的な英語力は、直接的には それほど向上しません(例外として、英文科や国際系学科の以外は)。経済学などの専門用語とかの英語は専攻が経済学なら覚えますが。私大のパンフレットとかにある、やれ「留学」「海外姉妹校」だの「充実した語学教育」だのなんだのは、まあ宣伝です。誇大広告ですが、まあ大学側からすれば「努力目標」とでも言い訳できます。 }} ともかく大学の推薦入試について、親世代・昭和後半の生まれ世代での大学推薦入試の常識とは少し変わっていますので、注意しましょう。 ただし履修科目の高度性と英語資格とを両方を要求するのは、よほどの難関大学の難関学部以外では基本的には無いので、直接的には生徒個人にとっては両立をめざす必要性は低いのですが、しかし高校全体での大学合格実績に関わってきます。高校の大学合格実績が将来的に高くなれば、そのぶん卒業後の出身校の指定校推薦の枠も増えるので、出身高校の評判が上がっていき将来の自分の評判も上がるわけです。 }} ほか、基本的に'''探求学習は求められていない'''のが私大の総合型選抜の実態です(国公立大は別です)。よほど探究論文などで日本有数の成果を出せないかぎり(そしてそれを大会などに出場して高評価を得たこと客観的に証明できないかぎり)、英検準1級や2級やTOEICハイスコアを持ってなければ英検・TOEICなどの足切りにかかってしまい、出願そのものが不可能になってしまうからです。よって、少なくとも、探求学習の業績は二の次です。そういう出願基準になっています。 文科省は建前としては探求学習と総合型選抜を関連づけて喧伝しているかもしれませんが、その建前は実際の大学入試では崩壊しています。少なくとも、私大人気の高い首都圏では、文科省の、総合型選抜の普及の目論見(もくろみ)は破綻(はたん)して崩壊しています。つまり、文科省の行政は失敗しました。また、「高大接続改革」についても必然的に、例外として志望校そのものと提携している高校に在学でもしてない限りは、あまり総合型選抜には関係ないのが実態です。少なくとも、英検など英語資格で足切りしている大学では、その級以上を保有してないかぎり、高大連携の授業をどんなに頑張ろうが、出願そのものが足切りのせいで不可能です。 さて、総合型選抜では、「事前課題」として小論のテーマが大学側から与えられます(事前課題方式の総合型選抜の場合)。よって、自分でテーマを選ぶことは基本、総合型選抜では、無いです。作成する書類の呼び方は「小論」ではなく「レポート」と言われるかもしれませんが、基本的に400文字~1200文字ていどであり、採点の都合があり、少し長めの小論文くらいの長さなのが実態です。 また、記入用紙のデータは大学側が用意または指定するのが一般的です。なので、プリンタが無いと、受験不可能です。 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視 === 指定校推薦でも、英検など資格試験の重視になっています<ref>[https://studychain.jp/324/ 『指定校推薦の校内選考とは?いつ?落ちる?校内選考を解説』2023/12/21 ]</ref><ref>[https://www.池内塾.com/bby/daigakujuken/suisentoeiken.html 『指定校推薦にも英検が影響します。』]</ref><ref>[https://tendoblog.com/20210829-2/ 『指定校の出願に英検が必要な大学 2021版/評定平均以外の出願条件まとめ 』 2021.10.17 ]</ref>。昭和の常識とは違います。 落ち目の高校からの指定校で学力不足の子が進学したら大学側は困るので、大学によっては英検などの条件を追加し始めています。 === フンボルト理念とは違う「総合型」選抜 === ;フンボルト理念に違反する英語特化型の総合型選抜 私大の総合型選抜は、けっして総合力を要求していません。 たとえば英検準1級以上を出願の要件にしている大学は、どんなに英語以外の数学とか物理も勉強していても、英検も2級に合格して高校レベルの英語力を証明できていても、なのに英検準1級以上でないかぎりは出願の時点で不可能であり、足切りされてしまうのです。英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも、理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが、私大の「総合型選抜」です。 つまり私大の「総合型選抜」は単に、既存の一芸入試などの選抜方法やら数学オリンピックとかの、ともかく大学で使えそうな一芸入試を'''併合'''(へいごう)しただけです。英語一芸入試とか数学一芸入試を併合しただけです。「人種のサラダボウル」みたいに、まじりあってないものを併合・混合しただけです。けっして「人種のるつぼ」のように混合して化学変化を起こしているわけではありません。 このため、英語特化とか数学特化みたいに、一点特化型の選抜になっているのが「総合型選抜」です。つまり総合型選抜はサラダボウル型入試です。 学問的に重要なこととして、難関私大の教育学における総合型選抜は、教育学でいう'''フンボルト理念に違反'''している選抜方法になっています。フンボルト理念とは、初等中等教育あたり(小学校入学 ~ 高校卒業まで)において、どういうわけか国数英理社の5教科をぜんぶ教えると、教育成果が高い、という経験則にもとづいて、なるべく5教科全科目を教えようとする教育方針のことです。 :※ 小中校の教育についての「フンボルト理念」と、大学教育についての「フンボルト理念」とは違います。このページでは高校教育の話をしているので、小中高の教育のほうのフンボルト理念です。この小中高の教育については「フンボルトの人格形成の理論」とか「フンボルトの陶冶(とうや)の理論」みたいにも言います。Bildungstheorie が元の語であり<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/csssej/21/0/21_23/_pdf/-char/ja 宮本 勇一 著『教育課程改革に対するフンボルトの陶冶理論の今日的意義』 ]</ref>、英語だかドイツ語だかでビルドゥングスとも言います。 :※ なお、大学教育のほうのフンボルト理念については、ドイツの教育学者フンボルトの名を冠した1810年ごろからの理念ですが、しかし2001年のドイツの教育学者シルヴィア・パレチェクの教育史の研究によると、実際はアメリカで発祥した教育理念の可能性が高いとのことです<ref>[https://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/246.html 潮木 守一 (桜美林大学大学院招聘教授)『「フンボルト理念」とは神話だったのか?-自己理解の“進歩”と“後退”』 ]</ref>。なお、その発祥元のアメリカすら、ドイツのフンボルト理念の権威を信じて、ドイツにエリートを留学して、教育学をドイツからアメリカに持ち帰ったとのことです。 :※ 大学のほうの「フンボルト理念」は、教育と研究を一体とするものです。つまり、フンボルトよりもずっと前の時代は、学生は基本的に研究をせず、したがって学生参加のゼミなども無かったのが当時の大学の実態でした。それを改革して学生にも研究させようぜっていうのが、上述のようにドイツとかアメリカとかの大学です。 簡単そうに英検2級とか言いますが、しかし実際の現役高校生は数学とか理科とかも勉強した上で英検も取るわけです。理系志望の高校生なんか、数学IIIと専門「物理」・「化学」・「生物」とかを勉強した上で、その上で英検2級をとるのは、かなりの負担です。 その英検2級ですら負担なのに、英語しか勉強してないヤツの英検準1級よりも理系生徒の英検2級が格下として足切りされるのが私大の「総合型選抜」です。 もちろん、こんなのが「総合」でないことはもう2001年くらいに教育界隈では分かっており、ヒットした書籍『分数の出来ない大学生』シリーズで、慶応大教員の数学者の戸瀬信之(とせのぶゆき)などによって(なお、戸瀬本人の学は東大の数学科出身)、当時の「総合学習」型重視の大学入試の形骸化を批判して、おおむね発言内容「数学も見ないのに、何が総合だ」みたいに批判していました。それから20年以上たっても、何も改善出来てないのが日本の私大です。 戸瀬は当時から「英会話とかができるよりも、(数学なども含む)5教科の学力を国際的なレベルにまで高めるほうが重要だ」みたいな事を言っていました。英語ができるだけの人なら、米英に行けば無職でも出来ます。 べつに2001年に戸瀬が発見したわけではなく、芸人のビートたけしの中高生の時代、母の 北野さき さんは、たけしの兄[[w:北野大]](きたの まさる、1942年生まれ)が高校時代で大学受験のとき、「英文科に行きたいか、理系に行きたいかで迷ってる」みたいなことを言った時、「英語は米英ならルンペン(遊民。今でいう無職みたいなの)でも出来る」と諭して(さとして)理系の学部に進学させたほどです。 べつに、「私大の英語特化型の入試が悪い」とは言ってませんが、しかし少なくともフンボルト理念には明確に違反しています。英語だけではフンボルト理念の理想でないことは、上述のたけしの兄のエピソードからも分かるように昭和の時代から分かっていることです。平成の時代も、戸瀬信之の例からも分かるように、英語だけではフンボルト理念ではありません。 フンボルト理念そのものに学問的な疑いがあるなら大学人はそういえばいいと思いますが、しかしそういう話を早慶マーチからは聞きません。その早慶マーチの私立大学に教育学部もあったりするのですが、なんとも思わないのでしょうか。 == 高校の部活の問題点 == === 探求学習に部活制度が対応していない === 総合型選抜(AO入試)対策などとして部活の問題点を考えた場合(情操教育とかそういう議論はキリがないので考えないでおきます)、部活の制度の致命的な問題として、部活の制度自体は、昨今の「探求学習」に対応していません。 ==== 放課後探究や課外探究など ==== 探求学習のためには、自分の興味ある分野を積極的に調べる必要があります。高校のなかには、夏休み<ref>[https://www.toshimagaoka.ed.jp/education/inquiry/ 『探究的な活動 | 豊島岡女子学園 中学校・高等学校』 ]</ref>や放課後<ref>[https://www.hs.reitaku.jp/39820/ 『放課後探究活動 “ReaLab” がスタート! | お知らせ | 麗澤中学・高等学校(千葉県柏市の中高一貫・共学校)』 ]</ref><ref>[https://www.komabagakuen.ac.jp/news/?p=6887 『探究の部屋へようこそ! - 駒場学園高等学校』2022.09.06]</ref><ref>[https://kaga-teiju.jp/archive523/ 『探究学習で魅力ある高校に! 加賀市だからこそ学べる教育で、グローカル人材を育成する。』2023年8月29日 ]</ref>などの課外活動でも探求しています。 「私大のAO入試(今は「総合型選抜」と言う)の対策のために部活動をしているのに、その部活動のせいで、探求学習が大してできず、不利になってしまった」なんて事にならないよう、調節をしてください。 例外として公式大会で全国大会の出場などをねらえる強豪校などでないかぎり、探求学習の時間の確保を忘れてはいけません。決して「放課後を全部、部活で使ってしまい、図書館で調べ学習のための本を借りる時間が無い」なんて事にならないようにしてください。 なお、トーナメント戦の公式大会では、原理的に半数は1回戦で敗退します。「一回戦敗退」と聞くとなんとなく弱そうに見えますが、しかし実は半分の人数の参加者は初戦の1回戦で敗退して終わるのです。2回戦敗退までに、なんと当初の参加者の75%もが敗退します。 世間の人はどうも、部活に対する労力の投資効率を勘違いしている感じがします。どうも、「自分たちのチームが平均的な強さなら、4回戦くらいまでは進むだろう」みたいに世間は錯覚していそうです。しかし違います。平均的な強さのチームは、1回戦~2回戦で敗退なのが、トーナメント方式の原理です。 また、これを読んでいる学校教育関係者は、もし自校の部活の時間が長大な場合、考え直してください。 「歴史部」とか「科学部」みたいな部活そのもので探求を行う部活ならば別ですが、そうでない野球部とか吹奏楽部とか言った探究を行わない部活については、昭和のような長時間の部活のままでは問題です。 探究をする場合、決して単に読書をするだけではなく、さらにそれをレポートにまとめて体系的かつ分かりやすく説明できなければいけません。このため、時間が掛かります。 また、探究の大会イベントがあります。生徒は可能なら、地域などの教育団体や受験産業や私大の主催する「探究コンテスト」などに応募するのも良いでしょう。また、教師側は、生徒にそういう大会の存在を教えなければいけません。 生徒の側も、自分で少しはどのような大会があるかを調べる必要があります。昨今の高校の先生は忙しいので、生徒側が自分で積極的に調べる必要があります。 ==== 放課後講座や放課後補習 ==== * 私立の放課後講座 上記の放課後探究とは別に、進学校では、放課後に英語や数学などの講座が週に1日ずつ(英数で合計2日の放課後ぶん)開講されている場合もあり<ref>[https://koutoubu.kaichigakuen.ed.jp/schoollife/ 『学校生活 | 開智高等学校 - 学校法人開智学園』]</ref>、そもそもの部活の時間数が、私立進学校は元から少ない仕組みなのです。 * 私立の放課後補習 ほか、他校でも、定期テスト以外に小テストがたびたびあり、成績の悪い人には放課後などに補習があります(放課後補習)。もし定期テストの結果が悪くなると、推薦の要件である評定平均の基準が満たせなくなるので、現代の進学校の高校では、こういう補習が昭和よりも多いのです。テスト前に補習をみっちりやって、推薦のための評定平均を確実に確保させるのです。 こういった放課後探究や放課後補習などのため、進学校では、そもそもの部活の日数そのものが他校よりも少ないのが正体なのです。 現代の総合型選抜や公募推薦の要件として、評定平均が要求されます(たとえば通知表の5段階評価で4.0以上とか要求されます)。また、評定平均のつけかたは、昭和は相対評価でしたが(「4」以上はクラスの何割の人数までとか昭和の時代では人数制限があった)、現代では絶対評価に変わっていますので、5段階評価で4以上の成績を取る人が多くても現代では問題ありません。 この評定平均の水準もまたトンデモであり、高校偏差値のどんなに低い 高校偏差値37高校の評定平均4.0以上でも出願条件の一つをクリアできてしまいます。逆に、高校偏差値のとても高い、高校偏差値70台の進学校での評定平均4.0以上をもし生徒が満たせないと、総合型選抜に出願できなくなってしまうのです。つまり、出願条件では高校偏差値に関係なく、同等に扱われてしまいます。 高校偏差値30台の底辺高校が、生徒に英語ばかりを勉強させて英検だけ2級や準1級ととらせれば、あとの国数理社などの教科はザルな定期テストでもいいので全科目で評定平均4.0以上をとらせれば、難関大学の出願条件クリアになってしまうのです。 進学校は対抗のため、なんとしても4.0以上を生徒に取らせる必要があり、だから補習 三昧(ざんまい)で、定期テストで高得点を確実にとらせるのです。でないと、高校偏差値37の生徒に、総合型選抜の枠がうばわれていまいます。 「低偏差値高校と高偏差値高校とで、別々の定期テストを受けているのに、総合型選抜の出願基準で要求される評定平均が同じ数値」という不公平があります。そして負担を負うのは、高偏差値高校の側です。 本来、底偏差値高校と進学校の定期テストは、まったく別々の難度の定期テストなのですから、大学側は本来、定期テストの難度や要求される習熟度に応じて、出願条件にある評定平均の基準値を変えるべきですが、しかし大学側はそれを怠っています。 部活の制度は、まだロクにインターネットも何も無かった、ネットで調べられなかった時代の遺物なので、現代のAO入試などの受験制度に対応しておらず、決して放課後をフルに部活に投入してはいけません。 ==== 中学の時点で部活の時間が少ない中高一貫校 ==== 地味な差ですが、中高一貫校では、中学段階の時間割も、高校に準じた時間割なので、そのため授業時間数が長く、週に2日、午後4:30まで中学でも授業があったりします。これは国公立の中高一貫校でも同様です。実際、神戸大学付属の中高一貫校の時間割がそうなっています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/curriculum/education/ 『教育課程 | 神戸大学附属中等教育学校』]</ref>。(なお、一般的な公立中学では、午後3:30までが授業です。) このように、進学校では時間割などで元から、部活に与えられられた時間が少ないのです。 けっして、べつに部活と学業の両立が上手いのではなく、そもそも部活の時間が少ないのが、上述のいくつもの進学校を調査した結果の事実です。 {{コラム|総合型選抜| なお、私大でも、総合型選抜の枠は意外と少ない大学も多くあります(多くが指定校推薦や付属などから受験生を取る)。たとえば同志社大学と近畿大学は、総合型の枠がかなり少ないです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=1dwCtMmUDqI (動画)山内太地 『高大接続改革は失敗なのか?!関西の高校が探究をがんばれない理由があった!』、2022/10/13 ]</ref>。なので、あまり総合型選抜対策(つまり探究)だけに時間を投入するのも問題です。基本は学校の勉強と一般入試対策です。 '''総合型選抜は専願'''なのが普通です。他大との総合型選抜の併願は困難な大学が多くあります<ref>[https://you2.jp/labo/6174/ 『総合型選抜や学校推薦型選抜は「併願」できる?―「一校ルール」を突破しよう | 洋々LABO』 ]</ref>。このため、年明け前は1校しか大学受験できないのが基本です。たとえ募集要項では「専願」という言い回しでは書いてなくても、「合格後の入学を'''確約'''できる者」とか「本学への入学を'''第一志望'''とする者」など確約・第一志望などの条件があれば、それは専願という意味です。 なお、私大の総合型選抜の出願の要件として、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求して足切りとしている私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。 ほか、総合型選抜の推薦の要件としてよくあるのは評定平均 4.0 以上とかですが、しかし評定平均は高校によって採点の基準が甘かったりするので大学側が信用していないのでしょう。そのため、足切りとして英検2級以上などを大学側が要求しているのでしょう。2020年以降の現代、評定平均のつけかたは絶対評価です。昭和生まれ・平成初期生まれの世代は評定平均が絶対相対(3.0が平均だった)のです。今は「評定平均4.0以上の生徒です」と言っても平均より優秀かどうか不明ですので、それだけでは信用できません。 難関大学などだと、総合型選抜のエントリー期間が9月中の場合もあります。それ以降は志願できません。 ほか、総合型選抜に限った話ではないのですが、合格しても、入学手続きの締め切りが短く、4日間くらいしかないような大学も多々あります。出願方法がweb出願に限る大学、または合格発表がweb出願に限る大学もあります。 }} == 大学の部活動の問題点 == :※ 高校生活というより大学生活かもしれませんが、しかし高校3年のさいの志望校決めに大きく関わってきますので、とりあえず、ついでにこのページで紹介します。(大学進学後に問題点に気づいても、遅いので。) === 音楽室など教室の問題 === ==== 芸術・家庭科の設備の不足 ==== 一般的な日本の大学では、部活について、体育以外の音楽・美術・家庭科などの分野の設備が不足しています。どちらかというと、日本の大半の大学では、比較的に体育科目だけ、音楽などよりも設備が充実しています(体育館の充実など)。 もし読者が、音楽・美術の分野を、高校の授業以上に学習・練習することを志望する場合、決して「大学に合格してから 吹奏楽部/美術部 に入ろう」なんて考えずに、高校のうちから希望の分野に近い部活に入ることを強く推奨します。 具体的に言うと、文学部・経済学部・法学部や理系の学部などの多くの大学で、高校のような体育館(あるいは高校以上の体育館)は存在するにもかかわらず、一方で高校のような音楽室も美術室も存在しない場合が大半でしょう。 このため、もし読者が将来的な大学進学を予定している場合、たとえば「大学に入ってから美術を勉強しよう」などと思っても、高校のような美術部の訓練を大学ではあまり受けられない場合もあります。 そもそも、多くの大学で、美術教師も音楽教師もいない場合もあります。なぜなら、美大・音大ではない一般の大学には、そもそも美術科目や音楽科目の授業が無いからです。 かつて大学の必修科目で体育科目がありましたが(平成の規制緩和で現代では体育は必修ではなくなっている)、しかし音楽・美術・家庭科などは元から一般の大学では必修ではなく、そのため一般の大学では科目の存在自体をしてないのが普通なのが美術・音楽・家庭科などの実情です。 あるいは音楽の場合なら、仮に大学に音楽室が存在したとしても、例えば大学の音楽室なら一般の教室をすこし防音化したものにすぎず(たとえばガラス窓が単に2重窓になったのと、教室入り口のドアが分厚くなっただけで、他は一般教室と同じだったりする)、あまり音楽室(のようなもの)が本格的でなかったりします。このため、大学の音楽系の部屋では使用できる楽器が限られる場合もあります。 ただし、多くの大学で運動部が存在するので運動部の応援のために吹奏楽部が存在するのが普通なので、まだ吹奏楽部はなんとかなります。軽音楽サークルはどうだか知りませんが、多くの大学で軽音楽サークルが存在していますので、なんとかなるかもしれません。 問題は、美術です。美術室に限っては大学では存在すらしない場合もあり、一般の教室や部室などを流用したりする場合もあります。このため、油絵など有機系の塗料を使うものは大学では描けない場合もあります。水彩の絵の具を大学で使うのも、なかなかキツい場合があります(家で絵の具を使うことになるかもしれません)。 たとえば私大とその付属高校によっては、私大本体よりも付属高校のほうが音楽・美術に関する設備が上回っている場合すら、ありえます。 このため、「大学に入ってから〇〇(音楽・美術など)の部活を始めよう」とか思ってると、高校以下の設備、顧問からの高校以下の教育で始めることになってしまいます。なので、音楽・美術の部活に入ってみたいと思っている場合、高校から始めるのが安全です。 そもそも大学の場合、吹奏楽部やイラスト系部活・同好会の顧問の教員が、その科目の専攻でない場合もあるかもしれません。 ==== 体育設備の注意点 ==== '''校庭の無い'''私立大学もあります。 大学の体育の設備について、都心23区内や京都・大阪などの中心街にある私立大学の場合、一見すると室内の体育設備が充実しているようにパンフレット紹介されていたりする大学もありますが、よくよくネットで公式情報を調べると都心キャンパス・中心街キャンパスにそもそも'''校庭の無い'''私立大学も多々あります(大学での体育の授業は室内ばかり、とか。部活の運動部はキャンパスから電車で行くレベルで離れた郊外の練習場を使っている)。「存在する設備」だけでなく「存在しない設備」にも注意しましょう。 高校の場合、1年ごとに体育が週2~4時間だったりするのに、一方で大学では4年間で体育が週に2時間だったりします。大学は科目の選択の自由度が高いので、週2時間以上の時間数の体育科目を授業で受けられる場合もありますが、しかし専攻科目の授業の増大により、時間的に必修以上に体育などの科目に充てるのは難しくなっているのが21世紀の現状です。 都心でない郊外でも、体育設備が歴史的な経緯で比較的に充実しているのにかかわらず、21世紀では大学の授業が難しくなったりと忙しくなり、せっかくの体育設備がそれほど使えない場合もあります。 ;理科室の少ない大学も・・・ なお理科室も、高校は 生物室 ・ 化学室 ・ 物理室&地学室 とかで3室以上があったのに、一方で大学だと、大学によっては「第一理科室」「第二理科室」みたいに理科室の数が2室に減っている場合もあります。 もしかしたら小・中学校みたいに大学でも理科室が1室かもしれません(大学にも寄る)。大学の進学前に、事前に覚悟しておくこと。 まあ、中学技術家庭科であった木工室・金工室などは高校には無いし、(教育学部や工学部以外の)多くの大学にも当然ながら無いです。まあ、木工や金工はイザとなれば、近所のホームセンターで工具を買ってきて自分で工作すれば済みます。設備が必要な場合でも、市町村の職業訓練所みたいな公共施設もありますので、その分野に就職する気になった場合は職業訓練所も参考に。 === サークル部室が少ない大学も・・・ === 大学では、土地不足や、学生運動の対策などで、部活や同好会などに各部の専用の部室が無い場合もあります。大学の場合、「学生会館」などの名前のサークル棟で他の部活とまとめて、時間や月日を決めて期間限定で借りるシステムになっている場合もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 弱小の部活でも専用の部室があるのは、高校卒業までです。なので高校時代に部活を楽しみましょう。 理科系の大学や国公立の大学など、サークル棟は狭かったり、校舎から遠かったりします<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=QjxcIXVJqGA 山内太地『サークル部室が無い大学 青春の思い出と最近の学生気質』 2023/10/15]</ref>。 === 医学部と法学部では部活動は困難 === 医歯薬系など医療系の大学なんて学業も忙しいので、国公立の医療系学部の場合、もはや文化祭の出し物の練習などしている暇はありません。たとえば、医学部のある総合大学の文化部の出し物を見ても、メンバーの学科には医学部の部員は基本、いません。理系メンバーがいるとしても、せいぜい工学部や理学部などです。工学部といっても、国際情報なんとか学科だの社会情報なんとか学科だの、そういった学際分野の人かもしれません。 運動部などだと、テレビ番組でも大学駅伝や大学野球を見ても公式大会に出場するのは文系の学部学科の人ばかりなので、運動部については理系の学科では学業と部活動との両立が難しいと知っている読者も多いと思います。実は文化部でも同様、理系の学科では学業と文化部との両立は困難です。 見落としがちですが法学部も同様、国家試験などを目指す場合には学業と部活動との両立は困難です。官僚や、裁判官や検察や弁護士などの法曹、などへの就職を考える場合、法学部は、部活動をあきらめる必要があります。 官庁に限らず市役所や都道府県庁など、多くの役所への就職活動は、年齢制限があります。このため、専門以外のことを練習する時間は、(採用試験にある教養試験の対策を除けば)あまり、ないのです。 公務員で、年齢制限がほぼ無いのは(ただし定年に近いと、さすがに業界未経験者は不採用)、たとえば公立小中学校・公立高校の教員などです。しかしそれは、教職課程や教育学部の話であるので、法学部の就職先とは異なります。 法曹とは、弁護士・裁判官・検察の3つです(「法曹三者」ともいう)。これら法曹三者では、司法試験への合格が必要です。さらに、司法試験の受験資格は「ロースクールの修了から5年以内に5回まで」という時間的な制限があります。 このため、司法試験が必要な職業では、大学院に入ってしまうと部活動は無理です。実質的には、学部の段階でもう、司法試験志望者には部活動は無理です。 さて、官僚や裁判官や検察などの法曹には、高い専門性が求められます。しかし、教養については、高さと広さは求められないのです。あくまで、学歴フィルターに引っかからない程度の学力と、それらの放送の採用試験の「教養問題」で高得点を取れる程度の教養があれば十分なのです。 それ以上の教養や分野外の知識については、法曹の仕事では専門家に依頼します。 たとえば裁判で、自動車事故を扱う場合でも、裁判官は自動車工学や道路工学なんて知らないので、工業大学や自動車メーカーなどの専門家にアドバイスをもらいます。このように、裁判官には、専門家にアドバイスをもらう制度があります。(鑑識(かんしき)や鑑定(かんてい)などの制度です。) 官庁でも、たとえばスポーツ庁が文科省の管轄だからといって、文科省の役人の多くにはスポーツの腕前は不要です。文化庁は文科省の管轄ですが、文科省の役人の多くは、楽器もロクに演奏できないし、絵の画力も人並みでしょう。 官僚や弁護士などの国家試験や採用試験を目指さないなら、法学部でも部活動との両立は可能ですので、私学などのスポーツ推薦で法学部に入学している人もいると思います。 だから、テレビの大学駅伝や大学野球などの選手に、法学部の人もいるかもしれません。 しかし、官僚などを目指す場合、基本的には部活動との両立は困難です。部活動に在籍することは可能ですが、しかし公式試合などの出場などができるほどに技量を高めるトレーニングを積むのは、時間的に、国公立の法学部ではとても困難です。 === 大学の宗教サークル === そのほか、大学のサークル活動の問題点として、一部の悪質な宗教系のサークルが、正体を隠して新入生などに勧誘活動している、という実態もあります<ref>三菱総合研究所・全国大学生活協同組合連合会・日本コープ共済連生活協同組合連合会 著『大学生が狙われる50の危険』、青春出版社、2023年2月2日 発売</ref>。 大学進学した際、サークルより部活動に入ったほうが良いと教員が個人的意見を言ったりするのには、このような事情もあるかもしれません。もちろん、多くのサークルはマジメにサークル名通りの活動をしていると思いますが、残念ながら一部の詐欺的な悪質サークルを、日本の大学では排除できません。 やはり部活動などは高校時代のうちに熱心に活動したほうが良いでしょう。 大学の文化祭などに行くと、そういった悪質サークルにも遭遇してしまいます。なので高校生のうちは、文化祭を見るなら、高校(自校も他校も)の文化祭を重点的に回るのが良いでしょう。大学のサークルには期待しないほうが良いでしょう。 === 高校図書室・大学図書館の音楽書や美術書などの問題 === 部屋だけの問題ではありません。大学の図書室の蔵書と、高校の図書室の蔵書の関係も、似たような問題があります。具体的に言うと、高校図書室の音楽書・美術書のほうが、大半の大学の音楽書・美術書の本棚よりも本格的かもしれません。 なお、大学の「教養課程」というので習う科目の「経済学」「法学」「英語」「ドイツ語」「フランス語」(ドイツ語・フランス語は「第二外国語」でよくある)「数学」「理科」などは、さすがに高校よりもレベルの高い専門書が大学の図書館にそろえてあります。(「体育」は教養課程でありますが、あまりスポーツの技法書とか大学図書館には置いてありません。) しかし、その教養課程から外れる、音楽・美術とかの専門書、あるいは演劇部のための演劇書など部活動のための専門書については、高校よりも大学図書館の蔵書レベルが劣るか、ハナっから蔵書が無いとかだったりします。大学の進学前に覚悟すること。 まあ、書籍については高校卒業も一般の書店で購入できるので、あまり高校時代に急いで読む必要はありません。ですが、できれば高校在学中に図書室にどんな蔵書があるかは確認しておくと、後々の人生で、大学の専攻以外の分野での良書を確認するのに役立つかもしれませません。 大学の場合、たとえ総合大学やマンモス大学であったり、あるいは教育学部を持っていても、学部や学科によって校舎が他市町村レベルや下手したら他県レベルで離れていたりするので、そのせいで、大学生が学部の専門外の内容の蔵書を確認するには、異なる学部の蔵書を確認する必要があり、したがって異なる地域の校舎の蔵書を確認する羽目になり、ともかく大学だと専門外の書籍の確認がかなり面倒です。 大学図書館が、日曜日だと閉館している場合がよくあります。多くの大学の図書館では、授業中の月曜~土曜が開館日なので、よって日曜が閉館日なのです。このため、仮に大学生が「日曜日に大学の他学部の図書館を見学しよう」とか思っても、しかし日曜日はその他学部の図書館が閉館しているので蔵書を見れません。なので、高校在学中に、将来的に進学しそうな分野の専門外の書籍についても、高校図書室で蔵書を確認したほうが良いでしょう。 高校時代に、図書室の蔵書を全体的に眺めるだけでもいいので、眺めておきましょう。大学は学部の専門外の分野になると蔵書が高校よりも劣る場合が大半です。 == 特別活動 == === 基本 === 授業以外の活動にどう取り組むかは、校則に触れない範囲で個人の自由です。 中学校と異なるのは、大学入試には部活の実績や委員会活動・生徒会活動などの活動実績は要求されておらず、一般入試では部活などの活動実績があっても試験結果には加点されないということです。調査書の提出はありますが、高校入試と違い、高校卒業見込みであることの確認に使われるのみで、内容はほぼ考慮されません。 推薦入試や総合型選抜(かつての「AO入試」)を行っている大学では部活などの実績が考慮される場合がありますが、基本的に、多くの高校生は一般入試で大学進学することになります。それを踏まえたうえで、特別活動に力を入れるも入れないも、個人の自由です。 なお、総合型選抜をよく行っている大学と学部は基本、私大の文系学部です。一応、例外的にいくつかの国公立大学や理系の学部でも小さい枠で総合型選抜などを行っていますが、国公立では対象となる大学は少なく、また、理系学部では総合型選抜は基本的に無い傾向です。 ただし、医歯薬系や看護など医療系の大学では一般入試に面接などがあるので、その面接において部活や委員会活動の活動実績についても聞かれる可能性があります。とはいえ、いくら「医者は体力勝負」とか言っても、スポーツがいくらできても肝心の勉強ができなければ不合格なのは言うまでもありません。 また、理系の学部の入試で自己推薦入試を受験する場合、一般に評価される活動は決して部活ではなく、大学によりますが数学オリンピックとか全国高校化学グランプリなど、高校の学外での理系の公式大会での成績だったりします。(たとえば早稲田の理工はそうです<ref>[https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2022/08/2022_AO.pdf 『』P224] 2023年12月08日に閲覧. </ref>) 指定校推薦と総合型選抜は、まったく異なった受験です。混同しないように。指定校推薦で必要なのは基本、よほど授業態度が悪いとか出席日数が極端に悪いとかでない限りは、必要なのは高校時代の定期試験での高得点です。いくら部活で部長をしようが、委員会で委員長をしようが、それは指定校推薦の条件には基本的に関係ありません。 大学によっては、体育大学の体育学科の推薦をもらいたいなら運動部の公式大会での成績とかも考慮事項になるかもしれませんが、それは指定校というよりも自己推薦型入試でしょう。 例外的に、体育大と高校の運動部の大会の成績とか、音大と高校生音楽コンクールの順位などのように、高校の部活の内容が志望大学の学業と直結するものでもない限り、部活動の成績よりも普通の教科の成績が指定校推薦では優先されます。 なお、指定校推薦による募集を行っているのは私大です。 ;スポーツ推薦など また、いわゆる「スポーツ推薦」は、制度的には「特別推薦」というものです。スポーツ推薦は、指定校推薦ではありません。特別推薦では、学校長の推薦書は必要ですが、しかし指定校とは違って高校に枠が割り当てされていません。 このため、たとえばスポーツの苦手な人が、どんなに偏差値の高い高校に入って、そこで運動部に入って部長をしようが、全国大会や関東大会(関東地方の高校の場合)などの公式大会などで高い順位を取らないかぎりはスポーツ推薦はもらえません。 ;芸術などの推薦や総合型選抜 高校の音楽コンクールや美術コンテストなどでの全国大会とかの推薦や総合型選抜については、大学や学部学科ごとに傾向が大きく異なるので、早めに志望業界の学部の募集要項などを幾つか確認してください。 たとえば、音楽志望の場合、教育学部の音楽教師の学科を考えている場合なら、いくら音楽だけが得意でも、肝心の5教科の学業が苦手だと教員採用試験に合格しない可能性が高くなるので教師としては不適格です。なので、教育学部の受験では、音楽だけしか出来ない人は、よほど音楽の業績が優れていない限りは、不合格になる可能性が高いと考えられます(教師には高めの学力が要求されるので)。 いっぽう、文学部や経済学部では、特に必須の国家試験とかありませんので、教育学部ほどは受験で学力を要求されない可能性もあります(大学にもよる)。 このように、学部や学科によって、要求される学力の程度が違うので、ある程度は傾向を把握したうえで高校生活を送るのが受験対策としては安全です。 例として音楽をあげましたが、美術と美術教師の学科でも同じですし、演劇部などでも同じです。 === リンク(※未完成なので読まなくていい) === * 部活での文書管理などのノウハウについては、右のリンクが予定されていますが、未完成です(※ 現状、読む必要はありません)。 リンク:[[高等学校部活動]] == 普通科高校と実業高校 == 普通科高校は大学進学を目指す生徒に特化したカリキュラム、実業高校は高卒での就職を目指す生徒に特化したカリキュラムが組まれています。また、実業高校が持つ企業とのパイプも普通科高校は持っていません。したがって、高卒で就職する場合は、実業高校卒の方が有利です。家庭の経済事情で、大学への進学が難しい家庭はこの事に注意してください。いっぽう大学進学は、工業高校や商業高校などの実業高校の卒業生でも、法的には問題なく大学受験が可能です。ですが、現実的には大学受験は普通科高校生の方が有利です。特に職業高校への進学にこだわりが無ければ、将来的に大学進学したいなら、普通科高校を卒業したほうが大学進学しやすいでしょう。 職業高校というと「落ちこぼれの不良が集まる底辺校」というイメージを持っている人がいるかもしれませんが、それは過去のことです。実業高校は就職活動の面接に臨むことができ、その後即戦力として就職できる生徒を育てるために、生徒指導はきちんと行われている学校が多いです。また実習や資格取得のための検定が多くあるため、そのための勉強の忙しさは普通科高校には劣りません。 == 高校と大学と、中学との違い == :全体的な傾向 基本的に高校では、出欠確認とか委員会とかは、中学とほぼ同じです。とりあえず入学時は、高校についてだけ知っていれば十分です。 === 委員会や生徒会 === :※ 説明の都合上、高校だけでなく大学についても説明したほうが分かりやすいし大学AO入試(総合型選抜)対策にもなるので、ついでに大学も説明します。 ;高校に委員会はある。大学には無い 委員会や生徒会などについて、中学と高校は、ほぼ同じです。公立高校でも私立高校でも、特に差はありません。つまり、「保健委員会」とか「図書委員会」とか、多くの高校にあります。 いっぽう、大学には基本、委員会はありません。つまり、大学に「保健委員会」とかはありません。健康診断とかの提出物は、大学ではお医者さんまたは学校の職員の人などに渡します。 大学図書館には司書がいます。大学では、図書の受付の委員会業務も存在しません。大学では、学生には図書業務はさせません。 ;高校に生徒会はある。大学では「学生会」「学生自治会」「学友会」 高校には、生徒会はありますし、もちろん体育館とかで生徒会長に誰を選ぶかを全校生徒(もしくは全2年生)で投票です。 大学では「学友会」や「学生自治会」や「学生会」とか言うのが、生徒会に相当する組織です。大学では、いちいち全校集会とかで投票しません。というか、大学に全校集会そのものがありません。入学式と卒業式とで、それぞれ新入生と卒業生が一斉に集まるだけです。 なお、大学の「校友会」は卒業生の組織ですので、誤解なきよう。 === ホームルームなど === ;高校にはホームルームがある。大学には無い 高校には中学と同様、ホームルームや出席とか朝礼・終礼があるのが一般的です。ホームルームで担任(たんにん)の教師から、いろいろと一斉に連絡されます。 大学にはホームルームとか無いので、連絡は基本、掲示板です。大学の校内に掲示板(実物)があります。 書いてて気づきましたが、つまり高校には掲示板は基本的にはないです。 また、大学は朝の1時間目の授業が、ホームルームや出欠などなく、いきなり(授業が)始まります。つまり大学には、朝のホームルームとか出席(朝の「はい元気です」のアレ)とか朝礼・終礼や「起立・きをつけ・礼」がありません。 === 学校行事の有無 === ==== 修学旅行・林間学校など ==== 高校では旅行先が遠くなるかもしれません。修学旅行・林間学校(もしくは臨海学校)じたいは、どの高校でも存在します。 たとえば、関東在住なら、中学校では修学旅行先として京都や東北が旅行先だったのが、高校では沖縄や北海道などが旅行先になるかもしれません。 いっぽう、大学に修学旅行・林間学校などはありません。研究室で、もしかしたら夏休みあたりに2~3日の合宿を大学の近場(その地域の小中学校の修学旅行先あたり)でするかもしれません。 ==== 運動会・体育祭 ==== 高校にも体育祭(運動会)は存在します。 いっぽう、大学には体育祭はないのが普通です。そもそも大学にはクラス(学級)が無いので、クラス対抗の競争とか原理的に無いのです。 ==== 文化祭 ==== 高校にも大学にも文化祭があるのが一般的です。 == 定時制・通信制高校 == 定時制と通信制の高校に通う(または、それを考えている)方はサブページをお読みください。 * [[高校生活ガイド/定時制]] * [[高校生活ガイド/通信制]] == 大学入試の総合型選抜でどうしても部活などの能力をアピールしたいなら == 神戸大学付属の中等教育学校(いわゆる中高一貫校)の、探究論文のためのガイドライン中で「課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン」として、下記のように言われています<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/education/kp/materials/2023_kuss_handbook.pdf 『2023 年度 Kobe ポート・インテリジェンス・プロジェクト 課題研究・卒業研究ハンドブック』P.17]</ref>。べつに総合型選抜の自己アピール書は論文ではないので、下記のままに従って書く必要は無いですが(そもそも文字数制限があるので、自己アピール書に論文は書けない)、しかし論文というのは下記のような書き方ですし、下記を高校生に要求している国公立の高校も日本に存在します。 <blockquote> 第 1 版(2023 年 4 月 4 日) 課題研究の成果として論文以外の制作を伴う研究のガイドライン * 制作物のみをもって論文の完全な代替とすることは認めない。あくまで課題論文の提出は全員に求 める。 * 課題論文に別添する形で、制作物やその写真、実演の録画を提出することは認める。その場合、課 題論文の規定字数相当の内容があるか否かの判断は、制作物の量・質を考慮して行うものとする。 * 具体的には、課題論文の序論・結論に相当する部分が制作物により代替されうるとは通常考えられ ない。一方、本論に相当する部分の大部分を制作物により代替することは十分に考えられる。 * 序論には本研究の社会的・学問的(芸術的)意義を述べるとともに、本研究で取り組む問い、もしく は明文化された問いの形になりづらければ課題について明記することが求められる。5 年生以上は 先行する制作の事例について分析し、本研究の新規性について明記することも求められる。 * 本論部分では、序論で述べた課題を解決するための制作方針について述べるとともに、実際の制 作物やその写真、実演や制作物作動の様子の録画を添付する。 * 何らかの課題を解決するための制作方針が明記されていることは、制作が研究として認められるた めの必須要素であり、これがない制作は本校の課題研究としては認められない。何らかの創作を伴 う制作であればその創作方針が明示されるべきである。既存作品(楽曲等)の実演を制作物として 課題研究とする場合は、それに対する自身の解釈や、身体操作の独自の工夫などを実演方針として 明示することが求められるのであって、解決すべき課題に特に対応しない実演や単なる模倣は本校 の課題研究としては認められるものでない。 * 結論部分では、別添した制作物によって序論で明示した課題が解決されたことを主張することが求 められる。加えて、本研究において解決しきれなかった課題を展望として述べることも推奨される。 </blockquote> 文中に「5年生」とあるのは、中高一貫校なので、中学からの通算の年数を数えている(高校2年生に相当)。 本節では、文学部や経済学部や法学部などへの総合型選抜を念頭に、話します(美大とか音大とかは念頭に置いていません。また、私大の体育学部なども念頭に置いてません。) 「高校生が部活などで頑張ったのは分かった。」「問題は、それ、志望する大学での研究と、どう関係あるの?」、これを説明することが望まれます。 なのに、なんの説明もなく、「制作物のみをもって」(論文の完全な)「代替とすること」は、社会通念上、認められないのです。 特に国公立の大学の場合、税金を使って大学が運営されているので、研究に社会的・学問的(芸術的)な「意義」の説明がなければいけません。志望者に、説明責任があります。 単に、「スポーツが得意」とか「絵が上手い」とか、それは建前上は、国公立の総合型選抜では求めていないでしょう(私大はどうか知らない)。そういうのは、私大の「スポーツ推薦」とか「文化活動推薦」みたいな、別の方式の推薦を受けてください。 上記引用中に「 何らかの課題を解決するための制作方針が明記」とあるように、部活などの活動の努力や成果(客観的に第三者機関によって証明できる成果)を、社会の課題解決にどう結び付けるかが、言えることが望まれます。 実際に、社会の課題を解決することまでは、要求されていません。金銭的・時間的に、解決までは無理です。そもそも長年のあいだ解決できなかった社会課題だから、たかが高校生ごときのお子様でも発見できる「課題」として残っているのです。 自身で解決しようとするのではなく、これから、学問の力によって、課題の一部でいいので、解決までの道すじを社会でつくろうとする事に、あなたも協力するために自発的にあれこれすることが望まれているのです(具体的に何をするかは個々人による)。 基本的に、学問の多くは、再現性や言語化を重視します。分野によっては、再現性だけは低い分野もあるかもしれませんが(たとえば歴史学などは実験が不可能なので、再現性は低いかもしれない)、しかし言語化はそれでも可能なはずです。 美大や音大などは例外かもしれません。しかし、もし文学部や経済学部や法学部などを志望するなら、言語化をして、税金をあずかっている国公立の大学教員たちの納得のいく説明をできなければいけません。 もし、そういう言語化がイヤなら、そもそも文学部や経済学部などの学問に向いていません。文学作家に向いているかどうかは知りませんが、しかし文学部の国文科と言うのは決して小説家の養成所ではありません(そういうのは専門学校です)。例えるなら、文学部の歴史学科の研究者が、たとえ戦国大名を研究することはあっても、研究者自身がけっして大名になる必要は無いのと同様に、文学部の国文科では小説家になること自体は求められていません。 ましてや、国公立の大学の文学部などは、断じてスポーツ選手の養成機関でもありません。 上記の当wikiの説明では、説明の都合上、国公立を例に説明しましたが、私大の志望でも上記のような事はすこしは考えるべきでしょう。私大だって、私学助成金などの税金の財源とした補助金をもらっています。また、大学教授は科研費などの補助金を国からもらう際、国への説明責任があるわけです。 上記の引用が出来たからって、合格するかどうかは知りません。ただ、割とハッキリ言えるのは、もし上記の引用が出来ない人が合格しても、例外としてスポーツ推薦で難関大に合格するような余程(よほど)の業績ではないかぎり(全国大会のトップ8入りとかでないかぎり)、研究への情熱の評価ではなく、単に全国大会などの業績によるスポーツ推薦・文化活動推薦が適用されて合格したに過ぎない、という事です。 == 出典・脚注 == <references /> == 参考文献 == *[https://shingaku.mynavi.jp/ マイナビ進学] *[https://allabout.co.jp/gm/gt/2066/ All About学習・勉強法] [[category:高校生活|*]] h7eyxlmf8tfy2a83njpn3imi04vay6f 日本の大学受験ガイド/総論 0 19116 246459 243842 2024-04-10T06:03:46Z すじにくシチュー 12058 == 私大の総合型選抜とオープンキャンパス == 私大の総合型選抜では、いくつかある入試方式の要件として、オープンキャンパスの参加を要件としている場合があります。オープンキャンパスに参加していない場合、その方式には出願できませんので、別の方式があればそちらで出願することになります。 wikitext text/x-wiki 各学校別の入試傾向や、センター試験の仕組みなどの解説については、 [[日本の大学受験ガイド]] を参照してください。 == 大学に進学するということ == === 大学とは === 「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」(学校教育法第八十三条) この法律によれば、日本の現行法令に基づいて現存する大学とは、「広く知識を」身につけるとともに、「深く専門の学芸を」学ぶための場所である、ということです。ですから、これらを目的とする学生は進学することが大いに役に立ちますし、そうでない学生は行くだけ無駄、というのが日本の大学です。しかし、このような抽象的な文言ではわかりにくいですね。もう少し具体的に、大学に進学することのメリット・デメリットを見てみましょう。 === 大学に進学することで得られるメリット・デメリット === 大学に進学することで得られるメリットはいくつかありますが、ここでは次の2点について述べます。 * 大学卒業という資格 まず、大学を卒業すれば、大学卒業という資格が得られます。昨今は多くの学生が大学に進学しますので、この資格を就職の要件とする就職先も少なくありません。つまり、少なくとも何らかの受験勉強をして大学に入り、大学で何らかの学びをした、という経験がある人が求められているということです。 * 国家資格等の取得に関する学士号のメリット ほか、「学士号」が大学の学部卒業により得られます。いくつかの国家資格では、その分野の学士号を要件としている場合があります。なお、短大卒では「準学士」が得られる資格となります。つまり、短大卒業をしただけでは学士号は得られません。 大学卒業という資格は、他の資格にもつながります。大学で特定の課程を修了したり、特定の学科を卒業していないと取得できない資格が数多くあります。そのような資格を取得するには、資格を取得できる大学に進学することが必須です。 ただし、よく勘違いされがちなことですが、国家資格を持っていても、簡単に就職できるとはかぎりません。大学で専門的に学ぶことが求められる公的資格の中にも、需要と供給が見合わなくなっている資格が散見されますので注意が必要です。 逆に、デメリットはあるでしょうか。あえて言うならば、時間とお金がかかることでしょう。 * 進学にはお金がかかります。 例えば、私立大学に進学するとすると、学費が少なくとも年間100万円以上(実際にはそこまで安い私大はほとんどありませんが)なので、卒業までの4年間で、最低でも400万円以上はかかります。これとは別に、下宿をするなら家賃などの諸経費がかかります。都内のアパートの相場が月額7万円だとして、1年で約84万円の家賃がかかるとしましょう。切り良く食費や光熱費も含めて100万円の家賃だとして、4年間で400万円がかかるわけです。すると、4年間で800万円はかかります。これは留年などをせずにストレートに卒業した場合ですので、そいうったことも含めて、私立大学の卒業までに1000万円は教育費がかかると思ったほうがよいでしょう。 国公立の大学でも、学費が年間60万円程度はかかります。少なくとも卒業までの4年間で240万円はかかるわけです。諸経費を含めて、2倍程度で、卒業までに600万円程度の教育費はかかると思ったほうが良いでしょう。 家が金持ちならよいですが、そうでなければ奨学金などの借金をして進学することになります。1000万円ちかい借金というのは、結構、負担が重いです。新卒の給料が年間300万円が相場と言われますが、生活費などを差し引くわけですから、借金の返済に当てられるのは、多くても年間100万円程度まででしょうか。すると、卒業してから10年近くは生活を切り詰めなければいけません。もちろん、たとえ大学を卒業しても、かならずしも賃金の高い企業に就職できる保証はありません。 === 「難関」大学に進学することで得られるメリット === 上記の事項に加え、入学の難易度が高く、世間からの評判が高い、いわゆる「難関」大学に進学すれば、さらにメリットが得られます。 * 高い水準の教育を受け、研究に触れることができる。 いわゆる難関大学は、授業で扱う内容の水準が高いといえます。どんなに優秀な先生でも、高校で習う内容を理解していない学生に対しては、高校で習うような内容の授業からせざるを得ません。その点、高校で習う内容は理解している生徒ばかりが集まる大学ならば、さらに程度の高い内容を授業することができます。この違いは、理系の場合は特に顕著に表れます。 このことは、いずれ4年生や大学院生となり、研究に触れる場面においても響いてきます。その時点でどの程度の研究ができるかは、その時点までにどの程度までを学ぶことができたかに左右されます。また、研究に関する評判の高い大学には国からも民間からも研究に関する経済的支援が得られやすく、他ではできないような予算のかかる大規模な研究をすることができることもあります。 * 周囲の学生から刺激を得ることができる。 いわゆる難関大学は、周囲の学生の程度が高いことが多く、それまで得られなかったような知的な刺激を得られることがあります。普段接する学生の質が高いということは、それだけで大きなメリットなのです。これは、大学生の間の学びが充実するということはもちろんのこと、将来の人脈作りといった面でもメリットがあります。 * 就職の役に立つ いわゆる難関大学は、大企業や官庁への就職実績が高い傾向にあります。これは、それら大学に属する学生の質が高いということも当然ですが、それだけでなく、採用の際に大学の名前を見る就職先が少なくないということにもよります。 なぜ企業は大学の名前を見るのでしょうか。それは、なるべく優れた人材を取りたいという要求を満たすために、コストパフォーマンスが高い方法だから、だと思われます。いわゆる難関大学を卒業した人は、その大学の入試を突破するだけの学力や、その学力を身につける受験勉強の経験をしています。大学入学後は、上に述べたような経験をしています。それゆえ、就職してからも役に立つ能力を持っている可能性が高いといえます。むろんこれは確率の問題で、実際にその人の能力が高いかどうかはわかりません。大学受験は失敗したけれど能力は高いという人もたくさんいます。しかし、限られたコストで最大の利益を求める企業にとっては、そのような人を発掘するのは手間がかかりすぎます。そこで、手っ取り早い方法として、大学の名前を見ることになるのです。 また、特に理系の技術職の場合、企業と大学の研究室の間で、共同研究などによって関係がある場合があります。このような場合、その研究室の大学院生(学部生では話になりません)を採用すれば、ある程度の知的水準や実験スキルを持っている可能性が高いと判断できますので、そのような採用がかなり多いです。もちろんこれもスキルを持っている可能性が高いというだけですが、コストとの兼ね合いを考えると企業にとってはちょうどいい選択なのだと思われます。 このような構造が良いか悪いかという議論はさておき、現実に企業がそのようなことをしている以上、学生の側もそれに対応するのが現実的な選択と言えるのではないかと思います。 === 浪人について === 希望の大学に合格しなかった場合、浪人は一つの選択肢です。しかし、無益な浪人をしてしまえば、貴重な時間とお金を浪費するのみです。浪人をする際には、1年後の結末として次のいずれもがありうるということを念頭に置いて検討しましょう。 * 現役のときよりも明らかに良い大学に合格する * 現役のときより少しは良い大学だが、1年をかけるほどではない大学に合格する * 結局現役のときと同じ大学に進学することになる、あるいは、それすらかなわない 状況次第では3番目の結果も十分にありうることですから、むやみやたらに浪人することが良いとは言えません。また、2番目の結果になったときにそれは「成功」と言えるかどうかは疑問符です。浪人すれば、その後の人生のあらゆる場面が1年遅れるわけですから、それに見合うだけのジャンプアップでないと無意味です。 もちろん、1番目の結果になることを目指して浪人するのは意味があることです。しかし、であるからにはきちんと戦略を立て、実現させなければならないということです。 なお、一般に二浪以上は浪人によるデメリットの方が上回ることが多いです。2年無駄にしてまで行く価値のある大学はほんのわずかです。そんな時間があったらそこそこの大学に入学して、受験勉強のようなままごとではない本物の学問に早く触れた方がベターです。 == 大学進学を意識した学習 == 大学受験においては、いわゆる5教科の学習をすることになります。国公立大学ではセンター試験で5教科すべてを受験する必要があることが大多数ですので、文系だろうと理系だろうとまんべんなく学習する必要があります。私立大学の場合は科目を絞って受験することも可能ですが、多くの大学で科目を絞らない方が有利です。詳細は各大学の対策記事に譲りますが、一般論として言えば、所詮は競争なのだから、自分と同世代の他の多くの人たちが選びたがりそうな楽に見える道には同じことを考える輩がたくさんいて大変、その道を避けて一見辛そうな道を進む方が競争相手が少なくて楽、ということです。 志望先に関する専門知識めいたものは不要です。高校生にとっては新書や啓蒙書に乗っている程度の内容が専門知識に見えるかもしれませんが、学問全体を学ぶことから比べればたいしたことのない内容です。たいしたことないことを、素人が浅く学んだところで役に立ちません。そもそも、専門知識を学ぶために進学するのですから、進学しなくても学べるのであれば進学する意味がありません。 ほとんどの学部学科において、その分野に対する興味関心はなくても進学できますが、さすがにまったく興味関心がない分野に進学すると入学後に辛いのでやめましょう。例外は医療系の学部学科で、小論文や面接を科す場合が多いですので、医療に対する興味関心がまったくない人は不合格になります。 == 学部・学科の名称 == === まぎらわしい学部 === 大学には色々な学部があります。 名前が似た学部もあります。 混同してはならない事として、 「経'''営'''(けいえい)学部」と「経'''済'''(けいざい)学部」は違います。 経営学部は、商学部とほぼ同じなのが普通です。経営学部や商学部は、簿記を基本として、そのほかビジネスマンに必要な英語などを学んだりして、ビジネスマンになるところです。そのほか、マイケル・ポーターなどの経営学者の理論を学ぶこともあります。 いっぽう、経済学部は、『ミクロ経済学』や『マクロ経済学』などの経済理論を基礎に、さらに発展した理論を学ぶところです。 「教育(きょういく)学部」と「教養(きょうよう)学部」も、違います。特にこの2つの学部は、まったく授業の内容が違うので、絶対に混同しないでください。 教育学部では小学校などの教員免許が取れます。 教養学部は、教育内容をあまり細かく限定しない学部であり、小学校の教員免許は取れないのが基本です。大学ごとに「教養学部」は教育内容が大きく異なっているので、詳しくは各大学のホームページなどを参照してください。国語・数学・理科・社会をまんべんなく学ぶことを特色としている「教養学部」もあれば、それとは別に、語学人材や国際人材を育てることを特色としている「教養学部」もあり(「国際教養学部」または「グローバル教養学部」と言う場合が多くあります)、はたまた介護福祉や観光などの講座を分野を限定せずに学べることを特色とした「教養学部」もあり、大学ごとに「教養」の意味が千差万別です。このため、大学卒業時に取得可能な国家資格についても千差万別ですので、それらの学部の進学を考える人は、入学前の志望校決めのさいに調べておくのが良いでしょう。 大学によっては、教養学部の呼び名ではなく、「リベラルアーツ学部」のように名乗っている場合もあります。 ほかの「文学部」とか「理工学部」とかについては、字面を見れば意味が分かるので、いちいち説明しません。 工学部や理工学部の、電'''気'''工学科と電'''子'''工学科は、内容が違います。 電気工学は、発電所や送電設備、またはモーターなどの技術者の学科です。 電子工学は、半導体などの学科です。 == 私大の総合型選抜とオープンキャンパス == 私大の総合型選抜では、いくつかある入試方式の要件として、オープンキャンパスの参加を要件としている場合があります。オープンキャンパスに参加していない場合、その方式には出願できませんので、別の方式があればそちらで出願することになります。 == その他大学受験に関する事項 == === 受験生を食い物にする輩 === 大学受験では、試験会場へ行く道などに、合否や成績開示を送る云々という宅配業者を装った詐欺師が出没することがあります。その詐欺師が大学の職員などの名前を騙る場合もあります。あるいは詐欺師が、路上で「受験生は、この名簿に、名前を書いてください。大学からの緊急の指示です。」などと主張する場合もあります。多くは受験生たちの個人情報を入手しようしているようです。 そもそも成績の開示は願書において希望するしないを記入するのが一般的でしょう。それ以外の場面で大学が個人情報を入手しようとすることはありえません。詐欺師に騙されないように、受験生は注意してください。合格発表日にも詐欺師が出没する場合がありますので注意しましょう。 == 参考文献 == [[カテゴリ:大学入試]] a0xtdf3o45a0gy3woks2wrcuu6hp6re 高等学校政治経済/経済/経済思想 0 21321 246440 236466 2024-04-09T13:59:36Z 椎楽 32225 雑な記述などを修正。 wikitext text/x-wiki == 経済社会の歴史 == === 安価な政府 === [[File:AdamSmith.jpg|thumb|150px|アダム・スミス]] 産業革命のころ、イギリスでのイギリスの経済学者'''アダム・スミス'''(Adam Smith)は、『'''国富論'''』(または『'''諸国民の富'''』)を著作し、市場には価格を自動的に調節する「見えざる手」(invisible hand)が存在するため、個々人が自己の利益のためだけに売買を自由にするだけでも、全体が幸福になると主張した。 このような、政府はなるべく、民間の経済活動については、自由放任(じゆうほうにん、'''レッセ=フェール'''、laissez-faire)として、政府は経済に関わらないとする考えを「'''安価な政府'''」(cheap government、'''小さな政府''')という。 アダム・スミスは、現代では「経済学の父」と呼ばれ、アダム・スミスは古典派経済学の祖とされている。アダム・スミスを中心とする彼の時代の経済学は、'''古典派経済学'''と言われる。 なお、後世のドイツのラッサールは、このような「安価な政府」の考え方を批判の意味合いで、「夜警国家」(やけい こっか)と呼んだ。 :(※ 範囲外 :)アダム・スミスの「見えざる手」の元ネタは、一説には思想家マンデヴィルの著書『蜂の寓話』の語句にもある「私悪すなわち公益」だとも言われる。 また、アダム・スミスは富の源泉は労働にあるとする'''労働価値説'''を主張し、リカードやマルクスなどに影響を与えた。 === 社会主義 === [[File:Karl Marx.jpg|thumb|150px|マルクス]] 現実の近代世界での経済の歴史は、アダム・スミスによる予想とは違い、自由な経済活動が増えるにつれ、貧富の格差がひらいたり、景気の変動がはげしくなったりしていった。 '''マルクス'''(Karl Marx)はこうした資本主義経済の矛盾から、生産手段の私的所有と市場経済にもとづく資本主義の崩壊は歴史的・必然的な現象であると考えた。そして、資本主義が自壊したのちに生産手段が社会的所有へと変わる'''社会主義'''経済へと移行すると予想した。マルクスは『'''資本論'''』を著し、資本主義の経済体制を分析した。 === 修正資本主義 === 1929年のアメリカから始まった'''世界恐慌'''により、各国の株式市場などの金融市場が不安定になり、安価な政府の考えでは、不況が解決できなくなった。 そのため、「安価な政府」とは別の考え方の、政府が積極的に経済活動を行う政策が行われた。 アメリカでは、ダム開発などの公共投資などを積極的に行う'''ニューディール政策'''が、フランクリン=ローズベルト大統領によって進められた。 [[File:Keynes 1933.jpg|thumb|150px|ケインズ]] 同じころ、イギリスの経済学者'''ケインズ'''(Keynes)は、『'''雇用・利子および貨幣の一般理論'''』(1936年刊行)で、政府は有効需要(ゆうこう じゅよう)を増やすべきだと主張した。 '''有効需要'''とは、貨幣の支出をともなう需要のことである。 ケインズの考えによると、私企業や家計が経済活動を行うように、政府も景気安定などのための経済活動を行うべきだとする。 アメリカのニューディール政策は、ケインズ主義にもとづく政策である、と分類するのが一般的です。(※ 実教出版『公共』教科書の見解) このニューディール政策やケインズの理論などのように、自由放任ではなく、原則的に市場はなるべく自由にしつつも、政府は経済投資などで市場に積極的に関わるべきだとする経済思想のことを'''混合経済'''または'''修正資本主義'''という。 :(※ 範囲外 :)20世紀後半のアメリカの有名な経済学者サムエルソンが、「混合経済」という表現を用いており、彼の著作した経済教科書などでその表現(mixed economy)が用いられている。アダム・スミス的な従来の自由放任的な経済理論と、ケインズ思想にもとづく当時としては新しい経済理論との混合のようなニュアンスだろう。 なお、この、ケインズのような政策では、政府の支出が増えるため、インフレーションや財政赤字が起きやすいという性質がある。 {{コラム|「大きな政府」との関係| 中学で「小さな政府」と「大きな政府」を習ったと思いますが、ケインズ思想を重視する政策は基本的に、「大きな政府」になる傾向があります。なぜなら、政府は雇用の安定化などのために、民間では不採算な部門にも、積極的に政府が市場介入するからです。(※ 実教出版『公共』教科書をもとにwiki側でやや脚色。教科書では、歴史的な流れを書いてるが、実質的には、まあ、ケインズ政策が「大きな政府」だと言っているので) 当然、財政赤字などが膨らみやすいという欠点が、ケインズ思想にはあります(政治家は選挙対策などのため、普通は税金をそんなに上げたがらないので)。※ 財政赤字うんぬんも、まあ実教の教科書の構成がそんな感じである。直接は言ってないが。 「大きな政府」でも「小さな政府」でも、それぞれ長所と欠点があります。 中学では、「大きな政府」は「税金が高い」という傾向を習ったと思います。 高校では、それに加えて、実は「大きな政府」は「財政赤字になりやすい」傾向もあるという事も習います。 「小さな政府」はその逆であり、つまり「財政赤字になりにくい」傾向があるし、もちろん税金は安いのです。 原理的には、「税金が高いけど財政の健全な国」などの可能性もあるでしょうが、しかし実際には政治家の選挙対策などの都合により、増税は有権者ウケが悪いので、往々にして政治家による「大きな政府」的な政策の主張は、財源の税金を軽視したり有権者の関心に入らないようにしたりして、財政の悪化につながりやすい傾向があるし、事実、20世紀後半の日米の財政がそういう歴史の実例です。 }} == 新自由主義 == 1970年代から80年代になると、政府の財政赤字などを理由に、経済政策を「'''小さな政府'''」にする国が出てきた。 イギリスの'''サッチャー'''政権、アメリカの'''レーガン'''政権、日本の'''中曽根'''康弘(なかそね やすひろ)政権などが、このような経済政策である。 == 冷戦の終了 == 冷戦の後半になると、ソビエト連邦の経済や財政が行き詰まった。ソ連は'''ペレストロイカ'''で、部分的に自由競争をみとめる経済改革をして、それなりに効果もあがったが、ソビエト連邦は計画経済をやめ、またそれにともないソ連を解体し、ソ連解体にともない東ヨーロッパ諸国も民主化し、こうして冷戦は終結した。 現在、東ヨーロッパ諸国やロシアは、資本主義の経済政策である。 零戦後半のころ、中国でも'''改革開放'''(かいかくかいほう)政策がとられ、経済の自由競争が導入されていった。 同じころ、ベトナムでも'''ドイモイ'''(=刷新)政策で、市場経済が導入されていった。 [[Category:社会|こうとうがっこうせいじけいざい]] [[Category:経済学|こうとうがっこうせいじけいざい]] 2yltjbo7h7doelfoxcndr2li8mvs48v 独学ガイド/理工学一般/大学学部の中級レベルの科目 0 23159 246469 234319 2024-04-10T10:30:43Z Nermer314 62933 /* 発展的な数学(ただし理工系)の勉強法 */ wikitext text/x-wiki {{独自研究の可能性|PAGENAME={{PAGENAME}}|内容=理工学についての独学ガイド}} == 発展的な内容の勉強 == 発展的な理工学の勉強では、物理学と数学を中心に勉強します。 数学は、微分方程式・複素関数論・フーリエ解析が勉強の中心です。 物理学は、「力学」「電気磁気学」に加えて、さらに「振動・波動」「熱力学」を勉強します。 また、並行的に、しだいに機械工学の「材料力学」「流れ学」「工業熱力学」および、電気工学の「電磁気学」「電気回路」も勉強しといてください。 === 「葬式とともに科学は発展する」 === けっして「すべての科目を均等にバランスよく、すべて勉強しよう」と思ってはダメです。 なぜなら、科学というのは、ダメな学問を淘汰したきた歴史でもあり、格言として「葬式とともに科学は発展する」とも言われます。天動説のような時代遅れの学説を信じてる学者は、生涯、その学説を曲げようとせず、そのため、彼ら天動説論者が寿命で死に絶えるまで、天動説の学説が天文学では残り続けました。 ですが天動説のようなダメな学問は、成果が乏しくなっていくので予算が無くなっていくので後継者不足になっていき、だんだんと存在感が薄れていきます。たとえるなら、人文学の世界で、ダメな神学や儒学が大学教養の教育から外されていき、代わりに経済学などが教養に加わったのと同じです。 明治維新のさいに儒学などが学術のスミに追いやられた歴史を参考に、学生はダメ学問を見抜く嗅覚を、身につけましょう。 === 発展的な物理の勉強 === 前のほうの節で、少なくとも「力学」と「電気磁気学」は、「概論書ではなく科目専用の教科書を買いなさい」と指示しました。 さて、発展的な物理を勉強したい場合、さらに、「振動・波動」「熱力学」(もしくは「熱・統計力学」)、の大学2〜3年レベルの教科書を買ってきて、計算練習しつつ勉強してください。 熱力学よりも、振動・波動のほうを先に勉強したほうがイイかもしれません。 なぜなら、物理学の熱力学というのは、やや抽象的で難しいからです。機械工学の「工業熱力学」とは、物理の「熱力学」は、だいぶ、内容が違います。 いっぽう、振動・波動は、微分積分によるゴリ押しで勉強を進められます。なので、まず振動・波動のほうを先に勉強するのがオススメなのです。 独学では、まだ、量子力学や相対性理論とかは、しなくていいです。 あと、機械工学の「材料力学」「流れ学」「工業熱力学」および、電気工学の「電磁気学」「電気回路」も勉強しといてください。 なお、機械工学の「振動」の教科書は、物理学の「振動・波動」の教科書とは内容がけっこう違うので注意してください。混同しないでください。 機械工学の「振動」というのは、エンジンとかモーターとかの軸が高速回転する機械を計算する力学です。機械工学の「振動」の勉強には、機械工学の「材料力学」の知識が必要です。 大学の授業では、実験・実習の科目などと絡めて、機械振動の公式をやや天下り的に教えたりします。しかし独学の状況では、実験設備とかが無いのでそういう勉強法ができません。なので、機械振動は後回しにならざるを得ません。 ---- === 発展的な数学(ただし理工系)の勉強法 === 前提として、まず、理工系の線形代数(大学1〜2年)、微分積分(大学1〜2年)、微分方程式(大学2年〜)、複素関数論(大学2年〜)などを勉強しておいてください。 これらの分野(線形代数〜複素関数論)は、計算練習をきちんとしておく必要があります。 それらの前提の上、勉強法を説明します。 ---- * 発展的な数学(ただし物理・工学系での)の勉強法 理工系用の教科書で(数学科用ではなく)、「フーリエ解析」、「ラプラス変換」、「ベクトル解析」などといった科目を勉強します。 「応用数学」「理工系の解析学」みたいな感じの書名で、これらの単元(「フーリエ解析」、「ラプラス変換」、「ベクトル解析」)が、ひとまとめになってる書籍もありますので、それを買ってもいいです。 これらの単元でも、特に重要なのが、「フーリエ解析」です。 フーリエ解析の本を買う際、'''書籍名が「物理数学」や「応用解析学」などで、ラプラス変換などと一緒になっている書籍を買う'''のがオススメです。どういう事かというと、市販の教科書のなかには、「信号処理論」というフーリエ解析でない分野を『フーリエ解析』という書籍名で販売している教科書も沢山あるからです。 日本で『フーリエ解析』という名前の教科書には、3通りの内容パターンがあります。 :物理数学などで使うフーリエ解析であるパターンと、 :信号処理論の内容であるパターンと、 :数学科などで習う、解析学の理論家のためのフーリエ解析であるパターン です。 こういう、まったく違う内容の教科書が、同じ「フーリエ解析」という名前で教科書が売られていたりするので、ヤッカイです。 信号処理論というのが膨大な分野で、それらのうちの、フーリエ変換を使った信号処理の計算法を教育する科目を、電気系の学科では「フーリエ解析」などの名前で教育しており、そのため、市販の教科書にも、『フーリエ解析』という書名なのに信号処理の事ばかり書いてある教科書があります。 '''信号処理の理論は、物理学科や機械工学科などで微分積分の延長として習うフーリエ解析とは、違う内容'''です。 フーリエ解析を使った信号処理の教科書を純粋なフーリエ解析の教科書だと勘違いして購入する人がいる可能性も0ではないかもしれません。 この信号処理論のフーリエ解析とは別に、さらに数学科のためのフーリエ解析の専門書もあり、ヤッカイです。 初学者が勉強する必要があるのは、「物理数学」や「応用解析学」などの教科書の中に含まれている、フーリエ級数とフーリエ変換との初歩的な計算練習と、その意味(※ 数学的または物理学的な大ざっぱな意味)です。 フーリエ解析の主な応用は何かというと、 :周期的な関数の解析、あるいは関数の周波数分解 :熱伝導の微分方程式などの、偏微分方程式を解く応用 この2つであろう。 まず、ある程度、フーリエ解析の証明などを読んで、理解できる範囲までフーリエ解析の計算練習をしたら、さっさとベクトル解析やラプラス変換の計算練習をしましょう。 計算練習をしないとベクトル解析やラプラス変換は身につきません。計算自体は、ベクトル解析やラプラス変換は、かなり簡単な計算が多いです。 なお、数学科の解析学には、まだ紹介してない、さらに高度な解析学もありますが、それらは後回しにするか、あるいは、いっそ数学科用の解析学は勉強しないというのも、アリです。 「解析学の証明を勉強しなくていいのか?」と心配しなくても、理工系用の「微分積分」や「微分方程式」の専門書を読んでおけば、巻末に解析学の基礎的な証明などはいちおう紹介されています。(ただし、工学部用の教材だと、証明が省略されてる場合がある。なので、「理工系用の数学の教科書を買っておけ」的な指示を、前のほうの節で言ったわけだ) 工学部では、ふつう、理工系用の「微分積分」の教科書の巻末あたりに書いてある、「イプシロン・デルタ論法」とか、級数の収束の判定条件とかは、授業では省略されて習いません。 また、微分方程式の専門書に書いてある「微分方程式の解の存在定理」なども、工学部では授業では省略されるか、たとえ紹介されてもテストに出せません。 なので、それらの(学校で)省略される内容も勉強しておけば、独学での理工系用の解析学としては、もう充分に証明の勉強をしています。 * 複素解析の応用は何か? 工学部や物理学科・化学科などで大学2年で習うレベルの複素解析は、2変数の偏微分方程式を觧くのに役立つ。 それだけである。 数学への応用としては他にもあり、一例として、複素関数の積分区間の一部を実軸上に取ることで、複素解析の積分結果から、実関数の積分結果を導くなんていう技巧もあるが、しかし工学部ではそこまで習わないし、その技巧にほとんど工学上の実用性も無い。 工学などでよく使う微分積分の公式は、高校と大学1年レベルの実関数の微分積分で、既にあらかた習っている。 ラプラス逆変換の公式を、複素解析の理論で導く方法もあるが、しかし実用的ではない。実用上、ある関数のラプラス逆変換を知るには、ラプラス変換の公式集を流用するのが普通である。 理工系基礎レベルの複素関数論は習得が容易なので、時間があれば計算練習するに越したことはないが、しかし、定理の証明などに深入りする必要は無く、証明は「とりあえず流し読み」するくらいでいい。 また、『多変数複素関数論』(という分野がある)は、応用が見つからない状態だし、初等的な説明がされてない分野なので、工学志望や物理学志望・化学志望などの人は、多変数複素関数論については勉強の必要が無い。 * 離散数学をどうするか 離散数学の読んでもいいし、時間があれば読んだほうがいいですが、(デジタル回路やコンピューターなどの勉強するとき、離散数学の知識を利用できるので。) しかし、あまり離散数学ばかりに長居はせず、それよりも微分方程式や複素関数論やフーリエ解析の勉強を進めてください。 離散数学は、あとからの勉強でもどうにかなります。一方、「微分方程式」や「フーリエ解析」などの応用解析みたいな科目は、物理学に必要になりますので、優先的に勉強する必要があります。 * 幾何学をどうするか 幾何学そのものの本を読むよりも、物理や工学などのなかで、数学がどういうふうに使われるかを学ぶほうがイイでしょう。 「曲線論・曲面論」「微分幾何学」という科目の教科書を持ってると、微分積分を用いて曲線や曲面を解析しています。この、微分積分をもちいた曲線の解析の方程式が、物理学や材料力学など、数学以外のいくつかの科目でも方程式中に使われます。 なので、「曲線論・曲面論」または「微分幾何学」の教科書を持っておくと効率的かもしれません。 なお市場の「微分幾何学」の教科書のなかには、高次元の抽象的な図形の曲がり具合を解析している数学専門書もあるので注意してください。 初学者が買うべきなのは、2次元の曲線、および3次元の曲面を、微分積分を用いて解析した、入門的な「曲線論・曲面論」「微分幾何学」です。 さて、微分積分の教科書でも、「曲線論・曲面論」の初歩が紹介されてる場合もありますが、紹介されてない教科書もあるので、必要に応じて「曲線論・曲面論」「微分幾何学」の入門書を買うのもいいかもしれません。 なお、3Dコンピューターグラフィックスのソフトウェアに線形代数や微分積分が応用されていますので、もし美術への数学の応用に興味があるなら、射影幾何学よりも、むしろ線形代数や微分積分を勉強したほうがイイでしょう。 また、数学の概論書や、あるいは離散数学の教科書のなかに、位相幾何学や射影幾何学の初歩が紹介されてる場合もありますので、そっちに期待しましょう。 * 代数学をどうするか まず、線形代数の厚め(約250ページ〜)の教科書を、計算練習もして、きちんと終わらせてください。 そのあとは、もう趣味の領域です。物理や工学では、線形代数以外にあまり代数学を使いません。 とはいえ、数学の概論書などに群論も紹介されてたり、あるいは離散数学の教科書に群論の初歩が紹介されてる場合もあります。 群論の専門書で深入りするよりも、数学の概論書で全体的に学んだり、あるいは離散数学の教科書を学ぶほうが、バランスよく多分野を勉強できて、イイでしょう。 どうしても群論に深入りしたいなら、ついでに「初等整数論」という科目を勉強しとくと、整数論の定理が群論の具体例になってるので、参考になってお得です。 * 確率・統計をどうするか? まず、工学系の場合、実は大学レベルの統計学を知らなくても、設計はできます。そもそも機械工学科や電気工学科では、基本的に、統計学を習いません。 また、物理学や生物学などでも、大学レベルの統計学は、ほぼ不要なのが現実です。 よく統計学者は、「物理学や生物学などの実験結果を解釈するにも、統計学が必要」とかホザきます。しかし、現実のところ、最新の統計学なんて知らなくても、研究成果を出している物理学者や生物学者などは、多くいます。 基本的に実社会において、何かの仮説を証明する手法は、最終的には、その学説を用いた技術が実用化されて、さらに、少なくとも普及したか(少なくとも多くの科学者・技術者やその分野の企業に普及しているか)どうか、に尽きます。 学問とは、あくまで最終的には下請けにすぎず、学問は実社会の知的労働のための下請けにすぎません。下請けにすぎない学問が、えらそうに実社会に「私の学説を使わない研究者や企業は遅れてる」などと注文をつけるべきではありません。本末転倒です。 統計学への擁護として、近年ではよく、IT業界で「アメリカのIT系大企業が、AIや機械学習の研究で、統計の専門家を集めてる!」とか反論されたりしますが、しかし、そもそもIT企業には、自動車も設計できないし、家電も設計できません。 人文学がイマイチなのと同様に、人工知能の理論もイマイチです。 「AI研究に役立ってる」と自称・AI研究者や自称・統計学者にいわれても、そもそも、その自称「AI」が何の役に立ってるのか、不明です。AIは、ドラクエ4(ファミコン版)のクリフトのザラキ連発にでも、役立ってるんですかね。1980年ごろから、AIが期待されていますが、一向に、たいしたアルゴリズムは蓄積されれません。 仮に「AI」研究で実用化した分野があっても、その分野は「AI」という分類から外れます。ワープロソフト用などの文字列のプログラム的な解析や、あるいは各種の画像編集ソフトや音楽作成ソフトのなどの画像・音声などのプログラム的な解析などは、実用化前の昔はAIに含まれてた時代もありましたが、現代ではAIから外れています。 まるで古代ギリシアやルネサンス期やフランス革命期には隆盛を誇った哲学が、現代では、研究者がほかの分野に抜けて、自称「哲学者」には(数学もろくに出来ない)イマイチな人しか残ってないのと同じですね。 「ニューラルネットワーク」技術も、AIと同様、1990年ごろには流行しましたが、ずっとイマイチな分野です。1990年代のゲーム『信長の野望 覇王伝』の宣伝には、ニューラルネットワーク技術がどうこうとか書かれてましたが、しかし、ゲーム中の敵は単純な動作しかしませんでした。 いっぽう、最近のフリーゲームとかをプレイすれば、ニューラルネットワークなどの理論を知らないゲーム作家ですら、簡単に敵の動き方のアルゴリズムをC言語などのプログラムで組んでいます。 なお、1980年代にパソコンOSを作ったマイクロソフトやアップルなどの当時のメインの技術者は、べつに人工知能や統計学とかの技術者ではありません。Linuxを作ったリーナスですら、べつに人工知能の専門家ではありません。 さて、物理学(大学の学部レベル)で用いられる程度の確率・統計の公式の証明には、微分積分が用いられます。なので、「確率・統計」の教科書よりも先に、まず「微分積分」の教科書を勉強してください。 どうしても、「確率・統計」の教科書も勉強したい場合は、「理工系の確率・統計」みたいなタイトルのように、「理工系」対応をうたってる教科書を買うのがお得です。 === 周辺知識を固めよう === (理論物理などの)「難しい理論を覚えるのが賢い」のではありません。 勉強を積み重ねていった結果、いままでは難しかった理論が、しだいに簡単に理解できてくることはあります。たとえば微分積分を学ぶと、力学が理解しやすくなるように。 難しい理論は、直接覚えるのではなく(大学では暗記しないとテストに合格しませんが)、前提となる周辺知識を固めていけばいいだけです。 == 整理中 == === 発展的な化学と生物の勉強法 === ※ すでに教養課程の理工系向けの生物学の本を呼んでる事を前提に解説する。 {{stub}} ※ この節の著者は、生物が専門外なので、詳しい読者は上書きしてください。 ===== 医療看護系の入門レベルをあさる ===== まず、「医薬系のための生物学」とか「医療・看護系のための生物学」みたいなタイトルの教科書を買って読むとよいでしょう。(化学でも同様に、「薬学系のための化学」みたいなタイトルの教科書を買って読むとよいでしょう。) なぜかというと、たとえば科学雑誌の医療記事などでも、たびたび紹介されるような、基本的な病気の知識とか薬品の知識とかですら、理工系向けの生物の教科書には、ほとんど書かれていません。 理工系にとって医療系は専門外とはいえ、すこしは基本的な薬品や病気の知識はあったほうが、生物学の勉強もはかどるでしょう。 また、一般庶民の医学的な知識には、あやしいデタラメ情報もあります。そういうデタラメ情報に惑わされないようにするため、専門書で確認するわけです。 しかし、かといって、医療系学部の学生用の「病理学」の本、「薬理学」の本、「生理学」の本、・・・など専門科目の書籍を買い揃えていたら、お金が掛かりすぎます。冊数が多くなるし、医学書は厚さが厚すぎるのです。(入門レベルですら500ページ(1科目あたり)とか) しかも、生理学の教科書などでは、いちいち大学生物学や大学化学の復習をしてくれません。また、「理工系の生物学」では、まだ習ってない内容が、医学書の専門科目の教科書では、第1章あたりから、いきなり出てくる場合もあります。 また、専門科目の医学書は当然、たとえば「生理学」の本を読んでも薬理学のことはほとんど書かれていないし、同様に「薬理学」の本を読んでも生理学のことは書かれていない、・・・といった調子です。なので、入門者用の総合的な知識が、専門科目の医学書では、身につけられません。 そもそも医療系の専門科目の教科書は説明の正確性が必要なので、そのぶん、かみくだいた表現はしづらく、はっきりいうと、辞書的に、他の入門書を確認するためにも医学系の専門科目の教科書はあるので、つまり理工系の学習者にはチンプンカンプンです。 また、分子生物学や薬学などの教育内容の中には、まだ未解明な部分も多くあります。それらの科目の教科書を読んでると「〜と考えられる」などの語句が、たくさん出てきます。「○○という薬品を△△と組み合わせて投与したら□□という現象が起きる事が知られているのだが、おそらく 〜〜 という仕組みであると考えられる」みたいな調子の記述が多くあります。それらの未解明知識を紹介する教科書では、未解明なので根拠となった多くの実験事実を紹介する必要があり、なので、学習者は、いろんな事例を学ぶ必要が生じます。そのような多くの事例を初学者がいきなり学ぶのは、ともすれば丸暗記の勉強におちいりやすく、科学の本質的な理解をさまたげる可能性があります。 また、そもそも、この記事を読んでいる私達は理工系の志望であり、医師や薬剤師などは目指していませんので、そのような事例を覚える必要がありません。そのような医薬品の事例を覚える事は、理工系のエンジニアの仕事ではないでしょう。 おそらく、初学者向けの教科書(「医薬系のための生物学」「医療・看護系のための生物学」みたいなタイトルの本)に書かれない知識は、このような丸暗記を防ぐためなどの、きちんとした理由があって、あえて初学者用の教科書には書かれていないのでしょう。(※ 知ったふうな事を書いたが、実はまだ私(利用者:すじにくシチュー)は、これらの本(「医薬系のための生物学」)を読んでない。) だから、なので理工系として基礎医学を学ぶさい、「医薬系のための生物学」「医薬系のための化学」「医療・看護系のための生物学」みたいなタイトルの本で、まずは入門しましょう。 なお、もし、理工系志望だが、どうしても生理学や薬理学などの専門科目の教科書の内容を学びたい場合には、看護系学生用の教科書や「コメディカル」用とうたってる教科書で、やや詳しめの記述の教科書を買うと良いでしょう。厚さの目安は、300ページ以上(1冊あたり)が目安でしょう。 なかでも、「生理学」の分野が入門的な科目です。薬理学よりも先に、生理学の本を読むのがオススメです。 (いちおう、医学部向けの入門書もあるのだろうが、それを探すよりも、看護学部系の入門書のほうが入手しやすいし、値段も安いだろう。) もちろん、「医療・看護系のための生物学」および「薬学系のための化学」などを読んで学んだ上なのでのハナシです。 なぜ、薬理学よりも先に生理学を読む必要があるかというと、まずは健康な体を知る必要があるからです。 スポーツや芸術などを学ぶ際、まずはトップクラスの人の動作を学ぶのと同じ理屈です。あるいは英会話を学ぶ際、イギリス人やアメリカ人の正確な発音を学ぶのと同じ理屈です。 まずは、生理学を学んでください。生理学の教科書にも、薬理学などの入門的な知識は掛かれています。 医学の分野で「〇理学」という名前の科目は、主に、生理学、薬理学、病理学があります。 '''病理学の学習は、後回しにしてください。つまり、病理学を学び始めるのは、少なくとも生理学や薬理学を学んだあとに、してください。''' なぜなら、病理学の本には、病気の状態の器官の写真なども載っており、解剖学の知識がないと、手におえません。病理学の本でガンにかかった内蔵写真を見せられても、そもそも(医療系学生でない)一般の人は、ガンにかかってない状態の内蔵写真を、まだ確認していません。そしてその解剖学は、まずは生理学・生物学の知識を、ある程度は持ってないと、手におえません。 そして、'''病気の状態の体を学ぶ前に、まず、正常な体を学ぶ必要があります。'''(英会話を学ぶ際にイギリス人やアメリカ人の正確な発音を学ぶべきな事と同じ理屈。)少なくとも生理学を、病理学よりも先に学んでください。できれば、薬理学や解剖学も、病理学よりも先に学ぶと良いでしょう。 医学教科書や看護学教科書の出版社による医療系書籍の広告でも、紹介する科目は「生理学」→「薬理学」→「病理学」という順序になっているのが普通です。出版社によっては、生理学の前に「解剖学」が来る場合もあります。(つまり、「解剖学」→「生理学」→「薬理学」→「病理学」という順序) この順序には、上述のような意味(「病理学よりも先に生理学を学んでください」という意味)があると思います。 どうしても病理学の知識を確認する必要のある場合、たとえば、重い病気に自分や家族や友人がなってしまい、「病理学の正確な知識を確認したい」という目的があるなどの理由のないかぎり、病理学は後回しで良いでしょう。 さて、当初の私達(理工系)の目的を忘れないようにしましょう。目的は、あくまで、理科系の人間として把握しておくべき基礎的な医療知識を学んでおくのが、医療看護系の入門レベルをあさる目的です。 あと、生理学など、こういう応用的な分野の学習では、もし読んでるときに分からない語句があっても、とりあえず次の章あたりまで読み進めます。 なぜなら、まだ習ってない語句でも、平気で出てきたりします。 高校の教科書とは違って、いちいち、のちの章で習う未習の語句に「○○ページ参照」とか、生理学などの教科書では、あまり書いてくれません。 専門用語の数がとても多く、いちいち、どの語句がどのページで重点的に解説されるかを、いちいち細かく記載してられないのです。(いちおう巻末索引はあるが、ただの索引である。) === 自称「薬理学」という名の生物学 === 自称「薬理学」の本は、科目名は「薬理」なので、いかにも薬品の化学っぽく見えますが、実態は生物学のうち、薬品に関係ありそうな分野を独立させた科目です。 そして、生理学の教科書を見ても、生理学の教科書には書かれていない生物学の話題が多くあります。 たとえば生理活性物質で「プロスラグランジン」という、哺乳類なら、どんな動物でも、ほとんど存在する脂肪酸系の体内物質があるのですが、 なんとこの物質「プロスタグランジン」は、医学書院『標準生理学』(第8版)などの分厚い「生理学」の医学書を見ても、巻末索引には書かれてないのです。 いっぽう、薬理学の本を読めば、看護学の薬理の本ですら(南江堂の「シンプル薬理学」など)、プロスタグランジンが書かれています。 そして困ったことに、本来なら生物学の教科書が扱うべき話題ですが、しかし生物学の教科書の多くは、プロスタグランジンなどの生理活性物質を省略しています。(代わりに、遺伝子工学やiPS細胞などに話題が割かれる事が多い。) このプロスタグランジンのように、なぜか生物学・生理学の教科書には書かれてない生物知識が多くあります。 なので、生理学の教科書だけでなく、 :薬理学 :免疫学 の本も読んでください。 免疫学を読む理由は、たとえば「レクチン」という、これまた哺乳類どころか、無セキツイ動物や植物にすら存在する糖タンパク質があり、「免疫学」の入門書(生物学科でも習う)にはレクチンについて詳しく書かれているのですが(というか、糖蛋白質の総称を「レクチン」という)、なんと医学書の生理学の本を読んでもレクチンの記述は皆無だったりします。 このように、医学教育の周辺は「'''科目名に偽りアリ'''」みたいな状態になっており、人体生理や動物生理の基本的な話題が、なぜか「生理学」科目以外の教科書でないと書かれていない状態です。 なので、科目名に騙されず、「薬理学」や「免疫学」の本も読みましょう。 市販の医学教科書の「生理学」や「薬理学」の分類は、医学研究者(医学部の教授などによる研究)のための分類になっています。なので、この科目名に偽りアリみたいな現状も、これはこれで医学研究者のためには必要なのですが、しかし、私達のような理工系の初学者にとっては不適切な分類ですので、科目名を真に受けないようにしましょう。 薬理学の学習では、けっして全ての薬物名を細かく覚える必要は無い<ref>『標準薬理学 第7版』、2015年3月25日 第7版 第1刷、P7</ref><ref>『はじめの一歩の薬理学 第2版』、2020年 1月15日 第2版 第1刷 発行、(※ 前書き)「はじめに」</ref>。また、薬の化学構造式を追覚える必要は無い<ref>『はじめの一歩の薬理学』、(※ 前書き)「はじめに」</ref>。せいぜい代表的な薬物の100個くらいを、そおの名前だけでなく説明とともに理解すればいいだけである<ref>『はじめの一歩の薬理学』、(※ 前書き)「はじめに」</ref>。 現在、処方箋に使われている医薬品の成分は2000個以上にも上ると言われているが、2000個もの暗記は不要である<ref>『はじめの一歩の薬理学』、(※ 前書き)「はじめに」</ref>。 ;免疫学は深入りしなくていい(まだ未解明が多いので) さて、『免疫学』科目の教科書は、読んだほうがいいのですが、しかし読んでも、最終的に得た知識を薬の取り扱いや病気の診断などの臨床でどう使うかは、あまり細かく書いておらず、薬理学や病理学と同じ程度の臨床への言及でしかないです。せいぜい、免疫疾患の話題にだけ、少しだけ免疫学の教科書のほうが詳しい場合もあるくらいです。 免疫学の教科書には「MHCクラス2」や「C型レクチン」の仕組みなどのような、他の科目の教科書にない話題は書いてあります。ですが、ではその「MHCクラス2」や「C型レクチン」といった最新の分子生物学的な話題が、どう臨床の応用に結ぶつくか、まだ人類には不明瞭であり、したがって免疫学の教科書にもそういう分子生物学的からの臨床応用の話題は無いです。あるいは、免疫の全体像がどうなってるのか、まだまだ未解明なことが多く、やや断片的であり、あまり体系的・大系的ではありません。 このように、人類の免疫学では、まだあまり臨床に結びつきそうな大したことは解明できていません。裏を返せば研究者にとっては研究の余地があるわけですが、しかし初学者・独学者の私たちには、そういう研究はまだ遠い話題です。 そもそも、そういう臨床的に応用できるほどの話題がもし仮に解明されたとしたら、薬理学や病理学などの教科書でも紹介される事になるハズです。 なので、『免疫学』は、たしかに読んだほうが良いのですが、しかしあまり深入りして暗記するような事でもなく、なんというか「読んどいてね」って感じの分野です。 === 「生理学」とは、どんな科目か === そもそも「生理学」自体、字面だけ見ると、生命の理論の学問ですが、しかし実際の生理学の教育内容は、字面とは違います。 生理学の内容は、人体の臓器(心臓や肺や肝臓など)や組織(皮膚組織は神経組織や筋肉組織など)などの、それぞれの臓器・組織ごとの、各部の細胞の性質や、臓器・組織の生物学的な性質の概要です。 たとえば、心臓なら、「生理学」の教科書では書かれているのは、心筋の膜電位がどうのこうのとか、その電位が洞房結節とどう関係するかとか、そういう臓器ごとの各論的な話題が、こまかく書いてあったりします。 なので、「生理学」には、やや解剖学っぽい要素もあります。看護学の教科書などだと、「解剖生理学」などという科目もあるくらいです。 「生理学」は、このように臓器ごとなどに分割して学習していく内容なので、プロスタグランジンだのレクチン(「レプチン」とは異なる)だの、特定の臓器に依存しない生理物質の話題が(「生理」物質であるにもかかわらず)、書かれていないのです(医学書院『標準生理学』第8版の巻末の索引では、見当たらない)。(ただし、文光堂『生理学テキスト』第8版には「プロスタグランジン」についても説明も書かれている。さすがに「レクチン」については『生理学テキスト』にも書かれていない。) もちろん、実際の動物には臓器がありますので、生理学のように臓器ごとに特性を学ぶのは、これはこれで必要ですが、しかし、それだけが生物学ではないのです。 ともかく、字面にとらわれず、生理学・薬理学・免疫学などをバランスよく勉強しましょう。 === ヒト免疫学と獣医免疫学などの件 === (生理学でなく)、高校や大学教養課程などで生物学(バイオロジー)は、人間だけでなく、植物や昆虫なども扱います。 では、「免疫学」や「薬理学」などは、人間以外も扱うのでしょうか。 結論を言うと、市販の「免疫学」の教科書は、医者用の人間の免疫学および、獣医用のイヌ・ネコ用免疫学や、ウマ・ウシなど畜産動物用の免疫学など、それぞれ分野ごとに分かれています。 人獣共通の免疫学テキストというのは、分厚い教科書では、無い状態です。 洋書などで「免疫学」と銘打っている500ページや1000ページくらいの教科書も、あれはヒトの治療用の医者のための免疫学しか、扱っていません。 イヌやネコにも免疫があるのにかかわらず、免疫学の教科書のほとんどは、特に「獣医免疫学」などの獣医用を明記した書名でないかぎり、ヒト免疫学です。 薬理学も同様です。 === 学説の食い違い === 法学などだと、対立する学説でも要点・概要を紹介したり、対立する文献でも必要に応じて引用したりしますが(たとえば有斐閣の分厚い法学書などで容易に確認できる)、しかし医学書は残念ながら、そこまで情報共有などが進歩していないです。 『薬理学』や『病理学』など基礎医学の科目ですら、教科書後半にある各論に入ると、いくつか学説が食い違っている箇所もあります。 なので、まあ、医学書を読む際は、いろいろと気をつけましょう。 なるほど、法学部が日本の文系大卒エリートなわけですね。 === 「農学部」は事実上の生物学科 === 医療系の初歩は看護学で学べることは上述でわかりましたが、では、大学の「農学部」で習うことを、理工系はどう扱うべきでしょうか。 じつは「農学部」とは、現在では名前こそ「農」業の学部ですが、しかし現在では、農学部の教育内容は理学部の生物学科とほとんど同じです。農学部の大学カリキュラムで農業専門のような内容は、いいわけ程度に「農業実習」のような名前の科目が少しあるだけです。有機化学や生化学などの大学化学も農学部で習いますが、そういうのは生物学科でも習います。 卒業生の進路も、食品メーカーや一般の製造業や商社などだったりして、農業とは無関係の進路の場合も多くあります。企業側もあまり農学の知識を重視してないのが実態でしょう。 もし農学部が無いと、農業高校などの教員になる人などを国や都道府県が確保できなくなったりするので、しかたなく農学部が存続するだけです。 理工系の人にとっては、生物学と初歩の医学を学べば充分であり、大学レベルとしての農学のテキストを探す必要は無いし、そもそも農学専門で高等数学などを駆使するような教材が、専門書店にすら、ほとんどありません。 === 分子生物学などの分厚い教科書の読み方 === 洋書の「分子生物学」などのように、生物学で専門的な厚い教科書は、情報が多すぎるので、すべてを覚えることは無理でしょう。 なので洋書「分子生物学」などの活用法としては、あらかじめ、別の本として教養生物学や、日本人の書いた医学書・看護学書などの生理学などの本をいろいろと読んでおいて、気になったことを分子生物学の本で事典のように調べるようにしましょう。 いきなり、洋書の生物学の専門科目の分厚い教科書を読んでも、ほとんど頭に入らないでしょう。 === 高校の看護科教科書の問題点 === 高校の看護科(職業高校にそういう学科がある)の検定教科書で、 生理学・薬理学・病理学などを一つか二つのの科目にまとめたのがありますが、 しかしこれ(高校教科書)で医学・看護学を独学するのは無理です。 職業高校(今では「専門高校」という)の看護科の検定教科書だけを読んでも、頭に入りません。 どうあがいても医学書では、厚さとして、本来は1科目あたり『標準生理学』あたりの厚さ(800ページ以上)が必要です。 なので、基礎医学を職業高校みたいに、5つか6つの科目(生理学・薬理学・病理学・公衆衛生・実技・生化学・栄養学などなど)を1~2冊にまとめようとすると、色々と細かな破綻があります。 なので高校の看護科の教科書は、持っているなら、使い方は資料集のように雰囲気を掴むだけにしましょう。 実は、高校の看護科の教科書は、不正確な部分があります。 なぜなら、『標準生理学』や『標準薬理学』などの内容を高校教科書1冊に無理やりに縮めているので、 どうしても説明に不正確な部分が生じてしまうのです。 実際、高校教科書で、薬理学や病理学の各論に該当する単元を見ると、説明がやや不正確です。 なので、高校教科書を学習のベースにするのは、まったくお勧めできません。 こっから先は、それぞれの人が各自の志望に合わせて、自身で学習法を考えてください。 デマ的なニセ勉強法・ニセ研究法にダマサレないように注意 「ひとつの学問ばかりに打ち込むのが良い」という手法だと、そもそも、最近のコンピュータ工学やバイオテクノロジーや再生医療の新手法のような、新しい研究テーマは、一切、研究できないという欠点があります。 なぜなら、研究者が大学を卒業した頃には、まだ、そのテーマがなかったという場合がほとんどだからです。 バイオや再生医療などで例えるなら、たとえば、1990年代には、iPS細胞は未発見でしたので、2000年代以前に大学を卒業した人は、一切、iPS細胞を研究できない事になります。 コンピュータなども同様で、1980年代以前に大学卒業した人は、一切、インターネットやCDやDVDやブルーレイ、他にはUSBフラッシュメモリなどは研究できない事になります。 要するに、「ひとつの学問ばかりに打ち込むのが良い」という勉強法を主張している人は、ろくに何も勉強してない人です。 iPS細胞もろくに勉強せず、大学生物学の教科書を買い直したりもしていません。つまり、iPS細胞だけを勉強していないのではなく、他の事も勉強していない人です。 こいつらは、狂牛病についても、大学生物学の教科書で勉強していません。こいつらはES細胞についても、生物学の教科書で勉強していません。こいつらはエイズについても、大学生物学の教科書では勉強していません。 iPS細胞もES細胞も発光タンパク質も狂牛病もエイズも、これらはすべて、'''たった1冊の'''大学生物学の教科書で勉強できる事なのに、なのに「ひとつの学問ばかりに打ち込むのが良い」という人は、そのたった1冊すらも勉強しなかった人達なのです。 しかも、その、たった1冊の大学生物学の教科書を読めるようになるために必要な学力とは、高校生むけの参考書を読めば身につく学力なのです。 まともに理工系の学問を勉強してる人ならば、例えばES細胞が発見された時には、たとい自分の専門外でも、そのうち、ES細胞の理解のための生物学の勉強を始めます。化学の研究者なら、「生物学の最新発見が、何か有機化学に役立つかも?」とか考えるので、専門外の生物学でも勉強する気になるのです。機械エンジニアや電気エンジニアでも、「将来的に、医療機器の設計技術の参考になるかも?」とか考えるので、専門外の生物学でも、そのうち勉強する気になるのです。 べつに、テレビでの報道直後に、すぐにES細胞を勉強しなくてもいいのですが、数年がたてば、(基礎学力があるなら)勉強する気になるものです。ES細胞の発見から年月がたって、iPS細胞が発見されてから数年たった時に、「大学生物学の教科書で、iPSとESをまとめて勉強しよう」というような気持ちになるものです。 だから、'''勉強テーマを何も変えない人は、そもそも何も、研究してない人'''なのです。 要するに、勉強テーマを何も変えない人とは、知識のアップデートを怠っている人なのです。 まったく知識のアップデートをしない人が、研究できるわけは、ありません。 べつに、けっして毎日、大学教科書などで専門外の知識アップデートをする必要はないのです。せいぜい定期的に数年〜10年ごとに、教科書で知識アップデートをすれだけで済むのです。 そもそも、高校教科書および大学低学年の教科書は、そういう知識アップデートの目的で、書かれています。今の高校や大学の教科書を読めば、たいてい、マスコミなどで報道された科学学術についても、専門的な説明をしています。 テレビで報道されていなくても、学術雑誌などで大きく特集が繰り返された話題なら、たいてい、大学の専門科目の教科書を読めば、書いてあります。 なおテレビや新聞などでの科学技術の出来事の報道は、科学知識のアップデートではなく、「こういうアップデートが必要かもしれない」と言う事を連絡してきただけの通知に過ぎません。 例えるなら、パソコンでウイルス対策のセキュリティアップデートの通知がネット経由で来ても、もし実際にアップデートを実行しなければ、結局はセキュリティはアップデートされないままなのと同様です。 学問の知識のアップデートとは、高校や大学の教科書を読むことなのです。 専門外の知識アップデートができてない人というのは、そもそも「専門分野」(自称)の知識すら、アップデートをできてない人なのです。 数学者ですら、よほどの未解決問題にとりかかっている一部の数学者を除けば、いろんな事を勉強し、専門外の知識もアップデートします。 === ハイテク分野を書籍を選ぶ際には「◯◯学入門」的なタイトルの教科書を選ぶ === ロボット技術とか、ナノテクノロジーとかバイオテクノロジーとか、それらの分野を教科書で勉強したい際に、どのような大学教科書を選ぶかというと、まず教科書のタイトルに注目して、タイトルが「◯◯学入門」的なタイトルの教科書を選ぶ必要があります。 ハイテク分野の教科書には大きく分けると二種類あって、先端分野をこれから勉強しようとする人のための入門書と、すでに勉強している人が、細かい情報を確認するためのアップデート用の教科書やハンドブックです。 ハイテク分野の、この2種類の教科書のうち、入門書のほうには、タイトルに分かりやすく「入門」とか「ベーシック」とか「テキスト」(「教科書」という意味)とか「講義」とか、書いてありますので、タイトル中の語句を参考にして、教科書を選ぶと効率的です。 なお、タイトルに「入門」とか書いてなくても、専門外の人の勉強に向けた本もありますが、しかし、買う前に見分けるのが、その分野の初学者には困難なので、わざわざ「入門」とことわりを入れてない教科書をえらぶ必要がありません。 なお、このような入門的なハイテク教科書の値段は、だいたい、2500〜4000円くらいでしょう。 いっぽう、専門外の人にとっては、いきなり、専門家向けのアップデート用に細かい情報が書かれた教科書やハンドブックのほうを読んでも、まったく理解できません。 また、値段が高いのです、専門家向けにアップデート用に細かい情報が書かれた教科書・ハンドブックのほうは。 専門家向けアップデート用の教科書の値段は、5000〜10000円だったり、ハンドブックだと、さらに高価で2万円〜4万円もする場合もあります。しかも、せっかく頑張ってアップデート用の教科書・ハンドブックを勉強しても、専門外の自分が応用できるようになる頃には、時代遅れの知識になっている場合もあります。 なので、ハイテク分野をこれから勉強しようとする際は、タイトル名と値段の情報を参考にして、専門外からの入門者向けの教科書を探して買うようにしましょう。 なお、ハイテクではありませんが、コンピュータのプログラミング言語(「C言語」など)を勉強したい際にも、タイトルに「入門」とか入ってる本を読むと、初心者向けの本を選べます。 == 最新技術についての情報には、マチガイもある == 有機ELやフラッシュメモリなど最新の電子材料とかの勉強をしたい場合に、どのような書籍を選ぶべきかというと、近年に出版された教科書を選ぶ必要があります。 その教科書の巻末にある出版年の情報を読んで、著作年がここ数年である事を確認してください。著作年が10年以上も前で改定もされてない書籍は、内容が間違っている情報が放置されている場合もありますので、けっして内容を鵜呑み(うのみ)にしないでください。 光学ディスクのCD-RWやDVD-RWも、あたかも何回でも書き換えられるCD/DVDかのように宣伝されていましたが、実際は、たとえばディスク全体に書き込みをするISO書き込みなどを5回ほど行うと、それ以降はそのディスクは書き換え不可能になります。 このように、企業は、製品の性能を誇張します。 そのような誇張とは別に、大学の教科書では、単に誤解などによって、ここ数年に急に話題になったような最新の技術については、説明を間違える場合もあります。 特に半導体やUSBメモリや磁気ハードディスクといった電子部品の構造や原理については、開発している企業側も情報を隠したりするので、なかなか正確な情報が大学に伝わっておらず、そのため、教科書の内容が、やや不正確な場合があります。 具体的にいうと、フラッシュメモリや有機EL、ハードディスクの垂直磁気記録など、2001〜2005年ごろに話題になり始めた電子部品についての情報は、2005年ごろに著作された教科書なら、話題になってからまだ年月があまり経ってないうちに出版されてるので、あまり教科書を鵜呑みにしないぽうが良いでしょう。 これらの最新デバイスについての情報を確認したいなら、なるべく近年に出版された大学教科書で確認するべきです。 例として電子部品を挙げましたが、なにも電子工学にかぎらず、機械工学でも情報工学でも、最先端の情報については、残念ながら著者がまちがえてしまう場合もあります。 また、最先端でなくても、半導体製造装置 や 自動車組み立てロボット などのような製造装置についての情報などは、企業側が秘密にしたがるので、もしかしたら、教科書の説明がすこし間違っていても、企業側が指摘せずに、間違いが放置されているまま かもしれません。 また、企業の技術者が書いた技術書ですら、かならずしも他社の製造装置の詳細までは知らないだろうし、もしかしたら、その会社の製品以外の説明が、やや間違っているかもしれません。 たとえば、フラッシュメモリを出していない会社の技術者が電子工学について書いた書籍なら、もしかしたら、フラッシュメモリの原理説明は間違っているかもしれません。たとえその技術者の勤務する会社が、高品質なハードディスクや有機ELや青色発光ダイオードなどを開発して製品化していたとしても、製品にしていないフラッシュメモリについては書籍の情報が間違っているかもしれない、・・・こんくらい用心深く、書籍を読む必要があります。 もし教科書に、ここ数年に発明されたばかりの技術についての説明があれば、もしかしたら、教科書の説明じたいがやや不正確でマチガイが含まれている可能性もありますので、けっして「教科書だから」って鵜呑みにせずに、読書後に時々 その分野の情報を別の著者の教科書などで調べなおして、自分の知識を修正してアップデートしていく必要があります。 なので、もし、ある教科書を読んでも、あんまり、最新の技術の原理が理解できなければ、そもそも教科書の情報が間違っているために分かりづらい場合がありますので、あまり、そのような情報追っかけに時間を費やさずに、他の教科書を勉強しましょう。 == 学術書とは == べつに理系にかぎったハナシではないが、「学術書」とは何か?を述べる。勉強のための読書のさいの参考にせよ。 学部上級レベル・研究レベルでの「学術書」の要件とは、まず学問的に意味のある事が書籍内に書かれているのは当然だが、さらに、文献の学問的内容を裏付ける参考文献や出典の一覧が書かれている文献のことである<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/391920 中村 陽子 : 東洋経済 記者『「学術書」を読めようになると読書が変わる理由 「難しい本」と敬遠していてはもったいない』2020/12/07 15:30] 2020年12月9日に閲覧して確認.</ref>。先端分野の学術書になると、参考文献が学会誌とかになったりするだけで、基本的には、参考文献の記載があるのが学術書である。 いっぽう、著者がどんなに膨大な勉強をしていても、参考文献も出典もなければ、研究分野では「学術書」ではない。 たとえば、講談社ブルーバックスなどを読むと、巻末などに参考文献の一覧があるだろう。なので、ブルーバックスはとりあえず形式的には学術書である。 一般に、大学レベルの教材では、巻末などに、参考文献の一覧があり、どの章でどの文献を参考にしたかが簡潔に記されている。 学問とは、単に物知りなだけでは意義がなく、さらに第三者が検証しやすい知識体系である必要がある。検証のため、根拠となる参考文献が必要なのである。 また、学術書をさがす場合、著者の経歴を見る必要がある。大学レベルの学術書は普通、その分野の大学教授や、せめてその分野の学部の大卒が書く事が多い。たとえば、機械工学の学術書なら、機械学会の会員である大学教授が著者だったり。著者の学歴が低くても、工学の学術書なら、せめて著者の経歴として工業大学や工業高校は卒業していたり、あるいは製造業で長年の勤務をした経験がある等、そういう経歴のある人物が信用できる。 経済上の理由でどうしても学歴を取得できなかった人が著者であっても、せめて資格試験などでその分野の国家資格、または近い分野の国家資格などを保有しているハズである。 それすらも肩書きがないのは、単にペテン師である可能性が高い。ロボットやITなど流行の話題や、あるいは宇宙や健康などの話題では、ペテン師や素人の著者が、学術書っぽい装丁で出版している場合もあるので、気をつける必要がある。 qj0fnrhpiqgcr3zadgfd24yp70itq99 ゲームプログラミング/Unity 0 27715 246434 246433 2024-04-09T12:14:41Z Sh0ou 72156 /* デバッグ方法の確認 */ wikitext text/x-wiki {{substub}} == 概要 ==  Unityは、Unity Technologiesが配布を行っているゲームエンジンのことである。 WindowsやMac,Linuxなどで利用可能であり、ゲーム開発やXRコンテンツ、建築やシミュレーション等に活用が行える。<br> 詳細は[https://ja.wikipedia.org/wiki/Unity_(%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3) Wikipediaでの解説]を参照のこと。<br>  本著では、Unityの導入から基本操作、Unity特有のクラスや関数を利用した基礎的なプログラミングについて解説し、ページ自体は'''5-10分'''で読了することを想定して執筆を行う。<br>  使用OSはWindows11を想定している。ショートカットコマンド等は適宣読み替えてほしい。  また、ゲームエンジンは更新頻度が著しく、本著で記載されている機能や手法が利用できないケースも考えられる。不明点はUnity公式の[https://docs.unity3d.com/ja/2019.4/ScriptReference/index.html リファレンス]や[https://docs.unity3d.com/Manual/index.html マニュアル]を参照すると良いだろう。<br> == 導入 == Unityには「Unity Hub」「Unity Editor」の2種類が存在する。<br> 具体的には、以下のフローで起動を行う。 # Unity Hubを起動 # プロジェクトを選択する # Unity Editorが起動。プロジェクトが読み込まれ、表示される プロジェクトを開くためには、ライセンスが付与された'''Unityアカウントが必要'''となる。2024年時点では、Unityを使用して得られた収入が10万ドル(約15,000,000円)未満である場合、無料のPersonalライセンスが利用できるため、今回はこの'''無料ライセンス'''を利用する。 ここでは、Unityプロジェクトを管理・起動するために必要な「Unity Hub」の導入、Unityアカウントの取得、Unityライセンスの取得を行う。 === ダウンロードとインストール === ==== 1-1 Unityアカウントを作成 ==== Unity Hubを利用するために必要。<br> https://id.unity.com/account/new アカウントはメールアドレス、Google,Facebook等アカウント連携のいずれかで作成できる。<br> Googleアカウント等を既に所持している場合、下側のアイコンからアカウント連携を行って作成することをお勧めする。これにより、以後ログイン時の手間を省くことができる。 ==== 1-2 Unity Hubのインストール ==== 以下よりUnity Hubを導入する。<br> https://unity.com/ja/download<br> もしくは、コマンドラインを利用してインストールを行うこともできる(要Windowsパッケージマネージャー)。<br> <syntaxhighlight> winget install Unity.UnityHub </syntaxhighlight> インストール先は任意のものを指定する。 インストール後、Unityアカウントのサインインを求められるため、'''1-1'''で作成したアカウント情報でサインインする。<br> サインイン後、いくつかウインドウが表示されるが、ひとまず全てSkip, NoThanks等を選択して閉じる。<br> さて、プロジェクトを開くためにライセンスを取得しよう。Personalライセンスは以下の手順で取得できる。<br> # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから、歯車アイコンをクリック # 「Licenses」を選択 # 青色の「Add」を選択 # 「Get a free personal license」を選択 # 規約を確認のうえ、青色の「Agree and get personal edition license」をクリック # 右上の×ボタンから設定ウインドウを閉じる これでUnity Hubの導入は完了した。<br> ==== 1-3 Unity Editorのインストール ==== 最後に、Unityプロジェクトを開くために必要なエディタを取得しよう。<br> Unity Editorは複数バージョンが存在し、バージョンによって操作方法や見た目、挙動が変化する。<br> 迷った場合、インストール画面で「Recommended version」と表記されたものを選ぶと良いだろう。<br> # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから「Installs」をクリック # 右上の青色の「Install Editor」をクリック # バージョンを選択し「Install」をクリック(本稿では2022.3.x 系列を想定) # モジュール選択画面。開発内容に応じてチェックマークを選択する。(本稿では「Windows Build Support(IL2CPP)」のみを選択) # インストール開始。進捗状況は右下の「Downloads」で確認できる。完了後、「Installs」タブ内にバージョンが追加される。 '''これでUnityを使う準備は整った。'''<br> === プロジェクトの作成 === Unity Editorを使用するためには、データを利用・管理するためのプロジェクトフォルダが必須となる。プロジェクトは以下の手順で作成できる。 # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから「Projects」タブを選択 # 右上の青色の「New Project」を選択 # テンプレートを選択(今回は3D(Built-in)を選択) # 右側に入力欄が表示される。自分自身が分かりやすいproject name(プロジェクト名)を名付ける。(今回は Tutorial と入力) # Location(保存場所)をクリックし、プロジェクトの保存場所を選択する。(SSDドライブ上のフォルダを推奨) # Unity Cloudの設定があるが、どちらもチェックを外す。 # 設定項目を確認し、右下の青色の「Create project」ボタンをクリック  これでプロジェクト生成が始まる。生成時間はパソコンの性能に大きく依存するが、概ね数分程度である。生成が完了すると、UnityEditorが自動で立ち上がる。<br> '''プロジェクトはこれで生成完了'''だ。以後、作成したプロジェクトはUnity Hubの「Projects」タブ上に一覧表示されるため、名前をクリックすることで開くことが出来るようになる。 == 操作説明 == Unity Editor(以下、エディタ)を立ち上げると、灰色(もしくは白色)の、4分割された画面が表示されるだろう。これがエディタの画面だ。ここでは、各ウインドウとメニューについて簡易的な解説を行う。<br> === Hierarchy - ヒエラルキー === 初期レイアウトでは'''左上'''に配置。<br> Scene内に配置されているGameObject郡とその親子関係を参照できる。(もし表示されない場合、「SampleScene」の左側にある ▶ をクリックすると展開される)<br> オブジェクト名をクリックすると、Inspectorに詳細が表示される。 === Scene - シーン === 初期レイアウトでは'''上'''に配置。<br> GameObjectの位置や大きさを確認できる。<br> 右クリックしたまま動かすと、カメラを回転できる。<br> ホイールをクリックしたまま動かすと、カメラを上下左右に並行移動でき、ホイールを回すと、中心に拡大縮小できる。<br> また、配置されているオブジェクトをクリックすることで、モードに応じた矢印などのUIが表示される。 {| class="wikitable" |+ キーバインド |- ! キー !! 操作 |- | Q || ハンドモード(シーンカメラを上下左右に平行移動する) |- | W || 移動モード(オブジェクトの位置を調整する) |- | E || 回転モード(オブジェクトの回転を調整する) |- | R || 拡大モード(オブジェクトの大きさを調整する) |- | T || Rect Tool(UIなどのサイズを調整する) |- | Y || Transformモード(オブジェクトの位置・回転・大きさを調整する) |- | 右クリック+WASD || シーンカメラを現在位置から上下左右に動かす |} === Inspector - インスペクタ === 初期レイアウトでは'''右'''に配置。<br> 選択中のGameObjectの詳細や、追加されているComponentの状態を参照・変更できる。 === Project - プロジェクト === 初期レイアウトでは'''下'''に配置。<br> プロジェクトフォルダ内に存在するファイルが表示される。 Windowsのエクスプローラーからここにファイルをドラッグ&ドロップすることで、現在のフォルダ位置にファイルを複製できる。 データを作成する場合は'''Assets内に配置すること'''。PackagesはPackage Manager等で管理されるため、意図せずデータが失われる可能性がある。<br> === Console - コンソール === 初期レイアウトでは'''下'''の2タブ目に配置。<br> スクリプトやエディタのエラー、その他デバッグ中のログはここに出力される。<br> ほとんどのエラーは長文で混乱するが、'''最初の1,2行目だけ注目'''することでほとんどの原因は判明する。<br> 他にも様々なウインドウが存在する。 === プロジェクトの保存 === Unityでは配置されているオブジェクトの内容や位置などを「Sceneファイル(.scene)」で管理している。<br> 現在開いているシーンの保存は、他ソフトと同様'''Ctrl+S'''で行う。<br> もし別のSceneファイルとして保存したい場合は'''Ctrl+Shift+S'''を入力し、シーン名と保存場所を指定し、保存する。混乱を避けるため、「Scenes」といったフォルダ下に保存することを推奨する。<br> シーンファイルを保存せずに終了すると、オブジェクトの変更点や、その中のComponentの状態変更が反映されず、元に戻ってしまうので注意すること。 == GameObjectを動かす == ここでは、床と坂道を配置し、ボールを転がす単純なギミックを作成する。<br> === Step.1 オブジェクトを配置 === Unityではデフォルトで立方体、球体、平面などのメッシュを配置することができる。床を配置してみよう。<br> # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Plane # 床が生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで位置を調整する(今回はX:0, Y:0, Z:0 に配置) 白い床が中心に配置されたはずだ。Inspectorにいくつか項目が追加されているが、これらは「Component(コンポーネント)」と呼ばれる、いわば部品のようなものだ。それぞれ解説する。<br> {| class="wikitable" |+ PlaneのデフォルトのComponent |- ! コンポーネント名 !! 説明 |- | Transform || '''位置(Position)回転(Rotation)大きさ(Scale)を設定'''する。<br/>ほとんどのGameObjectに最初から備わっており、削除できない。UIの場合は「Rect Transform」となる。 |- | Mesh Filter || '''メッシュ'''(3Dデータの一部)を設定する。<br/>削除すると形が消失し、見えなくなる。 |- | Mesh Renderer || '''モデルの見え方'''を設定する。<br/>Materialsでモデルの色や画像、Lightingで影の当たり方などが設定できる。 |- | Mesh Colilder || Colider(コライダー)の一種。'''当たり判定'''。<br/>オブジェクト同士の衝突判定に使用される。この他にも「Box Collider」「Sphere Collider」等が存在する。<br/>その中でも'''Box Colliderは負荷が少ない'''ため、よく使われる。 |} では次に、この'''Planeの上に坂を配置'''する。<br> 三角形はデフォルトでは存在しないため、同じくPlaneで代用する。 # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Plane # 床が生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで'''位置と回転'''を調整する。(Position(X:-7, Y:2, Z:0)、Rotation(X:0, Y:0, Z: -30) に配置) # 床と坂と区別できるよう、名前をつける。Hierarchyから「Plane(1)」を選択し、F2を押すと名前が入力できるので、名前をつける。(今回は「Saka」とする) 床と坂が配置された。<br> 最後に、坂の上の転がるような位置にボールを配置しよう。<br> # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Sphere # ボールが生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで位置を調整する(X:-9, Y:5, Z:0 に配置) '''これでオブジェクトは全て配置し終えた。'''<br> ==== テストプレイの方法 ==== Unityではエディタ上で、アプリの動作をすぐに確認できる。<br> テストプレイは'''Ctrl+P'''で開始できる。 {| class="wikitable" | Ctrl+P || 再生 / 停止 |- | Ctrl+Shift+P || 一時停止 |- | Ctrl+Alt+P || ステップ再生(1フレームずつ動かす) |} さて、プレイしてみよう。どうだろうか。<br> <br> ...'''動かない。'''<br> === Step.2 重力を追加 === しかしこれは正常な動作である。'''重力を加えていない'''ため、動かないのだ。<br> ボールに重力を加えよう。重力を加えるコンポーネント「Rigidbody」を追加する。 # HierarchyからSphereを選択 # Inspectorの一番下にある「Add Component」をクリック # 選択画面が表示される。検索欄に「rigid」と入力すると「Rigidbody」が表示されるので、選択する(Rigid body 2D'''ではない''') これで重力が追加された。Ctrl+Pでもう一度再生してみよう。<br> どうだろうか?<br> ここまで正しく操作できていれば、 '''ボールが坂を転がり、床を通り、地面に落ちていく''' といったような動作になるはずだ。<br> これで読者は晴れて、Unityの基本操作をマスターしたことになる。応用すれば、ビー玉転がしのようなものも作れる。色々工夫してみよう。 == Unity C#でオブジェクトを動かす == 玉転がしだけではゲームとは呼びづらいだろう。<br> このセクションでは、ボールをキー操作で動かす、簡単なコードを作成する。 === コードエディタのセットアップ === 本セクションはソースコード(C#)を作成する必要がある。<br> 極論「メモ帳」でも開発は行えるが、利便性とエラー検知の観点から、コードエディタを利用することを勧める。<br> 以下にMicrosoft社が提供する軽量コードエディタ「[https://ja.wikipedia.org/wiki/Visual_Studio_Code Visual Studio Code](以下、VS Code)」の、Unity向けセットアップ方法を記述する。<br> ==== VS Codeのインストール ==== 以下からVS Codeダウンロード・インストールを行う。<br> https://code.visualstudio.com/ もしくは、コマンドラインを利用してインストールを行うこともできる(要[https://ja.wikipedia.org/wiki/Windows_Package_Manager Windowsパッケージマネージャー])。 <syntaxhighlight lang="pwsh"> winget install Microsoft.VisualStudioCode </syntaxhighlight> ==== VS Codeの環境構築 ==== 必要な拡張機能をVS Codeに導入しよう。<br> VS Codeを起動し、以下の操作を行う。 # 左にアイコンの羅列(以下、左メニュー)があるので、その上から5番目(EXTENSIONS)を選択 # 拡張機能検索画面が表示される。「japan」と検索。 # 「Japanese Language Pack for Visual Studio Code」を選択し、青色の「Install」をクリック # 右下にエディタ再起動通知が表示される。右下の「Change Language and Restart」をクリック # エディタが日本語環境に変化する これと同様の操作で、以下の拡張機能もインストールを行う。 * Unity(Microsoft) * IntelliCode for C# Dev Kit(Microsoft) ==== UnityとVS Codeを連携 ==== Unity Editorの画面に戻り、以下の操作を行う。 # 上部メニュー(リボンバー)から「Edit」を選択 # 「Preferences...」を選択(下から4番目) # ウインドウが表示される。左から「External Tools」を選択 # 「External Script Editor」を「Visual Studio Code[バージョン名]」に変更 これでスクリプトをVS Codeで編集できるようになった。 === スクリプトの作成 === もしシーン内の編集を行っていたら、「GameObjectを動かす」の「Step.2 重力を追加」終了段階の状態に戻してほしい。'''床ひとつ、坂ひとつ、ボールひとつ'''の状態になっていればOKだ。<br> シーン内で行った編集はWordとおなじく'''Ctrl+Z'''で元に戻せる。余分に作成したGameObjectを削除したい場合はHierarchyからオブジェクトを選択し、'''Deleteキー'''を押すことで削除できる。<br> 準備ができたらスクリプトを作成しよう。以下の手順で進めてほしい。<br> # 下側にあるProjectタブの空いてる部分で '''右クリック -> Create -> Folder''' # '''フォルダ'''が作成される。名前を「'''Scripts'''」とする。(フォルダ名を変更しそびれた場合、再度フォルダアイコンをクリックし、F2キーを押して変更できる) # フォルダをダブルクリックし、Scriptsフォルダ内に移動 # Projectタブの空いてる部分で '''右クリック -> Create -> C# Script''' # '''スクリプト'''が作成される。名前を「'''Ball'''」とする。(スクリプト名を変更しそびれた場合、スクリプトアイコンをクリックし、Deleteキーで削除後、4からやり直す) スクリプトが正常に作成できたら、アイコンをダブルクリックしてC#ファイルを開こう。正常に作成できたら以下のようになっているはずだ。<br> <syntaxhighlight lang="csharp" line> using System.Collections; using System.Collections.Generic; using UnityEngine; public class Ball : MonoBehaviour { // Start is called before the first frame update void Start() { } // Update is called once per frame void Update() { } } </syntaxhighlight> C#全体の記法やチュートリアルは [[C Sharp|WikiBooks:C#]] や、他サイトのチュートリアルを参照してほしい。ここではUnity特有のクラスやライブラリについて簡潔に解説を行う。<br> {| class="wikitable" |+ Unity固有のクラス・関数 |- ! クラス・関数名 !! 説明 |- | UnityEngine || Unity固有の関数やクラスを利用するために必要。 |- | MonoBehaviour || UnityEngineのクラス。<br/>UnityのGameObjectで、Componentとして使うスクリプトであることを表す。 |- | void Start() || プレイ開始時の'''最初の1回'''(1フレーム)だけ実行される。<br/>変数初期化などでよく使われる。 |- | void Update() || プレイ中'''常に実行'''される。<br/>入力の受け取りなど、常に検知させたい動作などで使われる。 |} === デバッグ方法の確認 === プログラムがどのように動作しているか知るには、まずログを出力することから覚えるべきだ。先程のコードのStartクラスに以下のように追記を行う。 <syntaxhighlight lang="csharp" line start="6" highlight="5"> //--中略 void Start() { Debug.Log("Hello, Unity!"); } //--中略 </syntaxhighlight> '''Ctrl+Sでコードを保存'''し、Unityエディタに戻ろう。<br> さて、コードはGameObjectに紐づけないと動作しない。以下の操作を行おう。 # Hierarchyタブでオブジェクト「Sphere」を選択 # Inspectorの一番下にある「Add Component」をクリック # 選択画面が表示される。検索欄に「ball」と入力すると「Ball」が表示されるので、選択する Ballがコンポーネントとして追加されたはずだ。'''Ctrl+P'''で実行してみよう。<br> ところで、操作説明にあった「Console」タブは覚えているだろうか?エディタの下側の2タブ目に配置されてるが、'''Consoleタブ'''は'''Ctrl+Shift+C'''でも開けるので確認してほしい。<br> もしコードが正常に動作していたら、以下のように出力されるはずだ。 <syntaxhighlight lang="txt"> [00:00:00] Hello, Unity! UnityEngine.Debug:Log (object) </syntaxhighlight> このデバッグコードは、スクリプトやGameObjectが正常に動作しているかの確認を行うのに頻繁に活用される。覚えておこう。ちなみにDebug.Logのほか、以下のような関数も存在する。上手く使い分けよう。 {| class="wikitable" | Debug.Log() || ログを'''情報'''として出力。 |- | Debug.LogWarning() || ログを'''警告'''として出力。<br/>Consoleでの出力では黄色のマークが併記される。 |- | Debug.LogError() || ログを'''エラー'''として出力。<br/>Consoleでの出力では赤色のマークが併記される。<br/>Consoleの設定によっては実行中に一時停止状態になる。 |} === 移動処理の追加 === Inputクラスを利用した移動処理について記述。 編集途中。 == Unity C#で変数カウントを行う == 先の章で作成したオブジェクトが、コインを取得しポイントを獲得するコードを記述。 編集途中。 == アプリケーションのビルド == 開発したアプリを実際にexeファイル等プレイできる形に出力するには、ビルドを行う必要がある。<br> ビルドを行うには'''Ctrl+B'''を入力し、ビルド先のフォルダを 指定する。なお、日本語名のフォルダ下はビルド時エラーを誘発するため、避けること。<br> ビルド設定は'''Ctrl+Shift+B'''を入力することで開く。ほとんどのアプリ設定は右下の「[https://docs.unity3d.com/ja/2022.3/Manual/playersettings-windows.html Player Settings...]」から編集できるだろう。 ビルドが無事終了すると、自動的にWindowsエクスプローラーが開き、保存したアプリケーションのフォルダが開かれる。<br> ビルドに失敗した場合、Consoleウインドウにエラーが出力される。エラー内容のほとんどは翻訳ソフトなどを活用したり、インターネット上でエラーメッセージを検索することで、原因が判明することが多い。<br> 9r3j9f414g3uaedxly4qo5oyrpb56sh 246435 246434 2024-04-09T12:49:53Z Sh0ou 72156 /* 移動処理の追加 */ wikitext text/x-wiki {{substub}} == 概要 ==  Unityは、Unity Technologiesが配布を行っているゲームエンジンのことである。 WindowsやMac,Linuxなどで利用可能であり、ゲーム開発やXRコンテンツ、建築やシミュレーション等に活用が行える。<br> 詳細は[https://ja.wikipedia.org/wiki/Unity_(%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3) Wikipediaでの解説]を参照のこと。<br>  本著では、Unityの導入から基本操作、Unity特有のクラスや関数を利用した基礎的なプログラミングについて解説し、ページ自体は'''5-10分'''で読了することを想定して執筆を行う。<br>  使用OSはWindows11を想定している。ショートカットコマンド等は適宣読み替えてほしい。  また、ゲームエンジンは更新頻度が著しく、本著で記載されている機能や手法が利用できないケースも考えられる。不明点はUnity公式の[https://docs.unity3d.com/ja/2019.4/ScriptReference/index.html リファレンス]や[https://docs.unity3d.com/Manual/index.html マニュアル]を参照すると良いだろう。<br> == 導入 == Unityには「Unity Hub」「Unity Editor」の2種類が存在する。<br> 具体的には、以下のフローで起動を行う。 # Unity Hubを起動 # プロジェクトを選択する # Unity Editorが起動。プロジェクトが読み込まれ、表示される プロジェクトを開くためには、ライセンスが付与された'''Unityアカウントが必要'''となる。2024年時点では、Unityを使用して得られた収入が10万ドル(約15,000,000円)未満である場合、無料のPersonalライセンスが利用できるため、今回はこの'''無料ライセンス'''を利用する。 ここでは、Unityプロジェクトを管理・起動するために必要な「Unity Hub」の導入、Unityアカウントの取得、Unityライセンスの取得を行う。 === ダウンロードとインストール === ==== 1-1 Unityアカウントを作成 ==== Unity Hubを利用するために必要。<br> https://id.unity.com/account/new アカウントはメールアドレス、Google,Facebook等アカウント連携のいずれかで作成できる。<br> Googleアカウント等を既に所持している場合、下側のアイコンからアカウント連携を行って作成することをお勧めする。これにより、以後ログイン時の手間を省くことができる。 ==== 1-2 Unity Hubのインストール ==== 以下よりUnity Hubを導入する。<br> https://unity.com/ja/download<br> もしくは、コマンドラインを利用してインストールを行うこともできる(要Windowsパッケージマネージャー)。<br> <syntaxhighlight> winget install Unity.UnityHub </syntaxhighlight> インストール先は任意のものを指定する。 インストール後、Unityアカウントのサインインを求められるため、'''1-1'''で作成したアカウント情報でサインインする。<br> サインイン後、いくつかウインドウが表示されるが、ひとまず全てSkip, NoThanks等を選択して閉じる。<br> さて、プロジェクトを開くためにライセンスを取得しよう。Personalライセンスは以下の手順で取得できる。<br> # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから、歯車アイコンをクリック # 「Licenses」を選択 # 青色の「Add」を選択 # 「Get a free personal license」を選択 # 規約を確認のうえ、青色の「Agree and get personal edition license」をクリック # 右上の×ボタンから設定ウインドウを閉じる これでUnity Hubの導入は完了した。<br> ==== 1-3 Unity Editorのインストール ==== 最後に、Unityプロジェクトを開くために必要なエディタを取得しよう。<br> Unity Editorは複数バージョンが存在し、バージョンによって操作方法や見た目、挙動が変化する。<br> 迷った場合、インストール画面で「Recommended version」と表記されたものを選ぶと良いだろう。<br> # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから「Installs」をクリック # 右上の青色の「Install Editor」をクリック # バージョンを選択し「Install」をクリック(本稿では2022.3.x 系列を想定) # モジュール選択画面。開発内容に応じてチェックマークを選択する。(本稿では「Windows Build Support(IL2CPP)」のみを選択) # インストール開始。進捗状況は右下の「Downloads」で確認できる。完了後、「Installs」タブ内にバージョンが追加される。 '''これでUnityを使う準備は整った。'''<br> === プロジェクトの作成 === Unity Editorを使用するためには、データを利用・管理するためのプロジェクトフォルダが必須となる。プロジェクトは以下の手順で作成できる。 # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから「Projects」タブを選択 # 右上の青色の「New Project」を選択 # テンプレートを選択(今回は3D(Built-in)を選択) # 右側に入力欄が表示される。自分自身が分かりやすいproject name(プロジェクト名)を名付ける。(今回は Tutorial と入力) # Location(保存場所)をクリックし、プロジェクトの保存場所を選択する。(SSDドライブ上のフォルダを推奨) # Unity Cloudの設定があるが、どちらもチェックを外す。 # 設定項目を確認し、右下の青色の「Create project」ボタンをクリック  これでプロジェクト生成が始まる。生成時間はパソコンの性能に大きく依存するが、概ね数分程度である。生成が完了すると、UnityEditorが自動で立ち上がる。<br> '''プロジェクトはこれで生成完了'''だ。以後、作成したプロジェクトはUnity Hubの「Projects」タブ上に一覧表示されるため、名前をクリックすることで開くことが出来るようになる。 == 操作説明 == Unity Editor(以下、エディタ)を立ち上げると、灰色(もしくは白色)の、4分割された画面が表示されるだろう。これがエディタの画面だ。ここでは、各ウインドウとメニューについて簡易的な解説を行う。<br> === Hierarchy - ヒエラルキー === 初期レイアウトでは'''左上'''に配置。<br> Scene内に配置されているGameObject郡とその親子関係を参照できる。(もし表示されない場合、「SampleScene」の左側にある ▶ をクリックすると展開される)<br> オブジェクト名をクリックすると、Inspectorに詳細が表示される。 === Scene - シーン === 初期レイアウトでは'''上'''に配置。<br> GameObjectの位置や大きさを確認できる。<br> 右クリックしたまま動かすと、カメラを回転できる。<br> ホイールをクリックしたまま動かすと、カメラを上下左右に並行移動でき、ホイールを回すと、中心に拡大縮小できる。<br> また、配置されているオブジェクトをクリックすることで、モードに応じた矢印などのUIが表示される。 {| class="wikitable" |+ キーバインド |- ! キー !! 操作 |- | Q || ハンドモード(シーンカメラを上下左右に平行移動する) |- | W || 移動モード(オブジェクトの位置を調整する) |- | E || 回転モード(オブジェクトの回転を調整する) |- | R || 拡大モード(オブジェクトの大きさを調整する) |- | T || Rect Tool(UIなどのサイズを調整する) |- | Y || Transformモード(オブジェクトの位置・回転・大きさを調整する) |- | 右クリック+WASD || シーンカメラを現在位置から上下左右に動かす |} === Inspector - インスペクタ === 初期レイアウトでは'''右'''に配置。<br> 選択中のGameObjectの詳細や、追加されているComponentの状態を参照・変更できる。 === Project - プロジェクト === 初期レイアウトでは'''下'''に配置。<br> プロジェクトフォルダ内に存在するファイルが表示される。 Windowsのエクスプローラーからここにファイルをドラッグ&ドロップすることで、現在のフォルダ位置にファイルを複製できる。 データを作成する場合は'''Assets内に配置すること'''。PackagesはPackage Manager等で管理されるため、意図せずデータが失われる可能性がある。<br> === Console - コンソール === 初期レイアウトでは'''下'''の2タブ目に配置。<br> スクリプトやエディタのエラー、その他デバッグ中のログはここに出力される。<br> ほとんどのエラーは長文で混乱するが、'''最初の1,2行目だけ注目'''することでほとんどの原因は判明する。<br> 他にも様々なウインドウが存在する。 === プロジェクトの保存 === Unityでは配置されているオブジェクトの内容や位置などを「Sceneファイル(.scene)」で管理している。<br> 現在開いているシーンの保存は、他ソフトと同様'''Ctrl+S'''で行う。<br> もし別のSceneファイルとして保存したい場合は'''Ctrl+Shift+S'''を入力し、シーン名と保存場所を指定し、保存する。混乱を避けるため、「Scenes」といったフォルダ下に保存することを推奨する。<br> シーンファイルを保存せずに終了すると、オブジェクトの変更点や、その中のComponentの状態変更が反映されず、元に戻ってしまうので注意すること。 == GameObjectを動かす == ここでは、床と坂道を配置し、ボールを転がす単純なギミックを作成する。<br> === Step.1 オブジェクトを配置 === Unityではデフォルトで立方体、球体、平面などのメッシュを配置することができる。床を配置してみよう。<br> # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Plane # 床が生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで位置を調整する(今回はX:0, Y:0, Z:0 に配置) 白い床が中心に配置されたはずだ。Inspectorにいくつか項目が追加されているが、これらは「Component(コンポーネント)」と呼ばれる、いわば部品のようなものだ。それぞれ解説する。<br> {| class="wikitable" |+ PlaneのデフォルトのComponent |- ! コンポーネント名 !! 説明 |- | Transform || '''位置(Position)回転(Rotation)大きさ(Scale)を設定'''する。<br/>ほとんどのGameObjectに最初から備わっており、削除できない。UIの場合は「Rect Transform」となる。 |- | Mesh Filter || '''メッシュ'''(3Dデータの一部)を設定する。<br/>削除すると形が消失し、見えなくなる。 |- | Mesh Renderer || '''モデルの見え方'''を設定する。<br/>Materialsでモデルの色や画像、Lightingで影の当たり方などが設定できる。 |- | Mesh Colilder || Colider(コライダー)の一種。'''当たり判定'''。<br/>オブジェクト同士の衝突判定に使用される。この他にも「Box Collider」「Sphere Collider」等が存在する。<br/>その中でも'''Box Colliderは負荷が少ない'''ため、よく使われる。 |} では次に、この'''Planeの上に坂を配置'''する。<br> 三角形はデフォルトでは存在しないため、同じくPlaneで代用する。 # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Plane # 床が生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで'''位置と回転'''を調整する。(Position(X:-7, Y:2, Z:0)、Rotation(X:0, Y:0, Z: -30) に配置) # 床と坂と区別できるよう、名前をつける。Hierarchyから「Plane(1)」を選択し、F2を押すと名前が入力できるので、名前をつける。(今回は「Saka」とする) 床と坂が配置された。<br> 最後に、坂の上の転がるような位置にボールを配置しよう。<br> # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Sphere # ボールが生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで位置を調整する(X:-9, Y:5, Z:0 に配置) '''これでオブジェクトは全て配置し終えた。'''<br> ==== テストプレイの方法 ==== Unityではエディタ上で、アプリの動作をすぐに確認できる。<br> テストプレイは'''Ctrl+P'''で開始できる。 {| class="wikitable" | Ctrl+P || 再生 / 停止 |- | Ctrl+Shift+P || 一時停止 |- | Ctrl+Alt+P || ステップ再生(1フレームずつ動かす) |} さて、プレイしてみよう。どうだろうか。<br> <br> ...'''動かない。'''<br> === Step.2 重力を追加 === しかしこれは正常な動作である。'''重力を加えていない'''ため、動かないのだ。<br> ボールに重力を加えよう。重力を加えるコンポーネント「Rigidbody」を追加する。 # HierarchyからSphereを選択 # Inspectorの一番下にある「Add Component」をクリック # 選択画面が表示される。検索欄に「rigid」と入力すると「Rigidbody」が表示されるので、選択する(Rigid body 2D'''ではない''') これで重力が追加された。Ctrl+Pでもう一度再生してみよう。<br> どうだろうか?<br> ここまで正しく操作できていれば、 '''ボールが坂を転がり、床を通り、地面に落ちていく''' といったような動作になるはずだ。<br> これで読者は晴れて、Unityの基本操作をマスターしたことになる。応用すれば、ビー玉転がしのようなものも作れる。色々工夫してみよう。 == Unity C#でオブジェクトを動かす == 玉転がしだけではゲームとは呼びづらいだろう。<br> このセクションでは、ボールをキー操作で動かす、簡単なコードを作成する。 === コードエディタのセットアップ === 本セクションはソースコード(C#)を作成する必要がある。<br> 極論「メモ帳」でも開発は行えるが、利便性とエラー検知の観点から、コードエディタを利用することを勧める。<br> 以下にMicrosoft社が提供する軽量コードエディタ「[https://ja.wikipedia.org/wiki/Visual_Studio_Code Visual Studio Code](以下、VS Code)」の、Unity向けセットアップ方法を記述する。<br> ==== VS Codeのインストール ==== 以下からVS Codeダウンロード・インストールを行う。<br> https://code.visualstudio.com/ もしくは、コマンドラインを利用してインストールを行うこともできる(要[https://ja.wikipedia.org/wiki/Windows_Package_Manager Windowsパッケージマネージャー])。 <syntaxhighlight lang="pwsh"> winget install Microsoft.VisualStudioCode </syntaxhighlight> ==== VS Codeの環境構築 ==== 必要な拡張機能をVS Codeに導入しよう。<br> VS Codeを起動し、以下の操作を行う。 # 左にアイコンの羅列(以下、左メニュー)があるので、その上から5番目(EXTENSIONS)を選択 # 拡張機能検索画面が表示される。「japan」と検索。 # 「Japanese Language Pack for Visual Studio Code」を選択し、青色の「Install」をクリック # 右下にエディタ再起動通知が表示される。右下の「Change Language and Restart」をクリック # エディタが日本語環境に変化する これと同様の操作で、以下の拡張機能もインストールを行う。 * Unity(Microsoft) * IntelliCode for C# Dev Kit(Microsoft) ==== UnityとVS Codeを連携 ==== Unity Editorの画面に戻り、以下の操作を行う。 # 上部メニュー(リボンバー)から「Edit」を選択 # 「Preferences...」を選択(下から4番目) # ウインドウが表示される。左から「External Tools」を選択 # 「External Script Editor」を「Visual Studio Code[バージョン名]」に変更 これでスクリプトをVS Codeで編集できるようになった。 === スクリプトの作成 === もしシーン内の編集を行っていたら、「GameObjectを動かす」の「Step.2 重力を追加」終了段階の状態に戻してほしい。'''床ひとつ、坂ひとつ、ボールひとつ'''の状態になっていればOKだ。<br> シーン内で行った編集はWordとおなじく'''Ctrl+Z'''で元に戻せる。余分に作成したGameObjectを削除したい場合はHierarchyからオブジェクトを選択し、'''Deleteキー'''を押すことで削除できる。<br> 準備ができたらスクリプトを作成しよう。以下の手順で進めてほしい。<br> # 下側にあるProjectタブの空いてる部分で '''右クリック -> Create -> Folder''' # '''フォルダ'''が作成される。名前を「'''Scripts'''」とする。(フォルダ名を変更しそびれた場合、再度フォルダアイコンをクリックし、F2キーを押して変更できる) # フォルダをダブルクリックし、Scriptsフォルダ内に移動 # Projectタブの空いてる部分で '''右クリック -> Create -> C# Script''' # '''スクリプト'''が作成される。名前を「'''Ball'''」とする。(スクリプト名を変更しそびれた場合、スクリプトアイコンをクリックし、Deleteキーで削除後、4からやり直す) スクリプトが正常に作成できたら、アイコンをダブルクリックしてC#ファイルを開こう。正常に作成できたら以下のようになっているはずだ。<br> <syntaxhighlight lang="csharp" line> using System.Collections; using System.Collections.Generic; using UnityEngine; public class Ball : MonoBehaviour { // Start is called before the first frame update void Start() { } // Update is called once per frame void Update() { } } </syntaxhighlight> C#全体の記法やチュートリアルは [[C Sharp|WikiBooks:C#]] や、他サイトのチュートリアルを参照してほしい。ここではUnity特有のクラスやライブラリについて簡潔に解説を行う。<br> {| class="wikitable" |+ Unity固有のクラス・関数 |- ! クラス・関数名 !! 説明 |- | UnityEngine || Unity固有の関数やクラスを利用するために必要。 |- | MonoBehaviour || UnityEngineのクラス。<br/>UnityのGameObjectで、Componentとして使うスクリプトであることを表す。 |- | void Start() || プレイ開始時の'''最初の1回'''(1フレーム)だけ実行される。<br/>変数初期化などでよく使われる。 |- | void Update() || プレイ中'''常に実行'''される。<br/>入力の受け取りなど、常に検知させたい動作などで使われる。 |} === デバッグ方法の確認 === プログラムがどのように動作しているか知るには、まずログを出力することから覚えるべきだ。先程のコードのStartクラスに以下のように追記を行う。 <syntaxhighlight lang="csharp" line start="6" highlight="5"> //--中略 void Start() { Debug.Log("Hello, Unity!"); } //--中略 </syntaxhighlight> '''Ctrl+Sでコードを保存'''し、Unityエディタに戻ろう。<br> さて、コードはGameObjectに紐づけないと動作しない。以下の操作を行おう。 # Hierarchyタブでオブジェクト「Sphere」を選択 # Inspectorの一番下にある「Add Component」をクリック # 選択画面が表示される。検索欄に「ball」と入力すると「Ball」が表示されるので、選択する Ballがコンポーネントとして追加されたはずだ。'''Ctrl+P'''で実行してみよう。<br> ところで、操作説明にあった「Console」タブは覚えているだろうか?エディタの下側の2タブ目に配置されてるが、'''Consoleタブ'''は'''Ctrl+Shift+C'''でも開けるので確認してほしい。<br> もしコードが正常に動作していたら、以下のように出力されるはずだ。 <syntaxhighlight lang="txt"> [00:00:00] Hello, Unity! UnityEngine.Debug:Log (object) </syntaxhighlight> このデバッグコードは、スクリプトやGameObjectが正常に動作しているかの確認を行うのに頻繁に活用される。覚えておこう。ちなみにDebug.Logのほか、以下のような関数も存在する。上手く使い分けよう。 {| class="wikitable" | Debug.Log() || ログを'''情報'''として出力。 |- | Debug.LogWarning() || ログを'''警告'''として出力。<br/>Consoleでの出力では黄色のマークが併記される。 |- | Debug.LogError() || ログを'''エラー'''として出力。<br/>Consoleでの出力では赤色のマークが併記される。<br/>Consoleの設定によっては実行中に一時停止状態になる。 |} === 移動処理の追加 === {{Info|Unity2022.3以降、UnityEngine.InputはOldとして指定されており、新しい入力システム「[https://docs.unity3d.com/ja/2022.3/Manual/com.unity.inputsystem.html InputSystem]」への移行を推奨しています。<br/>当セクションはあくまで参考程度に留めておいて下さい。}} それでは、キー入力が行われた際、ボールが移動するコードを挿入しよう。Unityでは、キー入力を以下の関数で受け取る。 <syntaxhighlight lang="csharp" line start="12" highlight="5"> // 中略 void Update() { if (Input.GetKey(KeyCode.W)) { { } // 中略 </syntaxhighlight> Input.GetKey()は、キーを押し続けているかを検知する関数だ。KeyCodeには検知対象のキー名が入る。<br> オブジェクトの移動には様々な方法があるが、ここでは「重力を足す」方法を使う。以下のようにコードを挿入しよう。<br> <syntaxhighlight lang="csharp" line start="12" highlight="7,12,17,22"> // 中略 void Update() { //rigidbodyを取得 var rb = GetComponent<Rigidbody>(); if (Input.GetKey(KeyCode.W)) { //前 rb.AddForce(Vector3.forward); } else if (Input.GetKey(KeyCode.S)) { //後ろ rb.AddForce(Vector3.back); } else if (Input.GetKey(KeyCode.A)) { //左 rb.AddForce(Vector3.left); } else if (Input.GetKey(KeyCode.D)) { //右 rb.AddForce(Vector3.right); } } // 中略 </syntaxhighlight> 保存したらエディタに戻り、実行しよう。<br> '''W,A,S,D'''のキーを入力すると、ボールが'''前後左右に動く'''はずだ。<br> これで君は、Unity C#の基本的な使い方を覚えたといって良いだろう。 == Unity C#で変数カウントを行う == 先の章で作成したオブジェクトが、コインを取得しポイントを獲得するコードを記述。 編集途中。 == アプリケーションのビルド == 開発したアプリを実際にexeファイル等プレイできる形に出力するには、ビルドを行う必要がある。<br> ビルドを行うには'''Ctrl+B'''を入力し、ビルド先のフォルダを 指定する。なお、日本語名のフォルダ下はビルド時エラーを誘発するため、避けること。<br> ビルド設定は'''Ctrl+Shift+B'''を入力することで開く。ほとんどのアプリ設定は右下の「[https://docs.unity3d.com/ja/2022.3/Manual/playersettings-windows.html Player Settings...]」から編集できるだろう。 ビルドが無事終了すると、自動的にWindowsエクスプローラーが開き、保存したアプリケーションのフォルダが開かれる。<br> ビルドに失敗した場合、Consoleウインドウにエラーが出力される。エラー内容のほとんどは翻訳ソフトなどを活用したり、インターネット上でエラーメッセージを検索することで、原因が判明することが多い。<br> b3tfucamsjgwqtvfdr2tfminjhueyyk 246436 246435 2024-04-09T12:50:47Z Sh0ou 72156 wikitext text/x-wiki {{substub}} == 概要 ==  Unityは、Unity Technologiesが配布を行っているゲームエンジンのことである。 WindowsやMac,Linuxなどで利用可能であり、ゲーム開発やXRコンテンツ、建築やシミュレーション等に活用が行える。<br> 詳細は[https://ja.wikipedia.org/wiki/Unity_(%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3) Wikipediaでの解説]を参照のこと。<br>  本著では、Unityの導入から基本操作、Unity特有のクラスや関数を利用した基礎的なプログラミングについて解説し、ページ自体は'''5-10分'''で読了することを想定して執筆を行う。<br>  使用OSはWindows11を想定している。ショートカットコマンド等は適宣読み替えてほしい。  また、ゲームエンジンは更新頻度が著しく、本著で記載されている機能や手法が利用できないケースも考えられる。不明点はUnity公式の[https://docs.unity3d.com/ja/2019.4/ScriptReference/index.html リファレンス]や[https://docs.unity3d.com/Manual/index.html マニュアル]を参照すると良いだろう。<br> == 導入 == Unityには「Unity Hub」「Unity Editor」の2種類が存在する。<br> 具体的には、以下のフローで起動を行う。 # Unity Hubを起動 # プロジェクトを選択する # Unity Editorが起動。プロジェクトが読み込まれ、表示される プロジェクトを開くためには、ライセンスが付与された'''Unityアカウントが必要'''となる。2024年時点では、Unityを使用して得られた収入が10万ドル(約15,000,000円)未満である場合、無料のPersonalライセンスが利用できるため、今回はこの'''無料ライセンス'''を利用する。 ここでは、Unityプロジェクトを管理・起動するために必要な「Unity Hub」の導入、Unityアカウントの取得、Unityライセンスの取得を行う。 === ダウンロードとインストール === ==== 1-1 Unityアカウントを作成 ==== Unity Hubを利用するために必要。<br> https://id.unity.com/account/new アカウントはメールアドレス、Google,Facebook等アカウント連携のいずれかで作成できる。<br> Googleアカウント等を既に所持している場合、下側のアイコンからアカウント連携を行って作成することをお勧めする。これにより、以後ログイン時の手間を省くことができる。 ==== 1-2 Unity Hubのインストール ==== 以下よりUnity Hubを導入する。<br> https://unity.com/ja/download<br> もしくは、コマンドラインを利用してインストールを行うこともできる(要Windowsパッケージマネージャー)。<br> <syntaxhighlight> winget install Unity.UnityHub </syntaxhighlight> インストール先は任意のものを指定する。 インストール後、Unityアカウントのサインインを求められるため、'''1-1'''で作成したアカウント情報でサインインする。<br> サインイン後、いくつかウインドウが表示されるが、ひとまず全てSkip, NoThanks等を選択して閉じる。<br> さて、プロジェクトを開くためにライセンスを取得しよう。Personalライセンスは以下の手順で取得できる。<br> # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから、歯車アイコンをクリック # 「Licenses」を選択 # 青色の「Add」を選択 # 「Get a free personal license」を選択 # 規約を確認のうえ、青色の「Agree and get personal edition license」をクリック # 右上の×ボタンから設定ウインドウを閉じる これでUnity Hubの導入は完了した。<br> ==== 1-3 Unity Editorのインストール ==== 最後に、Unityプロジェクトを開くために必要なエディタを取得しよう。<br> Unity Editorは複数バージョンが存在し、バージョンによって操作方法や見た目、挙動が変化する。<br> 迷った場合、インストール画面で「Recommended version」と表記されたものを選ぶと良いだろう。<br> # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから「Installs」をクリック # 右上の青色の「Install Editor」をクリック # バージョンを選択し「Install」をクリック(本稿では2022.3.x 系列を想定) # モジュール選択画面。開発内容に応じてチェックマークを選択する。(本稿では「Windows Build Support(IL2CPP)」のみを選択) # インストール開始。進捗状況は右下の「Downloads」で確認できる。完了後、「Installs」タブ内にバージョンが追加される。 '''これでUnityを使う準備は整った。'''<br> === プロジェクトの作成 === Unity Editorを使用するためには、データを利用・管理するためのプロジェクトフォルダが必須となる。プロジェクトは以下の手順で作成できる。 # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから「Projects」タブを選択 # 右上の青色の「New Project」を選択 # テンプレートを選択(今回は3D(Built-in)を選択) # 右側に入力欄が表示される。自分自身が分かりやすいproject name(プロジェクト名)を名付ける。(今回は Tutorial と入力) # Location(保存場所)をクリックし、プロジェクトの保存場所を選択する。(SSDドライブ上のフォルダを推奨) # Unity Cloudの設定があるが、どちらもチェックを外す。 # 設定項目を確認し、右下の青色の「Create project」ボタンをクリック  これでプロジェクト生成が始まる。生成時間はパソコンの性能に大きく依存するが、概ね数分程度である。生成が完了すると、UnityEditorが自動で立ち上がる。<br> '''プロジェクトはこれで生成完了'''だ。以後、作成したプロジェクトはUnity Hubの「Projects」タブ上に一覧表示されるため、名前をクリックすることで開くことが出来るようになる。 == 操作説明 == Unity Editor(以下、エディタ)を立ち上げると、灰色(もしくは白色)の、4分割された画面が表示されるだろう。これがエディタの画面だ。ここでは、各ウインドウとメニューについて簡易的な解説を行う。<br> === Hierarchy - ヒエラルキー === 初期レイアウトでは'''左上'''に配置。<br> Scene内に配置されているGameObject郡とその親子関係を参照できる。(もし表示されない場合、「SampleScene」の左側にある ▶ をクリックすると展開される)<br> オブジェクト名をクリックすると、Inspectorに詳細が表示される。 === Scene - シーン === 初期レイアウトでは'''上'''に配置。<br> GameObjectの位置や大きさを確認できる。<br> 右クリックしたまま動かすと、カメラを回転できる。<br> ホイールをクリックしたまま動かすと、カメラを上下左右に並行移動でき、ホイールを回すと、中心に拡大縮小できる。<br> また、配置されているオブジェクトをクリックすることで、モードに応じた矢印などのUIが表示される。 {| class="wikitable" |+ キーバインド |- ! キー !! 操作 |- | Q || ハンドモード(シーンカメラを上下左右に平行移動する) |- | W || 移動モード(オブジェクトの位置を調整する) |- | E || 回転モード(オブジェクトの回転を調整する) |- | R || 拡大モード(オブジェクトの大きさを調整する) |- | T || Rect Tool(UIなどのサイズを調整する) |- | Y || Transformモード(オブジェクトの位置・回転・大きさを調整する) |- | 右クリック+WASD || シーンカメラを現在位置から上下左右に動かす |} === Inspector - インスペクタ === 初期レイアウトでは'''右'''に配置。<br> 選択中のGameObjectの詳細や、追加されているComponentの状態を参照・変更できる。 === Project - プロジェクト === 初期レイアウトでは'''下'''に配置。<br> プロジェクトフォルダ内に存在するファイルが表示される。 Windowsのエクスプローラーからここにファイルをドラッグ&ドロップすることで、現在のフォルダ位置にファイルを複製できる。 データを作成する場合は'''Assets内に配置すること'''。PackagesはPackage Manager等で管理されるため、意図せずデータが失われる可能性がある。<br> === Console - コンソール === 初期レイアウトでは'''下'''の2タブ目に配置。<br> スクリプトやエディタのエラー、その他デバッグ中のログはここに出力される。<br> ほとんどのエラーは長文で混乱するが、'''最初の1,2行目だけ注目'''することでほとんどの原因は判明する。<br> 他にも様々なウインドウが存在する。 === プロジェクトの保存 === Unityでは配置されているオブジェクトの内容や位置などを「Sceneファイル(.scene)」で管理している。<br> 現在開いているシーンの保存は、他ソフトと同様'''Ctrl+S'''で行う。<br> もし別のSceneファイルとして保存したい場合は'''Ctrl+Shift+S'''を入力し、シーン名と保存場所を指定し、保存する。混乱を避けるため、「Scenes」といったフォルダ下に保存することを推奨する。<br> シーンファイルを保存せずに終了すると、オブジェクトの変更点や、その中のComponentの状態変更が反映されず、元に戻ってしまうので注意すること。 == GameObjectを動かす == ここでは、床と坂道を配置し、ボールを転がす単純なギミックを作成する。<br> === Step.1 オブジェクトを配置 === Unityではデフォルトで立方体、球体、平面などのメッシュを配置することができる。床を配置してみよう。<br> # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Plane # 床が生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで位置を調整する(今回はX:0, Y:0, Z:0 に配置) 白い床が中心に配置されたはずだ。Inspectorにいくつか項目が追加されているが、これらは「Component(コンポーネント)」と呼ばれる、いわば部品のようなものだ。それぞれ解説する。<br> {| class="wikitable" |+ PlaneのデフォルトのComponent |- ! コンポーネント名 !! 説明 |- | Transform || '''位置(Position)回転(Rotation)大きさ(Scale)を設定'''する。<br/>ほとんどのGameObjectに最初から備わっており、削除できない。UIの場合は「Rect Transform」となる。 |- | Mesh Filter || '''メッシュ'''(3Dデータの一部)を設定する。<br/>削除すると形が消失し、見えなくなる。 |- | Mesh Renderer || '''モデルの見え方'''を設定する。<br/>Materialsでモデルの色や画像、Lightingで影の当たり方などが設定できる。 |- | Mesh Colilder || Colider(コライダー)の一種。'''当たり判定'''。<br/>オブジェクト同士の衝突判定に使用される。この他にも「Box Collider」「Sphere Collider」等が存在する。<br/>その中でも'''Box Colliderは負荷が少ない'''ため、よく使われる。 |} では次に、この'''Planeの上に坂を配置'''する。<br> 三角形はデフォルトでは存在しないため、同じくPlaneで代用する。 # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Plane # 床が生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで'''位置と回転'''を調整する。(Position(X:-7, Y:2, Z:0)、Rotation(X:0, Y:0, Z: -30) に配置) # 床と坂と区別できるよう、名前をつける。Hierarchyから「Plane(1)」を選択し、F2を押すと名前が入力できるので、名前をつける。(今回は「Saka」とする) 床と坂が配置された。<br> 最後に、坂の上の転がるような位置にボールを配置しよう。<br> # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Sphere # ボールが生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで位置を調整する(X:-9, Y:5, Z:0 に配置) '''これでオブジェクトは全て配置し終えた。'''<br> ==== テストプレイの方法 ==== Unityではエディタ上で、アプリの動作をすぐに確認できる。<br> テストプレイは'''Ctrl+P'''で開始できる。 {| class="wikitable" | Ctrl+P || 再生 / 停止 |- | Ctrl+Shift+P || 一時停止 |- | Ctrl+Alt+P || ステップ再生(1フレームずつ動かす) |} さて、プレイしてみよう。どうだろうか。<br> <br> ...'''動かない。'''<br> === Step.2 重力を追加 === しかしこれは正常な動作である。'''重力を加えていない'''ため、動かないのだ。<br> ボールに重力を加えよう。重力を加えるコンポーネント「Rigidbody」を追加する。 # HierarchyからSphereを選択 # Inspectorの一番下にある「Add Component」をクリック # 選択画面が表示される。検索欄に「rigid」と入力すると「Rigidbody」が表示されるので、選択する(Rigid body 2D'''ではない''') これで重力が追加された。Ctrl+Pでもう一度再生してみよう。<br> どうだろうか?<br> ここまで正しく操作できていれば、 '''ボールが坂を転がり、床を通り、地面に落ちていく''' といったような動作になるはずだ。<br> これで読者は晴れて、Unityの基本操作をマスターしたことになる。応用すれば、ビー玉転がしのようなものも作れる。色々工夫してみよう。 == Unity C#でオブジェクトを動かす == 玉転がしだけではゲームとは呼びづらいだろう。<br> このセクションでは、ボールをキー操作で動かす、簡単なコードを作成する。 === コードエディタのセットアップ === 本セクションはソースコード(C#)を作成する必要がある。<br> 極論「メモ帳」でも開発は行えるが、利便性とエラー検知の観点から、コードエディタを利用することを勧める。<br> 以下にMicrosoft社が提供する軽量コードエディタ「[https://ja.wikipedia.org/wiki/Visual_Studio_Code Visual Studio Code](以下、VS Code)」の、Unity向けセットアップ方法を記述する。<br> ==== VS Codeのインストール ==== 以下からVS Codeダウンロード・インストールを行う。<br> https://code.visualstudio.com/ もしくは、コマンドラインを利用してインストールを行うこともできる(要[https://ja.wikipedia.org/wiki/Windows_Package_Manager Windowsパッケージマネージャー])。 <syntaxhighlight lang="pwsh"> winget install Microsoft.VisualStudioCode </syntaxhighlight> ==== VS Codeの環境構築 ==== 必要な拡張機能をVS Codeに導入しよう。<br> VS Codeを起動し、以下の操作を行う。 # 左にアイコンの羅列(以下、左メニュー)があるので、その上から5番目(EXTENSIONS)を選択 # 拡張機能検索画面が表示される。「japan」と検索。 # 「Japanese Language Pack for Visual Studio Code」を選択し、青色の「Install」をクリック # 右下にエディタ再起動通知が表示される。右下の「Change Language and Restart」をクリック # エディタが日本語環境に変化する これと同様の操作で、以下の拡張機能もインストールを行う。 * Unity(Microsoft) * IntelliCode for C# Dev Kit(Microsoft) ==== UnityとVS Codeを連携 ==== Unity Editorの画面に戻り、以下の操作を行う。 # 上部メニュー(リボンバー)から「Edit」を選択 # 「Preferences...」を選択(下から4番目) # ウインドウが表示される。左から「External Tools」を選択 # 「External Script Editor」を「Visual Studio Code[バージョン名]」に変更 これでスクリプトをVS Codeで編集できるようになった。 === スクリプトの作成 === もしシーン内の編集を行っていたら、「GameObjectを動かす」の「Step.2 重力を追加」終了段階の状態に戻してほしい。'''床ひとつ、坂ひとつ、ボールひとつ'''の状態になっていればOKだ。<br> シーン内で行った編集はWordとおなじく'''Ctrl+Z'''で元に戻せる。余分に作成したGameObjectを削除したい場合はHierarchyからオブジェクトを選択し、'''Deleteキー'''を押すことで削除できる。<br> 準備ができたらスクリプトを作成しよう。以下の手順で進めてほしい。<br> # 下側にあるProjectタブの空いてる部分で '''右クリック -> Create -> Folder''' # '''フォルダ'''が作成される。名前を「'''Scripts'''」とする。(フォルダ名を変更しそびれた場合、再度フォルダアイコンをクリックし、F2キーを押して変更できる) # フォルダをダブルクリックし、Scriptsフォルダ内に移動 # Projectタブの空いてる部分で '''右クリック -> Create -> C# Script''' # '''スクリプト'''が作成される。名前を「'''Ball'''」とする。(スクリプト名を変更しそびれた場合、スクリプトアイコンをクリックし、Deleteキーで削除後、4からやり直す) スクリプトが正常に作成できたら、アイコンをダブルクリックしてC#ファイルを開こう。正常に作成できたら以下のようになっているはずだ。<br> <syntaxhighlight lang="csharp" line> using System.Collections; using System.Collections.Generic; using UnityEngine; public class Ball : MonoBehaviour { // Start is called before the first frame update void Start() { } // Update is called once per frame void Update() { } } </syntaxhighlight> C#全体の記法やチュートリアルは [[C Sharp|WikiBooks:C#]] や、他サイトのチュートリアルを参照してほしい。ここではUnity特有のクラスやライブラリについて簡潔に解説を行う。<br> {| class="wikitable" |+ Unity固有のクラス・関数 |- ! クラス・関数名 !! 説明 |- | UnityEngine || Unity固有の関数やクラスを利用するために必要。 |- | MonoBehaviour || UnityEngineのクラス。<br/>UnityのGameObjectで、Componentとして使うスクリプトであることを表す。 |- | void Start() || プレイ開始時の'''最初の1回'''(1フレーム)だけ実行される。<br/>変数初期化などでよく使われる。 |- | void Update() || プレイ中'''常に実行'''される。<br/>入力の受け取りなど、常に検知させたい動作などで使われる。 |} === デバッグ方法の確認 === プログラムがどのように動作しているか知るには、まずログを出力することから覚えるべきだ。先程のコードのStartクラスに以下のように追記を行う。 <syntaxhighlight lang="csharp" line start="6" highlight="5"> //--中略 void Start() { Debug.Log("Hello, Unity!"); } //--中略 </syntaxhighlight> '''Ctrl+Sでコードを保存'''し、Unityエディタに戻ろう。<br> さて、コードはGameObjectに紐づけないと動作しない。以下の操作を行おう。 # Hierarchyタブでオブジェクト「Sphere」を選択 # Inspectorの一番下にある「Add Component」をクリック # 選択画面が表示される。検索欄に「ball」と入力すると「Ball」が表示されるので、選択する Ballがコンポーネントとして追加されたはずだ。'''Ctrl+P'''で実行してみよう。<br> ところで、操作説明にあった「Console」タブは覚えているだろうか?エディタの下側の2タブ目に配置されてるが、'''Consoleタブ'''は'''Ctrl+Shift+C'''でも開けるので確認してほしい。<br> もしコードが正常に動作していたら、以下のように出力されるはずだ。 <syntaxhighlight lang="txt"> [00:00:00] Hello, Unity! UnityEngine.Debug:Log (object) </syntaxhighlight> このデバッグコードは、スクリプトやGameObjectが正常に動作しているかの確認を行うのに頻繁に活用される。覚えておこう。ちなみにDebug.Logのほか、以下のような関数も存在する。上手く使い分けよう。 {| class="wikitable" | Debug.Log() || ログを'''情報'''として出力。 |- | Debug.LogWarning() || ログを'''警告'''として出力。<br/>Consoleでの出力では黄色のマークが併記される。 |- | Debug.LogError() || ログを'''エラー'''として出力。<br/>Consoleでの出力では赤色のマークが併記される。<br/>Consoleの設定によっては実行中に一時停止状態になる。 |} === 移動処理の追加 === {{Info|Unity2022.3以降、UnityEngine.InputはOldとして指定されており、新しい入力システム「[https://docs.unity3d.com/ja/2022.3/Manual/com.unity.inputsystem.html InputSystem]」への移行を推奨しています。<br/>当セクションはあくまで参考程度に留めておいて下さい。}} それでは、キー入力が行われた際、ボールが移動するコードを挿入しよう。Unityでは、キー入力を以下の関数で受け取る。 <syntaxhighlight lang="csharp" line start="12" highlight="5"> // 中略 void Update() { if (Input.GetKey(KeyCode.W)) { { } // 中略 </syntaxhighlight> Input.GetKey()は、キーを押し続けているかを検知する関数だ。KeyCodeには検知対象のキー名が入る。<br> オブジェクトの移動には様々な方法があるが、ここでは「重力を足す」方法を使う。以下のようにコードを挿入しよう。<br> <syntaxhighlight lang="csharp" line start="12" highlight="7,12,17,22"> // 中略 void Update() { //rigidbodyを取得 var rb = GetComponent<Rigidbody>(); if (Input.GetKey(KeyCode.W)) { //前 rb.AddForce(Vector3.forward); } else if (Input.GetKey(KeyCode.S)) { //後ろ rb.AddForce(Vector3.back); } else if (Input.GetKey(KeyCode.A)) { //左 rb.AddForce(Vector3.left); } else if (Input.GetKey(KeyCode.D)) { //右 rb.AddForce(Vector3.right); } } // 中略 </syntaxhighlight> 保存したらエディタに戻り、実行しよう。<br> '''W,A,S,D'''のキーを入力すると、ボールが'''前後左右に動く'''はずだ。<br> これで君は、Unity C#の基本的な使い方を覚えたといって良いだろう。 == アプリケーションのビルド == 開発したアプリを実際にexeファイル等プレイできる形に出力するには、ビルドを行う必要がある。<br> ビルドを行うには'''Ctrl+B'''を入力し、ビルド先のフォルダを 指定する。なお、日本語名のフォルダ下はビルド時エラーを誘発するため、避けること。<br> ビルド設定は'''Ctrl+Shift+B'''を入力することで開く。ほとんどのアプリ設定は右下の「[https://docs.unity3d.com/ja/2022.3/Manual/playersettings-windows.html Player Settings...]」から編集できるだろう。 ビルドが無事終了すると、自動的にWindowsエクスプローラーが開き、保存したアプリケーションのフォルダが開かれる。<br> ビルドに失敗した場合、Consoleウインドウにエラーが出力される。エラー内容のほとんどは翻訳ソフトなどを活用したり、インターネット上でエラーメッセージを検索することで、原因が判明することが多い。<br> tpssyry55n5qd1b72wzru321prb8oej 246437 246436 2024-04-09T12:53:51Z Sh0ou 72156 subStabをStabに置換 wikitext text/x-wiki {{stub}} == 概要 ==  Unityは、Unity Technologiesが配布を行っているゲームエンジンのことである。 WindowsやMac,Linuxなどで利用可能であり、ゲーム開発やXRコンテンツ、建築やシミュレーション等に活用が行える。<br> 詳細は[https://ja.wikipedia.org/wiki/Unity_(%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3) Wikipediaでの解説]を参照のこと。<br>  本著では、Unityの導入から基本操作、Unity特有のクラスや関数を利用した基礎的なプログラミングについて解説し、ページ自体は'''5-10分'''で読了することを想定して執筆を行う。<br>  使用OSはWindows11を想定している。ショートカットコマンド等は適宣読み替えてほしい。  また、ゲームエンジンは更新頻度が著しく、本著で記載されている機能や手法が利用できないケースも考えられる。不明点はUnity公式の[https://docs.unity3d.com/ja/2019.4/ScriptReference/index.html リファレンス]や[https://docs.unity3d.com/Manual/index.html マニュアル]を参照すると良いだろう。<br> == 導入 == Unityには「Unity Hub」「Unity Editor」の2種類が存在する。<br> 具体的には、以下のフローで起動を行う。 # Unity Hubを起動 # プロジェクトを選択する # Unity Editorが起動。プロジェクトが読み込まれ、表示される プロジェクトを開くためには、ライセンスが付与された'''Unityアカウントが必要'''となる。2024年時点では、Unityを使用して得られた収入が10万ドル(約15,000,000円)未満である場合、無料のPersonalライセンスが利用できるため、今回はこの'''無料ライセンス'''を利用する。 ここでは、Unityプロジェクトを管理・起動するために必要な「Unity Hub」の導入、Unityアカウントの取得、Unityライセンスの取得を行う。 === ダウンロードとインストール === ==== 1-1 Unityアカウントを作成 ==== Unity Hubを利用するために必要。<br> https://id.unity.com/account/new アカウントはメールアドレス、Google,Facebook等アカウント連携のいずれかで作成できる。<br> Googleアカウント等を既に所持している場合、下側のアイコンからアカウント連携を行って作成することをお勧めする。これにより、以後ログイン時の手間を省くことができる。 ==== 1-2 Unity Hubのインストール ==== 以下よりUnity Hubを導入する。<br> https://unity.com/ja/download<br> もしくは、コマンドラインを利用してインストールを行うこともできる(要Windowsパッケージマネージャー)。<br> <syntaxhighlight> winget install Unity.UnityHub </syntaxhighlight> インストール先は任意のものを指定する。 インストール後、Unityアカウントのサインインを求められるため、'''1-1'''で作成したアカウント情報でサインインする。<br> サインイン後、いくつかウインドウが表示されるが、ひとまず全てSkip, NoThanks等を選択して閉じる。<br> さて、プロジェクトを開くためにライセンスを取得しよう。Personalライセンスは以下の手順で取得できる。<br> # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから、歯車アイコンをクリック # 「Licenses」を選択 # 青色の「Add」を選択 # 「Get a free personal license」を選択 # 規約を確認のうえ、青色の「Agree and get personal edition license」をクリック # 右上の×ボタンから設定ウインドウを閉じる これでUnity Hubの導入は完了した。<br> ==== 1-3 Unity Editorのインストール ==== 最後に、Unityプロジェクトを開くために必要なエディタを取得しよう。<br> Unity Editorは複数バージョンが存在し、バージョンによって操作方法や見た目、挙動が変化する。<br> 迷った場合、インストール画面で「Recommended version」と表記されたものを選ぶと良いだろう。<br> # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから「Installs」をクリック # 右上の青色の「Install Editor」をクリック # バージョンを選択し「Install」をクリック(本稿では2022.3.x 系列を想定) # モジュール選択画面。開発内容に応じてチェックマークを選択する。(本稿では「Windows Build Support(IL2CPP)」のみを選択) # インストール開始。進捗状況は右下の「Downloads」で確認できる。完了後、「Installs」タブ内にバージョンが追加される。 '''これでUnityを使う準備は整った。'''<br> === プロジェクトの作成 === Unity Editorを使用するためには、データを利用・管理するためのプロジェクトフォルダが必須となる。プロジェクトは以下の手順で作成できる。 # Unity Hubのウインドウ左側のメニューから「Projects」タブを選択 # 右上の青色の「New Project」を選択 # テンプレートを選択(今回は3D(Built-in)を選択) # 右側に入力欄が表示される。自分自身が分かりやすいproject name(プロジェクト名)を名付ける。(今回は Tutorial と入力) # Location(保存場所)をクリックし、プロジェクトの保存場所を選択する。(SSDドライブ上のフォルダを推奨) # Unity Cloudの設定があるが、どちらもチェックを外す。 # 設定項目を確認し、右下の青色の「Create project」ボタンをクリック  これでプロジェクト生成が始まる。生成時間はパソコンの性能に大きく依存するが、概ね数分程度である。生成が完了すると、UnityEditorが自動で立ち上がる。<br> '''プロジェクトはこれで生成完了'''だ。以後、作成したプロジェクトはUnity Hubの「Projects」タブ上に一覧表示されるため、名前をクリックすることで開くことが出来るようになる。 == 操作説明 == Unity Editor(以下、エディタ)を立ち上げると、灰色(もしくは白色)の、4分割された画面が表示されるだろう。これがエディタの画面だ。ここでは、各ウインドウとメニューについて簡易的な解説を行う。<br> === Hierarchy - ヒエラルキー === 初期レイアウトでは'''左上'''に配置。<br> Scene内に配置されているGameObject郡とその親子関係を参照できる。(もし表示されない場合、「SampleScene」の左側にある ▶ をクリックすると展開される)<br> オブジェクト名をクリックすると、Inspectorに詳細が表示される。 === Scene - シーン === 初期レイアウトでは'''上'''に配置。<br> GameObjectの位置や大きさを確認できる。<br> 右クリックしたまま動かすと、カメラを回転できる。<br> ホイールをクリックしたまま動かすと、カメラを上下左右に並行移動でき、ホイールを回すと、中心に拡大縮小できる。<br> また、配置されているオブジェクトをクリックすることで、モードに応じた矢印などのUIが表示される。 {| class="wikitable" |+ キーバインド |- ! キー !! 操作 |- | Q || ハンドモード(シーンカメラを上下左右に平行移動する) |- | W || 移動モード(オブジェクトの位置を調整する) |- | E || 回転モード(オブジェクトの回転を調整する) |- | R || 拡大モード(オブジェクトの大きさを調整する) |- | T || Rect Tool(UIなどのサイズを調整する) |- | Y || Transformモード(オブジェクトの位置・回転・大きさを調整する) |- | 右クリック+WASD || シーンカメラを現在位置から上下左右に動かす |} === Inspector - インスペクタ === 初期レイアウトでは'''右'''に配置。<br> 選択中のGameObjectの詳細や、追加されているComponentの状態を参照・変更できる。 === Project - プロジェクト === 初期レイアウトでは'''下'''に配置。<br> プロジェクトフォルダ内に存在するファイルが表示される。 Windowsのエクスプローラーからここにファイルをドラッグ&ドロップすることで、現在のフォルダ位置にファイルを複製できる。 データを作成する場合は'''Assets内に配置すること'''。PackagesはPackage Manager等で管理されるため、意図せずデータが失われる可能性がある。<br> === Console - コンソール === 初期レイアウトでは'''下'''の2タブ目に配置。<br> スクリプトやエディタのエラー、その他デバッグ中のログはここに出力される。<br> ほとんどのエラーは長文で混乱するが、'''最初の1,2行目だけ注目'''することでほとんどの原因は判明する。<br> 他にも様々なウインドウが存在する。 === プロジェクトの保存 === Unityでは配置されているオブジェクトの内容や位置などを「Sceneファイル(.scene)」で管理している。<br> 現在開いているシーンの保存は、他ソフトと同様'''Ctrl+S'''で行う。<br> もし別のSceneファイルとして保存したい場合は'''Ctrl+Shift+S'''を入力し、シーン名と保存場所を指定し、保存する。混乱を避けるため、「Scenes」といったフォルダ下に保存することを推奨する。<br> シーンファイルを保存せずに終了すると、オブジェクトの変更点や、その中のComponentの状態変更が反映されず、元に戻ってしまうので注意すること。 == GameObjectを動かす == ここでは、床と坂道を配置し、ボールを転がす単純なギミックを作成する。<br> === Step.1 オブジェクトを配置 === Unityではデフォルトで立方体、球体、平面などのメッシュを配置することができる。床を配置してみよう。<br> # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Plane # 床が生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで位置を調整する(今回はX:0, Y:0, Z:0 に配置) 白い床が中心に配置されたはずだ。Inspectorにいくつか項目が追加されているが、これらは「Component(コンポーネント)」と呼ばれる、いわば部品のようなものだ。それぞれ解説する。<br> {| class="wikitable" |+ PlaneのデフォルトのComponent |- ! コンポーネント名 !! 説明 |- | Transform || '''位置(Position)回転(Rotation)大きさ(Scale)を設定'''する。<br/>ほとんどのGameObjectに最初から備わっており、削除できない。UIの場合は「Rect Transform」となる。 |- | Mesh Filter || '''メッシュ'''(3Dデータの一部)を設定する。<br/>削除すると形が消失し、見えなくなる。 |- | Mesh Renderer || '''モデルの見え方'''を設定する。<br/>Materialsでモデルの色や画像、Lightingで影の当たり方などが設定できる。 |- | Mesh Colilder || Colider(コライダー)の一種。'''当たり判定'''。<br/>オブジェクト同士の衝突判定に使用される。この他にも「Box Collider」「Sphere Collider」等が存在する。<br/>その中でも'''Box Colliderは負荷が少ない'''ため、よく使われる。 |} では次に、この'''Planeの上に坂を配置'''する。<br> 三角形はデフォルトでは存在しないため、同じくPlaneで代用する。 # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Plane # 床が生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで'''位置と回転'''を調整する。(Position(X:-7, Y:2, Z:0)、Rotation(X:0, Y:0, Z: -30) に配置) # 床と坂と区別できるよう、名前をつける。Hierarchyから「Plane(1)」を選択し、F2を押すと名前が入力できるので、名前をつける。(今回は「Saka」とする) 床と坂が配置された。<br> 最後に、坂の上の転がるような位置にボールを配置しよう。<br> # Hierarchyタブにカーソルを合わせ、右クリック # 3D Object -> Sphere # ボールが生成される。Sceneウインドウ内の矢印もしくはInspectorのTransformのPositionで位置を調整する(X:-9, Y:5, Z:0 に配置) '''これでオブジェクトは全て配置し終えた。'''<br> ==== テストプレイの方法 ==== Unityではエディタ上で、アプリの動作をすぐに確認できる。<br> テストプレイは'''Ctrl+P'''で開始できる。 {| class="wikitable" | Ctrl+P || 再生 / 停止 |- | Ctrl+Shift+P || 一時停止 |- | Ctrl+Alt+P || ステップ再生(1フレームずつ動かす) |} さて、プレイしてみよう。どうだろうか。<br> <br> ...'''動かない。'''<br> === Step.2 重力を追加 === しかしこれは正常な動作である。'''重力を加えていない'''ため、動かないのだ。<br> ボールに重力を加えよう。重力を加えるコンポーネント「Rigidbody」を追加する。 # HierarchyからSphereを選択 # Inspectorの一番下にある「Add Component」をクリック # 選択画面が表示される。検索欄に「rigid」と入力すると「Rigidbody」が表示されるので、選択する(Rigid body 2D'''ではない''') これで重力が追加された。Ctrl+Pでもう一度再生してみよう。<br> どうだろうか?<br> ここまで正しく操作できていれば、 '''ボールが坂を転がり、床を通り、地面に落ちていく''' といったような動作になるはずだ。<br> これで読者は晴れて、Unityの基本操作をマスターしたことになる。応用すれば、ビー玉転がしのようなものも作れる。色々工夫してみよう。 == Unity C#でオブジェクトを動かす == 玉転がしだけではゲームとは呼びづらいだろう。<br> このセクションでは、ボールをキー操作で動かす、簡単なコードを作成する。 === コードエディタのセットアップ === 本セクションはソースコード(C#)を作成する必要がある。<br> 極論「メモ帳」でも開発は行えるが、利便性とエラー検知の観点から、コードエディタを利用することを勧める。<br> 以下にMicrosoft社が提供する軽量コードエディタ「[https://ja.wikipedia.org/wiki/Visual_Studio_Code Visual Studio Code](以下、VS Code)」の、Unity向けセットアップ方法を記述する。<br> ==== VS Codeのインストール ==== 以下からVS Codeダウンロード・インストールを行う。<br> https://code.visualstudio.com/ もしくは、コマンドラインを利用してインストールを行うこともできる(要[https://ja.wikipedia.org/wiki/Windows_Package_Manager Windowsパッケージマネージャー])。 <syntaxhighlight lang="pwsh"> winget install Microsoft.VisualStudioCode </syntaxhighlight> ==== VS Codeの環境構築 ==== 必要な拡張機能をVS Codeに導入しよう。<br> VS Codeを起動し、以下の操作を行う。 # 左にアイコンの羅列(以下、左メニュー)があるので、その上から5番目(EXTENSIONS)を選択 # 拡張機能検索画面が表示される。「japan」と検索。 # 「Japanese Language Pack for Visual Studio Code」を選択し、青色の「Install」をクリック # 右下にエディタ再起動通知が表示される。右下の「Change Language and Restart」をクリック # エディタが日本語環境に変化する これと同様の操作で、以下の拡張機能もインストールを行う。 * Unity(Microsoft) * IntelliCode for C# Dev Kit(Microsoft) ==== UnityとVS Codeを連携 ==== Unity Editorの画面に戻り、以下の操作を行う。 # 上部メニュー(リボンバー)から「Edit」を選択 # 「Preferences...」を選択(下から4番目) # ウインドウが表示される。左から「External Tools」を選択 # 「External Script Editor」を「Visual Studio Code[バージョン名]」に変更 これでスクリプトをVS Codeで編集できるようになった。 === スクリプトの作成 === もしシーン内の編集を行っていたら、「GameObjectを動かす」の「Step.2 重力を追加」終了段階の状態に戻してほしい。'''床ひとつ、坂ひとつ、ボールひとつ'''の状態になっていればOKだ。<br> シーン内で行った編集はWordとおなじく'''Ctrl+Z'''で元に戻せる。余分に作成したGameObjectを削除したい場合はHierarchyからオブジェクトを選択し、'''Deleteキー'''を押すことで削除できる。<br> 準備ができたらスクリプトを作成しよう。以下の手順で進めてほしい。<br> # 下側にあるProjectタブの空いてる部分で '''右クリック -> Create -> Folder''' # '''フォルダ'''が作成される。名前を「'''Scripts'''」とする。(フォルダ名を変更しそびれた場合、再度フォルダアイコンをクリックし、F2キーを押して変更できる) # フォルダをダブルクリックし、Scriptsフォルダ内に移動 # Projectタブの空いてる部分で '''右クリック -> Create -> C# Script''' # '''スクリプト'''が作成される。名前を「'''Ball'''」とする。(スクリプト名を変更しそびれた場合、スクリプトアイコンをクリックし、Deleteキーで削除後、4からやり直す) スクリプトが正常に作成できたら、アイコンをダブルクリックしてC#ファイルを開こう。正常に作成できたら以下のようになっているはずだ。<br> <syntaxhighlight lang="csharp" line> using System.Collections; using System.Collections.Generic; using UnityEngine; public class Ball : MonoBehaviour { // Start is called before the first frame update void Start() { } // Update is called once per frame void Update() { } } </syntaxhighlight> C#全体の記法やチュートリアルは [[C Sharp|WikiBooks:C#]] や、他サイトのチュートリアルを参照してほしい。ここではUnity特有のクラスやライブラリについて簡潔に解説を行う。<br> {| class="wikitable" |+ Unity固有のクラス・関数 |- ! クラス・関数名 !! 説明 |- | UnityEngine || Unity固有の関数やクラスを利用するために必要。 |- | MonoBehaviour || UnityEngineのクラス。<br/>UnityのGameObjectで、Componentとして使うスクリプトであることを表す。 |- | void Start() || プレイ開始時の'''最初の1回'''(1フレーム)だけ実行される。<br/>変数初期化などでよく使われる。 |- | void Update() || プレイ中'''常に実行'''される。<br/>入力の受け取りなど、常に検知させたい動作などで使われる。 |} === デバッグ方法の確認 === プログラムがどのように動作しているか知るには、まずログを出力することから覚えるべきだ。先程のコードのStartクラスに以下のように追記を行う。 <syntaxhighlight lang="csharp" line start="6" highlight="5"> //--中略 void Start() { Debug.Log("Hello, Unity!"); } //--中略 </syntaxhighlight> '''Ctrl+Sでコードを保存'''し、Unityエディタに戻ろう。<br> さて、コードはGameObjectに紐づけないと動作しない。以下の操作を行おう。 # Hierarchyタブでオブジェクト「Sphere」を選択 # Inspectorの一番下にある「Add Component」をクリック # 選択画面が表示される。検索欄に「ball」と入力すると「Ball」が表示されるので、選択する Ballがコンポーネントとして追加されたはずだ。'''Ctrl+P'''で実行してみよう。<br> ところで、操作説明にあった「Console」タブは覚えているだろうか?エディタの下側の2タブ目に配置されてるが、'''Consoleタブ'''は'''Ctrl+Shift+C'''でも開けるので確認してほしい。<br> もしコードが正常に動作していたら、以下のように出力されるはずだ。 <syntaxhighlight lang="txt"> [00:00:00] Hello, Unity! UnityEngine.Debug:Log (object) </syntaxhighlight> このデバッグコードは、スクリプトやGameObjectが正常に動作しているかの確認を行うのに頻繁に活用される。覚えておこう。ちなみにDebug.Logのほか、以下のような関数も存在する。上手く使い分けよう。 {| class="wikitable" | Debug.Log() || ログを'''情報'''として出力。 |- | Debug.LogWarning() || ログを'''警告'''として出力。<br/>Consoleでの出力では黄色のマークが併記される。 |- | Debug.LogError() || ログを'''エラー'''として出力。<br/>Consoleでの出力では赤色のマークが併記される。<br/>Consoleの設定によっては実行中に一時停止状態になる。 |} === 移動処理の追加 === {{Info|Unity2022.3以降、UnityEngine.InputはOldとして指定されており、新しい入力システム「[https://docs.unity3d.com/ja/2022.3/Manual/com.unity.inputsystem.html InputSystem]」への移行を推奨しています。<br/>当セクションはあくまで参考程度に留めておいて下さい。}} それでは、キー入力が行われた際、ボールが移動するコードを挿入しよう。Unityでは、キー入力を以下の関数で受け取る。 <syntaxhighlight lang="csharp" line start="12" highlight="5"> // 中略 void Update() { if (Input.GetKey(KeyCode.W)) { { } // 中略 </syntaxhighlight> Input.GetKey()は、キーを押し続けているかを検知する関数だ。KeyCodeには検知対象のキー名が入る。<br> オブジェクトの移動には様々な方法があるが、ここでは「重力を足す」方法を使う。以下のようにコードを挿入しよう。<br> <syntaxhighlight lang="csharp" line start="12" highlight="7,12,17,22"> // 中略 void Update() { //rigidbodyを取得 var rb = GetComponent<Rigidbody>(); if (Input.GetKey(KeyCode.W)) { //前 rb.AddForce(Vector3.forward); } else if (Input.GetKey(KeyCode.S)) { //後ろ rb.AddForce(Vector3.back); } else if (Input.GetKey(KeyCode.A)) { //左 rb.AddForce(Vector3.left); } else if (Input.GetKey(KeyCode.D)) { //右 rb.AddForce(Vector3.right); } } // 中略 </syntaxhighlight> 保存したらエディタに戻り、実行しよう。<br> '''W,A,S,D'''のキーを入力すると、ボールが'''前後左右に動く'''はずだ。<br> これで君は、Unity C#の基本的な使い方を覚えたといって良いだろう。 == アプリケーションのビルド == 開発したアプリを実際にexeファイル等プレイできる形に出力するには、ビルドを行う必要がある。<br> ビルドを行うには'''Ctrl+B'''を入力し、ビルド先のフォルダを 指定する。なお、日本語名のフォルダ下はビルド時エラーを誘発するため、避けること。<br> ビルド設定は'''Ctrl+Shift+B'''を入力することで開く。ほとんどのアプリ設定は右下の「[https://docs.unity3d.com/ja/2022.3/Manual/playersettings-windows.html Player Settings...]」から編集できるだろう。 ビルドが無事終了すると、自動的にWindowsエクスプローラーが開き、保存したアプリケーションのフォルダが開かれる。<br> ビルドに失敗した場合、Consoleウインドウにエラーが出力される。エラー内容のほとんどは翻訳ソフトなどを活用したり、インターネット上でエラーメッセージを検索することで、原因が判明することが多い。<br> 8vsn0zkgecdd1ehorhyrh64ta4gf63o Wikibooks:GUS2Wiki 4 35248 246445 246109 2024-04-09T23:24:07Z Alexis Jazz 56315 Updating gadget usage statistics from [[Special:GadgetUsage]] ([[phab:T121049]]) wikitext text/x-wiki {{#ifexist:Project:GUS2Wiki/top|{{/top}}|This page provides a historical record of [[Special:GadgetUsage]] through its page history. 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は光で分解、<chem>PbCl2</chem> は熱湯に溶ける。 * 硫酸イオン <chem>SO4^2-</chem> : <chem>Ba^2+,Ca^2+,Sr^2+,Pb^2+</chem>と沈殿をつくる。{{ruby|馬|Ba}}{{ruby|鹿|Ca}}に{{ruby|する|Sr}}{{ruby|な|Pb}}硫酸。 * 炭酸イオン <chem>CO3^2-</chem> : アルカリ金属、<chem>NH4^+</chem>以外と沈殿をつくる。 * クロム酸イオン <chem>CrO4^2-</chem> : <chem>Ba^2+,Pb^2+,Ag^+</chem>と沈殿をつくる。{{ruby|バ|Ba}}{{ruby|ナ|Pb}}ナを{{ruby|銀|Ag}}{{ruby|貨|褐}}で買ったら{{ruby|苦労|CrO4}}した。Ba,Pbの沈殿はバナナと同じ黄色。Agは赤褐色。 * 水酸化物イオン <chem>OH^-</chem> : イオン化傾向で <chem> Li^+</chem> ~ <chem>Na^+</chem> 沈殿しにくい、<chem>Mg^2+</chem> ~ <chem> Cu^2+</chem> + <chem>Mn^2+</chem> 水酸化物が沈殿、<chem>Hg^2+,Ag^+</chem> 水酸化物が分解し酸化物が沈殿。水酸化物は加熱すると酸化物が生成する。<chem>Na^+</chem>までは<chem>NaOH</chem>水溶液が沈殿を作りにくいことから連想できる。<chem>Hg^2+,Ag^+</chem>は個別に覚え、その間のイオン化傾向の金属イオンは沈殿すると覚える。 * 硫化物イオン <chem>S^2-</chem> : イオン化傾向で <chem> Li^+</chem> ~ <chem> Al^3+</chem> 沈殿しにくい、<chem>Mn^2+</chem> + <chem>Zn^2+</chem> ~ <chem>Ni^2+</chem> 中・塩基性で沈殿、<chem>Cd^2+</chem> + <chem>Sn^2+</chem> ~ <chem>Ag^+</chem> 沈殿する。{{ruby|あら|Al}}{{ruby|ま|Mn}}、{{ruby|あ|Zn}}{{ruby|に|Ni}}、た{{ruby|か|Cd}}{{ruby|す|Sn}}{{ruby|ぎ|Ag}}! === 錯イオン === 水酸化ナトリウムの水溶液を過剰に加え、沈殿が錯イオンを形成し溶解するもの。両性金属 + <chem>Cr^3+</chem>。 <chem>Al(OH)3 ->[NaOH] [Al(OH)4]^-</chem> <chem>Zn(OH)2 ->[NaOH] [Zn(OH)4]^2-</chem> <chem>Sn(OH)2 ->[NaOH] [Zn(OH)4]^2-</chem> <chem>Pb(OH)2 ->[NaOH] [Pb(OH)4]^2-</chem> <chem>Cr(OH)3 ->[NaOH] [Cr(OH)4]^-</chem> アンモニアの水溶液を過剰に加え、沈殿が錯イオンを形成し溶解するもの。<chem>Cu^2+,Cd^2+,Ag^+,Ni^2+,Zn^2+</chem>。{{ruby|どう|Cu}}{{ruby|か|Cd}}{{ruby|銀|Ag}}{{ruby|に|Ni}}{{ruby|会えん|Zn}}か。 <chem>Cu(OH)2 ->[NH3] [Cu(NH3)4]^2+</chem> <chem>Ag2O ->[NH3] [Ag(NH3)2]^+</chem> <chem>Ni(OH)2 ->[NH3] [Ni(NH3)6]^2+</chem> <chem>Zn(OH)2 ->[NH3] [Zn(NH3)4]^2+</chem> <chem>Cd(OH)2 ->[NH3] [Cd(NH3)4]^2+</chem> これらの錯イオンは、ジアンミン銀(I)イオン、ヘキサアンミンニッケル(II)イオンを除いて配位数4である。 <chem>Fe^2+</chem> または <chem>Fe^3+</chem> を含む水溶液に、ヘキサシアニド鉄(II)酸カリウム <chem>K4[Fe(CN)6]</chem> 水溶液、ヘキサシアニド鉄(III)酸カリウム <chem>K3[Fe(CN)6]</chem> 水溶液、チアシオン酸カリウム <chem>KSCN</chem> 水溶液を加える。 {| class="wikitable" |+ ! !<chem>Fe^2+</chem> !<chem>Fe^3+</chem> |- |<chem>K4[Fe(CN)6]</chem> |青白色沈殿 |濃青色沈殿 |- |<chem>K3[Fe(CN)6]</chem> |濃青色沈殿 |褐色溶液 |- |<chem>KSCN</chem> |変化なし |血赤色溶液 |} この内、青白色沈殿と褐色溶液になるものについては問われにくい。 == 色 == 高校化学で扱われる化合物の色について扱う。 塩化物、硫酸塩、炭酸塩はすべて白。<!-- i.e. <chem>AgCl,PbCl2,Hg2Cl2,BaSO4,CaSO4,SrSO4,PbSO4,BaCO3</chem> --> === 水溶液中のイオン === <chem>Fe^2+</chem>:淡緑  <chem>Fe^3+</chem>:黄褐  <chem>Cu^2+</chem>:青  <chem>Ni^2+</chem>:緑  <chem>Cr^3+</chem>:緑  <chem>Mn^2+</chem>:淡桃  <chem>MnO4^-</chem>:赤紫  <chem>CrO4^2-</chem>:黄  <chem>Cr2O7^2-</chem>:赤橙  <chem>[Cu(NH3)4]^2+</chem>:深青  <chem>[Cr(OH)4]^-</chem>:濃緑  <chem>[Ni(NH3)6]^2+</chem>:青紫 [[ファイル:Дихромат калия.jpg|中央|サムネイル|Cr2O72-]] [[ファイル:Potassium chromate sоlution.jpg|中央|サムネイル|CrO42-]] [[ファイル:Synthesizing Copper Sulfate.jpg|中央|サムネイル|Cu2+]] [[ファイル:Green rust from FeSO4.jpg|中央|サムネイル|Fe2+]] === 酸化物 === <chem>CuO</chem>:黒  <chem>Cu2O</chem>:赤  <chem>Fe2O3</chem>:赤褐  <chem>Fe3O4</chem>:黒  <chem>FeO</chem>:黒  <chem>Al2O3</chem>:白  <chem>Ag2O</chem>:褐色  <chem>ZnO</chem>:白  <chem>MnO2</chem>:黒  <chem>HgO</chem>:黄 [[ファイル:CopperIIoxide.jpg|中央|サムネイル|CuO]] [[ファイル:CopperIoxide.jpg|中央|サムネイル|Cu2O]] [[ファイル:Iron(III)-oxide-sample.jpg|中央|サムネイル|Fe2O3]] [[ファイル:Fe3O4.JPG|中央|サムネイル|Fe3O4]] [[ファイル:Iron(II) oxide.jpg|中央|サムネイル|FeO]] [[ファイル:Oxid hlinitý.PNG|中央|サムネイル|Al2O3]] [[ファイル:Zinc oxide sample.jpg|中央|サムネイル|ZnO]] [[ファイル:Manganese(IV) oxide.jpg|中央|サムネイル|MnO4]] [[ファイル:HgOpowder.jpg|中央|サムネイル|HgO]] === 水酸化物 === <chem>Fe(OH)2</chem>:緑白  <chem>Fe(OH)3</chem>:赤褐  <chem>Cu(OH)2</chem>:青白  <chem>Cr(OH)3</chem>:灰緑  <chem>Ni(OH)2</chem>:緑  その他:白 [[ファイル:Hydroxid železitý.PNG|中央|サムネイル|Fe(OH)3]] [[ファイル:სპილენძის ჰიდროქსიდი.jpg|中央|サムネイル|Cu(OH)2]] === クロム酸塩 === <chem>BaCrO4</chem>:黄  <chem>PbCrO4</chem>:黄  <chem>Ag2CrO4</chem>:赤褐 === 硫化物 === <chem>ZnS</chem> :白  <chem>CdS</chem>:黄  <chem>MnS</chem>:淡赤  <chem>SnS</chem>:褐  その他:黒 [[ファイル:Zinc_sulfide.jpg|中央|サムネイル|ZnS]] [[ファイル:Cadmium_sulfide.jpg|中央|サムネイル|CdS]] [[ファイル:Sulfid_manganatý.PNG|中央|サムネイル|MnS]] === 炎色反応 === {{ruby|リ|Li}}{{ruby|アカ|赤}}ー{{ruby|な|Na}}{{ruby|き|黄}}{{ruby|K|K}}{{ruby|村|紫}}{{ruby|動|Cu}}{{ruby|力|緑}}{{ruby|借る|Ca}}{{ruby|とう|橙}}{{ruby|する|Sr}}も{{ruby|くれない|紅}}{{ruby|馬|Ba}}{{ruby|力|緑}} <gallery> ファイル:Flametest--.swn.jpg|ガスバーナーの色 ファイル:FlammenfärbungLi.png|リチウム ファイル:Flametest--Na.swn.jpg|ナトリウム ファイル:FlammenfärbungK.png|カリウム ファイル:FlammenfärbungCa.png|カルシウム ファイル:FlammenfärbungSr.png|ストロンチウム ファイル:Flametest--Cu.swn.jpg|銅 ファイル:BaCl Flame colour.jpg|バリウム </gallery> === 気体 === * <chem>Cl2</chem> 黄緑 * <chem>NO2</chem> 赤褐 * <chem>O3</chem> 淡青 * <chem>F2</chem> 淡黄 == 気体の実験室的発生方法 == ; 水素H<sub>2</sub> : <chem>Zn + H2SO4 -> ZnSO4 + H2 ^</chem> ; 酸素O<sub>2</sub> : <chem>2H2O2 -> 2H2O + O2 ^</chem>(触媒:MnO2) : <chem>2KClO3 -> 2KCl + 3O2 ^</chem>(触媒:MnO2) ; オゾンO<sub>3</sub> : <chem>3O2 -> 2O3</chem>(紫外線の照射) ; 窒素N<sub>2</sub> : <chem>NH4NO2 -> 2H2O + N2 ^</chem>(加熱) ; 塩素Cl<sub>2</sub> : <chem>MnO2 + 4HCl -> MnCl2 + 2H2O + Cl2 ^</chem> : <chem>Ca(ClO)2.2H2O + 4HCl-> CaCl2 + 4H2O + 2Cl2 ^</chem> ; 塩化水素HCl : <chem>NaCl + H2SO4 -> NaHSO4 + HCl ^</chem> ; フッ化水素HF : <chem>CaF2 + H2SO4 -> CaSO4 + 2HF ^ </chem> ; 硫化水素H<sub>2</sub>S : <chem>FeS + H2SO4 -> FeSO4 + H2S ^ </chem> ; アンモニアNH<sub>3</sub> : <chem> 2NH4Cl + Ca(OH)2 -> CaCl2 + 2H2O + 2NH3 ^ </chem>(加熱) : ; 二酸化炭素CO<sub>2</sub> : <chem>CaCO3 + 2HCl -> CaCl2 + H2O + CO2 ^ </chem> ; 一酸化炭素CO : <chem>HCOOH -> H2O + CO ^</chem>(濃硫酸での脱水反応) ; 二酸化窒素NO<sub>2</sub> : <chem>Cu + 4HNO3 -> Cu(NO3)2 + 2H2O + 2NO2 ^</chem>(HNO<sub>3</sub>は濃硝酸) ; 一酸化窒素NO : <chem>3Cu + 8HNO3 -> 3Cu(NO3)2 + 4H2O + 2NO ^</chem>(HNO<sub>3</sub>は希硝酸) ; 二酸化硫黄SO<sub>2</sub> : <chem>Cu + 2H2SO4 -> CuSO4 + 2H2O + SO2 ^ </chem> : <chem>NaHSO3 + H2SO4 -> NaHSO4 + H2O + SO2 ^</chem> == その他 == 両性金属:<chem>Al,\, Zn,\, Sn,\, Pb</chem> {{ruby|あ|Al}}{{ruby|あ|Zn}}{{ruby|すん|Sn}}{{ruby|な|Pb}}り両性に愛される。 潮解性:<chem>NaOH,\, KOH,\, H3PO4,\, P4O10,\, CaCl2</chem> 風解性:<chem>Na2CO3.10H2O, \, CuSO4.5H2O</chem> [[カテゴリ:無機化学]] 93fkk3j5uc52kk2wt0mxi1s8w2da7p7 利用者:Sh0ou 2 36175 246438 216167 2024-04-09T12:59:25Z Sh0ou 72156 wikitext text/x-wiki 「しょう」と読みます。<br/> 詳細な自己紹介は姉妹サイト「Wikipedia」にて記載しています。<br/> <br/> [https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85:Sh0ou Wikipedia - 利用者:sh0ou]<br/> <br/> == 出来事(WikiBooks) == 2022年11月23日 - 参加,初編集<br/> 2022年11月30日 - 利用者ページを作成<br/> 2024年04月09日 - 記事の大幅加筆 - [[ゲームプログラミング/Unity]] == 編集履歴 == === [[ゲームプログラミング/Unity]] === [https://ja.wikibooks.org/w/index.php?title=%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0/Unity&oldid=246437 2024年4月9日版] snqwtzpr8n008jqyqk6vi95of03bzto 日本国憲法第21条 0 37596 246441 238515 2024-04-09T14:50:35Z Tomzo 248 /* 判例 */ wikitext text/x-wiki [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]] ==条文== 【集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密】 ;第21条 #集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 #検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 ==解説== {{wikipedia|日本国憲法第21条}} ===表現の自由=== '''[[表現の自由]]'''も参照。 ===検閲の禁止・通信の秘密=== '''[[検閲と事前抑制の禁止]]'''も参照。 ====検閲とは==== :「行政権が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるもの」(『[[w:札幌税関検査事件|札幌税関検査事件]]』[[#最判昭和59年12月12日|最判昭和59年12月12日]]) :「表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前規制が行政機関によりそれ自体を目的として行われる場合」(『[[w:北方ジャーナル事件|北方ジャーナル事件]]』[[#北方ジャーナル|最判昭和61年6月11日]]) :*主体: 行政機関 :*行為: 対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止すること/表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前規制 :*:「網羅的一般的な審査」 :*目的: その全部又は一部の発表の禁止/事前規制 ==参照条文== ==判例== #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=57207&hanreiKbn=02 雇傭契約解除無効確認俸給支払請求](最高裁判決 昭和27年02月22日)[[日本国憲法第19条]],[[日本国憲法第21条]] #;政治活動をしないことを条件とする雇傭契約と基本的人権の制限 #:憲法で保障されたいわゆる基本的人権も絶対のものではなく、自己の自由意思に基く特別な公法関係または私法関係上の義務によつて制限を受けるものであつて、自己の自由意思により、校内において政治活動をしないことを条件として教員として学校に雇われた場合には、その契約は無効ではない。 #<span id="チャタレー事件"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51271 猥褻文書販売]([[w:チャタレー事件|チャタレー事件]] 最高裁判決昭和32年3月13日刑集11巻3号997頁)[[刑法第175条|刑法175条]], [[刑法第38条|刑法38条]]1項,[[日本国憲法第76条|憲法76条]]3項,出版法(明治26年法律15号)27条,[[刑事訴訟法第400条|刑訴法400条]] ##'''刑法第175条にいわゆる「猥褻文書」の意味''' ##:刑法第175条にいわゆる「猥褻文書」とは、その内容が徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する文書をいう。 ##'''「猥褻文書」に当るかどうかは事実問題か法律問題か。''' ##:文書が「猥褻文書」に当るかどうかの判断は、当該文書についてなされる事実認定の問題でなく、法解釈の問題である。 ##'''「猥褻文書」に当るかどうかの判断の基準。''' ##:文書が、「猥褻文書」に当るかどうかは、一般社会において行われている良識、すなわち、社会通念に従つて判断すべきものである。 ##'''社会通念とは何か。''' ##:社会通念は、個々人の認識の集合又はその平均値でなく、これを超えた集団意識であり、個々人がこれに反する認識をもつことによつて否定されるものでない。 ##'''刑法第175条にいわゆる「猥褻文書」に当る一事例。''' ##:Aの翻訳にかかる、昭和25年4月2日株式会社小山書店発行の「チヤタレイ夫人の恋人」上、下二巻(ロレンス選集1・2)は、刑法第175条にいわゆる猥褻文書に当る。 ##'''芸術的作品と猥褻性。''' ##:芸術的作品であつても猥褻性を有する場合がある。 ##'''猥褻性の存否と作者の主観的意図。''' ##:猥褻性の存否は、当該作品自体によつて客観的に判断すべきものであつて、作者の主観的意図によつて影響されるものではない。 ##'''刑法第175条に規定する猥褻文書販売罪における犯意。''' ##:刑法第175条に規定する猥褻文書販売罪の犯意がありとするためには、当該記載の存在の認識とこれを頒布、販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要とするものではない。 ##'''憲法第21条に保障する表現の自由と公共の福祉。''' ##:憲法第21条の保障する表現の自由といえども絶対無制限のものではなく、公共の福祉に反することは許されない。 ##'''旧出版法第27条と刑法第175条との関係。''' ##:旧出版法第27条と刑法第175条とは特別法と普通法の関係にある。 ##'''憲法第21条第2項による検閲の禁止と猥褻文書販売罪。''' ##:憲法第21条第2項によつて事前の検閲が禁止されたことによつて、猥褻文書の頒布、販売を禁止し得なくなつたものではない。 ##'''憲法第76条第3項にいう裁判官が良心に従うとの意味。''' ##:憲法第76条第3項にいう裁判官が良心に従うとは、裁判官が有形、無形の外部の圧迫ないし誘惑に屈しないで自己の内心の良識と道徳感に従う意味である。 #<span id="悪徳の栄え事件"/>[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/747/050747_hanrei.pdf  猥褻文書販売、同所持]([[w:悪徳の栄え事件|悪徳の栄え事件]] 最高裁判決 昭和44年10月15日)[[刑法第175条|刑法175条]],[[日本国憲法第23条|憲法23条]],[[刑事訴訟法第400条|刑訴法400条]] ##'''芸術的思想的価値のある文書と猥褻性''' ##:芸術的・思想的価値のある文書であつても、これを猥褻性を有するものとすることはさしつかえない。 ##'''文書の部分についての猥褻性と文書全体との関係''' ##:文書の個々の章句の部分の猥褻性の有無は、文書全体との関連において判断されなければならない。 ##'''憲法21条・23条と公共の福祉''' ##:憲法21条の表現の自由や同法23条の学問の自由は、絶対無制限なものではなく、公共の福祉の制限の下に立つものである。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53255  在留期間更新不許可処分取消]([[w:マクリーン事件|マクリーン事件]] 最高裁判決 昭和45年06月24日) #:→[[日本国憲法第10条#マクリーン事件|憲法第10条判例節参照]] #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50906 職業安定法違反]([[w:全農林警職法事件|全農林警職法事件]] 最高裁判決 昭和48年4月25日 刑集12巻7号1351頁)[[日本国憲法第28条|憲法28条]]、[[日本国憲法第18条|憲法18条]]、[[日本国憲法第31条|憲法31条]]、国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98条5項(現・[[国家公務員法第98条]]第2項)、110条1項17号(現・[[国家公務員法第111条の2]]第1号) #*[[国家公務員法第98条]]第2項 #*:職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。 #*[[国家公務員法第111条の2]] #*:次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処する。 #*:#何人たるを問わず第98条第2項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し、唆し、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者 ##'''国家公務員法98条5項、110条1項17号の合憲性''' ##:国家公務員法98条5項、110条1項17号は憲法28条に、国家公務員法110条1項17号は憲法18条、21条、31条に違反しない。 ##'''国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」および「企て」の意義''' ##:国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」とは、同法98条5項前段に規定する違法行為を実行させる目的をもつて、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、または、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいい、「企て」とは、右違法行為を共謀し、そそのかし、または、あおる行為の遂行を計画準備することであつて、違法行為発生の危険性が具体的に生じたと認めうる状態に達したものをいう。 ##'''国家公務員法98条5項、110条1項17号の法意''' ##:国家公務員法98条5項、110条1項17号は、公務員の争議行為のうち同法によつて違法とされるものとされないものとを区別し、さらに違法とされる争議行為についても違法性の強いものと弱いものとを区別したうえ、刑事制裁を科さるのはそのうち違法性の強い争議行為に限るものとし、あるいは、あおり行為等につき、争議行為の企画、共謀、説得、慫慂、指令等を争議行為にいわゆる通常随伴するものとして争議行為自体と同一視し、これを刑事制裁の対象から除くものとする趣旨ではない。 ##'''政治的目的のための争議行為と憲法28条''' ##:私企業の労働者であると、公務員を含むその他の勤労者であるとを問わず、使用者に対する経済的地位の向上の要請とは直接関係のない警察官職務執行法の改正に対する反対のような政治的目的のために争議行為を行なうことは、憲法28条とは無関係なものである。 #<span id="猿払事件"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51800 国家公務員法違反]([[w:猿払事件|猿払事件]] 最高裁判決 昭和49年11月6日) ##<span id="猿払事件1"/>'''国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止と憲法21条''' ##:国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法21条に違反しない。 ##:*国公法102条1項及び規則による政治的行為の禁止は、もとより国民一般に対して向けられているものではなく、公務員のみに対して向けられているものである。ところで、国民の信託による国政が国民全体への奉仕を旨として行われなければならないことは当然の理であるが、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」とする[[日本国憲法第15条|憲法15条]]2項の規定からもまた、公務が国民の一部に対する奉仕としてではなく、その全体に対する奉仕として運営されるべきものであることを理解することができる。公務のうちでも行政の分野におけるそれは、憲法の定める統治組織の構造に照らし、議会制民主主義に基づく政治過程を経て決定された政策の忠実な遂行を期し、もつぱら国民全体に対する奉仕を旨とし、政治的偏向を排して運営されなければならないものと解されるのであつて、そのためには、個々の公務員が、政治的に、一党一派に偏することなく、厳に中立の立場を堅持して、その職務の遂行にあたることが必要となるのである。すなわち、行政の中立的運営が確保され、これに対する国民の信頼が維持されることは、憲法の要請にかなうものであり、公務員の政治的中立性が維持されることは、国民全体の重要な利益にほかならないというべきである。したがつて、公務員の政治的中立性を損うおそれのある公務員の政治的行為を禁止することは、それが合理的で 必要やむをえない限度にとどまるものである限り、憲法の許容するところであるといわなければならない。 ##:*公務員に対する政治的行為の禁止が 右の合理的で必要やむをえない限度にとどまるものか否かを判断するにあたつては、禁止の目的、この目的と禁止される政治的行為との関連性、政治的行為を禁止することにより得られる利益と禁止することにより失われる利益との均衡の三点から検討することが必要である。 ##:**行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼を確保するため、公務員の政治的中立性を損うおそれのある政治的行為を禁止することは、まさしく憲法の要請に応え、公務員を含む国民全体の共同利益を擁護するための措置にほかならないのであつて、その目的は正当なものというべきである。 ##:**公務員の政治的中立性の毀損に起因する弊害の発生を防止するため、公務員の政治的中立性を損うおそれがあると認められる政治的行為を禁止することは、禁止目的との間に合理的な関連性があるものと認められる。 ##:**意見表明の自由が制約されることにはなるが、それは、単に行動の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約に過ぎず、かつ、国公法102条1項及び規則の定める行動類型以外の行為により意見を表明する自由までをも制約するものではなく、他面、禁止により得られる利益は、公務員の政治的中立性を維持し、行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼を確保するという国民全体の共同利益なのであるから、得られる利益は、失われる利益に比してさらに重要なものというべきであり、その禁止は利益の均衡を失するものではない。 ##'''国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法31条''' ##:国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法31条に違反しない。 ##:*[[日本国憲法第31条#猿払事件|憲法第31条判例参照]] ##<span id="猿払事件2"/>'''国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法21条''' ##:国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法21条に違反しない。 ##:*公務員の政治的行為の禁止が国民全体の共同利益を擁護する見地からされたものであつて、その違反行為が刑罰の対象となる違法性を帯びることが認められ、かつ、その禁止が、憲法21条に違反するものではないと判断される以上、その違反行為を構成要件として罰則を法定しても、そのことが憲法21条に違反することとなる道理は、ありえない。 ##:;「より制限的でない他の選びうる手段」の法理について ##::原判決は、さらに、規制の目的を達成しうる、より制限的でない他の選びうる手段があるときは、広い規制手段は違憲となるとしたうえ、被告人の本件行為に対する制裁としては懲戒処分をもつて足り、罰則までも法定することは合理的にして必要最小限度を超え、違憲となる旨を判示し、第一審判決もまた、外国の立法例をあげたうえ、被告人の本件行為のような公務員の政治的行為の禁止の違反に対して罰則を法定することは違憲である旨を判示する。 ##::しかしながら、各国の憲法の規定に共通するところがあるとしても、それぞれの国の歴史的経験と伝統はまちまちであり、国民の権利意識や自由感覚にもまた差異があるのであつて、基本的人権に対して加えられる規制の合理性についての判断基準は、およそ、その国の社会的基盤を離れて成り立つものではない。外国の立法例は、一つの重要な参考資料ではあるが、社会的諸条件を無視して、それをそのままわが国にあてはめることは、決して正しい憲法判断の態度ということはできない。 ##'''国家公務員法102条1項における人事院規則への委任の合憲性''' ##:国家公務員法102条1項における人事院規則への委任は、同法82条による懲戒処分及び同法110条1項19号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に人事院規則に委任しているからといって、憲法に違反する立法の委任ということはできない。 ##:*[[日本国憲法第41条#猿払事件|憲法第41条判例参照]] ##'''国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号の禁止に違反する文書の掲示又は配布に同法110条1項19号の罰則を適用することが憲法21条、31条に違反しないとされた事例''' ##:国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号の禁止に違反する本件の文書の掲示又は配布(判文参照)に同法110条1項19号の罰則を適用することは、たとえその掲示又は配布が、非管理職の現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図なく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であつても、憲法21条、31条に違反しない。 #<span id="最判昭和59年12月12日"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62891 異議申出棄却決定取消]([[w:札幌税関検査事件|札幌税関検査事件]] 最高裁判決 昭和59年12月12日) ##'''憲法21条2項前段の検閲禁止の趣旨''' ##:憲法21条2項前段の検閲禁止は、公共の福祉を理由とする例外の許容をも認めない趣旨と解すべきである。 ##'''憲法21条2項にいう「検閲」''' ##:憲法21条2項にいう「検閲」とは、行政権が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指すと解すべきである。 ##'''関税定率法21条2項3号所定の物件に関する税関検査と憲法21条2項にいう「検閲」''' ##:関税定率法21条1項3号所定の物件に関し、輸入手続において税関職員が行う検査は、憲法21条2項にいう「検閲」にあたらない。 ##:#輸入が禁止される表現物は、一般に、国外においては既に発表済みのものであつて、その輸入を禁止したからといつて、それは、当該表現物につき、事前に発表そのものを一切禁止するというものではない。また、当該表現物は、輸入が禁止されるだけであつて、税関により没収、廃棄されるわけではないから、発表の機会が全面的に奪われてしまうというわけのものでもない。 ##:#税関検査は、関税徴収手続の一環として、これに付随して行われるもので、思想内容等の表現物に限らず、広く輸入される貨物及び輸入される郵便物中の信書以外の物の全般を対象とし、三号物件についても、右のような付随的手続の中で容易に判定し得る限りにおいて審査しようとするものにすぎず、思想内容等それ自体を網羅的に審査し規制することを目的とするものではない。 ##:#税関は、関税の確定及び徴収を本来の職務内容とする機関であつて、特に思想内容等を対象としてこれを規制することを独自の使命とするものではなく、また、思想内容等の表現物につき税関長の通知がされたときは司法審査の機会が与えられているのであつて、行政権の判断が最終的なものとされるわけではない。 ##'''関税定率法21条2項3号の規定による猥褻表現物の輸入規制と憲法21条1項''' ##:関税定率法21条1項3号の規定による猥褻表現物の輸入規制は、憲法21条1項に違反しない。 ##:*表現の自由は、憲法の保障する基本的人権の中でも特に重要視されるべきものであるが、さりとて絶対無制限なものではなく、公共の福祉による制限の下にあることは、いうまでもない。また、性的秩序を守り、最小限度の性道徳を維持することは公共の福祉の内容をなすものであつて、猥褻文書の頒布等は公共の福祉に反するものであり、これを処罰の対象とすることが表現の自由に関する憲法21条1項の規定に違反するものでないことも、明らかである([[#チャタレー事件|最高裁昭和32年3月18日大法廷判決]]、[[#悪徳の栄え事件件|最高裁昭和44年10月15日大法廷判決]]参照)。そして、わが国内における健全な性的風俗を維持確保する見地からするときは、猥褻表現物がみだりに国外から流入することを阻止することは、公共の福祉に合致するものであり、猥褻刊行物ノ流布及取引ノ禁止ノ為ノ国際条約(昭和11年条約第3号)1条の規定が締約国に頒布等を目的とする猥褻な物品の輸入行為等を処罰することを義務づけていることをも併せ考えると、表現の自由に関する憲法の保障も、その限りにおいて制約を受ける。 ##'''表現の自由を規制する法律の規定について[[合憲限定解釈|限定解釈]]をすることが許される場合''' ##:表現の自由を規制する法律の規定について[[合憲限定解釈|限定解釈]]をすることが許されるのは、その解釈により、規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され、かつ、合憲的に規制しうるもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず、また、一般国民の理解において、具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものでなければならない。 ##:*限定解釈をすることが許されるためには以下の二つの要件を満たす必要がある。 ##:*#その解釈により,規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され,かつ,合憲的に規制しうるもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合であること。 ##:*#一般国民の理解において,具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものであること。 ##'''関税定率法21条2項3号の「風俗を害すべき書籍、図画」等との規定の意義及びその合憲性''' ##:関税定率法21条1項3号の「風俗を害すべき書籍、図画」等とは、猥褻な書籍、図画等を指すものと解すべきであり、右規定は広汎又は不明確の故に憲法21条1項に違反するものではない。 ##:*[[w:伊藤正己|伊藤正己]]裁判官他4裁判官による反対意見([[過度に広汎性ゆえ無効の法理]]) ##:**表現の自由を規制する法律の規定は、それ自体明確な基準を示すものでなければならない。殊に、表現の自由の規制が事前のものである場合には、その規定は、立法上可能な限り明確な基準を示すものであることが必要である。それ故、表現の自由を規制する法律の規定が、国民に対し何が規制の対象となるのかについて適正な告知をする機能を果たし得ず、また、規制機関の恣意的な適用を許す余地がある程に不明確な場合には、その規定は憲法21条1項に違反し、無効であると判断されなければならない。 ##:**表現の自由を規制する法律の規定の適用範囲が広汎に過ぎ、右規定が本来規制の許されるべきでない場合にまで適用される可能性を無視し得ない場合には、やはり憲法21条1項によつて違憲無効と判断されなければならない。 ##:**同号の「風俗を害すべき書籍、図画」等という規定は、不明確であると同時に広汎に過ぎるものであり、かつ、それが本来規制の許されるべきでない場合にも適用される可能性を無視し得ないと考えられるから、憲法21条1項に違反し、無効であるといわなければならない。 ##:**:「風俗」という用語の意味内容は性的風俗、社会的風俗、宗教的風俗等多義にわたるものであり、これを多数意見のいうように性的風俗に限定し、「風俗を害すべき書籍、図画」等を猥褻表現物に限ると解すべき根拠はない。現在の税関検査の実務においては、被上告人の自陳する如く、右の書籍、図画等を猥褻物に限定する取扱いがされているとしても、その文言自体からみれば、右規定が猥褻物以外の物に適用される可能性を否定することはできない。 #<span id="北方ジャーナル"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52665 損害賠償]([[w:北方ジャーナル事件|北方ジャーナル事件]] 最高裁判決 昭和61年6月11日 民集40巻4号872頁)[[日本国憲法第13条|憲法13条]] ##'''出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めと憲法21条2項前段にいう検閲''' ##:雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、憲法21条2項前段にいう検閲に当たらない。 ##:*一定の記事を掲載した雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、裁判の形式によるとはいえ、口頭弁論ないし債務者の審尋を必要的とせず、立証についても疎明で足りるとされているなど簡略な手続によるものであり、また、いわゆる満足的仮処分として争いのある権利関係を暫定的に規律するものであつて、非訟的な要素を有することを否定することはできないが、仮処分による事前差止めは、表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前規制が行政機関によりそれ自体を目的として行われる場合とは異なり、個別的な私人間の紛争について、司法裁判所により、当事者の申請に基づき差止請求権等の私法上の被保全権利の存否、保全の必要性の有無を審理判断して発せられるものであつて、右判示にいう「検閲」には当たらないものというべきである。 ##'''名誉侵害と侵害行為の差止請求権''' ##:名誉侵害の被害者は、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対して、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができる。 ##'''公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関する出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めの許否''' ##:人格権としての名誉権に基づく出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めは、右出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関するものである場合には、原則として許されず、その表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であつて、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときに限り、例外的に許される。 ##'''公共の利害に関する事項についての表現行為の事前差止めを仮処分によつて命ずる場合と口頭弁論又は債務者審尋''' ##:公共の利害に関する事項についての表現行為の事前差止めを仮処分によつて命ずる場合には、原則として口頭弁論又は債務者の審尋を経ることを要するが、債権者の提出した資料によつて、表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であり、かつ、債権者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があると認められるときは、口頭弁論又は債務者の審尋を経なくても憲法21条の趣旨に反するものとはいえない。 #<span id="家永教科書裁判"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56358 損害賠償]([[w:家永教科書裁判|家永教科書裁判]] 最高裁判決平成5年3月16日 民集第47巻5号3483頁)学校教育法21条1項(昭和45年法律第48号による改正前のもの),学校教育法51条(昭和49年法律第70号による改正前のもの),旧教科用図書検定規則(昭和23年文部省令第4号)1ないし3条,[[日本国憲法第23条|憲法23条]],[[日本国憲法第26条|憲法26条]],[[教育基本法第10条|教育基本法10条]],[[国家賠償法第1条|国家賠償法1条]]1項 #;教科書検定は検閲に当たるか。 #:教科書検定は検閲に当たらない。 #:*憲法21条2項にいう検閲とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的とし、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを特質として備えるものを指すと解すべきである。本件検定は、一般図書としての発行を何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査などの特質がないから、検閲に当たらず、憲法21条2項前段の規定に違反するものではない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=35114  広島市暴走族追放条例違反被告事件]([[w:広島市暴走族追放条例事件|広島市暴走族追放条例事件]] 最高裁判決平成19年9月18日 刑集第61巻6号601頁)[[日本国憲法第31条|憲法31条]],広島市暴走族追放条例(平成14年広島市条例第39号)16条1項1号,17条,19条 #:*広島市暴走族追放条例16条1項 #:*:何人も、次に掲げる行為をしてはならない。 #:*:1.公共の場所において、当該場所の所有者又は管理者の承諾又は許可を得ないで、公衆に不安又は恐怖を覚えさせるようない集又は集会を行うこと。 #;広島市暴走族追放条例16条1項1号,17条,19条の規定を限定解釈により憲法21条1項,31条に違反しないとした事例 #::*事案 #::*:指定暴力団の関係者で暴走族である組織Aのリーダーをしていた被告人が,判示の広場において,引退式と称する集会を強行して暴走族の存在を誇示しようと考え,組織Aなどの暴走族構成員約40名と共謀し,所属する暴走族のグループ名を刺しゅうした「特攻服」と呼ばれる服を着用し,顔面の全部又は一部を覆い隠し,円陣を組み,旗を立てる等の威勢を示して,公衆に不安又は恐怖を覚えさせるような集会を行い,市長からの中止・退去命令が出されたのに,これに従わなかった。 #::*論点 #::*:広島市暴走族追放条例116条1項1号,17条,19条の規定の文言からすれば,その適用範囲が広範に過ぎ、「[[過度に広汎性ゆえ無効の法理|過度に広汎性ゆえ無効]]」か否か。 #:広島市暴走族追放条例16条1項1号にいう「集会」は,暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外,服装,旗,言動などにおいてこのような暴走族に類似し社会通念上これと同視することができる集団によって行われるものに限定されると解され,このように解釈すれば,同条例16条1項1号,17条,19条は,憲法21条1項,31条に違反しない。 #:*本条例の全体から読み取ることができる趣旨,さらには本条例施行規則の規定等を総合すれば,本条例が規制の対象としている「暴走族」は,本条例2条7号の定義にもかかわらず,暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外には,服装,旗,言動などにおいてこのような暴走族に類似し社会通念上これと同視することができる集団に限られるものと解され,したがって,市長において本条例による中止・退去命令を発し得る対象も,被告人に適用されている「集会」との関係では,本来的な意味における暴走族及び上記のようなその類似集団による集会が,本条例16条1項1号,17条所定の場所及び態様で行われている場合に限定されると解される。このように限定的に解釈すれば,本条例16条1項1号,17条,19条の規定による規制は,広島市内の公共の場所における暴走族による集会等が公衆の平穏を害してきたこと,規制に係る集会であっても,これを行うことを直ちに犯罪として処罰するのではなく,市長による中止命令等の対象とするにとどめ,この命令に違反した場合に初めて処罰すべきものとするという事後的かつ段階的規制によっていること等にかんがみると,その弊害を防止しようとする規制目的の正当性,弊害防止手段としての合理性,この規制により得られる利益と失われる利益との均衡の観点に照らし,いまだ憲法21条1項,31条に違反するとまではいえない。 #:*:[[w:藤田宙靖|藤田宙靖]]裁判官及び田原睦夫裁判官の反対意見 #:*:*表現の刑罰規制の場面では、必ずしも法律に明るくない一般人が辞書的な率直な解釈をしたときに、当該条項から萎縮的効果(Chilling Effect)を受けるのであれば、文面違憲もしくは(適用審査の上)法令違憲で臨むべき。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92502 助成金不交付決定処分取消請求事件](最高裁判決令和5年11月17日)[https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000163_20150801_000000000000000&keyword=%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%B3%95%E4%BA%BA%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%8A%B8%E8%A1%93%E6%96%87%E5%8C%96%E6%8C%AF%E8%88%88%E4%BC%9A%E6%B3%95 独立行政法人日本芸術文化振興会法]第3条,第14条 #;独立行政法人日本芸術文化振興会の理事長がした、劇映画の製作活動に対する助成金を交付しない旨の決定が、上記理事長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例 #:*芸術的な観点からは助成の対象とすることが相当といえる活動につき、本件助成金を交付すると当該活動に係る表現行為の内容に照らして一般的な公益が害されることを理由とする交付の拒否が広く行われるとすれば、公益がそもそも抽象的な概念であって助成対象活動の選別の基準が不明確にならざるを得ないことから、助成を必要とする者による交付の申請や助成を得ようとする者の表現行為の内容に萎縮的な影響が及ぶ可能性がある。このような事態は、本件助成金の趣旨ないし被上告人の目的を害するのみならず、芸術家等の自主性や創造性をも損なうものであり、憲法21条1項による表現の自由の保障の趣旨に照らしても、看過し難いものということができる。 #:*助成金の交付に係る判断において、これを交付するとその対象とする活動に係る表現行為の内容に照らして一般的な公益が害されるということを消極的な考慮事情として重視し得るのは、<u>当該公益が重要なものであり、かつ、当該公益が害される具体的な危険がある場合に限られる</u>ものと解するのが相当である。 ---- {{前後 |[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]] |[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]] |[[日本国憲法第20条]]<br>【信教の自由・政教分離】 |[[日本国憲法第22条]]<br>【居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由】 }} {{stub|law}} [[category:日本国憲法|21]] pjbqys7d7is9oj05tlvgamyfnw0754v 246444 246441 2024-04-09T16:13:58Z Tomzo 248 /* 判例 */ wikitext text/x-wiki [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]] ==条文== 【集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密】 ;第21条 #集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 #検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 ==解説== {{wikipedia|日本国憲法第21条}} ===表現の自由=== '''[[表現の自由]]'''も参照。 ===検閲の禁止・通信の秘密=== '''[[検閲と事前抑制の禁止]]'''も参照。 ====検閲とは==== :「行政権が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるもの」(『[[w:札幌税関検査事件|札幌税関検査事件]]』[[#最判昭和59年12月12日|最判昭和59年12月12日]]) :「表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前規制が行政機関によりそれ自体を目的として行われる場合」(『[[w:北方ジャーナル事件|北方ジャーナル事件]]』[[#北方ジャーナル|最判昭和61年6月11日]]) :*主体: 行政機関 :*行為: 対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止すること/表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前規制 :*:「網羅的一般的な審査」 :*目的: その全部又は一部の発表の禁止/事前規制 ==参照条文== ==判例== #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=57207&hanreiKbn=02 雇傭契約解除無効確認俸給支払請求](最高裁判決 昭和27年02月22日)[[日本国憲法第19条]],[[日本国憲法第21条]] #;政治活動をしないことを条件とする雇傭契約と基本的人権の制限 #:憲法で保障されたいわゆる基本的人権も絶対のものではなく、自己の自由意思に基く特別な公法関係または私法関係上の義務によつて制限を受けるものであつて、自己の自由意思により、校内において政治活動をしないことを条件として教員として学校に雇われた場合には、その契約は無効ではない。 #<span id="チャタレー事件"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51271 猥褻文書販売]([[w:チャタレー事件|チャタレー事件]] 最高裁判決昭和32年3月13日刑集11巻3号997頁)[[刑法第175条|刑法175条]], [[刑法第38条|刑法38条]]1項,[[日本国憲法第76条|憲法76条]]3項,出版法(明治26年法律15号)27条,[[刑事訴訟法第400条|刑訴法400条]] ##'''刑法第175条にいわゆる「猥褻文書」の意味''' ##:刑法第175条にいわゆる「猥褻文書」とは、その内容が徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する文書をいう。 ##'''「猥褻文書」に当るかどうかは事実問題か法律問題か。''' ##:文書が「猥褻文書」に当るかどうかの判断は、当該文書についてなされる事実認定の問題でなく、法解釈の問題である。 ##'''「猥褻文書」に当るかどうかの判断の基準。''' ##:文書が、「猥褻文書」に当るかどうかは、一般社会において行われている良識、すなわち、社会通念に従つて判断すべきものである。 ##'''社会通念とは何か。''' ##:社会通念は、個々人の認識の集合又はその平均値でなく、これを超えた集団意識であり、個々人がこれに反する認識をもつことによつて否定されるものでない。 ##'''刑法第175条にいわゆる「猥褻文書」に当る一事例。''' ##:Aの翻訳にかかる、昭和25年4月2日株式会社小山書店発行の「チヤタレイ夫人の恋人」上、下二巻(ロレンス選集1・2)は、刑法第175条にいわゆる猥褻文書に当る。 ##'''芸術的作品と猥褻性。''' ##:芸術的作品であつても猥褻性を有する場合がある。 ##'''猥褻性の存否と作者の主観的意図。''' ##:猥褻性の存否は、当該作品自体によつて客観的に判断すべきものであつて、作者の主観的意図によつて影響されるものではない。 ##'''刑法第175条に規定する猥褻文書販売罪における犯意。''' ##:刑法第175条に規定する猥褻文書販売罪の犯意がありとするためには、当該記載の存在の認識とこれを頒布、販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要とするものではない。 ##'''憲法第21条に保障する表現の自由と公共の福祉。''' ##:憲法第21条の保障する表現の自由といえども絶対無制限のものではなく、公共の福祉に反することは許されない。 ##'''旧出版法第27条と刑法第175条との関係。''' ##:旧出版法第27条と刑法第175条とは特別法と普通法の関係にある。 ##'''憲法第21条第2項による検閲の禁止と猥褻文書販売罪。''' ##:憲法第21条第2項によつて事前の検閲が禁止されたことによつて、猥褻文書の頒布、販売を禁止し得なくなつたものではない。 ##'''憲法第76条第3項にいう裁判官が良心に従うとの意味。''' ##:憲法第76条第3項にいう裁判官が良心に従うとは、裁判官が有形、無形の外部の圧迫ないし誘惑に屈しないで自己の内心の良識と道徳感に従う意味である。 #<span id="悪徳の栄え事件"/>[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/747/050747_hanrei.pdf  猥褻文書販売、同所持]([[w:悪徳の栄え事件|悪徳の栄え事件]] 最高裁判決 昭和44年10月15日)[[刑法第175条|刑法175条]],[[日本国憲法第23条|憲法23条]],[[刑事訴訟法第400条|刑訴法400条]] ##'''芸術的思想的価値のある文書と猥褻性''' ##:芸術的・思想的価値のある文書であつても、これを猥褻性を有するものとすることはさしつかえない。 ##'''文書の部分についての猥褻性と文書全体との関係''' ##:文書の個々の章句の部分の猥褻性の有無は、文書全体との関連において判断されなければならない。 ##'''憲法21条・23条と公共の福祉''' ##:憲法21条の表現の自由や同法23条の学問の自由は、絶対無制限なものではなく、公共の福祉の制限の下に立つものである。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53255  在留期間更新不許可処分取消]([[w:マクリーン事件|マクリーン事件]] 最高裁判決 昭和45年06月24日) #:→[[日本国憲法第10条#マクリーン事件|憲法第10条判例節参照]] #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50906 職業安定法違反]([[w:全農林警職法事件|全農林警職法事件]] 最高裁判決 昭和48年4月25日 刑集12巻7号1351頁)[[日本国憲法第28条|憲法28条]]、[[日本国憲法第18条|憲法18条]]、[[日本国憲法第31条|憲法31条]]、国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98条5項(現・[[国家公務員法第98条]]第2項)、110条1項17号(現・[[国家公務員法第111条の2]]第1号) #*[[国家公務員法第98条]]第2項 #*:職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。 #*[[国家公務員法第111条の2]] #*:次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処する。 #*:#何人たるを問わず第98条第2項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し、唆し、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者 ##'''国家公務員法98条5項、110条1項17号の合憲性''' ##:国家公務員法98条5項、110条1項17号は憲法28条に、国家公務員法110条1項17号は憲法18条、21条、31条に違反しない。 ##'''国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」および「企て」の意義''' ##:国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」とは、同法98条5項前段に規定する違法行為を実行させる目的をもつて、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、または、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいい、「企て」とは、右違法行為を共謀し、そそのかし、または、あおる行為の遂行を計画準備することであつて、違法行為発生の危険性が具体的に生じたと認めうる状態に達したものをいう。 ##'''国家公務員法98条5項、110条1項17号の法意''' ##:国家公務員法98条5項、110条1項17号は、公務員の争議行為のうち同法によつて違法とされるものとされないものとを区別し、さらに違法とされる争議行為についても違法性の強いものと弱いものとを区別したうえ、刑事制裁を科さるのはそのうち違法性の強い争議行為に限るものとし、あるいは、あおり行為等につき、争議行為の企画、共謀、説得、慫慂、指令等を争議行為にいわゆる通常随伴するものとして争議行為自体と同一視し、これを刑事制裁の対象から除くものとする趣旨ではない。 ##'''政治的目的のための争議行為と憲法28条''' ##:私企業の労働者であると、公務員を含むその他の勤労者であるとを問わず、使用者に対する経済的地位の向上の要請とは直接関係のない警察官職務執行法の改正に対する反対のような政治的目的のために争議行為を行なうことは、憲法28条とは無関係なものである。 #<span id="猿払事件"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51800 国家公務員法違反]([[w:猿払事件|猿払事件]] 最高裁判決 昭和49年11月6日) ##<span id="猿払事件1"/>'''国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止と憲法21条''' ##:国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法21条に違反しない。 ##:*国公法102条1項及び規則による政治的行為の禁止は、もとより国民一般に対して向けられているものではなく、公務員のみに対して向けられているものである。ところで、国民の信託による国政が国民全体への奉仕を旨として行われなければならないことは当然の理であるが、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」とする[[日本国憲法第15条|憲法15条]]2項の規定からもまた、公務が国民の一部に対する奉仕としてではなく、その全体に対する奉仕として運営されるべきものであることを理解することができる。公務のうちでも行政の分野におけるそれは、憲法の定める統治組織の構造に照らし、議会制民主主義に基づく政治過程を経て決定された政策の忠実な遂行を期し、もつぱら国民全体に対する奉仕を旨とし、政治的偏向を排して運営されなければならないものと解されるのであつて、そのためには、個々の公務員が、政治的に、一党一派に偏することなく、厳に中立の立場を堅持して、その職務の遂行にあたることが必要となるのである。すなわち、行政の中立的運営が確保され、これに対する国民の信頼が維持されることは、憲法の要請にかなうものであり、公務員の政治的中立性が維持されることは、国民全体の重要な利益にほかならないというべきである。したがつて、公務員の政治的中立性を損うおそれのある公務員の政治的行為を禁止することは、それが合理的で 必要やむをえない限度にとどまるものである限り、憲法の許容するところであるといわなければならない。 ##:*公務員に対する政治的行為の禁止が 右の合理的で必要やむをえない限度にとどまるものか否かを判断するにあたつては、禁止の目的、この目的と禁止される政治的行為との関連性、政治的行為を禁止することにより得られる利益と禁止することにより失われる利益との均衡の三点から検討することが必要である。 ##:**行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼を確保するため、公務員の政治的中立性を損うおそれのある政治的行為を禁止することは、まさしく憲法の要請に応え、公務員を含む国民全体の共同利益を擁護するための措置にほかならないのであつて、その目的は正当なものというべきである。 ##:**公務員の政治的中立性の毀損に起因する弊害の発生を防止するため、公務員の政治的中立性を損うおそれがあると認められる政治的行為を禁止することは、禁止目的との間に合理的な関連性があるものと認められる。 ##:**意見表明の自由が制約されることにはなるが、それは、単に行動の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約に過ぎず、かつ、国公法102条1項及び規則の定める行動類型以外の行為により意見を表明する自由までをも制約するものではなく、他面、禁止により得られる利益は、公務員の政治的中立性を維持し、行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼を確保するという国民全体の共同利益なのであるから、得られる利益は、失われる利益に比してさらに重要なものというべきであり、その禁止は利益の均衡を失するものではない。 ##'''国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法31条''' ##:国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法31条に違反しない。 ##:*[[日本国憲法第31条#猿払事件|憲法第31条判例参照]] ##<span id="猿払事件2"/>'''国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法21条''' ##:国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法21条に違反しない。 ##:*公務員の政治的行為の禁止が国民全体の共同利益を擁護する見地からされたものであつて、その違反行為が刑罰の対象となる違法性を帯びることが認められ、かつ、その禁止が、憲法21条に違反するものではないと判断される以上、その違反行為を構成要件として罰則を法定しても、そのことが憲法21条に違反することとなる道理は、ありえない。 ##:;「より制限的でない他の選びうる手段」の法理について ##::原判決は、さらに、規制の目的を達成しうる、より制限的でない他の選びうる手段があるときは、広い規制手段は違憲となるとしたうえ、被告人の本件行為に対する制裁としては懲戒処分をもつて足り、罰則までも法定することは合理的にして必要最小限度を超え、違憲となる旨を判示し、第一審判決もまた、外国の立法例をあげたうえ、被告人の本件行為のような公務員の政治的行為の禁止の違反に対して罰則を法定することは違憲である旨を判示する。 ##::しかしながら、各国の憲法の規定に共通するところがあるとしても、それぞれの国の歴史的経験と伝統はまちまちであり、国民の権利意識や自由感覚にもまた差異があるのであつて、基本的人権に対して加えられる規制の合理性についての判断基準は、およそ、その国の社会的基盤を離れて成り立つものではない。外国の立法例は、一つの重要な参考資料ではあるが、社会的諸条件を無視して、それをそのままわが国にあてはめることは、決して正しい憲法判断の態度ということはできない。 ##'''国家公務員法102条1項における人事院規則への委任の合憲性''' ##:国家公務員法102条1項における人事院規則への委任は、同法82条による懲戒処分及び同法110条1項19号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に人事院規則に委任しているからといって、憲法に違反する立法の委任ということはできない。 ##:*[[日本国憲法第41条#猿払事件|憲法第41条判例参照]] ##<span id="猿払事件3"/>'''国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号の禁止に違反する文書の掲示又は配布に同法110条1項19号の罰則を適用することが憲法21条、31条に違反しないとされた事例'''<br>公務員法の罰則は、一般的な身分犯と言えるか、それとも、公務員としての職務の内容・勤務時間の内外・職務に応じた施設の利用の有無等を考慮すべきか。 ##:国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号の禁止に違反する本件の文書の掲示又は配布に同法110条1項19号の罰則を適用することは、たとえその掲示又は配布が、非管理職の現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図なく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であつても、憲法21条、31条に違反しない。<br><u>公務員法の罰則は、公務員の身分があれば適用されるものであり、行為時の事情等によらない。</u> ##:*政治的行為が公務員によつてされる場合には、当該公務員の管理職・非管理職の別、現業・非現業の別、裁量権の範囲の広狭などは、公務員の政治的中立性を維持することにより行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼を確保しようとする法の目的を阻害する点に、差異をもたらすものではない。 ##:**その業務の性質上、機械的労務が重い比重を占めるからといつて、そのことのゆえに、その種の業務に従事する現業公務員を公務員の政治的中立性について例外視する理由はない。 ##:**公務員の政治的行為の禁止の趣旨からすれば、勤務時間の内外、国の施設の利用の有無、職務利用の有無などは、その政治的行為の禁止の合憲性を判断するうえにおいては、必ずしも重要な意味をもつものではない。 ##:**政治的行為が労働組合活動の一環としてなされたとしても、そのことが組合員である個々の公務員の政治的行為を正当化する理由となるものではなく、また、個々の公務員に対して禁止されている政治的行為が組合活動として行われるときは、組合員に対して統制力をもつ労働組合の組織を通じて計画的に広汎に行われ、その弊害は一層増大することとなるのであつて、その禁止が解除されるべきいわれは少しもない。 #<span id="最判昭和59年12月12日"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62891 異議申出棄却決定取消]([[w:札幌税関検査事件|札幌税関検査事件]] 最高裁判決 昭和59年12月12日) ##'''憲法21条2項前段の検閲禁止の趣旨''' ##:憲法21条2項前段の検閲禁止は、公共の福祉を理由とする例外の許容をも認めない趣旨と解すべきである。 ##'''憲法21条2項にいう「検閲」''' ##:憲法21条2項にいう「検閲」とは、行政権が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指すと解すべきである。 ##'''関税定率法21条2項3号所定の物件に関する税関検査と憲法21条2項にいう「検閲」''' ##:関税定率法21条1項3号所定の物件に関し、輸入手続において税関職員が行う検査は、憲法21条2項にいう「検閲」にあたらない。 ##:#輸入が禁止される表現物は、一般に、国外においては既に発表済みのものであつて、その輸入を禁止したからといつて、それは、当該表現物につき、事前に発表そのものを一切禁止するというものではない。また、当該表現物は、輸入が禁止されるだけであつて、税関により没収、廃棄されるわけではないから、発表の機会が全面的に奪われてしまうというわけのものでもない。 ##:#税関検査は、関税徴収手続の一環として、これに付随して行われるもので、思想内容等の表現物に限らず、広く輸入される貨物及び輸入される郵便物中の信書以外の物の全般を対象とし、三号物件についても、右のような付随的手続の中で容易に判定し得る限りにおいて審査しようとするものにすぎず、思想内容等それ自体を網羅的に審査し規制することを目的とするものではない。 ##:#税関は、関税の確定及び徴収を本来の職務内容とする機関であつて、特に思想内容等を対象としてこれを規制することを独自の使命とするものではなく、また、思想内容等の表現物につき税関長の通知がされたときは司法審査の機会が与えられているのであつて、行政権の判断が最終的なものとされるわけではない。 ##'''関税定率法21条2項3号の規定による猥褻表現物の輸入規制と憲法21条1項''' ##:関税定率法21条1項3号の規定による猥褻表現物の輸入規制は、憲法21条1項に違反しない。 ##:*表現の自由は、憲法の保障する基本的人権の中でも特に重要視されるべきものであるが、さりとて絶対無制限なものではなく、公共の福祉による制限の下にあることは、いうまでもない。また、性的秩序を守り、最小限度の性道徳を維持することは公共の福祉の内容をなすものであつて、猥褻文書の頒布等は公共の福祉に反するものであり、これを処罰の対象とすることが表現の自由に関する憲法21条1項の規定に違反するものでないことも、明らかである([[#チャタレー事件|最高裁昭和32年3月18日大法廷判決]]、[[#悪徳の栄え事件件|最高裁昭和44年10月15日大法廷判決]]参照)。そして、わが国内における健全な性的風俗を維持確保する見地からするときは、猥褻表現物がみだりに国外から流入することを阻止することは、公共の福祉に合致するものであり、猥褻刊行物ノ流布及取引ノ禁止ノ為ノ国際条約(昭和11年条約第3号)1条の規定が締約国に頒布等を目的とする猥褻な物品の輸入行為等を処罰することを義務づけていることをも併せ考えると、表現の自由に関する憲法の保障も、その限りにおいて制約を受ける。 ##'''表現の自由を規制する法律の規定について[[合憲限定解釈|限定解釈]]をすることが許される場合''' ##:表現の自由を規制する法律の規定について[[合憲限定解釈|限定解釈]]をすることが許されるのは、その解釈により、規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され、かつ、合憲的に規制しうるもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず、また、一般国民の理解において、具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものでなければならない。 ##:*限定解釈をすることが許されるためには以下の二つの要件を満たす必要がある。 ##:*#その解釈により,規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され,かつ,合憲的に規制しうるもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合であること。 ##:*#一般国民の理解において,具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものであること。 ##'''関税定率法21条2項3号の「風俗を害すべき書籍、図画」等との規定の意義及びその合憲性''' ##:関税定率法21条1項3号の「風俗を害すべき書籍、図画」等とは、猥褻な書籍、図画等を指すものと解すべきであり、右規定は広汎又は不明確の故に憲法21条1項に違反するものではない。 ##:*[[w:伊藤正己|伊藤正己]]裁判官他4裁判官による反対意見([[過度に広汎性ゆえ無効の法理]]) ##:**表現の自由を規制する法律の規定は、それ自体明確な基準を示すものでなければならない。殊に、表現の自由の規制が事前のものである場合には、その規定は、立法上可能な限り明確な基準を示すものであることが必要である。それ故、表現の自由を規制する法律の規定が、国民に対し何が規制の対象となるのかについて適正な告知をする機能を果たし得ず、また、規制機関の恣意的な適用を許す余地がある程に不明確な場合には、その規定は憲法21条1項に違反し、無効であると判断されなければならない。 ##:**表現の自由を規制する法律の規定の適用範囲が広汎に過ぎ、右規定が本来規制の許されるべきでない場合にまで適用される可能性を無視し得ない場合には、やはり憲法21条1項によつて違憲無効と判断されなければならない。 ##:**同号の「風俗を害すべき書籍、図画」等という規定は、不明確であると同時に広汎に過ぎるものであり、かつ、それが本来規制の許されるべきでない場合にも適用される可能性を無視し得ないと考えられるから、憲法21条1項に違反し、無効であるといわなければならない。 ##:**:「風俗」という用語の意味内容は性的風俗、社会的風俗、宗教的風俗等多義にわたるものであり、これを多数意見のいうように性的風俗に限定し、「風俗を害すべき書籍、図画」等を猥褻表現物に限ると解すべき根拠はない。現在の税関検査の実務においては、被上告人の自陳する如く、右の書籍、図画等を猥褻物に限定する取扱いがされているとしても、その文言自体からみれば、右規定が猥褻物以外の物に適用される可能性を否定することはできない。 #<span id="北方ジャーナル"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52665 損害賠償]([[w:北方ジャーナル事件|北方ジャーナル事件]] 最高裁判決 昭和61年6月11日 民集40巻4号872頁)[[日本国憲法第13条|憲法13条]] ##'''出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めと憲法21条2項前段にいう検閲''' ##:雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、憲法21条2項前段にいう検閲に当たらない。 ##:*一定の記事を掲載した雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の仮処分による事前差止めは、裁判の形式によるとはいえ、口頭弁論ないし債務者の審尋を必要的とせず、立証についても疎明で足りるとされているなど簡略な手続によるものであり、また、いわゆる満足的仮処分として争いのある権利関係を暫定的に規律するものであつて、非訟的な要素を有することを否定することはできないが、仮処分による事前差止めは、表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前規制が行政機関によりそれ自体を目的として行われる場合とは異なり、個別的な私人間の紛争について、司法裁判所により、当事者の申請に基づき差止請求権等の私法上の被保全権利の存否、保全の必要性の有無を審理判断して発せられるものであつて、右判示にいう「検閲」には当たらないものというべきである。 ##'''名誉侵害と侵害行為の差止請求権''' ##:名誉侵害の被害者は、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対して、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができる。 ##'''公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関する出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めの許否''' ##:人格権としての名誉権に基づく出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めは、右出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関するものである場合には、原則として許されず、その表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であつて、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときに限り、例外的に許される。 ##'''公共の利害に関する事項についての表現行為の事前差止めを仮処分によつて命ずる場合と口頭弁論又は債務者審尋''' ##:公共の利害に関する事項についての表現行為の事前差止めを仮処分によつて命ずる場合には、原則として口頭弁論又は債務者の審尋を経ることを要するが、債権者の提出した資料によつて、表現内容が真実でないか又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であり、かつ、債権者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があると認められるときは、口頭弁論又は債務者の審尋を経なくても憲法21条の趣旨に反するものとはいえない。 #<span id="家永教科書裁判"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56358 損害賠償]([[w:家永教科書裁判|家永教科書裁判]] 最高裁判決平成5年3月16日 民集第47巻5号3483頁)学校教育法21条1項(昭和45年法律第48号による改正前のもの),学校教育法51条(昭和49年法律第70号による改正前のもの),旧教科用図書検定規則(昭和23年文部省令第4号)1ないし3条,[[日本国憲法第23条|憲法23条]],[[日本国憲法第26条|憲法26条]],[[教育基本法第10条|教育基本法10条]],[[国家賠償法第1条|国家賠償法1条]]1項 #;教科書検定は検閲に当たるか。 #:教科書検定は検閲に当たらない。 #:*憲法21条2項にいう検閲とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的とし、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを特質として備えるものを指すと解すべきである。本件検定は、一般図書としての発行を何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査などの特質がないから、検閲に当たらず、憲法21条2項前段の規定に違反するものではない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=35114  広島市暴走族追放条例違反被告事件]([[w:広島市暴走族追放条例事件|広島市暴走族追放条例事件]] 最高裁判決平成19年9月18日 刑集第61巻6号601頁)[[日本国憲法第31条|憲法31条]],広島市暴走族追放条例(平成14年広島市条例第39号)16条1項1号,17条,19条 #:*広島市暴走族追放条例16条1項 #:*:何人も、次に掲げる行為をしてはならない。 #:*:1.公共の場所において、当該場所の所有者又は管理者の承諾又は許可を得ないで、公衆に不安又は恐怖を覚えさせるようない集又は集会を行うこと。 #;広島市暴走族追放条例16条1項1号,17条,19条の規定を限定解釈により憲法21条1項,31条に違反しないとした事例 #::*事案 #::*:指定暴力団の関係者で暴走族である組織Aのリーダーをしていた被告人が,判示の広場において,引退式と称する集会を強行して暴走族の存在を誇示しようと考え,組織Aなどの暴走族構成員約40名と共謀し,所属する暴走族のグループ名を刺しゅうした「特攻服」と呼ばれる服を着用し,顔面の全部又は一部を覆い隠し,円陣を組み,旗を立てる等の威勢を示して,公衆に不安又は恐怖を覚えさせるような集会を行い,市長からの中止・退去命令が出されたのに,これに従わなかった。 #::*論点 #::*:広島市暴走族追放条例116条1項1号,17条,19条の規定の文言からすれば,その適用範囲が広範に過ぎ、「[[過度に広汎性ゆえ無効の法理|過度に広汎性ゆえ無効]]」か否か。 #:広島市暴走族追放条例16条1項1号にいう「集会」は,暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外,服装,旗,言動などにおいてこのような暴走族に類似し社会通念上これと同視することができる集団によって行われるものに限定されると解され,このように解釈すれば,同条例16条1項1号,17条,19条は,憲法21条1項,31条に違反しない。 #:*本条例の全体から読み取ることができる趣旨,さらには本条例施行規則の規定等を総合すれば,本条例が規制の対象としている「暴走族」は,本条例2条7号の定義にもかかわらず,暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外には,服装,旗,言動などにおいてこのような暴走族に類似し社会通念上これと同視することができる集団に限られるものと解され,したがって,市長において本条例による中止・退去命令を発し得る対象も,被告人に適用されている「集会」との関係では,本来的な意味における暴走族及び上記のようなその類似集団による集会が,本条例16条1項1号,17条所定の場所及び態様で行われている場合に限定されると解される。このように限定的に解釈すれば,本条例16条1項1号,17条,19条の規定による規制は,広島市内の公共の場所における暴走族による集会等が公衆の平穏を害してきたこと,規制に係る集会であっても,これを行うことを直ちに犯罪として処罰するのではなく,市長による中止命令等の対象とするにとどめ,この命令に違反した場合に初めて処罰すべきものとするという事後的かつ段階的規制によっていること等にかんがみると,その弊害を防止しようとする規制目的の正当性,弊害防止手段としての合理性,この規制により得られる利益と失われる利益との均衡の観点に照らし,いまだ憲法21条1項,31条に違反するとまではいえない。 #:*:[[w:藤田宙靖|藤田宙靖]]裁判官及び田原睦夫裁判官の反対意見 #:*:*表現の刑罰規制の場面では、必ずしも法律に明るくない一般人が辞書的な率直な解釈をしたときに、当該条項から萎縮的効果(Chilling Effect)を受けるのであれば、文面違憲もしくは(適用審査の上)法令違憲で臨むべき。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92502 助成金不交付決定処分取消請求事件](最高裁判決令和5年11月17日)[https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000163_20150801_000000000000000&keyword=%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%B3%95%E4%BA%BA%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%8A%B8%E8%A1%93%E6%96%87%E5%8C%96%E6%8C%AF%E8%88%88%E4%BC%9A%E6%B3%95 独立行政法人日本芸術文化振興会法]第3条,第14条 #;独立行政法人日本芸術文化振興会の理事長がした、劇映画の製作活動に対する助成金を交付しない旨の決定が、上記理事長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例 #:*芸術的な観点からは助成の対象とすることが相当といえる活動につき、本件助成金を交付すると当該活動に係る表現行為の内容に照らして一般的な公益が害されることを理由とする交付の拒否が広く行われるとすれば、公益がそもそも抽象的な概念であって助成対象活動の選別の基準が不明確にならざるを得ないことから、助成を必要とする者による交付の申請や助成を得ようとする者の表現行為の内容に萎縮的な影響が及ぶ可能性がある。このような事態は、本件助成金の趣旨ないし被上告人の目的を害するのみならず、芸術家等の自主性や創造性をも損なうものであり、憲法21条1項による表現の自由の保障の趣旨に照らしても、看過し難いものということができる。 #:*助成金の交付に係る判断において、これを交付するとその対象とする活動に係る表現行為の内容に照らして一般的な公益が害されるということを消極的な考慮事情として重視し得るのは、<u>当該公益が重要なものであり、かつ、当該公益が害される具体的な危険がある場合に限られる</u>ものと解するのが相当である。 ---- {{前後 |[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]] |[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]] |[[日本国憲法第20条]]<br>【信教の自由・政教分離】 |[[日本国憲法第22条]]<br>【居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由】 }} {{stub|law}} [[category:日本国憲法|21]] 1ldxdeyanspb94hizlaihbj8h01okyh 日本国憲法第31条 0 37601 246443 245579 2024-04-09T15:11:21Z Tomzo 248 /* 判例 */ wikitext text/x-wiki [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]] ==条文== 【法定手続の補償】 ;第31条 :何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。 ==解説== {{wikipedia}} {{wikipedia|デュー・プロセス・オブ・ロー}} 刑事手続は法定の適正手続によること(デュー・プロセス・オブ・ロー)を定める。 ===罪刑法定主義の一局面としての明確性の理論=== :表現の自由など精神的自由を規制する立法は明確でなければならないとする憲法上の要請(違憲判断の基準)である「明確性の基準」を罪刑法定主義の観点から刑罰法規に適用した法理論。法文が漠然不明確な法令は違憲であって無効になる(漠然性ゆえに無効)。法文は一応明確でも、規制の範囲があまりにも後半で違憲的に適用される可能性のある法令も同様に違憲無効とされる(過度の広汎性ゆえに無効)。 ==参照条文== *[[日本国憲法第39条]] ==判例== #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56447 有毒飲食物等取締令違法](最高裁判決昭和23年11月17日)[[日本国憲法第37条|憲法37条]],[[日本国憲法第38条|憲法38条]],[[日本国憲法第76条|憲法76条]],裁判所法施行令1条,刑訴応急措置法12条1項,刑訴応急措置法12条,刑訴応急措置法17条,刑訴応急措置法10条,刑訴法337条 ##'''判決における適用法規の名称の誤記と憲法第31条''' ##:有毒飮食物等取締令という勅令は有効に実施せられており、而して同名の法律は存在していないのであるから、第二審判決が右勅令を昭和21年勅令第52号と表示すべきところを、昭和21年法律第52号と誤つて表示したのであることが明らかである。而して第二審裁判所が右勅令の第1条及び第4条を適用したのであるから、論旨のように罪刑法定主義の原則に反せず、従つて原判決は憲法第31条に違反するものではない。 ##'''上告審における刑訴応急措置法第12条第1項但書の適用の有無と憲法第31条''' ##:刑訴応急措置法第12条の規定は裁判所が事実認定をするに当り証拠として採否を定める基準に関するものであつて、その性質上当然事実審のみに適用ある規定である。されば原上告審が証拠調をしない以上、所論の第12条但書を適用しなかつたのは誠に当然であつて、憲法第31条違反の問題を生じない。 ##:*刑訴応急措置法12条 ##:*#証人その他の者(被告人を除く。)の供述を録取した書類又はこれに代わるべき書類は、被告人の請求があるときは、その供述者又は作成者を公判期日において訊問する機会を被告人に与えなければ、これを証拠とすることができない。但し、その機会を与えることができず、又は著しく困難な場合には、裁判所はこれらの書類についての制限及び被告人の憲法上の権利を適当に考慮して、これを証拠とすることができる。 ##:*#刑事訴訟法第343条(旧法)の規定は、これを適用しない。 ##'''公判廷における否認の供述あるに拘わらず検事に対する被告人の肯定の供述を証拠に採ることの可否と憲法第31条''' ##:被告人の検事に対する肯定の供述と、公判廷における否認の供述とは各別個の供述であつて、所論のように、否定という一個の觀念を構成する不可分のものではないから、肯定の供述をとり否認の供述をとらなかつたとしても違法ではない。従つて憲法第31条に反するものではない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=71399 臨時物資需給調整法違反](最高裁判決 昭和26年2月27日)[[日本国憲法第73条]] #;農林省令第27号附則所定の「…規則廃止前にした行為に対する罰則の適用については…なお従前の例による」とした規則の趣旨と憲法第31条・第73条第6号 #:所論昭和25年3月27日農林省令第27号附則の趣旨は加工水産物配給規則廃止前に行われた違反行為に対しては同規則廃止後も廃止前に行われた違反行為の罰則に関する範囲においては、これを廃止しない趣旨であつて、一旦廃止して更に罰則を設けるという趣旨でない故所論違憲論は前提を欠き採用できない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51500&hanreiKbn=02 強盗殺人、死体遺棄等](最高裁判決 昭和31年12月25日) #;無期懲役刑の合憲性 #:無期懲役刑は[[日本国憲法第13条|憲法第13条]]・[[日本国憲法第31条|第31条]]に違反しない。 #:*[[刑法第11条#死刑合憲判決|昭和23年最高裁大法廷判決]]により、死刑すら「残虐な刑罰」とされていないのであるから、無期懲役を残虐な刑罰ということはできない。 #<span id="大阪市条例"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56974 大阪市条例第六八号違反](最高裁判決 昭和37年5月30日)[[日本国憲法第73条]] ##憲法第31条の趣旨―刑罰はすべて法律そのもので定めなければならないか ##:憲法31条はかならずしも刑罰がすべて法律そのもので定められなければならないとするものでなく、法律の授権によつてそれ以下の法令によつて定めることもできると解すべきで、このことは憲法73条6号但書によつても明らかである。 ##地方自治法第14条第5項およびこれに基づく昭和25年大阪市条例第68号第2条第1項の合憲性 ##:地方自治法第14条第5項およびこれに基づく昭和25年大阪市条例第68号「街路等における売春勧誘行為等の取締条例」第2条第1項は、憲法第31条に違反しない。 ##:*法律の授権が不特定な一般的の白紙委任的なものであつてはならないが、これらの事項【旧地方自治法第2条第3項第7号等に規定する事項】は相当に具体的な内容のものであるし、同法14条5項【現[[地方自治法第14条]]第3項相当】による罰則の範囲も限定されている。しかも、条例は、法律以下の法令といつても、上述のように、公選の議員をもつて組織する地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であつて、行政府の制定する命令等とは性質を異にし、むしろ国民の公選した議員をもつて組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから、条例によつて刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。地方自治法2条3項7号及び1号のように'''相当に具体的な内容の事項につき'''、同法14条5項のように'''限定された刑罰の範囲内において、条例をもつて罰則を定めることができるとしたのは、憲法31条の意味において法律の定める手続によつて刑罰を科するものということができる'''のであつて、同条に違反するとはいえない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=69591 道路交通法違反](最高裁判決 昭和39年9月18日)[[日本国憲法第73条]] #;犯罪の構成要件はすべて法律そのもので定められなければならないか。 #:犯罪の構成要件は、すべて法律そのもので定められなければならないものではなく、法律の授権によつて、その一部を公安委員会規則によつて定めることもできることは、当裁判所の判例(昭和27年(あ)第4533号同33年7月9日大法廷判決、刑集12巻11号2407頁・[[#大阪市条例|昭和31年(あ)第4289号同37年5月30日大法廷判決、裁判集142巻847頁]])の趣旨とするところである。 #[[w:第三者所有物没収事件|第三者所有物没収事件]](最高裁大法廷判決 昭和37年11月28日 2件)[[日本国憲法第29条]]  #*[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56954 関税法違反](刑集 第16巻11号1593頁) 旧関税法(昭和29年法律第61号による改正前の関税法をいう。)第83条第1項 #*[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56959 関税法違反](刑集 第16巻11号1577頁) 関税法第118条第1項 ##'''旧関税法第83条第1項/関税法第118条第1項により第三者の所有物を没収することは、、憲法第31条、第29条に違反するか''' ##:旧関税法第83条第1項/関税法第118条第1項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第31条、第29条に違反する。 ##:*第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であつて、憲法の容認しないところである。 ##'''第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか''' ##:前項の場合、没収に言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であつても、これを違憲であるとして上告をすることができる。 ##:*かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であつても、被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは、当然である。のみならず、被告人としても没収に係る物の占有権を剥奪され、またはこれが使用、収益をなしえない状態におかれ、更には所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告によりこれが救済を求めることができるものと解すべき。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50906 職業安定法違反]([[w:全農林警職法事件|全農林警職法事件]] 最高裁判決 昭和48年4月25日 刑集12巻7号1351頁)[[日本国憲法第28条|憲法28条]]、[[日本国憲法第18条|憲法18条]]、[[日本国憲法第21条|憲法21条]]、国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98条5項、110条1項17号 ##'''国家公務員法98条5項、110条1項17号の合憲性''' ##:国家公務員法98条5項、110条1項17号は憲法28条に、国家公務員法110条1項17号は憲法18条、21条、31条に違反しない。 ##'''国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」および「企て」の意義''' ##:国家公務員法110条1項17号にいう「あおり」とは、同法98条5項前段に規定する違法行為を実行させる目的をもつて、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、または、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいい、「企て」とは、右違法行為を共謀し、そそのかし、または、あおる行為の遂行を計画準備することであつて、違法行為発生の危険性が具体的に生じたと認めうる状態に達したものをいう。 ##'''国家公務員法98条5項、110条1項17号の法意''' ##:国家公務員法98条5項、110条1項17号は、公務員の争議行為のうち同法によつて違法とされるものとされないものとを区別し、さらに違法とされる争議行為についても違法性の強いものと弱いものとを区別したうえ、刑事制裁を科さるのはそのうち違法性の強い争議行為に限るものとし、あるいは、あおり行為等につき、争議行為の企画、共謀、説得、慫慂、指令等を争議行為にいわゆる通常随伴するものとして争議行為自体と同一視し、これを刑事制裁の対象から除くものとする趣旨ではない。 ##'''政治的目的のための争議行為と憲法28条''' ##:私企業の労働者であると、公務員を含むその他の勤労者であるとを問わず、使用者に対する経済的地位の向上の要請とは直接関係のない警察官職務執行法の改正に対する反対のような政治的目的のために争議行為を行なうことは、憲法28条とは無関係なものである。 #<span id="猿払事件"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51800 国家公務員法違反]([[w:猿払事件|猿払事件]] 最高裁判決 昭和49年11月6日) ##'''国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止と憲法21条''' ##:国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法21条に違反しない。 ##:*[[日本国憲法第21条#猿払事件1|憲法第21条判例参照]] ##'''国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法31条''' ##:国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法31条に違反しない。 ##:*国公法102条1項及び規則による公務員の政治的行為の禁止は、公務員の政治的中立性を維持することにより、行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼を確保するという国民全体の重要な共同利益を擁護するためのものである。 ##:*ひとしく公務員であつても、国家公務員の場合は、地方公務員の場合と異なり、その政治的行為の禁止に対する違反が行政の中立的運営に及ぼす弊害に逕庭があることからして、罰則を存置することの必要性が、国民の代表機関である国会により、わが国の現実の社会的基盤に照らして、承認されてきたものとみることができる。 ##:*その保護法益の重要性にかんがみるときは、罰則制定の要否及び法定刑についての立法機関の決定がその裁量の範囲を著しく逸脱しているものであるとは認められない。特に、本件において問題とされる政治的行為は、特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布であつて、前述したとおり、政治的行為の中でも党派的偏向の強い行動類型に属するものであり、公務員の政治的中立性を損うおそれが大きく、このような違法性の強い行為に対して国公法の定める程度の刑罰を法定したとしても、決して不合理とはいえない。 ##'''国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法21条''' ##:国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法21条に違反しない。 ##:*[[日本国憲法第21条#猿払事件2|憲法第21条判例参照]] ##'''国家公務員法102条1項における人事院規則への委任の合憲性''' ##:国家公務員法102条1項における人事院規則への委任は、同法82条による懲戒処分及び同法110条1項19号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に人事院規則に委任しているからといって、憲法に違反する立法の委任ということはできない。 ##:*[[日本国憲法第41条#猿払事件|憲法第41条判例参照]] ##'''国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号の禁止に違反する文書の掲示又は配布に同法110条1項19号の罰則を適用することが憲法21条、31条に違反しないとされた事例''' ##:国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号の禁止に違反する本件の文書の掲示又は配布(判文参照)に同法110条1項19号の罰則を適用することは、たとえその掲示又は配布が、非管理職の現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図なく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であつても、憲法21条、31条に違反しない。 #<span id="徳島市公安条例"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51070 集団行進及び集団示威運動に関する徳島市条例違反、道路交通法違反]([[w:徳島市公安条例事件|徳島市公安条例事件]] 最高裁判決 昭和50年9月10日) 昭和27年徳島市条例3号(集団行進及び集団示威運動に関する条例 ;以下「集団行進等に関する徳島県条例」と記す)3条3号,集団行進等に関する徳島県条例5条, [[道路交通法第77条|道路交通法77条]]1項4号,道路交通法77条3項,[[道路交通法第119条|道路交通法119条]]1項13号,徳島県道路交通施行細則(昭和47年徳島県公安委員会規則1号による改正前のもの)11条3号, #:'''法律と条例の関係''':[[日本国憲法第94条#徳島市公安条例|憲法94条]],'''罪数''':[[刑法第54条#徳島市公安条例|刑法54条]]1項前段 ##'''刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法31条に違反するかどうかの判断基準''' ##:刑罰法規があいまい不明確のゆえに憲法31条に違反するかどうかは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによってこれを決定すべきである。(「過度の広汎性ゆえに無効」の理論) ##'''集団行進等に関する徳島県条例3条3号の「交通秩序を維持すること」の意義とその犯罪構成要件としての明確性''' ##:集団行進等に関する徳島県条例3条3号が、集団行進等についての遵守事項の一として「交通秩序を維持すること」を掲げているのは、道路における集団行進等が一般的に秩序正しく平穏に行われる場合にこれに随伴する交通秩序阻害の程度を超えた、殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為を避止すべきことを命じているものと解され、このように解釈した場合、右規定は右条例5条の犯罪構成要件の内容をなすものとして憲法31条に違反するような不明確性を有するものではない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=60306 現住建造物等放火未遂、火炎びん使用等の処罰に関する法律違反、傷害、爆発物取締罰則違反、非現住建造物等放火](最高裁判決 昭和53年10月20日) #;爆発物取締罰則に関する違憲主張が排斥された事例 #:所論は、憲法31条、59条1項、73条6項、98条1項違反をいうが、爆発物取締罰則が現行憲法施行後の今日においてもなお法律としての効力を保有しているものであることは、当裁判所の判例とするところであり(昭和23年(れ)第1140号同24年4月6日大法廷判決・刑集3巻4号456頁、昭和32年(あ)第309号同34年7月3日第二小法廷判決・刑集13巻7号1075頁、昭和46年(あ)第2179号同47年3月9日第一小法廷判決・刑集26巻2号151頁参照)、所論は理由がない。 #[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51193&hanreiKbn=02 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反]('''[[私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第3条#石油価格カルテル|石油価格カルテル刑事事件]]'''  最高裁判例 昭和59年02月24日) #;独禁法85条3号の規定と憲法14条1項、31条、32条 #:独禁法89条から91条までの罪に係る訴訟につき二審制を定めた[[私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第85条|同法85条]]3号の規定は、憲法14条1項、31条、32条に違反しない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50269 福岡県青少年保護育成条例違反](最高裁判決 昭和60年10月23日) #::*本条例は、青少年の健全な育成を図るため青少年を保護することを目的として定められ(1条1項)、他の法令により成年者と同一の能力を有する者を除き、小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者を青少年と定義した(3条1項)上で、「何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつの行為をしてはならない。」(10条1項)と規定し、その違反者に対しては2年以下の懲役又は10万円以下の罰金を科し(16条1項)、違反者が青少年であるときは、これに対して罰則を適用しない(17条)こととしている。 #::*(参考) #::*:[[児童福祉法第34条]]第1項「何人も、次に掲げる行為をしてはならない。」第6号「児童に淫行をさせる行為」 #::*:[[児童福祉法第60条]]第1項「第34条第1項第6号の規定に違反した者は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」 ##'''福岡県青少年保護育成条例10条1項、16条1項の規定と憲法31条''' ##:18歳未満の青少年に対する「淫行」を禁止処罰する福岡県青少年保護育成条例10条1項、16条1項の規定は、憲法31条に違反しない。 ##:*以下の2.に示す解訳は通常の判断能力を有する一般人の理解にも適うものであり、「淫行」の意義を以下のように解釈するときは、同規定につき処罰の範囲が不当に広過ぎるとも不明確であるともいえないから、本件各規定が憲法31条の規定に違反するものとはいえない。 ##'''福岡県青少年保護育成条例10条1項の規定にいう「淫行」の意義''' ##:福岡県青少年保護育成条例10条1項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解すべきである。 ##:*「淫行」を広く青少年に対する性行為一般を指すものと解するときは、「淫らな」性行為を指す「淫行」の用語自体の意義に添わないばかりでなく、例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上およそ処罰の対象として考え難いものをも含むこととなつて、その解釈は広きに失することが明らかであり、また、「淫行」を目して単に反倫理的あるいは不純な性行為と解するのでは、犯罪の構成要件として不明確であるとの批判を免れないのであつて、前記の規定の文理から合理的に導き出され得る解釈の範囲内で、前叙のように限定して解するのを相当とする。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85518 強盗殺人被告事件](最高裁判決 平成27年12月3日)[[日本国憲法第39条]], [[刑事訴訟法第250条|刑訴法250条]]1項 #;公訴時効を廃止するなどした「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成22年法律第26号)の経過措置を定めた同法附則3条2項と憲法39条,31条 #:公訴時効を廃止するなどした「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成22年法律第26号)の経過措置として,同改正法律施行の際公訴時効が完成していない罪について改正後の刑訴法250条1項を適用する旨を定めた同改正法律附則3条2項は,憲法39条,31条に違反せず,それらの趣旨にも反しない。 #:*公訴時効制度の趣旨は,時の経過に応じて公訴権を制限する訴訟法規を通じて処罰の必要性と法的安定性の調和を図ることにある。本法は,その趣旨を実現するため,人を死亡させた罪であって,死刑に当たるものについて公訴時効を廃止し,懲役又は禁錮の刑に当たるものについて公訴時効期間を延長したにすぎず,行為時点における違法性の評価や責任の重さを遡って変更するものではない。そして,本法附則3条2項は,本法施行の際公訴時効が完成していない罪について本法による改正後の刑訴法250条1項を適用するとしたものであるから,被疑者・被告人となり得る者につき既に生じていた法律上の地位を著しく不安定にするようなものでもない。 ---- {{前後 |[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]] |[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]] |[[日本国憲法第30条]]<br>【納税の義務】 |[[日本国憲法第32条]]<br>【裁判を受ける権利】 }} {{stub|law}} [[category:日本国憲法|31]] 7wln5nijx6b6wiup72klbxgzqywgaua 日本国憲法第18条 0 37613 246439 227646 2024-04-09T13:42:32Z Tomzo 248 /* 判例 */ wikitext text/x-wiki [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]] ==条文== 【奴隷的拘束・苦役からの自由】 ;第18条 :何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。 ==解説== {{wikipedia|日本国憲法第18条}} ==参照条文== ==判例== #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50540 職業安定法違反](最高裁判決 昭和33年5月6日 刑集12巻7号1351頁)[[日本国憲法第11条|憲法11条]]、[[日本国憲法第18条|憲法18条]]、[[刑法第18条]] #;刑法第18条は、憲法第11条、第13条、第18条に違反するか #:刑法第18条は、憲法第11条、第13条、第18条に違反しない。 #[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50906 職業安定法違反]([[w:全農林警職法事件|全農林警職法事件]] 最高裁判決 昭和48年4月25日 刑集12巻7号1351頁)[[日本国憲法第28条|憲法28条]]、[[日本国憲法第21条|憲法21条]]、[[日本国憲法第31条|憲法31条]]、国家公務員法(昭和40年法律第69号による改正前のもの)98条5項、110条1項17号 #;国家公務員法98条5項、110条1項17号の合憲性 #:国家公務員法98条5項、110条1項17号は憲法28条に、国家公務員法110条1項17号は憲法18条、21条、31条に違反しない。 #:*国公法110条1項17号は、公務員の争議行為による業務の停廃が広く国民全体の共同利益に重大な障害をもたらす虞れのあることを考慮し、公務員たると否とを問わず、何人であつてもかかる違法な争議行為の原動力または支柱としての役割を演じた場合については、そのことを理由として罰則を規定しているのである。すなわち、前述のように、公務員の争議行為の禁止は、憲法に違反することはないのであるから、何人であつても、この禁止を侵す違法な争議行為をあおる等の行為をする者は、違法な争議行為に対する原動力を与える者として、単なる争議参加者にくらべて社会的責任が重いのであり、また争議行為の開始ないしはその遂行の原因を作るものであるから、かかるあおり等の行為者の責任を問い、かつ、違法な争議行為の防遏を図るため、その者に対しとくに処罰の必要性を認めて罰則を設けることは、十分に合理性があるものということができる。 ---- {{前後 |[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]] |[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]] |[[日本国憲法第17条]]<br>【国及び公共団体の賠償責任】 |[[日本国憲法第19条]]<br>【思想・良心の自由】 }} {{stub|law}} [[category:日本国憲法|18]] 37xh9e6mvr98ocyrnnz84i5qvjkxx7g 日本国憲法第41条 0 38506 246442 235203 2024-04-09T15:01:25Z Tomzo 248 /* 判例 */ wikitext text/x-wiki [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]] ==条文== 【国会の地位、立法権】 ;第41条 :国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。 ==解説== {{wikipedia|日本国憲法第41条}} ==参照条文== ==判例== #<span id="猿払事件"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51800 国家公務員法違反]([[w:猿払事件|猿払事件]] 最高裁判決 昭和49年11月6日) ##'''国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止と憲法21条''' ##:国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法21条に違反しない。 ##:*[[日本国憲法第21条#猿払事件1|憲法第21条判例参照]] ##'''国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法31条''' ##:国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法31条に違反しない。 ##:*[[日本国憲法第31条#猿払事件|憲法第31条判例参照]] ##'''国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法21条''' ##:国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法21条に違反しない。 ##:*[[日本国憲法第21条#猿払事件2|憲法第21条判例参照]] ##'''国家公務員法102条1項における人事院規則への委任の合憲性''' ##:国家公務員法102条1項における人事院規則への委任は、同法82条による懲戒処分及び同法110条1項19号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に人事院規則に委任しているからといって、憲法に違反する立法の委任ということはできない。 ##:*政治的行為の定めを人事院規則に委任する国公法102条1項が、公務員の政治的中立性を損うおそれのある行動類型に属する政治的行為を具体的に定めることを委任するものであることは、同条項の合理的な解釈により理解しうるところである。そして、そのような政治的行為が、公務員組織の内部秩序を維持する見地から課される懲戒処分を根拠づけるに足りるものであるとともに、国民全体の共同利益を擁護する見地から科される刑罰を根拠づける違法性を帯びるものであることは、すでに述べたとおりであるから、右条項は、それが同法82条による懲戒処分及び同法110条1項19号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に委任するものであるからといつて、そのことの故に、憲法の許容する委任の限度を超えることになるものではない。 ##'''国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号の禁止に違反する文書の掲示又は配布に同法110条1項19号の罰則を適用することが憲法21条、31条に違反しないとされた事例''' ##:国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号の禁止に違反する本件の文書の掲示又は配布(判文参照)に同法110条1項19号の罰則を適用することは、たとえその掲示又は配布が、非管理職の現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図なく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であつても、憲法21条、31条に違反しない。 ---- {{前後 |[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]] |[[コンメンタール日本国憲法#4|第4章 国会]] |[[日本国憲法第40条]]<br>【刑事補償】 |[[日本国憲法第42条]]<br>【両院制】 }} {{stub|law}} [[category:日本国憲法|41]] b6uuefiejbsp8kee1paog0h6o3hdnf7 246451 246442 2024-04-10T04:23:00Z Tomzo 248 /* 判例 */ wikitext text/x-wiki [[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]] ==条文== 【国会の地位、立法権】 ;第41条 :国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。 ==解説== {{wikipedia|日本国憲法第41条}} ==参照条文== ==判例== #<span id="猿払事件"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51800 国家公務員法違反]([[w:猿払事件|猿払事件]] 最高裁判決 昭和49年11月6日) ##'''国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止と憲法21条''' ##:国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法21条に違反しない。 ##:*[[日本国憲法第21条#猿払事件1|憲法第21条判例参照]] ##'''国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法31条''' ##:国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法31条に違反しない。 ##:*[[日本国憲法第31条#猿払事件|憲法第31条判例参照]] ##'''国家公務員法110条1項19号の罰則と憲法21条''' ##:国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法21条に違反しない。 ##:*[[日本国憲法第21条#猿払事件2|憲法第21条判例参照]] ##'''国家公務員法102条1項における人事院規則への委任の合憲性''' ##:[[国家公務員法第102条|国家公務員法102条]]1項における人事院規則への委任は、[[国家公務員法第82条|同法82条]]による懲戒処分及び[[国家公務員法第110条|同法110条]]1項19号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に人事院規則に委任しているからといって、憲法に違反する立法の委任ということはできない。 ##:*政治的行為の定めを人事院規則に委任する国公法102条1項が、公務員の政治的中立性を損うおそれのある行動類型に属する政治的行為を具体的に定めることを委任するものであることは、同条項の合理的な解釈により理解しうるところである。そして、そのような政治的行為が、公務員組織の内部秩序を維持する見地から課される懲戒処分を根拠づけるに足りるものであるとともに、国民全体の共同利益を擁護する見地から科される刑罰を根拠づける違法性を帯びるものであることは、すでに述べたとおりであるから、右条項は、それが同法82条による懲戒処分及び同法110条1項19号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に委任するものであるからといつて、そのことの故に、憲法の許容する委任の限度を超えることになるものではない。 ##:*:[[w:大隅健一郎|大隅健一郎]]裁判官らによる反対意見 ##:*::国公法102条は、公務員の政治活動に関して若干の特定の形態の行為を直接禁止した外は、選挙権の行使を除き人事院規則で定める政治的行為を一般的に禁止するものとし、禁止行為の具体的内容及び範囲の決定を人事院に一任するとともに、その禁止の方法においても、これを単に公務員関係上の権利義務の問題として規定するにとどまらず、刑事制裁を伴う犯罪として扱うべきものとしている。国公法におけるこのような規制の方法は、同法に基づく規則における具体的禁止規定の内容の適否を離れても、それ自体として重大な憲法上の問題を惹起するものと考える。すなわち、 ##:*::#公務員関係の規律として公務員の一定の政治的行為を禁止する場合と、かかる関係を離れて刑罰権の対象となる一個人としてその者の政治的行為を禁止する場合とでは、憲法上是認される制限の範囲に相違を生ずべきものであり、この両者を同視して一律にこれを定めることは、それ自体として[[日本国憲法第15条|憲法15条]]1項、[[日本国憲法第16条|16条]]、[[日本国憲法第21条|21条]]、[[日本国憲法第31条|31条]]に違反するのではないかという問題があり、 ##:*::#国会が公務員の政治的行為を規制するにあたり、直接公務員の政治活動の制限の要否を具体的に検討しその範囲を決定することなく、人事院にこれを一任することは、立法府が公開の会議([[日本国憲法第57条|憲法57条]])において国民監視のもとに自ら行うべき立法作用の本質的部分を放棄して非公開の他の国家機関に移譲するものであつて、憲法41条に違反するのではないかという問題があり、 ##:*::#上記⒈と⒉の問題の関連において、懲戒原因としての政治的行為の禁止と可罰原因としてのそれを区別することなく一律にその具体的規定を規則に委任することは、委任自体として憲法に違反するのではないかという問題があるのである。 ##:*::これらの問題は、事の性質上、右授権に基づいて制定された規則における具体的禁止規定の内容の適否の問題に入る以前において検討、決定されるべき問題であるといわなければならない。 ##'''国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号の禁止に違反する文書の掲示又は配布に同法110条1項19号の罰則を適用することが憲法21条、31条に違反しないとされた事例''' ##:国家公務員法102条1項、人事院規則14―7・5項3号、6項13号の禁止に違反する本件の文書の掲示又は配布(判文参照)に同法110条1項19号の罰則を適用することは、たとえその掲示又は配布が、非管理職の現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図なく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であつても、憲法21条、31条に違反しない。 ---- {{前後 |[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]] |[[コンメンタール日本国憲法#4|第4章 国会]] |[[日本国憲法第40条]]<br>【刑事補償】 |[[日本国憲法第42条]]<br>【両院制】 }} {{stub|law}} [[category:日本国憲法|41]] idih5gvchhnr3i9b812uo8o7vuar091 利用者:すじにくシチュー/サブページ2 2 38823 246470 246321 2024-04-10T10:46:46Z すじにくシチュー 12058 旧制一高がエリートは本当か? wikitext text/x-wiki == 旧制一高がエリートは本当か? == [https://president.jp/articles/-/67080?page=4 『開成でも麻布でもない…戦前の「旧制一高」合格校ランキングで絶対王者・日比谷高校を破った私立校の名前 』] ツッコミとは違うが、保管庫と疑問。 通説では、旧制の中学について、1934年からは不況で私立中学が旧制中学のすべり止めとか言われてるが、本当か? 「麻布・開成は公立の「滑り止め」の時代に」と小タイトルである。つまり、開成・麻布が公立の日比谷のすべり止めだったというわけだ。 リンク先の統計では日比谷の430人に対し、開成は46人である。数字から明らかなのは、単に、旧制一高の出身校として公立中学出身者が多いというだけである。 そもそも旧制一高って、そんなに良いのか? 旧制一高がウンコ高校と考えることでも説明できる。たとえば、旧制一高の進学実績があまり良くない可能性。 [https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13151596938 Yahoo知恵袋『旧制第一高等学校から東京帝国大学以外の大学に進学する学生は一定数いたのでしょうか』2015/10/18 21:13] <blockquote> ベストアンサー 基本的に、一高=東大進学ではありません。 確かに旧制一高を卒業した人の半数強は、東京帝大に進みますが、 東京帝大の人気の学部(法学部や医学部、工学部など)は 選抜する入学試験があり、一高以外の全国の旧制高校のつわものが受験します。 ですので、たとえば昭和7年の東京帝大法学部への入学者は、 一高から98人、三高(京都)から42人、六高(岡山)から38人、 旧制浦和高から32人、五高(熊本)から32人となってます。 他の旧制高校からも入試を突破してきますので、 東京帝大法学部の学生のうち、旧制一高出身者は3分の1程度なのです。 </blockquote> なお、学習院中の連中が旧制一高に進学してたのって、明治の1909年くらいまで。 通説では、「学習院は一高に合格できないバカ文系」みたいな説。だが、別の可能性として、一高が学習院に嫌われてる可能性。一高が貧乏人で共産趣味の右翼のカスみたいな。 また、公立の旧制高校だからといって、理系に強いというわけでもなさそうだ。 <blockquote> ・成績劣等生の下記3名などは、一高中退後、無試験で入れる文学部に進んでいます 菊池寛は、一高中退後、京都帝大文学部に進み、作家となり文芸春秋社を創設。 山本有三や土屋文明は、一高中退後、東京帝大文学部に進み、作家や歌人に。 ******************************** また理系クラスも、東京帝大医学部・理学部・工学部進学ばかりではなく、 成績が悪いためかクラーク博士にあこがれてかで北大医学部とか、 金属工学を学びたくて東北帝大とか、物理をやりたくて京都帝大とか、いろいろです。 </blockquote> ネットを調べてたら、馬鹿サイトを発見 [https://news.infoseek.co.jp/article/president_76919/ 『47都道府県の「旧制一中」の栄枯盛衰…地元トップを維持する名門22校と凋落した元名門17校の全リスト』2023年12月25日 11時15分 ] <blockquote> ノーベル賞受賞者を2人輩出した洛北高校 28人の日本人ノーベル賞受賞者(米国籍取得者を含む)を見てみると、25人が公立高校出身で、そのうち7人が旧一中の卒業生だ。旧京都一中だった洛北は日本人ノーベル賞受賞者第一号の湯川秀樹、第二号の朝永振一郎を輩出した。 あとは、山口(山口)が佐藤栄作、日比谷(東京)が利根川進、松山東(愛媛)が大江健三郎、藤島(福井)が南部陽一郎、北野(大阪)が吉野彰である。 公立高校以外では、国立の大阪教育大学附属から山中伸弥。私立は同志社の江崎玲於奈と灘の野依良治だけで、受験に特化した教育の弊害だと思う。 </blockquote> 「私立は同志社の江崎玲於奈と灘の野依良治だけで、受験に特化した教育の弊害だと思う。」かあ。 そもそも戦前の私立大の多くは文系の学部だぞ、バーカ。よってその付属中高も、基本的には文系の学校だ。佐藤栄作とか並べるんだから(まあ彼は平和賞だが)、戦前生まれの話がメインだろう。 まず、WW2の前に富国強兵政策として、ようやく有名私大に工学部が出来た。さらに私大に理学部が出来たの、もっと後の時代。たとえば終戦時、明治大にも法政大にも理学部は無い。今でも法政大の学部は工学メイン。当時の理科大はそもそも理系教師を目指す教育大みたいな場所。工学院大とか芝浦工大とかああいうのは戦前は専門学校。 医者の学校も、戦前は多くが専門学校だし(医専)、そもそもがアカデミックな研究機関じゃないのだわ。また、森鴎外の脚気の失敗のように、アカデミックな人だからって成功するわけでもなし。 まあ、そもそもソ連なんてノーベル賞を輩出しまくったのに技術は三等国で、ノーベル賞の信ぴょう性そのものがあやしいが。大体、開催国のスウェーデンがねえ、いまや没落国家だし。 ノーベル文学賞もクソなんじゃないかねえ。夏目漱石なんて受賞してないけど、大江より日本じゃ価値あるでしょ。いやまあ、外人の価値は低いのかもしれないけど、海外の文学マニアそのものに価値が無いし。 == 農業への偏見の強い農学部・新設ブーム == [https://www.asahi.com/edua/article/13652480 山下知子『農学部、新設相次ぐ理由とは AI・ロハス…偏見なくしたら先進的でスマート 若者を魅了』2020.08.24 ] 21世紀のいまどき日本の大学の「農学部」を出ても農家になるわけではないし、そもそも大学がそういうカリキュラムではない。言い訳ていどに多少の実習があるだけ。 農家になる人が行くのは、農業高校か、よくて農業大学校とかである。 『偏見なくしたら先進的』とか言うが、しかし農業高校や農業大学校はブームではないわけで。 私は高校カリキュラムを調べてるから分かるが、'''地方の公立高校の地域連携型の農業コースなんて、生徒数不足ばかりで統廃合の対象'''だぞ。 たとえば * [https://www.youtube.com/watch?v=pFuDcdW_QVI HTB北海道ニュース『【人口減少で閉校へ】養蜂場にドローン…独自のカリキュラムなどで新入生が前年比倍増の留辺蘂高校(北見)』2022/09/15 ] * [https://www.youtube.com/watch?v=jRkxhJm2z6o 日テレNEWS『【地域の学校】生徒減少で迫られる決断… 高校再編に地域の人々は 愛媛 NNNセレクション』2022/10/27、2:00 あたり] など。 私、電機大の生命科学部の隣にある理工学部に通ってたけど、養蜂してる学生なんか見たことないわ。 いやもう、マジで、難関大学を褒めてる受験マニアみたいな連中どもに腹立つ。 つまり、実際の「農学部」への大学受験生の中身は、農家に「なりたくない」みたいな偏見を持っている層が、理系大学進学をしたいからという「農学部」ブーム。生命系を学ぶから、うまくすれば医療系への編入学にも使えるしって算段だろう。 つまり現実は、世間での農家への偏見が高まりすぎて、もはや「農学部」が農業を捨てて事実上の生物学科になったってのが実態である。なおこれは「工学部」も同様であり、今の工学部は実際は物理学科である。いまどきの物理学科では流体力学とか固体力学とか教えなくなったので、そういうのを工学部が引き受けているだけである。 つまり、大学の理系ブームの実態は日本社会としては悲惨なものであり、現実の大人社会の工業も農業も人気は復活していない。 「工学部」を出ても就職先は工場ではなくIT企業、農学部を出ても就職先は農場ではなくIT企業、そういう世界である。 まあ、国際経済学部とかでアフリカ経済とかを勉強しても、絶対にアフリカなんかに移住したくないのと同じ。 べつに文学部の国文科を出ても大多数は出版社に勤めるわけじゃないし、法学部を出ても多数は弁護士にも官僚にもならないし、英文科を出ても通訳になるでもないし。そういうのと同じ。 要するに、「工学部」や「農学部」も、法学部とか国際なんとか学部と同じになったってだけ。 あーやだやだ。こういうゴミ野郎が、「自分は農業に偏見が無い!」みたいに思ってるんだろうなあ。ゴミ野郎が == 教育ニュースへのツッコミ == [https://news.yahoo.co.jp/articles/d8135f4e975384c3081b5f0a6a087981493d775b 『【独自】必修の習字授業なく「君が代」指導もなし…国立奈良教育大付属小で不適切授業 検定教科書使われず学校教育法違反も』] いま、君が代が小1から小6まで必修なんですね。 ハッキリと文句を言うぞ、馬鹿政治家。 あのさあ、小学校1年がさあ、古文を理解できるわけないじゃん? そういう常識的な感覚わかんないのかね? そんなことも分かんないくせに、「美しい国」みたいなこと言ってるの?  馬鹿なの? 小学校1年って、コトワザすら知らないくらいだよ。「一石二鳥」とか「急がば回れ」とか知らないんだよ。 俳句と和歌と古文の区別すらついてないのが小学校低学年ですよ? やっぱ、文系のバカ政治家に教育政策は無理ですわ。シビリアンコントロールの都合で仕方なく、神輿を担いでるにすぎない。「神輿は軽いほうが担ぎやすい」って言うしな。 政治家自身が「急がば回れ」が出来ないお猿さんだから(東洋のマカーキ)、現実の子供の学力を無視して君が代の小1必修とかしてるんだからねえ。 == 教育学へのツッコミ == 『よくわかる学校教育心理学』、ミネルヴァ書房、2010年420日 初版 第1刷 発行、P165 <blockquote> 近年、英国社会は情緒的なスキルを犠牲にし、知能や学業成績を重視してきた結果、社会病理や暴力が増えてきました。 </blockquote> 暴力多いのは移民を増やしたからだろ。 田中耕治 編著『よくわかる授業論』、2011年2月20日 初版 第5刷 発行、P.161 <blockquote> 1989(平成元)年の改訂では、男子は技術系列、女子は家庭系列という扱いもなくなり、木材加工、電気、家庭生活、食物の4領域が男女の区別なく必修領域として設定されました。ここにおいて、男女共修の技術・家庭科が開始されることになります。 </blockquote> うちの公立中学では、1991年以降も技術家庭科が完全には男女共通ではありませんでした。当時ゲーム機に既にプレステとかサターンとかあった時代なので、1991年以降のはず。 当時の必修の「木材加工・電気・家庭生活・食物」は男女共通の授業でしたが、それ以外の単元が男女別でした。 男子は金工、女子は保育などがありました。なお、コンピュータは男女共通。 まあ、なんかの実験校だったのかもしれないが。 あ、思い出した。中高事代に塾で知ったんだが、いくつか離れた町の中学で、中学時代に三角関数を教えてたらしいわ。そういう話、聞いたことある。 塾講師はそういうのにも対応してどの地域の塾生にも分かるように講義するんだから大変そうだなあ。 アニメ評論家の岡田斗司夫が良く言うが、書店によくある『やさしいコンピュータ』とかの解説書が、わざわざ「やさしい」と宣言するジャンルが実際には易しくないように、わざわざ「男女共修」とか宣言するのは実際には男女共通ではない部分があるのが実態。 P.219 <blockquote> 高校生にもなれば男女問わず肌パックや整髪グッズを利用し身だしなみを整えるということは、子どもたちにとっては当たり前のことです。 </blockquote> 当たり前じゃねーよ。どこの底辺高校の地域だコラ。 うちの近所の割と校風のゆるい私立高校を幾つか見ても、整髪グッズ(ムース的なの? ほか整髪ジェルとか)なんか使ってないわ。 だいたい、運動部とかどうすんの? 汗でムースがベトベトになって気持ち悪いぞ(体験談)。 制汗スプレー(汗のにおい消しスプレーのヤツ)を使ってる女子高生とかは電車でチラホラ下校時刻に見るがさ。 さいきん近所の高校の吹奏楽部めぐりとか公民館に行って色々みたけど、特にムースしてる子なんか見んわ。 たぶん、化粧してるノイジーマイノリティの馬鹿ガキのカスがウルせえんだろうなあ。 べつに「ムース禁止すべき」とまでは言わないし不良だとも言わないが(私も学生時代に試しに使ったことあるんで)、部活動などでムース使用の必要性のある機会は、だいぶ限られるぞ(少なくとも運動部では不要を通り越して邪魔)。私が文化祭を見に行った範囲では、どこの文化部の女子高校生も使っとらんかったわ。 仮に一部の文化部で公演行事のさいにムースとか整髪ジェルとか使ってたとしても、けっして「身だしなみ」などという表現でいうような理由じゃないわ。もっと切実な理由だろうさ。たとえば演劇部員が髪型を維持するのに整髪料を使ったとしても、そういうのは普通の言語感覚では「身だしなみ」とはいわないでしょ。 マジで、こういった90年代のブルセラ社会学者みたいな知った風な物言い、腹立つわ。 酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.108 <blockquote> 特に1999年に出版された『分数ができない大学生』では、有名私立大学文系の学生の多くが分数計算のできない状況を明らかにし、大きな話題となった。 </blockquote> タイトルにある『分数ができない』は釣りタイトル。 実際に『分数ができない大学生』の本文を読むと、早慶マーチあたりの文系大学生が苦手とするのは中3~高校数学IAの二次関数あたりの範囲。 タイトルがもし『高校数学IAのできない早慶文系大生』だとしたら、世間の低学歴の高卒とか昭和の旧課程(『基礎解析』とかあった時代のジジババ)の人には買ってもらえないでしょ。だからジジババや低学歴の人にも分かりやすくするために、誇張した釣りタイトルをつけてるんですよ。 教育学者のくせに、匿名掲示板レベルの伝聞みたいな記述をしてんじゃねーよ。きちんと原典に当たれやオメー。 [https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/479175.html 平田オリザ「演劇を生かした教育」2023年02月07日 (火) ] 2023年12月03日に閲覧. <blockquote> 演劇教育の最大の目的は、他者理解にあると思います。 教育の世界ではシンパシーからエンパシーへという言葉が最近よく使われます。私はこれを「同情から共感へ」「同一性から共有性へ」と訳してきました。  シンパシーは、可哀想な人がいたときに可哀想だなと自然に思う感情です。情操教育などを通じて、こう言った気持ちを育てることも重要です。 </blockquote> 反論。幼稚園や小学校などの授業でお遊戯の演劇をしたことある大人は多いだろうが、現実として、大人のなかには発達障碍者もいる。 で、だいたい発達障害なんてのは、情操が幼稚なので、幼稚園児みたいな感性と思考力である。 結局、学問を抜きにしての芸術だの体育だけによる人間形成は困難である。学問を通さないと人間形成は難しい。 たとえば体育についてなら、もう明治時代から、福沢諭吉にすら体育(部活の運動部)の主導による人間形成は否定されている。 明治時代に慶應義塾の福沢諭吉が似たようなことを考えているらしい<ref>[https://web.flet.keio.ac.jp/~syosin/2016collabo.pdf 『「部活動」の起源と発展に関する教育史的研究』、2016年度山本ゼミ共同研究報告書 慶應義塾大学文学部教育学専攻山本研究会 、P10 ]</ref>。体育教育や部活動についての福沢の考えは下記のようらしい。 慶應義塾大学文学部教育学専攻山本研究会 著『「部活動」の起源と発展に関する教育史的研究』 <blockquote> そして福澤諭吉は、体育は単に立身出世の一手段に過ぎないのであって、体育を人生の目 的としてしまうことは、目的と手段を混同してしまっていると言わざるを得ないと述べ、 以下のようにも述べている。 </blockquote> そして、実際に福沢は下記のように発言したらしい。 <blockquote> 元来書生に腕力の不用なるは、恰も力士に学問のなきと一般なれども、唯如何にせん、 学理上肉体と精神との間に密接なる関係ありて、身体を健かにせざれば、智識を進る こと能はざるを以て、已むを得ず学校に体育の設もあることなり。然るに書生の輩が 体育を口実として漫に遊戯に耽り学業を怠り、剰さへ肉体の強壮なるに任せて有りと あらゆる不養生を行ひ不品行を働き、独り得得たるが如きに至ては、言語道断の次第 と云はざるを得ず(8)。 </blockquote> 美大も音大やそういうクリエイター系専門学校卒とかもメンヘラの巣窟だろうな。 平田オリザの界隈にはマスコミ業界人もいるだろうから慶応大卒もいるだろうけど、口先では演劇による人間形成に賛同しているだろうけど、口先だけにすぎず、彼らの出身大学のカリキュラムはそうなってないよ。慶応に限らず、早稲田や東大やマーチの卒業生のマスコミ業界人も同じ。 慶應に演劇学科なんてないもんな。日大に芸術学部があるくらいか。 そういうウソをつくことに抵抗感のない人がマスコミ業界人。まあ、視聴者がコジキで無料コンテンツばかり見ている他責のゴミ人間だから、そういうサイコパスっぽいマスコミ業界人のほうが、ちょうどいいんだろうね。 田中耕治 編『よくわかる教育課程 第2版』、ミネルヴァ書房、2018年2月28日 第2版 第1刷 発行、P.199 節「生活科の設置とその意義」で、 <blockquote> また、このころ小学校に入学した子どもたちが、授業中に座っていられない、教師の話を聞かない、子ども同士のけんかやトラブルが多発するなど学校にうまく適応できない、いわゆる「小1プロブレム」も問題となっていました。このような要因から、低学年における合科的な指導の必要性が認識されるようになりました。 </blockquote> ↑このロジックが正しいとすると、生活科の導入によって小1プロブレムは解決するか、または解決に向かわなければいけない。 しかし、現状は2010年代以降も引き続き、プレジデントオンラインでも小1プロブレムが言われている。[https://president.jp/articles/-/24789?page=1 汐見 稔幸『「小1問題」の本質は学校の古臭さにある 』 2018/04/08 11:00 ](2023年に12月2日に確認) たしかに1980年代の当時は、上記のようなり理屈が言われてたと言う歴史そのものは、正しいのだろう。結局、当時の人の言っている事が、間違っていた、というだけでしかない。 それどころか、同著『よくわかる教育課程』P114を見ると、 <blockquote> 2000年ごろに「小1プロブレム」が注目されるようになって以来、幼少連携の実践が広がっています。 </blockquote> とすらある。 <blockquote> 2008年の小学校学習指導要領では、小1プロブレムの解決に効果的であるとして、生活科を中心とした「スタートカリキュラム」の編成が推奨されました。 </blockquote> とすらある。 しかし、プレジデントオンラインの記事で2018年にもなって、引き続き「小1プロブレム」が言われてるのだから、要するに、少なくとも、上述の複数の学説のうち、どれかが間違っている事になる。 書籍の著者の田中耕治さんの学説が間違っているという事ではなく、田中さんの紹介している教育学界隈の学説のどれかは間違っている可能性が高い、もしくは、学説の正しさが十分には証明できていないという事。 個人的な意見としては、そもそも「小1プロブレムって、90年代の当時、そんなに現場で深刻だったか?」と思う。自分の小学1年のころの80年代の体験では、とくに教室で暴れまわるガキが多いとかの印象は無い。そりゃ私語の多いガキはいたけどさ、先生が注意したら普通に生徒は黙りますよ。 よく少年法の議論で、「少年犯罪の増加とか凶悪化とか言うけど、実際に統計を見ると戦後から一貫して少年犯罪は減少傾向だ」という学説がある。それと同じじゃないですかねえ。 騒ぐとしたら、移民のガキとか、そういう連中でしょ。 なお、1990年代後半、たしかゲームプロデューサーの広井王子が、ラジオ番組『広井王子のマルチ天国』で、文部省がすでに小1・小2の理科・社会科を廃止して生活科を導入したことについて、批判していた記憶。広井は「文部省、バッカじゃねーの」と言っていたような。「文部科学省」ではなく「文部省」と言ってディスってたんで、2001年の省庁再編よりも前の発言のはず。 生活科自体はもっと前から1992年からあったが(wiki調べ)、たしか1990年代後半(エヴァンゲリオン旧劇が流行してた頃)、なにかテレビのニュース番組では生活科の指導要領か何かが大きく変わるニュースがあったはず。 証拠に、明治図書のサイト[https://www.meijitosho.co.jp/sp/eduzine/gameidea/?id=20121017 上條晴夫 著『子ども主導型の「学びのしかけ」を考える―「インパルス」 』2012/12/15 掲載]でも <blockquote> 1990年代後半ぐらいに、日本の教育界はある大きな曲がり角を曲がります。  教師主導型の教育ではなくて子ども主導型の教育へ授業づくりへと変えることができないかという、大きなチャレンジを開始したからです。  一番大きなキーワードは「支援」という言葉でした。それまで熱心に教師主導型の教育技術の開発・普及をしてきた先生たちの動きがピタッと止まります。代わりに子ども主導型の教育技術の開発・普及を行ってきた先生たちの動きが勢いづきました。授業で言うと「生活科」と「総合的学習」の導入です。  この大きな変化が完全に定着をしたかというと、もちろんそうではありません。その後はゆり返し、ゆり戻しの動きが起こって、今はむしろ教師主導型の教育技術の勢いの方が強いくらいです。しかし、一度、大きな曲がり角を曲がって、子ども主導型の教育技術の開発・普及を行う先生方が表舞台に出たことの意味は決して小さくありません。教師主導ではない教育技術のあることが白日の下にさらされたからです。 </blockquote> 広井のラジオ番組の発言のように、もう1990年代後半の当時のオタク産業では生活科が馬鹿にされてたはず。 90年代当時からもう、教育学者と文部省がバカにされてて、なんか机上の空論みたいなのを教育学者が言ってるというイメージで、それを文部省が指導要領に取り入れる、みたいに馬鹿にされてた記憶。少なくともオタク産業ではそういうイメージ。 ほら、エヴァンゲリオンでも作中のマグマダイバーの回で、日本のカリキュラムがおっくれてーるーみたいにアスカラングレーから馬鹿にされてたじゃないですか。 数学者などの出した1999年の『分数が出来ない大学生』シリーズよりも前に、もっと前から教育学者がバカにされてたという証拠が広井王子のラジオ番組。 なお、「総合的な学習の時間」は小学3年生以上を対象にしており、生活科は小学1・2年生を対象にしており<ref>中澤潤 著『よくわかる教育心理学 第2版』、ミネルヴァ書房、2022年3月31日 第2版 第1刷 発行、P107</ref>、対象の学年が異なる。このため、「生活科と総合学習が重複している」という指摘は制度的には当たらない(※ 生活科と総合学習が、重複だと批判する意見が世の中にはある)。 谷田貝公昭・石橋哲也 監修『コンパクト版 新保育者シリーズ 新版 教育原理』(一藝社)、2018年3月30日 初版 第1刷 発行、P.12 いわゆる、オオカミ少女のアマラとカマラの話を紹介しており、 <blockquote> ここで思い出されるのは、幼い時にオオカミにさらわれた人の子が、後年見いだされたときは、四足で歩行し、その習性は狼と変わらなかったと言われ </blockquote> <blockquote> この報告は、ゲゼル(Gesell, Arnord, 1880 ~ 1961)によって『狼にそだてられた子』(原題は『狼の子と人間の子』="wo;f child and human child")と題して、一冊の本にまとめられている。 </blockquote> ツッコミは、これは作り話だと現代では言われている。[https://www.excite.co.jp/news/article/Real_Live_16816/ 『「オオカミ少女・アマラとカマラ」は嘘だった!?』, 2014年01月25日(土)20:59 ] <blockquote> 彼女らはシング牧師の庇護のもと、次第に人間社会に馴染み人間らしさを取り戻しつつあったが、数年後に病死してしまったという。  現代でも適切な保護・教育を受けられず育った子供の事例として取り上げられる『アマラとカマラ』だが、この話の信頼性については大きな疑問符がつけられる。まず、彼女たちの保護された状況に齟齬が見られること、彼女たちの身体的特徴のうち一部はシング牧師や彼の近縁者からしか報告されていないこと。また人間が狼達と共生するには生物学的な壁があるため不可能とする説もある。例えば狼は日に50キロもの距離を群れで走って移動する。これに野生動物に比べ遥かに身体能力に劣る人間の乳児ないしは幼児が同行できるとは考えられない、などだ。  更に彼女たちを納めたスチール写真に『年代や月日、場所が違う筈なのに背景や彼女たちの背格好が酷似している』ものが複数存在している事も判明している。  この事から、現在では彼女たちは先天性の身体・精神的障害を患い棄てられた孤児であり、野生児の背景は教会への援助を得るためにシング牧師らが誇張したものがそのまま伝わってしまったと考えられている。(山口敏太郎事務所) </blockquote> ほか、もう2008年に下記の題名の書籍が出版されている。 [https://www.amazon.co.jp/dp/478851124X/ref=cm_cr_lh_d_bdcrb_top?ie=UTF8 鈴木 光太郎 著『オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険』2008/10/3 ] 上記書籍『オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険』の発刊の2008年 から 2018年『コンパクト版 新保育者シリーズ 新版 教育原理』発刊までの10年間、教育学はなんも進歩してきてこなかったのだなあ。 「なるほど、教育学では査読とか機能してないんだなあ」と実感した。 2008年から1年間くらいなら見落とすのも仕方ないかもしれないけど、しかし10年も期間があって見落とすのは、元から教育学の体制の問題がある。 [https://www.youtube.com/watch?v=s1NzY-p4NDw 【公式】HOME広島ニュース『【子育てと学ぶ】専門家「教育予算は十分と言えない」教員不足解消に一役?複業先生とは…(カミコとマナブ)』2023/10/29] この動画で、教育予算を増やすべきだと言っている。 以下、批判として、別サイトから引用。 [https://shosetsu-maru.com/rensai/shinumadebenkyou-009 『出口治明の「死ぬまで勉強」 第9回 日本の教育予算が低いわけ』2018/10/25] <blockquote> 「給与は上がらないのに、税金や年金などの負担が増えている」と実感している人は少なくないでしょう。しかし、世界的に見ると、じつは日本の国民負担率(国民所得に対する、租税負担と社会保障負担の合計の割合)は低いほうです。  OECDの統計によると、対象34ヵ国のうち日本の国民負担率は下から7番目で42.6%。それに対して、フランス、ベルギー、デンマーク、イタリア、フィンランドなどの欧州諸国は60%を超えている国が多く、スウェーデン、ノルウェーなども同じような水準です。 </blockquote> 税金を増やすと文句を言うくせに、教育費を増やせと文句を言うテレビ広島って乞食(こじき)だよね。視聴者の広島県民が乞食なんだろうな。 「高福祉、高負担」って習ってないのかね? 社会保険料や国民健康保険料に文句を言うようなマスコミ視聴者連中のコジキどもが、公教育のための増税に文句を言わないはずはない。 あ、思いついた。「教育国民保険」みたいなのを作って(「国民教育」だと日本史とか国語の教育みたいな別の意味になってしまうので「教育国民」の語順で)、全国民から一律に一定額を徴収すべきだわ。月5000円~1万円くらいで。そして、乞食どもに負担をさせるべきだわ。 消費税とかを財源にすんじゃなくって、保険税にすべきだわ。そして乞食に負担させろ。 『検証・学歴の効用』でも、民意を批判しており、高福祉を政府に望むくせに高負担したがらないダブルスタンダードな態度の民意は批判されている<ref>濱中淳子 著『検証・学歴の効用』、勁草出版、2013年6月25日 第1版 第1刷 発行、P228~P232</ref>。 <ref>濱中淳子 著『検証・学歴の効用』、勁草出版、2013年6月25日 第1版 第1刷 発行</ref> P228から始まる章『4 教育を軽視する社会 地に足がつかない「北欧好き」』で、(※ もうこの時点で日本の北欧かぶれを批判する章タイトルである) 日本人は、学齢期の子どもがいるかどうかで、教育の公財政支出を望むかどうかが変わる事実を、アンケート結果をもとにつきとめ、 P.230 <blockquote> 中学生以下の子どもがいれば学校教育施策への公財政支出を重要だというが、子どもが中学を卒業してしまえば、その思いは冷める。 </blockquote> とある。さらに P.232 <blockquote> 単に北欧のイメージが好きで、教育や社会保障を充実してほしいものの、税金の負担には賛成できないというレベルの結果であるようにもみえる。 </blockquote> とある。 ああ、思い出した。法政大に通ってたとき、私はモグリで教職課程の講義を聞いてたんだけど、 教職課程の教員が、授業で「少人数制教育とか色々と言ってる評論家が世間にいるけど、でも国はいま財政難だから、教師の人手は増えない見込みが高いですよ」ってなことをゼロ年代にもう言ってたわ。 法政大なんて革マル派の拠点のサヨク大学で有名なのに、その大学ですらもうゼロ年代に予想されてる教育費の財源の問題に2020年過ぎにもなって気づかない田舎者の地方ローカル放送局のテレビ視聴者って、本当に情報弱者すぎるよな。 清貧ヅラした田舎者。 * ミネルヴァ書房、『よくわかる教育学言論』、章節 VII-5 『隠されたカリキュラム』P.100. 批判 これは著者への批判ではなく、学会への批判なのだが、 「隠されたカリキュラム」という用語があって、学校での規律などの教育を意図的に隠していると界隈は言うのだが、 そもそも、平成以降の日本の学校は隠して無くね? って思う。(19世紀とか第二次世界大戦前とかは、どうか知らない) 規則(Rules)・規制(Regulations)・慣例(Routines)の3Rが「隠されたカリキュラム」だというのだが。(もともとは「潜在的カリキュラム」という言い回しだった。「見えないカリキュラム」ともいう流儀もある。) 少なくとも、平成以降の高校以上では隠してない。だって学校説明会とかで、校則や学風や校風といった規則・規制・慣例を明示してるじゃないですか? その規律とかを、直接は教わらずに、雰囲気から学ぶように要求されてるなら、隠れたカリキュラムと言えるかもしれないけど、 でも、それ、実態とあってなくね? 学校説明会とかで明示されるし、入学後も生徒手帳とかに校則が明示されてたはず。 高校以前の教育でも、結構な規律が、幼稚園~小中学校で、教育者から口頭で言われたと思うが? 「授業中に私語をするな」とか、「イジメをするなとか」、「物を盗むな」とか犯罪するな系とか、「ツメは定期的に切れ」とか、「同級生を叩くな」とか、「〇〇するな~」とか、普通に言われたり他人が言われたのを見た記憶がある。 ジェンダーうんぬんを同著では言及するが、エビデンス的には普通に口で教師や親などから指導されてるよね? 男子は女子トイレに入るなとか幼稚園とかで習うだろうし、男なら髪を伸ばすなとか親に言われてるはず。 中学入学以降なら、校則とかで、頭髪検査とか明示されてるし(されてた)。 規律が明示されてるというエビデンスなら枚挙にある。「隠されたカリキュラム」は2000年以降、隠されてない。元の言い方の「潜在的カリキュラム」と言うなら反論は無い。 「見えないカリキュラム」ですなく、もはや校則ですらネットの発達で世間には見えている。私立なんか、自発的に校則や校風などを明示して宣伝しているほどだ。 どうも「隠されたカリキュラム論」、フェミニズム社会学と同レベルの、エビデンス無視の陰謀論っぽい。 結局、フェミ連中みたいな左翼連中が、自分たちの要求が世間に通らないのを、社会の洗脳のせいだと言いたくて、それを時代遅れの「隠されたカリキュラム」論を使って正当化してるだけでしょ。 だから、この本でも <blockquote> 男女別の名簿や男性中心的な教科書の内容、性別による教師の対応の違いなどが、性についてのステレオタイプな見方を隠されたメッセージとして伝えていると指摘しています。 </blockquote> とジェンダー論を記述しているんであって(P.107)。 あと、もひとつツッコミ。名簿って、隠れてないよね。 私、小中高で保健委員とかしてたから、名簿を毎日見たりしたよ。仮に保健委員をしなくっても、卒業アルバムとかで名簿と同等の卒業生一覧を見れるはず。 あと、2010年以降、もう多くの小中高で、名簿は混合になってるか、少なくとも卒業アルバムの生徒一覧は男女混合になっているし、授業中の座席の配置も混合になっている。座席については学校見学とかを見に行けば見れるはずだし、見学をいちいち見なくてもネットにある学校紹介の動画とかで見れる。 いやまあ、著者がそう言ってるんじゃなくって、教育学界隈がそう言ってるんで、著者に文句を言っても仕方ないんだが。 とりあえず批判として、教育学界隈は、論理構成が浅い、甘い。理系だったら、けちょんけちょんに批判されてるような論理構成。 卒業研究とかで教授にツッコまれまくるアレ。理系なら「素人質問で恐縮ですが」ってツッコまれるアレ。教育学部はツッコミどころが違うんだろうな。 論理構成を見てるんじゃんくって、お作法を守ってるかを見てるという。それこそ、批判されてる「隠れたカリキュラム」じゃないですか。 あ、『悪口は自己紹介』っていう格言があるね。「隠されたカリキュラム」論は、教育学部の自己紹介、教育学界隈の自己紹介って事か。納得。 エビデンス検証の論理構成の甘い、エビデンスよりも価値判断重視の姿勢こそが、悪い意味での「隠されたカリキュラム」だと批判しておく。 「男性中心的な教科書の内容」って記述も、理系批判っぽいなと、私は疑っている。もちろん実際は理系こそ、キュリー夫人の例でも分かるように実力主義なのだが(数学者ネーターとかでも良い)。 だって、社会科とか、もうかなり前から中高の教科書で、ジェンダーとかフェミニズムとかの内容を紹介してるよな。それこそ私が子供だった2001年ごろからもう、当時まだ「ジェンダー」という用語こそ中学教科書になくても、女性の権利がどうのこうのとか教科書で言われてて、大正時代の平塚らいちょう がどうのこうのとか教育されてたし。 フェミイデオロギーに従わない理系を、「男性中心的」だと批判している、論理のすり替えではないか。 いやもう、フェミ社会学を筆頭とする社会学の印象論は、文系学問のガン。 <blockquote> 「隠されたカリキュラム」の存在は、家庭や地域の経済的不平等の視点からだけではなく </blockquote> 経済的不平等うんぬんは、そのカリキュラム内容が地域差がある場合に生じうるのであって、隠れていても全国統一なら、別に格差要因にならないよね。 名門私立高校の校風なんて、まさに潜在的カリキュラムだけど、隠していないし、でも全国統一化された教育じゃないから庶民階級との格差要因なわけで。 教育学界隈の主張はこのように、エビデンスに反している。 P103 公立中高一貫校について、 <blockquote> 「高校受験がなくなり、ゆとりある学校生活が送れる」というメリットが強調され、教育課程の作り方・実行の仕方次第で、大学受験のためではない教育が可能となる、という実証データも得られました。 </blockquote> ↑チョー詭弁。根拠は [https://www.asahi.com/edua/article/14753404 EduA編集部『公立中高一貫校の難関国立大合格率ランキング、トップは県立千葉高校 大学通信が調査』2022.10.28 ] [https://president.jp/articles/-/71595?page=1#goog_rewarded プレジデントFamily 中学受験大百科2023『「親孝行の子供よ、ありがとう」小石川中教、県千葉、西京…公立中高一貫校から難関国立大合格率トップ50校 』 2023/07/13 11:00 ] そもそもこいつの理屈だと、高校受験のある工業高校も商業高校も中高一貫校ではないので、工業高校も商業高校も大学受験のための教育となってしまうが。 コイツ、内心はかなり高卒就職を差別しており、読んでてすげえ腹立った。 このクソ偽善者が。 高専とか無視してるのも疑問。高専だって、大学2年あたりの内容まで一貫だが、その後は編集試験はあるぞ。 高校受験のある総合科高校とかも無視してるし。 P117 <blockquote> もちろん、全国の学校における「学力」の向上に、家庭の教育力が大きな意味をもつことは、文部科学省の全国学力・学習状況調査などによっても、成績上位の秋田県の秋田県での家庭学習の果たす役割の重視などで明らかにされてきましたが、それのみでなく、家庭における人格形成がその子どもの学力の向上に役立っていることも確かです。 </blockquote> 全国学力テストは、私立の半分は参加していない。 また、科目は国語と数学(小学生は算数)だけである。 下記のYahoo知恵袋の批判が、的確だろう。 [https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1234747872 Yahoo知恵袋『全国学力テストで秋田県が1位の理由がわかりますか?』 ] <blockquote> kjh********さん 2010/1/6 20:34 簡単なことです。 首都圏をはじめ、都会になればなるほど多くの人が小学校や中学校のうちから私立に進学します。つまり優秀な人は私立などに進学し、そうでない人が公立に残ります。多くの私立では学力テストに参加しませんので必然的に受験が定着してない田舎の秋田県などが上位になります。 冷静に考えて優秀な学校がなく、学習環境が劣悪な秋田県が実力ありきで一位ということはあり得ません。学力テスト自体が今の教育現場を考慮してないものということですね。 </blockquote> 他サイトのPDFでは、下記のような批判もある [https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3050275_po_071303.pdf?contentNo=1 戸澤幾子 『全国学力調査の見直し』 2010. 6 ] <blockquote> 平成 21 年度はすべての公立小中学校が参加する中で、私立学校の参 加率は低かった。東京都など、私立中学校への進学者が多い地域では、調査結果から地域 の実態がわかりにくく、調査の信頼性にも影響すると言われる。 </blockquote> * [https://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/toritsu_senmon/2009/pdf/data_08.pdf 高木 稚佳(東京大学教育学部)『高校生の「勉強意欲」―進路多様校の普通科と専門学科を比較して ―』] の論文PDFに対する批判。 P.51 <blockquote> まず、高校生の勉強意欲の低下を示す調査 を挙げたい。日本青少年研究所(2009)が行 った、高校生の国際比較調査の結果によると、 日本の高校生の 1 日の勉強時間は、10年前と 比較して1.5時間ほど減少している。また、 学校の勉強を「きつい」(「とてもきつい」+ 「まあきつい」)と感じている高校生は約 8 割 で、調査対象 4 か国(日本、アメリカ、中国、 韓国)中もっとも多かった。日本の高校生の 勉強への意欲が、際立って低いことがわかる。 </blockquote> ↑ それ、低いのは家庭での自発的な予習復習の時間であって、「意欲」の高低じゃないよね。話題をスリかえんなよ。 「高校生は家庭学習をすべきだ」という、単なるお前のイデオロギーでしかない。 学校の勉強の「きつい」というのも、それは意欲と関係ないよね。 たとえばスポーツ選手は練習がきついけど頑張るじゃん。同様、「勉強がきついけど頑張りたい」みたいな子だっているわけで。「きつい」の回答者のパーセントの割合は、なにも意欲の証明になってない。 この人、スポーツとかしたことないの? <blockquote> Benesse教育研究開発センター(2005) の調査では、「勉強しようという気持ちがわか ない」という質問への回答を学年別に示して いる。それによると、「そう」(「とてもそう」+ 「そう」)と答える生徒は、学年が上がるにつ れて増加し、高校生でピークに達する(小学生 で36.2%、中学生で56.3%、高校生で59.6%)。 また、同調査には、高校生の家庭での平均学 習時間が示されている。進学校に通う生徒が 平日85.7分、休日120.5分であるのに対し、進 路多様校に通う生徒は平日17.4分、休日23.6 分であり、高校偏差値層による大きな開きが あることがわかる。 以上の調査の結果から、高校生の勉強意欲 の低下が示された。 </blockquote> 示されてねえよ。フザけてんのか。 示されたのは、「家庭学習をしたい」という気持ちの低さだ。 部分集合と全体集合とをスリかえんなよ。 * 有斐閣アルマ 『新しい時代の教育方法』批判 P169批判 『第7章 授業をどうデザインするか』への批判 <blockquote> 「これは、工場の組み立てラインのようなイメージではなく、1つの芸術作品を制作するというイメージで授業をとらえるものである。」 </blockquote> ↑ ライン設計者は設計(design)してるし、芸術家はデザイナーではなくアーティストだし、アーティストの中にはグラフィックデザインなどの分野を嫌う人すらいる(知人)。 <blockquote> 「そこでは設計図通りに授業が進むことをあまり考えてない」 </blockquote> ↑ 「設計」は英語でdesign だと分からない業界が教育学か。英和辞典を調べられない業界に教育を語られても。 授業が計画通りに進まないこともあるという意見自体は、まあ、特に反対はしない。 <blockquote> 「教師用指導者や市販のワークシートや授業のマニュアルに従って、授業を進めていくとしたら、それは授業のデザインとはいわない。」 </blockquote> ルーティンワークは悪いのだろうか? ワーカーはデザイナーより職業差別されるべきなのだろうか? また、医者の多くはルーティンワーカーではないだろうか? 医者が標準医療を無視したら社会悪では? 土木や電力など社会のインフラは、デザイナー(設計者)以外の多くのメンテナンス技術者によって支えられている。ほぼルーティンワーカーである。 著者の職業差別が透けて見えて、かなり腹立つ。 P171 国語について <blockquote> 「教材文が扱っている題材に関する知識や筆者の主張が学習内容になり、理科だか社会科だかわからない授業になることもあった」 </blockquote> と言ってるが、そういう歴史もあったのかもしれないが、しかし直前ページの著者のデザイン論から論理が飛躍している。 P172 <blockquote> 「要するに、国語科の教科内容が曖昧だったのである。」 </blockquote> ↑ それ、デザインと関係ないよね。文科省あたりに不満を言うことはデザインとは言わないよ。不満を解決できそうな具体案を提案することがデザインだよ。それは高校の情報Iの情報デザインの単元でも習う事だと思うが。 ともかく、論理構成がおかしい。個々の言ってる内容自体には、特に反論は無いが、論理構成が全体として飛躍ぎみ。 P176 <blockquote> 「単なる詰込みやドリルでは知識・技術が身につくことはない」 </blockquote> ↑ エビデンスに反しており、間違っている。 反例は漢字ドリルや算数ドリルなど、いくつもある。著者の願望でしかない。スポーツの素振り、美術でもデッサンやスケッチを多く描いて手で覚えるのを無視。 高校あたりからの教育なら、教育内容の抽象度が増してくるのでドリル等の有効性が下がる可能性も考えられるが、だからといって小中高ひっくるめて「身につくことはない」と断言できるものではないだろう。 身についてないのは教育学界隈の論理的思考力だろう。 P178 <blockquote> 『古谷教諭は子どもに「知の喜び」「知的好奇心」を味わわせたいと語っていた』 </blockquote> ↑ だったらドリルでも知的好奇心を味わえればいいんじゃないか。先ほどのドリル批判の主張の証明になってない。 漢字ドリルに知的好奇心を感じる子どもとか、ガン無視か。 ああ、ゆとり教育時代に、数学好きの学生がガン無視されてたのを思い出して、なんか腹が立ってきた。 P180 <blockquote> 『「勉強」は往々にして入学試験や学力テストのための「ごまかし勉強」(藤澤,2002)に陥ることがある』 </blockquote> 定期試験では丸暗記は効くけど、入試では効きづらいのが実態。 理系の大学受験の場合、中堅校以上では入学試験で丸暗記の勉強では通用しないのが普通。文章題が一切解けないので。 高校受験でも、一定レベル以上の偏差値の高校では、丸暗記みたいなのは通用しない。国語の現代文と数学で沈没するので。 定期試験だったら授業で習ったことを丸暗記できるが、入試は定期試験ではないので。 P.180 <blockquote> 「教室という空間は、多くの子どもが集まって学ぶところであるから、当然、対話的・共同的な学びあいが前提である。」 </blockquote> 前提ではない。お前は満員電車の中で対話しあうのか? 会社の研修だって、社員どうしで議論なんかしないが、それでも学習成果を出している。議論というか打合せとか会議とかをすることはある。 著者は論理的に飛躍している。 私が言いかえるなら、「せっかく学校には学力が同程度の多くの子どもが集まっているのだから、家庭ではできない、対話的・共同的な学びあいの機会も設けたほうがいいだろう」くらいの言い回しなら分かる。 P186 <blockquote> 「単なる記憶や受動的理解ではなく」 </blockquote> と言うが、しかし語学などの学習は暗記の比率が高くないだろうか? 法学などでも、事務系の地方公務員あたりになるなら、法律の内容は暗記せざるを得ないだろう。 医学も、解剖学などは暗記せざるを得ない内容である。 単なる暗記をしなければいけない分野もある。 この人は「ワーチ」と言う学者さんを引用して述べてるが、その人がどんなに偉いか知らないが、偉い人の理論だろうが現実と合ってないなら、その理論はマチガイなんだよ。 絵の練習法と同じで、理論通りに練習してうまくならないなら、その理論は間違ってるんだよ。 P190 <blockquote> 「生きて働く力」  </blockquote> 「生きて働く力」を教えるために暗記はダメみたいな事を言うが、しかし実学を教えれば済むだけではないだろうか? P190 <blockquote> 「席に述べたように、プログラム型の系統学習(一定の科学的な知識・技術を発達段階に沿って学習させる教師主導タイプ)かプロジェクト型の問題解決学習(子どもの興味・関心をもとに学習課題を決めて追求する学習者中心タイプ)かという二元論ではなく、それぞれの長所を生かすような統合型学習システムの構築があらためて確認できる」  </blockquote> → 読んだが確認できませんでした。直前の文章から、論理の飛躍がある。「確認できるものであってほしい」という著者の願望では?  それとも、先って別の場所? 先ってどこ? P190 「実践的にいうと、」 (中略)「単調で機械的なドリル学習で技術を身につけたりするのではなく」 ↑ 間違っている。反例は、少なくとも小学校レベルの国語の漢字学習など、ドリル的に訓練するしかない。英単語もほぼ同様。そういう実例を無視してる時点で、実践的でないだろう。 P202 ここから第8章 P202 <blockquote> 『各種の実態調査によると、「学びからの逃走」と言われる事態が進行している。「国語ぎらい」や「理数離れ」を示すデータもある』 </blockquote> ↑ そういう論文もあるんだろうけど、しかし大学入試の実態では、2001年以降、理系学部の難度はどんどん上がったのが現実では? 高校の理系コースを選択する生徒も増えたと聞くし。少なくとも私の地元がそう。 過去の論文と実態があってないなら、その過去の論文の解釈が間違ってるだけでは? 行動経済学とかでいう「その人の言ってる事とやってる事が違う場合、本音はやってる事のほうだ」っていうアレ。 理論と現実が合わないなら、理論を修正すべきでは? なのに現実を修正するのは、危険思想では? 予言の実行部隊(オウム真理教)じゃあるまいし。 あと、大学進学率は、80年代から2010年くらいまで、たしか上昇傾向。 まあ、あまりこの章の本質ではない、単なる前書きなので、こんくらいにしとく。その後の主張内容は、まあ当分のページは、特に反対は無い。 P.214 <blockquote> 「ただし、注意しなくてならないのは、一斉授業からグループ学習へという学習形態の転換を意味しているものではないということである。一斉授業の形態でも、全員参加の協同的な学びあいの授業は可能である。」 </blockquote> 文科省か何かの『学びあい』プロパガンダに辻褄合わせするための論法でしかない。 どう授業運営しようが、生徒どうしがグループ学習で教えあってる時間は、教師は一斉授業の講義をできない時間である。なぜなら決して聖徳太子みたいに複数の人の話を同時に聞けないのが一般人だから。私も含めて。 もし反例があるとするなら(背理法)、生徒全員が聖徳太子みたいに7人の意見を同時に聞けるなら、生徒と教師の話を同時に聞けるかもしれないので一斉授業しながらグループ学習できるだろうが(皮肉)。 しかし、そんな聖徳太子だらけの天才エリート学校の話を聞いたことない。 なお、個人的な意見としては、別に一斉授業と生徒同士のグループ学習とを併存させることには、別に反対しない。論法がおかしい、プロパガンダのつじつま合わせだと批判してるだけ。 P216~P217 批判的な文脈で、(授業でグループ学習などの) <blockquote> 「話し合いが盛り上がってきても、課題の追究が佳境を迎えても、時間がくれば授業は即終了ということになる。」 </blockquote> とある 次のページで改革案の実例として 「モジュール学習はそうした試みの一つであり」~(中略)~「1日の英語の授業(50分)を2日に分けて25分で行うといった事例がある。」 とある ↑これは思考回路が矛盾してないか? 議論が盛り上がってもっと長く授業を続けるべきだというような文脈を話した次のページでの「モジュール学習」では、英語の1日あたりの授業時間が短くなって分散されているからである。 単に伝統的なカリキュラム運営を批判したいだけの難癖でしかない。 国会が野党が与党の粗さがしをして、自党のことを棚に上げて批判して、ブーメランになってるアレと同じ。 なお、同 P.216で「こうした形式的で堅苦しい「制度の時間」ではなく」  と著者は批判しているが、しかし制度変更をして1日の英語の時間を変更して 50 → 25 +25 に変えただけにすぎないので、あいかわらず制度は続いている。 ともかく、著者の論理構成がおかしい。 なお、私の意見としては、モジュール学習という教育法があること自体は別に批判しない。 P225 『「教育評価」(evaluation)を提唱したタイラーは、』(中略)『学習活動の改善を目指す行為であると規定した(タイラー、1978)』 『しかしながら、第二次世界大戦後に日本で採用されたのは、タイラーとは対立する立場といえる「教育測定」(measurement)運動によって生み出された相対評価であった』 ↑ とりあえず、理系とか経営学に関するかぎり、測定と改善運動は排反しないんで。工場のQC運動とかトヨタ式カイゼンとかどうなる。ああ、ここでも、この本の執筆陣たちの工場労働者に対する職業差別が・・・。 つうか、情報IのPDCAサイクルの教育でも、改善と測定を両立させてるんだが・・・。 いやまあ、タイラーさんとやらは、測定を批判してたのかもしれないけどさ。 何度も言うが、理論と現実が合わないなら、その理論は修正されるべきでしかない。 理論に合わせて現実を変えるのは危険思想。 P226 <blockquote> 「第2は、相対評価のもとでは、「4」や「5」をとろうとすると、もともと「4」や「5」をとっていた者を事実上引きずりおろさなければならないという、イス取りゲームのような排他的な競争が常態化する。」 </blockquote> ↑ 少なくとも、引きずり下ろしは常態化してません。たとえばマラソン陸上などの多数相手のスポーツの順位も相対評価だが(絶対評価だとしたら、お手手つないでゴールインになってしまう)、(そもそも反則だが)引きずり下ろしは起きてない。 相手が複数なので、1人引きずりおろしても、他に何人も相手が無数にいるので、勝てないからである。 なお、このアイデアは、岡田斗司夫が90年代に対談集『マジメな話』で語ったような反論。90年代から20年以上、いったい文系の学者は何をしてきたのか。 格闘技のような1対1の「勝負」だったら相手を引きずりおろして勝てるけど、陸上のような「競争」では相手の一人を引きずりおろしても残り多数がいるので勝てないので、だから競争思考の人のほうが健全だと岡田は言っている。 頭の健全じゃない人は、「競争」思考ではなく「勝負」思考だと岡田は言っていた。 :※ ただし、他文献『よくわかる教育心理学 第2版』(中澤潤 著、ミネルヴァ書房)によると,教育学の用語では、1対1など少数参加者の勝負の場合でも「競争」に含める。つまり、2名しか参加しない場合でも(1対1の競技参加者は合計2名)、「競争」という<ref>中澤潤 著『よくわかる教育心理学 第2版』、ミネルヴァ書房、2022年3月31日 第2版 第1刷 発行、P104</ref>。 :競技参加者を変数 n とすると、n=2の場合が「勝負」、n≧2の場合が「競争」という事になろうか。nが多い場合だけを表す専用の用語が無いのが現状。 :海外の論文でも、そういう教育学的な使い方で「競争」(competition)というので、日本人に文句を言っても仕方ない。海外では、協同と競争 (corporation and competition)、というダジャレになってる。 :Relationship between student attitudes about cooperation and competition and attitudes toward schooling. Citation. Johnson, D. W., & Ahlgren, A. (1976). という論文がある(有料)。 :まあ、海外の教育学者がオタキング岡田よりも馬鹿、という事だろう。 「イス取りゲーム」であるというのは、まあ同意。 そもそもイス取りゲームで引きずり下ろしはしないし。私の幼稚園時代がそうだった。 個人的には、指導要領で要求している最低限レベルの常識的内容については絶対評価をして、それ以上の発展的な内容の知識については相対評価をすれば済むのでは?と思ってる。 幼稚園のイス取りゲームとかそうでしょ。幼稚園のイス取りゲームは勝者がいるんだから相対評価ですよ。でも幼稚園全体では相対評価の通知表とか出さないでしょ。 あと、相対評価ではなく絶対評価をしても競争は別になくならないのは、大学受験や高校受験とかで英検の級とかTOEICスコアが私大とかで評価されるのを見れば分かる通り。 結局、イス取りゲームのように座れるイスの数が決まってる以上、それ以上の志望者が来たら競争になるのである。 このような反論はすでに2001年あたりに「分数が出来ない大学生」シリーズで語られていたのだが、自説に都合の悪いエビデンスは隠すんですか? 誠実じゃないねえ。 このように、教育学界隈では謬節(びゅうせつ)が淘汰されない。だから教育学の界隈そのものを批判する必要がある。 過ち(あやまち)て改めざる、是(これ)を過ちと謂う(いう) そもそもオリンピックとか、歴史的には戦争の代わりなんだから、競争だし相対評価でしょ。この手の教育学者は、スポーツ文化とかどう思ってるんだろう。やはり不利なエビデンスを隠すのが教育学界隈か。 あと「競争がアカン」ってのは、それこそ江戸時代~明治時代の役人の発想ですよ。小室直樹の本にそう書いてある。明治時代、福沢諭吉が「競争」という言葉を著書で使ったら、役人かなんかが「争」という字が好ましくないってさ。で、官僚主義を批判する福沢は、だからこそ競争という言葉を使い続けたとさ。 官僚主義を批判してるつもりで競争を批判する者こそ、じつは江戸時代的な官僚主義だというオチ。 ;ほか もう1999年から、小説家の村上龍の対談集『最前線』で、対談相手の「プロ教師の会」の人たちは(当時、彼らが流行ってた)、教育学者を信用していない。 当時、対談集では、プロ教師の会の人たちは、教育学者を「ろくに教壇に立ったことない」みたいに批判していた。 私が言いかえるなら、正しくは、「教育学者は、自説が間違ってても責任を取る気がない」だろうな。だから不利なエビデンスを無視する教育学者だらけなわけだろう。 0uqj9shnmkbd5lugu2yccmqd5unm5yn 高校受験ガイド/高校合格後に向けて 0 38874 246468 246008 2024-04-10T10:29:47Z すじにくシチュー 12058 === 私立進学校は伝統的に先取り学習 === ていどの差はあれ、私立の進学校は、先取り学習をしています。 ビジネス雑誌プレジデントのネット記事『「かつては東大卒よりも価値があった」47都道府県に必ずある"超名門"公立高校の全一覧【2022上半期BEST5』によると、もう1963年の時点で、灘高校では高校2年に高校3年の範囲を終わらせていると言われていました<ref>[https://president.jp/articles/-/61241?page=2#goog_rewarded 小林哲夫 著『「かつては東大卒よりも価値があった」47都道府県に必ずある"超名門"公立高校の全一覧【2022上半期BEST5】 各地域の神童や天才が集まっていた』、PRESIDENT Online 、2022/09/04 10:00 ] 2024年04月10日に確認.</ref>。 wikitext text/x-wiki == 大学進学したい場合 == === 中高一貫校のペースに追いつく必要性 === 現在、多くの私立高校は付属中学を持っており、その付属中学では中3のうちに、高校1年の内容に突入しています。なぜなら、私立中の授業では、検定外教科書が「英語」教科と「数学」教科で学校専売品として存在しており、多くの私立中学でその検定外教科書が使われております。その検定外教科書で、英語と数学では、中3のうちに高校1年の内容に突入しています。 数学は因数分解(3次式)以降の二次関数や三角関数などは予習が難しいかもしれませんが、しかし英単語なら独学で勉強できるので、春休みのうちに英単語を勉強して追いつきましょう(なお、因数分解は、春休みのあいだの宿題になる場合がある)。 おそらく、高校側からも、「春休みの課題」などとして、付属中学と公立中学との隙間を埋めるための課題が出されると思います。 つまり、英単語と、因数分解(三次式および二変数二次式)が、春休みの宿題の定番です。加えて、対称式とか交代式とか、そこまで「春休みの課題」に出る高校もあります。 なお私立高校の場合、1~2月に合格した子は、まだ3月まで高校教科書を購入できないので、2月ごろの合格者登校日のあたりに学校側から宿題のプリント(英単語のスペルを覚えろプリント)を渡されたり、あるいは課題図書の読書感想文などを先に出されることもあります。 なお、高校からの配布物を間違って捨てないよう、中学時代のプリントなどを捨てるのは、高校入学後の後回しにしましょう。 いっぽう、偏差値の低い高校だと、春休みの課題の内容が、中学の復習だったりして、「ブリッジ数学」などの復習用の問題集だったりします。偏差値の高い高校では、そんな復習用の問題集は、やらないです。 偏差値の高い高校だと、数学IAの傍用(ぼうよう)問題集または参考書のチャート式で、上述の因数分解や「データの分析」(新課程)とかが範囲です。20世紀は因数分解が定番でしたが、21世紀の令和になり「データの分析」が課題に加わったのが、時代の進歩を感じさせて現代的です。 「データの分析」のように新しい単元は、私立の高校側は今までの授業計画をあまり変えたくないので、入学時などの「春休みの課題」にそういう新単元を中心に出して、教えた事にさせてしまう、という教育テクニックがあります。公立高校で果たして可能なテクニックかどうかは知りません。 新学期の数学は、第2章の「二次関数」から始まるのが、私立の進学校あるあるです。 ほか、整数とかも21世紀になって加わりましたが、これを春休みの課題に回すという手もあります。春休みの課題に整数を回すことで、新学期からの授業では、90年代からの伝統的な授業計画を変えずに済みます。整数なら中学生でも分かるし、整数問題は中学入試などでも出ることがあるので、コレも課題にちょうどいいです。 ほか、幾何学のチェバの定理とかああいう授業で飛ばす単元を「春休みの課題」に回すというのも手です。 データの分析、整数、図形、これを「春休みの課題」に回してしまえば、授業は二次関数から始められます。そして二次関数が終わったら、さっさと三角比・(数学IIの)三角関数に入れます。私立なら数か月早く1年生のうちに三角関数を始めるというのも進学校あるあるです。私立進学高校では、入学時の数学の教科書は2年生の分まで買うことになり、1年の終わりには数IIをやるのが定番です。 私立の進学校や、偏差値が高めの私立高校に進学するということは、こういうハイペースな勉強が必要だという意味です。そういう勉強がイヤなら、もし読者が読んでる今がまだ中3の春~夏なら、そもそも高校卒業後の進路(たとえば「どこどこ大学に進学したい!」とか)を考え直すべきです。 そもそも私立の難関校の場合、そもそも高校入試問題の時点で、もうそのような高校予習を意識した出題になっている場合もあります。たとえば数学なら、確率の「順列・組み合わせ」の初歩なら中学生でも何とか解けるので、そういう出題がもう偏差値60私立高校あたりから高校入試で出されたりします。 なお、理科・社会科については、あまり高校入試に理科・社会科を出す私立高校は少ないが、もし入試に理科・社会科を出す場合、偏差値のそれほど高くない55~60くらいの日東駒専(日大・東洋大・駒沢大・専修大)の地方の付属校レベルでも、もう高校の理科基礎レベルの話題を出します(たとえば日大の付属など)。 これはなぜかというと、中学教材でも理科・社会科の検定教科書のコラムや、学校配布の資料集などで、普通に高校範囲の内容も紹介しているからです。私立高校側からすれば、単にコラムや資料集などもよく読むマジメな受験生を高校入試で欲しいだけですが、しかし中学校ごとにどの教科書や資料集を使っているかは違うので、よって、発展的な参考書が必要になります。 標準的な高校受験用の理科参考書を買えば、その参考書の傍注(ぼうちゅう)やコラムや発展あたりに書いてあるレベルですので、そういう参考書で自発的に勉強する能力が要求されています。こういう人らと3年後に大学受験で競走することになります。 また、'''国公立の'''中高一貫校では、高校の国語の「言語文化」科目や、社会科の「公共」と高校家庭科「家庭基礎」と「情報」を、中学のうちに1単位ぶん開始している学校もあります(国立の神戸大学付属の中等教育学校の公表されているカリキュラム表がその証拠<ref>[https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/curriculum/education/ 『教育課程 | 神戸大学附属中等教育学校』]</ref>)。 なお、この神戸大付属校、教育課程表を見ると、けっして「家庭総合」など履修してないし、芸術IIもないし、情報IIもないし、第二外国語のドイツ語とかフランス語もありません。受験特化のカリキュラムです。国公立だからって、必ずしも、受験以外の教科もバランスよく勉強しているわけではありません。つまり、一般的な公立高校の教育課程にある「自由選択科目群」が、この神戸大付属校には無いです。 いっぽう、たとえば東京都立の日比谷高校のカリキュラムは、選択科目ですがドイツ語・フランス語などありますし、芸術IIも履修させる方式です。日比谷高校には「自由選択科目」群があります。このように、国公立の進学校でも学校ごとの個性の差が大きく、必ずしも国公立の進学校すべてが日比谷高校のようなわけではありません。けっして、国公立の高校だからって、フンボルト理念的なバランス人材を育成してるなんて、早合点しないようにしましょう。 早慶上理(早稲田、慶應、上智、東京理科)など大学偏差値が60以上(もちろん駿台模試で)の私大に現役合格したい、というのは、こういうハイペースな勉強が高校3年間も持続できることが前提です。 その上で、「文武両道」とか言ってる高校なら、部活とかも熱心にしてるので、とんでもない重さです。甲子園に野球部がときどき出場してる運動部の強豪校の私立高校なのに、高校入試の数学でもう「順列・組み合わせ」に相当する出題をしてる私立高校とか、これもうかなりハイペ-スの高校なわけです。 決して東大合格者とか医学部合格者とか少ない私立高校の高偏差値校だからって、決して「これなら私でも簡単に追いつけそう」みたいなヘンな勘違いをしないでください。そういう私立高校の人は、スポーツの選手寿命の短さなどの理由で現役で大学に行こうとするし、別に官僚や医者や大企業文系を目指していないので、いちいち浪人してまで2~3歳ほど年取ってまで国公立とか医歯薬学系とかを目指さないだけです。 ともかく、中学3年時代の、受験の年度の12月~年明け3月は、どうせ部活はすでに引退しているわけだし、委員会も基本的には引退でしょうから(ただし、学級委員など一部の委員を除く)、特に卒業式までの放課後には用事は無いと思います。なので、特に放課後に仕事のある委員会・部活のメンバーでもない限り、合格後はさっさと高校レベルの英単語などを予習・復習しましょう。 ;中高一貫校の冬期講習 私立の中高一貫校の進学校は、中3の冬休みは決して休みではなく、冬期講習があったりします。さすがに12/31の大晦日(おおみそか)の数日前と正月の3が日は休みでしょうが(教師も休みたいので)。まあ、クリスマス休暇(きゅうか)なんて無いと思うのが常識でしょう。 「進学校の高校に合格する」という事は、彼らと競走することです。 ;中3最後の春休みの部活動の有無 なお学級委員のほか、吹奏楽部・合唱部が、卒業式の当日に演奏や合唱などで部の活動として校歌や卒業式歌などを式のBGMとして公演させられる学校も時々よくあります。しかし常識的に考えて、受験勉強の負担になるような練習計画は組まないでしょう。 ただし、公立高校は試験日が遅く3月に受験をするのが普通なので、受験日と卒業式の日にちが近く、少し日程的にキツいかもしれません。 少子化などの問題もあり、地域によっては吹奏楽部・合唱部などの2年生以下の部員が少ない中学もあります。 ここら辺は、それぞれの中学の問題であり、当wikiからは当事者でないので知りようがなく、何とも言えません。それぞれの中学で、どうにかしてください。 中学だけでなく高校の卒業式も同様の傾向、吹奏楽部や合唱部などは儀式の音楽の練習に付き合わされるという慣習の高校もあり、その場合は高校も卒業前の日程が埋まる。 吹奏楽部や合唱部など一部の部活の引退が遅いからといって、引退後も部の活動に付き合わされるからといって、特に高校入試では評価されません。受験本番での入試の得点が低ければ、志望校には不合格です。 ;進学高校と底辺高校の差 進学校は、さすがに入学式は授業がありませんが、しかし2学期や3学期の初めなどの始業式の日は3時間目あたりから授業があります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=gTJyWebprX8 塩浜進学教室 著『高校時代の思い出25 進学校は始業式から授業あり』、2023年12月10日ごろ ] 2023年12月11日に閲覧. </ref>。 進学高校は、体育祭とか文化祭の準備や練習などで、いちいち授業を潰しません。放課後とかに体育祭などの練習や準備をやります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=gTJyWebprX8 塩浜進学教室 著『高校時代の思い出25 進学校は始業式から授業あり』、2023年12月10日ごろ ] 2023年12月11日に閲覧. </ref>。このため、ただでさえハイペースな進学高校は、ますますハイペースになります。 ほか、定期試験の出題範囲が、すでに違っています。 数学なら、たとえば章末に入門的な「A問題」の頁と(基本問題~練習問題レベル)、「B問題」(応用問題~発展問題、理系向け問題)の頁とがあって、底辺高校だとA問題しか1~2年生の定期試験しか出ない、なんて差もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=gTJyWebprX8 塩浜進学教室 著『高校時代の思い出25 進学校は始業式から授業あり』、2023年12月10日ごろ ] 2023年12月11日に閲覧. </ref>。 底辺高校が3年生になってから文系コース数学で習うB問題が、すでに進学高校では1~2年生の定期試験で文系コースがクリア済み、なんて差もあります。 ほか、(進学高校などでは、)チャート式など参考書から定期試験の数学が出題される場合もあります<ref>[https://www.takeda.tv/goido/blog/post-196059/ 『「青チャート」は挫折しやすい!?使ってはいけない参考書!』 2021.07.05 ]</ref><ref>[https://www.youtube.com/watch?v=8qV-S7u6dsE (動画) 塩浜進学教室『教育を斬る61 偏差値低い高校が青チャートを使うな』 7:20 あたり、 2024/02/15 ]</ref>。私立高校側が入学前などに数学参考書を買い与えている場合もあります。(進学校でないと、検定教科書と、教科書会社による傍用問題集しか与えてない場合もあります。) 高校入学前の3月中盤~後半の「仮入学」が、公立高校だと、私立の1~2月の「合格者登校日」と同じで制服など学用品の物品購入とかだけど、しかし私立はその物品購入を2月や1月に終えてるので、私立の3月の「仮入学」ではもう、確認テストなどを始めていたりとかもしかねません。私立の仮入学は、一部の入学の遅れた生徒を除き、もう春休みの課題の確認テストとかを仮入学の日にしていたりとか、しかねない。 進学校では、公立高校でも私立高校でも「'''宿題考査'''」(しゅくだい こうさ)などと言うテストがあり、予習を含む宿題も含めて、休み明けの確認テストやあるいは定期テストの範囲になります。春休みに限らず、夏休みや冬休みなどでも同様です。 つまり、学校で習ったことだけでなく、宿題すらも定期テストの範囲になるのが進学校あるあるです。もしかしたら偏差値の低い高校でも宿題考査はあるかもしれませんが、進学校のおそろしいところは、宿題に予習が入っていることです。 また、このような宿題考査の事実から、ちまたにあるエセ勉強法の「受験対策では、基本的に復習さえしてればいい」と言うのは大間違いであり、そもそも進学校は宿題などで予習を生徒に命令しています。その宿題を全体に授業がすごいハイペースで進んでいくので、宿題で予習しているのを知らない外部の人は、てっきり「進学校の生徒でも、授業の復習しかしていない」と勘違いをしているだけです。 公立の生徒がこれから制服を購入するために高校に登校する際、私立の生徒はもう高校の制服を着て高校に登校の時期です。入学前の3月後半の登校日の確認テストで、テスト後、生徒が「あの問題むずかしかったよね~」(女子)とか、男子が「なあ、あの問題、解けたか~」(男子)とか、確認テストの問題の話をしたりの時期です。日本の格差社会。 ほか、教育課程表だけでは一見すると「授業進度が遅い」ように見えても、じつは定期試験では高校1年からB問題にまで入っている、じつは授業スピードの速い高校もあります(しかも、その高校の生徒が気づいてない)。 だから、たとえば、偏差値の高い私立高校(たとえば高校偏差値65)で校風の自由さがウリの高校で「わが高校は、のびのびとした学風の高校で、カリキュラムの自由度が高いです」みたいな『ゆるふわ系』みたいなことを言っている偏差値60の高校とかでも、じつは文系コースの生徒ですらB問題に高校1~2年の定期考査で当然のように挑戦させられていたりするのです。勘違いしないでください。決して、のびのびとした『ゆるふわ系』の校風だからって、決して定期試験の5教科の出題まで『ゆるふわ系』ではありません。市販の受験ガイドにある高校偏差値はウソをつかない。 決して、文化祭とかの行事の日だけの軽快そうな雰囲気に騙されてはいけません。じっさい、偏差値の高い進学校に、文化祭以外の日にちの土曜日(たとえば高校説明会など)に行くと、自習スペースとかで高校生が黙々と放課後に勉強してたりする人がなんか多くて、空気がピリピリしていたりします。何度も言いますが、市販の受験ガイドにある高校偏差値はウソつかない。 そういう高校生活がいいか悪いかという話は当ページでは一切しておらず、進学校はあくまでこういう所です。こっちが進学校の本性(ほんしょう)です。たとえ部活との両立とか文武両道みたいな事を言っていても、基本的に偏差値60越えをしている進学校の高校は、こういう感じの、少し勉強でピリピリした雰囲気もある学校なのです。 それを知らずに、うっかりスポーツ推薦とか部活の県大会などの業績で偏差値53くらいの人が、偏差値60以上のゆるふわ系の私立高校に特別枠で合格してしまうと、けっこう高校の授業についていくのに大変ですので、頑張ってください。 問題集も、進学校なら自分でやります。定期試験の1か月くらい前などに問題集の範囲も示されて、そういうのを自分でコツコツとやれるのか、評価されているのです。 こういう、細かい差が積み重なって、進学高校のもつ、大学側からの指定校などの信用が生まれています。 高校入学の時点ですでに進学高校は先に進んでいるのに、ますます先に進みます。 一見すると難しそうですが、何のことはない、学校配布の問題集をきちんとその学期中に大体こなすとか(ただし数学問題集・物理問題集とかのB問題の理系向け発展問題とかは、さすがに高校3年に回す)、あるいは市販の普通の参考書や単語集とかできちんと予習・復習もしているかとか、そういう当たり前の勉強が出来るかどうかが見られているのです。 さらに、受験特化の超・進学校では、そもそも高校の部活の引退が早くて2年生の3学期末で引退とか、もう2年生の2学期末で引退とかの高校すらあると言われています。偏差値70前後以上の高校になると、私大の付属高校ではないかぎり、それはもう超進学校かどうかといった問題になってきます。 あまり偏差値が高すぎる高校に進学しても、「部活の練習の時間もなくて不満」とか、「授業がハイペースすぎて、ついていけない」とかになるので、まあ各自で志望進路をもとに高校の志望校を調整してください。 ;ほか 進学校はもう、校歌を入学前に覚えさせられます。「ホームページ(または動画サイト)に校歌の音源がアップロードされてるので聞いて覚えろ」系です。パソコン環境が無いなら用意しましょう。というか、そもそも出願の時点でweb出願で、パソコンの無い家庭を弾いています。 ほか、進学校でなくともありますが、入学者登校日のうちに、校歌の練習です。 高校は「芸術」教科が選択性なので、「音楽」科目を履修しない人もいるので、なので別の日に練習です。進学校は授業時間を校歌指導でつぶしたくないので、登校日とかのうちに校歌の練習です。 === 私立進学校は伝統的に先取り学習 === ていどの差はあれ、私立の進学校は、先取り学習をしています。 ビジネス雑誌プレジデントのネット記事『「かつては東大卒よりも価値があった」47都道府県に必ずある"超名門"公立高校の全一覧【2022上半期BEST5』によると、もう1963年の時点で、灘高校では高校2年に高校3年の範囲を終わらせていると言われていました<ref>[https://president.jp/articles/-/61241?page=2#goog_rewarded 小林哲夫 著『「かつては東大卒よりも価値があった」47都道府県に必ずある"超名門"公立高校の全一覧【2022上半期BEST5】 各地域の神童や天才が集まっていた』、PRESIDENT Online 、2022/09/04 10:00 ] 2024年04月10日に確認.</ref>。 それが正しい勉強法か知りませんが、こういう人達が大学受験で難関大を目指す際の競争相手です。 == 春休みの読書感想文 == 私立高校や難関校などでは、『春休みの課題』の一つとして、英単語や数Iの因数分解(3次式)のほか、'''読書感想文'''が出ます。この『春休みの課題』の課題図書は、高校側から指定されます。べつに読書感想文じたいは大学受験の一般入試には必要ないのですが、これを例に、エリート高校生に必要な考え方を説明します。 課題図書は高校側から指定されるので、特に高校新入生としては何を読むかは考える必要は無いのですが、しかし本ページで何も説明しないのもツマラナイので、この節では、教育者の側の視点で、大人たちがどう考えているのかを説明します。 なお、高校によっては、春休みではなく夏休みに回されて、『夏休みの読書感想文』となる場合もあります。春休みは、因数分解とか英単語の課題とかで忙しい進学校もありますので。ゴールデンウィークの前後に提出、というのもよくあります。 ;原稿用紙に手書き なお、春休み直後に感想文を提出するスケジュールの高校の場合、基本的に(パソコンではなく)原稿用紙に手書きになるでしょう。なぜなら、まだ入学前なので、高校の用意するPCアカウントが使えないからです。 中3と新入生と高校3年生以外は、まだ授業が3月の後半まで続いています。なので、中3が卒業する時期でも、まだ高校のPCアカウントが変わりきっていません(3~4月はアカウントの変更の作業中です)。このため、パソコン用アカウントを新入生が使えるのは、入学後のもっと数週間ほど後の時期になる場合があります。 なお、新入生に限らず、これから高校2年生~3年生になる生徒や、中高一貫校の付属中学の生徒でも、春休みとその前後の時期は、年度の変わり目のコンピュータ関係の移行作業中なので、学校のコンピュータ室やそれ用のアカウントなどは使えません。 ;売り切れ注意 電子図書でない場合、課題図書は、時間が経過すると売り切れます。再入荷には時間が掛かりますので、教科書購入のタイミングの時についでに早めに購入しましょう。たとえ感想文の提出日がもっと後のゴールデンウィークなどでも、購入は早めにしなければならず、春休み中に購入して課題図書を手元に確保しないといけません。 === 物語とは限らない === まず、「高校入学時の読書感想文は、物語の感想文とは限らない」という点です。よくあるのは、たとえば'''郷土史'''(きょうどし)などの身の回りの歴史を扱った解説書などの感想文です。たとえば、思いつきで架空の題名をあげますが、『関東地方の宿場町の歴史』(架空)みたいな感じの本です。どうせ『総合的な探究の時間』の地域探究とかで郷土史の本を読む生徒が多いのだし、だったら最初から郷土史の入門書を課題図書にしてしまえば一石二鳥です。 さすがにピンポイントに学校のある市町村の郷土史ではないですが(たとえば『武蔵村山の宿場町の歴史』みたいなのは無い)、しかし『関東地方の○○の歴史』みたいに道州レベルに限定すれば、その地方に関係の深そうないテーマの歴史本が幾つか出版市場にあります。 さて、「物語」以外といっても、さすがに数学や物理の本が課題図書になるわけではなく、文科系の分野か、せめて社会科学(しゃかい かがく)系に限りますが。教師側はあくまで感想を第一に書かせたいので。読書で得られる歴史知識とかは、あくまで派生物です(ただし、歴史本や社会科学本のなかで、派生的に自然科学に触れることもある。たとえば明治の近代化の歴史をあつかう本なら、必然的に西洋から輸入した科学技術の知識も扱うので)。 :※ なお、明治時代の歴史をあつかう本を課題図書にした場合、そのまま高校1年の『歴史総合』にも使えそうな知識なので、一石二鳥どころか一石三鳥です。 このように、どうせ本を読むなら、のちのちの授業でも応用できそうな本を読むのが一石二鳥です。偏差値の高い高校では、高校側がそういう応用性の高そうな本を、課題図書に指定してきます。 なのに「読書感想文 = 物語の感想文」としか思いつかない低い偏差値の高校の人はもう、ここで格差が開いています。 世間には「感想文」とか「読書」と聞くと、物語しか思いつかない人がいます。おそらく、国語の授業以外で感想文を書いたことのない人なのでしょう。しかし、少なくとも偏差値の高い高校の入学時の読書感想文は、そうではありません。 20世紀のかつては、心理学や再生医療など新しめの学問の入門書などが課題図書に指定されたりした時代もありました(なんか医学部の小論文に使えそうな課題図書)。しかし、現代では、あまり課題図書には選ばれないでしょう。国語教師が最近の進歩の早い心理学やら再生医療の知見を追いかけるのは、労力的に無理なので。 そもそも、高校入試とその対策で、物語文とか古文漢文なんて充分に読ませてるわけで、なので読書感想文としては、入試では問われなかった他分野との総合力とか高校側は見たいわけです。そのほうが全人格的な総合力の育成にもなるし、まさに『総合的な探究の時間』に必要な総合力の育成にもつながるし、文理融合の課題解決の土台にもなからです。 なのに「読書感想文 = 物語の感想文」という偏差値の低い高校の人はもう、ここでも格差が開きます。こうして、格差は開くべくして開くのです。 ほか、世の中には知能障害の重い人がいて、そういう人の中には、たとえば小学校の掛け算と割り算すら出来ない人もいます。そういう人は当然、高校受験でも、けっして大学受験を目指すような進学高校には合格できなくて、障害者教育のための特別な高校に進学するわけです。そういう障害の重い人は、ほとんど物語文しか読めない人もいるのです。 進学高校の人なら、そういう障害ある人が読めないような、複合的で高度な問題を扱った歴史書とか読むと良いでしょう。そういう本が、高校教師の手によって課題図書に選ばれているわけです。 === なるべく新しめの本 === なお、課題図書でたとえば歴史を扱う本を図書にすることもあるからといって古すぎる本ではダメで、なるべく最新の知見(ここ十年以外が良いでしょう)が反映された本を読むのがポイントです。とはいえ、高校側が気を利かして、そういう新しめの本を課題図書に指定してくるので、中高生としては特に気にする必要がありません。 よく、「西洋の大学では、ギリシア以外の国でも教養として古代ギリシアの古典を読ませるのが正統とされる」とか言いますが、しかし、そういう古い本を読む前にまず、高校生や中学生は、なるべく新しい知見を入れるべきなのです(ここ50年以内の知見が良いでしょう)。そもそも大学から異国の古典を読ませるという事は、裏を返すと「高校卒業までは、異国の古典には、あまり深入りさせない国が多い(単純な暗記科目になりやすく、教育効果が低いので)」という意味でもあるのです。 中学校の社会科の教科書の構成だって、そうなってるでしょう。多くの中学校の社会科では、まず中1に『地理』によって、ここ20年以内の世界情勢について現状認識の目星(めぼし)をつけで、そのあと中2で『歴史』に入って起源をさぐっているのです。 ほか、そもそも古典文学や古代史・中世史などはすでに多くのプロの学者によって研究済みのことが多く、なのに今さら高校新入生ごときが研究しても、新しい観点からの新しい知見につなげるのは 至難のワザ(しなんのわざ)です。(よほどテクノロジーが急速に発展したりしないかぎり、新しい研究手法は出てこないので、高校生ごときが新発見をするのは至難(しなん)です。) 読書感想文では、別に論文を書くわけではないので、新発見をする必要は無いのですが、しかしまあ、どういうわけか基本、課題図書には新しめの本を選んでくれるのが一般的です。 新しい本の著者は基本、古い古典から得られる知見を先行研究として踏まえた上で、新著を書いてくれてるわけです。読者の時間を節約するために、古典のうち要点だけを踏まえて、新著に活用しているわけです。なのに、せっかく新著の著者が古典をふまえて要点だけを活用してくれたのに、若者がまた古典から読み直しては、社会全体では作業が重複しており、時間の無駄です。 新著の著者が先行研究をほんとうに踏まえているかどうかは、すでに出版社の編集員などが確認をとっています。さらに教育系団体の「推薦図書」に指定されるような新しめの本なら、その団体のメンバーも確認をしているわけです。その上、さらに高校新入生の課題図書に選ばれるような本では、その高校の教師も、新著の内容のすぐれている点を確認しているわけです。 なので、その上さらに高校生が古典から読み直すのは、もはや作業の重複であり、時間の無駄なのです。 === なるべく外部者が書けない感想文を === どうせ著作物を書くなら(感想文も著作物の一種です)、オリジナリティがあったほうが希少価値(きしょうかち)が高くて良いので、郷土史のように他県の人には深い感想の書けない分野の本を読むというのも、よくある手です。役割分担です。まあ、進学高校なら高校教師側がそういう本を課題図書に選ぶので、そこの新入生なら悩む必要は無いです。 いっぽう「読書感想文 = 物語の感想文」として世間で流行している本ばかり読んでる人は、もう図書選びの時点でオリジナリティが低く、格差が開いています。 物語を読むにしても、どうせ読むなら、「高校生になる自分たちのための本」を読むべきです。 主人公が現代のリアルな高校生、「青春の悩み」みたいなのをテーマにした物語の本、そういう本を優先して読んだほうが、読書感想文としては良いでしょう。というか、そういう物語の本が、教育系団体の「推薦図書」を経由するなどして、高校の春休みの課題図書に選ばれたりします。 どんなに世界的に売れてる童話とか、幼児むけのファンタジー文学だろうが、そういうのは後回しにすべきであり、そもそも課題図書に選ばれないでしょう。コツは「幼児でも読める本は、幼児に読ませる」です。 なので、世間の流行を追いかけているだけの 事なかれ主義(ことなかれしゅぎ)の人、つまり まるで「赤信号、みなで渡れば、怖くない」(芸人の ビートたけし の川柳(せんりゅう))みたいな発想の人は、著作権ビジネスの世界でも、負けるべくして負けてしまいます。 図書選びのコツとしては「なるべく、バカでも存在に気づく本は読まない」のがポイントです。 このように、格差の大きな原因の一つは、そもそもの思考・趣向(しゅこう)がもう、格差競争で負けるべくして負ける思考回路になっているのです。 『ハイリスク・ハイリターン』という言葉がありますが、世の中には、ご都合主義のワガママな人もいて「他人と同じことばかりやっててローリスクでいたいけど、でも報酬はハイリターンのほうが良いなあ」とか思ってる、頭わるい人も多いのです。 単に性格が悪いゆえの事なかれ主義のくせに、「自分は協調が高い」とか勘違いして「俺はみんなと足並みをあわせて頑張って流行を追いかける勉強をして同じことをしてるのに、なんで俺は評価が低いんだ!」みたいに勘違いしている人も世間に多くいます。単に流行にながされて、広告メディアの用意した情報を消費してるだけのことを「勉強」だと思ってる、末期(まっき)の人も多いのです。 === 余談 === 課題図書が、なん十冊もの中から自由に選べる高校と、数冊の中から選ぶ高校と、1冊を指定される高校があります。 1冊を指定する高校の場合、その図書中の漢字などが定期テストの範囲になったりします。本当に読んだなら、漢字を書けなくても読めるはずだよねって言うこと。 課題図書の宿題は、出されるのはせいぜい年に1回くらいです。私立の進学校では、夏休み・冬休みなどは塾の夏期講習とか冬期講習とかで忙しい人もいるので、そんなに読書感想文ばかり長期休暇のたびには出しません。 ;全国コンクール 青少年読者感想文全国コンクールが選ぶ「課題図書」と、進学校が選ぶ「課題図書」とは違います。どこの地域の大型書店などでも春先や夏先などに並ぶ「課題図書」は、この全国コンクールの課題図書です。 全国コンクールは、甲子園とかああいうのと同じで、大会です。そういう大会に興味ある高校生は、どうぞ全国コンクールの図書をお読みください。たとえるなら青少年読者感想文全国コンクールの課題図書は、吹奏楽の大会の「コンクール」の「課題曲」とかと同じような文脈での「課題図書」です。 == 高校の理科と社会は中学コラムの復習レベルから始まる == 中学校の理科と社会科のコラムでは、高校の範囲をあつかっています。中学教科書・資料集の教科書会社・教材会社によって、高校のどの話題をコラム的に扱っているかが違います。なので高校では、理科と社会科では、どの単元でも、中学のコラムで扱ってようが、理科と社会科ではその中学コラムの内容の復習から始まります。 高校教師はいちいち「復習」と宣言せず、単に高校の教科書に書いてあることをそのまま授業しているだけです。しかし結果的に高校教科書の理科と社会科の内容が、理科と社会科では、中学コラムの復習から始まる内容になっています。 けっして「うちの高校は、1学期に中学レベルの復習をしている! レベルが低い」とか悲観しないでください。高校の授業の各学年の初めはそういうものであり、中学コラムの復習から始まります。 公立中学校だと、その地域の公立小学校と連携しているので、小学校で扱った内容との重複が無いのですが、しかし高校は違います。 特に社会科では、歴史分野は中学2年、地理分野は中学1年で習い、公民と比べて1年間以上のあいだが空いていますので、高校の世界史や地理などが中学コラムで扱った内容から始まると、ついつい高校教育のレベルが低く感じがちですが、単に高校教育に関する勘違いです。 日本は教科書検定の制度があるので、中学教科書は教科書会社ごとにコラムの内容がバラバラですので、高校はいちいち特定の教科書会社のコラムにまで合わせることはできません。 == 文化祭に模擬店の無い高校・大学 == 高校によっては、文化祭の出し物で、焼きそばとかを生徒が販売する模擬店(もぎてん)がありません。必ずしもどの高校の文化祭にも模擬店が存在するとは限りません。なぜなら、資金管理の難しさ、販売トラブル時の対応の難しさもあります。特に食品を扱う場合は、食中毒の防止の問題、ほか、加熱などの際に火器を扱う問題もあり、なかなか現代日本では模擬店は難しいのです。 保健所への届け出の有無など、進学校の生徒にとっては時間が掛かり、受験競争のきびしい現代では、なかなか難しいことを理解する必要があります。関係者の検便(けんべん)なども、面倒です。 たとえ卒業生の中高年の保護者が高校時代だったころには母校の文化祭で模擬店があっても、さいきんの子世代・孫世代の現代では模擬店をしなくなっている場合もよくあります。 「食品の販売を認めていない」、または「食品を扱う場合は、一般の商店で購入した調理済み食品(菓子など)の転売しか認めてない」、「火気厳禁」、などの制限がある事も現代では多々あります。 なので、商業高校などでないと、生徒による模擬店での飲食の販売は難しかったりします。 また、理系の大学学部の進学に力を入れている進学高校の場合、文化祭での模擬店の経験などビジネス系の経験は推薦入試などのアピール材料になりづらいし、そもそも理系の多い国公立があまり推薦枠そのものを取ってない、などの事情も理解しなければなりません。 または、たとえ文化祭に屋台はあっても、販売している人が生徒ではなく、高校の取引先の外食業者、イベント業者の手配した屋台業者、なんて事もあります。 マンガなんかだと、学園モノのマンガでは生徒が文化祭で色々と販売したり商売したりしますが、マンガはフィクションですので、実態とは違います。 「運動部が文化祭で、模擬店の屋台で食品販売」なんてのは、もはや進学高校では昭和や平成初期といった昔の話です。なので運動部の人は、体育祭などでアピールすることになります(もっとも、体育祭を校外に公開してない高校も多いので、高校受験をする中学生には無関係です)。 なお、大学でも、理科系の大学だと、食品販売どころか、学生による模擬店そのものが無い場合もあります(屋外には業者による屋台があるだけ)。昼食は校内の食堂だったりします。特に医歯薬系の学部学科など、日々の学業でとても忙しいので、学生の模擬店は無い可能性が高いでしょう。 大学でも、文科系の学部とか、理系なら栄養学科とか食品系でないと、じつは文化祭で学生が食品を販売していない場合が多いのです。 == 中高一貫校の内部生と外部生の差 == ;行事の差 たとえば芸術鑑賞会の行事で、公立中学では交通費の問題からか文化庁の補助金によって地元の公民館や文化会館に楽団などを招いての鑑賞行事だったりする一方で、私立中学では文化庁の補助金の公民館での芸術鑑賞会はしつつ、さらに別行事で、私立中学ではたとえば自費で自校の体育館(講堂を兼ねている)などに文化人を招いて実演や講演してもらったりとか、あるいは自費でどこかの美術館だの音楽コンサートホールだのに鑑賞に行ったりとか、私立は少し芸術行事が多い場合もあるえるのです。 なお、私学あたりの中高一貫校の進学校での中学および普通科高校での芸術教育のレベルですが、べつに芸術系の学科ではないので、せいぜい芸術系の(やる側の)行事が中学と高校どちらかで1個多いぐらいです。あまり行事が多すぎると5教科の勉学に支障がありますので。 ;体育の中学での授業の差 体育の授業も、公立中学では学校によってはプールが無くて水泳の授業が無いとか、公立・私立の格差があるわけです。 ほか、その私立の設立の理念かなんかで、普通の中学の授業ではしない、ややマイナーなスポーツや武道をしている私立中学もあったりします。 差がない部分もあります。 さすがに私立中学でも、フットサルやスカッシュやクリケットなど、あまりにマイナースポーツすぎるのは、(指導要領の体育科には書いてありますが)さすがに授業でそれらマイナースポーツを行うのは、ごく少数の私立中学だと思いますので、心配は不要です。 また、古典的な武道でも、剣道とか身体に合う防具が必要なのは、さすがに私立中学でも授業に取り入れるのは難しいです(いちおう指導要領では剣道の授業も可能)。なお、弓道は私立中学でも敷地不足で弓道場が無い私立も多いので、公立中学出身だからといって引け目を感じる必要はありません。 テニスの授業は、私立なら都心でも何とかテニス場はあるものの、敷地の問題で、テニスの授業を多くするのは私立の中高でも難しい場合もあります。 地方の中学から東京など都会の過密な地域に上京進学すると、敷地の問題で、高校での体育の授業での種目が、狭い場所でも一斉授業できる種目に限られることになります。 見方を変えれば、生まれた最初から東京に住んでいる家庭の学生は、最初から体育授業で受けられる回数の多い科目が、そういう狭い土地でも授業しやすい種目に限られているわけです。 ;大学スポーツの余談 ついでに大学のスポーツの話をしますと、都心すぎる東京23区内の大学は、実はスポーツがあまりさかんではありません。なぜなら、そもそもスポーツ用の敷地が狭いからです。 有名大学でも、大学によっては水泳プールが都心の校舎には無い場合もあります。また、都心でなくても、理科系の大学などはプールが無い場合もあります。 大卒のプロスポーツ選手の出身の学歴を見る時、学校名だけでなく学部名を見ると、その学部は郊外の校舎だったり(東京なら多摩地方や、他県なら神奈川・千葉・埼玉など)、あるいは地方都市の大学だったりします。そういう意味です。 弓道場やアーチェリー場の無い大学も多く(「アーチェリー」とは西洋弓術のこと)、そういう大学からは、弓道やアーチェリーのプロの卒業生は、まあいないのが普通です。 マスコミでは東京の国際大会などが放映されるので、あたかも東京はスポーツがさかんなように素人は錯覚しますが、しかし東京都心は敷地不足ですので、トレーニング効率には疑問があります。 また、都心にある私立大学の学部の多くは、戦前は専門学校だった学校も多く、そういう学部は当然、スポーツの設備が貧弱であり、大学所有のプールが無かったり、運動場なども敷地が狭かったりします。(現代でも簿記(ぼき)専門学校とかマンガ専門学校とかに水泳プールが無いのと同様です。) こういう都心の敷地不足の事情があったから第二次世界大戦後、東京にあった私立大学は、多摩地域や埼玉や千葉などの郊外に新校舎を建てるため、新しい学部に進出したわけです。 私立高校でも、千葉や埼玉などのやや奥まった地域に、都心の有名私立大学の付属校の私立高校があったりするのも、そういう都心の敷地不足という事情での、戦後の進出です。戦後の開発で都心だと敷地不足になり、だから戦後、郊外に付属高校の校舎を立てたのです。 ;伝統私立はもう校内の部屋が満杯 敷地ついでに言うと、私立がたとえば「ICT教育など新しい教育のための新しい設備が必要だ」と思っても、敷地不足で設備を増やせない中学高校もあるでしょう。たとえば3Dプリンタを導入しようにも、もう置く場所が校内に無い(コンピュータ室はもう満杯)、という私立高校も多いわけです。仮に学級を1つ減らして1室あければ設備を増やすのは単純計算では可能でしょうが、しかし授業料収入がかなり減ります。 高偏差値の私立高校には、田舎の公立とは違って「空き教室」なんて発生しません。 もし、私立の中高の6学年で1クラス(40人)減らすと、学費が年間100万円だとして、6×40×100万円=24000万円 つまり年間で 2億4千万円 の収入減少です。かなりキツイ。私立高校は付属もあるので中高と6学年がつながってるので、決して1学級だけを減らして1室だけを空けて4000万円の減少に留めるというは出来ず、6学級ずつ減らさないといけないので2億4千万円の減少なのです。 しかも、1学年で偶数の8学級だったのを奇数の7学級に変えると、体育などの2クラス合同授業の編成も直さないといけず、面倒です。まあ、なのでクラスを減らすのは、有名私立では実質的に無理です。 いっぽう、付属中学を募集停止すれば大幅に部屋が空いて設備を増やせますが、今度は収入が大幅に減りますので、設備の購入費用が調達しづらくなります。おそらく銀行なども許可しないでしょう。 なので私立では、ソフトウェアみたいに敷地が不要なものに設備投資することになるでしょうか。 ;宗教などの教育の差 ほか、宗教系の高校なら、内部進学組はすでにその宗教の入門について習っているので、宗教教育も別々にせざるを得ません。 ;まとめ まあ、上記の色々な理由で、内部進学組と外部受験組とを同じクラスにするのは困難です。 べつに外部受験組が負い目を感じる必要は無くて、外部受験組が内部進学組が体験してこなかった別のことを中学時代には体験してきています。 == 参考文献 == === 書籍 === なし(2024年03月31日の時点) === 脚注 === {{reflist}} {{デフォルトソート:こうこうしゆけんかいとこうこうこうかくこにむけて}} [[Category:高等学校教育]] ox4lwswhzaism3b6xr8eulf6bs6gpwz 高校受験ガイド/関連知識 0 38876 246457 246391 2024-04-10T05:31:36Z すじにくシチュー 12058 /* 問題解決ではない */ それどころか、大学の文科系学部の伝統的な授業内容ですら、教育内容が問題解決につながっていないのが実態だと大学評論家から報告されています<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=oQNeaMxX9sc オンラインのメガスタ公式チャンネル 『文学の力で社会の課題を解決する!!』2024/04/10] 2024年04月10日に確認.</ref>。 wikitext text/x-wiki == 偏差値についてのよくある誤解 == === 進学校かどうかは偏差値40を境にとりあえず判断 === 将来的に大学進学を考える場合、高校受験での志望校はその高校の偏差値で判断しないといけません。なぜなら、普通科高校で、偏差値の低い高校は、そもそも高校側が、大学進学を'''方針としていない'''場合が多いからです。たとえば'''偏差値30台の高校'''の場合、そもそも高校側が大学進学を方針としていない場合があります(学校の公式サイトなどで方針を確認できます)。直接は「大学進学を方針としていない」とは言いませんが、「中学校卒業まで苦手だったところの'''学び直し'''をする」とか「'''手に職'''をつける」とかのような方針をうたっている場合があります。 重度障害者のための養護学校(現代は「特別支援学校」という)とは別に、軽度な知的障害や精神障害などの子を支援するための高校が存在しており、教育行政の用語で、そういう知的障害的な子供を支援するための高校および小中学校のことを「'''チャレンジスクール'''」とか「'''エンカレッジスクール'''」とか言います(教育内容の微妙なちがいがチャレンジスクールとエンカレッジスクールとの間にはあるが、大多数の読者には関係ないので、本節では説明を省略する)。 行政用語ではチャレンジスクールとエンカレッジスクールをまとめて「普通学校」という場合もありますが、しかしこれは決して普通科高校の意味ではなく、「特別支援学校ではない」という意味での「普通学校」です。 ともかく、チャレンジスクールなどそういう障害支援の学校側の公式の方針は、そもそも大学進学ではなく、そのため進学校だと普通にあるような科目(「数学B」とか「世界史探求」とか)が、そもそもカリキュラムに存在しない普通科というのも、偏差値30台の高校にはあります。 大学進学が無理とは、けっして「底辺校の生徒がバカだから」とかそういう理由ではなく、そもそも、もうハナっから高校側が、大学受験を方針としていないカリキュラムなのです。そういう高校で生徒がいくら個人的に努力して大学受験を目指しても、地方の定員割れの私大ならともかく、難関大学に合格するのは、ほぼ無理です。推薦も、そもそも難関大の指定校推薦の対象校ではないでしょう。 偏差値が50以上で偏差値偏差値で±5くらいの差は、それほど気にする必要は無いです(このあたりの偏差値なら、偏差値よりもカリキュラムや近所での評判などの実態を調べるほうが大事です)。しかし、偏差値30台だと別です。偏差値40以上でも40~41とかそういう場合、方針がそもそも大学進学でない場合が多々あります。 偏差値30高校でも結果的に生徒が特技を身に着けた結果として、地元の私立大学に推薦などで進学できる場合もありますが、偶然の成果です。 「偏差値の低い高校から、難関大に一般入試で合格!」とか言う話は、基本的には高校受験の偏差値50前後やそれ以上の人たちの話です。 地域によっては(エンカレッジではなく)エンパワーメントスクールとかクリエイティブスクールと言います。大阪と神奈川の両方に「クリエイティブスクール」という高校がありますが、しかし意味が違います。大阪のクリエイティブスクールは、定時制の学び直し高校です。神奈川のクリエイティブスクールは全日制です。大阪のエンパワーメントスクールには総合科の高校もあります。 ;私立高校の多くはもう軽度知的障害者を受け入れてくれない 昭和の20世紀の時代は、勉強の苦手な補習校的な、軽度な知能障害者むけの高校は、私学にも少なからずありました<ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11285680746 Yahoo知恵袋『岡山の私立高校って、昔は底辺校だったってこと多くないですか??』2023/9/7 22:30 ]2024年4月1日に確認,</ref>。しかし現代、それは、ほぼ公立にしか残っていません(上述した公立エンカレッジスクールなど)。 昭和の当時、公立ブームであり、また学費も公立のほうが安かったので、一部の私立進学校を除いて、公立のほうが進学熱が高かったのです。特に地方では、むかしは「公立に通えない子が、私立に通う」という事もありました。 しかし21世紀に入ってから、地方でも、私立は進学重視に切り替わりました。裏を返せば、学力に問題を抱えた子供の受け皿が、私学からは無くなっていった、という事でもあります。 地方のかつて偏差値の低かった私立高校でも、21世紀に入るころに付属中学を設置した高校も多く、そのため高校から入るのが難しくなっている高校もあります。それ以上に、そもそも教育方針が時代とともに変わっており、そういう中高一貫校の私立は学力下位層の受験生を切り捨てる方針に変化したのです。 現代でも多くの地域では偏差値上のトップ高校は公立高校である事が多いため<ref>[https://magazine.sbiaruhi.co.jp/0000-4869/ 平林 亮子『高知県民はなぜ「私立中学」を選ぶ? 四国・中国、九州地方の中学受験事情』、ARUHIマガジン、2022.01.06] 2024年4月1日に確認,</ref>、ついつい「公立のほうが学力上位か?」と勘違いする人も多いですが、そうではなく実態は、公立は学力の上下差が大きいのです。 東京では戦前から私立があるので、とっくの昔に東京は私立のほうが進学熱が高かったのですが、それが段々と地方にも広がっていったわけです。昭和の時代は、私立にも工業科などのある高校も少なからずあったのですが、平成に入る前後に私立の工業科は生徒も集まなくなったので廃止され、令和の現代では、ほぼ普通科または一部の私立に美術科・音楽科・体育科くらいしか残っていません。 困ったことに、田舎の大人のなかには、いまだに「私立は公立に落ちた学力下位層が通うもの」という発想が抜けていない人もいますが、一部の低偏差値私立を除き、まったく違います。 上述した公立エンカレッジ・スクールように、令和の現代、学力下位層の通うのは公立高校です。 ;大学受験偏差値との混同をさせる迷惑業界に注意 世間では、大学受験偏差値と高校受験偏差値とを混同して(あるいは意図的に混同させて)、「(大学受験偏差値の)偏差値40からの大学受験で難関大に合格した高校(あるいは高校生)」とか言う、まぎらわしい人もいます(広告業界とかでしょうか。迷惑ですね)。大学受験は浪人生との競争もあるので、現役生は不利なので、高校受験偏差値70の天才ですら大学受験偏差値が高校2年では偏差値45とかになったりするのです(高校3年次の学習でそこから偏差値を上げていく)。 大学の場合、大学偏差値30台の大学でも、いちおうは学生は日本語ができます(日本語が出来ない受験生は、公募推薦でも総合型選抜でも、面接で落とします。そのための面接です)。海外姉妹港からの留学生とかでもないかぎりは。 しかし高校の場合、高校偏差値30台の高校だと、そもそも生徒が、たとえば移民の子だったり軽度の知的障害だったりして、日本語がやや不自由な場合もあります。高校偏差値で30台というのは、そういう高校の可能性もある偏差値なのです。 「偏差値30でも努力次第で、難関大学の受験も」とか言ってはいけません。それは'''大学'''受験の偏差値と混同しています。 また、「偏差値40の大学でも、けっこう教育レベルが高い」とか言われているのですが、それを高校と混同して、偏差値38とかの高校を決して学力が高いなんて、思ってはいけません。 ともかく、高校偏差値と大学偏差値とは、混同してはいけません。 混同の根本原因は、「偏差値とは、倍率を変形したものにすぎない」という事を忘れていることです。偏差値だけからは、けっして学力水準は分かりません。学力水準については、進学実績や卒業後の就職実実績などから、推測する必要があります。 なので、高校受験の偏差値、大学受験の偏差値、中学受験の偏差値は、それぞれ別々に、分析する必要があります。母集団が異なるので、けっして混同してはいけません。 === 偏差値は学力ではなく倍率みたいなもの === 世間によくある誤解として、高校の偏差値を、その高校の合格に必要な学力の指標だと思っている人がいます。 しかし、偏差値は、基本的には倍率から算出されます。このため、高校入学後にどんなに教育水準が高かろうが、たとえば山間部の高校などで定員割れを慢性的に起こしていると、偏差値が低く出ます。 高校によっては合格最低点などを定めている場合もありますが、しかしそういう背景事情は偏差値の数値だけでは分かりません。もし公式パンフレットなどで「進学重点校」などと宣言していれば、合格最低点が存在しているだろうと思います。 偏差値の高い高校は、なんらかの人気があるので、その分野では教育の質は高いのですが、しかしその逆は、必ずしも成り立ちません。偏差値は、あくまで倍率から算出されたものです。 また、体育高校とか美術高校とかでも、入試の倍率によって偏差値が算出されますので、入学後の高校の学力とはあまり関係ありません。 極端な例をあげると、たとえば、もし仮に日本人の過半数の中学生がいきなり学習障害を発症して中学高校の数学と理科が急に苦手になったとしたら、商業高校とか美術高校とか体育高校とかに受験生が殺到するので商業高校の偏差値が急上昇するでしょう。 しかし、それは単に商業高校の入試の倍率があがったにすぎず、けっしてその商業高校の学力が向上したわけではありません。 たとえるなら、ある街の病院が繁盛したからといって、べつにその病院の医師の治療の能力があがったわけではなく、単にその街の病人が増えただけです。そりゃ医師の腕が悪いなら、結果的にその病院の客足は遠のくので、病院は繁盛しません。しかし逆に、病院が繁盛したからといって、医師の腕がいいことの証明にはなりません。 高校の偏差値もこれと同じで、あくまで倍率の変形です。その高校の実態がどうなのかは、別の情報源から入手する必要があります。なので基本的には、情報入手をしやすさから、なるべく地元の高校に通うのが得です。 世間では、偏差値教育の否定の話となると、すぐに、やれ「生きる力」だとか「思考力」とかそういう話ばかりがネットにありますが、しかしそういう話ではなく、「そもそも偏差値は倍率を変形したものに過ぎない」という事を把握する必要があります。 === 低偏差値の高校のあれこれ === ==== 私立の場合 ==== ===== 私立の低偏差値の文系コースでは数学IIが無い ===== 私立高校で偏差値50前後およびそれ以下の低偏差値高校では、進学コースなのに高校2年の数学の「数学II」「数学B」が文系コースでは存在しない場合もあります<ref>[https://twitter.com/tokyokojuken/status/1695402409441591303?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1695402409441591303%7Ctwgr%5E9244ee53b39890aa2059c215cc61f7dd12a74b7c%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fagora-web.jp%2Farchives%2F220918091111.html (ツイッター)東京高校受験主義、午後8:46 · 2023年8月26日] 2024年03月31日に確認.</ref>。 いっぽう、公立高校では同偏差値帯でも、数学II B が普通科高校では高校必修になっているのが通常です。 このため、とりあえず高偏差値の公立高校となるべく同じ科目の教育を受けたい場合は、この偏差地帯およびそれ以下の人は、公立高校を目指すのも手です。 私大文系の受験では数学II・Bを使わないことも多いので、文系コースでは高校科目から数学II・B を外している私立高校もあるのです。 ネットで私立高校のカリキュラムを確認しようにも、偏差値の低い高校だと、そもそもネットではカリキュラム公開してない場合もあります。 なお、特進コースと進学コースのある高校の場合、特進コースだろうが進学コースだろうが、基本、1~2年次のカリキュラムは変わりません。これは、各学年の1年間の定期テストの成績によって、次の学年で特進コースになるか進学コースになるかが判定される私立高校が多いからです。 このため、特進コースでも文系コースだと数学IIを習わないまま卒業できてしまう高校もあります。 さて、よく高校の特進コースの宣伝で「国公立大学への合格を目指します」とありますが、「果たして数学IIを履修せずに国公立大に受かるのか? 新共通テストの対策はどうする?」と疑問に思いますが、しかしそういう高校でも公式ホームページを見てると国公立大にも少数ですが合格者を出しています。どういう手法なのかは知りません。 ===== 推薦合格が多い私立高校だと偏差値が上がる場合もある ===== 多くの私立高校は、合格者のうちの何人が一般受験で、何人が推薦入試なのか、公表していません。 世間の人は、ついつい一般受験を想定して分析してしまうので、このため外部から高校を見ると、なんとなく「高校受験の偏差値が高そうに見えて倍率の高そうに見える私立高校」が、「実はおよそ半分の生徒が推薦合格の人だった」というような場合もあるかもしれません。 高校の公式webサイトにある「募集人数」は、けっして閲覧時点での募集人数ではなく、すでに前年の3~4月ごろに公表した募集要項の時点での募集人数です。なので高校によっては、一般入試での募集人数と、要綱上での募集人数に、かなりの開きのある場合もあります。 その高校のことがよく分からない場合、カリキュラムなども調べましょう。進学実績だけを見ても駄目であり、それはもし高校に「特進」コースや「進学」コースなど複数のコースがある場合、コース間に学力にかなりの差がある場合もあるからです。 私立高校によっては、「進学コース」とは名ばかりの「スポーツ・アート」コースみたいな私学もあります。そういう私学もあっても良いのでしょうが、しかし高校受験生はそういう高校だと把握した上でその高校を受験するかどうか考えましょう。 ==== 公立の場合 ==== ===== 過去に職業高校だった普通科 ===== 現在は「普通科」の公立高校でも、過去に商業高校だった高校もあります。そのような高校の場合、文系コースでは数学IIを履修できない可能性があります。物理基礎も、履修出来ない可能性が高いでしょう。 学校の硬式の案内を見ても分かりづらいので、wikipediaなどで志望校の歴史を調べましょう。 ===== 特殊な普通科 ===== 低偏差値校では、進学校のカリキュラムと比べると、かなり常識外れなカリキュラムをしている場合もあります。 たとえば、文系クラスでは芸術科目が3年間必修で、芸術III(音楽IIIや美術III)などが必修だったりとかです(一例)。 高い偏差値の公立高校と同じことをしても競争に負けるので教育的配慮のため、違ったカリキュラムをしているのでしょう。 「芸術IIまで必修」というのは偏差値の高い公立進学高校でも時々あるのですが、芸術IIIまで必修というのは、思い切ったことをするものです。 もちろん、芸術IIIまでしない低偏差値高校もありますが、その場合は他の意外な科目が必修だったりします。 == 「総合的な探究の時間」の無い学科 == ※ 「総合的な探究の時間」だと長いので、本節では「総合探究」と略します。 === 工業・農業高校に総合探究は無い === 普通科高校では、「総合的な探究の時間」の3単位が定められていますが、しかし工業高校や農業高校などの専門高校では、この科目が定められていません。工業高校の場合、工業科目「課題研究」の3単位で置き換えられますが、実態は卒業制作です。 :※ なお、もともと総合学科に1990年代から「課題研究」と言う科目があって、調べ学習をもとにレポートを書いていたりしていて、総合探究よりも課題研究のほうが歴史的には先です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=LrqqVXD1Qu0 『【都立高校】自分の「好き」を学びませんか?』 2022/01/20 ]</ref>。総合学科で教育学的に実験されてきた「課題研究」を、普通科むけにアレンジしたのが総合探究の正体です。 ともかく工業高校では、なんかこう、普通科理系コースのやるような科学的な研究みたいなのは、そもそもカリキュラム上、(工業高校では)出来ません。 農業高校だと、農作物で何か生物実験をすればいいので、何か実験で研究したりもします。成果の出来は知りませんが。 そもそも「総合探究」自体、多くの普通科高校では建前どおりに高度な探究が出来ているかどうかが疑問視されているのですが(単なる小学校からの「調べ学習」で終わってる高校もあるという報告もネット各所でされている)、その話はここでは置いておきます。 === 総合探究はあるが普通科と何だか違う専門学科 === 商業高校では「総合探究」の授業時間があるのですが、カリキュラムをよく見ると、3年間でたった1単位と少ないです。(普通科だと1年間あたり1単位なので、卒業まで合計3単位) ほか、非・理系の専門高校(たとえば美術高校・音楽高校など)では、たとえば「地域学」の各年1単位のような(3年間で合計3単位)、探究対象が地域課題学習に定められた授業に置き換えられている場合もあります。その高校では、ミドリムシで何か試薬とかを使った研究は、このような非・理系の専門高校では授業ではカリキュラム上、出来ないです。 なお、非・理系の専門高校で「総合探究」が3年間で3単位ある専門高校の場合でも、カリキュラムをよく見ると、数学II がありません。なお、そういう高校では基本、数学Aもありません。 国際科の総合探究では、2年生までに日本語でレポートをまとめて、3年生でそれを英語のレポートに置き換えます。国際科の総合探究の単位数は、3年間で合計3単位数です。(なお、国際科には数学IIもある。) 国際科は、比較的に普通科文系に近いと言えます。しかし、もしかしたら国際科でも、総合探究のテーマが地域課題学習に指定されるかもしれません。 == 高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」 == よく「私立は自由」とか思って私立高校に期待している人がいますが、しかしその自由はけっして生徒の自由ではなく、'''理事長や校長にとっての自由'''です。カリキュラム(教育課程)の履修科目などについて、選択の余地が公立よりも少ない私立高校が大半です。 以下、進学校についての公立と私立の比較を述べます。 私立の進学高校では、家庭科や芸術科目など、東大・京大や早慶マーチなどの受験に不要な科目は、私立の普通科では文科省が規定している最低限の単位しか履修できない私学も大半です。 おそらく進学校の私立の普通科に限れば、家庭科・芸術などを最低限しか履修できない科目が過半数を優に超えるでしょう。 いっぽう公立高校の普通科だと、進学高校でもそうでない高校でも、少なくない高校で、高校3年に「'''自由選択'''枠」とか「自由選択科目群」とかあって、卒業単位を満たせば、授業時間の範囲で割と自由に履修科目を選べます。 受験科目だけでなく、割と多くの公立高校で、「美術II」や「音楽II」などの芸術II 科目も自由選択科目に入っているので履修は可能な場合が多いし(ただし、既に高校2年で履修が強制されている場合は、除外)、家庭科を高校3年で自由選択で履修できる場合もあります。 しかし私立だと、そういう「自由選択枠」が存在していない私学も多くあります。自由選択枠を知らない私学出身者も多くいます。 公立でいう「必修選択」枠しか私学には与えられていない場合もあります。 私立の場合、たとえば(世界史探求・日本史探求・地理探究のうちの)「いずれかの科目から、1科目を選択」の決まりがあったりというような、「'''必修選択'''」または「選択必修」という方式です。 公立高校にも「必修選択」枠はありますが、しかしそれは国語・数学・英語・理科・社会(地歴公民) の5教科全部で、最低でも1科目は高校3年生になっても履修するように定めている、最低基準を定めるものです。(これが無いと、理系の苦手な文系生徒が高校2年で数学・理科を完全卒業してしまうので) また、ある私立でいう「自由選択」が、他の公立高校でいう「選択必修」の意味だったりする場合もあります。たとえば、上記の地歴公民の例のような「世界史探求・日本史探求・地理探究のうち、いずれかの科目から1科目を選択」をある私立高校では(選択必修とは呼ばずに)「自由選択」と呼ぶ場合もあります。 文科省が指導要領などで高校必履修と定めている「芸術I」に対してだけ必修選択という用語を使い、指導要領上の高校必履修ではない科目については自由度が低くても「自由選択」という語を使っている私学もあります。 このように、あまり「自由選択」枠の意味には、共通のルールはありません。 公立では、その最低基準の必修選択さえ満たせば、あとは芸術IIを選択履修しようが、あるいは家庭か「フードデザイン」を選択履修しようが自由なわけです。(ただし家庭科については、高校3年のカリキュラムでは、自由選択に含まれずに存在しないことが公立高校でもよくあります。) ただし、文系クラスでないと芸術IIを履修できない公立高校も多くあります。 私学で自由選択枠が充実している高校は、意識が高い大学付属高校とか、あるいは難関大学の受験をあきらめているような高校です。その中間である多くの私立の進学高校では、自由選択枠は基本的に無いか、ほぼ自由度が無いのが実情です。 どうも世間には、大学付属校の私立高校の高3「自由選択」科目だけ見て、「私立は自由だ」と誤解している人が多そうなフシがありそうです。 なお、私立高校によっては「進学コース」が存在せずに「特進コース」とか「選抜コース」といった特進以上のコースしか存在しない私学もありますが、そのような特進以上しかコースのない私立高校の場合、まず芸術IIとか家庭科「フードデザイン」とかは無いことが多いです。 == 男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない == :※ 過疎地だと、たまたま地域によっては男子の多い地域とか女子の多い地域とかありうるので、下記は首都圏の話だとします。 普通科でも、たとえば理系の私立大学の付属高校だと、男女比が 男:女 = 2:1  くらいに片寄っている場合もあります。 まあ、理科系の大学の男女比が片寄っているので、それに慣らす意味合いもあるのかもしれません。そういう環境がイヤな人は、理系の私大の付属高校は敬遠したほうが良いでしょう。 そこまで男女比が極端でなくても、公立高校でも理数科に入ると、男性がやや多め(たとえば1.3倍くらい)な場合もあります。 いっぽう、公立高校の共学の普通科だと、あくまで傾向ですが、男女比がほぼ 1:1 に近い傾向があります。男:女 = 1.2:1  とか  男:女=1:1.2  とか、そのくらいに収まることが多いです、 私立だと、たとえ理系私大の付属高校でなくとも、私立だと高校によっては、男女比が 1.6 : 1 くらいに差がある場合もあります。 ただし、公立高校の普通科でも、その高校に商業科や国際科が併設されていると、女子が多い傾向があります。あるいは、その高校に理数科や工業系や'''スポーツ系'''の学科が併設されていると、男子が多い傾向があります。 ほか、商業科・国際科の併設があるわけでもないのに、なぜか男女比の片寄っている公立高校もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=zAbCbrsDEgs (動画)行田kokojuken34_ 『【仰天!?】共学校でこんなに違うのか!【男子、女子比率】』 2024/03/09] 2024年3月31日に確認.</ref>。 現状は普通科高校の公立校でも、歴史を調べると過去に商業高校だった普通科高校もあり、そういう場合は過去に引きずられて男女比が片寄り気味な場合もありえます。 == 公立高校について == === 公立高校は地域に開かれていません === 昭和の昔は(高校ではなく)公立小学校は、「公立小学校は都道府県の税金で食っているのだから、たとえば地域のリサイクルのバザーを小学校の校庭で開くとか、そういう地域交流をするべきではないか?」とかの意見もあって、実際に地域交流をしていました。図書室などを曜日限定でしたが大人も使えたりもあったそうです。(ただし21世紀から、不審者対策など警備上の理由で、そういうのをしなくなった。) しかし公立高校は元からそういうのをしていません。 公立高校は、けっして公立中学のように地元住民が全員通えるわけでもありません。公立高校にも税金が生徒1人あたり年間70万円ちかく投入されているのですが、いったい何のために、公立高校の生徒に税金が投入されているのか、意義が分からず意味不明です。 戦後の昭和に作られたような公設民営(地方の県などが誘致した私学)の私立高校には税金が投入されず(私立高校でも文部科学省の指導要領に従っています)、それより偏差値が低くても公立高校に税金が投入されます。日本の国会議員の考える教育政策は支離滅裂です。 公立の生徒だからと言って、別に地域ボランティアをしているわけではありません。何のための税金投入でしょうか。 === 新入生が15歳とは限りません === 私立高校の受験要綱には年齢制限があるのが普通ですが(16歳以下)、しかし公立高校では、たとえ進学校であっても年齢制限がありません。 このため、もしかしたら公立高校の新入生が15歳ではなく16歳またはそれ以上の可能性もあります。あまり年齢が高くなりすぎると、正当な理由が無い限りは内申点などで減点され合格が難しくなるでしょうが、裏を返すと、1年の浪人なら、そうではないわけです。 また、私立大学への指定校推薦などの募集要項にも、年齢制限は無いのです。この穴をつつくと、やりようによっては、いろいろと出来てしまいます。ハッキリ言って、制度をつくった文部科学省の官僚と政治家がすこし、頭が回ってないようです。 == 地方の小規模校の欠点 == 地方の極端な小規模校では、普通科でも、数学IIIや物理II(いわゆる、現在の専門『物理』)といった高度な理数系科目が開講されていなかったり<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/content/20240131_mxt_koukou01_000033692_001.pdf 文部科学省 初等中等教育局参事官付(⾼等学校担当) 著 『⾼等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)』、2024年 ? (アドレスより推測)、 ]</ref>、古典講読などが開講されていない傾向もあります<ref>[https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-20530777/205307772010jisseki/ 山崎 博敏 研究代表『教育人口の変動と学校の規模・再編統廃合』、kaken、公開日: 2012-07-19 ]</ref>。数学IIIなどは高校必修ではないのです。 == ほか、雑多なこと == === 共学と男女別学 === 戦前の日本では、中学校以上からは男女別学でした。このため、公立高校のうち、戦前から存在する高校は、今でも男女別学な高校が北関東を中心に21世紀でも残っています。 また、日本人の伝統主義的なブランド志向からか、公立高校では戦前からある古い高校ほど偏差値が高い傾向が多いのですが、上述のように戦前の高校教育は男女別学だったので、したがって昭和の時代までは、公立高校で偏差値の高い高校は男女別学の傾向がありました。 しかし、平成になり、男女共学化が各県で進み、令和の今では、北関東などの一部の地域を除き、ほとんどの公立高校が共学になっています。(ただし、国立の高校には、男女別学が残っています。たとえば、筑波大付属駒場は男子校です) このため、もう全国的に統計を見ると、公立の男女別学の高校は1%くらいしか残っていません<ref>[https://www.bengo4.com/c_18/n_13973/ 『北関東に多い「公立高校の男女別学」は時代錯誤か? 共学化めぐる議論の歴史』、弁護士ドットコムニュース、2022年01月01日 09時33分] 2024年3月31日に確認.</ref>。 なのにインターネットだと、統計を無視した頭の悪い評論家がチラホラいて、まるで日本各地に男子校・女子高の公立高校があるかのような言説で、「子どもたちの選択の自由をうばうな!」みたいな事を言っている頭のわるい評論家もいますが、しかし既にもう北関東以外では男女共学しかないのが実態です。 2003年度に福島県、2010年度に宮城県ですべての県立校が共学化しており、もうこれらの地域では男女別学の県立高校は残っていません<ref>[https://www.bengo4.com/c_18/n_13973/ 『北関東に多い「公立高校の男女別学」は時代錯誤か? 共学化めぐる議論の歴史』弁護士ドットコムニュース、2022年01月01日 09時33分] 2024年3月31日に確認.</ref>。なのに評論家のなかには埼玉県の男子校・女子高を擁護しようと「選択の自由」とか言い出す頭のおかしい評論家もいますが、しかし福島県や宮城県の人は埼玉県の公立高校には通えません。 2023年の時点で、今も別学の公立高校が残っているのは、埼玉のほか、群馬(12校)、栃木(8校)、宮城(1校)、千葉(2校)、和歌山(1校)、島根(1校)、福岡(2校)、鹿児島(5校)だけです<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASRDC4H1SRD4UTNB01S.html 朝日新聞『減りゆく公立高の男女別学校 7割が埼玉・群馬・栃木に集中のなぞ』2023年12月13日 12時00分] 2024年3月31日に確認.</ref>。 男女別学が良い悪いの問題ではなく、「一部の評論家の、論拠がとてもおかしい(もう共学しかない地方が多いのに、選択の自由を根拠に「埼玉だけ男女別学を残せ」と主張している)」、「論拠のおかしい評論家を支持する、知識の欠けている支持者が少なくない」という話をしています。基本的な統計を無視している頭の悪い人たちの意見は真に受けてはいけませんし、そういう頭のおかしい評論家の支持者も頭がおかしいので、身の安全のため、あまり付き合わないほうが良いでしょう。 どうしても男女別学の必要性を訴えるなら、けっして一部の地域住民にしかメリットの無い「選択の自由」(?)を主張するのではなく、たとえば「比較対象としての実験校になる」とかそういう事を言わなければなりません。あるいは、そんなに選択の自由を主張するなら、男女別学だけ例外的に学区を撤廃して日本全国から生徒を募集するとか主張しないと、他県の選択時を無視しており理屈が通りません。あるいは、「各県に男女1高校ずつだけ男女別学を設置すべきだ」とか主張しないと理屈が通りません。 なのに、埼玉県の公立男女別学の生徒の意見だけを聞いて男女別学のありかたを考えるとか、他県の受験生の選択肢を無視していて支離滅裂だし、こんな事にも気づけない時点で、残念ながら男女別学の思考レベルは低く失敗していると言わざるを得ないのが実情でしょうか。 部分的には男女別学が残っている県でも、家からとても遠いなど、事実上、通える地域ではありません。 まあ、男女別学の校舎を共学に作り替えると、トイレの増設などの工事も必要になるので、仕方ないのかもしれません。 ほか、部活動に部室も共学になると男女別々に必要なのが、けっこう敷地的に負担です。 なお、私立でも同様であり、東京や神奈川のように戦前から私学の多かった地域では、私立で高偏差値な高校は男女別学な傾向があります。 たとえば戦前からある慶應義塾高等学校(慶應日吉高)は男子校です。早稲田大学高等学校も男子校です。いっぽう、慶應義塾湘南藤沢高校は1990年代に設立されたので男女共学です。 ほか、「男子御三家」(開成・麻布(あざぶ)・武蔵)、「女子御三家」(桜蔭・女子学院・雙葉(ふたば))なんて言葉もあります。 また、戦前からある古い私学は、校舎が歴史的建造物になってしまっていたり、そういうのもブランド化しているので、簡単に建て替えるわけにもいきません。 ;高度成長期などの校舎の立て直し 戦前から続くような伝統校でも、実際は建築の立て替え工事を何度もしています。たとえば、戦前からの木造校舎を解体して、戦後の高度成長期や昭和末期とかに鉄筋コンクリートに立てなおしたりしています。立て直しなどの際に、校舎の位置も微妙に移転しています。たとえば、校庭だった場所に新校舎を建てて、校舎だった場所が新校庭になったりとか。 建築史でも、関東大震災を機に、それ以前は木造だった校舎が、震災後は鉄筋コンクリート造になっていった歴史が、都心ではあります(地方はどうか知りません)。 私学は自分たちのカネで運営されてるから良いとして、公立に関しては正直、終戦期にGHQが共学化を原則とするとか言ってたのにかかわらず、昭和も平成も過ぎて2020年代になっても何の手も打ってこなかった低予算の公立高校およびそれを抱える自治体は、ちょっと時代を先読みする能力がアレです。 なお、私立大学は学校によっては何度も移転しています。たとえば法政大学の理工学部は、もともと東京の麻布(あざぶ)にありましたが、現在は東京の東小金井(ひがしこがねい)です。法政大に劣る知名度しかもたないくせに「伝統と格式」とか言ってお上からの共学化とか移転とかの方針に反対している公立高校の卒業生といった地元住民を抱える自治体、国からの税金頼みの住民を抱える自治体は、ちょっとアレですね。 ほか、男女別学の擁護(ようご)の意見で、よくある評論で「男女別学のほうが、女子がリーダーシップを発揮しやすいなど、教育に良い」とか言うのも、一見すると論理が通っていそうですが、しかし、すでに日本の公立の小学校・中学校は日本全国で共学です。高校の男女別学を主張する前にまず、「公立中学校で男女別学の再導入をせよ」とでも主張するべきでしょう(戦前は中学校は男女別学だったので「再」導入)。それに気づけない視野狭窄も、とてもアレです。 あるいは「義務教育の子供には男女別学は相応しくない」として高校以降を区別する論法なら、だったら大学も義務教育ではないので公立大学や国立大学で「男子大学」を主張しないと(国立の女子大はすでに「お茶の水女子大」や「奈良女子大」があるので男子大学を追加しないといけない)理屈が通りません。 あるいは、もし反論として「大学は女子差別是正のアファーマティブ・アクションの一貫で、国公立の男女別学は女子大だけでも良い」というなら、だったら高校の男女別学もそのアフォーマティブ・アクションにより男女同数である必要はなくなってしまい女子高だけ多くても問題なく、したがって公立男子高校の共学化の論拠になってしまいます。 上記の程度の、ちょっと考えれば気づく程度の意見を無視した言説が、ネット上にはあふれており、「プロ」を自称する評論家ですら、この程度のことに気づかない、あるいは気づいて意図的に無視しています。そういう頭の悪い評論家も多いので、ネットの言う教育評論などは真に受けず、中高生は受験勉強をしましょう。 === じつは公設民営の私立高校がある === ついでに言うと、昭和の千葉とか埼玉とかは高校不足だったので、1970年代ごろ、そこらの県が私学を誘致しています。上述の芝浦工大の千葉の付属校も私学ですが、実態は県の誘致した高校です<ref>[https://www.ka.shibaura-it.ac.jp/guidance/history/birth/ 『芝浦工業大学柏高等学校の誕生 学校概要 芝浦工業大学柏中学高等学校』] 2023年12月02日に確認. </ref>。 昭和のころ、インフラ的な施設の建設では、「公設民営」とか「第三セクター」とか、昭和の当時、中央省庁の官僚がアイデアを考えて、民間と役所のカネで実施する、というのが昭和の半ばころ流行しました。(当時は今よりも中央省庁の権限が強かった時代です。)今では「公私協力」とも言います。 現代でも、大学ですが[[w:公設民営大学]]の私立大学とかあります。例として、もう公立化されましたが、山口県にある山口東京理科大学がその典型でした。[[w:公設民営大学]] 悪口で「私学は金持ちのバカが行くところ」とか言ってる人は、こういう歴史がよくわかってない馬鹿なので、相手をするのは時間の無駄だと思います。 ;政府は責任をとりたくない 「国が学校教育の新しいアイデアを試したいなら、単に実験校を増やせばいいだけでは? 既存の公立高校と教育大の教育学者に、もっと教育実験の任務を与えればいいだけでは?」とか、あるいは「政府の財政負担を減らしたいなら、国公立の高校の学費をあげればいいだけでは? または既存の国公立の学費の過半数はそのままでもいいから既存の学費の低い公立高校とは別に、いちぶの公立高校だけ学費を私学の学費の半分くらいになるまでアップして(国立大の学費が私大のおよそ半分だす)、学費の高い新種で別種の公立高校をつくればいいだけなのでは?」とも思いますが、まあ、国会での与野党のくだらない質疑応答を減らしたいのでしょう。私学のような民間のやった事にすれば、野党はいちいち口出しをできませんし。 公立高校の教職員は公務員ですので、労働問題とか、いろいろと面倒なのです。(公務員は原則、ストライキを出来ません。なお、労働組合活動は可能であり、日教組(にっきょうそ)という組合が有名である。) === 高校生の論文は文系分野ばかり === ==== 基本 ==== :(※ どっちかと言うと、下記の記事は総合学習のページのwikiに書くほうが適切かもしれません。) 一部の私立高校で卒業論文など論文を書いていたり(2年生で論文風の作文を書くこともある)、国公立でも一部の高校で論文を書いていますが、分野は文科系の分野がほとんどです<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 ]</ref>。例外としてスーパーサイエンスハイスク-ルの指定を受けるような設備の充実した高校でもない限り、理系の実験は難しいのが現状です<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 ]</ref>。近現代の経済などが、比較的に書きやすいでしょうか。 基本的には、社会科学系の分野です。 なので、最初から高校の文系教科側にカリキュラムとして論文執筆を組み込む私立高校もあり、たとえば私学の麻布(あざぶ)中学・高等学校がそうであり、地歴・公民公民の科目に論文カリキュラムを組み込んでいます<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.183 の注6] 2023年12月02日に確認. </ref>。 なお、大学入試側も、高校の探求が公民科目に寄っているのを反映してだろうか、一部の文系学部の入試科目から歴史科目を外す動きもあり、早稲田大や青山学院大学ですらそのような入試改革の動きがあります<ref>[https://diamond.jp/articles/-/314990?page=3 後藤健夫 著『増加する「Fランク大学」、“ボーダーフリー”時代の大学の選び方』、ダイヤモンド社教育情報、2022.12.22 3:20]</ref>。おそらく、偏差値上位の私立高校で探求を頑張れる優秀な学生をゲットしたいのでしょう。 書籍名などで「論文」と題されることもありますが、実際には、埼玉県立浦和(うらわ)高校の場合、出典など多少の裏付けのある文集や紀行文なども混ざっています<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P42</ref>。まあ、論説文であることには、変わりありません。一言も「学術論文」とは題されていませんし。「総合的な学習の時間」(2023年の現代は「総合的な'''探究'''の時間」)などの時間を、それらの論文・作文などの執筆や調査に当てている事もあります<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P40~P42</ref>。ただまあ、紀行文といっても、けっして旅行先は単なる国内観光地とは限らず、国費での海外語学研修での米国大学あたりの訪問記とかの紀行文とかだったりする高校生もいるので、世間一般の旅行の紀行文のようなものとは区別したほうが安全だとは思います。基本的に、学問的に読む価値のありそうな文章であることが求められるとは思います。 なお、歴史の論文は、とても難しいので、(感想文などではなく)学術的な論文としては避けるべきです(史実の確認はとても難しいので<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ]</ref>)。 中央大の付属高校いわく、 <blockquote> 論文のテーマ(問い)は、「えっ。こんなに小さな問題でいいの?」と思うくらいに絞り込むこと。漠然とした問いは、いつまで経っても書き出せないか、概論を述べるだけで終わってしまう。論文を読んだ人に、「ふむふむ。それで?」と言われてオシマイ。 </blockquote> です<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ]</ref>。 神戸大の付属高校でも、説明画像「良い問いの条件とは?」で、「すぐに答えが出る問いではないか?」と釘を刺したうえで、 さらに、 <blockquote> 「しかし、1年ぐらいで答えが出る程度に小さい問いか?」 </blockquote> と述べています<ref>pdf [https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/education/kp/materials/2023_kuss_handbook.pdf  『2023 年度 Kobe ポート・インテリジェンス・プロジェクト 課題研究・卒業研究ハンドブック』P.30]</ref>。 神戸大付属校が言うには、高校生のする研究論文にとっての「良い問い」とは、1年間つづけられるほどに「'''やりたい'''」、高校生でも「'''できる'''」、社会がその研究を支持してくれそうなほどには「'''意義がある'''」の3本が必要です。まとめると、 * やりたい * できる * 意義がある の3本です。 さて、参考文献として読む本の冊数は、たとえば『浦和高校論文集』の論文をいくつか見たのを例にすると、一般の大人向け(ここでは「高校卒業者むけ」という意味)に書かれた本が10冊~15冊ていどです。そのうち、大学教養レベルの教科書が1~2冊もあれば十分でしょう<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P393およびP379など</ref>。 参考文献のひとつとして、アメリカなど海外で使われている教科書の和訳を読めば(たとえばマンキュー経済学<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P379など</ref>など)、国際的に通用する議論になるので、お得です。 和訳さえている本を読めば十分であり(英語の原典・原書に当たる必要は無い)、そもそも高校の先生にその翻訳を確認するだけの時間がありません(もし先生が英文和訳の添削ばかりしてたら、先生が過労になってしまいます)。なので、日本国内で先行研究のあるテーマを選ぶことになるでしょうか。 なお、(基本的な教科書を除くと、)参考文献リストの載ってない本は、先行研究とは言えません<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P18 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。なので、メインに使う本には、参考文献リストが載っている本を選びましょう。 今までの議論の前提として、先行研究がある程度は存在しているテーマを研究するのがコツです<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P5 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。高校レベルだと、そうしないと卒論を書くのが難しいでしょう。 また、客観的データを自分で入手できるテーマに限ります<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P5 ] 2024年03月20日に確認.</ref>。このため、最近の流行の調査とかは、客観性がとぼしく、論文としてはテーマに不適です。 また、参考文献は変わりますが(文献名は忘れました)、現在始まったばかりの流行は、基本的には評論などを行わないのが、評論の業界でのマナーです。たとえばテレビで放送開始したばかりのドラマとアニメとか、基本的には放送開始から半年~年内には論文などでは大々的には論評してはいけません。なぜなら、論評そのものが作品の評判に影響を与えて変化させてしまうので、観察対象がその論評のせいで変化してしまい、業界全体での客観的な研究ができなくなってしまうからです。具体的な参考文献名は忘れたのですが、1990年代後半に同人サークル「と学会」(オカルト本を研究している同人サークルのひとつ)が、市販の書籍でそう述べていました。 放送開始から1年程度の月日が経って、ようやく、評価が確定してきてから、論評を開始しないといけないのです。 比喩を言えば、バードウォッチングで鳥を観察する人は、基本的には、鳥に気づかれないように観察しなければなりません。 なのに、先行研究の少ない分野を研究しようとしている人は、たいてい、こういう基本マナーが分かってない人なので、もし自分がそうだとしたら、反省しましょう あと、卒業論文とかにもし放映中のドラマとかの研究を書いてしまって、卒業後にもしそのドラマの俳優が麻薬所持とかで逮捕されたら、製本された論文集、どうするんですか? 論文を撤回しようにも、卒業アルバムと同様に卒業論文集も製本されて卒業生の共通の思い出のメモリアルになっているので、もはや撤回できません。 卒業後に改訂版を出せないので、もっと慎重な先行研究の多めのテーマを選んでください。 そういう新しいテーマは、卒業論文ではなく、雑誌論文とか、大学教員になったら紀要(きよう)とか、個人の書籍とかブログでやってください。 比喩的に言えば、卒業論文集は個人の所有物ではなく、半分は、卒業生一同の共有物のようなものです。 こういうふうに、最近の人気マンガだとか芸能だとか現代の若者などの流行分野を研究するのは、とても難しいのです。 これはつまり、ネットの匿名掲示板とかで放映中の作品などを議論している人や、そのような評判を参考に作品鑑賞している人は、上述のような意味でも、あまり信用しないほうが良い、という意味です。論評の基本マナーを知らないほどに論評のレベルが低くて頭わるい馬鹿のくせに「自分は頭がいい」と思っているという、自己の心の病の病識(びょうしき)に欠ける人です。 残念ながら、作家でもこのような基本の分からない人が存在します。志望業界の若手にそういう低レベルな作家の多い業界の場合、これから衰退していく業界でしょうから、志望先を変えるのが良いでしょう。 今は盛り上がっていても、若者のレベルを見れば、これからが分かります。俗に「ピークアウト」と言う言葉があり、その時点では盛り上がってても以降は低減していく現象のことを言います。 だから学校の図書室に新刊の本の購入をリクエストする場合でも、あまりにも新しすぎる本の購入だと、売上を下げる営業妨害になりかねないので、図書室での購入を断られる場合もあります。特に小中学校の義務教育で、そのような傾向があります。 なので、ともかく先行研究を無視して「どんなテーマでも」と言うのは、無理なのが実情です。実際、教育学の論文『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』(大貫眞弘・竹林和彦 共著) P.179によると、下記のように問題点が指摘されているのが現実です。 <blockquote> また、多様なテーマに対応するだけの蔵書数は、高等学校の図書館にはない。大学附属校で高校生も大学図書館を使用できる状況であればいいのだか、多くの学校はそのような状況にはない。公立図書館の利用や高大連携による大学図書館の利用も紹介されているが、情報の宝庫である充実した図書館が、すぐに利用できる校内に設置されているか否かは大きな問題である。 </blockquote> <ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 の節「3)研究環境(施設面)の問題点」] 2023年12月02日に確認.</ref> なお、論文は文章の長さよりも質が重要であり、6000字でも内容がシッカリしていれば高校論文としては問題ありません<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。16万字とか書く必要はありませんし、そもそも長すぎる論文だと先生が過労になってしまって読み切れません。高校2~3年生の16万字×40人×担当クラス数(たとえば4学級)=2560万字のレポートなんて、どこの高校でも先生は読みたくありません。 なお、『浦和高校論文集』によると、浦和高校の卒論は2万文字が目安らしいです<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P148</ref>。 このように学校によって、字数の相場は違います。 そのほかの卒論のある高校は、 筑波大学附属坂戸高等学校や東京大学教育学部附属中等教育学校、名古屋大学附属高等学校など。 私立なら、早稲田大の付属校や、専修大学附属松戸高等学校など。 これに関して、マーチの大学付属校は実質的に文系重視です。いちおう理工学部もありますが、付属校の生徒からは敬遠されています<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD049S60U3A001C2000000/ 『理系学部への進学率、付属校は低調 進学校は伸び』、2023年10月17日 5:00 、※会員限定記事 ]</ref>。 ;同一テーマに関する複数の文献を比較 ほか、高校レベルの論文を書くための文献の冊数として、5冊~10冊以上を読むのが基本です。どこの上述の高校も、そのくらいの冊数の本を、論文執筆のために読ませています。(ただし、エッセイとかを書く場合は別。)なるべく同じテーマの本を読む必要があります。 1940年代に欧米で提唱された「シントピカル・リーディング」という読み方がこれに近いのですが、しかし1940年代のことを21世紀の2020年代に当てはめるのには無理があります。なので、あまり、この読書法の用語には、こだわらないのが良いと思います。 北里大学(付属高校とかではなく大学本体の某・研究室)によると、「シントピカル・リーディング」とは、同一テーマに関する複数の文献を比較し、結果や考察の相違点を調査する読書法です<ref>pdf [https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/albums/abm.php?f=abm00036134.pdf&n=2021%E5%8C%97%E9%87%8C%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%80%8C%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E6%84%9F%E6%9F%93%E5%88%B6%E5%BE%A1%E7%A7%91%E5%AD%A6%E5%BA%9C%E3%80%8D%E5%AD%A6%E4%BF%AE%E8%A6%81%E9%A0%85.pdf 『2021北里大学「大学院感染制御科学府」学修要項.pdf』P.123]</ref>。なお、syntopical とは、『本を読む本』(How to read a book )著者のM.J.アドラーの造語です。 ともかく、研究的な内容の文献調査は、もはや文献の内容が完全に正しい保証は無いので、決して1冊の本を鵜呑みにしてはいけません。 もちろん、単に書籍数の多数決で真偽を判定、なんてのも論外です。高校生には論文に使える時間に限度がありますが、高校生なりに、ある程度は検証しましょう。 ==== 仮説思考 ==== 中央大付属の場合、論文を書く際、あれこれと文献をいくつも集める前に、「たぶんこれはこういう仕組みだろう」的な、仮説として仮の「答え」を用意しておきます<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P23 ] 2024年03月20日に確認.</ref>。 ほか、立教池袋高校の卒論では、2年生のうちに仮説を提唱させ、3年生でその仮説を検証します<ref>[https://www.asahi.com/edua/article/14636767?p=2 葉山 梢 著『卒論の執筆通じてリベラルアーツ教育 内部推薦のポイントにも 立教池袋』2022.06.08 ]</ref>。 なにも中央大だけの独自見解ではなく、高校の理科の教科書の巻末にある「課題研究の仕方」みたいな章を読んでも、同様に仮説やモデルの設定などをせよと書いてあります。つまり、別に文系のテーマだけでなく理系のテーマの場合でも同様に、仮説やモデルを設定する必要があります。 :※ なお、「モデル」とは、けっして美人とかのことではなく、理論の「模型」(model)という意味。「少々の誤差はあるが、おおむね減少の仕組みを、簡潔に説明していると思われる理論」のことをモデルと言います。(詳しくは高校の情報科で習います。) ともかく、中央の場合、たとえば、「自転車と歩行者のあいだの交通事故を減らす方法を見つけたい」という問いなら、とりあえず仮の「答え」として、「自転車の利用者のマナーを向上させる」のような仮説を用意するのです。 もちろん、まったく文献調査やアンケート調査もしてない段階なので、この答えが正しい保証はありませんので、あとで答えを修正することになる可能性もあるかもしれません。 ですが、まずは仮の答えを用意します。また、そう思った「根拠」を文中で提示します。で、これをあとは時間の限り、警察などの客観的な統計とか調べたり法律を調べたりとか、さきほどの仮説や根拠の妥当性を検証していきます。 もし自分の仮説が間違っていそうだと思ったら、その時は単に論文のその箇所を直せばいいのです。 完璧な仮説はNGです。仮説は修正していくものです。 「仮説が間違っていると分かった」のなら、それは研究が進展して、仮説が'''反証'''されたという事ですので、良いことです。「仮説がこれこれこういう実例により正しそうである」という立証だけでなく、反証もまた、検証の一種です。 仮説が無いと、そもそも立証や反証の対象物が無いので、なにも検証を進められず、研究の深堀りが難しくなります。 なお、論文にかぎらずビジネスでの営業や企画などでも、まずは仮説を用意します。これをビジネス用語で「仮説思考」と言います。 言い回しは業界によって違いますが、考え方は似ています。 ビジネスの世界では、時間が限られているので、漠然と何でも事前調査するという事は、不可能です。なので、とりあえず仮説を立てて、その仮説を少しだけ検証して、あとは実際に活用しながら修正していきます。 仮説思考によって、本当に解くべき問題が何なのかが、明確になります<ref>[https://note.com/haruna_pp/n/na87491690a21 『実験する前に論文を書こう~「仮説思考」を読んで~ (ver1.0) 』2024年1月6日 20:16 ]</ref>。 この方法に文句をつけてくる学者や教員がいたら、ビジネスの出来ない人なので、あまり相手しなくていい。例外として、数学とかの完全な論理性や、あるいは医療とかの極度の慎重さが要求される分野とか、国会の立法とかでない限り、仮説思考で良い。 Quick and Dirty(クイック・アンド・ダーティ)といって、「汚くていいので、さっさと進めろ」みたいな意味の言葉が、ビジネスやソフトウェア開発などの言葉であります。 とりあえず、精度は低くていいので、仮説・根拠のセットを提示するのが先であり、とりあえずそのセットの検証を始めていくのが先です。 ==== 問題解決ではない ==== 論文を書くなどの研究は、「問題解決」型の学習ではありません。現状の問題点を見つけて、それを検証、深堀りなどをして「解明」するのが、「研究」です。そもそも解決していないから、研究テーマなのです。社会問題など、一個人での解決は、無理です。時間も予算も、解決するには、大幅に不足しています。 大学などで行われる文科系の「研究」の多くは、良くも悪くも、問題点を見つけて深堀りするだけです。 もし解決策が思い浮かんでも、実際にその解決策を実行して事態が好転しても、それを現状の社会の「問題点」を明らかにして解明するという形の文章に変換しないかぎり、論文にはなりません。 正直、「問題解決」とは、論文は相性が悪いこともあります。問題解決ばかりしている暮らしの不足を補うための論文、とでも言えばよいでしょうか。 それどころか、大学評論家によると、大学の文科系学部の伝統的な授業内容ですら、教育内容が問題解決につながっていないのが実態だと報告されています<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=oQNeaMxX9sc オンラインのメガスタ公式チャンネル 『文学の力で社会の課題を解決する!!』2024/04/10、 3:30 あたりから] 2024年04月10日に確認.</ref>。 ==== 読書の方法 ==== 論文を書く際の読書の方法として、当然ですが、関連するテーマの本を、何冊も読みます。高校によって要求される冊数は10冊か20冊か、差がありますが、ともかくそのくらい読みます。 この際、同じ著者の本ばかりを読むのではなく、なるべく別々の著者の本を読みましょう。 さらに、自身の確認した体験などを通して、検証します。 これを Syntopical Reading と言います。高校生くらいになったら、こういう読書が求められます。卒業論文などを描く際の読書も、このレベルでしょう。 [https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%82%80%E6%9C%AC-%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E5%AE%B6%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%96%E3%81%99%E4%BA%BA%E3%81%B8-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%BBJ%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%BC/dp/2000524001/ref=sr_1_1?dib=eyJ2IjoiMSJ9.VpqUkV6DHZuZsgzwYTOTh2ZgA4mYcWsBooOx6MUYkbA.GblkUDjG7anKTt01HJ0zLyLa9WrX0MQmIJRCREKo14Q&dib_tag=se&qid=1711255352&refinements=p_27%3A%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3&s=books&sr=1-1&text=%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3 『本を読む本 読書家をめざす人へ』 ](1978/1/1、モーティマー・J・アドラー (著), チャールズ・ヴァン・ドーレン (著), 外山滋比古・槇未知子訳 (著) )にそういう話題があるらしい。 普段の読書でも、同じテーマの本を、別々の著者で、いろいろな視点で読んでおくと、論文や研究につながりやすくなります。 本に書いてあることの要点を把握するだけなら、中学生レベルとのこと。その本だけを鵜呑みにすればいいのですから、とりあえずの要点の抽出は、そんなに高度ではありません。 == 私立のあれこれ == === 私立高校の地元推薦枠 === ;推薦されても絶対合格ではない 地元枠にかぎった話ではないですが、そもそも推薦入試は必ずしも「絶対合格」ではないです。私立の偏差値の高めの高校の地元枠の場合は、あくまで推薦されたらそれ以降の試験は低倍率で合格しやすい(なぜなら遠隔地から受験マニア家庭の中学生が押し寄せないので)だけです。私立高校の場合、推薦入試でも5教科の学力検査を行う場合もあります<ref>[https://jyukumado.jp/column/50 『高校受験の「推薦入試」ってどんな制度?わかりやすく解説!【塾探しの窓口】』2023.11.01] 2024年01月01日に閲覧. </ref>。なので、推薦をもらえても受験勉強はシッカリと続けましょう。 特に21世紀では、ブランド的な私立高校は付属中学をもっていることが多く、このため募集人員が生徒数に比べてかなり少なめなので(たとえ1学年8学級の約320人であっても、4学級ぶんは付属中学からの内部進学なので、残り4学級ぶんの160人のなかを目指す競争になる)、推薦入試といえども難関です。なので油断せず受験勉強しましょう。 === 私立の土曜授業 === 多くの私立の中高で、土曜日には授業があります。(公立だと、土曜日の授業が無い場合や、隔週などの場合もある。) ほか、部活の大会などの行事が土曜日にある場合もあるので、公立高校では大会などのスケジュールとの兼ね合いから、土曜授業を行わない高校も一部ではあります。 なお公立の場合、進学校で土曜日を休んでいて週5日制の場合は、土曜休みの代わりに、夏休みや春休みが短いなど、そういう負担があります。 公立の場合、大会などで日曜日に活動させた場合に振替休日が必要になる場合もあるので、それを嫌って土曜授業をしない場合もあり得ます。 もっと言うと、進学校の中には、そもそも部活で大会やコンクールなどに出たがらない高校も、公立でも私立でも、あります(土曜日の授業時間が減るので)。 どうしても私立進学校が土曜日にも学業を教育したい場合、土曜日に提携する予備校などのビデオ教材などでの復習中心の講習をする場合もあります。これなら、高校の教師も休めるし、生徒には復習にもなるし、いいことづくめです。 また、私立高校の中には、教科書のほかにも予備校などの教材や参考書を使っている学校もあるのだという事に気づきましょう。 ほか、一部の私学では、定期試験の回数を年2回に減らすというテクニックもあります(1年間を前期/後期の2学期制に分け、それぞれの学期の期末試験のみ)。これなら、テストのために授業時間が減る量を半減できます。 === 附属中学校の方針が事実上の方針 === 私立の多くの中高一貫校では、付属中学の中学受験の影響を受け、高校側も学力重視の文化に変わっています。 このため、平成に付属中学が新設された中高一貫校の場合、付属中学をもたなかった昭和のころの教育方針と(たとえば体育重視の文化だったり)、現代の21世紀の令和の教育方針とは、まったく別物に変わっているのが実態です。 たとえば、仮に、ある附属中学校の入試方針なり授業方針が「学力重視」だったとして(実際にはここまで明言しませんが、説明の簡単化のため、そう仮定する)、その併設の高校の方針が「文武両道」の場合、基本的に事実上の高校の方針は学力重視です。よほど強固に高校側で文武両道を推進しているのでもなければ、付属中学の方針が正体です。 このため、たとえ建前上は高校の教育方針を変えていなくても、平成時代に附属中学校が新設されれば、その附属中学校の方針が事実上の高校の方針へと変わっています。 基本的に、中学入試では部活などは評価されず(というか、小学校の場合は週1日ていどのクラブ活動)、このような背景のため、ともかく付属中学の影響を受ける多くの私立高校は、高校側の実態がかなり学力重視の方針に変わっています。 中学受験をする子供の場合、お稽古事で楽器や女子なら華道・茶道などを習っている場合がありますが、私立中高の部活でも、スポーツよりもそういうお稽古事になりそうな文化部っぽい部活のほうが現代はさかんだったりします。マスコミだと、甲子園などスポーツの話題ばかり出ますが、しかし、もうそういうのは中学受験した内進生の関心事ではないのです。例外として、スカウトで少年野球リーグの有望選手を特待生にするような一部のスポーツ中高一貫校でもないかぎり、スポーツはもう私立中学受験生のリアルな関心事ではなくなってきているのです。 さらに令和の現代では、べつに特には「学力重視」「大学受験重視」をパンフレットで謡ってない(うたってない)ひかえめな付属中学ですら、中学3年生の国・英・社の授業ですでに高校1年の教科書の範囲に平然と入っていたりします。このため、進学先である高校側も、付属中学の進度の速さの影響を受けるので、ますます高校側の学力重視の方針への変化に拍車(はくしゃ)を掛けます。 つまり私立の中高一貫校の分析の場合、高校の情報だけを入手するのではなく、中高一貫校は、中学受験の影響を受けているという事も意識して、パンフレットなどにある建前ではなく実態としての教育方針や教育実態を分析する必要があります。これが、公立高校の分析には無い、私立独自の分析テクニックの一つです。 == 高大連携 == ;高大連携とは 「高大連携」といって、主に進学校の高校では、たとえば、高校生でも提携先の大学教員による特別授業をいくつか受けられたりする事が、令和では行われています。かつては「高大接続」改革などとも言いました。 主に、私立大学が、このような高大連携を主導しています。 いっぽう国公立大では、おそらく他県受験生への配慮や、平等性などの問題からでしょうか、あまり踏み入った高大連携を行わないません。 「高大連携」には高校生むけの教育のほかにも、その大学のある県内の高校教員むけの研修会などを主催している大学もありますが、当ページでは教員むけ研修会については省略します。 この節では以下、主に、高大接続改革としての「高大連携」について解説します。 ;指定校推薦などとの関係 私大との高大連携が進んだ結果などによりて、現代では(2024年に記述)、大学への指定校推薦とは別に、「高大連携」と言われる取り組みがあり、高校時代に大学の授業を聴講できたり履修できたりします。 指定校推薦とは別なので、必ずしも推薦がもらえるわけではありませんが、まあ、知っておくと有利でしょう。特に文科系の学部を志望する場合、大学受験でのAO入試とか自己推薦入試などのアピール材料にもしやすいでしょうし。(ただし理系大学の場合は教育内容の特殊性もあり、あまり推薦系の入試はおすすめしません。) 堂々と、高大連携による推薦枠がある方針だということを明言している私立大学もあり、たとえば順天堂大学がそうであり、(高校の)校長推薦の枠がある方針です<ref>[https://www.juntendo.ac.jp/news/16678.html 『茗溪学園中学校高等学校と高大連携に関する協定を締結しました』 2023.11.30 (THU)] 2024年02月15日に確認. </ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC079KB0X01C23A2000000/ 日本経済新聞 著『埼玉の春日部共栄中高と順天堂大学、出張授業などで連携』2023年12月7日 19:30] 2024年02月15日に確認. </ref>。 なお私立の順天高校は、順天堂大とは名前が似ているだけの、まったく別々の学園ですので、決して混同しないように。 指定校推薦どうこうの可能性は、あくまで私大の話です。 なお、国公立大による「高大連携」というのもあるのですが、しかし国公立大の「高大連携」の特別授業は、基本的に推薦などは関係ありません(そもそも国公立大受験では、指定校推薦の制度が無いです)。国公立大の高大連携の特別授業は、建前どおり、単なる授業でしかありません。 ;協定校 私立大学が高大連携などを名目に、指定校推薦の枠を拡大したものを「協定校」と言います<ref>[https://www.study1.jp/kanto/school/B13P122/school_special/9/ スタディ中学受験 著『法政大学との新たな高大連携!学びを深める連携講座と最大30名の協定校推薦 | スクール特集:三輪田学園中学校 | スタディ中学受験情報局』公開日:2023/8/4]</ref>。 ほかの同じ偏差値帯の高校よりも、協定校の高校には多くの推薦枠が与えられています。 傾向として、私立高校と協定を結んでいることが多いです。 ただし大学によっては、協定校相手でも、それほど大きな推薦枠は与えない場合もあります。たとえば、3名とか5名とかの枠しかない場合もあります(ただし他校はもっと低い)。付属校のような数十名~百名以上のような大きな推薦枠は期待できない場合もあります。 2名の推薦枠が5名に拡大したとしても、たった3名の増加でも「協定校」です。実際に1ケタ台しか推薦枠が与えられていない協定校の高校もあります<ref>[https://www.takeda.tv/naraikoma/student/post-199879/ 武田塾『関西学院大学商学部へ合格!「協定校推薦と指定校推薦の違い」』 2021.09.27]</ref>。 * 参考サイト: [https://www.jhschool.site/2021/04/25/uhsc/ 高大連携情報を大学別に集めていきます] もし将来的に進学したい私立大学の文系学部がある場合、付属高校の合格が無理なら(偏差値が届かない、遠い、など)、提携校の私立高校を狙うという方法もあります。 このように、もう高校の志望校選択の時点で、現代では私立大学受験は始まっているのです。 私立大学受験は、偏差値55以上の多くの私立大学では、もはや指定校推薦が5割近くになっており、残された一般入試の枠をうばいあう競争になっています(しかも競争相手には浪人生もいる)。 偏差値50以下とかの定員割れの私立大学でも、決して指定校推薦をしてないわけではなく、指定校推薦をしているうえで単に受験性が集まらないだけに過ぎません。 提携高校の傾向として、偏差値が高めで、大学の立地に比較的に近めの高校が多く選ばれています。大学から遠いと、大学教授が出張するのが大変になってしまいますので、なので出張しやすい近隣の私立名門高校とだけ提携を結んでいたりします。 なので早い話、もしアナタが東京の偏差値の高めの私大に将来的に進学したいなら、もう高校受験の時点で東京に上京できる(もしくは生まれた時から東京在住の)家庭が有利です。 あるいは、ある大学と教育理念などがとても似ている高校が提携高校に選ばれている場合もあり、典型的なのがキリスト教系の大学・高校との提携です。 ;所得水準のつりあわない高大連携について やたら学費の高い私大医学部と、地元の公立高校との高大連携は、あまり指定校とかAOとかを期待しても意味ないでしょう。高校受験の段階でいちいち大学の学費まで調べる必要はありませんが、公立高校にしか行けない家庭に、学費の高い私立医学部などに行ける経済力があるとは思えません。 せいぜい、大学内の実習室を案内させられて見学させてもらえて大学教員による説明も聞けるとか、私立医大とかとの「高大連携」の内容はその程度だろうと思います。 ;私大付属校の他大との高大連携 私大付属高校でも、他大と高大連携をしている高校も多くあります。たとえば順天堂大学は、ほかの大学の付属高校とも高大連携をしています<ref>[https://www.juntendo.ac.jp/news/18122.html 順天堂大学『日本女子大学附属高等学校と高大連携に関する協定を締結しました』2024.03.29 (FRI) ] 2024年04月06日に確認.</ref>。順天堂大学に限らず、他大も同様です。 またこのように、決して一つの大学としか連携できないわけではありません。地方だと一つの大学しか連携できない公立高校もあるかもしれませんが、しかし首都圏の私立の高偏差値の高校の場合は、特にそういった制限はありません。 === 高大連携の授業についての注意点 === ;地域差 高大連携には、地域差があります。大学教授は、近隣の高校にしか出張できません。大学校舎が近い場合なら高校生側が大学訪問をする場合もあります。 決して、全国共通ではありません。このため、国公立の大学入試には基本、高大連携の内容は出ません。 私大はどうか知りませんが、基本的に高大連携は大学で習う内容に入るので、基本的には大学入試には、そのままでは出ません。そもそも大学の授業が、入試問題には、そのままでは出ません。 ;大学ごとの差 地域が近くても、連携する大学ごとに高大連携の授業や講義などの内容は異なります。学部によって異なる場合もあります。 ;定員がある 高大連携には定員があります。大学教授が面倒を見れる高校生の数には、限りがあるからです。なので、高校進学後に希望しても、必ずしも高大連携の授業などを自分が受けられるとは限りません。まあ、留学とかも同様で、自分がそれを認められる保証はありません。 本来、大学側で大学生の面倒を見ているのに、それに加えて、さらに高校生の面倒も見ているから、大学教員の負担は大きいのです。 ;教育効果は未保証 さて、大学の授業と言うのは、必ずしも、どんな若者にも教育効果が高いという保証もありません。 そもそも大学教育というのは、そういった万人(ばんにん)への教育効果の保証がないからこそ、だからこそ高校の普通科からは切り離して大学など別期間で教育を行っているのです。 また、そもそも教育効果がどんな若者にも校歌の高そうな最新の理論や知識などがあるなら、文部科学省や教科書会社などの手により高校教育に取り入れらます。文部科学省はそれに気づかないほど、愚かではありません。だからこそ、学習指導要領や検定教科書は、定期的に改定をしているのです。そのための改訂です。 だから、地方の人は、東京の高偏差値どうしの私立高校と私大との高大連携を、うらやましがる必要もありません。低い偏差値の人も、高偏差値の人を「ずるい」とか、うらやましがる必要はありません。偏差値の低い人には、高偏差の大学との高大連携の内容は、あっていません。 高偏差値どうしの高校と大学とのあいだですら、教育効果が高いか低いのか、微妙なところです。だから、大学ごとに、高大連携の内容は大学ごとにバラバラです。 高大連携の授業で得た知識を活用するには、それだけ注意深さが必要なのです。 高校入試後の先取り学習とは、意味合いが違います。もはや高大連携は、普通教育の先取りではなく、各自の進路を'''自力で'''考えるためのヒントなのです。 そして、そのようなリスクがあるからこそ、私大の人は、(公立高校ではなく)偏差値の高い私立高校と連携を深めたがります。 == スポーツ系私立高校の特典 == === スポーツ指定校の高校 === 高校から大学への指定校推薦において、その高校が甲子園によく出場したりとスポーツで有名な場合、指定校の枠は、ある程度は運動部の男子が確保済み、もっというと野球部の生徒のためのものです。 たとえば文武両道をうたってる私立高校の場合、指定校の枠が4人なら、2人が運動部のための枠、運動部の枠のうち1人は野球部で残りもう1人は別の運動部でも可、残り2人が学力のための枠、というような意味です。 決して成績順だけで決まるのではありません。 もし大学の募集要項にスポーツ推薦枠として書いてしまうと、スポーツだけのバカ大学みたいに悪評が立ちかねないので、なので指定校でこういう事を行います。 なので、決して実際に甲子園に出た高校ではなく、よく甲子園に出る私立高校かどうかが重要です。もちろん、その大学の立地の近くにあるのが条件です。具体的には、首都圏の私大への場合なら、高校が関東地方にあるか、です。 === スポーツAOの関東優遇・地元優遇 === もし将来的に大学入試でスポーツ推薦とか吹奏楽部や演劇部などの部活動の業績でAO入試などで文武両道どうこうとかで進学したい場合についてですが、徳島県やら鳥取県など過疎県での「全国大会出場」と、人口密集地である東京・神奈川・千葉・埼玉での「全国大会出場」とが、断じて同じ価値なわけないじゃないですか。 単純にもし私立大学がスポーツ推薦だけで「全国大会〇〇位以上」などの条件で集めると、四国などの過疎の地方出身者がとても有利になってしまい、関東南部や京都・大阪・兵庫や愛知県(トヨタ自動車などがある県)には不公平なので、なのでスポーツ推薦とは別にAO入試などを活用して部活勢を関東南部や京都・大阪など大都市の高校から集めるのです。 なので私大は、大学にもよりますが、あの手この手で(AOや提携高校や指定校など)、関東地方など地元の私立高校を優遇します。関東在住者や、大阪・京都在住や愛知在住などで、スポーツが得意で将来的に大学受験を考えている人は場合は覚えておいてください。 たとえば2023年の野球部の夏の甲子園で神奈川県の慶応大の付属高校が優勝しましたが、慶応の付属校と同じ地区にある高校は、仮に全国2位の実力でも、地区予選の時点で敗退してしまうわけです。 夏の甲子園では、東京と北海道だけ甲子園の出場枠が2個ありますが<ref>[https://hgkiy5.com/koshien/#%E5%87%BA%E5%A0%B4%E6%9E%A0 『【高校野球】夏の甲子園、春の甲子園違いは?』2023年7月20日 ]</ref>、しかし東京の高校数の比率は岩手県の2倍どころではありません。 2023年の時点では、東京の高校数は431校、岩手の高校数は81校です<ref>[http://grading.jpn.org/E4101.html 『高等学校数の都道府県ランキング - 都道府県格付研究所』 ]</ref>。 地方在住者の野球ファンは、春の選抜が不公平だとか自分勝手なことを言いますが、そもそも夏の甲子園こそが都市の高校に不利にできています。このため、春の甲子園は、じつは夏の甲子園では不明だった都市部の本当の実力が分かるので、必要なのです。 ついでに、鳥取県は32校で、高校数が日本最下位です(2024年)。つづいて徳島県、島根県、がワースト3で、ともに30校台です。 大学受験のスポーツ推薦をもしスポーツだけで律儀に選抜してしまうと、鳥取県とか徳島県とかの高校の少ない県が無双してしまい不公平なので、実際には「スポーツ推薦以外にも総合型選抜(AO入試)では学力なども見る」という建前ですが、実際には鳥取県とか徳島県とかの全国大会出場者を落として、東京圏や地元の高校生に枠を与える、という意味です(都内の私大の場合です)。 AO入試の「最近では受験生の学力も見る」という建前は、半分ほど建前です。もちろん、もう半分は本当に学力も総合型選抜では見ています。大学ですので、最低限、その大学を卒業できる学力があるかを見ています。ですが、その程度で十分でしょう。 ただし、2020年代以降の私大の総合型選抜では、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求している私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。 私立大学のスポーツ推薦の募集要綱にある「全国〇〇位以上」というのは、過疎の県からのスポーツ受験生をフィルタリングして落とすために条件を厳しめにしてありますので、過疎ではなく関東南部などの高校数の多い県の人で全国大会に行けなかった受験生はAO入試などの別枠で受験・進学してください。 ;学校パンフレットの役者 余談ですが、高校パンフレットや大学パンフレットなどの写真にある生徒・学生っぽい若者の写真は、実はそういう役者さん・子役さん等だったりします。特に女子にはストーカー対策が必要なので、代理店が女性の役者さんに頼みます。けっしてその学校の本物の女子生徒でもなければ、演劇部員でもありません。 撮影にも手間が掛かるし、学生さんは本来は学業を優先しなければいけないので(児童福祉法などの理念がそうです)、なので学生さんに撮影の手間をわずらわせてはいけないのです。 高校野球では、甲子園出場までの試合数で、人口の多い地域では甲子園出場までに8試合、人口の少ない地域では4試合とか地域差があります。 === トーナメントと偏差値の換算表 === {{コラム|トーナメントの淘汰率の錯覚| さて、トーナメント方式では原理上、半数は初戦敗退します。2回戦で最初の75%が脱落します。3回戦でさらに半分が脱落するので87.5%が脱落します。つまりトーナメント方式では、倍々ゲームなら半々ゲームで、指数的に減っていくのです。 人間の錯覚があり、世間の一般的な感覚の人は、あるチームの戦績について「初戦で敗退」と聞くと、まるで弱小でモヤシで素人なチームを思いうかべがちですが、しかしそうではなく、なんと半分もの人が初戦敗退するのが、トーナメント方式の原理です。 どうも一般人は、指数的な変化を、まちがって一次関数的な直線的な変化として取らえがちなようです。 ともかく、このような数理を知っていると、つまり、あるチームが2回戦を勝ち残れば、もう全体で上位25%の中にいる事が証明できるのです。たったの2回戦でそうなのです。つまり、「2回戦を勝った」と言うのは、十分にアピール材料になるのです。(ただし、全国大会に出れないと、大学や超難関付属高校などのスポーツ推薦の出願条件にはならないので、別方式の自己推薦や公募推薦などでアピールすることになる。) 偏差値で考えると、3回戦を勝てば、なんと偏差値60以上であり、上位12.5%以内です。あるいは、たとえ2回戦勝利まででも、その時点でもう偏差値55以上であり、上位25%以内が保証されます。 * 換算表 :1回戦を勝てば上位50%。偏差値 50 :2回戦を勝てば上位25%、偏差値 57~58 :3回戦を勝てば上位12.5%。偏差値 61~62 :4回戦を勝てば上位6.25%。偏差値 65~66 :5回戦を勝てば上位3.125%。偏差値 68 ~69 :6回戦を勝てば上位1.5625%。偏差値 71 ~72 です。 マンガとかだと2~3回戦敗退は弱小チームですが、マンガなんかを真に受けると馬鹿になります。週刊のスポーツ根性マンガ(スポ根マンガ)で主人公チームが全国大会の決勝戦あたりまで10回や15回くらい勝ち進むのは、単なる連載の都合です。 よく偏差値の換算表を見ると、2回戦の勝ち抜きで、偏差値が急に約7もアップしますが(偏差値 50 → 57)、あとは勝ち抜いても約4しかアップせず、5回戦以降は約3アップと、勝ち抜きごとの偏差値の上昇幅がだんだんと鈍化していきます。 これを知ってると、なんと2回戦を勝ち抜いただけで、かなり自身の評判がアップすることに気づきます。 あとはどう上記の数理をもとに戦績を自己アピールするかは、個々人に任せます。 やはり数学の力は絶大です。数学をまなぶことで、マンガとかの演出にダマされなくなり、自分をより効果的にアピールできるようになります。 トーナメント方式における、強豪校のもらえるシード権やシード校、シード選手は、あれは例えるなら指定校推薦みたいなもんです。 }} これはつまり、部活の偏差値50未満の人は、たとえば部活の偏差値47の人は、なんと初戦を勝ち抜けません。トーナメント方式だと、偏差値37の人も偏差値47の人もいっしょに扱われ、初戦で敗退してしまうのです。 つまりトーナメント方式だと、偏差値47くらいの人は、偏差値ボーダーフリー(BF)と同じ扱いをされてしまいます。「枯れ木も山の賑わい(にぎわい)」と言いますが、偏差値47でも枯れ木あつかいの「かませ犬」(かませいぬ)です。 偏差値52の人は、平均よりも競技ができても、ぎりぎり1回戦を勝ち抜きできるくらいです。 部活の公式大会は、このように厳しい淘汰率(とうたりつ)です。 言い方を考えると、部活の競技の実力を測定できるような模試(もし)は、ありません。部活版の「Vもぎ」とか「Wもぎ」とか「北辰(ほくしん)テスト」みたいなのは存在しないのです。世間の大人にとっての部活のあつかいなんて、その程度です。 なお、アメリカ合衆国では、中高では全国大会は存在せず、州大会が最高の大会です<ref>[https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201601270004-spnavi 永塚和志『米国と日本、大きく異なる部活のあり方 選手育成で日本が今、考えるべきこと』2016年1月27日 12:00 ]</ref>。また、そもそもアメリカの場合、季節によって所属する部活が別々だったりするシーズン制です。 日本の部活の全国大会は、日本が勝手にやってることです。日本の部活がひとつの部活にだけ3年間入り続けるのも、日本が勝手にやってることです。部活を総合学習の場として考えるなら、複数の部活に入るシーズン制のほうが合理的です。よって、擁護できません。 これはつまり、早慶マーチとか私大にあるスポーツ推薦のある大学にある「国際教育」とやらがインチキだという事の証拠です。 === まとめ === なので都心在住でスポーツや芸術の成績で大学進学を目指す人は、なるべく、高校進学の時点で、過去に「全国大会出場」などの部活のブランドのある高校に活きましょう。たとえ自分の在籍した年度ではその高校が全国大会出場できなくても、大学受験のさいにAOのスポーツ系などで優遇されるのが実態です。あるいは、そういうスポーツ高校は指定校の枠が同偏差値の他高校よりも多めに与えられています。 よほどの難関私大や難関学部・理系学部でないかぎり、たとえ成績の要件がきびしくて大学の与える指定校推薦の枠には入れなくても(あるいは、学業系の成績で進学する高校生たちが自校の指定校の枠を使い切っても)、スポーツや文化部などの部活などで実力のあると認められている高校の場合には、指定校推薦とは別にAO入試などで少しですが優遇されるのが、おそらく実態でしょう。そのためのAOです。 == 私大の付属校の救済措置 == 私大の付属高校の人は、もしその私大の春ぐらいに決まる第一次の内部推薦に落ちてしまっても(要件として系列の大学の専願志望者で、二年次終了までの成績の上位の数十名とかの要件があったりする)、じつは救済措置として、3年の秋に簡単な試験のある別方式の内部推薦があったりします。細かな救済手法は不明ですが、しかし、付属高校出身者からの伝聞などによって、実際は救済処置があります。 あるいは、3年の秋ごろの総合型選抜(AO)で、たとえば十数名ほど追加で内部進学できる救済処置の可能性があります。 別方式の内部推薦の試験内容は非公開なので不明ですが、付属高校出身者などからの伝聞などによると、そんなに試験は(その高校のレベルと比べたら)難しくないはずです。とりあえず、その付属高校の定期テストおよび高校で受けさせられる程度の模試はきちんと勉強する必要があります。そういう試験がある付属校もあるので、付属校に受かっても勉強はさぼらずに、高校の勉強を続けていきましょう。 大学によって付属高校の救済処置の手法はさまざまですが、よほど学力が低くない限り、内部組の人は上記のような手法で優遇されます。また、面接などのアピール材料とするため、大学説明会などは絶対に出てください。(なお、おそらく内部推薦の条件としても、その大学の説明会の出席などが原則的に要件になっているのが普通でしょう。) 付属校からの表向きの内部推薦の枠は、実態の募集枠よりも少しだけ小さめの人員にしてあります。実際は、よほどの難関大学や難関学部でないかぎり、もう何名 ~ 十数名か、別方式内部推薦や総合型選抜などで付属校からその私大に進学できる場合もあります。 表向きでは内部推薦の条件のきびしい付属高校もありますが、しかしその条件のきびしさの理由は、たとえば、じっさいは高校時代に不良行為・非行に走るなどしてあまりにも素行不良な受験生を落とすためのものです。たとえば「校舎の窓ガラスを割る」とか「バイクを盗んで無免許で走行する」的な連中を落とすためのものです。あるいは不登校などで極端に学力の低い生徒を落とすためです。昭和の昔は中堅私大の付属高校にもそういう荒れた素行不良の生徒がいたので、そういう人を落とす必要があったのです。 なお、もし素行は良いが学業不振がひどすぎて別方式の内部推薦でも総合型選抜でも大学受験で落とされた場合、本当に大学の授業についていけるか心配されたうえで落とされているので、素直に従って偏差値の低めの大学を目指しましょう。 == 偏差値を下げるのは有効か? == よく、指定校推薦のテクニックとして言われるのは、真偽は不明ですが「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」という言い伝えがあります。ですが、この自称・テクニックは、上述のような総合型選抜での高偏差値高校の優遇やら地元の優遇などを見落としており、信頼性に欠けます。 なので、なるべく高校受験では、普通に偏差値の高い高校を目指すほうが良いでしょう。 偏差値の差で1~2くらいの差では、校内順位での上位の取りやすさなんて、大して変わりません。 かといって、5~10あるいはそれ以上も偏差値が違えば、そもそも指定校推薦の枠が大幅に減るか、そもそも枠が無くなります。 過疎化をしている田舎(いなか)の低偏差値高校に、都心の早慶マーチなどのブランド私立大学の推薦は無いのが基本です。 あと、基本的に東京都心の私立大学の指定校の枠は、せいぜい大阪・京都・近畿のブランド高校までかと思われます。なぜなら東京都心の私立大学で地方出身者からよく聞く出身地が、だいたいこの地域までだからです。 四国とか九州とかは、よほど偏差値が高い進学私立高校でないかぎりは、ほぼ指定校の対象外でしょう。 なぜ「ほぼ対象外」かと言うと、'''都心の大学教授は、いちいち九州奥地とか四国まで高校訪問をしたくない'''のです。もし仮に指定校の枠があっても、高大連携協定による都心の大学との協定校推薦ぬついては九州・四国は望むべくもありません。 指定校推薦は、べつに大学教員が毎年に高校訪問をしているわけではないでしょうが(なお、高大連携は毎年の訪問・交流をしている)、しかし定期的に大学教員が現地の高校を確認して高校の教員などと交渉する必要はあります。そういう手間があるので、地方すぎる高校は、指定校枠が不利になることを覚悟しなければいけません。 大学の新入生の出身地の情報を聞くと、九州などそういう西日本の奥のほうの地方の出身者については、基本的に都内の私大では存在をあまり聞きません。九州・四国にも名の知れた私学の高偏差値の高校はありますが(たとえば九州のラサール高校や久留米大付属高校など)、しかし、おそらく偏差値の割に指定校の枠は少なめでしょう。 それでも東日本にあって道州レベルで偏差値が高い高校なら、若干は東京都内の私大の指定校の枠があるかもしれません。 「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」というのは、おそらく、大阪や愛知などの地方都市などを「田舎」と誤解した人のデマではないでしょうか。 あるいは、都心の大学の地元にある公立高校で、偏差値が中くらいか中の上くらいの公立高校に与えられた地元枠の指定校推薦を、勘違いしたデマではないでしょうか。 ほか、AO入試はおそらく、現役生が有利でしょう。大学進学して文系私大に行く人は、浪人せず、さっさと現役で文系学部に大学進学しましょう。 なお、市販の受験テクニック本などにある、田舎の低偏差値高校の浪人するしかない人のための受験テクニック本など、高偏差値の高校の人は、決して信用してはいけません。ちまたに はびこってる受験テクニックは、偏差値の低い高校のための受験テクニックも まぎれています。 なぜなら、多数決では、偏差値60以上の人の数よりも、偏差値50以下の人のほうが人数が多いのです。だから、多数決では偏差値50以下の人のほうが買ってしまうのです。このため、市販の受験テクニック本などにある受験テクニックも、いささか低偏差値むけの人のための情報だったりします。 だから、ちまたの受験テクニックの中には、高偏差値の高校の私大志望にはアテにならないのもあります。偏差値の高い高校に通っている人は、先輩や教員などからの言い伝えを信用しましょう。 「地方の高校で生徒会をして部活も頑張ってAO入試でマーチとかに進学」というのは、それは大阪とか愛知とか仙台や札幌などの地方都市の話、またはその近隣の話でしょうし、何よりも偏差値が高めの高校の話でしょう。決して四国やら九州の奥地とかの話ではないですし、低偏差値高校の話でもありません。 == 文化的な背景 == さて、「異文化交流」とか「武者修行」みたいな感じで、高校と大学とで学風とかの違う学校に進学するのは、正直、偏差値競争的には不利です。私立高校の少ない地方の若者は不利かもしれませんが、しかしその地方の住民たちが過去に大学進学において選択してきた行為の結果です。受け入れてください。 「異文化交流」とかに関して、世間の人や企業の新卒採用などでは口先では「コミュニケーション能力を重視」とか言いますが、口先で言っているだけに過ぎず、あまり実態がともなっていません。たとえばキリスト教系の大学は、わざわざ仏教系の理念の高校とは、提携を結んだりしません。しかし、就職人気の高いキリスト教系大学はいくつも存在します。このように、世間でいう「コミュニケーション能力」だの「異文化理解」なんて、たかがその程度です。 「その程度」とは、過激派にならない程度のコミュニティ帰属意識の高さが必要だという事です。 いろんな文化を渡り歩くのは、ともすれば「根無し草」(ねなしぐさ)とか揶揄されかねず、よそ者扱いされかねません。「渡り鳥」ともいう。 こういう、大学受験以前の中学高校受験で発生する格差を、教育学などではトラッキング(tracking)と言います。ここでいうトラックとは、陸上競技の走るためのトラックのことです。アメリカの社会学者ローゼンバームが提唱した理論です<ref>酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.130</ref>。 このページでは、それを現代日本の高校受験および大学受験に合わせて現代的に発展させた説明をします。 陸上競技の第1トラックから第6トラックまで、コースが分かれているというのをイメージしてください。一見すると同じ競争(大学受験を目標にした競争)をしているように見えても、やや別のコースを走っている競争をしているのです。どのコースを走れるかは、中学受験や高校受験での学校で決まっており、実質的には大学受験以前の高校受験や中学受験などである程度は就職先などが決まる、という感じのです<ref>酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.130</ref>。 都心の有名大学の高大連携の教育を、近隣の私立高校の高校生が高校1年から受けられれば、そしてその進路に応じた勉強を続ければ、もう高校3年間をAO入試や公募推薦など各種の推薦入試などでのアピール材料にできます。 地方の公立高校からの受験は、障害物競争のようなものです。 しかし、私大入試で評価されるのは、障害物競争ではなく、実質的にタイムレコードのようなものです。 「人生はマラソン」とよく言いますが、しかし「貧乏人の人生は障害物競走。金持ちの人生はマラソン。大学入試ではマラソンのタイムレコードが評価の対象」です。これが21世紀の日本の大学受験のトラッキングです。上述の指定校やAOや公募推薦などのように、大学入学の時点で、もはや競技種目じたいが分かれていたする名門大学のAO入試に有利なトラックを走っていた金持ちの子供と、一方で地方公立の一般入試などの競争過多な分野での競争を強いられてきた貧乏人の子供が、障害を越えた回数以外の指標で評価されるのです。 地方の貧乏人の子供が社会から言われてるのは実質「お前ら地方公立は障害物競走の平均的な順位のプレイヤーだが、しかし金持ち用のマイナースポーツ競技の関東大会出場よりコースレコードが悪かったので賞金は無し」というのが実態なのです。 そもそも平成の現代のAO入試や総合型選抜の仕組みは、慶応大学の湘南藤沢キャンパスの入試が歴史的にも手本になっており、そもそも日本における中心的な提唱者・導入社の[[w:加藤寛 (経済学者)]]が慶應大学の人間です。1980年代の日本国有鉄道や日本専売公社、日本電信電話公社の民営化を進めたという、新自由主義者の人物の学者です。富裕層は一般入試の受験勉強をせずとも有名大学に入れる仕組みがあるのです。 なお、大学の男女比は、基本的には特に男女同数といった法律は無いですが、実質的には私大文系では男女同数を目指しています。一般入試だと男女同数にするのが難しいので、各私大ともAO入試や公募推薦などで男女比を調節しています。 また、このため今後も、AO入試や公募推薦などが私大文系で減る可能性は少ないでしょう。 かつて、男子学生が多くて「バンカラ」(野蛮カラーといった意味)とか言われた明治大学や法政大学などの文系学部も、女子学生が増加し、<ref>[https://diamond.jp/articles/-/319651 オバタカズユキ 著『「バンカラ大学」は消滅した? 親世代と子世代で違う最新大学事情とは?』、2023.3.18 2:25]</ref>、現代は女子学生が4割くらいの比率にまで増えています。 世間の頭のあまりよくない人は、口先では「異文化交流」とか言いながら、いまや国際共通語も英語も高校レベルすらロクにできない、科学の共通語の数学・物理・化学も高校レベルすらロクにできないくせに、なんかテレビ番組か何かのバラエティ番組の流行を追いかけたり消費しているくらいで「自分はコミュニケーション能力が高い」みたいに思っていたりするのです。 このように、私立大学受験は次第に理念の近い私立高校と大学との同盟のようなブロック経済のようになっています。 地方は不利かもしれませんが、そもそも今まで地方の浪人生のせいで東京のマジメな高校生が地元の私大に現役合格できなかったのが、是正されていっているという流れでもあります。東京に大量の浪人生を送り出してきた地方が、東京の高校から復讐をされているという因果応報にすぎません。 なお、どうも地方国立大学も、推薦入試で地元の高校の現役生を優遇している可能性があります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=FOwlWE__evw 山内太地 『旧帝大の推薦合格者数を荒稼ぎする高校』2024年02月26日、]</ref>。どうも地方国公立の推薦枠は、地方の現役高校生へのアファーマティブ・アクションとして機能しているのが実態のようです。 さて、私大の話に戻ります。今時、私大への推薦を蹴る大学の一般入試受験を目指してしまうのは、もはや勉強家の証拠ではなく、「探求学習をさぼって暗記勉強や表面的な勉強しかできない怠け者」という扱いなのです。 指定校推薦で文系の大学へ進学することにより、高校での探求学習も頑張れます。大学入試のしょうもない暗記科目を勉強するのを省略できます。 アクティブ・ラーニングが、伝統的な大学受験のシステムでは評価されません。 最低限の知識の暗記みたいなのは、世間はもう、高校入試(+高校の定期テスト)で十分だと思っているという証拠でもあります。指定校推薦の拡大した21世紀の現状は。 もともと昭和のころは、高卒で就職する人も多かったし、そのような企業の実態に、近づいてきているだけです。 今の時代、暗記みたいなのはコンピュータで十分です。だから探求学習やアクティブラーニングなのです。 その探究、アクティブラーニングが一般入試で評価されないのですから、意欲的な高校生ほど一般入試には興ざめです。 今時の一般入試はもう、意欲的な高校生からは、見放されているのです。 かつて、2005年ごろ、高学力層の高校生が私大文系の評価を下げて「私大文系は数学や理科の学習が評価されない不当な界隈」として高校生の高学力層からの評価が落ちたように、令和の2020年代では、今度は一般入試を尊重する界隈の評価が下がり「一般入試はもう、探求やアクティブラーニングが評価されない、コンピュータみたいな暗記人間を量産している不当な界隈」として高校の一部の高学力層から見放されているのです。 仮に、無理して指定校推薦を蹴って、せっかく大学受験を頑張っても、質の悪い暗記問題の受験問題を勉強させられるだけだし、浪人のリスクもあるし、そのせいで企業は若い労働力が入らなくなって損だし、もはや誰にもいいことがありません。 「理系では入試問題を解くような能力も必要」とか言われても、その理系自体もう、指定校推薦では敬遠されています。色々と高校生にはバレているのです。 文系の大学側にとっても、指定校から、本当に自分の大学を望んでいて、高校時代からレポートなどを生産できている質の良い学生を選べます。だから文系の私立大学側も、もう半数ちかくを指定校推薦など推薦でとっているのです。 指定校推薦はこのように、売りよし・買いよし・世間よしの「三方よし」です。 指定校推薦に文句を言うのは、世間体のよくない浪人生だけです。 また、このように現代は、高大連携も利用しつつ総合型選抜(AO入試)や公募推薦などで文系大学に進学するのが主流になってきている時代ですので、高校中退は避けるべきです。高卒認定試験(略して「高認」)による大学進学も、避けるほうが安全でしょう。もはや、高認の制度が現状に追い付いていません。高校に在籍しない高認では、原理的に高大連携の恩恵は受けられず、そのぶん自己アピールが難しくなります。 == 実験校の成果と文理コース分け == 「高校のコース分けで、なぜ、文理のハイブリッド型のコースが2010年代以降の現代には無いのか?」とか、「なぜ文理ハイブリッド教育が非効率だと分かるのか?」とか、なぜそれを高校や教育委員会が知っているのか、奇妙に感じたことないですか?  なぜ教育委員会や各高校が文理ハイブリッドが難しいと知っているのかと言うと、実はもう試したんですよ、2005年くらいまでに。 いわゆる、非公式に「実験校」とか言われる公立高校と一部の有志の私立高校で、それ試したんです。書籍化してない情報源であることと取材先の個人情報があるので出典はあげられませんが、この節を書いている編集者Sの地域では、公立の高校偏差値55の高校で、「文系コースの高校3年に(理系向けの)数学III(すうがくサン)の必修」という実験が行われていました。 なお、「実験校」は俗称ではなく、文科省や内閣府なども公式文書で用いる表現です<ref>pdf [https://www8.cao.go.jp/kisei/giji/02/wg/tokku/gaiyo3-2.html 内閣府 総合規制改革会議 『(1)文部科学省から資料に基づき説明』 ]</ref><ref>[https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/020-17/siryo/06030301/002.pdf 『「本協議会において協議するべき事項の整理(案)」に対する各委員のお考え(概要)』 H18.1.30 ]</ref>。wikiのこのページでは行政が公式に実験校として公表した学校以外にも、カリキュラムなどの分析から、実質的に教育実験的な取り組みをしていると考えられる高校にもついても、本wikiでは「実験校」と呼んでいます。 平成の2001年前後の当時、数学Cの内容は令和とは違い、当時は理系コースの内容でした。しかし実は偏差値55の文系の高校3年生なら、数学Cの履修と習得はなんとか可能です。 でも、せっかく文系生徒が数学Cを履修しても、入試では文系向けの数学II B (すうがくニ・ビー)までしか出ないので不利になってしまったり、あるいは指定校推薦などで不利になってしまう、などの結果が分かったのです。 このため、現在では、「高校の文系コースにも理系コース科目を必修」みたいなハイブリッド教育は行われていません。 また、国立大学の教育学部の大学の付属高校は、本来、じつはそのような新しい教育カリキュラムの実験をするための高校でもあります。 しかし、上記の文系コースに理系コース科目の実験は、都道府県立などの公立高校で行われていました。このように、実験の最終段階として、一部の公立高校でも実験が行わます。 ほか、おそらく、ほかにも、まだ世間に「高大連携」という言葉の無かった2001年のころ、「探求学習」と言う言葉の無かったころ、もう教育大付属高校や各地の実験校で試していたのでしょう。 また、探究学習については、1990年代から総合学科で導入されてきました。2000年以降の総合学習や『総合的な探究の時間』は、それが普通科高校にも及んだものです。 ほか、大学付属高校なら、その学園の大学の教養課程の講義の一部を、夏期講習で教育したりとかの授業も実験済みでしょう(単位にはならない)。そういうのも実験済みなのです。 平成時代の初期、放送大学の開設などのように生涯教育が流行していたので、私立大学が地元などの地域住民などに有料の授業をしていました。地域交流も兼ねての実験です。付属高校でも大学教授が付属高校に出張して地域住民や生徒の保護者などに授業を格安でするのも試しました。実験の結果、付属高校の出張授業では地域住民には高度すぎて、レベルに合わない事が解明されました。 もう、このように色々と実験済みなのです。 こういう実験の結果、どうしても私立大学の学園が地域住民などとの交流を図るなら、決して教授の出張授業ではなく、部活動などでの行事の交流で、という方法が良いことが分かりました。 なので、これからの時代の高校生が、わざわざ同じ実験をする必要はありません。そういう実験は、教育大の付属高校などに任せておけば十分です。 == 高校図書室の蔵書のレベル == 私立でも公立でも中高一貫校でも単独の高校でも、中高の図書室の書籍はあまりレベルは高くありません。高校図書室の場合、あくまで高校生むけのレベル、および高卒社会人のレベルの平易な書籍が大半です。 つまり、大学生むけのレベルの本は、基本的には高校図書室には置いてありません。理系だけでなく文系科目の大学教科書もそうで、多くの高校では大学の法学教科書とか経済学教科書とか心理学教科書とかは、目にしないと思います。 進学校といえども、あるいは中高一貫校や私立高校といえども、図書室の蔵書の多くは、上述のような平易なレベルです。 なので、高校生が予習・復習で基礎学力をつける勉強したい場合は、図書室の本ではなく、普通に参考書や問題集など市販の教材をこなすのを優先すべきです。高校図書室の本を読むタイミングは、気になったときにだけ、手を伸ばせば十分でしょう。 あまりレベルの高い本の置いてない理由はおそらく、あくまで調べ学習などの課題で使うための書籍が中高の図書室には置いてあるからです。 そもそも、全国学校図書館協議会などの選定図書を見ても、そんなにレベルの高い書籍を選定しておらず、中高の子どもでも読めそうなレベルの本ばかりです。 なお、児童書や児童向けの図鑑なども高校図書室には置いてません。 もし大学教養レベル(大学1~2年の経済学、法学、数学、理科などの科目群)の書籍が高校図書室にひととおり置いてあれば、大したものです(つまり、たぶん置いてないでしょう)。まして、(教養レベルではなく)大学の学科ごとの専門基礎レベルの書籍は、かなりの進学高校ですら図書室には置いてないだろうと思います。特に都会の高校の場合、図書室が狭いので、そのレベルまで高校図書室に置くスペースが無いでしょう。 なお、法学の場合、法改正ごとに内容が変わるので、あまり置いてないと思います。高校の社会科に法学の科目が無いのには、このような合理的な理由があります。 理科の場合、教科書ではなく科学雑誌『日経サイエンス』とかの形で、高校を超えた範囲の書籍は図書室に置いてあるかもしれません。 雑誌の場合、古い雑誌は廃棄されますが、別に急いで読む必要はありません。なぜなら、もし科学雑誌の学説の内容が正しければ、数年後に教科書などにまとめられてるし、なのに数年後に教科書などに掲載されなければ学説が間違っているか評価されてないだけですし、どうしても読みたければあとから電子版バックナンバーを読めます。 また、バックナンバーの無い雑誌の場合、そもそも後世に内容を残すつもりのない刹那的(せつなてき)な雑誌ですので、読む必要はありません。 ハッキリ言って、高校の図書室は、市民図書館に行く時間を節約するためのものでしかありません。どのみち、高校生は授業で忙しいので、あまり借りた本を読めません。 図書館めぐりをするよりも、まずは参考書で基礎学力をつけるのを優先すべきでしょう。 さて、地方の人は分かりづらいかもしれませんが、都心だと市民図書館にホームレスとか居たりする地区もあるので、そういう意味で学校図書室は必要ではあります。 必要ではありますが、あまり積極的に高校図書室の本を読む必要はありません。自習室の代わりに高校図書室を使う人も多いでしょうか。 == 校則の傾向 == === スマホ・携帯電話などの校則の傾向 === だいたいどこの私立高校でも、スマホや携帯電話は、校内の持ち込み自体は可能でも、校内での使用は原則禁止です<ref>[https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/lifestyle/entry/2022/026712.html ※たとえば中央大の付属高校 ]</ref><ref>[https://www.hosei.ed.jp/high/qa/ ※ サイト『学校生活Q&A | 高等学校 | 法政大学中学高等学校』にて次をクリック『学校生活上の主な校則について教えてください。』]</ref>。なので、学校の到着後に電源を切らされます。 上記の校則の場合も他の校則でも、もし違反すると、多くの高校で、反省文を書かされたり、教師から指導されたりします。 朝の朝礼から夕方の終礼まではスマホ・ケータイ禁止という私立高校もあります<ref>[https://www.zyuken.net/school_page/11311331184/bbs_query/%E6%A0%A1%E5%89%87/#google_vignette ※ たとえば青山学院の付属校 ] </ref>。朝の学活で学級担任にスマホなどを預けなければいけない場合もあります<ref>[https://www.meinaka.jp/admission/faq.html ※サイト『よくあるご質問|明治大学付属中野中学・高等学校』にて『生活指導は』をクリック]</ref>。 持ち込み自体は認められる背景事情として、登下校などで防犯のためにスマホ・携帯電話の所持が認められる等の理由がありますので(特に女子とか夜道の帰りは危険なので)、スマホ持ち込み自体は禁止されてない私立高校も多いと思います。しかし多くの私立高校では、少なくとも校内での朝礼から終礼までの使用は原則禁止です。 ルール違反して電源いれたままにしたりとかケータイ使う人は軽く考えてるのかもですが、しかしもし授業で使う回線がパンクするとシャレにならないので(もっともスマホ電源を切れば回線はすぐに回復するでしょうが)、ルール守って授業中は絶対に電源を切ってください。 回線が2分で回復しても、1クラス40人なら、最低でも2分×40人=80分のロスですので、気を付けてください。 学校は生徒数が多いので、一人ひとりは大した通信量ではなくても、全校生徒数(たとえば1000人以上とか)で倍増されると回線がパンクしかねないのです。 ;保護者への連絡 なので、もし高校進学後に文化祭など行事の準備などで帰りが遅くなりそうなときは、事前に保護者に伝えておきましょう。保護者との電話は放課後や下校時も、最低限の連絡だけをして、あとは切りましょう。 そもそも多くの私立高校で、あらかじめ保護者向けの連絡サイトなどを事前に用意しています(保護者への従来あった配布プリントをコスト削減のペーパーレス化のため、現代ではそういう保護者むけサイトが用意されています)。 そういうのを知らないニワカの大人が、やたらとケータイの必要性をアピールします。 ;カメラの原則的な禁止 カメラ機能などについても、多くの私立高校では、盗撮や肖像権などのトラブル禁止のため、ケータイ・スマホやデジカメでの撮影は原則禁止という高校も、校則を調べるとよく聞きます。(もし部活などで運動部のフォームの確認とかで、どうしても動画の撮影が必要な場合などは、顧問など教師の許可を取りましょう。) === アルバイト・運転免許の校則の傾向 === 令和の今でも、アルバイトは、高校に届け出をして許可された生徒のみ、という傾向。 バイク(原動機付き二輪車)などの運転免許も同様。令和の現代は、正当な理由があれば運転免許をとれるだけ昭和よりかは少しはマシです。 上記の校則にしたがうという宣言の誓約書(せいやくしょ)を入学時などに書かされる場合もあります。 == 自転車通学 == あまり明確な基準もなければ法令もないですが、高校の市町村および隣接市ていどの地元民以外は自転車通学が許されてないのが一般的な慣習です。どの高校も、そんなに駐輪スペースが広くありませんので<ref>[https://www.hosen.ed.jp/question/%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A%E9%80%9A%E5%AD%A6%E3%81%AF%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F/ ※たとえば宝仙学園 中学校・高等学校]</ref>、自転車通学には、なんらかの制約があります。 どの高校も、最寄り駅から校舎の近くまでにバスが出ているのが通例なので、離れた地域の人は、そのバスに乗ってもらい通学してもらう事になります。また駅を使う場合は、自転車通学不可、というのが一般的だと思います<ref>[https://www.tokyoseitoku.jp/hs/admission/qa/ ※たとえば東京成徳]</ref>。 一般的に、駅を使う人は、バス通学か、徒歩、になるでしょう。 つまり、自宅からの直接通学でないと<ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/entranceguide/qa_h.html ※たとえば成蹊の付属校 ] </ref>、自転車での通学が認められない、という例もよくあります。 あるていどの距離が離れていないと、自転車通学を認めない高校もあります<ref>[http://www.keiai.ed.jp/exam/faqs/index.html ※たとえば敬愛 ]</ref><ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/entranceguide/qa_h.html ※たとえば成蹊]</ref>。この場合、近所にある人は、高校に歩いていくことになります。 また、都内だと、駐輪スペースや道路の狭さなどの問題で、自転車通学が禁止されている場合もあります。形式的には自転車通学を明確には禁止していない高校もありますが、しかし都内の敷地の狭さなどの問題も考えれば、事実上は自転車通学に対する制限がつよいと覚悟したほうが良いでしょう。 自転車通学が認めらている場合でも、高校の許可が必要です。 よくアニメだと、登場人物の高校生キャラが番組オープニング映像で自転車をこいでいたりするシーンがありますが、あれは単に制作スタッフであるアニメーターたちの技量自慢ですので(自転車の運転は書くのが難しい)、真に受けてはいけません。 ;受験時とは別 なお、高校受験時の通学方法とは別です。高校受験の時点では、高校の最寄り駅からバスなどで通学することになります<ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1033695575 Yahoo知恵袋『公立入試のときに自転車で行ってもいいんでしょうか?』2009/12/3 22:28] 2024年03月31日に確認.</ref><ref>[https://www.zyuken.net/school_page/11110723112/bbs_id/199951580470924/ 高校受験ナビ『浦和第一女子高等学校 - 埼玉県 公立』2020/01/31(金) ] 2024年03月31日に確認.</ref>。 もし、住んでいる場所が、高校の最寄り駅から反対方向に例えば3km以上離れた地域の場合、受験時は大幅に迂回(うかい)して、電車とバスで通学することになるでしょう。 なお、バスは有料かもしれません。なので受験日は、お金を余分に持って行ってください。 == 修学旅行の無い高校もある(研修旅行など) == 修学旅行の無い公立高校もあります<ref>[https://eduzukan.jp/jhs/484/article/59502 『高校の修学旅行事情 ~訪問先、費用、コロナ禍を経ての変化など~』 ]</ref>。公立の定時制高校<ref>[http://www.michimori-h.ed.jp/te-aboutteijisei/te-q-and-a/ 福井県立道守高等学校『福井県立道守高等学校 | ~ 道はここから ~』 ]</ref><ref>[https://www.chiba-c.ed.jp/funako/nightcourse/manabou/manabou.html 『千葉県立船橋高等学校 定時制』 ]</ref>(いわゆる夜間高校)や通信制高校など、その可能性があります。 公立の定時制では、少子化による生徒数の減少により、そこそこの数の定時制高校が、その定時制課程では修学旅行を行っていない場合もあるのです<ref>pdf [https://center.gsn.ed.jp/wysiwyg/file/download/1/1740 『2 沼田高等学校 岩田悦夫 - sg_02.pdf』]</ref>。 なので、お金に余裕がある家庭なら、なるべく全日制(朝9時くらいに授業の始まる高校)に通いましょう。読者が親なら、子をなるべく全日制に通わせましょう。 ;「研修旅行」 名称が、修学旅行ではなく林間学校・臨海学校でもなく「研修旅行」という名前で同様の学校行事を行っている高校もあり、公立<ref>[https://www.pref.shimane.lg.jp/admin/seisaku/koho/teian/record/2022/202206/A2022-00116.html 『島根県:高等学校の修学旅行について(トップ / 県政・統計 / 政策・財政 / 広聴・広報 / 知事への提案箱 / 今までにいただいたご提案と回答 / 2022年 / 2022年6月)』]</ref>でも私立<ref>[https://www.soei.ed.jp/s_senior/domestic_training/ 『国内研修旅行 | 横浜創英中学・高等学校』]</ref>でもあります。地方に限らず首都圏でも「研修旅行」の高校はあります<ref>[https://www.soei.ed.jp/s_senior/domestic_training/ 『国内研修旅行 | 横浜創英中学・高等学校』]</ref><ref>[https://www.johoku.ac.jp/tag/%E7%A0%94%E4%BF%AE%E6%97%85%E8%A1%8C/ 『研修旅行 | 城北学園 城北中学校・高等学校』 ]</ref>。 学校によって「研修旅行」の意味合いは微妙に違い、修学旅行や林間学校・臨海学校のことをまとめて「修学旅行」と言う場合もあれば、修学旅行や林間学校・臨海学校とは別の小数の希望者だけの旅行のことを「研修旅行」と言う場合など、意味が学校ごとに違っていますので、てっきり同じ意味かと勘違いしないように気を付けてください。 ;昼間定時制 なお、私立の中央大学高校は定時制ですが(独自の校庭をもたずに中央大学の校舎を利用しているので、国の全日制の設置基準を満たせない)、高校サイトによると修学旅行があるようです。 朝から授業開始しているのに、時間帯とは別の事情などにより全日制でなく「定時制」の高校のことを『昼間定時制』と言います。上述の中央大学高校は昼間定時制です。 ほか、私大付属では、国士舘大の付属校が昼間定時制ですが、高校サイトによると修学旅行があるようです。 ただし、その他の、特に私大付属校などではない、地方などの昼間定時制の私立高校は、修学旅行があるかどうか知りません。 == 部活のイメージと実態 == === 少ない部活 === マンガだとよく見る部活であっても、実際の日本では、その部が存在している高校が少ない部活もあります。 ==== 文化部 ==== ===== パソコン部の無い高校は意外と多い ===== たとえば都立トップ高校の日比谷高校には、パソコン部とかコンピュータ部みたいな部活は存在しません<ref>[https://hibiya-h.metro.ed.jp/ClubActivity/Club.html 『*部活動* HIBIYA HIGH SCHOOL』] 2024年03月31日に確認.</ref>。 私立だと、青山学院の付属校には、存在していません<ref>[https://www.agh.aoyama.ed.jp/school_life/club/index.html 青山学院高等部『クラブ・同好会一覧』]2024年03月31日に確認.</ref>。学習院高校にも、存在していません<ref>[https://www.gakushuin.ac.jp/bsh/slife/club/ 学習院高等科『クラブ活動』]2024年03月31日に確認.</ref>。成蹊高校にも、存在していません<ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/schoollife/club_seitokai/club/ 成蹊中学・高等学校『クラブ活動』 ]2024年03月31日に確認.</ref>。(なお、成城高校はちょっと微妙で、メディアアート部というのがある。<!-- 成城学園高校は、似た名前の成城高校の情報との区別がつきずらず不明 --> 別に偏差値の高い高校にパソコン部が無いわけではなく、例えば開成高校にはパソコン部があります。私立だと、慶応の付属校のひとつにパソコン部がありますし、明治大学や中央大学の付属校にもパソコン部があります。 「情報部」とか「情報処理部」と言った名前の場合もあります。たとえば麻布大の付属高校のパソコン系の部活は「情報部」です。なお、麻布高校は、高校募集を停止しています(中学受験で付属中学に進学しないと入れない)。 東京電機大学の付属高校とか芝浦工業大学の付属高校だと、パソコン部があります。 やはり、学校名と言うのは重要で、工業大学の付属校みたい高校には、そういう工業系の趣味の子供が集まってきます。 やみくもに偏差値を上げることを目指すのではなく、もっと自分に合った進路を考えましょう。 なお、芝浦工大の付属校は高大連携で、芝浦工大との実習授業があり、たとえばスパゲティブリッジ(「パスタブリッジ」ともいう)の強度実験とかしています。スパゲティで橋(はし)をつくって、構造の強度確認するのです<ref>[https://twitter.com/shibaurafzkkoho/status/1721494681429934550 芝浦工業大学附属中学高等学校、ツイッター(現X)のツイート、2023年11月6日 、] 2024年02月15日に閲覧. </ref>。 もし、チタン合金とか元から上部な材料で試作品ミニチュアをつくってしまうと、構造に欠陥があっても(たとえば特定の箇所に力(ちから)が集中して折れやすいとか)、チタンなどの材料のせいで丈夫になってしまうので、構造そのものの欠陥が見つけづらくなってしまうのです。だから、構造そのものの開発をする場合は、当、スパゲティのパスタとか 割りばし とかの弱い材料を使って、それで実験するのです。 こういう高大連携授業の違いとかもあるので、私立受験や私大付属校の受験では、偏差値だけで選ぶのではなく、高校名とか、偏差値以外のことにも注目したいものです。 なお、スパゲティブリッジの実験をするには、荷重(かじゅう)を加えるための設備が必要なので、一般の高校では実験の実施は難しいと思います(工業高校か、工業大学の設備をつかえる環境でないと困難かと思います)。 ===== 新聞部のある私立高校は少ない ===== ほとんどの高校に、新聞部はありません。マーチの大学付属校の高校を見ても、たとえば青山学院、中央、法政、立教の付属高校には、新聞部はありません。(明治の付属校には、一部の高校にある)埼玉の慶應の付属校(男子校)と、東京なら学習院の付属校に、新聞部はあります。 千葉県では、新聞部のある私立共学校はたった1校ですし、公立・私立あわせても2校です。埼玉県では共学では私立は2校です<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/cultural/club.html?c=newspaper 高校受験スタディ『部活に「新聞部」のある高校』 ] 2024年03月31日に確認. </ref>。 私立高校には、同窓会誌・保護者むけの広報誌などを自前でつくっている私学もあり、あまり高校生の出番はありません。 ===== 「天文部」のある私立高校は少ない ===== ほとんどの高校に、「天文部」はありません。ただし、「地学部」または「科学部」「サイエンス部」などはある高校もそこそこだと思います。サイエンス部などで、特別な日だけ夜間にも天文観測を行える高校もあります。 たとえばマーチの大学付属校を見ても、立教池袋(なお男子校)のほかは、「天文部」はありません<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/cultural/club.html?c=astronomy 高校受験スタディ『部活に「天文部」のある高校』] 2024年02月16日に確認.</ref>。 四工大ですら、工学院大の付属校以外には、「天文部」はありません。 慶應の付属校(埼玉と神奈川)には天文部がありますが、早稲田大の付属校には天文部は見当たりません。 また、「天文部」のある高校は、関東地方では多くが公立高校です。 なお、天文部が夜間の高校に入って天体観測するのは、「合宿」の一種という扱いです。普段は、生徒下校時刻(午後6:30 くらい )以降の夜間の学校では観測できません。 普段は、昼間でも観測できる太陽の黒点などを観測したり、天体の勉強をしたりします。 (例外として、合宿など特別な日でないと、高校側から夜間の下校時刻以降の高校立ち入りは許可されないでしょう。) ==== 運動部 ==== ===== 応援団部 ===== もしかしたら部活以外の形で「応援団」はあるかもしれませんが、しかし少なくとも「応援団部」という部活動での形のある高校は少なく、報告されているかぎり首都圏で高校数は30~40校ていどです<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/sports/club.html?c=cheer_group 高校受験スタディ『部活に「応援団部」のある高校』 ]</ref>。 運動部の公式試合などでは、応援団のようなものが必要な場合、試合に出られなかった同じ部に生徒に応援をさせる場合もあります。このため、独立した部活動としての応援団の必要性がうすい可能性も考えられます。 部員数の少ない運動部の場合の応援の生徒が誰になるのか気になりますが、まあ、ともかく独立した部活としての「応援団部」の存在の報告は、少ないのが現状です。報告ではなく実態がどうなのかは当wikiでは知りません。そこまで調べる義理はありません。 女子高では「応援団部」はゼロです。 なお女子の場合、応援をする部活は、応援団ではなく「チアリーディング部」などになり、ボンボンをもって応援するアレになります。男子高のチアリーディング部はゼロです。 なお、チアリーディングを競技化したものをソングリーディングと言い、「ソングリーディング部」の形で応援団の部活をもっていると思われる共学高校および女子高がいくつかあります。おそらく、女子だけの競技かと思います。 ほか、女子ダンス部が、チアリーディング部の場合があります。高校ごとによるので調べてください。 必ずしもダンス部がすべて応援系とは限らず、たとえば専修大学の付属高校ではチアリーディング部とは別にダンス部もあります<ref>[https://senshu-u-h.ed.jp/life/club/ 『クラブ活動 | 専修大学附属高等学校』 ] 2024年02月16日に確認. </ref> === その他、イメージと違いそうな部活 === ==== 軽音楽部 ==== マンガだと作劇のしやすさから、5人くらいのバンドメンバーで物語が進んだりしますので、出身中学に軽音楽部の無かった人には軽音楽部はなんとなく部員数が少人数っぽさそうなイメージがありそうですが、しかし実際の軽音楽部の部員数は、そこそこ多いのが2020年代の現状では普通です<ref>[https://www.yms.ac.jp/yokohamanote/detail-020/ 『高校軽音楽部について語ろう。』2019.8.09]2024年03月31日に確認.</ref>。首都圏の高校だと、公立でも私立でも部員数が30人とか超える場合もあります。私立のマンモス中高一貫校などだと部員が100人ちかく行く場合もあるのが、2020年代での現状です。 2020年代の現状、軽音楽部が存在しない高校もありますので、もしそういう高校で軽音楽同好会を設立すれば5人の部活にもなるかもしれません。一方、そうではなくて既に軽音楽部がある高校の場合なら、軽音部の部員数は他の部活と同じく十数人は超えるのが普通です。 ステージ上の人数の4~5だけ見て、けっして部員数だと誤解しないように。部員数の多い軽音楽部のなかには、バンドが複数個あって、各バンドあたりの人数が4~5人なだけです。たとえば1バンドで4人の場合、部員が40人なら、部内バンドが40個ある軽音楽部になります。 == 大阪と東京の授業料無償化 == 東京と大阪で、私学も含めての授業料のほぼ無償化の政策が出されています。無償化あるいは同等の公的援助の対象は、あくまで'''授業料のみ'''です。つまり、建物の施設費用、部活の費用、修学旅行の費用などは別途かかりますので注意してください。 また、教材費、修学旅行の費用などは、公立も私立も有料です。公立高校でも、諸経費を徴収しているので、どこの都道府県でも年間50万円くらいの学費は掛かっています。私立高校は、公立よりも高くなりますので、公立50万円よりも高い学費を払える能力が私立進学の家庭には必要です。 ネット上には、私立の学費で施設費用などが必要なことを知らない人も多く、どうも「私立の学費が0円になる」という勘違いをしているような頭ヘンな人が、意味不明な政治主張をしている例も多いですが、けっして真に受けてはいけません。 ネット上には「私立の建物に税金投入するなんて許されない!」とか、まったく起きてない事例を批判している、頭おかしい人もネットに多くいます。無償化の対象は授業料だけです。建物は対象ではないです。 無償化されるのはあくまで授業料のみであり、建物さんは授業もしてないし、建物さんが教員免許を保有しているわけでもないので、頭おかしい人が頭おかしい事をネットで主張しているとしか言いようがない。 ほか、公立高校の学費を、勘違いして0円 ~ 年間10万円 程度だろうと勘違いしている頭おかしい人もネット上には多くいます。 == 参考文献 == === 書籍 === * 佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、 * 酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、 === 脚注 === hikyepgzfe13e1rspe1ymj9c3n2lk5o 246462 246457 2024-04-10T06:28:18Z すじにくシチュー 12058 /* 高大連携 */ ほか、いちいち協定を結んでいなくても、キリスト教系の私立大学には、キリスト教系の私立高校からの推薦枠があります。 wikitext text/x-wiki == 偏差値についてのよくある誤解 == === 進学校かどうかは偏差値40を境にとりあえず判断 === 将来的に大学進学を考える場合、高校受験での志望校はその高校の偏差値で判断しないといけません。なぜなら、普通科高校で、偏差値の低い高校は、そもそも高校側が、大学進学を'''方針としていない'''場合が多いからです。たとえば'''偏差値30台の高校'''の場合、そもそも高校側が大学進学を方針としていない場合があります(学校の公式サイトなどで方針を確認できます)。直接は「大学進学を方針としていない」とは言いませんが、「中学校卒業まで苦手だったところの'''学び直し'''をする」とか「'''手に職'''をつける」とかのような方針をうたっている場合があります。 重度障害者のための養護学校(現代は「特別支援学校」という)とは別に、軽度な知的障害や精神障害などの子を支援するための高校が存在しており、教育行政の用語で、そういう知的障害的な子供を支援するための高校および小中学校のことを「'''チャレンジスクール'''」とか「'''エンカレッジスクール'''」とか言います(教育内容の微妙なちがいがチャレンジスクールとエンカレッジスクールとの間にはあるが、大多数の読者には関係ないので、本節では説明を省略する)。 行政用語ではチャレンジスクールとエンカレッジスクールをまとめて「普通学校」という場合もありますが、しかしこれは決して普通科高校の意味ではなく、「特別支援学校ではない」という意味での「普通学校」です。 ともかく、チャレンジスクールなどそういう障害支援の学校側の公式の方針は、そもそも大学進学ではなく、そのため進学校だと普通にあるような科目(「数学B」とか「世界史探求」とか)が、そもそもカリキュラムに存在しない普通科というのも、偏差値30台の高校にはあります。 大学進学が無理とは、けっして「底辺校の生徒がバカだから」とかそういう理由ではなく、そもそも、もうハナっから高校側が、大学受験を方針としていないカリキュラムなのです。そういう高校で生徒がいくら個人的に努力して大学受験を目指しても、地方の定員割れの私大ならともかく、難関大学に合格するのは、ほぼ無理です。推薦も、そもそも難関大の指定校推薦の対象校ではないでしょう。 偏差値が50以上で偏差値偏差値で±5くらいの差は、それほど気にする必要は無いです(このあたりの偏差値なら、偏差値よりもカリキュラムや近所での評判などの実態を調べるほうが大事です)。しかし、偏差値30台だと別です。偏差値40以上でも40~41とかそういう場合、方針がそもそも大学進学でない場合が多々あります。 偏差値30高校でも結果的に生徒が特技を身に着けた結果として、地元の私立大学に推薦などで進学できる場合もありますが、偶然の成果です。 「偏差値の低い高校から、難関大に一般入試で合格!」とか言う話は、基本的には高校受験の偏差値50前後やそれ以上の人たちの話です。 地域によっては(エンカレッジではなく)エンパワーメントスクールとかクリエイティブスクールと言います。大阪と神奈川の両方に「クリエイティブスクール」という高校がありますが、しかし意味が違います。大阪のクリエイティブスクールは、定時制の学び直し高校です。神奈川のクリエイティブスクールは全日制です。大阪のエンパワーメントスクールには総合科の高校もあります。 ;私立高校の多くはもう軽度知的障害者を受け入れてくれない 昭和の20世紀の時代は、勉強の苦手な補習校的な、軽度な知能障害者むけの高校は、私学にも少なからずありました<ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11285680746 Yahoo知恵袋『岡山の私立高校って、昔は底辺校だったってこと多くないですか??』2023/9/7 22:30 ]2024年4月1日に確認,</ref>。しかし現代、それは、ほぼ公立にしか残っていません(上述した公立エンカレッジスクールなど)。 昭和の当時、公立ブームであり、また学費も公立のほうが安かったので、一部の私立進学校を除いて、公立のほうが進学熱が高かったのです。特に地方では、むかしは「公立に通えない子が、私立に通う」という事もありました。 しかし21世紀に入ってから、地方でも、私立は進学重視に切り替わりました。裏を返せば、学力に問題を抱えた子供の受け皿が、私学からは無くなっていった、という事でもあります。 地方のかつて偏差値の低かった私立高校でも、21世紀に入るころに付属中学を設置した高校も多く、そのため高校から入るのが難しくなっている高校もあります。それ以上に、そもそも教育方針が時代とともに変わっており、そういう中高一貫校の私立は学力下位層の受験生を切り捨てる方針に変化したのです。 現代でも多くの地域では偏差値上のトップ高校は公立高校である事が多いため<ref>[https://magazine.sbiaruhi.co.jp/0000-4869/ 平林 亮子『高知県民はなぜ「私立中学」を選ぶ? 四国・中国、九州地方の中学受験事情』、ARUHIマガジン、2022.01.06] 2024年4月1日に確認,</ref>、ついつい「公立のほうが学力上位か?」と勘違いする人も多いですが、そうではなく実態は、公立は学力の上下差が大きいのです。 東京では戦前から私立があるので、とっくの昔に東京は私立のほうが進学熱が高かったのですが、それが段々と地方にも広がっていったわけです。昭和の時代は、私立にも工業科などのある高校も少なからずあったのですが、平成に入る前後に私立の工業科は生徒も集まなくなったので廃止され、令和の現代では、ほぼ普通科または一部の私立に美術科・音楽科・体育科くらいしか残っていません。 困ったことに、田舎の大人のなかには、いまだに「私立は公立に落ちた学力下位層が通うもの」という発想が抜けていない人もいますが、一部の低偏差値私立を除き、まったく違います。 上述した公立エンカレッジ・スクールように、令和の現代、学力下位層の通うのは公立高校です。 ;大学受験偏差値との混同をさせる迷惑業界に注意 世間では、大学受験偏差値と高校受験偏差値とを混同して(あるいは意図的に混同させて)、「(大学受験偏差値の)偏差値40からの大学受験で難関大に合格した高校(あるいは高校生)」とか言う、まぎらわしい人もいます(広告業界とかでしょうか。迷惑ですね)。大学受験は浪人生との競争もあるので、現役生は不利なので、高校受験偏差値70の天才ですら大学受験偏差値が高校2年では偏差値45とかになったりするのです(高校3年次の学習でそこから偏差値を上げていく)。 大学の場合、大学偏差値30台の大学でも、いちおうは学生は日本語ができます(日本語が出来ない受験生は、公募推薦でも総合型選抜でも、面接で落とします。そのための面接です)。海外姉妹港からの留学生とかでもないかぎりは。 しかし高校の場合、高校偏差値30台の高校だと、そもそも生徒が、たとえば移民の子だったり軽度の知的障害だったりして、日本語がやや不自由な場合もあります。高校偏差値で30台というのは、そういう高校の可能性もある偏差値なのです。 「偏差値30でも努力次第で、難関大学の受験も」とか言ってはいけません。それは'''大学'''受験の偏差値と混同しています。 また、「偏差値40の大学でも、けっこう教育レベルが高い」とか言われているのですが、それを高校と混同して、偏差値38とかの高校を決して学力が高いなんて、思ってはいけません。 ともかく、高校偏差値と大学偏差値とは、混同してはいけません。 混同の根本原因は、「偏差値とは、倍率を変形したものにすぎない」という事を忘れていることです。偏差値だけからは、けっして学力水準は分かりません。学力水準については、進学実績や卒業後の就職実実績などから、推測する必要があります。 なので、高校受験の偏差値、大学受験の偏差値、中学受験の偏差値は、それぞれ別々に、分析する必要があります。母集団が異なるので、けっして混同してはいけません。 === 偏差値は学力ではなく倍率みたいなもの === 世間によくある誤解として、高校の偏差値を、その高校の合格に必要な学力の指標だと思っている人がいます。 しかし、偏差値は、基本的には倍率から算出されます。このため、高校入学後にどんなに教育水準が高かろうが、たとえば山間部の高校などで定員割れを慢性的に起こしていると、偏差値が低く出ます。 高校によっては合格最低点などを定めている場合もありますが、しかしそういう背景事情は偏差値の数値だけでは分かりません。もし公式パンフレットなどで「進学重点校」などと宣言していれば、合格最低点が存在しているだろうと思います。 偏差値の高い高校は、なんらかの人気があるので、その分野では教育の質は高いのですが、しかしその逆は、必ずしも成り立ちません。偏差値は、あくまで倍率から算出されたものです。 また、体育高校とか美術高校とかでも、入試の倍率によって偏差値が算出されますので、入学後の高校の学力とはあまり関係ありません。 極端な例をあげると、たとえば、もし仮に日本人の過半数の中学生がいきなり学習障害を発症して中学高校の数学と理科が急に苦手になったとしたら、商業高校とか美術高校とか体育高校とかに受験生が殺到するので商業高校の偏差値が急上昇するでしょう。 しかし、それは単に商業高校の入試の倍率があがったにすぎず、けっしてその商業高校の学力が向上したわけではありません。 たとえるなら、ある街の病院が繁盛したからといって、べつにその病院の医師の治療の能力があがったわけではなく、単にその街の病人が増えただけです。そりゃ医師の腕が悪いなら、結果的にその病院の客足は遠のくので、病院は繁盛しません。しかし逆に、病院が繁盛したからといって、医師の腕がいいことの証明にはなりません。 高校の偏差値もこれと同じで、あくまで倍率の変形です。その高校の実態がどうなのかは、別の情報源から入手する必要があります。なので基本的には、情報入手をしやすさから、なるべく地元の高校に通うのが得です。 世間では、偏差値教育の否定の話となると、すぐに、やれ「生きる力」だとか「思考力」とかそういう話ばかりがネットにありますが、しかしそういう話ではなく、「そもそも偏差値は倍率を変形したものに過ぎない」という事を把握する必要があります。 === 低偏差値の高校のあれこれ === ==== 私立の場合 ==== ===== 私立の低偏差値の文系コースでは数学IIが無い ===== 私立高校で偏差値50前後およびそれ以下の低偏差値高校では、進学コースなのに高校2年の数学の「数学II」「数学B」が文系コースでは存在しない場合もあります<ref>[https://twitter.com/tokyokojuken/status/1695402409441591303?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1695402409441591303%7Ctwgr%5E9244ee53b39890aa2059c215cc61f7dd12a74b7c%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fagora-web.jp%2Farchives%2F220918091111.html (ツイッター)東京高校受験主義、午後8:46 · 2023年8月26日] 2024年03月31日に確認.</ref>。 いっぽう、公立高校では同偏差値帯でも、数学II B が普通科高校では高校必修になっているのが通常です。 このため、とりあえず高偏差値の公立高校となるべく同じ科目の教育を受けたい場合は、この偏差地帯およびそれ以下の人は、公立高校を目指すのも手です。 私大文系の受験では数学II・Bを使わないことも多いので、文系コースでは高校科目から数学II・B を外している私立高校もあるのです。 ネットで私立高校のカリキュラムを確認しようにも、偏差値の低い高校だと、そもそもネットではカリキュラム公開してない場合もあります。 なお、特進コースと進学コースのある高校の場合、特進コースだろうが進学コースだろうが、基本、1~2年次のカリキュラムは変わりません。これは、各学年の1年間の定期テストの成績によって、次の学年で特進コースになるか進学コースになるかが判定される私立高校が多いからです。 このため、特進コースでも文系コースだと数学IIを習わないまま卒業できてしまう高校もあります。 さて、よく高校の特進コースの宣伝で「国公立大学への合格を目指します」とありますが、「果たして数学IIを履修せずに国公立大に受かるのか? 新共通テストの対策はどうする?」と疑問に思いますが、しかしそういう高校でも公式ホームページを見てると国公立大にも少数ですが合格者を出しています。どういう手法なのかは知りません。 ===== 推薦合格が多い私立高校だと偏差値が上がる場合もある ===== 多くの私立高校は、合格者のうちの何人が一般受験で、何人が推薦入試なのか、公表していません。 世間の人は、ついつい一般受験を想定して分析してしまうので、このため外部から高校を見ると、なんとなく「高校受験の偏差値が高そうに見えて倍率の高そうに見える私立高校」が、「実はおよそ半分の生徒が推薦合格の人だった」というような場合もあるかもしれません。 高校の公式webサイトにある「募集人数」は、けっして閲覧時点での募集人数ではなく、すでに前年の3~4月ごろに公表した募集要項の時点での募集人数です。なので高校によっては、一般入試での募集人数と、要綱上での募集人数に、かなりの開きのある場合もあります。 その高校のことがよく分からない場合、カリキュラムなども調べましょう。進学実績だけを見ても駄目であり、それはもし高校に「特進」コースや「進学」コースなど複数のコースがある場合、コース間に学力にかなりの差がある場合もあるからです。 私立高校によっては、「進学コース」とは名ばかりの「スポーツ・アート」コースみたいな私学もあります。そういう私学もあっても良いのでしょうが、しかし高校受験生はそういう高校だと把握した上でその高校を受験するかどうか考えましょう。 ==== 公立の場合 ==== ===== 過去に職業高校だった普通科 ===== 現在は「普通科」の公立高校でも、過去に商業高校だった高校もあります。そのような高校の場合、文系コースでは数学IIを履修できない可能性があります。物理基礎も、履修出来ない可能性が高いでしょう。 学校の硬式の案内を見ても分かりづらいので、wikipediaなどで志望校の歴史を調べましょう。 ===== 特殊な普通科 ===== 低偏差値校では、進学校のカリキュラムと比べると、かなり常識外れなカリキュラムをしている場合もあります。 たとえば、文系クラスでは芸術科目が3年間必修で、芸術III(音楽IIIや美術III)などが必修だったりとかです(一例)。 高い偏差値の公立高校と同じことをしても競争に負けるので教育的配慮のため、違ったカリキュラムをしているのでしょう。 「芸術IIまで必修」というのは偏差値の高い公立進学高校でも時々あるのですが、芸術IIIまで必修というのは、思い切ったことをするものです。 もちろん、芸術IIIまでしない低偏差値高校もありますが、その場合は他の意外な科目が必修だったりします。 == 「総合的な探究の時間」の無い学科 == ※ 「総合的な探究の時間」だと長いので、本節では「総合探究」と略します。 === 工業・農業高校に総合探究は無い === 普通科高校では、「総合的な探究の時間」の3単位が定められていますが、しかし工業高校や農業高校などの専門高校では、この科目が定められていません。工業高校の場合、工業科目「課題研究」の3単位で置き換えられますが、実態は卒業制作です。 :※ なお、もともと総合学科に1990年代から「課題研究」と言う科目があって、調べ学習をもとにレポートを書いていたりしていて、総合探究よりも課題研究のほうが歴史的には先です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=LrqqVXD1Qu0 『【都立高校】自分の「好き」を学びませんか?』 2022/01/20 ]</ref>。総合学科で教育学的に実験されてきた「課題研究」を、普通科むけにアレンジしたのが総合探究の正体です。 ともかく工業高校では、なんかこう、普通科理系コースのやるような科学的な研究みたいなのは、そもそもカリキュラム上、(工業高校では)出来ません。 農業高校だと、農作物で何か生物実験をすればいいので、何か実験で研究したりもします。成果の出来は知りませんが。 そもそも「総合探究」自体、多くの普通科高校では建前どおりに高度な探究が出来ているかどうかが疑問視されているのですが(単なる小学校からの「調べ学習」で終わってる高校もあるという報告もネット各所でされている)、その話はここでは置いておきます。 === 総合探究はあるが普通科と何だか違う専門学科 === 商業高校では「総合探究」の授業時間があるのですが、カリキュラムをよく見ると、3年間でたった1単位と少ないです。(普通科だと1年間あたり1単位なので、卒業まで合計3単位) ほか、非・理系の専門高校(たとえば美術高校・音楽高校など)では、たとえば「地域学」の各年1単位のような(3年間で合計3単位)、探究対象が地域課題学習に定められた授業に置き換えられている場合もあります。その高校では、ミドリムシで何か試薬とかを使った研究は、このような非・理系の専門高校では授業ではカリキュラム上、出来ないです。 なお、非・理系の専門高校で「総合探究」が3年間で3単位ある専門高校の場合でも、カリキュラムをよく見ると、数学II がありません。なお、そういう高校では基本、数学Aもありません。 国際科の総合探究では、2年生までに日本語でレポートをまとめて、3年生でそれを英語のレポートに置き換えます。国際科の総合探究の単位数は、3年間で合計3単位数です。(なお、国際科には数学IIもある。) 国際科は、比較的に普通科文系に近いと言えます。しかし、もしかしたら国際科でも、総合探究のテーマが地域課題学習に指定されるかもしれません。 == 高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」 == よく「私立は自由」とか思って私立高校に期待している人がいますが、しかしその自由はけっして生徒の自由ではなく、'''理事長や校長にとっての自由'''です。カリキュラム(教育課程)の履修科目などについて、選択の余地が公立よりも少ない私立高校が大半です。 以下、進学校についての公立と私立の比較を述べます。 私立の進学高校では、家庭科や芸術科目など、東大・京大や早慶マーチなどの受験に不要な科目は、私立の普通科では文科省が規定している最低限の単位しか履修できない私学も大半です。 おそらく進学校の私立の普通科に限れば、家庭科・芸術などを最低限しか履修できない科目が過半数を優に超えるでしょう。 いっぽう公立高校の普通科だと、進学高校でもそうでない高校でも、少なくない高校で、高校3年に「'''自由選択'''枠」とか「自由選択科目群」とかあって、卒業単位を満たせば、授業時間の範囲で割と自由に履修科目を選べます。 受験科目だけでなく、割と多くの公立高校で、「美術II」や「音楽II」などの芸術II 科目も自由選択科目に入っているので履修は可能な場合が多いし(ただし、既に高校2年で履修が強制されている場合は、除外)、家庭科を高校3年で自由選択で履修できる場合もあります。 しかし私立だと、そういう「自由選択枠」が存在していない私学も多くあります。自由選択枠を知らない私学出身者も多くいます。 公立でいう「必修選択」枠しか私学には与えられていない場合もあります。 私立の場合、たとえば(世界史探求・日本史探求・地理探究のうちの)「いずれかの科目から、1科目を選択」の決まりがあったりというような、「'''必修選択'''」または「選択必修」という方式です。 公立高校にも「必修選択」枠はありますが、しかしそれは国語・数学・英語・理科・社会(地歴公民) の5教科全部で、最低でも1科目は高校3年生になっても履修するように定めている、最低基準を定めるものです。(これが無いと、理系の苦手な文系生徒が高校2年で数学・理科を完全卒業してしまうので) また、ある私立でいう「自由選択」が、他の公立高校でいう「選択必修」の意味だったりする場合もあります。たとえば、上記の地歴公民の例のような「世界史探求・日本史探求・地理探究のうち、いずれかの科目から1科目を選択」をある私立高校では(選択必修とは呼ばずに)「自由選択」と呼ぶ場合もあります。 文科省が指導要領などで高校必履修と定めている「芸術I」に対してだけ必修選択という用語を使い、指導要領上の高校必履修ではない科目については自由度が低くても「自由選択」という語を使っている私学もあります。 このように、あまり「自由選択」枠の意味には、共通のルールはありません。 公立では、その最低基準の必修選択さえ満たせば、あとは芸術IIを選択履修しようが、あるいは家庭か「フードデザイン」を選択履修しようが自由なわけです。(ただし家庭科については、高校3年のカリキュラムでは、自由選択に含まれずに存在しないことが公立高校でもよくあります。) ただし、文系クラスでないと芸術IIを履修できない公立高校も多くあります。 私学で自由選択枠が充実している高校は、意識が高い大学付属高校とか、あるいは難関大学の受験をあきらめているような高校です。その中間である多くの私立の進学高校では、自由選択枠は基本的に無いか、ほぼ自由度が無いのが実情です。 どうも世間には、大学付属校の私立高校の高3「自由選択」科目だけ見て、「私立は自由だ」と誤解している人が多そうなフシがありそうです。 なお、私立高校によっては「進学コース」が存在せずに「特進コース」とか「選抜コース」といった特進以上のコースしか存在しない私学もありますが、そのような特進以上しかコースのない私立高校の場合、まず芸術IIとか家庭科「フードデザイン」とかは無いことが多いです。 == 男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない == :※ 過疎地だと、たまたま地域によっては男子の多い地域とか女子の多い地域とかありうるので、下記は首都圏の話だとします。 普通科でも、たとえば理系の私立大学の付属高校だと、男女比が 男:女 = 2:1  くらいに片寄っている場合もあります。 まあ、理科系の大学の男女比が片寄っているので、それに慣らす意味合いもあるのかもしれません。そういう環境がイヤな人は、理系の私大の付属高校は敬遠したほうが良いでしょう。 そこまで男女比が極端でなくても、公立高校でも理数科に入ると、男性がやや多め(たとえば1.3倍くらい)な場合もあります。 いっぽう、公立高校の共学の普通科だと、あくまで傾向ですが、男女比がほぼ 1:1 に近い傾向があります。男:女 = 1.2:1  とか  男:女=1:1.2  とか、そのくらいに収まることが多いです、 私立だと、たとえ理系私大の付属高校でなくとも、私立だと高校によっては、男女比が 1.6 : 1 くらいに差がある場合もあります。 ただし、公立高校の普通科でも、その高校に商業科や国際科が併設されていると、女子が多い傾向があります。あるいは、その高校に理数科や工業系や'''スポーツ系'''の学科が併設されていると、男子が多い傾向があります。 ほか、商業科・国際科の併設があるわけでもないのに、なぜか男女比の片寄っている公立高校もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=zAbCbrsDEgs (動画)行田kokojuken34_ 『【仰天!?】共学校でこんなに違うのか!【男子、女子比率】』 2024/03/09] 2024年3月31日に確認.</ref>。 現状は普通科高校の公立校でも、歴史を調べると過去に商業高校だった普通科高校もあり、そういう場合は過去に引きずられて男女比が片寄り気味な場合もありえます。 == 公立高校について == === 公立高校は地域に開かれていません === 昭和の昔は(高校ではなく)公立小学校は、「公立小学校は都道府県の税金で食っているのだから、たとえば地域のリサイクルのバザーを小学校の校庭で開くとか、そういう地域交流をするべきではないか?」とかの意見もあって、実際に地域交流をしていました。図書室などを曜日限定でしたが大人も使えたりもあったそうです。(ただし21世紀から、不審者対策など警備上の理由で、そういうのをしなくなった。) しかし公立高校は元からそういうのをしていません。 公立高校は、けっして公立中学のように地元住民が全員通えるわけでもありません。公立高校にも税金が生徒1人あたり年間70万円ちかく投入されているのですが、いったい何のために、公立高校の生徒に税金が投入されているのか、意義が分からず意味不明です。 戦後の昭和に作られたような公設民営(地方の県などが誘致した私学)の私立高校には税金が投入されず(私立高校でも文部科学省の指導要領に従っています)、それより偏差値が低くても公立高校に税金が投入されます。日本の国会議員の考える教育政策は支離滅裂です。 公立の生徒だからと言って、別に地域ボランティアをしているわけではありません。何のための税金投入でしょうか。 === 新入生が15歳とは限りません === 私立高校の受験要綱には年齢制限があるのが普通ですが(16歳以下)、しかし公立高校では、たとえ進学校であっても年齢制限がありません。 このため、もしかしたら公立高校の新入生が15歳ではなく16歳またはそれ以上の可能性もあります。あまり年齢が高くなりすぎると、正当な理由が無い限りは内申点などで減点され合格が難しくなるでしょうが、裏を返すと、1年の浪人なら、そうではないわけです。 また、私立大学への指定校推薦などの募集要項にも、年齢制限は無いのです。この穴をつつくと、やりようによっては、いろいろと出来てしまいます。ハッキリ言って、制度をつくった文部科学省の官僚と政治家がすこし、頭が回ってないようです。 == 地方の小規模校の欠点 == 地方の極端な小規模校では、普通科でも、数学IIIや物理II(いわゆる、現在の専門『物理』)といった高度な理数系科目が開講されていなかったり<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/content/20240131_mxt_koukou01_000033692_001.pdf 文部科学省 初等中等教育局参事官付(⾼等学校担当) 著 『⾼等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)』、2024年 ? (アドレスより推測)、 ]</ref>、古典講読などが開講されていない傾向もあります<ref>[https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-20530777/205307772010jisseki/ 山崎 博敏 研究代表『教育人口の変動と学校の規模・再編統廃合』、kaken、公開日: 2012-07-19 ]</ref>。数学IIIなどは高校必修ではないのです。 == ほか、雑多なこと == === 共学と男女別学 === 戦前の日本では、中学校以上からは男女別学でした。このため、公立高校のうち、戦前から存在する高校は、今でも男女別学な高校が北関東を中心に21世紀でも残っています。 また、日本人の伝統主義的なブランド志向からか、公立高校では戦前からある古い高校ほど偏差値が高い傾向が多いのですが、上述のように戦前の高校教育は男女別学だったので、したがって昭和の時代までは、公立高校で偏差値の高い高校は男女別学の傾向がありました。 しかし、平成になり、男女共学化が各県で進み、令和の今では、北関東などの一部の地域を除き、ほとんどの公立高校が共学になっています。(ただし、国立の高校には、男女別学が残っています。たとえば、筑波大付属駒場は男子校です) このため、もう全国的に統計を見ると、公立の男女別学の高校は1%くらいしか残っていません<ref>[https://www.bengo4.com/c_18/n_13973/ 『北関東に多い「公立高校の男女別学」は時代錯誤か? 共学化めぐる議論の歴史』、弁護士ドットコムニュース、2022年01月01日 09時33分] 2024年3月31日に確認.</ref>。 なのにインターネットだと、統計を無視した頭の悪い評論家がチラホラいて、まるで日本各地に男子校・女子高の公立高校があるかのような言説で、「子どもたちの選択の自由をうばうな!」みたいな事を言っている頭のわるい評論家もいますが、しかし既にもう北関東以外では男女共学しかないのが実態です。 2003年度に福島県、2010年度に宮城県ですべての県立校が共学化しており、もうこれらの地域では男女別学の県立高校は残っていません<ref>[https://www.bengo4.com/c_18/n_13973/ 『北関東に多い「公立高校の男女別学」は時代錯誤か? 共学化めぐる議論の歴史』弁護士ドットコムニュース、2022年01月01日 09時33分] 2024年3月31日に確認.</ref>。なのに評論家のなかには埼玉県の男子校・女子高を擁護しようと「選択の自由」とか言い出す頭のおかしい評論家もいますが、しかし福島県や宮城県の人は埼玉県の公立高校には通えません。 2023年の時点で、今も別学の公立高校が残っているのは、埼玉のほか、群馬(12校)、栃木(8校)、宮城(1校)、千葉(2校)、和歌山(1校)、島根(1校)、福岡(2校)、鹿児島(5校)だけです<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASRDC4H1SRD4UTNB01S.html 朝日新聞『減りゆく公立高の男女別学校 7割が埼玉・群馬・栃木に集中のなぞ』2023年12月13日 12時00分] 2024年3月31日に確認.</ref>。 男女別学が良い悪いの問題ではなく、「一部の評論家の、論拠がとてもおかしい(もう共学しかない地方が多いのに、選択の自由を根拠に「埼玉だけ男女別学を残せ」と主張している)」、「論拠のおかしい評論家を支持する、知識の欠けている支持者が少なくない」という話をしています。基本的な統計を無視している頭の悪い人たちの意見は真に受けてはいけませんし、そういう頭のおかしい評論家の支持者も頭がおかしいので、身の安全のため、あまり付き合わないほうが良いでしょう。 どうしても男女別学の必要性を訴えるなら、けっして一部の地域住民にしかメリットの無い「選択の自由」(?)を主張するのではなく、たとえば「比較対象としての実験校になる」とかそういう事を言わなければなりません。あるいは、そんなに選択の自由を主張するなら、男女別学だけ例外的に学区を撤廃して日本全国から生徒を募集するとか主張しないと、他県の選択時を無視しており理屈が通りません。あるいは、「各県に男女1高校ずつだけ男女別学を設置すべきだ」とか主張しないと理屈が通りません。 なのに、埼玉県の公立男女別学の生徒の意見だけを聞いて男女別学のありかたを考えるとか、他県の受験生の選択肢を無視していて支離滅裂だし、こんな事にも気づけない時点で、残念ながら男女別学の思考レベルは低く失敗していると言わざるを得ないのが実情でしょうか。 部分的には男女別学が残っている県でも、家からとても遠いなど、事実上、通える地域ではありません。 まあ、男女別学の校舎を共学に作り替えると、トイレの増設などの工事も必要になるので、仕方ないのかもしれません。 ほか、部活動に部室も共学になると男女別々に必要なのが、けっこう敷地的に負担です。 なお、私立でも同様であり、東京や神奈川のように戦前から私学の多かった地域では、私立で高偏差値な高校は男女別学な傾向があります。 たとえば戦前からある慶應義塾高等学校(慶應日吉高)は男子校です。早稲田大学高等学校も男子校です。いっぽう、慶應義塾湘南藤沢高校は1990年代に設立されたので男女共学です。 ほか、「男子御三家」(開成・麻布(あざぶ)・武蔵)、「女子御三家」(桜蔭・女子学院・雙葉(ふたば))なんて言葉もあります。 また、戦前からある古い私学は、校舎が歴史的建造物になってしまっていたり、そういうのもブランド化しているので、簡単に建て替えるわけにもいきません。 ;高度成長期などの校舎の立て直し 戦前から続くような伝統校でも、実際は建築の立て替え工事を何度もしています。たとえば、戦前からの木造校舎を解体して、戦後の高度成長期や昭和末期とかに鉄筋コンクリートに立てなおしたりしています。立て直しなどの際に、校舎の位置も微妙に移転しています。たとえば、校庭だった場所に新校舎を建てて、校舎だった場所が新校庭になったりとか。 建築史でも、関東大震災を機に、それ以前は木造だった校舎が、震災後は鉄筋コンクリート造になっていった歴史が、都心ではあります(地方はどうか知りません)。 私学は自分たちのカネで運営されてるから良いとして、公立に関しては正直、終戦期にGHQが共学化を原則とするとか言ってたのにかかわらず、昭和も平成も過ぎて2020年代になっても何の手も打ってこなかった低予算の公立高校およびそれを抱える自治体は、ちょっと時代を先読みする能力がアレです。 なお、私立大学は学校によっては何度も移転しています。たとえば法政大学の理工学部は、もともと東京の麻布(あざぶ)にありましたが、現在は東京の東小金井(ひがしこがねい)です。法政大に劣る知名度しかもたないくせに「伝統と格式」とか言ってお上からの共学化とか移転とかの方針に反対している公立高校の卒業生といった地元住民を抱える自治体、国からの税金頼みの住民を抱える自治体は、ちょっとアレですね。 ほか、男女別学の擁護(ようご)の意見で、よくある評論で「男女別学のほうが、女子がリーダーシップを発揮しやすいなど、教育に良い」とか言うのも、一見すると論理が通っていそうですが、しかし、すでに日本の公立の小学校・中学校は日本全国で共学です。高校の男女別学を主張する前にまず、「公立中学校で男女別学の再導入をせよ」とでも主張するべきでしょう(戦前は中学校は男女別学だったので「再」導入)。それに気づけない視野狭窄も、とてもアレです。 あるいは「義務教育の子供には男女別学は相応しくない」として高校以降を区別する論法なら、だったら大学も義務教育ではないので公立大学や国立大学で「男子大学」を主張しないと(国立の女子大はすでに「お茶の水女子大」や「奈良女子大」があるので男子大学を追加しないといけない)理屈が通りません。 あるいは、もし反論として「大学は女子差別是正のアファーマティブ・アクションの一貫で、国公立の男女別学は女子大だけでも良い」というなら、だったら高校の男女別学もそのアフォーマティブ・アクションにより男女同数である必要はなくなってしまい女子高だけ多くても問題なく、したがって公立男子高校の共学化の論拠になってしまいます。 上記の程度の、ちょっと考えれば気づく程度の意見を無視した言説が、ネット上にはあふれており、「プロ」を自称する評論家ですら、この程度のことに気づかない、あるいは気づいて意図的に無視しています。そういう頭の悪い評論家も多いので、ネットの言う教育評論などは真に受けず、中高生は受験勉強をしましょう。 === じつは公設民営の私立高校がある === ついでに言うと、昭和の千葉とか埼玉とかは高校不足だったので、1970年代ごろ、そこらの県が私学を誘致しています。上述の芝浦工大の千葉の付属校も私学ですが、実態は県の誘致した高校です<ref>[https://www.ka.shibaura-it.ac.jp/guidance/history/birth/ 『芝浦工業大学柏高等学校の誕生 学校概要 芝浦工業大学柏中学高等学校』] 2023年12月02日に確認. </ref>。 昭和のころ、インフラ的な施設の建設では、「公設民営」とか「第三セクター」とか、昭和の当時、中央省庁の官僚がアイデアを考えて、民間と役所のカネで実施する、というのが昭和の半ばころ流行しました。(当時は今よりも中央省庁の権限が強かった時代です。)今では「公私協力」とも言います。 現代でも、大学ですが[[w:公設民営大学]]の私立大学とかあります。例として、もう公立化されましたが、山口県にある山口東京理科大学がその典型でした。[[w:公設民営大学]] 悪口で「私学は金持ちのバカが行くところ」とか言ってる人は、こういう歴史がよくわかってない馬鹿なので、相手をするのは時間の無駄だと思います。 ;政府は責任をとりたくない 「国が学校教育の新しいアイデアを試したいなら、単に実験校を増やせばいいだけでは? 既存の公立高校と教育大の教育学者に、もっと教育実験の任務を与えればいいだけでは?」とか、あるいは「政府の財政負担を減らしたいなら、国公立の高校の学費をあげればいいだけでは? または既存の国公立の学費の過半数はそのままでもいいから既存の学費の低い公立高校とは別に、いちぶの公立高校だけ学費を私学の学費の半分くらいになるまでアップして(国立大の学費が私大のおよそ半分だす)、学費の高い新種で別種の公立高校をつくればいいだけなのでは?」とも思いますが、まあ、国会での与野党のくだらない質疑応答を減らしたいのでしょう。私学のような民間のやった事にすれば、野党はいちいち口出しをできませんし。 公立高校の教職員は公務員ですので、労働問題とか、いろいろと面倒なのです。(公務員は原則、ストライキを出来ません。なお、労働組合活動は可能であり、日教組(にっきょうそ)という組合が有名である。) === 高校生の論文は文系分野ばかり === ==== 基本 ==== :(※ どっちかと言うと、下記の記事は総合学習のページのwikiに書くほうが適切かもしれません。) 一部の私立高校で卒業論文など論文を書いていたり(2年生で論文風の作文を書くこともある)、国公立でも一部の高校で論文を書いていますが、分野は文科系の分野がほとんどです<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 ]</ref>。例外としてスーパーサイエンスハイスク-ルの指定を受けるような設備の充実した高校でもない限り、理系の実験は難しいのが現状です<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 ]</ref>。近現代の経済などが、比較的に書きやすいでしょうか。 基本的には、社会科学系の分野です。 なので、最初から高校の文系教科側にカリキュラムとして論文執筆を組み込む私立高校もあり、たとえば私学の麻布(あざぶ)中学・高等学校がそうであり、地歴・公民公民の科目に論文カリキュラムを組み込んでいます<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.183 の注6] 2023年12月02日に確認. </ref>。 なお、大学入試側も、高校の探求が公民科目に寄っているのを反映してだろうか、一部の文系学部の入試科目から歴史科目を外す動きもあり、早稲田大や青山学院大学ですらそのような入試改革の動きがあります<ref>[https://diamond.jp/articles/-/314990?page=3 後藤健夫 著『増加する「Fランク大学」、“ボーダーフリー”時代の大学の選び方』、ダイヤモンド社教育情報、2022.12.22 3:20]</ref>。おそらく、偏差値上位の私立高校で探求を頑張れる優秀な学生をゲットしたいのでしょう。 書籍名などで「論文」と題されることもありますが、実際には、埼玉県立浦和(うらわ)高校の場合、出典など多少の裏付けのある文集や紀行文なども混ざっています<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P42</ref>。まあ、論説文であることには、変わりありません。一言も「学術論文」とは題されていませんし。「総合的な学習の時間」(2023年の現代は「総合的な'''探究'''の時間」)などの時間を、それらの論文・作文などの執筆や調査に当てている事もあります<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P40~P42</ref>。ただまあ、紀行文といっても、けっして旅行先は単なる国内観光地とは限らず、国費での海外語学研修での米国大学あたりの訪問記とかの紀行文とかだったりする高校生もいるので、世間一般の旅行の紀行文のようなものとは区別したほうが安全だとは思います。基本的に、学問的に読む価値のありそうな文章であることが求められるとは思います。 なお、歴史の論文は、とても難しいので、(感想文などではなく)学術的な論文としては避けるべきです(史実の確認はとても難しいので<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ]</ref>)。 中央大の付属高校いわく、 <blockquote> 論文のテーマ(問い)は、「えっ。こんなに小さな問題でいいの?」と思うくらいに絞り込むこと。漠然とした問いは、いつまで経っても書き出せないか、概論を述べるだけで終わってしまう。論文を読んだ人に、「ふむふむ。それで?」と言われてオシマイ。 </blockquote> です<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ]</ref>。 神戸大の付属高校でも、説明画像「良い問いの条件とは?」で、「すぐに答えが出る問いではないか?」と釘を刺したうえで、 さらに、 <blockquote> 「しかし、1年ぐらいで答えが出る程度に小さい問いか?」 </blockquote> と述べています<ref>pdf [https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/education/kp/materials/2023_kuss_handbook.pdf  『2023 年度 Kobe ポート・インテリジェンス・プロジェクト 課題研究・卒業研究ハンドブック』P.30]</ref>。 神戸大付属校が言うには、高校生のする研究論文にとっての「良い問い」とは、1年間つづけられるほどに「'''やりたい'''」、高校生でも「'''できる'''」、社会がその研究を支持してくれそうなほどには「'''意義がある'''」の3本が必要です。まとめると、 * やりたい * できる * 意義がある の3本です。 さて、参考文献として読む本の冊数は、たとえば『浦和高校論文集』の論文をいくつか見たのを例にすると、一般の大人向け(ここでは「高校卒業者むけ」という意味)に書かれた本が10冊~15冊ていどです。そのうち、大学教養レベルの教科書が1~2冊もあれば十分でしょう<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P393およびP379など</ref>。 参考文献のひとつとして、アメリカなど海外で使われている教科書の和訳を読めば(たとえばマンキュー経済学<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P379など</ref>など)、国際的に通用する議論になるので、お得です。 和訳さえている本を読めば十分であり(英語の原典・原書に当たる必要は無い)、そもそも高校の先生にその翻訳を確認するだけの時間がありません(もし先生が英文和訳の添削ばかりしてたら、先生が過労になってしまいます)。なので、日本国内で先行研究のあるテーマを選ぶことになるでしょうか。 なお、(基本的な教科書を除くと、)参考文献リストの載ってない本は、先行研究とは言えません<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P18 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。なので、メインに使う本には、参考文献リストが載っている本を選びましょう。 今までの議論の前提として、先行研究がある程度は存在しているテーマを研究するのがコツです<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P5 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。高校レベルだと、そうしないと卒論を書くのが難しいでしょう。 また、客観的データを自分で入手できるテーマに限ります<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P5 ] 2024年03月20日に確認.</ref>。このため、最近の流行の調査とかは、客観性がとぼしく、論文としてはテーマに不適です。 また、参考文献は変わりますが(文献名は忘れました)、現在始まったばかりの流行は、基本的には評論などを行わないのが、評論の業界でのマナーです。たとえばテレビで放送開始したばかりのドラマとアニメとか、基本的には放送開始から半年~年内には論文などでは大々的には論評してはいけません。なぜなら、論評そのものが作品の評判に影響を与えて変化させてしまうので、観察対象がその論評のせいで変化してしまい、業界全体での客観的な研究ができなくなってしまうからです。具体的な参考文献名は忘れたのですが、1990年代後半に同人サークル「と学会」(オカルト本を研究している同人サークルのひとつ)が、市販の書籍でそう述べていました。 放送開始から1年程度の月日が経って、ようやく、評価が確定してきてから、論評を開始しないといけないのです。 比喩を言えば、バードウォッチングで鳥を観察する人は、基本的には、鳥に気づかれないように観察しなければなりません。 なのに、先行研究の少ない分野を研究しようとしている人は、たいてい、こういう基本マナーが分かってない人なので、もし自分がそうだとしたら、反省しましょう あと、卒業論文とかにもし放映中のドラマとかの研究を書いてしまって、卒業後にもしそのドラマの俳優が麻薬所持とかで逮捕されたら、製本された論文集、どうするんですか? 論文を撤回しようにも、卒業アルバムと同様に卒業論文集も製本されて卒業生の共通の思い出のメモリアルになっているので、もはや撤回できません。 卒業後に改訂版を出せないので、もっと慎重な先行研究の多めのテーマを選んでください。 そういう新しいテーマは、卒業論文ではなく、雑誌論文とか、大学教員になったら紀要(きよう)とか、個人の書籍とかブログでやってください。 比喩的に言えば、卒業論文集は個人の所有物ではなく、半分は、卒業生一同の共有物のようなものです。 こういうふうに、最近の人気マンガだとか芸能だとか現代の若者などの流行分野を研究するのは、とても難しいのです。 これはつまり、ネットの匿名掲示板とかで放映中の作品などを議論している人や、そのような評判を参考に作品鑑賞している人は、上述のような意味でも、あまり信用しないほうが良い、という意味です。論評の基本マナーを知らないほどに論評のレベルが低くて頭わるい馬鹿のくせに「自分は頭がいい」と思っているという、自己の心の病の病識(びょうしき)に欠ける人です。 残念ながら、作家でもこのような基本の分からない人が存在します。志望業界の若手にそういう低レベルな作家の多い業界の場合、これから衰退していく業界でしょうから、志望先を変えるのが良いでしょう。 今は盛り上がっていても、若者のレベルを見れば、これからが分かります。俗に「ピークアウト」と言う言葉があり、その時点では盛り上がってても以降は低減していく現象のことを言います。 だから学校の図書室に新刊の本の購入をリクエストする場合でも、あまりにも新しすぎる本の購入だと、売上を下げる営業妨害になりかねないので、図書室での購入を断られる場合もあります。特に小中学校の義務教育で、そのような傾向があります。 なので、ともかく先行研究を無視して「どんなテーマでも」と言うのは、無理なのが実情です。実際、教育学の論文『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』(大貫眞弘・竹林和彦 共著) P.179によると、下記のように問題点が指摘されているのが現実です。 <blockquote> また、多様なテーマに対応するだけの蔵書数は、高等学校の図書館にはない。大学附属校で高校生も大学図書館を使用できる状況であればいいのだか、多くの学校はそのような状況にはない。公立図書館の利用や高大連携による大学図書館の利用も紹介されているが、情報の宝庫である充実した図書館が、すぐに利用できる校内に設置されているか否かは大きな問題である。 </blockquote> <ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 の節「3)研究環境(施設面)の問題点」] 2023年12月02日に確認.</ref> なお、論文は文章の長さよりも質が重要であり、6000字でも内容がシッカリしていれば高校論文としては問題ありません<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。16万字とか書く必要はありませんし、そもそも長すぎる論文だと先生が過労になってしまって読み切れません。高校2~3年生の16万字×40人×担当クラス数(たとえば4学級)=2560万字のレポートなんて、どこの高校でも先生は読みたくありません。 なお、『浦和高校論文集』によると、浦和高校の卒論は2万文字が目安らしいです<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P148</ref>。 このように学校によって、字数の相場は違います。 そのほかの卒論のある高校は、 筑波大学附属坂戸高等学校や東京大学教育学部附属中等教育学校、名古屋大学附属高等学校など。 私立なら、早稲田大の付属校や、専修大学附属松戸高等学校など。 これに関して、マーチの大学付属校は実質的に文系重視です。いちおう理工学部もありますが、付属校の生徒からは敬遠されています<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD049S60U3A001C2000000/ 『理系学部への進学率、付属校は低調 進学校は伸び』、2023年10月17日 5:00 、※会員限定記事 ]</ref>。 ;同一テーマに関する複数の文献を比較 ほか、高校レベルの論文を書くための文献の冊数として、5冊~10冊以上を読むのが基本です。どこの上述の高校も、そのくらいの冊数の本を、論文執筆のために読ませています。(ただし、エッセイとかを書く場合は別。)なるべく同じテーマの本を読む必要があります。 1940年代に欧米で提唱された「シントピカル・リーディング」という読み方がこれに近いのですが、しかし1940年代のことを21世紀の2020年代に当てはめるのには無理があります。なので、あまり、この読書法の用語には、こだわらないのが良いと思います。 北里大学(付属高校とかではなく大学本体の某・研究室)によると、「シントピカル・リーディング」とは、同一テーマに関する複数の文献を比較し、結果や考察の相違点を調査する読書法です<ref>pdf [https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/albums/abm.php?f=abm00036134.pdf&n=2021%E5%8C%97%E9%87%8C%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%80%8C%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E6%84%9F%E6%9F%93%E5%88%B6%E5%BE%A1%E7%A7%91%E5%AD%A6%E5%BA%9C%E3%80%8D%E5%AD%A6%E4%BF%AE%E8%A6%81%E9%A0%85.pdf 『2021北里大学「大学院感染制御科学府」学修要項.pdf』P.123]</ref>。なお、syntopical とは、『本を読む本』(How to read a book )著者のM.J.アドラーの造語です。 ともかく、研究的な内容の文献調査は、もはや文献の内容が完全に正しい保証は無いので、決して1冊の本を鵜呑みにしてはいけません。 もちろん、単に書籍数の多数決で真偽を判定、なんてのも論外です。高校生には論文に使える時間に限度がありますが、高校生なりに、ある程度は検証しましょう。 ==== 仮説思考 ==== 中央大付属の場合、論文を書く際、あれこれと文献をいくつも集める前に、「たぶんこれはこういう仕組みだろう」的な、仮説として仮の「答え」を用意しておきます<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P23 ] 2024年03月20日に確認.</ref>。 ほか、立教池袋高校の卒論では、2年生のうちに仮説を提唱させ、3年生でその仮説を検証します<ref>[https://www.asahi.com/edua/article/14636767?p=2 葉山 梢 著『卒論の執筆通じてリベラルアーツ教育 内部推薦のポイントにも 立教池袋』2022.06.08 ]</ref>。 なにも中央大だけの独自見解ではなく、高校の理科の教科書の巻末にある「課題研究の仕方」みたいな章を読んでも、同様に仮説やモデルの設定などをせよと書いてあります。つまり、別に文系のテーマだけでなく理系のテーマの場合でも同様に、仮説やモデルを設定する必要があります。 :※ なお、「モデル」とは、けっして美人とかのことではなく、理論の「模型」(model)という意味。「少々の誤差はあるが、おおむね減少の仕組みを、簡潔に説明していると思われる理論」のことをモデルと言います。(詳しくは高校の情報科で習います。) ともかく、中央の場合、たとえば、「自転車と歩行者のあいだの交通事故を減らす方法を見つけたい」という問いなら、とりあえず仮の「答え」として、「自転車の利用者のマナーを向上させる」のような仮説を用意するのです。 もちろん、まったく文献調査やアンケート調査もしてない段階なので、この答えが正しい保証はありませんので、あとで答えを修正することになる可能性もあるかもしれません。 ですが、まずは仮の答えを用意します。また、そう思った「根拠」を文中で提示します。で、これをあとは時間の限り、警察などの客観的な統計とか調べたり法律を調べたりとか、さきほどの仮説や根拠の妥当性を検証していきます。 もし自分の仮説が間違っていそうだと思ったら、その時は単に論文のその箇所を直せばいいのです。 完璧な仮説はNGです。仮説は修正していくものです。 「仮説が間違っていると分かった」のなら、それは研究が進展して、仮説が'''反証'''されたという事ですので、良いことです。「仮説がこれこれこういう実例により正しそうである」という立証だけでなく、反証もまた、検証の一種です。 仮説が無いと、そもそも立証や反証の対象物が無いので、なにも検証を進められず、研究の深堀りが難しくなります。 なお、論文にかぎらずビジネスでの営業や企画などでも、まずは仮説を用意します。これをビジネス用語で「仮説思考」と言います。 言い回しは業界によって違いますが、考え方は似ています。 ビジネスの世界では、時間が限られているので、漠然と何でも事前調査するという事は、不可能です。なので、とりあえず仮説を立てて、その仮説を少しだけ検証して、あとは実際に活用しながら修正していきます。 仮説思考によって、本当に解くべき問題が何なのかが、明確になります<ref>[https://note.com/haruna_pp/n/na87491690a21 『実験する前に論文を書こう~「仮説思考」を読んで~ (ver1.0) 』2024年1月6日 20:16 ]</ref>。 この方法に文句をつけてくる学者や教員がいたら、ビジネスの出来ない人なので、あまり相手しなくていい。例外として、数学とかの完全な論理性や、あるいは医療とかの極度の慎重さが要求される分野とか、国会の立法とかでない限り、仮説思考で良い。 Quick and Dirty(クイック・アンド・ダーティ)といって、「汚くていいので、さっさと進めろ」みたいな意味の言葉が、ビジネスやソフトウェア開発などの言葉であります。 とりあえず、精度は低くていいので、仮説・根拠のセットを提示するのが先であり、とりあえずそのセットの検証を始めていくのが先です。 ==== 問題解決ではない ==== 論文を書くなどの研究は、「問題解決」型の学習ではありません。現状の問題点を見つけて、それを検証、深堀りなどをして「解明」するのが、「研究」です。そもそも解決していないから、研究テーマなのです。社会問題など、一個人での解決は、無理です。時間も予算も、解決するには、大幅に不足しています。 大学などで行われる文科系の「研究」の多くは、良くも悪くも、問題点を見つけて深堀りするだけです。 もし解決策が思い浮かんでも、実際にその解決策を実行して事態が好転しても、それを現状の社会の「問題点」を明らかにして解明するという形の文章に変換しないかぎり、論文にはなりません。 正直、「問題解決」とは、論文は相性が悪いこともあります。問題解決ばかりしている暮らしの不足を補うための論文、とでも言えばよいでしょうか。 それどころか、大学評論家によると、大学の文科系学部の伝統的な授業内容ですら、教育内容が問題解決につながっていないのが実態だと報告されています<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=oQNeaMxX9sc オンラインのメガスタ公式チャンネル 『文学の力で社会の課題を解決する!!』2024/04/10、 3:30 あたりから] 2024年04月10日に確認.</ref>。 ==== 読書の方法 ==== 論文を書く際の読書の方法として、当然ですが、関連するテーマの本を、何冊も読みます。高校によって要求される冊数は10冊か20冊か、差がありますが、ともかくそのくらい読みます。 この際、同じ著者の本ばかりを読むのではなく、なるべく別々の著者の本を読みましょう。 さらに、自身の確認した体験などを通して、検証します。 これを Syntopical Reading と言います。高校生くらいになったら、こういう読書が求められます。卒業論文などを描く際の読書も、このレベルでしょう。 [https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%82%80%E6%9C%AC-%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E5%AE%B6%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%96%E3%81%99%E4%BA%BA%E3%81%B8-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%BBJ%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%BC/dp/2000524001/ref=sr_1_1?dib=eyJ2IjoiMSJ9.VpqUkV6DHZuZsgzwYTOTh2ZgA4mYcWsBooOx6MUYkbA.GblkUDjG7anKTt01HJ0zLyLa9WrX0MQmIJRCREKo14Q&dib_tag=se&qid=1711255352&refinements=p_27%3A%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3&s=books&sr=1-1&text=%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3 『本を読む本 読書家をめざす人へ』 ](1978/1/1、モーティマー・J・アドラー (著), チャールズ・ヴァン・ドーレン (著), 外山滋比古・槇未知子訳 (著) )にそういう話題があるらしい。 普段の読書でも、同じテーマの本を、別々の著者で、いろいろな視点で読んでおくと、論文や研究につながりやすくなります。 本に書いてあることの要点を把握するだけなら、中学生レベルとのこと。その本だけを鵜呑みにすればいいのですから、とりあえずの要点の抽出は、そんなに高度ではありません。 == 私立のあれこれ == === 私立高校の地元推薦枠 === ;推薦されても絶対合格ではない 地元枠にかぎった話ではないですが、そもそも推薦入試は必ずしも「絶対合格」ではないです。私立の偏差値の高めの高校の地元枠の場合は、あくまで推薦されたらそれ以降の試験は低倍率で合格しやすい(なぜなら遠隔地から受験マニア家庭の中学生が押し寄せないので)だけです。私立高校の場合、推薦入試でも5教科の学力検査を行う場合もあります<ref>[https://jyukumado.jp/column/50 『高校受験の「推薦入試」ってどんな制度?わかりやすく解説!【塾探しの窓口】』2023.11.01] 2024年01月01日に閲覧. </ref>。なので、推薦をもらえても受験勉強はシッカリと続けましょう。 特に21世紀では、ブランド的な私立高校は付属中学をもっていることが多く、このため募集人員が生徒数に比べてかなり少なめなので(たとえ1学年8学級の約320人であっても、4学級ぶんは付属中学からの内部進学なので、残り4学級ぶんの160人のなかを目指す競争になる)、推薦入試といえども難関です。なので油断せず受験勉強しましょう。 === 私立の土曜授業 === 多くの私立の中高で、土曜日には授業があります。(公立だと、土曜日の授業が無い場合や、隔週などの場合もある。) ほか、部活の大会などの行事が土曜日にある場合もあるので、公立高校では大会などのスケジュールとの兼ね合いから、土曜授業を行わない高校も一部ではあります。 なお公立の場合、進学校で土曜日を休んでいて週5日制の場合は、土曜休みの代わりに、夏休みや春休みが短いなど、そういう負担があります。 公立の場合、大会などで日曜日に活動させた場合に振替休日が必要になる場合もあるので、それを嫌って土曜授業をしない場合もあり得ます。 もっと言うと、進学校の中には、そもそも部活で大会やコンクールなどに出たがらない高校も、公立でも私立でも、あります(土曜日の授業時間が減るので)。 どうしても私立進学校が土曜日にも学業を教育したい場合、土曜日に提携する予備校などのビデオ教材などでの復習中心の講習をする場合もあります。これなら、高校の教師も休めるし、生徒には復習にもなるし、いいことづくめです。 また、私立高校の中には、教科書のほかにも予備校などの教材や参考書を使っている学校もあるのだという事に気づきましょう。 ほか、一部の私学では、定期試験の回数を年2回に減らすというテクニックもあります(1年間を前期/後期の2学期制に分け、それぞれの学期の期末試験のみ)。これなら、テストのために授業時間が減る量を半減できます。 === 附属中学校の方針が事実上の方針 === 私立の多くの中高一貫校では、付属中学の中学受験の影響を受け、高校側も学力重視の文化に変わっています。 このため、平成に付属中学が新設された中高一貫校の場合、付属中学をもたなかった昭和のころの教育方針と(たとえば体育重視の文化だったり)、現代の21世紀の令和の教育方針とは、まったく別物に変わっているのが実態です。 たとえば、仮に、ある附属中学校の入試方針なり授業方針が「学力重視」だったとして(実際にはここまで明言しませんが、説明の簡単化のため、そう仮定する)、その併設の高校の方針が「文武両道」の場合、基本的に事実上の高校の方針は学力重視です。よほど強固に高校側で文武両道を推進しているのでもなければ、付属中学の方針が正体です。 このため、たとえ建前上は高校の教育方針を変えていなくても、平成時代に附属中学校が新設されれば、その附属中学校の方針が事実上の高校の方針へと変わっています。 基本的に、中学入試では部活などは評価されず(というか、小学校の場合は週1日ていどのクラブ活動)、このような背景のため、ともかく付属中学の影響を受ける多くの私立高校は、高校側の実態がかなり学力重視の方針に変わっています。 中学受験をする子供の場合、お稽古事で楽器や女子なら華道・茶道などを習っている場合がありますが、私立中高の部活でも、スポーツよりもそういうお稽古事になりそうな文化部っぽい部活のほうが現代はさかんだったりします。マスコミだと、甲子園などスポーツの話題ばかり出ますが、しかし、もうそういうのは中学受験した内進生の関心事ではないのです。例外として、スカウトで少年野球リーグの有望選手を特待生にするような一部のスポーツ中高一貫校でもないかぎり、スポーツはもう私立中学受験生のリアルな関心事ではなくなってきているのです。 さらに令和の現代では、べつに特には「学力重視」「大学受験重視」をパンフレットで謡ってない(うたってない)ひかえめな付属中学ですら、中学3年生の国・英・社の授業ですでに高校1年の教科書の範囲に平然と入っていたりします。このため、進学先である高校側も、付属中学の進度の速さの影響を受けるので、ますます高校側の学力重視の方針への変化に拍車(はくしゃ)を掛けます。 つまり私立の中高一貫校の分析の場合、高校の情報だけを入手するのではなく、中高一貫校は、中学受験の影響を受けているという事も意識して、パンフレットなどにある建前ではなく実態としての教育方針や教育実態を分析する必要があります。これが、公立高校の分析には無い、私立独自の分析テクニックの一つです。 == 高大連携 == ;高大連携とは 「高大連携」といって、主に進学校の高校では、たとえば、高校生でも提携先の大学教員による特別授業をいくつか受けられたりする事が、令和では行われています。かつては「高大接続」改革などとも言いました。 主に、私立大学が、このような高大連携を主導しています。 いっぽう国公立大では、おそらく他県受験生への配慮や、平等性などの問題からでしょうか、あまり踏み入った高大連携を行わないません。 「高大連携」には高校生むけの教育のほかにも、その大学のある県内の高校教員むけの研修会などを主催している大学もありますが、当ページでは教員むけ研修会については省略します。 この節では以下、主に、高大接続改革としての「高大連携」について解説します。 ;指定校推薦などとの関係 私大との高大連携が進んだ結果などによりて、現代では(2024年に記述)、大学への指定校推薦とは別に、「高大連携」と言われる取り組みがあり、高校時代に大学の授業を聴講できたり履修できたりします。 指定校推薦とは別なので、必ずしも推薦がもらえるわけではありませんが、まあ、知っておくと有利でしょう。特に文科系の学部を志望する場合、大学受験でのAO入試とか自己推薦入試などのアピール材料にもしやすいでしょうし。(ただし理系大学の場合は教育内容の特殊性もあり、あまり推薦系の入試はおすすめしません。) 堂々と、高大連携による推薦枠がある方針だということを明言している私立大学もあり、たとえば順天堂大学がそうであり、(高校の)校長推薦の枠がある方針です<ref>[https://www.juntendo.ac.jp/news/16678.html 『茗溪学園中学校高等学校と高大連携に関する協定を締結しました』 2023.11.30 (THU)] 2024年02月15日に確認. </ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC079KB0X01C23A2000000/ 日本経済新聞 著『埼玉の春日部共栄中高と順天堂大学、出張授業などで連携』2023年12月7日 19:30] 2024年02月15日に確認. </ref>。 なお私立の順天高校は、順天堂大とは名前が似ているだけの、まったく別々の学園ですので、決して混同しないように。 指定校推薦どうこうの可能性は、あくまで私大の話です。 なお、国公立大による「高大連携」というのもあるのですが、しかし国公立大の「高大連携」の特別授業は、基本的に推薦などは関係ありません(そもそも国公立大受験では、指定校推薦の制度が無いです)。国公立大の高大連携の特別授業は、建前どおり、単なる授業でしかありません。 ;協定校 私立大学が高大連携などを名目に、指定校推薦の枠を拡大したものを「協定校」と言います<ref>[https://www.study1.jp/kanto/school/B13P122/school_special/9/ スタディ中学受験 著『法政大学との新たな高大連携!学びを深める連携講座と最大30名の協定校推薦 | スクール特集:三輪田学園中学校 | スタディ中学受験情報局』公開日:2023/8/4]</ref>。 ほかの同じ偏差値帯の高校よりも、協定校の高校には多くの推薦枠が与えられています。 傾向として、私立高校と協定を結んでいることが多いです。 ただし大学によっては、協定校相手でも、それほど大きな推薦枠は与えない場合もあります。たとえば、3名とか5名とかの枠しかない場合もあります(ただし他校はもっと低い)。付属校のような数十名~百名以上のような大きな推薦枠は期待できない場合もあります。 2名の推薦枠が5名に拡大したとしても、たった3名の増加でも「協定校」です。実際に1ケタ台しか推薦枠が与えられていない協定校の高校もあります<ref>[https://www.takeda.tv/naraikoma/student/post-199879/ 武田塾『関西学院大学商学部へ合格!「協定校推薦と指定校推薦の違い」』 2021.09.27]</ref>。 * 参考サイト: [https://www.jhschool.site/2021/04/25/uhsc/ 高大連携情報を大学別に集めていきます] もし将来的に進学したい私立大学の文系学部がある場合、付属高校の合格が無理なら(偏差値が届かない、遠い、など)、提携校の私立高校を狙うという方法もあります。 このように、もう高校の志望校選択の時点で、現代では私立大学受験は始まっているのです。 私立大学受験は、偏差値55以上の多くの私立大学では、もはや指定校推薦が5割近くになっており、残された一般入試の枠をうばいあう競争になっています(しかも競争相手には浪人生もいる)。 偏差値50以下とかの定員割れの私立大学でも、決して指定校推薦をしてないわけではなく、指定校推薦をしているうえで単に受験性が集まらないだけに過ぎません。 提携高校の傾向として、偏差値が高めで、大学の立地に比較的に近めの高校が多く選ばれています。大学から遠いと、大学教授が出張するのが大変になってしまいますので、なので出張しやすい近隣の私立名門高校とだけ提携を結んでいたりします。 なので早い話、もしアナタが東京の偏差値の高めの私大に将来的に進学したいなら、もう高校受験の時点で東京に上京できる(もしくは生まれた時から東京在住の)家庭が有利です。 あるいは、ある大学と教育理念などがとても似ている高校が提携高校に選ばれている場合もあり、典型的なのがキリスト教系の大学・高校との提携です。ほか、たとえ、いちいち高大連携の協定を結んでいなくても、キリスト教系の私立大学には、キリスト教系の私立高校からの推薦枠があります。 ;所得水準のつりあわない高大連携について やたら学費の高い私大医学部と、地元の公立高校との高大連携は、あまり指定校とかAOとかを期待しても意味ないでしょう。高校受験の段階でいちいち大学の学費まで調べる必要はありませんが、公立高校にしか行けない家庭に、学費の高い私立医学部などに行ける経済力があるとは思えません。 せいぜい、大学内の実習室を案内させられて見学させてもらえて大学教員による説明も聞けるとか、私立医大とかとの「高大連携」の内容はその程度だろうと思います。 ;私大付属校の他大との高大連携 私大付属高校でも、他大と高大連携をしている高校も多くあります。たとえば順天堂大学は、ほかの大学の付属高校とも高大連携をしています<ref>[https://www.juntendo.ac.jp/news/18122.html 順天堂大学『日本女子大学附属高等学校と高大連携に関する協定を締結しました』2024.03.29 (FRI) ] 2024年04月06日に確認.</ref>。順天堂大学に限らず、他大も同様です。 またこのように、決して一つの大学としか連携できないわけではありません。地方だと一つの大学しか連携できない公立高校もあるかもしれませんが、しかし首都圏の私立の高偏差値の高校の場合は、特にそういった制限はありません。 === 高大連携の授業についての注意点 === ;地域差 高大連携には、地域差があります。大学教授は、近隣の高校にしか出張できません。大学校舎が近い場合なら高校生側が大学訪問をする場合もあります。 決して、全国共通ではありません。このため、国公立の大学入試には基本、高大連携の内容は出ません。 私大はどうか知りませんが、基本的に高大連携は大学で習う内容に入るので、基本的には大学入試には、そのままでは出ません。そもそも大学の授業が、入試問題には、そのままでは出ません。 ;大学ごとの差 地域が近くても、連携する大学ごとに高大連携の授業や講義などの内容は異なります。学部によって異なる場合もあります。 ;定員がある 高大連携には定員があります。大学教授が面倒を見れる高校生の数には、限りがあるからです。なので、高校進学後に希望しても、必ずしも高大連携の授業などを自分が受けられるとは限りません。まあ、留学とかも同様で、自分がそれを認められる保証はありません。 本来、大学側で大学生の面倒を見ているのに、それに加えて、さらに高校生の面倒も見ているから、大学教員の負担は大きいのです。 ;教育効果は未保証 さて、大学の授業と言うのは、必ずしも、どんな若者にも教育効果が高いという保証もありません。 そもそも大学教育というのは、そういった万人(ばんにん)への教育効果の保証がないからこそ、だからこそ高校の普通科からは切り離して大学など別期間で教育を行っているのです。 また、そもそも教育効果がどんな若者にも校歌の高そうな最新の理論や知識などがあるなら、文部科学省や教科書会社などの手により高校教育に取り入れらます。文部科学省はそれに気づかないほど、愚かではありません。だからこそ、学習指導要領や検定教科書は、定期的に改定をしているのです。そのための改訂です。 だから、地方の人は、東京の高偏差値どうしの私立高校と私大との高大連携を、うらやましがる必要もありません。低い偏差値の人も、高偏差値の人を「ずるい」とか、うらやましがる必要はありません。偏差値の低い人には、高偏差の大学との高大連携の内容は、あっていません。 高偏差値どうしの高校と大学とのあいだですら、教育効果が高いか低いのか、微妙なところです。だから、大学ごとに、高大連携の内容は大学ごとにバラバラです。 高大連携の授業で得た知識を活用するには、それだけ注意深さが必要なのです。 高校入試後の先取り学習とは、意味合いが違います。もはや高大連携は、普通教育の先取りではなく、各自の進路を'''自力で'''考えるためのヒントなのです。 そして、そのようなリスクがあるからこそ、私大の人は、(公立高校ではなく)偏差値の高い私立高校と連携を深めたがります。 == スポーツ系私立高校の特典 == === スポーツ指定校の高校 === 高校から大学への指定校推薦において、その高校が甲子園によく出場したりとスポーツで有名な場合、指定校の枠は、ある程度は運動部の男子が確保済み、もっというと野球部の生徒のためのものです。 たとえば文武両道をうたってる私立高校の場合、指定校の枠が4人なら、2人が運動部のための枠、運動部の枠のうち1人は野球部で残りもう1人は別の運動部でも可、残り2人が学力のための枠、というような意味です。 決して成績順だけで決まるのではありません。 もし大学の募集要項にスポーツ推薦枠として書いてしまうと、スポーツだけのバカ大学みたいに悪評が立ちかねないので、なので指定校でこういう事を行います。 なので、決して実際に甲子園に出た高校ではなく、よく甲子園に出る私立高校かどうかが重要です。もちろん、その大学の立地の近くにあるのが条件です。具体的には、首都圏の私大への場合なら、高校が関東地方にあるか、です。 === スポーツAOの関東優遇・地元優遇 === もし将来的に大学入試でスポーツ推薦とか吹奏楽部や演劇部などの部活動の業績でAO入試などで文武両道どうこうとかで進学したい場合についてですが、徳島県やら鳥取県など過疎県での「全国大会出場」と、人口密集地である東京・神奈川・千葉・埼玉での「全国大会出場」とが、断じて同じ価値なわけないじゃないですか。 単純にもし私立大学がスポーツ推薦だけで「全国大会〇〇位以上」などの条件で集めると、四国などの過疎の地方出身者がとても有利になってしまい、関東南部や京都・大阪・兵庫や愛知県(トヨタ自動車などがある県)には不公平なので、なのでスポーツ推薦とは別にAO入試などを活用して部活勢を関東南部や京都・大阪など大都市の高校から集めるのです。 なので私大は、大学にもよりますが、あの手この手で(AOや提携高校や指定校など)、関東地方など地元の私立高校を優遇します。関東在住者や、大阪・京都在住や愛知在住などで、スポーツが得意で将来的に大学受験を考えている人は場合は覚えておいてください。 たとえば2023年の野球部の夏の甲子園で神奈川県の慶応大の付属高校が優勝しましたが、慶応の付属校と同じ地区にある高校は、仮に全国2位の実力でも、地区予選の時点で敗退してしまうわけです。 夏の甲子園では、東京と北海道だけ甲子園の出場枠が2個ありますが<ref>[https://hgkiy5.com/koshien/#%E5%87%BA%E5%A0%B4%E6%9E%A0 『【高校野球】夏の甲子園、春の甲子園違いは?』2023年7月20日 ]</ref>、しかし東京の高校数の比率は岩手県の2倍どころではありません。 2023年の時点では、東京の高校数は431校、岩手の高校数は81校です<ref>[http://grading.jpn.org/E4101.html 『高等学校数の都道府県ランキング - 都道府県格付研究所』 ]</ref>。 地方在住者の野球ファンは、春の選抜が不公平だとか自分勝手なことを言いますが、そもそも夏の甲子園こそが都市の高校に不利にできています。このため、春の甲子園は、じつは夏の甲子園では不明だった都市部の本当の実力が分かるので、必要なのです。 ついでに、鳥取県は32校で、高校数が日本最下位です(2024年)。つづいて徳島県、島根県、がワースト3で、ともに30校台です。 大学受験のスポーツ推薦をもしスポーツだけで律儀に選抜してしまうと、鳥取県とか徳島県とかの高校の少ない県が無双してしまい不公平なので、実際には「スポーツ推薦以外にも総合型選抜(AO入試)では学力なども見る」という建前ですが、実際には鳥取県とか徳島県とかの全国大会出場者を落として、東京圏や地元の高校生に枠を与える、という意味です(都内の私大の場合です)。 AO入試の「最近では受験生の学力も見る」という建前は、半分ほど建前です。もちろん、もう半分は本当に学力も総合型選抜では見ています。大学ですので、最低限、その大学を卒業できる学力があるかを見ています。ですが、その程度で十分でしょう。 ただし、2020年代以降の私大の総合型選抜では、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求している私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。 私立大学のスポーツ推薦の募集要綱にある「全国〇〇位以上」というのは、過疎の県からのスポーツ受験生をフィルタリングして落とすために条件を厳しめにしてありますので、過疎ではなく関東南部などの高校数の多い県の人で全国大会に行けなかった受験生はAO入試などの別枠で受験・進学してください。 ;学校パンフレットの役者 余談ですが、高校パンフレットや大学パンフレットなどの写真にある生徒・学生っぽい若者の写真は、実はそういう役者さん・子役さん等だったりします。特に女子にはストーカー対策が必要なので、代理店が女性の役者さんに頼みます。けっしてその学校の本物の女子生徒でもなければ、演劇部員でもありません。 撮影にも手間が掛かるし、学生さんは本来は学業を優先しなければいけないので(児童福祉法などの理念がそうです)、なので学生さんに撮影の手間をわずらわせてはいけないのです。 高校野球では、甲子園出場までの試合数で、人口の多い地域では甲子園出場までに8試合、人口の少ない地域では4試合とか地域差があります。 === トーナメントと偏差値の換算表 === {{コラム|トーナメントの淘汰率の錯覚| さて、トーナメント方式では原理上、半数は初戦敗退します。2回戦で最初の75%が脱落します。3回戦でさらに半分が脱落するので87.5%が脱落します。つまりトーナメント方式では、倍々ゲームなら半々ゲームで、指数的に減っていくのです。 人間の錯覚があり、世間の一般的な感覚の人は、あるチームの戦績について「初戦で敗退」と聞くと、まるで弱小でモヤシで素人なチームを思いうかべがちですが、しかしそうではなく、なんと半分もの人が初戦敗退するのが、トーナメント方式の原理です。 どうも一般人は、指数的な変化を、まちがって一次関数的な直線的な変化として取らえがちなようです。 ともかく、このような数理を知っていると、つまり、あるチームが2回戦を勝ち残れば、もう全体で上位25%の中にいる事が証明できるのです。たったの2回戦でそうなのです。つまり、「2回戦を勝った」と言うのは、十分にアピール材料になるのです。(ただし、全国大会に出れないと、大学や超難関付属高校などのスポーツ推薦の出願条件にはならないので、別方式の自己推薦や公募推薦などでアピールすることになる。) 偏差値で考えると、3回戦を勝てば、なんと偏差値60以上であり、上位12.5%以内です。あるいは、たとえ2回戦勝利まででも、その時点でもう偏差値55以上であり、上位25%以内が保証されます。 * 換算表 :1回戦を勝てば上位50%。偏差値 50 :2回戦を勝てば上位25%、偏差値 57~58 :3回戦を勝てば上位12.5%。偏差値 61~62 :4回戦を勝てば上位6.25%。偏差値 65~66 :5回戦を勝てば上位3.125%。偏差値 68 ~69 :6回戦を勝てば上位1.5625%。偏差値 71 ~72 です。 マンガとかだと2~3回戦敗退は弱小チームですが、マンガなんかを真に受けると馬鹿になります。週刊のスポーツ根性マンガ(スポ根マンガ)で主人公チームが全国大会の決勝戦あたりまで10回や15回くらい勝ち進むのは、単なる連載の都合です。 よく偏差値の換算表を見ると、2回戦の勝ち抜きで、偏差値が急に約7もアップしますが(偏差値 50 → 57)、あとは勝ち抜いても約4しかアップせず、5回戦以降は約3アップと、勝ち抜きごとの偏差値の上昇幅がだんだんと鈍化していきます。 これを知ってると、なんと2回戦を勝ち抜いただけで、かなり自身の評判がアップすることに気づきます。 あとはどう上記の数理をもとに戦績を自己アピールするかは、個々人に任せます。 やはり数学の力は絶大です。数学をまなぶことで、マンガとかの演出にダマされなくなり、自分をより効果的にアピールできるようになります。 トーナメント方式における、強豪校のもらえるシード権やシード校、シード選手は、あれは例えるなら指定校推薦みたいなもんです。 }} これはつまり、部活の偏差値50未満の人は、たとえば部活の偏差値47の人は、なんと初戦を勝ち抜けません。トーナメント方式だと、偏差値37の人も偏差値47の人もいっしょに扱われ、初戦で敗退してしまうのです。 つまりトーナメント方式だと、偏差値47くらいの人は、偏差値ボーダーフリー(BF)と同じ扱いをされてしまいます。「枯れ木も山の賑わい(にぎわい)」と言いますが、偏差値47でも枯れ木あつかいの「かませ犬」(かませいぬ)です。 偏差値52の人は、平均よりも競技ができても、ぎりぎり1回戦を勝ち抜きできるくらいです。 部活の公式大会は、このように厳しい淘汰率(とうたりつ)です。 言い方を考えると、部活の競技の実力を測定できるような模試(もし)は、ありません。部活版の「Vもぎ」とか「Wもぎ」とか「北辰(ほくしん)テスト」みたいなのは存在しないのです。世間の大人にとっての部活のあつかいなんて、その程度です。 なお、アメリカ合衆国では、中高では全国大会は存在せず、州大会が最高の大会です<ref>[https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201601270004-spnavi 永塚和志『米国と日本、大きく異なる部活のあり方 選手育成で日本が今、考えるべきこと』2016年1月27日 12:00 ]</ref>。また、そもそもアメリカの場合、季節によって所属する部活が別々だったりするシーズン制です。 日本の部活の全国大会は、日本が勝手にやってることです。日本の部活がひとつの部活にだけ3年間入り続けるのも、日本が勝手にやってることです。部活を総合学習の場として考えるなら、複数の部活に入るシーズン制のほうが合理的です。よって、擁護できません。 これはつまり、早慶マーチとか私大にあるスポーツ推薦のある大学にある「国際教育」とやらがインチキだという事の証拠です。 === まとめ === なので都心在住でスポーツや芸術の成績で大学進学を目指す人は、なるべく、高校進学の時点で、過去に「全国大会出場」などの部活のブランドのある高校に活きましょう。たとえ自分の在籍した年度ではその高校が全国大会出場できなくても、大学受験のさいにAOのスポーツ系などで優遇されるのが実態です。あるいは、そういうスポーツ高校は指定校の枠が同偏差値の他高校よりも多めに与えられています。 よほどの難関私大や難関学部・理系学部でないかぎり、たとえ成績の要件がきびしくて大学の与える指定校推薦の枠には入れなくても(あるいは、学業系の成績で進学する高校生たちが自校の指定校の枠を使い切っても)、スポーツや文化部などの部活などで実力のあると認められている高校の場合には、指定校推薦とは別にAO入試などで少しですが優遇されるのが、おそらく実態でしょう。そのためのAOです。 == 私大の付属校の救済措置 == 私大の付属高校の人は、もしその私大の春ぐらいに決まる第一次の内部推薦に落ちてしまっても(要件として系列の大学の専願志望者で、二年次終了までの成績の上位の数十名とかの要件があったりする)、じつは救済措置として、3年の秋に簡単な試験のある別方式の内部推薦があったりします。細かな救済手法は不明ですが、しかし、付属高校出身者からの伝聞などによって、実際は救済処置があります。 あるいは、3年の秋ごろの総合型選抜(AO)で、たとえば十数名ほど追加で内部進学できる救済処置の可能性があります。 別方式の内部推薦の試験内容は非公開なので不明ですが、付属高校出身者などからの伝聞などによると、そんなに試験は(その高校のレベルと比べたら)難しくないはずです。とりあえず、その付属高校の定期テストおよび高校で受けさせられる程度の模試はきちんと勉強する必要があります。そういう試験がある付属校もあるので、付属校に受かっても勉強はさぼらずに、高校の勉強を続けていきましょう。 大学によって付属高校の救済処置の手法はさまざまですが、よほど学力が低くない限り、内部組の人は上記のような手法で優遇されます。また、面接などのアピール材料とするため、大学説明会などは絶対に出てください。(なお、おそらく内部推薦の条件としても、その大学の説明会の出席などが原則的に要件になっているのが普通でしょう。) 付属校からの表向きの内部推薦の枠は、実態の募集枠よりも少しだけ小さめの人員にしてあります。実際は、よほどの難関大学や難関学部でないかぎり、もう何名 ~ 十数名か、別方式内部推薦や総合型選抜などで付属校からその私大に進学できる場合もあります。 表向きでは内部推薦の条件のきびしい付属高校もありますが、しかしその条件のきびしさの理由は、たとえば、じっさいは高校時代に不良行為・非行に走るなどしてあまりにも素行不良な受験生を落とすためのものです。たとえば「校舎の窓ガラスを割る」とか「バイクを盗んで無免許で走行する」的な連中を落とすためのものです。あるいは不登校などで極端に学力の低い生徒を落とすためです。昭和の昔は中堅私大の付属高校にもそういう荒れた素行不良の生徒がいたので、そういう人を落とす必要があったのです。 なお、もし素行は良いが学業不振がひどすぎて別方式の内部推薦でも総合型選抜でも大学受験で落とされた場合、本当に大学の授業についていけるか心配されたうえで落とされているので、素直に従って偏差値の低めの大学を目指しましょう。 == 偏差値を下げるのは有効か? == よく、指定校推薦のテクニックとして言われるのは、真偽は不明ですが「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」という言い伝えがあります。ですが、この自称・テクニックは、上述のような総合型選抜での高偏差値高校の優遇やら地元の優遇などを見落としており、信頼性に欠けます。 なので、なるべく高校受験では、普通に偏差値の高い高校を目指すほうが良いでしょう。 偏差値の差で1~2くらいの差では、校内順位での上位の取りやすさなんて、大して変わりません。 かといって、5~10あるいはそれ以上も偏差値が違えば、そもそも指定校推薦の枠が大幅に減るか、そもそも枠が無くなります。 過疎化をしている田舎(いなか)の低偏差値高校に、都心の早慶マーチなどのブランド私立大学の推薦は無いのが基本です。 あと、基本的に東京都心の私立大学の指定校の枠は、せいぜい大阪・京都・近畿のブランド高校までかと思われます。なぜなら東京都心の私立大学で地方出身者からよく聞く出身地が、だいたいこの地域までだからです。 四国とか九州とかは、よほど偏差値が高い進学私立高校でないかぎりは、ほぼ指定校の対象外でしょう。 なぜ「ほぼ対象外」かと言うと、'''都心の大学教授は、いちいち九州奥地とか四国まで高校訪問をしたくない'''のです。もし仮に指定校の枠があっても、高大連携協定による都心の大学との協定校推薦ぬついては九州・四国は望むべくもありません。 指定校推薦は、べつに大学教員が毎年に高校訪問をしているわけではないでしょうが(なお、高大連携は毎年の訪問・交流をしている)、しかし定期的に大学教員が現地の高校を確認して高校の教員などと交渉する必要はあります。そういう手間があるので、地方すぎる高校は、指定校枠が不利になることを覚悟しなければいけません。 大学の新入生の出身地の情報を聞くと、九州などそういう西日本の奥のほうの地方の出身者については、基本的に都内の私大では存在をあまり聞きません。九州・四国にも名の知れた私学の高偏差値の高校はありますが(たとえば九州のラサール高校や久留米大付属高校など)、しかし、おそらく偏差値の割に指定校の枠は少なめでしょう。 それでも東日本にあって道州レベルで偏差値が高い高校なら、若干は東京都内の私大の指定校の枠があるかもしれません。 「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」というのは、おそらく、大阪や愛知などの地方都市などを「田舎」と誤解した人のデマではないでしょうか。 あるいは、都心の大学の地元にある公立高校で、偏差値が中くらいか中の上くらいの公立高校に与えられた地元枠の指定校推薦を、勘違いしたデマではないでしょうか。 ほか、AO入試はおそらく、現役生が有利でしょう。大学進学して文系私大に行く人は、浪人せず、さっさと現役で文系学部に大学進学しましょう。 なお、市販の受験テクニック本などにある、田舎の低偏差値高校の浪人するしかない人のための受験テクニック本など、高偏差値の高校の人は、決して信用してはいけません。ちまたに はびこってる受験テクニックは、偏差値の低い高校のための受験テクニックも まぎれています。 なぜなら、多数決では、偏差値60以上の人の数よりも、偏差値50以下の人のほうが人数が多いのです。だから、多数決では偏差値50以下の人のほうが買ってしまうのです。このため、市販の受験テクニック本などにある受験テクニックも、いささか低偏差値むけの人のための情報だったりします。 だから、ちまたの受験テクニックの中には、高偏差値の高校の私大志望にはアテにならないのもあります。偏差値の高い高校に通っている人は、先輩や教員などからの言い伝えを信用しましょう。 「地方の高校で生徒会をして部活も頑張ってAO入試でマーチとかに進学」というのは、それは大阪とか愛知とか仙台や札幌などの地方都市の話、またはその近隣の話でしょうし、何よりも偏差値が高めの高校の話でしょう。決して四国やら九州の奥地とかの話ではないですし、低偏差値高校の話でもありません。 == 文化的な背景 == さて、「異文化交流」とか「武者修行」みたいな感じで、高校と大学とで学風とかの違う学校に進学するのは、正直、偏差値競争的には不利です。私立高校の少ない地方の若者は不利かもしれませんが、しかしその地方の住民たちが過去に大学進学において選択してきた行為の結果です。受け入れてください。 「異文化交流」とかに関して、世間の人や企業の新卒採用などでは口先では「コミュニケーション能力を重視」とか言いますが、口先で言っているだけに過ぎず、あまり実態がともなっていません。たとえばキリスト教系の大学は、わざわざ仏教系の理念の高校とは、提携を結んだりしません。しかし、就職人気の高いキリスト教系大学はいくつも存在します。このように、世間でいう「コミュニケーション能力」だの「異文化理解」なんて、たかがその程度です。 「その程度」とは、過激派にならない程度のコミュニティ帰属意識の高さが必要だという事です。 いろんな文化を渡り歩くのは、ともすれば「根無し草」(ねなしぐさ)とか揶揄されかねず、よそ者扱いされかねません。「渡り鳥」ともいう。 こういう、大学受験以前の中学高校受験で発生する格差を、教育学などではトラッキング(tracking)と言います。ここでいうトラックとは、陸上競技の走るためのトラックのことです。アメリカの社会学者ローゼンバームが提唱した理論です<ref>酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.130</ref>。 このページでは、それを現代日本の高校受験および大学受験に合わせて現代的に発展させた説明をします。 陸上競技の第1トラックから第6トラックまで、コースが分かれているというのをイメージしてください。一見すると同じ競争(大学受験を目標にした競争)をしているように見えても、やや別のコースを走っている競争をしているのです。どのコースを走れるかは、中学受験や高校受験での学校で決まっており、実質的には大学受験以前の高校受験や中学受験などである程度は就職先などが決まる、という感じのです<ref>酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.130</ref>。 都心の有名大学の高大連携の教育を、近隣の私立高校の高校生が高校1年から受けられれば、そしてその進路に応じた勉強を続ければ、もう高校3年間をAO入試や公募推薦など各種の推薦入試などでのアピール材料にできます。 地方の公立高校からの受験は、障害物競争のようなものです。 しかし、私大入試で評価されるのは、障害物競争ではなく、実質的にタイムレコードのようなものです。 「人生はマラソン」とよく言いますが、しかし「貧乏人の人生は障害物競走。金持ちの人生はマラソン。大学入試ではマラソンのタイムレコードが評価の対象」です。これが21世紀の日本の大学受験のトラッキングです。上述の指定校やAOや公募推薦などのように、大学入学の時点で、もはや競技種目じたいが分かれていたする名門大学のAO入試に有利なトラックを走っていた金持ちの子供と、一方で地方公立の一般入試などの競争過多な分野での競争を強いられてきた貧乏人の子供が、障害を越えた回数以外の指標で評価されるのです。 地方の貧乏人の子供が社会から言われてるのは実質「お前ら地方公立は障害物競走の平均的な順位のプレイヤーだが、しかし金持ち用のマイナースポーツ競技の関東大会出場よりコースレコードが悪かったので賞金は無し」というのが実態なのです。 そもそも平成の現代のAO入試や総合型選抜の仕組みは、慶応大学の湘南藤沢キャンパスの入試が歴史的にも手本になっており、そもそも日本における中心的な提唱者・導入社の[[w:加藤寛 (経済学者)]]が慶應大学の人間です。1980年代の日本国有鉄道や日本専売公社、日本電信電話公社の民営化を進めたという、新自由主義者の人物の学者です。富裕層は一般入試の受験勉強をせずとも有名大学に入れる仕組みがあるのです。 なお、大学の男女比は、基本的には特に男女同数といった法律は無いですが、実質的には私大文系では男女同数を目指しています。一般入試だと男女同数にするのが難しいので、各私大ともAO入試や公募推薦などで男女比を調節しています。 また、このため今後も、AO入試や公募推薦などが私大文系で減る可能性は少ないでしょう。 かつて、男子学生が多くて「バンカラ」(野蛮カラーといった意味)とか言われた明治大学や法政大学などの文系学部も、女子学生が増加し、<ref>[https://diamond.jp/articles/-/319651 オバタカズユキ 著『「バンカラ大学」は消滅した? 親世代と子世代で違う最新大学事情とは?』、2023.3.18 2:25]</ref>、現代は女子学生が4割くらいの比率にまで増えています。 世間の頭のあまりよくない人は、口先では「異文化交流」とか言いながら、いまや国際共通語も英語も高校レベルすらロクにできない、科学の共通語の数学・物理・化学も高校レベルすらロクにできないくせに、なんかテレビ番組か何かのバラエティ番組の流行を追いかけたり消費しているくらいで「自分はコミュニケーション能力が高い」みたいに思っていたりするのです。 このように、私立大学受験は次第に理念の近い私立高校と大学との同盟のようなブロック経済のようになっています。 地方は不利かもしれませんが、そもそも今まで地方の浪人生のせいで東京のマジメな高校生が地元の私大に現役合格できなかったのが、是正されていっているという流れでもあります。東京に大量の浪人生を送り出してきた地方が、東京の高校から復讐をされているという因果応報にすぎません。 なお、どうも地方国立大学も、推薦入試で地元の高校の現役生を優遇している可能性があります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=FOwlWE__evw 山内太地 『旧帝大の推薦合格者数を荒稼ぎする高校』2024年02月26日、]</ref>。どうも地方国公立の推薦枠は、地方の現役高校生へのアファーマティブ・アクションとして機能しているのが実態のようです。 さて、私大の話に戻ります。今時、私大への推薦を蹴る大学の一般入試受験を目指してしまうのは、もはや勉強家の証拠ではなく、「探求学習をさぼって暗記勉強や表面的な勉強しかできない怠け者」という扱いなのです。 指定校推薦で文系の大学へ進学することにより、高校での探求学習も頑張れます。大学入試のしょうもない暗記科目を勉強するのを省略できます。 アクティブ・ラーニングが、伝統的な大学受験のシステムでは評価されません。 最低限の知識の暗記みたいなのは、世間はもう、高校入試(+高校の定期テスト)で十分だと思っているという証拠でもあります。指定校推薦の拡大した21世紀の現状は。 もともと昭和のころは、高卒で就職する人も多かったし、そのような企業の実態に、近づいてきているだけです。 今の時代、暗記みたいなのはコンピュータで十分です。だから探求学習やアクティブラーニングなのです。 その探究、アクティブラーニングが一般入試で評価されないのですから、意欲的な高校生ほど一般入試には興ざめです。 今時の一般入試はもう、意欲的な高校生からは、見放されているのです。 かつて、2005年ごろ、高学力層の高校生が私大文系の評価を下げて「私大文系は数学や理科の学習が評価されない不当な界隈」として高校生の高学力層からの評価が落ちたように、令和の2020年代では、今度は一般入試を尊重する界隈の評価が下がり「一般入試はもう、探求やアクティブラーニングが評価されない、コンピュータみたいな暗記人間を量産している不当な界隈」として高校の一部の高学力層から見放されているのです。 仮に、無理して指定校推薦を蹴って、せっかく大学受験を頑張っても、質の悪い暗記問題の受験問題を勉強させられるだけだし、浪人のリスクもあるし、そのせいで企業は若い労働力が入らなくなって損だし、もはや誰にもいいことがありません。 「理系では入試問題を解くような能力も必要」とか言われても、その理系自体もう、指定校推薦では敬遠されています。色々と高校生にはバレているのです。 文系の大学側にとっても、指定校から、本当に自分の大学を望んでいて、高校時代からレポートなどを生産できている質の良い学生を選べます。だから文系の私立大学側も、もう半数ちかくを指定校推薦など推薦でとっているのです。 指定校推薦はこのように、売りよし・買いよし・世間よしの「三方よし」です。 指定校推薦に文句を言うのは、世間体のよくない浪人生だけです。 また、このように現代は、高大連携も利用しつつ総合型選抜(AO入試)や公募推薦などで文系大学に進学するのが主流になってきている時代ですので、高校中退は避けるべきです。高卒認定試験(略して「高認」)による大学進学も、避けるほうが安全でしょう。もはや、高認の制度が現状に追い付いていません。高校に在籍しない高認では、原理的に高大連携の恩恵は受けられず、そのぶん自己アピールが難しくなります。 == 実験校の成果と文理コース分け == 「高校のコース分けで、なぜ、文理のハイブリッド型のコースが2010年代以降の現代には無いのか?」とか、「なぜ文理ハイブリッド教育が非効率だと分かるのか?」とか、なぜそれを高校や教育委員会が知っているのか、奇妙に感じたことないですか?  なぜ教育委員会や各高校が文理ハイブリッドが難しいと知っているのかと言うと、実はもう試したんですよ、2005年くらいまでに。 いわゆる、非公式に「実験校」とか言われる公立高校と一部の有志の私立高校で、それ試したんです。書籍化してない情報源であることと取材先の個人情報があるので出典はあげられませんが、この節を書いている編集者Sの地域では、公立の高校偏差値55の高校で、「文系コースの高校3年に(理系向けの)数学III(すうがくサン)の必修」という実験が行われていました。 なお、「実験校」は俗称ではなく、文科省や内閣府なども公式文書で用いる表現です<ref>pdf [https://www8.cao.go.jp/kisei/giji/02/wg/tokku/gaiyo3-2.html 内閣府 総合規制改革会議 『(1)文部科学省から資料に基づき説明』 ]</ref><ref>[https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/020-17/siryo/06030301/002.pdf 『「本協議会において協議するべき事項の整理(案)」に対する各委員のお考え(概要)』 H18.1.30 ]</ref>。wikiのこのページでは行政が公式に実験校として公表した学校以外にも、カリキュラムなどの分析から、実質的に教育実験的な取り組みをしていると考えられる高校にもついても、本wikiでは「実験校」と呼んでいます。 平成の2001年前後の当時、数学Cの内容は令和とは違い、当時は理系コースの内容でした。しかし実は偏差値55の文系の高校3年生なら、数学Cの履修と習得はなんとか可能です。 でも、せっかく文系生徒が数学Cを履修しても、入試では文系向けの数学II B (すうがくニ・ビー)までしか出ないので不利になってしまったり、あるいは指定校推薦などで不利になってしまう、などの結果が分かったのです。 このため、現在では、「高校の文系コースにも理系コース科目を必修」みたいなハイブリッド教育は行われていません。 また、国立大学の教育学部の大学の付属高校は、本来、じつはそのような新しい教育カリキュラムの実験をするための高校でもあります。 しかし、上記の文系コースに理系コース科目の実験は、都道府県立などの公立高校で行われていました。このように、実験の最終段階として、一部の公立高校でも実験が行わます。 ほか、おそらく、ほかにも、まだ世間に「高大連携」という言葉の無かった2001年のころ、「探求学習」と言う言葉の無かったころ、もう教育大付属高校や各地の実験校で試していたのでしょう。 また、探究学習については、1990年代から総合学科で導入されてきました。2000年以降の総合学習や『総合的な探究の時間』は、それが普通科高校にも及んだものです。 ほか、大学付属高校なら、その学園の大学の教養課程の講義の一部を、夏期講習で教育したりとかの授業も実験済みでしょう(単位にはならない)。そういうのも実験済みなのです。 平成時代の初期、放送大学の開設などのように生涯教育が流行していたので、私立大学が地元などの地域住民などに有料の授業をしていました。地域交流も兼ねての実験です。付属高校でも大学教授が付属高校に出張して地域住民や生徒の保護者などに授業を格安でするのも試しました。実験の結果、付属高校の出張授業では地域住民には高度すぎて、レベルに合わない事が解明されました。 もう、このように色々と実験済みなのです。 こういう実験の結果、どうしても私立大学の学園が地域住民などとの交流を図るなら、決して教授の出張授業ではなく、部活動などでの行事の交流で、という方法が良いことが分かりました。 なので、これからの時代の高校生が、わざわざ同じ実験をする必要はありません。そういう実験は、教育大の付属高校などに任せておけば十分です。 == 高校図書室の蔵書のレベル == 私立でも公立でも中高一貫校でも単独の高校でも、中高の図書室の書籍はあまりレベルは高くありません。高校図書室の場合、あくまで高校生むけのレベル、および高卒社会人のレベルの平易な書籍が大半です。 つまり、大学生むけのレベルの本は、基本的には高校図書室には置いてありません。理系だけでなく文系科目の大学教科書もそうで、多くの高校では大学の法学教科書とか経済学教科書とか心理学教科書とかは、目にしないと思います。 進学校といえども、あるいは中高一貫校や私立高校といえども、図書室の蔵書の多くは、上述のような平易なレベルです。 なので、高校生が予習・復習で基礎学力をつける勉強したい場合は、図書室の本ではなく、普通に参考書や問題集など市販の教材をこなすのを優先すべきです。高校図書室の本を読むタイミングは、気になったときにだけ、手を伸ばせば十分でしょう。 あまりレベルの高い本の置いてない理由はおそらく、あくまで調べ学習などの課題で使うための書籍が中高の図書室には置いてあるからです。 そもそも、全国学校図書館協議会などの選定図書を見ても、そんなにレベルの高い書籍を選定しておらず、中高の子どもでも読めそうなレベルの本ばかりです。 なお、児童書や児童向けの図鑑なども高校図書室には置いてません。 もし大学教養レベル(大学1~2年の経済学、法学、数学、理科などの科目群)の書籍が高校図書室にひととおり置いてあれば、大したものです(つまり、たぶん置いてないでしょう)。まして、(教養レベルではなく)大学の学科ごとの専門基礎レベルの書籍は、かなりの進学高校ですら図書室には置いてないだろうと思います。特に都会の高校の場合、図書室が狭いので、そのレベルまで高校図書室に置くスペースが無いでしょう。 なお、法学の場合、法改正ごとに内容が変わるので、あまり置いてないと思います。高校の社会科に法学の科目が無いのには、このような合理的な理由があります。 理科の場合、教科書ではなく科学雑誌『日経サイエンス』とかの形で、高校を超えた範囲の書籍は図書室に置いてあるかもしれません。 雑誌の場合、古い雑誌は廃棄されますが、別に急いで読む必要はありません。なぜなら、もし科学雑誌の学説の内容が正しければ、数年後に教科書などにまとめられてるし、なのに数年後に教科書などに掲載されなければ学説が間違っているか評価されてないだけですし、どうしても読みたければあとから電子版バックナンバーを読めます。 また、バックナンバーの無い雑誌の場合、そもそも後世に内容を残すつもりのない刹那的(せつなてき)な雑誌ですので、読む必要はありません。 ハッキリ言って、高校の図書室は、市民図書館に行く時間を節約するためのものでしかありません。どのみち、高校生は授業で忙しいので、あまり借りた本を読めません。 図書館めぐりをするよりも、まずは参考書で基礎学力をつけるのを優先すべきでしょう。 さて、地方の人は分かりづらいかもしれませんが、都心だと市民図書館にホームレスとか居たりする地区もあるので、そういう意味で学校図書室は必要ではあります。 必要ではありますが、あまり積極的に高校図書室の本を読む必要はありません。自習室の代わりに高校図書室を使う人も多いでしょうか。 == 校則の傾向 == === スマホ・携帯電話などの校則の傾向 === だいたいどこの私立高校でも、スマホや携帯電話は、校内の持ち込み自体は可能でも、校内での使用は原則禁止です<ref>[https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/lifestyle/entry/2022/026712.html ※たとえば中央大の付属高校 ]</ref><ref>[https://www.hosei.ed.jp/high/qa/ ※ サイト『学校生活Q&A | 高等学校 | 法政大学中学高等学校』にて次をクリック『学校生活上の主な校則について教えてください。』]</ref>。なので、学校の到着後に電源を切らされます。 上記の校則の場合も他の校則でも、もし違反すると、多くの高校で、反省文を書かされたり、教師から指導されたりします。 朝の朝礼から夕方の終礼まではスマホ・ケータイ禁止という私立高校もあります<ref>[https://www.zyuken.net/school_page/11311331184/bbs_query/%E6%A0%A1%E5%89%87/#google_vignette ※ たとえば青山学院の付属校 ] </ref>。朝の学活で学級担任にスマホなどを預けなければいけない場合もあります<ref>[https://www.meinaka.jp/admission/faq.html ※サイト『よくあるご質問|明治大学付属中野中学・高等学校』にて『生活指導は』をクリック]</ref>。 持ち込み自体は認められる背景事情として、登下校などで防犯のためにスマホ・携帯電話の所持が認められる等の理由がありますので(特に女子とか夜道の帰りは危険なので)、スマホ持ち込み自体は禁止されてない私立高校も多いと思います。しかし多くの私立高校では、少なくとも校内での朝礼から終礼までの使用は原則禁止です。 ルール違反して電源いれたままにしたりとかケータイ使う人は軽く考えてるのかもですが、しかしもし授業で使う回線がパンクするとシャレにならないので(もっともスマホ電源を切れば回線はすぐに回復するでしょうが)、ルール守って授業中は絶対に電源を切ってください。 回線が2分で回復しても、1クラス40人なら、最低でも2分×40人=80分のロスですので、気を付けてください。 学校は生徒数が多いので、一人ひとりは大した通信量ではなくても、全校生徒数(たとえば1000人以上とか)で倍増されると回線がパンクしかねないのです。 ;保護者への連絡 なので、もし高校進学後に文化祭など行事の準備などで帰りが遅くなりそうなときは、事前に保護者に伝えておきましょう。保護者との電話は放課後や下校時も、最低限の連絡だけをして、あとは切りましょう。 そもそも多くの私立高校で、あらかじめ保護者向けの連絡サイトなどを事前に用意しています(保護者への従来あった配布プリントをコスト削減のペーパーレス化のため、現代ではそういう保護者むけサイトが用意されています)。 そういうのを知らないニワカの大人が、やたらとケータイの必要性をアピールします。 ;カメラの原則的な禁止 カメラ機能などについても、多くの私立高校では、盗撮や肖像権などのトラブル禁止のため、ケータイ・スマホやデジカメでの撮影は原則禁止という高校も、校則を調べるとよく聞きます。(もし部活などで運動部のフォームの確認とかで、どうしても動画の撮影が必要な場合などは、顧問など教師の許可を取りましょう。) === アルバイト・運転免許の校則の傾向 === 令和の今でも、アルバイトは、高校に届け出をして許可された生徒のみ、という傾向。 バイク(原動機付き二輪車)などの運転免許も同様。令和の現代は、正当な理由があれば運転免許をとれるだけ昭和よりかは少しはマシです。 上記の校則にしたがうという宣言の誓約書(せいやくしょ)を入学時などに書かされる場合もあります。 == 自転車通学 == あまり明確な基準もなければ法令もないですが、高校の市町村および隣接市ていどの地元民以外は自転車通学が許されてないのが一般的な慣習です。どの高校も、そんなに駐輪スペースが広くありませんので<ref>[https://www.hosen.ed.jp/question/%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A%E9%80%9A%E5%AD%A6%E3%81%AF%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F/ ※たとえば宝仙学園 中学校・高等学校]</ref>、自転車通学には、なんらかの制約があります。 どの高校も、最寄り駅から校舎の近くまでにバスが出ているのが通例なので、離れた地域の人は、そのバスに乗ってもらい通学してもらう事になります。また駅を使う場合は、自転車通学不可、というのが一般的だと思います<ref>[https://www.tokyoseitoku.jp/hs/admission/qa/ ※たとえば東京成徳]</ref>。 一般的に、駅を使う人は、バス通学か、徒歩、になるでしょう。 つまり、自宅からの直接通学でないと<ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/entranceguide/qa_h.html ※たとえば成蹊の付属校 ] </ref>、自転車での通学が認められない、という例もよくあります。 あるていどの距離が離れていないと、自転車通学を認めない高校もあります<ref>[http://www.keiai.ed.jp/exam/faqs/index.html ※たとえば敬愛 ]</ref><ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/entranceguide/qa_h.html ※たとえば成蹊]</ref>。この場合、近所にある人は、高校に歩いていくことになります。 また、都内だと、駐輪スペースや道路の狭さなどの問題で、自転車通学が禁止されている場合もあります。形式的には自転車通学を明確には禁止していない高校もありますが、しかし都内の敷地の狭さなどの問題も考えれば、事実上は自転車通学に対する制限がつよいと覚悟したほうが良いでしょう。 自転車通学が認めらている場合でも、高校の許可が必要です。 よくアニメだと、登場人物の高校生キャラが番組オープニング映像で自転車をこいでいたりするシーンがありますが、あれは単に制作スタッフであるアニメーターたちの技量自慢ですので(自転車の運転は書くのが難しい)、真に受けてはいけません。 ;受験時とは別 なお、高校受験時の通学方法とは別です。高校受験の時点では、高校の最寄り駅からバスなどで通学することになります<ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1033695575 Yahoo知恵袋『公立入試のときに自転車で行ってもいいんでしょうか?』2009/12/3 22:28] 2024年03月31日に確認.</ref><ref>[https://www.zyuken.net/school_page/11110723112/bbs_id/199951580470924/ 高校受験ナビ『浦和第一女子高等学校 - 埼玉県 公立』2020/01/31(金) ] 2024年03月31日に確認.</ref>。 もし、住んでいる場所が、高校の最寄り駅から反対方向に例えば3km以上離れた地域の場合、受験時は大幅に迂回(うかい)して、電車とバスで通学することになるでしょう。 なお、バスは有料かもしれません。なので受験日は、お金を余分に持って行ってください。 == 修学旅行の無い高校もある(研修旅行など) == 修学旅行の無い公立高校もあります<ref>[https://eduzukan.jp/jhs/484/article/59502 『高校の修学旅行事情 ~訪問先、費用、コロナ禍を経ての変化など~』 ]</ref>。公立の定時制高校<ref>[http://www.michimori-h.ed.jp/te-aboutteijisei/te-q-and-a/ 福井県立道守高等学校『福井県立道守高等学校 | ~ 道はここから ~』 ]</ref><ref>[https://www.chiba-c.ed.jp/funako/nightcourse/manabou/manabou.html 『千葉県立船橋高等学校 定時制』 ]</ref>(いわゆる夜間高校)や通信制高校など、その可能性があります。 公立の定時制では、少子化による生徒数の減少により、そこそこの数の定時制高校が、その定時制課程では修学旅行を行っていない場合もあるのです<ref>pdf [https://center.gsn.ed.jp/wysiwyg/file/download/1/1740 『2 沼田高等学校 岩田悦夫 - sg_02.pdf』]</ref>。 なので、お金に余裕がある家庭なら、なるべく全日制(朝9時くらいに授業の始まる高校)に通いましょう。読者が親なら、子をなるべく全日制に通わせましょう。 ;「研修旅行」 名称が、修学旅行ではなく林間学校・臨海学校でもなく「研修旅行」という名前で同様の学校行事を行っている高校もあり、公立<ref>[https://www.pref.shimane.lg.jp/admin/seisaku/koho/teian/record/2022/202206/A2022-00116.html 『島根県:高等学校の修学旅行について(トップ / 県政・統計 / 政策・財政 / 広聴・広報 / 知事への提案箱 / 今までにいただいたご提案と回答 / 2022年 / 2022年6月)』]</ref>でも私立<ref>[https://www.soei.ed.jp/s_senior/domestic_training/ 『国内研修旅行 | 横浜創英中学・高等学校』]</ref>でもあります。地方に限らず首都圏でも「研修旅行」の高校はあります<ref>[https://www.soei.ed.jp/s_senior/domestic_training/ 『国内研修旅行 | 横浜創英中学・高等学校』]</ref><ref>[https://www.johoku.ac.jp/tag/%E7%A0%94%E4%BF%AE%E6%97%85%E8%A1%8C/ 『研修旅行 | 城北学園 城北中学校・高等学校』 ]</ref>。 学校によって「研修旅行」の意味合いは微妙に違い、修学旅行や林間学校・臨海学校のことをまとめて「修学旅行」と言う場合もあれば、修学旅行や林間学校・臨海学校とは別の小数の希望者だけの旅行のことを「研修旅行」と言う場合など、意味が学校ごとに違っていますので、てっきり同じ意味かと勘違いしないように気を付けてください。 ;昼間定時制 なお、私立の中央大学高校は定時制ですが(独自の校庭をもたずに中央大学の校舎を利用しているので、国の全日制の設置基準を満たせない)、高校サイトによると修学旅行があるようです。 朝から授業開始しているのに、時間帯とは別の事情などにより全日制でなく「定時制」の高校のことを『昼間定時制』と言います。上述の中央大学高校は昼間定時制です。 ほか、私大付属では、国士舘大の付属校が昼間定時制ですが、高校サイトによると修学旅行があるようです。 ただし、その他の、特に私大付属校などではない、地方などの昼間定時制の私立高校は、修学旅行があるかどうか知りません。 == 部活のイメージと実態 == === 少ない部活 === マンガだとよく見る部活であっても、実際の日本では、その部が存在している高校が少ない部活もあります。 ==== 文化部 ==== ===== パソコン部の無い高校は意外と多い ===== たとえば都立トップ高校の日比谷高校には、パソコン部とかコンピュータ部みたいな部活は存在しません<ref>[https://hibiya-h.metro.ed.jp/ClubActivity/Club.html 『*部活動* HIBIYA HIGH SCHOOL』] 2024年03月31日に確認.</ref>。 私立だと、青山学院の付属校には、存在していません<ref>[https://www.agh.aoyama.ed.jp/school_life/club/index.html 青山学院高等部『クラブ・同好会一覧』]2024年03月31日に確認.</ref>。学習院高校にも、存在していません<ref>[https://www.gakushuin.ac.jp/bsh/slife/club/ 学習院高等科『クラブ活動』]2024年03月31日に確認.</ref>。成蹊高校にも、存在していません<ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/schoollife/club_seitokai/club/ 成蹊中学・高等学校『クラブ活動』 ]2024年03月31日に確認.</ref>。(なお、成城高校はちょっと微妙で、メディアアート部というのがある。<!-- 成城学園高校は、似た名前の成城高校の情報との区別がつきずらず不明 --> 別に偏差値の高い高校にパソコン部が無いわけではなく、例えば開成高校にはパソコン部があります。私立だと、慶応の付属校のひとつにパソコン部がありますし、明治大学や中央大学の付属校にもパソコン部があります。 「情報部」とか「情報処理部」と言った名前の場合もあります。たとえば麻布大の付属高校のパソコン系の部活は「情報部」です。なお、麻布高校は、高校募集を停止しています(中学受験で付属中学に進学しないと入れない)。 東京電機大学の付属高校とか芝浦工業大学の付属高校だと、パソコン部があります。 やはり、学校名と言うのは重要で、工業大学の付属校みたい高校には、そういう工業系の趣味の子供が集まってきます。 やみくもに偏差値を上げることを目指すのではなく、もっと自分に合った進路を考えましょう。 なお、芝浦工大の付属校は高大連携で、芝浦工大との実習授業があり、たとえばスパゲティブリッジ(「パスタブリッジ」ともいう)の強度実験とかしています。スパゲティで橋(はし)をつくって、構造の強度確認するのです<ref>[https://twitter.com/shibaurafzkkoho/status/1721494681429934550 芝浦工業大学附属中学高等学校、ツイッター(現X)のツイート、2023年11月6日 、] 2024年02月15日に閲覧. </ref>。 もし、チタン合金とか元から上部な材料で試作品ミニチュアをつくってしまうと、構造に欠陥があっても(たとえば特定の箇所に力(ちから)が集中して折れやすいとか)、チタンなどの材料のせいで丈夫になってしまうので、構造そのものの欠陥が見つけづらくなってしまうのです。だから、構造そのものの開発をする場合は、当、スパゲティのパスタとか 割りばし とかの弱い材料を使って、それで実験するのです。 こういう高大連携授業の違いとかもあるので、私立受験や私大付属校の受験では、偏差値だけで選ぶのではなく、高校名とか、偏差値以外のことにも注目したいものです。 なお、スパゲティブリッジの実験をするには、荷重(かじゅう)を加えるための設備が必要なので、一般の高校では実験の実施は難しいと思います(工業高校か、工業大学の設備をつかえる環境でないと困難かと思います)。 ===== 新聞部のある私立高校は少ない ===== ほとんどの高校に、新聞部はありません。マーチの大学付属校の高校を見ても、たとえば青山学院、中央、法政、立教の付属高校には、新聞部はありません。(明治の付属校には、一部の高校にある)埼玉の慶應の付属校(男子校)と、東京なら学習院の付属校に、新聞部はあります。 千葉県では、新聞部のある私立共学校はたった1校ですし、公立・私立あわせても2校です。埼玉県では共学では私立は2校です<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/cultural/club.html?c=newspaper 高校受験スタディ『部活に「新聞部」のある高校』 ] 2024年03月31日に確認. </ref>。 私立高校には、同窓会誌・保護者むけの広報誌などを自前でつくっている私学もあり、あまり高校生の出番はありません。 ===== 「天文部」のある私立高校は少ない ===== ほとんどの高校に、「天文部」はありません。ただし、「地学部」または「科学部」「サイエンス部」などはある高校もそこそこだと思います。サイエンス部などで、特別な日だけ夜間にも天文観測を行える高校もあります。 たとえばマーチの大学付属校を見ても、立教池袋(なお男子校)のほかは、「天文部」はありません<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/cultural/club.html?c=astronomy 高校受験スタディ『部活に「天文部」のある高校』] 2024年02月16日に確認.</ref>。 四工大ですら、工学院大の付属校以外には、「天文部」はありません。 慶應の付属校(埼玉と神奈川)には天文部がありますが、早稲田大の付属校には天文部は見当たりません。 また、「天文部」のある高校は、関東地方では多くが公立高校です。 なお、天文部が夜間の高校に入って天体観測するのは、「合宿」の一種という扱いです。普段は、生徒下校時刻(午後6:30 くらい )以降の夜間の学校では観測できません。 普段は、昼間でも観測できる太陽の黒点などを観測したり、天体の勉強をしたりします。 (例外として、合宿など特別な日でないと、高校側から夜間の下校時刻以降の高校立ち入りは許可されないでしょう。) ==== 運動部 ==== ===== 応援団部 ===== もしかしたら部活以外の形で「応援団」はあるかもしれませんが、しかし少なくとも「応援団部」という部活動での形のある高校は少なく、報告されているかぎり首都圏で高校数は30~40校ていどです<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/sports/club.html?c=cheer_group 高校受験スタディ『部活に「応援団部」のある高校』 ]</ref>。 運動部の公式試合などでは、応援団のようなものが必要な場合、試合に出られなかった同じ部に生徒に応援をさせる場合もあります。このため、独立した部活動としての応援団の必要性がうすい可能性も考えられます。 部員数の少ない運動部の場合の応援の生徒が誰になるのか気になりますが、まあ、ともかく独立した部活としての「応援団部」の存在の報告は、少ないのが現状です。報告ではなく実態がどうなのかは当wikiでは知りません。そこまで調べる義理はありません。 女子高では「応援団部」はゼロです。 なお女子の場合、応援をする部活は、応援団ではなく「チアリーディング部」などになり、ボンボンをもって応援するアレになります。男子高のチアリーディング部はゼロです。 なお、チアリーディングを競技化したものをソングリーディングと言い、「ソングリーディング部」の形で応援団の部活をもっていると思われる共学高校および女子高がいくつかあります。おそらく、女子だけの競技かと思います。 ほか、女子ダンス部が、チアリーディング部の場合があります。高校ごとによるので調べてください。 必ずしもダンス部がすべて応援系とは限らず、たとえば専修大学の付属高校ではチアリーディング部とは別にダンス部もあります<ref>[https://senshu-u-h.ed.jp/life/club/ 『クラブ活動 | 専修大学附属高等学校』 ] 2024年02月16日に確認. </ref> === その他、イメージと違いそうな部活 === ==== 軽音楽部 ==== マンガだと作劇のしやすさから、5人くらいのバンドメンバーで物語が進んだりしますので、出身中学に軽音楽部の無かった人には軽音楽部はなんとなく部員数が少人数っぽさそうなイメージがありそうですが、しかし実際の軽音楽部の部員数は、そこそこ多いのが2020年代の現状では普通です<ref>[https://www.yms.ac.jp/yokohamanote/detail-020/ 『高校軽音楽部について語ろう。』2019.8.09]2024年03月31日に確認.</ref>。首都圏の高校だと、公立でも私立でも部員数が30人とか超える場合もあります。私立のマンモス中高一貫校などだと部員が100人ちかく行く場合もあるのが、2020年代での現状です。 2020年代の現状、軽音楽部が存在しない高校もありますので、もしそういう高校で軽音楽同好会を設立すれば5人の部活にもなるかもしれません。一方、そうではなくて既に軽音楽部がある高校の場合なら、軽音部の部員数は他の部活と同じく十数人は超えるのが普通です。 ステージ上の人数の4~5だけ見て、けっして部員数だと誤解しないように。部員数の多い軽音楽部のなかには、バンドが複数個あって、各バンドあたりの人数が4~5人なだけです。たとえば1バンドで4人の場合、部員が40人なら、部内バンドが40個ある軽音楽部になります。 == 大阪と東京の授業料無償化 == 東京と大阪で、私学も含めての授業料のほぼ無償化の政策が出されています。無償化あるいは同等の公的援助の対象は、あくまで'''授業料のみ'''です。つまり、建物の施設費用、部活の費用、修学旅行の費用などは別途かかりますので注意してください。 また、教材費、修学旅行の費用などは、公立も私立も有料です。公立高校でも、諸経費を徴収しているので、どこの都道府県でも年間50万円くらいの学費は掛かっています。私立高校は、公立よりも高くなりますので、公立50万円よりも高い学費を払える能力が私立進学の家庭には必要です。 ネット上には、私立の学費で施設費用などが必要なことを知らない人も多く、どうも「私立の学費が0円になる」という勘違いをしているような頭ヘンな人が、意味不明な政治主張をしている例も多いですが、けっして真に受けてはいけません。 ネット上には「私立の建物に税金投入するなんて許されない!」とか、まったく起きてない事例を批判している、頭おかしい人もネットに多くいます。無償化の対象は授業料だけです。建物は対象ではないです。 無償化されるのはあくまで授業料のみであり、建物さんは授業もしてないし、建物さんが教員免許を保有しているわけでもないので、頭おかしい人が頭おかしい事をネットで主張しているとしか言いようがない。 ほか、公立高校の学費を、勘違いして0円 ~ 年間10万円 程度だろうと勘違いしている頭おかしい人もネット上には多くいます。 == 参考文献 == === 書籍 === * 佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、 * 酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、 === 脚注 === h2z7bme8pbtb3tu6ontnscj7rwrfsa8 246466 246462 2024-04-10T08:12:55Z すじにくシチュー 12058 == 旧制高校と新制高校 == よくある勘違いなのですが、第二次世界大戦の終戦前の旧制高校は、今の高校には相当しません。 たとえば「旧制一高」(きゅうせい いちこう)は、今の東京大学の駒場キャンパスにあった高校です。旧制に東京府立一中だった戦後の都立・日比谷(ひびや)高校とは、関係ありません。 wikitext text/x-wiki == 偏差値についてのよくある誤解 == === 進学校かどうかは偏差値40を境にとりあえず判断 === 将来的に大学進学を考える場合、高校受験での志望校はその高校の偏差値で判断しないといけません。なぜなら、普通科高校で、偏差値の低い高校は、そもそも高校側が、大学進学を'''方針としていない'''場合が多いからです。たとえば'''偏差値30台の高校'''の場合、そもそも高校側が大学進学を方針としていない場合があります(学校の公式サイトなどで方針を確認できます)。直接は「大学進学を方針としていない」とは言いませんが、「中学校卒業まで苦手だったところの'''学び直し'''をする」とか「'''手に職'''をつける」とかのような方針をうたっている場合があります。 重度障害者のための養護学校(現代は「特別支援学校」という)とは別に、軽度な知的障害や精神障害などの子を支援するための高校が存在しており、教育行政の用語で、そういう知的障害的な子供を支援するための高校および小中学校のことを「'''チャレンジスクール'''」とか「'''エンカレッジスクール'''」とか言います(教育内容の微妙なちがいがチャレンジスクールとエンカレッジスクールとの間にはあるが、大多数の読者には関係ないので、本節では説明を省略する)。 行政用語ではチャレンジスクールとエンカレッジスクールをまとめて「普通学校」という場合もありますが、しかしこれは決して普通科高校の意味ではなく、「特別支援学校ではない」という意味での「普通学校」です。 ともかく、チャレンジスクールなどそういう障害支援の学校側の公式の方針は、そもそも大学進学ではなく、そのため進学校だと普通にあるような科目(「数学B」とか「世界史探求」とか)が、そもそもカリキュラムに存在しない普通科というのも、偏差値30台の高校にはあります。 大学進学が無理とは、けっして「底辺校の生徒がバカだから」とかそういう理由ではなく、そもそも、もうハナっから高校側が、大学受験を方針としていないカリキュラムなのです。そういう高校で生徒がいくら個人的に努力して大学受験を目指しても、地方の定員割れの私大ならともかく、難関大学に合格するのは、ほぼ無理です。推薦も、そもそも難関大の指定校推薦の対象校ではないでしょう。 偏差値が50以上で偏差値偏差値で±5くらいの差は、それほど気にする必要は無いです(このあたりの偏差値なら、偏差値よりもカリキュラムや近所での評判などの実態を調べるほうが大事です)。しかし、偏差値30台だと別です。偏差値40以上でも40~41とかそういう場合、方針がそもそも大学進学でない場合が多々あります。 偏差値30高校でも結果的に生徒が特技を身に着けた結果として、地元の私立大学に推薦などで進学できる場合もありますが、偶然の成果です。 「偏差値の低い高校から、難関大に一般入試で合格!」とか言う話は、基本的には高校受験の偏差値50前後やそれ以上の人たちの話です。 地域によっては(エンカレッジではなく)エンパワーメントスクールとかクリエイティブスクールと言います。大阪と神奈川の両方に「クリエイティブスクール」という高校がありますが、しかし意味が違います。大阪のクリエイティブスクールは、定時制の学び直し高校です。神奈川のクリエイティブスクールは全日制です。大阪のエンパワーメントスクールには総合科の高校もあります。 ;私立高校の多くはもう軽度知的障害者を受け入れてくれない 昭和の20世紀の時代は、勉強の苦手な補習校的な、軽度な知能障害者むけの高校は、私学にも少なからずありました<ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11285680746 Yahoo知恵袋『岡山の私立高校って、昔は底辺校だったってこと多くないですか??』2023/9/7 22:30 ]2024年4月1日に確認,</ref>。しかし現代、それは、ほぼ公立にしか残っていません(上述した公立エンカレッジスクールなど)。 昭和の当時、公立ブームであり、また学費も公立のほうが安かったので、一部の私立進学校を除いて、公立のほうが進学熱が高かったのです。特に地方では、むかしは「公立に通えない子が、私立に通う」という事もありました。 しかし21世紀に入ってから、地方でも、私立は進学重視に切り替わりました。裏を返せば、学力に問題を抱えた子供の受け皿が、私学からは無くなっていった、という事でもあります。 地方のかつて偏差値の低かった私立高校でも、21世紀に入るころに付属中学を設置した高校も多く、そのため高校から入るのが難しくなっている高校もあります。それ以上に、そもそも教育方針が時代とともに変わっており、そういう中高一貫校の私立は学力下位層の受験生を切り捨てる方針に変化したのです。 現代でも多くの地域では偏差値上のトップ高校は公立高校である事が多いため<ref>[https://magazine.sbiaruhi.co.jp/0000-4869/ 平林 亮子『高知県民はなぜ「私立中学」を選ぶ? 四国・中国、九州地方の中学受験事情』、ARUHIマガジン、2022.01.06] 2024年4月1日に確認,</ref>、ついつい「公立のほうが学力上位か?」と勘違いする人も多いですが、そうではなく実態は、公立は学力の上下差が大きいのです。 東京では戦前から私立があるので、とっくの昔に東京は私立のほうが進学熱が高かったのですが、それが段々と地方にも広がっていったわけです。昭和の時代は、私立にも工業科などのある高校も少なからずあったのですが、平成に入る前後に私立の工業科は生徒も集まなくなったので廃止され、令和の現代では、ほぼ普通科または一部の私立に美術科・音楽科・体育科くらいしか残っていません。 困ったことに、田舎の大人のなかには、いまだに「私立は公立に落ちた学力下位層が通うもの」という発想が抜けていない人もいますが、一部の低偏差値私立を除き、まったく違います。 上述した公立エンカレッジ・スクールように、令和の現代、学力下位層の通うのは公立高校です。 ;大学受験偏差値との混同をさせる迷惑業界に注意 世間では、大学受験偏差値と高校受験偏差値とを混同して(あるいは意図的に混同させて)、「(大学受験偏差値の)偏差値40からの大学受験で難関大に合格した高校(あるいは高校生)」とか言う、まぎらわしい人もいます(広告業界とかでしょうか。迷惑ですね)。大学受験は浪人生との競争もあるので、現役生は不利なので、高校受験偏差値70の天才ですら大学受験偏差値が高校2年では偏差値45とかになったりするのです(高校3年次の学習でそこから偏差値を上げていく)。 大学の場合、大学偏差値30台の大学でも、いちおうは学生は日本語ができます(日本語が出来ない受験生は、公募推薦でも総合型選抜でも、面接で落とします。そのための面接です)。海外姉妹港からの留学生とかでもないかぎりは。 しかし高校の場合、高校偏差値30台の高校だと、そもそも生徒が、たとえば移民の子だったり軽度の知的障害だったりして、日本語がやや不自由な場合もあります。高校偏差値で30台というのは、そういう高校の可能性もある偏差値なのです。 「偏差値30でも努力次第で、難関大学の受験も」とか言ってはいけません。それは'''大学'''受験の偏差値と混同しています。 また、「偏差値40の大学でも、けっこう教育レベルが高い」とか言われているのですが、それを高校と混同して、偏差値38とかの高校を決して学力が高いなんて、思ってはいけません。 ともかく、高校偏差値と大学偏差値とは、混同してはいけません。 混同の根本原因は、「偏差値とは、倍率を変形したものにすぎない」という事を忘れていることです。偏差値だけからは、けっして学力水準は分かりません。学力水準については、進学実績や卒業後の就職実実績などから、推測する必要があります。 なので、高校受験の偏差値、大学受験の偏差値、中学受験の偏差値は、それぞれ別々に、分析する必要があります。母集団が異なるので、けっして混同してはいけません。 === 偏差値は学力ではなく倍率みたいなもの === 世間によくある誤解として、高校の偏差値を、その高校の合格に必要な学力の指標だと思っている人がいます。 しかし、偏差値は、基本的には倍率から算出されます。このため、高校入学後にどんなに教育水準が高かろうが、たとえば山間部の高校などで定員割れを慢性的に起こしていると、偏差値が低く出ます。 高校によっては合格最低点などを定めている場合もありますが、しかしそういう背景事情は偏差値の数値だけでは分かりません。もし公式パンフレットなどで「進学重点校」などと宣言していれば、合格最低点が存在しているだろうと思います。 偏差値の高い高校は、なんらかの人気があるので、その分野では教育の質は高いのですが、しかしその逆は、必ずしも成り立ちません。偏差値は、あくまで倍率から算出されたものです。 また、体育高校とか美術高校とかでも、入試の倍率によって偏差値が算出されますので、入学後の高校の学力とはあまり関係ありません。 極端な例をあげると、たとえば、もし仮に日本人の過半数の中学生がいきなり学習障害を発症して中学高校の数学と理科が急に苦手になったとしたら、商業高校とか美術高校とか体育高校とかに受験生が殺到するので商業高校の偏差値が急上昇するでしょう。 しかし、それは単に商業高校の入試の倍率があがったにすぎず、けっしてその商業高校の学力が向上したわけではありません。 たとえるなら、ある街の病院が繁盛したからといって、べつにその病院の医師の治療の能力があがったわけではなく、単にその街の病人が増えただけです。そりゃ医師の腕が悪いなら、結果的にその病院の客足は遠のくので、病院は繁盛しません。しかし逆に、病院が繁盛したからといって、医師の腕がいいことの証明にはなりません。 高校の偏差値もこれと同じで、あくまで倍率の変形です。その高校の実態がどうなのかは、別の情報源から入手する必要があります。なので基本的には、情報入手をしやすさから、なるべく地元の高校に通うのが得です。 世間では、偏差値教育の否定の話となると、すぐに、やれ「生きる力」だとか「思考力」とかそういう話ばかりがネットにありますが、しかしそういう話ではなく、「そもそも偏差値は倍率を変形したものに過ぎない」という事を把握する必要があります。 === 低偏差値の高校のあれこれ === ==== 私立の場合 ==== ===== 私立の低偏差値の文系コースでは数学IIが無い ===== 私立高校で偏差値50前後およびそれ以下の低偏差値高校では、進学コースなのに高校2年の数学の「数学II」「数学B」が文系コースでは存在しない場合もあります<ref>[https://twitter.com/tokyokojuken/status/1695402409441591303?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1695402409441591303%7Ctwgr%5E9244ee53b39890aa2059c215cc61f7dd12a74b7c%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fagora-web.jp%2Farchives%2F220918091111.html (ツイッター)東京高校受験主義、午後8:46 · 2023年8月26日] 2024年03月31日に確認.</ref>。 いっぽう、公立高校では同偏差値帯でも、数学II B が普通科高校では高校必修になっているのが通常です。 このため、とりあえず高偏差値の公立高校となるべく同じ科目の教育を受けたい場合は、この偏差地帯およびそれ以下の人は、公立高校を目指すのも手です。 私大文系の受験では数学II・Bを使わないことも多いので、文系コースでは高校科目から数学II・B を外している私立高校もあるのです。 ネットで私立高校のカリキュラムを確認しようにも、偏差値の低い高校だと、そもそもネットではカリキュラム公開してない場合もあります。 なお、特進コースと進学コースのある高校の場合、特進コースだろうが進学コースだろうが、基本、1~2年次のカリキュラムは変わりません。これは、各学年の1年間の定期テストの成績によって、次の学年で特進コースになるか進学コースになるかが判定される私立高校が多いからです。 このため、特進コースでも文系コースだと数学IIを習わないまま卒業できてしまう高校もあります。 さて、よく高校の特進コースの宣伝で「国公立大学への合格を目指します」とありますが、「果たして数学IIを履修せずに国公立大に受かるのか? 新共通テストの対策はどうする?」と疑問に思いますが、しかしそういう高校でも公式ホームページを見てると国公立大にも少数ですが合格者を出しています。どういう手法なのかは知りません。 ===== 推薦合格が多い私立高校だと偏差値が上がる場合もある ===== 多くの私立高校は、合格者のうちの何人が一般受験で、何人が推薦入試なのか、公表していません。 世間の人は、ついつい一般受験を想定して分析してしまうので、このため外部から高校を見ると、なんとなく「高校受験の偏差値が高そうに見えて倍率の高そうに見える私立高校」が、「実はおよそ半分の生徒が推薦合格の人だった」というような場合もあるかもしれません。 高校の公式webサイトにある「募集人数」は、けっして閲覧時点での募集人数ではなく、すでに前年の3~4月ごろに公表した募集要項の時点での募集人数です。なので高校によっては、一般入試での募集人数と、要綱上での募集人数に、かなりの開きのある場合もあります。 その高校のことがよく分からない場合、カリキュラムなども調べましょう。進学実績だけを見ても駄目であり、それはもし高校に「特進」コースや「進学」コースなど複数のコースがある場合、コース間に学力にかなりの差がある場合もあるからです。 私立高校によっては、「進学コース」とは名ばかりの「スポーツ・アート」コースみたいな私学もあります。そういう私学もあっても良いのでしょうが、しかし高校受験生はそういう高校だと把握した上でその高校を受験するかどうか考えましょう。 ==== 公立の場合 ==== ===== 過去に職業高校だった普通科 ===== 現在は「普通科」の公立高校でも、過去に商業高校だった高校もあります。そのような高校の場合、文系コースでは数学IIを履修できない可能性があります。物理基礎も、履修出来ない可能性が高いでしょう。 学校の硬式の案内を見ても分かりづらいので、wikipediaなどで志望校の歴史を調べましょう。 ===== 特殊な普通科 ===== 低偏差値校では、進学校のカリキュラムと比べると、かなり常識外れなカリキュラムをしている場合もあります。 たとえば、文系クラスでは芸術科目が3年間必修で、芸術III(音楽IIIや美術III)などが必修だったりとかです(一例)。 高い偏差値の公立高校と同じことをしても競争に負けるので教育的配慮のため、違ったカリキュラムをしているのでしょう。 「芸術IIまで必修」というのは偏差値の高い公立進学高校でも時々あるのですが、芸術IIIまで必修というのは、思い切ったことをするものです。 もちろん、芸術IIIまでしない低偏差値高校もありますが、その場合は他の意外な科目が必修だったりします。 == 「総合的な探究の時間」の無い学科 == ※ 「総合的な探究の時間」だと長いので、本節では「総合探究」と略します。 === 工業・農業高校に総合探究は無い === 普通科高校では、「総合的な探究の時間」の3単位が定められていますが、しかし工業高校や農業高校などの専門高校では、この科目が定められていません。工業高校の場合、工業科目「課題研究」の3単位で置き換えられますが、実態は卒業制作です。 :※ なお、もともと総合学科に1990年代から「課題研究」と言う科目があって、調べ学習をもとにレポートを書いていたりしていて、総合探究よりも課題研究のほうが歴史的には先です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=LrqqVXD1Qu0 『【都立高校】自分の「好き」を学びませんか?』 2022/01/20 ]</ref>。総合学科で教育学的に実験されてきた「課題研究」を、普通科むけにアレンジしたのが総合探究の正体です。 ともかく工業高校では、なんかこう、普通科理系コースのやるような科学的な研究みたいなのは、そもそもカリキュラム上、(工業高校では)出来ません。 農業高校だと、農作物で何か生物実験をすればいいので、何か実験で研究したりもします。成果の出来は知りませんが。 そもそも「総合探究」自体、多くの普通科高校では建前どおりに高度な探究が出来ているかどうかが疑問視されているのですが(単なる小学校からの「調べ学習」で終わってる高校もあるという報告もネット各所でされている)、その話はここでは置いておきます。 === 総合探究はあるが普通科と何だか違う専門学科 === 商業高校では「総合探究」の授業時間があるのですが、カリキュラムをよく見ると、3年間でたった1単位と少ないです。(普通科だと1年間あたり1単位なので、卒業まで合計3単位) ほか、非・理系の専門高校(たとえば美術高校・音楽高校など)では、たとえば「地域学」の各年1単位のような(3年間で合計3単位)、探究対象が地域課題学習に定められた授業に置き換えられている場合もあります。その高校では、ミドリムシで何か試薬とかを使った研究は、このような非・理系の専門高校では授業ではカリキュラム上、出来ないです。 なお、非・理系の専門高校で「総合探究」が3年間で3単位ある専門高校の場合でも、カリキュラムをよく見ると、数学II がありません。なお、そういう高校では基本、数学Aもありません。 国際科の総合探究では、2年生までに日本語でレポートをまとめて、3年生でそれを英語のレポートに置き換えます。国際科の総合探究の単位数は、3年間で合計3単位数です。(なお、国際科には数学IIもある。) 国際科は、比較的に普通科文系に近いと言えます。しかし、もしかしたら国際科でも、総合探究のテーマが地域課題学習に指定されるかもしれません。 == 高校カリキュラムの「自由選択」と「必修選択」 == よく「私立は自由」とか思って私立高校に期待している人がいますが、しかしその自由はけっして生徒の自由ではなく、'''理事長や校長にとっての自由'''です。カリキュラム(教育課程)の履修科目などについて、選択の余地が公立よりも少ない私立高校が大半です。 以下、進学校についての公立と私立の比較を述べます。 私立の進学高校では、家庭科や芸術科目など、東大・京大や早慶マーチなどの受験に不要な科目は、私立の普通科では文科省が規定している最低限の単位しか履修できない私学も大半です。 おそらく進学校の私立の普通科に限れば、家庭科・芸術などを最低限しか履修できない科目が過半数を優に超えるでしょう。 いっぽう公立高校の普通科だと、進学高校でもそうでない高校でも、少なくない高校で、高校3年に「'''自由選択'''枠」とか「自由選択科目群」とかあって、卒業単位を満たせば、授業時間の範囲で割と自由に履修科目を選べます。 受験科目だけでなく、割と多くの公立高校で、「美術II」や「音楽II」などの芸術II 科目も自由選択科目に入っているので履修は可能な場合が多いし(ただし、既に高校2年で履修が強制されている場合は、除外)、家庭科を高校3年で自由選択で履修できる場合もあります。 しかし私立だと、そういう「自由選択枠」が存在していない私学も多くあります。自由選択枠を知らない私学出身者も多くいます。 公立でいう「必修選択」枠しか私学には与えられていない場合もあります。 私立の場合、たとえば(世界史探求・日本史探求・地理探究のうちの)「いずれかの科目から、1科目を選択」の決まりがあったりというような、「'''必修選択'''」または「選択必修」という方式です。 公立高校にも「必修選択」枠はありますが、しかしそれは国語・数学・英語・理科・社会(地歴公民) の5教科全部で、最低でも1科目は高校3年生になっても履修するように定めている、最低基準を定めるものです。(これが無いと、理系の苦手な文系生徒が高校2年で数学・理科を完全卒業してしまうので) また、ある私立でいう「自由選択」が、他の公立高校でいう「選択必修」の意味だったりする場合もあります。たとえば、上記の地歴公民の例のような「世界史探求・日本史探求・地理探究のうち、いずれかの科目から1科目を選択」をある私立高校では(選択必修とは呼ばずに)「自由選択」と呼ぶ場合もあります。 文科省が指導要領などで高校必履修と定めている「芸術I」に対してだけ必修選択という用語を使い、指導要領上の高校必履修ではない科目については自由度が低くても「自由選択」という語を使っている私学もあります。 このように、あまり「自由選択」枠の意味には、共通のルールはありません。 公立では、その最低基準の必修選択さえ満たせば、あとは芸術IIを選択履修しようが、あるいは家庭か「フードデザイン」を選択履修しようが自由なわけです。(ただし家庭科については、高校3年のカリキュラムでは、自由選択に含まれずに存在しないことが公立高校でもよくあります。) ただし、文系クラスでないと芸術IIを履修できない公立高校も多くあります。 私学で自由選択枠が充実している高校は、意識が高い大学付属高校とか、あるいは難関大学の受験をあきらめているような高校です。その中間である多くの私立の進学高校では、自由選択枠は基本的に無いか、ほぼ自由度が無いのが実情です。 どうも世間には、大学付属校の私立高校の高3「自由選択」科目だけ見て、「私立は自由だ」と誤解している人が多そうなフシがありそうです。 なお、私立高校によっては「進学コース」が存在せずに「特進コース」とか「選抜コース」といった特進以上のコースしか存在しない私学もありますが、そのような特進以上しかコースのない私立高校の場合、まず芸術IIとか家庭科「フードデザイン」とかは無いことが多いです。 == 男女比が普通科の共学でも約1対1とは限らない == :※ 過疎地だと、たまたま地域によっては男子の多い地域とか女子の多い地域とかありうるので、下記は首都圏の話だとします。 普通科でも、たとえば理系の私立大学の付属高校だと、男女比が 男:女 = 2:1  くらいに片寄っている場合もあります。 まあ、理科系の大学の男女比が片寄っているので、それに慣らす意味合いもあるのかもしれません。そういう環境がイヤな人は、理系の私大の付属高校は敬遠したほうが良いでしょう。 そこまで男女比が極端でなくても、公立高校でも理数科に入ると、男性がやや多め(たとえば1.3倍くらい)な場合もあります。 いっぽう、公立高校の共学の普通科だと、あくまで傾向ですが、男女比がほぼ 1:1 に近い傾向があります。男:女 = 1.2:1  とか  男:女=1:1.2  とか、そのくらいに収まることが多いです、 私立だと、たとえ理系私大の付属高校でなくとも、私立だと高校によっては、男女比が 1.6 : 1 くらいに差がある場合もあります。 ただし、公立高校の普通科でも、その高校に商業科や国際科が併設されていると、女子が多い傾向があります。あるいは、その高校に理数科や工業系や'''スポーツ系'''の学科が併設されていると、男子が多い傾向があります。 ほか、商業科・国際科の併設があるわけでもないのに、なぜか男女比の片寄っている公立高校もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=zAbCbrsDEgs (動画)行田kokojuken34_ 『【仰天!?】共学校でこんなに違うのか!【男子、女子比率】』 2024/03/09] 2024年3月31日に確認.</ref>。 現状は普通科高校の公立校でも、歴史を調べると過去に商業高校だった普通科高校もあり、そういう場合は過去に引きずられて男女比が片寄り気味な場合もありえます。 == 公立高校について == === 公立高校は地域に開かれていません === 昭和の昔は(高校ではなく)公立小学校は、「公立小学校は都道府県の税金で食っているのだから、たとえば地域のリサイクルのバザーを小学校の校庭で開くとか、そういう地域交流をするべきではないか?」とかの意見もあって、実際に地域交流をしていました。図書室などを曜日限定でしたが大人も使えたりもあったそうです。(ただし21世紀から、不審者対策など警備上の理由で、そういうのをしなくなった。) しかし公立高校は元からそういうのをしていません。 公立高校は、けっして公立中学のように地元住民が全員通えるわけでもありません。公立高校にも税金が生徒1人あたり年間70万円ちかく投入されているのですが、いったい何のために、公立高校の生徒に税金が投入されているのか、意義が分からず意味不明です。 戦後の昭和に作られたような公設民営(地方の県などが誘致した私学)の私立高校には税金が投入されず(私立高校でも文部科学省の指導要領に従っています)、それより偏差値が低くても公立高校に税金が投入されます。日本の国会議員の考える教育政策は支離滅裂です。 公立の生徒だからと言って、別に地域ボランティアをしているわけではありません。何のための税金投入でしょうか。 === 新入生が15歳とは限りません === 私立高校の受験要綱には年齢制限があるのが普通ですが(16歳以下)、しかし公立高校では、たとえ進学校であっても年齢制限がありません。 このため、もしかしたら公立高校の新入生が15歳ではなく16歳またはそれ以上の可能性もあります。あまり年齢が高くなりすぎると、正当な理由が無い限りは内申点などで減点され合格が難しくなるでしょうが、裏を返すと、1年の浪人なら、そうではないわけです。 また、私立大学への指定校推薦などの募集要項にも、年齢制限は無いのです。この穴をつつくと、やりようによっては、いろいろと出来てしまいます。ハッキリ言って、制度をつくった文部科学省の官僚と政治家がすこし、頭が回ってないようです。 == 地方の小規模校の欠点 == 地方の極端な小規模校では、普通科でも、数学IIIや物理II(いわゆる、現在の専門『物理』)といった高度な理数系科目が開講されていなかったり<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/content/20240131_mxt_koukou01_000033692_001.pdf 文部科学省 初等中等教育局参事官付(⾼等学校担当) 著 『⾼等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)』、2024年 ? (アドレスより推測)、 ]</ref>、古典講読などが開講されていない傾向もあります<ref>[https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-20530777/205307772010jisseki/ 山崎 博敏 研究代表『教育人口の変動と学校の規模・再編統廃合』、kaken、公開日: 2012-07-19 ]</ref>。数学IIIなどは高校必修ではないのです。 == ほか、雑多なこと == === 共学と男女別学 === 戦前の日本では、中学校以上からは男女別学でした。このため、公立高校のうち、戦前から存在する高校は、今でも男女別学な高校が北関東を中心に21世紀でも残っています。 また、日本人の伝統主義的なブランド志向からか、公立高校では戦前からある古い高校ほど偏差値が高い傾向が多いのですが、上述のように戦前の高校教育は男女別学だったので、したがって昭和の時代までは、公立高校で偏差値の高い高校は男女別学の傾向がありました。 しかし、平成になり、男女共学化が各県で進み、令和の今では、北関東などの一部の地域を除き、ほとんどの公立高校が共学になっています。(ただし、国立の高校には、男女別学が残っています。たとえば、筑波大付属駒場は男子校です) このため、もう全国的に統計を見ると、公立の男女別学の高校は1%くらいしか残っていません<ref>[https://www.bengo4.com/c_18/n_13973/ 『北関東に多い「公立高校の男女別学」は時代錯誤か? 共学化めぐる議論の歴史』、弁護士ドットコムニュース、2022年01月01日 09時33分] 2024年3月31日に確認.</ref>。 なのにインターネットだと、統計を無視した頭の悪い評論家がチラホラいて、まるで日本各地に男子校・女子高の公立高校があるかのような言説で、「子どもたちの選択の自由をうばうな!」みたいな事を言っている頭のわるい評論家もいますが、しかし既にもう北関東以外では男女共学しかないのが実態です。 2003年度に福島県、2010年度に宮城県ですべての県立校が共学化しており、もうこれらの地域では男女別学の県立高校は残っていません<ref>[https://www.bengo4.com/c_18/n_13973/ 『北関東に多い「公立高校の男女別学」は時代錯誤か? 共学化めぐる議論の歴史』弁護士ドットコムニュース、2022年01月01日 09時33分] 2024年3月31日に確認.</ref>。なのに評論家のなかには埼玉県の男子校・女子高を擁護しようと「選択の自由」とか言い出す頭のおかしい評論家もいますが、しかし福島県や宮城県の人は埼玉県の公立高校には通えません。 2023年の時点で、今も別学の公立高校が残っているのは、埼玉のほか、群馬(12校)、栃木(8校)、宮城(1校)、千葉(2校)、和歌山(1校)、島根(1校)、福岡(2校)、鹿児島(5校)だけです<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASRDC4H1SRD4UTNB01S.html 朝日新聞『減りゆく公立高の男女別学校 7割が埼玉・群馬・栃木に集中のなぞ』2023年12月13日 12時00分] 2024年3月31日に確認.</ref>。 男女別学が良い悪いの問題ではなく、「一部の評論家の、論拠がとてもおかしい(もう共学しかない地方が多いのに、選択の自由を根拠に「埼玉だけ男女別学を残せ」と主張している)」、「論拠のおかしい評論家を支持する、知識の欠けている支持者が少なくない」という話をしています。基本的な統計を無視している頭の悪い人たちの意見は真に受けてはいけませんし、そういう頭のおかしい評論家の支持者も頭がおかしいので、身の安全のため、あまり付き合わないほうが良いでしょう。 どうしても男女別学の必要性を訴えるなら、けっして一部の地域住民にしかメリットの無い「選択の自由」(?)を主張するのではなく、たとえば「比較対象としての実験校になる」とかそういう事を言わなければなりません。あるいは、そんなに選択の自由を主張するなら、男女別学だけ例外的に学区を撤廃して日本全国から生徒を募集するとか主張しないと、他県の選択時を無視しており理屈が通りません。あるいは、「各県に男女1高校ずつだけ男女別学を設置すべきだ」とか主張しないと理屈が通りません。 なのに、埼玉県の公立男女別学の生徒の意見だけを聞いて男女別学のありかたを考えるとか、他県の受験生の選択肢を無視していて支離滅裂だし、こんな事にも気づけない時点で、残念ながら男女別学の思考レベルは低く失敗していると言わざるを得ないのが実情でしょうか。 部分的には男女別学が残っている県でも、家からとても遠いなど、事実上、通える地域ではありません。 まあ、男女別学の校舎を共学に作り替えると、トイレの増設などの工事も必要になるので、仕方ないのかもしれません。 ほか、部活動に部室も共学になると男女別々に必要なのが、けっこう敷地的に負担です。 なお、私立でも同様であり、東京や神奈川のように戦前から私学の多かった地域では、私立で高偏差値な高校は男女別学な傾向があります。 たとえば戦前からある慶應義塾高等学校(慶應日吉高)は男子校です。早稲田大学高等学校も男子校です。いっぽう、慶應義塾湘南藤沢高校は1990年代に設立されたので男女共学です。 ほか、「男子御三家」(開成・麻布(あざぶ)・武蔵)、「女子御三家」(桜蔭・女子学院・雙葉(ふたば))なんて言葉もあります。 また、戦前からある古い私学は、校舎が歴史的建造物になってしまっていたり、そういうのもブランド化しているので、簡単に建て替えるわけにもいきません。 ;高度成長期などの校舎の立て直し 戦前から続くような伝統校でも、実際は建築の立て替え工事を何度もしています。たとえば、戦前からの木造校舎を解体して、戦後の高度成長期や昭和末期とかに鉄筋コンクリートに立てなおしたりしています。立て直しなどの際に、校舎の位置も微妙に移転しています。たとえば、校庭だった場所に新校舎を建てて、校舎だった場所が新校庭になったりとか。 建築史でも、関東大震災を機に、それ以前は木造だった校舎が、震災後は鉄筋コンクリート造になっていった歴史が、都心ではあります(地方はどうか知りません)。 私学は自分たちのカネで運営されてるから良いとして、公立に関しては正直、終戦期にGHQが共学化を原則とするとか言ってたのにかかわらず、昭和も平成も過ぎて2020年代になっても何の手も打ってこなかった低予算の公立高校およびそれを抱える自治体は、ちょっと時代を先読みする能力がアレです。 なお、私立大学は学校によっては何度も移転しています。たとえば法政大学の理工学部は、もともと東京の麻布(あざぶ)にありましたが、現在は東京の東小金井(ひがしこがねい)です。法政大に劣る知名度しかもたないくせに「伝統と格式」とか言ってお上からの共学化とか移転とかの方針に反対している公立高校の卒業生といった地元住民を抱える自治体、国からの税金頼みの住民を抱える自治体は、ちょっとアレですね。 ほか、男女別学の擁護(ようご)の意見で、よくある評論で「男女別学のほうが、女子がリーダーシップを発揮しやすいなど、教育に良い」とか言うのも、一見すると論理が通っていそうですが、しかし、すでに日本の公立の小学校・中学校は日本全国で共学です。高校の男女別学を主張する前にまず、「公立中学校で男女別学の再導入をせよ」とでも主張するべきでしょう(戦前は中学校は男女別学だったので「再」導入)。それに気づけない視野狭窄も、とてもアレです。 あるいは「義務教育の子供には男女別学は相応しくない」として高校以降を区別する論法なら、だったら大学も義務教育ではないので公立大学や国立大学で「男子大学」を主張しないと(国立の女子大はすでに「お茶の水女子大」や「奈良女子大」があるので男子大学を追加しないといけない)理屈が通りません。 あるいは、もし反論として「大学は女子差別是正のアファーマティブ・アクションの一貫で、国公立の男女別学は女子大だけでも良い」というなら、だったら高校の男女別学もそのアフォーマティブ・アクションにより男女同数である必要はなくなってしまい女子高だけ多くても問題なく、したがって公立男子高校の共学化の論拠になってしまいます。 上記の程度の、ちょっと考えれば気づく程度の意見を無視した言説が、ネット上にはあふれており、「プロ」を自称する評論家ですら、この程度のことに気づかない、あるいは気づいて意図的に無視しています。そういう頭の悪い評論家も多いので、ネットの言う教育評論などは真に受けず、中高生は受験勉強をしましょう。 === じつは公設民営の私立高校がある === ついでに言うと、昭和の千葉とか埼玉とかは高校不足だったので、1970年代ごろ、そこらの県が私学を誘致しています。上述の芝浦工大の千葉の付属校も私学ですが、実態は県の誘致した高校です<ref>[https://www.ka.shibaura-it.ac.jp/guidance/history/birth/ 『芝浦工業大学柏高等学校の誕生 学校概要 芝浦工業大学柏中学高等学校』] 2023年12月02日に確認. </ref>。 昭和のころ、インフラ的な施設の建設では、「公設民営」とか「第三セクター」とか、昭和の当時、中央省庁の官僚がアイデアを考えて、民間と役所のカネで実施する、というのが昭和の半ばころ流行しました。(当時は今よりも中央省庁の権限が強かった時代です。)今では「公私協力」とも言います。 現代でも、大学ですが[[w:公設民営大学]]の私立大学とかあります。例として、もう公立化されましたが、山口県にある山口東京理科大学がその典型でした。[[w:公設民営大学]] 悪口で「私学は金持ちのバカが行くところ」とか言ってる人は、こういう歴史がよくわかってない馬鹿なので、相手をするのは時間の無駄だと思います。 ;政府は責任をとりたくない 「国が学校教育の新しいアイデアを試したいなら、単に実験校を増やせばいいだけでは? 既存の公立高校と教育大の教育学者に、もっと教育実験の任務を与えればいいだけでは?」とか、あるいは「政府の財政負担を減らしたいなら、国公立の高校の学費をあげればいいだけでは? または既存の国公立の学費の過半数はそのままでもいいから既存の学費の低い公立高校とは別に、いちぶの公立高校だけ学費を私学の学費の半分くらいになるまでアップして(国立大の学費が私大のおよそ半分だす)、学費の高い新種で別種の公立高校をつくればいいだけなのでは?」とも思いますが、まあ、国会での与野党のくだらない質疑応答を減らしたいのでしょう。私学のような民間のやった事にすれば、野党はいちいち口出しをできませんし。 公立高校の教職員は公務員ですので、労働問題とか、いろいろと面倒なのです。(公務員は原則、ストライキを出来ません。なお、労働組合活動は可能であり、日教組(にっきょうそ)という組合が有名である。) === 高校生の論文は文系分野ばかり === ==== 基本 ==== :(※ どっちかと言うと、下記の記事は総合学習のページのwikiに書くほうが適切かもしれません。) 一部の私立高校で卒業論文など論文を書いていたり(2年生で論文風の作文を書くこともある)、国公立でも一部の高校で論文を書いていますが、分野は文科系の分野がほとんどです<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 ]</ref>。例外としてスーパーサイエンスハイスク-ルの指定を受けるような設備の充実した高校でもない限り、理系の実験は難しいのが現状です<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 ]</ref>。近現代の経済などが、比較的に書きやすいでしょうか。 基本的には、社会科学系の分野です。 なので、最初から高校の文系教科側にカリキュラムとして論文執筆を組み込む私立高校もあり、たとえば私学の麻布(あざぶ)中学・高等学校がそうであり、地歴・公民公民の科目に論文カリキュラムを組み込んでいます<ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.183 の注6] 2023年12月02日に確認. </ref>。 なお、大学入試側も、高校の探求が公民科目に寄っているのを反映してだろうか、一部の文系学部の入試科目から歴史科目を外す動きもあり、早稲田大や青山学院大学ですらそのような入試改革の動きがあります<ref>[https://diamond.jp/articles/-/314990?page=3 後藤健夫 著『増加する「Fランク大学」、“ボーダーフリー”時代の大学の選び方』、ダイヤモンド社教育情報、2022.12.22 3:20]</ref>。おそらく、偏差値上位の私立高校で探求を頑張れる優秀な学生をゲットしたいのでしょう。 書籍名などで「論文」と題されることもありますが、実際には、埼玉県立浦和(うらわ)高校の場合、出典など多少の裏付けのある文集や紀行文なども混ざっています<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P42</ref>。まあ、論説文であることには、変わりありません。一言も「学術論文」とは題されていませんし。「総合的な学習の時間」(2023年の現代は「総合的な'''探究'''の時間」)などの時間を、それらの論文・作文などの執筆や調査に当てている事もあります<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P40~P42</ref>。ただまあ、紀行文といっても、けっして旅行先は単なる国内観光地とは限らず、国費での海外語学研修での米国大学あたりの訪問記とかの紀行文とかだったりする高校生もいるので、世間一般の旅行の紀行文のようなものとは区別したほうが安全だとは思います。基本的に、学問的に読む価値のありそうな文章であることが求められるとは思います。 なお、歴史の論文は、とても難しいので、(感想文などではなく)学術的な論文としては避けるべきです(史実の確認はとても難しいので<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ]</ref>)。 中央大の付属高校いわく、 <blockquote> 論文のテーマ(問い)は、「えっ。こんなに小さな問題でいいの?」と思うくらいに絞り込むこと。漠然とした問いは、いつまで経っても書き出せないか、概論を述べるだけで終わってしまう。論文を読んだ人に、「ふむふむ。それで?」と言われてオシマイ。 </blockquote> です<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ]</ref>。 神戸大の付属高校でも、説明画像「良い問いの条件とは?」で、「すぐに答えが出る問いではないか?」と釘を刺したうえで、 さらに、 <blockquote> 「しかし、1年ぐらいで答えが出る程度に小さい問いか?」 </blockquote> と述べています<ref>pdf [https://www.edu.kobe-u.ac.jp/kuss-top/education/kp/materials/2023_kuss_handbook.pdf  『2023 年度 Kobe ポート・インテリジェンス・プロジェクト 課題研究・卒業研究ハンドブック』P.30]</ref>。 神戸大付属校が言うには、高校生のする研究論文にとっての「良い問い」とは、1年間つづけられるほどに「'''やりたい'''」、高校生でも「'''できる'''」、社会がその研究を支持してくれそうなほどには「'''意義がある'''」の3本が必要です。まとめると、 * やりたい * できる * 意義がある の3本です。 さて、参考文献として読む本の冊数は、たとえば『浦和高校論文集』の論文をいくつか見たのを例にすると、一般の大人向け(ここでは「高校卒業者むけ」という意味)に書かれた本が10冊~15冊ていどです。そのうち、大学教養レベルの教科書が1~2冊もあれば十分でしょう<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P393およびP379など</ref>。 参考文献のひとつとして、アメリカなど海外で使われている教科書の和訳を読めば(たとえばマンキュー経済学<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P379など</ref>など)、国際的に通用する議論になるので、お得です。 和訳さえている本を読めば十分であり(英語の原典・原書に当たる必要は無い)、そもそも高校の先生にその翻訳を確認するだけの時間がありません(もし先生が英文和訳の添削ばかりしてたら、先生が過労になってしまいます)。なので、日本国内で先行研究のあるテーマを選ぶことになるでしょうか。 なお、(基本的な教科書を除くと、)参考文献リストの載ってない本は、先行研究とは言えません<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P18 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。なので、メインに使う本には、参考文献リストが載っている本を選びましょう。 今までの議論の前提として、先行研究がある程度は存在しているテーマを研究するのがコツです<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P5 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。高校レベルだと、そうしないと卒論を書くのが難しいでしょう。 また、客観的データを自分で入手できるテーマに限ります<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P5 ] 2024年03月20日に確認.</ref>。このため、最近の流行の調査とかは、客観性がとぼしく、論文としてはテーマに不適です。 また、参考文献は変わりますが(文献名は忘れました)、現在始まったばかりの流行は、基本的には評論などを行わないのが、評論の業界でのマナーです。たとえばテレビで放送開始したばかりのドラマとアニメとか、基本的には放送開始から半年~年内には論文などでは大々的には論評してはいけません。なぜなら、論評そのものが作品の評判に影響を与えて変化させてしまうので、観察対象がその論評のせいで変化してしまい、業界全体での客観的な研究ができなくなってしまうからです。具体的な参考文献名は忘れたのですが、1990年代後半に同人サークル「と学会」(オカルト本を研究している同人サークルのひとつ)が、市販の書籍でそう述べていました。 放送開始から1年程度の月日が経って、ようやく、評価が確定してきてから、論評を開始しないといけないのです。 比喩を言えば、バードウォッチングで鳥を観察する人は、基本的には、鳥に気づかれないように観察しなければなりません。 なのに、先行研究の少ない分野を研究しようとしている人は、たいてい、こういう基本マナーが分かってない人なので、もし自分がそうだとしたら、反省しましょう あと、卒業論文とかにもし放映中のドラマとかの研究を書いてしまって、卒業後にもしそのドラマの俳優が麻薬所持とかで逮捕されたら、製本された論文集、どうするんですか? 論文を撤回しようにも、卒業アルバムと同様に卒業論文集も製本されて卒業生の共通の思い出のメモリアルになっているので、もはや撤回できません。 卒業後に改訂版を出せないので、もっと慎重な先行研究の多めのテーマを選んでください。 そういう新しいテーマは、卒業論文ではなく、雑誌論文とか、大学教員になったら紀要(きよう)とか、個人の書籍とかブログでやってください。 比喩的に言えば、卒業論文集は個人の所有物ではなく、半分は、卒業生一同の共有物のようなものです。 こういうふうに、最近の人気マンガだとか芸能だとか現代の若者などの流行分野を研究するのは、とても難しいのです。 これはつまり、ネットの匿名掲示板とかで放映中の作品などを議論している人や、そのような評判を参考に作品鑑賞している人は、上述のような意味でも、あまり信用しないほうが良い、という意味です。論評の基本マナーを知らないほどに論評のレベルが低くて頭わるい馬鹿のくせに「自分は頭がいい」と思っているという、自己の心の病の病識(びょうしき)に欠ける人です。 残念ながら、作家でもこのような基本の分からない人が存在します。志望業界の若手にそういう低レベルな作家の多い業界の場合、これから衰退していく業界でしょうから、志望先を変えるのが良いでしょう。 今は盛り上がっていても、若者のレベルを見れば、これからが分かります。俗に「ピークアウト」と言う言葉があり、その時点では盛り上がってても以降は低減していく現象のことを言います。 だから学校の図書室に新刊の本の購入をリクエストする場合でも、あまりにも新しすぎる本の購入だと、売上を下げる営業妨害になりかねないので、図書室での購入を断られる場合もあります。特に小中学校の義務教育で、そのような傾向があります。 なので、ともかく先行研究を無視して「どんなテーマでも」と言うのは、無理なのが実情です。実際、教育学の論文『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』(大貫眞弘・竹林和彦 共著) P.179によると、下記のように問題点が指摘されているのが現実です。 <blockquote> また、多様なテーマに対応するだけの蔵書数は、高等学校の図書館にはない。大学附属校で高校生も大学図書館を使用できる状況であればいいのだか、多くの学校はそのような状況にはない。公立図書館の利用や高大連携による大学図書館の利用も紹介されているが、情報の宝庫である充実した図書館が、すぐに利用できる校内に設置されているか否かは大きな問題である。 </blockquote> <ref>pdf [https://core.ac.uk/download/pdf/144440814.pdf 大貫眞弘・竹林和彦 共著『高等学校段階における卒業論文カリキュラムの検討』 P.179 の節「3)研究環境(施設面)の問題点」] 2023年12月02日に確認.</ref> なお、論文は文章の長さよりも質が重要であり、6000字でも内容がシッカリしていれば高校論文としては問題ありません<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P25 ] 2023年12月02日に確認.</ref>。16万字とか書く必要はありませんし、そもそも長すぎる論文だと先生が過労になってしまって読み切れません。高校2~3年生の16万字×40人×担当クラス数(たとえば4学級)=2560万字のレポートなんて、どこの高校でも先生は読みたくありません。 なお、『浦和高校論文集』によると、浦和高校の卒論は2万文字が目安らしいです<ref>佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P148</ref>。 このように学校によって、字数の相場は違います。 そのほかの卒論のある高校は、 筑波大学附属坂戸高等学校や東京大学教育学部附属中等教育学校、名古屋大学附属高等学校など。 私立なら、早稲田大の付属校や、専修大学附属松戸高等学校など。 これに関して、マーチの大学付属校は実質的に文系重視です。いちおう理工学部もありますが、付属校の生徒からは敬遠されています<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD049S60U3A001C2000000/ 『理系学部への進学率、付属校は低調 進学校は伸び』、2023年10月17日 5:00 、※会員限定記事 ]</ref>。 ;同一テーマに関する複数の文献を比較 ほか、高校レベルの論文を書くための文献の冊数として、5冊~10冊以上を読むのが基本です。どこの上述の高校も、そのくらいの冊数の本を、論文執筆のために読ませています。(ただし、エッセイとかを書く場合は別。)なるべく同じテーマの本を読む必要があります。 1940年代に欧米で提唱された「シントピカル・リーディング」という読み方がこれに近いのですが、しかし1940年代のことを21世紀の2020年代に当てはめるのには無理があります。なので、あまり、この読書法の用語には、こだわらないのが良いと思います。 北里大学(付属高校とかではなく大学本体の某・研究室)によると、「シントピカル・リーディング」とは、同一テーマに関する複数の文献を比較し、結果や考察の相違点を調査する読書法です<ref>pdf [https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/albums/abm.php?f=abm00036134.pdf&n=2021%E5%8C%97%E9%87%8C%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%80%8C%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E6%84%9F%E6%9F%93%E5%88%B6%E5%BE%A1%E7%A7%91%E5%AD%A6%E5%BA%9C%E3%80%8D%E5%AD%A6%E4%BF%AE%E8%A6%81%E9%A0%85.pdf 『2021北里大学「大学院感染制御科学府」学修要項.pdf』P.123]</ref>。なお、syntopical とは、『本を読む本』(How to read a book )著者のM.J.アドラーの造語です。 ともかく、研究的な内容の文献調査は、もはや文献の内容が完全に正しい保証は無いので、決して1冊の本を鵜呑みにしてはいけません。 もちろん、単に書籍数の多数決で真偽を判定、なんてのも論外です。高校生には論文に使える時間に限度がありますが、高校生なりに、ある程度は検証しましょう。 ==== 仮説思考 ==== 中央大付属の場合、論文を書く際、あれこれと文献をいくつも集める前に、「たぶんこれはこういう仕組みだろう」的な、仮説として仮の「答え」を用意しておきます<ref>pdf [https://chusugi.jp/wp-content/uploads/2023/03/%E5%8D%92%E6%A5%AD%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-ver.12.0-1.pdf 中央大学杉並高等学校 国語科『高校生のための卒業論文ガイド』,P23 ] 2024年03月20日に確認.</ref>。 ほか、立教池袋高校の卒論では、2年生のうちに仮説を提唱させ、3年生でその仮説を検証します<ref>[https://www.asahi.com/edua/article/14636767?p=2 葉山 梢 著『卒論の執筆通じてリベラルアーツ教育 内部推薦のポイントにも 立教池袋』2022.06.08 ]</ref>。 なにも中央大だけの独自見解ではなく、高校の理科の教科書の巻末にある「課題研究の仕方」みたいな章を読んでも、同様に仮説やモデルの設定などをせよと書いてあります。つまり、別に文系のテーマだけでなく理系のテーマの場合でも同様に、仮説やモデルを設定する必要があります。 :※ なお、「モデル」とは、けっして美人とかのことではなく、理論の「模型」(model)という意味。「少々の誤差はあるが、おおむね減少の仕組みを、簡潔に説明していると思われる理論」のことをモデルと言います。(詳しくは高校の情報科で習います。) ともかく、中央の場合、たとえば、「自転車と歩行者のあいだの交通事故を減らす方法を見つけたい」という問いなら、とりあえず仮の「答え」として、「自転車の利用者のマナーを向上させる」のような仮説を用意するのです。 もちろん、まったく文献調査やアンケート調査もしてない段階なので、この答えが正しい保証はありませんので、あとで答えを修正することになる可能性もあるかもしれません。 ですが、まずは仮の答えを用意します。また、そう思った「根拠」を文中で提示します。で、これをあとは時間の限り、警察などの客観的な統計とか調べたり法律を調べたりとか、さきほどの仮説や根拠の妥当性を検証していきます。 もし自分の仮説が間違っていそうだと思ったら、その時は単に論文のその箇所を直せばいいのです。 完璧な仮説はNGです。仮説は修正していくものです。 「仮説が間違っていると分かった」のなら、それは研究が進展して、仮説が'''反証'''されたという事ですので、良いことです。「仮説がこれこれこういう実例により正しそうである」という立証だけでなく、反証もまた、検証の一種です。 仮説が無いと、そもそも立証や反証の対象物が無いので、なにも検証を進められず、研究の深堀りが難しくなります。 なお、論文にかぎらずビジネスでの営業や企画などでも、まずは仮説を用意します。これをビジネス用語で「仮説思考」と言います。 言い回しは業界によって違いますが、考え方は似ています。 ビジネスの世界では、時間が限られているので、漠然と何でも事前調査するという事は、不可能です。なので、とりあえず仮説を立てて、その仮説を少しだけ検証して、あとは実際に活用しながら修正していきます。 仮説思考によって、本当に解くべき問題が何なのかが、明確になります<ref>[https://note.com/haruna_pp/n/na87491690a21 『実験する前に論文を書こう~「仮説思考」を読んで~ (ver1.0) 』2024年1月6日 20:16 ]</ref>。 この方法に文句をつけてくる学者や教員がいたら、ビジネスの出来ない人なので、あまり相手しなくていい。例外として、数学とかの完全な論理性や、あるいは医療とかの極度の慎重さが要求される分野とか、国会の立法とかでない限り、仮説思考で良い。 Quick and Dirty(クイック・アンド・ダーティ)といって、「汚くていいので、さっさと進めろ」みたいな意味の言葉が、ビジネスやソフトウェア開発などの言葉であります。 とりあえず、精度は低くていいので、仮説・根拠のセットを提示するのが先であり、とりあえずそのセットの検証を始めていくのが先です。 ==== 問題解決ではない ==== 論文を書くなどの研究は、「問題解決」型の学習ではありません。現状の問題点を見つけて、それを検証、深堀りなどをして「解明」するのが、「研究」です。そもそも解決していないから、研究テーマなのです。社会問題など、一個人での解決は、無理です。時間も予算も、解決するには、大幅に不足しています。 大学などで行われる文科系の「研究」の多くは、良くも悪くも、問題点を見つけて深堀りするだけです。 もし解決策が思い浮かんでも、実際にその解決策を実行して事態が好転しても、それを現状の社会の「問題点」を明らかにして解明するという形の文章に変換しないかぎり、論文にはなりません。 正直、「問題解決」とは、論文は相性が悪いこともあります。問題解決ばかりしている暮らしの不足を補うための論文、とでも言えばよいでしょうか。 それどころか、大学評論家によると、大学の文科系学部の伝統的な授業内容ですら、教育内容が問題解決につながっていないのが実態だと報告されています<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=oQNeaMxX9sc オンラインのメガスタ公式チャンネル 『文学の力で社会の課題を解決する!!』2024/04/10、 3:30 あたりから] 2024年04月10日に確認.</ref>。 ==== 読書の方法 ==== 論文を書く際の読書の方法として、当然ですが、関連するテーマの本を、何冊も読みます。高校によって要求される冊数は10冊か20冊か、差がありますが、ともかくそのくらい読みます。 この際、同じ著者の本ばかりを読むのではなく、なるべく別々の著者の本を読みましょう。 さらに、自身の確認した体験などを通して、検証します。 これを Syntopical Reading と言います。高校生くらいになったら、こういう読書が求められます。卒業論文などを描く際の読書も、このレベルでしょう。 [https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%82%80%E6%9C%AC-%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E5%AE%B6%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%96%E3%81%99%E4%BA%BA%E3%81%B8-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%BBJ%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%BC/dp/2000524001/ref=sr_1_1?dib=eyJ2IjoiMSJ9.VpqUkV6DHZuZsgzwYTOTh2ZgA4mYcWsBooOx6MUYkbA.GblkUDjG7anKTt01HJ0zLyLa9WrX0MQmIJRCREKo14Q&dib_tag=se&qid=1711255352&refinements=p_27%3A%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3&s=books&sr=1-1&text=%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3 『本を読む本 読書家をめざす人へ』 ](1978/1/1、モーティマー・J・アドラー (著), チャールズ・ヴァン・ドーレン (著), 外山滋比古・槇未知子訳 (著) )にそういう話題があるらしい。 普段の読書でも、同じテーマの本を、別々の著者で、いろいろな視点で読んでおくと、論文や研究につながりやすくなります。 本に書いてあることの要点を把握するだけなら、中学生レベルとのこと。その本だけを鵜呑みにすればいいのですから、とりあえずの要点の抽出は、そんなに高度ではありません。 == 私立のあれこれ == === 私立高校の地元推薦枠 === ;推薦されても絶対合格ではない 地元枠にかぎった話ではないですが、そもそも推薦入試は必ずしも「絶対合格」ではないです。私立の偏差値の高めの高校の地元枠の場合は、あくまで推薦されたらそれ以降の試験は低倍率で合格しやすい(なぜなら遠隔地から受験マニア家庭の中学生が押し寄せないので)だけです。私立高校の場合、推薦入試でも5教科の学力検査を行う場合もあります<ref>[https://jyukumado.jp/column/50 『高校受験の「推薦入試」ってどんな制度?わかりやすく解説!【塾探しの窓口】』2023.11.01] 2024年01月01日に閲覧. </ref>。なので、推薦をもらえても受験勉強はシッカリと続けましょう。 特に21世紀では、ブランド的な私立高校は付属中学をもっていることが多く、このため募集人員が生徒数に比べてかなり少なめなので(たとえ1学年8学級の約320人であっても、4学級ぶんは付属中学からの内部進学なので、残り4学級ぶんの160人のなかを目指す競争になる)、推薦入試といえども難関です。なので油断せず受験勉強しましょう。 === 私立の土曜授業 === 多くの私立の中高で、土曜日には授業があります。(公立だと、土曜日の授業が無い場合や、隔週などの場合もある。) ほか、部活の大会などの行事が土曜日にある場合もあるので、公立高校では大会などのスケジュールとの兼ね合いから、土曜授業を行わない高校も一部ではあります。 なお公立の場合、進学校で土曜日を休んでいて週5日制の場合は、土曜休みの代わりに、夏休みや春休みが短いなど、そういう負担があります。 公立の場合、大会などで日曜日に活動させた場合に振替休日が必要になる場合もあるので、それを嫌って土曜授業をしない場合もあり得ます。 もっと言うと、進学校の中には、そもそも部活で大会やコンクールなどに出たがらない高校も、公立でも私立でも、あります(土曜日の授業時間が減るので)。 どうしても私立進学校が土曜日にも学業を教育したい場合、土曜日に提携する予備校などのビデオ教材などでの復習中心の講習をする場合もあります。これなら、高校の教師も休めるし、生徒には復習にもなるし、いいことづくめです。 また、私立高校の中には、教科書のほかにも予備校などの教材や参考書を使っている学校もあるのだという事に気づきましょう。 ほか、一部の私学では、定期試験の回数を年2回に減らすというテクニックもあります(1年間を前期/後期の2学期制に分け、それぞれの学期の期末試験のみ)。これなら、テストのために授業時間が減る量を半減できます。 === 附属中学校の方針が事実上の方針 === 私立の多くの中高一貫校では、付属中学の中学受験の影響を受け、高校側も学力重視の文化に変わっています。 このため、平成に付属中学が新設された中高一貫校の場合、付属中学をもたなかった昭和のころの教育方針と(たとえば体育重視の文化だったり)、現代の21世紀の令和の教育方針とは、まったく別物に変わっているのが実態です。 たとえば、仮に、ある附属中学校の入試方針なり授業方針が「学力重視」だったとして(実際にはここまで明言しませんが、説明の簡単化のため、そう仮定する)、その併設の高校の方針が「文武両道」の場合、基本的に事実上の高校の方針は学力重視です。よほど強固に高校側で文武両道を推進しているのでもなければ、付属中学の方針が正体です。 このため、たとえ建前上は高校の教育方針を変えていなくても、平成時代に附属中学校が新設されれば、その附属中学校の方針が事実上の高校の方針へと変わっています。 基本的に、中学入試では部活などは評価されず(というか、小学校の場合は週1日ていどのクラブ活動)、このような背景のため、ともかく付属中学の影響を受ける多くの私立高校は、高校側の実態がかなり学力重視の方針に変わっています。 中学受験をする子供の場合、お稽古事で楽器や女子なら華道・茶道などを習っている場合がありますが、私立中高の部活でも、スポーツよりもそういうお稽古事になりそうな文化部っぽい部活のほうが現代はさかんだったりします。マスコミだと、甲子園などスポーツの話題ばかり出ますが、しかし、もうそういうのは中学受験した内進生の関心事ではないのです。例外として、スカウトで少年野球リーグの有望選手を特待生にするような一部のスポーツ中高一貫校でもないかぎり、スポーツはもう私立中学受験生のリアルな関心事ではなくなってきているのです。 さらに令和の現代では、べつに特には「学力重視」「大学受験重視」をパンフレットで謡ってない(うたってない)ひかえめな付属中学ですら、中学3年生の国・英・社の授業ですでに高校1年の教科書の範囲に平然と入っていたりします。このため、進学先である高校側も、付属中学の進度の速さの影響を受けるので、ますます高校側の学力重視の方針への変化に拍車(はくしゃ)を掛けます。 つまり私立の中高一貫校の分析の場合、高校の情報だけを入手するのではなく、中高一貫校は、中学受験の影響を受けているという事も意識して、パンフレットなどにある建前ではなく実態としての教育方針や教育実態を分析する必要があります。これが、公立高校の分析には無い、私立独自の分析テクニックの一つです。 == 高大連携 == ;高大連携とは 「高大連携」といって、主に進学校の高校では、たとえば、高校生でも提携先の大学教員による特別授業をいくつか受けられたりする事が、令和では行われています。かつては「高大接続」改革などとも言いました。 主に、私立大学が、このような高大連携を主導しています。 いっぽう国公立大では、おそらく他県受験生への配慮や、平等性などの問題からでしょうか、あまり踏み入った高大連携を行わないません。 「高大連携」には高校生むけの教育のほかにも、その大学のある県内の高校教員むけの研修会などを主催している大学もありますが、当ページでは教員むけ研修会については省略します。 この節では以下、主に、高大接続改革としての「高大連携」について解説します。 ;指定校推薦などとの関係 私大との高大連携が進んだ結果などによりて、現代では(2024年に記述)、大学への指定校推薦とは別に、「高大連携」と言われる取り組みがあり、高校時代に大学の授業を聴講できたり履修できたりします。 指定校推薦とは別なので、必ずしも推薦がもらえるわけではありませんが、まあ、知っておくと有利でしょう。特に文科系の学部を志望する場合、大学受験でのAO入試とか自己推薦入試などのアピール材料にもしやすいでしょうし。(ただし理系大学の場合は教育内容の特殊性もあり、あまり推薦系の入試はおすすめしません。) 堂々と、高大連携による推薦枠がある方針だということを明言している私立大学もあり、たとえば順天堂大学がそうであり、(高校の)校長推薦の枠がある方針です<ref>[https://www.juntendo.ac.jp/news/16678.html 『茗溪学園中学校高等学校と高大連携に関する協定を締結しました』 2023.11.30 (THU)] 2024年02月15日に確認. </ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC079KB0X01C23A2000000/ 日本経済新聞 著『埼玉の春日部共栄中高と順天堂大学、出張授業などで連携』2023年12月7日 19:30] 2024年02月15日に確認. </ref>。 なお私立の順天高校は、順天堂大とは名前が似ているだけの、まったく別々の学園ですので、決して混同しないように。 指定校推薦どうこうの可能性は、あくまで私大の話です。 なお、国公立大による「高大連携」というのもあるのですが、しかし国公立大の「高大連携」の特別授業は、基本的に推薦などは関係ありません(そもそも国公立大受験では、指定校推薦の制度が無いです)。国公立大の高大連携の特別授業は、建前どおり、単なる授業でしかありません。 ;協定校 私立大学が高大連携などを名目に、指定校推薦の枠を拡大したものを「協定校」と言います<ref>[https://www.study1.jp/kanto/school/B13P122/school_special/9/ スタディ中学受験 著『法政大学との新たな高大連携!学びを深める連携講座と最大30名の協定校推薦 | スクール特集:三輪田学園中学校 | スタディ中学受験情報局』公開日:2023/8/4]</ref>。 ほかの同じ偏差値帯の高校よりも、協定校の高校には多くの推薦枠が与えられています。 傾向として、私立高校と協定を結んでいることが多いです。 ただし大学によっては、協定校相手でも、それほど大きな推薦枠は与えない場合もあります。たとえば、3名とか5名とかの枠しかない場合もあります(ただし他校はもっと低い)。付属校のような数十名~百名以上のような大きな推薦枠は期待できない場合もあります。 2名の推薦枠が5名に拡大したとしても、たった3名の増加でも「協定校」です。実際に1ケタ台しか推薦枠が与えられていない協定校の高校もあります<ref>[https://www.takeda.tv/naraikoma/student/post-199879/ 武田塾『関西学院大学商学部へ合格!「協定校推薦と指定校推薦の違い」』 2021.09.27]</ref>。 * 参考サイト: [https://www.jhschool.site/2021/04/25/uhsc/ 高大連携情報を大学別に集めていきます] もし将来的に進学したい私立大学の文系学部がある場合、付属高校の合格が無理なら(偏差値が届かない、遠い、など)、提携校の私立高校を狙うという方法もあります。 このように、もう高校の志望校選択の時点で、現代では私立大学受験は始まっているのです。 私立大学受験は、偏差値55以上の多くの私立大学では、もはや指定校推薦が5割近くになっており、残された一般入試の枠をうばいあう競争になっています(しかも競争相手には浪人生もいる)。 偏差値50以下とかの定員割れの私立大学でも、決して指定校推薦をしてないわけではなく、指定校推薦をしているうえで単に受験性が集まらないだけに過ぎません。 提携高校の傾向として、偏差値が高めで、大学の立地に比較的に近めの高校が多く選ばれています。大学から遠いと、大学教授が出張するのが大変になってしまいますので、なので出張しやすい近隣の私立名門高校とだけ提携を結んでいたりします。 なので早い話、もしアナタが東京の偏差値の高めの私大に将来的に進学したいなら、もう高校受験の時点で東京に上京できる(もしくは生まれた時から東京在住の)家庭が有利です。 あるいは、ある大学と教育理念などがとても似ている高校が提携高校に選ばれている場合もあり、典型的なのがキリスト教系の大学・高校との提携です。ほか、たとえ、いちいち高大連携の協定を結んでいなくても、キリスト教系の私立大学には、キリスト教系の私立高校からの推薦枠があります。 ;所得水準のつりあわない高大連携について やたら学費の高い私大医学部と、地元の公立高校との高大連携は、あまり指定校とかAOとかを期待しても意味ないでしょう。高校受験の段階でいちいち大学の学費まで調べる必要はありませんが、公立高校にしか行けない家庭に、学費の高い私立医学部などに行ける経済力があるとは思えません。 せいぜい、大学内の実習室を案内させられて見学させてもらえて大学教員による説明も聞けるとか、私立医大とかとの「高大連携」の内容はその程度だろうと思います。 ;私大付属校の他大との高大連携 私大付属高校でも、他大と高大連携をしている高校も多くあります。たとえば順天堂大学は、ほかの大学の付属高校とも高大連携をしています<ref>[https://www.juntendo.ac.jp/news/18122.html 順天堂大学『日本女子大学附属高等学校と高大連携に関する協定を締結しました』2024.03.29 (FRI) ] 2024年04月06日に確認.</ref>。順天堂大学に限らず、他大も同様です。 またこのように、決して一つの大学としか連携できないわけではありません。地方だと一つの大学しか連携できない公立高校もあるかもしれませんが、しかし首都圏の私立の高偏差値の高校の場合は、特にそういった制限はありません。 === 高大連携の授業についての注意点 === ;地域差 高大連携には、地域差があります。大学教授は、近隣の高校にしか出張できません。大学校舎が近い場合なら高校生側が大学訪問をする場合もあります。 決して、全国共通ではありません。このため、国公立の大学入試には基本、高大連携の内容は出ません。 私大はどうか知りませんが、基本的に高大連携は大学で習う内容に入るので、基本的には大学入試には、そのままでは出ません。そもそも大学の授業が、入試問題には、そのままでは出ません。 ;大学ごとの差 地域が近くても、連携する大学ごとに高大連携の授業や講義などの内容は異なります。学部によって異なる場合もあります。 ;定員がある 高大連携には定員があります。大学教授が面倒を見れる高校生の数には、限りがあるからです。なので、高校進学後に希望しても、必ずしも高大連携の授業などを自分が受けられるとは限りません。まあ、留学とかも同様で、自分がそれを認められる保証はありません。 本来、大学側で大学生の面倒を見ているのに、それに加えて、さらに高校生の面倒も見ているから、大学教員の負担は大きいのです。 ;教育効果は未保証 さて、大学の授業と言うのは、必ずしも、どんな若者にも教育効果が高いという保証もありません。 そもそも大学教育というのは、そういった万人(ばんにん)への教育効果の保証がないからこそ、だからこそ高校の普通科からは切り離して大学など別期間で教育を行っているのです。 また、そもそも教育効果がどんな若者にも校歌の高そうな最新の理論や知識などがあるなら、文部科学省や教科書会社などの手により高校教育に取り入れらます。文部科学省はそれに気づかないほど、愚かではありません。だからこそ、学習指導要領や検定教科書は、定期的に改定をしているのです。そのための改訂です。 だから、地方の人は、東京の高偏差値どうしの私立高校と私大との高大連携を、うらやましがる必要もありません。低い偏差値の人も、高偏差値の人を「ずるい」とか、うらやましがる必要はありません。偏差値の低い人には、高偏差の大学との高大連携の内容は、あっていません。 高偏差値どうしの高校と大学とのあいだですら、教育効果が高いか低いのか、微妙なところです。だから、大学ごとに、高大連携の内容は大学ごとにバラバラです。 高大連携の授業で得た知識を活用するには、それだけ注意深さが必要なのです。 高校入試後の先取り学習とは、意味合いが違います。もはや高大連携は、普通教育の先取りではなく、各自の進路を'''自力で'''考えるためのヒントなのです。 そして、そのようなリスクがあるからこそ、私大の人は、(公立高校ではなく)偏差値の高い私立高校と連携を深めたがります。 == スポーツ系私立高校の特典 == === スポーツ指定校の高校 === 高校から大学への指定校推薦において、その高校が甲子園によく出場したりとスポーツで有名な場合、指定校の枠は、ある程度は運動部の男子が確保済み、もっというと野球部の生徒のためのものです。 たとえば文武両道をうたってる私立高校の場合、指定校の枠が4人なら、2人が運動部のための枠、運動部の枠のうち1人は野球部で残りもう1人は別の運動部でも可、残り2人が学力のための枠、というような意味です。 決して成績順だけで決まるのではありません。 もし大学の募集要項にスポーツ推薦枠として書いてしまうと、スポーツだけのバカ大学みたいに悪評が立ちかねないので、なので指定校でこういう事を行います。 なので、決して実際に甲子園に出た高校ではなく、よく甲子園に出る私立高校かどうかが重要です。もちろん、その大学の立地の近くにあるのが条件です。具体的には、首都圏の私大への場合なら、高校が関東地方にあるか、です。 === スポーツAOの関東優遇・地元優遇 === もし将来的に大学入試でスポーツ推薦とか吹奏楽部や演劇部などの部活動の業績でAO入試などで文武両道どうこうとかで進学したい場合についてですが、徳島県やら鳥取県など過疎県での「全国大会出場」と、人口密集地である東京・神奈川・千葉・埼玉での「全国大会出場」とが、断じて同じ価値なわけないじゃないですか。 単純にもし私立大学がスポーツ推薦だけで「全国大会〇〇位以上」などの条件で集めると、四国などの過疎の地方出身者がとても有利になってしまい、関東南部や京都・大阪・兵庫や愛知県(トヨタ自動車などがある県)には不公平なので、なのでスポーツ推薦とは別にAO入試などを活用して部活勢を関東南部や京都・大阪など大都市の高校から集めるのです。 なので私大は、大学にもよりますが、あの手この手で(AOや提携高校や指定校など)、関東地方など地元の私立高校を優遇します。関東在住者や、大阪・京都在住や愛知在住などで、スポーツが得意で将来的に大学受験を考えている人は場合は覚えておいてください。 たとえば2023年の野球部の夏の甲子園で神奈川県の慶応大の付属高校が優勝しましたが、慶応の付属校と同じ地区にある高校は、仮に全国2位の実力でも、地区予選の時点で敗退してしまうわけです。 夏の甲子園では、東京と北海道だけ甲子園の出場枠が2個ありますが<ref>[https://hgkiy5.com/koshien/#%E5%87%BA%E5%A0%B4%E6%9E%A0 『【高校野球】夏の甲子園、春の甲子園違いは?』2023年7月20日 ]</ref>、しかし東京の高校数の比率は岩手県の2倍どころではありません。 2023年の時点では、東京の高校数は431校、岩手の高校数は81校です<ref>[http://grading.jpn.org/E4101.html 『高等学校数の都道府県ランキング - 都道府県格付研究所』 ]</ref>。 地方在住者の野球ファンは、春の選抜が不公平だとか自分勝手なことを言いますが、そもそも夏の甲子園こそが都市の高校に不利にできています。このため、春の甲子園は、じつは夏の甲子園では不明だった都市部の本当の実力が分かるので、必要なのです。 ついでに、鳥取県は32校で、高校数が日本最下位です(2024年)。つづいて徳島県、島根県、がワースト3で、ともに30校台です。 大学受験のスポーツ推薦をもしスポーツだけで律儀に選抜してしまうと、鳥取県とか徳島県とかの高校の少ない県が無双してしまい不公平なので、実際には「スポーツ推薦以外にも総合型選抜(AO入試)では学力なども見る」という建前ですが、実際には鳥取県とか徳島県とかの全国大会出場者を落として、東京圏や地元の高校生に枠を与える、という意味です(都内の私大の場合です)。 AO入試の「最近では受験生の学力も見る」という建前は、半分ほど建前です。もちろん、もう半分は本当に学力も総合型選抜では見ています。大学ですので、最低限、その大学を卒業できる学力があるかを見ています。ですが、その程度で十分でしょう。 ただし、2020年代以降の私大の総合型選抜では、英検2級以上などを出願要件の一つとして要求している私大も少なからずありますので、英検資格など(TOEICやTOFLEのハイスコアでも可)を取るのを忘れないでください。 私立大学のスポーツ推薦の募集要綱にある「全国〇〇位以上」というのは、過疎の県からのスポーツ受験生をフィルタリングして落とすために条件を厳しめにしてありますので、過疎ではなく関東南部などの高校数の多い県の人で全国大会に行けなかった受験生はAO入試などの別枠で受験・進学してください。 ;学校パンフレットの役者 余談ですが、高校パンフレットや大学パンフレットなどの写真にある生徒・学生っぽい若者の写真は、実はそういう役者さん・子役さん等だったりします。特に女子にはストーカー対策が必要なので、代理店が女性の役者さんに頼みます。けっしてその学校の本物の女子生徒でもなければ、演劇部員でもありません。 撮影にも手間が掛かるし、学生さんは本来は学業を優先しなければいけないので(児童福祉法などの理念がそうです)、なので学生さんに撮影の手間をわずらわせてはいけないのです。 高校野球では、甲子園出場までの試合数で、人口の多い地域では甲子園出場までに8試合、人口の少ない地域では4試合とか地域差があります。 === トーナメントと偏差値の換算表 === {{コラム|トーナメントの淘汰率の錯覚| さて、トーナメント方式では原理上、半数は初戦敗退します。2回戦で最初の75%が脱落します。3回戦でさらに半分が脱落するので87.5%が脱落します。つまりトーナメント方式では、倍々ゲームなら半々ゲームで、指数的に減っていくのです。 人間の錯覚があり、世間の一般的な感覚の人は、あるチームの戦績について「初戦で敗退」と聞くと、まるで弱小でモヤシで素人なチームを思いうかべがちですが、しかしそうではなく、なんと半分もの人が初戦敗退するのが、トーナメント方式の原理です。 どうも一般人は、指数的な変化を、まちがって一次関数的な直線的な変化として取らえがちなようです。 ともかく、このような数理を知っていると、つまり、あるチームが2回戦を勝ち残れば、もう全体で上位25%の中にいる事が証明できるのです。たったの2回戦でそうなのです。つまり、「2回戦を勝った」と言うのは、十分にアピール材料になるのです。(ただし、全国大会に出れないと、大学や超難関付属高校などのスポーツ推薦の出願条件にはならないので、別方式の自己推薦や公募推薦などでアピールすることになる。) 偏差値で考えると、3回戦を勝てば、なんと偏差値60以上であり、上位12.5%以内です。あるいは、たとえ2回戦勝利まででも、その時点でもう偏差値55以上であり、上位25%以内が保証されます。 * 換算表 :1回戦を勝てば上位50%。偏差値 50 :2回戦を勝てば上位25%、偏差値 57~58 :3回戦を勝てば上位12.5%。偏差値 61~62 :4回戦を勝てば上位6.25%。偏差値 65~66 :5回戦を勝てば上位3.125%。偏差値 68 ~69 :6回戦を勝てば上位1.5625%。偏差値 71 ~72 です。 マンガとかだと2~3回戦敗退は弱小チームですが、マンガなんかを真に受けると馬鹿になります。週刊のスポーツ根性マンガ(スポ根マンガ)で主人公チームが全国大会の決勝戦あたりまで10回や15回くらい勝ち進むのは、単なる連載の都合です。 よく偏差値の換算表を見ると、2回戦の勝ち抜きで、偏差値が急に約7もアップしますが(偏差値 50 → 57)、あとは勝ち抜いても約4しかアップせず、5回戦以降は約3アップと、勝ち抜きごとの偏差値の上昇幅がだんだんと鈍化していきます。 これを知ってると、なんと2回戦を勝ち抜いただけで、かなり自身の評判がアップすることに気づきます。 あとはどう上記の数理をもとに戦績を自己アピールするかは、個々人に任せます。 やはり数学の力は絶大です。数学をまなぶことで、マンガとかの演出にダマされなくなり、自分をより効果的にアピールできるようになります。 トーナメント方式における、強豪校のもらえるシード権やシード校、シード選手は、あれは例えるなら指定校推薦みたいなもんです。 }} これはつまり、部活の偏差値50未満の人は、たとえば部活の偏差値47の人は、なんと初戦を勝ち抜けません。トーナメント方式だと、偏差値37の人も偏差値47の人もいっしょに扱われ、初戦で敗退してしまうのです。 つまりトーナメント方式だと、偏差値47くらいの人は、偏差値ボーダーフリー(BF)と同じ扱いをされてしまいます。「枯れ木も山の賑わい(にぎわい)」と言いますが、偏差値47でも枯れ木あつかいの「かませ犬」(かませいぬ)です。 偏差値52の人は、平均よりも競技ができても、ぎりぎり1回戦を勝ち抜きできるくらいです。 部活の公式大会は、このように厳しい淘汰率(とうたりつ)です。 言い方を考えると、部活の競技の実力を測定できるような模試(もし)は、ありません。部活版の「Vもぎ」とか「Wもぎ」とか「北辰(ほくしん)テスト」みたいなのは存在しないのです。世間の大人にとっての部活のあつかいなんて、その程度です。 なお、アメリカ合衆国では、中高では全国大会は存在せず、州大会が最高の大会です<ref>[https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201601270004-spnavi 永塚和志『米国と日本、大きく異なる部活のあり方 選手育成で日本が今、考えるべきこと』2016年1月27日 12:00 ]</ref>。また、そもそもアメリカの場合、季節によって所属する部活が別々だったりするシーズン制です。 日本の部活の全国大会は、日本が勝手にやってることです。日本の部活がひとつの部活にだけ3年間入り続けるのも、日本が勝手にやってることです。部活を総合学習の場として考えるなら、複数の部活に入るシーズン制のほうが合理的です。よって、擁護できません。 これはつまり、早慶マーチとか私大にあるスポーツ推薦のある大学にある「国際教育」とやらがインチキだという事の証拠です。 === まとめ === なので都心在住でスポーツや芸術の成績で大学進学を目指す人は、なるべく、高校進学の時点で、過去に「全国大会出場」などの部活のブランドのある高校に活きましょう。たとえ自分の在籍した年度ではその高校が全国大会出場できなくても、大学受験のさいにAOのスポーツ系などで優遇されるのが実態です。あるいは、そういうスポーツ高校は指定校の枠が同偏差値の他高校よりも多めに与えられています。 よほどの難関私大や難関学部・理系学部でないかぎり、たとえ成績の要件がきびしくて大学の与える指定校推薦の枠には入れなくても(あるいは、学業系の成績で進学する高校生たちが自校の指定校の枠を使い切っても)、スポーツや文化部などの部活などで実力のあると認められている高校の場合には、指定校推薦とは別にAO入試などで少しですが優遇されるのが、おそらく実態でしょう。そのためのAOです。 == 私大の付属校の救済措置 == 私大の付属高校の人は、もしその私大の春ぐらいに決まる第一次の内部推薦に落ちてしまっても(要件として系列の大学の専願志望者で、二年次終了までの成績の上位の数十名とかの要件があったりする)、じつは救済措置として、3年の秋に簡単な試験のある別方式の内部推薦があったりします。細かな救済手法は不明ですが、しかし、付属高校出身者からの伝聞などによって、実際は救済処置があります。 あるいは、3年の秋ごろの総合型選抜(AO)で、たとえば十数名ほど追加で内部進学できる救済処置の可能性があります。 別方式の内部推薦の試験内容は非公開なので不明ですが、付属高校出身者などからの伝聞などによると、そんなに試験は(その高校のレベルと比べたら)難しくないはずです。とりあえず、その付属高校の定期テストおよび高校で受けさせられる程度の模試はきちんと勉強する必要があります。そういう試験がある付属校もあるので、付属校に受かっても勉強はさぼらずに、高校の勉強を続けていきましょう。 大学によって付属高校の救済処置の手法はさまざまですが、よほど学力が低くない限り、内部組の人は上記のような手法で優遇されます。また、面接などのアピール材料とするため、大学説明会などは絶対に出てください。(なお、おそらく内部推薦の条件としても、その大学の説明会の出席などが原則的に要件になっているのが普通でしょう。) 付属校からの表向きの内部推薦の枠は、実態の募集枠よりも少しだけ小さめの人員にしてあります。実際は、よほどの難関大学や難関学部でないかぎり、もう何名 ~ 十数名か、別方式内部推薦や総合型選抜などで付属校からその私大に進学できる場合もあります。 表向きでは内部推薦の条件のきびしい付属高校もありますが、しかしその条件のきびしさの理由は、たとえば、じっさいは高校時代に不良行為・非行に走るなどしてあまりにも素行不良な受験生を落とすためのものです。たとえば「校舎の窓ガラスを割る」とか「バイクを盗んで無免許で走行する」的な連中を落とすためのものです。あるいは不登校などで極端に学力の低い生徒を落とすためです。昭和の昔は中堅私大の付属高校にもそういう荒れた素行不良の生徒がいたので、そういう人を落とす必要があったのです。 なお、もし素行は良いが学業不振がひどすぎて別方式の内部推薦でも総合型選抜でも大学受験で落とされた場合、本当に大学の授業についていけるか心配されたうえで落とされているので、素直に従って偏差値の低めの大学を目指しましょう。 == 偏差値を下げるのは有効か? == よく、指定校推薦のテクニックとして言われるのは、真偽は不明ですが「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」という言い伝えがあります。ですが、この自称・テクニックは、上述のような総合型選抜での高偏差値高校の優遇やら地元の優遇などを見落としており、信頼性に欠けます。 なので、なるべく高校受験では、普通に偏差値の高い高校を目指すほうが良いでしょう。 偏差値の差で1~2くらいの差では、校内順位での上位の取りやすさなんて、大して変わりません。 かといって、5~10あるいはそれ以上も偏差値が違えば、そもそも指定校推薦の枠が大幅に減るか、そもそも枠が無くなります。 過疎化をしている田舎(いなか)の低偏差値高校に、都心の早慶マーチなどのブランド私立大学の推薦は無いのが基本です。 あと、基本的に東京都心の私立大学の指定校の枠は、せいぜい大阪・京都・近畿のブランド高校までかと思われます。なぜなら東京都心の私立大学で地方出身者からよく聞く出身地が、だいたいこの地域までだからです。 四国とか九州とかは、よほど偏差値が高い進学私立高校でないかぎりは、ほぼ指定校の対象外でしょう。 なぜ「ほぼ対象外」かと言うと、'''都心の大学教授は、いちいち九州奥地とか四国まで高校訪問をしたくない'''のです。もし仮に指定校の枠があっても、高大連携協定による都心の大学との協定校推薦ぬついては九州・四国は望むべくもありません。 指定校推薦は、べつに大学教員が毎年に高校訪問をしているわけではないでしょうが(なお、高大連携は毎年の訪問・交流をしている)、しかし定期的に大学教員が現地の高校を確認して高校の教員などと交渉する必要はあります。そういう手間があるので、地方すぎる高校は、指定校枠が不利になることを覚悟しなければいけません。 大学の新入生の出身地の情報を聞くと、九州などそういう西日本の奥のほうの地方の出身者については、基本的に都内の私大では存在をあまり聞きません。九州・四国にも名の知れた私学の高偏差値の高校はありますが(たとえば九州のラサール高校や久留米大付属高校など)、しかし、おそらく偏差値の割に指定校の枠は少なめでしょう。 それでも東日本にあって道州レベルで偏差値が高い高校なら、若干は東京都内の私大の指定校の枠があるかもしれません。 「進学先の高校の偏差値をあえて下げて、代わりに指定校推薦をとる」というのは、おそらく、大阪や愛知などの地方都市などを「田舎」と誤解した人のデマではないでしょうか。 あるいは、都心の大学の地元にある公立高校で、偏差値が中くらいか中の上くらいの公立高校に与えられた地元枠の指定校推薦を、勘違いしたデマではないでしょうか。 ほか、AO入試はおそらく、現役生が有利でしょう。大学進学して文系私大に行く人は、浪人せず、さっさと現役で文系学部に大学進学しましょう。 なお、市販の受験テクニック本などにある、田舎の低偏差値高校の浪人するしかない人のための受験テクニック本など、高偏差値の高校の人は、決して信用してはいけません。ちまたに はびこってる受験テクニックは、偏差値の低い高校のための受験テクニックも まぎれています。 なぜなら、多数決では、偏差値60以上の人の数よりも、偏差値50以下の人のほうが人数が多いのです。だから、多数決では偏差値50以下の人のほうが買ってしまうのです。このため、市販の受験テクニック本などにある受験テクニックも、いささか低偏差値むけの人のための情報だったりします。 だから、ちまたの受験テクニックの中には、高偏差値の高校の私大志望にはアテにならないのもあります。偏差値の高い高校に通っている人は、先輩や教員などからの言い伝えを信用しましょう。 「地方の高校で生徒会をして部活も頑張ってAO入試でマーチとかに進学」というのは、それは大阪とか愛知とか仙台や札幌などの地方都市の話、またはその近隣の話でしょうし、何よりも偏差値が高めの高校の話でしょう。決して四国やら九州の奥地とかの話ではないですし、低偏差値高校の話でもありません。 == 文化的な背景 == さて、「異文化交流」とか「武者修行」みたいな感じで、高校と大学とで学風とかの違う学校に進学するのは、正直、偏差値競争的には不利です。私立高校の少ない地方の若者は不利かもしれませんが、しかしその地方の住民たちが過去に大学進学において選択してきた行為の結果です。受け入れてください。 「異文化交流」とかに関して、世間の人や企業の新卒採用などでは口先では「コミュニケーション能力を重視」とか言いますが、口先で言っているだけに過ぎず、あまり実態がともなっていません。たとえばキリスト教系の大学は、わざわざ仏教系の理念の高校とは、提携を結んだりしません。しかし、就職人気の高いキリスト教系大学はいくつも存在します。このように、世間でいう「コミュニケーション能力」だの「異文化理解」なんて、たかがその程度です。 「その程度」とは、過激派にならない程度のコミュニティ帰属意識の高さが必要だという事です。 いろんな文化を渡り歩くのは、ともすれば「根無し草」(ねなしぐさ)とか揶揄されかねず、よそ者扱いされかねません。「渡り鳥」ともいう。 こういう、大学受験以前の中学高校受験で発生する格差を、教育学などではトラッキング(tracking)と言います。ここでいうトラックとは、陸上競技の走るためのトラックのことです。アメリカの社会学者ローゼンバームが提唱した理論です<ref>酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.130</ref>。 このページでは、それを現代日本の高校受験および大学受験に合わせて現代的に発展させた説明をします。 陸上競技の第1トラックから第6トラックまで、コースが分かれているというのをイメージしてください。一見すると同じ競争(大学受験を目標にした競争)をしているように見えても、やや別のコースを走っている競争をしているのです。どのコースを走れるかは、中学受験や高校受験での学校で決まっており、実質的には大学受験以前の高校受験や中学受験などである程度は就職先などが決まる、という感じのです<ref>酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、P.130</ref>。 都心の有名大学の高大連携の教育を、近隣の私立高校の高校生が高校1年から受けられれば、そしてその進路に応じた勉強を続ければ、もう高校3年間をAO入試や公募推薦など各種の推薦入試などでのアピール材料にできます。 地方の公立高校からの受験は、障害物競争のようなものです。 しかし、私大入試で評価されるのは、障害物競争ではなく、実質的にタイムレコードのようなものです。 「人生はマラソン」とよく言いますが、しかし「貧乏人の人生は障害物競走。金持ちの人生はマラソン。大学入試ではマラソンのタイムレコードが評価の対象」です。これが21世紀の日本の大学受験のトラッキングです。上述の指定校やAOや公募推薦などのように、大学入学の時点で、もはや競技種目じたいが分かれていたする名門大学のAO入試に有利なトラックを走っていた金持ちの子供と、一方で地方公立の一般入試などの競争過多な分野での競争を強いられてきた貧乏人の子供が、障害を越えた回数以外の指標で評価されるのです。 地方の貧乏人の子供が社会から言われてるのは実質「お前ら地方公立は障害物競走の平均的な順位のプレイヤーだが、しかし金持ち用のマイナースポーツ競技の関東大会出場よりコースレコードが悪かったので賞金は無し」というのが実態なのです。 そもそも平成の現代のAO入試や総合型選抜の仕組みは、慶応大学の湘南藤沢キャンパスの入試が歴史的にも手本になっており、そもそも日本における中心的な提唱者・導入社の[[w:加藤寛 (経済学者)]]が慶應大学の人間です。1980年代の日本国有鉄道や日本専売公社、日本電信電話公社の民営化を進めたという、新自由主義者の人物の学者です。富裕層は一般入試の受験勉強をせずとも有名大学に入れる仕組みがあるのです。 なお、大学の男女比は、基本的には特に男女同数といった法律は無いですが、実質的には私大文系では男女同数を目指しています。一般入試だと男女同数にするのが難しいので、各私大ともAO入試や公募推薦などで男女比を調節しています。 また、このため今後も、AO入試や公募推薦などが私大文系で減る可能性は少ないでしょう。 かつて、男子学生が多くて「バンカラ」(野蛮カラーといった意味)とか言われた明治大学や法政大学などの文系学部も、女子学生が増加し、<ref>[https://diamond.jp/articles/-/319651 オバタカズユキ 著『「バンカラ大学」は消滅した? 親世代と子世代で違う最新大学事情とは?』、2023.3.18 2:25]</ref>、現代は女子学生が4割くらいの比率にまで増えています。 世間の頭のあまりよくない人は、口先では「異文化交流」とか言いながら、いまや国際共通語も英語も高校レベルすらロクにできない、科学の共通語の数学・物理・化学も高校レベルすらロクにできないくせに、なんかテレビ番組か何かのバラエティ番組の流行を追いかけたり消費しているくらいで「自分はコミュニケーション能力が高い」みたいに思っていたりするのです。 このように、私立大学受験は次第に理念の近い私立高校と大学との同盟のようなブロック経済のようになっています。 地方は不利かもしれませんが、そもそも今まで地方の浪人生のせいで東京のマジメな高校生が地元の私大に現役合格できなかったのが、是正されていっているという流れでもあります。東京に大量の浪人生を送り出してきた地方が、東京の高校から復讐をされているという因果応報にすぎません。 なお、どうも地方国立大学も、推薦入試で地元の高校の現役生を優遇している可能性があります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=FOwlWE__evw 山内太地 『旧帝大の推薦合格者数を荒稼ぎする高校』2024年02月26日、]</ref>。どうも地方国公立の推薦枠は、地方の現役高校生へのアファーマティブ・アクションとして機能しているのが実態のようです。 さて、私大の話に戻ります。今時、私大への推薦を蹴る大学の一般入試受験を目指してしまうのは、もはや勉強家の証拠ではなく、「探求学習をさぼって暗記勉強や表面的な勉強しかできない怠け者」という扱いなのです。 指定校推薦で文系の大学へ進学することにより、高校での探求学習も頑張れます。大学入試のしょうもない暗記科目を勉強するのを省略できます。 アクティブ・ラーニングが、伝統的な大学受験のシステムでは評価されません。 最低限の知識の暗記みたいなのは、世間はもう、高校入試(+高校の定期テスト)で十分だと思っているという証拠でもあります。指定校推薦の拡大した21世紀の現状は。 もともと昭和のころは、高卒で就職する人も多かったし、そのような企業の実態に、近づいてきているだけです。 今の時代、暗記みたいなのはコンピュータで十分です。だから探求学習やアクティブラーニングなのです。 その探究、アクティブラーニングが一般入試で評価されないのですから、意欲的な高校生ほど一般入試には興ざめです。 今時の一般入試はもう、意欲的な高校生からは、見放されているのです。 かつて、2005年ごろ、高学力層の高校生が私大文系の評価を下げて「私大文系は数学や理科の学習が評価されない不当な界隈」として高校生の高学力層からの評価が落ちたように、令和の2020年代では、今度は一般入試を尊重する界隈の評価が下がり「一般入試はもう、探求やアクティブラーニングが評価されない、コンピュータみたいな暗記人間を量産している不当な界隈」として高校の一部の高学力層から見放されているのです。 仮に、無理して指定校推薦を蹴って、せっかく大学受験を頑張っても、質の悪い暗記問題の受験問題を勉強させられるだけだし、浪人のリスクもあるし、そのせいで企業は若い労働力が入らなくなって損だし、もはや誰にもいいことがありません。 「理系では入試問題を解くような能力も必要」とか言われても、その理系自体もう、指定校推薦では敬遠されています。色々と高校生にはバレているのです。 文系の大学側にとっても、指定校から、本当に自分の大学を望んでいて、高校時代からレポートなどを生産できている質の良い学生を選べます。だから文系の私立大学側も、もう半数ちかくを指定校推薦など推薦でとっているのです。 指定校推薦はこのように、売りよし・買いよし・世間よしの「三方よし」です。 指定校推薦に文句を言うのは、世間体のよくない浪人生だけです。 また、このように現代は、高大連携も利用しつつ総合型選抜(AO入試)や公募推薦などで文系大学に進学するのが主流になってきている時代ですので、高校中退は避けるべきです。高卒認定試験(略して「高認」)による大学進学も、避けるほうが安全でしょう。もはや、高認の制度が現状に追い付いていません。高校に在籍しない高認では、原理的に高大連携の恩恵は受けられず、そのぶん自己アピールが難しくなります。 == 実験校の成果と文理コース分け == 「高校のコース分けで、なぜ、文理のハイブリッド型のコースが2010年代以降の現代には無いのか?」とか、「なぜ文理ハイブリッド教育が非効率だと分かるのか?」とか、なぜそれを高校や教育委員会が知っているのか、奇妙に感じたことないですか?  なぜ教育委員会や各高校が文理ハイブリッドが難しいと知っているのかと言うと、実はもう試したんですよ、2005年くらいまでに。 いわゆる、非公式に「実験校」とか言われる公立高校と一部の有志の私立高校で、それ試したんです。書籍化してない情報源であることと取材先の個人情報があるので出典はあげられませんが、この節を書いている編集者Sの地域では、公立の高校偏差値55の高校で、「文系コースの高校3年に(理系向けの)数学III(すうがくサン)の必修」という実験が行われていました。 なお、「実験校」は俗称ではなく、文科省や内閣府なども公式文書で用いる表現です<ref>pdf [https://www8.cao.go.jp/kisei/giji/02/wg/tokku/gaiyo3-2.html 内閣府 総合規制改革会議 『(1)文部科学省から資料に基づき説明』 ]</ref><ref>[https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/020-17/siryo/06030301/002.pdf 『「本協議会において協議するべき事項の整理(案)」に対する各委員のお考え(概要)』 H18.1.30 ]</ref>。wikiのこのページでは行政が公式に実験校として公表した学校以外にも、カリキュラムなどの分析から、実質的に教育実験的な取り組みをしていると考えられる高校にもついても、本wikiでは「実験校」と呼んでいます。 平成の2001年前後の当時、数学Cの内容は令和とは違い、当時は理系コースの内容でした。しかし実は偏差値55の文系の高校3年生なら、数学Cの履修と習得はなんとか可能です。 でも、せっかく文系生徒が数学Cを履修しても、入試では文系向けの数学II B (すうがくニ・ビー)までしか出ないので不利になってしまったり、あるいは指定校推薦などで不利になってしまう、などの結果が分かったのです。 このため、現在では、「高校の文系コースにも理系コース科目を必修」みたいなハイブリッド教育は行われていません。 また、国立大学の教育学部の大学の付属高校は、本来、じつはそのような新しい教育カリキュラムの実験をするための高校でもあります。 しかし、上記の文系コースに理系コース科目の実験は、都道府県立などの公立高校で行われていました。このように、実験の最終段階として、一部の公立高校でも実験が行わます。 ほか、おそらく、ほかにも、まだ世間に「高大連携」という言葉の無かった2001年のころ、「探求学習」と言う言葉の無かったころ、もう教育大付属高校や各地の実験校で試していたのでしょう。 また、探究学習については、1990年代から総合学科で導入されてきました。2000年以降の総合学習や『総合的な探究の時間』は、それが普通科高校にも及んだものです。 ほか、大学付属高校なら、その学園の大学の教養課程の講義の一部を、夏期講習で教育したりとかの授業も実験済みでしょう(単位にはならない)。そういうのも実験済みなのです。 平成時代の初期、放送大学の開設などのように生涯教育が流行していたので、私立大学が地元などの地域住民などに有料の授業をしていました。地域交流も兼ねての実験です。付属高校でも大学教授が付属高校に出張して地域住民や生徒の保護者などに授業を格安でするのも試しました。実験の結果、付属高校の出張授業では地域住民には高度すぎて、レベルに合わない事が解明されました。 もう、このように色々と実験済みなのです。 こういう実験の結果、どうしても私立大学の学園が地域住民などとの交流を図るなら、決して教授の出張授業ではなく、部活動などでの行事の交流で、という方法が良いことが分かりました。 なので、これからの時代の高校生が、わざわざ同じ実験をする必要はありません。そういう実験は、教育大の付属高校などに任せておけば十分です。 == 高校図書室の蔵書のレベル == 私立でも公立でも中高一貫校でも単独の高校でも、中高の図書室の書籍はあまりレベルは高くありません。高校図書室の場合、あくまで高校生むけのレベル、および高卒社会人のレベルの平易な書籍が大半です。 つまり、大学生むけのレベルの本は、基本的には高校図書室には置いてありません。理系だけでなく文系科目の大学教科書もそうで、多くの高校では大学の法学教科書とか経済学教科書とか心理学教科書とかは、目にしないと思います。 進学校といえども、あるいは中高一貫校や私立高校といえども、図書室の蔵書の多くは、上述のような平易なレベルです。 なので、高校生が予習・復習で基礎学力をつける勉強したい場合は、図書室の本ではなく、普通に参考書や問題集など市販の教材をこなすのを優先すべきです。高校図書室の本を読むタイミングは、気になったときにだけ、手を伸ばせば十分でしょう。 あまりレベルの高い本の置いてない理由はおそらく、あくまで調べ学習などの課題で使うための書籍が中高の図書室には置いてあるからです。 そもそも、全国学校図書館協議会などの選定図書を見ても、そんなにレベルの高い書籍を選定しておらず、中高の子どもでも読めそうなレベルの本ばかりです。 なお、児童書や児童向けの図鑑なども高校図書室には置いてません。 もし大学教養レベル(大学1~2年の経済学、法学、数学、理科などの科目群)の書籍が高校図書室にひととおり置いてあれば、大したものです(つまり、たぶん置いてないでしょう)。まして、(教養レベルではなく)大学の学科ごとの専門基礎レベルの書籍は、かなりの進学高校ですら図書室には置いてないだろうと思います。特に都会の高校の場合、図書室が狭いので、そのレベルまで高校図書室に置くスペースが無いでしょう。 なお、法学の場合、法改正ごとに内容が変わるので、あまり置いてないと思います。高校の社会科に法学の科目が無いのには、このような合理的な理由があります。 理科の場合、教科書ではなく科学雑誌『日経サイエンス』とかの形で、高校を超えた範囲の書籍は図書室に置いてあるかもしれません。 雑誌の場合、古い雑誌は廃棄されますが、別に急いで読む必要はありません。なぜなら、もし科学雑誌の学説の内容が正しければ、数年後に教科書などにまとめられてるし、なのに数年後に教科書などに掲載されなければ学説が間違っているか評価されてないだけですし、どうしても読みたければあとから電子版バックナンバーを読めます。 また、バックナンバーの無い雑誌の場合、そもそも後世に内容を残すつもりのない刹那的(せつなてき)な雑誌ですので、読む必要はありません。 ハッキリ言って、高校の図書室は、市民図書館に行く時間を節約するためのものでしかありません。どのみち、高校生は授業で忙しいので、あまり借りた本を読めません。 図書館めぐりをするよりも、まずは参考書で基礎学力をつけるのを優先すべきでしょう。 さて、地方の人は分かりづらいかもしれませんが、都心だと市民図書館にホームレスとか居たりする地区もあるので、そういう意味で学校図書室は必要ではあります。 必要ではありますが、あまり積極的に高校図書室の本を読む必要はありません。自習室の代わりに高校図書室を使う人も多いでしょうか。 == 校則の傾向 == === スマホ・携帯電話などの校則の傾向 === だいたいどこの私立高校でも、スマホや携帯電話は、校内の持ち込み自体は可能でも、校内での使用は原則禁止です<ref>[https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/lifestyle/entry/2022/026712.html ※たとえば中央大の付属高校 ]</ref><ref>[https://www.hosei.ed.jp/high/qa/ ※ サイト『学校生活Q&A | 高等学校 | 法政大学中学高等学校』にて次をクリック『学校生活上の主な校則について教えてください。』]</ref>。なので、学校の到着後に電源を切らされます。 上記の校則の場合も他の校則でも、もし違反すると、多くの高校で、反省文を書かされたり、教師から指導されたりします。 朝の朝礼から夕方の終礼まではスマホ・ケータイ禁止という私立高校もあります<ref>[https://www.zyuken.net/school_page/11311331184/bbs_query/%E6%A0%A1%E5%89%87/#google_vignette ※ たとえば青山学院の付属校 ] </ref>。朝の学活で学級担任にスマホなどを預けなければいけない場合もあります<ref>[https://www.meinaka.jp/admission/faq.html ※サイト『よくあるご質問|明治大学付属中野中学・高等学校』にて『生活指導は』をクリック]</ref>。 持ち込み自体は認められる背景事情として、登下校などで防犯のためにスマホ・携帯電話の所持が認められる等の理由がありますので(特に女子とか夜道の帰りは危険なので)、スマホ持ち込み自体は禁止されてない私立高校も多いと思います。しかし多くの私立高校では、少なくとも校内での朝礼から終礼までの使用は原則禁止です。 ルール違反して電源いれたままにしたりとかケータイ使う人は軽く考えてるのかもですが、しかしもし授業で使う回線がパンクするとシャレにならないので(もっともスマホ電源を切れば回線はすぐに回復するでしょうが)、ルール守って授業中は絶対に電源を切ってください。 回線が2分で回復しても、1クラス40人なら、最低でも2分×40人=80分のロスですので、気を付けてください。 学校は生徒数が多いので、一人ひとりは大した通信量ではなくても、全校生徒数(たとえば1000人以上とか)で倍増されると回線がパンクしかねないのです。 ;保護者への連絡 なので、もし高校進学後に文化祭など行事の準備などで帰りが遅くなりそうなときは、事前に保護者に伝えておきましょう。保護者との電話は放課後や下校時も、最低限の連絡だけをして、あとは切りましょう。 そもそも多くの私立高校で、あらかじめ保護者向けの連絡サイトなどを事前に用意しています(保護者への従来あった配布プリントをコスト削減のペーパーレス化のため、現代ではそういう保護者むけサイトが用意されています)。 そういうのを知らないニワカの大人が、やたらとケータイの必要性をアピールします。 ;カメラの原則的な禁止 カメラ機能などについても、多くの私立高校では、盗撮や肖像権などのトラブル禁止のため、ケータイ・スマホやデジカメでの撮影は原則禁止という高校も、校則を調べるとよく聞きます。(もし部活などで運動部のフォームの確認とかで、どうしても動画の撮影が必要な場合などは、顧問など教師の許可を取りましょう。) === アルバイト・運転免許の校則の傾向 === 令和の今でも、アルバイトは、高校に届け出をして許可された生徒のみ、という傾向。 バイク(原動機付き二輪車)などの運転免許も同様。令和の現代は、正当な理由があれば運転免許をとれるだけ昭和よりかは少しはマシです。 上記の校則にしたがうという宣言の誓約書(せいやくしょ)を入学時などに書かされる場合もあります。 == 自転車通学 == あまり明確な基準もなければ法令もないですが、高校の市町村および隣接市ていどの地元民以外は自転車通学が許されてないのが一般的な慣習です。どの高校も、そんなに駐輪スペースが広くありませんので<ref>[https://www.hosen.ed.jp/question/%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A%E9%80%9A%E5%AD%A6%E3%81%AF%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F/ ※たとえば宝仙学園 中学校・高等学校]</ref>、自転車通学には、なんらかの制約があります。 どの高校も、最寄り駅から校舎の近くまでにバスが出ているのが通例なので、離れた地域の人は、そのバスに乗ってもらい通学してもらう事になります。また駅を使う場合は、自転車通学不可、というのが一般的だと思います<ref>[https://www.tokyoseitoku.jp/hs/admission/qa/ ※たとえば東京成徳]</ref>。 一般的に、駅を使う人は、バス通学か、徒歩、になるでしょう。 つまり、自宅からの直接通学でないと<ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/entranceguide/qa_h.html ※たとえば成蹊の付属校 ] </ref>、自転車での通学が認められない、という例もよくあります。 あるていどの距離が離れていないと、自転車通学を認めない高校もあります<ref>[http://www.keiai.ed.jp/exam/faqs/index.html ※たとえば敬愛 ]</ref><ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/entranceguide/qa_h.html ※たとえば成蹊]</ref>。この場合、近所にある人は、高校に歩いていくことになります。 また、都内だと、駐輪スペースや道路の狭さなどの問題で、自転車通学が禁止されている場合もあります。形式的には自転車通学を明確には禁止していない高校もありますが、しかし都内の敷地の狭さなどの問題も考えれば、事実上は自転車通学に対する制限がつよいと覚悟したほうが良いでしょう。 自転車通学が認めらている場合でも、高校の許可が必要です。 よくアニメだと、登場人物の高校生キャラが番組オープニング映像で自転車をこいでいたりするシーンがありますが、あれは単に制作スタッフであるアニメーターたちの技量自慢ですので(自転車の運転は書くのが難しい)、真に受けてはいけません。 ;受験時とは別 なお、高校受験時の通学方法とは別です。高校受験の時点では、高校の最寄り駅からバスなどで通学することになります<ref>[https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1033695575 Yahoo知恵袋『公立入試のときに自転車で行ってもいいんでしょうか?』2009/12/3 22:28] 2024年03月31日に確認.</ref><ref>[https://www.zyuken.net/school_page/11110723112/bbs_id/199951580470924/ 高校受験ナビ『浦和第一女子高等学校 - 埼玉県 公立』2020/01/31(金) ] 2024年03月31日に確認.</ref>。 もし、住んでいる場所が、高校の最寄り駅から反対方向に例えば3km以上離れた地域の場合、受験時は大幅に迂回(うかい)して、電車とバスで通学することになるでしょう。 なお、バスは有料かもしれません。なので受験日は、お金を余分に持って行ってください。 == 修学旅行の無い高校もある(研修旅行など) == 修学旅行の無い公立高校もあります<ref>[https://eduzukan.jp/jhs/484/article/59502 『高校の修学旅行事情 ~訪問先、費用、コロナ禍を経ての変化など~』 ]</ref>。公立の定時制高校<ref>[http://www.michimori-h.ed.jp/te-aboutteijisei/te-q-and-a/ 福井県立道守高等学校『福井県立道守高等学校 | ~ 道はここから ~』 ]</ref><ref>[https://www.chiba-c.ed.jp/funako/nightcourse/manabou/manabou.html 『千葉県立船橋高等学校 定時制』 ]</ref>(いわゆる夜間高校)や通信制高校など、その可能性があります。 公立の定時制では、少子化による生徒数の減少により、そこそこの数の定時制高校が、その定時制課程では修学旅行を行っていない場合もあるのです<ref>pdf [https://center.gsn.ed.jp/wysiwyg/file/download/1/1740 『2 沼田高等学校 岩田悦夫 - sg_02.pdf』]</ref>。 なので、お金に余裕がある家庭なら、なるべく全日制(朝9時くらいに授業の始まる高校)に通いましょう。読者が親なら、子をなるべく全日制に通わせましょう。 ;「研修旅行」 名称が、修学旅行ではなく林間学校・臨海学校でもなく「研修旅行」という名前で同様の学校行事を行っている高校もあり、公立<ref>[https://www.pref.shimane.lg.jp/admin/seisaku/koho/teian/record/2022/202206/A2022-00116.html 『島根県:高等学校の修学旅行について(トップ / 県政・統計 / 政策・財政 / 広聴・広報 / 知事への提案箱 / 今までにいただいたご提案と回答 / 2022年 / 2022年6月)』]</ref>でも私立<ref>[https://www.soei.ed.jp/s_senior/domestic_training/ 『国内研修旅行 | 横浜創英中学・高等学校』]</ref>でもあります。地方に限らず首都圏でも「研修旅行」の高校はあります<ref>[https://www.soei.ed.jp/s_senior/domestic_training/ 『国内研修旅行 | 横浜創英中学・高等学校』]</ref><ref>[https://www.johoku.ac.jp/tag/%E7%A0%94%E4%BF%AE%E6%97%85%E8%A1%8C/ 『研修旅行 | 城北学園 城北中学校・高等学校』 ]</ref>。 学校によって「研修旅行」の意味合いは微妙に違い、修学旅行や林間学校・臨海学校のことをまとめて「修学旅行」と言う場合もあれば、修学旅行や林間学校・臨海学校とは別の小数の希望者だけの旅行のことを「研修旅行」と言う場合など、意味が学校ごとに違っていますので、てっきり同じ意味かと勘違いしないように気を付けてください。 ;昼間定時制 なお、私立の中央大学高校は定時制ですが(独自の校庭をもたずに中央大学の校舎を利用しているので、国の全日制の設置基準を満たせない)、高校サイトによると修学旅行があるようです。 朝から授業開始しているのに、時間帯とは別の事情などにより全日制でなく「定時制」の高校のことを『昼間定時制』と言います。上述の中央大学高校は昼間定時制です。 ほか、私大付属では、国士舘大の付属校が昼間定時制ですが、高校サイトによると修学旅行があるようです。 ただし、その他の、特に私大付属校などではない、地方などの昼間定時制の私立高校は、修学旅行があるかどうか知りません。 == 部活のイメージと実態 == === 少ない部活 === マンガだとよく見る部活であっても、実際の日本では、その部が存在している高校が少ない部活もあります。 ==== 文化部 ==== ===== パソコン部の無い高校は意外と多い ===== たとえば都立トップ高校の日比谷高校には、パソコン部とかコンピュータ部みたいな部活は存在しません<ref>[https://hibiya-h.metro.ed.jp/ClubActivity/Club.html 『*部活動* HIBIYA HIGH SCHOOL』] 2024年03月31日に確認.</ref>。 私立だと、青山学院の付属校には、存在していません<ref>[https://www.agh.aoyama.ed.jp/school_life/club/index.html 青山学院高等部『クラブ・同好会一覧』]2024年03月31日に確認.</ref>。学習院高校にも、存在していません<ref>[https://www.gakushuin.ac.jp/bsh/slife/club/ 学習院高等科『クラブ活動』]2024年03月31日に確認.</ref>。成蹊高校にも、存在していません<ref>[https://www.seikei.ac.jp/jsh/schoollife/club_seitokai/club/ 成蹊中学・高等学校『クラブ活動』 ]2024年03月31日に確認.</ref>。(なお、成城高校はちょっと微妙で、メディアアート部というのがある。<!-- 成城学園高校は、似た名前の成城高校の情報との区別がつきずらず不明 --> 別に偏差値の高い高校にパソコン部が無いわけではなく、例えば開成高校にはパソコン部があります。私立だと、慶応の付属校のひとつにパソコン部がありますし、明治大学や中央大学の付属校にもパソコン部があります。 「情報部」とか「情報処理部」と言った名前の場合もあります。たとえば麻布大の付属高校のパソコン系の部活は「情報部」です。なお、麻布高校は、高校募集を停止しています(中学受験で付属中学に進学しないと入れない)。 東京電機大学の付属高校とか芝浦工業大学の付属高校だと、パソコン部があります。 やはり、学校名と言うのは重要で、工業大学の付属校みたい高校には、そういう工業系の趣味の子供が集まってきます。 やみくもに偏差値を上げることを目指すのではなく、もっと自分に合った進路を考えましょう。 なお、芝浦工大の付属校は高大連携で、芝浦工大との実習授業があり、たとえばスパゲティブリッジ(「パスタブリッジ」ともいう)の強度実験とかしています。スパゲティで橋(はし)をつくって、構造の強度確認するのです<ref>[https://twitter.com/shibaurafzkkoho/status/1721494681429934550 芝浦工業大学附属中学高等学校、ツイッター(現X)のツイート、2023年11月6日 、] 2024年02月15日に閲覧. </ref>。 もし、チタン合金とか元から上部な材料で試作品ミニチュアをつくってしまうと、構造に欠陥があっても(たとえば特定の箇所に力(ちから)が集中して折れやすいとか)、チタンなどの材料のせいで丈夫になってしまうので、構造そのものの欠陥が見つけづらくなってしまうのです。だから、構造そのものの開発をする場合は、当、スパゲティのパスタとか 割りばし とかの弱い材料を使って、それで実験するのです。 こういう高大連携授業の違いとかもあるので、私立受験や私大付属校の受験では、偏差値だけで選ぶのではなく、高校名とか、偏差値以外のことにも注目したいものです。 なお、スパゲティブリッジの実験をするには、荷重(かじゅう)を加えるための設備が必要なので、一般の高校では実験の実施は難しいと思います(工業高校か、工業大学の設備をつかえる環境でないと困難かと思います)。 ===== 新聞部のある私立高校は少ない ===== ほとんどの高校に、新聞部はありません。マーチの大学付属校の高校を見ても、たとえば青山学院、中央、法政、立教の付属高校には、新聞部はありません。(明治の付属校には、一部の高校にある)埼玉の慶應の付属校(男子校)と、東京なら学習院の付属校に、新聞部はあります。 千葉県では、新聞部のある私立共学校はたった1校ですし、公立・私立あわせても2校です。埼玉県では共学では私立は2校です<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/cultural/club.html?c=newspaper 高校受験スタディ『部活に「新聞部」のある高校』 ] 2024年03月31日に確認. </ref>。 私立高校には、同窓会誌・保護者むけの広報誌などを自前でつくっている私学もあり、あまり高校生の出番はありません。 ===== 「天文部」のある私立高校は少ない ===== ほとんどの高校に、「天文部」はありません。ただし、「地学部」または「科学部」「サイエンス部」などはある高校もそこそこだと思います。サイエンス部などで、特別な日だけ夜間にも天文観測を行える高校もあります。 たとえばマーチの大学付属校を見ても、立教池袋(なお男子校)のほかは、「天文部」はありません<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/cultural/club.html?c=astronomy 高校受験スタディ『部活に「天文部」のある高校』] 2024年02月16日に確認.</ref>。 四工大ですら、工学院大の付属校以外には、「天文部」はありません。 慶應の付属校(埼玉と神奈川)には天文部がありますが、早稲田大の付属校には天文部は見当たりません。 また、「天文部」のある高校は、関東地方では多くが公立高校です。 なお、天文部が夜間の高校に入って天体観測するのは、「合宿」の一種という扱いです。普段は、生徒下校時刻(午後6:30 くらい )以降の夜間の学校では観測できません。 普段は、昼間でも観測できる太陽の黒点などを観測したり、天体の勉強をしたりします。 (例外として、合宿など特別な日でないと、高校側から夜間の下校時刻以降の高校立ち入りは許可されないでしょう。) ==== 運動部 ==== ===== 応援団部 ===== もしかしたら部活以外の形で「応援団」はあるかもしれませんが、しかし少なくとも「応援団部」という部活動での形のある高校は少なく、報告されているかぎり首都圏で高校数は30~40校ていどです<ref>[https://www.studyh.jp/kanto/special/club/sports/club.html?c=cheer_group 高校受験スタディ『部活に「応援団部」のある高校』 ]</ref>。 運動部の公式試合などでは、応援団のようなものが必要な場合、試合に出られなかった同じ部に生徒に応援をさせる場合もあります。このため、独立した部活動としての応援団の必要性がうすい可能性も考えられます。 部員数の少ない運動部の場合の応援の生徒が誰になるのか気になりますが、まあ、ともかく独立した部活としての「応援団部」の存在の報告は、少ないのが現状です。報告ではなく実態がどうなのかは当wikiでは知りません。そこまで調べる義理はありません。 女子高では「応援団部」はゼロです。 なお女子の場合、応援をする部活は、応援団ではなく「チアリーディング部」などになり、ボンボンをもって応援するアレになります。男子高のチアリーディング部はゼロです。 なお、チアリーディングを競技化したものをソングリーディングと言い、「ソングリーディング部」の形で応援団の部活をもっていると思われる共学高校および女子高がいくつかあります。おそらく、女子だけの競技かと思います。 ほか、女子ダンス部が、チアリーディング部の場合があります。高校ごとによるので調べてください。 必ずしもダンス部がすべて応援系とは限らず、たとえば専修大学の付属高校ではチアリーディング部とは別にダンス部もあります<ref>[https://senshu-u-h.ed.jp/life/club/ 『クラブ活動 | 専修大学附属高等学校』 ] 2024年02月16日に確認. </ref> === その他、イメージと違いそうな部活 === ==== 軽音楽部 ==== マンガだと作劇のしやすさから、5人くらいのバンドメンバーで物語が進んだりしますので、出身中学に軽音楽部の無かった人には軽音楽部はなんとなく部員数が少人数っぽさそうなイメージがありそうですが、しかし実際の軽音楽部の部員数は、そこそこ多いのが2020年代の現状では普通です<ref>[https://www.yms.ac.jp/yokohamanote/detail-020/ 『高校軽音楽部について語ろう。』2019.8.09]2024年03月31日に確認.</ref>。首都圏の高校だと、公立でも私立でも部員数が30人とか超える場合もあります。私立のマンモス中高一貫校などだと部員が100人ちかく行く場合もあるのが、2020年代での現状です。 2020年代の現状、軽音楽部が存在しない高校もありますので、もしそういう高校で軽音楽同好会を設立すれば5人の部活にもなるかもしれません。一方、そうではなくて既に軽音楽部がある高校の場合なら、軽音部の部員数は他の部活と同じく十数人は超えるのが普通です。 ステージ上の人数の4~5だけ見て、けっして部員数だと誤解しないように。部員数の多い軽音楽部のなかには、バンドが複数個あって、各バンドあたりの人数が4~5人なだけです。たとえば1バンドで4人の場合、部員が40人なら、部内バンドが40個ある軽音楽部になります。 == 大阪と東京の授業料無償化 == 東京と大阪で、私学も含めての授業料のほぼ無償化の政策が出されています。無償化あるいは同等の公的援助の対象は、あくまで'''授業料のみ'''です。つまり、建物の施設費用、部活の費用、修学旅行の費用などは別途かかりますので注意してください。 また、教材費、修学旅行の費用などは、公立も私立も有料です。公立高校でも、諸経費を徴収しているので、どこの都道府県でも年間50万円くらいの学費は掛かっています。私立高校は、公立よりも高くなりますので、公立50万円よりも高い学費を払える能力が私立進学の家庭には必要です。 ネット上には、私立の学費で施設費用などが必要なことを知らない人も多く、どうも「私立の学費が0円になる」という勘違いをしているような頭ヘンな人が、意味不明な政治主張をしている例も多いですが、けっして真に受けてはいけません。 ネット上には「私立の建物に税金投入するなんて許されない!」とか、まったく起きてない事例を批判している、頭おかしい人もネットに多くいます。無償化の対象は授業料だけです。建物は対象ではないです。 無償化されるのはあくまで授業料のみであり、建物さんは授業もしてないし、建物さんが教員免許を保有しているわけでもないので、頭おかしい人が頭おかしい事をネットで主張しているとしか言いようがない。 ほか、公立高校の学費を、勘違いして0円 ~ 年間10万円 程度だろうと勘違いしている頭おかしい人もネット上には多くいます。 == 旧制高校と新制高校 == よくある勘違いなのですが、第二次世界大戦の終戦前の旧制高校は、今の高校には相当しません。 たとえば「旧制一高」(きゅうせい いちこう)は、今の東京大学の駒場(こまば)キャンパスの場所にあった高校です。旧制に東京府立一中だった戦後の都立・日比谷(ひびや)高校とは、関係ありません。 == 参考文献 == === 書籍 === * 佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、 * 酒井朗 ほか編著『よくわかる教育社会学』、ミネルヴァ書房、2012年4月20日 初版 第1刷 発行、 === 脚注 === o7jxojjs2467hac9iocooontezr5x6l 中学受験・高校受験の共通のガイド 0 39145 246463 246007 2024-04-10T06:52:05Z すじにくシチュー 12058 建て替えとプレハブ校舎 wikitext text/x-wiki :* [[高校受験ガイド]] > 中学受験・高校受験の共通のガイド :* [[中学受験ガイド]] > 中学受験・高校受験の共通のガイド == 部活関係 == === 女子高・男子校から共学化した中高の運動部 === 2010年以降の近年、女子高から共学になる私立学校、男子校から共学になる私立学校が少なからずあります。 注意点として、基本的に、「その学校に存在する部活の運動部の種類が、既存の男女別学の場合の部活に限られる」傾向が多いことです。特に、野球・ソフトボールやサッカーなどの広い敷地を使う屋外スポーツの運動部に、その傾向があります。 つまり、たとえば'''女子高から共学になった場合'''、基本的に(男子の)'''野球部とサッカー部が無い'''高校になります。ラグビー部やアメフト部は、無いです。 同様、'''男子校から共学になった場合'''、基本的に'''ソフトボール部が無い'''高校になります。柔道部も無い可能性が高いです。 また文化部ですが、元男子校の共学は'''茶道部・華道部などが無いことが多く'''、おそらく和室そのものが用意されてない可能性が高いです。別に和室が無くても茶道などの練習は可能ですが、そういう設備状況だという事は覚悟してください。ほか、音楽室があるはずなのに関わらず'''吹奏楽部が無いことも多く'''、まるで工業高校みたいに'''音楽部しかない'''場合も2020年の現状ではあります。ただし、野球と違って吹奏楽は練習場所がそれほど広くないし、さすがにどの高校にも音楽室はあるので、吹奏楽部は時間がたてば解決するでしょうが、しかし予想として練習場所が狭く、合唱部と練習スペースを取り合う問題は残っています。 あるいは、もし野球部・ソフトボール部やサッカー部を設立しても、かなり練習場所が狭い、あるいは練習できる曜日が限られる可能性があります。基本的に、他の部活と交代で、週に数日だけ校庭で練習、みたいな事になります。ほか、柔道部も、元女子高の共学には、無い可能性がかなり高いです。 このように、元男子校・女子高から共学になった場合、部活の種類および練習スペースが、学校の昔の対象者の性別と違う異性にとっては、とても(部活が)限られます。これは、その私立学校の経営規模には関係なく、たとえ大学付属校でも上記のように、部活が元の男女別学のものに制限されます。 ほか、部室棟(ぶしつとう)の部屋数は増やせませんので、運動部の設立は色々と大変です。 == 私立・公立の文化・設備の違い == ==== 掃除 ==== 一貫校に限ったことではないのですが、私立には毎日の掃除(そうじ)は無いです。生徒は月あたり10分とか時々、教室をゴミ拾いていどの掃除するくらいです。 普段は、清掃業者の人が掃除しています。特に、トイレ掃除は基本的に無いです。清掃員がトイレ掃除をするのが普通です。 生徒による、雑巾(ぞうきん)による掃除も無い。そのため、勉強時間が長くできる。 なお、さすがに日直ていどの月1回くらいの掃除は私立でもあったりする。 ただし中学の場合、もしかしたら私立でも、シツケの一環として雑巾そうじなどが時々あるかもしれません。 ==== エレベーター ==== 私立中学や私立高校には、エレベーターが設置されていることが多いようです。(非公開の私学もあるので、詳細は不明。伝聞(でんぶん)である。) ですが、よほどの高層ビルの階数の多い私立学校でないかぎり(東京都心の学校にあるようなヤツです)、このエレベーターは車イス者や松葉づえ者のような身体障碍者(しょうがいしゃ)用の設備であるのが普通でしょう。基本的には、生徒は階段を歩いて上階に行く必要があります。 なお、地方などにある普通の中学高校の階数は(私立も高校も)3~4階です。3~5階くらいなら、歩いて階段を上ることになります。 私立に限らず、国公立でも、基本的に利用客の多い公共施設にあるエレベーターは、身体障害者用だけが利用できる設備です(ほか、重量物の運搬でしか、生徒は使う事が許されません)。たとえば駅にあるエレベーターなども、そのような傾向があります。 駅や学校など、利用者の多い公共施設では、電気代などを節約するため、障害者以外の使用は、本来は(公共施設管理者によって)禁止されているのが普通です。 ;公立中高はエレベーターが少ない 2020年代の現在、公立中学にはあまりエレベーターはなく、全国で27%ていどです<ref>[https://reseed.resemom.jp/article/2020/12/10/914.html 『公立小中校舎のエレベーター設置は27.1%…文科省調査』 020.12.10 Thu 16:50]</ref>。 これから少子化の進行・長期化で、(定員割れを起こす公立学校がどんどん増えて)公立学校が統廃合される見込みなので、公立中高に新たにエレベーター設置をする機運はおこりづらいと思います。 また、老朽化で解体する予定の古い校舎にエレベーターをつけても投資効果が低そうです。公立中高では、老朽化した校舎の建て替えの際などに、エレベーターが設置されるでしょうか。 ==== トイレ ==== ;障害者用トイレ なお、トイレに関しては、公立も私立も、中高とも、とりあえず障害者用トイレが少なくとも1つはあるのが普通です(エレベーターと違い、改修費用が低いので)。 ただし、校舎の全トイレの部屋にそれぞれ障害者用トイレがあるかというと、実際にはそうでない高校もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=s_AfV6DF8IQ MBS NEWS 著『【高校トイレ改革】公立高のトイレに「温水洗浄機能」「音消し装置」も!学校選び対策で重要なトイレ改革(2022年5月12日)』 2022/05/12 ]</ref>。 多目的トイレの形の男女共用トイレがある学校もあるでしょうが、どちらかというと男女別々のそれぞれのトイレに、それぞれ1個ずつ障害者用トイレの便器があることのほうが多いと思います。(なぜなら男女共用トイレを増やすと、敷地が足りなくなるので) == 建て替えとプレハブ校舎 == 私立か公立かに関係なく、校舎の建て替え(たてかえ)をする場合、教室がプレハブなどの仮設校舎になる場合があります。なお、中学・高校に関係なく、小学校や大学などでも同様の建て替えとプレハブ校舎の可能性があります。 公立小中の場合なら、少子化で余っている他校の教室などを使えるかもしれませんが、私立の場合はそれは難しいので(しかし全くの不可能ではない)、プレハブ校舎になる場合もありえます。 めったにない事ですが、一応、こういう事もあります。 ほか、受験とは関係ないですが、大型マンションが建設されるなどして急激に人口が増えると、特に学区の制限のつよい小中学校ではプレハブ校舎になる場合もあります。 急激に人口の増えた地区の学校など、プレハブ校舎を使うことになる場合があります<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20231219-OYTNT50209/ 『少子化なのに教室不足?…熊本市立小中学校の2割プレハブ校舎使用、老朽化でトラブルも 』 2023/12/20 09:33 ] 2024年04月10日に確認.</ref>。 == 海外「留学」ではなく語学研修である == 私立の中高だと、海外での語学研修のある学園もあります。 一応、制度上は海外の高校で1年間の授業を受けることで日本の高校教育の単位(36単位まで)をとれる正式な長期「留学」制度もありますが<ref>[https://www.jaac.co.jp/purpose/hs-single/way JAAC日米学術センター『在学留学と休学留学について』 ]</ref><ref>[https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1292020.htm 文部科学省 著『学校教育法施行規則の一部を改正する省令について(高等学校等における外国留学時認定可能単位数の拡大)』 ]</ref>、しかしそれを採用している私立高校はかなり少数です。 ;英語以外のほかの科目は犠牲になる けっして学校の週2~4コマていどの授業や、あるいは英会話学校・英語予備校などだけで、英語がしゃべれたり、ビジネスや仕事などで使えるようになりません。さらに、自発的な多くの学習時間が必要です。 == 塾 == === 入塾の条件 === そもそも、塾は誰でも入れるわけではありません。 集団塾は、集団で授業を受けるのが困難な子供の場合、入塾を断ることがあります。個別塾でも、事情によっては入塾が拒否されます。これを「入塾拒否」と言います。 ;日本語が理解できない 日本語が通じないのは、入塾拒否の対象です。 '''保護者が日本語が通じないのも、入塾拒否'''です。たとえ子供本人は日本語を出来ていても、保護者への連絡などのヤリトリが不可能なので、入塾拒否になります。 塾側からすると、通訳をいちいち雇用するわけにはいきません。 ;障害の有無と程度 たとえば身体障害が極端にひどく、目が見えない、耳が聞こえない、などの障害の場合、集団塾への入塾は難しいと思います。 視力が弱くてメガネでも入塾は出来ますが、さすがに視力ゼロみたいで視界が真っ暗なのだと入塾は無理です。 どうしても学校以外の民間の有料の教育サービスを使いたい場合、(集団塾ではなく)個別指導塾や家庭教師などを使うことになります。 ;塾の方針に賛同できない家庭は入塾お断り 塾には、それぞれ方針があります。たとえば、居残り学習の有無など。特に中高生の場合、女子でも居残りで帰宅が遅くなる場合もあるが、そういうのに賛同できるか等です。 逆に、居残りをさせない方針の塾もありえます。その場合、子供が自分で勉強する必要がありますが、そういうのに賛同できるかです。 ほか、飲酒の禁止、喫煙の禁止など、未成年を対象にするなら、どの塾にもこの方針があります。個別塾も同様です。 ;お金の支払いが遅いと退塾 塾の受講料などのお金の支払いが遅いのが慢性的だと、たとえ結果的にお金を支払っても、退塾させられる場合があります。なぜなら塾側からすると、入金の催促(さいそく)の電話とかでも講師の人件費を無駄にするからです。 ;極端に学力が低い たとえば、中学3年生にもなってアルファベットもろくに書けないとか、そういうのは集団塾への入塾を断られる場合があります。 極端に学力が低い人は、個別指導の補習塾とか、そういうのに行くことになります。 ;住所などを教えないなど 住所や電話番号などの連絡先を塾に教えないとか、そういう人は入塾がお断りです。 塾を、まるでコンビニかスーパーのように勘違いしていて、「なんであなたに住所を教えないといけないの!?」みたいな事を言うバカな保護者を、塾は相手にしたくないのです。 塾講師は知能労働者ですので、バカを相手にしたくないのです。 ;態度が悪い 極端に態度が悪いと、退塾させられる場合があります。 子供、保護者の少なくとも片方が、極端に態度が悪いと、退塾です。 子供の態度の悪さなら、授業中に私語が多い、授業中に歩き回る、などなど、退塾です<ref>[https://ameblo.jp/rx-8-red-34/entry-12722519720.html 『入塾を拒否される』2022-01-21 18:00:20 ]</ref>。 ほかの塾生にも迷惑が掛かるので、退塾になります。 塾講師は知能労働者ですので、バカを相手にしたくないのです。 ;知能障害など 塾講師は、養護教諭ではないので、対応できません。よって、知能障害などは、入塾拒否です。 塾というのは、義務教育の学校ではないので、知能障害児は受け入れてもらえません。 ;暴力行為、暴言、その他の違法行為 退塾です。 === 入塾のタイムスケジュール === 塾は、入塾しようと思っても、すぐには入塾できないのが普通です。面談などの確認や手続きがあるので、申し込みを開始してから半月~1か月ほどの時間が掛かる場合もあります。 このため、たとえば「中学3年生の4月に塾のスタートを切ろう」と思ったら、それよりも前に、たとえば2年生の冬期講習あたりから入塾を開始するほうが安全です。 特に春の3~4月は年度の変わり目なので、塾側の事務手続きや人事異動(じんじ いどう)などの負担も重なって、入塾が遅れる可能性が高いです。 ほか、定員オーバーによって、つまり講師の数が足りない、教室の数が足りない、などの理由で、すぐには入塾できない場合があります。 事前に余裕をもって入塾しましょう。 === 塾の保護者会 === 高校受験でも中学受験でも、多くの塾には、保護者会があります<ref>[https://e-tr.jp/articles/detail/111/ 『塾の評判を高める、保護者会の上手な開催方法とは』2023.02.24]</ref>。年に数回、塾の方針の説明や、昨今の受験の制度などの解説や、保護者にどう子供を受験勉強を指導すべきかの助言などをするかと思われます。 いっぽう学校側では、公立小学で保護者むけの受験指導しないのは当然ですが、中学ですら保護者むけに何も指導しませんので、保護者は各自で自分で調べる必要があります。 もっとも、塾の講師だって忙しいので、塾の保護者会で説明されるていどの受験制度の説明は、確認程度の基本的なものです。 あいにく書店を見ても、保護者むけの書籍は少なく、私学の受験制度などの傾向などを説明した書籍は少ないです。地域にも寄りますし、あまり市場規模が大きくないのかもしれません。 == 参考文献 == === 書籍 === なし(2024年03月31日の時点) === 脚注 === crhini6yepjit5jy9wqporfouzw3yd6 246464 246463 2024-04-10T06:55:16Z すじにくシチュー 12058 節のレベル調整 wikitext text/x-wiki :* [[高校受験ガイド]] > 中学受験・高校受験の共通のガイド :* [[中学受験ガイド]] > 中学受験・高校受験の共通のガイド == 部活関係 == === 女子高・男子校から共学化した中高の運動部 === 2010年以降の近年、女子高から共学になる私立学校、男子校から共学になる私立学校が少なからずあります。 注意点として、基本的に、「その学校に存在する部活の運動部の種類が、既存の男女別学の場合の部活に限られる」傾向が多いことです。特に、野球・ソフトボールやサッカーなどの広い敷地を使う屋外スポーツの運動部に、その傾向があります。 つまり、たとえば'''女子高から共学になった場合'''、基本的に(男子の)'''野球部とサッカー部が無い'''高校になります。ラグビー部やアメフト部は、無いです。 同様、'''男子校から共学になった場合'''、基本的に'''ソフトボール部が無い'''高校になります。柔道部も無い可能性が高いです。 また文化部ですが、元男子校の共学は'''茶道部・華道部などが無いことが多く'''、おそらく和室そのものが用意されてない可能性が高いです。別に和室が無くても茶道などの練習は可能ですが、そういう設備状況だという事は覚悟してください。ほか、音楽室があるはずなのに関わらず'''吹奏楽部が無いことも多く'''、まるで工業高校みたいに'''音楽部しかない'''場合も2020年の現状ではあります。ただし、野球と違って吹奏楽は練習場所がそれほど広くないし、さすがにどの高校にも音楽室はあるので、吹奏楽部は時間がたてば解決するでしょうが、しかし予想として練習場所が狭く、合唱部と練習スペースを取り合う問題は残っています。 あるいは、もし野球部・ソフトボール部やサッカー部を設立しても、かなり練習場所が狭い、あるいは練習できる曜日が限られる可能性があります。基本的に、他の部活と交代で、週に数日だけ校庭で練習、みたいな事になります。ほか、柔道部も、元女子高の共学には、無い可能性がかなり高いです。 このように、元男子校・女子高から共学になった場合、部活の種類および練習スペースが、学校の昔の対象者の性別と違う異性にとっては、とても(部活が)限られます。これは、その私立学校の経営規模には関係なく、たとえ大学付属校でも上記のように、部活が元の男女別学のものに制限されます。 ほか、部室棟(ぶしつとう)の部屋数は増やせませんので、運動部の設立は色々と大変です。 == 設備 == === 私立・公立の文化・設備の違い === ===== 掃除 ===== 一貫校に限ったことではないのですが、私立には毎日の掃除(そうじ)は無いです。生徒は月あたり10分とか時々、教室をゴミ拾いていどの掃除するくらいです。 普段は、清掃業者の人が掃除しています。特に、トイレ掃除は基本的に無いです。清掃員がトイレ掃除をするのが普通です。 生徒による、雑巾(ぞうきん)による掃除も無い。そのため、勉強時間が長くできる。 なお、さすがに日直ていどの月1回くらいの掃除は私立でもあったりする。 ただし中学の場合、もしかしたら私立でも、シツケの一環として雑巾そうじなどが時々あるかもしれません。 ===== エレベーター ===== 私立中学や私立高校には、エレベーターが設置されていることが多いようです。(非公開の私学もあるので、詳細は不明。伝聞(でんぶん)である。) ですが、よほどの高層ビルの階数の多い私立学校でないかぎり(東京都心の学校にあるようなヤツです)、このエレベーターは車イス者や松葉づえ者のような身体障碍者(しょうがいしゃ)用の設備であるのが普通でしょう。基本的には、生徒は階段を歩いて上階に行く必要があります。 なお、地方などにある普通の中学高校の階数は(私立も高校も)3~4階です。3~5階くらいなら、歩いて階段を上ることになります。 私立に限らず、国公立でも、基本的に利用客の多い公共施設にあるエレベーターは、身体障害者用だけが利用できる設備です(ほか、重量物の運搬でしか、生徒は使う事が許されません)。たとえば駅にあるエレベーターなども、そのような傾向があります。 駅や学校など、利用者の多い公共施設では、電気代などを節約するため、障害者以外の使用は、本来は(公共施設管理者によって)禁止されているのが普通です。 ;公立中高はエレベーターが少ない 2020年代の現在、公立中学にはあまりエレベーターはなく、全国で27%ていどです<ref>[https://reseed.resemom.jp/article/2020/12/10/914.html 『公立小中校舎のエレベーター設置は27.1%…文科省調査』 020.12.10 Thu 16:50]</ref>。 これから少子化の進行・長期化で、(定員割れを起こす公立学校がどんどん増えて)公立学校が統廃合される見込みなので、公立中高に新たにエレベーター設置をする機運はおこりづらいと思います。 また、老朽化で解体する予定の古い校舎にエレベーターをつけても投資効果が低そうです。公立中高では、老朽化した校舎の建て替えの際などに、エレベーターが設置されるでしょうか。 ===== トイレ ===== ;障害者用トイレ なお、トイレに関しては、公立も私立も、中高とも、とりあえず障害者用トイレが少なくとも1つはあるのが普通です(エレベーターと違い、改修費用が低いので)。 ただし、校舎の全トイレの部屋にそれぞれ障害者用トイレがあるかというと、実際にはそうでない高校もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=s_AfV6DF8IQ MBS NEWS 著『【高校トイレ改革】公立高のトイレに「温水洗浄機能」「音消し装置」も!学校選び対策で重要なトイレ改革(2022年5月12日)』 2022/05/12 ]</ref>。 多目的トイレの形の男女共用トイレがある学校もあるでしょうが、どちらかというと男女別々のそれぞれのトイレに、それぞれ1個ずつ障害者用トイレの便器があることのほうが多いと思います。(なぜなら男女共用トイレを増やすと、敷地が足りなくなるので) === 建て替えとプレハブ校舎 === 私立か公立かに関係なく、校舎の建て替え(たてかえ)をする場合、教室がプレハブなどの仮設校舎になる場合があります。なお、中学・高校に関係なく、小学校や大学などでも同様の建て替えとプレハブ校舎の可能性があります。 公立小中の場合なら、少子化で余っている他校の教室などを使えるかもしれませんが、私立の場合はそれは難しいので(しかし全くの不可能ではない)、プレハブ校舎になる場合もありえます。 めったにない事ですが、一応、こういう事もあります。 ほか、受験とは関係ないですが、大型マンションが建設されるなどして急激に人口が増えると、特に学区の制限のつよい小中学校ではプレハブ校舎になる場合もあります。 急激に人口の増えた地区の学校など、プレハブ校舎を使うことになる場合があります<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20231219-OYTNT50209/ 『少子化なのに教室不足?…熊本市立小中学校の2割プレハブ校舎使用、老朽化でトラブルも 』 2023/12/20 09:33 ] 2024年04月10日に確認.</ref>。 == 海外「留学」ではなく語学研修である == 私立の中高だと、海外での語学研修のある学園もあります。 一応、制度上は海外の高校で1年間の授業を受けることで日本の高校教育の単位(36単位まで)をとれる正式な長期「留学」制度もありますが<ref>[https://www.jaac.co.jp/purpose/hs-single/way JAAC日米学術センター『在学留学と休学留学について』 ]</ref><ref>[https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1292020.htm 文部科学省 著『学校教育法施行規則の一部を改正する省令について(高等学校等における外国留学時認定可能単位数の拡大)』 ]</ref>、しかしそれを採用している私立高校はかなり少数です。 ;英語以外のほかの科目は犠牲になる けっして学校の週2~4コマていどの授業や、あるいは英会話学校・英語予備校などだけで、英語がしゃべれたり、ビジネスや仕事などで使えるようになりません。さらに、自発的な多くの学習時間が必要です。 == 塾 == === 入塾の条件 === そもそも、塾は誰でも入れるわけではありません。 集団塾は、集団で授業を受けるのが困難な子供の場合、入塾を断ることがあります。個別塾でも、事情によっては入塾が拒否されます。これを「入塾拒否」と言います。 ;日本語が理解できない 日本語が通じないのは、入塾拒否の対象です。 '''保護者が日本語が通じないのも、入塾拒否'''です。たとえ子供本人は日本語を出来ていても、保護者への連絡などのヤリトリが不可能なので、入塾拒否になります。 塾側からすると、通訳をいちいち雇用するわけにはいきません。 ;障害の有無と程度 たとえば身体障害が極端にひどく、目が見えない、耳が聞こえない、などの障害の場合、集団塾への入塾は難しいと思います。 視力が弱くてメガネでも入塾は出来ますが、さすがに視力ゼロみたいで視界が真っ暗なのだと入塾は無理です。 どうしても学校以外の民間の有料の教育サービスを使いたい場合、(集団塾ではなく)個別指導塾や家庭教師などを使うことになります。 ;塾の方針に賛同できない家庭は入塾お断り 塾には、それぞれ方針があります。たとえば、居残り学習の有無など。特に中高生の場合、女子でも居残りで帰宅が遅くなる場合もあるが、そういうのに賛同できるか等です。 逆に、居残りをさせない方針の塾もありえます。その場合、子供が自分で勉強する必要がありますが、そういうのに賛同できるかです。 ほか、飲酒の禁止、喫煙の禁止など、未成年を対象にするなら、どの塾にもこの方針があります。個別塾も同様です。 ;お金の支払いが遅いと退塾 塾の受講料などのお金の支払いが遅いのが慢性的だと、たとえ結果的にお金を支払っても、退塾させられる場合があります。なぜなら塾側からすると、入金の催促(さいそく)の電話とかでも講師の人件費を無駄にするからです。 ;極端に学力が低い たとえば、中学3年生にもなってアルファベットもろくに書けないとか、そういうのは集団塾への入塾を断られる場合があります。 極端に学力が低い人は、個別指導の補習塾とか、そういうのに行くことになります。 ;住所などを教えないなど 住所や電話番号などの連絡先を塾に教えないとか、そういう人は入塾がお断りです。 塾を、まるでコンビニかスーパーのように勘違いしていて、「なんであなたに住所を教えないといけないの!?」みたいな事を言うバカな保護者を、塾は相手にしたくないのです。 塾講師は知能労働者ですので、バカを相手にしたくないのです。 ;態度が悪い 極端に態度が悪いと、退塾させられる場合があります。 子供、保護者の少なくとも片方が、極端に態度が悪いと、退塾です。 子供の態度の悪さなら、授業中に私語が多い、授業中に歩き回る、などなど、退塾です<ref>[https://ameblo.jp/rx-8-red-34/entry-12722519720.html 『入塾を拒否される』2022-01-21 18:00:20 ]</ref>。 ほかの塾生にも迷惑が掛かるので、退塾になります。 塾講師は知能労働者ですので、バカを相手にしたくないのです。 ;知能障害など 塾講師は、養護教諭ではないので、対応できません。よって、知能障害などは、入塾拒否です。 塾というのは、義務教育の学校ではないので、知能障害児は受け入れてもらえません。 ;暴力行為、暴言、その他の違法行為 退塾です。 === 入塾のタイムスケジュール === 塾は、入塾しようと思っても、すぐには入塾できないのが普通です。面談などの確認や手続きがあるので、申し込みを開始してから半月~1か月ほどの時間が掛かる場合もあります。 このため、たとえば「中学3年生の4月に塾のスタートを切ろう」と思ったら、それよりも前に、たとえば2年生の冬期講習あたりから入塾を開始するほうが安全です。 特に春の3~4月は年度の変わり目なので、塾側の事務手続きや人事異動(じんじ いどう)などの負担も重なって、入塾が遅れる可能性が高いです。 ほか、定員オーバーによって、つまり講師の数が足りない、教室の数が足りない、などの理由で、すぐには入塾できない場合があります。 事前に余裕をもって入塾しましょう。 === 塾の保護者会 === 高校受験でも中学受験でも、多くの塾には、保護者会があります<ref>[https://e-tr.jp/articles/detail/111/ 『塾の評判を高める、保護者会の上手な開催方法とは』2023.02.24]</ref>。年に数回、塾の方針の説明や、昨今の受験の制度などの解説や、保護者にどう子供を受験勉強を指導すべきかの助言などをするかと思われます。 いっぽう学校側では、公立小学で保護者むけの受験指導しないのは当然ですが、中学ですら保護者むけに何も指導しませんので、保護者は各自で自分で調べる必要があります。 もっとも、塾の講師だって忙しいので、塾の保護者会で説明されるていどの受験制度の説明は、確認程度の基本的なものです。 あいにく書店を見ても、保護者むけの書籍は少なく、私学の受験制度などの傾向などを説明した書籍は少ないです。地域にも寄りますし、あまり市場規模が大きくないのかもしれません。 == 参考文献 == === 書籍 === なし(2024年03月31日の時点) === 脚注 === r2nndtul2f6vltphnciaxyvg7qay039 246465 246464 2024-04-10T06:55:59Z すじにくシチュー 12058 typo wikitext text/x-wiki :* [[高校受験ガイド]] > 中学受験・高校受験の共通のガイド :* [[中学受験ガイド]] > 中学受験・高校受験の共通のガイド == 部活関係 == === 女子高・男子校から共学化した中高の運動部 === 2010年以降の近年、女子高から共学になる私立学校、男子校から共学になる私立学校が少なからずあります。 注意点として、基本的に、「その学校に存在する部活の運動部の種類が、既存の男女別学の場合の部活に限られる」傾向が多いことです。特に、野球・ソフトボールやサッカーなどの広い敷地を使う屋外スポーツの運動部に、その傾向があります。 つまり、たとえば'''女子高から共学になった場合'''、基本的に(男子の)'''野球部とサッカー部が無い'''高校になります。ラグビー部やアメフト部は、無いです。 同様、'''男子校から共学になった場合'''、基本的に'''ソフトボール部が無い'''高校になります。柔道部も無い可能性が高いです。 また文化部ですが、元男子校の共学は'''茶道部・華道部などが無いことが多く'''、おそらく和室そのものが用意されてない可能性が高いです。別に和室が無くても茶道などの練習は可能ですが、そういう設備状況だという事は覚悟してください。ほか、音楽室があるはずなのに関わらず'''吹奏楽部が無いことも多く'''、まるで工業高校みたいに'''音楽部しかない'''場合も2020年の現状ではあります。ただし、野球と違って吹奏楽は練習場所がそれほど広くないし、さすがにどの高校にも音楽室はあるので、吹奏楽部は時間がたてば解決するでしょうが、しかし予想として練習場所が狭く、合唱部と練習スペースを取り合う問題は残っています。 あるいは、もし野球部・ソフトボール部やサッカー部を設立しても、かなり練習場所が狭い、あるいは練習できる曜日が限られる可能性があります。基本的に、他の部活と交代で、週に数日だけ校庭で練習、みたいな事になります。ほか、柔道部も、元女子高の共学には、無い可能性がかなり高いです。 このように、元男子校・女子高から共学になった場合、部活の種類および練習スペースが、学校の昔の対象者の性別と違う異性にとっては、とても(部活が)限られます。これは、その私立学校の経営規模には関係なく、たとえ大学付属校でも上記のように、部活が元の男女別学のものに制限されます。 ほか、部室棟(ぶしつとう)の部屋数は増やせませんので、運動部の設立は色々と大変です。 == 設備 == === 私立・公立の文化・設備の違い === ===== 掃除 ===== 一貫校に限ったことではないのですが、私立には毎日の掃除(そうじ)は無いです。生徒は月あたり10分とか時々、教室をゴミ拾いていどの掃除するくらいです。 普段は、清掃業者の人が掃除しています。特に、トイレ掃除は基本的に無いです。清掃員がトイレ掃除をするのが普通です。 生徒による、雑巾(ぞうきん)による掃除も無い。そのため、勉強時間が長くできる。 なお、さすがに日直ていどの月1回くらいの掃除は私立でもあったりする。 ただし中学の場合、もしかしたら私立でも、シツケの一環として雑巾そうじなどが時々あるかもしれません。 ===== エレベーター ===== 私立中学や私立高校には、エレベーターが設置されていることが多いようです。(非公開の私学もあるので、詳細は不明。伝聞(でんぶん)である。) ですが、よほどの高層ビルの階数の多い私立学校でないかぎり(東京都心の学校にあるようなヤツです)、このエレベーターは車イス者や松葉づえ者のような身体障碍者(しょうがいしゃ)用の設備であるのが普通でしょう。基本的には、生徒は階段を歩いて上階に行く必要があります。 なお、地方などにある普通の中学高校の階数は(私立も高校も)3~4階です。3~5階くらいなら、歩いて階段を上ることになります。 私立に限らず、国公立でも、基本的に利用客の多い公共施設にあるエレベーターは、身体障害者用だけが利用できる設備です(ほか、重量物の運搬でしか、生徒は使う事が許されません)。たとえば駅にあるエレベーターなども、そのような傾向があります。 駅や学校など、利用者の多い公共施設では、電気代などを節約するため、障害者以外の使用は、本来は(公共施設管理者によって)禁止されているのが普通です。 ;公立中高はエレベーターが少ない 2020年代の現在、公立中学にはあまりエレベーターはなく、全国で27%ていどです<ref>[https://reseed.resemom.jp/article/2020/12/10/914.html 『公立小中校舎のエレベーター設置は27.1%…文科省調査』 020.12.10 Thu 16:50]</ref>。 これから少子化の進行・長期化で、(定員割れを起こす公立学校がどんどん増えて)公立学校が統廃合される見込みなので、公立中高に新たにエレベーター設置をする機運はおこりづらいと思います。 また、老朽化で解体する予定の古い校舎にエレベーターをつけても投資効果が低そうです。公立中高では、老朽化した校舎の建て替えの際などに、エレベーターが設置されるでしょうか。 ===== トイレ ===== ;障害者用トイレ なお、トイレに関しては、公立も私立も、中高とも、とりあえず障害者用トイレが少なくとも1つはあるのが普通です(エレベーターと違い、改修費用が低いので)。 ただし、校舎の全トイレの部屋にそれぞれ障害者用トイレがあるかというと、実際にはそうでない高校もあります<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=s_AfV6DF8IQ MBS NEWS 著『【高校トイレ改革】公立高のトイレに「温水洗浄機能」「音消し装置」も!学校選び対策で重要なトイレ改革(2022年5月12日)』 2022/05/12 ]</ref>。 多目的トイレの形の男女共用トイレがある学校もあるでしょうが、どちらかというと男女別々のそれぞれのトイレに、それぞれ1個ずつ障害者用トイレの便器があることのほうが多いと思います。(なぜなら男女共用トイレを増やすと、敷地が足りなくなるので) === 建て替えとプレハブ校舎 === 私立か公立かに関係なく、校舎の建て替え(たてかえ)をする場合、教室がプレハブなどの仮設校舎になる場合があります。なお、中学・高校に関係なく、小学校や大学などでも同様の建て替えとプレハブ校舎の可能性があります。 公立小中の場合なら、少子化で余っている他校の教室などを使えるかもしれませんが、私立の場合はそれは難しいので(しかし全くの不可能ではない)、プレハブ校舎になる場合もありえます。 めったにない事ですが、一応、こういう事もあります。 ほか、受験とは関係ないですが、大型マンションが建設されるなどして急激に人口が増えると、特に学区の制限のつよい小中学校ではプレハブ校舎になる場合もあります。 急激に人口の増えた地区の学校など、プレハブ校舎を使うことになる場合があります<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20231219-OYTNT50209/ 『少子化なのに教室不足?…熊本市立小中学校の2割プレハブ校舎使用、老朽化でトラブルも 』 2023/12/20 09:33 ] 2024年04月10日に確認.</ref>。 == 海外「留学」ではなく語学研修である == 私立の中高だと、海外での語学研修のある学園もあります。 一応、制度上は海外の高校で1年間の授業を受けることで日本の高校教育の単位(36単位まで)をとれる正式な長期「留学」制度もありますが<ref>[https://www.jaac.co.jp/purpose/hs-single/way JAAC日米学術センター『在学留学と休学留学について』 ]</ref><ref>[https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1292020.htm 文部科学省 著『学校教育法施行規則の一部を改正する省令について(高等学校等における外国留学時認定可能単位数の拡大)』 ]</ref>、しかしそれを採用している私立高校はかなり少数です。 ;英語以外のほかの科目は犠牲になる けっして学校の週2~4コマていどの授業や、あるいは英会話学校・英語予備校などだけで、英語がしゃべれたり、ビジネスや仕事などで使えるようになりません。さらに、自発的な多くの学習時間が必要です。 == 塾 == === 入塾の条件 === そもそも、塾は誰でも入れるわけではありません。 集団塾は、集団で授業を受けるのが困難な子供の場合、入塾を断ることがあります。個別塾でも、事情によっては入塾が拒否されます。これを「入塾拒否」と言います。 ;日本語が理解できない 日本語が通じないのは、入塾拒否の対象です。 '''保護者が日本語が通じないのも、入塾拒否'''です。たとえ子供本人は日本語を出来ていても、保護者への連絡などのヤリトリが不可能なので、入塾拒否になります。 塾側からすると、通訳をいちいち雇用するわけにはいきません。 ;障害の有無と程度 たとえば身体障害が極端にひどく、目が見えない、耳が聞こえない、などの障害の場合、集団塾への入塾は難しいと思います。 視力が弱くてメガネでも入塾は出来ますが、さすがに視力ゼロみたいで視界が真っ暗なのだと入塾は無理です。 どうしても学校以外の民間の有料の教育サービスを使いたい場合、(集団塾ではなく)個別指導塾や家庭教師などを使うことになります。 ;塾の方針に賛同できない家庭は入塾お断り 塾には、それぞれ方針があります。たとえば、居残り学習の有無など。特に中高生の場合、女子でも居残りで帰宅が遅くなる場合もあるが、そういうのに賛同できるか等です。 逆に、居残りをさせない方針の塾もありえます。その場合、子供が自分で勉強する必要がありますが、そういうのに賛同できるかです。 ほか、飲酒の禁止、喫煙の禁止など、未成年を対象にするなら、どの塾にもこの方針があります。個別塾も同様です。 ;お金の支払いが遅いと退塾 塾の受講料などのお金の支払いが遅いのが慢性的だと、たとえ結果的にお金を支払っても、退塾させられる場合があります。なぜなら塾側からすると、入金の催促(さいそく)の電話とかでも講師の人件費を無駄にするからです。 ;極端に学力が低い たとえば、中学3年生にもなってアルファベットもろくに書けないとか、そういうのは集団塾への入塾を断られる場合があります。 極端に学力が低い人は、個別指導の補習塾とか、そういうのに行くことになります。 ;住所などを教えないなど 住所や電話番号などの連絡先を塾に教えないとか、そういう人は入塾がお断りです。 塾を、まるでコンビニかスーパーのように勘違いしていて、「なんであなたに住所を教えないといけないの!?」みたいな事を言うバカな保護者を、塾は相手にしたくないのです。 塾講師は知能労働者ですので、バカを相手にしたくないのです。 ;態度が悪い 極端に態度が悪いと、退塾させられる場合があります。 子供、保護者の少なくとも片方が、極端に態度が悪いと、退塾です。 子供の態度の悪さなら、授業中に私語が多い、授業中に歩き回る、などなど、退塾です<ref>[https://ameblo.jp/rx-8-red-34/entry-12722519720.html 『入塾を拒否される』2022-01-21 18:00:20 ]</ref>。 ほかの塾生にも迷惑が掛かるので、退塾になります。 塾講師は知能労働者ですので、バカを相手にしたくないのです。 ;知能障害など 塾講師は、養護教諭ではないので、対応できません。よって、知能障害などは、入塾拒否です。 塾というのは、義務教育の学校ではないので、知能障害児は受け入れてもらえません。 ;暴力行為、暴言、その他の違法行為 退塾です。 === 入塾のタイムスケジュール === 塾は、入塾しようと思っても、すぐには入塾できないのが普通です。面談などの確認や手続きがあるので、申し込みを開始してから半月~1か月ほどの時間が掛かる場合もあります。 このため、たとえば「中学3年生の4月に塾のスタートを切ろう」と思ったら、それよりも前に、たとえば2年生の冬期講習あたりから入塾を開始するほうが安全です。 特に春の3~4月は年度の変わり目なので、塾側の事務手続きや人事異動(じんじ いどう)などの負担も重なって、入塾が遅れる可能性が高いです。 ほか、定員オーバーによって、つまり講師の数が足りない、教室の数が足りない、などの理由で、すぐには入塾できない場合があります。 事前に余裕をもって入塾しましょう。 === 塾の保護者会 === 高校受験でも中学受験でも、多くの塾には、保護者会があります<ref>[https://e-tr.jp/articles/detail/111/ 『塾の評判を高める、保護者会の上手な開催方法とは』2023.02.24]</ref>。年に数回、塾の方針の説明や、昨今の受験の制度などの解説や、保護者にどう子供を受験勉強を指導すべきかの助言などをするかと思われます。 いっぽう学校側では、公立小学で保護者むけの受験指導しないのは当然ですが、中学ですら保護者むけに何も指導しませんので、保護者は各自で自分で調べる必要があります。 もっとも、塾の講師だって忙しいので、塾の保護者会で説明されるていどの受験制度の説明は、確認程度の基本的なものです。 あいにく書店を見ても、保護者むけの書籍は少なく、私学の受験制度などの傾向などを説明した書籍は少ないです。地域にも寄りますし、あまり市場規模が大きくないのかもしれません。 == 参考文献 == === 書籍 === なし(2024年03月31日の時点) === 脚注 === 3h7su0mm6t3ea1qnqmhrx03g91xo0ns 高校受験ガイド/学科 0 39187 246452 246410 2024-04-10T05:06:24Z すじにくシチュー 12058 /* 「総合高校」と「総合科」 */ ほか、大学入試の「総合型選抜」と「総合科」・「総合高校」などは無関係です。 wikitext text/x-wiki == 進学実績を見る際の注意事項 == 公立の商業高校や「○○総合高校」などで、一見すると、大学への進学実績の高い高校があります。しかし、よく調べてみると、その高校に'''併設されている普通科'''の進学実績だったりする場合があります。地方の山間部などでは、周辺に他の公立高校が少ないため、職業高校や総合高校に普通科も併設している場合もあります。 職業高校では、卒業までの専門学科の単位数が25単位以上と定められているので、大学進学を一般入試で通貨するのは、かなり難しいです。(なお、進学校の文系コースの数学の3年間の単位数がおおよそ14単位の前後です) 進学校での文系コースでの数学・理科の単位数の合計(共通テスト対策も含む)に匹敵する時間を、職業高校ではその学科の専門科目に投入しますので、一般入試はかなりの難関です。 決して学校名だけ見て、大学進学実績を見て「職業系の学科なのにスゴイ!」との早合点を、しないようにしましょう。 == 学科選び == === 高校は学校ごとの教育内容の差が大きい === 単に受験に受かることだけでなく、どの高校、どの学科に進学するべきかも、きちんと考えなくてはなりません。なぜかというと、高校は学校ごと、学科ごとに教育内容の差が大きいのです。 高校の転校は法的には可能ですが、中学よりも手続きが難しく、希望の高校に移れる保証も無いので、高校入学前に学校選びは慎重に考えてください。 高校は義務教育ではありません。しかも、近年では規制緩和という傾向があります。よって、高校の科目でも学校ごとに差が大きいのです。 工業高校・商業高校などは、高卒で就職する場合に、進路志望に応じて選ぶのが良いでしょう。高卒で就職する場合、普通科卒よりも、工業高校卒・商業高校卒の方が多くの企業では有利です。 高卒後に、理系大学または国公立大学への進学を志望する場合は、普通科または理数科を目指すのが良いでしょう。 私立大の文系に志望が限定して至る場合は、普通科または、そのような文系進学に対応した学科を目指すのが良いでしょう。 なお、法律上の問題で工業高校や農業高校など、その分野の学科を卒業しないといくつかの国家資格の取得が困難、または資格取得がやや難しくなる業界が、いくつかあります。 良く、工業系のいくつかの肉体労働の現場作業系の国家資格で「高校で理科系卒業後、○年以上の実務経験」とかの資格要件があり、その実務経験を満たすと国家試験を受験しなくても資格を認定してもらえる資格も一部にはありますが、ここでいう「理科系」とは、決して普通科高校の理系大学進学コースのことではなく、工業高校など職業高校での該当する学科(例えば機械科や電機科などの学科)のことですので、勘違いしないようにしましょう。 一応、それらの学校を出なくても筆記試験で受験すれば合格できます。しかし電気主任技術者試験2種など、資格によっては大分試験が難しくなる場合があります。 === 普通科高校に進学したい場合 === ==== 「進学コース」とかの意味 ==== まず、私立高校などでは、「特進コース」「進学コース」などのように成績順にコースが分かれている高校も多くあります。 後述の「文系コース」、「理系コース」とは、特進コース内の文系コース、特進コース内の理系コース、進学コース内の文系コース、進学コース内の文系コース、のようにコース内のコースのことです。 学校によっては、特進・進学の分けを「クラス」と呼んだり、あるいは文理の分けのことを「クラス」と呼んだりする場合もあります。 一般に、各学年の初めに学力順にコースが決まり、 :(成績が良い) 選抜コース > 特進コース > 進学コース (成績が低い) の順です。同じコースが決して3年間つづくわけではなく、進級のたびに再判定をされ、成績に応じたコースに分けられます。 選抜などのコース分けの成績の基準は、基本的にはその高校の定期試験、およびその高校で在学生むけの実施した模試(「校内模試」)で決まります。それ以外の自分で独自に受けた模試の成績がどんなに良くても、関係ありません。 「進学コース」はその名に反して、成績は普通または一番下のコースです。高校によっては「総合進学コース」のような名前の場合もありますが、学科は決して総合科ではない<ref>[https://www.yokohama.hs.nihon-u.ac.jp/senior/class/general/ 『総合進学コース | コース紹介 | 日本大学高等学校』] 2024年02月04日に確認. </ref>ので混同しないのでください。 普通科の学科にある総合進学コースは、あくまで普通科の学校です。そのため、機械工学だの簿記だのの授業は、特に私立高校の普通科の「総合進学」コースの場合、基本的に無いでしょう。特に工学系の科目は設備の問題などもあるので、科目の実施は難しいと思います。 なお、特進コースや選抜コースなど上位のコースには一般に、アートクラスとかスポーツクラスは無いのが普通です。アートとかスポーツとか目指す場合、その高校のいちばん下のコースになります(つまり、「進学コース」とか「総合進学」コースになるのが普通)。 このように、コース分けでいう「進学コース」の意味合いは、一般の文系大学または理系大学を志望するコース、くらいの意味合いでしかありません。つまり、アートだとかスポーツだとかは、特に目指していない、という意味です 私立高校によってはSコースとかAコースとかありますが、高校ごとに意味合いが違うので、当ページでは深入りを省略します。Sコースがスーパーコースなのか、それともスタンダードコースなのかで、意味合いが大きく変わります。Aコースが、単にA,B,Cの最初のアルファベットの意味なのか(日本語でいうイロハのイの意味)、それともadvancedの意味かで、意味合いがだいぶ違います。思い込みをしないよう、志望校にSコースとかAコースとかあったら、きちんと資料で意味合いを確認しましょう。 ==== 文理のコース分け ==== さて、普通科高校でも、高校では、文系コース/理系コース、といったコース分けをしている学校も多くあります。 なお、高校にも寄りますが、いちいち 音大志望コース/美大志望コース/体育大志望コース 、とかは無いのが普通ですので、その場合は文系コースなどで代用することになるでしょうか。音楽学科のある高校なら音大志望コースとかあるかもしれませんが、そもそも普通科ではないので、説明は省略します。 高校にも寄りますが、高校2年になる前に文系コースか理系コースかを決めなければならない高校もあります。そうでない学校でも、遅くとも、高校3年になるまでには、文系コースか理系コースかを決めなければなりません。 なお、別に文系コースでも理系コースでも、大学受験の資格は変わりません。つまり、文系コースからでも理系の学部学科の大学を受験できて高得点を取れば合格するし、理系コースからでも文系の学部学科の大学を受験できて高得点なら合格になります。 ですが、推薦などの際、推薦条件の科目の履修に、高校側でのコース選択が影響する可能性があります。 たとえば「地理探求で成績が5段階中で4以上のこと」という条件があったとして、理系コースの場合だと『地理探求』科目が時間割の制限で履修できない(なお地理探求は必履修科目ではない)、と言ったような場合も起こりえます。 詳しくは[[高校生活ガイド]]で説明します。 ほか、大学付属の高校を受験する際は、高校在学時のコース選択(文系コースか理系コースか)によって、併設大学の推薦をもらえる学科が、限られる場合もあります。 たとえば文系コースを履修していないと併設大学の文系学科に推薦をもらえない、同様に理系コースを履修してないと併設大学の理系学科に推薦をもらえない、などです。 ほか、私立高校では、名称は「普通科」でも、その高校の文系コースの実態がまるで文系学科のような私立高校もあります。たとえば、ある私立高校の普通科の文系コースでは、高校2年の数学II 以降を習わないまま卒業する高校もあります。周辺の公立高校の国際科ですら高校2年の数学IIを習うのに、私立の普通科にはそれを習わないまま卒業する私学もあります。 ==== 特殊な普通科 ==== ===== 地域と連携した普通科 ===== 公立の普通科高校でも、地域の実情などに応じて、初歩的な福祉や農業などを学べる高校も若干ですが、あります<ref>[https://om-h.spec.ed.jp/%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%A1%88%E5%86%85/%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B 『教育課程 - 埼玉県立大宮武蔵野高等学校』]2024年03月31日に確認. </ref>。ただし、あくまで普通科なので、教育される科目のほとんどは普通科のものです。 農業高校に併設された普通科というのもあり<ref>[https://inazawa-ryokufukan-h.com/course/general 普通科 | 愛知県立稲沢緑風館高等学校]2024年03月31日に確認. </ref>、農業実習の科目で単位を取得することもできます(限度はあります)。 これら普通科内で農業や福祉などを学べる高校は、あくまで普通科です。国家試験などを受ける際の、出身学科による一次試験免除などの有無で、普通科の出身者として扱われる可能性が大ですので、一次試験などが免除されないかもしれません。(当wikiでは保証できませんので、ご自身でそれぞれの進路の場合についてお調べください) ===== 過去に職業高校だった「普通科」 ===== 過去に職業高校だった「普通科」の公立高校は、その歴史に引きずられたカリキュラムになっており、また男女比も過去の学科に引きずられている場合もあります。 過去に商業高校だった場合の「普通科」では、文系コースでは数学IIを履修できない場合があります。「物理基礎」も履修できないかもしれません。 ===== 知的障害者むけの普通科 ===== 「エンカレッジスクール」という、中学の授業についていけなかった子のための、中学の学び直しから高校1年が始まる「普通科」があります。1年生のカリキュラム内容で、かなりの量の、中学レベルの復習科目があります。 養護学校とは別です。養護学校(現在は「特別支援学校」)というのは、重度の障害(知的障害だけでなく身体障害も含む。耳が聞こえない、目が見えない、等)の子供のための小中高のことです。 エンカレッジスクールのカリキュラムの特徴として、進学校だと単位数の少ないような家庭科や芸術も、2年生まで必修です。つまり、芸術IIとか家庭科「フードデザイン」とかあります。てっきり、これだけ見ると、全人格的な教育のように誤解されがちですが、しかし'''中学レベルの復習'''をカリキュラム内に多く含むことを決して忘れてはいけません。 ほか、理系の高校3年の'''数学III'''または専門「'''物理'''」が、'''履修不可能'''な場合があります。仮にどちらか片方(数学IIIか「物理」)が履修できても、両方はカリキュラム上、履修不可です。そもそも数学IIIと専門「物理」が両方できそうな子なら、この種の高校に来るような知的障害者ではないので、別の高校に進学しましょう。 文系の科目でも、社会科の歴史分野(地歴)では、たとえば高校3年の「'''世界史探求'''」が'''履修不可能'''だったり、あるいは「日本史探求」が履修不可だったりします。 ほか、公民分野でも、「倫理」科目が無い。まあ、「倫理」は、私立の進学校にも無いのが一般的なので、この点は気にする必要性は低いです。 もし読者の志望が、受験5教科に加えて受験以外の芸術とか家庭科とかも高校で深く学びたいという志望の場合は、エンカレッジスクール'''ではなく'''、総合高校のうち偏差値の高い高校を探すとか、あるいは偏差値45以上の普通科高校で部活とかで頑張りましょう。 ほか、高校にもよりますが、パソコン実務(おそらくオフィスソフトのWordやPowerPointなどの使い方的な科目だろう)などの授業があったりします。 地域によっては、公立高校なのに特進クラス(「特別進学クラス」)がある。どういう事かというと、地方の山間部などだと、周囲に他の高校が無い場合もあるので、エンカレッジスクールに進学校(ただし偏差値は低め)が併設されている場合もある(少子化による統廃合の結果でもあったりする)。大学への進学実績はこの特進クラスが叩き出したりしたものだったりするので、分析時には注意がすこし必要。 ===== 常識外れな「普通科」 ===== ごく一部ですが、日本の公立高校には、教育の多様性の確保のためか、まったく常識外れなカリキュラムの「普通科」があります。 普通科の公立高校なのに、文系クラスではなぜか商業科目の「簿記」(ぼき)とほかの商業専門科目が必修で、合計10単位の商業科目が必修という、少し日本の大学進学の常識では考えづらいカリキュラムの公立高校すら存在します。(高校名は伏せます)公式サイトなどでは一言も「国立大学進学には強い」とか言ってないので、ウソはついてないのですが、とにかく受験生は気を付ける必要があります(理解した上で行くなら、自己責任で、どうぞ)。 たとえば、もし「商業科」として作ってしまうと、法規制上、商業の専門科目を25単位以上も(上記の特殊な普通科高校の10単位の2倍以上という)大量にカリキュラム上に配置しなければなりません。そこで、10単位だけ必修で教えたい場合は、法規制に反しないよう「普通科」を名乗っているのでしょう。 そういう特殊な普通科があっても良いですし、そういう特殊な高校だと理解した上でその高校に入る必要があります。 なので、受験生は、志望校の志望学科の公式サイトなどをきちんと確認しましょう。そういう簿記の必修の特殊な公立高校の公式サイトを見ると、きちんと、「就職に強いコースです」とか高卒就職する人のための学科だと説明をしてあります。 総合科を名乗るわけにも行きません。 私立だと「普通科 総合コース」というのがあって部活との両立コースの意味で使ってますが、しかし本来、公立でいう「総合科」というのは、専門音楽(ソルフェージュとかある科目)とか、専門美術(ビジュアルデザインとかある科目)とかから、ドイツ語とか中国語とかある学科のことです。 ==== 普通科の「総合コース」 ==== 私立高校などで、一部の普通科高校に「総合コース」というのがあります。 これは実態は、次の2つのパターンのどちらかです。 * 商業高校の科目の一部、または工業高校の科目の一部が学べる普通科です。 * スポーツまたは芸術に専念する普通科高校。 * 福祉や介護などの実習などが学べる高校 どのコースも、大学進学については苦手なコースです。これらのコースは、高卒で就職するか、専門学校に進学することを前提にしている事がほとんどです。 「コース」は各学校の教育方針により異なるため、詳しく知りたければ各校のパンフレットなどの資料を請求して確認するなどが必要になるでしょう。また、ネット上では情報公開していな高校も、これらのコースをもつ高校では多いです。そのため、 :※ 下記の出典については、高校側の名誉のため、出典をひかえます。また、他の編集者も、出典の追加のさいには学校や高校生の名誉棄損にならないように注意してください。 ;商業または工業を学べる高校の場合 まず、商業・工業などを学べる高校の場合について説明します。、 注意点として、決して商業高校や工業高校のすべての学科が総合コースでは学べるわけではありません。高校によっては、普通科高校の科目のほかは、商業高校の科目しか学べない、といったような高校もあります。 「それは『総合』ではなく『統合』(とうごう)では?」というような気がしないでもないですが、昭和時代の総合科設立などの歴史的経緯からでしょうか、「総合コース」という言葉が使われています。 注意点として、商業系の総合コースの場合、「物理基礎や専門『生物』などの理系の高度な科目が履修できない」という点です。なので、少しでも理系を考える人は、総合コースではなく進学コースに進みましょう。数学II は商業高校では3年次に選択科目として履修できる場合があります。 また、商業や工業などの科目に時間をさかれるので、大学進学にもあまり強くなく、難関大学の現役合格などは難しいと思います。大学進学を考える人は、注意が必要です。 基本的に、「総合コース」は高卒で就職するか専門学校に進学する人のためのコースです。 {{コラム|「総合進学コース」とは別| 大学進学に対応するコースとしては、「総合進学コース」というのを持つ高校がいくつかあります。有名な高校を例に出せば、ときどき甲子園に出る花咲徳栄(はなさきとくはる)高校です([[w:花咲徳栄高等学校]])。ネット上ではカリキュラム公開されておらず、詳細は不明です。 ほか、大学付属校でいくつか「総合進学コース」をもつ私立高校がありますが(東海大学付属熊本星翔高等学校、八戸工業大学第二高等学校、土浦日本大学高等学校、岡山理科大学付属高等学校、など)、ネットの公式情報だけでは詳細不明です。 }} さて、「総合コース」の普通科の科目の傾向として、高校1~2年の選択芸術が『音楽I』に固定されている高校が比較的に多そうです。カリキュラム公開をしている高校を見た感じ、チラホラと音楽Iに固定している高校もあります。 ;芸術または体育を中心とした高校の場合 題名通り、芸術または体育などを中心としたコースですが、基本的に文科系のコースです。理系科目はあまり履修できません。商業高校なみに、専門生物や物理基礎などは、履修自体が不可能な可能性が高いでしょう。 また、けっして一人の学生がスポーツと芸術の両方を履修するのではなく、おそらくコース内でさらに「体育クラス」または「アートコース」などに分かれていると思います。 専門学科の「体育科」高校や「音楽科」高校などを設立するほどには単位数が多くないが、しかし他の普通科高校よりも体育や音楽科などの科目が多い、という高校です。 ==== 普通科の専門的コース ==== ===== ビジネスコースなど ===== 多くの地域で、商業科に「情報ビジネスコース」というのがある地方がチラホラあるのですが、ごく一部の公立高校ですが普通科に「情報ビジネスコース」を持っている高校もあります<ref>[https://www.kagawa-edu.jp/minamh02/file/5550 普通科 香川県立高松南高等学校 令和5年度普通科教育課程(令和3年度入学者)、 ]</ref>。 商業科ビジネスコースとの違いは、普通科ビジネスコースの場合、数学IIや数学Aが必修の場合が多い(なお調査時のサンプル数が一桁)という点です。 ===== 体育コース・美術コースなど ===== ほか、私立高校の普通科「美術コース」とか「スポーツコース」とかあります。ただし、普通科だからといって数学IIが必修とは限りらない事例が、私立のカリキュラムの場合には見受けられます。 ;偏差値 なお、これらの学校の受験には実技試験がありますので、高校の偏差値は必ずしも学力を反映するとは限りません。たとえば「偏差値55」といっても、平均より勉強のできる集団とは限りません。 たとえば、偏差値60越えの私立で「普通科」のスポ-ツコースなのに、公民科目の「政治経済」も履修できない、日本史探求も世界史探求も履修できない、数学II以降は無い(当然、数学Bや数学IIIは無い)、といった「普通科」の偏差値60越えのスポーツコースも実際に日本にはあります。 偏差値の付け方として体育コースなどの実技試験のある特殊なコースの場合、あくまで高校の偏差値はその高校の入試倍率などから機械的に決めるので、体育コース・美術コースなどでは、高校偏差値はあまり在学生の5教科の学力を反映しません。 ;事実上の学科 学科名の名称だけは「普通科」ですが、ほとんどの私立で、カリキュラム表の単位数などを見ると、まるで公立の「美術科」高校や「体育科」高校といった専門高校のような単位数です。 このため、事実上の美術科・体育科といった専門高校の学科だと考えられます。よって、これらの私立の美術・体育などのコース制での'''探究活動'''(科目「総合的な探究の時間」)のテーマは、'''コースに関連したものに限定'''される可能性がとても高いと予想されます。(たとえば工業高校では、工業に関連した製品づくりが探究活動として義務化されています。同様、「美術コース」では、美術に関するテーマしか、探究テーマとして認められないと思います。) つまり、20単位以上が、専門科目、またはコース名の科目の合計になっています。 なお、「美術コース」の場合、たとえば美術Iが6単位、美術IIが6単位、美術IIIが8単位、みたいに(なお合計20単位)、進学コースにもある「美術」科目に表では、まとめたりしています。(なお、一般の進学校では美術Iの2単位だけで高校の芸術教育は終わり。つまり、この例だと美術コースは他の進学校の10倍の美術の授業数。) なお、普通科ではなく「美術科」にした場合は、法律上、美術の単位数が25単位以上でなければならないと、文科省の学習指導要領で定められています(専門学科では専門科目が合計25単位以上でないといけない)。上記の例である「美術Iの6単位、美術IIの6単位、美術IIIの8単位」という合計20単位だと、あと5単位が足りません。ちょうど、探究科目の単位がピッタリと5単位だったりするので、おそらく探求テーマが美術のテーマに限定されると思います。 またなお、私立の「美術コース」などの専門コースのカリキュラム表の特徴として、公立の美術科・体育科などのカリキュラム表に見られるような専門科目(たとえば専門美術なら「ビジュアルデザイン」や「素描」(そびょう))などの一覧が見られません。 理由はおそらく、併設している進学コースのカリキュラム表と合わせて教員が管理しやすいように、美術コースの専門的な授業をぜんぶ美術I~IIIにまとめて時間割を組んでいるのだろうと思います。ただし、実際の授業は、進学コースと美術コースとで、別々のクラス、別々の授業内容だと思います。 実際には、美術コースの教科書には、おそらく専門科目「美術」の教科書を(普通科の美術Iなどのものとは別です)、美術コースでは用いているのだろうと思います。 学科名を「普通科」にしているのは、べつに普通科の進学校に準じた教育をしているわけではなく、単に、教職員がカリキュラム表を進学コースとまとめて管理しやすいからでしょう。教職員だって労働者だし人間ですので、管理しやすい表が好きなのです。いちいちエクセル表とかを美術コースだけ別々に作りたくないんです。 === 理数科や国際科など === 普通科以外にも、「理数科」「国際科」「国際人文科」などのように、職業高校とは別に、特定の分野への進学に特化した学校もあります。 これら普通科でない学科は、法律上、文部科学省の学習指導要領では、専門学科では専門科目の必履修の単位数が25単位以上と定められてます<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/28/1282000_01.pdf 文部科学省『高等学校学習指導要領解説 総則編』、平成21年7月、P.5]</ref>。また、商業高校も理数科・国際科も、指導要領では法律上は同列であるので、専門科目の履修を25単位以上を要求されます<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/28/1282000_01.pdf 文部科学省『高等学校学習指導要領解説 総則編』、平成21年7月、P.5]</ref>。 この単位数の制約のためか、理数科・国際科などには、普通科の3年次に見られるような自由選択科目群は、'''無い'''です。 また、芸術IIは基本、理数科・国際科には、無いです。家庭科も、家庭基礎以外(たとえば「フードデザイン」とか「保育」とか)は、履修不可能です。 また、国際科をのぞき、第二外国語(ドイツ語や中国語など)は基本的に、理数科や人文系学科には'''無い'''です。 ==== 理数科 ==== 理数科であるかどうかの判定基準は、カリキュラムにおける数学・理科の科目数の合計数であり、25単位以上が必要です。実験設備の高度さなどは基本、関係ありません(よほど設備が劣悪でない限りは)。 理数科の専門科目の内容は、数学・理科とほぼ同等です。なので、大学受験の推薦基準で要求される科目(数学IIIの履修など)としては問題ないでしょう。 スーパーサイエンスハイスク-ルは必ずしも理数科とは限りません。地域によっては「理数科」ではなくともスーパーサイエンスハイスク-ルの場合もあります。 東京都立戸山高校や立川高校のようにスーパーサイエンスハイスク-ルの「普通科」が理数科相当の教育内容の場合もあれば<ref>pdf [https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/static/high_school/toyama-h.html 教育課程表_令和4・5年度入学生用.pdf]</ref><ref>pdf [https://www.metro.ed.jp/tachikawa-h/assets/R5%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B%E8%A1%A8.pdf R5教育課程表.pdf]</ref>、他校ではスーパーサイエンスハイスク-ルの理数科の場合もあります。それぞれ高校ごとに異なるので、確認してください。 普通の理数科とスーパーサイエンスハイスク-ルのカリキュラムはほぼ同じですが、スーパーサイエンスハイスク-ルには実験などをする研究的な科目が3年次あたりにあるのが特徴です。 本節の解説では、スーパーサイエンスハイスク-ルではなく主に理数科について述べます。 理数科も普通科も、資格試験などでは、決して「工業高校」や「商業高校」のような職業高校とはみなされません。 たとえば和歌山県は、理数科と国際科をともに「普通科系専門学科」というのに分類しています<ref>pdf [https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/500100/shingikai/d00204958_d/fil/021012wakayamashi.pdf 『PowerPoint プレゼンテーション - 021012wakayamashi.pdf』]</ref>。 おそらくスーパーサイエンスハイスク-ルも同様、資格試験などでは職業高校とはみなされないでしょう。 * 高卒就職の場合 高卒で就職する場合、「国際科」卒や「理数科」卒などは、「普通科」と同等の学科卒として扱われます。工業高校卒や商業高校卒などの実業高校卒とは扱ってもらえません。なので、例えば工業高校卒を優先的に採用している製造業などへの就職などへは、普通科同様に不利になります。 また、資格試験などでも、「国際科」や「理数科」は特に優遇されません。(一方、工業高校だと、工業系の資格で経験年数などの条件で優遇される場合がある。) 例え理数科を卒業しても、技術者としては扱ってもらえません。例え国際科を卒業しても、国際通・語学通とは扱ってもらえません。 * 理数科に無い科目 日本史探求・世界史探求は、無いのが通常です。地理'''総合'''をすっとばして、いきなり地理'''探究'''があります。しかしその地理探究は、それは公民分野の「政治経済」との'''選択必修'''であり、地理探究・政治経済のうち、'''どちらか片方'''しか履修できないです。 理数科だからといって、地学もふくめて理科4分野の全部は、履修できないのが通常です。また、たとえ地学履修できる理数科高校でも、'''生物との選択必修'''であり、'''どちらか片方'''しか履修できなくなる可能性があります。 ==== 国際科と国際教養科と外国語科 ==== '''「国際科」は事実上は文系の学科であり、しかも、私立大・国立大の文系学科に特化した学科'''です。理系や国公立大学を志望する場合は、普通科または理数科に進学した方が良いでしょう。「外国語科」は同様、文系に特化した学科であることが多いです。 最近は、「国際教養科」という学科も出てきました。 一部、下記のように数学IIIなどの履修できる理系コースもある「国際教養科」の高校もありますが、しかし基本的には文科系の高校が多いです。 数学IIIや専門「物理」を選択科目として履修できる高校もあります。[https://cms1.chiba-c.ed.jp/matsudokokusai-h/wysiwyg/file/download/36/3467 『千葉県立松戸国際高等学校(全日制) 国際教養科 教育課程表』 令和5年度入学者 ],pdf[https://chigusa-h.com/wp/wp-content/uploads/2023/05/R4-R5i.pdf 『愛知県立千種高等学校 令和4・5年度 入学生 国際教養科』 ] しかし、数学IIIを履修できない「国際教養科」もあります[http://www.kyoto-be.ne.jp/nishiotokuni-hs/mt/school/2021/11/post-15.html 『★国際教養コース 「カリキュラムと時間割例」 - 京都府立西乙訓高等学校 学校案内』]。 どうやら学校ごとにカリキュラムは大きく違うので(たとえば芸術科目の多い国際教養科の公立高校もあれば、そうでない国際教養科の公立高校もあります)、詳しくは各高校の公式サイトなどを確認してください。 どうやら最近は(2024年に本文を記述)、理系コースにも対応した国際系学科も出てきているうようです。 なお大阪では、文科系進学に特化した国際系学科を「国際文化科」としているようです[https://www2.osaka-c.ed.jp/hanazono/folder_5/post-24.html 『国際教養科・国際文化科 - 大阪府立花園高等学校』]。 地域の実情に応じて、国際教養科は色々とアレンジされます。商業高校にある国際教養科なんていうのもあり、簿記を履修できる国際系学科もあります[https://sh.higo.ed.jp/kuma-ch/kyouiku/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%95%99%E9%A4%8A%E7%A7%91 『国際教養科 - 熊本県立球磨商業高等学校』](さすがに数学IIIは無理だけど、数学IIには対応)。なおこの高校カリキュラム、よく見たら第二外国語が無い。 どうやら、既存の「国際科」「外国語科」の指導要領が、もはや21世紀の令和では各地の地域の実情に合わなくなってきているようであり、国際系の高校が新しい学科に改組されていっているようです。 第二外国語は、必ずしも新共通テストの4言語「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」があるわけではありません。ドイツ語の無い国際系学科の高校もあるし、そもそも第二外国語の無い国際系学科の高校もあるし、中国・韓国語といったアジア系言語しかない高校もあります。 ほか、国際高校の(国際科ではなく)「普通科」というパターンもあり、これには理系コースのある公立高校もあります[https://wakoku-h.spec.ed.jp/%E5%AD%A6%E7%A7%91%E6%A1%88%E5%86%85 『学科案内 - 埼玉県立和光国際高等学校』],pdf[https://hyogopref-kokusaihs.ed.jp/main/wp-content/uploads/2023/06/R5_%E5%AE%9F%E6%96%BD%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B%E8%A1%A8_HP%E7%94%A8.pdf 『兵庫県立国際高等学校 令和5年度実施教育課程表』] なんと理系コースでは、第二外国語があるのに数学IIIと 物理または生物 の2科目を確保しています。ただしカリキュラムをよく見ると、高校3年に「政治経済」が無い。 ===== 国際科の基本 ===== 具体的には、国際科のカリキュラムでは、その高校内では普通科の高校3年にある理系科目を履修できません。具体的には、数学IIIや専門「化学」や専門「生物」など高校3年の普通科にある数学や理科の科目が、国際科には無いです。'''たとえ偏差値がかなり高い公立高校の国際科でも、数学III'''(すうがくサン)'''や専門「化学」などの科目は無いです。''' また、高校2年までの理科の4科目(生物・化学・物理・地学)もよく見ると、普通科高校より選べる科目が1つ減っていたりします。普通科高校では「生物基礎」・「化学基礎」・「物理基礎」・「地学基礎」のうち3科目を履修ですが、国際科では2科目までしか選べません。 語学以外の分野の授業進度は遅れるので、他分野への大学進学を志望する場合には、返って不利になります。なので、きちんと進路志望が固まってない限り「普通科」への進学が無難です。 「国際科」「国際人文科」などのように語学や文系に特化した学科の高校に入ると、高校によっては国際科のほかに普通科が併設されている高校も多いですが、しかし学科を移れません。このため、普通科の理系コースにある高校3年の数学IIIや高校3年の理科などは、国際科では履修が基本的に不可能です。 ※ ただし例外的な国際科高校もあり、 pdf[https://www.e-net.nara.jp/hs/kokusai/index.cfm/7,59,c,html/59/20220804-082219.pdf 奈良県立国際高等学校の国際科・理系コース] では数学IIIが履修可能。 同様に、「理数科」などの理系に特化した学科では、基本的には普通科には移れません。また理数科内には、そもそも文系コースは存在しません。 また、私立大学への推薦入試を考える場合、理系志望の場合などは、高校で数学IIIや物理・化学などの、普通科高学年の理系科目の履修を、推薦の条件の一つに加えている場合もあります。もし高校の学科が「国際科」などの文系特化型の学科だと、そもそも、これらの理系科目が履修できなかったり、もしくは推薦の要件の履修科目数・履修単位数に届かない場合があります。 なので、少しでも理系大学を志望してる高校受験生なら、'''たとえ中学時点で語学や社会科の世界史・世界地理などが好きであっても、なるべく「普通科」または「理数科」への進学をお勧めします。''' 特に理系学部の推薦では、文系学部の推薦よりもこのような履修科目の条件が多いので、注意してください。 「国際科」などでも、理系科目は高学年の選択科目として存在しますが、どちらかというと学科名の通り語学などの科目に重点が置かれますので、その分理系科目の履修時間は少なくなり、普通科よりも数学・理科の進度は遅れます。具体的には、「地学基礎」などを高校3年で習ったりします(専門「生物」や専門「化学」などは履修できない等<ref>pdf[https://www.city.chiba.jp/school/hs/001/gakkoshokai/highschool/introduction/documents/r5_nyugaku.pdf 千葉市立稲毛高等学校]</ref>)。 なので、理系志望者にとっては国際科は不利になります。たとえば普通科の理科では3年生で専門「物理」・専門「化学」を学びますが、しかし国際科では専門「化学」などは履修できないのが普通です。 もし国際科などから理系志望に移りたい場合、他校の普通科などに転校するなどの対応を取らなければならないかもしれません。同様に、理数科の人が文系コースに移りたい場合、他校の普通科コースに転校することになってしまうかもしれないのです。ただし理数科の場合の文系志望なら、わざわざ転学科せずそのまま理数科を卒業して、文系大学を受験することも、合理的な選択かもしれません。 一般に、理系の人が独学で文系の学問を学ぶのは割りと容易です。しかし、逆のパターン、つまり文系の人が理系を独学するのは困難です。 「国際科」「理数科」などから普通科に転校した場合、普通科での卒業要件の科目の履修のため、場合によっては卒業が1年ほど遅れる可能性も考えられます。 なお、国際科では、フランス語やドイツ語などの第二外国語が開講されている場合もあります。定番は、ドイツ語・フランス語・中国語・ハングル(韓国)のうち1つです。この4言語は、新共通テストで受験可能な科目です。(ただし志望先の大学が、英語の第二外国語への置き換え認めていない場合も多々あります。なので、英語も勉強しましょう。) 高校によっては、第二外国語のスペイン語やアラビア語が選択肢に加わる場合もあります。しかし、新共通テストには、スペイン語やアラビア語は無いので、共テ受験にはスペイン語などは使えません。 大学受験で入試科目の外国語としてドイツ語やフランス語が使えるかは大学によります。受験産業などのサイト情報だと、第二外国についての入試科目の情報が抜けているサイトもあり不正確なので、高校在学中にでも大学公式のサイトで確認してください。 ほか、国公立大学などで、大学個別の二次試験では独逸語などで受験できても、新共通試験(センター試験)は英語で受験しなければならない可能性もあるので、気を付けてください。 このため、高校時代の語学の勉強では、英語をすててドイツ語やフランス語などにだけ注力するのは、大学進学では、かなり危険です。 なお、基本的に、国際科以外の公立の普通科高校では、フランス語など第二外国語は開講されておらず、よって、ほとんどの公立の普通科高校では第二外国語を履修できません。 例外的に東京都には都立の偏差値トップ近辺の高校である日比谷(ひびや)高校には、普通科内に第二外国語のフランス語またはドイツ語などの選択科目がありますが<ref>pdf [https://hibiya-h.metro.ed.jp/Study/Curriculum.pdf ※日比谷高校のはず] 2024年03月31日に確認.</ref>)、しかしかなり例外的なカリキュラムの公立高校です。 都立の新宿高校にも第二外国語があり、フランス、ドイツ、中国語、ハングル(韓国)の外国語の科目があります。pdf[https://www.metro.ed.jp/shinjuku-h/assets/filelink/filelink-pdffile-16416.pdf ※ 新宿高校 教育課程(R4入学生) ] 2024年03月31日に確認. 東京以外だと、神奈川でも千葉でも埼玉でも、公立の偏差値トップ高校でも、フランス語などは開講されていないようです<ref>pdf[https://www.pen-kanagawa.ed.jp/yokohamasuiran-h/zennichi/documents/r5gakkouanai.pdf 神奈川県立横浜翠嵐高等学校『学校案内(全日制課程)』2023] 2024年03月31日に確認.</ref><ref>pdf[https://www.chiba-c.ed.jp/chiba-h/pdf/20200916_%E3%80%90%E7%9C%8C%E7%AB%8B%E5%8D%83%E8%91%89%E9%AB%98%E6%A0%A1%E3%80%91%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%92%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%A1%88%E5%86%85.pdf千葉県立千葉高校 ]</ref><ref>pdf[https://phs.jac-web.com/wp-content/uploads/7b625111fe7f24e9bd51d16f3c1c37b8.pdf 千葉県立船橋高等学校 発行『船高教育ガイド2020』、令和2年7月6日、 ]</ref><ref>[https://urawa-h.spec.ed.jp/%E5%85%A8%E6%97%A5%E5%88%B6/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E6%B4%BB%E5%8B%95/%E6%B5%A6%E9%AB%98%E3%81%AE%E5%AD%A6%E7%BF%92%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%83%BB%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B - 埼玉県立浦和高等学校『浦高の学習支援・教育課程』]、2024年03月31日に確認.</ref>。 このように都立の日比谷高校のカリキュラムはかなり例外的なので、他県の受験生は決して高校受験のさいの手本・見本にしてはいけません。 * 国際科の高校入試の「外国語」 高校受験でたとえ「国際科」や「外国語科」などを受験する場合でも、基本的には高校入試での「外国語」教科の出題内容は英語だけです。たとえその高校の国際科に第二外国語の授業があって、たとえば仏(フランス)・独(ドイツ)・中(チャイナ)・韓(ハングル(文字名)、コリア)の言語のうち1つを選択できても、しかし高校受験の時点では外国語はあくまで英語のみです。誤解しないように。 ==== 人文系の学科 ==== 「国際人文科」など、ごく少数ですが、人文系の学科があります。 カリキュラムの注意点として、'''数学IIが無い'''です。このためか、理科では'''物理基礎が無い'''です。 このため、進路がいちじるしく文系に片寄り、また新共通テスト5教科を要求するような国立文系は困難です。なので、少しでも数学・理科を普通科の文系コースのように勉強したいと思うなら、普通科にしましょう。 難度も言いますが、専門学科の学科名は、教育内容の高度さで決まるのではなく、単位数で決まります(25単位以上)。なので人文系の学科には、普通科の文系コースで見られる理系科目は無いのです。 また、第二外国語(ドイツ語や中国語など)は無いです。 === 文理学科 === 大阪府の公立高校に見られる、大阪独自の学科です。 現状(2024年)、まるで私立進学高校の特進コースの普通科のようなカリキュラムです。 大阪では入学試験に難易度が3段階のA,B,Cがあって、Cがいちばん難しく(Aがいちばん簡単)、文理学科の入試問題はその最難関のCです。 なお、入試において、内申点の高さは、他の公立高校と同様、要求されます。 高校カリキュラムの特徴は、ほぼ受験5教科(国数英理社)に特化していることです。 高校ごとに、かなりカリキュラムが違いますので、高校の公式サイトなどでカリキュラムを確認してください。 たとえば、数学II・Bを履修するかどうかは、高校によります。文系コースが数学II・Bを履修しない文理学科の公立高校もあります。 けっして、文系科目と理系科目をバランスよく勉強する学科'''ではない'''ので、勘違いしないでください。 まだまだ新しい学科であり、大阪独自の学科ですので、高校ごとのカリクユラムの差がけっこう大きいです。 === 美術科・音楽科の高校 === 美術科・音楽科など芸術系の高校への進学は、国際科以上に注意が必要です。 美術科・音楽科の高校カリキュラムは、'''まるで商業高校の専門科目をすべて芸術系科目に置き換えたようなカリキュラム'''です。(数学II とか物理基礎とか習わない、という意味です。けっして簿記(ぼき)とか教えるわけではないので、誤解しないよう) 実際、文部科学省の学習指導要領では、専門学科では、専門科目の必履修の単位数が25単位以上と定められてます<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/28/1282000_01.pdf 文部科学省『高等学校学習指導要領解説 総則編』、平成21年7月、P.5]</ref>。また、商業高校も美術高校・音楽高校も、指導要領では法律上は同列にあつかわれており、商業高校だろうが美術高校・音楽高校だろうが専門科目の履修を25単位以上を要求されます<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/28/1282000_01.pdf 文部科学省『高等学校学習指導要領解説 総則編』、平成21年7月、P.5]</ref>。 このため、たとえ美術や音楽のように普通科高校にも同じ名前の科目のある学科であろうが、専門学科である以上は25単位以上を履修しないといけません。 25単位とはどれほどの量かというと、参考として、いくつかの進学校の私立高校の理系コースの国語の卒業までの単位数が14~16単位でした。「25単位」はさらにそれを約10単位も上回ります。 ほか、ある私立高校の国立文系コースでの数学・理科の単位数が30単位でした。25単位とは、ほぼこれに匹敵する量で、美術・音楽をやらされるわけです。 けっして、美術科・音楽科を「普通科から派生した学科」と見るべきではありません。法律上のタテマエはどうか知りませんが、カリキュラムの実態を見る限り、「'''美術・音楽系の高校は、商業高校の突然変異'''」みたいに見なすべきでしょう。じっさい文科省の指導要領などを見る限り、法律的にも商業科や工業科などと同等に、専門科目の単位数の基準(25単位以上)があります。 具体的には、美術・音楽系の高校では、公立高校ですら芸術系の学科になると、高校2年の'''数学II'''が必修でなく'''履修できない'''高校が多数です(カリキュラム表を見ても数学IIが見当たらない公立芸術高校が多数あります)。 また、高校1年の理科は「生物基礎」ではなく「科学と人間生活」という横断科目になったりする高校も多くあります。別に「科学と人間生活」が悪いというわけではなく、音楽など分野によっては必要かもしれません。たとえば物理計算の練習を飛ばして音波などの勉強を出来るカリキュラムも組めるでしょうし、そういうカリキュラムも必要な高校もあるでしょう。ただし、あくまで'''普通科高校での一般的な教育内容とは大きく違う'''、という事は、覚悟しておいてください。 高校2年の理科は、多くの芸術高校では「生物基礎」が指定されています。つまり、「化学基礎」「物理基礎」「地学基礎」は履修できないのが大半です。 まれに、化学基礎を履修できる芸術高校もありますが<ref>[https://ogose-h.spec.ed.jp/%E7%BE%8E%E8%A1%93%E7%A7%91%E3%80%80%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B 埼玉県立埼玉県越生高校『美術科教育課程』、 ] 2024年4月9日に確認.</ref>、あるいは地学基礎が履修できる場合もありますが<ref>pdf [https://storage.googleapis.com/studio-design-asset-files/projects/ogO01l0Nq2/s-1x1_d7c13069-bdf1-4794-ac95-1639e73269d0.pdf 愛知県立旭丘高等学校『教育課程 美術科] 2024年4月9日に確認</ref>、物理基礎はハナっから履修できません。 たとえ、普通科高校の公立高校の高校3年によくある「自由選択科目」群で、数学IIまたは生物基礎・化学基礎などを履修しようとしても、そもそも、その'''自由選択科目群すら無い'''、というのが芸術系の公立高校です。たとえば美術系の学科なら、高校3年の国語・英語・社会科(地歴)のほかは、美術系の科目が高校3年でも学校必修であり、自由選択の余地がありません。 言い方を変えると、普通科高校で高校3年の自由選択科目で芸術IIを履修するような人とは、別人種を養成する教育システムです。 ほか、地味ですが文系科目でも、'''「古典探究」'''と'''「政治経済」'''の両方は履修できないです(ほか、両方とも履修できない芸術高校もあり、その場合は論理国語などを習っていたりする)。まあ、古典探究が無くても「文学国語」のある芸術高校が多いのであまり国語に差は無いですが、しかし政治経済が無いとなると高校1年の「公共」が公民系科目の最後になります。「歴史総合」を習うのが高校3年からです。社会科は1年生のうちは「公共」だけ、2年生は「地理総合」、3年生で「歴史総合」というパターンが典型的です。 美術科・音楽科の高校について、ありそうな誤解は、ついつい中学校では「美術」・「音楽」を習うので、なんとなく美術・音楽高校も中学の延長上の普通科高校のように考えてしまうかもしれませんが(吹奏楽部のようなイメージ)、しかし、かなり普通科高校とは違います。 ;一般大学受験に関すること なお、大学受験に関していうと、国公立大学の文系学部(文学部や法学部、経済学部など)では、新共通テストに「数学II B・C 」という数学IIの発展した科目の受験、および理科の生物基礎・化学基礎・物理基礎・地学基礎のいずれかの受験が必要です(ただし県立大学とかは違うかもしれません。地域によるので説明を省略)。なので、もし読者の高校生が、少しでも国立大学の文系学部を一般入試で目指す人は、芸術科の高校ではなく普通科高校で美術・音楽に強いところを目指しましょう。 ;私立芸大受験に関すること なお、そのような各地の芸術高校でも、進学実績を見ると、私立美大や私立音大に進学した卒業生は普通にいます。美大生や音大生の5教科の学力なんてそんなもんです。私立芸大の入試科目を見ると、新共通テスト利用入試でも入試科目が2~3科目だったりして、事実上、数学や理科などは捨てていると思われます(一応、共テ受験科目としては数学・理科を認めている)。ほとんどの私立芸大は、一般入試科目だと、最初から数学・理科が無く、国数英の3教科のうちの3教科選択の受験だけです。国語と実技試験だけ、という私立芸大もいくつもあります。 「卵が先か、ニワトリが先か」ではありませんが、ともかく公立の芸術高校と私立芸術大学はこのように、お互いを正当化するような高校カリキュラムおよび大学入試科目の構成になっています。 つまり、芸術学科の高校カリキュラムは事実上、'''私立芸大入試に特化したカリキュラム'''です。主目的か派生的な目的かは知りませんが、ともかく、そうなっていいます。 決して5教科の学習による全人格的な人間形成を目指すような学科に芸術も加えたようなカリキュラムではなく、教育学の、初等教育における「フンボルト理念」(5教科をバランスよく学ばせると人間形成に良い)の拡張(5教科に芸術・体育などを加えたもの)ではないです。また、近年流行のSTEAM探究(Science、Technology、Engineering、'''Art'''、Mathematics or Medical の頭文字)とか関係ありません。 また、芸術学科以外の学科を見ても芸術系は文系あつかいなのが日本の教育システムです。実際、多くの公立高校の普通科高校でも、芸術IIのある普通科高校のカリキュラム表を見ても、芸術IIなどは文系コースに組み込まれているのが大半だからです。よって、もはや21世紀のいまどきの音楽家は基本、東京大学とか千葉大学とか、一般の国公立大とかは入学できませんし卒業もしていません。ごく一部の人が、早慶マーチとかの文化活動推薦とかで行くくらいです。 世の中には、インチキ広告業者みたいなのがいて、まるで音大卒とかを、なんだか「5教科もできて、さらに楽器もできる優等生」(たとえばお金持ちのお嬢様が優等生でピアノもできる的なアレで吹奏楽部員のアレ)のように宣伝するインチキ宣伝マンもいますが、まったく実態とは違うデマですので、単なる大デマです。 ごく一部には、東大とか出て音楽家の人も過去にはいますが、しかし統計的に、多くの私立芸大はそうではありません(日本の大学の多くは私立です。まして国公立の芸大はごくわずかです。美大・音大の多くは私立です)。 日本の広告業者がよくやる脱法行為として、宣伝されてる本人にウソをつかせると本人のブランドイメージが傷つくので、第三者の広告業者を利用して、その広告業者に「ウソ・大げさ・まぎらわしい」宣伝をさせるのです。 もしウソがバレても、トカゲのしっぽ切りとして業者だけ処罰を受けさせればいい、という発想です。まるでヤクザの鉄砲玉。 === 職業高校に進学したい場合 === 大学進学は、工業高校や商業高校などの職業高校(今では専門高校と言う。)の卒業生でも、法的には大学受験が可能です。 ですが、現実的に考えると大学進学は普通科よりは困難です。 特に、高卒で就職しなければいけない経済的な事情や、職業高校への進学にこだわりが無ければ、普通科に進学したほうが大学進学をしやすいです。 また、商業高校に進学した場合、理系大学に進学するのは難しいです。(法的には、大学受験なら、商業高校卒から理系大受験も、一応は法的に可能です。) 工業高校で習う機械工学などの専門教育は、工業大学の入試には出ません。農業高校や水産高校の専門科目も同様に、大学入試には出ません。 また、専門科目以外の教育は職業高校ではあまり行いません。工業高校でも数学や物理の時間は少ないです。農業高校でも生物学や化学の時間は少ないです。 生物学者や化学者や農学者などを目指したいなら、農業高校では無く、普通科高校で理系進学の強い高校を志望したほうが良いでしょう。 科学者を目指したいなら、例え機械工学者などの工学志望であっても、工業高校では無く、普通科高校で理系進学に強い高校、もしくは工業系の高等専門学校を選んだほうが良いです。 工業高校では、多少は初歩の強度計算や電子工学なども学べますが、工業高校での教育の多くは工具の使い方などの職業訓練です。工業高校は、スパナやドライバーなどの工具の使い方や、はんだごての使い方、旋盤などの工作機械の使い方などの技能を練習する学校です。 農業高校では、多少は農学的なことや最近ではバイオテクノロジーなどのも学べます。しかし、農業高校での教育の多くは職業訓練です。バイオテクノロジーの基本なら、普通科の生物の参考書にも紹介されていますので、べつにバイオテクノロジーを教わるために、わざわざ農業高校に進学する必要は無いと思われます。 高卒で就職する場合は、多くの企業は普通科卒よりも職業高校卒を雇いたがるという現実があります。家庭の経済事情で、大学への進学が難しい家庭は、この事に注意してください。 職業高校というと「不良が集まる学校」という感じのイメージが世間ではありますが(特に工業高校など)、実際は就職指導を含めて生活指導が厳しめに行われるので、あまりにも素行の悪すぎる不良・非行生徒だと中退をせざるを得ない場合もあります。 (とは言え、普通科の難関高校など、教師から見ると優等生の集まる難関と比べたら、不良っぽい生徒は多いかもしれませんが・・・) 専門科目でも、実習のレポートなどが膨大な量だったりと、けっこうスケジュールが厳しいです。 「レポート」と言っても、けっして小学生・中学生のレポートのような数枚のレポートを学期に1回・2回ではなく、職業高校の実習レポートでは10数枚 - 20枚ほどの枚数のレポート提出を数週間おきぐらいに要求されます。しかもレポートの質が低ければ、書き直しを命じられることもあります。企業に就職した後の報告書の書き方の教育なども含めた教育なので、それだけレポート課題が厳しいのです。 職業高校は、入学するだけなら、普通科の中堅 - 難関高校よりかは入学しやすいのが一般です。しかし入学しやすさだけで職業高校に入学すると、入学後の意外と厳しい教育指導とのギャップに戸惑い、悩むことになります。 ともかく、上記のような事情もあり、職業高校から大学進学を目指すのは難しいのが現実です。 * 工業高校の学科は複数ある。目指す就職先にあった学科を選ぶべき。 工業高校の学科は、機械科、電気科、建築科、土木科・・・などと複数に分かれています。異なる学科への転学科は、原則は出来ません。できたとしても、卒業時の年齢が遅れて、就職時に大企業などの設ける志望者の年齢制限などに抵触し、就職が不利になることがあります。 また、異なる専門分野への就職は(例えば土木科から電機業界への就職など。)不可能では無いですが、就職に不利になることが多いです。特に就職活動の際のアピールとして、資格(例えばボイラー技士など)の取得などを勧める学校が多いと思いますが、異なる学科の専門分野の資格を取得するのは、学習時間的にも困難です。 就職面接での自己アピールでも、学科と同じ業界への就職の方が、経験などをアピールしやすいです。 === 「総合高校」と「総合科」 === 「総合高校」は、高校ごとにかなりカリキュラムが違います。詳しくは、各学校の公式サイトなどで確認してください。よく「総合科」と言われますが、実際にはそういう教科は基本的に存在しないし、学生が所属する学科も違います。 「総合学科」と「総合高校」とは'''意味が違います'''。少なくとも、後述する3つのタイプがあります。 ほか、大学入試の「総合型選抜」と「総合科」・「総合高校」などは無関係です。私大の総合型選抜は、大学によって違いはありますが傾向として、英検やTOEICスコアなどの保有資格による足切りをして、そのあと自己アピール書と面接と、国語などの若干の筆記試験などで大学入学の合否を決める方式です。(国公立大の総合型選抜は内容が全く違います。詳しくは省略。このページはあくまで高校受験の話なので。) 総合型選抜の英検などの足切りから分かるように、別に幅広い知識は日本の総合型選抜では求められないので、よって総合科や総合高校に進学したからって有利になる事は基本、無いです。 ==== 「総合高校」である場合 ==== ===== 複数の職業高校の合体タイプ ===== 例のひとつとして、高校に工業高校と水産高校が合わさって併設されているなど、複数の職業高校が合わさった高校が「総合」高等学校と名乗る場合もあります。 一般的な単科の工業高校では「機械科」「電気科」と学科がわかれますが、総合高校の工業系では「工業科(または総合技術科) 機械コース」「工業科 電機コース」のように分かれます。 工業科内の異なるコースの科目が履修できるかどうかは、基本、できなさそうです(詳しくは高校に確認してください)。 つまり、けっして一つの総合高校で、一人の生徒が、商業系・工業系・農業系の全部を履修できるわけ'''ではない'''かもしれません。 また、ドイツ語とか中国語とかは、このタイプでは学校にその教科が無いです。ソルフェージュとかの音楽高校の専門科目、ビジュアルデザインとかの美術高校の専門科目も無いです。 俗(ぞく)にいう、バイキング方式'''ではない'''。(バイキングというのは、レストランみたいな料理屋で、入場料のお金さえ払えば、すでに出来上がっている料理を自由にとれる方式のアレ。よくホテルの朝食の洋食とかであるヤツ) ===== 総合選択制のタイプ:普通科高校をベース ===== さて、上記と別の例では、一例として普通科の高校のようなカリキュラムの高校が、選択科目として商業高校の科目と、美術専門科目(科目「ビジュアルデザイン」とか)とか音楽専門科目(「ソルフェージュ」とか)の選択科目、加えて第二外国語(どの言語かは高校による)を履修可能、というような高校もあります。 俗(ぞく)にいう、バイキング方式なのは、こちらのほう。(バイキングというのは、レストランみたいな料理屋で、入場料のお金さえ払えば、すでに出来上がっている料理を自由にとれる方式のアレ。よくホテルの朝食の洋食とかであるヤツ) 学科は、2つのパターンに分かれます。 * 学科はあくまで「普通科」であり、選択科目がとても多い「普通科 総合選択制」というパターンが一つ。商業などの職業科目が履修できるかは高校によります。 * もうひとつは、学科がもはや普通科ではなく「総合学科」という別学科であるパターンです。 職業系の科目が、元から高校に存在しない総合選択制もあります。総合選択制だからといって、商業科目・農業科目などが学べるとは限らないので、注意しましょう。 また、首都圏の総合高校の場合、工業・農業のような設備を使う専門科目を複数もつ高校は、基本的には'''無い'''です。理由のひとつは、たとえば、もともと農業高校だった学校を、改組(かいそ)して総合高校にした学校があるからです<ref>動画 [https://www.youtube.com/watch?v=MgCK3UI_jlU 受験応援さんだるちゃんねる『【総合高校】いいとこ取り!普通科でも専門学科でもない、総合学科の魅力とは?』2022/12/15 、3:00 あたり]</ref>。 たとえば都立の葛飾(かつしか)総合は、もともと工業高校だったため、工業の選択科目はありますが、農業の選択科目は無いです。 このように、総合学科だからといって、工業・農業・商業・などのすべてを学べるわけではありません。 農業・工業などの実習用の大きな設備や土地を要求する科目については、もともとの高校の学科にあった範囲でしか選べないのが一般的です。 いっぽう、設備をそれほど有しない商業・福祉の2つを学べる総合高校なら、いくつかあります。(なお、医療設備などを有する専門科目は「福祉」ではなく「看護」という別科目になる) ただし、お住まいの都道府県に存在するかは知りません。 さて、音楽「ソルフェージュ」とか存在せずに音楽II、音楽III とかの総合選択制の高校もあります。この高校では美術も同様、普通科の美術II、美術IIIです。 総合選択制のメリットは、たとえば一般的な進学校では不可能な、文系・理系のハイブリッドなカリキュラムを自分で組めるかもしれない、という事です(ただし時間割が許すかどうかは不明です)。または、音楽IIIと数学IIIみたいに、通常の普通科高校では不可能な履修も、時間割が許せば可能かもしれない、という事などです。 実際には授業時間数の関係で、カリキュラム表(「教育課程」表)には存在している科目でも、履修を希望するすべての科目は履修できない可能性もあります(総合高校に限ったことではなく、一般的な公立の普通科の自由選択科目でも同様のことがあります)。なので、選択科目の自由が与えられたら、けっして「デザートをとっておく」のよう事はせずに、さっさと希望の科目から順に履修しましょう。 さて、この総合学科は、高校2年の初めごろから、選択科目が増えます。1年次は、在校生の履修科目は、ほぼ共通です。 {{コラム|校庭の広さなどに注意| なお、もし仮に工業・農業の2つの設備をもつ総合学科の高校があり、この2つの選択教科を履修できる総合高校があったとしても、もしかしたら「'''校庭がとても狭い'''」など別の制約というシワ寄せがある可能性も考えられますので、学校見学などは事前にしておいてください。校庭が狭い結果、運動部の数が少ない可能性があり、たとえば野球部とかサッカー部とかが存在しない可能性があります(スポーツの部活は体育館でやれる室内競技に限られている場合があります)。 }} 第二外国語については、高校によっては、学校必修です。中国語・韓国語のうち一つが学校必修、という例もあります(たとえば都立の杉並総合高校)。 総合高校での第二外国語の定番は、ドイツ語・フランス語・中国語・ハングル(韓国)の4言語ですが、高校によっては、このうちの1つが科目設置されてない場合もあります。 ほか、総合高校の近くの私立高校で、たとえばドイツ語のある私学がある場合、公立の総合高校で仮に同じドイツ語をしても(総合高校が)競争に負けるだけなので、その総合高校ではドイツ語は設置されておらず、代わりにあるのはイタリア語だったりとか、そういう工夫があります。 総合学科の選択科目はジャンルごとに「系列」(たとえばアート系列、テクノロジー系列、福祉系列、など)と分けられますが、生徒は系列に所属するわけではなく、色々な系列の科目を履修できるのが一般です。 なお、「コース」と「系列」は意味が異なります。「コース」だと学科決めのようなもので、変更が不可能な場合があります<ref>動画[https://www.youtube.com/watch?v=LrqqVXD1Qu0 『【都立高校】自分の「好き」を学びませんか?』、2022/01/20、16:00 ]</ref>(ただし、学校によって意味が異なる場合がある)。 ===== 高校2年に学科の分かれるタイプ ===== 高校2年の初めごろに、学科が決まるタイプの高校です。 ただし、工業科とか農業科とかは無理です。 そういうのではなく、スポーツ系学科とか、美術系学科とか、ああいう普通科高校の設備でも可能な学科を、入学後に選ぶ方式です。 形式上では普通科「スポーツコース」とか普通科「美術コース」とかの呼び方ですが、実質的には学科です。 もちろん、進学を希望する場合は、進学コースを選んでも構いません。 ==== 「総合高校」でない場合 ==== ===== 軽度知的障害・移民の「総合科」 ===== 軽度知的障害者や、在日外国人または帰化日本人またはその家庭の子などで、学習に困難を抱える子のための「総合科」の公立高校が少数ですが、あります。 養護学校だと、重度の知的障害や学習障害の子のための学校ですので、そこまでの障害ではない子のための「総合科」です。こういう軽度な知的障害者のための総合科の高校のことを'''チャレンジスクール'''と言います。(なお、普通科の場合はエンカレッジスクールという。) 授業に、補習的な内容が多いことが考えられます。一般の普通科高校では1年生に始める科目が、この総合科では2年生以降だったりします。 よって、知能障害でない人は、この高校には進学しないほうが良いでしょう。補習が中心のため、高校で新しい事をあまり学べません。 チャレンジスクールの専門科目の内容は、チャレンジでないほうの総合高校のカリキュラムとは、'''まったく違う'''ので、けっして両者を学科名だけで混同してはいけません。「点字」とか(障害者むけの労働事業所への)「インターンシップ」とか、ほか、公民館とかのカルチャーセンターの講座みたいな科目とか、そういう科目がチャレンジスクールでは専門科目になっていたりすることもあります。健常者の人は、もっと偏差値の高い高校、別の高校に行きましょう。さらにそのカルチャーセンター系の専門科目の講師も、基本的には教職免許をもった人物'''ではなく'''、行政などからの委託を受けたカルチャーセンターから派遣された講師だったりします。 このような障害者むけの高校のカリキュラムでは、大学進学は困難であり、高卒就職に対応しております。大学に進学する人もいますが、推薦入試だとかであり、しかも文系の私立大学の地元の大学に限るのが通常です。 工業高校などとは違います。高度な実習ではなく、中学校の技術家庭の延長上の補習的な実習などに特化しています。 第二外国語の授業がある場合もありますが、しかしこれは決して教養主義のものではなく、移民社会などでやっていくためのリテラシー教育です。決してドイツ語とかではなく、フィリピン語とかそういうのです。 高校名には、「総合」の文字は入っておらず、単に「地域名 + 高等学校」の構成です。 「学び直し」とかキャッチコピーを言う場合がありますが、けっして社会人の学び直しの意味ではないです。この種の学校の「学び直し」とは、小中の内容の補習と言うような意味です。 == 進学志望の高校を選ぶにあたって == === 高卒で就職する場合 === ==== 学科による差別 ==== *'''たいていの企業の高卒採用では、出身の学科(工業高校、商業高校など)の方を気にします。'''偏差値よりも出身学科の方を気にすることが多いです。。 :* 普通科高校卒の採用以外では、企業はあまり高校の偏差値を気にしません。 普通科卒よりも、工業高校などの職業高校卒の方が、その専門分野の企業には採用されやすいでしょう。 例えば製造業に就職したい場合、普通科の偏差値の高い高校よりも、工業高校のほうが製造業には就職しやすいです。 世間の大人には、「社会に出たら学歴は関係ない。学歴よりも実力が大事だ。」と主張する会社員もいます。 しかし、その人達の勤める企業での新入社員の採用方法は、まぎれもなく学歴重視なのが日本での実態です。「学歴フィルター」と言われることもあります。 例え「有名大学卒」などの高学歴を要しない職種でも、(例えば製造業への工場作業員への就職など)高卒の専門職での就職の場合では、工業高校や商業高校などの学科などの経歴で選考をしています。 たとえば高卒後の進路で、工場作業員への就職希望でも、工業高校以上など所定の学校・学科を出ていないと就職活動で応募自体が出来ない企業も存在します。 特に、技術系の場合、学科による採用選考の ふるい落としが強くなります。 たとえば、もし高校卒業後に機械工場に就職したいなら、工業高校の機械科か電気科、電子科などに進学しないと、機械工場への就職には不利です。工業高校の建築科や土木科からでも機械工場に就職する例もありますが、不利です。 逆に、将来には土木関係の仕事などに就職したい場合は、工業高校への進学では土木科・建築科に進学しないと、高卒での土木系職種への就職は不利です。 あなた(おそらく中学生)の進路の最終目標は、社会に出て困らないような1人前の大人になることです。大学や高校は、社会に出るためのステップに過ぎません。あなたが気にするべきは、偏差値よりもその高校が自分にとって合っているか、自分の将来に役に立つかということです。 高卒での就職だけでなく、大学卒業生の就職でも、偏差値はもちろん重視されますが、理系学部か文系学部かを見られる場合もあります。 たとえば大企業での技術職の採用では、大卒の場合は理系学部の卒業で無いと対象外のこともあり、文系学部卒はエンジニアなどの技術職には募集対象外の場合があります。コンピュータのプログラマー以外の機械設計や電機設計などの技術職は、理系学部の卒業でないと募集対象にならないのが多いです。 こういう企業の採用での現実があるので、もし、高卒で技術職につきたいなら、なるべく工業高校などの職業高校に進学したほうが良いでしょう。 普通科高校の卒業後に、職業高校に編入学したりするという方法もありますが、不利なことが多いです。最初から職業高校に進学した人と比べて、普通科からの職業高校への編入は卒業時の年齢の高さなどで就職活動は不利です。つまり日本企業では、就職時の年齢差別が横行しています。大企業でもこのような年齢差別がなされている場合がありますし、そもそも差別だと自覚していないことが多いです。 また企業だけでなく役所でも応募条件に年齢制限があり、つまり日本国は国家ぐるみで、新卒の年齢差別を行っています。 なので、たとえ学業をサボったわけでなくとも、たとえば志望進路が変更したりするなどの理由で、普通科高校から工業高校などに入学しなおしたりすると、卒業時の年齢が高くなってしまい、それだけで就職には不利になってしまいます。 ==== 普通科高校卒の就職について ==== ==== 私立高校卒の場合 ==== 企業の多くは、他地域の高校の事情をあまり知りません。たとえば、もし千葉県にある中小企業なら、企業側が知ってるのは千葉県の公立高校・私立高校と、くわえて東京都の進学校および有名高校と全国の大学附属校と、甲子園強豪校みたいなスポーツ強豪高校と、あとはビジネス雑誌とかの教育評論の特集とかにも載るような偏差値70以上の全国的に有名な進学校のことくらいしか知りません。 なので、たとえば地方で偏差値55〜60くらいのそこそこ偏差値が高くて知名度のひくい進学校の私立よりも、仮にそれより偏差値が低い高校でも、たとえば日本大学の附属校などのほうが企業にとっては知名度は高いのです。 (ですがほとんどの大学付属高はそのまま付属大学へ進学するか、進学校ならば大学受験をするかなどいずれも大学へ進学する可能性が高いです。) また、大学附属校で「○○工業大学付属△△高校」みたいな、「工業」みたいな名前を冠した高校を卒業してると、たとえ普通科の文系コースを卒業でも、企業側が理系に準ずる人材と勘違いするかもしれません。 逆にいうと、企業側は高校の選択科目が文系か理系かなんてろくに調べません。たとえ製造業に就職したい場合ですら、高校の選択科目で数学IIIや物理IIを勉強してるかとかも、企業側はあまり重視しません。企業の新卒採用時にも学力試験は行わないのが普通です。 (そもそも高校生が就職活動をする3年生1学期ごろの時点で、まだ数学IIIの履修が終わってません。) == 参考文献 == === 書籍 === なし(2024年03月31日の時点) === 脚注 === pq9oco8jlv4ctyr177lfp6pyam8jr9n 246453 246452 2024-04-10T05:09:38Z すじにくシチュー 12058 /* 「総合高校」と「総合科」 */ wikitext text/x-wiki == 進学実績を見る際の注意事項 == 公立の商業高校や「○○総合高校」などで、一見すると、大学への進学実績の高い高校があります。しかし、よく調べてみると、その高校に'''併設されている普通科'''の進学実績だったりする場合があります。地方の山間部などでは、周辺に他の公立高校が少ないため、職業高校や総合高校に普通科も併設している場合もあります。 職業高校では、卒業までの専門学科の単位数が25単位以上と定められているので、大学進学を一般入試で通貨するのは、かなり難しいです。(なお、進学校の文系コースの数学の3年間の単位数がおおよそ14単位の前後です) 進学校での文系コースでの数学・理科の単位数の合計(共通テスト対策も含む)に匹敵する時間を、職業高校ではその学科の専門科目に投入しますので、一般入試はかなりの難関です。 決して学校名だけ見て、大学進学実績を見て「職業系の学科なのにスゴイ!」との早合点を、しないようにしましょう。 == 学科選び == === 高校は学校ごとの教育内容の差が大きい === 単に受験に受かることだけでなく、どの高校、どの学科に進学するべきかも、きちんと考えなくてはなりません。なぜかというと、高校は学校ごと、学科ごとに教育内容の差が大きいのです。 高校の転校は法的には可能ですが、中学よりも手続きが難しく、希望の高校に移れる保証も無いので、高校入学前に学校選びは慎重に考えてください。 高校は義務教育ではありません。しかも、近年では規制緩和という傾向があります。よって、高校の科目でも学校ごとに差が大きいのです。 工業高校・商業高校などは、高卒で就職する場合に、進路志望に応じて選ぶのが良いでしょう。高卒で就職する場合、普通科卒よりも、工業高校卒・商業高校卒の方が多くの企業では有利です。 高卒後に、理系大学または国公立大学への進学を志望する場合は、普通科または理数科を目指すのが良いでしょう。 私立大の文系に志望が限定して至る場合は、普通科または、そのような文系進学に対応した学科を目指すのが良いでしょう。 なお、法律上の問題で工業高校や農業高校など、その分野の学科を卒業しないといくつかの国家資格の取得が困難、または資格取得がやや難しくなる業界が、いくつかあります。 良く、工業系のいくつかの肉体労働の現場作業系の国家資格で「高校で理科系卒業後、○年以上の実務経験」とかの資格要件があり、その実務経験を満たすと国家試験を受験しなくても資格を認定してもらえる資格も一部にはありますが、ここでいう「理科系」とは、決して普通科高校の理系大学進学コースのことではなく、工業高校など職業高校での該当する学科(例えば機械科や電機科などの学科)のことですので、勘違いしないようにしましょう。 一応、それらの学校を出なくても筆記試験で受験すれば合格できます。しかし電気主任技術者試験2種など、資格によっては大分試験が難しくなる場合があります。 === 普通科高校に進学したい場合 === ==== 「進学コース」とかの意味 ==== まず、私立高校などでは、「特進コース」「進学コース」などのように成績順にコースが分かれている高校も多くあります。 後述の「文系コース」、「理系コース」とは、特進コース内の文系コース、特進コース内の理系コース、進学コース内の文系コース、進学コース内の文系コース、のようにコース内のコースのことです。 学校によっては、特進・進学の分けを「クラス」と呼んだり、あるいは文理の分けのことを「クラス」と呼んだりする場合もあります。 一般に、各学年の初めに学力順にコースが決まり、 :(成績が良い) 選抜コース > 特進コース > 進学コース (成績が低い) の順です。同じコースが決して3年間つづくわけではなく、進級のたびに再判定をされ、成績に応じたコースに分けられます。 選抜などのコース分けの成績の基準は、基本的にはその高校の定期試験、およびその高校で在学生むけの実施した模試(「校内模試」)で決まります。それ以外の自分で独自に受けた模試の成績がどんなに良くても、関係ありません。 「進学コース」はその名に反して、成績は普通または一番下のコースです。高校によっては「総合進学コース」のような名前の場合もありますが、学科は決して総合科ではない<ref>[https://www.yokohama.hs.nihon-u.ac.jp/senior/class/general/ 『総合進学コース | コース紹介 | 日本大学高等学校』] 2024年02月04日に確認. </ref>ので混同しないのでください。 普通科の学科にある総合進学コースは、あくまで普通科の学校です。そのため、機械工学だの簿記だのの授業は、特に私立高校の普通科の「総合進学」コースの場合、基本的に無いでしょう。特に工学系の科目は設備の問題などもあるので、科目の実施は難しいと思います。 なお、特進コースや選抜コースなど上位のコースには一般に、アートクラスとかスポーツクラスは無いのが普通です。アートとかスポーツとか目指す場合、その高校のいちばん下のコースになります(つまり、「進学コース」とか「総合進学」コースになるのが普通)。 このように、コース分けでいう「進学コース」の意味合いは、一般の文系大学または理系大学を志望するコース、くらいの意味合いでしかありません。つまり、アートだとかスポーツだとかは、特に目指していない、という意味です 私立高校によってはSコースとかAコースとかありますが、高校ごとに意味合いが違うので、当ページでは深入りを省略します。Sコースがスーパーコースなのか、それともスタンダードコースなのかで、意味合いが大きく変わります。Aコースが、単にA,B,Cの最初のアルファベットの意味なのか(日本語でいうイロハのイの意味)、それともadvancedの意味かで、意味合いがだいぶ違います。思い込みをしないよう、志望校にSコースとかAコースとかあったら、きちんと資料で意味合いを確認しましょう。 ==== 文理のコース分け ==== さて、普通科高校でも、高校では、文系コース/理系コース、といったコース分けをしている学校も多くあります。 なお、高校にも寄りますが、いちいち 音大志望コース/美大志望コース/体育大志望コース 、とかは無いのが普通ですので、その場合は文系コースなどで代用することになるでしょうか。音楽学科のある高校なら音大志望コースとかあるかもしれませんが、そもそも普通科ではないので、説明は省略します。 高校にも寄りますが、高校2年になる前に文系コースか理系コースかを決めなければならない高校もあります。そうでない学校でも、遅くとも、高校3年になるまでには、文系コースか理系コースかを決めなければなりません。 なお、別に文系コースでも理系コースでも、大学受験の資格は変わりません。つまり、文系コースからでも理系の学部学科の大学を受験できて高得点を取れば合格するし、理系コースからでも文系の学部学科の大学を受験できて高得点なら合格になります。 ですが、推薦などの際、推薦条件の科目の履修に、高校側でのコース選択が影響する可能性があります。 たとえば「地理探求で成績が5段階中で4以上のこと」という条件があったとして、理系コースの場合だと『地理探求』科目が時間割の制限で履修できない(なお地理探求は必履修科目ではない)、と言ったような場合も起こりえます。 詳しくは[[高校生活ガイド]]で説明します。 ほか、大学付属の高校を受験する際は、高校在学時のコース選択(文系コースか理系コースか)によって、併設大学の推薦をもらえる学科が、限られる場合もあります。 たとえば文系コースを履修していないと併設大学の文系学科に推薦をもらえない、同様に理系コースを履修してないと併設大学の理系学科に推薦をもらえない、などです。 ほか、私立高校では、名称は「普通科」でも、その高校の文系コースの実態がまるで文系学科のような私立高校もあります。たとえば、ある私立高校の普通科の文系コースでは、高校2年の数学II 以降を習わないまま卒業する高校もあります。周辺の公立高校の国際科ですら高校2年の数学IIを習うのに、私立の普通科にはそれを習わないまま卒業する私学もあります。 ==== 特殊な普通科 ==== ===== 地域と連携した普通科 ===== 公立の普通科高校でも、地域の実情などに応じて、初歩的な福祉や農業などを学べる高校も若干ですが、あります<ref>[https://om-h.spec.ed.jp/%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%A1%88%E5%86%85/%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B 『教育課程 - 埼玉県立大宮武蔵野高等学校』]2024年03月31日に確認. </ref>。ただし、あくまで普通科なので、教育される科目のほとんどは普通科のものです。 農業高校に併設された普通科というのもあり<ref>[https://inazawa-ryokufukan-h.com/course/general 普通科 | 愛知県立稲沢緑風館高等学校]2024年03月31日に確認. </ref>、農業実習の科目で単位を取得することもできます(限度はあります)。 これら普通科内で農業や福祉などを学べる高校は、あくまで普通科です。国家試験などを受ける際の、出身学科による一次試験免除などの有無で、普通科の出身者として扱われる可能性が大ですので、一次試験などが免除されないかもしれません。(当wikiでは保証できませんので、ご自身でそれぞれの進路の場合についてお調べください) ===== 過去に職業高校だった「普通科」 ===== 過去に職業高校だった「普通科」の公立高校は、その歴史に引きずられたカリキュラムになっており、また男女比も過去の学科に引きずられている場合もあります。 過去に商業高校だった場合の「普通科」では、文系コースでは数学IIを履修できない場合があります。「物理基礎」も履修できないかもしれません。 ===== 知的障害者むけの普通科 ===== 「エンカレッジスクール」という、中学の授業についていけなかった子のための、中学の学び直しから高校1年が始まる「普通科」があります。1年生のカリキュラム内容で、かなりの量の、中学レベルの復習科目があります。 養護学校とは別です。養護学校(現在は「特別支援学校」)というのは、重度の障害(知的障害だけでなく身体障害も含む。耳が聞こえない、目が見えない、等)の子供のための小中高のことです。 エンカレッジスクールのカリキュラムの特徴として、進学校だと単位数の少ないような家庭科や芸術も、2年生まで必修です。つまり、芸術IIとか家庭科「フードデザイン」とかあります。てっきり、これだけ見ると、全人格的な教育のように誤解されがちですが、しかし'''中学レベルの復習'''をカリキュラム内に多く含むことを決して忘れてはいけません。 ほか、理系の高校3年の'''数学III'''または専門「'''物理'''」が、'''履修不可能'''な場合があります。仮にどちらか片方(数学IIIか「物理」)が履修できても、両方はカリキュラム上、履修不可です。そもそも数学IIIと専門「物理」が両方できそうな子なら、この種の高校に来るような知的障害者ではないので、別の高校に進学しましょう。 文系の科目でも、社会科の歴史分野(地歴)では、たとえば高校3年の「'''世界史探求'''」が'''履修不可能'''だったり、あるいは「日本史探求」が履修不可だったりします。 ほか、公民分野でも、「倫理」科目が無い。まあ、「倫理」は、私立の進学校にも無いのが一般的なので、この点は気にする必要性は低いです。 もし読者の志望が、受験5教科に加えて受験以外の芸術とか家庭科とかも高校で深く学びたいという志望の場合は、エンカレッジスクール'''ではなく'''、総合高校のうち偏差値の高い高校を探すとか、あるいは偏差値45以上の普通科高校で部活とかで頑張りましょう。 ほか、高校にもよりますが、パソコン実務(おそらくオフィスソフトのWordやPowerPointなどの使い方的な科目だろう)などの授業があったりします。 地域によっては、公立高校なのに特進クラス(「特別進学クラス」)がある。どういう事かというと、地方の山間部などだと、周囲に他の高校が無い場合もあるので、エンカレッジスクールに進学校(ただし偏差値は低め)が併設されている場合もある(少子化による統廃合の結果でもあったりする)。大学への進学実績はこの特進クラスが叩き出したりしたものだったりするので、分析時には注意がすこし必要。 ===== 常識外れな「普通科」 ===== ごく一部ですが、日本の公立高校には、教育の多様性の確保のためか、まったく常識外れなカリキュラムの「普通科」があります。 普通科の公立高校なのに、文系クラスではなぜか商業科目の「簿記」(ぼき)とほかの商業専門科目が必修で、合計10単位の商業科目が必修という、少し日本の大学進学の常識では考えづらいカリキュラムの公立高校すら存在します。(高校名は伏せます)公式サイトなどでは一言も「国立大学進学には強い」とか言ってないので、ウソはついてないのですが、とにかく受験生は気を付ける必要があります(理解した上で行くなら、自己責任で、どうぞ)。 たとえば、もし「商業科」として作ってしまうと、法規制上、商業の専門科目を25単位以上も(上記の特殊な普通科高校の10単位の2倍以上という)大量にカリキュラム上に配置しなければなりません。そこで、10単位だけ必修で教えたい場合は、法規制に反しないよう「普通科」を名乗っているのでしょう。 そういう特殊な普通科があっても良いですし、そういう特殊な高校だと理解した上でその高校に入る必要があります。 なので、受験生は、志望校の志望学科の公式サイトなどをきちんと確認しましょう。そういう簿記の必修の特殊な公立高校の公式サイトを見ると、きちんと、「就職に強いコースです」とか高卒就職する人のための学科だと説明をしてあります。 総合科を名乗るわけにも行きません。 私立だと「普通科 総合コース」というのがあって部活との両立コースの意味で使ってますが、しかし本来、公立でいう「総合科」というのは、専門音楽(ソルフェージュとかある科目)とか、専門美術(ビジュアルデザインとかある科目)とかから、ドイツ語とか中国語とかある学科のことです。 ==== 普通科の「総合コース」 ==== 私立高校などで、一部の普通科高校に「総合コース」というのがあります。 これは実態は、次の2つのパターンのどちらかです。 * 商業高校の科目の一部、または工業高校の科目の一部が学べる普通科です。 * スポーツまたは芸術に専念する普通科高校。 * 福祉や介護などの実習などが学べる高校 どのコースも、大学進学については苦手なコースです。これらのコースは、高卒で就職するか、専門学校に進学することを前提にしている事がほとんどです。 「コース」は各学校の教育方針により異なるため、詳しく知りたければ各校のパンフレットなどの資料を請求して確認するなどが必要になるでしょう。また、ネット上では情報公開していな高校も、これらのコースをもつ高校では多いです。そのため、 :※ 下記の出典については、高校側の名誉のため、出典をひかえます。また、他の編集者も、出典の追加のさいには学校や高校生の名誉棄損にならないように注意してください。 ;商業または工業を学べる高校の場合 まず、商業・工業などを学べる高校の場合について説明します。、 注意点として、決して商業高校や工業高校のすべての学科が総合コースでは学べるわけではありません。高校によっては、普通科高校の科目のほかは、商業高校の科目しか学べない、といったような高校もあります。 「それは『総合』ではなく『統合』(とうごう)では?」というような気がしないでもないですが、昭和時代の総合科設立などの歴史的経緯からでしょうか、「総合コース」という言葉が使われています。 注意点として、商業系の総合コースの場合、「物理基礎や専門『生物』などの理系の高度な科目が履修できない」という点です。なので、少しでも理系を考える人は、総合コースではなく進学コースに進みましょう。数学II は商業高校では3年次に選択科目として履修できる場合があります。 また、商業や工業などの科目に時間をさかれるので、大学進学にもあまり強くなく、難関大学の現役合格などは難しいと思います。大学進学を考える人は、注意が必要です。 基本的に、「総合コース」は高卒で就職するか専門学校に進学する人のためのコースです。 {{コラム|「総合進学コース」とは別| 大学進学に対応するコースとしては、「総合進学コース」というのを持つ高校がいくつかあります。有名な高校を例に出せば、ときどき甲子園に出る花咲徳栄(はなさきとくはる)高校です([[w:花咲徳栄高等学校]])。ネット上ではカリキュラム公開されておらず、詳細は不明です。 ほか、大学付属校でいくつか「総合進学コース」をもつ私立高校がありますが(東海大学付属熊本星翔高等学校、八戸工業大学第二高等学校、土浦日本大学高等学校、岡山理科大学付属高等学校、など)、ネットの公式情報だけでは詳細不明です。 }} さて、「総合コース」の普通科の科目の傾向として、高校1~2年の選択芸術が『音楽I』に固定されている高校が比較的に多そうです。カリキュラム公開をしている高校を見た感じ、チラホラと音楽Iに固定している高校もあります。 ;芸術または体育を中心とした高校の場合 題名通り、芸術または体育などを中心としたコースですが、基本的に文科系のコースです。理系科目はあまり履修できません。商業高校なみに、専門生物や物理基礎などは、履修自体が不可能な可能性が高いでしょう。 また、けっして一人の学生がスポーツと芸術の両方を履修するのではなく、おそらくコース内でさらに「体育クラス」または「アートコース」などに分かれていると思います。 専門学科の「体育科」高校や「音楽科」高校などを設立するほどには単位数が多くないが、しかし他の普通科高校よりも体育や音楽科などの科目が多い、という高校です。 ==== 普通科の専門的コース ==== ===== ビジネスコースなど ===== 多くの地域で、商業科に「情報ビジネスコース」というのがある地方がチラホラあるのですが、ごく一部の公立高校ですが普通科に「情報ビジネスコース」を持っている高校もあります<ref>[https://www.kagawa-edu.jp/minamh02/file/5550 普通科 香川県立高松南高等学校 令和5年度普通科教育課程(令和3年度入学者)、 ]</ref>。 商業科ビジネスコースとの違いは、普通科ビジネスコースの場合、数学IIや数学Aが必修の場合が多い(なお調査時のサンプル数が一桁)という点です。 ===== 体育コース・美術コースなど ===== ほか、私立高校の普通科「美術コース」とか「スポーツコース」とかあります。ただし、普通科だからといって数学IIが必修とは限りらない事例が、私立のカリキュラムの場合には見受けられます。 ;偏差値 なお、これらの学校の受験には実技試験がありますので、高校の偏差値は必ずしも学力を反映するとは限りません。たとえば「偏差値55」といっても、平均より勉強のできる集団とは限りません。 たとえば、偏差値60越えの私立で「普通科」のスポ-ツコースなのに、公民科目の「政治経済」も履修できない、日本史探求も世界史探求も履修できない、数学II以降は無い(当然、数学Bや数学IIIは無い)、といった「普通科」の偏差値60越えのスポーツコースも実際に日本にはあります。 偏差値の付け方として体育コースなどの実技試験のある特殊なコースの場合、あくまで高校の偏差値はその高校の入試倍率などから機械的に決めるので、体育コース・美術コースなどでは、高校偏差値はあまり在学生の5教科の学力を反映しません。 ;事実上の学科 学科名の名称だけは「普通科」ですが、ほとんどの私立で、カリキュラム表の単位数などを見ると、まるで公立の「美術科」高校や「体育科」高校といった専門高校のような単位数です。 このため、事実上の美術科・体育科といった専門高校の学科だと考えられます。よって、これらの私立の美術・体育などのコース制での'''探究活動'''(科目「総合的な探究の時間」)のテーマは、'''コースに関連したものに限定'''される可能性がとても高いと予想されます。(たとえば工業高校では、工業に関連した製品づくりが探究活動として義務化されています。同様、「美術コース」では、美術に関するテーマしか、探究テーマとして認められないと思います。) つまり、20単位以上が、専門科目、またはコース名の科目の合計になっています。 なお、「美術コース」の場合、たとえば美術Iが6単位、美術IIが6単位、美術IIIが8単位、みたいに(なお合計20単位)、進学コースにもある「美術」科目に表では、まとめたりしています。(なお、一般の進学校では美術Iの2単位だけで高校の芸術教育は終わり。つまり、この例だと美術コースは他の進学校の10倍の美術の授業数。) なお、普通科ではなく「美術科」にした場合は、法律上、美術の単位数が25単位以上でなければならないと、文科省の学習指導要領で定められています(専門学科では専門科目が合計25単位以上でないといけない)。上記の例である「美術Iの6単位、美術IIの6単位、美術IIIの8単位」という合計20単位だと、あと5単位が足りません。ちょうど、探究科目の単位がピッタリと5単位だったりするので、おそらく探求テーマが美術のテーマに限定されると思います。 またなお、私立の「美術コース」などの専門コースのカリキュラム表の特徴として、公立の美術科・体育科などのカリキュラム表に見られるような専門科目(たとえば専門美術なら「ビジュアルデザイン」や「素描」(そびょう))などの一覧が見られません。 理由はおそらく、併設している進学コースのカリキュラム表と合わせて教員が管理しやすいように、美術コースの専門的な授業をぜんぶ美術I~IIIにまとめて時間割を組んでいるのだろうと思います。ただし、実際の授業は、進学コースと美術コースとで、別々のクラス、別々の授業内容だと思います。 実際には、美術コースの教科書には、おそらく専門科目「美術」の教科書を(普通科の美術Iなどのものとは別です)、美術コースでは用いているのだろうと思います。 学科名を「普通科」にしているのは、べつに普通科の進学校に準じた教育をしているわけではなく、単に、教職員がカリキュラム表を進学コースとまとめて管理しやすいからでしょう。教職員だって労働者だし人間ですので、管理しやすい表が好きなのです。いちいちエクセル表とかを美術コースだけ別々に作りたくないんです。 === 理数科や国際科など === 普通科以外にも、「理数科」「国際科」「国際人文科」などのように、職業高校とは別に、特定の分野への進学に特化した学校もあります。 これら普通科でない学科は、法律上、文部科学省の学習指導要領では、専門学科では専門科目の必履修の単位数が25単位以上と定められてます<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/28/1282000_01.pdf 文部科学省『高等学校学習指導要領解説 総則編』、平成21年7月、P.5]</ref>。また、商業高校も理数科・国際科も、指導要領では法律上は同列であるので、専門科目の履修を25単位以上を要求されます<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/28/1282000_01.pdf 文部科学省『高等学校学習指導要領解説 総則編』、平成21年7月、P.5]</ref>。 この単位数の制約のためか、理数科・国際科などには、普通科の3年次に見られるような自由選択科目群は、'''無い'''です。 また、芸術IIは基本、理数科・国際科には、無いです。家庭科も、家庭基礎以外(たとえば「フードデザイン」とか「保育」とか)は、履修不可能です。 また、国際科をのぞき、第二外国語(ドイツ語や中国語など)は基本的に、理数科や人文系学科には'''無い'''です。 ==== 理数科 ==== 理数科であるかどうかの判定基準は、カリキュラムにおける数学・理科の科目数の合計数であり、25単位以上が必要です。実験設備の高度さなどは基本、関係ありません(よほど設備が劣悪でない限りは)。 理数科の専門科目の内容は、数学・理科とほぼ同等です。なので、大学受験の推薦基準で要求される科目(数学IIIの履修など)としては問題ないでしょう。 スーパーサイエンスハイスク-ルは必ずしも理数科とは限りません。地域によっては「理数科」ではなくともスーパーサイエンスハイスク-ルの場合もあります。 東京都立戸山高校や立川高校のようにスーパーサイエンスハイスク-ルの「普通科」が理数科相当の教育内容の場合もあれば<ref>pdf [https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/static/high_school/toyama-h.html 教育課程表_令和4・5年度入学生用.pdf]</ref><ref>pdf [https://www.metro.ed.jp/tachikawa-h/assets/R5%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B%E8%A1%A8.pdf R5教育課程表.pdf]</ref>、他校ではスーパーサイエンスハイスク-ルの理数科の場合もあります。それぞれ高校ごとに異なるので、確認してください。 普通の理数科とスーパーサイエンスハイスク-ルのカリキュラムはほぼ同じですが、スーパーサイエンスハイスク-ルには実験などをする研究的な科目が3年次あたりにあるのが特徴です。 本節の解説では、スーパーサイエンスハイスク-ルではなく主に理数科について述べます。 理数科も普通科も、資格試験などでは、決して「工業高校」や「商業高校」のような職業高校とはみなされません。 たとえば和歌山県は、理数科と国際科をともに「普通科系専門学科」というのに分類しています<ref>pdf [https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/500100/shingikai/d00204958_d/fil/021012wakayamashi.pdf 『PowerPoint プレゼンテーション - 021012wakayamashi.pdf』]</ref>。 おそらくスーパーサイエンスハイスク-ルも同様、資格試験などでは職業高校とはみなされないでしょう。 * 高卒就職の場合 高卒で就職する場合、「国際科」卒や「理数科」卒などは、「普通科」と同等の学科卒として扱われます。工業高校卒や商業高校卒などの実業高校卒とは扱ってもらえません。なので、例えば工業高校卒を優先的に採用している製造業などへの就職などへは、普通科同様に不利になります。 また、資格試験などでも、「国際科」や「理数科」は特に優遇されません。(一方、工業高校だと、工業系の資格で経験年数などの条件で優遇される場合がある。) 例え理数科を卒業しても、技術者としては扱ってもらえません。例え国際科を卒業しても、国際通・語学通とは扱ってもらえません。 * 理数科に無い科目 日本史探求・世界史探求は、無いのが通常です。地理'''総合'''をすっとばして、いきなり地理'''探究'''があります。しかしその地理探究は、それは公民分野の「政治経済」との'''選択必修'''であり、地理探究・政治経済のうち、'''どちらか片方'''しか履修できないです。 理数科だからといって、地学もふくめて理科4分野の全部は、履修できないのが通常です。また、たとえ地学履修できる理数科高校でも、'''生物との選択必修'''であり、'''どちらか片方'''しか履修できなくなる可能性があります。 ==== 国際科と国際教養科と外国語科 ==== '''「国際科」は事実上は文系の学科であり、しかも、私立大・国立大の文系学科に特化した学科'''です。理系や国公立大学を志望する場合は、普通科または理数科に進学した方が良いでしょう。「外国語科」は同様、文系に特化した学科であることが多いです。 最近は、「国際教養科」という学科も出てきました。 一部、下記のように数学IIIなどの履修できる理系コースもある「国際教養科」の高校もありますが、しかし基本的には文科系の高校が多いです。 数学IIIや専門「物理」を選択科目として履修できる高校もあります。[https://cms1.chiba-c.ed.jp/matsudokokusai-h/wysiwyg/file/download/36/3467 『千葉県立松戸国際高等学校(全日制) 国際教養科 教育課程表』 令和5年度入学者 ],pdf[https://chigusa-h.com/wp/wp-content/uploads/2023/05/R4-R5i.pdf 『愛知県立千種高等学校 令和4・5年度 入学生 国際教養科』 ] しかし、数学IIIを履修できない「国際教養科」もあります[http://www.kyoto-be.ne.jp/nishiotokuni-hs/mt/school/2021/11/post-15.html 『★国際教養コース 「カリキュラムと時間割例」 - 京都府立西乙訓高等学校 学校案内』]。 どうやら学校ごとにカリキュラムは大きく違うので(たとえば芸術科目の多い国際教養科の公立高校もあれば、そうでない国際教養科の公立高校もあります)、詳しくは各高校の公式サイトなどを確認してください。 どうやら最近は(2024年に本文を記述)、理系コースにも対応した国際系学科も出てきているうようです。 なお大阪では、文科系進学に特化した国際系学科を「国際文化科」としているようです[https://www2.osaka-c.ed.jp/hanazono/folder_5/post-24.html 『国際教養科・国際文化科 - 大阪府立花園高等学校』]。 地域の実情に応じて、国際教養科は色々とアレンジされます。商業高校にある国際教養科なんていうのもあり、簿記を履修できる国際系学科もあります[https://sh.higo.ed.jp/kuma-ch/kyouiku/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%95%99%E9%A4%8A%E7%A7%91 『国際教養科 - 熊本県立球磨商業高等学校』](さすがに数学IIIは無理だけど、数学IIには対応)。なおこの高校カリキュラム、よく見たら第二外国語が無い。 どうやら、既存の「国際科」「外国語科」の指導要領が、もはや21世紀の令和では各地の地域の実情に合わなくなってきているようであり、国際系の高校が新しい学科に改組されていっているようです。 第二外国語は、必ずしも新共通テストの4言語「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」があるわけではありません。ドイツ語の無い国際系学科の高校もあるし、そもそも第二外国語の無い国際系学科の高校もあるし、中国・韓国語といったアジア系言語しかない高校もあります。 ほか、国際高校の(国際科ではなく)「普通科」というパターンもあり、これには理系コースのある公立高校もあります[https://wakoku-h.spec.ed.jp/%E5%AD%A6%E7%A7%91%E6%A1%88%E5%86%85 『学科案内 - 埼玉県立和光国際高等学校』],pdf[https://hyogopref-kokusaihs.ed.jp/main/wp-content/uploads/2023/06/R5_%E5%AE%9F%E6%96%BD%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B%E8%A1%A8_HP%E7%94%A8.pdf 『兵庫県立国際高等学校 令和5年度実施教育課程表』] なんと理系コースでは、第二外国語があるのに数学IIIと 物理または生物 の2科目を確保しています。ただしカリキュラムをよく見ると、高校3年に「政治経済」が無い。 ===== 国際科の基本 ===== 具体的には、国際科のカリキュラムでは、その高校内では普通科の高校3年にある理系科目を履修できません。具体的には、数学IIIや専門「化学」や専門「生物」など高校3年の普通科にある数学や理科の科目が、国際科には無いです。'''たとえ偏差値がかなり高い公立高校の国際科でも、数学III'''(すうがくサン)'''や専門「化学」などの科目は無いです。''' また、高校2年までの理科の4科目(生物・化学・物理・地学)もよく見ると、普通科高校より選べる科目が1つ減っていたりします。普通科高校では「生物基礎」・「化学基礎」・「物理基礎」・「地学基礎」のうち3科目を履修ですが、国際科では2科目までしか選べません。 語学以外の分野の授業進度は遅れるので、他分野への大学進学を志望する場合には、返って不利になります。なので、きちんと進路志望が固まってない限り「普通科」への進学が無難です。 「国際科」「国際人文科」などのように語学や文系に特化した学科の高校に入ると、高校によっては国際科のほかに普通科が併設されている高校も多いですが、しかし学科を移れません。このため、普通科の理系コースにある高校3年の数学IIIや高校3年の理科などは、国際科では履修が基本的に不可能です。 ※ ただし例外的な国際科高校もあり、 pdf[https://www.e-net.nara.jp/hs/kokusai/index.cfm/7,59,c,html/59/20220804-082219.pdf 奈良県立国際高等学校の国際科・理系コース] では数学IIIが履修可能。 同様に、「理数科」などの理系に特化した学科では、基本的には普通科には移れません。また理数科内には、そもそも文系コースは存在しません。 また、私立大学への推薦入試を考える場合、理系志望の場合などは、高校で数学IIIや物理・化学などの、普通科高学年の理系科目の履修を、推薦の条件の一つに加えている場合もあります。もし高校の学科が「国際科」などの文系特化型の学科だと、そもそも、これらの理系科目が履修できなかったり、もしくは推薦の要件の履修科目数・履修単位数に届かない場合があります。 なので、少しでも理系大学を志望してる高校受験生なら、'''たとえ中学時点で語学や社会科の世界史・世界地理などが好きであっても、なるべく「普通科」または「理数科」への進学をお勧めします。''' 特に理系学部の推薦では、文系学部の推薦よりもこのような履修科目の条件が多いので、注意してください。 「国際科」などでも、理系科目は高学年の選択科目として存在しますが、どちらかというと学科名の通り語学などの科目に重点が置かれますので、その分理系科目の履修時間は少なくなり、普通科よりも数学・理科の進度は遅れます。具体的には、「地学基礎」などを高校3年で習ったりします(専門「生物」や専門「化学」などは履修できない等<ref>pdf[https://www.city.chiba.jp/school/hs/001/gakkoshokai/highschool/introduction/documents/r5_nyugaku.pdf 千葉市立稲毛高等学校]</ref>)。 なので、理系志望者にとっては国際科は不利になります。たとえば普通科の理科では3年生で専門「物理」・専門「化学」を学びますが、しかし国際科では専門「化学」などは履修できないのが普通です。 もし国際科などから理系志望に移りたい場合、他校の普通科などに転校するなどの対応を取らなければならないかもしれません。同様に、理数科の人が文系コースに移りたい場合、他校の普通科コースに転校することになってしまうかもしれないのです。ただし理数科の場合の文系志望なら、わざわざ転学科せずそのまま理数科を卒業して、文系大学を受験することも、合理的な選択かもしれません。 一般に、理系の人が独学で文系の学問を学ぶのは割りと容易です。しかし、逆のパターン、つまり文系の人が理系を独学するのは困難です。 「国際科」「理数科」などから普通科に転校した場合、普通科での卒業要件の科目の履修のため、場合によっては卒業が1年ほど遅れる可能性も考えられます。 なお、国際科では、フランス語やドイツ語などの第二外国語が開講されている場合もあります。定番は、ドイツ語・フランス語・中国語・ハングル(韓国)のうち1つです。この4言語は、新共通テストで受験可能な科目です。(ただし志望先の大学が、英語の第二外国語への置き換え認めていない場合も多々あります。なので、英語も勉強しましょう。) 高校によっては、第二外国語のスペイン語やアラビア語が選択肢に加わる場合もあります。しかし、新共通テストには、スペイン語やアラビア語は無いので、共テ受験にはスペイン語などは使えません。 大学受験で入試科目の外国語としてドイツ語やフランス語が使えるかは大学によります。受験産業などのサイト情報だと、第二外国についての入試科目の情報が抜けているサイトもあり不正確なので、高校在学中にでも大学公式のサイトで確認してください。 ほか、国公立大学などで、大学個別の二次試験では独逸語などで受験できても、新共通試験(センター試験)は英語で受験しなければならない可能性もあるので、気を付けてください。 このため、高校時代の語学の勉強では、英語をすててドイツ語やフランス語などにだけ注力するのは、大学進学では、かなり危険です。 なお、基本的に、国際科以外の公立の普通科高校では、フランス語など第二外国語は開講されておらず、よって、ほとんどの公立の普通科高校では第二外国語を履修できません。 例外的に東京都には都立の偏差値トップ近辺の高校である日比谷(ひびや)高校には、普通科内に第二外国語のフランス語またはドイツ語などの選択科目がありますが<ref>pdf [https://hibiya-h.metro.ed.jp/Study/Curriculum.pdf ※日比谷高校のはず] 2024年03月31日に確認.</ref>)、しかしかなり例外的なカリキュラムの公立高校です。 都立の新宿高校にも第二外国語があり、フランス、ドイツ、中国語、ハングル(韓国)の外国語の科目があります。pdf[https://www.metro.ed.jp/shinjuku-h/assets/filelink/filelink-pdffile-16416.pdf ※ 新宿高校 教育課程(R4入学生) ] 2024年03月31日に確認. 東京以外だと、神奈川でも千葉でも埼玉でも、公立の偏差値トップ高校でも、フランス語などは開講されていないようです<ref>pdf[https://www.pen-kanagawa.ed.jp/yokohamasuiran-h/zennichi/documents/r5gakkouanai.pdf 神奈川県立横浜翠嵐高等学校『学校案内(全日制課程)』2023] 2024年03月31日に確認.</ref><ref>pdf[https://www.chiba-c.ed.jp/chiba-h/pdf/20200916_%E3%80%90%E7%9C%8C%E7%AB%8B%E5%8D%83%E8%91%89%E9%AB%98%E6%A0%A1%E3%80%91%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%92%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%A1%88%E5%86%85.pdf千葉県立千葉高校 ]</ref><ref>pdf[https://phs.jac-web.com/wp-content/uploads/7b625111fe7f24e9bd51d16f3c1c37b8.pdf 千葉県立船橋高等学校 発行『船高教育ガイド2020』、令和2年7月6日、 ]</ref><ref>[https://urawa-h.spec.ed.jp/%E5%85%A8%E6%97%A5%E5%88%B6/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E6%B4%BB%E5%8B%95/%E6%B5%A6%E9%AB%98%E3%81%AE%E5%AD%A6%E7%BF%92%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%83%BB%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B - 埼玉県立浦和高等学校『浦高の学習支援・教育課程』]、2024年03月31日に確認.</ref>。 このように都立の日比谷高校のカリキュラムはかなり例外的なので、他県の受験生は決して高校受験のさいの手本・見本にしてはいけません。 * 国際科の高校入試の「外国語」 高校受験でたとえ「国際科」や「外国語科」などを受験する場合でも、基本的には高校入試での「外国語」教科の出題内容は英語だけです。たとえその高校の国際科に第二外国語の授業があって、たとえば仏(フランス)・独(ドイツ)・中(チャイナ)・韓(ハングル(文字名)、コリア)の言語のうち1つを選択できても、しかし高校受験の時点では外国語はあくまで英語のみです。誤解しないように。 ==== 人文系の学科 ==== 「国際人文科」など、ごく少数ですが、人文系の学科があります。 カリキュラムの注意点として、'''数学IIが無い'''です。このためか、理科では'''物理基礎が無い'''です。 このため、進路がいちじるしく文系に片寄り、また新共通テスト5教科を要求するような国立文系は困難です。なので、少しでも数学・理科を普通科の文系コースのように勉強したいと思うなら、普通科にしましょう。 難度も言いますが、専門学科の学科名は、教育内容の高度さで決まるのではなく、単位数で決まります(25単位以上)。なので人文系の学科には、普通科の文系コースで見られる理系科目は無いのです。 また、第二外国語(ドイツ語や中国語など)は無いです。 === 文理学科 === 大阪府の公立高校に見られる、大阪独自の学科です。 現状(2024年)、まるで私立進学高校の特進コースの普通科のようなカリキュラムです。 大阪では入学試験に難易度が3段階のA,B,Cがあって、Cがいちばん難しく(Aがいちばん簡単)、文理学科の入試問題はその最難関のCです。 なお、入試において、内申点の高さは、他の公立高校と同様、要求されます。 高校カリキュラムの特徴は、ほぼ受験5教科(国数英理社)に特化していることです。 高校ごとに、かなりカリキュラムが違いますので、高校の公式サイトなどでカリキュラムを確認してください。 たとえば、数学II・Bを履修するかどうかは、高校によります。文系コースが数学II・Bを履修しない文理学科の公立高校もあります。 けっして、文系科目と理系科目をバランスよく勉強する学科'''ではない'''ので、勘違いしないでください。 まだまだ新しい学科であり、大阪独自の学科ですので、高校ごとのカリクユラムの差がけっこう大きいです。 === 美術科・音楽科の高校 === 美術科・音楽科など芸術系の高校への進学は、国際科以上に注意が必要です。 美術科・音楽科の高校カリキュラムは、'''まるで商業高校の専門科目をすべて芸術系科目に置き換えたようなカリキュラム'''です。(数学II とか物理基礎とか習わない、という意味です。けっして簿記(ぼき)とか教えるわけではないので、誤解しないよう) 実際、文部科学省の学習指導要領では、専門学科では、専門科目の必履修の単位数が25単位以上と定められてます<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/28/1282000_01.pdf 文部科学省『高等学校学習指導要領解説 総則編』、平成21年7月、P.5]</ref>。また、商業高校も美術高校・音楽高校も、指導要領では法律上は同列にあつかわれており、商業高校だろうが美術高校・音楽高校だろうが専門科目の履修を25単位以上を要求されます<ref>pdf [https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/28/1282000_01.pdf 文部科学省『高等学校学習指導要領解説 総則編』、平成21年7月、P.5]</ref>。 このため、たとえ美術や音楽のように普通科高校にも同じ名前の科目のある学科であろうが、専門学科である以上は25単位以上を履修しないといけません。 25単位とはどれほどの量かというと、参考として、いくつかの進学校の私立高校の理系コースの国語の卒業までの単位数が14~16単位でした。「25単位」はさらにそれを約10単位も上回ります。 ほか、ある私立高校の国立文系コースでの数学・理科の単位数が30単位でした。25単位とは、ほぼこれに匹敵する量で、美術・音楽をやらされるわけです。 けっして、美術科・音楽科を「普通科から派生した学科」と見るべきではありません。法律上のタテマエはどうか知りませんが、カリキュラムの実態を見る限り、「'''美術・音楽系の高校は、商業高校の突然変異'''」みたいに見なすべきでしょう。じっさい文科省の指導要領などを見る限り、法律的にも商業科や工業科などと同等に、専門科目の単位数の基準(25単位以上)があります。 具体的には、美術・音楽系の高校では、公立高校ですら芸術系の学科になると、高校2年の'''数学II'''が必修でなく'''履修できない'''高校が多数です(カリキュラム表を見ても数学IIが見当たらない公立芸術高校が多数あります)。 また、高校1年の理科は「生物基礎」ではなく「科学と人間生活」という横断科目になったりする高校も多くあります。別に「科学と人間生活」が悪いというわけではなく、音楽など分野によっては必要かもしれません。たとえば物理計算の練習を飛ばして音波などの勉強を出来るカリキュラムも組めるでしょうし、そういうカリキュラムも必要な高校もあるでしょう。ただし、あくまで'''普通科高校での一般的な教育内容とは大きく違う'''、という事は、覚悟しておいてください。 高校2年の理科は、多くの芸術高校では「生物基礎」が指定されています。つまり、「化学基礎」「物理基礎」「地学基礎」は履修できないのが大半です。 まれに、化学基礎を履修できる芸術高校もありますが<ref>[https://ogose-h.spec.ed.jp/%E7%BE%8E%E8%A1%93%E7%A7%91%E3%80%80%E6%95%99%E8%82%B2%E8%AA%B2%E7%A8%8B 埼玉県立埼玉県越生高校『美術科教育課程』、 ] 2024年4月9日に確認.</ref>、あるいは地学基礎が履修できる場合もありますが<ref>pdf [https://storage.googleapis.com/studio-design-asset-files/projects/ogO01l0Nq2/s-1x1_d7c13069-bdf1-4794-ac95-1639e73269d0.pdf 愛知県立旭丘高等学校『教育課程 美術科] 2024年4月9日に確認</ref>、物理基礎はハナっから履修できません。 たとえ、普通科高校の公立高校の高校3年によくある「自由選択科目」群で、数学IIまたは生物基礎・化学基礎などを履修しようとしても、そもそも、その'''自由選択科目群すら無い'''、というのが芸術系の公立高校です。たとえば美術系の学科なら、高校3年の国語・英語・社会科(地歴)のほかは、美術系の科目が高校3年でも学校必修であり、自由選択の余地がありません。 言い方を変えると、普通科高校で高校3年の自由選択科目で芸術IIを履修するような人とは、別人種を養成する教育システムです。 ほか、地味ですが文系科目でも、'''「古典探究」'''と'''「政治経済」'''の両方は履修できないです(ほか、両方とも履修できない芸術高校もあり、その場合は論理国語などを習っていたりする)。まあ、古典探究が無くても「文学国語」のある芸術高校が多いのであまり国語に差は無いですが、しかし政治経済が無いとなると高校1年の「公共」が公民系科目の最後になります。「歴史総合」を習うのが高校3年からです。社会科は1年生のうちは「公共」だけ、2年生は「地理総合」、3年生で「歴史総合」というパターンが典型的です。 美術科・音楽科の高校について、ありそうな誤解は、ついつい中学校では「美術」・「音楽」を習うので、なんとなく美術・音楽高校も中学の延長上の普通科高校のように考えてしまうかもしれませんが(吹奏楽部のようなイメージ)、しかし、かなり普通科高校とは違います。 ;一般大学受験に関すること なお、大学受験に関していうと、国公立大学の文系学部(文学部や法学部、経済学部など)では、新共通テストに「数学II B・C 」という数学IIの発展した科目の受験、および理科の生物基礎・化学基礎・物理基礎・地学基礎のいずれかの受験が必要です(ただし県立大学とかは違うかもしれません。地域によるので説明を省略)。なので、もし読者の高校生が、少しでも国立大学の文系学部を一般入試で目指す人は、芸術科の高校ではなく普通科高校で美術・音楽に強いところを目指しましょう。 ;私立芸大受験に関すること なお、そのような各地の芸術高校でも、進学実績を見ると、私立美大や私立音大に進学した卒業生は普通にいます。美大生や音大生の5教科の学力なんてそんなもんです。私立芸大の入試科目を見ると、新共通テスト利用入試でも入試科目が2~3科目だったりして、事実上、数学や理科などは捨てていると思われます(一応、共テ受験科目としては数学・理科を認めている)。ほとんどの私立芸大は、一般入試科目だと、最初から数学・理科が無く、国数英の3教科のうちの3教科選択の受験だけです。国語と実技試験だけ、という私立芸大もいくつもあります。 「卵が先か、ニワトリが先か」ではありませんが、ともかく公立の芸術高校と私立芸術大学はこのように、お互いを正当化するような高校カリキュラムおよび大学入試科目の構成になっています。 つまり、芸術学科の高校カリキュラムは事実上、'''私立芸大入試に特化したカリキュラム'''です。主目的か派生的な目的かは知りませんが、ともかく、そうなっていいます。 決して5教科の学習による全人格的な人間形成を目指すような学科に芸術も加えたようなカリキュラムではなく、教育学の、初等教育における「フンボルト理念」(5教科をバランスよく学ばせると人間形成に良い)の拡張(5教科に芸術・体育などを加えたもの)ではないです。また、近年流行のSTEAM探究(Science、Technology、Engineering、'''Art'''、Mathematics or Medical の頭文字)とか関係ありません。 また、芸術学科以外の学科を見ても芸術系は文系あつかいなのが日本の教育システムです。実際、多くの公立高校の普通科高校でも、芸術IIのある普通科高校のカリキュラム表を見ても、芸術IIなどは文系コースに組み込まれているのが大半だからです。よって、もはや21世紀のいまどきの音楽家は基本、東京大学とか千葉大学とか、一般の国公立大とかは入学できませんし卒業もしていません。ごく一部の人が、早慶マーチとかの文化活動推薦とかで行くくらいです。 世の中には、インチキ広告業者みたいなのがいて、まるで音大卒とかを、なんだか「5教科もできて、さらに楽器もできる優等生」(たとえばお金持ちのお嬢様が優等生でピアノもできる的なアレで吹奏楽部員のアレ)のように宣伝するインチキ宣伝マンもいますが、まったく実態とは違うデマですので、単なる大デマです。 ごく一部には、東大とか出て音楽家の人も過去にはいますが、しかし統計的に、多くの私立芸大はそうではありません(日本の大学の多くは私立です。まして国公立の芸大はごくわずかです。美大・音大の多くは私立です)。 日本の広告業者がよくやる脱法行為として、宣伝されてる本人にウソをつかせると本人のブランドイメージが傷つくので、第三者の広告業者を利用して、その広告業者に「ウソ・大げさ・まぎらわしい」宣伝をさせるのです。 もしウソがバレても、トカゲのしっぽ切りとして業者だけ処罰を受けさせればいい、という発想です。まるでヤクザの鉄砲玉。 === 職業高校に進学したい場合 === 大学進学は、工業高校や商業高校などの職業高校(今では専門高校と言う。)の卒業生でも、法的には大学受験が可能です。 ですが、現実的に考えると大学進学は普通科よりは困難です。 特に、高卒で就職しなければいけない経済的な事情や、職業高校への進学にこだわりが無ければ、普通科に進学したほうが大学進学をしやすいです。 また、商業高校に進学した場合、理系大学に進学するのは難しいです。(法的には、大学受験なら、商業高校卒から理系大受験も、一応は法的に可能です。) 工業高校で習う機械工学などの専門教育は、工業大学の入試には出ません。農業高校や水産高校の専門科目も同様に、大学入試には出ません。 また、専門科目以外の教育は職業高校ではあまり行いません。工業高校でも数学や物理の時間は少ないです。農業高校でも生物学や化学の時間は少ないです。 生物学者や化学者や農学者などを目指したいなら、農業高校では無く、普通科高校で理系進学の強い高校を志望したほうが良いでしょう。 科学者を目指したいなら、例え機械工学者などの工学志望であっても、工業高校では無く、普通科高校で理系進学に強い高校、もしくは工業系の高等専門学校を選んだほうが良いです。 工業高校では、多少は初歩の強度計算や電子工学なども学べますが、工業高校での教育の多くは工具の使い方などの職業訓練です。工業高校は、スパナやドライバーなどの工具の使い方や、はんだごての使い方、旋盤などの工作機械の使い方などの技能を練習する学校です。 農業高校では、多少は農学的なことや最近ではバイオテクノロジーなどのも学べます。しかし、農業高校での教育の多くは職業訓練です。バイオテクノロジーの基本なら、普通科の生物の参考書にも紹介されていますので、べつにバイオテクノロジーを教わるために、わざわざ農業高校に進学する必要は無いと思われます。 高卒で就職する場合は、多くの企業は普通科卒よりも職業高校卒を雇いたがるという現実があります。家庭の経済事情で、大学への進学が難しい家庭は、この事に注意してください。 職業高校というと「不良が集まる学校」という感じのイメージが世間ではありますが(特に工業高校など)、実際は就職指導を含めて生活指導が厳しめに行われるので、あまりにも素行の悪すぎる不良・非行生徒だと中退をせざるを得ない場合もあります。 (とは言え、普通科の難関高校など、教師から見ると優等生の集まる難関と比べたら、不良っぽい生徒は多いかもしれませんが・・・) 専門科目でも、実習のレポートなどが膨大な量だったりと、けっこうスケジュールが厳しいです。 「レポート」と言っても、けっして小学生・中学生のレポートのような数枚のレポートを学期に1回・2回ではなく、職業高校の実習レポートでは10数枚 - 20枚ほどの枚数のレポート提出を数週間おきぐらいに要求されます。しかもレポートの質が低ければ、書き直しを命じられることもあります。企業に就職した後の報告書の書き方の教育なども含めた教育なので、それだけレポート課題が厳しいのです。 職業高校は、入学するだけなら、普通科の中堅 - 難関高校よりかは入学しやすいのが一般です。しかし入学しやすさだけで職業高校に入学すると、入学後の意外と厳しい教育指導とのギャップに戸惑い、悩むことになります。 ともかく、上記のような事情もあり、職業高校から大学進学を目指すのは難しいのが現実です。 * 工業高校の学科は複数ある。目指す就職先にあった学科を選ぶべき。 工業高校の学科は、機械科、電気科、建築科、土木科・・・などと複数に分かれています。異なる学科への転学科は、原則は出来ません。できたとしても、卒業時の年齢が遅れて、就職時に大企業などの設ける志望者の年齢制限などに抵触し、就職が不利になることがあります。 また、異なる専門分野への就職は(例えば土木科から電機業界への就職など。)不可能では無いですが、就職に不利になることが多いです。特に就職活動の際のアピールとして、資格(例えばボイラー技士など)の取得などを勧める学校が多いと思いますが、異なる学科の専門分野の資格を取得するのは、学習時間的にも困難です。 就職面接での自己アピールでも、学科と同じ業界への就職の方が、経験などをアピールしやすいです。 === 「総合高校」と「総合科」 === 「総合高校」は、高校ごとにかなりカリキュラムが違います。詳しくは、各学校の公式サイトなどで確認してください。よく「総合科」と言われますが、実際にはそういう教科は基本的に存在しないし、学生が所属する学科も違います。 「総合学科」と「総合高校」とは'''意味が違います'''。少なくとも、後述する3つのタイプがあります。 ほか、大学入試の「総合型選抜」と「総合科」・「総合高校」などは無関係です。私大の総合型選抜は、大学によって違いはありますが傾向として、英検やTOEICスコアなどの保有資格による足切りをして、そのあと自己アピール書と面接と、国語と英語の2教科だけ(文系志望の場合。理系志望は数学と英語の2教科)の若干の筆記試験などで大学入学の合否を決める方式です。(国公立大の総合型選抜は内容が全く違います。詳しくは省略。このページはあくまで高校受験の話なので。) 総合型選抜の英検などの足切りから分かるように、別に幅広い知識は日本の総合型選抜では求められないので、よって総合科や総合高校に進学したからって有利になる事は基本、無いです。また、深い思考力やアカデミックな思考力も求められないというか、二の次ですので、高校での探求学習も二の次です。(現代の高校の探究学習の元ネタは1990年代からの総合科の課題学習です。) ==== 「総合高校」である場合 ==== ===== 複数の職業高校の合体タイプ ===== 例のひとつとして、高校に工業高校と水産高校が合わさって併設されているなど、複数の職業高校が合わさった高校が「総合」高等学校と名乗る場合もあります。 一般的な単科の工業高校では「機械科」「電気科」と学科がわかれますが、総合高校の工業系では「工業科(または総合技術科) 機械コース」「工業科 電機コース」のように分かれます。 工業科内の異なるコースの科目が履修できるかどうかは、基本、できなさそうです(詳しくは高校に確認してください)。 つまり、けっして一つの総合高校で、一人の生徒が、商業系・工業系・農業系の全部を履修できるわけ'''ではない'''かもしれません。 また、ドイツ語とか中国語とかは、このタイプでは学校にその教科が無いです。ソルフェージュとかの音楽高校の専門科目、ビジュアルデザインとかの美術高校の専門科目も無いです。 俗(ぞく)にいう、バイキング方式'''ではない'''。(バイキングというのは、レストランみたいな料理屋で、入場料のお金さえ払えば、すでに出来上がっている料理を自由にとれる方式のアレ。よくホテルの朝食の洋食とかであるヤツ) ===== 総合選択制のタイプ:普通科高校をベース ===== さて、上記と別の例では、一例として普通科の高校のようなカリキュラムの高校が、選択科目として商業高校の科目と、美術専門科目(科目「ビジュアルデザイン」とか)とか音楽専門科目(「ソルフェージュ」とか)の選択科目、加えて第二外国語(どの言語かは高校による)を履修可能、というような高校もあります。 俗(ぞく)にいう、バイキング方式なのは、こちらのほう。(バイキングというのは、レストランみたいな料理屋で、入場料のお金さえ払えば、すでに出来上がっている料理を自由にとれる方式のアレ。よくホテルの朝食の洋食とかであるヤツ) 学科は、2つのパターンに分かれます。 * 学科はあくまで「普通科」であり、選択科目がとても多い「普通科 総合選択制」というパターンが一つ。商業などの職業科目が履修できるかは高校によります。 * もうひとつは、学科がもはや普通科ではなく「総合学科」という別学科であるパターンです。 職業系の科目が、元から高校に存在しない総合選択制もあります。総合選択制だからといって、商業科目・農業科目などが学べるとは限らないので、注意しましょう。 また、首都圏の総合高校の場合、工業・農業のような設備を使う専門科目を複数もつ高校は、基本的には'''無い'''です。理由のひとつは、たとえば、もともと農業高校だった学校を、改組(かいそ)して総合高校にした学校があるからです<ref>動画 [https://www.youtube.com/watch?v=MgCK3UI_jlU 受験応援さんだるちゃんねる『【総合高校】いいとこ取り!普通科でも専門学科でもない、総合学科の魅力とは?』2022/12/15 、3:00 あたり]</ref>。 たとえば都立の葛飾(かつしか)総合は、もともと工業高校だったため、工業の選択科目はありますが、農業の選択科目は無いです。 このように、総合学科だからといって、工業・農業・商業・などのすべてを学べるわけではありません。 農業・工業などの実習用の大きな設備や土地を要求する科目については、もともとの高校の学科にあった範囲でしか選べないのが一般的です。 いっぽう、設備をそれほど有しない商業・福祉の2つを学べる総合高校なら、いくつかあります。(なお、医療設備などを有する専門科目は「福祉」ではなく「看護」という別科目になる) ただし、お住まいの都道府県に存在するかは知りません。 さて、音楽「ソルフェージュ」とか存在せずに音楽II、音楽III とかの総合選択制の高校もあります。この高校では美術も同様、普通科の美術II、美術IIIです。 総合選択制のメリットは、たとえば一般的な進学校では不可能な、文系・理系のハイブリッドなカリキュラムを自分で組めるかもしれない、という事です(ただし時間割が許すかどうかは不明です)。または、音楽IIIと数学IIIみたいに、通常の普通科高校では不可能な履修も、時間割が許せば可能かもしれない、という事などです。 実際には授業時間数の関係で、カリキュラム表(「教育課程」表)には存在している科目でも、履修を希望するすべての科目は履修できない可能性もあります(総合高校に限ったことではなく、一般的な公立の普通科の自由選択科目でも同様のことがあります)。なので、選択科目の自由が与えられたら、けっして「デザートをとっておく」のよう事はせずに、さっさと希望の科目から順に履修しましょう。 さて、この総合学科は、高校2年の初めごろから、選択科目が増えます。1年次は、在校生の履修科目は、ほぼ共通です。 {{コラム|校庭の広さなどに注意| なお、もし仮に工業・農業の2つの設備をもつ総合学科の高校があり、この2つの選択教科を履修できる総合高校があったとしても、もしかしたら「'''校庭がとても狭い'''」など別の制約というシワ寄せがある可能性も考えられますので、学校見学などは事前にしておいてください。校庭が狭い結果、運動部の数が少ない可能性があり、たとえば野球部とかサッカー部とかが存在しない可能性があります(スポーツの部活は体育館でやれる室内競技に限られている場合があります)。 }} 第二外国語については、高校によっては、学校必修です。中国語・韓国語のうち一つが学校必修、という例もあります(たとえば都立の杉並総合高校)。 総合高校での第二外国語の定番は、ドイツ語・フランス語・中国語・ハングル(韓国)の4言語ですが、高校によっては、このうちの1つが科目設置されてない場合もあります。 ほか、総合高校の近くの私立高校で、たとえばドイツ語のある私学がある場合、公立の総合高校で仮に同じドイツ語をしても(総合高校が)競争に負けるだけなので、その総合高校ではドイツ語は設置されておらず、代わりにあるのはイタリア語だったりとか、そういう工夫があります。 総合学科の選択科目はジャンルごとに「系列」(たとえばアート系列、テクノロジー系列、福祉系列、など)と分けられますが、生徒は系列に所属するわけではなく、色々な系列の科目を履修できるのが一般です。 なお、「コース」と「系列」は意味が異なります。「コース」だと学科決めのようなもので、変更が不可能な場合があります<ref>動画[https://www.youtube.com/watch?v=LrqqVXD1Qu0 『【都立高校】自分の「好き」を学びませんか?』、2022/01/20、16:00 ]</ref>(ただし、学校によって意味が異なる場合がある)。 ===== 高校2年に学科の分かれるタイプ ===== 高校2年の初めごろに、学科が決まるタイプの高校です。 ただし、工業科とか農業科とかは無理です。 そういうのではなく、スポーツ系学科とか、美術系学科とか、ああいう普通科高校の設備でも可能な学科を、入学後に選ぶ方式です。 形式上では普通科「スポーツコース」とか普通科「美術コース」とかの呼び方ですが、実質的には学科です。 もちろん、進学を希望する場合は、進学コースを選んでも構いません。 ==== 「総合高校」でない場合 ==== ===== 軽度知的障害・移民の「総合科」 ===== 軽度知的障害者や、在日外国人または帰化日本人またはその家庭の子などで、学習に困難を抱える子のための「総合科」の公立高校が少数ですが、あります。 養護学校だと、重度の知的障害や学習障害の子のための学校ですので、そこまでの障害ではない子のための「総合科」です。こういう軽度な知的障害者のための総合科の高校のことを'''チャレンジスクール'''と言います。(なお、普通科の場合はエンカレッジスクールという。) 授業に、補習的な内容が多いことが考えられます。一般の普通科高校では1年生に始める科目が、この総合科では2年生以降だったりします。 よって、知能障害でない人は、この高校には進学しないほうが良いでしょう。補習が中心のため、高校で新しい事をあまり学べません。 チャレンジスクールの専門科目の内容は、チャレンジでないほうの総合高校のカリキュラムとは、'''まったく違う'''ので、けっして両者を学科名だけで混同してはいけません。「点字」とか(障害者むけの労働事業所への)「インターンシップ」とか、ほか、公民館とかのカルチャーセンターの講座みたいな科目とか、そういう科目がチャレンジスクールでは専門科目になっていたりすることもあります。健常者の人は、もっと偏差値の高い高校、別の高校に行きましょう。さらにそのカルチャーセンター系の専門科目の講師も、基本的には教職免許をもった人物'''ではなく'''、行政などからの委託を受けたカルチャーセンターから派遣された講師だったりします。 このような障害者むけの高校のカリキュラムでは、大学進学は困難であり、高卒就職に対応しております。大学に進学する人もいますが、推薦入試だとかであり、しかも文系の私立大学の地元の大学に限るのが通常です。 工業高校などとは違います。高度な実習ではなく、中学校の技術家庭の延長上の補習的な実習などに特化しています。 第二外国語の授業がある場合もありますが、しかしこれは決して教養主義のものではなく、移民社会などでやっていくためのリテラシー教育です。決してドイツ語とかではなく、フィリピン語とかそういうのです。 高校名には、「総合」の文字は入っておらず、単に「地域名 + 高等学校」の構成です。 「学び直し」とかキャッチコピーを言う場合がありますが、けっして社会人の学び直しの意味ではないです。この種の学校の「学び直し」とは、小中の内容の補習と言うような意味です。 == 進学志望の高校を選ぶにあたって == === 高卒で就職する場合 === ==== 学科による差別 ==== *'''たいていの企業の高卒採用では、出身の学科(工業高校、商業高校など)の方を気にします。'''偏差値よりも出身学科の方を気にすることが多いです。。 :* 普通科高校卒の採用以外では、企業はあまり高校の偏差値を気にしません。 普通科卒よりも、工業高校などの職業高校卒の方が、その専門分野の企業には採用されやすいでしょう。 例えば製造業に就職したい場合、普通科の偏差値の高い高校よりも、工業高校のほうが製造業には就職しやすいです。 世間の大人には、「社会に出たら学歴は関係ない。学歴よりも実力が大事だ。」と主張する会社員もいます。 しかし、その人達の勤める企業での新入社員の採用方法は、まぎれもなく学歴重視なのが日本での実態です。「学歴フィルター」と言われることもあります。 例え「有名大学卒」などの高学歴を要しない職種でも、(例えば製造業への工場作業員への就職など)高卒の専門職での就職の場合では、工業高校や商業高校などの学科などの経歴で選考をしています。 たとえば高卒後の進路で、工場作業員への就職希望でも、工業高校以上など所定の学校・学科を出ていないと就職活動で応募自体が出来ない企業も存在します。 特に、技術系の場合、学科による採用選考の ふるい落としが強くなります。 たとえば、もし高校卒業後に機械工場に就職したいなら、工業高校の機械科か電気科、電子科などに進学しないと、機械工場への就職には不利です。工業高校の建築科や土木科からでも機械工場に就職する例もありますが、不利です。 逆に、将来には土木関係の仕事などに就職したい場合は、工業高校への進学では土木科・建築科に進学しないと、高卒での土木系職種への就職は不利です。 あなた(おそらく中学生)の進路の最終目標は、社会に出て困らないような1人前の大人になることです。大学や高校は、社会に出るためのステップに過ぎません。あなたが気にするべきは、偏差値よりもその高校が自分にとって合っているか、自分の将来に役に立つかということです。 高卒での就職だけでなく、大学卒業生の就職でも、偏差値はもちろん重視されますが、理系学部か文系学部かを見られる場合もあります。 たとえば大企業での技術職の採用では、大卒の場合は理系学部の卒業で無いと対象外のこともあり、文系学部卒はエンジニアなどの技術職には募集対象外の場合があります。コンピュータのプログラマー以外の機械設計や電機設計などの技術職は、理系学部の卒業でないと募集対象にならないのが多いです。 こういう企業の採用での現実があるので、もし、高卒で技術職につきたいなら、なるべく工業高校などの職業高校に進学したほうが良いでしょう。 普通科高校の卒業後に、職業高校に編入学したりするという方法もありますが、不利なことが多いです。最初から職業高校に進学した人と比べて、普通科からの職業高校への編入は卒業時の年齢の高さなどで就職活動は不利です。つまり日本企業では、就職時の年齢差別が横行しています。大企業でもこのような年齢差別がなされている場合がありますし、そもそも差別だと自覚していないことが多いです。 また企業だけでなく役所でも応募条件に年齢制限があり、つまり日本国は国家ぐるみで、新卒の年齢差別を行っています。 なので、たとえ学業をサボったわけでなくとも、たとえば志望進路が変更したりするなどの理由で、普通科高校から工業高校などに入学しなおしたりすると、卒業時の年齢が高くなってしまい、それだけで就職には不利になってしまいます。 ==== 普通科高校卒の就職について ==== ==== 私立高校卒の場合 ==== 企業の多くは、他地域の高校の事情をあまり知りません。たとえば、もし千葉県にある中小企業なら、企業側が知ってるのは千葉県の公立高校・私立高校と、くわえて東京都の進学校および有名高校と全国の大学附属校と、甲子園強豪校みたいなスポーツ強豪高校と、あとはビジネス雑誌とかの教育評論の特集とかにも載るような偏差値70以上の全国的に有名な進学校のことくらいしか知りません。 なので、たとえば地方で偏差値55〜60くらいのそこそこ偏差値が高くて知名度のひくい進学校の私立よりも、仮にそれより偏差値が低い高校でも、たとえば日本大学の附属校などのほうが企業にとっては知名度は高いのです。 (ですがほとんどの大学付属高はそのまま付属大学へ進学するか、進学校ならば大学受験をするかなどいずれも大学へ進学する可能性が高いです。) また、大学附属校で「○○工業大学付属△△高校」みたいな、「工業」みたいな名前を冠した高校を卒業してると、たとえ普通科の文系コースを卒業でも、企業側が理系に準ずる人材と勘違いするかもしれません。 逆にいうと、企業側は高校の選択科目が文系か理系かなんてろくに調べません。たとえ製造業に就職したい場合ですら、高校の選択科目で数学IIIや物理IIを勉強してるかとかも、企業側はあまり重視しません。企業の新卒採用時にも学力試験は行わないのが普通です。 (そもそも高校生が就職活動をする3年生1学期ごろの時点で、まだ数学IIIの履修が終わってません。) == 参考文献 == === 書籍 === なし(2024年03月31日の時点) === 脚注 === ohdgyzxi9qiawja8b6iz1hb4zwgcj4n Ficl 0 39427 246446 246367 2024-04-10T02:11:05Z Ef3 694 /* 導入 */ まず Ficl の処理系を導入しましょう。 wikitext text/x-wiki このハンドブックは、Ficl(Forth-Inspired Command Language)の使用法と機能について包括的に説明するものです。Ficlは、組み込みシステムやリソースの制限された環境で使用することを目的とした、ANS Forthに基づく拡張可能な言語インタプリタです。 Ficlは、Forthのシンプルさと柔軟性を活かしながら、より広範なユーザーに向けて設計されています。本書では、Ficlの基本構文から始めて、逐次的に高度なトピックや活用法について掘り下げていきます。Ficlを利用することで、ユーザーは効率的かつ迅速に、組み込みシステムや小規模プロジェクトでの開発を行うことができます。 このハンドブックは、Ficlの新規ユーザーから経験豊富なプログラマーまで、幅広い読者層を対象としています。Ficlの基本概念や実用的な例を通じて、読者が短時間で理解を深め、自身のプロジェクトでFiclを有効活用できるようにサポートします。 == 導入 == まず Ficl の処理系を導入しましょう。 === FreeBSD === Portsコレクションの lang/ficl から導入できます。 === ソースコードを入手してインストール === GNU/Linux には、あまり Ficl をパッケージ化しているディストリビューションはないようです。 ソースコードを入手して、ビルドしインストールしましょう。 :<syntaxhighlight lang=bash line> $ mkdir ~/ficl $ cd ficl $ wget https://downloads.sourceforge.net/project/ficl/ficl-all/ficl4.1/ficl-4.1.0.tar.gz $ tar zxvBpf ficl-4.1.0.tar.gz $ cd ficl-4.1.0/ $ make $ ./ficl $ sudo install -c ficl /usr/local/bin/ </syntaxhighlight> == 構文の基礎 == Ficlの構文は、基本的なスタックベースの逆ポーランド記法に基づいています。このセクションでは、Ficlの基本的な構文について説明します。 === スタックとワード === Ficlでは、スタックが中心的な役割を果たします。数値やデータはスタックにプッシュ(積み上げ)され、ワード(単語)はスタックから値をポップ(取り出し)して処理します。ワードは辞書に登録された名前付きのコードであり、それぞれが特定の機能を持ちます。ワードは、Forthプログラムの基本的なビルディングブロックです。 === 命令の形式 === Ficlの命令は基本的に次の形式を取ります: :<syntaxhighlight lang=forth> <引数1> <引数2> ... <ワード> </syntaxhighlight> ここで、<code><引数></code>はスタックにプッシュされる値やデータを表し、<code><ワード></code>はこれらの引数を処理する特定の命令を示します。 === スタックエフェクト === Ficlの各ワードは、スタック上で特定の操作を行います。ワードのドキュメントでは、それがスタックに対してどのような影響を与えるかを示す記述があります。例えば: :<syntaxhighlight lang=forth> + ( a b -- c ) </syntaxhighlight> この記述は、<code>+</code>ワードが2つの引数(<code>a</code>と<code>b</code>)を消費し、1つの結果(<code>c</code>)をスタックに残すことを意味します。 === コメント === Ficlでは、コメントは括弧で囲んで表現されます。例えば: :<syntaxhighlight lang=forth> ( これはコメントです ) </syntaxhighlight> コメントはインタプリタに無視されます。 === 例 === 以下は、Ficlでの簡単な計算の例です: :<syntaxhighlight lang=forth> 3 4 + . </syntaxhighlight> この例では、<code>3</code>と<code>4</code>がスタックにプッシュされ、<code>+</code>ワードが実行されてスタック上で加算が行われます。最後の<code>.</code>はスタックのトップの値を出力するワードです。 :{| |- !コード!!style='width:3em'| 3 !!style='width:3em'| 4 !!style='width:3em'| + !!style='width:3em'| . |- !スタックトップ |style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 4 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 7 || |- ! | ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 || || |- !出力 | || || ||style="text-align:center; font-weight: bold"| 7 |} 以上がFiclの基本的な構文についての概要です。次のセクションでは、さらに詳細な構文や操作について説明します。 === スタック操作 === Ficlでは、以下のような基本的なスタック操作がサポートされています: * <code>dup</code> : スタックのトップにある値を複製する * <code>drop</code> : スタックのトップから値を削除する * <code>swap</code> : スタックのトップの2つの値を交換する * <code>over</code> : スタックの2つ目の値をトップに複製する * <code>rot</code> : スタックのトップの3つの値を回転させる これらの操作を組み合わせて、さまざまな計算や処理を行うことができます。 === 条件分岐 === Ficlでは、条件分岐を行うための基本的な構文が提供されています。例えば、以下のように使用します: :<syntaxhighlight lang=forth> : cmp4to3 4 3 > if ." 4 is greater than 3" cr else ." 4 is not greater than 3" cr then ; </syntaxhighlight> この例では、<code>4</code>と<code>3</code>を比較して、<code>4</code>が<code>3</code>より大きい場合には<code>if</code>ブロック内のコードが実行されます。そうでない場合は<code>else</code>ブロック内のコードが実行されます。最後の<code>then</code>は条件分岐の終了を示します。 === ループ === Ficlでは、繰り返し処理を行うためのループ構文もサポートされています。例えば、以下のように使用します: :<syntaxhighlight lang=forth> : 10times 10 0 do i . loop ; </syntaxhighlight> この例では、0から9までの数値を順番にスタックにプッシュして、<code>loop</code>までの間に繰り返し処理が行われます。<code>i</code>はループカウンタを示し、<code>.</code>はカウンタの値を出力します。 以上が、Ficlの基本的な構文と操作の概要です。これらの基礎を理解することで、Ficlを使用してさまざまな計算や制御構造を実装することができます。詳細な操作や応用例については、Ficlのドキュメントやチュートリアルを参照してください。 == トラブルシューティング == === よくある問題と対処法 === === エラーメッセージの意味と対応 === == 付録 == === Ficlのリファレンス(ワード一覧など) === {| class=wikitable |+ Ficl頻出ワード一覧 |- ! ワード !! 説明 |- ! .s | スタックの内容を破壊せずに表示する |- ! . | スタックのトップをポップして表示する |- ! Hex | 数値の基数を16進数に設定する(デフォルトは10進数) |- ! Decimal | 数値の基数を10進数に設定する |- ! colspan=2 | 算術演算 |- ! + | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、和をプッシュする |- ! - | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、差をプッシュする |- ! * | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、積をプッシュする |- ! / | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、商をプッシュする |- ! Negate | ( x -- -x ) スタックのトップの数値を符号反転する |- ! colspan=2 | スタック操作 |- ! Dup | ( x -- x x ) スタックのトップの値をコピーする |- ! Swap | ( x y -- y x ) スタックのトップの2つの値を入れ替える |- ! colspan=2 | 論理演算 |- ! True | ( -- -1 ) スタックに -1 をプッシュする |- ! False | ( -- 0 ) スタックに 0 をプッシュする |- ! And, Or, Xor | ( x y -- z )二つの数値(xとy)に対してビット演算を行い、結果をプッシュする |- ! Invert | ( x -- ~x ) スタックのトップの数値を1の補数(ビット反転)する |- ! <, >, <>, = | ( x y -- flag ) 二つの数値(xとy)を比較し、結果(真または偽)をプッシュする |- ! colspan=2 | データの取得と格納 |- ! @, w@, c@ | ( address -- value ) アドレスから32ビット、16ビット、または8ビットの値を取得し、スタックに結果をプッシュする |- ! !, w!, c! | ( value address -- ) 値を32ビット、16ビット、または8ビットで指定したアドレスに格納する |- ! colspan=2 | 新しいワードの作成 |- ! Constant | ( x -- ) 指定した数値(x)をプッシュする新しいワードを作成する |- ! Variable | ( -- ) アドレスをプッシュする新しいワードを作成する |- ! : Colon definitions ; | 既存のワードを使用して新しいワードを定義する |- ! 条件分岐と繰り返し |- ! if, else, then| ( -- ) 条件分岐を行うための制御構文 |- ! do, loop | ( -- ) 繰り返し処理を行うための制御構文 |} 以上が、Ficlの基本的なコマンドと操作についての概要です。詳細な操作や応用例については、Ficlのドキュメントやチュートリアルを参照してください。 === サンプルコード集 === === 関連情報(書籍、Web サイトなど) === 84mk8bd40fo49b14s6vfr1z11o24cf3 246448 246446 2024-04-10T02:50:28Z Ef3 694 /* ワードの定義 */ ワードはFiclプログラムの基本的な構成要素です。新しいワードを定義するには、:(コロン)を使用します。 wikitext text/x-wiki このハンドブックは、Ficl(Forth-Inspired Command Language)の使用法と機能について包括的に説明するものです。Ficlは、組み込みシステムやリソースの制限された環境で使用することを目的とした、ANS Forthに基づく拡張可能な言語インタプリタです。 Ficlは、Forthのシンプルさと柔軟性を活かしながら、より広範なユーザーに向けて設計されています。本書では、Ficlの基本構文から始めて、逐次的に高度なトピックや活用法について掘り下げていきます。Ficlを利用することで、ユーザーは効率的かつ迅速に、組み込みシステムや小規模プロジェクトでの開発を行うことができます。 このハンドブックは、Ficlの新規ユーザーから経験豊富なプログラマーまで、幅広い読者層を対象としています。Ficlの基本概念や実用的な例を通じて、読者が短時間で理解を深め、自身のプロジェクトでFiclを有効活用できるようにサポートします。 == 導入 == まず Ficl の処理系を導入しましょう。 === FreeBSD === Portsコレクションの lang/ficl から導入できます。 === ソースコードを入手してインストール === GNU/Linux には、あまり Ficl をパッケージ化しているディストリビューションはないようです。 ソースコードを入手して、ビルドしインストールしましょう。 :<syntaxhighlight lang=bash line> $ mkdir ~/ficl $ cd ficl $ wget https://downloads.sourceforge.net/project/ficl/ficl-all/ficl4.1/ficl-4.1.0.tar.gz $ tar zxvBpf ficl-4.1.0.tar.gz $ cd ficl-4.1.0/ $ make $ ./ficl $ sudo install -c ficl /usr/local/bin/ </syntaxhighlight> == 構文の基礎 == Ficlの構文は、基本的なスタックベースの逆ポーランド記法に基づいています。このセクションでは、Ficlの基本的な構文について説明します。 === スタックとワード === Ficlでは、スタックが中心的な役割を果たします。数値やデータはスタックにプッシュ(積み上げ)され、ワード(単語)はスタックから値をポップ(取り出し)して処理します。ワードは辞書に登録された名前付きのコードであり、それぞれが特定の機能を持ちます。ワードは、Ficlプログラムの基本的なビルディングブロックです。 === 命令の形式 === Ficlの命令は基本的に次の形式を取ります: :<syntaxhighlight lang=forth> <引数1> <引数2> ... <ワード> </syntaxhighlight> ここで、<code><引数></code>はスタックにプッシュされる値やデータを表し、<code><ワード></code>はこれらの引数を処理する特定の命令を示します。 === コメント === Ficlでは、コメントは括弧で囲んで表現されます。例えば: :<syntaxhighlight lang=forth> ( これはコメントです ) </syntaxhighlight> <code>/</code> から行末までもコメントです :<syntaxhighlight lang=forth> 3 4 + \ 3 + 4 の結果をスタックトップに残す </syntaxhighlight> コメントはインタプリタに無視されます。 === スタックエフェクト === Ficlの各ワードは、スタック上で特定の操作を行います。ワードのドキュメントでは、それがスタックに対してどのような影響を与えるかを示す記述があります。例えば: :<syntaxhighlight lang=forth> + ( a b -- c ) </syntaxhighlight> この記述は、<code>+</code>ワードが2つの引数(<code>a</code>と<code>b</code>)を消費し、1つの結果(<code>c</code>)をスタックに残すことを意味します。 === 例 === 以下は、Ficlでの簡単な計算の例です: :<syntaxhighlight lang=forth> 3 4 + . </syntaxhighlight> この例では、<code>3</code>と<code>4</code>がスタックにプッシュされ、<code>+</code>ワードが実行されてスタック上で加算が行われます。最後の<code>.</code>はスタックのトップの値を出力するワードです。 :{| |- !コード!!style='width:3em'| 3 !!style='width:3em'| 4 !!style='width:3em'| + !!style='width:3em'| . |- !スタックトップ |style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 4 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 7 || |- ! | ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 || || |- !出力 | || || ||style="text-align:center; font-weight: bold"| 7 |} 以上がFiclの基本的な構文についての概要です。次のセクションでは、さらに詳細なワードの説明をします。 === スタック操作 === Ficlでは、以下のような基本的なスタック操作がサポートされています: * <code>dup</code> : スタックのトップにある値を複製する * <code>drop</code> : スタックのトップから値を削除する * <code>swap</code> : スタックのトップの2つの値を交換する * <code>over</code> : スタックの2つ目の値をトップに複製する * <code>rot</code> : スタックのトップの3つの値を回転させる これらの操作を組み合わせて、さまざまな計算や処理を行うことができます。 === ワードの定義 === ワードはFiclプログラムの基本的な構成要素です。新しいワードを定義するには、<code>:</code>(コロン)を使用します。例えば、以下のようにして新しいワードを定義します: :<syntaxhighlight lang=forth> : double ( n -- n*2 ) 2 * ; </syntaxhighlight> この例では、<code>double</code>というワードはスタックから値を取り出して2倍にし、結果をスタックに戻します。 === ワードの実装 === ワードの実装は、<code>:</code>(コロン)で始まり、<code>:</code>から<code>;</code>(セミコロン)までの間に記述されます。これは新しいワードの開始と終了を示します。例えば、上記の<code>double</code>ワードは、<code>2 * ;</code>で実装されています。<code>2 *</code>はスタックから値を取り出して2倍にし、<code>;</code>はワードの定義の終了を示します。 === スタックエフェクトのコメント === ワードの定義には、<code>(</code>と<code>)</code>で囲まれたコメントが含まれることが一般的です。これにより、ワードが期待するスタックの状態を説明することができます。例えば、<code>( n -- n*2 )</code>は、<code>double</code>がスタックから整数を取り出し、その2倍の値をスタックに戻すことを示しています。 === ワードの使用 === 定義されたワードは、Ficlプログラム内で他のワードと同様に使用できます。例えば、先ほど定義した<code>double</code>ワードは、以下のようにして使用できます: :<syntaxhighlight lang=forth> 5 double . </syntaxhighlight> このコードは、スタックに<code>5</code>をプッシュし、それを<code>double</code>ワードで処理して結果を表示します。 これがFiclにおける基本的なワード定義の手順です。ワード定義を使ってFiclプログラムを効果的に構築するためには、これらの手順を理解し、適切に使用することが重要です。 === 条件分岐 === Ficlでは、条件分岐を行うための基本的なワードが提供されています。 条件分岐を含む制御ワードは、ワード定義の中でのみ使用できます。 例えば、以下のように使用します: :<syntaxhighlight lang=forth> : cmp4to3 4 3 > if ." 4 is greater than 3" cr else ." 4 is not greater than 3" cr then ; </syntaxhighlight> この例では、<code>4</code>と<code>3</code>を比較して、<code>4</code>が<code>3</code>より大きい場合には<code>if</code>ブロック内のコードが実行されます。そうでない場合は<code>else</code>ブロック内のコードが実行されます。最後の<code>then</code>は条件分岐の終了を示します。 === ループ === Ficlでは、繰り返し処理を行うためのワードもサポートされています。例えば、以下のように使用します: :<syntaxhighlight lang=forth> : 10times 10 0 do i . loop ; </syntaxhighlight> この例では、0から9までの数値を順番にスタックにプッシュして、<code>loop</code>までの間に繰り返し処理が行われます。<code>i</code>はループカウンタを示し、<code>.</code>はカウンタの値を出力します。 以上が、Ficlの基本的なワードの概要です。これらの基礎を理解することで、Ficlを使用してさまざまな計算や制御構造を実装することができます。詳細な操作や応用例については、Ficlのドキュメントやチュートリアルを参照してください。 == トラブルシューティング == === よくある問題と対処法 === === エラーメッセージの意味と対応 === == 付録 == === Ficlのリファレンス(ワード一覧など) === {| class=wikitable |+ Ficl頻出ワード一覧 |- ! ワード !! 説明 |- ! .s | スタックの内容を破壊せずに表示する |- ! . | スタックのトップをポップして表示する |- ! Hex | 数値の基数を16進数に設定する(デフォルトは10進数) |- ! Decimal | 数値の基数を10進数に設定する |- ! colspan=2 | 算術演算 |- ! + | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、和をプッシュする |- ! - | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、差をプッシュする |- ! * | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、積をプッシュする |- ! / | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、商をプッシュする |- ! Negate | ( x -- -x ) スタックのトップの数値を符号反転する |- ! colspan=2 | スタック操作 |- ! Dup | ( x -- x x ) スタックのトップの値をコピーする |- ! Swap | ( x y -- y x ) スタックのトップの2つの値を入れ替える |- ! colspan=2 | 論理演算 |- ! True | ( -- -1 ) スタックに -1 をプッシュする |- ! False | ( -- 0 ) スタックに 0 をプッシュする |- ! And, Or, Xor | ( x y -- z )二つの数値(xとy)に対してビット演算を行い、結果をプッシュする |- ! Invert | ( x -- ~x ) スタックのトップの数値を1の補数(ビット反転)する |- ! <, >, <>, = | ( x y -- flag ) 二つの数値(xとy)を比較し、結果(真または偽)をプッシュする |- ! colspan=2 | データの取得と格納 |- ! @, w@, c@ | ( address -- value ) アドレスから32ビット、16ビット、または8ビットの値を取得し、スタックに結果をプッシュする |- ! !, w!, c! | ( value address -- ) 値を32ビット、16ビット、または8ビットで指定したアドレスに格納する |- ! colspan=2 | 新しいワードの作成 |- ! Constant | ( x -- ) 指定した数値(x)をプッシュする新しいワードを作成する |- ! Variable | ( -- ) アドレスをプッシュする新しいワードを作成する |- ! : Colon definitions ; | 既存のワードを使用して新しいワードを定義する |- ! 条件分岐と繰り返し |- ! if, else, then| ( -- ) 条件分岐を行うための制御構文 |- ! do, loop | ( -- ) 繰り返し処理を行うための制御構文 |} 以上が、Ficlの基本的なコマンドと操作についての概要です。詳細な操作や応用例については、Ficlのドキュメントやチュートリアルを参照してください。 === サンプルコード集 === === 関連情報(書籍、Web サイトなど) === e8czkjvc1ll0b9neb4vz7efl3oimkck 246449 246448 2024-04-10T03:17:39Z Ef3 694 /* 条件分岐 */ Ficlにおける条件分岐は、主にスタックの状態を調べることで実現されます。Ficlでは条件分岐に IF、ELSE、THEN というワードの組み合わせが使われます。ここでは、基本的な条件分岐の使い方を説明します。 wikitext text/x-wiki このハンドブックは、Ficl(Forth-Inspired Command Language)の使用法と機能について包括的に説明するものです。Ficlは、組み込みシステムやリソースの制限された環境で使用することを目的とした、ANS Forthに基づく拡張可能な言語インタプリタです。 Ficlは、Forthのシンプルさと柔軟性を活かしながら、より広範なユーザーに向けて設計されています。本書では、Ficlの基本構文から始めて、逐次的に高度なトピックや活用法について掘り下げていきます。Ficlを利用することで、ユーザーは効率的かつ迅速に、組み込みシステムや小規模プロジェクトでの開発を行うことができます。 このハンドブックは、Ficlの新規ユーザーから経験豊富なプログラマーまで、幅広い読者層を対象としています。Ficlの基本概念や実用的な例を通じて、読者が短時間で理解を深め、自身のプロジェクトでFiclを有効活用できるようにサポートします。 == 導入 == まず Ficl の処理系を導入しましょう。 === FreeBSD === Portsコレクションの lang/ficl から導入できます。 === ソースコードを入手してインストール === GNU/Linux には、あまり Ficl をパッケージ化しているディストリビューションはないようです。 ソースコードを入手して、ビルドしインストールしましょう。 :<syntaxhighlight lang=bash line> $ mkdir ~/ficl $ cd ficl $ wget https://downloads.sourceforge.net/project/ficl/ficl-all/ficl4.1/ficl-4.1.0.tar.gz $ tar zxvBpf ficl-4.1.0.tar.gz $ cd ficl-4.1.0/ $ make $ ./ficl $ sudo install -c ficl /usr/local/bin/ </syntaxhighlight> == 構文の基礎 == Ficlの構文は、基本的なスタックベースの逆ポーランド記法に基づいています。このセクションでは、Ficlの基本的な構文について説明します。 === スタックとワード === Ficlでは、スタックが中心的な役割を果たします。数値やデータはスタックにプッシュ(積み上げ)され、ワード(単語)はスタックから値をポップ(取り出し)して処理します。ワードは辞書に登録された名前付きのコードであり、それぞれが特定の機能を持ちます。ワードは、Ficlプログラムの基本的なビルディングブロックです。 === 命令の形式 === Ficlの命令は基本的に次の形式を取ります: :<syntaxhighlight lang=forth> <引数1> <引数2> ... <ワード> </syntaxhighlight> ここで、<code><引数></code>はスタックにプッシュされる値やデータを表し、<code><ワード></code>はこれらの引数を処理する特定の命令を示します。 === コメント === Ficlでは、コメントは括弧で囲んで表現されます。例えば: :<syntaxhighlight lang=forth> ( これはコメントです ) </syntaxhighlight> <code>/</code> から行末までもコメントです :<syntaxhighlight lang=forth> 3 4 + \ 3 + 4 の結果をスタックトップに残す </syntaxhighlight> コメントはインタプリタに無視されます。 === スタックエフェクト === Ficlの各ワードは、スタック上で特定の操作を行います。ワードのドキュメントでは、それがスタックに対してどのような影響を与えるかを示す記述があります。例えば: :<syntaxhighlight lang=forth> + ( a b -- c ) </syntaxhighlight> この記述は、<code>+</code>ワードが2つの引数(<code>a</code>と<code>b</code>)を消費し、1つの結果(<code>c</code>)をスタックに残すことを意味します。 === 例 === 以下は、Ficlでの簡単な計算の例です: :<syntaxhighlight lang=forth> 3 4 + . </syntaxhighlight> この例では、<code>3</code>と<code>4</code>がスタックにプッシュされ、<code>+</code>ワードが実行されてスタック上で加算が行われます。最後の<code>.</code>はスタックのトップの値を出力するワードです。 :{| |- !コード!!style='width:3em'| 3 !!style='width:3em'| 4 !!style='width:3em'| + !!style='width:3em'| . |- !スタックトップ |style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 4 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 7 || |- ! | ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 || || |- !出力 | || || ||style="text-align:center; font-weight: bold"| 7 |} 以上がFiclの基本的な構文についての概要です。次のセクションでは、さらに詳細なワードの説明をします。 === スタック操作 === Ficlでは、以下のような基本的なスタック操作がサポートされています: * <code>dup</code> : スタックのトップにある値を複製する * <code>drop</code> : スタックのトップから値を削除する * <code>swap</code> : スタックのトップの2つの値を交換する * <code>over</code> : スタックの2つ目の値をトップに複製する * <code>rot</code> : スタックのトップの3つの値を回転させる これらの操作を組み合わせて、さまざまな計算や処理を行うことができます。 === ワードの定義 === ワードはFiclプログラムの基本的な構成要素です。新しいワードを定義するには、<code>:</code>(コロン)を使用します。例えば、以下のようにして新しいワードを定義します: :<syntaxhighlight lang=forth> : double ( n -- n*2 ) 2 * ; </syntaxhighlight> この例では、<code>double</code>というワードはスタックから値を取り出して2倍にし、結果をスタックに戻します。 === ワードの実装 === ワードの実装は、<code>:</code>(コロン)で始まり、<code>:</code>から<code>;</code>(セミコロン)までの間に記述されます。これは新しいワードの開始と終了を示します。例えば、上記の<code>double</code>ワードは、<code>2 * ;</code>で実装されています。<code>2 *</code>はスタックから値を取り出して2倍にし、<code>;</code>はワードの定義の終了を示します。 === スタックエフェクトのコメント === ワードの定義には、<code>(</code>と<code>)</code>で囲まれたコメントが含まれることが一般的です。これにより、ワードが期待するスタックの状態を説明することができます。例えば、<code>( n -- n*2 )</code>は、<code>double</code>がスタックから整数を取り出し、その2倍の値をスタックに戻すことを示しています。 === ワードの使用 === 定義されたワードは、Ficlプログラム内で他のワードと同様に使用できます。例えば、先ほど定義した<code>double</code>ワードは、以下のようにして使用できます: :<syntaxhighlight lang=forth> 5 double . </syntaxhighlight> このコードは、スタックに<code>5</code>をプッシュし、それを<code>double</code>ワードで処理して結果を表示します。 これがFiclにおける基本的なワード定義の手順です。ワード定義を使ってFiclプログラムを効果的に構築するためには、これらの手順を理解し、適切に使用することが重要です。 === 条件分岐 === Ficlにおける条件分岐は、主にスタックの状態を調べることで実現されます。Ficlでは条件分岐に <code>IF</code>、<code>ELSE</code>、<code>THEN</code> というワードの組み合わせが使われます。ここでは、基本的な条件分岐の使い方を説明します。 ==== IF-ELSE-THEN ==== Ficlでは、<code>IF</code>、<code>ELSE</code>、<code>THEN</code> を組み合わせて条件分岐を行います。基本的な構文は以下の通りです: :<syntaxhighlight lang=forth> IF (true branch) ELSE (false branch) THEN </syntaxhighlight> * <code>IF</code> は条件式を評価し、その結果が真(非ゼロ)であれば、true branch(真の場合の処理)が実行されます。 * <code>ELSE</code> は条件が偽(ゼロ)である場合に実行される処理を指定します。<code>ELSE</code> は省略可能です。 * <code>THEN</code> は条件分岐の終了を示します。 ==== 条件分岐の例 ==== 例として、スタックのトップにある値が正かどうかを判定して処理を分岐するプログラムを示します。 :<syntaxhighlight lang=forth> : check-positive ( n -- ) 0< IF ." Negative" cr ELSE ." Positive" cr THEN ; </syntaxhighlight> この例では、<code>check-positive</code> という新しいワードを定義しています。このワードはスタックから整数を1つ取り出し、その値が正(0より大きい)かどうかを判定します。 * <code>0<</code> はスタックトップの値が0未満かどうかを評価します。結果は真(非ゼロ)または偽(ゼロ)となります。 * <code>IF</code> は条件が真の場合(つまり負の値の場合)に <code>" Negative"</code> というメッセージを表示します。 * <code>ELSE</code> は条件が偽の場合(つまり正の値またはゼロの場合)に <code>" Positive"</code> というメッセージを表示します。ここでは省略しています。 * <code>THEN</code> は条件分岐の終了を示します。 この例を使用すると、以下のようにして条件分岐を行うことができます: :<syntaxhighlight lang=forth> 5 check-positive </syntaxhighlight> このコードは <code>Positive</code> を出力します。同様に、負の値を入力すると <code>Negative</code> が出力されます。 これがFiclにおける基本的な条件分岐の使い方です。条件に応じて処理を切り替えるために <code>IF</code>、<code>ELSE</code>、<code>THEN</code> を適切に使用することで、柔軟なプログラミングが可能です。 === 多方向分岐 === Ficlには <code>CASE</code> ワードがあり、複数の条件に基づいて分岐するために使用されます。<code>CASE</code> ワードは、与えられた値に対して複数の条件を評価し、一致する条件に応じて異なる処理を実行します。ここでは、Ficlにおける <code>CASE</code> ワードの基本的な使い方を説明します。 ==== CASE-OF-ENDOF-ENDCASE ==== Ficlにおける <code>CASE</code> 文の基本的な使い方は次の通りです: :<syntaxhighlight lang=forth> value CASE constant1 OF (condition1 code) ENDOF constant2 OF (condition2 code) ENDOF ... constantN OF (conditionN code) ENDOF (default code) ENDCASE </syntaxhighlight> * <code>value</code> は条件式であり、この値に基づいて <code>CASE</code> 文が評価されます。 * <code>OF</code> は個々の条件節の開始を示します。 * <code>ENDOF</code> は個々の条件節の終了を示します。 * <code>DEFAULT</code> はどの条件にも一致しない場合のデフォルトの処理を指定します。 * <code>ENDCASE</code> は <code>CASE</code> 文の終了を示します。 各条件節は、<code>constant</code> が <code>value</code> と一致する場合に実行されるコードを含みます。 ==== CASE-OF-ENDOF-ENDCASEの例 ==== 例として、<code>value</code> の値に応じて異なるメッセージを出力する <code>CASE</code> 文を示します。 :<syntaxhighlight lang=forth> : print-message ( n -- ) CASE 1 OF ." One" cr ENDOF 2 OF ." Two" cr ENDOF 3 OF ." Three" cr ENDOF ." Other" cr ENDCASE ; 5 print-message </syntaxhighlight> この例では、<code>print-message</code> という新しいワードを定義しています。このワードはスタックから整数を取り出し、その値に応じて異なるメッセージを出力します。 * <code>CASE</code> ブロック内の <code>1 OF</code> は、<code>value</code> が <code>1</code> の場合に実行されるコードを定義しています。 * <code>ENDOF</code> は各条件節の終了を示します。 * <code>DEFAULT</code> はどの条件にも一致しない場合に実行されるデフォルトのコードを定義しています。 上記の例を実行すると、<code>5</code> を入力した場合は <code>Other</code> というメッセージが出力されます。他の値を入力すると、対応するメッセージが出力されます。 これがFiclにおける <code>CASE</code> ワードの基本的な使い方です。<code>CASE</code> 文を使用することで、複数の条件に基づいて柔軟にプログラムを制御することができます。 === ループ === Ficlでは、繰り返し処理を行うためのワードもサポートされています。例えば、以下のように使用します: :<syntaxhighlight lang=forth> : 10times 10 0 do i . loop ; </syntaxhighlight> この例では、0から9までの数値を順番にスタックにプッシュして、<code>loop</code>までの間に繰り返し処理が行われます。<code>i</code>はループカウンタを示し、<code>.</code>はカウンタの値を出力します。 以上が、Ficlの基本的なワードの概要です。これらの基礎を理解することで、Ficlを使用してさまざまな計算や制御構造を実装することができます。詳細な操作や応用例については、Ficlのドキュメントやチュートリアルを参照してください。 == トラブルシューティング == === よくある問題と対処法 === === エラーメッセージの意味と対応 === == 付録 == === Ficlのリファレンス(ワード一覧など) === {| class=wikitable |+ Ficl頻出ワード一覧 |- ! ワード !! 説明 |- ! .s | スタックの内容を破壊せずに表示する |- ! . | スタックのトップをポップして表示する |- ! Hex | 数値の基数を16進数に設定する(デフォルトは10進数) |- ! Decimal | 数値の基数を10進数に設定する |- ! colspan=2 | 算術演算 |- ! + | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、和をプッシュする |- ! - | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、差をプッシュする |- ! * | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、積をプッシュする |- ! / | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、商をプッシュする |- ! Negate | ( x -- -x ) スタックのトップの数値を符号反転する |- ! colspan=2 | スタック操作 |- ! Dup | ( x -- x x ) スタックのトップの値をコピーする |- ! Swap | ( x y -- y x ) スタックのトップの2つの値を入れ替える |- ! colspan=2 | 論理演算 |- ! True | ( -- -1 ) スタックに -1 をプッシュする |- ! False | ( -- 0 ) スタックに 0 をプッシュする |- ! And, Or, Xor | ( x y -- z )二つの数値(xとy)に対してビット演算を行い、結果をプッシュする |- ! Invert | ( x -- ~x ) スタックのトップの数値を1の補数(ビット反転)する |- ! <, >, <>, = | ( x y -- flag ) 二つの数値(xとy)を比較し、結果(真または偽)をプッシュする |- ! colspan=2 | データの取得と格納 |- ! @, w@, c@ | ( address -- value ) アドレスから32ビット、16ビット、または8ビットの値を取得し、スタックに結果をプッシュする |- ! !, w!, c! | ( value address -- ) 値を32ビット、16ビット、または8ビットで指定したアドレスに格納する |- ! colspan=2 | 新しいワードの作成 |- ! Constant | ( x -- ) 指定した数値(x)をプッシュする新しいワードを作成する |- ! Variable | ( -- ) アドレスをプッシュする新しいワードを作成する |- ! : Colon definitions ; | 既存のワードを使用して新しいワードを定義する |- ! 条件分岐と繰り返し |- ! if, else, then| ( -- ) 条件分岐を行うための制御構文 |- ! do, loop | ( -- ) 繰り返し処理を行うための制御構文 |} 以上が、Ficlの基本的なコマンドと操作についての概要です。詳細な操作や応用例については、Ficlのドキュメントやチュートリアルを参照してください。 === サンプルコード集 === === 関連情報(書籍、Web サイトなど) === lrxohxy201dhm682eq5j7m81ncikjrq 246450 246449 2024-04-10T03:42:14Z Ef3 694 /* 文字列処理 */ ワード ." は、Ficlにおいて文字列を表示するために使用されるワードです。このワードはダブルクォート (") で囲まれた文字列を表示します。 wikitext text/x-wiki このハンドブックは、Ficl(Forth-Inspired Command Language)の使用法と機能について包括的に説明するものです。Ficlは、組み込みシステムやリソースの制限された環境で使用することを目的とした、ANS Forthに基づく拡張可能な言語インタプリタです。 Ficlは、Forthのシンプルさと柔軟性を活かしながら、より広範なユーザーに向けて設計されています。本書では、Ficlの基本構文から始めて、逐次的に高度なトピックや活用法について掘り下げていきます。Ficlを利用することで、ユーザーは効率的かつ迅速に、組み込みシステムや小規模プロジェクトでの開発を行うことができます。 このハンドブックは、Ficlの新規ユーザーから経験豊富なプログラマーまで、幅広い読者層を対象としています。Ficlの基本概念や実用的な例を通じて、読者が短時間で理解を深め、自身のプロジェクトでFiclを有効活用できるようにサポートします。 == 導入 == まず Ficl の処理系を導入しましょう。 === FreeBSD === Portsコレクションの lang/ficl から導入できます。 === ソースコードを入手してインストール === GNU/Linux には、あまり Ficl をパッケージ化しているディストリビューションはないようです。 ソースコードを入手して、ビルドしインストールしましょう。 :<syntaxhighlight lang=bash line> $ mkdir ~/ficl $ cd ficl $ wget https://downloads.sourceforge.net/project/ficl/ficl-all/ficl4.1/ficl-4.1.0.tar.gz $ tar zxvBpf ficl-4.1.0.tar.gz $ cd ficl-4.1.0/ $ make $ ./ficl $ sudo install -c ficl /usr/local/bin/ </syntaxhighlight> == 構文の基礎 == Ficlの構文は、基本的なスタックベースの逆ポーランド記法に基づいています。このセクションでは、Ficlの基本的な構文について説明します。 === スタックとワード === Ficlでは、スタックが中心的な役割を果たします。数値やデータはスタックにプッシュ(積み上げ)され、ワード(単語)はスタックから値をポップ(取り出し)して処理します。ワードは辞書に登録された名前付きのコードであり、それぞれが特定の機能を持ちます。ワードは、Ficlプログラムの基本的なビルディングブロックです。 === 命令の形式 === Ficlの命令は基本的に次の形式を取ります: :<syntaxhighlight lang=forth> <引数1> <引数2> ... <ワード> </syntaxhighlight> ここで、<code><引数></code>はスタックにプッシュされる値やデータを表し、<code><ワード></code>はこれらの引数を処理する特定の命令を示します。 === コメント === Ficlでは、コメントは括弧で囲んで表現されます。例えば: :<syntaxhighlight lang=forth> ( これはコメントです ) </syntaxhighlight> <code>/</code> から行末までもコメントです :<syntaxhighlight lang=forth> 3 4 + \ 3 + 4 の結果をスタックトップに残す </syntaxhighlight> コメントはインタプリタに無視されます。 === スタックエフェクト === Ficlの各ワードは、スタック上で特定の操作を行います。ワードのドキュメントでは、それがスタックに対してどのような影響を与えるかを示す記述があります。例えば: :<syntaxhighlight lang=forth> + ( a b -- c ) </syntaxhighlight> この記述は、<code>+</code>ワードが2つの引数(<code>a</code>と<code>b</code>)を消費し、1つの結果(<code>c</code>)をスタックに残すことを意味します。 === 例 === 以下は、Ficlでの簡単な計算の例です: :<syntaxhighlight lang=forth> 3 4 + . </syntaxhighlight> この例では、<code>3</code>と<code>4</code>がスタックにプッシュされ、<code>+</code>ワードが実行されてスタック上で加算が行われます。最後の<code>.</code>はスタックのトップの値を出力するワードです。 :{| |- !コード!!style='width:3em'| 3 !!style='width:3em'| 4 !!style='width:3em'| + !!style='width:3em'| . |- !スタックトップ |style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 4 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 7 || |- ! | ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 || || |- !出力 | || || ||style="text-align:center; font-weight: bold"| 7 |} 以上がFiclの基本的な構文についての概要です。次のセクションでは、さらに詳細なワードの説明をします。 === スタック操作 === Ficlでは、以下のような基本的なスタック操作がサポートされています: * <code>dup</code> : スタックのトップにある値を複製する * <code>drop</code> : スタックのトップから値を削除する * <code>swap</code> : スタックのトップの2つの値を交換する * <code>over</code> : スタックの2つ目の値をトップに複製する * <code>rot</code> : スタックのトップの3つの値を回転させる これらの操作を組み合わせて、さまざまな計算や処理を行うことができます。 === ワードの定義 === ワードはFiclプログラムの基本的な構成要素です。新しいワードを定義するには、<code>:</code>(コロン)を使用します。例えば、以下のようにして新しいワードを定義します: :<syntaxhighlight lang=forth> : double ( n -- n*2 ) 2 * ; </syntaxhighlight> この例では、<code>double</code>というワードはスタックから値を取り出して2倍にし、結果をスタックに戻します。 === ワードの実装 === ワードの実装は、<code>:</code>(コロン)で始まり、<code>:</code>から<code>;</code>(セミコロン)までの間に記述されます。これは新しいワードの開始と終了を示します。例えば、上記の<code>double</code>ワードは、<code>2 * ;</code>で実装されています。<code>2 *</code>はスタックから値を取り出して2倍にし、<code>;</code>はワードの定義の終了を示します。 === スタックエフェクトのコメント === ワードの定義には、<code>(</code>と<code>)</code>で囲まれたコメントが含まれることが一般的です。これにより、ワードが期待するスタックの状態を説明することができます。例えば、<code>( n -- n*2 )</code>は、<code>double</code>がスタックから整数を取り出し、その2倍の値をスタックに戻すことを示しています。 === ワードの使用 === 定義されたワードは、Ficlプログラム内で他のワードと同様に使用できます。例えば、先ほど定義した<code>double</code>ワードは、以下のようにして使用できます: :<syntaxhighlight lang=forth> 5 double . </syntaxhighlight> このコードは、スタックに<code>5</code>をプッシュし、それを<code>double</code>ワードで処理して結果を表示します。 これがFiclにおける基本的なワード定義の手順です。ワード定義を使ってFiclプログラムを効果的に構築するためには、これらの手順を理解し、適切に使用することが重要です。 == 文字列処理 == ワード <code>."</code> は、Ficlにおいて文字列を表示するために使用されるワードです。このワードはダブルクォート (<code>"</code>) で囲まれた文字列を表示します。 <code>."</code> はコンパイル時に使用されると、コンパイラによって文字列リテラルが生成されます。このリテラルは実行時に評価され、文字列が表示されます。 === 使用例 === 以下は <code>."</code> の基本的な使用例です: :<syntaxhighlight lang=forth> : say-hello ( -- ) ." Hello, world!" cr ; say-hello \ Hello, world! </syntaxhighlight> このコードでは、<code>Hello, world!</code> という文字列が表示されます。<code>cr</code> は改行を意味し、表示された文字列の後に改行が挿入されます。 === 条件分岐 === Ficlにおける条件分岐は、主にスタックの状態を調べることで実現されます。Ficlでは条件分岐に <code>IF</code>、<code>ELSE</code>、<code>THEN</code> というワードの組み合わせが使われます。ここでは、基本的な条件分岐の使い方を説明します。 ==== IF-ELSE-THEN ==== Ficlでは、<code>IF</code>、<code>ELSE</code>、<code>THEN</code> を組み合わせて条件分岐を行います。基本的な構文は以下の通りです: :<syntaxhighlight lang=forth> IF (true branch) ELSE (false branch) THEN </syntaxhighlight> * <code>IF</code> は条件式を評価し、その結果が真(非ゼロ)であれば、true branch(真の場合の処理)が実行されます。 * <code>ELSE</code> は条件が偽(ゼロ)である場合に実行される処理を指定します。<code>ELSE</code> は省略可能です。 * <code>THEN</code> は条件分岐の終了を示します。 ==== 条件分岐の例 ==== 例として、スタックのトップにある値が正かどうかを判定して処理を分岐するプログラムを示します。 :<syntaxhighlight lang=forth> : check-positive ( n -- ) 0< IF ." Negative" cr ELSE ." Positive" cr THEN ; </syntaxhighlight> この例では、<code>check-positive</code> という新しいワードを定義しています。このワードはスタックから整数を1つ取り出し、その値が正(0より大きい)かどうかを判定します。 * <code>0<</code> はスタックトップの値が0未満かどうかを評価します。結果は真(非ゼロ)または偽(ゼロ)となります。 * <code>IF</code> は条件が真の場合(つまり負の値の場合)に <code>" Negative"</code> というメッセージを表示します。 * <code>ELSE</code> は条件が偽の場合(つまり正の値またはゼロの場合)に <code>" Positive"</code> というメッセージを表示します。ここでは省略しています。 * <code>THEN</code> は条件分岐の終了を示します。 この例を使用すると、以下のようにして条件分岐を行うことができます: :<syntaxhighlight lang=forth> 5 check-positive </syntaxhighlight> このコードは <code>Positive</code> を出力します。同様に、負の値を入力すると <code>Negative</code> が出力されます。 これがFiclにおける基本的な条件分岐の使い方です。条件に応じて処理を切り替えるために <code>IF</code>、<code>ELSE</code>、<code>THEN</code> を適切に使用することで、柔軟なプログラミングが可能です。 === 多方向分岐 === Ficlには <code>CASE</code> ワードがあり、複数の条件に基づいて分岐するために使用されます。<code>CASE</code> ワードは、与えられた値に対して複数の条件を評価し、一致する条件に応じて異なる処理を実行します。ここでは、Ficlにおける <code>CASE</code> ワードの基本的な使い方を説明します。 ==== CASE-OF-ENDOF-ENDCASE ==== Ficlにおける <code>CASE</code> 文の基本的な使い方は次の通りです: :<syntaxhighlight lang=forth> value CASE constant1 OF (condition1 code) ENDOF constant2 OF (condition2 code) ENDOF ... constantN OF (conditionN code) ENDOF (default code) ENDCASE </syntaxhighlight> * <code>value</code> は条件式であり、この値に基づいて <code>CASE</code> 文が評価されます。 * <code>OF</code> は個々の条件節の開始を示します。 * <code>ENDOF</code> は個々の条件節の終了を示します。 * <code>DEFAULT</code> はどの条件にも一致しない場合のデフォルトの処理を指定します。 * <code>ENDCASE</code> は <code>CASE</code> 文の終了を示します。 各条件節は、<code>constant</code> が <code>value</code> と一致する場合に実行されるコードを含みます。 ==== CASE-OF-ENDOF-ENDCASEの例 ==== 例として、<code>value</code> の値に応じて異なるメッセージを出力する <code>CASE</code> 文を示します。 :<syntaxhighlight lang=forth> : print-message ( n -- ) CASE 1 OF ." One" cr ENDOF 2 OF ." Two" cr ENDOF 3 OF ." Three" cr ENDOF ." Other" cr ENDCASE ; 5 print-message </syntaxhighlight> この例では、<code>print-message</code> という新しいワードを定義しています。このワードはスタックから整数を取り出し、その値に応じて異なるメッセージを出力します。 * <code>CASE</code> ブロック内の <code>1 OF</code> は、<code>value</code> が <code>1</code> の場合に実行されるコードを定義しています。 * <code>ENDOF</code> は各条件節の終了を示します。 * <code>DEFAULT</code> はどの条件にも一致しない場合に実行されるデフォルトのコードを定義しています。 上記の例を実行すると、<code>5</code> を入力した場合は <code>Other</code> というメッセージが出力されます。他の値を入力すると、対応するメッセージが出力されます。 これがFiclにおける <code>CASE</code> ワードの基本的な使い方です。<code>CASE</code> 文を使用することで、複数の条件に基づいて柔軟にプログラムを制御することができます。 === ループ === Ficlでは、繰り返し処理を行うためのワードもサポートされています。例えば、以下のように使用します: :<syntaxhighlight lang=forth> : 10times 10 0 do i . loop ; </syntaxhighlight> この例では、0から9までの数値を順番にスタックにプッシュして、<code>loop</code>までの間に繰り返し処理が行われます。<code>i</code>はループカウンタを示し、<code>.</code>はカウンタの値を出力します。 以上が、Ficlの基本的なワードの概要です。これらの基礎を理解することで、Ficlを使用してさまざまな計算や制御構造を実装することができます。詳細な操作や応用例については、Ficlのドキュメントやチュートリアルを参照してください。 == トラブルシューティング == === よくある問題と対処法 === === エラーメッセージの意味と対応 === == 付録 == === Ficlのリファレンス(ワード一覧など) === {| class=wikitable |+ Ficl頻出ワード一覧 |- ! ワード !! 説明 |- ! .s | スタックの内容を破壊せずに表示する |- ! . | スタックのトップをポップして表示する |- ! Hex | 数値の基数を16進数に設定する(デフォルトは10進数) |- ! Decimal | 数値の基数を10進数に設定する |- ! colspan=2 | 算術演算 |- ! + | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、和をプッシュする |- ! - | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、差をプッシュする |- ! * | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、積をプッシュする |- ! / | ( a b -- c ) 二つの数値(aとb)をスタックからポップし、商をプッシュする |- ! Negate | ( x -- -x ) スタックのトップの数値を符号反転する |- ! colspan=2 | スタック操作 |- ! Dup | ( x -- x x ) スタックのトップの値をコピーする |- ! Swap | ( x y -- y x ) スタックのトップの2つの値を入れ替える |- ! colspan=2 | 論理演算 |- ! True | ( -- -1 ) スタックに -1 をプッシュする |- ! False | ( -- 0 ) スタックに 0 をプッシュする |- ! And, Or, Xor | ( x y -- z )二つの数値(xとy)に対してビット演算を行い、結果をプッシュする |- ! Invert | ( x -- ~x ) スタックのトップの数値を1の補数(ビット反転)する |- ! <, >, <>, = | ( x y -- flag ) 二つの数値(xとy)を比較し、結果(真または偽)をプッシュする |- ! colspan=2 | データの取得と格納 |- ! @, w@, c@ | ( address -- value ) アドレスから32ビット、16ビット、または8ビットの値を取得し、スタックに結果をプッシュする |- ! !, w!, c! | ( value address -- ) 値を32ビット、16ビット、または8ビットで指定したアドレスに格納する |- ! colspan=2 | 新しいワードの作成 |- ! Constant | ( x -- ) 指定した数値(x)をプッシュする新しいワードを作成する |- ! Variable | ( -- ) アドレスをプッシュする新しいワードを作成する |- ! : Colon definitions ; | 既存のワードを使用して新しいワードを定義する |- ! 条件分岐と繰り返し |- ! if, else, then| ( -- ) 条件分岐を行うための制御構文 |- ! do, loop | ( -- ) 繰り返し処理を行うための制御構文 |} 以上が、Ficlの基本的なコマンドと操作についての概要です。詳細な操作や応用例については、Ficlのドキュメントやチュートリアルを参照してください。 === サンプルコード集 === === 関連情報(書籍、Web サイトなど) === ck0f3olukjs4jfycqr3l38rzdr9872t