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高等学校政治経済
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:* [[高等学校の学習]] > 高等学校政治経済
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高等学校の科目「政治経済」は、高等学校など(普通科高校の他、中等教育学校の後期課程、盲学校・聾学校・養護学校の高等部などがある)における普通教科の一科目であり、「公民」分野の一科目であり、政治・経済の内容に関する解説をする科目である。
== 教科書 ==
=== 現代日本の政治・経済 ===
==== 現代日本の政治 ====
===== 民主政治の基本原理 =====
:* [[高等学校政治経済/政治/近代民主政治の歴史]] {{進捗|50%|2016-04-05}}
:* [[高等学校政治経済/政治/世界のおもな政治体制]] {{進捗|50%|2016-04-05}}
:* [[高等学校政治経済/政治/政治と法]]
:* [[高等学校政治経済/政治/憲法の基本原理]] {{進捗|50%|2016-04-05}}
===== 日本国憲法と人権保障 =====
:* [[高等学校政治経済/大日本帝国憲法と日本国憲法]]
:* [[高等学校政治経済/日本国憲法と人権保障]] {{進捗|100%|2022-12-22}}
:* [[高等学校政治経済/政治/日本の安全保障と憲法問題]] {{進捗|25%|2017-07-06}}
===== 現代日本の政治機構 =====
:* [[高等学校政治経済/政治/国会]] {{進捗|50%|2022-03-13}}
:* [[高等学校政治経済/政治/内閣]] {{進捗|00%|2023-03-19}}
:* [[高等学校政治経済/政治/裁判所]] {{進捗|00%|2022-03-19}}
:* [[高等学校政治経済/政治/地方自治]] {{進捗|00%|2024-04-09}}
:* [[高等学校政治経済/政治/日本の政党政治]] {{進捗|100%|2022-02-22}}
:* [[高等学校政治経済/政治/日本の選挙制度]] {{進捗|100%|2023-03-18}}
==== 現代日本の経済 ====
===== 経済思想の歴史 =====
:* [[高等学校政治経済/経済/経済思想]] {{進捗|25%|2015-09-26}}
===== 現代経済の仕組み =====
:* [[高等学校政治経済/経済/財政と税]] {{進捗|50%|2016-04-01}}
:* [[高等学校政治経済/経済/市場の機能と限界]] {{進捗|25%|2016-03-29}}
:* [[高等学校政治経済/経済/物価の動き]] {{進捗|50%|2016-04-01}}
:* [[高等学校政治経済/経済/経済成長と景気変動]] {{進捗|50%|2016-04-01}}
:* [[高等学校政治経済/経済/貨幣と金融]] {{進捗|50%|2016-04-01}}
===== 日本経済 =====
:* [[高等学校政治経済/経済/戦後日本の経済のあゆみ]] {{進捗|50%|2016-04-03}}
:* [[高等学校政治経済/経済/産業構造の変化]] {{進捗|50%|2016-04-04}}
:* [[高等学校政治経済/経済/中小企業問題]] {{進捗|50%|2016-04-04}}
:* [[高等学校政治経済/経済/農業と食料自給率問題]] {{進捗|50%|2016-04-04}}
:* [[高等学校政治経済/経済/労働問題と労働市場]] {{進捗|50%|2016-04-04}}
:* [[高等学校政治経済/経済/社会保障]] {{進捗|50%|2016-04-05}}
:* [[高等学校政治経済/経済/消費者問題]] {{進捗|25%|2016-04-07}}
:* [[高等学校政治経済/経済/公害と環境保全]]
:* [[高等学校政治経済/経済/企業の種類と株式会社]]
=====※ 整理中=====
:* [[高等学校政治経済/政治]] {{進捗|25%|2015-09-26}}
===現代の国際政治・経済===
====現代の国際政治====
===== 国際法と国際社会 =====
:* [[高等学校政治経済/政治/国際法と国際社会]] {{進捗|50%|2016-04-05}}
===== 国際政治 =====
:* [[高等学校政治経済/政治/国際政治]] {{進捗|25%|2016-04-05}}
:* 高等学校政治経済/政治/戦後の日本外交 {{進捗|00%|2016-04-05}}
====現代の国際経済====
===== 国際経済と日本 =====
:* [[高等学校政治経済/経済/第二次大戦後の国際経済の歴史]] {{進捗|50%|2016-04-07}}
:* [[高等学校政治経済/経済/国際経済のしくみ]] {{進捗|50%|2016-04-07}}
:* [[高等学校政治経済/経済/地域的経済統合]] {{進捗|25%|2016-04-07}}
=== 現代日本の政治・経済およびグローバル化する国際社会の諸課題の探究 ===
:* [[高等学校政治経済/現代社会の諸課題]] {{進捗|00%|2015-08-14}}
=== その他 ===
:* [[高等学校商業 経済活動と法/法の分類]] (※ 以下の概念が高校「政治経済」の範囲内。「自然法」と「実定法」。「慣習法」。「公法」と「私法」。)(※ 山川出版社などの検定教科書で確認。)
:* [[高等学校商業 経済活動と法/契約と意思表示]] (※ 以下の概念が高校「政治経済」の範囲内。「契約自由の原則」。)(※ 清水書院の検定教科書(平成25年検定版)で確認。)
:* [[高等学校政治経済/その他]] (センター過去問の出題など)
:* [[高等学校政治経済/権利と義務]]
:* 参考: [[高等学校政治経済/政治/保守と革新、右翼と左翼]]
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特殊相対論
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{{Pathnav|メインページ|自然科学|物理学|frame=1|small=1}}
本項は特殊相対論の解説です。特殊相対論は電磁気学、相対論的量子論、場の量子論、一般相対論など広範な物理学の基礎となる理論である。
== 原理 ==
'''光速度不変の原理''' 真空中の光の速度はどの慣性系から見ても一定である。
'''特殊相対性原理''' どの慣性系でも物理法則は同じ形式で表される。
== 世界間隔 ==
== ローレンツ変換 ==
慣性系 <math>K</math> の座標を <math>ct,x</math>、 慣性系 <math>K'</math> の座標を <math>ct',x'</math> とする。<math>K'</math> は <math>K</math> に対して速度 <math>V</math> の一様な並進運動をしているとき、2つの慣性系の間の対応を求めよう。
まず、<math>ct',x'</math> は <math>ct,x</math> に関する一次関数でなくてはならない。なぜなら、二次以上の項が含まれていると、世界間隔が任意の慣性系で不変であるという条件 <math>c^2dt'^2 - dx'^2 = c^2dt^2 - dx^2</math> が満たされないからである。さらに、<math>ct',x'</math>の原点を適当に選ぶことで、定数項も0とすることができる。
また、<math>K'</math> で静止している物体について考えると明らかに <math>x'=\mathrm{const}.</math> この物体の位置を <math>K</math> で観察すると、 <math>x = Vt + \mathrm{const.}</math> すなわち、<math>x'</math> は <math>x - Vt</math> に比例して、その比例係数を <math>\gamma</math> とすると、 <math>x' = \gamma(x-Vt)</math> と表される。<math>ct' = \gamma(act + bx)</math> と置くと、
<math>cdt' = \gamma(acdt + bdx),\, dx' = \gamma(-Vdt + dx).</math>
世界間隔が慣性系で不変であるから、
<math>\begin{align}
c^2dt'^2 - dx'^2 &= \gamma^2\{(acdt+bdx)^2 - (-Vdt + dx)^2\} \\
&= \gamma^2 \{(a^2c^2-V^2)dt^2 + (b^2-1)dx^2 + 2(abc+V)dtdx\} \\
&= c^2dt^2 - dx^2
\end{align}</math>
すなわち、
<math>\begin{cases} \gamma^2 (a^2c^2-V^2) = c^2 \\ \gamma^2 (b^2-1) = -1 \\ abc+V=0 \end{cases}</math>
第三式を第二式に代入して、 <math>\gamma^2\left(a^2 - \frac{V^2}{c^2}\right) = a^2. </math> これを第一式と比較して <math>a=1.</math> 第三式より <math>b = -\frac V c .</math> 第二式より <math>\gamma = \frac{1}{\sqrt{1-\frac{V^2}{c^2}}}.</math>ここで、<math>\gamma,a</math> は正に選ばなくてはいけない。<math>\gamma</math> が負であるとすれば <math>x' = \gamma(x-Vt)</math> から <math>x</math> と <math>x'</math> が逆向きとなってしまう。それは慣性系 <math>K,K'</math> の設定と異なる。<math>a</math> も同じ理由である。
<math>\beta = \frac V c</math> とすると、ローレンツ変換は
<math>\begin{pmatrix} ct' \\ x' \end{pmatrix} = \gamma \begin{pmatrix} 1 & -\beta \\ -\beta & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix}</math>
と書かれる。
[[ファイル:Lt_hyperbolic_functions_2.svg|サムネイル|313x313ピクセル|ローレンツ変換の図示]]
ローレンツ変換をまた別の方法で求めよう。ローレンツ変換を原点からの世界間隔 <math>s^2 = (ct)^2 -x^2</math> が変化しないミンコフスキー空間の回転として表してみる。<math>s^2</math> を正として <math>t>0</math> の部分は、 <math>ct = s \cosh \theta, \, x = s \sinh \theta</math> と表すことが出来る。この点を回転角 <math>-\psi</math> だけ回転させた点 <math>ct',x'</math> は、
<math>\begin{align} ct' &= s \cosh(\theta - \psi ) \\ &= s \cosh \theta \cosh \psi - s \sinh \theta \sinh \psi \\ &= ct \cosh \psi - x \sinh \psi \end{align}</math>
<math>\begin{align} x' &= s \sinh(\theta - \psi ) \\ &= s \sinh \theta \cosh \psi - s \cosh \theta \sinh \psi \\ &= x \cosh \psi - ct \sinh \psi \end{align}</math>
という変換になる。
行列で表すと、<math>\begin{pmatrix} ct' \\ x' \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cosh \psi & -\sinh \psi \\ -\sinh \psi & \cosh \psi \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix}</math> である。前述の議論より、ローレンツ変換は線型変換だから、この変換が時空間全体に適用されると考えるべきである。実際に、<math>s^2</math> が正で <math>t<0</math> の部分については、<math>\theta \to \theta + \psi</math> として上の変換を得る。<math>s^2</math> が負で <math>x>0</math> の部分には、 <math>\theta \to \theta - \psi</math>、<math>x<0</math> の部分には、 <math>\theta \to \theta + \psi</math> と変換すれば良い。<math>K</math>系での原点 <math>x=0</math> は <math>K'</math> 系では、<math>ct' = ct \cosh \psi,\, x' = -ct \sinh \psi</math> である。二式を割って、<math>\tanh \psi =- \frac{x'}{ct'} = \frac V c.</math> ここで、<math>\frac{x'}{t'}</math> は <math>K'</math> での <math>K</math> の原点の速度に等しいから <math>-V</math> である。双曲線関数の公式 <math>1 - \tanh^2 \psi = \frac{1}{\cosh^2 \psi}</math>から、<math>\cosh \psi = \frac{1}{\sqrt{1-\frac{V^2}{c^2}}}, \, \sinh \psi = \tanh \psi \cosh \psi = \frac{\frac V c}{\sqrt{1-\frac{V^2}{c^2}}}</math> となる。 この結果は前述の結果と一致する。また、<math>\psi</math> はラピディティと呼ばれる。
=== 速度の合成則 ===
慣性系 <math>K</math> に対し、系 <math>K'</math> は速度 <math>V_1</math> の一様な並進運動を行っている。また、系 <math>K''</math> は <math>K'</math> に対して、速度 <math>V_2</math> の一様な並進運動を行っている。このとき、 <math>K''</math> は <math>K</math> から見てどのような運動を行っているだろうか?
<math>\tanh \theta_1 = \frac{V_1}{c},\, \tanh \theta_2 = \frac{V_2}{c}</math> としてラピディティを導入すると、
<math>\begin{align}
\begin{pmatrix} ct'' \\ x'' \end{pmatrix} &=
\begin{pmatrix} \cosh \theta_2 & -\sinh \theta_2 \\ -\sinh \theta_2 & \cosh\theta_2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct' \\ x' \end{pmatrix} \\
&= \begin{pmatrix} \cosh \theta_2 & -\sinh \theta_2 \\ -\sinh \theta_2 & \cosh\theta_2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \cosh \theta_1 & -\sinh \theta_1 \\ -\sinh \theta_1 & \cosh\theta_1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix} \\
&= \begin{pmatrix} \cosh (\theta_1 + \theta_2) & -\sinh (\theta_1 + \theta_2) \\ -\sinh (\theta_1 + \theta_2) & \cosh(\theta_1 + \theta_2) \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix}.
\end{align} </math>
すなわち、<math>K''</math> は <math>K</math> に対して、ラピディティ <math>\theta = \theta_1 + \theta_2</math> のローレンツ変換である。<math>K</math> から見た <math>K''</math> の速度 <math>\frac V c = \tanh \theta</math> を<math>V_1,V_2</math> で表すと、双曲線関数の加法定理 <math>\tanh (\theta_1 + \theta_2) = \frac{\tanh \theta_1 + \tanh \theta_2}{1 + \tanh \theta_1 \tanh \theta_2}</math> より、<math>\frac V c =\frac{\frac{V_1}{c} + \frac{V_2}{c}}{1 + \frac{V_1V_2}{c^2}}</math> である。もちろん、ラピディティを経由せずに速度の合成則を求めることも可能である。詳しくは[[特殊相対論 速度の合成則|速度の合成則]]を参照すること。
== 4元ベクトル ==
== 電磁気学 ==
== 旧版 ==
{{進捗状況}}
{{蔵書一覧}}
* [[特殊相対論 はじめに|はじめに]]
* [[特殊相対論 歴史的導入|歴史的導入]]
* [[特殊相対論 テンソル|テンソル]]
* 計算例
** [[特殊相対論 時間の遅れ|時間の遅れ]]
** [[特殊相対論 ローレンツ収縮|ローレンツ収縮]]
** [[特殊相対論 速度の合成則|速度の合成則]]
* [[特殊相対論 4元運動量|4元運動量]]
<!-- E = mc^2 !!! -->
* [[特殊相対論 運動方程式|運動方程式]]
* [[特殊相対論 電磁気学への導入|電磁気学への導入]]
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[[Category:特殊相対論|*]]
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本項は特殊相対論の解説です。特殊相対論は電磁気学、相対論的量子論、場の量子論、一般相対論など広範な物理学の基礎となる理論である。
== 原理 ==
'''光速度不変の原理''' 真空中の光の速度はどの慣性系から見ても一定である。
'''特殊相対性原理''' どの慣性系でも物理法則は同じ形式で表される。
== 世界間隔 ==
== ローレンツ変換 ==
慣性系 <math>K</math> の座標を <math>ct,x</math>、 慣性系 <math>K'</math> の座標を <math>ct',x'</math> とする。<math>K'</math> は <math>K</math> に対して速度 <math>V</math> の一様な並進運動をしているとき、2つの慣性系の間の対応を求めよう。
まず、<math>ct',x'</math> は <math>ct,x</math> に関する一次関数でなくてはならない。なぜなら、二次以上の項が含まれていると、世界間隔が任意の慣性系で不変であるという条件 <math>c^2dt'^2 - dx'^2 = c^2dt^2 - dx^2</math> が満たされないからである。さらに、<math>ct',x'</math>の原点を適当に選ぶことで、定数項も0とすることができる。
また、<math>K'</math> で静止している物体について考えると明らかに <math>x'=\mathrm{const}.</math> この物体の位置を <math>K</math> で観察すると、 <math>x = Vt + \mathrm{const.}</math> すなわち、<math>x'</math> は <math>x - Vt</math> に比例して、その比例係数を <math>\gamma</math> とすると、 <math>x' = \gamma(x-Vt)</math> と表される。<math>ct' = \gamma(act + bx)</math> と置くと、
<math>cdt' = \gamma(acdt + bdx),\, dx' = \gamma(-Vdt + dx).</math>
世界間隔が慣性系で不変であるから、
<math>\begin{align}
c^2dt'^2 - dx'^2 &= \gamma^2\{(acdt+bdx)^2 - (-Vdt + dx)^2\} \\
&= \gamma^2 \{(a^2c^2-V^2)dt^2 + (b^2-1)dx^2 + 2(abc+V)dtdx\} \\
&= c^2dt^2 - dx^2
\end{align}</math>
すなわち、
<math>\begin{cases} \gamma^2 (a^2c^2-V^2) = c^2 \\ \gamma^2 (b^2-1) = -1 \\ abc+V=0 \end{cases}</math>
第三式を第二式に代入して、 <math>\gamma^2\left(a^2 - \frac{V^2}{c^2}\right) = a^2. </math> これを第一式と比較して <math>a=1.</math> 第三式より <math>b = -\frac V c .</math> 第二式より <math>\gamma = \frac{1}{\sqrt{1-\frac{V^2}{c^2}}}.</math>ここで、<math>\gamma,a</math> は正に選ばなくてはいけない。<math>\gamma</math> が負であるとすれば <math>x' = \gamma(x-Vt)</math> から <math>x</math> と <math>x'</math> が逆向きとなってしまう。それは慣性系 <math>K,K'</math> の設定と異なる。<math>a</math> も同じ理由である。
<math>\beta = \frac V c</math> とすると、ローレンツ変換は
<math>\begin{pmatrix} ct' \\ x' \end{pmatrix} = \gamma \begin{pmatrix} 1 & -\beta \\ -\beta & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix}</math>
と書かれる。
[[ファイル:Lt_hyperbolic_functions_2.svg|サムネイル|313x313ピクセル|ローレンツ変換の図示]]
ローレンツ変換をまた別の方法で求めよう。ローレンツ変換を原点からの世界間隔 <math>s^2 = (ct)^2 -x^2</math> が変化しないミンコフスキー空間の回転として表してみる。<math>s^2</math> を正として <math>t>0</math> の部分は、 <math>ct = s \cosh \theta, \, x = s \sinh \theta</math> と表すことが出来る。この点を回転角 <math>-\psi</math> だけ回転させた点 <math>ct',x'</math> は、
<math>\begin{align} ct' &= s \cosh(\theta - \psi ) \\ &= s \cosh \theta \cosh \psi - s \sinh \theta \sinh \psi \\ &= ct \cosh \psi - x \sinh \psi \end{align}</math>
<math>\begin{align} x' &= s \sinh(\theta - \psi ) \\ &= s \sinh \theta \cosh \psi - s \cosh \theta \sinh \psi \\ &= x \cosh \psi - ct \sinh \psi \end{align}</math>
という変換になる。
行列で表すと、<math>\begin{pmatrix} ct' \\ x' \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cosh \psi & -\sinh \psi \\ -\sinh \psi & \cosh \psi \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix}</math> である。前述の議論より、ローレンツ変換は線型変換だから、この変換が時空間全体に適用されると考えるべきである。実際に、<math>s^2</math> が正で <math>t<0</math> の部分については、<math>\theta \to \theta + \psi</math> として上の変換を得る。<math>s^2</math> が負で <math>x>0</math> の部分には、 <math>\theta \to \theta - \psi</math>、<math>x<0</math> の部分には、 <math>\theta \to \theta + \psi</math> と変換すれば良い。<math>K</math>系での原点 <math>x=0</math> は <math>K'</math> 系では、<math>ct' = ct \cosh \psi,\, x' = -ct \sinh \psi</math> である。二式を割って、<math>\tanh \psi =- \frac{x'}{ct'} = \frac V c.</math> ここで、<math>\frac{x'}{t'}</math> は <math>K'</math> での <math>K</math> の原点の速度に等しいから <math>-V</math> である。双曲線関数の公式 <math>1 - \tanh^2 \psi = \frac{1}{\cosh^2 \psi}</math>から、<math>\cosh \psi = \frac{1}{\sqrt{1-\frac{V^2}{c^2}}}, \, \sinh \psi = \tanh \psi \cosh \psi = \frac{\frac V c}{\sqrt{1-\frac{V^2}{c^2}}}</math> となる。 この結果は前述の結果と一致する。また、<math>\psi</math> はラピディティと呼ばれる。
=== 速度の合成則 ===
慣性系 <math>K</math> に対し、系 <math>K'</math> は速度 <math>V_1</math> の一様な並進運動を行っている。また、系 <math>K''</math> は <math>K'</math> に対して、速度 <math>V_2</math> の一様な並進運動を行っている。このとき、 <math>K''</math> は <math>K</math> から見てどのような運動を行っているだろうか?
<math>\tanh \theta_1 = \frac{V_1}{c},\, \tanh \theta_2 = \frac{V_2}{c}</math> としてラピディティを導入すると、
<math>\begin{align}
\begin{pmatrix} ct'' \\ x'' \end{pmatrix} &=
\begin{pmatrix} \cosh \theta_2 & -\sinh \theta_2 \\ -\sinh \theta_2 & \cosh\theta_2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct' \\ x' \end{pmatrix} \\
&= \begin{pmatrix} \cosh \theta_2 & -\sinh \theta_2 \\ -\sinh \theta_2 & \cosh\theta_2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \cosh \theta_1 & -\sinh \theta_1 \\ -\sinh \theta_1 & \cosh\theta_1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix} \\
&= \begin{pmatrix} \cosh (\theta_1 + \theta_2) & -\sinh (\theta_1 + \theta_2) \\ -\sinh (\theta_1 + \theta_2) & \cosh(\theta_1 + \theta_2) \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix}.
\end{align} </math>
すなわち、<math>K''</math> は <math>K</math> に対して、ラピディティ <math>\theta = \theta_1 + \theta_2</math> のローレンツ変換である。<math>K</math> から見た <math>K''</math> の速度 <math>\frac V c = \tanh \theta</math> を<math>V_1,V_2</math> で表すと、双曲線関数の加法定理 <math>\tanh (\theta_1 + \theta_2) = \frac{\tanh \theta_1 + \tanh \theta_2}{1 + \tanh \theta_1 \tanh \theta_2}</math> より、<math>\frac V c =\frac{\frac{V_1}{c} + \frac{V_2}{c}}{1 + \frac{V_1V_2}{c^2}}</math> である。もちろん、ラピディティを経由せずに速度の合成則を求めることも可能である。詳しくは[[特殊相対論 速度の合成則|速度の合成則]]を参照すること。
== 4元ベクトル ==
== 自由粒子の作用 ==
特殊相対論的な自由粒子の作用 <math>S_{\mathrm{mat}}</math> を求めよう。特殊相対性原理より、それは慣性系の選択に依存しない量でなくてはいけない。すなわち、ローレンツ変換に対して不変でなくてはならない。世界間隔 <math>ds^2</math> はローレンツ変換に対して不変な量であるから、これを使って、
<math>S_{\mathrm{mat}} = -mc \int_a^b ds</math>
のように書けるだろう。ここで、 <math>m</math> は粒子に固有の定数で、後にこれが質量であることを示す。
<math>S_{\mathrm{mat}} = -mc^2 \int_{t_a}^{t_b} \sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}dt</math>
であるから、対応するラグランジアンは
<math>L_{\mathrm{mat}} = -mc^2\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}</math>
である。ところで、ニュートン力学は特殊相対論の <math>v << c</math> とした極限の場合と考えられるので、 <math>L_{\mathrm{mat}}</math> は <math>v << c</math> の条件でニュートン力学の自由粒子のラグランジアンに一致するべきである。実際、
<math>L_{\mathrm{mat}} \approx -mc^2\left( 1 - \frac 1 2 \frac{v^2}{c^2} \right) = -mc^2 + \frac 1 2 mv^2</math>
となる。第一項の定数項は無視して、ニュートン力学のラグランジアンに一致することが確かめられた。ここにきて、定数 <math>m</math> が粒子の質量であることも確定する。
運動量 <math>\boldsymbol p</math> は<math>\frac{\partial L_{\mathrm{mat}}}{\partial \boldsymbol v}</math> であり、エネルギー <math>E</math> は <math>E = \boldsymbol p \cdot \boldsymbol v - L_{\mathrm{mat}}</math> と定義される。この式に従って計算すると、
<math>\begin{align}\boldsymbol p &=
\frac{\partial L_{\mathrm{mat}}}{\partial \boldsymbol v} \\
&= -mc^2 \frac{\partial v^2}{\partial \boldsymbol v} \frac{d}{dv^2} \sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}} \\
&= -mc^2(2\boldsymbol v)\left( -\frac 1 2 \frac{1}{c^2} \frac{1}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}} \right) \\
&= \frac{m \boldsymbol v}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}}
\end{align} </math>
<math>\begin{align} E &= \boldsymbol p \cdot \boldsymbol v - L_{\mathrm{mat}} \\
&= \frac{mv^2}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}} + mc^2 \sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}} \\
&= \frac{mc^2}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}}
\end{align} </math>
となる。
== 電磁気学 ==
== 旧版 ==
{{進捗状況}}
{{蔵書一覧}}
* [[特殊相対論 はじめに|はじめに]]
* [[特殊相対論 歴史的導入|歴史的導入]]
* [[特殊相対論 テンソル|テンソル]]
* 計算例
** [[特殊相対論 時間の遅れ|時間の遅れ]]
** [[特殊相対論 ローレンツ収縮|ローレンツ収縮]]
** [[特殊相対論 速度の合成則|速度の合成則]]
* [[特殊相対論 4元運動量|4元運動量]]
<!-- E = mc^2 !!! -->
* [[特殊相対論 運動方程式|運動方程式]]
* [[特殊相対論 電磁気学への導入|電磁気学への導入]]
{{DEFAULTSORT:とくしゆそうたいろん}}
[[Category:特殊相対論|*]]
{{NDC|421.2}}
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本項は特殊相対論の解説です。特殊相対論は電磁気学、相対論的量子論、場の量子論、一般相対論など広範な物理学の基礎となる理論である。
== 原理 ==
'''光速度不変の原理''' 真空中の光の速度はどの慣性系から見ても一定である。
'''特殊相対性原理''' どの慣性系でも物理法則は同じ形式で表される。
== 世界間隔 ==
== ローレンツ変換 ==
慣性系 <math>K</math> の座標を <math>ct,x</math>、 慣性系 <math>K'</math> の座標を <math>ct',x'</math> とする。<math>K'</math> は <math>K</math> に対して速度 <math>V</math> の一様な並進運動をしているとき、2つの慣性系の間の対応を求めよう。
まず、<math>ct',x'</math> は <math>ct,x</math> に関する一次関数でなくてはならない。なぜなら、二次以上の項が含まれていると、世界間隔が任意の慣性系で不変であるという条件 <math>c^2dt'^2 - dx'^2 = c^2dt^2 - dx^2</math> が満たされないからである。さらに、<math>ct',x'</math>の原点を適当に選ぶことで、定数項も0とすることができる。
また、<math>K'</math> で静止している物体について考えると明らかに <math>x'=\mathrm{const}.</math> この物体の位置を <math>K</math> で観察すると、 <math>x = Vt + \mathrm{const.}</math> すなわち、<math>x'</math> は <math>x - Vt</math> に比例して、その比例係数を <math>\gamma</math> とすると、 <math>x' = \gamma(x-Vt)</math> と表される。<math>ct' = \gamma(act + bx)</math> と置くと、
<math>cdt' = \gamma(acdt + bdx),\, dx' = \gamma(-Vdt + dx).</math>
世界間隔が慣性系で不変であるから、
<math>\begin{align}
c^2dt'^2 - dx'^2 &= \gamma^2\{(acdt+bdx)^2 - (-Vdt + dx)^2\} \\
&= \gamma^2 \{(a^2c^2-V^2)dt^2 + (b^2-1)dx^2 + 2(abc+V)dtdx\} \\
&= c^2dt^2 - dx^2
\end{align}</math>
すなわち、
<math>\begin{cases} \gamma^2 (a^2c^2-V^2) = c^2 \\ \gamma^2 (b^2-1) = -1 \\ abc+V=0 \end{cases}</math>
第三式を第二式に代入して、 <math>\gamma^2\left(a^2 - \frac{V^2}{c^2}\right) = a^2. </math> これを第一式と比較して <math>a=1.</math> 第三式より <math>b = -\frac V c .</math> 第二式より <math>\gamma = \frac{1}{\sqrt{1-\frac{V^2}{c^2}}}.</math>ここで、<math>\gamma,a</math> は正に選ばなくてはいけない。<math>\gamma</math> が負であるとすれば <math>x' = \gamma(x-Vt)</math> から <math>x</math> と <math>x'</math> が逆向きとなってしまう。それは慣性系 <math>K,K'</math> の設定と異なる。<math>a</math> も同じ理由である。
<math>\beta = \frac V c</math> とすると、ローレンツ変換は
<math>\begin{pmatrix} ct' \\ x' \end{pmatrix} = \gamma \begin{pmatrix} 1 & -\beta \\ -\beta & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix}</math>
と書かれる。
[[ファイル:Lt_hyperbolic_functions_2.svg|サムネイル|313x313ピクセル|ローレンツ変換の図示]]
ローレンツ変換をまた別の方法で求めよう。ローレンツ変換を原点からの世界間隔 <math>s^2 = (ct)^2 -x^2</math> が変化しないミンコフスキー空間の回転として表してみる。<math>s^2</math> を正として <math>t>0</math> の部分は、 <math>ct = s \cosh \theta, \, x = s \sinh \theta</math> と表すことが出来る。この点を回転角 <math>-\psi</math> だけ回転させた点 <math>ct',x'</math> は、
<math>\begin{align} ct' &= s \cosh(\theta - \psi ) \\ &= s \cosh \theta \cosh \psi - s \sinh \theta \sinh \psi \\ &= ct \cosh \psi - x \sinh \psi \end{align}</math>
<math>\begin{align} x' &= s \sinh(\theta - \psi ) \\ &= s \sinh \theta \cosh \psi - s \cosh \theta \sinh \psi \\ &= x \cosh \psi - ct \sinh \psi \end{align}</math>
という変換になる。
行列で表すと、<math>\begin{pmatrix} ct' \\ x' \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cosh \psi & -\sinh \psi \\ -\sinh \psi & \cosh \psi \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix}</math> である。前述の議論より、ローレンツ変換は線型変換だから、この変換が時空間全体に適用されると考えるべきである。実際に、<math>s^2</math> が正で <math>t<0</math> の部分については、<math>\theta \to \theta + \psi</math> として上の変換を得る。<math>s^2</math> が負で <math>x>0</math> の部分には、 <math>\theta \to \theta - \psi</math>、<math>x<0</math> の部分には、 <math>\theta \to \theta + \psi</math> と変換すれば良い。<math>K</math>系での原点 <math>x=0</math> は <math>K'</math> 系では、<math>ct' = ct \cosh \psi,\, x' = -ct \sinh \psi</math> である。二式を割って、<math>\tanh \psi =- \frac{x'}{ct'} = \frac V c.</math> ここで、<math>\frac{x'}{t'}</math> は <math>K'</math> での <math>K</math> の原点の速度に等しいから <math>-V</math> である。双曲線関数の公式 <math>1 - \tanh^2 \psi = \frac{1}{\cosh^2 \psi}</math>から、<math>\cosh \psi = \frac{1}{\sqrt{1-\frac{V^2}{c^2}}}, \, \sinh \psi = \tanh \psi \cosh \psi = \frac{\frac V c}{\sqrt{1-\frac{V^2}{c^2}}}</math> となる。 この結果は前述の結果と一致する。また、<math>\psi</math> はラピディティと呼ばれる。
=== 速度の合成則 ===
慣性系 <math>K</math> に対し、系 <math>K'</math> は速度 <math>V_1</math> の一様な並進運動を行っている。また、系 <math>K''</math> は <math>K'</math> に対して、速度 <math>V_2</math> の一様な並進運動を行っている。このとき、 <math>K''</math> は <math>K</math> から見てどのような運動を行っているだろうか?
<math>\tanh \theta_1 = \frac{V_1}{c},\, \tanh \theta_2 = \frac{V_2}{c}</math> としてラピディティを導入すると、
<math>\begin{align}
\begin{pmatrix} ct'' \\ x'' \end{pmatrix} &=
\begin{pmatrix} \cosh \theta_2 & -\sinh \theta_2 \\ -\sinh \theta_2 & \cosh\theta_2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct' \\ x' \end{pmatrix} \\
&= \begin{pmatrix} \cosh \theta_2 & -\sinh \theta_2 \\ -\sinh \theta_2 & \cosh\theta_2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \cosh \theta_1 & -\sinh \theta_1 \\ -\sinh \theta_1 & \cosh\theta_1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix} \\
&= \begin{pmatrix} \cosh (\theta_1 + \theta_2) & -\sinh (\theta_1 + \theta_2) \\ -\sinh (\theta_1 + \theta_2) & \cosh(\theta_1 + \theta_2) \end{pmatrix} \begin{pmatrix} ct \\ x \end{pmatrix}.
\end{align} </math>
すなわち、<math>K''</math> は <math>K</math> に対して、ラピディティ <math>\theta = \theta_1 + \theta_2</math> のローレンツ変換である。<math>K</math> から見た <math>K''</math> の速度 <math>\frac V c = \tanh \theta</math> を<math>V_1,V_2</math> で表すと、双曲線関数の加法定理 <math>\tanh (\theta_1 + \theta_2) = \frac{\tanh \theta_1 + \tanh \theta_2}{1 + \tanh \theta_1 \tanh \theta_2}</math> より、<math>\frac V c =\frac{\frac{V_1}{c} + \frac{V_2}{c}}{1 + \frac{V_1V_2}{c^2}}</math> である。もちろん、ラピディティを経由せずに速度の合成則を求めることも可能である。詳しくは[[特殊相対論 速度の合成則|速度の合成則]]を参照すること。
== 4元ベクトル ==
== 自由粒子の作用 ==
特殊相対論的な自由粒子の作用 <math>S_{\mathrm{mat}}</math> を求めよう。特殊相対性原理より、それは慣性系の選択に依存しない量でなくてはいけない。すなわち、ローレンツ変換に対して不変でなくてはならない。世界間隔 <math>ds^2</math> はローレンツ変換に対して不変な量であるから、これを使って、
<math>S_{\mathrm{mat}} = -mc \int_a^b ds</math>
のように書けるだろう。ここで、 <math>m</math> は粒子に固有の定数で、後にこれが質量であることを示す。
<math>S_{\mathrm{mat}} = -mc^2 \int_{t_a}^{t_b} \sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}dt</math>
であるから、対応するラグランジアンは
<math>L_{\mathrm{mat}} = -mc^2\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}</math>
である。ところで、ニュートン力学は特殊相対論の <math>v << c</math> とした極限の場合と考えられるので、 <math>L_{\mathrm{mat}}</math> は <math>v << c</math> の条件でニュートン力学の自由粒子のラグランジアンに一致するべきである。実際、
<math>L_{\mathrm{mat}} \approx -mc^2\left( 1 - \frac 1 2 \frac{v^2}{c^2} \right) = -mc^2 + \frac 1 2 mv^2</math>
となる。第一項の定数項は無視して、ニュートン力学のラグランジアンに一致することが確かめられた。ここにきて、定数 <math>m</math> が粒子の質量であることも確定する。
運動量 <math>\boldsymbol p</math> は<math>\frac{\partial L_{\mathrm{mat}}}{\partial \boldsymbol v}</math> であり、エネルギー <math>E</math> は <math>E = \boldsymbol p \cdot \boldsymbol v - L_{\mathrm{mat}}</math> と定義される。この式に従って計算すると、
<math>\begin{align}\boldsymbol p &=
\frac{\partial L_{\mathrm{mat}}}{\partial \boldsymbol v} \\
&= -mc^2 \frac{\partial v^2}{\partial \boldsymbol v} \frac{d}{dv^2} \sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}} \\
&= -mc^2(2\boldsymbol v)\left( -\frac 1 2 \frac{1}{c^2} \frac{1}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}} \right) \\
&= \frac{m \boldsymbol v}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}}
\end{align} </math>
<math>\begin{align} E &= \boldsymbol p \cdot \boldsymbol v - L_{\mathrm{mat}} \\
&= \frac{mv^2}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}} + mc^2 \sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}} \\
&= \frac{mc^2}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}}
\end{align} </math>
となる。
=== 4元運動量 ===
4元運動量 <math>p^\mu</math> を
<math>p^\mu = m\frac{dx^{\mu}}{d\tau}</math>
として定義しよう。<math>d\tau = \sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}dt</math> であることを考えると、 <math>p^\mu = \frac{m}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}} \frac{dx^\mu}{dt} </math> であるから、時間成分と空間成分を分けて書くと
<math>p^\mu = \left(\frac{mc}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}} ,\frac{m\boldsymbol v}{\sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}}} \right) = \left(\frac E c ,\boldsymbol p\right).</math>
ここで、 <math>dx^\mu dx_\mu = c^2 d\tau^2</math> の両辺を <math>d\tau ^2 </math> で割って <math>m^2</math> を掛けると <math>p^\mu p_\mu = m^2 c^2</math>が得られる。この式に4元運動量の成分を代入すると
<math>E^2 = m^2c^4 + \boldsymbol p^2 c^2</math>
を得る。
== 電磁気学 ==
== 旧版 ==
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{{蔵書一覧}}
* [[特殊相対論 はじめに|はじめに]]
* [[特殊相対論 歴史的導入|歴史的導入]]
* [[特殊相対論 テンソル|テンソル]]
* 計算例
** [[特殊相対論 時間の遅れ|時間の遅れ]]
** [[特殊相対論 ローレンツ収縮|ローレンツ収縮]]
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<!-- E = mc^2 !!! -->
* [[特殊相対論 運動方程式|運動方程式]]
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有機化学/基
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202.241.98.146
/* 酸素を含む化合物 */
wikitext
text/x-wiki
[[有機化学]]>基
==基とは何か==
基とは[[有機化学#官能基と炭化水素基|官能基や炭化水素基]]などひとまとまりの原子団を指す。
==官能基の種類==
===酸素を含む化合物===
<table border="1" class="wikitable">
<tr><th colspan="2">官能基</th><th>化合物の一般名</th><th colspan="2">化合物の例</th></tr>
<tr><td rowspan="2">ヒドロキシ基</td><td rowspan="2">-OH</td><td>[[有機化学_アルコール|アルコール]]</td><td>メタノール</td><td>CH<sub>3</sub>-OH</td></tr>
<tr><td>フェノール類</td><td>フェノール</td><td>C<sub>6</sub>H<sub>5</sub>-OH</td></tr>
<tr><td>ホルミル基</td><td>-CHO</td><td>[[有機化学_アルデヒド|アルデヒド]]</td><td>アセトアルデヒド</td><td>CH<sub>3</sub>-CHO</td></tr>
<tr><td>カルボニル基</td><td>>CO</td><td>[[有機化学_ケトン|ケトン]]</td><td>アセトン</td><td>CH<sub>3</sub>-CO-CH<sub>3</sub></td></tr>
<tr><td>カルボキシ基</td><td>-COOH</td><td>[[有機化学_カルボン酸|カルボン酸]]</td><td>酢酸</<td>CH<sub>3</sub>-COOH</td></tr>
<tr><td>ニトロ基</td><td>-NO<sub>2</sub></td><td>ニトロ化合物</td><td>ニトロベンゼン</td><td>C<sub>6</sub>H<sub>5</sub>-NO<sub>2</sub></td></tr>
<tr><td>アミノ基</td><td>-NH<sub>2</sub></td><td>アミン</td><td>アニリン</td><td>C<sub>6</sub>H<sub>5</sub>-NH<sub>2</sub></td></tr>
<tr><td>スルホ基</td><td>-SO<sub>3</sub>H</td><td>スルホン酸</td><td>ベンゼンスルホン酸</td><td>C<sub>6</sub>H<sub>5</sub>-SO<sub>3</sub>H</td></tr>
<tr><td>エーテル結合</td><td>-O-</td><td>[[有機化学_エーテル|エーテル]]</td><td>ジメチルエーテル</td><td>CH<sub>3</sub>-O-CH<sub>3</sub></td></tr>
<tr><td>エステル結合</td><td>-COO-</td><td>[[有機化学_エステル|エステル]]</td><td>酢酸メチル</td><td>CH<sub>3</sub>-COO-CH<sub>3</sub></td></tr>
</table>
==炭化水素基の種類==
<table border="1" class="wikitable">
<tr><th>炭化水素基のグループ</th><th colspan="2">炭化水素基</th></tr>
<tr><td rowspan="4">アルキル基</td><td>メチル基</td><td>CH<sub>3</sub>-</td></tr>
<tr><td>エチル基</td><td>C<sub>2</sub>H<sub>5</sub>-</td></tr>
<tr><td>(ノルマル)プロピル基</td><td>CH<sub>3</sub>CH<sub>2</sub>CH<sub>2</sub>-</td></tr>
<tr><td>イソプロピル基</td><td>(CH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>CH-</td></tr>
<tr><td colspan="2">ビニル基</td><td>CH<sub>2</sub>=CH-</td></tr>
<tr><td rowspan="2">アリール基</td><td>フェニル基</td><td>C<sub>6</sub>H<sub>5</sub>-</td></tr>
<tr><td>ナフチル基</td><td>C<sub>10</sub>H<sub>7</sub>-</td></tr>
</table>
[[有機化学_アルカン|アルカン]]からH原子を1個とりのぞいたものをアルキル基といい、アルカンの名前のaneをylに変えて命名する。
[[有機化学_アルケン|エチレン]]からH原子を1個とりのぞいたものをビニル基という。
芳香族炭化水素からH原子を1個とりのぞいたものをアリール基という。
炭化水素基は一般に「R-」と表されることもある。
==ハロゲノ基==
ハロゲン原子も基として働く。ハロゲン原子が基として働く場合、ハロゲノ基といい、各々原子名と違う名前が与えられる。
<table border="1" class="wikitable">
<tr><th>ハロゲノ基</th><th>名称</th><th>原子の英名</th></tr>
<tr><td>F-</td><td>フルオロ基(Fluoro)</td><td>フルオリン(Fluorine)</td></tr>
<tr><td>Cl-</td><td>クロロ基(Chloro)</td><td>クロリン(Chlorine)</td></tr>
<tr><td>Br-</td><td>ブロモ基(Bromo)</td><td>ブロミン(Bromine)</td></tr>
<tr><td>I-</td><td>ヨード基(Iodo)</td><td>ヨーディン(Iodine)</td></tr>
<tr><td>At-</td><td>アスタト基(Astato)</td><td>アスタティン(Astatine)</td></tr>
</table>
[[カテゴリ:有機化学]]
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コンメンタール刑事訴訟法
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Tomzo
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[[法学]]>[[刑事法]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]
{{Wikipedia|刑事訴訟法}}
刑事訴訟法(最終改正:令和5年5月17日法律第28号)の逐条解説書。
条文の見出し【 】は、法律自体に立法者によってあらかじめつけられたものではなく、判りやすくするために任意につけたものである。
== <span id="1">第一編</span> 総則(第1条 - 第188条の7) ==
*[[刑事訴訟法第1条|第1条]]【本法の目的】
=== <span id="1-1">第一章</span> 裁判所の管轄(2条 - 19条) ===
*[[刑事訴訟法第2条|第2条]]【土地管轄】
*[[刑事訴訟法第3条|第3条]]【関連事件の併合管轄1】
*[[刑事訴訟法第4条|第4条]]【関連事件の分離移送1】
*[[刑事訴訟法第5条|第5条]]【関連事件の審判1】
*[[刑事訴訟法第6条|第6条]]【関連事件の併合管轄2】
*[[刑事訴訟法第7条|第7条]]【関連事件の分離移送2】
*[[刑事訴訟法第8条|第8条]]【関連事件の審判2】
*[[刑事訴訟法第9条|第9条]]【関連事件】
*[[刑事訴訟法第10条|第10条]]【同一事件と数個の訴訟係属1】
*[[刑事訴訟法第11条|第11条]]【同一事件と数個の訴訟係属2】
*[[刑事訴訟法第12条|第12条]]【管轄区域外の職務執行】
*[[刑事訴訟法第13条|第13条]]【管轄違いと訴訟手続の効力】
*[[刑事訴訟法第14条|第14条]]【管轄違いと要急処分】
*[[刑事訴訟法第15条|第15条]]【管轄指定1】
*[[刑事訴訟法第16条|第16条]]【管轄指定2】
*[[刑事訴訟法第17条|第17条]]【管轄違いと訴訟手続の効力】
*[[刑事訴訟法第18条|第18条]]【管轄移転2】
*[[刑事訴訟法第19条|第19条]]【事件の移送】
==== 関連 ====
*[[w:管轄|管轄]]
*[[w:審判|審判]]
*[[w:移送|移送]]
=== <span id="1-2">第二章</span> 裁判所職員の除斥及び忌避(20条 - 26条) ===
*[[刑事訴訟法第20条|第20条]]【除斥の原因】
*[[刑事訴訟法第21条|第21条]]【忌避の原因、忌避申立権者】
*[[刑事訴訟法第22条|第22条]]【請求・陳述後の忌避申立て】
*[[刑事訴訟法第23条|第23条]]【忌避申立てに対する決定】
*[[刑事訴訟法第24条|第24条]]【忌避申立てに対する簡易却下手続】
*[[刑事訴訟法第25条|第25条]]【即時抗告】
*[[刑事訴訟法第26条|第26条]]【裁判所書記官の除斥・忌避】
==== 関連 ====
*[[w:除斥|除斥]]
*[[w:忌避|忌避]]
*[[w:回避|回避]]
=== <span id="1-3">第三章</span> 訴訟能力 (27条 - 29条) ===
*[[刑事訴訟法第27条|第27条]]【法人の訴訟行為】
*[[刑事訴訟法第28条|第28条]]【意思無能力者】
*[[刑事訴訟法第29条|第29条]]【特別代理人】
==== 関連 ====
*[[w:訴訟能力|訴訟能力]]
=== <span id="1-4">第四章</span> 弁護及び補佐 (30条 - 42条) ===
*[[刑事訴訟法第30条|第30条]]【弁護人の選任】
*[[刑事訴訟法第31条|第31条]]【弁護人の資格、特別弁護人】
*[[刑事訴訟法第31条の2|第31条の2]]【弁護士会】
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*[[刑事訴訟法第33条|第33条]]【主任弁護人】
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*[[刑事訴訟法第35条|第35条]]【弁護人の数の制限】
*[[刑事訴訟法第36条|第36条]]【国選弁護1】
*[[刑事訴訟法第36条の2|第36条の2]]【資力申告書の提出】
*[[刑事訴訟法第36条の3|第36条の3]]【私選弁護人選任申出の前置】
*[[刑事訴訟法第37条|第37条]]【職権による選任】
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*[[刑事訴訟法第37条の3|第37条の3]]【選任請求の手続】
*[[刑事訴訟法第37条の4|第37条の4]]【職権による選任】
*[[刑事訴訟法第37条の5|第37条の5]]【複数の弁護人の選任】
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*[[刑事訴訟法第38条の2|第38条の2]]【選任の効力の終期】
*[[刑事訴訟法第38条の3|第38条の3]]【弁護人の解任】
*[[刑事訴訟法第38条の4|第38条の4]]【虚偽の資力申告書提出に対する制裁】
*[[刑事訴訟法第39条|第39条]]【接見交通権】
*[[刑事訴訟法第40条|第40条]]【弁護人の書類・証拠物の閲覧謄写権】
*[[刑事訴訟法第41条|第41条]]【弁護人の独立行為権】
*[[刑事訴訟法第42条|第42条]]【補佐人】
==== 関連 ====
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*[[w:弁護士|弁護士]]
*[[w:国選弁護人|国選弁護人]]
*[[w:接見交通|接見交通]]
*[[w:補佐人|補佐人]]
=== <span id="1-5">第五章</span> 裁判 (43条 - 46条) ===
*[[刑事訴訟法第43条|第43条]]【判決・決定・命令】
*[[刑事訴訟法第44条|第44条]]【裁判の理由】
*[[刑事訴訟法第45条|第45条]]【判事補の権限】
*[[刑事訴訟法第46条|第46条]]【裁判書等の謄抄本】
==== 関連 ====
*[[w:判決|判決]]
*[[w:決定|決定]]
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=== <span id="1-6">第六章</span> 書類及び送達 (47条 - 54条) ===
*[[刑事訴訟法第47条|第47条]]【訴訟書類の公開禁止】
*[[刑事訴訟法第48条|第48条]]【公判調書の作成・整理】
*[[刑事訴訟法第49条|第49条]]【被告人の公判調書閲覧権】
*[[刑事訴訟法第50条|第50条]]【公判調書未整理の場合の当事者の権利】
*[[刑事訴訟法第51条|第51条]]【公判調書の記載に対する異議申立て】
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*[[刑事訴訟法第53条|第53条]]【訴訟記録の閲覧】
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*[[刑事訴訟法第54条|第54条]]【送達】
==== 関連 ====
*[[w:公判調書|公判調書]]
*[[w:訴訟記録|訴訟記録]]
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=== <span id="1-7">第七章</span> 期間 (55条・56条) ===
*[[刑事訴訟法第55条|第55条]]【期間の計算】
*[[刑事訴訟法第56条|第56条]]【法定期間の延長】
==== 関連 ====
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=== <span id="1-8">第八章</span> 被告人の召喚、勾引及び勾留(57条 - 98条) ===
*[[刑事訴訟法第57条|第57条]]【召喚】
*[[刑事訴訟法第58条|第58条]]【勾引】
*[[刑事訴訟法第59条|第59条]]【勾引の効力】
*[[刑事訴訟法第60条|第60条]]【勾留】
*[[刑事訴訟法第61条|第61条]]【勾留質問】
*[[刑事訴訟法第62条|第62条]]【令状】
*[[刑事訴訟法第63条|第63条]]【召喚状の方式】
*[[刑事訴訟法第64条|第64条]]【拘引状、勾留状の方式】
*[[刑事訴訟法第65条|第65条]]【召喚の手順】
*[[刑事訴訟法第66条|第66条]]【拘引の嘱託】
*[[刑事訴訟法第67条|第67条]]【嘱託勾引の手続き】
*[[刑事訴訟法第68条|第68条]]【出頭命令・同行命令と勾引】
*[[刑事訴訟法第69条|第69条]]【急速を要する場合】
*[[刑事訴訟法第70条|第70条]]【勾引状・勾留状の執行】
*[[刑事訴訟法第71条|第71条]]【管轄区域外における執行】
*[[刑事訴訟法第72条|第72条]]【被告人の捜査等の嘱託】
*[[刑事訴訟法第73条|第73条]]【勾引状・勾留状の執行手続き】
*[[刑事訴訟法第74条|第74条]]【護送中の仮留置】
*[[刑事訴訟法第75条|第75条]]【勾引された被告人の留置】
*[[刑事訴訟法第76条|第76条]]【勾引後の公訴事実・弁護人選任権の告知】
*[[刑事訴訟法第77条|第77条]]【勾留時の弁護人選任権等】
*[[刑事訴訟法第78条|第78条]]【弁護人選任の申出】
*[[刑事訴訟法第79条|第79条]]【勾留と弁護人等への通知】
*[[刑事訴訟法第80条|第80条]]【勾留と接見・授受】
*[[刑事訴訟法第81条|第81条]]【接見・授受の制限】
*[[刑事訴訟法第82条|第82条]]【勾留理由開示の請求】
*[[刑事訴訟法第83条|第83条]]【勾留理由開示1】
*[[刑事訴訟法第84条|第84条]]【勾留理由開示2】
*[[刑事訴訟法第85条|第85条]]【勾留理由開示3】
*[[刑事訴訟法第86条|第86条]]【勾留理由開示請求の競合】
*[[刑事訴訟法第87条|第87条]]【勾留の取消】
*[[刑事訴訟法第88条|第88条]]【保釈の請求】
*[[刑事訴訟法第89条|第89条]]【必要的保釈】
*[[刑事訴訟法第90条|第90条]]【職権保釈】
*[[刑事訴訟法第91条|第91条]]【不当に長い勾留】
*[[刑事訴訟法第92条|第92条]]【保釈等と検察官の意見】
*[[刑事訴訟法第93条|第93条]]【保釈保証金、保釈の条件】
*[[刑事訴訟法第94条|第94条]]【保釈の手続き】
*[[刑事訴訟法第95条|第95条]]【勾留の執行停止】
*[[刑事訴訟法第96条|第96条]]【保釈、勾留の執行停止の取消】
*[[刑事訴訟法第97条|第97条]]【上訴と勾留に関する処分】
*[[刑事訴訟法第98条|第98条]]【保釈、勾留の執行停止の取消】
==== 関連 ====
*[[w:召喚|召喚]]
*[[w:勾引|勾引]]
*[[w:留置|留置]]
*[[w:ミランダ原則|ミランダ原則]]
*[[w:勾留|勾留]]
*[[w:保釈|保釈]]
=== <span id="1-9">第九章</span> 押収及び捜索 (99条 - 127条) ===
*[[刑事訴訟法第99条|第99条]]【証拠物等の差押え・提出命令】
*[[刑事訴訟法第99条の2|第99条の2]]【記録命令付差押え】
*[[刑事訴訟法第100条|第100条]]【郵便物等の押収】
*[[刑事訴訟法第101条|第101条]]【領置】
*[[刑事訴訟法第102条|第102条]]【捜索】
*[[刑事訴訟法第103条|第103条]]【押収と公務上の秘密1】
*[[刑事訴訟法第104条|第104条]]【押収と公務上の秘密2】
*[[刑事訴訟法第105条|第105条]]【押収と業務上の秘密】
*[[刑事訴訟法第106条|第106条]]【差押状・捜索状】
*[[刑事訴訟法第107条|第107条]]【差押状・捜索状の記載事項】
*[[刑事訴訟法第108条|第108条]]【差押状・捜索状の執行】
*[[刑事訴訟法第109条|第109条]]【執行の補助】
*[[刑事訴訟法第110条|第110条]]【差押状・捜索状の呈示】
*[[刑事訴訟法第110条の2|第110条の2]]【電磁的記録に係る記録媒体の差押え執行方法】
*[[刑事訴訟法第111条|第111条]]【執行に必要な処分】
*[[刑事訴訟法第111条の2|第111条の2]]【協力要請】
*[[刑事訴訟法第112条|第112条]]【執行中の出入り禁止】
*[[刑事訴訟法第113条|第113条]]【当事者の立会い】
*[[刑事訴訟法第114条|第114条]]【責任者の立会い】
*[[刑事訴訟法第115条|第115条]]【女子の身体捜索】
*[[刑事訴訟法第116条|第116条]]【夜間執行の禁止】
*[[刑事訴訟法第117条|第117条]]【夜間執行可能な場所】
*[[刑事訴訟法第118条|第118条]]【執行の中止と必要な処置】
*[[刑事訴訟法第119条|第119条]]【不存在証明書の交付】
*[[刑事訴訟法第120条|第120条]]【押収目録の交付】
*[[刑事訴訟法第121条|第121条]]【押収物の保管・廃棄】
*[[刑事訴訟法第122条|第122条]]【押収物の売却、代価の保管】
*[[刑事訴訟法第123条|第123条]]【押収物の還付・仮還付】
*[[刑事訴訟法第124条|第124条]]【押収贓物の被害者還付】
*[[刑事訴訟法第125条|第125条]]【受命裁判官・受託裁判官】
*[[刑事訴訟法第126条|第126条]]【勾引状・勾留状執行と被告人の捜索1】
*[[刑事訴訟法第127条|第127条]]【勾引状・勾留状執行と被告人の捜索2】
==== 関連 ====
*[[w:差押|差押]]
*[[w:押収|押収]]
*[[w:領置|領置]]
*[[w:守秘義務|守秘義務]]
*[[w:令状|令状]]
*[[w:身体検査|身体検査]]
*[[w:受命裁判官]]
*[[w:受託裁判官]]
=== <span id="1-10">第十章</span> 検証 (128条 - 142条) ===
*[[刑事訴訟法第128条|第128条]]【検証】
*[[刑事訴訟法第129条|第129条]]【検証上必要な処分】
*[[刑事訴訟法第130条|第130条]]【夜間の検証】
*[[刑事訴訟法第131条|第131条]]【身体検査上の注意】
*[[刑事訴訟法第132条|第132条]]【身体検査のための召喚】
*[[刑事訴訟法第133条|第133条]]【不出頭者と過料・費用賠償】
*[[刑事訴訟法第134条|第134条]]【不出頭罪】
*[[刑事訴訟法第135条|第135条]]【不出頭者に対する再召喚・勾引1】
*[[刑事訴訟法第136条|第136条]]【不出頭者に対する再召喚・勾引2】
*[[刑事訴訟法第137条|第137条]]【身体検査の拒否と過料・費用賠償】
*[[刑事訴訟法第138条|第138条]]【身体検査拒否罪】
*[[刑事訴訟法第139条|第139条]]【身体検査の直接強制】
*[[刑事訴訟法第140条|第140条]]【身体検査の強制についての注意】
*[[刑事訴訟法第141条|第141条]]【検証の補助】
*[[刑事訴訟法第142条|第142条]]【当事者の立会い等】
==== 関連 ====
*[[w:検証|検証]]
*[[w:身体検査|身体検査]]
=== <span id="1-11">第十一章</span> 証人尋問 (143条 - 164条) ===
*[[刑事訴訟法第143条|第143条]]【証人の資格】
*[[刑事訴訟法第143条の2|第143条の2]]【証人の召喚】
*[[刑事訴訟法第144条|第144条]]【公務上秘密と証人資格】
*[[刑事訴訟法第145条|第145条]]【公務上秘密と証人資格2】
*[[刑事訴訟法第146条|第146条]]【証言拒絶権1】
*[[刑事訴訟法第147条|第147条]]【証言拒否権2】
*[[刑事訴訟法第148条|第148条]]【証言拒絶権の例外】
*[[刑事訴訟法第149条|第149条]]【証言拒否権3】
*[[刑事訴訟法第150条|第150条]]【出頭義務違反と過料・費用賠償】
*[[刑事訴訟法第151条|第151条]]【不出頭罪】
*[[刑事訴訟法第152条|第152条]]【不出頭証人に対する勾引】
*[[刑事訴訟法第153条|第153条]]【勾引に関する準用規定】
*[[刑事訴訟法第153条の2|第153条の2]]【証人の留置】
*[[刑事訴訟法第154条|第154条]]【宣誓】
*[[刑事訴訟法第155条|第155条]]【宣誓無能力】
*[[刑事訴訟法第156条|第156条]]【推測事項の供述】
*[[刑事訴訟法第157条|第157条]]【当事者の立会権・尋問権】
*[[刑事訴訟法第157条の2|第157条の2]]【証人尋問開始前の免責要求】
*[[刑事訴訟法第157条の3|第157条の3]]【証人尋問開始後の免責要求】
*[[刑事訴訟法第157条の4|第157条の4]]【証人への付き添い】
*[[刑事訴訟法第157条の5|第157条の5]]【証人の遮へい】
*[[刑事訴訟法第157条の6|第157条の6]]【ビデオリンク方式】
*[[刑事訴訟法第158条|第158条]]【裁判所外における証人の尋問】
*[[刑事訴訟法第159条|第159条]]【尋問に立ち会わなかった当事者の権利】
*[[刑事訴訟法第160条|第160条]]【宣誓・証言の拒絶と過料・費用賠償】
*[[刑事訴訟法第161条|第161条]]【宣誓証言拒否罪】
*[[刑事訴訟法第162条|第162条]]【同行命令・勾引】
*[[刑事訴訟法第163条|第163条]]【受命裁判官・受託裁判官】
*[[刑事訴訟法第164条|第164条]]【証人の旅費・日当・宿泊料】
==== 関連 ====
*[[w:証人|証人]]
*[[w:出頭|出頭]]
*[[w:証言拒絶権|証言拒絶権]]
*[[w:宣誓|宣誓]]
=== <span id="1-12">第十二章</span> 鑑定 (165条 - 174条) ===
*[[刑事訴訟法第165条|第165条]]【鑑定】
*[[刑事訴訟法第166条|第166条]]【宣誓】
*[[刑事訴訟法第167条|第167条]]【鑑定留置】
*[[刑事訴訟法第167条の2|第167条の2]]【鑑定留置と勾留の執行停止】
*[[刑事訴訟法第168条|第168条]]【鑑定上必要な処分】
*[[刑事訴訟法第169条|第169条]]【受命裁判官】
*[[刑事訴訟法第170条|第170条]]【当事者の立会い】
*[[刑事訴訟法第171条|第171条]]【証人尋問に関する規定の準用】
*[[刑事訴訟法第172条|第172条]]【裁判官に対する身体検査の請求】
*[[刑事訴訟法第173条|第173条]]【鑑定料等請求権】
*[[刑事訴訟法第174条|第174条]]【鑑定証人】
==== 関連 ====
*[[w:鑑定|鑑定]]
=== <span id="1-13">第十三章</span> 通訳及び翻訳 (175条 - 178条) ===
*[[刑事訴訟法第175条|第175条]]【通訳1】
*[[刑事訴訟法第176条|第176条]]【通訳2】
*[[刑事訴訟法第177条|第177条]]【翻訳】
*[[刑事訴訟法第178条|第178条]]【鑑定に関する規定の準用】
==== 関連 ====
*[[w:通訳|通訳]]
*[[w:翻訳|翻訳]]
=== <span id="1-14">第十四章</span> 証拠保全 (179条・180条) ===
*[[刑事訴訟法第179条|第179条]]【証拠保全の請求】
*[[刑事訴訟法第180条|第180条]]【書類・証拠物閲覧謄写権】
==== 関連 ====
*[[w:証拠保全|証拠保全]]
=== <span id="1-15">第十五章</span> 訴訟費用 (181条 - 188条) ===
*[[刑事訴訟法第181条|第181条]]【被告人の負担】
*[[刑事訴訟法第182条|第182条]]【共犯の連帯負担】
*[[刑事訴訟法第183条|第183条]]【告訴人等の負担】
*[[刑事訴訟法第184条|第184条]]【上訴等を取り下げた者の負担】
*[[刑事訴訟法第185条|第185条]]【被告人負担の裁判】
*[[刑事訴訟法第186条|第186条]]【第三者負担の裁判】
*[[刑事訴訟法第187条|第187条]]【裁判によらないで訴訟手続きが終了する場合】
*[[刑事訴訟法第187条の2|第187条の2]]
*[[刑事訴訟法第188条|第188条]]【負担額の算定】
==== 関連 ====
*[[w:訴訟費用|訴訟費用]]
=== <span id="1-16">第十六章</span> 費用の補償 (188条の2 - 188条の7) ===
*[[刑事訴訟法第188条の2|第188条の2]]【無罪判決と費用の補償】
*[[刑事訴訟法第188条の3|第188条の3]]【費用補償の手続き】
*[[刑事訴訟法第188条の4|第188条の4]]【検察官上訴と費用の補償】
*[[刑事訴訟法第188条の5|第188条の5]]【上訴費用補償の手続き】
*[[刑事訴訟法第188条の6|第188条の6]]【補償の範囲】
*[[刑事訴訟法第188条の7|第188条の7]]【勾留理由開示の請求】
==== 関連 ====
*[[w:刑事補償|刑事補償]]
== <span id="2">第二編</span> 第一審(第189条~第350条の14) ==
=== <span id="2-1">第一章</span> 捜査 (第189条~第246条) ===
*[[刑事訴訟法第189条|第189条]]【一般司法警察職員の捜査権】
*[[刑事訴訟法第190条|第190条]]【特別司法警察職員】
*[[刑事訴訟法第191条|第191条]]【検察官・検察事務官の捜査権】
*[[刑事訴訟法第192条|第192条]]【捜査に関する協力】
*[[刑事訴訟法第193条|第193条]]【検察官の司法警察職員に対する指示・指揮】
*[[刑事訴訟法第194条|第194条]]【司法警察職員に対する懲戒罷免の訴追】
*[[刑事訴訟法第195条|第195条]]【検察官・検察事務官の管轄区域外における職務執行】
*[[刑事訴訟法第196条|第196条]]【捜査の際の注意】
*[[刑事訴訟法第197条|第197条]]【任意捜査の原則】
*[[刑事訴訟法第198条|第198条]]【被疑者の出頭要求・取調べ】
*[[刑事訴訟法第199条|第199条]]【逮捕状による逮捕】
*[[刑事訴訟法第200条|第200条]]【逮捕状の方式】
*[[刑事訴訟法第201条|第201条]]【逮捕状の呈示】
*[[刑事訴訟法第202条|第202条]]【検察官・司法警察員への引致】
*[[刑事訴訟法第203条|第203条]]【司法警察員の逮捕手続、検察官送致の時間の制限】
*[[刑事訴訟法第204条|第204条]]【検察官の逮捕手続、勾留請求の時間の期限】
*[[刑事訴訟法第205条|第205条]]【司法警察員から送致を受けた検察官の手続き、勾留請求の時間の制限】
*[[刑事訴訟法第206条|第206条]]【制限時間遵守不能の場合の処置】
*[[刑事訴訟法第207条|第207条]]【被疑者の勾留】
*[[刑事訴訟法第208条|第208条]]【勾留期間、期間の延長】
*[[刑事訴訟法第208条の2|第208条の2]]【勾留期間の再延長】
*[[刑事訴訟法第209条|第209条]]【留置・弁護人選任申出】
*[[刑事訴訟法第210条|第210条]]【緊急逮捕】
*[[刑事訴訟法第211条|第211条]]【通常逮捕の規定の準用】
*[[刑事訴訟法第212条|第212条]]【現行犯人・準現行犯人】
*[[刑事訴訟法第213条|第213条]]【現行犯逮捕】
*[[刑事訴訟法第214条|第214条]]【私人による現行犯逮捕】
*[[刑事訴訟法第215条|第215条]]【現行犯人を受け取った司法巡査の手続き】
*[[刑事訴訟法第216条|第216条]]【通常逮捕の規定の準用】
*[[刑事訴訟法第217条|第217条]]【軽微事件と現行犯逮捕】
*[[刑事訴訟法第218条|第218条]]【令状による差押え・捜索・検証】
*[[刑事訴訟法第219条|第219条]]【差押さえ等の令状の方式】
*[[刑事訴訟法第220条|第220条]]【無令状差押え・捜索・検証】
*[[刑事訴訟法第221条|第221条]]【領置】
*[[刑事訴訟法第222条|第222条]]【押収等に関する準用規定等】
*[[刑事訴訟法第222条の2|第222条の2]]【電気通信の傍受を行う強制処分】
*[[刑事訴訟法第223条|第223条]]【第三者の任意出頭・取調べ・鑑定等の嘱託】
*[[刑事訴訟法第224条|第224条]]【鑑定措置の請求】
*[[刑事訴訟法第225条|第225条]]【鑑定受託者と必要な処分】
*[[刑事訴訟法第226条|第226条]]【公判前の証人尋問請求1】
*[[刑事訴訟法第227条|第227条]]【公判前の証人尋問請求2】
*[[刑事訴訟法第228条|第228条]]【公判前の証人尋問】
*[[刑事訴訟法第229条|第229条]]【検視】
*[[刑事訴訟法第230条|第230条]]【告訴権者1】
*[[刑事訴訟法第231条|第231条]]【告訴権者2】
*[[刑事訴訟法第232条|第232条]]【告訴権者3】
*[[刑事訴訟法第233条|第233条]]【告訴権者4】
*[[刑事訴訟法第234条|第234条]]【告訴権者の指定】
*[[刑事訴訟法第235条|第235条]]【親告罪の告訴期間】
*[[刑事訴訟法第236条|第236条]]【告訴期間の独立】
*[[刑事訴訟法第237条|第237条]]【告訴の取消し】
*[[刑事訴訟法第238条|第238条]]【告訴の不可分】
*[[刑事訴訟法第239条|第239条]]【告発】
*[[刑事訴訟法第240条|第240条]]【告訴の代理】
*[[刑事訴訟法第241条|第241条]]【告訴・告発の方式】
*[[刑事訴訟法第242条|第242条]]【告訴・告発を受けた司法警察員の手続き】
*[[刑事訴訟法第243条|第243条]]【告訴・告発と取消しへの準用】
*[[刑事訴訟法第244条|第244条]]【外国代表者等の告訴の特別方式】
*[[刑事訴訟法第245条|第245条]]【自首】
*[[刑事訴訟法第246条|第246条]]【検察官への事件送致】
==== 関連 ====
*[[w:検察官|検察官]]
*[[w:司法警察職員|司法警察職員]]
*[[w:司法巡査|司法巡査]]
*[[w:逮捕|逮捕]]
*[[w:勾留|勾留]]
*[[w:令状主義|令状主義]]
*[[w:現行犯|現行犯]]
*[[w:差押|差押]]
*[[w:捜索|捜索]]
*[[w:検証|検証]]
*[[w:鑑定|鑑定]]
*[[w:証人尋問|証人尋問]]
*[[w:検視|検視]]
*[[w:自首|自首]]
*[[w:告訴|告訴]]
*[[w:告発|告発]]
*[[w:送検|送検]]
=== <span id="2-2">第二章</span> 公訴 (第247条~第270条) ===
*[[刑事訴訟法第247条|第247条]]【国家訴追主義】
*[[刑事訴訟法第248条|第248条]]【起訴便宜主義】
*[[刑事訴訟法第249条|第249条]]【公訴の効力の人的範囲】
*[[刑事訴訟法第250条|第250条]]【公訴時効の期間】
*[[刑事訴訟法第251条|第251条]]【時効期間の基準となる刑1】
*[[刑事訴訟法第252条|第252条]]【時効期間の基準となる刑2】
*[[刑事訴訟法第253条|第253条]]【時効期間の起算点】
*[[刑事訴訟法第254条|第254条]]【時効の停止1】
*[[刑事訴訟法第255条|第255条]]【時効の停止2】
*[[刑事訴訟法第256条|第256条]]【起訴状、訴因、罰条】
*[[刑事訴訟法第257条|第257条]]【公訴の取消し】
*[[刑事訴訟法第258条|第258条]]【他管送致】
*[[刑事訴訟法第259条|第259条]]【被疑者に対する不起訴処分の告知】
*[[刑事訴訟法第260条|第260条]]【告訴人等に対する事件処理の通知】
*[[刑事訴訟法第261条|第261条]]【告訴人等に対する不起訴理由の告知】
*[[刑事訴訟法第262条|第262条]]【準起訴手続き、付審判の請求】
*[[刑事訴訟法第263条|第263条]]【付審判請求の取下げ】
*[[刑事訴訟法第264条|第264条]]【公訴提起の義務】
*[[刑事訴訟法第265条|第265条]]【準起訴手続きの審判】
*[[刑事訴訟法第266条|第266条]]【請求に対する決定】
*[[刑事訴訟法第267条|第267条]]【公訴提起の擬制】
*[[刑事訴訟法第267条の2|第267条の2]]【付審判決定の通知】
*[[刑事訴訟法第268条|第268条]]【公判の維持と指定弁護士】
*[[刑事訴訟法第269条|第269条]]【請求者に対する費用賠償の決定】
*[[刑事訴訟法第270条|第270条]]【書類・証拠物の閲覧謄写】
==== 関連 ====
*[[w:公訴|公訴]]
*[[w:起訴状|起訴状]]
*[[w:訴因|訴因]]
*[[w:告訴状|告訴状]]
*[[w:公訴時効|公訴時効]]
=== <span id="2-3">第三章</span> 公判 ===
==== <span id="2-3-1">第一節</span> 公判準備及び公判手続 (第271条~第316条) ====
*[[刑事訴訟法第271条|第271条]]【起訴状謄本の送達・不送達と起訴の失効】
*[[刑事訴訟法第272条|第272条]]【弁護人選任権等の告知】
*[[刑事訴訟法第273条|第273条]]【公判期日の指定・召集・通知】
*[[刑事訴訟法第274条|第274条]]【召喚状送達の擬制】
*[[刑事訴訟法第275条|第275条]]【猶予期間】
*[[刑事訴訟法第276条|第276条]]【公判期日の変更】
*[[刑事訴訟法第277条|第277条]]【不当な期日変更に対する救済】
*[[刑事訴訟法第278条|第278条]]【不出頭と診断書の提出】
*[[刑事訴訟法第278条の2|第278条の2]]【検察官・弁護人に対する出頭命令】
*[[刑事訴訟法第279条|第279条]]【公務所等に対する照会】
*[[刑事訴訟法第280条|第280条]]【勾留に関する処分】
*[[刑事訴訟法第281条|第281条]]【公判期日外の証人尋問】
*[[刑事訴訟法第281条の2|第281条の2]]【被告人の退席】
*[[刑事訴訟法第281条の3|第281条の3]]【開示された証拠の管理】
*[[刑事訴訟法第281条の4|第281条の4]]【開示された証拠の目的外使用の禁止】
*[[刑事訴訟法第281条の5|第281条の5]]【目的外使用の罪】
*[[刑事訴訟法第281条の6|第281条の6]]【連日的開廷の確保】
*[[刑事訴訟法第282条|第282条]]【公判廷】
*[[刑事訴訟法第283条|第283条]]【被告人が法人の場合】
*[[刑事訴訟法第284条|第284条]]【軽微事件と出頭】
*[[刑事訴訟法第285条|第285条]]【被告人が法人の場合】
*[[刑事訴訟法第286条|第286条]]【被告人出頭の原則】
*[[刑事訴訟法第286条の2|第286条の2]]【出頭拒否と公判手続き】
*[[刑事訴訟法第287条|第287条]]【公判廷における身体の不拘束】
*[[刑事訴訟法第288条|第288条]]【被告人の在廷義務・法廷警察権】
*[[刑事訴訟法第289条|第289条]]【必要的弁護】
*[[刑事訴訟法第290条|第290条]]【任意的国選弁護】
*[[刑事訴訟法第290条の2|第290条の2]]【公開の法廷での被害者特定事項の秘匿】
*[[刑事訴訟法第290条の3|第290条の3]]【公開の法廷での証人等特定事項の秘匿】
*[[刑事訴訟法第291条|第291条]]【冒頭手続き】
*[[刑事訴訟法第291条の2|第291条の2]]【簡易公判手続きの決定】
*[[刑事訴訟法第291条の3|第291条の3]]【決定の取消し】
*[[刑事訴訟法第292条|第292条]]【証拠調べ】
*[[刑事訴訟法第292条の2|第292条の2]]【被害者等の意見陳述】
*[[刑事訴訟法第293条|第293条]]【最終弁論】
*[[刑事訴訟法第294条|第294条]]【訴訟指揮権】
*[[刑事訴訟法第295条|第295条]]【尋問・陳述の制限】
*[[刑事訴訟法第296条|第296条]]【検察官の冒頭陳述】
*[[刑事訴訟法第297条|第297条]]【証拠調べの範囲・順序等の予定とその変更】
*[[刑事訴訟法第298条|第298条]]【証拠調べの請求、職権証拠調べ】
*[[刑事訴訟法第299条|第299条]]【証拠調べと当事者の権利】
*[[刑事訴訟法第299条の2|第299条の2]]【証拠調べと当事者の安全への配慮】
*[[刑事訴訟法第299条の3|第299条の3]]【証拠開示の際の被害者特定事項の秘匿要請】
*[[刑事訴訟法第299条の4|第299条の4]]【証人等の氏名・住所の開示に係る措置】
*[[刑事訴訟法第299条の5|第299条の5]]【裁判所による裁定】
*[[刑事訴訟法第299条の6|第299条の6]]【書類・証拠物、公判調書の閲覧等の制限】
*[[刑事訴訟法第299条の7|第299条の7]]【弁護人の違反行為に対する処置】
*[[刑事訴訟法第300条|第300条]]【証拠調請求の義務】
*[[刑事訴訟法第301条|第301条]]【自白の取調べ請求の時期】
*[[刑事訴訟法第301条の2|第301条の2]]【取り調べの録音・録画と記録媒体の証拠調べの請求】
*[[刑事訴訟法第302条|第302条]]【捜査記録の一部について証拠調べの請求】
*[[刑事訴訟法第303条|第303条]]【公判準備の結果と証拠調べの必要】
*[[刑事訴訟法第304条|第304条]]【人的証拠の取調べ方式】
*[[刑事訴訟法第304条の2|第304条の2]]【被告人の退廷】
*[[刑事訴訟法第305条|第305条]]【証拠書類の取調べ方式】
*[[刑事訴訟法第306条|第306条]]【証拠物の取調べ方式1】
*[[刑事訴訟法第307条|第307条]]【証拠物の取調べ方式2】
*[[刑事訴訟法第307条の2|第307条の2]]【簡易公判手続き】
*[[刑事訴訟法第308条|第308条]]【証明力を争う権利】
*[[刑事訴訟法第309条|第309条]]【証拠調等への異議申立て】
*[[刑事訴訟法第310条|第310条]]【証拠調べを終わった証拠の提出】
*[[刑事訴訟法第311条|第311条]]【被告人の黙秘権・供述拒否権・被告人質問】
*[[刑事訴訟法第312条|第312条]]【起訴状の変更】
*[[刑事訴訟法第313条|第313条]]【弁論の分離・併合・再開】
*[[刑事訴訟法第313条の2|第313条の2]]【併合事件における弁護人選任の効力】
*[[刑事訴訟法第314条|第314条]]【公判手続きの停止】
*[[刑事訴訟法第315条|第315条]]【公判手続きの更新1】
*[[刑事訴訟法第315条の2|第315条の2]]【公判手続きの更新2】
*[[刑事訴訟法第316条|第316条]]【1人の裁判官のした手続きの効力】
===== 関連 =====
*[[w:公判|公判]]
*[[w:冒頭手続|冒頭手続]]
*[[w:簡易公判手続|簡易公判手続]]
*[[w:公判前整理手続|公判前整理手続]]
*[[w:ミランダ原則|ミランダ原則]]
*[[w:訴訟指揮|訴訟指揮]]
*[[w:出頭命令|出頭命令]]
*[[w:弁論|弁論]]
*[[w:冒頭陳述|冒頭陳述]]
*[[w:自白|自白]]
*[[w:黙秘権|黙秘権]]
*[[w:必要的弁護事件|必要的弁護事件]]
*[[w:証拠開示|証拠開示]]
==== <span id="2-3-2">第二節</span> 争点及び証拠の整理手続 ====
===== <span id="2-3-2-1">第一款</span> 公判前整理手続 =====
====== <span id="2-3-2-1-1">第一目</span> 通則(第316条の2~第316条の12) ======
*[[刑事訴訟法第316条の2|第316条の2]]【公判前整理手続の決定と方法】
*[[刑事訴訟法第316条の3|第316条の3]]【公判前整理手続の目的】
*[[刑事訴訟法第316条の4|第316条の4]]【必要的弁護】
*[[刑事訴訟法第316条の5|第316条の5]]【公判前整理手続の内容】
*[[刑事訴訟法第316条の6|第316条の6]]【公判前整理手続期日の決定と変更】
*[[刑事訴訟法第316条の7|第316条の7]]【公判前整理手続の出席者】
*[[刑事訴訟法第316条の8|第316条の8]]【弁護人の選任】
*[[刑事訴訟法第316条の9|第316条の9]]【被告人の出席】
*[[刑事訴訟法第316条の10|第316条の10]]【被告人の意思確認】
*[[刑事訴訟法第316条の11|第316条の11]]【受命裁判官】
*[[刑事訴訟法第316条の12|第316条の12]]【調書の作成】
====== <span id="2-3-2-1-2">第二目</span> 争点及び証拠の整理(第316条の13~第316条の24】 ======
*[[刑事訴訟法第316条の13|第316条の13]]【検察官による証明予定事実の提示と証拠調べ請求】
*[[刑事訴訟法第316条の14|第316条の14]]【検察官請求証拠の開示、証拠の一覧表の交付】
*[[刑事訴訟法第316条の15|第316条の15]]【検察官請求証拠以外の証拠の開示】
*[[刑事訴訟法第316条の16|第316条の16]]【検察官請求証拠に対する被告人・弁護人の意見表明】
*[[刑事訴訟法第316条の17|第316条の17]]【被告人・弁護人による主張の明示と証拠調べ請求】
*[[刑事訴訟法第316条の18|第316条の18]]【被告人・弁護人請求証拠の開示】
*[[刑事訴訟法第316条の19|第316条の19]]【被告人・弁護人請求証拠に対する検察官の意見表明】
*[[刑事訴訟法第316条の20|第316条の20]]【争点に関連する証拠開示】
*[[刑事訴訟法第316条の21|第316条の21]]【検察官による証明予定事実の追加・変更】
*[[刑事訴訟法第316条の22|第316条の22]]【被告人・弁護人による主張の追加・変更】
*[[刑事訴訟法第316条の23|第316条の23]]【証人等の保護のための配慮】
*[[刑事訴訟法第316条の24|第316条の24]]【争点及び証拠の整理結果の確認】
====== <span id="2-3-2-1-3">第三目</span> 証拠開示に関する裁定(第316条の25~第316条の27】======
*[[刑事訴訟法第316条の25|第316条の25]]【開示方法等の指定】
*[[刑事訴訟法第316条の26|第316条の26]]【開示命令】
*[[刑事訴訟法第316条の27|第316条の27]]【証拠及び証拠の標目の開示命令】
===== <span id="2-3-2-2">第二款</span> 期日間整理手続(第316条の28) =====
*[[刑事訴訟法第316条の28|第316条の28]]【期日間整理手続の決定と進行】
===== <span id="2-3-2-3">第三款</span> 公判手続の特例(第316条の29~第316条の32) =====
*[[刑事訴訟法第316条の29|第316条の29]]【必要的弁護】
*[[刑事訴訟法第316条の30|第316条の30]]【被告人・弁護人による冒頭陳述】
*[[刑事訴訟法第316条の31|第316条の31]]【整理手続き結果の顕出】
*[[刑事訴訟法第316条の32|第316条の32]]【整理手続き終了後の証拠調べ請求の制限】
====== 関連 ======
*[[w:公判前整理手続|公判前整理手続]]
==== <span id="2-3-a">第三節</span> 被害者参加(第316条の33~第316条の39】 ====
*[[刑事訴訟法第316条の33|第316条の33]]【被告事件の手続きへの被害者参加】
*[[刑事訴訟法第316条の34|第316条の34]]【被害者参加人等の公判期日への出席】
*[[刑事訴訟法第316条の35|第316条の35]]【被害者参加人等の意見に対する検察官の説明義務】
*[[刑事訴訟法第316条の36|第316条の36]]【被害者参加人等による証人尋問】
*[[刑事訴訟法第316条の37|第316条の37]]【被害者参加人等による被告人への質問】
*[[刑事訴訟法第316条の38|第316条の38]]【被害者参加人等による弁論としての意見陳述】
*[[刑事訴訟法第316条の39|第316条の39]]【被害者参加人等への付き添い、遮蔽の措置】
==== <span id="2-3-4">第四節</span> 証拠 (第317条~第328条) ====
*[[刑事訴訟法第317条|第317条]]【証拠裁判主義】
*[[刑事訴訟法第318条|第318条]]【自由心証主義】
*[[刑事訴訟法第319条|第319条]]【自白法則・補強法則】
*[[刑事訴訟法第320条|第320条]]【伝聞法則】
*[[刑事訴訟法第321条|第321条]]【被告人以外の者の供述書面の証拠能力】
*[[刑事訴訟法第321条の2|第321条の2]]【記録媒体の証拠能力】
*[[刑事訴訟法第322条|第322条]]【被告人の供述書面の証拠能力】
*[[刑事訴訟法第323条|第323条]]【その他の書類の証拠能力】
*[[刑事訴訟法第324条|第324条]]【伝聞供述の証拠能力】
*[[刑事訴訟法第325条|第325条]]【供述の任意性の調査】
*[[刑事訴訟法第326条|第326条]]【当事者の同意と書面・供述の証拠能力】
*[[刑事訴訟法第327条|第327条]]【合意書面の証拠能力】
*[[刑事訴訟法第328条|第328条]]【証明力を争うための証拠】
===== 関連 =====
*[[w:証拠|証拠]]
*[[w:自由心証主義|自由心証主義]]
*[[w:利益原則|利益原則]]
*[[w:書証|書証]]
*[[w:証人|人証]]
*[[w:違法収集証拠|違法収集証拠]]
*[[w:自白法則|自白法則]]
*[[w:伝聞証拠|伝聞証拠]]
*[[w:証人尋問|証人尋問]]
*[[w:ビデオリンク方式|ビデオリンク方式]]
==== <span id="2-3-5">第五節</span> 公判の裁判 (第329条~第350条) ====
*[[刑事訴訟法第329条|第329条]]【管轄違いの判決】
*[[刑事訴訟法第330条|第330条]]【管轄違いによる移送】
*[[刑事訴訟法第331条|第331条]]【管轄違い言渡しの制限】
*[[刑事訴訟法第332条|第332条]]【地方裁判書への移送】
*[[刑事訴訟法第333条|第333条]]【刑の言渡し、執行猶予の言渡し】
*[[刑事訴訟法第334条|第334条]]【刑の免除の判決】
*[[刑事訴訟法第335条|第335条]]【有罪の判決】
*[[刑事訴訟法第336条|第336条]]【無罪の判決】
*[[刑事訴訟法第337条|第337条]]【免訴の判決】
*[[刑事訴訟法第338条|第338条]]【公訴棄却の判決】
*[[刑事訴訟法第339条|第339条]]【公訴棄却の決定】
*[[刑事訴訟法第340条|第340条]]【公訴取消し後の再起訴】
*[[刑事訴訟法第341条|第341条]]【被告人の陳述を聴かない判決】
*[[刑事訴訟法第342条|第342条]]【判決の宣告】
*[[刑事訴訟法第343条|第343条]]【拘禁刑以上の刑の宣告と保釈等の失効】
*[[刑事訴訟法第344条|第344条]]【拘禁刑以上の刑の宣告後の勾留・保釈】
*[[刑事訴訟法第345条|第345条]]【勾留状の失効】
*[[刑事訴訟法第346条|第346条]]【没収の言渡しの無い押収物】
*[[刑事訴訟法第347条|第347条]]【押収物還付の言渡し】
*[[刑事訴訟法第348条|第348条]]【仮納付の裁判】
*[[刑事訴訟法第349条|第349条]]【刑の執行猶予取消しの請求】
*[[刑事訴訟法第349条の2|第349条の2]]【執行猶予取消し請求に対する決定】
*[[刑事訴訟法第350条|第350条]]【併合罪中大赦を受けない罪について刑を定める手続き】
===== 関連 =====
*[[w:免訴|免訴]]
=== <span id="2-4">第四章</span> 証拠収集等への協力及び訴追に関する合意 ===
==== <span id="2-4-1">第一節</span> 合意及び協議の手続(第350条の2~第350条の6) ====
*[[刑事訴訟法第350条の2|第350条の2]]【合意の内容・対象犯罪】
*[[刑事訴訟法第350条の3|第350条の3]]【弁護人の同意・合意内容の書面の作成】
*[[刑事訴訟法第350条の4|第350条の4]]【協議の主体】
*[[刑事訴訟法第350条の5|第350条の5]]【協議における供述の聴取】
*[[刑事訴訟法第350条の6|第350条の6]]【司法警察官との関係】
==== <span id="2-4-2">第二節</span> 公判手続の特例(第350条の7~第350条の9) ====
*[[刑事訴訟法第350条の7|第350条の7]]【被告人の事件における合意内容書面等の証拠調べの請求】
*[[刑事訴訟法第350条の8|第350条の8]]【他人の事件における合意内容書面等の証拠調べの請求1】
*[[刑事訴訟法第350条の9|第350条の9]]【他人の事件における合意内容書面等の証拠調べの請求2】
==== <span id="2-4-3">第三節</span> 合意の終了(第350条の10~第350条の12) ====
*[[刑事訴訟法第350条の10|第350条の10]]【合意からの離脱】
*[[刑事訴訟法第350条の11|第350条の11]]【合意の失効】
*[[刑事訴訟法第350条の12|第350条の12]]【合意失効時の証拠能力の制限】
==== <span id="2-4-4">第四節</span> 合意の履行の確保(第350条の13~第350条の15) ====
*[[刑事訴訟法第350条の13|第350条の13]]【合意違反時の控訴棄却等】
*[[刑事訴訟法第350条の14|第350条の14]]【合意違反時の証拠能力の制限】
*[[刑事訴訟法第350条の15|第350条の15]]【虚偽供述等の処罰】
=== <span id="2-5">第五章</span> 即決裁判手続 ===
==== <span id="2-5-1">第一節</span> 即決裁判手続の申立て(第350条の16・第350条の17) ====
*[[刑事訴訟法第350条の16|第350条の16]]【申立の要件と手続き】
*[[刑事訴訟法第350条の17|第350条の17]]【同意確認のための公的弁護人の選任】
==== <span id="2-5-2">第二節</span> 公判準備及び公判手続の特例(第350条の18~第350条の25) ====
*[[刑事訴訟法第350条の18|第350条の18]]【職権による公的弁護人の選任】
*[[刑事訴訟法第350条の19|第350条の19]]【検察官請求証拠の開示】
*[[刑事訴訟法第350条の20|第350条の20]]【弁護人に対する同意の確認】
*[[刑事訴訟法第350条の21|第350条の21]]【公判期日の指定】
*[[刑事訴訟法第350条の22|第350条の22]]【即決裁判手続きによる審判の決定】
*[[刑事訴訟法第350条の23|第350条の23]]【必要的弁護】
*[[刑事訴訟法第350条の24|第350条の24]]【公判審理の方法】
*[[刑事訴訟法第350条の25|第350条の25]]【即決裁判手続きによる審判の決定の取消し】
*[[刑事訴訟法第350条の26|第350条の26]]【公訴取消しによる公訴棄却と再起訴】
==== <span id="2-5-3">第三節</span> 証拠の特例(第350条の26) ====
*[[刑事訴訟法第350条の27|第350条の27]]【伝聞証拠排斥の適用除外】
==== <span id="2-5-4">第四節</span> 公判の裁判の特例(第350条の27・第350条の28) ====
*[[刑事訴訟法第350条の28|第350条の28]]【即決判決の要請】
*[[刑事訴訟法第350条の29|第350条の29]]【拘禁刑の言い渡し】
==== 関連 ====
*[[w:即決裁判手続|即決裁判手続]]
== <span id="3">第三編</span> 上訴(第351条~第434条) ==
=== <span id="3-1">第一章</span> 通則 (第351条~第371条) ===
*[[刑事訴訟法第351条|第351条]]【上訴権者】
*[[刑事訴訟法第352条|第352条]]【検察官・被告人以外の者の抗告権】
*[[刑事訴訟法第353条|第353条]]【被告人のための上訴】
*[[刑事訴訟法第354条|第354条]]【被告人のための上訴2】
*[[刑事訴訟法第355条|第355条]]【被告人のための上訴3】
*[[刑事訴訟法第356条|第356条]]【被告人のための上訴4】
*[[刑事訴訟法第357条|第357条]]【一部上訴】
*[[刑事訴訟法第358条|第358条]]【上訴提起期間】
*[[刑事訴訟法第359条|第359条]]【上訴の放棄・取下げ】
*[[刑事訴訟法第360条|第360条]]【上訴の放棄・取下げ2】
*[[刑事訴訟法第360条の2|第360条の2]]【上訴の放棄の制限】
*[[刑事訴訟法第360条の3|第360条の3]]【上訴放棄の方式】
*[[刑事訴訟法第361条|第361条]]【上訴の放棄・取下げと再上訴】
*[[刑事訴訟法第362条|第362条]]【在監者に関する特則2】
*[[刑事訴訟法第363条|第363条]]【上訴権の回復2】
*[[刑事訴訟法第364条|第364条]]【上訴権の回復3】
*[[刑事訴訟法第365条|第365条]]【上訴権の回復4】
*[[刑事訴訟法第366条|第366条]]【在監者に関する特則1】
*[[刑事訴訟法第367条|第367条]]【在監者に関する特則2】
*[[刑事訴訟法第368条|第368条]]'''削除'''
*[[刑事訴訟法第369条|第369条]]'''削除'''
*[[刑事訴訟法第370条|第370条]]'''削除'''
*[[刑事訴訟法第371条|第371条]]'''削除'''
=== <span id="3-2">第二章</span> 控訴 (第372条~第404条) ===
*[[刑事訴訟法第372条|第372条]]【控訴のできる判決】
*[[刑事訴訟法第373条|第373条]]【控訴提起期間】
*[[刑事訴訟法第374条|第374条]]【控訴提起の方式】
*[[刑事訴訟法第375条|第375条]]【第一審裁判所による控訴棄却の決定】
*[[刑事訴訟法第376条|第376条]]【控訴趣意書】
*[[刑事訴訟法第377条|第377条]]【絶対的控訴理由1】
*[[刑事訴訟法第378条|第378条]]【絶対的控訴理由2】
*[[刑事訴訟法第379条|第379条]]【訴訟手続きの法令違反】
*[[刑事訴訟法第380条|第380条]]【法令適用の誤り】
*[[刑事訴訟法第381条|第381条]]【量刑不当】
*[[刑事訴訟法第382条|第382条]]【事実誤認】
*[[刑事訴訟法第382条の2|第382条の2]]【量刑不当・事実誤認に関する特則】
*[[刑事訴訟法第383条|第383条]]【再審事由等】
*[[刑事訴訟法第384条|第384条]]【控訴申立理由の制限】
*[[刑事訴訟法第385条|第385条]]【控訴棄却の決定1】
*[[刑事訴訟法第386条|第386条]]【控訴棄却の決定2】
*[[刑事訴訟法第387条|第387条]]【弁護人の資格】
*[[刑事訴訟法第388条|第388条]]【弁論能力】
*[[刑事訴訟法第389条|第389条]]【弁論と控訴趣意書】
*[[刑事訴訟法第390条|第390条]]【被告人の出頭】
*[[刑事訴訟法第391条|第391条]]【弁護人不出頭等と判決】
*[[刑事訴訟法第392条|第392条]]【調査の範囲】
*[[刑事訴訟法第393条|第393条]]【事実の取調べ】
*[[刑事訴訟法第394条|第394条]]【第一審の証拠の証拠能力】
*[[刑事訴訟法第395条|第395条]]【控訴棄却1】
*[[刑事訴訟法第396条|第396条]]【控訴棄却2】
*[[刑事訴訟法第397条|第397条]]【原判決破棄】
*[[刑事訴訟法第398条|第398条]]【破棄差戻し】
*[[刑事訴訟法第399条|第399条]]【破棄移送・自判】
*[[刑事訴訟法第400条|第400条]]【破棄差戻移送・自判】
*[[刑事訴訟法第401条|第401条]]【共通破棄】
*[[刑事訴訟法第402条|第402条]]【不利益変更の禁止】
*[[刑事訴訟法第403条|第403条]]【公訴棄却の決定】
*[[刑事訴訟法第403条の2|第403条の2]]【控訴の制限】
*[[刑事訴訟法第404条|第404条]]【公判に関する規定の準用】
=== <span id="3-3">第三章</span> 上告 (第405条~第418条) ===
*[[刑事訴訟法第405条|第405条]]【上告のできる判決、上告申立理由】
*[[刑事訴訟法第406条|第406条]]【上告審として受理できる事件】
*[[刑事訴訟法第407条|第407条]]【上告趣意書】
*[[刑事訴訟法第408条|第408条]]【弁論を経ない上告棄却の判決】
*[[刑事訴訟法第409条|第409条]]【被告人の召喚不要】
*[[刑事訴訟法第410条|第410条]]【原判決破棄の判決1】
*[[刑事訴訟法第411条|第411条]]【原判決破棄の判決2】
*[[刑事訴訟法第412条|第412条]]【破棄移送】
*[[刑事訴訟法第413条|第413条]]【破棄差戻し・移送・自判】
*[[刑事訴訟法第413条の2|第413条の2]]【上告審における破棄事由の制限】
*[[刑事訴訟法第414条|第414条]]【控訴に関する規定の準用】
*[[刑事訴訟法第415条|第415条]]【訂正の判決】
*[[刑事訴訟法第416条|第416条]]【訂正の判決と弁論】
*[[刑事訴訟法第417条|第417条]]【訂正申立の棄却】
*[[刑事訴訟法第418条|第418条]]【上告審判決の確定の時期】
=== <span id="3-4">第四章</span> 抗告 (第419条~第434条) ===
*[[刑事訴訟法第419条|第419条]]【抗告のできる決定】
*[[刑事訴訟法第420条|第420条]]【判決前の決定に対する抗告】
*[[刑事訴訟法第421条|第421条]]【通常抗告の時期】
*[[刑事訴訟法第422条|第422条]]【即時抗告の提起期間】
*[[刑事訴訟法第423条|第423条]]【抗告の手続き】
*[[刑事訴訟法第424条|第424条]]【通常抗告と執行停止】
*[[刑事訴訟法第425条|第425条]]【即時抗告と執行停止】
*[[刑事訴訟法第426条|第426条]]【抗告に対する決定】
*[[刑事訴訟法第427条|第427条]]【再抗告の禁止】
*[[刑事訴訟法第428条|第428条]]【高裁の決定に対する抗告の禁止、抗告に代わる異議申し立て】
*[[刑事訴訟法第429条|第429条]]【準抗告1】
*[[刑事訴訟法第430条|第430条]]【準抗告2】
*[[刑事訴訟法第431条|第431条]]【準抗告の手続き】
*[[刑事訴訟法第432条|第432条]]【抗告に関する規定の準用】
*[[刑事訴訟法第433条|第433条]]【特別抗告】
*[[刑事訴訟法第434条|第434条]]【抗告に関する規定の準用】
== <span id="4">第四編</span> 再審(第435条 - 第453条) ==
*[[刑事訴訟法第435条|第435条]]【再審請求の理由】
*[[刑事訴訟法第436条|第436条]]【再審請求の理由2】
*[[刑事訴訟法第437条|第437条]]【確定判決に代わる証明】
*[[刑事訴訟法第438条|第438条]]【再審請求の管轄】
*[[刑事訴訟法第439条|第439条]]【再審請求権者】
*[[刑事訴訟法第440条|第440条]]【弁護人の選任】
*[[刑事訴訟法第441条|第441条]]【再審請求の時期】
*[[刑事訴訟法第442条|第442条]]【再審請求と執行停止】
*[[刑事訴訟法第443条|第443条]]【再審請求の取下げ】
*[[刑事訴訟法第444条|第444条]]【在監者に関する特則】
*[[刑事訴訟法第445条|第445条]]【事実の取調べ】
*[[刑事訴訟法第446条|第446条]]【請求棄却の決定1】
*[[刑事訴訟法第447条|第447条]]【請求棄却の決定2】
*[[刑事訴訟法第448条|第448条]]【再審開始の決定】
*[[刑事訴訟法第449条|第449条]]【再審請求の競合】
*[[刑事訴訟法第450条|第450条]]【即時抗告】
*[[刑事訴訟法第451条|第451条]]【再審の審判】
*[[刑事訴訟法第452条|第452条]]【不利益変更の禁止】
*[[刑事訴訟法第453条|第453条]]【無罪判決の公示】
== <span id="5">第五編</span> 非常上告(第454条 - 第460条) ==
*[[刑事訴訟法第454条|第454条]]【非常上告理由】
*[[刑事訴訟法第455条|第455条]]【申立の方式】
*[[刑事訴訟法第456条|第456条]]【公判期日における陳述】
*[[刑事訴訟法第457条|第457条]]【棄却の判決】
*[[刑事訴訟法第458条|第458条]]【破棄の判決】
*[[刑事訴訟法第459条|第459条]]【判決の効力】
*[[刑事訴訟法第460条|第460条]]【調査の範囲・事実の取調べ】
== <span id="6">第六編</span> 略式手続(第461条 - 第470条) ==
*[[刑事訴訟法第461条|第461条]]【略式命令】
*[[刑事訴訟法第461条の2|第461条の2]]【略式手続きの説明と異議】
*[[刑事訴訟法第462条|第462条]]【略式命令請求の方式】
*[[刑事訴訟法第462条の2|第462条の2]]【合意した被告人の事件における合意内容書面等の差出し】
*[[刑事訴訟法第463条|第463条]]【通常の審判】
*[[刑事訴訟法第463条の2|第463条の2]]【公訴提起の失効】
*[[刑事訴訟法第464条|第464条]]【略式命令の方式】
*[[刑事訴訟法第465条|第465条]]【正式裁判の請求】
*[[刑事訴訟法第466条|第466条]]【正式裁判請求の取下げ】
*[[刑事訴訟法第467条|第467条]]【上訴に関する規定の準用】
*[[刑事訴訟法第468条|第468条]]【正式裁判請求に対する判断】
*[[刑事訴訟法第469条|第469条]]【略式命令の失効】
*[[刑事訴訟法第470条|第470条]]【略式命令の効力】
== <span id="7">第七編</span> 裁判の執行(第471条 - 第507条) ==
*[[刑事訴訟法第471条|第471条]]【裁判の執行力】
*[[刑事訴訟法第472条|第472条]]【執行の指揮】
*[[刑事訴訟法第473条|第473条]]【執行指揮の方式】
*[[刑事訴訟法第474条|第474条]]【刑の執行の順序】
*[[刑事訴訟法第475条|第475条]]【死刑の執行1】
*[[刑事訴訟法第476条|第476条]]【死刑の執行2】
*[[刑事訴訟法第477条|第477条]]【死刑執行と立会い】
*[[刑事訴訟法第478条|第478条]]【執行始末書】
*[[刑事訴訟法第479条|第479条]]【死刑執行の停止】
*[[刑事訴訟法第480条|第480条]]【自由刑の必要的執行停止】
*[[刑事訴訟法第481条|第481条]]【自由刑の執行停止後の措置】
*[[刑事訴訟法第482条|第482条]]【自由刑の裁量的執行停止】
*[[刑事訴訟法第483条|第483条]]【訴訟費用負担の裁判の執行停止】
*[[刑事訴訟法第484条|第484条]]【執行のための呼び出し】
*[[刑事訴訟法第485条|第485条]]【収容状の発付】
*[[刑事訴訟法第486条|第486条]]【検事長に対する収監請求】
*[[刑事訴訟法第487条|第487条]]【収容状の方式】
*[[刑事訴訟法第488条|第488条]]【収容状の効力】
*[[刑事訴訟法第489条|第489条]]【収容状の執行】
*[[刑事訴訟法第490条|第490条]]【財産刑等の執行】
*[[刑事訴訟法第491条|第491条]]【相続財産に対する執行】
*[[刑事訴訟法第492条|第492条]]【合併後の法人に対する執行】
*[[刑事訴訟法第493条|第493条]]【仮納付の執行の調整】
*[[刑事訴訟法第494条|第494条]]【仮納付の執行と本刑の執行】
*[[刑事訴訟法第495条|第495条]]【未決勾留日数の法定通算】
*[[刑事訴訟法第496条|第496条]]【没収物の処分】
*[[刑事訴訟法第497条|第497条]]【没収物の交付】
*[[刑事訴訟法第498条|第498条]]【偽造・変造部分の表示】
*[[刑事訴訟法第498条の2|第498条の2]]【不正に作られた電磁的記録等の処分】
*[[刑事訴訟法第499条|第499条]]【還付不能公告】
*[[刑事訴訟法第499条の2|第499条の2]]【電磁的記録に係る記録媒体の交付又は複写ができない場合の取扱い】
*[[刑事訴訟法第500条|第500条]]【訴訟費用執行免除の申立】
*[[刑事訴訟法第500条の2|第500条の2]]【訴訟費用の予納】
*[[刑事訴訟法第500条の3|第500条の3]]【訴訟費用の裁判の執行】
*[[刑事訴訟法第500条の4|第500条の4]]【予納金の返還】
*[[刑事訴訟法第501条|第501条]]【裁判の解釈を求める申立】
*[[刑事訴訟法第502条|第502条]]【執行に関する異議の申立】
*[[刑事訴訟法第503条|第503条]]【免除等の申立の取下げ】
*[[刑事訴訟法第504条|第504条]]【即時抗告】
*[[刑事訴訟法第505条|第505条]]【労役場留置の執行】
*[[刑事訴訟法第506条|第506条]]【執行費用の負担】
*[[刑事訴訟法第507条|第507条]]【公務所等への照会】
== 刑事訴訟法規則 ==
*[[w:刑事訴訟法規則|刑事訴訟法規則]]
== 関連項目 ==
*[[w:刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
==外部リンク==
*[http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%8c%59%8e%96%91%69%8f%d7%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S23HO131&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1 刑事訴訟法](法令データ提供システム】
[[Category:刑事訴訟法|*こんめんたある]]
[[Category:コンメンタール|けいしそしようほう]]
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トーク:高等学校政治経済
1
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246401
2024-04-12T20:29:59Z
しゃちのアカウント
46198
/* 学習指導要領に対応した目次に変更することの是非 */ 返信
wikitext
text/x-wiki
==Q&A:「分かりやすいシビリアン・コントロール」について==
みなさん、初めまして、トマス・ペインと申します。さて、今回、ウィキブックス「高等学校政治経済」本文中の「主権者としての参政の在り方」の節に、シビリアン・コントロール(文民統制)は、主権者たる国民の参政の一態様であるという記述を加え、さらに、そこから巻末資料Q&A:「分かりやすいシビリアン・コントロール」へのリンクを加えてみました。
そして、Q&A:「分かりやすいシビリアン・コントロール」においては、問答形式を採用し、シビリアン・コントロールの分かりやすい解説を試みました。というのも、問答形式は、予備知識がない方の知識の習得に、とても効果的と思われるからです。とくに、シビリアン・コントロールは、政治分野の用語の中でも、誤解が多く、理解が難しいことから、問答形式を使うことにしてみました。
ウィキブックスにおいては、他の様々な教科書でも、問題とその解答の提示という記述方式が採用されているようです。たとえば、「[[中学校数学 3年生-図形/図形の性質]]」、あるいは「[[中学校数学 3年生-数量/平方根]]」を参照ください。
また、問答形式の記事については、英語版Wikipediaの編集方針を定めた“[[wikipedia:Wikipedia:What Wikipedia is not|Wikipedia:What Wikipedia is not]]”の中に具体的な記述があります。ご参考までに、該当部分を引用させてください。
Wikipedia is not a manual, guidebook, or textbook
Wikipedia is an encyclopedic reference, not an instruction manual, guidebook or textbook. Wikipedia articles should not read like:
Textbooks and annotated texts. Wikipedia is an encyclopedic reference, not a textbook. The purpose of Wikipedia is to present facts, not to teach subject matter. It is not appropriate to create or edit articles which read as textbooks, with leading questions and step-by-step problem solutions as examples. These belong on our sister projects Wikibooks and Wikisource. Other kinds of examples, specifically those intended to inform rather than to instruct, may be appropriate for inclusion in a Wikipedia article.
これを読むと、ウィキペディアにおいては、leading questionsや、step-by-step problem solutionsを使うことは出来ないが、ウィキブックスにおいてなら、これを使っても良いとされています。
また、文体については、問答形式の場合、常体(~とは何か?~である)を使うと、どうしても語勢が強くなって読みにくくなってしまうので、Q&Aの部分に限り、丁寧語を使うことにしました。読者の方が、読みやすくなるように、学習しやすくなるようにとの考慮からです。敬体(丁寧語)は、他の教科書でも、使われているものがあるようです。たとえば、「[[中学校数学 3年生-図形/図形の性質]]」、あるいは「[[中学校数学 3年生-数量/平方根]]」を参照ください。
ちなみに、今回の、「主権者としての参政の在り方」の節への記述、およびQ&A:「分かりやすいシビリアン・コントロール」の編集については、以下の資料を参考にしました。
Richard Kohn, “How Democracies Control the Military”, the Journal of Democracy, Vol.8, No.4, October 1997, p.141
Samuel. P. Huntington, 1957. The Soldier and the State: The Theory and Politics of Civil-Military Relations. Cambridge, MA, and London: Belknap Press of Harvard University Press.
以上が、Q&A:「分かりやすいシビリアン・コントロール」編集の経緯です。もし、ご意見・ご提案等ありましたら、ご教示ください。読者の皆さんにとって、より読みやすい、より使いやすいものに改善していきたいと思っています。--[[利用者:トマス・ペイン|トマス・ペイン]] 2008年5月21日 (水) 05:55 (UTC)
== このページの周辺、少しだけ再編集しようと思っています ==
本来は 2022年からの新課程への対応を考えなければいけないのでしょうが、今のままでも、単独の教科書として、いくつか問題があるように思われるので、今後少しずつ時間をかけて、ここ周辺の記述を書き直していこうと思っています。いくつか問題と書きましたが、私はこのページ以下の記述を全部読む気はないので、おそらく全体を考えると、いくつかどころか本質的、根源的な大問題があって、修復不可能な状態になっている気もしますが、今回もそれはあまり気にせず、目につくところだけの編集にしていくつもりです。
そこで方針としては、[[高等学校政治経済/権利と義務の関係]]と[[高等学校政治経済/政治/右翼と左翼、保守と革新]]の 2つのページを書き直すつもりです。早速今から開始して少しずつ、割と時間をかけて書いていきますが、それぞれのトーク頁で、頁タイトルの変更も提示・提案します。タイトル変更については提起されているそれぞれのトークページをご覧ください。
そして 2つのページの再編集がすんで、タイトルの議題も結論が出てそれなりの結果になった後で、このページのリンクの構成を若干、少しだけ変更して、ここ周辺の再編集を一応終わらせようと思っています。
そのあとでももう少し高校政治経済の内容を書き換えたい予定があるのですが、それは仕切り直して、あとで改めて開始します。--[[利用者:Honooo|Honooo]] ([[利用者・トーク:Honooo|トーク]]) 2021年4月13日 (火) 11:14 (UTC)
== 学習指導要領に対応した目次に変更することの是非 ==
新学習指導要領では、政治・経済については、A「(1)現代日本の政治・経済」、「(2)現代日本における政治・経済の諸課題の探究」B「(1)現代の国際政治・経済」、「(2)グローバル化する国際社会の諸課題の探究」に分かれています。それぞれの(2)については、省略して構わないと考えていますが、(1)については、従来の「政治分野」「経済分野」ではなく、「日本政治・経済」「国際政治・経済」という分け方となっています。教科書会社もこれにそくした目次となっており、一応wikibooksも目次を変更する必要があると思われます。審議していただき、合意が得られ次第、目次を変更したいと思います。よろしくお願いいたします。--[[利用者:しゃちのアカウント|しゃちのアカウント]] ([[利用者・トーク:しゃちのアカウント|トーク]]) 2024年4月8日 (月) 20:35 (UTC)
:目次を変更しました。何かあれば編集してください。よろしくお願いいたします。--[[利用者:しゃちのアカウント|しゃちのアカウント]] ([[利用者・トーク:しゃちのアカウント|トーク]]) 2024年4月12日 (金) 20:29 (UTC)
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北海学園大対策
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2024-04-13T02:21:56Z
Beleta silber pision
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/* センター利用 */追加
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text/x-wiki
{{Pathnav|日本の大学受験ガイド|frame=1}}{{Wikipedia|北海学園大学}}
本項は、[[w:北海学園大学|北海学園大学]]の入学試験対策に関する事項である。
試験科目数は1部(昼間)は3教科3科目、2部(夜間部)は2科目である。
== 英語 ==
長文読解、語彙問題、文法問題、会話文問題、脱文挿入問題、広告文問題(1部及び工学部のみ)、リスニング問題(1部英米文化学科のみ)と多様な形式の問題が出題される。会話表現等の知識から長文読解力まで幅広い基礎を問いてくる。基礎と言える範囲の安易な取りこぼしが合否の分かれ目になる。経済系学部、英文学科は配点が150点なので注意。リスニング対策が必要。赤本青本対策過去10年分やることは学園問題把握に有益。普段からの会話文含めた実用英語と論理文主体のreadingの習得対策が学園の英語対策に役立つから先ずはToeicから始めることは有益。これからは読み、書き、聞く、話すの4つの入試対策に変更されて行き、センター試験が廃止されていくことから考えておくべきこと。一般試験は過去の問題形式は同じだが、センターよりも難。評論文は難。論理的構造の文章を大量緻密に時間内に読み込み、回答するには普段からの多読、論理的正確な長文読み込み練習してないと、いくら標準基礎問題とは言え、当日は読むだけとなる。また、時間内での設問数の多さにも対応しなければならない。考えている場合ではなく、条件反射的に事務処理する能力が求められている。最低得点7割6分で受かることがあった年度でも合格者平均高得点率の国語、政経選択では差が出ないことから得点が伸びず、当日の英語の不出来が明暗を分けるのは昔から同じであり、基礎的な問題は取りこぼさない確実なことに注力すべき。入ってからも、文系は実用語学授業がメインとなり、徹底的にやるので、長期的にToeicスコアを上げる勉強した方が卒業時、就職対策にもなることに変わりはない。
== 国語 ==
大問としての、長文、論理的、大量な文章量の中での正確に押さえた外れない確実な論旨速読理解が求められる。段落構成、要旨把握、論旨要約と正確な読み込み。 記述問題は要旨要約能力と段落相互の構造と関連性を理解した前提で、比較から文章を置き換えさせたり、段落構成を変えたり、同義語比較、語彙力、漢字など構成中での正確な記述を求めている。難しいことは出ない。しかし、標準的なレベルで基礎的なものであっても、問題数の多さから制限時間内に正確に躊躇せずに記述処理する事務処理能力が求められていることから、とりこぼすので、侮ってはいけない。普段からの様々な文体の読み込み、多読、抽出、構造理解と関連した同義語、接続詞等、文法上の理解から、実際に普段から鉛筆を持って書いて練習していないと必ず読み違え等頭の中で外れてズレる。戻って読み返している場合ではなく、当日は問題文を読み込み考え込むだけで制限時間切れ終了となりかねない。 青本、赤本、過去問、センター過去問、は有益なので量をこなすこと。普段からの読み込み不足から、漢字、語彙力、文法上の理解不足がくることを認識すべき。 地道、実直な勉強でしか大量な事務処理能力はつかない。 人文学部日本文化学科では古文が出題され、配点は150点。
== 地理歴史・公民 ==
=== 世界史 ===
=== 日本史 ===
大問は4つで、回答は択一式(記号の選択型)と記述式を併用している。4問目は1940年代頃から1990年頃までを問うものになることが比較的多い(絶対ではない)。また、大問1問において、特定の人物や時代、歴史事象、地域に関することの年表を示し、そのものやそのものに関連する知識を問うものとして出題することも比較的多い(絶対ではない)。突発的に政治・経済のような問いを出題したこともあり、別の方向からの関連付けなどを忘れないようにしたい。
=== 地理 ===
細かな知識も出題される。赤本による対策が必要。
=== 政治・経済 ===
範囲は教科書内とは言えない。それどころか教科書を越えている。社会事象問題もあり、実際に正確に書かせて、用語の正確な知識を求めたり、普段から資料などを読み込んでいるのか?を問う等、標準だとは言えても広く正確確実な基本を押さえていないととりこぼすのが特徴。
対策として、資料集の徹底的読み込み、傾向と対策、全国大学問題集のローラーと多くの問題を解くのみ。政経選択合格者の平均得点率が高い。
== 数学 ==
工学部では高校3年次までの範囲の応用数学対策が必須。難問は出ない。積分駆使することは常識的必須。配点は150点なので注意。入学してからの数学重視の授業時間配分が多く、備えるべき。
経済学部での選択科目として合格者の6割越えが数学で受験している。特に経済学科では専門科目ミクロ・マクロがラグランジュ関数、偏微分、積分と大学数学で書かれた内容なので、高校数学3年生迄の理解が前提となる。統計学での確率集合論の理解無しでは通過出来ないから、合格者平均高得点率の難解な政治・経済選択よりも確実に安定得点出来る数学選択者が多い。難問は出ないが基礎的問題を満遍なく押さえる外さない能力が求められる。学園過去問対策で繰り返し10年間分解き続けることが安定した得点率に繋がることは昔から同じ。
== 理科 ==
一冊の冊子に大問が6つあり、問1が物理基礎、問2が物理、問3が化学基礎、問4が化学、問5が生物基礎、問6が生物となっている。ここから当日に2つの大問を選択して回答する。
=== 物理 ===
=== 化学 ===
=== 生物 ===
== センター利用 ==
一般入試以外にもセンター試験の結果だけで合格することが出来る。合格最低得点率は、2012年度は経済学科は76%、経営は86%であった。年度においてムラがある。近年は80%がドンづまりの最低ライン集団だが、最低ライン辺りの母集団よりも、合格者母集団の平均得点率は高く90%超えとなっていることから、一般試験でも350点万点中300点超えが求められる。学園は地元受験生が9割5分を越えるから、関東関西受験生の母数が多い旺文社駿台河合塾東進模試は宛にならない。札幌駅隣接の代ゼミ模試、道内地方高校が多く受けるベネッセサンプル数が絶対的に母数が多い。信頼性から言うと、そこのHP見ることも参考になる。
{{DEFAULTSORT:ほつかいたいかく}}
[[Category:大学入試|ほつかいかくえん]]
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刑事訴訟法第37条の5
0
12768
246607
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2024-04-12T13:49:55Z
Tomzo
248
/* 条文 */
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(複数の弁護人の選任)
;第37条の5
: 裁判官は、死刑又は無期拘禁刑に当たる事件について[[刑事訴訟法第37条の2|第37条の2]]第1項又は[[刑事訴訟法第37条の4|前条]]の規定により弁護人を付する場合又は付した場合において、特に必要があると認めるときは、職権で更に弁護人1人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
===改正経緯===
以下のとおり改正。2025年6月1日施行。
:(改正前)無期の懲役若しくは禁錮
:(改正後)無期拘禁刑
==解説==
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#1|第1編 総則]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#1-4|第4章 弁護及び補佐]]
|[[刑事訴訟法第37条の4|第37条の4]]<br>(複数の弁護人の選任)
|[[刑事訴訟法第38条|第38条]]<br>(国選弁護人の資格・報酬等)
}}
{{stub|law}}
[[category:刑事訴訟法|037の5]]
tw9n14koxx52oj46wmctz8hra86d74q
刑事訴訟法第40条
0
12779
246624
181983
2024-04-12T17:20:49Z
Tomzo
248
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
== 条文 ==
(弁護人の書類・証拠物の閲覧謄写権)
;第40条
# 弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。
# 前項の規定にかかわらず、[[刑事訴訟法第157条の6|第157条の6]]第4項に規定する記録媒体は、謄写することができない。
===改正経緯===
2016年改正にて、参照元の条数が繰り下がったことに伴う改正。
*(改正前)[[刑事訴訟法第157条の4#改正経緯|第157条の4]]第3項に
*(改正後)[[刑事訴訟法第157条の6|第157条の6]]第4項
== 解説 ==
== 参照条文 ==
== 判例 ==
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=67775 賍物故買、賍物牙保、賍物寄蔵、窃盗等](最高裁判決 昭和25年10月31日)[[刑法第62条|刑法62条]],旧刑訴法360条2項(現.[[刑事訴訟法第335条]]に相当<ref>法律上犯罪ノ成立ヲ阻却スヘキ原由又ハ刑ノ加重減免ノ原由タル事實上ノ主張アリタルトキハ之ニ對スル判斷ヲ示スヘシ</ref>),旧刑訴法60条(現.[[刑事訴訟法第48条]]に相当),旧刑訴法74条(署名捺印にかえ代書等を認めたもの),旧刑訴法349条3項(現.[[刑事訴訟法第293条]]に相当),旧刑訴法40条17号,旧刑訴法64条
##'''従犯の地位にあつた旨の主張と法律上刑の減免の原由たる事実上の主張'''
##:論旨は原審認定の被告人の犯行について被告人は原審に於て従記の地位にあつたことを主張しているのであるからこれは旧刑事訴訟第360条第2項に所謂法律上刑の減免の原由たる事実上の主張に当るにも拘らず原判決は何らこれに対する判断を示していないのは判断遺脱の違法があると主張するが、所論の様な陳述があつたとしてもこれをて刑の減免の原由たる事実の主張があつたのとは認められない。
##'''被告人に対する最終陳述の機会の附与と「別にありません」を「別にあります」とした調書記載の誤記の認定'''
##:原審裁判長は被告人に意見及び最後い述べたいことはないかと問を発していることは所論の通りであるから被告人に対し最終陳述の機会を与えたものと言わなければならない。もしも、裁判長の発した右問に対し被告人が別に陳述する必要があつたなら其機会を与えられたのであるから陳述すべき筈であるに何も陳述した形跡はなく又裁判長が被告人の発言を禁じた形跡もない等に右「別にあります」の調書記載は「別にありません」の誤記と認むるを相当とする。調書の粗雑な点は誠に遺憾であるが何れも誤記と認められる。
##'''公判調書における弁護人の姓の誤記たることの認定'''
##:被告人Aの弁護人選任届其他本件記録を調べて見ると山下弁護人が原審における被告人Aの弁護人であり同人の為め弁論したことは明らかであつて岡田弁護人が被告人Aの弁護人であるとは認められないから所論岡田弁護人とあるは山下弁護人の誤記と認めるを相当とする。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=61200 窃盜未遂](最高裁判決 昭和34年6月30日)刑訴法49条,刑訴規則50条
#;被告人は公判調書以外の公判記録を閲覧する権利を有しないか。
#:被告人本人には、公判調書以外の公判記録を閲覧する権利はない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55822 証拠書類等閲覧に関する裁判長の命令に対し検察官のした異議棄却決定に対する特別抗告](最高裁決定 昭和34年12月26日)刑訴法49条,[[刑事訴訟法第299条|刑訴法299条]]1項,[[刑事訴訟法第300条|刑訴法300条]],刑訴規則178条の3,刑訴規則193条
#;裁判所は検察官所持の証拠を予め被告人または弁護人に閲覧させるよう命令することができるか。
#:現行刑事訴訟法規のもとで、裁判所が検察官に対し、その所持する証拠書類または証拠物を、検察官において公判で取調べを請求すると否とにかかわりなく、予め、被告人または弁護人に閲覧させるように命令することはできない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=75952 道路交通取締法違反](最高裁決定 昭和37年11月8日)刑訴法49条,[[刑事訴訟法第405条|刑訴法405条]]
#; 記録の謄写を上告審が許さなかつたことを不服とする上告理由の適否。
#:所論は、違憲をいうが、当庁で記録の謄写が許されなかつたことに対し不服を申立てるに過ぎず、原判決に対する攻撃とは認められないから上告適法の理由に当らない。
#:*註.上告論旨は、被告人(弁護人なし)は上告趣意書を作成するため記録の謄写を求めたが許されなかつた。公判調書の閲覧だけでは上告趣意書の作成は不可能である。弁護人には謄写権を認めながら、被告人本人にはこれを認めないのは、実質上、上訴権を奪うことになるとして憲法14条、32条違反を主張した。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=58890 訴訟記録閲覧につきなした抗告棄却決定に対する特別抗告の申立](最高裁決定 昭和39年2月5日)[[刑事訴訟法第53条|刑訴法53条]]1項,刑訴法53条3項,[[刑事訴訟法第49条|刑訴法49条]]
#;訴訟記録の閲覧拒否と刑訴法第53条第1項の解釈、適用の適否。
##訴訟記録の閲覧、謄写に関する法条の解釈、適用について原決定の示す判断は相当である。
##(原決定の判断の要旨)刑訴法第53条第1項の被告事件の終結後とは、被告事件の確定後の趣旨に解すべきであつて、申立人の被告事件は第一審の裁判宣告後申立人から控訴があり、未確定なので、右第53条の場合に該当しない。従つて申立人が右第53条に基づいてその訴訟記録の閲覧を要求することはできない。もつとも被告人は刑訴法第49条により、弁護人がないときは、公判調書は閲覧することができ、申立人が主張する日時当時は申立人に弁護人がなかつたので、申立人自身が被告人の資格において公判調書の閲覧をなし得るわけであるが、これは公判調書のみの閲覧であり、訴訟記録全部の閲覧権まではない。もちろん記録の謄写は許されないから訴訟記録全部の閲覧拒否を刑訴法第53条の違反とする本件抗告理由はない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=59440 業務上過失傷害](最高裁判決 昭和45年9月24日)[[刑事訴訟法第388条|刑訴法388条]],[[日本国憲法第32条|憲法32条]],[[日本国憲法第37条|憲法37条]]
##'''刑訴法40条の合憲性'''
##:被告人が刑訴法40条に準拠して書類、証拠物の閲覧謄写ができないとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法32条、37条に違反するものでないことは、当裁判所の判例([[刑事訴訟法第335条#最高裁判決昭和23年5月5日|昭和22年(れ)第171号同23年5月5日大法廷判決刑集2巻5号447頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和25年2月1日|昭和23年(れ)第281号同25年2月1日大法廷判決刑集4巻2号88頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和24年3月23日|昭和23年(れ)第512号同24年3月23日大法廷判決刑集3巻3号352頁]])の趣旨に徴して明らかである。
##'''刑訴法388条の合憲性'''
##:被告人が刑訴法388条により控訴審では弁論能力を制限されているとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法32条、37条に違反するものでないことは、当裁判所の判例([[刑事訴訟法第335条#最高裁判決昭和23年5月5日|昭和22年(れ)第171号同23年5月5日大法廷判決刑集2巻5号447頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和25年2月1日|昭和23年(れ)第281号同25年2月1日大法廷判決刑集4巻2号88頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和24年3月23日|昭和23年(れ)第512号同24年3月23日大法廷判決刑集3巻3号352頁]])の趣旨に徴して明らかである。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50102 勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しないとの裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件](最高裁判決 平成17年10月24日)[[刑事訴訟法第280条|刑訴法280条]]1項,3項,[[刑事訴訟法第309条|刑訴法309条]]2項,[[刑事訴訟法第429条|刑訴法429条]]1項2号,刑訴規則86条
#;公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しなかった裁判官の処分に対する不服申立て
#:公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができる。
==脚注==
<references/>
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#1|第1編 総則]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#1-4|第4章 弁護及び補佐]]
|[[刑事訴訟法第39条|第39条]]<br>(接見交通権)
|[[刑事訴訟法第41条|第41条]]<br>(弁護人の独立行為権)
}}
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[[category:刑事訴訟法|040]]
[[category:刑事訴訟法 2016年改正|040]]
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刑事訴訟法第52条
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2024-04-12T17:26:41Z
Tomzo
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wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(公判調書の証明力)
;第52条
: 公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは、公判調書のみによってこれを証明することができる。
==解説==
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#1|第1編 総則]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#1-6|第6章 書類及び送達]]
|[[刑事訴訟法第51条|第51条]]<br>(公判調書の記載に対する異議申立て)
|[[刑事訴訟法第53条|第53条]]<br>(訴訟記録の閲覧)
}}
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[[category:刑事訴訟法|052]]
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刑事訴訟法第104条
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Tomzo
248
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text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(押収と公務上の秘密2)
;第104条
# 左に掲げる者が[[刑事訴訟法第103条|前条]]の申立をしたときは、第1号に掲げる者についてはその院、第2号に掲げる者については内閣の承諾がなければ、押収をすることはできない。
## 衆議院若しくは参議院の議員又はその職に在つた者
## 内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職に在つた者
# 前項の場合において、衆議院、参議院又は内閣は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。
==解説==
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#1|第1編 総則]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#1-9|第9章 押収及び捜索]]
|[[刑事訴訟法第103条|第103条]]<br>(押収と公務上の秘密1)
|[[刑事訴訟法第105条|第105条]]<br>(押収と業務上の秘密)
}}
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[[category:刑事訴訟法|104]]
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刑事訴訟法第145条
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2024-04-12T18:43:42Z
Tomzo
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text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(公務上秘密と証人資格2)
;第145条
# 左に掲げる者が前条の申立をしたときは、第1号に掲げる者についてはその院、第2号に掲げる者については内閣の承諾がなければ、証人としてこれを尋問することはできない。
##衆議院若しくは参議院の議員又はその職に在つた者
##内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職に在つた者
# 前項の場合において、衆議院、参議院又は内閣は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。
==解説==
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#1|第1編 総則]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#1-11|第11章 証人尋問]]
|[[刑事訴訟法第144条|第144条]]<br>(公務上秘密と証人資格)
|[[刑事訴訟法第146条|第146条]]<br>(証言拒絶権)
}}
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[[category:刑事訴訟法|145]]
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刑事訴訟法第146条
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Tomzo
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text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(証言拒絶権1)
;第146条
: 何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。
==解説==
==参照条文==
*[[日本国憲法第38条]]
==判例==
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55673&hanreiKbn=02 偽証教唆](最高裁決定 昭和28年10月19日)
#;証人の証言拒絶権と偽証罪の成否
#:証人が[[刑事訴訟法第146条]]の証言拒否権を有したとしても、宣誓の上虚偽の陳述をしたときは[[刑法第104条|偽証罪]]が成立する。
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#1|第1編 総則]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#1-11|第11章 証人尋問]]
|[[刑事訴訟法第145条|第145条]]<br>(公務上秘密と証人資格2)
|[[刑事訴訟法第147条|第147条]]<br>(証言拒否権2)
}}
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[[category:刑事訴訟法|146]]
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刑事訴訟法第157条の6
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2024-04-12T18:58:42Z
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text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(ビデオリンク方式)
;第157条の6
# 裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所(これらの者が在席する場所と同一の構内に限る。)にその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、尋問することができる。
##[[刑法第176条|刑法第176条]]から[[刑法第179条|第179条]]まで若しくは[[刑法第181条|第181条]]の罪、[[刑法第225条|同法第225条]]若しくは[[刑法第226条の2|第226条の2]]第3項の罪(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、[[刑法第227条|同法第227条]]第1項(第225条又は第226条の2第3項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第3項(わいせつの目的に係る部分に限る。)若しくは[[刑法第241条|第241条]]第1項若しくは第3項の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者
##[[児童福祉法第60条|児童福祉法(昭和22年法律第164号)第60条]]第1項の罪若しくは[[児童福祉法第34条|同法第34条]]第1項第9号に係る同法第60条第2項の罪又は[[児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第4条|児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第4条]]から第8条【[[児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第4条|第4条]]、[[児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第5条|第5条]]、[[児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第6条|第6条]]、[[児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第7条|第7条]]、[[児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第8条|第8条]]】までの罪の被害者
##前二号に掲げる者のほか、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者
# 裁判所は、証人を尋問する場合において、次に掲げる場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、同一構内以外にある場所であつて裁判所の規則で定めるものに証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。
##犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が同一構内に出頭するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認めるとき。
##同一構内への出頭に伴う移動に際し、証人の身体若しくは財産に害を加え又は証人を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。
##同一構内への出頭後の移動に際し尾行その他の方法で証人の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定されることにより、証人若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。
##証人が遠隔地に居住し、その年齢、職業、健康状態その他の事情により、同一構内に出頭することが著しく困難であると認めるとき。
# 前二項に規定する方法により証人尋問を行う場合(前項第四号の規定による場合を除く。)において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができるものに限る。)に記録することができる。
# 前項の規定により証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とするものとする。
===改正経緯===
====2017年刑法改正====
2017年刑法改正に伴い以下の改正がなされた。
*「第178条の2」→「第179条」
*「第241条前段」→「第241条第1項若しくは第3項」
====2017年改正====
[[刑事訴訟法第157条の4|第157条の4]]から繰り下げ。
====2011年改正====
2011年改正により、第2項を以下のとおり改正。
:(改正前)記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができる物をいう。以下同じ。)
:(改正後)記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができるものに限る。)
==解説==
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#1|第1編 総則]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#1-11|第11章 証人尋問]]
|[[刑事訴訟法第157条の5|第157条の5]]<br>(証人の遮へい)
|[[刑事訴訟法第158条|第158条]]<br>(裁判所外における証人の尋問)
}}
{{stub|law}}
[[category:刑事訴訟法|157の6]]
[[category:刑事訴訟法 2016年改正|157の6]]
[[category:刑法 2017年改正|訴訟157の6]]
[[category:刑事訴訟法 2011年改正|157の6]]
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刑事訴訟法第197条
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/* 判例 */
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(任意捜査の原則)
;第197条
# 捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。
# 捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
# 検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、30日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求めることができる。この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない。
# 前項の規定により消去しないよう求める期間については、特に必要があるときは、30日を超えない範囲内で延長することができる。ただし、消去しないよう求める期間は、通じて60日を超えることができない。
# 第2項又は第3項の規定による求めを行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めることができる。
===改正経緯===
2011年改正により第3項、第4項及び第5項を新設。
==解説==
==参照条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51825 道路交通法違反、公務執行妨害](最高裁判例 昭和51年3月16日)
##'''任意捜査において許容される有形力の行使の限度'''
##:任意捜査における有形力の行使は、強制手段、すなわち個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段にわたらない限り、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において、許容される。
##'''任意捜査において許容される限度内の有形力の行使と認められた事例'''
##:警察官が、酒酔い運転の罪の疑いが濃厚な被疑者をその同意を得て警察署に任意同行し、同人の父を呼び呼気検査に応じるよう説得を続けるうちに、母が警察署に来ればこれに応じる旨を述べたので、連絡を被疑者の父に依頼して母の来署を待つていたところ、被疑者が急に退室しようとしたため、その左斜め前に立ち、両手でその左手首を掴んだ行為は、任意捜査において許容される限度内の有形力の行使である。
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#2|第2編 第一審]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-1|第1章 捜査]]
|[[刑事訴訟法第196条|第196条]]<br>(捜査の際の注意)
|[[刑事訴訟法第198条|第198条]]<br>(被疑者の出頭要求・取調べ)
}}
{{stub|law}}
[[category:刑事訴訟法|197]]
[[category:刑事訴訟法 2011年改正|197]]
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Tomzo
248
/* 判例 */
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(任意捜査の原則)
;第197条
# 捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。
# 捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
# 検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、30日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求めることができる。この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない。
# 前項の規定により消去しないよう求める期間については、特に必要があるときは、30日を超えない範囲内で延長することができる。ただし、消去しないよう求める期間は、通じて60日を超えることができない。
# 第2項又は第3項の規定による求めを行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めることができる。
===改正経緯===
2011年改正により第3項、第4項及び第5項を新設。
==解説==
==参照条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51825 道路交通法違反、公務執行妨害](最高裁決定昭和51年3月16日)
##'''任意捜査において許容される有形力の行使の限度'''
##:任意捜査における有形力の行使は、強制手段、すなわち個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段にわたらない限り、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において、許容される。
##'''任意捜査において許容される限度内の有形力の行使と認められた事例'''
##:警察官が、酒酔い運転の罪の疑いが濃厚な被疑者をその同意を得て警察署に任意同行し、同人の父を呼び呼気検査に応じるよう説得を続けるうちに、母が警察署に来ればこれに応じる旨を述べたので、連絡を被疑者の父に依頼して母の来署を待つていたところ、被疑者が急に退室しようとしたため、その左斜め前に立ち、両手でその左手首を掴んだ行為は、任意捜査において許容される限度内の有形力の行使である。
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{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#2|第2編 第一審]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-1|第1章 捜査]]
|[[刑事訴訟法第196条|第196条]]<br>(捜査の際の注意)
|[[刑事訴訟法第198条|第198条]]<br>(被疑者の出頭要求・取調べ)
}}
{{stub|law}}
[[category:刑事訴訟法|197]]
[[category:刑事訴訟法 2011年改正|197]]
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刑事訴訟法第262条
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2024-04-13T04:01:05Z
Tomzo
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text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(準起訴手続き、付審判の請求)
;第262条
# [[刑法第193条|刑法第193条]]から[[刑法第196条|第196条]]まで又は[[破壊活動防止法第45条|破壊活動防止法(昭和27年法律第240号)第45条]]若しくは[[無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第42条|無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年法律第147号)第42条]]若しくは[[無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第43条|第43条]]の罪について告訴又は告発をした者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官所属の検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に事件を裁判所の審判に付することを請求することができる。
# 前項の請求は、[[刑事訴訟法第260条|第260条]]の通知を受けた日から7日以内に、請求書を公訴を提起しない処分をした検察官に差し出してこれをしなければならない。
==解説==
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#2|第2編 第一審]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-2|第2章 公訴]]
|[[刑事訴訟法第261条|第261条]]<br>(告訴人等に対する不起訴理由の告知)
|[[刑事訴訟法第263条|第263条]]<br>(付審判請求の取下げ)
}}
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[[category:刑事訴訟法|262]]
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2024-04-13T04:02:45Z
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/* 条文 */
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text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(準起訴手続き、付審判の請求)
;第262条
# [[刑法第193条|刑法第193条]]から[[刑法第196条|第196条]]まで【[[刑法第193条|刑法第193条]]、[[刑法第194条|第194条]]、[[刑法第195条|第195条]]、[[刑法第196条|第196条]]】又は[[破壊活動防止法第45条|破壊活動防止法(昭和27年法律第240号)第45条]]若しくは[[無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第42条|無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年法律第147号)第42条]]若しくは[[無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第43条|第43条]]の罪について告訴又は告発をした者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官所属の検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に事件を裁判所の審判に付することを請求することができる。
# 前項の請求は、[[刑事訴訟法第260条|第260条]]の通知を受けた日から7日以内に、請求書を公訴を提起しない処分をした検察官に差し出してこれをしなければならない。
==解説==
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#2|第2編 第一審]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-2|第2章 公訴]]
|[[刑事訴訟法第261条|第261条]]<br>(告訴人等に対する不起訴理由の告知)
|[[刑事訴訟法第263条|第263条]]<br>(付審判請求の取下げ)
}}
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[[category:刑事訴訟法|262]]
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刑事訴訟法第267条の2
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2024-04-13T04:04:51Z
Tomzo
248
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text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(付審判決定の通知)
;第267条の2
: 裁判所は、[[刑事訴訟法第266条|第266条]]第2号の決定をした場合において、同一の事件について、[[検察審査会法第2条|検察審査会法(昭和23年法律第147号)第2条]]第1項第1号に規定する審査を行う検察審査会又は[[検察審査会法第41条の6|同法第41条の6]]第1項の起訴議決をした検察審査会([[検察審査会法第41条の9|同法第41条の9]]第1項の規定により公訴の提起及びその維持に当たる者が指定された後は、その者)があるときは、これに当該決定をした旨を通知しなければならない。
==解説==
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#2|第2編 第一審]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-2|第2章 公訴]]
|[[刑事訴訟法第267条|第267条]]<br>(公訴提起の擬制)
|[[刑事訴訟法第268条|第268条]]<br>(公判の維持と指定弁護士)
}}
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[[category:刑事訴訟法|267の2]]
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刑事訴訟法第284条
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220146
2024-04-13T04:08:34Z
Tomzo
248
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(軽微事件と出頭)
;第284条
: 50万円([[刑法]]、[[暴力行為等処罰に関する法律]]及び[[経済関係罰則の整備に関する法律]]の罪以外の罪については、当分の間、5万円)以下の罰金又は科料に当たる事件については、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。ただし、被告人は、代理人を出頭させることができる。
==解説==
==参照条文==
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#2|第2編 第一審]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-3|第3章 公判]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-3-1|第1節 公判準備及び公判手続き]]<br>
|[[刑事訴訟法第283条|第283条]]<br>(被告人が法人の場合)
|[[刑事訴訟法第285条|第285条]]<br>(出頭義務とその免除)
}}
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[[category:刑事訴訟法|284]]
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刑事訴訟法第309条
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2024-04-12T17:17:15Z
Tomzo
248
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text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(証拠調等への異議申立て)
;第309条
# 検察官、被告人又は弁護人は、証拠調に関し異議を申し立てることができる。
# 検察官、被告人又は弁護人は、前項に規定する場合の外、裁判長の処分に対して異議を申し立てることができる。
# 裁判所は、前二項の申立について決定をしなければならない。
==解説==
==参照条文==
==判例==
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50102 勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しないとの裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件](最高裁判決 平成17年10月24日)[[刑事訴訟法第280条|刑訴法280条]]1項,3項,[[刑事訴訟法第40条|刑訴法40条]],[[刑事訴訟法第429条|刑訴法429条]]1項2号,刑訴規則86条
#;公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しなかった裁判官の処分に対する不服申立て
#:公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができる。
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#2|第2編 第一審]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-3|第3章 公判]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-3-1|第1節 公判準備及び公判手続き]]<br>
|[[刑事訴訟法第308条|第308条]]<br>(証明力を争う権利)
|[[刑事訴訟法第310条|第310条]]<br>(証拠調べを終わった証拠の提出)
}}
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[[category:刑事訴訟法|309]]
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刑事訴訟法第335条
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246621
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2024-04-12T17:12:17Z
Tomzo
248
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text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(有罪の判決)
;第335条
# 有罪の言渡をするには、罪となるべき事実、証拠の標目及び法令の適用を示さなければならない。
# 法律上犯罪の成立を妨げる理由又は刑の加重減免の理由となる事実が主張されたときは、これに対する判断を示さなければならない。
===改正経緯===
旧・刑事訴訟法第360条を継承する。
#有罪の言渡を為すには罪と為るべき事実及証拠に依り之を認められたる理由を説明し法定の適用を示すべし
#法律上犯罪の成立を阻却すべき原由又は刑の加重減免の原由たる事実上の主張ありたるときは之に対する判断を示すべし
==解説==
==参照条文==
==判例==
#<span id="最高裁判決昭和23年5月5日"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55216 公文書偽造、収賄](最高裁判決昭和23年5月5日)[[日本国憲法第37条|憲法第37条]]
##'''刑事訴訟法第360条第2項(現本条第2項)の法意'''
##:刑事訴訟法第360条第2項にいう法律上犯罪の成立を阻却すべき原由とは例へば刑法第35条乃至第37条【[[刑法第35条]]、[[刑法第36条|第36条]]、[[刑法第37条|第37条]]】所定の事由の如き刑法第2編各條所定の罪の構成要件は一応これを具備して居ながら尚罪の成立を阻却する事由をいうので所論の様な罪の構成要件を欠く旨の主張は前記法条所定の主張に該当しない。
##'''控訴の唯一の理由とこれに対する判断の要否'''
##:控訴の唯一の理由であればどんな主張でも必ずこれに對する判断を判文中に明示しなければならないという法規も法理も存在しない。されば控訴審が罪の成立に何等影響の無い事柄に付き判断を示さなかつたことは仮令それが控訴の唯一の理由であつたとしても少しも違法ではない、無論違憲などいう問題ではない。
##'''憲法第37条第1項にいう「公平な裁判所の裁判」の意義'''
##:憲法第37条の「公平な裁判所の裁判」というのは構成其他において偏頗の惧なき裁判所の裁判という意味である。かかる裁判所の裁判である以上個々の事件において法律の誤解又は事実の誤認等により偶々被告人に不利益な裁判がなされてもそれが一々同条に触れる違憲の裁判になるというものではない。されば本件判決裁判所が構成其他において偏頗の惧ある裁判所であつたことが主張立証せられない限り仮令原判決に所論の様な法律の誤解、事実の誤認又は記録調査の不充分等があつたと仮定しても同条違反の裁判とはいえない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=74615 強盗、殺人未遂](最高裁判決昭和22年12月4日)[[刑法第60条|刑法60条]]
#;共犯行為の判示方法
#:共媒の上犯罪を実行した場合には、共犯者の一人が行為の実行を全然分担しなくともその責に任ずべきものであるから判決に共犯者各自の行動を一々判示するの必要はない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=74717 強盗、窃盗](最高裁判決昭和23年7月20日)[[刑法第60条|刑法60条]],[[刑法第236条|刑法236条]]
##'''共謀の事実についての判示の程度'''
##:論旨は何日何処で誰々との間に如何なる通謀をしたかの事実理由を判決に明示しなければならないというのであるが、共謀の日時場所は必ずしも判決に明示する必要はなく誰々の間に本件犯行の共謀があつたかは判文自体より明らかであり且第一審相被告人等と被告人との間に主従関係があるとか、対等関係でないとかの事実は、原審では認めないのであるからことさらに対等関係で共謀した旨を説示しなくとも所論の如き違法はない。
##'''脅迫されて犯行現場の近くに立つていたとの主張と刑訴第360条第2項'''
##:強盗犯人から、犯行を共にするよう誘われ、これを拒んだところ、匕首で脅迫されたので、やむを得ず犯行の現場近くで立つていたとの主張は、刑訴法第360条第2項の「法律上犯罪の成立を阻却すべき原由たる事実上の主張」にあたらない。
##'''共謀の日時場所の判示の要否'''
##:数人共謀して犯罪を犯した場合に、共謀をした日時場所は、必ずしも判示する必要はない。
##'''共同正犯に対し刑法第60条の適用を判文に明示することの当否'''
##:原判決において刑法第60条を適用した旨を判文上明示しなかつたことは所論の通りである。しかし原判決は第一審相被告人等と被告人とは本件犯行について共謀したものと認定し、且其共謀に基いて被告人は見張をした事実を認定したのであり。意思連絡のもとに強盗の見張をしたのであるから、本件犯行の共同正犯であると断じたものである従つて刑法第60条を適用した旨を判文上明示しなくとも、同条を適用した趣旨であることはおのづから明白であるから、所論の如き違法はない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55271 殺人未遂、放火](最高裁判決昭和24年1月20日)
##'''青酸加里を入れて炊いたため黄色を呈し臭気を放つている米飯は何人もこれを食べることは絶対にないという実験則の有無'''
##:青酸加里を入れて炊いた本件米飯が黄色を呈し臭気を放つているからといつて何人もこれを食べることは絶対にないと断定することは実験則上これを肯認し得ない。
##'''殺人罪に関する不能犯の主張と旧刑訴法第360条第2項にいわゆる「法律上犯罪ノ成立ヲ阻却スヘキ原由タル事実上ノ主張」'''
##:かかる不能犯の主張は行為と結果との因果関係を不能なりとするものであるから行為の外結果の発生を犯罪の積極的構成要件とする本件殺人罪においては結局罪となるべき事実を否定する主張に帰着する。されば旧刑訴法第360条第2項にいわゆる「法律上犯罪の成立を阻却すべき原由たる事実上の主張」換言すれば、犯罪構成要件以外の事実であつてその事実あるがため法律上犯罪不成立に帰すべき原由たる事実上の主張に該当しない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56775 強盗、窃盗、強盗幇助、賍物牙保](最高裁判決昭和25年4月20日)[[刑法第60条]]
##'''共謀共同正犯における共謀者の責任'''
##:共謀共同正犯は、単なる教唆や従犯と異なり、共謀者が共同意思の下に一体となつて互に他人の行為を利用してその意思を実行に移すものであり、犯罪の予備、着手、実行、未遂、中止、結果等はすべて共謀者同一体として観察すべきもので、強盜を共謀した者は、自ら実行行為を分担しなくとも、他の共謀者の実行した強盜行為の責を免れない。
##'''共謀共同正犯の判示として各共謀者が実行行為をしたか否かを明示することの要否'''
##:共謀共同正犯にかかる犯罪事実を判決に摘示するにあたり、各共謀者が実行行為をしたか否かを明示することは、必ずしも必要でない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54675&hanreiKbn=02 傷害致死](最高裁判決 昭和26年09月20日)
#;傷害致死罪の成立と致死の結果の予見の要否
#:傷害致死罪の成立には傷害と死亡、との間の因果関係の存在を必要とするにとどまり、致死の結果についての予見は必要としないのであるから、<u>原判決が所論傷害の結果たる致死の予見について判示しなかつたからといつて、原判決には所論理由不備の違法は存しない</u>。
# [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53378 傷害致死、特別公務員暴行](最高裁判決 昭和27年12月25日)<!--第一小法廷判決-->旧刑訴法360条1項,旧刑訴法410条19号,[[刑法第205条|刑法205条]]
#;判決に理由不備の違法がある一事例
#:一定の時に被害者に脳出血による何らかの身体的症状の生じたことを前提として被害者の受傷と死亡との時間的間隔を判定した場合に、右身体的症状を生じたことを認定するための証拠が明らかにその証拠の趣旨と矛盾し、かつ他にこれを認定するにたる証拠のない判決には理由不備の違法がある。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54302&hanreiKbn=02 監禁](最高裁判決 昭和28年06月17日)
#;逮捕監禁の所為が単純一罪として起訴されているとき、監禁の事実のみを有罪とする場合の判示方 ―逮捕の点についても説示することを要するか―
#:逮捕監禁の所為ありとして起訴され若しくは公判に付された場合に、裁判所が単に監禁の事実だけを認め、逮捕の事実は認められないとしたときは、逮捕の点は単純一罪の一部に過ぎないから、認められた監禁の事実だけを判決に判示し、これについて処断すれば足り、逮捕の点は判決主文において無罪を言渡すべきではなく、その理由中においても、必ずしも罪として認めない理由を判示する必要はない。
# [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51426 恐喝、傷害、窃盗](最高裁判決昭和32年7月16日)[[刑法第47条]]
#;法定刑(懲役刑)を同じくするが種類を異にする数個の犯罪を併合加重する場合と法令適用の判示方
#:窃盗、傷害(懲役刑選択)、恐喝の三罪につき併合罪の加重をする場合、いずれの罪を最も重いと認めて加重をしたかを明示しなくとも、必ずしも違法ではない。
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#2|第2編 第一審]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-3|第3章 公判]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#2-3-5|第5節 公判の裁判]]<br>
|[[刑事訴訟法第334条|第334条]]<br>(刑の免除の判決)
|[[刑事訴訟法第336条|第336条]]<br>(無罪の判決)
}}
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[[category:刑事訴訟法|335]]
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刑事訴訟法第388条
0
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246618
56524
2024-04-12T17:09:29Z
Tomzo
248
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(弁論能力)
;第388条
: 控訴審では、被告人のためにする弁論は、弁護人でなければ、これをすることができない。
==解説==
==参照条文==
==判例==
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=59440 業務上過失傷害](最高裁判決 昭和45年9月24日)[[刑事訴訟法第388条|刑訴法388条]],[[日本国憲法第32条|憲法32条]],[[日本国憲法第37条|憲法37条]]
##'''刑訴法40条の合憲性'''
##:被告人が刑訴法40条に準拠して書類、証拠物の閲覧謄写ができないとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法32条、37条に違反するものでないことは、当裁判所の判例([[刑事訴訟法第335条#最高裁判決昭和23年5月5日|昭和22年(れ)第171号同23年5月5日大法廷判決刑集2巻5号447頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和25年2月1日|昭和23年(れ)第281号同25年2月1日大法廷判決刑集4巻2号88頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和24年3月23日|昭和23年(れ)第512号同24年3月23日大法廷判決刑集3巻3号352頁]])の趣旨に徴して明らかである。
##'''刑訴法388条の合憲性'''
##:被告人が刑訴法388条により控訴審では弁論能力を制限されているとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法32条、37条に違反するものでないことは、当裁判所の判例([[刑事訴訟法第335条#最高裁判決昭和23年5月5日|昭和22年(れ)第171号同23年5月5日大法廷判決刑集2巻5号447頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和25年2月1日|昭和23年(れ)第281号同25年2月1日大法廷判決刑集4巻2号88頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和24年3月23日|昭和23年(れ)第512号同24年3月23日大法廷判決刑集3巻3号352頁]])の趣旨に徴して明らかである。
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#3|第3編 上訴]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#3-2|第2章 控訴]]<br>
|[[刑事訴訟法第387条|第387条]]<br>(弁護人の資格)
|[[刑事訴訟法第389条|第389条]]<br>(弁論と控訴趣意書)
}}
{{stub|law}}
[[category:刑事訴訟法|388]]
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刑事訴訟法第429条
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2024-04-12T17:20:14Z
Tomzo
248
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑事訴訟法]]=[[コンメンタール刑事訴訟法/改訂]]
==条文==
(準抗告1)
;第429条
# 裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる。
## 忌避の申立を却下する裁判
## 勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判
## 鑑定のため留置を命ずる裁判
## 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判
## 身体の検査を受ける者に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判
# [[刑事訴訟法第420条|第420条]]第3項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。
# 第1項の請求を受けた地方裁判所又は家庭裁判所は、合議体で決定をしなければならない。
# 第1項第4号又は第5号の裁判の取消又は変更の請求は、その裁判のあった日から3日以内にこれをしなければならない。
# 前項の請求期間内及びその請求があったときは、裁判の執行は、停止される。
==解説==
==参照条文==
==判例==
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50102 勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しないとの裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件](最高裁判決 平成17年10月24日)[[刑事訴訟法第280条|刑訴法280条]]1項,3項,[[刑事訴訟法第309条|刑訴法309条]]2項,[[刑事訴訟法第40条|刑訴法40条]],刑訴規則86条
#;公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しなかった裁判官の処分に対する不服申立て
#:公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができる。
----
{{前後
|[[コンメンタール刑事訴訟法|刑事訴訟法]]
|[[コンメンタール刑事訴訟法#3|第3編 上訴]]<br>
[[コンメンタール刑事訴訟法#3-4|第4章 抗告]]<br>
|[[刑事訴訟法第428条|第428条]]<br>(高裁の決定に対する抗告の禁止、抗告に代わる異議申し立て)
|[[刑事訴訟法第430条|第430条]]<br>(準抗告2)
}}
{{stub|law}}
[[category:刑事訴訟法|429]]
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刑法第211条
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2024-04-12T18:05:42Z
Tomzo
248
/* 解説 */
wikitext
text/x-wiki
#[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[コンメンタール刑法]]
#[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑法]]
== 条文 ==
(業務上過失致死傷等)
; 第211条
: 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
===改正経緯===
====2022年改正====
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
:(改正前)懲役若しくは禁錮
:(改正後)拘禁刑
====2013年改正====
第2項は、「[[自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律]](平成25年11月27日法律第86号)」の制定に伴い、'''[[自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条|同法第5条]]'''に趣旨を移行し、平成26年5月20日に同法の施行に伴い削除。
====2007年改正====
「危険運転」概念だけでは、交通事犯該当性が曖昧であると認識されたため、「自動車の運転」自身重い注意義務を負っている旨を明示し、第2項を以下のとおり改正。
: 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
====2001年改正====
「危険運転致死傷罪([[刑法第208条の2#改正経緯|旧・刑法第208条の2]])」の新設に伴い、以下の条項が「危険運転」までに至らない場合、本罪の重複適用を回避すべく新設された。
:自動車を運転して前項前段の罪を犯した者は、傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
:#「危険運転致死傷罪」新設前は、自動車交通事故の事案については、単なる過失致死傷を適用するには、社会的に求められる注意義務の懈怠に対する懲罰としては軽いとの認識があり、一方で「重過失」の概念が曖昧であったこともあって、本条のうち「業務上過失致死傷」が適用されていた。しかしながら、発生事案が多い本類型に「業務」概念を当てはめることについては違和感もあり(例えば、無免許運転者の事故を「業務上」といえるか)、交通事犯を律する「危険運転致死傷罪」創設に伴い、「自動車の運転」に伴う犯罪類型として分離した。
== 解説 ==
#「業務」の概念
##使用局面
###[[刑法第35条|第35条]]「法令又は正当な'''業務'''による行為は、罰しない。」
###[[刑法第37条|第37条]]第2項「前項の規定は、'''業務'''上特別の義務がある者には、適用しない。」
###[[刑法第117条の2|第117条の2]](業務上失火等)
###[[刑法第129条|第129条]]第2項(過失往来危険)
###[[刑法第134条|第134条]](秘密漏示)- 職業業務
###:「正当な理由がないのに、その'''業務'''上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたとき」
###本条
###[[刑法第214条|第214条]](業務上堕胎及び同致死傷)- 職業業務
###[[刑法第233条|第233条]](信用毀損及び業務妨害)
###[[刑法第234条|第234条]](威力業務妨害)
###[[刑法第234条の2|第234条の2]](電子計算機損壊等業務妨害)
###[[刑法第253条|第253条]](業務上横領)
###[[刑事訴訟法第105条]](押収と業務上の秘密)- 職業業務
##本条の判例
###[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50421 最高裁 昭和33年04月18日判決]
####本来人が社会生活上の地位に基き反覆継続して行う行為であつて、かつその行為は他人の生命身体等に危害を加える虞あるもの。
####行為者の目的がこれによつて収入を得るにあるとその他の欲望を充たすにあるとは問わない。
###[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50299 最高裁 昭和60年10月21日判決]
####人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務も含まれる。
##判例から導出される本条における要件
###社会生活上の地位に基づくこと。
####適法であるか否かを問わない(免許の必要な業務において無免許も含む)。
###反復継続性。
###身体・生命に対して危険な行為であること。
#「重大な過失」の概念
#:旧過失論からは、「結果の予見が極めて容易であったため、法益尊重意識の欠如が著しいと判断される場合」(松原芳博・刑法各論2版72頁)、
#:新過失論からは、「注意義務違反の程度が著しい場合」とされる。
#::行為の危険性の増大に伴い、それに関わる者の注意義務も増大するがそれに見合った注意義務を果たしていなかった場合。判断基準がかなり曖昧となるので、「業務」に付会することが多い。
==参照条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54645 業務上過失電車転覆並業務上過失致死同傷害](最高裁判決昭和26年6月7日)[[刑法第129条]]
##'''刑法第129条第2項、第211条の業務の意義'''
##:刑法第129条第2項、第211条にいわゆる業務とは、各人が社会生活上の地位に継続して行う事務のことであつて、本務たると兼務たるとを問わない。
##'''上司の許可を得ないで列車を運転した場合は業務となるか'''
##:電車の運転手兼乗務車掌であつて、乗務車掌の業務に従事している者が、上司の許可を得ないで列車の運転をしても、その運転行為をもつて業務上の行為でないとはいえない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54693&hanreiKbn=02 薬事法第違反、業務上過失致死](最高裁判決 昭和28年12月22日)[[保健婦助産婦看護婦法第5条]],[[保健婦助産婦看護婦法第6条]],[[保健婦助産婦看護婦法第37条]]
##'''看護婦が薬品を間違えて静脈注射しよつて患者を死に致した場合と業務上過失致死罪の成否'''
##:看護婦が主治医の処方箋によつて、患者に静脈注射をするに際し、注射液の容器に貼付してある標示紙を確認せず、薬品を間違えて注射した過失により、これを死に致したときは、業務上過失致死罪が成立する。
##'''国立病院の薬剤師(厚生技官)による製剤と[[薬事法第35条]]所定の標示義務'''
##:被告人は厚生技官であるけれども薬剤師としての技官である。薬剤師が製剤した場合、薬事法所定の標示を為すべき義務があること勿論である。これは病院の使用人として為す場合でも変りはない。所論薬剤科業務分担表によるも右義務を免るべき理由を見出し得ない。
##'''国立病院における製剤についても薬事法の適用があるか。'''
##:国立病院の製剤については薬事法の適用がないと解すべき理由はない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50512&hanreiKbn=02 贈賄、食糧管理法第違反、業務上過失致死](最高裁決定 昭和32年04月11日)
#;運転免許停止中の自動車運転手と業務上過失致死の罪
#:自動車運転免許一時停止処分を受けていて法令に定められた運転資格がない場合においても、自動三輪車を運転し、自己の不注意によりて他人を死に致した者は、業務上過失致死の罪責を免れない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50421 業務上過失傷害](最高裁決定 昭和33年4月18日)
##'''刑法211条の業務の意義'''
##:刑法211条にいわゆる業務としは、本来人が社会生活上の地位に基き反覆継続して行う行為であつて、かつその行為は他人の生命身体等に危害を加える虞あるものであることを必要とするけれども、行為者の目的がこれによつて収入を得るにあるとその他の欲望を充たすにあるとは問わないと解すべきである。
##'''免許を受け反覆継続してなす娯楽のための狩猟行為と刑法第211条の業務'''
##:銃器を使用してなす狩猟行為の如き他人の生命、身体等に危害を及ぼす虞ある行為を、免許を受けて反覆継続してなすときは、その目的が娯楽のためであつても、なおこれを刑法第211条にいわゆる業務と認むべきである。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=61131&hanreiKbn=02 業務上過失致死傷、道路交通取締法第違反](最高裁決定 昭和34年04月23日)
#;自動車運転の業務に従事していたものと認められる事例
#:被告人は第一審判決判事のように自動車の練習並に車洗いのため十数回以上に亘つて小型自動四輪車を運転していたというのであるから予て自動車運転の業務に従事していたものと認めて毫も妨けないものである。
#::'''自動車運転事故増加当時、加害者の可罰性を鑑みて「業務上過失致死傷」の範囲を拡大する意図があると思われ、交通事犯が分離された現在において、判例として適用しうるかは不明である。'''
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=61572&hanreiKbn=02 業務上過失傷害](最高裁決定 昭和45年09月29日)[[道路交通法第4条]]2項
#;信号機による交通整理の行なわれている交差点を通過する自動車運転者の注意義務
#:信号機による交通整理の行なわれている交差点を通過する自動車運転者は、信号機の表示するところに従つて自動車を運転すれば足り、いちいち徐行して左右道路の車両との交通の安全を確認すべき義務はない。
#::(一般化)'''法令等により義務としての注意の程度を軽減する措置が取られている場合は、それに従った行動を取ることで注意義務は充足され、それ以上の注意を求められるものではない。'''
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51209&hanreiKbn=02 業務上過失致死、同傷害](最高裁決定 昭和63年02月29日 「チッソ水俣病刑事裁判」) [[日本国憲法第37条|憲法37条]]1項,[[刑法第54条|刑法54条]]1項,[[刑事訴訟法第250条|刑訴法250条]],[[刑事訴訟法第253条|刑訴法253条]]1項
##'''迅速な裁判の保障との関係で公訴提起の遅延がいまだ著しいとまでは認められないとされた事例'''
##:公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされたとしても、複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であつてその解明に格別の困難があつたこと等の特殊事情があるときは、迅速な裁判の保障との関係において、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまではいえない。
##'''胎児に病変を発生させ出生後死亡させた場合における業務上過失致死罪の成否'''
##:業務上の過失により、胎児に病変を発生させ、これに起因して出生後その人を死亡させた場合も、人である母体の一部に病変を発生させて人を死に致したものとして、業務上過失致死罪が成立する。
##'''結果の発生時期を異にする各業務上過失致死傷罪が観念的競合の関係にある場合の公訴時効'''
##:結果の発生時期を異にする各業務上過失致死傷罪が観念的競合の関係にある場合につき公訴時効完成の有無を判定するに当たつては、その全部を一体として観察すべきであり、最終の結果が生じたときから起算して同罪の公訴時効期間が経過していない以上、その全体について公訴時効は未完成である。
----
{{前後
|[[コンメンタール刑法|刑法]]
|[[コンメンタール刑法#2|第2編 罪]]<br>
[[コンメンタール刑法#2-28|第28章 過失傷害の罪]]<br>
|[[刑法第210条]]<br>(過失致死)<br>
|[[刑法第212条]]<br>(堕胎)<br>
}}
{{stub|law}}
[[Category:刑法|211]]
[[Category:過失犯|211]]
[[category:業務犯|211]]
[[category:刑法 2013年改正|211]]
[[category:旧選択的禁錮刑|211]]
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246632
246628
2024-04-12T18:47:01Z
Tomzo
248
/* 解説 */
wikitext
text/x-wiki
#[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[コンメンタール刑法]]
#[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑法]]
== 条文 ==
(業務上過失致死傷等)
; 第211条
: 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
===改正経緯===
====2022年改正====
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
:(改正前)懲役若しくは禁錮
:(改正後)拘禁刑
====2013年改正====
第2項は、「[[自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律]](平成25年11月27日法律第86号)」の制定に伴い、'''[[自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条|同法第5条]]'''に趣旨を移行し、平成26年5月20日に同法の施行に伴い削除。
====2007年改正====
「危険運転」概念だけでは、交通事犯該当性が曖昧であると認識されたため、「自動車の運転」自身重い注意義務を負っている旨を明示し、第2項を以下のとおり改正。
: 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
====2001年改正====
「危険運転致死傷罪([[刑法第208条の2#改正経緯|旧・刑法第208条の2]])」の新設に伴い、以下の条項が「危険運転」までに至らない場合、本罪の重複適用を回避すべく新設された。
:自動車を運転して前項前段の罪を犯した者は、傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
:#「危険運転致死傷罪」新設前は、自動車交通事故の事案については、単なる過失致死傷を適用するには、社会的に求められる注意義務の懈怠に対する懲罰としては軽いとの認識があり、一方で「重過失」の概念が曖昧であったこともあって、本条のうち「業務上過失致死傷」が適用されていた。しかしながら、発生事案が多い本類型に「業務」概念を当てはめることについては違和感もあり(例えば、無免許運転者の事故を「業務上」といえるか)、交通事犯を律する「危険運転致死傷罪」創設に伴い、「自動車の運転」に伴う犯罪類型として分離した。
== 解説 ==
#「業務」の概念
##使用局面
###[[刑法第35条|第35条]]「法令又は正当な'''業務'''による行為は、罰しない。」
###[[刑法第37条|第37条]]第2項「前項の規定は、'''業務'''上特別の義務がある者には、適用しない。」
###[[刑法第117条の2|第117条の2]](業務上失火等)
###[[刑法第129条|第129条]]第2項(過失往来危険)
###[[刑法第134条|第134条]](秘密漏示)- 職業業務
###:「正当な理由がないのに、その'''業務'''上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたとき」
###本条
###[[刑法第214条|第214条]](業務上堕胎及び同致死傷)- 職業業務
###[[刑法第233条|第233条]](信用毀損及び業務妨害)
###[[刑法第234条|第234条]](威力業務妨害)
###[[刑法第234条の2|第234条の2]](電子計算機損壊等業務妨害)
###[[刑法第253条|第253条]](業務上横領)
###[[刑事訴訟法第105条]](押収と業務上の秘密)- 職業業務
###[[刑事訴訟法第149条]](業務上の証言拒否権)- 職業業務
##本条の判例
###[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50421 最高裁 昭和33年04月18日判決]
####本来人が社会生活上の地位に基き反覆継続して行う行為であつて、かつその行為は他人の生命身体等に危害を加える虞あるもの。
####行為者の目的がこれによつて収入を得るにあるとその他の欲望を充たすにあるとは問わない。
###[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50299 最高裁 昭和60年10月21日判決]
####人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務も含まれる。
##判例から導出される本条における要件
###社会生活上の地位に基づくこと。
####適法であるか否かを問わない(免許の必要な業務において無免許も含む)。
###反復継続性。
###身体・生命に対して危険な行為であること。
#「重大な過失」の概念
#:旧過失論からは、「結果の予見が極めて容易であったため、法益尊重意識の欠如が著しいと判断される場合」(松原芳博・刑法各論2版72頁)、
#:新過失論からは、「注意義務違反の程度が著しい場合」とされる。
#::行為の危険性の増大に伴い、それに関わる者の注意義務も増大するがそれに見合った注意義務を果たしていなかった場合。判断基準がかなり曖昧となるので、「業務」に付会することが多い。
==参照条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54645 業務上過失電車転覆並業務上過失致死同傷害](最高裁判決昭和26年6月7日)[[刑法第129条]]
##'''刑法第129条第2項、第211条の業務の意義'''
##:刑法第129条第2項、第211条にいわゆる業務とは、各人が社会生活上の地位に継続して行う事務のことであつて、本務たると兼務たるとを問わない。
##'''上司の許可を得ないで列車を運転した場合は業務となるか'''
##:電車の運転手兼乗務車掌であつて、乗務車掌の業務に従事している者が、上司の許可を得ないで列車の運転をしても、その運転行為をもつて業務上の行為でないとはいえない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54693&hanreiKbn=02 薬事法第違反、業務上過失致死](最高裁判決 昭和28年12月22日)[[保健婦助産婦看護婦法第5条]],[[保健婦助産婦看護婦法第6条]],[[保健婦助産婦看護婦法第37条]]
##'''看護婦が薬品を間違えて静脈注射しよつて患者を死に致した場合と業務上過失致死罪の成否'''
##:看護婦が主治医の処方箋によつて、患者に静脈注射をするに際し、注射液の容器に貼付してある標示紙を確認せず、薬品を間違えて注射した過失により、これを死に致したときは、業務上過失致死罪が成立する。
##'''国立病院の薬剤師(厚生技官)による製剤と[[薬事法第35条]]所定の標示義務'''
##:被告人は厚生技官であるけれども薬剤師としての技官である。薬剤師が製剤した場合、薬事法所定の標示を為すべき義務があること勿論である。これは病院の使用人として為す場合でも変りはない。所論薬剤科業務分担表によるも右義務を免るべき理由を見出し得ない。
##'''国立病院における製剤についても薬事法の適用があるか。'''
##:国立病院の製剤については薬事法の適用がないと解すべき理由はない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50512&hanreiKbn=02 贈賄、食糧管理法第違反、業務上過失致死](最高裁決定 昭和32年04月11日)
#;運転免許停止中の自動車運転手と業務上過失致死の罪
#:自動車運転免許一時停止処分を受けていて法令に定められた運転資格がない場合においても、自動三輪車を運転し、自己の不注意によりて他人を死に致した者は、業務上過失致死の罪責を免れない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50421 業務上過失傷害](最高裁決定 昭和33年4月18日)
##'''刑法211条の業務の意義'''
##:刑法211条にいわゆる業務としは、本来人が社会生活上の地位に基き反覆継続して行う行為であつて、かつその行為は他人の生命身体等に危害を加える虞あるものであることを必要とするけれども、行為者の目的がこれによつて収入を得るにあるとその他の欲望を充たすにあるとは問わないと解すべきである。
##'''免許を受け反覆継続してなす娯楽のための狩猟行為と刑法第211条の業務'''
##:銃器を使用してなす狩猟行為の如き他人の生命、身体等に危害を及ぼす虞ある行為を、免許を受けて反覆継続してなすときは、その目的が娯楽のためであつても、なおこれを刑法第211条にいわゆる業務と認むべきである。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=61131&hanreiKbn=02 業務上過失致死傷、道路交通取締法第違反](最高裁決定 昭和34年04月23日)
#;自動車運転の業務に従事していたものと認められる事例
#:被告人は第一審判決判事のように自動車の練習並に車洗いのため十数回以上に亘つて小型自動四輪車を運転していたというのであるから予て自動車運転の業務に従事していたものと認めて毫も妨けないものである。
#::'''自動車運転事故増加当時、加害者の可罰性を鑑みて「業務上過失致死傷」の範囲を拡大する意図があると思われ、交通事犯が分離された現在において、判例として適用しうるかは不明である。'''
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=61572&hanreiKbn=02 業務上過失傷害](最高裁決定 昭和45年09月29日)[[道路交通法第4条]]2項
#;信号機による交通整理の行なわれている交差点を通過する自動車運転者の注意義務
#:信号機による交通整理の行なわれている交差点を通過する自動車運転者は、信号機の表示するところに従つて自動車を運転すれば足り、いちいち徐行して左右道路の車両との交通の安全を確認すべき義務はない。
#::(一般化)'''法令等により義務としての注意の程度を軽減する措置が取られている場合は、それに従った行動を取ることで注意義務は充足され、それ以上の注意を求められるものではない。'''
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51209&hanreiKbn=02 業務上過失致死、同傷害](最高裁決定 昭和63年02月29日 「チッソ水俣病刑事裁判」) [[日本国憲法第37条|憲法37条]]1項,[[刑法第54条|刑法54条]]1項,[[刑事訴訟法第250条|刑訴法250条]],[[刑事訴訟法第253条|刑訴法253条]]1項
##'''迅速な裁判の保障との関係で公訴提起の遅延がいまだ著しいとまでは認められないとされた事例'''
##:公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされたとしても、複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であつてその解明に格別の困難があつたこと等の特殊事情があるときは、迅速な裁判の保障との関係において、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまではいえない。
##'''胎児に病変を発生させ出生後死亡させた場合における業務上過失致死罪の成否'''
##:業務上の過失により、胎児に病変を発生させ、これに起因して出生後その人を死亡させた場合も、人である母体の一部に病変を発生させて人を死に致したものとして、業務上過失致死罪が成立する。
##'''結果の発生時期を異にする各業務上過失致死傷罪が観念的競合の関係にある場合の公訴時効'''
##:結果の発生時期を異にする各業務上過失致死傷罪が観念的競合の関係にある場合につき公訴時効完成の有無を判定するに当たつては、その全部を一体として観察すべきであり、最終の結果が生じたときから起算して同罪の公訴時効期間が経過していない以上、その全体について公訴時効は未完成である。
----
{{前後
|[[コンメンタール刑法|刑法]]
|[[コンメンタール刑法#2|第2編 罪]]<br>
[[コンメンタール刑法#2-28|第28章 過失傷害の罪]]<br>
|[[刑法第210条]]<br>(過失致死)<br>
|[[刑法第212条]]<br>(堕胎)<br>
}}
{{stub|law}}
[[Category:刑法|211]]
[[Category:過失犯|211]]
[[category:業務犯|211]]
[[category:刑法 2013年改正|211]]
[[category:旧選択的禁錮刑|211]]
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刑法第256条
0
14181
246629
240016
2024-04-12T18:22:40Z
Tomzo
248
/* 参照条文 */
wikitext
text/x-wiki
*[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[コンメンタール刑法]]
*[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑法]]
==条文==
(盗品譲受け等)
;第256条
# 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の拘禁刑に処する。
# 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の拘禁刑及び50万円以下の罰金に処する。
===改正経緯===
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
:(改正前)懲役
:(改正後)拘禁刑
==解説==
{{wikipedia|盗品等関与罪}}
:1項は盗品をただで貰うこと、2項前段は盗品の運搬、保管、購入について、後段は盗品を買ってくれる人を探す行為を処罰する規定である。
:判例等で出現する刑法現代語化改正前の用語との対応は以下のとおり。
:*贓物(賍物)- 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物
:*:改正前は、財産取得罪以外(収賄罪など)により取得された財物も含まれるとする説もあったが、改正により範囲が限定された。
:*収受 - 無償の譲り受け
:*寄蔵 - 保管
:*故買 - 有償の譲り受け
:*牙保 - 有償の処分のあっせん
==参照条文==
*[[刑事訴訟法第124条]](押収贓物の被害者還付)
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56421 賍物故買](最高裁判決 昭和23年3月16日)[[刑法第38条|刑法38条]]
#;犯罪構成要件たる事実の一小部分に付き被告人の自白以外他に証拠なき場合
#:賍物故買罪は賍物であることを知りながらこれを買受けることによつて成立するものであるが、その故意が成立する爲めには必ずしも買受くべき物が賍物であることを確定的に知つて居ることを必要としない或は賍物であるかも知れないと思いながらしかも敢てこれを買受ける意思(いわゆる'''[[未必の故意]]''')があれば足りるものと解すべきである。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56561 窃盗教唆、賍物故買](最高裁判決 昭和23年11月18日)[[刑法第19条|刑法19条]],刑訴法373条,刑訴法49条1項,刑訴法373条2号
##'''賍物の対価として得た物を没収するにはその対価を得た行為が犯罪を構成することを必要とするか'''
##:物の対価を得た行為(本件では賍物の売買行為)が犯罪を構成する場合でなければ、その対価の没収の言渡ができぬと論ずるのは全くの独断である。犯罪行為によつて得た対価を没収するのであれば同項第3号によるのであつて、第4号によるのではない。そして第4号の対価を取得する行為については、それが犯罪を構成することを要件とするものでないことは規定上も明らかである。
##:-賍物の対価として得た物を没収するには、その対価を得た行為が犯罪を構成することを必要としない。
##'''賍物の対価として得た金錢は没収し得るか'''
##:刑法第19条第1項第4号の規定は独立した没収事由として追加規定せられたものであるから、同号を適用するのに前号所定の物が同条第2項の規定により没収し得るものであることを前提とすべき理由は毫も存しない、それ故前記贓品の対価物たる押収金全額は、犯人以外の者に属せざる限り没収し得る訳である。
##:-賍物の対価として得た金銭は、その賍物が犯人以外の者に属する場合においても、その金銭が犯人の所有である限り、これを没収することができる。
##'''公定価格ある賍物の対価として得た金銭に対する被害者の交付請求権の範囲'''
##:本件では刑訴第373条第2項の規定に基き贓物の対価物につき被害者から交付の請求があつた。普通の場合であつたならば、対価物の全部を被害者に還付すべきであろうが既に贓物は処分せられた後のことであるから、被害者が犯人に対して損害賠償として交付を請求し得るのは、法令の許容する価額を標準とすべきであり、従つて本件においては「みのり」1100個、「きんし」6000本に対する処分当時の公定価額3240円に相当する押收現金の還付であると言わねばならぬ。されば、原判決がこれを被害者に還付する言渡をなし、これを差引きたる押收金の殘額25,595円を没収したのは正当である
##:-公定価格ある賍物の対価として得た金銭は、処分当時の公定価格に相当する金額の範囲内において、被害者は、その交付を請求することができる。
----
{{前後
|[[コンメンタール刑法|刑法]]
|[[コンメンタール刑法#2|第2編 罪]]<br>
[[コンメンタール刑法#2-39|第39章 盗品等に関する罪]]<br>
|[[刑法第255条]]<br>(準用)
|[[刑法第257条]]<br>(親族等の間の犯罪に関する特例)
}}
{{stub|law}}
[[category:刑法|256]]
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中学校技術/情報通信ネットワークと情報モラル
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2024-04-12T20:08:54Z
すじにくシチュー
12058
/* ファイルとフォルダ */ [[高等学校情報/社会と情報/情報のデジタル化]] 2024年3月9日 (土) 01:48 からベクター画像を引用。
wikitext
text/x-wiki
== コンピュータの機能 ==
[[Image:Desktop computer clipart - Yellow theme.svg|thumb|250px|デスクトップパソコンの概略]]
コンピュータにどのような情報処理をさせようにも、まずはコンピュータに情報を入力させないといけない。したがって、コンピュータには外部から電気信号を取り込む機能が必要である。このような機能を入力機能という。
複数のデータを組み合わせて演算処理をする場合などは、演算結果を蓄えておく記憶機能が必要がある。そうしないと、つねに入力装置から情報を送り続けてもらう必要が生じる。通信のための電力も余計に掛かり良くない。入力データが膨大になると、記憶がないと、入力信号の負担が膨大になり、事実上は処理が不可能になる。
また、記憶機能があることで、演算を分割することもできる。
これらの機能をどのように組み合わせて処理を行うかを定める機能も必要であり、このような機能を制御機能という。
コンピュータでは機能ごとに部品が個別なのが通常である。
たとえば画面の映像表示はディスプレイが行い、でディスプレイの機能は映像表示と、他の部品からの映像信号を受け取る機能である。
ディスプレイでは記憶などの他の処理は原則として行わないし、ディスプレイには記憶などを行う機能も基本的には、ついていない。
キーボードも、機能は文字の入力と、入力された文字の信号を他の部品に送る機能だけである。
記憶などは、磁気を利用したハードディスクに情報を蓄えていることが多い。また、ハードディスクは読み込みに時間がかかるので、ハードディスクから直接、演算部に情報を送ると処理速度が低下してしまう。
この対策のため、演算の際には、半導体電子回路を利用して記憶をするメモリという部品に、ハードディスクに記憶された情報の中から演算に必要な情報をコピーする。
メモリの記憶の維持には電力が必要であり、電源を切ると情報が失われてしまうが、裏を返せば、不要になった情報を消すときは電気を流さなければ簡単に消せるので、それがメモリの処理速度が早い理由の一つでもある。
コンピュータの機能を、大まかに分類すると、以下の5つの機能に分解される。
* 入力機能
* 出力機能
* 演算
* 記憶
* 制御
== ハードウェアとソフトウェア ==
;ハードウェア
コンピュータの部品のうち、キーボードやスキャナーなどの入力装置や、ディスプレイやプリンタやスピーカなどの出力装置、通信ケーブルや、電力ケーブルや電源装置、基板の部分や、ハードディスクなど、実際に、物体として存在している部品を'''ハードウェア'''という。
<gallery widths="200px" heights="200px">
ファイル:ModelM.jpg|米国で主流の101拡張キーボード (IBM Model M)
ファイル:External display connected by usb.jpg|ノートパソコンにUSB接続の液晶ディスプレイをつなげたところ
File:3-Tasten-Maus Microsoft.jpg|マウス
</gallery>
パソコンの筐体(四角い箱)の中にはハードディスクや基板(パソコンの基板はマザーボードと呼ばれる)やメモリ(主記憶装置)などが入っている。
<gallery widths="200px" heights="200px">
ファイル:Seagate ST36531A face 20050821.jpg|AT互換機用内蔵3.5インチHDD
Image:Elixir M2U51264DS8HC3G-5T 20060320.jpg|主記憶装置の一種(RAM)
ファイル:MSI K7T266 motherboard.jpg
</gallery>
HDDは「エイチディーディー」と読み、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)のことである。ハードディスクドライブは、磁性材料を用いた円盤が中に入っており、データの記憶をする装置である。
[[File:Ssd IMGP9342 wp.jpg|thumb|right|220px|2.5インチサイズの標準的なSSD]]
最近では、記憶装置ではHDD(ハードディスクドライブ)のかわりに、SSD(ソリッドステートドライブ)が使われているパソコンもある。(※ 最近の検定教科書ではSSDを説明しているらしい。)
SSDはフラッシュメモリを用いた記憶装置である。SSDは「エスエスディー」と読み、Solid State Drive のことである。SSDは回転部分が無いこともあり衝撃に強い。また一般にSSDは(HDDよりも)高速である。一般にSSDは、HDDの代わりに用いる。
:※ 教科書では説明されてないようだが、。SSDには欠点として、書き換え回数に制限がある。このため、何度も書き換える必要のあるメモリ(主記憶装置)の代替にはSSDは用いないのが一般的である。
;周辺機器
プリンタやスキャナなど、無くてもパソコンの基本的な動作ができるが、その機器をつけたすことで、機能が増える機器を周辺機器という。
<gallery widths="200px" heights="200px">
ファイル:Epson PM-700C.jpg|プリンタ(コンピュータ内の画像などを印刷できる。)
ファイル:Canon_9950F03.jpg|イメージスキャナの一種、フラットベッドスキャナ(コンピュータに絵などを取り込むことができる。)
Image:Pen Tablet.jpg|ペンタブレット(ペンのようなもので、ポインタ操作ができる。(「タブレット端末」は別のもの。)
</gallery>
;ソフトウェア
ハードウェアにたいして、ハードディスクなどで記憶した演算の手順やデータなど、また通信ケーブルから受け取った演算の手順やデータなど、演算の手順や制御の手順やデータなどを'''ソフトウェア'''という。
ソフトウェアには、たいていのソフトウェアでは、なんらかの出力が必要である。文字を表示することも多いだろう。
文章の内容はともかく、文字を表示する機能がソフトウェアに必要であることが多い。
また、計算をするソフトウェアも多いだろう。すると、基本的な計算に関する機能もソフトウェアは必要だろう。
ハードウェアの制御の指示も、ソフトウェアで指示を行う場合もあるだろう。どのハードウェアにどの指示を出すかと言った具体的な指示はともかく、必要に応じてハードウェアに指示を出す機能じたいはソフトウェアにも必要になる。ソフトウェアは直接にはディスプレイには指示をせず、CPUやマザーボードなどの演算装置を通して出力の指示を出すが、ともかく、ハードウェアとのやりとりをする機能がソフトウェアには必要である。
ソフトウェアとハードウェアとのやりとりの仕方や、文字の表示や、計算の機能など、ほとんどのソフトウェアで必要な機能は、別個のソフトウェアではなく、'''オペレーティングシステム'''(operating system、略称は'''OS''')と呼ばれる、基本機能をまとめたソフトウェアで処理をする。
オペレーティングシステムで共通化することで、ソフトウェアを作る手間を減らせる。また、ハードウェアを開発する際も、オペレーティングシステムとの互換性を考えることで、互換性の検証の手間が省ける。
オペレーティングシステムだけでは、基本的な機能しかないので、必要に応じてソフトウェアを追加できるような仕組みが必要である。個別の処理手順を定めたソフトウェアを応用ソフトウェアあるいはアプリケーションソフトウェアという。
コンピュータを起動した場合に起動するソフトウェアは、まずオペレーティングシステムが起動をする。アプリケーションソフトは、操作者またはOSが必要に応じて、OSの起動後に、アプリケーションを起動する。
アプリケーションソフトを起動しても、オペレーティングシステムは消えずに、OSは活動を続けられる仕組みになっている。不要になったアプリケーションは処理を終了できる仕組みになっている。アプリケーションを終了しても、OSの活動は終了せず、アプリケーションが必要になったら、またOSにアプリケーション起動の指示を出すことでアプリケーションを起動できる仕組みになっている。
{{-}}
== ファイルとフォルダ ==
;ファイル
コンピュータ上のデータで、何らかの役割を持った、まとまったデータの集まりの一つを'''ファイル'''(file)という。ファイルには、たとえば文書ファイルや画像ファイルや音声ファイルや動画ファイルなどがある。
画像ファイルについて例をあげれば、たとえばデジタルカメラで撮影した写真画像は、1個の画像ファイルになる。
文書作成ソフトで文書を書き、そのデータを保存したら1個の文書ファイルになる。
ファイルにはファイル名が付き、またファイルの種類が区別できるように拡張子が付いている。拡張子の画面上での表示は、ファイル名の後ろに表示される。たとえばファイル名が「下書き」の文書ファイルで拡張子が「.doc」だったら「下書き.doc」のように表示される。拡張子は、表示と非表示の切り替えができるので、設定によっては表示されない場合も有る。
{| class="wikitable" style="float: right;"
|+ 主なファイル形式の種類
|-
! 画像ファイル
| BMP(ビットマップ), JPEG(ジェイペグ), PNG など
|-
! 動画ファイル
| MPEG(エムペグ) など
|-
! 音声ファイル
| MP3(エムピースリー), MIDI(ミディ) など
|-
|}
拡張子によって判別できるファイルの種類を'''ファイル形式'''という。たとえば、画像ファイルで用いられるファイルで、拡張子が.jpgや.jpegといったファイルは、ファイル形式がJPEG(「ジェイペグ」と読む)という種類である。
PNGの読みは「ピング」あるいは「ピン」あるいは「ピーエヌジー」である。
{| class="wikitable" style="float: right;"
|+ 主な拡張子の種類
|-
! 文書ファイル
| .txt .doc .odt など
|-
! 画像ファイル
| .jpg .bmp .png など
|-
! 動画ファイル
| .mp4 .flv .wmv など
|-
! 音声ファイル
| .mp3 .wav .ogg など
|-
|}
* 画像ファイル
JPEGは「Joint Photographic Experts Group」の略だが、長いので、読む時はジェイペグと略して読むのが一般である。
PNGも、Portable Network Graphicsの略だが、長いので、ピングなどと略して読む。
* 音楽ファイル
MIDIは電子楽器のためのデータ形式で、楽器への演奏方法の指示を記録したファイルである。MIDIに保存されてるのは、けっして音声データ自身ではない。
ファイル形式や拡張子はこの他にも有る。
また、ほかにも、アプリケーションごとに独自のファイル形式と拡張子を設けている場合も有る。
;フォルダ
ファイルを似たファイルごとにまとめて分類できたら便利である。このようなことが'''フォルダ'''(folder)で可能である。
フォルダの中にファイルを入れることが可能である。
;(※範囲外)ビットマップとベクター画像
{| cellpadding="5" cellspacing="3" style="text-align:center; border: 1px solid #ccc" align="right" width="240px"
| [[ファイル:Zeichen 224.svg|20px|ベクタイメージ]] || [[ファイル:Zeichen 224 20px.png|20px|ビットマップ]]
|-
| [[ファイル:Zeichen 224.svg|60px|ベクタイメージ]] || [[ファイル:Zeichen 224 20px.png|60px|ビットマップ]]
|-
| [[ファイル:Zeichen 224.svg|120px|ベクタイメージ]] || [[ファイル:Zeichen 224 20px.png|120px|ビットマップ]]
|-
| <small>ベクタ形式</small> || <small>ラスタ形式</small>
|-
| colspan=2 | ベクタイメージは品質の劣化なくサイズを変更可能
|}
:※ 美術資料(秀学社)で紹介。
:※ コラム化すると表示が崩れるので、コラム化しません。
:※ 詳しくは、高校の『情報I』で習う。
画像には、上記のPNGやjpegのほかにも、じつはビットマップという画像形式がある。
これは、画素のデータをそのまま記録したものである。
jpegは写真などを保存しやすいような工夫のされたファイル形式である。
PNGは、ポスター画像など同じ色がつづく画像を保存しやすいように工夫された形式である。
jpegもPNGも「圧縮」という技術を用い、記録する量を減らしている。
しかし、そういう工夫を何もせず、画素の色情報(画像のどの位置にどの色を保存するかという情報)をほぼそのまま記録する方式があり、それがビットマップであり、拡張子は bmp である。
上記のこれら(jpeg, png , bmp)とは別に、作画の手順などを記録した形式がある。
ベクター画像と呼ばれる形式があり、ファイル形式にはいくつもの種類があるが、どれも作画の手順そのものを記録したものである。
普通、その画像の線の位置を、数式のような情報で記録している(どの始点からどの終点に、どのような曲率(きょくりつ)の線を引くか、を記録している)。四角や三角や円などの図形も、その図形の輪郭線の情報を記録することで、図形を記録している。
そして、画像を、いくつもの線の集合体として、ベクター画像では記録している。
このため、拡大や縮小などをしてもベクター画像だと劣化をしない(たとえば線がギザギザにならない)。ただし、描画に比較的に時間が掛かる(このため、動画などには不向きである)。
いっぽう、jpeg,png,bmpは、元のサイズより拡大すると、線が劣化をする。具体的には、図のように、線がギザギザに粗くなる。 jpeg, png, bmp のようなものをまとめて、ラスタ画像という。(なお、美術資料集ではラスタまでは説明してないようである)
== 情報のデジタル化 ==
[[File:Switch 1 bool.svg|thumb|300px|デジタル信号の「1」の説明図<br />スイッチが閉まっているので、電球の明かりがつく状態。]]
[[File:Switch 0 bool.svg|thumb|300px|デジタル信号の「0」の説明図<br />スイッチが開いているので、電球の明かりがつかない状態。]]
コンピュータは、ある基準の電圧よりも高いか低いかで、信号入力の違いを判断する。
このため、コンピュータは入力信号に対して信号が高いか低いかといった2種類の判断しかしない。
この信号の有無を、人間が判断しやすいように数値に対応させる。
数字の0と1を用いる。
このうち、信号電圧が基準電圧より高いと判断される信号を1とする。信号電圧が基準電圧より低い場合は0である。
なお、信号の有無の判断基準となる電圧の大きさの基準値を閾値(しきいち)という。閾値に近い電圧で信号が処理されるとデータが誤って判断される場合があるので、通常のコンピュータでは誤判断がおきないように、閾値から離れた大きさの電圧で信号がやりとりされる。
:(※ 範囲外:)「閾値」は分野によって読み方が違い、生物系などでは「いきち」と読む。だが、電気系・機械系では「しきいち」が一般的である。
このような信号電圧の閾値の判断には、基板上の集積回路などに作られた半導体トランジスタや半導体ダイオードなどが利用されている。この半導体トランジスタや半導体ダイオードなどの特性を、信号の閾値の基準に利用している。
半導体ダイオードのPNダイオードでは、P側の電圧がN側の電圧よりも高いときに電流が流れるのであった。P側よりも、どれだけの大きさほど高いかは電流が流れるか否かには関係が無く、とにかく、N側の電圧よりもP側の電圧が高ければ電流が流れるのであった。
これを閾値という言葉で表せば、N側に加えられた電圧を閾値として、P側の電圧がそれより高い場合だけ電流が流れるのである。
コンピュータの閾値の判断には、このような半導体の仕組みを利用している。
閾値によって判断することで、誤差の影響を受けにくくなる。
このような閾値の仕組みから、コンピュータ内での信号処理を数値的に表す場合は、2進数で表しやすい。
2進数の1文字では「0」と「1」の2通りになり、2通りの情報に対応させることで2通りの区別ができる。
2進数が2文字になると、「00」、「01」、「10」、「11」と4通りになり、4通りの情報に対応させることで4通りの区別ができる。
このように文字数が多くなるほど、区別できる情報が多くなる。
== 情報量の単位 ==
{| class="wikitable" style="float:right"
|+ 情報量の単位
|単位 || 読みかた || 内容
|-
|bit || ビット || -
|-
|B || バイト || 1B=8bit
|-
|KB || キロバイト || 1KB=1024B
|-
|MB || メガバイト || 1MB=1024KB
|-
|GB || ギガバイト || 1GB=1024MB
|-
|TB || テラバイト || 1TB=1024GB
|-
|}
コンピュータの情報の単位を'''ビット'''(bit)と言う。1ビットは2通りに相当し、2ビットは4通りに対応する。
:1ビットは、2進数の「0」と「1」といった、2進数の一文字分の情報量に対応する。
:2ビットは2進数の2文字の情報量に対応する。つまり、2ビットなら「00」「01」「10」「11」という4つの数に対応する。
:3ビットは2進数の3文字の情報量に相当する。2進数の3文字で表せる情報量は 2×2×2=8 で分かるように、8通りの情報が表せる。
:4ビットの情報量は、2×2×2×2=16 のように、16通りである。
8ビットは、2進数の8文字分であり、情報量は 2×2×2×2×2×2×2×2 = 256であり、256通りに対応する情報量のことである。
8ビットのことを1'''バイト'''(byte)という。
大きな情報を扱うときはバイトを単位として扱う。バイトの単位は大文字のBで表す。
1000バイト(=10<sup>3</sup>バイト)のことをキロバイトといいkBで表す。
100万バイト(=1000000=10<sup>6</sup>)のことをメガバイトといい、MBで表す。
同様に10<sup>9</sup>バイトのことをギガバイトと言い、GBで表す。
== 操作方法 ==
=== 起動と終了 ===
;起動
:1. コンピュータの起動は、コンピュータ本体の電源ボタンを押して電源を入れる。
:2. 電源を入れると、OSが立ち上がり、起動が始まる。
:3. しばらくすると、起動後の設定が終了し、操作が開始できるようになる。
:4.必要に応じて、操作者がキーボードやマウスでコンピュータに指示を送る。
;終了
(主にパソコンなどの)コンピュータの終了は、ソフトウェアで行う。あらかじめアプリケーションを終了させたあと、OSにコンピュータ本体の終了のためのプログラムがあるので、終了プログラムを起動すると、コンピュータが自動的に終了のための設定やデータの保存を行い、最後に電源が自動的に切れる。
:(※ 範囲外: )家電などの終了方法は、そうでないものもある。(いきなり電源ボタンをポチっと押して切る方式の家電もある。) 検定教科書には「パソコン」ではなく「コンピュータ」と記載されているが、しかし教科書中のイラストを見ると、どうみてもパソコンである。おそらく大人の色々な事情により「パソコン」という言葉を使えないのだろう。
;強制終了
電源ボタンを数秒間、押しつづけると、コンピュータが強制終了になり電源が切れる。強制終了は、データが破損したり、設定に矛盾が出る場合があり、回復が必要になるので、一般には強制終了は行わない。
OS本体が故障するなどして、終了プログラムが機能しない場合以外を除いて、強制終了は行わない。
=== 入力方法 ===
操作はキーボード及びマウスで行うのが一般的である。
キーボードおよびマウスによる操作方法はOSの種類や設定によって異なる場合があるが、おおむね、次のような操作方法である。
* マウスの操作方法
[[File:Mouse mechanism diagram.svg|right|200px|]]
マウスがボール式の場合はマウスを動かすことによって、同じ方向にマウスボールが転がり、マウスボールの転がりの方向と量に応じて、画面上のカーソルが動く。
(光学レーザー式マウスではレーザーで読み取った情報から方向を計算してカーソルを動かしている)
マウスのボタンを押すことを'''クリック'''という。マウスカーソルを画面上のボタンなどに合わせて、マウスの左上のボタンを押すと、そのボタンを決定したことになる。ボタンに対応するプログラムが起動する。
マウスの右上のボタンを押すと、メニューバーなどが表示されるのが一般である。
なお、マウスの右上のボタンを押すことを一般に「右クリック」という。
マウスのひとつのボタンを素早く2回続けて押すことを'''ダブルクリック'''という。プログラムによっては1回押しただけのクリックとダブルクリックとを区別することが有る。
マウスのボタンを押し続けたまま、マウスを動かすことを'''ドラッグ'''という。
* キーボードの操作方法
文字の入力は、文字入力の機能があるプログラムを起動したあとに、キーボードで入力できる。
マウスやペンタブレットなどでも文字を入力できる場合もあるが、一般的には、キーボードから入力するのが一般的である。
入力する文字には種類があり、「半角/全角」のボタンを押すと半角と全角との切り替えができる。「カタカナ/ひらがな/ローマ字」などと書かれたボタンを押すと、それらの切り替えができる。入力内容を決定する時は「Enter」などと書かれたエンターキーを押すと、入力が決定する。決定前の入力を取り消す場合は、「Esc」と書かれたエスケープボタンで取り消せる。ひらがなを感じに変換する場合は、ひらがなを入力したあとにスペースキーを押すと漢字の変換候補が画面に表示されるので、候補の中から用いる字を選ぶ。
* 日本語の入力
まずオペレーティングシステムが日本語入力に対応しているのが前提である。
日本国内で市販されているオペレーティングシステムの場合は、すでに日本語入力に対応している状態で市販されているのが一般である。
中学校のコンピュータ実習でのパソコンの場合も、すでに日本語入力の機能がシステムに組み込まれているのが一般であるので、中学生は、あまり気にする必要は無い。
;ひらがなの入力
ひらがなの入力方式はローマ字入力とかな入力とが有る。
漢字の入力は、かな入力からの変換でも可能だし、ローマ字入力からの変換でも可能であるのが一般である。
英数字などの入力からひらがな入力へ切り替えるには、「カタカナ/ひらがな/ローマ字」ボタンを押す。
* 文字の入力位置の移動
文字列の中から、文字の入力する位置を変えたい場合は、キーボードの「↑」「←」「↓」「→」などの直線矢印が書かれたカーソルキーを押すと、入力位置のキーボードカーソルが矢印の方向に動くので、入力位置に調節する。なお、キーボードカーソルとマウスカーソルは別のカーソルである。キーボードカーソルを動かしてもマウスカーソルは動かないし、同様にマウスカーソルを動かしてもキーボードカーソルは動かない。
* 文字の削除
文字の削除は、「Back Space」と書かれたバックスペースキーか、あるいは「Delete」と書かれたデリートキーで行う。バックスペースを押すと、キーボードカーソルより前の文字が削除される。デリートを押すとキーボードカーソルより後ろ側の文字が消える。
* 文字の移動
;切り取り
文字の移動をするには、マウスのドラッグで複数の文字を選択して、マウス右上のボタンを押してメニューバーを開いたあとに、メニュー一覧から「切り取り」を選ぶと、切り取られるので、貼り付けたい場所に貼り付ける。貼り付けを行いたい場所に文字の入力カーソルを移動したあとに、メニューバーの貼り付けを押す。
「切り取り」のことをカット(cut)とも言う
貼り付けのことをペースト(paste)とも言う。
切り取りと貼り付けの一連の手順をカットアンドペースト(cut and paste)という。
「切り取り」をされた文字列は元の場所からは消える。
ワープロソフトの場合は、マウスのメニューバーから貼り付けや切り取りを行う他にも、画面の上にメニューボタンが表示されている場合が有るので、それを用いても良い。
;貼り付け
元の文字列を消さずに、同じ文字列を複製したい場合は、複写したい文字列をドラッグし、メニューバーから「コピー」を選択する。そのあと、貼り付けをする。
コピーと貼り付けの一連の手順をコピーアンドペースト(copy and paste)という。
== ネットワーク ==
* LAN
家庭内などで複数のパソコンでデータを共有したり、わざわざ全世界に開かれたインターネットを用いるのは手間がかかるしセキュリティ上にも問題があるので、家庭内などの狭い組織内での通信を行う際、パソコン用の通信機器はインターネットとは別に'''LAN'''(「ラン」、Local Area Networkの略)というネットワークを構築できるようになっている。
* WAN
LANとLANを組み合わせた、LANよりも広いネットワークのことを'''WAN'''(「ワン」、Wide Area Networkの略)という。
* インターネット
全世界と共有されたコンピュータ通信ネットワークが'''インターネット'''(Internet)である。
実際に、日本国内のインターネットの情報は、サイト管理者などによる閲覧制限などが無ければ、原則として外国からも閲覧ができる。
ネットワークのサービスを提供するコンピュータおよびソフトウェアのことを'''サーバ'''(server)と言う。
インターネットとのアクセスは、WWWサーバと呼ばれる、インターネットのサービスを行うコンピュータとアクセスを行っている。サーバは各所にある。
WWWとはworld wide web(ワールド・ワイド・ウェブ)の略である。
家庭用のパソコンからインターネットにアクセスするには、まず「プロバイダ」と呼ばれるインターネット通信サービスを提供する業者との契約が必要である。
* ルータ
[[ファイル:SPOF.png|right|460px]]
通信信号に関する制御機器で、通信信号を必要な場所にだけ流し、情報が不必要な場所には流れないようにするための制御機器。
インターネット接続をするには、まずパソコンをLANケーブルなどでルータに接続し、ルータがインターネット回線につながるのが一般である。
パソコンからインターネットを閲覧するには'''ウェブ・ブラウザ'''(Web browser)というソフトウェアを起動する。単に'''ブラウザ'''(browser)とも呼ばれる。
ウェブブラウザには閲覧先のウェブページを表すURL(ユー・アール・エル、Uniform Resource Locatorの略)の表示欄がある。
URLの表示欄は、たいていブラウザの上の方にあり、「http://www.」などで始まる文字列がURLであることが多い。
httpとは通信方式を表している。
== インターネットでのデータの通信のしくみ ==
;プロトコル
インターネットの通信には、どのようなOSのコンピュータでも通信がし合えるように、通信の際の約束事が決められている。このような通信の規約を'''プロトコル'''という。一般的に利用されるプロトコルには TCP/IP(ティーシーピー・アイピー)がある。
;パケット
インターネットでデータを送信するときは、データを分割して送信している。このようなデータの分割の一個一個の単位を'''パケット'''(packet)という。パケットのひとつずつには、ヘッダ(header)と呼ばれる、送り先とパケットの順序についての情報がついている。パケットは、そのヘッダの送り先の情報に従って、運ばれていく。
:(※ パケットの「ヘッダ」は範囲内。東京書籍や開隆堂などの検定教科書に記述あり。)
パケットごとに分割して送ることで、もしデータが破損しても、その破損したデータだけを再送信すればよく、効率的になる。また、空いている通信網を効率的に利用できる利点が有る。
受信側で、分割されたパケットを組み合わせて、元のデータを復元している。パケットは、かならずしも順番どおりに届くとは限らないが、しかし順番についての情報がパケットのひとつずつに付いているので、受信側で、ヘッダのその情報に従って、元のデータを復元していく。
このように、パケットのひとつひとつに送り先の情報があるため、もし、ひとつの回線に他の人の送ったデータがあっても、それぞれの送り先に届く。そのため、パケットによるデータ送信の方式を用いれば、ひとつの回線でも、同時に複数の人がデータを送ることが出来る。
パケットをハガキに例えれば、ヘッダとは、ハガキに書かれた郵便番号と、読む順番のようなものである。
:※ 「パケット」(packet)とは、もともとは小包(こづつみ)という意味。
== IPアドレス ==
=== IPアドレス ===
[[ファイル:Ipv4 address ja.svg|thumb|250px|IPv4の構造。十進法を二進法に変換し、8桁の数字(8ビット)で1バイトとなる。その8ビットが4つに区切られ、合計で32ビット(= 4バイト)となっている。]]
わたしたちの住居には住所が割り当てられていて、郵便物が住所にとどくような仕組みが、現実にはある。
インターネットでも、各家庭のルーターおよびサーバ(このサーバはプロパイダが用意しているので、家庭には置かれてないのが普通)に'''IPアドレス'''(発音:「アイピーアドレス」)というインターネットにおける住所のような意味をもつ番号が割り当てられている。
=== ドメイン名 ===
IPアドレスは数字だけの並びなので、人間には覚えにくい。
そこで、たとえばWikibooksのホームページにアクセスするなら、WikibooksのIPアドレス(ちなみに 198.35.26.96 が過去のWikibooksのIPアドレスである. 現在ではアクセスできない)を入力するかわりに、ブラウザの検索先の入力欄に「 <nowiki>http://ja.wikibooks.org/</nowiki>」と入力して決定すれば、目的のWikibooksのホームページにアクセスして閲覧できるようになっている。
この仕組みは、WikiBooksのIPアドレスに、対応する「ja.wikibooks.org」という名前をつけるという仕組みになっている。
:(※ なお、「http」とかは、プロトコルの種類を表している。)
ウェブブラウザとWebサーバの やりとり のプロトコルが'''HTTP'''(発音:「エイチティーピーピー」)である。(「HTTP'''S'''」ということもある。)「<nowiki>http://</nowiki>」の「<nowiki>http</nowiki>」とは、このHTTPのプロトコルのこと。
「<nowiki>http://ja.wikibooks.org/</nowiki>」のように <nowiki>http://ドメイン名</nowiki> を URL (発音:「ユーアールエル」)という。
このURLによって、個々のWebページが指定されている。
なお「URL」とは、ユニフォーム・リソース・ロケータ、Uniform Resource Locator の略。
例ではWikibooksを例にしたが、なにもWikibooksのサイトにかぎらず、世界中でインターネット上に公開されている、ほぼ全てのホームページに、固有のドメイン名がつけられている。
たとえばウェブブラウザの検索先の入力欄に「<nowiki>http://ja.wikibooks.org/</nowiki>」と入力した場合、普通のブラウザなら、まずは、ブラウザがサーバーにアクセスして、このドメイン名のIPアドレスをさがし、そしてそのIPアドレスのホームページを表示する、という順序で、最終的にブラウザに目的のホームページが表示される、という仕組みになっている。
{{-}}
ホームページによっては、ドメイン名に国名が無く、かわりに、企業なら「com」(「co」とも)、教育機関なら「edu」(「ed」とも)、その他さまざまな団体なら「or」 などが書かれている形式もある。
ホームページによっては、国別コード(日本なら「jp」、アメリカなら「us」、フランスなら「fr」など)などが書かれていることもある。
[[w:トップレベルドメイン一覧#国別コードトップレベルドメイン|国別TLD]]{{-}}
== 電子メールの仕組み ==
=== メールアドレスの仕組み ===
電子メールの宛先を一般に「'''メールアドレス'''」または「電子メールアドレス」という。
メールアドレスの書式は、たとえば「<nowiki>foo@example.com</nowiki>」のような書式になっている。
メールアドレスは
:ユーザ名@ドメイン名
の書式になっている。
メールアドレスには、ユーザ名とドメイン名のあいだに@(アットマーク)が入っている。
たとえば「<nowiki>foo@example.com</nowiki>」の場合なら、「foo」がユーザ名であり、「example.com」がドメイン名である。
ドメイン名は、宛先の人がメール受信に使用しているサーバーの名前である。
;イメージ: 下駄箱にラブレターの場合
例えとして、学生どうしで下駄箱の中に、「ラブレター」なり「果たし状」(はたしじょう)({{ruby|決闘|けっとう}}を申し込む手紙のこと)なりを入れることを、想像してみよう(男子校や女子校の方は、すみません)。
まず、ドメイン名が「◯年△組」と言った情報に相当する。「2年3組のスズキくん」の下駄箱に、何かの知らせのレターを投函する場合、まずは2年3組の下駄箱を探すわけだ。2年3組の下駄箱に到着してから、相手の「スズキくん」の下駄箱を探すわけだ。
そして、ユーザー名が、ラブレターなり果たし状なりを投函(とうかん)された相手の氏名に相当する。
ドメイン名に相当する「◯年△組」の下駄箱に到着したあと、投函先の「スズキくん」の下駄箱を探すわけだ。
:※ ちなみに検定教科書では「メールボックス」の比喩で例えていたが、マンションとかに住んでないと「メールボックス」じたいを家庭生活では使わないので、このウィキブックス教科書では下駄箱でたとえた。なお「メールボックス」ってのは、マンションの1階とかにある、受け入れポストの集合体。宛先の家庭ごとに、べつべつのポストに投函してもらうようになっている。
=== 電子メールの運ばれる順序 ===
電子メールの場合、まず、送信者のメールは、その送信者の使っているサーバに送られる。(インターネットに加入したときなどに、すでにプロパイダが用意してくれているのが普通。)
そして一般に、送信者用のサーバから、宛先のメール受信者がメール管理に使っているサーバに送られる。(このメール受信用のサーバは、宛先の相手が用意している。宛先の相手が一般の家庭のユーザーなら、その宛先の人がインターネットに加入したときなどに、その宛先の人が契約しているプロパイダが用意してくれているのが普通。)
つまり、一般に、
:送信者 → 送信者の用意してるメール用サーバ → 宛先の受信者が用意してるメール用サーバ
というふうに、メールが送られる。
そして、受信者がメールソフトなどで自分あての電子メールを確認するときは、自分の用意しているメール用サーバに新着メールがあるかどうかを確認している。
受信者にとっては、もしメール用サーバに自分あての新着メールがあれば、その新着メールを受信者のコンピュータに送ってもらうようになっている。
送信者がメールを送信した瞬間に自動的に送られる先は、受信者が用意してるメール用サーバまで、である。送信した瞬間には、受信者の手元のコンピューターにはメールが自動的には送られない。
受信者用のメール用サーバにせよ、送信者用のメール用サーバにせよ、電子メール用のサーバをまとめて「'''メールサーバ'''」などという。
== パスワード ==
他人が勝手に自分のコンピューターを操作したりしないように、そのコンピューターを操作している人が、操作する権利のある人かそうでないかを特定する仕組みが必要です。
そのため、'''パスワード'''(password <ref>桐原書店編集部 編著『データベース3000 基本英単語・熟語<nowiki>[5th Edition]</nowiki>』、桐原書店、2017年9月30日 第5版第3刷発行、P262 の項目 consist</ref>)という仕組みがあります。パスワードは自分しか知らないようにします。そしてパスワードを入力しないと、そのコンピューターやソフトウェアを操作できないという仕組みにします。こうすれば、自分以外の人が勝手に自分のパソコンを使うことを防げます。
1台のコンピューターを2人以上のユーザが使う場合もあり、その場合はユーザーごとにパスワードが異なります。
だからユーザーごとに、ユーザー名に対応する英数字からなる'''ID'''と、'''パスワード'''が必要になります。
IDとパスワードが正しい組み合わせだと、そのパソコンを利用できる、という仕組みです。
:・ パスワードは、人に見つかっては無意味なので、けっして見つかりやすい場所にはパスワードのメモを置かないようにしましょう。
:・ また、自分の氏名や生年月日、単純な数(例:「1111」「9876」)、キーボードの文字の並び(例:「QWERTY」)など、推測されやすい単語をパスワードにしては、いけません。
:・ また、パスワードを入力するときは、他人に入力した文字を見られないように、しましょう。
なお、インターネット上のあるウェブサイトなどで、インターネット上で共同作業する場合に、そのウェブサイトを利用する権利のあるユーザが、そのウェブサイトへの登録時に与えられたIDとパスワードを入力させられる場合もあります。
メールを初めて利用するときにも、プロパイダなどから用意されたIDとパスワードの入力が必要になるのが一般的です。
* (※ 範囲外 : ) 「ログイン」「ログオン」
検定教科書にはない用語ですが、パスワードを入力してシステムに接続することを「ログイン」(log in <ref>桐原書店編集部 編著『データベース3000 基本英単語・熟語<nowiki>[5th Edition]</nowiki>』、桐原書店、2017年9月30日 第5版第3刷発行、P292 の項目 </ref>)と言います。
「ログオン」(log on )という場合もあります。
※ この単語 log in / log on は大学入試センター試験の英語科目に出題された実績のある単語らしいので、当ページでは中学段階でもう教えておきます。
パソコンの立ち上げだけでなく、メールのソフトを使う場合にも別のパスワードが必要になることがあります。そういったメールソフトに接続することも英語で「ログイン」log in または 「ログオン」 log on と言います<ref>宇佐美光昭・浦田文夫 著『ターゲット編集部『英単語ターゲット1900 <nowiki>[6訂版]</nowiki>』、旺文社、2021年 重版発行、P.282</ref>。
== 通信マナーとセキュリティ ==
;マナー
インターネット通信は、自分だけのものではないので、他人に迷惑をかけないように注意する。
書き込みをするときは、違法な書き込みをしない。犯罪予告などの違法な書き込みをすると法的に処罰されることもある。
;著作権(ちょさくけん)
また、文章や画像、音楽などを公開するときは、インターネット上での公開にも著作権法などが適用されるので、他人の著作権を侵害しないようにする。
;セキュリティ
* コンピュータ・ウイルス と セキュリティ・ソフト
インターネット上には、他社の情報の盗み見や、他社のパソコンの無許可の遠隔操作などの、悪意に基づいて開発されたソフトウェアを利用している者もいる。悪意にもとづいたソフトウェアを'''コンピュータ・ウイルス'''という。このようなコンピュータ・ウイルスは、パソコンの利用者の知らないうちに、かってにOS内部などのパソコンのソフトウェアの内部に入り込み、かってにシステム設定を書き換えたりしてウイルス開発者が悪事をしやすいように書き換えてしまったりする。
このようなコンピュータウイルスからのコンピュータへの感染を防ぐため、'''セキュリティ・ソフト'''というアプリケーションが用いられる。
セキュリティソフトは、コンピュータのシステムを監視し、ウイルスがシステム内に入りこんでいないかを検知し、もしコンピュータウイルスが入り込んでいたら、'''隔離'''(かくり)または駆除をする。
コンピュータ・ウイルスは、ほぼ毎日、新しいウイルスが開発されています。これに対抗して、セキュリティ・ソフトも開発が進められています。
* ネット犯罪への対策
インターネット上で詐欺行為などの犯罪行為を行おうとする不心得者も、世には存在する。
このような不心得な悪者に騙されないよう、インターネット上には、むやみに自分の名前や住所などの個人情報を書いてはいけない。
他人のプライバシーなどの個人情報も、同意がない限り、書いてはいけない。
===== SNSを使うときは =====
;フィルタリング
コンピュータウイルスが有ると思われるウェブサイトや、あるいは閲覧者に不適切と思われる情報の記載されているサイトには、アクセスしてもウェブページの起動や閲覧が出来ないように設定する機能が、セキュリティソフトなどには有る。このように、不適切なウェブページを表示させないようにする機能を'''フィルタリング'''という。
このため、フィルタリングソフトをつかうと、閲覧できるページが制限されるので、閲覧できるページが少なくなる。
;バックアップ
コンピュータ上のデータは、コンピュータの故障などによって、データが失われてしまうことが有る。このため、失われたら困るデータは他の場所にも複製し保存をする対策が必要である。
こうすることで、たとえ使用中のパソコンからデータが故障やご操作で消えても、他の場所に複製したデータから復元ができる。
このような復元のための複製をバックアップという。
バックアップのデータ保存先は、使用しているコンピュータとは別のコンピュータや、USBメモリや外付けハードディスクやCD-ROM、DVD-ROMなどの外部の記憶メディアに保存するのが良い。
(元のコンピュータと同じコンピュータ内にバックアップすると、もし元のコンピュータが故障してデータが消失したとき、その消失したデータのなかにバックアップも含まれていたら、そのバックアップも一緒に消失してしまう。なので、同じコンピューターの中にバックアップを入れておくのは、不合理である。)
=== コンピュータ・ウイルスへの対策 ===
* 偽(にせ)セキュリティ・ソフトに注意。
コンピュータ・ウイルスの作成者の中には、偽物の偽(にせ)セキュリティ・ソフトを作る人すらも存在します。偽セキュリティ・ソフトの中には、ウイルスが仕込まれていたりします。
偽セキュリティ・ソフトを使わないようにするため、セキュリティ・ソフトの入手方法は、中高生のうちは、家電量販店や、デパートの家電コーナーなど、現実の商店から購入するのが安全でしょう。家電量販店などで、コンピューターのセキュリティソフトも販売している場合があります。
* ウイルス感染は目立たない。
コンピュータ・ウイルス感染は、パソコンの利用者が気づかなくても、ウイルスに感染している場合がある。
なお、コンピュータが発明されたころの古いSF映画などでは、コンピュータ・ウイルスの感染の場面で、パソコン画面に、おどろおどろしい画像が表示されたりなどの演出がある。
だが、実際には、そのような感染を目立たせるウイルスは少ない。
なぜなら、もし、ウイルス作成者が感染の目立つウイルスを開発しても、感染したパソコンの所有者にウイルスを気づかせてウイルス対策を取らせてしまうだけなので、感染が目立つウイルスはウイルス開発者にメリットが無い。実際のウイルスは、感染を目立ちにくくしている。
* 定期的にセキュリティ・ソフトで確認するべき。
何事もないように動作しているパソコンでも、ウイルスに感染している場合がありうる。なので、定期的にセキュリティ・ソフトなどによるパソコンの状態の確認が必要である。
== もしウイルスに感染してしまったら ==
:(参考文献: 開隆堂『技術・家庭 技術分野』、検定教科書)
もし家庭用のパソコンがウイルスに感染してしまった場合、次の対策をとる。
:1 まず、LANケーブルなどのネットワーク通信のケーブルを抜くことで、インターネットとの通信を中止する。
こうして、ウイルス作成者などがインターネットを介してパソコンを操作できないようにする。また、感染したパソコンが、インターネットを介して、他のコンピュータに悪さをしないようにする。
電源ケーブルやマウスケーブルは、抜かなくていいです。インターネットとの通信を中断することが目的なので、電源ケーブルは、そのままで、かまいません。
:2 ワクチンソフトを実行し、ウイルスを駆除する。
:3 駆除できない場合、コンピュータを初期化する。
前提として、コンピュータの初期化をできるよう、初期化ソフトが必要です。
だから、事前に初期化ソフトをつくっておきます。パソコンを購入したさい、初期化ソフトをつくるための機能がついていますので、あらかじめ初期化ソフトをつくっておいてください。
== ウイルスの手口 ==
ウイルス作成者が、けっして親切に「このソフトはウイルスです」などと教えてくれるわけはありません。
そのウイルスソフトが、あたかもウイルスでないかのように装(よそお)って、だますのが通常です。
なので、まず、不信なファイルをダウンロードしないようにしましょう。
また、ウイルスを添付したメールを、ウイルス作成者などが一方的に送り付けてくる場合があるので、不信なメールが届いたら、添付ファイルを開かないようにしましょう。
== インターネットと個人情報 ==
=== プライバシーなど ===
まず、インターネットに、他人のプライバシーなどの個人情報は、相手の許可がないかぎり、書いてはいけません。
人々には、私生活の情報をみだりに公開されない権利があります。
友達の氏名や電話番号など、友達どうしでは秘密でない情報であっても、インターネット上では友達でない人も見ているので、友達の氏名や住所や電話番号も、けっして書いてはいけません。
また、他人を撮影した写真は、撮影された人に'''肖像権'''(しょうぞうけん)があるので、けっして、撮影された本人の許可なく勝手に公開してはいけません。
また、たとえ自分じしんについての情報でも、情報が犯罪などに悪用されることを防ぐため、なるべく自分の個人情報も、ネットに書き込まないほうがよいでしょう。
== インターネットと知的財産 ==
人間が書いた文章や、人間がつくった音楽、さらには人間が考えてつくった工業製品、人間がつくったコンピュータソフトウェアなど、人間が考えて公表したアイデアはすべて'''知的財産'''(ちてき ざいさん)です。
法律では、その知的財産を考えた人の権利を、'''知的財産権'''として守っています。
知的財産権は、発明などにかかわる'''産業財産権'''(さんぎょう ざいさんけん)と、小説や音楽や絵画などにかかわる'''著作権'''(ちょさくけん)とに分かれます。
=== 著作権 ===
人間がつくった文章や、人間がつくった音楽や歌詞、人間が描いた絵やアニメーション、人間が撮影した写真やテレビ映像や映画などの動画には、すべて'''著作権'''(ちょさくけん)があり、勝手に他人が公開してはいけません。
'''著作権法'''(ちょさくけんほう)という法律によって、著作権のありかたが決められています。
著作権は、その作品をさいしょにつくった人に、権利があります。
なので、たとえ他人がつくった作品を書き写したりしても、著作権はさいしょにつくった人にあるままです。
さて、たとえお金を出してお店で買ったイラスト集や音楽CDや映画DVDなどでも、著作権のため、けっしてインターネットなどで公開してはいけません。
イラスト集や音楽CDなどを買ったときに購入品とともに付いてくる権利は、単に、その作品を自分が見てもいいという権利と、自分の家族などがその作品を見てもいいという権利だけなので、インターネットの第三者には勝手に作品を公開してはいけません。
著作権のある物を、著作者以外が許可なく利用することは、法律できびしく罰せられる場合があります。
インターネット上でデジタル化された文章や音楽や映像にも、著作権があります。
また、大人や子どもの区別なく、作品をつくれば、その作品についての著作者になります。たとえば、中学生でも、何か作品をつくって発表すれば、つくった作品についての著作権をもちます。
なお、写真を撮影した場合は、撮影した人のもつ著作権とは別に、撮影された被写体の人に肖像権(しょうぞうけん)があります。
{{コラム|©とは何か|
[[File:Copyright.svg|thumb|著作権を表すマーク]]
:※ 東京書籍の教科書で丸Cマークを紹介。東京書籍では丸Cマークについて調べてみようと薦めているだけで、マークの意味は解説してない。
:※ 公民科目のほうで、教育出版が丸Cマーク(著作権マーク)と丸Rマーク(商標権マーク)について説明している。
よく、何かの商品とかに、
: © 2019 wuikibukkusu Co., Ltd.,
のような © から始まる文字がありますが、
これは、この商品の著作権(または各種の権利)が、丸Cの直後にある団体にあることを主張しています。
例文の場合だと、wikibukkusu 社 という会社に著作権などがあると主張しています。
「©」とは著作権を意味するCopyright(コピーライト)の略だと考えられています。
Co., Ltd., とは、カンパニー・リミテッドのことで、いわゆる「会社」のことです。
このような丸Cマークで始まる著作権の表記は、日本だけでなく国際的に通用する表記ですので、知っておきましょう。
なお、その他の表記として
:Copyright © 2019 wikibukkusu Co., Ltd., All rights reserved.
のように冒頭に「Copyright」とつけて、著作権表示であることを明確化する場合もあります。
また、
: © 2019 wuikibukkusu Co., Ltd., All rights reserved.
のように末尾に「All rights reserved.」とつける場合もあります。
}}
[[File:RegisteredTM.svg|thumb|これは商標権のマーク]]
なお、丸Rのマークは(著作権ではなく)商標権(しょうひょうけん)です(※ 丸Rのマークについては中学公民の教育出版の検定教科書で紹介している)。
* 範囲外
:※ じっさいには、衣服など工業製品の形にも、その形を考えた人の権利( 意匠権(「いしょうけん」と読む)など )があったりする場合があるのだが、かといって衣服を撮影できないと裸を撮影するハメになってしまうので、慣習では、衣服の場合は例外的に、人物の写真などを公開するという目的なら、インターネットにも公開しても良いという慣習になっている。
:また、他人の作品の公開するかどうかの有無にかかわらず、他人がつくった作品を「自分が作りました」という行為は、法律で罰せられる場合がある。
=== 著作権以外の権利 ===
:・ 商標権(しょうひょうけん) ・・・ ブランド名やロゴマークなどの権利。
:・ 意匠権(いしょうけん) ・・・ 工業製品の形や模様などのデザインの権利。
:
:・ 特許権(とっきょけん) ・・・ たとえば液晶に関する発明や、リチウムイオン電池に関する発明など、発明のうち高度なものについての権利。
:・ 実用新案権(じつようしんあんけん) ・・・ 製品の形状や構造などの発明についての権利。
:
=== 発展的な説明 ===
==== 著作権にかかわる権利 ====
* 著作者人格権(ちょさくしゃ じんかくけん)
著作権者には、著作物を公開するかどうかを決める権利、公開するさいに自分の氏名を公表するかを決めたり、公開するさいに自分の名称(ペンネームなど)をどう表記するかを決める権利があり、これらの権利を'''著作者人格権'''(ちょさくしゃ じんかくけん)という。
この他にも、著作物を許可なく改変されない権利も、著作者人格権にふくまれる。
* 著作隣接権(ちょさく りんせつけん)
たとえば、音楽作品のレコード製作者やCD製作者などの、著作物を伝達する仕事の人にも、'''著作隣接権'''(ちょさく りんせつけん)という権利がある。
このため、たとえばベートーベンやバッハなどの、中世や近世のクラシック音楽を、現代の人が演奏したCDやレコードなどは、
たとえ作曲家がずっと昔に死んで著作権がきれていても、現代のCD製作者の著作隣接権は切れてないし、そのCDに演奏を提供した演奏者の著作隣接権もまだ切れていないのが普通なので、クラシックCDであっても、決してCD製作者などの権利者に無許可で第三者に公開してはいけない。
== 引用や二次利用 ==
=== 引用の際のルール ===
文章で書かれた書籍などの文章作品は、必要最低限なら、評論や紹介などの正当な目的なら、一定の条件を守れば、著作者の許可がなくても、自分の作品のいちぶに組み入れて発表できます。
このような、他人に著作物を、正当な手続きのうえで、著作者の許可なく、自分の著作物にとりこむ行為を'''引用'''(いんよう)といいます。
引用の際には、次のことが必要になります。
:もとの著作物の題名および著作者の名称などを明示すること。出所(でどころ)を明示するため。
:引用された文章は、かぎ括弧(『』や「」など)を付けるなどして、引用された部分を、自分の著作した部分と区別できるようにすること。
:必要最低限の量だけ、引用している事。
現代の慣習では、音楽や絵画などは、引用が認められていません。また、歌詞も、引用が認められていません。
なので引用をするさいは、書籍の文章だけを引用するのが、安全でしょう。
=== 著作物の二次利用の許可 ===
[[File:Freedom mark.png|thumb|400px|自由利用マーク]]
著作者が、自分の作ったその著作物を、読者などの利用者が自由に利用してもいいと認める場合には、その意志を表示するためのマークがあります。
たとえば、文化庁のさだめた「自由利用マーク」があります。(※ 検定教科書の範囲内)
:※ もし、文化庁の「自由利用マーク」を実際に利用する場合には、文化庁のホームページに細かい決まりが書いてあるので、それを確認のこと。(検定教科書でも、そういった感じのことを呼びかけている。)
== ※ 範囲外 ==
※ 検定教科書では、その他の情報関係の法律も多数、紹介されています。
情報関係の法律は多数あるので、検定教科書では名前と概要を列記するだけに留めています(開隆堂のサイトで確認)。
情報関係の法律として、主なものは、下記の法律があります。
おもに個人の権利を保護するための法律としては
:電子署名法
:電子消費者契約法
:預金者保護法
:特定電子メール法
:青少年インターネット環境整備法
があります。
基盤整備に関する法律や刑法としては
:IT基本法、
:電波法、
:プロパイダ制限責任法
:有線電気通信法、
:電気通信事業法
:個人情報保護法、
:不正アクセス行為の禁止等に関する法律、
:電子署名および認証業務に関する法律、
:コンピュータ犯罪を防止するための刑法、
などがあります。
多すぎて具体的な解説は出来ませんし、検定教科書でも深入りしてないので、中学生・高校生の段階では名前だけ知っておけば十分でしょう。
[[Category:中学校技術|しようほうつうしんねつとわあくとしようほうもらる]]
i9y88eagisc9ihz50wmo9vlfpkgzx4t
学習方法/高校英語
0
19481
246608
246597
2024-04-12T14:38:14Z
すじにくシチュー
12058
/* 大学受験に必要な単語量について */ === 学部ごとによる出題傾向の違い ===
wikitext
text/x-wiki
== 「高等学校外国語」は実質的に英語 ==
文科省の指導要領では、教科名は「外国語」です。
しかし、科目名は「英語コミュニケーション」とか「論理・表現」とか、英語の科目しかありません。「論理・表現」科目の内容も、英語の学習です。
なお、一部の高校で第二外国語を開講していますが、その高校でも英語が必履修です。そもそも高校卒業の要件として、英語の単位を一定以上取得しないと、高校卒業の資格を取得できないはずです。
また、高卒認定試験でも、外国語科目では英語が必修です。
第二外国語を学ぶにせよ英語に専念するにせよ、どちらにせよ、高校生は英語を勉強する必要があります。
;第二外国語の授業の現状について
大学受験では、いちおうは、文学部の仏文科とか独文科や、語学系の学部のフランス語学科とかの入試で、大学によってはフランス語やドイツ語などの第二外国語も入試も出る大学もあります(高校入試とは違い、大学入試では一部の大学では第二外国語でも受験できます)。しかし第二外国語の学習は検定教科書以外で自習などをする事になります。
フランス語とかドイツ語とかの検定教科書は、存在を聞いたことがありません(つまり、フランス語などの検定教科書は無いはず)。少なくともフランス語の検定教科書は存在しません<ref>pdf [https://konan-wu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=1159&file_id=22&file_no=1 前田美樹 著『高校でのフランス語教育: 現状報告 - 授業の活性化と発展に向けて,2011年3月, P35 ] 2023年10月5日に確認.</ref><ref>[https://www.jactfl.or.jp/wdps/wp-content/uploads/2020/03/JACTFL2_87-100.pdf 長谷川由起子 著『高等学校第二外国語必修化提言実現に伴う課題』,2014 , P92]</ref>。もし高校生向けのフランス語などの教材を教科書会社が出版・販売していたとしても、それは検定教科書ではありません。
なお、第二外国語の授業のある高校でのその授業の教材は、大学生向けの教材を用いたり、あるいはその高校独自の教材を用いたりしています。
;第二外国語の大学受験について
大学入試共通試験(旧センター試験)の科目に、フランス語とドイツ語と中国語と韓国語もあります。語学系の学部・学科など、ごく一部の学科でなら、共通試験のフランス語なども使える場合もあ、そのような大学の学科なら一般入試でも使える可能性もあります。ですが、その他の多くの大学では、第二外国語ではなく英語を受験科目の外国語としては要求しています。
なお、一部の高校ではスペイン語とロシア語とアラビア語の科目もあり高校卒業のための単位として文科省により認められていますが、しかし大学入試共通試験(センター試験)の科目にはスペイン語などは存在していません。このように、高校の単位として日本国に認められていても大学入試共通試験にない科目もあります。
== IPA(国際音声記号)を学ぼう ==
IPA(International Phonetic Alphabet, 国際音声記号)とは世界中の言語の発音を表記できるように開発された記号である。これが、英語の単語を発音する際、重要であることは明白であろう。日本には、「英語には日本語にはない音が存在する」「英語は発音が大事」などと声高に叫ぶが、どうやってその音を調音するかという肝要なことは教えていない高校も存在するようだ。しかし、調音方法を知らずに第一言語に存在しない音を発音しろというのは不可能と言っていい。IPAを学ぶ際には必然的に音声の調音方法を体系的に学ぶことになる。したがって、フィーリングではなく理論に基づいた音声の発音が可能となる。
* [http://www.coelang.tufs.ac.jp/ipa/index.php IPAモジュール]
* [[w:子音|子音]]
* [[w:調音部位|調音部位]]
* [[w:調音方法|調音方法]]
* [[w:母音|母音]]
* [[w:国際音声記号|国際音声記号]]
* [[wikipedia:IPA_vowel_chart_with_audio|母音のIPAとその発音]]
* [[wikipedia:IPA_pulmonic_consonant_chart_with_audio|子音のIPAとその発音]]
* [[w:英語学#%E9%9F%B3%E5%A3%B0%E3%83%BB%E9%9F%B3%E9%9F%BB%E5%AD%A6|英語の音素]]
== 参考書と辞書と単語集が基本 ==
高校英語の検定教科書は授業で教師が解説するのを前提にしているため独学用には作られていなません。
なので、予習復習や独学や受験準備などは教科書では無理です。なので、受験準備などのために教科書とは別に高校レベルの参考書や単語集が必要ですので、早めに購入しておきましょう。
たぶん、普通の高校なら、単語集なども購入させられると思います。もし学校で購入を指定されていなくても、まずは高校基礎と高校中級レベルの単語集を購入しましょう。
実際の検定教科書を見てみると、高校1年向けの検定教科書で、もう高校3年向けの4500語レベルの単語集にある単語が紹介されていることもあります。
とはいえ、さすがに高校1年で4500語レベルまで習得するのは困難です。
そこで普段の家庭などでの勉強では3000語レベルまでを勉強しておいて、検定教科書を読んでて単語集で見当たらない語があれば、そこだけ辞書に頼るのがラクでしょう。ただし既に単語帳で覚えた単語も用法が不明瞭ならば辞書を引くと良いであろう。単語帳は意味は載っているものの、用法は詳しく載っていないことが多いからである。また、少しは辞書の使い方も練習すべきです。
ともかく、高校では単語集がないと、まともに英語を勉強できないだろうと思います
検定教科書は入試対策本ではないので、大学受験を考えている人は、英語の勉強では検定教科書ばかりに深入りしすぎてはいけません。
ともかく、大学受験対策は、あくまで市販の参考書と辞書と単語集などで行います。
== 大学入試に出づらい分野など ==
=== 教科書の学習目標を真に受けないように ===
高校英語の学習指導要領などが掲げている目標の中には、高校生には荷が重い目標もあります。
検定教科書の英語表現IIの実物を見比べると、どうも英語でのプレゼンテーションなどが指導要領などで目標に掲げられているようですが、しかし正直、高校生には英語プレゼンテーションは荷が重いでしょう。英語以外の教科の学習を考えると、高校段階では外国語でのプレゼンテーションの習得は非現実的です。
高校英語のプレゼンテーション単元も、中学英語の留学生との会話の単元などと同じで、実際の多くの高校の教育現場ではそれを実行できる場面はまずないかと思います。
2022年の時点では、文科省の英語教育の目標が、かなり高負担な内容ですので、大学入試の傾向とは検定教科書の傾向は、差が大きいかと思います。
昔から教科書と受験英語との間には差がありましたが、とくに近年、上述のように教育目標の負担増の理由で、入試との差異が大きくなっているだろうと思います。なので大学受験を考える人は、教科書の勉強だけでなく、うまく学習スケジュールを自己管理する必要があるでしょう。
=== 自己意見の英作文は入試に出ないところもある ===
足きりのある大学(たとえば国立大や医学部など)でないかぎり、採点の手間があるので一般入試では数十語もある英作文は出されない可能性が高い、実態があります。
さて、昨今の教科書では、日本のことを英語で説明する課題がよくあります。検定教科書にあるので、いちおうは新共通試験などの出題範囲ではあるわけですが、やはりこれも大学入試の出題傾向の兼ね合いを考える必要があります。
難関大学の入試で要求される単語は、抽象性の高い単語、または学術的な単語などです。
=== スピーキング ===
英語スピーキングは、大学入試では採点の手間があるので、一般入試ではスピーチの実施はされない。もし入試でスピーチングをやるとしたら、せいぜい、受験者数が比較的に少人数に限られる推薦入試でしょう。
また、英検3級以上ではスピーングの試験がある。英検などの英語系資格を取っておくと入試でいくらか優遇される場合があるので、そういったものを使いたい人にはスピーキングの勉強をする必要がある。
== 教科書ガイドを購入するほうがいい場合 ==
教科書ガイドを買わなくても高校英語は勉強できるのですが、色々な理由により、教科書ガイドがあると効率的です。
英語教師のなかには低能な教員もいて、宿題などで、数学など他教科の予習復習の時間を無視して、毎週のように「辞書で教科書の英文の意味を調べてこい」などと、英語科目の事しか考えずに宿題を出す人がいます。
特に英語は、文系大学の志望でも理系大学の志望でも活用するため、教師がうぬぼれていて傲慢な場合があります。
このような英語教師の場合、もし教科書ガイドがあれば、辞書で調べる時間を、大幅に減らせることができます。教科書ガイドによって、空いた時間を活用することができ、単語の練習など、より本質的な勉強ができるようになります。
ただし、ガイドには、あまり細かい答えまで書いてありません。中学までの教科書ガイドとは違います。
== 英語勉強法マニアにならないように ==
ここに描かれた勉強法を覚えるよりも、まずは、とにかく、3000語レベルまでは英単語の習得のほうが重要です。勉強法マニアになっても、語学では価値がありません。勉強法を調べるよりも、実際に勉強してください。
とくに英語教育についての評論では、多くの評論家が英語教育を評論したがるし、また市販の英語教材などでも英語教育のノウハウをうたっている商品も多いですし、中には英語が苦手なのにウサンくさい勉強法(自称)を掲げる人も多くいるので、あまり勉強法そのものに深入りしないようにしてください。
勉強法に迷ったときにだけ、市販の参考書などに書かれた信頼できる勉強法などを参考にしてください。
== 単語 ==
まず、単語数3000語あたりの中級レベルを謡っている英単語集を1冊買いましょう。
初級レベル 1700~1800あたりのものは、これは一応高校レベルの単語も紹介していますが、ほとんどの単語が中学レベルなので、当面は読む必要がありません。
また、初級レベルの単語集のうち、中学で習わない可能性の高い単語は、中級レベルの単語集にも書いてあるので、わざわざ初級レベルを買う必要がありません。
さて、単語集の使い方は、赤シートを使って英単語の和訳を隠して、英単語のイメージを思い浮かべてから、その英単語の和訳を見て自分が思い浮かべたイメージと合致するか確認してみたりして、もし合致していたら次の単語へ、一方もし合致していなかったらチェックをして次の単語のテストを行う。これを1~2回もすれば英単語を覚えています。
中学単語については、意味のほうで中学では習わなかった意味がある可能性があるかもしれないので、そちらに注目してください。参考書をつくっている会社は、そうなるように工夫して参考書を編集しています。
=== 学習の優先順位 ===
もしかしたら、英語の単語を覚える作業は文法等の勉強をすることよりも大切なことかもしれません。
市販の学習ノウハウ本でも、高校英語および大学受験英語では、英単語力が決め手になると主張されています<ref>船登惟希 『改訂版 高校一冊目の参考書』、KADOKAWA、2019年3月18日120ページ</ref>。
英文読解で、もし単語の意味が分からないと、せっかく文法の知識があっても、理解できない文も大学入試では多くあります。また大学入試では、暗記を要求される単語数が、ずいぶんと多くなります。
もっと言えば、単語という基礎があってこそ覚えた文の組み立て方が生きてくるのです
大学受験の標準(おおむね4500語レベル)~やや発展レベルまでの単語であれば、単語はいくら覚えても損はありません。学校で教えてもらう英単語だけで満足しないでください。近年では様々な出版社から英単語帳が出ています。
=== 英単語集の選び方 ===
==== 基本の要求事項 ====
===== セットになる別単語も必要 =====
高校レベルでは、新しい単語の意味を覚えるときは、単語の日本語の訳の字面だけを覚えても不十分です。
いくつかの予備校の単語集には英単語の勉強法も書かれており、どれを見ても大抵、「新しい単語の学習では、一緒につかう単語とセットで覚えろ」といった内容が書かれています。
動詞も同様、セットになる名詞と一緒に練習するべきです。もっとも、普通の市販の単語集なら、そういうセットになる単語も書かれているので、市販の単語集で勉強すれば問題ありません。
進出単語がセットでなくても覚えられるのは、せいぜい中学の前半までです。高校ではもう、単語を1語ずつ単独でバラバラに勉強するのは、やめましょう。
しかし、ネット上の英語勉強サイトには、サイト作者・企業の手抜きからか、日本語の訳だけを羅列したような低品質なサイトもあります。まったくネットは参考になりません。きちんと市販の単語集を買いましょう。
===== 類義語や対義語、例文など必須 =====
まず、単語の学習では、けっしてヤミクモに多くの単語を覚えるのではなく、類義語や対義語との違いなども把握しなければなりません。そのため、例文なども交えつつ把握しながら勉強する必要があります。
なので、例文などの少ない単語集は、少なくとも高校基礎レベルとしてはアウトです。
==== 結局どうすればいいか ====
高校生向けの参考書は、セット語彙や類義語・対義語の紹介の必要性など、そういう事をきちんと理解しているので、とりあえず高校生むけの単語集を買えばとくに問題はないのです。
しかし、高校生向けではない市販の英検対策やTOEFL対策本などの資格本の中には、単語を多く掲載したいあまりに、例文や類義語などを省略ぎみの単語集も(英検対策本などでは)多くあります。
なので高校生は、英検対策ではなく、まずは高校生向けの単語集を買いましょう。1社の単語集しか使わないと例文がどうしても不足するので、少なくとも4500語レベル付近では1社だけでなく2社以上が必要です。
==== 英検などは後回し ====
現代では、高校の教科書レベル自体、上がっています。昭和の後半や平成の初期は、今で言う3000語レベルが、高校卒業レベルでした。
しかし、令和の今では、4500語レベルが、高校卒業レベルです。
なので本来なら、時代が大きく違えば、英検の級の数値は比較の参考になりません。つまり、年月とともに資格試験で保証された知識は、少しずつ錆びていくのです。
英検などを受けたいなら、高校生向けの単語集を買って習得したあとなら、必要に応じて英検対策本などを買うのは構いませんが、しかしいきなり最初から英検対策本などを買うのは失敗の道です。
なお、もし英検を参考にするなら、準1級までを買えば十分でしょう。
なぜなら、難関大の過去問から構成される桐原5500と英検1級の単語集とを比べてみましたが、傾向がだいぶ違っています。
==== 英単語集のパターン ====
英単語集には、主に2パターンあって、
:・ パターン1: 単語を分野別にまとめているパターン(たとえば「旅行」の意味の単語なら、trip と tour と travel をひとつのページにまとめていたりする)の英単語集
と、
:・ パターン2: もうひとつのパターンとして、入試出題の頻度順に統計的に並べた英単語集
があります。
初めて高校英語を勉強する場合は、とりあえず、'''分野別に単語をまとめたパターンの参考書のほうが、使いやすい'''と思います。
なぜなら、分野別の単語集のほうが、類義語や対義語なども、まとめて勉強できるからです。
いっぽう、入試出題の頻度順に統計的に並べた単語集は、高校後半~高校3年からの仕上げなどで用いるのが効果的でしょう。
さて、分野別に単語をまとめたパターンの英単語集で勉強する場合は、レベルが「中学3年〜高校初期」「高校必修」「共通テスト」「二次試験」と何段階に分かれていたりしますが、とりあえず、高校1年の時点で、「高校必修」レベル(3000語レベル)と「共通テスト」レベル(4500語レベル付近)の2冊を買ってしまってください。
高校必修レベルの単語集を買えば、その単語集で中学レベルの復習もしますので、わざわざ中学レベルの復習をふくむ単語集を買う必要はないのです。
自分で単語集を予習する際は、次のペースで予習します。「全部覚える」ではなく「全部勉強する」がポイントです。
:・ 高校1年: 「高校必修」レベル(3000語レベル)〜「センター試験」レベル(4500語レベル付近)の単語を高校1年の終わりまでに全部勉強する。
:・ 高校2年: 「センター試験」レベル(4500語レベル)の単語を高校2年の終わりまでに全部勉強する。
:・ 高校3年: 「二次試験」レベル(4500語レベル+アルファ)の単語を高校3年の2学期の終わりくらいまでに全部勉強する。
これとは別に単語集がもう少し必要ですが(入試用単語集を1~2冊)、まずは上記を出来るようになってください。
注意点として、学校から配布されるような東京書籍や桐原の基本的な単語集は(ただし桐原の灰色のヤツは難関大用なのでのぞく)、高校2年のうちに終わらせる必要があります。
つまり、高校1年のあいだに、予習をして、「高校必修」(3000語レベル)およびレベルの単語集を、ひととおり書き写して、勉強してしまう必要があります。(覚えられるかどうかは別として。) 4500レベルまでいければ理想ですが、それが無理でも必ず高校1年のあいだに3000レベルを終わらせてください。「終わらせる」とは「7割ほど覚える」という意味です(英語以外の教科も考えて、この数字)。これが終わらせられないと、大学受験の現役合格は難しいでしょう。一見するとハイペースですが、実は後述のように中学で習う単語が3000レベルには多いので、意外とラクです。
また、「全部覚える」ではなく「全部勉強する」とありますが、その単語の100%の単語を覚えられなくても70%を覚えたら、次学年の単語集を1回だけ全単語を学び始めてください(たとえ新単語を1回の書き取りで1周しただけでは30%しか覚えられなくても、もし新単語に1000語も触れたら合計300語を覚えられるから、そっちのほうが最初は効率的だからです)。
この、最初に1冊の書き取りをさらっとする勉強法は、他教科たとえば数学では通じない勉強法かもしれません。数学では公式だけでなく応用力なども問われるからです。しかし英単語はそういうのではなく、ほぼ単なる暗記なので(米英なら幼児・児童でも分かる程度の理解力で十分)、なので単語集をさっさと1冊、一周したほうが効率的に覚えられるのです。
さて、いまの単語集を7割ほど習得したら、次学年用の新単語集を購入して1回書き取りだけで一周しつつ、並行(へいこう)して、現学年用の単語集の完成度を上げていき100%に近づけていきます。
特に、高校2年用の単語集は、入試でも基本的な運用力を問う問題として狙われやすいので、それも押さえておきましょう。裏を返すと高校1年用の単語集は、これは例外的に高校受験で狙われやすいもの以外は深入りしなくても良いでしょう。
高校必修レベル(高校1年レベル)には、中学校できちんと5教科を勉強していれば、読みがある程度は身についているハズの単語が、多いのです。
なので、さっさと高校必修レベルをひととおり練習して終わらせてしまい、次ステップの「センター試験」レベルに時間を掛けたほうが得です。
なお、高校によっては、高校3年になっても「センター試験」レベルの単語集までしか、高校3年の英語の授業では扱わない場合があります。
なので、'''授業とは別に、自分で単語集を予習する必要があります'''。
では、なぜ、上記のスケジュール(「高校必修」レベルの単語を高校1年の終わりまでに全部勉強するスケジュール)のようにするのが合理的かいうと、最終的に高校卒業までに(つまり高校3年の終わりまでに)、「二次試験」レベルの単語集(4,500語+アルファ)を終わらせる必要があるので、そこから逆算して、高校2年の終わりまでに「センター試験」レベルの単語集を終わらせる必要があります。
なお、新共通テス・旧センター単語とは別の大学受験単語の傾向では、早稲田大など一部の難関大と、国公立との傾向が違います。(wiki追記: 例外として東京外語大(国立)や英文科などを除けば、)平均的な地方国立大よりも早稲田大のほうが英単語が難しいです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=E-U8m3en_E0 『英単語暗記必勝法!今こそ苦手を克服せよ!』 2022/12/13 ]</ref>。理系の人は、そういう早稲田みたいな難関大の英単語を相手にしてはいけないというか、仮に購入したとしても、けっしてその難関大用の単語集の全単語を覚えようとしてはいけません。
さて、高校2年の終わりまでに、4500レベルつまり「センター試験」レベルの単語集を終わらせるためには、逆算すれば、高校1年の終わりまでに3000レベルの「高校必修」レベルの単語集を、勉強してしまう必要があることが分かります。
そうするためには、普段からの予習も必要です。
また、もし「今読んでいる章を完全に覚えてから、次の章に進む」などというふうに勉強していると、特定の分野の単語ばかりを覚えることになってしまい、入試に対応できません。特に、学校で、このような分野別にまとめられた英単語を用いている場合に、気をつけましょう。
また、現代の高校英語の単語の紹介順序は、もはや学年別になっていません。高校1年の検定教科書でも、すでに3000語レベルの単語や4500語レベルの単語も平気で紹介したりしています。
現代の検定教科書がそうだということは、現代の入試もそうだという可能性があるということです。なので、あまり単語集の最初のほうばかりに詳しくなっても、現代ではあまりメリットがありません。
また、予習をしないと、たとえば学習ペースの配分ミスを起かしやすく、たとえば高校3年の終わりごろになって、やっと桐原4500語・東京書籍4500語レベルにしか到達できずに、そのため高校3年終わりの時点では「二次試験」レベルに対応したプラスアルファの単語集(旺文社や、予備校系の単語集)に到達できずに、志望校に不合格になってしまうような、ペース配分の失敗を起こしやすい原因にも、なります。
なので、とにかく、予習をして、単語集の先のほうへと進んでいくのが、合理的な勉強法なのです。
==== 予備校系パターン ====
単語集にはさらに、「論理性重視で解説が多めの単語集」と「単語が多めの単語集」があります。
で、桐原・東京書籍・旺文社は、実は単語が多めの単語集です。
高校単語の範囲は広いので、少なくとも4500語レベルについては、まずこの3冊のうちの2冊が、受験までに、ほぼ必須で必要です。
しかしこれだけだと、論理的な知識が不足します。桐原などの単語数が多めの単語集などでは、スペース不足などの都合で解説できない知識が、いくつもあるのです。
そういうのを、予備校などの補足的な単語集で補う必要があるのです。だからもう高校2年の半ばあたりから、予備校系の単語集も読み始めてしまうのも、良いかもしれません。
ですが、あくまで予備校単語集「も」です。基本はまず、桐原・東京書籍・旺文社のような、高校英語を一通りカバーしている単語集をベースにするべきでしょう。
==== 2社目の単語集が必要 ====
単語集は、1社だけでは対応できません。たとえば東京書籍を使っている場合、東京書籍の単語集には例文が書いてある用法でも、桐原の単語集には例文が書いてない用法もあります(例文なしで意味紹介のみ、という場合がよくある)。同様、桐原の単語集にはあるのに東京書籍にない用法もあります。
この問題に対応するため、高校2年になってからは、たとえば東京書籍を使っているなら、もう一つ別の会社の単語集'''も'''使いましょう。何を使うかは、個人の判断に任せます。しかし、何を使おうが、1社だけでは太刀打ちできません。(昭和の昔なら、ここまで考えなくても大丈夫でした。まだ高校2年生は、昭和なら単語集は1社だけでオッケーだった。しかし令和だと事情が違います。)
実際、塾・予備校などでも、高校で良く買わされる単語集(東京書籍や桐原)とは別の単語集・熟語集をもう1社ぶん買い与えるのが基本であり、受験生は結局、2社の単語集・熟語集を使うことになります。別に東京書籍・桐原のもう一方でなくとも、予備校系の単語集でも良いし、あるいは旺文社ターゲットなどでも構いません。とにかくもう1社ぶん、必要です。
別に2社の単語集を読み比べる必要はありません。新聞のメディアリテラシーの練習とかじゃないので。、
また、一応、単語集のレベルに応じて、上級レベルの単語帳で、過去に下級レベル単語集で習った単語の新しい別用法を教えることもよくあります。なので、東京書籍でも桐原でも、まずは1社ぶんを全部やるのも必要です。どちらかをメインにすると決めたほうが良いでしょう。
高校1年レベルの単語集(3000語以下)はもう1社目では仮に省くとしても(なお、省かずに1周しても構いません)、それでも高校2年次以降の単語集で、もう1社ぶんが必要になってしまいます。このため、どうあがいても単語集だけで最低もう2冊は(2年生の4500語レベル単語集と、やや難関大用の単語集で、合計2冊)、これが平均的な私大に一般受験するのでも必要です。
昭和の昔なら1冊だけで十分だったかもしれませんが、しかし令和は入試の単語が増えたので、そういうわけにも行かなくなりました。
また、上記と関連して、新共通テストも3000語レベルとされていますが、実際には4500語レベルの単語も新共通テストに出てくると思われます。なぜなら上述のように、3000語レベルと4500語レベルの単語に明瞭な境界線は無いからです(さすがに5500語レベルとか7000語レベルとかを要求する事は新共通テストでは出題が無いというだけです)。少なくとも20001年ごろの旧センター試験の時代、学校で渡された3000語レベルの単語集をこなしていてもセンター対応できない受験失敗例もよく聞かれました。(当時、センター試験の出題傾向について上述のような問題が知られていなかったので、進学校でも今でいう3000語レベルしか対応しない高校もよくあった。)
:※ なお、説明の都合上、2001年ごろについても「3000語」レベルとか言いましたが、実際には単語数の算出基準が変わっており、現在の単語数の数え方には一致しません。
=== 単語の練習法 ===
かといって、いきなり高校1年で入試対策レベルの単語集を使っても効率が悪いので、まずは基礎レベルの単語から始めるのが良いでしょう。
読解練習や文法練習よりも先に、単語力を増やす練習が大事です。熟語集の暗記よりも先に単語集あるいは単語・熟語集の暗記を優先してください。
英単語を勉強する際、まず最初は、なるべく早く、その単語集の全体の単語と例文を書き終えます。もちろん、それだけでは全部の単語は覚えられませんが、そのほうが次の理屈で効率が良いです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=E-U8m3en_E0 『英単語暗記必勝法!今こそ苦手を克服せよ!』 2022/12/13 ]</ref>。
たとえば1000語ある単語帳を2週間ですべて単語と例文をそれぞれ1回だけ書き写したとしましょう(実際は他教科もあるので無理かもしれないが置いとく)。
たとえ3割しか覚えられなくても、なんと計算上、300語もの単語(=1000×0.3)をたった2週間で覚えられます。たった1周するだけで良いのです。というか、むしろ、けっして3回や5回も書き写すのではなく、最初はたった1回のほうが良いのです。
もしこれを同じ期間に100個だけ限定して熱心に難度も読み書きして覚える方法をすると、たとえ仮に100%覚えたと仮定しても、計算上は100語までしか覚えられません。まして実際には100%は無理でしょうから、よくて80%を覚えて、80語ていどでしょうか。
よって、先に単語集の単語を、たとえ覚えられなくても良いので、全部の単語を書き写すほうが効率が良いのです。
じっくりと何度も読み書きをして確実に覚えるのは、そのあとからです。
入試の現状で、どの教科も覚えることが増えて時間が無いのに、英語では多くの単語を覚えないといけないので、こういう工夫が必要です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=E-U8m3en_E0 『英単語暗記必勝法!今こそ苦手を克服せよ!』 2022/12/13 ]</ref>。
また、参考サイトには書いてないですが、とにかく早めに単語を学ばないと、いつまで経っても英文読解の勉強を始められません。よって、高校入学後の割と早い時期や、および高校2年の初めごろに、まずは、それぞれの学年にあった単語集の単語を一通り通読する必要があります。
高校や塾などの小テストで週に50語~100語とか覚えるのは、それはそれでヤレバいいのですが、それとは別に、単語帳を1周、ぜんぶ早めに書き写すのです。
大学入試では、高校入試と違って、国公立の大学ですら、理系の高校生などを無視した、教科書レベルをやや超えた難単語を平気で入試に出してきます。このため、とにかく上記のような工夫が必要です。
標準レベルの3000語レベルの単語が高校2年あたりでひととおり終わったあたりから、桐原・東京書籍の4,500語に加えて予備校など受験対応の単語集も買って練習します。まだ、平均レベルの単語集を覚え切れて無くても構わないので、受験レベル(4500~5500)の単語集を勉強します。
学生・受験生の勉強科目は、数学など、英語科目以外にもあるので、大変でしょう。ですが、うまくスケジュールを工夫して時間を作ってください。
さらに単語を定着させるためには、英文読解やリスニングなどの単語以外の他の練習もします。
=== 単語集のレベル別の利用法 ===
==== 初級レベル(1700~1800語)はまず不要 ====
中学できちんと勉強してきた人なら、初級レベル(1800語)レベルの 単語集には、高校生には不要です。これは、どちらかというと中学3年~高校受験用のものです。
普通に受験勉強をしてきて偏差値48以上ぐらいの人なら、1800語レベルは買う必要はありません、。
本屋で表紙を見ると「高校基礎レベル」とか書いてあるかもしれませんが、ウソではないですが誤解を招く表現です。表紙の宣伝文句は信用しないでおくのが安全です。
この1700~1800語レベルは、おおむね英検3級レベルか、それに毛の生えた程度です。英検3級と英検準2級との間には、かなり難度の開きがあるので、このレベルの教材は英検教材コーナーにはないので、これはこれで1700~1800語レベルは出版・販売されてると便利です。
この1700~1800レベルの後半を見ると、中学で習わない単語も書いてありますが、しかしそれを買わなくても3000語レベルにも同様の単語が書いてあります。
たとえばある1700レベルの単語集で injure (けがをする)という単語を見つけましたが、同じ出版社の 3000語レベルでも同じ単語がありました。
わざわざ初級レベルの単語集で練習しなくても、中級(3000語レベル)の練習での例文の書き取りなどのついでに、自然と初級レベルの単語のスペルも身についていきます
なお、初級レベル(1700~1800)の単語集の中に書いてある「高校1年 基礎レベル」みたいな難度の情報は、あまり信用してはいけません。(実際に買ってみて読んで確認しました。)ある単語集でそのレベルの単語を確認したら、いくつも中学レベルの単語がありました。 year (年)とか month (月)とかの中学で習ったはずの単語が、「高校1年 基礎レベル」になっていました。
どうしても1700~1800語レベルを活用するなら、どっちかというと単語練習よりも、高校受験のレベル確認用と言うか、「高校受験の終わり~遅くとも高校1年の1学期の終わりまでには、大体この程度の単語は出来るようになって欲しい」といった確認のためのツールでしょうか。
==== 3000語レベル ====
===== 基本 =====
特別な事情がないかぎり、高校生は3000語レベルから単語集を勉強すると良いでしょう。
いきなり3000語を使うのは中学と高校の橋渡しに不安かもしれませんが、しかし出版社側が3000語レベル本の冒頭の第1章で、中学単語の復習およびそれを高校の視点で理解しなおす勉強をしてあります。桐原と東京書籍のどちらとも3000語レベルの本の第1章は、そういう中高の橋渡しのための単語の紹介です。
逆に、4500語レベルの本には、そういう橋渡しが書いてないので、高校1年では4500語レベルは不適切です。
* スペル暗記の対象について
スペルの暗記について、実は中級の単語であっても、すべてを暗記する必要はないし、すべてのスペル暗記は面倒です。優先して覚えるべき単語は、知的レベルの高い単語です。
また、東京書籍『コーパス』シリーズの単語集の前書きを見てみると、実は3000語レベルは「受信語彙」としており、つまりリーディング用の語彙にすぎず、受験の英作文などでは高校新出単語の多くは基本的に用いないことを想定しています。
受験では短時間に英文を書かないといけないので、中学レベルに毛の生えた単語力に、若干の高校中級レベルの単語を加えて、それで英作文を完成させれば十分なのです。もちろんビジネスの仕事の英文とは違いますが、そういう実務の英作文はそういう専門家の大人にまかせればいいのであり、高校生には関係ないです。
東京書籍の意見ではないですが、具体的に単語例を挙げて説明するなら、たとえば respond「応答する」 と nod 「うなづく」だったら、respondのほうを優先してスペルを覚えなければなりません。
なぜなら、respond のほうが名詞形の response などもあり、応用が多く、意味も広範であり英作文などで使わざるを得ない可能性が高いからです。一方で nod のほうの用途は、誰かがうなづく場面どまりです。また、ノッドの名詞形や形容詞形はないと思います。
また、nod はビジネス英語などでも agree 「賛成する」で言い換え可能です。入試の英作文ですら、ほとんどの場合は agree で十分でしょう。
この nod のように、利用価値の低い単語は、スペル暗記は後回しです。せいぜいリーディング用に「そういう単語もあるんだなあ・・・」と知っていれば十分です。
実は中堅私大や地方国立の英文の単語は、学科によっては案外センター試験ほど難しくない場合もあります。
さて、残念なことに、高校の単語集あたりから、だんだんと英語教育の質が形骸化しており、単語集がやみくもに単語数を多く紹介したいあまりに説明不足になってきています。
たとえば中級単語で content (満足する)という形容詞があるのですが、じゃあ satisfied (満足する)とどう違うのかは、単語集には書いていません。なぜならcontent は中級レベル、satisfied は初級レベルの単語なので、本を別冊にまたいでしまうからです。こういう縦割り教育なのが現状です。
辞書で content を調べるような思慮深い人は、他の単語を覚える勉強時間が不足してしまうので入試では不利になってしまうわけです。ひどいもんです。
* 2冊買うべきかどうか
3000語レベルの単語集(桐原『データベース3000』や東京書籍『コーパス3000』)については、2冊そろえるべきか1冊に集中すべきか、判断が分かれるでしょう。実際に各自が単語集を読んでみて判断してください。べつに2冊あっても構いませんし便利ですが、他の教科の勉強などもあるので、難しいところです。
旺文社の『英単語ターゲット1200』も、中級レベルでしょう。
あるいは、2冊そろえれば例文の数が単純計算で2倍になるので、辞書でいちいち高校レベルの例文を探す手間が減りますので、2冊目の単語集にはそういう活用法もあるかもしれません。あるいは、問題練習とかの手間を2冊目の単語集で減らせるかもしれません。
このように2冊目の単語集は便利かもしれませんが、しかし目的が上級レベル(4500~5500語)と中級レベル(3000語)では違います。
まあ各自がどうするか判断してください。
なお、東京書籍『コーパス3000』は、数字だけ見れば桐原『データベース3000』と同じですが、しかし東京書籍のほうで3000語レベルのもの(たとえばinjure)が桐原の4500語レベルに書いてあったり、あるいは別の単語ではその逆で桐原3000レベルの単語が東京書籍4500語に書いてあったりと、あまり分類は明確ではありません。
===== 3000語の語法は初めは深追いするな =====
偏差値の低め~平均程度の大学のなかには、4500語レベルの単語をあまり出さない代わりに、3000語レベルの範囲の単語で、やたらと細かい語法を要求する問題もあります。
しかし、4500語レベルや5500語レベルも勉強する一方で、いつまでも3000語の語法ばかりを覚え続けるわけにもいきません。
だから勉強法としては、極端なことを言えば、3000語の語法を熱心に練習するよりも先に、まず4500語レベルの単語集で一通り、単語の訳を暗記したほうがマシです。
実際、入試問題にも、そういう傾向もあります。
文系私大の偏差値50前後の平均的な大学が3000語レベルの細かい語法を4択問題などで聞いてくる一方で、文系私大の偏差値60くらいの大学のある出題が、4500語レベルで単語の和訳の丸暗記だけで4択問題が解けてしまう、といったような出題事例も少なからずあります。
==== 上級レベル(4500~5500)の単語集について ====
===== 原則 =====
もし大学受験を目指しているなら、高校3年くらいになったら、4500語+アルファの単語集にステップアップします。ここでいうアルファは、予備校などの出している、補足的な単語集です。
いっぽう、桐原の5500語レベルの単語集は、あれは志望校などの傾向の確認用などで、辞書的に使うものです。
桐原5500をメインにするべきではありません。桐原4500語または東京書籍4500語を一通りクリアしたのなら、メインの単語集としては旺文社1900または予備校系の単語集に入るべきです。
5500語レベルの単語集の使い方なのですが、かなり難しいです。ここでいう5500語レベルとは、桐原『データベース5500』を想定しています。
旺文社の(1200ではなく)『英単語ターゲット1900』は、実はやや高レベルです。東京書籍4500・桐原4500にはない単語でも、旺文社1900には記述されていることもあります。なお、それらの単語の元ネタは、受験過去問もありますが、じつは英検2級~準1級あたりです。
旺文社のは、数字の小ささにダマされてはいけません。桐原や東京書籍の数字とは、旺文社の数字は意味が違います。
桐原4500はその装丁の厳めしさなどに比べて、実はやや単語のレベルは控えめです。東京書籍も桐原のスタイルを踏襲しているような所があり、やや控えめのレベルです。
だから旺文社は、派生語などで、桐原・東京書籍が紹介してない単語をポンポンとたくさん紹介しています。
このため、現代でも勉強法としては、「まずは高校2年の終わりまでに東京書籍または桐原の出している高校用参考集をベースに勉強。高校3年あたりで旺文社のレベル高めの単語集を買い足して勉強する」といった感じになるでしょうか。
4500語レベル単語集では、桐原と東京書籍のどちらの単語集でも不足です。なぜなら、単語集1冊だけでは、例文不足かつ解説不足により、あまり役立ちません。なので少なくとも上級レベルだけ、出版社を変えて2冊、必要でしょう。東京書籍4500+旺文社1900にするか、それとも桐原4500+旺文社1900にするか、判断は読者に任せます。
具体的に単語をあげて説明すると、たとえば「限定する」という意味のrestrict と confine、ともに似たような意味ですが、単語集には意味の細かい違いは書いていないか、書かれていても強調されていません。
桐原の単語集だとこの2つが類義語だという情報はあるのですが、しかしニュアンスの違いが説明不測です。
一方、東京書籍および旺文社だと、restrict を「制限する」の意味で説明しているのでニュアンスの違いは分かりますが、しかしconfineと類義語である情報が欠落していました。
さてconfine のほうが、「地理的に制限する」=「閉じ込める」のような意味合いが強いのですが、旺文社の単語集だと「閉じ込める」の意味もあるのですが、しかし桐原の単語集にはそこまで書いていないのです。
かといって東京書籍のほうには、confine の「限定する」の意味が書かれていません。
また、restrictは(限度内に)「制限する」という意味もあります。むしろ、こっちの意味で紹介している単語集もあります。
どちらの単語集を使うにも、例文が不足しており、ひとつの単語集だけでは意味がまったく分かりません。困った教育状況です。本来なら入試に出題する単語を減らすなどして理解を深めさせるべきでしょうが、しかしそういった教育が出来ていないのが日本の現実です。
それでも、まだしも大学受験用の単語集は、なんとか教育効果を高めようとした形跡も見られるのでマシです。なので、単語集を2つ組み合わせると、なんとか役立ちます。一方、TOEIC 高得点用の教材とか英検の1級あたりの教材の単語集とか、やたらと単語数を多くしているばかりで、ひどいものです。(資格本の活用法については別セクションで述べる。要点:出題傾向を把握する目的だけに英語資格本を使う。)
なお、桐原の場合、紹介する単語数そのものは旺文社などと比べて減りますが、その代わり、桐原の密度の高さが長所であり、桐原では他の単語集には無い語法などを紹介しているなど、単語1つあたりの情報量が桐原では増えています。なので、桐原の単語集も油断はできません。
一見すると、桐原の単語の項目のひとつずつの情報量は多くないように見えますが、しかし、桐原では別ページの紹介単語を用いた熟語をまとめたページなどがあるので、それを含めると桐原の単語ひとつあたりの情報量は多くなります。
かといって高校生としては、英単語集ばかりをそう何社も比較して勉強するのは無理でしょうから(数学など他教科の勉強も必要だし、英語の勉強も単語以外にも読解練習やリスニングなど多々あるので)、受験では結局、すべての単語は覚えきれない状態で挑むことになるでしょうか。
大学受験もその後の資格試験も、けっして満点はとる必要は無く、人生の目的に必要な志望校などの合格最低点を上回って合格さえ出来ればいいのです。
別に大学受験の英語に限った話ではないですが、大学受験において、平均以上の大学の入試では満点をとるのは基本的には困難であり、普通は満点は無理です。小中学校の校内テストと事情が異なります。
===== 4500語以上のスペルは実は覚えなくていい =====
実を言うと英語のスペルの暗記については、4500語レベルおよびそれ以上のレベルの単語のスペルは、まず覚える必要が低いです。
なぜなら英作文や和文英訳であまり使わないからです。
また、桐原5500や、東京書籍4500の後半部の単語などは、実はもうその1~2回のスペル練習すら、しないでも済むのです。おおよそのスペルと用法のイメージを頭に入れれば十分でしょう。
また、グローバル人材の育成などを目指す大学ならば、英作文などを要求してくると思いますが、だったら英作文で使うようなレベルの中級英語(4500)で十分なのです。むしろ、4500語レベルですらスペルミスなく習得していたら、かなりの勉強家です。
ましてや5500語レベルの単語については、読解問題で出題されたときに意味を把握できればいいのです。
仮に、桐原5500語レベルの単語のスペルを暗記させる問題を出す大学があっても、どうせ他の現役受験生の多くも解けない問題なので、実質的にスペル暗記は5500語レベルでは無視していいでしょう。
一部の浪人生で文系専願の人なら解けるかもしれませんが、難関大を目指して4浪だの8浪だのしている連中と、現役生は張り合ってはなりません。
TOEICなどの国際的な資格試験では普通、書き取りをしません。なぜなら採点の手間の都合で、TOEICでは選択問題ばかりです。大学側が入試で入学後のTOEIC対策などを考えた出題をしたとしても、スペル対策はもはや不要なのです。
英検でスペル暗記を使うかもしれませんが、しかし英検は日本でしか評価されません。
桐原5500は論外として、
正直、時間的に現役高校生が、桐原『データベース4500』と東京書籍『コーパス4500』または旺文社『英単語ターゲット1900』を使いこなすレベルにクリアするのですら、高校3年間では少しキツいと思います。たぶん多くの高校生は予想では3年生のときに「上級レベルの単語集の用法や用例を覚えている最中に、時間切れで、高校3年の卒業式を迎える」という結果になると思います。なぜなら、このレベルで、急に単語を覚えるのが難しくなるからです。かといって中級レベルまでしか勉強しないと、卒業後の実務のリーディングにも不便なので、上級レベルを高校3年で教えるのにも意義のあることなので、教育者には悩みどころなのでしょう。
なので勉強法としては、4500語レベルをクリアできなくてもいいので、ある程度の勉強をしたら、予備校などの出しているレベル高めの単語集をいくつか買います。
諸般の事情で、東京書籍・桐原・旺文社が紹介していないが、高校生に勉強してほしい定番の単語みたいなのがあって、そういうのが予備校系の単語集で紹介されています。
==== 予備校の単語集は何をしているか ====
歴史的な事情で、今の4500語レベルの単語集には書かれていないが実は昔の1990年代ごろまでの高レベル単語集には書かれていた単語があります。
そういう単語が、難関大学で狙われるかもしれません。
旺文社1900や桐原・東京書籍4500語にない単語の正体のひとつは、そういう昔の課程の単語です。
で、それが予備校系の単語集の元ネタのひとつでもあります。
東京書籍・桐原の3000語レベルや4500語レベルで旅行会話のような実用英語が増えたりビジネス英単語などが増えたので、昔なら4500語レベルに書いてあった単語のいくつかが今は5500語レベルにハミ出ているのです。
なので、予備校などの出す、受験レベルの単語集が1~2冊は必要です。そういうハミ出た単語だけ、あとは予備校系の単語集で抑えておけば十分なのです。
予備校の単語集を見てみましたが、実はそれほど特別な英単語はないのです。また、じつは、桐原4500などの学校向け単語集の単語すべてを均等に覚える必要はなく、やや傾向があります。
たとえば旅行英語で使う単語など、検定教科書にあるから桐原・東京書籍は紹介しているものの、あまり大学が重視してない項目もあります。
だから、桐原/東京書籍 に加えて、旺文社ターゲット、さらに別の予備校系などの高校3年レベルの単語集を何か1~2冊つかって知識の穴埋めをすれば、もう十分でしょう。
もしかしたら、高校2年からもう、予備校の出版している難関向けの単語集を使ってもいいかもしれません。
市販の予備校の単語集を見ても、けっして、桐原5500語レベルの単語を片っ端からは教えていません。桐原5500のアレは、高校生には習得が無理だと思われているのでしょう。
==== 受験英語の特殊事情 ====
大学受験英語の特殊な事情ですが、明らかに高校範囲外で実用的にもメッタに使われていない英単語が難関大学で出されており、当然に読めないのですが、しかしなぜか他の文章の単語から文脈にとって意味をとれるようになっています。
もちろん、現実ではそんな好都合なことは滅多に無いのですが、受験の英文はたいてい都合よくそうなっています。
また、万が一、他の英文の文脈から読めない単語が出ても、どうせ他の多くの受験生も解けないので、そういう問題は解けるようにしておく必要がありません。
ともかく、入試対策としては最低限、東京書籍4500・桐原4500をベースに、さらに旺文社1900で派生語を固める必要があります。
しかし、それとは別に、予備校などの出す、プラス・アルファ的な受験レベルの単語集が1~2冊は必要です。
歴史的な事情で、今の4500語レベルの単語集には書かれていないが実は昔の高レベル単語集には書かれていた単語があって、4500語と旺文社1900をひととおりクリアしたあとは、そういう歴史的経緯のある単語だけ予備校単語集で攻略すればいいのです。
==== 英単語集の読書計画 ====
最初から高校在学中の読書計画に、英単語集の読書を想定して組み込んでおくと良いでしょう。また、桐原・東京書籍・旺文社あたりに基本の単語集とは別に、他社の少しだけ発展的な単語集を読書感覚で読むと良いでしょう。
高校必修の範囲を越えた単語や派生語などは、読書感覚でひととおり解説に目を通すだけの単語集の勉強でも十分に対応できる場合も多くあります。
しかし、いちども読んだこともない単語は、さすがに入試で対応できません。だから、一度でも解説に目を通してしまえば、済む単語も多くあるのです。
なので、広く浅くでいいので、読書しておく必要があります。
=== 大学受験に必要な単語量について ===
一般に、大学受験で、難関な学校の英語を読み解くには4000語程度を知っていることが望ましい。
世間でよくある勘違いとして、「近年はリスニング導入などにより単語数が減ったから、用法を覚えるのを中心にすべきだ」という知ったかぶりの勘違いがありますが、しかしそれは「90年代のような(現代換算で)6000語レベルとか7000語レベルとかやってた受験戦争の時代ほどは、2020年代では多くの単語を覚える必要が無い」という意味です。そんだけ昭和や平成初期の受験戦争は、片寄っていたというだけです。現代だと早稲田や上智の英文あたりしか出さない難しい英単語を、昔はマーチ文系学部や関関同立なども出していた、というだけです。
2020年代の現在での平均的な大学受験レベルである4500語レベルまでは、さっさと目指してドンドンと覚えてください。もちろん用法なども覚えるのは当然です。
=== 学部ごとによる出題傾向の違い ===
単語集などで出題校を見ると、学部名が書いてないですが、実際は学部によって出題傾向がけっこう違います。少なくとも1990年代はそうでした。
基本的に、理系の学部では、5500語レベルのような、あまりに難しい単語は出ません。そういうのを出すのは、よほどの難関私大や、それも文系の学科です。少なくとも2001年ごろはそうでした。理系学部が出すのは基本、化学英語を除けば、せいぜい旺文社ターゲット1900のような、どこの書店の参考書コーナーでも入るような単語です。少なくとも2001年ころの私大では、法政大学の理系学部および東京理科大および四工大(芝浦工大や工学院大など)はそうでした。
理系の学部の入試では、英文科ほど難しい単語は出てきません。もし仮に出てきたとしても、相手する価値が無い大学です。それとは別に、理系の大学では、科学英語などが出る場合があります。特に私大は、少なくとも1990年代はそうでした(当時、科学英語の参考書が少ないにも関わらず、マーチでも青学あたりがそういうの出していた)。私立だけでなく国立でも、東工大などの国立の難関理系大学でも、昔は科学英語を出してた時代もありました(今はどうか知りません)。
ほか、最近はどうか知りませんが、桐原5500の単語を見ると「輸血」の英語など、ちょくちょく医学的な英語があったりして、90年代くらいの昔は出たようです。
常識的に、医学部などで、そういう長文でも出したのでしょう。もしかしたら他学部の出題かもしれませんが、志望以外の専攻の専門用語までは付き合いきれません。
もし今の書店の受験参考書コーナーにそういう科学英語の単語集があれば、今でも出るのだろうし、無ければ、出ないと出版社が判断したのでしょうから、書店の状況に従えば安全だと思います。
赤本などの過去問などで、もしかしたらそういう専門的な英単語を勉強できるかもしれません。志望校にも寄るので、念のため、過去問などを確認してください。
もし、普通の書店にある単語集に無い単語ばかり出す国立大学があれば、批判されるべきです。国民の税金で運営されているのですから、どこに住んでる国民でも勉強できる単語でないといけません。
私大の単語はどうか知りません。
=== 単語の小テストばかりを受けても、復習しなければ単語力は身に付かない ===
学校や塾で、単語の小テストを受けさせられる場合もあるでしょう。「単語集の○○ページから△△ページまでを小テストで出すので、書き取り練習して覚えるように」という小テストです。
たいていの高校生の場合、予習はテスト前にしますが、いっぽうで復習をしているかどうかは、個人任せです。
ですが、小テストをいくら受けても、復習しなければ、単語力は増えません。
もし、単語の小テストを受けたままで、その後は復習せずに、ほったらかしにしてしまったら、何も単語力が伸びません。
単語テストは、テストを受けた後に、自分の未修得の単語を復習するために存在しているので、テスト後に復習をする必要があります。(もちろん、テスト前に予習も必要である。予習をしていれば、未修得の単語が減るので、復習の単語数が減る。)
要するに、小テストの使い方は、全国模試の使い方と同じです。
全国の高校や塾のうちの一部では、どうも、小テストの目的を忘れていて、「とにかく毎週、単語の小テストをすればいい」と安易に考えているような教育も、ある気がします。
ここを読んでいる読者高校生は、小テスト本来の目的を思い出して、小テスト後には復習と予習をしましょう。
さて、たいていの高校や塾では、1週間に1回のペースで、単語20〜50語ほどの記憶をはかる小テストをしていると思います。
1週間ごとに50語ほどのペースで単語小テストをしていれば、充分にハイペースですので、それ以上は週あたりの単語数を増やす必要はありません。(英語が好きなら、さらに勝手に単語数のペースを増やせばいいだろう。)
裏を返せば、復習をしきれない量の単語小テストを毎回受けさせられても、非効率です。例えば、1週間ごとに300語の単語小テストを高校で受けたとしても(ただし高校1年の1学期だと、中学英語の復習で、そういう数百問のテストもありうる。しかしそれは期間限定)、そんなに英単語ばかり復習しきれないでしょう。(数学など他教科の勉強もありますし。)
万が一、そういう高校や塾の場合(1週間に300語の単語小テストの場合)、その高校や塾の小テストは後回しにして、自分で単語を予習・復習しましょう。
ただし、定期試験や期末試験などで、今までの単語小テストの合計の数百語のなかから単語が出題される場合は、多くあるので、その復習はしましょう。つまり、学期内の小テストは、その学期中に復習し始めましょう。(どのみち、テスト後にも補習などがあるだろうが・・・)
夏休み明けや、冬休み明けに、前の学期の小テストの範囲内の単語が出題されたりしますので、休み中にも、復習しましょう。(予習も忘れずに。小テストは最終目的ではなく、入試合格などが、より本質的な目的なので。)
同様に、3学期の年度末の期末テストなら、1年間の小テスト範囲の合計1000語ちかくがテスト範囲に含まれる場合も多いので、その復習はしましょう。つまり、年度内の小テストは、その年度中に復習し始めましょう。(どのみち、テスト後にも補習などがあるが。)
== 文法 ==
=== 完璧な文法理解はあきらめる ===
==== 背景 ====
高校では、中学英語の不正確な文法を、修正するような内容も習います。
しかし、だからといって、けっして完全にネイティブ級な英文法を目指してはいけません。高校生には無理です(大学生ですら無理だろう)。それこそ、米英生まれの人以外は、もう専業の英語教師みたいに年以上も勉強しないと到達できない水準の世界です。
なので、大学受験で要求される文法は、せいぜい、大学受験用のどの参考書にも書いてあるレベルの基本的な文法さえ理解できればいいのです。
そういう基本事項さえ押さえていれば、少しくらい文法が不正確でも、たぶん大学受験では多めに見てくれます。仮に多めに見てもらえなくても、もうそこまでの対策の時間は高校生にはありません。
じつは、受験参考書の文法解説すら、本当はまだまだ説明不足です。ですが、大学受験参考書を超える内容はもう、高校生には時間的には無理だし、数学など他の教科の勉強も必要なので、あきらめる必要があります。
これはつまり、大学受験の英作文でも、実は少しくらいマチガイがあっても良いのです。どの参考書にもある基本的な文法事項さえ押さえてあれば、少しくらい文法が間違っていても、大学は許容するでしょう。(許容しない大学があっても、英数学など英語以外の他教科の勉強を無視した大学なので、無視していい。なお、国公立の東京外国語大学では、受験生に数学を要求しています。)
日本人と外国人の立場を変えれば分かります。日本在住の外国人タレントとかで、もう十年以上の長いあいだ日本に住んでいる人ですら、ときどき文法ミスをしますし、日本語の発音も日本人とは少し違います。ですが、それを日本社会は許容します。
英語でも同じことです。向こうの国の人は、少しくらい日本人の英語の単語の並びや発音がヘンでも、話の内容がシッカリしていれば、聞いてくれます。
==== 対策 ====
上記のような背景のため、大学受験対策の英文法の勉強としては、せいせい平均レベルの問題集をせいぜい2冊ほどクリアすれば十分です。せいぜい、複合問題とかを解ければ、充分でしょう。
もっと言うなら、'''英作文の入試問題の場合、文法がすこしくらい間違っていてもいい'''のです。どの教科書・参考書にも書いてある基本を学んだ形跡さえある英作文を書ければ、あとは意味が通じれば、たとえば英作文中で冠詞がすこしくらい抜けててもいい、もしくは余計な冠詞があっても良い(本来は冠詞をつけない名詞に a とか the とか書いてもいい)のです。(ただし、あくまで「意味が通じるなら」の条件つきです。冠詞を間違えると意味が通じない英作文の場合は、間違えてはいけません。)
英作文の問題なんて、せいぜい英作文の参考書を数冊と、あとは普通の英文法の参考書の内容を押さえておいて、一通り学んだ形跡さえあれば、あとはもう小さなミスは受け入れるしかありません。仮に入試でその文法ミスが減点されようが、もう対策の時間がありません。
たとえば、日本語訳に引っ張られて、英語では、その単語には使わない冠詞をつけくわえても、そういうミスはもう、受け入れるしかありません。「英語以外にも日本語の知識も多いがゆえに、間違えてしまう」という類のミスは、もう受け入れるしかないのです。
日本語の学力に限らず、数学の学力でも理科でも社会でも、'''他教科の学力が高いがゆえに発生しやすいミスは、受け入れるしかありません'''。仮にこういう知識の多さゆえのミスをひどく減点する採点者のいる大学があっても、そういう大学はあまり教育水準が高くないので、もう相手しないほうが良いです。
また、辞書や一部の参考書のコラムにしか書いてないような細かい文法はもう、いちいち覚えてられないので、間違えてもいいのです。
また、仮に文法にミスが無くても単語にミスがあれば英作文では減点されかねないので、単語を学ぶほうが重要です。
ともかく英作文では、けっして「小さなミスを避ける」という発想ではなく、「'''大きなミスをなくすために、小さなミスを許容する'''」という発想の転換のほうが重要でしょう。
大きなミスにつながりかねない、文型とか過去形・完了形とか仮定法とか関係詞とか、「もし間違えると、意味がまったく変わってしまったり、逆の意味になってしまいかねない」という、そういう単元を重点的に身に着ける必要があります。いっぽう、助動詞などの高校で習うような微妙なニュアンスの違いとかは(たとえば助動詞 will は、「明日は日曜日だ」みたいな確実な未来では使わないというニュアンスがある)、間違えても小さなミスですので、ある程度は小さなミスを英作文では妥協する必要があります。
英作文では、よほど簡単な文でない限り、ミスは無くせません。また、だいたい英作文を要求してくる大学は、そこそこの長さの英作文を要求してきます。よって、ミスをゼロにしようという発想では、ネイティブ以外では対処できません。
たとえば、英作文がまったく逆の意味に受け取られてしまうような大きなミスは、避けなければいけません。また、そもそも米英人に通じないような文章も、避けなければいけません。
しかし裏を返せば、英作文で少しくらいニュアンスが変わってしまっても、教科書レベルの文法をきちんと押さえていて、もとの和文の意味の90%くらいが通じるなら、ミスは受け入れざるを得ません。
;大学入試も英検・TOEICも単語重視
文法の要求水準がそんなに高くないので、平均的な文法問題集をクリアしたら、そのあとは単語などを勉強したほうが良いと思います。
もし仮に、文法で難問を入試に出してくるブランド大学があったとしても、そういう大学は単語力も多く要求してくるでしょうから、文法の難問よりも単語力の増強に時間を当てたほうが良いでしょう。
英検など検定試験では、単語については大学受験を超える単語も要求されます。しかし文法については上述の通り、大学受験を超えるような文法理解は英検・TOEICですら要求されないです。世間の人は、そもそも受験参考書を超える文法知識の存在そのものを知らない人すらも多くいるくらいです。
=== 参考書で勉強する ===
高校英語の英文法の勉強は、検定教科書ではなく参考書で勉強するのが定石、基本です。
なので、まずは参考書を買い始めましょう。普通科高校なら、おそらく高校の入学時、検定教科書の購入と一緒に、参考書も買わされると思います。
もし大学受験を考えるなら、英文法の参考書を買わなければなりません。
とりあえず、下記に後述する網羅形式の本を持っていれば、ひとまずは安心でしょう。
=== 高校英文法は例外も多い ===
中学の英文法の教育では、規則的・論理的な文法事項だけが取り上げられたのですが、高校は違います。
このことからか、高校英語では英文法の参考書のスタンスがいくつか分かれています。
1. 例外的な事例にはあまり深入りせず、基本的な事項を重視したスタンス
2. 辞書的に、英文法のあらゆるパターンを網羅的に掲載したスタンス
があります。(実際にはこの中間の編集方針の参考書もあるが、説明の都合上、二極に単純化することにする。)
予備校系の講義形式をうたった参考書のいくつかや、高校英文法の入門書などの参考書のいくつかは、基礎的な重要事項を特に重視したスタンスです。(そのため、例外的な事項の説明は省かれているか、少なめです。)
いっぽう、高校にもよりますが、高校で配布されるような昔からの、いかめしい感じのする参考書は、辞書的・網羅的なスタンスの参考書です。
センター試験などを考えるなら、網羅的なスタンスの文法参考書を最終的には読んで覚えざるを得ません。
一応、網羅本だけでも受験対策は可能ですが、塾や予備校などに通ってない人や、高校の授業の質に不安のある人は、さらに基礎的な事項を重視したスタンスの文法参考書もあると良いかもしれません。
例えば理系の中堅私大などで、あまり例外的な文法事項を要求するとは思えません。
ただし、これは私大の場合の話です。国公立の志望の場合は、共通試験を対策せざるを得ず、そのため二次試験がどうなっていようが、その対策のために辞書的・網羅的な参考書を読まざるを得ません。
TOEICなどの資格試験が近年重視されており、大学でも私大などで推薦入試や自己推薦などでTOEICの成績を考慮する大学も多く、企業もTOEICを表向きには重視していますが、TOEICは文法教育における論理性や高校生の論理性の涵養に配慮する義務はありません。なので、この問題の逃げ場は、大学受験にはありません。TOEICが果たして本当に実用英語かどうかはともかく、世間一般で「実用英語」だろうとは言われています。
=== 網羅本でも全部の構文は紹介していない ===
例えば比較級の構文「A is B no more than C is D」は、ある参考書(網羅本)には紹介されていませんでした。
高校英語で習う構文は多いので、複合的な構文などは、網羅本といえども一冊の参考書では紹介しきれないのです。
もし英語だけしか学習しないので済むのであれば(実際は違いますが)、英文法の網羅本の参考書を2冊や3冊も読み比べることで自分にあった参考書を選べばいいですが、しかし他教科の勉強もあるので、そうはいきません。
悩みどころです。各自、うまく対応してください。
また、大学生・社会人向けの厚めの文法参考書でも、すべての構文が書いてあるわけではないです。例えば『ロイヤル英文法』という大人向けのやや専門的かつ高度な英文法参考書がありますが、「all the +比較級」の構文は書いてありませんでしたし、巻末の索引を調べてもありません。
だから、大人向けの文法参考書を読んだところで、この問題「網羅本でも全部の構文は紹介していない」は解決しないのです。
=== 時間配分 ===
文法の学習は当然に必要ですし、入試にも良く出ます。しかし、文法の学習にばかり時間を掛けてはなりません。
高校に入学すると、高校の範囲の文法事項を、おそらく学校や塾などで急に教わり始めるでしょう。それらの文法の新知識の学習も大事ですし、当然に学習するべき知識ですが、読者のみなさんは英単語の学習も欠かさないようにしてください。文法なんて覚えることも少ないし、大学受験をするなら最終的には大学受験のころにまで文法を覚えられれば良いのです。なので文法の難問を練習する時間があるなら、それよりも、まず先に単語を優先的に勉強して語彙力を増やしたほうが効率的でしょう。
また、入試の文法問題も、文法の知識だけで解ける問題は少なく、単語の知識や語法の知識などと組み合わせないと解けない問題なども、入試では、よく出題されやすいです。なので、単語の知識が、大学受験対策では優先的に必要なのです。
2010年以降なら、中学校で、すでに大まかな文法の枠組みは習っています。2022年では、仮定法すら中学校で習っているはずです。もはや高校で習うのは、無生物主語など若干の単元と、あとは仮定法過去完了だとか、現在完了進行形とかくらいです。
そういった合わせ技は、それほど熱心に勉強しなくても、入門的な問題集などで問題練習すれば、普通に習得できます。
=== 高校英文法は実は少しウソ知識 ===
高校生用の文法参考書は、高校標準レベルの参考書は、基本的には、中学英語の復習も兼ねています。
このため、普通なら、高校1年生は復習のためにわざわざ中学参考書を買いなおす必要はないです。
それよりも重要なこととして、実は高校英語の文法参考書には、不正確な知識があるという事です。中学英語が理解重視のため少し不正確でかなりひどいカタコト英語が中学生用の参考書・教科書にあるので、同様に高校の英文法も少しだけ不正確なウソの知識があるのです。
さて、単語集では基礎レベルの単語集の前半が、中学英語の復習を兼ねているように、実は高校英文法の参考書も、少なくない割と多くの部分が中学の復習や、中学で習った分類など理解の再構成を兼ねています。
単語集ほどではありませんが、高校の文法参考書でも、あまり序盤にある中学文法の復習の部分には、高校でも深入りする必要がないことが、上述の考察・市場調査などから分かります。
また、このことに気づけば、つまり単語以外の知識で、一部の参考書にしか紹介されていない細かい文法の理論的な知識は、入試対策としては覚える必要が低いことが導かれます。単語集だと、細かい発展的な単語も入試に出ますが、しかし文法書については事情が違います。高校英文法には、深入りせずに、広く浅く学ぶのが安全でしょう。
文法参考書に書いてある知識がそもそも初学者の理解しやすさを重視したためのウソ知識なのですから、むしろ、けっして鵜吞みにして深入りしてはイケナイのです。
ほか、使用頻度の少ない表現など、参考書によって説明が微妙に食い違っています。たとえば接続詞 lest は、ある参考書では、「文語的であり、あまり使われない」と主張する一方、他社の参考書では「(for fear よりも)頻度は lest のほうが高い」(ジーニアス)と主張していたりします。
こういうふうに、細かい表現の英米での利用状況には諸説あるので、あまり参考書を鵜呑みにしすぎないようにしましょう。
=== 大学生向けの参考書は例文不足 ===
大学生むけの参考書は高校生向けのものと、用途がやや異なります。
高校生は、高校生向けをターゲット層にした一般の高校生向けの英文法参考書を中心に勉強しましょう。
=== 細かなニュアンスの違いは覚えなくて良い ===
受験勉強では、細かなニュアンスの暗記よりも、英単語をたくさん覚えなければなりません。また英語以外の国語や数学などの勉強も必要です。
参考書で勉強をする際、あまり細かなニュアンスの違いの暗記に入り込まないように注意してください。
実際、ある検定教科書でも、文法事項の類似表現などは、たとえば Would you ~? と Could you ~? などの依頼表現としてのニュアンスの違いは説明していません。せいぜい、 「Please と比べたらWould You および Could you は丁寧な言い回しである」という程度のニュアンスさえ把握できていれば大学受験レベルでは十分です。
参考書にはもしかしたらもっと細かいニュアンスの違いなどが書いてあるかもしれませんが、そういう詳細な情報はせいぜい参考程度にしましょう。
実は参考書でも、もう細かいニュアンスの違いは教えていない書籍も多くあります。
つまり、大学受験用の英語参考書には2種類あり、
:ひとつは受験用に入試に出る最低限のことだけを教える参考書と、
:もうひとつは細かいニュアンスの違いなども教える参考書と、
そういう2種類があります。
なお、上記とは別に英語研究者用の文法参考書がありますが、大学受験には全く対応していないので間違えて購入しないでください。
最低限のことを教える文法参考書の例として、ジーニアス英和辞典を出している大修館書店は高校生向けの文法参考書(『ジーニアス総合英語』)も出していますが、しかし文法参考書のほうでは辞書ほど細かいニュアンスの違いを説明していないのが現状です。
特に新共通試験(旧制度のセンター試験に相当)などの公共機関の試験や、英検・TOEICなどの資格試験では、細かいニュアンスを問う問題はまず出題が難しいでしょう。西暦2000年以降、国公立人気などでセンター試験や新共通試験の影響がどんどん強まっている影響も考えれば、文法学習であまり深入りニュアンスに深入りするメリットは残念ながら少ないのが現状だろうと思います。
それが英語教育として良いかどうか不明ですが、現在の大学入試の対策として要求される文法教育とはそういうものです。
基本構文などの細かなニュアンスの違いは、英会話などではそれなりに重要ですが、しかし入試や画一的な資格試験では英会話をそこまで細かく採点できないので、したがってニュアンスの違いに基づく使い分けもそれらの試験では出題されづらいことになります。新共通試験にリスニング試験はありますが、しかし実際に会話をさせる試験はありません。
裏を返せば、細かいニュアンスに深入りした文法参考書は、高校卒業後の英会話などの英語学習などのステップアップで使うのが効果的かもしれません。
高校の文法参考書の題名は、「文法」と書いてあるものを選んでもいいですが、2022年の書店で確認したところ『総合英語』と書かれている参考書も文法事項が中心的です。
=== 各社ごとの注意 ===
参考書えらびの際に、高校1年生がたぶん勘違いしそうなことを、述べておく。
* 大修館「ジーニアス」と数研出版「チャート式」の細かさ
大修館「ジーニアス」ブランドは、辞書では昔から細かい説明で有名であり進学校などではジーニアスの辞書が勧められるとの噂も昔からよくあります。ですが、しかし「ジーニアス」ブランドの文法参考書はあまり細かくありません。注意してください。
別に細かい文法参考書がいいだの悪いだのという話ではなく、ともかく、辞書のような細かさを「ジーニアス」文法参考書に期待してはいけません。用途が違います。
いっぽう、数研出版のチャート式の文法参考書のほうが、多くの構文が細かく網羅的・羅列的には書いてある傾向にあります。このため、1990年代の昔からよくチャート式の一番難しいバージョン(白・黄・青など色々バージョンがある)が進学校などでの参考書として配布されることもありました(かつては赤チャートが難しかったが、現代は赤が廃止され次点だった青チャートが一番難しいバージョンになっている)。
ただし、果たして2020年代の現代の入試にもチャート式が効果的かどうかは分かりません(会話重視・リスニング重視や単語重視など、入試の流行の変化もあるので)。
* 文英堂「インスパイア」と学研の参考書の入門者対応
なお、かつて文英堂『シグマベスト』というシリーズが、1990年代~2001年くらいは高校入門レベルの参考書として定番だったが、現代はそもそも英語のシグマベストが無いのと(英語は『インスパイア』に変更)、しかし同社・文英堂の『インスパイア』は、難しめです。高校生むけの一般的な参考書のなかでは、たぶんインスパイアが一番情報量が多いと思います(青チャートよりもインスパイアのほうが説明が細かいです)。
暗記科目なので、難しくても、とりあえず読めますが、しかし『インスパイア』のレベルはやや受験レベルを少し超えている記述もチラホラあります。
なお、例えば理科など他教科でも『シグマベスト』は実は2010年以降の現代はなかなか発展的であり難しくなってきていて、情報も細かく羅列的である。90年代の当時とは『シグマベスト』の中身の難しさが違うので、参考書選びのさいには、けっして90年代のままの世間の大人たちの評価を鵜吞みにしないように注意。
背景として、90年代の昔は、英数理の参考書選びのパターンとして、「シグマベストで入門レベルをカバーして、チャート式で高度な事項を勉強」という有名パターンがありました(なお、国語と社会科のチャート式は参考書としては無い)。あるいは、「その教科が苦手ならシグマベストを選ぶ。その教科が得意ならチャート式を選ぶ。」のようなパターンが90年代にありました。
しかし、現代では シグマ + チャート のパターンが、もはや上述の出版事情の変化で通用しなくなってるので注意。
2010年台の今だと例えば学研が高校入門レベルの初等的な参考書の立場だが、90年代の昔、学研がまだ高校参考書にあまり参入しておらず(昔の学研は小中学校むけの教材ばかりがメインだった)、当時は文英堂のシグマベストが今の学研の高校参考書に近い立場だったという背景事情がある。
=== 文法参考書の選びかた ===
インターネットで参考書の形式やレベルなどを調べたり、または、教師や塾講師、チューター、同じ学生などからの評判なども参考にしながら、実際に書店で参考書の内容を閲覧するなどして選ぶといいだろう。
また、古本屋などで参考書を購入すると出費を抑えられる可能性がある。
中学英語は昔とカリキュラムが大幅に変わったので古本屋は論外だが、高校英語は昔から到達地点が同じままなので、文法学習はちょっとぐらい古い本でも特に問題ないかもしれないかもしれない。とりあえず、古本屋で英文法書を購入するなら、なるべく最近のものを購入したほうがいいだろう。
「大学英文法」とかそういうのは一般的には無い。文法は高校英語で、とりあえずゴールである。あとは単語や熟語を増やすのが、その後の道である。
英語教師などを目指す人のための細かい英文法理論書はあるが、高校生には必要ない。なお、書店によってはそういう教師向けの英文法理論書が高校英語コーナーに売っていたりするので、間違えて買わないように。わかった上で買うなら自己責任で。
=== 高校の文法参考書はどういうものか ===
「時事的な文法」とか無いので、もし改訂などあっても、あまり頻繁に買い換える必要は無い。
他のセクションでも言ってるかもしれないが、「大学英文法」と言うのはない。なので、文法において「大学教養レベルの先取り」とかは不要であるし、そもそも存在しないし、そういう教材もまず無い。
このことは、大学受験においては、つまり文法問題は、高校生向けのやや高レベルな参考書を習得できたら、それ以上は英語教師でも目指さないかぎりは、英文科向けのさらに高度な文法書には進む必要は無い、という事である。
英文科の学生などに向けた文法書は、あれは教師向けまたは研究者向けの参考書である。内容も、基本的には高校生向けの文法参考書に書いてある内容を、大学生または教師志望者などの視点やレベルに合わせて書き直した程度のものである。なのでともかく、受験生には不要である。
このことから、ゴールが明確に定まり、受験生向けのやや高度なレベルの参考書がゴールである。
そこから逆算すると、あまり多くの参考書を読み漁る必要はない。せいぜい、2冊読めば十分だろう。
高校1年レベルから分かりそうな易しめのレベルのものと、あとは少し難しめの感じのもう一冊で十分である。もしかしたらどちらか片方だけでも十分かもしれない。
また、説明を省略したが、前提として、高校の参考書は、学年別とかには売ってない(書店で実物を見れば分かると思うが)。
なので参考書での学習の際にも、いちいち学年ごとにペースを3等分とかして「私は1年生なので、参考書の前半の3分の1だけ読む」みたいなことはする必要は無いし、むしろ現代では3等分すべきでもない。
つまり、参考書は高校1年で購入したら、とりあえず、さっさと通読すべきである。現代の中学・高校のカリキュラムなら、文法参考書の通読は中学英文法の復習にもなるので、まずは通読しよう。
そして何回か通読したら、問題集などにチャレンジしたり、あるいは単語なども増やそう。
これがもし英語でなく数学の勉強法だったら、先の学年の内容を通読するよりも学校で習った単元の復習などを重視するのも手かもしれないが、しかし英語はあまりそういう単元ではない。
高校の授業や定期テストなどは、あれはあれで教育ノウハウが詰まっているので活用すればいいが、別にそれを活用したからといって文法参考書を通読できなくなるわけでもない。
それに塾などだと、参考書の後ろのほうにある無生物主語などを高校クラスでは1年で先に教える流儀もある。
参考書の最初のほうにある文型がどうのこうのと言った話は、どうせ塾の中学生クラスや中学参考書などでも既に教えている可能性があるので、塾の高校生クラスではそういうのはもう後回しにして、先に無生物主語や仮定法など参考書の後半の単元を教えるというパターンもある。家庭での自習などの際にはご参考に。
また、そもそも2年の終わりくらいから高校や塾などで全国模試などを次第に受け始めることを考えるなら、けっして高校3年間で学校の授業で文法を習うのを待つのではなく、自習によって高校2年の後半の段階までに一通り、高校生むけの単元である無生物主語やら仮定法過去完了やら分詞構文などを含めて、とりあえず文法参考書は全ページを通読は済ましておいて、加えて問題練習を軽くでいいのでしておくべきだろう。
そして、高校3年では模試なども活用して、問題練習で定着させていく、・・・という段取りである。
== 熟語 ==
単語集の前半のほうにも、実務ではあまり使わないだろう熟語、つまり、より平易な表現に言い換えることの多い表現がよくあります(少なくともこのセクションのある編集者が、ネット上の海外英語では見たことない表現がいくつもありました)。
中学1~2年で習うレベルの単語の組み合わせで作れるマニアックな熟語がいくつかあるので、学習時に注意が必要です。単語集では編集の都合上、そういうマニアック熟語が前半のほうに書いてありますが、正直、後回しにすべき熟語です。
一方、 come true (実現する)のような、たとえば構成する単語と意味が近い場合なら、学習効果は高いです。たとえばtrue 「=真実」と「実現する」は比較的に意味が近いです。参考書でも、よくSVC文型の例としてcome true が出てくるので、こっちは重要事項です。
しかし残念ながら、単語集にある出題頻度の情報を見ると、come true は出題頻度が低いようです。
そのほか優先して覚えるべき熟語は、たとえば no longer ~「もはや~ない」のように構文的な熟語や、あるいはget over ~「克服する。回復する」(= overcome)のように中学レベルの単語には言い換えできなくてその熟語表現を使わざるを得ない可能性の高そうな熟語とか、そういうのです。
このような熟語の教育状況になってるのは、つまり残念なことですが、「英語教育での英作文などでは、実務的を想定した教育がされておらず、つまり形骸化している可能性がある」という事です。
「出題頻度順」の掲載をうたった単語集で前半のほうに、不便なマニアック熟語があるので、つまり入試では、実際には仕事などで英語を使うつもりのない人たちを想定した入試が行われているという証拠です。
英作文をする際、getで一語で説明できることを「come by ~」で表現する可能性は実用では低いでしょう。英会話でも、果たして米英人が、日本人相手に come by で説明するでしょうか。はなはだ疑問です。
なぜなら外国人は、もし英語が得意な日本人相手なら躊躇なくobtain のような非熟語を会話で使うだろうし、あるいは「英語が苦手な日本人かな」と思って気を使ってくれるなら get で表現してくれるでしょう。
come の基本的な意味は「来る」ですから、熟語come byの「入手」とは、かけ離れています。おそらく「手元に来る」的なニュアンスなのでしょうが、しかし「by」からそれを想像するのは、かなり前置詞「by」の基本の意味から離れています。そういう、基本単語の意味からの距離の大きい表現は、実務では学習コストが高いので、いろいろと不便なのです。
不便とはいえ、海外での利用の可能性がないとは言えないので日本の受験英語でも教えられていますが、なるべくなら後回しにしたいマニアック熟語表現です。
come true 「実現する」のようなSVC文型の例にもなるような教育的な熟語だと出題頻度が低いようですが、これはつまり、入試出題者が、高校生の学習効果を見る良問よりも「落とすための問題」「ヒッカケ問題」を21世紀の少子化の時代になっても未だに出題し続けているという証拠でしょうか。
== リスニング ==
まずは、前提となる単語力をつける必要がある。その上で、参考書で、音声CDつきの参考書などで聞き取り練習をするなどすればいいだろう。また、例えばYouTubeやTEDなどで自分の興味のある分野の英語を聞くなどしてもいいだろう。
テレビのNHK教育の英語番組は、学校の授業用に作られており、大学受験対策には作られていないこと、洋画は字幕や吹き替えに尺や字数の都合などで意訳が多いため学習には向いてないとする意見もある。
さて、新共通テストの場合なら、回答の選択肢が4択で与えられるわけですから、その選択肢の中からリスニング内容に一番ちかいのを選べればいいのです。すべての単語を1回で聞き取る必要はありません。それはプロの同時通訳者でも無理です。(なお、試験によっては2回ほど放送される場合もある。)
すべての単語を聞き取るような問題は、おそらく共通テスト出題者は、作成しないだろうと思います。仮に作成したとしたら、かなりゆっくりと発音するリスニング問題でしょう。
テレビの生放送で、定型業務ではない政治討論の番組などで音声モードを英語モードに切り替えをして視聴してみると分かるのですが、実は生放送ではプロの同時通訳者ですら完全には流暢(りゅうちょう)には翻訳を出来ないのがプロでも実態です。テレビ生放送の英語は、プロですら、ややカタコト(片言)気味の翻訳になります。しかもテレビ番組などは、実は事前に原稿・台本があり、その原稿が事前にスタッフなどに渡されて読まれており、それをもとに撮影および音声収録をしています。それですら、少しカタコトの同時通訳なのです。
なお、テレビの原稿・台本のようにプロの同時通訳では、話題にある程度の予備知識が必要です。しかし新共通テストでは、そこまで個別のトピックのある話題には踏み込まないでしょう。(ただし、難関私大や国立二次試験はどうか知りません。もっとも受験生には他の勉強もあるので、普通に英文読解などの教科書・参考書によくある話題に触れておけば十分でしょう。)
== 読解 ==
読解練習をしたい場合は、まずは学校でのリーディングの教科書などをきちんと読むのは当然ですが、そのほかにも参考書があると便利かもしれません。
書店の参考書コーナーに、高校生用の英文読解の参考書などが置いてあるはずですから、それら高校生用の参考書で勉強してください。
大学入試の英文では、平均以上の難度の大学になると、単語の知識がないと、まったく内容が把握できないでしょう。なので、読解練習だけでなく単語の勉強もしてください。とりあえず単語集などで4500語レベルまでの範囲の単語は最低限、ひととおり学習してください。
* 試験での読解問題の時間配分について
出題英文を読むのに時間が掛かりますから、試験中の時間の配分にも気をつけてください。まずは単語力を増やすと読解スピードも上がるので、普段の勉強では単語力を増やしてください。
試験中の配分の対策として、実際の入試では、たとえば、長文読解問題よりも先に、短時間で解けそうな単語問題・文法問題などを先に解くとかして、時間配分の対策をしてください。あるいは、設問の問題文を先に読んでおいて、見当をつけてから長文を読むなどという方法もあります。ここらへんの対策は、じっさいに過去問や想定問題などを解いて練習してください。基本的に、入試国語での現代文などでの読解問題対策などの際の時間配分と似ていると思います。
ただし、時間配分のテクニックばかりを磨いてもダメであり、単語力などを増やさないと、読解スピードも上がりません。
* 学部と出題内容の関係
入試では、ときどき、志望先の学部の内容に関する記述が出る場合もあります。また、高校で習う教科に関する記述が出る場合もあります。もっとも、べつに必ずしも志望先学部と近い内容の英文が出題されるとは限らず、あまり関係のない内容の英文も出題される場合もあります。
どちらにせよ、合格後の人生も考えて、学生は、志望先学部に近い内容の高校教科の勉強もしておいたほうが安全でしょう。たとえば経済学部に進学志望なら高校政治経済などの参考書を読んでおくとか、あるいは理工学部に志望なら理科・数学の参考書を読んでおいたほうが安全でしょう。
== 発音・英会話など ==
基本的には、標準的な参考書でカバーでき、あとは単語の記憶量を増やす練習とか、リスニングの練習とかの対策でよいです。あとは参考書などの英会話文例や発音問題を覚えておけば、入試での、だいたいの発音や英会話の試験もカバーできます。
* 入試の発音問題について
発音問題は、入試に英単語と発音記号を照らしあわせる問題は出ます。ですが、自分で発音することは、入試ではない。
* 入試での英会話について
大学入試では文章題などで、英会話の空欄を埋める問題などが出されるかもしれません。いっぽう、大学側が、直接受験生と会話をする試験は、一般入試では出ないでしょう。
ただし、いくら一般入試に会話が出にくいといっても、基本的な会話くらいは、せっかく高校で習うのですから、きちんと練習してください。そもそも建前上は、高校で習うことは、高校生は学習するべきということになっています。そして大学側だってバカじゃないんだから、なるべくきちんと勉強している受験生を優先的に合格させたいのです。
== 英作文 ==
英作文の練習よりも、まず先に文法学習や単語の記憶量を増やす勉強を優先したほうが安全でしょう。単語の記憶量が増えて、文法や熟語なども覚えれば、英作文なども、自然と上達します。逆に言うと、英作文だけを勉強しようとしても、難しいです。なお、単に英単語の意味や綴りを覚えているだけでは英作はできない。動詞ならば他動詞(Vt)なのか自動詞(Vi)なのか両方あるのか,他動詞ならば第4文型(SVOO)や第5文型(SVOC)をとれるのか,名詞ならば可算名詞(C)なのか不可算名詞なのかなど(これ以外にもたくさんある),とにかく用法まで正確に知っておく必要がある。従って辞書を引く必要がある。
== 問題集を信じすぎるな ==
問題練習をする際には、必ずしも偏差値順にステップアップする必要は無い、という事です。
また、日本人の高校生のレベルを越える難しすぎる問題は、そもそも解けるようになる必要もないでしょう。
選択問題では、高校レベルで習得できるレベルでの、初心者のよくやるミスをしない事のような、明らかに間違った言い回しを排除する事さえできれば、それでいいでしょう。
納得の行かない問題の対策はやりすぎないようにスキップして、他の勉強をすべきです。英語の勉強なら、もっと確実に偏差値アップの出来る勉強、たとえば単語力を増やすなどの勉強をしましょう。
== あきらめるべき事 ==
=== 第二外国語は、あきらめるべき ===
==== 入試に第二外国語は出ない ====
高校によっては、第二外国語の授業を用意している高校もあります。
共通テストや二次試験では英語以外の外国語を使えるところもあるが、特別な理由がないなら英語を選択したほうがいいだろう。
また、中国語を勉強しても、漢文の入試問題を解くのには役立ちません。
帰国子女とか、あるいは進路志望が語学関連の分野で無い限り、あまり第二外国語には手を伸ばさないほうが良いでしょう。
== 一般入試対策ではTOEIC対策などには手を出さないほうが安全 ==
英語能力を測る国際的な試験のTOEFLやTOEICなどは、高校生の学習用には作られていません。そもそも日本人に内容を合わせていません。
それにTOEICとTOEFLのどちらとも、試験の目的が、日本の高校英語の教育目的とは違います。
TOEICとTOEFLのどちらも目的は、英米への留学や海外生活のためなどの語学が目的です。日本の大学入試や、日本の大学での英語論文読解などの目的には、TOEIC・TOEFLなどは合わせていません。TOEFLとかTOEICとかで、ハイスコアを目指すのは、大学受験対策とは目的がズレています。
なお、そもそもTOEICをつくったのは日本の通産省(当時)であり、通産省がアメリカの非営利テスト開発機関、ETS(Educational Testing Service)に依頼をして、日本がつくったテストです。
よって、TOEICの出題内容は、アメリカ国内での実用とは若干、ズレていますので、てっきり実用英語だとは勘違いしないようにしましょう。また、てっきりTOEICは(OECDあたりの)「国際機関のつくった試験である」などと勘違いしないようにしましょう。
さらに、TOEICの参考書などにある「高校生レベルは◯◯点」などの数値も、じゃっかん、疑わしいので、あまり鵜呑みにしないようにしましょう。
;* 平均点
:なお、高校生のTOEICの平均点は、年度にもよりますが、2018年の時点では、高校生の平均点はおおよそ350~400点くらいです。なおTOEICの満点は990点です。
ネット上では「TOEIC 600点が英検2級相当」という言説が出回っており、英検2級が高校英語レベルを出題範囲として想定していることから、あたかも「高校を卒業したら TOEIC 600 点で当然」みたいな言説が出回っていますが、しかし2018年の統計などをもとに考えれば、この言説はデタラメです。
また、「TOEIC 600点が英検2級相当」という言説の根拠も、よくよく調べてみると、2001年くらいに英検2級保持者にTOEICの点数をアンケートしたところ TOEIC 400点~800点あたりに得点がバラついたという統計を、とりあえず平均値をとって600点としただけにすぎないのが実態です。
高校の数学で統計値の「分散」という概念を習います。分散を知らないと、統計詐欺にダマされてしまいます。
;* TOEICは事実上は文系向けの試験である
:世の中には、文系の大人が多く、その影響で、学生でも理系科目をサボってまで英語の勉強をして、英語の成績を上げる人がいます。TOEICの平均点も、そういう文系の人間を基準に算出されてしまいます。
:一般入試や国公立受験、理系の学部などを目指す人は、けっして、そういう文系の大人や、文系しかできない学生を多く含むTOEIC平均点を、参考にしてはいけません。
:* 4択問題と難易度
:TOEICの各問題は基本的に4択問題ですので、デタラメに選択しても、990点満点(約1000点)中のうちの4分の1である約250点を取れます。
:
さらに、欧米で英米への留学希望者むけのテストなどとして知られている英語検定試験はTOEFLです。
TOEICは、日本と韓国で流行っている英語検定です。
また、英検は日本人用の試験ですが、しかし高校生用には試験が作られていません。中学生・高校生なども意識して英検は作られているでしょうが、しかし、中高生だけを意識してはいません。
英検を入試対策で使うなら、志望校合格などが保証されないかぎりは、なるべく英検'''準'''1級までに止めるのが無難です。
* 推薦入試などの評価事項になることも
ただし、推薦入試ではTOEICやTOEFL、英検などの成績が考慮される場合もあります。
* 難関大学への対策用としての場合
大学によっては、入試で高校レベルを超えた、かなり難しい英語を出す場合もあります。そういう大学に対応する場合、市販の受験参考書では太刀打ちできないかもしれません。このような場合、しかたなくTOEFL対策や英検1級対策などの参考書が必要な場合もあるかもしれません。
* 就職活動でのTOEIC評価について
ただし、大学生の就職活動では、企業にTOEICなどの点数を聞かれることもあります。就職活動時のエントリーシートに、最初からTOEICなど成績の記入欄がある場合もあります。また、外国大学への留学の際に、TOEICなどで一定以上の成績を修めることが必須の要件とされる場合も多いです。たとえ英語圏以外の国の大学への留学でも、TOEICやTOEFLなどの成績が必須要件として必要な場合があります。
なので高校生でも、TOEIC受験の機会があれば、受験をするのも良いでしょう。
ただし、TOEICの成績が良いからと言って、けっして、それだけで企業が「即・採用」をするなんて事はありません。
高校生の段階では、TOEICなどの語学検定については、もし受験できるなら、視野を広げるような目的で検定を受けるのが良いでしょう。
== 英語の検定教科書にある時事や古典文学の勉強は不要だし、危険 ==
中学高校の英語の検定教科書には、他の教科では説明しづらい時事や古典文学、最近の日本のアニメやマンガの、海外での人気について、英文で紹介されたりするかもしれません。
そもそも、本来の目的は英語を学ぶということなので、これらの題材で得た知識がそのまま大学受験に役に立つということはありません。
[[カテゴリ:英語]]
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2024-04-12T15:07:35Z
すじにくシチュー
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/* 大学受験に必要な単語量について */ 「単語数が減った」という意味は、「英検1級にしか出ないような超マニアック単語は出ない」という意味です。
wikitext
text/x-wiki
== 「高等学校外国語」は実質的に英語 ==
文科省の指導要領では、教科名は「外国語」です。
しかし、科目名は「英語コミュニケーション」とか「論理・表現」とか、英語の科目しかありません。「論理・表現」科目の内容も、英語の学習です。
なお、一部の高校で第二外国語を開講していますが、その高校でも英語が必履修です。そもそも高校卒業の要件として、英語の単位を一定以上取得しないと、高校卒業の資格を取得できないはずです。
また、高卒認定試験でも、外国語科目では英語が必修です。
第二外国語を学ぶにせよ英語に専念するにせよ、どちらにせよ、高校生は英語を勉強する必要があります。
;第二外国語の授業の現状について
大学受験では、いちおうは、文学部の仏文科とか独文科や、語学系の学部のフランス語学科とかの入試で、大学によってはフランス語やドイツ語などの第二外国語も入試も出る大学もあります(高校入試とは違い、大学入試では一部の大学では第二外国語でも受験できます)。しかし第二外国語の学習は検定教科書以外で自習などをする事になります。
フランス語とかドイツ語とかの検定教科書は、存在を聞いたことがありません(つまり、フランス語などの検定教科書は無いはず)。少なくともフランス語の検定教科書は存在しません<ref>pdf [https://konan-wu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=1159&file_id=22&file_no=1 前田美樹 著『高校でのフランス語教育: 現状報告 - 授業の活性化と発展に向けて,2011年3月, P35 ] 2023年10月5日に確認.</ref><ref>[https://www.jactfl.or.jp/wdps/wp-content/uploads/2020/03/JACTFL2_87-100.pdf 長谷川由起子 著『高等学校第二外国語必修化提言実現に伴う課題』,2014 , P92]</ref>。もし高校生向けのフランス語などの教材を教科書会社が出版・販売していたとしても、それは検定教科書ではありません。
なお、第二外国語の授業のある高校でのその授業の教材は、大学生向けの教材を用いたり、あるいはその高校独自の教材を用いたりしています。
;第二外国語の大学受験について
大学入試共通試験(旧センター試験)の科目に、フランス語とドイツ語と中国語と韓国語もあります。語学系の学部・学科など、ごく一部の学科でなら、共通試験のフランス語なども使える場合もあ、そのような大学の学科なら一般入試でも使える可能性もあります。ですが、その他の多くの大学では、第二外国語ではなく英語を受験科目の外国語としては要求しています。
なお、一部の高校ではスペイン語とロシア語とアラビア語の科目もあり高校卒業のための単位として文科省により認められていますが、しかし大学入試共通試験(センター試験)の科目にはスペイン語などは存在していません。このように、高校の単位として日本国に認められていても大学入試共通試験にない科目もあります。
== IPA(国際音声記号)を学ぼう ==
IPA(International Phonetic Alphabet, 国際音声記号)とは世界中の言語の発音を表記できるように開発された記号である。これが、英語の単語を発音する際、重要であることは明白であろう。日本には、「英語には日本語にはない音が存在する」「英語は発音が大事」などと声高に叫ぶが、どうやってその音を調音するかという肝要なことは教えていない高校も存在するようだ。しかし、調音方法を知らずに第一言語に存在しない音を発音しろというのは不可能と言っていい。IPAを学ぶ際には必然的に音声の調音方法を体系的に学ぶことになる。したがって、フィーリングではなく理論に基づいた音声の発音が可能となる。
* [http://www.coelang.tufs.ac.jp/ipa/index.php IPAモジュール]
* [[w:子音|子音]]
* [[w:調音部位|調音部位]]
* [[w:調音方法|調音方法]]
* [[w:母音|母音]]
* [[w:国際音声記号|国際音声記号]]
* [[wikipedia:IPA_vowel_chart_with_audio|母音のIPAとその発音]]
* [[wikipedia:IPA_pulmonic_consonant_chart_with_audio|子音のIPAとその発音]]
* [[w:英語学#%E9%9F%B3%E5%A3%B0%E3%83%BB%E9%9F%B3%E9%9F%BB%E5%AD%A6|英語の音素]]
== 参考書と辞書と単語集が基本 ==
高校英語の検定教科書は授業で教師が解説するのを前提にしているため独学用には作られていなません。
なので、予習復習や独学や受験準備などは教科書では無理です。なので、受験準備などのために教科書とは別に高校レベルの参考書や単語集が必要ですので、早めに購入しておきましょう。
たぶん、普通の高校なら、単語集なども購入させられると思います。もし学校で購入を指定されていなくても、まずは高校基礎と高校中級レベルの単語集を購入しましょう。
実際の検定教科書を見てみると、高校1年向けの検定教科書で、もう高校3年向けの4500語レベルの単語集にある単語が紹介されていることもあります。
とはいえ、さすがに高校1年で4500語レベルまで習得するのは困難です。
そこで普段の家庭などでの勉強では3000語レベルまでを勉強しておいて、検定教科書を読んでて単語集で見当たらない語があれば、そこだけ辞書に頼るのがラクでしょう。ただし既に単語帳で覚えた単語も用法が不明瞭ならば辞書を引くと良いであろう。単語帳は意味は載っているものの、用法は詳しく載っていないことが多いからである。また、少しは辞書の使い方も練習すべきです。
ともかく、高校では単語集がないと、まともに英語を勉強できないだろうと思います
検定教科書は入試対策本ではないので、大学受験を考えている人は、英語の勉強では検定教科書ばかりに深入りしすぎてはいけません。
ともかく、大学受験対策は、あくまで市販の参考書と辞書と単語集などで行います。
== 大学入試に出づらい分野など ==
=== 教科書の学習目標を真に受けないように ===
高校英語の学習指導要領などが掲げている目標の中には、高校生には荷が重い目標もあります。
検定教科書の英語表現IIの実物を見比べると、どうも英語でのプレゼンテーションなどが指導要領などで目標に掲げられているようですが、しかし正直、高校生には英語プレゼンテーションは荷が重いでしょう。英語以外の教科の学習を考えると、高校段階では外国語でのプレゼンテーションの習得は非現実的です。
高校英語のプレゼンテーション単元も、中学英語の留学生との会話の単元などと同じで、実際の多くの高校の教育現場ではそれを実行できる場面はまずないかと思います。
2022年の時点では、文科省の英語教育の目標が、かなり高負担な内容ですので、大学入試の傾向とは検定教科書の傾向は、差が大きいかと思います。
昔から教科書と受験英語との間には差がありましたが、とくに近年、上述のように教育目標の負担増の理由で、入試との差異が大きくなっているだろうと思います。なので大学受験を考える人は、教科書の勉強だけでなく、うまく学習スケジュールを自己管理する必要があるでしょう。
=== 自己意見の英作文は入試に出ないところもある ===
足きりのある大学(たとえば国立大や医学部など)でないかぎり、採点の手間があるので一般入試では数十語もある英作文は出されない可能性が高い、実態があります。
さて、昨今の教科書では、日本のことを英語で説明する課題がよくあります。検定教科書にあるので、いちおうは新共通試験などの出題範囲ではあるわけですが、やはりこれも大学入試の出題傾向の兼ね合いを考える必要があります。
難関大学の入試で要求される単語は、抽象性の高い単語、または学術的な単語などです。
=== スピーキング ===
英語スピーキングは、大学入試では採点の手間があるので、一般入試ではスピーチの実施はされない。もし入試でスピーチングをやるとしたら、せいぜい、受験者数が比較的に少人数に限られる推薦入試でしょう。
また、英検3級以上ではスピーングの試験がある。英検などの英語系資格を取っておくと入試でいくらか優遇される場合があるので、そういったものを使いたい人にはスピーキングの勉強をする必要がある。
== 教科書ガイドを購入するほうがいい場合 ==
教科書ガイドを買わなくても高校英語は勉強できるのですが、色々な理由により、教科書ガイドがあると効率的です。
英語教師のなかには低能な教員もいて、宿題などで、数学など他教科の予習復習の時間を無視して、毎週のように「辞書で教科書の英文の意味を調べてこい」などと、英語科目の事しか考えずに宿題を出す人がいます。
特に英語は、文系大学の志望でも理系大学の志望でも活用するため、教師がうぬぼれていて傲慢な場合があります。
このような英語教師の場合、もし教科書ガイドがあれば、辞書で調べる時間を、大幅に減らせることができます。教科書ガイドによって、空いた時間を活用することができ、単語の練習など、より本質的な勉強ができるようになります。
ただし、ガイドには、あまり細かい答えまで書いてありません。中学までの教科書ガイドとは違います。
== 英語勉強法マニアにならないように ==
ここに描かれた勉強法を覚えるよりも、まずは、とにかく、3000語レベルまでは英単語の習得のほうが重要です。勉強法マニアになっても、語学では価値がありません。勉強法を調べるよりも、実際に勉強してください。
とくに英語教育についての評論では、多くの評論家が英語教育を評論したがるし、また市販の英語教材などでも英語教育のノウハウをうたっている商品も多いですし、中には英語が苦手なのにウサンくさい勉強法(自称)を掲げる人も多くいるので、あまり勉強法そのものに深入りしないようにしてください。
勉強法に迷ったときにだけ、市販の参考書などに書かれた信頼できる勉強法などを参考にしてください。
== 単語 ==
まず、単語数3000語あたりの中級レベルを謡っている英単語集を1冊買いましょう。
初級レベル 1700~1800あたりのものは、これは一応高校レベルの単語も紹介していますが、ほとんどの単語が中学レベルなので、当面は読む必要がありません。
また、初級レベルの単語集のうち、中学で習わない可能性の高い単語は、中級レベルの単語集にも書いてあるので、わざわざ初級レベルを買う必要がありません。
さて、単語集の使い方は、赤シートを使って英単語の和訳を隠して、英単語のイメージを思い浮かべてから、その英単語の和訳を見て自分が思い浮かべたイメージと合致するか確認してみたりして、もし合致していたら次の単語へ、一方もし合致していなかったらチェックをして次の単語のテストを行う。これを1~2回もすれば英単語を覚えています。
中学単語については、意味のほうで中学では習わなかった意味がある可能性があるかもしれないので、そちらに注目してください。参考書をつくっている会社は、そうなるように工夫して参考書を編集しています。
=== 学習の優先順位 ===
もしかしたら、英語の単語を覚える作業は文法等の勉強をすることよりも大切なことかもしれません。
市販の学習ノウハウ本でも、高校英語および大学受験英語では、英単語力が決め手になると主張されています<ref>船登惟希 『改訂版 高校一冊目の参考書』、KADOKAWA、2019年3月18日120ページ</ref>。
英文読解で、もし単語の意味が分からないと、せっかく文法の知識があっても、理解できない文も大学入試では多くあります。また大学入試では、暗記を要求される単語数が、ずいぶんと多くなります。
もっと言えば、単語という基礎があってこそ覚えた文の組み立て方が生きてくるのです
大学受験の標準(おおむね4500語レベル)~やや発展レベルまでの単語であれば、単語はいくら覚えても損はありません。学校で教えてもらう英単語だけで満足しないでください。近年では様々な出版社から英単語帳が出ています。
=== 英単語集の選び方 ===
==== 基本の要求事項 ====
===== セットになる別単語も必要 =====
高校レベルでは、新しい単語の意味を覚えるときは、単語の日本語の訳の字面だけを覚えても不十分です。
いくつかの予備校の単語集には英単語の勉強法も書かれており、どれを見ても大抵、「新しい単語の学習では、一緒につかう単語とセットで覚えろ」といった内容が書かれています。
動詞も同様、セットになる名詞と一緒に練習するべきです。もっとも、普通の市販の単語集なら、そういうセットになる単語も書かれているので、市販の単語集で勉強すれば問題ありません。
進出単語がセットでなくても覚えられるのは、せいぜい中学の前半までです。高校ではもう、単語を1語ずつ単独でバラバラに勉強するのは、やめましょう。
しかし、ネット上の英語勉強サイトには、サイト作者・企業の手抜きからか、日本語の訳だけを羅列したような低品質なサイトもあります。まったくネットは参考になりません。きちんと市販の単語集を買いましょう。
===== 類義語や対義語、例文など必須 =====
まず、単語の学習では、けっしてヤミクモに多くの単語を覚えるのではなく、類義語や対義語との違いなども把握しなければなりません。そのため、例文なども交えつつ把握しながら勉強する必要があります。
なので、例文などの少ない単語集は、少なくとも高校基礎レベルとしてはアウトです。
==== 結局どうすればいいか ====
高校生向けの参考書は、セット語彙や類義語・対義語の紹介の必要性など、そういう事をきちんと理解しているので、とりあえず高校生むけの単語集を買えばとくに問題はないのです。
しかし、高校生向けではない市販の英検対策やTOEFL対策本などの資格本の中には、単語を多く掲載したいあまりに、例文や類義語などを省略ぎみの単語集も(英検対策本などでは)多くあります。
なので高校生は、英検対策ではなく、まずは高校生向けの単語集を買いましょう。1社の単語集しか使わないと例文がどうしても不足するので、少なくとも4500語レベル付近では1社だけでなく2社以上が必要です。
==== 英検などは後回し ====
現代では、高校の教科書レベル自体、上がっています。昭和の後半や平成の初期は、今で言う3000語レベルが、高校卒業レベルでした。
しかし、令和の今では、4500語レベルが、高校卒業レベルです。
なので本来なら、時代が大きく違えば、英検の級の数値は比較の参考になりません。つまり、年月とともに資格試験で保証された知識は、少しずつ錆びていくのです。
英検などを受けたいなら、高校生向けの単語集を買って習得したあとなら、必要に応じて英検対策本などを買うのは構いませんが、しかしいきなり最初から英検対策本などを買うのは失敗の道です。
なお、もし英検を参考にするなら、準1級までを買えば十分でしょう。
なぜなら、難関大の過去問から構成される桐原5500と英検1級の単語集とを比べてみましたが、傾向がだいぶ違っています。
==== 英単語集のパターン ====
英単語集には、主に2パターンあって、
:・ パターン1: 単語を分野別にまとめているパターン(たとえば「旅行」の意味の単語なら、trip と tour と travel をひとつのページにまとめていたりする)の英単語集
と、
:・ パターン2: もうひとつのパターンとして、入試出題の頻度順に統計的に並べた英単語集
があります。
初めて高校英語を勉強する場合は、とりあえず、'''分野別に単語をまとめたパターンの参考書のほうが、使いやすい'''と思います。
なぜなら、分野別の単語集のほうが、類義語や対義語なども、まとめて勉強できるからです。
いっぽう、入試出題の頻度順に統計的に並べた単語集は、高校後半~高校3年からの仕上げなどで用いるのが効果的でしょう。
さて、分野別に単語をまとめたパターンの英単語集で勉強する場合は、レベルが「中学3年〜高校初期」「高校必修」「共通テスト」「二次試験」と何段階に分かれていたりしますが、とりあえず、高校1年の時点で、「高校必修」レベル(3000語レベル)と「共通テスト」レベル(4500語レベル付近)の2冊を買ってしまってください。
高校必修レベルの単語集を買えば、その単語集で中学レベルの復習もしますので、わざわざ中学レベルの復習をふくむ単語集を買う必要はないのです。
自分で単語集を予習する際は、次のペースで予習します。「全部覚える」ではなく「全部勉強する」がポイントです。
:・ 高校1年: 「高校必修」レベル(3000語レベル)〜「センター試験」レベル(4500語レベル付近)の単語を高校1年の終わりまでに全部勉強する。
:・ 高校2年: 「センター試験」レベル(4500語レベル)の単語を高校2年の終わりまでに全部勉強する。
:・ 高校3年: 「二次試験」レベル(4500語レベル+アルファ)の単語を高校3年の2学期の終わりくらいまでに全部勉強する。
これとは別に単語集がもう少し必要ですが(入試用単語集を1~2冊)、まずは上記を出来るようになってください。
注意点として、学校から配布されるような東京書籍や桐原の基本的な単語集は(ただし桐原の灰色のヤツは難関大用なのでのぞく)、高校2年のうちに終わらせる必要があります。
つまり、高校1年のあいだに、予習をして、「高校必修」(3000語レベル)およびレベルの単語集を、ひととおり書き写して、勉強してしまう必要があります。(覚えられるかどうかは別として。) 4500レベルまでいければ理想ですが、それが無理でも必ず高校1年のあいだに3000レベルを終わらせてください。「終わらせる」とは「7割ほど覚える」という意味です(英語以外の教科も考えて、この数字)。これが終わらせられないと、大学受験の現役合格は難しいでしょう。一見するとハイペースですが、実は後述のように中学で習う単語が3000レベルには多いので、意外とラクです。
また、「全部覚える」ではなく「全部勉強する」とありますが、その単語の100%の単語を覚えられなくても70%を覚えたら、次学年の単語集を1回だけ全単語を学び始めてください(たとえ新単語を1回の書き取りで1周しただけでは30%しか覚えられなくても、もし新単語に1000語も触れたら合計300語を覚えられるから、そっちのほうが最初は効率的だからです)。
この、最初に1冊の書き取りをさらっとする勉強法は、他教科たとえば数学では通じない勉強法かもしれません。数学では公式だけでなく応用力なども問われるからです。しかし英単語はそういうのではなく、ほぼ単なる暗記なので(米英なら幼児・児童でも分かる程度の理解力で十分)、なので単語集をさっさと1冊、一周したほうが効率的に覚えられるのです。
さて、いまの単語集を7割ほど習得したら、次学年用の新単語集を購入して1回書き取りだけで一周しつつ、並行(へいこう)して、現学年用の単語集の完成度を上げていき100%に近づけていきます。
特に、高校2年用の単語集は、入試でも基本的な運用力を問う問題として狙われやすいので、それも押さえておきましょう。裏を返すと高校1年用の単語集は、これは例外的に高校受験で狙われやすいもの以外は深入りしなくても良いでしょう。
高校必修レベル(高校1年レベル)には、中学校できちんと5教科を勉強していれば、読みがある程度は身についているハズの単語が、多いのです。
なので、さっさと高校必修レベルをひととおり練習して終わらせてしまい、次ステップの「センター試験」レベルに時間を掛けたほうが得です。
なお、高校によっては、高校3年になっても「センター試験」レベルの単語集までしか、高校3年の英語の授業では扱わない場合があります。
なので、'''授業とは別に、自分で単語集を予習する必要があります'''。
では、なぜ、上記のスケジュール(「高校必修」レベルの単語を高校1年の終わりまでに全部勉強するスケジュール)のようにするのが合理的かいうと、最終的に高校卒業までに(つまり高校3年の終わりまでに)、「二次試験」レベルの単語集(4,500語+アルファ)を終わらせる必要があるので、そこから逆算して、高校2年の終わりまでに「センター試験」レベルの単語集を終わらせる必要があります。
なお、新共通テス・旧センター単語とは別の大学受験単語の傾向では、早稲田大など一部の難関大と、国公立との傾向が違います。(wiki追記: 例外として東京外語大(国立)や英文科などを除けば、)平均的な地方国立大よりも早稲田大のほうが英単語が難しいです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=E-U8m3en_E0 『英単語暗記必勝法!今こそ苦手を克服せよ!』 2022/12/13 ]</ref>。理系の人は、そういう早稲田みたいな難関大の英単語を相手にしてはいけないというか、仮に購入したとしても、けっしてその難関大用の単語集の全単語を覚えようとしてはいけません。
さて、高校2年の終わりまでに、4500レベルつまり「センター試験」レベルの単語集を終わらせるためには、逆算すれば、高校1年の終わりまでに3000レベルの「高校必修」レベルの単語集を、勉強してしまう必要があることが分かります。
そうするためには、普段からの予習も必要です。
また、もし「今読んでいる章を完全に覚えてから、次の章に進む」などというふうに勉強していると、特定の分野の単語ばかりを覚えることになってしまい、入試に対応できません。特に、学校で、このような分野別にまとめられた英単語を用いている場合に、気をつけましょう。
また、現代の高校英語の単語の紹介順序は、もはや学年別になっていません。高校1年の検定教科書でも、すでに3000語レベルの単語や4500語レベルの単語も平気で紹介したりしています。
現代の検定教科書がそうだということは、現代の入試もそうだという可能性があるということです。なので、あまり単語集の最初のほうばかりに詳しくなっても、現代ではあまりメリットがありません。
また、予習をしないと、たとえば学習ペースの配分ミスを起かしやすく、たとえば高校3年の終わりごろになって、やっと桐原4500語・東京書籍4500語レベルにしか到達できずに、そのため高校3年終わりの時点では「二次試験」レベルに対応したプラスアルファの単語集(旺文社や、予備校系の単語集)に到達できずに、志望校に不合格になってしまうような、ペース配分の失敗を起こしやすい原因にも、なります。
なので、とにかく、予習をして、単語集の先のほうへと進んでいくのが、合理的な勉強法なのです。
==== 予備校系パターン ====
単語集にはさらに、「論理性重視で解説が多めの単語集」と「単語が多めの単語集」があります。
で、桐原・東京書籍・旺文社は、実は単語が多めの単語集です。
高校単語の範囲は広いので、少なくとも4500語レベルについては、まずこの3冊のうちの2冊が、受験までに、ほぼ必須で必要です。
しかしこれだけだと、論理的な知識が不足します。桐原などの単語数が多めの単語集などでは、スペース不足などの都合で解説できない知識が、いくつもあるのです。
そういうのを、予備校などの補足的な単語集で補う必要があるのです。だからもう高校2年の半ばあたりから、予備校系の単語集も読み始めてしまうのも、良いかもしれません。
ですが、あくまで予備校単語集「も」です。基本はまず、桐原・東京書籍・旺文社のような、高校英語を一通りカバーしている単語集をベースにするべきでしょう。
==== 2社目の単語集が必要 ====
単語集は、1社だけでは対応できません。たとえば東京書籍を使っている場合、東京書籍の単語集には例文が書いてある用法でも、桐原の単語集には例文が書いてない用法もあります(例文なしで意味紹介のみ、という場合がよくある)。同様、桐原の単語集にはあるのに東京書籍にない用法もあります。
この問題に対応するため、高校2年になってからは、たとえば東京書籍を使っているなら、もう一つ別の会社の単語集'''も'''使いましょう。何を使うかは、個人の判断に任せます。しかし、何を使おうが、1社だけでは太刀打ちできません。(昭和の昔なら、ここまで考えなくても大丈夫でした。まだ高校2年生は、昭和なら単語集は1社だけでオッケーだった。しかし令和だと事情が違います。)
実際、塾・予備校などでも、高校で良く買わされる単語集(東京書籍や桐原)とは別の単語集・熟語集をもう1社ぶん買い与えるのが基本であり、受験生は結局、2社の単語集・熟語集を使うことになります。別に東京書籍・桐原のもう一方でなくとも、予備校系の単語集でも良いし、あるいは旺文社ターゲットなどでも構いません。とにかくもう1社ぶん、必要です。
別に2社の単語集を読み比べる必要はありません。新聞のメディアリテラシーの練習とかじゃないので。、
また、一応、単語集のレベルに応じて、上級レベルの単語帳で、過去に下級レベル単語集で習った単語の新しい別用法を教えることもよくあります。なので、東京書籍でも桐原でも、まずは1社ぶんを全部やるのも必要です。どちらかをメインにすると決めたほうが良いでしょう。
高校1年レベルの単語集(3000語以下)はもう1社目では仮に省くとしても(なお、省かずに1周しても構いません)、それでも高校2年次以降の単語集で、もう1社ぶんが必要になってしまいます。このため、どうあがいても単語集だけで最低もう2冊は(2年生の4500語レベル単語集と、やや難関大用の単語集で、合計2冊)、これが平均的な私大に一般受験するのでも必要です。
昭和の昔なら1冊だけで十分だったかもしれませんが、しかし令和は入試の単語が増えたので、そういうわけにも行かなくなりました。
また、上記と関連して、新共通テストも3000語レベルとされていますが、実際には4500語レベルの単語も新共通テストに出てくると思われます。なぜなら上述のように、3000語レベルと4500語レベルの単語に明瞭な境界線は無いからです(さすがに5500語レベルとか7000語レベルとかを要求する事は新共通テストでは出題が無いというだけです)。少なくとも20001年ごろの旧センター試験の時代、学校で渡された3000語レベルの単語集をこなしていてもセンター対応できない受験失敗例もよく聞かれました。(当時、センター試験の出題傾向について上述のような問題が知られていなかったので、進学校でも今でいう3000語レベルしか対応しない高校もよくあった。)
:※ なお、説明の都合上、2001年ごろについても「3000語」レベルとか言いましたが、実際には単語数の算出基準が変わっており、現在の単語数の数え方には一致しません。
=== 単語の練習法 ===
かといって、いきなり高校1年で入試対策レベルの単語集を使っても効率が悪いので、まずは基礎レベルの単語から始めるのが良いでしょう。
読解練習や文法練習よりも先に、単語力を増やす練習が大事です。熟語集の暗記よりも先に単語集あるいは単語・熟語集の暗記を優先してください。
英単語を勉強する際、まず最初は、なるべく早く、その単語集の全体の単語と例文を書き終えます。もちろん、それだけでは全部の単語は覚えられませんが、そのほうが次の理屈で効率が良いです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=E-U8m3en_E0 『英単語暗記必勝法!今こそ苦手を克服せよ!』 2022/12/13 ]</ref>。
たとえば1000語ある単語帳を2週間ですべて単語と例文をそれぞれ1回だけ書き写したとしましょう(実際は他教科もあるので無理かもしれないが置いとく)。
たとえ3割しか覚えられなくても、なんと計算上、300語もの単語(=1000×0.3)をたった2週間で覚えられます。たった1周するだけで良いのです。というか、むしろ、けっして3回や5回も書き写すのではなく、最初はたった1回のほうが良いのです。
もしこれを同じ期間に100個だけ限定して熱心に難度も読み書きして覚える方法をすると、たとえ仮に100%覚えたと仮定しても、計算上は100語までしか覚えられません。まして実際には100%は無理でしょうから、よくて80%を覚えて、80語ていどでしょうか。
よって、先に単語集の単語を、たとえ覚えられなくても良いので、全部の単語を書き写すほうが効率が良いのです。
じっくりと何度も読み書きをして確実に覚えるのは、そのあとからです。
入試の現状で、どの教科も覚えることが増えて時間が無いのに、英語では多くの単語を覚えないといけないので、こういう工夫が必要です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=E-U8m3en_E0 『英単語暗記必勝法!今こそ苦手を克服せよ!』 2022/12/13 ]</ref>。
また、参考サイトには書いてないですが、とにかく早めに単語を学ばないと、いつまで経っても英文読解の勉強を始められません。よって、高校入学後の割と早い時期や、および高校2年の初めごろに、まずは、それぞれの学年にあった単語集の単語を一通り通読する必要があります。
高校や塾などの小テストで週に50語~100語とか覚えるのは、それはそれでヤレバいいのですが、それとは別に、単語帳を1周、ぜんぶ早めに書き写すのです。
大学入試では、高校入試と違って、国公立の大学ですら、理系の高校生などを無視した、教科書レベルをやや超えた難単語を平気で入試に出してきます。このため、とにかく上記のような工夫が必要です。
標準レベルの3000語レベルの単語が高校2年あたりでひととおり終わったあたりから、桐原・東京書籍の4,500語に加えて予備校など受験対応の単語集も買って練習します。まだ、平均レベルの単語集を覚え切れて無くても構わないので、受験レベル(4500~5500)の単語集を勉強します。
学生・受験生の勉強科目は、数学など、英語科目以外にもあるので、大変でしょう。ですが、うまくスケジュールを工夫して時間を作ってください。
さらに単語を定着させるためには、英文読解やリスニングなどの単語以外の他の練習もします。
=== 単語集のレベル別の利用法 ===
==== 初級レベル(1700~1800語)はまず不要 ====
中学できちんと勉強してきた人なら、初級レベル(1800語)レベルの 単語集には、高校生には不要です。これは、どちらかというと中学3年~高校受験用のものです。
普通に受験勉強をしてきて偏差値48以上ぐらいの人なら、1800語レベルは買う必要はありません、。
本屋で表紙を見ると「高校基礎レベル」とか書いてあるかもしれませんが、ウソではないですが誤解を招く表現です。表紙の宣伝文句は信用しないでおくのが安全です。
この1700~1800語レベルは、おおむね英検3級レベルか、それに毛の生えた程度です。英検3級と英検準2級との間には、かなり難度の開きがあるので、このレベルの教材は英検教材コーナーにはないので、これはこれで1700~1800語レベルは出版・販売されてると便利です。
この1700~1800レベルの後半を見ると、中学で習わない単語も書いてありますが、しかしそれを買わなくても3000語レベルにも同様の単語が書いてあります。
たとえばある1700レベルの単語集で injure (けがをする)という単語を見つけましたが、同じ出版社の 3000語レベルでも同じ単語がありました。
わざわざ初級レベルの単語集で練習しなくても、中級(3000語レベル)の練習での例文の書き取りなどのついでに、自然と初級レベルの単語のスペルも身についていきます
なお、初級レベル(1700~1800)の単語集の中に書いてある「高校1年 基礎レベル」みたいな難度の情報は、あまり信用してはいけません。(実際に買ってみて読んで確認しました。)ある単語集でそのレベルの単語を確認したら、いくつも中学レベルの単語がありました。 year (年)とか month (月)とかの中学で習ったはずの単語が、「高校1年 基礎レベル」になっていました。
どうしても1700~1800語レベルを活用するなら、どっちかというと単語練習よりも、高校受験のレベル確認用と言うか、「高校受験の終わり~遅くとも高校1年の1学期の終わりまでには、大体この程度の単語は出来るようになって欲しい」といった確認のためのツールでしょうか。
==== 3000語レベル ====
===== 基本 =====
特別な事情がないかぎり、高校生は3000語レベルから単語集を勉強すると良いでしょう。
いきなり3000語を使うのは中学と高校の橋渡しに不安かもしれませんが、しかし出版社側が3000語レベル本の冒頭の第1章で、中学単語の復習およびそれを高校の視点で理解しなおす勉強をしてあります。桐原と東京書籍のどちらとも3000語レベルの本の第1章は、そういう中高の橋渡しのための単語の紹介です。
逆に、4500語レベルの本には、そういう橋渡しが書いてないので、高校1年では4500語レベルは不適切です。
* スペル暗記の対象について
スペルの暗記について、実は中級の単語であっても、すべてを暗記する必要はないし、すべてのスペル暗記は面倒です。優先して覚えるべき単語は、知的レベルの高い単語です。
また、東京書籍『コーパス』シリーズの単語集の前書きを見てみると、実は3000語レベルは「受信語彙」としており、つまりリーディング用の語彙にすぎず、受験の英作文などでは高校新出単語の多くは基本的に用いないことを想定しています。
受験では短時間に英文を書かないといけないので、中学レベルに毛の生えた単語力に、若干の高校中級レベルの単語を加えて、それで英作文を完成させれば十分なのです。もちろんビジネスの仕事の英文とは違いますが、そういう実務の英作文はそういう専門家の大人にまかせればいいのであり、高校生には関係ないです。
東京書籍の意見ではないですが、具体的に単語例を挙げて説明するなら、たとえば respond「応答する」 と nod 「うなづく」だったら、respondのほうを優先してスペルを覚えなければなりません。
なぜなら、respond のほうが名詞形の response などもあり、応用が多く、意味も広範であり英作文などで使わざるを得ない可能性が高いからです。一方で nod のほうの用途は、誰かがうなづく場面どまりです。また、ノッドの名詞形や形容詞形はないと思います。
また、nod はビジネス英語などでも agree 「賛成する」で言い換え可能です。入試の英作文ですら、ほとんどの場合は agree で十分でしょう。
この nod のように、利用価値の低い単語は、スペル暗記は後回しです。せいぜいリーディング用に「そういう単語もあるんだなあ・・・」と知っていれば十分です。
実は中堅私大や地方国立の英文の単語は、学科によっては案外センター試験ほど難しくない場合もあります。
さて、残念なことに、高校の単語集あたりから、だんだんと英語教育の質が形骸化しており、単語集がやみくもに単語数を多く紹介したいあまりに説明不足になってきています。
たとえば中級単語で content (満足する)という形容詞があるのですが、じゃあ satisfied (満足する)とどう違うのかは、単語集には書いていません。なぜならcontent は中級レベル、satisfied は初級レベルの単語なので、本を別冊にまたいでしまうからです。こういう縦割り教育なのが現状です。
辞書で content を調べるような思慮深い人は、他の単語を覚える勉強時間が不足してしまうので入試では不利になってしまうわけです。ひどいもんです。
* 2冊買うべきかどうか
3000語レベルの単語集(桐原『データベース3000』や東京書籍『コーパス3000』)については、2冊そろえるべきか1冊に集中すべきか、判断が分かれるでしょう。実際に各自が単語集を読んでみて判断してください。べつに2冊あっても構いませんし便利ですが、他の教科の勉強などもあるので、難しいところです。
旺文社の『英単語ターゲット1200』も、中級レベルでしょう。
あるいは、2冊そろえれば例文の数が単純計算で2倍になるので、辞書でいちいち高校レベルの例文を探す手間が減りますので、2冊目の単語集にはそういう活用法もあるかもしれません。あるいは、問題練習とかの手間を2冊目の単語集で減らせるかもしれません。
このように2冊目の単語集は便利かもしれませんが、しかし目的が上級レベル(4500~5500語)と中級レベル(3000語)では違います。
まあ各自がどうするか判断してください。
なお、東京書籍『コーパス3000』は、数字だけ見れば桐原『データベース3000』と同じですが、しかし東京書籍のほうで3000語レベルのもの(たとえばinjure)が桐原の4500語レベルに書いてあったり、あるいは別の単語ではその逆で桐原3000レベルの単語が東京書籍4500語に書いてあったりと、あまり分類は明確ではありません。
===== 3000語の語法は初めは深追いするな =====
偏差値の低め~平均程度の大学のなかには、4500語レベルの単語をあまり出さない代わりに、3000語レベルの範囲の単語で、やたらと細かい語法を要求する問題もあります。
しかし、4500語レベルや5500語レベルも勉強する一方で、いつまでも3000語の語法ばかりを覚え続けるわけにもいきません。
だから勉強法としては、極端なことを言えば、3000語の語法を熱心に練習するよりも先に、まず4500語レベルの単語集で一通り、単語の訳を暗記したほうがマシです。
実際、入試問題にも、そういう傾向もあります。
文系私大の偏差値50前後の平均的な大学が3000語レベルの細かい語法を4択問題などで聞いてくる一方で、文系私大の偏差値60くらいの大学のある出題が、4500語レベルで単語の和訳の丸暗記だけで4択問題が解けてしまう、といったような出題事例も少なからずあります。
==== 上級レベル(4500~5500)の単語集について ====
===== 原則 =====
もし大学受験を目指しているなら、高校3年くらいになったら、4500語+アルファの単語集にステップアップします。ここでいうアルファは、予備校などの出している、補足的な単語集です。
いっぽう、桐原の5500語レベルの単語集は、あれは志望校などの傾向の確認用などで、辞書的に使うものです。
桐原5500をメインにするべきではありません。桐原4500語または東京書籍4500語を一通りクリアしたのなら、メインの単語集としては旺文社1900または予備校系の単語集に入るべきです。
5500語レベルの単語集の使い方なのですが、かなり難しいです。ここでいう5500語レベルとは、桐原『データベース5500』を想定しています。
旺文社の(1200ではなく)『英単語ターゲット1900』は、実はやや高レベルです。東京書籍4500・桐原4500にはない単語でも、旺文社1900には記述されていることもあります。なお、それらの単語の元ネタは、受験過去問もありますが、じつは英検2級~準1級あたりです。
旺文社のは、数字の小ささにダマされてはいけません。桐原や東京書籍の数字とは、旺文社の数字は意味が違います。
桐原4500はその装丁の厳めしさなどに比べて、実はやや単語のレベルは控えめです。東京書籍も桐原のスタイルを踏襲しているような所があり、やや控えめのレベルです。
だから旺文社は、派生語などで、桐原・東京書籍が紹介してない単語をポンポンとたくさん紹介しています。
このため、現代でも勉強法としては、「まずは高校2年の終わりまでに東京書籍または桐原の出している高校用参考集をベースに勉強。高校3年あたりで旺文社のレベル高めの単語集を買い足して勉強する」といった感じになるでしょうか。
4500語レベル単語集では、桐原と東京書籍のどちらの単語集でも不足です。なぜなら、単語集1冊だけでは、例文不足かつ解説不足により、あまり役立ちません。なので少なくとも上級レベルだけ、出版社を変えて2冊、必要でしょう。東京書籍4500+旺文社1900にするか、それとも桐原4500+旺文社1900にするか、判断は読者に任せます。
具体的に単語をあげて説明すると、たとえば「限定する」という意味のrestrict と confine、ともに似たような意味ですが、単語集には意味の細かい違いは書いていないか、書かれていても強調されていません。
桐原の単語集だとこの2つが類義語だという情報はあるのですが、しかしニュアンスの違いが説明不測です。
一方、東京書籍および旺文社だと、restrict を「制限する」の意味で説明しているのでニュアンスの違いは分かりますが、しかしconfineと類義語である情報が欠落していました。
さてconfine のほうが、「地理的に制限する」=「閉じ込める」のような意味合いが強いのですが、旺文社の単語集だと「閉じ込める」の意味もあるのですが、しかし桐原の単語集にはそこまで書いていないのです。
かといって東京書籍のほうには、confine の「限定する」の意味が書かれていません。
また、restrictは(限度内に)「制限する」という意味もあります。むしろ、こっちの意味で紹介している単語集もあります。
どちらの単語集を使うにも、例文が不足しており、ひとつの単語集だけでは意味がまったく分かりません。困った教育状況です。本来なら入試に出題する単語を減らすなどして理解を深めさせるべきでしょうが、しかしそういった教育が出来ていないのが日本の現実です。
それでも、まだしも大学受験用の単語集は、なんとか教育効果を高めようとした形跡も見られるのでマシです。なので、単語集を2つ組み合わせると、なんとか役立ちます。一方、TOEIC 高得点用の教材とか英検の1級あたりの教材の単語集とか、やたらと単語数を多くしているばかりで、ひどいものです。(資格本の活用法については別セクションで述べる。要点:出題傾向を把握する目的だけに英語資格本を使う。)
なお、桐原の場合、紹介する単語数そのものは旺文社などと比べて減りますが、その代わり、桐原の密度の高さが長所であり、桐原では他の単語集には無い語法などを紹介しているなど、単語1つあたりの情報量が桐原では増えています。なので、桐原の単語集も油断はできません。
一見すると、桐原の単語の項目のひとつずつの情報量は多くないように見えますが、しかし、桐原では別ページの紹介単語を用いた熟語をまとめたページなどがあるので、それを含めると桐原の単語ひとつあたりの情報量は多くなります。
かといって高校生としては、英単語集ばかりをそう何社も比較して勉強するのは無理でしょうから(数学など他教科の勉強も必要だし、英語の勉強も単語以外にも読解練習やリスニングなど多々あるので)、受験では結局、すべての単語は覚えきれない状態で挑むことになるでしょうか。
大学受験もその後の資格試験も、けっして満点はとる必要は無く、人生の目的に必要な志望校などの合格最低点を上回って合格さえ出来ればいいのです。
別に大学受験の英語に限った話ではないですが、大学受験において、平均以上の大学の入試では満点をとるのは基本的には困難であり、普通は満点は無理です。小中学校の校内テストと事情が異なります。
===== 4500語以上のスペルは実は覚えなくていい =====
実を言うと英語のスペルの暗記については、4500語レベルおよびそれ以上のレベルの単語のスペルは、まず覚える必要が低いです。
なぜなら英作文や和文英訳であまり使わないからです。
また、桐原5500や、東京書籍4500の後半部の単語などは、実はもうその1~2回のスペル練習すら、しないでも済むのです。おおよそのスペルと用法のイメージを頭に入れれば十分でしょう。
また、グローバル人材の育成などを目指す大学ならば、英作文などを要求してくると思いますが、だったら英作文で使うようなレベルの中級英語(4500)で十分なのです。むしろ、4500語レベルですらスペルミスなく習得していたら、かなりの勉強家です。
ましてや5500語レベルの単語については、読解問題で出題されたときに意味を把握できればいいのです。
仮に、桐原5500語レベルの単語のスペルを暗記させる問題を出す大学があっても、どうせ他の現役受験生の多くも解けない問題なので、実質的にスペル暗記は5500語レベルでは無視していいでしょう。
一部の浪人生で文系専願の人なら解けるかもしれませんが、難関大を目指して4浪だの8浪だのしている連中と、現役生は張り合ってはなりません。
TOEICなどの国際的な資格試験では普通、書き取りをしません。なぜなら採点の手間の都合で、TOEICでは選択問題ばかりです。大学側が入試で入学後のTOEIC対策などを考えた出題をしたとしても、スペル対策はもはや不要なのです。
英検でスペル暗記を使うかもしれませんが、しかし英検は日本でしか評価されません。
桐原5500は論外として、
正直、時間的に現役高校生が、桐原『データベース4500』と東京書籍『コーパス4500』または旺文社『英単語ターゲット1900』を使いこなすレベルにクリアするのですら、高校3年間では少しキツいと思います。たぶん多くの高校生は予想では3年生のときに「上級レベルの単語集の用法や用例を覚えている最中に、時間切れで、高校3年の卒業式を迎える」という結果になると思います。なぜなら、このレベルで、急に単語を覚えるのが難しくなるからです。かといって中級レベルまでしか勉強しないと、卒業後の実務のリーディングにも不便なので、上級レベルを高校3年で教えるのにも意義のあることなので、教育者には悩みどころなのでしょう。
なので勉強法としては、4500語レベルをクリアできなくてもいいので、ある程度の勉強をしたら、予備校などの出しているレベル高めの単語集をいくつか買います。
諸般の事情で、東京書籍・桐原・旺文社が紹介していないが、高校生に勉強してほしい定番の単語みたいなのがあって、そういうのが予備校系の単語集で紹介されています。
==== 予備校の単語集は何をしているか ====
歴史的な事情で、今の4500語レベルの単語集には書かれていないが実は昔の1990年代ごろまでの高レベル単語集には書かれていた単語があります。
そういう単語が、難関大学で狙われるかもしれません。
旺文社1900や桐原・東京書籍4500語にない単語の正体のひとつは、そういう昔の課程の単語です。
で、それが予備校系の単語集の元ネタのひとつでもあります。
東京書籍・桐原の3000語レベルや4500語レベルで旅行会話のような実用英語が増えたりビジネス英単語などが増えたので、昔なら4500語レベルに書いてあった単語のいくつかが今は5500語レベルにハミ出ているのです。
なので、予備校などの出す、受験レベルの単語集が1~2冊は必要です。そういうハミ出た単語だけ、あとは予備校系の単語集で抑えておけば十分なのです。
予備校の単語集を見てみましたが、実はそれほど特別な英単語はないのです。また、じつは、桐原4500などの学校向け単語集の単語すべてを均等に覚える必要はなく、やや傾向があります。
たとえば旅行英語で使う単語など、検定教科書にあるから桐原・東京書籍は紹介しているものの、あまり大学が重視してない項目もあります。
だから、桐原/東京書籍 に加えて、旺文社ターゲット、さらに別の予備校系などの高校3年レベルの単語集を何か1~2冊つかって知識の穴埋めをすれば、もう十分でしょう。
もしかしたら、高校2年からもう、予備校の出版している難関向けの単語集を使ってもいいかもしれません。
市販の予備校の単語集を見ても、けっして、桐原5500語レベルの単語を片っ端からは教えていません。桐原5500のアレは、高校生には習得が無理だと思われているのでしょう。
==== 受験英語の特殊事情 ====
大学受験英語の特殊な事情ですが、明らかに高校範囲外で実用的にもメッタに使われていない英単語が難関大学で出されており、当然に読めないのですが、しかしなぜか他の文章の単語から文脈にとって意味をとれるようになっています。
もちろん、現実ではそんな好都合なことは滅多に無いのですが、受験の英文はたいてい都合よくそうなっています。
また、万が一、他の英文の文脈から読めない単語が出ても、どうせ他の多くの受験生も解けないので、そういう問題は解けるようにしておく必要がありません。
ともかく、入試対策としては最低限、東京書籍4500・桐原4500をベースに、さらに旺文社1900で派生語を固める必要があります。
しかし、それとは別に、予備校などの出す、プラス・アルファ的な受験レベルの単語集が1~2冊は必要です。
歴史的な事情で、今の4500語レベルの単語集には書かれていないが実は昔の高レベル単語集には書かれていた単語があって、4500語と旺文社1900をひととおりクリアしたあとは、そういう歴史的経緯のある単語だけ予備校単語集で攻略すればいいのです。
==== 英単語集の読書計画 ====
最初から高校在学中の読書計画に、英単語集の読書を想定して組み込んでおくと良いでしょう。また、桐原・東京書籍・旺文社あたりに基本の単語集とは別に、他社の少しだけ発展的な単語集を読書感覚で読むと良いでしょう。
高校必修の範囲を越えた単語や派生語などは、読書感覚でひととおり解説に目を通すだけの単語集の勉強でも十分に対応できる場合も多くあります。
しかし、いちども読んだこともない単語は、さすがに入試で対応できません。だから、一度でも解説に目を通してしまえば、済む単語も多くあるのです。
なので、広く浅くでいいので、読書しておく必要があります。
=== 大学受験に必要な単語量について ===
一般に、大学受験で、難関な学校の英語を読み解くには4000語程度を知っていることが望ましい。
世間でよくある勘違いとして、「近年はリスニング導入などにより単語数が減ったから、用法を覚えるのを中心にすべきだ」という知ったかぶりの勘違いがありますが、しかしそれは「90年代のような(現代換算で)6000語レベルとか7000語レベルとかやってた受験戦争の時代ほどは、2020年代では多くの単語を覚える必要が無い」という意味です。そんだけ昭和や平成初期の受験戦争は、片寄っていたというだけです。現代だと早稲田や上智の英文あたりしか出さない難しい英単語を、昔はマーチ文系学部や関関同立なども出していた、というだけです。
2020年代の現在での平均的な大学受験レベルである4500語レベルまでは、さっさと目指してドンドンと覚えてください。もちろん用法なども覚えるのは当然です。
「単語数が減った」という意味は、「英検1級にしか出ないような超マニアック単語は出ない」という意味です。(たとえば redemption 「(キリスト教用語)人間の罪のあがない」(なお、おそらく「罪」とは宗教的な原罪)みたいなマニアック単語は大学受験では出ないという意味。)
2001年ころは実際に入試に英検1級の redemption が出たかはともかく、ひょっとしたら英検1級単語もチラホラと出るかもしれないとして、一部の文系受験生はそういう単語も勉強してたわけです(まだ今ほど受験ノウハウが、インターネットで共有されてなかった時代だったので)。
=== 学部ごとによる出題傾向の違い ===
単語集などで出題校を見ると、学部名が書いてないですが、実際は学部によって出題傾向がけっこう違います。少なくとも1990年代はそうでした。
基本的に、理系の学部では、5500語レベルのような、あまりに難しい単語は出ません。そういうのを出すのは、よほどの難関私大や、それも文系の学科です。少なくとも2001年ごろはそうでした。理系学部が出すのは基本、化学英語を除けば、せいぜい旺文社ターゲット1900のような、どこの書店の参考書コーナーでも入るような単語です。少なくとも2001年ころの私大では、法政大学の理系学部および東京理科大および四工大(芝浦工大や工学院大など)はそうでした。
理系の学部の入試では、英文科ほど難しい単語は出てきません。もし仮に出てきたとしても、相手する価値が無い大学です。それとは別に、理系の大学では、科学英語などが出る場合があります。特に私大は、少なくとも1990年代はそうでした(当時、科学英語の参考書が少ないにも関わらず、マーチでも青学あたりがそういうの出していた)。私立だけでなく国立でも、東工大などの国立の難関理系大学でも、昔は科学英語を出してた時代もありました(今はどうか知りません)。
ほか、最近はどうか知りませんが、桐原5500の単語を見ると「輸血」の英語など、ちょくちょく医学的な英語があったりして、90年代くらいの昔は出たようです。
常識的に、医学部などで、そういう長文でも出したのでしょう。もしかしたら他学部の出題かもしれませんが、志望以外の専攻の専門用語までは付き合いきれません。
もし今の書店の受験参考書コーナーにそういう科学英語の単語集があれば、今でも出るのだろうし、無ければ、出ないと出版社が判断したのでしょうから、書店の状況に従えば安全だと思います。
赤本などの過去問などで、もしかしたらそういう専門的な英単語を勉強できるかもしれません。志望校にも寄るので、念のため、過去問などを確認してください。
もし、普通の書店にある単語集に無い単語ばかり出す国立大学があれば、批判されるべきです。国民の税金で運営されているのですから、どこに住んでる国民でも勉強できる単語でないといけません。
私大の単語はどうか知りません。
=== 単語の小テストばかりを受けても、復習しなければ単語力は身に付かない ===
学校や塾で、単語の小テストを受けさせられる場合もあるでしょう。「単語集の○○ページから△△ページまでを小テストで出すので、書き取り練習して覚えるように」という小テストです。
たいていの高校生の場合、予習はテスト前にしますが、いっぽうで復習をしているかどうかは、個人任せです。
ですが、小テストをいくら受けても、復習しなければ、単語力は増えません。
もし、単語の小テストを受けたままで、その後は復習せずに、ほったらかしにしてしまったら、何も単語力が伸びません。
単語テストは、テストを受けた後に、自分の未修得の単語を復習するために存在しているので、テスト後に復習をする必要があります。(もちろん、テスト前に予習も必要である。予習をしていれば、未修得の単語が減るので、復習の単語数が減る。)
要するに、小テストの使い方は、全国模試の使い方と同じです。
全国の高校や塾のうちの一部では、どうも、小テストの目的を忘れていて、「とにかく毎週、単語の小テストをすればいい」と安易に考えているような教育も、ある気がします。
ここを読んでいる読者高校生は、小テスト本来の目的を思い出して、小テスト後には復習と予習をしましょう。
さて、たいていの高校や塾では、1週間に1回のペースで、単語20〜50語ほどの記憶をはかる小テストをしていると思います。
1週間ごとに50語ほどのペースで単語小テストをしていれば、充分にハイペースですので、それ以上は週あたりの単語数を増やす必要はありません。(英語が好きなら、さらに勝手に単語数のペースを増やせばいいだろう。)
裏を返せば、復習をしきれない量の単語小テストを毎回受けさせられても、非効率です。例えば、1週間ごとに300語の単語小テストを高校で受けたとしても(ただし高校1年の1学期だと、中学英語の復習で、そういう数百問のテストもありうる。しかしそれは期間限定)、そんなに英単語ばかり復習しきれないでしょう。(数学など他教科の勉強もありますし。)
万が一、そういう高校や塾の場合(1週間に300語の単語小テストの場合)、その高校や塾の小テストは後回しにして、自分で単語を予習・復習しましょう。
ただし、定期試験や期末試験などで、今までの単語小テストの合計の数百語のなかから単語が出題される場合は、多くあるので、その復習はしましょう。つまり、学期内の小テストは、その学期中に復習し始めましょう。(どのみち、テスト後にも補習などがあるだろうが・・・)
夏休み明けや、冬休み明けに、前の学期の小テストの範囲内の単語が出題されたりしますので、休み中にも、復習しましょう。(予習も忘れずに。小テストは最終目的ではなく、入試合格などが、より本質的な目的なので。)
同様に、3学期の年度末の期末テストなら、1年間の小テスト範囲の合計1000語ちかくがテスト範囲に含まれる場合も多いので、その復習はしましょう。つまり、年度内の小テストは、その年度中に復習し始めましょう。(どのみち、テスト後にも補習などがあるが。)
== 文法 ==
=== 完璧な文法理解はあきらめる ===
==== 背景 ====
高校では、中学英語の不正確な文法を、修正するような内容も習います。
しかし、だからといって、けっして完全にネイティブ級な英文法を目指してはいけません。高校生には無理です(大学生ですら無理だろう)。それこそ、米英生まれの人以外は、もう専業の英語教師みたいに年以上も勉強しないと到達できない水準の世界です。
なので、大学受験で要求される文法は、せいぜい、大学受験用のどの参考書にも書いてあるレベルの基本的な文法さえ理解できればいいのです。
そういう基本事項さえ押さえていれば、少しくらい文法が不正確でも、たぶん大学受験では多めに見てくれます。仮に多めに見てもらえなくても、もうそこまでの対策の時間は高校生にはありません。
じつは、受験参考書の文法解説すら、本当はまだまだ説明不足です。ですが、大学受験参考書を超える内容はもう、高校生には時間的には無理だし、数学など他の教科の勉強も必要なので、あきらめる必要があります。
これはつまり、大学受験の英作文でも、実は少しくらいマチガイがあっても良いのです。どの参考書にもある基本的な文法事項さえ押さえてあれば、少しくらい文法が間違っていても、大学は許容するでしょう。(許容しない大学があっても、英数学など英語以外の他教科の勉強を無視した大学なので、無視していい。なお、国公立の東京外国語大学では、受験生に数学を要求しています。)
日本人と外国人の立場を変えれば分かります。日本在住の外国人タレントとかで、もう十年以上の長いあいだ日本に住んでいる人ですら、ときどき文法ミスをしますし、日本語の発音も日本人とは少し違います。ですが、それを日本社会は許容します。
英語でも同じことです。向こうの国の人は、少しくらい日本人の英語の単語の並びや発音がヘンでも、話の内容がシッカリしていれば、聞いてくれます。
==== 対策 ====
上記のような背景のため、大学受験対策の英文法の勉強としては、せいせい平均レベルの問題集をせいぜい2冊ほどクリアすれば十分です。せいぜい、複合問題とかを解ければ、充分でしょう。
もっと言うなら、'''英作文の入試問題の場合、文法がすこしくらい間違っていてもいい'''のです。どの教科書・参考書にも書いてある基本を学んだ形跡さえある英作文を書ければ、あとは意味が通じれば、たとえば英作文中で冠詞がすこしくらい抜けててもいい、もしくは余計な冠詞があっても良い(本来は冠詞をつけない名詞に a とか the とか書いてもいい)のです。(ただし、あくまで「意味が通じるなら」の条件つきです。冠詞を間違えると意味が通じない英作文の場合は、間違えてはいけません。)
英作文の問題なんて、せいぜい英作文の参考書を数冊と、あとは普通の英文法の参考書の内容を押さえておいて、一通り学んだ形跡さえあれば、あとはもう小さなミスは受け入れるしかありません。仮に入試でその文法ミスが減点されようが、もう対策の時間がありません。
たとえば、日本語訳に引っ張られて、英語では、その単語には使わない冠詞をつけくわえても、そういうミスはもう、受け入れるしかありません。「英語以外にも日本語の知識も多いがゆえに、間違えてしまう」という類のミスは、もう受け入れるしかないのです。
日本語の学力に限らず、数学の学力でも理科でも社会でも、'''他教科の学力が高いがゆえに発生しやすいミスは、受け入れるしかありません'''。仮にこういう知識の多さゆえのミスをひどく減点する採点者のいる大学があっても、そういう大学はあまり教育水準が高くないので、もう相手しないほうが良いです。
また、辞書や一部の参考書のコラムにしか書いてないような細かい文法はもう、いちいち覚えてられないので、間違えてもいいのです。
また、仮に文法にミスが無くても単語にミスがあれば英作文では減点されかねないので、単語を学ぶほうが重要です。
ともかく英作文では、けっして「小さなミスを避ける」という発想ではなく、「'''大きなミスをなくすために、小さなミスを許容する'''」という発想の転換のほうが重要でしょう。
大きなミスにつながりかねない、文型とか過去形・完了形とか仮定法とか関係詞とか、「もし間違えると、意味がまったく変わってしまったり、逆の意味になってしまいかねない」という、そういう単元を重点的に身に着ける必要があります。いっぽう、助動詞などの高校で習うような微妙なニュアンスの違いとかは(たとえば助動詞 will は、「明日は日曜日だ」みたいな確実な未来では使わないというニュアンスがある)、間違えても小さなミスですので、ある程度は小さなミスを英作文では妥協する必要があります。
英作文では、よほど簡単な文でない限り、ミスは無くせません。また、だいたい英作文を要求してくる大学は、そこそこの長さの英作文を要求してきます。よって、ミスをゼロにしようという発想では、ネイティブ以外では対処できません。
たとえば、英作文がまったく逆の意味に受け取られてしまうような大きなミスは、避けなければいけません。また、そもそも米英人に通じないような文章も、避けなければいけません。
しかし裏を返せば、英作文で少しくらいニュアンスが変わってしまっても、教科書レベルの文法をきちんと押さえていて、もとの和文の意味の90%くらいが通じるなら、ミスは受け入れざるを得ません。
;大学入試も英検・TOEICも単語重視
文法の要求水準がそんなに高くないので、平均的な文法問題集をクリアしたら、そのあとは単語などを勉強したほうが良いと思います。
もし仮に、文法で難問を入試に出してくるブランド大学があったとしても、そういう大学は単語力も多く要求してくるでしょうから、文法の難問よりも単語力の増強に時間を当てたほうが良いでしょう。
英検など検定試験では、単語については大学受験を超える単語も要求されます。しかし文法については上述の通り、大学受験を超えるような文法理解は英検・TOEICですら要求されないです。世間の人は、そもそも受験参考書を超える文法知識の存在そのものを知らない人すらも多くいるくらいです。
=== 参考書で勉強する ===
高校英語の英文法の勉強は、検定教科書ではなく参考書で勉強するのが定石、基本です。
なので、まずは参考書を買い始めましょう。普通科高校なら、おそらく高校の入学時、検定教科書の購入と一緒に、参考書も買わされると思います。
もし大学受験を考えるなら、英文法の参考書を買わなければなりません。
とりあえず、下記に後述する網羅形式の本を持っていれば、ひとまずは安心でしょう。
=== 高校英文法は例外も多い ===
中学の英文法の教育では、規則的・論理的な文法事項だけが取り上げられたのですが、高校は違います。
このことからか、高校英語では英文法の参考書のスタンスがいくつか分かれています。
1. 例外的な事例にはあまり深入りせず、基本的な事項を重視したスタンス
2. 辞書的に、英文法のあらゆるパターンを網羅的に掲載したスタンス
があります。(実際にはこの中間の編集方針の参考書もあるが、説明の都合上、二極に単純化することにする。)
予備校系の講義形式をうたった参考書のいくつかや、高校英文法の入門書などの参考書のいくつかは、基礎的な重要事項を特に重視したスタンスです。(そのため、例外的な事項の説明は省かれているか、少なめです。)
いっぽう、高校にもよりますが、高校で配布されるような昔からの、いかめしい感じのする参考書は、辞書的・網羅的なスタンスの参考書です。
センター試験などを考えるなら、網羅的なスタンスの文法参考書を最終的には読んで覚えざるを得ません。
一応、網羅本だけでも受験対策は可能ですが、塾や予備校などに通ってない人や、高校の授業の質に不安のある人は、さらに基礎的な事項を重視したスタンスの文法参考書もあると良いかもしれません。
例えば理系の中堅私大などで、あまり例外的な文法事項を要求するとは思えません。
ただし、これは私大の場合の話です。国公立の志望の場合は、共通試験を対策せざるを得ず、そのため二次試験がどうなっていようが、その対策のために辞書的・網羅的な参考書を読まざるを得ません。
TOEICなどの資格試験が近年重視されており、大学でも私大などで推薦入試や自己推薦などでTOEICの成績を考慮する大学も多く、企業もTOEICを表向きには重視していますが、TOEICは文法教育における論理性や高校生の論理性の涵養に配慮する義務はありません。なので、この問題の逃げ場は、大学受験にはありません。TOEICが果たして本当に実用英語かどうかはともかく、世間一般で「実用英語」だろうとは言われています。
=== 網羅本でも全部の構文は紹介していない ===
例えば比較級の構文「A is B no more than C is D」は、ある参考書(網羅本)には紹介されていませんでした。
高校英語で習う構文は多いので、複合的な構文などは、網羅本といえども一冊の参考書では紹介しきれないのです。
もし英語だけしか学習しないので済むのであれば(実際は違いますが)、英文法の網羅本の参考書を2冊や3冊も読み比べることで自分にあった参考書を選べばいいですが、しかし他教科の勉強もあるので、そうはいきません。
悩みどころです。各自、うまく対応してください。
また、大学生・社会人向けの厚めの文法参考書でも、すべての構文が書いてあるわけではないです。例えば『ロイヤル英文法』という大人向けのやや専門的かつ高度な英文法参考書がありますが、「all the +比較級」の構文は書いてありませんでしたし、巻末の索引を調べてもありません。
だから、大人向けの文法参考書を読んだところで、この問題「網羅本でも全部の構文は紹介していない」は解決しないのです。
=== 時間配分 ===
文法の学習は当然に必要ですし、入試にも良く出ます。しかし、文法の学習にばかり時間を掛けてはなりません。
高校に入学すると、高校の範囲の文法事項を、おそらく学校や塾などで急に教わり始めるでしょう。それらの文法の新知識の学習も大事ですし、当然に学習するべき知識ですが、読者のみなさんは英単語の学習も欠かさないようにしてください。文法なんて覚えることも少ないし、大学受験をするなら最終的には大学受験のころにまで文法を覚えられれば良いのです。なので文法の難問を練習する時間があるなら、それよりも、まず先に単語を優先的に勉強して語彙力を増やしたほうが効率的でしょう。
また、入試の文法問題も、文法の知識だけで解ける問題は少なく、単語の知識や語法の知識などと組み合わせないと解けない問題なども、入試では、よく出題されやすいです。なので、単語の知識が、大学受験対策では優先的に必要なのです。
2010年以降なら、中学校で、すでに大まかな文法の枠組みは習っています。2022年では、仮定法すら中学校で習っているはずです。もはや高校で習うのは、無生物主語など若干の単元と、あとは仮定法過去完了だとか、現在完了進行形とかくらいです。
そういった合わせ技は、それほど熱心に勉強しなくても、入門的な問題集などで問題練習すれば、普通に習得できます。
=== 高校英文法は実は少しウソ知識 ===
高校生用の文法参考書は、高校標準レベルの参考書は、基本的には、中学英語の復習も兼ねています。
このため、普通なら、高校1年生は復習のためにわざわざ中学参考書を買いなおす必要はないです。
それよりも重要なこととして、実は高校英語の文法参考書には、不正確な知識があるという事です。中学英語が理解重視のため少し不正確でかなりひどいカタコト英語が中学生用の参考書・教科書にあるので、同様に高校の英文法も少しだけ不正確なウソの知識があるのです。
さて、単語集では基礎レベルの単語集の前半が、中学英語の復習を兼ねているように、実は高校英文法の参考書も、少なくない割と多くの部分が中学の復習や、中学で習った分類など理解の再構成を兼ねています。
単語集ほどではありませんが、高校の文法参考書でも、あまり序盤にある中学文法の復習の部分には、高校でも深入りする必要がないことが、上述の考察・市場調査などから分かります。
また、このことに気づけば、つまり単語以外の知識で、一部の参考書にしか紹介されていない細かい文法の理論的な知識は、入試対策としては覚える必要が低いことが導かれます。単語集だと、細かい発展的な単語も入試に出ますが、しかし文法書については事情が違います。高校英文法には、深入りせずに、広く浅く学ぶのが安全でしょう。
文法参考書に書いてある知識がそもそも初学者の理解しやすさを重視したためのウソ知識なのですから、むしろ、けっして鵜吞みにして深入りしてはイケナイのです。
ほか、使用頻度の少ない表現など、参考書によって説明が微妙に食い違っています。たとえば接続詞 lest は、ある参考書では、「文語的であり、あまり使われない」と主張する一方、他社の参考書では「(for fear よりも)頻度は lest のほうが高い」(ジーニアス)と主張していたりします。
こういうふうに、細かい表現の英米での利用状況には諸説あるので、あまり参考書を鵜呑みにしすぎないようにしましょう。
=== 大学生向けの参考書は例文不足 ===
大学生むけの参考書は高校生向けのものと、用途がやや異なります。
高校生は、高校生向けをターゲット層にした一般の高校生向けの英文法参考書を中心に勉強しましょう。
=== 細かなニュアンスの違いは覚えなくて良い ===
受験勉強では、細かなニュアンスの暗記よりも、英単語をたくさん覚えなければなりません。また英語以外の国語や数学などの勉強も必要です。
参考書で勉強をする際、あまり細かなニュアンスの違いの暗記に入り込まないように注意してください。
実際、ある検定教科書でも、文法事項の類似表現などは、たとえば Would you ~? と Could you ~? などの依頼表現としてのニュアンスの違いは説明していません。せいぜい、 「Please と比べたらWould You および Could you は丁寧な言い回しである」という程度のニュアンスさえ把握できていれば大学受験レベルでは十分です。
参考書にはもしかしたらもっと細かいニュアンスの違いなどが書いてあるかもしれませんが、そういう詳細な情報はせいぜい参考程度にしましょう。
実は参考書でも、もう細かいニュアンスの違いは教えていない書籍も多くあります。
つまり、大学受験用の英語参考書には2種類あり、
:ひとつは受験用に入試に出る最低限のことだけを教える参考書と、
:もうひとつは細かいニュアンスの違いなども教える参考書と、
そういう2種類があります。
なお、上記とは別に英語研究者用の文法参考書がありますが、大学受験には全く対応していないので間違えて購入しないでください。
最低限のことを教える文法参考書の例として、ジーニアス英和辞典を出している大修館書店は高校生向けの文法参考書(『ジーニアス総合英語』)も出していますが、しかし文法参考書のほうでは辞書ほど細かいニュアンスの違いを説明していないのが現状です。
特に新共通試験(旧制度のセンター試験に相当)などの公共機関の試験や、英検・TOEICなどの資格試験では、細かいニュアンスを問う問題はまず出題が難しいでしょう。西暦2000年以降、国公立人気などでセンター試験や新共通試験の影響がどんどん強まっている影響も考えれば、文法学習であまり深入りニュアンスに深入りするメリットは残念ながら少ないのが現状だろうと思います。
それが英語教育として良いかどうか不明ですが、現在の大学入試の対策として要求される文法教育とはそういうものです。
基本構文などの細かなニュアンスの違いは、英会話などではそれなりに重要ですが、しかし入試や画一的な資格試験では英会話をそこまで細かく採点できないので、したがってニュアンスの違いに基づく使い分けもそれらの試験では出題されづらいことになります。新共通試験にリスニング試験はありますが、しかし実際に会話をさせる試験はありません。
裏を返せば、細かいニュアンスに深入りした文法参考書は、高校卒業後の英会話などの英語学習などのステップアップで使うのが効果的かもしれません。
高校の文法参考書の題名は、「文法」と書いてあるものを選んでもいいですが、2022年の書店で確認したところ『総合英語』と書かれている参考書も文法事項が中心的です。
=== 各社ごとの注意 ===
参考書えらびの際に、高校1年生がたぶん勘違いしそうなことを、述べておく。
* 大修館「ジーニアス」と数研出版「チャート式」の細かさ
大修館「ジーニアス」ブランドは、辞書では昔から細かい説明で有名であり進学校などではジーニアスの辞書が勧められるとの噂も昔からよくあります。ですが、しかし「ジーニアス」ブランドの文法参考書はあまり細かくありません。注意してください。
別に細かい文法参考書がいいだの悪いだのという話ではなく、ともかく、辞書のような細かさを「ジーニアス」文法参考書に期待してはいけません。用途が違います。
いっぽう、数研出版のチャート式の文法参考書のほうが、多くの構文が細かく網羅的・羅列的には書いてある傾向にあります。このため、1990年代の昔からよくチャート式の一番難しいバージョン(白・黄・青など色々バージョンがある)が進学校などでの参考書として配布されることもありました(かつては赤チャートが難しかったが、現代は赤が廃止され次点だった青チャートが一番難しいバージョンになっている)。
ただし、果たして2020年代の現代の入試にもチャート式が効果的かどうかは分かりません(会話重視・リスニング重視や単語重視など、入試の流行の変化もあるので)。
* 文英堂「インスパイア」と学研の参考書の入門者対応
なお、かつて文英堂『シグマベスト』というシリーズが、1990年代~2001年くらいは高校入門レベルの参考書として定番だったが、現代はそもそも英語のシグマベストが無いのと(英語は『インスパイア』に変更)、しかし同社・文英堂の『インスパイア』は、難しめです。高校生むけの一般的な参考書のなかでは、たぶんインスパイアが一番情報量が多いと思います(青チャートよりもインスパイアのほうが説明が細かいです)。
暗記科目なので、難しくても、とりあえず読めますが、しかし『インスパイア』のレベルはやや受験レベルを少し超えている記述もチラホラあります。
なお、例えば理科など他教科でも『シグマベスト』は実は2010年以降の現代はなかなか発展的であり難しくなってきていて、情報も細かく羅列的である。90年代の当時とは『シグマベスト』の中身の難しさが違うので、参考書選びのさいには、けっして90年代のままの世間の大人たちの評価を鵜吞みにしないように注意。
背景として、90年代の昔は、英数理の参考書選びのパターンとして、「シグマベストで入門レベルをカバーして、チャート式で高度な事項を勉強」という有名パターンがありました(なお、国語と社会科のチャート式は参考書としては無い)。あるいは、「その教科が苦手ならシグマベストを選ぶ。その教科が得意ならチャート式を選ぶ。」のようなパターンが90年代にありました。
しかし、現代では シグマ + チャート のパターンが、もはや上述の出版事情の変化で通用しなくなってるので注意。
2010年台の今だと例えば学研が高校入門レベルの初等的な参考書の立場だが、90年代の昔、学研がまだ高校参考書にあまり参入しておらず(昔の学研は小中学校むけの教材ばかりがメインだった)、当時は文英堂のシグマベストが今の学研の高校参考書に近い立場だったという背景事情がある。
=== 文法参考書の選びかた ===
インターネットで参考書の形式やレベルなどを調べたり、または、教師や塾講師、チューター、同じ学生などからの評判なども参考にしながら、実際に書店で参考書の内容を閲覧するなどして選ぶといいだろう。
また、古本屋などで参考書を購入すると出費を抑えられる可能性がある。
中学英語は昔とカリキュラムが大幅に変わったので古本屋は論外だが、高校英語は昔から到達地点が同じままなので、文法学習はちょっとぐらい古い本でも特に問題ないかもしれないかもしれない。とりあえず、古本屋で英文法書を購入するなら、なるべく最近のものを購入したほうがいいだろう。
「大学英文法」とかそういうのは一般的には無い。文法は高校英語で、とりあえずゴールである。あとは単語や熟語を増やすのが、その後の道である。
英語教師などを目指す人のための細かい英文法理論書はあるが、高校生には必要ない。なお、書店によってはそういう教師向けの英文法理論書が高校英語コーナーに売っていたりするので、間違えて買わないように。わかった上で買うなら自己責任で。
=== 高校の文法参考書はどういうものか ===
「時事的な文法」とか無いので、もし改訂などあっても、あまり頻繁に買い換える必要は無い。
他のセクションでも言ってるかもしれないが、「大学英文法」と言うのはない。なので、文法において「大学教養レベルの先取り」とかは不要であるし、そもそも存在しないし、そういう教材もまず無い。
このことは、大学受験においては、つまり文法問題は、高校生向けのやや高レベルな参考書を習得できたら、それ以上は英語教師でも目指さないかぎりは、英文科向けのさらに高度な文法書には進む必要は無い、という事である。
英文科の学生などに向けた文法書は、あれは教師向けまたは研究者向けの参考書である。内容も、基本的には高校生向けの文法参考書に書いてある内容を、大学生または教師志望者などの視点やレベルに合わせて書き直した程度のものである。なのでともかく、受験生には不要である。
このことから、ゴールが明確に定まり、受験生向けのやや高度なレベルの参考書がゴールである。
そこから逆算すると、あまり多くの参考書を読み漁る必要はない。せいぜい、2冊読めば十分だろう。
高校1年レベルから分かりそうな易しめのレベルのものと、あとは少し難しめの感じのもう一冊で十分である。もしかしたらどちらか片方だけでも十分かもしれない。
また、説明を省略したが、前提として、高校の参考書は、学年別とかには売ってない(書店で実物を見れば分かると思うが)。
なので参考書での学習の際にも、いちいち学年ごとにペースを3等分とかして「私は1年生なので、参考書の前半の3分の1だけ読む」みたいなことはする必要は無いし、むしろ現代では3等分すべきでもない。
つまり、参考書は高校1年で購入したら、とりあえず、さっさと通読すべきである。現代の中学・高校のカリキュラムなら、文法参考書の通読は中学英文法の復習にもなるので、まずは通読しよう。
そして何回か通読したら、問題集などにチャレンジしたり、あるいは単語なども増やそう。
これがもし英語でなく数学の勉強法だったら、先の学年の内容を通読するよりも学校で習った単元の復習などを重視するのも手かもしれないが、しかし英語はあまりそういう単元ではない。
高校の授業や定期テストなどは、あれはあれで教育ノウハウが詰まっているので活用すればいいが、別にそれを活用したからといって文法参考書を通読できなくなるわけでもない。
それに塾などだと、参考書の後ろのほうにある無生物主語などを高校クラスでは1年で先に教える流儀もある。
参考書の最初のほうにある文型がどうのこうのと言った話は、どうせ塾の中学生クラスや中学参考書などでも既に教えている可能性があるので、塾の高校生クラスではそういうのはもう後回しにして、先に無生物主語や仮定法など参考書の後半の単元を教えるというパターンもある。家庭での自習などの際にはご参考に。
また、そもそも2年の終わりくらいから高校や塾などで全国模試などを次第に受け始めることを考えるなら、けっして高校3年間で学校の授業で文法を習うのを待つのではなく、自習によって高校2年の後半の段階までに一通り、高校生むけの単元である無生物主語やら仮定法過去完了やら分詞構文などを含めて、とりあえず文法参考書は全ページを通読は済ましておいて、加えて問題練習を軽くでいいのでしておくべきだろう。
そして、高校3年では模試なども活用して、問題練習で定着させていく、・・・という段取りである。
== 熟語 ==
単語集の前半のほうにも、実務ではあまり使わないだろう熟語、つまり、より平易な表現に言い換えることの多い表現がよくあります(少なくともこのセクションのある編集者が、ネット上の海外英語では見たことない表現がいくつもありました)。
中学1~2年で習うレベルの単語の組み合わせで作れるマニアックな熟語がいくつかあるので、学習時に注意が必要です。単語集では編集の都合上、そういうマニアック熟語が前半のほうに書いてありますが、正直、後回しにすべき熟語です。
一方、 come true (実現する)のような、たとえば構成する単語と意味が近い場合なら、学習効果は高いです。たとえばtrue 「=真実」と「実現する」は比較的に意味が近いです。参考書でも、よくSVC文型の例としてcome true が出てくるので、こっちは重要事項です。
しかし残念ながら、単語集にある出題頻度の情報を見ると、come true は出題頻度が低いようです。
そのほか優先して覚えるべき熟語は、たとえば no longer ~「もはや~ない」のように構文的な熟語や、あるいはget over ~「克服する。回復する」(= overcome)のように中学レベルの単語には言い換えできなくてその熟語表現を使わざるを得ない可能性の高そうな熟語とか、そういうのです。
このような熟語の教育状況になってるのは、つまり残念なことですが、「英語教育での英作文などでは、実務的を想定した教育がされておらず、つまり形骸化している可能性がある」という事です。
「出題頻度順」の掲載をうたった単語集で前半のほうに、不便なマニアック熟語があるので、つまり入試では、実際には仕事などで英語を使うつもりのない人たちを想定した入試が行われているという証拠です。
英作文をする際、getで一語で説明できることを「come by ~」で表現する可能性は実用では低いでしょう。英会話でも、果たして米英人が、日本人相手に come by で説明するでしょうか。はなはだ疑問です。
なぜなら外国人は、もし英語が得意な日本人相手なら躊躇なくobtain のような非熟語を会話で使うだろうし、あるいは「英語が苦手な日本人かな」と思って気を使ってくれるなら get で表現してくれるでしょう。
come の基本的な意味は「来る」ですから、熟語come byの「入手」とは、かけ離れています。おそらく「手元に来る」的なニュアンスなのでしょうが、しかし「by」からそれを想像するのは、かなり前置詞「by」の基本の意味から離れています。そういう、基本単語の意味からの距離の大きい表現は、実務では学習コストが高いので、いろいろと不便なのです。
不便とはいえ、海外での利用の可能性がないとは言えないので日本の受験英語でも教えられていますが、なるべくなら後回しにしたいマニアック熟語表現です。
come true 「実現する」のようなSVC文型の例にもなるような教育的な熟語だと出題頻度が低いようですが、これはつまり、入試出題者が、高校生の学習効果を見る良問よりも「落とすための問題」「ヒッカケ問題」を21世紀の少子化の時代になっても未だに出題し続けているという証拠でしょうか。
== リスニング ==
まずは、前提となる単語力をつける必要がある。その上で、参考書で、音声CDつきの参考書などで聞き取り練習をするなどすればいいだろう。また、例えばYouTubeやTEDなどで自分の興味のある分野の英語を聞くなどしてもいいだろう。
テレビのNHK教育の英語番組は、学校の授業用に作られており、大学受験対策には作られていないこと、洋画は字幕や吹き替えに尺や字数の都合などで意訳が多いため学習には向いてないとする意見もある。
さて、新共通テストの場合なら、回答の選択肢が4択で与えられるわけですから、その選択肢の中からリスニング内容に一番ちかいのを選べればいいのです。すべての単語を1回で聞き取る必要はありません。それはプロの同時通訳者でも無理です。(なお、試験によっては2回ほど放送される場合もある。)
すべての単語を聞き取るような問題は、おそらく共通テスト出題者は、作成しないだろうと思います。仮に作成したとしたら、かなりゆっくりと発音するリスニング問題でしょう。
テレビの生放送で、定型業務ではない政治討論の番組などで音声モードを英語モードに切り替えをして視聴してみると分かるのですが、実は生放送ではプロの同時通訳者ですら完全には流暢(りゅうちょう)には翻訳を出来ないのがプロでも実態です。テレビ生放送の英語は、プロですら、ややカタコト(片言)気味の翻訳になります。しかもテレビ番組などは、実は事前に原稿・台本があり、その原稿が事前にスタッフなどに渡されて読まれており、それをもとに撮影および音声収録をしています。それですら、少しカタコトの同時通訳なのです。
なお、テレビの原稿・台本のようにプロの同時通訳では、話題にある程度の予備知識が必要です。しかし新共通テストでは、そこまで個別のトピックのある話題には踏み込まないでしょう。(ただし、難関私大や国立二次試験はどうか知りません。もっとも受験生には他の勉強もあるので、普通に英文読解などの教科書・参考書によくある話題に触れておけば十分でしょう。)
== 読解 ==
読解練習をしたい場合は、まずは学校でのリーディングの教科書などをきちんと読むのは当然ですが、そのほかにも参考書があると便利かもしれません。
書店の参考書コーナーに、高校生用の英文読解の参考書などが置いてあるはずですから、それら高校生用の参考書で勉強してください。
大学入試の英文では、平均以上の難度の大学になると、単語の知識がないと、まったく内容が把握できないでしょう。なので、読解練習だけでなく単語の勉強もしてください。とりあえず単語集などで4500語レベルまでの範囲の単語は最低限、ひととおり学習してください。
* 試験での読解問題の時間配分について
出題英文を読むのに時間が掛かりますから、試験中の時間の配分にも気をつけてください。まずは単語力を増やすと読解スピードも上がるので、普段の勉強では単語力を増やしてください。
試験中の配分の対策として、実際の入試では、たとえば、長文読解問題よりも先に、短時間で解けそうな単語問題・文法問題などを先に解くとかして、時間配分の対策をしてください。あるいは、設問の問題文を先に読んでおいて、見当をつけてから長文を読むなどという方法もあります。ここらへんの対策は、じっさいに過去問や想定問題などを解いて練習してください。基本的に、入試国語での現代文などでの読解問題対策などの際の時間配分と似ていると思います。
ただし、時間配分のテクニックばかりを磨いてもダメであり、単語力などを増やさないと、読解スピードも上がりません。
* 学部と出題内容の関係
入試では、ときどき、志望先の学部の内容に関する記述が出る場合もあります。また、高校で習う教科に関する記述が出る場合もあります。もっとも、べつに必ずしも志望先学部と近い内容の英文が出題されるとは限らず、あまり関係のない内容の英文も出題される場合もあります。
どちらにせよ、合格後の人生も考えて、学生は、志望先学部に近い内容の高校教科の勉強もしておいたほうが安全でしょう。たとえば経済学部に進学志望なら高校政治経済などの参考書を読んでおくとか、あるいは理工学部に志望なら理科・数学の参考書を読んでおいたほうが安全でしょう。
== 発音・英会話など ==
基本的には、標準的な参考書でカバーでき、あとは単語の記憶量を増やす練習とか、リスニングの練習とかの対策でよいです。あとは参考書などの英会話文例や発音問題を覚えておけば、入試での、だいたいの発音や英会話の試験もカバーできます。
* 入試の発音問題について
発音問題は、入試に英単語と発音記号を照らしあわせる問題は出ます。ですが、自分で発音することは、入試ではない。
* 入試での英会話について
大学入試では文章題などで、英会話の空欄を埋める問題などが出されるかもしれません。いっぽう、大学側が、直接受験生と会話をする試験は、一般入試では出ないでしょう。
ただし、いくら一般入試に会話が出にくいといっても、基本的な会話くらいは、せっかく高校で習うのですから、きちんと練習してください。そもそも建前上は、高校で習うことは、高校生は学習するべきということになっています。そして大学側だってバカじゃないんだから、なるべくきちんと勉強している受験生を優先的に合格させたいのです。
== 英作文 ==
英作文の練習よりも、まず先に文法学習や単語の記憶量を増やす勉強を優先したほうが安全でしょう。単語の記憶量が増えて、文法や熟語なども覚えれば、英作文なども、自然と上達します。逆に言うと、英作文だけを勉強しようとしても、難しいです。なお、単に英単語の意味や綴りを覚えているだけでは英作はできない。動詞ならば他動詞(Vt)なのか自動詞(Vi)なのか両方あるのか,他動詞ならば第4文型(SVOO)や第5文型(SVOC)をとれるのか,名詞ならば可算名詞(C)なのか不可算名詞なのかなど(これ以外にもたくさんある),とにかく用法まで正確に知っておく必要がある。従って辞書を引く必要がある。
== 問題集を信じすぎるな ==
問題練習をする際には、必ずしも偏差値順にステップアップする必要は無い、という事です。
また、日本人の高校生のレベルを越える難しすぎる問題は、そもそも解けるようになる必要もないでしょう。
選択問題では、高校レベルで習得できるレベルでの、初心者のよくやるミスをしない事のような、明らかに間違った言い回しを排除する事さえできれば、それでいいでしょう。
納得の行かない問題の対策はやりすぎないようにスキップして、他の勉強をすべきです。英語の勉強なら、もっと確実に偏差値アップの出来る勉強、たとえば単語力を増やすなどの勉強をしましょう。
== あきらめるべき事 ==
=== 第二外国語は、あきらめるべき ===
==== 入試に第二外国語は出ない ====
高校によっては、第二外国語の授業を用意している高校もあります。
共通テストや二次試験では英語以外の外国語を使えるところもあるが、特別な理由がないなら英語を選択したほうがいいだろう。
また、中国語を勉強しても、漢文の入試問題を解くのには役立ちません。
帰国子女とか、あるいは進路志望が語学関連の分野で無い限り、あまり第二外国語には手を伸ばさないほうが良いでしょう。
== 一般入試対策ではTOEIC対策などには手を出さないほうが安全 ==
英語能力を測る国際的な試験のTOEFLやTOEICなどは、高校生の学習用には作られていません。そもそも日本人に内容を合わせていません。
それにTOEICとTOEFLのどちらとも、試験の目的が、日本の高校英語の教育目的とは違います。
TOEICとTOEFLのどちらも目的は、英米への留学や海外生活のためなどの語学が目的です。日本の大学入試や、日本の大学での英語論文読解などの目的には、TOEIC・TOEFLなどは合わせていません。TOEFLとかTOEICとかで、ハイスコアを目指すのは、大学受験対策とは目的がズレています。
なお、そもそもTOEICをつくったのは日本の通産省(当時)であり、通産省がアメリカの非営利テスト開発機関、ETS(Educational Testing Service)に依頼をして、日本がつくったテストです。
よって、TOEICの出題内容は、アメリカ国内での実用とは若干、ズレていますので、てっきり実用英語だとは勘違いしないようにしましょう。また、てっきりTOEICは(OECDあたりの)「国際機関のつくった試験である」などと勘違いしないようにしましょう。
さらに、TOEICの参考書などにある「高校生レベルは◯◯点」などの数値も、じゃっかん、疑わしいので、あまり鵜呑みにしないようにしましょう。
;* 平均点
:なお、高校生のTOEICの平均点は、年度にもよりますが、2018年の時点では、高校生の平均点はおおよそ350~400点くらいです。なおTOEICの満点は990点です。
ネット上では「TOEIC 600点が英検2級相当」という言説が出回っており、英検2級が高校英語レベルを出題範囲として想定していることから、あたかも「高校を卒業したら TOEIC 600 点で当然」みたいな言説が出回っていますが、しかし2018年の統計などをもとに考えれば、この言説はデタラメです。
また、「TOEIC 600点が英検2級相当」という言説の根拠も、よくよく調べてみると、2001年くらいに英検2級保持者にTOEICの点数をアンケートしたところ TOEIC 400点~800点あたりに得点がバラついたという統計を、とりあえず平均値をとって600点としただけにすぎないのが実態です。
高校の数学で統計値の「分散」という概念を習います。分散を知らないと、統計詐欺にダマされてしまいます。
;* TOEICは事実上は文系向けの試験である
:世の中には、文系の大人が多く、その影響で、学生でも理系科目をサボってまで英語の勉強をして、英語の成績を上げる人がいます。TOEICの平均点も、そういう文系の人間を基準に算出されてしまいます。
:一般入試や国公立受験、理系の学部などを目指す人は、けっして、そういう文系の大人や、文系しかできない学生を多く含むTOEIC平均点を、参考にしてはいけません。
:* 4択問題と難易度
:TOEICの各問題は基本的に4択問題ですので、デタラメに選択しても、990点満点(約1000点)中のうちの4分の1である約250点を取れます。
:
さらに、欧米で英米への留学希望者むけのテストなどとして知られている英語検定試験はTOEFLです。
TOEICは、日本と韓国で流行っている英語検定です。
また、英検は日本人用の試験ですが、しかし高校生用には試験が作られていません。中学生・高校生なども意識して英検は作られているでしょうが、しかし、中高生だけを意識してはいません。
英検を入試対策で使うなら、志望校合格などが保証されないかぎりは、なるべく英検'''準'''1級までに止めるのが無難です。
* 推薦入試などの評価事項になることも
ただし、推薦入試ではTOEICやTOEFL、英検などの成績が考慮される場合もあります。
* 難関大学への対策用としての場合
大学によっては、入試で高校レベルを超えた、かなり難しい英語を出す場合もあります。そういう大学に対応する場合、市販の受験参考書では太刀打ちできないかもしれません。このような場合、しかたなくTOEFL対策や英検1級対策などの参考書が必要な場合もあるかもしれません。
* 就職活動でのTOEIC評価について
ただし、大学生の就職活動では、企業にTOEICなどの点数を聞かれることもあります。就職活動時のエントリーシートに、最初からTOEICなど成績の記入欄がある場合もあります。また、外国大学への留学の際に、TOEICなどで一定以上の成績を修めることが必須の要件とされる場合も多いです。たとえ英語圏以外の国の大学への留学でも、TOEICやTOEFLなどの成績が必須要件として必要な場合があります。
なので高校生でも、TOEIC受験の機会があれば、受験をするのも良いでしょう。
ただし、TOEICの成績が良いからと言って、けっして、それだけで企業が「即・採用」をするなんて事はありません。
高校生の段階では、TOEICなどの語学検定については、もし受験できるなら、視野を広げるような目的で検定を受けるのが良いでしょう。
== 英語の検定教科書にある時事や古典文学の勉強は不要だし、危険 ==
中学高校の英語の検定教科書には、他の教科では説明しづらい時事や古典文学、最近の日本のアニメやマンガの、海外での人気について、英文で紹介されたりするかもしれません。
そもそも、本来の目的は英語を学ぶということなので、これらの題材で得た知識がそのまま大学受験に役に立つということはありません。
[[カテゴリ:英語]]
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2024-04-12T15:10:39Z
すじにくシチュー
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/* 大学受験に必要な単語量について */
wikitext
text/x-wiki
== 「高等学校外国語」は実質的に英語 ==
文科省の指導要領では、教科名は「外国語」です。
しかし、科目名は「英語コミュニケーション」とか「論理・表現」とか、英語の科目しかありません。「論理・表現」科目の内容も、英語の学習です。
なお、一部の高校で第二外国語を開講していますが、その高校でも英語が必履修です。そもそも高校卒業の要件として、英語の単位を一定以上取得しないと、高校卒業の資格を取得できないはずです。
また、高卒認定試験でも、外国語科目では英語が必修です。
第二外国語を学ぶにせよ英語に専念するにせよ、どちらにせよ、高校生は英語を勉強する必要があります。
;第二外国語の授業の現状について
大学受験では、いちおうは、文学部の仏文科とか独文科や、語学系の学部のフランス語学科とかの入試で、大学によってはフランス語やドイツ語などの第二外国語も入試も出る大学もあります(高校入試とは違い、大学入試では一部の大学では第二外国語でも受験できます)。しかし第二外国語の学習は検定教科書以外で自習などをする事になります。
フランス語とかドイツ語とかの検定教科書は、存在を聞いたことがありません(つまり、フランス語などの検定教科書は無いはず)。少なくともフランス語の検定教科書は存在しません<ref>pdf [https://konan-wu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=1159&file_id=22&file_no=1 前田美樹 著『高校でのフランス語教育: 現状報告 - 授業の活性化と発展に向けて,2011年3月, P35 ] 2023年10月5日に確認.</ref><ref>[https://www.jactfl.or.jp/wdps/wp-content/uploads/2020/03/JACTFL2_87-100.pdf 長谷川由起子 著『高等学校第二外国語必修化提言実現に伴う課題』,2014 , P92]</ref>。もし高校生向けのフランス語などの教材を教科書会社が出版・販売していたとしても、それは検定教科書ではありません。
なお、第二外国語の授業のある高校でのその授業の教材は、大学生向けの教材を用いたり、あるいはその高校独自の教材を用いたりしています。
;第二外国語の大学受験について
大学入試共通試験(旧センター試験)の科目に、フランス語とドイツ語と中国語と韓国語もあります。語学系の学部・学科など、ごく一部の学科でなら、共通試験のフランス語なども使える場合もあ、そのような大学の学科なら一般入試でも使える可能性もあります。ですが、その他の多くの大学では、第二外国語ではなく英語を受験科目の外国語としては要求しています。
なお、一部の高校ではスペイン語とロシア語とアラビア語の科目もあり高校卒業のための単位として文科省により認められていますが、しかし大学入試共通試験(センター試験)の科目にはスペイン語などは存在していません。このように、高校の単位として日本国に認められていても大学入試共通試験にない科目もあります。
== IPA(国際音声記号)を学ぼう ==
IPA(International Phonetic Alphabet, 国際音声記号)とは世界中の言語の発音を表記できるように開発された記号である。これが、英語の単語を発音する際、重要であることは明白であろう。日本には、「英語には日本語にはない音が存在する」「英語は発音が大事」などと声高に叫ぶが、どうやってその音を調音するかという肝要なことは教えていない高校も存在するようだ。しかし、調音方法を知らずに第一言語に存在しない音を発音しろというのは不可能と言っていい。IPAを学ぶ際には必然的に音声の調音方法を体系的に学ぶことになる。したがって、フィーリングではなく理論に基づいた音声の発音が可能となる。
* [http://www.coelang.tufs.ac.jp/ipa/index.php IPAモジュール]
* [[w:子音|子音]]
* [[w:調音部位|調音部位]]
* [[w:調音方法|調音方法]]
* [[w:母音|母音]]
* [[w:国際音声記号|国際音声記号]]
* [[wikipedia:IPA_vowel_chart_with_audio|母音のIPAとその発音]]
* [[wikipedia:IPA_pulmonic_consonant_chart_with_audio|子音のIPAとその発音]]
* [[w:英語学#%E9%9F%B3%E5%A3%B0%E3%83%BB%E9%9F%B3%E9%9F%BB%E5%AD%A6|英語の音素]]
== 参考書と辞書と単語集が基本 ==
高校英語の検定教科書は授業で教師が解説するのを前提にしているため独学用には作られていなません。
なので、予習復習や独学や受験準備などは教科書では無理です。なので、受験準備などのために教科書とは別に高校レベルの参考書や単語集が必要ですので、早めに購入しておきましょう。
たぶん、普通の高校なら、単語集なども購入させられると思います。もし学校で購入を指定されていなくても、まずは高校基礎と高校中級レベルの単語集を購入しましょう。
実際の検定教科書を見てみると、高校1年向けの検定教科書で、もう高校3年向けの4500語レベルの単語集にある単語が紹介されていることもあります。
とはいえ、さすがに高校1年で4500語レベルまで習得するのは困難です。
そこで普段の家庭などでの勉強では3000語レベルまでを勉強しておいて、検定教科書を読んでて単語集で見当たらない語があれば、そこだけ辞書に頼るのがラクでしょう。ただし既に単語帳で覚えた単語も用法が不明瞭ならば辞書を引くと良いであろう。単語帳は意味は載っているものの、用法は詳しく載っていないことが多いからである。また、少しは辞書の使い方も練習すべきです。
ともかく、高校では単語集がないと、まともに英語を勉強できないだろうと思います
検定教科書は入試対策本ではないので、大学受験を考えている人は、英語の勉強では検定教科書ばかりに深入りしすぎてはいけません。
ともかく、大学受験対策は、あくまで市販の参考書と辞書と単語集などで行います。
== 大学入試に出づらい分野など ==
=== 教科書の学習目標を真に受けないように ===
高校英語の学習指導要領などが掲げている目標の中には、高校生には荷が重い目標もあります。
検定教科書の英語表現IIの実物を見比べると、どうも英語でのプレゼンテーションなどが指導要領などで目標に掲げられているようですが、しかし正直、高校生には英語プレゼンテーションは荷が重いでしょう。英語以外の教科の学習を考えると、高校段階では外国語でのプレゼンテーションの習得は非現実的です。
高校英語のプレゼンテーション単元も、中学英語の留学生との会話の単元などと同じで、実際の多くの高校の教育現場ではそれを実行できる場面はまずないかと思います。
2022年の時点では、文科省の英語教育の目標が、かなり高負担な内容ですので、大学入試の傾向とは検定教科書の傾向は、差が大きいかと思います。
昔から教科書と受験英語との間には差がありましたが、とくに近年、上述のように教育目標の負担増の理由で、入試との差異が大きくなっているだろうと思います。なので大学受験を考える人は、教科書の勉強だけでなく、うまく学習スケジュールを自己管理する必要があるでしょう。
=== 自己意見の英作文は入試に出ないところもある ===
足きりのある大学(たとえば国立大や医学部など)でないかぎり、採点の手間があるので一般入試では数十語もある英作文は出されない可能性が高い、実態があります。
さて、昨今の教科書では、日本のことを英語で説明する課題がよくあります。検定教科書にあるので、いちおうは新共通試験などの出題範囲ではあるわけですが、やはりこれも大学入試の出題傾向の兼ね合いを考える必要があります。
難関大学の入試で要求される単語は、抽象性の高い単語、または学術的な単語などです。
=== スピーキング ===
英語スピーキングは、大学入試では採点の手間があるので、一般入試ではスピーチの実施はされない。もし入試でスピーチングをやるとしたら、せいぜい、受験者数が比較的に少人数に限られる推薦入試でしょう。
また、英検3級以上ではスピーングの試験がある。英検などの英語系資格を取っておくと入試でいくらか優遇される場合があるので、そういったものを使いたい人にはスピーキングの勉強をする必要がある。
== 教科書ガイドを購入するほうがいい場合 ==
教科書ガイドを買わなくても高校英語は勉強できるのですが、色々な理由により、教科書ガイドがあると効率的です。
英語教師のなかには低能な教員もいて、宿題などで、数学など他教科の予習復習の時間を無視して、毎週のように「辞書で教科書の英文の意味を調べてこい」などと、英語科目の事しか考えずに宿題を出す人がいます。
特に英語は、文系大学の志望でも理系大学の志望でも活用するため、教師がうぬぼれていて傲慢な場合があります。
このような英語教師の場合、もし教科書ガイドがあれば、辞書で調べる時間を、大幅に減らせることができます。教科書ガイドによって、空いた時間を活用することができ、単語の練習など、より本質的な勉強ができるようになります。
ただし、ガイドには、あまり細かい答えまで書いてありません。中学までの教科書ガイドとは違います。
== 英語勉強法マニアにならないように ==
ここに描かれた勉強法を覚えるよりも、まずは、とにかく、3000語レベルまでは英単語の習得のほうが重要です。勉強法マニアになっても、語学では価値がありません。勉強法を調べるよりも、実際に勉強してください。
とくに英語教育についての評論では、多くの評論家が英語教育を評論したがるし、また市販の英語教材などでも英語教育のノウハウをうたっている商品も多いですし、中には英語が苦手なのにウサンくさい勉強法(自称)を掲げる人も多くいるので、あまり勉強法そのものに深入りしないようにしてください。
勉強法に迷ったときにだけ、市販の参考書などに書かれた信頼できる勉強法などを参考にしてください。
== 単語 ==
まず、単語数3000語あたりの中級レベルを謡っている英単語集を1冊買いましょう。
初級レベル 1700~1800あたりのものは、これは一応高校レベルの単語も紹介していますが、ほとんどの単語が中学レベルなので、当面は読む必要がありません。
また、初級レベルの単語集のうち、中学で習わない可能性の高い単語は、中級レベルの単語集にも書いてあるので、わざわざ初級レベルを買う必要がありません。
さて、単語集の使い方は、赤シートを使って英単語の和訳を隠して、英単語のイメージを思い浮かべてから、その英単語の和訳を見て自分が思い浮かべたイメージと合致するか確認してみたりして、もし合致していたら次の単語へ、一方もし合致していなかったらチェックをして次の単語のテストを行う。これを1~2回もすれば英単語を覚えています。
中学単語については、意味のほうで中学では習わなかった意味がある可能性があるかもしれないので、そちらに注目してください。参考書をつくっている会社は、そうなるように工夫して参考書を編集しています。
=== 学習の優先順位 ===
もしかしたら、英語の単語を覚える作業は文法等の勉強をすることよりも大切なことかもしれません。
市販の学習ノウハウ本でも、高校英語および大学受験英語では、英単語力が決め手になると主張されています<ref>船登惟希 『改訂版 高校一冊目の参考書』、KADOKAWA、2019年3月18日120ページ</ref>。
英文読解で、もし単語の意味が分からないと、せっかく文法の知識があっても、理解できない文も大学入試では多くあります。また大学入試では、暗記を要求される単語数が、ずいぶんと多くなります。
もっと言えば、単語という基礎があってこそ覚えた文の組み立て方が生きてくるのです
大学受験の標準(おおむね4500語レベル)~やや発展レベルまでの単語であれば、単語はいくら覚えても損はありません。学校で教えてもらう英単語だけで満足しないでください。近年では様々な出版社から英単語帳が出ています。
=== 英単語集の選び方 ===
==== 基本の要求事項 ====
===== セットになる別単語も必要 =====
高校レベルでは、新しい単語の意味を覚えるときは、単語の日本語の訳の字面だけを覚えても不十分です。
いくつかの予備校の単語集には英単語の勉強法も書かれており、どれを見ても大抵、「新しい単語の学習では、一緒につかう単語とセットで覚えろ」といった内容が書かれています。
動詞も同様、セットになる名詞と一緒に練習するべきです。もっとも、普通の市販の単語集なら、そういうセットになる単語も書かれているので、市販の単語集で勉強すれば問題ありません。
進出単語がセットでなくても覚えられるのは、せいぜい中学の前半までです。高校ではもう、単語を1語ずつ単独でバラバラに勉強するのは、やめましょう。
しかし、ネット上の英語勉強サイトには、サイト作者・企業の手抜きからか、日本語の訳だけを羅列したような低品質なサイトもあります。まったくネットは参考になりません。きちんと市販の単語集を買いましょう。
===== 類義語や対義語、例文など必須 =====
まず、単語の学習では、けっしてヤミクモに多くの単語を覚えるのではなく、類義語や対義語との違いなども把握しなければなりません。そのため、例文なども交えつつ把握しながら勉強する必要があります。
なので、例文などの少ない単語集は、少なくとも高校基礎レベルとしてはアウトです。
==== 結局どうすればいいか ====
高校生向けの参考書は、セット語彙や類義語・対義語の紹介の必要性など、そういう事をきちんと理解しているので、とりあえず高校生むけの単語集を買えばとくに問題はないのです。
しかし、高校生向けではない市販の英検対策やTOEFL対策本などの資格本の中には、単語を多く掲載したいあまりに、例文や類義語などを省略ぎみの単語集も(英検対策本などでは)多くあります。
なので高校生は、英検対策ではなく、まずは高校生向けの単語集を買いましょう。1社の単語集しか使わないと例文がどうしても不足するので、少なくとも4500語レベル付近では1社だけでなく2社以上が必要です。
==== 英検などは後回し ====
現代では、高校の教科書レベル自体、上がっています。昭和の後半や平成の初期は、今で言う3000語レベルが、高校卒業レベルでした。
しかし、令和の今では、4500語レベルが、高校卒業レベルです。
なので本来なら、時代が大きく違えば、英検の級の数値は比較の参考になりません。つまり、年月とともに資格試験で保証された知識は、少しずつ錆びていくのです。
英検などを受けたいなら、高校生向けの単語集を買って習得したあとなら、必要に応じて英検対策本などを買うのは構いませんが、しかしいきなり最初から英検対策本などを買うのは失敗の道です。
なお、もし英検を参考にするなら、準1級までを買えば十分でしょう。
なぜなら、難関大の過去問から構成される桐原5500と英検1級の単語集とを比べてみましたが、傾向がだいぶ違っています。
==== 英単語集のパターン ====
英単語集には、主に2パターンあって、
:・ パターン1: 単語を分野別にまとめているパターン(たとえば「旅行」の意味の単語なら、trip と tour と travel をひとつのページにまとめていたりする)の英単語集
と、
:・ パターン2: もうひとつのパターンとして、入試出題の頻度順に統計的に並べた英単語集
があります。
初めて高校英語を勉強する場合は、とりあえず、'''分野別に単語をまとめたパターンの参考書のほうが、使いやすい'''と思います。
なぜなら、分野別の単語集のほうが、類義語や対義語なども、まとめて勉強できるからです。
いっぽう、入試出題の頻度順に統計的に並べた単語集は、高校後半~高校3年からの仕上げなどで用いるのが効果的でしょう。
さて、分野別に単語をまとめたパターンの英単語集で勉強する場合は、レベルが「中学3年〜高校初期」「高校必修」「共通テスト」「二次試験」と何段階に分かれていたりしますが、とりあえず、高校1年の時点で、「高校必修」レベル(3000語レベル)と「共通テスト」レベル(4500語レベル付近)の2冊を買ってしまってください。
高校必修レベルの単語集を買えば、その単語集で中学レベルの復習もしますので、わざわざ中学レベルの復習をふくむ単語集を買う必要はないのです。
自分で単語集を予習する際は、次のペースで予習します。「全部覚える」ではなく「全部勉強する」がポイントです。
:・ 高校1年: 「高校必修」レベル(3000語レベル)〜「センター試験」レベル(4500語レベル付近)の単語を高校1年の終わりまでに全部勉強する。
:・ 高校2年: 「センター試験」レベル(4500語レベル)の単語を高校2年の終わりまでに全部勉強する。
:・ 高校3年: 「二次試験」レベル(4500語レベル+アルファ)の単語を高校3年の2学期の終わりくらいまでに全部勉強する。
これとは別に単語集がもう少し必要ですが(入試用単語集を1~2冊)、まずは上記を出来るようになってください。
注意点として、学校から配布されるような東京書籍や桐原の基本的な単語集は(ただし桐原の灰色のヤツは難関大用なのでのぞく)、高校2年のうちに終わらせる必要があります。
つまり、高校1年のあいだに、予習をして、「高校必修」(3000語レベル)およびレベルの単語集を、ひととおり書き写して、勉強してしまう必要があります。(覚えられるかどうかは別として。) 4500レベルまでいければ理想ですが、それが無理でも必ず高校1年のあいだに3000レベルを終わらせてください。「終わらせる」とは「7割ほど覚える」という意味です(英語以外の教科も考えて、この数字)。これが終わらせられないと、大学受験の現役合格は難しいでしょう。一見するとハイペースですが、実は後述のように中学で習う単語が3000レベルには多いので、意外とラクです。
また、「全部覚える」ではなく「全部勉強する」とありますが、その単語の100%の単語を覚えられなくても70%を覚えたら、次学年の単語集を1回だけ全単語を学び始めてください(たとえ新単語を1回の書き取りで1周しただけでは30%しか覚えられなくても、もし新単語に1000語も触れたら合計300語を覚えられるから、そっちのほうが最初は効率的だからです)。
この、最初に1冊の書き取りをさらっとする勉強法は、他教科たとえば数学では通じない勉強法かもしれません。数学では公式だけでなく応用力なども問われるからです。しかし英単語はそういうのではなく、ほぼ単なる暗記なので(米英なら幼児・児童でも分かる程度の理解力で十分)、なので単語集をさっさと1冊、一周したほうが効率的に覚えられるのです。
さて、いまの単語集を7割ほど習得したら、次学年用の新単語集を購入して1回書き取りだけで一周しつつ、並行(へいこう)して、現学年用の単語集の完成度を上げていき100%に近づけていきます。
特に、高校2年用の単語集は、入試でも基本的な運用力を問う問題として狙われやすいので、それも押さえておきましょう。裏を返すと高校1年用の単語集は、これは例外的に高校受験で狙われやすいもの以外は深入りしなくても良いでしょう。
高校必修レベル(高校1年レベル)には、中学校できちんと5教科を勉強していれば、読みがある程度は身についているハズの単語が、多いのです。
なので、さっさと高校必修レベルをひととおり練習して終わらせてしまい、次ステップの「センター試験」レベルに時間を掛けたほうが得です。
なお、高校によっては、高校3年になっても「センター試験」レベルの単語集までしか、高校3年の英語の授業では扱わない場合があります。
なので、'''授業とは別に、自分で単語集を予習する必要があります'''。
では、なぜ、上記のスケジュール(「高校必修」レベルの単語を高校1年の終わりまでに全部勉強するスケジュール)のようにするのが合理的かいうと、最終的に高校卒業までに(つまり高校3年の終わりまでに)、「二次試験」レベルの単語集(4,500語+アルファ)を終わらせる必要があるので、そこから逆算して、高校2年の終わりまでに「センター試験」レベルの単語集を終わらせる必要があります。
なお、新共通テス・旧センター単語とは別の大学受験単語の傾向では、早稲田大など一部の難関大と、国公立との傾向が違います。(wiki追記: 例外として東京外語大(国立)や英文科などを除けば、)平均的な地方国立大よりも早稲田大のほうが英単語が難しいです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=E-U8m3en_E0 『英単語暗記必勝法!今こそ苦手を克服せよ!』 2022/12/13 ]</ref>。理系の人は、そういう早稲田みたいな難関大の英単語を相手にしてはいけないというか、仮に購入したとしても、けっしてその難関大用の単語集の全単語を覚えようとしてはいけません。
さて、高校2年の終わりまでに、4500レベルつまり「センター試験」レベルの単語集を終わらせるためには、逆算すれば、高校1年の終わりまでに3000レベルの「高校必修」レベルの単語集を、勉強してしまう必要があることが分かります。
そうするためには、普段からの予習も必要です。
また、もし「今読んでいる章を完全に覚えてから、次の章に進む」などというふうに勉強していると、特定の分野の単語ばかりを覚えることになってしまい、入試に対応できません。特に、学校で、このような分野別にまとめられた英単語を用いている場合に、気をつけましょう。
また、現代の高校英語の単語の紹介順序は、もはや学年別になっていません。高校1年の検定教科書でも、すでに3000語レベルの単語や4500語レベルの単語も平気で紹介したりしています。
現代の検定教科書がそうだということは、現代の入試もそうだという可能性があるということです。なので、あまり単語集の最初のほうばかりに詳しくなっても、現代ではあまりメリットがありません。
また、予習をしないと、たとえば学習ペースの配分ミスを起かしやすく、たとえば高校3年の終わりごろになって、やっと桐原4500語・東京書籍4500語レベルにしか到達できずに、そのため高校3年終わりの時点では「二次試験」レベルに対応したプラスアルファの単語集(旺文社や、予備校系の単語集)に到達できずに、志望校に不合格になってしまうような、ペース配分の失敗を起こしやすい原因にも、なります。
なので、とにかく、予習をして、単語集の先のほうへと進んでいくのが、合理的な勉強法なのです。
==== 予備校系パターン ====
単語集にはさらに、「論理性重視で解説が多めの単語集」と「単語が多めの単語集」があります。
で、桐原・東京書籍・旺文社は、実は単語が多めの単語集です。
高校単語の範囲は広いので、少なくとも4500語レベルについては、まずこの3冊のうちの2冊が、受験までに、ほぼ必須で必要です。
しかしこれだけだと、論理的な知識が不足します。桐原などの単語数が多めの単語集などでは、スペース不足などの都合で解説できない知識が、いくつもあるのです。
そういうのを、予備校などの補足的な単語集で補う必要があるのです。だからもう高校2年の半ばあたりから、予備校系の単語集も読み始めてしまうのも、良いかもしれません。
ですが、あくまで予備校単語集「も」です。基本はまず、桐原・東京書籍・旺文社のような、高校英語を一通りカバーしている単語集をベースにするべきでしょう。
==== 2社目の単語集が必要 ====
単語集は、1社だけでは対応できません。たとえば東京書籍を使っている場合、東京書籍の単語集には例文が書いてある用法でも、桐原の単語集には例文が書いてない用法もあります(例文なしで意味紹介のみ、という場合がよくある)。同様、桐原の単語集にはあるのに東京書籍にない用法もあります。
この問題に対応するため、高校2年になってからは、たとえば東京書籍を使っているなら、もう一つ別の会社の単語集'''も'''使いましょう。何を使うかは、個人の判断に任せます。しかし、何を使おうが、1社だけでは太刀打ちできません。(昭和の昔なら、ここまで考えなくても大丈夫でした。まだ高校2年生は、昭和なら単語集は1社だけでオッケーだった。しかし令和だと事情が違います。)
実際、塾・予備校などでも、高校で良く買わされる単語集(東京書籍や桐原)とは別の単語集・熟語集をもう1社ぶん買い与えるのが基本であり、受験生は結局、2社の単語集・熟語集を使うことになります。別に東京書籍・桐原のもう一方でなくとも、予備校系の単語集でも良いし、あるいは旺文社ターゲットなどでも構いません。とにかくもう1社ぶん、必要です。
別に2社の単語集を読み比べる必要はありません。新聞のメディアリテラシーの練習とかじゃないので。、
また、一応、単語集のレベルに応じて、上級レベルの単語帳で、過去に下級レベル単語集で習った単語の新しい別用法を教えることもよくあります。なので、東京書籍でも桐原でも、まずは1社ぶんを全部やるのも必要です。どちらかをメインにすると決めたほうが良いでしょう。
高校1年レベルの単語集(3000語以下)はもう1社目では仮に省くとしても(なお、省かずに1周しても構いません)、それでも高校2年次以降の単語集で、もう1社ぶんが必要になってしまいます。このため、どうあがいても単語集だけで最低もう2冊は(2年生の4500語レベル単語集と、やや難関大用の単語集で、合計2冊)、これが平均的な私大に一般受験するのでも必要です。
昭和の昔なら1冊だけで十分だったかもしれませんが、しかし令和は入試の単語が増えたので、そういうわけにも行かなくなりました。
また、上記と関連して、新共通テストも3000語レベルとされていますが、実際には4500語レベルの単語も新共通テストに出てくると思われます。なぜなら上述のように、3000語レベルと4500語レベルの単語に明瞭な境界線は無いからです(さすがに5500語レベルとか7000語レベルとかを要求する事は新共通テストでは出題が無いというだけです)。少なくとも20001年ごろの旧センター試験の時代、学校で渡された3000語レベルの単語集をこなしていてもセンター対応できない受験失敗例もよく聞かれました。(当時、センター試験の出題傾向について上述のような問題が知られていなかったので、進学校でも今でいう3000語レベルしか対応しない高校もよくあった。)
:※ なお、説明の都合上、2001年ごろについても「3000語」レベルとか言いましたが、実際には単語数の算出基準が変わっており、現在の単語数の数え方には一致しません。
=== 単語の練習法 ===
かといって、いきなり高校1年で入試対策レベルの単語集を使っても効率が悪いので、まずは基礎レベルの単語から始めるのが良いでしょう。
読解練習や文法練習よりも先に、単語力を増やす練習が大事です。熟語集の暗記よりも先に単語集あるいは単語・熟語集の暗記を優先してください。
英単語を勉強する際、まず最初は、なるべく早く、その単語集の全体の単語と例文を書き終えます。もちろん、それだけでは全部の単語は覚えられませんが、そのほうが次の理屈で効率が良いです<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=E-U8m3en_E0 『英単語暗記必勝法!今こそ苦手を克服せよ!』 2022/12/13 ]</ref>。
たとえば1000語ある単語帳を2週間ですべて単語と例文をそれぞれ1回だけ書き写したとしましょう(実際は他教科もあるので無理かもしれないが置いとく)。
たとえ3割しか覚えられなくても、なんと計算上、300語もの単語(=1000×0.3)をたった2週間で覚えられます。たった1周するだけで良いのです。というか、むしろ、けっして3回や5回も書き写すのではなく、最初はたった1回のほうが良いのです。
もしこれを同じ期間に100個だけ限定して熱心に難度も読み書きして覚える方法をすると、たとえ仮に100%覚えたと仮定しても、計算上は100語までしか覚えられません。まして実際には100%は無理でしょうから、よくて80%を覚えて、80語ていどでしょうか。
よって、先に単語集の単語を、たとえ覚えられなくても良いので、全部の単語を書き写すほうが効率が良いのです。
じっくりと何度も読み書きをして確実に覚えるのは、そのあとからです。
入試の現状で、どの教科も覚えることが増えて時間が無いのに、英語では多くの単語を覚えないといけないので、こういう工夫が必要です<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=E-U8m3en_E0 『英単語暗記必勝法!今こそ苦手を克服せよ!』 2022/12/13 ]</ref>。
また、参考サイトには書いてないですが、とにかく早めに単語を学ばないと、いつまで経っても英文読解の勉強を始められません。よって、高校入学後の割と早い時期や、および高校2年の初めごろに、まずは、それぞれの学年にあった単語集の単語を一通り通読する必要があります。
高校や塾などの小テストで週に50語~100語とか覚えるのは、それはそれでヤレバいいのですが、それとは別に、単語帳を1周、ぜんぶ早めに書き写すのです。
大学入試では、高校入試と違って、国公立の大学ですら、理系の高校生などを無視した、教科書レベルをやや超えた難単語を平気で入試に出してきます。このため、とにかく上記のような工夫が必要です。
標準レベルの3000語レベルの単語が高校2年あたりでひととおり終わったあたりから、桐原・東京書籍の4,500語に加えて予備校など受験対応の単語集も買って練習します。まだ、平均レベルの単語集を覚え切れて無くても構わないので、受験レベル(4500~5500)の単語集を勉強します。
学生・受験生の勉強科目は、数学など、英語科目以外にもあるので、大変でしょう。ですが、うまくスケジュールを工夫して時間を作ってください。
さらに単語を定着させるためには、英文読解やリスニングなどの単語以外の他の練習もします。
=== 単語集のレベル別の利用法 ===
==== 初級レベル(1700~1800語)はまず不要 ====
中学できちんと勉強してきた人なら、初級レベル(1800語)レベルの 単語集には、高校生には不要です。これは、どちらかというと中学3年~高校受験用のものです。
普通に受験勉強をしてきて偏差値48以上ぐらいの人なら、1800語レベルは買う必要はありません、。
本屋で表紙を見ると「高校基礎レベル」とか書いてあるかもしれませんが、ウソではないですが誤解を招く表現です。表紙の宣伝文句は信用しないでおくのが安全です。
この1700~1800語レベルは、おおむね英検3級レベルか、それに毛の生えた程度です。英検3級と英検準2級との間には、かなり難度の開きがあるので、このレベルの教材は英検教材コーナーにはないので、これはこれで1700~1800語レベルは出版・販売されてると便利です。
この1700~1800レベルの後半を見ると、中学で習わない単語も書いてありますが、しかしそれを買わなくても3000語レベルにも同様の単語が書いてあります。
たとえばある1700レベルの単語集で injure (けがをする)という単語を見つけましたが、同じ出版社の 3000語レベルでも同じ単語がありました。
わざわざ初級レベルの単語集で練習しなくても、中級(3000語レベル)の練習での例文の書き取りなどのついでに、自然と初級レベルの単語のスペルも身についていきます
なお、初級レベル(1700~1800)の単語集の中に書いてある「高校1年 基礎レベル」みたいな難度の情報は、あまり信用してはいけません。(実際に買ってみて読んで確認しました。)ある単語集でそのレベルの単語を確認したら、いくつも中学レベルの単語がありました。 year (年)とか month (月)とかの中学で習ったはずの単語が、「高校1年 基礎レベル」になっていました。
どうしても1700~1800語レベルを活用するなら、どっちかというと単語練習よりも、高校受験のレベル確認用と言うか、「高校受験の終わり~遅くとも高校1年の1学期の終わりまでには、大体この程度の単語は出来るようになって欲しい」といった確認のためのツールでしょうか。
==== 3000語レベル ====
===== 基本 =====
特別な事情がないかぎり、高校生は3000語レベルから単語集を勉強すると良いでしょう。
いきなり3000語を使うのは中学と高校の橋渡しに不安かもしれませんが、しかし出版社側が3000語レベル本の冒頭の第1章で、中学単語の復習およびそれを高校の視点で理解しなおす勉強をしてあります。桐原と東京書籍のどちらとも3000語レベルの本の第1章は、そういう中高の橋渡しのための単語の紹介です。
逆に、4500語レベルの本には、そういう橋渡しが書いてないので、高校1年では4500語レベルは不適切です。
* スペル暗記の対象について
スペルの暗記について、実は中級の単語であっても、すべてを暗記する必要はないし、すべてのスペル暗記は面倒です。優先して覚えるべき単語は、知的レベルの高い単語です。
また、東京書籍『コーパス』シリーズの単語集の前書きを見てみると、実は3000語レベルは「受信語彙」としており、つまりリーディング用の語彙にすぎず、受験の英作文などでは高校新出単語の多くは基本的に用いないことを想定しています。
受験では短時間に英文を書かないといけないので、中学レベルに毛の生えた単語力に、若干の高校中級レベルの単語を加えて、それで英作文を完成させれば十分なのです。もちろんビジネスの仕事の英文とは違いますが、そういう実務の英作文はそういう専門家の大人にまかせればいいのであり、高校生には関係ないです。
東京書籍の意見ではないですが、具体的に単語例を挙げて説明するなら、たとえば respond「応答する」 と nod 「うなづく」だったら、respondのほうを優先してスペルを覚えなければなりません。
なぜなら、respond のほうが名詞形の response などもあり、応用が多く、意味も広範であり英作文などで使わざるを得ない可能性が高いからです。一方で nod のほうの用途は、誰かがうなづく場面どまりです。また、ノッドの名詞形や形容詞形はないと思います。
また、nod はビジネス英語などでも agree 「賛成する」で言い換え可能です。入試の英作文ですら、ほとんどの場合は agree で十分でしょう。
この nod のように、利用価値の低い単語は、スペル暗記は後回しです。せいぜいリーディング用に「そういう単語もあるんだなあ・・・」と知っていれば十分です。
実は中堅私大や地方国立の英文の単語は、学科によっては案外センター試験ほど難しくない場合もあります。
さて、残念なことに、高校の単語集あたりから、だんだんと英語教育の質が形骸化しており、単語集がやみくもに単語数を多く紹介したいあまりに説明不足になってきています。
たとえば中級単語で content (満足する)という形容詞があるのですが、じゃあ satisfied (満足する)とどう違うのかは、単語集には書いていません。なぜならcontent は中級レベル、satisfied は初級レベルの単語なので、本を別冊にまたいでしまうからです。こういう縦割り教育なのが現状です。
辞書で content を調べるような思慮深い人は、他の単語を覚える勉強時間が不足してしまうので入試では不利になってしまうわけです。ひどいもんです。
* 2冊買うべきかどうか
3000語レベルの単語集(桐原『データベース3000』や東京書籍『コーパス3000』)については、2冊そろえるべきか1冊に集中すべきか、判断が分かれるでしょう。実際に各自が単語集を読んでみて判断してください。べつに2冊あっても構いませんし便利ですが、他の教科の勉強などもあるので、難しいところです。
旺文社の『英単語ターゲット1200』も、中級レベルでしょう。
あるいは、2冊そろえれば例文の数が単純計算で2倍になるので、辞書でいちいち高校レベルの例文を探す手間が減りますので、2冊目の単語集にはそういう活用法もあるかもしれません。あるいは、問題練習とかの手間を2冊目の単語集で減らせるかもしれません。
このように2冊目の単語集は便利かもしれませんが、しかし目的が上級レベル(4500~5500語)と中級レベル(3000語)では違います。
まあ各自がどうするか判断してください。
なお、東京書籍『コーパス3000』は、数字だけ見れば桐原『データベース3000』と同じですが、しかし東京書籍のほうで3000語レベルのもの(たとえばinjure)が桐原の4500語レベルに書いてあったり、あるいは別の単語ではその逆で桐原3000レベルの単語が東京書籍4500語に書いてあったりと、あまり分類は明確ではありません。
===== 3000語の語法は初めは深追いするな =====
偏差値の低め~平均程度の大学のなかには、4500語レベルの単語をあまり出さない代わりに、3000語レベルの範囲の単語で、やたらと細かい語法を要求する問題もあります。
しかし、4500語レベルや5500語レベルも勉強する一方で、いつまでも3000語の語法ばかりを覚え続けるわけにもいきません。
だから勉強法としては、極端なことを言えば、3000語の語法を熱心に練習するよりも先に、まず4500語レベルの単語集で一通り、単語の訳を暗記したほうがマシです。
実際、入試問題にも、そういう傾向もあります。
文系私大の偏差値50前後の平均的な大学が3000語レベルの細かい語法を4択問題などで聞いてくる一方で、文系私大の偏差値60くらいの大学のある出題が、4500語レベルで単語の和訳の丸暗記だけで4択問題が解けてしまう、といったような出題事例も少なからずあります。
==== 上級レベル(4500~5500)の単語集について ====
===== 原則 =====
もし大学受験を目指しているなら、高校3年くらいになったら、4500語+アルファの単語集にステップアップします。ここでいうアルファは、予備校などの出している、補足的な単語集です。
いっぽう、桐原の5500語レベルの単語集は、あれは志望校などの傾向の確認用などで、辞書的に使うものです。
桐原5500をメインにするべきではありません。桐原4500語または東京書籍4500語を一通りクリアしたのなら、メインの単語集としては旺文社1900または予備校系の単語集に入るべきです。
5500語レベルの単語集の使い方なのですが、かなり難しいです。ここでいう5500語レベルとは、桐原『データベース5500』を想定しています。
旺文社の(1200ではなく)『英単語ターゲット1900』は、実はやや高レベルです。東京書籍4500・桐原4500にはない単語でも、旺文社1900には記述されていることもあります。なお、それらの単語の元ネタは、受験過去問もありますが、じつは英検2級~準1級あたりです。
旺文社のは、数字の小ささにダマされてはいけません。桐原や東京書籍の数字とは、旺文社の数字は意味が違います。
桐原4500はその装丁の厳めしさなどに比べて、実はやや単語のレベルは控えめです。東京書籍も桐原のスタイルを踏襲しているような所があり、やや控えめのレベルです。
だから旺文社は、派生語などで、桐原・東京書籍が紹介してない単語をポンポンとたくさん紹介しています。
このため、現代でも勉強法としては、「まずは高校2年の終わりまでに東京書籍または桐原の出している高校用参考集をベースに勉強。高校3年あたりで旺文社のレベル高めの単語集を買い足して勉強する」といった感じになるでしょうか。
4500語レベル単語集では、桐原と東京書籍のどちらの単語集でも不足です。なぜなら、単語集1冊だけでは、例文不足かつ解説不足により、あまり役立ちません。なので少なくとも上級レベルだけ、出版社を変えて2冊、必要でしょう。東京書籍4500+旺文社1900にするか、それとも桐原4500+旺文社1900にするか、判断は読者に任せます。
具体的に単語をあげて説明すると、たとえば「限定する」という意味のrestrict と confine、ともに似たような意味ですが、単語集には意味の細かい違いは書いていないか、書かれていても強調されていません。
桐原の単語集だとこの2つが類義語だという情報はあるのですが、しかしニュアンスの違いが説明不測です。
一方、東京書籍および旺文社だと、restrict を「制限する」の意味で説明しているのでニュアンスの違いは分かりますが、しかしconfineと類義語である情報が欠落していました。
さてconfine のほうが、「地理的に制限する」=「閉じ込める」のような意味合いが強いのですが、旺文社の単語集だと「閉じ込める」の意味もあるのですが、しかし桐原の単語集にはそこまで書いていないのです。
かといって東京書籍のほうには、confine の「限定する」の意味が書かれていません。
また、restrictは(限度内に)「制限する」という意味もあります。むしろ、こっちの意味で紹介している単語集もあります。
どちらの単語集を使うにも、例文が不足しており、ひとつの単語集だけでは意味がまったく分かりません。困った教育状況です。本来なら入試に出題する単語を減らすなどして理解を深めさせるべきでしょうが、しかしそういった教育が出来ていないのが日本の現実です。
それでも、まだしも大学受験用の単語集は、なんとか教育効果を高めようとした形跡も見られるのでマシです。なので、単語集を2つ組み合わせると、なんとか役立ちます。一方、TOEIC 高得点用の教材とか英検の1級あたりの教材の単語集とか、やたらと単語数を多くしているばかりで、ひどいものです。(資格本の活用法については別セクションで述べる。要点:出題傾向を把握する目的だけに英語資格本を使う。)
なお、桐原の場合、紹介する単語数そのものは旺文社などと比べて減りますが、その代わり、桐原の密度の高さが長所であり、桐原では他の単語集には無い語法などを紹介しているなど、単語1つあたりの情報量が桐原では増えています。なので、桐原の単語集も油断はできません。
一見すると、桐原の単語の項目のひとつずつの情報量は多くないように見えますが、しかし、桐原では別ページの紹介単語を用いた熟語をまとめたページなどがあるので、それを含めると桐原の単語ひとつあたりの情報量は多くなります。
かといって高校生としては、英単語集ばかりをそう何社も比較して勉強するのは無理でしょうから(数学など他教科の勉強も必要だし、英語の勉強も単語以外にも読解練習やリスニングなど多々あるので)、受験では結局、すべての単語は覚えきれない状態で挑むことになるでしょうか。
大学受験もその後の資格試験も、けっして満点はとる必要は無く、人生の目的に必要な志望校などの合格最低点を上回って合格さえ出来ればいいのです。
別に大学受験の英語に限った話ではないですが、大学受験において、平均以上の大学の入試では満点をとるのは基本的には困難であり、普通は満点は無理です。小中学校の校内テストと事情が異なります。
===== 4500語以上のスペルは実は覚えなくていい =====
実を言うと英語のスペルの暗記については、4500語レベルおよびそれ以上のレベルの単語のスペルは、まず覚える必要が低いです。
なぜなら英作文や和文英訳であまり使わないからです。
また、桐原5500や、東京書籍4500の後半部の単語などは、実はもうその1~2回のスペル練習すら、しないでも済むのです。おおよそのスペルと用法のイメージを頭に入れれば十分でしょう。
また、グローバル人材の育成などを目指す大学ならば、英作文などを要求してくると思いますが、だったら英作文で使うようなレベルの中級英語(4500)で十分なのです。むしろ、4500語レベルですらスペルミスなく習得していたら、かなりの勉強家です。
ましてや5500語レベルの単語については、読解問題で出題されたときに意味を把握できればいいのです。
仮に、桐原5500語レベルの単語のスペルを暗記させる問題を出す大学があっても、どうせ他の現役受験生の多くも解けない問題なので、実質的にスペル暗記は5500語レベルでは無視していいでしょう。
一部の浪人生で文系専願の人なら解けるかもしれませんが、難関大を目指して4浪だの8浪だのしている連中と、現役生は張り合ってはなりません。
TOEICなどの国際的な資格試験では普通、書き取りをしません。なぜなら採点の手間の都合で、TOEICでは選択問題ばかりです。大学側が入試で入学後のTOEIC対策などを考えた出題をしたとしても、スペル対策はもはや不要なのです。
英検でスペル暗記を使うかもしれませんが、しかし英検は日本でしか評価されません。
桐原5500は論外として、
正直、時間的に現役高校生が、桐原『データベース4500』と東京書籍『コーパス4500』または旺文社『英単語ターゲット1900』を使いこなすレベルにクリアするのですら、高校3年間では少しキツいと思います。たぶん多くの高校生は予想では3年生のときに「上級レベルの単語集の用法や用例を覚えている最中に、時間切れで、高校3年の卒業式を迎える」という結果になると思います。なぜなら、このレベルで、急に単語を覚えるのが難しくなるからです。かといって中級レベルまでしか勉強しないと、卒業後の実務のリーディングにも不便なので、上級レベルを高校3年で教えるのにも意義のあることなので、教育者には悩みどころなのでしょう。
なので勉強法としては、4500語レベルをクリアできなくてもいいので、ある程度の勉強をしたら、予備校などの出しているレベル高めの単語集をいくつか買います。
諸般の事情で、東京書籍・桐原・旺文社が紹介していないが、高校生に勉強してほしい定番の単語みたいなのがあって、そういうのが予備校系の単語集で紹介されています。
==== 予備校の単語集は何をしているか ====
歴史的な事情で、今の4500語レベルの単語集には書かれていないが実は昔の1990年代ごろまでの高レベル単語集には書かれていた単語があります。
そういう単語が、難関大学で狙われるかもしれません。
旺文社1900や桐原・東京書籍4500語にない単語の正体のひとつは、そういう昔の課程の単語です。
で、それが予備校系の単語集の元ネタのひとつでもあります。
東京書籍・桐原の3000語レベルや4500語レベルで旅行会話のような実用英語が増えたりビジネス英単語などが増えたので、昔なら4500語レベルに書いてあった単語のいくつかが今は5500語レベルにハミ出ているのです。
なので、予備校などの出す、受験レベルの単語集が1~2冊は必要です。そういうハミ出た単語だけ、あとは予備校系の単語集で抑えておけば十分なのです。
予備校の単語集を見てみましたが、実はそれほど特別な英単語はないのです。また、じつは、桐原4500などの学校向け単語集の単語すべてを均等に覚える必要はなく、やや傾向があります。
たとえば旅行英語で使う単語など、検定教科書にあるから桐原・東京書籍は紹介しているものの、あまり大学が重視してない項目もあります。
だから、桐原/東京書籍 に加えて、旺文社ターゲット、さらに別の予備校系などの高校3年レベルの単語集を何か1~2冊つかって知識の穴埋めをすれば、もう十分でしょう。
もしかしたら、高校2年からもう、予備校の出版している難関向けの単語集を使ってもいいかもしれません。
市販の予備校の単語集を見ても、けっして、桐原5500語レベルの単語を片っ端からは教えていません。桐原5500のアレは、高校生には習得が無理だと思われているのでしょう。
==== 受験英語の特殊事情 ====
大学受験英語の特殊な事情ですが、明らかに高校範囲外で実用的にもメッタに使われていない英単語が難関大学で出されており、当然に読めないのですが、しかしなぜか他の文章の単語から文脈にとって意味をとれるようになっています。
もちろん、現実ではそんな好都合なことは滅多に無いのですが、受験の英文はたいてい都合よくそうなっています。
また、万が一、他の英文の文脈から読めない単語が出ても、どうせ他の多くの受験生も解けないので、そういう問題は解けるようにしておく必要がありません。
ともかく、入試対策としては最低限、東京書籍4500・桐原4500をベースに、さらに旺文社1900で派生語を固める必要があります。
しかし、それとは別に、予備校などの出す、プラス・アルファ的な受験レベルの単語集が1~2冊は必要です。
歴史的な事情で、今の4500語レベルの単語集には書かれていないが実は昔の高レベル単語集には書かれていた単語があって、4500語と旺文社1900をひととおりクリアしたあとは、そういう歴史的経緯のある単語だけ予備校単語集で攻略すればいいのです。
==== 英単語集の読書計画 ====
最初から高校在学中の読書計画に、英単語集の読書を想定して組み込んでおくと良いでしょう。また、桐原・東京書籍・旺文社あたりに基本の単語集とは別に、他社の少しだけ発展的な単語集を読書感覚で読むと良いでしょう。
高校必修の範囲を越えた単語や派生語などは、読書感覚でひととおり解説に目を通すだけの単語集の勉強でも十分に対応できる場合も多くあります。
しかし、いちども読んだこともない単語は、さすがに入試で対応できません。だから、一度でも解説に目を通してしまえば、済む単語も多くあるのです。
なので、広く浅くでいいので、読書しておく必要があります。
=== 大学受験に必要な単語量について ===
一般に、大学受験で、難関な学校の英語を読み解くには4000語程度を知っていることが望ましい。
世間でよくある勘違いとして、「近年はリスニング導入などにより単語数が減ったから、用法を覚えるのを中心にすべきだ」という知ったかぶりの勘違いがありますが、しかしそれは「90年代のような(現代換算で)6000語レベルとか7000語レベルとかやってた受験戦争の時代ほどは、2020年代では多くの単語を覚える必要が無い」という意味です。そんだけ昭和や平成初期の受験戦争は、片寄っていたというだけです。現代だと早稲田や上智の英文あたりしか出さない難しい英単語を、昔はマーチ文系学部や関関同立なども出していた、というだけです。
2020年代の現在での平均的な大学受験レベルである4500語レベルまでは、さっさと目指してドンドンと覚えてください。もちろん用法なども覚えるのは当然です。
「単語数が減った」という意味は、「英検1級にしか出ないような超マニアック単語は出ない」という意味です。(たとえば redemption 「(キリスト教用語)人間の罪のあがない」(なお、おそらく「罪」とは宗教的な原罪)みたいなマニアック単語は大学受験では出ないという意味。)
2001年ころは実際に入試に英検1級の redemption が出たかはともかく、ひょっとしたら英検1級単語もチラホラと出るかもしれないとして、一部の文系受験生はそういう単語も勉強してたわけです(まだ今ほど受験ノウハウが、インターネットで共有されてなかった時代だったので)。
つまり、難解な単語も多い桐原5500は、あれでもマシなほうなのです(なぜなら、実際に入試に出た単語を中心に掲載しているので)。英検1級の単語集は、桐原5500をはるかに超え、もっとマニアックで(高校生にとっては)ひどい教材です。そういうのが英検1級です。
=== 学部ごとによる出題傾向の違い ===
単語集などで出題校を見ると、学部名が書いてないですが、実際は学部によって出題傾向がけっこう違います。少なくとも1990年代はそうでした。
基本的に、理系の学部では、5500語レベルのような、あまりに難しい単語は出ません。そういうのを出すのは、よほどの難関私大や、それも文系の学科です。少なくとも2001年ごろはそうでした。理系学部が出すのは基本、化学英語を除けば、せいぜい旺文社ターゲット1900のような、どこの書店の参考書コーナーでも入るような単語です。少なくとも2001年ころの私大では、法政大学の理系学部および東京理科大および四工大(芝浦工大や工学院大など)はそうでした。
理系の学部の入試では、英文科ほど難しい単語は出てきません。もし仮に出てきたとしても、相手する価値が無い大学です。それとは別に、理系の大学では、科学英語などが出る場合があります。特に私大は、少なくとも1990年代はそうでした(当時、科学英語の参考書が少ないにも関わらず、マーチでも青学あたりがそういうの出していた)。私立だけでなく国立でも、東工大などの国立の難関理系大学でも、昔は科学英語を出してた時代もありました(今はどうか知りません)。
ほか、最近はどうか知りませんが、桐原5500の単語を見ると「輸血」の英語など、ちょくちょく医学的な英語があったりして、90年代くらいの昔は出たようです。
常識的に、医学部などで、そういう長文でも出したのでしょう。もしかしたら他学部の出題かもしれませんが、志望以外の専攻の専門用語までは付き合いきれません。
もし今の書店の受験参考書コーナーにそういう科学英語の単語集があれば、今でも出るのだろうし、無ければ、出ないと出版社が判断したのでしょうから、書店の状況に従えば安全だと思います。
赤本などの過去問などで、もしかしたらそういう専門的な英単語を勉強できるかもしれません。志望校にも寄るので、念のため、過去問などを確認してください。
もし、普通の書店にある単語集に無い単語ばかり出す国立大学があれば、批判されるべきです。国民の税金で運営されているのですから、どこに住んでる国民でも勉強できる単語でないといけません。
私大の単語はどうか知りません。
=== 単語の小テストばかりを受けても、復習しなければ単語力は身に付かない ===
学校や塾で、単語の小テストを受けさせられる場合もあるでしょう。「単語集の○○ページから△△ページまでを小テストで出すので、書き取り練習して覚えるように」という小テストです。
たいていの高校生の場合、予習はテスト前にしますが、いっぽうで復習をしているかどうかは、個人任せです。
ですが、小テストをいくら受けても、復習しなければ、単語力は増えません。
もし、単語の小テストを受けたままで、その後は復習せずに、ほったらかしにしてしまったら、何も単語力が伸びません。
単語テストは、テストを受けた後に、自分の未修得の単語を復習するために存在しているので、テスト後に復習をする必要があります。(もちろん、テスト前に予習も必要である。予習をしていれば、未修得の単語が減るので、復習の単語数が減る。)
要するに、小テストの使い方は、全国模試の使い方と同じです。
全国の高校や塾のうちの一部では、どうも、小テストの目的を忘れていて、「とにかく毎週、単語の小テストをすればいい」と安易に考えているような教育も、ある気がします。
ここを読んでいる読者高校生は、小テスト本来の目的を思い出して、小テスト後には復習と予習をしましょう。
さて、たいていの高校や塾では、1週間に1回のペースで、単語20〜50語ほどの記憶をはかる小テストをしていると思います。
1週間ごとに50語ほどのペースで単語小テストをしていれば、充分にハイペースですので、それ以上は週あたりの単語数を増やす必要はありません。(英語が好きなら、さらに勝手に単語数のペースを増やせばいいだろう。)
裏を返せば、復習をしきれない量の単語小テストを毎回受けさせられても、非効率です。例えば、1週間ごとに300語の単語小テストを高校で受けたとしても(ただし高校1年の1学期だと、中学英語の復習で、そういう数百問のテストもありうる。しかしそれは期間限定)、そんなに英単語ばかり復習しきれないでしょう。(数学など他教科の勉強もありますし。)
万が一、そういう高校や塾の場合(1週間に300語の単語小テストの場合)、その高校や塾の小テストは後回しにして、自分で単語を予習・復習しましょう。
ただし、定期試験や期末試験などで、今までの単語小テストの合計の数百語のなかから単語が出題される場合は、多くあるので、その復習はしましょう。つまり、学期内の小テストは、その学期中に復習し始めましょう。(どのみち、テスト後にも補習などがあるだろうが・・・)
夏休み明けや、冬休み明けに、前の学期の小テストの範囲内の単語が出題されたりしますので、休み中にも、復習しましょう。(予習も忘れずに。小テストは最終目的ではなく、入試合格などが、より本質的な目的なので。)
同様に、3学期の年度末の期末テストなら、1年間の小テスト範囲の合計1000語ちかくがテスト範囲に含まれる場合も多いので、その復習はしましょう。つまり、年度内の小テストは、その年度中に復習し始めましょう。(どのみち、テスト後にも補習などがあるが。)
== 文法 ==
=== 完璧な文法理解はあきらめる ===
==== 背景 ====
高校では、中学英語の不正確な文法を、修正するような内容も習います。
しかし、だからといって、けっして完全にネイティブ級な英文法を目指してはいけません。高校生には無理です(大学生ですら無理だろう)。それこそ、米英生まれの人以外は、もう専業の英語教師みたいに年以上も勉強しないと到達できない水準の世界です。
なので、大学受験で要求される文法は、せいぜい、大学受験用のどの参考書にも書いてあるレベルの基本的な文法さえ理解できればいいのです。
そういう基本事項さえ押さえていれば、少しくらい文法が不正確でも、たぶん大学受験では多めに見てくれます。仮に多めに見てもらえなくても、もうそこまでの対策の時間は高校生にはありません。
じつは、受験参考書の文法解説すら、本当はまだまだ説明不足です。ですが、大学受験参考書を超える内容はもう、高校生には時間的には無理だし、数学など他の教科の勉強も必要なので、あきらめる必要があります。
これはつまり、大学受験の英作文でも、実は少しくらいマチガイがあっても良いのです。どの参考書にもある基本的な文法事項さえ押さえてあれば、少しくらい文法が間違っていても、大学は許容するでしょう。(許容しない大学があっても、英数学など英語以外の他教科の勉強を無視した大学なので、無視していい。なお、国公立の東京外国語大学では、受験生に数学を要求しています。)
日本人と外国人の立場を変えれば分かります。日本在住の外国人タレントとかで、もう十年以上の長いあいだ日本に住んでいる人ですら、ときどき文法ミスをしますし、日本語の発音も日本人とは少し違います。ですが、それを日本社会は許容します。
英語でも同じことです。向こうの国の人は、少しくらい日本人の英語の単語の並びや発音がヘンでも、話の内容がシッカリしていれば、聞いてくれます。
==== 対策 ====
上記のような背景のため、大学受験対策の英文法の勉強としては、せいせい平均レベルの問題集をせいぜい2冊ほどクリアすれば十分です。せいぜい、複合問題とかを解ければ、充分でしょう。
もっと言うなら、'''英作文の入試問題の場合、文法がすこしくらい間違っていてもいい'''のです。どの教科書・参考書にも書いてある基本を学んだ形跡さえある英作文を書ければ、あとは意味が通じれば、たとえば英作文中で冠詞がすこしくらい抜けててもいい、もしくは余計な冠詞があっても良い(本来は冠詞をつけない名詞に a とか the とか書いてもいい)のです。(ただし、あくまで「意味が通じるなら」の条件つきです。冠詞を間違えると意味が通じない英作文の場合は、間違えてはいけません。)
英作文の問題なんて、せいぜい英作文の参考書を数冊と、あとは普通の英文法の参考書の内容を押さえておいて、一通り学んだ形跡さえあれば、あとはもう小さなミスは受け入れるしかありません。仮に入試でその文法ミスが減点されようが、もう対策の時間がありません。
たとえば、日本語訳に引っ張られて、英語では、その単語には使わない冠詞をつけくわえても、そういうミスはもう、受け入れるしかありません。「英語以外にも日本語の知識も多いがゆえに、間違えてしまう」という類のミスは、もう受け入れるしかないのです。
日本語の学力に限らず、数学の学力でも理科でも社会でも、'''他教科の学力が高いがゆえに発生しやすいミスは、受け入れるしかありません'''。仮にこういう知識の多さゆえのミスをひどく減点する採点者のいる大学があっても、そういう大学はあまり教育水準が高くないので、もう相手しないほうが良いです。
また、辞書や一部の参考書のコラムにしか書いてないような細かい文法はもう、いちいち覚えてられないので、間違えてもいいのです。
また、仮に文法にミスが無くても単語にミスがあれば英作文では減点されかねないので、単語を学ぶほうが重要です。
ともかく英作文では、けっして「小さなミスを避ける」という発想ではなく、「'''大きなミスをなくすために、小さなミスを許容する'''」という発想の転換のほうが重要でしょう。
大きなミスにつながりかねない、文型とか過去形・完了形とか仮定法とか関係詞とか、「もし間違えると、意味がまったく変わってしまったり、逆の意味になってしまいかねない」という、そういう単元を重点的に身に着ける必要があります。いっぽう、助動詞などの高校で習うような微妙なニュアンスの違いとかは(たとえば助動詞 will は、「明日は日曜日だ」みたいな確実な未来では使わないというニュアンスがある)、間違えても小さなミスですので、ある程度は小さなミスを英作文では妥協する必要があります。
英作文では、よほど簡単な文でない限り、ミスは無くせません。また、だいたい英作文を要求してくる大学は、そこそこの長さの英作文を要求してきます。よって、ミスをゼロにしようという発想では、ネイティブ以外では対処できません。
たとえば、英作文がまったく逆の意味に受け取られてしまうような大きなミスは、避けなければいけません。また、そもそも米英人に通じないような文章も、避けなければいけません。
しかし裏を返せば、英作文で少しくらいニュアンスが変わってしまっても、教科書レベルの文法をきちんと押さえていて、もとの和文の意味の90%くらいが通じるなら、ミスは受け入れざるを得ません。
;大学入試も英検・TOEICも単語重視
文法の要求水準がそんなに高くないので、平均的な文法問題集をクリアしたら、そのあとは単語などを勉強したほうが良いと思います。
もし仮に、文法で難問を入試に出してくるブランド大学があったとしても、そういう大学は単語力も多く要求してくるでしょうから、文法の難問よりも単語力の増強に時間を当てたほうが良いでしょう。
英検など検定試験では、単語については大学受験を超える単語も要求されます。しかし文法については上述の通り、大学受験を超えるような文法理解は英検・TOEICですら要求されないです。世間の人は、そもそも受験参考書を超える文法知識の存在そのものを知らない人すらも多くいるくらいです。
=== 参考書で勉強する ===
高校英語の英文法の勉強は、検定教科書ではなく参考書で勉強するのが定石、基本です。
なので、まずは参考書を買い始めましょう。普通科高校なら、おそらく高校の入学時、検定教科書の購入と一緒に、参考書も買わされると思います。
もし大学受験を考えるなら、英文法の参考書を買わなければなりません。
とりあえず、下記に後述する網羅形式の本を持っていれば、ひとまずは安心でしょう。
=== 高校英文法は例外も多い ===
中学の英文法の教育では、規則的・論理的な文法事項だけが取り上げられたのですが、高校は違います。
このことからか、高校英語では英文法の参考書のスタンスがいくつか分かれています。
1. 例外的な事例にはあまり深入りせず、基本的な事項を重視したスタンス
2. 辞書的に、英文法のあらゆるパターンを網羅的に掲載したスタンス
があります。(実際にはこの中間の編集方針の参考書もあるが、説明の都合上、二極に単純化することにする。)
予備校系の講義形式をうたった参考書のいくつかや、高校英文法の入門書などの参考書のいくつかは、基礎的な重要事項を特に重視したスタンスです。(そのため、例外的な事項の説明は省かれているか、少なめです。)
いっぽう、高校にもよりますが、高校で配布されるような昔からの、いかめしい感じのする参考書は、辞書的・網羅的なスタンスの参考書です。
センター試験などを考えるなら、網羅的なスタンスの文法参考書を最終的には読んで覚えざるを得ません。
一応、網羅本だけでも受験対策は可能ですが、塾や予備校などに通ってない人や、高校の授業の質に不安のある人は、さらに基礎的な事項を重視したスタンスの文法参考書もあると良いかもしれません。
例えば理系の中堅私大などで、あまり例外的な文法事項を要求するとは思えません。
ただし、これは私大の場合の話です。国公立の志望の場合は、共通試験を対策せざるを得ず、そのため二次試験がどうなっていようが、その対策のために辞書的・網羅的な参考書を読まざるを得ません。
TOEICなどの資格試験が近年重視されており、大学でも私大などで推薦入試や自己推薦などでTOEICの成績を考慮する大学も多く、企業もTOEICを表向きには重視していますが、TOEICは文法教育における論理性や高校生の論理性の涵養に配慮する義務はありません。なので、この問題の逃げ場は、大学受験にはありません。TOEICが果たして本当に実用英語かどうかはともかく、世間一般で「実用英語」だろうとは言われています。
=== 網羅本でも全部の構文は紹介していない ===
例えば比較級の構文「A is B no more than C is D」は、ある参考書(網羅本)には紹介されていませんでした。
高校英語で習う構文は多いので、複合的な構文などは、網羅本といえども一冊の参考書では紹介しきれないのです。
もし英語だけしか学習しないので済むのであれば(実際は違いますが)、英文法の網羅本の参考書を2冊や3冊も読み比べることで自分にあった参考書を選べばいいですが、しかし他教科の勉強もあるので、そうはいきません。
悩みどころです。各自、うまく対応してください。
また、大学生・社会人向けの厚めの文法参考書でも、すべての構文が書いてあるわけではないです。例えば『ロイヤル英文法』という大人向けのやや専門的かつ高度な英文法参考書がありますが、「all the +比較級」の構文は書いてありませんでしたし、巻末の索引を調べてもありません。
だから、大人向けの文法参考書を読んだところで、この問題「網羅本でも全部の構文は紹介していない」は解決しないのです。
=== 時間配分 ===
文法の学習は当然に必要ですし、入試にも良く出ます。しかし、文法の学習にばかり時間を掛けてはなりません。
高校に入学すると、高校の範囲の文法事項を、おそらく学校や塾などで急に教わり始めるでしょう。それらの文法の新知識の学習も大事ですし、当然に学習するべき知識ですが、読者のみなさんは英単語の学習も欠かさないようにしてください。文法なんて覚えることも少ないし、大学受験をするなら最終的には大学受験のころにまで文法を覚えられれば良いのです。なので文法の難問を練習する時間があるなら、それよりも、まず先に単語を優先的に勉強して語彙力を増やしたほうが効率的でしょう。
また、入試の文法問題も、文法の知識だけで解ける問題は少なく、単語の知識や語法の知識などと組み合わせないと解けない問題なども、入試では、よく出題されやすいです。なので、単語の知識が、大学受験対策では優先的に必要なのです。
2010年以降なら、中学校で、すでに大まかな文法の枠組みは習っています。2022年では、仮定法すら中学校で習っているはずです。もはや高校で習うのは、無生物主語など若干の単元と、あとは仮定法過去完了だとか、現在完了進行形とかくらいです。
そういった合わせ技は、それほど熱心に勉強しなくても、入門的な問題集などで問題練習すれば、普通に習得できます。
=== 高校英文法は実は少しウソ知識 ===
高校生用の文法参考書は、高校標準レベルの参考書は、基本的には、中学英語の復習も兼ねています。
このため、普通なら、高校1年生は復習のためにわざわざ中学参考書を買いなおす必要はないです。
それよりも重要なこととして、実は高校英語の文法参考書には、不正確な知識があるという事です。中学英語が理解重視のため少し不正確でかなりひどいカタコト英語が中学生用の参考書・教科書にあるので、同様に高校の英文法も少しだけ不正確なウソの知識があるのです。
さて、単語集では基礎レベルの単語集の前半が、中学英語の復習を兼ねているように、実は高校英文法の参考書も、少なくない割と多くの部分が中学の復習や、中学で習った分類など理解の再構成を兼ねています。
単語集ほどではありませんが、高校の文法参考書でも、あまり序盤にある中学文法の復習の部分には、高校でも深入りする必要がないことが、上述の考察・市場調査などから分かります。
また、このことに気づけば、つまり単語以外の知識で、一部の参考書にしか紹介されていない細かい文法の理論的な知識は、入試対策としては覚える必要が低いことが導かれます。単語集だと、細かい発展的な単語も入試に出ますが、しかし文法書については事情が違います。高校英文法には、深入りせずに、広く浅く学ぶのが安全でしょう。
文法参考書に書いてある知識がそもそも初学者の理解しやすさを重視したためのウソ知識なのですから、むしろ、けっして鵜吞みにして深入りしてはイケナイのです。
ほか、使用頻度の少ない表現など、参考書によって説明が微妙に食い違っています。たとえば接続詞 lest は、ある参考書では、「文語的であり、あまり使われない」と主張する一方、他社の参考書では「(for fear よりも)頻度は lest のほうが高い」(ジーニアス)と主張していたりします。
こういうふうに、細かい表現の英米での利用状況には諸説あるので、あまり参考書を鵜呑みにしすぎないようにしましょう。
=== 大学生向けの参考書は例文不足 ===
大学生むけの参考書は高校生向けのものと、用途がやや異なります。
高校生は、高校生向けをターゲット層にした一般の高校生向けの英文法参考書を中心に勉強しましょう。
=== 細かなニュアンスの違いは覚えなくて良い ===
受験勉強では、細かなニュアンスの暗記よりも、英単語をたくさん覚えなければなりません。また英語以外の国語や数学などの勉強も必要です。
参考書で勉強をする際、あまり細かなニュアンスの違いの暗記に入り込まないように注意してください。
実際、ある検定教科書でも、文法事項の類似表現などは、たとえば Would you ~? と Could you ~? などの依頼表現としてのニュアンスの違いは説明していません。せいぜい、 「Please と比べたらWould You および Could you は丁寧な言い回しである」という程度のニュアンスさえ把握できていれば大学受験レベルでは十分です。
参考書にはもしかしたらもっと細かいニュアンスの違いなどが書いてあるかもしれませんが、そういう詳細な情報はせいぜい参考程度にしましょう。
実は参考書でも、もう細かいニュアンスの違いは教えていない書籍も多くあります。
つまり、大学受験用の英語参考書には2種類あり、
:ひとつは受験用に入試に出る最低限のことだけを教える参考書と、
:もうひとつは細かいニュアンスの違いなども教える参考書と、
そういう2種類があります。
なお、上記とは別に英語研究者用の文法参考書がありますが、大学受験には全く対応していないので間違えて購入しないでください。
最低限のことを教える文法参考書の例として、ジーニアス英和辞典を出している大修館書店は高校生向けの文法参考書(『ジーニアス総合英語』)も出していますが、しかし文法参考書のほうでは辞書ほど細かいニュアンスの違いを説明していないのが現状です。
特に新共通試験(旧制度のセンター試験に相当)などの公共機関の試験や、英検・TOEICなどの資格試験では、細かいニュアンスを問う問題はまず出題が難しいでしょう。西暦2000年以降、国公立人気などでセンター試験や新共通試験の影響がどんどん強まっている影響も考えれば、文法学習であまり深入りニュアンスに深入りするメリットは残念ながら少ないのが現状だろうと思います。
それが英語教育として良いかどうか不明ですが、現在の大学入試の対策として要求される文法教育とはそういうものです。
基本構文などの細かなニュアンスの違いは、英会話などではそれなりに重要ですが、しかし入試や画一的な資格試験では英会話をそこまで細かく採点できないので、したがってニュアンスの違いに基づく使い分けもそれらの試験では出題されづらいことになります。新共通試験にリスニング試験はありますが、しかし実際に会話をさせる試験はありません。
裏を返せば、細かいニュアンスに深入りした文法参考書は、高校卒業後の英会話などの英語学習などのステップアップで使うのが効果的かもしれません。
高校の文法参考書の題名は、「文法」と書いてあるものを選んでもいいですが、2022年の書店で確認したところ『総合英語』と書かれている参考書も文法事項が中心的です。
=== 各社ごとの注意 ===
参考書えらびの際に、高校1年生がたぶん勘違いしそうなことを、述べておく。
* 大修館「ジーニアス」と数研出版「チャート式」の細かさ
大修館「ジーニアス」ブランドは、辞書では昔から細かい説明で有名であり進学校などではジーニアスの辞書が勧められるとの噂も昔からよくあります。ですが、しかし「ジーニアス」ブランドの文法参考書はあまり細かくありません。注意してください。
別に細かい文法参考書がいいだの悪いだのという話ではなく、ともかく、辞書のような細かさを「ジーニアス」文法参考書に期待してはいけません。用途が違います。
いっぽう、数研出版のチャート式の文法参考書のほうが、多くの構文が細かく網羅的・羅列的には書いてある傾向にあります。このため、1990年代の昔からよくチャート式の一番難しいバージョン(白・黄・青など色々バージョンがある)が進学校などでの参考書として配布されることもありました(かつては赤チャートが難しかったが、現代は赤が廃止され次点だった青チャートが一番難しいバージョンになっている)。
ただし、果たして2020年代の現代の入試にもチャート式が効果的かどうかは分かりません(会話重視・リスニング重視や単語重視など、入試の流行の変化もあるので)。
* 文英堂「インスパイア」と学研の参考書の入門者対応
なお、かつて文英堂『シグマベスト』というシリーズが、1990年代~2001年くらいは高校入門レベルの参考書として定番だったが、現代はそもそも英語のシグマベストが無いのと(英語は『インスパイア』に変更)、しかし同社・文英堂の『インスパイア』は、難しめです。高校生むけの一般的な参考書のなかでは、たぶんインスパイアが一番情報量が多いと思います(青チャートよりもインスパイアのほうが説明が細かいです)。
暗記科目なので、難しくても、とりあえず読めますが、しかし『インスパイア』のレベルはやや受験レベルを少し超えている記述もチラホラあります。
なお、例えば理科など他教科でも『シグマベスト』は実は2010年以降の現代はなかなか発展的であり難しくなってきていて、情報も細かく羅列的である。90年代の当時とは『シグマベスト』の中身の難しさが違うので、参考書選びのさいには、けっして90年代のままの世間の大人たちの評価を鵜吞みにしないように注意。
背景として、90年代の昔は、英数理の参考書選びのパターンとして、「シグマベストで入門レベルをカバーして、チャート式で高度な事項を勉強」という有名パターンがありました(なお、国語と社会科のチャート式は参考書としては無い)。あるいは、「その教科が苦手ならシグマベストを選ぶ。その教科が得意ならチャート式を選ぶ。」のようなパターンが90年代にありました。
しかし、現代では シグマ + チャート のパターンが、もはや上述の出版事情の変化で通用しなくなってるので注意。
2010年台の今だと例えば学研が高校入門レベルの初等的な参考書の立場だが、90年代の昔、学研がまだ高校参考書にあまり参入しておらず(昔の学研は小中学校むけの教材ばかりがメインだった)、当時は文英堂のシグマベストが今の学研の高校参考書に近い立場だったという背景事情がある。
=== 文法参考書の選びかた ===
インターネットで参考書の形式やレベルなどを調べたり、または、教師や塾講師、チューター、同じ学生などからの評判なども参考にしながら、実際に書店で参考書の内容を閲覧するなどして選ぶといいだろう。
また、古本屋などで参考書を購入すると出費を抑えられる可能性がある。
中学英語は昔とカリキュラムが大幅に変わったので古本屋は論外だが、高校英語は昔から到達地点が同じままなので、文法学習はちょっとぐらい古い本でも特に問題ないかもしれないかもしれない。とりあえず、古本屋で英文法書を購入するなら、なるべく最近のものを購入したほうがいいだろう。
「大学英文法」とかそういうのは一般的には無い。文法は高校英語で、とりあえずゴールである。あとは単語や熟語を増やすのが、その後の道である。
英語教師などを目指す人のための細かい英文法理論書はあるが、高校生には必要ない。なお、書店によってはそういう教師向けの英文法理論書が高校英語コーナーに売っていたりするので、間違えて買わないように。わかった上で買うなら自己責任で。
=== 高校の文法参考書はどういうものか ===
「時事的な文法」とか無いので、もし改訂などあっても、あまり頻繁に買い換える必要は無い。
他のセクションでも言ってるかもしれないが、「大学英文法」と言うのはない。なので、文法において「大学教養レベルの先取り」とかは不要であるし、そもそも存在しないし、そういう教材もまず無い。
このことは、大学受験においては、つまり文法問題は、高校生向けのやや高レベルな参考書を習得できたら、それ以上は英語教師でも目指さないかぎりは、英文科向けのさらに高度な文法書には進む必要は無い、という事である。
英文科の学生などに向けた文法書は、あれは教師向けまたは研究者向けの参考書である。内容も、基本的には高校生向けの文法参考書に書いてある内容を、大学生または教師志望者などの視点やレベルに合わせて書き直した程度のものである。なのでともかく、受験生には不要である。
このことから、ゴールが明確に定まり、受験生向けのやや高度なレベルの参考書がゴールである。
そこから逆算すると、あまり多くの参考書を読み漁る必要はない。せいぜい、2冊読めば十分だろう。
高校1年レベルから分かりそうな易しめのレベルのものと、あとは少し難しめの感じのもう一冊で十分である。もしかしたらどちらか片方だけでも十分かもしれない。
また、説明を省略したが、前提として、高校の参考書は、学年別とかには売ってない(書店で実物を見れば分かると思うが)。
なので参考書での学習の際にも、いちいち学年ごとにペースを3等分とかして「私は1年生なので、参考書の前半の3分の1だけ読む」みたいなことはする必要は無いし、むしろ現代では3等分すべきでもない。
つまり、参考書は高校1年で購入したら、とりあえず、さっさと通読すべきである。現代の中学・高校のカリキュラムなら、文法参考書の通読は中学英文法の復習にもなるので、まずは通読しよう。
そして何回か通読したら、問題集などにチャレンジしたり、あるいは単語なども増やそう。
これがもし英語でなく数学の勉強法だったら、先の学年の内容を通読するよりも学校で習った単元の復習などを重視するのも手かもしれないが、しかし英語はあまりそういう単元ではない。
高校の授業や定期テストなどは、あれはあれで教育ノウハウが詰まっているので活用すればいいが、別にそれを活用したからといって文法参考書を通読できなくなるわけでもない。
それに塾などだと、参考書の後ろのほうにある無生物主語などを高校クラスでは1年で先に教える流儀もある。
参考書の最初のほうにある文型がどうのこうのと言った話は、どうせ塾の中学生クラスや中学参考書などでも既に教えている可能性があるので、塾の高校生クラスではそういうのはもう後回しにして、先に無生物主語や仮定法など参考書の後半の単元を教えるというパターンもある。家庭での自習などの際にはご参考に。
また、そもそも2年の終わりくらいから高校や塾などで全国模試などを次第に受け始めることを考えるなら、けっして高校3年間で学校の授業で文法を習うのを待つのではなく、自習によって高校2年の後半の段階までに一通り、高校生むけの単元である無生物主語やら仮定法過去完了やら分詞構文などを含めて、とりあえず文法参考書は全ページを通読は済ましておいて、加えて問題練習を軽くでいいのでしておくべきだろう。
そして、高校3年では模試なども活用して、問題練習で定着させていく、・・・という段取りである。
== 熟語 ==
単語集の前半のほうにも、実務ではあまり使わないだろう熟語、つまり、より平易な表現に言い換えることの多い表現がよくあります(少なくともこのセクションのある編集者が、ネット上の海外英語では見たことない表現がいくつもありました)。
中学1~2年で習うレベルの単語の組み合わせで作れるマニアックな熟語がいくつかあるので、学習時に注意が必要です。単語集では編集の都合上、そういうマニアック熟語が前半のほうに書いてありますが、正直、後回しにすべき熟語です。
一方、 come true (実現する)のような、たとえば構成する単語と意味が近い場合なら、学習効果は高いです。たとえばtrue 「=真実」と「実現する」は比較的に意味が近いです。参考書でも、よくSVC文型の例としてcome true が出てくるので、こっちは重要事項です。
しかし残念ながら、単語集にある出題頻度の情報を見ると、come true は出題頻度が低いようです。
そのほか優先して覚えるべき熟語は、たとえば no longer ~「もはや~ない」のように構文的な熟語や、あるいはget over ~「克服する。回復する」(= overcome)のように中学レベルの単語には言い換えできなくてその熟語表現を使わざるを得ない可能性の高そうな熟語とか、そういうのです。
このような熟語の教育状況になってるのは、つまり残念なことですが、「英語教育での英作文などでは、実務的を想定した教育がされておらず、つまり形骸化している可能性がある」という事です。
「出題頻度順」の掲載をうたった単語集で前半のほうに、不便なマニアック熟語があるので、つまり入試では、実際には仕事などで英語を使うつもりのない人たちを想定した入試が行われているという証拠です。
英作文をする際、getで一語で説明できることを「come by ~」で表現する可能性は実用では低いでしょう。英会話でも、果たして米英人が、日本人相手に come by で説明するでしょうか。はなはだ疑問です。
なぜなら外国人は、もし英語が得意な日本人相手なら躊躇なくobtain のような非熟語を会話で使うだろうし、あるいは「英語が苦手な日本人かな」と思って気を使ってくれるなら get で表現してくれるでしょう。
come の基本的な意味は「来る」ですから、熟語come byの「入手」とは、かけ離れています。おそらく「手元に来る」的なニュアンスなのでしょうが、しかし「by」からそれを想像するのは、かなり前置詞「by」の基本の意味から離れています。そういう、基本単語の意味からの距離の大きい表現は、実務では学習コストが高いので、いろいろと不便なのです。
不便とはいえ、海外での利用の可能性がないとは言えないので日本の受験英語でも教えられていますが、なるべくなら後回しにしたいマニアック熟語表現です。
come true 「実現する」のようなSVC文型の例にもなるような教育的な熟語だと出題頻度が低いようですが、これはつまり、入試出題者が、高校生の学習効果を見る良問よりも「落とすための問題」「ヒッカケ問題」を21世紀の少子化の時代になっても未だに出題し続けているという証拠でしょうか。
== リスニング ==
まずは、前提となる単語力をつける必要がある。その上で、参考書で、音声CDつきの参考書などで聞き取り練習をするなどすればいいだろう。また、例えばYouTubeやTEDなどで自分の興味のある分野の英語を聞くなどしてもいいだろう。
テレビのNHK教育の英語番組は、学校の授業用に作られており、大学受験対策には作られていないこと、洋画は字幕や吹き替えに尺や字数の都合などで意訳が多いため学習には向いてないとする意見もある。
さて、新共通テストの場合なら、回答の選択肢が4択で与えられるわけですから、その選択肢の中からリスニング内容に一番ちかいのを選べればいいのです。すべての単語を1回で聞き取る必要はありません。それはプロの同時通訳者でも無理です。(なお、試験によっては2回ほど放送される場合もある。)
すべての単語を聞き取るような問題は、おそらく共通テスト出題者は、作成しないだろうと思います。仮に作成したとしたら、かなりゆっくりと発音するリスニング問題でしょう。
テレビの生放送で、定型業務ではない政治討論の番組などで音声モードを英語モードに切り替えをして視聴してみると分かるのですが、実は生放送ではプロの同時通訳者ですら完全には流暢(りゅうちょう)には翻訳を出来ないのがプロでも実態です。テレビ生放送の英語は、プロですら、ややカタコト(片言)気味の翻訳になります。しかもテレビ番組などは、実は事前に原稿・台本があり、その原稿が事前にスタッフなどに渡されて読まれており、それをもとに撮影および音声収録をしています。それですら、少しカタコトの同時通訳なのです。
なお、テレビの原稿・台本のようにプロの同時通訳では、話題にある程度の予備知識が必要です。しかし新共通テストでは、そこまで個別のトピックのある話題には踏み込まないでしょう。(ただし、難関私大や国立二次試験はどうか知りません。もっとも受験生には他の勉強もあるので、普通に英文読解などの教科書・参考書によくある話題に触れておけば十分でしょう。)
== 読解 ==
読解練習をしたい場合は、まずは学校でのリーディングの教科書などをきちんと読むのは当然ですが、そのほかにも参考書があると便利かもしれません。
書店の参考書コーナーに、高校生用の英文読解の参考書などが置いてあるはずですから、それら高校生用の参考書で勉強してください。
大学入試の英文では、平均以上の難度の大学になると、単語の知識がないと、まったく内容が把握できないでしょう。なので、読解練習だけでなく単語の勉強もしてください。とりあえず単語集などで4500語レベルまでの範囲の単語は最低限、ひととおり学習してください。
* 試験での読解問題の時間配分について
出題英文を読むのに時間が掛かりますから、試験中の時間の配分にも気をつけてください。まずは単語力を増やすと読解スピードも上がるので、普段の勉強では単語力を増やしてください。
試験中の配分の対策として、実際の入試では、たとえば、長文読解問題よりも先に、短時間で解けそうな単語問題・文法問題などを先に解くとかして、時間配分の対策をしてください。あるいは、設問の問題文を先に読んでおいて、見当をつけてから長文を読むなどという方法もあります。ここらへんの対策は、じっさいに過去問や想定問題などを解いて練習してください。基本的に、入試国語での現代文などでの読解問題対策などの際の時間配分と似ていると思います。
ただし、時間配分のテクニックばかりを磨いてもダメであり、単語力などを増やさないと、読解スピードも上がりません。
* 学部と出題内容の関係
入試では、ときどき、志望先の学部の内容に関する記述が出る場合もあります。また、高校で習う教科に関する記述が出る場合もあります。もっとも、べつに必ずしも志望先学部と近い内容の英文が出題されるとは限らず、あまり関係のない内容の英文も出題される場合もあります。
どちらにせよ、合格後の人生も考えて、学生は、志望先学部に近い内容の高校教科の勉強もしておいたほうが安全でしょう。たとえば経済学部に進学志望なら高校政治経済などの参考書を読んでおくとか、あるいは理工学部に志望なら理科・数学の参考書を読んでおいたほうが安全でしょう。
== 発音・英会話など ==
基本的には、標準的な参考書でカバーでき、あとは単語の記憶量を増やす練習とか、リスニングの練習とかの対策でよいです。あとは参考書などの英会話文例や発音問題を覚えておけば、入試での、だいたいの発音や英会話の試験もカバーできます。
* 入試の発音問題について
発音問題は、入試に英単語と発音記号を照らしあわせる問題は出ます。ですが、自分で発音することは、入試ではない。
* 入試での英会話について
大学入試では文章題などで、英会話の空欄を埋める問題などが出されるかもしれません。いっぽう、大学側が、直接受験生と会話をする試験は、一般入試では出ないでしょう。
ただし、いくら一般入試に会話が出にくいといっても、基本的な会話くらいは、せっかく高校で習うのですから、きちんと練習してください。そもそも建前上は、高校で習うことは、高校生は学習するべきということになっています。そして大学側だってバカじゃないんだから、なるべくきちんと勉強している受験生を優先的に合格させたいのです。
== 英作文 ==
英作文の練習よりも、まず先に文法学習や単語の記憶量を増やす勉強を優先したほうが安全でしょう。単語の記憶量が増えて、文法や熟語なども覚えれば、英作文なども、自然と上達します。逆に言うと、英作文だけを勉強しようとしても、難しいです。なお、単に英単語の意味や綴りを覚えているだけでは英作はできない。動詞ならば他動詞(Vt)なのか自動詞(Vi)なのか両方あるのか,他動詞ならば第4文型(SVOO)や第5文型(SVOC)をとれるのか,名詞ならば可算名詞(C)なのか不可算名詞なのかなど(これ以外にもたくさんある),とにかく用法まで正確に知っておく必要がある。従って辞書を引く必要がある。
== 問題集を信じすぎるな ==
問題練習をする際には、必ずしも偏差値順にステップアップする必要は無い、という事です。
また、日本人の高校生のレベルを越える難しすぎる問題は、そもそも解けるようになる必要もないでしょう。
選択問題では、高校レベルで習得できるレベルでの、初心者のよくやるミスをしない事のような、明らかに間違った言い回しを排除する事さえできれば、それでいいでしょう。
納得の行かない問題の対策はやりすぎないようにスキップして、他の勉強をすべきです。英語の勉強なら、もっと確実に偏差値アップの出来る勉強、たとえば単語力を増やすなどの勉強をしましょう。
== あきらめるべき事 ==
=== 第二外国語は、あきらめるべき ===
==== 入試に第二外国語は出ない ====
高校によっては、第二外国語の授業を用意している高校もあります。
共通テストや二次試験では英語以外の外国語を使えるところもあるが、特別な理由がないなら英語を選択したほうがいいだろう。
また、中国語を勉強しても、漢文の入試問題を解くのには役立ちません。
帰国子女とか、あるいは進路志望が語学関連の分野で無い限り、あまり第二外国語には手を伸ばさないほうが良いでしょう。
== 一般入試対策ではTOEIC対策などには手を出さないほうが安全 ==
英語能力を測る国際的な試験のTOEFLやTOEICなどは、高校生の学習用には作られていません。そもそも日本人に内容を合わせていません。
それにTOEICとTOEFLのどちらとも、試験の目的が、日本の高校英語の教育目的とは違います。
TOEICとTOEFLのどちらも目的は、英米への留学や海外生活のためなどの語学が目的です。日本の大学入試や、日本の大学での英語論文読解などの目的には、TOEIC・TOEFLなどは合わせていません。TOEFLとかTOEICとかで、ハイスコアを目指すのは、大学受験対策とは目的がズレています。
なお、そもそもTOEICをつくったのは日本の通産省(当時)であり、通産省がアメリカの非営利テスト開発機関、ETS(Educational Testing Service)に依頼をして、日本がつくったテストです。
よって、TOEICの出題内容は、アメリカ国内での実用とは若干、ズレていますので、てっきり実用英語だとは勘違いしないようにしましょう。また、てっきりTOEICは(OECDあたりの)「国際機関のつくった試験である」などと勘違いしないようにしましょう。
さらに、TOEICの参考書などにある「高校生レベルは◯◯点」などの数値も、じゃっかん、疑わしいので、あまり鵜呑みにしないようにしましょう。
;* 平均点
:なお、高校生のTOEICの平均点は、年度にもよりますが、2018年の時点では、高校生の平均点はおおよそ350~400点くらいです。なおTOEICの満点は990点です。
ネット上では「TOEIC 600点が英検2級相当」という言説が出回っており、英検2級が高校英語レベルを出題範囲として想定していることから、あたかも「高校を卒業したら TOEIC 600 点で当然」みたいな言説が出回っていますが、しかし2018年の統計などをもとに考えれば、この言説はデタラメです。
また、「TOEIC 600点が英検2級相当」という言説の根拠も、よくよく調べてみると、2001年くらいに英検2級保持者にTOEICの点数をアンケートしたところ TOEIC 400点~800点あたりに得点がバラついたという統計を、とりあえず平均値をとって600点としただけにすぎないのが実態です。
高校の数学で統計値の「分散」という概念を習います。分散を知らないと、統計詐欺にダマされてしまいます。
;* TOEICは事実上は文系向けの試験である
:世の中には、文系の大人が多く、その影響で、学生でも理系科目をサボってまで英語の勉強をして、英語の成績を上げる人がいます。TOEICの平均点も、そういう文系の人間を基準に算出されてしまいます。
:一般入試や国公立受験、理系の学部などを目指す人は、けっして、そういう文系の大人や、文系しかできない学生を多く含むTOEIC平均点を、参考にしてはいけません。
:* 4択問題と難易度
:TOEICの各問題は基本的に4択問題ですので、デタラメに選択しても、990点満点(約1000点)中のうちの4分の1である約250点を取れます。
:
さらに、欧米で英米への留学希望者むけのテストなどとして知られている英語検定試験はTOEFLです。
TOEICは、日本と韓国で流行っている英語検定です。
また、英検は日本人用の試験ですが、しかし高校生用には試験が作られていません。中学生・高校生なども意識して英検は作られているでしょうが、しかし、中高生だけを意識してはいません。
英検を入試対策で使うなら、志望校合格などが保証されないかぎりは、なるべく英検'''準'''1級までに止めるのが無難です。
* 推薦入試などの評価事項になることも
ただし、推薦入試ではTOEICやTOEFL、英検などの成績が考慮される場合もあります。
* 難関大学への対策用としての場合
大学によっては、入試で高校レベルを超えた、かなり難しい英語を出す場合もあります。そういう大学に対応する場合、市販の受験参考書では太刀打ちできないかもしれません。このような場合、しかたなくTOEFL対策や英検1級対策などの参考書が必要な場合もあるかもしれません。
* 就職活動でのTOEIC評価について
ただし、大学生の就職活動では、企業にTOEICなどの点数を聞かれることもあります。就職活動時のエントリーシートに、最初からTOEICなど成績の記入欄がある場合もあります。また、外国大学への留学の際に、TOEICなどで一定以上の成績を修めることが必須の要件とされる場合も多いです。たとえ英語圏以外の国の大学への留学でも、TOEICやTOEFLなどの成績が必須要件として必要な場合があります。
なので高校生でも、TOEIC受験の機会があれば、受験をするのも良いでしょう。
ただし、TOEICの成績が良いからと言って、けっして、それだけで企業が「即・採用」をするなんて事はありません。
高校生の段階では、TOEICなどの語学検定については、もし受験できるなら、視野を広げるような目的で検定を受けるのが良いでしょう。
== 英語の検定教科書にある時事や古典文学の勉強は不要だし、危険 ==
中学高校の英語の検定教科書には、他の教科では説明しづらい時事や古典文学、最近の日本のアニメやマンガの、海外での人気について、英文で紹介されたりするかもしれません。
そもそも、本来の目的は英語を学ぶということなので、これらの題材で得た知識がそのまま大学受験に役に立つということはありません。
[[カテゴリ:英語]]
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学習方法/高校受験/英語
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/* 英単語 */ typoほか
wikitext
text/x-wiki
{{Notice|'''{{PAGENAME}}'''では、中学校英語高校受験対策の学習方法について解説します。独自研究や中立性を欠いた文章が含まれる場合があります。ご了承ください。}}
== 傾向 ==
高校受験の英語においては、英単語、文法や熟語、発音の練習なども要求される。
英作文は、難関高校を除いて、実はあまり比重が高くない。
県立高校など都道府県の入試の場合は、中学範囲の出題がされる。ただし、私立の場合は、高校1年レベルの英単語なども要求される場合もある。さらに私立の難関校では、英作文の出題がやや多い。
== 英作文 ==
入試の英作文は、じつは決して米英ネイティブレベルに正確に書く必要は無い。市販の高校受験レベルの参考書にある英文法および英単語を確実に習得したことを英作文でアピールできる程度の文章さえ書ければいい。
例外として帰国子女向けの入試を除いて、難関高校の英作文ですらも参考書レベルで十分である。
そもそも、ネイティブレベルの英語だと、日本人の高校英語教師では採点が出来ない。(多くの高校では、十分な人数の米英人の教師を雇えない。)
また、どんなにネイティブレベルの流暢で意外な表現ができても、入試では配点までしか得点を貰えないので、そこまで英作文に深入りするのは損である。
もし、帰国子女レベルのネイティブな英語を特別に評価されたいなら、そういう特殊な入試を行っている一部の私立を志望すべきである。
== 英単語 ==
=== 書き取り ===
高校入試の英単語の問題でよくある出題方法は、和文を英文に翻訳する問題で、すでに英文がほぼ完成している状態で提示されるが、一語か二語だけ英文が欠けていて空欄になっており、その空欄を補え、というタイプの問題である。空欄の中に英単語の頭文字が書いてあり、解答欄には、その頭文字ごと単語を書け、といった出題が多い。
英語のスペルは正しく書けなければならない。もちろん試験ではスペル間違いはそれなりに減点、あるいは不可になる。
英単語のスペルを覚えるいい方法については、それぞれの学習者ごとに異なるが、一般的にもさまざまな主張やアドバイスがある。
『進研ゼミ 高校入試情報サイト』では、中学校の英単語学習として、意味や用法を覚え、スペルも書いて練習しようと勧めている<ref name=":0">[https://czemi.benesse.ne.jp/open/nyushi/study/1367896_13980.html]2022年4月25日に確認</ref>。
英単語書き取り練習は漢字練習と同じようなものでしょう。まず中学校必須単語から、一単語あたり5~10回書いて覚えたい。
しかし、それらの書籍の主張に反する論文もある。
書き取り練習は、英単語を覚えるための効果的な学習法ではない、という主張と、それを支持する論文もある<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/cogpsy/2005/0/2005_0_104/_article/-char/ja/ 見崎研志, & 仲真紀子. (2005). 記憶促進における反復書記の有効性に関する検討. ''日本認知心理学会発表論文集'', ''2005''(0), 104-104.]</ref><ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/cogpsy/2006/0/2006_0_171/_article/-char/ja/ 見崎研志, & 仲真紀子. (2006). 反復書記学習が記憶に及ぼす影響. ''日本認知心理学会発表論文集'', ''2006''(0), 171-171.]</ref>。
その場合は、こういうやり方がいいだろう。まず、英単語を見てその意味を思い浮かべる。思い浮かべた意味と真の意味が違っていたら、真の意味を覚えて次の単語に移る。これを覚えるまで何回か繰り返す。こういう学習法が最適だという主張もあります。
また、最近は英単語を覚えるためのスマホアプリなどが登場している。これらを活用することも有効な手段であろう。
実は世の中、学習法については諸説あり、いろいろな方法を語る人物がいるから、学習者の自主的な判断が必要になるだろう。
どのような学習法にして、学習するなら、重要度の高い単語から覚えていく必要がある。とりあえず単語のスペルを暗記できるかどうかは置いといて、学習の早い段階で高校受験レベルの英単語を一通り練習してしまい、意味を知ってしまうのが良いだろう。
たとえすぐにはスペルを覚えられなくても、意味を覚えるだけなら比較的に容易である。そもそも単語集などで意味を早めに調べないと、英文読解の練習すらできない。
なので、自発的な予習が必要である。
しかし高校入試の英語の試験問題の長文では、あまり馴染み(なじみ)のない単語には注釈として語釈(ごしゃく)がついている場合が多いので、あまり英単語の予習を進めすぎる必要もない。
ただ実際の試験問題では「中学校重要単語」、「高校重要単語」の分類が徹底的に守られるわけではない。例えば disappoint「がっかりする」や opinion「意見」などは高校参考書などでは高校 2~3年で学習する単語だと見なされてれているが、高校入試の長文読解でも使われている。とはいえほとんどの場合は中学生では難しすぎる単語として、注釈、解説はあるのが普通である。
<!--
「ところで前編集者はやたら中学範囲と高校範囲の分別にこだわるけど、そんなの最初っからあいまいなものでね。結局学校での学習内容なんて、学校により、クラスにより、それぞれ違うもので、あるクラスで学習したことが別のクラスでは学習しない、ある中学課程の本に書かれていることがあるクラスでは学習しない、あるいはその逆、そんなことはしょっちゅうだし、あって当たり前だよ。
そういう差異やあいまいさ、むらを踏まえた上で、統一の試験問題、選考方針で入学者を選ぼうというのが高校入試なんだよね。その差異や違いについていちいち理屈を言って、不平を言って議論するなんて、愚論の極みだろう。
しかもそうやって選考した結果が、絶対の人間判断基準でもない。入試に受かるのも人生なら、落ちるのも人生だよ。
」
↑
マチガイ。学習指導要領というのを知ってほしい。公立中学カリキュラムは全国統一。
-->
=== 単語集 ===
単語集は、中学生むけの参考書コーナーにある単語集のほかにも、実は高校むけの参考書コーナーにある桐原1700と言うヤツも高校受験レベルである(正確には『データベース1700 使える英単語・熟語』というヤツ)。堂々と桐原書店の公式サイトで、中学生むけと高校1年生向けを兼ねていると書いてある<ref>[https://www.kirihara.co.jp/product/detail/207778/ 桐原書店編集部 編『データベース1700 使える英単語・熟語[3rd Edition]新装版』 ]</ref>。
なお、同レベルの他社の参考書として、東京書籍のコーパス1800というのがあるが、こちらは公式サイトでは、中学生むけとは宣言してはない。
なので、もし高校生向けの単語集を高校受験で使う場合、公式が中学生むけでもあると宣言している桐原のほうが使うには安全だろう。
ほか、他社のポケットサイズの小さい単語集だと、いまどきの普段の受験勉強には耐えない(2020年代は単語数が大幅に増えているので)。ポケットサイズのあれは、90年代の高校受験とか、今時なら中学の定期テスト対策とか、あるいは移動する際とかに持ち運んで読むヤツである。
== 受験勉強の学習範囲 ==
前項でも書いたように、中学範囲、高校範囲と区別して、その違いにこだわることはあまり意味がないし、その区別も事実上あいまい。特に学習すべき単語については、明確に中学単語、高校単語と区別することは、ごく基本的な単語以外、はっきりしない、おおざっぱな物になるだろう。
公立高校の入学試験は、一般的に標準的、基本的な出題が多いので、英単語に関してもそんな難しい単語を使わず、学校教科書の範囲の単語が使用されると思われる。
2020年代は中学校英語で扱う単語数が増加している。なので、もしかしたら従来ほどは私立対策と公立対策に差が無いかもしれない。
どちらにせよ、まずは基本的には学校で習う単語をよく理解して覚えておくのが必要だ。
私立対策では、もしかしたら、し背伸びして手を伸ばして、高校1年向けの参考書(3000語程度)を学習するのも良いのではないか、という意見もある。
ただし、国立大付属高校の試験でも、それほど英単語の難度は高くない。だから多少難易度の高い単語を使用するのは、私立の難易高入試だろう。ただその場合でも、例えば英単語において、決して高校3年くらいをターゲットにした難関大学受験用英単語を覚える必要はなく、せいぜい高校1年の程度の基本的な高校英単語で十分だろう。
まして、県立・都立などの公立高校やごく普通の偏差値の私立高校では、それほど難度の高い英単語は出てこない。
== 難関私立高校 ==
難関の私立高校の場合(ただし、「○○御三家」とか言われるレベルのかなりの名門私立)、使用される単語、熟語も、かなり難しい言葉が使われる場合もある。
まず、やはり使われる英単語の難度として、高いものになるだろうから、高校初等の単語集の学習は有用。
しかし、仮にその学習をするにした所で、高校初等の重要語3000~3500語を覚えればもう十分だろう。つまり、高校中級の英単語4500語は覚える必要はない。なぜなら、難関校ですら、入試の長文では、ある程度難易度の高い単語には解説がつく。
単語よりも、私立難易高では英作文の出題が目立つ。そのためには少しハードルを下げて、高校1800語でいいので、しっかり学習するとよいだろうという指摘もある。
:※ 英作文の対策については、他の節で説明しているので、説明を省略する。
== 文法 ==
=== 基本 ===
中学校で学習する英文法は、我々の英語理解の基本になるものだが、しかし絶対的なものではないだろう。高校では高校で、英文法のアップデートがなされるし、そして高校を卒業した後でも、何度も何度も英文法と言語文法のアップデートはなされていくだろう。
しかし我々は小学校でさらっと英語を知った後、中学校で最初に割と深く英文法を学習することになる。これは受験対策でもそうでなくても、よく理解しておきたい。受験勉強として取り組むなら、受験標準問題集による演習でもよいし、参考書類での理解を主軸にした学習でも良いだろう。
このページは高校受験対策がテーマだから、問題集での演習を勧める人が多い。
一部の編集者は別の意見で、各種参考書類での理解と読解を主体にした学習も勧める(←具体的に何?)。その根拠として、勉強とは結局、他者の発する質問や問題に答えることではなく、物事を知り理解することだからだという。
:(※ 別編集者からの反論)だからその「理解」と「読解」を確認する手段が問題練習なのでは? せいぜい、言えるのは「問題練習を通して、理解力を確認しよう」くらいではないか。
=== 古い参考書 ===
1年前くらいの古い本にももちろん内容はあるが、高校受験勉強をするなら、毎年最新の情報と教材をもとに学習するのが一番望ましいだろう。
なお、2022年に学習指導要領が大きく変わったので、10年前とかの平成時代の古すぎる参考書は、現代の指導要領とはズレているので、使わないのが安全である。
=== 私立高受験 ===
;付属中学のペースに追いつく英単語の予習が必要
現代、多くの私立高校は付属中学を持っており、ほとんどの私立の付属中学では、英語教育では検定外教科書を使っており、ハイペースな授業が行われており、中学時代のうちに高校1年レベルの内容に突入しています。
なので、2020年代の現代では、私立高校の入試英語は、単語数が中学英語を越えています。
なので、もし読者のあなたが私立高校志望をするなら、英単語の勉強は、高校1年レベル程度の英単語まで勉強しておいてください。
英単語なら、書店で売っている市販の高校生向けの単語集で、独学できるはずです。
高校生向けの単語集を買うべきか、それとも中学生向けの難関私立高校用の入試対策の単語集を買うべきかは、読者の判断に任せます。
なお、中高一貫校用の英語教材は学校専売品であり、そのため一般の書店では販売されておらず、購入できません。なので、購入のために探す必要はありません。
なお、文法事項に関しては、独学などが困難なので、よほどの難関校を除けば、高校レベルの文法は高校入試には、あまり出ないと思われます。仮に中学レベルを超えた文法が出るとしても、市販されている受験用の発展的な参考書を学習しておけば十分だろう。(社会通念的に考えて、市販の教材で勉強しようのないものは入試に出さないだろう。)
高校レベルの文法よりも、英作文とかそういうのが難関高校では出ますので、あまり文法には深入りする必要が無いと思います。
;中学生だけど高校参考書を先行して読んじゃうという勉強。
中学英語の文法に関しては、高校学習に手を出しても利点が少ない。2020年代では、中学英語で学習する文法事項が、1990年代より進んでいる。仮定法や無生物主語が現代では中学範囲ですので、わざわざ高校レベルの文法参考書を買う必要はうすいかもしれない。
志望校の過去問などで傾向を確認してもらいたい。
== 発音 ==
受験対策としては、発音は決してネイティブにソックリである必要ではなく、単語集などにある「発音注意」とか注記されている発音を間違えなければいい。
今時の単語集や参考書などには音声教材がついているので、それで音を覚えてしまうのも有効だろう。
英語教育でも、リスニングやスピーキングという分野もある。リスニング問題というのも出るので、音声教材を聞いて慣れてよくと良い。
== リスニング ==
都立共通問題英語ではリスニング問題が出題される。おそらく他県でも多くの場合、出題される。
対策は、各種の音声教材を活用すればよい。参考書にもCD音声素材が付録になっていることが多い。
YouTubeは、中学生にはレベルが合ってない。
== スピーキング ==
都立高入試では、2023年度からスピーキングテストが導入されます。おそらく、他県でもスピーキングテストが導入されるようになるのではないでしょうか。
== 英検など検定試験 ==
;英検
英検を取っておくと高校受験において有利になる可能性があります。
東京都の場合、英検3級以上を取っておくと、私立併願や推薦で内申点を加算されるところが多いです。加算される点数は1点の場合が多いですが、加算方法や加算基準は高校により異なるので、公式HPや学校見学などで事前に確認しておきましょう。
英検3級以上は英語で面接官とのインタビューがあるので、英検を取得する場合、その対策が必要になります。
都立高一般入試の場合は英検取得が受験に有利になることはありません。
しかし、推薦の場合は都立私立どちらでも、英検取得を告げれば、自分の学力を証明する証拠としては好印象にはなります。
英検のサイトには3級が「中学卒業程度」と、書かれています。ただ、あくまでも大きな目安です。基本的に学校教育と英検では、英語の概念的な捉え方にも違いがあり、出題傾向や試験としての合否も、別々の発想を持っていると思います。
このため、志望校によっては、英検3級は評価されないかもしれない(準2級からでないと、志望校によっては評価されないかもしれない)。志望校の募集要項などで確認してほしい。募集要項に、英検が何級から評価されるのか等、書いてあるはず。英検以外に漢字検定や数学検定なども同様。
私立受験の場合、推薦以外では英検の比重は入試ではあまり重くなく、それよりも入試本番での得点のほうが重要です。なので、英語の受験勉強としては、わざわざ英検対策をする必要は無いでしょう。普通に国数英理社の5科を受験勉強を日常的にしながら、そのついでに英検を受けるので十分でしょう。時間に限りがあるので、受験勉強とは別にわざわざ英検用の勉強をするのは、あまりおすすめしません。
;TOEICについて
私立高校によってはTOEICの一定スコア以上を評価する高校もあると思いますが、しかしTOIECの出題範囲が中学レベルや高校1年レベルに合っておらず、そのため、中学生がTOEIC受験をすると対策のために他教科の勉強の時間が大きく奪われるので、あまりTOEIC受験による評価アップはオススメしません。
[[Category:中学校教育|かくしゅうほうほうこうこうしゆけんえいこ]]
[[Category:学習方法|こうこうしゆけんえいこ]]
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/* 受験勉強の学習範囲 */
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text/x-wiki
{{Notice|'''{{PAGENAME}}'''では、中学校英語高校受験対策の学習方法について解説します。独自研究や中立性を欠いた文章が含まれる場合があります。ご了承ください。}}
== 傾向 ==
高校受験の英語においては、英単語、文法や熟語、発音の練習なども要求される。
英作文は、難関高校を除いて、実はあまり比重が高くない。
県立高校など都道府県の入試の場合は、中学範囲の出題がされる。ただし、私立の場合は、高校1年レベルの英単語なども要求される場合もある。さらに私立の難関校では、英作文の出題がやや多い。
== 英作文 ==
入試の英作文は、じつは決して米英ネイティブレベルに正確に書く必要は無い。市販の高校受験レベルの参考書にある英文法および英単語を確実に習得したことを英作文でアピールできる程度の文章さえ書ければいい。
例外として帰国子女向けの入試を除いて、難関高校の英作文ですらも参考書レベルで十分である。
そもそも、ネイティブレベルの英語だと、日本人の高校英語教師では採点が出来ない。(多くの高校では、十分な人数の米英人の教師を雇えない。)
また、どんなにネイティブレベルの流暢で意外な表現ができても、入試では配点までしか得点を貰えないので、そこまで英作文に深入りするのは損である。
もし、帰国子女レベルのネイティブな英語を特別に評価されたいなら、そういう特殊な入試を行っている一部の私立を志望すべきである。
== 英単語 ==
=== 書き取り ===
高校入試の英単語の問題でよくある出題方法は、和文を英文に翻訳する問題で、すでに英文がほぼ完成している状態で提示されるが、一語か二語だけ英文が欠けていて空欄になっており、その空欄を補え、というタイプの問題である。空欄の中に英単語の頭文字が書いてあり、解答欄には、その頭文字ごと単語を書け、といった出題が多い。
英語のスペルは正しく書けなければならない。もちろん試験ではスペル間違いはそれなりに減点、あるいは不可になる。
英単語のスペルを覚えるいい方法については、それぞれの学習者ごとに異なるが、一般的にもさまざまな主張やアドバイスがある。
『進研ゼミ 高校入試情報サイト』では、中学校の英単語学習として、意味や用法を覚え、スペルも書いて練習しようと勧めている<ref name=":0">[https://czemi.benesse.ne.jp/open/nyushi/study/1367896_13980.html]2022年4月25日に確認</ref>。
英単語書き取り練習は漢字練習と同じようなものでしょう。まず中学校必須単語から、一単語あたり5~10回書いて覚えたい。
しかし、それらの書籍の主張に反する論文もある。
書き取り練習は、英単語を覚えるための効果的な学習法ではない、という主張と、それを支持する論文もある<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/cogpsy/2005/0/2005_0_104/_article/-char/ja/ 見崎研志, & 仲真紀子. (2005). 記憶促進における反復書記の有効性に関する検討. ''日本認知心理学会発表論文集'', ''2005''(0), 104-104.]</ref><ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/cogpsy/2006/0/2006_0_171/_article/-char/ja/ 見崎研志, & 仲真紀子. (2006). 反復書記学習が記憶に及ぼす影響. ''日本認知心理学会発表論文集'', ''2006''(0), 171-171.]</ref>。
その場合は、こういうやり方がいいだろう。まず、英単語を見てその意味を思い浮かべる。思い浮かべた意味と真の意味が違っていたら、真の意味を覚えて次の単語に移る。これを覚えるまで何回か繰り返す。こういう学習法が最適だという主張もあります。
また、最近は英単語を覚えるためのスマホアプリなどが登場している。これらを活用することも有効な手段であろう。
実は世の中、学習法については諸説あり、いろいろな方法を語る人物がいるから、学習者の自主的な判断が必要になるだろう。
どのような学習法にして、学習するなら、重要度の高い単語から覚えていく必要がある。とりあえず単語のスペルを暗記できるかどうかは置いといて、学習の早い段階で高校受験レベルの英単語を一通り練習してしまい、意味を知ってしまうのが良いだろう。
たとえすぐにはスペルを覚えられなくても、意味を覚えるだけなら比較的に容易である。そもそも単語集などで意味を早めに調べないと、英文読解の練習すらできない。
なので、自発的な予習が必要である。
しかし高校入試の英語の試験問題の長文では、あまり馴染み(なじみ)のない単語には注釈として語釈(ごしゃく)がついている場合が多いので、あまり英単語の予習を進めすぎる必要もない。
ただ実際の試験問題では「中学校重要単語」、「高校重要単語」の分類が徹底的に守られるわけではない。例えば disappoint「がっかりする」や opinion「意見」などは高校参考書などでは高校 2~3年で学習する単語だと見なされてれているが、高校入試の長文読解でも使われている。とはいえほとんどの場合は中学生では難しすぎる単語として、注釈、解説はあるのが普通である。
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「ところで前編集者はやたら中学範囲と高校範囲の分別にこだわるけど、そんなの最初っからあいまいなものでね。結局学校での学習内容なんて、学校により、クラスにより、それぞれ違うもので、あるクラスで学習したことが別のクラスでは学習しない、ある中学課程の本に書かれていることがあるクラスでは学習しない、あるいはその逆、そんなことはしょっちゅうだし、あって当たり前だよ。
そういう差異やあいまいさ、むらを踏まえた上で、統一の試験問題、選考方針で入学者を選ぼうというのが高校入試なんだよね。その差異や違いについていちいち理屈を言って、不平を言って議論するなんて、愚論の極みだろう。
しかもそうやって選考した結果が、絶対の人間判断基準でもない。入試に受かるのも人生なら、落ちるのも人生だよ。
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マチガイ。学習指導要領というのを知ってほしい。公立中学カリキュラムは全国統一。
-->
=== 単語集 ===
単語集は、中学生むけの参考書コーナーにある単語集のほかにも、実は高校むけの参考書コーナーにある桐原1700と言うヤツも高校受験レベルである(正確には『データベース1700 使える英単語・熟語』というヤツ)。堂々と桐原書店の公式サイトで、中学生むけと高校1年生向けを兼ねていると書いてある<ref>[https://www.kirihara.co.jp/product/detail/207778/ 桐原書店編集部 編『データベース1700 使える英単語・熟語[3rd Edition]新装版』 ]</ref>。
なお、同レベルの他社の参考書として、東京書籍のコーパス1800というのがあるが、こちらは公式サイトでは、中学生むけとは宣言してはない。
なので、もし高校生向けの単語集を高校受験で使う場合、公式が中学生むけでもあると宣言している桐原のほうが使うには安全だろう。
ほか、他社のポケットサイズの小さい単語集だと、いまどきの普段の受験勉強には耐えない(2020年代は単語数が大幅に増えているので)。ポケットサイズのあれは、90年代の高校受験とか、今時なら中学の定期テスト対策とか、あるいは移動する際とかに持ち運んで読むヤツである。
== 受験勉強の学習範囲 ==
前項でも書いたように、中学範囲、高校範囲と区別して、その違いにこだわることはあまり意味がないし、その区別も事実上あいまい。特に学習すべき単語については、明確に中学単語、高校単語と区別することは、ごく基本的な単語以外、はっきりしない、おおざっぱな物になるだろう。
公立高校の入学試験は、一般的に標準的、基本的な出題が多いので、英単語に関してもそんな難しい単語を使わず、学校教科書の範囲の単語が使用されると思われる。
2020年代は中学校英語で扱う単語数が増加している。なので、もしかしたら従来ほどは私立対策と公立対策に差が無いかもしれない。
どちらにせよ、まずは基本的には学校で習う単語をよく理解して覚えておくのが必要だ。
私立対策では、もしかしたら、少し背伸びして手を伸ばして、高校1年向けの参考書(3000語程度)を学習するのも良いのではないか、という意見もある。
ただし、国立大付属高校の試験でも、それほど英単語の難度は高くない。だから多少難易度の高い単語を使用するのは、私立の難易高入試だろう。ただその場合でも、例えば英単語において、決して高校3年くらいをターゲットにした難関大学受験用英単語を覚える必要はなく、せいぜい高校1年の程度の基本的な高校英単語で十分だろう。
まして、県立・都立などの公立高校やごく普通の偏差値の私立高校では、それほど難度の高い英単語は出てこない。
== 難関私立高校 ==
難関の私立高校の場合(ただし、「○○御三家」とか言われるレベルのかなりの名門私立)、使用される単語、熟語も、かなり難しい言葉が使われる場合もある。
まず、やはり使われる英単語の難度として、高いものになるだろうから、高校初等の単語集の学習は有用。
しかし、仮にその学習をするにした所で、高校初等の重要語3000~3500語を覚えればもう十分だろう。つまり、高校中級の英単語4500語は覚える必要はない。なぜなら、難関校ですら、入試の長文では、ある程度難易度の高い単語には解説がつく。
単語よりも、私立難易高では英作文の出題が目立つ。そのためには少しハードルを下げて、高校1800語でいいので、しっかり学習するとよいだろうという指摘もある。
:※ 英作文の対策については、他の節で説明しているので、説明を省略する。
== 文法 ==
=== 基本 ===
中学校で学習する英文法は、我々の英語理解の基本になるものだが、しかし絶対的なものではないだろう。高校では高校で、英文法のアップデートがなされるし、そして高校を卒業した後でも、何度も何度も英文法と言語文法のアップデートはなされていくだろう。
しかし我々は小学校でさらっと英語を知った後、中学校で最初に割と深く英文法を学習することになる。これは受験対策でもそうでなくても、よく理解しておきたい。受験勉強として取り組むなら、受験標準問題集による演習でもよいし、参考書類での理解を主軸にした学習でも良いだろう。
このページは高校受験対策がテーマだから、問題集での演習を勧める人が多い。
一部の編集者は別の意見で、各種参考書類での理解と読解を主体にした学習も勧める(←具体的に何?)。その根拠として、勉強とは結局、他者の発する質問や問題に答えることではなく、物事を知り理解することだからだという。
:(※ 別編集者からの反論)だからその「理解」と「読解」を確認する手段が問題練習なのでは? せいぜい、言えるのは「問題練習を通して、理解力を確認しよう」くらいではないか。
=== 古い参考書 ===
1年前くらいの古い本にももちろん内容はあるが、高校受験勉強をするなら、毎年最新の情報と教材をもとに学習するのが一番望ましいだろう。
なお、2022年に学習指導要領が大きく変わったので、10年前とかの平成時代の古すぎる参考書は、現代の指導要領とはズレているので、使わないのが安全である。
=== 私立高受験 ===
;付属中学のペースに追いつく英単語の予習が必要
現代、多くの私立高校は付属中学を持っており、ほとんどの私立の付属中学では、英語教育では検定外教科書を使っており、ハイペースな授業が行われており、中学時代のうちに高校1年レベルの内容に突入しています。
なので、2020年代の現代では、私立高校の入試英語は、単語数が中学英語を越えています。
なので、もし読者のあなたが私立高校志望をするなら、英単語の勉強は、高校1年レベル程度の英単語まで勉強しておいてください。
英単語なら、書店で売っている市販の高校生向けの単語集で、独学できるはずです。
高校生向けの単語集を買うべきか、それとも中学生向けの難関私立高校用の入試対策の単語集を買うべきかは、読者の判断に任せます。
なお、中高一貫校用の英語教材は学校専売品であり、そのため一般の書店では販売されておらず、購入できません。なので、購入のために探す必要はありません。
なお、文法事項に関しては、独学などが困難なので、よほどの難関校を除けば、高校レベルの文法は高校入試には、あまり出ないと思われます。仮に中学レベルを超えた文法が出るとしても、市販されている受験用の発展的な参考書を学習しておけば十分だろう。(社会通念的に考えて、市販の教材で勉強しようのないものは入試に出さないだろう。)
高校レベルの文法よりも、英作文とかそういうのが難関高校では出ますので、あまり文法には深入りする必要が無いと思います。
;中学生だけど高校参考書を先行して読んじゃうという勉強。
中学英語の文法に関しては、高校学習に手を出しても利点が少ない。2020年代では、中学英語で学習する文法事項が、1990年代より進んでいる。仮定法や無生物主語が現代では中学範囲ですので、わざわざ高校レベルの文法参考書を買う必要はうすいかもしれない。
志望校の過去問などで傾向を確認してもらいたい。
== 発音 ==
受験対策としては、発音は決してネイティブにソックリである必要ではなく、単語集などにある「発音注意」とか注記されている発音を間違えなければいい。
今時の単語集や参考書などには音声教材がついているので、それで音を覚えてしまうのも有効だろう。
英語教育でも、リスニングやスピーキングという分野もある。リスニング問題というのも出るので、音声教材を聞いて慣れてよくと良い。
== リスニング ==
都立共通問題英語ではリスニング問題が出題される。おそらく他県でも多くの場合、出題される。
対策は、各種の音声教材を活用すればよい。参考書にもCD音声素材が付録になっていることが多い。
YouTubeは、中学生にはレベルが合ってない。
== スピーキング ==
都立高入試では、2023年度からスピーキングテストが導入されます。おそらく、他県でもスピーキングテストが導入されるようになるのではないでしょうか。
== 英検など検定試験 ==
;英検
英検を取っておくと高校受験において有利になる可能性があります。
東京都の場合、英検3級以上を取っておくと、私立併願や推薦で内申点を加算されるところが多いです。加算される点数は1点の場合が多いですが、加算方法や加算基準は高校により異なるので、公式HPや学校見学などで事前に確認しておきましょう。
英検3級以上は英語で面接官とのインタビューがあるので、英検を取得する場合、その対策が必要になります。
都立高一般入試の場合は英検取得が受験に有利になることはありません。
しかし、推薦の場合は都立私立どちらでも、英検取得を告げれば、自分の学力を証明する証拠としては好印象にはなります。
英検のサイトには3級が「中学卒業程度」と、書かれています。ただ、あくまでも大きな目安です。基本的に学校教育と英検では、英語の概念的な捉え方にも違いがあり、出題傾向や試験としての合否も、別々の発想を持っていると思います。
このため、志望校によっては、英検3級は評価されないかもしれない(準2級からでないと、志望校によっては評価されないかもしれない)。志望校の募集要項などで確認してほしい。募集要項に、英検が何級から評価されるのか等、書いてあるはず。英検以外に漢字検定や数学検定なども同様。
私立受験の場合、推薦以外では英検の比重は入試ではあまり重くなく、それよりも入試本番での得点のほうが重要です。なので、英語の受験勉強としては、わざわざ英検対策をする必要は無いでしょう。普通に国数英理社の5科を受験勉強を日常的にしながら、そのついでに英検を受けるので十分でしょう。時間に限りがあるので、受験勉強とは別にわざわざ英検用の勉強をするのは、あまりおすすめしません。
;TOEICについて
私立高校によってはTOEICの一定スコア以上を評価する高校もあると思いますが、しかしTOIECの出題範囲が中学レベルや高校1年レベルに合っておらず、そのため、中学生がTOEIC受験をすると対策のために他教科の勉強の時間が大きく奪われるので、あまりTOEIC受験による評価アップはオススメしません。
[[Category:中学校教育|かくしゅうほうほうこうこうしゆけんえいこ]]
[[Category:学習方法|こうこうしゆけんえいこ]]
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246606
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2024-04-12T13:47:10Z
すじにくシチュー
12058
/* 文法 */
wikitext
text/x-wiki
{{Notice|'''{{PAGENAME}}'''では、中学校英語高校受験対策の学習方法について解説します。独自研究や中立性を欠いた文章が含まれる場合があります。ご了承ください。}}
== 傾向 ==
高校受験の英語においては、英単語、文法や熟語、発音の練習なども要求される。
英作文は、難関高校を除いて、実はあまり比重が高くない。
県立高校など都道府県の入試の場合は、中学範囲の出題がされる。ただし、私立の場合は、高校1年レベルの英単語なども要求される場合もある。さらに私立の難関校では、英作文の出題がやや多い。
== 英作文 ==
入試の英作文は、じつは決して米英ネイティブレベルに正確に書く必要は無い。市販の高校受験レベルの参考書にある英文法および英単語を確実に習得したことを英作文でアピールできる程度の文章さえ書ければいい。
例外として帰国子女向けの入試を除いて、難関高校の英作文ですらも参考書レベルで十分である。
そもそも、ネイティブレベルの英語だと、日本人の高校英語教師では採点が出来ない。(多くの高校では、十分な人数の米英人の教師を雇えない。)
また、どんなにネイティブレベルの流暢で意外な表現ができても、入試では配点までしか得点を貰えないので、そこまで英作文に深入りするのは損である。
もし、帰国子女レベルのネイティブな英語を特別に評価されたいなら、そういう特殊な入試を行っている一部の私立を志望すべきである。
== 英単語 ==
=== 書き取り ===
高校入試の英単語の問題でよくある出題方法は、和文を英文に翻訳する問題で、すでに英文がほぼ完成している状態で提示されるが、一語か二語だけ英文が欠けていて空欄になっており、その空欄を補え、というタイプの問題である。空欄の中に英単語の頭文字が書いてあり、解答欄には、その頭文字ごと単語を書け、といった出題が多い。
英語のスペルは正しく書けなければならない。もちろん試験ではスペル間違いはそれなりに減点、あるいは不可になる。
英単語のスペルを覚えるいい方法については、それぞれの学習者ごとに異なるが、一般的にもさまざまな主張やアドバイスがある。
『進研ゼミ 高校入試情報サイト』では、中学校の英単語学習として、意味や用法を覚え、スペルも書いて練習しようと勧めている<ref name=":0">[https://czemi.benesse.ne.jp/open/nyushi/study/1367896_13980.html]2022年4月25日に確認</ref>。
英単語書き取り練習は漢字練習と同じようなものでしょう。まず中学校必須単語から、一単語あたり5~10回書いて覚えたい。
しかし、それらの書籍の主張に反する論文もある。
書き取り練習は、英単語を覚えるための効果的な学習法ではない、という主張と、それを支持する論文もある<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/cogpsy/2005/0/2005_0_104/_article/-char/ja/ 見崎研志, & 仲真紀子. (2005). 記憶促進における反復書記の有効性に関する検討. ''日本認知心理学会発表論文集'', ''2005''(0), 104-104.]</ref><ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/cogpsy/2006/0/2006_0_171/_article/-char/ja/ 見崎研志, & 仲真紀子. (2006). 反復書記学習が記憶に及ぼす影響. ''日本認知心理学会発表論文集'', ''2006''(0), 171-171.]</ref>。
その場合は、こういうやり方がいいだろう。まず、英単語を見てその意味を思い浮かべる。思い浮かべた意味と真の意味が違っていたら、真の意味を覚えて次の単語に移る。これを覚えるまで何回か繰り返す。こういう学習法が最適だという主張もあります。
また、最近は英単語を覚えるためのスマホアプリなどが登場している。これらを活用することも有効な手段であろう。
実は世の中、学習法については諸説あり、いろいろな方法を語る人物がいるから、学習者の自主的な判断が必要になるだろう。
どのような学習法にして、学習するなら、重要度の高い単語から覚えていく必要がある。とりあえず単語のスペルを暗記できるかどうかは置いといて、学習の早い段階で高校受験レベルの英単語を一通り練習してしまい、意味を知ってしまうのが良いだろう。
たとえすぐにはスペルを覚えられなくても、意味を覚えるだけなら比較的に容易である。そもそも単語集などで意味を早めに調べないと、英文読解の練習すらできない。
なので、自発的な予習が必要である。
しかし高校入試の英語の試験問題の長文では、あまり馴染み(なじみ)のない単語には注釈として語釈(ごしゃく)がついている場合が多いので、あまり英単語の予習を進めすぎる必要もない。
ただ実際の試験問題では「中学校重要単語」、「高校重要単語」の分類が徹底的に守られるわけではない。例えば disappoint「がっかりする」や opinion「意見」などは高校参考書などでは高校 2~3年で学習する単語だと見なされてれているが、高校入試の長文読解でも使われている。とはいえほとんどの場合は中学生では難しすぎる単語として、注釈、解説はあるのが普通である。
<!--
「ところで前編集者はやたら中学範囲と高校範囲の分別にこだわるけど、そんなの最初っからあいまいなものでね。結局学校での学習内容なんて、学校により、クラスにより、それぞれ違うもので、あるクラスで学習したことが別のクラスでは学習しない、ある中学課程の本に書かれていることがあるクラスでは学習しない、あるいはその逆、そんなことはしょっちゅうだし、あって当たり前だよ。
そういう差異やあいまいさ、むらを踏まえた上で、統一の試験問題、選考方針で入学者を選ぼうというのが高校入試なんだよね。その差異や違いについていちいち理屈を言って、不平を言って議論するなんて、愚論の極みだろう。
しかもそうやって選考した結果が、絶対の人間判断基準でもない。入試に受かるのも人生なら、落ちるのも人生だよ。
」
↑
マチガイ。学習指導要領というのを知ってほしい。公立中学カリキュラムは全国統一。
-->
=== 単語集 ===
単語集は、中学生むけの参考書コーナーにある単語集のほかにも、実は高校むけの参考書コーナーにある桐原1700と言うヤツも高校受験レベルである(正確には『データベース1700 使える英単語・熟語』というヤツ)。堂々と桐原書店の公式サイトで、中学生むけと高校1年生向けを兼ねていると書いてある<ref>[https://www.kirihara.co.jp/product/detail/207778/ 桐原書店編集部 編『データベース1700 使える英単語・熟語[3rd Edition]新装版』 ]</ref>。
なお、同レベルの他社の参考書として、東京書籍のコーパス1800というのがあるが、こちらは公式サイトでは、中学生むけとは宣言してはない。
なので、もし高校生向けの単語集を高校受験で使う場合、公式が中学生むけでもあると宣言している桐原のほうが使うには安全だろう。
ほか、他社のポケットサイズの小さい単語集だと、いまどきの普段の受験勉強には耐えない(2020年代は単語数が大幅に増えているので)。ポケットサイズのあれは、90年代の高校受験とか、今時なら中学の定期テスト対策とか、あるいは移動する際とかに持ち運んで読むヤツである。
== 受験勉強の学習範囲 ==
前項でも書いたように、中学範囲、高校範囲と区別して、その違いにこだわることはあまり意味がないし、その区別も事実上あいまい。特に学習すべき単語については、明確に中学単語、高校単語と区別することは、ごく基本的な単語以外、はっきりしない、おおざっぱな物になるだろう。
公立高校の入学試験は、一般的に標準的、基本的な出題が多いので、英単語に関してもそんな難しい単語を使わず、学校教科書の範囲の単語が使用されると思われる。
2020年代は中学校英語で扱う単語数が増加している。なので、もしかしたら従来ほどは私立対策と公立対策に差が無いかもしれない。
どちらにせよ、まずは基本的には学校で習う単語をよく理解して覚えておくのが必要だ。
私立対策では、もしかしたら、少し背伸びして手を伸ばして、高校1年向けの参考書(3000語程度)を学習するのも良いのではないか、という意見もある。
ただし、国立大付属高校の試験でも、それほど英単語の難度は高くない。だから多少難易度の高い単語を使用するのは、私立の難易高入試だろう。ただその場合でも、例えば英単語において、決して高校3年くらいをターゲットにした難関大学受験用英単語を覚える必要はなく、せいぜい高校1年の程度の基本的な高校英単語で十分だろう。
まして、県立・都立などの公立高校やごく普通の偏差値の私立高校では、それほど難度の高い英単語は出てこない。
== 難関私立高校 ==
難関の私立高校の場合(ただし、「○○御三家」とか言われるレベルのかなりの名門私立)、使用される単語、熟語も、かなり難しい言葉が使われる場合もある。
まず、やはり使われる英単語の難度として、高いものになるだろうから、高校初等の単語集の学習は有用。
しかし、仮にその学習をするにした所で、高校初等の重要語3000~3500語を覚えればもう十分だろう。つまり、高校中級の英単語4500語は覚える必要はない。なぜなら、難関校ですら、入試の長文では、ある程度難易度の高い単語には解説がつく。
単語よりも、私立難易高では英作文の出題が目立つ。そのためには少しハードルを下げて、高校1800語でいいので、しっかり学習するとよいだろうという指摘もある。
:※ 英作文の対策については、他の節で説明しているので、説明を省略する。
== 文法 ==
=== 基本 ===
中学校で学習する英文法は、我々の英語理解の基本になるものだが、しかし絶対的なものではないだろう。高校では高校で、英文法のアップデートがなされるし、そして高校を卒業した後でも、何度も何度も英文法と言語文法のアップデートはなされていくだろう。
しかし我々は小学校でさらっと英語を知った後、中学校で最初に割と深く英文法を学習することになる。これは受験対策とは無関係に自覚しておきたい。
受験勉強としては、受験標準問題集による演習でもよいし、参考書類での学習でも良いだろう。
このページは高校受験対策がテーマだから、問題集での演習を勧める人が多い。
一部の編集者は別の意見で、各種参考書類での理解と読解を主体にした学習も勧める(←具体的に何?)。その根拠として、勉強とは結局、他者の発する質問や問題に答えることではなく、物事を知り理解することだからだという。
:(※ 別編集者からの反論)だからその「理解」と「読解」を確認する手段が問題練習なのでは? せいぜい、言えるのは「問題練習を通して、理解力を確認しよう」くらいではないか。
=== 古い参考書 ===
1年前くらいの古い本にももちろん内容はあるが、高校受験勉強をするなら、毎年最新の情報と教材をもとに学習するのが一番望ましいだろう。
なお、2022年に学習指導要領が大きく変わったので、10年前とかの平成時代の古すぎる参考書は、現代の指導要領とはズレているので、使わないのが安全である。
=== 私立高受験 ===
;付属中学のペースに追いつく英単語の予習が必要
現代、多くの私立高校は付属中学を持っており、ほとんどの私立の付属中学では、英語教育では検定外教科書を使っており、ハイペースな授業が行われており、中学時代のうちに高校1年レベルの内容に突入しています。
なので、2020年代の現代では、私立高校の入試英語は、単語数が中学英語を越えています。
なので、もし読者のあなたが私立高校志望をするなら、英単語の勉強は、高校1年レベル程度の英単語まで勉強しておいてください。
英単語なら、書店で売っている市販の高校生向けの単語集で、独学できるはずです。
高校生向けの単語集を買うべきか、それとも中学生向けの難関私立高校用の入試対策の単語集を買うべきかは、読者の判断に任せます。
なお、中高一貫校用の英語教材は学校専売品であり、そのため一般の書店では販売されておらず、購入できません。なので、購入のために探す必要はありません。
なお、文法事項に関しては、独学などが困難なので、よほどの難関校を除けば、高校レベルの文法は高校入試には、あまり出ないと思われます。仮に中学レベルを超えた文法が出るとしても、市販されている受験用の発展的な参考書を学習しておけば十分だろう。(社会通念的に考えて、市販の教材で勉強しようのないものは入試に出さないだろう。)
高校レベルの文法よりも、英作文とかそういうのが難関高校では出ますので、あまり文法には深入りする必要が無いと思います。
;中学生だけど高校参考書を先行して読んじゃうという勉強。
中学英語の文法に関しては、高校学習に手を出しても利点が少ない。2020年代では、中学英語で学習する文法事項が、1990年代より進んでいる。仮定法や無生物主語が現代では中学範囲ですので、わざわざ高校レベルの文法参考書を買う必要はうすいかもしれない。
志望校の過去問などで傾向を確認してもらいたい。
== 発音 ==
受験対策としては、発音は決してネイティブにソックリである必要ではなく、単語集などにある「発音注意」とか注記されている発音を間違えなければいい。
今時の単語集や参考書などには音声教材がついているので、それで音を覚えてしまうのも有効だろう。
英語教育でも、リスニングやスピーキングという分野もある。リスニング問題というのも出るので、音声教材を聞いて慣れてよくと良い。
== リスニング ==
都立共通問題英語ではリスニング問題が出題される。おそらく他県でも多くの場合、出題される。
対策は、各種の音声教材を活用すればよい。参考書にもCD音声素材が付録になっていることが多い。
YouTubeは、中学生にはレベルが合ってない。
== スピーキング ==
都立高入試では、2023年度からスピーキングテストが導入されます。おそらく、他県でもスピーキングテストが導入されるようになるのではないでしょうか。
== 英検など検定試験 ==
;英検
英検を取っておくと高校受験において有利になる可能性があります。
東京都の場合、英検3級以上を取っておくと、私立併願や推薦で内申点を加算されるところが多いです。加算される点数は1点の場合が多いですが、加算方法や加算基準は高校により異なるので、公式HPや学校見学などで事前に確認しておきましょう。
英検3級以上は英語で面接官とのインタビューがあるので、英検を取得する場合、その対策が必要になります。
都立高一般入試の場合は英検取得が受験に有利になることはありません。
しかし、推薦の場合は都立私立どちらでも、英検取得を告げれば、自分の学力を証明する証拠としては好印象にはなります。
英検のサイトには3級が「中学卒業程度」と、書かれています。ただ、あくまでも大きな目安です。基本的に学校教育と英検では、英語の概念的な捉え方にも違いがあり、出題傾向や試験としての合否も、別々の発想を持っていると思います。
このため、志望校によっては、英検3級は評価されないかもしれない(準2級からでないと、志望校によっては評価されないかもしれない)。志望校の募集要項などで確認してほしい。募集要項に、英検が何級から評価されるのか等、書いてあるはず。英検以外に漢字検定や数学検定なども同様。
私立受験の場合、推薦以外では英検の比重は入試ではあまり重くなく、それよりも入試本番での得点のほうが重要です。なので、英語の受験勉強としては、わざわざ英検対策をする必要は無いでしょう。普通に国数英理社の5科を受験勉強を日常的にしながら、そのついでに英検を受けるので十分でしょう。時間に限りがあるので、受験勉強とは別にわざわざ英検用の勉強をするのは、あまりおすすめしません。
;TOEICについて
私立高校によってはTOEICの一定スコア以上を評価する高校もあると思いますが、しかしTOIECの出題範囲が中学レベルや高校1年レベルに合っておらず、そのため、中学生がTOEIC受験をすると対策のために他教科の勉強の時間が大きく奪われるので、あまりTOEIC受験による評価アップはオススメしません。
[[Category:中学校教育|かくしゅうほうほうこうこうしゆけんえいこ]]
[[Category:学習方法|こうこうしゆけんえいこ]]
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高等学校情報/社会と情報/情報のデジタル化
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2024-04-12T19:59:09Z
すじにくシチュー
12058
/* 情報量の単位 */ コラムに「範囲外」の注記を追加。
wikitext
text/x-wiki
{{Pathnav|メインページ|小学校・中学校・高等学校の学習|高等学校の学習|高等学校情報|高等学校情報/社会と情報|frame=1}}
<!-- このページには導入部がありません。適切な導入部を作成し、このコメントを除去してください。 -->
== アナログとデジタル ==
コンピューターによって伝達される情報の中身は、「電圧が高い」=1、「電圧がひくい」=0として、ただ0と1のパターンだけで代表される情報である。
このように0と1の数値で表わされる情報を'''デジタル'''情報と呼ぶ。一方、離散的ではない量で表わされる量はデジタルに対して'''アナログ'''情報と呼ばれる。(※語の英訳: デジタル digital、アナログ analog)
文字を送るには、たとえばアルファベットの文字を送りたいなら、「A」ならデジタル信号 0100 0001 に対応するとして、あらかじめ決めておく。同様に、「B」ならデジタル信号 0100 0010 に対応するとして、あらかじめ決めておく。「C」ならデジタル信号 0100 0011 に対応するとして、あらかじめ決めておく。
このように、それぞれの文字ごとに、あらかじめ固有のデジタル信号を割り当てておけば、1と0だけのデジタル信号だけで、アルファベットを送受信できる。
このように、文字などの、もともとは数値でなかった情報を、コンピューターであつかいやすいように数字の列に置き換えることを、'''符号化'''(ふごうか、encouding)という。
== デジタルの特徴 ==
[[File:デジタル信号の復元の原理.svg|thumb|400px|デジタル信号の復元の原理]]
デジタル情報は、基準の電圧の値(「しきい値」(しきいち))よりも「高い」か「低い」かさえ分かればいいので、少しのノイズがあっても、もとの情報を復元できる。
このように、デジタル情報は、ノイズの影響を受けにくい。
いっぽう、アナログ情報は、ノイズの影響を受けると、復元しずらい。
{{-}}
=== コンピュータにおける情報の表し方 ===
<!--
文字,数値,画像,音などの情報をコンピュータ上で表す方法についての基本的な考え方及び情報のディジタル化の特性を理解させる。
-->
ふだん私たちが使っている、0から9までの数字をつかった数え方を'''十進法'''(じゅっしんほう)という。また、十進法で表記された数のことを十進数という。
{| class="wikitable" style="float:right"
|+ 対応表
|10進法 || 2進法
|-
|0 || 0000
|-
|1 || 0001
|-
|2 || 0010
|-
|3 || 0011
|-
|4 || 0100
|-
|5 || 0101
|-
|6 || 0110
|-
|7 || 0111
|-
|8 || 1000
|-
|9 || 1001
|-
|10 || 1010
|-
|11 || 1011
|-
|12 || 1100
|-
|13 || 1101
|-
|14 || 1110
|-
|15 || 1111
|-
|}
コンピューターは、十進法の「1」に対応する数値をあつかうとき、普通のコンピュータでは「0001」というデジタル信号としてあつかう。
コンピューターは、十進法の「2」に対応する数値をあつかうとき、普通のコンピュータでは「0010」というデジタル信号としてあつかう。
同様に、「3」という数値をあつかうとき、「0011」というデジタル信号としてあつかう。
「4」なら「0100」というデジタル信号として扱う。
このように、していけば、デジタル信号「1111」は、十進法の「15」に対応していく。
このように、0と1という2つの数字だけの数え方を、'''2進法'''あるいは'''2進数'''という。
2進数を用いるときには、10進数を用いるときと同様に、1の位が2進数の最大の数である1となった時に、更に1を加えるときには、ケタ上りが起こる。
例えば、0の次は1であるが、1の次は、1の位が1であるため桁上りが起こり、次の数は10である。(これはジュウではなく、「イチゼロ」と読む。)
さらに次の数は11であり、さらに次の数は100である。
このような手法を用いて、非常に大きい数も表わすことができる。
2進数を10進数に換算するには、
たとえば、2進数「1011」を10進数に置き換えるには、
(10進数の)数式で表せば、
:1×2<sup>3</sup> + 0×2<sup>2</sup> + 1×2<sup>1</sup> + 1×2<sup>0</sup>
:= 8 + 0 + 2 +1
:= 11
のように計算すればよい。
よって、2進数「1011」は10進数「11」に対応することが分かる。
さて、「110」という数字だけでは、それが十進数か二進数であるかは分からない。
:そこで、数字が二進数である事を強調したい場合は 110<sub>(2)</sub>のように、右下に (2) をつける。
:同様に、数字が十進数である事を強調したい場合は 110<sub>(10)</sub>のように、右下に (10) をつける。
さて、数学的には2進数が理論的な都合のため扱いやすいが、桁数が大きくなるという不便がある。そこで、コンピューター産業の実務では、16進数が使われることも多い。
10進数、2進数と16進数との対応表を示す。
{| class="wikitable"
|+ 対応表
|10進法 || 2進法 || 16進法
|-
|0 || 0000 || 0
|-
|1 || 0001 || 1
|-
|2 || 0010 || 2
|-
|3 || 0011 || 3
|-
|4 || 0100 || 4
|-
|5 || 0101 || 5
|-
|6 || 0110 || 6
|-
|7 || 0111 || 7
|-
|8 || 1000 || 8
|-
|9 || 1001 || 9
|-
|10 || 1010 || A
|-
|11 || 1011 || B
|-
|12 || 1100 || C
|-
|13 || 1101 || D
|-
|14 || 1110 || E
|-
|15 || 1111 || F
|-
|}
{{-}}
=== 情報量の単位 ===
{| class="wikitable" style="float:right"
|+ 情報量の単位
|単位 || 読みかた || 内容
|-
|bit || ビット || -
|-
|B || バイト || 1B=8bit
|-
|KB || キロバイト || 1KB=1024B
|-
|MB || メガバイト || 1MB=1024KB
|-
|GB || ギガバイト || 1GB=1024MB
|-
|TB || テラバイト || 1TB=1024GB
|-
|}
1ケタの2進数によって、「0」か「1」という、2通りのパターンが表せる。
たとえば、コインの表をたとえば「0」と仮定して、またコインの裏をたとえば「1」とすれば、1ケタの2進数によって、1枚のコインの表裏を表せる。
つまり、1ケタの2進数によって、2通りの情報が表せる。
同様に、2ケタの2進数によって、「00」「01」「10」「11」という、4通りのパターンが表せる。つまり、2ケタの2進数によって、4通りの情報が表せる。たとえば四季のうち、春は「00」に、夏は「01」、秋は「10」、冬は「11」とすれば、2ケタの2進数によって四季のパターンを表せる。
一般に、<math>n</math>ケタの2進数によって <math>2^n</math> 通りのパターンが表せるので、つまり、<math>n</math>ケタの2進数によって <math>2^n</math> 通り情報が表せる。
コンピュータ科学では、この「0」か「1」かの1ケタぶんの情報の量を基準にする。そして、「0」か「1」かの1ケタぶんの情報の量のことを1ビットという。つまり、'''ビット'''(bit)が、情報の量をあらわす単位である。
そして、1ビット増やすごとに、表せる情報の量は2倍になる。
<math>n</math>ビットの情報は <math>2^n</math> 通りのパターンに対応している。
数学的にはビットという単位が扱いやすいが、膨大な情報をあつかうとケタ数が多くなるので、8ビットをまとめて「1バイト」とする、'''バイト'''(Byte)という単位ができた。
つまり1バイトは、 <math>2^8=256</math> 通りの情報を表す。
実生活では、大きな情報の量を表す時、このバイトという単位の前に、さらにキロ(K)やメガ(M)やギガ(G)などの2進接頭辞をつける事も多い。
このような、情報の量のことを'''情報量'''(じょうほうりょう)という。
{{コラム|(※範囲外) 2進接頭辞とSI接頭語|2=
2進接頭辞とSI接頭語は、数値やデータの表現において使われる接頭辞で、特定の単位を表すために用いられます。
;2進接頭辞(Binary Prefixes):
:2進接頭辞は、主にコンピューターサイエンスや情報技術の分野で使われます。これらの接頭辞は、2進数を基にしており、データのサイズやデータ伝送速度などを表す際に使用されます。
;代表的な2進接頭辞には、次のようなものがあります:
:;kibi(Ki; キビ): <math>2^10</math>(1 024)※ Ki の K は大文字
:;mebi(Mi; ミビ): <math>2^20</math>(1 048 576)
:;gibi(Gi; ギビ): <math>2^30</math>(約1 073 741 824)
:これらの接頭辞は、データのサイズやメモリ容量、ファイルサイズなどを表現する際に使用されます。
;SI接頭語(SI Prefixes):
:SI接頭語は、国際単位系(SI: Système International d'Unités)に基づいており、一般的に物理学や工学などの科学技術分野で使われます。これらの接頭語は、10進数を基にしており、物理量の測定や単位の表現に用いられます。
;代表的なSI接頭語には、次のようなものがあります:
:;kilo(k; キロ): <math>10^3</math>(1 000)
:;mega(M; メガ): <math>10^6</math>(1 000 000)
:;giga(G; ギガ): <math>10^9</math>(1 000 000 000)
:SI接頭語は、長さ、重さ、時間、電力、電圧など、様々な物理量を表現するために使用されます。
2進接頭辞の名称に、SI接頭語に由来するキロ、メガ、ギガ等を誤差を無視して流用することがしばしばあり、本節でもキビとすべきところにキロを用いていますが、誤用です。
}}
{{-}}
=== 文字コード ===
前の節でも説明したが、コンピューター内部での文字の扱いは、たとえば「A」ならデジタル信号 0100 0001 に対応するとして、あらかじめ決めておく。同様に、「B」ならデジタル信号 0100 0010 に対応するとして、あらかじめ決めておく。「C」ならデジタル信号 0100 0011 に対応するとして、あらかじめ決めておくのであった。
このように、文字などの、もともとは数値でなかった情報を、コンピューターであつかいやすいように数字の列に置き換えることを、'''符号化'''(ふごうか、encouding)という。
さて、文字を2進数の番号に対応させたとき、その2進数の番号のことを'''文字コード'''(character code)という。
2進数で表すとケタが多くなってしまうので、16進数で文字コードを表す場合もある。
たとえば、文字「A」のデジタル信号 0100 0001 なら、前半の 0100 は 4に対応、後半の0001は1に対応するので、「A」は16進数では 41 で表される。
ちなみに、このデジタル信号 0100 0001 は '''ASCIIコード'''(アスキーコード)という文字コードの規則のばあいの文字「A」の文字コードである。「ASCII」とは American Standard Code for Information Interchange の略であり、1960年代にアメリカ合衆国で定められた。
以下に、ASCIIコードの一覧を示す。
{| class="wikitable"
|+ ASCIIコード表
| || || || || colspan="8"|上位3ビット
|-
| || || 16進 || 0 || 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7
|-
| || 16進 || 2進 || 000 || 001 || 010 || 011 || 100 || 101 || 110 || 111
|-
|rowspan="16"|下<br />位<br />4<br />ビ<br />ッ<br />ト || 0 || 0000 ||rowspan="16" colspan="2"|制御文字 || 空白 || 0 || @ || P || ` || p
|-
|1 || 0001 || ! || 1 || A || Q || a || q
|-
|2 || 0010 || " || 2 || B || R || b || r
|-
|3 || 0011 || # || 3 || C || S || c || s
|-
|4 || 0100 || $ || 4 || D || T || d || t
|-
|5 || 0101 || % || 5 || E || U || e || u
|-
|6 || 0110 || & || 6 || F || V || f || v
|-
|7 || 0111 || ' || 7 || G || W || g || w
|-
|8 || 1000 || ( || 8 || H || X || h || x
|-
|9 || 1001 || ) || 9 || I || Y || i || y
|-
|A || 1010 || * || : || J || Z || j || z
|-
|B || 1011 || + || ; || K || [ || k || {
|-
|C || 1100 || , || < || L || \ || l || |
|-
|D || 1101 || - || = || M || ] || m || }
|-
|E || 1110 || . || > || N || ^ || n || ~
|-
|F || 1111 || / || ? || O || _ || o ||
|-
|}
ASCIIコードは、7ビットである。
ASCIIコードは、英数字を扱えるが、日本語をあつかうには情報量が足りなくて、日本語を扱えない。
そのため、日本国では、日本産業規格(にほんこうぎょうきかく、略称:JIS、※ JISは「ジス」と読む)によって1970年ごろから、ASCIIコードを参考にして、ASCIIコードの7ビットにさらに1ビットを加えて8ビットの文字コードとすることで、英数字にくわえてカタカナや句読点など日本語特有の記号をあつかえる'''JISコード'''(「ジスコード」と読む)が定められた。
1バイト=8ビットでは、2<sup>8</sup>=256通りの情報量を扱える。
日本の古いパソコンで、英数字とカタカナしか表示できないのは、このような理由による。
ASCIIやカタカナだけのJISのように、1バイト以内(1バイトもふくむ)の文字コードを「1バイト文字」などという。
しかし、たった256通りの情報量では、漢字やひらがなを扱うには、情報量が足りない。
そこで、さらに1バイトを足して2バイトで文字をあつかうことによって、漢字や平仮名も処理できるようにした2バイト文字がJISによって定められ、JISコードに2バイトの文字コードが導入された。このように、2バイトの文字コードのことを「2バイト文字」などという。
しかしJIS規格は、日本の規格のため、外国のコンピューターシステムでは通用しない場合がある。
JISコードに対応していない外国などのコンピュータでは、日本語がうまく表示されず、符号を英数字などと間違えてしまい、意味不明の英数字の文字列が表示されてしまう。
このような、いわゆる「文字化け」(もじばけ)が、文字コードの規格の不対応によって起きてしまう。
そのため、さらに文字コードの情報量を多くすることで、英語や日本語だけでなく、いろんな国の言語を統一的にあつかえるUnicode('''ユニコード''')が定められている。近年では国際化のため、文字コードをなるべく Unicode に統一する動きが、さかんである。そのため、近年、Unicode が普及してきている。
Unicode の符号化の方式には UTF-8 や UTF-16 などがあり、多くの場合に UTF-8 が使われている。なお、「UTF」は「ユーティーエフ」と読む(※ 数研出版)。
たとえば2023年現在、webサイトのソースコードの規格である HTML5 および後継規格(※ HTML Living Standard)では、文字コードはUTF-8が推奨されている(実教『情報I』P35 傍注、開隆堂『情報I』脚注)。
なお、UTF-8 がユニコードの一種だという証拠として、UTF-8の「UTF」とは Unicode Transformation FOrmat のこと(実教 I)。
近年では国際規格の ISO によって Unicode が規定されている。(※ 検定教科書の範囲内。開隆堂の教科書など。)
なお、近年に Unicode が普及する以前、ASCIIコードを参考にいろんな文字コードが各国や各団体によって考えられ各国で実用化されていたので、そのため世界にはいろんな文字コードがある。
== 音のデジタル化 ==
=== サンプリング ===
[[File:標本化.svg|thumb|400px|標本化の説明]]
音は、「音波」などと言われるように、波であるので、波形で表せる。
音波のグラフでの表現方法には色々あるが、よくある表現方法のひとつでは、横軸に時間、縦軸に音の強さという表現方法がある。右図のグラフも、それに合わせて、ある音の強さをセンサー類などで電圧に変換したものをグラフで図示したものである。
:※ なお、音の理科的な性質については、高校では「物理」科目であつかう。
まず、音とは、空気の振動であるので、何らかの電気的なセンサーによって、空気のゆれを読み取れば、音を読み取れる。
音は波であるので、音の波形には周期(しゅうき)や周波数(しゅうはすう)がある。周波数とは、1秒間にふくまれる波の数であり、単位は[Hz](発音:「ヘルツ」)である。たとえばラの音の周波数は440Hzである。周期は、波が1個ぶん、伝わるのに要する時間であり、単位は秒[s]である。
:※ 「周期」、「周波数」などの用語については、理科の「物理」科目でも習う。よく分からなければ、物理の参考書でも読むか、外部の信頼できる物理教育の解説サイトでも読めばいい。
ふつう、自然界の音には、周波数のことなる、いくつもの音の合成であり、無限個の種類の音が含まれている。だが、コンピューターでは無限の情報をあつかえないので、一定の時間の間隔で、各時間の音の強さを読み取る。
このように、一定の間隔でデータを読み取ることを'''標本化'''(ひょうほんか、英語: sampling)またはその英語にもとづき'''サンプリング'''という。
:※ 「標本化」「サンプリング」については物理では習わない。下記の用語も同様。
1秒間あたりに標本化する回数を'''サンプリング周波数'''といい、単位はヘルツ(記号は Hz )である。
音に限らず、サンプリング周波数が高くなればなるほど、より細かい間隔で取り出すことになるので、もとのアナログ波形に近づく。
なので、サンプリング周波数を増やすほど、実際の音に近くなるが、そのぶんだけ必要なデータ量も増える。
そして、標本化によって取り出された各時間のデータを、それぞれ整数に置き換えることを'''量子化'''(りょうしか、quantzaition)という。
このように量子化されたデータをまとめて、たとえば 0110 1010 0111 ・・・(以下略)というように、コンピューターが読み取りやすいように0と1からなる2進数の数字の列にすることを'''符号化'''(ふごうか、encoding)という。
サンプリング1回あたり、たとえば1つの音を3ビットで符号化すれば、2×2×2=8 なので(2の3乗)、8段階の強さを表現できる。
あるいは、4ビットずつで符号化すれば、2×2×2×2 = 16 なので、16段階の強さを表現できる。
このように、サンプリング1回あたりに割り当てているビット数のことを'''量子化ビット数'''と言い(※実教出版 I、日本文教出版 I)、量子化ビット数が多いほど波の波高を多い段階で表現できるので、誤差が少なくなる。
一般に n ビットで 2<sup>n</sup> 段階の表現をできる(※ 日本文教出版 I)。
このように、サンプリング周波数が高いほど、あるいは量子化ビット数が多いほど、元のアナログ波との誤差は少なくなるが、使用するデータ量は増える。
なお、公式として、
:1秒あたりのデータ量の公式(ビット) =
:サンプリング周波数 × 量子化ビット数 × チャンネル数
である。
モノラル音声なら1チャンネル。ステレオ音声なら1チャンネルである。(日本文教出版)
そして、このように記録された音の強さのデーターをもとに、音をスピーカーなどから適切に出力すれば、音声を出力できる。
このように、音の強さを記録および出力することによって、音声をコンピューターで記録したり演奏する方法を'''PCM'''方式(ピーシーエムほうしき)という。Pulse Code Modukation の略である。直訳すれば、パルス符号変調方式となる。
:※ 範囲外: PCMは音でありさえすれば、ほぼ何でも処理できるので、人間や動物の声も扱えるし、楽器の音も扱える。
いっぽう、もし楽器だけからなる曲なら、楽譜のデータだけを記録・処理すれば、音をあらわせる。演奏された曲は記録せず、楽譜のデータだけを記録することで、それを出力して曲を再生する方式を'''MIDI'''方式(ミディほうしき)という。
:※ 範囲外: MIDIは、人間や動物の声などは、扱えない。一般に、楽器の音しか、MIDIは扱えない。
MIDIは、演奏された曲そのものは記録してないので、PCMとくらべればデータ量が少なくてすみ。
* 備考
CD(コンパクトディスク)では、音楽CDのサンプリング周波数は44100Hzである。ケタ数が多いので、44.1kHz とも表す。
CDは16ビットで量子化している。
つまり、CDの量子化ビット数は16ビットであり、つまり65536段階である(実教出版 I)。
* 練習問題
上記をもとに音楽CDの1分あたりのデータ量をバイト単位で求めよ。有効数字は4ケタとする。なお、ステレオ音声なのでチャンネル数は2である。
ただし、電卓を用いてよい。
また、1バイトは8ビットとする。(つまり16ビットで2バイト。)なお、バイトの単位はBとして、1メガバイト(1MB)=1000000 Bである。(※ 1メガは10の6乗。つまり1の後ろにゼロが6つでメガ。)
解法)
まず、1秒あたりのデータ量の公式は、
:1秒あたりのデータ量の公式(ビット) =
:サンプリング周波数 × 量子化ビット数 × チャンネル数
であった。
まず、これを求めよう。代入し、
:44100 ×16×2
=1411200 ビット
これはまだ1秒あたりである。求めたいのは1分あたりなので60倍して、
:1411200 ×60
:= 84672000 ビット
である。
求めたいのはバイト単位であり、1バイト=8ビットなので
84672000 ÷ 8 = 10584000 バイト
メガバイト単位に直せば、
10.584 MB
である。
有効数字が4ケタなので、答えは
10.58 MB となる。
* アナログ-デジタル変換
[[Image:AD_conversion_(ja).png|thumb|right|250px|'''アナログ-デジタル変換回路'''<br> '''上''':連続量であるアナログ信号<br>
'''下''':離散化されたデジタル信号]]
{{-}}
=== 標本化定理 ===
たとえば、50Hzと40Hzと30Hzという3つの波を合成した波形があったとする。周波数ごとに、それぞれ、振幅が異なるとしよう。
この合成波を標本化するには、100Hz以上で標本化すれば、もとの波形を完全に復元できるのに充分な情報が得られる事が、数学的に分かっている(※ 証明は、大学レベルであり、高度に専門的なので、省略)。
つまり、「波形に含まれる最大周波数の2倍で標本化すると、最小の周波数で標本化できる」という定理(ていり)がある。
これを'''標本化定理'''(ひょうほんか ていり)という。
サンプリング周波数が高ければ高くなるほど、出力される波形は、もとの波形に近づく。だが、そのぶん、記録しなければならないデータ量が増えてしまう。
なので、なるべく小さいサンプリング周波数で、標本化したい、という記録のさいの都合がある。
標本化定理によって、合理的なサンプリング周波数を知れて、記録データ量を節約できるので、便利である。
もとの音の周期の半分よりも、より短い周期で標本化すると、数学的に合理的であることが分かっている。
なお、周期と周波数は逆数どうしの関係にあるので、周期を基準にして標本化定理を言い換えると、
「合成波の波長のうち、もっとも短い周期の2分の1以下で、標本化すればいい。」というふうになる。
最大周波数が50Hzの合成波なら、周波数50Hzとは周期0.02[s]のことだから、つまり 0.01[s]以下で標本化すればいい。
* 備考
1949年に、米国のクロード=シャノンと、日本の染谷勲(そめや いさお)が、標本化定理を発見した。
{{-}}
== 画像のデジタル化 ==
=== 色のデジタル化 ===
[[ファイル:AdditiveColorMixing.svg|thumb|180px|left|光の三原色]]
まず、パソコンなどの液晶モニター中の画面の色は、赤色なら赤色の透明セロハンを通り抜けた光であり、緑色なら緑色の透明セロハンを通り抜けた緑色の光であり、青色なら青色の透明セロハンを通りぬけた青色の光である。
いわゆる「光の三原色」、「加法混色」(かほう こんしょく)である。
そして、この赤(R)、緑(G)、青(B)という3つの原色(げんしょく)をくみあわせて、組み合わせのさいのわりあいを調節することで、いろんな色を表す。
赤・緑・青の3色とも合わさった場合が白色である。
{{-}}
いっぽう、図画工作や美術で、絵の具でおおくの色をまぜあわせていくと黒くなっていくように、印刷物では色を混ぜれば混ぜるほど、黒くなっていく。この絵の具のような色の混ざり方を減法混色(げんぽう こんしょく)という。
[[ファイル:Synthese-.svg|left|thumb|減法混合。原色のうち、シアンとマゼンタはそれぞれ青と赤とも呼ばれることもある。]]
赤(正確にはマゼンダ)・黄色(イエロ-)・青(正確にはシアン)の三種類に分解する方式。
減法混色では、シアン(C: Cyan)、マゼンタ(M: Magenta)、イエロー(Y: yellow)という3色が原色(げんしょく)である。
カラープリンターでは、この減法混色の三原色のインクが使われている。つまり、カラープリンターのインクは、シアン、マゼンダ、イエローの3つのインクが使われている。
実際のカラープリンターでは、黒をきれいに印刷するために、さらに黒インク(K)を加えている。
つまり、実際のカラープリンターでは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)、という4種類の色のインクが使われている。
{{clear}}
=== 色の階調 ===
現在のパソコン用の画像処理ソフトなどで、色をつくっているときに、たとえば
:赤(R): 255
:緑(G): 180
:青(B): 10
などというように、
それぞれの原色の数値を調節して、色をつくっていく。
なお、この例の場合の「255」「180」「10」などは十進数である。
一般に、各原色はそれぞれ0から255までの整数を取れる。つまり、それぞれの原色は256段階である。
たとえば「赤(R):0」なら、まったく赤色が無い。
いっぽう、「赤(R):255」なら、赤色の強さが最大である。
2<sup>8</sup>=256なので、つまり8ビットによって、原色の段階をあらわしている。
このような、色の段階を、色の階調(かいちょう)という。
たとえば、もし完全な白色をつくる場合なら
:赤(R): 255
:緑(G): 255
:青(B): 255
のように設定する。
もし完全な黒色をつくる場合なら
:赤(R): 0
:緑(G): 0
:青(B): 0
のように設定する。
もし完全な黄色をつくる場合なら
:赤(R): 255
:緑(G): 255
:青(B): 0
のように設定する。
画像処理ソフトなどで「RGB」という表記をされている項目は、このような色の階調についての設定や処理をしている項目である。
3つの原色がそれぞれ256段階あるので、合計で 256<sup>3</sup>=16777216通りの色を表せる。つまり約1677万色である。
* 発展:
[[File:CIE1931xy AdobeRGB.svg|thumb|ディスプレイやプリンタなどの色特性の説明で使われる専門的なグラフ(CIE の色空間とxy色度図のグラフ)<br>グラフ中の三角形は、デバイス(例ではディスプレイと思われる)の表現できる色の領域の限界(その三角形の外の色は表現できない)<br>デバイスの種類(プリンタなどの場合)によっては四角形以上の場合もある]]
印刷機器などの設定をするときには、「RGB」項目ではなく、「CMYK」 または「CMY」などという項目を設定する場合がある。印刷の色の設定は、高度に専門的なので、説明を省略する。 (※ 検定教科書でも、印刷機器の色の設定については、説明に触れていない。)
:※ 2003年の東京書籍の「情報II」の教師用指導書で、用語集のページで「カラーマネジメント」を紹介している。
:※ 日本文教出版『情報I』がCIE色空間のグラフを掲載(ただし、「CIE」「色空間」などの名称は未掲載)。
このようにプリンタとディスプレイの色の特性のちがいがあるので、商業ポスターや高校の文化祭ポスターなどを作る際は、一発でうまく印刷できる事は無い。なので、試し刷りをして、微調整を繰り返すことにな(※日本文教出版の見解)。
:※ 日本文教出版の『情報I』教科書では、『「印刷のプロパティ」で用紙の種類や色、印刷品質を適切に設定する』とありますが、しかし正直言って、その設定ですら、そこそこ難しいです。なので専門外の人は、標準設定のまま印刷機器を使うほうが安全です。外注の業者などに依頼する際、そういった設定が必要になる場合もある、とだけ覚えておけば、専門外の人としては十分でしょう。
{{コラム|(※ 範囲外)カラーマネジメント|
じつは、パソコンによって、表示される色合いは違う。消費者の好みが多様であり、たとえば青味がかった画面を好む人もいれば、そうでなく赤味がかった画面を好む人もいる。
パソコンソフトのデータ上では完全な白色はrgb=(255,255,255) だが、しかし同じ白色 rgb=(255,255,255) でもディスプレイによって、実は微妙に青かったり赤かったり、差が存在しているんである。
ディスプレイのメーカーも、青味がかった画面のディスプレイを作る会社もあれば、赤色がかった会社もある。
紙まで含めれば、微妙に黄ばんだ白もあれば、微妙に青みの白もある。
光の「白」の場合、太陽光を基準にしようにも、その太陽光の平均自体、1年間の昼間の正午の晴天の日の平均なのか、それとも日の出から日の入りまでの平均なのか、といったスパンをどう設定するかの問題もある。仮に昼間の晴天の平均だと設定しても地理的な問題があり、日本での昼間の平均なのか、赤道下での昼間の平均なのか、あるいは米国での昼間平均、フランスやスイスでの平均、などで微妙に違ってくる可能性もある。(なお、「D65光源」という、欧州・北欧を基準にした光源が、後述の国際照明委員会 (CIE) によって光源の国際標準に定められている。)
消費者からすれば、自分のパソコンの画面がどういう「白」を採用しているのか分からないのが普通である。(だから「ホワイトバランス」という用語がカラーマネジメントにはある。説明は省略。)
:※ なお、文脈は違うが、第一学習社『情報I』に、写真レタッチのソフトの使い方で「ホワイトバランス」に言及。
規格統一をしようにも、規格自体が業界ごとに違っている状況であり、国ごとの違いもあり、たとえば日本国内ですら、印刷業界と、テレビ・映画業界とでは、微妙に規格が違っていたりする。
一応、共通語としては最終手段として、物理的な波長のスペクトルで話し合う、という方法もある。
東京書籍の「情報II」指導書では、アップルのマッキントッシュを紹介しているのだが、その背景として、(東京書籍の教科書では説明してないが、)アップルの端末ではここら辺の色合いの設定が公開されていたりするので、印刷業界や映像業界などで色の調整をする仕事の人にアップル機が好まれてきた、という背景がある。
※ このようなカラーマネジメントの話題は、かなり専門性が高く、技術的にも難しいので、検定教科書では紹介しないと思われるし、大学入試でも、まずは深入りしないと思われる。
なお、アップルのOSは、アップルのコンピュータのハードウェアにしかインストールできない。このため、アップルのハードウェアは、すべてアップルの企業規格に統一されているので、なので色合いも統一されているわけである。
一方、マイクロソフト社のWindowsは、マイクロソフト以外のハードウェアにもインストールでき、たとえば東芝のパソコンにも富士通のパソコンにもNECのパソコンにも基本的にはインストールできる(ただし、CPUの種類などに制限があるが)。
そのような他社のハードにもインストールできるWindowsだからこそ、世界中の多くの大手電機メーカーがパソコンハード市場に参入して、Windows搭載のパソコンを販売する会社が多くなり、Windowsが普及したという側面もある。だが、その短所として、メーカーごとにハードウェアの細かい仕様がバラバラになってしまったので、規格の細かいすり合わせには向かなくなってしまったという、歴史的な経緯がある。
コンピュータに限らず、蛍光灯やLED証明なども、じつはそもそも白色自体が、微妙に青っぽい「白」の照明もあれば、赤っぽい「白」の照明もあれば、緑っぽい「白」の照明もある。
なお、色の調整にはこういう事情があるので、なのでイラストレーターが絵の仕事を受けた時、じつは、イラストレーターが手元のパソコンで作った絵の色合いと、実際の製品・商品の絵の色合いは、微妙に違っている場合もある。アニメ産業に至っては、そもそも一般のアニメーターには色の調整をさせず、一般のアニメーターは線画(線の色は黒)を書くだけの仕事に集中し、アニメ会社内のごく一部の色調整用のメンバーだけが色の調整をしている。もちろん、アニメ会社の色調整で使うハードはアップル機である(証拠として、2011年の震災後のアニメ会社・スタジオジブリの取材で、それをジブリの社長や監督などが明かしている)。
映像作品やカラー出版物を作るのは、このように大変なので、そういった企業用に、照明の色合いが劣化・変化してないかの検査・測定をする商売もある。
検査の手法の基本として、けっして人間の勘に頼るのではなく、可能なかぎり、測定器具などの客観物を用いて測定することで検査するのが基本である。だから色の検査でも、じつは専用のセンサーが存在しており(値段が十数万円~数十万円と高い!)、そういう機器を使う。(2011年のジブリでの色検査も機器を使っている)
東京書籍の指導書のカラーマネジメントの項目に「測定」という言葉があるのだが、おそらくこういった背景を考慮してのことだと思われる。
たとえばアニメ会社など映像会社の試写室など、数年ごとに定期的に色合いなどの品質を検査している。大地震など大きな事故があれば、そのたびに検査もする(証拠として、2011年の震災後のアニメ会社・スタジオジブリの取材で、試写室の検査をジブリ社長などが明かした)。
いっきにアニメ会社のパソコン全部を検査するのではなく、まずは試写室を検査するのがポイントである。こういう経費を減らすためのテクニックは、一般の企業でも使われる。こういう、いちばん精密に検査された高性能機器を、その現場の「マスター」測定器のように呼ぶ。たとえば映像業界の場合なら、「マスターモニター」などと呼ばれるディスプレイ・モニターがある。
映像業界に限らず、一般に企業では、会社の設備などは定期的に検査をする。
さて、飛行機のエンジンが2個あるが、きちんと整備をしていれば2個が同時に故障する可能性はとても低い。(もちろん、片方が故障したらすぐに修理や新品への交換をする必要がある。)だから、精密機器などを使う企業などでも、マスター設備と、予備として二番目に精密な設備のように、念のため2個(あるいは2個以上)あったりする。
}}
{{コラム|(※ 範囲外)ISO規格などとの関係|
カラーマネジメントの細かい事を覚えるよりも、高校理科で習うSI単位系とか、中学技術科で習うISO規格とか、中学理科で習う旧「メートル原器」や旧「キログラム原器」などの「国家標準器」制度などの関連などを、知ってほしい。色の測定には、国際規格があり、少なくとも日米レベルの先進各国には色の国家標準器があることを知ってもらいたい。
まず、国際規格について。
色に限らず、測定には国際的なルールがある。
たとえば「メートル」とはどんな長さかとか「1秒」とはどんな単位かとか、そういうのが国際的に決まっているわけだ。それが無いと、貿易とか商業とか仕事で困るので、だから測定の国際ルールが色々と決められている。SI単位系とかISO規格とかも、そういう測定の国際ルールを維持するのに役立っている。
そして、先進各国は、国家標準器を持っている(持っていた)。たとえば、長さなら、今はレーザー光による定義に代わっているが、かつて19~20世紀ではメートル原器を採用しており、先進各国には、メートル原器があったわけである。
同様、他の「秒」とか「温度」とか「電流」とかにも、その先進国の単位の基準を決める標準器のようなものが先進各国にはあって、国家機関などによって厳重に管理されているわけである。
日本では、産業技術総合研究所などの国家機関が国家標準器を管理している。
そして、「色」とは、電磁波における可視光の、人間の目への作用の一種だった。電磁波にも、その電磁波の強さと波長の測定のための国家標準器がある。だから色にも国家標準器がある。
:※ ただし、色の国家標準について文献が少ないので(ほぼ無いので)、深入りしなくていい。いちおう、産総研の管理している「標準白色積分球」という物理学的な測定器が、日本での色の測定の国家標準器である。(高校範囲を大幅に逸脱するので、「標準白色積分球」は暗記しなくていい。大学範囲すら超えている。専門業者のレベルなので。)
JIS規格(日本産業規格)などの国家規格によって、SI単位などを採用することが原則とされているし、またJIS規格は測定に関してはISO規格をほぼ採用している。また、日本からのISOに向けて色々な提言・提案を行っている。
このため、JIS規格に従っていれば、特にISOについては別途、調べる必要は無い。
色も、じつはISO規格やJIS規格などで、いろいろと「色」の測定のための定義の規格が定められている。
色に関しては、ISOのほか、伝統的に国際照明委員会 (CIE)が中心になって、規格を定めている。ISO と CIE とで、相互交流をしていて、内容も整合性があるので、読者は特に気にする必要は無い。だから、よく「CIE/ISO」とか「ISO/CIE」などとも略記される。
[[ファイル:JIS色名帳 660121-2.png|300px|thumb|]]
「JIS色名帳」というカラー印刷された色の印刷見本が販売されており(値段がすごく高くて数万円)、たとえば「赤」と言ったらどういう感じの色か、「青」とはどういう感じの色か、カラー印刷された丈夫な用紙に印刷された見本帳がある(値段が高くて数万円する)。
ひとくちに「青」といっても、うすめの青、こいめの青、色々な青があるので、そういう青の全パターンが、その色名帳には見本が印刷されている。
いちいち一般人は買わなくてもいいが、イザとなったら、こういうので、印刷関係とか照明関係の大手業者は確認する。
このほか、塗料に関しては日本塗料工業会の定める日本塗料工業会の色見本帳があり、こちらは値段が安めである(数千円)。もちろん、日本塗料工業会の色見本帳も、JISに準拠している。
テレビやパソコンなどのディスプレイ/モニターに関しては別コラムで述べたように、ディスプレイごとの色のバラツキが大きいので、なので仕事などでの色の確認は、mディスプレイではなく見本帳などの印刷物で最終確認をすることも多い。
仕事でなくとも、たとえば家の塗装などを注文する場合や、同人誌の印刷などを注文する場合なども、相手先の業者がその会社の色見本の紙を見せて打合せ・商談をしたりするが、上記のような背景事情がある。
中学美術の副教材などで「マンセル色相環」などを習ったと思うが、その前提になっているマンセル表色系も、JISなどで既に定められているので、心配は不要。業者が対応済み。JIS標準色票がマンセル対応版だが、値段が凄く高くて16万円なので、学生や一般人は買わなくていい。
}}
=== ラスタ画像とベクタ画像 ===
{| cellpadding="5" cellspacing="3" style="text-align:center; border: 1px solid #ccc" align="right" width="240px"
| [[ファイル:Zeichen 224.svg|20px|ベクタイメージ]] || [[ファイル:Zeichen 224 20px.png|20px|ビットマップ]]
|-
| [[ファイル:Zeichen 224.svg|60px|ベクタイメージ]] || [[ファイル:Zeichen 224 20px.png|60px|ビットマップ]]
|-
| [[ファイル:Zeichen 224.svg|120px|ベクタイメージ]] || [[ファイル:Zeichen 224 20px.png|120px|ビットマップ]]
|-
| <small>ベクタ形式</small> || <small>ラスタ形式</small>
|-
| colspan=2 | ベクタイメージは品質の劣化なくサイズを変更可能
|}
拡大するとギザギザするのが'''ラスタ形式'''(raster form)です。 ※数研Iに英訳あり。
拡大してもギザギザしないのが'''ベクタ形式'''(vector form)です。
なお、ベクタ形式でギザギザしないのは、ベクター画像は図形を、たとえば線などはどの座標とどの座標を結んでいるか(※開隆堂)などといった数式のような形式(※第一学習)で管理しており、また線の太さも記録されており(※数研出版)、なので拡大するたびに作画しなおすことができるからです。
ラスタ形式は、そういった構造的な線とか面とかの情報は含んでおらず、単にどの座標にどの色の点があるかといった画素の情報をバラバラに羅列的に記録しています。
写真の画像は、ラスタ形式が適しています(※第一学習社、東京書籍I)。
:※ JPEG や PNG などは一般的にラスタ形式に分類されます。
「ベクター」なのか「ベクタ」なのかはどちらでもよく、たとえば第一学習社は「ベクター」、開隆堂は「ベクタ」です。
「ベクトル画像」と呼んでも、かまいません(※第一学習社)。東京書籍は「ベクトルデータ」と呼んでいます(※東京書籍「情報I」)。
建築図面のソフトなど正確さを要求するソフトではベクタ形式が好まれています(※東京書籍『情報I』の見解)。
一見するとベクタ形式はなんでもできそうですが、しかし写真のような配色の多くて形状も複雑な画像を無理やりにベクタ化しても、線や面が多くなりすぎるので処理が多くなりすぎ、処理が追いつきません。(※開隆堂が似たような事を言っている)
「ペイント系ソフト」(painting software)と言われるものは普通、ラスタ画像を作成するソフトです(※日本文教出版 I、実教 I)。 ※ 実教が語の英訳も紹介。
「ドロー系ソフト」(drawing software)は普通、ベクトル画像を作成するソフトです。
=== 参考: 透明部分のある画像とレイヤー合成について ===
:※ 令和4年度(2022年度)からの新科目『情報I』で扱われるかもしれない予定の範囲。文科省の教員研修用資料に記載あり<ref>[https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/09/24/1416758_004.pdf 『高校情報科_本編_190806.indd - 1416758_004.pdf』76ページ] 2020年5月20日に閲覧して確認.</ref>。
実は、PNGなどいちぶ画像形式には、赤・緑・青のほかにも、その画像の透明ぐあいを表す情報が保管されています。
(※ 一般に『アルファ値』と言います。暗記は不要です。)
:※ 文科省の教員研修資料にも、アルファ値の用語は無いです。
たとえば、イラストなどの上に、文字画像を載せる事も、こういった技術で、できます。
また、2枚のイラストどうしでも、たとえば、背景だけの背景イラストの上に、キャラクターイラストを載せて合成する場合も、
キャラクターイラストで人物以外の部分がすべて透明になっている画像形式を使えば、実現できます。
こういうふうに、画像の上に、透明部分のある画像を合成する方法を、一般に「レイヤー合成」のように呼びます。
そして、それぞれの画像を、この場合は、たとえば「背景レイヤー」および「人物レイヤー」などと区別します(レイヤー名は人によってバラバラなので、暗記しなくていい)。
実用上で重要なこととして、Windows標準のビットマップ画像形式では、アルファ値が無いので、こういうレイヤー合成は、クロマキー合成などを行わない限りう不可能です。
また、ウィンドウズ標準のアクセサリ『ペイント』でも、レイヤー合成はほぼ不可能です<ref>塗りつぶしのマーカーを使うなどの方法で手順は煩雑になりますが可能ではあります。</ref>。
なので『ペイント』以外の別のソフトウェアを使う必要があります。(フリーソフトでは GIMP (ソフト名)で、レイヤー合成が可能。 商用ソフトでも、画像編集系のソフトや、イラスト系のソフトなら大抵、レイヤー合成の機能がある。)
== 圧縮 ==
=== 圧縮とは ===
たとえばあるテキストファイルの内容が「AAAAAAA」という文字列だけなら、Aが7個ならんでるので、たとえば「A7」と記録して、「文字の記録のあとに、繰り返し回数を記録する」などと事前に決めておけば、記録するのは「A」「7」という2文字だけに減らせる。
もし「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」などの場合なら、Aが30個なので記録するのは「A」「30」となり、かなりデータ数を減らせる。
また、たとえば「ABABABAB」なら、「AB」を4回くりかえすので、「AB」「4」と記録すればいい。
「圧縮」(あっしゅく)とは、このような原理で、記録するデータ量を減らす技術である。
たとえば、冒頭の7文字の「AAAAAAA」だけのファイルの場合、圧縮によって2文字だけの「A7」になったので、単純計算で 2÷7 = 0.2857・・・ なので、このファイルはもとのファイルの約28% に圧縮されたことになる。
:(※ 範囲外: ) ウィキペディア [[w:連長圧縮]]に詳しい説明があります。
圧縮には ZIP(ジップ)などの形式がある。
さて、インターネットでデータを送ったり受け取ったりするとき、データ量が多いほど時間が長く掛かってしまうので、大きいデータを扱う場合は、あらかじめ圧縮しておいてデータを送るのが普通である。
また、音や画像など、データ量が大きくなりやすい種類のファイルは、もともとのファイルじたいに、圧縮の技術が取り入れられている場合もある。
たとえば画像ファイルなら、JPEGやPNGといった形式に、画像の圧縮技術が取り入れられている。
:※ jpegには、「[[w:離散コサイン変換|離散コサイン変換]]」という技術が活用されている。高校レベルで分かるように説明するのは無理なので、詳しい説明は省略するが、「コサイン」という用語からも想像つくように、要するに三角関数を応用した技術である。なので、もしアナタが、圧縮技術の研究者を目指すなら、数学もきちんと勉強しよう。高校の数学IIIで習う、三角関数や指数関数の微分積分などは、当然のごとく、勉強しよう。
=== 圧縮の種類 ===
==== 非可逆圧縮 ====
音や画像の圧縮では、データの一部が欠けても、人間の目や耳では、普通は気づけない。
たとえば、画像なら、画素に
:「赤」「青」「赤」「青」「'''緑'''」「青」「赤」「青」「赤」「青」
というように、画素に一部分だけ違う色(例の場合では「緑」)があっても、画素はとっても小さかったりするので、人間の目では気づきにくい。
なので、この場合、一部分だけ違う「緑」は無視して、
:「赤青」パターンを「5」回くりかえす
というように記録するのが合理的だろう。
なので、画像や音では、データが少しくらい欠けてでも、記録するデータ量を減らすという'''非可逆圧縮'''(ふかぎゃく あっしゅく)が使われる。
「不可逆」といわれるのは、圧縮される前のデータは、圧縮後のデータからは分からないからである。
たとえば画像の圧縮後の
:「赤青」パターンを「5」回くりかえす
をもとに
:赤 青 赤 青 赤 青 赤 青 赤 青
と書いても、
どこの色が、圧縮前は別の色だったのか、その別の色は何回使われていたのか、まったく分からない。
つまり、緑のあった位置の情報や、緑の回数についての情報は、圧縮によって失われたのである。
このように、非可逆圧縮によって、データの一部は失われる。
==== 可逆圧縮 ====
いっぽう、文書やソフトウェアでは、データの一部が欠けてしまうと意味をなさない。なので文書やソフトウェアでは、データが失われないような'''可逆圧縮'''(かぎゃく あっしゅく)をする。
=== 解凍、展開、伸長 ===
圧縮したデータのふくまれるファイルを、もとのファイル形式にもどすことを'''解凍'''(かいとう)または'''展開'''(てんかい)または'''伸長'''(しんちょう)という。
たとえば文書のデータ「あいあいあいあい」を、「あい」「4」と圧縮した場合について考える。
圧縮した人とは別の利用者が、インターネットなどを介して、「あい」「4」という圧縮データと、このデータが圧縮データであるという情報だけを受け取ったとしよう。
この「あい」「4」だけを渡された別の利用者のコンピュータが、圧縮を逆算して「あいあいあいあいあい」という元の文書を手に入れることが、「'''解凍'''」(かいとう)または「'''展開'''」(てんかい)または「'''伸長'''」(しんちょう)といわれる行為である。
== 脚注 ==
{{Reflist}}
[[カテゴリ:高等学校情報|しやかいとしようほう/てしたるか]]
53wp5wyekovcyqfohd03k99qmzq59s9
日本国憲法第82条
0
37600
246626
227576
2024-04-12T17:28:23Z
Tomzo
248
/* 参照条文 */
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【裁判の公開】
;第82条
#裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
#裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。
==解説==
{{wikipedia}}
==参照条文==
*[[刑事訴訟法第53条]]
==判例==
----
{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#6|第6章 司法]]
|[[日本国憲法第81条]]<br>【違憲審査制】
|[[日本国憲法第83条]]<br>【財政処理の基本原則】
}}
{{stub|law}}
[[category:日本国憲法|82]]
phnkzwix1pcfeqi4lsgmte5elpiojym
日本国憲法第37条
0
37607
246613
242288
2024-04-12T15:11:53Z
Tomzo
248
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【刑事被告人の諸権利】
;第37条
#すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
#刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
#刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
==解説==
{{wikipedia}}
==参照条文==
*[[刑事訴訟法第30条]]
*[[刑事訴訟法第36条]]
*[[刑事訴訟法第37条]]
*[[刑事訴訟法第37条の2]]
*[[刑事訴訟法第37条の4]]
*[[刑事訴訟法第289条]]
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55216 公文書偽造、収賄](最高裁判決昭和23年5月5日)[[刑法第60条|刑法60条]]
##'''刑事訴訟法第360条第2項(現[[刑事訴訟法第335条]]第2項)の法意'''
##刑事訴訟法第360条第2項にいう法律上犯罪の成立を阻却すべき原由とは例へば刑法第35条乃至第37条【[[刑法第35条]]、[[刑法第36条|第36条]]、[[刑法第37条|第37条]]】所定の事由の如き刑法第2編各條所定の罪の構成要件は一応これを具備して居ながら尚罪の成立を阻却する事由をいうので所論の様な罪の構成要件を欠く旨の主張は前記法条所定の主張に該当しない。
##'''控訴の唯一の理由とこれに対する判断の要否'''
##控訴の唯一の理由であればどんな主張でも必ずこれに對する判断を判文中に明示しなければならないという法規も法理も存在しない。されば控訴審が罪の成立に何等影響の無い事柄に付き判断を示さなかつたことは仮令それが控訴の唯一の理由であつたとしても少しも違法ではない、無論違憲などいう問題ではない。
##'''憲法第37条第1項にいう「公平な裁判所の裁判」の意義'''
##:憲法第37条の「公平な裁判所の裁判」というのは構成其他において偏頗の惧なき裁判所の裁判という意味である。かかる裁判所の裁判である以上個々の事件において法律の誤解又は事実の誤認等により偶々被告人に不利益な裁判がなされてもそれが一々同条に触れる違憲の裁判になるというものではない。されば本件判決裁判所が構成其他において偏頗の惧ある裁判所であつたことが主張立証せられない限り仮令原判決に所論の様な法律の誤解、事実の誤認又は記録調査の不充分等があつたと仮定しても同条違反の裁判とはいえない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56447 有毒飲食物等取締令違法](最高裁判決昭和23年11月17日)[[日本国憲法第31条|憲法31条]],[[日本国憲法第38条|憲法38条]],[[日本国憲法第76条|憲法76条]],裁判所法施行令1条,刑訴応急措置法12条1項,刑訴応急措置法12条,刑訴応急措置法17条,刑訴応急措置法10条,刑訴法337条
##'''関係人に対する検事の聴取書中の被告人の否認する部分の供述記載を証拠に採ることの可否と憲法第37条及び刑訴応急措置法第12条'''
##:検事の関係人に対する聴取書における事実を被告人が否認をしていても、裁判所は被告人の右供述を採用しないで、他の証拠を綜合して事実を認定できることは、寧ろ採証法上の原則であつて、[[弾劾主義]]に反するものでないことは固より憲法第37条の趣旨並びに刑訴応急措置法第12条の規定に毫も抵触するものではない。
##'''証拠の取捨選択の自由と憲法第37条第1項及び第76条第3項'''
##:論旨は、被告人がその犯意を否定するに足る事実を公判廷で供述したのを第二審が採用しなかつたことを原上告審に対して強調したのにもかからず、原上告審は右主張を無視したのは第二審の肩を持ちすぎたものであつて、憲法第37条第1項の公平な裁判所ということができないし又憲法第76条第3項にいう良心に従つて裁判をしたということができぬと云うのである。しかし憲法第37条第1項の公平な裁判所の裁判というのは、構成その他において偏頗の惧のない裁判所の裁判という意味であり、又憲法第76条第3項の裁判官が良心に従うというのは、裁判官が有形無形の外部の圧迫乃至誘惑に屈しないで自己内心の良識と道徳感に従うの意味である。されば原上告審が、証拠の取捨選択に事実審の専検に属するものとして第二審の事実認定を是認したのは当然であつて強いて公平を缺き且良心に従はないで裁判をしたと論難することはできない。
#<span id="昭和23年12月22日"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55242 窃盗](最高裁判所判決昭和23年12月22日)[[日本国憲法第38条|憲法第38条]]
#;裁判が迅速を欠き憲法第37条第1項に違反する場合と上告理由
#:裁判が迅速を欠き憲法第37条第1項に違反したとしても、それは判決に影響を及ぼさないことが明らかであるから、上告の理由とすることができない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56666 偽造公文書行使、公文書偽造、詐欺](最高裁判所判決昭和24年11月30日)[[日本国憲法第34条|憲法第34条]]
##'''裁判が迅速を欠いたことと上告理由'''
##:裁判が迅速を欠いたかどうかということは場合によつては係官の責任の問題を生ずるかも知れないけれども、そのため判決破毀の理由となるものではないこと当裁判所の判例とするところである。([[#昭和23年12月22日|昭和23年(れ)第1071号事件昭和23年12月22日大法廷言渡判決]])
##'''憲法第34条前段及び同法第37条第3項前段所定の弁護人に依頼する権利と裁判所検察官等の義務憲法第37条第3項と同条項後段の事由を告知すべき義務'''
##:所論憲法上の権利は被告人が自ら行使すべきもので裁判所、検察官等は被告人がこの権利を行使する機会を与え、その行使を妨げなければいいのである。記録を精査すると被告人は逮捕された日(昭和22年9月30日)に司法警察官の訊問を受けその際「今回の事件で弁護人を選任することができる」旨を告げられており更に同年10月2日附検事の訊問調書に論旨摘録の如き問答があるばかりでなく、判事の勾留訊問の際にも弁護人を選任し得ることが告げられている。されば被告人は逮捕直後勾留前に弁護人を依頼する機会を十分与えられたことを認むるに足り裁判所がこれを妨げた事実は亳も認められないし、被告人から国選弁護人選任の請求があつた事跡もない。しかして法は所論のようなことを特に被告人に告げる義務を裁判所に負わせているものではないから原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54342 建造物侵入](最高裁判決 昭和25年9月27日)[[日本国憲法第28条|憲法28条]],[[刑法第130条|刑法130条]],[[刑法第35条|刑法35条]],[[刑法第36条|刑法36条]],[[刑法第37条|刑法37条]],旧刑訴法69条1項
#;弁護人の氏名を判決書に記載することの要否
#:憲法第37条第3項は、刑事被告人は、いかなる場合にも資格を有する弁護人を依頼することができること、及び被告人が自らこれを依頼することができないときは国でこれを附する旨を規定しただけであつて、判決書に公判に立会つた弁護人の氏名を記載すべき旨を規定したものではない。そして旧刑訴法第69条第2項は判決書に関与した検察官の官氏名を記載すべき旨を規定しているが、公判に立会つた弁護人の氏名を記載すべき旨を規定していない。されば原判決書には、本件公判に立会つた弁護人の氏名を記載していないことは所論のとおりであるが、しかしその為何等旧刑訴法の条規に反するところはなく、また憲法第37条第3項に反するものでもない。そして判決書に公判に立会つた弁護人の氏名を記載しないからとて所論のように裁判の公正を疑わしめるものではない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54283 窃盗](最高裁判決 昭和25年9月27日)
#;憲法第37条2項と被告人に反対訊問の機会を与えないで作成された被害始末書等の証拠能力
#:憲法第37条第2項は、被告人に反対訊問の機会を与えないで作成された被害始末書等の証拠書類を証拠とすることを、絶対に禁止するものではない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57788 騒擾附和随行、騒擾助勢、騒擾指揮、騒擾首魁、外国人登録法違反、放火未遂、暴力行為等処罰に関する法律違反、外国人登録令違反](最高裁決定昭和53年9月4日)[[刑法第106条]], [[刑事訴訟法第1条]]
#;憲法37条1項の迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態が生じていないものとされた事例
#:被告人らに対する審理が、第一審において約16年ないし17年3か月、控訴審において約5年4か月を要し、今日では最初の起訴から約26年もの長期間が経過しているとしても、右審理長期化の原因が、事案の複雑困難、証拠の厖大、被告人の多数ということのほかに、被告人らにおいて執拗ないわゆる法廷闘争を展開したことにもあると認められる本件においては、いまだ憲法37条1項に定める迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態に立ち至つたものとはいえない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51209&hanreiKbn=02 業務上過失致死、同傷害](最高裁決定 昭和63年02月29日) [[刑法第54条]]1項,[[刑事訴訟法第250条|刑訴法第250条]],[[刑事訴訟法第253条|刑訴法第253条]]1項
#;迅速な裁判の保障との関係で公訴提起の遅延がいまだ著しいとまでは認められないとされた事例
#:公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされたとしても、複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であつてその解明に格別の困難があつたこと等の特殊事情があるときは、迅速な裁判の保障との関係において、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまではいえない。
#:*憲法37条1項違反をいう点は、本件公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされていることは所論指摘のとおりであるが、本件が複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であつて、事案の解明に格別の困難があつたこと等の特殊事情に照らすと、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまでは認められない。
#:*:理由が正当でない公訴提起の著しい遅延は憲法37条1項違反を問われうる。
----
{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]]
|[[日本国憲法第36条]]<br>【拷問・残虐刑の禁止】
|[[日本国憲法第38条]]<br>【不利益供述の不強要、自白の証拠能力】
}}
{{stub|law}}
[[category:日本国憲法|37]]
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246613
2024-04-12T17:09:36Z
Tomzo
248
/* 判例 */
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【刑事被告人の諸権利】
;第37条
#すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
#刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
#刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
==解説==
{{wikipedia}}
==参照条文==
*[[刑事訴訟法第30条]]
*[[刑事訴訟法第36条]]
*[[刑事訴訟法第37条]]
*[[刑事訴訟法第37条の2]]
*[[刑事訴訟法第37条の4]]
*[[刑事訴訟法第289条]]
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55216 公文書偽造、収賄](最高裁判決昭和23年5月5日)[[刑法第60条|刑法60条]]
##'''刑事訴訟法第360条第2項(現[[刑事訴訟法第335条]]第2項)の法意'''
##刑事訴訟法第360条第2項にいう法律上犯罪の成立を阻却すべき原由とは例へば刑法第35条乃至第37条【[[刑法第35条]]、[[刑法第36条|第36条]]、[[刑法第37条|第37条]]】所定の事由の如き刑法第2編各條所定の罪の構成要件は一応これを具備して居ながら尚罪の成立を阻却する事由をいうので所論の様な罪の構成要件を欠く旨の主張は前記法条所定の主張に該当しない。
##'''控訴の唯一の理由とこれに対する判断の要否'''
##控訴の唯一の理由であればどんな主張でも必ずこれに對する判断を判文中に明示しなければならないという法規も法理も存在しない。されば控訴審が罪の成立に何等影響の無い事柄に付き判断を示さなかつたことは仮令それが控訴の唯一の理由であつたとしても少しも違法ではない、無論違憲などいう問題ではない。
##'''憲法第37条第1項にいう「公平な裁判所の裁判」の意義'''
##:憲法第37条の「公平な裁判所の裁判」というのは構成其他において偏頗の惧なき裁判所の裁判という意味である。かかる裁判所の裁判である以上個々の事件において法律の誤解又は事実の誤認等により偶々被告人に不利益な裁判がなされてもそれが一々同条に触れる違憲の裁判になるというものではない。されば本件判決裁判所が構成其他において偏頗の惧ある裁判所であつたことが主張立証せられない限り仮令原判決に所論の様な法律の誤解、事実の誤認又は記録調査の不充分等があつたと仮定しても同条違反の裁判とはいえない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56447 有毒飲食物等取締令違法](最高裁判決昭和23年11月17日)[[日本国憲法第31条|憲法31条]],[[日本国憲法第38条|憲法38条]],[[日本国憲法第76条|憲法76条]],裁判所法施行令1条,刑訴応急措置法12条1項,刑訴応急措置法12条,刑訴応急措置法17条,刑訴応急措置法10条,刑訴法337条
##'''関係人に対する検事の聴取書中の被告人の否認する部分の供述記載を証拠に採ることの可否と憲法第37条及び刑訴応急措置法第12条'''
##:検事の関係人に対する聴取書における事実を被告人が否認をしていても、裁判所は被告人の右供述を採用しないで、他の証拠を綜合して事実を認定できることは、寧ろ採証法上の原則であつて、[[弾劾主義]]に反するものでないことは固より憲法第37条の趣旨並びに刑訴応急措置法第12条の規定に毫も抵触するものではない。
##'''証拠の取捨選択の自由と憲法第37条第1項及び第76条第3項'''
##:論旨は、被告人がその犯意を否定するに足る事実を公判廷で供述したのを第二審が採用しなかつたことを原上告審に対して強調したのにもかからず、原上告審は右主張を無視したのは第二審の肩を持ちすぎたものであつて、憲法第37条第1項の公平な裁判所ということができないし又憲法第76条第3項にいう良心に従つて裁判をしたということができぬと云うのである。しかし憲法第37条第1項の公平な裁判所の裁判というのは、構成その他において偏頗の惧のない裁判所の裁判という意味であり、又憲法第76条第3項の裁判官が良心に従うというのは、裁判官が有形無形の外部の圧迫乃至誘惑に屈しないで自己内心の良識と道徳感に従うの意味である。されば原上告審が、証拠の取捨選択に事実審の専検に属するものとして第二審の事実認定を是認したのは当然であつて強いて公平を缺き且良心に従はないで裁判をしたと論難することはできない。
#<span id="昭和23年12月22日"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55242 窃盗](最高裁判所判決昭和23年12月22日)[[日本国憲法第38条|憲法第38条]]
#;裁判が迅速を欠き憲法第37条第1項に違反する場合と上告理由
#:裁判が迅速を欠き憲法第37条第1項に違反したとしても、それは判決に影響を及ぼさないことが明らかであるから、上告の理由とすることができない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56666 偽造公文書行使、公文書偽造、詐欺](最高裁判所判決昭和24年11月30日)[[日本国憲法第34条|憲法第34条]]
##'''裁判が迅速を欠いたことと上告理由'''
##:裁判が迅速を欠いたかどうかということは場合によつては係官の責任の問題を生ずるかも知れないけれども、そのため判決破毀の理由となるものではないこと当裁判所の判例とするところである。([[#昭和23年12月22日|昭和23年(れ)第1071号事件昭和23年12月22日大法廷言渡判決]])
##'''憲法第34条前段及び同法第37条第3項前段所定の弁護人に依頼する権利と裁判所検察官等の義務憲法第37条第3項と同条項後段の事由を告知すべき義務'''
##:所論憲法上の権利は被告人が自ら行使すべきもので裁判所、検察官等は被告人がこの権利を行使する機会を与え、その行使を妨げなければいいのである。記録を精査すると被告人は逮捕された日(昭和22年9月30日)に司法警察官の訊問を受けその際「今回の事件で弁護人を選任することができる」旨を告げられており更に同年10月2日附検事の訊問調書に論旨摘録の如き問答があるばかりでなく、判事の勾留訊問の際にも弁護人を選任し得ることが告げられている。されば被告人は逮捕直後勾留前に弁護人を依頼する機会を十分与えられたことを認むるに足り裁判所がこれを妨げた事実は亳も認められないし、被告人から国選弁護人選任の請求があつた事跡もない。しかして法は所論のようなことを特に被告人に告げる義務を裁判所に負わせているものではないから原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54342 建造物侵入](最高裁判決 昭和25年9月27日)[[日本国憲法第28条|憲法28条]],[[刑法第130条|刑法130条]],[[刑法第35条|刑法35条]],[[刑法第36条|刑法36条]],[[刑法第37条|刑法37条]],旧刑訴法69条1項
#;弁護人の氏名を判決書に記載することの要否
#:憲法第37条第3項は、刑事被告人は、いかなる場合にも資格を有する弁護人を依頼することができること、及び被告人が自らこれを依頼することができないときは国でこれを附する旨を規定しただけであつて、判決書に公判に立会つた弁護人の氏名を記載すべき旨を規定したものではない。そして旧刑訴法第69条第2項は判決書に関与した検察官の官氏名を記載すべき旨を規定しているが、公判に立会つた弁護人の氏名を記載すべき旨を規定していない。されば原判決書には、本件公判に立会つた弁護人の氏名を記載していないことは所論のとおりであるが、しかしその為何等旧刑訴法の条規に反するところはなく、また憲法第37条第3項に反するものでもない。そして判決書に公判に立会つた弁護人の氏名を記載しないからとて所論のように裁判の公正を疑わしめるものではない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54283 窃盗](最高裁判決 昭和25年9月27日)
#;憲法第37条2項と被告人に反対訊問の機会を与えないで作成された被害始末書等の証拠能力
#:憲法第37条第2項は、被告人に反対訊問の機会を与えないで作成された被害始末書等の証拠書類を証拠とすることを、絶対に禁止するものではない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=59440 業務上過失傷害](最高裁判決 昭和45年9月24日)[[刑事訴訟法第388条|刑訴法388条]],[[日本国憲法第32条|憲法32条]],[[日本国憲法第37条|憲法37条]]
##'''刑訴法40条の合憲性'''
##:被告人が刑訴法40条に準拠して書類、証拠物の閲覧謄写ができないとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法32条、37条に違反するものでないことは、当裁判所の判例([[刑事訴訟法第335条#最高裁判決昭和23年5月5日|昭和22年(れ)第171号同23年5月5日大法廷判決刑集2巻5号447頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和25年2月1日|昭和23年(れ)第281号同25年2月1日大法廷判決刑集4巻2号88頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和24年3月23日|昭和23年(れ)第512号同24年3月23日大法廷判決刑集3巻3号352頁]])の趣旨に徴して明らかである。
##'''刑訴法388条の合憲性'''
##:被告人が刑訴法388条により控訴審では弁論能力を制限されているとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法32条、37条に違反するものでないことは、当裁判所の判例([[刑事訴訟法第335条#最高裁判決昭和23年5月5日|昭和22年(れ)第171号同23年5月5日大法廷判決刑集2巻5号447頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和25年2月1日|昭和23年(れ)第281号同25年2月1日大法廷判決刑集4巻2号88頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和24年3月23日|昭和23年(れ)第512号同24年3月23日大法廷判決刑集3巻3号352頁]])の趣旨に徴して明らかである。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57788 騒擾附和随行、騒擾助勢、騒擾指揮、騒擾首魁、外国人登録法違反、放火未遂、暴力行為等処罰に関する法律違反、外国人登録令違反](最高裁決定昭和53年9月4日)[[刑法第106条]], [[刑事訴訟法第1条]]
#;憲法37条1項の迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態が生じていないものとされた事例
#:被告人らに対する審理が、第一審において約16年ないし17年3か月、控訴審において約5年4か月を要し、今日では最初の起訴から約26年もの長期間が経過しているとしても、右審理長期化の原因が、事案の複雑困難、証拠の厖大、被告人の多数ということのほかに、被告人らにおいて執拗ないわゆる法廷闘争を展開したことにもあると認められる本件においては、いまだ憲法37条1項に定める迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態に立ち至つたものとはいえない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51209&hanreiKbn=02 業務上過失致死、同傷害](最高裁決定 昭和63年02月29日) [[刑法第54条]]1項,[[刑事訴訟法第250条|刑訴法第250条]],[[刑事訴訟法第253条|刑訴法第253条]]1項
#;迅速な裁判の保障との関係で公訴提起の遅延がいまだ著しいとまでは認められないとされた事例
#:公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされたとしても、複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であつてその解明に格別の困難があつたこと等の特殊事情があるときは、迅速な裁判の保障との関係において、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまではいえない。
#:*憲法37条1項違反をいう点は、本件公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされていることは所論指摘のとおりであるが、本件が複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であつて、事案の解明に格別の困難があつたこと等の特殊事情に照らすと、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまでは認められない。
#:*:理由が正当でない公訴提起の著しい遅延は憲法37条1項違反を問われうる。
----
{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]]
|[[日本国憲法第36条]]<br>【拷問・残虐刑の禁止】
|[[日本国憲法第38条]]<br>【不利益供述の不強要、自白の証拠能力】
}}
{{stub|law}}
[[category:日本国憲法|37]]
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2024-04-12T17:12:06Z
Tomzo
248
/* 判例 */
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【刑事被告人の諸権利】
;第37条
#すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
#刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
#刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
==解説==
{{wikipedia}}
==参照条文==
*[[刑事訴訟法第30条]]
*[[刑事訴訟法第36条]]
*[[刑事訴訟法第37条]]
*[[刑事訴訟法第37条の2]]
*[[刑事訴訟法第37条の4]]
*[[刑事訴訟法第289条]]
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55216 公文書偽造、収賄](最高裁判決昭和23年5月5日)[[刑法第60条|刑法60条]]
##'''刑事訴訟法第360条第2項(現[[刑事訴訟法第335条]]第2項)の法意'''
##:刑事訴訟法第360条第2項にいう法律上犯罪の成立を阻却すべき原由とは例へば刑法第35条乃至第37条【[[刑法第35条]]、[[刑法第36条|第36条]]、[[刑法第37条|第37条]]】所定の事由の如き刑法第2編各條所定の罪の構成要件は一応これを具備して居ながら尚罪の成立を阻却する事由をいうので所論の様な罪の構成要件を欠く旨の主張は前記法条所定の主張に該当しない。
##'''控訴の唯一の理由とこれに対する判断の要否'''
##:控訴の唯一の理由であればどんな主張でも必ずこれに對する判断を判文中に明示しなければならないという法規も法理も存在しない。されば控訴審が罪の成立に何等影響の無い事柄に付き判断を示さなかつたことは仮令それが控訴の唯一の理由であつたとしても少しも違法ではない、無論違憲などいう問題ではない。
##'''憲法第37条第1項にいう「公平な裁判所の裁判」の意義'''
##:憲法第37条の「公平な裁判所の裁判」というのは構成其他において偏頗の惧なき裁判所の裁判という意味である。かかる裁判所の裁判である以上個々の事件において法律の誤解又は事実の誤認等により偶々被告人に不利益な裁判がなされてもそれが一々同条に触れる違憲の裁判になるというものではない。されば本件判決裁判所が構成其他において偏頗の惧ある裁判所であつたことが主張立証せられない限り仮令原判決に所論の様な法律の誤解、事実の誤認又は記録調査の不充分等があつたと仮定しても同条違反の裁判とはいえない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56447 有毒飲食物等取締令違法](最高裁判決昭和23年11月17日)[[日本国憲法第31条|憲法31条]],[[日本国憲法第38条|憲法38条]],[[日本国憲法第76条|憲法76条]],裁判所法施行令1条,刑訴応急措置法12条1項,刑訴応急措置法12条,刑訴応急措置法17条,刑訴応急措置法10条,刑訴法337条
##'''関係人に対する検事の聴取書中の被告人の否認する部分の供述記載を証拠に採ることの可否と憲法第37条及び刑訴応急措置法第12条'''
##:検事の関係人に対する聴取書における事実を被告人が否認をしていても、裁判所は被告人の右供述を採用しないで、他の証拠を綜合して事実を認定できることは、寧ろ採証法上の原則であつて、[[弾劾主義]]に反するものでないことは固より憲法第37条の趣旨並びに刑訴応急措置法第12条の規定に毫も抵触するものではない。
##'''証拠の取捨選択の自由と憲法第37条第1項及び第76条第3項'''
##:論旨は、被告人がその犯意を否定するに足る事実を公判廷で供述したのを第二審が採用しなかつたことを原上告審に対して強調したのにもかからず、原上告審は右主張を無視したのは第二審の肩を持ちすぎたものであつて、憲法第37条第1項の公平な裁判所ということができないし又憲法第76条第3項にいう良心に従つて裁判をしたということができぬと云うのである。しかし憲法第37条第1項の公平な裁判所の裁判というのは、構成その他において偏頗の惧のない裁判所の裁判という意味であり、又憲法第76条第3項の裁判官が良心に従うというのは、裁判官が有形無形の外部の圧迫乃至誘惑に屈しないで自己内心の良識と道徳感に従うの意味である。されば原上告審が、証拠の取捨選択に事実審の専検に属するものとして第二審の事実認定を是認したのは当然であつて強いて公平を缺き且良心に従はないで裁判をしたと論難することはできない。
#<span id="昭和23年12月22日"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55242 窃盗](最高裁判所判決昭和23年12月22日)[[日本国憲法第38条|憲法第38条]]
#;裁判が迅速を欠き憲法第37条第1項に違反する場合と上告理由
#:裁判が迅速を欠き憲法第37条第1項に違反したとしても、それは判決に影響を及ぼさないことが明らかであるから、上告の理由とすることができない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56666 偽造公文書行使、公文書偽造、詐欺](最高裁判所判決昭和24年11月30日)[[日本国憲法第34条|憲法第34条]]
##'''裁判が迅速を欠いたことと上告理由'''
##:裁判が迅速を欠いたかどうかということは場合によつては係官の責任の問題を生ずるかも知れないけれども、そのため判決破毀の理由となるものではないこと当裁判所の判例とするところである。([[#昭和23年12月22日|昭和23年(れ)第1071号事件昭和23年12月22日大法廷言渡判決]])
##'''憲法第34条前段及び同法第37条第3項前段所定の弁護人に依頼する権利と裁判所検察官等の義務憲法第37条第3項と同条項後段の事由を告知すべき義務'''
##:所論憲法上の権利は被告人が自ら行使すべきもので裁判所、検察官等は被告人がこの権利を行使する機会を与え、その行使を妨げなければいいのである。記録を精査すると被告人は逮捕された日(昭和22年9月30日)に司法警察官の訊問を受けその際「今回の事件で弁護人を選任することができる」旨を告げられており更に同年10月2日附検事の訊問調書に論旨摘録の如き問答があるばかりでなく、判事の勾留訊問の際にも弁護人を選任し得ることが告げられている。されば被告人は逮捕直後勾留前に弁護人を依頼する機会を十分与えられたことを認むるに足り裁判所がこれを妨げた事実は亳も認められないし、被告人から国選弁護人選任の請求があつた事跡もない。しかして法は所論のようなことを特に被告人に告げる義務を裁判所に負わせているものではないから原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54342 建造物侵入](最高裁判決 昭和25年9月27日)[[日本国憲法第28条|憲法28条]],[[刑法第130条|刑法130条]],[[刑法第35条|刑法35条]],[[刑法第36条|刑法36条]],[[刑法第37条|刑法37条]],旧刑訴法69条1項
#;弁護人の氏名を判決書に記載することの要否
#:憲法第37条第3項は、刑事被告人は、いかなる場合にも資格を有する弁護人を依頼することができること、及び被告人が自らこれを依頼することができないときは国でこれを附する旨を規定しただけであつて、判決書に公判に立会つた弁護人の氏名を記載すべき旨を規定したものではない。そして旧刑訴法第69条第2項は判決書に関与した検察官の官氏名を記載すべき旨を規定しているが、公判に立会つた弁護人の氏名を記載すべき旨を規定していない。されば原判決書には、本件公判に立会つた弁護人の氏名を記載していないことは所論のとおりであるが、しかしその為何等旧刑訴法の条規に反するところはなく、また憲法第37条第3項に反するものでもない。そして判決書に公判に立会つた弁護人の氏名を記載しないからとて所論のように裁判の公正を疑わしめるものではない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54283 窃盗](最高裁判決 昭和25年9月27日)
#;憲法第37条2項と被告人に反対訊問の機会を与えないで作成された被害始末書等の証拠能力
#:憲法第37条第2項は、被告人に反対訊問の機会を与えないで作成された被害始末書等の証拠書類を証拠とすることを、絶対に禁止するものではない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=59440 業務上過失傷害](最高裁判決 昭和45年9月24日)[[刑事訴訟法第388条|刑訴法388条]],[[日本国憲法第32条|憲法32条]],[[日本国憲法第37条|憲法37条]]
##'''刑訴法40条の合憲性'''
##:被告人が刑訴法40条に準拠して書類、証拠物の閲覧謄写ができないとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法32条、37条に違反するものでないことは、当裁判所の判例([[刑事訴訟法第335条#最高裁判決昭和23年5月5日|昭和22年(れ)第171号同23年5月5日大法廷判決刑集2巻5号447頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和25年2月1日|昭和23年(れ)第281号同25年2月1日大法廷判決刑集4巻2号88頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和24年3月23日|昭和23年(れ)第512号同24年3月23日大法廷判決刑集3巻3号352頁]])の趣旨に徴して明らかである。
##'''刑訴法388条の合憲性'''
##:被告人が刑訴法388条により控訴審では弁論能力を制限されているとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法32条、37条に違反するものでないことは、当裁判所の判例([[刑事訴訟法第335条#最高裁判決昭和23年5月5日|昭和22年(れ)第171号同23年5月5日大法廷判決刑集2巻5号447頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和25年2月1日|昭和23年(れ)第281号同25年2月1日大法廷判決刑集4巻2号88頁]]、[[日本国憲法第32条#最高裁判決昭和24年3月23日|昭和23年(れ)第512号同24年3月23日大法廷判決刑集3巻3号352頁]])の趣旨に徴して明らかである。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57788 騒擾附和随行、騒擾助勢、騒擾指揮、騒擾首魁、外国人登録法違反、放火未遂、暴力行為等処罰に関する法律違反、外国人登録令違反](最高裁決定昭和53年9月4日)[[刑法第106条]], [[刑事訴訟法第1条]]
#;憲法37条1項の迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態が生じていないものとされた事例
#:被告人らに対する審理が、第一審において約16年ないし17年3か月、控訴審において約5年4か月を要し、今日では最初の起訴から約26年もの長期間が経過しているとしても、右審理長期化の原因が、事案の複雑困難、証拠の厖大、被告人の多数ということのほかに、被告人らにおいて執拗ないわゆる法廷闘争を展開したことにもあると認められる本件においては、いまだ憲法37条1項に定める迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態に立ち至つたものとはいえない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51209&hanreiKbn=02 業務上過失致死、同傷害](最高裁決定 昭和63年02月29日) [[刑法第54条]]1項,[[刑事訴訟法第250条|刑訴法第250条]],[[刑事訴訟法第253条|刑訴法第253条]]1項
#;迅速な裁判の保障との関係で公訴提起の遅延がいまだ著しいとまでは認められないとされた事例
#:公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされたとしても、複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であつてその解明に格別の困難があつたこと等の特殊事情があるときは、迅速な裁判の保障との関係において、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまではいえない。
#:*憲法37条1項違反をいう点は、本件公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされていることは所論指摘のとおりであるが、本件が複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であつて、事案の解明に格別の困難があつたこと等の特殊事情に照らすと、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまでは認められない。
#:*:理由が正当でない公訴提起の著しい遅延は憲法37条1項違反を問われうる。
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{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]]
|[[日本国憲法第36条]]<br>【拷問・残虐刑の禁止】
|[[日本国憲法第38条]]<br>【不利益供述の不強要、自白の証拠能力】
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[[category:日本国憲法|37]]
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日本国憲法第36条
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text/x-wiki
[[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【拷問・残虐刑の禁止】
;第36条
:公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
==解説==
{{wikipedia}}
==参照条文==
==判例==
#<span id="死刑合憲判決"/>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56385&hanreiKbn=02 尊属殺、殺人、死体遺棄](最高裁判決 昭和23年03月12日)
#;死刑の合憲性
#:死刑そのものは憲法第36条にいわゆる「殘虐な刑罰」ではなく、したがつて刑法死刑の規定は憲法違反ではない。
#:*[[日本国憲法第13条|憲法第13条]]においては、すべて国民は個人として尊重せられ、生命に対する国民の権利については、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする旨を規定している。しかし、同時に同条においては、公共の福祉に反しない限りという厳格な枠をはめているから、'''もし公共の福祉という基本的原則に反する場合には、生命に対する国民の権利といえども立法上制限乃至剥奪される'''ことを当然予想している。
#:*[[日本国憲法第31条|憲法第31条]]によれば、国民個人の生命の尊貴といえども、法律の定める適理の手続によつて、これを奪う刑罰を科せられることが、明かに定められている。
#:*憲法は、現代多数の文化国家におけると同様に、刑罰として死刑の存置を想定し、これを是認したものと解すべきである。言葉をかえれば、死刑の威嚇力によつて'''一般予防'''をなし、死刑の執行によつて特殊な社会悪の根元を絶ち、これをもつて社会を防衛せんとしたものであり、また個体に対する人道観の上に全体に対する人道観を優位せしめ、結局社会公共の福祉のために死刑制度の存続の必要性を承認したものと解せられる。
#:*残虐な執行方法を定める法律が制定されたとするならば、その法律こそは、まさに憲法第36条に違反するものというべき。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55357&hanreiKbn=02 強盗殺人未遂、銃砲等保持禁止令違反](最高裁判決 昭和24年12月21日)
#;死刑及無期懲役刑の合憲性−死刑と無期懲役刑との本質的相異
#:死刑そのものは憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」に当らないとすることは当裁判所の判例とするところである([[#死刑合憲判決|昭和22年(れ)第119号昭和22年3月12日大法廷判決]]参照)。既に現行制度における死刑それ自体が然りとすれば同様に現行制度における無期懲役刑そのものも亦残虐な刑罰といゝ得ないことは一層当然であろう。
#:論旨は死刑はその与へる苦痛が瞬間的であるに反し、無期自由刑は犯人の生涯を通じ永続的に人間存在の前提ともいうべき自由を剥奪し、必要以上の精神的肉体的苦痛を与え死刑に比して却つて残虐であるといわねばならないと主張する。無期自由刑が観念的には−仮出獄、刑の執行停止、恩赦等の制度のあることを度外視すれば−犯人の一生を通じその自由を剥奪せんとするものであることは所論のとおりであるが、俗に「命あつてのもの種」といわれるやうに、論旨が人間存在の前提であるとする<u>自由そのものは実は生命の存在を前提とするものであり、生命の剥奪は、すべての自由の絶対的剥奪となる</u>。人は本能的にその自由よりもその生命を尊重し、生命の剥奪を自由のそれにも増して嫌惡悪し恐怖するのが通常である。尤も特殊の人が特殊の事情の下に無期自由刑よりも死刑を選ぶようなこともないではないであろう。しかしそれはあくまで稀有な例外的事例に過ぎないのであつてこれを以て一般を律することはできない。さればわが刑法においても現代文明各国の立法例と共に死刑を以て最重の刑とし無期自由刑をこれに次ぐものとしているのである([[刑法第10条]]参照)。
#:のみならず<u>科刑の目的は受刑者その人を対象とする特別予防の他に社会を犯罪から防衛せんとする一般予防の面もあるのであるから、刑の種類及び量の適否と要否とについてもこの両者の立場から考察されなければならない</u>。そして又犯罪と犯人とがその型と質とを異にするに従いこれに対応する刑罰も亦その量及種類を異にせざるを得ないのである。死刑の以てしては過酷に失し有期の自由刑を以てしてはなお足りないとする場合もあり得るのであるから、法律が無期自由刑を認めたからというて、唯特殊の受刑者の個人的立場からのみこれを目して必要以上にその精神的肉体的苦痛を与へる残虐な刑罰を規定するものとし、違憲であると断じ去ることはできない。
#:しかも近時における行刑制度は素朴な応報刑主義の見地のみによらず教育刑主義にも立脚して組織され運用されているのである。すなわち<u>現代の行刑は、無期自由刑の受刑者に対してもでき得る限りその物心両生活においてその反省の機会を与え人間生活の広さと深さとを味得せしめてその更生を誘致すべく努力する</u>のである。所論は人間の生命に対する本能を顧みず刑の真義と行刑の実情とを正規しない偏見に過ぎない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55648&hanreiKbn=02 強盗殺人、同未遂、殺人予備、私文書偽造、偽造私文書行使、詐欺、詐欺未遂](最高裁判決 昭和30年04月06日)
#;絞首刑の合憲性
#:現在わが国の採用している方法による絞首刑は憲法第36条にいう「残虐な刑罰」にあたらない。
#:*現在各国において採用している死刑執行方法は、絞殺、斬殺、銃殺、電気殺、瓦斯殺等であるが、これらの比較考量において一長一短の批判があるけれども、現在わが国の採用している絞首方法が他の方法に比して特に人道上残虐であるとする理由は認められない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51237&hanreiKbn=02 電車顛覆致死、偽証]([[w:三鷹事件|三鷹事件]] 最高裁判決 昭和30年06月22日)
#:[[刑法第127条]]が、[[刑法第126条]]第3項の例により汽車または電車の顛覆若しくは破壊による人の致死の場合に、死刑をもつて処断し得ることを定めても、[[日本国憲法第13条|第13条]]、憲法第36条に違反しない。
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{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]]
|[[日本国憲法第35条]]<br>【住居の侵入、捜索・押収の要件】
|[[日本国憲法第37条]]<br>【刑事被告人の諸権利】
}}
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[[category:日本国憲法|36]]
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2024-04-12T16:53:57Z
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wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【拷問・残虐刑の禁止】
;第36条
:公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
==解説==
{{wikipedia}}
==参照条文==
==判例==
#<span id="死刑合憲判決"/>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56385&hanreiKbn=02 尊属殺、殺人、死体遺棄](最高裁判決 昭和23年03月12日)
#;死刑の合憲性
#:死刑そのものは憲法第36条にいわゆる「殘虐な刑罰」ではなく、したがつて刑法死刑の規定は憲法違反ではない。
#:*[[日本国憲法第13条|憲法第13条]]においては、すべて国民は個人として尊重せられ、生命に対する国民の権利については、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする旨を規定している。しかし、同時に同条においては、公共の福祉に反しない限りという厳格な枠をはめているから、'''もし公共の福祉という基本的原則に反する場合には、生命に対する国民の権利といえども立法上制限乃至剥奪される'''ことを当然予想している。
#:*[[日本国憲法第31条|憲法第31条]]によれば、国民個人の生命の尊貴といえども、法律の定める適理の手続によつて、これを奪う刑罰を科せられることが、明かに定められている。
#:*憲法は、現代多数の文化国家におけると同様に、刑罰として死刑の存置を想定し、これを是認したものと解すべきである。言葉をかえれば、死刑の威嚇力によつて'''一般予防'''をなし、死刑の執行によつて特殊な社会悪の根元を絶ち、これをもつて社会を防衛せんとしたものであり、また個体に対する人道観の上に全体に対する人道観を優位せしめ、結局社会公共の福祉のために死刑制度の存続の必要性を承認したものと解せられる。
#:*残虐な執行方法を定める法律が制定されたとするならば、その法律こそは、まさに憲法第36条に違反するものというべき。
#<span id="残虐な刑罰"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55222 村会議員選挙罰則違反](最高裁判例 昭和23年6月23日)
#;憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」の意義
#:憲法第36条は「公務員による拷問及残虐な、刑罰は、絶対にこれを禁ずる」と規定しているが、ここにいわゆる「残虐な刑罰」とは不必要な精神的肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰を意味するのである。事実審の裁判官が、普通の刑を法律において許された範囲内で量定した場合においてそれが被告人の側から観て過重の刑であるとしても、これももつて直ちに所論のごとく憲法にいわゆる「残虐な刑罰」と呼ぶことはできない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55357&hanreiKbn=02 強盗殺人未遂、銃砲等保持禁止令違反](最高裁判決 昭和24年12月21日)
#;死刑及無期懲役刑の合憲性−死刑と無期懲役刑との本質的相異
#:死刑そのものは憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」に当らないとすることは当裁判所の判例とするところである([[#死刑合憲判決|昭和22年(れ)第119号昭和22年3月12日大法廷判決]]参照)。既に現行制度における死刑それ自体が然りとすれば同様に現行制度における無期懲役刑そのものも亦残虐な刑罰といゝ得ないことは一層当然であろう。
#:論旨は死刑はその与へる苦痛が瞬間的であるに反し、無期自由刑は犯人の生涯を通じ永続的に人間存在の前提ともいうべき自由を剥奪し、必要以上の精神的肉体的苦痛を与え死刑に比して却つて残虐であるといわねばならないと主張する。無期自由刑が観念的には−仮出獄、刑の執行停止、恩赦等の制度のあることを度外視すれば−犯人の一生を通じその自由を剥奪せんとするものであることは所論のとおりであるが、俗に「命あつてのもの種」といわれるやうに、論旨が人間存在の前提であるとする<u>自由そのものは実は生命の存在を前提とするものであり、生命の剥奪は、すべての自由の絶対的剥奪となる</u>。人は本能的にその自由よりもその生命を尊重し、生命の剥奪を自由のそれにも増して嫌惡悪し恐怖するのが通常である。尤も特殊の人が特殊の事情の下に無期自由刑よりも死刑を選ぶようなこともないではないであろう。しかしそれはあくまで稀有な例外的事例に過ぎないのであつてこれを以て一般を律することはできない。さればわが刑法においても現代文明各国の立法例と共に死刑を以て最重の刑とし無期自由刑をこれに次ぐものとしているのである([[刑法第10条]]参照)。
#:のみならず<u>科刑の目的は受刑者その人を対象とする特別予防の他に社会を犯罪から防衛せんとする一般予防の面もあるのであるから、刑の種類及び量の適否と要否とについてもこの両者の立場から考察されなければならない</u>。そして又犯罪と犯人とがその型と質とを異にするに従いこれに対応する刑罰も亦その量及種類を異にせざるを得ないのである。死刑の以てしては過酷に失し有期の自由刑を以てしてはなお足りないとする場合もあり得るのであるから、法律が無期自由刑を認めたからというて、唯特殊の受刑者の個人的立場からのみこれを目して必要以上にその精神的肉体的苦痛を与へる残虐な刑罰を規定するものとし、違憲であると断じ去ることはできない。
#:しかも近時における行刑制度は素朴な応報刑主義の見地のみによらず教育刑主義にも立脚して組織され運用されているのである。すなわち<u>現代の行刑は、無期自由刑の受刑者に対してもでき得る限りその物心両生活においてその反省の機会を与え人間生活の広さと深さとを味得せしめてその更生を誘致すべく努力する</u>のである。所論は人間の生命に対する本能を顧みず刑の真義と行刑の実情とを正規しない偏見に過ぎない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56524 食糧管理法違反](最高裁判例 昭和25年2月1日)
#;憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」
#:憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」とは刑罰そのものが人道上残酷と認められる刑罰を意味し、法定刑の種類の選択又は範囲の量定の不当を指すものではない([[#残虐な刑罰|昭和22年(れ)第323号同23年6月23日宣告大法廷判決参照]])。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55648&hanreiKbn=02 強盗殺人、同未遂、殺人予備、私文書偽造、偽造私文書行使、詐欺、詐欺未遂](最高裁判決 昭和30年04月06日)
#;絞首刑の合憲性
#:現在わが国の採用している方法による絞首刑は憲法第36条にいう「残虐な刑罰」にあたらない。
#:*現在各国において採用している死刑執行方法は、絞殺、斬殺、銃殺、電気殺、瓦斯殺等であるが、これらの比較考量において一長一短の批判があるけれども、現在わが国の採用している絞首方法が他の方法に比して特に人道上残虐であるとする理由は認められない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51237&hanreiKbn=02 電車顛覆致死、偽証]([[w:三鷹事件|三鷹事件]] 最高裁判決 昭和30年06月22日)
#:[[刑法第127条]]が、[[刑法第126条]]第3項の例により汽車または電車の顛覆若しくは破壊による人の致死の場合に、死刑をもつて処断し得ることを定めても、[[日本国憲法第13条|第13条]]、憲法第36条に違反しない。
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|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]]
|[[日本国憲法第35条]]<br>【住居の侵入、捜索・押収の要件】
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[[category:日本国憲法|36]]
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日本国憲法第32条
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text/x-wiki
[[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【裁判を受ける権利】
;第32条
:何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
==解説==
{{wikipedia}}
==参照条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56557 町村長選挙罰則違反](最高裁判決 昭和24年3月23日)
#;管轄違の裁判と憲法第32条
#:憲法第32条の趣旨は凡て国民は憲法又は法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける権利を有し裁判所以外の機關によつて裁判をされることはないことを保障したものであつて訴訟法で定める管轄権を有する具體的裁判所において裁判を受ける権利を保障したものではない。従つて假りに所論の如く本件公判請求書は昭和22年5月2日に福知山區裁判所において受理したものではなくて同年同月5日京都地方裁判所福知山支部が受理したものであるとしても、その違法はただ管轄違の裁判所のなした第二審判決を原審が是認したという刑事訴訟法上の違背があるということに歸着するだけであつて、そのために原判決を目して憲法違反のものであるとはいい得ない。従つて原判決は憲法に違反することを主張する。論旨は再上告適法の理由とはならない。
#<span id="最高裁判決昭和25年2月1日"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56524 食糧管理法違反](最高裁判決 昭和25年2月1日)[[日本国憲法第36条|憲法第36条]]
##'''刑訴応急措置法第13条第2項と憲法第32条'''
##:所論憲法第32条は、何人も裁判所において裁判を受ける権利であることを規定したに過ぎないもので、如何なる裁判所において、裁判を受くべきかの裁判所の組織、権限等については、すべて法律において諸般の事情を勘案して決定すべき立法政策の問題であつて、憲法には[[日本国憲法第91条|第91条]]を除くの外特にこれを制限する何等の規定も存しない。従つて三審制を採用する裁判制度において、上告審を純然たる法律審すなわち法令違反を理由とするときに限り上告を為すことを得るものとするか、又は法令違反の外に量刑不当乃至事実誤認の上告理由をも認めて事実審理をも行うものとするかは、立法を以て適当に決定すべき事項に属する。されば旧憲法時代の訴訟手続において刑訴法第412条の規定により量刑不当の上告理由を許していたにかかわらず、刑訴応急措置法第13条第2項の規定において右刑訴法の規定を適用しないものと規定しからと云つてその規定を目して右憲法規定の違反なりとする所論は当を得ない。(昭和22年(れ)第56号同23年2月6日宣告大法廷判決参照)。
##'''憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」'''
##:憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」とは刑罰そのものが人道上残酷と認められる刑罰を意味し、法定刑の種類の選択又は範囲の量定の不当を指すものではない([[日本国憲法第36条#残虐な刑罰|昭和22年(れ)第323号同23年6月23日宣告大法廷判決参照]])。
##'''食糧管理法の目的と国民の生存権'''
##:食糧管理法はその主要な目的手段として国民全体の食生活を安定確保するため、食糧生産者から余剰食糧を供出せしめ一般消費者にでき得る限り多く分配せんとするものであるから、国民食糧生産者は、この法律によつて直接その生命又は生活を害せられることなく、また一般消費者はこの法律によつて寧ろその生命又は生活を保障せられるのであるから、所論のごとく憲法の保障する国民の生存権を否定するものではなく、寧ろこれを保護するものである。また、同法並びにその附属法令は、第二次的手段として、主要食糧の讓渡又は移動等を一般的に禁止又は制限し若しくは配給量につき一定の限度を設け得るものとしたが同時にその讓渡、移動等については許可を認め配給については増配給食等の特別配給の方法をも認めているからこの点からしても所論のごとく同法をもつて合理性を欠き又は社会の現実に合はない国民のひとしく守り得ない。結局国民の生存権を否定する法令であると云うことはできない。(昭和23年(れ)第205号同年9月29日宣告大法廷判決参照)。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51193&hanreiKbn=02 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反]('''[[私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第3条#石油価格カルテル|石油価格カルテル刑事事件]]''' 最高裁判決 昭和59年02月24日)
#;独禁法85条3号の規定と憲法14条1項、31条、32条
#:独禁法89条から91条までの罪に係る訴訟につき二審制を定めた[[私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第85条|同法85条]]3号の規定は、憲法14条1項、31条、32条に違反しない。
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{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]]
|[[日本国憲法第31条]]<br>【法定手続の補償】
|[[日本国憲法第33条]]<br>【逮捕の要件】
}}
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[[category:日本国憲法|32]]
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text/x-wiki
[[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【裁判を受ける権利】
;第32条
:何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
==解説==
{{wikipedia}}
==参照条文==
==判例==
#<span id="最高裁判決昭和24年3月23日"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56557 町村長選挙罰則違反](最高裁判決 昭和24年3月23日)
#;管轄違の裁判と憲法第32条
#:憲法第32条の趣旨は凡て国民は憲法又は法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける権利を有し裁判所以外の機関によつて裁判をされることはないことを保障したものであつて訴訟法で定める管轄権を有する具体的裁判所において裁判を受ける権利を保障したものではない。従つて仮に所論の如く本件公判請求書は昭和22年5月2日に福知山区裁判所において受理したものではなくて同年同月5日京都地方裁判所福知山支部が受理したものであるとしても、その違法はただ管轄違の裁判所のなした第二審判決を原審が是認したという刑事訴訟法上の違背があるということに帰着するだけであつて、そのために原判決を目して憲法違反のものであるとはいい得ない。従つて原判決は憲法に違反することを主張する。論旨は再上告適法の理由とはならない。
#<span id="最高裁判決昭和25年2月1日"/>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56524 食糧管理法違反](最高裁判決 昭和25年2月1日)[[日本国憲法第36条|憲法第36条]]
##'''刑訴応急措置法第13条第2項と憲法第32条'''
##:所論憲法第32条は、何人も裁判所において裁判を受ける権利であることを規定したに過ぎないもので、如何なる裁判所において、裁判を受くべきかの裁判所の組織、権限等については、すべて法律において諸般の事情を勘案して決定すべき立法政策の問題であつて、憲法には[[日本国憲法第91条|第91条]]を除くの外特にこれを制限する何等の規定も存しない。従つて三審制を採用する裁判制度において、上告審を純然たる法律審すなわち法令違反を理由とするときに限り上告を為すことを得るものとするか、又は法令違反の外に量刑不当乃至事実誤認の上告理由をも認めて事実審理をも行うものとするかは、立法を以て適当に決定すべき事項に属する。されば旧憲法時代の訴訟手続において刑訴法第412条の規定により量刑不当の上告理由を許していたにかかわらず、刑訴応急措置法第13条第2項の規定において右刑訴法の規定を適用しないものと規定しからと云つてその規定を目して右憲法規定の違反なりとする所論は当を得ない。(昭和22年(れ)第56号同23年2月6日宣告大法廷判決参照)。
##'''憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」'''
##:憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」とは刑罰そのものが人道上残酷と認められる刑罰を意味し、法定刑の種類の選択又は範囲の量定の不当を指すものではない([[日本国憲法第36条#残虐な刑罰|昭和22年(れ)第323号同23年6月23日宣告大法廷判決参照]])。
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##:食糧管理法はその主要な目的手段として国民全体の食生活を安定確保するため、食糧生産者から余剰食糧を供出せしめ一般消費者にでき得る限り多く分配せんとするものであるから、国民食糧生産者は、この法律によつて直接その生命又は生活を害せられることなく、また一般消費者はこの法律によつて寧ろその生命又は生活を保障せられるのであるから、所論のごとく憲法の保障する国民の生存権を否定するものではなく、寧ろこれを保護するものである。また、同法並びにその附属法令は、第二次的手段として、主要食糧の讓渡又は移動等を一般的に禁止又は制限し若しくは配給量につき一定の限度を設け得るものとしたが同時にその讓渡、移動等については許可を認め配給については増配給食等の特別配給の方法をも認めているからこの点からしても所論のごとく同法をもつて合理性を欠き又は社会の現実に合はない国民のひとしく守り得ない。結局国民の生存権を否定する法令であると云うことはできない。(昭和23年(れ)第205号同年9月29日宣告大法廷判決参照)。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51193&hanreiKbn=02 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反]('''[[私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第3条#石油価格カルテル|石油価格カルテル刑事事件]]''' 最高裁判決 昭和59年02月24日)
#;独禁法85条3号の規定と憲法14条1項、31条、32条
#:独禁法89条から91条までの罪に係る訴訟につき二審制を定めた[[私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第85条|同法85条]]3号の規定は、憲法14条1項、31条、32条に違反しない。
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{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#3|第3章 国民の権利及び義務]]
|[[日本国憲法第31条]]<br>【法定手続の補償】
|[[日本国憲法第33条]]<br>【逮捕の要件】
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[[category:日本国憲法|32]]
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Forth
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2024-04-13T00:13:10Z
Ef3
694
/*はじめに*/ Forthはスタック指向のプログラミング言語であり、そのシンプルさと柔軟性から広く用いられています。 本書は、プログラマがForthを効果的に使いこなすための手引書として設計されています。例示や実践的なヒントが豊富に盛り込まれており、読者は理論を理解しながら実際のプロジェクトに応用できるでしょう。 本書を通じて、Forthの魅力と実力を十分に体感し、その利用価値を最大限に引き出すことができるでしょう。 本書では、ForthのCore Word Setに準拠した標準的なForthシステムを題材とします。
wikitext
text/x-wiki
== はじめに ==
Forthはスタック指向のプログラミング言語であり、そのシンプルさと柔軟性から広く用いられています。
本書は、プログラマがForthを効果的に使いこなすための手引書として設計されています。例示や実践的なヒントが豊富に盛り込まれており、読者は理論を理解しながら実際のプロジェクトに応用できるでしょう。
本書を通じて、Forthの魅力と実力を十分に体感し、その利用価値を最大限に引き出すことができるでしょう。
本書では、ForthのCore Word Setに準拠した標準的なForthシステムを題材とします。
== Forthプログラミングの基礎 ==
Forthはスタック指向のプログラミング言語であり、独自の特徴を持っています。以下では、Forthプログラミングの基礎を解説します。
=== スタック操作 ===
[[スタック構造|スタック]]は、Forthにおける中心的なデータ構造です。ほとんどのワードは、スタックから値を取り出したり、スタックに値を代入したりします。スタックは、後入れ先出し(LIFO; Last In First Out)のデータ構造で、Forthの演算はスタック上で行われます。
=== 例 ===
以下は、Forthでの簡単な計算の例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
3 4 + .
</syntaxhighlight>
: まず<code>3</code>をスタックに置き、<code>4 + .</code> を解釈します。
: 次に、<code>4</code>をスタックに置き、<code>3 4</code> となり、<code>+ .</code> が残ります。
: そして、<code>+</code> はスタックのトップの2つの要素を加算して結果を戻し、スタックには<code>7</code>だけが残ります。
: 最後に、<code>.</code>(ドット)はスタックから<code>7</code>を取り除いてそれを表示します。
:{|
|-
!コード!!style='width:3em'| 3 !!style='width:3em'| 4 !!style='width:3em'| + !!style='width:3em'| .
|-
!スタックトップ
|style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 4 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 7 ||
|-
!
| ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 || ||
|-
!出力
| || || ||style="text-align:center; font-weight: bold"| 7
|}
=== コメント ===
Forthでは、コメントは括弧で囲んで表現されます。例えば:
:<syntaxhighlight lang=forth>
( これはコメントです )
</syntaxhighlight>
<code>/</code> から行末までもコメントです
:<syntaxhighlight lang=forth>
3 4 + \ 3 + 4 の結果をスタックトップに残す
</syntaxhighlight>
コメントは、インタプリタの動作に影響を与えません。
=== スタックエフェクト ===
Forthの各ワードは、スタック上で特定の操作を行います。ワードのドキュメントでは、それがスタックに対してどのような影響を与えるかを示す記述があります。例えば:
:<syntaxhighlight lang=forth>
+ ( a b -- c )
</syntaxhighlight>
この記述は、<code>+</code>ワードが2つの引数(<code>a</code>と<code>b</code>)を消費し、1つの結果(<code>c</code>)をスタックに残すことを意味します。
=== ワードの定義と使用 ===
Forthではワードを定義して新しい動作を作成します。コロン(<code>:</code>)を使って新しいワードを定義し、セミコロン(<code>;</code>)で終了します。例えば、以下は<code>DOUBLE</code>というワードを定義する例です。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: DOUBLE ( n -- n*2 ) 2 * ;
</syntaxhighlight>
ここで<code>DOUBLE</code>は、与えられた数値(<code>n</code>)を2倍にする動作を定義しています。
=== 基本的な制御構造 ===
Forthには条件分岐やループなどの制御構造があります。例えば、<code>IF ... ELSE ... THEN</code>や<code>DO ... LOOP</code>などがあります。
==== 条件分岐 ====
:<syntaxhighlight lang=forth>
: ABS ( n -- |n| ) DUP 0< IF NEGATE THEN ;
</syntaxhighlight>
上記の例では、与えられた数値(<code>n</code>)の絶対値を計算する<code>ABS</code>というワードを定義しています。
==== ループ ====
:<syntaxhighlight lang=forth>
: COUNTDOWN ( n -- ) 0 DO I . LOOP ;
</syntaxhighlight>
上記の例では、0から与えられた数値(<code>n</code>)までカウントダウンする<code>COUNTDOWN</code>というワードを定義しています。
=== スタック操作の基本命令 ===
Forthにはスタック上のデータを操作するための基本的な命令があります。
* <code>DUP</code>: ( n -- n n ) スタックのトップの要素を複製する
* <code>DROP</code>: ( n -- ) スタックのトップの要素を削除する
* <code>SWAP</code>: ( n1 n2 -- n2 n1 ) スタックのトップとその下の要素を交換する
* <code>OVER</code>: (n1 n2 -- n1 n2 n1 ) スタックのトップの2つ下の要素を複製してトップに置く
* <code>ROT</code>: ( n1 n2 n3 — n2 n3 n1 ) スタックのトップの3つ下の要素をトップに回転する
=== 基本的な演算 ===
Forthには、算術演算(<code>+</code>、<code>-</code>、<code>*</code>、<code>/</code>など)、論理演算(<code>AND</code>、<code>OR</code>、<code>NOT</code>)、比較(<code>=</code>、<code><></code>、<code>></code>、<code><</code>など)の基本ワードが用意されています。これらのワードは、スタック上の値を取り、演算結果をスタックに代入します。
=== 再帰的呼び出し ===
Forthで再帰的呼び出しを行う場合、ワード <code>recurse</code> を使ってワード自身を表します。
再帰的なワードを定義する方法について説明します。
==== 階乗 ====
再帰的な階乗(factorial)を定義します。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: factorial ( n -- result )
dup 0= if \ スタックのトップの値が0かどうかをチェック
drop 1 \ もし0ならば、結果は1として処理を終了
else
dup 1 - \ スタックのトップの値から1を引いた値をコピー
recurse * \ 再帰的に自身を呼び出して、その結果にスタックのトップの値を掛ける
then
;
</syntaxhighlight>
この定義の内容を説明します。
* ワード <code>factorial</code> は、<code>( n -- result )</code> のスタックエフェクトを持ちます。<code>n</code> は階乗を計算する整数です。
* <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0かどうかをチェックします。
** もし0ならば、<code>drop 1</code> が実行されて、スタックのトップの値(<code>n</code>)が削除され、結果として <code>1</code> がスタックにプッシュされます。
* <code>else</code>: もしスタックのトップの値が0でない場合は、次の操作が実行されます。
** <code>dup 1 -</code>: スタックのトップの値から <code>1</code> を引いた値をスタックにプッシュします。これは <code>n - 1</code> の計算です。
** <code>recurse *</code>: 自身の <code>factorial</code> を再帰的に呼び出して、結果に対してスタックのトップの値(<code>n</code>)を掛けます。これにより、<code>n! = n * (n-1)!</code> の計算が行われます。
* <code>then</code>: <code>if</code> ブロックの終了を示します。
例えば、<code>5 factorial .</code> を実行すると、<code>5</code> の階乗(<code>5!</code>)が計算されます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
5 factorial .
</syntaxhighlight>
この例では、<code>5!</code> の計算手順は以下の通りです:
* <code>5</code> がスタックにプッシュされる。
* <code>factorial</code> が呼び出される。
** <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0でないので、次の処理が実行される。
** <code>dup 1 -</code>: <code>5 - 1</code> が計算されて <code>4</code> がスタックにプッシュされる。
** <code>recurse *</code>: <code>4</code> の階乗 (<code>4!</code>) が再帰的に計算される。
*** <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0でないので、次の処理が実行される。
*** <code>dup 1 -</code>: <code>4 - 1</code> が計算されて <code>3</code> がスタックにプッシュされる。
*** <code>recurse *</code>: <code>3</code> の階乗 (<code>3!</code>) が再帰的に計算される。
**** ...
***** 最終的に、<code>1</code> の階乗 (<code>1!</code>) が計算されて <code>1</code> がスタックにプッシュされる。
**** <code>5 *</code>: <code>5</code> と <code>4!</code> の結果を掛けて <code>120</code> がスタックにプッシュされる。
*** <code>5 *</code>: <code>5</code> と <code>120</code> の結果を掛けて <code>120</code> がスタックにプッシュされる。
* <code>. (dot)</code> コンパイラワ
==== 最大公約数(GCD) ====
再帰的にユークリッドのアルゴリズムを使用して最大公約数(Greatest Common Divisor, GCD)を計算します。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: gcd ( u1 u2 -- gcd )
dup 0= if \ スタックのトップの値が0かどうかをチェック
drop \ スタックのトップの値が0ならば削除して終了
else
swap over mod recurse \ スタックのトップと2番目の値を入れ替えて、modを計算し再帰的に呼び出す
then
;
</syntaxhighlight>
このプログラムの動作をステップごとに説明します:
# <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値(<code>u1</code>)が0かどうかをチェックします。
#* もし0ならば、<code>drop</code> が実行されて、スタックのトップの値(<code>u1</code>)が削除されます。この場合は再帰の終了条件となります。
# <code>else</code>: もしスタックのトップの値(<code>u1</code>)が0でない場合は、次の操作が実行されます。
# <code>swap over mod recurse</code>:
#* <code>swap</code>: スタックのトップと2番目の値を入れ替えます。これにより、<code>u1</code> と <code>u2</code> の値が入れ替わります。
#* <code>over</code>: スタックの2番目の値(入れ替え前の <code>u1</code>)をスタックのトップにコピーします。
#* <code>mod</code>: スタックのトップの2つの値を取り出して、<code>u1 % u2</code>(<code>u1</code> を <code>u2</code> で割った余り)を計算し、その結果をスタックにプッシュします。
#* <code>recurse</code>: 自身の <code>gcd</code> を再帰的に呼び出します。これにより、新しい <code>u1</code> と <code>u2</code> の値がスタックに積まれ、再帰的に最大公約数が計算されます。
# <code>then</code>: <code>if</code> ブロックの終了を示します。
例えば、<code>12 18 gcd .</code> を実行すると、以下のように動作します:
* <code>12</code> と <code>18</code> がスタックにプッシュされます。
* <code>gcd</code> が呼び出されます。
** <code>dup 0=</code>: <code>18</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
** <code>swap over mod recurse</code>: <code>18</code> と <code>12</code> が入れ替わり、<code>18 % 12</code> が計算されます(余りは <code>6</code>)。
** <code>gcd</code> が再帰的に呼び出され、新しい値 <code>12</code> と <code>6</code> がスタックにプッシュされます。
*** <code>dup 0=</code>: <code>6</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
*** <code>swap over mod recurse</code>: <code>6</code> と <code>12</code> が入れ替わり、<code>6 % 12</code> が計算されます(余りは <code>6</code>)。
*** <code>gcd</code> が再帰的に呼び出され、新しい値 <code>6</code> と <code>6</code> がスタックにプッシュされます。
**** <code>dup 0=</code>: <code>6</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
**** <code>swap over mod recurse</code>: <code>6</code> と <code>6</code> が入れ替わり、<code>6 % 6</code> が計算されます(余りは <code>0</code>)。
**** <code>0=</code>: <code>0</code> が0なので、<code>drop</code> が実行されて、スタックのトップの値 <code>0</code> が削除されます。
* 最終的に、スタックのトップには <code>6</code> が残ります。これが <code>12</code> と <code>18</code> の最大公約数です。
したがって、<code>12 18 gcd .</code> を実行すると、<code>6</code> が表示されます。
=== 変数の宣言・代入と参照 ===
Forthにおける <code>VARIABLE</code> は、変数を定義するためのワードです。Forthでは、変数はメモリ内のアドレスに名前を関連付ける方法で定義されます。
以下は、<code>VARIABLE</code> を使用して変数を定義する方法とその使い方の例です。
==== <code>VARIABLE</code> の使用方法 ====
<code>VARIABLE</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE my-var \ my-var という名前の変数を定義する
</syntaxhighlight>
この行は、名前が <code>my-var</code> の変数を定義します。この変数はメモリ内の特定のアドレスに関連付けられます。
==== 変数の使用方法 ====
定義された変数を使用するには、<code>@</code>(fetch)や <code>!</code>(store)などのワードを使います。これらのワードを使って変数の値を取得したり設定したりできます。
- <code>@</code> は、変数の値をスタックにプッシュします。
- <code>!</code> は、スタックのトップの値を変数に代入します。
例えば、次のように変数に値を設定して取得します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 my-var ! \ 変数 my-var に値 123 を代入する
my-var @ . \ 変数 my-var の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、変数 <code>my-var</code> に <code>123</code> を代入し、その後 <code>@</code> を使って変数の値を取得して表示しています。
==== 実際の例 ====
以下は、<code>VARIABLE</code> を使って変数を定義し、値を設定して取得する具体的な例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE my-var \ my-var という名前の変数を定義する
123 my-var ! \ 変数 my-var に値 123 を代入する
my-var @ . \ 変数 my-var の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、変数 <code>my-var</code> を定義し、<code>123</code> を代入してその値を表示しています。<code>!</code> で変数に値を設定し、<code>@</code> で変数の値を取得しています。
変数はプログラムでデータを保持する際に便利です。Forthでは、変数の値は直接メモリ上に代入されるため、効率的なデータ管理が可能です。
=== 定数の定義と参照 ===
Forthの <code>CONSTANT</code> は、定数を定義するためのワードです。定数は変更されることのない値であり、プログラムの中で何度も使われる値を簡潔に表現するために使用されます。
==== <code>CONSTANT</code> の使用方法 ====
<code>CONSTANT</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 CONSTANT my-const \ my-const という名前の定数を定義する
</syntaxhighlight>
この行は、名前が <code>my-const</code> の定数を定義し、その値を <code>123</code> に設定します。定数はプログラム中で使用される値を一元管理し、可読性を向上させます。
==== 定数の使用方法 ====
定義された定数は、その名前を使ってプログラム中で値を参照することができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
my-const . \ 定数 my-const の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、定数 <code>my-const</code> の値が表示されます。
==== 実際の例 ====
以下は、<code>CONSTANT</code> を使って定数を定義し、その定数を使用する具体的な例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 CONSTANT my-const \ my-const という名前の定数を定義する
my-const . \ 定数 my-const の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、定数 <code>my-const</code> を <code>123</code> に設定し、その後定数の値を表示しています。
定数はプログラム中で共通の値を使い回す際に便利です。Forthの定数は一度定義されると値が変更されることはなく、プログラム全体で一貫性のある値を提供します。
=== 基数 ===
Forthの <code>BASE</code> は、数値の基数(n進数のn)を設定するための変数です。Forthでは、数値の表現において基数を変更することができます。通常、Forthはデフォルトで10進数を使用しますが、<code>BASE</code> を変更することで他の基数(2進数、16進数など)で数値を表現することが可能です。
==== <code>BASE</code> の使用方法 ====
<code>BASE</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
16 BASE ! \ 基数を16進数に設定する
</syntaxhighlight>
この行は、<code>BASE</code> の値を <code>16</code> に設定しています。これにより、その後の数値の表示や入力が16進数で行われるようになります。
==== 基数の変更と数値の表現 ====
<code>BASE</code> を変更することで、その後の数値リテラルの表現が変わります。例えば、<code>BASE</code> を16進数に設定した場合、数値リテラルは16進数として解釈されます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
16 BASE ! \ 基数を16進数に設定する
FF . \ 16進数の255を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、<code>BASE</code> を16進数に設定してから、<code>FF</code> を表示すると、16進数の <code>FF</code> (10進数の <code>255</code>)が表示されます。
==== デフォルトの基数と再設定 ====
Forthのデフォルトの基数は10進数です。基数を変更した後は、必要に応じて再度基数を10進数に戻すことができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
DECIMAL BASE ! \ 基数を10進数に戻す
</syntaxhighlight>
この行は、<code>BASE</code> を10進数に再設定しています。これにより、数値リテラルは再び10進数として解釈されるようになります。
よくある間違い:
:<syntaxhighlight lang=forth>
10 BASE ! \ 基数を16進数から10進数に戻す???
</syntaxhighlight>
: として基数を10に戻そうとするミスがあります。
: コードの 10 は16進数として解釈されるので基数は16のままです。
==== 注意点 ====
<code>BASE</code> を変更すると、数値の解釈や表示が変わるため、基数の変更後には適切な基数に戻すことが重要です。また、<code>BASE</code> の値は変数として扱われるため、必要に応じて保存や復元することができます。
基数を変更することで、特定の基数で数値を扱うプログラムを簡単に記述することができます。
=== イミディエイトワード ===
イミディエイトワード(immediate word)は、Forthプログラミング言語において特定の動作を持つワードの一種です。イミディエイトワードは、通常のワードとは異なり、コンパイル時ではなく実行時に直ちに処理されます。
以下は、イミディエイトワードの特性について詳しく説明します:
# 実行時処理:
#* イミディエイトワードは、定義された時点ではコンパイルされず、実行時に直ちに解釈および実行されます。
#* 通常のワード(コンパイルワード)は、単なるコンパイル時にスタックに動作を積むだけであり、後で実行されますが、イミディエイトワードは定義された時点ですぐに実行されます。
# 定義方法:
#* イミディエイトワードは、<code>IMMEDIATE</code> を使用して定義されます。
#* これにより、そのワードが定義された直後に実行されるようにマークされます。
# 使用例:
#* 例えば、<code>."</code>(ダブルクォートピリオド)はイミディエイトワードです。これは、コンパイル時ではなく実行時に文字列を表示します。
#* <code>: greeting ." Hello, world!" ;</code> という定義では、<code>. "</code>Hello, world!"<code> はコンパイル時に実行されず、</code>greeting` を実行したときに実行されます。
# 動的な挙動:
#* イミディエイトワードは、通常のワードとは異なり、実行時の環境やスタックの状態に応じて動的に振る舞います。
#* これにより、実行時に動的なテキストや操作を生成するために使用することができます。
イミディエイトワードは、Forthの柔軟性と強力な動的な特性を提供します。コンパイル時に制御構造や動作を決定するだけでなく、実行時に動的な挙動を持つことができます。
{{コラム|Forthの文法|2=Forthのプログラムは、空白文字で区切られた「ワード」の並びで構成されます。ワードには、数値リテラル、制御構造、演算子、そして他のワードを呼び出す構文などがあります。Forthには高水準の構文がなく、基本的な構文要素は非常にシンプルです。
例えば、<code>2 3 +</code> と入力すると、2と3がスタックにプッシュされ、最後の<code>+</code>がスタック上の2つの数値を加算します。この結果である5がスタックに残ります。つまり、Forthではプログラムの実行とデータ操作が、ワードの解釈とスタック操作によって行われるのです。
Forthは、基本的に行指向の言語です。プログラムは複数行に分割できますが、改行の前後で文が継続する場合は、スペースを入れる必要があります。このため、適切なインデントを使ってプログラムの構造をわかりやすくすることが重要です。
}}
== データ構造とメモリ管理 ==
Forthは組み込みシステムなどのリソース制約の厳しい用途を想定して設計されているため、メモリの効率的な利用が重視されています。この章では、Forthにおけるデータ構造とメモリ管理の方法を説明します。
=== コントロールフロースタック ===
コントロールフロースタックとは、Forthのプログラムの制御フローを管理するために使用される仮想的なスタックです。
その主な役割は以下の通りです:
# 制御フロー命令の対応関係の管理
#* 制御フロー命令(<code>IF</code>, <code>THEN</code>, <code>ELSE</code>, <code>BEGIN</code>, <code>WHILE</code>, <code>REPEAT</code> など)の対応関係を管理します。
#* 開始と終了の命令が適切に対応していることを確認します。
# 制御フロー中のデータスタック操作の制約
#* 制御フロー中のデータスタックの使用方法に制約を課します。
#* 制御フロー命令の入れ子関係に応じて、適切なデータスタックの状態が維持されるようにします。
コントロールフロースタックは物理的に実装されていなくても良いと仕様で定められています。
代わりに、システムはコンパイル時や実行時にこのスタックの挙動を模倣する方法を採ることができます。
つまり、コントロールフロースタックはForthの制御構造の妥当性を保証する上で重要な概念であり、プログラムの正しい実行を支えているのです。
通常のプログラミングでコントロールフロースタックを強く意識することはありませんが、制御構造を自らワードとして定義しようとする場合、コントロールフロースタックの振る舞いに注意する必要があります。
=== リターンスタック ===
Forthには、データスタックとは別に、リターンスタックと呼ばれる重要なスタックが存在します。リターンスタックの主な役割は以下の通りです:
# 関数呼び出しとリターン
#* 関数を呼び出すとき、その関数の呼び出し元の命令アドレスがリターンスタックにプッシュされます。
#* 関数から抜け出すときは、リターンスタックからアドレスがポップされ、その場所に制御が戻されます。
#* これによって、関数呼び出しの際の制御の移動を管理することができます。
# 一時的データ保管
#* リターンスタックは、データを一時的に保管する場所としても使えます。
#* データスタックからデータを>Rでリターンスタックにプッシュし、後でR>で取り出すことができます。
#* これにより、データスタックの状態を一時的に変更せずに、値を保持しておくことができます。
リターンスタックの使用には注意点があります:
* ワード内やループ内では、<code>>R</code>と <code>R></code>の回数が一致している必要があります。
* リターンスタックの値は、同じブロック内でのみ参照・取り出しできます。
* ループの脱出時やDO-ループ内からは、リターンスタックの値を取り出せません。
つまり、リターンスタックは制御フローの管理と一時的なデータ保管に使われますが、その使い方には一定の制限があるため、注意深く扱う必要があります。
プログラムの複雑さが増すと、リターンスタックの状態を適切に管理することが難しくなるため、できるだけ単純な使い方に留めるのが賢明です。
; <code>>R ( x -- ) ( R: -- x )</code>
: データスタックから値をポップしリターンスタックにプッシュする
; <code>R> ( R: -- x ) ( x -- )</code>
: リターンスタックから値をポップしデータスタックにプッシュする
; <code>R@ ( -- x ) ( R: x -- x )</code>
: リターンスタックのスタックトップをデータスタックにコピーする
; <code>2>R ( x1 x2 -- ) ( R: -- x1 x2 )</code>
; <code>2R> ( -- x1 x2 ) ( R: x1 x2 -- )</code>
; <code>2R@ ( -- x1 x2 ) ( R: x1 x2 -- x1 x2 )</code>
スタックエフェクトに <code>R:</code> という新しい記号が出てきましたが、これはリターンスタックへの操作をしまします。このためリターンスタックはRスタックとも呼ばれています。
=== 変数とアドレス指定 ===
Forthには、グローバル変数やローカル変数の概念がありません。代わりに、値を格納するためのメモリ領域を確保し、そのアドレスを使ってアクセスします。<code>VARIABLE</code>ワードを使うと、新しい変数領域が確保され、その開始アドレスがスタックに置かれます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE COUNTER \ カウンター変数を定義
COUNTER @ . \ 変数の値を表示(初期値は0)
1 COUNTER +! \ 変数にインクリメント
</syntaxhighlight>
変数の値を取り出すには<code>@</code>(フェッチ)、格納するには<code>!</code>(ストア)を使います。<code>+!</code>のように算術演算と<code>!</code>を組み合わせたワードもあります。
Forthではアドレスを直接スタックに置いて操作することもできます。<code>HERE</code>はディクショナリの次の空きアドレスを取得し、<code>ALLOT</code>はディクショナリ領域を確保します。
=== 配列と構造体 ===
配列やレコード(構造体)といったデータ構造は、Forthではメモリブロックとしてアドレスで表現されます。配列の各要素にアクセスするには、インデックスとベースアドレスの計算が必要です。
:<syntaxhighlight lang=forth>
CREATE ARRAY 100 ALLOT \ 100セルの配列を作成
ARRAY 10 + @ . \ 11番目の要素を表示
</syntaxhighlight>
<code>CREATE</code>...<code>ALLOT</code>で連続したメモリ領域を確保し、<code>ARRAY</code>にその開始アドレスが置かれます。要素へのアクセスには、ベースアドレスにインデックスをシフトして足し算します。
レコードは、必要なフィールドごとにメモリを確保して構築できます。レコードのフィールドへのアクセスには、オフセット値を使ってフィールドのアドレスを計算します。
Forthにおけるデータ構造は、非常に低レベルで表現されています。一方で、この低レベルなアクセス方式は、メモリの効率的な利用を可能にし、Forthをシステムプログラミングに適した言語にしています。
== 入出力と組み込みワード ==
Forthには標準の入出力ワードがあり、コンソールやファイルからの入出力を行えます。また、様々な組み込みワードが用意されており、これらを活用することでForthの機能を拡張できます。
=== 標準入出力 ===
Forthには、キーボードからの文字入力や、コンソールへの文字出力を行うためのワードが用意されています。
:<syntaxhighlight lang=forth>
KEY \ キーボードから1文字読み込む
EMIT \ スタック上の値(文字コード)を出力する
." \ 文字列を直接出力する
</syntaxhighlight>
<code>KEY</code>はキーボード入力を待ち、押された文字のASCIIコードをスタックに置きます。<code>EMIT</code>は逆に、スタック上の値を文字コードとして解釈し、コンソールに出力します。<code>." Hello"</code>のように、<code>."</code> の後に文字列を続けると、その文字列がコンソール出力されます。
数値入出力には、<code>?</code>、<code>U.</code>、<code>U.R</code>などのワードが使えます。<code>?</code>は数値を入力受け付け、<code>U.</code>は符号なし数値を、<code>U.R</code>は数値を指定した基数(2進数、16進数など)で出力します。
=== ファイルアクセス ===
ファイル入出力には、様々なワードが用意されています。<code>OPEN-FILE</code>でファイルを開き、<code>READ-FILE</code>や<code>WRITE-FILE</code>でデータの読み書きができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
S" data.txt" R/O OPEN-FILE THROW VALUE HANDLE \ ファイルを読み取りモードで開く
HANDLE READ-FILE ABORT" READ ERROR" \ ファイルを読み込む
HANDLE CLOSE-FILE THROW \ ファイルを閉じる
</syntaxhighlight>
ファイル名は、<code>S"</code> で文字列をスタックに置いた後、<code>R/O</code>(読み取り専用)や<code>W/O</code>(書き込み専用)といったモードを指定してファイルを開きます。<code>THROW</code>はエラーがあれば例外を発生させます。
<code>READ-FILE</code>や<code>WRITE-FILE</code>では、バッファ領域のアドレスと読み書きするバイト数をスタックに置く必要があります。
=== 組み込みワードの利用 ===
Forthには、数学関数や論理演算、メモリ操作など、様々な組み込みワードが用意されています。必要に応じてこれらのワードを活用することで、プログラムにさまざまな機能を付加できます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
2 3 MAX . \ 最大値(3)を出力
S" HELLO" SWAP DROP \ スタック操作サンプル
HEX 1F20 4 DUMP \ メモリダンプ
</syntaxhighlight>
<code>MAX</code>は2つの数値の最大値を、<code>SWAP</code>は2つの値の順序を入れ替え、<code>DROP</code>は最上位の値を捨てます。<code>DUMP</code>は指定したアドレスからのメモリ内容をダンプ出力します。
組み込みワードには、浮動小数点演算、文字列処理、マルチタスク、IPCなど、様々な分野のものがあります。また、必要に応じてワードを自作したり、外部ライブラリからリンクしたりできます。Forthはコンパクトなシステムながら、組み込みワードの充実により高い機能性を発揮します。
== アプリケーション開発 ==
Forthは小規模な組み込みシステムから大規模なアプリケーションまで、幅広い用途に使用できる言語です。この章では、Forthにおけるアプリケーション開発の手法と、実例について解説します。
=== モジュール化とワード管理 ===
Forthはワードをベースとしたモジュール性の高いプログラミングができます。大きなアプリケーションを開発する際は、適切にモジュール分割してワードを設計・管理することが重要です。
Forthにはネームスペースの概念がありません。そのため、ワード名の重複を避けるためには、プレフィックスなどの命名規則を定めることが一般的です。たとえば<code>STRING-LENGTH</code>のように、ワードの役割がわかるよう名前を付けます。
また、ワードをまとめてファイルに保存し、必要に応じて読み込む方法があります。Forthの多くの処理系は、ワードの定義をソースファイルに保存したり、メモリイメージを永続化したりできます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
MARKER MODULE>STRING
: STRING-LENGTH \ 文字列の長さを求める
...
;
: STRING-REVERSE \ 文字列を反転する
...
;
STRING-REVERSESTRING-LENGTH +MODULE
</syntaxhighlight>
作成したワードは<code>MODULE>NAME</code>でモジュール名を付け、<code>+MODULE</code>でモジュールを完成させることができます。他のソースから<code>USE MODULE>NAME</code>とすれば、そのモジュールのワードが使用可能になります。
大規模なシステムでは、このようなソースレベルの分割に加え、オーバーレイ、仮想メモリ、マルチタスク機能を活用することで、メモリの効率的な使用が可能です。
=== グラフィックス処理 ===
Forthでもグラフィック処理が可能ですが、組み込みの機能は限られています。ほとんどの処理はユーザ定義ワードとして実装する必要があります。
ビットマップ画像の表示や、ウィンドウ、マウスカーソルなどの基本的なGUIの作成はある程度可能です。高度な3Dグラフィックスなどを実現するには、外部ライブラリを利用する必要があります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
NEED FRAMEBUFFER \ フレームバッファへのアクセスモジュール
: DRAW-LINE ( x1 y1 x2 y2 -- )
\ ブレザンハムのアルゴリズムでライン描画
...
;
: DRAW-RECT ( x y w h -- )
2SWAP 2>R 2R> \ (x y w h -- x y x+w y+h)
DRAW-LINE 2>R 2R>
DRAW-LINE 2SWAP
DRAW-LINE 2SWAP
DRAW-LINE
;
FRAMEBUFFER-INIT \ グラフィックスサブシステムの初期化
100 100 300 200 DRAW-RECT \ 長方形を描画
</syntaxhighlight>
上記では、フレームバッファの制御関数がロードされた前提で、<code>DRAW-LINE</code>を使って<code>DRAW-RECT</code>(長方形描画)を実装しています。スタックを活用して座標値を受け渡し、基本的な幾何図形を描画しています。
Forthはグラフィックスパイプラインなどの高度な機能を組み込んでいませんが、スタックベースの処理により、低レベルのデバイスアクセスが可能です。組み込みシステムのディスプレイやLED制御など、グラフィックス関連の処理に適しています。
=== システムプログラミング ===
Forthの本質的な特性として、システムプログラミングに適していることがあげられます。小規模でコンパクト、高速動作、低レベルなメモリアクセスが可能というメリットがあります。
OSカーネル、デバイスドライバ、BIOS、ブートローダなどの開発にForthは広く使われてきました。組み込みシステムでは、センサーやI/Oデバイスの制御に最適です。スタック指向のモデルにより、レジスタレベルの処理が直接かけるのも特徴です。
例えば、Forthを使ってブートローダを実装する場合には、次のようなプログラムになります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
HEX
07C0 INPORT DROP \ DOSデータ領域クリア
0800 0 20 MOVE \ リセットベクタ設定
KERNEL.IMG LOAD \ カーネル読み込み
A000 OUTPORT \ VGAモードへ切り替え
1000 JMP \ カーネル実行
...
\ BIOSブート用の簡単なForth読み込みコード
:KERNEL.IMG
LOAD CORE SWAP CPU KERNEL ;
</syntaxhighlight>
BIOSなどの低レベル機能を呼び出してブートローダを構築する処理が、Forthの文法でコンパクトに記述できる様子がわかります。
また、Forth自身が小規模で可搬性が高いため、Forth処理系そのものもForthで書かれた簡単なコアを、ホストOSやアーキテクチャに合わせてセルフホスト (移植) する手法が一般的です。これは、アプリケーションと実行環境を一体化して開発できる利点があります。
== 高度なトピック ==
ここまでForthの基本的な構文と概念、データ構造、アプリケーション開発の実例などを解説してきました。この章では、Forthの高度な利用方法としてパフォーマンス最適化、マルチスレッド・マルチタスク、メタプログラミングについて取り上げます。
=== 最適化とパフォーマンス ===
Forthはコンパクトで高速な言語ですが、さらなる最適化の余地があります。ワードの定義を工夫したり、ネイティブコードコンパイラを使ったりすることで、パフォーマンスを向上できます。
ワード定義の最適化では、冗長な演算を排除したり、インラインコーディングの手法を用いたりします。例えば、次のようなワード定義があるとします。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: MAX2 ( n1 n2 -- max ) 2DUP > IF SWAP DROP ELSE NIP THEN ;
</syntaxhighlight>
この<code>MAX2</code>は一時的に2つの値を複製(<code>2DUP</code>)し、<code>IF</code>..<code>ELSE</code>..<code>THEN</code>の条件分岐で最大値を選びます。しかし、この一時複製が無駄な演算となっています。次のように書くとコードがシンプルになります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: MAX2 ( n1 n2 -- max ) OVER OVER > IF SWAP THEN ;
</syntaxhighlight>
ワードの最適化には一般的なテクニックがあり、Forthのコンパイラ作者から提案されているものを参考にするとよいでしょう。
また、Forthにはネイティブコードコンパイラと呼ばれるもので、ワードの実行コードをネイティブマシン語に変換できるものがあります。Forthの対話的な実行環境は便利ですが、ネイティブコードの方が高速に動作します。こうした最適化手法を使い分けることで、Forthのパフォーマンスを飛躍的に向上できます。
=== マルチスレッドとマルチタスク ===
Forthには並列実行の機構が組み込まれていないため、マルチスレッドやマルチタスク処理を実現するにはユーザ定義の実装が必要です。しかし、Forthの言語特性を活かせばきわめてコンパクトな並列処理ができます。
マルチスレッドでは、スタックを分離し、スレッド毎にスタックのコピーを持つ手法が一般的です。スレッドの切り替えはスタックのコンテキストスイッチで実現できます。また、Forthのデータストアクセス方式を応用すれば、IPC(プロセス間通信)の仕組みを作ることもできます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: NEW-TASK ( -- )
HERE CURRENT-STACK >R CREATE-STACK SWAP
[: DO-SOME-WORK ;] ( compile: word behavior )
R> SET-CURRENT
;
</syntaxhighlight>
この例では、新しいタスクを作成するワード<code>NEW-TASK</code>を定義しています。<code>CREATE-STACK</code>でスタックを新しく割り当て、<code>DO-SOME-WORK</code>のようなワード定義をタスクとして登録します。実行時にはスケジューラによってこれらのタスクが実行されます。
マルチタスク機構を実装する例は多数あり、スレッド単位でデータを扱う方式、メッセージキューによる方式、それぞれ長所と短所があります。並列処理にはデッドロックなどの問題点もありますが、Forthではコンパクトでシンプルなコード記述が可能です。
=== メタプログラミング ===
Forthにはプログラムを生成・変更するメタプログラミングの機能があり、コードを自動生成したり、プログラムを動的に変更したりできます。この機能は、Forthをドメイン固有言語(DSL)の開発などに適用できることを意味しています。
メタプログラミングには、コンパイル時に評価される構文<code>[...]</code>と実行時構文<code>EVAL</code>があります。どちらもプログラムをデータとして扱えるため、動的にプログラムを生成・変更できます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: HILBERT-CURVE ( n -- )
0 ?DO
[: 2DUP RECURSE >R >R
1 HCURVE R> R> RECURSE
3 HCURVE ;]
POSTPONE LITERAL POSTPONE HCURVE
LOOP
;
</syntaxhighlight>
この例では、ヒルベルト曲線を描画するコードを動的に生成しています。<code>POSTPONE</code>はワードのコンパイルを遅延させ、<code>[: ... ;]</code>の構文はその間のテキストを実行可能なコードとしてコンパイルします。この手法により、 Hilbertカーブの次元(<code>n</code>)に応じて、その描画コードを生成しています。
Forthのメタプログラミング機能は、高度な用途に役立ちます。例えば、ユーザインターフェースビルダー、コードジェネレーター、プログラムシンセサイザなどでその力を発揮できます。Forthの柔軟性を最大限に活かせる側面といえるでしょう。
== サンプルプログラムとプロジェクト ==
Forthの理解を深めるには、実際にコードを書いて動作を確認することが大切です。この章では、様々なサンプルコードを紹介するとともに、実践的なForthプロジェクトの例を示します。
=== 様々なサンプルコード ===
以下はForthの基本的な機能を示すサンプルコード集です。
; 再帰によるフィボナッチ数列
:<syntaxhighlight lang=forth>
: FIB ( n -- fib-n )
DUP 0= IF DROP 1 EXIT THEN
DUP 1 = IF DROP 1 EXIT THEN
DUP 1- RECURSE
SWAP 2 - RECURSE
+
;
</syntaxhighlight>
; 文字列操作
:<syntaxhighlight lang=forth>
: UPPERCASE ( addr n -- addr n )
OVER + SWAP ?DO
I C@ [CHAR] a [CHAR] z 1+ WITHIN
IF [CHAR] A [CHAR] a - + THEN
I C!
LOOP
;
: REVERSE-WORDS ( addr n -- )
[CHAR] \ SKIP SPACES OVER >R
BEGIN
OVER C@ [CHAR] \ <>
WHILE
[CHAR] \ PARSE DUP >R REVERSE
R> OVER C! CHAR+
REPEAT
R> DROP 2DROP
;
</syntaxhighlight>
; ベクトル・行列計算
:<syntaxhighlight lang=forth>
REQUIRE DOUBLE \ 倍精度浮動小数点サポート
: VZEROS ( n -- addr ) \ n要素のゼロベクトルを生成
CREATE HERE 0 SWAP 8 * DUP ALLOT FILL
;
: MZEROS ( rows cols -- addr ) \ rows x cols の零行列を生成
SWAP VZEROS SWAP 0 ?DO OVER VZEROS COLS + LOOP
;
</syntaxhighlight>
; 簡易グラフィックス
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE FRAMEBUF \ フレームバッファアドレス
: PIXEL ( x y color -- ) \ 1ピクセル書き込み
FRAMEBUF @ >R 2 * R@ + 3 * RP@ C!+ RP@ C!+ RDROP
;
: LINE ( x1 y1 x2 y2 c -- ) \ ラインの描画
>R 2SWAP R> 2>R 2R@ PIXEL 2R> PIXELLINE
;
</syntaxhighlight>
これらの例は、スタックを使った処理の流れ、ユーザ定義ワードの作成、再帰など、Forthのプログラミング手法の基本を示しています。コンパクトながらも表現力の高さがわかるでしょう。
=== 実践的なプロジェクト例 ===
次に、もう少し大がかりなForthプロジェクトの例を紹介します。
; Forth Chip-8 エミュレーター
Chip-8はレトロなゲームコンソールで、Forthでその命令セットをエミュレートするプロジェクトです。グラフィックス、入力処理、命令デコーダなどを実装します。
; カーネルとブートローダ
ForthでOSカーネルの基本部分を実装し、ブートローダと合わせてシステムを構築するプロジェクト。メモリ管理、タスク管理、ファイルシステム、ドライバなどの機能が実装できます。
; Webサーバー
ForthでHTTPリクエストを処理するWebサーバーを作成。ソケット通信、文字列処理、ファイル入出力などの機能が必要になります。追加してWebアプリケーションフレームワークなども作れます。
; オープンソースForthプロセッサ
Forthを使ってCPU命令セットを記述し、ゲートレベルまでFPGAに実装するプロセッサの設計プロジェクト。ハードウェア記述言語との連携が重要です。
このようなプロジェクトを通して、Forthの実用性とシステムプログラミングでの可能性を体験できます。Forthという言語自体を使って、OSやハードウェアコンポーネントを実装できるのが最大の特徴です。いずれのプロジェクトも一般的な規模になると、モジュール分割やワード管理、ツール活用などの工夫が必要になります。
== 参考資料 ==
Forthについてより深く学ぶには、書籍や公開されているオンラインリソースを参照するのが有効な方法です。また、活発なForthコミュニティに参加することで、他の開発者からの助言を得られます。
=== 関連書籍の紹介 ===
Forthの入門書から応用、さらには処理系の実装に至るまで、多くの優れた書籍が出版されています。
* 「Forth入門」レオ・ブロディ (ISBN:978-4875930297 工学社)
** Forth言語の基本から、アプリケーション開発までをカバーした長年の定番書。
* 「Thinking Forth」Leo Brodie (Punchy Publishing) / Forth思考 ―問題解決のための言語と哲学― レオ・ブロディー著
** Forth哲学に重きを置いた名著。Forthの考え方を深く解説。
* 「Forth Programmer's Handbook」(ISBN:978-1419675492 Forth Inc.)
** ANS Forthの規格書で、WordSetの詳細が書かれている。
これらの書籍を手に入れられれば、Forthの理解が格段に進むはずです。電子書籍としても出版されているものがあります。
=== オンラインリソース ===
{{Wikipedia}}
インターネット上にも無料で参照できるForth関連の豊富なリソースが存在します。
* Forth Interest Group ( https://www.forth.org/ )
** Forthに関する書籍、記事、リソースなどが集まるポータル。
* Forth-Standard-Committee 公式サイト( https://forth-standard.org/ )
Webサイト、ソースコード、ニュースレターなど、さまざまな形でリソースが公開されているので、活用していきたいものです。
=== Forthコミュニティ ===
長年にわたりForth言語を支える活発なコミュニティが存在し、開発者同士が支え合う環境があります。
* Newsgroups: comp.lang.forth
** ディスカッションの場となるForth専用のニュースグループ。
* 地域 Forth グループ
** ヨーロッパ、アメリカ、アジアなどの地域Forthグループ。
オンラインフォーラムやメーリングリスト、対面の勉強会など、様々な形でForth開発者同士が交流を深めています。初心者でもこうしたコミュニティに参加することで、サポートを受けられます。Forthの小さな世界ですが、地域を越えて開発が行われているのが特徴です。
Forthの参考文献やオンラインリソース、そしてコミュニティを上手く活用することで、この独特な言語の理解が一層深まるはずです。
== 脚註 ==
<references />
[[Category:Forth|*]]
[[Category:プログラミング言語]]
klfic8o7qf17c0zbhv9hii10ugyjk1d
246639
246638
2024-04-13T00:29:08Z
Ef3
694
/*Forthのワードとは?その定義と使用について*/ Forthにおける「ワード」とは、基本的には単語や言葉を意味しますが、Forthプログラミングでは、より具体的には次の2つの意味を持ちます。 定義済みの単語 ワードは、Forthの語彙において定義された単語や操作を指します。Forthでは、これらのワードはスタック操作や制御構造、算術演算などの基本的な機能を表します。例えば、+は2つの数値を取り出して足し合わせ、結果をスタックに戻すワードです。 新しい単語の定義 ワードは、Forthプログラム内で新しい単語を定義するための仕組みとしても使われます。これは、既存のワードを組み合わせて、新しい機能を持つ単語を定義することを意味します。例えば、DOUBLEというワードを定義して、与えられた数値を2倍にするような操作を定義することができます。
wikitext
text/x-wiki
== はじめに ==
Forthはスタック指向のプログラミング言語であり、そのシンプルさと柔軟性から広く用いられています。
本書は、プログラマがForthを効果的に使いこなすための手引書として設計されています。例示や実践的なヒントが豊富に盛り込まれており、読者は理論を理解しながら実際のプロジェクトに応用できるでしょう。
本書を通じて、Forthの魅力と実力を十分に体感し、その利用価値を最大限に引き出すことができるでしょう。
本書では、ForthのCore Word Setに準拠した標準的なForthシステムを題材とします。
== Forthプログラミングの基礎 ==
Forthはスタック指向のプログラミング言語であり、独自の特徴を持っています。以下では、Forthプログラミングの基礎を解説します。
=== スタック操作 ===
[[スタック構造|スタック]]は、Forthにおける中心的なデータ構造です。ほとんどのワードは、スタックから値を取り出したり、スタックに値を代入したりします。スタックは、後入れ先出し(LIFO; Last In First Out)のデータ構造で、Forthの演算はスタック上で行われます。
=== 例 ===
以下は、Forthでの簡単な計算の例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
3 4 + .
</syntaxhighlight>
: まず<code>3</code>をスタックに置き、<code>4 + .</code> を解釈します。
: 次に、<code>4</code>をスタックに置き、<code>3 4</code> となり、<code>+ .</code> が残ります。
: そして、<code>+</code> はスタックのトップの2つの要素を加算して結果を戻し、スタックには<code>7</code>だけが残ります。
: 最後に、<code>.</code>(ドット)はスタックから<code>7</code>を取り除いてそれを表示します。
:{|
|-
!コード!!style='width:3em'| 3 !!style='width:3em'| 4 !!style='width:3em'| + !!style='width:3em'| .
|-
!スタックトップ
|style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 4 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 7 ||
|-
!
| ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 || ||
|-
!出力
| || || ||style="text-align:center; font-weight: bold"| 7
|}
=== コメント ===
Forthでは、コメントは括弧で囲んで表現されます。例えば:
:<syntaxhighlight lang=forth>
( これはコメントです )
</syntaxhighlight>
<code>/</code> から行末までもコメントです
:<syntaxhighlight lang=forth>
3 4 + \ 3 + 4 の結果をスタックトップに残す
</syntaxhighlight>
コメントは、インタプリタの動作に影響を与えません。
=== スタックエフェクト ===
Forthの各ワードは、スタック上で特定の操作を行います。ワードのドキュメントでは、それがスタックに対してどのような影響を与えるかを示す記述があります。例えば:
:<syntaxhighlight lang=forth>
+ ( a b -- c )
</syntaxhighlight>
この記述は、<code>+</code>ワードが2つの引数(<code>a</code>と<code>b</code>)を消費し、1つの結果(<code>c</code>)をスタックに残すことを意味します。
=== Forthのワードとは?その定義と使用について ===
Forthにおける「ワード」とは、基本的には単語や言葉を意味しますが、Forthプログラミングでは、より具体的には次の2つの意味を持ちます。
# 定義済みの単語
#: ワードは、Forthの語彙において定義された単語や操作を指します。Forthでは、これらのワードはスタック操作や制御構造、算術演算などの基本的な機能を表します。例えば、<code>+</code>は2つの数値を取り出して足し合わせ、結果をスタックに戻すワードです。
# 新しい単語の定義
#: ワードは、Forthプログラム内で新しい単語を定義するための仕組みとしても使われます。これは、既存のワードを組み合わせて、新しい機能を持つ単語を定義することを意味します。例えば、<code>DOUBLE</code>というワードを定義して、与えられた数値を2倍にするような操作を定義することができます。
ワードの定義は、通常、次のような形式で行われます:
:<syntaxhighlight lang=forth>
: ワード名 ( 定義部分 ) ;
</syntaxhighlight>
ここで、<code>: ワード名</code>は新しいワードの定義を開始し、<code>;</code>は定義の終了を示します。定義部分には、既存のワードや操作を組み合わせて、新しい機能を実現するForthのコードが記述されます。
=== ワードの定義と使用例 ===
Forthにおけるワードの定義と使用についてさらに詳しく説明します。
# ワードの定義 :
#: ワードは、<code>:</code> と <code>;</code> の間に記述されたコードブロックで定義されます。
#: 例えば、<code>SQUARE</code>という新しいワードを定義してみましょう。
#:<syntaxhighlight lang=forth>
: SQUARE ( n -- n*n ) DUP * ;
</syntaxhighlight>
#: ここでは、<code>SQUARE</code>というワードが定義されています。このワードは、スタックから1つの数値を取り出し、その数値を自乗して結果をスタックに戻します。
# ワードの使用 :
#: 定義したワードは、Forthプログラム内で直接使用することができます。
#:<syntaxhighlight lang=forth>
5 SQUARE . \ スタックから5を取り出して自乗し、結果を表示する
</syntaxhighlight>
#:上記の例では、<code>5 SQUARE .</code> というForthコードが実行されます。まず、<code>5</code>がスタックに積まれ、次に<code>SQUARE</code>ワードが実行されて、<code>5</code>の自乗である<code>25</code>が計算されます。最後に<code>.</code>はスタックのトップの値を表示しますので、結果として<code>25</code>が表示されます。
# 組み込みワードとカスタムワード :
#: Forthには組み込みのワード(<code>+</code>, <code>-</code>, <code>*</code>, <code>/</code>など)がありますが、ユーザーはこれに加えて独自のワードを定義することができます。カスタムワードを使うことで、プログラムをより効率的に構築できます。
# 再帰的なワード :
#: Forthでは、ワードは自身の中で再帰的に呼び出すことができます。これにより、複雑な演算や制御構造を簡潔に表現することが可能です。
ワードの定義と使用は、Forthプログラムの中核的な部分を構成します。これにより、プログラムの再利用性、メンテナンス性、可読性が向上し、効率的なコーディングが実現されます。
=== 基本的な制御構造 ===
Forthには条件分岐やループなどの制御構造があります。例えば、<code>IF ... ELSE ... THEN</code>や<code>DO ... LOOP</code>などがあります。
==== 条件分岐 ====
:<syntaxhighlight lang=forth>
: ABS ( n -- |n| ) DUP 0< IF NEGATE THEN ;
</syntaxhighlight>
上記の例では、与えられた数値(<code>n</code>)の絶対値を計算する<code>ABS</code>というワードを定義しています。
==== ループ ====
:<syntaxhighlight lang=forth>
: COUNTDOWN ( n -- ) 0 DO I . LOOP ;
</syntaxhighlight>
上記の例では、0から与えられた数値(<code>n</code>)までカウントダウンする<code>COUNTDOWN</code>というワードを定義しています。
=== スタック操作の基本命令 ===
Forthにはスタック上のデータを操作するための基本的な命令があります。
* <code>DUP</code>: ( n -- n n ) スタックのトップの要素を複製する
* <code>DROP</code>: ( n -- ) スタックのトップの要素を削除する
* <code>SWAP</code>: ( n1 n2 -- n2 n1 ) スタックのトップとその下の要素を交換する
* <code>OVER</code>: (n1 n2 -- n1 n2 n1 ) スタックのトップの2つ下の要素を複製してトップに置く
* <code>ROT</code>: ( n1 n2 n3 — n2 n3 n1 ) スタックのトップの3つ下の要素をトップに回転する
=== 基本的な演算 ===
Forthには、算術演算(<code>+</code>、<code>-</code>、<code>*</code>、<code>/</code>など)、論理演算(<code>AND</code>、<code>OR</code>、<code>NOT</code>)、比較(<code>=</code>、<code><></code>、<code>></code>、<code><</code>など)の基本ワードが用意されています。これらのワードは、スタック上の値を取り、演算結果をスタックに代入します。
=== 再帰的呼び出し ===
Forthで再帰的呼び出しを行う場合、ワード <code>recurse</code> を使ってワード自身を表します。
再帰的なワードを定義する方法について説明します。
==== 階乗 ====
再帰的な階乗(factorial)を定義します。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: factorial ( n -- result )
dup 0= if \ スタックのトップの値が0かどうかをチェック
drop 1 \ もし0ならば、結果は1として処理を終了
else
dup 1 - \ スタックのトップの値から1を引いた値をコピー
recurse * \ 再帰的に自身を呼び出して、その結果にスタックのトップの値を掛ける
then
;
</syntaxhighlight>
この定義の内容を説明します。
* ワード <code>factorial</code> は、<code>( n -- result )</code> のスタックエフェクトを持ちます。<code>n</code> は階乗を計算する整数です。
* <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0かどうかをチェックします。
** もし0ならば、<code>drop 1</code> が実行されて、スタックのトップの値(<code>n</code>)が削除され、結果として <code>1</code> がスタックにプッシュされます。
* <code>else</code>: もしスタックのトップの値が0でない場合は、次の操作が実行されます。
** <code>dup 1 -</code>: スタックのトップの値から <code>1</code> を引いた値をスタックにプッシュします。これは <code>n - 1</code> の計算です。
** <code>recurse *</code>: 自身の <code>factorial</code> を再帰的に呼び出して、結果に対してスタックのトップの値(<code>n</code>)を掛けます。これにより、<code>n! = n * (n-1)!</code> の計算が行われます。
* <code>then</code>: <code>if</code> ブロックの終了を示します。
例えば、<code>5 factorial .</code> を実行すると、<code>5</code> の階乗(<code>5!</code>)が計算されます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
5 factorial .
</syntaxhighlight>
この例では、<code>5!</code> の計算手順は以下の通りです:
* <code>5</code> がスタックにプッシュされる。
* <code>factorial</code> が呼び出される。
** <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0でないので、次の処理が実行される。
** <code>dup 1 -</code>: <code>5 - 1</code> が計算されて <code>4</code> がスタックにプッシュされる。
** <code>recurse *</code>: <code>4</code> の階乗 (<code>4!</code>) が再帰的に計算される。
*** <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0でないので、次の処理が実行される。
*** <code>dup 1 -</code>: <code>4 - 1</code> が計算されて <code>3</code> がスタックにプッシュされる。
*** <code>recurse *</code>: <code>3</code> の階乗 (<code>3!</code>) が再帰的に計算される。
**** ...
***** 最終的に、<code>1</code> の階乗 (<code>1!</code>) が計算されて <code>1</code> がスタックにプッシュされる。
**** <code>5 *</code>: <code>5</code> と <code>4!</code> の結果を掛けて <code>120</code> がスタックにプッシュされる。
*** <code>5 *</code>: <code>5</code> と <code>120</code> の結果を掛けて <code>120</code> がスタックにプッシュされる。
* <code>. (dot)</code> コンパイラワ
==== 最大公約数(GCD) ====
再帰的にユークリッドのアルゴリズムを使用して最大公約数(Greatest Common Divisor, GCD)を計算します。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: gcd ( u1 u2 -- gcd )
dup 0= if \ スタックのトップの値が0かどうかをチェック
drop \ スタックのトップの値が0ならば削除して終了
else
swap over mod recurse \ スタックのトップと2番目の値を入れ替えて、modを計算し再帰的に呼び出す
then
;
</syntaxhighlight>
このプログラムの動作をステップごとに説明します:
# <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値(<code>u1</code>)が0かどうかをチェックします。
#* もし0ならば、<code>drop</code> が実行されて、スタックのトップの値(<code>u1</code>)が削除されます。この場合は再帰の終了条件となります。
# <code>else</code>: もしスタックのトップの値(<code>u1</code>)が0でない場合は、次の操作が実行されます。
# <code>swap over mod recurse</code>:
#* <code>swap</code>: スタックのトップと2番目の値を入れ替えます。これにより、<code>u1</code> と <code>u2</code> の値が入れ替わります。
#* <code>over</code>: スタックの2番目の値(入れ替え前の <code>u1</code>)をスタックのトップにコピーします。
#* <code>mod</code>: スタックのトップの2つの値を取り出して、<code>u1 % u2</code>(<code>u1</code> を <code>u2</code> で割った余り)を計算し、その結果をスタックにプッシュします。
#* <code>recurse</code>: 自身の <code>gcd</code> を再帰的に呼び出します。これにより、新しい <code>u1</code> と <code>u2</code> の値がスタックに積まれ、再帰的に最大公約数が計算されます。
# <code>then</code>: <code>if</code> ブロックの終了を示します。
例えば、<code>12 18 gcd .</code> を実行すると、以下のように動作します:
* <code>12</code> と <code>18</code> がスタックにプッシュされます。
* <code>gcd</code> が呼び出されます。
** <code>dup 0=</code>: <code>18</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
** <code>swap over mod recurse</code>: <code>18</code> と <code>12</code> が入れ替わり、<code>18 % 12</code> が計算されます(余りは <code>6</code>)。
** <code>gcd</code> が再帰的に呼び出され、新しい値 <code>12</code> と <code>6</code> がスタックにプッシュされます。
*** <code>dup 0=</code>: <code>6</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
*** <code>swap over mod recurse</code>: <code>6</code> と <code>12</code> が入れ替わり、<code>6 % 12</code> が計算されます(余りは <code>6</code>)。
*** <code>gcd</code> が再帰的に呼び出され、新しい値 <code>6</code> と <code>6</code> がスタックにプッシュされます。
**** <code>dup 0=</code>: <code>6</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
**** <code>swap over mod recurse</code>: <code>6</code> と <code>6</code> が入れ替わり、<code>6 % 6</code> が計算されます(余りは <code>0</code>)。
**** <code>0=</code>: <code>0</code> が0なので、<code>drop</code> が実行されて、スタックのトップの値 <code>0</code> が削除されます。
* 最終的に、スタックのトップには <code>6</code> が残ります。これが <code>12</code> と <code>18</code> の最大公約数です。
したがって、<code>12 18 gcd .</code> を実行すると、<code>6</code> が表示されます。
=== 変数の宣言・代入と参照 ===
Forthにおける <code>VARIABLE</code> は、変数を定義するためのワードです。Forthでは、変数はメモリ内のアドレスに名前を関連付ける方法で定義されます。
以下は、<code>VARIABLE</code> を使用して変数を定義する方法とその使い方の例です。
==== <code>VARIABLE</code> の使用方法 ====
<code>VARIABLE</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE my-var \ my-var という名前の変数を定義する
</syntaxhighlight>
この行は、名前が <code>my-var</code> の変数を定義します。この変数はメモリ内の特定のアドレスに関連付けられます。
==== 変数の使用方法 ====
定義された変数を使用するには、<code>@</code>(fetch)や <code>!</code>(store)などのワードを使います。これらのワードを使って変数の値を取得したり設定したりできます。
- <code>@</code> は、変数の値をスタックにプッシュします。
- <code>!</code> は、スタックのトップの値を変数に代入します。
例えば、次のように変数に値を設定して取得します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 my-var ! \ 変数 my-var に値 123 を代入する
my-var @ . \ 変数 my-var の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、変数 <code>my-var</code> に <code>123</code> を代入し、その後 <code>@</code> を使って変数の値を取得して表示しています。
==== 実際の例 ====
以下は、<code>VARIABLE</code> を使って変数を定義し、値を設定して取得する具体的な例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE my-var \ my-var という名前の変数を定義する
123 my-var ! \ 変数 my-var に値 123 を代入する
my-var @ . \ 変数 my-var の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、変数 <code>my-var</code> を定義し、<code>123</code> を代入してその値を表示しています。<code>!</code> で変数に値を設定し、<code>@</code> で変数の値を取得しています。
変数はプログラムでデータを保持する際に便利です。Forthでは、変数の値は直接メモリ上に代入されるため、効率的なデータ管理が可能です。
=== 定数の定義と参照 ===
Forthの <code>CONSTANT</code> は、定数を定義するためのワードです。定数は変更されることのない値であり、プログラムの中で何度も使われる値を簡潔に表現するために使用されます。
==== <code>CONSTANT</code> の使用方法 ====
<code>CONSTANT</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 CONSTANT my-const \ my-const という名前の定数を定義する
</syntaxhighlight>
この行は、名前が <code>my-const</code> の定数を定義し、その値を <code>123</code> に設定します。定数はプログラム中で使用される値を一元管理し、可読性を向上させます。
==== 定数の使用方法 ====
定義された定数は、その名前を使ってプログラム中で値を参照することができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
my-const . \ 定数 my-const の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、定数 <code>my-const</code> の値が表示されます。
==== 実際の例 ====
以下は、<code>CONSTANT</code> を使って定数を定義し、その定数を使用する具体的な例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 CONSTANT my-const \ my-const という名前の定数を定義する
my-const . \ 定数 my-const の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、定数 <code>my-const</code> を <code>123</code> に設定し、その後定数の値を表示しています。
定数はプログラム中で共通の値を使い回す際に便利です。Forthの定数は一度定義されると値が変更されることはなく、プログラム全体で一貫性のある値を提供します。
=== 基数 ===
Forthの <code>BASE</code> は、数値の基数(n進数のn)を設定するための変数です。Forthでは、数値の表現において基数を変更することができます。通常、Forthはデフォルトで10進数を使用しますが、<code>BASE</code> を変更することで他の基数(2進数、16進数など)で数値を表現することが可能です。
==== <code>BASE</code> の使用方法 ====
<code>BASE</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
16 BASE ! \ 基数を16進数に設定する
</syntaxhighlight>
この行は、<code>BASE</code> の値を <code>16</code> に設定しています。これにより、その後の数値の表示や入力が16進数で行われるようになります。
==== 基数の変更と数値の表現 ====
<code>BASE</code> を変更することで、その後の数値リテラルの表現が変わります。例えば、<code>BASE</code> を16進数に設定した場合、数値リテラルは16進数として解釈されます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
16 BASE ! \ 基数を16進数に設定する
FF . \ 16進数の255を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、<code>BASE</code> を16進数に設定してから、<code>FF</code> を表示すると、16進数の <code>FF</code> (10進数の <code>255</code>)が表示されます。
==== デフォルトの基数と再設定 ====
Forthのデフォルトの基数は10進数です。基数を変更した後は、必要に応じて再度基数を10進数に戻すことができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
DECIMAL BASE ! \ 基数を10進数に戻す
</syntaxhighlight>
この行は、<code>BASE</code> を10進数に再設定しています。これにより、数値リテラルは再び10進数として解釈されるようになります。
よくある間違い:
:<syntaxhighlight lang=forth>
10 BASE ! \ 基数を16進数から10進数に戻す???
</syntaxhighlight>
: として基数を10に戻そうとするミスがあります。
: コードの 10 は16進数として解釈されるので基数は16のままです。
==== 注意点 ====
<code>BASE</code> を変更すると、数値の解釈や表示が変わるため、基数の変更後には適切な基数に戻すことが重要です。また、<code>BASE</code> の値は変数として扱われるため、必要に応じて保存や復元することができます。
基数を変更することで、特定の基数で数値を扱うプログラムを簡単に記述することができます。
=== イミディエイトワード ===
イミディエイトワード(immediate word)は、Forthプログラミング言語において特定の動作を持つワードの一種です。イミディエイトワードは、通常のワードとは異なり、コンパイル時ではなく実行時に直ちに処理されます。
以下は、イミディエイトワードの特性について詳しく説明します:
# 実行時処理:
#* イミディエイトワードは、定義された時点ではコンパイルされず、実行時に直ちに解釈および実行されます。
#* 通常のワード(コンパイルワード)は、単なるコンパイル時にスタックに動作を積むだけであり、後で実行されますが、イミディエイトワードは定義された時点ですぐに実行されます。
# 定義方法:
#* イミディエイトワードは、<code>IMMEDIATE</code> を使用して定義されます。
#* これにより、そのワードが定義された直後に実行されるようにマークされます。
# 使用例:
#* 例えば、<code>."</code>(ダブルクォートピリオド)はイミディエイトワードです。これは、コンパイル時ではなく実行時に文字列を表示します。
#* <code>: greeting ." Hello, world!" ;</code> という定義では、<code>. "</code>Hello, world!"<code> はコンパイル時に実行されず、</code>greeting` を実行したときに実行されます。
# 動的な挙動:
#* イミディエイトワードは、通常のワードとは異なり、実行時の環境やスタックの状態に応じて動的に振る舞います。
#* これにより、実行時に動的なテキストや操作を生成するために使用することができます。
イミディエイトワードは、Forthの柔軟性と強力な動的な特性を提供します。コンパイル時に制御構造や動作を決定するだけでなく、実行時に動的な挙動を持つことができます。
{{コラム|Forthの文法|2=Forthのプログラムは、空白文字で区切られた「ワード」の並びで構成されます。ワードには、数値リテラル、制御構造、演算子、そして他のワードを呼び出す構文などがあります。Forthには高水準の構文がなく、基本的な構文要素は非常にシンプルです。
例えば、<code>2 3 +</code> と入力すると、2と3がスタックにプッシュされ、最後の<code>+</code>がスタック上の2つの数値を加算します。この結果である5がスタックに残ります。つまり、Forthではプログラムの実行とデータ操作が、ワードの解釈とスタック操作によって行われるのです。
Forthは、基本的に行指向の言語です。プログラムは複数行に分割できますが、改行の前後で文が継続する場合は、スペースを入れる必要があります。このため、適切なインデントを使ってプログラムの構造をわかりやすくすることが重要です。
}}
== データ構造とメモリ管理 ==
Forthは組み込みシステムなどのリソース制約の厳しい用途を想定して設計されているため、メモリの効率的な利用が重視されています。この章では、Forthにおけるデータ構造とメモリ管理の方法を説明します。
=== コントロールフロースタック ===
コントロールフロースタックとは、Forthのプログラムの制御フローを管理するために使用される仮想的なスタックです。
その主な役割は以下の通りです:
# 制御フロー命令の対応関係の管理
#* 制御フロー命令(<code>IF</code>, <code>THEN</code>, <code>ELSE</code>, <code>BEGIN</code>, <code>WHILE</code>, <code>REPEAT</code> など)の対応関係を管理します。
#* 開始と終了の命令が適切に対応していることを確認します。
# 制御フロー中のデータスタック操作の制約
#* 制御フロー中のデータスタックの使用方法に制約を課します。
#* 制御フロー命令の入れ子関係に応じて、適切なデータスタックの状態が維持されるようにします。
コントロールフロースタックは物理的に実装されていなくても良いと仕様で定められています。
代わりに、システムはコンパイル時や実行時にこのスタックの挙動を模倣する方法を採ることができます。
つまり、コントロールフロースタックはForthの制御構造の妥当性を保証する上で重要な概念であり、プログラムの正しい実行を支えているのです。
通常のプログラミングでコントロールフロースタックを強く意識することはありませんが、制御構造を自らワードとして定義しようとする場合、コントロールフロースタックの振る舞いに注意する必要があります。
=== リターンスタック ===
Forthには、データスタックとは別に、リターンスタックと呼ばれる重要なスタックが存在します。リターンスタックの主な役割は以下の通りです:
# 関数呼び出しとリターン
#* 関数を呼び出すとき、その関数の呼び出し元の命令アドレスがリターンスタックにプッシュされます。
#* 関数から抜け出すときは、リターンスタックからアドレスがポップされ、その場所に制御が戻されます。
#* これによって、関数呼び出しの際の制御の移動を管理することができます。
# 一時的データ保管
#* リターンスタックは、データを一時的に保管する場所としても使えます。
#* データスタックからデータを>Rでリターンスタックにプッシュし、後でR>で取り出すことができます。
#* これにより、データスタックの状態を一時的に変更せずに、値を保持しておくことができます。
リターンスタックの使用には注意点があります:
* ワード内やループ内では、<code>>R</code>と <code>R></code>の回数が一致している必要があります。
* リターンスタックの値は、同じブロック内でのみ参照・取り出しできます。
* ループの脱出時やDO-ループ内からは、リターンスタックの値を取り出せません。
つまり、リターンスタックは制御フローの管理と一時的なデータ保管に使われますが、その使い方には一定の制限があるため、注意深く扱う必要があります。
プログラムの複雑さが増すと、リターンスタックの状態を適切に管理することが難しくなるため、できるだけ単純な使い方に留めるのが賢明です。
; <code>>R ( x -- ) ( R: -- x )</code>
: データスタックから値をポップしリターンスタックにプッシュする
; <code>R> ( R: -- x ) ( x -- )</code>
: リターンスタックから値をポップしデータスタックにプッシュする
; <code>R@ ( -- x ) ( R: x -- x )</code>
: リターンスタックのスタックトップをデータスタックにコピーする
; <code>2>R ( x1 x2 -- ) ( R: -- x1 x2 )</code>
; <code>2R> ( -- x1 x2 ) ( R: x1 x2 -- )</code>
; <code>2R@ ( -- x1 x2 ) ( R: x1 x2 -- x1 x2 )</code>
スタックエフェクトに <code>R:</code> という新しい記号が出てきましたが、これはリターンスタックへの操作をしまします。このためリターンスタックはRスタックとも呼ばれています。
=== 変数とアドレス指定 ===
Forthには、グローバル変数やローカル変数の概念がありません。代わりに、値を格納するためのメモリ領域を確保し、そのアドレスを使ってアクセスします。<code>VARIABLE</code>ワードを使うと、新しい変数領域が確保され、その開始アドレスがスタックに置かれます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE COUNTER \ カウンター変数を定義
COUNTER @ . \ 変数の値を表示(初期値は0)
1 COUNTER +! \ 変数にインクリメント
</syntaxhighlight>
変数の値を取り出すには<code>@</code>(フェッチ)、格納するには<code>!</code>(ストア)を使います。<code>+!</code>のように算術演算と<code>!</code>を組み合わせたワードもあります。
Forthではアドレスを直接スタックに置いて操作することもできます。<code>HERE</code>はディクショナリの次の空きアドレスを取得し、<code>ALLOT</code>はディクショナリ領域を確保します。
=== 配列と構造体 ===
配列やレコード(構造体)といったデータ構造は、Forthではメモリブロックとしてアドレスで表現されます。配列の各要素にアクセスするには、インデックスとベースアドレスの計算が必要です。
:<syntaxhighlight lang=forth>
CREATE ARRAY 100 ALLOT \ 100セルの配列を作成
ARRAY 10 + @ . \ 11番目の要素を表示
</syntaxhighlight>
<code>CREATE</code>...<code>ALLOT</code>で連続したメモリ領域を確保し、<code>ARRAY</code>にその開始アドレスが置かれます。要素へのアクセスには、ベースアドレスにインデックスをシフトして足し算します。
レコードは、必要なフィールドごとにメモリを確保して構築できます。レコードのフィールドへのアクセスには、オフセット値を使ってフィールドのアドレスを計算します。
Forthにおけるデータ構造は、非常に低レベルで表現されています。一方で、この低レベルなアクセス方式は、メモリの効率的な利用を可能にし、Forthをシステムプログラミングに適した言語にしています。
== 入出力と組み込みワード ==
Forthには標準の入出力ワードがあり、コンソールやファイルからの入出力を行えます。また、様々な組み込みワードが用意されており、これらを活用することでForthの機能を拡張できます。
=== 標準入出力 ===
Forthには、キーボードからの文字入力や、コンソールへの文字出力を行うためのワードが用意されています。
:<syntaxhighlight lang=forth>
KEY \ キーボードから1文字読み込む
EMIT \ スタック上の値(文字コード)を出力する
." \ 文字列を直接出力する
</syntaxhighlight>
<code>KEY</code>はキーボード入力を待ち、押された文字のASCIIコードをスタックに置きます。<code>EMIT</code>は逆に、スタック上の値を文字コードとして解釈し、コンソールに出力します。<code>." Hello"</code>のように、<code>."</code> の後に文字列を続けると、その文字列がコンソール出力されます。
数値入出力には、<code>?</code>、<code>U.</code>、<code>U.R</code>などのワードが使えます。<code>?</code>は数値を入力受け付け、<code>U.</code>は符号なし数値を、<code>U.R</code>は数値を指定した基数(2進数、16進数など)で出力します。
=== ファイルアクセス ===
ファイル入出力には、様々なワードが用意されています。<code>OPEN-FILE</code>でファイルを開き、<code>READ-FILE</code>や<code>WRITE-FILE</code>でデータの読み書きができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
S" data.txt" R/O OPEN-FILE THROW VALUE HANDLE \ ファイルを読み取りモードで開く
HANDLE READ-FILE ABORT" READ ERROR" \ ファイルを読み込む
HANDLE CLOSE-FILE THROW \ ファイルを閉じる
</syntaxhighlight>
ファイル名は、<code>S"</code> で文字列をスタックに置いた後、<code>R/O</code>(読み取り専用)や<code>W/O</code>(書き込み専用)といったモードを指定してファイルを開きます。<code>THROW</code>はエラーがあれば例外を発生させます。
<code>READ-FILE</code>や<code>WRITE-FILE</code>では、バッファ領域のアドレスと読み書きするバイト数をスタックに置く必要があります。
=== 組み込みワードの利用 ===
Forthには、数学関数や論理演算、メモリ操作など、様々な組み込みワードが用意されています。必要に応じてこれらのワードを活用することで、プログラムにさまざまな機能を付加できます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
2 3 MAX . \ 最大値(3)を出力
S" HELLO" SWAP DROP \ スタック操作サンプル
HEX 1F20 4 DUMP \ メモリダンプ
</syntaxhighlight>
<code>MAX</code>は2つの数値の最大値を、<code>SWAP</code>は2つの値の順序を入れ替え、<code>DROP</code>は最上位の値を捨てます。<code>DUMP</code>は指定したアドレスからのメモリ内容をダンプ出力します。
組み込みワードには、浮動小数点演算、文字列処理、マルチタスク、IPCなど、様々な分野のものがあります。また、必要に応じてワードを自作したり、外部ライブラリからリンクしたりできます。Forthはコンパクトなシステムながら、組み込みワードの充実により高い機能性を発揮します。
== アプリケーション開発 ==
Forthは小規模な組み込みシステムから大規模なアプリケーションまで、幅広い用途に使用できる言語です。この章では、Forthにおけるアプリケーション開発の手法と、実例について解説します。
=== モジュール化とワード管理 ===
Forthはワードをベースとしたモジュール性の高いプログラミングができます。大きなアプリケーションを開発する際は、適切にモジュール分割してワードを設計・管理することが重要です。
Forthにはネームスペースの概念がありません。そのため、ワード名の重複を避けるためには、プレフィックスなどの命名規則を定めることが一般的です。たとえば<code>STRING-LENGTH</code>のように、ワードの役割がわかるよう名前を付けます。
また、ワードをまとめてファイルに保存し、必要に応じて読み込む方法があります。Forthの多くの処理系は、ワードの定義をソースファイルに保存したり、メモリイメージを永続化したりできます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
MARKER MODULE>STRING
: STRING-LENGTH \ 文字列の長さを求める
...
;
: STRING-REVERSE \ 文字列を反転する
...
;
STRING-REVERSESTRING-LENGTH +MODULE
</syntaxhighlight>
作成したワードは<code>MODULE>NAME</code>でモジュール名を付け、<code>+MODULE</code>でモジュールを完成させることができます。他のソースから<code>USE MODULE>NAME</code>とすれば、そのモジュールのワードが使用可能になります。
大規模なシステムでは、このようなソースレベルの分割に加え、オーバーレイ、仮想メモリ、マルチタスク機能を活用することで、メモリの効率的な使用が可能です。
=== グラフィックス処理 ===
Forthでもグラフィック処理が可能ですが、組み込みの機能は限られています。ほとんどの処理はユーザ定義ワードとして実装する必要があります。
ビットマップ画像の表示や、ウィンドウ、マウスカーソルなどの基本的なGUIの作成はある程度可能です。高度な3Dグラフィックスなどを実現するには、外部ライブラリを利用する必要があります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
NEED FRAMEBUFFER \ フレームバッファへのアクセスモジュール
: DRAW-LINE ( x1 y1 x2 y2 -- )
\ ブレザンハムのアルゴリズムでライン描画
...
;
: DRAW-RECT ( x y w h -- )
2SWAP 2>R 2R> \ (x y w h -- x y x+w y+h)
DRAW-LINE 2>R 2R>
DRAW-LINE 2SWAP
DRAW-LINE 2SWAP
DRAW-LINE
;
FRAMEBUFFER-INIT \ グラフィックスサブシステムの初期化
100 100 300 200 DRAW-RECT \ 長方形を描画
</syntaxhighlight>
上記では、フレームバッファの制御関数がロードされた前提で、<code>DRAW-LINE</code>を使って<code>DRAW-RECT</code>(長方形描画)を実装しています。スタックを活用して座標値を受け渡し、基本的な幾何図形を描画しています。
Forthはグラフィックスパイプラインなどの高度な機能を組み込んでいませんが、スタックベースの処理により、低レベルのデバイスアクセスが可能です。組み込みシステムのディスプレイやLED制御など、グラフィックス関連の処理に適しています。
=== システムプログラミング ===
Forthの本質的な特性として、システムプログラミングに適していることがあげられます。小規模でコンパクト、高速動作、低レベルなメモリアクセスが可能というメリットがあります。
OSカーネル、デバイスドライバ、BIOS、ブートローダなどの開発にForthは広く使われてきました。組み込みシステムでは、センサーやI/Oデバイスの制御に最適です。スタック指向のモデルにより、レジスタレベルの処理が直接かけるのも特徴です。
例えば、Forthを使ってブートローダを実装する場合には、次のようなプログラムになります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
HEX
07C0 INPORT DROP \ DOSデータ領域クリア
0800 0 20 MOVE \ リセットベクタ設定
KERNEL.IMG LOAD \ カーネル読み込み
A000 OUTPORT \ VGAモードへ切り替え
1000 JMP \ カーネル実行
...
\ BIOSブート用の簡単なForth読み込みコード
:KERNEL.IMG
LOAD CORE SWAP CPU KERNEL ;
</syntaxhighlight>
BIOSなどの低レベル機能を呼び出してブートローダを構築する処理が、Forthの文法でコンパクトに記述できる様子がわかります。
また、Forth自身が小規模で可搬性が高いため、Forth処理系そのものもForthで書かれた簡単なコアを、ホストOSやアーキテクチャに合わせてセルフホスト (移植) する手法が一般的です。これは、アプリケーションと実行環境を一体化して開発できる利点があります。
== 高度なトピック ==
ここまでForthの基本的な構文と概念、データ構造、アプリケーション開発の実例などを解説してきました。この章では、Forthの高度な利用方法としてパフォーマンス最適化、マルチスレッド・マルチタスク、メタプログラミングについて取り上げます。
=== 最適化とパフォーマンス ===
Forthはコンパクトで高速な言語ですが、さらなる最適化の余地があります。ワードの定義を工夫したり、ネイティブコードコンパイラを使ったりすることで、パフォーマンスを向上できます。
ワード定義の最適化では、冗長な演算を排除したり、インラインコーディングの手法を用いたりします。例えば、次のようなワード定義があるとします。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: MAX2 ( n1 n2 -- max ) 2DUP > IF SWAP DROP ELSE NIP THEN ;
</syntaxhighlight>
この<code>MAX2</code>は一時的に2つの値を複製(<code>2DUP</code>)し、<code>IF</code>..<code>ELSE</code>..<code>THEN</code>の条件分岐で最大値を選びます。しかし、この一時複製が無駄な演算となっています。次のように書くとコードがシンプルになります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: MAX2 ( n1 n2 -- max ) OVER OVER > IF SWAP THEN ;
</syntaxhighlight>
ワードの最適化には一般的なテクニックがあり、Forthのコンパイラ作者から提案されているものを参考にするとよいでしょう。
また、Forthにはネイティブコードコンパイラと呼ばれるもので、ワードの実行コードをネイティブマシン語に変換できるものがあります。Forthの対話的な実行環境は便利ですが、ネイティブコードの方が高速に動作します。こうした最適化手法を使い分けることで、Forthのパフォーマンスを飛躍的に向上できます。
=== マルチスレッドとマルチタスク ===
Forthには並列実行の機構が組み込まれていないため、マルチスレッドやマルチタスク処理を実現するにはユーザ定義の実装が必要です。しかし、Forthの言語特性を活かせばきわめてコンパクトな並列処理ができます。
マルチスレッドでは、スタックを分離し、スレッド毎にスタックのコピーを持つ手法が一般的です。スレッドの切り替えはスタックのコンテキストスイッチで実現できます。また、Forthのデータストアクセス方式を応用すれば、IPC(プロセス間通信)の仕組みを作ることもできます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: NEW-TASK ( -- )
HERE CURRENT-STACK >R CREATE-STACK SWAP
[: DO-SOME-WORK ;] ( compile: word behavior )
R> SET-CURRENT
;
</syntaxhighlight>
この例では、新しいタスクを作成するワード<code>NEW-TASK</code>を定義しています。<code>CREATE-STACK</code>でスタックを新しく割り当て、<code>DO-SOME-WORK</code>のようなワード定義をタスクとして登録します。実行時にはスケジューラによってこれらのタスクが実行されます。
マルチタスク機構を実装する例は多数あり、スレッド単位でデータを扱う方式、メッセージキューによる方式、それぞれ長所と短所があります。並列処理にはデッドロックなどの問題点もありますが、Forthではコンパクトでシンプルなコード記述が可能です。
=== メタプログラミング ===
Forthにはプログラムを生成・変更するメタプログラミングの機能があり、コードを自動生成したり、プログラムを動的に変更したりできます。この機能は、Forthをドメイン固有言語(DSL)の開発などに適用できることを意味しています。
メタプログラミングには、コンパイル時に評価される構文<code>[...]</code>と実行時構文<code>EVAL</code>があります。どちらもプログラムをデータとして扱えるため、動的にプログラムを生成・変更できます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: HILBERT-CURVE ( n -- )
0 ?DO
[: 2DUP RECURSE >R >R
1 HCURVE R> R> RECURSE
3 HCURVE ;]
POSTPONE LITERAL POSTPONE HCURVE
LOOP
;
</syntaxhighlight>
この例では、ヒルベルト曲線を描画するコードを動的に生成しています。<code>POSTPONE</code>はワードのコンパイルを遅延させ、<code>[: ... ;]</code>の構文はその間のテキストを実行可能なコードとしてコンパイルします。この手法により、 Hilbertカーブの次元(<code>n</code>)に応じて、その描画コードを生成しています。
Forthのメタプログラミング機能は、高度な用途に役立ちます。例えば、ユーザインターフェースビルダー、コードジェネレーター、プログラムシンセサイザなどでその力を発揮できます。Forthの柔軟性を最大限に活かせる側面といえるでしょう。
== サンプルプログラムとプロジェクト ==
Forthの理解を深めるには、実際にコードを書いて動作を確認することが大切です。この章では、様々なサンプルコードを紹介するとともに、実践的なForthプロジェクトの例を示します。
=== 様々なサンプルコード ===
以下はForthの基本的な機能を示すサンプルコード集です。
; 再帰によるフィボナッチ数列
:<syntaxhighlight lang=forth>
: FIB ( n -- fib-n )
DUP 0= IF DROP 1 EXIT THEN
DUP 1 = IF DROP 1 EXIT THEN
DUP 1- RECURSE
SWAP 2 - RECURSE
+
;
</syntaxhighlight>
; 文字列操作
:<syntaxhighlight lang=forth>
: UPPERCASE ( addr n -- addr n )
OVER + SWAP ?DO
I C@ [CHAR] a [CHAR] z 1+ WITHIN
IF [CHAR] A [CHAR] a - + THEN
I C!
LOOP
;
: REVERSE-WORDS ( addr n -- )
[CHAR] \ SKIP SPACES OVER >R
BEGIN
OVER C@ [CHAR] \ <>
WHILE
[CHAR] \ PARSE DUP >R REVERSE
R> OVER C! CHAR+
REPEAT
R> DROP 2DROP
;
</syntaxhighlight>
; ベクトル・行列計算
:<syntaxhighlight lang=forth>
REQUIRE DOUBLE \ 倍精度浮動小数点サポート
: VZEROS ( n -- addr ) \ n要素のゼロベクトルを生成
CREATE HERE 0 SWAP 8 * DUP ALLOT FILL
;
: MZEROS ( rows cols -- addr ) \ rows x cols の零行列を生成
SWAP VZEROS SWAP 0 ?DO OVER VZEROS COLS + LOOP
;
</syntaxhighlight>
; 簡易グラフィックス
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE FRAMEBUF \ フレームバッファアドレス
: PIXEL ( x y color -- ) \ 1ピクセル書き込み
FRAMEBUF @ >R 2 * R@ + 3 * RP@ C!+ RP@ C!+ RDROP
;
: LINE ( x1 y1 x2 y2 c -- ) \ ラインの描画
>R 2SWAP R> 2>R 2R@ PIXEL 2R> PIXELLINE
;
</syntaxhighlight>
これらの例は、スタックを使った処理の流れ、ユーザ定義ワードの作成、再帰など、Forthのプログラミング手法の基本を示しています。コンパクトながらも表現力の高さがわかるでしょう。
=== 実践的なプロジェクト例 ===
次に、もう少し大がかりなForthプロジェクトの例を紹介します。
; Forth Chip-8 エミュレーター
Chip-8はレトロなゲームコンソールで、Forthでその命令セットをエミュレートするプロジェクトです。グラフィックス、入力処理、命令デコーダなどを実装します。
; カーネルとブートローダ
ForthでOSカーネルの基本部分を実装し、ブートローダと合わせてシステムを構築するプロジェクト。メモリ管理、タスク管理、ファイルシステム、ドライバなどの機能が実装できます。
; Webサーバー
ForthでHTTPリクエストを処理するWebサーバーを作成。ソケット通信、文字列処理、ファイル入出力などの機能が必要になります。追加してWebアプリケーションフレームワークなども作れます。
; オープンソースForthプロセッサ
Forthを使ってCPU命令セットを記述し、ゲートレベルまでFPGAに実装するプロセッサの設計プロジェクト。ハードウェア記述言語との連携が重要です。
このようなプロジェクトを通して、Forthの実用性とシステムプログラミングでの可能性を体験できます。Forthという言語自体を使って、OSやハードウェアコンポーネントを実装できるのが最大の特徴です。いずれのプロジェクトも一般的な規模になると、モジュール分割やワード管理、ツール活用などの工夫が必要になります。
== 参考資料 ==
Forthについてより深く学ぶには、書籍や公開されているオンラインリソースを参照するのが有効な方法です。また、活発なForthコミュニティに参加することで、他の開発者からの助言を得られます。
=== 関連書籍の紹介 ===
Forthの入門書から応用、さらには処理系の実装に至るまで、多くの優れた書籍が出版されています。
* 「Forth入門」レオ・ブロディ (ISBN:978-4875930297 工学社)
** Forth言語の基本から、アプリケーション開発までをカバーした長年の定番書。
* 「Thinking Forth」Leo Brodie (Punchy Publishing) / Forth思考 ―問題解決のための言語と哲学― レオ・ブロディー著
** Forth哲学に重きを置いた名著。Forthの考え方を深く解説。
* 「Forth Programmer's Handbook」(ISBN:978-1419675492 Forth Inc.)
** ANS Forthの規格書で、WordSetの詳細が書かれている。
これらの書籍を手に入れられれば、Forthの理解が格段に進むはずです。電子書籍としても出版されているものがあります。
=== オンラインリソース ===
{{Wikipedia}}
インターネット上にも無料で参照できるForth関連の豊富なリソースが存在します。
* Forth Interest Group ( https://www.forth.org/ )
** Forthに関する書籍、記事、リソースなどが集まるポータル。
* Forth-Standard-Committee 公式サイト( https://forth-standard.org/ )
Webサイト、ソースコード、ニュースレターなど、さまざまな形でリソースが公開されているので、活用していきたいものです。
=== Forthコミュニティ ===
長年にわたりForth言語を支える活発なコミュニティが存在し、開発者同士が支え合う環境があります。
* Newsgroups: comp.lang.forth
** ディスカッションの場となるForth専用のニュースグループ。
* 地域 Forth グループ
** ヨーロッパ、アメリカ、アジアなどの地域Forthグループ。
オンラインフォーラムやメーリングリスト、対面の勉強会など、様々な形でForth開発者同士が交流を深めています。初心者でもこうしたコミュニティに参加することで、サポートを受けられます。Forthの小さな世界ですが、地域を越えて開発が行われているのが特徴です。
Forthの参考文献やオンラインリソース、そしてコミュニティを上手く活用することで、この独特な言語の理解が一層深まるはずです。
== 脚註 ==
<references />
[[Category:Forth|*]]
[[Category:プログラミング言語]]
lus3ntrq952gdtkxoef5j9umn2jsebl
246640
246639
2024-04-13T00:43:41Z
Ef3
694
/* 基本的な制御構造 */ Forthの制御構造は、他のプログラミング言語とは異なり「制御構造もワードの集合から定義する」という独自の特徴を持っています。Forthでは、基本的な制御構造として条件分岐とループが利用されます。 制御構造に関するワードは、コンパイル時(つまり : から ; までの間)でのみ使用でき会話モードでは使用できません。
wikitext
text/x-wiki
== はじめに ==
Forthはスタック指向のプログラミング言語であり、そのシンプルさと柔軟性から広く用いられています。
本書は、プログラマがForthを効果的に使いこなすための手引書として設計されています。例示や実践的なヒントが豊富に盛り込まれており、読者は理論を理解しながら実際のプロジェクトに応用できるでしょう。
本書を通じて、Forthの魅力と実力を十分に体感し、その利用価値を最大限に引き出すことができるでしょう。
本書では、ForthのCore Word Setに準拠した標準的なForthシステムを題材とします。
== Forthプログラミングの基礎 ==
Forthはスタック指向のプログラミング言語であり、独自の特徴を持っています。以下では、Forthプログラミングの基礎を解説します。
=== スタック操作 ===
[[スタック構造|スタック]]は、Forthにおける中心的なデータ構造です。ほとんどのワードは、スタックから値を取り出したり、スタックに値を代入したりします。スタックは、後入れ先出し(LIFO; Last In First Out)のデータ構造で、Forthの演算はスタック上で行われます。
=== 例 ===
以下は、Forthでの簡単な計算の例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
3 4 + .
</syntaxhighlight>
: まず<code>3</code>をスタックに置き、<code>4 + .</code> を解釈します。
: 次に、<code>4</code>をスタックに置き、<code>3 4</code> となり、<code>+ .</code> が残ります。
: そして、<code>+</code> はスタックのトップの2つの要素を加算して結果を戻し、スタックには<code>7</code>だけが残ります。
: 最後に、<code>.</code>(ドット)はスタックから<code>7</code>を取り除いてそれを表示します。
:{|
|-
!コード!!style='width:3em'| 3 !!style='width:3em'| 4 !!style='width:3em'| + !!style='width:3em'| .
|-
!スタックトップ
|style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 4 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 7 ||
|-
!
| ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 || ||
|-
!出力
| || || ||style="text-align:center; font-weight: bold"| 7
|}
=== コメント ===
Forthでは、コメントは括弧で囲んで表現されます。例えば:
:<syntaxhighlight lang=forth>
( これはコメントです )
</syntaxhighlight>
<code>/</code> から行末までもコメントです
:<syntaxhighlight lang=forth>
3 4 + \ 3 + 4 の結果をスタックトップに残す
</syntaxhighlight>
コメントは、インタプリタの動作に影響を与えません。
=== スタックエフェクト ===
Forthの各ワードは、スタック上で特定の操作を行います。ワードのドキュメントでは、それがスタックに対してどのような影響を与えるかを示す記述があります。例えば:
:<syntaxhighlight lang=forth>
+ ( a b -- c )
</syntaxhighlight>
この記述は、<code>+</code>ワードが2つの引数(<code>a</code>と<code>b</code>)を消費し、1つの結果(<code>c</code>)をスタックに残すことを意味します。
=== Forthのワードとは?その定義と使用について ===
Forthにおける「ワード」とは、基本的には単語や言葉を意味しますが、Forthプログラミングでは、より具体的には次の2つの意味を持ちます。
# 定義済みの単語
#: ワードは、Forthの語彙において定義された単語や操作を指します。Forthでは、これらのワードはスタック操作や制御構造、算術演算などの基本的な機能を表します。例えば、<code>+</code>は2つの数値を取り出して足し合わせ、結果をスタックに戻すワードです。
# 新しい単語の定義
#: ワードは、Forthプログラム内で新しい単語を定義するための仕組みとしても使われます。これは、既存のワードを組み合わせて、新しい機能を持つ単語を定義することを意味します。例えば、<code>DOUBLE</code>というワードを定義して、与えられた数値を2倍にするような操作を定義することができます。
ワードの定義は、通常、次のような形式で行われます:
:<syntaxhighlight lang=forth>
: ワード名 ( 定義部分 ) ;
</syntaxhighlight>
ここで、<code>: ワード名</code>は新しいワードの定義を開始し、<code>;</code>は定義の終了を示します。定義部分には、既存のワードや操作を組み合わせて、新しい機能を実現するForthのコードが記述されます。
=== ワードの定義と使用例 ===
Forthにおけるワードの定義と使用についてさらに詳しく説明します。
# ワードの定義 :
#: ワードは、<code>:</code> と <code>;</code> の間に記述されたコードブロックで定義されます。
#: 例えば、<code>SQUARE</code>という新しいワードを定義してみましょう。
#:<syntaxhighlight lang=forth>
: SQUARE ( n -- n*n ) DUP * ;
</syntaxhighlight>
#: ここでは、<code>SQUARE</code>というワードが定義されています。このワードは、スタックから1つの数値を取り出し、その数値を自乗して結果をスタックに戻します。
# ワードの使用 :
#: 定義したワードは、Forthプログラム内で直接使用することができます。
#:<syntaxhighlight lang=forth>
5 SQUARE . \ スタックから5を取り出して自乗し、結果を表示する
</syntaxhighlight>
#:上記の例では、<code>5 SQUARE .</code> というForthコードが実行されます。まず、<code>5</code>がスタックに積まれ、次に<code>SQUARE</code>ワードが実行されて、<code>5</code>の自乗である<code>25</code>が計算されます。最後に<code>.</code>はスタックのトップの値を表示しますので、結果として<code>25</code>が表示されます。
# 組み込みワードとカスタムワード :
#: Forthには組み込みのワード(<code>+</code>, <code>-</code>, <code>*</code>, <code>/</code>など)がありますが、ユーザーはこれに加えて独自のワードを定義することができます。カスタムワードを使うことで、プログラムをより効率的に構築できます。
# 再帰的なワード :
#: Forthでは、ワードは自身の中で再帰的に呼び出すことができます。これにより、複雑な演算や制御構造を簡潔に表現することが可能です。
ワードの定義と使用は、Forthプログラムの中核的な部分を構成します。これにより、プログラムの再利用性、メンテナンス性、可読性が向上し、効率的なコーディングが実現されます。
=== 基本的な制御構造 ===
Forthの制御構造は、他のプログラミング言語とは異なり「制御構造もワードの集合から定義する」という独自の特徴を持っています。Forthでは、基本的な制御構造として条件分岐とループが利用されます。
制御構造に関するワードは、コンパイル時(つまり <code>:</code> から <code>;</code> までの間)でのみ使用でき会話モードでは使用できません。
==== 条件分岐 ====
Forthでは、条件分岐は主に <code>IF</code>, <code>ELSE</code>, <code>THEN</code> のワードを組み合わせて実現されます。
; 例:
:<syntaxhighlight lang=forth>
: ABS ( n -- |n| )
DUP 0<
IF
NEGATE
THEN ;
</syntaxhighlight>
この例では、<code>ABS</code>というワードを定義しています。このワードは、スタックから数値を取り出し、その絶対値を計算して結果をスタックに戻します。<code>DUP 0<</code> はスタックトップの値が0より小さいかどうかをチェックし、<code>IF</code> から <code>THEN</code> の間に記述されたブロックが条件を満たす場合に実行されます。つまり、もし数値が負の場合は <code>NEGATE</code> が実行されます。
==== ループ ====
Forthでは、ループは <code>DO</code>, <code>LOOP</code> や <code>BEGIN</code>, <code>WHILE</code>, <code>REPEAT</code> のワードを使って実装されます。
; 例:
:<syntaxhighlight lang=forth>
: COUNTDOWN ( n -- )
0 DO
I .
LOOP
;
</syntaxhighlight>
上記の例では、0から与えられた数値(<code>n</code>)までカウントダウンする<code>COUNTDOWN</code>というワードを定義しています。
==== その他の制御構造 ====
Forthには他にも、<code>CASE</code>, <code>OF</code>, <code>ENDOF</code>, <code>ENDCASE</code> を使った条件分岐や、<code>IF-ELSE-ENDIF</code> 構造、<code>BEGIN-UNTIL</code>、<code>BEGIN-WHILE-REPEAT</code> など、さまざまな制御構造が存在し、新たな制御構造をユーザーが定義することすら出来ます。
Forthの制御構造は、スタック指向の特性に基づいてシンプルかつ柔軟に設計されており、独自のプログラミングスタイルを持つことが特徴です。
=== スタック操作の基本命令 ===
Forthにはスタック上のデータを操作するための基本的な命令があります。
* <code>DUP</code>: ( n -- n n ) スタックのトップの要素を複製する
* <code>DROP</code>: ( n -- ) スタックのトップの要素を削除する
* <code>SWAP</code>: ( n1 n2 -- n2 n1 ) スタックのトップとその下の要素を交換する
* <code>OVER</code>: (n1 n2 -- n1 n2 n1 ) スタックのトップの2つ下の要素を複製してトップに置く
* <code>ROT</code>: ( n1 n2 n3 — n2 n3 n1 ) スタックのトップの3つ下の要素をトップに回転する
=== 基本的な演算 ===
Forthには、算術演算(<code>+</code>、<code>-</code>、<code>*</code>、<code>/</code>など)、論理演算(<code>AND</code>、<code>OR</code>、<code>NOT</code>)、比較(<code>=</code>、<code><></code>、<code>></code>、<code><</code>など)の基本ワードが用意されています。これらのワードは、スタック上の値を取り、演算結果をスタックに代入します。
=== 再帰的呼び出し ===
Forthで再帰的呼び出しを行う場合、ワード <code>recurse</code> を使ってワード自身を表します。
再帰的なワードを定義する方法について説明します。
==== 階乗 ====
再帰的な階乗(factorial)を定義します。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: factorial ( n -- result )
dup 0= if \ スタックのトップの値が0かどうかをチェック
drop 1 \ もし0ならば、結果は1として処理を終了
else
dup 1 - \ スタックのトップの値から1を引いた値をコピー
recurse * \ 再帰的に自身を呼び出して、その結果にスタックのトップの値を掛ける
then
;
</syntaxhighlight>
この定義の内容を説明します。
* ワード <code>factorial</code> は、<code>( n -- result )</code> のスタックエフェクトを持ちます。<code>n</code> は階乗を計算する整数です。
* <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0かどうかをチェックします。
** もし0ならば、<code>drop 1</code> が実行されて、スタックのトップの値(<code>n</code>)が削除され、結果として <code>1</code> がスタックにプッシュされます。
* <code>else</code>: もしスタックのトップの値が0でない場合は、次の操作が実行されます。
** <code>dup 1 -</code>: スタックのトップの値から <code>1</code> を引いた値をスタックにプッシュします。これは <code>n - 1</code> の計算です。
** <code>recurse *</code>: 自身の <code>factorial</code> を再帰的に呼び出して、結果に対してスタックのトップの値(<code>n</code>)を掛けます。これにより、<code>n! = n * (n-1)!</code> の計算が行われます。
* <code>then</code>: <code>if</code> ブロックの終了を示します。
例えば、<code>5 factorial .</code> を実行すると、<code>5</code> の階乗(<code>5!</code>)が計算されます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
5 factorial .
</syntaxhighlight>
この例では、<code>5!</code> の計算手順は以下の通りです:
* <code>5</code> がスタックにプッシュされる。
* <code>factorial</code> が呼び出される。
** <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0でないので、次の処理が実行される。
** <code>dup 1 -</code>: <code>5 - 1</code> が計算されて <code>4</code> がスタックにプッシュされる。
** <code>recurse *</code>: <code>4</code> の階乗 (<code>4!</code>) が再帰的に計算される。
*** <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0でないので、次の処理が実行される。
*** <code>dup 1 -</code>: <code>4 - 1</code> が計算されて <code>3</code> がスタックにプッシュされる。
*** <code>recurse *</code>: <code>3</code> の階乗 (<code>3!</code>) が再帰的に計算される。
**** ...
***** 最終的に、<code>1</code> の階乗 (<code>1!</code>) が計算されて <code>1</code> がスタックにプッシュされる。
**** <code>5 *</code>: <code>5</code> と <code>4!</code> の結果を掛けて <code>120</code> がスタックにプッシュされる。
*** <code>5 *</code>: <code>5</code> と <code>120</code> の結果を掛けて <code>120</code> がスタックにプッシュされる。
* <code>. (dot)</code> コンパイラワ
==== 最大公約数(GCD) ====
再帰的にユークリッドのアルゴリズムを使用して最大公約数(Greatest Common Divisor, GCD)を計算します。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: gcd ( u1 u2 -- gcd )
dup 0= if \ スタックのトップの値が0かどうかをチェック
drop \ スタックのトップの値が0ならば削除して終了
else
swap over mod recurse \ スタックのトップと2番目の値を入れ替えて、modを計算し再帰的に呼び出す
then
;
</syntaxhighlight>
このプログラムの動作をステップごとに説明します:
# <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値(<code>u1</code>)が0かどうかをチェックします。
#* もし0ならば、<code>drop</code> が実行されて、スタックのトップの値(<code>u1</code>)が削除されます。この場合は再帰の終了条件となります。
# <code>else</code>: もしスタックのトップの値(<code>u1</code>)が0でない場合は、次の操作が実行されます。
# <code>swap over mod recurse</code>:
#* <code>swap</code>: スタックのトップと2番目の値を入れ替えます。これにより、<code>u1</code> と <code>u2</code> の値が入れ替わります。
#* <code>over</code>: スタックの2番目の値(入れ替え前の <code>u1</code>)をスタックのトップにコピーします。
#* <code>mod</code>: スタックのトップの2つの値を取り出して、<code>u1 % u2</code>(<code>u1</code> を <code>u2</code> で割った余り)を計算し、その結果をスタックにプッシュします。
#* <code>recurse</code>: 自身の <code>gcd</code> を再帰的に呼び出します。これにより、新しい <code>u1</code> と <code>u2</code> の値がスタックに積まれ、再帰的に最大公約数が計算されます。
# <code>then</code>: <code>if</code> ブロックの終了を示します。
例えば、<code>12 18 gcd .</code> を実行すると、以下のように動作します:
* <code>12</code> と <code>18</code> がスタックにプッシュされます。
* <code>gcd</code> が呼び出されます。
** <code>dup 0=</code>: <code>18</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
** <code>swap over mod recurse</code>: <code>18</code> と <code>12</code> が入れ替わり、<code>18 % 12</code> が計算されます(余りは <code>6</code>)。
** <code>gcd</code> が再帰的に呼び出され、新しい値 <code>12</code> と <code>6</code> がスタックにプッシュされます。
*** <code>dup 0=</code>: <code>6</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
*** <code>swap over mod recurse</code>: <code>6</code> と <code>12</code> が入れ替わり、<code>6 % 12</code> が計算されます(余りは <code>6</code>)。
*** <code>gcd</code> が再帰的に呼び出され、新しい値 <code>6</code> と <code>6</code> がスタックにプッシュされます。
**** <code>dup 0=</code>: <code>6</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
**** <code>swap over mod recurse</code>: <code>6</code> と <code>6</code> が入れ替わり、<code>6 % 6</code> が計算されます(余りは <code>0</code>)。
**** <code>0=</code>: <code>0</code> が0なので、<code>drop</code> が実行されて、スタックのトップの値 <code>0</code> が削除されます。
* 最終的に、スタックのトップには <code>6</code> が残ります。これが <code>12</code> と <code>18</code> の最大公約数です。
したがって、<code>12 18 gcd .</code> を実行すると、<code>6</code> が表示されます。
=== 変数の宣言・代入と参照 ===
Forthにおける <code>VARIABLE</code> は、変数を定義するためのワードです。Forthでは、変数はメモリ内のアドレスに名前を関連付ける方法で定義されます。
以下は、<code>VARIABLE</code> を使用して変数を定義する方法とその使い方の例です。
==== <code>VARIABLE</code> の使用方法 ====
<code>VARIABLE</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE my-var \ my-var という名前の変数を定義する
</syntaxhighlight>
この行は、名前が <code>my-var</code> の変数を定義します。この変数はメモリ内の特定のアドレスに関連付けられます。
==== 変数の使用方法 ====
定義された変数を使用するには、<code>@</code>(fetch)や <code>!</code>(store)などのワードを使います。これらのワードを使って変数の値を取得したり設定したりできます。
- <code>@</code> は、変数の値をスタックにプッシュします。
- <code>!</code> は、スタックのトップの値を変数に代入します。
例えば、次のように変数に値を設定して取得します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 my-var ! \ 変数 my-var に値 123 を代入する
my-var @ . \ 変数 my-var の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、変数 <code>my-var</code> に <code>123</code> を代入し、その後 <code>@</code> を使って変数の値を取得して表示しています。
==== 実際の例 ====
以下は、<code>VARIABLE</code> を使って変数を定義し、値を設定して取得する具体的な例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE my-var \ my-var という名前の変数を定義する
123 my-var ! \ 変数 my-var に値 123 を代入する
my-var @ . \ 変数 my-var の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、変数 <code>my-var</code> を定義し、<code>123</code> を代入してその値を表示しています。<code>!</code> で変数に値を設定し、<code>@</code> で変数の値を取得しています。
変数はプログラムでデータを保持する際に便利です。Forthでは、変数の値は直接メモリ上に代入されるため、効率的なデータ管理が可能です。
=== 定数の定義と参照 ===
Forthの <code>CONSTANT</code> は、定数を定義するためのワードです。定数は変更されることのない値であり、プログラムの中で何度も使われる値を簡潔に表現するために使用されます。
==== <code>CONSTANT</code> の使用方法 ====
<code>CONSTANT</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 CONSTANT my-const \ my-const という名前の定数を定義する
</syntaxhighlight>
この行は、名前が <code>my-const</code> の定数を定義し、その値を <code>123</code> に設定します。定数はプログラム中で使用される値を一元管理し、可読性を向上させます。
==== 定数の使用方法 ====
定義された定数は、その名前を使ってプログラム中で値を参照することができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
my-const . \ 定数 my-const の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、定数 <code>my-const</code> の値が表示されます。
==== 実際の例 ====
以下は、<code>CONSTANT</code> を使って定数を定義し、その定数を使用する具体的な例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 CONSTANT my-const \ my-const という名前の定数を定義する
my-const . \ 定数 my-const の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、定数 <code>my-const</code> を <code>123</code> に設定し、その後定数の値を表示しています。
定数はプログラム中で共通の値を使い回す際に便利です。Forthの定数は一度定義されると値が変更されることはなく、プログラム全体で一貫性のある値を提供します。
=== 基数 ===
Forthの <code>BASE</code> は、数値の基数(n進数のn)を設定するための変数です。Forthでは、数値の表現において基数を変更することができます。通常、Forthはデフォルトで10進数を使用しますが、<code>BASE</code> を変更することで他の基数(2進数、16進数など)で数値を表現することが可能です。
==== <code>BASE</code> の使用方法 ====
<code>BASE</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
16 BASE ! \ 基数を16進数に設定する
</syntaxhighlight>
この行は、<code>BASE</code> の値を <code>16</code> に設定しています。これにより、その後の数値の表示や入力が16進数で行われるようになります。
==== 基数の変更と数値の表現 ====
<code>BASE</code> を変更することで、その後の数値リテラルの表現が変わります。例えば、<code>BASE</code> を16進数に設定した場合、数値リテラルは16進数として解釈されます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
16 BASE ! \ 基数を16進数に設定する
FF . \ 16進数の255を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、<code>BASE</code> を16進数に設定してから、<code>FF</code> を表示すると、16進数の <code>FF</code> (10進数の <code>255</code>)が表示されます。
==== デフォルトの基数と再設定 ====
Forthのデフォルトの基数は10進数です。基数を変更した後は、必要に応じて再度基数を10進数に戻すことができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
DECIMAL BASE ! \ 基数を10進数に戻す
</syntaxhighlight>
この行は、<code>BASE</code> を10進数に再設定しています。これにより、数値リテラルは再び10進数として解釈されるようになります。
よくある間違い:
:<syntaxhighlight lang=forth>
10 BASE ! \ 基数を16進数から10進数に戻す???
</syntaxhighlight>
: として基数を10に戻そうとするミスがあります。
: コードの 10 は16進数として解釈されるので基数は16のままです。
==== 注意点 ====
<code>BASE</code> を変更すると、数値の解釈や表示が変わるため、基数の変更後には適切な基数に戻すことが重要です。また、<code>BASE</code> の値は変数として扱われるため、必要に応じて保存や復元することができます。
基数を変更することで、特定の基数で数値を扱うプログラムを簡単に記述することができます。
=== イミディエイトワード ===
イミディエイトワード(immediate word)は、Forthプログラミング言語において特定の動作を持つワードの一種です。イミディエイトワードは、通常のワードとは異なり、コンパイル時ではなく実行時に直ちに処理されます。
以下は、イミディエイトワードの特性について詳しく説明します:
# 実行時処理:
#* イミディエイトワードは、定義された時点ではコンパイルされず、実行時に直ちに解釈および実行されます。
#* 通常のワード(コンパイルワード)は、単なるコンパイル時にスタックに動作を積むだけであり、後で実行されますが、イミディエイトワードは定義された時点ですぐに実行されます。
# 定義方法:
#* イミディエイトワードは、<code>IMMEDIATE</code> を使用して定義されます。
#* これにより、そのワードが定義された直後に実行されるようにマークされます。
# 使用例:
#* 例えば、<code>."</code>(ダブルクォートピリオド)はイミディエイトワードです。これは、コンパイル時ではなく実行時に文字列を表示します。
#* <code>: greeting ." Hello, world!" ;</code> という定義では、<code>. "</code>Hello, world!"<code> はコンパイル時に実行されず、</code>greeting` を実行したときに実行されます。
# 動的な挙動:
#* イミディエイトワードは、通常のワードとは異なり、実行時の環境やスタックの状態に応じて動的に振る舞います。
#* これにより、実行時に動的なテキストや操作を生成するために使用することができます。
イミディエイトワードは、Forthの柔軟性と強力な動的な特性を提供します。コンパイル時に制御構造や動作を決定するだけでなく、実行時に動的な挙動を持つことができます。
{{コラム|Forthの文法|2=Forthのプログラムは、空白文字で区切られた「ワード」の並びで構成されます。ワードには、数値リテラル、制御構造、演算子、そして他のワードを呼び出す構文などがあります。Forthには高水準の構文がなく、基本的な構文要素は非常にシンプルです。
例えば、<code>2 3 +</code> と入力すると、2と3がスタックにプッシュされ、最後の<code>+</code>がスタック上の2つの数値を加算します。この結果である5がスタックに残ります。つまり、Forthではプログラムの実行とデータ操作が、ワードの解釈とスタック操作によって行われるのです。
Forthは、基本的に行指向の言語です。プログラムは複数行に分割できますが、改行の前後で文が継続する場合は、スペースを入れる必要があります。このため、適切なインデントを使ってプログラムの構造をわかりやすくすることが重要です。
}}
== データ構造とメモリ管理 ==
Forthは組み込みシステムなどのリソース制約の厳しい用途を想定して設計されているため、メモリの効率的な利用が重視されています。この章では、Forthにおけるデータ構造とメモリ管理の方法を説明します。
=== コントロールフロースタック ===
コントロールフロースタックとは、Forthのプログラムの制御フローを管理するために使用される仮想的なスタックです。
その主な役割は以下の通りです:
# 制御フロー命令の対応関係の管理
#* 制御フロー命令(<code>IF</code>, <code>THEN</code>, <code>ELSE</code>, <code>BEGIN</code>, <code>WHILE</code>, <code>REPEAT</code> など)の対応関係を管理します。
#* 開始と終了の命令が適切に対応していることを確認します。
# 制御フロー中のデータスタック操作の制約
#* 制御フロー中のデータスタックの使用方法に制約を課します。
#* 制御フロー命令の入れ子関係に応じて、適切なデータスタックの状態が維持されるようにします。
コントロールフロースタックは物理的に実装されていなくても良いと仕様で定められています。
代わりに、システムはコンパイル時や実行時にこのスタックの挙動を模倣する方法を採ることができます。
つまり、コントロールフロースタックはForthの制御構造の妥当性を保証する上で重要な概念であり、プログラムの正しい実行を支えているのです。
通常のプログラミングでコントロールフロースタックを強く意識することはありませんが、制御構造を自らワードとして定義しようとする場合、コントロールフロースタックの振る舞いに注意する必要があります。
=== リターンスタック ===
Forthには、データスタックとは別に、リターンスタックと呼ばれる重要なスタックが存在します。リターンスタックの主な役割は以下の通りです:
# 関数呼び出しとリターン
#* 関数を呼び出すとき、その関数の呼び出し元の命令アドレスがリターンスタックにプッシュされます。
#* 関数から抜け出すときは、リターンスタックからアドレスがポップされ、その場所に制御が戻されます。
#* これによって、関数呼び出しの際の制御の移動を管理することができます。
# 一時的データ保管
#* リターンスタックは、データを一時的に保管する場所としても使えます。
#* データスタックからデータを>Rでリターンスタックにプッシュし、後でR>で取り出すことができます。
#* これにより、データスタックの状態を一時的に変更せずに、値を保持しておくことができます。
リターンスタックの使用には注意点があります:
* ワード内やループ内では、<code>>R</code>と <code>R></code>の回数が一致している必要があります。
* リターンスタックの値は、同じブロック内でのみ参照・取り出しできます。
* ループの脱出時やDO-ループ内からは、リターンスタックの値を取り出せません。
つまり、リターンスタックは制御フローの管理と一時的なデータ保管に使われますが、その使い方には一定の制限があるため、注意深く扱う必要があります。
プログラムの複雑さが増すと、リターンスタックの状態を適切に管理することが難しくなるため、できるだけ単純な使い方に留めるのが賢明です。
; <code>>R ( x -- ) ( R: -- x )</code>
: データスタックから値をポップしリターンスタックにプッシュする
; <code>R> ( R: -- x ) ( x -- )</code>
: リターンスタックから値をポップしデータスタックにプッシュする
; <code>R@ ( -- x ) ( R: x -- x )</code>
: リターンスタックのスタックトップをデータスタックにコピーする
; <code>2>R ( x1 x2 -- ) ( R: -- x1 x2 )</code>
; <code>2R> ( -- x1 x2 ) ( R: x1 x2 -- )</code>
; <code>2R@ ( -- x1 x2 ) ( R: x1 x2 -- x1 x2 )</code>
スタックエフェクトに <code>R:</code> という新しい記号が出てきましたが、これはリターンスタックへの操作をしまします。このためリターンスタックはRスタックとも呼ばれています。
=== 変数とアドレス指定 ===
Forthには、グローバル変数やローカル変数の概念がありません。代わりに、値を格納するためのメモリ領域を確保し、そのアドレスを使ってアクセスします。<code>VARIABLE</code>ワードを使うと、新しい変数領域が確保され、その開始アドレスがスタックに置かれます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE COUNTER \ カウンター変数を定義
COUNTER @ . \ 変数の値を表示(初期値は0)
1 COUNTER +! \ 変数にインクリメント
</syntaxhighlight>
変数の値を取り出すには<code>@</code>(フェッチ)、格納するには<code>!</code>(ストア)を使います。<code>+!</code>のように算術演算と<code>!</code>を組み合わせたワードもあります。
Forthではアドレスを直接スタックに置いて操作することもできます。<code>HERE</code>はディクショナリの次の空きアドレスを取得し、<code>ALLOT</code>はディクショナリ領域を確保します。
=== 配列と構造体 ===
配列やレコード(構造体)といったデータ構造は、Forthではメモリブロックとしてアドレスで表現されます。配列の各要素にアクセスするには、インデックスとベースアドレスの計算が必要です。
:<syntaxhighlight lang=forth>
CREATE ARRAY 100 ALLOT \ 100セルの配列を作成
ARRAY 10 + @ . \ 11番目の要素を表示
</syntaxhighlight>
<code>CREATE</code>...<code>ALLOT</code>で連続したメモリ領域を確保し、<code>ARRAY</code>にその開始アドレスが置かれます。要素へのアクセスには、ベースアドレスにインデックスをシフトして足し算します。
レコードは、必要なフィールドごとにメモリを確保して構築できます。レコードのフィールドへのアクセスには、オフセット値を使ってフィールドのアドレスを計算します。
Forthにおけるデータ構造は、非常に低レベルで表現されています。一方で、この低レベルなアクセス方式は、メモリの効率的な利用を可能にし、Forthをシステムプログラミングに適した言語にしています。
== 入出力と組み込みワード ==
Forthには標準の入出力ワードがあり、コンソールやファイルからの入出力を行えます。また、様々な組み込みワードが用意されており、これらを活用することでForthの機能を拡張できます。
=== 標準入出力 ===
Forthには、キーボードからの文字入力や、コンソールへの文字出力を行うためのワードが用意されています。
:<syntaxhighlight lang=forth>
KEY \ キーボードから1文字読み込む
EMIT \ スタック上の値(文字コード)を出力する
." \ 文字列を直接出力する
</syntaxhighlight>
<code>KEY</code>はキーボード入力を待ち、押された文字のASCIIコードをスタックに置きます。<code>EMIT</code>は逆に、スタック上の値を文字コードとして解釈し、コンソールに出力します。<code>." Hello"</code>のように、<code>."</code> の後に文字列を続けると、その文字列がコンソール出力されます。
数値入出力には、<code>?</code>、<code>U.</code>、<code>U.R</code>などのワードが使えます。<code>?</code>は数値を入力受け付け、<code>U.</code>は符号なし数値を、<code>U.R</code>は数値を指定した基数(2進数、16進数など)で出力します。
=== ファイルアクセス ===
ファイル入出力には、様々なワードが用意されています。<code>OPEN-FILE</code>でファイルを開き、<code>READ-FILE</code>や<code>WRITE-FILE</code>でデータの読み書きができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
S" data.txt" R/O OPEN-FILE THROW VALUE HANDLE \ ファイルを読み取りモードで開く
HANDLE READ-FILE ABORT" READ ERROR" \ ファイルを読み込む
HANDLE CLOSE-FILE THROW \ ファイルを閉じる
</syntaxhighlight>
ファイル名は、<code>S"</code> で文字列をスタックに置いた後、<code>R/O</code>(読み取り専用)や<code>W/O</code>(書き込み専用)といったモードを指定してファイルを開きます。<code>THROW</code>はエラーがあれば例外を発生させます。
<code>READ-FILE</code>や<code>WRITE-FILE</code>では、バッファ領域のアドレスと読み書きするバイト数をスタックに置く必要があります。
=== 組み込みワードの利用 ===
Forthには、数学関数や論理演算、メモリ操作など、様々な組み込みワードが用意されています。必要に応じてこれらのワードを活用することで、プログラムにさまざまな機能を付加できます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
2 3 MAX . \ 最大値(3)を出力
S" HELLO" SWAP DROP \ スタック操作サンプル
HEX 1F20 4 DUMP \ メモリダンプ
</syntaxhighlight>
<code>MAX</code>は2つの数値の最大値を、<code>SWAP</code>は2つの値の順序を入れ替え、<code>DROP</code>は最上位の値を捨てます。<code>DUMP</code>は指定したアドレスからのメモリ内容をダンプ出力します。
組み込みワードには、浮動小数点演算、文字列処理、マルチタスク、IPCなど、様々な分野のものがあります。また、必要に応じてワードを自作したり、外部ライブラリからリンクしたりできます。Forthはコンパクトなシステムながら、組み込みワードの充実により高い機能性を発揮します。
== アプリケーション開発 ==
Forthは小規模な組み込みシステムから大規模なアプリケーションまで、幅広い用途に使用できる言語です。この章では、Forthにおけるアプリケーション開発の手法と、実例について解説します。
=== モジュール化とワード管理 ===
Forthはワードをベースとしたモジュール性の高いプログラミングができます。大きなアプリケーションを開発する際は、適切にモジュール分割してワードを設計・管理することが重要です。
Forthにはネームスペースの概念がありません。そのため、ワード名の重複を避けるためには、プレフィックスなどの命名規則を定めることが一般的です。たとえば<code>STRING-LENGTH</code>のように、ワードの役割がわかるよう名前を付けます。
また、ワードをまとめてファイルに保存し、必要に応じて読み込む方法があります。Forthの多くの処理系は、ワードの定義をソースファイルに保存したり、メモリイメージを永続化したりできます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
MARKER MODULE>STRING
: STRING-LENGTH \ 文字列の長さを求める
...
;
: STRING-REVERSE \ 文字列を反転する
...
;
STRING-REVERSESTRING-LENGTH +MODULE
</syntaxhighlight>
作成したワードは<code>MODULE>NAME</code>でモジュール名を付け、<code>+MODULE</code>でモジュールを完成させることができます。他のソースから<code>USE MODULE>NAME</code>とすれば、そのモジュールのワードが使用可能になります。
大規模なシステムでは、このようなソースレベルの分割に加え、オーバーレイ、仮想メモリ、マルチタスク機能を活用することで、メモリの効率的な使用が可能です。
=== グラフィックス処理 ===
Forthでもグラフィック処理が可能ですが、組み込みの機能は限られています。ほとんどの処理はユーザ定義ワードとして実装する必要があります。
ビットマップ画像の表示や、ウィンドウ、マウスカーソルなどの基本的なGUIの作成はある程度可能です。高度な3Dグラフィックスなどを実現するには、外部ライブラリを利用する必要があります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
NEED FRAMEBUFFER \ フレームバッファへのアクセスモジュール
: DRAW-LINE ( x1 y1 x2 y2 -- )
\ ブレザンハムのアルゴリズムでライン描画
...
;
: DRAW-RECT ( x y w h -- )
2SWAP 2>R 2R> \ (x y w h -- x y x+w y+h)
DRAW-LINE 2>R 2R>
DRAW-LINE 2SWAP
DRAW-LINE 2SWAP
DRAW-LINE
;
FRAMEBUFFER-INIT \ グラフィックスサブシステムの初期化
100 100 300 200 DRAW-RECT \ 長方形を描画
</syntaxhighlight>
上記では、フレームバッファの制御関数がロードされた前提で、<code>DRAW-LINE</code>を使って<code>DRAW-RECT</code>(長方形描画)を実装しています。スタックを活用して座標値を受け渡し、基本的な幾何図形を描画しています。
Forthはグラフィックスパイプラインなどの高度な機能を組み込んでいませんが、スタックベースの処理により、低レベルのデバイスアクセスが可能です。組み込みシステムのディスプレイやLED制御など、グラフィックス関連の処理に適しています。
=== システムプログラミング ===
Forthの本質的な特性として、システムプログラミングに適していることがあげられます。小規模でコンパクト、高速動作、低レベルなメモリアクセスが可能というメリットがあります。
OSカーネル、デバイスドライバ、BIOS、ブートローダなどの開発にForthは広く使われてきました。組み込みシステムでは、センサーやI/Oデバイスの制御に最適です。スタック指向のモデルにより、レジスタレベルの処理が直接かけるのも特徴です。
例えば、Forthを使ってブートローダを実装する場合には、次のようなプログラムになります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
HEX
07C0 INPORT DROP \ DOSデータ領域クリア
0800 0 20 MOVE \ リセットベクタ設定
KERNEL.IMG LOAD \ カーネル読み込み
A000 OUTPORT \ VGAモードへ切り替え
1000 JMP \ カーネル実行
...
\ BIOSブート用の簡単なForth読み込みコード
:KERNEL.IMG
LOAD CORE SWAP CPU KERNEL ;
</syntaxhighlight>
BIOSなどの低レベル機能を呼び出してブートローダを構築する処理が、Forthの文法でコンパクトに記述できる様子がわかります。
また、Forth自身が小規模で可搬性が高いため、Forth処理系そのものもForthで書かれた簡単なコアを、ホストOSやアーキテクチャに合わせてセルフホスト (移植) する手法が一般的です。これは、アプリケーションと実行環境を一体化して開発できる利点があります。
== 高度なトピック ==
ここまでForthの基本的な構文と概念、データ構造、アプリケーション開発の実例などを解説してきました。この章では、Forthの高度な利用方法としてパフォーマンス最適化、マルチスレッド・マルチタスク、メタプログラミングについて取り上げます。
=== 最適化とパフォーマンス ===
Forthはコンパクトで高速な言語ですが、さらなる最適化の余地があります。ワードの定義を工夫したり、ネイティブコードコンパイラを使ったりすることで、パフォーマンスを向上できます。
ワード定義の最適化では、冗長な演算を排除したり、インラインコーディングの手法を用いたりします。例えば、次のようなワード定義があるとします。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: MAX2 ( n1 n2 -- max ) 2DUP > IF SWAP DROP ELSE NIP THEN ;
</syntaxhighlight>
この<code>MAX2</code>は一時的に2つの値を複製(<code>2DUP</code>)し、<code>IF</code>..<code>ELSE</code>..<code>THEN</code>の条件分岐で最大値を選びます。しかし、この一時複製が無駄な演算となっています。次のように書くとコードがシンプルになります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: MAX2 ( n1 n2 -- max ) OVER OVER > IF SWAP THEN ;
</syntaxhighlight>
ワードの最適化には一般的なテクニックがあり、Forthのコンパイラ作者から提案されているものを参考にするとよいでしょう。
また、Forthにはネイティブコードコンパイラと呼ばれるもので、ワードの実行コードをネイティブマシン語に変換できるものがあります。Forthの対話的な実行環境は便利ですが、ネイティブコードの方が高速に動作します。こうした最適化手法を使い分けることで、Forthのパフォーマンスを飛躍的に向上できます。
=== マルチスレッドとマルチタスク ===
Forthには並列実行の機構が組み込まれていないため、マルチスレッドやマルチタスク処理を実現するにはユーザ定義の実装が必要です。しかし、Forthの言語特性を活かせばきわめてコンパクトな並列処理ができます。
マルチスレッドでは、スタックを分離し、スレッド毎にスタックのコピーを持つ手法が一般的です。スレッドの切り替えはスタックのコンテキストスイッチで実現できます。また、Forthのデータストアクセス方式を応用すれば、IPC(プロセス間通信)の仕組みを作ることもできます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: NEW-TASK ( -- )
HERE CURRENT-STACK >R CREATE-STACK SWAP
[: DO-SOME-WORK ;] ( compile: word behavior )
R> SET-CURRENT
;
</syntaxhighlight>
この例では、新しいタスクを作成するワード<code>NEW-TASK</code>を定義しています。<code>CREATE-STACK</code>でスタックを新しく割り当て、<code>DO-SOME-WORK</code>のようなワード定義をタスクとして登録します。実行時にはスケジューラによってこれらのタスクが実行されます。
マルチタスク機構を実装する例は多数あり、スレッド単位でデータを扱う方式、メッセージキューによる方式、それぞれ長所と短所があります。並列処理にはデッドロックなどの問題点もありますが、Forthではコンパクトでシンプルなコード記述が可能です。
=== メタプログラミング ===
Forthにはプログラムを生成・変更するメタプログラミングの機能があり、コードを自動生成したり、プログラムを動的に変更したりできます。この機能は、Forthをドメイン固有言語(DSL)の開発などに適用できることを意味しています。
メタプログラミングには、コンパイル時に評価される構文<code>[...]</code>と実行時構文<code>EVAL</code>があります。どちらもプログラムをデータとして扱えるため、動的にプログラムを生成・変更できます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: HILBERT-CURVE ( n -- )
0 ?DO
[: 2DUP RECURSE >R >R
1 HCURVE R> R> RECURSE
3 HCURVE ;]
POSTPONE LITERAL POSTPONE HCURVE
LOOP
;
</syntaxhighlight>
この例では、ヒルベルト曲線を描画するコードを動的に生成しています。<code>POSTPONE</code>はワードのコンパイルを遅延させ、<code>[: ... ;]</code>の構文はその間のテキストを実行可能なコードとしてコンパイルします。この手法により、 Hilbertカーブの次元(<code>n</code>)に応じて、その描画コードを生成しています。
Forthのメタプログラミング機能は、高度な用途に役立ちます。例えば、ユーザインターフェースビルダー、コードジェネレーター、プログラムシンセサイザなどでその力を発揮できます。Forthの柔軟性を最大限に活かせる側面といえるでしょう。
== サンプルプログラムとプロジェクト ==
Forthの理解を深めるには、実際にコードを書いて動作を確認することが大切です。この章では、様々なサンプルコードを紹介するとともに、実践的なForthプロジェクトの例を示します。
=== 様々なサンプルコード ===
以下はForthの基本的な機能を示すサンプルコード集です。
; 再帰によるフィボナッチ数列
:<syntaxhighlight lang=forth>
: FIB ( n -- fib-n )
DUP 0= IF DROP 1 EXIT THEN
DUP 1 = IF DROP 1 EXIT THEN
DUP 1- RECURSE
SWAP 2 - RECURSE
+
;
</syntaxhighlight>
; 文字列操作
:<syntaxhighlight lang=forth>
: UPPERCASE ( addr n -- addr n )
OVER + SWAP ?DO
I C@ [CHAR] a [CHAR] z 1+ WITHIN
IF [CHAR] A [CHAR] a - + THEN
I C!
LOOP
;
: REVERSE-WORDS ( addr n -- )
[CHAR] \ SKIP SPACES OVER >R
BEGIN
OVER C@ [CHAR] \ <>
WHILE
[CHAR] \ PARSE DUP >R REVERSE
R> OVER C! CHAR+
REPEAT
R> DROP 2DROP
;
</syntaxhighlight>
; ベクトル・行列計算
:<syntaxhighlight lang=forth>
REQUIRE DOUBLE \ 倍精度浮動小数点サポート
: VZEROS ( n -- addr ) \ n要素のゼロベクトルを生成
CREATE HERE 0 SWAP 8 * DUP ALLOT FILL
;
: MZEROS ( rows cols -- addr ) \ rows x cols の零行列を生成
SWAP VZEROS SWAP 0 ?DO OVER VZEROS COLS + LOOP
;
</syntaxhighlight>
; 簡易グラフィックス
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE FRAMEBUF \ フレームバッファアドレス
: PIXEL ( x y color -- ) \ 1ピクセル書き込み
FRAMEBUF @ >R 2 * R@ + 3 * RP@ C!+ RP@ C!+ RDROP
;
: LINE ( x1 y1 x2 y2 c -- ) \ ラインの描画
>R 2SWAP R> 2>R 2R@ PIXEL 2R> PIXELLINE
;
</syntaxhighlight>
これらの例は、スタックを使った処理の流れ、ユーザ定義ワードの作成、再帰など、Forthのプログラミング手法の基本を示しています。コンパクトながらも表現力の高さがわかるでしょう。
=== 実践的なプロジェクト例 ===
次に、もう少し大がかりなForthプロジェクトの例を紹介します。
; Forth Chip-8 エミュレーター
Chip-8はレトロなゲームコンソールで、Forthでその命令セットをエミュレートするプロジェクトです。グラフィックス、入力処理、命令デコーダなどを実装します。
; カーネルとブートローダ
ForthでOSカーネルの基本部分を実装し、ブートローダと合わせてシステムを構築するプロジェクト。メモリ管理、タスク管理、ファイルシステム、ドライバなどの機能が実装できます。
; Webサーバー
ForthでHTTPリクエストを処理するWebサーバーを作成。ソケット通信、文字列処理、ファイル入出力などの機能が必要になります。追加してWebアプリケーションフレームワークなども作れます。
; オープンソースForthプロセッサ
Forthを使ってCPU命令セットを記述し、ゲートレベルまでFPGAに実装するプロセッサの設計プロジェクト。ハードウェア記述言語との連携が重要です。
このようなプロジェクトを通して、Forthの実用性とシステムプログラミングでの可能性を体験できます。Forthという言語自体を使って、OSやハードウェアコンポーネントを実装できるのが最大の特徴です。いずれのプロジェクトも一般的な規模になると、モジュール分割やワード管理、ツール活用などの工夫が必要になります。
== 参考資料 ==
Forthについてより深く学ぶには、書籍や公開されているオンラインリソースを参照するのが有効な方法です。また、活発なForthコミュニティに参加することで、他の開発者からの助言を得られます。
=== 関連書籍の紹介 ===
Forthの入門書から応用、さらには処理系の実装に至るまで、多くの優れた書籍が出版されています。
* 「Forth入門」レオ・ブロディ (ISBN:978-4875930297 工学社)
** Forth言語の基本から、アプリケーション開発までをカバーした長年の定番書。
* 「Thinking Forth」Leo Brodie (Punchy Publishing) / Forth思考 ―問題解決のための言語と哲学― レオ・ブロディー著
** Forth哲学に重きを置いた名著。Forthの考え方を深く解説。
* 「Forth Programmer's Handbook」(ISBN:978-1419675492 Forth Inc.)
** ANS Forthの規格書で、WordSetの詳細が書かれている。
これらの書籍を手に入れられれば、Forthの理解が格段に進むはずです。電子書籍としても出版されているものがあります。
=== オンラインリソース ===
{{Wikipedia}}
インターネット上にも無料で参照できるForth関連の豊富なリソースが存在します。
* Forth Interest Group ( https://www.forth.org/ )
** Forthに関する書籍、記事、リソースなどが集まるポータル。
* Forth-Standard-Committee 公式サイト( https://forth-standard.org/ )
Webサイト、ソースコード、ニュースレターなど、さまざまな形でリソースが公開されているので、活用していきたいものです。
=== Forthコミュニティ ===
長年にわたりForth言語を支える活発なコミュニティが存在し、開発者同士が支え合う環境があります。
* Newsgroups: comp.lang.forth
** ディスカッションの場となるForth専用のニュースグループ。
* 地域 Forth グループ
** ヨーロッパ、アメリカ、アジアなどの地域Forthグループ。
オンラインフォーラムやメーリングリスト、対面の勉強会など、様々な形でForth開発者同士が交流を深めています。初心者でもこうしたコミュニティに参加することで、サポートを受けられます。Forthの小さな世界ですが、地域を越えて開発が行われているのが特徴です。
Forthの参考文献やオンラインリソース、そしてコミュニティを上手く活用することで、この独特な言語の理解が一層深まるはずです。
== 脚註 ==
<references />
[[Category:Forth|*]]
[[Category:プログラミング言語]]
apdl50c190b11rkodyib2e9gc0xqonv
246643
246640
2024-04-13T01:21:24Z
Ef3
694
/*データスペース(Data Space)*/ Forthのデータスペースとは、メモリ内の連続した領域を指し、データやワードの定義などが格納される場所です。Forthでは、データスペースは主に ヒープ(heap) と ディクショナリ(dictionary) の2つの領域に分かれています。 ヒープ: データスタックやワードの実行時に使用される一時的な領域です。ここでは、動的に割り当てられたデータや一時的な計算に使用されるデータが保持されます。 ディクショナリ: ワード(単語)の定義やその実装が格納される領域です。Forthのディクショナリはワードの名前とそれに対応する実行可能なコードへのポインタを保持します。 /*HERE ワード*/ HERE はForthで使用される特定のワードであり、現在のデータスペース内の「ここ(here)」の位置を示します。具体的には、ディクショナリ内の次の空き領域の先頭アドレスを指します。 HERE を使用すると、新しいワードやデータをデータスペースに格納する際に位置を特定することができます。主にワードの定義やデータの動的な確保に使用されます。
wikitext
text/x-wiki
== はじめに ==
Forthはスタック指向のプログラミング言語であり、そのシンプルさと柔軟性から広く用いられています。
本書は、プログラマがForthを効果的に使いこなすための手引書として設計されています。例示や実践的なヒントが豊富に盛り込まれており、読者は理論を理解しながら実際のプロジェクトに応用できるでしょう。
本書を通じて、Forthの魅力と実力を十分に体感し、その利用価値を最大限に引き出すことができるでしょう。
本書では、ForthのCore Word Setに準拠した標準的なForthシステムを題材とします。
== Forthプログラミングの基礎 ==
Forthはスタック指向のプログラミング言語であり、独自の特徴を持っています。以下では、Forthプログラミングの基礎を解説します。
=== スタック操作 ===
[[スタック構造|スタック]]は、Forthにおける中心的なデータ構造です。ほとんどのワードは、スタックから値を取り出したり、スタックに値を代入したりします。スタックは、後入れ先出し(LIFO; Last In First Out)のデータ構造で、Forthの演算はスタック上で行われます。
=== 例 ===
以下は、Forthでの簡単な計算の例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
3 4 + .
</syntaxhighlight>
: まず<code>3</code>をスタックに置き、<code>4 + .</code> を解釈します。
: 次に、<code>4</code>をスタックに置き、<code>3 4</code> となり、<code>+ .</code> が残ります。
: そして、<code>+</code> はスタックのトップの2つの要素を加算して結果を戻し、スタックには<code>7</code>だけが残ります。
: 最後に、<code>.</code>(ドット)はスタックから<code>7</code>を取り除いてそれを表示します。
:{|
|-
!コード!!style='width:3em'| 3 !!style='width:3em'| 4 !!style='width:3em'| + !!style='width:3em'| .
|-
!スタックトップ
|style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 4 ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 7 ||
|-
!
| ||style="border:1px solid black; text-align:center"| 3 || ||
|-
!出力
| || || ||style="text-align:center; font-weight: bold"| 7
|}
=== コメント ===
Forthでは、コメントは括弧で囲んで表現されます。例えば:
:<syntaxhighlight lang=forth>
( これはコメントです )
</syntaxhighlight>
<code>/</code> から行末までもコメントです
:<syntaxhighlight lang=forth>
3 4 + \ 3 + 4 の結果をスタックトップに残す
</syntaxhighlight>
コメントは、インタプリタの動作に影響を与えません。
=== スタックエフェクト ===
Forthの各ワードは、スタック上で特定の操作を行います。ワードのドキュメントでは、それがスタックに対してどのような影響を与えるかを示す記述があります。例えば:
:<syntaxhighlight lang=forth>
+ ( a b -- c )
</syntaxhighlight>
この記述は、<code>+</code>ワードが2つの引数(<code>a</code>と<code>b</code>)を消費し、1つの結果(<code>c</code>)をスタックに残すことを意味します。
=== Forthのワードとは?その定義と使用について ===
Forthにおける「ワード」とは、基本的には単語や言葉を意味しますが、Forthプログラミングでは、より具体的には次の2つの意味を持ちます。
# 定義済みの単語
#: ワードは、Forthの語彙において定義された単語や操作を指します。Forthでは、これらのワードはスタック操作や制御構造、算術演算などの基本的な機能を表します。例えば、<code>+</code>は2つの数値を取り出して足し合わせ、結果をスタックに戻すワードです。
# 新しい単語の定義
#: ワードは、Forthプログラム内で新しい単語を定義するための仕組みとしても使われます。これは、既存のワードを組み合わせて、新しい機能を持つ単語を定義することを意味します。例えば、<code>DOUBLE</code>というワードを定義して、与えられた数値を2倍にするような操作を定義することができます。
ワードの定義は、通常、次のような形式で行われます:
:<syntaxhighlight lang=forth>
: ワード名 ( 定義部分 ) ;
</syntaxhighlight>
ここで、<code>: ワード名</code>は新しいワードの定義を開始し、<code>;</code>は定義の終了を示します。定義部分には、既存のワードや操作を組み合わせて、新しい機能を実現するForthのコードが記述されます。
=== ワードの定義と使用例 ===
Forthにおけるワードの定義と使用についてさらに詳しく説明します。
# ワードの定義 :
#: ワードは、<code>:</code> と <code>;</code> の間に記述されたコードブロックで定義されます。
#: 例えば、<code>SQUARE</code>という新しいワードを定義してみましょう。
#:<syntaxhighlight lang=forth>
: SQUARE ( n -- n*n ) DUP * ;
</syntaxhighlight>
#: ここでは、<code>SQUARE</code>というワードが定義されています。このワードは、スタックから1つの数値を取り出し、その数値を自乗して結果をスタックに戻します。
# ワードの使用 :
#: 定義したワードは、Forthプログラム内で直接使用することができます。
#:<syntaxhighlight lang=forth>
5 SQUARE . \ スタックから5を取り出して自乗し、結果を表示する
</syntaxhighlight>
#:上記の例では、<code>5 SQUARE .</code> というForthコードが実行されます。まず、<code>5</code>がスタックに積まれ、次に<code>SQUARE</code>ワードが実行されて、<code>5</code>の自乗である<code>25</code>が計算されます。最後に<code>.</code>はスタックのトップの値を表示しますので、結果として<code>25</code>が表示されます。
# 組み込みワードとカスタムワード :
#: Forthには組み込みのワード(<code>+</code>, <code>-</code>, <code>*</code>, <code>/</code>など)がありますが、ユーザーはこれに加えて独自のワードを定義することができます。カスタムワードを使うことで、プログラムをより効率的に構築できます。
# 再帰的なワード :
#: Forthでは、ワードは自身の中で再帰的に呼び出すことができます。これにより、複雑な演算や制御構造を簡潔に表現することが可能です。
ワードの定義と使用は、Forthプログラムの中核的な部分を構成します。これにより、プログラムの再利用性、メンテナンス性、可読性が向上し、効率的なコーディングが実現されます。
=== 基本的な制御構造 ===
Forthの制御構造は、他のプログラミング言語とは異なり「制御構造もワードの集合から定義する」という独自の特徴を持っています。Forthでは、基本的な制御構造として条件分岐とループが利用されます。
制御構造に関するワードは、コンパイル時(つまり <code>:</code> から <code>;</code> までの間)でのみ使用でき会話モードでは使用できません。
==== 条件分岐 ====
Forthでは、条件分岐は主に <code>IF</code>, <code>ELSE</code>, <code>THEN</code> のワードを組み合わせて実現されます。
; 例:
:<syntaxhighlight lang=forth>
: ABS ( n -- |n| )
DUP 0<
IF
NEGATE
THEN ;
</syntaxhighlight>
この例では、<code>ABS</code>というワードを定義しています。このワードは、スタックから数値を取り出し、その絶対値を計算して結果をスタックに戻します。<code>DUP 0<</code> はスタックトップの値が0より小さいかどうかをチェックし、<code>IF</code> から <code>THEN</code> の間に記述されたブロックが条件を満たす場合に実行されます。つまり、もし数値が負の場合は <code>NEGATE</code> が実行されます。
==== ループ ====
Forthでは、ループは <code>DO</code>, <code>LOOP</code> や <code>BEGIN</code>, <code>WHILE</code>, <code>REPEAT</code> のワードを使って実装されます。
; 例:
:<syntaxhighlight lang=forth>
: COUNTDOWN ( n -- )
0 DO
I .
LOOP
;
</syntaxhighlight>
上記の例では、0から与えられた数値(<code>n</code>)までカウントダウンする<code>COUNTDOWN</code>というワードを定義しています。
==== その他の制御構造 ====
Forthには他にも、<code>CASE</code>, <code>OF</code>, <code>ENDOF</code>, <code>ENDCASE</code> を使った条件分岐や、<code>IF-ELSE-ENDIF</code> 構造、<code>BEGIN-UNTIL</code>、<code>BEGIN-WHILE-REPEAT</code> など、さまざまな制御構造が存在し、新たな制御構造をユーザーが定義することすら出来ます。
Forthの制御構造は、スタック指向の特性に基づいてシンプルかつ柔軟に設計されており、独自のプログラミングスタイルを持つことが特徴です。
=== スタック操作の基本命令 ===
Forthにはスタック上のデータを操作するための基本的な命令があります。
* <code>DUP</code>: ( n -- n n ) スタックのトップの要素を複製する
* <code>DROP</code>: ( n -- ) スタックのトップの要素を削除する
* <code>SWAP</code>: ( n1 n2 -- n2 n1 ) スタックのトップとその下の要素を交換する
* <code>OVER</code>: (n1 n2 -- n1 n2 n1 ) スタックのトップの2つ下の要素を複製してトップに置く
* <code>ROT</code>: ( n1 n2 n3 — n2 n3 n1 ) スタックのトップの3つ下の要素をトップに回転する
=== 基本的な演算 ===
Forthには、算術演算(<code>+</code>、<code>-</code>、<code>*</code>、<code>/</code>など)、論理演算(<code>AND</code>、<code>OR</code>、<code>NOT</code>)、比較(<code>=</code>、<code><></code>、<code>></code>、<code><</code>など)の基本ワードが用意されています。これらのワードは、スタック上の値を取り、演算結果をスタックに代入します。
=== 再帰的呼び出し ===
Forthで再帰的呼び出しを行う場合、ワード <code>recurse</code> を使ってワード自身を表します。
再帰的なワードを定義する方法について説明します。
==== 階乗 ====
再帰的な階乗(factorial)を定義します。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: factorial ( n -- result )
dup 0= if \ スタックのトップの値が0かどうかをチェック
drop 1 \ もし0ならば、結果は1として処理を終了
else
dup 1 - \ スタックのトップの値から1を引いた値をコピー
recurse * \ 再帰的に自身を呼び出して、その結果にスタックのトップの値を掛ける
then
;
</syntaxhighlight>
この定義の内容を説明します。
* ワード <code>factorial</code> は、<code>( n -- result )</code> のスタックエフェクトを持ちます。<code>n</code> は階乗を計算する整数です。
* <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0かどうかをチェックします。
** もし0ならば、<code>drop 1</code> が実行されて、スタックのトップの値(<code>n</code>)が削除され、結果として <code>1</code> がスタックにプッシュされます。
* <code>else</code>: もしスタックのトップの値が0でない場合は、次の操作が実行されます。
** <code>dup 1 -</code>: スタックのトップの値から <code>1</code> を引いた値をスタックにプッシュします。これは <code>n - 1</code> の計算です。
** <code>recurse *</code>: 自身の <code>factorial</code> を再帰的に呼び出して、結果に対してスタックのトップの値(<code>n</code>)を掛けます。これにより、<code>n! = n * (n-1)!</code> の計算が行われます。
* <code>then</code>: <code>if</code> ブロックの終了を示します。
例えば、<code>5 factorial .</code> を実行すると、<code>5</code> の階乗(<code>5!</code>)が計算されます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
5 factorial .
</syntaxhighlight>
この例では、<code>5!</code> の計算手順は以下の通りです:
* <code>5</code> がスタックにプッシュされる。
* <code>factorial</code> が呼び出される。
** <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0でないので、次の処理が実行される。
** <code>dup 1 -</code>: <code>5 - 1</code> が計算されて <code>4</code> がスタックにプッシュされる。
** <code>recurse *</code>: <code>4</code> の階乗 (<code>4!</code>) が再帰的に計算される。
*** <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値が0でないので、次の処理が実行される。
*** <code>dup 1 -</code>: <code>4 - 1</code> が計算されて <code>3</code> がスタックにプッシュされる。
*** <code>recurse *</code>: <code>3</code> の階乗 (<code>3!</code>) が再帰的に計算される。
**** ...
***** 最終的に、<code>1</code> の階乗 (<code>1!</code>) が計算されて <code>1</code> がスタックにプッシュされる。
**** <code>5 *</code>: <code>5</code> と <code>4!</code> の結果を掛けて <code>120</code> がスタックにプッシュされる。
*** <code>5 *</code>: <code>5</code> と <code>120</code> の結果を掛けて <code>120</code> がスタックにプッシュされる。
* <code>. (dot)</code> コンパイラワ
==== 最大公約数(GCD) ====
再帰的にユークリッドのアルゴリズムを使用して最大公約数(Greatest Common Divisor, GCD)を計算します。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: gcd ( u1 u2 -- gcd )
dup 0= if \ スタックのトップの値が0かどうかをチェック
drop \ スタックのトップの値が0ならば削除して終了
else
swap over mod recurse \ スタックのトップと2番目の値を入れ替えて、modを計算し再帰的に呼び出す
then
;
</syntaxhighlight>
このプログラムの動作をステップごとに説明します:
# <code>dup 0=</code>: スタックのトップの値(<code>u1</code>)が0かどうかをチェックします。
#* もし0ならば、<code>drop</code> が実行されて、スタックのトップの値(<code>u1</code>)が削除されます。この場合は再帰の終了条件となります。
# <code>else</code>: もしスタックのトップの値(<code>u1</code>)が0でない場合は、次の操作が実行されます。
# <code>swap over mod recurse</code>:
#* <code>swap</code>: スタックのトップと2番目の値を入れ替えます。これにより、<code>u1</code> と <code>u2</code> の値が入れ替わります。
#* <code>over</code>: スタックの2番目の値(入れ替え前の <code>u1</code>)をスタックのトップにコピーします。
#* <code>mod</code>: スタックのトップの2つの値を取り出して、<code>u1 % u2</code>(<code>u1</code> を <code>u2</code> で割った余り)を計算し、その結果をスタックにプッシュします。
#* <code>recurse</code>: 自身の <code>gcd</code> を再帰的に呼び出します。これにより、新しい <code>u1</code> と <code>u2</code> の値がスタックに積まれ、再帰的に最大公約数が計算されます。
# <code>then</code>: <code>if</code> ブロックの終了を示します。
例えば、<code>12 18 gcd .</code> を実行すると、以下のように動作します:
* <code>12</code> と <code>18</code> がスタックにプッシュされます。
* <code>gcd</code> が呼び出されます。
** <code>dup 0=</code>: <code>18</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
** <code>swap over mod recurse</code>: <code>18</code> と <code>12</code> が入れ替わり、<code>18 % 12</code> が計算されます(余りは <code>6</code>)。
** <code>gcd</code> が再帰的に呼び出され、新しい値 <code>12</code> と <code>6</code> がスタックにプッシュされます。
*** <code>dup 0=</code>: <code>6</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
*** <code>swap over mod recurse</code>: <code>6</code> と <code>12</code> が入れ替わり、<code>6 % 12</code> が計算されます(余りは <code>6</code>)。
*** <code>gcd</code> が再帰的に呼び出され、新しい値 <code>6</code> と <code>6</code> がスタックにプッシュされます。
**** <code>dup 0=</code>: <code>6</code> は0ではないので、次の処理に進みます。
**** <code>swap over mod recurse</code>: <code>6</code> と <code>6</code> が入れ替わり、<code>6 % 6</code> が計算されます(余りは <code>0</code>)。
**** <code>0=</code>: <code>0</code> が0なので、<code>drop</code> が実行されて、スタックのトップの値 <code>0</code> が削除されます。
* 最終的に、スタックのトップには <code>6</code> が残ります。これが <code>12</code> と <code>18</code> の最大公約数です。
したがって、<code>12 18 gcd .</code> を実行すると、<code>6</code> が表示されます。
=== 変数の宣言・代入と参照 ===
Forthにおける <code>VARIABLE</code> は、変数を定義するためのワードです。Forthでは、変数はメモリ内のアドレスに名前を関連付ける方法で定義されます。
以下は、<code>VARIABLE</code> を使用して変数を定義する方法とその使い方の例です。
==== <code>VARIABLE</code> の使用方法 ====
<code>VARIABLE</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE my-var \ my-var という名前の変数を定義する
</syntaxhighlight>
この行は、名前が <code>my-var</code> の変数を定義します。この変数はメモリ内の特定のアドレスに関連付けられます。
==== 変数の使用方法 ====
定義された変数を使用するには、<code>@</code>(fetch)や <code>!</code>(store)などのワードを使います。これらのワードを使って変数の値を取得したり設定したりできます。
- <code>@</code> は、変数の値をスタックにプッシュします。
- <code>!</code> は、スタックのトップの値を変数に代入します。
例えば、次のように変数に値を設定して取得します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 my-var ! \ 変数 my-var に値 123 を代入する
my-var @ . \ 変数 my-var の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、変数 <code>my-var</code> に <code>123</code> を代入し、その後 <code>@</code> を使って変数の値を取得して表示しています。
==== 実際の例 ====
以下は、<code>VARIABLE</code> を使って変数を定義し、値を設定して取得する具体的な例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE my-var \ my-var という名前の変数を定義する
123 my-var ! \ 変数 my-var に値 123 を代入する
my-var @ . \ 変数 my-var の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、変数 <code>my-var</code> を定義し、<code>123</code> を代入してその値を表示しています。<code>!</code> で変数に値を設定し、<code>@</code> で変数の値を取得しています。
変数はプログラムでデータを保持する際に便利です。Forthでは、変数の値は直接メモリ上に代入されるため、効率的なデータ管理が可能です。
=== 定数の定義と参照 ===
Forthの <code>CONSTANT</code> は、定数を定義するためのワードです。定数は変更されることのない値であり、プログラムの中で何度も使われる値を簡潔に表現するために使用されます。
==== <code>CONSTANT</code> の使用方法 ====
<code>CONSTANT</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 CONSTANT my-const \ my-const という名前の定数を定義する
</syntaxhighlight>
この行は、名前が <code>my-const</code> の定数を定義し、その値を <code>123</code> に設定します。定数はプログラム中で使用される値を一元管理し、可読性を向上させます。
==== 定数の使用方法 ====
定義された定数は、その名前を使ってプログラム中で値を参照することができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
my-const . \ 定数 my-const の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、定数 <code>my-const</code> の値が表示されます。
==== 実際の例 ====
以下は、<code>CONSTANT</code> を使って定数を定義し、その定数を使用する具体的な例です:
:<syntaxhighlight lang=forth>
123 CONSTANT my-const \ my-const という名前の定数を定義する
my-const . \ 定数 my-const の値を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、定数 <code>my-const</code> を <code>123</code> に設定し、その後定数の値を表示しています。
定数はプログラム中で共通の値を使い回す際に便利です。Forthの定数は一度定義されると値が変更されることはなく、プログラム全体で一貫性のある値を提供します。
=== 基数 ===
Forthの <code>BASE</code> は、数値の基数(n進数のn)を設定するための変数です。Forthでは、数値の表現において基数を変更することができます。通常、Forthはデフォルトで10進数を使用しますが、<code>BASE</code> を変更することで他の基数(2進数、16進数など)で数値を表現することが可能です。
==== <code>BASE</code> の使用方法 ====
<code>BASE</code> は以下のように使用します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
16 BASE ! \ 基数を16進数に設定する
</syntaxhighlight>
この行は、<code>BASE</code> の値を <code>16</code> に設定しています。これにより、その後の数値の表示や入力が16進数で行われるようになります。
==== 基数の変更と数値の表現 ====
<code>BASE</code> を変更することで、その後の数値リテラルの表現が変わります。例えば、<code>BASE</code> を16進数に設定した場合、数値リテラルは16進数として解釈されます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
16 BASE ! \ 基数を16進数に設定する
FF . \ 16進数の255を表示する
</syntaxhighlight>
この例では、<code>BASE</code> を16進数に設定してから、<code>FF</code> を表示すると、16進数の <code>FF</code> (10進数の <code>255</code>)が表示されます。
==== デフォルトの基数と再設定 ====
Forthのデフォルトの基数は10進数です。基数を変更した後は、必要に応じて再度基数を10進数に戻すことができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
DECIMAL BASE ! \ 基数を10進数に戻す
</syntaxhighlight>
この行は、<code>BASE</code> を10進数に再設定しています。これにより、数値リテラルは再び10進数として解釈されるようになります。
よくある間違い:
:<syntaxhighlight lang=forth>
10 BASE ! \ 基数を16進数から10進数に戻す???
</syntaxhighlight>
: として基数を10に戻そうとするミスがあります。
: コードの 10 は16進数として解釈されるので基数は16のままです。
==== 注意点 ====
<code>BASE</code> を変更すると、数値の解釈や表示が変わるため、基数の変更後には適切な基数に戻すことが重要です。また、<code>BASE</code> の値は変数として扱われるため、必要に応じて保存や復元することができます。
基数を変更することで、特定の基数で数値を扱うプログラムを簡単に記述することができます。
=== イミディエイトワード ===
イミディエイトワード(immediate word)は、Forthプログラミング言語において特定の動作を持つワードの一種です。イミディエイトワードは、通常のワードとは異なり、コンパイル時ではなく実行時に直ちに処理されます。
以下は、イミディエイトワードの特性について詳しく説明します:
# 実行時処理:
#* イミディエイトワードは、定義された時点ではコンパイルされず、実行時に直ちに解釈および実行されます。
#* 通常のワード(コンパイルワード)は、単なるコンパイル時にスタックに動作を積むだけであり、後で実行されますが、イミディエイトワードは定義された時点ですぐに実行されます。
# 定義方法:
#* イミディエイトワードは、<code>IMMEDIATE</code> を使用して定義されます。
#* これにより、そのワードが定義された直後に実行されるようにマークされます。
# 使用例:
#* 例えば、<code>."</code>(ダブルクォートピリオド)はイミディエイトワードです。これは、コンパイル時ではなく実行時に文字列を表示します。
#* <code>: greeting ." Hello, world!" ;</code> という定義では、<code>. "</code>Hello, world!"<code> はコンパイル時に実行されず、</code>greeting` を実行したときに実行されます。
# 動的な挙動:
#* イミディエイトワードは、通常のワードとは異なり、実行時の環境やスタックの状態に応じて動的に振る舞います。
#* これにより、実行時に動的なテキストや操作を生成するために使用することができます。
イミディエイトワードは、Forthの柔軟性と強力な動的な特性を提供します。コンパイル時に制御構造や動作を決定するだけでなく、実行時に動的な挙動を持つことができます。
{{コラム|Forthの文法|2=Forthのプログラムは、空白文字で区切られた「ワード」の並びで構成されます。ワードには、数値リテラル、制御構造、演算子、そして他のワードを呼び出す構文などがあります。Forthには高水準の構文がなく、基本的な構文要素は非常にシンプルです。
例えば、<code>2 3 +</code> と入力すると、2と3がスタックにプッシュされ、最後の<code>+</code>がスタック上の2つの数値を加算します。この結果である5がスタックに残ります。つまり、Forthではプログラムの実行とデータ操作が、ワードの解釈とスタック操作によって行われるのです。
Forthは、基本的に行指向の言語です。プログラムは複数行に分割できますが、改行の前後で文が継続する場合は、スペースを入れる必要があります。このため、適切なインデントを使ってプログラムの構造をわかりやすくすることが重要です。
}}
== データ構造とメモリ管理 ==
Forthは組み込みシステムなどのリソース制約の厳しい用途を想定して設計されているため、メモリの効率的な利用が重視されています。この章では、Forthにおけるデータ構造とメモリ管理の方法を説明します。
=== コントロールフロースタック ===
コントロールフロースタックとは、Forthのプログラムの制御フローを管理するために使用される仮想的なスタックです。
その主な役割は以下の通りです:
# 制御フロー命令の対応関係の管理
#* 制御フロー命令(<code>IF</code>, <code>THEN</code>, <code>ELSE</code>, <code>BEGIN</code>, <code>WHILE</code>, <code>REPEAT</code> など)の対応関係を管理します。
#* 開始と終了の命令が適切に対応していることを確認します。
# 制御フロー中のデータスタック操作の制約
#* 制御フロー中のデータスタックの使用方法に制約を課します。
#* 制御フロー命令の入れ子関係に応じて、適切なデータスタックの状態が維持されるようにします。
コントロールフロースタックは物理的に実装されていなくても良いと仕様で定められています。
代わりに、システムはコンパイル時や実行時にこのスタックの挙動を模倣する方法を採ることができます。
つまり、コントロールフロースタックはForthの制御構造の妥当性を保証する上で重要な概念であり、プログラムの正しい実行を支えているのです。
通常のプログラミングでコントロールフロースタックを強く意識することはありませんが、制御構造を自らワードとして定義しようとする場合、コントロールフロースタックの振る舞いに注意する必要があります。
=== リターンスタック ===
Forthには、データスタックとは別に、リターンスタックと呼ばれる重要なスタックが存在します。リターンスタックの主な役割は以下の通りです:
# 関数呼び出しとリターン
#* 関数を呼び出すとき、その関数の呼び出し元の命令アドレスがリターンスタックにプッシュされます。
#* 関数から抜け出すときは、リターンスタックからアドレスがポップされ、その場所に制御が戻されます。
#* これによって、関数呼び出しの際の制御の移動を管理することができます。
# 一時的データ保管
#* リターンスタックは、データを一時的に保管する場所としても使えます。
#* データスタックからデータを>Rでリターンスタックにプッシュし、後でR>で取り出すことができます。
#* これにより、データスタックの状態を一時的に変更せずに、値を保持しておくことができます。
リターンスタックの使用には注意点があります:
* ワード内やループ内では、<code>>R</code>と <code>R></code>の回数が一致している必要があります。
* リターンスタックの値は、同じブロック内でのみ参照・取り出しできます。
* ループの脱出時やDO-ループ内からは、リターンスタックの値を取り出せません。
つまり、リターンスタックは制御フローの管理と一時的なデータ保管に使われますが、その使い方には一定の制限があるため、注意深く扱う必要があります。
プログラムの複雑さが増すと、リターンスタックの状態を適切に管理することが難しくなるため、できるだけ単純な使い方に留めるのが賢明です。
; <code>>R ( x -- ) ( R: -- x )</code>
: データスタックから値をポップしリターンスタックにプッシュする
; <code>R> ( R: -- x ) ( x -- )</code>
: リターンスタックから値をポップしデータスタックにプッシュする
; <code>R@ ( -- x ) ( R: x -- x )</code>
: リターンスタックのスタックトップをデータスタックにコピーする
; <code>2>R ( x1 x2 -- ) ( R: -- x1 x2 )</code>
; <code>2R> ( -- x1 x2 ) ( R: x1 x2 -- )</code>
; <code>2R@ ( -- x1 x2 ) ( R: x1 x2 -- x1 x2 )</code>
スタックエフェクトに <code>R:</code> という新しい記号が出てきましたが、これはリターンスタックへの操作をしまします。このためリターンスタックはRスタックとも呼ばれています。
=== 変数とアドレス指定 ===
Forthには、グローバル変数やローカル変数の概念がありません。代わりに、値を格納するためのメモリ領域を確保し、そのアドレスを使ってアクセスします。<code>VARIABLE</code>ワードを使うと、新しい変数領域が確保され、その開始アドレスがスタックに置かれます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE COUNTER \ カウンター変数を定義
COUNTER @ . \ 変数の値を表示(初期値は0)
1 COUNTER +! \ 変数にインクリメント
</syntaxhighlight>
変数の値を取り出すには<code>@</code>(フェッチ)、格納するには<code>!</code>(ストア)を使います。<code>+!</code>のように算術演算と<code>!</code>を組み合わせたワードもあります。
Forthではアドレスを直接スタックに置いて操作することもできます。<code>HERE</code>はディクショナリの次の空きアドレスを取得し、<code>ALLOT</code>はディクショナリ領域を確保します。
==== データスペース(Data Space) ====
Forthのデータスペースとは、メモリ内の連続した領域を指し、データやワードの定義などが格納される場所です。Forthでは、データスペースは主に '''ヒープ(heap)''' と '''ディクショナリ(dictionary)''' の2つの領域に分かれています。
* '''ヒープ''': データスタックやワードの実行時に使用される一時的な領域です。ここでは、動的に割り当てられたデータや一時的な計算に使用されるデータが保持されます。
* '''ディクショナリ''': ワード(単語)の定義やその実装が格納される領域です。Forthのディクショナリはワードの名前とそれに対応する実行可能なコードへのポインタを保持します。
==== <code>HERE</code> ワード ====
<code>HERE</code> はForthで使用される特定のワードであり、現在のデータスペース内の「ここ(here)」の位置を示します。具体的には、ディクショナリ内の次の空き領域の先頭アドレスを指します。
<code>HERE</code> を使用すると、新しいワードやデータをデータスペースに格納する際に位置を特定することができます。主にワードの定義やデータの動的な確保に使用されます。
例えば、新しい変数や配列を定義する場合、<code>HERE</code> の値を参照して適切なメモリ領域を割り当て、その後 <code>HERE</code> を更新します。
具体的な使用例を示します:
:<syntaxhighlight lang=forth>
HERE . \ 現在のHEREの値を表示(ディクショナリ内の次の空き領域のアドレス)
10 ALLOT \ 10バイトの領域を確保
HERE . \ 確保後のHEREの値を表示
</syntaxhighlight>
この例では、まず <code>HERE</code> の値が表示され、次に <code>10 ALLOT</code> によって10バイトの領域が確保されます。その後、再度 <code>HERE</code> の値が表示され、確保された領域の終端アドレスが示されます。
<code>HERE</code> を適切に使用することで、動的なメモリ管理やデータスペースの操作が行えます。
==== HEREを利用したデータスペースの活用例 ====
; sieve.fr
:<syntaxhighlight lang=forth>
: prime? ( n -- ? ) here + c@ 0= ;
: composite! ( n -- ) here + 1 swap c! ;
: sieve ( n -- )
here over erase
2
begin
2dup dup * >
while
dup prime? if
2dup dup * do
i composite!
dup +loop
then
1+
repeat
drop
." Primes: " 2 do i prime? if i . then
loop
;
100 sieve
/ Primes: 2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31 37 41 43 47 53 59 61 67 71 73 79 83 89 97
</syntaxhighlight>
このForthのコードは、エラトステネスの篩(Sieve of Eratosthenes)アルゴリズムを実装しています。このアルゴリズムは、与えられた数 <code>n</code> 以下のすべての素数を見つけるために使用されます。以下では、与えられたコードの各部分を詳しく説明します。
; <code>prime?</code> ワード
:<syntaxhighlight lang=forth>
: prime? ( n -- ? ) here + c@ 0= ;
</syntaxhighlight>
:; <code>( n -- ? )</code>: スタックから整数 <code>n</code> を取り出し、その数が素数であるかどうかの真偽値 <code>?</code> をスタックに積む。
:* <code>here + c@</code>: <code>here</code> は現在のデータスペースの末尾を示し、それに <code>+</code> を使ってワードの<code>n</code>番目のアドレスを取得する。そして <code>c@</code> はそのアドレスの内容(1バイトの文字)を取得する。
:* <code>0=</code>: 取得したバイトが0かどうかをチェックし、0ならば真(素数)を返す。
; <code>composite!</code> ワード
:<syntaxhighlight lang=forth>
: composite! ( n -- ) here + 1 swap c! ;
</syntaxhighlight>
:; <code>( n -- )</code>: スタックから整数 <code>n</code> を取り出す。
:* <code>here + 1 swap c!</code>: <code>here</code> から<code>n</code>のアドレスにを1を1バイトで書き込む。
; <code>sieve</code> ワード
:<syntaxhighlight lang=forth>
: sieve ( n -- )
here over erase
2
begin
2dup dup * >
while
dup prime? if
2dup dup * do
i composite!
dup +loop
then
1+
repeat
drop
." Primes: " 2 do i prime? if i . then
loop
;
</syntaxhighlight>
:; <code>( n -- )</code>: スタックから整数 <code>n</code> を取り出す。
:* <code>here over erase</code>: 現在のデータスペース(<code>here</code> から先)を <code>n</code> バイト分消去する。
:* <code>2 begin ... repeat</code>: メインのループ。2から始めて、以下の条件に基づいて処理を繰り返す。
:** <code>2dup dup * ></code>: 現在の値を2つコピーし、2つを掛けた値が <code>n</code> を超えるまで続ける。
:** <code>dup prime? if ... then</code>: 現在の値が素数かどうかをチェックし、素数ならば以下を実行。
:*** <code>2dup dup * do ... dup +loop</code>: 素数の場合、その数の倍数を篩い落とす。内側のループで、その数の倍数を全て <code>composite!</code> でマークする。
:** <code>1+</code>: 現在の数値を1増やす。
:* <code>drop</code>: 最後の数値を削除する。
:* <code>." Primes: " 2 do i prime? if i . then loop</code>: 素数を表示するループ。2から始まり、<code>n</code> まで続ける。各数値が素数ならば表示する。
; 実行
:<syntaxhighlight lang=forth>
100 sieve
</syntaxhighlight>
:100以下の素数を見つけるために <code>sieve</code> ワードが実行されます。
=== 配列と構造体 ===
配列やレコード(構造体)といったデータ構造は、Forthではメモリブロックとしてアドレスで表現されます。配列の各要素にアクセスするには、インデックスとベースアドレスの計算が必要です。
:<syntaxhighlight lang=forth>
CREATE ARRAY 100 ALLOT \ 100セルの配列を作成
ARRAY 10 + @ . \ 11番目の要素を表示
</syntaxhighlight>
<code>CREATE</code>...<code>ALLOT</code>で連続したメモリ領域を確保し、<code>ARRAY</code>にその開始アドレスが置かれます。要素へのアクセスには、ベースアドレスにインデックスをシフトして足し算します。
レコードは、必要なフィールドごとにメモリを確保して構築できます。レコードのフィールドへのアクセスには、オフセット値を使ってフィールドのアドレスを計算します。
Forthにおけるデータ構造は、非常に低レベルで表現されています。一方で、この低レベルなアクセス方式は、メモリの効率的な利用を可能にし、Forthをシステムプログラミングに適した言語にしています。
== 入出力と組み込みワード ==
Forthには標準の入出力ワードがあり、コンソールやファイルからの入出力を行えます。また、様々な組み込みワードが用意されており、これらを活用することでForthの機能を拡張できます。
=== 標準入出力 ===
Forthには、キーボードからの文字入力や、コンソールへの文字出力を行うためのワードが用意されています。
:<syntaxhighlight lang=forth>
KEY \ キーボードから1文字読み込む
EMIT \ スタック上の値(文字コード)を出力する
." \ 文字列を直接出力する
</syntaxhighlight>
<code>KEY</code>はキーボード入力を待ち、押された文字のASCIIコードをスタックに置きます。<code>EMIT</code>は逆に、スタック上の値を文字コードとして解釈し、コンソールに出力します。<code>." Hello"</code>のように、<code>."</code> の後に文字列を続けると、その文字列がコンソール出力されます。
数値入出力には、<code>?</code>、<code>U.</code>、<code>U.R</code>などのワードが使えます。<code>?</code>は数値を入力受け付け、<code>U.</code>は符号なし数値を、<code>U.R</code>は数値を指定した基数(2進数、16進数など)で出力します。
=== ファイルアクセス ===
ファイル入出力には、様々なワードが用意されています。<code>OPEN-FILE</code>でファイルを開き、<code>READ-FILE</code>や<code>WRITE-FILE</code>でデータの読み書きができます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
S" data.txt" R/O OPEN-FILE THROW VALUE HANDLE \ ファイルを読み取りモードで開く
HANDLE READ-FILE ABORT" READ ERROR" \ ファイルを読み込む
HANDLE CLOSE-FILE THROW \ ファイルを閉じる
</syntaxhighlight>
ファイル名は、<code>S"</code> で文字列をスタックに置いた後、<code>R/O</code>(読み取り専用)や<code>W/O</code>(書き込み専用)といったモードを指定してファイルを開きます。<code>THROW</code>はエラーがあれば例外を発生させます。
<code>READ-FILE</code>や<code>WRITE-FILE</code>では、バッファ領域のアドレスと読み書きするバイト数をスタックに置く必要があります。
=== 組み込みワードの利用 ===
Forthには、数学関数や論理演算、メモリ操作など、様々な組み込みワードが用意されています。必要に応じてこれらのワードを活用することで、プログラムにさまざまな機能を付加できます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
2 3 MAX . \ 最大値(3)を出力
S" HELLO" SWAP DROP \ スタック操作サンプル
HEX 1F20 4 DUMP \ メモリダンプ
</syntaxhighlight>
<code>MAX</code>は2つの数値の最大値を、<code>SWAP</code>は2つの値の順序を入れ替え、<code>DROP</code>は最上位の値を捨てます。<code>DUMP</code>は指定したアドレスからのメモリ内容をダンプ出力します。
組み込みワードには、浮動小数点演算、文字列処理、マルチタスク、IPCなど、様々な分野のものがあります。また、必要に応じてワードを自作したり、外部ライブラリからリンクしたりできます。Forthはコンパクトなシステムながら、組み込みワードの充実により高い機能性を発揮します。
== アプリケーション開発 ==
Forthは小規模な組み込みシステムから大規模なアプリケーションまで、幅広い用途に使用できる言語です。この章では、Forthにおけるアプリケーション開発の手法と、実例について解説します。
=== モジュール化とワード管理 ===
Forthはワードをベースとしたモジュール性の高いプログラミングができます。大きなアプリケーションを開発する際は、適切にモジュール分割してワードを設計・管理することが重要です。
Forthにはネームスペースの概念がありません。そのため、ワード名の重複を避けるためには、プレフィックスなどの命名規則を定めることが一般的です。たとえば<code>STRING-LENGTH</code>のように、ワードの役割がわかるよう名前を付けます。
また、ワードをまとめてファイルに保存し、必要に応じて読み込む方法があります。Forthの多くの処理系は、ワードの定義をソースファイルに保存したり、メモリイメージを永続化したりできます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
MARKER MODULE>STRING
: STRING-LENGTH \ 文字列の長さを求める
...
;
: STRING-REVERSE \ 文字列を反転する
...
;
STRING-REVERSESTRING-LENGTH +MODULE
</syntaxhighlight>
作成したワードは<code>MODULE>NAME</code>でモジュール名を付け、<code>+MODULE</code>でモジュールを完成させることができます。他のソースから<code>USE MODULE>NAME</code>とすれば、そのモジュールのワードが使用可能になります。
大規模なシステムでは、このようなソースレベルの分割に加え、オーバーレイ、仮想メモリ、マルチタスク機能を活用することで、メモリの効率的な使用が可能です。
=== グラフィックス処理 ===
Forthでもグラフィック処理が可能ですが、組み込みの機能は限られています。ほとんどの処理はユーザ定義ワードとして実装する必要があります。
ビットマップ画像の表示や、ウィンドウ、マウスカーソルなどの基本的なGUIの作成はある程度可能です。高度な3Dグラフィックスなどを実現するには、外部ライブラリを利用する必要があります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
NEED FRAMEBUFFER \ フレームバッファへのアクセスモジュール
: DRAW-LINE ( x1 y1 x2 y2 -- )
\ ブレザンハムのアルゴリズムでライン描画
...
;
: DRAW-RECT ( x y w h -- )
2SWAP 2>R 2R> \ (x y w h -- x y x+w y+h)
DRAW-LINE 2>R 2R>
DRAW-LINE 2SWAP
DRAW-LINE 2SWAP
DRAW-LINE
;
FRAMEBUFFER-INIT \ グラフィックスサブシステムの初期化
100 100 300 200 DRAW-RECT \ 長方形を描画
</syntaxhighlight>
上記では、フレームバッファの制御関数がロードされた前提で、<code>DRAW-LINE</code>を使って<code>DRAW-RECT</code>(長方形描画)を実装しています。スタックを活用して座標値を受け渡し、基本的な幾何図形を描画しています。
Forthはグラフィックスパイプラインなどの高度な機能を組み込んでいませんが、スタックベースの処理により、低レベルのデバイスアクセスが可能です。組み込みシステムのディスプレイやLED制御など、グラフィックス関連の処理に適しています。
=== システムプログラミング ===
Forthの本質的な特性として、システムプログラミングに適していることがあげられます。小規模でコンパクト、高速動作、低レベルなメモリアクセスが可能というメリットがあります。
OSカーネル、デバイスドライバ、BIOS、ブートローダなどの開発にForthは広く使われてきました。組み込みシステムでは、センサーやI/Oデバイスの制御に最適です。スタック指向のモデルにより、レジスタレベルの処理が直接かけるのも特徴です。
例えば、Forthを使ってブートローダを実装する場合には、次のようなプログラムになります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
HEX
07C0 INPORT DROP \ DOSデータ領域クリア
0800 0 20 MOVE \ リセットベクタ設定
KERNEL.IMG LOAD \ カーネル読み込み
A000 OUTPORT \ VGAモードへ切り替え
1000 JMP \ カーネル実行
...
\ BIOSブート用の簡単なForth読み込みコード
:KERNEL.IMG
LOAD CORE SWAP CPU KERNEL ;
</syntaxhighlight>
BIOSなどの低レベル機能を呼び出してブートローダを構築する処理が、Forthの文法でコンパクトに記述できる様子がわかります。
また、Forth自身が小規模で可搬性が高いため、Forth処理系そのものもForthで書かれた簡単なコアを、ホストOSやアーキテクチャに合わせてセルフホスト (移植) する手法が一般的です。これは、アプリケーションと実行環境を一体化して開発できる利点があります。
== 高度なトピック ==
ここまでForthの基本的な構文と概念、データ構造、アプリケーション開発の実例などを解説してきました。この章では、Forthの高度な利用方法としてパフォーマンス最適化、マルチスレッド・マルチタスク、メタプログラミングについて取り上げます。
=== 最適化とパフォーマンス ===
Forthはコンパクトで高速な言語ですが、さらなる最適化の余地があります。ワードの定義を工夫したり、ネイティブコードコンパイラを使ったりすることで、パフォーマンスを向上できます。
ワード定義の最適化では、冗長な演算を排除したり、インラインコーディングの手法を用いたりします。例えば、次のようなワード定義があるとします。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: MAX2 ( n1 n2 -- max ) 2DUP > IF SWAP DROP ELSE NIP THEN ;
</syntaxhighlight>
この<code>MAX2</code>は一時的に2つの値を複製(<code>2DUP</code>)し、<code>IF</code>..<code>ELSE</code>..<code>THEN</code>の条件分岐で最大値を選びます。しかし、この一時複製が無駄な演算となっています。次のように書くとコードがシンプルになります。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: MAX2 ( n1 n2 -- max ) OVER OVER > IF SWAP THEN ;
</syntaxhighlight>
ワードの最適化には一般的なテクニックがあり、Forthのコンパイラ作者から提案されているものを参考にするとよいでしょう。
また、Forthにはネイティブコードコンパイラと呼ばれるもので、ワードの実行コードをネイティブマシン語に変換できるものがあります。Forthの対話的な実行環境は便利ですが、ネイティブコードの方が高速に動作します。こうした最適化手法を使い分けることで、Forthのパフォーマンスを飛躍的に向上できます。
=== マルチスレッドとマルチタスク ===
Forthには並列実行の機構が組み込まれていないため、マルチスレッドやマルチタスク処理を実現するにはユーザ定義の実装が必要です。しかし、Forthの言語特性を活かせばきわめてコンパクトな並列処理ができます。
マルチスレッドでは、スタックを分離し、スレッド毎にスタックのコピーを持つ手法が一般的です。スレッドの切り替えはスタックのコンテキストスイッチで実現できます。また、Forthのデータストアクセス方式を応用すれば、IPC(プロセス間通信)の仕組みを作ることもできます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: NEW-TASK ( -- )
HERE CURRENT-STACK >R CREATE-STACK SWAP
[: DO-SOME-WORK ;] ( compile: word behavior )
R> SET-CURRENT
;
</syntaxhighlight>
この例では、新しいタスクを作成するワード<code>NEW-TASK</code>を定義しています。<code>CREATE-STACK</code>でスタックを新しく割り当て、<code>DO-SOME-WORK</code>のようなワード定義をタスクとして登録します。実行時にはスケジューラによってこれらのタスクが実行されます。
マルチタスク機構を実装する例は多数あり、スレッド単位でデータを扱う方式、メッセージキューによる方式、それぞれ長所と短所があります。並列処理にはデッドロックなどの問題点もありますが、Forthではコンパクトでシンプルなコード記述が可能です。
=== メタプログラミング ===
Forthにはプログラムを生成・変更するメタプログラミングの機能があり、コードを自動生成したり、プログラムを動的に変更したりできます。この機能は、Forthをドメイン固有言語(DSL)の開発などに適用できることを意味しています。
メタプログラミングには、コンパイル時に評価される構文<code>[...]</code>と実行時構文<code>EVAL</code>があります。どちらもプログラムをデータとして扱えるため、動的にプログラムを生成・変更できます。
:<syntaxhighlight lang=forth>
: HILBERT-CURVE ( n -- )
0 ?DO
[: 2DUP RECURSE >R >R
1 HCURVE R> R> RECURSE
3 HCURVE ;]
POSTPONE LITERAL POSTPONE HCURVE
LOOP
;
</syntaxhighlight>
この例では、ヒルベルト曲線を描画するコードを動的に生成しています。<code>POSTPONE</code>はワードのコンパイルを遅延させ、<code>[: ... ;]</code>の構文はその間のテキストを実行可能なコードとしてコンパイルします。この手法により、 Hilbertカーブの次元(<code>n</code>)に応じて、その描画コードを生成しています。
Forthのメタプログラミング機能は、高度な用途に役立ちます。例えば、ユーザインターフェースビルダー、コードジェネレーター、プログラムシンセサイザなどでその力を発揮できます。Forthの柔軟性を最大限に活かせる側面といえるでしょう。
== サンプルプログラムとプロジェクト ==
Forthの理解を深めるには、実際にコードを書いて動作を確認することが大切です。この章では、様々なサンプルコードを紹介するとともに、実践的なForthプロジェクトの例を示します。
=== 様々なサンプルコード ===
以下はForthの基本的な機能を示すサンプルコード集です。
; 再帰によるフィボナッチ数列
:<syntaxhighlight lang=forth>
: FIB ( n -- fib-n )
DUP 0= IF DROP 1 EXIT THEN
DUP 1 = IF DROP 1 EXIT THEN
DUP 1- RECURSE
SWAP 2 - RECURSE
+
;
</syntaxhighlight>
; 文字列操作
:<syntaxhighlight lang=forth>
: UPPERCASE ( addr n -- addr n )
OVER + SWAP ?DO
I C@ [CHAR] a [CHAR] z 1+ WITHIN
IF [CHAR] A [CHAR] a - + THEN
I C!
LOOP
;
: REVERSE-WORDS ( addr n -- )
[CHAR] \ SKIP SPACES OVER >R
BEGIN
OVER C@ [CHAR] \ <>
WHILE
[CHAR] \ PARSE DUP >R REVERSE
R> OVER C! CHAR+
REPEAT
R> DROP 2DROP
;
</syntaxhighlight>
; ベクトル・行列計算
:<syntaxhighlight lang=forth>
REQUIRE DOUBLE \ 倍精度浮動小数点サポート
: VZEROS ( n -- addr ) \ n要素のゼロベクトルを生成
CREATE HERE 0 SWAP 8 * DUP ALLOT FILL
;
: MZEROS ( rows cols -- addr ) \ rows x cols の零行列を生成
SWAP VZEROS SWAP 0 ?DO OVER VZEROS COLS + LOOP
;
</syntaxhighlight>
; 簡易グラフィックス
:<syntaxhighlight lang=forth>
VARIABLE FRAMEBUF \ フレームバッファアドレス
: PIXEL ( x y color -- ) \ 1ピクセル書き込み
FRAMEBUF @ >R 2 * R@ + 3 * RP@ C!+ RP@ C!+ RDROP
;
: LINE ( x1 y1 x2 y2 c -- ) \ ラインの描画
>R 2SWAP R> 2>R 2R@ PIXEL 2R> PIXELLINE
;
</syntaxhighlight>
これらの例は、スタックを使った処理の流れ、ユーザ定義ワードの作成、再帰など、Forthのプログラミング手法の基本を示しています。コンパクトながらも表現力の高さがわかるでしょう。
=== 実践的なプロジェクト例 ===
次に、もう少し大がかりなForthプロジェクトの例を紹介します。
; Forth Chip-8 エミュレーター
Chip-8はレトロなゲームコンソールで、Forthでその命令セットをエミュレートするプロジェクトです。グラフィックス、入力処理、命令デコーダなどを実装します。
; カーネルとブートローダ
ForthでOSカーネルの基本部分を実装し、ブートローダと合わせてシステムを構築するプロジェクト。メモリ管理、タスク管理、ファイルシステム、ドライバなどの機能が実装できます。
; Webサーバー
ForthでHTTPリクエストを処理するWebサーバーを作成。ソケット通信、文字列処理、ファイル入出力などの機能が必要になります。追加してWebアプリケーションフレームワークなども作れます。
; オープンソースForthプロセッサ
Forthを使ってCPU命令セットを記述し、ゲートレベルまでFPGAに実装するプロセッサの設計プロジェクト。ハードウェア記述言語との連携が重要です。
このようなプロジェクトを通して、Forthの実用性とシステムプログラミングでの可能性を体験できます。Forthという言語自体を使って、OSやハードウェアコンポーネントを実装できるのが最大の特徴です。いずれのプロジェクトも一般的な規模になると、モジュール分割やワード管理、ツール活用などの工夫が必要になります。
== 参考資料 ==
Forthについてより深く学ぶには、書籍や公開されているオンラインリソースを参照するのが有効な方法です。また、活発なForthコミュニティに参加することで、他の開発者からの助言を得られます。
=== 関連書籍の紹介 ===
Forthの入門書から応用、さらには処理系の実装に至るまで、多くの優れた書籍が出版されています。
* 「Forth入門」レオ・ブロディ (ISBN:978-4875930297 工学社)
** Forth言語の基本から、アプリケーション開発までをカバーした長年の定番書。
* 「Thinking Forth」Leo Brodie (Punchy Publishing) / Forth思考 ―問題解決のための言語と哲学― レオ・ブロディー著
** Forth哲学に重きを置いた名著。Forthの考え方を深く解説。
* 「Forth Programmer's Handbook」(ISBN:978-1419675492 Forth Inc.)
** ANS Forthの規格書で、WordSetの詳細が書かれている。
これらの書籍を手に入れられれば、Forthの理解が格段に進むはずです。電子書籍としても出版されているものがあります。
=== オンラインリソース ===
{{Wikipedia}}
インターネット上にも無料で参照できるForth関連の豊富なリソースが存在します。
* Forth Interest Group ( https://www.forth.org/ )
** Forthに関する書籍、記事、リソースなどが集まるポータル。
* Forth-Standard-Committee 公式サイト( https://forth-standard.org/ )
Webサイト、ソースコード、ニュースレターなど、さまざまな形でリソースが公開されているので、活用していきたいものです。
=== Forthコミュニティ ===
長年にわたりForth言語を支える活発なコミュニティが存在し、開発者同士が支え合う環境があります。
* Newsgroups: comp.lang.forth
** ディスカッションの場となるForth専用のニュースグループ。
* 地域 Forth グループ
** ヨーロッパ、アメリカ、アジアなどの地域Forthグループ。
オンラインフォーラムやメーリングリスト、対面の勉強会など、様々な形でForth開発者同士が交流を深めています。初心者でもこうしたコミュニティに参加することで、サポートを受けられます。Forthの小さな世界ですが、地域を越えて開発が行われているのが特徴です。
Forthの参考文献やオンラインリソース、そしてコミュニティを上手く活用することで、この独特な言語の理解が一層深まるはずです。
== 脚註 ==
<references />
[[Category:Forth|*]]
[[Category:プログラミング言語]]
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高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ15
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246591
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すじにくシチュー
12058
計画する plan , intend
wikitext
text/x-wiki
==== ※ 分割用タイトル ====
----
設立
constitute と establish と found
found という動詞がある。動詞「見つける」find の 過去形foundとは別に、原形で「設立する」のfoundという動詞がある。
「設立する」は活用が、
原形 found - 過去形 founded - 過去分詞 founded
と変化をする。
foundの意味は「設立する」。「創設者」を名詞 founder と言うのを記憶の土台にすると、覚えやすいだろう。名詞 foundation で「基礎・基盤」や「建設・設立」などの意味。化粧でファンデーションとあるが、あれは和製英語ではなく、れっきとして foundation cream という英単語がある(ジーニアス英和で確認)。
ちなみに金融などで「ファンド」といわれる単語は fund (原形がfund )というまったく別の単語。組織などの「資金」「基金」が名詞でfundである。動詞 fund は、組織などに「資金を出す」こと(旺文社1400)。
なお、「基金の基金を集める」は raise a fund である(旺文社1400。ジーニアス)。また、raise money で「資金を集める」である(東京書籍4500。桐原4500)。
constitute は、議会や制度などを「設立する」。
なお、センチュリー英和によると、「議会を設立する」 constitute an assembly とのこと。
establish は、組織を「設立する」。たとえば桐原4500に「早稲田大学を設立する」という例文で establish が紹介されている。
ジーニアス英和によると、政府・学校・会社などを「設立する」のが establish である。
センチュリー英和によると、国家・政府などを「樹立する」のも establish である。
だが、それよりもestablishは、単語集にはないが、評判などを「確立する」の意味で覚えるほうが良い。
たとえば、センチュリー英和やジーニアス英和にあるが、国家体制など既存の「体制側」や「支配層」のことを establishment という。
いっぽう constitute には、こういったニュアンスはないだろうから。
set up
set up は「創業する」「創設する」の意味である。
このほか、set upには、テント(a tent)や看板(a sign)などを「立てる」という意味もある。
センチュリー英和にもあるが、コンピュータの初期設定のことを set up という。
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主張 claim と insist と argue と contend
議論する argue, discuss
センチュリー英和によると、claimは、当然の権利として「主張する」、あるいは事実であるとして「主張する」の意味。
claimとinsistのどちらにも、「要求する」の意味がある。
だが、claimの要求は、権利としての要求である(東京書籍4500)。
いっぽう insistの要求は、単に強く要求しているだけである。
insistは、特に、強く「主張する」意味である。
ジーニアス英和およびセンチュリー英和では、無罪の主張でinsist on が用いられている。
日本語の、批判のような意味での「クレーム」は、和製英語であり、センチュリー英和のclaimの説明によると、英語にこの意味はない。
なお、「文句を言う」は英語で complain である。
:(※ たぶん範囲外?)海外旅行などで「荷物の受け取り」のことを baggage claim という<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P140</ref>。このように、日本語の「クレーム」と英語のclaim は、だいぶニュアンスが違う。
記号「!」 のことを exclamation (イクスクラメイション)というが、これも動詞 exclaim (イクスクレイム)「さけぶ」の名詞形である。
なお、荷物 baggage は集合名詞なので たとえば複数の荷物を言うときは、 ~ pieces of baggage になる<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P153</ref>(桐原3000)。
発音注意であり、baggage 「バギッジ」である。
なおbaggageはアメリカ英語。イギリス英語だと luggage 「荷物」になる。
一方、「カバン」bagは具体的なカバンのことをいうので、普通に数えられるので、bagの複数形は bags である<ref>『All aboard! English Communication I』、東京書籍、令和3年1月29日検定済、令和4年2月10日発行、P145</ref>(桐原3000)。
さて、claim する人(主張者)のことは claimant である。
ただし、権利の主張などは、insistとclaimのどちらでも良い。
argue は、理由をあげて「主張する」の意味である(東京書籍4500)。argue that ~ で「~だと主張する」の意味である。argue with ~(人) で「~(人)と言い争う」の意味である(桐原4500および旺文社1400)。
なお、argueには、用法によっては、やや非友好的に「議論する」ニュアンスもある。ジーニアス英和にも、argue は「discussよりも非友好的」と記述がある。
たとえば検定教科書 "Standard Vision Quest I" でも、 argueは「言い争う」といった意味であると紹介する一方、discuss は「議論する」であると紹介している<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
ただし、実際には argue には「説得する」などの意味の用法もあるので、ニュアンスの違いはあまり明確ではない。
センチュリー英和に、弁護士の「弁論」をargueとした例文があったが、もし法廷闘争での敵対陣営同士の「弁論」ならargueのほうが、ふさわしいだろう。
なお、「口論する」は quarrel である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
contend は、(東京書籍4500いわく)「強く主張する」とか、(桐原5500いわく)「論争する」とかの意味。
桐原5500の例文にあるが、contend in court で「法廷で争う」。
旺文社1900によると名詞 contention で「主張」「論点」の意味。
旺文社1900とセンチュリー英和が紹介しているが contend that ~ で「~だと主張する」。
旺文社1900 で熟語 an issue of contention (「議論の対象となる問題」)が紹介されてるが、しかしジーニアス英和でもセンチュリー英和でも確認できなかった。
* 異議を唱える
challenge
challenge には課題や競技相手などに「挑戦する」の意味もあるが、議論などで相手に「異議を唱える」の意味もある。
たとえばジーニアス英和からの抜粋だが、 I challenged her. 「私は彼女に異議を唱えた。」
旺文社1900からの抜粋だが、 He challenged the common belief. 「彼は常識に異議を唱えた。」
センチュリーからの抜粋で、 He challenged my statement. 「彼は私の言うことに異議を唱えた。」
challenging で「やりがいのある」。東京書籍3000に例文がある。辞書を見ても、あまり例文が無いので、当ページでは紹介しない。
なお単語集にはないが、ジーニアスによると、競技などで challenger 「挑戦者」 ⇔ defender 「選手権保持者」(防衛側)
である。defender の項目で調べると書いてある。
競技では、challenge は試合を「申し込む」などの意味である。
たとえば、東京書籍3000の例文だが、
Dan challenged me to a game of tennis. 「ダンは私にテニスの試合を申し込んだ。」
また、センチュリー英和に似たような例文
I challenged Betty to a game of tennis. 「私はベティにテニスの試合を申し込んだ。」
がある。
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防御
defend , guard , protect
まず、「ガードマン」は和製。
guard だけで「警備員」の意味がある。特に、警備員であることを強調したい場合、 a security guard という(東京書籍、旺文社)。
a security をつけずに「警備員」と使用してもいい。桐原3000の英文は銀行の「警備員」に、 a security をつけていない。
さて、defend は動詞。guardは名詞および動詞。protectは動詞。
なお、guardian とは、未成年などの「後見人」のこと。旺文社1900ではguardian を「保護者」「後見人」と紹介している。
そのほか、センチュリーでは、たとえば世界平和の「守護者」とか、そういう意味の「守護者」のことを guardian という。そのほか、ジーニアスには guardian の意味のひとつに「保護者」と書いてある。
protect は、病気などから「守る」場合にも使えるが(東京書籍3000)、ジーニアスによると人間などの相手でも使っていいようである。
辞書や単語集では「保護する」と訳される場合もある。
名詞 protection は「保護」の意味。
辞書によると、関税によって国内産業を「保護」することも protect である。また、風雨からの保護の「雨よけ」「風よけ」も 名詞 protection である。
さて、ジーニアスによると、「家族を守る」でprotect one's family である。ジーニアスでは文脈は述べていないが、普通の感覚では、病気とかではなく犯罪などから家族を守ることだろう。
日光(sunlight, sun)から目を守ったり(ジーニアス、センチュリー)、肌を守ったりするのも(桐原4500)、protectである。
たとえば、 protect one's eyes from sunlight 「日光から目を守る」
である。
protect 〜 from B で、「〜(守られる対象)をB(危険側)から守る。」である。
なお、子育てなどでいう「過保護」は英語で overprotect である(桐原5500)。
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汚染
pollute と contaminate
違いは不明確。
桐原5500にcontaminate がある。polluteは桐原・東京書籍の4500にある。
一応、ジーニアス英和および桐原5500には、「毒物や放射能」による汚染を contaminate としているが、彼らがそういう説を言っているだけ。クラウン英和はその説を採用していない、
実際にクラウンの例文を見ると、車の排気ガス汚染で、contaminate という動詞を用いている。
:Car exhaust contaminate the air. 車の排気ガスは大気を汚染する。
という文がクラウン英和にある。
しかし東京書籍4500では、工場の煤煙による大気汚染が pollute である。
クラウン英和にある大気汚染 air pollution のように、そういう用語が既にあるので、実務では業界の用語ごと覚えるしかない。
※高校生としては、不正確かもしれないが、とりあえず「汚染」はすべてpolluteで覚えておいて、実務などで「この場合はcontaminete を使え」と修正された場合にだけ contaminate を使うのが良いだろう。
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傷(きず)
wound, injured, harm, hurt
動詞 wound は、刃物・銃などで「傷つける」、「負傷させる」。桐原3000だと「傷つける」、東京書籍4500だと「負傷させる」。
ジーニアス英和hurtの説明によると、戦いでの負傷には wound を使うとのこと。
hurt は、感情なども含む「傷つける」。
センチュリー英和だと、hurtには、「傷による苦痛に重点がある」とのこと。
名詞 injury が「けが」という意味。これが「けが」の基本的な単語である。
さて、~ be injured で「~が、けがをする」の意味である。
~ be injured in ・・・ で「~(けが人)が,・・・(原因)でけがをする」である。
単語集によくある典型的な例文が、
「彼はその事故でけがをした。」 He was injured in the accident.
である。
単語集では、自動詞 hurt で「痛む」の意味があり、東京書籍4500で例文を紹介。一方、桐原4500は例文なし。
「おなかが痛い」(※東京書籍4500)とか(靴擦れで)「かかとが痛い」(※センチュリー)とかでも、hurtを使っていい。
桐原4500に名詞 hurt で、「傷」の意味が紹介されている(例文なし)。東京書籍4500にはなし。
hurt には「けが」・「傷」・「苦痛」の意味がある。
「傷」の意味では、injuryとほぼ同義だと、ジーニアス英和が言っている。
hurtとpainの違いが気になるが、あいにく辞書には書いてなかった。
ややしいことに「痛み」を意味する名詞 pain には、「苦労」の意味もある。苦痛ではなく苦労なので、いい意味でも使われる。
なお、painは名詞の用法が基本的な意味だし、名詞の意味は「痛み」。
hurt は動詞の用法が基本的な意味だし、動詞の意味は「傷つける」。
辞書を見ると、実は動詞のpainもあるが、これは「痛む」の意味である。(「傷つける」ではない)painはあくまで「痛み」に関する単語
名詞 harm は「害」の意味。なお、harmful で「有害な」の意味の形容詞<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P111 </ref>。
東京書籍およびジーニアスによると、日光や光によって「目をいためる」のは harm である。
飲酒や喫煙などの「害」がharm 。桐原4500に喫煙の害。センチュリー英和に飲酒の害。
このように、比較的に痛みを伴わないものにも使われる。(センチュリーにもそう書いてある。)
だが、「目をいためる」ように、実際に痛いこともある場合にも使われるので、まあ傾向の程度。
ネットでときどき「有害コンテンツ」という用語があるが、「有害コンテンツ」も英語で harmful contents である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P121</ref>。
ほか、旺文社1900のsubstance ’物質)の項目が言うには、飲食物などに含まれていたら困る「有害物質」は harmful substances である。
さて、動詞 suffer が「苦しむ」という意味だが、 be suffering from ~ で、「~(原因)で、苦しい(つらい)」的な意味。
東京書籍 be suffering from a toothache 歯が痛くてつらい
桐原 be suffering from a backache 背中が痛くて苦しい
などと訳している。
ジーニアスによると、 「風邪をひいている」 be suffering a cold のように痛み以外でも使っていい。ほか、「英国はインフレで苦しんでいる」 be suffering from inflation のように使ってもいい。
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やわらげる
relieve, ease
苦痛などを「やわらげる」は動詞 relieve である。
典型的な例文で、(風邪薬などで)「頭痛をやわらげる」 relieve a headache がある(東京書籍4500およびセンチュリー)。
誰が風邪薬を飲んで誰の頭痛をやわらげるのかによって、飲んだのが「私」だったら relieve my headache になったり、教材ごとに主語による多少の違いがある。
どちらにせよ、単に柔らかいわけでもなく、単に軽減するわけでもなく、苦痛などを減らすのが relieve である。
relieve A of B(苦痛など) で、「AからBを除いて楽にする」の意味。
熟語 get rid of ~ 「~を取り除く」と関連づけて覚えよう。実際、桐原4500がそういう構成である。
名詞形は relief であり、「安心」「緩和」「救援」などの意味である(単語集にある)。単語集にはないが、野球のリリーフも同じrelief である(センチュリーで確認)。
sigh with relief で「安堵(あんど)のため息をつく」である。sigh (発音「サイ」)は、動詞としては「ため息をつく」、名詞としては「ため息」である。
例文は、
She sighed with relief. 「彼女は安堵のため息をついた」
である(東京書籍4500 項目 sigh。旺文社1900 項目 sigh)。
ともかく、「安心」的なのが relieve のイメージなので、be relieved to ~(動詞) で「~で安心した」という形容詞的な用法になる。
というか、辞書ではジーニアス英和でもセンチュリー英和でも、 relieved を形容詞として紹介している。
ease (イーズ)という動詞および名詞がある。これも動詞ease は「やわらげる」「取り除く」の意味である。これは形容詞の「簡単な」 easyの、名詞計および動詞形である。
名詞 ease は「容易さ」「気楽さ」「軽減」の意味である。
This medicine eases the pain. 「この薬は痛みをやわらげる。」
のように使う(東京書籍および旺文社に似た例文)。
ジーニアスによると、頭痛 headache をやわらげるのに ease を用いてよく、旺文社によると胃痛 stomach pain をやわらげるのに ease を用いている。
このような薬による「取り除く」「やわらげる」の意味での ease は、ジーニアスによると、relieve とほぼ同義語とのこと。
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取り除く
remove, eliminate
remove は、「取り外す」の意味に近い。
たとえばパソコンのUSBスティックメモリなどを「リムーバル・メディア」などというが、取り外したあとに、別に捨てるわけでもなく、消去するわけでもない。
このように、remove は単に「取り外す」「取り除く」というニュアンスである。
名詞 removal (リムーバル)「取り外し」という単語も存在しています(東京書籍4500)。
形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」という単語もあります(東京書籍4500)。
「リムーバル」はけっして形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」の誤記ではないです。間違えないように。
一方、eliminate は、取り除いたあとに、処分することを念頭に置いている。または、取り除いたあとに、再度の取り付けの意思がないものに使う。
なので、eliminate で取り除かれるものは、ゴミだったり、あるいは犯罪などの社会悪だったりする。
または、解決すべき問題を片付けることも eliminate である(東京書籍)。
だから eliminate の訳語は「取り除く」である。外すのではなく「除く」に、そういうニュアンスがある。
eliminate (A) from (B) で、「AからBを除去する」である。fromの後ろにあるBが、抹消されるべき対象である。
こういう単語なので、単語集にはないが、ジーニアスを見れば、敵軍などを全滅させる事も eliminate と言うこともある。
なお、生物種の「絶滅」は extinction (エクスティンクション)である。
熟語 get rid of ~ は、そこまであれこれと考えていない。remove的にも使われるし、eliminate 的にも使われる。あるいは、remove と eliminate の中間だと思っておけばいいかもしれない。
さて、 exclude は、「除外する」である。
これよりも、形容詞の exclusive エクスクルーシブの意味「排他的な」のほうが分かりやすいので、そちらを説明する。
exclusive 「排他的」とは、最初から内部に入れない、という意味である。
だからexclude は、最初から中に入れないように「締め出す」という意味もある(桐原で確認)。
excludeの「除外する」の意味については、可能性などを「除外する」という意味もあり、ジーニアスの例文だと、たとえば「明日、雨が降る可能性は除外できる」みたいな割と平和的な「除外する」にも exclude を用いることもできる。
そのほか、exclude は、見当などの際に「考慮に入れない」という意味もあり(ジーニアス、センチュリー、旺文社で確認)、たとえば旺文社の例文では「税金は価格から除外されている」という意味の英文で exclude を受身計で用いている。
なお、対義語は include であり、「含む」という意味である。
たとえば「税込み 5ドル」は
<nowiki>$5,</nowiki> tax include
である。
典型的な例文は、
「料金は税込みですか?」 Does the price include tax?
がある( ジーニアス(ただしpriceでなくrate)、 東京書籍(ただし「料金」でなく「価格」と和訳) )。
また、-clude とは「閉じる」の意味である。
だから、たとえば conclude は、話を閉じるので「結論づける」「締めくくる」の意味。conclusion は「結論」の意味。
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消去する
erase , delete
(※ 範囲外)火を消す extinguish
鉛筆で書いた文字を消しゴムで消すのが erase である。
また、消しゴムをアメリカ英語で eraser (イレイサー、イレイザー)という(東京書籍1800、旺文社1900)。なおイギリス英語では rubber である。
黒板ふきも eraser である(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
コンピュータのデータを消すのは、erase も delete も使われるが(ジーニアスで確認)、しかし現代では delete でデータ消去を表すのが普通である。
実際、パソコンのキーボードにも delete キーがある。
旺文社の例文も、メールの削除を delete で表現している。
なお、東京書籍と桐原の単語集には delete は見当たらない。
昔なつかしいテープのデータを消去するのには、erase が使われるようである(ジーニアス、センチュリーにerase でテープのデータを消す用法あり)。
erase で消すのは、文字のほかにも、感情を「消す」などの表現でも使われる(ジーニアス、)。
「記憶を消せればいいのに」みたいな表現でも erase を使う(旺文社、ジーニアス)。
辞書にはないが、delete はもともと動詞で「削除する」「消去する」の意味であるが、現代ではパソコンのデリートキーを表す名詞として、delete が名詞としても使われる(旺文社1900)。辞書のほうが遅れている。旺文社1900が正しい。
なお、名詞形 deletion 「消去」「削除」という単語もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
高校範囲外ですが、火を「消す」は動詞 extinguish (イクステングィッシュ)です。
extinguish は一見すると見慣れないですが、実は高校範囲の単語「絶滅」 extinction (イクスティンクション)の動詞形です。
extinction のスペルのままでは動詞の意味は無いです(センチュリー、ジー二アス)。
消防士による「消火する」から(ジー二アス)、たばこの火を「消す」まで(センチュリー)、extinguish で表現できます。
なお、extinct は形容詞「絶滅した」「消滅した」です。
ほか、生態系の「絶滅危惧種」は an endangered species である(桐原4500 species、ジー二アス endangered)。東京書籍と旺文社には、species の項目自体はあるが、絶滅危惧種はない。
なお、植物の「種」(たね)は、seed という別の単語である(東京書籍4500、桐原3000)。
典型的な例文は、
「農場に種をまく」 plant seeds in the field
である(東京書籍4500、桐原3000)。
plant は「種をまく」という意味の動詞。
field は「農場」である。
動詞として seed 「種をまく」という用法もあるが、旺文社以外1200は紹介していない。少なくとも、桐原3000と東京書籍4500には、動詞の用法が紹介されていない。
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疑い
suspect ,doubt
doubt ~は、「~が信じがたい」の意味。 → don't think に近い
たとえば doubt if ~で「~かどうか疑わしい」。doubt that~で「~でないと思う」である。
suspect ~ は、「どうも~のようだ」のような意味(ジーニアス英和) → think に近い
旺文社1400にあるdoubt 例文で、
doubt ifの例文「私は神が存在するかどうか疑わしく思う」I doubt if god sexists.
および
doubt that の例文 「私は神は実在しないと思う」I doubt that god exist.
が覚えやすいだろう。
suspect~ の 目的語(~)の部分は、原因や容疑などがくる。
例文として「食中毒を疑う」 suspect food poisoning とか(東京書籍4500)、
容疑者は名詞 suspect である。
このほか dubious と言う「疑わしいと思う」(桐原5500)という単語があるが、辞書の例文が不足していてよく分からなかった。単語集では桐原5500に書いてある。
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治療と回復
「治す」 heal, cure ,
「~が回復する」は recover
「~を回復する」は restore
「気分の回復」は refresh
「(健康などを)取り戻す」は regain
医療や薬などによって、けが や病気を「治す」一般的な語は cure である。
外傷を治す場合は heal が好んで使われる。
cure ~(人) の語順である。
けが を治す場合、
cure ~(人) of □□(けが・病気)
の語順である。
典型的な例文が
「その薬が彼の病気を治すでしょう」 The medicine will cure him of his disease.
である(ジーニアスの例文を改造し、「あなたの病気」から「彼の病気」に変更)。
桐原にも似た例文があり、
This medicine will cure him of the disease. 「この薬が彼の病気を治すだろう。」
とある。
his disease か the disease かなどの多少の違いはあるが、まあこんな感じの英文になる。
get rid of ~ などと同様に、ofの後ろには取り除かれるべき物が来る。
heal も同様、
heal ~(人) of □□(けが)
の語順である。
だが、東京書籍4500および桐原4500いわく、 heal the wound 「けがを治す」のように、ofを使わずに使われる場合もある。
recover は「回復する」である。
recover from ~ で「~から回復する」である。
動詞 restore は、
「秩序を回復する」 restore order
のような例文が辞書で典型的(ジーニアスとセンチュリーの両方にある)。
さて、旺文社 store 項目によると、パソコンなどで、データをバックアップすることは store である。
そして、単語集にはないが、バックアップをもとに設定データなどを自動的に「復元する」ことを restore という事がよくある。
辞書によると、古い建築物や美術品などを復元することも restore である。
東京書籍4500では、教会を修復するのを restore としている。その教会が古いかどうかは東京書籍4500には書いてない。
桐原では、桐原5500にrestoreが書いてある。
けがの回復ではなく、ちょっとした疲れやノドの渇きや気分などを、軽い飲食物や短時間の休養などで回復させるぐらいの場合は、動詞 refresh (リフレッシュ)で表せる。
旺文社1900がrefreshを紹介している。桐原・東京書籍は紹介せず。
ジーニアスいわく、冷たい水を飲むのも refresh である。
refresh は主語や述語の語順のつかいかわけが難しいので、例文を省略する。
センチュリーいわく、入浴で疲れをとるのも refresh である。また、ジーニアスでもセンチュリーでも、アルコールで気分を回復するのが refresh である。
そのほか、ジーニアスによると、コンピュータなどのディスプレイ上の画像が更新されるのも refresh である。これからのIT時代は覚えておきたい。
regain one's health で「健康を取り戻す」という慣用表現である(ジーニアス、旺文社1900)。
旺文社1900にしかなく、番号 1502 / 1900 の単語。少なくとも桐原4500・5500と東京書籍4500にはない。
He regained his health. 「彼は健康を取り戻した」
のように使う(センチュリー)。
「意識を取り戻す」 regain consciousness もよく使われる(ジーニアス、旺文社1900)。
たぶん She regained consciousness のように使う(旺文社に似た例文)。
また、この用例から分かるように、健康的なものを取り戻す場合、普通は主語が自身の健康を取り戻すのに regain を使う。
「自由を取り戻す」(センチュリー)とか「都市を取り戻す」(ジーニアス)とかの政治的なことも regain である。
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蓄え
store , stock
store は「店」という意味の名詞でもあるが、「蓄える」という意味の動詞でもあり、さらに「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもある。
なお、storeを「店」の意味で使うノはアメリカ英語。イギリス英語では店はshopである。桐原3000にも東京書籍3000にも書いてある。storeは3000語レベル。
stock は「在庫」や「株式」という意味の名詞でもあるが、「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもあり、さらに商品を「店に置く」「仕入れる」などの意味の動詞でもある。桐原と旺文社は、「仕入れる」の意味まで単語を紹介している(ただし例文なしで単語のみ)。
stockは4500語レベル。
しかし単語集では、ややこしいので、stockについては、「株式」「在庫」の意味の名詞だとしてしか、紹介していない。しかし実はstockも動詞の用法があるのである。
センチュリーによると、食料の「蓄え」は、stock でも store でもよい。
たとえばセンチュリーのstockの例文は「我々の食料の蓄え」Our stock of food である。センチュリーのstoreの例文は(リスが冬の備えての)「食料を蓄える」lay in a store of food である。
このように、どっちでも食料 food を蓄えられるので、区別がつかない。
storeは別にリスのような動物限定というわけでもなく、たとえばセンチュリーで図書の「蔵書」 a book of store などの表現もある。
storeが店での商売関係というわけでもない(もし商売に限定だすると、図書の蔵書とかリスの食料とか、説明がつかない)。
なので、stock に「株式」「在庫」の意味があるとか、覚えるしかない。
桐原および旺文社いわく、
be out of stock で「在庫が切れている」
の意味。桐原は例文も紹介。旺文社は例文なし。東京書籍は紹介せず。
例文は桐原も東京書籍も旺文社も、在庫の例文である。
単語紹介だけでが、桐原いわく「株式市場」stock market
旺文社いわく「証券取引所」the stock exchange
である。
語源を調べてみても、 stock の語源は木の「棒」stick と同じだと書いてあるだけで、stock と storeとの区別には役立たない。
さて、単語集にはないが、パソコンなどのハードディスクなどの貯蔵量のデータ記録デバイスのことをストレージ storage という。
ついで、単語集にある情報だが、 storage は、「貯蔵庫」や「保存庫」の意味で、東京書籍4500の巻末にだけ、解説なしで、単語と例文だけ書いてある。
辞書を確認のため見たが、ジーニアス英和は家具の「保管」を storage といい、センチュリー英和は単に「倉庫」を storage といい、あまり共通性はなさそうなので、深入りしない。
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愚か
形容詞 foolish, stupid, silly, ridiculous などがある。
このうち、 foolish, stupid, silly, は、「愚かだ」「馬鹿げている」の意味。
このうち silly は口語調。
<nowiki>Don't be silly.</nowiki> で「馬鹿げたことを言わないで。」という典型的な例文があり、東京書籍4500でも紹介されている。
名詞foolが形容詞になったのが foolish である。
stupid は、辞書によると、foolish よりも、けなしの意味が強い。口頭では使わないほうが安全だろう。
ridiculous は、「不合理で馬鹿げている」意味。センチュリーによると、ridiculousには、あざけりや物笑いの意味もあるとのこと。
単に「不合理だ」の意味なら、 absurd を使う。桐原5500にabsurdが書いてある。なるべくabsurdを使うほうが高尚だろう。
センチュリーによると、absurdは、不合理さ・非常識さを強調している。
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移行と移転と移動
migrate, transfer ,
桐原4500に名詞形migrant (移住者)が書いてありますが、英語では動詞 migrateとは「移住する」や、渡り鳥の「渡る」のことです。
しかし単語集にはないですが、そのほかにもmigrateには、IT用語では古いシステムに入っていたデータやプログラムを新しいシステムの中へと「移す」ことや、開発環境などのシステムを新システムへと「移行する」という意味もあります<ref>[https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/migration.html マイグレーション | IT用語辞典 | 大塚商会]</ref>。
なお似た言葉にreplaceがありますが、これはサポート切れなどで古くなったりして(obsolete)使えなくなったソフトウェアなどを現在の稼働中の使えるバージョンのものに「置き換える」(replace)ことを意味します。
英語では、「『移住』にシステム環境『移行』の意味もある」と覚えることが本質的な理解でしょう。
なお、スペルの似ている immigrate に、(外国から)「移住する」の意味があります(桐原4500)。またなお、桐原4500にも書いてあるが、空港などの入国管理が名詞 immigration である。英会話の教材などでよく immigration が出てくる。
immigrate と migrate の意味の違いを把握するため、辞書の説明に逆らって、私たちは migrate は(環境を)「移行する」で覚えましょう。
これが、moveやtransfer と、migrate との違いです。
なお transfer に「転勤する」「転勤させる」の意味があります(桐原4500)。
「転勤させる」ほうは他動詞なのでtransferでもいいのは分かりますが、「転勤する」と「移住する」の区別が難しいです。まあ、おそらく他動詞からの類推か、慣用的にtransfer が定着しただけでしょう。
なお、辞書にありますが「転校」や(プロ選手などの)「移籍」もtransferです。
高校生物の遺伝に関連する細胞物質のひとつで、トランスファーRNA (transfer RNA)というのがあります。こういうのと関連づけて覚えましょう。
また、列車・バスなどの乗り換えも transfer です。
スペルの似た単語で、transport という動詞および名詞がありますが、動詞 transport は「輸送する」です。
transfer 「乗り換え」はおそらくtransport 「輸送する」との関連で定着した表現でしょうか。
単語集にも辞書にもないですが、インターネット用語で HTTP というのがありますが、これは「Hypertext Transfer Protocol 」の略です。データなどを「転送する」のも transfer です。
センチュリー英和によると、銀行口座に「振り込む」もtransfer とのことなので、「送金する」のようなニュアンスでしょう。
なお、ジーニアス英和およびセンチュリー英和によると、法律用語で、財産などを「譲渡する」もtransferです。
transition という名詞が別にあります。transition は、移行期にあるものについての「移行」のことです。桐原4500 では「議会制民主主義への移行」、旺文社1900では「自動運転車への移行」を例文にしています。
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決定
determine ,decide
辞書にはないが、determine は、断固とした決意で「決心する」「決定する」である。
形容詞 determined がセンチュリー英和によると断固とした決意の意味なので、動詞determineのほうもそういうニュアンスである。
あと、ジーニアス英和にあるが、判決を下すのも determine である。
あと、予備知識がないと気づかないだろうが、東京書籍4500にある例文のように、専門家などが原因などを「特定する」ことや、判定するのも determine である。
実際には、あまり断固としてなくても determine が使われるような例文もちらほらとあるが、あくまで派生的な用法だと思うべきだろう。
だから名詞形 determination は、「決心」「決意」と覚えるべきだし、実際に桐原4500や東京書籍4500でそういう和訳である。
be determined to ~(動詞) で「~する決心をする」
である。受身形で「決心する」になる。
たとえば
He was determined to ~ 「彼は~する決心をしていた」
のように使う。また、完了形にせず、過去形のままで使う(桐原4500の例文、ジーニアスの例文など)。
能動形でも「決心する」の用法もあるが、普通は上述のように受身形で使う(ジーニアス)。
検定教科書で三省堂 CROWN Iを読んでいると、高校1年でもう be determine to do を扱っている。
対する decision は、和訳は「決定」である(東京書籍4500)。桐原によるとdecisionは「決定・決断」だが、しかし上述のように、どちらかというとdesicionは比較的に「決定」のニュアンスのほうに近いだろう。
resolve でも「決意する」だが、東京書籍4500だと彼女をデートにさそう「決心」という例文であり、まったくもって断固とした必死さが足りない。
そんなのよりも、会議などの「議決」のことを resolution というのを覚えたほうが良いだろう。桐原4500に「決心」「決議」と単語の和訳だけ書いてある(例文はなし)。
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減少
decrease, decline , reduce, diminish
まず、高校英語で増減を表す場合につかう典型的な単語は、increase (「増える」「増やす」の意味)および、対義語の decrease(「減る」「減らす」の意味)である。
たとえば、三省堂『CROWN II』「英語表現」教科書では、パラグラフ・リーディング/ライティングの説明で、留学生に関する分析の文章を扱っているのだが、留学生の「増加/減少」<!-- 「/」は原著が全角文字なので、それに合わせた。 -->にそれぞれ increase/decrease という表現を使っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P81</ref>。
この例のように、 increase (増加)と decrease (減少)は対になって使える便利な表現であるので、まずはこれを覚えよう。
熟語というほどではないが、
~(主語) increased by □□(数値) percent.
で、「~が□□%上昇した。」である。たとえば上記のパターンで、東京書籍4500では「その商品の売り上げ」Sales of the product だし、旺文社199では「日本の実質GDP」Japan's real GDP である。桐原3000には数値上昇の例文なし。桐原は昔から単語集では定番だが、しかし桐原だけでは勉強できないこともある。
increase で増える数値はなにも百分率(パーセント)でなくてもよく、たとえばジーニアス英和では、「体重は2キロ増えて60キロになった」 increased by two kilograms to 60 kilograms.
という例文もある。
on the increase で「増大して」の意味。なお、ここでの increase は名詞。
東京書籍4500では「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
センチュリー英和では「大都会における犯罪は増加しつつある。」 Crime in big city is on the increase.
ジーニアスは on the increase の例文なし。このように、ひとつの英和辞典だけでは勉強できない。
別に on the increase を使わずとも、現在増加中のものは現在完了進行形で書いてもよく、桐原3000がそうであり、
「車の台数が増え続けている」 The number of cars have been increasing.
である。
ジーニアス英和にある説明だが、よく、The number of ~ increased. で「~が増えた。」と言う例文があるが、「The number of 」を省いて直接「 ~ increased. 」のように言ってもいい。
実際、東京4500の例文「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
でも、 the number of は無い。
on the increase のbe動詞が単数形(is)なのか複数形(are)なのか食い違いがあるが、英和辞典を見ても、とくに言及はされていない。
increasingly で「ますます」の意味が紹介されているが(東京書籍4500。旺文社1900)、しかし例文は無い。
価値や能力を「高める」場合、enhance (エンハンス)という動詞が使われることもある。だが、辞書でも例文が少なく、あまりいい例文が見当たらないので、説明は省略。旺文社1900だと、603/1900の位置でenhanceを紹介している。だが東京書籍4500では、巻末ちかくで enhance を紹介である。桐原に至っては、4500語レベルではなく桐原5500の後半ちかくでenhanceを紹介である。
さて、decline は自動詞であり、つまりdeclineは「低下する」「減少する」の意味である。
declineの典型的な例文が「出生率は低下している。」であり、東京書籍4500では
The birth date is declining. 「出生率は低下している。」
である。
似た例文が、旺文社1400にもあり、
「出生率は低下し続けている。」 The birth rate continues to decline.
である(旺文社1400)。
なお検定教科書にも decline の単語は掲載されている<ref> 、『CROWN English Communication III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P45</ref>。和訳が検定教科書に書かれてないので不明だが、その検定教科書では経済の議論の紹介で decline が使われているので、「低下する」の意味にて decline を用いているのだろう。
decline には、申し出・誘いなどを「断る」の意味もあり、桐原4500に紹介されているのはこっちの意味だけ。
しかし、高校の検定教科書に、「少子化」 declining birth rate が照会されているので、「減少」の意味のほうもキチンと覚えよう<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P18 </ref>。
名詞形 declination が、ていねいな断りの意味。
reject (計画などの「拒絶」。※却下のような意味)や refuse (拒絶)だと意味が強すぎるのだろう。
reduce は「減少させる」。3R運動のリサイクル、リユース、リデュースのあれ。
「減少」は名詞 decrease と名詞 reduction がある。
reduction は、「削減」のニュアンスで使われることが比較的に多く、桐原4500および東京書籍4500の例文が経費削減である。
reduce costs で「経費を削減する」である。
このほか、diminish や drop や fall などがあるが、やや高校範囲を超える。一応、diminishは桐原5500および東京書籍4500には書いてある。(桐原4500には書いてない。)な
一応、diminish は、検定教科書『CROWN III』で使われている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P73</ref>。
CROWN III にある例文は
But the war 1990's, the threat of war diminished.
という文章(抜粋)である。検定教科書に和訳がないので答えは不明だが、「しかし、1990年代には、戦争のおそれも少なくなった」ような意味である。
直前の文章では、「20世紀は戦争が多く」みたいなことを英語で言っているので、おそらくそういう意味だろう。
辞書で diminish を確認したところ、ジーニアスもセンチュリーも悪い意味に使う例文のほうが多いが、しかしCROWN IIIの検定教科書によると、とくにdiminish には悪い意味合いは無いようである。
桐原5500に書いてある例文も、
We can diminish our fear. 「恐怖を減らすことはできる。」(抜粋)
なので、別にdiminish に悪い意味合いはない。
なお、桐原5500の例文は東北大の過去問。ネットでは「地方国立の入試英語なんて教科書レベル」などの言説もあるが、まあ確かに教科書にはdimisihも書いてあるものの、大分、学習量は大きい。
drop やfall は、旺文社1400の巻末にある類義語の章にだけある(本編には解説なし)。
dropは数量や人口、価格などの減少で使われる「口語的」な語(旺文社が「口語的」と言っている)。ただ、ノーベル経済学者クルーグマンのツイッターを読んでたら、「インフレの減速」のような意味で普通に drop を使っていた。
価格の低下だけでなく、派生してインフレの減速にもdropが使われることから、もしかしたら経済学などでは文語的に drop という単語が使われている可能性もあるかもしれない。
なお、「急騰する」は soar である(桐原5500、旺文社1900)。
単語集の例文だと完了形で have soared だが、急騰の結果として現在でも株価が高いなら完了形にするのが無難だろう。
インフレ率の上昇でも株価の上昇でも何でもいいが、たとえば旺文社1900が株価の上昇の典型的な例文
The stock prices of the company has soared . 「その会社の株価が急上昇した。」
である。
ジーニアスは野菜の価格の急騰、桐原5500は米価の急騰である。たとえばジーニアスでは
The price of vegetables is shoring. 「野菜の価格が急騰している。」
である。この野菜の例文のように、進行形ならもちろん、現在も急騰の真っ最中になる。
時制ついでに桐原5500の例文を紹介すると、
Figure showed the price of rice had soared to record levels. 「数字は米価が記録的な水準にまで急騰したことを示していた。」
である。
なお「痛い」soreと同じ発音である。
ついでに言うと、よく景気の先行きについての見通しで「悲観的」だの「楽観的」だのマスコミ用語でいうが、これは英語でもそう言い、
「悲観主義」は英語でpessimism (ペシミズム)である。
「楽観主義」は英語で optimism (オプティミズム)である。
スペルよりも、まずカタカナで『ペシミズム』『オプティミズム』と覚えてしまおう。社会評論などの書籍などを読んでいると、ときどき外来語として「ペシミズム」などの用語を使っている場合もある。
典型的な例文として
東京書籍4500で「ボブは自分の将来について楽観的だ。」 Bob is optimistic about his future.
である。
似たような例文が旺文社1900にもあり、「彼女は自分の将来について楽観的な気持ちだ。」 She feels optimistic about her future.
である。
桐原4500が紹介しているが、なにも将来でなく経済に楽観や悲観を感じてもいいのである。
桐原によれば、「彼はその国の将来について楽観主義を表明した。」 He has expressed optimism about the country's economy.
である。
wikiオリジナルの例文だが「トムは経済の先行きに悲観的だ。」なら、さしずめ Tom is pessimistic about the country's economy.
とでもなろうか。
なお、英和辞典を見ても、例文が「~は将来に楽観的だ」とか「将来に悲観的になってはいけない」ばかりである。optimistic などの単語が経済予想や株価予想に使えることすら、辞書だけでの勉強では全然分からない。とはいえ、あまり良い市販の英語教材がない。
ともかく、また、これらの例文のように、 be optimistic about ~ で「~に楽観的だ」となる(東京書籍4500)。悲観の場合も pessimistic で同様。
念のため、派生語も含めて一覧にすると、
optimism 「楽観主義」、
optimistic 「楽観的な」、
optimist 「楽観主義者」(旺文社1900に紹介あり)、
pessimism「悲観主義」、
pessimistic「悲観的な」、
pessimist 「悲観主義者」、
である。
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想像
vision, imagination, image
vision は「想像」の意味があるが、「見通し」の意味もある。もっとも、見通しの意味では名詞 perspective がさらに高尚。
なお、perspective はどちらかというと「視点」の意味である。大局的な視点=見通しのようなニュアンスが perspective である。東京書籍が(大局的な)「視点」、桐原が「観点」。だが、別に大局的でなくても美術の遠近画法のことを perspective というので、東京書籍の説明はいかがなものか。
from a different perspective で、「違った視点から」
たとえばジーニアスいなる例文think about the problem from a different perspective で、「その問題を違う観点から考える」となる。ジーニアスは「観点」、東京書籍4500は「視点」と訳しているが、別にどちらでもいい。
different の部分を別の形容詞にすれば、
from ~ perspective で、「~の視点(観点)から」になる。
なお、スペルの似ているprospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
たとえば形容詞 prospective は「有望な」の意味である。
ジーニアス英和によると、もともとはprospectは高いところからの「展望」のような意味だったようである。桐原4500にprospectが書いてある。
「見込み」outlook という単語もある(桐原5500 のprospect)。桐原5500では prospect の「見込み」の類義語として紹介されている。
もし、「観察力」とかを言いたい場合、observe 「観察する」である。
「洞察力」なら、penetrating 「洞察力のある」である(旺文社1900。桐原5500)。ただし、洞察力の意味での例文は単語集に無い。動詞penetrate には「浸透する」の意味もあって、そちらの例文が市販の単語集には書いてある。
もっと簡単な単語としては insight 「洞察力」という名詞があるので、これを使って洞察力を表現する方法もある。
なお、
語法 give A insight into B で「AにBの見識を与える」
である。
名詞 vision にも、「見通し」「洞察力」などの意味があるので、これでも洞察力を表現できるだろう。ただし、単語集にその用法での例文は無い。
旺文社1900によれば、 a one's(myなど) point of view で「〜の観点から」の意味。だが、これを直接暗記するよりも、まず名詞 view には、「眺め」の意味のほかにも、「見解」の意味があることまず知るべき。
慣用的に in my view, 「私の考えでは、」(ジーニアス、センチュリー)という表現がある。「考え」と訳しているが、「私の見解ですが、」くらいに訳したほうが分かり易いだろう。ただし、英語の view には、個人的な感情も含んで見方を示しているので、そういう意味で辞書では「意見」としたのかもしれない。
だが、 in my view は、ジーニアスによれば、in my opinion よりも控え目な言い回しとして使われる。
まあ、読者の自己責任で和訳してください。
単語集にはないが、viewpoint 「観点」という単語がある。ジーニアスの例だと、
From an economic viewpoint, 「経済的な見地からすると、」(その計画には利点がない)
と続く。
センチュリーだと、
〜 from the viewpoint of employees. 「従業員からの立場からみれば」(昇給はよいことだ)
となる。
旺文社の大学入試出る順シリーズに a point of view が書いてあるから、たぶん入試に良く出るんだろうが、正直言って瑣末な単語であろう。実際、桐原も東京書籍も a point of view を紹介していない。ジーニアスやセンチュリーにすら、少なくともview の項目には書いてない。辞書でpoint で調べると point of view が書いてあるが。
たとえば、センチュリー英和では「アメリカ人の視点から見ると、」(謝罪は自分の誤りを認めたことになる) From an American point of view, 〜
ジーニアス英和では「財政的見知では、」(これは由々しき問題だ) From a financial point of view, 〜
などの例文がある。
熟語 in terms of ~ で「~の点から」。なお terms はterm の複数形。東京書籍4500と桐原4500に似た例文があって、東京書籍「その計画は費用の点から現実的ではない」The plan is not realistic in terms of cost.
なんで terms と複数形なのか不明と思うだろうが、しかし英和辞典にも in terms of と複数形で紹介されているので、受け入れてもらうしかない。
いっぽう、桐原「この計画は時間と費用の関係で現実的ではない。」 This schedule <nowiki>isn't</nowiki> realistic in terms of time and costs.
term ついでに言うと、医療の末期医寮などでターミナルなんとか terminal 〜 とかあるが、辞書で確認すると用語term と末期terminal の語源は一応は同じだが、事実上は意味のまったく違う別の単語だと思うほうが良いだろう。東京書籍4500がそういう見解であり、「用語」 term と 「末期の」「終末の」 terminal を別々の項目として紹介している。
「末期の」の典型的な例文としては、「末期ガン」 terminal cancer がある(東京書籍4500. ジーニアス、センチュリー)。
桐原4500 では terminate 「終わりにする」が紹介。terminateの紹介位置が巻末ちかくの付録のため、例文なし。
駅や空港などのターミナル terminal も、同じスペルである。駅近くなどのターミナルも、もともとは何かの終着のことだったのだろう。
なお、駅が公共バスなどの終点である事例は多い。
そういうバスターミナルのことも、ジーニアス英和いわく a bus terminal であり、またはセンチュリー英和いわく単に terminal という。
センチュリー英和は、バスのターミナルを単に「終点」と訳している。
さて、term には、「用語」の意味の他にも、「期限」「期間」の意味がある。
形容詞 long-term で「長期の」という意味である(旺文社1900)。
単語集にはないが、termination 「満期」「満期の」という単語がある。term にはそういう、限度のある期間的な何かのニュアンスもある。関連づけて覚えよう。
小中高の学校の「学期」もtermであるが、普通は3学期制の「学期」のことをいう(ジーニアスsemester で確認。ほか旺文社 semester )。大学の「前期」「後期」といった2学期制の場合は semester という(旺文社、ジーニアス semester )。
なお、日本の大学は、年間で「前期」「後期」という2学期制である。少なくとも日本の大学はそうである。
英米では、「秋学期」the fall semester と、「春学期」 the spring semester という言い方をする。
普通、英米では、9月から翌年1月までが「前期」the first semester であり(センチュリーで確認)、「秋学期」the fall semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
普通、英米では、2月から8月までが「後期」the second semester であり(センチュリーで確認)、「春学期」the spring semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
果たして大学でもし3学期制の学校があったら何というのかは知らない。まあ、単語なんて所詮は、社会の現状に合わせて言葉が作られるので、社会に存在しない制度の呼び名を考えてもラチがあかない。
imagination は「想像する行為」または「想像力」のこと。
image は、想像によって脳内に思い浮かんだ「像」や「印象」のこと。
動詞形は imagine である。実はimageも動詞とみる場合もあるが、しかしジーニアス英和ではimageの動詞用法は不採用である(ジーニアスでimageを見ても、動詞の用法は無い)。センチュリー英和だと、imageの動詞の用法が書いてある。
形容詞 imaginary は、「想像上の」「架空の」「実在しない」である(ジーニアス英和。センチュリー英和)。
ジーニアスでもセンチュリーでも、「創造」ではなく「想像上の」である。
スペルの似た imagery という単語があり、旺文社には『(集合的に)「比喩的表現」』と書いてある。辞書を見てもジーニアスでしか見つからず、例文もなく、よく分からないので説明を省略。
単語集にはないが、理科のレンズの実像(a real image)や虚像(a virtual image)などの「像」も image である(ジーニアス英和)。
旺文社1900にあるが、テレビの「画像」も image である。上述のレンズとテレビを合わせて考えれば、つまり、光学の像も image であるし、実際に英和辞典ではそう紹介している。
なお、イメージダウンなどは和製英語。イメージが悪化した場合は a bad image のように言う(ジーニアスで確認)。
なお、仏像とか銅像とか、ああいったのは「塑像」(そぞう)とか「彫像」(ちょうぞう)とかいうが、「塑像」・「彫像」の英語は statue (スタチュー)である。単語集を見ると巻末の索引に statue が書いてないので一見すると高校の範囲外だが、しかし自由 liberty で東京書籍4500を見れば「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P28に「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。
このように、「自由の女神像」 the statue of liberty は事実上の高校必須の単語である。
liberty「自由」は普通、国家権力からの自由の事を言う。
だから liberal は形容詞「自由主義の」または名詞「自由主義者」の意味がある。(桐原4500が名詞「自由主義者」も紹介している。東京書籍は形容詞だけ。)
liberalism 「自由主義」である。
statue は、桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P31に「ブロンズ像」 a bronze statue が書いてある。
光学ついでに言うと、「反射する」は reflect である。典型的な例文が、「日光を反射する」reflect sunlight である(東京書籍4500、センチュリー)。
ジーニアスには「鏡は光を反射する」
A mirror reflects a light.
という例文もある。
だが、桐原4500や旺文社1900では、reflectの、意見などを「反映する」の意味のほうが紹介されている。
とりあえず、ジーニアスによれば「世論を反映する」 reflect public opinion である。
センチュリーや桐原や旺文社を見ても、「反映する」は他動詞的に使うのか自動詞的に使うのか、能動形や受動形か、あまり使い方がはっきりしない。
reflect on ~で「熟考する」「回想する」の意味(旺文社1900では熟考、東京書籍では回想を紹介)。東京書籍のには例文あり。著作権のため本ページでは紹介しない。
名詞形には reflection と reflex がある。意味が微妙に違うので、必要な場合には英和辞典で確認せよ。
なお、単なる「視野」や「視界」のことは view である。だが、辞書でviewの項目を見ると、「見解」の意味が先に書いてある。少なくともジーニアス英和とセンチュリー英和はそうである。辞書よりも単語集で勉強しよう。
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可能性 possibility, probability, likelihood
成功の見込み、成功の可能性 prospect
潜在能力 potential
probability (プロバビリティー)は「見込み」「確率」の意味(旺文社1900)。数学の「確率」で probability が使われるので、もし確率ではない単なる「可能性」のことをいいたい場合は、別の言い回しが必要な場合もあるだろう。
関連語として、副詞 probably「たぶん」がある(旺文社、桐原)。
形容詞 probable (プロバブル)については
It is probable that ~ 「たぶん~だ」
の意味(桐原4500、旺文社に似た和訳)。
対義語 impossible (インポッシブル)「不可能である」も覚えておきたい。
ほか、prospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
「可能性」を意味する likelihood (ライクリフッド)という単語もある(旺文社1900巻末)。副詞 likely 「ありそうな」の名詞形である。
possible (ポッシブル)について、
It is possible that 人 to do
で「人が do するのは可能だ」の意味(桐原4500、東京書籍3000)。
capability (ケイパビリテイー)は「能力」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
ability (アビリティー)は「能力」「才能」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
「たぶん」を意味する副詞の maybe(メイビー) と perhaps(パハップス) と probably(プロバブリー) については、省略。書きたくない。
東京書籍3000が、ひとまとめで maybe や perhaps と probably を説明している。
東京書籍3000は紹介していないが、 likely (ライクリー)形容詞「ありそうな」、副詞「たぶん」という単語もある。
名詞および形容詞のpotential (ポテンシャル)は翻訳の都合で(名詞の場合なら)「可能性」と訳す場合もあるが、なるべく「潜在能力」 potential という訳で覚えましょう。
形容詞としての場合、「潜在的な」で potential を覚えましょう(桐原3000巻末)。
物理学の位置エネルギーのことを英語で potential と言いますので、科学的な専門用語でもあります。
桐原3000巻末のセンター試験特集によると、「潜在能力」などの意味ですが potential はセンター試験での出題をされた単語らしいです。
センター出題の背景事情として、ポテンシャルは物理学などで使う用語だという背景があります。
日本語でも、物理学の専門書などを見ると、普通に「ポテンシャルエネルギー」とか単に「ポテンシャル」などと言ったりもします。
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計画
scheme, plan, project
~するつもり intend , plan
桐原4500 が scheme を「たくらみ」の意味だけ例文で紹介している。勘弁してほしい。
まず、旺文社1900 が例文で、政府の「新しい住宅供給計画」を The new housing scheme といってるように、比較的にきっちりとした計画のことである。
桐原・旺文社の単語集にもあるように schemeに「体系」とかの意味もあって、だからニュアンス的には、体系だった計画のような感じがある。
念のためジーニアス英和を見ると、scheme の意味として「政府の公共計画」、「会社の事業計画」などが挙げられている。
そして、そういう派生として、「陰謀」(旺文社)、「たくらみ」(桐原)を覚えるべきだろう。語源はともかく。暗記の負担を減らす理解としては、たとえば
:陰謀は大規模・身の程知らず → 大規模な計画は scheme という → じゃあ陰謀も scheme でいいか
的な連想とかで覚えるのがラクかと。
高校生に語源の知識はいらないし、もし語源が「たくらみ」だというなら、そういう情報を先に教えるべきだし、念のためジーニアスで語源を見てもsdhemeの語源は『「形」が原義』とのことだし、あるいはもし有名大学が入試でscheme の「計画」の意味も出題せずにschemeの「たくらみ」を出題しているならその大学が批判されるべきだろう。
なので、ジーニアスもいってるように、scheme は plan よりも固い語である。
ジーニアス英和やセンチュリー英和にあるように 大綱とか図式とか、学問などの体系とか、教育体系とかも scheme という。
たとえばセンチュリー英和が教育体系なら an educational scheme だと言っている。
plan は「計画」をあらわす一般的な語(ジーニアス)。
project は、長期の「計画」を表す(東京書籍3000)。projectを「事業」「プロジェクト」などと訳す場合もある。東京書籍では「プロジェクト」という訳語を紹介している。
辞書では特にplan と project の違いは述べられていない。だが project の用例を見ると、橋やダムなど公共インフラの建設計画などがよく project で表現される。
「ダム建設の事業」 the project ro build the dam
である(東京書籍3000。センチュリーに似た例文)。
「橋の建設の事業」なら a project to build bridges である(ジーニアス)。
別に公共インフラでなくてもよく、ビルの建設計画でも良い。
なお、大規模な工事などを「計画する」という意味で動詞 project もある。アクセントが名詞と動詞とで異なる。
名詞は、プ「ラ」ジェクトの「ラ」にアクセントがある。なお、日本語では「プロジェクト」と書かれるが、英語ではどちらかというと「ロ」ではなく「ラ」であり、プロジェクトである(センチュリー、ジーニアス)。
動詞は、プロ「ジェ」クトの「ジェ」にアクセントがある。
学生などの研究課題も project という、
計画する plan , intend
動詞 intend to ~ 「~するつもり」は、計画だが、やや欲求・意思に重点を置いている。
動詞 plan は、計画性に重点を置いている。 plan to ~ は「~することを計画している」と訳すのが普通。(「~するつもり」ではなく)
plan a trip to Hawaii 「ハワイ旅行を計画する」(東書3000)
plan to go to Ireland 「アイルランドに行くことを計画する」(桐原4500)
進学などの予定は、intend も plan も使う。
Bob intends to learn karate in Japan.「ボブは日本で空手を習うつもりだ」(東書3000)
Most of these students intend to continue their education at university. 「ここの大半の生徒は大学へ進学するつもりだ」(桐原4500)
べつに進学や就職でなくても、
She intends to go to bed early tonight.「彼女は今晩早くねるつもり」(桐原1900)
Where do you intend to go to tomorrow? 「明日どこへ行くつもりだい」(ジーニアス)
のように intend は今日とか明日の予定でもいい。
名詞形は intention 「意図」である。単語集には例文は無し。高校レベルを超える。(いちおう、東書4500に「意図する」のintend の例文あり。)
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陰謀(主に「共謀」)
conspiracy
たくらむ
scheme
高校英語としては、陰謀で覚えるのは conspiracy と、あとはschemeで十分だろう。
ジーニアス和英辞典によると。「たくらむ」には、plot, conspire , scheme , contrive ,hatch がある。
これらの単語には、陰謀以外の意味で使われるものあり、
比較的に簡単な単語なら、
plot は、よく数学的なグラフに「点を打つ」とかの意味で使われる。
なんと高校の単語集には plot がない(桐原3000・4500・5500と東京書籍3000・4500を調べた)。点 point とか教えてるのに「点を打つ」plot がないとは、英語教育の界隈はどういう了見か。反省を願う。中学数学レベルの簡単な英単語も教えられないくせに conspiracy とか教えているのか。
一応、「x軸」 x-axis とか「y軸」y-axis とかは、検定教科書で見かける<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P145</ref>。
ジーニアス英和で plot を見ると、「(裏切りの)陰謀」「たくらみ」が最初の意味だが、なんだかなあ。いまどき plot なんて数学の座標で使うのが人生で最初だと思うが。
センチュリー英和の言うように、地図や図面などに位置を書き込むことがプロット。
なお、小説などの筋書きも plot といい、センチュリーはこの筋書きの意味をplotの名詞の項目で最初に紹介している(動詞のほうは、「たくらむ」だけ紹介)。
しかしセンチュリーのほうだと、動詞には、図面や地図に位置を書き込むことの動詞がない。
本当もう勘弁してほしい。英和辞典ともあろうものが中学校レベルの英語くらい書けないのか。
scheme は上述のような体系的な「計画」だし、
hatch は(鳥などが)「ひなからかえる」「卵からかえる」「卵をかえす」とかの意味。船などの昇降口のハッチ hatch とスペルが同じ。
contrive には、(ジーニアス英和によると)「考案する」・「うまくやりとげる」の意味もある。
conspire が、「共謀する」の意味。桐原5500でも、conspiracy の例文の主語が複数形になっているので、和訳には「陰謀」とあるが内容は「共謀」である。
ちなみに「陰謀」の名詞は、桐原5500が紹介しているのは、intrigue (イントリーグ)とconspiracy (コンスピラシー)である。
これだと意味が強すぎるので(政府転覆とか)、ちょっと何かをたくらんでいるぐらいの場合に、scheme とか plot とかを使うとよいのだろう。
ジーニアス英和で intrigue を調べてみたが、例文がなく、よくわからなかった。なお、名詞も動詞も intrigue である。
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多様性
variety ,diversity
東京書籍4500は variety と diversity の違いの細かい説明をあきらめている。
diversity のほうが高尚な言い回し。
東京書籍の言うには、形容詞 variousが「いろいろ」「さまざま」。名詞 diversity が「多様性」である。
熟語 a variety of ~で「様々な」の意味(桐原4500)。
桐原4500および旺文社1900に至っては、そもそもdiversityの項目・ページではvarietyを紹介していない。
桐原4500 が「民族の多様性」 ethnic diversity という表現を使っている。
センチュリー英和がdiversityの項目で biological diversity 「生物学的多様性」という表現を使っている。
「生物多様性」のことを biodiversity または biological diversity という(旺文社1400)。
biodiversity は辞書(ジーニアス、センチュリー)に書いてある。
辞書のbio- の項目では、biological diversity は辞書では見つからなかった。
なお、ややこしいことに、diversity およびvariationには「差異」「相違」という意味もある。
和製英語のバライエティーおよにバリエーションは、やや意味が間違っている。
variation は、「差異」・「相違」・「変化」の意味(東京書籍4500および旺文社1900)。高校数学ではわかりづらいが、大学の数学で「変分法」という微分積分の発展的な分野のようなものがあって、これに variation という英語が相当している。( [https://kotobank.jp/word/%E5%A4%89%E5%88%86%E6%B3%95-131413 コトバンク『変分法』] )この変分計算では、関数中にある変数の代入値を少しだけ変化させたら関数がどう変化するかを考察しているので、英単語 variation の訳語のニュアンスに近い。
なお「微分」はdifferential、導関数はderivative なので、混同しないように(※ 大学受験に出ないので覚えなくて言い)。
桐原4500の例文にもあるが a diversity of ~ で「多種多様な~」の意味。 a diversity of wildlife で「多種多様な野生生物」と桐原4500が紹介。
なお余談だが、近年では国籍や性別(男・女のほかにも、さらにはLGBTなど)などの多様性のこともよく「ダイバーシティ」 diversity といい、よく人権などの関係した議論でこの用語護が出てくる。今後の公民科目などの範囲になるだろうから、本・英単語集のページでは深入りしない事にする。
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十分・充分
sufficient ,adequate, enough
sufficient ⇔ deficient
適切である suit, be adequate for,
enough は形容詞にも副詞にも使われる。
sufficient と adequate は形容詞。
ジーニアス英和に、adequate の類語が sufficient , enough だと書いてあるが、ニュアンスの違いは見当たらなかった。
形容詞 sufficient 「十分な」は enough よりも固い語である。
だが、その用法だけではない。
強制ではないが、sufficient は、質・量ともに十分な場合に好まれて使われるニュアンスがある(センチュリー)。
一方、単に量が多い場合や、特に質が問われない場合などに enough を使うという、使い分けがある。
be sufficient to ~(動詞) 「~するのに十分である」
である(桐原、東京書籍)。
sufficient の名詞形は sufficiency 「十分足りること」である(桐原)。
対義語は insufficient 「不十分な」、または deficient 「不足した」(デフシュント)である(東京書籍)。
センチュリーいわく、sufficient では質も問われるニュアンスがあることも合わせれば、対義語との関係は、
(質・量とも)「十分な」sufficient ⇔ deficient(質・量が)「不足した」
である。
センチュリーの訳語を比較した範囲では、insufficient よりも deficient のほうが絶対量の不足という意味合いが強そうであった。そのためか、deficinet は「欠乏」と訳されることもある(センチュリー)。つまり deficient 「欠乏した」「不足した」などの意味である。
名詞形 deficiency 「不足」「欠乏」「欠陥」という単語もある(旺文社 deficit 項目、センチュリー)。
ほか、貿易赤字などの「赤字」は 名詞 deficit (デフィシット)である。
つまり、「赤字」 deficit である。
「貿易赤字」は a trade deficit である(旺文社、センチュリー)。
数学用語だが、「十分条件」は sufficient condition である(旺文社1400)。なお、「必要条件」は necessary condition である(旺文社1400)。
sufficient O(目的語) to V(動詞の原形)
で、「Vするのに十分な量のO」
~ be sufficient to V
で、「~はVするのに十分だ」
be adequate for ~ は、「~に十分な」とのことだが(東京書籍)、しかしジーニアスを見ても例文がなく、よく分からなかった。
be adequate for ~には「~するのに適している」の意味もある(桐原)。
「適切である」を言いたいなら、動詞 suit (スート)ひとつで足りるだろう。
たとえば
「このソフトウェアはプログラミングに適切です。」 This software suits programming.
のように(wikiオリジナルの例文)。
suit 自体は桐原4500・東京書籍4500・旺文社1900の3冊とも紹介しているのだが、
しかし「適切である」の例文は、東京書籍しか紹介していない。
しかも、待ち合わせの時間が「好都合である」の訳。
違う英文だが、
(待ち合わせの時間を聞かれた返事で)「金曜日が好都合です」 Friday suits me.
のような使い方(オリジナル。ジー二アスに似た例文。センチュリーに似た例文)。
桐原が紹介している例文は背広のスーツだし、旺文社のは「訴訟する」の suit である。
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不足
lack , shortage
かつて受験英語などで「欠乏」lack ,「不足」shortageのような使い分けがあったが(実際、ネット検索するとそういう説明も出てくる)、しかしこの分け方は正しくない。なぜなら、英和辞典で lack の項目を見れば、単に不足している場合でも lack を使っているからだ。
lack と shortage の違いは、たとえば「同情に欠ける」とか「常識に欠ける」がlackである。
センチュリー英和を読むと形容詞 lacking の説明で、be lacking in common sense という例文で、「その学生は常識が足りない」という例文もある。
どうも、lack は、慣用句として、配慮が欠けている場合に使うのが英米では自然なのかもしれない。また、その言い回しが、配慮を欠けている事実自体を主張するおかにも、どうも不足の現状に対して非難や批判などのニュアンスも込めてlackが使われていそうである。
おそらく、辞書にあるlackの訳語の「欠乏」が間違っている。ジーニアスにもセンチュリーにも「欠乏」が書いてあるが、正しくは「欠如」(けつじょ)である。(ジーニアスに「欠如」が書いてある。)あるいは、辞書にはないが「欠落」あたりだろうか。欠乏の「乏」とは貧乏の「ぼう」である。
ジーニアスには、lackについて「十分にはないことをいう。まったくない場合はabsence」といっている。ジーニアスはせっかくここまで説明しておいて、なぜ「欠乏」という訳語を使い続けるのか。
欠席のことを be absent from (classなど)というが、上述のabsenceはその形容詞absentの名詞形。つまり、英語では「欠乏」と「欠席」とが同じ単語だという事。
absenceは、ゼロの状態だから、「ゼロでないけれど、大幅に足りない」みたいな表現には向かない。そういう深刻な不足を言いたい場合は、たとえば a serious shortage となるだろう。実際、センチュリ-のsortageの項目に例として a serious shortage (深刻な不足)や an acute shortage (深刻な不足)や a severe shortage (深刻な不足)などが 書いてある。<!-- 原著で訳語「深刻な不足」をそれぞれの単語に書いてあるので、けっしてwikiでひとまとめにしないこと。またニュアンスも微妙に違う。-->
さて、食料やら金銭やらが物理的に足りない場合は、どちらでもいいが、辞書を見る限り shortage のほうがそういう物資の不足での例文が多い。
たとえば東京書籍4500にあるが water shortage である。
食料不足は、東京書籍4500では The shortage of foodだが、センチュリー英和では food shortage である。
労働者不足が the shortage of labors である(旺文社1400(簡単なほう))。
医師不足が a shortage of doctors である(桐原4500)。 冠詞 a と the の違いは文脈に応じただけのものなので、読者は気にしなくていい。
なお、lack は動詞の場合もある。
単語集を見ても、lackとshrtageの違いとか、書いてない。まったく。
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直観と直感
intuitive(直観),
洞察
insight
英語というより日本語の問題なのだが、「直観」と「直感」では意味が違うので注意が必要である。
「直観」には、洞察力のようなニュアンスがある。
だから
直観の intuitive は、「直観的な」「直観力のある」などと訳す(東京書籍4500)。
名詞形 intuition だが、桐原5500の例文の和訳で(なお東大の過去問例文)「動物、中でも人間は起こりそうなことに関して鋭い直観力を発達させたと考えることができるだろう。」 We <nowiki>coudn't</nowiki> expect animals, especially humans, to have developed sharp intuitions about probably. とある。
英和辞典でintuitive などを見ても、ほとんど例文がないので(センチュリーには例文がなかった)、桐原のこの例文を学ぶのが良いだろう。
あるいは英和中辞典などを見れば例文があるのかもしれないが、さすがに高校英語でそこまでする必要はないだろう。
あと、東大は辞書を見ても満足に例文のない単語を大学入試に出しているわけだが、はてさて、見識が問われますなあ。まさか高校生に中辞典を買わせるつもりでもあるまいし。
もっとも、「洞察」「洞察力」については insight という別の専用の単語があり、普通に4500語レベルの単語集にある。
いっぽう、「直感」は、単なる勘に近い。和英辞典によれば、hunch とか scent が直感である。(高校の単語集にはない)
センチュリー英和によれば hunch は「虫の知らせ」で、口語のニュアンスがある。
scent には、名詞 scent には「勘」の意味もあるが、「臭い」とか「嗅覚」とか「香水」の意味なので、動詞scent には「かぎつける」の意味もある。
hunch も scent もこういうふうに口語っぽい内容なので、まあ単語集には出ないだろう。
そのほか、名詞 instinct (本能)にも「勘」の意味があるが、どちらかというとinstinctは「本能」で覚えたほうがいいだろう。
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結果
consequence , result
辞書にはconsequenceでは「結果の重要性を意識している。resultより固い語」とか書かれるが、
だが、東京書籍4500にはconsequenceは「通例望ましくない内容について用いられる」と説明がある。
実際、センチュリー英和で例文を見れば
「戦争の結果」In the consequence of the warだとか
ジーニアス英和だが「結果として戦争になった」have grave consequence (「重大な結果をもたらず」※戦争の婉曲表現)とか、
あと形容詞だが「天候不順の結果の食糧危機」food shortage consequent on bad water とか、
そんな例文ばかりである。
どうやら consequenceは、結果の深刻性を感じてほしい的なニュアンスのようだ。
なお桐原4500および旺文社1900みても、そういうニュアンス説明は無い。
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取得・獲得
acquire
acquire は、(技術・知識などを)(努力して)「得る」の意味。(東京書籍4500など)
典型的な例文で、
acquire a new skill 「新しいスキルを身につける」
がある(東京書籍4500。旺文社1400にも近い例文)。
「外国語を習得する」acquire foreign languages
という例文もよくある。(桐原4500。センチュリー英和aquireの項目)
辞書にはよくaquireの用法で「(知識などを)身につける」とあるが、しかし語学のようなレベルの「知識」である。
acquire には「習得」以外の用法もあって、
努力して大金や土地などを「獲得する」ことも acquire というが、単語集には例文がないので、説明を省略。桐原の単語集に「(努力して)獲得する」とだけ説明してあって、技術の習得の話をしてないのは、土地などの獲得を意識したものだろう。
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「異国風」
exotic
形容詞 exotic (イグザティック)は、通例では、欧米人の目からみて「異国風」という意味であり(旺文社)、けっして単に異国風なだけでなく、加えて、めずらしくて面白かったり興味をひかれる性質のことである(ジーニアス、センチュリー)。
具体的にいうと、日本国内で言うなら、京都などの寺社は exotic だろう(特に出典は無い)。日本に存在していても、東京の高層ビル群などは exotic には写らないだろう。
日本語でもローマ字読みで「エキゾチック」と言う。日本でも、よく文学評論とか芸術評論とかで使われる単語なので、覚えておきたい。もっとも日本で「エキゾチック」と言う場合、東南アジアや中東やアフリカなどの観光的な光景なので、英語とは微妙にニュアンスが違うが。
さて英語では、動物や植物が「外来種」や「外国産」などの場合も exotic という。農産物だけでなく、言葉が外国由来の場合も exotic という。
旺文社の単語集で、動物園の例で exotic と言っているのは、そういうニュアンスもあるだろう。
桐原と東京書籍の単語集では、exotic が見当たらない。
辞書によると、「外国の」・「外国人」という意味もあるとのこと。言葉が外国由来の場合も exotic というので、それと関連づけて「外国人」なども覚えよう。
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広さ
broad, vast
broad は、幅が「広い」。
典型的な例文が 「(道幅の)広い通り」 a broad street である(東京書籍4500および桐原4500)。
幅広い知識 a broad knowledge とか(ジーニアス)、「幅広い趣味」 a broad range of hobby とか(東京書籍4500)のように、物体以外の知的興味の広範さにもbroadを使う。
インターネットのブロードバンド broadband のブロードと同じ単語(東京書籍4500)。
vastは、面積が「広大な」である(東京書籍4500)。だが実際はセンチュリー英和では、ビル(建築物)や宇宙などもvastだとする例文を提示している。
broad の対義語は narrow 「狭い」。
体積が大きいのは huge 「巨大な」。(桐原4500。ジーニアス英和)
なお、「体積」は英語で volume である(旺文社1400、桐原4500)。volumeの意味は、「体積。容積。音のボリューム。本などの一巻。」の意味である。
turn the volume up で「音のボリュームを上げる」である(旺文社、東京)。
「音量を下げる」なら turn the volume down である(東京)。
コンテナの「容積」とかも、volume である(旺文社)。 the volume of the container 「コンテナの容積」である。
科学や工業などの「容積」「体積」でなくとも、たとえば「交通量」the volume of the traffic とか(東京書籍)、「ごみの量」the volume of garbage とかにも volume は使われる。
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娯楽
amuse , entertain
センチュリー英和によれば amuse は笑わせる事などのような意味での「楽しませる」。
entertain は、知的な面白さに重点がある。
entertain でよくある例文が、話や音楽で聴衆を楽しませる系の例文(東京書籍4500およびセンチュリー英和)。
たとえば entertain the audience で「聴衆を楽しませる」(東京書籍)。
また、熟語 entertain A with B で「AをBで楽しませる」。
センチュリー英和によれば Now let me entertain you with music. で「それでは音楽でお楽しみください」。
entertain には、自宅で客を「もてなす」の意味もある。
よくある例文が、ホームパーティなどで友人をもてなす系。
entertain their friends at their home 「友人をパーティでもてなす」(東京書籍)
entertain our friends at a party 「自宅で友人をもてなす」(旺文社1400)
ただし、実際の例文を見ると、あまり違いは明確ではない。
名詞形のamusement もentertainment も、それぞれ「娯楽」の意味で使われる。
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殺害
murder , kill
murder (マーダー)は「殺害する」の意味の動詞、および名詞としての用法では「殺人」一般の意味である。「殺人犯」はスペルが murderer (マーダラー)であり、スペルが微妙に違う。混同しないように。
「殺人未遂」は an attempt murder である(東京4500)。
「殺人事件」は a case of murder である。
なお、attempt は、困難なことを「試みる」という意味の動詞および名詞(東京書籍)。ジーニアスは、入念な計画と実施の必要な試みが attempt だと説明している。
名詞としての attempt は「試み」などと訳す。
典型的な例文で、
attempt to escape 「逃げようと試みる」
がある(東京書籍3000、桐原4500)。
脱走計画だとかそんなのだけでなく、ジーニアスいわく、エベレスト登頂の「試み」でも attempt とのこと。
90年代、かつて英語単語集に「massacre」(マサカ)という「大虐殺する」の意味の単語がよく載っていが、現代の単語州には無い。「まさか、人を殺すとは!?」という語呂合わせでよく紹介されてたものである。昔の単語集には、ちょくちょくコラム的にゴロ合わせなどが紹介されていた。
英和辞典(ジーニアス、センチュリー)で確認したところ、massacre に「大虐殺」の意味はあるが、一個人の「殺害する」のような意味は紹介されていない。語呂が不正確である。
しかし、近年に「虐殺」でよく目にするのは genocide である。ルワンダ虐殺とか、歴史的に名前が残っている事件の虐殺は genocide が普通であろう。検定教科書でもルワンダの虐殺について genocide という表記を行っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P75 </ref>。
kill や killerとの違いは、killは人間以外のものにも使う。人だけでなく、動物や植物、虫、植物なども、それらを殺したり、あるいはそれらに殺されたりする場合に、killである。
たとえば「魚を殺す」 kill fish である(東京書籍1800)。
それどころか、交通事故などで「死ぬ」場合も kill である。
be killed in ~(戦争や事故など)で「~で死ぬ」の意味。典型的な例文が「大勢の人がその戦争で死んだ。」 Many people are killed in the war. である。(桐原3000と旺文社1200に似た例文あり)
killer については単語集にはないが、名詞として「殺人犯」や「殺すもの」の意味のほかにも、形容詞として「致命的な」の意味もあり、たとえば「致死的な病気」 a killer disease などの例文が典型的。
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奪う・盗むなど
奪う
deprive
wikiオリジナルの例文だが、
The war deprived the children of the liberty. 「戦争が子供たちから自由を奪った。」
のように言う。
桐原4500に「戦争が、この子供たちからふつうの家庭生活を奪った。」 The war deprived these children of a normal home life.
とある。
旺文社1900では「軍隊が国民から自由を奪った。」 The military deprived the citizen of their liberty.
である。、
自由は別にliberty でなく freedom でもよく、たとえば東京書籍4500では、
「多くの子供たちが自由を奪われている」 A lot of children are deprived their freedom.
とある。
熟語 be deprived of~ で「~を奪われている」である(東京書籍4500)。
また、deprive A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(旺文社1900。桐原4500)。
盗む
rob , steal
動詞 rob は、ふつう、強盗とか 引ったくり とかスリに使う。スリかと思われる例文については、たとえば旺文社1900にある(電車で女性から財布を奪う例文)。
rob A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(桐原4500。東京書籍4500)。
東京書籍に典型的な例文「彼らは銀行強盗をした。」 They robbed the bank.
である。
派生語として、「強盗」 robber がある。「強盗事件」は robbery である(桐原4500。東京書籍4500)。
スペルの似ている rid という名詞・動詞があるが、「取り除く」の意味である。
熟語で get rid of ~ で「~を取り除く」である。
rob と rid は意味がまったく違うので、混同しないように注意。
なお、こっそりと者を盗む「泥棒」はthief (シーフ)である(桐原4500)。桐原3000を読めば、こっそり盗む者がthief であるし、ジーニアス英和の thief の項目にもそう書いてある。
なお、複数形は thieves である。ナイフの複数形の活用と同様。さすがにthiefの複数形を筆記で入試に出すのは瑣末すぎるので出題されないだろうが、まあ参考に。
こっそり「盗む」は steal である。桐原3000を読めば、stealの意味は「こっそりと」盗む、と書いてある。
なお、スペルの似ているsteel は「鋼」(はがね)。
さて、「盗む」stealの活用は、 steal - stole (過去形)- stolen (過去分詞)
である。
東京書籍4500の例文「泥棒が私のコンピュータを盗んだ。」 A thief stole my computer.
が典型的な例文であろう。
主語が被害者の場合、have ~ stolen になり、「~を盗まれる」の意味である。
典型的な例文
「私は自転車を盗まれた。」 I had my bicycle stolen.
がある。東京書籍4500と旺文社1400に、ほぼ同じ例文がある。
腕時計が盗まれるのも典型的で、センチュリー英和の桐原3000がそうであり、
「私は腕時計を盗まれた。」 I had my watch stolen.
である。
なお、ジーニアスにあるが、バーグラー burglar は「押し込みの夜盗」。センチュリ-によると、burglar は「(押し入り)強盗」。さすがにここまでは入試に出ないだろう。念のため桐原4500・5500と東京書籍4500を読んだが、もちろんバーグラー burglar は無い。
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気づく
notice, realize, recognize, perceive
「きびしい」
harsh, strict, severe, rigid
realize は、和訳では「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというと realize の意味は「認識を改める」である。
典型的な例文で、「彼は自身の過ちに気づいた。」 He realized his mistake.
みたいなのがある。
いっぽう、notice は単に、物事が目について「気づいた」という意味である。
なお、realize は英国では realise である。<!-- PC設定によっては realise でオートコレクト発動するが、これはイギリス英語をアメリカ英語では読み取れないため。 -->
なお、realize には(計画や夢などを)「実現する」という、まったく別の意味の用法もある。
たとえば「私の夢を実現する」なら realize my dream である(東京書籍4500)。あるいは realize my ambition である(旺文社1900)。
リアリティ reality という単語があるが、日本では小説や英語など創作物などの迫真性などのことをいうが、英語でもそのような創作物の評価における reality の用法はあるが(センチュリー英和で確認)、しかしもっと一般に「警官は彼が述べたことが真実かどうか疑った。」のような文章における「真実性」にも reality が使われる(センチュリー永和で確認)。
reality はけっして創作物に限った表現ではない。
旺文社1900では reality の意味を「現実(性)」としている。
実際、ジーニアス英和を確認すれば、そういう用法もあり、「人生のきびしい現実」みたいな例文でrality をジーニアスは使っている。
旺文社1900にも、harsh の項目で、a harsh reality 「厳しい現実」を紹介している。
なお、real と true の違いで、
true は主に話が「本当の」という意味で使う(東京書籍3000)。
いっぽう、real には、材質などが「本物の」という意味がある。
だから、real money 「本物のお金」とか、real diamond (本物のダイアモンド)などで使われる。
harsh「きびしい」(発音は「ハーシュ」)も、単語集に普通に書いてある。
気候が「きびしい」とか、批判や対応が「きびしい」などのことを harsh という。
東京書籍4500に a harsh winter 「寒さのきびしい冬」という例文がある。
旺文社1900に、harsh environment 「きびしい環境」と言う例文がある。
(桐原4500語レベルではなく、)桐原3000いわく、天候の場合は severe(シビア) でも「きびしい」を表現できる。東京書籍4500で確認したところ、批判の過酷な場合の「きびしい」でも severe を使うこともある。
harsh と severe のニュアンスの違いについては、特に書かれていない。
なお、規則などが厳格で「きびしい」と言いたい場合は strict である。
strict には、説明などが「厳密な」の意味もある。高校の分詞構文の単元で、
「厳密に言えば」 strictly speaking,
などを習うだろう。
ほか、形容詞 rigid (リジッド)でも「厳格な」を言える。単語集(旺文社1900、東京書籍4500、桐原5500)には、この厳格の用例が書いてある。
だが、それよりも物理学の「剛体」が rigid body として覚えたほうがいい。ジーニアスに、rigid は「剛体の」だと書いてある。
単に、「変形しづらい」みたいな意味での「固い」「堅い」のような意味が rigid である。
ジーニアスには、「変形しやすい」flexible の対義語であると紹介している。
規則の融通がきかないのが rigid だと、ジーニアスに書いてある。そういう意味である。
ほか、rigid には「顔がこわばった」「手足がこわばった」などの意味もある。
なお、rigid は発音注意の単語(旺文社)。
ほか、名詞形 rigidity 「厳格」「硬直」などの意味がある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。桐原だと「硬直」の意味が書いてないが、ジーニアスとセンチュリーの rigidity にしっかりと「硬直」が書いてある。
頑固オヤジみたいに「頑固な」「頑固である」と言いたい場合は stubborn (スタボーン)である(桐原、旺文社)。東京書籍は紹介してない。単語集にはないが、辞書で典型的な、「断固とした拒否(拒絶)」a stubborn refusal がある(ジーニアス、センチュリー)。そのほか、stubborn には軍隊などの(または軍隊などへの)抵抗が「不屈(ふくつ)の」という意味もある(ジーニアス)。
(厳格ではなく)「厳粛な」と言いたい場合は solemn だが(桐原5500)、あまり平易な例文が無い。
法律的な宣誓などが厳粛なことや、音楽などが荘厳なことまで、 solemn で表現できる(ジ-ニアス、センチュリー)。
「誓う」という意味の動詞 pledges(プレッジ)も、単なる約束 promise とは違い、厳粛 solemn に約束することであり、たとえば外交などの約束で使われる(旺文社1900の例文もそう、ジー二アスにもそういう例文あり)。その他、公約などで pledge 「約束する」を使う。または名詞として pledge には「公約」の意味もある。
※ ほか、批評が低評価で「厳しい」は damning (ダムニング)だが(センチュリー)、範囲外。
さて、virtual の話題。
ジーニアスを見れば、「仮想現実」 a virtual reality などの例文もある。
旺文社1900を見ると virtualの項目で、副詞 virtually 「事実上の」などもあるが、例文はない。東京書籍4500および桐原4500には例文は無い。桐原5500に副詞 virtually の例文あり、早大の過去問。
なお、桐原5500のviatually の項目いわく、「実質的には(≒practically)」「ほとんど(≒almost, as good as)」である。
念のため桐原3000および東京書籍3000を見たが、virtual などの紹介なし。
practical は「練習」 practiceの派生語。practice には「練習」のほか、理念・理論などの「実践」という意味がある。よって形容詞 practical には「実践的な」「実用的な」「現実的な」などの意味があり、よって副詞 practically には「実質的には」「実際的には」などのような意味がある。
余談だが、昨今、日本の芸能界では「リアリティ・ショー」などが問題になっているが、しかし英和辞典で見ると該当する単語は reality TV である(ジーニアス英和、センチュリー英和、の両方で確認)。
recognize は「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというとrecognizeは「見分けがつく」という意味である。
「足音でジムだと気づいた」とか(ジーニアス英和)、「帽子でジェーンだと気づいた」(センチュリー英和)とか、そういうのがrecgnizeである。
センチュリーから例文を抜粋すると、
I recognized Jane by ~ で、「~でジェーンだと気づいた」
のようになる。
一応、recognize には、新政権の「承認」などの意味もある。
辞書によくあるのは、新政権やイスラエルなどが周辺諸国から承認 recognize を拒まれるという内容の例文。
自分の間違いを認めたり認めないのも recognize である。
ジーニアスの例文では間違いを認め、
「彼は自分の間違いを認めた」He recognized that he was wrong.
である。
センチュリーの例文では間違いを認めず、
「彼は自分の間違いをどうしても認めようとしなかった。」 He wouldn't recognize his mistake.
である。
桐原4500ではrecognize を「認識する」、旺文社1900ではrecognizeを「識別する」とあるが、上述のようなそういう意味である。
perceive 「気づく」について。
名詞形 perception が「知覚」の意味である。この名詞形を覚えるべきである。
「知覚」とは、たとえば桐原のperceive の例文に「ネコは色を知覚することができない」とあるように、そういう意味である。
旺文社と東京書籍は「気づく」の意味の perceive 例文を紹介しているが、桐原は「知覚する」の perceive 例文を紹介するスタンスである。
perception については「認識」の意味もあり、桐原・旺文社にも書いてあるが、しかし「知覚」を覚えれば連想できるだろう。一方、認識から知覚を連想するのは難しいだろう。東京書籍では、perceptionの「認識」は紹介しておらず、「知覚」だけしか紹介していない。このように、知覚のほうが、この語 perception の本質であろう。
* cognitive 「認知の」
cognitive という形容詞があり、旺文社では「認知の」と紹介され、東京書籍では「認識の」「認知の」と紹介されるが、しかし辞書を見ても説明が少なく、よく分からない。桐原に至っては、cognitiveを紹介していない(桐原5500,桐原4500,桐原3000で確認)。
東京書籍でも、巻末で解説なしで、単語と例文だけの紹介である。しかし、旺文社1900での番号は 279/1900 と、かなり前半のほうである。
旺文社1900いわく「脳の認知機能」 the cognitive function of the brain
東京書籍4500いわく「認知能力」cognitive ability
らしい。
どうやら、cognitive は心理学または脳科学などの専門用語っぽいニュアンスのようだが、しかし英和辞典では確認できなかった(ジーニアス英和とセンチュリー英和を見た上で)。
旺文社いわく、「軽度認知障害」が、mild cognitive impairment (MCI)とのこと。
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過酷な
terrible, severe, harsh
ひどい terrible, awful
terrible (テリブル)は翻訳の都合でときには「過酷な」と訳される場合もあるが(ジーニアス)、たとえば暑さがterribleなら「過酷な暑さ」と訳される場合もあるが、
しかし、very bad くらいが terrible のニュアンスである(ジーニアス)。
なので、 terrible は(程度が)「ひどい」と覚えるべきである。
実際、東京書籍4500も桐原3000も、 terrible の意味を「ひどい」としている。
東京書籍3000は「ひどい体験」をterrible な体験としている(著作権のため、本ページでは「体験」は和訳せず)。
こういうふうに使う。
ほか、副詞 terribly は、
たとえば
「とても疲れたよ」 I'm terribly tired.
のように(ジーニアスに同じ例文)、強調するのに使う。
実はよい方向を強調するのにも terribly は使う(ジーニアス、センチュリー)。 (著作権のため、本ページでは例文は紹介せず)
terrible は語そのものにveryのような強調の意味を含むので、terribleをveryで修飾できない。
同様に、delicious(とてもおいしい)、enormous(とても大きい)、huge(巨大な)、marvelous(すばらしい)、terrible(ひどい)、tremendous(ものすごい)、などの形容詞はveryでは修飾できない。これらの語を修飾するには、reallyやcompletelyなどを使う
名詞形 terror (テラー)は「恐怖」「テロ行為」という意味がある。
なので、terrible には「恐怖の」という意味もあるが、この場合は horrible (ホリブル)で表現するほうが誤解のおそれなく無難だろう。
名詞 territory (テリトリー)「領土」「なわばり」も覚えておきたい(桐原4500、東京書籍4500)。三省堂 CROWN I を見ると、もう高校1年で territory を教えている。動物などの「なわばり」も territory で表せる。
なお、「国境」は単に border で通じる。 American border みたいに、国名の形容詞のあとに border を言えば、それでアメリカ国境の意味になる。
severe と harsh は他の節で紹介したので省略。
「過酷な」と言いたい場合、まずは severe (シビア)の使用を検討するのがよいだろう。
痛みが「ひどい」場合は severe を使うほうが無難だろう。
a severe pain 「ひどい痛み」(ジーニアス和英)
である。
形容詞 awful (オーフル)「ひどい」は、悪い意味だけでなく、よい意味でも使われる(センチュリーで確認)。桐原3000語レベル、東京書籍4500語レベル。
よって、awful は terrible とほぼ同じ意味。
もともと名詞 awe が「畏敬」(いけい)の意味である。
だが、awful は、なんだか口語的に「ひどい」「すごい」「おそろしい」みたいな意味になってしまっている。
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全体の
whole,total
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思う
think, suppose
think は「思う」と中学で習うが、辞書で調べてみると、意外とthinkは確信の度合いが高い。
センチュリー英和なども解説しているが、「推測する」といいたい場合は、think ではなく suppose を使うのが適切である。
つまり、「推測する」は suppose である。
推測よりも、やや確信の度合いが高い程度の場合に think を使うのが適切である。
名詞 supposition で「仮定」の意味。
まったく意味の違う用法だが、熟語 be supposed to ''do'' で、「~(do)することになっている」の意味。
よくある例文は、「彼は7時にここに来ることになっていた。」の類。
He was supposed to come here at 7 o'clock.
である。だが、この過去形での「was supposed 」の文は、実際には彼は7時に来なかったことを含意している(ジーニアス英和より)。東京書籍4500に似たような例文があるが、しかし東京書籍4500では含意の件には触れていない。
センチュリー英和によると、be supposed to do は、「(慣習や法律などによって)...するものと考えられている。」とあるので、表面的な言い回しこそ控えめだが、実際の意図はやや強制的・義務的な主張のニュアンスが高そうである。
否定形 be not supposed to do にいたっては「~してはいけない」の意味である(東京書籍4500)。
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証明・証拠
証明・証拠 proof ,demonstration
evidence 証拠
役所などの証明書 certificate
(裁判所などで)証言する testify (※高校必修範囲外だと思ったら、三省堂 CROWN I にあった)
proof には、「証明」「証拠」の2つの意味があるが、なるべく「証明」のほうで覚えるべきである。
なぜなら、数学の「証明」のことを proof というからである(ジーニアスで確認)。
私たちは、高校卒業後もなるべく教育レベルの高い外国人の英文を読むべきであろう。そして教育レベルの高い人ならば、外国の中学高校の数学は習得しているはずなので、よって外国人の彼らには証明を proof という習慣がついているはずである。外国の中学高校レベルの数学の用語も知らない頭の悪い外国人の英文なぞ、読むに値しない。
なお、動詞 prove は「証明する」の意味である。
evidence が、証拠のひとつひとつのことである。ジーニアスによれば、proofは「evidence を積み重ねた最終的な証拠」のことであるとされる。
だが、それよりも、proofは「証明」であると覚える方がよいだろう。
また、少なくとも日本の学問の世界では、個々の実験事実や個別の統計のような、個々の証拠のことは evidence というのが普通である。英語でどういうのか知らないが。
桐原の単語集にあるが、裁判などの「証拠」も「証言」も evidence である。英語では、「証言」と「証拠」を分けずに evidence という。
単語集にはないが、どうしても発言による「証言」であることを強調したい場合は verbal evidence という(ジーニアス英和で確認)。
ジーニアス英和辞典で確認すれば、「証人」すらも evidence である。
prove to be ~ で「~だと分かる。」「~となる。」「~と判明する。」である。
辞書の例文が、事業などが prove to be a success 「成功となる」またはprove to be successful 「成功となる」である(ジーニアスとセンチュリーの両方)。東京書籍4500の例文もこの類。
桐原4500だけ He was proved to be innocent 「彼は無実だと判明した」である。
旺文社1900には、 prove to be ~ の例文は無い。
実はデモンストレーション demonstration 「証明」の意味がある。
一般的には、英語では、行動によって意志を表したり、あるいは、たとえば新製品の実演販売みたいに実演などによって説明すること等を demonstration という。
集団などのデモ行進も、同じ demonstration である。
センチュリーの例文だが、戦争反対のデモなら demonstration against the war である。
一般に、demonstration against ~で「~反対のデモ」である。
だから東京書籍にある「新空港に反対するデモ」なら
demonstration against the new airport
である。
能力の証明なども demonstrate であり、東京書籍に紹介されている。
旺文社1900でしか説明していないが、感情をあらわにすることも demonstrate である。だが、感情のデモは例文もないので、深入りする必要はないだろう。
動詞形は demonstrate である。
ジーニアス和英を見ると、実はdemonstraite やdemonstration には「論証する」などの意味もあり、旺文社1900が紹介しているが、しかし桐原も東京書籍も「論証する」の意味は紹介していない。
センチュリーは、証明についてのdemonstration の意味は、論証ではなく「実証する」であると説明している。
ジーニアスの例文を見ると、「哲学的論理」の論証の例文である。
demonstrate が「論証する」と言っても、どうやら、数学のような論証ではないようだ。
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仮定や論理的思考など
仮定する assume, suppose
当然と思う assume
仮定 assumption, supposition
推測 supposition
「推論する」 infer
仮説 hypothesis
動詞 assume は、「仮定する」「想定する」「決め付ける」などの意味。
共通するニュアンスは、ジーニアスいわく、明確な証拠がなくても想定すること。
名詞形が assumption である。
assume that ~ で「~だと思い込む」(桐原)または「~を当然のことだと思う」(旺文社)である。
たとえば、旺文社の例文「私たちは日本の列車がいつも定刻どおりに運行することを当然と思う」が assume that の例である。
ジーイアスによると、三段論法の「前提」などで、assumption が使われるとのこと。
このため論理的な議論ではassume や assumption が使われると思われるので、覚えておきたい単語である。
しかし、suppose にも「仮定する」の意味がある。
だが名詞形 supposition が「推測」の意味である。なので、suppose はどちらかというと「推測する」のニュアンスが強い。
桐原の単語集にはsuppose は「推測する」の意味しか書いてないが(東京書籍に至っては「思う」しかない)、しかしセンチュリーを見ればsupposeの意味として「推測する」のほかにも「仮定する」も書いてあるのが実態である。なお、旺文社1900でだけ、例文なしで「仮定する」の意味も紹介してえる。
「仮説」と「仮定」は違う。
「仮定」とは、たとえば「仮に○○だとしたら、□□は××になるはずだ」の前半「仮に○○だとしたら」のこと。仮に定めるので「仮定」というわけである。
一方、「仮説」とは、「~の原因は、□□が××だからだ。なぜならば(以下略)」という原因をとなえる主張のうち、まだ真実かどうかの評価が確定してない主張のこと。
「仮説」は英語で hypothesis である。
なので「仮説」は証明あるいは検証するためのものである。
「仮説を証明する」は prove a hypothesis である(旺文社、ジーニアス)。
ただし、実際には派生的に hypothesis でも「仮定」の意味もある(ジーニアス、センチュリー出確認)。
だが、単語集では hypothesis の「仮定」の用法は紹介されていない。あまり知的な用法だとは思われていないのだろう。「仮定」を言いたいなら assumption
で済むし、高度な学問をするなら「仮定」と「仮説」は分離すべきであるし。
infer という動詞があり、事実や根拠などをもとに「推論する」という単語である。
infer that ◯◯(文節) from ~ で「~を根拠に◯◯だと推論する」という意味である。
桐原5500も旺文社も、infer の例文では from で根拠を提示している。
そもそも日本語の「推論する」というのは、事実や根拠をもとに推理・推測することだと、広辞苑(1992年)にも書いてある。
広辞苑の例文にも「事実から推論する。」とある。
ともかく、このように「推論」は根拠とともに使うべき単語である。
infer で推論する内容は、べつに学問的な内容である必要はなく、たとえば「彼女の沈黙から怒っているのだと察した」とか(ジーニアス)、そういうのでも構わない。
infer にはこのほか、「暗示する」(= imply )という単語もあるが、imply という「暗示する」の意味の単語で代用できるので、説明を省略する。
名詞形は inference 「推論」「推理」であり(旺文社)、推論するという行為(旺文社、ジーニアス)または推論の結果によって得られた結論のことを言う(センチュリー)。
by inference で「推論によって」(旺文社)、「推測によって」(センチュリー)である。
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扱う
deal with ~, treat
treat は普通、厚遇する「扱う」の場合に使う。つまり、treatは「厚遇する」である。
ただし、和訳の都合で、「厚遇する」だと表現が硬くなる場合によく「扱う」と訳される。
だが、「扱う」で覚えてしまうと類似語とのニュアンスの違いが覚えづらくなってしまうので、treat は「厚遇する」で覚えよう。
治療の場合にも treat を使う。
dea with ~は、「~を処理する」「~を契約する」などの意味である。
典型的な例文が「苦情を処理する」 deal with complaints である(東京書籍4500。旺文社1900)。
ジーニアスで確認したところ、 deal with にも厚遇の用法もあるが、本ページでは触れないとする。
deal は「分配する」「配る」の意味である(東京書籍4500でも紹介)。
トランプなどの札を「配る」のが dealである。
だからトランプの札を配る人をディーラー dealer とも言う。
deal には「商取引」の意味もある。だから、ある種の商品の「販売人」「販売業者」のことを dealer とも言う。桐原4500が「販売業者」としている。ジーニアスは「販売人」。
同じスペル deal で 「量」の意味がある。
a good deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。
a great deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。東京書籍4500では、 a great deal of ~ で「非常にたくさんの~」としており、数えられない名詞に用いるとしている。
桐原の例文では、 a good deal of snow 「かなり多量の雪」、東京書籍の例文では a great deal of time 「たくさんの時間」、と訳している。
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分配・配分
distribute, deal
食料や出版物などを分配する場合、普通は distribute を使う(東京書籍4500)。東京書籍では「出版物」では「印刷物」としているが(例文でリーフレット leaflet を想定)、しかしトランプの札も印刷物であるので、このページでは「出版物」と表現した。
典型的な例文が
distribute food to the ~で「~に食料を配る」である。
辞書によっては「金を配る」場合もあり、その場合は
distribute money to the poor 「まずしい人に金を配る」である。(センチュリーを参考)
「子供たちにリーフレットを配る」なら、 distribute leaflets to the children となろうか(wikiオリジナル。東京書籍およびジーニアスの例文を参考に組み合わせ)。
東京書籍4500だけでなくセンチュリー英和でもリーフレット leaflets を配る例文である。
単語集にはないが、電気屋などで買えるテレビ信号などの分配器をよくよく見ると、ディストリビューターと言ったりしている。実際、ジーニアスで分配器 distributor である。
単語集にはないが、数学でいう確率分布などの「分布」も distribution である。しかし高校生に「確率分布」と言って通じづらい。
ジーニアスによれば、生物学などでの植物の「分布」も distribution である。高校生は植物のほうが覚えやすいだろう。
deal については「扱う」の項目で説明したとおり。トランプの札などを配ったりするのが deal である。
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比例
ratio, rate, proportion
3:2とか 4:7 とか、とにかく個別の比や比率のことは ratio (レイショウ)という。
そういった個別の比ではなく、たとえば数学で「AとBとは比例関係にある」のような「比例関係にある」のことを形容詞で proportional と言う。
名詞 proportion は比例関係。
そういうのではなく、たとえば利子率など何かの比率のことは rate (レイト)という。
なお、利子率や金利は interest rate という。ここでいうinterest は、「興味」の interest と同じスペル。
桐原4500によると、「失業率」は the unemployment rate である。
東京書籍4500によると、「出生率」は the birth rate である。
proportion には、全体の中で占める「割合」という意味もある。
桐原4500および旺文社1400に熟語 at any rate 「とにかく」が紹介されているが、例文は無い。
実際には ratio にも比例関係の意味があったり、proportion で個別の比に言及することもあるが、ニュアンス的には上記の感じのはず。
例文は省略。著作権的な問題をクリアできそうな典型的な例文が見つからなかったので、読者が単語集などで読者が自身で調べてほしい。
* 合理的
rational,
「合理的な」は英語で rational である。これ単独だと覚えづらいが、実は比率 ratio と冒頭のスペルが同じだし、発音も「レイショウ」と「レショナル」でほぼ同じである。
なお、数学の「有理数」も rational number であり、同じスペルの rational である。
だからか和訳も気をきかしてか、有「理」数となっているわけであろう。(ここら辺の話題は、数学英語の専門書に書いてある、有名な話である。)明治時代あたりの数学者に感謝しよう。
そして、「有理数」とは、整数の比例で表される数のことである。(数学的な厳密性は置いておく。)
つまり欧米人の数学のできる人は、「合理的な」=「整数の比例の」が同じ単語であると認識しているわけである。
こうやって考えると、「比例」ratioさえ知っておけば、そこから「合理的」 rational も普通に覚えられる。
なお、「非合理な」は irrational である。
さて、rational でよくある例文は、「合理的な決断」a rational decision である。東京書籍4500と桐原4500の両方に、「合理的な決断」 a rational decision が書かれている。
ついでに、「自然数」は a natural number である。単語集には「自然数」は書かれていないが。
「実数」は a real number である。
「自然数」も「実数」も、英語または対応するドイツ語あたりを、日本語に直訳しただけである。
なお、「論理的な」は logical (ロジカル)である。「論理」が logic なので、それから覚えよう。
reasonable (リースナブル)と言う形容詞には、「理にかなった」という意味があるが、しかし「値段が手ごろな」という意味もあるので、使いどころが難しそうである。
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出席
attend, present
形容詞 present は、「出席している」の意味もあるが、名詞形 presence に「存在感」の意味がある。
attend が、会議や授業などに「出席する」である。
典型的な例文が、attend the meeting 「会議に出席する」である(センチュリー、東京書籍4500)。
だが、attend school で、毎日規則的に「学校に通っている」の意味である(センチュリー、東京書籍4500)。
学校や教会に規則的に通うのは attend を使う。「教会に通う」の例文なら attend church である(センチュリー)。
授業の出席のattendの例文が、辞書でも単語集でも見つからない。
授業の出席については、present を使うのが安全だろう。
なので、辞書にはないが、どちらかというとattend は、出席するために「~に出ている」の意味ぐらいで解釈したほうがよいかもしれない。
名詞 attention が「注意」の意味である。attention が「注意」なのも、「注意を向かわせる」みたいな意味ぐらいで解釈したほうが、出席の「~に出ている」くらい
旺文社1900いわく、pay attention to ~で「~に注意を払う」である(なお、ここでのtoは(不定詞ではなく)前置詞の用法)。桐原によれば、attend to ~ともいう(toは前置詞としての用法)。
あまり attend と present の概念の違いがハッキリしていない。実務の際は、勤務先の業界の慣習などに任せて使い分けのが良いだろう。
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寄付
donate, contribute
単語集を見てたら、「勘弁してほしいなあ」とあきれたが、contributeには「寄付」の意味もあるが、現代のIT社会では普通はcontributeは「貢献する」の意味である。
「寄付する」はdonateである。
しかも、単語集には、contributeの項目を見ても、donateについては書いてない。donateの項目を見ても、contributeについては書いてない。
たとえばwebサーバなどのよく使われるOSのLinux(リナックス)の場合、寄付以外にも多くの協力活動があって(テストに参加するとか)、そういう諸々の協力活動の全体のことを contribute と言っているのが普通である。
そして、その協力活動の中のひとつに寄付もあって、その寄付が donate という言い回しである。
実際、debian(デビアン) というLinuxの一種のwebサイトはそうである<ref>[https://www.debian.org/intro/help Debian -- Contribute: How you can help Debian] 2022年5月1日に確認.</ref>。
ページ"Contribute: How you can help Debian"の中に、下記のようにいくつも項目があって、
<pre>
Contribute: How you can help Debian
Coding and Maintaining Packages
Testing and Bug Squashing
Writing Documentation and Tagging Packages
Translating and Localizing
Helping other Users
Organizing Events
Donate Money, Hardware, or Bandwidth
Use Debian
How your Organization can support Debian
</pre>
その項目のひとつとして"Donate Money, Hardware, or Bandwidth"があるという構成である。
もっとも、wikipediaのサーバを動かしているOSはDebianではなく Ubuntu(ウブントゥ)というイギリス製OSであるのだが、このUbunutの本家イギリス語版のwebサイトのページで寄付のページには contribute と書いてあるので<ref>[https://ubuntu.com/download/desktop/thank-you Thank you for your contribution | Ubuntu]</ref>、contributeで寄付を意味しても間違いではない。
よく、医療で「血液ドナー」とか何かの提供者のことをドナーdonorというが(旺文社1900)、これもdonateの派生である。
なお、donor の発音はドウナーである。旺文社1900では発音の注意をしている。
なお、ジーニアスとセンチュリーで確認したところ、blood donor とは単なる「献血者」のこと。クルマの「献血車」にあらず。
ジーニアス英和によれば、ドナーカード donor card も英語でそのまま通じる。
なお、桐原3000の donor 項目いわく、「血液バンク」は a blood bank とのこと(桐原3000)。
なお、名詞形は donation 「寄付」である。
単語集によると、make a donation で「寄付する」である(東京書籍、桐原)。
make a donation to our school で「学校に寄付する」。
make a donation to church で「教会に寄付する」
donate で使う場合、ジーニアス英和に donate a money to Red cross 「赤十字に寄付する」という例文があった。
debianのサイトでも donate a money と言っているように、普通は 「donate a 金または金額」のパターンである。
実際、センチュリー英和では donate $1,000 to a charity 「慈善事業に千ドル寄付する」である。
contribute で金銭を寄付する場合でも同様、 「contribute 金額 to 相手」のパターンである(桐原、東京書籍)。
contributeの単語集が金額の例ばかりであるが、センチュリーによれば a money で寄付してもいい。
センチュリーいわく contribute a lot of money to church 「教会に多額の寄付をする」である。
contribute には、なにか望ましくないことの「一因になる」という意味もあり、たとえば「二酸化炭素は温暖化の一因になる」とか(旺文社)、「砂糖は虫歯の一因になる」とか(センチュリー)、「喫煙がガンの一因になる」とか(ジーニアス)。
良いことの一因になった場合にもcontributeを使うが、ただし和訳の際、普通は「寄与した」と訳すだろう。
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闘争と努力 struggle, strive
努力する endeavor ,
不和と摩擦
strife, friction, conflict
紛争 strife, dispute
口論 quarrel, dispute
意見を戦わす dispute, tackle
「努力する」には、struggle と strive と endeavor があるが、高校生はまず struggle を覚えるのが良い。
strive だと、後述のように闘争の意味合いに解釈される可能性がある。
実際、単語集でも、struggle を先に紹介しており、strive はかなり後半で紹介する。
動詞 struggle は「もがく」「あがく」などの意味だが、「努力する」「奮闘する」のような意味もある。
病気や苦痛などから逃れるために「戦う」のような意味もある。
struggle to ~(動詞) で、「~するために努力する」である(東京書籍)。
struggle with ~ で「~と闘う」である。
struggle for ~で「~を求めて闘う」である。ジーニアスによれば、struggle for independence で「独立を求めて闘う」。旺文社によればstruggle for equal right で「平等権を求めて闘う」
名詞も struggle であり、「闘い」「努力」の意味である。
だが、生存競争を a struggle for existence という(旺文社1900にあり。ジーニアス、センチュリーで確認)。
あまり使い分け方ははっきりしないので、慣習に合わせるしかない。
単語集にはないが、権力闘争は a power struggle といったり(ジーニアス)、a struggle for power という(センチュリー)。
endeavor (エンデバー)は動詞で「~しようと努力する」、名詞では「(真剣で継続的な)努力」の意味だが(ジーニアス、センチュリー)、なぜか単語集には、あまり積極的に紹介されてない。endeavor は東京書籍では巻末おくりだし、桐原では5500おくりである。
アメリカの宇宙船の名前でエンデバーというのが昔あったので、特に悪い意味は無いだろう。
しかし、なぜだか、単語集はあまりエンデバーという単語を紹介していない。
動詞として使うときは endeavor to ~(動詞) 「~しようと努力する」
である(東京書籍、桐原、ジーニアス、センチュリー)。
strive という単語があり、これも「努力する」や「闘う」の意味である。桐原だと闘争の意味が書いてないが、東京書籍にきちんとstriveの「奮闘する」が書かれている。
これは比喩的な奮闘ではなく、後述するように名詞形で実際の戦争を扱う。
strive for ~で「~を目指して努力する」または「~を求めて努力する」の意味である。
旺文社1900には動詞 strive の項に、派生の名詞形 strife がスペルと和訳「争い」「不和」だけ紹介されている。
他の単語集には名詞形が書かれていないが、strive には実は派生の名詞形が2つあり、striving と strife である。
辞書にも、strife と strive の関係が書いてないが、明らかにstrife と strive はお互いに派生であろう。少なくとも旺文社1900は 名詞 strife は 動詞 strive の派生だという見解である。辞書のほうが頭悪い。
striving が「努力」の意味。 strife は「紛争」や「不和」など、ぶっそうな意味である。
辞書によると、政治闘争は a political strife である(ジーニアス、センチュリー)。
しかし、ジーニアスによれば、民族紛争などは conflict を使う場合もある。
山川出版の英語版・詳説世界史では自衛隊PKO派遣先の、いわば「紛争地帯」に相当する場所を conflict zone と言っている<ref>橋場弦 ほか監修『WORLD HISTORY for HighScool 英文詳説世界史』、2019年10月15日 第1版 第3刷発行、P.412</ref>。
一方、センチュリーだと、「その二国間には紛争がある。」There is strife between the two countries.
とある。
ジーニアスによれば、家族紛争を a family strife という。
dispute には、「紛争」「口論」「議論」「意義を唱える」などの広い意味がある(桐原)。「意義を唱える」は旺文社の解釈。
「議論」を訳す場合でも、「議論を戦わす」のように(東京書籍、センチュリー)、意見の対立に主眼が置かれている。センチュリーにいたっては、感情的な対立があるとのニュアンスがあるとまで述べている。
だからか労働争議を a labor dispute ともいう(ジーニアス、センチュリー)。
いっぽう、単に意見や議論を戦わせるだけなら、動詞 tackle である(センチュリー、桐原)。ジーニアスにいたっては、tackle の意味で「戦う」の言葉は使わず、tackle は意見を「論じ合う」だとしている。
センチュリーは、「賃上げ(on a raise)をボスにかけあう」を動詞 tackle としている。文脈は違うが、旺文社でも「予算」がどうのこうのと、tackle で金を話をしている。
動詞としては tackle には「問題に取り組む」という用法もある(桐原、東京)。
典型的な例文は、
tackle the problem 「その問題に取り組む」
である(桐原、東京書籍)。
なお、tackle は、ラグビーなどの名詞「タックル」、動詞「タックルする」と同じ単語でもある。
肉体的な単なる「闘い」「闘う」は fight とか battle で良いだろう。
「不和」については friction 「摩擦」を使うも言い換えもある。物理学の「摩擦」 friction と同じ単語である。
「静止摩擦」は static friction である(旺文社1900の static 項目)。ジーニアス・センチュリーのstatic 項目では見つからなかったが、たしかに静止摩擦は static friction だたはずである。
なお、「静電気」は static electricity である(旺文社1900、ジーニアス static 項目、センチュリー static 項目)。
さて、friction の話題に戻る。東京書籍4500と桐原4500・5500には、friction が載っていない。旺文社1900にだけ friction がある。
外交の「不和」には、friction を使える(ジーニアス、センチュリー)。というか、英語で「貿易摩擦」を trade friction と言う(旺文社)。ジーニアス英和やセンチュリー英和で貿易摩擦を確認したかったが、見つからなかった。辞書でfriction で調べてもtradeで調べても、ジーニアスとセンチュリーでは見当たらない。
和英のほうでジーニアス和英を調べると、「貿易摩擦」は trade friction または trade conflict というとのこと。
外交の不和で strife を使うと戦争の恐れの高い不和だと誤解されかねないだろうから、貿易摩擦のようなお金の問題では friction で十分だろう。
さて、努力について、 effort という名詞があるが、しかしこれは名詞である。
なのでeffortで「努力する」と言いたい場合、東京書籍やジーニアスによれば make an effort のようになる。意外と難しい。
effort to ~(動詞)で「~するための努力」である。
東京書籍にあるが、make a great effort 「大変な努力をする」のように、great などの形容詞がつくこともある。
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傾向 tendency, trend, inclination
流れ current , flow
「傾向がある」 tend(動詞), inclined (形容詞),
ミスなど好ましくないことをする傾向がある be liable to ~
その他、好ましくない傾向がある be prone to ~
センチュリー英和を見ると、trend と tendency の違いが説明されている。
tendencyは、たとえばセンチュリーにある「赤ん坊は空腹になると泣くものだ」とか「弱い母音は消失する傾向がある」のように、本来的に、何かのおきる傾向のあること。
trend は「流行」や現在の「趨勢」(すうせい)や「風潮」などの傾向。ジーニアスを見れば「趨勢」や「風潮」の意味も書いてある。
なお、衣服の流行は fashion である(東京書籍3000、桐原3000)。一応、ジーニアスには、衣服だけでなく文学や芸術の流行も fashion ということもあると書いてあるが、しかしセンチュリーは採用していない。
なお、mode も衣服の「流行」の意味であるが、現代では廃れている表現だとジーニアスはいっているし、桐原と東京書籍の単語集に mode は無い。
しかし、旺文社1900にmode があり、「方式」「形態」などの意味である。後述の「携帯」の誤字ではなく、確かに旺文社1900のmodeの項目に「形態」と書いてある。
旺文社1900の単語集は入試準拠なので、おそらく教科書にはないが入試によくある表現なのだろう。総数1900のうちの844番目にmodeがあった。
旺文社1900のいうmode関連の派生表現のひとつで、携帯電話の「マナーモード」は silent mode である。
ほか、物理学の弦の振動などの「モード」もこの単語だったと思うが、辞書には無いので不明(ジーニアスとセンチュリーの両方とも確認したが見つからなかった)。
さて、tendency の話題に戻る。
さきほど trend は「趨勢」や「風潮」だと言ったが、だがジーニアスによると、現在の株価の傾向などで(トレンド trend ではなく) tendency を用いている例文もあり、実際には使い分けは明確ではない。
tendency の動詞形は tend であり、「傾向がある」の意味。というか、動詞 tend の名詞形が tendency である。
tendの意味も、本来的に "~をする傾向がある" という意味での「傾向がある」である。
tend to ~(動詞)「~する傾向がある」の形でよく使われる。
ほかにも、 tendに「世話をする」という意味もあるが、だがこれは、名詞 tender「やさしさ」の動詞形だとみなすべきだろう。
ややこしいことに、動詞 tender は「提出する」「支払う」の意味である。だが単語集に動詞 tender がないので、無視しよう。
一方、trendについて。
センチュリーによれば、「新しい流行」 a new trend とか使う。
東京書籍に the current trend 「現在の流行」という例文もある。
東京書籍によれば、「最近は小型車が売れている」的な意味の流行も trend である。
また、旺文社によれば、「最近は高齢者には運転をやめさせるのが傾向である」というのも trend である。
旺文社の例文を考えれば、和訳が「傾向」であろうが、内容が最近の風潮なので、trendを使うのが正しいわけだ。
形容詞 trendy 「流行の先端を行く」の意味である。
* 「流れ」
current, flow
flow は「流れる」と言う意味の動詞だが、名詞では川などの「流れ」を言う。
current は、「流れている」という意味の形容詞だが、名詞では「海流」や「電流」などの「流れ」も言う。
川も海流も同じ水の流れなのに、なぜか使い分けをするのである。
東京書籍3000でも桐原3000でも、flowの例文で、川の流れを扱っているので、そういう単語だと納得してもらうしかない。
英語というのは、あまり論理的ではなく、慣習などで使い分けが決まっている部分もある。
東京書籍に書いてあるが、気体の流れも液体の流れも flow である。
普通科高校では習わないが、工業高校などで流量計などの機器を扱う際、その流量計を英語で「フローメータ」などという。また、その計器で測定する流れのことは普通は「フロー」flow と読んでいる。
風の流れや川の流れという言い方ではなく、わざわざ「気体」「液体」と東京書籍が言ってるのは、たぶん、そういう流量計などを見越しての表記だろう。
実際、ジーニアスを見てると、「液体・気体の流出量(流入量)」という意味もかかれている。東京書籍はおそらく英和辞典のflowのこういう意味を参考にしたと思われる。
さらっと「流量計」と言ってしまったが、流体力学では流出量も流入量も区別せず、まとめて「流量」(りゅうりょう)と呼び、それ(つまり「流量」)を flow と言うのである。
実際、ジーニアスでは、たとえば人口の「流入」もflow であるし、センチュリーでは(石油らしき)ガロン単位の液体の「流出」もflow である。
そのほか、お金の「流れ」については、経済学ではカレントもフローもどちらとも使う表現なので、深入りしない。
さらに混乱させるが、discharge 「解放する」・「釈放する」、「解雇する」「解任する」の意味の単語(東京書籍の巻末)にも、実は「流れる」の意味がある(ジーニアス)。「アマゾン川が大西洋に注いでいる」という例文で、discharge を使っており、ここでは flow into と同じだと、ジーニアスは言っている。
煙などの排出も discharge であり、いったい流出なのか流入なのか、はっきりしない。
専門用語などで flow と区別したい場合、discharge を使うこともある。
だから、たとえば流体力学で、理論値と実測値との違いの比率のことを discharge coefficient といい、よく「流量係数」とか「流量係数」とか言う。分野によって和訳が違うので、和訳は気にしなくていい。証拠に英語版ウィキペディアの記事 [[:en:w:discharge coefficient]] (流出係数)があります。
あと、discharge には名詞の用法もある(ジーニアス)。東京書籍には動詞の用法「解放する」以下略しか書いてない。
そんなことよりも、「解放」「釈放」の意味を、液体の排出などと関連づけて覚えよう。なんか解き放たれて自由に動ける的なイメージが discharge である。
なお、日本でも、よく、解雇や解任のことを、比喩的に「自由の身」みたいとか「長い夏休み」みたいに言います。なので、そこから派生的に、discharge の複数の意味を把握できます。
洋の東西を問わず、人間の言語センスは似たようなもんです。(あるいは、もしかしたら日本人が英語discharge を真似たのかもしれません。)
「頭脳流出」は a brain drain という(旺文社1900、ジーニアス、センチュリー)。ややダジャレっぽい語感もするので真に受けるわけにはいかないが、drainの基本的な意味は「流出する」である。(なお、このように brain には「脳」の意味のほかにも「頭脳」の意味もある(桐原3000)。)
だが drain には、体力などを「消耗させる」という意味もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
drain my strength 「体力を消耗させる」
である(センチュリー。ジーニアスに似た例文)。
体力が流出していくイメージか。
台所の「排水口」とかも名詞 drain である。屋内の下水などに向かって流出させる側の台所の排水口が drain である。
その他、排水管が drain である(ジーニアス)。
* 傾向 tend, inclined
まず、tend は動詞。
inclined (インクラインド)は形容詞。
なので
be inclined to ~(動詞) で「~する傾向がある」
のように使う。inclined to do を使いたい場合、be動詞が必要。
一方、tend は動詞なので、be動詞なしで、
tend to ~(動詞) 「~する傾向がある」
である。名詞形はtendency 「傾向」である。
実は動詞 incline (インクライン)「傾ける」という単語があって、「傾ける」「その気にさせる」の意味である(東京書籍)。
坂(slope)などの物理的な「傾き」やその角度なども 名詞 incline である(ジーニアス)。
桐原は inclined などは紹介していない(桐原4500および桐原5500を確認)。
単語集にはないが、「話を聞こうと耳を傾ける」incline my ear to ~ 、みたいな表現にも incline を使う(センチュリー)。というか、おそらくこの英語表現が先にあって、それに合わせて日本で「傾聴」みたいな表現が生まれた可能性。
また、このように incline には、好意などによって、「関心を向ける」のような意味もある。
このためか、名詞形 inclination (インクリネイション)には「傾向」の意味のほかにも、「好み」の意味もある(旺文社)。
ただし、必ずしも inclination は「好み」とは限らず、たとえば「彼は太りやすい」のような体質や(ジーニアス)、「この車は横滑りしやすい」とか(センチュリー)、そのほか性質や、性向なども inclination である(ジーニアス)。
どちらにせよ、とりあえず inclination の中心的な意味は「傾向」だと覚えておけば問題ないだろう。
単語集にはないが、坂や屋根などの物理的な「傾き」やその傾斜の角度なども inclination という(ジーニアス、センチュリー)。
liable (ライアブル)は、好ましくないことをする傾向や、好ましくない状態になりがちな傾向のある場合に使う(ジーニアス、センチュリーで確認)。なお旺文社では発音注意している。
和訳では liable は単に「~しがちである」と訳す場合があるが(桐原4500、旺文社1900)、「好ましくないことをする傾向」だという条件をしっかりと理解しておこう。、
be liable to ~(動詞の原型)で「~(ミスなどの行動)をしがちである」
のように訳す。
ほか、典型的な例文
be liable to illness 「病気にかかりがちである」(旺文社、ジーニアス)
がある。なおこの場合、to が不定詞ではなく名詞に対する前置詞に変わっている。
なお、「ミスをする」make a mistake
または
make mistakes
である。なお、桐原3000およびジーニアスでは、make a mistake 「間違える」と訳している。
なので、ともかく
be liable to make mistakes 「ミスをする傾向がある」
である(旺文社)。
形容詞 prone (プロウン)は、望ましくないことについて「~の傾向がある」の意味(ジーニアス、センチュリー)。
病気になりやすいとか、怒りやすいとか、そういうのも prone を使える。例文は辞書を見て(著作権の都合)。
単語集には、なぜか、望ましくないことに使う前提が書かれていない(旺文社、東京書籍の巻末)。
だが、辞書には前提が書かれている。
単語集にある典型的な例文は、
be prone to error 「間違いを起こしやすい」
である(旺文社、東京書籍の巻末)。
to は前置詞でもよく、動名詞 to でもよい。つまり、prone to の後ろにくるのは、名詞 でも 動詞の原型 でも良い。
earthquake-prone 「事故多発地域」の意味である(センチュリー、旺文社)。
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mistake と error
ジーニアスによると、
mistake は不注意や勘違いによる間違い。
error は、計算の誤りや、裁判の誤審など。
・・・とのこと。
また、センチュリーいわく
「不注意な間違いをする」make a careless mistake
とのこと。
だから mistake は、「勘違い」とか(ジーニアス)、「誤解」「思い違い」とかで(ジーニアス、センチュリー)覚えたほうがいいかもしれない。
mistake を「誤り」「間違い」と訳しても間違いではない(ジーニアス、センチュリー)。そういう訳がジーニアスにもセンチュリーにもある。
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現在の
current , present, modern
current は、形容詞「現在の」が入試ではよく出るが、しかし名詞では「流れ」の意味である。
海流とか電流とかの流れにcurrentを使う。
東京書籍およびジーニアスが紹介しているが、「暖流」は a warm current である。
ついでにジーニアスが紹介している「寒流」は a cold current である。
current は、まず名詞「流れ」を覚えるべきであり、形容詞「現在の」はその派生として覚えるのが良いだろう。
ジーニアスで調べた語源でも、「走っている」→「流れている」→「現在通用している」というような意味の変遷らしい。
さて、current 関連の名詞として、単語集にはないが、電流の直流 D.C. とは direct current の略である。
交流 A.C. も Alternating current である(ジーニアスで確認)。
通貨はcurency (カレンシー)である。
単語集にはないが、国際的に安全な通貨のことを経済学ではハードカレンシーといい hard currency と書く。)
「現在の」を意味する形容詞には、current のほかにも present がある。
present は、たとえば英文法の「現在形」や「現在進行形」などの「現在」も present である。
「現在」のpresent と 「贈り物」の present とスペルも発音も同じである。また、「出席している」の形容詞 present と同じ単語である。
present と current のニュアンスの違いは、辞書では特に言及されてないが、current には「流通」や「通用」のような意味合いもあるというところだろうか。
* 現代
modern と contemporary
なお、modern は、「近代の」「現代の」という意味であり、歴史的なニュアンスで使う。
modern も単語集にあるので、覚えよう。
単語集にないが、たとえば「近代文学」modern literature のように(センチュリーで確認)。なお、「現代」はmodern times という。
桐原4500にあるが、(科目名ではない意味での)「現代社会」は、modern society である。
動詞 modernize は「近代化する」「現代化する」の意味である(東京書籍4500および桐原4500)。
しかし、contemporary という単語も存在し「現代の」という意味であり、しかも、旺文社いわく「現代日本文学」は contemporary Japanese literature である。
東京書籍4500いわく、contemporary と modern の違いは単に、芸術様式の話題では contemporaryが「現代の」の意味で使われるとのこと。
だからか、東京書籍・桐原・旺文社の3つともすべてに単語 contemporary art 「現代美術」がある。
その他、contemporary には「同時代の」と言う意味もあり、東京書籍いわく、「ピカソとダリは同時代の人」という内容で、語法 be contemporary with ~ を使っている。
* temporary
temporary は「一時的な」の意味の形容詞。
典型的な例文が
「一時的な仕事」 a temporary job
である(東京書籍、旺文社)。
なお、ジーニアスとセンチュリーでは、同じ a temporary job を「臨時の仕事」と訳している。
対義語は permanent である。
つまり、
temporary ⇔ permanent
である。
なお、いわゆる「アルバイト」は、英語で part-time job である(ジーニアス和英「アルバイト」で確認)。side job ともいう(ジーニアス和英)。
日本語の「パート主婦」のような、勤務時間の短い意味合いは、英語のpart time jobには無い。
そもそもアルバイトはドイツ語に由来する言い回しだし、しかもドイツ語では「仕事」という意味らしい(本書は英語の教科書なのでドイツ語には深入りしない)。
「永久歯」を permanent teeth という(ジーニアス、東京書籍)。
東京書籍いわく、「終身雇用」を a permanent job というとの事だが、しかしジーニアス英和やセンチュリー英和では確認できなかった。
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強制
force, enforce, compel , oblige
義務
duty
辞書によくあるcompel の典型的な例文が「病気のため仕方なく~せざるを得なかった」的な例文。こういうときにcompelを使うようである。
辞書によると、compel はforce よりも意味が弱く、oblige (オブライジ)よりも意味が強い、
普通、oblige (オブライジ)は「義務づける」と訳す。
単語集にはないが、思想の用語で「高貴たる者の義務と責任」と言う(英語ではなく)フランス語で noblesse oblige ノブレス・オブリジュ という単語があり、社会的エリートが兼ね備えるべき義務感のことを言う。
さて、英語では、名詞形 obligation が「義務」の意味。センチュリー英和で確認したが、法律的な「義務」も、道徳的な「義務」も obligation である。
桐原4500では obligationの意味に「義理」を加えて、「義務」「義理」がobligation だとしている。
旺文社1900では、 obligationの意味に「責任」を加えて、「義務」「責任」がobligation だとしている。まあ、「高貴なる者の義務と責任」が世界各国エリートの基礎教養なので、知的な英文ではそういうニュアンスで obligation が使われることも多いのだろう。
東京書籍4500 には、oblige の紹介は無い。
force は「強制する」の意味。
さて、「軍隊」「武力」も force である。
軍隊によって「~が強制された」という場合、どうすればいいのだろうか?
桐原4500では、force「強制する」の例文での「軍隊」を troop という単語で表現して、forceの同音意義語の問題をうまく回避している。
桐原の例文が「政府軍が反乱軍に降伏することを強制した。」と言う例文である。
なお「政府軍」は the government troops である。
反乱軍は the rebels である。「降伏すること」は to surrender である。
troop とか rebel とか、索引に無い単語ばかりである。
enforce は、強制一般の意味もあるが、法律によって強制する、というニュアンスがあり、例文もそういうのが多い。だがラグビーでエンフォースという用語がある。ラグビーの説明はしたくないので説明は省略。
センチュリーの英語によると、警察が市民に法を強制したりするのが enforce である。
桐原4500によると、法律を施行するのが enforce である。警官が法律を守らせる場合も、the police enforces the law のように、目的語は法律になる。
旺文社1900および東京書籍4500にも、似たような警官と法律の enforce 例文がある。
こういう事情もあってか、旺文社は1900はenforceの意味を「施行する」「実施する」としている。
桐原は、enforceの意味を「施行する」「遵守させる」としている。
なお、死刑執行で誰かを「処刑する」のは英語で execute (イクセキュート)である。
「死刑執行」「処刑」は execution である(桐原5500で「死刑執行」、旺文社1900)。
execute には、計画・命令などを実行したり、仕事を「成し遂げる」などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。ジーニアスによると「最後までやる」が原義のほうの意味とのこと。
処刑の意味は、処刑で「片付ける」的なニュアンスだろうか(特に言及されてはいない)。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。
計画などの実行で使われるといっても、ただし、こういう固い語なので、技術の必要な難しい計画などの実行で使われるのが普通である(ジーニアス)。
また、このことからか、企業の重役のことをエグゼクティブ executive ともいう(旺文社、桐原5500)。executive には名詞「重役」の意味のほか、形容詞「経営上の」「行政杖の」などの意味もある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。
さて、「義務」「強制」概念の話にもどる。
義務教育も法律で強制されているが、しかし旺文社の例文によると、義務教育には oblige を使っている。
センチュリーを読んでたら、未成年の子供が起こした事故の弁償も oblige である。
桐原だと「大臣は半年に一度、報告書を提出することを義務づけられていた。」の義務づけが was obliged to send in a report である。
まあ、大臣はエリートだからだろう。
センチュリーで「世論の批判のため引退を余儀なくされた」の「余儀なく」もoblige である。まあ政治家という、国家権力者の一員たるものの義務と責任的な意味合いだろう。
しかし東京書籍4500は、compel の例文で「世論が大臣を辞職に追い込んだ。」を 使っており、センチュリーに反している。
まあ、とくに統一的な用法は無いのだろう。
なお桐原は、「その法律が雇い主に、(※ 社員の)健康保険を掛けることを強いる」をcompel としている。「(※ )」内はwikiでの追記。
単語集にはないが辞書によくある典型的な例文が、病気で「~を余儀なくされる」をcompelで表現することである。
センチュリー風に He was compelled by illness to ~なら「彼は病気で~を余儀なくされた」である。
ジーニアス風に His illness compelled him to ~ なら、直訳すれば「病気が彼に~することを余儀なくさせた」だが、無生物主語の和訳が高校の授業で嫌われるので、「彼は病気で」と訳す。英文学とかだと無生物の主語とか普通にあると思うし、普通の日本語でも文学・文芸でなくとも「病気が彼に~を余儀なくさせた」とか通じると思うし、なのに、かたくなに無生物主語の和訳を認めない高校英語教師や塾講師などはどういう了見なのだろうか。理解しがたい。
ジーニアスは、本人の納得の上で余儀なくされる場合を oblige といい、そうでない場合つまり「本人の意思に反してさせる場合はforce や make を用いる」としている。
しかし、ジーニアスの例文では、税金を払う義務も oblige としている。
判断基準が不明である。
やはり、高貴たる者の義務と責任を基準に考えるのが良いだろう。
* 義務
duty, obligation
「義務」「義理」は英語で duty である。ジーニアスで確認したところ「義理」の意味もある。
on duty で「勤務時間中で」。
off duty で「勤務時間外で」
duty は、職務上の義務でも使われるが、道徳的な義務でも使われる。
その他、duty に「関税」の意味あり。桐原4500によれば、「ワインの関税」 duty on wine である。「免税店」は duty-off shop である。
obligation との違いとして、ジーニアスは obligation は「外的な事情から生じる義務」としているが、どうだろうか。ノブレス・オブリジとか、そうではないと思うが。
そう覚えるよりも do one's(myなど) duty で「~の義務を果たす」などの慣用表現で覚えるほうがよいと思う。なお、東京書籍4500と旺文社1900に、例文中に do one's duty がある。
obligation にはそういう平易な慣用表現は無いと思うので。
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「分類する」
sort, classify
「分類する」の使い分けは、あまりハッキリしない。
単語集の例文などを見ると、どうやら書店や図書館などで書籍を「分類する」は classify を使っているようだ。
旺文社では「本は作家の名前によって分類されている。」 The books are classified according to the author's name.
東京書籍では「本はテーマによって分類されている。」 The books are classified according to subject.
である。
ジーニアスでも、受動形でなく能動形でだが図書館での本の分類に classify を用いている。
なお、(英和ではなく和英辞典の)ジーニアス和英によると、ごみの「分別」は separate である。
sort には名詞で「種類」という意味もあり、ほぼ、「種類」の意味での kind と似た意味である。
a kind of ~ 「~の一種」の代わりに、a sort of ~ で「~の一種」と言う場合もある。
しかし、別の用法で sort of で「多少の」「いくらかの」という意味もあるので、文脈から判断すること。
class には「等級」と言う意味もあるので、「等級づけをする」なら classify のほうが望ましいだろう。
余談だが、classify には「機密の」の意味があって、旺文社1900で document を見ると、
leak classified document 「機密文書を漏洩する」
という例文もある。
動詞 leak は、液体や秘密などが「漏れる」とか「漏らす」の意味。東京書籍と桐原の3000語レベルにも4500語レベルにも書いてない。桐原5500に書いてある。
桐原5500の例文は秘密を「漏らす」ほうの内容。
なお、文書ではなく情報の「機密情報」については旺文社 leak を見ると、 a secret information と言っている。
桐原4500では、「機密情報」を confidential information と言っている(桐原4500のmake関係の熟語のmake use of ~ の項目)。
2010年にWikiリークという、各国政府などの機密情報をネット公開する海外サイトが世界的に話題になったからか、単語集では leak の例文が機密の漏洩ばかり。だが、もちろん液体などが漏れる場合にも普通に leak は使われる。
なお、wikibooksなど当wikiプロジェクトは、wikiリークとは全く別の組織。「wiki」とはソフト名の一種なので、まったく別の組織でも、wikiソフトを使っていると組織名がwikiなんとかと、似たような名称になることもある。
なおleakの名詞形は leakage であり、「漏れ」「漏出」「漏洩」の意味(旺文社1900)。だが、単語 leak 自体でも名詞の意味もあり、同じような「漏れ」という意味(桐原5500)。
「秘密」については、secret や classify の他に、confidence (カーンフィデンス)という単語もある。
だが、このconfidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
「信頼」と「自信」と「確信」については和訳でも同じ「信」の文字があるから、まあ連想できるとして(信頼の対象が自己になれば「自信」。「確信」とは、信じている自分への自信。など)、問題は「秘密」である。
信頼しあっている間柄での秘密、的なイメージで覚えるのが良いだろう。
形容詞 confidential の意味なら「内密の」というのがセンチュリー和英にもある。
だが、名詞の「秘密」のことを「内密」とは言わないので、confidence は「秘密」と訳すしかない。辞書もそうなっている。
ジーニアスによれば、「秘密文書」は confidential documents とのこと。
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確認
check, confirm , confident
check が「チェックする」である。
英語のチェック check はいろんな意味で使われ、意外と難しいので、日本語でそのまま「チェックする」と意味を覚えてしまうのが良い。東京書籍1800の単語集を見ても、checkの意味の説明で「チェックする」とそのまま書いてある。
check は「確認する」ことにも使われるし、確認したことを証拠に残すためのチェックマーク( ✓ )の記述にも使われるし、「点検する」ことにも使われるし、「照合する」にも使われるし、チェスの王手(いわゆるチェックメイト)にも使われる。このように意外と難しいからか、桐原4500では4500レベルとしてcheckを紹介している。
confirm が「確認する」「身元を証明する」である。(東京書籍4500)
チェックについては、チェックリスト check list が英語にもあることを知るべきだろうか。
工場労働など屋内での社会人の点検業務では、可能なかぎり、忘れのないように点検内容を一覧表の list リストにして、それにチェックマーク( ✓ )を入れることで漏らさずにチェックをするという方法がある。
なお、チェックマークを入れるための視覚欄(大きめな □ )のことを、チェックボックス check box といい、これも英語にある(ジーニアスで確認)。
こういうチェックリストやチェックボックスの存在を知っていれば、check の「点検する」や「照合する」の意味も覚えやすいだろう。
語学の勉強というのは、こういうふうに英語以外のビジネス知識なども必要なのである。
checkを「チェックする」と覚えればいいと言ったものの、ただし上述のチェックボックスやチェックリストのように、仕事でも知的な仕事なら check という英語は使うので、覚えておく必要があるだろう。
桐原4500では、「医者が患者の血圧を調べる」という内容の例文でチェック check を使っている。check はそういう専門性の高い用途にも耐えうる単語でもある。
ほか、小切手も check といい、同じスペルだが、説明を省略する。ホテルなどのチェックイン check in , チェックアウト check out も同じ単語だが、説明を省略する。
IT系でも、よく会員制webサイトの登録画面などで説明書きを読んだか確認するためのチェックボックスが、海外サイトではよく使われる。
社会人になって就職するなどして、品質検査の方法などを習っていないので、あまり「チェックとは何か?」とか深入りしても、埒(らち)が あかない。
confirm は、高校生には馴染みがないかもしれないが、IT系では意外とよく、会員制webサイトのパスワード登録の画面などとして、海外サイトではよく使われる。
身元証明の典型的な例文で、誰々の「身元を証明する」という例文があり、
たとえば東京書籍4500では
「彼女の身元を証明する」confirm her identity
がある。
旺文社の例文を少し改造して(「郵便局員が私の身元を確認した」という内容)、「彼が私の身元を確認した」なら He confirmed my identity
となるだろう。
「裏づける」の典型な例文が、裁判などでの「新たな証拠が彼の話を裏づけた」であり、東京書籍によれば、
「新たな証拠が彼の話を裏づけた」 The new evidence confirmed his story. である。
桐原4500にも、現在完了形であるが、ほぼ同じ英文がある。
confirm の名詞形は confirmation である。旺文社1900にだけ紹介されている(桐原4500と東京書籍4500はconfirmationを紹介していない)。
confident については、別の項目で説明した。confidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
単語集に共通の例文が見当たらないので、辞書などを購入して読んでほしい。
* 検査
なお、和英辞典で「検査」を見ると、testやinspectなど色々な単語がある。
testはどちらかというと「試験」である。
血液検査が blood test であり、聴力検査が hearing test だし、日本語では「検査」でも英語では test だったりする場合もある。
「テスト」と聞いて、日本の学校の学力試験しか思いつかないのなら、改めよう。英語では普通に、医療や工業などの検査でも test は使われるからである。
inspect は、査察官や検閲官をinsepector と言うので、そういうニュアンスもあるので、検閲・査察のニュアンスが強く、日本の「検査」には1対1には対応しない。
東京書籍と桐原の単語集には inspect がないので、気にしなくていい。米英の行政の事情を知らないと inspector などは理解できないだろう。日本の高校生には不要な知識であろう。inspector という、そういう高校で習わない行政用語があるという事だけを知っておけば十分だろう。
なお、実は旺文社1900に inspect と inspector がある。inspector には「検査官」の意味のほか、「警部」の意味もあるとのこと。
だが、そもそも、英語の文脈においける「警部」とは何かという問題がある。ジーニアスでinspectorを見ると、米では「警視正」、英では「警部」とのこと。まあ、警察組織の現場職での上のほうの人、ぐらいの意味だろうか。
なお、「捜査員」は investigator である。これだけだと難しそうだが、米国のFBIこと「連邦捜査局」が the Federal Bureau Investigation である(旺文社)。
「捜査する」は investigate である。
典型的な例文が
「警察がその殺人事件を捜査している。」 The police are investigating the murder.
である(桐原、ジーニアス)。
なお、federal (フェデラル)は形容詞としては「連邦の」という意味であり、名詞としては「連邦」の意味である(ジー二アス)。
もうひとつの典型的な例文が、
「警察がその自動車事故の原因を調査している。」 The police are investigating the cause of the car accident.
である(東京書籍、センチュリー)。事故なので、捜査ではなく「調査」。東京書籍でも「調査」になっているし、センチュリーでは「調べている」としている。
なお、「探偵」と「刑事」は detective である。英語では、「探偵」と「刑事」が同じ単語なのである。
動詞 detect の意味は、東京書籍いわく、何か見つけづらいものを「探知」「発見する」などの意味である。センチュリーいわく、隠されているものや悪事などを見つける場合に使うことが多いとのこと。
単語集にはないが、「探知機」が detector である(ジーニアスで確認できる)。ジーニアスいわく、金属探知機は a metal detector である。
この例のように、 detect で発見するのは別に犯罪事件の犯人でなくてもよく、たとえば桐原の例文では病院でのガン(癌) cancer を「発見する」ことを detect としている。
センチュリーいわく「ガス漏れを見つける」は detect a gas leak である。
センチュリーいわく、嘘を見破るのも detect である。東京書籍いわく、「スパイを見破る」は detect a spy とのこと。
locate という「位置する」と言う意味の動詞がある。名詞形 location が「位置」 の意味である。
この locate には、なにかの場所を「突き止める」という意味もある。
東京書籍が detect の単語の次に、locateの例文で「アジトを突き止める」を紹介しているが、著作権の都合があるので本ページでは紹介しない。
なお、アジトは a safe house である(東京書籍)。またアジトとは、犯罪組織や反乱組織などの「隠れ家」のこと。
なお、「隠れる」は hide である。
太陽が雲に「隠れる」みたいな平和的な「隠れる」も、犯人が「隠れる」も、 hide である(センチュリーで確認)。
「太陽が雲に隠れる」 The sun is hidden by clouds
である(ジーニアスとセンチュリーに、ほぼ同じ例文)。
なお、「隠れ家」「隠れ場所」には、hide-out という言い方もある(ジーニアスいわく「隠れ場所」)。旺文社では hide-out を「隠れ家」「潜伏場所」と紹介。
hide の活用は
hide - hid - hidden/hid
である。
さて、conceal という、「隠す」という意味の単語があり、物や秘密を「隠す」場合に使われる。
辞書を見た限り、conceal には、人が隠れるような用法はない。
単語集を見ると、conceal の例文で、感情を「隠す」ような例文もあれば(旺文社)、爆弾が「隠されていた」という例文もある(桐原)。
隠された秘密を「暴く」のは
reveal や uncover がある。
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暴露(ばくろ)
reveal, uncover, disclose
reveal は、意図的に秘密を暴いた場合のほかにも、不注意などで秘密が漏れた場合にも用いる。旺文社の例文も秘密が漏れた場合である。
名詞形 revelation である。
よくある例文は、
「真相を明らかにする」 reveal the truth
である(東京書籍に和訳・英文とも同じ文。センチュリーでは「真相を漏らす」と訳)。
そのほか、単語集にはないが、物理的に隠れているなどして見えなかったものが見えるよう現れる事も reveal というが、単語集にないので無視する。
なお、光や危険などに「暴露する」ことは expose である(桐原)。
暴露(ばくろ)は「ばくろ」と読む。「ぼうろ」(×)ではない。
disclose
意図的に秘密を暴いたり、あるいは自分や自組織の秘密を公表したりする場合は、 disclose のほうが適切かもしれない。
固い言い回しなので、暴露や公表や自白などの対象となる秘密は、たとえばセンチュリーでは「彼はスパイであったこと」だとか、「その男の正体」だとか、
あるいはジーニアスでは「真実を新聞に暴露する」とか、なんかそんな感じの秘密ばかりである。
名詞形「公開」「暴露」は disclosure である。
「情報公開」は disclosure of information である(ジーニアス、旺文社)。
東京書籍4500および桐原4500には disclose が無い。
uncover
「真相を明らかにする」 uncover the truth
のように使う(東京書籍)。桐原4500には例文なし。東京書籍は巻末おくりなので、解説なし。
uncover の語源は、見れば分かると思うが「カバーを取る」である(ジーニアスで確認)。
なので、単語集にはないが、容器などの「フタを取る」も uncover である(ジーニアス、センチュリーで確認)。
そして単語集(旺文社)にあるが、遺跡などを発掘するのも uncover である(旺文社)。遺跡を埋めている土などをフタに見立てて覚えよう。
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不安
anxiety, alarm
恐怖 fear、 horror
警報 alarm
警戒 alert
警告 warning, caution
旺文社1900によると、alarm の出題番号が549 で、alarm が「不安」「恐れ」を第一義で紹介されており、anxiety (「不安」「心配」)の形容詞 anxious の583番よりも alarm のほうが早い。
勘弁してほしい。
まずalarm は普通、警報器のことである。実際、東京書籍3000では、alarm は「警報器」「目覚まし時計」の意味でしか紹介していない。
桐原4500ですら、「驚き」「恐怖」の意味を紹介しているが、しかしalarmの第一義はあくまで「警報(器)」というのが桐原のスタンスである。
とはいえ、旺文社は大学入試の出題順に紹介しているだけである。つまり、日本の大学入試がロクでもないのだろう。
なお、ジーニアスによると、alarm の第一義は「驚き」「恐怖」である。なお、語源はイタリア語の「武器を取れ」all'armeである。
なるほど、alarm アラームの語尾 -arm が「武器」 arm と同じわけである。
現代では、普通、「驚いた」は be surprised at などを使うだろう。
どうしても「驚き」「恐怖」の意味で使いたいなら、死の恐怖のある文脈で使うと、頭良さそうに見えると思う。
ジーニアスの例文でも、「シカは驚いて逃げていった」の例文で in alarm という用法を使っている。狩人や肉食動物などによる死の恐怖を感じたシカ的な用法。
しかし、ジーニアスによれば、恐怖の意味での alarm は「fear より固い語」である。
fear (フィエア)は「恐怖」「不安」である。まずfear は「恐怖」で覚えよう。4500語レベルではなく、桐原3000と旺文社1400にfearはある。あと東京書籍4500。
典型的な例文が、「高所恐怖症です」であり、ジーニアスと東京書籍にそういう例文がある。
I have a fear of heights. 「私は高所恐怖症だ。」
である。
単語集にはないが、辞書によくある例文が「恐怖で顔が真っ青になる」であり、
turn pale with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。センチュリーが pale (ぺイル)である。
ジーニアスだと、white を使い、
turn white with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。
なお、形容詞 fearful で「恐ろしい」「恐れている」の意味。
なお、horror で、戦場での死の恐怖も表現できる。日本語の「ホラー」のような幽霊やら悪魔などのオカルト限定のような制限は無い。
fear とスペルの似ている fare(フェア) は「運賃」「なりゆき」であり、意味がまったく違う。
ほか、スポーツの「フェアプレーの精神」などの意味の「フェア」は fair であり、スペルがまったく違う。なお、この形容詞 fairは「公平な」の意味である(桐原4500など)。
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の 名詞 fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である(桐原4500)。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
なお、ジーニアス和英の affair の項目によると、「時事問題」は current affairs である。
「浮気」とか「不倫」とかも affair と言う。恋愛雑誌やらで時々「アフェア」とか言う単語があるのは、この意味だろう。
なお、「外交」を一言でいうと diplomacy (ディプロウマシ)である(桐原4500など)。「外交官」が diplomat である。形容詞 diplomatic は「外交の」である。
さて、「警報器」alarm の典型的な例文が
「火災警報器」 a fire alarm
である。これは東京書籍も桐原も紹介している。
なお、スペルの似ているアラート alert は、alert は名詞では「警報」「警戒」の意味だが、形容詞では「警戒している」の意味がある。(桐原5500、旺文社1900)
また、形容詞でalert は「油断しない」の意味もある(東京書籍4500)。
単語集の「警戒している」の例文では、よく警察官や兵士などの警戒が出てくる。
警察官の場合なら、
The police officer is alert ・・・
で、「警察官は警戒している」の意味になる。
つまり、
~(人) be alert
の語順になる。
warning は「警告」である。翻訳の都合で「警報」と訳したほうが自然な場合もあるが、warning の意味としてまず第一に覚えるべきは「警告」である。
東京書籍で「洪水」 flood を見ると、「洪水警報」 flood warning がある。辞書 warning では確認できなかったが(ジーニアスとセンチュリーで、warningとfloodの両方を確認)、しかしセンチュリーいわく「空襲警報」が air-raid warning なので、たぶん洪水警報も合っているのだろう。
warn は「警告する」であり、医師が患者に「酒を飲みすぎないように警告する」とか(センチュリー)、嵐の接近を警告するとか(センチュリーとか)、そういうニュアンスである。
warn ◯◯(人) of ~ で「◯◯(人)に~を警告する」である。
記法を変えれば、
warn A of B 「BについてAに警告する」
です(桐原、旺文社、東京書籍)。
東京書籍が紹介していますが、
warn me of the enemy 「敵がいるぞと私に警告する」
です。
なお桐原は、喫煙の危険性(risk)を警告する例文です。ジーニアスは、旅路か何かの危険(danger )を警告する例文です。危険という概念で統一的に説明できそうですが、直接的に言い回しを覚えたほうが早いでしょう。
of はよく「~の」と中学で教わりますが、それだと意味が通りません。
さて、inform 「(情報などを)知らせる」という単語にも、
inform A of B 「BについてAに知らせる」
という語法があります。
桐原が
inform him of the result 「彼に結果を知らせる」
のような例文を紹介しています。
なお、典型例の言い回しは、
Please inform me of the change in ~ 「~の変更を私に知らせてくれ」
です(旺文社、センチュリー)。
ともかく、warn A of B は inform A of B と関連づけて覚えましょう。
桐原がそういう覚え方を進めています(warn と inform を同一ページで教えている)。
ただし、東京書籍のようなcrisis (危機)など関連語の紹介は、桐原では同一ページにないですが。どの単語集も、一長一短です。
なお、東京書籍3000には、なんと inform の項目がありません。information はあるのですが。
なお、information は数えられない名詞なので複数形が無いので、「2つの情報」は two pieces of information と表す。「ひとつの情報」は a piece of information です(東京書籍3000)。
桐原は、remind A of B(思い出させる) や convince A of B(納得させる、確信させる) や inform A of B と warn A of B や suspect A of B (疑う)などをまとめて、
「関連の of」という概念を提唱しています。
ただ、そう解釈しなくても、
このうち、「警告する」warn と「思い出させる」remind も情報提供の一種ですので、
「情報提供の of 」とでも言える概念で、
remind A of B と inform A of B と warn A of B をまとめられます。
だとすると、暗記するのは残りの
convince A of B (Bを納得/確信させる)と suspect A of B (B(容疑など)の疑いをかける)だけに減らせます。
このうち、 convince は、他人に何かの納得をさせる際に、説得などの情報提供が行われるでしょうから、広い意味での「情報提供の of 」と言えるかもしれません。暗記の負担がこれで減ります。
だとすると、残りは suspect A of B 「AにBの疑いをかける」です。
この場合、なんの情報提供もしていません。
また、of B の部分は形容詞的な意味です。
made of ~ で、「~を材料に作る」とかの意味であり、完成品を一目で見て材料が分かるなら made of です。
材料が、完成品を一目みてもわからない場合は made from ~ です。
この suspect A of B と made of B の共通する「of B」で、「性質の of」とかの概念を考えてもいいかもしれません(英語学でどうかは知りません。自己責任で)。
ほか、英文法で、「It is 形容詞 of 人」と「It is 形容詞 for 人」の使い分けなどがあります。人の性質を言う場合は「of 人」です。これから類推する方法もあるかもしれません。
まあ、最終的には suspect A of B 「AにBの疑いをかける」を直接的に覚えるしかありません。
warn ◯◯(人) against ~ing で「◯◯(人)に~しないように警告する」である。
たとえば、よくある例文が、「彼は道路を横断しないように私に警告した」(ジーニアス)あるいは川を渡らないように私に警告した(東京書籍)、であり、
He warned me of against crossing the river. 「彼は川を渡らないように私に警告した」
である。
動詞および名詞の caution は、動詞としては、たとえば医者などが肝硬変の患者に「酒を飲むな」と注意・警告するときの「注意する」「警告する」が caution である(桐原5500)。東京書籍4500の例文も、薬の取扱いの注意を caution としている例文。
ただし、辞書では、警察などの警告・注意もcautionである。このため、warningとの区別は、なかなか難しい。
ジーニアスが言うには、cautionのほうがwarningよりも軽いとのこと。
形容詞 anxious (アンクシャス)は「心配している」「不安に思っている」である。
be anxious about ~ で「~を心配している」である。
He is anxious about ~ なら「彼は~を心配している」である。
よくある例文が、「彼は試験の結果を心配している」であり、東京書籍とジーニアスにそれに似た例文がある、
He was anxious about the result of exam. 「彼は試験の結果を心配している。」
となろう。(wikiオリジナル)
ジーニアスだと、母親視点の「息子のテスト」だが、まあこういう例文がよくる。
be anxious for ~ は「~を切望している」である。
桐原の「新しいコピー機が欲しくてたまらない」なら be anxious for new copy machine である。
ジーニアスだと(私は)「新しいコンピュータが欲しかった」なので、
I was anxious for a new computer. 「新しいコンピュータが欲しかった。」(※ ジーニアスanxious例文から引用)
である。
名詞形 anxiety で「不安」「心配」「切望」である。東京書籍4500には「切望」が書いてないが、しかし桐原4500と旺文社1900には切望が書いてある。
なお、 eager (イーガー) は「熱望している」である。切望 anxious とは、ややニュアンスが違う。
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武器・兵器
weapon, arm
大量破壊兵器は weapons of mass destruction であり、略称は WMD である(桐原4500、旺文社1900、ジー二アス)。
また、核兵器は nuclear weapons である(桐原4500、旺文社1900、東京書籍、ジー二アス)。
だいたい、arms だと、「腕」(うで)と まぎらわしい。
兵器には、なるべく weapon を使うのが無難だろう。
なお、動植物の角(つの)や爪(つめ)や刺(とげ)なども、weapon である(ジー二アス)。
weapon は、日本では「兵器」と訳される場合が多いが、しかし英語では weapon は広く攻撃のための道具を表す用語である。
単語集にはないが、山川の英語版・世界史にあった単語で、
rearmament が「再軍備」である(ジーニアス)。ナチスによるドイツの「再軍備」みたいな文脈で rearmament を使える。
ほか、disarmament が「軍縮」である。啓林館 Vision Quest I(P.111) が「軍縮」disarmament を紹介しています。
なお、名詞 army は「陸軍」「軍隊」の意味です(桐原3000、旺文社1400(緑)、東京書籍4500)。
「海軍」は navy (ネイビー)です(東京書籍、桐原)。
「空軍」は air force です(東京書籍、桐原)。
「軍事の」は military です(東京書籍、桐原)。
陸軍と海軍も空軍もまとめて「軍隊」と言いたい場合、army だと陸軍とまぎらわしいので、military force という場合もあります(東京書籍)。
ただし、「軍事力」も military force です(桐原)。
このため、翻訳などの際は、文脈にあわせて、うまく訳してください。
軍「隊」との混同を嫌ってか、単語を power を使って「軍事力」は military power という用法もある(ジーニアス military、センチュリー power)。
ほか、「軍隊」を the armed forces と言ってもいい(桐原、forces )
「兵士」は soldier (ソルジャー)です(東京書籍、桐原)。
東京書籍いわく、さらに「将校」(しょうこう)は officer (オフィサー)です。
とはいえ、「将校」(しょうこう)と言っても、何のことだか分からないのが普通の高校生でしょう。
軍隊の上層部や、将来的にそうなる見込みの高い軍隊の大学を出た軍人や、あるいは同程度に一定以上の階級の高い指揮官のことを、将校と言います。
最下級の階級である兵士は当然、将校ではないです。
「兵士長」とか「軍曹」とかの現場の下の方の中間管理職も、ふつうは将校とは言わないです。ただし、文脈によっては、「軍曹」なども将校という場合があるかもしれません。
『「将校」という単語くらい知っとけや。日本史の勉強すれば出てくるんだからさ~』というのが、東京書籍の心のさけびでしょうか。
戦後の自衛隊ではあまり「将校」とは聞かなくなりましたが、海外の軍隊の説明だと今でも使います。
戦前でも、よく二・二六事件とかで「青年将校」がどうのこうの、という解説を読みます。こういう英語を知っていると、英語力だけでなく日本史などの知識も披露できて、頭よさそうに見えます。
桐原いわく「兵役」(へいえき)は military service です。
「英語を勉強するなら、こんくらい知っておけや」という桐原の心のさけびです。
まず、諸外国でもヨーロッパなどで今でも徴兵制、つまり兵役があります。2020年代でも、スイス、オーストリアは徴兵制があります。
ここでいう service とは、公共の下僕のような意味もあるかと思います。
たとえば「召使い」は英語で servant (サーバント)ですが、なんと単語集に書いていません。
桐原の単語周いわく、serve は「仕える」とか「提供する」とかの意味です(桐原4500)。
今ではネットのサーバー server とか、派生の名詞が使われています(ジーニアス、センチュリー)。
ただし、ネットの情報提供については、「プロバイダー業者」などというように provide が「(情報などを)提供する」の意味で好んで使われる場合もあります(桐原)。
交通インフラや電力インフラなどの公共インフラなどの提供も service です(ジーニアス)。慈善事業も service です(センチュリー)。
「兵役」(へいえき)は military service を覚えるときも、そういうのと関連づけて覚えましょう。
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安売り・特売
フェア、セール、バザール
sale のみ高校英語
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
なお、セールは英語でも sale で「安売り」(桐原3000、東京書籍3000)や「特売」(旺文社1200)や「バーゲンセール」(東京書籍3000)の意味がある。sell とは別に、sale (セール)「販売」という単語がある(東京書籍3000、桐原3000)。
なお、セールスポイントは英語で selling point である(旺文社1200(黄色)、ジー二アスで確認)。
セールスポイントは和製英語。
なお、単語集にはないが、セールスマン(販売員)は英語でも salesman であるが、男女平等の観点から salesperson という表現が米英では好まれるだろう(ジー二アス)。
salesman は、外交販売員(日本でいう「セールスマン」)にも使われるが、英語では単なる店員も salesman で表せる。
複数形 sales で「売り上げ高」の意味もある(桐原3000)。なお桐原では「売上高」3文字ではなく「売り上げ高」5文字の表記。
単語集にはないだろうが、バザーとの違いについて触れる。
ジーニアスによると、英語の bazaar は、慈善などの目的のために特別に催される市場である。だから教会などがバザーするわけである。しかし、イランなど中東の商店街のことも bazaar である。英語の単なる「雑貨屋」のことも bazaar という。
バザーを「安売り祭り」みたいな意味で使うのは、どうやら和製のようだ。
啓林館 Vision quest( P.62 )で、ディスカウント discount 「値引き」、バーゲン bargain 「お買い得品」などが紹介されていました。
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必要不可欠
不可欠な
essential, vital, indispensable
必要な
necessary
搾る squeeze, extract
搾取する squeeze, exploit
桐原4500に vital の意味は「生命の」とあるので、まずこれで覚えよう。
また桐原4500いわく、vitality の意味は「生命力」である。
入試では vital の他の意味の「不可欠だ」「活気のある」などが問われるかも知れないが、まずはvitalの単語のイメージが生命力であることをつかもう。
vial → 「生命に必要」→「不可欠」という連想、
および
vital → 「生命力にあふれる」→「活気のある」という連想、
で覚えれば、暗鬼の負担が減るだろう。
旺文社1900の例文で、「防衛戦略が国家の安全保障にとって不可欠だ」という例文で「不可欠」を vital としている例文がある。
これだって、「国家の生存に必要」→「国防に不可欠」みたいなイメージで把握できるだろう。
なお、桐原4500は「自転車が生活に不可欠」で不可欠がvital、東京書籍4500は「外国語が教育に不可欠」で不可欠がvital、という内容。
ともかく、vital は「活気のある」という意味もあるが、「生命の」とか「不可欠な」のような意味もある。
別の単語の話をする。
もし、単に「活気のある」「元気はつらつな」と言いたい場合は、形容詞 vigorous (ビゴラス)という単語でも一応は表現できる。東京書籍は「活発な」「力強い」と紹介しており、「活発な運動」 vigorous exercise という例文がある(東京書籍4500巻末)。ただ、辞書で 名詞形 vigor (ビガー)や 形容詞 vigorous の用例を見ると、「激しい(スポーツなどの)運動」とか「猛烈な抗議」とか、やや意味合いが強い用例も多いので、注意が必要であろう。
Z会のTOEIC対策本では、同じ vigorous exercise という単語を、「激しい運動がもとで、疲労で倒れた」という内容の文章で用いている<ref>松本茂 監修『速読速聴・英単語 Core 1900 ver.4』、Z会、2014年3月10日 ver.4第7刷発行、P.382</ref>。
このように、vigorous exercise は、いい意味でも悪い意味でも使う。
肉体的に元気のあるだけでなく、精神的にも「精力的な」という表現でも vigorous が使える。
なお、「猛烈な抗議」などの猛烈でも vigorous あるいは名詞形 vigor を使う(ジーニアス、センチュリー)。
protest a plan with vigor 「計画に猛反対する」(センチュリー)
make a vigorous protest 「猛烈な抗議をする」(ジーニアス)
である。
essential は「不可欠な」という意味。
だが、「エッセンシャル・オイル」essential oil という芳香性の油を考えれば分かるように、なんだか抽出物みたいなイメージ。
名詞形 essence 「本質」「エキス」で覚えるほうが理解しやすいだろう。
(なお、名詞 extract にも「エキス」「抽出物」「抜粋」の意味がある。extract は動詞として「抽出する」の意味もある。(東京書籍が動詞を紹介。旺文社は名詞も紹介。桐原は紹介せず)。動詞と名詞とで発音が異なる。名詞は エキストラクト。動詞は イクストラクト。「抽出」「摘出」の行為自体は extraction という名詞である(旺文社)。)
あるいは、「必須アミノ酸」が essential amino acid である(ジーニアスで確認)。
抽出ついでに言うと、abstract も「抽出」という意味(桐原4500巻末)。abstract には「抽象的な」の意味もあるが、まずは抽出の意味で覚えよう。というか日本語でも、「抽象的」の「抽」の文字は、「抽出」の「抽」の字である。なお、冒頭のab-は、ここでは分離を意味する接頭辞。absent「欠席の」のabとabstractのabは同じ意味(桐原4500)。
エッセンシャルの話に戻ると、たとえば、生物学書の『キャンベル エッセンシャル生物学』 "Campbell Essential Biology" という500ページ以上ありそうな分厚い生物学書がある。(なお、amazon米国版では何故かこの本が18歳以上が購入禁止なのでリンクは紹介しない。)
エッセンシャルというのは、そういう感じの意味。
桐原では、「食事は不可欠だ」みたいな例文でも essential を使っている。
なお、「食事」は英語で meal (ミール)である(essential の文に合うかどうかは知らない)。
食事しないと死ぬので、生命維持の観点では vital でもあるが、しかしそういう死を防ぐためのものでも essential で言い表す場合もある。
さて、単語集によくある例文が、「~は健康に欠かせない」 be essential for good health であり、東京書籍と桐原がそうである。
東京書籍だと「運動は健康に欠かせない」、桐原だと「食事は健康に欠かせない」的な内容である。
運動 exercise なら、
Exercise is essential for good health. 「運動は健康に欠かせない。」(東京書籍4500より引用)
である。
「搾る」の extract を squeezeのニュアンスの違いについて。
extract は「抽出する」が第一の意味のようなものである。
-tract が「引っ張る」という意味でもあることから想像できるように(センチュリー)、extractは、目的物を、自分の方向に向かってこさせるイメージである。
だからextractで果汁を「しぼる」のは、その手段にすぎない。
だから、濃縮エキスの抽出のような、搾るだけでは不可能なことも、extract なら出来る。
ほか、薬品などを使って何かの成分を抽出するのも extract である(ジーニアスで確認)。
ほか、歯科医が歯を抜くのも extract である(センチュリー、ジーニアス)。
パソコンのファイルの圧縮・展開でいう「展開」も extract です。
いっぽう、extract には「抜粋する」の意味や、抜粋して「要約する」という意味もあります(センチュリー)。
抜粋すると情報量が減るのに、圧縮ファイルを展開すると情報量は増えます。
妙に感じるかもしれません。
しかし辞書でextract を調べると、秘密などの情報を「聞き出す」「暴き出す」のような意味もあります(センチュリー)。圧縮していて読み取れない情報を「暴き出す」ようなイメージでしょうか。
もっとも、最近のパソコンでは、オペレーティングシステムが高度なので、圧縮されたままでも読み取りのできる場合もありますが。
逆に、圧縮・展開の「圧縮」は compress です。
日本でも、機械などの空気圧縮機でいうコンプレッサーなどの外来語で有名です(ただし、高校生には目にする機会(チャンス)がないかもしれません)。しかし意外なことに単語衆にはcompressはありません。
高校・中学でIT教育が必履修になるなどしてもう年月も経ってますので、どうせあと10年か20年したら「圧縮」・「展開」などIT用語も英単語に加わるでしょうから、先手を打って、このページにまとめておきます(ならないとしても、もしその場合は実務では役立たずなので未来の高校英語の単語衆に価値ないので、価値ない単語集に従う必要ないです。私たちが目指すべきは、大学合格する英単語ではなく、仕事で使える英単語です。仕事を無視した英単語学習をしても最終的に淘汰されるだけの弱肉強食です)。
英語だと、たとえばジーニアスでは、自動車エンジンにおける空気の圧縮のことを compress で表現しています。
なお、空調機のエアコンの「コン」はコンディショナーの略ですので、混同しないように。
センチュリーを見ると、コンピュータ用語のファイル圧縮も compress だと書いてあります(センチュリー、ジーニアス)。
ほか、綿(わた、めん)などを圧縮して小さくするのも compress です(センチュリー)。
ややこしいことに、compress にも、話を「要約する」という意味があります(センチュリー、ジーニアス)。
いまどき、「要約」はsummary でしょうから、compress は綿やファイルなどを「小さくする」(つまり圧縮)の意味で覚えるのが良いと思います。
まとめると、
ファイルの「圧縮」は compress です。
ファイルの「展開」は extract です。
さて、「しぼる」の話題にもどります。
squeeze は、にぎるように力を内側に押し付けるイメージである。だから squeeze で、資金を「圧迫する」なども表現できる。
では、具体的に extract と squeeze のニュアンスの違いを見ていこう。
「エキス」や「抽出する」のextract について。
extract juice from a orange で「オレンジからジュースをしぼり出す」「オレンジの果汁を搾る(しぼる)」
の意味(センチュリーや旺文社)。
文脈によっては、oranges ではなく an orange でも構わない。ジーニアスでは、レモンの複数形 lemons から果汁を搾り取っている。
「搾る」は、squeeze もある。
果物などをしぼって果汁をとるのが典型的で、
squeeze a lemon 「レモンをしぼる」
が典型的(センチュリー、旺文社)。
果汁を明示したい場合
「オレンジから果汁をしぼる」squeeze juice from an orange と言える(東京書籍4500の巻末。ジーニアスだと lemon で似た例文)。
squeeze lemon juice on ~(食品など) で「レモン果汁を~にかける」である(桐原4500、ジーニアスに似た例文)。
「労働者をしぼりとる」「労働者を搾取する」のような表現でも、squeeze を使える(桐原5500、センチュリー)。
なお、いわゆる「ブラック企業」のような会社(労働者を低賃金で長時間働かせる工場など)は、英語では sweatshop (スウェトシャプ)といい、「搾取工場」などと訳される(旺文社1900)。sweat (スウェト)は「汗」という意味の名詞である(桐原4500)。東京書籍4500は sweat および sweatshop を紹介せず。
なお、動詞 exploit 「搾取する」である(旺文社1400(緑)、桐原4500)。
典型的な例文が、
exploit one's workers 「労働者を搾取する」
であろう(ジー二アス、東京書籍、旺文社に似た例文)。
ほか、exploit には、たとえば地熱発電や自然資源などといった資源などを「開発する」の意味や(旺文社1400、桐原4500)、機会などを「利用する」という意味もある(東京書籍4500)。
家計のやりくりなど、なんらかの資金のやりくりなどで、お金をなんとか「絞り出す」というのにもsqueeze は使える(センチュリー)。
ただし、ほかの意味で squeeze には予算などを「圧迫(あっぱく)する」という意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
資金のやりくりと、資金の圧迫では、ほぼ逆の意味になるので、読解のさいには文脈からどちらなのかを読み取ろう。
squeeze には「押し入る」「押し込む」や、人ごみや席などへの「割り込む」「割り込ませる」という意味もあり(センチュリーが押し入りと割り込み。ジーニアスは割り込み のみ)、旺文社が「押し入る」を紹介している。「圧迫する」から「押し入る」などを連想しよう。
indispensable 「不可欠な」は桐原5500巻末や旺文社1900本文と東京書籍4500巻末が紹介しているが、これを直接に覚えるよりも前に、まず、銀行などの「現金支払い機」dispenser (ディスペンサー)を覚えよう(ジーニアスで銀行の「現金支払い機が dispenser だと確認)。
動詞 dispense は、「分配する」とか、機械が「出す」という意味である(ジーニアス、センチュリー)。
なので、コーヒーなどの自動販売機も dispenser である(センチュリー)。
で、形容詞 dispensable は「それほど必要ではない」「なくても済む」の意味である。
「自分はなくても済むので(dispensable なので)、他人に分配できる(dispense できる)」→「分配する機械がデイスペンサー」とでも、こじつけて覚えよう。
で、in- はここでは否定の接頭辞なので、
indispensable 「必要なので分配するわけにはいかない」→「つまり、必要不可欠」→単に「必要不可欠」と言えば済む
のように indispensable を覚えるのが、関連の語彙も覚えられて一石二鳥だろう。
旺文社1900だけ、indispensable の項目で、派生語の dispense 「分配する」「施す」「~なしで済ませる」を紹介している。
桐原5500は、indispensable の類義語で、essential や integral を紹介している。
be indispensable for ~(ないと困る物) 「~は必要不可欠である」
のように使う(旺文社1900、東京書籍4500)が、文脈によっては for でなく別の前置詞や接続詞の場合もある(桐原4500)。
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要約
summary, brief
summary (サマリー)が「要約」の一般的な語でしょう(特に出典は無い)。
要約のまとめ方や業界によって、outline (アウトライン)や brief (ブリーフ)など、別の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
「要約する」の意味が、extract 、compress 、summarize などの単語があります。要約のことを summary (サマリー)と言います。サマリーの動詞形が summarize (サマライズ)です。
ほか、brief も、名詞では「簡潔な説明」の意味、動詞では(読みやすいように手短かに簡略化された説明にする、という意味での)「要約する」の意味です。
桐原4500が brief を「要約」の意味で紹介しています(桐原4500)。
in brief 「手短かに」
の意味です(桐原、旺文社)。
また、
keep it brief 「手短かにする」
です(東京書籍、旺文社)。it の部分は、必要に応じて適した目的語に変えます。
名詞形 briefing は、「簡潔な説明」の意味もありますいが、「事前の打ち合わせ」の意味でも使われます(旺文社)。
compress と extract は、現代ではコンピュータ上の処理で使うし、現代の商業の著作物の大半はパソコンで作られているので、やや使用の歳には注意が必要かもしれません。
summarize のほうがいいかもしれません。
一方、 summarize もまた、辞書や単語集では「要約」を名詞 summary と簡単に言いますが(桐原4500、旺文社1900)、実はサマリー summary と日本語の「要約」は微妙に違います。
英語では、1~2行ていどの短文で短くまとめることを summary と言うこともよくあります。brief だと「記者会見」など別の意味に誤解されるからか、本来なら "brief" というべき単なる1~2行ていどの事実報告でも英米では summary でそういう1行程度の事実報告を言い表す場合もあります。
brief だと、たとえば press briefing が「報道向け説明会」で使われたり(ジー二アス)、briefing session が「定例記者会見」だったり(ジー二アス)、ややニュアンスが「要約」とは異なります。全体像を理解しやすくするよりも、brief は短時間に発表することがニュアンスにあります。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。execution は「処刑」の意味です。
この例のように、summary は日本の「要約」とは、ややニュアンスが違う場合もある。
さて、米英の外交官の著作した回顧録(かいころく)の出版物で読んだのですが、
外交官は、定期的に サマリー summary という1~3行ていどの事実関係の報告を本国によく送るするらしいです。
日本語では、新聞やテレビのニュースにおける「短信」(たんしん)が短いので、近いでしょうか。
大使館の職員でもありますから記者会見(ブリーフィング)とは区別する必要もあるでしょうから、brief ではなく summary でそういう短いを言うのも合理的でしょう。
なお、「回顧録」(かいころく)は英語で memoir (メモワール)です(旺文社1900、ジー二アス)。単語集では、旺文社1900にのみあり、受験英語としてではなく英検準1級対策として紹介されている語です。桐原4500・5500および東京書籍4500にはありません。
外交官とか、この手の報告では、分析は極力交えず、事実だけを報告します。分析は、別途、本国のほうで行ってもらうのです。こうすることで、外交官は情報収集にのみ専念できます。
外交官は滞在先が友好国とは限りませんし、(自国以外との)紛争当事国などの場合もあります。もし友好国でない場合、もしかしたら滞在先の警察や軍隊によって通信が盗聴されたりしているかもしれません。そういう環境で、あまり分析を外交官側で行うべきではないでしょう。
なので、ともかく summary のほか、日本語には「要約」の他に適切な表現があまりないので、summary の訳は「要約」で通じますし、辞書や単語衆にも「要約」だと書いていますし、「まとめ」でも構いません(旺文社)。
「要約」のほか、ジーニアスには「概略」や「大要」、センチュリーには「概要」や「大略」なども書いてありますが、しかし上述のように、1~2行ていどに縮めて報告する書類形式というビジネスなど実務での背景がありますので、いちばん短い感じのしそうな「要約」が無難な表現でしょう。
実際、単語集にも、名詞 summary は「要約」で紹介されています。
これから紹介するのは高校範囲外の単語ですが、英語では、1行要約ではなくて、せいぜい5~8行くらいの文章で要点を列挙して書いたのは outline (アウトライン)などと言います(※高校の範囲外)。
アウトラインを書く場合も、できえば箇条書きにするなどして(ジーにアス)、全体構造を見やすくする必要があります。
ジー二アスには行数の条件は書いてないですが、普通、箇条書きされた説明は、長くて5~8行ていどのものでしょう。1行の箇条書きとか意味不明ですし、100行の箇条書きとか論外です。
ジーニアスいわく、そういう箇条書きされたものが本来のアウトラインとのことです。ジーニアスでは「概略」「概説」、センチュリーでは「概要」「あらまし」を outline
訳にしています。
outline の訳語を覚えるよりも、『箇条書きする等して手短かにまとめたものを「アウトライン」という』と覚えたほうが応用が利くでしょう。
仕事の報告での情報のやりとりなどで、もし1行要約だと短すぎて情報不足なときに、アウトラインによる報告が役立ちます。そういう使い分けをするのが大事です。
もしかしたら英米人のなかには、そういう使い分けをしない人もいるかもしれませんが、そういう人はレポートの書き方を知らない人であり、つまり知的レベルの低い人なので、相手する必要はないです。
まとめると、summary が「要約」の一般的な語だとみなせるでしょう。
要約のまとめ方や業界によって、outline や brief など、専用の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
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重要 crucial, important
決定的な crucial , decisive
4500語レベルの単語集に crucial (クルーシャル)と言う単語があって「決定的な」「主要な」という意味である。
だが、decisive という「決定的な」の意味の単語がある。(東京書籍4500に単語だけ紹介されている。旺文社1900の巻末の章に、単語だけ「決定的な」「断固とした」と意味が紹介されている。桐原4500にはない。桐原5500にある。)
ジーニアスいわく、「決戦」は a decisive battle である。
ジーニアスの例文では、decisiveは「将来を決定する」という意味もあると説明している。
東京書籍4500の crucial 項目の例文で、「そのオーディションに合格することは私の将来にとって決定的な意味をもっている」とある。
ジーニアスでcrucialを見たら、「重要である」という意味であり、例文が「我々が決勝戦に勝つには、彼の支えが重要である。」の「とても重要である」が crucial である。なお、「決勝戦」はその項目を見る限りは the final match である。
crucial の意味で、桐原と東京書籍には「決定的な」と書いてあるが、正直、decisiveのような断固とした気迫が足りない。「決戦」で負けると死ぬが、オーディションで負けたり「決勝戦」で負けても死ぬわけでもあるまい。
あまり論理的ではないが、decisive は、おそらくスペルが同じく"d"から始まる determination 「決心」「決意」の影響を受けてきたのだろうか。
動詞 decide と動詞 determine の違いについては、別セクションで語る予定。
crucial の意味は「非常に重要な」(桐原)で十分だろう。旺文社1900に至っては、「決定的な」の意味は紹介せず、crucial では「重要な」として紹介していない。
まあ、important よりかは重要度が高いつもりのニュアンスでしかないだろう。
旺文社1900では「書類を確認する際は注意することが重要である。」でcrucial を用いている。
桐原4500では「国際貿易はこの国の発展に非常に重要だ。」で crucial を用いている。
まあ、センチュリーcrucial の例文にあるように「彼のホームランは我々の勝利を決定的にした。」でcrucial を用いているように、命をかけるほどでもない野球の試合でも決定的な瞬間はあると思うので、そういう場合は crucial を使うのも良いだろう。
桐原5500にcrucial で「命にかかわる」の意味を紹介しているが、しかしジーニアス英和およびセンチュリー英和では確認できなかった。
そもそも vital という「生命維持に必要な」の意味の形容詞がある(センチュリーで確認)。
そもそも「重要」という概念自体、言葉の割には、vital のような生命への必要不可欠さが足りない。
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外国の
alien, foreign
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
「Foreign Affairs」は直訳すれば「外交の関心事」みたいな意味の雑誌名であろう。
なお、日本の「外務省」も英語版ホームページでは Ministry of foreign affairs である<ref>[https://www.mofa.go.jp/index.html "Ministry of Foreign Affairs of Japan" ] 2022年5月4日に確認. </ref>。
海外旅行とか海外出張とかでは必要な単語のひとつなので、頭の片隅に入れておこう。
ministry とはイギリス英語で省庁のこと。ただしアメリカでは、省庁を department と呼んでいる。
つまり日本政府は、「省庁」についてはイギリス英語を採用。
デパートなんて百貨店っぽい。なお百貨店は英語で department store である。
なおイギリスでも、新設の省庁については department を用いることもあると、ジーニアスは説明している。
さて、「省庁」の呼び名には、あまり深入りしてほしくない。
それより重要なのは、「大臣」 minister である。
大臣のことを minister という。単語集では「大臣」minister の項目に書いてあるが、「外務大臣」は foreign minister である。
今の単語集にはあまり書いてないが、昔はよく「総理大臣」は英語で the prime minister だと高校で習ったものである。いちおう、東京書籍の例文中に「総理大臣」the prime minister がある。桐原には書いてない。
説明の都合上、先に「省庁」 ministry を紹介したが、覚えるなら先に「大臣」minister から覚えたほうが良い。
語源としても、ラテン語で「従者」とかのことをミニステルと言うので、先に「大臣」→「省庁」の順番で単語ができたと考えるほうが合理的である。ジーニアスにも、ラテン語とは買いてないが、「召使い」がminister の語源だと書いてある。
prime については、主要という意味での「第一の」という意味である。センチュリーにある訳語だが、「第一位の」というのがニュアンスに近いだろう。
primeの語源はもともと、カトリックの日課の「最初の」礼拝のこと(ジーニアスで確認)。
primeはこういう意味なので、単に一番目であるだけでなく、さらに重要性の高いものに使われるというニュアンスがある。
ただし、実際の用例では、国家一番や世界一番でなくとも、たとえば肉が美味しい場合でも「極上の肉一切れ」 a prime cut of meat という風にも使う(ジーニアスで確認)。センチュリーにも似た例文がある。
「全盛期」、「絶頂期」という意味もあり、 in prime of his life(またはcareer) 「彼の人生(またはキャリア)の全盛期」みたいにも使う。
「全盛期」には、ほかに短い類義語が無さそうである。和英辞典で「全盛」を見ると、prime のほかに pride とか summer があるが、しかし英和でそれらの項目を確認しても、ニュアンスが違う。pride のほうは、pride of place という語句で「最高位」「最上位」という意味だし、summer は人生における「壮年」などの比喩でしかない。
名詞 foreigner は「外国人」 である。ただ、英語ではこの言い方は差別的な意味合いがあるとのこと。桐原3000いわく、なるべく、たとえば「カナダ人」 Canadian など具体的に言うべきとのこと。
alien
alien (発音: エイリアン)は「宇宙人」という意味があるので、なんとなく、あまりよくないイメージを読者は持ちがちかもしれないが、しかしジーニアスで確認すると、法律上の用語で「外国の」「異国の」という用法がある。
センチュリーによると、市民権をもたない外国人のことを alien と言うとのこと。
alien は、名詞も形容詞も同じスペルの alien である。
名詞 alien は「外国人」「宇宙人」の意味。
形容詞 alien は「外国の」「外国人の」の意味と、「異質の」「なじみがない」の意味。
よくある例文が「その習慣には、なじみがない」で、習慣 custom に alien で「なじみがない」という内容の英文を東京書籍とジーニアスで見かけた。
語法は、
~(習慣など) is alien to □□(人々)
で、
「~(習慣)は□□(の人々)には、なじみがない」の意味。
たとえば、 alien to us なら「私たちにとって、なじみのない」という意味(ジーニアスおよび桐原)。
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国内の
domestic, internal (※範囲外)
「国内総生産」GDPは gross domestic product のことである。domestic violence は「家庭内暴力」である。
「国内の」という意味での domestic が、「外国の」 foreign の対義語である。
domestic ⇔ foreign
さて、 「国内の」 を意味する形容詞 internal は、「国内問題」というとき internal affairs という(ジーニアス、センチュリーで確認)。
なお、数学の図形の幾何学の、「内角」も internal angle である(ジーニアスで確認)。
internal には医療などで「内服の」や「体内の」などの意味もあるが、共通の例文が確認できなかったので、説明を省略する。
なお外角は external angle または exterior angleである(ジーニアス和英で確認。英和にはない。和英)。
なお、「幾何学」は geometry (ジオメトリー)である(旺文社1900)。なお「地理学」はgeography (ジオグラフィー)である(桐原4500、東京書籍4500)。「地形」や「地勢」などもgeography である(東京書籍)。
geo- (ジオ)というのは「地球の」とか「地理の」という意味だが(ジーニアス)、幾何学にも使う。おそらく、古代のヨーロッパでは幾何学の知識を活用して、地図などを作成していたのだろう。
「ユークリッド幾何学」は英語で Euclidean geometry である(旺文社1900、)。「ユークリッド幾何学」というのは、日本では中学の数学で、図形の証明として習う、あの理論の体系のこと。「タレスの定理」とか「中心円の定理」とか、あそこら辺が「ユークリッド幾何学」。紀元前のギリシアの数学者エウクレイデスの名前にちなんで、英語読みでユークリッドになる。
なお、X-Y座標を使って計算する座標幾何学は、ユークリッドではなく「デカルト幾何学」という別の理論体系。デカルトは中世フランスの数学者。デカルトあたりが、座標幾何学の理論を整備しはじめたので。
さて、形容詞 interior は「内部の」という意味の形容詞だが(ジーニアス)、しかし普通は家や自動車の内壁に対して interior を使う(ジーニアス)。
ジーニアス英和の interior によると、幾何学の「内角」を interior angle で表してもいいとのこと。旺文社1900も東京書籍4500も、建築物の「室内の壁」を the interior walls としている。なお、東京書籍は「内部の壁」と和訳。
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生産量
output, production
「生産」を意味する production に、「生産高」の意味もある(ジーニアス)。なお、単語集では、prodcution の「生産高」の意味までは説明していない(東京4500、桐原4500、旺文社1900を確認)。
increase production で 「生産量を増やす」である(ジーニアス)。センチュリーでも、文章は違って完了形などになるが、「映画製作が減少」という内容の文で production を生産量の意味で使っている。
より平易に output でも「生産高」を言える(旺文社、ジーニアス)。
工場などの生産高から(ジーニアス)、芸術などの産物まで(センチュリー)、output で表現していい。
production や produce には、「大量生産」のようなニュアンスがある(東京書籍)。
なお「大量生産」は mass production である(センチュリー)。
なお、テレビ番組や音楽作品などの生産から、その生産された作品なども production である(ジーニアス)。
output の対義語は input である。
つまり
input ⇔ output
である。
input で、名詞としtrは、仕事や活動などへの資材や労働力などの「投入量」、コンピュータへの「入力」を意味する。また動詞としては、「投入する」や「入力する」の意味である(ジーニアス、センチュリー)。
旺文社の単語集には、inputに投入量の意味がないが、しかし辞書で「投入量」を確認できる。
同様に、対義語のoutput は、仕事や活動などの「生産高」や、コンピュータからの「出力」である。動詞としても同様に「産出する」(ジーニアス)や「結果を出す」(センチュリー)や「出力する」である。
input には、仕事・活動などへの援助としての情報提供やアイディア提供などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
東京書籍や桐原の単語集には input や output が見当たらなかった。だがこれからのIT時代、必要になる単語であるので、ぜひとも意味を理解しておきたい単語である。
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「外国」と「海外」
外国へ abroad
海外へ overseas
「外国に」「外国へ」は abroad であり、副詞である。
「海外に」「海外へ」は overseas であり、副詞である。
overseas は字ヅラだけ見れば、海を越えて外国に行くことだが、アメリカでは実際にはヨーロッパへ行くことに使われる事が多い(ジーニアス)。
travel overseas で「海外へ旅行する」である(旺文社)。
travel abroad で「外国へ旅行する」であるが、東京書籍では「海外へ旅行する」と訳している。
from overseas で「海外から」である(旺文社)。
abroad の典型的な例文が、
「私は外国へ(一度も)行ったことがない。」 I have never been abroad.
である(東京書籍、桐原)。東京書籍と桐原で、同じ英文。桐原のほうには和訳で「一度も」がある。
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結果
result, outcome, consequence
桐原4500と東京書籍4500の後半にoutcomeの単語の紹介があるが、良書とも解説を諦めている。
単に 結果のことを result だけでなく outcomeとも言うと、知っておくしかない。
consequenseは、単に「結果」を、固い言い回しにしただけであるが、東京書籍4500によると、「通例望ましく結果にconsequenceを用いる」とこのこと。
センチュリーと東京書籍に「深刻な結果」 a serious consequence と言う例文がある。
副詞 consequently は「その結果として」「したがって」の意味。
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考え
concept, notion ,ほか(idea, thought ,など色々ある)
concept は、たとえば相対性理論の考えだとか、割と抽象的なことに使う。桐原4500いわく、「アインシュタインの相対性理論の概念」は Einstein's concept of relativity である。
notion は、そこまで抽象的でなく、たとえば人生観(ジーニアス)とか宗教観(センチュリー)とか。
ジーニアスでは「人生は航海だという考え」の「考え」を notion としている。
旺文社だと「概念」と言ってるが、無視していい。
概念というより「観念」だろう。
あるいは「観念」という用語をしらない高校生に向けて「概念」と書いたのかもしれないが、そんな底学力層のことは読者は気にしなくていい。
その他、ジーニアスで「意見」、センチュリーで「意向」だと言ってるが、両辞書で説明が一致しないので無視する。
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「規範」と「基準」
規範 code
基準 normal
(学校などの)規律、しつけ discipline
普通 normal, ordinary
「行動」と「指導」と「行儀」、「実践」
行動 conduct(指導のニュアンス)、behavior (行儀のニュアンス)、practice(理論・理念の実践)
習慣・慣習 practice 、 custom、クセ habit
codeには「規範」「暗号」「法典」などの意味がある。
まず、codeの規範について。
ドレスコード dress code は「服装規程」のことである。「ドレスコード」「服装規程」とは、たとえばクラシック音楽コンサートホールとかの上流階級っぽい施設に入場しようとするとき、どんなに金を持っていても、もし服装が短パンとかジーパンとかだと入場を断られることがある。
成人男性の場合なら、背広とかのフォーマル formal な服装とかでないと、そういう場所には入場できないのである。そういうのをドレスコードと言う。
商業施設に限らず、たとえば冠婚葬祭(かんこん そうさい)とかの行事でも、その内容に見合った服装が求められる。
旺文社1900の例文が例文としてドレスコードを紹介しており、まさに大学進学を目指す階級にふさわしく、とても良い。
ダジャレだろうけど、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコード press codeという。普通に科目「日本史B」とか「日本史探究」で、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコードと言うと習う。ついでに覚えよう。英和辞典には press code は見当たらず、どうもGHQの造語っぽい。
ドレスコードの場合、codeは訳では「規則」や「規程」ではあるが、マナー的なニュアンスもある。
ジーニアスで確認したが「不文律」 code of silence という単語がある。
「行動規範」 は a code of conduct である。
ここら辺の表現が、上流階級に求められるマナー的な code であろうか。
その他、ビジネスライク名表現だが、「業務規程」 code of practice というのもある。
なお、「行動規範」 は a code of conduct のついでに言うと、「行動」conduct も類義語があり、behavior が類語後である。なお、旺文社ターゲット1400(中級の難度の本)が、conduct と behave を同じページで紹介している(おそらく旺文社もこれを類義語だと見なしているのだろう)。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多い.音楽の「指揮者」をコンダクター conductor と言うのも、これだろう。
The orchestra was conducted by Seiji Ozawa. そのオーケストラは小澤征爾によって指揮された。(東京書籍4500)
とか
conduct the orchestra オーケストを指揮する(桐原3000)
とか典型。
高校英語では出ないだろうが、物理学の電気伝導のことを conduct という事もある。conduct には、指導とか伝導とかのようなニュアンスがある。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多いが、必ずしもそうとは限らない
conduct interview インタビューを行う(東京書籍4500)
conduct research 調査を行う(旺文社1400)
のように調査研究を行うのに使う場合もある。
behave は、動詞「ふるまう」だが、ニュアンス的には「行儀」のニュアンス。
behave oneself で「行儀よくする」(桐原3000、旺文社1400)
I can't stand His behavior. 彼のふるまいには我慢できない. (東京書籍4500)
東京書籍の例のように、behavior そのものには、指導的なニュアンスは無く、行儀が悪い場合にも使うようである。
conduct は動詞。「行う」、「指揮する」。「指揮者」は語尾が異なり conductor である。
behavior は名詞で「ふるまい」「行動」。behaveは動詞で「ふるまう」。
ほか、practice に、理念や理論などの「実践」の意味があり、単語集にもあります(桐原4500、旺文社ターゲット1900)。
practical 「実践的な」「実用的な」という単語もあるので(東京書籍4500、)、これと関連づけましょう。ほか、思想用語ですが、プラグマティズムという語があり、米国的な実用主義のことです。なお、プラグマティズムはドイツ語やギリシア語が語源なので、高校生には深入りは不要。
熟語で put ~ into practice で「~を実践する」
put his new ideas into practice 「彼の新しいアイデアを実践する」(旺文社1900、ジーニアスに似た例文あり)
the idea to put his ideas into practice 「彼のアイデアを実行するチャンス」(桐原4500)
とか典型です。なお桐原3000にもpracticeがありますが、3000では練習の意味しか書いてません。
practice his religion 「宗教を実践する」(ジーニアス、桐原5500をもとに作成したオリジナル)
She practices vegetarianism. 彼女は菜食主義を実践している。(東京書籍3000そのまま)
ほか、
practical experience 「実地の経験」(東京書籍4500、桐原4500)
が典型です。
対義語は theoretical 「理論上の」です(東京書籍4500、桐原4500)。セオレティカルと、語尾がティカルになります。セオ「リカル」ではないです。セオ「レティカル」です。
「実用的な車」 practical car (東京書籍4500)、実地の経験ある大工 practical carpenter (三省堂グランドセンチュリー)
たぶん大工が高校範囲でないので、東京書籍が気を利かして car 「車」に置き換えたのだろうと思います。
なお、理科などの実験は experiment です(東京書籍3000、旺文社1900)。
旺文社1900だとpracticeとexperiment が同じページに書いてあり、おそらく、類義語のようなものと見なしています。
practice には「練習」の意味があります。というか、先に「練習」の意味のほうを、多くの中高生用の学校用の単語集では習います。
exercise にも「練習」の意味がありますが、上記のように practice は宗教や思想にも使うので、なんかニュアンスが少しだけ重いです。
また、単語集には無いですが、practiceには「慣習」の意味もあります。「練習」などの派生的に覚えましょう。
宗教とか地域文化とかそういう単語で practice が使われている場合は、宗教の実践なのか、それとも宗教の慣習なのか、どちらなのか判別が面倒です。このため、入試では要求されないでしょう。あまり特定の宗教に深入りするのも入試的にアレですし。
慣習・習慣 practice 、custom、habit
custom は、社会の習慣でも(東京書籍4500、旺文1900)、個人の習慣でも使う(桐原3000で個人の習慣を紹介)。
社会の慣習の意味の場合、custom と practice の区別は難しい。
custom やhabitは、意外と難度の高い単語と見なされており、東京書籍4500や旺文社1900など上級レベルの単語集でも紹介されてる。
habit は個人の習慣。個人の「癖」(くせ)が habit である。
このためか旺文社1900および東京書籍4500では対比として custom を「社会的な慣習」としているが、しかし実は個人の習慣にも custom を使う(桐原3000)。
the custom of visiting shrine on Wew Year Day 「神社を新年に参拝する風習」(旺文社1900)
the custom of giving year-end gift 「お歳暮を贈る慣習」(東京書籍4500)
もちろん日本以外の外国にも custom を使ってよく、
another country's customs 「他国の慣習」(桐原3000)
habit で入試で典型的なのが、個人の食習慣。
well-balanced eating habits 「バランスのとれた食習慣」(旺文社1900)
the habit of eating between meals 「間食の習慣」(東京書籍4500)
She has a habit of playing with her hair when she's nervous. 「彼女には緊張すると髪をいじるくせがある」(桐原3000そのまま) ※辞書を見ても他にろくな例文が無いので、そのまま紹介
habit of ~ing で「~する習慣」である(旺文社1900)。
She has a habit of speaking quickly when she is angry. 「彼女には起こったときに早口で話すくせがある」(東京書籍4500そのまま)
つまり単語集の典型例として、
He / She has a habit of ~ing ○○ when he/she is □□. 「彼/彼女には□□したときに〇〇を~するくせがある」
この桐原の例のように、無意識の「癖」にhabit を使う。
だが、他にも、喫煙とか麻薬とかそうのの悪癖にも habit を使う(ジーニアス)。この悪癖は入試には出ないだろう。辞書を見ても、麻薬とかそういうのの habit ばかりなので、桐原の髪の例文をそのまま紹介させてもらった。
しかし、良い習慣にも habit を使っても良い(東京書籍4500など)。
healthy habits 「健康的な習慣」(東京書籍4500)
habit of rising early 「早起きの習慣」(ジーニアス)、habit of getting up early 「早起きの習慣」(グランドセンチュリー)
「習慣」の意味で practice を使う場合、地域などの集団の慣習。宗教とか風土とか。 ※ 入試範囲外だが汚職などの悪風の場合も、practiceを使う(ジーニアス)。
マナー以外にも code は使い、「民法」は the civil code , 「刑法」は the criminal code である。
だが、「lawで十分じゃん?」と思ったのか、東京書籍4500ではcodeの項目を見ても「暗号」しか紹介していない。なお、桐原4500の例文が、アメリカの各州の刑法 criminal code の違いの話題(いわゆる「州法」)。
おそらく東京書籍は、マナーの話をしたいなら manner で済むだろう、という発想だろう。なお、manner も英語であり、東京書籍4500にもmannerが書いてある。
「暗号」については、典型的な例文が
「暗号を解く」 break a code
である(東京書籍4500, 桐原4500)。
normal (ノーマル)は、日常的には「普通の」「平均的な」という意味である。
だが、学問としては、労働などの「基準量」の意味を覚えておきたい。
日本では最近はすたれた言い回しだが、ソ連語の由来で「ノルマ」という、たとえば1日あたりの、しなければならない労働の最低量として「ノルマ」という語があった。
単語集にはないが、辞書で normal の意味に、数学の「直角の」という意味もある。おそらく、古代ギリシア人あたりが、角度の基準として直角(90度)を採用したのだろう。
なお、数値的な「平均の」を言いたいなら、 average である。形容詞「平均の」も名詞「平均」も average である。桐原4500では、normal のページといっしょにaverage も書いてある。
normal の対義語 abnormal は「異常の」「異常な」の意味である。
逆に考えれば、normal の意味は、「通常の」「正常の」でもある。桐原のnormal に「正常な」が書いてある。東京書籍の副詞 normally に「通常は」が書いてある。
ordinary 「ふつうの」「平凡な」は、よく「生活」と結びついて、ordinary life 「ふつうの生活」(東京書籍の訳)または「平凡な生活」(桐原の訳)
ordinary はこのように、並外れた部分がないというニュアンスがある。
逆に対義語の extraordinary は、「並外れた」の意味である。
「異常気象」は extraordinary weather である(東京書籍、ジーニアス)。
単語集にはないが、「臨時国会」も an extraordinary Diet session (ジーニアス)あるいは an extraordinary session of Diet (センチュリー)のように言えることも、覚えておきたい。なお、Diet とは、日本の「国会」のこと。外国の国会の呼び名は違っている場合も多いので、外国の国会のことを言いたい際には、その国ごとの呼び方を調べること。
そのほか、ルールに従わせるための統制や、そのための訓練のことなどを、 discipline という。
子供の「しつけ」や、学校の規律などが discipline である。
ジーニアスいわく 「学校の規律」 school discipline である。
また、センチュリーいわく「学校での規律」は discipline in school である。
子育てや教育にかぎらず、たとえば行政などの「金融統制」は financial discipline である(ジーニアス)。
そのほか、単語週では旺文社1900しか紹介していないが、大学での「学科」や「学問分野」のことも discipline という。辞書には普通に「学科」も「学問分野」も書いてある(ジーニアスで確認)。なお、実は旺文社では「学問分野」しか書いてないが、説明の都合で段落冒頭では「学科」も加えて紹介した。
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通訳と翻訳
「通訳する」「解釈する」 interpret
「翻訳する」 translate
「通訳」とは、普通、口頭での翻訳のこと。
だから翻訳サイトの「グーグル翻訳」も、べつに口頭でのやりとりではないので、英語では google translate なわけである。
「通訳者」は interpreter である。
「同時通訳」は simultaneous interpretation である(旺文社 simultaneous、ジーニアス、センチュリー)。
simultaneous は「サイマルテイニアス」と読む。シミュ~とは読まない。
名詞形の「通訳」「解釈」は interpretation である(旺文社)。
東京書籍と桐原だと「解釈」の意味しか紹介していないが、しかし上述のように「同時通訳」でも interpretation は使われるので、「通訳」の意味も覚えるべきだろう。
なお、数学の「連立方程式」は simultaneous equation である(ジーニアス)。
simultaneous の部分が「連立」である。 「方程式」は equation である。
翻訳者は translator である。
[[カテゴリ:英語]]
2cus6eefk8q6pfvg3hrcb2jqmuia3bk
246651
246603
2024-04-13T05:53:39Z
すじにくシチュー
12058
桐原5500 に deliberate 「意図的な」という語があるが(昔の上智大に出た単語らしい)、intention などとの使い分けが英和辞典を見ても言及されておらず、またネットで調べても情報が一致しない。あるサイトでは、欲求にしたがった意図だという主張もあれば、別のサイトでは熟考した上でも意図だという主張もあり、不一致である。
wikitext
text/x-wiki
==== ※ 分割用タイトル ====
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設立
constitute と establish と found
found という動詞がある。動詞「見つける」find の 過去形foundとは別に、原形で「設立する」のfoundという動詞がある。
「設立する」は活用が、
原形 found - 過去形 founded - 過去分詞 founded
と変化をする。
foundの意味は「設立する」。「創設者」を名詞 founder と言うのを記憶の土台にすると、覚えやすいだろう。名詞 foundation で「基礎・基盤」や「建設・設立」などの意味。化粧でファンデーションとあるが、あれは和製英語ではなく、れっきとして foundation cream という英単語がある(ジーニアス英和で確認)。
ちなみに金融などで「ファンド」といわれる単語は fund (原形がfund )というまったく別の単語。組織などの「資金」「基金」が名詞でfundである。動詞 fund は、組織などに「資金を出す」こと(旺文社1400)。
なお、「基金の基金を集める」は raise a fund である(旺文社1400。ジーニアス)。また、raise money で「資金を集める」である(東京書籍4500。桐原4500)。
constitute は、議会や制度などを「設立する」。
なお、センチュリー英和によると、「議会を設立する」 constitute an assembly とのこと。
establish は、組織を「設立する」。たとえば桐原4500に「早稲田大学を設立する」という例文で establish が紹介されている。
ジーニアス英和によると、政府・学校・会社などを「設立する」のが establish である。
センチュリー英和によると、国家・政府などを「樹立する」のも establish である。
だが、それよりもestablishは、単語集にはないが、評判などを「確立する」の意味で覚えるほうが良い。
たとえば、センチュリー英和やジーニアス英和にあるが、国家体制など既存の「体制側」や「支配層」のことを establishment という。
いっぽう constitute には、こういったニュアンスはないだろうから。
set up
set up は「創業する」「創設する」の意味である。
このほか、set upには、テント(a tent)や看板(a sign)などを「立てる」という意味もある。
センチュリー英和にもあるが、コンピュータの初期設定のことを set up という。
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主張 claim と insist と argue と contend
議論する argue, discuss
センチュリー英和によると、claimは、当然の権利として「主張する」、あるいは事実であるとして「主張する」の意味。
claimとinsistのどちらにも、「要求する」の意味がある。
だが、claimの要求は、権利としての要求である(東京書籍4500)。
いっぽう insistの要求は、単に強く要求しているだけである。
insistは、特に、強く「主張する」意味である。
ジーニアス英和およびセンチュリー英和では、無罪の主張でinsist on が用いられている。
日本語の、批判のような意味での「クレーム」は、和製英語であり、センチュリー英和のclaimの説明によると、英語にこの意味はない。
なお、「文句を言う」は英語で complain である。
:(※ たぶん範囲外?)海外旅行などで「荷物の受け取り」のことを baggage claim という<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P140</ref>。このように、日本語の「クレーム」と英語のclaim は、だいぶニュアンスが違う。
記号「!」 のことを exclamation (イクスクラメイション)というが、これも動詞 exclaim (イクスクレイム)「さけぶ」の名詞形である。
なお、荷物 baggage は集合名詞なので たとえば複数の荷物を言うときは、 ~ pieces of baggage になる<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P153</ref>(桐原3000)。
発音注意であり、baggage 「バギッジ」である。
なおbaggageはアメリカ英語。イギリス英語だと luggage 「荷物」になる。
一方、「カバン」bagは具体的なカバンのことをいうので、普通に数えられるので、bagの複数形は bags である<ref>『All aboard! English Communication I』、東京書籍、令和3年1月29日検定済、令和4年2月10日発行、P145</ref>(桐原3000)。
さて、claim する人(主張者)のことは claimant である。
ただし、権利の主張などは、insistとclaimのどちらでも良い。
argue は、理由をあげて「主張する」の意味である(東京書籍4500)。argue that ~ で「~だと主張する」の意味である。argue with ~(人) で「~(人)と言い争う」の意味である(桐原4500および旺文社1400)。
なお、argueには、用法によっては、やや非友好的に「議論する」ニュアンスもある。ジーニアス英和にも、argue は「discussよりも非友好的」と記述がある。
たとえば検定教科書 "Standard Vision Quest I" でも、 argueは「言い争う」といった意味であると紹介する一方、discuss は「議論する」であると紹介している<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
ただし、実際には argue には「説得する」などの意味の用法もあるので、ニュアンスの違いはあまり明確ではない。
センチュリー英和に、弁護士の「弁論」をargueとした例文があったが、もし法廷闘争での敵対陣営同士の「弁論」ならargueのほうが、ふさわしいだろう。
なお、「口論する」は quarrel である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
contend は、(東京書籍4500いわく)「強く主張する」とか、(桐原5500いわく)「論争する」とかの意味。
桐原5500の例文にあるが、contend in court で「法廷で争う」。
旺文社1900によると名詞 contention で「主張」「論点」の意味。
旺文社1900とセンチュリー英和が紹介しているが contend that ~ で「~だと主張する」。
旺文社1900 で熟語 an issue of contention (「議論の対象となる問題」)が紹介されてるが、しかしジーニアス英和でもセンチュリー英和でも確認できなかった。
* 異議を唱える
challenge
challenge には課題や競技相手などに「挑戦する」の意味もあるが、議論などで相手に「異議を唱える」の意味もある。
たとえばジーニアス英和からの抜粋だが、 I challenged her. 「私は彼女に異議を唱えた。」
旺文社1900からの抜粋だが、 He challenged the common belief. 「彼は常識に異議を唱えた。」
センチュリーからの抜粋で、 He challenged my statement. 「彼は私の言うことに異議を唱えた。」
challenging で「やりがいのある」。東京書籍3000に例文がある。辞書を見ても、あまり例文が無いので、当ページでは紹介しない。
なお単語集にはないが、ジーニアスによると、競技などで challenger 「挑戦者」 ⇔ defender 「選手権保持者」(防衛側)
である。defender の項目で調べると書いてある。
競技では、challenge は試合を「申し込む」などの意味である。
たとえば、東京書籍3000の例文だが、
Dan challenged me to a game of tennis. 「ダンは私にテニスの試合を申し込んだ。」
また、センチュリー英和に似たような例文
I challenged Betty to a game of tennis. 「私はベティにテニスの試合を申し込んだ。」
がある。
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防御
defend , guard , protect
まず、「ガードマン」は和製。
guard だけで「警備員」の意味がある。特に、警備員であることを強調したい場合、 a security guard という(東京書籍、旺文社)。
a security をつけずに「警備員」と使用してもいい。桐原3000の英文は銀行の「警備員」に、 a security をつけていない。
さて、defend は動詞。guardは名詞および動詞。protectは動詞。
なお、guardian とは、未成年などの「後見人」のこと。旺文社1900ではguardian を「保護者」「後見人」と紹介している。
そのほか、センチュリーでは、たとえば世界平和の「守護者」とか、そういう意味の「守護者」のことを guardian という。そのほか、ジーニアスには guardian の意味のひとつに「保護者」と書いてある。
protect は、病気などから「守る」場合にも使えるが(東京書籍3000)、ジーニアスによると人間などの相手でも使っていいようである。
辞書や単語集では「保護する」と訳される場合もある。
名詞 protection は「保護」の意味。
辞書によると、関税によって国内産業を「保護」することも protect である。また、風雨からの保護の「雨よけ」「風よけ」も 名詞 protection である。
さて、ジーニアスによると、「家族を守る」でprotect one's family である。ジーニアスでは文脈は述べていないが、普通の感覚では、病気とかではなく犯罪などから家族を守ることだろう。
日光(sunlight, sun)から目を守ったり(ジーニアス、センチュリー)、肌を守ったりするのも(桐原4500)、protectである。
たとえば、 protect one's eyes from sunlight 「日光から目を守る」
である。
protect 〜 from B で、「〜(守られる対象)をB(危険側)から守る。」である。
なお、子育てなどでいう「過保護」は英語で overprotect である(桐原5500)。
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汚染
pollute と contaminate
違いは不明確。
桐原5500にcontaminate がある。polluteは桐原・東京書籍の4500にある。
一応、ジーニアス英和および桐原5500には、「毒物や放射能」による汚染を contaminate としているが、彼らがそういう説を言っているだけ。クラウン英和はその説を採用していない、
実際にクラウンの例文を見ると、車の排気ガス汚染で、contaminate という動詞を用いている。
:Car exhaust contaminate the air. 車の排気ガスは大気を汚染する。
という文がクラウン英和にある。
しかし東京書籍4500では、工場の煤煙による大気汚染が pollute である。
クラウン英和にある大気汚染 air pollution のように、そういう用語が既にあるので、実務では業界の用語ごと覚えるしかない。
※高校生としては、不正確かもしれないが、とりあえず「汚染」はすべてpolluteで覚えておいて、実務などで「この場合はcontaminete を使え」と修正された場合にだけ contaminate を使うのが良いだろう。
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傷(きず)
wound, injured, harm, hurt
動詞 wound は、刃物・銃などで「傷つける」、「負傷させる」。桐原3000だと「傷つける」、東京書籍4500だと「負傷させる」。
ジーニアス英和hurtの説明によると、戦いでの負傷には wound を使うとのこと。
hurt は、感情なども含む「傷つける」。
センチュリー英和だと、hurtには、「傷による苦痛に重点がある」とのこと。
名詞 injury が「けが」という意味。これが「けが」の基本的な単語である。
さて、~ be injured で「~が、けがをする」の意味である。
~ be injured in ・・・ で「~(けが人)が,・・・(原因)でけがをする」である。
単語集によくある典型的な例文が、
「彼はその事故でけがをした。」 He was injured in the accident.
である。
単語集では、自動詞 hurt で「痛む」の意味があり、東京書籍4500で例文を紹介。一方、桐原4500は例文なし。
「おなかが痛い」(※東京書籍4500)とか(靴擦れで)「かかとが痛い」(※センチュリー)とかでも、hurtを使っていい。
桐原4500に名詞 hurt で、「傷」の意味が紹介されている(例文なし)。東京書籍4500にはなし。
hurt には「けが」・「傷」・「苦痛」の意味がある。
「傷」の意味では、injuryとほぼ同義だと、ジーニアス英和が言っている。
hurtとpainの違いが気になるが、あいにく辞書には書いてなかった。
ややしいことに「痛み」を意味する名詞 pain には、「苦労」の意味もある。苦痛ではなく苦労なので、いい意味でも使われる。
なお、painは名詞の用法が基本的な意味だし、名詞の意味は「痛み」。
hurt は動詞の用法が基本的な意味だし、動詞の意味は「傷つける」。
辞書を見ると、実は動詞のpainもあるが、これは「痛む」の意味である。(「傷つける」ではない)painはあくまで「痛み」に関する単語
名詞 harm は「害」の意味。なお、harmful で「有害な」の意味の形容詞<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P111 </ref>。
東京書籍およびジーニアスによると、日光や光によって「目をいためる」のは harm である。
飲酒や喫煙などの「害」がharm 。桐原4500に喫煙の害。センチュリー英和に飲酒の害。
このように、比較的に痛みを伴わないものにも使われる。(センチュリーにもそう書いてある。)
だが、「目をいためる」ように、実際に痛いこともある場合にも使われるので、まあ傾向の程度。
ネットでときどき「有害コンテンツ」という用語があるが、「有害コンテンツ」も英語で harmful contents である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P121</ref>。
ほか、旺文社1900のsubstance ’物質)の項目が言うには、飲食物などに含まれていたら困る「有害物質」は harmful substances である。
さて、動詞 suffer が「苦しむ」という意味だが、 be suffering from ~ で、「~(原因)で、苦しい(つらい)」的な意味。
東京書籍 be suffering from a toothache 歯が痛くてつらい
桐原 be suffering from a backache 背中が痛くて苦しい
などと訳している。
ジーニアスによると、 「風邪をひいている」 be suffering a cold のように痛み以外でも使っていい。ほか、「英国はインフレで苦しんでいる」 be suffering from inflation のように使ってもいい。
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やわらげる
relieve, ease
苦痛などを「やわらげる」は動詞 relieve である。
典型的な例文で、(風邪薬などで)「頭痛をやわらげる」 relieve a headache がある(東京書籍4500およびセンチュリー)。
誰が風邪薬を飲んで誰の頭痛をやわらげるのかによって、飲んだのが「私」だったら relieve my headache になったり、教材ごとに主語による多少の違いがある。
どちらにせよ、単に柔らかいわけでもなく、単に軽減するわけでもなく、苦痛などを減らすのが relieve である。
relieve A of B(苦痛など) で、「AからBを除いて楽にする」の意味。
熟語 get rid of ~ 「~を取り除く」と関連づけて覚えよう。実際、桐原4500がそういう構成である。
名詞形は relief であり、「安心」「緩和」「救援」などの意味である(単語集にある)。単語集にはないが、野球のリリーフも同じrelief である(センチュリーで確認)。
sigh with relief で「安堵(あんど)のため息をつく」である。sigh (発音「サイ」)は、動詞としては「ため息をつく」、名詞としては「ため息」である。
例文は、
She sighed with relief. 「彼女は安堵のため息をついた」
である(東京書籍4500 項目 sigh。旺文社1900 項目 sigh)。
ともかく、「安心」的なのが relieve のイメージなので、be relieved to ~(動詞) で「~で安心した」という形容詞的な用法になる。
というか、辞書ではジーニアス英和でもセンチュリー英和でも、 relieved を形容詞として紹介している。
ease (イーズ)という動詞および名詞がある。これも動詞ease は「やわらげる」「取り除く」の意味である。これは形容詞の「簡単な」 easyの、名詞計および動詞形である。
名詞 ease は「容易さ」「気楽さ」「軽減」の意味である。
This medicine eases the pain. 「この薬は痛みをやわらげる。」
のように使う(東京書籍および旺文社に似た例文)。
ジーニアスによると、頭痛 headache をやわらげるのに ease を用いてよく、旺文社によると胃痛 stomach pain をやわらげるのに ease を用いている。
このような薬による「取り除く」「やわらげる」の意味での ease は、ジーニアスによると、relieve とほぼ同義語とのこと。
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取り除く
remove, eliminate
remove は、「取り外す」の意味に近い。
たとえばパソコンのUSBスティックメモリなどを「リムーバル・メディア」などというが、取り外したあとに、別に捨てるわけでもなく、消去するわけでもない。
このように、remove は単に「取り外す」「取り除く」というニュアンスである。
名詞 removal (リムーバル)「取り外し」という単語も存在しています(東京書籍4500)。
形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」という単語もあります(東京書籍4500)。
「リムーバル」はけっして形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」の誤記ではないです。間違えないように。
一方、eliminate は、取り除いたあとに、処分することを念頭に置いている。または、取り除いたあとに、再度の取り付けの意思がないものに使う。
なので、eliminate で取り除かれるものは、ゴミだったり、あるいは犯罪などの社会悪だったりする。
または、解決すべき問題を片付けることも eliminate である(東京書籍)。
だから eliminate の訳語は「取り除く」である。外すのではなく「除く」に、そういうニュアンスがある。
eliminate (A) from (B) で、「AからBを除去する」である。fromの後ろにあるBが、抹消されるべき対象である。
こういう単語なので、単語集にはないが、ジーニアスを見れば、敵軍などを全滅させる事も eliminate と言うこともある。
なお、生物種の「絶滅」は extinction (エクスティンクション)である。
熟語 get rid of ~ は、そこまであれこれと考えていない。remove的にも使われるし、eliminate 的にも使われる。あるいは、remove と eliminate の中間だと思っておけばいいかもしれない。
さて、 exclude は、「除外する」である。
これよりも、形容詞の exclusive エクスクルーシブの意味「排他的な」のほうが分かりやすいので、そちらを説明する。
exclusive 「排他的」とは、最初から内部に入れない、という意味である。
だからexclude は、最初から中に入れないように「締め出す」という意味もある(桐原で確認)。
excludeの「除外する」の意味については、可能性などを「除外する」という意味もあり、ジーニアスの例文だと、たとえば「明日、雨が降る可能性は除外できる」みたいな割と平和的な「除外する」にも exclude を用いることもできる。
そのほか、exclude は、見当などの際に「考慮に入れない」という意味もあり(ジーニアス、センチュリー、旺文社で確認)、たとえば旺文社の例文では「税金は価格から除外されている」という意味の英文で exclude を受身計で用いている。
なお、対義語は include であり、「含む」という意味である。
たとえば「税込み 5ドル」は
<nowiki>$5,</nowiki> tax include
である。
典型的な例文は、
「料金は税込みですか?」 Does the price include tax?
がある( ジーニアス(ただしpriceでなくrate)、 東京書籍(ただし「料金」でなく「価格」と和訳) )。
また、-clude とは「閉じる」の意味である。
だから、たとえば conclude は、話を閉じるので「結論づける」「締めくくる」の意味。conclusion は「結論」の意味。
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消去する
erase , delete
(※ 範囲外)火を消す extinguish
鉛筆で書いた文字を消しゴムで消すのが erase である。
また、消しゴムをアメリカ英語で eraser (イレイサー、イレイザー)という(東京書籍1800、旺文社1900)。なおイギリス英語では rubber である。
黒板ふきも eraser である(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
コンピュータのデータを消すのは、erase も delete も使われるが(ジーニアスで確認)、しかし現代では delete でデータ消去を表すのが普通である。
実際、パソコンのキーボードにも delete キーがある。
旺文社の例文も、メールの削除を delete で表現している。
なお、東京書籍と桐原の単語集には delete は見当たらない。
昔なつかしいテープのデータを消去するのには、erase が使われるようである(ジーニアス、センチュリーにerase でテープのデータを消す用法あり)。
erase で消すのは、文字のほかにも、感情を「消す」などの表現でも使われる(ジーニアス、)。
「記憶を消せればいいのに」みたいな表現でも erase を使う(旺文社、ジーニアス)。
辞書にはないが、delete はもともと動詞で「削除する」「消去する」の意味であるが、現代ではパソコンのデリートキーを表す名詞として、delete が名詞としても使われる(旺文社1900)。辞書のほうが遅れている。旺文社1900が正しい。
なお、名詞形 deletion 「消去」「削除」という単語もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
高校範囲外ですが、火を「消す」は動詞 extinguish (イクステングィッシュ)です。
extinguish は一見すると見慣れないですが、実は高校範囲の単語「絶滅」 extinction (イクスティンクション)の動詞形です。
extinction のスペルのままでは動詞の意味は無いです(センチュリー、ジー二アス)。
消防士による「消火する」から(ジー二アス)、たばこの火を「消す」まで(センチュリー)、extinguish で表現できます。
なお、extinct は形容詞「絶滅した」「消滅した」です。
ほか、生態系の「絶滅危惧種」は an endangered species である(桐原4500 species、ジー二アス endangered)。東京書籍と旺文社には、species の項目自体はあるが、絶滅危惧種はない。
なお、植物の「種」(たね)は、seed という別の単語である(東京書籍4500、桐原3000)。
典型的な例文は、
「農場に種をまく」 plant seeds in the field
である(東京書籍4500、桐原3000)。
plant は「種をまく」という意味の動詞。
field は「農場」である。
動詞として seed 「種をまく」という用法もあるが、旺文社以外1200は紹介していない。少なくとも、桐原3000と東京書籍4500には、動詞の用法が紹介されていない。
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疑い
suspect ,doubt
doubt ~は、「~が信じがたい」の意味。 → don't think に近い
たとえば doubt if ~で「~かどうか疑わしい」。doubt that~で「~でないと思う」である。
suspect ~ は、「どうも~のようだ」のような意味(ジーニアス英和) → think に近い
旺文社1400にあるdoubt 例文で、
doubt ifの例文「私は神が存在するかどうか疑わしく思う」I doubt if god sexists.
および
doubt that の例文 「私は神は実在しないと思う」I doubt that god exist.
が覚えやすいだろう。
suspect~ の 目的語(~)の部分は、原因や容疑などがくる。
例文として「食中毒を疑う」 suspect food poisoning とか(東京書籍4500)、
容疑者は名詞 suspect である。
このほか dubious と言う「疑わしいと思う」(桐原5500)という単語があるが、辞書の例文が不足していてよく分からなかった。単語集では桐原5500に書いてある。
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治療と回復
「治す」 heal, cure ,
「~が回復する」は recover
「~を回復する」は restore
「気分の回復」は refresh
「(健康などを)取り戻す」は regain
医療や薬などによって、けが や病気を「治す」一般的な語は cure である。
外傷を治す場合は heal が好んで使われる。
cure ~(人) の語順である。
けが を治す場合、
cure ~(人) of □□(けが・病気)
の語順である。
典型的な例文が
「その薬が彼の病気を治すでしょう」 The medicine will cure him of his disease.
である(ジーニアスの例文を改造し、「あなたの病気」から「彼の病気」に変更)。
桐原にも似た例文があり、
This medicine will cure him of the disease. 「この薬が彼の病気を治すだろう。」
とある。
his disease か the disease かなどの多少の違いはあるが、まあこんな感じの英文になる。
get rid of ~ などと同様に、ofの後ろには取り除かれるべき物が来る。
heal も同様、
heal ~(人) of □□(けが)
の語順である。
だが、東京書籍4500および桐原4500いわく、 heal the wound 「けがを治す」のように、ofを使わずに使われる場合もある。
recover は「回復する」である。
recover from ~ で「~から回復する」である。
動詞 restore は、
「秩序を回復する」 restore order
のような例文が辞書で典型的(ジーニアスとセンチュリーの両方にある)。
さて、旺文社 store 項目によると、パソコンなどで、データをバックアップすることは store である。
そして、単語集にはないが、バックアップをもとに設定データなどを自動的に「復元する」ことを restore という事がよくある。
辞書によると、古い建築物や美術品などを復元することも restore である。
東京書籍4500では、教会を修復するのを restore としている。その教会が古いかどうかは東京書籍4500には書いてない。
桐原では、桐原5500にrestoreが書いてある。
けがの回復ではなく、ちょっとした疲れやノドの渇きや気分などを、軽い飲食物や短時間の休養などで回復させるぐらいの場合は、動詞 refresh (リフレッシュ)で表せる。
旺文社1900がrefreshを紹介している。桐原・東京書籍は紹介せず。
ジーニアスいわく、冷たい水を飲むのも refresh である。
refresh は主語や述語の語順のつかいかわけが難しいので、例文を省略する。
センチュリーいわく、入浴で疲れをとるのも refresh である。また、ジーニアスでもセンチュリーでも、アルコールで気分を回復するのが refresh である。
そのほか、ジーニアスによると、コンピュータなどのディスプレイ上の画像が更新されるのも refresh である。これからのIT時代は覚えておきたい。
regain one's health で「健康を取り戻す」という慣用表現である(ジーニアス、旺文社1900)。
旺文社1900にしかなく、番号 1502 / 1900 の単語。少なくとも桐原4500・5500と東京書籍4500にはない。
He regained his health. 「彼は健康を取り戻した」
のように使う(センチュリー)。
「意識を取り戻す」 regain consciousness もよく使われる(ジーニアス、旺文社1900)。
たぶん She regained consciousness のように使う(旺文社に似た例文)。
また、この用例から分かるように、健康的なものを取り戻す場合、普通は主語が自身の健康を取り戻すのに regain を使う。
「自由を取り戻す」(センチュリー)とか「都市を取り戻す」(ジーニアス)とかの政治的なことも regain である。
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蓄え
store , stock
store は「店」という意味の名詞でもあるが、「蓄える」という意味の動詞でもあり、さらに「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもある。
なお、storeを「店」の意味で使うノはアメリカ英語。イギリス英語では店はshopである。桐原3000にも東京書籍3000にも書いてある。storeは3000語レベル。
stock は「在庫」や「株式」という意味の名詞でもあるが、「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもあり、さらに商品を「店に置く」「仕入れる」などの意味の動詞でもある。桐原と旺文社は、「仕入れる」の意味まで単語を紹介している(ただし例文なしで単語のみ)。
stockは4500語レベル。
しかし単語集では、ややこしいので、stockについては、「株式」「在庫」の意味の名詞だとしてしか、紹介していない。しかし実はstockも動詞の用法があるのである。
センチュリーによると、食料の「蓄え」は、stock でも store でもよい。
たとえばセンチュリーのstockの例文は「我々の食料の蓄え」Our stock of food である。センチュリーのstoreの例文は(リスが冬の備えての)「食料を蓄える」lay in a store of food である。
このように、どっちでも食料 food を蓄えられるので、区別がつかない。
storeは別にリスのような動物限定というわけでもなく、たとえばセンチュリーで図書の「蔵書」 a book of store などの表現もある。
storeが店での商売関係というわけでもない(もし商売に限定だすると、図書の蔵書とかリスの食料とか、説明がつかない)。
なので、stock に「株式」「在庫」の意味があるとか、覚えるしかない。
桐原および旺文社いわく、
be out of stock で「在庫が切れている」
の意味。桐原は例文も紹介。旺文社は例文なし。東京書籍は紹介せず。
例文は桐原も東京書籍も旺文社も、在庫の例文である。
単語紹介だけでが、桐原いわく「株式市場」stock market
旺文社いわく「証券取引所」the stock exchange
である。
語源を調べてみても、 stock の語源は木の「棒」stick と同じだと書いてあるだけで、stock と storeとの区別には役立たない。
さて、単語集にはないが、パソコンなどのハードディスクなどの貯蔵量のデータ記録デバイスのことをストレージ storage という。
ついで、単語集にある情報だが、 storage は、「貯蔵庫」や「保存庫」の意味で、東京書籍4500の巻末にだけ、解説なしで、単語と例文だけ書いてある。
辞書を確認のため見たが、ジーニアス英和は家具の「保管」を storage といい、センチュリー英和は単に「倉庫」を storage といい、あまり共通性はなさそうなので、深入りしない。
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愚か
形容詞 foolish, stupid, silly, ridiculous などがある。
このうち、 foolish, stupid, silly, は、「愚かだ」「馬鹿げている」の意味。
このうち silly は口語調。
<nowiki>Don't be silly.</nowiki> で「馬鹿げたことを言わないで。」という典型的な例文があり、東京書籍4500でも紹介されている。
名詞foolが形容詞になったのが foolish である。
stupid は、辞書によると、foolish よりも、けなしの意味が強い。口頭では使わないほうが安全だろう。
ridiculous は、「不合理で馬鹿げている」意味。センチュリーによると、ridiculousには、あざけりや物笑いの意味もあるとのこと。
単に「不合理だ」の意味なら、 absurd を使う。桐原5500にabsurdが書いてある。なるべくabsurdを使うほうが高尚だろう。
センチュリーによると、absurdは、不合理さ・非常識さを強調している。
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移行と移転と移動
migrate, transfer ,
桐原4500に名詞形migrant (移住者)が書いてありますが、英語では動詞 migrateとは「移住する」や、渡り鳥の「渡る」のことです。
しかし単語集にはないですが、そのほかにもmigrateには、IT用語では古いシステムに入っていたデータやプログラムを新しいシステムの中へと「移す」ことや、開発環境などのシステムを新システムへと「移行する」という意味もあります<ref>[https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/migration.html マイグレーション | IT用語辞典 | 大塚商会]</ref>。
なお似た言葉にreplaceがありますが、これはサポート切れなどで古くなったりして(obsolete)使えなくなったソフトウェアなどを現在の稼働中の使えるバージョンのものに「置き換える」(replace)ことを意味します。
英語では、「『移住』にシステム環境『移行』の意味もある」と覚えることが本質的な理解でしょう。
なお、スペルの似ている immigrate に、(外国から)「移住する」の意味があります(桐原4500)。またなお、桐原4500にも書いてあるが、空港などの入国管理が名詞 immigration である。英会話の教材などでよく immigration が出てくる。
immigrate と migrate の意味の違いを把握するため、辞書の説明に逆らって、私たちは migrate は(環境を)「移行する」で覚えましょう。
これが、moveやtransfer と、migrate との違いです。
なお transfer に「転勤する」「転勤させる」の意味があります(桐原4500)。
「転勤させる」ほうは他動詞なのでtransferでもいいのは分かりますが、「転勤する」と「移住する」の区別が難しいです。まあ、おそらく他動詞からの類推か、慣用的にtransfer が定着しただけでしょう。
なお、辞書にありますが「転校」や(プロ選手などの)「移籍」もtransferです。
高校生物の遺伝に関連する細胞物質のひとつで、トランスファーRNA (transfer RNA)というのがあります。こういうのと関連づけて覚えましょう。
また、列車・バスなどの乗り換えも transfer です。
スペルの似た単語で、transport という動詞および名詞がありますが、動詞 transport は「輸送する」です。
transfer 「乗り換え」はおそらくtransport 「輸送する」との関連で定着した表現でしょうか。
単語集にも辞書にもないですが、インターネット用語で HTTP というのがありますが、これは「Hypertext Transfer Protocol 」の略です。データなどを「転送する」のも transfer です。
センチュリー英和によると、銀行口座に「振り込む」もtransfer とのことなので、「送金する」のようなニュアンスでしょう。
なお、ジーニアス英和およびセンチュリー英和によると、法律用語で、財産などを「譲渡する」もtransferです。
transition という名詞が別にあります。transition は、移行期にあるものについての「移行」のことです。桐原4500 では「議会制民主主義への移行」、旺文社1900では「自動運転車への移行」を例文にしています。
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決定
determine ,decide
辞書にはないが、determine は、断固とした決意で「決心する」「決定する」である。
形容詞 determined がセンチュリー英和によると断固とした決意の意味なので、動詞determineのほうもそういうニュアンスである。
あと、ジーニアス英和にあるが、判決を下すのも determine である。
あと、予備知識がないと気づかないだろうが、東京書籍4500にある例文のように、専門家などが原因などを「特定する」ことや、判定するのも determine である。
実際には、あまり断固としてなくても determine が使われるような例文もちらほらとあるが、あくまで派生的な用法だと思うべきだろう。
だから名詞形 determination は、「決心」「決意」と覚えるべきだし、実際に桐原4500や東京書籍4500でそういう和訳である。
be determined to ~(動詞) で「~する決心をする」
である。受身形で「決心する」になる。
たとえば
He was determined to ~ 「彼は~する決心をしていた」
のように使う。また、完了形にせず、過去形のままで使う(桐原4500の例文、ジーニアスの例文など)。
能動形でも「決心する」の用法もあるが、普通は上述のように受身形で使う(ジーニアス)。
検定教科書で三省堂 CROWN Iを読んでいると、高校1年でもう be determine to do を扱っている。
対する decision は、和訳は「決定」である(東京書籍4500)。桐原によるとdecisionは「決定・決断」だが、しかし上述のように、どちらかというとdesicionは比較的に「決定」のニュアンスのほうに近いだろう。
resolve でも「決意する」だが、東京書籍4500だと彼女をデートにさそう「決心」という例文であり、まったくもって断固とした必死さが足りない。
そんなのよりも、会議などの「議決」のことを resolution というのを覚えたほうが良いだろう。桐原4500に「決心」「決議」と単語の和訳だけ書いてある(例文はなし)。
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減少
decrease, decline , reduce, diminish
まず、高校英語で増減を表す場合につかう典型的な単語は、increase (「増える」「増やす」の意味)および、対義語の decrease(「減る」「減らす」の意味)である。
たとえば、三省堂『CROWN II』「英語表現」教科書では、パラグラフ・リーディング/ライティングの説明で、留学生に関する分析の文章を扱っているのだが、留学生の「増加/減少」<!-- 「/」は原著が全角文字なので、それに合わせた。 -->にそれぞれ increase/decrease という表現を使っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P81</ref>。
この例のように、 increase (増加)と decrease (減少)は対になって使える便利な表現であるので、まずはこれを覚えよう。
熟語というほどではないが、
~(主語) increased by □□(数値) percent.
で、「~が□□%上昇した。」である。たとえば上記のパターンで、東京書籍4500では「その商品の売り上げ」Sales of the product だし、旺文社199では「日本の実質GDP」Japan's real GDP である。桐原3000には数値上昇の例文なし。桐原は昔から単語集では定番だが、しかし桐原だけでは勉強できないこともある。
increase で増える数値はなにも百分率(パーセント)でなくてもよく、たとえばジーニアス英和では、「体重は2キロ増えて60キロになった」 increased by two kilograms to 60 kilograms.
という例文もある。
on the increase で「増大して」の意味。なお、ここでの increase は名詞。
東京書籍4500では「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
センチュリー英和では「大都会における犯罪は増加しつつある。」 Crime in big city is on the increase.
ジーニアスは on the increase の例文なし。このように、ひとつの英和辞典だけでは勉強できない。
別に on the increase を使わずとも、現在増加中のものは現在完了進行形で書いてもよく、桐原3000がそうであり、
「車の台数が増え続けている」 The number of cars have been increasing.
である。
ジーニアス英和にある説明だが、よく、The number of ~ increased. で「~が増えた。」と言う例文があるが、「The number of 」を省いて直接「 ~ increased. 」のように言ってもいい。
実際、東京4500の例文「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
でも、 the number of は無い。
on the increase のbe動詞が単数形(is)なのか複数形(are)なのか食い違いがあるが、英和辞典を見ても、とくに言及はされていない。
increasingly で「ますます」の意味が紹介されているが(東京書籍4500。旺文社1900)、しかし例文は無い。
価値や能力を「高める」場合、enhance (エンハンス)という動詞が使われることもある。だが、辞書でも例文が少なく、あまりいい例文が見当たらないので、説明は省略。旺文社1900だと、603/1900の位置でenhanceを紹介している。だが東京書籍4500では、巻末ちかくで enhance を紹介である。桐原に至っては、4500語レベルではなく桐原5500の後半ちかくでenhanceを紹介である。
さて、decline は自動詞であり、つまりdeclineは「低下する」「減少する」の意味である。
declineの典型的な例文が「出生率は低下している。」であり、東京書籍4500では
The birth date is declining. 「出生率は低下している。」
である。
似た例文が、旺文社1400にもあり、
「出生率は低下し続けている。」 The birth rate continues to decline.
である(旺文社1400)。
なお検定教科書にも decline の単語は掲載されている<ref> 、『CROWN English Communication III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P45</ref>。和訳が検定教科書に書かれてないので不明だが、その検定教科書では経済の議論の紹介で decline が使われているので、「低下する」の意味にて decline を用いているのだろう。
decline には、申し出・誘いなどを「断る」の意味もあり、桐原4500に紹介されているのはこっちの意味だけ。
しかし、高校の検定教科書に、「少子化」 declining birth rate が照会されているので、「減少」の意味のほうもキチンと覚えよう<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P18 </ref>。
名詞形 declination が、ていねいな断りの意味。
reject (計画などの「拒絶」。※却下のような意味)や refuse (拒絶)だと意味が強すぎるのだろう。
reduce は「減少させる」。3R運動のリサイクル、リユース、リデュースのあれ。
「減少」は名詞 decrease と名詞 reduction がある。
reduction は、「削減」のニュアンスで使われることが比較的に多く、桐原4500および東京書籍4500の例文が経費削減である。
reduce costs で「経費を削減する」である。
このほか、diminish や drop や fall などがあるが、やや高校範囲を超える。一応、diminishは桐原5500および東京書籍4500には書いてある。(桐原4500には書いてない。)な
一応、diminish は、検定教科書『CROWN III』で使われている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P73</ref>。
CROWN III にある例文は
But the war 1990's, the threat of war diminished.
という文章(抜粋)である。検定教科書に和訳がないので答えは不明だが、「しかし、1990年代には、戦争のおそれも少なくなった」ような意味である。
直前の文章では、「20世紀は戦争が多く」みたいなことを英語で言っているので、おそらくそういう意味だろう。
辞書で diminish を確認したところ、ジーニアスもセンチュリーも悪い意味に使う例文のほうが多いが、しかしCROWN IIIの検定教科書によると、とくにdiminish には悪い意味合いは無いようである。
桐原5500に書いてある例文も、
We can diminish our fear. 「恐怖を減らすことはできる。」(抜粋)
なので、別にdiminish に悪い意味合いはない。
なお、桐原5500の例文は東北大の過去問。ネットでは「地方国立の入試英語なんて教科書レベル」などの言説もあるが、まあ確かに教科書にはdimisihも書いてあるものの、大分、学習量は大きい。
drop やfall は、旺文社1400の巻末にある類義語の章にだけある(本編には解説なし)。
dropは数量や人口、価格などの減少で使われる「口語的」な語(旺文社が「口語的」と言っている)。ただ、ノーベル経済学者クルーグマンのツイッターを読んでたら、「インフレの減速」のような意味で普通に drop を使っていた。
価格の低下だけでなく、派生してインフレの減速にもdropが使われることから、もしかしたら経済学などでは文語的に drop という単語が使われている可能性もあるかもしれない。
なお、「急騰する」は soar である(桐原5500、旺文社1900)。
単語集の例文だと完了形で have soared だが、急騰の結果として現在でも株価が高いなら完了形にするのが無難だろう。
インフレ率の上昇でも株価の上昇でも何でもいいが、たとえば旺文社1900が株価の上昇の典型的な例文
The stock prices of the company has soared . 「その会社の株価が急上昇した。」
である。
ジーニアスは野菜の価格の急騰、桐原5500は米価の急騰である。たとえばジーニアスでは
The price of vegetables is shoring. 「野菜の価格が急騰している。」
である。この野菜の例文のように、進行形ならもちろん、現在も急騰の真っ最中になる。
時制ついでに桐原5500の例文を紹介すると、
Figure showed the price of rice had soared to record levels. 「数字は米価が記録的な水準にまで急騰したことを示していた。」
である。
なお「痛い」soreと同じ発音である。
ついでに言うと、よく景気の先行きについての見通しで「悲観的」だの「楽観的」だのマスコミ用語でいうが、これは英語でもそう言い、
「悲観主義」は英語でpessimism (ペシミズム)である。
「楽観主義」は英語で optimism (オプティミズム)である。
スペルよりも、まずカタカナで『ペシミズム』『オプティミズム』と覚えてしまおう。社会評論などの書籍などを読んでいると、ときどき外来語として「ペシミズム」などの用語を使っている場合もある。
典型的な例文として
東京書籍4500で「ボブは自分の将来について楽観的だ。」 Bob is optimistic about his future.
である。
似たような例文が旺文社1900にもあり、「彼女は自分の将来について楽観的な気持ちだ。」 She feels optimistic about her future.
である。
桐原4500が紹介しているが、なにも将来でなく経済に楽観や悲観を感じてもいいのである。
桐原によれば、「彼はその国の将来について楽観主義を表明した。」 He has expressed optimism about the country's economy.
である。
wikiオリジナルの例文だが「トムは経済の先行きに悲観的だ。」なら、さしずめ Tom is pessimistic about the country's economy.
とでもなろうか。
なお、英和辞典を見ても、例文が「~は将来に楽観的だ」とか「将来に悲観的になってはいけない」ばかりである。optimistic などの単語が経済予想や株価予想に使えることすら、辞書だけでの勉強では全然分からない。とはいえ、あまり良い市販の英語教材がない。
ともかく、また、これらの例文のように、 be optimistic about ~ で「~に楽観的だ」となる(東京書籍4500)。悲観の場合も pessimistic で同様。
念のため、派生語も含めて一覧にすると、
optimism 「楽観主義」、
optimistic 「楽観的な」、
optimist 「楽観主義者」(旺文社1900に紹介あり)、
pessimism「悲観主義」、
pessimistic「悲観的な」、
pessimist 「悲観主義者」、
である。
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想像
vision, imagination, image
vision は「想像」の意味があるが、「見通し」の意味もある。もっとも、見通しの意味では名詞 perspective がさらに高尚。
なお、perspective はどちらかというと「視点」の意味である。大局的な視点=見通しのようなニュアンスが perspective である。東京書籍が(大局的な)「視点」、桐原が「観点」。だが、別に大局的でなくても美術の遠近画法のことを perspective というので、東京書籍の説明はいかがなものか。
from a different perspective で、「違った視点から」
たとえばジーニアスいなる例文think about the problem from a different perspective で、「その問題を違う観点から考える」となる。ジーニアスは「観点」、東京書籍4500は「視点」と訳しているが、別にどちらでもいい。
different の部分を別の形容詞にすれば、
from ~ perspective で、「~の視点(観点)から」になる。
なお、スペルの似ているprospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
たとえば形容詞 prospective は「有望な」の意味である。
ジーニアス英和によると、もともとはprospectは高いところからの「展望」のような意味だったようである。桐原4500にprospectが書いてある。
「見込み」outlook という単語もある(桐原5500 のprospect)。桐原5500では prospect の「見込み」の類義語として紹介されている。
もし、「観察力」とかを言いたい場合、observe 「観察する」である。
「洞察力」なら、penetrating 「洞察力のある」である(旺文社1900。桐原5500)。ただし、洞察力の意味での例文は単語集に無い。動詞penetrate には「浸透する」の意味もあって、そちらの例文が市販の単語集には書いてある。
もっと簡単な単語としては insight 「洞察力」という名詞があるので、これを使って洞察力を表現する方法もある。
なお、
語法 give A insight into B で「AにBの見識を与える」
である。
名詞 vision にも、「見通し」「洞察力」などの意味があるので、これでも洞察力を表現できるだろう。ただし、単語集にその用法での例文は無い。
旺文社1900によれば、 a one's(myなど) point of view で「〜の観点から」の意味。だが、これを直接暗記するよりも、まず名詞 view には、「眺め」の意味のほかにも、「見解」の意味があることまず知るべき。
慣用的に in my view, 「私の考えでは、」(ジーニアス、センチュリー)という表現がある。「考え」と訳しているが、「私の見解ですが、」くらいに訳したほうが分かり易いだろう。ただし、英語の view には、個人的な感情も含んで見方を示しているので、そういう意味で辞書では「意見」としたのかもしれない。
だが、 in my view は、ジーニアスによれば、in my opinion よりも控え目な言い回しとして使われる。
まあ、読者の自己責任で和訳してください。
単語集にはないが、viewpoint 「観点」という単語がある。ジーニアスの例だと、
From an economic viewpoint, 「経済的な見地からすると、」(その計画には利点がない)
と続く。
センチュリーだと、
〜 from the viewpoint of employees. 「従業員からの立場からみれば」(昇給はよいことだ)
となる。
旺文社の大学入試出る順シリーズに a point of view が書いてあるから、たぶん入試に良く出るんだろうが、正直言って瑣末な単語であろう。実際、桐原も東京書籍も a point of view を紹介していない。ジーニアスやセンチュリーにすら、少なくともview の項目には書いてない。辞書でpoint で調べると point of view が書いてあるが。
たとえば、センチュリー英和では「アメリカ人の視点から見ると、」(謝罪は自分の誤りを認めたことになる) From an American point of view, 〜
ジーニアス英和では「財政的見知では、」(これは由々しき問題だ) From a financial point of view, 〜
などの例文がある。
熟語 in terms of ~ で「~の点から」。なお terms はterm の複数形。東京書籍4500と桐原4500に似た例文があって、東京書籍「その計画は費用の点から現実的ではない」The plan is not realistic in terms of cost.
なんで terms と複数形なのか不明と思うだろうが、しかし英和辞典にも in terms of と複数形で紹介されているので、受け入れてもらうしかない。
いっぽう、桐原「この計画は時間と費用の関係で現実的ではない。」 This schedule <nowiki>isn't</nowiki> realistic in terms of time and costs.
term ついでに言うと、医療の末期医寮などでターミナルなんとか terminal 〜 とかあるが、辞書で確認すると用語term と末期terminal の語源は一応は同じだが、事実上は意味のまったく違う別の単語だと思うほうが良いだろう。東京書籍4500がそういう見解であり、「用語」 term と 「末期の」「終末の」 terminal を別々の項目として紹介している。
「末期の」の典型的な例文としては、「末期ガン」 terminal cancer がある(東京書籍4500. ジーニアス、センチュリー)。
桐原4500 では terminate 「終わりにする」が紹介。terminateの紹介位置が巻末ちかくの付録のため、例文なし。
駅や空港などのターミナル terminal も、同じスペルである。駅近くなどのターミナルも、もともとは何かの終着のことだったのだろう。
なお、駅が公共バスなどの終点である事例は多い。
そういうバスターミナルのことも、ジーニアス英和いわく a bus terminal であり、またはセンチュリー英和いわく単に terminal という。
センチュリー英和は、バスのターミナルを単に「終点」と訳している。
さて、term には、「用語」の意味の他にも、「期限」「期間」の意味がある。
形容詞 long-term で「長期の」という意味である(旺文社1900)。
単語集にはないが、termination 「満期」「満期の」という単語がある。term にはそういう、限度のある期間的な何かのニュアンスもある。関連づけて覚えよう。
小中高の学校の「学期」もtermであるが、普通は3学期制の「学期」のことをいう(ジーニアスsemester で確認。ほか旺文社 semester )。大学の「前期」「後期」といった2学期制の場合は semester という(旺文社、ジーニアス semester )。
なお、日本の大学は、年間で「前期」「後期」という2学期制である。少なくとも日本の大学はそうである。
英米では、「秋学期」the fall semester と、「春学期」 the spring semester という言い方をする。
普通、英米では、9月から翌年1月までが「前期」the first semester であり(センチュリーで確認)、「秋学期」the fall semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
普通、英米では、2月から8月までが「後期」the second semester であり(センチュリーで確認)、「春学期」the spring semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
果たして大学でもし3学期制の学校があったら何というのかは知らない。まあ、単語なんて所詮は、社会の現状に合わせて言葉が作られるので、社会に存在しない制度の呼び名を考えてもラチがあかない。
imagination は「想像する行為」または「想像力」のこと。
image は、想像によって脳内に思い浮かんだ「像」や「印象」のこと。
動詞形は imagine である。実はimageも動詞とみる場合もあるが、しかしジーニアス英和ではimageの動詞用法は不採用である(ジーニアスでimageを見ても、動詞の用法は無い)。センチュリー英和だと、imageの動詞の用法が書いてある。
形容詞 imaginary は、「想像上の」「架空の」「実在しない」である(ジーニアス英和。センチュリー英和)。
ジーニアスでもセンチュリーでも、「創造」ではなく「想像上の」である。
スペルの似た imagery という単語があり、旺文社には『(集合的に)「比喩的表現」』と書いてある。辞書を見てもジーニアスでしか見つからず、例文もなく、よく分からないので説明を省略。
単語集にはないが、理科のレンズの実像(a real image)や虚像(a virtual image)などの「像」も image である(ジーニアス英和)。
旺文社1900にあるが、テレビの「画像」も image である。上述のレンズとテレビを合わせて考えれば、つまり、光学の像も image であるし、実際に英和辞典ではそう紹介している。
なお、イメージダウンなどは和製英語。イメージが悪化した場合は a bad image のように言う(ジーニアスで確認)。
なお、仏像とか銅像とか、ああいったのは「塑像」(そぞう)とか「彫像」(ちょうぞう)とかいうが、「塑像」・「彫像」の英語は statue (スタチュー)である。単語集を見ると巻末の索引に statue が書いてないので一見すると高校の範囲外だが、しかし自由 liberty で東京書籍4500を見れば「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P28に「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。
このように、「自由の女神像」 the statue of liberty は事実上の高校必須の単語である。
liberty「自由」は普通、国家権力からの自由の事を言う。
だから liberal は形容詞「自由主義の」または名詞「自由主義者」の意味がある。(桐原4500が名詞「自由主義者」も紹介している。東京書籍は形容詞だけ。)
liberalism 「自由主義」である。
statue は、桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P31に「ブロンズ像」 a bronze statue が書いてある。
光学ついでに言うと、「反射する」は reflect である。典型的な例文が、「日光を反射する」reflect sunlight である(東京書籍4500、センチュリー)。
ジーニアスには「鏡は光を反射する」
A mirror reflects a light.
という例文もある。
だが、桐原4500や旺文社1900では、reflectの、意見などを「反映する」の意味のほうが紹介されている。
とりあえず、ジーニアスによれば「世論を反映する」 reflect public opinion である。
センチュリーや桐原や旺文社を見ても、「反映する」は他動詞的に使うのか自動詞的に使うのか、能動形や受動形か、あまり使い方がはっきりしない。
reflect on ~で「熟考する」「回想する」の意味(旺文社1900では熟考、東京書籍では回想を紹介)。東京書籍のには例文あり。著作権のため本ページでは紹介しない。
名詞形には reflection と reflex がある。意味が微妙に違うので、必要な場合には英和辞典で確認せよ。
なお、単なる「視野」や「視界」のことは view である。だが、辞書でviewの項目を見ると、「見解」の意味が先に書いてある。少なくともジーニアス英和とセンチュリー英和はそうである。辞書よりも単語集で勉強しよう。
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可能性 possibility, probability, likelihood
成功の見込み、成功の可能性 prospect
潜在能力 potential
probability (プロバビリティー)は「見込み」「確率」の意味(旺文社1900)。数学の「確率」で probability が使われるので、もし確率ではない単なる「可能性」のことをいいたい場合は、別の言い回しが必要な場合もあるだろう。
関連語として、副詞 probably「たぶん」がある(旺文社、桐原)。
形容詞 probable (プロバブル)については
It is probable that ~ 「たぶん~だ」
の意味(桐原4500、旺文社に似た和訳)。
対義語 impossible (インポッシブル)「不可能である」も覚えておきたい。
ほか、prospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
「可能性」を意味する likelihood (ライクリフッド)という単語もある(旺文社1900巻末)。副詞 likely 「ありそうな」の名詞形である。
possible (ポッシブル)について、
It is possible that 人 to do
で「人が do するのは可能だ」の意味(桐原4500、東京書籍3000)。
capability (ケイパビリテイー)は「能力」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
ability (アビリティー)は「能力」「才能」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
「たぶん」を意味する副詞の maybe(メイビー) と perhaps(パハップス) と probably(プロバブリー) については、省略。書きたくない。
東京書籍3000が、ひとまとめで maybe や perhaps と probably を説明している。
東京書籍3000は紹介していないが、 likely (ライクリー)形容詞「ありそうな」、副詞「たぶん」という単語もある。
名詞および形容詞のpotential (ポテンシャル)は翻訳の都合で(名詞の場合なら)「可能性」と訳す場合もあるが、なるべく「潜在能力」 potential という訳で覚えましょう。
形容詞としての場合、「潜在的な」で potential を覚えましょう(桐原3000巻末)。
物理学の位置エネルギーのことを英語で potential と言いますので、科学的な専門用語でもあります。
桐原3000巻末のセンター試験特集によると、「潜在能力」などの意味ですが potential はセンター試験での出題をされた単語らしいです。
センター出題の背景事情として、ポテンシャルは物理学などで使う用語だという背景があります。
日本語でも、物理学の専門書などを見ると、普通に「ポテンシャルエネルギー」とか単に「ポテンシャル」などと言ったりもします。
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計画
scheme, plan, project
~するつもり intend , plan
桐原4500 が scheme を「たくらみ」の意味だけ例文で紹介している。勘弁してほしい。
まず、旺文社1900 が例文で、政府の「新しい住宅供給計画」を The new housing scheme といってるように、比較的にきっちりとした計画のことである。
桐原・旺文社の単語集にもあるように schemeに「体系」とかの意味もあって、だからニュアンス的には、体系だった計画のような感じがある。
念のためジーニアス英和を見ると、scheme の意味として「政府の公共計画」、「会社の事業計画」などが挙げられている。
そして、そういう派生として、「陰謀」(旺文社)、「たくらみ」(桐原)を覚えるべきだろう。語源はともかく。暗記の負担を減らす理解としては、たとえば
:陰謀は大規模・身の程知らず → 大規模な計画は scheme という → じゃあ陰謀も scheme でいいか
的な連想とかで覚えるのがラクかと。
高校生に語源の知識はいらないし、もし語源が「たくらみ」だというなら、そういう情報を先に教えるべきだし、念のためジーニアスで語源を見てもsdhemeの語源は『「形」が原義』とのことだし、あるいはもし有名大学が入試でscheme の「計画」の意味も出題せずにschemeの「たくらみ」を出題しているならその大学が批判されるべきだろう。
なので、ジーニアスもいってるように、scheme は plan よりも固い語である。
ジーニアス英和やセンチュリー英和にあるように 大綱とか図式とか、学問などの体系とか、教育体系とかも scheme という。
たとえばセンチュリー英和が教育体系なら an educational scheme だと言っている。
plan は「計画」をあらわす一般的な語(ジーニアス)。
project は、長期の「計画」を表す(東京書籍3000)。projectを「事業」「プロジェクト」などと訳す場合もある。東京書籍では「プロジェクト」という訳語を紹介している。
辞書では特にplan と project の違いは述べられていない。だが project の用例を見ると、橋やダムなど公共インフラの建設計画などがよく project で表現される。
「ダム建設の事業」 the project ro build the dam
である(東京書籍3000。センチュリーに似た例文)。
「橋の建設の事業」なら a project to build bridges である(ジーニアス)。
別に公共インフラでなくてもよく、ビルの建設計画でも良い。
なお、大規模な工事などを「計画する」という意味で動詞 project もある。アクセントが名詞と動詞とで異なる。
名詞は、プ「ラ」ジェクトの「ラ」にアクセントがある。なお、日本語では「プロジェクト」と書かれるが、英語ではどちらかというと「ロ」ではなく「ラ」であり、プロジェクトである(センチュリー、ジーニアス)。
動詞は、プロ「ジェ」クトの「ジェ」にアクセントがある。
学生などの研究課題も project という、
計画する plan , intend
動詞 intend to ~ 「~するつもり」は、計画だが、やや欲求・意思に重点を置いている。
動詞 plan は、計画性に重点を置いている。 plan to ~ は「~することを計画している」と訳すのが普通。(「~するつもり」ではなく)
plan a trip to Hawaii 「ハワイ旅行を計画する」(東書3000)
plan to go to Ireland 「アイルランドに行くことを計画する」(桐原4500)
進学などの予定は、intend も plan も使う。
Bob intends to learn karate in Japan.「ボブは日本で空手を習うつもりだ」(東書3000)
Most of these students intend to continue their education at university. 「ここの大半の生徒は大学へ進学するつもりだ」(桐原4500)
べつに進学や就職でなくても、
She intends to go to bed early tonight.「彼女は今晩早くねるつもり」(桐原1900)
Where do you intend to go to tomorrow? 「明日どこへ行くつもりだい」(ジーニアス)
のように intend は今日とか明日の予定でもいい。
名詞形は intention 「意図」である。単語集には例文は無し。高校レベルを超える。(いちおう、東書4500に「意図する」のintend の例文あり。)
ただ、どうしても「意図的」とか言いたい場合は、intentional とかintentinally みたいにその系統の語を使うのが安全そうである。
桐原5500 に deliberate 「意図的な」という語があるが(昔の上智大に出た単語らしい)、intention などとの使い分けが英和辞典を見ても言及されておらず、またネットで調べても情報が一致しない。あるサイトでは、欲求にしたがった意図だという主張もあれば、別のサイトでは熟考した上でも意図だという主張もあり、不一致である。
なお「配達」などの delivery とは語尾のvが違う。bとvの違い。
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陰謀(主に「共謀」)
conspiracy
たくらむ
scheme
高校英語としては、陰謀で覚えるのは conspiracy と、あとはschemeで十分だろう。
ジーニアス和英辞典によると。「たくらむ」には、plot, conspire , scheme , contrive ,hatch がある。
これらの単語には、陰謀以外の意味で使われるものあり、
比較的に簡単な単語なら、
plot は、よく数学的なグラフに「点を打つ」とかの意味で使われる。
なんと高校の単語集には plot がない(桐原3000・4500・5500と東京書籍3000・4500を調べた)。点 point とか教えてるのに「点を打つ」plot がないとは、英語教育の界隈はどういう了見か。反省を願う。中学数学レベルの簡単な英単語も教えられないくせに conspiracy とか教えているのか。
一応、「x軸」 x-axis とか「y軸」y-axis とかは、検定教科書で見かける<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P145</ref>。
ジーニアス英和で plot を見ると、「(裏切りの)陰謀」「たくらみ」が最初の意味だが、なんだかなあ。いまどき plot なんて数学の座標で使うのが人生で最初だと思うが。
センチュリー英和の言うように、地図や図面などに位置を書き込むことがプロット。
なお、小説などの筋書きも plot といい、センチュリーはこの筋書きの意味をplotの名詞の項目で最初に紹介している(動詞のほうは、「たくらむ」だけ紹介)。
しかしセンチュリーのほうだと、動詞には、図面や地図に位置を書き込むことの動詞がない。
本当もう勘弁してほしい。英和辞典ともあろうものが中学校レベルの英語くらい書けないのか。
scheme は上述のような体系的な「計画」だし、
hatch は(鳥などが)「ひなからかえる」「卵からかえる」「卵をかえす」とかの意味。船などの昇降口のハッチ hatch とスペルが同じ。
contrive には、(ジーニアス英和によると)「考案する」・「うまくやりとげる」の意味もある。
conspire が、「共謀する」の意味。桐原5500でも、conspiracy の例文の主語が複数形になっているので、和訳には「陰謀」とあるが内容は「共謀」である。
ちなみに「陰謀」の名詞は、桐原5500が紹介しているのは、intrigue (イントリーグ)とconspiracy (コンスピラシー)である。
これだと意味が強すぎるので(政府転覆とか)、ちょっと何かをたくらんでいるぐらいの場合に、scheme とか plot とかを使うとよいのだろう。
ジーニアス英和で intrigue を調べてみたが、例文がなく、よくわからなかった。なお、名詞も動詞も intrigue である。
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多様性
variety ,diversity
東京書籍4500は variety と diversity の違いの細かい説明をあきらめている。
diversity のほうが高尚な言い回し。
東京書籍の言うには、形容詞 variousが「いろいろ」「さまざま」。名詞 diversity が「多様性」である。
熟語 a variety of ~で「様々な」の意味(桐原4500)。
桐原4500および旺文社1900に至っては、そもそもdiversityの項目・ページではvarietyを紹介していない。
桐原4500 が「民族の多様性」 ethnic diversity という表現を使っている。
センチュリー英和がdiversityの項目で biological diversity 「生物学的多様性」という表現を使っている。
「生物多様性」のことを biodiversity または biological diversity という(旺文社1400)。
biodiversity は辞書(ジーニアス、センチュリー)に書いてある。
辞書のbio- の項目では、biological diversity は辞書では見つからなかった。
なお、ややこしいことに、diversity およびvariationには「差異」「相違」という意味もある。
和製英語のバライエティーおよにバリエーションは、やや意味が間違っている。
variation は、「差異」・「相違」・「変化」の意味(東京書籍4500および旺文社1900)。高校数学ではわかりづらいが、大学の数学で「変分法」という微分積分の発展的な分野のようなものがあって、これに variation という英語が相当している。( [https://kotobank.jp/word/%E5%A4%89%E5%88%86%E6%B3%95-131413 コトバンク『変分法』] )この変分計算では、関数中にある変数の代入値を少しだけ変化させたら関数がどう変化するかを考察しているので、英単語 variation の訳語のニュアンスに近い。
なお「微分」はdifferential、導関数はderivative なので、混同しないように(※ 大学受験に出ないので覚えなくて言い)。
桐原4500の例文にもあるが a diversity of ~ で「多種多様な~」の意味。 a diversity of wildlife で「多種多様な野生生物」と桐原4500が紹介。
なお余談だが、近年では国籍や性別(男・女のほかにも、さらにはLGBTなど)などの多様性のこともよく「ダイバーシティ」 diversity といい、よく人権などの関係した議論でこの用語護が出てくる。今後の公民科目などの範囲になるだろうから、本・英単語集のページでは深入りしない事にする。
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十分・充分
sufficient ,adequate, enough
sufficient ⇔ deficient
適切である suit, be adequate for,
enough は形容詞にも副詞にも使われる。
sufficient と adequate は形容詞。
ジーニアス英和に、adequate の類語が sufficient , enough だと書いてあるが、ニュアンスの違いは見当たらなかった。
形容詞 sufficient 「十分な」は enough よりも固い語である。
だが、その用法だけではない。
強制ではないが、sufficient は、質・量ともに十分な場合に好まれて使われるニュアンスがある(センチュリー)。
一方、単に量が多い場合や、特に質が問われない場合などに enough を使うという、使い分けがある。
be sufficient to ~(動詞) 「~するのに十分である」
である(桐原、東京書籍)。
sufficient の名詞形は sufficiency 「十分足りること」である(桐原)。
対義語は insufficient 「不十分な」、または deficient 「不足した」(デフシュント)である(東京書籍)。
センチュリーいわく、sufficient では質も問われるニュアンスがあることも合わせれば、対義語との関係は、
(質・量とも)「十分な」sufficient ⇔ deficient(質・量が)「不足した」
である。
センチュリーの訳語を比較した範囲では、insufficient よりも deficient のほうが絶対量の不足という意味合いが強そうであった。そのためか、deficinet は「欠乏」と訳されることもある(センチュリー)。つまり deficient 「欠乏した」「不足した」などの意味である。
名詞形 deficiency 「不足」「欠乏」「欠陥」という単語もある(旺文社 deficit 項目、センチュリー)。
ほか、貿易赤字などの「赤字」は 名詞 deficit (デフィシット)である。
つまり、「赤字」 deficit である。
「貿易赤字」は a trade deficit である(旺文社、センチュリー)。
数学用語だが、「十分条件」は sufficient condition である(旺文社1400)。なお、「必要条件」は necessary condition である(旺文社1400)。
sufficient O(目的語) to V(動詞の原形)
で、「Vするのに十分な量のO」
~ be sufficient to V
で、「~はVするのに十分だ」
be adequate for ~ は、「~に十分な」とのことだが(東京書籍)、しかしジーニアスを見ても例文がなく、よく分からなかった。
be adequate for ~には「~するのに適している」の意味もある(桐原)。
「適切である」を言いたいなら、動詞 suit (スート)ひとつで足りるだろう。
たとえば
「このソフトウェアはプログラミングに適切です。」 This software suits programming.
のように(wikiオリジナルの例文)。
suit 自体は桐原4500・東京書籍4500・旺文社1900の3冊とも紹介しているのだが、
しかし「適切である」の例文は、東京書籍しか紹介していない。
しかも、待ち合わせの時間が「好都合である」の訳。
違う英文だが、
(待ち合わせの時間を聞かれた返事で)「金曜日が好都合です」 Friday suits me.
のような使い方(オリジナル。ジー二アスに似た例文。センチュリーに似た例文)。
桐原が紹介している例文は背広のスーツだし、旺文社のは「訴訟する」の suit である。
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不足
lack , shortage
かつて受験英語などで「欠乏」lack ,「不足」shortageのような使い分けがあったが(実際、ネット検索するとそういう説明も出てくる)、しかしこの分け方は正しくない。なぜなら、英和辞典で lack の項目を見れば、単に不足している場合でも lack を使っているからだ。
lack と shortage の違いは、たとえば「同情に欠ける」とか「常識に欠ける」がlackである。
センチュリー英和を読むと形容詞 lacking の説明で、be lacking in common sense という例文で、「その学生は常識が足りない」という例文もある。
どうも、lack は、慣用句として、配慮が欠けている場合に使うのが英米では自然なのかもしれない。また、その言い回しが、配慮を欠けている事実自体を主張するおかにも、どうも不足の現状に対して非難や批判などのニュアンスも込めてlackが使われていそうである。
おそらく、辞書にあるlackの訳語の「欠乏」が間違っている。ジーニアスにもセンチュリーにも「欠乏」が書いてあるが、正しくは「欠如」(けつじょ)である。(ジーニアスに「欠如」が書いてある。)あるいは、辞書にはないが「欠落」あたりだろうか。欠乏の「乏」とは貧乏の「ぼう」である。
ジーニアスには、lackについて「十分にはないことをいう。まったくない場合はabsence」といっている。ジーニアスはせっかくここまで説明しておいて、なぜ「欠乏」という訳語を使い続けるのか。
欠席のことを be absent from (classなど)というが、上述のabsenceはその形容詞absentの名詞形。つまり、英語では「欠乏」と「欠席」とが同じ単語だという事。
absenceは、ゼロの状態だから、「ゼロでないけれど、大幅に足りない」みたいな表現には向かない。そういう深刻な不足を言いたい場合は、たとえば a serious shortage となるだろう。実際、センチュリ-のsortageの項目に例として a serious shortage (深刻な不足)や an acute shortage (深刻な不足)や a severe shortage (深刻な不足)などが 書いてある。<!-- 原著で訳語「深刻な不足」をそれぞれの単語に書いてあるので、けっしてwikiでひとまとめにしないこと。またニュアンスも微妙に違う。-->
さて、食料やら金銭やらが物理的に足りない場合は、どちらでもいいが、辞書を見る限り shortage のほうがそういう物資の不足での例文が多い。
たとえば東京書籍4500にあるが water shortage である。
食料不足は、東京書籍4500では The shortage of foodだが、センチュリー英和では food shortage である。
労働者不足が the shortage of labors である(旺文社1400(簡単なほう))。
医師不足が a shortage of doctors である(桐原4500)。 冠詞 a と the の違いは文脈に応じただけのものなので、読者は気にしなくていい。
なお、lack は動詞の場合もある。
単語集を見ても、lackとshrtageの違いとか、書いてない。まったく。
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直観と直感
intuitive(直観),
洞察
insight
英語というより日本語の問題なのだが、「直観」と「直感」では意味が違うので注意が必要である。
「直観」には、洞察力のようなニュアンスがある。
だから
直観の intuitive は、「直観的な」「直観力のある」などと訳す(東京書籍4500)。
名詞形 intuition だが、桐原5500の例文の和訳で(なお東大の過去問例文)「動物、中でも人間は起こりそうなことに関して鋭い直観力を発達させたと考えることができるだろう。」 We <nowiki>coudn't</nowiki> expect animals, especially humans, to have developed sharp intuitions about probably. とある。
英和辞典でintuitive などを見ても、ほとんど例文がないので(センチュリーには例文がなかった)、桐原のこの例文を学ぶのが良いだろう。
あるいは英和中辞典などを見れば例文があるのかもしれないが、さすがに高校英語でそこまでする必要はないだろう。
あと、東大は辞書を見ても満足に例文のない単語を大学入試に出しているわけだが、はてさて、見識が問われますなあ。まさか高校生に中辞典を買わせるつもりでもあるまいし。
もっとも、「洞察」「洞察力」については insight という別の専用の単語があり、普通に4500語レベルの単語集にある。
いっぽう、「直感」は、単なる勘に近い。和英辞典によれば、hunch とか scent が直感である。(高校の単語集にはない)
センチュリー英和によれば hunch は「虫の知らせ」で、口語のニュアンスがある。
scent には、名詞 scent には「勘」の意味もあるが、「臭い」とか「嗅覚」とか「香水」の意味なので、動詞scent には「かぎつける」の意味もある。
hunch も scent もこういうふうに口語っぽい内容なので、まあ単語集には出ないだろう。
そのほか、名詞 instinct (本能)にも「勘」の意味があるが、どちらかというとinstinctは「本能」で覚えたほうがいいだろう。
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結果
consequence , result
辞書にはconsequenceでは「結果の重要性を意識している。resultより固い語」とか書かれるが、
だが、東京書籍4500にはconsequenceは「通例望ましくない内容について用いられる」と説明がある。
実際、センチュリー英和で例文を見れば
「戦争の結果」In the consequence of the warだとか
ジーニアス英和だが「結果として戦争になった」have grave consequence (「重大な結果をもたらず」※戦争の婉曲表現)とか、
あと形容詞だが「天候不順の結果の食糧危機」food shortage consequent on bad water とか、
そんな例文ばかりである。
どうやら consequenceは、結果の深刻性を感じてほしい的なニュアンスのようだ。
なお桐原4500および旺文社1900みても、そういうニュアンス説明は無い。
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取得・獲得
acquire
acquire は、(技術・知識などを)(努力して)「得る」の意味。(東京書籍4500など)
典型的な例文で、
acquire a new skill 「新しいスキルを身につける」
がある(東京書籍4500。旺文社1400にも近い例文)。
「外国語を習得する」acquire foreign languages
という例文もよくある。(桐原4500。センチュリー英和aquireの項目)
辞書にはよくaquireの用法で「(知識などを)身につける」とあるが、しかし語学のようなレベルの「知識」である。
acquire には「習得」以外の用法もあって、
努力して大金や土地などを「獲得する」ことも acquire というが、単語集には例文がないので、説明を省略。桐原の単語集に「(努力して)獲得する」とだけ説明してあって、技術の習得の話をしてないのは、土地などの獲得を意識したものだろう。
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「異国風」
exotic
形容詞 exotic (イグザティック)は、通例では、欧米人の目からみて「異国風」という意味であり(旺文社)、けっして単に異国風なだけでなく、加えて、めずらしくて面白かったり興味をひかれる性質のことである(ジーニアス、センチュリー)。
具体的にいうと、日本国内で言うなら、京都などの寺社は exotic だろう(特に出典は無い)。日本に存在していても、東京の高層ビル群などは exotic には写らないだろう。
日本語でもローマ字読みで「エキゾチック」と言う。日本でも、よく文学評論とか芸術評論とかで使われる単語なので、覚えておきたい。もっとも日本で「エキゾチック」と言う場合、東南アジアや中東やアフリカなどの観光的な光景なので、英語とは微妙にニュアンスが違うが。
さて英語では、動物や植物が「外来種」や「外国産」などの場合も exotic という。農産物だけでなく、言葉が外国由来の場合も exotic という。
旺文社の単語集で、動物園の例で exotic と言っているのは、そういうニュアンスもあるだろう。
桐原と東京書籍の単語集では、exotic が見当たらない。
辞書によると、「外国の」・「外国人」という意味もあるとのこと。言葉が外国由来の場合も exotic というので、それと関連づけて「外国人」なども覚えよう。
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広さ
broad, vast
broad は、幅が「広い」。
典型的な例文が 「(道幅の)広い通り」 a broad street である(東京書籍4500および桐原4500)。
幅広い知識 a broad knowledge とか(ジーニアス)、「幅広い趣味」 a broad range of hobby とか(東京書籍4500)のように、物体以外の知的興味の広範さにもbroadを使う。
インターネットのブロードバンド broadband のブロードと同じ単語(東京書籍4500)。
vastは、面積が「広大な」である(東京書籍4500)。だが実際はセンチュリー英和では、ビル(建築物)や宇宙などもvastだとする例文を提示している。
broad の対義語は narrow 「狭い」。
体積が大きいのは huge 「巨大な」。(桐原4500。ジーニアス英和)
なお、「体積」は英語で volume である(旺文社1400、桐原4500)。volumeの意味は、「体積。容積。音のボリューム。本などの一巻。」の意味である。
turn the volume up で「音のボリュームを上げる」である(旺文社、東京)。
「音量を下げる」なら turn the volume down である(東京)。
コンテナの「容積」とかも、volume である(旺文社)。 the volume of the container 「コンテナの容積」である。
科学や工業などの「容積」「体積」でなくとも、たとえば「交通量」the volume of the traffic とか(東京書籍)、「ごみの量」the volume of garbage とかにも volume は使われる。
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娯楽
amuse , entertain
センチュリー英和によれば amuse は笑わせる事などのような意味での「楽しませる」。
entertain は、知的な面白さに重点がある。
entertain でよくある例文が、話や音楽で聴衆を楽しませる系の例文(東京書籍4500およびセンチュリー英和)。
たとえば entertain the audience で「聴衆を楽しませる」(東京書籍)。
また、熟語 entertain A with B で「AをBで楽しませる」。
センチュリー英和によれば Now let me entertain you with music. で「それでは音楽でお楽しみください」。
entertain には、自宅で客を「もてなす」の意味もある。
よくある例文が、ホームパーティなどで友人をもてなす系。
entertain their friends at their home 「友人をパーティでもてなす」(東京書籍)
entertain our friends at a party 「自宅で友人をもてなす」(旺文社1400)
ただし、実際の例文を見ると、あまり違いは明確ではない。
名詞形のamusement もentertainment も、それぞれ「娯楽」の意味で使われる。
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殺害
murder , kill
murder (マーダー)は「殺害する」の意味の動詞、および名詞としての用法では「殺人」一般の意味である。「殺人犯」はスペルが murderer (マーダラー)であり、スペルが微妙に違う。混同しないように。
「殺人未遂」は an attempt murder である(東京4500)。
「殺人事件」は a case of murder である。
なお、attempt は、困難なことを「試みる」という意味の動詞および名詞(東京書籍)。ジーニアスは、入念な計画と実施の必要な試みが attempt だと説明している。
名詞としての attempt は「試み」などと訳す。
典型的な例文で、
attempt to escape 「逃げようと試みる」
がある(東京書籍3000、桐原4500)。
脱走計画だとかそんなのだけでなく、ジーニアスいわく、エベレスト登頂の「試み」でも attempt とのこと。
90年代、かつて英語単語集に「massacre」(マサカ)という「大虐殺する」の意味の単語がよく載っていが、現代の単語州には無い。「まさか、人を殺すとは!?」という語呂合わせでよく紹介されてたものである。昔の単語集には、ちょくちょくコラム的にゴロ合わせなどが紹介されていた。
英和辞典(ジーニアス、センチュリー)で確認したところ、massacre に「大虐殺」の意味はあるが、一個人の「殺害する」のような意味は紹介されていない。語呂が不正確である。
しかし、近年に「虐殺」でよく目にするのは genocide である。ルワンダ虐殺とか、歴史的に名前が残っている事件の虐殺は genocide が普通であろう。検定教科書でもルワンダの虐殺について genocide という表記を行っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P75 </ref>。
kill や killerとの違いは、killは人間以外のものにも使う。人だけでなく、動物や植物、虫、植物なども、それらを殺したり、あるいはそれらに殺されたりする場合に、killである。
たとえば「魚を殺す」 kill fish である(東京書籍1800)。
それどころか、交通事故などで「死ぬ」場合も kill である。
be killed in ~(戦争や事故など)で「~で死ぬ」の意味。典型的な例文が「大勢の人がその戦争で死んだ。」 Many people are killed in the war. である。(桐原3000と旺文社1200に似た例文あり)
killer については単語集にはないが、名詞として「殺人犯」や「殺すもの」の意味のほかにも、形容詞として「致命的な」の意味もあり、たとえば「致死的な病気」 a killer disease などの例文が典型的。
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奪う・盗むなど
奪う
deprive
wikiオリジナルの例文だが、
The war deprived the children of the liberty. 「戦争が子供たちから自由を奪った。」
のように言う。
桐原4500に「戦争が、この子供たちからふつうの家庭生活を奪った。」 The war deprived these children of a normal home life.
とある。
旺文社1900では「軍隊が国民から自由を奪った。」 The military deprived the citizen of their liberty.
である。、
自由は別にliberty でなく freedom でもよく、たとえば東京書籍4500では、
「多くの子供たちが自由を奪われている」 A lot of children are deprived their freedom.
とある。
熟語 be deprived of~ で「~を奪われている」である(東京書籍4500)。
また、deprive A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(旺文社1900。桐原4500)。
盗む
rob , steal
動詞 rob は、ふつう、強盗とか 引ったくり とかスリに使う。スリかと思われる例文については、たとえば旺文社1900にある(電車で女性から財布を奪う例文)。
rob A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(桐原4500。東京書籍4500)。
東京書籍に典型的な例文「彼らは銀行強盗をした。」 They robbed the bank.
である。
派生語として、「強盗」 robber がある。「強盗事件」は robbery である(桐原4500。東京書籍4500)。
スペルの似ている rid という名詞・動詞があるが、「取り除く」の意味である。
熟語で get rid of ~ で「~を取り除く」である。
rob と rid は意味がまったく違うので、混同しないように注意。
なお、こっそりと者を盗む「泥棒」はthief (シーフ)である(桐原4500)。桐原3000を読めば、こっそり盗む者がthief であるし、ジーニアス英和の thief の項目にもそう書いてある。
なお、複数形は thieves である。ナイフの複数形の活用と同様。さすがにthiefの複数形を筆記で入試に出すのは瑣末すぎるので出題されないだろうが、まあ参考に。
こっそり「盗む」は steal である。桐原3000を読めば、stealの意味は「こっそりと」盗む、と書いてある。
なお、スペルの似ているsteel は「鋼」(はがね)。
さて、「盗む」stealの活用は、 steal - stole (過去形)- stolen (過去分詞)
である。
東京書籍4500の例文「泥棒が私のコンピュータを盗んだ。」 A thief stole my computer.
が典型的な例文であろう。
主語が被害者の場合、have ~ stolen になり、「~を盗まれる」の意味である。
典型的な例文
「私は自転車を盗まれた。」 I had my bicycle stolen.
がある。東京書籍4500と旺文社1400に、ほぼ同じ例文がある。
腕時計が盗まれるのも典型的で、センチュリー英和の桐原3000がそうであり、
「私は腕時計を盗まれた。」 I had my watch stolen.
である。
なお、ジーニアスにあるが、バーグラー burglar は「押し込みの夜盗」。センチュリ-によると、burglar は「(押し入り)強盗」。さすがにここまでは入試に出ないだろう。念のため桐原4500・5500と東京書籍4500を読んだが、もちろんバーグラー burglar は無い。
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気づく
notice, realize, recognize, perceive
「きびしい」
harsh, strict, severe, rigid
realize は、和訳では「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというと realize の意味は「認識を改める」である。
典型的な例文で、「彼は自身の過ちに気づいた。」 He realized his mistake.
みたいなのがある。
いっぽう、notice は単に、物事が目について「気づいた」という意味である。
なお、realize は英国では realise である。<!-- PC設定によっては realise でオートコレクト発動するが、これはイギリス英語をアメリカ英語では読み取れないため。 -->
なお、realize には(計画や夢などを)「実現する」という、まったく別の意味の用法もある。
たとえば「私の夢を実現する」なら realize my dream である(東京書籍4500)。あるいは realize my ambition である(旺文社1900)。
リアリティ reality という単語があるが、日本では小説や英語など創作物などの迫真性などのことをいうが、英語でもそのような創作物の評価における reality の用法はあるが(センチュリー英和で確認)、しかしもっと一般に「警官は彼が述べたことが真実かどうか疑った。」のような文章における「真実性」にも reality が使われる(センチュリー永和で確認)。
reality はけっして創作物に限った表現ではない。
旺文社1900では reality の意味を「現実(性)」としている。
実際、ジーニアス英和を確認すれば、そういう用法もあり、「人生のきびしい現実」みたいな例文でrality をジーニアスは使っている。
旺文社1900にも、harsh の項目で、a harsh reality 「厳しい現実」を紹介している。
なお、real と true の違いで、
true は主に話が「本当の」という意味で使う(東京書籍3000)。
いっぽう、real には、材質などが「本物の」という意味がある。
だから、real money 「本物のお金」とか、real diamond (本物のダイアモンド)などで使われる。
harsh「きびしい」(発音は「ハーシュ」)も、単語集に普通に書いてある。
気候が「きびしい」とか、批判や対応が「きびしい」などのことを harsh という。
東京書籍4500に a harsh winter 「寒さのきびしい冬」という例文がある。
旺文社1900に、harsh environment 「きびしい環境」と言う例文がある。
(桐原4500語レベルではなく、)桐原3000いわく、天候の場合は severe(シビア) でも「きびしい」を表現できる。東京書籍4500で確認したところ、批判の過酷な場合の「きびしい」でも severe を使うこともある。
harsh と severe のニュアンスの違いについては、特に書かれていない。
なお、規則などが厳格で「きびしい」と言いたい場合は strict である。
strict には、説明などが「厳密な」の意味もある。高校の分詞構文の単元で、
「厳密に言えば」 strictly speaking,
などを習うだろう。
ほか、形容詞 rigid (リジッド)でも「厳格な」を言える。単語集(旺文社1900、東京書籍4500、桐原5500)には、この厳格の用例が書いてある。
だが、それよりも物理学の「剛体」が rigid body として覚えたほうがいい。ジーニアスに、rigid は「剛体の」だと書いてある。
単に、「変形しづらい」みたいな意味での「固い」「堅い」のような意味が rigid である。
ジーニアスには、「変形しやすい」flexible の対義語であると紹介している。
規則の融通がきかないのが rigid だと、ジーニアスに書いてある。そういう意味である。
ほか、rigid には「顔がこわばった」「手足がこわばった」などの意味もある。
なお、rigid は発音注意の単語(旺文社)。
ほか、名詞形 rigidity 「厳格」「硬直」などの意味がある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。桐原だと「硬直」の意味が書いてないが、ジーニアスとセンチュリーの rigidity にしっかりと「硬直」が書いてある。
頑固オヤジみたいに「頑固な」「頑固である」と言いたい場合は stubborn (スタボーン)である(桐原、旺文社)。東京書籍は紹介してない。単語集にはないが、辞書で典型的な、「断固とした拒否(拒絶)」a stubborn refusal がある(ジーニアス、センチュリー)。そのほか、stubborn には軍隊などの(または軍隊などへの)抵抗が「不屈(ふくつ)の」という意味もある(ジーニアス)。
(厳格ではなく)「厳粛な」と言いたい場合は solemn だが(桐原5500)、あまり平易な例文が無い。
法律的な宣誓などが厳粛なことや、音楽などが荘厳なことまで、 solemn で表現できる(ジ-ニアス、センチュリー)。
「誓う」という意味の動詞 pledges(プレッジ)も、単なる約束 promise とは違い、厳粛 solemn に約束することであり、たとえば外交などの約束で使われる(旺文社1900の例文もそう、ジー二アスにもそういう例文あり)。その他、公約などで pledge 「約束する」を使う。または名詞として pledge には「公約」の意味もある。
※ ほか、批評が低評価で「厳しい」は damning (ダムニング)だが(センチュリー)、範囲外。
さて、virtual の話題。
ジーニアスを見れば、「仮想現実」 a virtual reality などの例文もある。
旺文社1900を見ると virtualの項目で、副詞 virtually 「事実上の」などもあるが、例文はない。東京書籍4500および桐原4500には例文は無い。桐原5500に副詞 virtually の例文あり、早大の過去問。
なお、桐原5500のviatually の項目いわく、「実質的には(≒practically)」「ほとんど(≒almost, as good as)」である。
念のため桐原3000および東京書籍3000を見たが、virtual などの紹介なし。
practical は「練習」 practiceの派生語。practice には「練習」のほか、理念・理論などの「実践」という意味がある。よって形容詞 practical には「実践的な」「実用的な」「現実的な」などの意味があり、よって副詞 practically には「実質的には」「実際的には」などのような意味がある。
余談だが、昨今、日本の芸能界では「リアリティ・ショー」などが問題になっているが、しかし英和辞典で見ると該当する単語は reality TV である(ジーニアス英和、センチュリー英和、の両方で確認)。
recognize は「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというとrecognizeは「見分けがつく」という意味である。
「足音でジムだと気づいた」とか(ジーニアス英和)、「帽子でジェーンだと気づいた」(センチュリー英和)とか、そういうのがrecgnizeである。
センチュリーから例文を抜粋すると、
I recognized Jane by ~ で、「~でジェーンだと気づいた」
のようになる。
一応、recognize には、新政権の「承認」などの意味もある。
辞書によくあるのは、新政権やイスラエルなどが周辺諸国から承認 recognize を拒まれるという内容の例文。
自分の間違いを認めたり認めないのも recognize である。
ジーニアスの例文では間違いを認め、
「彼は自分の間違いを認めた」He recognized that he was wrong.
である。
センチュリーの例文では間違いを認めず、
「彼は自分の間違いをどうしても認めようとしなかった。」 He wouldn't recognize his mistake.
である。
桐原4500ではrecognize を「認識する」、旺文社1900ではrecognizeを「識別する」とあるが、上述のようなそういう意味である。
perceive 「気づく」について。
名詞形 perception が「知覚」の意味である。この名詞形を覚えるべきである。
「知覚」とは、たとえば桐原のperceive の例文に「ネコは色を知覚することができない」とあるように、そういう意味である。
旺文社と東京書籍は「気づく」の意味の perceive 例文を紹介しているが、桐原は「知覚する」の perceive 例文を紹介するスタンスである。
perception については「認識」の意味もあり、桐原・旺文社にも書いてあるが、しかし「知覚」を覚えれば連想できるだろう。一方、認識から知覚を連想するのは難しいだろう。東京書籍では、perceptionの「認識」は紹介しておらず、「知覚」だけしか紹介していない。このように、知覚のほうが、この語 perception の本質であろう。
* cognitive 「認知の」
cognitive という形容詞があり、旺文社では「認知の」と紹介され、東京書籍では「認識の」「認知の」と紹介されるが、しかし辞書を見ても説明が少なく、よく分からない。桐原に至っては、cognitiveを紹介していない(桐原5500,桐原4500,桐原3000で確認)。
東京書籍でも、巻末で解説なしで、単語と例文だけの紹介である。しかし、旺文社1900での番号は 279/1900 と、かなり前半のほうである。
旺文社1900いわく「脳の認知機能」 the cognitive function of the brain
東京書籍4500いわく「認知能力」cognitive ability
らしい。
どうやら、cognitive は心理学または脳科学などの専門用語っぽいニュアンスのようだが、しかし英和辞典では確認できなかった(ジーニアス英和とセンチュリー英和を見た上で)。
旺文社いわく、「軽度認知障害」が、mild cognitive impairment (MCI)とのこと。
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過酷な
terrible, severe, harsh
ひどい terrible, awful
terrible (テリブル)は翻訳の都合でときには「過酷な」と訳される場合もあるが(ジーニアス)、たとえば暑さがterribleなら「過酷な暑さ」と訳される場合もあるが、
しかし、very bad くらいが terrible のニュアンスである(ジーニアス)。
なので、 terrible は(程度が)「ひどい」と覚えるべきである。
実際、東京書籍4500も桐原3000も、 terrible の意味を「ひどい」としている。
東京書籍3000は「ひどい体験」をterrible な体験としている(著作権のため、本ページでは「体験」は和訳せず)。
こういうふうに使う。
ほか、副詞 terribly は、
たとえば
「とても疲れたよ」 I'm terribly tired.
のように(ジーニアスに同じ例文)、強調するのに使う。
実はよい方向を強調するのにも terribly は使う(ジーニアス、センチュリー)。 (著作権のため、本ページでは例文は紹介せず)
terrible は語そのものにveryのような強調の意味を含むので、terribleをveryで修飾できない。
同様に、delicious(とてもおいしい)、enormous(とても大きい)、huge(巨大な)、marvelous(すばらしい)、terrible(ひどい)、tremendous(ものすごい)、などの形容詞はveryでは修飾できない。これらの語を修飾するには、reallyやcompletelyなどを使う
名詞形 terror (テラー)は「恐怖」「テロ行為」という意味がある。
なので、terrible には「恐怖の」という意味もあるが、この場合は horrible (ホリブル)で表現するほうが誤解のおそれなく無難だろう。
名詞 territory (テリトリー)「領土」「なわばり」も覚えておきたい(桐原4500、東京書籍4500)。三省堂 CROWN I を見ると、もう高校1年で territory を教えている。動物などの「なわばり」も territory で表せる。
なお、「国境」は単に border で通じる。 American border みたいに、国名の形容詞のあとに border を言えば、それでアメリカ国境の意味になる。
severe と harsh は他の節で紹介したので省略。
「過酷な」と言いたい場合、まずは severe (シビア)の使用を検討するのがよいだろう。
痛みが「ひどい」場合は severe を使うほうが無難だろう。
a severe pain 「ひどい痛み」(ジーニアス和英)
である。
形容詞 awful (オーフル)「ひどい」は、悪い意味だけでなく、よい意味でも使われる(センチュリーで確認)。桐原3000語レベル、東京書籍4500語レベル。
よって、awful は terrible とほぼ同じ意味。
もともと名詞 awe が「畏敬」(いけい)の意味である。
だが、awful は、なんだか口語的に「ひどい」「すごい」「おそろしい」みたいな意味になってしまっている。
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全体の
whole,total
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思う
think, suppose
think は「思う」と中学で習うが、辞書で調べてみると、意外とthinkは確信の度合いが高い。
センチュリー英和なども解説しているが、「推測する」といいたい場合は、think ではなく suppose を使うのが適切である。
つまり、「推測する」は suppose である。
推測よりも、やや確信の度合いが高い程度の場合に think を使うのが適切である。
名詞 supposition で「仮定」の意味。
まったく意味の違う用法だが、熟語 be supposed to ''do'' で、「~(do)することになっている」の意味。
よくある例文は、「彼は7時にここに来ることになっていた。」の類。
He was supposed to come here at 7 o'clock.
である。だが、この過去形での「was supposed 」の文は、実際には彼は7時に来なかったことを含意している(ジーニアス英和より)。東京書籍4500に似たような例文があるが、しかし東京書籍4500では含意の件には触れていない。
センチュリー英和によると、be supposed to do は、「(慣習や法律などによって)...するものと考えられている。」とあるので、表面的な言い回しこそ控えめだが、実際の意図はやや強制的・義務的な主張のニュアンスが高そうである。
否定形 be not supposed to do にいたっては「~してはいけない」の意味である(東京書籍4500)。
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証明・証拠
証明・証拠 proof ,demonstration
evidence 証拠
役所などの証明書 certificate
(裁判所などで)証言する testify (※高校必修範囲外だと思ったら、三省堂 CROWN I にあった)
proof には、「証明」「証拠」の2つの意味があるが、なるべく「証明」のほうで覚えるべきである。
なぜなら、数学の「証明」のことを proof というからである(ジーニアスで確認)。
私たちは、高校卒業後もなるべく教育レベルの高い外国人の英文を読むべきであろう。そして教育レベルの高い人ならば、外国の中学高校の数学は習得しているはずなので、よって外国人の彼らには証明を proof という習慣がついているはずである。外国の中学高校レベルの数学の用語も知らない頭の悪い外国人の英文なぞ、読むに値しない。
なお、動詞 prove は「証明する」の意味である。
evidence が、証拠のひとつひとつのことである。ジーニアスによれば、proofは「evidence を積み重ねた最終的な証拠」のことであるとされる。
だが、それよりも、proofは「証明」であると覚える方がよいだろう。
また、少なくとも日本の学問の世界では、個々の実験事実や個別の統計のような、個々の証拠のことは evidence というのが普通である。英語でどういうのか知らないが。
桐原の単語集にあるが、裁判などの「証拠」も「証言」も evidence である。英語では、「証言」と「証拠」を分けずに evidence という。
単語集にはないが、どうしても発言による「証言」であることを強調したい場合は verbal evidence という(ジーニアス英和で確認)。
ジーニアス英和辞典で確認すれば、「証人」すらも evidence である。
prove to be ~ で「~だと分かる。」「~となる。」「~と判明する。」である。
辞書の例文が、事業などが prove to be a success 「成功となる」またはprove to be successful 「成功となる」である(ジーニアスとセンチュリーの両方)。東京書籍4500の例文もこの類。
桐原4500だけ He was proved to be innocent 「彼は無実だと判明した」である。
旺文社1900には、 prove to be ~ の例文は無い。
実はデモンストレーション demonstration 「証明」の意味がある。
一般的には、英語では、行動によって意志を表したり、あるいは、たとえば新製品の実演販売みたいに実演などによって説明すること等を demonstration という。
集団などのデモ行進も、同じ demonstration である。
センチュリーの例文だが、戦争反対のデモなら demonstration against the war である。
一般に、demonstration against ~で「~反対のデモ」である。
だから東京書籍にある「新空港に反対するデモ」なら
demonstration against the new airport
である。
能力の証明なども demonstrate であり、東京書籍に紹介されている。
旺文社1900でしか説明していないが、感情をあらわにすることも demonstrate である。だが、感情のデモは例文もないので、深入りする必要はないだろう。
動詞形は demonstrate である。
ジーニアス和英を見ると、実はdemonstraite やdemonstration には「論証する」などの意味もあり、旺文社1900が紹介しているが、しかし桐原も東京書籍も「論証する」の意味は紹介していない。
センチュリーは、証明についてのdemonstration の意味は、論証ではなく「実証する」であると説明している。
ジーニアスの例文を見ると、「哲学的論理」の論証の例文である。
demonstrate が「論証する」と言っても、どうやら、数学のような論証ではないようだ。
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仮定や論理的思考など
仮定する assume, suppose
当然と思う assume
仮定 assumption, supposition
推測 supposition
「推論する」 infer
仮説 hypothesis
動詞 assume は、「仮定する」「想定する」「決め付ける」などの意味。
共通するニュアンスは、ジーニアスいわく、明確な証拠がなくても想定すること。
名詞形が assumption である。
assume that ~ で「~だと思い込む」(桐原)または「~を当然のことだと思う」(旺文社)である。
たとえば、旺文社の例文「私たちは日本の列車がいつも定刻どおりに運行することを当然と思う」が assume that の例である。
ジーイアスによると、三段論法の「前提」などで、assumption が使われるとのこと。
このため論理的な議論ではassume や assumption が使われると思われるので、覚えておきたい単語である。
しかし、suppose にも「仮定する」の意味がある。
だが名詞形 supposition が「推測」の意味である。なので、suppose はどちらかというと「推測する」のニュアンスが強い。
桐原の単語集にはsuppose は「推測する」の意味しか書いてないが(東京書籍に至っては「思う」しかない)、しかしセンチュリーを見ればsupposeの意味として「推測する」のほかにも「仮定する」も書いてあるのが実態である。なお、旺文社1900でだけ、例文なしで「仮定する」の意味も紹介してえる。
「仮説」と「仮定」は違う。
「仮定」とは、たとえば「仮に○○だとしたら、□□は××になるはずだ」の前半「仮に○○だとしたら」のこと。仮に定めるので「仮定」というわけである。
一方、「仮説」とは、「~の原因は、□□が××だからだ。なぜならば(以下略)」という原因をとなえる主張のうち、まだ真実かどうかの評価が確定してない主張のこと。
「仮説」は英語で hypothesis である。
なので「仮説」は証明あるいは検証するためのものである。
「仮説を証明する」は prove a hypothesis である(旺文社、ジーニアス)。
ただし、実際には派生的に hypothesis でも「仮定」の意味もある(ジーニアス、センチュリー出確認)。
だが、単語集では hypothesis の「仮定」の用法は紹介されていない。あまり知的な用法だとは思われていないのだろう。「仮定」を言いたいなら assumption
で済むし、高度な学問をするなら「仮定」と「仮説」は分離すべきであるし。
infer という動詞があり、事実や根拠などをもとに「推論する」という単語である。
infer that ◯◯(文節) from ~ で「~を根拠に◯◯だと推論する」という意味である。
桐原5500も旺文社も、infer の例文では from で根拠を提示している。
そもそも日本語の「推論する」というのは、事実や根拠をもとに推理・推測することだと、広辞苑(1992年)にも書いてある。
広辞苑の例文にも「事実から推論する。」とある。
ともかく、このように「推論」は根拠とともに使うべき単語である。
infer で推論する内容は、べつに学問的な内容である必要はなく、たとえば「彼女の沈黙から怒っているのだと察した」とか(ジーニアス)、そういうのでも構わない。
infer にはこのほか、「暗示する」(= imply )という単語もあるが、imply という「暗示する」の意味の単語で代用できるので、説明を省略する。
名詞形は inference 「推論」「推理」であり(旺文社)、推論するという行為(旺文社、ジーニアス)または推論の結果によって得られた結論のことを言う(センチュリー)。
by inference で「推論によって」(旺文社)、「推測によって」(センチュリー)である。
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扱う
deal with ~, treat
treat は普通、厚遇する「扱う」の場合に使う。つまり、treatは「厚遇する」である。
ただし、和訳の都合で、「厚遇する」だと表現が硬くなる場合によく「扱う」と訳される。
だが、「扱う」で覚えてしまうと類似語とのニュアンスの違いが覚えづらくなってしまうので、treat は「厚遇する」で覚えよう。
治療の場合にも treat を使う。
dea with ~は、「~を処理する」「~を契約する」などの意味である。
典型的な例文が「苦情を処理する」 deal with complaints である(東京書籍4500。旺文社1900)。
ジーニアスで確認したところ、 deal with にも厚遇の用法もあるが、本ページでは触れないとする。
deal は「分配する」「配る」の意味である(東京書籍4500でも紹介)。
トランプなどの札を「配る」のが dealである。
だからトランプの札を配る人をディーラー dealer とも言う。
deal には「商取引」の意味もある。だから、ある種の商品の「販売人」「販売業者」のことを dealer とも言う。桐原4500が「販売業者」としている。ジーニアスは「販売人」。
同じスペル deal で 「量」の意味がある。
a good deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。
a great deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。東京書籍4500では、 a great deal of ~ で「非常にたくさんの~」としており、数えられない名詞に用いるとしている。
桐原の例文では、 a good deal of snow 「かなり多量の雪」、東京書籍の例文では a great deal of time 「たくさんの時間」、と訳している。
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分配・配分
distribute, deal
食料や出版物などを分配する場合、普通は distribute を使う(東京書籍4500)。東京書籍では「出版物」では「印刷物」としているが(例文でリーフレット leaflet を想定)、しかしトランプの札も印刷物であるので、このページでは「出版物」と表現した。
典型的な例文が
distribute food to the ~で「~に食料を配る」である。
辞書によっては「金を配る」場合もあり、その場合は
distribute money to the poor 「まずしい人に金を配る」である。(センチュリーを参考)
「子供たちにリーフレットを配る」なら、 distribute leaflets to the children となろうか(wikiオリジナル。東京書籍およびジーニアスの例文を参考に組み合わせ)。
東京書籍4500だけでなくセンチュリー英和でもリーフレット leaflets を配る例文である。
単語集にはないが、電気屋などで買えるテレビ信号などの分配器をよくよく見ると、ディストリビューターと言ったりしている。実際、ジーニアスで分配器 distributor である。
単語集にはないが、数学でいう確率分布などの「分布」も distribution である。しかし高校生に「確率分布」と言って通じづらい。
ジーニアスによれば、生物学などでの植物の「分布」も distribution である。高校生は植物のほうが覚えやすいだろう。
deal については「扱う」の項目で説明したとおり。トランプの札などを配ったりするのが deal である。
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比例
ratio, rate, proportion
3:2とか 4:7 とか、とにかく個別の比や比率のことは ratio (レイショウ)という。
そういった個別の比ではなく、たとえば数学で「AとBとは比例関係にある」のような「比例関係にある」のことを形容詞で proportional と言う。
名詞 proportion は比例関係。
そういうのではなく、たとえば利子率など何かの比率のことは rate (レイト)という。
なお、利子率や金利は interest rate という。ここでいうinterest は、「興味」の interest と同じスペル。
桐原4500によると、「失業率」は the unemployment rate である。
東京書籍4500によると、「出生率」は the birth rate である。
proportion には、全体の中で占める「割合」という意味もある。
桐原4500および旺文社1400に熟語 at any rate 「とにかく」が紹介されているが、例文は無い。
実際には ratio にも比例関係の意味があったり、proportion で個別の比に言及することもあるが、ニュアンス的には上記の感じのはず。
例文は省略。著作権的な問題をクリアできそうな典型的な例文が見つからなかったので、読者が単語集などで読者が自身で調べてほしい。
* 合理的
rational,
「合理的な」は英語で rational である。これ単独だと覚えづらいが、実は比率 ratio と冒頭のスペルが同じだし、発音も「レイショウ」と「レショナル」でほぼ同じである。
なお、数学の「有理数」も rational number であり、同じスペルの rational である。
だからか和訳も気をきかしてか、有「理」数となっているわけであろう。(ここら辺の話題は、数学英語の専門書に書いてある、有名な話である。)明治時代あたりの数学者に感謝しよう。
そして、「有理数」とは、整数の比例で表される数のことである。(数学的な厳密性は置いておく。)
つまり欧米人の数学のできる人は、「合理的な」=「整数の比例の」が同じ単語であると認識しているわけである。
こうやって考えると、「比例」ratioさえ知っておけば、そこから「合理的」 rational も普通に覚えられる。
なお、「非合理な」は irrational である。
さて、rational でよくある例文は、「合理的な決断」a rational decision である。東京書籍4500と桐原4500の両方に、「合理的な決断」 a rational decision が書かれている。
ついでに、「自然数」は a natural number である。単語集には「自然数」は書かれていないが。
「実数」は a real number である。
「自然数」も「実数」も、英語または対応するドイツ語あたりを、日本語に直訳しただけである。
なお、「論理的な」は logical (ロジカル)である。「論理」が logic なので、それから覚えよう。
reasonable (リースナブル)と言う形容詞には、「理にかなった」という意味があるが、しかし「値段が手ごろな」という意味もあるので、使いどころが難しそうである。
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出席
attend, present
形容詞 present は、「出席している」の意味もあるが、名詞形 presence に「存在感」の意味がある。
attend が、会議や授業などに「出席する」である。
典型的な例文が、attend the meeting 「会議に出席する」である(センチュリー、東京書籍4500)。
だが、attend school で、毎日規則的に「学校に通っている」の意味である(センチュリー、東京書籍4500)。
学校や教会に規則的に通うのは attend を使う。「教会に通う」の例文なら attend church である(センチュリー)。
授業の出席のattendの例文が、辞書でも単語集でも見つからない。
授業の出席については、present を使うのが安全だろう。
なので、辞書にはないが、どちらかというとattend は、出席するために「~に出ている」の意味ぐらいで解釈したほうがよいかもしれない。
名詞 attention が「注意」の意味である。attention が「注意」なのも、「注意を向かわせる」みたいな意味ぐらいで解釈したほうが、出席の「~に出ている」くらい
旺文社1900いわく、pay attention to ~で「~に注意を払う」である(なお、ここでのtoは(不定詞ではなく)前置詞の用法)。桐原によれば、attend to ~ともいう(toは前置詞としての用法)。
あまり attend と present の概念の違いがハッキリしていない。実務の際は、勤務先の業界の慣習などに任せて使い分けのが良いだろう。
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寄付
donate, contribute
単語集を見てたら、「勘弁してほしいなあ」とあきれたが、contributeには「寄付」の意味もあるが、現代のIT社会では普通はcontributeは「貢献する」の意味である。
「寄付する」はdonateである。
しかも、単語集には、contributeの項目を見ても、donateについては書いてない。donateの項目を見ても、contributeについては書いてない。
たとえばwebサーバなどのよく使われるOSのLinux(リナックス)の場合、寄付以外にも多くの協力活動があって(テストに参加するとか)、そういう諸々の協力活動の全体のことを contribute と言っているのが普通である。
そして、その協力活動の中のひとつに寄付もあって、その寄付が donate という言い回しである。
実際、debian(デビアン) というLinuxの一種のwebサイトはそうである<ref>[https://www.debian.org/intro/help Debian -- Contribute: How you can help Debian] 2022年5月1日に確認.</ref>。
ページ"Contribute: How you can help Debian"の中に、下記のようにいくつも項目があって、
<pre>
Contribute: How you can help Debian
Coding and Maintaining Packages
Testing and Bug Squashing
Writing Documentation and Tagging Packages
Translating and Localizing
Helping other Users
Organizing Events
Donate Money, Hardware, or Bandwidth
Use Debian
How your Organization can support Debian
</pre>
その項目のひとつとして"Donate Money, Hardware, or Bandwidth"があるという構成である。
もっとも、wikipediaのサーバを動かしているOSはDebianではなく Ubuntu(ウブントゥ)というイギリス製OSであるのだが、このUbunutの本家イギリス語版のwebサイトのページで寄付のページには contribute と書いてあるので<ref>[https://ubuntu.com/download/desktop/thank-you Thank you for your contribution | Ubuntu]</ref>、contributeで寄付を意味しても間違いではない。
よく、医療で「血液ドナー」とか何かの提供者のことをドナーdonorというが(旺文社1900)、これもdonateの派生である。
なお、donor の発音はドウナーである。旺文社1900では発音の注意をしている。
なお、ジーニアスとセンチュリーで確認したところ、blood donor とは単なる「献血者」のこと。クルマの「献血車」にあらず。
ジーニアス英和によれば、ドナーカード donor card も英語でそのまま通じる。
なお、桐原3000の donor 項目いわく、「血液バンク」は a blood bank とのこと(桐原3000)。
なお、名詞形は donation 「寄付」である。
単語集によると、make a donation で「寄付する」である(東京書籍、桐原)。
make a donation to our school で「学校に寄付する」。
make a donation to church で「教会に寄付する」
donate で使う場合、ジーニアス英和に donate a money to Red cross 「赤十字に寄付する」という例文があった。
debianのサイトでも donate a money と言っているように、普通は 「donate a 金または金額」のパターンである。
実際、センチュリー英和では donate $1,000 to a charity 「慈善事業に千ドル寄付する」である。
contribute で金銭を寄付する場合でも同様、 「contribute 金額 to 相手」のパターンである(桐原、東京書籍)。
contributeの単語集が金額の例ばかりであるが、センチュリーによれば a money で寄付してもいい。
センチュリーいわく contribute a lot of money to church 「教会に多額の寄付をする」である。
contribute には、なにか望ましくないことの「一因になる」という意味もあり、たとえば「二酸化炭素は温暖化の一因になる」とか(旺文社)、「砂糖は虫歯の一因になる」とか(センチュリー)、「喫煙がガンの一因になる」とか(ジーニアス)。
良いことの一因になった場合にもcontributeを使うが、ただし和訳の際、普通は「寄与した」と訳すだろう。
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闘争と努力 struggle, strive
努力する endeavor ,
不和と摩擦
strife, friction, conflict
紛争 strife, dispute
口論 quarrel, dispute
意見を戦わす dispute, tackle
「努力する」には、struggle と strive と endeavor があるが、高校生はまず struggle を覚えるのが良い。
strive だと、後述のように闘争の意味合いに解釈される可能性がある。
実際、単語集でも、struggle を先に紹介しており、strive はかなり後半で紹介する。
動詞 struggle は「もがく」「あがく」などの意味だが、「努力する」「奮闘する」のような意味もある。
病気や苦痛などから逃れるために「戦う」のような意味もある。
struggle to ~(動詞) で、「~するために努力する」である(東京書籍)。
struggle with ~ で「~と闘う」である。
struggle for ~で「~を求めて闘う」である。ジーニアスによれば、struggle for independence で「独立を求めて闘う」。旺文社によればstruggle for equal right で「平等権を求めて闘う」
名詞も struggle であり、「闘い」「努力」の意味である。
だが、生存競争を a struggle for existence という(旺文社1900にあり。ジーニアス、センチュリーで確認)。
あまり使い分け方ははっきりしないので、慣習に合わせるしかない。
単語集にはないが、権力闘争は a power struggle といったり(ジーニアス)、a struggle for power という(センチュリー)。
endeavor (エンデバー)は動詞で「~しようと努力する」、名詞では「(真剣で継続的な)努力」の意味だが(ジーニアス、センチュリー)、なぜか単語集には、あまり積極的に紹介されてない。endeavor は東京書籍では巻末おくりだし、桐原では5500おくりである。
アメリカの宇宙船の名前でエンデバーというのが昔あったので、特に悪い意味は無いだろう。
しかし、なぜだか、単語集はあまりエンデバーという単語を紹介していない。
動詞として使うときは endeavor to ~(動詞) 「~しようと努力する」
である(東京書籍、桐原、ジーニアス、センチュリー)。
strive という単語があり、これも「努力する」や「闘う」の意味である。桐原だと闘争の意味が書いてないが、東京書籍にきちんとstriveの「奮闘する」が書かれている。
これは比喩的な奮闘ではなく、後述するように名詞形で実際の戦争を扱う。
strive for ~で「~を目指して努力する」または「~を求めて努力する」の意味である。
旺文社1900には動詞 strive の項に、派生の名詞形 strife がスペルと和訳「争い」「不和」だけ紹介されている。
他の単語集には名詞形が書かれていないが、strive には実は派生の名詞形が2つあり、striving と strife である。
辞書にも、strife と strive の関係が書いてないが、明らかにstrife と strive はお互いに派生であろう。少なくとも旺文社1900は 名詞 strife は 動詞 strive の派生だという見解である。辞書のほうが頭悪い。
striving が「努力」の意味。 strife は「紛争」や「不和」など、ぶっそうな意味である。
辞書によると、政治闘争は a political strife である(ジーニアス、センチュリー)。
しかし、ジーニアスによれば、民族紛争などは conflict を使う場合もある。
山川出版の英語版・詳説世界史では自衛隊PKO派遣先の、いわば「紛争地帯」に相当する場所を conflict zone と言っている<ref>橋場弦 ほか監修『WORLD HISTORY for HighScool 英文詳説世界史』、2019年10月15日 第1版 第3刷発行、P.412</ref>。
一方、センチュリーだと、「その二国間には紛争がある。」There is strife between the two countries.
とある。
ジーニアスによれば、家族紛争を a family strife という。
dispute には、「紛争」「口論」「議論」「意義を唱える」などの広い意味がある(桐原)。「意義を唱える」は旺文社の解釈。
「議論」を訳す場合でも、「議論を戦わす」のように(東京書籍、センチュリー)、意見の対立に主眼が置かれている。センチュリーにいたっては、感情的な対立があるとのニュアンスがあるとまで述べている。
だからか労働争議を a labor dispute ともいう(ジーニアス、センチュリー)。
いっぽう、単に意見や議論を戦わせるだけなら、動詞 tackle である(センチュリー、桐原)。ジーニアスにいたっては、tackle の意味で「戦う」の言葉は使わず、tackle は意見を「論じ合う」だとしている。
センチュリーは、「賃上げ(on a raise)をボスにかけあう」を動詞 tackle としている。文脈は違うが、旺文社でも「予算」がどうのこうのと、tackle で金を話をしている。
動詞としては tackle には「問題に取り組む」という用法もある(桐原、東京)。
典型的な例文は、
tackle the problem 「その問題に取り組む」
である(桐原、東京書籍)。
なお、tackle は、ラグビーなどの名詞「タックル」、動詞「タックルする」と同じ単語でもある。
肉体的な単なる「闘い」「闘う」は fight とか battle で良いだろう。
「不和」については friction 「摩擦」を使うも言い換えもある。物理学の「摩擦」 friction と同じ単語である。
「静止摩擦」は static friction である(旺文社1900の static 項目)。ジーニアス・センチュリーのstatic 項目では見つからなかったが、たしかに静止摩擦は static friction だたはずである。
なお、「静電気」は static electricity である(旺文社1900、ジーニアス static 項目、センチュリー static 項目)。
さて、friction の話題に戻る。東京書籍4500と桐原4500・5500には、friction が載っていない。旺文社1900にだけ friction がある。
外交の「不和」には、friction を使える(ジーニアス、センチュリー)。というか、英語で「貿易摩擦」を trade friction と言う(旺文社)。ジーニアス英和やセンチュリー英和で貿易摩擦を確認したかったが、見つからなかった。辞書でfriction で調べてもtradeで調べても、ジーニアスとセンチュリーでは見当たらない。
和英のほうでジーニアス和英を調べると、「貿易摩擦」は trade friction または trade conflict というとのこと。
外交の不和で strife を使うと戦争の恐れの高い不和だと誤解されかねないだろうから、貿易摩擦のようなお金の問題では friction で十分だろう。
さて、努力について、 effort という名詞があるが、しかしこれは名詞である。
なのでeffortで「努力する」と言いたい場合、東京書籍やジーニアスによれば make an effort のようになる。意外と難しい。
effort to ~(動詞)で「~するための努力」である。
東京書籍にあるが、make a great effort 「大変な努力をする」のように、great などの形容詞がつくこともある。
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傾向 tendency, trend, inclination
流れ current , flow
「傾向がある」 tend(動詞), inclined (形容詞),
ミスなど好ましくないことをする傾向がある be liable to ~
その他、好ましくない傾向がある be prone to ~
センチュリー英和を見ると、trend と tendency の違いが説明されている。
tendencyは、たとえばセンチュリーにある「赤ん坊は空腹になると泣くものだ」とか「弱い母音は消失する傾向がある」のように、本来的に、何かのおきる傾向のあること。
trend は「流行」や現在の「趨勢」(すうせい)や「風潮」などの傾向。ジーニアスを見れば「趨勢」や「風潮」の意味も書いてある。
なお、衣服の流行は fashion である(東京書籍3000、桐原3000)。一応、ジーニアスには、衣服だけでなく文学や芸術の流行も fashion ということもあると書いてあるが、しかしセンチュリーは採用していない。
なお、mode も衣服の「流行」の意味であるが、現代では廃れている表現だとジーニアスはいっているし、桐原と東京書籍の単語集に mode は無い。
しかし、旺文社1900にmode があり、「方式」「形態」などの意味である。後述の「携帯」の誤字ではなく、確かに旺文社1900のmodeの項目に「形態」と書いてある。
旺文社1900の単語集は入試準拠なので、おそらく教科書にはないが入試によくある表現なのだろう。総数1900のうちの844番目にmodeがあった。
旺文社1900のいうmode関連の派生表現のひとつで、携帯電話の「マナーモード」は silent mode である。
ほか、物理学の弦の振動などの「モード」もこの単語だったと思うが、辞書には無いので不明(ジーニアスとセンチュリーの両方とも確認したが見つからなかった)。
さて、tendency の話題に戻る。
さきほど trend は「趨勢」や「風潮」だと言ったが、だがジーニアスによると、現在の株価の傾向などで(トレンド trend ではなく) tendency を用いている例文もあり、実際には使い分けは明確ではない。
tendency の動詞形は tend であり、「傾向がある」の意味。というか、動詞 tend の名詞形が tendency である。
tendの意味も、本来的に "~をする傾向がある" という意味での「傾向がある」である。
tend to ~(動詞)「~する傾向がある」の形でよく使われる。
ほかにも、 tendに「世話をする」という意味もあるが、だがこれは、名詞 tender「やさしさ」の動詞形だとみなすべきだろう。
ややこしいことに、動詞 tender は「提出する」「支払う」の意味である。だが単語集に動詞 tender がないので、無視しよう。
一方、trendについて。
センチュリーによれば、「新しい流行」 a new trend とか使う。
東京書籍に the current trend 「現在の流行」という例文もある。
東京書籍によれば、「最近は小型車が売れている」的な意味の流行も trend である。
また、旺文社によれば、「最近は高齢者には運転をやめさせるのが傾向である」というのも trend である。
旺文社の例文を考えれば、和訳が「傾向」であろうが、内容が最近の風潮なので、trendを使うのが正しいわけだ。
形容詞 trendy 「流行の先端を行く」の意味である。
* 「流れ」
current, flow
flow は「流れる」と言う意味の動詞だが、名詞では川などの「流れ」を言う。
current は、「流れている」という意味の形容詞だが、名詞では「海流」や「電流」などの「流れ」も言う。
川も海流も同じ水の流れなのに、なぜか使い分けをするのである。
東京書籍3000でも桐原3000でも、flowの例文で、川の流れを扱っているので、そういう単語だと納得してもらうしかない。
英語というのは、あまり論理的ではなく、慣習などで使い分けが決まっている部分もある。
東京書籍に書いてあるが、気体の流れも液体の流れも flow である。
普通科高校では習わないが、工業高校などで流量計などの機器を扱う際、その流量計を英語で「フローメータ」などという。また、その計器で測定する流れのことは普通は「フロー」flow と読んでいる。
風の流れや川の流れという言い方ではなく、わざわざ「気体」「液体」と東京書籍が言ってるのは、たぶん、そういう流量計などを見越しての表記だろう。
実際、ジーニアスを見てると、「液体・気体の流出量(流入量)」という意味もかかれている。東京書籍はおそらく英和辞典のflowのこういう意味を参考にしたと思われる。
さらっと「流量計」と言ってしまったが、流体力学では流出量も流入量も区別せず、まとめて「流量」(りゅうりょう)と呼び、それ(つまり「流量」)を flow と言うのである。
実際、ジーニアスでは、たとえば人口の「流入」もflow であるし、センチュリーでは(石油らしき)ガロン単位の液体の「流出」もflow である。
そのほか、お金の「流れ」については、経済学ではカレントもフローもどちらとも使う表現なので、深入りしない。
さらに混乱させるが、discharge 「解放する」・「釈放する」、「解雇する」「解任する」の意味の単語(東京書籍の巻末)にも、実は「流れる」の意味がある(ジーニアス)。「アマゾン川が大西洋に注いでいる」という例文で、discharge を使っており、ここでは flow into と同じだと、ジーニアスは言っている。
煙などの排出も discharge であり、いったい流出なのか流入なのか、はっきりしない。
専門用語などで flow と区別したい場合、discharge を使うこともある。
だから、たとえば流体力学で、理論値と実測値との違いの比率のことを discharge coefficient といい、よく「流量係数」とか「流量係数」とか言う。分野によって和訳が違うので、和訳は気にしなくていい。証拠に英語版ウィキペディアの記事 [[:en:w:discharge coefficient]] (流出係数)があります。
あと、discharge には名詞の用法もある(ジーニアス)。東京書籍には動詞の用法「解放する」以下略しか書いてない。
そんなことよりも、「解放」「釈放」の意味を、液体の排出などと関連づけて覚えよう。なんか解き放たれて自由に動ける的なイメージが discharge である。
なお、日本でも、よく、解雇や解任のことを、比喩的に「自由の身」みたいとか「長い夏休み」みたいに言います。なので、そこから派生的に、discharge の複数の意味を把握できます。
洋の東西を問わず、人間の言語センスは似たようなもんです。(あるいは、もしかしたら日本人が英語discharge を真似たのかもしれません。)
「頭脳流出」は a brain drain という(旺文社1900、ジーニアス、センチュリー)。ややダジャレっぽい語感もするので真に受けるわけにはいかないが、drainの基本的な意味は「流出する」である。(なお、このように brain には「脳」の意味のほかにも「頭脳」の意味もある(桐原3000)。)
だが drain には、体力などを「消耗させる」という意味もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
drain my strength 「体力を消耗させる」
である(センチュリー。ジーニアスに似た例文)。
体力が流出していくイメージか。
台所の「排水口」とかも名詞 drain である。屋内の下水などに向かって流出させる側の台所の排水口が drain である。
その他、排水管が drain である(ジーニアス)。
* 傾向 tend, inclined
まず、tend は動詞。
inclined (インクラインド)は形容詞。
なので
be inclined to ~(動詞) で「~する傾向がある」
のように使う。inclined to do を使いたい場合、be動詞が必要。
一方、tend は動詞なので、be動詞なしで、
tend to ~(動詞) 「~する傾向がある」
である。名詞形はtendency 「傾向」である。
実は動詞 incline (インクライン)「傾ける」という単語があって、「傾ける」「その気にさせる」の意味である(東京書籍)。
坂(slope)などの物理的な「傾き」やその角度なども 名詞 incline である(ジーニアス)。
桐原は inclined などは紹介していない(桐原4500および桐原5500を確認)。
単語集にはないが、「話を聞こうと耳を傾ける」incline my ear to ~ 、みたいな表現にも incline を使う(センチュリー)。というか、おそらくこの英語表現が先にあって、それに合わせて日本で「傾聴」みたいな表現が生まれた可能性。
また、このように incline には、好意などによって、「関心を向ける」のような意味もある。
このためか、名詞形 inclination (インクリネイション)には「傾向」の意味のほかにも、「好み」の意味もある(旺文社)。
ただし、必ずしも inclination は「好み」とは限らず、たとえば「彼は太りやすい」のような体質や(ジーニアス)、「この車は横滑りしやすい」とか(センチュリー)、そのほか性質や、性向なども inclination である(ジーニアス)。
どちらにせよ、とりあえず inclination の中心的な意味は「傾向」だと覚えておけば問題ないだろう。
単語集にはないが、坂や屋根などの物理的な「傾き」やその傾斜の角度なども inclination という(ジーニアス、センチュリー)。
liable (ライアブル)は、好ましくないことをする傾向や、好ましくない状態になりがちな傾向のある場合に使う(ジーニアス、センチュリーで確認)。なお旺文社では発音注意している。
和訳では liable は単に「~しがちである」と訳す場合があるが(桐原4500、旺文社1900)、「好ましくないことをする傾向」だという条件をしっかりと理解しておこう。、
be liable to ~(動詞の原型)で「~(ミスなどの行動)をしがちである」
のように訳す。
ほか、典型的な例文
be liable to illness 「病気にかかりがちである」(旺文社、ジーニアス)
がある。なおこの場合、to が不定詞ではなく名詞に対する前置詞に変わっている。
なお、「ミスをする」make a mistake
または
make mistakes
である。なお、桐原3000およびジーニアスでは、make a mistake 「間違える」と訳している。
なので、ともかく
be liable to make mistakes 「ミスをする傾向がある」
である(旺文社)。
形容詞 prone (プロウン)は、望ましくないことについて「~の傾向がある」の意味(ジーニアス、センチュリー)。
病気になりやすいとか、怒りやすいとか、そういうのも prone を使える。例文は辞書を見て(著作権の都合)。
単語集には、なぜか、望ましくないことに使う前提が書かれていない(旺文社、東京書籍の巻末)。
だが、辞書には前提が書かれている。
単語集にある典型的な例文は、
be prone to error 「間違いを起こしやすい」
である(旺文社、東京書籍の巻末)。
to は前置詞でもよく、動名詞 to でもよい。つまり、prone to の後ろにくるのは、名詞 でも 動詞の原型 でも良い。
earthquake-prone 「事故多発地域」の意味である(センチュリー、旺文社)。
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mistake と error
ジーニアスによると、
mistake は不注意や勘違いによる間違い。
error は、計算の誤りや、裁判の誤審など。
・・・とのこと。
また、センチュリーいわく
「不注意な間違いをする」make a careless mistake
とのこと。
だから mistake は、「勘違い」とか(ジーニアス)、「誤解」「思い違い」とかで(ジーニアス、センチュリー)覚えたほうがいいかもしれない。
mistake を「誤り」「間違い」と訳しても間違いではない(ジーニアス、センチュリー)。そういう訳がジーニアスにもセンチュリーにもある。
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現在の
current , present, modern
current は、形容詞「現在の」が入試ではよく出るが、しかし名詞では「流れ」の意味である。
海流とか電流とかの流れにcurrentを使う。
東京書籍およびジーニアスが紹介しているが、「暖流」は a warm current である。
ついでにジーニアスが紹介している「寒流」は a cold current である。
current は、まず名詞「流れ」を覚えるべきであり、形容詞「現在の」はその派生として覚えるのが良いだろう。
ジーニアスで調べた語源でも、「走っている」→「流れている」→「現在通用している」というような意味の変遷らしい。
さて、current 関連の名詞として、単語集にはないが、電流の直流 D.C. とは direct current の略である。
交流 A.C. も Alternating current である(ジーニアスで確認)。
通貨はcurency (カレンシー)である。
単語集にはないが、国際的に安全な通貨のことを経済学ではハードカレンシーといい hard currency と書く。)
「現在の」を意味する形容詞には、current のほかにも present がある。
present は、たとえば英文法の「現在形」や「現在進行形」などの「現在」も present である。
「現在」のpresent と 「贈り物」の present とスペルも発音も同じである。また、「出席している」の形容詞 present と同じ単語である。
present と current のニュアンスの違いは、辞書では特に言及されてないが、current には「流通」や「通用」のような意味合いもあるというところだろうか。
* 現代
modern と contemporary
なお、modern は、「近代の」「現代の」という意味であり、歴史的なニュアンスで使う。
modern も単語集にあるので、覚えよう。
単語集にないが、たとえば「近代文学」modern literature のように(センチュリーで確認)。なお、「現代」はmodern times という。
桐原4500にあるが、(科目名ではない意味での)「現代社会」は、modern society である。
動詞 modernize は「近代化する」「現代化する」の意味である(東京書籍4500および桐原4500)。
しかし、contemporary という単語も存在し「現代の」という意味であり、しかも、旺文社いわく「現代日本文学」は contemporary Japanese literature である。
東京書籍4500いわく、contemporary と modern の違いは単に、芸術様式の話題では contemporaryが「現代の」の意味で使われるとのこと。
だからか、東京書籍・桐原・旺文社の3つともすべてに単語 contemporary art 「現代美術」がある。
その他、contemporary には「同時代の」と言う意味もあり、東京書籍いわく、「ピカソとダリは同時代の人」という内容で、語法 be contemporary with ~ を使っている。
* temporary
temporary は「一時的な」の意味の形容詞。
典型的な例文が
「一時的な仕事」 a temporary job
である(東京書籍、旺文社)。
なお、ジーニアスとセンチュリーでは、同じ a temporary job を「臨時の仕事」と訳している。
対義語は permanent である。
つまり、
temporary ⇔ permanent
である。
なお、いわゆる「アルバイト」は、英語で part-time job である(ジーニアス和英「アルバイト」で確認)。side job ともいう(ジーニアス和英)。
日本語の「パート主婦」のような、勤務時間の短い意味合いは、英語のpart time jobには無い。
そもそもアルバイトはドイツ語に由来する言い回しだし、しかもドイツ語では「仕事」という意味らしい(本書は英語の教科書なのでドイツ語には深入りしない)。
「永久歯」を permanent teeth という(ジーニアス、東京書籍)。
東京書籍いわく、「終身雇用」を a permanent job というとの事だが、しかしジーニアス英和やセンチュリー英和では確認できなかった。
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強制
force, enforce, compel , oblige
義務
duty
辞書によくあるcompel の典型的な例文が「病気のため仕方なく~せざるを得なかった」的な例文。こういうときにcompelを使うようである。
辞書によると、compel はforce よりも意味が弱く、oblige (オブライジ)よりも意味が強い、
普通、oblige (オブライジ)は「義務づける」と訳す。
単語集にはないが、思想の用語で「高貴たる者の義務と責任」と言う(英語ではなく)フランス語で noblesse oblige ノブレス・オブリジュ という単語があり、社会的エリートが兼ね備えるべき義務感のことを言う。
さて、英語では、名詞形 obligation が「義務」の意味。センチュリー英和で確認したが、法律的な「義務」も、道徳的な「義務」も obligation である。
桐原4500では obligationの意味に「義理」を加えて、「義務」「義理」がobligation だとしている。
旺文社1900では、 obligationの意味に「責任」を加えて、「義務」「責任」がobligation だとしている。まあ、「高貴なる者の義務と責任」が世界各国エリートの基礎教養なので、知的な英文ではそういうニュアンスで obligation が使われることも多いのだろう。
東京書籍4500 には、oblige の紹介は無い。
force は「強制する」の意味。
さて、「軍隊」「武力」も force である。
軍隊によって「~が強制された」という場合、どうすればいいのだろうか?
桐原4500では、force「強制する」の例文での「軍隊」を troop という単語で表現して、forceの同音意義語の問題をうまく回避している。
桐原の例文が「政府軍が反乱軍に降伏することを強制した。」と言う例文である。
なお「政府軍」は the government troops である。
反乱軍は the rebels である。「降伏すること」は to surrender である。
troop とか rebel とか、索引に無い単語ばかりである。
enforce は、強制一般の意味もあるが、法律によって強制する、というニュアンスがあり、例文もそういうのが多い。だがラグビーでエンフォースという用語がある。ラグビーの説明はしたくないので説明は省略。
センチュリーの英語によると、警察が市民に法を強制したりするのが enforce である。
桐原4500によると、法律を施行するのが enforce である。警官が法律を守らせる場合も、the police enforces the law のように、目的語は法律になる。
旺文社1900および東京書籍4500にも、似たような警官と法律の enforce 例文がある。
こういう事情もあってか、旺文社は1900はenforceの意味を「施行する」「実施する」としている。
桐原は、enforceの意味を「施行する」「遵守させる」としている。
なお、死刑執行で誰かを「処刑する」のは英語で execute (イクセキュート)である。
「死刑執行」「処刑」は execution である(桐原5500で「死刑執行」、旺文社1900)。
execute には、計画・命令などを実行したり、仕事を「成し遂げる」などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。ジーニアスによると「最後までやる」が原義のほうの意味とのこと。
処刑の意味は、処刑で「片付ける」的なニュアンスだろうか(特に言及されてはいない)。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。
計画などの実行で使われるといっても、ただし、こういう固い語なので、技術の必要な難しい計画などの実行で使われるのが普通である(ジーニアス)。
また、このことからか、企業の重役のことをエグゼクティブ executive ともいう(旺文社、桐原5500)。executive には名詞「重役」の意味のほか、形容詞「経営上の」「行政杖の」などの意味もある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。
さて、「義務」「強制」概念の話にもどる。
義務教育も法律で強制されているが、しかし旺文社の例文によると、義務教育には oblige を使っている。
センチュリーを読んでたら、未成年の子供が起こした事故の弁償も oblige である。
桐原だと「大臣は半年に一度、報告書を提出することを義務づけられていた。」の義務づけが was obliged to send in a report である。
まあ、大臣はエリートだからだろう。
センチュリーで「世論の批判のため引退を余儀なくされた」の「余儀なく」もoblige である。まあ政治家という、国家権力者の一員たるものの義務と責任的な意味合いだろう。
しかし東京書籍4500は、compel の例文で「世論が大臣を辞職に追い込んだ。」を 使っており、センチュリーに反している。
まあ、とくに統一的な用法は無いのだろう。
なお桐原は、「その法律が雇い主に、(※ 社員の)健康保険を掛けることを強いる」をcompel としている。「(※ )」内はwikiでの追記。
単語集にはないが辞書によくある典型的な例文が、病気で「~を余儀なくされる」をcompelで表現することである。
センチュリー風に He was compelled by illness to ~なら「彼は病気で~を余儀なくされた」である。
ジーニアス風に His illness compelled him to ~ なら、直訳すれば「病気が彼に~することを余儀なくさせた」だが、無生物主語の和訳が高校の授業で嫌われるので、「彼は病気で」と訳す。英文学とかだと無生物の主語とか普通にあると思うし、普通の日本語でも文学・文芸でなくとも「病気が彼に~を余儀なくさせた」とか通じると思うし、なのに、かたくなに無生物主語の和訳を認めない高校英語教師や塾講師などはどういう了見なのだろうか。理解しがたい。
ジーニアスは、本人の納得の上で余儀なくされる場合を oblige といい、そうでない場合つまり「本人の意思に反してさせる場合はforce や make を用いる」としている。
しかし、ジーニアスの例文では、税金を払う義務も oblige としている。
判断基準が不明である。
やはり、高貴たる者の義務と責任を基準に考えるのが良いだろう。
* 義務
duty, obligation
「義務」「義理」は英語で duty である。ジーニアスで確認したところ「義理」の意味もある。
on duty で「勤務時間中で」。
off duty で「勤務時間外で」
duty は、職務上の義務でも使われるが、道徳的な義務でも使われる。
その他、duty に「関税」の意味あり。桐原4500によれば、「ワインの関税」 duty on wine である。「免税店」は duty-off shop である。
obligation との違いとして、ジーニアスは obligation は「外的な事情から生じる義務」としているが、どうだろうか。ノブレス・オブリジとか、そうではないと思うが。
そう覚えるよりも do one's(myなど) duty で「~の義務を果たす」などの慣用表現で覚えるほうがよいと思う。なお、東京書籍4500と旺文社1900に、例文中に do one's duty がある。
obligation にはそういう平易な慣用表現は無いと思うので。
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「分類する」
sort, classify
「分類する」の使い分けは、あまりハッキリしない。
単語集の例文などを見ると、どうやら書店や図書館などで書籍を「分類する」は classify を使っているようだ。
旺文社では「本は作家の名前によって分類されている。」 The books are classified according to the author's name.
東京書籍では「本はテーマによって分類されている。」 The books are classified according to subject.
である。
ジーニアスでも、受動形でなく能動形でだが図書館での本の分類に classify を用いている。
なお、(英和ではなく和英辞典の)ジーニアス和英によると、ごみの「分別」は separate である。
sort には名詞で「種類」という意味もあり、ほぼ、「種類」の意味での kind と似た意味である。
a kind of ~ 「~の一種」の代わりに、a sort of ~ で「~の一種」と言う場合もある。
しかし、別の用法で sort of で「多少の」「いくらかの」という意味もあるので、文脈から判断すること。
class には「等級」と言う意味もあるので、「等級づけをする」なら classify のほうが望ましいだろう。
余談だが、classify には「機密の」の意味があって、旺文社1900で document を見ると、
leak classified document 「機密文書を漏洩する」
という例文もある。
動詞 leak は、液体や秘密などが「漏れる」とか「漏らす」の意味。東京書籍と桐原の3000語レベルにも4500語レベルにも書いてない。桐原5500に書いてある。
桐原5500の例文は秘密を「漏らす」ほうの内容。
なお、文書ではなく情報の「機密情報」については旺文社 leak を見ると、 a secret information と言っている。
桐原4500では、「機密情報」を confidential information と言っている(桐原4500のmake関係の熟語のmake use of ~ の項目)。
2010年にWikiリークという、各国政府などの機密情報をネット公開する海外サイトが世界的に話題になったからか、単語集では leak の例文が機密の漏洩ばかり。だが、もちろん液体などが漏れる場合にも普通に leak は使われる。
なお、wikibooksなど当wikiプロジェクトは、wikiリークとは全く別の組織。「wiki」とはソフト名の一種なので、まったく別の組織でも、wikiソフトを使っていると組織名がwikiなんとかと、似たような名称になることもある。
なおleakの名詞形は leakage であり、「漏れ」「漏出」「漏洩」の意味(旺文社1900)。だが、単語 leak 自体でも名詞の意味もあり、同じような「漏れ」という意味(桐原5500)。
「秘密」については、secret や classify の他に、confidence (カーンフィデンス)という単語もある。
だが、このconfidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
「信頼」と「自信」と「確信」については和訳でも同じ「信」の文字があるから、まあ連想できるとして(信頼の対象が自己になれば「自信」。「確信」とは、信じている自分への自信。など)、問題は「秘密」である。
信頼しあっている間柄での秘密、的なイメージで覚えるのが良いだろう。
形容詞 confidential の意味なら「内密の」というのがセンチュリー和英にもある。
だが、名詞の「秘密」のことを「内密」とは言わないので、confidence は「秘密」と訳すしかない。辞書もそうなっている。
ジーニアスによれば、「秘密文書」は confidential documents とのこと。
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確認
check, confirm , confident
check が「チェックする」である。
英語のチェック check はいろんな意味で使われ、意外と難しいので、日本語でそのまま「チェックする」と意味を覚えてしまうのが良い。東京書籍1800の単語集を見ても、checkの意味の説明で「チェックする」とそのまま書いてある。
check は「確認する」ことにも使われるし、確認したことを証拠に残すためのチェックマーク( ✓ )の記述にも使われるし、「点検する」ことにも使われるし、「照合する」にも使われるし、チェスの王手(いわゆるチェックメイト)にも使われる。このように意外と難しいからか、桐原4500では4500レベルとしてcheckを紹介している。
confirm が「確認する」「身元を証明する」である。(東京書籍4500)
チェックについては、チェックリスト check list が英語にもあることを知るべきだろうか。
工場労働など屋内での社会人の点検業務では、可能なかぎり、忘れのないように点検内容を一覧表の list リストにして、それにチェックマーク( ✓ )を入れることで漏らさずにチェックをするという方法がある。
なお、チェックマークを入れるための視覚欄(大きめな □ )のことを、チェックボックス check box といい、これも英語にある(ジーニアスで確認)。
こういうチェックリストやチェックボックスの存在を知っていれば、check の「点検する」や「照合する」の意味も覚えやすいだろう。
語学の勉強というのは、こういうふうに英語以外のビジネス知識なども必要なのである。
checkを「チェックする」と覚えればいいと言ったものの、ただし上述のチェックボックスやチェックリストのように、仕事でも知的な仕事なら check という英語は使うので、覚えておく必要があるだろう。
桐原4500では、「医者が患者の血圧を調べる」という内容の例文でチェック check を使っている。check はそういう専門性の高い用途にも耐えうる単語でもある。
ほか、小切手も check といい、同じスペルだが、説明を省略する。ホテルなどのチェックイン check in , チェックアウト check out も同じ単語だが、説明を省略する。
IT系でも、よく会員制webサイトの登録画面などで説明書きを読んだか確認するためのチェックボックスが、海外サイトではよく使われる。
社会人になって就職するなどして、品質検査の方法などを習っていないので、あまり「チェックとは何か?」とか深入りしても、埒(らち)が あかない。
confirm は、高校生には馴染みがないかもしれないが、IT系では意外とよく、会員制webサイトのパスワード登録の画面などとして、海外サイトではよく使われる。
身元証明の典型的な例文で、誰々の「身元を証明する」という例文があり、
たとえば東京書籍4500では
「彼女の身元を証明する」confirm her identity
がある。
旺文社の例文を少し改造して(「郵便局員が私の身元を確認した」という内容)、「彼が私の身元を確認した」なら He confirmed my identity
となるだろう。
「裏づける」の典型な例文が、裁判などでの「新たな証拠が彼の話を裏づけた」であり、東京書籍によれば、
「新たな証拠が彼の話を裏づけた」 The new evidence confirmed his story. である。
桐原4500にも、現在完了形であるが、ほぼ同じ英文がある。
confirm の名詞形は confirmation である。旺文社1900にだけ紹介されている(桐原4500と東京書籍4500はconfirmationを紹介していない)。
confident については、別の項目で説明した。confidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
単語集に共通の例文が見当たらないので、辞書などを購入して読んでほしい。
* 検査
なお、和英辞典で「検査」を見ると、testやinspectなど色々な単語がある。
testはどちらかというと「試験」である。
血液検査が blood test であり、聴力検査が hearing test だし、日本語では「検査」でも英語では test だったりする場合もある。
「テスト」と聞いて、日本の学校の学力試験しか思いつかないのなら、改めよう。英語では普通に、医療や工業などの検査でも test は使われるからである。
inspect は、査察官や検閲官をinsepector と言うので、そういうニュアンスもあるので、検閲・査察のニュアンスが強く、日本の「検査」には1対1には対応しない。
東京書籍と桐原の単語集には inspect がないので、気にしなくていい。米英の行政の事情を知らないと inspector などは理解できないだろう。日本の高校生には不要な知識であろう。inspector という、そういう高校で習わない行政用語があるという事だけを知っておけば十分だろう。
なお、実は旺文社1900に inspect と inspector がある。inspector には「検査官」の意味のほか、「警部」の意味もあるとのこと。
だが、そもそも、英語の文脈においける「警部」とは何かという問題がある。ジーニアスでinspectorを見ると、米では「警視正」、英では「警部」とのこと。まあ、警察組織の現場職での上のほうの人、ぐらいの意味だろうか。
なお、「捜査員」は investigator である。これだけだと難しそうだが、米国のFBIこと「連邦捜査局」が the Federal Bureau Investigation である(旺文社)。
「捜査する」は investigate である。
典型的な例文が
「警察がその殺人事件を捜査している。」 The police are investigating the murder.
である(桐原、ジーニアス)。
なお、federal (フェデラル)は形容詞としては「連邦の」という意味であり、名詞としては「連邦」の意味である(ジー二アス)。
もうひとつの典型的な例文が、
「警察がその自動車事故の原因を調査している。」 The police are investigating the cause of the car accident.
である(東京書籍、センチュリー)。事故なので、捜査ではなく「調査」。東京書籍でも「調査」になっているし、センチュリーでは「調べている」としている。
なお、「探偵」と「刑事」は detective である。英語では、「探偵」と「刑事」が同じ単語なのである。
動詞 detect の意味は、東京書籍いわく、何か見つけづらいものを「探知」「発見する」などの意味である。センチュリーいわく、隠されているものや悪事などを見つける場合に使うことが多いとのこと。
単語集にはないが、「探知機」が detector である(ジーニアスで確認できる)。ジーニアスいわく、金属探知機は a metal detector である。
この例のように、 detect で発見するのは別に犯罪事件の犯人でなくてもよく、たとえば桐原の例文では病院でのガン(癌) cancer を「発見する」ことを detect としている。
センチュリーいわく「ガス漏れを見つける」は detect a gas leak である。
センチュリーいわく、嘘を見破るのも detect である。東京書籍いわく、「スパイを見破る」は detect a spy とのこと。
locate という「位置する」と言う意味の動詞がある。名詞形 location が「位置」 の意味である。
この locate には、なにかの場所を「突き止める」という意味もある。
東京書籍が detect の単語の次に、locateの例文で「アジトを突き止める」を紹介しているが、著作権の都合があるので本ページでは紹介しない。
なお、アジトは a safe house である(東京書籍)。またアジトとは、犯罪組織や反乱組織などの「隠れ家」のこと。
なお、「隠れる」は hide である。
太陽が雲に「隠れる」みたいな平和的な「隠れる」も、犯人が「隠れる」も、 hide である(センチュリーで確認)。
「太陽が雲に隠れる」 The sun is hidden by clouds
である(ジーニアスとセンチュリーに、ほぼ同じ例文)。
なお、「隠れ家」「隠れ場所」には、hide-out という言い方もある(ジーニアスいわく「隠れ場所」)。旺文社では hide-out を「隠れ家」「潜伏場所」と紹介。
hide の活用は
hide - hid - hidden/hid
である。
さて、conceal という、「隠す」という意味の単語があり、物や秘密を「隠す」場合に使われる。
辞書を見た限り、conceal には、人が隠れるような用法はない。
単語集を見ると、conceal の例文で、感情を「隠す」ような例文もあれば(旺文社)、爆弾が「隠されていた」という例文もある(桐原)。
隠された秘密を「暴く」のは
reveal や uncover がある。
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暴露(ばくろ)
reveal, uncover, disclose
reveal は、意図的に秘密を暴いた場合のほかにも、不注意などで秘密が漏れた場合にも用いる。旺文社の例文も秘密が漏れた場合である。
名詞形 revelation である。
よくある例文は、
「真相を明らかにする」 reveal the truth
である(東京書籍に和訳・英文とも同じ文。センチュリーでは「真相を漏らす」と訳)。
そのほか、単語集にはないが、物理的に隠れているなどして見えなかったものが見えるよう現れる事も reveal というが、単語集にないので無視する。
なお、光や危険などに「暴露する」ことは expose である(桐原)。
暴露(ばくろ)は「ばくろ」と読む。「ぼうろ」(×)ではない。
disclose
意図的に秘密を暴いたり、あるいは自分や自組織の秘密を公表したりする場合は、 disclose のほうが適切かもしれない。
固い言い回しなので、暴露や公表や自白などの対象となる秘密は、たとえばセンチュリーでは「彼はスパイであったこと」だとか、「その男の正体」だとか、
あるいはジーニアスでは「真実を新聞に暴露する」とか、なんかそんな感じの秘密ばかりである。
名詞形「公開」「暴露」は disclosure である。
「情報公開」は disclosure of information である(ジーニアス、旺文社)。
東京書籍4500および桐原4500には disclose が無い。
uncover
「真相を明らかにする」 uncover the truth
のように使う(東京書籍)。桐原4500には例文なし。東京書籍は巻末おくりなので、解説なし。
uncover の語源は、見れば分かると思うが「カバーを取る」である(ジーニアスで確認)。
なので、単語集にはないが、容器などの「フタを取る」も uncover である(ジーニアス、センチュリーで確認)。
そして単語集(旺文社)にあるが、遺跡などを発掘するのも uncover である(旺文社)。遺跡を埋めている土などをフタに見立てて覚えよう。
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不安
anxiety, alarm
恐怖 fear、 horror
警報 alarm
警戒 alert
警告 warning, caution
旺文社1900によると、alarm の出題番号が549 で、alarm が「不安」「恐れ」を第一義で紹介されており、anxiety (「不安」「心配」)の形容詞 anxious の583番よりも alarm のほうが早い。
勘弁してほしい。
まずalarm は普通、警報器のことである。実際、東京書籍3000では、alarm は「警報器」「目覚まし時計」の意味でしか紹介していない。
桐原4500ですら、「驚き」「恐怖」の意味を紹介しているが、しかしalarmの第一義はあくまで「警報(器)」というのが桐原のスタンスである。
とはいえ、旺文社は大学入試の出題順に紹介しているだけである。つまり、日本の大学入試がロクでもないのだろう。
なお、ジーニアスによると、alarm の第一義は「驚き」「恐怖」である。なお、語源はイタリア語の「武器を取れ」all'armeである。
なるほど、alarm アラームの語尾 -arm が「武器」 arm と同じわけである。
現代では、普通、「驚いた」は be surprised at などを使うだろう。
どうしても「驚き」「恐怖」の意味で使いたいなら、死の恐怖のある文脈で使うと、頭良さそうに見えると思う。
ジーニアスの例文でも、「シカは驚いて逃げていった」の例文で in alarm という用法を使っている。狩人や肉食動物などによる死の恐怖を感じたシカ的な用法。
しかし、ジーニアスによれば、恐怖の意味での alarm は「fear より固い語」である。
fear (フィエア)は「恐怖」「不安」である。まずfear は「恐怖」で覚えよう。4500語レベルではなく、桐原3000と旺文社1400にfearはある。あと東京書籍4500。
典型的な例文が、「高所恐怖症です」であり、ジーニアスと東京書籍にそういう例文がある。
I have a fear of heights. 「私は高所恐怖症だ。」
である。
単語集にはないが、辞書によくある例文が「恐怖で顔が真っ青になる」であり、
turn pale with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。センチュリーが pale (ぺイル)である。
ジーニアスだと、white を使い、
turn white with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。
なお、形容詞 fearful で「恐ろしい」「恐れている」の意味。
なお、horror で、戦場での死の恐怖も表現できる。日本語の「ホラー」のような幽霊やら悪魔などのオカルト限定のような制限は無い。
fear とスペルの似ている fare(フェア) は「運賃」「なりゆき」であり、意味がまったく違う。
ほか、スポーツの「フェアプレーの精神」などの意味の「フェア」は fair であり、スペルがまったく違う。なお、この形容詞 fairは「公平な」の意味である(桐原4500など)。
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の 名詞 fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である(桐原4500)。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
なお、ジーニアス和英の affair の項目によると、「時事問題」は current affairs である。
「浮気」とか「不倫」とかも affair と言う。恋愛雑誌やらで時々「アフェア」とか言う単語があるのは、この意味だろう。
なお、「外交」を一言でいうと diplomacy (ディプロウマシ)である(桐原4500など)。「外交官」が diplomat である。形容詞 diplomatic は「外交の」である。
さて、「警報器」alarm の典型的な例文が
「火災警報器」 a fire alarm
である。これは東京書籍も桐原も紹介している。
なお、スペルの似ているアラート alert は、alert は名詞では「警報」「警戒」の意味だが、形容詞では「警戒している」の意味がある。(桐原5500、旺文社1900)
また、形容詞でalert は「油断しない」の意味もある(東京書籍4500)。
単語集の「警戒している」の例文では、よく警察官や兵士などの警戒が出てくる。
警察官の場合なら、
The police officer is alert ・・・
で、「警察官は警戒している」の意味になる。
つまり、
~(人) be alert
の語順になる。
warning は「警告」である。翻訳の都合で「警報」と訳したほうが自然な場合もあるが、warning の意味としてまず第一に覚えるべきは「警告」である。
東京書籍で「洪水」 flood を見ると、「洪水警報」 flood warning がある。辞書 warning では確認できなかったが(ジーニアスとセンチュリーで、warningとfloodの両方を確認)、しかしセンチュリーいわく「空襲警報」が air-raid warning なので、たぶん洪水警報も合っているのだろう。
warn は「警告する」であり、医師が患者に「酒を飲みすぎないように警告する」とか(センチュリー)、嵐の接近を警告するとか(センチュリーとか)、そういうニュアンスである。
warn ◯◯(人) of ~ で「◯◯(人)に~を警告する」である。
記法を変えれば、
warn A of B 「BについてAに警告する」
です(桐原、旺文社、東京書籍)。
東京書籍が紹介していますが、
warn me of the enemy 「敵がいるぞと私に警告する」
です。
なお桐原は、喫煙の危険性(risk)を警告する例文です。ジーニアスは、旅路か何かの危険(danger )を警告する例文です。危険という概念で統一的に説明できそうですが、直接的に言い回しを覚えたほうが早いでしょう。
of はよく「~の」と中学で教わりますが、それだと意味が通りません。
さて、inform 「(情報などを)知らせる」という単語にも、
inform A of B 「BについてAに知らせる」
という語法があります。
桐原が
inform him of the result 「彼に結果を知らせる」
のような例文を紹介しています。
なお、典型例の言い回しは、
Please inform me of the change in ~ 「~の変更を私に知らせてくれ」
です(旺文社、センチュリー)。
ともかく、warn A of B は inform A of B と関連づけて覚えましょう。
桐原がそういう覚え方を進めています(warn と inform を同一ページで教えている)。
ただし、東京書籍のようなcrisis (危機)など関連語の紹介は、桐原では同一ページにないですが。どの単語集も、一長一短です。
なお、東京書籍3000には、なんと inform の項目がありません。information はあるのですが。
なお、information は数えられない名詞なので複数形が無いので、「2つの情報」は two pieces of information と表す。「ひとつの情報」は a piece of information です(東京書籍3000)。
桐原は、remind A of B(思い出させる) や convince A of B(納得させる、確信させる) や inform A of B と warn A of B や suspect A of B (疑う)などをまとめて、
「関連の of」という概念を提唱しています。
ただ、そう解釈しなくても、
このうち、「警告する」warn と「思い出させる」remind も情報提供の一種ですので、
「情報提供の of 」とでも言える概念で、
remind A of B と inform A of B と warn A of B をまとめられます。
だとすると、暗記するのは残りの
convince A of B (Bを納得/確信させる)と suspect A of B (B(容疑など)の疑いをかける)だけに減らせます。
このうち、 convince は、他人に何かの納得をさせる際に、説得などの情報提供が行われるでしょうから、広い意味での「情報提供の of 」と言えるかもしれません。暗記の負担がこれで減ります。
だとすると、残りは suspect A of B 「AにBの疑いをかける」です。
この場合、なんの情報提供もしていません。
また、of B の部分は形容詞的な意味です。
made of ~ で、「~を材料に作る」とかの意味であり、完成品を一目で見て材料が分かるなら made of です。
材料が、完成品を一目みてもわからない場合は made from ~ です。
この suspect A of B と made of B の共通する「of B」で、「性質の of」とかの概念を考えてもいいかもしれません(英語学でどうかは知りません。自己責任で)。
ほか、英文法で、「It is 形容詞 of 人」と「It is 形容詞 for 人」の使い分けなどがあります。人の性質を言う場合は「of 人」です。これから類推する方法もあるかもしれません。
まあ、最終的には suspect A of B 「AにBの疑いをかける」を直接的に覚えるしかありません。
warn ◯◯(人) against ~ing で「◯◯(人)に~しないように警告する」である。
たとえば、よくある例文が、「彼は道路を横断しないように私に警告した」(ジーニアス)あるいは川を渡らないように私に警告した(東京書籍)、であり、
He warned me of against crossing the river. 「彼は川を渡らないように私に警告した」
である。
動詞および名詞の caution は、動詞としては、たとえば医者などが肝硬変の患者に「酒を飲むな」と注意・警告するときの「注意する」「警告する」が caution である(桐原5500)。東京書籍4500の例文も、薬の取扱いの注意を caution としている例文。
ただし、辞書では、警察などの警告・注意もcautionである。このため、warningとの区別は、なかなか難しい。
ジーニアスが言うには、cautionのほうがwarningよりも軽いとのこと。
形容詞 anxious (アンクシャス)は「心配している」「不安に思っている」である。
be anxious about ~ で「~を心配している」である。
He is anxious about ~ なら「彼は~を心配している」である。
よくある例文が、「彼は試験の結果を心配している」であり、東京書籍とジーニアスにそれに似た例文がある、
He was anxious about the result of exam. 「彼は試験の結果を心配している。」
となろう。(wikiオリジナル)
ジーニアスだと、母親視点の「息子のテスト」だが、まあこういう例文がよくる。
be anxious for ~ は「~を切望している」である。
桐原の「新しいコピー機が欲しくてたまらない」なら be anxious for new copy machine である。
ジーニアスだと(私は)「新しいコンピュータが欲しかった」なので、
I was anxious for a new computer. 「新しいコンピュータが欲しかった。」(※ ジーニアスanxious例文から引用)
である。
名詞形 anxiety で「不安」「心配」「切望」である。東京書籍4500には「切望」が書いてないが、しかし桐原4500と旺文社1900には切望が書いてある。
なお、 eager (イーガー) は「熱望している」である。切望 anxious とは、ややニュアンスが違う。
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武器・兵器
weapon, arm
大量破壊兵器は weapons of mass destruction であり、略称は WMD である(桐原4500、旺文社1900、ジー二アス)。
また、核兵器は nuclear weapons である(桐原4500、旺文社1900、東京書籍、ジー二アス)。
だいたい、arms だと、「腕」(うで)と まぎらわしい。
兵器には、なるべく weapon を使うのが無難だろう。
なお、動植物の角(つの)や爪(つめ)や刺(とげ)なども、weapon である(ジー二アス)。
weapon は、日本では「兵器」と訳される場合が多いが、しかし英語では weapon は広く攻撃のための道具を表す用語である。
単語集にはないが、山川の英語版・世界史にあった単語で、
rearmament が「再軍備」である(ジーニアス)。ナチスによるドイツの「再軍備」みたいな文脈で rearmament を使える。
ほか、disarmament が「軍縮」である。啓林館 Vision Quest I(P.111) が「軍縮」disarmament を紹介しています。
なお、名詞 army は「陸軍」「軍隊」の意味です(桐原3000、旺文社1400(緑)、東京書籍4500)。
「海軍」は navy (ネイビー)です(東京書籍、桐原)。
「空軍」は air force です(東京書籍、桐原)。
「軍事の」は military です(東京書籍、桐原)。
陸軍と海軍も空軍もまとめて「軍隊」と言いたい場合、army だと陸軍とまぎらわしいので、military force という場合もあります(東京書籍)。
ただし、「軍事力」も military force です(桐原)。
このため、翻訳などの際は、文脈にあわせて、うまく訳してください。
軍「隊」との混同を嫌ってか、単語を power を使って「軍事力」は military power という用法もある(ジーニアス military、センチュリー power)。
ほか、「軍隊」を the armed forces と言ってもいい(桐原、forces )
「兵士」は soldier (ソルジャー)です(東京書籍、桐原)。
東京書籍いわく、さらに「将校」(しょうこう)は officer (オフィサー)です。
とはいえ、「将校」(しょうこう)と言っても、何のことだか分からないのが普通の高校生でしょう。
軍隊の上層部や、将来的にそうなる見込みの高い軍隊の大学を出た軍人や、あるいは同程度に一定以上の階級の高い指揮官のことを、将校と言います。
最下級の階級である兵士は当然、将校ではないです。
「兵士長」とか「軍曹」とかの現場の下の方の中間管理職も、ふつうは将校とは言わないです。ただし、文脈によっては、「軍曹」なども将校という場合があるかもしれません。
『「将校」という単語くらい知っとけや。日本史の勉強すれば出てくるんだからさ~』というのが、東京書籍の心のさけびでしょうか。
戦後の自衛隊ではあまり「将校」とは聞かなくなりましたが、海外の軍隊の説明だと今でも使います。
戦前でも、よく二・二六事件とかで「青年将校」がどうのこうの、という解説を読みます。こういう英語を知っていると、英語力だけでなく日本史などの知識も披露できて、頭よさそうに見えます。
桐原いわく「兵役」(へいえき)は military service です。
「英語を勉強するなら、こんくらい知っておけや」という桐原の心のさけびです。
まず、諸外国でもヨーロッパなどで今でも徴兵制、つまり兵役があります。2020年代でも、スイス、オーストリアは徴兵制があります。
ここでいう service とは、公共の下僕のような意味もあるかと思います。
たとえば「召使い」は英語で servant (サーバント)ですが、なんと単語集に書いていません。
桐原の単語周いわく、serve は「仕える」とか「提供する」とかの意味です(桐原4500)。
今ではネットのサーバー server とか、派生の名詞が使われています(ジーニアス、センチュリー)。
ただし、ネットの情報提供については、「プロバイダー業者」などというように provide が「(情報などを)提供する」の意味で好んで使われる場合もあります(桐原)。
交通インフラや電力インフラなどの公共インフラなどの提供も service です(ジーニアス)。慈善事業も service です(センチュリー)。
「兵役」(へいえき)は military service を覚えるときも、そういうのと関連づけて覚えましょう。
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安売り・特売
フェア、セール、バザール
sale のみ高校英語
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
なお、セールは英語でも sale で「安売り」(桐原3000、東京書籍3000)や「特売」(旺文社1200)や「バーゲンセール」(東京書籍3000)の意味がある。sell とは別に、sale (セール)「販売」という単語がある(東京書籍3000、桐原3000)。
なお、セールスポイントは英語で selling point である(旺文社1200(黄色)、ジー二アスで確認)。
セールスポイントは和製英語。
なお、単語集にはないが、セールスマン(販売員)は英語でも salesman であるが、男女平等の観点から salesperson という表現が米英では好まれるだろう(ジー二アス)。
salesman は、外交販売員(日本でいう「セールスマン」)にも使われるが、英語では単なる店員も salesman で表せる。
複数形 sales で「売り上げ高」の意味もある(桐原3000)。なお桐原では「売上高」3文字ではなく「売り上げ高」5文字の表記。
単語集にはないだろうが、バザーとの違いについて触れる。
ジーニアスによると、英語の bazaar は、慈善などの目的のために特別に催される市場である。だから教会などがバザーするわけである。しかし、イランなど中東の商店街のことも bazaar である。英語の単なる「雑貨屋」のことも bazaar という。
バザーを「安売り祭り」みたいな意味で使うのは、どうやら和製のようだ。
啓林館 Vision quest( P.62 )で、ディスカウント discount 「値引き」、バーゲン bargain 「お買い得品」などが紹介されていました。
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必要不可欠
不可欠な
essential, vital, indispensable
必要な
necessary
搾る squeeze, extract
搾取する squeeze, exploit
桐原4500に vital の意味は「生命の」とあるので、まずこれで覚えよう。
また桐原4500いわく、vitality の意味は「生命力」である。
入試では vital の他の意味の「不可欠だ」「活気のある」などが問われるかも知れないが、まずはvitalの単語のイメージが生命力であることをつかもう。
vial → 「生命に必要」→「不可欠」という連想、
および
vital → 「生命力にあふれる」→「活気のある」という連想、
で覚えれば、暗鬼の負担が減るだろう。
旺文社1900の例文で、「防衛戦略が国家の安全保障にとって不可欠だ」という例文で「不可欠」を vital としている例文がある。
これだって、「国家の生存に必要」→「国防に不可欠」みたいなイメージで把握できるだろう。
なお、桐原4500は「自転車が生活に不可欠」で不可欠がvital、東京書籍4500は「外国語が教育に不可欠」で不可欠がvital、という内容。
ともかく、vital は「活気のある」という意味もあるが、「生命の」とか「不可欠な」のような意味もある。
別の単語の話をする。
もし、単に「活気のある」「元気はつらつな」と言いたい場合は、形容詞 vigorous (ビゴラス)という単語でも一応は表現できる。東京書籍は「活発な」「力強い」と紹介しており、「活発な運動」 vigorous exercise という例文がある(東京書籍4500巻末)。ただ、辞書で 名詞形 vigor (ビガー)や 形容詞 vigorous の用例を見ると、「激しい(スポーツなどの)運動」とか「猛烈な抗議」とか、やや意味合いが強い用例も多いので、注意が必要であろう。
Z会のTOEIC対策本では、同じ vigorous exercise という単語を、「激しい運動がもとで、疲労で倒れた」という内容の文章で用いている<ref>松本茂 監修『速読速聴・英単語 Core 1900 ver.4』、Z会、2014年3月10日 ver.4第7刷発行、P.382</ref>。
このように、vigorous exercise は、いい意味でも悪い意味でも使う。
肉体的に元気のあるだけでなく、精神的にも「精力的な」という表現でも vigorous が使える。
なお、「猛烈な抗議」などの猛烈でも vigorous あるいは名詞形 vigor を使う(ジーニアス、センチュリー)。
protest a plan with vigor 「計画に猛反対する」(センチュリー)
make a vigorous protest 「猛烈な抗議をする」(ジーニアス)
である。
essential は「不可欠な」という意味。
だが、「エッセンシャル・オイル」essential oil という芳香性の油を考えれば分かるように、なんだか抽出物みたいなイメージ。
名詞形 essence 「本質」「エキス」で覚えるほうが理解しやすいだろう。
(なお、名詞 extract にも「エキス」「抽出物」「抜粋」の意味がある。extract は動詞として「抽出する」の意味もある。(東京書籍が動詞を紹介。旺文社は名詞も紹介。桐原は紹介せず)。動詞と名詞とで発音が異なる。名詞は エキストラクト。動詞は イクストラクト。「抽出」「摘出」の行為自体は extraction という名詞である(旺文社)。)
あるいは、「必須アミノ酸」が essential amino acid である(ジーニアスで確認)。
抽出ついでに言うと、abstract も「抽出」という意味(桐原4500巻末)。abstract には「抽象的な」の意味もあるが、まずは抽出の意味で覚えよう。というか日本語でも、「抽象的」の「抽」の文字は、「抽出」の「抽」の字である。なお、冒頭のab-は、ここでは分離を意味する接頭辞。absent「欠席の」のabとabstractのabは同じ意味(桐原4500)。
エッセンシャルの話に戻ると、たとえば、生物学書の『キャンベル エッセンシャル生物学』 "Campbell Essential Biology" という500ページ以上ありそうな分厚い生物学書がある。(なお、amazon米国版では何故かこの本が18歳以上が購入禁止なのでリンクは紹介しない。)
エッセンシャルというのは、そういう感じの意味。
桐原では、「食事は不可欠だ」みたいな例文でも essential を使っている。
なお、「食事」は英語で meal (ミール)である(essential の文に合うかどうかは知らない)。
食事しないと死ぬので、生命維持の観点では vital でもあるが、しかしそういう死を防ぐためのものでも essential で言い表す場合もある。
さて、単語集によくある例文が、「~は健康に欠かせない」 be essential for good health であり、東京書籍と桐原がそうである。
東京書籍だと「運動は健康に欠かせない」、桐原だと「食事は健康に欠かせない」的な内容である。
運動 exercise なら、
Exercise is essential for good health. 「運動は健康に欠かせない。」(東京書籍4500より引用)
である。
「搾る」の extract を squeezeのニュアンスの違いについて。
extract は「抽出する」が第一の意味のようなものである。
-tract が「引っ張る」という意味でもあることから想像できるように(センチュリー)、extractは、目的物を、自分の方向に向かってこさせるイメージである。
だからextractで果汁を「しぼる」のは、その手段にすぎない。
だから、濃縮エキスの抽出のような、搾るだけでは不可能なことも、extract なら出来る。
ほか、薬品などを使って何かの成分を抽出するのも extract である(ジーニアスで確認)。
ほか、歯科医が歯を抜くのも extract である(センチュリー、ジーニアス)。
パソコンのファイルの圧縮・展開でいう「展開」も extract です。
いっぽう、extract には「抜粋する」の意味や、抜粋して「要約する」という意味もあります(センチュリー)。
抜粋すると情報量が減るのに、圧縮ファイルを展開すると情報量は増えます。
妙に感じるかもしれません。
しかし辞書でextract を調べると、秘密などの情報を「聞き出す」「暴き出す」のような意味もあります(センチュリー)。圧縮していて読み取れない情報を「暴き出す」ようなイメージでしょうか。
もっとも、最近のパソコンでは、オペレーティングシステムが高度なので、圧縮されたままでも読み取りのできる場合もありますが。
逆に、圧縮・展開の「圧縮」は compress です。
日本でも、機械などの空気圧縮機でいうコンプレッサーなどの外来語で有名です(ただし、高校生には目にする機会(チャンス)がないかもしれません)。しかし意外なことに単語衆にはcompressはありません。
高校・中学でIT教育が必履修になるなどしてもう年月も経ってますので、どうせあと10年か20年したら「圧縮」・「展開」などIT用語も英単語に加わるでしょうから、先手を打って、このページにまとめておきます(ならないとしても、もしその場合は実務では役立たずなので未来の高校英語の単語衆に価値ないので、価値ない単語集に従う必要ないです。私たちが目指すべきは、大学合格する英単語ではなく、仕事で使える英単語です。仕事を無視した英単語学習をしても最終的に淘汰されるだけの弱肉強食です)。
英語だと、たとえばジーニアスでは、自動車エンジンにおける空気の圧縮のことを compress で表現しています。
なお、空調機のエアコンの「コン」はコンディショナーの略ですので、混同しないように。
センチュリーを見ると、コンピュータ用語のファイル圧縮も compress だと書いてあります(センチュリー、ジーニアス)。
ほか、綿(わた、めん)などを圧縮して小さくするのも compress です(センチュリー)。
ややこしいことに、compress にも、話を「要約する」という意味があります(センチュリー、ジーニアス)。
いまどき、「要約」はsummary でしょうから、compress は綿やファイルなどを「小さくする」(つまり圧縮)の意味で覚えるのが良いと思います。
まとめると、
ファイルの「圧縮」は compress です。
ファイルの「展開」は extract です。
さて、「しぼる」の話題にもどります。
squeeze は、にぎるように力を内側に押し付けるイメージである。だから squeeze で、資金を「圧迫する」なども表現できる。
では、具体的に extract と squeeze のニュアンスの違いを見ていこう。
「エキス」や「抽出する」のextract について。
extract juice from a orange で「オレンジからジュースをしぼり出す」「オレンジの果汁を搾る(しぼる)」
の意味(センチュリーや旺文社)。
文脈によっては、oranges ではなく an orange でも構わない。ジーニアスでは、レモンの複数形 lemons から果汁を搾り取っている。
「搾る」は、squeeze もある。
果物などをしぼって果汁をとるのが典型的で、
squeeze a lemon 「レモンをしぼる」
が典型的(センチュリー、旺文社)。
果汁を明示したい場合
「オレンジから果汁をしぼる」squeeze juice from an orange と言える(東京書籍4500の巻末。ジーニアスだと lemon で似た例文)。
squeeze lemon juice on ~(食品など) で「レモン果汁を~にかける」である(桐原4500、ジーニアスに似た例文)。
「労働者をしぼりとる」「労働者を搾取する」のような表現でも、squeeze を使える(桐原5500、センチュリー)。
なお、いわゆる「ブラック企業」のような会社(労働者を低賃金で長時間働かせる工場など)は、英語では sweatshop (スウェトシャプ)といい、「搾取工場」などと訳される(旺文社1900)。sweat (スウェト)は「汗」という意味の名詞である(桐原4500)。東京書籍4500は sweat および sweatshop を紹介せず。
なお、動詞 exploit 「搾取する」である(旺文社1400(緑)、桐原4500)。
典型的な例文が、
exploit one's workers 「労働者を搾取する」
であろう(ジー二アス、東京書籍、旺文社に似た例文)。
ほか、exploit には、たとえば地熱発電や自然資源などといった資源などを「開発する」の意味や(旺文社1400、桐原4500)、機会などを「利用する」という意味もある(東京書籍4500)。
家計のやりくりなど、なんらかの資金のやりくりなどで、お金をなんとか「絞り出す」というのにもsqueeze は使える(センチュリー)。
ただし、ほかの意味で squeeze には予算などを「圧迫(あっぱく)する」という意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
資金のやりくりと、資金の圧迫では、ほぼ逆の意味になるので、読解のさいには文脈からどちらなのかを読み取ろう。
squeeze には「押し入る」「押し込む」や、人ごみや席などへの「割り込む」「割り込ませる」という意味もあり(センチュリーが押し入りと割り込み。ジーニアスは割り込み のみ)、旺文社が「押し入る」を紹介している。「圧迫する」から「押し入る」などを連想しよう。
indispensable 「不可欠な」は桐原5500巻末や旺文社1900本文と東京書籍4500巻末が紹介しているが、これを直接に覚えるよりも前に、まず、銀行などの「現金支払い機」dispenser (ディスペンサー)を覚えよう(ジーニアスで銀行の「現金支払い機が dispenser だと確認)。
動詞 dispense は、「分配する」とか、機械が「出す」という意味である(ジーニアス、センチュリー)。
なので、コーヒーなどの自動販売機も dispenser である(センチュリー)。
で、形容詞 dispensable は「それほど必要ではない」「なくても済む」の意味である。
「自分はなくても済むので(dispensable なので)、他人に分配できる(dispense できる)」→「分配する機械がデイスペンサー」とでも、こじつけて覚えよう。
で、in- はここでは否定の接頭辞なので、
indispensable 「必要なので分配するわけにはいかない」→「つまり、必要不可欠」→単に「必要不可欠」と言えば済む
のように indispensable を覚えるのが、関連の語彙も覚えられて一石二鳥だろう。
旺文社1900だけ、indispensable の項目で、派生語の dispense 「分配する」「施す」「~なしで済ませる」を紹介している。
桐原5500は、indispensable の類義語で、essential や integral を紹介している。
be indispensable for ~(ないと困る物) 「~は必要不可欠である」
のように使う(旺文社1900、東京書籍4500)が、文脈によっては for でなく別の前置詞や接続詞の場合もある(桐原4500)。
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要約
summary, brief
summary (サマリー)が「要約」の一般的な語でしょう(特に出典は無い)。
要約のまとめ方や業界によって、outline (アウトライン)や brief (ブリーフ)など、別の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
「要約する」の意味が、extract 、compress 、summarize などの単語があります。要約のことを summary (サマリー)と言います。サマリーの動詞形が summarize (サマライズ)です。
ほか、brief も、名詞では「簡潔な説明」の意味、動詞では(読みやすいように手短かに簡略化された説明にする、という意味での)「要約する」の意味です。
桐原4500が brief を「要約」の意味で紹介しています(桐原4500)。
in brief 「手短かに」
の意味です(桐原、旺文社)。
また、
keep it brief 「手短かにする」
です(東京書籍、旺文社)。it の部分は、必要に応じて適した目的語に変えます。
名詞形 briefing は、「簡潔な説明」の意味もありますいが、「事前の打ち合わせ」の意味でも使われます(旺文社)。
compress と extract は、現代ではコンピュータ上の処理で使うし、現代の商業の著作物の大半はパソコンで作られているので、やや使用の歳には注意が必要かもしれません。
summarize のほうがいいかもしれません。
一方、 summarize もまた、辞書や単語集では「要約」を名詞 summary と簡単に言いますが(桐原4500、旺文社1900)、実はサマリー summary と日本語の「要約」は微妙に違います。
英語では、1~2行ていどの短文で短くまとめることを summary と言うこともよくあります。brief だと「記者会見」など別の意味に誤解されるからか、本来なら "brief" というべき単なる1~2行ていどの事実報告でも英米では summary でそういう1行程度の事実報告を言い表す場合もあります。
brief だと、たとえば press briefing が「報道向け説明会」で使われたり(ジー二アス)、briefing session が「定例記者会見」だったり(ジー二アス)、ややニュアンスが「要約」とは異なります。全体像を理解しやすくするよりも、brief は短時間に発表することがニュアンスにあります。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。execution は「処刑」の意味です。
この例のように、summary は日本の「要約」とは、ややニュアンスが違う場合もある。
さて、米英の外交官の著作した回顧録(かいころく)の出版物で読んだのですが、
外交官は、定期的に サマリー summary という1~3行ていどの事実関係の報告を本国によく送るするらしいです。
日本語では、新聞やテレビのニュースにおける「短信」(たんしん)が短いので、近いでしょうか。
大使館の職員でもありますから記者会見(ブリーフィング)とは区別する必要もあるでしょうから、brief ではなく summary でそういう短いを言うのも合理的でしょう。
なお、「回顧録」(かいころく)は英語で memoir (メモワール)です(旺文社1900、ジー二アス)。単語集では、旺文社1900にのみあり、受験英語としてではなく英検準1級対策として紹介されている語です。桐原4500・5500および東京書籍4500にはありません。
外交官とか、この手の報告では、分析は極力交えず、事実だけを報告します。分析は、別途、本国のほうで行ってもらうのです。こうすることで、外交官は情報収集にのみ専念できます。
外交官は滞在先が友好国とは限りませんし、(自国以外との)紛争当事国などの場合もあります。もし友好国でない場合、もしかしたら滞在先の警察や軍隊によって通信が盗聴されたりしているかもしれません。そういう環境で、あまり分析を外交官側で行うべきではないでしょう。
なので、ともかく summary のほか、日本語には「要約」の他に適切な表現があまりないので、summary の訳は「要約」で通じますし、辞書や単語衆にも「要約」だと書いていますし、「まとめ」でも構いません(旺文社)。
「要約」のほか、ジーニアスには「概略」や「大要」、センチュリーには「概要」や「大略」なども書いてありますが、しかし上述のように、1~2行ていどに縮めて報告する書類形式というビジネスなど実務での背景がありますので、いちばん短い感じのしそうな「要約」が無難な表現でしょう。
実際、単語集にも、名詞 summary は「要約」で紹介されています。
これから紹介するのは高校範囲外の単語ですが、英語では、1行要約ではなくて、せいぜい5~8行くらいの文章で要点を列挙して書いたのは outline (アウトライン)などと言います(※高校の範囲外)。
アウトラインを書く場合も、できえば箇条書きにするなどして(ジーにアス)、全体構造を見やすくする必要があります。
ジー二アスには行数の条件は書いてないですが、普通、箇条書きされた説明は、長くて5~8行ていどのものでしょう。1行の箇条書きとか意味不明ですし、100行の箇条書きとか論外です。
ジーニアスいわく、そういう箇条書きされたものが本来のアウトラインとのことです。ジーニアスでは「概略」「概説」、センチュリーでは「概要」「あらまし」を outline
訳にしています。
outline の訳語を覚えるよりも、『箇条書きする等して手短かにまとめたものを「アウトライン」という』と覚えたほうが応用が利くでしょう。
仕事の報告での情報のやりとりなどで、もし1行要約だと短すぎて情報不足なときに、アウトラインによる報告が役立ちます。そういう使い分けをするのが大事です。
もしかしたら英米人のなかには、そういう使い分けをしない人もいるかもしれませんが、そういう人はレポートの書き方を知らない人であり、つまり知的レベルの低い人なので、相手する必要はないです。
まとめると、summary が「要約」の一般的な語だとみなせるでしょう。
要約のまとめ方や業界によって、outline や brief など、専用の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
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重要 crucial, important
決定的な crucial , decisive
4500語レベルの単語集に crucial (クルーシャル)と言う単語があって「決定的な」「主要な」という意味である。
だが、decisive という「決定的な」の意味の単語がある。(東京書籍4500に単語だけ紹介されている。旺文社1900の巻末の章に、単語だけ「決定的な」「断固とした」と意味が紹介されている。桐原4500にはない。桐原5500にある。)
ジーニアスいわく、「決戦」は a decisive battle である。
ジーニアスの例文では、decisiveは「将来を決定する」という意味もあると説明している。
東京書籍4500の crucial 項目の例文で、「そのオーディションに合格することは私の将来にとって決定的な意味をもっている」とある。
ジーニアスでcrucialを見たら、「重要である」という意味であり、例文が「我々が決勝戦に勝つには、彼の支えが重要である。」の「とても重要である」が crucial である。なお、「決勝戦」はその項目を見る限りは the final match である。
crucial の意味で、桐原と東京書籍には「決定的な」と書いてあるが、正直、decisiveのような断固とした気迫が足りない。「決戦」で負けると死ぬが、オーディションで負けたり「決勝戦」で負けても死ぬわけでもあるまい。
あまり論理的ではないが、decisive は、おそらくスペルが同じく"d"から始まる determination 「決心」「決意」の影響を受けてきたのだろうか。
動詞 decide と動詞 determine の違いについては、別セクションで語る予定。
crucial の意味は「非常に重要な」(桐原)で十分だろう。旺文社1900に至っては、「決定的な」の意味は紹介せず、crucial では「重要な」として紹介していない。
まあ、important よりかは重要度が高いつもりのニュアンスでしかないだろう。
旺文社1900では「書類を確認する際は注意することが重要である。」でcrucial を用いている。
桐原4500では「国際貿易はこの国の発展に非常に重要だ。」で crucial を用いている。
まあ、センチュリーcrucial の例文にあるように「彼のホームランは我々の勝利を決定的にした。」でcrucial を用いているように、命をかけるほどでもない野球の試合でも決定的な瞬間はあると思うので、そういう場合は crucial を使うのも良いだろう。
桐原5500にcrucial で「命にかかわる」の意味を紹介しているが、しかしジーニアス英和およびセンチュリー英和では確認できなかった。
そもそも vital という「生命維持に必要な」の意味の形容詞がある(センチュリーで確認)。
そもそも「重要」という概念自体、言葉の割には、vital のような生命への必要不可欠さが足りない。
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外国の
alien, foreign
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
「Foreign Affairs」は直訳すれば「外交の関心事」みたいな意味の雑誌名であろう。
なお、日本の「外務省」も英語版ホームページでは Ministry of foreign affairs である<ref>[https://www.mofa.go.jp/index.html "Ministry of Foreign Affairs of Japan" ] 2022年5月4日に確認. </ref>。
海外旅行とか海外出張とかでは必要な単語のひとつなので、頭の片隅に入れておこう。
ministry とはイギリス英語で省庁のこと。ただしアメリカでは、省庁を department と呼んでいる。
つまり日本政府は、「省庁」についてはイギリス英語を採用。
デパートなんて百貨店っぽい。なお百貨店は英語で department store である。
なおイギリスでも、新設の省庁については department を用いることもあると、ジーニアスは説明している。
さて、「省庁」の呼び名には、あまり深入りしてほしくない。
それより重要なのは、「大臣」 minister である。
大臣のことを minister という。単語集では「大臣」minister の項目に書いてあるが、「外務大臣」は foreign minister である。
今の単語集にはあまり書いてないが、昔はよく「総理大臣」は英語で the prime minister だと高校で習ったものである。いちおう、東京書籍の例文中に「総理大臣」the prime minister がある。桐原には書いてない。
説明の都合上、先に「省庁」 ministry を紹介したが、覚えるなら先に「大臣」minister から覚えたほうが良い。
語源としても、ラテン語で「従者」とかのことをミニステルと言うので、先に「大臣」→「省庁」の順番で単語ができたと考えるほうが合理的である。ジーニアスにも、ラテン語とは買いてないが、「召使い」がminister の語源だと書いてある。
prime については、主要という意味での「第一の」という意味である。センチュリーにある訳語だが、「第一位の」というのがニュアンスに近いだろう。
primeの語源はもともと、カトリックの日課の「最初の」礼拝のこと(ジーニアスで確認)。
primeはこういう意味なので、単に一番目であるだけでなく、さらに重要性の高いものに使われるというニュアンスがある。
ただし、実際の用例では、国家一番や世界一番でなくとも、たとえば肉が美味しい場合でも「極上の肉一切れ」 a prime cut of meat という風にも使う(ジーニアスで確認)。センチュリーにも似た例文がある。
「全盛期」、「絶頂期」という意味もあり、 in prime of his life(またはcareer) 「彼の人生(またはキャリア)の全盛期」みたいにも使う。
「全盛期」には、ほかに短い類義語が無さそうである。和英辞典で「全盛」を見ると、prime のほかに pride とか summer があるが、しかし英和でそれらの項目を確認しても、ニュアンスが違う。pride のほうは、pride of place という語句で「最高位」「最上位」という意味だし、summer は人生における「壮年」などの比喩でしかない。
名詞 foreigner は「外国人」 である。ただ、英語ではこの言い方は差別的な意味合いがあるとのこと。桐原3000いわく、なるべく、たとえば「カナダ人」 Canadian など具体的に言うべきとのこと。
alien
alien (発音: エイリアン)は「宇宙人」という意味があるので、なんとなく、あまりよくないイメージを読者は持ちがちかもしれないが、しかしジーニアスで確認すると、法律上の用語で「外国の」「異国の」という用法がある。
センチュリーによると、市民権をもたない外国人のことを alien と言うとのこと。
alien は、名詞も形容詞も同じスペルの alien である。
名詞 alien は「外国人」「宇宙人」の意味。
形容詞 alien は「外国の」「外国人の」の意味と、「異質の」「なじみがない」の意味。
よくある例文が「その習慣には、なじみがない」で、習慣 custom に alien で「なじみがない」という内容の英文を東京書籍とジーニアスで見かけた。
語法は、
~(習慣など) is alien to □□(人々)
で、
「~(習慣)は□□(の人々)には、なじみがない」の意味。
たとえば、 alien to us なら「私たちにとって、なじみのない」という意味(ジーニアスおよび桐原)。
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国内の
domestic, internal (※範囲外)
「国内総生産」GDPは gross domestic product のことである。domestic violence は「家庭内暴力」である。
「国内の」という意味での domestic が、「外国の」 foreign の対義語である。
domestic ⇔ foreign
さて、 「国内の」 を意味する形容詞 internal は、「国内問題」というとき internal affairs という(ジーニアス、センチュリーで確認)。
なお、数学の図形の幾何学の、「内角」も internal angle である(ジーニアスで確認)。
internal には医療などで「内服の」や「体内の」などの意味もあるが、共通の例文が確認できなかったので、説明を省略する。
なお外角は external angle または exterior angleである(ジーニアス和英で確認。英和にはない。和英)。
なお、「幾何学」は geometry (ジオメトリー)である(旺文社1900)。なお「地理学」はgeography (ジオグラフィー)である(桐原4500、東京書籍4500)。「地形」や「地勢」などもgeography である(東京書籍)。
geo- (ジオ)というのは「地球の」とか「地理の」という意味だが(ジーニアス)、幾何学にも使う。おそらく、古代のヨーロッパでは幾何学の知識を活用して、地図などを作成していたのだろう。
「ユークリッド幾何学」は英語で Euclidean geometry である(旺文社1900、)。「ユークリッド幾何学」というのは、日本では中学の数学で、図形の証明として習う、あの理論の体系のこと。「タレスの定理」とか「中心円の定理」とか、あそこら辺が「ユークリッド幾何学」。紀元前のギリシアの数学者エウクレイデスの名前にちなんで、英語読みでユークリッドになる。
なお、X-Y座標を使って計算する座標幾何学は、ユークリッドではなく「デカルト幾何学」という別の理論体系。デカルトは中世フランスの数学者。デカルトあたりが、座標幾何学の理論を整備しはじめたので。
さて、形容詞 interior は「内部の」という意味の形容詞だが(ジーニアス)、しかし普通は家や自動車の内壁に対して interior を使う(ジーニアス)。
ジーニアス英和の interior によると、幾何学の「内角」を interior angle で表してもいいとのこと。旺文社1900も東京書籍4500も、建築物の「室内の壁」を the interior walls としている。なお、東京書籍は「内部の壁」と和訳。
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生産量
output, production
「生産」を意味する production に、「生産高」の意味もある(ジーニアス)。なお、単語集では、prodcution の「生産高」の意味までは説明していない(東京4500、桐原4500、旺文社1900を確認)。
increase production で 「生産量を増やす」である(ジーニアス)。センチュリーでも、文章は違って完了形などになるが、「映画製作が減少」という内容の文で production を生産量の意味で使っている。
より平易に output でも「生産高」を言える(旺文社、ジーニアス)。
工場などの生産高から(ジーニアス)、芸術などの産物まで(センチュリー)、output で表現していい。
production や produce には、「大量生産」のようなニュアンスがある(東京書籍)。
なお「大量生産」は mass production である(センチュリー)。
なお、テレビ番組や音楽作品などの生産から、その生産された作品なども production である(ジーニアス)。
output の対義語は input である。
つまり
input ⇔ output
である。
input で、名詞としtrは、仕事や活動などへの資材や労働力などの「投入量」、コンピュータへの「入力」を意味する。また動詞としては、「投入する」や「入力する」の意味である(ジーニアス、センチュリー)。
旺文社の単語集には、inputに投入量の意味がないが、しかし辞書で「投入量」を確認できる。
同様に、対義語のoutput は、仕事や活動などの「生産高」や、コンピュータからの「出力」である。動詞としても同様に「産出する」(ジーニアス)や「結果を出す」(センチュリー)や「出力する」である。
input には、仕事・活動などへの援助としての情報提供やアイディア提供などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
東京書籍や桐原の単語集には input や output が見当たらなかった。だがこれからのIT時代、必要になる単語であるので、ぜひとも意味を理解しておきたい単語である。
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「外国」と「海外」
外国へ abroad
海外へ overseas
「外国に」「外国へ」は abroad であり、副詞である。
「海外に」「海外へ」は overseas であり、副詞である。
overseas は字ヅラだけ見れば、海を越えて外国に行くことだが、アメリカでは実際にはヨーロッパへ行くことに使われる事が多い(ジーニアス)。
travel overseas で「海外へ旅行する」である(旺文社)。
travel abroad で「外国へ旅行する」であるが、東京書籍では「海外へ旅行する」と訳している。
from overseas で「海外から」である(旺文社)。
abroad の典型的な例文が、
「私は外国へ(一度も)行ったことがない。」 I have never been abroad.
である(東京書籍、桐原)。東京書籍と桐原で、同じ英文。桐原のほうには和訳で「一度も」がある。
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結果
result, outcome, consequence
桐原4500と東京書籍4500の後半にoutcomeの単語の紹介があるが、良書とも解説を諦めている。
単に 結果のことを result だけでなく outcomeとも言うと、知っておくしかない。
consequenseは、単に「結果」を、固い言い回しにしただけであるが、東京書籍4500によると、「通例望ましく結果にconsequenceを用いる」とこのこと。
センチュリーと東京書籍に「深刻な結果」 a serious consequence と言う例文がある。
副詞 consequently は「その結果として」「したがって」の意味。
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考え
concept, notion ,ほか(idea, thought ,など色々ある)
concept は、たとえば相対性理論の考えだとか、割と抽象的なことに使う。桐原4500いわく、「アインシュタインの相対性理論の概念」は Einstein's concept of relativity である。
notion は、そこまで抽象的でなく、たとえば人生観(ジーニアス)とか宗教観(センチュリー)とか。
ジーニアスでは「人生は航海だという考え」の「考え」を notion としている。
旺文社だと「概念」と言ってるが、無視していい。
概念というより「観念」だろう。
あるいは「観念」という用語をしらない高校生に向けて「概念」と書いたのかもしれないが、そんな底学力層のことは読者は気にしなくていい。
その他、ジーニアスで「意見」、センチュリーで「意向」だと言ってるが、両辞書で説明が一致しないので無視する。
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「規範」と「基準」
規範 code
基準 normal
(学校などの)規律、しつけ discipline
普通 normal, ordinary
「行動」と「指導」と「行儀」、「実践」
行動 conduct(指導のニュアンス)、behavior (行儀のニュアンス)、practice(理論・理念の実践)
習慣・慣習 practice 、 custom、クセ habit
codeには「規範」「暗号」「法典」などの意味がある。
まず、codeの規範について。
ドレスコード dress code は「服装規程」のことである。「ドレスコード」「服装規程」とは、たとえばクラシック音楽コンサートホールとかの上流階級っぽい施設に入場しようとするとき、どんなに金を持っていても、もし服装が短パンとかジーパンとかだと入場を断られることがある。
成人男性の場合なら、背広とかのフォーマル formal な服装とかでないと、そういう場所には入場できないのである。そういうのをドレスコードと言う。
商業施設に限らず、たとえば冠婚葬祭(かんこん そうさい)とかの行事でも、その内容に見合った服装が求められる。
旺文社1900の例文が例文としてドレスコードを紹介しており、まさに大学進学を目指す階級にふさわしく、とても良い。
ダジャレだろうけど、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコード press codeという。普通に科目「日本史B」とか「日本史探究」で、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコードと言うと習う。ついでに覚えよう。英和辞典には press code は見当たらず、どうもGHQの造語っぽい。
ドレスコードの場合、codeは訳では「規則」や「規程」ではあるが、マナー的なニュアンスもある。
ジーニアスで確認したが「不文律」 code of silence という単語がある。
「行動規範」 は a code of conduct である。
ここら辺の表現が、上流階級に求められるマナー的な code であろうか。
その他、ビジネスライク名表現だが、「業務規程」 code of practice というのもある。
なお、「行動規範」 は a code of conduct のついでに言うと、「行動」conduct も類義語があり、behavior が類語後である。なお、旺文社ターゲット1400(中級の難度の本)が、conduct と behave を同じページで紹介している(おそらく旺文社もこれを類義語だと見なしているのだろう)。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多い.音楽の「指揮者」をコンダクター conductor と言うのも、これだろう。
The orchestra was conducted by Seiji Ozawa. そのオーケストラは小澤征爾によって指揮された。(東京書籍4500)
とか
conduct the orchestra オーケストを指揮する(桐原3000)
とか典型。
高校英語では出ないだろうが、物理学の電気伝導のことを conduct という事もある。conduct には、指導とか伝導とかのようなニュアンスがある。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多いが、必ずしもそうとは限らない
conduct interview インタビューを行う(東京書籍4500)
conduct research 調査を行う(旺文社1400)
のように調査研究を行うのに使う場合もある。
behave は、動詞「ふるまう」だが、ニュアンス的には「行儀」のニュアンス。
behave oneself で「行儀よくする」(桐原3000、旺文社1400)
I can't stand His behavior. 彼のふるまいには我慢できない. (東京書籍4500)
東京書籍の例のように、behavior そのものには、指導的なニュアンスは無く、行儀が悪い場合にも使うようである。
conduct は動詞。「行う」、「指揮する」。「指揮者」は語尾が異なり conductor である。
behavior は名詞で「ふるまい」「行動」。behaveは動詞で「ふるまう」。
ほか、practice に、理念や理論などの「実践」の意味があり、単語集にもあります(桐原4500、旺文社ターゲット1900)。
practical 「実践的な」「実用的な」という単語もあるので(東京書籍4500、)、これと関連づけましょう。ほか、思想用語ですが、プラグマティズムという語があり、米国的な実用主義のことです。なお、プラグマティズムはドイツ語やギリシア語が語源なので、高校生には深入りは不要。
熟語で put ~ into practice で「~を実践する」
put his new ideas into practice 「彼の新しいアイデアを実践する」(旺文社1900、ジーニアスに似た例文あり)
the idea to put his ideas into practice 「彼のアイデアを実行するチャンス」(桐原4500)
とか典型です。なお桐原3000にもpracticeがありますが、3000では練習の意味しか書いてません。
practice his religion 「宗教を実践する」(ジーニアス、桐原5500をもとに作成したオリジナル)
She practices vegetarianism. 彼女は菜食主義を実践している。(東京書籍3000そのまま)
ほか、
practical experience 「実地の経験」(東京書籍4500、桐原4500)
が典型です。
対義語は theoretical 「理論上の」です(東京書籍4500、桐原4500)。セオレティカルと、語尾がティカルになります。セオ「リカル」ではないです。セオ「レティカル」です。
「実用的な車」 practical car (東京書籍4500)、実地の経験ある大工 practical carpenter (三省堂グランドセンチュリー)
たぶん大工が高校範囲でないので、東京書籍が気を利かして car 「車」に置き換えたのだろうと思います。
なお、理科などの実験は experiment です(東京書籍3000、旺文社1900)。
旺文社1900だとpracticeとexperiment が同じページに書いてあり、おそらく、類義語のようなものと見なしています。
practice には「練習」の意味があります。というか、先に「練習」の意味のほうを、多くの中高生用の学校用の単語集では習います。
exercise にも「練習」の意味がありますが、上記のように practice は宗教や思想にも使うので、なんかニュアンスが少しだけ重いです。
また、単語集には無いですが、practiceには「慣習」の意味もあります。「練習」などの派生的に覚えましょう。
宗教とか地域文化とかそういう単語で practice が使われている場合は、宗教の実践なのか、それとも宗教の慣習なのか、どちらなのか判別が面倒です。このため、入試では要求されないでしょう。あまり特定の宗教に深入りするのも入試的にアレですし。
慣習・習慣 practice 、custom、habit
custom は、社会の習慣でも(東京書籍4500、旺文1900)、個人の習慣でも使う(桐原3000で個人の習慣を紹介)。
社会の慣習の意味の場合、custom と practice の区別は難しい。
custom やhabitは、意外と難度の高い単語と見なされており、東京書籍4500や旺文社1900など上級レベルの単語集でも紹介されてる。
habit は個人の習慣。個人の「癖」(くせ)が habit である。
このためか旺文社1900および東京書籍4500では対比として custom を「社会的な慣習」としているが、しかし実は個人の習慣にも custom を使う(桐原3000)。
the custom of visiting shrine on Wew Year Day 「神社を新年に参拝する風習」(旺文社1900)
the custom of giving year-end gift 「お歳暮を贈る慣習」(東京書籍4500)
もちろん日本以外の外国にも custom を使ってよく、
another country's customs 「他国の慣習」(桐原3000)
habit で入試で典型的なのが、個人の食習慣。
well-balanced eating habits 「バランスのとれた食習慣」(旺文社1900)
the habit of eating between meals 「間食の習慣」(東京書籍4500)
She has a habit of playing with her hair when she's nervous. 「彼女には緊張すると髪をいじるくせがある」(桐原3000そのまま) ※辞書を見ても他にろくな例文が無いので、そのまま紹介
habit of ~ing で「~する習慣」である(旺文社1900)。
She has a habit of speaking quickly when she is angry. 「彼女には起こったときに早口で話すくせがある」(東京書籍4500そのまま)
つまり単語集の典型例として、
He / She has a habit of ~ing ○○ when he/she is □□. 「彼/彼女には□□したときに〇〇を~するくせがある」
この桐原の例のように、無意識の「癖」にhabit を使う。
だが、他にも、喫煙とか麻薬とかそうのの悪癖にも habit を使う(ジーニアス)。この悪癖は入試には出ないだろう。辞書を見ても、麻薬とかそういうのの habit ばかりなので、桐原の髪の例文をそのまま紹介させてもらった。
しかし、良い習慣にも habit を使っても良い(東京書籍4500など)。
healthy habits 「健康的な習慣」(東京書籍4500)
habit of rising early 「早起きの習慣」(ジーニアス)、habit of getting up early 「早起きの習慣」(グランドセンチュリー)
「習慣」の意味で practice を使う場合、地域などの集団の慣習。宗教とか風土とか。 ※ 入試範囲外だが汚職などの悪風の場合も、practiceを使う(ジーニアス)。
マナー以外にも code は使い、「民法」は the civil code , 「刑法」は the criminal code である。
だが、「lawで十分じゃん?」と思ったのか、東京書籍4500ではcodeの項目を見ても「暗号」しか紹介していない。なお、桐原4500の例文が、アメリカの各州の刑法 criminal code の違いの話題(いわゆる「州法」)。
おそらく東京書籍は、マナーの話をしたいなら manner で済むだろう、という発想だろう。なお、manner も英語であり、東京書籍4500にもmannerが書いてある。
「暗号」については、典型的な例文が
「暗号を解く」 break a code
である(東京書籍4500, 桐原4500)。
normal (ノーマル)は、日常的には「普通の」「平均的な」という意味である。
だが、学問としては、労働などの「基準量」の意味を覚えておきたい。
日本では最近はすたれた言い回しだが、ソ連語の由来で「ノルマ」という、たとえば1日あたりの、しなければならない労働の最低量として「ノルマ」という語があった。
単語集にはないが、辞書で normal の意味に、数学の「直角の」という意味もある。おそらく、古代ギリシア人あたりが、角度の基準として直角(90度)を採用したのだろう。
なお、数値的な「平均の」を言いたいなら、 average である。形容詞「平均の」も名詞「平均」も average である。桐原4500では、normal のページといっしょにaverage も書いてある。
normal の対義語 abnormal は「異常の」「異常な」の意味である。
逆に考えれば、normal の意味は、「通常の」「正常の」でもある。桐原のnormal に「正常な」が書いてある。東京書籍の副詞 normally に「通常は」が書いてある。
ordinary 「ふつうの」「平凡な」は、よく「生活」と結びついて、ordinary life 「ふつうの生活」(東京書籍の訳)または「平凡な生活」(桐原の訳)
ordinary はこのように、並外れた部分がないというニュアンスがある。
逆に対義語の extraordinary は、「並外れた」の意味である。
「異常気象」は extraordinary weather である(東京書籍、ジーニアス)。
単語集にはないが、「臨時国会」も an extraordinary Diet session (ジーニアス)あるいは an extraordinary session of Diet (センチュリー)のように言えることも、覚えておきたい。なお、Diet とは、日本の「国会」のこと。外国の国会の呼び名は違っている場合も多いので、外国の国会のことを言いたい際には、その国ごとの呼び方を調べること。
そのほか、ルールに従わせるための統制や、そのための訓練のことなどを、 discipline という。
子供の「しつけ」や、学校の規律などが discipline である。
ジーニアスいわく 「学校の規律」 school discipline である。
また、センチュリーいわく「学校での規律」は discipline in school である。
子育てや教育にかぎらず、たとえば行政などの「金融統制」は financial discipline である(ジーニアス)。
そのほか、単語週では旺文社1900しか紹介していないが、大学での「学科」や「学問分野」のことも discipline という。辞書には普通に「学科」も「学問分野」も書いてある(ジーニアスで確認)。なお、実は旺文社では「学問分野」しか書いてないが、説明の都合で段落冒頭では「学科」も加えて紹介した。
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通訳と翻訳
「通訳する」「解釈する」 interpret
「翻訳する」 translate
「通訳」とは、普通、口頭での翻訳のこと。
だから翻訳サイトの「グーグル翻訳」も、べつに口頭でのやりとりではないので、英語では google translate なわけである。
「通訳者」は interpreter である。
「同時通訳」は simultaneous interpretation である(旺文社 simultaneous、ジーニアス、センチュリー)。
simultaneous は「サイマルテイニアス」と読む。シミュ~とは読まない。
名詞形の「通訳」「解釈」は interpretation である(旺文社)。
東京書籍と桐原だと「解釈」の意味しか紹介していないが、しかし上述のように「同時通訳」でも interpretation は使われるので、「通訳」の意味も覚えるべきだろう。
なお、数学の「連立方程式」は simultaneous equation である(ジーニアス)。
simultaneous の部分が「連立」である。 「方程式」は equation である。
翻訳者は translator である。
[[カテゴリ:英語]]
1i8fgrp1qtolnusca5p4qc2woif37p9
246652
246651
2024-04-13T05:59:09Z
すじにくシチュー
12058
wikitext
text/x-wiki
==== ※ 分割用タイトル ====
----
設立
constitute と establish と found
found という動詞がある。動詞「見つける」find の 過去形foundとは別に、原形で「設立する」のfoundという動詞がある。
「設立する」は活用が、
原形 found - 過去形 founded - 過去分詞 founded
と変化をする。
foundの意味は「設立する」。「創設者」を名詞 founder と言うのを記憶の土台にすると、覚えやすいだろう。名詞 foundation で「基礎・基盤」や「建設・設立」などの意味。化粧でファンデーションとあるが、あれは和製英語ではなく、れっきとして foundation cream という英単語がある(ジーニアス英和で確認)。
ちなみに金融などで「ファンド」といわれる単語は fund (原形がfund )というまったく別の単語。組織などの「資金」「基金」が名詞でfundである。動詞 fund は、組織などに「資金を出す」こと(旺文社1400)。
なお、「基金の基金を集める」は raise a fund である(旺文社1400。ジーニアス)。また、raise money で「資金を集める」である(東京書籍4500。桐原4500)。
constitute は、議会や制度などを「設立する」。
なお、センチュリー英和によると、「議会を設立する」 constitute an assembly とのこと。
establish は、組織を「設立する」。たとえば桐原4500に「早稲田大学を設立する」という例文で establish が紹介されている。
ジーニアス英和によると、政府・学校・会社などを「設立する」のが establish である。
センチュリー英和によると、国家・政府などを「樹立する」のも establish である。
だが、それよりもestablishは、単語集にはないが、評判などを「確立する」の意味で覚えるほうが良い。
たとえば、センチュリー英和やジーニアス英和にあるが、国家体制など既存の「体制側」や「支配層」のことを establishment という。
いっぽう constitute には、こういったニュアンスはないだろうから。
set up
set up は「創業する」「創設する」の意味である。
このほか、set upには、テント(a tent)や看板(a sign)などを「立てる」という意味もある。
センチュリー英和にもあるが、コンピュータの初期設定のことを set up という。
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主張 claim と insist と argue と contend
議論する argue, discuss
センチュリー英和によると、claimは、当然の権利として「主張する」、あるいは事実であるとして「主張する」の意味。
claimとinsistのどちらにも、「要求する」の意味がある。
だが、claimの要求は、権利としての要求である(東京書籍4500)。
いっぽう insistの要求は、単に強く要求しているだけである。
insistは、特に、強く「主張する」意味である。
ジーニアス英和およびセンチュリー英和では、無罪の主張でinsist on が用いられている。
日本語の、批判のような意味での「クレーム」は、和製英語であり、センチュリー英和のclaimの説明によると、英語にこの意味はない。
なお、「文句を言う」は英語で complain である。
:(※ たぶん範囲外?)海外旅行などで「荷物の受け取り」のことを baggage claim という<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P140</ref>。このように、日本語の「クレーム」と英語のclaim は、だいぶニュアンスが違う。
記号「!」 のことを exclamation (イクスクラメイション)というが、これも動詞 exclaim (イクスクレイム)「さけぶ」の名詞形である。
なお、荷物 baggage は集合名詞なので たとえば複数の荷物を言うときは、 ~ pieces of baggage になる<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P153</ref>(桐原3000)。
発音注意であり、baggage 「バギッジ」である。
なおbaggageはアメリカ英語。イギリス英語だと luggage 「荷物」になる。
一方、「カバン」bagは具体的なカバンのことをいうので、普通に数えられるので、bagの複数形は bags である<ref>『All aboard! English Communication I』、東京書籍、令和3年1月29日検定済、令和4年2月10日発行、P145</ref>(桐原3000)。
さて、claim する人(主張者)のことは claimant である。
ただし、権利の主張などは、insistとclaimのどちらでも良い。
argue は、理由をあげて「主張する」の意味である(東京書籍4500)。argue that ~ で「~だと主張する」の意味である。argue with ~(人) で「~(人)と言い争う」の意味である(桐原4500および旺文社1400)。
なお、argueには、用法によっては、やや非友好的に「議論する」ニュアンスもある。ジーニアス英和にも、argue は「discussよりも非友好的」と記述がある。
たとえば検定教科書 "Standard Vision Quest I" でも、 argueは「言い争う」といった意味であると紹介する一方、discuss は「議論する」であると紹介している<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
ただし、実際には argue には「説得する」などの意味の用法もあるので、ニュアンスの違いはあまり明確ではない。
センチュリー英和に、弁護士の「弁論」をargueとした例文があったが、もし法廷闘争での敵対陣営同士の「弁論」ならargueのほうが、ふさわしいだろう。
なお、「口論する」は quarrel である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
contend は、(東京書籍4500いわく)「強く主張する」とか、(桐原5500いわく)「論争する」とかの意味。
桐原5500の例文にあるが、contend in court で「法廷で争う」。
旺文社1900によると名詞 contention で「主張」「論点」の意味。
旺文社1900とセンチュリー英和が紹介しているが contend that ~ で「~だと主張する」。
旺文社1900 で熟語 an issue of contention (「議論の対象となる問題」)が紹介されてるが、しかしジーニアス英和でもセンチュリー英和でも確認できなかった。
* 異議を唱える
challenge
challenge には課題や競技相手などに「挑戦する」の意味もあるが、議論などで相手に「異議を唱える」の意味もある。
たとえばジーニアス英和からの抜粋だが、 I challenged her. 「私は彼女に異議を唱えた。」
旺文社1900からの抜粋だが、 He challenged the common belief. 「彼は常識に異議を唱えた。」
センチュリーからの抜粋で、 He challenged my statement. 「彼は私の言うことに異議を唱えた。」
challenging で「やりがいのある」。東京書籍3000に例文がある。辞書を見ても、あまり例文が無いので、当ページでは紹介しない。
なお単語集にはないが、ジーニアスによると、競技などで challenger 「挑戦者」 ⇔ defender 「選手権保持者」(防衛側)
である。defender の項目で調べると書いてある。
競技では、challenge は試合を「申し込む」などの意味である。
たとえば、東京書籍3000の例文だが、
Dan challenged me to a game of tennis. 「ダンは私にテニスの試合を申し込んだ。」
また、センチュリー英和に似たような例文
I challenged Betty to a game of tennis. 「私はベティにテニスの試合を申し込んだ。」
がある。
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防御
defend , guard , protect
まず、「ガードマン」は和製。
guard だけで「警備員」の意味がある。特に、警備員であることを強調したい場合、 a security guard という(東京書籍、旺文社)。
a security をつけずに「警備員」と使用してもいい。桐原3000の英文は銀行の「警備員」に、 a security をつけていない。
さて、defend は動詞。guardは名詞および動詞。protectは動詞。
なお、guardian とは、未成年などの「後見人」のこと。旺文社1900ではguardian を「保護者」「後見人」と紹介している。
そのほか、センチュリーでは、たとえば世界平和の「守護者」とか、そういう意味の「守護者」のことを guardian という。そのほか、ジーニアスには guardian の意味のひとつに「保護者」と書いてある。
protect は、病気などから「守る」場合にも使えるが(東京書籍3000)、ジーニアスによると人間などの相手でも使っていいようである。
辞書や単語集では「保護する」と訳される場合もある。
名詞 protection は「保護」の意味。
辞書によると、関税によって国内産業を「保護」することも protect である。また、風雨からの保護の「雨よけ」「風よけ」も 名詞 protection である。
さて、ジーニアスによると、「家族を守る」でprotect one's family である。ジーニアスでは文脈は述べていないが、普通の感覚では、病気とかではなく犯罪などから家族を守ることだろう。
日光(sunlight, sun)から目を守ったり(ジーニアス、センチュリー)、肌を守ったりするのも(桐原4500)、protectである。
たとえば、 protect one's eyes from sunlight 「日光から目を守る」
である。
protect 〜 from B で、「〜(守られる対象)をB(危険側)から守る。」である。
なお、子育てなどでいう「過保護」は英語で overprotect である(桐原5500)。
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汚染
pollute と contaminate
違いは不明確。
桐原5500にcontaminate がある。polluteは桐原・東京書籍の4500にある。
一応、ジーニアス英和および桐原5500には、「毒物や放射能」による汚染を contaminate としているが、彼らがそういう説を言っているだけ。クラウン英和はその説を採用していない、
実際にクラウンの例文を見ると、車の排気ガス汚染で、contaminate という動詞を用いている。
:Car exhaust contaminate the air. 車の排気ガスは大気を汚染する。
という文がクラウン英和にある。
しかし東京書籍4500では、工場の煤煙による大気汚染が pollute である。
クラウン英和にある大気汚染 air pollution のように、そういう用語が既にあるので、実務では業界の用語ごと覚えるしかない。
※高校生としては、不正確かもしれないが、とりあえず「汚染」はすべてpolluteで覚えておいて、実務などで「この場合はcontaminete を使え」と修正された場合にだけ contaminate を使うのが良いだろう。
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傷(きず)
wound, injured, harm, hurt
動詞 wound は、刃物・銃などで「傷つける」、「負傷させる」。桐原3000だと「傷つける」、東京書籍4500だと「負傷させる」。
ジーニアス英和hurtの説明によると、戦いでの負傷には wound を使うとのこと。
hurt は、感情なども含む「傷つける」。
センチュリー英和だと、hurtには、「傷による苦痛に重点がある」とのこと。
名詞 injury が「けが」という意味。これが「けが」の基本的な単語である。
さて、~ be injured で「~が、けがをする」の意味である。
~ be injured in ・・・ で「~(けが人)が,・・・(原因)でけがをする」である。
単語集によくある典型的な例文が、
「彼はその事故でけがをした。」 He was injured in the accident.
である。
単語集では、自動詞 hurt で「痛む」の意味があり、東京書籍4500で例文を紹介。一方、桐原4500は例文なし。
「おなかが痛い」(※東京書籍4500)とか(靴擦れで)「かかとが痛い」(※センチュリー)とかでも、hurtを使っていい。
桐原4500に名詞 hurt で、「傷」の意味が紹介されている(例文なし)。東京書籍4500にはなし。
hurt には「けが」・「傷」・「苦痛」の意味がある。
「傷」の意味では、injuryとほぼ同義だと、ジーニアス英和が言っている。
hurtとpainの違いが気になるが、あいにく辞書には書いてなかった。
ややしいことに「痛み」を意味する名詞 pain には、「苦労」の意味もある。苦痛ではなく苦労なので、いい意味でも使われる。
なお、painは名詞の用法が基本的な意味だし、名詞の意味は「痛み」。
hurt は動詞の用法が基本的な意味だし、動詞の意味は「傷つける」。
辞書を見ると、実は動詞のpainもあるが、これは「痛む」の意味である。(「傷つける」ではない)painはあくまで「痛み」に関する単語
名詞 harm は「害」の意味。なお、harmful で「有害な」の意味の形容詞<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P111 </ref>。
東京書籍およびジーニアスによると、日光や光によって「目をいためる」のは harm である。
飲酒や喫煙などの「害」がharm 。桐原4500に喫煙の害。センチュリー英和に飲酒の害。
このように、比較的に痛みを伴わないものにも使われる。(センチュリーにもそう書いてある。)
だが、「目をいためる」ように、実際に痛いこともある場合にも使われるので、まあ傾向の程度。
ネットでときどき「有害コンテンツ」という用語があるが、「有害コンテンツ」も英語で harmful contents である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P121</ref>。
ほか、旺文社1900のsubstance ’物質)の項目が言うには、飲食物などに含まれていたら困る「有害物質」は harmful substances である。
さて、動詞 suffer が「苦しむ」という意味だが、 be suffering from ~ で、「~(原因)で、苦しい(つらい)」的な意味。
東京書籍 be suffering from a toothache 歯が痛くてつらい
桐原 be suffering from a backache 背中が痛くて苦しい
などと訳している。
ジーニアスによると、 「風邪をひいている」 be suffering a cold のように痛み以外でも使っていい。ほか、「英国はインフレで苦しんでいる」 be suffering from inflation のように使ってもいい。
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やわらげる
relieve, ease
苦痛などを「やわらげる」は動詞 relieve である。
典型的な例文で、(風邪薬などで)「頭痛をやわらげる」 relieve a headache がある(東京書籍4500およびセンチュリー)。
誰が風邪薬を飲んで誰の頭痛をやわらげるのかによって、飲んだのが「私」だったら relieve my headache になったり、教材ごとに主語による多少の違いがある。
どちらにせよ、単に柔らかいわけでもなく、単に軽減するわけでもなく、苦痛などを減らすのが relieve である。
relieve A of B(苦痛など) で、「AからBを除いて楽にする」の意味。
熟語 get rid of ~ 「~を取り除く」と関連づけて覚えよう。実際、桐原4500がそういう構成である。
名詞形は relief であり、「安心」「緩和」「救援」などの意味である(単語集にある)。単語集にはないが、野球のリリーフも同じrelief である(センチュリーで確認)。
sigh with relief で「安堵(あんど)のため息をつく」である。sigh (発音「サイ」)は、動詞としては「ため息をつく」、名詞としては「ため息」である。
例文は、
She sighed with relief. 「彼女は安堵のため息をついた」
である(東京書籍4500 項目 sigh。旺文社1900 項目 sigh)。
ともかく、「安心」的なのが relieve のイメージなので、be relieved to ~(動詞) で「~で安心した」という形容詞的な用法になる。
というか、辞書ではジーニアス英和でもセンチュリー英和でも、 relieved を形容詞として紹介している。
ease (イーズ)という動詞および名詞がある。これも動詞ease は「やわらげる」「取り除く」の意味である。これは形容詞の「簡単な」 easyの、名詞計および動詞形である。
名詞 ease は「容易さ」「気楽さ」「軽減」の意味である。
This medicine eases the pain. 「この薬は痛みをやわらげる。」
のように使う(東京書籍および旺文社に似た例文)。
ジーニアスによると、頭痛 headache をやわらげるのに ease を用いてよく、旺文社によると胃痛 stomach pain をやわらげるのに ease を用いている。
このような薬による「取り除く」「やわらげる」の意味での ease は、ジーニアスによると、relieve とほぼ同義語とのこと。
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取り除く
remove, eliminate
remove は、「取り外す」の意味に近い。
たとえばパソコンのUSBスティックメモリなどを「リムーバル・メディア」などというが、取り外したあとに、別に捨てるわけでもなく、消去するわけでもない。
このように、remove は単に「取り外す」「取り除く」というニュアンスである。
名詞 removal (リムーバル)「取り外し」という単語も存在しています(東京書籍4500)。
形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」という単語もあります(東京書籍4500)。
「リムーバル」はけっして形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」の誤記ではないです。間違えないように。
一方、eliminate は、取り除いたあとに、処分することを念頭に置いている。または、取り除いたあとに、再度の取り付けの意思がないものに使う。
なので、eliminate で取り除かれるものは、ゴミだったり、あるいは犯罪などの社会悪だったりする。
または、解決すべき問題を片付けることも eliminate である(東京書籍)。
だから eliminate の訳語は「取り除く」である。外すのではなく「除く」に、そういうニュアンスがある。
eliminate (A) from (B) で、「AからBを除去する」である。fromの後ろにあるBが、抹消されるべき対象である。
こういう単語なので、単語集にはないが、ジーニアスを見れば、敵軍などを全滅させる事も eliminate と言うこともある。
なお、生物種の「絶滅」は extinction (エクスティンクション)である。
熟語 get rid of ~ は、そこまであれこれと考えていない。remove的にも使われるし、eliminate 的にも使われる。あるいは、remove と eliminate の中間だと思っておけばいいかもしれない。
さて、 exclude は、「除外する」である。
これよりも、形容詞の exclusive エクスクルーシブの意味「排他的な」のほうが分かりやすいので、そちらを説明する。
exclusive 「排他的」とは、最初から内部に入れない、という意味である。
だからexclude は、最初から中に入れないように「締め出す」という意味もある(桐原で確認)。
excludeの「除外する」の意味については、可能性などを「除外する」という意味もあり、ジーニアスの例文だと、たとえば「明日、雨が降る可能性は除外できる」みたいな割と平和的な「除外する」にも exclude を用いることもできる。
そのほか、exclude は、見当などの際に「考慮に入れない」という意味もあり(ジーニアス、センチュリー、旺文社で確認)、たとえば旺文社の例文では「税金は価格から除外されている」という意味の英文で exclude を受身計で用いている。
なお、対義語は include であり、「含む」という意味である。
たとえば「税込み 5ドル」は
<nowiki>$5,</nowiki> tax include
である。
典型的な例文は、
「料金は税込みですか?」 Does the price include tax?
がある( ジーニアス(ただしpriceでなくrate)、 東京書籍(ただし「料金」でなく「価格」と和訳) )。
また、-clude とは「閉じる」の意味である。
だから、たとえば conclude は、話を閉じるので「結論づける」「締めくくる」の意味。conclusion は「結論」の意味。
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消去する
erase , delete
(※ 範囲外)火を消す extinguish
鉛筆で書いた文字を消しゴムで消すのが erase である。
また、消しゴムをアメリカ英語で eraser (イレイサー、イレイザー)という(東京書籍1800、旺文社1900)。なおイギリス英語では rubber である。
黒板ふきも eraser である(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
コンピュータのデータを消すのは、erase も delete も使われるが(ジーニアスで確認)、しかし現代では delete でデータ消去を表すのが普通である。
実際、パソコンのキーボードにも delete キーがある。
旺文社の例文も、メールの削除を delete で表現している。
なお、東京書籍と桐原の単語集には delete は見当たらない。
昔なつかしいテープのデータを消去するのには、erase が使われるようである(ジーニアス、センチュリーにerase でテープのデータを消す用法あり)。
erase で消すのは、文字のほかにも、感情を「消す」などの表現でも使われる(ジーニアス、)。
「記憶を消せればいいのに」みたいな表現でも erase を使う(旺文社、ジーニアス)。
辞書にはないが、delete はもともと動詞で「削除する」「消去する」の意味であるが、現代ではパソコンのデリートキーを表す名詞として、delete が名詞としても使われる(旺文社1900)。辞書のほうが遅れている。旺文社1900が正しい。
なお、名詞形 deletion 「消去」「削除」という単語もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
高校範囲外ですが、火を「消す」は動詞 extinguish (イクステングィッシュ)です。
extinguish は一見すると見慣れないですが、実は高校範囲の単語「絶滅」 extinction (イクスティンクション)の動詞形です。
extinction のスペルのままでは動詞の意味は無いです(センチュリー、ジー二アス)。
消防士による「消火する」から(ジー二アス)、たばこの火を「消す」まで(センチュリー)、extinguish で表現できます。
なお、extinct は形容詞「絶滅した」「消滅した」です。
ほか、生態系の「絶滅危惧種」は an endangered species である(桐原4500 species、ジー二アス endangered)。東京書籍と旺文社には、species の項目自体はあるが、絶滅危惧種はない。
なお、植物の「種」(たね)は、seed という別の単語である(東京書籍4500、桐原3000)。
典型的な例文は、
「農場に種をまく」 plant seeds in the field
である(東京書籍4500、桐原3000)。
plant は「種をまく」という意味の動詞。
field は「農場」である。
動詞として seed 「種をまく」という用法もあるが、旺文社以外1200は紹介していない。少なくとも、桐原3000と東京書籍4500には、動詞の用法が紹介されていない。
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疑い
suspect ,doubt
doubt ~は、「~が信じがたい」の意味。 → don't think に近い
たとえば doubt if ~で「~かどうか疑わしい」。doubt that~で「~でないと思う」である。
suspect ~ は、「どうも~のようだ」のような意味(ジーニアス英和) → think に近い
旺文社1400にあるdoubt 例文で、
doubt ifの例文「私は神が存在するかどうか疑わしく思う」I doubt if god sexists.
および
doubt that の例文 「私は神は実在しないと思う」I doubt that god exist.
が覚えやすいだろう。
suspect~ の 目的語(~)の部分は、原因や容疑などがくる。
例文として「食中毒を疑う」 suspect food poisoning とか(東京書籍4500)、
容疑者は名詞 suspect である。
このほか dubious と言う「疑わしいと思う」(桐原5500)という単語があるが、辞書の例文が不足していてよく分からなかった。単語集では桐原5500に書いてある。
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治療と回復
「治す」 heal, cure ,
「~が回復する」は recover
「~を回復する」は restore
「気分の回復」は refresh
「(健康などを)取り戻す」は regain
医療や薬などによって、けが や病気を「治す」一般的な語は cure である。
外傷を治す場合は heal が好んで使われる。
cure ~(人) の語順である。
けが を治す場合、
cure ~(人) of □□(けが・病気)
の語順である。
典型的な例文が
「その薬が彼の病気を治すでしょう」 The medicine will cure him of his disease.
である(ジーニアスの例文を改造し、「あなたの病気」から「彼の病気」に変更)。
桐原にも似た例文があり、
This medicine will cure him of the disease. 「この薬が彼の病気を治すだろう。」
とある。
his disease か the disease かなどの多少の違いはあるが、まあこんな感じの英文になる。
get rid of ~ などと同様に、ofの後ろには取り除かれるべき物が来る。
heal も同様、
heal ~(人) of □□(けが)
の語順である。
だが、東京書籍4500および桐原4500いわく、 heal the wound 「けがを治す」のように、ofを使わずに使われる場合もある。
recover は「回復する」である。
recover from ~ で「~から回復する」である。
動詞 restore は、
「秩序を回復する」 restore order
のような例文が辞書で典型的(ジーニアスとセンチュリーの両方にある)。
さて、旺文社 store 項目によると、パソコンなどで、データをバックアップすることは store である。
そして、単語集にはないが、バックアップをもとに設定データなどを自動的に「復元する」ことを restore という事がよくある。
辞書によると、古い建築物や美術品などを復元することも restore である。
東京書籍4500では、教会を修復するのを restore としている。その教会が古いかどうかは東京書籍4500には書いてない。
桐原では、桐原5500にrestoreが書いてある。
けがの回復ではなく、ちょっとした疲れやノドの渇きや気分などを、軽い飲食物や短時間の休養などで回復させるぐらいの場合は、動詞 refresh (リフレッシュ)で表せる。
旺文社1900がrefreshを紹介している。桐原・東京書籍は紹介せず。
ジーニアスいわく、冷たい水を飲むのも refresh である。
refresh は主語や述語の語順のつかいかわけが難しいので、例文を省略する。
センチュリーいわく、入浴で疲れをとるのも refresh である。また、ジーニアスでもセンチュリーでも、アルコールで気分を回復するのが refresh である。
そのほか、ジーニアスによると、コンピュータなどのディスプレイ上の画像が更新されるのも refresh である。これからのIT時代は覚えておきたい。
regain one's health で「健康を取り戻す」という慣用表現である(ジーニアス、旺文社1900)。
旺文社1900にしかなく、番号 1502 / 1900 の単語。少なくとも桐原4500・5500と東京書籍4500にはない。
He regained his health. 「彼は健康を取り戻した」
のように使う(センチュリー)。
「意識を取り戻す」 regain consciousness もよく使われる(ジーニアス、旺文社1900)。
たぶん She regained consciousness のように使う(旺文社に似た例文)。
また、この用例から分かるように、健康的なものを取り戻す場合、普通は主語が自身の健康を取り戻すのに regain を使う。
「自由を取り戻す」(センチュリー)とか「都市を取り戻す」(ジーニアス)とかの政治的なことも regain である。
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蓄え
store , stock
store は「店」という意味の名詞でもあるが、「蓄える」という意味の動詞でもあり、さらに「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもある。
なお、storeを「店」の意味で使うノはアメリカ英語。イギリス英語では店はshopである。桐原3000にも東京書籍3000にも書いてある。storeは3000語レベル。
stock は「在庫」や「株式」という意味の名詞でもあるが、「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもあり、さらに商品を「店に置く」「仕入れる」などの意味の動詞でもある。桐原と旺文社は、「仕入れる」の意味まで単語を紹介している(ただし例文なしで単語のみ)。
stockは4500語レベル。
しかし単語集では、ややこしいので、stockについては、「株式」「在庫」の意味の名詞だとしてしか、紹介していない。しかし実はstockも動詞の用法があるのである。
センチュリーによると、食料の「蓄え」は、stock でも store でもよい。
たとえばセンチュリーのstockの例文は「我々の食料の蓄え」Our stock of food である。センチュリーのstoreの例文は(リスが冬の備えての)「食料を蓄える」lay in a store of food である。
このように、どっちでも食料 food を蓄えられるので、区別がつかない。
storeは別にリスのような動物限定というわけでもなく、たとえばセンチュリーで図書の「蔵書」 a book of store などの表現もある。
storeが店での商売関係というわけでもない(もし商売に限定だすると、図書の蔵書とかリスの食料とか、説明がつかない)。
なので、stock に「株式」「在庫」の意味があるとか、覚えるしかない。
桐原および旺文社いわく、
be out of stock で「在庫が切れている」
の意味。桐原は例文も紹介。旺文社は例文なし。東京書籍は紹介せず。
例文は桐原も東京書籍も旺文社も、在庫の例文である。
単語紹介だけでが、桐原いわく「株式市場」stock market
旺文社いわく「証券取引所」the stock exchange
である。
語源を調べてみても、 stock の語源は木の「棒」stick と同じだと書いてあるだけで、stock と storeとの区別には役立たない。
さて、単語集にはないが、パソコンなどのハードディスクなどの貯蔵量のデータ記録デバイスのことをストレージ storage という。
ついで、単語集にある情報だが、 storage は、「貯蔵庫」や「保存庫」の意味で、東京書籍4500の巻末にだけ、解説なしで、単語と例文だけ書いてある。
辞書を確認のため見たが、ジーニアス英和は家具の「保管」を storage といい、センチュリー英和は単に「倉庫」を storage といい、あまり共通性はなさそうなので、深入りしない。
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愚か
形容詞 foolish, stupid, silly, ridiculous などがある。
このうち、 foolish, stupid, silly, は、「愚かだ」「馬鹿げている」の意味。
このうち silly は口語調。
<nowiki>Don't be silly.</nowiki> で「馬鹿げたことを言わないで。」という典型的な例文があり、東京書籍4500でも紹介されている。
名詞foolが形容詞になったのが foolish である。
stupid は、辞書によると、foolish よりも、けなしの意味が強い。口頭では使わないほうが安全だろう。
ridiculous は、「不合理で馬鹿げている」意味。センチュリーによると、ridiculousには、あざけりや物笑いの意味もあるとのこと。
単に「不合理だ」の意味なら、 absurd を使う。桐原5500にabsurdが書いてある。なるべくabsurdを使うほうが高尚だろう。
センチュリーによると、absurdは、不合理さ・非常識さを強調している。
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移行と移転と移動
migrate, transfer ,
桐原4500に名詞形migrant (移住者)が書いてありますが、英語では動詞 migrateとは「移住する」や、渡り鳥の「渡る」のことです。
しかし単語集にはないですが、そのほかにもmigrateには、IT用語では古いシステムに入っていたデータやプログラムを新しいシステムの中へと「移す」ことや、開発環境などのシステムを新システムへと「移行する」という意味もあります<ref>[https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/migration.html マイグレーション | IT用語辞典 | 大塚商会]</ref>。
なお似た言葉にreplaceがありますが、これはサポート切れなどで古くなったりして(obsolete)使えなくなったソフトウェアなどを現在の稼働中の使えるバージョンのものに「置き換える」(replace)ことを意味します。
英語では、「『移住』にシステム環境『移行』の意味もある」と覚えることが本質的な理解でしょう。
なお、スペルの似ている immigrate に、(外国から)「移住する」の意味があります(桐原4500)。またなお、桐原4500にも書いてあるが、空港などの入国管理が名詞 immigration である。英会話の教材などでよく immigration が出てくる。
immigrate と migrate の意味の違いを把握するため、辞書の説明に逆らって、私たちは migrate は(環境を)「移行する」で覚えましょう。
これが、moveやtransfer と、migrate との違いです。
なお transfer に「転勤する」「転勤させる」の意味があります(桐原4500)。
「転勤させる」ほうは他動詞なのでtransferでもいいのは分かりますが、「転勤する」と「移住する」の区別が難しいです。まあ、おそらく他動詞からの類推か、慣用的にtransfer が定着しただけでしょう。
なお、辞書にありますが「転校」や(プロ選手などの)「移籍」もtransferです。
高校生物の遺伝に関連する細胞物質のひとつで、トランスファーRNA (transfer RNA)というのがあります。こういうのと関連づけて覚えましょう。
また、列車・バスなどの乗り換えも transfer です。
スペルの似た単語で、transport という動詞および名詞がありますが、動詞 transport は「輸送する」です。
transfer 「乗り換え」はおそらくtransport 「輸送する」との関連で定着した表現でしょうか。
単語集にも辞書にもないですが、インターネット用語で HTTP というのがありますが、これは「Hypertext Transfer Protocol 」の略です。データなどを「転送する」のも transfer です。
センチュリー英和によると、銀行口座に「振り込む」もtransfer とのことなので、「送金する」のようなニュアンスでしょう。
なお、ジーニアス英和およびセンチュリー英和によると、法律用語で、財産などを「譲渡する」もtransferです。
transition という名詞が別にあります。transition は、移行期にあるものについての「移行」のことです。桐原4500 では「議会制民主主義への移行」、旺文社1900では「自動運転車への移行」を例文にしています。
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決定
determine ,decide
辞書にはないが、determine は、断固とした決意で「決心する」「決定する」である。
形容詞 determined がセンチュリー英和によると断固とした決意の意味なので、動詞determineのほうもそういうニュアンスである。
あと、ジーニアス英和にあるが、判決を下すのも determine である。
あと、予備知識がないと気づかないだろうが、東京書籍4500にある例文のように、専門家などが原因などを「特定する」ことや、判定するのも determine である。
実際には、あまり断固としてなくても determine が使われるような例文もちらほらとあるが、あくまで派生的な用法だと思うべきだろう。
だから名詞形 determination は、「決心」「決意」と覚えるべきだし、実際に桐原4500や東京書籍4500でそういう和訳である。
be determined to ~(動詞) で「~する決心をする」
である。受身形で「決心する」になる。
たとえば
He was determined to ~ 「彼は~する決心をしていた」
のように使う。また、完了形にせず、過去形のままで使う(桐原4500の例文、ジーニアスの例文など)。
能動形でも「決心する」の用法もあるが、普通は上述のように受身形で使う(ジーニアス)。
検定教科書で三省堂 CROWN Iを読んでいると、高校1年でもう be determine to do を扱っている。
対する decision は、和訳は「決定」である(東京書籍4500)。桐原によるとdecisionは「決定・決断」だが、しかし上述のように、どちらかというとdesicionは比較的に「決定」のニュアンスのほうに近いだろう。
resolve でも「決意する」だが、東京書籍4500だと彼女をデートにさそう「決心」という例文であり、まったくもって断固とした必死さが足りない。
そんなのよりも、会議などの「議決」のことを resolution というのを覚えたほうが良いだろう。桐原4500に「決心」「決議」と単語の和訳だけ書いてある(例文はなし)。
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減少
decrease, decline , reduce, diminish
まず、高校英語で増減を表す場合につかう典型的な単語は、increase (「増える」「増やす」の意味)および、対義語の decrease(「減る」「減らす」の意味)である。
たとえば、三省堂『CROWN II』「英語表現」教科書では、パラグラフ・リーディング/ライティングの説明で、留学生に関する分析の文章を扱っているのだが、留学生の「増加/減少」<!-- 「/」は原著が全角文字なので、それに合わせた。 -->にそれぞれ increase/decrease という表現を使っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P81</ref>。
この例のように、 increase (増加)と decrease (減少)は対になって使える便利な表現であるので、まずはこれを覚えよう。
熟語というほどではないが、
~(主語) increased by □□(数値) percent.
で、「~が□□%上昇した。」である。たとえば上記のパターンで、東京書籍4500では「その商品の売り上げ」Sales of the product だし、旺文社199では「日本の実質GDP」Japan's real GDP である。桐原3000には数値上昇の例文なし。桐原は昔から単語集では定番だが、しかし桐原だけでは勉強できないこともある。
increase で増える数値はなにも百分率(パーセント)でなくてもよく、たとえばジーニアス英和では、「体重は2キロ増えて60キロになった」 increased by two kilograms to 60 kilograms.
という例文もある。
on the increase で「増大して」の意味。なお、ここでの increase は名詞。
東京書籍4500では「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
センチュリー英和では「大都会における犯罪は増加しつつある。」 Crime in big city is on the increase.
ジーニアスは on the increase の例文なし。このように、ひとつの英和辞典だけでは勉強できない。
別に on the increase を使わずとも、現在増加中のものは現在完了進行形で書いてもよく、桐原3000がそうであり、
「車の台数が増え続けている」 The number of cars have been increasing.
である。
ジーニアス英和にある説明だが、よく、The number of ~ increased. で「~が増えた。」と言う例文があるが、「The number of 」を省いて直接「 ~ increased. 」のように言ってもいい。
実際、東京4500の例文「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
でも、 the number of は無い。
on the increase のbe動詞が単数形(is)なのか複数形(are)なのか食い違いがあるが、英和辞典を見ても、とくに言及はされていない。
increasingly で「ますます」の意味が紹介されているが(東京書籍4500。旺文社1900)、しかし例文は無い。
価値や能力を「高める」場合、enhance (エンハンス)という動詞が使われることもある。だが、辞書でも例文が少なく、あまりいい例文が見当たらないので、説明は省略。旺文社1900だと、603/1900の位置でenhanceを紹介している。だが東京書籍4500では、巻末ちかくで enhance を紹介である。桐原に至っては、4500語レベルではなく桐原5500の後半ちかくでenhanceを紹介である。
さて、decline は自動詞であり、つまりdeclineは「低下する」「減少する」の意味である。
declineの典型的な例文が「出生率は低下している。」であり、東京書籍4500では
The birth date is declining. 「出生率は低下している。」
である。
似た例文が、旺文社1400にもあり、
「出生率は低下し続けている。」 The birth rate continues to decline.
である(旺文社1400)。
なお検定教科書にも decline の単語は掲載されている<ref> 、『CROWN English Communication III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P45</ref>。和訳が検定教科書に書かれてないので不明だが、その検定教科書では経済の議論の紹介で decline が使われているので、「低下する」の意味にて decline を用いているのだろう。
decline には、申し出・誘いなどを「断る」の意味もあり、桐原4500に紹介されているのはこっちの意味だけ。
しかし、高校の検定教科書に、「少子化」 declining birth rate が照会されているので、「減少」の意味のほうもキチンと覚えよう<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P18 </ref>。
名詞形 declination が、ていねいな断りの意味。
reject (計画などの「拒絶」。※却下のような意味)や refuse (拒絶)だと意味が強すぎるのだろう。
reduce は「減少させる」。3R運動のリサイクル、リユース、リデュースのあれ。
「減少」は名詞 decrease と名詞 reduction がある。
reduction は、「削減」のニュアンスで使われることが比較的に多く、桐原4500および東京書籍4500の例文が経費削減である。
reduce costs で「経費を削減する」である。
このほか、diminish や drop や fall などがあるが、やや高校範囲を超える。一応、diminishは桐原5500および東京書籍4500には書いてある。(桐原4500には書いてない。)な
一応、diminish は、検定教科書『CROWN III』で使われている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P73</ref>。
CROWN III にある例文は
But the war 1990's, the threat of war diminished.
という文章(抜粋)である。検定教科書に和訳がないので答えは不明だが、「しかし、1990年代には、戦争のおそれも少なくなった」ような意味である。
直前の文章では、「20世紀は戦争が多く」みたいなことを英語で言っているので、おそらくそういう意味だろう。
辞書で diminish を確認したところ、ジーニアスもセンチュリーも悪い意味に使う例文のほうが多いが、しかしCROWN IIIの検定教科書によると、とくにdiminish には悪い意味合いは無いようである。
桐原5500に書いてある例文も、
We can diminish our fear. 「恐怖を減らすことはできる。」(抜粋)
なので、別にdiminish に悪い意味合いはない。
なお、桐原5500の例文は東北大の過去問。ネットでは「地方国立の入試英語なんて教科書レベル」などの言説もあるが、まあ確かに教科書にはdimisihも書いてあるものの、大分、学習量は大きい。
drop やfall は、旺文社1400の巻末にある類義語の章にだけある(本編には解説なし)。
dropは数量や人口、価格などの減少で使われる「口語的」な語(旺文社が「口語的」と言っている)。ただ、ノーベル経済学者クルーグマンのツイッターを読んでたら、「インフレの減速」のような意味で普通に drop を使っていた。
価格の低下だけでなく、派生してインフレの減速にもdropが使われることから、もしかしたら経済学などでは文語的に drop という単語が使われている可能性もあるかもしれない。
なお、「急騰する」は soar である(桐原5500、旺文社1900)。
単語集の例文だと完了形で have soared だが、急騰の結果として現在でも株価が高いなら完了形にするのが無難だろう。
インフレ率の上昇でも株価の上昇でも何でもいいが、たとえば旺文社1900が株価の上昇の典型的な例文
The stock prices of the company has soared . 「その会社の株価が急上昇した。」
である。
ジーニアスは野菜の価格の急騰、桐原5500は米価の急騰である。たとえばジーニアスでは
The price of vegetables is shoring. 「野菜の価格が急騰している。」
である。この野菜の例文のように、進行形ならもちろん、現在も急騰の真っ最中になる。
時制ついでに桐原5500の例文を紹介すると、
Figure showed the price of rice had soared to record levels. 「数字は米価が記録的な水準にまで急騰したことを示していた。」
である。
なお「痛い」soreと同じ発音である。
ついでに言うと、よく景気の先行きについての見通しで「悲観的」だの「楽観的」だのマスコミ用語でいうが、これは英語でもそう言い、
「悲観主義」は英語でpessimism (ペシミズム)である。
「楽観主義」は英語で optimism (オプティミズム)である。
スペルよりも、まずカタカナで『ペシミズム』『オプティミズム』と覚えてしまおう。社会評論などの書籍などを読んでいると、ときどき外来語として「ペシミズム」などの用語を使っている場合もある。
典型的な例文として
東京書籍4500で「ボブは自分の将来について楽観的だ。」 Bob is optimistic about his future.
である。
似たような例文が旺文社1900にもあり、「彼女は自分の将来について楽観的な気持ちだ。」 She feels optimistic about her future.
である。
桐原4500が紹介しているが、なにも将来でなく経済に楽観や悲観を感じてもいいのである。
桐原によれば、「彼はその国の将来について楽観主義を表明した。」 He has expressed optimism about the country's economy.
である。
wikiオリジナルの例文だが「トムは経済の先行きに悲観的だ。」なら、さしずめ Tom is pessimistic about the country's economy.
とでもなろうか。
なお、英和辞典を見ても、例文が「~は将来に楽観的だ」とか「将来に悲観的になってはいけない」ばかりである。optimistic などの単語が経済予想や株価予想に使えることすら、辞書だけでの勉強では全然分からない。とはいえ、あまり良い市販の英語教材がない。
ともかく、また、これらの例文のように、 be optimistic about ~ で「~に楽観的だ」となる(東京書籍4500)。悲観の場合も pessimistic で同様。
念のため、派生語も含めて一覧にすると、
optimism 「楽観主義」、
optimistic 「楽観的な」、
optimist 「楽観主義者」(旺文社1900に紹介あり)、
pessimism「悲観主義」、
pessimistic「悲観的な」、
pessimist 「悲観主義者」、
である。
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想像
vision, imagination, image
vision は「想像」の意味があるが、「見通し」の意味もある。もっとも、見通しの意味では名詞 perspective がさらに高尚。
なお、perspective はどちらかというと「視点」の意味である。大局的な視点=見通しのようなニュアンスが perspective である。東京書籍が(大局的な)「視点」、桐原が「観点」。だが、別に大局的でなくても美術の遠近画法のことを perspective というので、東京書籍の説明はいかがなものか。
from a different perspective で、「違った視点から」
たとえばジーニアスいなる例文think about the problem from a different perspective で、「その問題を違う観点から考える」となる。ジーニアスは「観点」、東京書籍4500は「視点」と訳しているが、別にどちらでもいい。
different の部分を別の形容詞にすれば、
from ~ perspective で、「~の視点(観点)から」になる。
なお、スペルの似ているprospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
たとえば形容詞 prospective は「有望な」の意味である。
ジーニアス英和によると、もともとはprospectは高いところからの「展望」のような意味だったようである。桐原4500にprospectが書いてある。
「見込み」outlook という単語もある(桐原5500 のprospect)。桐原5500では prospect の「見込み」の類義語として紹介されている。
もし、「観察力」とかを言いたい場合、observe 「観察する」である。
「洞察力」なら、penetrating 「洞察力のある」である(旺文社1900。桐原5500)。ただし、洞察力の意味での例文は単語集に無い。動詞penetrate には「浸透する」の意味もあって、そちらの例文が市販の単語集には書いてある。
もっと簡単な単語としては insight 「洞察力」という名詞があるので、これを使って洞察力を表現する方法もある。
なお、
語法 give A insight into B で「AにBの見識を与える」
である。
名詞 vision にも、「見通し」「洞察力」などの意味があるので、これでも洞察力を表現できるだろう。ただし、単語集にその用法での例文は無い。
旺文社1900によれば、 a one's(myなど) point of view で「〜の観点から」の意味。だが、これを直接暗記するよりも、まず名詞 view には、「眺め」の意味のほかにも、「見解」の意味があることまず知るべき。
慣用的に in my view, 「私の考えでは、」(ジーニアス、センチュリー)という表現がある。「考え」と訳しているが、「私の見解ですが、」くらいに訳したほうが分かり易いだろう。ただし、英語の view には、個人的な感情も含んで見方を示しているので、そういう意味で辞書では「意見」としたのかもしれない。
だが、 in my view は、ジーニアスによれば、in my opinion よりも控え目な言い回しとして使われる。
まあ、読者の自己責任で和訳してください。
単語集にはないが、viewpoint 「観点」という単語がある。ジーニアスの例だと、
From an economic viewpoint, 「経済的な見地からすると、」(その計画には利点がない)
と続く。
センチュリーだと、
〜 from the viewpoint of employees. 「従業員からの立場からみれば」(昇給はよいことだ)
となる。
旺文社の大学入試出る順シリーズに a point of view が書いてあるから、たぶん入試に良く出るんだろうが、正直言って瑣末な単語であろう。実際、桐原も東京書籍も a point of view を紹介していない。ジーニアスやセンチュリーにすら、少なくともview の項目には書いてない。辞書でpoint で調べると point of view が書いてあるが。
たとえば、センチュリー英和では「アメリカ人の視点から見ると、」(謝罪は自分の誤りを認めたことになる) From an American point of view, 〜
ジーニアス英和では「財政的見知では、」(これは由々しき問題だ) From a financial point of view, 〜
などの例文がある。
熟語 in terms of ~ で「~の点から」。なお terms はterm の複数形。東京書籍4500と桐原4500に似た例文があって、東京書籍「その計画は費用の点から現実的ではない」The plan is not realistic in terms of cost.
なんで terms と複数形なのか不明と思うだろうが、しかし英和辞典にも in terms of と複数形で紹介されているので、受け入れてもらうしかない。
いっぽう、桐原「この計画は時間と費用の関係で現実的ではない。」 This schedule <nowiki>isn't</nowiki> realistic in terms of time and costs.
term ついでに言うと、医療の末期医寮などでターミナルなんとか terminal 〜 とかあるが、辞書で確認すると用語term と末期terminal の語源は一応は同じだが、事実上は意味のまったく違う別の単語だと思うほうが良いだろう。東京書籍4500がそういう見解であり、「用語」 term と 「末期の」「終末の」 terminal を別々の項目として紹介している。
「末期の」の典型的な例文としては、「末期ガン」 terminal cancer がある(東京書籍4500. ジーニアス、センチュリー)。
桐原4500 では terminate 「終わりにする」が紹介。terminateの紹介位置が巻末ちかくの付録のため、例文なし。
駅や空港などのターミナル terminal も、同じスペルである。駅近くなどのターミナルも、もともとは何かの終着のことだったのだろう。
なお、駅が公共バスなどの終点である事例は多い。
そういうバスターミナルのことも、ジーニアス英和いわく a bus terminal であり、またはセンチュリー英和いわく単に terminal という。
センチュリー英和は、バスのターミナルを単に「終点」と訳している。
さて、term には、「用語」の意味の他にも、「期限」「期間」の意味がある。
形容詞 long-term で「長期の」という意味である(旺文社1900)。
単語集にはないが、termination 「満期」「満期の」という単語がある。term にはそういう、限度のある期間的な何かのニュアンスもある。関連づけて覚えよう。
小中高の学校の「学期」もtermであるが、普通は3学期制の「学期」のことをいう(ジーニアスsemester で確認。ほか旺文社 semester )。大学の「前期」「後期」といった2学期制の場合は semester という(旺文社、ジーニアス semester )。
なお、日本の大学は、年間で「前期」「後期」という2学期制である。少なくとも日本の大学はそうである。
英米では、「秋学期」the fall semester と、「春学期」 the spring semester という言い方をする。
普通、英米では、9月から翌年1月までが「前期」the first semester であり(センチュリーで確認)、「秋学期」the fall semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
普通、英米では、2月から8月までが「後期」the second semester であり(センチュリーで確認)、「春学期」the spring semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
果たして大学でもし3学期制の学校があったら何というのかは知らない。まあ、単語なんて所詮は、社会の現状に合わせて言葉が作られるので、社会に存在しない制度の呼び名を考えてもラチがあかない。
imagination は「想像する行為」または「想像力」のこと。
image は、想像によって脳内に思い浮かんだ「像」や「印象」のこと。
動詞形は imagine である。実はimageも動詞とみる場合もあるが、しかしジーニアス英和ではimageの動詞用法は不採用である(ジーニアスでimageを見ても、動詞の用法は無い)。センチュリー英和だと、imageの動詞の用法が書いてある。
形容詞 imaginary は、「想像上の」「架空の」「実在しない」である(ジーニアス英和。センチュリー英和)。
ジーニアスでもセンチュリーでも、「創造」ではなく「想像上の」である。
スペルの似た imagery という単語があり、旺文社には『(集合的に)「比喩的表現」』と書いてある。辞書を見てもジーニアスでしか見つからず、例文もなく、よく分からないので説明を省略。
単語集にはないが、理科のレンズの実像(a real image)や虚像(a virtual image)などの「像」も image である(ジーニアス英和)。
旺文社1900にあるが、テレビの「画像」も image である。上述のレンズとテレビを合わせて考えれば、つまり、光学の像も image であるし、実際に英和辞典ではそう紹介している。
なお、イメージダウンなどは和製英語。イメージが悪化した場合は a bad image のように言う(ジーニアスで確認)。
なお、仏像とか銅像とか、ああいったのは「塑像」(そぞう)とか「彫像」(ちょうぞう)とかいうが、「塑像」・「彫像」の英語は statue (スタチュー)である。単語集を見ると巻末の索引に statue が書いてないので一見すると高校の範囲外だが、しかし自由 liberty で東京書籍4500を見れば「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P28に「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。
このように、「自由の女神像」 the statue of liberty は事実上の高校必須の単語である。
liberty「自由」は普通、国家権力からの自由の事を言う。
だから liberal は形容詞「自由主義の」または名詞「自由主義者」の意味がある。(桐原4500が名詞「自由主義者」も紹介している。東京書籍は形容詞だけ。)
liberalism 「自由主義」である。
statue は、桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P31に「ブロンズ像」 a bronze statue が書いてある。
光学ついでに言うと、「反射する」は reflect である。典型的な例文が、「日光を反射する」reflect sunlight である(東京書籍4500、センチュリー)。
ジーニアスには「鏡は光を反射する」
A mirror reflects a light.
という例文もある。
だが、桐原4500や旺文社1900では、reflectの、意見などを「反映する」の意味のほうが紹介されている。
とりあえず、ジーニアスによれば「世論を反映する」 reflect public opinion である。
センチュリーや桐原や旺文社を見ても、「反映する」は他動詞的に使うのか自動詞的に使うのか、能動形や受動形か、あまり使い方がはっきりしない。
reflect on ~で「熟考する」「回想する」の意味(旺文社1900では熟考、東京書籍では回想を紹介)。東京書籍のには例文あり。著作権のため本ページでは紹介しない。
名詞形には reflection と reflex がある。意味が微妙に違うので、必要な場合には英和辞典で確認せよ。
なお、単なる「視野」や「視界」のことは view である。だが、辞書でviewの項目を見ると、「見解」の意味が先に書いてある。少なくともジーニアス英和とセンチュリー英和はそうである。辞書よりも単語集で勉強しよう。
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可能性 possibility, probability, likelihood
成功の見込み、成功の可能性 prospect
潜在能力 potential
probability (プロバビリティー)は「見込み」「確率」の意味(旺文社1900)。数学の「確率」で probability が使われるので、もし確率ではない単なる「可能性」のことをいいたい場合は、別の言い回しが必要な場合もあるだろう。
関連語として、副詞 probably「たぶん」がある(旺文社、桐原)。
形容詞 probable (プロバブル)については
It is probable that ~ 「たぶん~だ」
の意味(桐原4500、旺文社に似た和訳)。
対義語 impossible (インポッシブル)「不可能である」も覚えておきたい。
ほか、prospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
「可能性」を意味する likelihood (ライクリフッド)という単語もある(旺文社1900巻末)。副詞 likely 「ありそうな」の名詞形である。
possible (ポッシブル)について、
It is possible that 人 to do
で「人が do するのは可能だ」の意味(桐原4500、東京書籍3000)。
capability (ケイパビリテイー)は「能力」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
ability (アビリティー)は「能力」「才能」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
「たぶん」を意味する副詞の maybe(メイビー) と perhaps(パハップス) と probably(プロバブリー) については、省略。書きたくない。
東京書籍3000が、ひとまとめで maybe や perhaps と probably を説明している。
東京書籍3000は紹介していないが、 likely (ライクリー)形容詞「ありそうな」、副詞「たぶん」という単語もある。
名詞および形容詞のpotential (ポテンシャル)は翻訳の都合で(名詞の場合なら)「可能性」と訳す場合もあるが、なるべく「潜在能力」 potential という訳で覚えましょう。
形容詞としての場合、「潜在的な」で potential を覚えましょう(桐原3000巻末)。
物理学の位置エネルギーのことを英語で potential と言いますので、科学的な専門用語でもあります。
桐原3000巻末のセンター試験特集によると、「潜在能力」などの意味ですが potential はセンター試験での出題をされた単語らしいです。
センター出題の背景事情として、ポテンシャルは物理学などで使う用語だという背景があります。
日本語でも、物理学の専門書などを見ると、普通に「ポテンシャルエネルギー」とか単に「ポテンシャル」などと言ったりもします。
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計画
scheme, plan, project
~するつもり intend , plan
桐原4500 が scheme を「たくらみ」の意味だけ例文で紹介している。勘弁してほしい。
まず、旺文社1900 が例文で、政府の「新しい住宅供給計画」を The new housing scheme といってるように、比較的にきっちりとした計画のことである。
桐原・旺文社の単語集にもあるように schemeに「体系」とかの意味もあって、だからニュアンス的には、体系だった計画のような感じがある。
念のためジーニアス英和を見ると、scheme の意味として「政府の公共計画」、「会社の事業計画」などが挙げられている。
そして、そういう派生として、「陰謀」(旺文社)、「たくらみ」(桐原)を覚えるべきだろう。語源はともかく。暗記の負担を減らす理解としては、たとえば
:陰謀は大規模・身の程知らず → 大規模な計画は scheme という → じゃあ陰謀も scheme でいいか
的な連想とかで覚えるのがラクかと。
高校生に語源の知識はいらないし、もし語源が「たくらみ」だというなら、そういう情報を先に教えるべきだし、念のためジーニアスで語源を見てもsdhemeの語源は『「形」が原義』とのことだし、あるいはもし有名大学が入試でscheme の「計画」の意味も出題せずにschemeの「たくらみ」を出題しているならその大学が批判されるべきだろう。
なので、ジーニアスもいってるように、scheme は plan よりも固い語である。
ジーニアス英和やセンチュリー英和にあるように 大綱とか図式とか、学問などの体系とか、教育体系とかも scheme という。
たとえばセンチュリー英和が教育体系なら an educational scheme だと言っている。
plan は「計画」をあらわす一般的な語(ジーニアス)。
project は、長期の「計画」を表す(東京書籍3000)。projectを「事業」「プロジェクト」などと訳す場合もある。東京書籍では「プロジェクト」という訳語を紹介している。
辞書では特にplan と project の違いは述べられていない。だが project の用例を見ると、橋やダムなど公共インフラの建設計画などがよく project で表現される。
「ダム建設の事業」 the project ro build the dam
である(東京書籍3000。センチュリーに似た例文)。
「橋の建設の事業」なら a project to build bridges である(ジーニアス)。
別に公共インフラでなくてもよく、ビルの建設計画でも良い。
なお、大規模な工事などを「計画する」という意味で動詞 project もある。アクセントが名詞と動詞とで異なる。
名詞は、プ「ラ」ジェクトの「ラ」にアクセントがある。なお、日本語では「プロジェクト」と書かれるが、英語ではどちらかというと「ロ」ではなく「ラ」であり、プロジェクトである(センチュリー、ジーニアス)。
動詞は、プロ「ジェ」クトの「ジェ」にアクセントがある。
学生などの研究課題も project という、
計画する plan , intend
動詞 intend to ~ 「~するつもり」は、計画だが、やや欲求・意思に重点を置いている。
動詞 plan は、計画性に重点を置いている。 plan to ~ は「~することを計画している」と訳すのが普通。(「~するつもり」ではなく)
plan a trip to Hawaii 「ハワイ旅行を計画する」(東書3000)
plan to go to Ireland 「アイルランドに行くことを計画する」(桐原4500)
進学などの予定は、intend も plan も使う。
Bob intends to learn karate in Japan.「ボブは日本で空手を習うつもりだ」(東書3000)
Most of these students intend to continue their education at university. 「ここの大半の生徒は大学へ進学するつもりだ」(桐原4500)
べつに進学や就職でなくても、
She intends to go to bed early tonight.「彼女は今晩早くねるつもり」(桐原1900)
Where do you intend to go to tomorrow? 「明日どこへ行くつもりだい」(ジーニアス)
のように intend は今日とか明日の予定でもいい。
名詞形は intention 「意図」である。単語集には例文は無し。高校レベルを超える。(いちおう、東書4500に「意図する」のintend の例文あり。)
ただ、どうしても「意図的」とか言いたい場合は、intentional とかintentinally みたいにその系統の語を使うのが安全そうである。
桐原5500 に deliberate 「意図的な」という語があるが(昔の上智大に出た単語らしい)、intention などとの使い分けが英和辞典を見ても言及されておらず、またネットで調べても情報が一致しない。あるサイトでは、欲求にしたがった意図だという主張もあれば、別のサイトでは熟考した上でも意図だという主張もあり、不一致である。
なお「配達」などの delivery とは語尾のvが違う。bとvの違い。
いちおう deliberate に「熟考した上での」という意味もあるが、しかし、あまり行儀のよろしくない行動にも deliberate の「意図的な」を使う例文もあるので(たとえば故意犯みたいな)。・
a deliberate insult 意図的な侮辱(ジーニアス)
the fire was stated deliberately その放火は意図的だった(グランドセンチュリー)
みたいな。
もちろん悪事だけでなく、良いことにもdeliberate を使ってよい。
a deliberate refusal よく考えた上での辞退(ジーニアス)
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陰謀(主に「共謀」)
conspiracy
たくらむ
scheme
高校英語としては、陰謀で覚えるのは conspiracy と、あとはschemeで十分だろう。
ジーニアス和英辞典によると。「たくらむ」には、plot, conspire , scheme , contrive ,hatch がある。
これらの単語には、陰謀以外の意味で使われるものあり、
比較的に簡単な単語なら、
plot は、よく数学的なグラフに「点を打つ」とかの意味で使われる。
なんと高校の単語集には plot がない(桐原3000・4500・5500と東京書籍3000・4500を調べた)。点 point とか教えてるのに「点を打つ」plot がないとは、英語教育の界隈はどういう了見か。反省を願う。中学数学レベルの簡単な英単語も教えられないくせに conspiracy とか教えているのか。
一応、「x軸」 x-axis とか「y軸」y-axis とかは、検定教科書で見かける<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P145</ref>。
ジーニアス英和で plot を見ると、「(裏切りの)陰謀」「たくらみ」が最初の意味だが、なんだかなあ。いまどき plot なんて数学の座標で使うのが人生で最初だと思うが。
センチュリー英和の言うように、地図や図面などに位置を書き込むことがプロット。
なお、小説などの筋書きも plot といい、センチュリーはこの筋書きの意味をplotの名詞の項目で最初に紹介している(動詞のほうは、「たくらむ」だけ紹介)。
しかしセンチュリーのほうだと、動詞には、図面や地図に位置を書き込むことの動詞がない。
本当もう勘弁してほしい。英和辞典ともあろうものが中学校レベルの英語くらい書けないのか。
scheme は上述のような体系的な「計画」だし、
hatch は(鳥などが)「ひなからかえる」「卵からかえる」「卵をかえす」とかの意味。船などの昇降口のハッチ hatch とスペルが同じ。
contrive には、(ジーニアス英和によると)「考案する」・「うまくやりとげる」の意味もある。
conspire が、「共謀する」の意味。桐原5500でも、conspiracy の例文の主語が複数形になっているので、和訳には「陰謀」とあるが内容は「共謀」である。
ちなみに「陰謀」の名詞は、桐原5500が紹介しているのは、intrigue (イントリーグ)とconspiracy (コンスピラシー)である。
これだと意味が強すぎるので(政府転覆とか)、ちょっと何かをたくらんでいるぐらいの場合に、scheme とか plot とかを使うとよいのだろう。
ジーニアス英和で intrigue を調べてみたが、例文がなく、よくわからなかった。なお、名詞も動詞も intrigue である。
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多様性
variety ,diversity
東京書籍4500は variety と diversity の違いの細かい説明をあきらめている。
diversity のほうが高尚な言い回し。
東京書籍の言うには、形容詞 variousが「いろいろ」「さまざま」。名詞 diversity が「多様性」である。
熟語 a variety of ~で「様々な」の意味(桐原4500)。
桐原4500および旺文社1900に至っては、そもそもdiversityの項目・ページではvarietyを紹介していない。
桐原4500 が「民族の多様性」 ethnic diversity という表現を使っている。
センチュリー英和がdiversityの項目で biological diversity 「生物学的多様性」という表現を使っている。
「生物多様性」のことを biodiversity または biological diversity という(旺文社1400)。
biodiversity は辞書(ジーニアス、センチュリー)に書いてある。
辞書のbio- の項目では、biological diversity は辞書では見つからなかった。
なお、ややこしいことに、diversity およびvariationには「差異」「相違」という意味もある。
和製英語のバライエティーおよにバリエーションは、やや意味が間違っている。
variation は、「差異」・「相違」・「変化」の意味(東京書籍4500および旺文社1900)。高校数学ではわかりづらいが、大学の数学で「変分法」という微分積分の発展的な分野のようなものがあって、これに variation という英語が相当している。( [https://kotobank.jp/word/%E5%A4%89%E5%88%86%E6%B3%95-131413 コトバンク『変分法』] )この変分計算では、関数中にある変数の代入値を少しだけ変化させたら関数がどう変化するかを考察しているので、英単語 variation の訳語のニュアンスに近い。
なお「微分」はdifferential、導関数はderivative なので、混同しないように(※ 大学受験に出ないので覚えなくて言い)。
桐原4500の例文にもあるが a diversity of ~ で「多種多様な~」の意味。 a diversity of wildlife で「多種多様な野生生物」と桐原4500が紹介。
なお余談だが、近年では国籍や性別(男・女のほかにも、さらにはLGBTなど)などの多様性のこともよく「ダイバーシティ」 diversity といい、よく人権などの関係した議論でこの用語護が出てくる。今後の公民科目などの範囲になるだろうから、本・英単語集のページでは深入りしない事にする。
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十分・充分
sufficient ,adequate, enough
sufficient ⇔ deficient
適切である suit, be adequate for,
enough は形容詞にも副詞にも使われる。
sufficient と adequate は形容詞。
ジーニアス英和に、adequate の類語が sufficient , enough だと書いてあるが、ニュアンスの違いは見当たらなかった。
形容詞 sufficient 「十分な」は enough よりも固い語である。
だが、その用法だけではない。
強制ではないが、sufficient は、質・量ともに十分な場合に好まれて使われるニュアンスがある(センチュリー)。
一方、単に量が多い場合や、特に質が問われない場合などに enough を使うという、使い分けがある。
be sufficient to ~(動詞) 「~するのに十分である」
である(桐原、東京書籍)。
sufficient の名詞形は sufficiency 「十分足りること」である(桐原)。
対義語は insufficient 「不十分な」、または deficient 「不足した」(デフシュント)である(東京書籍)。
センチュリーいわく、sufficient では質も問われるニュアンスがあることも合わせれば、対義語との関係は、
(質・量とも)「十分な」sufficient ⇔ deficient(質・量が)「不足した」
である。
センチュリーの訳語を比較した範囲では、insufficient よりも deficient のほうが絶対量の不足という意味合いが強そうであった。そのためか、deficinet は「欠乏」と訳されることもある(センチュリー)。つまり deficient 「欠乏した」「不足した」などの意味である。
名詞形 deficiency 「不足」「欠乏」「欠陥」という単語もある(旺文社 deficit 項目、センチュリー)。
ほか、貿易赤字などの「赤字」は 名詞 deficit (デフィシット)である。
つまり、「赤字」 deficit である。
「貿易赤字」は a trade deficit である(旺文社、センチュリー)。
数学用語だが、「十分条件」は sufficient condition である(旺文社1400)。なお、「必要条件」は necessary condition である(旺文社1400)。
sufficient O(目的語) to V(動詞の原形)
で、「Vするのに十分な量のO」
~ be sufficient to V
で、「~はVするのに十分だ」
be adequate for ~ は、「~に十分な」とのことだが(東京書籍)、しかしジーニアスを見ても例文がなく、よく分からなかった。
be adequate for ~には「~するのに適している」の意味もある(桐原)。
「適切である」を言いたいなら、動詞 suit (スート)ひとつで足りるだろう。
たとえば
「このソフトウェアはプログラミングに適切です。」 This software suits programming.
のように(wikiオリジナルの例文)。
suit 自体は桐原4500・東京書籍4500・旺文社1900の3冊とも紹介しているのだが、
しかし「適切である」の例文は、東京書籍しか紹介していない。
しかも、待ち合わせの時間が「好都合である」の訳。
違う英文だが、
(待ち合わせの時間を聞かれた返事で)「金曜日が好都合です」 Friday suits me.
のような使い方(オリジナル。ジー二アスに似た例文。センチュリーに似た例文)。
桐原が紹介している例文は背広のスーツだし、旺文社のは「訴訟する」の suit である。
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不足
lack , shortage
かつて受験英語などで「欠乏」lack ,「不足」shortageのような使い分けがあったが(実際、ネット検索するとそういう説明も出てくる)、しかしこの分け方は正しくない。なぜなら、英和辞典で lack の項目を見れば、単に不足している場合でも lack を使っているからだ。
lack と shortage の違いは、たとえば「同情に欠ける」とか「常識に欠ける」がlackである。
センチュリー英和を読むと形容詞 lacking の説明で、be lacking in common sense という例文で、「その学生は常識が足りない」という例文もある。
どうも、lack は、慣用句として、配慮が欠けている場合に使うのが英米では自然なのかもしれない。また、その言い回しが、配慮を欠けている事実自体を主張するおかにも、どうも不足の現状に対して非難や批判などのニュアンスも込めてlackが使われていそうである。
おそらく、辞書にあるlackの訳語の「欠乏」が間違っている。ジーニアスにもセンチュリーにも「欠乏」が書いてあるが、正しくは「欠如」(けつじょ)である。(ジーニアスに「欠如」が書いてある。)あるいは、辞書にはないが「欠落」あたりだろうか。欠乏の「乏」とは貧乏の「ぼう」である。
ジーニアスには、lackについて「十分にはないことをいう。まったくない場合はabsence」といっている。ジーニアスはせっかくここまで説明しておいて、なぜ「欠乏」という訳語を使い続けるのか。
欠席のことを be absent from (classなど)というが、上述のabsenceはその形容詞absentの名詞形。つまり、英語では「欠乏」と「欠席」とが同じ単語だという事。
absenceは、ゼロの状態だから、「ゼロでないけれど、大幅に足りない」みたいな表現には向かない。そういう深刻な不足を言いたい場合は、たとえば a serious shortage となるだろう。実際、センチュリ-のsortageの項目に例として a serious shortage (深刻な不足)や an acute shortage (深刻な不足)や a severe shortage (深刻な不足)などが 書いてある。<!-- 原著で訳語「深刻な不足」をそれぞれの単語に書いてあるので、けっしてwikiでひとまとめにしないこと。またニュアンスも微妙に違う。-->
さて、食料やら金銭やらが物理的に足りない場合は、どちらでもいいが、辞書を見る限り shortage のほうがそういう物資の不足での例文が多い。
たとえば東京書籍4500にあるが water shortage である。
食料不足は、東京書籍4500では The shortage of foodだが、センチュリー英和では food shortage である。
労働者不足が the shortage of labors である(旺文社1400(簡単なほう))。
医師不足が a shortage of doctors である(桐原4500)。 冠詞 a と the の違いは文脈に応じただけのものなので、読者は気にしなくていい。
なお、lack は動詞の場合もある。
単語集を見ても、lackとshrtageの違いとか、書いてない。まったく。
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直観と直感
intuitive(直観),
洞察
insight
英語というより日本語の問題なのだが、「直観」と「直感」では意味が違うので注意が必要である。
「直観」には、洞察力のようなニュアンスがある。
だから
直観の intuitive は、「直観的な」「直観力のある」などと訳す(東京書籍4500)。
名詞形 intuition だが、桐原5500の例文の和訳で(なお東大の過去問例文)「動物、中でも人間は起こりそうなことに関して鋭い直観力を発達させたと考えることができるだろう。」 We <nowiki>coudn't</nowiki> expect animals, especially humans, to have developed sharp intuitions about probably. とある。
英和辞典でintuitive などを見ても、ほとんど例文がないので(センチュリーには例文がなかった)、桐原のこの例文を学ぶのが良いだろう。
あるいは英和中辞典などを見れば例文があるのかもしれないが、さすがに高校英語でそこまでする必要はないだろう。
あと、東大は辞書を見ても満足に例文のない単語を大学入試に出しているわけだが、はてさて、見識が問われますなあ。まさか高校生に中辞典を買わせるつもりでもあるまいし。
もっとも、「洞察」「洞察力」については insight という別の専用の単語があり、普通に4500語レベルの単語集にある。
いっぽう、「直感」は、単なる勘に近い。和英辞典によれば、hunch とか scent が直感である。(高校の単語集にはない)
センチュリー英和によれば hunch は「虫の知らせ」で、口語のニュアンスがある。
scent には、名詞 scent には「勘」の意味もあるが、「臭い」とか「嗅覚」とか「香水」の意味なので、動詞scent には「かぎつける」の意味もある。
hunch も scent もこういうふうに口語っぽい内容なので、まあ単語集には出ないだろう。
そのほか、名詞 instinct (本能)にも「勘」の意味があるが、どちらかというとinstinctは「本能」で覚えたほうがいいだろう。
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結果
consequence , result
辞書にはconsequenceでは「結果の重要性を意識している。resultより固い語」とか書かれるが、
だが、東京書籍4500にはconsequenceは「通例望ましくない内容について用いられる」と説明がある。
実際、センチュリー英和で例文を見れば
「戦争の結果」In the consequence of the warだとか
ジーニアス英和だが「結果として戦争になった」have grave consequence (「重大な結果をもたらず」※戦争の婉曲表現)とか、
あと形容詞だが「天候不順の結果の食糧危機」food shortage consequent on bad water とか、
そんな例文ばかりである。
どうやら consequenceは、結果の深刻性を感じてほしい的なニュアンスのようだ。
なお桐原4500および旺文社1900みても、そういうニュアンス説明は無い。
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取得・獲得
acquire
acquire は、(技術・知識などを)(努力して)「得る」の意味。(東京書籍4500など)
典型的な例文で、
acquire a new skill 「新しいスキルを身につける」
がある(東京書籍4500。旺文社1400にも近い例文)。
「外国語を習得する」acquire foreign languages
という例文もよくある。(桐原4500。センチュリー英和aquireの項目)
辞書にはよくaquireの用法で「(知識などを)身につける」とあるが、しかし語学のようなレベルの「知識」である。
acquire には「習得」以外の用法もあって、
努力して大金や土地などを「獲得する」ことも acquire というが、単語集には例文がないので、説明を省略。桐原の単語集に「(努力して)獲得する」とだけ説明してあって、技術の習得の話をしてないのは、土地などの獲得を意識したものだろう。
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「異国風」
exotic
形容詞 exotic (イグザティック)は、通例では、欧米人の目からみて「異国風」という意味であり(旺文社)、けっして単に異国風なだけでなく、加えて、めずらしくて面白かったり興味をひかれる性質のことである(ジーニアス、センチュリー)。
具体的にいうと、日本国内で言うなら、京都などの寺社は exotic だろう(特に出典は無い)。日本に存在していても、東京の高層ビル群などは exotic には写らないだろう。
日本語でもローマ字読みで「エキゾチック」と言う。日本でも、よく文学評論とか芸術評論とかで使われる単語なので、覚えておきたい。もっとも日本で「エキゾチック」と言う場合、東南アジアや中東やアフリカなどの観光的な光景なので、英語とは微妙にニュアンスが違うが。
さて英語では、動物や植物が「外来種」や「外国産」などの場合も exotic という。農産物だけでなく、言葉が外国由来の場合も exotic という。
旺文社の単語集で、動物園の例で exotic と言っているのは、そういうニュアンスもあるだろう。
桐原と東京書籍の単語集では、exotic が見当たらない。
辞書によると、「外国の」・「外国人」という意味もあるとのこと。言葉が外国由来の場合も exotic というので、それと関連づけて「外国人」なども覚えよう。
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広さ
broad, vast
broad は、幅が「広い」。
典型的な例文が 「(道幅の)広い通り」 a broad street である(東京書籍4500および桐原4500)。
幅広い知識 a broad knowledge とか(ジーニアス)、「幅広い趣味」 a broad range of hobby とか(東京書籍4500)のように、物体以外の知的興味の広範さにもbroadを使う。
インターネットのブロードバンド broadband のブロードと同じ単語(東京書籍4500)。
vastは、面積が「広大な」である(東京書籍4500)。だが実際はセンチュリー英和では、ビル(建築物)や宇宙などもvastだとする例文を提示している。
broad の対義語は narrow 「狭い」。
体積が大きいのは huge 「巨大な」。(桐原4500。ジーニアス英和)
なお、「体積」は英語で volume である(旺文社1400、桐原4500)。volumeの意味は、「体積。容積。音のボリューム。本などの一巻。」の意味である。
turn the volume up で「音のボリュームを上げる」である(旺文社、東京)。
「音量を下げる」なら turn the volume down である(東京)。
コンテナの「容積」とかも、volume である(旺文社)。 the volume of the container 「コンテナの容積」である。
科学や工業などの「容積」「体積」でなくとも、たとえば「交通量」the volume of the traffic とか(東京書籍)、「ごみの量」the volume of garbage とかにも volume は使われる。
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娯楽
amuse , entertain
センチュリー英和によれば amuse は笑わせる事などのような意味での「楽しませる」。
entertain は、知的な面白さに重点がある。
entertain でよくある例文が、話や音楽で聴衆を楽しませる系の例文(東京書籍4500およびセンチュリー英和)。
たとえば entertain the audience で「聴衆を楽しませる」(東京書籍)。
また、熟語 entertain A with B で「AをBで楽しませる」。
センチュリー英和によれば Now let me entertain you with music. で「それでは音楽でお楽しみください」。
entertain には、自宅で客を「もてなす」の意味もある。
よくある例文が、ホームパーティなどで友人をもてなす系。
entertain their friends at their home 「友人をパーティでもてなす」(東京書籍)
entertain our friends at a party 「自宅で友人をもてなす」(旺文社1400)
ただし、実際の例文を見ると、あまり違いは明確ではない。
名詞形のamusement もentertainment も、それぞれ「娯楽」の意味で使われる。
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殺害
murder , kill
murder (マーダー)は「殺害する」の意味の動詞、および名詞としての用法では「殺人」一般の意味である。「殺人犯」はスペルが murderer (マーダラー)であり、スペルが微妙に違う。混同しないように。
「殺人未遂」は an attempt murder である(東京4500)。
「殺人事件」は a case of murder である。
なお、attempt は、困難なことを「試みる」という意味の動詞および名詞(東京書籍)。ジーニアスは、入念な計画と実施の必要な試みが attempt だと説明している。
名詞としての attempt は「試み」などと訳す。
典型的な例文で、
attempt to escape 「逃げようと試みる」
がある(東京書籍3000、桐原4500)。
脱走計画だとかそんなのだけでなく、ジーニアスいわく、エベレスト登頂の「試み」でも attempt とのこと。
90年代、かつて英語単語集に「massacre」(マサカ)という「大虐殺する」の意味の単語がよく載っていが、現代の単語州には無い。「まさか、人を殺すとは!?」という語呂合わせでよく紹介されてたものである。昔の単語集には、ちょくちょくコラム的にゴロ合わせなどが紹介されていた。
英和辞典(ジーニアス、センチュリー)で確認したところ、massacre に「大虐殺」の意味はあるが、一個人の「殺害する」のような意味は紹介されていない。語呂が不正確である。
しかし、近年に「虐殺」でよく目にするのは genocide である。ルワンダ虐殺とか、歴史的に名前が残っている事件の虐殺は genocide が普通であろう。検定教科書でもルワンダの虐殺について genocide という表記を行っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P75 </ref>。
kill や killerとの違いは、killは人間以外のものにも使う。人だけでなく、動物や植物、虫、植物なども、それらを殺したり、あるいはそれらに殺されたりする場合に、killである。
たとえば「魚を殺す」 kill fish である(東京書籍1800)。
それどころか、交通事故などで「死ぬ」場合も kill である。
be killed in ~(戦争や事故など)で「~で死ぬ」の意味。典型的な例文が「大勢の人がその戦争で死んだ。」 Many people are killed in the war. である。(桐原3000と旺文社1200に似た例文あり)
killer については単語集にはないが、名詞として「殺人犯」や「殺すもの」の意味のほかにも、形容詞として「致命的な」の意味もあり、たとえば「致死的な病気」 a killer disease などの例文が典型的。
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奪う・盗むなど
奪う
deprive
wikiオリジナルの例文だが、
The war deprived the children of the liberty. 「戦争が子供たちから自由を奪った。」
のように言う。
桐原4500に「戦争が、この子供たちからふつうの家庭生活を奪った。」 The war deprived these children of a normal home life.
とある。
旺文社1900では「軍隊が国民から自由を奪った。」 The military deprived the citizen of their liberty.
である。、
自由は別にliberty でなく freedom でもよく、たとえば東京書籍4500では、
「多くの子供たちが自由を奪われている」 A lot of children are deprived their freedom.
とある。
熟語 be deprived of~ で「~を奪われている」である(東京書籍4500)。
また、deprive A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(旺文社1900。桐原4500)。
盗む
rob , steal
動詞 rob は、ふつう、強盗とか 引ったくり とかスリに使う。スリかと思われる例文については、たとえば旺文社1900にある(電車で女性から財布を奪う例文)。
rob A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(桐原4500。東京書籍4500)。
東京書籍に典型的な例文「彼らは銀行強盗をした。」 They robbed the bank.
である。
派生語として、「強盗」 robber がある。「強盗事件」は robbery である(桐原4500。東京書籍4500)。
スペルの似ている rid という名詞・動詞があるが、「取り除く」の意味である。
熟語で get rid of ~ で「~を取り除く」である。
rob と rid は意味がまったく違うので、混同しないように注意。
なお、こっそりと者を盗む「泥棒」はthief (シーフ)である(桐原4500)。桐原3000を読めば、こっそり盗む者がthief であるし、ジーニアス英和の thief の項目にもそう書いてある。
なお、複数形は thieves である。ナイフの複数形の活用と同様。さすがにthiefの複数形を筆記で入試に出すのは瑣末すぎるので出題されないだろうが、まあ参考に。
こっそり「盗む」は steal である。桐原3000を読めば、stealの意味は「こっそりと」盗む、と書いてある。
なお、スペルの似ているsteel は「鋼」(はがね)。
さて、「盗む」stealの活用は、 steal - stole (過去形)- stolen (過去分詞)
である。
東京書籍4500の例文「泥棒が私のコンピュータを盗んだ。」 A thief stole my computer.
が典型的な例文であろう。
主語が被害者の場合、have ~ stolen になり、「~を盗まれる」の意味である。
典型的な例文
「私は自転車を盗まれた。」 I had my bicycle stolen.
がある。東京書籍4500と旺文社1400に、ほぼ同じ例文がある。
腕時計が盗まれるのも典型的で、センチュリー英和の桐原3000がそうであり、
「私は腕時計を盗まれた。」 I had my watch stolen.
である。
なお、ジーニアスにあるが、バーグラー burglar は「押し込みの夜盗」。センチュリ-によると、burglar は「(押し入り)強盗」。さすがにここまでは入試に出ないだろう。念のため桐原4500・5500と東京書籍4500を読んだが、もちろんバーグラー burglar は無い。
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気づく
notice, realize, recognize, perceive
「きびしい」
harsh, strict, severe, rigid
realize は、和訳では「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというと realize の意味は「認識を改める」である。
典型的な例文で、「彼は自身の過ちに気づいた。」 He realized his mistake.
みたいなのがある。
いっぽう、notice は単に、物事が目について「気づいた」という意味である。
なお、realize は英国では realise である。<!-- PC設定によっては realise でオートコレクト発動するが、これはイギリス英語をアメリカ英語では読み取れないため。 -->
なお、realize には(計画や夢などを)「実現する」という、まったく別の意味の用法もある。
たとえば「私の夢を実現する」なら realize my dream である(東京書籍4500)。あるいは realize my ambition である(旺文社1900)。
リアリティ reality という単語があるが、日本では小説や英語など創作物などの迫真性などのことをいうが、英語でもそのような創作物の評価における reality の用法はあるが(センチュリー英和で確認)、しかしもっと一般に「警官は彼が述べたことが真実かどうか疑った。」のような文章における「真実性」にも reality が使われる(センチュリー永和で確認)。
reality はけっして創作物に限った表現ではない。
旺文社1900では reality の意味を「現実(性)」としている。
実際、ジーニアス英和を確認すれば、そういう用法もあり、「人生のきびしい現実」みたいな例文でrality をジーニアスは使っている。
旺文社1900にも、harsh の項目で、a harsh reality 「厳しい現実」を紹介している。
なお、real と true の違いで、
true は主に話が「本当の」という意味で使う(東京書籍3000)。
いっぽう、real には、材質などが「本物の」という意味がある。
だから、real money 「本物のお金」とか、real diamond (本物のダイアモンド)などで使われる。
harsh「きびしい」(発音は「ハーシュ」)も、単語集に普通に書いてある。
気候が「きびしい」とか、批判や対応が「きびしい」などのことを harsh という。
東京書籍4500に a harsh winter 「寒さのきびしい冬」という例文がある。
旺文社1900に、harsh environment 「きびしい環境」と言う例文がある。
(桐原4500語レベルではなく、)桐原3000いわく、天候の場合は severe(シビア) でも「きびしい」を表現できる。東京書籍4500で確認したところ、批判の過酷な場合の「きびしい」でも severe を使うこともある。
harsh と severe のニュアンスの違いについては、特に書かれていない。
なお、規則などが厳格で「きびしい」と言いたい場合は strict である。
strict には、説明などが「厳密な」の意味もある。高校の分詞構文の単元で、
「厳密に言えば」 strictly speaking,
などを習うだろう。
ほか、形容詞 rigid (リジッド)でも「厳格な」を言える。単語集(旺文社1900、東京書籍4500、桐原5500)には、この厳格の用例が書いてある。
だが、それよりも物理学の「剛体」が rigid body として覚えたほうがいい。ジーニアスに、rigid は「剛体の」だと書いてある。
単に、「変形しづらい」みたいな意味での「固い」「堅い」のような意味が rigid である。
ジーニアスには、「変形しやすい」flexible の対義語であると紹介している。
規則の融通がきかないのが rigid だと、ジーニアスに書いてある。そういう意味である。
ほか、rigid には「顔がこわばった」「手足がこわばった」などの意味もある。
なお、rigid は発音注意の単語(旺文社)。
ほか、名詞形 rigidity 「厳格」「硬直」などの意味がある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。桐原だと「硬直」の意味が書いてないが、ジーニアスとセンチュリーの rigidity にしっかりと「硬直」が書いてある。
頑固オヤジみたいに「頑固な」「頑固である」と言いたい場合は stubborn (スタボーン)である(桐原、旺文社)。東京書籍は紹介してない。単語集にはないが、辞書で典型的な、「断固とした拒否(拒絶)」a stubborn refusal がある(ジーニアス、センチュリー)。そのほか、stubborn には軍隊などの(または軍隊などへの)抵抗が「不屈(ふくつ)の」という意味もある(ジーニアス)。
(厳格ではなく)「厳粛な」と言いたい場合は solemn だが(桐原5500)、あまり平易な例文が無い。
法律的な宣誓などが厳粛なことや、音楽などが荘厳なことまで、 solemn で表現できる(ジ-ニアス、センチュリー)。
「誓う」という意味の動詞 pledges(プレッジ)も、単なる約束 promise とは違い、厳粛 solemn に約束することであり、たとえば外交などの約束で使われる(旺文社1900の例文もそう、ジー二アスにもそういう例文あり)。その他、公約などで pledge 「約束する」を使う。または名詞として pledge には「公約」の意味もある。
※ ほか、批評が低評価で「厳しい」は damning (ダムニング)だが(センチュリー)、範囲外。
さて、virtual の話題。
ジーニアスを見れば、「仮想現実」 a virtual reality などの例文もある。
旺文社1900を見ると virtualの項目で、副詞 virtually 「事実上の」などもあるが、例文はない。東京書籍4500および桐原4500には例文は無い。桐原5500に副詞 virtually の例文あり、早大の過去問。
なお、桐原5500のviatually の項目いわく、「実質的には(≒practically)」「ほとんど(≒almost, as good as)」である。
念のため桐原3000および東京書籍3000を見たが、virtual などの紹介なし。
practical は「練習」 practiceの派生語。practice には「練習」のほか、理念・理論などの「実践」という意味がある。よって形容詞 practical には「実践的な」「実用的な」「現実的な」などの意味があり、よって副詞 practically には「実質的には」「実際的には」などのような意味がある。
余談だが、昨今、日本の芸能界では「リアリティ・ショー」などが問題になっているが、しかし英和辞典で見ると該当する単語は reality TV である(ジーニアス英和、センチュリー英和、の両方で確認)。
recognize は「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというとrecognizeは「見分けがつく」という意味である。
「足音でジムだと気づいた」とか(ジーニアス英和)、「帽子でジェーンだと気づいた」(センチュリー英和)とか、そういうのがrecgnizeである。
センチュリーから例文を抜粋すると、
I recognized Jane by ~ で、「~でジェーンだと気づいた」
のようになる。
一応、recognize には、新政権の「承認」などの意味もある。
辞書によくあるのは、新政権やイスラエルなどが周辺諸国から承認 recognize を拒まれるという内容の例文。
自分の間違いを認めたり認めないのも recognize である。
ジーニアスの例文では間違いを認め、
「彼は自分の間違いを認めた」He recognized that he was wrong.
である。
センチュリーの例文では間違いを認めず、
「彼は自分の間違いをどうしても認めようとしなかった。」 He wouldn't recognize his mistake.
である。
桐原4500ではrecognize を「認識する」、旺文社1900ではrecognizeを「識別する」とあるが、上述のようなそういう意味である。
perceive 「気づく」について。
名詞形 perception が「知覚」の意味である。この名詞形を覚えるべきである。
「知覚」とは、たとえば桐原のperceive の例文に「ネコは色を知覚することができない」とあるように、そういう意味である。
旺文社と東京書籍は「気づく」の意味の perceive 例文を紹介しているが、桐原は「知覚する」の perceive 例文を紹介するスタンスである。
perception については「認識」の意味もあり、桐原・旺文社にも書いてあるが、しかし「知覚」を覚えれば連想できるだろう。一方、認識から知覚を連想するのは難しいだろう。東京書籍では、perceptionの「認識」は紹介しておらず、「知覚」だけしか紹介していない。このように、知覚のほうが、この語 perception の本質であろう。
* cognitive 「認知の」
cognitive という形容詞があり、旺文社では「認知の」と紹介され、東京書籍では「認識の」「認知の」と紹介されるが、しかし辞書を見ても説明が少なく、よく分からない。桐原に至っては、cognitiveを紹介していない(桐原5500,桐原4500,桐原3000で確認)。
東京書籍でも、巻末で解説なしで、単語と例文だけの紹介である。しかし、旺文社1900での番号は 279/1900 と、かなり前半のほうである。
旺文社1900いわく「脳の認知機能」 the cognitive function of the brain
東京書籍4500いわく「認知能力」cognitive ability
らしい。
どうやら、cognitive は心理学または脳科学などの専門用語っぽいニュアンスのようだが、しかし英和辞典では確認できなかった(ジーニアス英和とセンチュリー英和を見た上で)。
旺文社いわく、「軽度認知障害」が、mild cognitive impairment (MCI)とのこと。
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過酷な
terrible, severe, harsh
ひどい terrible, awful
terrible (テリブル)は翻訳の都合でときには「過酷な」と訳される場合もあるが(ジーニアス)、たとえば暑さがterribleなら「過酷な暑さ」と訳される場合もあるが、
しかし、very bad くらいが terrible のニュアンスである(ジーニアス)。
なので、 terrible は(程度が)「ひどい」と覚えるべきである。
実際、東京書籍4500も桐原3000も、 terrible の意味を「ひどい」としている。
東京書籍3000は「ひどい体験」をterrible な体験としている(著作権のため、本ページでは「体験」は和訳せず)。
こういうふうに使う。
ほか、副詞 terribly は、
たとえば
「とても疲れたよ」 I'm terribly tired.
のように(ジーニアスに同じ例文)、強調するのに使う。
実はよい方向を強調するのにも terribly は使う(ジーニアス、センチュリー)。 (著作権のため、本ページでは例文は紹介せず)
terrible は語そのものにveryのような強調の意味を含むので、terribleをveryで修飾できない。
同様に、delicious(とてもおいしい)、enormous(とても大きい)、huge(巨大な)、marvelous(すばらしい)、terrible(ひどい)、tremendous(ものすごい)、などの形容詞はveryでは修飾できない。これらの語を修飾するには、reallyやcompletelyなどを使う
名詞形 terror (テラー)は「恐怖」「テロ行為」という意味がある。
なので、terrible には「恐怖の」という意味もあるが、この場合は horrible (ホリブル)で表現するほうが誤解のおそれなく無難だろう。
名詞 territory (テリトリー)「領土」「なわばり」も覚えておきたい(桐原4500、東京書籍4500)。三省堂 CROWN I を見ると、もう高校1年で territory を教えている。動物などの「なわばり」も territory で表せる。
なお、「国境」は単に border で通じる。 American border みたいに、国名の形容詞のあとに border を言えば、それでアメリカ国境の意味になる。
severe と harsh は他の節で紹介したので省略。
「過酷な」と言いたい場合、まずは severe (シビア)の使用を検討するのがよいだろう。
痛みが「ひどい」場合は severe を使うほうが無難だろう。
a severe pain 「ひどい痛み」(ジーニアス和英)
である。
形容詞 awful (オーフル)「ひどい」は、悪い意味だけでなく、よい意味でも使われる(センチュリーで確認)。桐原3000語レベル、東京書籍4500語レベル。
よって、awful は terrible とほぼ同じ意味。
もともと名詞 awe が「畏敬」(いけい)の意味である。
だが、awful は、なんだか口語的に「ひどい」「すごい」「おそろしい」みたいな意味になってしまっている。
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全体の
whole,total
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思う
think, suppose
think は「思う」と中学で習うが、辞書で調べてみると、意外とthinkは確信の度合いが高い。
センチュリー英和なども解説しているが、「推測する」といいたい場合は、think ではなく suppose を使うのが適切である。
つまり、「推測する」は suppose である。
推測よりも、やや確信の度合いが高い程度の場合に think を使うのが適切である。
名詞 supposition で「仮定」の意味。
まったく意味の違う用法だが、熟語 be supposed to ''do'' で、「~(do)することになっている」の意味。
よくある例文は、「彼は7時にここに来ることになっていた。」の類。
He was supposed to come here at 7 o'clock.
である。だが、この過去形での「was supposed 」の文は、実際には彼は7時に来なかったことを含意している(ジーニアス英和より)。東京書籍4500に似たような例文があるが、しかし東京書籍4500では含意の件には触れていない。
センチュリー英和によると、be supposed to do は、「(慣習や法律などによって)...するものと考えられている。」とあるので、表面的な言い回しこそ控えめだが、実際の意図はやや強制的・義務的な主張のニュアンスが高そうである。
否定形 be not supposed to do にいたっては「~してはいけない」の意味である(東京書籍4500)。
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証明・証拠
証明・証拠 proof ,demonstration
evidence 証拠
役所などの証明書 certificate
(裁判所などで)証言する testify (※高校必修範囲外だと思ったら、三省堂 CROWN I にあった)
proof には、「証明」「証拠」の2つの意味があるが、なるべく「証明」のほうで覚えるべきである。
なぜなら、数学の「証明」のことを proof というからである(ジーニアスで確認)。
私たちは、高校卒業後もなるべく教育レベルの高い外国人の英文を読むべきであろう。そして教育レベルの高い人ならば、外国の中学高校の数学は習得しているはずなので、よって外国人の彼らには証明を proof という習慣がついているはずである。外国の中学高校レベルの数学の用語も知らない頭の悪い外国人の英文なぞ、読むに値しない。
なお、動詞 prove は「証明する」の意味である。
evidence が、証拠のひとつひとつのことである。ジーニアスによれば、proofは「evidence を積み重ねた最終的な証拠」のことであるとされる。
だが、それよりも、proofは「証明」であると覚える方がよいだろう。
また、少なくとも日本の学問の世界では、個々の実験事実や個別の統計のような、個々の証拠のことは evidence というのが普通である。英語でどういうのか知らないが。
桐原の単語集にあるが、裁判などの「証拠」も「証言」も evidence である。英語では、「証言」と「証拠」を分けずに evidence という。
単語集にはないが、どうしても発言による「証言」であることを強調したい場合は verbal evidence という(ジーニアス英和で確認)。
ジーニアス英和辞典で確認すれば、「証人」すらも evidence である。
prove to be ~ で「~だと分かる。」「~となる。」「~と判明する。」である。
辞書の例文が、事業などが prove to be a success 「成功となる」またはprove to be successful 「成功となる」である(ジーニアスとセンチュリーの両方)。東京書籍4500の例文もこの類。
桐原4500だけ He was proved to be innocent 「彼は無実だと判明した」である。
旺文社1900には、 prove to be ~ の例文は無い。
実はデモンストレーション demonstration 「証明」の意味がある。
一般的には、英語では、行動によって意志を表したり、あるいは、たとえば新製品の実演販売みたいに実演などによって説明すること等を demonstration という。
集団などのデモ行進も、同じ demonstration である。
センチュリーの例文だが、戦争反対のデモなら demonstration against the war である。
一般に、demonstration against ~で「~反対のデモ」である。
だから東京書籍にある「新空港に反対するデモ」なら
demonstration against the new airport
である。
能力の証明なども demonstrate であり、東京書籍に紹介されている。
旺文社1900でしか説明していないが、感情をあらわにすることも demonstrate である。だが、感情のデモは例文もないので、深入りする必要はないだろう。
動詞形は demonstrate である。
ジーニアス和英を見ると、実はdemonstraite やdemonstration には「論証する」などの意味もあり、旺文社1900が紹介しているが、しかし桐原も東京書籍も「論証する」の意味は紹介していない。
センチュリーは、証明についてのdemonstration の意味は、論証ではなく「実証する」であると説明している。
ジーニアスの例文を見ると、「哲学的論理」の論証の例文である。
demonstrate が「論証する」と言っても、どうやら、数学のような論証ではないようだ。
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仮定や論理的思考など
仮定する assume, suppose
当然と思う assume
仮定 assumption, supposition
推測 supposition
「推論する」 infer
仮説 hypothesis
動詞 assume は、「仮定する」「想定する」「決め付ける」などの意味。
共通するニュアンスは、ジーニアスいわく、明確な証拠がなくても想定すること。
名詞形が assumption である。
assume that ~ で「~だと思い込む」(桐原)または「~を当然のことだと思う」(旺文社)である。
たとえば、旺文社の例文「私たちは日本の列車がいつも定刻どおりに運行することを当然と思う」が assume that の例である。
ジーイアスによると、三段論法の「前提」などで、assumption が使われるとのこと。
このため論理的な議論ではassume や assumption が使われると思われるので、覚えておきたい単語である。
しかし、suppose にも「仮定する」の意味がある。
だが名詞形 supposition が「推測」の意味である。なので、suppose はどちらかというと「推測する」のニュアンスが強い。
桐原の単語集にはsuppose は「推測する」の意味しか書いてないが(東京書籍に至っては「思う」しかない)、しかしセンチュリーを見ればsupposeの意味として「推測する」のほかにも「仮定する」も書いてあるのが実態である。なお、旺文社1900でだけ、例文なしで「仮定する」の意味も紹介してえる。
「仮説」と「仮定」は違う。
「仮定」とは、たとえば「仮に○○だとしたら、□□は××になるはずだ」の前半「仮に○○だとしたら」のこと。仮に定めるので「仮定」というわけである。
一方、「仮説」とは、「~の原因は、□□が××だからだ。なぜならば(以下略)」という原因をとなえる主張のうち、まだ真実かどうかの評価が確定してない主張のこと。
「仮説」は英語で hypothesis である。
なので「仮説」は証明あるいは検証するためのものである。
「仮説を証明する」は prove a hypothesis である(旺文社、ジーニアス)。
ただし、実際には派生的に hypothesis でも「仮定」の意味もある(ジーニアス、センチュリー出確認)。
だが、単語集では hypothesis の「仮定」の用法は紹介されていない。あまり知的な用法だとは思われていないのだろう。「仮定」を言いたいなら assumption
で済むし、高度な学問をするなら「仮定」と「仮説」は分離すべきであるし。
infer という動詞があり、事実や根拠などをもとに「推論する」という単語である。
infer that ◯◯(文節) from ~ で「~を根拠に◯◯だと推論する」という意味である。
桐原5500も旺文社も、infer の例文では from で根拠を提示している。
そもそも日本語の「推論する」というのは、事実や根拠をもとに推理・推測することだと、広辞苑(1992年)にも書いてある。
広辞苑の例文にも「事実から推論する。」とある。
ともかく、このように「推論」は根拠とともに使うべき単語である。
infer で推論する内容は、べつに学問的な内容である必要はなく、たとえば「彼女の沈黙から怒っているのだと察した」とか(ジーニアス)、そういうのでも構わない。
infer にはこのほか、「暗示する」(= imply )という単語もあるが、imply という「暗示する」の意味の単語で代用できるので、説明を省略する。
名詞形は inference 「推論」「推理」であり(旺文社)、推論するという行為(旺文社、ジーニアス)または推論の結果によって得られた結論のことを言う(センチュリー)。
by inference で「推論によって」(旺文社)、「推測によって」(センチュリー)である。
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扱う
deal with ~, treat
treat は普通、厚遇する「扱う」の場合に使う。つまり、treatは「厚遇する」である。
ただし、和訳の都合で、「厚遇する」だと表現が硬くなる場合によく「扱う」と訳される。
だが、「扱う」で覚えてしまうと類似語とのニュアンスの違いが覚えづらくなってしまうので、treat は「厚遇する」で覚えよう。
治療の場合にも treat を使う。
dea with ~は、「~を処理する」「~を契約する」などの意味である。
典型的な例文が「苦情を処理する」 deal with complaints である(東京書籍4500。旺文社1900)。
ジーニアスで確認したところ、 deal with にも厚遇の用法もあるが、本ページでは触れないとする。
deal は「分配する」「配る」の意味である(東京書籍4500でも紹介)。
トランプなどの札を「配る」のが dealである。
だからトランプの札を配る人をディーラー dealer とも言う。
deal には「商取引」の意味もある。だから、ある種の商品の「販売人」「販売業者」のことを dealer とも言う。桐原4500が「販売業者」としている。ジーニアスは「販売人」。
同じスペル deal で 「量」の意味がある。
a good deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。
a great deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。東京書籍4500では、 a great deal of ~ で「非常にたくさんの~」としており、数えられない名詞に用いるとしている。
桐原の例文では、 a good deal of snow 「かなり多量の雪」、東京書籍の例文では a great deal of time 「たくさんの時間」、と訳している。
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分配・配分
distribute, deal
食料や出版物などを分配する場合、普通は distribute を使う(東京書籍4500)。東京書籍では「出版物」では「印刷物」としているが(例文でリーフレット leaflet を想定)、しかしトランプの札も印刷物であるので、このページでは「出版物」と表現した。
典型的な例文が
distribute food to the ~で「~に食料を配る」である。
辞書によっては「金を配る」場合もあり、その場合は
distribute money to the poor 「まずしい人に金を配る」である。(センチュリーを参考)
「子供たちにリーフレットを配る」なら、 distribute leaflets to the children となろうか(wikiオリジナル。東京書籍およびジーニアスの例文を参考に組み合わせ)。
東京書籍4500だけでなくセンチュリー英和でもリーフレット leaflets を配る例文である。
単語集にはないが、電気屋などで買えるテレビ信号などの分配器をよくよく見ると、ディストリビューターと言ったりしている。実際、ジーニアスで分配器 distributor である。
単語集にはないが、数学でいう確率分布などの「分布」も distribution である。しかし高校生に「確率分布」と言って通じづらい。
ジーニアスによれば、生物学などでの植物の「分布」も distribution である。高校生は植物のほうが覚えやすいだろう。
deal については「扱う」の項目で説明したとおり。トランプの札などを配ったりするのが deal である。
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比例
ratio, rate, proportion
3:2とか 4:7 とか、とにかく個別の比や比率のことは ratio (レイショウ)という。
そういった個別の比ではなく、たとえば数学で「AとBとは比例関係にある」のような「比例関係にある」のことを形容詞で proportional と言う。
名詞 proportion は比例関係。
そういうのではなく、たとえば利子率など何かの比率のことは rate (レイト)という。
なお、利子率や金利は interest rate という。ここでいうinterest は、「興味」の interest と同じスペル。
桐原4500によると、「失業率」は the unemployment rate である。
東京書籍4500によると、「出生率」は the birth rate である。
proportion には、全体の中で占める「割合」という意味もある。
桐原4500および旺文社1400に熟語 at any rate 「とにかく」が紹介されているが、例文は無い。
実際には ratio にも比例関係の意味があったり、proportion で個別の比に言及することもあるが、ニュアンス的には上記の感じのはず。
例文は省略。著作権的な問題をクリアできそうな典型的な例文が見つからなかったので、読者が単語集などで読者が自身で調べてほしい。
* 合理的
rational,
「合理的な」は英語で rational である。これ単独だと覚えづらいが、実は比率 ratio と冒頭のスペルが同じだし、発音も「レイショウ」と「レショナル」でほぼ同じである。
なお、数学の「有理数」も rational number であり、同じスペルの rational である。
だからか和訳も気をきかしてか、有「理」数となっているわけであろう。(ここら辺の話題は、数学英語の専門書に書いてある、有名な話である。)明治時代あたりの数学者に感謝しよう。
そして、「有理数」とは、整数の比例で表される数のことである。(数学的な厳密性は置いておく。)
つまり欧米人の数学のできる人は、「合理的な」=「整数の比例の」が同じ単語であると認識しているわけである。
こうやって考えると、「比例」ratioさえ知っておけば、そこから「合理的」 rational も普通に覚えられる。
なお、「非合理な」は irrational である。
さて、rational でよくある例文は、「合理的な決断」a rational decision である。東京書籍4500と桐原4500の両方に、「合理的な決断」 a rational decision が書かれている。
ついでに、「自然数」は a natural number である。単語集には「自然数」は書かれていないが。
「実数」は a real number である。
「自然数」も「実数」も、英語または対応するドイツ語あたりを、日本語に直訳しただけである。
なお、「論理的な」は logical (ロジカル)である。「論理」が logic なので、それから覚えよう。
reasonable (リースナブル)と言う形容詞には、「理にかなった」という意味があるが、しかし「値段が手ごろな」という意味もあるので、使いどころが難しそうである。
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出席
attend, present
形容詞 present は、「出席している」の意味もあるが、名詞形 presence に「存在感」の意味がある。
attend が、会議や授業などに「出席する」である。
典型的な例文が、attend the meeting 「会議に出席する」である(センチュリー、東京書籍4500)。
だが、attend school で、毎日規則的に「学校に通っている」の意味である(センチュリー、東京書籍4500)。
学校や教会に規則的に通うのは attend を使う。「教会に通う」の例文なら attend church である(センチュリー)。
授業の出席のattendの例文が、辞書でも単語集でも見つからない。
授業の出席については、present を使うのが安全だろう。
なので、辞書にはないが、どちらかというとattend は、出席するために「~に出ている」の意味ぐらいで解釈したほうがよいかもしれない。
名詞 attention が「注意」の意味である。attention が「注意」なのも、「注意を向かわせる」みたいな意味ぐらいで解釈したほうが、出席の「~に出ている」くらい
旺文社1900いわく、pay attention to ~で「~に注意を払う」である(なお、ここでのtoは(不定詞ではなく)前置詞の用法)。桐原によれば、attend to ~ともいう(toは前置詞としての用法)。
あまり attend と present の概念の違いがハッキリしていない。実務の際は、勤務先の業界の慣習などに任せて使い分けのが良いだろう。
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寄付
donate, contribute
単語集を見てたら、「勘弁してほしいなあ」とあきれたが、contributeには「寄付」の意味もあるが、現代のIT社会では普通はcontributeは「貢献する」の意味である。
「寄付する」はdonateである。
しかも、単語集には、contributeの項目を見ても、donateについては書いてない。donateの項目を見ても、contributeについては書いてない。
たとえばwebサーバなどのよく使われるOSのLinux(リナックス)の場合、寄付以外にも多くの協力活動があって(テストに参加するとか)、そういう諸々の協力活動の全体のことを contribute と言っているのが普通である。
そして、その協力活動の中のひとつに寄付もあって、その寄付が donate という言い回しである。
実際、debian(デビアン) というLinuxの一種のwebサイトはそうである<ref>[https://www.debian.org/intro/help Debian -- Contribute: How you can help Debian] 2022年5月1日に確認.</ref>。
ページ"Contribute: How you can help Debian"の中に、下記のようにいくつも項目があって、
<pre>
Contribute: How you can help Debian
Coding and Maintaining Packages
Testing and Bug Squashing
Writing Documentation and Tagging Packages
Translating and Localizing
Helping other Users
Organizing Events
Donate Money, Hardware, or Bandwidth
Use Debian
How your Organization can support Debian
</pre>
その項目のひとつとして"Donate Money, Hardware, or Bandwidth"があるという構成である。
もっとも、wikipediaのサーバを動かしているOSはDebianではなく Ubuntu(ウブントゥ)というイギリス製OSであるのだが、このUbunutの本家イギリス語版のwebサイトのページで寄付のページには contribute と書いてあるので<ref>[https://ubuntu.com/download/desktop/thank-you Thank you for your contribution | Ubuntu]</ref>、contributeで寄付を意味しても間違いではない。
よく、医療で「血液ドナー」とか何かの提供者のことをドナーdonorというが(旺文社1900)、これもdonateの派生である。
なお、donor の発音はドウナーである。旺文社1900では発音の注意をしている。
なお、ジーニアスとセンチュリーで確認したところ、blood donor とは単なる「献血者」のこと。クルマの「献血車」にあらず。
ジーニアス英和によれば、ドナーカード donor card も英語でそのまま通じる。
なお、桐原3000の donor 項目いわく、「血液バンク」は a blood bank とのこと(桐原3000)。
なお、名詞形は donation 「寄付」である。
単語集によると、make a donation で「寄付する」である(東京書籍、桐原)。
make a donation to our school で「学校に寄付する」。
make a donation to church で「教会に寄付する」
donate で使う場合、ジーニアス英和に donate a money to Red cross 「赤十字に寄付する」という例文があった。
debianのサイトでも donate a money と言っているように、普通は 「donate a 金または金額」のパターンである。
実際、センチュリー英和では donate $1,000 to a charity 「慈善事業に千ドル寄付する」である。
contribute で金銭を寄付する場合でも同様、 「contribute 金額 to 相手」のパターンである(桐原、東京書籍)。
contributeの単語集が金額の例ばかりであるが、センチュリーによれば a money で寄付してもいい。
センチュリーいわく contribute a lot of money to church 「教会に多額の寄付をする」である。
contribute には、なにか望ましくないことの「一因になる」という意味もあり、たとえば「二酸化炭素は温暖化の一因になる」とか(旺文社)、「砂糖は虫歯の一因になる」とか(センチュリー)、「喫煙がガンの一因になる」とか(ジーニアス)。
良いことの一因になった場合にもcontributeを使うが、ただし和訳の際、普通は「寄与した」と訳すだろう。
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闘争と努力 struggle, strive
努力する endeavor ,
不和と摩擦
strife, friction, conflict
紛争 strife, dispute
口論 quarrel, dispute
意見を戦わす dispute, tackle
「努力する」には、struggle と strive と endeavor があるが、高校生はまず struggle を覚えるのが良い。
strive だと、後述のように闘争の意味合いに解釈される可能性がある。
実際、単語集でも、struggle を先に紹介しており、strive はかなり後半で紹介する。
動詞 struggle は「もがく」「あがく」などの意味だが、「努力する」「奮闘する」のような意味もある。
病気や苦痛などから逃れるために「戦う」のような意味もある。
struggle to ~(動詞) で、「~するために努力する」である(東京書籍)。
struggle with ~ で「~と闘う」である。
struggle for ~で「~を求めて闘う」である。ジーニアスによれば、struggle for independence で「独立を求めて闘う」。旺文社によればstruggle for equal right で「平等権を求めて闘う」
名詞も struggle であり、「闘い」「努力」の意味である。
だが、生存競争を a struggle for existence という(旺文社1900にあり。ジーニアス、センチュリーで確認)。
あまり使い分け方ははっきりしないので、慣習に合わせるしかない。
単語集にはないが、権力闘争は a power struggle といったり(ジーニアス)、a struggle for power という(センチュリー)。
endeavor (エンデバー)は動詞で「~しようと努力する」、名詞では「(真剣で継続的な)努力」の意味だが(ジーニアス、センチュリー)、なぜか単語集には、あまり積極的に紹介されてない。endeavor は東京書籍では巻末おくりだし、桐原では5500おくりである。
アメリカの宇宙船の名前でエンデバーというのが昔あったので、特に悪い意味は無いだろう。
しかし、なぜだか、単語集はあまりエンデバーという単語を紹介していない。
動詞として使うときは endeavor to ~(動詞) 「~しようと努力する」
である(東京書籍、桐原、ジーニアス、センチュリー)。
strive という単語があり、これも「努力する」や「闘う」の意味である。桐原だと闘争の意味が書いてないが、東京書籍にきちんとstriveの「奮闘する」が書かれている。
これは比喩的な奮闘ではなく、後述するように名詞形で実際の戦争を扱う。
strive for ~で「~を目指して努力する」または「~を求めて努力する」の意味である。
旺文社1900には動詞 strive の項に、派生の名詞形 strife がスペルと和訳「争い」「不和」だけ紹介されている。
他の単語集には名詞形が書かれていないが、strive には実は派生の名詞形が2つあり、striving と strife である。
辞書にも、strife と strive の関係が書いてないが、明らかにstrife と strive はお互いに派生であろう。少なくとも旺文社1900は 名詞 strife は 動詞 strive の派生だという見解である。辞書のほうが頭悪い。
striving が「努力」の意味。 strife は「紛争」や「不和」など、ぶっそうな意味である。
辞書によると、政治闘争は a political strife である(ジーニアス、センチュリー)。
しかし、ジーニアスによれば、民族紛争などは conflict を使う場合もある。
山川出版の英語版・詳説世界史では自衛隊PKO派遣先の、いわば「紛争地帯」に相当する場所を conflict zone と言っている<ref>橋場弦 ほか監修『WORLD HISTORY for HighScool 英文詳説世界史』、2019年10月15日 第1版 第3刷発行、P.412</ref>。
一方、センチュリーだと、「その二国間には紛争がある。」There is strife between the two countries.
とある。
ジーニアスによれば、家族紛争を a family strife という。
dispute には、「紛争」「口論」「議論」「意義を唱える」などの広い意味がある(桐原)。「意義を唱える」は旺文社の解釈。
「議論」を訳す場合でも、「議論を戦わす」のように(東京書籍、センチュリー)、意見の対立に主眼が置かれている。センチュリーにいたっては、感情的な対立があるとのニュアンスがあるとまで述べている。
だからか労働争議を a labor dispute ともいう(ジーニアス、センチュリー)。
いっぽう、単に意見や議論を戦わせるだけなら、動詞 tackle である(センチュリー、桐原)。ジーニアスにいたっては、tackle の意味で「戦う」の言葉は使わず、tackle は意見を「論じ合う」だとしている。
センチュリーは、「賃上げ(on a raise)をボスにかけあう」を動詞 tackle としている。文脈は違うが、旺文社でも「予算」がどうのこうのと、tackle で金を話をしている。
動詞としては tackle には「問題に取り組む」という用法もある(桐原、東京)。
典型的な例文は、
tackle the problem 「その問題に取り組む」
である(桐原、東京書籍)。
なお、tackle は、ラグビーなどの名詞「タックル」、動詞「タックルする」と同じ単語でもある。
肉体的な単なる「闘い」「闘う」は fight とか battle で良いだろう。
「不和」については friction 「摩擦」を使うも言い換えもある。物理学の「摩擦」 friction と同じ単語である。
「静止摩擦」は static friction である(旺文社1900の static 項目)。ジーニアス・センチュリーのstatic 項目では見つからなかったが、たしかに静止摩擦は static friction だたはずである。
なお、「静電気」は static electricity である(旺文社1900、ジーニアス static 項目、センチュリー static 項目)。
さて、friction の話題に戻る。東京書籍4500と桐原4500・5500には、friction が載っていない。旺文社1900にだけ friction がある。
外交の「不和」には、friction を使える(ジーニアス、センチュリー)。というか、英語で「貿易摩擦」を trade friction と言う(旺文社)。ジーニアス英和やセンチュリー英和で貿易摩擦を確認したかったが、見つからなかった。辞書でfriction で調べてもtradeで調べても、ジーニアスとセンチュリーでは見当たらない。
和英のほうでジーニアス和英を調べると、「貿易摩擦」は trade friction または trade conflict というとのこと。
外交の不和で strife を使うと戦争の恐れの高い不和だと誤解されかねないだろうから、貿易摩擦のようなお金の問題では friction で十分だろう。
さて、努力について、 effort という名詞があるが、しかしこれは名詞である。
なのでeffortで「努力する」と言いたい場合、東京書籍やジーニアスによれば make an effort のようになる。意外と難しい。
effort to ~(動詞)で「~するための努力」である。
東京書籍にあるが、make a great effort 「大変な努力をする」のように、great などの形容詞がつくこともある。
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傾向 tendency, trend, inclination
流れ current , flow
「傾向がある」 tend(動詞), inclined (形容詞),
ミスなど好ましくないことをする傾向がある be liable to ~
その他、好ましくない傾向がある be prone to ~
センチュリー英和を見ると、trend と tendency の違いが説明されている。
tendencyは、たとえばセンチュリーにある「赤ん坊は空腹になると泣くものだ」とか「弱い母音は消失する傾向がある」のように、本来的に、何かのおきる傾向のあること。
trend は「流行」や現在の「趨勢」(すうせい)や「風潮」などの傾向。ジーニアスを見れば「趨勢」や「風潮」の意味も書いてある。
なお、衣服の流行は fashion である(東京書籍3000、桐原3000)。一応、ジーニアスには、衣服だけでなく文学や芸術の流行も fashion ということもあると書いてあるが、しかしセンチュリーは採用していない。
なお、mode も衣服の「流行」の意味であるが、現代では廃れている表現だとジーニアスはいっているし、桐原と東京書籍の単語集に mode は無い。
しかし、旺文社1900にmode があり、「方式」「形態」などの意味である。後述の「携帯」の誤字ではなく、確かに旺文社1900のmodeの項目に「形態」と書いてある。
旺文社1900の単語集は入試準拠なので、おそらく教科書にはないが入試によくある表現なのだろう。総数1900のうちの844番目にmodeがあった。
旺文社1900のいうmode関連の派生表現のひとつで、携帯電話の「マナーモード」は silent mode である。
ほか、物理学の弦の振動などの「モード」もこの単語だったと思うが、辞書には無いので不明(ジーニアスとセンチュリーの両方とも確認したが見つからなかった)。
さて、tendency の話題に戻る。
さきほど trend は「趨勢」や「風潮」だと言ったが、だがジーニアスによると、現在の株価の傾向などで(トレンド trend ではなく) tendency を用いている例文もあり、実際には使い分けは明確ではない。
tendency の動詞形は tend であり、「傾向がある」の意味。というか、動詞 tend の名詞形が tendency である。
tendの意味も、本来的に "~をする傾向がある" という意味での「傾向がある」である。
tend to ~(動詞)「~する傾向がある」の形でよく使われる。
ほかにも、 tendに「世話をする」という意味もあるが、だがこれは、名詞 tender「やさしさ」の動詞形だとみなすべきだろう。
ややこしいことに、動詞 tender は「提出する」「支払う」の意味である。だが単語集に動詞 tender がないので、無視しよう。
一方、trendについて。
センチュリーによれば、「新しい流行」 a new trend とか使う。
東京書籍に the current trend 「現在の流行」という例文もある。
東京書籍によれば、「最近は小型車が売れている」的な意味の流行も trend である。
また、旺文社によれば、「最近は高齢者には運転をやめさせるのが傾向である」というのも trend である。
旺文社の例文を考えれば、和訳が「傾向」であろうが、内容が最近の風潮なので、trendを使うのが正しいわけだ。
形容詞 trendy 「流行の先端を行く」の意味である。
* 「流れ」
current, flow
flow は「流れる」と言う意味の動詞だが、名詞では川などの「流れ」を言う。
current は、「流れている」という意味の形容詞だが、名詞では「海流」や「電流」などの「流れ」も言う。
川も海流も同じ水の流れなのに、なぜか使い分けをするのである。
東京書籍3000でも桐原3000でも、flowの例文で、川の流れを扱っているので、そういう単語だと納得してもらうしかない。
英語というのは、あまり論理的ではなく、慣習などで使い分けが決まっている部分もある。
東京書籍に書いてあるが、気体の流れも液体の流れも flow である。
普通科高校では習わないが、工業高校などで流量計などの機器を扱う際、その流量計を英語で「フローメータ」などという。また、その計器で測定する流れのことは普通は「フロー」flow と読んでいる。
風の流れや川の流れという言い方ではなく、わざわざ「気体」「液体」と東京書籍が言ってるのは、たぶん、そういう流量計などを見越しての表記だろう。
実際、ジーニアスを見てると、「液体・気体の流出量(流入量)」という意味もかかれている。東京書籍はおそらく英和辞典のflowのこういう意味を参考にしたと思われる。
さらっと「流量計」と言ってしまったが、流体力学では流出量も流入量も区別せず、まとめて「流量」(りゅうりょう)と呼び、それ(つまり「流量」)を flow と言うのである。
実際、ジーニアスでは、たとえば人口の「流入」もflow であるし、センチュリーでは(石油らしき)ガロン単位の液体の「流出」もflow である。
そのほか、お金の「流れ」については、経済学ではカレントもフローもどちらとも使う表現なので、深入りしない。
さらに混乱させるが、discharge 「解放する」・「釈放する」、「解雇する」「解任する」の意味の単語(東京書籍の巻末)にも、実は「流れる」の意味がある(ジーニアス)。「アマゾン川が大西洋に注いでいる」という例文で、discharge を使っており、ここでは flow into と同じだと、ジーニアスは言っている。
煙などの排出も discharge であり、いったい流出なのか流入なのか、はっきりしない。
専門用語などで flow と区別したい場合、discharge を使うこともある。
だから、たとえば流体力学で、理論値と実測値との違いの比率のことを discharge coefficient といい、よく「流量係数」とか「流量係数」とか言う。分野によって和訳が違うので、和訳は気にしなくていい。証拠に英語版ウィキペディアの記事 [[:en:w:discharge coefficient]] (流出係数)があります。
あと、discharge には名詞の用法もある(ジーニアス)。東京書籍には動詞の用法「解放する」以下略しか書いてない。
そんなことよりも、「解放」「釈放」の意味を、液体の排出などと関連づけて覚えよう。なんか解き放たれて自由に動ける的なイメージが discharge である。
なお、日本でも、よく、解雇や解任のことを、比喩的に「自由の身」みたいとか「長い夏休み」みたいに言います。なので、そこから派生的に、discharge の複数の意味を把握できます。
洋の東西を問わず、人間の言語センスは似たようなもんです。(あるいは、もしかしたら日本人が英語discharge を真似たのかもしれません。)
「頭脳流出」は a brain drain という(旺文社1900、ジーニアス、センチュリー)。ややダジャレっぽい語感もするので真に受けるわけにはいかないが、drainの基本的な意味は「流出する」である。(なお、このように brain には「脳」の意味のほかにも「頭脳」の意味もある(桐原3000)。)
だが drain には、体力などを「消耗させる」という意味もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
drain my strength 「体力を消耗させる」
である(センチュリー。ジーニアスに似た例文)。
体力が流出していくイメージか。
台所の「排水口」とかも名詞 drain である。屋内の下水などに向かって流出させる側の台所の排水口が drain である。
その他、排水管が drain である(ジーニアス)。
* 傾向 tend, inclined
まず、tend は動詞。
inclined (インクラインド)は形容詞。
なので
be inclined to ~(動詞) で「~する傾向がある」
のように使う。inclined to do を使いたい場合、be動詞が必要。
一方、tend は動詞なので、be動詞なしで、
tend to ~(動詞) 「~する傾向がある」
である。名詞形はtendency 「傾向」である。
実は動詞 incline (インクライン)「傾ける」という単語があって、「傾ける」「その気にさせる」の意味である(東京書籍)。
坂(slope)などの物理的な「傾き」やその角度なども 名詞 incline である(ジーニアス)。
桐原は inclined などは紹介していない(桐原4500および桐原5500を確認)。
単語集にはないが、「話を聞こうと耳を傾ける」incline my ear to ~ 、みたいな表現にも incline を使う(センチュリー)。というか、おそらくこの英語表現が先にあって、それに合わせて日本で「傾聴」みたいな表現が生まれた可能性。
また、このように incline には、好意などによって、「関心を向ける」のような意味もある。
このためか、名詞形 inclination (インクリネイション)には「傾向」の意味のほかにも、「好み」の意味もある(旺文社)。
ただし、必ずしも inclination は「好み」とは限らず、たとえば「彼は太りやすい」のような体質や(ジーニアス)、「この車は横滑りしやすい」とか(センチュリー)、そのほか性質や、性向なども inclination である(ジーニアス)。
どちらにせよ、とりあえず inclination の中心的な意味は「傾向」だと覚えておけば問題ないだろう。
単語集にはないが、坂や屋根などの物理的な「傾き」やその傾斜の角度なども inclination という(ジーニアス、センチュリー)。
liable (ライアブル)は、好ましくないことをする傾向や、好ましくない状態になりがちな傾向のある場合に使う(ジーニアス、センチュリーで確認)。なお旺文社では発音注意している。
和訳では liable は単に「~しがちである」と訳す場合があるが(桐原4500、旺文社1900)、「好ましくないことをする傾向」だという条件をしっかりと理解しておこう。、
be liable to ~(動詞の原型)で「~(ミスなどの行動)をしがちである」
のように訳す。
ほか、典型的な例文
be liable to illness 「病気にかかりがちである」(旺文社、ジーニアス)
がある。なおこの場合、to が不定詞ではなく名詞に対する前置詞に変わっている。
なお、「ミスをする」make a mistake
または
make mistakes
である。なお、桐原3000およびジーニアスでは、make a mistake 「間違える」と訳している。
なので、ともかく
be liable to make mistakes 「ミスをする傾向がある」
である(旺文社)。
形容詞 prone (プロウン)は、望ましくないことについて「~の傾向がある」の意味(ジーニアス、センチュリー)。
病気になりやすいとか、怒りやすいとか、そういうのも prone を使える。例文は辞書を見て(著作権の都合)。
単語集には、なぜか、望ましくないことに使う前提が書かれていない(旺文社、東京書籍の巻末)。
だが、辞書には前提が書かれている。
単語集にある典型的な例文は、
be prone to error 「間違いを起こしやすい」
である(旺文社、東京書籍の巻末)。
to は前置詞でもよく、動名詞 to でもよい。つまり、prone to の後ろにくるのは、名詞 でも 動詞の原型 でも良い。
earthquake-prone 「事故多発地域」の意味である(センチュリー、旺文社)。
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mistake と error
ジーニアスによると、
mistake は不注意や勘違いによる間違い。
error は、計算の誤りや、裁判の誤審など。
・・・とのこと。
また、センチュリーいわく
「不注意な間違いをする」make a careless mistake
とのこと。
だから mistake は、「勘違い」とか(ジーニアス)、「誤解」「思い違い」とかで(ジーニアス、センチュリー)覚えたほうがいいかもしれない。
mistake を「誤り」「間違い」と訳しても間違いではない(ジーニアス、センチュリー)。そういう訳がジーニアスにもセンチュリーにもある。
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現在の
current , present, modern
current は、形容詞「現在の」が入試ではよく出るが、しかし名詞では「流れ」の意味である。
海流とか電流とかの流れにcurrentを使う。
東京書籍およびジーニアスが紹介しているが、「暖流」は a warm current である。
ついでにジーニアスが紹介している「寒流」は a cold current である。
current は、まず名詞「流れ」を覚えるべきであり、形容詞「現在の」はその派生として覚えるのが良いだろう。
ジーニアスで調べた語源でも、「走っている」→「流れている」→「現在通用している」というような意味の変遷らしい。
さて、current 関連の名詞として、単語集にはないが、電流の直流 D.C. とは direct current の略である。
交流 A.C. も Alternating current である(ジーニアスで確認)。
通貨はcurency (カレンシー)である。
単語集にはないが、国際的に安全な通貨のことを経済学ではハードカレンシーといい hard currency と書く。)
「現在の」を意味する形容詞には、current のほかにも present がある。
present は、たとえば英文法の「現在形」や「現在進行形」などの「現在」も present である。
「現在」のpresent と 「贈り物」の present とスペルも発音も同じである。また、「出席している」の形容詞 present と同じ単語である。
present と current のニュアンスの違いは、辞書では特に言及されてないが、current には「流通」や「通用」のような意味合いもあるというところだろうか。
* 現代
modern と contemporary
なお、modern は、「近代の」「現代の」という意味であり、歴史的なニュアンスで使う。
modern も単語集にあるので、覚えよう。
単語集にないが、たとえば「近代文学」modern literature のように(センチュリーで確認)。なお、「現代」はmodern times という。
桐原4500にあるが、(科目名ではない意味での)「現代社会」は、modern society である。
動詞 modernize は「近代化する」「現代化する」の意味である(東京書籍4500および桐原4500)。
しかし、contemporary という単語も存在し「現代の」という意味であり、しかも、旺文社いわく「現代日本文学」は contemporary Japanese literature である。
東京書籍4500いわく、contemporary と modern の違いは単に、芸術様式の話題では contemporaryが「現代の」の意味で使われるとのこと。
だからか、東京書籍・桐原・旺文社の3つともすべてに単語 contemporary art 「現代美術」がある。
その他、contemporary には「同時代の」と言う意味もあり、東京書籍いわく、「ピカソとダリは同時代の人」という内容で、語法 be contemporary with ~ を使っている。
* temporary
temporary は「一時的な」の意味の形容詞。
典型的な例文が
「一時的な仕事」 a temporary job
である(東京書籍、旺文社)。
なお、ジーニアスとセンチュリーでは、同じ a temporary job を「臨時の仕事」と訳している。
対義語は permanent である。
つまり、
temporary ⇔ permanent
である。
なお、いわゆる「アルバイト」は、英語で part-time job である(ジーニアス和英「アルバイト」で確認)。side job ともいう(ジーニアス和英)。
日本語の「パート主婦」のような、勤務時間の短い意味合いは、英語のpart time jobには無い。
そもそもアルバイトはドイツ語に由来する言い回しだし、しかもドイツ語では「仕事」という意味らしい(本書は英語の教科書なのでドイツ語には深入りしない)。
「永久歯」を permanent teeth という(ジーニアス、東京書籍)。
東京書籍いわく、「終身雇用」を a permanent job というとの事だが、しかしジーニアス英和やセンチュリー英和では確認できなかった。
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強制
force, enforce, compel , oblige
義務
duty
辞書によくあるcompel の典型的な例文が「病気のため仕方なく~せざるを得なかった」的な例文。こういうときにcompelを使うようである。
辞書によると、compel はforce よりも意味が弱く、oblige (オブライジ)よりも意味が強い、
普通、oblige (オブライジ)は「義務づける」と訳す。
単語集にはないが、思想の用語で「高貴たる者の義務と責任」と言う(英語ではなく)フランス語で noblesse oblige ノブレス・オブリジュ という単語があり、社会的エリートが兼ね備えるべき義務感のことを言う。
さて、英語では、名詞形 obligation が「義務」の意味。センチュリー英和で確認したが、法律的な「義務」も、道徳的な「義務」も obligation である。
桐原4500では obligationの意味に「義理」を加えて、「義務」「義理」がobligation だとしている。
旺文社1900では、 obligationの意味に「責任」を加えて、「義務」「責任」がobligation だとしている。まあ、「高貴なる者の義務と責任」が世界各国エリートの基礎教養なので、知的な英文ではそういうニュアンスで obligation が使われることも多いのだろう。
東京書籍4500 には、oblige の紹介は無い。
force は「強制する」の意味。
さて、「軍隊」「武力」も force である。
軍隊によって「~が強制された」という場合、どうすればいいのだろうか?
桐原4500では、force「強制する」の例文での「軍隊」を troop という単語で表現して、forceの同音意義語の問題をうまく回避している。
桐原の例文が「政府軍が反乱軍に降伏することを強制した。」と言う例文である。
なお「政府軍」は the government troops である。
反乱軍は the rebels である。「降伏すること」は to surrender である。
troop とか rebel とか、索引に無い単語ばかりである。
enforce は、強制一般の意味もあるが、法律によって強制する、というニュアンスがあり、例文もそういうのが多い。だがラグビーでエンフォースという用語がある。ラグビーの説明はしたくないので説明は省略。
センチュリーの英語によると、警察が市民に法を強制したりするのが enforce である。
桐原4500によると、法律を施行するのが enforce である。警官が法律を守らせる場合も、the police enforces the law のように、目的語は法律になる。
旺文社1900および東京書籍4500にも、似たような警官と法律の enforce 例文がある。
こういう事情もあってか、旺文社は1900はenforceの意味を「施行する」「実施する」としている。
桐原は、enforceの意味を「施行する」「遵守させる」としている。
なお、死刑執行で誰かを「処刑する」のは英語で execute (イクセキュート)である。
「死刑執行」「処刑」は execution である(桐原5500で「死刑執行」、旺文社1900)。
execute には、計画・命令などを実行したり、仕事を「成し遂げる」などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。ジーニアスによると「最後までやる」が原義のほうの意味とのこと。
処刑の意味は、処刑で「片付ける」的なニュアンスだろうか(特に言及されてはいない)。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。
計画などの実行で使われるといっても、ただし、こういう固い語なので、技術の必要な難しい計画などの実行で使われるのが普通である(ジーニアス)。
また、このことからか、企業の重役のことをエグゼクティブ executive ともいう(旺文社、桐原5500)。executive には名詞「重役」の意味のほか、形容詞「経営上の」「行政杖の」などの意味もある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。
さて、「義務」「強制」概念の話にもどる。
義務教育も法律で強制されているが、しかし旺文社の例文によると、義務教育には oblige を使っている。
センチュリーを読んでたら、未成年の子供が起こした事故の弁償も oblige である。
桐原だと「大臣は半年に一度、報告書を提出することを義務づけられていた。」の義務づけが was obliged to send in a report である。
まあ、大臣はエリートだからだろう。
センチュリーで「世論の批判のため引退を余儀なくされた」の「余儀なく」もoblige である。まあ政治家という、国家権力者の一員たるものの義務と責任的な意味合いだろう。
しかし東京書籍4500は、compel の例文で「世論が大臣を辞職に追い込んだ。」を 使っており、センチュリーに反している。
まあ、とくに統一的な用法は無いのだろう。
なお桐原は、「その法律が雇い主に、(※ 社員の)健康保険を掛けることを強いる」をcompel としている。「(※ )」内はwikiでの追記。
単語集にはないが辞書によくある典型的な例文が、病気で「~を余儀なくされる」をcompelで表現することである。
センチュリー風に He was compelled by illness to ~なら「彼は病気で~を余儀なくされた」である。
ジーニアス風に His illness compelled him to ~ なら、直訳すれば「病気が彼に~することを余儀なくさせた」だが、無生物主語の和訳が高校の授業で嫌われるので、「彼は病気で」と訳す。英文学とかだと無生物の主語とか普通にあると思うし、普通の日本語でも文学・文芸でなくとも「病気が彼に~を余儀なくさせた」とか通じると思うし、なのに、かたくなに無生物主語の和訳を認めない高校英語教師や塾講師などはどういう了見なのだろうか。理解しがたい。
ジーニアスは、本人の納得の上で余儀なくされる場合を oblige といい、そうでない場合つまり「本人の意思に反してさせる場合はforce や make を用いる」としている。
しかし、ジーニアスの例文では、税金を払う義務も oblige としている。
判断基準が不明である。
やはり、高貴たる者の義務と責任を基準に考えるのが良いだろう。
* 義務
duty, obligation
「義務」「義理」は英語で duty である。ジーニアスで確認したところ「義理」の意味もある。
on duty で「勤務時間中で」。
off duty で「勤務時間外で」
duty は、職務上の義務でも使われるが、道徳的な義務でも使われる。
その他、duty に「関税」の意味あり。桐原4500によれば、「ワインの関税」 duty on wine である。「免税店」は duty-off shop である。
obligation との違いとして、ジーニアスは obligation は「外的な事情から生じる義務」としているが、どうだろうか。ノブレス・オブリジとか、そうではないと思うが。
そう覚えるよりも do one's(myなど) duty で「~の義務を果たす」などの慣用表現で覚えるほうがよいと思う。なお、東京書籍4500と旺文社1900に、例文中に do one's duty がある。
obligation にはそういう平易な慣用表現は無いと思うので。
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「分類する」
sort, classify
「分類する」の使い分けは、あまりハッキリしない。
単語集の例文などを見ると、どうやら書店や図書館などで書籍を「分類する」は classify を使っているようだ。
旺文社では「本は作家の名前によって分類されている。」 The books are classified according to the author's name.
東京書籍では「本はテーマによって分類されている。」 The books are classified according to subject.
である。
ジーニアスでも、受動形でなく能動形でだが図書館での本の分類に classify を用いている。
なお、(英和ではなく和英辞典の)ジーニアス和英によると、ごみの「分別」は separate である。
sort には名詞で「種類」という意味もあり、ほぼ、「種類」の意味での kind と似た意味である。
a kind of ~ 「~の一種」の代わりに、a sort of ~ で「~の一種」と言う場合もある。
しかし、別の用法で sort of で「多少の」「いくらかの」という意味もあるので、文脈から判断すること。
class には「等級」と言う意味もあるので、「等級づけをする」なら classify のほうが望ましいだろう。
余談だが、classify には「機密の」の意味があって、旺文社1900で document を見ると、
leak classified document 「機密文書を漏洩する」
という例文もある。
動詞 leak は、液体や秘密などが「漏れる」とか「漏らす」の意味。東京書籍と桐原の3000語レベルにも4500語レベルにも書いてない。桐原5500に書いてある。
桐原5500の例文は秘密を「漏らす」ほうの内容。
なお、文書ではなく情報の「機密情報」については旺文社 leak を見ると、 a secret information と言っている。
桐原4500では、「機密情報」を confidential information と言っている(桐原4500のmake関係の熟語のmake use of ~ の項目)。
2010年にWikiリークという、各国政府などの機密情報をネット公開する海外サイトが世界的に話題になったからか、単語集では leak の例文が機密の漏洩ばかり。だが、もちろん液体などが漏れる場合にも普通に leak は使われる。
なお、wikibooksなど当wikiプロジェクトは、wikiリークとは全く別の組織。「wiki」とはソフト名の一種なので、まったく別の組織でも、wikiソフトを使っていると組織名がwikiなんとかと、似たような名称になることもある。
なおleakの名詞形は leakage であり、「漏れ」「漏出」「漏洩」の意味(旺文社1900)。だが、単語 leak 自体でも名詞の意味もあり、同じような「漏れ」という意味(桐原5500)。
「秘密」については、secret や classify の他に、confidence (カーンフィデンス)という単語もある。
だが、このconfidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
「信頼」と「自信」と「確信」については和訳でも同じ「信」の文字があるから、まあ連想できるとして(信頼の対象が自己になれば「自信」。「確信」とは、信じている自分への自信。など)、問題は「秘密」である。
信頼しあっている間柄での秘密、的なイメージで覚えるのが良いだろう。
形容詞 confidential の意味なら「内密の」というのがセンチュリー和英にもある。
だが、名詞の「秘密」のことを「内密」とは言わないので、confidence は「秘密」と訳すしかない。辞書もそうなっている。
ジーニアスによれば、「秘密文書」は confidential documents とのこと。
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確認
check, confirm , confident
check が「チェックする」である。
英語のチェック check はいろんな意味で使われ、意外と難しいので、日本語でそのまま「チェックする」と意味を覚えてしまうのが良い。東京書籍1800の単語集を見ても、checkの意味の説明で「チェックする」とそのまま書いてある。
check は「確認する」ことにも使われるし、確認したことを証拠に残すためのチェックマーク( ✓ )の記述にも使われるし、「点検する」ことにも使われるし、「照合する」にも使われるし、チェスの王手(いわゆるチェックメイト)にも使われる。このように意外と難しいからか、桐原4500では4500レベルとしてcheckを紹介している。
confirm が「確認する」「身元を証明する」である。(東京書籍4500)
チェックについては、チェックリスト check list が英語にもあることを知るべきだろうか。
工場労働など屋内での社会人の点検業務では、可能なかぎり、忘れのないように点検内容を一覧表の list リストにして、それにチェックマーク( ✓ )を入れることで漏らさずにチェックをするという方法がある。
なお、チェックマークを入れるための視覚欄(大きめな □ )のことを、チェックボックス check box といい、これも英語にある(ジーニアスで確認)。
こういうチェックリストやチェックボックスの存在を知っていれば、check の「点検する」や「照合する」の意味も覚えやすいだろう。
語学の勉強というのは、こういうふうに英語以外のビジネス知識なども必要なのである。
checkを「チェックする」と覚えればいいと言ったものの、ただし上述のチェックボックスやチェックリストのように、仕事でも知的な仕事なら check という英語は使うので、覚えておく必要があるだろう。
桐原4500では、「医者が患者の血圧を調べる」という内容の例文でチェック check を使っている。check はそういう専門性の高い用途にも耐えうる単語でもある。
ほか、小切手も check といい、同じスペルだが、説明を省略する。ホテルなどのチェックイン check in , チェックアウト check out も同じ単語だが、説明を省略する。
IT系でも、よく会員制webサイトの登録画面などで説明書きを読んだか確認するためのチェックボックスが、海外サイトではよく使われる。
社会人になって就職するなどして、品質検査の方法などを習っていないので、あまり「チェックとは何か?」とか深入りしても、埒(らち)が あかない。
confirm は、高校生には馴染みがないかもしれないが、IT系では意外とよく、会員制webサイトのパスワード登録の画面などとして、海外サイトではよく使われる。
身元証明の典型的な例文で、誰々の「身元を証明する」という例文があり、
たとえば東京書籍4500では
「彼女の身元を証明する」confirm her identity
がある。
旺文社の例文を少し改造して(「郵便局員が私の身元を確認した」という内容)、「彼が私の身元を確認した」なら He confirmed my identity
となるだろう。
「裏づける」の典型な例文が、裁判などでの「新たな証拠が彼の話を裏づけた」であり、東京書籍によれば、
「新たな証拠が彼の話を裏づけた」 The new evidence confirmed his story. である。
桐原4500にも、現在完了形であるが、ほぼ同じ英文がある。
confirm の名詞形は confirmation である。旺文社1900にだけ紹介されている(桐原4500と東京書籍4500はconfirmationを紹介していない)。
confident については、別の項目で説明した。confidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
単語集に共通の例文が見当たらないので、辞書などを購入して読んでほしい。
* 検査
なお、和英辞典で「検査」を見ると、testやinspectなど色々な単語がある。
testはどちらかというと「試験」である。
血液検査が blood test であり、聴力検査が hearing test だし、日本語では「検査」でも英語では test だったりする場合もある。
「テスト」と聞いて、日本の学校の学力試験しか思いつかないのなら、改めよう。英語では普通に、医療や工業などの検査でも test は使われるからである。
inspect は、査察官や検閲官をinsepector と言うので、そういうニュアンスもあるので、検閲・査察のニュアンスが強く、日本の「検査」には1対1には対応しない。
東京書籍と桐原の単語集には inspect がないので、気にしなくていい。米英の行政の事情を知らないと inspector などは理解できないだろう。日本の高校生には不要な知識であろう。inspector という、そういう高校で習わない行政用語があるという事だけを知っておけば十分だろう。
なお、実は旺文社1900に inspect と inspector がある。inspector には「検査官」の意味のほか、「警部」の意味もあるとのこと。
だが、そもそも、英語の文脈においける「警部」とは何かという問題がある。ジーニアスでinspectorを見ると、米では「警視正」、英では「警部」とのこと。まあ、警察組織の現場職での上のほうの人、ぐらいの意味だろうか。
なお、「捜査員」は investigator である。これだけだと難しそうだが、米国のFBIこと「連邦捜査局」が the Federal Bureau Investigation である(旺文社)。
「捜査する」は investigate である。
典型的な例文が
「警察がその殺人事件を捜査している。」 The police are investigating the murder.
である(桐原、ジーニアス)。
なお、federal (フェデラル)は形容詞としては「連邦の」という意味であり、名詞としては「連邦」の意味である(ジー二アス)。
もうひとつの典型的な例文が、
「警察がその自動車事故の原因を調査している。」 The police are investigating the cause of the car accident.
である(東京書籍、センチュリー)。事故なので、捜査ではなく「調査」。東京書籍でも「調査」になっているし、センチュリーでは「調べている」としている。
なお、「探偵」と「刑事」は detective である。英語では、「探偵」と「刑事」が同じ単語なのである。
動詞 detect の意味は、東京書籍いわく、何か見つけづらいものを「探知」「発見する」などの意味である。センチュリーいわく、隠されているものや悪事などを見つける場合に使うことが多いとのこと。
単語集にはないが、「探知機」が detector である(ジーニアスで確認できる)。ジーニアスいわく、金属探知機は a metal detector である。
この例のように、 detect で発見するのは別に犯罪事件の犯人でなくてもよく、たとえば桐原の例文では病院でのガン(癌) cancer を「発見する」ことを detect としている。
センチュリーいわく「ガス漏れを見つける」は detect a gas leak である。
センチュリーいわく、嘘を見破るのも detect である。東京書籍いわく、「スパイを見破る」は detect a spy とのこと。
locate という「位置する」と言う意味の動詞がある。名詞形 location が「位置」 の意味である。
この locate には、なにかの場所を「突き止める」という意味もある。
東京書籍が detect の単語の次に、locateの例文で「アジトを突き止める」を紹介しているが、著作権の都合があるので本ページでは紹介しない。
なお、アジトは a safe house である(東京書籍)。またアジトとは、犯罪組織や反乱組織などの「隠れ家」のこと。
なお、「隠れる」は hide である。
太陽が雲に「隠れる」みたいな平和的な「隠れる」も、犯人が「隠れる」も、 hide である(センチュリーで確認)。
「太陽が雲に隠れる」 The sun is hidden by clouds
である(ジーニアスとセンチュリーに、ほぼ同じ例文)。
なお、「隠れ家」「隠れ場所」には、hide-out という言い方もある(ジーニアスいわく「隠れ場所」)。旺文社では hide-out を「隠れ家」「潜伏場所」と紹介。
hide の活用は
hide - hid - hidden/hid
である。
さて、conceal という、「隠す」という意味の単語があり、物や秘密を「隠す」場合に使われる。
辞書を見た限り、conceal には、人が隠れるような用法はない。
単語集を見ると、conceal の例文で、感情を「隠す」ような例文もあれば(旺文社)、爆弾が「隠されていた」という例文もある(桐原)。
隠された秘密を「暴く」のは
reveal や uncover がある。
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暴露(ばくろ)
reveal, uncover, disclose
reveal は、意図的に秘密を暴いた場合のほかにも、不注意などで秘密が漏れた場合にも用いる。旺文社の例文も秘密が漏れた場合である。
名詞形 revelation である。
よくある例文は、
「真相を明らかにする」 reveal the truth
である(東京書籍に和訳・英文とも同じ文。センチュリーでは「真相を漏らす」と訳)。
そのほか、単語集にはないが、物理的に隠れているなどして見えなかったものが見えるよう現れる事も reveal というが、単語集にないので無視する。
なお、光や危険などに「暴露する」ことは expose である(桐原)。
暴露(ばくろ)は「ばくろ」と読む。「ぼうろ」(×)ではない。
disclose
意図的に秘密を暴いたり、あるいは自分や自組織の秘密を公表したりする場合は、 disclose のほうが適切かもしれない。
固い言い回しなので、暴露や公表や自白などの対象となる秘密は、たとえばセンチュリーでは「彼はスパイであったこと」だとか、「その男の正体」だとか、
あるいはジーニアスでは「真実を新聞に暴露する」とか、なんかそんな感じの秘密ばかりである。
名詞形「公開」「暴露」は disclosure である。
「情報公開」は disclosure of information である(ジーニアス、旺文社)。
東京書籍4500および桐原4500には disclose が無い。
uncover
「真相を明らかにする」 uncover the truth
のように使う(東京書籍)。桐原4500には例文なし。東京書籍は巻末おくりなので、解説なし。
uncover の語源は、見れば分かると思うが「カバーを取る」である(ジーニアスで確認)。
なので、単語集にはないが、容器などの「フタを取る」も uncover である(ジーニアス、センチュリーで確認)。
そして単語集(旺文社)にあるが、遺跡などを発掘するのも uncover である(旺文社)。遺跡を埋めている土などをフタに見立てて覚えよう。
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不安
anxiety, alarm
恐怖 fear、 horror
警報 alarm
警戒 alert
警告 warning, caution
旺文社1900によると、alarm の出題番号が549 で、alarm が「不安」「恐れ」を第一義で紹介されており、anxiety (「不安」「心配」)の形容詞 anxious の583番よりも alarm のほうが早い。
勘弁してほしい。
まずalarm は普通、警報器のことである。実際、東京書籍3000では、alarm は「警報器」「目覚まし時計」の意味でしか紹介していない。
桐原4500ですら、「驚き」「恐怖」の意味を紹介しているが、しかしalarmの第一義はあくまで「警報(器)」というのが桐原のスタンスである。
とはいえ、旺文社は大学入試の出題順に紹介しているだけである。つまり、日本の大学入試がロクでもないのだろう。
なお、ジーニアスによると、alarm の第一義は「驚き」「恐怖」である。なお、語源はイタリア語の「武器を取れ」all'armeである。
なるほど、alarm アラームの語尾 -arm が「武器」 arm と同じわけである。
現代では、普通、「驚いた」は be surprised at などを使うだろう。
どうしても「驚き」「恐怖」の意味で使いたいなら、死の恐怖のある文脈で使うと、頭良さそうに見えると思う。
ジーニアスの例文でも、「シカは驚いて逃げていった」の例文で in alarm という用法を使っている。狩人や肉食動物などによる死の恐怖を感じたシカ的な用法。
しかし、ジーニアスによれば、恐怖の意味での alarm は「fear より固い語」である。
fear (フィエア)は「恐怖」「不安」である。まずfear は「恐怖」で覚えよう。4500語レベルではなく、桐原3000と旺文社1400にfearはある。あと東京書籍4500。
典型的な例文が、「高所恐怖症です」であり、ジーニアスと東京書籍にそういう例文がある。
I have a fear of heights. 「私は高所恐怖症だ。」
である。
単語集にはないが、辞書によくある例文が「恐怖で顔が真っ青になる」であり、
turn pale with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。センチュリーが pale (ぺイル)である。
ジーニアスだと、white を使い、
turn white with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。
なお、形容詞 fearful で「恐ろしい」「恐れている」の意味。
なお、horror で、戦場での死の恐怖も表現できる。日本語の「ホラー」のような幽霊やら悪魔などのオカルト限定のような制限は無い。
fear とスペルの似ている fare(フェア) は「運賃」「なりゆき」であり、意味がまったく違う。
ほか、スポーツの「フェアプレーの精神」などの意味の「フェア」は fair であり、スペルがまったく違う。なお、この形容詞 fairは「公平な」の意味である(桐原4500など)。
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の 名詞 fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である(桐原4500)。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
なお、ジーニアス和英の affair の項目によると、「時事問題」は current affairs である。
「浮気」とか「不倫」とかも affair と言う。恋愛雑誌やらで時々「アフェア」とか言う単語があるのは、この意味だろう。
なお、「外交」を一言でいうと diplomacy (ディプロウマシ)である(桐原4500など)。「外交官」が diplomat である。形容詞 diplomatic は「外交の」である。
さて、「警報器」alarm の典型的な例文が
「火災警報器」 a fire alarm
である。これは東京書籍も桐原も紹介している。
なお、スペルの似ているアラート alert は、alert は名詞では「警報」「警戒」の意味だが、形容詞では「警戒している」の意味がある。(桐原5500、旺文社1900)
また、形容詞でalert は「油断しない」の意味もある(東京書籍4500)。
単語集の「警戒している」の例文では、よく警察官や兵士などの警戒が出てくる。
警察官の場合なら、
The police officer is alert ・・・
で、「警察官は警戒している」の意味になる。
つまり、
~(人) be alert
の語順になる。
warning は「警告」である。翻訳の都合で「警報」と訳したほうが自然な場合もあるが、warning の意味としてまず第一に覚えるべきは「警告」である。
東京書籍で「洪水」 flood を見ると、「洪水警報」 flood warning がある。辞書 warning では確認できなかったが(ジーニアスとセンチュリーで、warningとfloodの両方を確認)、しかしセンチュリーいわく「空襲警報」が air-raid warning なので、たぶん洪水警報も合っているのだろう。
warn は「警告する」であり、医師が患者に「酒を飲みすぎないように警告する」とか(センチュリー)、嵐の接近を警告するとか(センチュリーとか)、そういうニュアンスである。
warn ◯◯(人) of ~ で「◯◯(人)に~を警告する」である。
記法を変えれば、
warn A of B 「BについてAに警告する」
です(桐原、旺文社、東京書籍)。
東京書籍が紹介していますが、
warn me of the enemy 「敵がいるぞと私に警告する」
です。
なお桐原は、喫煙の危険性(risk)を警告する例文です。ジーニアスは、旅路か何かの危険(danger )を警告する例文です。危険という概念で統一的に説明できそうですが、直接的に言い回しを覚えたほうが早いでしょう。
of はよく「~の」と中学で教わりますが、それだと意味が通りません。
さて、inform 「(情報などを)知らせる」という単語にも、
inform A of B 「BについてAに知らせる」
という語法があります。
桐原が
inform him of the result 「彼に結果を知らせる」
のような例文を紹介しています。
なお、典型例の言い回しは、
Please inform me of the change in ~ 「~の変更を私に知らせてくれ」
です(旺文社、センチュリー)。
ともかく、warn A of B は inform A of B と関連づけて覚えましょう。
桐原がそういう覚え方を進めています(warn と inform を同一ページで教えている)。
ただし、東京書籍のようなcrisis (危機)など関連語の紹介は、桐原では同一ページにないですが。どの単語集も、一長一短です。
なお、東京書籍3000には、なんと inform の項目がありません。information はあるのですが。
なお、information は数えられない名詞なので複数形が無いので、「2つの情報」は two pieces of information と表す。「ひとつの情報」は a piece of information です(東京書籍3000)。
桐原は、remind A of B(思い出させる) や convince A of B(納得させる、確信させる) や inform A of B と warn A of B や suspect A of B (疑う)などをまとめて、
「関連の of」という概念を提唱しています。
ただ、そう解釈しなくても、
このうち、「警告する」warn と「思い出させる」remind も情報提供の一種ですので、
「情報提供の of 」とでも言える概念で、
remind A of B と inform A of B と warn A of B をまとめられます。
だとすると、暗記するのは残りの
convince A of B (Bを納得/確信させる)と suspect A of B (B(容疑など)の疑いをかける)だけに減らせます。
このうち、 convince は、他人に何かの納得をさせる際に、説得などの情報提供が行われるでしょうから、広い意味での「情報提供の of 」と言えるかもしれません。暗記の負担がこれで減ります。
だとすると、残りは suspect A of B 「AにBの疑いをかける」です。
この場合、なんの情報提供もしていません。
また、of B の部分は形容詞的な意味です。
made of ~ で、「~を材料に作る」とかの意味であり、完成品を一目で見て材料が分かるなら made of です。
材料が、完成品を一目みてもわからない場合は made from ~ です。
この suspect A of B と made of B の共通する「of B」で、「性質の of」とかの概念を考えてもいいかもしれません(英語学でどうかは知りません。自己責任で)。
ほか、英文法で、「It is 形容詞 of 人」と「It is 形容詞 for 人」の使い分けなどがあります。人の性質を言う場合は「of 人」です。これから類推する方法もあるかもしれません。
まあ、最終的には suspect A of B 「AにBの疑いをかける」を直接的に覚えるしかありません。
warn ◯◯(人) against ~ing で「◯◯(人)に~しないように警告する」である。
たとえば、よくある例文が、「彼は道路を横断しないように私に警告した」(ジーニアス)あるいは川を渡らないように私に警告した(東京書籍)、であり、
He warned me of against crossing the river. 「彼は川を渡らないように私に警告した」
である。
動詞および名詞の caution は、動詞としては、たとえば医者などが肝硬変の患者に「酒を飲むな」と注意・警告するときの「注意する」「警告する」が caution である(桐原5500)。東京書籍4500の例文も、薬の取扱いの注意を caution としている例文。
ただし、辞書では、警察などの警告・注意もcautionである。このため、warningとの区別は、なかなか難しい。
ジーニアスが言うには、cautionのほうがwarningよりも軽いとのこと。
形容詞 anxious (アンクシャス)は「心配している」「不安に思っている」である。
be anxious about ~ で「~を心配している」である。
He is anxious about ~ なら「彼は~を心配している」である。
よくある例文が、「彼は試験の結果を心配している」であり、東京書籍とジーニアスにそれに似た例文がある、
He was anxious about the result of exam. 「彼は試験の結果を心配している。」
となろう。(wikiオリジナル)
ジーニアスだと、母親視点の「息子のテスト」だが、まあこういう例文がよくる。
be anxious for ~ は「~を切望している」である。
桐原の「新しいコピー機が欲しくてたまらない」なら be anxious for new copy machine である。
ジーニアスだと(私は)「新しいコンピュータが欲しかった」なので、
I was anxious for a new computer. 「新しいコンピュータが欲しかった。」(※ ジーニアスanxious例文から引用)
である。
名詞形 anxiety で「不安」「心配」「切望」である。東京書籍4500には「切望」が書いてないが、しかし桐原4500と旺文社1900には切望が書いてある。
なお、 eager (イーガー) は「熱望している」である。切望 anxious とは、ややニュアンスが違う。
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武器・兵器
weapon, arm
大量破壊兵器は weapons of mass destruction であり、略称は WMD である(桐原4500、旺文社1900、ジー二アス)。
また、核兵器は nuclear weapons である(桐原4500、旺文社1900、東京書籍、ジー二アス)。
だいたい、arms だと、「腕」(うで)と まぎらわしい。
兵器には、なるべく weapon を使うのが無難だろう。
なお、動植物の角(つの)や爪(つめ)や刺(とげ)なども、weapon である(ジー二アス)。
weapon は、日本では「兵器」と訳される場合が多いが、しかし英語では weapon は広く攻撃のための道具を表す用語である。
単語集にはないが、山川の英語版・世界史にあった単語で、
rearmament が「再軍備」である(ジーニアス)。ナチスによるドイツの「再軍備」みたいな文脈で rearmament を使える。
ほか、disarmament が「軍縮」である。啓林館 Vision Quest I(P.111) が「軍縮」disarmament を紹介しています。
なお、名詞 army は「陸軍」「軍隊」の意味です(桐原3000、旺文社1400(緑)、東京書籍4500)。
「海軍」は navy (ネイビー)です(東京書籍、桐原)。
「空軍」は air force です(東京書籍、桐原)。
「軍事の」は military です(東京書籍、桐原)。
陸軍と海軍も空軍もまとめて「軍隊」と言いたい場合、army だと陸軍とまぎらわしいので、military force という場合もあります(東京書籍)。
ただし、「軍事力」も military force です(桐原)。
このため、翻訳などの際は、文脈にあわせて、うまく訳してください。
軍「隊」との混同を嫌ってか、単語を power を使って「軍事力」は military power という用法もある(ジーニアス military、センチュリー power)。
ほか、「軍隊」を the armed forces と言ってもいい(桐原、forces )
「兵士」は soldier (ソルジャー)です(東京書籍、桐原)。
東京書籍いわく、さらに「将校」(しょうこう)は officer (オフィサー)です。
とはいえ、「将校」(しょうこう)と言っても、何のことだか分からないのが普通の高校生でしょう。
軍隊の上層部や、将来的にそうなる見込みの高い軍隊の大学を出た軍人や、あるいは同程度に一定以上の階級の高い指揮官のことを、将校と言います。
最下級の階級である兵士は当然、将校ではないです。
「兵士長」とか「軍曹」とかの現場の下の方の中間管理職も、ふつうは将校とは言わないです。ただし、文脈によっては、「軍曹」なども将校という場合があるかもしれません。
『「将校」という単語くらい知っとけや。日本史の勉強すれば出てくるんだからさ~』というのが、東京書籍の心のさけびでしょうか。
戦後の自衛隊ではあまり「将校」とは聞かなくなりましたが、海外の軍隊の説明だと今でも使います。
戦前でも、よく二・二六事件とかで「青年将校」がどうのこうの、という解説を読みます。こういう英語を知っていると、英語力だけでなく日本史などの知識も披露できて、頭よさそうに見えます。
桐原いわく「兵役」(へいえき)は military service です。
「英語を勉強するなら、こんくらい知っておけや」という桐原の心のさけびです。
まず、諸外国でもヨーロッパなどで今でも徴兵制、つまり兵役があります。2020年代でも、スイス、オーストリアは徴兵制があります。
ここでいう service とは、公共の下僕のような意味もあるかと思います。
たとえば「召使い」は英語で servant (サーバント)ですが、なんと単語集に書いていません。
桐原の単語周いわく、serve は「仕える」とか「提供する」とかの意味です(桐原4500)。
今ではネットのサーバー server とか、派生の名詞が使われています(ジーニアス、センチュリー)。
ただし、ネットの情報提供については、「プロバイダー業者」などというように provide が「(情報などを)提供する」の意味で好んで使われる場合もあります(桐原)。
交通インフラや電力インフラなどの公共インフラなどの提供も service です(ジーニアス)。慈善事業も service です(センチュリー)。
「兵役」(へいえき)は military service を覚えるときも、そういうのと関連づけて覚えましょう。
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安売り・特売
フェア、セール、バザール
sale のみ高校英語
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
なお、セールは英語でも sale で「安売り」(桐原3000、東京書籍3000)や「特売」(旺文社1200)や「バーゲンセール」(東京書籍3000)の意味がある。sell とは別に、sale (セール)「販売」という単語がある(東京書籍3000、桐原3000)。
なお、セールスポイントは英語で selling point である(旺文社1200(黄色)、ジー二アスで確認)。
セールスポイントは和製英語。
なお、単語集にはないが、セールスマン(販売員)は英語でも salesman であるが、男女平等の観点から salesperson という表現が米英では好まれるだろう(ジー二アス)。
salesman は、外交販売員(日本でいう「セールスマン」)にも使われるが、英語では単なる店員も salesman で表せる。
複数形 sales で「売り上げ高」の意味もある(桐原3000)。なお桐原では「売上高」3文字ではなく「売り上げ高」5文字の表記。
単語集にはないだろうが、バザーとの違いについて触れる。
ジーニアスによると、英語の bazaar は、慈善などの目的のために特別に催される市場である。だから教会などがバザーするわけである。しかし、イランなど中東の商店街のことも bazaar である。英語の単なる「雑貨屋」のことも bazaar という。
バザーを「安売り祭り」みたいな意味で使うのは、どうやら和製のようだ。
啓林館 Vision quest( P.62 )で、ディスカウント discount 「値引き」、バーゲン bargain 「お買い得品」などが紹介されていました。
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必要不可欠
不可欠な
essential, vital, indispensable
必要な
necessary
搾る squeeze, extract
搾取する squeeze, exploit
桐原4500に vital の意味は「生命の」とあるので、まずこれで覚えよう。
また桐原4500いわく、vitality の意味は「生命力」である。
入試では vital の他の意味の「不可欠だ」「活気のある」などが問われるかも知れないが、まずはvitalの単語のイメージが生命力であることをつかもう。
vial → 「生命に必要」→「不可欠」という連想、
および
vital → 「生命力にあふれる」→「活気のある」という連想、
で覚えれば、暗鬼の負担が減るだろう。
旺文社1900の例文で、「防衛戦略が国家の安全保障にとって不可欠だ」という例文で「不可欠」を vital としている例文がある。
これだって、「国家の生存に必要」→「国防に不可欠」みたいなイメージで把握できるだろう。
なお、桐原4500は「自転車が生活に不可欠」で不可欠がvital、東京書籍4500は「外国語が教育に不可欠」で不可欠がvital、という内容。
ともかく、vital は「活気のある」という意味もあるが、「生命の」とか「不可欠な」のような意味もある。
別の単語の話をする。
もし、単に「活気のある」「元気はつらつな」と言いたい場合は、形容詞 vigorous (ビゴラス)という単語でも一応は表現できる。東京書籍は「活発な」「力強い」と紹介しており、「活発な運動」 vigorous exercise という例文がある(東京書籍4500巻末)。ただ、辞書で 名詞形 vigor (ビガー)や 形容詞 vigorous の用例を見ると、「激しい(スポーツなどの)運動」とか「猛烈な抗議」とか、やや意味合いが強い用例も多いので、注意が必要であろう。
Z会のTOEIC対策本では、同じ vigorous exercise という単語を、「激しい運動がもとで、疲労で倒れた」という内容の文章で用いている<ref>松本茂 監修『速読速聴・英単語 Core 1900 ver.4』、Z会、2014年3月10日 ver.4第7刷発行、P.382</ref>。
このように、vigorous exercise は、いい意味でも悪い意味でも使う。
肉体的に元気のあるだけでなく、精神的にも「精力的な」という表現でも vigorous が使える。
なお、「猛烈な抗議」などの猛烈でも vigorous あるいは名詞形 vigor を使う(ジーニアス、センチュリー)。
protest a plan with vigor 「計画に猛反対する」(センチュリー)
make a vigorous protest 「猛烈な抗議をする」(ジーニアス)
である。
essential は「不可欠な」という意味。
だが、「エッセンシャル・オイル」essential oil という芳香性の油を考えれば分かるように、なんだか抽出物みたいなイメージ。
名詞形 essence 「本質」「エキス」で覚えるほうが理解しやすいだろう。
(なお、名詞 extract にも「エキス」「抽出物」「抜粋」の意味がある。extract は動詞として「抽出する」の意味もある。(東京書籍が動詞を紹介。旺文社は名詞も紹介。桐原は紹介せず)。動詞と名詞とで発音が異なる。名詞は エキストラクト。動詞は イクストラクト。「抽出」「摘出」の行為自体は extraction という名詞である(旺文社)。)
あるいは、「必須アミノ酸」が essential amino acid である(ジーニアスで確認)。
抽出ついでに言うと、abstract も「抽出」という意味(桐原4500巻末)。abstract には「抽象的な」の意味もあるが、まずは抽出の意味で覚えよう。というか日本語でも、「抽象的」の「抽」の文字は、「抽出」の「抽」の字である。なお、冒頭のab-は、ここでは分離を意味する接頭辞。absent「欠席の」のabとabstractのabは同じ意味(桐原4500)。
エッセンシャルの話に戻ると、たとえば、生物学書の『キャンベル エッセンシャル生物学』 "Campbell Essential Biology" という500ページ以上ありそうな分厚い生物学書がある。(なお、amazon米国版では何故かこの本が18歳以上が購入禁止なのでリンクは紹介しない。)
エッセンシャルというのは、そういう感じの意味。
桐原では、「食事は不可欠だ」みたいな例文でも essential を使っている。
なお、「食事」は英語で meal (ミール)である(essential の文に合うかどうかは知らない)。
食事しないと死ぬので、生命維持の観点では vital でもあるが、しかしそういう死を防ぐためのものでも essential で言い表す場合もある。
さて、単語集によくある例文が、「~は健康に欠かせない」 be essential for good health であり、東京書籍と桐原がそうである。
東京書籍だと「運動は健康に欠かせない」、桐原だと「食事は健康に欠かせない」的な内容である。
運動 exercise なら、
Exercise is essential for good health. 「運動は健康に欠かせない。」(東京書籍4500より引用)
である。
「搾る」の extract を squeezeのニュアンスの違いについて。
extract は「抽出する」が第一の意味のようなものである。
-tract が「引っ張る」という意味でもあることから想像できるように(センチュリー)、extractは、目的物を、自分の方向に向かってこさせるイメージである。
だからextractで果汁を「しぼる」のは、その手段にすぎない。
だから、濃縮エキスの抽出のような、搾るだけでは不可能なことも、extract なら出来る。
ほか、薬品などを使って何かの成分を抽出するのも extract である(ジーニアスで確認)。
ほか、歯科医が歯を抜くのも extract である(センチュリー、ジーニアス)。
パソコンのファイルの圧縮・展開でいう「展開」も extract です。
いっぽう、extract には「抜粋する」の意味や、抜粋して「要約する」という意味もあります(センチュリー)。
抜粋すると情報量が減るのに、圧縮ファイルを展開すると情報量は増えます。
妙に感じるかもしれません。
しかし辞書でextract を調べると、秘密などの情報を「聞き出す」「暴き出す」のような意味もあります(センチュリー)。圧縮していて読み取れない情報を「暴き出す」ようなイメージでしょうか。
もっとも、最近のパソコンでは、オペレーティングシステムが高度なので、圧縮されたままでも読み取りのできる場合もありますが。
逆に、圧縮・展開の「圧縮」は compress です。
日本でも、機械などの空気圧縮機でいうコンプレッサーなどの外来語で有名です(ただし、高校生には目にする機会(チャンス)がないかもしれません)。しかし意外なことに単語衆にはcompressはありません。
高校・中学でIT教育が必履修になるなどしてもう年月も経ってますので、どうせあと10年か20年したら「圧縮」・「展開」などIT用語も英単語に加わるでしょうから、先手を打って、このページにまとめておきます(ならないとしても、もしその場合は実務では役立たずなので未来の高校英語の単語衆に価値ないので、価値ない単語集に従う必要ないです。私たちが目指すべきは、大学合格する英単語ではなく、仕事で使える英単語です。仕事を無視した英単語学習をしても最終的に淘汰されるだけの弱肉強食です)。
英語だと、たとえばジーニアスでは、自動車エンジンにおける空気の圧縮のことを compress で表現しています。
なお、空調機のエアコンの「コン」はコンディショナーの略ですので、混同しないように。
センチュリーを見ると、コンピュータ用語のファイル圧縮も compress だと書いてあります(センチュリー、ジーニアス)。
ほか、綿(わた、めん)などを圧縮して小さくするのも compress です(センチュリー)。
ややこしいことに、compress にも、話を「要約する」という意味があります(センチュリー、ジーニアス)。
いまどき、「要約」はsummary でしょうから、compress は綿やファイルなどを「小さくする」(つまり圧縮)の意味で覚えるのが良いと思います。
まとめると、
ファイルの「圧縮」は compress です。
ファイルの「展開」は extract です。
さて、「しぼる」の話題にもどります。
squeeze は、にぎるように力を内側に押し付けるイメージである。だから squeeze で、資金を「圧迫する」なども表現できる。
では、具体的に extract と squeeze のニュアンスの違いを見ていこう。
「エキス」や「抽出する」のextract について。
extract juice from a orange で「オレンジからジュースをしぼり出す」「オレンジの果汁を搾る(しぼる)」
の意味(センチュリーや旺文社)。
文脈によっては、oranges ではなく an orange でも構わない。ジーニアスでは、レモンの複数形 lemons から果汁を搾り取っている。
「搾る」は、squeeze もある。
果物などをしぼって果汁をとるのが典型的で、
squeeze a lemon 「レモンをしぼる」
が典型的(センチュリー、旺文社)。
果汁を明示したい場合
「オレンジから果汁をしぼる」squeeze juice from an orange と言える(東京書籍4500の巻末。ジーニアスだと lemon で似た例文)。
squeeze lemon juice on ~(食品など) で「レモン果汁を~にかける」である(桐原4500、ジーニアスに似た例文)。
「労働者をしぼりとる」「労働者を搾取する」のような表現でも、squeeze を使える(桐原5500、センチュリー)。
なお、いわゆる「ブラック企業」のような会社(労働者を低賃金で長時間働かせる工場など)は、英語では sweatshop (スウェトシャプ)といい、「搾取工場」などと訳される(旺文社1900)。sweat (スウェト)は「汗」という意味の名詞である(桐原4500)。東京書籍4500は sweat および sweatshop を紹介せず。
なお、動詞 exploit 「搾取する」である(旺文社1400(緑)、桐原4500)。
典型的な例文が、
exploit one's workers 「労働者を搾取する」
であろう(ジー二アス、東京書籍、旺文社に似た例文)。
ほか、exploit には、たとえば地熱発電や自然資源などといった資源などを「開発する」の意味や(旺文社1400、桐原4500)、機会などを「利用する」という意味もある(東京書籍4500)。
家計のやりくりなど、なんらかの資金のやりくりなどで、お金をなんとか「絞り出す」というのにもsqueeze は使える(センチュリー)。
ただし、ほかの意味で squeeze には予算などを「圧迫(あっぱく)する」という意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
資金のやりくりと、資金の圧迫では、ほぼ逆の意味になるので、読解のさいには文脈からどちらなのかを読み取ろう。
squeeze には「押し入る」「押し込む」や、人ごみや席などへの「割り込む」「割り込ませる」という意味もあり(センチュリーが押し入りと割り込み。ジーニアスは割り込み のみ)、旺文社が「押し入る」を紹介している。「圧迫する」から「押し入る」などを連想しよう。
indispensable 「不可欠な」は桐原5500巻末や旺文社1900本文と東京書籍4500巻末が紹介しているが、これを直接に覚えるよりも前に、まず、銀行などの「現金支払い機」dispenser (ディスペンサー)を覚えよう(ジーニアスで銀行の「現金支払い機が dispenser だと確認)。
動詞 dispense は、「分配する」とか、機械が「出す」という意味である(ジーニアス、センチュリー)。
なので、コーヒーなどの自動販売機も dispenser である(センチュリー)。
で、形容詞 dispensable は「それほど必要ではない」「なくても済む」の意味である。
「自分はなくても済むので(dispensable なので)、他人に分配できる(dispense できる)」→「分配する機械がデイスペンサー」とでも、こじつけて覚えよう。
で、in- はここでは否定の接頭辞なので、
indispensable 「必要なので分配するわけにはいかない」→「つまり、必要不可欠」→単に「必要不可欠」と言えば済む
のように indispensable を覚えるのが、関連の語彙も覚えられて一石二鳥だろう。
旺文社1900だけ、indispensable の項目で、派生語の dispense 「分配する」「施す」「~なしで済ませる」を紹介している。
桐原5500は、indispensable の類義語で、essential や integral を紹介している。
be indispensable for ~(ないと困る物) 「~は必要不可欠である」
のように使う(旺文社1900、東京書籍4500)が、文脈によっては for でなく別の前置詞や接続詞の場合もある(桐原4500)。
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要約
summary, brief
summary (サマリー)が「要約」の一般的な語でしょう(特に出典は無い)。
要約のまとめ方や業界によって、outline (アウトライン)や brief (ブリーフ)など、別の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
「要約する」の意味が、extract 、compress 、summarize などの単語があります。要約のことを summary (サマリー)と言います。サマリーの動詞形が summarize (サマライズ)です。
ほか、brief も、名詞では「簡潔な説明」の意味、動詞では(読みやすいように手短かに簡略化された説明にする、という意味での)「要約する」の意味です。
桐原4500が brief を「要約」の意味で紹介しています(桐原4500)。
in brief 「手短かに」
の意味です(桐原、旺文社)。
また、
keep it brief 「手短かにする」
です(東京書籍、旺文社)。it の部分は、必要に応じて適した目的語に変えます。
名詞形 briefing は、「簡潔な説明」の意味もありますいが、「事前の打ち合わせ」の意味でも使われます(旺文社)。
compress と extract は、現代ではコンピュータ上の処理で使うし、現代の商業の著作物の大半はパソコンで作られているので、やや使用の歳には注意が必要かもしれません。
summarize のほうがいいかもしれません。
一方、 summarize もまた、辞書や単語集では「要約」を名詞 summary と簡単に言いますが(桐原4500、旺文社1900)、実はサマリー summary と日本語の「要約」は微妙に違います。
英語では、1~2行ていどの短文で短くまとめることを summary と言うこともよくあります。brief だと「記者会見」など別の意味に誤解されるからか、本来なら "brief" というべき単なる1~2行ていどの事実報告でも英米では summary でそういう1行程度の事実報告を言い表す場合もあります。
brief だと、たとえば press briefing が「報道向け説明会」で使われたり(ジー二アス)、briefing session が「定例記者会見」だったり(ジー二アス)、ややニュアンスが「要約」とは異なります。全体像を理解しやすくするよりも、brief は短時間に発表することがニュアンスにあります。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。execution は「処刑」の意味です。
この例のように、summary は日本の「要約」とは、ややニュアンスが違う場合もある。
さて、米英の外交官の著作した回顧録(かいころく)の出版物で読んだのですが、
外交官は、定期的に サマリー summary という1~3行ていどの事実関係の報告を本国によく送るするらしいです。
日本語では、新聞やテレビのニュースにおける「短信」(たんしん)が短いので、近いでしょうか。
大使館の職員でもありますから記者会見(ブリーフィング)とは区別する必要もあるでしょうから、brief ではなく summary でそういう短いを言うのも合理的でしょう。
なお、「回顧録」(かいころく)は英語で memoir (メモワール)です(旺文社1900、ジー二アス)。単語集では、旺文社1900にのみあり、受験英語としてではなく英検準1級対策として紹介されている語です。桐原4500・5500および東京書籍4500にはありません。
外交官とか、この手の報告では、分析は極力交えず、事実だけを報告します。分析は、別途、本国のほうで行ってもらうのです。こうすることで、外交官は情報収集にのみ専念できます。
外交官は滞在先が友好国とは限りませんし、(自国以外との)紛争当事国などの場合もあります。もし友好国でない場合、もしかしたら滞在先の警察や軍隊によって通信が盗聴されたりしているかもしれません。そういう環境で、あまり分析を外交官側で行うべきではないでしょう。
なので、ともかく summary のほか、日本語には「要約」の他に適切な表現があまりないので、summary の訳は「要約」で通じますし、辞書や単語衆にも「要約」だと書いていますし、「まとめ」でも構いません(旺文社)。
「要約」のほか、ジーニアスには「概略」や「大要」、センチュリーには「概要」や「大略」なども書いてありますが、しかし上述のように、1~2行ていどに縮めて報告する書類形式というビジネスなど実務での背景がありますので、いちばん短い感じのしそうな「要約」が無難な表現でしょう。
実際、単語集にも、名詞 summary は「要約」で紹介されています。
これから紹介するのは高校範囲外の単語ですが、英語では、1行要約ではなくて、せいぜい5~8行くらいの文章で要点を列挙して書いたのは outline (アウトライン)などと言います(※高校の範囲外)。
アウトラインを書く場合も、できえば箇条書きにするなどして(ジーにアス)、全体構造を見やすくする必要があります。
ジー二アスには行数の条件は書いてないですが、普通、箇条書きされた説明は、長くて5~8行ていどのものでしょう。1行の箇条書きとか意味不明ですし、100行の箇条書きとか論外です。
ジーニアスいわく、そういう箇条書きされたものが本来のアウトラインとのことです。ジーニアスでは「概略」「概説」、センチュリーでは「概要」「あらまし」を outline
訳にしています。
outline の訳語を覚えるよりも、『箇条書きする等して手短かにまとめたものを「アウトライン」という』と覚えたほうが応用が利くでしょう。
仕事の報告での情報のやりとりなどで、もし1行要約だと短すぎて情報不足なときに、アウトラインによる報告が役立ちます。そういう使い分けをするのが大事です。
もしかしたら英米人のなかには、そういう使い分けをしない人もいるかもしれませんが、そういう人はレポートの書き方を知らない人であり、つまり知的レベルの低い人なので、相手する必要はないです。
まとめると、summary が「要約」の一般的な語だとみなせるでしょう。
要約のまとめ方や業界によって、outline や brief など、専用の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
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重要 crucial, important
決定的な crucial , decisive
4500語レベルの単語集に crucial (クルーシャル)と言う単語があって「決定的な」「主要な」という意味である。
だが、decisive という「決定的な」の意味の単語がある。(東京書籍4500に単語だけ紹介されている。旺文社1900の巻末の章に、単語だけ「決定的な」「断固とした」と意味が紹介されている。桐原4500にはない。桐原5500にある。)
ジーニアスいわく、「決戦」は a decisive battle である。
ジーニアスの例文では、decisiveは「将来を決定する」という意味もあると説明している。
東京書籍4500の crucial 項目の例文で、「そのオーディションに合格することは私の将来にとって決定的な意味をもっている」とある。
ジーニアスでcrucialを見たら、「重要である」という意味であり、例文が「我々が決勝戦に勝つには、彼の支えが重要である。」の「とても重要である」が crucial である。なお、「決勝戦」はその項目を見る限りは the final match である。
crucial の意味で、桐原と東京書籍には「決定的な」と書いてあるが、正直、decisiveのような断固とした気迫が足りない。「決戦」で負けると死ぬが、オーディションで負けたり「決勝戦」で負けても死ぬわけでもあるまい。
あまり論理的ではないが、decisive は、おそらくスペルが同じく"d"から始まる determination 「決心」「決意」の影響を受けてきたのだろうか。
動詞 decide と動詞 determine の違いについては、別セクションで語る予定。
crucial の意味は「非常に重要な」(桐原)で十分だろう。旺文社1900に至っては、「決定的な」の意味は紹介せず、crucial では「重要な」として紹介していない。
まあ、important よりかは重要度が高いつもりのニュアンスでしかないだろう。
旺文社1900では「書類を確認する際は注意することが重要である。」でcrucial を用いている。
桐原4500では「国際貿易はこの国の発展に非常に重要だ。」で crucial を用いている。
まあ、センチュリーcrucial の例文にあるように「彼のホームランは我々の勝利を決定的にした。」でcrucial を用いているように、命をかけるほどでもない野球の試合でも決定的な瞬間はあると思うので、そういう場合は crucial を使うのも良いだろう。
桐原5500にcrucial で「命にかかわる」の意味を紹介しているが、しかしジーニアス英和およびセンチュリー英和では確認できなかった。
そもそも vital という「生命維持に必要な」の意味の形容詞がある(センチュリーで確認)。
そもそも「重要」という概念自体、言葉の割には、vital のような生命への必要不可欠さが足りない。
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外国の
alien, foreign
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
「Foreign Affairs」は直訳すれば「外交の関心事」みたいな意味の雑誌名であろう。
なお、日本の「外務省」も英語版ホームページでは Ministry of foreign affairs である<ref>[https://www.mofa.go.jp/index.html "Ministry of Foreign Affairs of Japan" ] 2022年5月4日に確認. </ref>。
海外旅行とか海外出張とかでは必要な単語のひとつなので、頭の片隅に入れておこう。
ministry とはイギリス英語で省庁のこと。ただしアメリカでは、省庁を department と呼んでいる。
つまり日本政府は、「省庁」についてはイギリス英語を採用。
デパートなんて百貨店っぽい。なお百貨店は英語で department store である。
なおイギリスでも、新設の省庁については department を用いることもあると、ジーニアスは説明している。
さて、「省庁」の呼び名には、あまり深入りしてほしくない。
それより重要なのは、「大臣」 minister である。
大臣のことを minister という。単語集では「大臣」minister の項目に書いてあるが、「外務大臣」は foreign minister である。
今の単語集にはあまり書いてないが、昔はよく「総理大臣」は英語で the prime minister だと高校で習ったものである。いちおう、東京書籍の例文中に「総理大臣」the prime minister がある。桐原には書いてない。
説明の都合上、先に「省庁」 ministry を紹介したが、覚えるなら先に「大臣」minister から覚えたほうが良い。
語源としても、ラテン語で「従者」とかのことをミニステルと言うので、先に「大臣」→「省庁」の順番で単語ができたと考えるほうが合理的である。ジーニアスにも、ラテン語とは買いてないが、「召使い」がminister の語源だと書いてある。
prime については、主要という意味での「第一の」という意味である。センチュリーにある訳語だが、「第一位の」というのがニュアンスに近いだろう。
primeの語源はもともと、カトリックの日課の「最初の」礼拝のこと(ジーニアスで確認)。
primeはこういう意味なので、単に一番目であるだけでなく、さらに重要性の高いものに使われるというニュアンスがある。
ただし、実際の用例では、国家一番や世界一番でなくとも、たとえば肉が美味しい場合でも「極上の肉一切れ」 a prime cut of meat という風にも使う(ジーニアスで確認)。センチュリーにも似た例文がある。
「全盛期」、「絶頂期」という意味もあり、 in prime of his life(またはcareer) 「彼の人生(またはキャリア)の全盛期」みたいにも使う。
「全盛期」には、ほかに短い類義語が無さそうである。和英辞典で「全盛」を見ると、prime のほかに pride とか summer があるが、しかし英和でそれらの項目を確認しても、ニュアンスが違う。pride のほうは、pride of place という語句で「最高位」「最上位」という意味だし、summer は人生における「壮年」などの比喩でしかない。
名詞 foreigner は「外国人」 である。ただ、英語ではこの言い方は差別的な意味合いがあるとのこと。桐原3000いわく、なるべく、たとえば「カナダ人」 Canadian など具体的に言うべきとのこと。
alien
alien (発音: エイリアン)は「宇宙人」という意味があるので、なんとなく、あまりよくないイメージを読者は持ちがちかもしれないが、しかしジーニアスで確認すると、法律上の用語で「外国の」「異国の」という用法がある。
センチュリーによると、市民権をもたない外国人のことを alien と言うとのこと。
alien は、名詞も形容詞も同じスペルの alien である。
名詞 alien は「外国人」「宇宙人」の意味。
形容詞 alien は「外国の」「外国人の」の意味と、「異質の」「なじみがない」の意味。
よくある例文が「その習慣には、なじみがない」で、習慣 custom に alien で「なじみがない」という内容の英文を東京書籍とジーニアスで見かけた。
語法は、
~(習慣など) is alien to □□(人々)
で、
「~(習慣)は□□(の人々)には、なじみがない」の意味。
たとえば、 alien to us なら「私たちにとって、なじみのない」という意味(ジーニアスおよび桐原)。
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国内の
domestic, internal (※範囲外)
「国内総生産」GDPは gross domestic product のことである。domestic violence は「家庭内暴力」である。
「国内の」という意味での domestic が、「外国の」 foreign の対義語である。
domestic ⇔ foreign
さて、 「国内の」 を意味する形容詞 internal は、「国内問題」というとき internal affairs という(ジーニアス、センチュリーで確認)。
なお、数学の図形の幾何学の、「内角」も internal angle である(ジーニアスで確認)。
internal には医療などで「内服の」や「体内の」などの意味もあるが、共通の例文が確認できなかったので、説明を省略する。
なお外角は external angle または exterior angleである(ジーニアス和英で確認。英和にはない。和英)。
なお、「幾何学」は geometry (ジオメトリー)である(旺文社1900)。なお「地理学」はgeography (ジオグラフィー)である(桐原4500、東京書籍4500)。「地形」や「地勢」などもgeography である(東京書籍)。
geo- (ジオ)というのは「地球の」とか「地理の」という意味だが(ジーニアス)、幾何学にも使う。おそらく、古代のヨーロッパでは幾何学の知識を活用して、地図などを作成していたのだろう。
「ユークリッド幾何学」は英語で Euclidean geometry である(旺文社1900、)。「ユークリッド幾何学」というのは、日本では中学の数学で、図形の証明として習う、あの理論の体系のこと。「タレスの定理」とか「中心円の定理」とか、あそこら辺が「ユークリッド幾何学」。紀元前のギリシアの数学者エウクレイデスの名前にちなんで、英語読みでユークリッドになる。
なお、X-Y座標を使って計算する座標幾何学は、ユークリッドではなく「デカルト幾何学」という別の理論体系。デカルトは中世フランスの数学者。デカルトあたりが、座標幾何学の理論を整備しはじめたので。
さて、形容詞 interior は「内部の」という意味の形容詞だが(ジーニアス)、しかし普通は家や自動車の内壁に対して interior を使う(ジーニアス)。
ジーニアス英和の interior によると、幾何学の「内角」を interior angle で表してもいいとのこと。旺文社1900も東京書籍4500も、建築物の「室内の壁」を the interior walls としている。なお、東京書籍は「内部の壁」と和訳。
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生産量
output, production
「生産」を意味する production に、「生産高」の意味もある(ジーニアス)。なお、単語集では、prodcution の「生産高」の意味までは説明していない(東京4500、桐原4500、旺文社1900を確認)。
increase production で 「生産量を増やす」である(ジーニアス)。センチュリーでも、文章は違って完了形などになるが、「映画製作が減少」という内容の文で production を生産量の意味で使っている。
より平易に output でも「生産高」を言える(旺文社、ジーニアス)。
工場などの生産高から(ジーニアス)、芸術などの産物まで(センチュリー)、output で表現していい。
production や produce には、「大量生産」のようなニュアンスがある(東京書籍)。
なお「大量生産」は mass production である(センチュリー)。
なお、テレビ番組や音楽作品などの生産から、その生産された作品なども production である(ジーニアス)。
output の対義語は input である。
つまり
input ⇔ output
である。
input で、名詞としtrは、仕事や活動などへの資材や労働力などの「投入量」、コンピュータへの「入力」を意味する。また動詞としては、「投入する」や「入力する」の意味である(ジーニアス、センチュリー)。
旺文社の単語集には、inputに投入量の意味がないが、しかし辞書で「投入量」を確認できる。
同様に、対義語のoutput は、仕事や活動などの「生産高」や、コンピュータからの「出力」である。動詞としても同様に「産出する」(ジーニアス)や「結果を出す」(センチュリー)や「出力する」である。
input には、仕事・活動などへの援助としての情報提供やアイディア提供などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
東京書籍や桐原の単語集には input や output が見当たらなかった。だがこれからのIT時代、必要になる単語であるので、ぜひとも意味を理解しておきたい単語である。
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「外国」と「海外」
外国へ abroad
海外へ overseas
「外国に」「外国へ」は abroad であり、副詞である。
「海外に」「海外へ」は overseas であり、副詞である。
overseas は字ヅラだけ見れば、海を越えて外国に行くことだが、アメリカでは実際にはヨーロッパへ行くことに使われる事が多い(ジーニアス)。
travel overseas で「海外へ旅行する」である(旺文社)。
travel abroad で「外国へ旅行する」であるが、東京書籍では「海外へ旅行する」と訳している。
from overseas で「海外から」である(旺文社)。
abroad の典型的な例文が、
「私は外国へ(一度も)行ったことがない。」 I have never been abroad.
である(東京書籍、桐原)。東京書籍と桐原で、同じ英文。桐原のほうには和訳で「一度も」がある。
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結果
result, outcome, consequence
桐原4500と東京書籍4500の後半にoutcomeの単語の紹介があるが、良書とも解説を諦めている。
単に 結果のことを result だけでなく outcomeとも言うと、知っておくしかない。
consequenseは、単に「結果」を、固い言い回しにしただけであるが、東京書籍4500によると、「通例望ましく結果にconsequenceを用いる」とこのこと。
センチュリーと東京書籍に「深刻な結果」 a serious consequence と言う例文がある。
副詞 consequently は「その結果として」「したがって」の意味。
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考え
concept, notion ,ほか(idea, thought ,など色々ある)
concept は、たとえば相対性理論の考えだとか、割と抽象的なことに使う。桐原4500いわく、「アインシュタインの相対性理論の概念」は Einstein's concept of relativity である。
notion は、そこまで抽象的でなく、たとえば人生観(ジーニアス)とか宗教観(センチュリー)とか。
ジーニアスでは「人生は航海だという考え」の「考え」を notion としている。
旺文社だと「概念」と言ってるが、無視していい。
概念というより「観念」だろう。
あるいは「観念」という用語をしらない高校生に向けて「概念」と書いたのかもしれないが、そんな底学力層のことは読者は気にしなくていい。
その他、ジーニアスで「意見」、センチュリーで「意向」だと言ってるが、両辞書で説明が一致しないので無視する。
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「規範」と「基準」
規範 code
基準 normal
(学校などの)規律、しつけ discipline
普通 normal, ordinary
「行動」と「指導」と「行儀」、「実践」
行動 conduct(指導のニュアンス)、behavior (行儀のニュアンス)、practice(理論・理念の実践)
習慣・慣習 practice 、 custom、クセ habit
codeには「規範」「暗号」「法典」などの意味がある。
まず、codeの規範について。
ドレスコード dress code は「服装規程」のことである。「ドレスコード」「服装規程」とは、たとえばクラシック音楽コンサートホールとかの上流階級っぽい施設に入場しようとするとき、どんなに金を持っていても、もし服装が短パンとかジーパンとかだと入場を断られることがある。
成人男性の場合なら、背広とかのフォーマル formal な服装とかでないと、そういう場所には入場できないのである。そういうのをドレスコードと言う。
商業施設に限らず、たとえば冠婚葬祭(かんこん そうさい)とかの行事でも、その内容に見合った服装が求められる。
旺文社1900の例文が例文としてドレスコードを紹介しており、まさに大学進学を目指す階級にふさわしく、とても良い。
ダジャレだろうけど、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコード press codeという。普通に科目「日本史B」とか「日本史探究」で、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコードと言うと習う。ついでに覚えよう。英和辞典には press code は見当たらず、どうもGHQの造語っぽい。
ドレスコードの場合、codeは訳では「規則」や「規程」ではあるが、マナー的なニュアンスもある。
ジーニアスで確認したが「不文律」 code of silence という単語がある。
「行動規範」 は a code of conduct である。
ここら辺の表現が、上流階級に求められるマナー的な code であろうか。
その他、ビジネスライク名表現だが、「業務規程」 code of practice というのもある。
なお、「行動規範」 は a code of conduct のついでに言うと、「行動」conduct も類義語があり、behavior が類語後である。なお、旺文社ターゲット1400(中級の難度の本)が、conduct と behave を同じページで紹介している(おそらく旺文社もこれを類義語だと見なしているのだろう)。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多い.音楽の「指揮者」をコンダクター conductor と言うのも、これだろう。
The orchestra was conducted by Seiji Ozawa. そのオーケストラは小澤征爾によって指揮された。(東京書籍4500)
とか
conduct the orchestra オーケストを指揮する(桐原3000)
とか典型。
高校英語では出ないだろうが、物理学の電気伝導のことを conduct という事もある。conduct には、指導とか伝導とかのようなニュアンスがある。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多いが、必ずしもそうとは限らない
conduct interview インタビューを行う(東京書籍4500)
conduct research 調査を行う(旺文社1400)
のように調査研究を行うのに使う場合もある。
behave は、動詞「ふるまう」だが、ニュアンス的には「行儀」のニュアンス。
behave oneself で「行儀よくする」(桐原3000、旺文社1400)
I can't stand His behavior. 彼のふるまいには我慢できない. (東京書籍4500)
東京書籍の例のように、behavior そのものには、指導的なニュアンスは無く、行儀が悪い場合にも使うようである。
conduct は動詞。「行う」、「指揮する」。「指揮者」は語尾が異なり conductor である。
behavior は名詞で「ふるまい」「行動」。behaveは動詞で「ふるまう」。
ほか、practice に、理念や理論などの「実践」の意味があり、単語集にもあります(桐原4500、旺文社ターゲット1900)。
practical 「実践的な」「実用的な」という単語もあるので(東京書籍4500、)、これと関連づけましょう。ほか、思想用語ですが、プラグマティズムという語があり、米国的な実用主義のことです。なお、プラグマティズムはドイツ語やギリシア語が語源なので、高校生には深入りは不要。
熟語で put ~ into practice で「~を実践する」
put his new ideas into practice 「彼の新しいアイデアを実践する」(旺文社1900、ジーニアスに似た例文あり)
the idea to put his ideas into practice 「彼のアイデアを実行するチャンス」(桐原4500)
とか典型です。なお桐原3000にもpracticeがありますが、3000では練習の意味しか書いてません。
practice his religion 「宗教を実践する」(ジーニアス、桐原5500をもとに作成したオリジナル)
She practices vegetarianism. 彼女は菜食主義を実践している。(東京書籍3000そのまま)
ほか、
practical experience 「実地の経験」(東京書籍4500、桐原4500)
が典型です。
対義語は theoretical 「理論上の」です(東京書籍4500、桐原4500)。セオレティカルと、語尾がティカルになります。セオ「リカル」ではないです。セオ「レティカル」です。
「実用的な車」 practical car (東京書籍4500)、実地の経験ある大工 practical carpenter (三省堂グランドセンチュリー)
たぶん大工が高校範囲でないので、東京書籍が気を利かして car 「車」に置き換えたのだろうと思います。
なお、理科などの実験は experiment です(東京書籍3000、旺文社1900)。
旺文社1900だとpracticeとexperiment が同じページに書いてあり、おそらく、類義語のようなものと見なしています。
practice には「練習」の意味があります。というか、先に「練習」の意味のほうを、多くの中高生用の学校用の単語集では習います。
exercise にも「練習」の意味がありますが、上記のように practice は宗教や思想にも使うので、なんかニュアンスが少しだけ重いです。
また、単語集には無いですが、practiceには「慣習」の意味もあります。「練習」などの派生的に覚えましょう。
宗教とか地域文化とかそういう単語で practice が使われている場合は、宗教の実践なのか、それとも宗教の慣習なのか、どちらなのか判別が面倒です。このため、入試では要求されないでしょう。あまり特定の宗教に深入りするのも入試的にアレですし。
慣習・習慣 practice 、custom、habit
custom は、社会の習慣でも(東京書籍4500、旺文1900)、個人の習慣でも使う(桐原3000で個人の習慣を紹介)。
社会の慣習の意味の場合、custom と practice の区別は難しい。
custom やhabitは、意外と難度の高い単語と見なされており、東京書籍4500や旺文社1900など上級レベルの単語集でも紹介されてる。
habit は個人の習慣。個人の「癖」(くせ)が habit である。
このためか旺文社1900および東京書籍4500では対比として custom を「社会的な慣習」としているが、しかし実は個人の習慣にも custom を使う(桐原3000)。
the custom of visiting shrine on Wew Year Day 「神社を新年に参拝する風習」(旺文社1900)
the custom of giving year-end gift 「お歳暮を贈る慣習」(東京書籍4500)
もちろん日本以外の外国にも custom を使ってよく、
another country's customs 「他国の慣習」(桐原3000)
habit で入試で典型的なのが、個人の食習慣。
well-balanced eating habits 「バランスのとれた食習慣」(旺文社1900)
the habit of eating between meals 「間食の習慣」(東京書籍4500)
She has a habit of playing with her hair when she's nervous. 「彼女には緊張すると髪をいじるくせがある」(桐原3000そのまま) ※辞書を見ても他にろくな例文が無いので、そのまま紹介
habit of ~ing で「~する習慣」である(旺文社1900)。
She has a habit of speaking quickly when she is angry. 「彼女には起こったときに早口で話すくせがある」(東京書籍4500そのまま)
つまり単語集の典型例として、
He / She has a habit of ~ing ○○ when he/she is □□. 「彼/彼女には□□したときに〇〇を~するくせがある」
この桐原の例のように、無意識の「癖」にhabit を使う。
だが、他にも、喫煙とか麻薬とかそうのの悪癖にも habit を使う(ジーニアス)。この悪癖は入試には出ないだろう。辞書を見ても、麻薬とかそういうのの habit ばかりなので、桐原の髪の例文をそのまま紹介させてもらった。
しかし、良い習慣にも habit を使っても良い(東京書籍4500など)。
healthy habits 「健康的な習慣」(東京書籍4500)
habit of rising early 「早起きの習慣」(ジーニアス)、habit of getting up early 「早起きの習慣」(グランドセンチュリー)
「習慣」の意味で practice を使う場合、地域などの集団の慣習。宗教とか風土とか。 ※ 入試範囲外だが汚職などの悪風の場合も、practiceを使う(ジーニアス)。
マナー以外にも code は使い、「民法」は the civil code , 「刑法」は the criminal code である。
だが、「lawで十分じゃん?」と思ったのか、東京書籍4500ではcodeの項目を見ても「暗号」しか紹介していない。なお、桐原4500の例文が、アメリカの各州の刑法 criminal code の違いの話題(いわゆる「州法」)。
おそらく東京書籍は、マナーの話をしたいなら manner で済むだろう、という発想だろう。なお、manner も英語であり、東京書籍4500にもmannerが書いてある。
「暗号」については、典型的な例文が
「暗号を解く」 break a code
である(東京書籍4500, 桐原4500)。
normal (ノーマル)は、日常的には「普通の」「平均的な」という意味である。
だが、学問としては、労働などの「基準量」の意味を覚えておきたい。
日本では最近はすたれた言い回しだが、ソ連語の由来で「ノルマ」という、たとえば1日あたりの、しなければならない労働の最低量として「ノルマ」という語があった。
単語集にはないが、辞書で normal の意味に、数学の「直角の」という意味もある。おそらく、古代ギリシア人あたりが、角度の基準として直角(90度)を採用したのだろう。
なお、数値的な「平均の」を言いたいなら、 average である。形容詞「平均の」も名詞「平均」も average である。桐原4500では、normal のページといっしょにaverage も書いてある。
normal の対義語 abnormal は「異常の」「異常な」の意味である。
逆に考えれば、normal の意味は、「通常の」「正常の」でもある。桐原のnormal に「正常な」が書いてある。東京書籍の副詞 normally に「通常は」が書いてある。
ordinary 「ふつうの」「平凡な」は、よく「生活」と結びついて、ordinary life 「ふつうの生活」(東京書籍の訳)または「平凡な生活」(桐原の訳)
ordinary はこのように、並外れた部分がないというニュアンスがある。
逆に対義語の extraordinary は、「並外れた」の意味である。
「異常気象」は extraordinary weather である(東京書籍、ジーニアス)。
単語集にはないが、「臨時国会」も an extraordinary Diet session (ジーニアス)あるいは an extraordinary session of Diet (センチュリー)のように言えることも、覚えておきたい。なお、Diet とは、日本の「国会」のこと。外国の国会の呼び名は違っている場合も多いので、外国の国会のことを言いたい際には、その国ごとの呼び方を調べること。
そのほか、ルールに従わせるための統制や、そのための訓練のことなどを、 discipline という。
子供の「しつけ」や、学校の規律などが discipline である。
ジーニアスいわく 「学校の規律」 school discipline である。
また、センチュリーいわく「学校での規律」は discipline in school である。
子育てや教育にかぎらず、たとえば行政などの「金融統制」は financial discipline である(ジーニアス)。
そのほか、単語週では旺文社1900しか紹介していないが、大学での「学科」や「学問分野」のことも discipline という。辞書には普通に「学科」も「学問分野」も書いてある(ジーニアスで確認)。なお、実は旺文社では「学問分野」しか書いてないが、説明の都合で段落冒頭では「学科」も加えて紹介した。
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通訳と翻訳
「通訳する」「解釈する」 interpret
「翻訳する」 translate
「通訳」とは、普通、口頭での翻訳のこと。
だから翻訳サイトの「グーグル翻訳」も、べつに口頭でのやりとりではないので、英語では google translate なわけである。
「通訳者」は interpreter である。
「同時通訳」は simultaneous interpretation である(旺文社 simultaneous、ジーニアス、センチュリー)。
simultaneous は「サイマルテイニアス」と読む。シミュ~とは読まない。
名詞形の「通訳」「解釈」は interpretation である(旺文社)。
東京書籍と桐原だと「解釈」の意味しか紹介していないが、しかし上述のように「同時通訳」でも interpretation は使われるので、「通訳」の意味も覚えるべきだろう。
なお、数学の「連立方程式」は simultaneous equation である(ジーニアス)。
simultaneous の部分が「連立」である。 「方程式」は equation である。
翻訳者は translator である。
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2024-04-13T06:01:31Z
すじにくシチュー
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/* ※ 分割用タイトル */ hurt は、感情なども含む「傷つける」。偶然か英米人のダジャレかどうか知らないが、心のheart と、心を「傷つける」 hurt とで発音が近い。関連付けて覚えよう。
wikitext
text/x-wiki
==== ※ 分割用タイトル ====
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設立
constitute と establish と found
found という動詞がある。動詞「見つける」find の 過去形foundとは別に、原形で「設立する」のfoundという動詞がある。
「設立する」は活用が、
原形 found - 過去形 founded - 過去分詞 founded
と変化をする。
foundの意味は「設立する」。「創設者」を名詞 founder と言うのを記憶の土台にすると、覚えやすいだろう。名詞 foundation で「基礎・基盤」や「建設・設立」などの意味。化粧でファンデーションとあるが、あれは和製英語ではなく、れっきとして foundation cream という英単語がある(ジーニアス英和で確認)。
ちなみに金融などで「ファンド」といわれる単語は fund (原形がfund )というまったく別の単語。組織などの「資金」「基金」が名詞でfundである。動詞 fund は、組織などに「資金を出す」こと(旺文社1400)。
なお、「基金の基金を集める」は raise a fund である(旺文社1400。ジーニアス)。また、raise money で「資金を集める」である(東京書籍4500。桐原4500)。
constitute は、議会や制度などを「設立する」。
なお、センチュリー英和によると、「議会を設立する」 constitute an assembly とのこと。
establish は、組織を「設立する」。たとえば桐原4500に「早稲田大学を設立する」という例文で establish が紹介されている。
ジーニアス英和によると、政府・学校・会社などを「設立する」のが establish である。
センチュリー英和によると、国家・政府などを「樹立する」のも establish である。
だが、それよりもestablishは、単語集にはないが、評判などを「確立する」の意味で覚えるほうが良い。
たとえば、センチュリー英和やジーニアス英和にあるが、国家体制など既存の「体制側」や「支配層」のことを establishment という。
いっぽう constitute には、こういったニュアンスはないだろうから。
set up
set up は「創業する」「創設する」の意味である。
このほか、set upには、テント(a tent)や看板(a sign)などを「立てる」という意味もある。
センチュリー英和にもあるが、コンピュータの初期設定のことを set up という。
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主張 claim と insist と argue と contend
議論する argue, discuss
センチュリー英和によると、claimは、当然の権利として「主張する」、あるいは事実であるとして「主張する」の意味。
claimとinsistのどちらにも、「要求する」の意味がある。
だが、claimの要求は、権利としての要求である(東京書籍4500)。
いっぽう insistの要求は、単に強く要求しているだけである。
insistは、特に、強く「主張する」意味である。
ジーニアス英和およびセンチュリー英和では、無罪の主張でinsist on が用いられている。
日本語の、批判のような意味での「クレーム」は、和製英語であり、センチュリー英和のclaimの説明によると、英語にこの意味はない。
なお、「文句を言う」は英語で complain である。
:(※ たぶん範囲外?)海外旅行などで「荷物の受け取り」のことを baggage claim という<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P140</ref>。このように、日本語の「クレーム」と英語のclaim は、だいぶニュアンスが違う。
記号「!」 のことを exclamation (イクスクラメイション)というが、これも動詞 exclaim (イクスクレイム)「さけぶ」の名詞形である。
なお、荷物 baggage は集合名詞なので たとえば複数の荷物を言うときは、 ~ pieces of baggage になる<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P153</ref>(桐原3000)。
発音注意であり、baggage 「バギッジ」である。
なおbaggageはアメリカ英語。イギリス英語だと luggage 「荷物」になる。
一方、「カバン」bagは具体的なカバンのことをいうので、普通に数えられるので、bagの複数形は bags である<ref>『All aboard! English Communication I』、東京書籍、令和3年1月29日検定済、令和4年2月10日発行、P145</ref>(桐原3000)。
さて、claim する人(主張者)のことは claimant である。
ただし、権利の主張などは、insistとclaimのどちらでも良い。
argue は、理由をあげて「主張する」の意味である(東京書籍4500)。argue that ~ で「~だと主張する」の意味である。argue with ~(人) で「~(人)と言い争う」の意味である(桐原4500および旺文社1400)。
なお、argueには、用法によっては、やや非友好的に「議論する」ニュアンスもある。ジーニアス英和にも、argue は「discussよりも非友好的」と記述がある。
たとえば検定教科書 "Standard Vision Quest I" でも、 argueは「言い争う」といった意味であると紹介する一方、discuss は「議論する」であると紹介している<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
ただし、実際には argue には「説得する」などの意味の用法もあるので、ニュアンスの違いはあまり明確ではない。
センチュリー英和に、弁護士の「弁論」をargueとした例文があったが、もし法廷闘争での敵対陣営同士の「弁論」ならargueのほうが、ふさわしいだろう。
なお、「口論する」は quarrel である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
contend は、(東京書籍4500いわく)「強く主張する」とか、(桐原5500いわく)「論争する」とかの意味。
桐原5500の例文にあるが、contend in court で「法廷で争う」。
旺文社1900によると名詞 contention で「主張」「論点」の意味。
旺文社1900とセンチュリー英和が紹介しているが contend that ~ で「~だと主張する」。
旺文社1900 で熟語 an issue of contention (「議論の対象となる問題」)が紹介されてるが、しかしジーニアス英和でもセンチュリー英和でも確認できなかった。
* 異議を唱える
challenge
challenge には課題や競技相手などに「挑戦する」の意味もあるが、議論などで相手に「異議を唱える」の意味もある。
たとえばジーニアス英和からの抜粋だが、 I challenged her. 「私は彼女に異議を唱えた。」
旺文社1900からの抜粋だが、 He challenged the common belief. 「彼は常識に異議を唱えた。」
センチュリーからの抜粋で、 He challenged my statement. 「彼は私の言うことに異議を唱えた。」
challenging で「やりがいのある」。東京書籍3000に例文がある。辞書を見ても、あまり例文が無いので、当ページでは紹介しない。
なお単語集にはないが、ジーニアスによると、競技などで challenger 「挑戦者」 ⇔ defender 「選手権保持者」(防衛側)
である。defender の項目で調べると書いてある。
競技では、challenge は試合を「申し込む」などの意味である。
たとえば、東京書籍3000の例文だが、
Dan challenged me to a game of tennis. 「ダンは私にテニスの試合を申し込んだ。」
また、センチュリー英和に似たような例文
I challenged Betty to a game of tennis. 「私はベティにテニスの試合を申し込んだ。」
がある。
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防御
defend , guard , protect
まず、「ガードマン」は和製。
guard だけで「警備員」の意味がある。特に、警備員であることを強調したい場合、 a security guard という(東京書籍、旺文社)。
a security をつけずに「警備員」と使用してもいい。桐原3000の英文は銀行の「警備員」に、 a security をつけていない。
さて、defend は動詞。guardは名詞および動詞。protectは動詞。
なお、guardian とは、未成年などの「後見人」のこと。旺文社1900ではguardian を「保護者」「後見人」と紹介している。
そのほか、センチュリーでは、たとえば世界平和の「守護者」とか、そういう意味の「守護者」のことを guardian という。そのほか、ジーニアスには guardian の意味のひとつに「保護者」と書いてある。
protect は、病気などから「守る」場合にも使えるが(東京書籍3000)、ジーニアスによると人間などの相手でも使っていいようである。
辞書や単語集では「保護する」と訳される場合もある。
名詞 protection は「保護」の意味。
辞書によると、関税によって国内産業を「保護」することも protect である。また、風雨からの保護の「雨よけ」「風よけ」も 名詞 protection である。
さて、ジーニアスによると、「家族を守る」でprotect one's family である。ジーニアスでは文脈は述べていないが、普通の感覚では、病気とかではなく犯罪などから家族を守ることだろう。
日光(sunlight, sun)から目を守ったり(ジーニアス、センチュリー)、肌を守ったりするのも(桐原4500)、protectである。
たとえば、 protect one's eyes from sunlight 「日光から目を守る」
である。
protect 〜 from B で、「〜(守られる対象)をB(危険側)から守る。」である。
なお、子育てなどでいう「過保護」は英語で overprotect である(桐原5500)。
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汚染
pollute と contaminate
違いは不明確。
桐原5500にcontaminate がある。polluteは桐原・東京書籍の4500にある。
一応、ジーニアス英和および桐原5500には、「毒物や放射能」による汚染を contaminate としているが、彼らがそういう説を言っているだけ。クラウン英和はその説を採用していない、
実際にクラウンの例文を見ると、車の排気ガス汚染で、contaminate という動詞を用いている。
:Car exhaust contaminate the air. 車の排気ガスは大気を汚染する。
という文がクラウン英和にある。
しかし東京書籍4500では、工場の煤煙による大気汚染が pollute である。
クラウン英和にある大気汚染 air pollution のように、そういう用語が既にあるので、実務では業界の用語ごと覚えるしかない。
※高校生としては、不正確かもしれないが、とりあえず「汚染」はすべてpolluteで覚えておいて、実務などで「この場合はcontaminete を使え」と修正された場合にだけ contaminate を使うのが良いだろう。
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傷(きず)
wound, injured, harm, hurt
動詞 wound は、刃物・銃などで「傷つける」、「負傷させる」。桐原3000だと「傷つける」、東京書籍4500だと「負傷させる」。
ジーニアス英和hurtの説明によると、戦いでの負傷には wound を使うとのこと。
hurt は、感情なども含む「傷つける」。偶然か英米人のダジャレかどうか知らないが、心のheart と、心を「傷つける」 hurt とで発音が近い。関連付けて覚えよう。
センチュリー英和だと、hurtには、「傷による苦痛に重点がある」とのこと。
名詞 injury が「けが」という意味。これが「けが」の基本的な単語である。
さて、~ be injured で「~が、けがをする」の意味である。
~ be injured in ・・・ で「~(けが人)が,・・・(原因)でけがをする」である。
単語集によくある典型的な例文が、
「彼はその事故でけがをした。」 He was injured in the accident.
である。
単語集では、自動詞 hurt で「痛む」の意味があり、東京書籍4500で例文を紹介。一方、桐原4500は例文なし。
「おなかが痛い」(※東京書籍4500)とか(靴擦れで)「かかとが痛い」(※センチュリー)とかでも、hurtを使っていい。
桐原4500に名詞 hurt で、「傷」の意味が紹介されている(例文なし)。東京書籍4500にはなし。
hurt には「けが」・「傷」・「苦痛」の意味がある。
「傷」の意味では、injuryとほぼ同義だと、ジーニアス英和が言っている。
hurtとpainの違いが気になるが、あいにく辞書には書いてなかった。
ややしいことに「痛み」を意味する名詞 pain には、「苦労」の意味もある。苦痛ではなく苦労なので、いい意味でも使われる。
なお、painは名詞の用法が基本的な意味だし、名詞の意味は「痛み」。
hurt は動詞の用法が基本的な意味だし、動詞の意味は「傷つける」。
辞書を見ると、実は動詞のpainもあるが、これは「痛む」の意味である。(「傷つける」ではない)painはあくまで「痛み」に関する単語
名詞 harm は「害」の意味。なお、harmful で「有害な」の意味の形容詞<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P111 </ref>。
東京書籍およびジーニアスによると、日光や光によって「目をいためる」のは harm である。
飲酒や喫煙などの「害」がharm 。桐原4500に喫煙の害。センチュリー英和に飲酒の害。
このように、比較的に痛みを伴わないものにも使われる。(センチュリーにもそう書いてある。)
だが、「目をいためる」ように、実際に痛いこともある場合にも使われるので、まあ傾向の程度。
ネットでときどき「有害コンテンツ」という用語があるが、「有害コンテンツ」も英語で harmful contents である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P121</ref>。
ほか、旺文社1900のsubstance ’物質)の項目が言うには、飲食物などに含まれていたら困る「有害物質」は harmful substances である。
さて、動詞 suffer が「苦しむ」という意味だが、 be suffering from ~ で、「~(原因)で、苦しい(つらい)」的な意味。
東京書籍 be suffering from a toothache 歯が痛くてつらい
桐原 be suffering from a backache 背中が痛くて苦しい
などと訳している。
ジーニアスによると、 「風邪をひいている」 be suffering a cold のように痛み以外でも使っていい。ほか、「英国はインフレで苦しんでいる」 be suffering from inflation のように使ってもいい。
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やわらげる
relieve, ease
苦痛などを「やわらげる」は動詞 relieve である。
典型的な例文で、(風邪薬などで)「頭痛をやわらげる」 relieve a headache がある(東京書籍4500およびセンチュリー)。
誰が風邪薬を飲んで誰の頭痛をやわらげるのかによって、飲んだのが「私」だったら relieve my headache になったり、教材ごとに主語による多少の違いがある。
どちらにせよ、単に柔らかいわけでもなく、単に軽減するわけでもなく、苦痛などを減らすのが relieve である。
relieve A of B(苦痛など) で、「AからBを除いて楽にする」の意味。
熟語 get rid of ~ 「~を取り除く」と関連づけて覚えよう。実際、桐原4500がそういう構成である。
名詞形は relief であり、「安心」「緩和」「救援」などの意味である(単語集にある)。単語集にはないが、野球のリリーフも同じrelief である(センチュリーで確認)。
sigh with relief で「安堵(あんど)のため息をつく」である。sigh (発音「サイ」)は、動詞としては「ため息をつく」、名詞としては「ため息」である。
例文は、
She sighed with relief. 「彼女は安堵のため息をついた」
である(東京書籍4500 項目 sigh。旺文社1900 項目 sigh)。
ともかく、「安心」的なのが relieve のイメージなので、be relieved to ~(動詞) で「~で安心した」という形容詞的な用法になる。
というか、辞書ではジーニアス英和でもセンチュリー英和でも、 relieved を形容詞として紹介している。
ease (イーズ)という動詞および名詞がある。これも動詞ease は「やわらげる」「取り除く」の意味である。これは形容詞の「簡単な」 easyの、名詞計および動詞形である。
名詞 ease は「容易さ」「気楽さ」「軽減」の意味である。
This medicine eases the pain. 「この薬は痛みをやわらげる。」
のように使う(東京書籍および旺文社に似た例文)。
ジーニアスによると、頭痛 headache をやわらげるのに ease を用いてよく、旺文社によると胃痛 stomach pain をやわらげるのに ease を用いている。
このような薬による「取り除く」「やわらげる」の意味での ease は、ジーニアスによると、relieve とほぼ同義語とのこと。
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取り除く
remove, eliminate
remove は、「取り外す」の意味に近い。
たとえばパソコンのUSBスティックメモリなどを「リムーバル・メディア」などというが、取り外したあとに、別に捨てるわけでもなく、消去するわけでもない。
このように、remove は単に「取り外す」「取り除く」というニュアンスである。
名詞 removal (リムーバル)「取り外し」という単語も存在しています(東京書籍4500)。
形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」という単語もあります(東京書籍4500)。
「リムーバル」はけっして形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」の誤記ではないです。間違えないように。
一方、eliminate は、取り除いたあとに、処分することを念頭に置いている。または、取り除いたあとに、再度の取り付けの意思がないものに使う。
なので、eliminate で取り除かれるものは、ゴミだったり、あるいは犯罪などの社会悪だったりする。
または、解決すべき問題を片付けることも eliminate である(東京書籍)。
だから eliminate の訳語は「取り除く」である。外すのではなく「除く」に、そういうニュアンスがある。
eliminate (A) from (B) で、「AからBを除去する」である。fromの後ろにあるBが、抹消されるべき対象である。
こういう単語なので、単語集にはないが、ジーニアスを見れば、敵軍などを全滅させる事も eliminate と言うこともある。
なお、生物種の「絶滅」は extinction (エクスティンクション)である。
熟語 get rid of ~ は、そこまであれこれと考えていない。remove的にも使われるし、eliminate 的にも使われる。あるいは、remove と eliminate の中間だと思っておけばいいかもしれない。
さて、 exclude は、「除外する」である。
これよりも、形容詞の exclusive エクスクルーシブの意味「排他的な」のほうが分かりやすいので、そちらを説明する。
exclusive 「排他的」とは、最初から内部に入れない、という意味である。
だからexclude は、最初から中に入れないように「締め出す」という意味もある(桐原で確認)。
excludeの「除外する」の意味については、可能性などを「除外する」という意味もあり、ジーニアスの例文だと、たとえば「明日、雨が降る可能性は除外できる」みたいな割と平和的な「除外する」にも exclude を用いることもできる。
そのほか、exclude は、見当などの際に「考慮に入れない」という意味もあり(ジーニアス、センチュリー、旺文社で確認)、たとえば旺文社の例文では「税金は価格から除外されている」という意味の英文で exclude を受身計で用いている。
なお、対義語は include であり、「含む」という意味である。
たとえば「税込み 5ドル」は
<nowiki>$5,</nowiki> tax include
である。
典型的な例文は、
「料金は税込みですか?」 Does the price include tax?
がある( ジーニアス(ただしpriceでなくrate)、 東京書籍(ただし「料金」でなく「価格」と和訳) )。
また、-clude とは「閉じる」の意味である。
だから、たとえば conclude は、話を閉じるので「結論づける」「締めくくる」の意味。conclusion は「結論」の意味。
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消去する
erase , delete
(※ 範囲外)火を消す extinguish
鉛筆で書いた文字を消しゴムで消すのが erase である。
また、消しゴムをアメリカ英語で eraser (イレイサー、イレイザー)という(東京書籍1800、旺文社1900)。なおイギリス英語では rubber である。
黒板ふきも eraser である(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
コンピュータのデータを消すのは、erase も delete も使われるが(ジーニアスで確認)、しかし現代では delete でデータ消去を表すのが普通である。
実際、パソコンのキーボードにも delete キーがある。
旺文社の例文も、メールの削除を delete で表現している。
なお、東京書籍と桐原の単語集には delete は見当たらない。
昔なつかしいテープのデータを消去するのには、erase が使われるようである(ジーニアス、センチュリーにerase でテープのデータを消す用法あり)。
erase で消すのは、文字のほかにも、感情を「消す」などの表現でも使われる(ジーニアス、)。
「記憶を消せればいいのに」みたいな表現でも erase を使う(旺文社、ジーニアス)。
辞書にはないが、delete はもともと動詞で「削除する」「消去する」の意味であるが、現代ではパソコンのデリートキーを表す名詞として、delete が名詞としても使われる(旺文社1900)。辞書のほうが遅れている。旺文社1900が正しい。
なお、名詞形 deletion 「消去」「削除」という単語もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
高校範囲外ですが、火を「消す」は動詞 extinguish (イクステングィッシュ)です。
extinguish は一見すると見慣れないですが、実は高校範囲の単語「絶滅」 extinction (イクスティンクション)の動詞形です。
extinction のスペルのままでは動詞の意味は無いです(センチュリー、ジー二アス)。
消防士による「消火する」から(ジー二アス)、たばこの火を「消す」まで(センチュリー)、extinguish で表現できます。
なお、extinct は形容詞「絶滅した」「消滅した」です。
ほか、生態系の「絶滅危惧種」は an endangered species である(桐原4500 species、ジー二アス endangered)。東京書籍と旺文社には、species の項目自体はあるが、絶滅危惧種はない。
なお、植物の「種」(たね)は、seed という別の単語である(東京書籍4500、桐原3000)。
典型的な例文は、
「農場に種をまく」 plant seeds in the field
である(東京書籍4500、桐原3000)。
plant は「種をまく」という意味の動詞。
field は「農場」である。
動詞として seed 「種をまく」という用法もあるが、旺文社以外1200は紹介していない。少なくとも、桐原3000と東京書籍4500には、動詞の用法が紹介されていない。
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疑い
suspect ,doubt
doubt ~は、「~が信じがたい」の意味。 → don't think に近い
たとえば doubt if ~で「~かどうか疑わしい」。doubt that~で「~でないと思う」である。
suspect ~ は、「どうも~のようだ」のような意味(ジーニアス英和) → think に近い
旺文社1400にあるdoubt 例文で、
doubt ifの例文「私は神が存在するかどうか疑わしく思う」I doubt if god sexists.
および
doubt that の例文 「私は神は実在しないと思う」I doubt that god exist.
が覚えやすいだろう。
suspect~ の 目的語(~)の部分は、原因や容疑などがくる。
例文として「食中毒を疑う」 suspect food poisoning とか(東京書籍4500)、
容疑者は名詞 suspect である。
このほか dubious と言う「疑わしいと思う」(桐原5500)という単語があるが、辞書の例文が不足していてよく分からなかった。単語集では桐原5500に書いてある。
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治療と回復
「治す」 heal, cure ,
「~が回復する」は recover
「~を回復する」は restore
「気分の回復」は refresh
「(健康などを)取り戻す」は regain
医療や薬などによって、けが や病気を「治す」一般的な語は cure である。
外傷を治す場合は heal が好んで使われる。
cure ~(人) の語順である。
けが を治す場合、
cure ~(人) of □□(けが・病気)
の語順である。
典型的な例文が
「その薬が彼の病気を治すでしょう」 The medicine will cure him of his disease.
である(ジーニアスの例文を改造し、「あなたの病気」から「彼の病気」に変更)。
桐原にも似た例文があり、
This medicine will cure him of the disease. 「この薬が彼の病気を治すだろう。」
とある。
his disease か the disease かなどの多少の違いはあるが、まあこんな感じの英文になる。
get rid of ~ などと同様に、ofの後ろには取り除かれるべき物が来る。
heal も同様、
heal ~(人) of □□(けが)
の語順である。
だが、東京書籍4500および桐原4500いわく、 heal the wound 「けがを治す」のように、ofを使わずに使われる場合もある。
recover は「回復する」である。
recover from ~ で「~から回復する」である。
動詞 restore は、
「秩序を回復する」 restore order
のような例文が辞書で典型的(ジーニアスとセンチュリーの両方にある)。
さて、旺文社 store 項目によると、パソコンなどで、データをバックアップすることは store である。
そして、単語集にはないが、バックアップをもとに設定データなどを自動的に「復元する」ことを restore という事がよくある。
辞書によると、古い建築物や美術品などを復元することも restore である。
東京書籍4500では、教会を修復するのを restore としている。その教会が古いかどうかは東京書籍4500には書いてない。
桐原では、桐原5500にrestoreが書いてある。
けがの回復ではなく、ちょっとした疲れやノドの渇きや気分などを、軽い飲食物や短時間の休養などで回復させるぐらいの場合は、動詞 refresh (リフレッシュ)で表せる。
旺文社1900がrefreshを紹介している。桐原・東京書籍は紹介せず。
ジーニアスいわく、冷たい水を飲むのも refresh である。
refresh は主語や述語の語順のつかいかわけが難しいので、例文を省略する。
センチュリーいわく、入浴で疲れをとるのも refresh である。また、ジーニアスでもセンチュリーでも、アルコールで気分を回復するのが refresh である。
そのほか、ジーニアスによると、コンピュータなどのディスプレイ上の画像が更新されるのも refresh である。これからのIT時代は覚えておきたい。
regain one's health で「健康を取り戻す」という慣用表現である(ジーニアス、旺文社1900)。
旺文社1900にしかなく、番号 1502 / 1900 の単語。少なくとも桐原4500・5500と東京書籍4500にはない。
He regained his health. 「彼は健康を取り戻した」
のように使う(センチュリー)。
「意識を取り戻す」 regain consciousness もよく使われる(ジーニアス、旺文社1900)。
たぶん She regained consciousness のように使う(旺文社に似た例文)。
また、この用例から分かるように、健康的なものを取り戻す場合、普通は主語が自身の健康を取り戻すのに regain を使う。
「自由を取り戻す」(センチュリー)とか「都市を取り戻す」(ジーニアス)とかの政治的なことも regain である。
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蓄え
store , stock
store は「店」という意味の名詞でもあるが、「蓄える」という意味の動詞でもあり、さらに「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもある。
なお、storeを「店」の意味で使うノはアメリカ英語。イギリス英語では店はshopである。桐原3000にも東京書籍3000にも書いてある。storeは3000語レベル。
stock は「在庫」や「株式」という意味の名詞でもあるが、「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもあり、さらに商品を「店に置く」「仕入れる」などの意味の動詞でもある。桐原と旺文社は、「仕入れる」の意味まで単語を紹介している(ただし例文なしで単語のみ)。
stockは4500語レベル。
しかし単語集では、ややこしいので、stockについては、「株式」「在庫」の意味の名詞だとしてしか、紹介していない。しかし実はstockも動詞の用法があるのである。
センチュリーによると、食料の「蓄え」は、stock でも store でもよい。
たとえばセンチュリーのstockの例文は「我々の食料の蓄え」Our stock of food である。センチュリーのstoreの例文は(リスが冬の備えての)「食料を蓄える」lay in a store of food である。
このように、どっちでも食料 food を蓄えられるので、区別がつかない。
storeは別にリスのような動物限定というわけでもなく、たとえばセンチュリーで図書の「蔵書」 a book of store などの表現もある。
storeが店での商売関係というわけでもない(もし商売に限定だすると、図書の蔵書とかリスの食料とか、説明がつかない)。
なので、stock に「株式」「在庫」の意味があるとか、覚えるしかない。
桐原および旺文社いわく、
be out of stock で「在庫が切れている」
の意味。桐原は例文も紹介。旺文社は例文なし。東京書籍は紹介せず。
例文は桐原も東京書籍も旺文社も、在庫の例文である。
単語紹介だけでが、桐原いわく「株式市場」stock market
旺文社いわく「証券取引所」the stock exchange
である。
語源を調べてみても、 stock の語源は木の「棒」stick と同じだと書いてあるだけで、stock と storeとの区別には役立たない。
さて、単語集にはないが、パソコンなどのハードディスクなどの貯蔵量のデータ記録デバイスのことをストレージ storage という。
ついで、単語集にある情報だが、 storage は、「貯蔵庫」や「保存庫」の意味で、東京書籍4500の巻末にだけ、解説なしで、単語と例文だけ書いてある。
辞書を確認のため見たが、ジーニアス英和は家具の「保管」を storage といい、センチュリー英和は単に「倉庫」を storage といい、あまり共通性はなさそうなので、深入りしない。
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愚か
形容詞 foolish, stupid, silly, ridiculous などがある。
このうち、 foolish, stupid, silly, は、「愚かだ」「馬鹿げている」の意味。
このうち silly は口語調。
<nowiki>Don't be silly.</nowiki> で「馬鹿げたことを言わないで。」という典型的な例文があり、東京書籍4500でも紹介されている。
名詞foolが形容詞になったのが foolish である。
stupid は、辞書によると、foolish よりも、けなしの意味が強い。口頭では使わないほうが安全だろう。
ridiculous は、「不合理で馬鹿げている」意味。センチュリーによると、ridiculousには、あざけりや物笑いの意味もあるとのこと。
単に「不合理だ」の意味なら、 absurd を使う。桐原5500にabsurdが書いてある。なるべくabsurdを使うほうが高尚だろう。
センチュリーによると、absurdは、不合理さ・非常識さを強調している。
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移行と移転と移動
migrate, transfer ,
桐原4500に名詞形migrant (移住者)が書いてありますが、英語では動詞 migrateとは「移住する」や、渡り鳥の「渡る」のことです。
しかし単語集にはないですが、そのほかにもmigrateには、IT用語では古いシステムに入っていたデータやプログラムを新しいシステムの中へと「移す」ことや、開発環境などのシステムを新システムへと「移行する」という意味もあります<ref>[https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/migration.html マイグレーション | IT用語辞典 | 大塚商会]</ref>。
なお似た言葉にreplaceがありますが、これはサポート切れなどで古くなったりして(obsolete)使えなくなったソフトウェアなどを現在の稼働中の使えるバージョンのものに「置き換える」(replace)ことを意味します。
英語では、「『移住』にシステム環境『移行』の意味もある」と覚えることが本質的な理解でしょう。
なお、スペルの似ている immigrate に、(外国から)「移住する」の意味があります(桐原4500)。またなお、桐原4500にも書いてあるが、空港などの入国管理が名詞 immigration である。英会話の教材などでよく immigration が出てくる。
immigrate と migrate の意味の違いを把握するため、辞書の説明に逆らって、私たちは migrate は(環境を)「移行する」で覚えましょう。
これが、moveやtransfer と、migrate との違いです。
なお transfer に「転勤する」「転勤させる」の意味があります(桐原4500)。
「転勤させる」ほうは他動詞なのでtransferでもいいのは分かりますが、「転勤する」と「移住する」の区別が難しいです。まあ、おそらく他動詞からの類推か、慣用的にtransfer が定着しただけでしょう。
なお、辞書にありますが「転校」や(プロ選手などの)「移籍」もtransferです。
高校生物の遺伝に関連する細胞物質のひとつで、トランスファーRNA (transfer RNA)というのがあります。こういうのと関連づけて覚えましょう。
また、列車・バスなどの乗り換えも transfer です。
スペルの似た単語で、transport という動詞および名詞がありますが、動詞 transport は「輸送する」です。
transfer 「乗り換え」はおそらくtransport 「輸送する」との関連で定着した表現でしょうか。
単語集にも辞書にもないですが、インターネット用語で HTTP というのがありますが、これは「Hypertext Transfer Protocol 」の略です。データなどを「転送する」のも transfer です。
センチュリー英和によると、銀行口座に「振り込む」もtransfer とのことなので、「送金する」のようなニュアンスでしょう。
なお、ジーニアス英和およびセンチュリー英和によると、法律用語で、財産などを「譲渡する」もtransferです。
transition という名詞が別にあります。transition は、移行期にあるものについての「移行」のことです。桐原4500 では「議会制民主主義への移行」、旺文社1900では「自動運転車への移行」を例文にしています。
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決定
determine ,decide
辞書にはないが、determine は、断固とした決意で「決心する」「決定する」である。
形容詞 determined がセンチュリー英和によると断固とした決意の意味なので、動詞determineのほうもそういうニュアンスである。
あと、ジーニアス英和にあるが、判決を下すのも determine である。
あと、予備知識がないと気づかないだろうが、東京書籍4500にある例文のように、専門家などが原因などを「特定する」ことや、判定するのも determine である。
実際には、あまり断固としてなくても determine が使われるような例文もちらほらとあるが、あくまで派生的な用法だと思うべきだろう。
だから名詞形 determination は、「決心」「決意」と覚えるべきだし、実際に桐原4500や東京書籍4500でそういう和訳である。
be determined to ~(動詞) で「~する決心をする」
である。受身形で「決心する」になる。
たとえば
He was determined to ~ 「彼は~する決心をしていた」
のように使う。また、完了形にせず、過去形のままで使う(桐原4500の例文、ジーニアスの例文など)。
能動形でも「決心する」の用法もあるが、普通は上述のように受身形で使う(ジーニアス)。
検定教科書で三省堂 CROWN Iを読んでいると、高校1年でもう be determine to do を扱っている。
対する decision は、和訳は「決定」である(東京書籍4500)。桐原によるとdecisionは「決定・決断」だが、しかし上述のように、どちらかというとdesicionは比較的に「決定」のニュアンスのほうに近いだろう。
resolve でも「決意する」だが、東京書籍4500だと彼女をデートにさそう「決心」という例文であり、まったくもって断固とした必死さが足りない。
そんなのよりも、会議などの「議決」のことを resolution というのを覚えたほうが良いだろう。桐原4500に「決心」「決議」と単語の和訳だけ書いてある(例文はなし)。
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減少
decrease, decline , reduce, diminish
まず、高校英語で増減を表す場合につかう典型的な単語は、increase (「増える」「増やす」の意味)および、対義語の decrease(「減る」「減らす」の意味)である。
たとえば、三省堂『CROWN II』「英語表現」教科書では、パラグラフ・リーディング/ライティングの説明で、留学生に関する分析の文章を扱っているのだが、留学生の「増加/減少」<!-- 「/」は原著が全角文字なので、それに合わせた。 -->にそれぞれ increase/decrease という表現を使っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P81</ref>。
この例のように、 increase (増加)と decrease (減少)は対になって使える便利な表現であるので、まずはこれを覚えよう。
熟語というほどではないが、
~(主語) increased by □□(数値) percent.
で、「~が□□%上昇した。」である。たとえば上記のパターンで、東京書籍4500では「その商品の売り上げ」Sales of the product だし、旺文社199では「日本の実質GDP」Japan's real GDP である。桐原3000には数値上昇の例文なし。桐原は昔から単語集では定番だが、しかし桐原だけでは勉強できないこともある。
increase で増える数値はなにも百分率(パーセント)でなくてもよく、たとえばジーニアス英和では、「体重は2キロ増えて60キロになった」 increased by two kilograms to 60 kilograms.
という例文もある。
on the increase で「増大して」の意味。なお、ここでの increase は名詞。
東京書籍4500では「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
センチュリー英和では「大都会における犯罪は増加しつつある。」 Crime in big city is on the increase.
ジーニアスは on the increase の例文なし。このように、ひとつの英和辞典だけでは勉強できない。
別に on the increase を使わずとも、現在増加中のものは現在完了進行形で書いてもよく、桐原3000がそうであり、
「車の台数が増え続けている」 The number of cars have been increasing.
である。
ジーニアス英和にある説明だが、よく、The number of ~ increased. で「~が増えた。」と言う例文があるが、「The number of 」を省いて直接「 ~ increased. 」のように言ってもいい。
実際、東京4500の例文「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
でも、 the number of は無い。
on the increase のbe動詞が単数形(is)なのか複数形(are)なのか食い違いがあるが、英和辞典を見ても、とくに言及はされていない。
increasingly で「ますます」の意味が紹介されているが(東京書籍4500。旺文社1900)、しかし例文は無い。
価値や能力を「高める」場合、enhance (エンハンス)という動詞が使われることもある。だが、辞書でも例文が少なく、あまりいい例文が見当たらないので、説明は省略。旺文社1900だと、603/1900の位置でenhanceを紹介している。だが東京書籍4500では、巻末ちかくで enhance を紹介である。桐原に至っては、4500語レベルではなく桐原5500の後半ちかくでenhanceを紹介である。
さて、decline は自動詞であり、つまりdeclineは「低下する」「減少する」の意味である。
declineの典型的な例文が「出生率は低下している。」であり、東京書籍4500では
The birth date is declining. 「出生率は低下している。」
である。
似た例文が、旺文社1400にもあり、
「出生率は低下し続けている。」 The birth rate continues to decline.
である(旺文社1400)。
なお検定教科書にも decline の単語は掲載されている<ref> 、『CROWN English Communication III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P45</ref>。和訳が検定教科書に書かれてないので不明だが、その検定教科書では経済の議論の紹介で decline が使われているので、「低下する」の意味にて decline を用いているのだろう。
decline には、申し出・誘いなどを「断る」の意味もあり、桐原4500に紹介されているのはこっちの意味だけ。
しかし、高校の検定教科書に、「少子化」 declining birth rate が照会されているので、「減少」の意味のほうもキチンと覚えよう<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P18 </ref>。
名詞形 declination が、ていねいな断りの意味。
reject (計画などの「拒絶」。※却下のような意味)や refuse (拒絶)だと意味が強すぎるのだろう。
reduce は「減少させる」。3R運動のリサイクル、リユース、リデュースのあれ。
「減少」は名詞 decrease と名詞 reduction がある。
reduction は、「削減」のニュアンスで使われることが比較的に多く、桐原4500および東京書籍4500の例文が経費削減である。
reduce costs で「経費を削減する」である。
このほか、diminish や drop や fall などがあるが、やや高校範囲を超える。一応、diminishは桐原5500および東京書籍4500には書いてある。(桐原4500には書いてない。)な
一応、diminish は、検定教科書『CROWN III』で使われている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P73</ref>。
CROWN III にある例文は
But the war 1990's, the threat of war diminished.
という文章(抜粋)である。検定教科書に和訳がないので答えは不明だが、「しかし、1990年代には、戦争のおそれも少なくなった」ような意味である。
直前の文章では、「20世紀は戦争が多く」みたいなことを英語で言っているので、おそらくそういう意味だろう。
辞書で diminish を確認したところ、ジーニアスもセンチュリーも悪い意味に使う例文のほうが多いが、しかしCROWN IIIの検定教科書によると、とくにdiminish には悪い意味合いは無いようである。
桐原5500に書いてある例文も、
We can diminish our fear. 「恐怖を減らすことはできる。」(抜粋)
なので、別にdiminish に悪い意味合いはない。
なお、桐原5500の例文は東北大の過去問。ネットでは「地方国立の入試英語なんて教科書レベル」などの言説もあるが、まあ確かに教科書にはdimisihも書いてあるものの、大分、学習量は大きい。
drop やfall は、旺文社1400の巻末にある類義語の章にだけある(本編には解説なし)。
dropは数量や人口、価格などの減少で使われる「口語的」な語(旺文社が「口語的」と言っている)。ただ、ノーベル経済学者クルーグマンのツイッターを読んでたら、「インフレの減速」のような意味で普通に drop を使っていた。
価格の低下だけでなく、派生してインフレの減速にもdropが使われることから、もしかしたら経済学などでは文語的に drop という単語が使われている可能性もあるかもしれない。
なお、「急騰する」は soar である(桐原5500、旺文社1900)。
単語集の例文だと完了形で have soared だが、急騰の結果として現在でも株価が高いなら完了形にするのが無難だろう。
インフレ率の上昇でも株価の上昇でも何でもいいが、たとえば旺文社1900が株価の上昇の典型的な例文
The stock prices of the company has soared . 「その会社の株価が急上昇した。」
である。
ジーニアスは野菜の価格の急騰、桐原5500は米価の急騰である。たとえばジーニアスでは
The price of vegetables is shoring. 「野菜の価格が急騰している。」
である。この野菜の例文のように、進行形ならもちろん、現在も急騰の真っ最中になる。
時制ついでに桐原5500の例文を紹介すると、
Figure showed the price of rice had soared to record levels. 「数字は米価が記録的な水準にまで急騰したことを示していた。」
である。
なお「痛い」soreと同じ発音である。
ついでに言うと、よく景気の先行きについての見通しで「悲観的」だの「楽観的」だのマスコミ用語でいうが、これは英語でもそう言い、
「悲観主義」は英語でpessimism (ペシミズム)である。
「楽観主義」は英語で optimism (オプティミズム)である。
スペルよりも、まずカタカナで『ペシミズム』『オプティミズム』と覚えてしまおう。社会評論などの書籍などを読んでいると、ときどき外来語として「ペシミズム」などの用語を使っている場合もある。
典型的な例文として
東京書籍4500で「ボブは自分の将来について楽観的だ。」 Bob is optimistic about his future.
である。
似たような例文が旺文社1900にもあり、「彼女は自分の将来について楽観的な気持ちだ。」 She feels optimistic about her future.
である。
桐原4500が紹介しているが、なにも将来でなく経済に楽観や悲観を感じてもいいのである。
桐原によれば、「彼はその国の将来について楽観主義を表明した。」 He has expressed optimism about the country's economy.
である。
wikiオリジナルの例文だが「トムは経済の先行きに悲観的だ。」なら、さしずめ Tom is pessimistic about the country's economy.
とでもなろうか。
なお、英和辞典を見ても、例文が「~は将来に楽観的だ」とか「将来に悲観的になってはいけない」ばかりである。optimistic などの単語が経済予想や株価予想に使えることすら、辞書だけでの勉強では全然分からない。とはいえ、あまり良い市販の英語教材がない。
ともかく、また、これらの例文のように、 be optimistic about ~ で「~に楽観的だ」となる(東京書籍4500)。悲観の場合も pessimistic で同様。
念のため、派生語も含めて一覧にすると、
optimism 「楽観主義」、
optimistic 「楽観的な」、
optimist 「楽観主義者」(旺文社1900に紹介あり)、
pessimism「悲観主義」、
pessimistic「悲観的な」、
pessimist 「悲観主義者」、
である。
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想像
vision, imagination, image
vision は「想像」の意味があるが、「見通し」の意味もある。もっとも、見通しの意味では名詞 perspective がさらに高尚。
なお、perspective はどちらかというと「視点」の意味である。大局的な視点=見通しのようなニュアンスが perspective である。東京書籍が(大局的な)「視点」、桐原が「観点」。だが、別に大局的でなくても美術の遠近画法のことを perspective というので、東京書籍の説明はいかがなものか。
from a different perspective で、「違った視点から」
たとえばジーニアスいなる例文think about the problem from a different perspective で、「その問題を違う観点から考える」となる。ジーニアスは「観点」、東京書籍4500は「視点」と訳しているが、別にどちらでもいい。
different の部分を別の形容詞にすれば、
from ~ perspective で、「~の視点(観点)から」になる。
なお、スペルの似ているprospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
たとえば形容詞 prospective は「有望な」の意味である。
ジーニアス英和によると、もともとはprospectは高いところからの「展望」のような意味だったようである。桐原4500にprospectが書いてある。
「見込み」outlook という単語もある(桐原5500 のprospect)。桐原5500では prospect の「見込み」の類義語として紹介されている。
もし、「観察力」とかを言いたい場合、observe 「観察する」である。
「洞察力」なら、penetrating 「洞察力のある」である(旺文社1900。桐原5500)。ただし、洞察力の意味での例文は単語集に無い。動詞penetrate には「浸透する」の意味もあって、そちらの例文が市販の単語集には書いてある。
もっと簡単な単語としては insight 「洞察力」という名詞があるので、これを使って洞察力を表現する方法もある。
なお、
語法 give A insight into B で「AにBの見識を与える」
である。
名詞 vision にも、「見通し」「洞察力」などの意味があるので、これでも洞察力を表現できるだろう。ただし、単語集にその用法での例文は無い。
旺文社1900によれば、 a one's(myなど) point of view で「〜の観点から」の意味。だが、これを直接暗記するよりも、まず名詞 view には、「眺め」の意味のほかにも、「見解」の意味があることまず知るべき。
慣用的に in my view, 「私の考えでは、」(ジーニアス、センチュリー)という表現がある。「考え」と訳しているが、「私の見解ですが、」くらいに訳したほうが分かり易いだろう。ただし、英語の view には、個人的な感情も含んで見方を示しているので、そういう意味で辞書では「意見」としたのかもしれない。
だが、 in my view は、ジーニアスによれば、in my opinion よりも控え目な言い回しとして使われる。
まあ、読者の自己責任で和訳してください。
単語集にはないが、viewpoint 「観点」という単語がある。ジーニアスの例だと、
From an economic viewpoint, 「経済的な見地からすると、」(その計画には利点がない)
と続く。
センチュリーだと、
〜 from the viewpoint of employees. 「従業員からの立場からみれば」(昇給はよいことだ)
となる。
旺文社の大学入試出る順シリーズに a point of view が書いてあるから、たぶん入試に良く出るんだろうが、正直言って瑣末な単語であろう。実際、桐原も東京書籍も a point of view を紹介していない。ジーニアスやセンチュリーにすら、少なくともview の項目には書いてない。辞書でpoint で調べると point of view が書いてあるが。
たとえば、センチュリー英和では「アメリカ人の視点から見ると、」(謝罪は自分の誤りを認めたことになる) From an American point of view, 〜
ジーニアス英和では「財政的見知では、」(これは由々しき問題だ) From a financial point of view, 〜
などの例文がある。
熟語 in terms of ~ で「~の点から」。なお terms はterm の複数形。東京書籍4500と桐原4500に似た例文があって、東京書籍「その計画は費用の点から現実的ではない」The plan is not realistic in terms of cost.
なんで terms と複数形なのか不明と思うだろうが、しかし英和辞典にも in terms of と複数形で紹介されているので、受け入れてもらうしかない。
いっぽう、桐原「この計画は時間と費用の関係で現実的ではない。」 This schedule <nowiki>isn't</nowiki> realistic in terms of time and costs.
term ついでに言うと、医療の末期医寮などでターミナルなんとか terminal 〜 とかあるが、辞書で確認すると用語term と末期terminal の語源は一応は同じだが、事実上は意味のまったく違う別の単語だと思うほうが良いだろう。東京書籍4500がそういう見解であり、「用語」 term と 「末期の」「終末の」 terminal を別々の項目として紹介している。
「末期の」の典型的な例文としては、「末期ガン」 terminal cancer がある(東京書籍4500. ジーニアス、センチュリー)。
桐原4500 では terminate 「終わりにする」が紹介。terminateの紹介位置が巻末ちかくの付録のため、例文なし。
駅や空港などのターミナル terminal も、同じスペルである。駅近くなどのターミナルも、もともとは何かの終着のことだったのだろう。
なお、駅が公共バスなどの終点である事例は多い。
そういうバスターミナルのことも、ジーニアス英和いわく a bus terminal であり、またはセンチュリー英和いわく単に terminal という。
センチュリー英和は、バスのターミナルを単に「終点」と訳している。
さて、term には、「用語」の意味の他にも、「期限」「期間」の意味がある。
形容詞 long-term で「長期の」という意味である(旺文社1900)。
単語集にはないが、termination 「満期」「満期の」という単語がある。term にはそういう、限度のある期間的な何かのニュアンスもある。関連づけて覚えよう。
小中高の学校の「学期」もtermであるが、普通は3学期制の「学期」のことをいう(ジーニアスsemester で確認。ほか旺文社 semester )。大学の「前期」「後期」といった2学期制の場合は semester という(旺文社、ジーニアス semester )。
なお、日本の大学は、年間で「前期」「後期」という2学期制である。少なくとも日本の大学はそうである。
英米では、「秋学期」the fall semester と、「春学期」 the spring semester という言い方をする。
普通、英米では、9月から翌年1月までが「前期」the first semester であり(センチュリーで確認)、「秋学期」the fall semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
普通、英米では、2月から8月までが「後期」the second semester であり(センチュリーで確認)、「春学期」the spring semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
果たして大学でもし3学期制の学校があったら何というのかは知らない。まあ、単語なんて所詮は、社会の現状に合わせて言葉が作られるので、社会に存在しない制度の呼び名を考えてもラチがあかない。
imagination は「想像する行為」または「想像力」のこと。
image は、想像によって脳内に思い浮かんだ「像」や「印象」のこと。
動詞形は imagine である。実はimageも動詞とみる場合もあるが、しかしジーニアス英和ではimageの動詞用法は不採用である(ジーニアスでimageを見ても、動詞の用法は無い)。センチュリー英和だと、imageの動詞の用法が書いてある。
形容詞 imaginary は、「想像上の」「架空の」「実在しない」である(ジーニアス英和。センチュリー英和)。
ジーニアスでもセンチュリーでも、「創造」ではなく「想像上の」である。
スペルの似た imagery という単語があり、旺文社には『(集合的に)「比喩的表現」』と書いてある。辞書を見てもジーニアスでしか見つからず、例文もなく、よく分からないので説明を省略。
単語集にはないが、理科のレンズの実像(a real image)や虚像(a virtual image)などの「像」も image である(ジーニアス英和)。
旺文社1900にあるが、テレビの「画像」も image である。上述のレンズとテレビを合わせて考えれば、つまり、光学の像も image であるし、実際に英和辞典ではそう紹介している。
なお、イメージダウンなどは和製英語。イメージが悪化した場合は a bad image のように言う(ジーニアスで確認)。
なお、仏像とか銅像とか、ああいったのは「塑像」(そぞう)とか「彫像」(ちょうぞう)とかいうが、「塑像」・「彫像」の英語は statue (スタチュー)である。単語集を見ると巻末の索引に statue が書いてないので一見すると高校の範囲外だが、しかし自由 liberty で東京書籍4500を見れば「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P28に「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。
このように、「自由の女神像」 the statue of liberty は事実上の高校必須の単語である。
liberty「自由」は普通、国家権力からの自由の事を言う。
だから liberal は形容詞「自由主義の」または名詞「自由主義者」の意味がある。(桐原4500が名詞「自由主義者」も紹介している。東京書籍は形容詞だけ。)
liberalism 「自由主義」である。
statue は、桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P31に「ブロンズ像」 a bronze statue が書いてある。
光学ついでに言うと、「反射する」は reflect である。典型的な例文が、「日光を反射する」reflect sunlight である(東京書籍4500、センチュリー)。
ジーニアスには「鏡は光を反射する」
A mirror reflects a light.
という例文もある。
だが、桐原4500や旺文社1900では、reflectの、意見などを「反映する」の意味のほうが紹介されている。
とりあえず、ジーニアスによれば「世論を反映する」 reflect public opinion である。
センチュリーや桐原や旺文社を見ても、「反映する」は他動詞的に使うのか自動詞的に使うのか、能動形や受動形か、あまり使い方がはっきりしない。
reflect on ~で「熟考する」「回想する」の意味(旺文社1900では熟考、東京書籍では回想を紹介)。東京書籍のには例文あり。著作権のため本ページでは紹介しない。
名詞形には reflection と reflex がある。意味が微妙に違うので、必要な場合には英和辞典で確認せよ。
なお、単なる「視野」や「視界」のことは view である。だが、辞書でviewの項目を見ると、「見解」の意味が先に書いてある。少なくともジーニアス英和とセンチュリー英和はそうである。辞書よりも単語集で勉強しよう。
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可能性 possibility, probability, likelihood
成功の見込み、成功の可能性 prospect
潜在能力 potential
probability (プロバビリティー)は「見込み」「確率」の意味(旺文社1900)。数学の「確率」で probability が使われるので、もし確率ではない単なる「可能性」のことをいいたい場合は、別の言い回しが必要な場合もあるだろう。
関連語として、副詞 probably「たぶん」がある(旺文社、桐原)。
形容詞 probable (プロバブル)については
It is probable that ~ 「たぶん~だ」
の意味(桐原4500、旺文社に似た和訳)。
対義語 impossible (インポッシブル)「不可能である」も覚えておきたい。
ほか、prospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
「可能性」を意味する likelihood (ライクリフッド)という単語もある(旺文社1900巻末)。副詞 likely 「ありそうな」の名詞形である。
possible (ポッシブル)について、
It is possible that 人 to do
で「人が do するのは可能だ」の意味(桐原4500、東京書籍3000)。
capability (ケイパビリテイー)は「能力」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
ability (アビリティー)は「能力」「才能」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
「たぶん」を意味する副詞の maybe(メイビー) と perhaps(パハップス) と probably(プロバブリー) については、省略。書きたくない。
東京書籍3000が、ひとまとめで maybe や perhaps と probably を説明している。
東京書籍3000は紹介していないが、 likely (ライクリー)形容詞「ありそうな」、副詞「たぶん」という単語もある。
名詞および形容詞のpotential (ポテンシャル)は翻訳の都合で(名詞の場合なら)「可能性」と訳す場合もあるが、なるべく「潜在能力」 potential という訳で覚えましょう。
形容詞としての場合、「潜在的な」で potential を覚えましょう(桐原3000巻末)。
物理学の位置エネルギーのことを英語で potential と言いますので、科学的な専門用語でもあります。
桐原3000巻末のセンター試験特集によると、「潜在能力」などの意味ですが potential はセンター試験での出題をされた単語らしいです。
センター出題の背景事情として、ポテンシャルは物理学などで使う用語だという背景があります。
日本語でも、物理学の専門書などを見ると、普通に「ポテンシャルエネルギー」とか単に「ポテンシャル」などと言ったりもします。
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計画
scheme, plan, project
~するつもり intend , plan
桐原4500 が scheme を「たくらみ」の意味だけ例文で紹介している。勘弁してほしい。
まず、旺文社1900 が例文で、政府の「新しい住宅供給計画」を The new housing scheme といってるように、比較的にきっちりとした計画のことである。
桐原・旺文社の単語集にもあるように schemeに「体系」とかの意味もあって、だからニュアンス的には、体系だった計画のような感じがある。
念のためジーニアス英和を見ると、scheme の意味として「政府の公共計画」、「会社の事業計画」などが挙げられている。
そして、そういう派生として、「陰謀」(旺文社)、「たくらみ」(桐原)を覚えるべきだろう。語源はともかく。暗記の負担を減らす理解としては、たとえば
:陰謀は大規模・身の程知らず → 大規模な計画は scheme という → じゃあ陰謀も scheme でいいか
的な連想とかで覚えるのがラクかと。
高校生に語源の知識はいらないし、もし語源が「たくらみ」だというなら、そういう情報を先に教えるべきだし、念のためジーニアスで語源を見てもsdhemeの語源は『「形」が原義』とのことだし、あるいはもし有名大学が入試でscheme の「計画」の意味も出題せずにschemeの「たくらみ」を出題しているならその大学が批判されるべきだろう。
なので、ジーニアスもいってるように、scheme は plan よりも固い語である。
ジーニアス英和やセンチュリー英和にあるように 大綱とか図式とか、学問などの体系とか、教育体系とかも scheme という。
たとえばセンチュリー英和が教育体系なら an educational scheme だと言っている。
plan は「計画」をあらわす一般的な語(ジーニアス)。
project は、長期の「計画」を表す(東京書籍3000)。projectを「事業」「プロジェクト」などと訳す場合もある。東京書籍では「プロジェクト」という訳語を紹介している。
辞書では特にplan と project の違いは述べられていない。だが project の用例を見ると、橋やダムなど公共インフラの建設計画などがよく project で表現される。
「ダム建設の事業」 the project ro build the dam
である(東京書籍3000。センチュリーに似た例文)。
「橋の建設の事業」なら a project to build bridges である(ジーニアス)。
別に公共インフラでなくてもよく、ビルの建設計画でも良い。
なお、大規模な工事などを「計画する」という意味で動詞 project もある。アクセントが名詞と動詞とで異なる。
名詞は、プ「ラ」ジェクトの「ラ」にアクセントがある。なお、日本語では「プロジェクト」と書かれるが、英語ではどちらかというと「ロ」ではなく「ラ」であり、プロジェクトである(センチュリー、ジーニアス)。
動詞は、プロ「ジェ」クトの「ジェ」にアクセントがある。
学生などの研究課題も project という、
計画する plan , intend
動詞 intend to ~ 「~するつもり」は、計画だが、やや欲求・意思に重点を置いている。
動詞 plan は、計画性に重点を置いている。 plan to ~ は「~することを計画している」と訳すのが普通。(「~するつもり」ではなく)
plan a trip to Hawaii 「ハワイ旅行を計画する」(東書3000)
plan to go to Ireland 「アイルランドに行くことを計画する」(桐原4500)
進学などの予定は、intend も plan も使う。
Bob intends to learn karate in Japan.「ボブは日本で空手を習うつもりだ」(東書3000)
Most of these students intend to continue their education at university. 「ここの大半の生徒は大学へ進学するつもりだ」(桐原4500)
べつに進学や就職でなくても、
She intends to go to bed early tonight.「彼女は今晩早くねるつもり」(桐原1900)
Where do you intend to go to tomorrow? 「明日どこへ行くつもりだい」(ジーニアス)
のように intend は今日とか明日の予定でもいい。
名詞形は intention 「意図」である。単語集には例文は無し。高校レベルを超える。(いちおう、東書4500に「意図する」のintend の例文あり。)
ただ、どうしても「意図的」とか言いたい場合は、intentional とかintentinally みたいにその系統の語を使うのが安全そうである。
桐原5500 に deliberate 「意図的な」という語があるが(昔の上智大に出た単語らしい)、intention などとの使い分けが英和辞典を見ても言及されておらず、またネットで調べても情報が一致しない。あるサイトでは、欲求にしたがった意図だという主張もあれば、別のサイトでは熟考した上でも意図だという主張もあり、不一致である。
なお「配達」などの delivery とは語尾のvが違う。bとvの違い。
いちおう deliberate に「熟考した上での」という意味もあるが、しかし、あまり行儀のよろしくない行動にも deliberate の「意図的な」を使う例文もあるので(たとえば故意犯みたいな)。・
a deliberate insult 意図的な侮辱(ジーニアス)
the fire was stated deliberately その放火は意図的だった(グランドセンチュリー)
みたいな。
もちろん悪事だけでなく、良いことにもdeliberate を使ってよい。
a deliberate refusal よく考えた上での辞退(ジーニアス)
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陰謀(主に「共謀」)
conspiracy
たくらむ
scheme
高校英語としては、陰謀で覚えるのは conspiracy と、あとはschemeで十分だろう。
ジーニアス和英辞典によると。「たくらむ」には、plot, conspire , scheme , contrive ,hatch がある。
これらの単語には、陰謀以外の意味で使われるものあり、
比較的に簡単な単語なら、
plot は、よく数学的なグラフに「点を打つ」とかの意味で使われる。
なんと高校の単語集には plot がない(桐原3000・4500・5500と東京書籍3000・4500を調べた)。点 point とか教えてるのに「点を打つ」plot がないとは、英語教育の界隈はどういう了見か。反省を願う。中学数学レベルの簡単な英単語も教えられないくせに conspiracy とか教えているのか。
一応、「x軸」 x-axis とか「y軸」y-axis とかは、検定教科書で見かける<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P145</ref>。
ジーニアス英和で plot を見ると、「(裏切りの)陰謀」「たくらみ」が最初の意味だが、なんだかなあ。いまどき plot なんて数学の座標で使うのが人生で最初だと思うが。
センチュリー英和の言うように、地図や図面などに位置を書き込むことがプロット。
なお、小説などの筋書きも plot といい、センチュリーはこの筋書きの意味をplotの名詞の項目で最初に紹介している(動詞のほうは、「たくらむ」だけ紹介)。
しかしセンチュリーのほうだと、動詞には、図面や地図に位置を書き込むことの動詞がない。
本当もう勘弁してほしい。英和辞典ともあろうものが中学校レベルの英語くらい書けないのか。
scheme は上述のような体系的な「計画」だし、
hatch は(鳥などが)「ひなからかえる」「卵からかえる」「卵をかえす」とかの意味。船などの昇降口のハッチ hatch とスペルが同じ。
contrive には、(ジーニアス英和によると)「考案する」・「うまくやりとげる」の意味もある。
conspire が、「共謀する」の意味。桐原5500でも、conspiracy の例文の主語が複数形になっているので、和訳には「陰謀」とあるが内容は「共謀」である。
ちなみに「陰謀」の名詞は、桐原5500が紹介しているのは、intrigue (イントリーグ)とconspiracy (コンスピラシー)である。
これだと意味が強すぎるので(政府転覆とか)、ちょっと何かをたくらんでいるぐらいの場合に、scheme とか plot とかを使うとよいのだろう。
ジーニアス英和で intrigue を調べてみたが、例文がなく、よくわからなかった。なお、名詞も動詞も intrigue である。
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多様性
variety ,diversity
東京書籍4500は variety と diversity の違いの細かい説明をあきらめている。
diversity のほうが高尚な言い回し。
東京書籍の言うには、形容詞 variousが「いろいろ」「さまざま」。名詞 diversity が「多様性」である。
熟語 a variety of ~で「様々な」の意味(桐原4500)。
桐原4500および旺文社1900に至っては、そもそもdiversityの項目・ページではvarietyを紹介していない。
桐原4500 が「民族の多様性」 ethnic diversity という表現を使っている。
センチュリー英和がdiversityの項目で biological diversity 「生物学的多様性」という表現を使っている。
「生物多様性」のことを biodiversity または biological diversity という(旺文社1400)。
biodiversity は辞書(ジーニアス、センチュリー)に書いてある。
辞書のbio- の項目では、biological diversity は辞書では見つからなかった。
なお、ややこしいことに、diversity およびvariationには「差異」「相違」という意味もある。
和製英語のバライエティーおよにバリエーションは、やや意味が間違っている。
variation は、「差異」・「相違」・「変化」の意味(東京書籍4500および旺文社1900)。高校数学ではわかりづらいが、大学の数学で「変分法」という微分積分の発展的な分野のようなものがあって、これに variation という英語が相当している。( [https://kotobank.jp/word/%E5%A4%89%E5%88%86%E6%B3%95-131413 コトバンク『変分法』] )この変分計算では、関数中にある変数の代入値を少しだけ変化させたら関数がどう変化するかを考察しているので、英単語 variation の訳語のニュアンスに近い。
なお「微分」はdifferential、導関数はderivative なので、混同しないように(※ 大学受験に出ないので覚えなくて言い)。
桐原4500の例文にもあるが a diversity of ~ で「多種多様な~」の意味。 a diversity of wildlife で「多種多様な野生生物」と桐原4500が紹介。
なお余談だが、近年では国籍や性別(男・女のほかにも、さらにはLGBTなど)などの多様性のこともよく「ダイバーシティ」 diversity といい、よく人権などの関係した議論でこの用語護が出てくる。今後の公民科目などの範囲になるだろうから、本・英単語集のページでは深入りしない事にする。
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十分・充分
sufficient ,adequate, enough
sufficient ⇔ deficient
適切である suit, be adequate for,
enough は形容詞にも副詞にも使われる。
sufficient と adequate は形容詞。
ジーニアス英和に、adequate の類語が sufficient , enough だと書いてあるが、ニュアンスの違いは見当たらなかった。
形容詞 sufficient 「十分な」は enough よりも固い語である。
だが、その用法だけではない。
強制ではないが、sufficient は、質・量ともに十分な場合に好まれて使われるニュアンスがある(センチュリー)。
一方、単に量が多い場合や、特に質が問われない場合などに enough を使うという、使い分けがある。
be sufficient to ~(動詞) 「~するのに十分である」
である(桐原、東京書籍)。
sufficient の名詞形は sufficiency 「十分足りること」である(桐原)。
対義語は insufficient 「不十分な」、または deficient 「不足した」(デフシュント)である(東京書籍)。
センチュリーいわく、sufficient では質も問われるニュアンスがあることも合わせれば、対義語との関係は、
(質・量とも)「十分な」sufficient ⇔ deficient(質・量が)「不足した」
である。
センチュリーの訳語を比較した範囲では、insufficient よりも deficient のほうが絶対量の不足という意味合いが強そうであった。そのためか、deficinet は「欠乏」と訳されることもある(センチュリー)。つまり deficient 「欠乏した」「不足した」などの意味である。
名詞形 deficiency 「不足」「欠乏」「欠陥」という単語もある(旺文社 deficit 項目、センチュリー)。
ほか、貿易赤字などの「赤字」は 名詞 deficit (デフィシット)である。
つまり、「赤字」 deficit である。
「貿易赤字」は a trade deficit である(旺文社、センチュリー)。
数学用語だが、「十分条件」は sufficient condition である(旺文社1400)。なお、「必要条件」は necessary condition である(旺文社1400)。
sufficient O(目的語) to V(動詞の原形)
で、「Vするのに十分な量のO」
~ be sufficient to V
で、「~はVするのに十分だ」
be adequate for ~ は、「~に十分な」とのことだが(東京書籍)、しかしジーニアスを見ても例文がなく、よく分からなかった。
be adequate for ~には「~するのに適している」の意味もある(桐原)。
「適切である」を言いたいなら、動詞 suit (スート)ひとつで足りるだろう。
たとえば
「このソフトウェアはプログラミングに適切です。」 This software suits programming.
のように(wikiオリジナルの例文)。
suit 自体は桐原4500・東京書籍4500・旺文社1900の3冊とも紹介しているのだが、
しかし「適切である」の例文は、東京書籍しか紹介していない。
しかも、待ち合わせの時間が「好都合である」の訳。
違う英文だが、
(待ち合わせの時間を聞かれた返事で)「金曜日が好都合です」 Friday suits me.
のような使い方(オリジナル。ジー二アスに似た例文。センチュリーに似た例文)。
桐原が紹介している例文は背広のスーツだし、旺文社のは「訴訟する」の suit である。
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不足
lack , shortage
かつて受験英語などで「欠乏」lack ,「不足」shortageのような使い分けがあったが(実際、ネット検索するとそういう説明も出てくる)、しかしこの分け方は正しくない。なぜなら、英和辞典で lack の項目を見れば、単に不足している場合でも lack を使っているからだ。
lack と shortage の違いは、たとえば「同情に欠ける」とか「常識に欠ける」がlackである。
センチュリー英和を読むと形容詞 lacking の説明で、be lacking in common sense という例文で、「その学生は常識が足りない」という例文もある。
どうも、lack は、慣用句として、配慮が欠けている場合に使うのが英米では自然なのかもしれない。また、その言い回しが、配慮を欠けている事実自体を主張するおかにも、どうも不足の現状に対して非難や批判などのニュアンスも込めてlackが使われていそうである。
おそらく、辞書にあるlackの訳語の「欠乏」が間違っている。ジーニアスにもセンチュリーにも「欠乏」が書いてあるが、正しくは「欠如」(けつじょ)である。(ジーニアスに「欠如」が書いてある。)あるいは、辞書にはないが「欠落」あたりだろうか。欠乏の「乏」とは貧乏の「ぼう」である。
ジーニアスには、lackについて「十分にはないことをいう。まったくない場合はabsence」といっている。ジーニアスはせっかくここまで説明しておいて、なぜ「欠乏」という訳語を使い続けるのか。
欠席のことを be absent from (classなど)というが、上述のabsenceはその形容詞absentの名詞形。つまり、英語では「欠乏」と「欠席」とが同じ単語だという事。
absenceは、ゼロの状態だから、「ゼロでないけれど、大幅に足りない」みたいな表現には向かない。そういう深刻な不足を言いたい場合は、たとえば a serious shortage となるだろう。実際、センチュリ-のsortageの項目に例として a serious shortage (深刻な不足)や an acute shortage (深刻な不足)や a severe shortage (深刻な不足)などが 書いてある。<!-- 原著で訳語「深刻な不足」をそれぞれの単語に書いてあるので、けっしてwikiでひとまとめにしないこと。またニュアンスも微妙に違う。-->
さて、食料やら金銭やらが物理的に足りない場合は、どちらでもいいが、辞書を見る限り shortage のほうがそういう物資の不足での例文が多い。
たとえば東京書籍4500にあるが water shortage である。
食料不足は、東京書籍4500では The shortage of foodだが、センチュリー英和では food shortage である。
労働者不足が the shortage of labors である(旺文社1400(簡単なほう))。
医師不足が a shortage of doctors である(桐原4500)。 冠詞 a と the の違いは文脈に応じただけのものなので、読者は気にしなくていい。
なお、lack は動詞の場合もある。
単語集を見ても、lackとshrtageの違いとか、書いてない。まったく。
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直観と直感
intuitive(直観),
洞察
insight
英語というより日本語の問題なのだが、「直観」と「直感」では意味が違うので注意が必要である。
「直観」には、洞察力のようなニュアンスがある。
だから
直観の intuitive は、「直観的な」「直観力のある」などと訳す(東京書籍4500)。
名詞形 intuition だが、桐原5500の例文の和訳で(なお東大の過去問例文)「動物、中でも人間は起こりそうなことに関して鋭い直観力を発達させたと考えることができるだろう。」 We <nowiki>coudn't</nowiki> expect animals, especially humans, to have developed sharp intuitions about probably. とある。
英和辞典でintuitive などを見ても、ほとんど例文がないので(センチュリーには例文がなかった)、桐原のこの例文を学ぶのが良いだろう。
あるいは英和中辞典などを見れば例文があるのかもしれないが、さすがに高校英語でそこまでする必要はないだろう。
あと、東大は辞書を見ても満足に例文のない単語を大学入試に出しているわけだが、はてさて、見識が問われますなあ。まさか高校生に中辞典を買わせるつもりでもあるまいし。
もっとも、「洞察」「洞察力」については insight という別の専用の単語があり、普通に4500語レベルの単語集にある。
いっぽう、「直感」は、単なる勘に近い。和英辞典によれば、hunch とか scent が直感である。(高校の単語集にはない)
センチュリー英和によれば hunch は「虫の知らせ」で、口語のニュアンスがある。
scent には、名詞 scent には「勘」の意味もあるが、「臭い」とか「嗅覚」とか「香水」の意味なので、動詞scent には「かぎつける」の意味もある。
hunch も scent もこういうふうに口語っぽい内容なので、まあ単語集には出ないだろう。
そのほか、名詞 instinct (本能)にも「勘」の意味があるが、どちらかというとinstinctは「本能」で覚えたほうがいいだろう。
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結果
consequence , result
辞書にはconsequenceでは「結果の重要性を意識している。resultより固い語」とか書かれるが、
だが、東京書籍4500にはconsequenceは「通例望ましくない内容について用いられる」と説明がある。
実際、センチュリー英和で例文を見れば
「戦争の結果」In the consequence of the warだとか
ジーニアス英和だが「結果として戦争になった」have grave consequence (「重大な結果をもたらず」※戦争の婉曲表現)とか、
あと形容詞だが「天候不順の結果の食糧危機」food shortage consequent on bad water とか、
そんな例文ばかりである。
どうやら consequenceは、結果の深刻性を感じてほしい的なニュアンスのようだ。
なお桐原4500および旺文社1900みても、そういうニュアンス説明は無い。
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取得・獲得
acquire
acquire は、(技術・知識などを)(努力して)「得る」の意味。(東京書籍4500など)
典型的な例文で、
acquire a new skill 「新しいスキルを身につける」
がある(東京書籍4500。旺文社1400にも近い例文)。
「外国語を習得する」acquire foreign languages
という例文もよくある。(桐原4500。センチュリー英和aquireの項目)
辞書にはよくaquireの用法で「(知識などを)身につける」とあるが、しかし語学のようなレベルの「知識」である。
acquire には「習得」以外の用法もあって、
努力して大金や土地などを「獲得する」ことも acquire というが、単語集には例文がないので、説明を省略。桐原の単語集に「(努力して)獲得する」とだけ説明してあって、技術の習得の話をしてないのは、土地などの獲得を意識したものだろう。
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「異国風」
exotic
形容詞 exotic (イグザティック)は、通例では、欧米人の目からみて「異国風」という意味であり(旺文社)、けっして単に異国風なだけでなく、加えて、めずらしくて面白かったり興味をひかれる性質のことである(ジーニアス、センチュリー)。
具体的にいうと、日本国内で言うなら、京都などの寺社は exotic だろう(特に出典は無い)。日本に存在していても、東京の高層ビル群などは exotic には写らないだろう。
日本語でもローマ字読みで「エキゾチック」と言う。日本でも、よく文学評論とか芸術評論とかで使われる単語なので、覚えておきたい。もっとも日本で「エキゾチック」と言う場合、東南アジアや中東やアフリカなどの観光的な光景なので、英語とは微妙にニュアンスが違うが。
さて英語では、動物や植物が「外来種」や「外国産」などの場合も exotic という。農産物だけでなく、言葉が外国由来の場合も exotic という。
旺文社の単語集で、動物園の例で exotic と言っているのは、そういうニュアンスもあるだろう。
桐原と東京書籍の単語集では、exotic が見当たらない。
辞書によると、「外国の」・「外国人」という意味もあるとのこと。言葉が外国由来の場合も exotic というので、それと関連づけて「外国人」なども覚えよう。
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広さ
broad, vast
broad は、幅が「広い」。
典型的な例文が 「(道幅の)広い通り」 a broad street である(東京書籍4500および桐原4500)。
幅広い知識 a broad knowledge とか(ジーニアス)、「幅広い趣味」 a broad range of hobby とか(東京書籍4500)のように、物体以外の知的興味の広範さにもbroadを使う。
インターネットのブロードバンド broadband のブロードと同じ単語(東京書籍4500)。
vastは、面積が「広大な」である(東京書籍4500)。だが実際はセンチュリー英和では、ビル(建築物)や宇宙などもvastだとする例文を提示している。
broad の対義語は narrow 「狭い」。
体積が大きいのは huge 「巨大な」。(桐原4500。ジーニアス英和)
なお、「体積」は英語で volume である(旺文社1400、桐原4500)。volumeの意味は、「体積。容積。音のボリューム。本などの一巻。」の意味である。
turn the volume up で「音のボリュームを上げる」である(旺文社、東京)。
「音量を下げる」なら turn the volume down である(東京)。
コンテナの「容積」とかも、volume である(旺文社)。 the volume of the container 「コンテナの容積」である。
科学や工業などの「容積」「体積」でなくとも、たとえば「交通量」the volume of the traffic とか(東京書籍)、「ごみの量」the volume of garbage とかにも volume は使われる。
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娯楽
amuse , entertain
センチュリー英和によれば amuse は笑わせる事などのような意味での「楽しませる」。
entertain は、知的な面白さに重点がある。
entertain でよくある例文が、話や音楽で聴衆を楽しませる系の例文(東京書籍4500およびセンチュリー英和)。
たとえば entertain the audience で「聴衆を楽しませる」(東京書籍)。
また、熟語 entertain A with B で「AをBで楽しませる」。
センチュリー英和によれば Now let me entertain you with music. で「それでは音楽でお楽しみください」。
entertain には、自宅で客を「もてなす」の意味もある。
よくある例文が、ホームパーティなどで友人をもてなす系。
entertain their friends at their home 「友人をパーティでもてなす」(東京書籍)
entertain our friends at a party 「自宅で友人をもてなす」(旺文社1400)
ただし、実際の例文を見ると、あまり違いは明確ではない。
名詞形のamusement もentertainment も、それぞれ「娯楽」の意味で使われる。
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殺害
murder , kill
murder (マーダー)は「殺害する」の意味の動詞、および名詞としての用法では「殺人」一般の意味である。「殺人犯」はスペルが murderer (マーダラー)であり、スペルが微妙に違う。混同しないように。
「殺人未遂」は an attempt murder である(東京4500)。
「殺人事件」は a case of murder である。
なお、attempt は、困難なことを「試みる」という意味の動詞および名詞(東京書籍)。ジーニアスは、入念な計画と実施の必要な試みが attempt だと説明している。
名詞としての attempt は「試み」などと訳す。
典型的な例文で、
attempt to escape 「逃げようと試みる」
がある(東京書籍3000、桐原4500)。
脱走計画だとかそんなのだけでなく、ジーニアスいわく、エベレスト登頂の「試み」でも attempt とのこと。
90年代、かつて英語単語集に「massacre」(マサカ)という「大虐殺する」の意味の単語がよく載っていが、現代の単語州には無い。「まさか、人を殺すとは!?」という語呂合わせでよく紹介されてたものである。昔の単語集には、ちょくちょくコラム的にゴロ合わせなどが紹介されていた。
英和辞典(ジーニアス、センチュリー)で確認したところ、massacre に「大虐殺」の意味はあるが、一個人の「殺害する」のような意味は紹介されていない。語呂が不正確である。
しかし、近年に「虐殺」でよく目にするのは genocide である。ルワンダ虐殺とか、歴史的に名前が残っている事件の虐殺は genocide が普通であろう。検定教科書でもルワンダの虐殺について genocide という表記を行っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P75 </ref>。
kill や killerとの違いは、killは人間以外のものにも使う。人だけでなく、動物や植物、虫、植物なども、それらを殺したり、あるいはそれらに殺されたりする場合に、killである。
たとえば「魚を殺す」 kill fish である(東京書籍1800)。
それどころか、交通事故などで「死ぬ」場合も kill である。
be killed in ~(戦争や事故など)で「~で死ぬ」の意味。典型的な例文が「大勢の人がその戦争で死んだ。」 Many people are killed in the war. である。(桐原3000と旺文社1200に似た例文あり)
killer については単語集にはないが、名詞として「殺人犯」や「殺すもの」の意味のほかにも、形容詞として「致命的な」の意味もあり、たとえば「致死的な病気」 a killer disease などの例文が典型的。
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奪う・盗むなど
奪う
deprive
wikiオリジナルの例文だが、
The war deprived the children of the liberty. 「戦争が子供たちから自由を奪った。」
のように言う。
桐原4500に「戦争が、この子供たちからふつうの家庭生活を奪った。」 The war deprived these children of a normal home life.
とある。
旺文社1900では「軍隊が国民から自由を奪った。」 The military deprived the citizen of their liberty.
である。、
自由は別にliberty でなく freedom でもよく、たとえば東京書籍4500では、
「多くの子供たちが自由を奪われている」 A lot of children are deprived their freedom.
とある。
熟語 be deprived of~ で「~を奪われている」である(東京書籍4500)。
また、deprive A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(旺文社1900。桐原4500)。
盗む
rob , steal
動詞 rob は、ふつう、強盗とか 引ったくり とかスリに使う。スリかと思われる例文については、たとえば旺文社1900にある(電車で女性から財布を奪う例文)。
rob A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(桐原4500。東京書籍4500)。
東京書籍に典型的な例文「彼らは銀行強盗をした。」 They robbed the bank.
である。
派生語として、「強盗」 robber がある。「強盗事件」は robbery である(桐原4500。東京書籍4500)。
スペルの似ている rid という名詞・動詞があるが、「取り除く」の意味である。
熟語で get rid of ~ で「~を取り除く」である。
rob と rid は意味がまったく違うので、混同しないように注意。
なお、こっそりと者を盗む「泥棒」はthief (シーフ)である(桐原4500)。桐原3000を読めば、こっそり盗む者がthief であるし、ジーニアス英和の thief の項目にもそう書いてある。
なお、複数形は thieves である。ナイフの複数形の活用と同様。さすがにthiefの複数形を筆記で入試に出すのは瑣末すぎるので出題されないだろうが、まあ参考に。
こっそり「盗む」は steal である。桐原3000を読めば、stealの意味は「こっそりと」盗む、と書いてある。
なお、スペルの似ているsteel は「鋼」(はがね)。
さて、「盗む」stealの活用は、 steal - stole (過去形)- stolen (過去分詞)
である。
東京書籍4500の例文「泥棒が私のコンピュータを盗んだ。」 A thief stole my computer.
が典型的な例文であろう。
主語が被害者の場合、have ~ stolen になり、「~を盗まれる」の意味である。
典型的な例文
「私は自転車を盗まれた。」 I had my bicycle stolen.
がある。東京書籍4500と旺文社1400に、ほぼ同じ例文がある。
腕時計が盗まれるのも典型的で、センチュリー英和の桐原3000がそうであり、
「私は腕時計を盗まれた。」 I had my watch stolen.
である。
なお、ジーニアスにあるが、バーグラー burglar は「押し込みの夜盗」。センチュリ-によると、burglar は「(押し入り)強盗」。さすがにここまでは入試に出ないだろう。念のため桐原4500・5500と東京書籍4500を読んだが、もちろんバーグラー burglar は無い。
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気づく
notice, realize, recognize, perceive
「きびしい」
harsh, strict, severe, rigid
realize は、和訳では「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというと realize の意味は「認識を改める」である。
典型的な例文で、「彼は自身の過ちに気づいた。」 He realized his mistake.
みたいなのがある。
いっぽう、notice は単に、物事が目について「気づいた」という意味である。
なお、realize は英国では realise である。<!-- PC設定によっては realise でオートコレクト発動するが、これはイギリス英語をアメリカ英語では読み取れないため。 -->
なお、realize には(計画や夢などを)「実現する」という、まったく別の意味の用法もある。
たとえば「私の夢を実現する」なら realize my dream である(東京書籍4500)。あるいは realize my ambition である(旺文社1900)。
リアリティ reality という単語があるが、日本では小説や英語など創作物などの迫真性などのことをいうが、英語でもそのような創作物の評価における reality の用法はあるが(センチュリー英和で確認)、しかしもっと一般に「警官は彼が述べたことが真実かどうか疑った。」のような文章における「真実性」にも reality が使われる(センチュリー永和で確認)。
reality はけっして創作物に限った表現ではない。
旺文社1900では reality の意味を「現実(性)」としている。
実際、ジーニアス英和を確認すれば、そういう用法もあり、「人生のきびしい現実」みたいな例文でrality をジーニアスは使っている。
旺文社1900にも、harsh の項目で、a harsh reality 「厳しい現実」を紹介している。
なお、real と true の違いで、
true は主に話が「本当の」という意味で使う(東京書籍3000)。
いっぽう、real には、材質などが「本物の」という意味がある。
だから、real money 「本物のお金」とか、real diamond (本物のダイアモンド)などで使われる。
harsh「きびしい」(発音は「ハーシュ」)も、単語集に普通に書いてある。
気候が「きびしい」とか、批判や対応が「きびしい」などのことを harsh という。
東京書籍4500に a harsh winter 「寒さのきびしい冬」という例文がある。
旺文社1900に、harsh environment 「きびしい環境」と言う例文がある。
(桐原4500語レベルではなく、)桐原3000いわく、天候の場合は severe(シビア) でも「きびしい」を表現できる。東京書籍4500で確認したところ、批判の過酷な場合の「きびしい」でも severe を使うこともある。
harsh と severe のニュアンスの違いについては、特に書かれていない。
なお、規則などが厳格で「きびしい」と言いたい場合は strict である。
strict には、説明などが「厳密な」の意味もある。高校の分詞構文の単元で、
「厳密に言えば」 strictly speaking,
などを習うだろう。
ほか、形容詞 rigid (リジッド)でも「厳格な」を言える。単語集(旺文社1900、東京書籍4500、桐原5500)には、この厳格の用例が書いてある。
だが、それよりも物理学の「剛体」が rigid body として覚えたほうがいい。ジーニアスに、rigid は「剛体の」だと書いてある。
単に、「変形しづらい」みたいな意味での「固い」「堅い」のような意味が rigid である。
ジーニアスには、「変形しやすい」flexible の対義語であると紹介している。
規則の融通がきかないのが rigid だと、ジーニアスに書いてある。そういう意味である。
ほか、rigid には「顔がこわばった」「手足がこわばった」などの意味もある。
なお、rigid は発音注意の単語(旺文社)。
ほか、名詞形 rigidity 「厳格」「硬直」などの意味がある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。桐原だと「硬直」の意味が書いてないが、ジーニアスとセンチュリーの rigidity にしっかりと「硬直」が書いてある。
頑固オヤジみたいに「頑固な」「頑固である」と言いたい場合は stubborn (スタボーン)である(桐原、旺文社)。東京書籍は紹介してない。単語集にはないが、辞書で典型的な、「断固とした拒否(拒絶)」a stubborn refusal がある(ジーニアス、センチュリー)。そのほか、stubborn には軍隊などの(または軍隊などへの)抵抗が「不屈(ふくつ)の」という意味もある(ジーニアス)。
(厳格ではなく)「厳粛な」と言いたい場合は solemn だが(桐原5500)、あまり平易な例文が無い。
法律的な宣誓などが厳粛なことや、音楽などが荘厳なことまで、 solemn で表現できる(ジ-ニアス、センチュリー)。
「誓う」という意味の動詞 pledges(プレッジ)も、単なる約束 promise とは違い、厳粛 solemn に約束することであり、たとえば外交などの約束で使われる(旺文社1900の例文もそう、ジー二アスにもそういう例文あり)。その他、公約などで pledge 「約束する」を使う。または名詞として pledge には「公約」の意味もある。
※ ほか、批評が低評価で「厳しい」は damning (ダムニング)だが(センチュリー)、範囲外。
さて、virtual の話題。
ジーニアスを見れば、「仮想現実」 a virtual reality などの例文もある。
旺文社1900を見ると virtualの項目で、副詞 virtually 「事実上の」などもあるが、例文はない。東京書籍4500および桐原4500には例文は無い。桐原5500に副詞 virtually の例文あり、早大の過去問。
なお、桐原5500のviatually の項目いわく、「実質的には(≒practically)」「ほとんど(≒almost, as good as)」である。
念のため桐原3000および東京書籍3000を見たが、virtual などの紹介なし。
practical は「練習」 practiceの派生語。practice には「練習」のほか、理念・理論などの「実践」という意味がある。よって形容詞 practical には「実践的な」「実用的な」「現実的な」などの意味があり、よって副詞 practically には「実質的には」「実際的には」などのような意味がある。
余談だが、昨今、日本の芸能界では「リアリティ・ショー」などが問題になっているが、しかし英和辞典で見ると該当する単語は reality TV である(ジーニアス英和、センチュリー英和、の両方で確認)。
recognize は「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというとrecognizeは「見分けがつく」という意味である。
「足音でジムだと気づいた」とか(ジーニアス英和)、「帽子でジェーンだと気づいた」(センチュリー英和)とか、そういうのがrecgnizeである。
センチュリーから例文を抜粋すると、
I recognized Jane by ~ で、「~でジェーンだと気づいた」
のようになる。
一応、recognize には、新政権の「承認」などの意味もある。
辞書によくあるのは、新政権やイスラエルなどが周辺諸国から承認 recognize を拒まれるという内容の例文。
自分の間違いを認めたり認めないのも recognize である。
ジーニアスの例文では間違いを認め、
「彼は自分の間違いを認めた」He recognized that he was wrong.
である。
センチュリーの例文では間違いを認めず、
「彼は自分の間違いをどうしても認めようとしなかった。」 He wouldn't recognize his mistake.
である。
桐原4500ではrecognize を「認識する」、旺文社1900ではrecognizeを「識別する」とあるが、上述のようなそういう意味である。
perceive 「気づく」について。
名詞形 perception が「知覚」の意味である。この名詞形を覚えるべきである。
「知覚」とは、たとえば桐原のperceive の例文に「ネコは色を知覚することができない」とあるように、そういう意味である。
旺文社と東京書籍は「気づく」の意味の perceive 例文を紹介しているが、桐原は「知覚する」の perceive 例文を紹介するスタンスである。
perception については「認識」の意味もあり、桐原・旺文社にも書いてあるが、しかし「知覚」を覚えれば連想できるだろう。一方、認識から知覚を連想するのは難しいだろう。東京書籍では、perceptionの「認識」は紹介しておらず、「知覚」だけしか紹介していない。このように、知覚のほうが、この語 perception の本質であろう。
* cognitive 「認知の」
cognitive という形容詞があり、旺文社では「認知の」と紹介され、東京書籍では「認識の」「認知の」と紹介されるが、しかし辞書を見ても説明が少なく、よく分からない。桐原に至っては、cognitiveを紹介していない(桐原5500,桐原4500,桐原3000で確認)。
東京書籍でも、巻末で解説なしで、単語と例文だけの紹介である。しかし、旺文社1900での番号は 279/1900 と、かなり前半のほうである。
旺文社1900いわく「脳の認知機能」 the cognitive function of the brain
東京書籍4500いわく「認知能力」cognitive ability
らしい。
どうやら、cognitive は心理学または脳科学などの専門用語っぽいニュアンスのようだが、しかし英和辞典では確認できなかった(ジーニアス英和とセンチュリー英和を見た上で)。
旺文社いわく、「軽度認知障害」が、mild cognitive impairment (MCI)とのこと。
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過酷な
terrible, severe, harsh
ひどい terrible, awful
terrible (テリブル)は翻訳の都合でときには「過酷な」と訳される場合もあるが(ジーニアス)、たとえば暑さがterribleなら「過酷な暑さ」と訳される場合もあるが、
しかし、very bad くらいが terrible のニュアンスである(ジーニアス)。
なので、 terrible は(程度が)「ひどい」と覚えるべきである。
実際、東京書籍4500も桐原3000も、 terrible の意味を「ひどい」としている。
東京書籍3000は「ひどい体験」をterrible な体験としている(著作権のため、本ページでは「体験」は和訳せず)。
こういうふうに使う。
ほか、副詞 terribly は、
たとえば
「とても疲れたよ」 I'm terribly tired.
のように(ジーニアスに同じ例文)、強調するのに使う。
実はよい方向を強調するのにも terribly は使う(ジーニアス、センチュリー)。 (著作権のため、本ページでは例文は紹介せず)
terrible は語そのものにveryのような強調の意味を含むので、terribleをveryで修飾できない。
同様に、delicious(とてもおいしい)、enormous(とても大きい)、huge(巨大な)、marvelous(すばらしい)、terrible(ひどい)、tremendous(ものすごい)、などの形容詞はveryでは修飾できない。これらの語を修飾するには、reallyやcompletelyなどを使う
名詞形 terror (テラー)は「恐怖」「テロ行為」という意味がある。
なので、terrible には「恐怖の」という意味もあるが、この場合は horrible (ホリブル)で表現するほうが誤解のおそれなく無難だろう。
名詞 territory (テリトリー)「領土」「なわばり」も覚えておきたい(桐原4500、東京書籍4500)。三省堂 CROWN I を見ると、もう高校1年で territory を教えている。動物などの「なわばり」も territory で表せる。
なお、「国境」は単に border で通じる。 American border みたいに、国名の形容詞のあとに border を言えば、それでアメリカ国境の意味になる。
severe と harsh は他の節で紹介したので省略。
「過酷な」と言いたい場合、まずは severe (シビア)の使用を検討するのがよいだろう。
痛みが「ひどい」場合は severe を使うほうが無難だろう。
a severe pain 「ひどい痛み」(ジーニアス和英)
である。
形容詞 awful (オーフル)「ひどい」は、悪い意味だけでなく、よい意味でも使われる(センチュリーで確認)。桐原3000語レベル、東京書籍4500語レベル。
よって、awful は terrible とほぼ同じ意味。
もともと名詞 awe が「畏敬」(いけい)の意味である。
だが、awful は、なんだか口語的に「ひどい」「すごい」「おそろしい」みたいな意味になってしまっている。
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全体の
whole,total
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思う
think, suppose
think は「思う」と中学で習うが、辞書で調べてみると、意外とthinkは確信の度合いが高い。
センチュリー英和なども解説しているが、「推測する」といいたい場合は、think ではなく suppose を使うのが適切である。
つまり、「推測する」は suppose である。
推測よりも、やや確信の度合いが高い程度の場合に think を使うのが適切である。
名詞 supposition で「仮定」の意味。
まったく意味の違う用法だが、熟語 be supposed to ''do'' で、「~(do)することになっている」の意味。
よくある例文は、「彼は7時にここに来ることになっていた。」の類。
He was supposed to come here at 7 o'clock.
である。だが、この過去形での「was supposed 」の文は、実際には彼は7時に来なかったことを含意している(ジーニアス英和より)。東京書籍4500に似たような例文があるが、しかし東京書籍4500では含意の件には触れていない。
センチュリー英和によると、be supposed to do は、「(慣習や法律などによって)...するものと考えられている。」とあるので、表面的な言い回しこそ控えめだが、実際の意図はやや強制的・義務的な主張のニュアンスが高そうである。
否定形 be not supposed to do にいたっては「~してはいけない」の意味である(東京書籍4500)。
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証明・証拠
証明・証拠 proof ,demonstration
evidence 証拠
役所などの証明書 certificate
(裁判所などで)証言する testify (※高校必修範囲外だと思ったら、三省堂 CROWN I にあった)
proof には、「証明」「証拠」の2つの意味があるが、なるべく「証明」のほうで覚えるべきである。
なぜなら、数学の「証明」のことを proof というからである(ジーニアスで確認)。
私たちは、高校卒業後もなるべく教育レベルの高い外国人の英文を読むべきであろう。そして教育レベルの高い人ならば、外国の中学高校の数学は習得しているはずなので、よって外国人の彼らには証明を proof という習慣がついているはずである。外国の中学高校レベルの数学の用語も知らない頭の悪い外国人の英文なぞ、読むに値しない。
なお、動詞 prove は「証明する」の意味である。
evidence が、証拠のひとつひとつのことである。ジーニアスによれば、proofは「evidence を積み重ねた最終的な証拠」のことであるとされる。
だが、それよりも、proofは「証明」であると覚える方がよいだろう。
また、少なくとも日本の学問の世界では、個々の実験事実や個別の統計のような、個々の証拠のことは evidence というのが普通である。英語でどういうのか知らないが。
桐原の単語集にあるが、裁判などの「証拠」も「証言」も evidence である。英語では、「証言」と「証拠」を分けずに evidence という。
単語集にはないが、どうしても発言による「証言」であることを強調したい場合は verbal evidence という(ジーニアス英和で確認)。
ジーニアス英和辞典で確認すれば、「証人」すらも evidence である。
prove to be ~ で「~だと分かる。」「~となる。」「~と判明する。」である。
辞書の例文が、事業などが prove to be a success 「成功となる」またはprove to be successful 「成功となる」である(ジーニアスとセンチュリーの両方)。東京書籍4500の例文もこの類。
桐原4500だけ He was proved to be innocent 「彼は無実だと判明した」である。
旺文社1900には、 prove to be ~ の例文は無い。
実はデモンストレーション demonstration 「証明」の意味がある。
一般的には、英語では、行動によって意志を表したり、あるいは、たとえば新製品の実演販売みたいに実演などによって説明すること等を demonstration という。
集団などのデモ行進も、同じ demonstration である。
センチュリーの例文だが、戦争反対のデモなら demonstration against the war である。
一般に、demonstration against ~で「~反対のデモ」である。
だから東京書籍にある「新空港に反対するデモ」なら
demonstration against the new airport
である。
能力の証明なども demonstrate であり、東京書籍に紹介されている。
旺文社1900でしか説明していないが、感情をあらわにすることも demonstrate である。だが、感情のデモは例文もないので、深入りする必要はないだろう。
動詞形は demonstrate である。
ジーニアス和英を見ると、実はdemonstraite やdemonstration には「論証する」などの意味もあり、旺文社1900が紹介しているが、しかし桐原も東京書籍も「論証する」の意味は紹介していない。
センチュリーは、証明についてのdemonstration の意味は、論証ではなく「実証する」であると説明している。
ジーニアスの例文を見ると、「哲学的論理」の論証の例文である。
demonstrate が「論証する」と言っても、どうやら、数学のような論証ではないようだ。
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仮定や論理的思考など
仮定する assume, suppose
当然と思う assume
仮定 assumption, supposition
推測 supposition
「推論する」 infer
仮説 hypothesis
動詞 assume は、「仮定する」「想定する」「決め付ける」などの意味。
共通するニュアンスは、ジーニアスいわく、明確な証拠がなくても想定すること。
名詞形が assumption である。
assume that ~ で「~だと思い込む」(桐原)または「~を当然のことだと思う」(旺文社)である。
たとえば、旺文社の例文「私たちは日本の列車がいつも定刻どおりに運行することを当然と思う」が assume that の例である。
ジーイアスによると、三段論法の「前提」などで、assumption が使われるとのこと。
このため論理的な議論ではassume や assumption が使われると思われるので、覚えておきたい単語である。
しかし、suppose にも「仮定する」の意味がある。
だが名詞形 supposition が「推測」の意味である。なので、suppose はどちらかというと「推測する」のニュアンスが強い。
桐原の単語集にはsuppose は「推測する」の意味しか書いてないが(東京書籍に至っては「思う」しかない)、しかしセンチュリーを見ればsupposeの意味として「推測する」のほかにも「仮定する」も書いてあるのが実態である。なお、旺文社1900でだけ、例文なしで「仮定する」の意味も紹介してえる。
「仮説」と「仮定」は違う。
「仮定」とは、たとえば「仮に○○だとしたら、□□は××になるはずだ」の前半「仮に○○だとしたら」のこと。仮に定めるので「仮定」というわけである。
一方、「仮説」とは、「~の原因は、□□が××だからだ。なぜならば(以下略)」という原因をとなえる主張のうち、まだ真実かどうかの評価が確定してない主張のこと。
「仮説」は英語で hypothesis である。
なので「仮説」は証明あるいは検証するためのものである。
「仮説を証明する」は prove a hypothesis である(旺文社、ジーニアス)。
ただし、実際には派生的に hypothesis でも「仮定」の意味もある(ジーニアス、センチュリー出確認)。
だが、単語集では hypothesis の「仮定」の用法は紹介されていない。あまり知的な用法だとは思われていないのだろう。「仮定」を言いたいなら assumption
で済むし、高度な学問をするなら「仮定」と「仮説」は分離すべきであるし。
infer という動詞があり、事実や根拠などをもとに「推論する」という単語である。
infer that ◯◯(文節) from ~ で「~を根拠に◯◯だと推論する」という意味である。
桐原5500も旺文社も、infer の例文では from で根拠を提示している。
そもそも日本語の「推論する」というのは、事実や根拠をもとに推理・推測することだと、広辞苑(1992年)にも書いてある。
広辞苑の例文にも「事実から推論する。」とある。
ともかく、このように「推論」は根拠とともに使うべき単語である。
infer で推論する内容は、べつに学問的な内容である必要はなく、たとえば「彼女の沈黙から怒っているのだと察した」とか(ジーニアス)、そういうのでも構わない。
infer にはこのほか、「暗示する」(= imply )という単語もあるが、imply という「暗示する」の意味の単語で代用できるので、説明を省略する。
名詞形は inference 「推論」「推理」であり(旺文社)、推論するという行為(旺文社、ジーニアス)または推論の結果によって得られた結論のことを言う(センチュリー)。
by inference で「推論によって」(旺文社)、「推測によって」(センチュリー)である。
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扱う
deal with ~, treat
treat は普通、厚遇する「扱う」の場合に使う。つまり、treatは「厚遇する」である。
ただし、和訳の都合で、「厚遇する」だと表現が硬くなる場合によく「扱う」と訳される。
だが、「扱う」で覚えてしまうと類似語とのニュアンスの違いが覚えづらくなってしまうので、treat は「厚遇する」で覚えよう。
治療の場合にも treat を使う。
dea with ~は、「~を処理する」「~を契約する」などの意味である。
典型的な例文が「苦情を処理する」 deal with complaints である(東京書籍4500。旺文社1900)。
ジーニアスで確認したところ、 deal with にも厚遇の用法もあるが、本ページでは触れないとする。
deal は「分配する」「配る」の意味である(東京書籍4500でも紹介)。
トランプなどの札を「配る」のが dealである。
だからトランプの札を配る人をディーラー dealer とも言う。
deal には「商取引」の意味もある。だから、ある種の商品の「販売人」「販売業者」のことを dealer とも言う。桐原4500が「販売業者」としている。ジーニアスは「販売人」。
同じスペル deal で 「量」の意味がある。
a good deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。
a great deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。東京書籍4500では、 a great deal of ~ で「非常にたくさんの~」としており、数えられない名詞に用いるとしている。
桐原の例文では、 a good deal of snow 「かなり多量の雪」、東京書籍の例文では a great deal of time 「たくさんの時間」、と訳している。
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分配・配分
distribute, deal
食料や出版物などを分配する場合、普通は distribute を使う(東京書籍4500)。東京書籍では「出版物」では「印刷物」としているが(例文でリーフレット leaflet を想定)、しかしトランプの札も印刷物であるので、このページでは「出版物」と表現した。
典型的な例文が
distribute food to the ~で「~に食料を配る」である。
辞書によっては「金を配る」場合もあり、その場合は
distribute money to the poor 「まずしい人に金を配る」である。(センチュリーを参考)
「子供たちにリーフレットを配る」なら、 distribute leaflets to the children となろうか(wikiオリジナル。東京書籍およびジーニアスの例文を参考に組み合わせ)。
東京書籍4500だけでなくセンチュリー英和でもリーフレット leaflets を配る例文である。
単語集にはないが、電気屋などで買えるテレビ信号などの分配器をよくよく見ると、ディストリビューターと言ったりしている。実際、ジーニアスで分配器 distributor である。
単語集にはないが、数学でいう確率分布などの「分布」も distribution である。しかし高校生に「確率分布」と言って通じづらい。
ジーニアスによれば、生物学などでの植物の「分布」も distribution である。高校生は植物のほうが覚えやすいだろう。
deal については「扱う」の項目で説明したとおり。トランプの札などを配ったりするのが deal である。
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比例
ratio, rate, proportion
3:2とか 4:7 とか、とにかく個別の比や比率のことは ratio (レイショウ)という。
そういった個別の比ではなく、たとえば数学で「AとBとは比例関係にある」のような「比例関係にある」のことを形容詞で proportional と言う。
名詞 proportion は比例関係。
そういうのではなく、たとえば利子率など何かの比率のことは rate (レイト)という。
なお、利子率や金利は interest rate という。ここでいうinterest は、「興味」の interest と同じスペル。
桐原4500によると、「失業率」は the unemployment rate である。
東京書籍4500によると、「出生率」は the birth rate である。
proportion には、全体の中で占める「割合」という意味もある。
桐原4500および旺文社1400に熟語 at any rate 「とにかく」が紹介されているが、例文は無い。
実際には ratio にも比例関係の意味があったり、proportion で個別の比に言及することもあるが、ニュアンス的には上記の感じのはず。
例文は省略。著作権的な問題をクリアできそうな典型的な例文が見つからなかったので、読者が単語集などで読者が自身で調べてほしい。
* 合理的
rational,
「合理的な」は英語で rational である。これ単独だと覚えづらいが、実は比率 ratio と冒頭のスペルが同じだし、発音も「レイショウ」と「レショナル」でほぼ同じである。
なお、数学の「有理数」も rational number であり、同じスペルの rational である。
だからか和訳も気をきかしてか、有「理」数となっているわけであろう。(ここら辺の話題は、数学英語の専門書に書いてある、有名な話である。)明治時代あたりの数学者に感謝しよう。
そして、「有理数」とは、整数の比例で表される数のことである。(数学的な厳密性は置いておく。)
つまり欧米人の数学のできる人は、「合理的な」=「整数の比例の」が同じ単語であると認識しているわけである。
こうやって考えると、「比例」ratioさえ知っておけば、そこから「合理的」 rational も普通に覚えられる。
なお、「非合理な」は irrational である。
さて、rational でよくある例文は、「合理的な決断」a rational decision である。東京書籍4500と桐原4500の両方に、「合理的な決断」 a rational decision が書かれている。
ついでに、「自然数」は a natural number である。単語集には「自然数」は書かれていないが。
「実数」は a real number である。
「自然数」も「実数」も、英語または対応するドイツ語あたりを、日本語に直訳しただけである。
なお、「論理的な」は logical (ロジカル)である。「論理」が logic なので、それから覚えよう。
reasonable (リースナブル)と言う形容詞には、「理にかなった」という意味があるが、しかし「値段が手ごろな」という意味もあるので、使いどころが難しそうである。
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出席
attend, present
形容詞 present は、「出席している」の意味もあるが、名詞形 presence に「存在感」の意味がある。
attend が、会議や授業などに「出席する」である。
典型的な例文が、attend the meeting 「会議に出席する」である(センチュリー、東京書籍4500)。
だが、attend school で、毎日規則的に「学校に通っている」の意味である(センチュリー、東京書籍4500)。
学校や教会に規則的に通うのは attend を使う。「教会に通う」の例文なら attend church である(センチュリー)。
授業の出席のattendの例文が、辞書でも単語集でも見つからない。
授業の出席については、present を使うのが安全だろう。
なので、辞書にはないが、どちらかというとattend は、出席するために「~に出ている」の意味ぐらいで解釈したほうがよいかもしれない。
名詞 attention が「注意」の意味である。attention が「注意」なのも、「注意を向かわせる」みたいな意味ぐらいで解釈したほうが、出席の「~に出ている」くらい
旺文社1900いわく、pay attention to ~で「~に注意を払う」である(なお、ここでのtoは(不定詞ではなく)前置詞の用法)。桐原によれば、attend to ~ともいう(toは前置詞としての用法)。
あまり attend と present の概念の違いがハッキリしていない。実務の際は、勤務先の業界の慣習などに任せて使い分けのが良いだろう。
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寄付
donate, contribute
単語集を見てたら、「勘弁してほしいなあ」とあきれたが、contributeには「寄付」の意味もあるが、現代のIT社会では普通はcontributeは「貢献する」の意味である。
「寄付する」はdonateである。
しかも、単語集には、contributeの項目を見ても、donateについては書いてない。donateの項目を見ても、contributeについては書いてない。
たとえばwebサーバなどのよく使われるOSのLinux(リナックス)の場合、寄付以外にも多くの協力活動があって(テストに参加するとか)、そういう諸々の協力活動の全体のことを contribute と言っているのが普通である。
そして、その協力活動の中のひとつに寄付もあって、その寄付が donate という言い回しである。
実際、debian(デビアン) というLinuxの一種のwebサイトはそうである<ref>[https://www.debian.org/intro/help Debian -- Contribute: How you can help Debian] 2022年5月1日に確認.</ref>。
ページ"Contribute: How you can help Debian"の中に、下記のようにいくつも項目があって、
<pre>
Contribute: How you can help Debian
Coding and Maintaining Packages
Testing and Bug Squashing
Writing Documentation and Tagging Packages
Translating and Localizing
Helping other Users
Organizing Events
Donate Money, Hardware, or Bandwidth
Use Debian
How your Organization can support Debian
</pre>
その項目のひとつとして"Donate Money, Hardware, or Bandwidth"があるという構成である。
もっとも、wikipediaのサーバを動かしているOSはDebianではなく Ubuntu(ウブントゥ)というイギリス製OSであるのだが、このUbunutの本家イギリス語版のwebサイトのページで寄付のページには contribute と書いてあるので<ref>[https://ubuntu.com/download/desktop/thank-you Thank you for your contribution | Ubuntu]</ref>、contributeで寄付を意味しても間違いではない。
よく、医療で「血液ドナー」とか何かの提供者のことをドナーdonorというが(旺文社1900)、これもdonateの派生である。
なお、donor の発音はドウナーである。旺文社1900では発音の注意をしている。
なお、ジーニアスとセンチュリーで確認したところ、blood donor とは単なる「献血者」のこと。クルマの「献血車」にあらず。
ジーニアス英和によれば、ドナーカード donor card も英語でそのまま通じる。
なお、桐原3000の donor 項目いわく、「血液バンク」は a blood bank とのこと(桐原3000)。
なお、名詞形は donation 「寄付」である。
単語集によると、make a donation で「寄付する」である(東京書籍、桐原)。
make a donation to our school で「学校に寄付する」。
make a donation to church で「教会に寄付する」
donate で使う場合、ジーニアス英和に donate a money to Red cross 「赤十字に寄付する」という例文があった。
debianのサイトでも donate a money と言っているように、普通は 「donate a 金または金額」のパターンである。
実際、センチュリー英和では donate $1,000 to a charity 「慈善事業に千ドル寄付する」である。
contribute で金銭を寄付する場合でも同様、 「contribute 金額 to 相手」のパターンである(桐原、東京書籍)。
contributeの単語集が金額の例ばかりであるが、センチュリーによれば a money で寄付してもいい。
センチュリーいわく contribute a lot of money to church 「教会に多額の寄付をする」である。
contribute には、なにか望ましくないことの「一因になる」という意味もあり、たとえば「二酸化炭素は温暖化の一因になる」とか(旺文社)、「砂糖は虫歯の一因になる」とか(センチュリー)、「喫煙がガンの一因になる」とか(ジーニアス)。
良いことの一因になった場合にもcontributeを使うが、ただし和訳の際、普通は「寄与した」と訳すだろう。
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闘争と努力 struggle, strive
努力する endeavor ,
不和と摩擦
strife, friction, conflict
紛争 strife, dispute
口論 quarrel, dispute
意見を戦わす dispute, tackle
「努力する」には、struggle と strive と endeavor があるが、高校生はまず struggle を覚えるのが良い。
strive だと、後述のように闘争の意味合いに解釈される可能性がある。
実際、単語集でも、struggle を先に紹介しており、strive はかなり後半で紹介する。
動詞 struggle は「もがく」「あがく」などの意味だが、「努力する」「奮闘する」のような意味もある。
病気や苦痛などから逃れるために「戦う」のような意味もある。
struggle to ~(動詞) で、「~するために努力する」である(東京書籍)。
struggle with ~ で「~と闘う」である。
struggle for ~で「~を求めて闘う」である。ジーニアスによれば、struggle for independence で「独立を求めて闘う」。旺文社によればstruggle for equal right で「平等権を求めて闘う」
名詞も struggle であり、「闘い」「努力」の意味である。
だが、生存競争を a struggle for existence という(旺文社1900にあり。ジーニアス、センチュリーで確認)。
あまり使い分け方ははっきりしないので、慣習に合わせるしかない。
単語集にはないが、権力闘争は a power struggle といったり(ジーニアス)、a struggle for power という(センチュリー)。
endeavor (エンデバー)は動詞で「~しようと努力する」、名詞では「(真剣で継続的な)努力」の意味だが(ジーニアス、センチュリー)、なぜか単語集には、あまり積極的に紹介されてない。endeavor は東京書籍では巻末おくりだし、桐原では5500おくりである。
アメリカの宇宙船の名前でエンデバーというのが昔あったので、特に悪い意味は無いだろう。
しかし、なぜだか、単語集はあまりエンデバーという単語を紹介していない。
動詞として使うときは endeavor to ~(動詞) 「~しようと努力する」
である(東京書籍、桐原、ジーニアス、センチュリー)。
strive という単語があり、これも「努力する」や「闘う」の意味である。桐原だと闘争の意味が書いてないが、東京書籍にきちんとstriveの「奮闘する」が書かれている。
これは比喩的な奮闘ではなく、後述するように名詞形で実際の戦争を扱う。
strive for ~で「~を目指して努力する」または「~を求めて努力する」の意味である。
旺文社1900には動詞 strive の項に、派生の名詞形 strife がスペルと和訳「争い」「不和」だけ紹介されている。
他の単語集には名詞形が書かれていないが、strive には実は派生の名詞形が2つあり、striving と strife である。
辞書にも、strife と strive の関係が書いてないが、明らかにstrife と strive はお互いに派生であろう。少なくとも旺文社1900は 名詞 strife は 動詞 strive の派生だという見解である。辞書のほうが頭悪い。
striving が「努力」の意味。 strife は「紛争」や「不和」など、ぶっそうな意味である。
辞書によると、政治闘争は a political strife である(ジーニアス、センチュリー)。
しかし、ジーニアスによれば、民族紛争などは conflict を使う場合もある。
山川出版の英語版・詳説世界史では自衛隊PKO派遣先の、いわば「紛争地帯」に相当する場所を conflict zone と言っている<ref>橋場弦 ほか監修『WORLD HISTORY for HighScool 英文詳説世界史』、2019年10月15日 第1版 第3刷発行、P.412</ref>。
一方、センチュリーだと、「その二国間には紛争がある。」There is strife between the two countries.
とある。
ジーニアスによれば、家族紛争を a family strife という。
dispute には、「紛争」「口論」「議論」「意義を唱える」などの広い意味がある(桐原)。「意義を唱える」は旺文社の解釈。
「議論」を訳す場合でも、「議論を戦わす」のように(東京書籍、センチュリー)、意見の対立に主眼が置かれている。センチュリーにいたっては、感情的な対立があるとのニュアンスがあるとまで述べている。
だからか労働争議を a labor dispute ともいう(ジーニアス、センチュリー)。
いっぽう、単に意見や議論を戦わせるだけなら、動詞 tackle である(センチュリー、桐原)。ジーニアスにいたっては、tackle の意味で「戦う」の言葉は使わず、tackle は意見を「論じ合う」だとしている。
センチュリーは、「賃上げ(on a raise)をボスにかけあう」を動詞 tackle としている。文脈は違うが、旺文社でも「予算」がどうのこうのと、tackle で金を話をしている。
動詞としては tackle には「問題に取り組む」という用法もある(桐原、東京)。
典型的な例文は、
tackle the problem 「その問題に取り組む」
である(桐原、東京書籍)。
なお、tackle は、ラグビーなどの名詞「タックル」、動詞「タックルする」と同じ単語でもある。
肉体的な単なる「闘い」「闘う」は fight とか battle で良いだろう。
「不和」については friction 「摩擦」を使うも言い換えもある。物理学の「摩擦」 friction と同じ単語である。
「静止摩擦」は static friction である(旺文社1900の static 項目)。ジーニアス・センチュリーのstatic 項目では見つからなかったが、たしかに静止摩擦は static friction だたはずである。
なお、「静電気」は static electricity である(旺文社1900、ジーニアス static 項目、センチュリー static 項目)。
さて、friction の話題に戻る。東京書籍4500と桐原4500・5500には、friction が載っていない。旺文社1900にだけ friction がある。
外交の「不和」には、friction を使える(ジーニアス、センチュリー)。というか、英語で「貿易摩擦」を trade friction と言う(旺文社)。ジーニアス英和やセンチュリー英和で貿易摩擦を確認したかったが、見つからなかった。辞書でfriction で調べてもtradeで調べても、ジーニアスとセンチュリーでは見当たらない。
和英のほうでジーニアス和英を調べると、「貿易摩擦」は trade friction または trade conflict というとのこと。
外交の不和で strife を使うと戦争の恐れの高い不和だと誤解されかねないだろうから、貿易摩擦のようなお金の問題では friction で十分だろう。
さて、努力について、 effort という名詞があるが、しかしこれは名詞である。
なのでeffortで「努力する」と言いたい場合、東京書籍やジーニアスによれば make an effort のようになる。意外と難しい。
effort to ~(動詞)で「~するための努力」である。
東京書籍にあるが、make a great effort 「大変な努力をする」のように、great などの形容詞がつくこともある。
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傾向 tendency, trend, inclination
流れ current , flow
「傾向がある」 tend(動詞), inclined (形容詞),
ミスなど好ましくないことをする傾向がある be liable to ~
その他、好ましくない傾向がある be prone to ~
センチュリー英和を見ると、trend と tendency の違いが説明されている。
tendencyは、たとえばセンチュリーにある「赤ん坊は空腹になると泣くものだ」とか「弱い母音は消失する傾向がある」のように、本来的に、何かのおきる傾向のあること。
trend は「流行」や現在の「趨勢」(すうせい)や「風潮」などの傾向。ジーニアスを見れば「趨勢」や「風潮」の意味も書いてある。
なお、衣服の流行は fashion である(東京書籍3000、桐原3000)。一応、ジーニアスには、衣服だけでなく文学や芸術の流行も fashion ということもあると書いてあるが、しかしセンチュリーは採用していない。
なお、mode も衣服の「流行」の意味であるが、現代では廃れている表現だとジーニアスはいっているし、桐原と東京書籍の単語集に mode は無い。
しかし、旺文社1900にmode があり、「方式」「形態」などの意味である。後述の「携帯」の誤字ではなく、確かに旺文社1900のmodeの項目に「形態」と書いてある。
旺文社1900の単語集は入試準拠なので、おそらく教科書にはないが入試によくある表現なのだろう。総数1900のうちの844番目にmodeがあった。
旺文社1900のいうmode関連の派生表現のひとつで、携帯電話の「マナーモード」は silent mode である。
ほか、物理学の弦の振動などの「モード」もこの単語だったと思うが、辞書には無いので不明(ジーニアスとセンチュリーの両方とも確認したが見つからなかった)。
さて、tendency の話題に戻る。
さきほど trend は「趨勢」や「風潮」だと言ったが、だがジーニアスによると、現在の株価の傾向などで(トレンド trend ではなく) tendency を用いている例文もあり、実際には使い分けは明確ではない。
tendency の動詞形は tend であり、「傾向がある」の意味。というか、動詞 tend の名詞形が tendency である。
tendの意味も、本来的に "~をする傾向がある" という意味での「傾向がある」である。
tend to ~(動詞)「~する傾向がある」の形でよく使われる。
ほかにも、 tendに「世話をする」という意味もあるが、だがこれは、名詞 tender「やさしさ」の動詞形だとみなすべきだろう。
ややこしいことに、動詞 tender は「提出する」「支払う」の意味である。だが単語集に動詞 tender がないので、無視しよう。
一方、trendについて。
センチュリーによれば、「新しい流行」 a new trend とか使う。
東京書籍に the current trend 「現在の流行」という例文もある。
東京書籍によれば、「最近は小型車が売れている」的な意味の流行も trend である。
また、旺文社によれば、「最近は高齢者には運転をやめさせるのが傾向である」というのも trend である。
旺文社の例文を考えれば、和訳が「傾向」であろうが、内容が最近の風潮なので、trendを使うのが正しいわけだ。
形容詞 trendy 「流行の先端を行く」の意味である。
* 「流れ」
current, flow
flow は「流れる」と言う意味の動詞だが、名詞では川などの「流れ」を言う。
current は、「流れている」という意味の形容詞だが、名詞では「海流」や「電流」などの「流れ」も言う。
川も海流も同じ水の流れなのに、なぜか使い分けをするのである。
東京書籍3000でも桐原3000でも、flowの例文で、川の流れを扱っているので、そういう単語だと納得してもらうしかない。
英語というのは、あまり論理的ではなく、慣習などで使い分けが決まっている部分もある。
東京書籍に書いてあるが、気体の流れも液体の流れも flow である。
普通科高校では習わないが、工業高校などで流量計などの機器を扱う際、その流量計を英語で「フローメータ」などという。また、その計器で測定する流れのことは普通は「フロー」flow と読んでいる。
風の流れや川の流れという言い方ではなく、わざわざ「気体」「液体」と東京書籍が言ってるのは、たぶん、そういう流量計などを見越しての表記だろう。
実際、ジーニアスを見てると、「液体・気体の流出量(流入量)」という意味もかかれている。東京書籍はおそらく英和辞典のflowのこういう意味を参考にしたと思われる。
さらっと「流量計」と言ってしまったが、流体力学では流出量も流入量も区別せず、まとめて「流量」(りゅうりょう)と呼び、それ(つまり「流量」)を flow と言うのである。
実際、ジーニアスでは、たとえば人口の「流入」もflow であるし、センチュリーでは(石油らしき)ガロン単位の液体の「流出」もflow である。
そのほか、お金の「流れ」については、経済学ではカレントもフローもどちらとも使う表現なので、深入りしない。
さらに混乱させるが、discharge 「解放する」・「釈放する」、「解雇する」「解任する」の意味の単語(東京書籍の巻末)にも、実は「流れる」の意味がある(ジーニアス)。「アマゾン川が大西洋に注いでいる」という例文で、discharge を使っており、ここでは flow into と同じだと、ジーニアスは言っている。
煙などの排出も discharge であり、いったい流出なのか流入なのか、はっきりしない。
専門用語などで flow と区別したい場合、discharge を使うこともある。
だから、たとえば流体力学で、理論値と実測値との違いの比率のことを discharge coefficient といい、よく「流量係数」とか「流量係数」とか言う。分野によって和訳が違うので、和訳は気にしなくていい。証拠に英語版ウィキペディアの記事 [[:en:w:discharge coefficient]] (流出係数)があります。
あと、discharge には名詞の用法もある(ジーニアス)。東京書籍には動詞の用法「解放する」以下略しか書いてない。
そんなことよりも、「解放」「釈放」の意味を、液体の排出などと関連づけて覚えよう。なんか解き放たれて自由に動ける的なイメージが discharge である。
なお、日本でも、よく、解雇や解任のことを、比喩的に「自由の身」みたいとか「長い夏休み」みたいに言います。なので、そこから派生的に、discharge の複数の意味を把握できます。
洋の東西を問わず、人間の言語センスは似たようなもんです。(あるいは、もしかしたら日本人が英語discharge を真似たのかもしれません。)
「頭脳流出」は a brain drain という(旺文社1900、ジーニアス、センチュリー)。ややダジャレっぽい語感もするので真に受けるわけにはいかないが、drainの基本的な意味は「流出する」である。(なお、このように brain には「脳」の意味のほかにも「頭脳」の意味もある(桐原3000)。)
だが drain には、体力などを「消耗させる」という意味もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
drain my strength 「体力を消耗させる」
である(センチュリー。ジーニアスに似た例文)。
体力が流出していくイメージか。
台所の「排水口」とかも名詞 drain である。屋内の下水などに向かって流出させる側の台所の排水口が drain である。
その他、排水管が drain である(ジーニアス)。
* 傾向 tend, inclined
まず、tend は動詞。
inclined (インクラインド)は形容詞。
なので
be inclined to ~(動詞) で「~する傾向がある」
のように使う。inclined to do を使いたい場合、be動詞が必要。
一方、tend は動詞なので、be動詞なしで、
tend to ~(動詞) 「~する傾向がある」
である。名詞形はtendency 「傾向」である。
実は動詞 incline (インクライン)「傾ける」という単語があって、「傾ける」「その気にさせる」の意味である(東京書籍)。
坂(slope)などの物理的な「傾き」やその角度なども 名詞 incline である(ジーニアス)。
桐原は inclined などは紹介していない(桐原4500および桐原5500を確認)。
単語集にはないが、「話を聞こうと耳を傾ける」incline my ear to ~ 、みたいな表現にも incline を使う(センチュリー)。というか、おそらくこの英語表現が先にあって、それに合わせて日本で「傾聴」みたいな表現が生まれた可能性。
また、このように incline には、好意などによって、「関心を向ける」のような意味もある。
このためか、名詞形 inclination (インクリネイション)には「傾向」の意味のほかにも、「好み」の意味もある(旺文社)。
ただし、必ずしも inclination は「好み」とは限らず、たとえば「彼は太りやすい」のような体質や(ジーニアス)、「この車は横滑りしやすい」とか(センチュリー)、そのほか性質や、性向なども inclination である(ジーニアス)。
どちらにせよ、とりあえず inclination の中心的な意味は「傾向」だと覚えておけば問題ないだろう。
単語集にはないが、坂や屋根などの物理的な「傾き」やその傾斜の角度なども inclination という(ジーニアス、センチュリー)。
liable (ライアブル)は、好ましくないことをする傾向や、好ましくない状態になりがちな傾向のある場合に使う(ジーニアス、センチュリーで確認)。なお旺文社では発音注意している。
和訳では liable は単に「~しがちである」と訳す場合があるが(桐原4500、旺文社1900)、「好ましくないことをする傾向」だという条件をしっかりと理解しておこう。、
be liable to ~(動詞の原型)で「~(ミスなどの行動)をしがちである」
のように訳す。
ほか、典型的な例文
be liable to illness 「病気にかかりがちである」(旺文社、ジーニアス)
がある。なおこの場合、to が不定詞ではなく名詞に対する前置詞に変わっている。
なお、「ミスをする」make a mistake
または
make mistakes
である。なお、桐原3000およびジーニアスでは、make a mistake 「間違える」と訳している。
なので、ともかく
be liable to make mistakes 「ミスをする傾向がある」
である(旺文社)。
形容詞 prone (プロウン)は、望ましくないことについて「~の傾向がある」の意味(ジーニアス、センチュリー)。
病気になりやすいとか、怒りやすいとか、そういうのも prone を使える。例文は辞書を見て(著作権の都合)。
単語集には、なぜか、望ましくないことに使う前提が書かれていない(旺文社、東京書籍の巻末)。
だが、辞書には前提が書かれている。
単語集にある典型的な例文は、
be prone to error 「間違いを起こしやすい」
である(旺文社、東京書籍の巻末)。
to は前置詞でもよく、動名詞 to でもよい。つまり、prone to の後ろにくるのは、名詞 でも 動詞の原型 でも良い。
earthquake-prone 「事故多発地域」の意味である(センチュリー、旺文社)。
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mistake と error
ジーニアスによると、
mistake は不注意や勘違いによる間違い。
error は、計算の誤りや、裁判の誤審など。
・・・とのこと。
また、センチュリーいわく
「不注意な間違いをする」make a careless mistake
とのこと。
だから mistake は、「勘違い」とか(ジーニアス)、「誤解」「思い違い」とかで(ジーニアス、センチュリー)覚えたほうがいいかもしれない。
mistake を「誤り」「間違い」と訳しても間違いではない(ジーニアス、センチュリー)。そういう訳がジーニアスにもセンチュリーにもある。
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現在の
current , present, modern
current は、形容詞「現在の」が入試ではよく出るが、しかし名詞では「流れ」の意味である。
海流とか電流とかの流れにcurrentを使う。
東京書籍およびジーニアスが紹介しているが、「暖流」は a warm current である。
ついでにジーニアスが紹介している「寒流」は a cold current である。
current は、まず名詞「流れ」を覚えるべきであり、形容詞「現在の」はその派生として覚えるのが良いだろう。
ジーニアスで調べた語源でも、「走っている」→「流れている」→「現在通用している」というような意味の変遷らしい。
さて、current 関連の名詞として、単語集にはないが、電流の直流 D.C. とは direct current の略である。
交流 A.C. も Alternating current である(ジーニアスで確認)。
通貨はcurency (カレンシー)である。
単語集にはないが、国際的に安全な通貨のことを経済学ではハードカレンシーといい hard currency と書く。)
「現在の」を意味する形容詞には、current のほかにも present がある。
present は、たとえば英文法の「現在形」や「現在進行形」などの「現在」も present である。
「現在」のpresent と 「贈り物」の present とスペルも発音も同じである。また、「出席している」の形容詞 present と同じ単語である。
present と current のニュアンスの違いは、辞書では特に言及されてないが、current には「流通」や「通用」のような意味合いもあるというところだろうか。
* 現代
modern と contemporary
なお、modern は、「近代の」「現代の」という意味であり、歴史的なニュアンスで使う。
modern も単語集にあるので、覚えよう。
単語集にないが、たとえば「近代文学」modern literature のように(センチュリーで確認)。なお、「現代」はmodern times という。
桐原4500にあるが、(科目名ではない意味での)「現代社会」は、modern society である。
動詞 modernize は「近代化する」「現代化する」の意味である(東京書籍4500および桐原4500)。
しかし、contemporary という単語も存在し「現代の」という意味であり、しかも、旺文社いわく「現代日本文学」は contemporary Japanese literature である。
東京書籍4500いわく、contemporary と modern の違いは単に、芸術様式の話題では contemporaryが「現代の」の意味で使われるとのこと。
だからか、東京書籍・桐原・旺文社の3つともすべてに単語 contemporary art 「現代美術」がある。
その他、contemporary には「同時代の」と言う意味もあり、東京書籍いわく、「ピカソとダリは同時代の人」という内容で、語法 be contemporary with ~ を使っている。
* temporary
temporary は「一時的な」の意味の形容詞。
典型的な例文が
「一時的な仕事」 a temporary job
である(東京書籍、旺文社)。
なお、ジーニアスとセンチュリーでは、同じ a temporary job を「臨時の仕事」と訳している。
対義語は permanent である。
つまり、
temporary ⇔ permanent
である。
なお、いわゆる「アルバイト」は、英語で part-time job である(ジーニアス和英「アルバイト」で確認)。side job ともいう(ジーニアス和英)。
日本語の「パート主婦」のような、勤務時間の短い意味合いは、英語のpart time jobには無い。
そもそもアルバイトはドイツ語に由来する言い回しだし、しかもドイツ語では「仕事」という意味らしい(本書は英語の教科書なのでドイツ語には深入りしない)。
「永久歯」を permanent teeth という(ジーニアス、東京書籍)。
東京書籍いわく、「終身雇用」を a permanent job というとの事だが、しかしジーニアス英和やセンチュリー英和では確認できなかった。
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強制
force, enforce, compel , oblige
義務
duty
辞書によくあるcompel の典型的な例文が「病気のため仕方なく~せざるを得なかった」的な例文。こういうときにcompelを使うようである。
辞書によると、compel はforce よりも意味が弱く、oblige (オブライジ)よりも意味が強い、
普通、oblige (オブライジ)は「義務づける」と訳す。
単語集にはないが、思想の用語で「高貴たる者の義務と責任」と言う(英語ではなく)フランス語で noblesse oblige ノブレス・オブリジュ という単語があり、社会的エリートが兼ね備えるべき義務感のことを言う。
さて、英語では、名詞形 obligation が「義務」の意味。センチュリー英和で確認したが、法律的な「義務」も、道徳的な「義務」も obligation である。
桐原4500では obligationの意味に「義理」を加えて、「義務」「義理」がobligation だとしている。
旺文社1900では、 obligationの意味に「責任」を加えて、「義務」「責任」がobligation だとしている。まあ、「高貴なる者の義務と責任」が世界各国エリートの基礎教養なので、知的な英文ではそういうニュアンスで obligation が使われることも多いのだろう。
東京書籍4500 には、oblige の紹介は無い。
force は「強制する」の意味。
さて、「軍隊」「武力」も force である。
軍隊によって「~が強制された」という場合、どうすればいいのだろうか?
桐原4500では、force「強制する」の例文での「軍隊」を troop という単語で表現して、forceの同音意義語の問題をうまく回避している。
桐原の例文が「政府軍が反乱軍に降伏することを強制した。」と言う例文である。
なお「政府軍」は the government troops である。
反乱軍は the rebels である。「降伏すること」は to surrender である。
troop とか rebel とか、索引に無い単語ばかりである。
enforce は、強制一般の意味もあるが、法律によって強制する、というニュアンスがあり、例文もそういうのが多い。だがラグビーでエンフォースという用語がある。ラグビーの説明はしたくないので説明は省略。
センチュリーの英語によると、警察が市民に法を強制したりするのが enforce である。
桐原4500によると、法律を施行するのが enforce である。警官が法律を守らせる場合も、the police enforces the law のように、目的語は法律になる。
旺文社1900および東京書籍4500にも、似たような警官と法律の enforce 例文がある。
こういう事情もあってか、旺文社は1900はenforceの意味を「施行する」「実施する」としている。
桐原は、enforceの意味を「施行する」「遵守させる」としている。
なお、死刑執行で誰かを「処刑する」のは英語で execute (イクセキュート)である。
「死刑執行」「処刑」は execution である(桐原5500で「死刑執行」、旺文社1900)。
execute には、計画・命令などを実行したり、仕事を「成し遂げる」などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。ジーニアスによると「最後までやる」が原義のほうの意味とのこと。
処刑の意味は、処刑で「片付ける」的なニュアンスだろうか(特に言及されてはいない)。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。
計画などの実行で使われるといっても、ただし、こういう固い語なので、技術の必要な難しい計画などの実行で使われるのが普通である(ジーニアス)。
また、このことからか、企業の重役のことをエグゼクティブ executive ともいう(旺文社、桐原5500)。executive には名詞「重役」の意味のほか、形容詞「経営上の」「行政杖の」などの意味もある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。
さて、「義務」「強制」概念の話にもどる。
義務教育も法律で強制されているが、しかし旺文社の例文によると、義務教育には oblige を使っている。
センチュリーを読んでたら、未成年の子供が起こした事故の弁償も oblige である。
桐原だと「大臣は半年に一度、報告書を提出することを義務づけられていた。」の義務づけが was obliged to send in a report である。
まあ、大臣はエリートだからだろう。
センチュリーで「世論の批判のため引退を余儀なくされた」の「余儀なく」もoblige である。まあ政治家という、国家権力者の一員たるものの義務と責任的な意味合いだろう。
しかし東京書籍4500は、compel の例文で「世論が大臣を辞職に追い込んだ。」を 使っており、センチュリーに反している。
まあ、とくに統一的な用法は無いのだろう。
なお桐原は、「その法律が雇い主に、(※ 社員の)健康保険を掛けることを強いる」をcompel としている。「(※ )」内はwikiでの追記。
単語集にはないが辞書によくある典型的な例文が、病気で「~を余儀なくされる」をcompelで表現することである。
センチュリー風に He was compelled by illness to ~なら「彼は病気で~を余儀なくされた」である。
ジーニアス風に His illness compelled him to ~ なら、直訳すれば「病気が彼に~することを余儀なくさせた」だが、無生物主語の和訳が高校の授業で嫌われるので、「彼は病気で」と訳す。英文学とかだと無生物の主語とか普通にあると思うし、普通の日本語でも文学・文芸でなくとも「病気が彼に~を余儀なくさせた」とか通じると思うし、なのに、かたくなに無生物主語の和訳を認めない高校英語教師や塾講師などはどういう了見なのだろうか。理解しがたい。
ジーニアスは、本人の納得の上で余儀なくされる場合を oblige といい、そうでない場合つまり「本人の意思に反してさせる場合はforce や make を用いる」としている。
しかし、ジーニアスの例文では、税金を払う義務も oblige としている。
判断基準が不明である。
やはり、高貴たる者の義務と責任を基準に考えるのが良いだろう。
* 義務
duty, obligation
「義務」「義理」は英語で duty である。ジーニアスで確認したところ「義理」の意味もある。
on duty で「勤務時間中で」。
off duty で「勤務時間外で」
duty は、職務上の義務でも使われるが、道徳的な義務でも使われる。
その他、duty に「関税」の意味あり。桐原4500によれば、「ワインの関税」 duty on wine である。「免税店」は duty-off shop である。
obligation との違いとして、ジーニアスは obligation は「外的な事情から生じる義務」としているが、どうだろうか。ノブレス・オブリジとか、そうではないと思うが。
そう覚えるよりも do one's(myなど) duty で「~の義務を果たす」などの慣用表現で覚えるほうがよいと思う。なお、東京書籍4500と旺文社1900に、例文中に do one's duty がある。
obligation にはそういう平易な慣用表現は無いと思うので。
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「分類する」
sort, classify
「分類する」の使い分けは、あまりハッキリしない。
単語集の例文などを見ると、どうやら書店や図書館などで書籍を「分類する」は classify を使っているようだ。
旺文社では「本は作家の名前によって分類されている。」 The books are classified according to the author's name.
東京書籍では「本はテーマによって分類されている。」 The books are classified according to subject.
である。
ジーニアスでも、受動形でなく能動形でだが図書館での本の分類に classify を用いている。
なお、(英和ではなく和英辞典の)ジーニアス和英によると、ごみの「分別」は separate である。
sort には名詞で「種類」という意味もあり、ほぼ、「種類」の意味での kind と似た意味である。
a kind of ~ 「~の一種」の代わりに、a sort of ~ で「~の一種」と言う場合もある。
しかし、別の用法で sort of で「多少の」「いくらかの」という意味もあるので、文脈から判断すること。
class には「等級」と言う意味もあるので、「等級づけをする」なら classify のほうが望ましいだろう。
余談だが、classify には「機密の」の意味があって、旺文社1900で document を見ると、
leak classified document 「機密文書を漏洩する」
という例文もある。
動詞 leak は、液体や秘密などが「漏れる」とか「漏らす」の意味。東京書籍と桐原の3000語レベルにも4500語レベルにも書いてない。桐原5500に書いてある。
桐原5500の例文は秘密を「漏らす」ほうの内容。
なお、文書ではなく情報の「機密情報」については旺文社 leak を見ると、 a secret information と言っている。
桐原4500では、「機密情報」を confidential information と言っている(桐原4500のmake関係の熟語のmake use of ~ の項目)。
2010年にWikiリークという、各国政府などの機密情報をネット公開する海外サイトが世界的に話題になったからか、単語集では leak の例文が機密の漏洩ばかり。だが、もちろん液体などが漏れる場合にも普通に leak は使われる。
なお、wikibooksなど当wikiプロジェクトは、wikiリークとは全く別の組織。「wiki」とはソフト名の一種なので、まったく別の組織でも、wikiソフトを使っていると組織名がwikiなんとかと、似たような名称になることもある。
なおleakの名詞形は leakage であり、「漏れ」「漏出」「漏洩」の意味(旺文社1900)。だが、単語 leak 自体でも名詞の意味もあり、同じような「漏れ」という意味(桐原5500)。
「秘密」については、secret や classify の他に、confidence (カーンフィデンス)という単語もある。
だが、このconfidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
「信頼」と「自信」と「確信」については和訳でも同じ「信」の文字があるから、まあ連想できるとして(信頼の対象が自己になれば「自信」。「確信」とは、信じている自分への自信。など)、問題は「秘密」である。
信頼しあっている間柄での秘密、的なイメージで覚えるのが良いだろう。
形容詞 confidential の意味なら「内密の」というのがセンチュリー和英にもある。
だが、名詞の「秘密」のことを「内密」とは言わないので、confidence は「秘密」と訳すしかない。辞書もそうなっている。
ジーニアスによれば、「秘密文書」は confidential documents とのこと。
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確認
check, confirm , confident
check が「チェックする」である。
英語のチェック check はいろんな意味で使われ、意外と難しいので、日本語でそのまま「チェックする」と意味を覚えてしまうのが良い。東京書籍1800の単語集を見ても、checkの意味の説明で「チェックする」とそのまま書いてある。
check は「確認する」ことにも使われるし、確認したことを証拠に残すためのチェックマーク( ✓ )の記述にも使われるし、「点検する」ことにも使われるし、「照合する」にも使われるし、チェスの王手(いわゆるチェックメイト)にも使われる。このように意外と難しいからか、桐原4500では4500レベルとしてcheckを紹介している。
confirm が「確認する」「身元を証明する」である。(東京書籍4500)
チェックについては、チェックリスト check list が英語にもあることを知るべきだろうか。
工場労働など屋内での社会人の点検業務では、可能なかぎり、忘れのないように点検内容を一覧表の list リストにして、それにチェックマーク( ✓ )を入れることで漏らさずにチェックをするという方法がある。
なお、チェックマークを入れるための視覚欄(大きめな □ )のことを、チェックボックス check box といい、これも英語にある(ジーニアスで確認)。
こういうチェックリストやチェックボックスの存在を知っていれば、check の「点検する」や「照合する」の意味も覚えやすいだろう。
語学の勉強というのは、こういうふうに英語以外のビジネス知識なども必要なのである。
checkを「チェックする」と覚えればいいと言ったものの、ただし上述のチェックボックスやチェックリストのように、仕事でも知的な仕事なら check という英語は使うので、覚えておく必要があるだろう。
桐原4500では、「医者が患者の血圧を調べる」という内容の例文でチェック check を使っている。check はそういう専門性の高い用途にも耐えうる単語でもある。
ほか、小切手も check といい、同じスペルだが、説明を省略する。ホテルなどのチェックイン check in , チェックアウト check out も同じ単語だが、説明を省略する。
IT系でも、よく会員制webサイトの登録画面などで説明書きを読んだか確認するためのチェックボックスが、海外サイトではよく使われる。
社会人になって就職するなどして、品質検査の方法などを習っていないので、あまり「チェックとは何か?」とか深入りしても、埒(らち)が あかない。
confirm は、高校生には馴染みがないかもしれないが、IT系では意外とよく、会員制webサイトのパスワード登録の画面などとして、海外サイトではよく使われる。
身元証明の典型的な例文で、誰々の「身元を証明する」という例文があり、
たとえば東京書籍4500では
「彼女の身元を証明する」confirm her identity
がある。
旺文社の例文を少し改造して(「郵便局員が私の身元を確認した」という内容)、「彼が私の身元を確認した」なら He confirmed my identity
となるだろう。
「裏づける」の典型な例文が、裁判などでの「新たな証拠が彼の話を裏づけた」であり、東京書籍によれば、
「新たな証拠が彼の話を裏づけた」 The new evidence confirmed his story. である。
桐原4500にも、現在完了形であるが、ほぼ同じ英文がある。
confirm の名詞形は confirmation である。旺文社1900にだけ紹介されている(桐原4500と東京書籍4500はconfirmationを紹介していない)。
confident については、別の項目で説明した。confidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
単語集に共通の例文が見当たらないので、辞書などを購入して読んでほしい。
* 検査
なお、和英辞典で「検査」を見ると、testやinspectなど色々な単語がある。
testはどちらかというと「試験」である。
血液検査が blood test であり、聴力検査が hearing test だし、日本語では「検査」でも英語では test だったりする場合もある。
「テスト」と聞いて、日本の学校の学力試験しか思いつかないのなら、改めよう。英語では普通に、医療や工業などの検査でも test は使われるからである。
inspect は、査察官や検閲官をinsepector と言うので、そういうニュアンスもあるので、検閲・査察のニュアンスが強く、日本の「検査」には1対1には対応しない。
東京書籍と桐原の単語集には inspect がないので、気にしなくていい。米英の行政の事情を知らないと inspector などは理解できないだろう。日本の高校生には不要な知識であろう。inspector という、そういう高校で習わない行政用語があるという事だけを知っておけば十分だろう。
なお、実は旺文社1900に inspect と inspector がある。inspector には「検査官」の意味のほか、「警部」の意味もあるとのこと。
だが、そもそも、英語の文脈においける「警部」とは何かという問題がある。ジーニアスでinspectorを見ると、米では「警視正」、英では「警部」とのこと。まあ、警察組織の現場職での上のほうの人、ぐらいの意味だろうか。
なお、「捜査員」は investigator である。これだけだと難しそうだが、米国のFBIこと「連邦捜査局」が the Federal Bureau Investigation である(旺文社)。
「捜査する」は investigate である。
典型的な例文が
「警察がその殺人事件を捜査している。」 The police are investigating the murder.
である(桐原、ジーニアス)。
なお、federal (フェデラル)は形容詞としては「連邦の」という意味であり、名詞としては「連邦」の意味である(ジー二アス)。
もうひとつの典型的な例文が、
「警察がその自動車事故の原因を調査している。」 The police are investigating the cause of the car accident.
である(東京書籍、センチュリー)。事故なので、捜査ではなく「調査」。東京書籍でも「調査」になっているし、センチュリーでは「調べている」としている。
なお、「探偵」と「刑事」は detective である。英語では、「探偵」と「刑事」が同じ単語なのである。
動詞 detect の意味は、東京書籍いわく、何か見つけづらいものを「探知」「発見する」などの意味である。センチュリーいわく、隠されているものや悪事などを見つける場合に使うことが多いとのこと。
単語集にはないが、「探知機」が detector である(ジーニアスで確認できる)。ジーニアスいわく、金属探知機は a metal detector である。
この例のように、 detect で発見するのは別に犯罪事件の犯人でなくてもよく、たとえば桐原の例文では病院でのガン(癌) cancer を「発見する」ことを detect としている。
センチュリーいわく「ガス漏れを見つける」は detect a gas leak である。
センチュリーいわく、嘘を見破るのも detect である。東京書籍いわく、「スパイを見破る」は detect a spy とのこと。
locate という「位置する」と言う意味の動詞がある。名詞形 location が「位置」 の意味である。
この locate には、なにかの場所を「突き止める」という意味もある。
東京書籍が detect の単語の次に、locateの例文で「アジトを突き止める」を紹介しているが、著作権の都合があるので本ページでは紹介しない。
なお、アジトは a safe house である(東京書籍)。またアジトとは、犯罪組織や反乱組織などの「隠れ家」のこと。
なお、「隠れる」は hide である。
太陽が雲に「隠れる」みたいな平和的な「隠れる」も、犯人が「隠れる」も、 hide である(センチュリーで確認)。
「太陽が雲に隠れる」 The sun is hidden by clouds
である(ジーニアスとセンチュリーに、ほぼ同じ例文)。
なお、「隠れ家」「隠れ場所」には、hide-out という言い方もある(ジーニアスいわく「隠れ場所」)。旺文社では hide-out を「隠れ家」「潜伏場所」と紹介。
hide の活用は
hide - hid - hidden/hid
である。
さて、conceal という、「隠す」という意味の単語があり、物や秘密を「隠す」場合に使われる。
辞書を見た限り、conceal には、人が隠れるような用法はない。
単語集を見ると、conceal の例文で、感情を「隠す」ような例文もあれば(旺文社)、爆弾が「隠されていた」という例文もある(桐原)。
隠された秘密を「暴く」のは
reveal や uncover がある。
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暴露(ばくろ)
reveal, uncover, disclose
reveal は、意図的に秘密を暴いた場合のほかにも、不注意などで秘密が漏れた場合にも用いる。旺文社の例文も秘密が漏れた場合である。
名詞形 revelation である。
よくある例文は、
「真相を明らかにする」 reveal the truth
である(東京書籍に和訳・英文とも同じ文。センチュリーでは「真相を漏らす」と訳)。
そのほか、単語集にはないが、物理的に隠れているなどして見えなかったものが見えるよう現れる事も reveal というが、単語集にないので無視する。
なお、光や危険などに「暴露する」ことは expose である(桐原)。
暴露(ばくろ)は「ばくろ」と読む。「ぼうろ」(×)ではない。
disclose
意図的に秘密を暴いたり、あるいは自分や自組織の秘密を公表したりする場合は、 disclose のほうが適切かもしれない。
固い言い回しなので、暴露や公表や自白などの対象となる秘密は、たとえばセンチュリーでは「彼はスパイであったこと」だとか、「その男の正体」だとか、
あるいはジーニアスでは「真実を新聞に暴露する」とか、なんかそんな感じの秘密ばかりである。
名詞形「公開」「暴露」は disclosure である。
「情報公開」は disclosure of information である(ジーニアス、旺文社)。
東京書籍4500および桐原4500には disclose が無い。
uncover
「真相を明らかにする」 uncover the truth
のように使う(東京書籍)。桐原4500には例文なし。東京書籍は巻末おくりなので、解説なし。
uncover の語源は、見れば分かると思うが「カバーを取る」である(ジーニアスで確認)。
なので、単語集にはないが、容器などの「フタを取る」も uncover である(ジーニアス、センチュリーで確認)。
そして単語集(旺文社)にあるが、遺跡などを発掘するのも uncover である(旺文社)。遺跡を埋めている土などをフタに見立てて覚えよう。
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不安
anxiety, alarm
恐怖 fear、 horror
警報 alarm
警戒 alert
警告 warning, caution
旺文社1900によると、alarm の出題番号が549 で、alarm が「不安」「恐れ」を第一義で紹介されており、anxiety (「不安」「心配」)の形容詞 anxious の583番よりも alarm のほうが早い。
勘弁してほしい。
まずalarm は普通、警報器のことである。実際、東京書籍3000では、alarm は「警報器」「目覚まし時計」の意味でしか紹介していない。
桐原4500ですら、「驚き」「恐怖」の意味を紹介しているが、しかしalarmの第一義はあくまで「警報(器)」というのが桐原のスタンスである。
とはいえ、旺文社は大学入試の出題順に紹介しているだけである。つまり、日本の大学入試がロクでもないのだろう。
なお、ジーニアスによると、alarm の第一義は「驚き」「恐怖」である。なお、語源はイタリア語の「武器を取れ」all'armeである。
なるほど、alarm アラームの語尾 -arm が「武器」 arm と同じわけである。
現代では、普通、「驚いた」は be surprised at などを使うだろう。
どうしても「驚き」「恐怖」の意味で使いたいなら、死の恐怖のある文脈で使うと、頭良さそうに見えると思う。
ジーニアスの例文でも、「シカは驚いて逃げていった」の例文で in alarm という用法を使っている。狩人や肉食動物などによる死の恐怖を感じたシカ的な用法。
しかし、ジーニアスによれば、恐怖の意味での alarm は「fear より固い語」である。
fear (フィエア)は「恐怖」「不安」である。まずfear は「恐怖」で覚えよう。4500語レベルではなく、桐原3000と旺文社1400にfearはある。あと東京書籍4500。
典型的な例文が、「高所恐怖症です」であり、ジーニアスと東京書籍にそういう例文がある。
I have a fear of heights. 「私は高所恐怖症だ。」
である。
単語集にはないが、辞書によくある例文が「恐怖で顔が真っ青になる」であり、
turn pale with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。センチュリーが pale (ぺイル)である。
ジーニアスだと、white を使い、
turn white with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。
なお、形容詞 fearful で「恐ろしい」「恐れている」の意味。
なお、horror で、戦場での死の恐怖も表現できる。日本語の「ホラー」のような幽霊やら悪魔などのオカルト限定のような制限は無い。
fear とスペルの似ている fare(フェア) は「運賃」「なりゆき」であり、意味がまったく違う。
ほか、スポーツの「フェアプレーの精神」などの意味の「フェア」は fair であり、スペルがまったく違う。なお、この形容詞 fairは「公平な」の意味である(桐原4500など)。
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の 名詞 fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である(桐原4500)。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
なお、ジーニアス和英の affair の項目によると、「時事問題」は current affairs である。
「浮気」とか「不倫」とかも affair と言う。恋愛雑誌やらで時々「アフェア」とか言う単語があるのは、この意味だろう。
なお、「外交」を一言でいうと diplomacy (ディプロウマシ)である(桐原4500など)。「外交官」が diplomat である。形容詞 diplomatic は「外交の」である。
さて、「警報器」alarm の典型的な例文が
「火災警報器」 a fire alarm
である。これは東京書籍も桐原も紹介している。
なお、スペルの似ているアラート alert は、alert は名詞では「警報」「警戒」の意味だが、形容詞では「警戒している」の意味がある。(桐原5500、旺文社1900)
また、形容詞でalert は「油断しない」の意味もある(東京書籍4500)。
単語集の「警戒している」の例文では、よく警察官や兵士などの警戒が出てくる。
警察官の場合なら、
The police officer is alert ・・・
で、「警察官は警戒している」の意味になる。
つまり、
~(人) be alert
の語順になる。
warning は「警告」である。翻訳の都合で「警報」と訳したほうが自然な場合もあるが、warning の意味としてまず第一に覚えるべきは「警告」である。
東京書籍で「洪水」 flood を見ると、「洪水警報」 flood warning がある。辞書 warning では確認できなかったが(ジーニアスとセンチュリーで、warningとfloodの両方を確認)、しかしセンチュリーいわく「空襲警報」が air-raid warning なので、たぶん洪水警報も合っているのだろう。
warn は「警告する」であり、医師が患者に「酒を飲みすぎないように警告する」とか(センチュリー)、嵐の接近を警告するとか(センチュリーとか)、そういうニュアンスである。
warn ◯◯(人) of ~ で「◯◯(人)に~を警告する」である。
記法を変えれば、
warn A of B 「BについてAに警告する」
です(桐原、旺文社、東京書籍)。
東京書籍が紹介していますが、
warn me of the enemy 「敵がいるぞと私に警告する」
です。
なお桐原は、喫煙の危険性(risk)を警告する例文です。ジーニアスは、旅路か何かの危険(danger )を警告する例文です。危険という概念で統一的に説明できそうですが、直接的に言い回しを覚えたほうが早いでしょう。
of はよく「~の」と中学で教わりますが、それだと意味が通りません。
さて、inform 「(情報などを)知らせる」という単語にも、
inform A of B 「BについてAに知らせる」
という語法があります。
桐原が
inform him of the result 「彼に結果を知らせる」
のような例文を紹介しています。
なお、典型例の言い回しは、
Please inform me of the change in ~ 「~の変更を私に知らせてくれ」
です(旺文社、センチュリー)。
ともかく、warn A of B は inform A of B と関連づけて覚えましょう。
桐原がそういう覚え方を進めています(warn と inform を同一ページで教えている)。
ただし、東京書籍のようなcrisis (危機)など関連語の紹介は、桐原では同一ページにないですが。どの単語集も、一長一短です。
なお、東京書籍3000には、なんと inform の項目がありません。information はあるのですが。
なお、information は数えられない名詞なので複数形が無いので、「2つの情報」は two pieces of information と表す。「ひとつの情報」は a piece of information です(東京書籍3000)。
桐原は、remind A of B(思い出させる) や convince A of B(納得させる、確信させる) や inform A of B と warn A of B や suspect A of B (疑う)などをまとめて、
「関連の of」という概念を提唱しています。
ただ、そう解釈しなくても、
このうち、「警告する」warn と「思い出させる」remind も情報提供の一種ですので、
「情報提供の of 」とでも言える概念で、
remind A of B と inform A of B と warn A of B をまとめられます。
だとすると、暗記するのは残りの
convince A of B (Bを納得/確信させる)と suspect A of B (B(容疑など)の疑いをかける)だけに減らせます。
このうち、 convince は、他人に何かの納得をさせる際に、説得などの情報提供が行われるでしょうから、広い意味での「情報提供の of 」と言えるかもしれません。暗記の負担がこれで減ります。
だとすると、残りは suspect A of B 「AにBの疑いをかける」です。
この場合、なんの情報提供もしていません。
また、of B の部分は形容詞的な意味です。
made of ~ で、「~を材料に作る」とかの意味であり、完成品を一目で見て材料が分かるなら made of です。
材料が、完成品を一目みてもわからない場合は made from ~ です。
この suspect A of B と made of B の共通する「of B」で、「性質の of」とかの概念を考えてもいいかもしれません(英語学でどうかは知りません。自己責任で)。
ほか、英文法で、「It is 形容詞 of 人」と「It is 形容詞 for 人」の使い分けなどがあります。人の性質を言う場合は「of 人」です。これから類推する方法もあるかもしれません。
まあ、最終的には suspect A of B 「AにBの疑いをかける」を直接的に覚えるしかありません。
warn ◯◯(人) against ~ing で「◯◯(人)に~しないように警告する」である。
たとえば、よくある例文が、「彼は道路を横断しないように私に警告した」(ジーニアス)あるいは川を渡らないように私に警告した(東京書籍)、であり、
He warned me of against crossing the river. 「彼は川を渡らないように私に警告した」
である。
動詞および名詞の caution は、動詞としては、たとえば医者などが肝硬変の患者に「酒を飲むな」と注意・警告するときの「注意する」「警告する」が caution である(桐原5500)。東京書籍4500の例文も、薬の取扱いの注意を caution としている例文。
ただし、辞書では、警察などの警告・注意もcautionである。このため、warningとの区別は、なかなか難しい。
ジーニアスが言うには、cautionのほうがwarningよりも軽いとのこと。
形容詞 anxious (アンクシャス)は「心配している」「不安に思っている」である。
be anxious about ~ で「~を心配している」である。
He is anxious about ~ なら「彼は~を心配している」である。
よくある例文が、「彼は試験の結果を心配している」であり、東京書籍とジーニアスにそれに似た例文がある、
He was anxious about the result of exam. 「彼は試験の結果を心配している。」
となろう。(wikiオリジナル)
ジーニアスだと、母親視点の「息子のテスト」だが、まあこういう例文がよくる。
be anxious for ~ は「~を切望している」である。
桐原の「新しいコピー機が欲しくてたまらない」なら be anxious for new copy machine である。
ジーニアスだと(私は)「新しいコンピュータが欲しかった」なので、
I was anxious for a new computer. 「新しいコンピュータが欲しかった。」(※ ジーニアスanxious例文から引用)
である。
名詞形 anxiety で「不安」「心配」「切望」である。東京書籍4500には「切望」が書いてないが、しかし桐原4500と旺文社1900には切望が書いてある。
なお、 eager (イーガー) は「熱望している」である。切望 anxious とは、ややニュアンスが違う。
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武器・兵器
weapon, arm
大量破壊兵器は weapons of mass destruction であり、略称は WMD である(桐原4500、旺文社1900、ジー二アス)。
また、核兵器は nuclear weapons である(桐原4500、旺文社1900、東京書籍、ジー二アス)。
だいたい、arms だと、「腕」(うで)と まぎらわしい。
兵器には、なるべく weapon を使うのが無難だろう。
なお、動植物の角(つの)や爪(つめ)や刺(とげ)なども、weapon である(ジー二アス)。
weapon は、日本では「兵器」と訳される場合が多いが、しかし英語では weapon は広く攻撃のための道具を表す用語である。
単語集にはないが、山川の英語版・世界史にあった単語で、
rearmament が「再軍備」である(ジーニアス)。ナチスによるドイツの「再軍備」みたいな文脈で rearmament を使える。
ほか、disarmament が「軍縮」である。啓林館 Vision Quest I(P.111) が「軍縮」disarmament を紹介しています。
なお、名詞 army は「陸軍」「軍隊」の意味です(桐原3000、旺文社1400(緑)、東京書籍4500)。
「海軍」は navy (ネイビー)です(東京書籍、桐原)。
「空軍」は air force です(東京書籍、桐原)。
「軍事の」は military です(東京書籍、桐原)。
陸軍と海軍も空軍もまとめて「軍隊」と言いたい場合、army だと陸軍とまぎらわしいので、military force という場合もあります(東京書籍)。
ただし、「軍事力」も military force です(桐原)。
このため、翻訳などの際は、文脈にあわせて、うまく訳してください。
軍「隊」との混同を嫌ってか、単語を power を使って「軍事力」は military power という用法もある(ジーニアス military、センチュリー power)。
ほか、「軍隊」を the armed forces と言ってもいい(桐原、forces )
「兵士」は soldier (ソルジャー)です(東京書籍、桐原)。
東京書籍いわく、さらに「将校」(しょうこう)は officer (オフィサー)です。
とはいえ、「将校」(しょうこう)と言っても、何のことだか分からないのが普通の高校生でしょう。
軍隊の上層部や、将来的にそうなる見込みの高い軍隊の大学を出た軍人や、あるいは同程度に一定以上の階級の高い指揮官のことを、将校と言います。
最下級の階級である兵士は当然、将校ではないです。
「兵士長」とか「軍曹」とかの現場の下の方の中間管理職も、ふつうは将校とは言わないです。ただし、文脈によっては、「軍曹」なども将校という場合があるかもしれません。
『「将校」という単語くらい知っとけや。日本史の勉強すれば出てくるんだからさ~』というのが、東京書籍の心のさけびでしょうか。
戦後の自衛隊ではあまり「将校」とは聞かなくなりましたが、海外の軍隊の説明だと今でも使います。
戦前でも、よく二・二六事件とかで「青年将校」がどうのこうの、という解説を読みます。こういう英語を知っていると、英語力だけでなく日本史などの知識も披露できて、頭よさそうに見えます。
桐原いわく「兵役」(へいえき)は military service です。
「英語を勉強するなら、こんくらい知っておけや」という桐原の心のさけびです。
まず、諸外国でもヨーロッパなどで今でも徴兵制、つまり兵役があります。2020年代でも、スイス、オーストリアは徴兵制があります。
ここでいう service とは、公共の下僕のような意味もあるかと思います。
たとえば「召使い」は英語で servant (サーバント)ですが、なんと単語集に書いていません。
桐原の単語周いわく、serve は「仕える」とか「提供する」とかの意味です(桐原4500)。
今ではネットのサーバー server とか、派生の名詞が使われています(ジーニアス、センチュリー)。
ただし、ネットの情報提供については、「プロバイダー業者」などというように provide が「(情報などを)提供する」の意味で好んで使われる場合もあります(桐原)。
交通インフラや電力インフラなどの公共インフラなどの提供も service です(ジーニアス)。慈善事業も service です(センチュリー)。
「兵役」(へいえき)は military service を覚えるときも、そういうのと関連づけて覚えましょう。
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安売り・特売
フェア、セール、バザール
sale のみ高校英語
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
なお、セールは英語でも sale で「安売り」(桐原3000、東京書籍3000)や「特売」(旺文社1200)や「バーゲンセール」(東京書籍3000)の意味がある。sell とは別に、sale (セール)「販売」という単語がある(東京書籍3000、桐原3000)。
なお、セールスポイントは英語で selling point である(旺文社1200(黄色)、ジー二アスで確認)。
セールスポイントは和製英語。
なお、単語集にはないが、セールスマン(販売員)は英語でも salesman であるが、男女平等の観点から salesperson という表現が米英では好まれるだろう(ジー二アス)。
salesman は、外交販売員(日本でいう「セールスマン」)にも使われるが、英語では単なる店員も salesman で表せる。
複数形 sales で「売り上げ高」の意味もある(桐原3000)。なお桐原では「売上高」3文字ではなく「売り上げ高」5文字の表記。
単語集にはないだろうが、バザーとの違いについて触れる。
ジーニアスによると、英語の bazaar は、慈善などの目的のために特別に催される市場である。だから教会などがバザーするわけである。しかし、イランなど中東の商店街のことも bazaar である。英語の単なる「雑貨屋」のことも bazaar という。
バザーを「安売り祭り」みたいな意味で使うのは、どうやら和製のようだ。
啓林館 Vision quest( P.62 )で、ディスカウント discount 「値引き」、バーゲン bargain 「お買い得品」などが紹介されていました。
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必要不可欠
不可欠な
essential, vital, indispensable
必要な
necessary
搾る squeeze, extract
搾取する squeeze, exploit
桐原4500に vital の意味は「生命の」とあるので、まずこれで覚えよう。
また桐原4500いわく、vitality の意味は「生命力」である。
入試では vital の他の意味の「不可欠だ」「活気のある」などが問われるかも知れないが、まずはvitalの単語のイメージが生命力であることをつかもう。
vial → 「生命に必要」→「不可欠」という連想、
および
vital → 「生命力にあふれる」→「活気のある」という連想、
で覚えれば、暗鬼の負担が減るだろう。
旺文社1900の例文で、「防衛戦略が国家の安全保障にとって不可欠だ」という例文で「不可欠」を vital としている例文がある。
これだって、「国家の生存に必要」→「国防に不可欠」みたいなイメージで把握できるだろう。
なお、桐原4500は「自転車が生活に不可欠」で不可欠がvital、東京書籍4500は「外国語が教育に不可欠」で不可欠がvital、という内容。
ともかく、vital は「活気のある」という意味もあるが、「生命の」とか「不可欠な」のような意味もある。
別の単語の話をする。
もし、単に「活気のある」「元気はつらつな」と言いたい場合は、形容詞 vigorous (ビゴラス)という単語でも一応は表現できる。東京書籍は「活発な」「力強い」と紹介しており、「活発な運動」 vigorous exercise という例文がある(東京書籍4500巻末)。ただ、辞書で 名詞形 vigor (ビガー)や 形容詞 vigorous の用例を見ると、「激しい(スポーツなどの)運動」とか「猛烈な抗議」とか、やや意味合いが強い用例も多いので、注意が必要であろう。
Z会のTOEIC対策本では、同じ vigorous exercise という単語を、「激しい運動がもとで、疲労で倒れた」という内容の文章で用いている<ref>松本茂 監修『速読速聴・英単語 Core 1900 ver.4』、Z会、2014年3月10日 ver.4第7刷発行、P.382</ref>。
このように、vigorous exercise は、いい意味でも悪い意味でも使う。
肉体的に元気のあるだけでなく、精神的にも「精力的な」という表現でも vigorous が使える。
なお、「猛烈な抗議」などの猛烈でも vigorous あるいは名詞形 vigor を使う(ジーニアス、センチュリー)。
protest a plan with vigor 「計画に猛反対する」(センチュリー)
make a vigorous protest 「猛烈な抗議をする」(ジーニアス)
である。
essential は「不可欠な」という意味。
だが、「エッセンシャル・オイル」essential oil という芳香性の油を考えれば分かるように、なんだか抽出物みたいなイメージ。
名詞形 essence 「本質」「エキス」で覚えるほうが理解しやすいだろう。
(なお、名詞 extract にも「エキス」「抽出物」「抜粋」の意味がある。extract は動詞として「抽出する」の意味もある。(東京書籍が動詞を紹介。旺文社は名詞も紹介。桐原は紹介せず)。動詞と名詞とで発音が異なる。名詞は エキストラクト。動詞は イクストラクト。「抽出」「摘出」の行為自体は extraction という名詞である(旺文社)。)
あるいは、「必須アミノ酸」が essential amino acid である(ジーニアスで確認)。
抽出ついでに言うと、abstract も「抽出」という意味(桐原4500巻末)。abstract には「抽象的な」の意味もあるが、まずは抽出の意味で覚えよう。というか日本語でも、「抽象的」の「抽」の文字は、「抽出」の「抽」の字である。なお、冒頭のab-は、ここでは分離を意味する接頭辞。absent「欠席の」のabとabstractのabは同じ意味(桐原4500)。
エッセンシャルの話に戻ると、たとえば、生物学書の『キャンベル エッセンシャル生物学』 "Campbell Essential Biology" という500ページ以上ありそうな分厚い生物学書がある。(なお、amazon米国版では何故かこの本が18歳以上が購入禁止なのでリンクは紹介しない。)
エッセンシャルというのは、そういう感じの意味。
桐原では、「食事は不可欠だ」みたいな例文でも essential を使っている。
なお、「食事」は英語で meal (ミール)である(essential の文に合うかどうかは知らない)。
食事しないと死ぬので、生命維持の観点では vital でもあるが、しかしそういう死を防ぐためのものでも essential で言い表す場合もある。
さて、単語集によくある例文が、「~は健康に欠かせない」 be essential for good health であり、東京書籍と桐原がそうである。
東京書籍だと「運動は健康に欠かせない」、桐原だと「食事は健康に欠かせない」的な内容である。
運動 exercise なら、
Exercise is essential for good health. 「運動は健康に欠かせない。」(東京書籍4500より引用)
である。
「搾る」の extract を squeezeのニュアンスの違いについて。
extract は「抽出する」が第一の意味のようなものである。
-tract が「引っ張る」という意味でもあることから想像できるように(センチュリー)、extractは、目的物を、自分の方向に向かってこさせるイメージである。
だからextractで果汁を「しぼる」のは、その手段にすぎない。
だから、濃縮エキスの抽出のような、搾るだけでは不可能なことも、extract なら出来る。
ほか、薬品などを使って何かの成分を抽出するのも extract である(ジーニアスで確認)。
ほか、歯科医が歯を抜くのも extract である(センチュリー、ジーニアス)。
パソコンのファイルの圧縮・展開でいう「展開」も extract です。
いっぽう、extract には「抜粋する」の意味や、抜粋して「要約する」という意味もあります(センチュリー)。
抜粋すると情報量が減るのに、圧縮ファイルを展開すると情報量は増えます。
妙に感じるかもしれません。
しかし辞書でextract を調べると、秘密などの情報を「聞き出す」「暴き出す」のような意味もあります(センチュリー)。圧縮していて読み取れない情報を「暴き出す」ようなイメージでしょうか。
もっとも、最近のパソコンでは、オペレーティングシステムが高度なので、圧縮されたままでも読み取りのできる場合もありますが。
逆に、圧縮・展開の「圧縮」は compress です。
日本でも、機械などの空気圧縮機でいうコンプレッサーなどの外来語で有名です(ただし、高校生には目にする機会(チャンス)がないかもしれません)。しかし意外なことに単語衆にはcompressはありません。
高校・中学でIT教育が必履修になるなどしてもう年月も経ってますので、どうせあと10年か20年したら「圧縮」・「展開」などIT用語も英単語に加わるでしょうから、先手を打って、このページにまとめておきます(ならないとしても、もしその場合は実務では役立たずなので未来の高校英語の単語衆に価値ないので、価値ない単語集に従う必要ないです。私たちが目指すべきは、大学合格する英単語ではなく、仕事で使える英単語です。仕事を無視した英単語学習をしても最終的に淘汰されるだけの弱肉強食です)。
英語だと、たとえばジーニアスでは、自動車エンジンにおける空気の圧縮のことを compress で表現しています。
なお、空調機のエアコンの「コン」はコンディショナーの略ですので、混同しないように。
センチュリーを見ると、コンピュータ用語のファイル圧縮も compress だと書いてあります(センチュリー、ジーニアス)。
ほか、綿(わた、めん)などを圧縮して小さくするのも compress です(センチュリー)。
ややこしいことに、compress にも、話を「要約する」という意味があります(センチュリー、ジーニアス)。
いまどき、「要約」はsummary でしょうから、compress は綿やファイルなどを「小さくする」(つまり圧縮)の意味で覚えるのが良いと思います。
まとめると、
ファイルの「圧縮」は compress です。
ファイルの「展開」は extract です。
さて、「しぼる」の話題にもどります。
squeeze は、にぎるように力を内側に押し付けるイメージである。だから squeeze で、資金を「圧迫する」なども表現できる。
では、具体的に extract と squeeze のニュアンスの違いを見ていこう。
「エキス」や「抽出する」のextract について。
extract juice from a orange で「オレンジからジュースをしぼり出す」「オレンジの果汁を搾る(しぼる)」
の意味(センチュリーや旺文社)。
文脈によっては、oranges ではなく an orange でも構わない。ジーニアスでは、レモンの複数形 lemons から果汁を搾り取っている。
「搾る」は、squeeze もある。
果物などをしぼって果汁をとるのが典型的で、
squeeze a lemon 「レモンをしぼる」
が典型的(センチュリー、旺文社)。
果汁を明示したい場合
「オレンジから果汁をしぼる」squeeze juice from an orange と言える(東京書籍4500の巻末。ジーニアスだと lemon で似た例文)。
squeeze lemon juice on ~(食品など) で「レモン果汁を~にかける」である(桐原4500、ジーニアスに似た例文)。
「労働者をしぼりとる」「労働者を搾取する」のような表現でも、squeeze を使える(桐原5500、センチュリー)。
なお、いわゆる「ブラック企業」のような会社(労働者を低賃金で長時間働かせる工場など)は、英語では sweatshop (スウェトシャプ)といい、「搾取工場」などと訳される(旺文社1900)。sweat (スウェト)は「汗」という意味の名詞である(桐原4500)。東京書籍4500は sweat および sweatshop を紹介せず。
なお、動詞 exploit 「搾取する」である(旺文社1400(緑)、桐原4500)。
典型的な例文が、
exploit one's workers 「労働者を搾取する」
であろう(ジー二アス、東京書籍、旺文社に似た例文)。
ほか、exploit には、たとえば地熱発電や自然資源などといった資源などを「開発する」の意味や(旺文社1400、桐原4500)、機会などを「利用する」という意味もある(東京書籍4500)。
家計のやりくりなど、なんらかの資金のやりくりなどで、お金をなんとか「絞り出す」というのにもsqueeze は使える(センチュリー)。
ただし、ほかの意味で squeeze には予算などを「圧迫(あっぱく)する」という意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
資金のやりくりと、資金の圧迫では、ほぼ逆の意味になるので、読解のさいには文脈からどちらなのかを読み取ろう。
squeeze には「押し入る」「押し込む」や、人ごみや席などへの「割り込む」「割り込ませる」という意味もあり(センチュリーが押し入りと割り込み。ジーニアスは割り込み のみ)、旺文社が「押し入る」を紹介している。「圧迫する」から「押し入る」などを連想しよう。
indispensable 「不可欠な」は桐原5500巻末や旺文社1900本文と東京書籍4500巻末が紹介しているが、これを直接に覚えるよりも前に、まず、銀行などの「現金支払い機」dispenser (ディスペンサー)を覚えよう(ジーニアスで銀行の「現金支払い機が dispenser だと確認)。
動詞 dispense は、「分配する」とか、機械が「出す」という意味である(ジーニアス、センチュリー)。
なので、コーヒーなどの自動販売機も dispenser である(センチュリー)。
で、形容詞 dispensable は「それほど必要ではない」「なくても済む」の意味である。
「自分はなくても済むので(dispensable なので)、他人に分配できる(dispense できる)」→「分配する機械がデイスペンサー」とでも、こじつけて覚えよう。
で、in- はここでは否定の接頭辞なので、
indispensable 「必要なので分配するわけにはいかない」→「つまり、必要不可欠」→単に「必要不可欠」と言えば済む
のように indispensable を覚えるのが、関連の語彙も覚えられて一石二鳥だろう。
旺文社1900だけ、indispensable の項目で、派生語の dispense 「分配する」「施す」「~なしで済ませる」を紹介している。
桐原5500は、indispensable の類義語で、essential や integral を紹介している。
be indispensable for ~(ないと困る物) 「~は必要不可欠である」
のように使う(旺文社1900、東京書籍4500)が、文脈によっては for でなく別の前置詞や接続詞の場合もある(桐原4500)。
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要約
summary, brief
summary (サマリー)が「要約」の一般的な語でしょう(特に出典は無い)。
要約のまとめ方や業界によって、outline (アウトライン)や brief (ブリーフ)など、別の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
「要約する」の意味が、extract 、compress 、summarize などの単語があります。要約のことを summary (サマリー)と言います。サマリーの動詞形が summarize (サマライズ)です。
ほか、brief も、名詞では「簡潔な説明」の意味、動詞では(読みやすいように手短かに簡略化された説明にする、という意味での)「要約する」の意味です。
桐原4500が brief を「要約」の意味で紹介しています(桐原4500)。
in brief 「手短かに」
の意味です(桐原、旺文社)。
また、
keep it brief 「手短かにする」
です(東京書籍、旺文社)。it の部分は、必要に応じて適した目的語に変えます。
名詞形 briefing は、「簡潔な説明」の意味もありますいが、「事前の打ち合わせ」の意味でも使われます(旺文社)。
compress と extract は、現代ではコンピュータ上の処理で使うし、現代の商業の著作物の大半はパソコンで作られているので、やや使用の歳には注意が必要かもしれません。
summarize のほうがいいかもしれません。
一方、 summarize もまた、辞書や単語集では「要約」を名詞 summary と簡単に言いますが(桐原4500、旺文社1900)、実はサマリー summary と日本語の「要約」は微妙に違います。
英語では、1~2行ていどの短文で短くまとめることを summary と言うこともよくあります。brief だと「記者会見」など別の意味に誤解されるからか、本来なら "brief" というべき単なる1~2行ていどの事実報告でも英米では summary でそういう1行程度の事実報告を言い表す場合もあります。
brief だと、たとえば press briefing が「報道向け説明会」で使われたり(ジー二アス)、briefing session が「定例記者会見」だったり(ジー二アス)、ややニュアンスが「要約」とは異なります。全体像を理解しやすくするよりも、brief は短時間に発表することがニュアンスにあります。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。execution は「処刑」の意味です。
この例のように、summary は日本の「要約」とは、ややニュアンスが違う場合もある。
さて、米英の外交官の著作した回顧録(かいころく)の出版物で読んだのですが、
外交官は、定期的に サマリー summary という1~3行ていどの事実関係の報告を本国によく送るするらしいです。
日本語では、新聞やテレビのニュースにおける「短信」(たんしん)が短いので、近いでしょうか。
大使館の職員でもありますから記者会見(ブリーフィング)とは区別する必要もあるでしょうから、brief ではなく summary でそういう短いを言うのも合理的でしょう。
なお、「回顧録」(かいころく)は英語で memoir (メモワール)です(旺文社1900、ジー二アス)。単語集では、旺文社1900にのみあり、受験英語としてではなく英検準1級対策として紹介されている語です。桐原4500・5500および東京書籍4500にはありません。
外交官とか、この手の報告では、分析は極力交えず、事実だけを報告します。分析は、別途、本国のほうで行ってもらうのです。こうすることで、外交官は情報収集にのみ専念できます。
外交官は滞在先が友好国とは限りませんし、(自国以外との)紛争当事国などの場合もあります。もし友好国でない場合、もしかしたら滞在先の警察や軍隊によって通信が盗聴されたりしているかもしれません。そういう環境で、あまり分析を外交官側で行うべきではないでしょう。
なので、ともかく summary のほか、日本語には「要約」の他に適切な表現があまりないので、summary の訳は「要約」で通じますし、辞書や単語衆にも「要約」だと書いていますし、「まとめ」でも構いません(旺文社)。
「要約」のほか、ジーニアスには「概略」や「大要」、センチュリーには「概要」や「大略」なども書いてありますが、しかし上述のように、1~2行ていどに縮めて報告する書類形式というビジネスなど実務での背景がありますので、いちばん短い感じのしそうな「要約」が無難な表現でしょう。
実際、単語集にも、名詞 summary は「要約」で紹介されています。
これから紹介するのは高校範囲外の単語ですが、英語では、1行要約ではなくて、せいぜい5~8行くらいの文章で要点を列挙して書いたのは outline (アウトライン)などと言います(※高校の範囲外)。
アウトラインを書く場合も、できえば箇条書きにするなどして(ジーにアス)、全体構造を見やすくする必要があります。
ジー二アスには行数の条件は書いてないですが、普通、箇条書きされた説明は、長くて5~8行ていどのものでしょう。1行の箇条書きとか意味不明ですし、100行の箇条書きとか論外です。
ジーニアスいわく、そういう箇条書きされたものが本来のアウトラインとのことです。ジーニアスでは「概略」「概説」、センチュリーでは「概要」「あらまし」を outline
訳にしています。
outline の訳語を覚えるよりも、『箇条書きする等して手短かにまとめたものを「アウトライン」という』と覚えたほうが応用が利くでしょう。
仕事の報告での情報のやりとりなどで、もし1行要約だと短すぎて情報不足なときに、アウトラインによる報告が役立ちます。そういう使い分けをするのが大事です。
もしかしたら英米人のなかには、そういう使い分けをしない人もいるかもしれませんが、そういう人はレポートの書き方を知らない人であり、つまり知的レベルの低い人なので、相手する必要はないです。
まとめると、summary が「要約」の一般的な語だとみなせるでしょう。
要約のまとめ方や業界によって、outline や brief など、専用の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
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重要 crucial, important
決定的な crucial , decisive
4500語レベルの単語集に crucial (クルーシャル)と言う単語があって「決定的な」「主要な」という意味である。
だが、decisive という「決定的な」の意味の単語がある。(東京書籍4500に単語だけ紹介されている。旺文社1900の巻末の章に、単語だけ「決定的な」「断固とした」と意味が紹介されている。桐原4500にはない。桐原5500にある。)
ジーニアスいわく、「決戦」は a decisive battle である。
ジーニアスの例文では、decisiveは「将来を決定する」という意味もあると説明している。
東京書籍4500の crucial 項目の例文で、「そのオーディションに合格することは私の将来にとって決定的な意味をもっている」とある。
ジーニアスでcrucialを見たら、「重要である」という意味であり、例文が「我々が決勝戦に勝つには、彼の支えが重要である。」の「とても重要である」が crucial である。なお、「決勝戦」はその項目を見る限りは the final match である。
crucial の意味で、桐原と東京書籍には「決定的な」と書いてあるが、正直、decisiveのような断固とした気迫が足りない。「決戦」で負けると死ぬが、オーディションで負けたり「決勝戦」で負けても死ぬわけでもあるまい。
あまり論理的ではないが、decisive は、おそらくスペルが同じく"d"から始まる determination 「決心」「決意」の影響を受けてきたのだろうか。
動詞 decide と動詞 determine の違いについては、別セクションで語る予定。
crucial の意味は「非常に重要な」(桐原)で十分だろう。旺文社1900に至っては、「決定的な」の意味は紹介せず、crucial では「重要な」として紹介していない。
まあ、important よりかは重要度が高いつもりのニュアンスでしかないだろう。
旺文社1900では「書類を確認する際は注意することが重要である。」でcrucial を用いている。
桐原4500では「国際貿易はこの国の発展に非常に重要だ。」で crucial を用いている。
まあ、センチュリーcrucial の例文にあるように「彼のホームランは我々の勝利を決定的にした。」でcrucial を用いているように、命をかけるほどでもない野球の試合でも決定的な瞬間はあると思うので、そういう場合は crucial を使うのも良いだろう。
桐原5500にcrucial で「命にかかわる」の意味を紹介しているが、しかしジーニアス英和およびセンチュリー英和では確認できなかった。
そもそも vital という「生命維持に必要な」の意味の形容詞がある(センチュリーで確認)。
そもそも「重要」という概念自体、言葉の割には、vital のような生命への必要不可欠さが足りない。
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外国の
alien, foreign
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
「Foreign Affairs」は直訳すれば「外交の関心事」みたいな意味の雑誌名であろう。
なお、日本の「外務省」も英語版ホームページでは Ministry of foreign affairs である<ref>[https://www.mofa.go.jp/index.html "Ministry of Foreign Affairs of Japan" ] 2022年5月4日に確認. </ref>。
海外旅行とか海外出張とかでは必要な単語のひとつなので、頭の片隅に入れておこう。
ministry とはイギリス英語で省庁のこと。ただしアメリカでは、省庁を department と呼んでいる。
つまり日本政府は、「省庁」についてはイギリス英語を採用。
デパートなんて百貨店っぽい。なお百貨店は英語で department store である。
なおイギリスでも、新設の省庁については department を用いることもあると、ジーニアスは説明している。
さて、「省庁」の呼び名には、あまり深入りしてほしくない。
それより重要なのは、「大臣」 minister である。
大臣のことを minister という。単語集では「大臣」minister の項目に書いてあるが、「外務大臣」は foreign minister である。
今の単語集にはあまり書いてないが、昔はよく「総理大臣」は英語で the prime minister だと高校で習ったものである。いちおう、東京書籍の例文中に「総理大臣」the prime minister がある。桐原には書いてない。
説明の都合上、先に「省庁」 ministry を紹介したが、覚えるなら先に「大臣」minister から覚えたほうが良い。
語源としても、ラテン語で「従者」とかのことをミニステルと言うので、先に「大臣」→「省庁」の順番で単語ができたと考えるほうが合理的である。ジーニアスにも、ラテン語とは買いてないが、「召使い」がminister の語源だと書いてある。
prime については、主要という意味での「第一の」という意味である。センチュリーにある訳語だが、「第一位の」というのがニュアンスに近いだろう。
primeの語源はもともと、カトリックの日課の「最初の」礼拝のこと(ジーニアスで確認)。
primeはこういう意味なので、単に一番目であるだけでなく、さらに重要性の高いものに使われるというニュアンスがある。
ただし、実際の用例では、国家一番や世界一番でなくとも、たとえば肉が美味しい場合でも「極上の肉一切れ」 a prime cut of meat という風にも使う(ジーニアスで確認)。センチュリーにも似た例文がある。
「全盛期」、「絶頂期」という意味もあり、 in prime of his life(またはcareer) 「彼の人生(またはキャリア)の全盛期」みたいにも使う。
「全盛期」には、ほかに短い類義語が無さそうである。和英辞典で「全盛」を見ると、prime のほかに pride とか summer があるが、しかし英和でそれらの項目を確認しても、ニュアンスが違う。pride のほうは、pride of place という語句で「最高位」「最上位」という意味だし、summer は人生における「壮年」などの比喩でしかない。
名詞 foreigner は「外国人」 である。ただ、英語ではこの言い方は差別的な意味合いがあるとのこと。桐原3000いわく、なるべく、たとえば「カナダ人」 Canadian など具体的に言うべきとのこと。
alien
alien (発音: エイリアン)は「宇宙人」という意味があるので、なんとなく、あまりよくないイメージを読者は持ちがちかもしれないが、しかしジーニアスで確認すると、法律上の用語で「外国の」「異国の」という用法がある。
センチュリーによると、市民権をもたない外国人のことを alien と言うとのこと。
alien は、名詞も形容詞も同じスペルの alien である。
名詞 alien は「外国人」「宇宙人」の意味。
形容詞 alien は「外国の」「外国人の」の意味と、「異質の」「なじみがない」の意味。
よくある例文が「その習慣には、なじみがない」で、習慣 custom に alien で「なじみがない」という内容の英文を東京書籍とジーニアスで見かけた。
語法は、
~(習慣など) is alien to □□(人々)
で、
「~(習慣)は□□(の人々)には、なじみがない」の意味。
たとえば、 alien to us なら「私たちにとって、なじみのない」という意味(ジーニアスおよび桐原)。
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国内の
domestic, internal (※範囲外)
「国内総生産」GDPは gross domestic product のことである。domestic violence は「家庭内暴力」である。
「国内の」という意味での domestic が、「外国の」 foreign の対義語である。
domestic ⇔ foreign
さて、 「国内の」 を意味する形容詞 internal は、「国内問題」というとき internal affairs という(ジーニアス、センチュリーで確認)。
なお、数学の図形の幾何学の、「内角」も internal angle である(ジーニアスで確認)。
internal には医療などで「内服の」や「体内の」などの意味もあるが、共通の例文が確認できなかったので、説明を省略する。
なお外角は external angle または exterior angleである(ジーニアス和英で確認。英和にはない。和英)。
なお、「幾何学」は geometry (ジオメトリー)である(旺文社1900)。なお「地理学」はgeography (ジオグラフィー)である(桐原4500、東京書籍4500)。「地形」や「地勢」などもgeography である(東京書籍)。
geo- (ジオ)というのは「地球の」とか「地理の」という意味だが(ジーニアス)、幾何学にも使う。おそらく、古代のヨーロッパでは幾何学の知識を活用して、地図などを作成していたのだろう。
「ユークリッド幾何学」は英語で Euclidean geometry である(旺文社1900、)。「ユークリッド幾何学」というのは、日本では中学の数学で、図形の証明として習う、あの理論の体系のこと。「タレスの定理」とか「中心円の定理」とか、あそこら辺が「ユークリッド幾何学」。紀元前のギリシアの数学者エウクレイデスの名前にちなんで、英語読みでユークリッドになる。
なお、X-Y座標を使って計算する座標幾何学は、ユークリッドではなく「デカルト幾何学」という別の理論体系。デカルトは中世フランスの数学者。デカルトあたりが、座標幾何学の理論を整備しはじめたので。
さて、形容詞 interior は「内部の」という意味の形容詞だが(ジーニアス)、しかし普通は家や自動車の内壁に対して interior を使う(ジーニアス)。
ジーニアス英和の interior によると、幾何学の「内角」を interior angle で表してもいいとのこと。旺文社1900も東京書籍4500も、建築物の「室内の壁」を the interior walls としている。なお、東京書籍は「内部の壁」と和訳。
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生産量
output, production
「生産」を意味する production に、「生産高」の意味もある(ジーニアス)。なお、単語集では、prodcution の「生産高」の意味までは説明していない(東京4500、桐原4500、旺文社1900を確認)。
increase production で 「生産量を増やす」である(ジーニアス)。センチュリーでも、文章は違って完了形などになるが、「映画製作が減少」という内容の文で production を生産量の意味で使っている。
より平易に output でも「生産高」を言える(旺文社、ジーニアス)。
工場などの生産高から(ジーニアス)、芸術などの産物まで(センチュリー)、output で表現していい。
production や produce には、「大量生産」のようなニュアンスがある(東京書籍)。
なお「大量生産」は mass production である(センチュリー)。
なお、テレビ番組や音楽作品などの生産から、その生産された作品なども production である(ジーニアス)。
output の対義語は input である。
つまり
input ⇔ output
である。
input で、名詞としtrは、仕事や活動などへの資材や労働力などの「投入量」、コンピュータへの「入力」を意味する。また動詞としては、「投入する」や「入力する」の意味である(ジーニアス、センチュリー)。
旺文社の単語集には、inputに投入量の意味がないが、しかし辞書で「投入量」を確認できる。
同様に、対義語のoutput は、仕事や活動などの「生産高」や、コンピュータからの「出力」である。動詞としても同様に「産出する」(ジーニアス)や「結果を出す」(センチュリー)や「出力する」である。
input には、仕事・活動などへの援助としての情報提供やアイディア提供などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
東京書籍や桐原の単語集には input や output が見当たらなかった。だがこれからのIT時代、必要になる単語であるので、ぜひとも意味を理解しておきたい単語である。
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「外国」と「海外」
外国へ abroad
海外へ overseas
「外国に」「外国へ」は abroad であり、副詞である。
「海外に」「海外へ」は overseas であり、副詞である。
overseas は字ヅラだけ見れば、海を越えて外国に行くことだが、アメリカでは実際にはヨーロッパへ行くことに使われる事が多い(ジーニアス)。
travel overseas で「海外へ旅行する」である(旺文社)。
travel abroad で「外国へ旅行する」であるが、東京書籍では「海外へ旅行する」と訳している。
from overseas で「海外から」である(旺文社)。
abroad の典型的な例文が、
「私は外国へ(一度も)行ったことがない。」 I have never been abroad.
である(東京書籍、桐原)。東京書籍と桐原で、同じ英文。桐原のほうには和訳で「一度も」がある。
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結果
result, outcome, consequence
桐原4500と東京書籍4500の後半にoutcomeの単語の紹介があるが、良書とも解説を諦めている。
単に 結果のことを result だけでなく outcomeとも言うと、知っておくしかない。
consequenseは、単に「結果」を、固い言い回しにしただけであるが、東京書籍4500によると、「通例望ましく結果にconsequenceを用いる」とこのこと。
センチュリーと東京書籍に「深刻な結果」 a serious consequence と言う例文がある。
副詞 consequently は「その結果として」「したがって」の意味。
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考え
concept, notion ,ほか(idea, thought ,など色々ある)
concept は、たとえば相対性理論の考えだとか、割と抽象的なことに使う。桐原4500いわく、「アインシュタインの相対性理論の概念」は Einstein's concept of relativity である。
notion は、そこまで抽象的でなく、たとえば人生観(ジーニアス)とか宗教観(センチュリー)とか。
ジーニアスでは「人生は航海だという考え」の「考え」を notion としている。
旺文社だと「概念」と言ってるが、無視していい。
概念というより「観念」だろう。
あるいは「観念」という用語をしらない高校生に向けて「概念」と書いたのかもしれないが、そんな底学力層のことは読者は気にしなくていい。
その他、ジーニアスで「意見」、センチュリーで「意向」だと言ってるが、両辞書で説明が一致しないので無視する。
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「規範」と「基準」
規範 code
基準 normal
(学校などの)規律、しつけ discipline
普通 normal, ordinary
「行動」と「指導」と「行儀」、「実践」
行動 conduct(指導のニュアンス)、behavior (行儀のニュアンス)、practice(理論・理念の実践)
習慣・慣習 practice 、 custom、クセ habit
codeには「規範」「暗号」「法典」などの意味がある。
まず、codeの規範について。
ドレスコード dress code は「服装規程」のことである。「ドレスコード」「服装規程」とは、たとえばクラシック音楽コンサートホールとかの上流階級っぽい施設に入場しようとするとき、どんなに金を持っていても、もし服装が短パンとかジーパンとかだと入場を断られることがある。
成人男性の場合なら、背広とかのフォーマル formal な服装とかでないと、そういう場所には入場できないのである。そういうのをドレスコードと言う。
商業施設に限らず、たとえば冠婚葬祭(かんこん そうさい)とかの行事でも、その内容に見合った服装が求められる。
旺文社1900の例文が例文としてドレスコードを紹介しており、まさに大学進学を目指す階級にふさわしく、とても良い。
ダジャレだろうけど、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコード press codeという。普通に科目「日本史B」とか「日本史探究」で、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコードと言うと習う。ついでに覚えよう。英和辞典には press code は見当たらず、どうもGHQの造語っぽい。
ドレスコードの場合、codeは訳では「規則」や「規程」ではあるが、マナー的なニュアンスもある。
ジーニアスで確認したが「不文律」 code of silence という単語がある。
「行動規範」 は a code of conduct である。
ここら辺の表現が、上流階級に求められるマナー的な code であろうか。
その他、ビジネスライク名表現だが、「業務規程」 code of practice というのもある。
なお、「行動規範」 は a code of conduct のついでに言うと、「行動」conduct も類義語があり、behavior が類語後である。なお、旺文社ターゲット1400(中級の難度の本)が、conduct と behave を同じページで紹介している(おそらく旺文社もこれを類義語だと見なしているのだろう)。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多い.音楽の「指揮者」をコンダクター conductor と言うのも、これだろう。
The orchestra was conducted by Seiji Ozawa. そのオーケストラは小澤征爾によって指揮された。(東京書籍4500)
とか
conduct the orchestra オーケストを指揮する(桐原3000)
とか典型。
高校英語では出ないだろうが、物理学の電気伝導のことを conduct という事もある。conduct には、指導とか伝導とかのようなニュアンスがある。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多いが、必ずしもそうとは限らない
conduct interview インタビューを行う(東京書籍4500)
conduct research 調査を行う(旺文社1400)
のように調査研究を行うのに使う場合もある。
behave は、動詞「ふるまう」だが、ニュアンス的には「行儀」のニュアンス。
behave oneself で「行儀よくする」(桐原3000、旺文社1400)
I can't stand His behavior. 彼のふるまいには我慢できない. (東京書籍4500)
東京書籍の例のように、behavior そのものには、指導的なニュアンスは無く、行儀が悪い場合にも使うようである。
conduct は動詞。「行う」、「指揮する」。「指揮者」は語尾が異なり conductor である。
behavior は名詞で「ふるまい」「行動」。behaveは動詞で「ふるまう」。
ほか、practice に、理念や理論などの「実践」の意味があり、単語集にもあります(桐原4500、旺文社ターゲット1900)。
practical 「実践的な」「実用的な」という単語もあるので(東京書籍4500、)、これと関連づけましょう。ほか、思想用語ですが、プラグマティズムという語があり、米国的な実用主義のことです。なお、プラグマティズムはドイツ語やギリシア語が語源なので、高校生には深入りは不要。
熟語で put ~ into practice で「~を実践する」
put his new ideas into practice 「彼の新しいアイデアを実践する」(旺文社1900、ジーニアスに似た例文あり)
the idea to put his ideas into practice 「彼のアイデアを実行するチャンス」(桐原4500)
とか典型です。なお桐原3000にもpracticeがありますが、3000では練習の意味しか書いてません。
practice his religion 「宗教を実践する」(ジーニアス、桐原5500をもとに作成したオリジナル)
She practices vegetarianism. 彼女は菜食主義を実践している。(東京書籍3000そのまま)
ほか、
practical experience 「実地の経験」(東京書籍4500、桐原4500)
が典型です。
対義語は theoretical 「理論上の」です(東京書籍4500、桐原4500)。セオレティカルと、語尾がティカルになります。セオ「リカル」ではないです。セオ「レティカル」です。
「実用的な車」 practical car (東京書籍4500)、実地の経験ある大工 practical carpenter (三省堂グランドセンチュリー)
たぶん大工が高校範囲でないので、東京書籍が気を利かして car 「車」に置き換えたのだろうと思います。
なお、理科などの実験は experiment です(東京書籍3000、旺文社1900)。
旺文社1900だとpracticeとexperiment が同じページに書いてあり、おそらく、類義語のようなものと見なしています。
practice には「練習」の意味があります。というか、先に「練習」の意味のほうを、多くの中高生用の学校用の単語集では習います。
exercise にも「練習」の意味がありますが、上記のように practice は宗教や思想にも使うので、なんかニュアンスが少しだけ重いです。
また、単語集には無いですが、practiceには「慣習」の意味もあります。「練習」などの派生的に覚えましょう。
宗教とか地域文化とかそういう単語で practice が使われている場合は、宗教の実践なのか、それとも宗教の慣習なのか、どちらなのか判別が面倒です。このため、入試では要求されないでしょう。あまり特定の宗教に深入りするのも入試的にアレですし。
慣習・習慣 practice 、custom、habit
custom は、社会の習慣でも(東京書籍4500、旺文1900)、個人の習慣でも使う(桐原3000で個人の習慣を紹介)。
社会の慣習の意味の場合、custom と practice の区別は難しい。
custom やhabitは、意外と難度の高い単語と見なされており、東京書籍4500や旺文社1900など上級レベルの単語集でも紹介されてる。
habit は個人の習慣。個人の「癖」(くせ)が habit である。
このためか旺文社1900および東京書籍4500では対比として custom を「社会的な慣習」としているが、しかし実は個人の習慣にも custom を使う(桐原3000)。
the custom of visiting shrine on Wew Year Day 「神社を新年に参拝する風習」(旺文社1900)
the custom of giving year-end gift 「お歳暮を贈る慣習」(東京書籍4500)
もちろん日本以外の外国にも custom を使ってよく、
another country's customs 「他国の慣習」(桐原3000)
habit で入試で典型的なのが、個人の食習慣。
well-balanced eating habits 「バランスのとれた食習慣」(旺文社1900)
the habit of eating between meals 「間食の習慣」(東京書籍4500)
She has a habit of playing with her hair when she's nervous. 「彼女には緊張すると髪をいじるくせがある」(桐原3000そのまま) ※辞書を見ても他にろくな例文が無いので、そのまま紹介
habit of ~ing で「~する習慣」である(旺文社1900)。
She has a habit of speaking quickly when she is angry. 「彼女には起こったときに早口で話すくせがある」(東京書籍4500そのまま)
つまり単語集の典型例として、
He / She has a habit of ~ing ○○ when he/she is □□. 「彼/彼女には□□したときに〇〇を~するくせがある」
この桐原の例のように、無意識の「癖」にhabit を使う。
だが、他にも、喫煙とか麻薬とかそうのの悪癖にも habit を使う(ジーニアス)。この悪癖は入試には出ないだろう。辞書を見ても、麻薬とかそういうのの habit ばかりなので、桐原の髪の例文をそのまま紹介させてもらった。
しかし、良い習慣にも habit を使っても良い(東京書籍4500など)。
healthy habits 「健康的な習慣」(東京書籍4500)
habit of rising early 「早起きの習慣」(ジーニアス)、habit of getting up early 「早起きの習慣」(グランドセンチュリー)
「習慣」の意味で practice を使う場合、地域などの集団の慣習。宗教とか風土とか。 ※ 入試範囲外だが汚職などの悪風の場合も、practiceを使う(ジーニアス)。
マナー以外にも code は使い、「民法」は the civil code , 「刑法」は the criminal code である。
だが、「lawで十分じゃん?」と思ったのか、東京書籍4500ではcodeの項目を見ても「暗号」しか紹介していない。なお、桐原4500の例文が、アメリカの各州の刑法 criminal code の違いの話題(いわゆる「州法」)。
おそらく東京書籍は、マナーの話をしたいなら manner で済むだろう、という発想だろう。なお、manner も英語であり、東京書籍4500にもmannerが書いてある。
「暗号」については、典型的な例文が
「暗号を解く」 break a code
である(東京書籍4500, 桐原4500)。
normal (ノーマル)は、日常的には「普通の」「平均的な」という意味である。
だが、学問としては、労働などの「基準量」の意味を覚えておきたい。
日本では最近はすたれた言い回しだが、ソ連語の由来で「ノルマ」という、たとえば1日あたりの、しなければならない労働の最低量として「ノルマ」という語があった。
単語集にはないが、辞書で normal の意味に、数学の「直角の」という意味もある。おそらく、古代ギリシア人あたりが、角度の基準として直角(90度)を採用したのだろう。
なお、数値的な「平均の」を言いたいなら、 average である。形容詞「平均の」も名詞「平均」も average である。桐原4500では、normal のページといっしょにaverage も書いてある。
normal の対義語 abnormal は「異常の」「異常な」の意味である。
逆に考えれば、normal の意味は、「通常の」「正常の」でもある。桐原のnormal に「正常な」が書いてある。東京書籍の副詞 normally に「通常は」が書いてある。
ordinary 「ふつうの」「平凡な」は、よく「生活」と結びついて、ordinary life 「ふつうの生活」(東京書籍の訳)または「平凡な生活」(桐原の訳)
ordinary はこのように、並外れた部分がないというニュアンスがある。
逆に対義語の extraordinary は、「並外れた」の意味である。
「異常気象」は extraordinary weather である(東京書籍、ジーニアス)。
単語集にはないが、「臨時国会」も an extraordinary Diet session (ジーニアス)あるいは an extraordinary session of Diet (センチュリー)のように言えることも、覚えておきたい。なお、Diet とは、日本の「国会」のこと。外国の国会の呼び名は違っている場合も多いので、外国の国会のことを言いたい際には、その国ごとの呼び方を調べること。
そのほか、ルールに従わせるための統制や、そのための訓練のことなどを、 discipline という。
子供の「しつけ」や、学校の規律などが discipline である。
ジーニアスいわく 「学校の規律」 school discipline である。
また、センチュリーいわく「学校での規律」は discipline in school である。
子育てや教育にかぎらず、たとえば行政などの「金融統制」は financial discipline である(ジーニアス)。
そのほか、単語週では旺文社1900しか紹介していないが、大学での「学科」や「学問分野」のことも discipline という。辞書には普通に「学科」も「学問分野」も書いてある(ジーニアスで確認)。なお、実は旺文社では「学問分野」しか書いてないが、説明の都合で段落冒頭では「学科」も加えて紹介した。
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通訳と翻訳
「通訳する」「解釈する」 interpret
「翻訳する」 translate
「通訳」とは、普通、口頭での翻訳のこと。
だから翻訳サイトの「グーグル翻訳」も、べつに口頭でのやりとりではないので、英語では google translate なわけである。
「通訳者」は interpreter である。
「同時通訳」は simultaneous interpretation である(旺文社 simultaneous、ジーニアス、センチュリー)。
simultaneous は「サイマルテイニアス」と読む。シミュ~とは読まない。
名詞形の「通訳」「解釈」は interpretation である(旺文社)。
東京書籍と桐原だと「解釈」の意味しか紹介していないが、しかし上述のように「同時通訳」でも interpretation は使われるので、「通訳」の意味も覚えるべきだろう。
なお、数学の「連立方程式」は simultaneous equation である(ジーニアス)。
simultaneous の部分が「連立」である。 「方程式」は equation である。
翻訳者は translator である。
[[カテゴリ:英語]]
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==== ※ 分割用タイトル ====
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設立
constitute と establish と found
found という動詞がある。動詞「見つける」find の 過去形foundとは別に、原形で「設立する」のfoundという動詞がある。
「設立する」は活用が、
原形 found - 過去形 founded - 過去分詞 founded
と変化をする。
foundの意味は「設立する」。「創設者」を名詞 founder と言うのを記憶の土台にすると、覚えやすいだろう。名詞 foundation で「基礎・基盤」や「建設・設立」などの意味。化粧でファンデーションとあるが、あれは和製英語ではなく、れっきとして foundation cream という英単語がある(ジーニアス英和で確認)。
ちなみに金融などで「ファンド」といわれる単語は fund (原形がfund )というまったく別の単語。組織などの「資金」「基金」が名詞でfundである。動詞 fund は、組織などに「資金を出す」こと(旺文社1400)。
なお、「基金の基金を集める」は raise a fund である(旺文社1400。ジーニアス)。また、raise money で「資金を集める」である(東京書籍4500。桐原4500)。
constitute は、議会や制度などを「設立する」。
なお、センチュリー英和によると、「議会を設立する」 constitute an assembly とのこと。
establish は、組織を「設立する」。たとえば桐原4500に「早稲田大学を設立する」という例文で establish が紹介されている。
ジーニアス英和によると、政府・学校・会社などを「設立する」のが establish である。
センチュリー英和によると、国家・政府などを「樹立する」のも establish である。
だが、それよりもestablishは、単語集にはないが、評判などを「確立する」の意味で覚えるほうが良い。
たとえば、センチュリー英和やジーニアス英和にあるが、国家体制など既存の「体制側」や「支配層」のことを establishment という。
いっぽう constitute には、こういったニュアンスはないだろうから。
set up
set up は「創業する」「創設する」の意味である。
このほか、set upには、テント(a tent)や看板(a sign)などを「立てる」という意味もある。
センチュリー英和にもあるが、コンピュータの初期設定のことを set up という。
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主張 claim と insist と argue と contend
議論する argue, discuss
センチュリー英和によると、claimは、当然の権利として「主張する」、あるいは事実であるとして「主張する」の意味。
claimとinsistのどちらにも、「要求する」の意味がある。
だが、claimの要求は、権利としての要求である(東京書籍4500)。
いっぽう insistの要求は、単に強く要求しているだけである。
insistは、特に、強く「主張する」意味である。
ジーニアス英和およびセンチュリー英和では、無罪の主張でinsist on が用いられている。
日本語の、批判のような意味での「クレーム」は、和製英語であり、センチュリー英和のclaimの説明によると、英語にこの意味はない。
なお、「文句を言う」は英語で complain である。
:(※ たぶん範囲外?)海外旅行などで「荷物の受け取り」のことを baggage claim という<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P140</ref>。このように、日本語の「クレーム」と英語のclaim は、だいぶニュアンスが違う。
記号「!」 のことを exclamation (イクスクラメイション)というが、これも動詞 exclaim (イクスクレイム)「さけぶ」の名詞形である。
なお、荷物 baggage は集合名詞なので たとえば複数の荷物を言うときは、 ~ pieces of baggage になる<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P153</ref>(桐原3000)。
発音注意であり、baggage 「バギッジ」である。
なおbaggageはアメリカ英語。イギリス英語だと luggage 「荷物」になる。
一方、「カバン」bagは具体的なカバンのことをいうので、普通に数えられるので、bagの複数形は bags である<ref>『All aboard! English Communication I』、東京書籍、令和3年1月29日検定済、令和4年2月10日発行、P145</ref>(桐原3000)。
さて、claim する人(主張者)のことは claimant である。
ただし、権利の主張などは、insistとclaimのどちらでも良い。
argue は、理由をあげて「主張する」の意味である(東京書籍4500)。argue that ~ で「~だと主張する」の意味である。argue with ~(人) で「~(人)と言い争う」の意味である(桐原4500および旺文社1400)。
なお、argueには、用法によっては、やや非友好的に「議論する」ニュアンスもある。ジーニアス英和にも、argue は「discussよりも非友好的」と記述がある。
たとえば検定教科書 "Standard Vision Quest I" でも、 argueは「言い争う」といった意味であると紹介する一方、discuss は「議論する」であると紹介している<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
ただし、実際には argue には「説得する」などの意味の用法もあるので、ニュアンスの違いはあまり明確ではない。
センチュリー英和に、弁護士の「弁論」をargueとした例文があったが、もし法廷闘争での敵対陣営同士の「弁論」ならargueのほうが、ふさわしいだろう。
なお、「口論する」は quarrel である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
contend は、(東京書籍4500いわく)「強く主張する」とか、(桐原5500いわく)「論争する」とかの意味。
桐原5500の例文にあるが、contend in court で「法廷で争う」。
旺文社1900によると名詞 contention で「主張」「論点」の意味。
旺文社1900とセンチュリー英和が紹介しているが contend that ~ で「~だと主張する」。
旺文社1900 で熟語 an issue of contention (「議論の対象となる問題」)が紹介されてるが、しかしジーニアス英和でもセンチュリー英和でも確認できなかった。
* 異議を唱える
challenge
challenge には課題や競技相手などに「挑戦する」の意味もあるが、議論などで相手に「異議を唱える」の意味もある。
たとえばジーニアス英和からの抜粋だが、 I challenged her. 「私は彼女に異議を唱えた。」
旺文社1900からの抜粋だが、 He challenged the common belief. 「彼は常識に異議を唱えた。」
センチュリーからの抜粋で、 He challenged my statement. 「彼は私の言うことに異議を唱えた。」
challenging で「やりがいのある」。東京書籍3000に例文がある。辞書を見ても、あまり例文が無いので、当ページでは紹介しない。
なお単語集にはないが、ジーニアスによると、競技などで challenger 「挑戦者」 ⇔ defender 「選手権保持者」(防衛側)
である。defender の項目で調べると書いてある。
競技では、challenge は試合を「申し込む」などの意味である。
たとえば、東京書籍3000の例文だが、
Dan challenged me to a game of tennis. 「ダンは私にテニスの試合を申し込んだ。」
また、センチュリー英和に似たような例文
I challenged Betty to a game of tennis. 「私はベティにテニスの試合を申し込んだ。」
がある。
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防御
defend , guard , protect
まず、「ガードマン」は和製。
guard だけで「警備員」の意味がある。特に、警備員であることを強調したい場合、 a security guard という(東京書籍、旺文社)。
a security をつけずに「警備員」と使用してもいい。桐原3000の英文は銀行の「警備員」に、 a security をつけていない。
さて、defend は動詞。guardは名詞および動詞。protectは動詞。
なお、guardian とは、未成年などの「後見人」のこと。旺文社1900ではguardian を「保護者」「後見人」と紹介している。
そのほか、センチュリーでは、たとえば世界平和の「守護者」とか、そういう意味の「守護者」のことを guardian という。そのほか、ジーニアスには guardian の意味のひとつに「保護者」と書いてある。
protect は、病気などから「守る」場合にも使えるが(東京書籍3000)、ジーニアスによると人間などの相手でも使っていいようである。
辞書や単語集では「保護する」と訳される場合もある。
名詞 protection は「保護」の意味。
辞書によると、関税によって国内産業を「保護」することも protect である。また、風雨からの保護の「雨よけ」「風よけ」も 名詞 protection である。
さて、ジーニアスによると、「家族を守る」でprotect one's family である。ジーニアスでは文脈は述べていないが、普通の感覚では、病気とかではなく犯罪などから家族を守ることだろう。
日光(sunlight, sun)から目を守ったり(ジーニアス、センチュリー)、肌を守ったりするのも(桐原4500)、protectである。
たとえば、 protect one's eyes from sunlight 「日光から目を守る」
である。
protect 〜 from B で、「〜(守られる対象)をB(危険側)から守る。」である。
なお、子育てなどでいう「過保護」は英語で overprotect である(桐原5500)。
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汚染
pollute と contaminate
違いは不明確。
桐原5500にcontaminate がある。polluteは桐原・東京書籍の4500にある。
一応、ジーニアス英和および桐原5500には、「毒物や放射能」による汚染を contaminate としているが、彼らがそういう説を言っているだけ。クラウン英和はその説を採用していない、
実際にクラウンの例文を見ると、車の排気ガス汚染で、contaminate という動詞を用いている。
:Car exhaust contaminate the air. 車の排気ガスは大気を汚染する。
という文がクラウン英和にある。
しかし東京書籍4500では、工場の煤煙による大気汚染が pollute である。
クラウン英和にある大気汚染 air pollution のように、そういう用語が既にあるので、実務では業界の用語ごと覚えるしかない。
※高校生としては、不正確かもしれないが、とりあえず「汚染」はすべてpolluteで覚えておいて、実務などで「この場合はcontaminete を使え」と修正された場合にだけ contaminate を使うのが良いだろう。
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傷(きず)
wound, injured, harm, hurt
動詞 wound は、刃物・銃などで「傷つける」、「負傷させる」。桐原3000だと「傷つける」、東京書籍4500だと「負傷させる」。
ジーニアス英和hurtの説明によると、戦いでの負傷には wound を使うとのこと。
hurt は、感情なども含む「傷つける」。偶然か英米人のダジャレかどうか知らないが、心のheart と、心を「傷つける」 hurt とで発音が近い。関連付けて覚えよう。
センチュリー英和だと、hurtには、「傷による苦痛に重点がある」とのこと。
名詞 injury が「けが」という意味。これが「けが」の基本的な単語である。
さて、~ be injured で「~が、けがをする」の意味である。
~ be injured in ・・・ で「~(けが人)が,・・・(原因)でけがをする」である。
単語集によくある典型的な例文が、
「彼はその事故でけがをした。」 He was injured in the accident.
である。
単語集では、自動詞 hurt で「痛む」の意味があり、東京書籍4500で例文を紹介。一方、桐原4500は例文なし。
「おなかが痛い」(※東京書籍4500)とか(靴擦れで)「かかとが痛い」(※センチュリー)とかでも、hurtを使っていい。
桐原4500に名詞 hurt で、「傷」の意味が紹介されている(例文なし)。東京書籍4500にはなし。
hurt には「けが」・「傷」・「苦痛」の意味がある。
「傷」の意味では、injuryとほぼ同義だと、ジーニアス英和が言っている。
hurtとpainの違いが気になるが、あいにく辞書には書いてなかった。
ややしいことに「痛み」を意味する名詞 pain には、「苦労」の意味もある。苦痛ではなく苦労なので、いい意味でも使われる。
なお、painは名詞の用法が基本的な意味だし、名詞の意味は「痛み」。
hurt は動詞の用法が基本的な意味だし、動詞の意味は「傷つける」。
辞書を見ると、実は動詞のpainもあるが、これは「痛む」の意味である。(「傷つける」ではない)painはあくまで「痛み」に関する単語
名詞 harm は「害」の意味。なお、harmful で「有害な」の意味の形容詞<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P111 </ref>。
東京書籍およびジーニアスによると、日光や光によって「目をいためる」のは harm である。
飲酒や喫煙などの「害」がharm 。桐原4500に喫煙の害。センチュリー英和に飲酒の害。
このように、比較的に痛みを伴わないものにも使われる。(センチュリーにもそう書いてある。)
だが、「目をいためる」ように、実際に痛いこともある場合にも使われるので、まあ傾向の程度。
ネットでときどき「有害コンテンツ」という用語があるが、「有害コンテンツ」も英語で harmful contents である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P121</ref>。
ほか、旺文社1900のsubstance ’物質)の項目が言うには、飲食物などに含まれていたら困る「有害物質」は harmful substances である。
さて、動詞 suffer が「苦しむ」という意味だが、 be suffering from ~ で、「~(原因)で、苦しい(つらい)」的な意味。
東京書籍 be suffering from a toothache 歯が痛くてつらい
桐原 be suffering from a backache 背中が痛くて苦しい
などと訳している。
ジーニアスによると、 「風邪をひいている」 be suffering a cold のように痛み以外でも使っていい。ほか、「英国はインフレで苦しんでいる」 be suffering from inflation のように使ってもいい。
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やわらげる
relieve, ease
苦痛などを「やわらげる」は動詞 relieve である。
典型的な例文で、(風邪薬などで)「頭痛をやわらげる」 relieve a headache がある(東京書籍4500およびセンチュリー)。
誰が風邪薬を飲んで誰の頭痛をやわらげるのかによって、飲んだのが「私」だったら relieve my headache になったり、教材ごとに主語による多少の違いがある。
どちらにせよ、単に柔らかいわけでもなく、単に軽減するわけでもなく、苦痛などを減らすのが relieve である。
relieve A of B(苦痛など) で、「AからBを除いて楽にする」の意味。
熟語 get rid of ~ 「~を取り除く」と関連づけて覚えよう。実際、桐原4500がそういう構成である。
名詞形は relief であり、「安心」「緩和」「救援」などの意味である(単語集にある)。単語集にはないが、野球のリリーフも同じrelief である(センチュリーで確認)。
sigh with relief で「安堵(あんど)のため息をつく」である。sigh (発音「サイ」)は、動詞としては「ため息をつく」、名詞としては「ため息」である。
例文は、
She sighed with relief. 「彼女は安堵のため息をついた」
である(東京書籍4500 項目 sigh。旺文社1900 項目 sigh)。
ともかく、「安心」的なのが relieve のイメージなので、be relieved to ~(動詞) で「~で安心した」という形容詞的な用法になる。
というか、辞書ではジーニアス英和でもセンチュリー英和でも、 relieved を形容詞として紹介している。
ease (イーズ)という動詞および名詞がある。これも動詞ease は「やわらげる」「取り除く」の意味である。これは形容詞の「簡単な」 easyの、名詞計および動詞形である。
名詞 ease は「容易さ」「気楽さ」「軽減」の意味である。
This medicine eases the pain. 「この薬は痛みをやわらげる。」
のように使う(東京書籍および旺文社に似た例文)。
ジーニアスによると、頭痛 headache をやわらげるのに ease を用いてよく、旺文社によると胃痛 stomach pain をやわらげるのに ease を用いている。
このような薬による「取り除く」「やわらげる」の意味での ease は、ジーニアスによると、relieve とほぼ同義語とのこと。
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取り除く
remove, eliminate
remove は、「取り外す」の意味に近い。
たとえばパソコンのUSBスティックメモリなどを「リムーバル・メディア」などというが、取り外したあとに、別に捨てるわけでもなく、消去するわけでもない。
このように、remove は単に「取り外す」「取り除く」というニュアンスである。
名詞 removal (リムーバル)「取り外し」という単語も存在しています(東京書籍4500)。
形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」という単語もあります(東京書籍4500)。
「リムーバル」はけっして形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」の誤記ではないです。間違えないように。
一方、eliminate は、取り除いたあとに、処分することを念頭に置いている。または、取り除いたあとに、再度の取り付けの意思がないものに使う。
なので、eliminate で取り除かれるものは、ゴミだったり、あるいは犯罪などの社会悪だったりする。
または、解決すべき問題を片付けることも eliminate である(東京書籍)。
だから eliminate の訳語は「取り除く」である。外すのではなく「除く」に、そういうニュアンスがある。
eliminate (A) from (B) で、「AからBを除去する」である。fromの後ろにあるBが、抹消されるべき対象である。
こういう単語なので、単語集にはないが、ジーニアスを見れば、敵軍などを全滅させる事も eliminate と言うこともある。
なお、生物種の「絶滅」は extinction (エクスティンクション)である。
熟語 get rid of ~ は、そこまであれこれと考えていない。remove的にも使われるし、eliminate 的にも使われる。あるいは、remove と eliminate の中間だと思っておけばいいかもしれない。
さて、 exclude は、「除外する」である。
これよりも、形容詞の exclusive エクスクルーシブの意味「排他的な」のほうが分かりやすいので、そちらを説明する。
exclusive 「排他的」とは、最初から内部に入れない、という意味である。
だからexclude は、最初から中に入れないように「締め出す」という意味もある(桐原で確認)。
excludeの「除外する」の意味については、可能性などを「除外する」という意味もあり、ジーニアスの例文だと、たとえば「明日、雨が降る可能性は除外できる」みたいな割と平和的な「除外する」にも exclude を用いることもできる。
そのほか、exclude は、見当などの際に「考慮に入れない」という意味もあり(ジーニアス、センチュリー、旺文社で確認)、たとえば旺文社の例文では「税金は価格から除外されている」という意味の英文で exclude を受身計で用いている。
なお、対義語は include であり、「含む」という意味である。
たとえば「税込み 5ドル」は
<nowiki>$5,</nowiki> tax include
である。
典型的な例文は、
「料金は税込みですか?」 Does the price include tax?
がある( ジーニアス(ただしpriceでなくrate)、 東京書籍(ただし「料金」でなく「価格」と和訳) )。
また、-clude とは「閉じる」の意味である。
だから、たとえば conclude は、話を閉じるので「結論づける」「締めくくる」の意味。conclusion は「結論」の意味。
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消去する
erase , delete
(※ 範囲外)火を消す extinguish
鉛筆で書いた文字を消しゴムで消すのが erase である。
また、消しゴムをアメリカ英語で eraser (イレイサー、イレイザー)という(東京書籍1800、旺文社1900)。なおイギリス英語では rubber である。
黒板ふきも eraser である(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
コンピュータのデータを消すのは、erase も delete も使われるが(ジーニアスで確認)、しかし現代では delete でデータ消去を表すのが普通である。
実際、パソコンのキーボードにも delete キーがある。
旺文社の例文も、メールの削除を delete で表現している。
なお、東京書籍と桐原の単語集には delete は見当たらない。
昔なつかしいテープのデータを消去するのには、erase が使われるようである(ジーニアス、センチュリーにerase でテープのデータを消す用法あり)。
erase で消すのは、文字のほかにも、感情を「消す」などの表現でも使われる(ジーニアス、)。
「記憶を消せればいいのに」みたいな表現でも erase を使う(旺文社、ジーニアス)。
辞書にはないが、delete はもともと動詞で「削除する」「消去する」の意味であるが、現代ではパソコンのデリートキーを表す名詞として、delete が名詞としても使われる(旺文社1900)。辞書のほうが遅れている。旺文社1900が正しい。
なお、名詞形 deletion 「消去」「削除」という単語もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
高校範囲外ですが、火を「消す」は動詞 extinguish (イクステングィッシュ)です。
extinguish は一見すると見慣れないですが、実は高校範囲の単語「絶滅」 extinction (イクスティンクション)の動詞形です。
extinction のスペルのままでは動詞の意味は無いです(センチュリー、ジー二アス)。
消防士による「消火する」から(ジー二アス)、たばこの火を「消す」まで(センチュリー)、extinguish で表現できます。
なお、extinct は形容詞「絶滅した」「消滅した」です。
ほか、生態系の「絶滅危惧種」は an endangered species である(桐原4500 species、ジー二アス endangered)。東京書籍と旺文社には、species の項目自体はあるが、絶滅危惧種はない。
なお、植物の「種」(たね)は、seed という別の単語である(東京書籍4500、桐原3000)。
典型的な例文は、
「農場に種をまく」 plant seeds in the field
である(東京書籍4500、桐原3000)。
plant は「種をまく」という意味の動詞。
field は「農場」である。
動詞として seed 「種をまく」という用法もあるが、旺文社以外1200は紹介していない。少なくとも、桐原3000と東京書籍4500には、動詞の用法が紹介されていない。
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疑い
suspect ,doubt
doubt ~は、「~が信じがたい」の意味。 → don't think に近い
たとえば doubt if ~で「~かどうか疑わしい」。doubt that~で「~でないと思う」である。
suspect ~ は、「どうも~のようだ」のような意味(ジーニアス英和) → think に近い
旺文社1400にあるdoubt 例文で、
doubt ifの例文「私は神が存在するかどうか疑わしく思う」I doubt if god sexists.
および
doubt that の例文 「私は神は実在しないと思う」I doubt that god exist.
が覚えやすいだろう。
suspect~ の 目的語(~)の部分は、原因や容疑などがくる。
例文として「食中毒を疑う」 suspect food poisoning とか(東京書籍4500)、
容疑者は名詞 suspect である。
このほか dubious と言う「疑わしいと思う」(桐原5500)という単語があるが、辞書の例文が不足していてよく分からなかった。単語集では桐原5500に書いてある。
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治療と回復
「治す」 heal, cure ,
「~'''が'''回復する」(自動詞)は recover
「~'''を'''回復する」(他動詞)は restore
「気分の回復」は refresh
「(健康などを)取り戻す」は regain
医療や薬などによって、けが や病気を「治す」一般的な語は cure である。
外傷を治す場合は heal が好んで使われる。
cure ~(人) の語順である。
けが を治す場合、
cure ~(人) of □□(けが・病気)
の語順である。
典型的な例文が
「その薬が彼の病気を治すでしょう」 The medicine will cure him of his disease.
である(ジーニアスの例文を改造し、「あなたの病気」から「彼の病気」に変更)。
桐原にも似た例文があり、
This medicine will cure him of the disease. 「この薬が彼の病気を治すだろう。」
とある。
his disease か the disease かなどの多少の違いはあるが、まあこんな感じの英文になる。
get rid of ~ などと同様に、ofの後ろには取り除かれるべき物が来る。
heal も同様、
heal ~(人) of □□(けが)
の語順である。
だが、東京書籍4500および桐原4500いわく、 heal the wound 「けがを治す」のように、ofを使わずに使われる場合もある。
recover は「回復する」である。
recover from ~ で「~から回復する」である。
動詞 restore は、
「秩序を回復する」 restore order
のような例文が辞書で典型的(ジーニアスとセンチュリーの両方にある)。
さて、旺文社 store 項目によると、パソコンなどで、データをバックアップすることは store である。
そして、単語集にはないが、バックアップをもとに設定データなどを自動的に「復元する」ことを restore という事がよくある。
辞書によると、古い建築物や美術品などを復元することも restore である。
東京書籍4500では、教会を修復するのを restore としている。その教会が古いかどうかは東京書籍4500には書いてない。
桐原では、桐原5500にrestoreが書いてある。
けがの回復ではなく、ちょっとした疲れやノドの渇きや気分などを、軽い飲食物や短時間の休養などで回復させるぐらいの場合は、動詞 refresh (リフレッシュ)で表せる。
旺文社1900がrefreshを紹介している。桐原・東京書籍は紹介せず。
ジーニアスいわく、冷たい水を飲むのも refresh である。
refresh は主語や述語の語順のつかいかわけが難しいので、例文を省略する。
センチュリーいわく、入浴で疲れをとるのも refresh である。また、ジーニアスでもセンチュリーでも、アルコールで気分を回復するのが refresh である。
そのほか、ジーニアスによると、コンピュータなどのディスプレイ上の画像が更新されるのも refresh である。これからのIT時代は覚えておきたい。
regain one's health で「健康を取り戻す」という慣用表現である(ジーニアス、旺文社1900)。
旺文社1900にしかなく、番号 1502 / 1900 の単語。少なくとも桐原4500・5500と東京書籍4500にはない。
He regained his health. 「彼は健康を取り戻した」
のように使う(センチュリー)。
「意識を取り戻す」 regain consciousness もよく使われる(ジーニアス、旺文社1900)。
たぶん She regained consciousness のように使う(旺文社に似た例文)。
また、この用例から分かるように、健康的なものを取り戻す場合、普通は主語が自身の健康を取り戻すのに regain を使う。
「自由を取り戻す」(センチュリー)とか「都市を取り戻す」(ジーニアス)とかの政治的なことも regain である。
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蓄え
store , stock
store は「店」という意味の名詞でもあるが、「蓄える」という意味の動詞でもあり、さらに「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもある。
なお、storeを「店」の意味で使うノはアメリカ英語。イギリス英語では店はshopである。桐原3000にも東京書籍3000にも書いてある。storeは3000語レベル。
stock は「在庫」や「株式」という意味の名詞でもあるが、「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもあり、さらに商品を「店に置く」「仕入れる」などの意味の動詞でもある。桐原と旺文社は、「仕入れる」の意味まで単語を紹介している(ただし例文なしで単語のみ)。
stockは4500語レベル。
しかし単語集では、ややこしいので、stockについては、「株式」「在庫」の意味の名詞だとしてしか、紹介していない。しかし実はstockも動詞の用法があるのである。
センチュリーによると、食料の「蓄え」は、stock でも store でもよい。
たとえばセンチュリーのstockの例文は「我々の食料の蓄え」Our stock of food である。センチュリーのstoreの例文は(リスが冬の備えての)「食料を蓄える」lay in a store of food である。
このように、どっちでも食料 food を蓄えられるので、区別がつかない。
storeは別にリスのような動物限定というわけでもなく、たとえばセンチュリーで図書の「蔵書」 a book of store などの表現もある。
storeが店での商売関係というわけでもない(もし商売に限定だすると、図書の蔵書とかリスの食料とか、説明がつかない)。
なので、stock に「株式」「在庫」の意味があるとか、覚えるしかない。
桐原および旺文社いわく、
be out of stock で「在庫が切れている」
の意味。桐原は例文も紹介。旺文社は例文なし。東京書籍は紹介せず。
例文は桐原も東京書籍も旺文社も、在庫の例文である。
単語紹介だけでが、桐原いわく「株式市場」stock market
旺文社いわく「証券取引所」the stock exchange
である。
語源を調べてみても、 stock の語源は木の「棒」stick と同じだと書いてあるだけで、stock と storeとの区別には役立たない。
さて、単語集にはないが、パソコンなどのハードディスクなどの貯蔵量のデータ記録デバイスのことをストレージ storage という。
ついで、単語集にある情報だが、 storage は、「貯蔵庫」や「保存庫」の意味で、東京書籍4500の巻末にだけ、解説なしで、単語と例文だけ書いてある。
辞書を確認のため見たが、ジーニアス英和は家具の「保管」を storage といい、センチュリー英和は単に「倉庫」を storage といい、あまり共通性はなさそうなので、深入りしない。
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愚か
形容詞 foolish, stupid, silly, ridiculous などがある。
このうち、 foolish, stupid, silly, は、「愚かだ」「馬鹿げている」の意味。
このうち silly は口語調。
<nowiki>Don't be silly.</nowiki> で「馬鹿げたことを言わないで。」という典型的な例文があり、東京書籍4500でも紹介されている。
名詞foolが形容詞になったのが foolish である。
stupid は、辞書によると、foolish よりも、けなしの意味が強い。口頭では使わないほうが安全だろう。
ridiculous は、「不合理で馬鹿げている」意味。センチュリーによると、ridiculousには、あざけりや物笑いの意味もあるとのこと。
単に「不合理だ」の意味なら、 absurd を使う。桐原5500にabsurdが書いてある。なるべくabsurdを使うほうが高尚だろう。
センチュリーによると、absurdは、不合理さ・非常識さを強調している。
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移行と移転と移動
migrate, transfer ,
桐原4500に名詞形migrant (移住者)が書いてありますが、英語では動詞 migrateとは「移住する」や、渡り鳥の「渡る」のことです。
しかし単語集にはないですが、そのほかにもmigrateには、IT用語では古いシステムに入っていたデータやプログラムを新しいシステムの中へと「移す」ことや、開発環境などのシステムを新システムへと「移行する」という意味もあります<ref>[https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/migration.html マイグレーション | IT用語辞典 | 大塚商会]</ref>。
なお似た言葉にreplaceがありますが、これはサポート切れなどで古くなったりして(obsolete)使えなくなったソフトウェアなどを現在の稼働中の使えるバージョンのものに「置き換える」(replace)ことを意味します。
英語では、「『移住』にシステム環境『移行』の意味もある」と覚えることが本質的な理解でしょう。
なお、スペルの似ている immigrate に、(外国から)「移住する」の意味があります(桐原4500)。またなお、桐原4500にも書いてあるが、空港などの入国管理が名詞 immigration である。英会話の教材などでよく immigration が出てくる。
immigrate と migrate の意味の違いを把握するため、辞書の説明に逆らって、私たちは migrate は(環境を)「移行する」で覚えましょう。
これが、moveやtransfer と、migrate との違いです。
なお transfer に「転勤する」「転勤させる」の意味があります(桐原4500)。
「転勤させる」ほうは他動詞なのでtransferでもいいのは分かりますが、「転勤する」と「移住する」の区別が難しいです。まあ、おそらく他動詞からの類推か、慣用的にtransfer が定着しただけでしょう。
なお、辞書にありますが「転校」や(プロ選手などの)「移籍」もtransferです。
高校生物の遺伝に関連する細胞物質のひとつで、トランスファーRNA (transfer RNA)というのがあります。こういうのと関連づけて覚えましょう。
また、列車・バスなどの乗り換えも transfer です。
スペルの似た単語で、transport という動詞および名詞がありますが、動詞 transport は「輸送する」です。
transfer 「乗り換え」はおそらくtransport 「輸送する」との関連で定着した表現でしょうか。
単語集にも辞書にもないですが、インターネット用語で HTTP というのがありますが、これは「Hypertext Transfer Protocol 」の略です。データなどを「転送する」のも transfer です。
センチュリー英和によると、銀行口座に「振り込む」もtransfer とのことなので、「送金する」のようなニュアンスでしょう。
なお、ジーニアス英和およびセンチュリー英和によると、法律用語で、財産などを「譲渡する」もtransferです。
transition という名詞が別にあります。transition は、移行期にあるものについての「移行」のことです。桐原4500 では「議会制民主主義への移行」、旺文社1900では「自動運転車への移行」を例文にしています。
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決定
determine ,decide
辞書にはないが、determine は、断固とした決意で「決心する」「決定する」である。
形容詞 determined がセンチュリー英和によると断固とした決意の意味なので、動詞determineのほうもそういうニュアンスである。
あと、ジーニアス英和にあるが、判決を下すのも determine である。
あと、予備知識がないと気づかないだろうが、東京書籍4500にある例文のように、専門家などが原因などを「特定する」ことや、判定するのも determine である。
実際には、あまり断固としてなくても determine が使われるような例文もちらほらとあるが、あくまで派生的な用法だと思うべきだろう。
だから名詞形 determination は、「決心」「決意」と覚えるべきだし、実際に桐原4500や東京書籍4500でそういう和訳である。
be determined to ~(動詞) で「~する決心をする」
である。受身形で「決心する」になる。
たとえば
He was determined to ~ 「彼は~する決心をしていた」
のように使う。また、完了形にせず、過去形のままで使う(桐原4500の例文、ジーニアスの例文など)。
能動形でも「決心する」の用法もあるが、普通は上述のように受身形で使う(ジーニアス)。
検定教科書で三省堂 CROWN Iを読んでいると、高校1年でもう be determine to do を扱っている。
対する decision は、和訳は「決定」である(東京書籍4500)。桐原によるとdecisionは「決定・決断」だが、しかし上述のように、どちらかというとdesicionは比較的に「決定」のニュアンスのほうに近いだろう。
resolve でも「決意する」だが、東京書籍4500だと彼女をデートにさそう「決心」という例文であり、まったくもって断固とした必死さが足りない。
そんなのよりも、会議などの「議決」のことを resolution というのを覚えたほうが良いだろう。桐原4500に「決心」「決議」と単語の和訳だけ書いてある(例文はなし)。
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減少
decrease, decline , reduce, diminish
まず、高校英語で増減を表す場合につかう典型的な単語は、increase (「増える」「増やす」の意味)および、対義語の decrease(「減る」「減らす」の意味)である。
たとえば、三省堂『CROWN II』「英語表現」教科書では、パラグラフ・リーディング/ライティングの説明で、留学生に関する分析の文章を扱っているのだが、留学生の「増加/減少」<!-- 「/」は原著が全角文字なので、それに合わせた。 -->にそれぞれ increase/decrease という表現を使っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P81</ref>。
この例のように、 increase (増加)と decrease (減少)は対になって使える便利な表現であるので、まずはこれを覚えよう。
熟語というほどではないが、
~(主語) increased by □□(数値) percent.
で、「~が□□%上昇した。」である。たとえば上記のパターンで、東京書籍4500では「その商品の売り上げ」Sales of the product だし、旺文社199では「日本の実質GDP」Japan's real GDP である。桐原3000には数値上昇の例文なし。桐原は昔から単語集では定番だが、しかし桐原だけでは勉強できないこともある。
increase で増える数値はなにも百分率(パーセント)でなくてもよく、たとえばジーニアス英和では、「体重は2キロ増えて60キロになった」 increased by two kilograms to 60 kilograms.
という例文もある。
on the increase で「増大して」の意味。なお、ここでの increase は名詞。
東京書籍4500では「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
センチュリー英和では「大都会における犯罪は増加しつつある。」 Crime in big city is on the increase.
ジーニアスは on the increase の例文なし。このように、ひとつの英和辞典だけでは勉強できない。
別に on the increase を使わずとも、現在増加中のものは現在完了進行形で書いてもよく、桐原3000がそうであり、
「車の台数が増え続けている」 The number of cars have been increasing.
である。
ジーニアス英和にある説明だが、よく、The number of ~ increased. で「~が増えた。」と言う例文があるが、「The number of 」を省いて直接「 ~ increased. 」のように言ってもいい。
実際、東京4500の例文「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
でも、 the number of は無い。
on the increase のbe動詞が単数形(is)なのか複数形(are)なのか食い違いがあるが、英和辞典を見ても、とくに言及はされていない。
increasingly で「ますます」の意味が紹介されているが(東京書籍4500。旺文社1900)、しかし例文は無い。
価値や能力を「高める」場合、enhance (エンハンス)という動詞が使われることもある。だが、辞書でも例文が少なく、あまりいい例文が見当たらないので、説明は省略。旺文社1900だと、603/1900の位置でenhanceを紹介している。だが東京書籍4500では、巻末ちかくで enhance を紹介である。桐原に至っては、4500語レベルではなく桐原5500の後半ちかくでenhanceを紹介である。
さて、decline は自動詞であり、つまりdeclineは「低下する」「減少する」の意味である。
declineの典型的な例文が「出生率は低下している。」であり、東京書籍4500では
The birth date is declining. 「出生率は低下している。」
である。
似た例文が、旺文社1400にもあり、
「出生率は低下し続けている。」 The birth rate continues to decline.
である(旺文社1400)。
なお検定教科書にも decline の単語は掲載されている<ref> 、『CROWN English Communication III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P45</ref>。和訳が検定教科書に書かれてないので不明だが、その検定教科書では経済の議論の紹介で decline が使われているので、「低下する」の意味にて decline を用いているのだろう。
decline には、申し出・誘いなどを「断る」の意味もあり、桐原4500に紹介されているのはこっちの意味だけ。
しかし、高校の検定教科書に、「少子化」 declining birth rate が照会されているので、「減少」の意味のほうもキチンと覚えよう<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P18 </ref>。
名詞形 declination が、ていねいな断りの意味。
reject (計画などの「拒絶」。※却下のような意味)や refuse (拒絶)だと意味が強すぎるのだろう。
reduce は「減少させる」。3R運動のリサイクル、リユース、リデュースのあれ。
「減少」は名詞 decrease と名詞 reduction がある。
reduction は、「削減」のニュアンスで使われることが比較的に多く、桐原4500および東京書籍4500の例文が経費削減である。
reduce costs で「経費を削減する」である。
このほか、diminish や drop や fall などがあるが、やや高校範囲を超える。一応、diminishは桐原5500および東京書籍4500には書いてある。(桐原4500には書いてない。)な
一応、diminish は、検定教科書『CROWN III』で使われている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P73</ref>。
CROWN III にある例文は
But the war 1990's, the threat of war diminished.
という文章(抜粋)である。検定教科書に和訳がないので答えは不明だが、「しかし、1990年代には、戦争のおそれも少なくなった」ような意味である。
直前の文章では、「20世紀は戦争が多く」みたいなことを英語で言っているので、おそらくそういう意味だろう。
辞書で diminish を確認したところ、ジーニアスもセンチュリーも悪い意味に使う例文のほうが多いが、しかしCROWN IIIの検定教科書によると、とくにdiminish には悪い意味合いは無いようである。
桐原5500に書いてある例文も、
We can diminish our fear. 「恐怖を減らすことはできる。」(抜粋)
なので、別にdiminish に悪い意味合いはない。
なお、桐原5500の例文は東北大の過去問。ネットでは「地方国立の入試英語なんて教科書レベル」などの言説もあるが、まあ確かに教科書にはdimisihも書いてあるものの、大分、学習量は大きい。
drop やfall は、旺文社1400の巻末にある類義語の章にだけある(本編には解説なし)。
dropは数量や人口、価格などの減少で使われる「口語的」な語(旺文社が「口語的」と言っている)。ただ、ノーベル経済学者クルーグマンのツイッターを読んでたら、「インフレの減速」のような意味で普通に drop を使っていた。
価格の低下だけでなく、派生してインフレの減速にもdropが使われることから、もしかしたら経済学などでは文語的に drop という単語が使われている可能性もあるかもしれない。
なお、「急騰する」は soar である(桐原5500、旺文社1900)。
単語集の例文だと完了形で have soared だが、急騰の結果として現在でも株価が高いなら完了形にするのが無難だろう。
インフレ率の上昇でも株価の上昇でも何でもいいが、たとえば旺文社1900が株価の上昇の典型的な例文
The stock prices of the company has soared . 「その会社の株価が急上昇した。」
である。
ジーニアスは野菜の価格の急騰、桐原5500は米価の急騰である。たとえばジーニアスでは
The price of vegetables is shoring. 「野菜の価格が急騰している。」
である。この野菜の例文のように、進行形ならもちろん、現在も急騰の真っ最中になる。
時制ついでに桐原5500の例文を紹介すると、
Figure showed the price of rice had soared to record levels. 「数字は米価が記録的な水準にまで急騰したことを示していた。」
である。
なお「痛い」soreと同じ発音である。
ついでに言うと、よく景気の先行きについての見通しで「悲観的」だの「楽観的」だのマスコミ用語でいうが、これは英語でもそう言い、
「悲観主義」は英語でpessimism (ペシミズム)である。
「楽観主義」は英語で optimism (オプティミズム)である。
スペルよりも、まずカタカナで『ペシミズム』『オプティミズム』と覚えてしまおう。社会評論などの書籍などを読んでいると、ときどき外来語として「ペシミズム」などの用語を使っている場合もある。
典型的な例文として
東京書籍4500で「ボブは自分の将来について楽観的だ。」 Bob is optimistic about his future.
である。
似たような例文が旺文社1900にもあり、「彼女は自分の将来について楽観的な気持ちだ。」 She feels optimistic about her future.
である。
桐原4500が紹介しているが、なにも将来でなく経済に楽観や悲観を感じてもいいのである。
桐原によれば、「彼はその国の将来について楽観主義を表明した。」 He has expressed optimism about the country's economy.
である。
wikiオリジナルの例文だが「トムは経済の先行きに悲観的だ。」なら、さしずめ Tom is pessimistic about the country's economy.
とでもなろうか。
なお、英和辞典を見ても、例文が「~は将来に楽観的だ」とか「将来に悲観的になってはいけない」ばかりである。optimistic などの単語が経済予想や株価予想に使えることすら、辞書だけでの勉強では全然分からない。とはいえ、あまり良い市販の英語教材がない。
ともかく、また、これらの例文のように、 be optimistic about ~ で「~に楽観的だ」となる(東京書籍4500)。悲観の場合も pessimistic で同様。
念のため、派生語も含めて一覧にすると、
optimism 「楽観主義」、
optimistic 「楽観的な」、
optimist 「楽観主義者」(旺文社1900に紹介あり)、
pessimism「悲観主義」、
pessimistic「悲観的な」、
pessimist 「悲観主義者」、
である。
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想像
vision, imagination, image
vision は「想像」の意味があるが、「見通し」の意味もある。もっとも、見通しの意味では名詞 perspective がさらに高尚。
なお、perspective はどちらかというと「視点」の意味である。大局的な視点=見通しのようなニュアンスが perspective である。東京書籍が(大局的な)「視点」、桐原が「観点」。だが、別に大局的でなくても美術の遠近画法のことを perspective というので、東京書籍の説明はいかがなものか。
from a different perspective で、「違った視点から」
たとえばジーニアスいなる例文think about the problem from a different perspective で、「その問題を違う観点から考える」となる。ジーニアスは「観点」、東京書籍4500は「視点」と訳しているが、別にどちらでもいい。
different の部分を別の形容詞にすれば、
from ~ perspective で、「~の視点(観点)から」になる。
なお、スペルの似ているprospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
たとえば形容詞 prospective は「有望な」の意味である。
ジーニアス英和によると、もともとはprospectは高いところからの「展望」のような意味だったようである。桐原4500にprospectが書いてある。
「見込み」outlook という単語もある(桐原5500 のprospect)。桐原5500では prospect の「見込み」の類義語として紹介されている。
もし、「観察力」とかを言いたい場合、observe 「観察する」である。
「洞察力」なら、penetrating 「洞察力のある」である(旺文社1900。桐原5500)。ただし、洞察力の意味での例文は単語集に無い。動詞penetrate には「浸透する」の意味もあって、そちらの例文が市販の単語集には書いてある。
もっと簡単な単語としては insight 「洞察力」という名詞があるので、これを使って洞察力を表現する方法もある。
なお、
語法 give A insight into B で「AにBの見識を与える」
である。
名詞 vision にも、「見通し」「洞察力」などの意味があるので、これでも洞察力を表現できるだろう。ただし、単語集にその用法での例文は無い。
旺文社1900によれば、 a one's(myなど) point of view で「〜の観点から」の意味。だが、これを直接暗記するよりも、まず名詞 view には、「眺め」の意味のほかにも、「見解」の意味があることまず知るべき。
慣用的に in my view, 「私の考えでは、」(ジーニアス、センチュリー)という表現がある。「考え」と訳しているが、「私の見解ですが、」くらいに訳したほうが分かり易いだろう。ただし、英語の view には、個人的な感情も含んで見方を示しているので、そういう意味で辞書では「意見」としたのかもしれない。
だが、 in my view は、ジーニアスによれば、in my opinion よりも控え目な言い回しとして使われる。
まあ、読者の自己責任で和訳してください。
単語集にはないが、viewpoint 「観点」という単語がある。ジーニアスの例だと、
From an economic viewpoint, 「経済的な見地からすると、」(その計画には利点がない)
と続く。
センチュリーだと、
〜 from the viewpoint of employees. 「従業員からの立場からみれば」(昇給はよいことだ)
となる。
旺文社の大学入試出る順シリーズに a point of view が書いてあるから、たぶん入試に良く出るんだろうが、正直言って瑣末な単語であろう。実際、桐原も東京書籍も a point of view を紹介していない。ジーニアスやセンチュリーにすら、少なくともview の項目には書いてない。辞書でpoint で調べると point of view が書いてあるが。
たとえば、センチュリー英和では「アメリカ人の視点から見ると、」(謝罪は自分の誤りを認めたことになる) From an American point of view, 〜
ジーニアス英和では「財政的見知では、」(これは由々しき問題だ) From a financial point of view, 〜
などの例文がある。
熟語 in terms of ~ で「~の点から」。なお terms はterm の複数形。東京書籍4500と桐原4500に似た例文があって、東京書籍「その計画は費用の点から現実的ではない」The plan is not realistic in terms of cost.
なんで terms と複数形なのか不明と思うだろうが、しかし英和辞典にも in terms of と複数形で紹介されているので、受け入れてもらうしかない。
いっぽう、桐原「この計画は時間と費用の関係で現実的ではない。」 This schedule <nowiki>isn't</nowiki> realistic in terms of time and costs.
term ついでに言うと、医療の末期医寮などでターミナルなんとか terminal 〜 とかあるが、辞書で確認すると用語term と末期terminal の語源は一応は同じだが、事実上は意味のまったく違う別の単語だと思うほうが良いだろう。東京書籍4500がそういう見解であり、「用語」 term と 「末期の」「終末の」 terminal を別々の項目として紹介している。
「末期の」の典型的な例文としては、「末期ガン」 terminal cancer がある(東京書籍4500. ジーニアス、センチュリー)。
桐原4500 では terminate 「終わりにする」が紹介。terminateの紹介位置が巻末ちかくの付録のため、例文なし。
駅や空港などのターミナル terminal も、同じスペルである。駅近くなどのターミナルも、もともとは何かの終着のことだったのだろう。
なお、駅が公共バスなどの終点である事例は多い。
そういうバスターミナルのことも、ジーニアス英和いわく a bus terminal であり、またはセンチュリー英和いわく単に terminal という。
センチュリー英和は、バスのターミナルを単に「終点」と訳している。
さて、term には、「用語」の意味の他にも、「期限」「期間」の意味がある。
形容詞 long-term で「長期の」という意味である(旺文社1900)。
単語集にはないが、termination 「満期」「満期の」という単語がある。term にはそういう、限度のある期間的な何かのニュアンスもある。関連づけて覚えよう。
小中高の学校の「学期」もtermであるが、普通は3学期制の「学期」のことをいう(ジーニアスsemester で確認。ほか旺文社 semester )。大学の「前期」「後期」といった2学期制の場合は semester という(旺文社、ジーニアス semester )。
なお、日本の大学は、年間で「前期」「後期」という2学期制である。少なくとも日本の大学はそうである。
英米では、「秋学期」the fall semester と、「春学期」 the spring semester という言い方をする。
普通、英米では、9月から翌年1月までが「前期」the first semester であり(センチュリーで確認)、「秋学期」the fall semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
普通、英米では、2月から8月までが「後期」the second semester であり(センチュリーで確認)、「春学期」the spring semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
果たして大学でもし3学期制の学校があったら何というのかは知らない。まあ、単語なんて所詮は、社会の現状に合わせて言葉が作られるので、社会に存在しない制度の呼び名を考えてもラチがあかない。
imagination は「想像する行為」または「想像力」のこと。
image は、想像によって脳内に思い浮かんだ「像」や「印象」のこと。
動詞形は imagine である。実はimageも動詞とみる場合もあるが、しかしジーニアス英和ではimageの動詞用法は不採用である(ジーニアスでimageを見ても、動詞の用法は無い)。センチュリー英和だと、imageの動詞の用法が書いてある。
形容詞 imaginary は、「想像上の」「架空の」「実在しない」である(ジーニアス英和。センチュリー英和)。
ジーニアスでもセンチュリーでも、「創造」ではなく「想像上の」である。
スペルの似た imagery という単語があり、旺文社には『(集合的に)「比喩的表現」』と書いてある。辞書を見てもジーニアスでしか見つからず、例文もなく、よく分からないので説明を省略。
単語集にはないが、理科のレンズの実像(a real image)や虚像(a virtual image)などの「像」も image である(ジーニアス英和)。
旺文社1900にあるが、テレビの「画像」も image である。上述のレンズとテレビを合わせて考えれば、つまり、光学の像も image であるし、実際に英和辞典ではそう紹介している。
なお、イメージダウンなどは和製英語。イメージが悪化した場合は a bad image のように言う(ジーニアスで確認)。
なお、仏像とか銅像とか、ああいったのは「塑像」(そぞう)とか「彫像」(ちょうぞう)とかいうが、「塑像」・「彫像」の英語は statue (スタチュー)である。単語集を見ると巻末の索引に statue が書いてないので一見すると高校の範囲外だが、しかし自由 liberty で東京書籍4500を見れば「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P28に「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。
このように、「自由の女神像」 the statue of liberty は事実上の高校必須の単語である。
liberty「自由」は普通、国家権力からの自由の事を言う。
だから liberal は形容詞「自由主義の」または名詞「自由主義者」の意味がある。(桐原4500が名詞「自由主義者」も紹介している。東京書籍は形容詞だけ。)
liberalism 「自由主義」である。
statue は、桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P31に「ブロンズ像」 a bronze statue が書いてある。
光学ついでに言うと、「反射する」は reflect である。典型的な例文が、「日光を反射する」reflect sunlight である(東京書籍4500、センチュリー)。
ジーニアスには「鏡は光を反射する」
A mirror reflects a light.
という例文もある。
だが、桐原4500や旺文社1900では、reflectの、意見などを「反映する」の意味のほうが紹介されている。
とりあえず、ジーニアスによれば「世論を反映する」 reflect public opinion である。
センチュリーや桐原や旺文社を見ても、「反映する」は他動詞的に使うのか自動詞的に使うのか、能動形や受動形か、あまり使い方がはっきりしない。
reflect on ~で「熟考する」「回想する」の意味(旺文社1900では熟考、東京書籍では回想を紹介)。東京書籍のには例文あり。著作権のため本ページでは紹介しない。
名詞形には reflection と reflex がある。意味が微妙に違うので、必要な場合には英和辞典で確認せよ。
なお、単なる「視野」や「視界」のことは view である。だが、辞書でviewの項目を見ると、「見解」の意味が先に書いてある。少なくともジーニアス英和とセンチュリー英和はそうである。辞書よりも単語集で勉強しよう。
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可能性 possibility, probability, likelihood
成功の見込み、成功の可能性 prospect
潜在能力 potential
probability (プロバビリティー)は「見込み」「確率」の意味(旺文社1900)。数学の「確率」で probability が使われるので、もし確率ではない単なる「可能性」のことをいいたい場合は、別の言い回しが必要な場合もあるだろう。
関連語として、副詞 probably「たぶん」がある(旺文社、桐原)。
形容詞 probable (プロバブル)については
It is probable that ~ 「たぶん~だ」
の意味(桐原4500、旺文社に似た和訳)。
対義語 impossible (インポッシブル)「不可能である」も覚えておきたい。
ほか、prospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
「可能性」を意味する likelihood (ライクリフッド)という単語もある(旺文社1900巻末)。副詞 likely 「ありそうな」の名詞形である。
possible (ポッシブル)について、
It is possible that 人 to do
で「人が do するのは可能だ」の意味(桐原4500、東京書籍3000)。
capability (ケイパビリテイー)は「能力」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
ability (アビリティー)は「能力」「才能」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
「たぶん」を意味する副詞の maybe(メイビー) と perhaps(パハップス) と probably(プロバブリー) については、省略。書きたくない。
東京書籍3000が、ひとまとめで maybe や perhaps と probably を説明している。
東京書籍3000は紹介していないが、 likely (ライクリー)形容詞「ありそうな」、副詞「たぶん」という単語もある。
名詞および形容詞のpotential (ポテンシャル)は翻訳の都合で(名詞の場合なら)「可能性」と訳す場合もあるが、なるべく「潜在能力」 potential という訳で覚えましょう。
形容詞としての場合、「潜在的な」で potential を覚えましょう(桐原3000巻末)。
物理学の位置エネルギーのことを英語で potential と言いますので、科学的な専門用語でもあります。
桐原3000巻末のセンター試験特集によると、「潜在能力」などの意味ですが potential はセンター試験での出題をされた単語らしいです。
センター出題の背景事情として、ポテンシャルは物理学などで使う用語だという背景があります。
日本語でも、物理学の専門書などを見ると、普通に「ポテンシャルエネルギー」とか単に「ポテンシャル」などと言ったりもします。
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計画
scheme, plan, project
~するつもり intend , plan
桐原4500 が scheme を「たくらみ」の意味だけ例文で紹介している。勘弁してほしい。
まず、旺文社1900 が例文で、政府の「新しい住宅供給計画」を The new housing scheme といってるように、比較的にきっちりとした計画のことである。
桐原・旺文社の単語集にもあるように schemeに「体系」とかの意味もあって、だからニュアンス的には、体系だった計画のような感じがある。
念のためジーニアス英和を見ると、scheme の意味として「政府の公共計画」、「会社の事業計画」などが挙げられている。
そして、そういう派生として、「陰謀」(旺文社)、「たくらみ」(桐原)を覚えるべきだろう。語源はともかく。暗記の負担を減らす理解としては、たとえば
:陰謀は大規模・身の程知らず → 大規模な計画は scheme という → じゃあ陰謀も scheme でいいか
的な連想とかで覚えるのがラクかと。
高校生に語源の知識はいらないし、もし語源が「たくらみ」だというなら、そういう情報を先に教えるべきだし、念のためジーニアスで語源を見てもsdhemeの語源は『「形」が原義』とのことだし、あるいはもし有名大学が入試でscheme の「計画」の意味も出題せずにschemeの「たくらみ」を出題しているならその大学が批判されるべきだろう。
なので、ジーニアスもいってるように、scheme は plan よりも固い語である。
ジーニアス英和やセンチュリー英和にあるように 大綱とか図式とか、学問などの体系とか、教育体系とかも scheme という。
たとえばセンチュリー英和が教育体系なら an educational scheme だと言っている。
plan は「計画」をあらわす一般的な語(ジーニアス)。
project は、長期の「計画」を表す(東京書籍3000)。projectを「事業」「プロジェクト」などと訳す場合もある。東京書籍では「プロジェクト」という訳語を紹介している。
辞書では特にplan と project の違いは述べられていない。だが project の用例を見ると、橋やダムなど公共インフラの建設計画などがよく project で表現される。
「ダム建設の事業」 the project ro build the dam
である(東京書籍3000。センチュリーに似た例文)。
「橋の建設の事業」なら a project to build bridges である(ジーニアス)。
別に公共インフラでなくてもよく、ビルの建設計画でも良い。
なお、大規模な工事などを「計画する」という意味で動詞 project もある。アクセントが名詞と動詞とで異なる。
名詞は、プ「ラ」ジェクトの「ラ」にアクセントがある。なお、日本語では「プロジェクト」と書かれるが、英語ではどちらかというと「ロ」ではなく「ラ」であり、プロジェクトである(センチュリー、ジーニアス)。
動詞は、プロ「ジェ」クトの「ジェ」にアクセントがある。
学生などの研究課題も project という、
計画する plan , intend
動詞 intend to ~ 「~するつもり」は、計画だが、やや欲求・意思に重点を置いている。
動詞 plan は、計画性に重点を置いている。 plan to ~ は「~することを計画している」と訳すのが普通。(「~するつもり」ではなく)
plan a trip to Hawaii 「ハワイ旅行を計画する」(東書3000)
plan to go to Ireland 「アイルランドに行くことを計画する」(桐原4500)
進学などの予定は、intend も plan も使う。
Bob intends to learn karate in Japan.「ボブは日本で空手を習うつもりだ」(東書3000)
Most of these students intend to continue their education at university. 「ここの大半の生徒は大学へ進学するつもりだ」(桐原4500)
べつに進学や就職でなくても、
She intends to go to bed early tonight.「彼女は今晩早くねるつもり」(桐原1900)
Where do you intend to go to tomorrow? 「明日どこへ行くつもりだい」(ジーニアス)
のように intend は今日とか明日の予定でもいい。
名詞形は intention 「意図」である。単語集には例文は無し。高校レベルを超える。(いちおう、東書4500に「意図する」のintend の例文あり。)
ただ、どうしても「意図的」とか言いたい場合は、intentional とかintentinally みたいにその系統の語を使うのが安全そうである。
桐原5500 に deliberate 「意図的な」という語があるが(昔の上智大に出た単語らしい)、intention などとの使い分けが英和辞典を見ても言及されておらず、またネットで調べても情報が一致しない。あるサイトでは、欲求にしたがった意図だという主張もあれば、別のサイトでは熟考した上でも意図だという主張もあり、不一致である。
なお「配達」などの delivery とは語尾のvが違う。bとvの違い。
いちおう deliberate に「熟考した上での」という意味もあるが、しかし、あまり行儀のよろしくない行動にも deliberate の「意図的な」を使う例文もあるので(たとえば故意犯みたいな)。・
a deliberate insult 意図的な侮辱(ジーニアス)
the fire was stated deliberately その放火は意図的だった(グランドセンチュリー)
みたいな。
もちろん悪事だけでなく、良いことにもdeliberate を使ってよい。
a deliberate refusal よく考えた上での辞退(ジーニアス)
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陰謀(主に「共謀」)
conspiracy
たくらむ
scheme
高校英語としては、陰謀で覚えるのは conspiracy と、あとはschemeで十分だろう。
ジーニアス和英辞典によると。「たくらむ」には、plot, conspire , scheme , contrive ,hatch がある。
これらの単語には、陰謀以外の意味で使われるものあり、
比較的に簡単な単語なら、
plot は、よく数学的なグラフに「点を打つ」とかの意味で使われる。
なんと高校の単語集には plot がない(桐原3000・4500・5500と東京書籍3000・4500を調べた)。点 point とか教えてるのに「点を打つ」plot がないとは、英語教育の界隈はどういう了見か。反省を願う。中学数学レベルの簡単な英単語も教えられないくせに conspiracy とか教えているのか。
一応、「x軸」 x-axis とか「y軸」y-axis とかは、検定教科書で見かける<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P145</ref>。
ジーニアス英和で plot を見ると、「(裏切りの)陰謀」「たくらみ」が最初の意味だが、なんだかなあ。いまどき plot なんて数学の座標で使うのが人生で最初だと思うが。
センチュリー英和の言うように、地図や図面などに位置を書き込むことがプロット。
なお、小説などの筋書きも plot といい、センチュリーはこの筋書きの意味をplotの名詞の項目で最初に紹介している(動詞のほうは、「たくらむ」だけ紹介)。
しかしセンチュリーのほうだと、動詞には、図面や地図に位置を書き込むことの動詞がない。
本当もう勘弁してほしい。英和辞典ともあろうものが中学校レベルの英語くらい書けないのか。
scheme は上述のような体系的な「計画」だし、
hatch は(鳥などが)「ひなからかえる」「卵からかえる」「卵をかえす」とかの意味。船などの昇降口のハッチ hatch とスペルが同じ。
contrive には、(ジーニアス英和によると)「考案する」・「うまくやりとげる」の意味もある。
conspire が、「共謀する」の意味。桐原5500でも、conspiracy の例文の主語が複数形になっているので、和訳には「陰謀」とあるが内容は「共謀」である。
ちなみに「陰謀」の名詞は、桐原5500が紹介しているのは、intrigue (イントリーグ)とconspiracy (コンスピラシー)である。
これだと意味が強すぎるので(政府転覆とか)、ちょっと何かをたくらんでいるぐらいの場合に、scheme とか plot とかを使うとよいのだろう。
ジーニアス英和で intrigue を調べてみたが、例文がなく、よくわからなかった。なお、名詞も動詞も intrigue である。
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多様性
variety ,diversity
東京書籍4500は variety と diversity の違いの細かい説明をあきらめている。
diversity のほうが高尚な言い回し。
東京書籍の言うには、形容詞 variousが「いろいろ」「さまざま」。名詞 diversity が「多様性」である。
熟語 a variety of ~で「様々な」の意味(桐原4500)。
桐原4500および旺文社1900に至っては、そもそもdiversityの項目・ページではvarietyを紹介していない。
桐原4500 が「民族の多様性」 ethnic diversity という表現を使っている。
センチュリー英和がdiversityの項目で biological diversity 「生物学的多様性」という表現を使っている。
「生物多様性」のことを biodiversity または biological diversity という(旺文社1400)。
biodiversity は辞書(ジーニアス、センチュリー)に書いてある。
辞書のbio- の項目では、biological diversity は辞書では見つからなかった。
なお、ややこしいことに、diversity およびvariationには「差異」「相違」という意味もある。
和製英語のバライエティーおよにバリエーションは、やや意味が間違っている。
variation は、「差異」・「相違」・「変化」の意味(東京書籍4500および旺文社1900)。高校数学ではわかりづらいが、大学の数学で「変分法」という微分積分の発展的な分野のようなものがあって、これに variation という英語が相当している。( [https://kotobank.jp/word/%E5%A4%89%E5%88%86%E6%B3%95-131413 コトバンク『変分法』] )この変分計算では、関数中にある変数の代入値を少しだけ変化させたら関数がどう変化するかを考察しているので、英単語 variation の訳語のニュアンスに近い。
なお「微分」はdifferential、導関数はderivative なので、混同しないように(※ 大学受験に出ないので覚えなくて言い)。
桐原4500の例文にもあるが a diversity of ~ で「多種多様な~」の意味。 a diversity of wildlife で「多種多様な野生生物」と桐原4500が紹介。
なお余談だが、近年では国籍や性別(男・女のほかにも、さらにはLGBTなど)などの多様性のこともよく「ダイバーシティ」 diversity といい、よく人権などの関係した議論でこの用語護が出てくる。今後の公民科目などの範囲になるだろうから、本・英単語集のページでは深入りしない事にする。
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十分・充分
sufficient ,adequate, enough
sufficient ⇔ deficient
適切である suit, be adequate for,
enough は形容詞にも副詞にも使われる。
sufficient と adequate は形容詞。
ジーニアス英和に、adequate の類語が sufficient , enough だと書いてあるが、ニュアンスの違いは見当たらなかった。
形容詞 sufficient 「十分な」は enough よりも固い語である。
だが、その用法だけではない。
強制ではないが、sufficient は、質・量ともに十分な場合に好まれて使われるニュアンスがある(センチュリー)。
一方、単に量が多い場合や、特に質が問われない場合などに enough を使うという、使い分けがある。
be sufficient to ~(動詞) 「~するのに十分である」
である(桐原、東京書籍)。
sufficient の名詞形は sufficiency 「十分足りること」である(桐原)。
対義語は insufficient 「不十分な」、または deficient 「不足した」(デフシュント)である(東京書籍)。
センチュリーいわく、sufficient では質も問われるニュアンスがあることも合わせれば、対義語との関係は、
(質・量とも)「十分な」sufficient ⇔ deficient(質・量が)「不足した」
である。
センチュリーの訳語を比較した範囲では、insufficient よりも deficient のほうが絶対量の不足という意味合いが強そうであった。そのためか、deficinet は「欠乏」と訳されることもある(センチュリー)。つまり deficient 「欠乏した」「不足した」などの意味である。
名詞形 deficiency 「不足」「欠乏」「欠陥」という単語もある(旺文社 deficit 項目、センチュリー)。
ほか、貿易赤字などの「赤字」は 名詞 deficit (デフィシット)である。
つまり、「赤字」 deficit である。
「貿易赤字」は a trade deficit である(旺文社、センチュリー)。
数学用語だが、「十分条件」は sufficient condition である(旺文社1400)。なお、「必要条件」は necessary condition である(旺文社1400)。
sufficient O(目的語) to V(動詞の原形)
で、「Vするのに十分な量のO」
~ be sufficient to V
で、「~はVするのに十分だ」
be adequate for ~ は、「~に十分な」とのことだが(東京書籍)、しかしジーニアスを見ても例文がなく、よく分からなかった。
be adequate for ~には「~するのに適している」の意味もある(桐原)。
「適切である」を言いたいなら、動詞 suit (スート)ひとつで足りるだろう。
たとえば
「このソフトウェアはプログラミングに適切です。」 This software suits programming.
のように(wikiオリジナルの例文)。
suit 自体は桐原4500・東京書籍4500・旺文社1900の3冊とも紹介しているのだが、
しかし「適切である」の例文は、東京書籍しか紹介していない。
しかも、待ち合わせの時間が「好都合である」の訳。
違う英文だが、
(待ち合わせの時間を聞かれた返事で)「金曜日が好都合です」 Friday suits me.
のような使い方(オリジナル。ジー二アスに似た例文。センチュリーに似た例文)。
桐原が紹介している例文は背広のスーツだし、旺文社のは「訴訟する」の suit である。
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不足
lack , shortage
かつて受験英語などで「欠乏」lack ,「不足」shortageのような使い分けがあったが(実際、ネット検索するとそういう説明も出てくる)、しかしこの分け方は正しくない。なぜなら、英和辞典で lack の項目を見れば、単に不足している場合でも lack を使っているからだ。
lack と shortage の違いは、たとえば「同情に欠ける」とか「常識に欠ける」がlackである。
センチュリー英和を読むと形容詞 lacking の説明で、be lacking in common sense という例文で、「その学生は常識が足りない」という例文もある。
どうも、lack は、慣用句として、配慮が欠けている場合に使うのが英米では自然なのかもしれない。また、その言い回しが、配慮を欠けている事実自体を主張するおかにも、どうも不足の現状に対して非難や批判などのニュアンスも込めてlackが使われていそうである。
おそらく、辞書にあるlackの訳語の「欠乏」が間違っている。ジーニアスにもセンチュリーにも「欠乏」が書いてあるが、正しくは「欠如」(けつじょ)である。(ジーニアスに「欠如」が書いてある。)あるいは、辞書にはないが「欠落」あたりだろうか。欠乏の「乏」とは貧乏の「ぼう」である。
ジーニアスには、lackについて「十分にはないことをいう。まったくない場合はabsence」といっている。ジーニアスはせっかくここまで説明しておいて、なぜ「欠乏」という訳語を使い続けるのか。
欠席のことを be absent from (classなど)というが、上述のabsenceはその形容詞absentの名詞形。つまり、英語では「欠乏」と「欠席」とが同じ単語だという事。
absenceは、ゼロの状態だから、「ゼロでないけれど、大幅に足りない」みたいな表現には向かない。そういう深刻な不足を言いたい場合は、たとえば a serious shortage となるだろう。実際、センチュリ-のsortageの項目に例として a serious shortage (深刻な不足)や an acute shortage (深刻な不足)や a severe shortage (深刻な不足)などが 書いてある。<!-- 原著で訳語「深刻な不足」をそれぞれの単語に書いてあるので、けっしてwikiでひとまとめにしないこと。またニュアンスも微妙に違う。-->
さて、食料やら金銭やらが物理的に足りない場合は、どちらでもいいが、辞書を見る限り shortage のほうがそういう物資の不足での例文が多い。
たとえば東京書籍4500にあるが water shortage である。
食料不足は、東京書籍4500では The shortage of foodだが、センチュリー英和では food shortage である。
労働者不足が the shortage of labors である(旺文社1400(簡単なほう))。
医師不足が a shortage of doctors である(桐原4500)。 冠詞 a と the の違いは文脈に応じただけのものなので、読者は気にしなくていい。
なお、lack は動詞の場合もある。
単語集を見ても、lackとshrtageの違いとか、書いてない。まったく。
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直観と直感
intuitive(直観),
洞察
insight
英語というより日本語の問題なのだが、「直観」と「直感」では意味が違うので注意が必要である。
「直観」には、洞察力のようなニュアンスがある。
だから
直観の intuitive は、「直観的な」「直観力のある」などと訳す(東京書籍4500)。
名詞形 intuition だが、桐原5500の例文の和訳で(なお東大の過去問例文)「動物、中でも人間は起こりそうなことに関して鋭い直観力を発達させたと考えることができるだろう。」 We <nowiki>coudn't</nowiki> expect animals, especially humans, to have developed sharp intuitions about probably. とある。
英和辞典でintuitive などを見ても、ほとんど例文がないので(センチュリーには例文がなかった)、桐原のこの例文を学ぶのが良いだろう。
あるいは英和中辞典などを見れば例文があるのかもしれないが、さすがに高校英語でそこまでする必要はないだろう。
あと、東大は辞書を見ても満足に例文のない単語を大学入試に出しているわけだが、はてさて、見識が問われますなあ。まさか高校生に中辞典を買わせるつもりでもあるまいし。
もっとも、「洞察」「洞察力」については insight という別の専用の単語があり、普通に4500語レベルの単語集にある。
いっぽう、「直感」は、単なる勘に近い。和英辞典によれば、hunch とか scent が直感である。(高校の単語集にはない)
センチュリー英和によれば hunch は「虫の知らせ」で、口語のニュアンスがある。
scent には、名詞 scent には「勘」の意味もあるが、「臭い」とか「嗅覚」とか「香水」の意味なので、動詞scent には「かぎつける」の意味もある。
hunch も scent もこういうふうに口語っぽい内容なので、まあ単語集には出ないだろう。
そのほか、名詞 instinct (本能)にも「勘」の意味があるが、どちらかというとinstinctは「本能」で覚えたほうがいいだろう。
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結果
consequence , result
辞書にはconsequenceでは「結果の重要性を意識している。resultより固い語」とか書かれるが、
だが、東京書籍4500にはconsequenceは「通例望ましくない内容について用いられる」と説明がある。
実際、センチュリー英和で例文を見れば
「戦争の結果」In the consequence of the warだとか
ジーニアス英和だが「結果として戦争になった」have grave consequence (「重大な結果をもたらず」※戦争の婉曲表現)とか、
あと形容詞だが「天候不順の結果の食糧危機」food shortage consequent on bad water とか、
そんな例文ばかりである。
どうやら consequenceは、結果の深刻性を感じてほしい的なニュアンスのようだ。
なお桐原4500および旺文社1900みても、そういうニュアンス説明は無い。
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取得・獲得
acquire
acquire は、(技術・知識などを)(努力して)「得る」の意味。(東京書籍4500など)
典型的な例文で、
acquire a new skill 「新しいスキルを身につける」
がある(東京書籍4500。旺文社1400にも近い例文)。
「外国語を習得する」acquire foreign languages
という例文もよくある。(桐原4500。センチュリー英和aquireの項目)
辞書にはよくaquireの用法で「(知識などを)身につける」とあるが、しかし語学のようなレベルの「知識」である。
acquire には「習得」以外の用法もあって、
努力して大金や土地などを「獲得する」ことも acquire というが、単語集には例文がないので、説明を省略。桐原の単語集に「(努力して)獲得する」とだけ説明してあって、技術の習得の話をしてないのは、土地などの獲得を意識したものだろう。
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「異国風」
exotic
形容詞 exotic (イグザティック)は、通例では、欧米人の目からみて「異国風」という意味であり(旺文社)、けっして単に異国風なだけでなく、加えて、めずらしくて面白かったり興味をひかれる性質のことである(ジーニアス、センチュリー)。
具体的にいうと、日本国内で言うなら、京都などの寺社は exotic だろう(特に出典は無い)。日本に存在していても、東京の高層ビル群などは exotic には写らないだろう。
日本語でもローマ字読みで「エキゾチック」と言う。日本でも、よく文学評論とか芸術評論とかで使われる単語なので、覚えておきたい。もっとも日本で「エキゾチック」と言う場合、東南アジアや中東やアフリカなどの観光的な光景なので、英語とは微妙にニュアンスが違うが。
さて英語では、動物や植物が「外来種」や「外国産」などの場合も exotic という。農産物だけでなく、言葉が外国由来の場合も exotic という。
旺文社の単語集で、動物園の例で exotic と言っているのは、そういうニュアンスもあるだろう。
桐原と東京書籍の単語集では、exotic が見当たらない。
辞書によると、「外国の」・「外国人」という意味もあるとのこと。言葉が外国由来の場合も exotic というので、それと関連づけて「外国人」なども覚えよう。
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広さ
broad, vast
broad は、幅が「広い」。
典型的な例文が 「(道幅の)広い通り」 a broad street である(東京書籍4500および桐原4500)。
幅広い知識 a broad knowledge とか(ジーニアス)、「幅広い趣味」 a broad range of hobby とか(東京書籍4500)のように、物体以外の知的興味の広範さにもbroadを使う。
インターネットのブロードバンド broadband のブロードと同じ単語(東京書籍4500)。
vastは、面積が「広大な」である(東京書籍4500)。だが実際はセンチュリー英和では、ビル(建築物)や宇宙などもvastだとする例文を提示している。
broad の対義語は narrow 「狭い」。
体積が大きいのは huge 「巨大な」。(桐原4500。ジーニアス英和)
なお、「体積」は英語で volume である(旺文社1400、桐原4500)。volumeの意味は、「体積。容積。音のボリューム。本などの一巻。」の意味である。
turn the volume up で「音のボリュームを上げる」である(旺文社、東京)。
「音量を下げる」なら turn the volume down である(東京)。
コンテナの「容積」とかも、volume である(旺文社)。 the volume of the container 「コンテナの容積」である。
科学や工業などの「容積」「体積」でなくとも、たとえば「交通量」the volume of the traffic とか(東京書籍)、「ごみの量」the volume of garbage とかにも volume は使われる。
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娯楽
amuse , entertain
センチュリー英和によれば amuse は笑わせる事などのような意味での「楽しませる」。
entertain は、知的な面白さに重点がある。
entertain でよくある例文が、話や音楽で聴衆を楽しませる系の例文(東京書籍4500およびセンチュリー英和)。
たとえば entertain the audience で「聴衆を楽しませる」(東京書籍)。
また、熟語 entertain A with B で「AをBで楽しませる」。
センチュリー英和によれば Now let me entertain you with music. で「それでは音楽でお楽しみください」。
entertain には、自宅で客を「もてなす」の意味もある。
よくある例文が、ホームパーティなどで友人をもてなす系。
entertain their friends at their home 「友人をパーティでもてなす」(東京書籍)
entertain our friends at a party 「自宅で友人をもてなす」(旺文社1400)
ただし、実際の例文を見ると、あまり違いは明確ではない。
名詞形のamusement もentertainment も、それぞれ「娯楽」の意味で使われる。
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殺害
murder , kill
murder (マーダー)は「殺害する」の意味の動詞、および名詞としての用法では「殺人」一般の意味である。「殺人犯」はスペルが murderer (マーダラー)であり、スペルが微妙に違う。混同しないように。
「殺人未遂」は an attempt murder である(東京4500)。
「殺人事件」は a case of murder である。
なお、attempt は、困難なことを「試みる」という意味の動詞および名詞(東京書籍)。ジーニアスは、入念な計画と実施の必要な試みが attempt だと説明している。
名詞としての attempt は「試み」などと訳す。
典型的な例文で、
attempt to escape 「逃げようと試みる」
がある(東京書籍3000、桐原4500)。
脱走計画だとかそんなのだけでなく、ジーニアスいわく、エベレスト登頂の「試み」でも attempt とのこと。
90年代、かつて英語単語集に「massacre」(マサカ)という「大虐殺する」の意味の単語がよく載っていが、現代の単語州には無い。「まさか、人を殺すとは!?」という語呂合わせでよく紹介されてたものである。昔の単語集には、ちょくちょくコラム的にゴロ合わせなどが紹介されていた。
英和辞典(ジーニアス、センチュリー)で確認したところ、massacre に「大虐殺」の意味はあるが、一個人の「殺害する」のような意味は紹介されていない。語呂が不正確である。
しかし、近年に「虐殺」でよく目にするのは genocide である。ルワンダ虐殺とか、歴史的に名前が残っている事件の虐殺は genocide が普通であろう。検定教科書でもルワンダの虐殺について genocide という表記を行っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P75 </ref>。
kill や killerとの違いは、killは人間以外のものにも使う。人だけでなく、動物や植物、虫、植物なども、それらを殺したり、あるいはそれらに殺されたりする場合に、killである。
たとえば「魚を殺す」 kill fish である(東京書籍1800)。
それどころか、交通事故などで「死ぬ」場合も kill である。
be killed in ~(戦争や事故など)で「~で死ぬ」の意味。典型的な例文が「大勢の人がその戦争で死んだ。」 Many people are killed in the war. である。(桐原3000と旺文社1200に似た例文あり)
killer については単語集にはないが、名詞として「殺人犯」や「殺すもの」の意味のほかにも、形容詞として「致命的な」の意味もあり、たとえば「致死的な病気」 a killer disease などの例文が典型的。
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奪う・盗むなど
奪う
deprive
wikiオリジナルの例文だが、
The war deprived the children of the liberty. 「戦争が子供たちから自由を奪った。」
のように言う。
桐原4500に「戦争が、この子供たちからふつうの家庭生活を奪った。」 The war deprived these children of a normal home life.
とある。
旺文社1900では「軍隊が国民から自由を奪った。」 The military deprived the citizen of their liberty.
である。、
自由は別にliberty でなく freedom でもよく、たとえば東京書籍4500では、
「多くの子供たちが自由を奪われている」 A lot of children are deprived their freedom.
とある。
熟語 be deprived of~ で「~を奪われている」である(東京書籍4500)。
また、deprive A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(旺文社1900。桐原4500)。
盗む
rob , steal
動詞 rob は、ふつう、強盗とか 引ったくり とかスリに使う。スリかと思われる例文については、たとえば旺文社1900にある(電車で女性から財布を奪う例文)。
rob A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(桐原4500。東京書籍4500)。
東京書籍に典型的な例文「彼らは銀行強盗をした。」 They robbed the bank.
である。
派生語として、「強盗」 robber がある。「強盗事件」は robbery である(桐原4500。東京書籍4500)。
スペルの似ている rid という名詞・動詞があるが、「取り除く」の意味である。
熟語で get rid of ~ で「~を取り除く」である。
rob と rid は意味がまったく違うので、混同しないように注意。
なお、こっそりと者を盗む「泥棒」はthief (シーフ)である(桐原4500)。桐原3000を読めば、こっそり盗む者がthief であるし、ジーニアス英和の thief の項目にもそう書いてある。
なお、複数形は thieves である。ナイフの複数形の活用と同様。さすがにthiefの複数形を筆記で入試に出すのは瑣末すぎるので出題されないだろうが、まあ参考に。
こっそり「盗む」は steal である。桐原3000を読めば、stealの意味は「こっそりと」盗む、と書いてある。
なお、スペルの似ているsteel は「鋼」(はがね)。
さて、「盗む」stealの活用は、 steal - stole (過去形)- stolen (過去分詞)
である。
東京書籍4500の例文「泥棒が私のコンピュータを盗んだ。」 A thief stole my computer.
が典型的な例文であろう。
主語が被害者の場合、have ~ stolen になり、「~を盗まれる」の意味である。
典型的な例文
「私は自転車を盗まれた。」 I had my bicycle stolen.
がある。東京書籍4500と旺文社1400に、ほぼ同じ例文がある。
腕時計が盗まれるのも典型的で、センチュリー英和の桐原3000がそうであり、
「私は腕時計を盗まれた。」 I had my watch stolen.
である。
なお、ジーニアスにあるが、バーグラー burglar は「押し込みの夜盗」。センチュリ-によると、burglar は「(押し入り)強盗」。さすがにここまでは入試に出ないだろう。念のため桐原4500・5500と東京書籍4500を読んだが、もちろんバーグラー burglar は無い。
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気づく
notice, realize, recognize, perceive
「きびしい」
harsh, strict, severe, rigid
realize は、和訳では「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというと realize の意味は「認識を改める」である。
典型的な例文で、「彼は自身の過ちに気づいた。」 He realized his mistake.
みたいなのがある。
いっぽう、notice は単に、物事が目について「気づいた」という意味である。
なお、realize は英国では realise である。<!-- PC設定によっては realise でオートコレクト発動するが、これはイギリス英語をアメリカ英語では読み取れないため。 -->
なお、realize には(計画や夢などを)「実現する」という、まったく別の意味の用法もある。
たとえば「私の夢を実現する」なら realize my dream である(東京書籍4500)。あるいは realize my ambition である(旺文社1900)。
リアリティ reality という単語があるが、日本では小説や英語など創作物などの迫真性などのことをいうが、英語でもそのような創作物の評価における reality の用法はあるが(センチュリー英和で確認)、しかしもっと一般に「警官は彼が述べたことが真実かどうか疑った。」のような文章における「真実性」にも reality が使われる(センチュリー永和で確認)。
reality はけっして創作物に限った表現ではない。
旺文社1900では reality の意味を「現実(性)」としている。
実際、ジーニアス英和を確認すれば、そういう用法もあり、「人生のきびしい現実」みたいな例文でrality をジーニアスは使っている。
旺文社1900にも、harsh の項目で、a harsh reality 「厳しい現実」を紹介している。
なお、real と true の違いで、
true は主に話が「本当の」という意味で使う(東京書籍3000)。
いっぽう、real には、材質などが「本物の」という意味がある。
だから、real money 「本物のお金」とか、real diamond (本物のダイアモンド)などで使われる。
harsh「きびしい」(発音は「ハーシュ」)も、単語集に普通に書いてある。
気候が「きびしい」とか、批判や対応が「きびしい」などのことを harsh という。
東京書籍4500に a harsh winter 「寒さのきびしい冬」という例文がある。
旺文社1900に、harsh environment 「きびしい環境」と言う例文がある。
(桐原4500語レベルではなく、)桐原3000いわく、天候の場合は severe(シビア) でも「きびしい」を表現できる。東京書籍4500で確認したところ、批判の過酷な場合の「きびしい」でも severe を使うこともある。
harsh と severe のニュアンスの違いについては、特に書かれていない。
なお、規則などが厳格で「きびしい」と言いたい場合は strict である。
strict には、説明などが「厳密な」の意味もある。高校の分詞構文の単元で、
「厳密に言えば」 strictly speaking,
などを習うだろう。
ほか、形容詞 rigid (リジッド)でも「厳格な」を言える。単語集(旺文社1900、東京書籍4500、桐原5500)には、この厳格の用例が書いてある。
だが、それよりも物理学の「剛体」が rigid body として覚えたほうがいい。ジーニアスに、rigid は「剛体の」だと書いてある。
単に、「変形しづらい」みたいな意味での「固い」「堅い」のような意味が rigid である。
ジーニアスには、「変形しやすい」flexible の対義語であると紹介している。
規則の融通がきかないのが rigid だと、ジーニアスに書いてある。そういう意味である。
ほか、rigid には「顔がこわばった」「手足がこわばった」などの意味もある。
なお、rigid は発音注意の単語(旺文社)。
ほか、名詞形 rigidity 「厳格」「硬直」などの意味がある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。桐原だと「硬直」の意味が書いてないが、ジーニアスとセンチュリーの rigidity にしっかりと「硬直」が書いてある。
頑固オヤジみたいに「頑固な」「頑固である」と言いたい場合は stubborn (スタボーン)である(桐原、旺文社)。東京書籍は紹介してない。単語集にはないが、辞書で典型的な、「断固とした拒否(拒絶)」a stubborn refusal がある(ジーニアス、センチュリー)。そのほか、stubborn には軍隊などの(または軍隊などへの)抵抗が「不屈(ふくつ)の」という意味もある(ジーニアス)。
(厳格ではなく)「厳粛な」と言いたい場合は solemn だが(桐原5500)、あまり平易な例文が無い。
法律的な宣誓などが厳粛なことや、音楽などが荘厳なことまで、 solemn で表現できる(ジ-ニアス、センチュリー)。
「誓う」という意味の動詞 pledges(プレッジ)も、単なる約束 promise とは違い、厳粛 solemn に約束することであり、たとえば外交などの約束で使われる(旺文社1900の例文もそう、ジー二アスにもそういう例文あり)。その他、公約などで pledge 「約束する」を使う。または名詞として pledge には「公約」の意味もある。
※ ほか、批評が低評価で「厳しい」は damning (ダムニング)だが(センチュリー)、範囲外。
さて、virtual の話題。
ジーニアスを見れば、「仮想現実」 a virtual reality などの例文もある。
旺文社1900を見ると virtualの項目で、副詞 virtually 「事実上の」などもあるが、例文はない。東京書籍4500および桐原4500には例文は無い。桐原5500に副詞 virtually の例文あり、早大の過去問。
なお、桐原5500のviatually の項目いわく、「実質的には(≒practically)」「ほとんど(≒almost, as good as)」である。
念のため桐原3000および東京書籍3000を見たが、virtual などの紹介なし。
practical は「練習」 practiceの派生語。practice には「練習」のほか、理念・理論などの「実践」という意味がある。よって形容詞 practical には「実践的な」「実用的な」「現実的な」などの意味があり、よって副詞 practically には「実質的には」「実際的には」などのような意味がある。
余談だが、昨今、日本の芸能界では「リアリティ・ショー」などが問題になっているが、しかし英和辞典で見ると該当する単語は reality TV である(ジーニアス英和、センチュリー英和、の両方で確認)。
recognize は「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというとrecognizeは「見分けがつく」という意味である。
「足音でジムだと気づいた」とか(ジーニアス英和)、「帽子でジェーンだと気づいた」(センチュリー英和)とか、そういうのがrecgnizeである。
センチュリーから例文を抜粋すると、
I recognized Jane by ~ で、「~でジェーンだと気づいた」
のようになる。
一応、recognize には、新政権の「承認」などの意味もある。
辞書によくあるのは、新政権やイスラエルなどが周辺諸国から承認 recognize を拒まれるという内容の例文。
自分の間違いを認めたり認めないのも recognize である。
ジーニアスの例文では間違いを認め、
「彼は自分の間違いを認めた」He recognized that he was wrong.
である。
センチュリーの例文では間違いを認めず、
「彼は自分の間違いをどうしても認めようとしなかった。」 He wouldn't recognize his mistake.
である。
桐原4500ではrecognize を「認識する」、旺文社1900ではrecognizeを「識別する」とあるが、上述のようなそういう意味である。
perceive 「気づく」について。
名詞形 perception が「知覚」の意味である。この名詞形を覚えるべきである。
「知覚」とは、たとえば桐原のperceive の例文に「ネコは色を知覚することができない」とあるように、そういう意味である。
旺文社と東京書籍は「気づく」の意味の perceive 例文を紹介しているが、桐原は「知覚する」の perceive 例文を紹介するスタンスである。
perception については「認識」の意味もあり、桐原・旺文社にも書いてあるが、しかし「知覚」を覚えれば連想できるだろう。一方、認識から知覚を連想するのは難しいだろう。東京書籍では、perceptionの「認識」は紹介しておらず、「知覚」だけしか紹介していない。このように、知覚のほうが、この語 perception の本質であろう。
* cognitive 「認知の」
cognitive という形容詞があり、旺文社では「認知の」と紹介され、東京書籍では「認識の」「認知の」と紹介されるが、しかし辞書を見ても説明が少なく、よく分からない。桐原に至っては、cognitiveを紹介していない(桐原5500,桐原4500,桐原3000で確認)。
東京書籍でも、巻末で解説なしで、単語と例文だけの紹介である。しかし、旺文社1900での番号は 279/1900 と、かなり前半のほうである。
旺文社1900いわく「脳の認知機能」 the cognitive function of the brain
東京書籍4500いわく「認知能力」cognitive ability
らしい。
どうやら、cognitive は心理学または脳科学などの専門用語っぽいニュアンスのようだが、しかし英和辞典では確認できなかった(ジーニアス英和とセンチュリー英和を見た上で)。
旺文社いわく、「軽度認知障害」が、mild cognitive impairment (MCI)とのこと。
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過酷な
terrible, severe, harsh
ひどい terrible, awful
terrible (テリブル)は翻訳の都合でときには「過酷な」と訳される場合もあるが(ジーニアス)、たとえば暑さがterribleなら「過酷な暑さ」と訳される場合もあるが、
しかし、very bad くらいが terrible のニュアンスである(ジーニアス)。
なので、 terrible は(程度が)「ひどい」と覚えるべきである。
実際、東京書籍4500も桐原3000も、 terrible の意味を「ひどい」としている。
東京書籍3000は「ひどい体験」をterrible な体験としている(著作権のため、本ページでは「体験」は和訳せず)。
こういうふうに使う。
ほか、副詞 terribly は、
たとえば
「とても疲れたよ」 I'm terribly tired.
のように(ジーニアスに同じ例文)、強調するのに使う。
実はよい方向を強調するのにも terribly は使う(ジーニアス、センチュリー)。 (著作権のため、本ページでは例文は紹介せず)
terrible は語そのものにveryのような強調の意味を含むので、terribleをveryで修飾できない。
同様に、delicious(とてもおいしい)、enormous(とても大きい)、huge(巨大な)、marvelous(すばらしい)、terrible(ひどい)、tremendous(ものすごい)、などの形容詞はveryでは修飾できない。これらの語を修飾するには、reallyやcompletelyなどを使う
名詞形 terror (テラー)は「恐怖」「テロ行為」という意味がある。
なので、terrible には「恐怖の」という意味もあるが、この場合は horrible (ホリブル)で表現するほうが誤解のおそれなく無難だろう。
名詞 territory (テリトリー)「領土」「なわばり」も覚えておきたい(桐原4500、東京書籍4500)。三省堂 CROWN I を見ると、もう高校1年で territory を教えている。動物などの「なわばり」も territory で表せる。
なお、「国境」は単に border で通じる。 American border みたいに、国名の形容詞のあとに border を言えば、それでアメリカ国境の意味になる。
severe と harsh は他の節で紹介したので省略。
「過酷な」と言いたい場合、まずは severe (シビア)の使用を検討するのがよいだろう。
痛みが「ひどい」場合は severe を使うほうが無難だろう。
a severe pain 「ひどい痛み」(ジーニアス和英)
である。
形容詞 awful (オーフル)「ひどい」は、悪い意味だけでなく、よい意味でも使われる(センチュリーで確認)。桐原3000語レベル、東京書籍4500語レベル。
よって、awful は terrible とほぼ同じ意味。
もともと名詞 awe が「畏敬」(いけい)の意味である。
だが、awful は、なんだか口語的に「ひどい」「すごい」「おそろしい」みたいな意味になってしまっている。
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全体の
whole,total
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思う
think, suppose
think は「思う」と中学で習うが、辞書で調べてみると、意外とthinkは確信の度合いが高い。
センチュリー英和なども解説しているが、「推測する」といいたい場合は、think ではなく suppose を使うのが適切である。
つまり、「推測する」は suppose である。
推測よりも、やや確信の度合いが高い程度の場合に think を使うのが適切である。
名詞 supposition で「仮定」の意味。
まったく意味の違う用法だが、熟語 be supposed to ''do'' で、「~(do)することになっている」の意味。
よくある例文は、「彼は7時にここに来ることになっていた。」の類。
He was supposed to come here at 7 o'clock.
である。だが、この過去形での「was supposed 」の文は、実際には彼は7時に来なかったことを含意している(ジーニアス英和より)。東京書籍4500に似たような例文があるが、しかし東京書籍4500では含意の件には触れていない。
センチュリー英和によると、be supposed to do は、「(慣習や法律などによって)...するものと考えられている。」とあるので、表面的な言い回しこそ控えめだが、実際の意図はやや強制的・義務的な主張のニュアンスが高そうである。
否定形 be not supposed to do にいたっては「~してはいけない」の意味である(東京書籍4500)。
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証明・証拠
証明・証拠 proof ,demonstration
evidence 証拠
役所などの証明書 certificate
(裁判所などで)証言する testify (※高校必修範囲外だと思ったら、三省堂 CROWN I にあった)
proof には、「証明」「証拠」の2つの意味があるが、なるべく「証明」のほうで覚えるべきである。
なぜなら、数学の「証明」のことを proof というからである(ジーニアスで確認)。
私たちは、高校卒業後もなるべく教育レベルの高い外国人の英文を読むべきであろう。そして教育レベルの高い人ならば、外国の中学高校の数学は習得しているはずなので、よって外国人の彼らには証明を proof という習慣がついているはずである。外国の中学高校レベルの数学の用語も知らない頭の悪い外国人の英文なぞ、読むに値しない。
なお、動詞 prove は「証明する」の意味である。
evidence が、証拠のひとつひとつのことである。ジーニアスによれば、proofは「evidence を積み重ねた最終的な証拠」のことであるとされる。
だが、それよりも、proofは「証明」であると覚える方がよいだろう。
また、少なくとも日本の学問の世界では、個々の実験事実や個別の統計のような、個々の証拠のことは evidence というのが普通である。英語でどういうのか知らないが。
桐原の単語集にあるが、裁判などの「証拠」も「証言」も evidence である。英語では、「証言」と「証拠」を分けずに evidence という。
単語集にはないが、どうしても発言による「証言」であることを強調したい場合は verbal evidence という(ジーニアス英和で確認)。
ジーニアス英和辞典で確認すれば、「証人」すらも evidence である。
prove to be ~ で「~だと分かる。」「~となる。」「~と判明する。」である。
辞書の例文が、事業などが prove to be a success 「成功となる」またはprove to be successful 「成功となる」である(ジーニアスとセンチュリーの両方)。東京書籍4500の例文もこの類。
桐原4500だけ He was proved to be innocent 「彼は無実だと判明した」である。
旺文社1900には、 prove to be ~ の例文は無い。
実はデモンストレーション demonstration 「証明」の意味がある。
一般的には、英語では、行動によって意志を表したり、あるいは、たとえば新製品の実演販売みたいに実演などによって説明すること等を demonstration という。
集団などのデモ行進も、同じ demonstration である。
センチュリーの例文だが、戦争反対のデモなら demonstration against the war である。
一般に、demonstration against ~で「~反対のデモ」である。
だから東京書籍にある「新空港に反対するデモ」なら
demonstration against the new airport
である。
能力の証明なども demonstrate であり、東京書籍に紹介されている。
旺文社1900でしか説明していないが、感情をあらわにすることも demonstrate である。だが、感情のデモは例文もないので、深入りする必要はないだろう。
動詞形は demonstrate である。
ジーニアス和英を見ると、実はdemonstraite やdemonstration には「論証する」などの意味もあり、旺文社1900が紹介しているが、しかし桐原も東京書籍も「論証する」の意味は紹介していない。
センチュリーは、証明についてのdemonstration の意味は、論証ではなく「実証する」であると説明している。
ジーニアスの例文を見ると、「哲学的論理」の論証の例文である。
demonstrate が「論証する」と言っても、どうやら、数学のような論証ではないようだ。
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仮定や論理的思考など
仮定する assume, suppose
当然と思う assume
仮定 assumption, supposition
推測 supposition
「推論する」 infer
仮説 hypothesis
動詞 assume は、「仮定する」「想定する」「決め付ける」などの意味。
共通するニュアンスは、ジーニアスいわく、明確な証拠がなくても想定すること。
名詞形が assumption である。
assume that ~ で「~だと思い込む」(桐原)または「~を当然のことだと思う」(旺文社)である。
たとえば、旺文社の例文「私たちは日本の列車がいつも定刻どおりに運行することを当然と思う」が assume that の例である。
ジーイアスによると、三段論法の「前提」などで、assumption が使われるとのこと。
このため論理的な議論ではassume や assumption が使われると思われるので、覚えておきたい単語である。
しかし、suppose にも「仮定する」の意味がある。
だが名詞形 supposition が「推測」の意味である。なので、suppose はどちらかというと「推測する」のニュアンスが強い。
桐原の単語集にはsuppose は「推測する」の意味しか書いてないが(東京書籍に至っては「思う」しかない)、しかしセンチュリーを見ればsupposeの意味として「推測する」のほかにも「仮定する」も書いてあるのが実態である。なお、旺文社1900でだけ、例文なしで「仮定する」の意味も紹介してえる。
「仮説」と「仮定」は違う。
「仮定」とは、たとえば「仮に○○だとしたら、□□は××になるはずだ」の前半「仮に○○だとしたら」のこと。仮に定めるので「仮定」というわけである。
一方、「仮説」とは、「~の原因は、□□が××だからだ。なぜならば(以下略)」という原因をとなえる主張のうち、まだ真実かどうかの評価が確定してない主張のこと。
「仮説」は英語で hypothesis である。
なので「仮説」は証明あるいは検証するためのものである。
「仮説を証明する」は prove a hypothesis である(旺文社、ジーニアス)。
ただし、実際には派生的に hypothesis でも「仮定」の意味もある(ジーニアス、センチュリー出確認)。
だが、単語集では hypothesis の「仮定」の用法は紹介されていない。あまり知的な用法だとは思われていないのだろう。「仮定」を言いたいなら assumption
で済むし、高度な学問をするなら「仮定」と「仮説」は分離すべきであるし。
infer という動詞があり、事実や根拠などをもとに「推論する」という単語である。
infer that ◯◯(文節) from ~ で「~を根拠に◯◯だと推論する」という意味である。
桐原5500も旺文社も、infer の例文では from で根拠を提示している。
そもそも日本語の「推論する」というのは、事実や根拠をもとに推理・推測することだと、広辞苑(1992年)にも書いてある。
広辞苑の例文にも「事実から推論する。」とある。
ともかく、このように「推論」は根拠とともに使うべき単語である。
infer で推論する内容は、べつに学問的な内容である必要はなく、たとえば「彼女の沈黙から怒っているのだと察した」とか(ジーニアス)、そういうのでも構わない。
infer にはこのほか、「暗示する」(= imply )という単語もあるが、imply という「暗示する」の意味の単語で代用できるので、説明を省略する。
名詞形は inference 「推論」「推理」であり(旺文社)、推論するという行為(旺文社、ジーニアス)または推論の結果によって得られた結論のことを言う(センチュリー)。
by inference で「推論によって」(旺文社)、「推測によって」(センチュリー)である。
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扱う
deal with ~, treat
treat は普通、厚遇する「扱う」の場合に使う。つまり、treatは「厚遇する」である。
ただし、和訳の都合で、「厚遇する」だと表現が硬くなる場合によく「扱う」と訳される。
だが、「扱う」で覚えてしまうと類似語とのニュアンスの違いが覚えづらくなってしまうので、treat は「厚遇する」で覚えよう。
治療の場合にも treat を使う。
dea with ~は、「~を処理する」「~を契約する」などの意味である。
典型的な例文が「苦情を処理する」 deal with complaints である(東京書籍4500。旺文社1900)。
ジーニアスで確認したところ、 deal with にも厚遇の用法もあるが、本ページでは触れないとする。
deal は「分配する」「配る」の意味である(東京書籍4500でも紹介)。
トランプなどの札を「配る」のが dealである。
だからトランプの札を配る人をディーラー dealer とも言う。
deal には「商取引」の意味もある。だから、ある種の商品の「販売人」「販売業者」のことを dealer とも言う。桐原4500が「販売業者」としている。ジーニアスは「販売人」。
同じスペル deal で 「量」の意味がある。
a good deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。
a great deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。東京書籍4500では、 a great deal of ~ で「非常にたくさんの~」としており、数えられない名詞に用いるとしている。
桐原の例文では、 a good deal of snow 「かなり多量の雪」、東京書籍の例文では a great deal of time 「たくさんの時間」、と訳している。
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分配・配分
distribute, deal
食料や出版物などを分配する場合、普通は distribute を使う(東京書籍4500)。東京書籍では「出版物」では「印刷物」としているが(例文でリーフレット leaflet を想定)、しかしトランプの札も印刷物であるので、このページでは「出版物」と表現した。
典型的な例文が
distribute food to the ~で「~に食料を配る」である。
辞書によっては「金を配る」場合もあり、その場合は
distribute money to the poor 「まずしい人に金を配る」である。(センチュリーを参考)
「子供たちにリーフレットを配る」なら、 distribute leaflets to the children となろうか(wikiオリジナル。東京書籍およびジーニアスの例文を参考に組み合わせ)。
東京書籍4500だけでなくセンチュリー英和でもリーフレット leaflets を配る例文である。
単語集にはないが、電気屋などで買えるテレビ信号などの分配器をよくよく見ると、ディストリビューターと言ったりしている。実際、ジーニアスで分配器 distributor である。
単語集にはないが、数学でいう確率分布などの「分布」も distribution である。しかし高校生に「確率分布」と言って通じづらい。
ジーニアスによれば、生物学などでの植物の「分布」も distribution である。高校生は植物のほうが覚えやすいだろう。
deal については「扱う」の項目で説明したとおり。トランプの札などを配ったりするのが deal である。
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比例
ratio, rate, proportion
3:2とか 4:7 とか、とにかく個別の比や比率のことは ratio (レイショウ)という。
そういった個別の比ではなく、たとえば数学で「AとBとは比例関係にある」のような「比例関係にある」のことを形容詞で proportional と言う。
名詞 proportion は比例関係。
そういうのではなく、たとえば利子率など何かの比率のことは rate (レイト)という。
なお、利子率や金利は interest rate という。ここでいうinterest は、「興味」の interest と同じスペル。
桐原4500によると、「失業率」は the unemployment rate である。
東京書籍4500によると、「出生率」は the birth rate である。
proportion には、全体の中で占める「割合」という意味もある。
桐原4500および旺文社1400に熟語 at any rate 「とにかく」が紹介されているが、例文は無い。
実際には ratio にも比例関係の意味があったり、proportion で個別の比に言及することもあるが、ニュアンス的には上記の感じのはず。
例文は省略。著作権的な問題をクリアできそうな典型的な例文が見つからなかったので、読者が単語集などで読者が自身で調べてほしい。
* 合理的
rational,
「合理的な」は英語で rational である。これ単独だと覚えづらいが、実は比率 ratio と冒頭のスペルが同じだし、発音も「レイショウ」と「レショナル」でほぼ同じである。
なお、数学の「有理数」も rational number であり、同じスペルの rational である。
だからか和訳も気をきかしてか、有「理」数となっているわけであろう。(ここら辺の話題は、数学英語の専門書に書いてある、有名な話である。)明治時代あたりの数学者に感謝しよう。
そして、「有理数」とは、整数の比例で表される数のことである。(数学的な厳密性は置いておく。)
つまり欧米人の数学のできる人は、「合理的な」=「整数の比例の」が同じ単語であると認識しているわけである。
こうやって考えると、「比例」ratioさえ知っておけば、そこから「合理的」 rational も普通に覚えられる。
なお、「非合理な」は irrational である。
さて、rational でよくある例文は、「合理的な決断」a rational decision である。東京書籍4500と桐原4500の両方に、「合理的な決断」 a rational decision が書かれている。
ついでに、「自然数」は a natural number である。単語集には「自然数」は書かれていないが。
「実数」は a real number である。
「自然数」も「実数」も、英語または対応するドイツ語あたりを、日本語に直訳しただけである。
なお、「論理的な」は logical (ロジカル)である。「論理」が logic なので、それから覚えよう。
reasonable (リースナブル)と言う形容詞には、「理にかなった」という意味があるが、しかし「値段が手ごろな」という意味もあるので、使いどころが難しそうである。
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出席
attend, present
形容詞 present は、「出席している」の意味もあるが、名詞形 presence に「存在感」の意味がある。
attend が、会議や授業などに「出席する」である。
典型的な例文が、attend the meeting 「会議に出席する」である(センチュリー、東京書籍4500)。
だが、attend school で、毎日規則的に「学校に通っている」の意味である(センチュリー、東京書籍4500)。
学校や教会に規則的に通うのは attend を使う。「教会に通う」の例文なら attend church である(センチュリー)。
授業の出席のattendの例文が、辞書でも単語集でも見つからない。
授業の出席については、present を使うのが安全だろう。
なので、辞書にはないが、どちらかというとattend は、出席するために「~に出ている」の意味ぐらいで解釈したほうがよいかもしれない。
名詞 attention が「注意」の意味である。attention が「注意」なのも、「注意を向かわせる」みたいな意味ぐらいで解釈したほうが、出席の「~に出ている」くらい
旺文社1900いわく、pay attention to ~で「~に注意を払う」である(なお、ここでのtoは(不定詞ではなく)前置詞の用法)。桐原によれば、attend to ~ともいう(toは前置詞としての用法)。
あまり attend と present の概念の違いがハッキリしていない。実務の際は、勤務先の業界の慣習などに任せて使い分けのが良いだろう。
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寄付
donate, contribute
単語集を見てたら、「勘弁してほしいなあ」とあきれたが、contributeには「寄付」の意味もあるが、現代のIT社会では普通はcontributeは「貢献する」の意味である。
「寄付する」はdonateである。
しかも、単語集には、contributeの項目を見ても、donateについては書いてない。donateの項目を見ても、contributeについては書いてない。
たとえばwebサーバなどのよく使われるOSのLinux(リナックス)の場合、寄付以外にも多くの協力活動があって(テストに参加するとか)、そういう諸々の協力活動の全体のことを contribute と言っているのが普通である。
そして、その協力活動の中のひとつに寄付もあって、その寄付が donate という言い回しである。
実際、debian(デビアン) というLinuxの一種のwebサイトはそうである<ref>[https://www.debian.org/intro/help Debian -- Contribute: How you can help Debian] 2022年5月1日に確認.</ref>。
ページ"Contribute: How you can help Debian"の中に、下記のようにいくつも項目があって、
<pre>
Contribute: How you can help Debian
Coding and Maintaining Packages
Testing and Bug Squashing
Writing Documentation and Tagging Packages
Translating and Localizing
Helping other Users
Organizing Events
Donate Money, Hardware, or Bandwidth
Use Debian
How your Organization can support Debian
</pre>
その項目のひとつとして"Donate Money, Hardware, or Bandwidth"があるという構成である。
もっとも、wikipediaのサーバを動かしているOSはDebianではなく Ubuntu(ウブントゥ)というイギリス製OSであるのだが、このUbunutの本家イギリス語版のwebサイトのページで寄付のページには contribute と書いてあるので<ref>[https://ubuntu.com/download/desktop/thank-you Thank you for your contribution | Ubuntu]</ref>、contributeで寄付を意味しても間違いではない。
よく、医療で「血液ドナー」とか何かの提供者のことをドナーdonorというが(旺文社1900)、これもdonateの派生である。
なお、donor の発音はドウナーである。旺文社1900では発音の注意をしている。
なお、ジーニアスとセンチュリーで確認したところ、blood donor とは単なる「献血者」のこと。クルマの「献血車」にあらず。
ジーニアス英和によれば、ドナーカード donor card も英語でそのまま通じる。
なお、桐原3000の donor 項目いわく、「血液バンク」は a blood bank とのこと(桐原3000)。
なお、名詞形は donation 「寄付」である。
単語集によると、make a donation で「寄付する」である(東京書籍、桐原)。
make a donation to our school で「学校に寄付する」。
make a donation to church で「教会に寄付する」
donate で使う場合、ジーニアス英和に donate a money to Red cross 「赤十字に寄付する」という例文があった。
debianのサイトでも donate a money と言っているように、普通は 「donate a 金または金額」のパターンである。
実際、センチュリー英和では donate $1,000 to a charity 「慈善事業に千ドル寄付する」である。
contribute で金銭を寄付する場合でも同様、 「contribute 金額 to 相手」のパターンである(桐原、東京書籍)。
contributeの単語集が金額の例ばかりであるが、センチュリーによれば a money で寄付してもいい。
センチュリーいわく contribute a lot of money to church 「教会に多額の寄付をする」である。
contribute には、なにか望ましくないことの「一因になる」という意味もあり、たとえば「二酸化炭素は温暖化の一因になる」とか(旺文社)、「砂糖は虫歯の一因になる」とか(センチュリー)、「喫煙がガンの一因になる」とか(ジーニアス)。
良いことの一因になった場合にもcontributeを使うが、ただし和訳の際、普通は「寄与した」と訳すだろう。
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闘争と努力 struggle, strive
努力する endeavor ,
不和と摩擦
strife, friction, conflict
紛争 strife, dispute
口論 quarrel, dispute
意見を戦わす dispute, tackle
「努力する」には、struggle と strive と endeavor があるが、高校生はまず struggle を覚えるのが良い。
strive だと、後述のように闘争の意味合いに解釈される可能性がある。
実際、単語集でも、struggle を先に紹介しており、strive はかなり後半で紹介する。
動詞 struggle は「もがく」「あがく」などの意味だが、「努力する」「奮闘する」のような意味もある。
病気や苦痛などから逃れるために「戦う」のような意味もある。
struggle to ~(動詞) で、「~するために努力する」である(東京書籍)。
struggle with ~ で「~と闘う」である。
struggle for ~で「~を求めて闘う」である。ジーニアスによれば、struggle for independence で「独立を求めて闘う」。旺文社によればstruggle for equal right で「平等権を求めて闘う」
名詞も struggle であり、「闘い」「努力」の意味である。
だが、生存競争を a struggle for existence という(旺文社1900にあり。ジーニアス、センチュリーで確認)。
あまり使い分け方ははっきりしないので、慣習に合わせるしかない。
単語集にはないが、権力闘争は a power struggle といったり(ジーニアス)、a struggle for power という(センチュリー)。
endeavor (エンデバー)は動詞で「~しようと努力する」、名詞では「(真剣で継続的な)努力」の意味だが(ジーニアス、センチュリー)、なぜか単語集には、あまり積極的に紹介されてない。endeavor は東京書籍では巻末おくりだし、桐原では5500おくりである。
アメリカの宇宙船の名前でエンデバーというのが昔あったので、特に悪い意味は無いだろう。
しかし、なぜだか、単語集はあまりエンデバーという単語を紹介していない。
動詞として使うときは endeavor to ~(動詞) 「~しようと努力する」
である(東京書籍、桐原、ジーニアス、センチュリー)。
strive という単語があり、これも「努力する」や「闘う」の意味である。桐原だと闘争の意味が書いてないが、東京書籍にきちんとstriveの「奮闘する」が書かれている。
これは比喩的な奮闘ではなく、後述するように名詞形で実際の戦争を扱う。
strive for ~で「~を目指して努力する」または「~を求めて努力する」の意味である。
旺文社1900には動詞 strive の項に、派生の名詞形 strife がスペルと和訳「争い」「不和」だけ紹介されている。
他の単語集には名詞形が書かれていないが、strive には実は派生の名詞形が2つあり、striving と strife である。
辞書にも、strife と strive の関係が書いてないが、明らかにstrife と strive はお互いに派生であろう。少なくとも旺文社1900は 名詞 strife は 動詞 strive の派生だという見解である。辞書のほうが頭悪い。
striving が「努力」の意味。 strife は「紛争」や「不和」など、ぶっそうな意味である。
辞書によると、政治闘争は a political strife である(ジーニアス、センチュリー)。
しかし、ジーニアスによれば、民族紛争などは conflict を使う場合もある。
山川出版の英語版・詳説世界史では自衛隊PKO派遣先の、いわば「紛争地帯」に相当する場所を conflict zone と言っている<ref>橋場弦 ほか監修『WORLD HISTORY for HighScool 英文詳説世界史』、2019年10月15日 第1版 第3刷発行、P.412</ref>。
一方、センチュリーだと、「その二国間には紛争がある。」There is strife between the two countries.
とある。
ジーニアスによれば、家族紛争を a family strife という。
dispute には、「紛争」「口論」「議論」「意義を唱える」などの広い意味がある(桐原)。「意義を唱える」は旺文社の解釈。
「議論」を訳す場合でも、「議論を戦わす」のように(東京書籍、センチュリー)、意見の対立に主眼が置かれている。センチュリーにいたっては、感情的な対立があるとのニュアンスがあるとまで述べている。
だからか労働争議を a labor dispute ともいう(ジーニアス、センチュリー)。
いっぽう、単に意見や議論を戦わせるだけなら、動詞 tackle である(センチュリー、桐原)。ジーニアスにいたっては、tackle の意味で「戦う」の言葉は使わず、tackle は意見を「論じ合う」だとしている。
センチュリーは、「賃上げ(on a raise)をボスにかけあう」を動詞 tackle としている。文脈は違うが、旺文社でも「予算」がどうのこうのと、tackle で金を話をしている。
動詞としては tackle には「問題に取り組む」という用法もある(桐原、東京)。
典型的な例文は、
tackle the problem 「その問題に取り組む」
である(桐原、東京書籍)。
なお、tackle は、ラグビーなどの名詞「タックル」、動詞「タックルする」と同じ単語でもある。
肉体的な単なる「闘い」「闘う」は fight とか battle で良いだろう。
「不和」については friction 「摩擦」を使うも言い換えもある。物理学の「摩擦」 friction と同じ単語である。
「静止摩擦」は static friction である(旺文社1900の static 項目)。ジーニアス・センチュリーのstatic 項目では見つからなかったが、たしかに静止摩擦は static friction だたはずである。
なお、「静電気」は static electricity である(旺文社1900、ジーニアス static 項目、センチュリー static 項目)。
さて、friction の話題に戻る。東京書籍4500と桐原4500・5500には、friction が載っていない。旺文社1900にだけ friction がある。
外交の「不和」には、friction を使える(ジーニアス、センチュリー)。というか、英語で「貿易摩擦」を trade friction と言う(旺文社)。ジーニアス英和やセンチュリー英和で貿易摩擦を確認したかったが、見つからなかった。辞書でfriction で調べてもtradeで調べても、ジーニアスとセンチュリーでは見当たらない。
和英のほうでジーニアス和英を調べると、「貿易摩擦」は trade friction または trade conflict というとのこと。
外交の不和で strife を使うと戦争の恐れの高い不和だと誤解されかねないだろうから、貿易摩擦のようなお金の問題では friction で十分だろう。
さて、努力について、 effort という名詞があるが、しかしこれは名詞である。
なのでeffortで「努力する」と言いたい場合、東京書籍やジーニアスによれば make an effort のようになる。意外と難しい。
effort to ~(動詞)で「~するための努力」である。
東京書籍にあるが、make a great effort 「大変な努力をする」のように、great などの形容詞がつくこともある。
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傾向 tendency, trend, inclination
流れ current , flow
「傾向がある」 tend(動詞), inclined (形容詞),
ミスなど好ましくないことをする傾向がある be liable to ~
その他、好ましくない傾向がある be prone to ~
センチュリー英和を見ると、trend と tendency の違いが説明されている。
tendencyは、たとえばセンチュリーにある「赤ん坊は空腹になると泣くものだ」とか「弱い母音は消失する傾向がある」のように、本来的に、何かのおきる傾向のあること。
trend は「流行」や現在の「趨勢」(すうせい)や「風潮」などの傾向。ジーニアスを見れば「趨勢」や「風潮」の意味も書いてある。
なお、衣服の流行は fashion である(東京書籍3000、桐原3000)。一応、ジーニアスには、衣服だけでなく文学や芸術の流行も fashion ということもあると書いてあるが、しかしセンチュリーは採用していない。
なお、mode も衣服の「流行」の意味であるが、現代では廃れている表現だとジーニアスはいっているし、桐原と東京書籍の単語集に mode は無い。
しかし、旺文社1900にmode があり、「方式」「形態」などの意味である。後述の「携帯」の誤字ではなく、確かに旺文社1900のmodeの項目に「形態」と書いてある。
旺文社1900の単語集は入試準拠なので、おそらく教科書にはないが入試によくある表現なのだろう。総数1900のうちの844番目にmodeがあった。
旺文社1900のいうmode関連の派生表現のひとつで、携帯電話の「マナーモード」は silent mode である。
ほか、物理学の弦の振動などの「モード」もこの単語だったと思うが、辞書には無いので不明(ジーニアスとセンチュリーの両方とも確認したが見つからなかった)。
さて、tendency の話題に戻る。
さきほど trend は「趨勢」や「風潮」だと言ったが、だがジーニアスによると、現在の株価の傾向などで(トレンド trend ではなく) tendency を用いている例文もあり、実際には使い分けは明確ではない。
tendency の動詞形は tend であり、「傾向がある」の意味。というか、動詞 tend の名詞形が tendency である。
tendの意味も、本来的に "~をする傾向がある" という意味での「傾向がある」である。
tend to ~(動詞)「~する傾向がある」の形でよく使われる。
ほかにも、 tendに「世話をする」という意味もあるが、だがこれは、名詞 tender「やさしさ」の動詞形だとみなすべきだろう。
ややこしいことに、動詞 tender は「提出する」「支払う」の意味である。だが単語集に動詞 tender がないので、無視しよう。
一方、trendについて。
センチュリーによれば、「新しい流行」 a new trend とか使う。
東京書籍に the current trend 「現在の流行」という例文もある。
東京書籍によれば、「最近は小型車が売れている」的な意味の流行も trend である。
また、旺文社によれば、「最近は高齢者には運転をやめさせるのが傾向である」というのも trend である。
旺文社の例文を考えれば、和訳が「傾向」であろうが、内容が最近の風潮なので、trendを使うのが正しいわけだ。
形容詞 trendy 「流行の先端を行く」の意味である。
* 「流れ」
current, flow
flow は「流れる」と言う意味の動詞だが、名詞では川などの「流れ」を言う。
current は、「流れている」という意味の形容詞だが、名詞では「海流」や「電流」などの「流れ」も言う。
川も海流も同じ水の流れなのに、なぜか使い分けをするのである。
東京書籍3000でも桐原3000でも、flowの例文で、川の流れを扱っているので、そういう単語だと納得してもらうしかない。
英語というのは、あまり論理的ではなく、慣習などで使い分けが決まっている部分もある。
東京書籍に書いてあるが、気体の流れも液体の流れも flow である。
普通科高校では習わないが、工業高校などで流量計などの機器を扱う際、その流量計を英語で「フローメータ」などという。また、その計器で測定する流れのことは普通は「フロー」flow と読んでいる。
風の流れや川の流れという言い方ではなく、わざわざ「気体」「液体」と東京書籍が言ってるのは、たぶん、そういう流量計などを見越しての表記だろう。
実際、ジーニアスを見てると、「液体・気体の流出量(流入量)」という意味もかかれている。東京書籍はおそらく英和辞典のflowのこういう意味を参考にしたと思われる。
さらっと「流量計」と言ってしまったが、流体力学では流出量も流入量も区別せず、まとめて「流量」(りゅうりょう)と呼び、それ(つまり「流量」)を flow と言うのである。
実際、ジーニアスでは、たとえば人口の「流入」もflow であるし、センチュリーでは(石油らしき)ガロン単位の液体の「流出」もflow である。
そのほか、お金の「流れ」については、経済学ではカレントもフローもどちらとも使う表現なので、深入りしない。
さらに混乱させるが、discharge 「解放する」・「釈放する」、「解雇する」「解任する」の意味の単語(東京書籍の巻末)にも、実は「流れる」の意味がある(ジーニアス)。「アマゾン川が大西洋に注いでいる」という例文で、discharge を使っており、ここでは flow into と同じだと、ジーニアスは言っている。
煙などの排出も discharge であり、いったい流出なのか流入なのか、はっきりしない。
専門用語などで flow と区別したい場合、discharge を使うこともある。
だから、たとえば流体力学で、理論値と実測値との違いの比率のことを discharge coefficient といい、よく「流量係数」とか「流量係数」とか言う。分野によって和訳が違うので、和訳は気にしなくていい。証拠に英語版ウィキペディアの記事 [[:en:w:discharge coefficient]] (流出係数)があります。
あと、discharge には名詞の用法もある(ジーニアス)。東京書籍には動詞の用法「解放する」以下略しか書いてない。
そんなことよりも、「解放」「釈放」の意味を、液体の排出などと関連づけて覚えよう。なんか解き放たれて自由に動ける的なイメージが discharge である。
なお、日本でも、よく、解雇や解任のことを、比喩的に「自由の身」みたいとか「長い夏休み」みたいに言います。なので、そこから派生的に、discharge の複数の意味を把握できます。
洋の東西を問わず、人間の言語センスは似たようなもんです。(あるいは、もしかしたら日本人が英語discharge を真似たのかもしれません。)
「頭脳流出」は a brain drain という(旺文社1900、ジーニアス、センチュリー)。ややダジャレっぽい語感もするので真に受けるわけにはいかないが、drainの基本的な意味は「流出する」である。(なお、このように brain には「脳」の意味のほかにも「頭脳」の意味もある(桐原3000)。)
だが drain には、体力などを「消耗させる」という意味もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
drain my strength 「体力を消耗させる」
である(センチュリー。ジーニアスに似た例文)。
体力が流出していくイメージか。
台所の「排水口」とかも名詞 drain である。屋内の下水などに向かって流出させる側の台所の排水口が drain である。
その他、排水管が drain である(ジーニアス)。
* 傾向 tend, inclined
まず、tend は動詞。
inclined (インクラインド)は形容詞。
なので
be inclined to ~(動詞) で「~する傾向がある」
のように使う。inclined to do を使いたい場合、be動詞が必要。
一方、tend は動詞なので、be動詞なしで、
tend to ~(動詞) 「~する傾向がある」
である。名詞形はtendency 「傾向」である。
実は動詞 incline (インクライン)「傾ける」という単語があって、「傾ける」「その気にさせる」の意味である(東京書籍)。
坂(slope)などの物理的な「傾き」やその角度なども 名詞 incline である(ジーニアス)。
桐原は inclined などは紹介していない(桐原4500および桐原5500を確認)。
単語集にはないが、「話を聞こうと耳を傾ける」incline my ear to ~ 、みたいな表現にも incline を使う(センチュリー)。というか、おそらくこの英語表現が先にあって、それに合わせて日本で「傾聴」みたいな表現が生まれた可能性。
また、このように incline には、好意などによって、「関心を向ける」のような意味もある。
このためか、名詞形 inclination (インクリネイション)には「傾向」の意味のほかにも、「好み」の意味もある(旺文社)。
ただし、必ずしも inclination は「好み」とは限らず、たとえば「彼は太りやすい」のような体質や(ジーニアス)、「この車は横滑りしやすい」とか(センチュリー)、そのほか性質や、性向なども inclination である(ジーニアス)。
どちらにせよ、とりあえず inclination の中心的な意味は「傾向」だと覚えておけば問題ないだろう。
単語集にはないが、坂や屋根などの物理的な「傾き」やその傾斜の角度なども inclination という(ジーニアス、センチュリー)。
liable (ライアブル)は、好ましくないことをする傾向や、好ましくない状態になりがちな傾向のある場合に使う(ジーニアス、センチュリーで確認)。なお旺文社では発音注意している。
和訳では liable は単に「~しがちである」と訳す場合があるが(桐原4500、旺文社1900)、「好ましくないことをする傾向」だという条件をしっかりと理解しておこう。、
be liable to ~(動詞の原型)で「~(ミスなどの行動)をしがちである」
のように訳す。
ほか、典型的な例文
be liable to illness 「病気にかかりがちである」(旺文社、ジーニアス)
がある。なおこの場合、to が不定詞ではなく名詞に対する前置詞に変わっている。
なお、「ミスをする」make a mistake
または
make mistakes
である。なお、桐原3000およびジーニアスでは、make a mistake 「間違える」と訳している。
なので、ともかく
be liable to make mistakes 「ミスをする傾向がある」
である(旺文社)。
形容詞 prone (プロウン)は、望ましくないことについて「~の傾向がある」の意味(ジーニアス、センチュリー)。
病気になりやすいとか、怒りやすいとか、そういうのも prone を使える。例文は辞書を見て(著作権の都合)。
単語集には、なぜか、望ましくないことに使う前提が書かれていない(旺文社、東京書籍の巻末)。
だが、辞書には前提が書かれている。
単語集にある典型的な例文は、
be prone to error 「間違いを起こしやすい」
である(旺文社、東京書籍の巻末)。
to は前置詞でもよく、動名詞 to でもよい。つまり、prone to の後ろにくるのは、名詞 でも 動詞の原型 でも良い。
earthquake-prone 「事故多発地域」の意味である(センチュリー、旺文社)。
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mistake と error
ジーニアスによると、
mistake は不注意や勘違いによる間違い。
error は、計算の誤りや、裁判の誤審など。
・・・とのこと。
また、センチュリーいわく
「不注意な間違いをする」make a careless mistake
とのこと。
だから mistake は、「勘違い」とか(ジーニアス)、「誤解」「思い違い」とかで(ジーニアス、センチュリー)覚えたほうがいいかもしれない。
mistake を「誤り」「間違い」と訳しても間違いではない(ジーニアス、センチュリー)。そういう訳がジーニアスにもセンチュリーにもある。
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現在の
current , present, modern
current は、形容詞「現在の」が入試ではよく出るが、しかし名詞では「流れ」の意味である。
海流とか電流とかの流れにcurrentを使う。
東京書籍およびジーニアスが紹介しているが、「暖流」は a warm current である。
ついでにジーニアスが紹介している「寒流」は a cold current である。
current は、まず名詞「流れ」を覚えるべきであり、形容詞「現在の」はその派生として覚えるのが良いだろう。
ジーニアスで調べた語源でも、「走っている」→「流れている」→「現在通用している」というような意味の変遷らしい。
さて、current 関連の名詞として、単語集にはないが、電流の直流 D.C. とは direct current の略である。
交流 A.C. も Alternating current である(ジーニアスで確認)。
通貨はcurency (カレンシー)である。
単語集にはないが、国際的に安全な通貨のことを経済学ではハードカレンシーといい hard currency と書く。)
「現在の」を意味する形容詞には、current のほかにも present がある。
present は、たとえば英文法の「現在形」や「現在進行形」などの「現在」も present である。
「現在」のpresent と 「贈り物」の present とスペルも発音も同じである。また、「出席している」の形容詞 present と同じ単語である。
present と current のニュアンスの違いは、辞書では特に言及されてないが、current には「流通」や「通用」のような意味合いもあるというところだろうか。
* 現代
modern と contemporary
なお、modern は、「近代の」「現代の」という意味であり、歴史的なニュアンスで使う。
modern も単語集にあるので、覚えよう。
単語集にないが、たとえば「近代文学」modern literature のように(センチュリーで確認)。なお、「現代」はmodern times という。
桐原4500にあるが、(科目名ではない意味での)「現代社会」は、modern society である。
動詞 modernize は「近代化する」「現代化する」の意味である(東京書籍4500および桐原4500)。
しかし、contemporary という単語も存在し「現代の」という意味であり、しかも、旺文社いわく「現代日本文学」は contemporary Japanese literature である。
東京書籍4500いわく、contemporary と modern の違いは単に、芸術様式の話題では contemporaryが「現代の」の意味で使われるとのこと。
だからか、東京書籍・桐原・旺文社の3つともすべてに単語 contemporary art 「現代美術」がある。
その他、contemporary には「同時代の」と言う意味もあり、東京書籍いわく、「ピカソとダリは同時代の人」という内容で、語法 be contemporary with ~ を使っている。
* temporary
temporary は「一時的な」の意味の形容詞。
典型的な例文が
「一時的な仕事」 a temporary job
である(東京書籍、旺文社)。
なお、ジーニアスとセンチュリーでは、同じ a temporary job を「臨時の仕事」と訳している。
対義語は permanent である。
つまり、
temporary ⇔ permanent
である。
なお、いわゆる「アルバイト」は、英語で part-time job である(ジーニアス和英「アルバイト」で確認)。side job ともいう(ジーニアス和英)。
日本語の「パート主婦」のような、勤務時間の短い意味合いは、英語のpart time jobには無い。
そもそもアルバイトはドイツ語に由来する言い回しだし、しかもドイツ語では「仕事」という意味らしい(本書は英語の教科書なのでドイツ語には深入りしない)。
「永久歯」を permanent teeth という(ジーニアス、東京書籍)。
東京書籍いわく、「終身雇用」を a permanent job というとの事だが、しかしジーニアス英和やセンチュリー英和では確認できなかった。
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強制
force, enforce, compel , oblige
義務
duty
辞書によくあるcompel の典型的な例文が「病気のため仕方なく~せざるを得なかった」的な例文。こういうときにcompelを使うようである。
辞書によると、compel はforce よりも意味が弱く、oblige (オブライジ)よりも意味が強い、
普通、oblige (オブライジ)は「義務づける」と訳す。
単語集にはないが、思想の用語で「高貴たる者の義務と責任」と言う(英語ではなく)フランス語で noblesse oblige ノブレス・オブリジュ という単語があり、社会的エリートが兼ね備えるべき義務感のことを言う。
さて、英語では、名詞形 obligation が「義務」の意味。センチュリー英和で確認したが、法律的な「義務」も、道徳的な「義務」も obligation である。
桐原4500では obligationの意味に「義理」を加えて、「義務」「義理」がobligation だとしている。
旺文社1900では、 obligationの意味に「責任」を加えて、「義務」「責任」がobligation だとしている。まあ、「高貴なる者の義務と責任」が世界各国エリートの基礎教養なので、知的な英文ではそういうニュアンスで obligation が使われることも多いのだろう。
東京書籍4500 には、oblige の紹介は無い。
force は「強制する」の意味。
さて、「軍隊」「武力」も force である。
軍隊によって「~が強制された」という場合、どうすればいいのだろうか?
桐原4500では、force「強制する」の例文での「軍隊」を troop という単語で表現して、forceの同音意義語の問題をうまく回避している。
桐原の例文が「政府軍が反乱軍に降伏することを強制した。」と言う例文である。
なお「政府軍」は the government troops である。
反乱軍は the rebels である。「降伏すること」は to surrender である。
troop とか rebel とか、索引に無い単語ばかりである。
enforce は、強制一般の意味もあるが、法律によって強制する、というニュアンスがあり、例文もそういうのが多い。だがラグビーでエンフォースという用語がある。ラグビーの説明はしたくないので説明は省略。
センチュリーの英語によると、警察が市民に法を強制したりするのが enforce である。
桐原4500によると、法律を施行するのが enforce である。警官が法律を守らせる場合も、the police enforces the law のように、目的語は法律になる。
旺文社1900および東京書籍4500にも、似たような警官と法律の enforce 例文がある。
こういう事情もあってか、旺文社は1900はenforceの意味を「施行する」「実施する」としている。
桐原は、enforceの意味を「施行する」「遵守させる」としている。
なお、死刑執行で誰かを「処刑する」のは英語で execute (イクセキュート)である。
「死刑執行」「処刑」は execution である(桐原5500で「死刑執行」、旺文社1900)。
execute には、計画・命令などを実行したり、仕事を「成し遂げる」などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。ジーニアスによると「最後までやる」が原義のほうの意味とのこと。
処刑の意味は、処刑で「片付ける」的なニュアンスだろうか(特に言及されてはいない)。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。
計画などの実行で使われるといっても、ただし、こういう固い語なので、技術の必要な難しい計画などの実行で使われるのが普通である(ジーニアス)。
また、このことからか、企業の重役のことをエグゼクティブ executive ともいう(旺文社、桐原5500)。executive には名詞「重役」の意味のほか、形容詞「経営上の」「行政杖の」などの意味もある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。
さて、「義務」「強制」概念の話にもどる。
義務教育も法律で強制されているが、しかし旺文社の例文によると、義務教育には oblige を使っている。
センチュリーを読んでたら、未成年の子供が起こした事故の弁償も oblige である。
桐原だと「大臣は半年に一度、報告書を提出することを義務づけられていた。」の義務づけが was obliged to send in a report である。
まあ、大臣はエリートだからだろう。
センチュリーで「世論の批判のため引退を余儀なくされた」の「余儀なく」もoblige である。まあ政治家という、国家権力者の一員たるものの義務と責任的な意味合いだろう。
しかし東京書籍4500は、compel の例文で「世論が大臣を辞職に追い込んだ。」を 使っており、センチュリーに反している。
まあ、とくに統一的な用法は無いのだろう。
なお桐原は、「その法律が雇い主に、(※ 社員の)健康保険を掛けることを強いる」をcompel としている。「(※ )」内はwikiでの追記。
単語集にはないが辞書によくある典型的な例文が、病気で「~を余儀なくされる」をcompelで表現することである。
センチュリー風に He was compelled by illness to ~なら「彼は病気で~を余儀なくされた」である。
ジーニアス風に His illness compelled him to ~ なら、直訳すれば「病気が彼に~することを余儀なくさせた」だが、無生物主語の和訳が高校の授業で嫌われるので、「彼は病気で」と訳す。英文学とかだと無生物の主語とか普通にあると思うし、普通の日本語でも文学・文芸でなくとも「病気が彼に~を余儀なくさせた」とか通じると思うし、なのに、かたくなに無生物主語の和訳を認めない高校英語教師や塾講師などはどういう了見なのだろうか。理解しがたい。
ジーニアスは、本人の納得の上で余儀なくされる場合を oblige といい、そうでない場合つまり「本人の意思に反してさせる場合はforce や make を用いる」としている。
しかし、ジーニアスの例文では、税金を払う義務も oblige としている。
判断基準が不明である。
やはり、高貴たる者の義務と責任を基準に考えるのが良いだろう。
* 義務
duty, obligation
「義務」「義理」は英語で duty である。ジーニアスで確認したところ「義理」の意味もある。
on duty で「勤務時間中で」。
off duty で「勤務時間外で」
duty は、職務上の義務でも使われるが、道徳的な義務でも使われる。
その他、duty に「関税」の意味あり。桐原4500によれば、「ワインの関税」 duty on wine である。「免税店」は duty-off shop である。
obligation との違いとして、ジーニアスは obligation は「外的な事情から生じる義務」としているが、どうだろうか。ノブレス・オブリジとか、そうではないと思うが。
そう覚えるよりも do one's(myなど) duty で「~の義務を果たす」などの慣用表現で覚えるほうがよいと思う。なお、東京書籍4500と旺文社1900に、例文中に do one's duty がある。
obligation にはそういう平易な慣用表現は無いと思うので。
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「分類する」
sort, classify
「分類する」の使い分けは、あまりハッキリしない。
単語集の例文などを見ると、どうやら書店や図書館などで書籍を「分類する」は classify を使っているようだ。
旺文社では「本は作家の名前によって分類されている。」 The books are classified according to the author's name.
東京書籍では「本はテーマによって分類されている。」 The books are classified according to subject.
である。
ジーニアスでも、受動形でなく能動形でだが図書館での本の分類に classify を用いている。
なお、(英和ではなく和英辞典の)ジーニアス和英によると、ごみの「分別」は separate である。
sort には名詞で「種類」という意味もあり、ほぼ、「種類」の意味での kind と似た意味である。
a kind of ~ 「~の一種」の代わりに、a sort of ~ で「~の一種」と言う場合もある。
しかし、別の用法で sort of で「多少の」「いくらかの」という意味もあるので、文脈から判断すること。
class には「等級」と言う意味もあるので、「等級づけをする」なら classify のほうが望ましいだろう。
余談だが、classify には「機密の」の意味があって、旺文社1900で document を見ると、
leak classified document 「機密文書を漏洩する」
という例文もある。
動詞 leak は、液体や秘密などが「漏れる」とか「漏らす」の意味。東京書籍と桐原の3000語レベルにも4500語レベルにも書いてない。桐原5500に書いてある。
桐原5500の例文は秘密を「漏らす」ほうの内容。
なお、文書ではなく情報の「機密情報」については旺文社 leak を見ると、 a secret information と言っている。
桐原4500では、「機密情報」を confidential information と言っている(桐原4500のmake関係の熟語のmake use of ~ の項目)。
2010年にWikiリークという、各国政府などの機密情報をネット公開する海外サイトが世界的に話題になったからか、単語集では leak の例文が機密の漏洩ばかり。だが、もちろん液体などが漏れる場合にも普通に leak は使われる。
なお、wikibooksなど当wikiプロジェクトは、wikiリークとは全く別の組織。「wiki」とはソフト名の一種なので、まったく別の組織でも、wikiソフトを使っていると組織名がwikiなんとかと、似たような名称になることもある。
なおleakの名詞形は leakage であり、「漏れ」「漏出」「漏洩」の意味(旺文社1900)。だが、単語 leak 自体でも名詞の意味もあり、同じような「漏れ」という意味(桐原5500)。
「秘密」については、secret や classify の他に、confidence (カーンフィデンス)という単語もある。
だが、このconfidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
「信頼」と「自信」と「確信」については和訳でも同じ「信」の文字があるから、まあ連想できるとして(信頼の対象が自己になれば「自信」。「確信」とは、信じている自分への自信。など)、問題は「秘密」である。
信頼しあっている間柄での秘密、的なイメージで覚えるのが良いだろう。
形容詞 confidential の意味なら「内密の」というのがセンチュリー和英にもある。
だが、名詞の「秘密」のことを「内密」とは言わないので、confidence は「秘密」と訳すしかない。辞書もそうなっている。
ジーニアスによれば、「秘密文書」は confidential documents とのこと。
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確認
check, confirm , confident
check が「チェックする」である。
英語のチェック check はいろんな意味で使われ、意外と難しいので、日本語でそのまま「チェックする」と意味を覚えてしまうのが良い。東京書籍1800の単語集を見ても、checkの意味の説明で「チェックする」とそのまま書いてある。
check は「確認する」ことにも使われるし、確認したことを証拠に残すためのチェックマーク( ✓ )の記述にも使われるし、「点検する」ことにも使われるし、「照合する」にも使われるし、チェスの王手(いわゆるチェックメイト)にも使われる。このように意外と難しいからか、桐原4500では4500レベルとしてcheckを紹介している。
confirm が「確認する」「身元を証明する」である。(東京書籍4500)
チェックについては、チェックリスト check list が英語にもあることを知るべきだろうか。
工場労働など屋内での社会人の点検業務では、可能なかぎり、忘れのないように点検内容を一覧表の list リストにして、それにチェックマーク( ✓ )を入れることで漏らさずにチェックをするという方法がある。
なお、チェックマークを入れるための視覚欄(大きめな □ )のことを、チェックボックス check box といい、これも英語にある(ジーニアスで確認)。
こういうチェックリストやチェックボックスの存在を知っていれば、check の「点検する」や「照合する」の意味も覚えやすいだろう。
語学の勉強というのは、こういうふうに英語以外のビジネス知識なども必要なのである。
checkを「チェックする」と覚えればいいと言ったものの、ただし上述のチェックボックスやチェックリストのように、仕事でも知的な仕事なら check という英語は使うので、覚えておく必要があるだろう。
桐原4500では、「医者が患者の血圧を調べる」という内容の例文でチェック check を使っている。check はそういう専門性の高い用途にも耐えうる単語でもある。
ほか、小切手も check といい、同じスペルだが、説明を省略する。ホテルなどのチェックイン check in , チェックアウト check out も同じ単語だが、説明を省略する。
IT系でも、よく会員制webサイトの登録画面などで説明書きを読んだか確認するためのチェックボックスが、海外サイトではよく使われる。
社会人になって就職するなどして、品質検査の方法などを習っていないので、あまり「チェックとは何か?」とか深入りしても、埒(らち)が あかない。
confirm は、高校生には馴染みがないかもしれないが、IT系では意外とよく、会員制webサイトのパスワード登録の画面などとして、海外サイトではよく使われる。
身元証明の典型的な例文で、誰々の「身元を証明する」という例文があり、
たとえば東京書籍4500では
「彼女の身元を証明する」confirm her identity
がある。
旺文社の例文を少し改造して(「郵便局員が私の身元を確認した」という内容)、「彼が私の身元を確認した」なら He confirmed my identity
となるだろう。
「裏づける」の典型な例文が、裁判などでの「新たな証拠が彼の話を裏づけた」であり、東京書籍によれば、
「新たな証拠が彼の話を裏づけた」 The new evidence confirmed his story. である。
桐原4500にも、現在完了形であるが、ほぼ同じ英文がある。
confirm の名詞形は confirmation である。旺文社1900にだけ紹介されている(桐原4500と東京書籍4500はconfirmationを紹介していない)。
confident については、別の項目で説明した。confidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
単語集に共通の例文が見当たらないので、辞書などを購入して読んでほしい。
* 検査
なお、和英辞典で「検査」を見ると、testやinspectなど色々な単語がある。
testはどちらかというと「試験」である。
血液検査が blood test であり、聴力検査が hearing test だし、日本語では「検査」でも英語では test だったりする場合もある。
「テスト」と聞いて、日本の学校の学力試験しか思いつかないのなら、改めよう。英語では普通に、医療や工業などの検査でも test は使われるからである。
inspect は、査察官や検閲官をinsepector と言うので、そういうニュアンスもあるので、検閲・査察のニュアンスが強く、日本の「検査」には1対1には対応しない。
東京書籍と桐原の単語集には inspect がないので、気にしなくていい。米英の行政の事情を知らないと inspector などは理解できないだろう。日本の高校生には不要な知識であろう。inspector という、そういう高校で習わない行政用語があるという事だけを知っておけば十分だろう。
なお、実は旺文社1900に inspect と inspector がある。inspector には「検査官」の意味のほか、「警部」の意味もあるとのこと。
だが、そもそも、英語の文脈においける「警部」とは何かという問題がある。ジーニアスでinspectorを見ると、米では「警視正」、英では「警部」とのこと。まあ、警察組織の現場職での上のほうの人、ぐらいの意味だろうか。
なお、「捜査員」は investigator である。これだけだと難しそうだが、米国のFBIこと「連邦捜査局」が the Federal Bureau Investigation である(旺文社)。
「捜査する」は investigate である。
典型的な例文が
「警察がその殺人事件を捜査している。」 The police are investigating the murder.
である(桐原、ジーニアス)。
なお、federal (フェデラル)は形容詞としては「連邦の」という意味であり、名詞としては「連邦」の意味である(ジー二アス)。
もうひとつの典型的な例文が、
「警察がその自動車事故の原因を調査している。」 The police are investigating the cause of the car accident.
である(東京書籍、センチュリー)。事故なので、捜査ではなく「調査」。東京書籍でも「調査」になっているし、センチュリーでは「調べている」としている。
なお、「探偵」と「刑事」は detective である。英語では、「探偵」と「刑事」が同じ単語なのである。
動詞 detect の意味は、東京書籍いわく、何か見つけづらいものを「探知」「発見する」などの意味である。センチュリーいわく、隠されているものや悪事などを見つける場合に使うことが多いとのこと。
単語集にはないが、「探知機」が detector である(ジーニアスで確認できる)。ジーニアスいわく、金属探知機は a metal detector である。
この例のように、 detect で発見するのは別に犯罪事件の犯人でなくてもよく、たとえば桐原の例文では病院でのガン(癌) cancer を「発見する」ことを detect としている。
センチュリーいわく「ガス漏れを見つける」は detect a gas leak である。
センチュリーいわく、嘘を見破るのも detect である。東京書籍いわく、「スパイを見破る」は detect a spy とのこと。
locate という「位置する」と言う意味の動詞がある。名詞形 location が「位置」 の意味である。
この locate には、なにかの場所を「突き止める」という意味もある。
東京書籍が detect の単語の次に、locateの例文で「アジトを突き止める」を紹介しているが、著作権の都合があるので本ページでは紹介しない。
なお、アジトは a safe house である(東京書籍)。またアジトとは、犯罪組織や反乱組織などの「隠れ家」のこと。
なお、「隠れる」は hide である。
太陽が雲に「隠れる」みたいな平和的な「隠れる」も、犯人が「隠れる」も、 hide である(センチュリーで確認)。
「太陽が雲に隠れる」 The sun is hidden by clouds
である(ジーニアスとセンチュリーに、ほぼ同じ例文)。
なお、「隠れ家」「隠れ場所」には、hide-out という言い方もある(ジーニアスいわく「隠れ場所」)。旺文社では hide-out を「隠れ家」「潜伏場所」と紹介。
hide の活用は
hide - hid - hidden/hid
である。
さて、conceal という、「隠す」という意味の単語があり、物や秘密を「隠す」場合に使われる。
辞書を見た限り、conceal には、人が隠れるような用法はない。
単語集を見ると、conceal の例文で、感情を「隠す」ような例文もあれば(旺文社)、爆弾が「隠されていた」という例文もある(桐原)。
隠された秘密を「暴く」のは
reveal や uncover がある。
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暴露(ばくろ)
reveal, uncover, disclose
reveal は、意図的に秘密を暴いた場合のほかにも、不注意などで秘密が漏れた場合にも用いる。旺文社の例文も秘密が漏れた場合である。
名詞形 revelation である。
よくある例文は、
「真相を明らかにする」 reveal the truth
である(東京書籍に和訳・英文とも同じ文。センチュリーでは「真相を漏らす」と訳)。
そのほか、単語集にはないが、物理的に隠れているなどして見えなかったものが見えるよう現れる事も reveal というが、単語集にないので無視する。
なお、光や危険などに「暴露する」ことは expose である(桐原)。
暴露(ばくろ)は「ばくろ」と読む。「ぼうろ」(×)ではない。
disclose
意図的に秘密を暴いたり、あるいは自分や自組織の秘密を公表したりする場合は、 disclose のほうが適切かもしれない。
固い言い回しなので、暴露や公表や自白などの対象となる秘密は、たとえばセンチュリーでは「彼はスパイであったこと」だとか、「その男の正体」だとか、
あるいはジーニアスでは「真実を新聞に暴露する」とか、なんかそんな感じの秘密ばかりである。
名詞形「公開」「暴露」は disclosure である。
「情報公開」は disclosure of information である(ジーニアス、旺文社)。
東京書籍4500および桐原4500には disclose が無い。
uncover
「真相を明らかにする」 uncover the truth
のように使う(東京書籍)。桐原4500には例文なし。東京書籍は巻末おくりなので、解説なし。
uncover の語源は、見れば分かると思うが「カバーを取る」である(ジーニアスで確認)。
なので、単語集にはないが、容器などの「フタを取る」も uncover である(ジーニアス、センチュリーで確認)。
そして単語集(旺文社)にあるが、遺跡などを発掘するのも uncover である(旺文社)。遺跡を埋めている土などをフタに見立てて覚えよう。
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不安
anxiety, alarm
恐怖 fear、 horror
警報 alarm
警戒 alert
警告 warning, caution
旺文社1900によると、alarm の出題番号が549 で、alarm が「不安」「恐れ」を第一義で紹介されており、anxiety (「不安」「心配」)の形容詞 anxious の583番よりも alarm のほうが早い。
勘弁してほしい。
まずalarm は普通、警報器のことである。実際、東京書籍3000では、alarm は「警報器」「目覚まし時計」の意味でしか紹介していない。
桐原4500ですら、「驚き」「恐怖」の意味を紹介しているが、しかしalarmの第一義はあくまで「警報(器)」というのが桐原のスタンスである。
とはいえ、旺文社は大学入試の出題順に紹介しているだけである。つまり、日本の大学入試がロクでもないのだろう。
なお、ジーニアスによると、alarm の第一義は「驚き」「恐怖」である。なお、語源はイタリア語の「武器を取れ」all'armeである。
なるほど、alarm アラームの語尾 -arm が「武器」 arm と同じわけである。
現代では、普通、「驚いた」は be surprised at などを使うだろう。
どうしても「驚き」「恐怖」の意味で使いたいなら、死の恐怖のある文脈で使うと、頭良さそうに見えると思う。
ジーニアスの例文でも、「シカは驚いて逃げていった」の例文で in alarm という用法を使っている。狩人や肉食動物などによる死の恐怖を感じたシカ的な用法。
しかし、ジーニアスによれば、恐怖の意味での alarm は「fear より固い語」である。
fear (フィエア)は「恐怖」「不安」である。まずfear は「恐怖」で覚えよう。4500語レベルではなく、桐原3000と旺文社1400にfearはある。あと東京書籍4500。
典型的な例文が、「高所恐怖症です」であり、ジーニアスと東京書籍にそういう例文がある。
I have a fear of heights. 「私は高所恐怖症だ。」
である。
単語集にはないが、辞書によくある例文が「恐怖で顔が真っ青になる」であり、
turn pale with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。センチュリーが pale (ぺイル)である。
ジーニアスだと、white を使い、
turn white with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。
なお、形容詞 fearful で「恐ろしい」「恐れている」の意味。
なお、horror で、戦場での死の恐怖も表現できる。日本語の「ホラー」のような幽霊やら悪魔などのオカルト限定のような制限は無い。
fear とスペルの似ている fare(フェア) は「運賃」「なりゆき」であり、意味がまったく違う。
ほか、スポーツの「フェアプレーの精神」などの意味の「フェア」は fair であり、スペルがまったく違う。なお、この形容詞 fairは「公平な」の意味である(桐原4500など)。
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の 名詞 fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である(桐原4500)。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
なお、ジーニアス和英の affair の項目によると、「時事問題」は current affairs である。
「浮気」とか「不倫」とかも affair と言う。恋愛雑誌やらで時々「アフェア」とか言う単語があるのは、この意味だろう。
なお、「外交」を一言でいうと diplomacy (ディプロウマシ)である(桐原4500など)。「外交官」が diplomat である。形容詞 diplomatic は「外交の」である。
さて、「警報器」alarm の典型的な例文が
「火災警報器」 a fire alarm
である。これは東京書籍も桐原も紹介している。
なお、スペルの似ているアラート alert は、alert は名詞では「警報」「警戒」の意味だが、形容詞では「警戒している」の意味がある。(桐原5500、旺文社1900)
また、形容詞でalert は「油断しない」の意味もある(東京書籍4500)。
単語集の「警戒している」の例文では、よく警察官や兵士などの警戒が出てくる。
警察官の場合なら、
The police officer is alert ・・・
で、「警察官は警戒している」の意味になる。
つまり、
~(人) be alert
の語順になる。
warning は「警告」である。翻訳の都合で「警報」と訳したほうが自然な場合もあるが、warning の意味としてまず第一に覚えるべきは「警告」である。
東京書籍で「洪水」 flood を見ると、「洪水警報」 flood warning がある。辞書 warning では確認できなかったが(ジーニアスとセンチュリーで、warningとfloodの両方を確認)、しかしセンチュリーいわく「空襲警報」が air-raid warning なので、たぶん洪水警報も合っているのだろう。
warn は「警告する」であり、医師が患者に「酒を飲みすぎないように警告する」とか(センチュリー)、嵐の接近を警告するとか(センチュリーとか)、そういうニュアンスである。
warn ◯◯(人) of ~ で「◯◯(人)に~を警告する」である。
記法を変えれば、
warn A of B 「BについてAに警告する」
です(桐原、旺文社、東京書籍)。
東京書籍が紹介していますが、
warn me of the enemy 「敵がいるぞと私に警告する」
です。
なお桐原は、喫煙の危険性(risk)を警告する例文です。ジーニアスは、旅路か何かの危険(danger )を警告する例文です。危険という概念で統一的に説明できそうですが、直接的に言い回しを覚えたほうが早いでしょう。
of はよく「~の」と中学で教わりますが、それだと意味が通りません。
さて、inform 「(情報などを)知らせる」という単語にも、
inform A of B 「BについてAに知らせる」
という語法があります。
桐原が
inform him of the result 「彼に結果を知らせる」
のような例文を紹介しています。
なお、典型例の言い回しは、
Please inform me of the change in ~ 「~の変更を私に知らせてくれ」
です(旺文社、センチュリー)。
ともかく、warn A of B は inform A of B と関連づけて覚えましょう。
桐原がそういう覚え方を進めています(warn と inform を同一ページで教えている)。
ただし、東京書籍のようなcrisis (危機)など関連語の紹介は、桐原では同一ページにないですが。どの単語集も、一長一短です。
なお、東京書籍3000には、なんと inform の項目がありません。information はあるのですが。
なお、information は数えられない名詞なので複数形が無いので、「2つの情報」は two pieces of information と表す。「ひとつの情報」は a piece of information です(東京書籍3000)。
桐原は、remind A of B(思い出させる) や convince A of B(納得させる、確信させる) や inform A of B と warn A of B や suspect A of B (疑う)などをまとめて、
「関連の of」という概念を提唱しています。
ただ、そう解釈しなくても、
このうち、「警告する」warn と「思い出させる」remind も情報提供の一種ですので、
「情報提供の of 」とでも言える概念で、
remind A of B と inform A of B と warn A of B をまとめられます。
だとすると、暗記するのは残りの
convince A of B (Bを納得/確信させる)と suspect A of B (B(容疑など)の疑いをかける)だけに減らせます。
このうち、 convince は、他人に何かの納得をさせる際に、説得などの情報提供が行われるでしょうから、広い意味での「情報提供の of 」と言えるかもしれません。暗記の負担がこれで減ります。
だとすると、残りは suspect A of B 「AにBの疑いをかける」です。
この場合、なんの情報提供もしていません。
また、of B の部分は形容詞的な意味です。
made of ~ で、「~を材料に作る」とかの意味であり、完成品を一目で見て材料が分かるなら made of です。
材料が、完成品を一目みてもわからない場合は made from ~ です。
この suspect A of B と made of B の共通する「of B」で、「性質の of」とかの概念を考えてもいいかもしれません(英語学でどうかは知りません。自己責任で)。
ほか、英文法で、「It is 形容詞 of 人」と「It is 形容詞 for 人」の使い分けなどがあります。人の性質を言う場合は「of 人」です。これから類推する方法もあるかもしれません。
まあ、最終的には suspect A of B 「AにBの疑いをかける」を直接的に覚えるしかありません。
warn ◯◯(人) against ~ing で「◯◯(人)に~しないように警告する」である。
たとえば、よくある例文が、「彼は道路を横断しないように私に警告した」(ジーニアス)あるいは川を渡らないように私に警告した(東京書籍)、であり、
He warned me of against crossing the river. 「彼は川を渡らないように私に警告した」
である。
動詞および名詞の caution は、動詞としては、たとえば医者などが肝硬変の患者に「酒を飲むな」と注意・警告するときの「注意する」「警告する」が caution である(桐原5500)。東京書籍4500の例文も、薬の取扱いの注意を caution としている例文。
ただし、辞書では、警察などの警告・注意もcautionである。このため、warningとの区別は、なかなか難しい。
ジーニアスが言うには、cautionのほうがwarningよりも軽いとのこと。
形容詞 anxious (アンクシャス)は「心配している」「不安に思っている」である。
be anxious about ~ で「~を心配している」である。
He is anxious about ~ なら「彼は~を心配している」である。
よくある例文が、「彼は試験の結果を心配している」であり、東京書籍とジーニアスにそれに似た例文がある、
He was anxious about the result of exam. 「彼は試験の結果を心配している。」
となろう。(wikiオリジナル)
ジーニアスだと、母親視点の「息子のテスト」だが、まあこういう例文がよくる。
be anxious for ~ は「~を切望している」である。
桐原の「新しいコピー機が欲しくてたまらない」なら be anxious for new copy machine である。
ジーニアスだと(私は)「新しいコンピュータが欲しかった」なので、
I was anxious for a new computer. 「新しいコンピュータが欲しかった。」(※ ジーニアスanxious例文から引用)
である。
名詞形 anxiety で「不安」「心配」「切望」である。東京書籍4500には「切望」が書いてないが、しかし桐原4500と旺文社1900には切望が書いてある。
なお、 eager (イーガー) は「熱望している」である。切望 anxious とは、ややニュアンスが違う。
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武器・兵器
weapon, arm
大量破壊兵器は weapons of mass destruction であり、略称は WMD である(桐原4500、旺文社1900、ジー二アス)。
また、核兵器は nuclear weapons である(桐原4500、旺文社1900、東京書籍、ジー二アス)。
だいたい、arms だと、「腕」(うで)と まぎらわしい。
兵器には、なるべく weapon を使うのが無難だろう。
なお、動植物の角(つの)や爪(つめ)や刺(とげ)なども、weapon である(ジー二アス)。
weapon は、日本では「兵器」と訳される場合が多いが、しかし英語では weapon は広く攻撃のための道具を表す用語である。
単語集にはないが、山川の英語版・世界史にあった単語で、
rearmament が「再軍備」である(ジーニアス)。ナチスによるドイツの「再軍備」みたいな文脈で rearmament を使える。
ほか、disarmament が「軍縮」である。啓林館 Vision Quest I(P.111) が「軍縮」disarmament を紹介しています。
なお、名詞 army は「陸軍」「軍隊」の意味です(桐原3000、旺文社1400(緑)、東京書籍4500)。
「海軍」は navy (ネイビー)です(東京書籍、桐原)。
「空軍」は air force です(東京書籍、桐原)。
「軍事の」は military です(東京書籍、桐原)。
陸軍と海軍も空軍もまとめて「軍隊」と言いたい場合、army だと陸軍とまぎらわしいので、military force という場合もあります(東京書籍)。
ただし、「軍事力」も military force です(桐原)。
このため、翻訳などの際は、文脈にあわせて、うまく訳してください。
軍「隊」との混同を嫌ってか、単語を power を使って「軍事力」は military power という用法もある(ジーニアス military、センチュリー power)。
ほか、「軍隊」を the armed forces と言ってもいい(桐原、forces )
「兵士」は soldier (ソルジャー)です(東京書籍、桐原)。
東京書籍いわく、さらに「将校」(しょうこう)は officer (オフィサー)です。
とはいえ、「将校」(しょうこう)と言っても、何のことだか分からないのが普通の高校生でしょう。
軍隊の上層部や、将来的にそうなる見込みの高い軍隊の大学を出た軍人や、あるいは同程度に一定以上の階級の高い指揮官のことを、将校と言います。
最下級の階級である兵士は当然、将校ではないです。
「兵士長」とか「軍曹」とかの現場の下の方の中間管理職も、ふつうは将校とは言わないです。ただし、文脈によっては、「軍曹」なども将校という場合があるかもしれません。
『「将校」という単語くらい知っとけや。日本史の勉強すれば出てくるんだからさ~』というのが、東京書籍の心のさけびでしょうか。
戦後の自衛隊ではあまり「将校」とは聞かなくなりましたが、海外の軍隊の説明だと今でも使います。
戦前でも、よく二・二六事件とかで「青年将校」がどうのこうの、という解説を読みます。こういう英語を知っていると、英語力だけでなく日本史などの知識も披露できて、頭よさそうに見えます。
桐原いわく「兵役」(へいえき)は military service です。
「英語を勉強するなら、こんくらい知っておけや」という桐原の心のさけびです。
まず、諸外国でもヨーロッパなどで今でも徴兵制、つまり兵役があります。2020年代でも、スイス、オーストリアは徴兵制があります。
ここでいう service とは、公共の下僕のような意味もあるかと思います。
たとえば「召使い」は英語で servant (サーバント)ですが、なんと単語集に書いていません。
桐原の単語周いわく、serve は「仕える」とか「提供する」とかの意味です(桐原4500)。
今ではネットのサーバー server とか、派生の名詞が使われています(ジーニアス、センチュリー)。
ただし、ネットの情報提供については、「プロバイダー業者」などというように provide が「(情報などを)提供する」の意味で好んで使われる場合もあります(桐原)。
交通インフラや電力インフラなどの公共インフラなどの提供も service です(ジーニアス)。慈善事業も service です(センチュリー)。
「兵役」(へいえき)は military service を覚えるときも、そういうのと関連づけて覚えましょう。
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安売り・特売
フェア、セール、バザール
sale のみ高校英語
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
なお、セールは英語でも sale で「安売り」(桐原3000、東京書籍3000)や「特売」(旺文社1200)や「バーゲンセール」(東京書籍3000)の意味がある。sell とは別に、sale (セール)「販売」という単語がある(東京書籍3000、桐原3000)。
なお、セールスポイントは英語で selling point である(旺文社1200(黄色)、ジー二アスで確認)。
セールスポイントは和製英語。
なお、単語集にはないが、セールスマン(販売員)は英語でも salesman であるが、男女平等の観点から salesperson という表現が米英では好まれるだろう(ジー二アス)。
salesman は、外交販売員(日本でいう「セールスマン」)にも使われるが、英語では単なる店員も salesman で表せる。
複数形 sales で「売り上げ高」の意味もある(桐原3000)。なお桐原では「売上高」3文字ではなく「売り上げ高」5文字の表記。
単語集にはないだろうが、バザーとの違いについて触れる。
ジーニアスによると、英語の bazaar は、慈善などの目的のために特別に催される市場である。だから教会などがバザーするわけである。しかし、イランなど中東の商店街のことも bazaar である。英語の単なる「雑貨屋」のことも bazaar という。
バザーを「安売り祭り」みたいな意味で使うのは、どうやら和製のようだ。
啓林館 Vision quest( P.62 )で、ディスカウント discount 「値引き」、バーゲン bargain 「お買い得品」などが紹介されていました。
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必要不可欠
不可欠な
essential, vital, indispensable
必要な
necessary
搾る squeeze, extract
搾取する squeeze, exploit
桐原4500に vital の意味は「生命の」とあるので、まずこれで覚えよう。
また桐原4500いわく、vitality の意味は「生命力」である。
入試では vital の他の意味の「不可欠だ」「活気のある」などが問われるかも知れないが、まずはvitalの単語のイメージが生命力であることをつかもう。
vial → 「生命に必要」→「不可欠」という連想、
および
vital → 「生命力にあふれる」→「活気のある」という連想、
で覚えれば、暗鬼の負担が減るだろう。
旺文社1900の例文で、「防衛戦略が国家の安全保障にとって不可欠だ」という例文で「不可欠」を vital としている例文がある。
これだって、「国家の生存に必要」→「国防に不可欠」みたいなイメージで把握できるだろう。
なお、桐原4500は「自転車が生活に不可欠」で不可欠がvital、東京書籍4500は「外国語が教育に不可欠」で不可欠がvital、という内容。
ともかく、vital は「活気のある」という意味もあるが、「生命の」とか「不可欠な」のような意味もある。
別の単語の話をする。
もし、単に「活気のある」「元気はつらつな」と言いたい場合は、形容詞 vigorous (ビゴラス)という単語でも一応は表現できる。東京書籍は「活発な」「力強い」と紹介しており、「活発な運動」 vigorous exercise という例文がある(東京書籍4500巻末)。ただ、辞書で 名詞形 vigor (ビガー)や 形容詞 vigorous の用例を見ると、「激しい(スポーツなどの)運動」とか「猛烈な抗議」とか、やや意味合いが強い用例も多いので、注意が必要であろう。
Z会のTOEIC対策本では、同じ vigorous exercise という単語を、「激しい運動がもとで、疲労で倒れた」という内容の文章で用いている<ref>松本茂 監修『速読速聴・英単語 Core 1900 ver.4』、Z会、2014年3月10日 ver.4第7刷発行、P.382</ref>。
このように、vigorous exercise は、いい意味でも悪い意味でも使う。
肉体的に元気のあるだけでなく、精神的にも「精力的な」という表現でも vigorous が使える。
なお、「猛烈な抗議」などの猛烈でも vigorous あるいは名詞形 vigor を使う(ジーニアス、センチュリー)。
protest a plan with vigor 「計画に猛反対する」(センチュリー)
make a vigorous protest 「猛烈な抗議をする」(ジーニアス)
である。
essential は「不可欠な」という意味。
だが、「エッセンシャル・オイル」essential oil という芳香性の油を考えれば分かるように、なんだか抽出物みたいなイメージ。
名詞形 essence 「本質」「エキス」で覚えるほうが理解しやすいだろう。
(なお、名詞 extract にも「エキス」「抽出物」「抜粋」の意味がある。extract は動詞として「抽出する」の意味もある。(東京書籍が動詞を紹介。旺文社は名詞も紹介。桐原は紹介せず)。動詞と名詞とで発音が異なる。名詞は エキストラクト。動詞は イクストラクト。「抽出」「摘出」の行為自体は extraction という名詞である(旺文社)。)
あるいは、「必須アミノ酸」が essential amino acid である(ジーニアスで確認)。
抽出ついでに言うと、abstract も「抽出」という意味(桐原4500巻末)。abstract には「抽象的な」の意味もあるが、まずは抽出の意味で覚えよう。というか日本語でも、「抽象的」の「抽」の文字は、「抽出」の「抽」の字である。なお、冒頭のab-は、ここでは分離を意味する接頭辞。absent「欠席の」のabとabstractのabは同じ意味(桐原4500)。
エッセンシャルの話に戻ると、たとえば、生物学書の『キャンベル エッセンシャル生物学』 "Campbell Essential Biology" という500ページ以上ありそうな分厚い生物学書がある。(なお、amazon米国版では何故かこの本が18歳以上が購入禁止なのでリンクは紹介しない。)
エッセンシャルというのは、そういう感じの意味。
桐原では、「食事は不可欠だ」みたいな例文でも essential を使っている。
なお、「食事」は英語で meal (ミール)である(essential の文に合うかどうかは知らない)。
食事しないと死ぬので、生命維持の観点では vital でもあるが、しかしそういう死を防ぐためのものでも essential で言い表す場合もある。
さて、単語集によくある例文が、「~は健康に欠かせない」 be essential for good health であり、東京書籍と桐原がそうである。
東京書籍だと「運動は健康に欠かせない」、桐原だと「食事は健康に欠かせない」的な内容である。
運動 exercise なら、
Exercise is essential for good health. 「運動は健康に欠かせない。」(東京書籍4500より引用)
である。
「搾る」の extract を squeezeのニュアンスの違いについて。
extract は「抽出する」が第一の意味のようなものである。
-tract が「引っ張る」という意味でもあることから想像できるように(センチュリー)、extractは、目的物を、自分の方向に向かってこさせるイメージである。
だからextractで果汁を「しぼる」のは、その手段にすぎない。
だから、濃縮エキスの抽出のような、搾るだけでは不可能なことも、extract なら出来る。
ほか、薬品などを使って何かの成分を抽出するのも extract である(ジーニアスで確認)。
ほか、歯科医が歯を抜くのも extract である(センチュリー、ジーニアス)。
パソコンのファイルの圧縮・展開でいう「展開」も extract です。
いっぽう、extract には「抜粋する」の意味や、抜粋して「要約する」という意味もあります(センチュリー)。
抜粋すると情報量が減るのに、圧縮ファイルを展開すると情報量は増えます。
妙に感じるかもしれません。
しかし辞書でextract を調べると、秘密などの情報を「聞き出す」「暴き出す」のような意味もあります(センチュリー)。圧縮していて読み取れない情報を「暴き出す」ようなイメージでしょうか。
もっとも、最近のパソコンでは、オペレーティングシステムが高度なので、圧縮されたままでも読み取りのできる場合もありますが。
逆に、圧縮・展開の「圧縮」は compress です。
日本でも、機械などの空気圧縮機でいうコンプレッサーなどの外来語で有名です(ただし、高校生には目にする機会(チャンス)がないかもしれません)。しかし意外なことに単語衆にはcompressはありません。
高校・中学でIT教育が必履修になるなどしてもう年月も経ってますので、どうせあと10年か20年したら「圧縮」・「展開」などIT用語も英単語に加わるでしょうから、先手を打って、このページにまとめておきます(ならないとしても、もしその場合は実務では役立たずなので未来の高校英語の単語衆に価値ないので、価値ない単語集に従う必要ないです。私たちが目指すべきは、大学合格する英単語ではなく、仕事で使える英単語です。仕事を無視した英単語学習をしても最終的に淘汰されるだけの弱肉強食です)。
英語だと、たとえばジーニアスでは、自動車エンジンにおける空気の圧縮のことを compress で表現しています。
なお、空調機のエアコンの「コン」はコンディショナーの略ですので、混同しないように。
センチュリーを見ると、コンピュータ用語のファイル圧縮も compress だと書いてあります(センチュリー、ジーニアス)。
ほか、綿(わた、めん)などを圧縮して小さくするのも compress です(センチュリー)。
ややこしいことに、compress にも、話を「要約する」という意味があります(センチュリー、ジーニアス)。
いまどき、「要約」はsummary でしょうから、compress は綿やファイルなどを「小さくする」(つまり圧縮)の意味で覚えるのが良いと思います。
まとめると、
ファイルの「圧縮」は compress です。
ファイルの「展開」は extract です。
さて、「しぼる」の話題にもどります。
squeeze は、にぎるように力を内側に押し付けるイメージである。だから squeeze で、資金を「圧迫する」なども表現できる。
では、具体的に extract と squeeze のニュアンスの違いを見ていこう。
「エキス」や「抽出する」のextract について。
extract juice from a orange で「オレンジからジュースをしぼり出す」「オレンジの果汁を搾る(しぼる)」
の意味(センチュリーや旺文社)。
文脈によっては、oranges ではなく an orange でも構わない。ジーニアスでは、レモンの複数形 lemons から果汁を搾り取っている。
「搾る」は、squeeze もある。
果物などをしぼって果汁をとるのが典型的で、
squeeze a lemon 「レモンをしぼる」
が典型的(センチュリー、旺文社)。
果汁を明示したい場合
「オレンジから果汁をしぼる」squeeze juice from an orange と言える(東京書籍4500の巻末。ジーニアスだと lemon で似た例文)。
squeeze lemon juice on ~(食品など) で「レモン果汁を~にかける」である(桐原4500、ジーニアスに似た例文)。
「労働者をしぼりとる」「労働者を搾取する」のような表現でも、squeeze を使える(桐原5500、センチュリー)。
なお、いわゆる「ブラック企業」のような会社(労働者を低賃金で長時間働かせる工場など)は、英語では sweatshop (スウェトシャプ)といい、「搾取工場」などと訳される(旺文社1900)。sweat (スウェト)は「汗」という意味の名詞である(桐原4500)。東京書籍4500は sweat および sweatshop を紹介せず。
なお、動詞 exploit 「搾取する」である(旺文社1400(緑)、桐原4500)。
典型的な例文が、
exploit one's workers 「労働者を搾取する」
であろう(ジー二アス、東京書籍、旺文社に似た例文)。
ほか、exploit には、たとえば地熱発電や自然資源などといった資源などを「開発する」の意味や(旺文社1400、桐原4500)、機会などを「利用する」という意味もある(東京書籍4500)。
家計のやりくりなど、なんらかの資金のやりくりなどで、お金をなんとか「絞り出す」というのにもsqueeze は使える(センチュリー)。
ただし、ほかの意味で squeeze には予算などを「圧迫(あっぱく)する」という意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
資金のやりくりと、資金の圧迫では、ほぼ逆の意味になるので、読解のさいには文脈からどちらなのかを読み取ろう。
squeeze には「押し入る」「押し込む」や、人ごみや席などへの「割り込む」「割り込ませる」という意味もあり(センチュリーが押し入りと割り込み。ジーニアスは割り込み のみ)、旺文社が「押し入る」を紹介している。「圧迫する」から「押し入る」などを連想しよう。
indispensable 「不可欠な」は桐原5500巻末や旺文社1900本文と東京書籍4500巻末が紹介しているが、これを直接に覚えるよりも前に、まず、銀行などの「現金支払い機」dispenser (ディスペンサー)を覚えよう(ジーニアスで銀行の「現金支払い機が dispenser だと確認)。
動詞 dispense は、「分配する」とか、機械が「出す」という意味である(ジーニアス、センチュリー)。
なので、コーヒーなどの自動販売機も dispenser である(センチュリー)。
で、形容詞 dispensable は「それほど必要ではない」「なくても済む」の意味である。
「自分はなくても済むので(dispensable なので)、他人に分配できる(dispense できる)」→「分配する機械がデイスペンサー」とでも、こじつけて覚えよう。
で、in- はここでは否定の接頭辞なので、
indispensable 「必要なので分配するわけにはいかない」→「つまり、必要不可欠」→単に「必要不可欠」と言えば済む
のように indispensable を覚えるのが、関連の語彙も覚えられて一石二鳥だろう。
旺文社1900だけ、indispensable の項目で、派生語の dispense 「分配する」「施す」「~なしで済ませる」を紹介している。
桐原5500は、indispensable の類義語で、essential や integral を紹介している。
be indispensable for ~(ないと困る物) 「~は必要不可欠である」
のように使う(旺文社1900、東京書籍4500)が、文脈によっては for でなく別の前置詞や接続詞の場合もある(桐原4500)。
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要約
summary, brief
summary (サマリー)が「要約」の一般的な語でしょう(特に出典は無い)。
要約のまとめ方や業界によって、outline (アウトライン)や brief (ブリーフ)など、別の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
「要約する」の意味が、extract 、compress 、summarize などの単語があります。要約のことを summary (サマリー)と言います。サマリーの動詞形が summarize (サマライズ)です。
ほか、brief も、名詞では「簡潔な説明」の意味、動詞では(読みやすいように手短かに簡略化された説明にする、という意味での)「要約する」の意味です。
桐原4500が brief を「要約」の意味で紹介しています(桐原4500)。
in brief 「手短かに」
の意味です(桐原、旺文社)。
また、
keep it brief 「手短かにする」
です(東京書籍、旺文社)。it の部分は、必要に応じて適した目的語に変えます。
名詞形 briefing は、「簡潔な説明」の意味もありますいが、「事前の打ち合わせ」の意味でも使われます(旺文社)。
compress と extract は、現代ではコンピュータ上の処理で使うし、現代の商業の著作物の大半はパソコンで作られているので、やや使用の歳には注意が必要かもしれません。
summarize のほうがいいかもしれません。
一方、 summarize もまた、辞書や単語集では「要約」を名詞 summary と簡単に言いますが(桐原4500、旺文社1900)、実はサマリー summary と日本語の「要約」は微妙に違います。
英語では、1~2行ていどの短文で短くまとめることを summary と言うこともよくあります。brief だと「記者会見」など別の意味に誤解されるからか、本来なら "brief" というべき単なる1~2行ていどの事実報告でも英米では summary でそういう1行程度の事実報告を言い表す場合もあります。
brief だと、たとえば press briefing が「報道向け説明会」で使われたり(ジー二アス)、briefing session が「定例記者会見」だったり(ジー二アス)、ややニュアンスが「要約」とは異なります。全体像を理解しやすくするよりも、brief は短時間に発表することがニュアンスにあります。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。execution は「処刑」の意味です。
この例のように、summary は日本の「要約」とは、ややニュアンスが違う場合もある。
さて、米英の外交官の著作した回顧録(かいころく)の出版物で読んだのですが、
外交官は、定期的に サマリー summary という1~3行ていどの事実関係の報告を本国によく送るするらしいです。
日本語では、新聞やテレビのニュースにおける「短信」(たんしん)が短いので、近いでしょうか。
大使館の職員でもありますから記者会見(ブリーフィング)とは区別する必要もあるでしょうから、brief ではなく summary でそういう短いを言うのも合理的でしょう。
なお、「回顧録」(かいころく)は英語で memoir (メモワール)です(旺文社1900、ジー二アス)。単語集では、旺文社1900にのみあり、受験英語としてではなく英検準1級対策として紹介されている語です。桐原4500・5500および東京書籍4500にはありません。
外交官とか、この手の報告では、分析は極力交えず、事実だけを報告します。分析は、別途、本国のほうで行ってもらうのです。こうすることで、外交官は情報収集にのみ専念できます。
外交官は滞在先が友好国とは限りませんし、(自国以外との)紛争当事国などの場合もあります。もし友好国でない場合、もしかしたら滞在先の警察や軍隊によって通信が盗聴されたりしているかもしれません。そういう環境で、あまり分析を外交官側で行うべきではないでしょう。
なので、ともかく summary のほか、日本語には「要約」の他に適切な表現があまりないので、summary の訳は「要約」で通じますし、辞書や単語衆にも「要約」だと書いていますし、「まとめ」でも構いません(旺文社)。
「要約」のほか、ジーニアスには「概略」や「大要」、センチュリーには「概要」や「大略」なども書いてありますが、しかし上述のように、1~2行ていどに縮めて報告する書類形式というビジネスなど実務での背景がありますので、いちばん短い感じのしそうな「要約」が無難な表現でしょう。
実際、単語集にも、名詞 summary は「要約」で紹介されています。
これから紹介するのは高校範囲外の単語ですが、英語では、1行要約ではなくて、せいぜい5~8行くらいの文章で要点を列挙して書いたのは outline (アウトライン)などと言います(※高校の範囲外)。
アウトラインを書く場合も、できえば箇条書きにするなどして(ジーにアス)、全体構造を見やすくする必要があります。
ジー二アスには行数の条件は書いてないですが、普通、箇条書きされた説明は、長くて5~8行ていどのものでしょう。1行の箇条書きとか意味不明ですし、100行の箇条書きとか論外です。
ジーニアスいわく、そういう箇条書きされたものが本来のアウトラインとのことです。ジーニアスでは「概略」「概説」、センチュリーでは「概要」「あらまし」を outline
訳にしています。
outline の訳語を覚えるよりも、『箇条書きする等して手短かにまとめたものを「アウトライン」という』と覚えたほうが応用が利くでしょう。
仕事の報告での情報のやりとりなどで、もし1行要約だと短すぎて情報不足なときに、アウトラインによる報告が役立ちます。そういう使い分けをするのが大事です。
もしかしたら英米人のなかには、そういう使い分けをしない人もいるかもしれませんが、そういう人はレポートの書き方を知らない人であり、つまり知的レベルの低い人なので、相手する必要はないです。
まとめると、summary が「要約」の一般的な語だとみなせるでしょう。
要約のまとめ方や業界によって、outline や brief など、専用の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
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重要 crucial, important
決定的な crucial , decisive
4500語レベルの単語集に crucial (クルーシャル)と言う単語があって「決定的な」「主要な」という意味である。
だが、decisive という「決定的な」の意味の単語がある。(東京書籍4500に単語だけ紹介されている。旺文社1900の巻末の章に、単語だけ「決定的な」「断固とした」と意味が紹介されている。桐原4500にはない。桐原5500にある。)
ジーニアスいわく、「決戦」は a decisive battle である。
ジーニアスの例文では、decisiveは「将来を決定する」という意味もあると説明している。
東京書籍4500の crucial 項目の例文で、「そのオーディションに合格することは私の将来にとって決定的な意味をもっている」とある。
ジーニアスでcrucialを見たら、「重要である」という意味であり、例文が「我々が決勝戦に勝つには、彼の支えが重要である。」の「とても重要である」が crucial である。なお、「決勝戦」はその項目を見る限りは the final match である。
crucial の意味で、桐原と東京書籍には「決定的な」と書いてあるが、正直、decisiveのような断固とした気迫が足りない。「決戦」で負けると死ぬが、オーディションで負けたり「決勝戦」で負けても死ぬわけでもあるまい。
あまり論理的ではないが、decisive は、おそらくスペルが同じく"d"から始まる determination 「決心」「決意」の影響を受けてきたのだろうか。
動詞 decide と動詞 determine の違いについては、別セクションで語る予定。
crucial の意味は「非常に重要な」(桐原)で十分だろう。旺文社1900に至っては、「決定的な」の意味は紹介せず、crucial では「重要な」として紹介していない。
まあ、important よりかは重要度が高いつもりのニュアンスでしかないだろう。
旺文社1900では「書類を確認する際は注意することが重要である。」でcrucial を用いている。
桐原4500では「国際貿易はこの国の発展に非常に重要だ。」で crucial を用いている。
まあ、センチュリーcrucial の例文にあるように「彼のホームランは我々の勝利を決定的にした。」でcrucial を用いているように、命をかけるほどでもない野球の試合でも決定的な瞬間はあると思うので、そういう場合は crucial を使うのも良いだろう。
桐原5500にcrucial で「命にかかわる」の意味を紹介しているが、しかしジーニアス英和およびセンチュリー英和では確認できなかった。
そもそも vital という「生命維持に必要な」の意味の形容詞がある(センチュリーで確認)。
そもそも「重要」という概念自体、言葉の割には、vital のような生命への必要不可欠さが足りない。
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外国の
alien, foreign
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
「Foreign Affairs」は直訳すれば「外交の関心事」みたいな意味の雑誌名であろう。
なお、日本の「外務省」も英語版ホームページでは Ministry of foreign affairs である<ref>[https://www.mofa.go.jp/index.html "Ministry of Foreign Affairs of Japan" ] 2022年5月4日に確認. </ref>。
海外旅行とか海外出張とかでは必要な単語のひとつなので、頭の片隅に入れておこう。
ministry とはイギリス英語で省庁のこと。ただしアメリカでは、省庁を department と呼んでいる。
つまり日本政府は、「省庁」についてはイギリス英語を採用。
デパートなんて百貨店っぽい。なお百貨店は英語で department store である。
なおイギリスでも、新設の省庁については department を用いることもあると、ジーニアスは説明している。
さて、「省庁」の呼び名には、あまり深入りしてほしくない。
それより重要なのは、「大臣」 minister である。
大臣のことを minister という。単語集では「大臣」minister の項目に書いてあるが、「外務大臣」は foreign minister である。
今の単語集にはあまり書いてないが、昔はよく「総理大臣」は英語で the prime minister だと高校で習ったものである。いちおう、東京書籍の例文中に「総理大臣」the prime minister がある。桐原には書いてない。
説明の都合上、先に「省庁」 ministry を紹介したが、覚えるなら先に「大臣」minister から覚えたほうが良い。
語源としても、ラテン語で「従者」とかのことをミニステルと言うので、先に「大臣」→「省庁」の順番で単語ができたと考えるほうが合理的である。ジーニアスにも、ラテン語とは買いてないが、「召使い」がminister の語源だと書いてある。
prime については、主要という意味での「第一の」という意味である。センチュリーにある訳語だが、「第一位の」というのがニュアンスに近いだろう。
primeの語源はもともと、カトリックの日課の「最初の」礼拝のこと(ジーニアスで確認)。
primeはこういう意味なので、単に一番目であるだけでなく、さらに重要性の高いものに使われるというニュアンスがある。
ただし、実際の用例では、国家一番や世界一番でなくとも、たとえば肉が美味しい場合でも「極上の肉一切れ」 a prime cut of meat という風にも使う(ジーニアスで確認)。センチュリーにも似た例文がある。
「全盛期」、「絶頂期」という意味もあり、 in prime of his life(またはcareer) 「彼の人生(またはキャリア)の全盛期」みたいにも使う。
「全盛期」には、ほかに短い類義語が無さそうである。和英辞典で「全盛」を見ると、prime のほかに pride とか summer があるが、しかし英和でそれらの項目を確認しても、ニュアンスが違う。pride のほうは、pride of place という語句で「最高位」「最上位」という意味だし、summer は人生における「壮年」などの比喩でしかない。
名詞 foreigner は「外国人」 である。ただ、英語ではこの言い方は差別的な意味合いがあるとのこと。桐原3000いわく、なるべく、たとえば「カナダ人」 Canadian など具体的に言うべきとのこと。
alien
alien (発音: エイリアン)は「宇宙人」という意味があるので、なんとなく、あまりよくないイメージを読者は持ちがちかもしれないが、しかしジーニアスで確認すると、法律上の用語で「外国の」「異国の」という用法がある。
センチュリーによると、市民権をもたない外国人のことを alien と言うとのこと。
alien は、名詞も形容詞も同じスペルの alien である。
名詞 alien は「外国人」「宇宙人」の意味。
形容詞 alien は「外国の」「外国人の」の意味と、「異質の」「なじみがない」の意味。
よくある例文が「その習慣には、なじみがない」で、習慣 custom に alien で「なじみがない」という内容の英文を東京書籍とジーニアスで見かけた。
語法は、
~(習慣など) is alien to □□(人々)
で、
「~(習慣)は□□(の人々)には、なじみがない」の意味。
たとえば、 alien to us なら「私たちにとって、なじみのない」という意味(ジーニアスおよび桐原)。
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国内の
domestic, internal (※範囲外)
「国内総生産」GDPは gross domestic product のことである。domestic violence は「家庭内暴力」である。
「国内の」という意味での domestic が、「外国の」 foreign の対義語である。
domestic ⇔ foreign
さて、 「国内の」 を意味する形容詞 internal は、「国内問題」というとき internal affairs という(ジーニアス、センチュリーで確認)。
なお、数学の図形の幾何学の、「内角」も internal angle である(ジーニアスで確認)。
internal には医療などで「内服の」や「体内の」などの意味もあるが、共通の例文が確認できなかったので、説明を省略する。
なお外角は external angle または exterior angleである(ジーニアス和英で確認。英和にはない。和英)。
なお、「幾何学」は geometry (ジオメトリー)である(旺文社1900)。なお「地理学」はgeography (ジオグラフィー)である(桐原4500、東京書籍4500)。「地形」や「地勢」などもgeography である(東京書籍)。
geo- (ジオ)というのは「地球の」とか「地理の」という意味だが(ジーニアス)、幾何学にも使う。おそらく、古代のヨーロッパでは幾何学の知識を活用して、地図などを作成していたのだろう。
「ユークリッド幾何学」は英語で Euclidean geometry である(旺文社1900、)。「ユークリッド幾何学」というのは、日本では中学の数学で、図形の証明として習う、あの理論の体系のこと。「タレスの定理」とか「中心円の定理」とか、あそこら辺が「ユークリッド幾何学」。紀元前のギリシアの数学者エウクレイデスの名前にちなんで、英語読みでユークリッドになる。
なお、X-Y座標を使って計算する座標幾何学は、ユークリッドではなく「デカルト幾何学」という別の理論体系。デカルトは中世フランスの数学者。デカルトあたりが、座標幾何学の理論を整備しはじめたので。
さて、形容詞 interior は「内部の」という意味の形容詞だが(ジーニアス)、しかし普通は家や自動車の内壁に対して interior を使う(ジーニアス)。
ジーニアス英和の interior によると、幾何学の「内角」を interior angle で表してもいいとのこと。旺文社1900も東京書籍4500も、建築物の「室内の壁」を the interior walls としている。なお、東京書籍は「内部の壁」と和訳。
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生産量
output, production
「生産」を意味する production に、「生産高」の意味もある(ジーニアス)。なお、単語集では、prodcution の「生産高」の意味までは説明していない(東京4500、桐原4500、旺文社1900を確認)。
increase production で 「生産量を増やす」である(ジーニアス)。センチュリーでも、文章は違って完了形などになるが、「映画製作が減少」という内容の文で production を生産量の意味で使っている。
より平易に output でも「生産高」を言える(旺文社、ジーニアス)。
工場などの生産高から(ジーニアス)、芸術などの産物まで(センチュリー)、output で表現していい。
production や produce には、「大量生産」のようなニュアンスがある(東京書籍)。
なお「大量生産」は mass production である(センチュリー)。
なお、テレビ番組や音楽作品などの生産から、その生産された作品なども production である(ジーニアス)。
output の対義語は input である。
つまり
input ⇔ output
である。
input で、名詞としtrは、仕事や活動などへの資材や労働力などの「投入量」、コンピュータへの「入力」を意味する。また動詞としては、「投入する」や「入力する」の意味である(ジーニアス、センチュリー)。
旺文社の単語集には、inputに投入量の意味がないが、しかし辞書で「投入量」を確認できる。
同様に、対義語のoutput は、仕事や活動などの「生産高」や、コンピュータからの「出力」である。動詞としても同様に「産出する」(ジーニアス)や「結果を出す」(センチュリー)や「出力する」である。
input には、仕事・活動などへの援助としての情報提供やアイディア提供などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
東京書籍や桐原の単語集には input や output が見当たらなかった。だがこれからのIT時代、必要になる単語であるので、ぜひとも意味を理解しておきたい単語である。
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「外国」と「海外」
外国へ abroad
海外へ overseas
「外国に」「外国へ」は abroad であり、副詞である。
「海外に」「海外へ」は overseas であり、副詞である。
overseas は字ヅラだけ見れば、海を越えて外国に行くことだが、アメリカでは実際にはヨーロッパへ行くことに使われる事が多い(ジーニアス)。
travel overseas で「海外へ旅行する」である(旺文社)。
travel abroad で「外国へ旅行する」であるが、東京書籍では「海外へ旅行する」と訳している。
from overseas で「海外から」である(旺文社)。
abroad の典型的な例文が、
「私は外国へ(一度も)行ったことがない。」 I have never been abroad.
である(東京書籍、桐原)。東京書籍と桐原で、同じ英文。桐原のほうには和訳で「一度も」がある。
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結果
result, outcome, consequence
桐原4500と東京書籍4500の後半にoutcomeの単語の紹介があるが、良書とも解説を諦めている。
単に 結果のことを result だけでなく outcomeとも言うと、知っておくしかない。
consequenseは、単に「結果」を、固い言い回しにしただけであるが、東京書籍4500によると、「通例望ましく結果にconsequenceを用いる」とこのこと。
センチュリーと東京書籍に「深刻な結果」 a serious consequence と言う例文がある。
副詞 consequently は「その結果として」「したがって」の意味。
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考え
concept, notion ,ほか(idea, thought ,など色々ある)
concept は、たとえば相対性理論の考えだとか、割と抽象的なことに使う。桐原4500いわく、「アインシュタインの相対性理論の概念」は Einstein's concept of relativity である。
notion は、そこまで抽象的でなく、たとえば人生観(ジーニアス)とか宗教観(センチュリー)とか。
ジーニアスでは「人生は航海だという考え」の「考え」を notion としている。
旺文社だと「概念」と言ってるが、無視していい。
概念というより「観念」だろう。
あるいは「観念」という用語をしらない高校生に向けて「概念」と書いたのかもしれないが、そんな底学力層のことは読者は気にしなくていい。
その他、ジーニアスで「意見」、センチュリーで「意向」だと言ってるが、両辞書で説明が一致しないので無視する。
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「規範」と「基準」
規範 code
基準 normal
(学校などの)規律、しつけ discipline
普通 normal, ordinary
「行動」と「指導」と「行儀」、「実践」
行動 conduct(指導のニュアンス)、behavior (行儀のニュアンス)、practice(理論・理念の実践)
習慣・慣習 practice 、 custom、クセ habit
codeには「規範」「暗号」「法典」などの意味がある。
まず、codeの規範について。
ドレスコード dress code は「服装規程」のことである。「ドレスコード」「服装規程」とは、たとえばクラシック音楽コンサートホールとかの上流階級っぽい施設に入場しようとするとき、どんなに金を持っていても、もし服装が短パンとかジーパンとかだと入場を断られることがある。
成人男性の場合なら、背広とかのフォーマル formal な服装とかでないと、そういう場所には入場できないのである。そういうのをドレスコードと言う。
商業施設に限らず、たとえば冠婚葬祭(かんこん そうさい)とかの行事でも、その内容に見合った服装が求められる。
旺文社1900の例文が例文としてドレスコードを紹介しており、まさに大学進学を目指す階級にふさわしく、とても良い。
ダジャレだろうけど、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコード press codeという。普通に科目「日本史B」とか「日本史探究」で、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコードと言うと習う。ついでに覚えよう。英和辞典には press code は見当たらず、どうもGHQの造語っぽい。
ドレスコードの場合、codeは訳では「規則」や「規程」ではあるが、マナー的なニュアンスもある。
ジーニアスで確認したが「不文律」 code of silence という単語がある。
「行動規範」 は a code of conduct である。
ここら辺の表現が、上流階級に求められるマナー的な code であろうか。
その他、ビジネスライク名表現だが、「業務規程」 code of practice というのもある。
なお、「行動規範」 は a code of conduct のついでに言うと、「行動」conduct も類義語があり、behavior が類語後である。なお、旺文社ターゲット1400(中級の難度の本)が、conduct と behave を同じページで紹介している(おそらく旺文社もこれを類義語だと見なしているのだろう)。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多い.音楽の「指揮者」をコンダクター conductor と言うのも、これだろう。
The orchestra was conducted by Seiji Ozawa. そのオーケストラは小澤征爾によって指揮された。(東京書籍4500)
とか
conduct the orchestra オーケストを指揮する(桐原3000)
とか典型。
高校英語では出ないだろうが、物理学の電気伝導のことを conduct という事もある。conduct には、指導とか伝導とかのようなニュアンスがある。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多いが、必ずしもそうとは限らない
conduct interview インタビューを行う(東京書籍4500)
conduct research 調査を行う(旺文社1400)
のように調査研究を行うのに使う場合もある。
behave は、動詞「ふるまう」だが、ニュアンス的には「行儀」のニュアンス。
behave oneself で「行儀よくする」(桐原3000、旺文社1400)
I can't stand His behavior. 彼のふるまいには我慢できない. (東京書籍4500)
東京書籍の例のように、behavior そのものには、指導的なニュアンスは無く、行儀が悪い場合にも使うようである。
conduct は動詞。「行う」、「指揮する」。「指揮者」は語尾が異なり conductor である。
behavior は名詞で「ふるまい」「行動」。behaveは動詞で「ふるまう」。
ほか、practice に、理念や理論などの「実践」の意味があり、単語集にもあります(桐原4500、旺文社ターゲット1900)。
practical 「実践的な」「実用的な」という単語もあるので(東京書籍4500、)、これと関連づけましょう。ほか、思想用語ですが、プラグマティズムという語があり、米国的な実用主義のことです。なお、プラグマティズムはドイツ語やギリシア語が語源なので、高校生には深入りは不要。
熟語で put ~ into practice で「~を実践する」
put his new ideas into practice 「彼の新しいアイデアを実践する」(旺文社1900、ジーニアスに似た例文あり)
the idea to put his ideas into practice 「彼のアイデアを実行するチャンス」(桐原4500)
とか典型です。なお桐原3000にもpracticeがありますが、3000では練習の意味しか書いてません。
practice his religion 「宗教を実践する」(ジーニアス、桐原5500をもとに作成したオリジナル)
She practices vegetarianism. 彼女は菜食主義を実践している。(東京書籍3000そのまま)
ほか、
practical experience 「実地の経験」(東京書籍4500、桐原4500)
が典型です。
対義語は theoretical 「理論上の」です(東京書籍4500、桐原4500)。セオレティカルと、語尾がティカルになります。セオ「リカル」ではないです。セオ「レティカル」です。
「実用的な車」 practical car (東京書籍4500)、実地の経験ある大工 practical carpenter (三省堂グランドセンチュリー)
たぶん大工が高校範囲でないので、東京書籍が気を利かして car 「車」に置き換えたのだろうと思います。
なお、理科などの実験は experiment です(東京書籍3000、旺文社1900)。
旺文社1900だとpracticeとexperiment が同じページに書いてあり、おそらく、類義語のようなものと見なしています。
practice には「練習」の意味があります。というか、先に「練習」の意味のほうを、多くの中高生用の学校用の単語集では習います。
exercise にも「練習」の意味がありますが、上記のように practice は宗教や思想にも使うので、なんかニュアンスが少しだけ重いです。
また、単語集には無いですが、practiceには「慣習」の意味もあります。「練習」などの派生的に覚えましょう。
宗教とか地域文化とかそういう単語で practice が使われている場合は、宗教の実践なのか、それとも宗教の慣習なのか、どちらなのか判別が面倒です。このため、入試では要求されないでしょう。あまり特定の宗教に深入りするのも入試的にアレですし。
慣習・習慣 practice 、custom、habit
custom は、社会の習慣でも(東京書籍4500、旺文1900)、個人の習慣でも使う(桐原3000で個人の習慣を紹介)。
社会の慣習の意味の場合、custom と practice の区別は難しい。
custom やhabitは、意外と難度の高い単語と見なされており、東京書籍4500や旺文社1900など上級レベルの単語集でも紹介されてる。
habit は個人の習慣。個人の「癖」(くせ)が habit である。
このためか旺文社1900および東京書籍4500では対比として custom を「社会的な慣習」としているが、しかし実は個人の習慣にも custom を使う(桐原3000)。
the custom of visiting shrine on Wew Year Day 「神社を新年に参拝する風習」(旺文社1900)
the custom of giving year-end gift 「お歳暮を贈る慣習」(東京書籍4500)
もちろん日本以外の外国にも custom を使ってよく、
another country's customs 「他国の慣習」(桐原3000)
habit で入試で典型的なのが、個人の食習慣。
well-balanced eating habits 「バランスのとれた食習慣」(旺文社1900)
the habit of eating between meals 「間食の習慣」(東京書籍4500)
She has a habit of playing with her hair when she's nervous. 「彼女には緊張すると髪をいじるくせがある」(桐原3000そのまま) ※辞書を見ても他にろくな例文が無いので、そのまま紹介
habit of ~ing で「~する習慣」である(旺文社1900)。
She has a habit of speaking quickly when she is angry. 「彼女には起こったときに早口で話すくせがある」(東京書籍4500そのまま)
つまり単語集の典型例として、
He / She has a habit of ~ing ○○ when he/she is □□. 「彼/彼女には□□したときに〇〇を~するくせがある」
この桐原の例のように、無意識の「癖」にhabit を使う。
だが、他にも、喫煙とか麻薬とかそうのの悪癖にも habit を使う(ジーニアス)。この悪癖は入試には出ないだろう。辞書を見ても、麻薬とかそういうのの habit ばかりなので、桐原の髪の例文をそのまま紹介させてもらった。
しかし、良い習慣にも habit を使っても良い(東京書籍4500など)。
healthy habits 「健康的な習慣」(東京書籍4500)
habit of rising early 「早起きの習慣」(ジーニアス)、habit of getting up early 「早起きの習慣」(グランドセンチュリー)
「習慣」の意味で practice を使う場合、地域などの集団の慣習。宗教とか風土とか。 ※ 入試範囲外だが汚職などの悪風の場合も、practiceを使う(ジーニアス)。
マナー以外にも code は使い、「民法」は the civil code , 「刑法」は the criminal code である。
だが、「lawで十分じゃん?」と思ったのか、東京書籍4500ではcodeの項目を見ても「暗号」しか紹介していない。なお、桐原4500の例文が、アメリカの各州の刑法 criminal code の違いの話題(いわゆる「州法」)。
おそらく東京書籍は、マナーの話をしたいなら manner で済むだろう、という発想だろう。なお、manner も英語であり、東京書籍4500にもmannerが書いてある。
「暗号」については、典型的な例文が
「暗号を解く」 break a code
である(東京書籍4500, 桐原4500)。
normal (ノーマル)は、日常的には「普通の」「平均的な」という意味である。
だが、学問としては、労働などの「基準量」の意味を覚えておきたい。
日本では最近はすたれた言い回しだが、ソ連語の由来で「ノルマ」という、たとえば1日あたりの、しなければならない労働の最低量として「ノルマ」という語があった。
単語集にはないが、辞書で normal の意味に、数学の「直角の」という意味もある。おそらく、古代ギリシア人あたりが、角度の基準として直角(90度)を採用したのだろう。
なお、数値的な「平均の」を言いたいなら、 average である。形容詞「平均の」も名詞「平均」も average である。桐原4500では、normal のページといっしょにaverage も書いてある。
normal の対義語 abnormal は「異常の」「異常な」の意味である。
逆に考えれば、normal の意味は、「通常の」「正常の」でもある。桐原のnormal に「正常な」が書いてある。東京書籍の副詞 normally に「通常は」が書いてある。
ordinary 「ふつうの」「平凡な」は、よく「生活」と結びついて、ordinary life 「ふつうの生活」(東京書籍の訳)または「平凡な生活」(桐原の訳)
ordinary はこのように、並外れた部分がないというニュアンスがある。
逆に対義語の extraordinary は、「並外れた」の意味である。
「異常気象」は extraordinary weather である(東京書籍、ジーニアス)。
単語集にはないが、「臨時国会」も an extraordinary Diet session (ジーニアス)あるいは an extraordinary session of Diet (センチュリー)のように言えることも、覚えておきたい。なお、Diet とは、日本の「国会」のこと。外国の国会の呼び名は違っている場合も多いので、外国の国会のことを言いたい際には、その国ごとの呼び方を調べること。
そのほか、ルールに従わせるための統制や、そのための訓練のことなどを、 discipline という。
子供の「しつけ」や、学校の規律などが discipline である。
ジーニアスいわく 「学校の規律」 school discipline である。
また、センチュリーいわく「学校での規律」は discipline in school である。
子育てや教育にかぎらず、たとえば行政などの「金融統制」は financial discipline である(ジーニアス)。
そのほか、単語週では旺文社1900しか紹介していないが、大学での「学科」や「学問分野」のことも discipline という。辞書には普通に「学科」も「学問分野」も書いてある(ジーニアスで確認)。なお、実は旺文社では「学問分野」しか書いてないが、説明の都合で段落冒頭では「学科」も加えて紹介した。
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通訳と翻訳
「通訳する」「解釈する」 interpret
「翻訳する」 translate
「通訳」とは、普通、口頭での翻訳のこと。
だから翻訳サイトの「グーグル翻訳」も、べつに口頭でのやりとりではないので、英語では google translate なわけである。
「通訳者」は interpreter である。
「同時通訳」は simultaneous interpretation である(旺文社 simultaneous、ジーニアス、センチュリー)。
simultaneous は「サイマルテイニアス」と読む。シミュ~とは読まない。
名詞形の「通訳」「解釈」は interpretation である(旺文社)。
東京書籍と桐原だと「解釈」の意味しか紹介していないが、しかし上述のように「同時通訳」でも interpretation は使われるので、「通訳」の意味も覚えるべきだろう。
なお、数学の「連立方程式」は simultaneous equation である(ジーニアス)。
simultaneous の部分が「連立」である。 「方程式」は equation である。
翻訳者は translator である。
[[カテゴリ:英語]]
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すじにくシチュー
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wikitext
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設立
constitute と establish と found
found という動詞がある。動詞「見つける」find の 過去形foundとは別に、原形で「設立する」のfoundという動詞がある。
「設立する」は活用が、
原形 found - 過去形 founded - 過去分詞 founded
と変化をする。
foundの意味は「設立する」。「創設者」を名詞 founder と言うのを記憶の土台にすると、覚えやすいだろう。名詞 foundation で「基礎・基盤」や「建設・設立」などの意味。化粧でファンデーションとあるが、あれは和製英語ではなく、れっきとして foundation cream という英単語がある(ジーニアス英和で確認)。
ちなみに金融などで「ファンド」といわれる単語は fund (原形がfund )というまったく別の単語。組織などの「資金」「基金」が名詞でfundである。動詞 fund は、組織などに「資金を出す」こと(旺文社1400)。
なお、「基金の基金を集める」は raise a fund である(旺文社1400。ジーニアス)。また、raise money で「資金を集める」である(東京書籍4500。桐原4500)。
constitute は、議会や制度などを「設立する」。
なお、センチュリー英和によると、「議会を設立する」 constitute an assembly とのこと。
establish は、組織を「設立する」。たとえば桐原4500に「早稲田大学を設立する」という例文で establish が紹介されている。
ジーニアス英和によると、政府・学校・会社などを「設立する」のが establish である。
センチュリー英和によると、国家・政府などを「樹立する」のも establish である。
だが、それよりもestablishは、単語集にはないが、評判などを「確立する」の意味で覚えるほうが良い。
たとえば、センチュリー英和やジーニアス英和にあるが、国家体制など既存の「体制側」や「支配層」のことを establishment という。
いっぽう constitute には、こういったニュアンスはないだろうから。
set up
set up は「創業する」「創設する」の意味である。
このほか、set upには、テント(a tent)や看板(a sign)などを「立てる」という意味もある。
センチュリー英和にもあるが、コンピュータの初期設定のことを set up という。
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主張 claim と insist と argue と contend
議論する argue, discuss
センチュリー英和によると、claimは、当然の権利として「主張する」、あるいは事実であるとして「主張する」の意味。
claimとinsistのどちらにも、「要求する」の意味がある。
だが、claimの要求は、権利としての要求である(東京書籍4500)。
いっぽう insistの要求は、単に強く要求しているだけである。
insistは、特に、強く「主張する」意味である。
ジーニアス英和およびセンチュリー英和では、無罪の主張でinsist on が用いられている。
日本語の、批判のような意味での「クレーム」は、和製英語であり、センチュリー英和のclaimの説明によると、英語にこの意味はない。
なお、「文句を言う」は英語で complain である。
:(※ たぶん範囲外?)海外旅行などで「荷物の受け取り」のことを baggage claim という<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P140</ref>。このように、日本語の「クレーム」と英語のclaim は、だいぶニュアンスが違う。
記号「!」 のことを exclamation (イクスクラメイション)というが、これも動詞 exclaim (イクスクレイム)「さけぶ」の名詞形である。
なお、荷物 baggage は集合名詞なので たとえば複数の荷物を言うときは、 ~ pieces of baggage になる<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P153</ref>(桐原3000)。
発音注意であり、baggage 「バギッジ」である。
なおbaggageはアメリカ英語。イギリス英語だと luggage 「荷物」になる。
一方、「カバン」bagは具体的なカバンのことをいうので、普通に数えられるので、bagの複数形は bags である<ref>『All aboard! English Communication I』、東京書籍、令和3年1月29日検定済、令和4年2月10日発行、P145</ref>(桐原3000)。
さて、claim する人(主張者)のことは claimant である。
ただし、権利の主張などは、insistとclaimのどちらでも良い。
argue は、理由をあげて「主張する」の意味である(東京書籍4500)。argue that ~ で「~だと主張する」の意味である。argue with ~(人) で「~(人)と言い争う」の意味である(桐原4500および旺文社1400)。
なお、argueには、用法によっては、やや非友好的に「議論する」ニュアンスもある。ジーニアス英和にも、argue は「discussよりも非友好的」と記述がある。
たとえば検定教科書 "Standard Vision Quest I" でも、 argueは「言い争う」といった意味であると紹介する一方、discuss は「議論する」であると紹介している<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
ただし、実際には argue には「説得する」などの意味の用法もあるので、ニュアンスの違いはあまり明確ではない。
センチュリー英和に、弁護士の「弁論」をargueとした例文があったが、もし法廷闘争での敵対陣営同士の「弁論」ならargueのほうが、ふさわしいだろう。
なお、「口論する」は quarrel である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
contend は、(東京書籍4500いわく)「強く主張する」とか、(桐原5500いわく)「論争する」とかの意味。
桐原5500の例文にあるが、contend in court で「法廷で争う」。
旺文社1900によると名詞 contention で「主張」「論点」の意味。
旺文社1900とセンチュリー英和が紹介しているが contend that ~ で「~だと主張する」。
旺文社1900 で熟語 an issue of contention (「議論の対象となる問題」)が紹介されてるが、しかしジーニアス英和でもセンチュリー英和でも確認できなかった。
* 異議を唱える
challenge
challenge には課題や競技相手などに「挑戦する」の意味もあるが、議論などで相手に「異議を唱える」の意味もある。
たとえばジーニアス英和からの抜粋だが、 I challenged her. 「私は彼女に異議を唱えた。」
旺文社1900からの抜粋だが、 He challenged the common belief. 「彼は常識に異議を唱えた。」
センチュリーからの抜粋で、 He challenged my statement. 「彼は私の言うことに異議を唱えた。」
challenging で「やりがいのある」。東京書籍3000に例文がある。辞書を見ても、あまり例文が無いので、当ページでは紹介しない。
なお単語集にはないが、ジーニアスによると、競技などで challenger 「挑戦者」 ⇔ defender 「選手権保持者」(防衛側)
である。defender の項目で調べると書いてある。
競技では、challenge は試合を「申し込む」などの意味である。
たとえば、東京書籍3000の例文だが、
Dan challenged me to a game of tennis. 「ダンは私にテニスの試合を申し込んだ。」
また、センチュリー英和に似たような例文
I challenged Betty to a game of tennis. 「私はベティにテニスの試合を申し込んだ。」
がある。
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防御
defend , guard , protect
まず、「ガードマン」は和製。
guard だけで「警備員」の意味がある。特に、警備員であることを強調したい場合、 a security guard という(東京書籍、旺文社)。
a security をつけずに「警備員」と使用してもいい。桐原3000の英文は銀行の「警備員」に、 a security をつけていない。
さて、defend は動詞。guardは名詞および動詞。protectは動詞。
なお、guardian とは、未成年などの「後見人」のこと。旺文社1900ではguardian を「保護者」「後見人」と紹介している。
そのほか、センチュリーでは、たとえば世界平和の「守護者」とか、そういう意味の「守護者」のことを guardian という。そのほか、ジーニアスには guardian の意味のひとつに「保護者」と書いてある。
protect は、病気などから「守る」場合にも使えるが(東京書籍3000)、ジーニアスによると人間などの相手でも使っていいようである。
辞書や単語集では「保護する」と訳される場合もある。
名詞 protection は「保護」の意味。
辞書によると、関税によって国内産業を「保護」することも protect である。また、風雨からの保護の「雨よけ」「風よけ」も 名詞 protection である。
さて、ジーニアスによると、「家族を守る」でprotect one's family である。ジーニアスでは文脈は述べていないが、普通の感覚では、病気とかではなく犯罪などから家族を守ることだろう。
日光(sunlight, sun)から目を守ったり(ジーニアス、センチュリー)、肌を守ったりするのも(桐原4500)、protectである。
たとえば、 protect one's eyes from sunlight 「日光から目を守る」
である。
protect 〜 from B で、「〜(守られる対象)をB(危険側)から守る。」である。
なお、子育てなどでいう「過保護」は英語で overprotect である(桐原5500)。
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汚染
pollute と contaminate
違いは不明確。
桐原5500にcontaminate がある。polluteは桐原・東京書籍の4500にある。
一応、ジーニアス英和および桐原5500には、「毒物や放射能」による汚染を contaminate としているが、彼らがそういう説を言っているだけ。クラウン英和はその説を採用していない、
実際にクラウンの例文を見ると、車の排気ガス汚染で、contaminate という動詞を用いている。
:Car exhaust contaminate the air. 車の排気ガスは大気を汚染する。
という文がクラウン英和にある。
しかし東京書籍4500では、工場の煤煙による大気汚染が pollute である。
クラウン英和にある大気汚染 air pollution のように、そういう用語が既にあるので、実務では業界の用語ごと覚えるしかない。
※高校生としては、不正確かもしれないが、とりあえず「汚染」はすべてpolluteで覚えておいて、実務などで「この場合はcontaminete を使え」と修正された場合にだけ contaminate を使うのが良いだろう。
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傷(きず)
wound, injured, harm, hurt
動詞 wound は、刃物・銃などで「傷つける」、「負傷させる」。桐原3000だと「傷つける」、東京書籍4500だと「負傷させる」。
ジーニアス英和hurtの説明によると、戦いでの負傷には wound を使うとのこと。
hurt は、感情なども含む「傷つける」。偶然か英米人のダジャレかどうか知らないが、心のheart と、心を「傷つける」 hurt とで発音が近い。関連付けて覚えよう。
センチュリー英和だと、hurtには、「傷による苦痛に重点がある」とのこと。
名詞 injury が「けが」という意味。これが「けが」の基本的な単語である。
さて、~ be injured で「~が、けがをする」の意味である。
~ be injured in ・・・ で「~(けが人)が,・・・(原因)でけがをする」である。
単語集によくある典型的な例文が、
「彼はその事故でけがをした。」 He was injured in the accident.
である。
単語集では、自動詞 hurt で「痛む」の意味があり、東京書籍4500で例文を紹介。一方、桐原4500は例文なし。
「おなかが痛い」(※東京書籍4500)とか(靴擦れで)「かかとが痛い」(※センチュリー)とかでも、hurtを使っていい。
桐原4500に名詞 hurt で、「傷」の意味が紹介されている(例文なし)。東京書籍4500にはなし。
hurt には「けが」・「傷」・「苦痛」の意味がある。
「傷」の意味では、injuryとほぼ同義だと、ジーニアス英和が言っている。
hurtとpainの違いが気になるが、あいにく辞書には書いてなかった。
ややしいことに「痛み」を意味する名詞 pain には、「苦労」の意味もある。苦痛ではなく苦労なので、いい意味でも使われる。
なお、painは名詞の用法が基本的な意味だし、名詞の意味は「痛み」。
hurt は動詞の用法が基本的な意味だし、動詞の意味は「傷つける」。
辞書を見ると、実は動詞のpainもあるが、これは「痛む」の意味である。(「傷つける」ではない)painはあくまで「痛み」に関する単語
名詞 harm は「害」の意味。なお、harmful で「有害な」の意味の形容詞<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P111 </ref>。
東京書籍およびジーニアスによると、日光や光によって「目をいためる」のは harm である。
飲酒や喫煙などの「害」がharm 。桐原4500に喫煙の害。センチュリー英和に飲酒の害。
このように、比較的に痛みを伴わないものにも使われる。(センチュリーにもそう書いてある。)
だが、「目をいためる」ように、実際に痛いこともある場合にも使われるので、まあ傾向の程度。
ネットでときどき「有害コンテンツ」という用語があるが、「有害コンテンツ」も英語で harmful contents である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P121</ref>。
ほか、旺文社1900のsubstance ’物質)の項目が言うには、飲食物などに含まれていたら困る「有害物質」は harmful substances である。
さて、動詞 suffer が「苦しむ」という意味だが、 be suffering from ~ で、「~(原因)で、苦しい(つらい)」的な意味。
東京書籍 be suffering from a toothache 歯が痛くてつらい
桐原 be suffering from a backache 背中が痛くて苦しい
などと訳している。
ジーニアスによると、 「風邪をひいている」 be suffering a cold のように痛み以外でも使っていい。ほか、「英国はインフレで苦しんでいる」 be suffering from inflation のように使ってもいい。
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やわらげる
relieve, ease
苦痛などを「やわらげる」は動詞 relieve である。
典型的な例文で、(風邪薬などで)「頭痛をやわらげる」 relieve a headache がある(東京書籍4500およびセンチュリー)。
誰が風邪薬を飲んで誰の頭痛をやわらげるのかによって、飲んだのが「私」だったら relieve my headache になったり、教材ごとに主語による多少の違いがある。
どちらにせよ、単に柔らかいわけでもなく、単に軽減するわけでもなく、苦痛などを減らすのが relieve である。
relieve A of B(苦痛など) で、「AからBを除いて楽にする」の意味。
熟語 get rid of ~ 「~を取り除く」と関連づけて覚えよう。実際、桐原4500がそういう構成である。
名詞形は relief であり、「安心」「緩和」「救援」などの意味である(単語集にある)。単語集にはないが、野球のリリーフも同じrelief である(センチュリーで確認)。
sigh with relief で「安堵(あんど)のため息をつく」である。sigh (発音「サイ」)は、動詞としては「ため息をつく」、名詞としては「ため息」である。
例文は、
She sighed with relief. 「彼女は安堵のため息をついた」
である(東京書籍4500 項目 sigh。旺文社1900 項目 sigh)。
ともかく、「安心」的なのが relieve のイメージなので、be relieved to ~(動詞) で「~で安心した」という形容詞的な用法になる。
というか、辞書ではジーニアス英和でもセンチュリー英和でも、 relieved を形容詞として紹介している。
ease (イーズ)という動詞および名詞がある。これも動詞ease は「やわらげる」「取り除く」の意味である。これは形容詞の「簡単な」 easyの、名詞計および動詞形である。
名詞 ease は「容易さ」「気楽さ」「軽減」の意味である。
This medicine eases the pain. 「この薬は痛みをやわらげる。」
のように使う(東京書籍および旺文社に似た例文)。
ジーニアスによると、頭痛 headache をやわらげるのに ease を用いてよく、旺文社によると胃痛 stomach pain をやわらげるのに ease を用いている。
このような薬による「取り除く」「やわらげる」の意味での ease は、ジーニアスによると、relieve とほぼ同義語とのこと。
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取り除く
remove, eliminate
remove は、「取り外す」の意味に近い。
たとえばパソコンのUSBスティックメモリなどを「リムーバル・メディア」などというが、取り外したあとに、別に捨てるわけでもなく、消去するわけでもない。
このように、remove は単に「取り外す」「取り除く」というニュアンスである。
名詞 removal (リムーバル)「取り外し」という単語も存在しています(東京書籍4500)。
形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」という単語もあります(東京書籍4500)。
「リムーバル」はけっして形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」の誤記ではないです。間違えないように。
一方、eliminate は、取り除いたあとに、処分することを念頭に置いている。または、取り除いたあとに、再度の取り付けの意思がないものに使う。
なので、eliminate で取り除かれるものは、ゴミだったり、あるいは犯罪などの社会悪だったりする。
または、解決すべき問題を片付けることも eliminate である(東京書籍)。
だから eliminate の訳語は「取り除く」である。外すのではなく「除く」に、そういうニュアンスがある。
eliminate (A) from (B) で、「AからBを除去する」である。fromの後ろにあるBが、抹消されるべき対象である。
こういう単語なので、単語集にはないが、ジーニアスを見れば、敵軍などを全滅させる事も eliminate と言うこともある。
なお、生物種の「絶滅」は extinction (エクスティンクション)である。
熟語 get rid of ~ は、そこまであれこれと考えていない。remove的にも使われるし、eliminate 的にも使われる。あるいは、remove と eliminate の中間だと思っておけばいいかもしれない。
さて、 exclude は、「除外する」である。
これよりも、形容詞の exclusive エクスクルーシブの意味「排他的な」のほうが分かりやすいので、そちらを説明する。
exclusive 「排他的」とは、最初から内部に入れない、という意味である。
だからexclude は、最初から中に入れないように「締め出す」という意味もある(桐原で確認)。
excludeの「除外する」の意味については、可能性などを「除外する」という意味もあり、ジーニアスの例文だと、たとえば「明日、雨が降る可能性は除外できる」みたいな割と平和的な「除外する」にも exclude を用いることもできる。
そのほか、exclude は、見当などの際に「考慮に入れない」という意味もあり(ジーニアス、センチュリー、旺文社で確認)、たとえば旺文社の例文では「税金は価格から除外されている」という意味の英文で exclude を受身計で用いている。
なお、対義語は include であり、「含む」という意味である。
たとえば「税込み 5ドル」は
<nowiki>$5,</nowiki> tax include
である。
典型的な例文は、
「料金は税込みですか?」 Does the price include tax?
がある( ジーニアス(ただしpriceでなくrate)、 東京書籍(ただし「料金」でなく「価格」と和訳) )。
また、-clude とは「閉じる」の意味である。
だから、たとえば conclude は、話を閉じるので「結論づける」「締めくくる」の意味。conclusion は「結論」の意味。
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消去する
erase , delete
(※ 範囲外)火を消す extinguish
鉛筆で書いた文字を消しゴムで消すのが erase である。
また、消しゴムをアメリカ英語で eraser (イレイサー、イレイザー)という(東京書籍1800、旺文社1900)。なおイギリス英語では rubber である。
黒板ふきも eraser である(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
コンピュータのデータを消すのは、erase も delete も使われるが(ジーニアスで確認)、しかし現代では delete でデータ消去を表すのが普通である。
実際、パソコンのキーボードにも delete キーがある。
旺文社の例文も、メールの削除を delete で表現している。
なお、東京書籍と桐原の単語集には delete は見当たらない。
昔なつかしいテープのデータを消去するのには、erase が使われるようである(ジーニアス、センチュリーにerase でテープのデータを消す用法あり)。
erase で消すのは、文字のほかにも、感情を「消す」などの表現でも使われる(ジーニアス、)。
「記憶を消せればいいのに」みたいな表現でも erase を使う(旺文社、ジーニアス)。
辞書にはないが、delete はもともと動詞で「削除する」「消去する」の意味であるが、現代ではパソコンのデリートキーを表す名詞として、delete が名詞としても使われる(旺文社1900)。辞書のほうが遅れている。旺文社1900が正しい。
なお、名詞形 deletion 「消去」「削除」という単語もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
高校範囲外ですが、火を「消す」は動詞 extinguish (イクステングィッシュ)です。
extinguish は一見すると見慣れないですが、実は高校範囲の単語「絶滅」 extinction (イクスティンクション)の動詞形です。
extinction のスペルのままでは動詞の意味は無いです(センチュリー、ジー二アス)。
消防士による「消火する」から(ジー二アス)、たばこの火を「消す」まで(センチュリー)、extinguish で表現できます。
なお、extinct は形容詞「絶滅した」「消滅した」です。
ほか、生態系の「絶滅危惧種」は an endangered species である(桐原4500 species、ジー二アス endangered)。東京書籍と旺文社には、species の項目自体はあるが、絶滅危惧種はない。
なお、植物の「種」(たね)は、seed という別の単語である(東京書籍4500、桐原3000)。
典型的な例文は、
「農場に種をまく」 plant seeds in the field
である(東京書籍4500、桐原3000)。
plant は「種をまく」という意味の動詞。
field は「農場」である。
動詞として seed 「種をまく」という用法もあるが、旺文社以外1200は紹介していない。少なくとも、桐原3000と東京書籍4500には、動詞の用法が紹介されていない。
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疑い
suspect ,doubt
doubt ~は、「~が信じがたい」の意味。 → don't think に近い
たとえば doubt if ~で「~かどうか疑わしい」。doubt that~で「~でないと思う」である。
suspect ~ は、「どうも~のようだ」のような意味(ジーニアス英和) → think に近い
旺文社1400にあるdoubt 例文で、
doubt ifの例文「私は神が存在するかどうか疑わしく思う」I doubt if god sexists.
および
doubt that の例文 「私は神は実在しないと思う」I doubt that god exist.
が覚えやすいだろう。
suspect~ の 目的語(~)の部分は、原因や容疑などがくる。
例文として「食中毒を疑う」 suspect food poisoning とか(東京書籍4500)、
容疑者は名詞 suspect である。
このほか dubious と言う「疑わしいと思う」(桐原5500)という単語があるが、辞書の例文が不足していてよく分からなかった。単語集では桐原5500に書いてある。
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治療と回復
「治す」 heal, cure ,
「~'''が'''回復する」(自動詞)は recover
「~'''を'''回復する」(他動詞)は restore
「気分の回復」は refresh
「(健康などを)取り戻す」は regain
医療や薬などによって、けが や病気を「治す」一般的な語は cure である。
外傷を治す場合は heal が好んで使われる。
cure ~(人) の語順である。
けが を治す場合、
cure ~(人) of □□(けが・病気)
の語順である。
典型的な例文が
「その薬が彼の病気を治すでしょう」 The medicine will cure him of his disease.
である(ジーニアスの例文を改造し、「あなたの病気」から「彼の病気」に変更)。
桐原にも似た例文があり、
This medicine will cure him of the disease. 「この薬が彼の病気を治すだろう。」
とある。
his disease か the disease かなどの多少の違いはあるが、まあこんな感じの英文になる。
get rid of ~ などと同様に、ofの後ろには取り除かれるべき物が来る。
heal も同様、
heal ~(人) of □□(けが)
の語順である。
だが、東京書籍4500および桐原4500いわく、 heal the wound 「けがを治す」のように、ofを使わずに使われる場合もある。
recover は「回復する」である。
recover from ~ で「~から回復する」である。
動詞 restore は、
「秩序を回復する」 restore order
のような例文が辞書で典型的(ジーニアスとセンチュリーの両方にある)。
さて、旺文社 store 項目によると、パソコンなどで、データをバックアップすることは store である。
そして、単語集にはないが、バックアップをもとに設定データなどを自動的に「復元する」ことを restore という事がよくある。
辞書によると、古い建築物や美術品などを復元することも restore である。
東京書籍4500では、教会を修復するのを restore としている。その教会が古いかどうかは東京書籍4500には書いてない。
桐原では、桐原5500にrestoreが書いてある。
けがの回復ではなく、ちょっとした疲れやノドの渇きや気分などを、軽い飲食物や短時間の休養などで回復させるぐらいの場合は、動詞 refresh (リフレッシュ)で表せる。
旺文社1900がrefreshを紹介している。桐原・東京書籍は紹介せず。
ジーニアスいわく、冷たい水を飲むのも refresh である。
refresh は主語や述語の語順のつかいかわけが難しいので、例文を省略する。
センチュリーいわく、入浴で疲れをとるのも refresh である。また、ジーニアスでもセンチュリーでも、アルコールで気分を回復するのが refresh である。
そのほか、ジーニアスによると、コンピュータなどのディスプレイ上の画像が更新されるのも refresh である。これからのIT時代は覚えておきたい。
regain one's health で「健康を取り戻す」という慣用表現である(ジーニアス、旺文社1900)。
旺文社1900にしかなく、番号 1502 / 1900 の単語。少なくとも桐原4500・5500と東京書籍4500にはない。
He regained his health. 「彼は健康を取り戻した」
のように使う(センチュリー)。
「意識を取り戻す」 regain consciousness もよく使われる(ジーニアス、旺文社1900)。
たぶん She regained consciousness のように使う(旺文社に似た例文)。
また、この用例から分かるように、健康的なものを取り戻す場合、普通は主語が自身の健康を取り戻すのに regain を使う。
「自由を取り戻す」(センチュリー)とか「都市を取り戻す」(ジーニアス)とかの政治的なことも regain である。
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蓄え
store , stock
store は「店」という意味の名詞でもあるが、「蓄える」という意味の動詞でもあり、さらに「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもある。
なお、storeを「店」の意味で使うのはアメリカ英語。イギリス英語では店はshopである。桐原3000にも東京書籍3000にも書いてある。storeは3000語レベル。
stock は「在庫」や「株式」という意味の名詞でもあるが、「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもあり、さらに商品を「店に置く」「仕入れる」などの意味の動詞でもある。桐原と旺文社は、「仕入れる」の意味まで単語を紹介している(ただし例文なしで単語のみ)。
stockは4500語レベル。
しかし単語集では、ややこしいので、stockについては、「株式」「在庫」の意味の名詞だとしてしか、紹介していない。しかし実はstockも動詞の用法があるのである。
センチュリーによると、食料の「蓄え」は、stock でも store でもよい。
たとえばセンチュリーのstockの例文は「我々の食料の蓄え」Our stock of food である。センチュリーのstoreの例文は(リスが冬の備えての)「食料を蓄える」lay in a store of food である。
このように、どっちでも食料 food を蓄えられるので、区別がつかない。
storeは別にリスのような動物限定というわけでもなく、たとえばセンチュリーで図書の「蔵書」 a book of store などの表現もある。
storeが店での商売関係というわけでもない(もし商売に限定だすると、図書の蔵書とかリスの食料とか、説明がつかない)。
なので、stock に「株式」「在庫」の意味があるとか、覚えるしかない。
桐原および旺文社いわく、
be out of stock で「在庫が切れている」
の意味。桐原は例文も紹介。旺文社は例文なし。東京書籍は紹介せず。
例文は桐原も東京書籍も旺文社も、在庫の例文である。
単語紹介だけでが、桐原いわく「株式市場」stock market
旺文社いわく「証券取引所」the stock exchange
である。
語源を調べてみても、 stock の語源は木の「棒」stick と同じだと書いてあるだけで、stock と storeとの区別には役立たない。
さて、単語集にはないが、パソコンなどのハードディスクなどの貯蔵量のデータ記録デバイスのことをストレージ storage という。
ついで、単語集にある情報だが、 storage は、「貯蔵庫」や「保存庫」の意味で、東京書籍4500の巻末にだけ、解説なしで、単語と例文だけ書いてある。
辞書を確認のため見たが、ジーニアス英和は家具の「保管」を storage といい、センチュリー英和は単に「倉庫」を storage といい、あまり共通性はなさそうなので、深入りしない。
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愚か
形容詞 foolish, stupid, silly, ridiculous などがある。
このうち、 foolish, stupid, silly, は、「愚かだ」「馬鹿げている」の意味。
このうち silly は口語調。
<nowiki>Don't be silly.</nowiki> で「馬鹿げたことを言わないで。」という典型的な例文があり、東京書籍4500でも紹介されている。
名詞foolが形容詞になったのが foolish である。
stupid は、辞書によると、foolish よりも、けなしの意味が強い。口頭では使わないほうが安全だろう。
ridiculous は、「不合理で馬鹿げている」意味。センチュリーによると、ridiculousには、あざけりや物笑いの意味もあるとのこと。
単に「不合理だ」の意味なら、 absurd を使う。桐原5500にabsurdが書いてある。なるべくabsurdを使うほうが高尚だろう。
センチュリーによると、absurdは、不合理さ・非常識さを強調している。
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移行と移転と移動
migrate, transfer ,
桐原4500に名詞形migrant (移住者)が書いてありますが、英語では動詞 migrateとは「移住する」や、渡り鳥の「渡る」のことです。
しかし単語集にはないですが、そのほかにもmigrateには、IT用語では古いシステムに入っていたデータやプログラムを新しいシステムの中へと「移す」ことや、開発環境などのシステムを新システムへと「移行する」という意味もあります<ref>[https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/migration.html マイグレーション | IT用語辞典 | 大塚商会]</ref>。
なお似た言葉にreplaceがありますが、これはサポート切れなどで古くなったりして(obsolete)使えなくなったソフトウェアなどを現在の稼働中の使えるバージョンのものに「置き換える」(replace)ことを意味します。
英語では、「『移住』にシステム環境『移行』の意味もある」と覚えることが本質的な理解でしょう。
なお、スペルの似ている immigrate に、(外国から)「移住する」の意味があります(桐原4500)。またなお、桐原4500にも書いてあるが、空港などの入国管理が名詞 immigration である。英会話の教材などでよく immigration が出てくる。
immigrate と migrate の意味の違いを把握するため、辞書の説明に逆らって、私たちは migrate は(環境を)「移行する」で覚えましょう。
これが、moveやtransfer と、migrate との違いです。
なお transfer に「転勤する」「転勤させる」の意味があります(桐原4500)。
「転勤させる」ほうは他動詞なのでtransferでもいいのは分かりますが、「転勤する」と「移住する」の区別が難しいです。まあ、おそらく他動詞からの類推か、慣用的にtransfer が定着しただけでしょう。
なお、辞書にありますが「転校」や(プロ選手などの)「移籍」もtransferです。
高校生物の遺伝に関連する細胞物質のひとつで、トランスファーRNA (transfer RNA)というのがあります。こういうのと関連づけて覚えましょう。
また、列車・バスなどの乗り換えも transfer です。
スペルの似た単語で、transport という動詞および名詞がありますが、動詞 transport は「輸送する」です。
transfer 「乗り換え」はおそらくtransport 「輸送する」との関連で定着した表現でしょうか。
単語集にも辞書にもないですが、インターネット用語で HTTP というのがありますが、これは「Hypertext Transfer Protocol 」の略です。データなどを「転送する」のも transfer です。
センチュリー英和によると、銀行口座に「振り込む」もtransfer とのことなので、「送金する」のようなニュアンスでしょう。
なお、ジーニアス英和およびセンチュリー英和によると、法律用語で、財産などを「譲渡する」もtransferです。
transition という名詞が別にあります。transition は、移行期にあるものについての「移行」のことです。桐原4500 では「議会制民主主義への移行」、旺文社1900では「自動運転車への移行」を例文にしています。
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決定
determine ,decide
辞書にはないが、determine は、断固とした決意で「決心する」「決定する」である。
形容詞 determined がセンチュリー英和によると断固とした決意の意味なので、動詞determineのほうもそういうニュアンスである。
あと、ジーニアス英和にあるが、判決を下すのも determine である。
あと、予備知識がないと気づかないだろうが、東京書籍4500にある例文のように、専門家などが原因などを「特定する」ことや、判定するのも determine である。
実際には、あまり断固としてなくても determine が使われるような例文もちらほらとあるが、あくまで派生的な用法だと思うべきだろう。
だから名詞形 determination は、「決心」「決意」と覚えるべきだし、実際に桐原4500や東京書籍4500でそういう和訳である。
be determined to ~(動詞) で「~する決心をする」
である。受身形で「決心する」になる。
たとえば
He was determined to ~ 「彼は~する決心をしていた」
のように使う。また、完了形にせず、過去形のままで使う(桐原4500の例文、ジーニアスの例文など)。
能動形でも「決心する」の用法もあるが、普通は上述のように受身形で使う(ジーニアス)。
検定教科書で三省堂 CROWN Iを読んでいると、高校1年でもう be determine to do を扱っている。
対する decision は、和訳は「決定」である(東京書籍4500)。桐原によるとdecisionは「決定・決断」だが、しかし上述のように、どちらかというとdesicionは比較的に「決定」のニュアンスのほうに近いだろう。
resolve でも「決意する」だが、東京書籍4500だと彼女をデートにさそう「決心」という例文であり、まったくもって断固とした必死さが足りない。
そんなのよりも、会議などの「議決」のことを resolution というのを覚えたほうが良いだろう。桐原4500に「決心」「決議」と単語の和訳だけ書いてある(例文はなし)。
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減少
decrease, decline , reduce, diminish
まず、高校英語で増減を表す場合につかう典型的な単語は、increase (「増える」「増やす」の意味)および、対義語の decrease(「減る」「減らす」の意味)である。
たとえば、三省堂『CROWN II』「英語表現」教科書では、パラグラフ・リーディング/ライティングの説明で、留学生に関する分析の文章を扱っているのだが、留学生の「増加/減少」<!-- 「/」は原著が全角文字なので、それに合わせた。 -->にそれぞれ increase/decrease という表現を使っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P81</ref>。
この例のように、 increase (増加)と decrease (減少)は対になって使える便利な表現であるので、まずはこれを覚えよう。
熟語というほどではないが、
~(主語) increased by □□(数値) percent.
で、「~が□□%上昇した。」である。たとえば上記のパターンで、東京書籍4500では「その商品の売り上げ」Sales of the product だし、旺文社199では「日本の実質GDP」Japan's real GDP である。桐原3000には数値上昇の例文なし。桐原は昔から単語集では定番だが、しかし桐原だけでは勉強できないこともある。
increase で増える数値はなにも百分率(パーセント)でなくてもよく、たとえばジーニアス英和では、「体重は2キロ増えて60キロになった」 increased by two kilograms to 60 kilograms.
という例文もある。
on the increase で「増大して」の意味。なお、ここでの increase は名詞。
東京書籍4500では「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
センチュリー英和では「大都会における犯罪は増加しつつある。」 Crime in big city is on the increase.
ジーニアスは on the increase の例文なし。このように、ひとつの英和辞典だけでは勉強できない。
別に on the increase を使わずとも、現在増加中のものは現在完了進行形で書いてもよく、桐原3000がそうであり、
「車の台数が増え続けている」 The number of cars have been increasing.
である。
ジーニアス英和にある説明だが、よく、The number of ~ increased. で「~が増えた。」と言う例文があるが、「The number of 」を省いて直接「 ~ increased. 」のように言ってもいい。
実際、東京4500の例文「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
でも、 the number of は無い。
on the increase のbe動詞が単数形(is)なのか複数形(are)なのか食い違いがあるが、英和辞典を見ても、とくに言及はされていない。
increasingly で「ますます」の意味が紹介されているが(東京書籍4500。旺文社1900)、しかし例文は無い。
価値や能力を「高める」場合、enhance (エンハンス)という動詞が使われることもある。だが、辞書でも例文が少なく、あまりいい例文が見当たらないので、説明は省略。旺文社1900だと、603/1900の位置でenhanceを紹介している。だが東京書籍4500では、巻末ちかくで enhance を紹介である。桐原に至っては、4500語レベルではなく桐原5500の後半ちかくでenhanceを紹介である。
さて、decline は自動詞であり、つまりdeclineは「低下する」「減少する」の意味である。
declineの典型的な例文が「出生率は低下している。」であり、東京書籍4500では
The birth date is declining. 「出生率は低下している。」
である。
似た例文が、旺文社1400にもあり、
「出生率は低下し続けている。」 The birth rate continues to decline.
である(旺文社1400)。
なお検定教科書にも decline の単語は掲載されている<ref> 、『CROWN English Communication III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P45</ref>。和訳が検定教科書に書かれてないので不明だが、その検定教科書では経済の議論の紹介で decline が使われているので、「低下する」の意味にて decline を用いているのだろう。
decline には、申し出・誘いなどを「断る」の意味もあり、桐原4500に紹介されているのはこっちの意味だけ。
しかし、高校の検定教科書に、「少子化」 declining birth rate が照会されているので、「減少」の意味のほうもキチンと覚えよう<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P18 </ref>。
名詞形 declination が、ていねいな断りの意味。
reject (計画などの「拒絶」。※却下のような意味)や refuse (拒絶)だと意味が強すぎるのだろう。
reduce は「減少させる」。3R運動のリサイクル、リユース、リデュースのあれ。
「減少」は名詞 decrease と名詞 reduction がある。
reduction は、「削減」のニュアンスで使われることが比較的に多く、桐原4500および東京書籍4500の例文が経費削減である。
reduce costs で「経費を削減する」である。
このほか、diminish や drop や fall などがあるが、やや高校範囲を超える。一応、diminishは桐原5500および東京書籍4500には書いてある。(桐原4500には書いてない。)な
一応、diminish は、検定教科書『CROWN III』で使われている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P73</ref>。
CROWN III にある例文は
But the war 1990's, the threat of war diminished.
という文章(抜粋)である。検定教科書に和訳がないので答えは不明だが、「しかし、1990年代には、戦争のおそれも少なくなった」ような意味である。
直前の文章では、「20世紀は戦争が多く」みたいなことを英語で言っているので、おそらくそういう意味だろう。
辞書で diminish を確認したところ、ジーニアスもセンチュリーも悪い意味に使う例文のほうが多いが、しかしCROWN IIIの検定教科書によると、とくにdiminish には悪い意味合いは無いようである。
桐原5500に書いてある例文も、
We can diminish our fear. 「恐怖を減らすことはできる。」(抜粋)
なので、別にdiminish に悪い意味合いはない。
なお、桐原5500の例文は東北大の過去問。ネットでは「地方国立の入試英語なんて教科書レベル」などの言説もあるが、まあ確かに教科書にはdimisihも書いてあるものの、大分、学習量は大きい。
drop やfall は、旺文社1400の巻末にある類義語の章にだけある(本編には解説なし)。
dropは数量や人口、価格などの減少で使われる「口語的」な語(旺文社が「口語的」と言っている)。ただ、ノーベル経済学者クルーグマンのツイッターを読んでたら、「インフレの減速」のような意味で普通に drop を使っていた。
価格の低下だけでなく、派生してインフレの減速にもdropが使われることから、もしかしたら経済学などでは文語的に drop という単語が使われている可能性もあるかもしれない。
なお、「急騰する」は soar である(桐原5500、旺文社1900)。
単語集の例文だと完了形で have soared だが、急騰の結果として現在でも株価が高いなら完了形にするのが無難だろう。
インフレ率の上昇でも株価の上昇でも何でもいいが、たとえば旺文社1900が株価の上昇の典型的な例文
The stock prices of the company has soared . 「その会社の株価が急上昇した。」
である。
ジーニアスは野菜の価格の急騰、桐原5500は米価の急騰である。たとえばジーニアスでは
The price of vegetables is shoring. 「野菜の価格が急騰している。」
である。この野菜の例文のように、進行形ならもちろん、現在も急騰の真っ最中になる。
時制ついでに桐原5500の例文を紹介すると、
Figure showed the price of rice had soared to record levels. 「数字は米価が記録的な水準にまで急騰したことを示していた。」
である。
なお「痛い」soreと同じ発音である。
ついでに言うと、よく景気の先行きについての見通しで「悲観的」だの「楽観的」だのマスコミ用語でいうが、これは英語でもそう言い、
「悲観主義」は英語でpessimism (ペシミズム)である。
「楽観主義」は英語で optimism (オプティミズム)である。
スペルよりも、まずカタカナで『ペシミズム』『オプティミズム』と覚えてしまおう。社会評論などの書籍などを読んでいると、ときどき外来語として「ペシミズム」などの用語を使っている場合もある。
典型的な例文として
東京書籍4500で「ボブは自分の将来について楽観的だ。」 Bob is optimistic about his future.
である。
似たような例文が旺文社1900にもあり、「彼女は自分の将来について楽観的な気持ちだ。」 She feels optimistic about her future.
である。
桐原4500が紹介しているが、なにも将来でなく経済に楽観や悲観を感じてもいいのである。
桐原によれば、「彼はその国の将来について楽観主義を表明した。」 He has expressed optimism about the country's economy.
である。
wikiオリジナルの例文だが「トムは経済の先行きに悲観的だ。」なら、さしずめ Tom is pessimistic about the country's economy.
とでもなろうか。
なお、英和辞典を見ても、例文が「~は将来に楽観的だ」とか「将来に悲観的になってはいけない」ばかりである。optimistic などの単語が経済予想や株価予想に使えることすら、辞書だけでの勉強では全然分からない。とはいえ、あまり良い市販の英語教材がない。
ともかく、また、これらの例文のように、 be optimistic about ~ で「~に楽観的だ」となる(東京書籍4500)。悲観の場合も pessimistic で同様。
念のため、派生語も含めて一覧にすると、
optimism 「楽観主義」、
optimistic 「楽観的な」、
optimist 「楽観主義者」(旺文社1900に紹介あり)、
pessimism「悲観主義」、
pessimistic「悲観的な」、
pessimist 「悲観主義者」、
である。
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想像
vision, imagination, image
vision は「想像」の意味があるが、「見通し」の意味もある。もっとも、見通しの意味では名詞 perspective がさらに高尚。
なお、perspective はどちらかというと「視点」の意味である。大局的な視点=見通しのようなニュアンスが perspective である。東京書籍が(大局的な)「視点」、桐原が「観点」。だが、別に大局的でなくても美術の遠近画法のことを perspective というので、東京書籍の説明はいかがなものか。
from a different perspective で、「違った視点から」
たとえばジーニアスいなる例文think about the problem from a different perspective で、「その問題を違う観点から考える」となる。ジーニアスは「観点」、東京書籍4500は「視点」と訳しているが、別にどちらでもいい。
different の部分を別の形容詞にすれば、
from ~ perspective で、「~の視点(観点)から」になる。
なお、スペルの似ているprospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
たとえば形容詞 prospective は「有望な」の意味である。
ジーニアス英和によると、もともとはprospectは高いところからの「展望」のような意味だったようである。桐原4500にprospectが書いてある。
「見込み」outlook という単語もある(桐原5500 のprospect)。桐原5500では prospect の「見込み」の類義語として紹介されている。
もし、「観察力」とかを言いたい場合、observe 「観察する」である。
「洞察力」なら、penetrating 「洞察力のある」である(旺文社1900。桐原5500)。ただし、洞察力の意味での例文は単語集に無い。動詞penetrate には「浸透する」の意味もあって、そちらの例文が市販の単語集には書いてある。
もっと簡単な単語としては insight 「洞察力」という名詞があるので、これを使って洞察力を表現する方法もある。
なお、
語法 give A insight into B で「AにBの見識を与える」
である。
名詞 vision にも、「見通し」「洞察力」などの意味があるので、これでも洞察力を表現できるだろう。ただし、単語集にその用法での例文は無い。
旺文社1900によれば、 a one's(myなど) point of view で「〜の観点から」の意味。だが、これを直接暗記するよりも、まず名詞 view には、「眺め」の意味のほかにも、「見解」の意味があることまず知るべき。
慣用的に in my view, 「私の考えでは、」(ジーニアス、センチュリー)という表現がある。「考え」と訳しているが、「私の見解ですが、」くらいに訳したほうが分かり易いだろう。ただし、英語の view には、個人的な感情も含んで見方を示しているので、そういう意味で辞書では「意見」としたのかもしれない。
だが、 in my view は、ジーニアスによれば、in my opinion よりも控え目な言い回しとして使われる。
まあ、読者の自己責任で和訳してください。
単語集にはないが、viewpoint 「観点」という単語がある。ジーニアスの例だと、
From an economic viewpoint, 「経済的な見地からすると、」(その計画には利点がない)
と続く。
センチュリーだと、
〜 from the viewpoint of employees. 「従業員からの立場からみれば」(昇給はよいことだ)
となる。
旺文社の大学入試出る順シリーズに a point of view が書いてあるから、たぶん入試に良く出るんだろうが、正直言って瑣末な単語であろう。実際、桐原も東京書籍も a point of view を紹介していない。ジーニアスやセンチュリーにすら、少なくともview の項目には書いてない。辞書でpoint で調べると point of view が書いてあるが。
たとえば、センチュリー英和では「アメリカ人の視点から見ると、」(謝罪は自分の誤りを認めたことになる) From an American point of view, 〜
ジーニアス英和では「財政的見知では、」(これは由々しき問題だ) From a financial point of view, 〜
などの例文がある。
熟語 in terms of ~ で「~の点から」。なお terms はterm の複数形。東京書籍4500と桐原4500に似た例文があって、東京書籍「その計画は費用の点から現実的ではない」The plan is not realistic in terms of cost.
なんで terms と複数形なのか不明と思うだろうが、しかし英和辞典にも in terms of と複数形で紹介されているので、受け入れてもらうしかない。
いっぽう、桐原「この計画は時間と費用の関係で現実的ではない。」 This schedule <nowiki>isn't</nowiki> realistic in terms of time and costs.
term ついでに言うと、医療の末期医寮などでターミナルなんとか terminal 〜 とかあるが、辞書で確認すると用語term と末期terminal の語源は一応は同じだが、事実上は意味のまったく違う別の単語だと思うほうが良いだろう。東京書籍4500がそういう見解であり、「用語」 term と 「末期の」「終末の」 terminal を別々の項目として紹介している。
「末期の」の典型的な例文としては、「末期ガン」 terminal cancer がある(東京書籍4500. ジーニアス、センチュリー)。
桐原4500 では terminate 「終わりにする」が紹介。terminateの紹介位置が巻末ちかくの付録のため、例文なし。
駅や空港などのターミナル terminal も、同じスペルである。駅近くなどのターミナルも、もともとは何かの終着のことだったのだろう。
なお、駅が公共バスなどの終点である事例は多い。
そういうバスターミナルのことも、ジーニアス英和いわく a bus terminal であり、またはセンチュリー英和いわく単に terminal という。
センチュリー英和は、バスのターミナルを単に「終点」と訳している。
さて、term には、「用語」の意味の他にも、「期限」「期間」の意味がある。
形容詞 long-term で「長期の」という意味である(旺文社1900)。
単語集にはないが、termination 「満期」「満期の」という単語がある。term にはそういう、限度のある期間的な何かのニュアンスもある。関連づけて覚えよう。
小中高の学校の「学期」もtermであるが、普通は3学期制の「学期」のことをいう(ジーニアスsemester で確認。ほか旺文社 semester )。大学の「前期」「後期」といった2学期制の場合は semester という(旺文社、ジーニアス semester )。
なお、日本の大学は、年間で「前期」「後期」という2学期制である。少なくとも日本の大学はそうである。
英米では、「秋学期」the fall semester と、「春学期」 the spring semester という言い方をする。
普通、英米では、9月から翌年1月までが「前期」the first semester であり(センチュリーで確認)、「秋学期」the fall semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
普通、英米では、2月から8月までが「後期」the second semester であり(センチュリーで確認)、「春学期」the spring semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
果たして大学でもし3学期制の学校があったら何というのかは知らない。まあ、単語なんて所詮は、社会の現状に合わせて言葉が作られるので、社会に存在しない制度の呼び名を考えてもラチがあかない。
imagination は「想像する行為」または「想像力」のこと。
image は、想像によって脳内に思い浮かんだ「像」や「印象」のこと。
動詞形は imagine である。実はimageも動詞とみる場合もあるが、しかしジーニアス英和ではimageの動詞用法は不採用である(ジーニアスでimageを見ても、動詞の用法は無い)。センチュリー英和だと、imageの動詞の用法が書いてある。
形容詞 imaginary は、「想像上の」「架空の」「実在しない」である(ジーニアス英和。センチュリー英和)。
ジーニアスでもセンチュリーでも、「創造」ではなく「想像上の」である。
スペルの似た imagery という単語があり、旺文社には『(集合的に)「比喩的表現」』と書いてある。辞書を見てもジーニアスでしか見つからず、例文もなく、よく分からないので説明を省略。
単語集にはないが、理科のレンズの実像(a real image)や虚像(a virtual image)などの「像」も image である(ジーニアス英和)。
旺文社1900にあるが、テレビの「画像」も image である。上述のレンズとテレビを合わせて考えれば、つまり、光学の像も image であるし、実際に英和辞典ではそう紹介している。
なお、イメージダウンなどは和製英語。イメージが悪化した場合は a bad image のように言う(ジーニアスで確認)。
なお、仏像とか銅像とか、ああいったのは「塑像」(そぞう)とか「彫像」(ちょうぞう)とかいうが、「塑像」・「彫像」の英語は statue (スタチュー)である。単語集を見ると巻末の索引に statue が書いてないので一見すると高校の範囲外だが、しかし自由 liberty で東京書籍4500を見れば「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P28に「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。
このように、「自由の女神像」 the statue of liberty は事実上の高校必須の単語である。
liberty「自由」は普通、国家権力からの自由の事を言う。
だから liberal は形容詞「自由主義の」または名詞「自由主義者」の意味がある。(桐原4500が名詞「自由主義者」も紹介している。東京書籍は形容詞だけ。)
liberalism 「自由主義」である。
statue は、桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P31に「ブロンズ像」 a bronze statue が書いてある。
光学ついでに言うと、「反射する」は reflect である。典型的な例文が、「日光を反射する」reflect sunlight である(東京書籍4500、センチュリー)。
ジーニアスには「鏡は光を反射する」
A mirror reflects a light.
という例文もある。
だが、桐原4500や旺文社1900では、reflectの、意見などを「反映する」の意味のほうが紹介されている。
とりあえず、ジーニアスによれば「世論を反映する」 reflect public opinion である。
センチュリーや桐原や旺文社を見ても、「反映する」は他動詞的に使うのか自動詞的に使うのか、能動形や受動形か、あまり使い方がはっきりしない。
reflect on ~で「熟考する」「回想する」の意味(旺文社1900では熟考、東京書籍では回想を紹介)。東京書籍のには例文あり。著作権のため本ページでは紹介しない。
名詞形には reflection と reflex がある。意味が微妙に違うので、必要な場合には英和辞典で確認せよ。
なお、単なる「視野」や「視界」のことは view である。だが、辞書でviewの項目を見ると、「見解」の意味が先に書いてある。少なくともジーニアス英和とセンチュリー英和はそうである。辞書よりも単語集で勉強しよう。
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可能性 possibility, probability, likelihood
成功の見込み、成功の可能性 prospect
潜在能力 potential
probability (プロバビリティー)は「見込み」「確率」の意味(旺文社1900)。数学の「確率」で probability が使われるので、もし確率ではない単なる「可能性」のことをいいたい場合は、別の言い回しが必要な場合もあるだろう。
関連語として、副詞 probably「たぶん」がある(旺文社、桐原)。
形容詞 probable (プロバブル)については
It is probable that ~ 「たぶん~だ」
の意味(桐原4500、旺文社に似た和訳)。
対義語 impossible (インポッシブル)「不可能である」も覚えておきたい。
ほか、prospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
「可能性」を意味する likelihood (ライクリフッド)という単語もある(旺文社1900巻末)。副詞 likely 「ありそうな」の名詞形である。
possible (ポッシブル)について、
It is possible that 人 to do
で「人が do するのは可能だ」の意味(桐原4500、東京書籍3000)。
capability (ケイパビリテイー)は「能力」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
ability (アビリティー)は「能力」「才能」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
「たぶん」を意味する副詞の maybe(メイビー) と perhaps(パハップス) と probably(プロバブリー) については、省略。書きたくない。
東京書籍3000が、ひとまとめで maybe や perhaps と probably を説明している。
東京書籍3000は紹介していないが、 likely (ライクリー)形容詞「ありそうな」、副詞「たぶん」という単語もある。
名詞および形容詞のpotential (ポテンシャル)は翻訳の都合で(名詞の場合なら)「可能性」と訳す場合もあるが、なるべく「潜在能力」 potential という訳で覚えましょう。
形容詞としての場合、「潜在的な」で potential を覚えましょう(桐原3000巻末)。
物理学の位置エネルギーのことを英語で potential と言いますので、科学的な専門用語でもあります。
桐原3000巻末のセンター試験特集によると、「潜在能力」などの意味ですが potential はセンター試験での出題をされた単語らしいです。
センター出題の背景事情として、ポテンシャルは物理学などで使う用語だという背景があります。
日本語でも、物理学の専門書などを見ると、普通に「ポテンシャルエネルギー」とか単に「ポテンシャル」などと言ったりもします。
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計画
scheme, plan, project
~するつもり intend , plan
桐原4500 が scheme を「たくらみ」の意味だけ例文で紹介している。勘弁してほしい。
まず、旺文社1900 が例文で、政府の「新しい住宅供給計画」を The new housing scheme といってるように、比較的にきっちりとした計画のことである。
桐原・旺文社の単語集にもあるように schemeに「体系」とかの意味もあって、だからニュアンス的には、体系だった計画のような感じがある。
念のためジーニアス英和を見ると、scheme の意味として「政府の公共計画」、「会社の事業計画」などが挙げられている。
そして、そういう派生として、「陰謀」(旺文社)、「たくらみ」(桐原)を覚えるべきだろう。語源はともかく。暗記の負担を減らす理解としては、たとえば
:陰謀は大規模・身の程知らず → 大規模な計画は scheme という → じゃあ陰謀も scheme でいいか
的な連想とかで覚えるのがラクかと。
高校生に語源の知識はいらないし、もし語源が「たくらみ」だというなら、そういう情報を先に教えるべきだし、念のためジーニアスで語源を見てもsdhemeの語源は『「形」が原義』とのことだし、あるいはもし有名大学が入試でscheme の「計画」の意味も出題せずにschemeの「たくらみ」を出題しているならその大学が批判されるべきだろう。
なので、ジーニアスもいってるように、scheme は plan よりも固い語である。
ジーニアス英和やセンチュリー英和にあるように 大綱とか図式とか、学問などの体系とか、教育体系とかも scheme という。
たとえばセンチュリー英和が教育体系なら an educational scheme だと言っている。
plan は「計画」をあらわす一般的な語(ジーニアス)。
project は、長期の「計画」を表す(東京書籍3000)。projectを「事業」「プロジェクト」などと訳す場合もある。東京書籍では「プロジェクト」という訳語を紹介している。
辞書では特にplan と project の違いは述べられていない。だが project の用例を見ると、橋やダムなど公共インフラの建設計画などがよく project で表現される。
「ダム建設の事業」 the project ro build the dam
である(東京書籍3000。センチュリーに似た例文)。
「橋の建設の事業」なら a project to build bridges である(ジーニアス)。
別に公共インフラでなくてもよく、ビルの建設計画でも良い。
なお、大規模な工事などを「計画する」という意味で動詞 project もある。アクセントが名詞と動詞とで異なる。
名詞は、プ「ラ」ジェクトの「ラ」にアクセントがある。なお、日本語では「プロジェクト」と書かれるが、英語ではどちらかというと「ロ」ではなく「ラ」であり、プロジェクトである(センチュリー、ジーニアス)。
動詞は、プロ「ジェ」クトの「ジェ」にアクセントがある。
学生などの研究課題も project という、
計画する plan , intend
動詞 intend to ~ 「~するつもり」は、計画だが、やや欲求・意思に重点を置いている。
動詞 plan は、計画性に重点を置いている。 plan to ~ は「~することを計画している」と訳すのが普通。(「~するつもり」ではなく)
plan a trip to Hawaii 「ハワイ旅行を計画する」(東書3000)
plan to go to Ireland 「アイルランドに行くことを計画する」(桐原4500)
進学などの予定は、intend も plan も使う。
Bob intends to learn karate in Japan.「ボブは日本で空手を習うつもりだ」(東書3000)
Most of these students intend to continue their education at university. 「ここの大半の生徒は大学へ進学するつもりだ」(桐原4500)
べつに進学や就職でなくても、
She intends to go to bed early tonight.「彼女は今晩早くねるつもり」(桐原1900)
Where do you intend to go to tomorrow? 「明日どこへ行くつもりだい」(ジーニアス)
のように intend は今日とか明日の予定でもいい。
名詞形は intention 「意図」である。単語集には例文は無し。高校レベルを超える。(いちおう、東書4500に「意図する」のintend の例文あり。)
ただ、どうしても「意図的」とか言いたい場合は、intentional とかintentinally みたいにその系統の語を使うのが安全そうである。
桐原5500 に deliberate 「意図的な」という語があるが(昔の上智大に出た単語らしい)、intention などとの使い分けが英和辞典を見ても言及されておらず、またネットで調べても情報が一致しない。あるサイトでは、欲求にしたがった意図だという主張もあれば、別のサイトでは熟考した上でも意図だという主張もあり、不一致である。
なお「配達」などの delivery とは語尾のvが違う。bとvの違い。
いちおう deliberate に「熟考した上での」という意味もあるが、しかし、あまり行儀のよろしくない行動にも deliberate の「意図的な」を使う例文もあるので(たとえば故意犯みたいな)。・
a deliberate insult 意図的な侮辱(ジーニアス)
the fire was stated deliberately その放火は意図的だった(グランドセンチュリー)
みたいな。
もちろん悪事だけでなく、良いことにもdeliberate を使ってよい。
a deliberate refusal よく考えた上での辞退(ジーニアス)
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陰謀(主に「共謀」)
conspiracy
たくらむ
scheme
高校英語としては、陰謀で覚えるのは conspiracy と、あとはschemeで十分だろう。
ジーニアス和英辞典によると。「たくらむ」には、plot, conspire , scheme , contrive ,hatch がある。
これらの単語には、陰謀以外の意味で使われるものあり、
比較的に簡単な単語なら、
plot は、よく数学的なグラフに「点を打つ」とかの意味で使われる。
なんと高校の単語集には plot がない(桐原3000・4500・5500と東京書籍3000・4500を調べた)。点 point とか教えてるのに「点を打つ」plot がないとは、英語教育の界隈はどういう了見か。反省を願う。中学数学レベルの簡単な英単語も教えられないくせに conspiracy とか教えているのか。
一応、「x軸」 x-axis とか「y軸」y-axis とかは、検定教科書で見かける<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P145</ref>。
ジーニアス英和で plot を見ると、「(裏切りの)陰謀」「たくらみ」が最初の意味だが、なんだかなあ。いまどき plot なんて数学の座標で使うのが人生で最初だと思うが。
センチュリー英和の言うように、地図や図面などに位置を書き込むことがプロット。
なお、小説などの筋書きも plot といい、センチュリーはこの筋書きの意味をplotの名詞の項目で最初に紹介している(動詞のほうは、「たくらむ」だけ紹介)。
しかしセンチュリーのほうだと、動詞には、図面や地図に位置を書き込むことの動詞がない。
本当もう勘弁してほしい。英和辞典ともあろうものが中学校レベルの英語くらい書けないのか。
scheme は上述のような体系的な「計画」だし、
hatch は(鳥などが)「ひなからかえる」「卵からかえる」「卵をかえす」とかの意味。船などの昇降口のハッチ hatch とスペルが同じ。
contrive には、(ジーニアス英和によると)「考案する」・「うまくやりとげる」の意味もある。
conspire が、「共謀する」の意味。桐原5500でも、conspiracy の例文の主語が複数形になっているので、和訳には「陰謀」とあるが内容は「共謀」である。
ちなみに「陰謀」の名詞は、桐原5500が紹介しているのは、intrigue (イントリーグ)とconspiracy (コンスピラシー)である。
これだと意味が強すぎるので(政府転覆とか)、ちょっと何かをたくらんでいるぐらいの場合に、scheme とか plot とかを使うとよいのだろう。
ジーニアス英和で intrigue を調べてみたが、例文がなく、よくわからなかった。なお、名詞も動詞も intrigue である。
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多様性
variety ,diversity
東京書籍4500は variety と diversity の違いの細かい説明をあきらめている。
diversity のほうが高尚な言い回し。
東京書籍の言うには、形容詞 variousが「いろいろ」「さまざま」。名詞 diversity が「多様性」である。
熟語 a variety of ~で「様々な」の意味(桐原4500)。
桐原4500および旺文社1900に至っては、そもそもdiversityの項目・ページではvarietyを紹介していない。
桐原4500 が「民族の多様性」 ethnic diversity という表現を使っている。
センチュリー英和がdiversityの項目で biological diversity 「生物学的多様性」という表現を使っている。
「生物多様性」のことを biodiversity または biological diversity という(旺文社1400)。
biodiversity は辞書(ジーニアス、センチュリー)に書いてある。
辞書のbio- の項目では、biological diversity は辞書では見つからなかった。
なお、ややこしいことに、diversity およびvariationには「差異」「相違」という意味もある。
和製英語のバライエティーおよにバリエーションは、やや意味が間違っている。
variation は、「差異」・「相違」・「変化」の意味(東京書籍4500および旺文社1900)。高校数学ではわかりづらいが、大学の数学で「変分法」という微分積分の発展的な分野のようなものがあって、これに variation という英語が相当している。( [https://kotobank.jp/word/%E5%A4%89%E5%88%86%E6%B3%95-131413 コトバンク『変分法』] )この変分計算では、関数中にある変数の代入値を少しだけ変化させたら関数がどう変化するかを考察しているので、英単語 variation の訳語のニュアンスに近い。
なお「微分」はdifferential、導関数はderivative なので、混同しないように(※ 大学受験に出ないので覚えなくて言い)。
桐原4500の例文にもあるが a diversity of ~ で「多種多様な~」の意味。 a diversity of wildlife で「多種多様な野生生物」と桐原4500が紹介。
なお余談だが、近年では国籍や性別(男・女のほかにも、さらにはLGBTなど)などの多様性のこともよく「ダイバーシティ」 diversity といい、よく人権などの関係した議論でこの用語護が出てくる。今後の公民科目などの範囲になるだろうから、本・英単語集のページでは深入りしない事にする。
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十分・充分
sufficient ,adequate, enough
sufficient ⇔ deficient
適切である suit, be adequate for,
enough は形容詞にも副詞にも使われる。
sufficient と adequate は形容詞。
ジーニアス英和に、adequate の類語が sufficient , enough だと書いてあるが、ニュアンスの違いは見当たらなかった。
形容詞 sufficient 「十分な」は enough よりも固い語である。
だが、その用法だけではない。
強制ではないが、sufficient は、質・量ともに十分な場合に好まれて使われるニュアンスがある(センチュリー)。
一方、単に量が多い場合や、特に質が問われない場合などに enough を使うという、使い分けがある。
be sufficient to ~(動詞) 「~するのに十分である」
である(桐原、東京書籍)。
sufficient の名詞形は sufficiency 「十分足りること」である(桐原)。
対義語は insufficient 「不十分な」、または deficient 「不足した」(デフシュント)である(東京書籍)。
センチュリーいわく、sufficient では質も問われるニュアンスがあることも合わせれば、対義語との関係は、
(質・量とも)「十分な」sufficient ⇔ deficient(質・量が)「不足した」
である。
センチュリーの訳語を比較した範囲では、insufficient よりも deficient のほうが絶対量の不足という意味合いが強そうであった。そのためか、deficinet は「欠乏」と訳されることもある(センチュリー)。つまり deficient 「欠乏した」「不足した」などの意味である。
名詞形 deficiency 「不足」「欠乏」「欠陥」という単語もある(旺文社 deficit 項目、センチュリー)。
ほか、貿易赤字などの「赤字」は 名詞 deficit (デフィシット)である。
つまり、「赤字」 deficit である。
「貿易赤字」は a trade deficit である(旺文社、センチュリー)。
数学用語だが、「十分条件」は sufficient condition である(旺文社1400)。なお、「必要条件」は necessary condition である(旺文社1400)。
sufficient O(目的語) to V(動詞の原形)
で、「Vするのに十分な量のO」
~ be sufficient to V
で、「~はVするのに十分だ」
be adequate for ~ は、「~に十分な」とのことだが(東京書籍)、しかしジーニアスを見ても例文がなく、よく分からなかった。
be adequate for ~には「~するのに適している」の意味もある(桐原)。
「適切である」を言いたいなら、動詞 suit (スート)ひとつで足りるだろう。
たとえば
「このソフトウェアはプログラミングに適切です。」 This software suits programming.
のように(wikiオリジナルの例文)。
suit 自体は桐原4500・東京書籍4500・旺文社1900の3冊とも紹介しているのだが、
しかし「適切である」の例文は、東京書籍しか紹介していない。
しかも、待ち合わせの時間が「好都合である」の訳。
違う英文だが、
(待ち合わせの時間を聞かれた返事で)「金曜日が好都合です」 Friday suits me.
のような使い方(オリジナル。ジー二アスに似た例文。センチュリーに似た例文)。
桐原が紹介している例文は背広のスーツだし、旺文社のは「訴訟する」の suit である。
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不足
lack , shortage
かつて受験英語などで「欠乏」lack ,「不足」shortageのような使い分けがあったが(実際、ネット検索するとそういう説明も出てくる)、しかしこの分け方は正しくない。なぜなら、英和辞典で lack の項目を見れば、単に不足している場合でも lack を使っているからだ。
lack と shortage の違いは、たとえば「同情に欠ける」とか「常識に欠ける」がlackである。
センチュリー英和を読むと形容詞 lacking の説明で、be lacking in common sense という例文で、「その学生は常識が足りない」という例文もある。
どうも、lack は、慣用句として、配慮が欠けている場合に使うのが英米では自然なのかもしれない。また、その言い回しが、配慮を欠けている事実自体を主張するおかにも、どうも不足の現状に対して非難や批判などのニュアンスも込めてlackが使われていそうである。
おそらく、辞書にあるlackの訳語の「欠乏」が間違っている。ジーニアスにもセンチュリーにも「欠乏」が書いてあるが、正しくは「欠如」(けつじょ)である。(ジーニアスに「欠如」が書いてある。)あるいは、辞書にはないが「欠落」あたりだろうか。欠乏の「乏」とは貧乏の「ぼう」である。
ジーニアスには、lackについて「十分にはないことをいう。まったくない場合はabsence」といっている。ジーニアスはせっかくここまで説明しておいて、なぜ「欠乏」という訳語を使い続けるのか。
欠席のことを be absent from (classなど)というが、上述のabsenceはその形容詞absentの名詞形。つまり、英語では「欠乏」と「欠席」とが同じ単語だという事。
absenceは、ゼロの状態だから、「ゼロでないけれど、大幅に足りない」みたいな表現には向かない。そういう深刻な不足を言いたい場合は、たとえば a serious shortage となるだろう。実際、センチュリ-のsortageの項目に例として a serious shortage (深刻な不足)や an acute shortage (深刻な不足)や a severe shortage (深刻な不足)などが 書いてある。<!-- 原著で訳語「深刻な不足」をそれぞれの単語に書いてあるので、けっしてwikiでひとまとめにしないこと。またニュアンスも微妙に違う。-->
さて、食料やら金銭やらが物理的に足りない場合は、どちらでもいいが、辞書を見る限り shortage のほうがそういう物資の不足での例文が多い。
たとえば東京書籍4500にあるが water shortage である。
食料不足は、東京書籍4500では The shortage of foodだが、センチュリー英和では food shortage である。
労働者不足が the shortage of labors である(旺文社1400(簡単なほう))。
医師不足が a shortage of doctors である(桐原4500)。 冠詞 a と the の違いは文脈に応じただけのものなので、読者は気にしなくていい。
なお、lack は動詞の場合もある。
単語集を見ても、lackとshrtageの違いとか、書いてない。まったく。
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直観と直感
intuitive(直観),
洞察
insight
英語というより日本語の問題なのだが、「直観」と「直感」では意味が違うので注意が必要である。
「直観」には、洞察力のようなニュアンスがある。
だから
直観の intuitive は、「直観的な」「直観力のある」などと訳す(東京書籍4500)。
名詞形 intuition だが、桐原5500の例文の和訳で(なお東大の過去問例文)「動物、中でも人間は起こりそうなことに関して鋭い直観力を発達させたと考えることができるだろう。」 We <nowiki>coudn't</nowiki> expect animals, especially humans, to have developed sharp intuitions about probably. とある。
英和辞典でintuitive などを見ても、ほとんど例文がないので(センチュリーには例文がなかった)、桐原のこの例文を学ぶのが良いだろう。
あるいは英和中辞典などを見れば例文があるのかもしれないが、さすがに高校英語でそこまでする必要はないだろう。
あと、東大は辞書を見ても満足に例文のない単語を大学入試に出しているわけだが、はてさて、見識が問われますなあ。まさか高校生に中辞典を買わせるつもりでもあるまいし。
もっとも、「洞察」「洞察力」については insight という別の専用の単語があり、普通に4500語レベルの単語集にある。
いっぽう、「直感」は、単なる勘に近い。和英辞典によれば、hunch とか scent が直感である。(高校の単語集にはない)
センチュリー英和によれば hunch は「虫の知らせ」で、口語のニュアンスがある。
scent には、名詞 scent には「勘」の意味もあるが、「臭い」とか「嗅覚」とか「香水」の意味なので、動詞scent には「かぎつける」の意味もある。
hunch も scent もこういうふうに口語っぽい内容なので、まあ単語集には出ないだろう。
そのほか、名詞 instinct (本能)にも「勘」の意味があるが、どちらかというとinstinctは「本能」で覚えたほうがいいだろう。
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結果
consequence , result
辞書にはconsequenceでは「結果の重要性を意識している。resultより固い語」とか書かれるが、
だが、東京書籍4500にはconsequenceは「通例望ましくない内容について用いられる」と説明がある。
実際、センチュリー英和で例文を見れば
「戦争の結果」In the consequence of the warだとか
ジーニアス英和だが「結果として戦争になった」have grave consequence (「重大な結果をもたらず」※戦争の婉曲表現)とか、
あと形容詞だが「天候不順の結果の食糧危機」food shortage consequent on bad water とか、
そんな例文ばかりである。
どうやら consequenceは、結果の深刻性を感じてほしい的なニュアンスのようだ。
なお桐原4500および旺文社1900みても、そういうニュアンス説明は無い。
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取得・獲得
acquire
acquire は、(技術・知識などを)(努力して)「得る」の意味。(東京書籍4500など)
典型的な例文で、
acquire a new skill 「新しいスキルを身につける」
がある(東京書籍4500。旺文社1400にも近い例文)。
「外国語を習得する」acquire foreign languages
という例文もよくある。(桐原4500。センチュリー英和aquireの項目)
辞書にはよくaquireの用法で「(知識などを)身につける」とあるが、しかし語学のようなレベルの「知識」である。
acquire には「習得」以外の用法もあって、
努力して大金や土地などを「獲得する」ことも acquire というが、単語集には例文がないので、説明を省略。桐原の単語集に「(努力して)獲得する」とだけ説明してあって、技術の習得の話をしてないのは、土地などの獲得を意識したものだろう。
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「異国風」
exotic
形容詞 exotic (イグザティック)は、通例では、欧米人の目からみて「異国風」という意味であり(旺文社)、けっして単に異国風なだけでなく、加えて、めずらしくて面白かったり興味をひかれる性質のことである(ジーニアス、センチュリー)。
具体的にいうと、日本国内で言うなら、京都などの寺社は exotic だろう(特に出典は無い)。日本に存在していても、東京の高層ビル群などは exotic には写らないだろう。
日本語でもローマ字読みで「エキゾチック」と言う。日本でも、よく文学評論とか芸術評論とかで使われる単語なので、覚えておきたい。もっとも日本で「エキゾチック」と言う場合、東南アジアや中東やアフリカなどの観光的な光景なので、英語とは微妙にニュアンスが違うが。
さて英語では、動物や植物が「外来種」や「外国産」などの場合も exotic という。農産物だけでなく、言葉が外国由来の場合も exotic という。
旺文社の単語集で、動物園の例で exotic と言っているのは、そういうニュアンスもあるだろう。
桐原と東京書籍の単語集では、exotic が見当たらない。
辞書によると、「外国の」・「外国人」という意味もあるとのこと。言葉が外国由来の場合も exotic というので、それと関連づけて「外国人」なども覚えよう。
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広さ
broad, vast
broad は、幅が「広い」。
典型的な例文が 「(道幅の)広い通り」 a broad street である(東京書籍4500および桐原4500)。
幅広い知識 a broad knowledge とか(ジーニアス)、「幅広い趣味」 a broad range of hobby とか(東京書籍4500)のように、物体以外の知的興味の広範さにもbroadを使う。
インターネットのブロードバンド broadband のブロードと同じ単語(東京書籍4500)。
vastは、面積が「広大な」である(東京書籍4500)。だが実際はセンチュリー英和では、ビル(建築物)や宇宙などもvastだとする例文を提示している。
broad の対義語は narrow 「狭い」。
体積が大きいのは huge 「巨大な」。(桐原4500。ジーニアス英和)
なお、「体積」は英語で volume である(旺文社1400、桐原4500)。volumeの意味は、「体積。容積。音のボリューム。本などの一巻。」の意味である。
turn the volume up で「音のボリュームを上げる」である(旺文社、東京)。
「音量を下げる」なら turn the volume down である(東京)。
コンテナの「容積」とかも、volume である(旺文社)。 the volume of the container 「コンテナの容積」である。
科学や工業などの「容積」「体積」でなくとも、たとえば「交通量」the volume of the traffic とか(東京書籍)、「ごみの量」the volume of garbage とかにも volume は使われる。
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娯楽
amuse , entertain
センチュリー英和によれば amuse は笑わせる事などのような意味での「楽しませる」。
entertain は、知的な面白さに重点がある。
entertain でよくある例文が、話や音楽で聴衆を楽しませる系の例文(東京書籍4500およびセンチュリー英和)。
たとえば entertain the audience で「聴衆を楽しませる」(東京書籍)。
また、熟語 entertain A with B で「AをBで楽しませる」。
センチュリー英和によれば Now let me entertain you with music. で「それでは音楽でお楽しみください」。
entertain には、自宅で客を「もてなす」の意味もある。
よくある例文が、ホームパーティなどで友人をもてなす系。
entertain their friends at their home 「友人をパーティでもてなす」(東京書籍)
entertain our friends at a party 「自宅で友人をもてなす」(旺文社1400)
ただし、実際の例文を見ると、あまり違いは明確ではない。
名詞形のamusement もentertainment も、それぞれ「娯楽」の意味で使われる。
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殺害
murder , kill
murder (マーダー)は「殺害する」の意味の動詞、および名詞としての用法では「殺人」一般の意味である。「殺人犯」はスペルが murderer (マーダラー)であり、スペルが微妙に違う。混同しないように。
「殺人未遂」は an attempt murder である(東京4500)。
「殺人事件」は a case of murder である。
なお、attempt は、困難なことを「試みる」という意味の動詞および名詞(東京書籍)。ジーニアスは、入念な計画と実施の必要な試みが attempt だと説明している。
名詞としての attempt は「試み」などと訳す。
典型的な例文で、
attempt to escape 「逃げようと試みる」
がある(東京書籍3000、桐原4500)。
脱走計画だとかそんなのだけでなく、ジーニアスいわく、エベレスト登頂の「試み」でも attempt とのこと。
90年代、かつて英語単語集に「massacre」(マサカ)という「大虐殺する」の意味の単語がよく載っていが、現代の単語州には無い。「まさか、人を殺すとは!?」という語呂合わせでよく紹介されてたものである。昔の単語集には、ちょくちょくコラム的にゴロ合わせなどが紹介されていた。
英和辞典(ジーニアス、センチュリー)で確認したところ、massacre に「大虐殺」の意味はあるが、一個人の「殺害する」のような意味は紹介されていない。語呂が不正確である。
しかし、近年に「虐殺」でよく目にするのは genocide である。ルワンダ虐殺とか、歴史的に名前が残っている事件の虐殺は genocide が普通であろう。検定教科書でもルワンダの虐殺について genocide という表記を行っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P75 </ref>。
kill や killerとの違いは、killは人間以外のものにも使う。人だけでなく、動物や植物、虫、植物なども、それらを殺したり、あるいはそれらに殺されたりする場合に、killである。
たとえば「魚を殺す」 kill fish である(東京書籍1800)。
それどころか、交通事故などで「死ぬ」場合も kill である。
be killed in ~(戦争や事故など)で「~で死ぬ」の意味。典型的な例文が「大勢の人がその戦争で死んだ。」 Many people are killed in the war. である。(桐原3000と旺文社1200に似た例文あり)
killer については単語集にはないが、名詞として「殺人犯」や「殺すもの」の意味のほかにも、形容詞として「致命的な」の意味もあり、たとえば「致死的な病気」 a killer disease などの例文が典型的。
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奪う・盗むなど
奪う
deprive
wikiオリジナルの例文だが、
The war deprived the children of the liberty. 「戦争が子供たちから自由を奪った。」
のように言う。
桐原4500に「戦争が、この子供たちからふつうの家庭生活を奪った。」 The war deprived these children of a normal home life.
とある。
旺文社1900では「軍隊が国民から自由を奪った。」 The military deprived the citizen of their liberty.
である。、
自由は別にliberty でなく freedom でもよく、たとえば東京書籍4500では、
「多くの子供たちが自由を奪われている」 A lot of children are deprived their freedom.
とある。
熟語 be deprived of~ で「~を奪われている」である(東京書籍4500)。
また、deprive A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(旺文社1900。桐原4500)。
盗む
rob , steal
動詞 rob は、ふつう、強盗とか 引ったくり とかスリに使う。スリかと思われる例文については、たとえば旺文社1900にある(電車で女性から財布を奪う例文)。
rob A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(桐原4500。東京書籍4500)。
東京書籍に典型的な例文「彼らは銀行強盗をした。」 They robbed the bank.
である。
派生語として、「強盗」 robber がある。「強盗事件」は robbery である(桐原4500。東京書籍4500)。
スペルの似ている rid という名詞・動詞があるが、「取り除く」の意味である。
熟語で get rid of ~ で「~を取り除く」である。
rob と rid は意味がまったく違うので、混同しないように注意。
なお、こっそりと者を盗む「泥棒」はthief (シーフ)である(桐原4500)。桐原3000を読めば、こっそり盗む者がthief であるし、ジーニアス英和の thief の項目にもそう書いてある。
なお、複数形は thieves である。ナイフの複数形の活用と同様。さすがにthiefの複数形を筆記で入試に出すのは瑣末すぎるので出題されないだろうが、まあ参考に。
こっそり「盗む」は steal である。桐原3000を読めば、stealの意味は「こっそりと」盗む、と書いてある。
なお、スペルの似ているsteel は「鋼」(はがね)。
さて、「盗む」stealの活用は、 steal - stole (過去形)- stolen (過去分詞)
である。
東京書籍4500の例文「泥棒が私のコンピュータを盗んだ。」 A thief stole my computer.
が典型的な例文であろう。
主語が被害者の場合、have ~ stolen になり、「~を盗まれる」の意味である。
典型的な例文
「私は自転車を盗まれた。」 I had my bicycle stolen.
がある。東京書籍4500と旺文社1400に、ほぼ同じ例文がある。
腕時計が盗まれるのも典型的で、センチュリー英和の桐原3000がそうであり、
「私は腕時計を盗まれた。」 I had my watch stolen.
である。
なお、ジーニアスにあるが、バーグラー burglar は「押し込みの夜盗」。センチュリ-によると、burglar は「(押し入り)強盗」。さすがにここまでは入試に出ないだろう。念のため桐原4500・5500と東京書籍4500を読んだが、もちろんバーグラー burglar は無い。
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気づく
notice, realize, recognize, perceive
「きびしい」
harsh, strict, severe, rigid
realize は、和訳では「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというと realize の意味は「認識を改める」である。
典型的な例文で、「彼は自身の過ちに気づいた。」 He realized his mistake.
みたいなのがある。
いっぽう、notice は単に、物事が目について「気づいた」という意味である。
なお、realize は英国では realise である。<!-- PC設定によっては realise でオートコレクト発動するが、これはイギリス英語をアメリカ英語では読み取れないため。 -->
なお、realize には(計画や夢などを)「実現する」という、まったく別の意味の用法もある。
たとえば「私の夢を実現する」なら realize my dream である(東京書籍4500)。あるいは realize my ambition である(旺文社1900)。
リアリティ reality という単語があるが、日本では小説や英語など創作物などの迫真性などのことをいうが、英語でもそのような創作物の評価における reality の用法はあるが(センチュリー英和で確認)、しかしもっと一般に「警官は彼が述べたことが真実かどうか疑った。」のような文章における「真実性」にも reality が使われる(センチュリー永和で確認)。
reality はけっして創作物に限った表現ではない。
旺文社1900では reality の意味を「現実(性)」としている。
実際、ジーニアス英和を確認すれば、そういう用法もあり、「人生のきびしい現実」みたいな例文でrality をジーニアスは使っている。
旺文社1900にも、harsh の項目で、a harsh reality 「厳しい現実」を紹介している。
なお、real と true の違いで、
true は主に話が「本当の」という意味で使う(東京書籍3000)。
いっぽう、real には、材質などが「本物の」という意味がある。
だから、real money 「本物のお金」とか、real diamond (本物のダイアモンド)などで使われる。
harsh「きびしい」(発音は「ハーシュ」)も、単語集に普通に書いてある。
気候が「きびしい」とか、批判や対応が「きびしい」などのことを harsh という。
東京書籍4500に a harsh winter 「寒さのきびしい冬」という例文がある。
旺文社1900に、harsh environment 「きびしい環境」と言う例文がある。
(桐原4500語レベルではなく、)桐原3000いわく、天候の場合は severe(シビア) でも「きびしい」を表現できる。東京書籍4500で確認したところ、批判の過酷な場合の「きびしい」でも severe を使うこともある。
harsh と severe のニュアンスの違いについては、特に書かれていない。
なお、規則などが厳格で「きびしい」と言いたい場合は strict である。
strict には、説明などが「厳密な」の意味もある。高校の分詞構文の単元で、
「厳密に言えば」 strictly speaking,
などを習うだろう。
ほか、形容詞 rigid (リジッド)でも「厳格な」を言える。単語集(旺文社1900、東京書籍4500、桐原5500)には、この厳格の用例が書いてある。
だが、それよりも物理学の「剛体」が rigid body として覚えたほうがいい。ジーニアスに、rigid は「剛体の」だと書いてある。
単に、「変形しづらい」みたいな意味での「固い」「堅い」のような意味が rigid である。
ジーニアスには、「変形しやすい」flexible の対義語であると紹介している。
規則の融通がきかないのが rigid だと、ジーニアスに書いてある。そういう意味である。
ほか、rigid には「顔がこわばった」「手足がこわばった」などの意味もある。
なお、rigid は発音注意の単語(旺文社)。
ほか、名詞形 rigidity 「厳格」「硬直」などの意味がある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。桐原だと「硬直」の意味が書いてないが、ジーニアスとセンチュリーの rigidity にしっかりと「硬直」が書いてある。
頑固オヤジみたいに「頑固な」「頑固である」と言いたい場合は stubborn (スタボーン)である(桐原、旺文社)。東京書籍は紹介してない。単語集にはないが、辞書で典型的な、「断固とした拒否(拒絶)」a stubborn refusal がある(ジーニアス、センチュリー)。そのほか、stubborn には軍隊などの(または軍隊などへの)抵抗が「不屈(ふくつ)の」という意味もある(ジーニアス)。
(厳格ではなく)「厳粛な」と言いたい場合は solemn だが(桐原5500)、あまり平易な例文が無い。
法律的な宣誓などが厳粛なことや、音楽などが荘厳なことまで、 solemn で表現できる(ジ-ニアス、センチュリー)。
「誓う」という意味の動詞 pledges(プレッジ)も、単なる約束 promise とは違い、厳粛 solemn に約束することであり、たとえば外交などの約束で使われる(旺文社1900の例文もそう、ジー二アスにもそういう例文あり)。その他、公約などで pledge 「約束する」を使う。または名詞として pledge には「公約」の意味もある。
※ ほか、批評が低評価で「厳しい」は damning (ダムニング)だが(センチュリー)、範囲外。
さて、virtual の話題。
ジーニアスを見れば、「仮想現実」 a virtual reality などの例文もある。
旺文社1900を見ると virtualの項目で、副詞 virtually 「事実上の」などもあるが、例文はない。東京書籍4500および桐原4500には例文は無い。桐原5500に副詞 virtually の例文あり、早大の過去問。
なお、桐原5500のviatually の項目いわく、「実質的には(≒practically)」「ほとんど(≒almost, as good as)」である。
念のため桐原3000および東京書籍3000を見たが、virtual などの紹介なし。
practical は「練習」 practiceの派生語。practice には「練習」のほか、理念・理論などの「実践」という意味がある。よって形容詞 practical には「実践的な」「実用的な」「現実的な」などの意味があり、よって副詞 practically には「実質的には」「実際的には」などのような意味がある。
余談だが、昨今、日本の芸能界では「リアリティ・ショー」などが問題になっているが、しかし英和辞典で見ると該当する単語は reality TV である(ジーニアス英和、センチュリー英和、の両方で確認)。
recognize は「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというとrecognizeは「見分けがつく」という意味である。
「足音でジムだと気づいた」とか(ジーニアス英和)、「帽子でジェーンだと気づいた」(センチュリー英和)とか、そういうのがrecgnizeである。
センチュリーから例文を抜粋すると、
I recognized Jane by ~ で、「~でジェーンだと気づいた」
のようになる。
一応、recognize には、新政権の「承認」などの意味もある。
辞書によくあるのは、新政権やイスラエルなどが周辺諸国から承認 recognize を拒まれるという内容の例文。
自分の間違いを認めたり認めないのも recognize である。
ジーニアスの例文では間違いを認め、
「彼は自分の間違いを認めた」He recognized that he was wrong.
である。
センチュリーの例文では間違いを認めず、
「彼は自分の間違いをどうしても認めようとしなかった。」 He wouldn't recognize his mistake.
である。
桐原4500ではrecognize を「認識する」、旺文社1900ではrecognizeを「識別する」とあるが、上述のようなそういう意味である。
perceive 「気づく」について。
名詞形 perception が「知覚」の意味である。この名詞形を覚えるべきである。
「知覚」とは、たとえば桐原のperceive の例文に「ネコは色を知覚することができない」とあるように、そういう意味である。
旺文社と東京書籍は「気づく」の意味の perceive 例文を紹介しているが、桐原は「知覚する」の perceive 例文を紹介するスタンスである。
perception については「認識」の意味もあり、桐原・旺文社にも書いてあるが、しかし「知覚」を覚えれば連想できるだろう。一方、認識から知覚を連想するのは難しいだろう。東京書籍では、perceptionの「認識」は紹介しておらず、「知覚」だけしか紹介していない。このように、知覚のほうが、この語 perception の本質であろう。
* cognitive 「認知の」
cognitive という形容詞があり、旺文社では「認知の」と紹介され、東京書籍では「認識の」「認知の」と紹介されるが、しかし辞書を見ても説明が少なく、よく分からない。桐原に至っては、cognitiveを紹介していない(桐原5500,桐原4500,桐原3000で確認)。
東京書籍でも、巻末で解説なしで、単語と例文だけの紹介である。しかし、旺文社1900での番号は 279/1900 と、かなり前半のほうである。
旺文社1900いわく「脳の認知機能」 the cognitive function of the brain
東京書籍4500いわく「認知能力」cognitive ability
らしい。
どうやら、cognitive は心理学または脳科学などの専門用語っぽいニュアンスのようだが、しかし英和辞典では確認できなかった(ジーニアス英和とセンチュリー英和を見た上で)。
旺文社いわく、「軽度認知障害」が、mild cognitive impairment (MCI)とのこと。
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過酷な
terrible, severe, harsh
ひどい terrible, awful
terrible (テリブル)は翻訳の都合でときには「過酷な」と訳される場合もあるが(ジーニアス)、たとえば暑さがterribleなら「過酷な暑さ」と訳される場合もあるが、
しかし、very bad くらいが terrible のニュアンスである(ジーニアス)。
なので、 terrible は(程度が)「ひどい」と覚えるべきである。
実際、東京書籍4500も桐原3000も、 terrible の意味を「ひどい」としている。
東京書籍3000は「ひどい体験」をterrible な体験としている(著作権のため、本ページでは「体験」は和訳せず)。
こういうふうに使う。
ほか、副詞 terribly は、
たとえば
「とても疲れたよ」 I'm terribly tired.
のように(ジーニアスに同じ例文)、強調するのに使う。
実はよい方向を強調するのにも terribly は使う(ジーニアス、センチュリー)。 (著作権のため、本ページでは例文は紹介せず)
terrible は語そのものにveryのような強調の意味を含むので、terribleをveryで修飾できない。
同様に、delicious(とてもおいしい)、enormous(とても大きい)、huge(巨大な)、marvelous(すばらしい)、terrible(ひどい)、tremendous(ものすごい)、などの形容詞はveryでは修飾できない。これらの語を修飾するには、reallyやcompletelyなどを使う
名詞形 terror (テラー)は「恐怖」「テロ行為」という意味がある。
なので、terrible には「恐怖の」という意味もあるが、この場合は horrible (ホリブル)で表現するほうが誤解のおそれなく無難だろう。
名詞 territory (テリトリー)「領土」「なわばり」も覚えておきたい(桐原4500、東京書籍4500)。三省堂 CROWN I を見ると、もう高校1年で territory を教えている。動物などの「なわばり」も territory で表せる。
なお、「国境」は単に border で通じる。 American border みたいに、国名の形容詞のあとに border を言えば、それでアメリカ国境の意味になる。
severe と harsh は他の節で紹介したので省略。
「過酷な」と言いたい場合、まずは severe (シビア)の使用を検討するのがよいだろう。
痛みが「ひどい」場合は severe を使うほうが無難だろう。
a severe pain 「ひどい痛み」(ジーニアス和英)
である。
形容詞 awful (オーフル)「ひどい」は、悪い意味だけでなく、よい意味でも使われる(センチュリーで確認)。桐原3000語レベル、東京書籍4500語レベル。
よって、awful は terrible とほぼ同じ意味。
もともと名詞 awe が「畏敬」(いけい)の意味である。
だが、awful は、なんだか口語的に「ひどい」「すごい」「おそろしい」みたいな意味になってしまっている。
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全体の
whole,total
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思う
think, suppose
think は「思う」と中学で習うが、辞書で調べてみると、意外とthinkは確信の度合いが高い。
センチュリー英和なども解説しているが、「推測する」といいたい場合は、think ではなく suppose を使うのが適切である。
つまり、「推測する」は suppose である。
推測よりも、やや確信の度合いが高い程度の場合に think を使うのが適切である。
名詞 supposition で「仮定」の意味。
まったく意味の違う用法だが、熟語 be supposed to ''do'' で、「~(do)することになっている」の意味。
よくある例文は、「彼は7時にここに来ることになっていた。」の類。
He was supposed to come here at 7 o'clock.
である。だが、この過去形での「was supposed 」の文は、実際には彼は7時に来なかったことを含意している(ジーニアス英和より)。東京書籍4500に似たような例文があるが、しかし東京書籍4500では含意の件には触れていない。
センチュリー英和によると、be supposed to do は、「(慣習や法律などによって)...するものと考えられている。」とあるので、表面的な言い回しこそ控えめだが、実際の意図はやや強制的・義務的な主張のニュアンスが高そうである。
否定形 be not supposed to do にいたっては「~してはいけない」の意味である(東京書籍4500)。
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証明・証拠
証明・証拠 proof ,demonstration
evidence 証拠
役所などの証明書 certificate
(裁判所などで)証言する testify (※高校必修範囲外だと思ったら、三省堂 CROWN I にあった)
proof には、「証明」「証拠」の2つの意味があるが、なるべく「証明」のほうで覚えるべきである。
なぜなら、数学の「証明」のことを proof というからである(ジーニアスで確認)。
私たちは、高校卒業後もなるべく教育レベルの高い外国人の英文を読むべきであろう。そして教育レベルの高い人ならば、外国の中学高校の数学は習得しているはずなので、よって外国人の彼らには証明を proof という習慣がついているはずである。外国の中学高校レベルの数学の用語も知らない頭の悪い外国人の英文なぞ、読むに値しない。
なお、動詞 prove は「証明する」の意味である。
evidence が、証拠のひとつひとつのことである。ジーニアスによれば、proofは「evidence を積み重ねた最終的な証拠」のことであるとされる。
だが、それよりも、proofは「証明」であると覚える方がよいだろう。
また、少なくとも日本の学問の世界では、個々の実験事実や個別の統計のような、個々の証拠のことは evidence というのが普通である。英語でどういうのか知らないが。
桐原の単語集にあるが、裁判などの「証拠」も「証言」も evidence である。英語では、「証言」と「証拠」を分けずに evidence という。
単語集にはないが、どうしても発言による「証言」であることを強調したい場合は verbal evidence という(ジーニアス英和で確認)。
ジーニアス英和辞典で確認すれば、「証人」すらも evidence である。
prove to be ~ で「~だと分かる。」「~となる。」「~と判明する。」である。
辞書の例文が、事業などが prove to be a success 「成功となる」またはprove to be successful 「成功となる」である(ジーニアスとセンチュリーの両方)。東京書籍4500の例文もこの類。
桐原4500だけ He was proved to be innocent 「彼は無実だと判明した」である。
旺文社1900には、 prove to be ~ の例文は無い。
実はデモンストレーション demonstration 「証明」の意味がある。
一般的には、英語では、行動によって意志を表したり、あるいは、たとえば新製品の実演販売みたいに実演などによって説明すること等を demonstration という。
集団などのデモ行進も、同じ demonstration である。
センチュリーの例文だが、戦争反対のデモなら demonstration against the war である。
一般に、demonstration against ~で「~反対のデモ」である。
だから東京書籍にある「新空港に反対するデモ」なら
demonstration against the new airport
である。
能力の証明なども demonstrate であり、東京書籍に紹介されている。
旺文社1900でしか説明していないが、感情をあらわにすることも demonstrate である。だが、感情のデモは例文もないので、深入りする必要はないだろう。
動詞形は demonstrate である。
ジーニアス和英を見ると、実はdemonstraite やdemonstration には「論証する」などの意味もあり、旺文社1900が紹介しているが、しかし桐原も東京書籍も「論証する」の意味は紹介していない。
センチュリーは、証明についてのdemonstration の意味は、論証ではなく「実証する」であると説明している。
ジーニアスの例文を見ると、「哲学的論理」の論証の例文である。
demonstrate が「論証する」と言っても、どうやら、数学のような論証ではないようだ。
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仮定や論理的思考など
仮定する assume, suppose
当然と思う assume
仮定 assumption, supposition
推測 supposition
「推論する」 infer
仮説 hypothesis
動詞 assume は、「仮定する」「想定する」「決め付ける」などの意味。
共通するニュアンスは、ジーニアスいわく、明確な証拠がなくても想定すること。
名詞形が assumption である。
assume that ~ で「~だと思い込む」(桐原)または「~を当然のことだと思う」(旺文社)である。
たとえば、旺文社の例文「私たちは日本の列車がいつも定刻どおりに運行することを当然と思う」が assume that の例である。
ジーイアスによると、三段論法の「前提」などで、assumption が使われるとのこと。
このため論理的な議論ではassume や assumption が使われると思われるので、覚えておきたい単語である。
しかし、suppose にも「仮定する」の意味がある。
だが名詞形 supposition が「推測」の意味である。なので、suppose はどちらかというと「推測する」のニュアンスが強い。
桐原の単語集にはsuppose は「推測する」の意味しか書いてないが(東京書籍に至っては「思う」しかない)、しかしセンチュリーを見ればsupposeの意味として「推測する」のほかにも「仮定する」も書いてあるのが実態である。なお、旺文社1900でだけ、例文なしで「仮定する」の意味も紹介してえる。
「仮説」と「仮定」は違う。
「仮定」とは、たとえば「仮に○○だとしたら、□□は××になるはずだ」の前半「仮に○○だとしたら」のこと。仮に定めるので「仮定」というわけである。
一方、「仮説」とは、「~の原因は、□□が××だからだ。なぜならば(以下略)」という原因をとなえる主張のうち、まだ真実かどうかの評価が確定してない主張のこと。
「仮説」は英語で hypothesis である。
なので「仮説」は証明あるいは検証するためのものである。
「仮説を証明する」は prove a hypothesis である(旺文社、ジーニアス)。
ただし、実際には派生的に hypothesis でも「仮定」の意味もある(ジーニアス、センチュリー出確認)。
だが、単語集では hypothesis の「仮定」の用法は紹介されていない。あまり知的な用法だとは思われていないのだろう。「仮定」を言いたいなら assumption
で済むし、高度な学問をするなら「仮定」と「仮説」は分離すべきであるし。
infer という動詞があり、事実や根拠などをもとに「推論する」という単語である。
infer that ◯◯(文節) from ~ で「~を根拠に◯◯だと推論する」という意味である。
桐原5500も旺文社も、infer の例文では from で根拠を提示している。
そもそも日本語の「推論する」というのは、事実や根拠をもとに推理・推測することだと、広辞苑(1992年)にも書いてある。
広辞苑の例文にも「事実から推論する。」とある。
ともかく、このように「推論」は根拠とともに使うべき単語である。
infer で推論する内容は、べつに学問的な内容である必要はなく、たとえば「彼女の沈黙から怒っているのだと察した」とか(ジーニアス)、そういうのでも構わない。
infer にはこのほか、「暗示する」(= imply )という単語もあるが、imply という「暗示する」の意味の単語で代用できるので、説明を省略する。
名詞形は inference 「推論」「推理」であり(旺文社)、推論するという行為(旺文社、ジーニアス)または推論の結果によって得られた結論のことを言う(センチュリー)。
by inference で「推論によって」(旺文社)、「推測によって」(センチュリー)である。
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扱う
deal with ~, treat
treat は普通、厚遇する「扱う」の場合に使う。つまり、treatは「厚遇する」である。
ただし、和訳の都合で、「厚遇する」だと表現が硬くなる場合によく「扱う」と訳される。
だが、「扱う」で覚えてしまうと類似語とのニュアンスの違いが覚えづらくなってしまうので、treat は「厚遇する」で覚えよう。
治療の場合にも treat を使う。
dea with ~は、「~を処理する」「~を契約する」などの意味である。
典型的な例文が「苦情を処理する」 deal with complaints である(東京書籍4500。旺文社1900)。
ジーニアスで確認したところ、 deal with にも厚遇の用法もあるが、本ページでは触れないとする。
deal は「分配する」「配る」の意味である(東京書籍4500でも紹介)。
トランプなどの札を「配る」のが dealである。
だからトランプの札を配る人をディーラー dealer とも言う。
deal には「商取引」の意味もある。だから、ある種の商品の「販売人」「販売業者」のことを dealer とも言う。桐原4500が「販売業者」としている。ジーニアスは「販売人」。
同じスペル deal で 「量」の意味がある。
a good deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。
a great deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。東京書籍4500では、 a great deal of ~ で「非常にたくさんの~」としており、数えられない名詞に用いるとしている。
桐原の例文では、 a good deal of snow 「かなり多量の雪」、東京書籍の例文では a great deal of time 「たくさんの時間」、と訳している。
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分配・配分
distribute, deal
食料や出版物などを分配する場合、普通は distribute を使う(東京書籍4500)。東京書籍では「出版物」では「印刷物」としているが(例文でリーフレット leaflet を想定)、しかしトランプの札も印刷物であるので、このページでは「出版物」と表現した。
典型的な例文が
distribute food to the ~で「~に食料を配る」である。
辞書によっては「金を配る」場合もあり、その場合は
distribute money to the poor 「まずしい人に金を配る」である。(センチュリーを参考)
「子供たちにリーフレットを配る」なら、 distribute leaflets to the children となろうか(wikiオリジナル。東京書籍およびジーニアスの例文を参考に組み合わせ)。
東京書籍4500だけでなくセンチュリー英和でもリーフレット leaflets を配る例文である。
単語集にはないが、電気屋などで買えるテレビ信号などの分配器をよくよく見ると、ディストリビューターと言ったりしている。実際、ジーニアスで分配器 distributor である。
単語集にはないが、数学でいう確率分布などの「分布」も distribution である。しかし高校生に「確率分布」と言って通じづらい。
ジーニアスによれば、生物学などでの植物の「分布」も distribution である。高校生は植物のほうが覚えやすいだろう。
deal については「扱う」の項目で説明したとおり。トランプの札などを配ったりするのが deal である。
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比例
ratio, rate, proportion
3:2とか 4:7 とか、とにかく個別の比や比率のことは ratio (レイショウ)という。
そういった個別の比ではなく、たとえば数学で「AとBとは比例関係にある」のような「比例関係にある」のことを形容詞で proportional と言う。
名詞 proportion は比例関係。
そういうのではなく、たとえば利子率など何かの比率のことは rate (レイト)という。
なお、利子率や金利は interest rate という。ここでいうinterest は、「興味」の interest と同じスペル。
桐原4500によると、「失業率」は the unemployment rate である。
東京書籍4500によると、「出生率」は the birth rate である。
proportion には、全体の中で占める「割合」という意味もある。
桐原4500および旺文社1400に熟語 at any rate 「とにかく」が紹介されているが、例文は無い。
実際には ratio にも比例関係の意味があったり、proportion で個別の比に言及することもあるが、ニュアンス的には上記の感じのはず。
例文は省略。著作権的な問題をクリアできそうな典型的な例文が見つからなかったので、読者が単語集などで読者が自身で調べてほしい。
* 合理的
rational,
「合理的な」は英語で rational である。これ単独だと覚えづらいが、実は比率 ratio と冒頭のスペルが同じだし、発音も「レイショウ」と「レショナル」でほぼ同じである。
なお、数学の「有理数」も rational number であり、同じスペルの rational である。
だからか和訳も気をきかしてか、有「理」数となっているわけであろう。(ここら辺の話題は、数学英語の専門書に書いてある、有名な話である。)明治時代あたりの数学者に感謝しよう。
そして、「有理数」とは、整数の比例で表される数のことである。(数学的な厳密性は置いておく。)
つまり欧米人の数学のできる人は、「合理的な」=「整数の比例の」が同じ単語であると認識しているわけである。
こうやって考えると、「比例」ratioさえ知っておけば、そこから「合理的」 rational も普通に覚えられる。
なお、「非合理な」は irrational である。
さて、rational でよくある例文は、「合理的な決断」a rational decision である。東京書籍4500と桐原4500の両方に、「合理的な決断」 a rational decision が書かれている。
ついでに、「自然数」は a natural number である。単語集には「自然数」は書かれていないが。
「実数」は a real number である。
「自然数」も「実数」も、英語または対応するドイツ語あたりを、日本語に直訳しただけである。
なお、「論理的な」は logical (ロジカル)である。「論理」が logic なので、それから覚えよう。
reasonable (リースナブル)と言う形容詞には、「理にかなった」という意味があるが、しかし「値段が手ごろな」という意味もあるので、使いどころが難しそうである。
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出席
attend, present
形容詞 present は、「出席している」の意味もあるが、名詞形 presence に「存在感」の意味がある。
attend が、会議や授業などに「出席する」である。
典型的な例文が、attend the meeting 「会議に出席する」である(センチュリー、東京書籍4500)。
だが、attend school で、毎日規則的に「学校に通っている」の意味である(センチュリー、東京書籍4500)。
学校や教会に規則的に通うのは attend を使う。「教会に通う」の例文なら attend church である(センチュリー)。
授業の出席のattendの例文が、辞書でも単語集でも見つからない。
授業の出席については、present を使うのが安全だろう。
なので、辞書にはないが、どちらかというとattend は、出席するために「~に出ている」の意味ぐらいで解釈したほうがよいかもしれない。
名詞 attention が「注意」の意味である。attention が「注意」なのも、「注意を向かわせる」みたいな意味ぐらいで解釈したほうが、出席の「~に出ている」くらい
旺文社1900いわく、pay attention to ~で「~に注意を払う」である(なお、ここでのtoは(不定詞ではなく)前置詞の用法)。桐原によれば、attend to ~ともいう(toは前置詞としての用法)。
あまり attend と present の概念の違いがハッキリしていない。実務の際は、勤務先の業界の慣習などに任せて使い分けのが良いだろう。
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寄付
donate, contribute
単語集を見てたら、「勘弁してほしいなあ」とあきれたが、contributeには「寄付」の意味もあるが、現代のIT社会では普通はcontributeは「貢献する」の意味である。
「寄付する」はdonateである。
しかも、単語集には、contributeの項目を見ても、donateについては書いてない。donateの項目を見ても、contributeについては書いてない。
たとえばwebサーバなどのよく使われるOSのLinux(リナックス)の場合、寄付以外にも多くの協力活動があって(テストに参加するとか)、そういう諸々の協力活動の全体のことを contribute と言っているのが普通である。
そして、その協力活動の中のひとつに寄付もあって、その寄付が donate という言い回しである。
実際、debian(デビアン) というLinuxの一種のwebサイトはそうである<ref>[https://www.debian.org/intro/help Debian -- Contribute: How you can help Debian] 2022年5月1日に確認.</ref>。
ページ"Contribute: How you can help Debian"の中に、下記のようにいくつも項目があって、
<pre>
Contribute: How you can help Debian
Coding and Maintaining Packages
Testing and Bug Squashing
Writing Documentation and Tagging Packages
Translating and Localizing
Helping other Users
Organizing Events
Donate Money, Hardware, or Bandwidth
Use Debian
How your Organization can support Debian
</pre>
その項目のひとつとして"Donate Money, Hardware, or Bandwidth"があるという構成である。
もっとも、wikipediaのサーバを動かしているOSはDebianではなく Ubuntu(ウブントゥ)というイギリス製OSであるのだが、このUbunutの本家イギリス語版のwebサイトのページで寄付のページには contribute と書いてあるので<ref>[https://ubuntu.com/download/desktop/thank-you Thank you for your contribution | Ubuntu]</ref>、contributeで寄付を意味しても間違いではない。
よく、医療で「血液ドナー」とか何かの提供者のことをドナーdonorというが(旺文社1900)、これもdonateの派生である。
なお、donor の発音はドウナーである。旺文社1900では発音の注意をしている。
なお、ジーニアスとセンチュリーで確認したところ、blood donor とは単なる「献血者」のこと。クルマの「献血車」にあらず。
ジーニアス英和によれば、ドナーカード donor card も英語でそのまま通じる。
なお、桐原3000の donor 項目いわく、「血液バンク」は a blood bank とのこと(桐原3000)。
なお、名詞形は donation 「寄付」である。
単語集によると、make a donation で「寄付する」である(東京書籍、桐原)。
make a donation to our school で「学校に寄付する」。
make a donation to church で「教会に寄付する」
donate で使う場合、ジーニアス英和に donate a money to Red cross 「赤十字に寄付する」という例文があった。
debianのサイトでも donate a money と言っているように、普通は 「donate a 金または金額」のパターンである。
実際、センチュリー英和では donate $1,000 to a charity 「慈善事業に千ドル寄付する」である。
contribute で金銭を寄付する場合でも同様、 「contribute 金額 to 相手」のパターンである(桐原、東京書籍)。
contributeの単語集が金額の例ばかりであるが、センチュリーによれば a money で寄付してもいい。
センチュリーいわく contribute a lot of money to church 「教会に多額の寄付をする」である。
contribute には、なにか望ましくないことの「一因になる」という意味もあり、たとえば「二酸化炭素は温暖化の一因になる」とか(旺文社)、「砂糖は虫歯の一因になる」とか(センチュリー)、「喫煙がガンの一因になる」とか(ジーニアス)。
良いことの一因になった場合にもcontributeを使うが、ただし和訳の際、普通は「寄与した」と訳すだろう。
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闘争と努力 struggle, strive
努力する endeavor ,
不和と摩擦
strife, friction, conflict
紛争 strife, dispute
口論 quarrel, dispute
意見を戦わす dispute, tackle
「努力する」には、struggle と strive と endeavor があるが、高校生はまず struggle を覚えるのが良い。
strive だと、後述のように闘争の意味合いに解釈される可能性がある。
実際、単語集でも、struggle を先に紹介しており、strive はかなり後半で紹介する。
動詞 struggle は「もがく」「あがく」などの意味だが、「努力する」「奮闘する」のような意味もある。
病気や苦痛などから逃れるために「戦う」のような意味もある。
struggle to ~(動詞) で、「~するために努力する」である(東京書籍)。
struggle with ~ で「~と闘う」である。
struggle for ~で「~を求めて闘う」である。ジーニアスによれば、struggle for independence で「独立を求めて闘う」。旺文社によればstruggle for equal right で「平等権を求めて闘う」
名詞も struggle であり、「闘い」「努力」の意味である。
だが、生存競争を a struggle for existence という(旺文社1900にあり。ジーニアス、センチュリーで確認)。
あまり使い分け方ははっきりしないので、慣習に合わせるしかない。
単語集にはないが、権力闘争は a power struggle といったり(ジーニアス)、a struggle for power という(センチュリー)。
endeavor (エンデバー)は動詞で「~しようと努力する」、名詞では「(真剣で継続的な)努力」の意味だが(ジーニアス、センチュリー)、なぜか単語集には、あまり積極的に紹介されてない。endeavor は東京書籍では巻末おくりだし、桐原では5500おくりである。
アメリカの宇宙船の名前でエンデバーというのが昔あったので、特に悪い意味は無いだろう。
しかし、なぜだか、単語集はあまりエンデバーという単語を紹介していない。
動詞として使うときは endeavor to ~(動詞) 「~しようと努力する」
である(東京書籍、桐原、ジーニアス、センチュリー)。
strive という単語があり、これも「努力する」や「闘う」の意味である。桐原だと闘争の意味が書いてないが、東京書籍にきちんとstriveの「奮闘する」が書かれている。
これは比喩的な奮闘ではなく、後述するように名詞形で実際の戦争を扱う。
strive for ~で「~を目指して努力する」または「~を求めて努力する」の意味である。
旺文社1900には動詞 strive の項に、派生の名詞形 strife がスペルと和訳「争い」「不和」だけ紹介されている。
他の単語集には名詞形が書かれていないが、strive には実は派生の名詞形が2つあり、striving と strife である。
辞書にも、strife と strive の関係が書いてないが、明らかにstrife と strive はお互いに派生であろう。少なくとも旺文社1900は 名詞 strife は 動詞 strive の派生だという見解である。辞書のほうが頭悪い。
striving が「努力」の意味。 strife は「紛争」や「不和」など、ぶっそうな意味である。
辞書によると、政治闘争は a political strife である(ジーニアス、センチュリー)。
しかし、ジーニアスによれば、民族紛争などは conflict を使う場合もある。
山川出版の英語版・詳説世界史では自衛隊PKO派遣先の、いわば「紛争地帯」に相当する場所を conflict zone と言っている<ref>橋場弦 ほか監修『WORLD HISTORY for HighScool 英文詳説世界史』、2019年10月15日 第1版 第3刷発行、P.412</ref>。
一方、センチュリーだと、「その二国間には紛争がある。」There is strife between the two countries.
とある。
ジーニアスによれば、家族紛争を a family strife という。
dispute には、「紛争」「口論」「議論」「意義を唱える」などの広い意味がある(桐原)。「意義を唱える」は旺文社の解釈。
「議論」を訳す場合でも、「議論を戦わす」のように(東京書籍、センチュリー)、意見の対立に主眼が置かれている。センチュリーにいたっては、感情的な対立があるとのニュアンスがあるとまで述べている。
だからか労働争議を a labor dispute ともいう(ジーニアス、センチュリー)。
いっぽう、単に意見や議論を戦わせるだけなら、動詞 tackle である(センチュリー、桐原)。ジーニアスにいたっては、tackle の意味で「戦う」の言葉は使わず、tackle は意見を「論じ合う」だとしている。
センチュリーは、「賃上げ(on a raise)をボスにかけあう」を動詞 tackle としている。文脈は違うが、旺文社でも「予算」がどうのこうのと、tackle で金を話をしている。
動詞としては tackle には「問題に取り組む」という用法もある(桐原、東京)。
典型的な例文は、
tackle the problem 「その問題に取り組む」
である(桐原、東京書籍)。
なお、tackle は、ラグビーなどの名詞「タックル」、動詞「タックルする」と同じ単語でもある。
肉体的な単なる「闘い」「闘う」は fight とか battle で良いだろう。
「不和」については friction 「摩擦」を使うも言い換えもある。物理学の「摩擦」 friction と同じ単語である。
「静止摩擦」は static friction である(旺文社1900の static 項目)。ジーニアス・センチュリーのstatic 項目では見つからなかったが、たしかに静止摩擦は static friction だたはずである。
なお、「静電気」は static electricity である(旺文社1900、ジーニアス static 項目、センチュリー static 項目)。
さて、friction の話題に戻る。東京書籍4500と桐原4500・5500には、friction が載っていない。旺文社1900にだけ friction がある。
外交の「不和」には、friction を使える(ジーニアス、センチュリー)。というか、英語で「貿易摩擦」を trade friction と言う(旺文社)。ジーニアス英和やセンチュリー英和で貿易摩擦を確認したかったが、見つからなかった。辞書でfriction で調べてもtradeで調べても、ジーニアスとセンチュリーでは見当たらない。
和英のほうでジーニアス和英を調べると、「貿易摩擦」は trade friction または trade conflict というとのこと。
外交の不和で strife を使うと戦争の恐れの高い不和だと誤解されかねないだろうから、貿易摩擦のようなお金の問題では friction で十分だろう。
さて、努力について、 effort という名詞があるが、しかしこれは名詞である。
なのでeffortで「努力する」と言いたい場合、東京書籍やジーニアスによれば make an effort のようになる。意外と難しい。
effort to ~(動詞)で「~するための努力」である。
東京書籍にあるが、make a great effort 「大変な努力をする」のように、great などの形容詞がつくこともある。
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傾向 tendency, trend, inclination
流れ current , flow
「傾向がある」 tend(動詞), inclined (形容詞),
ミスなど好ましくないことをする傾向がある be liable to ~
その他、好ましくない傾向がある be prone to ~
センチュリー英和を見ると、trend と tendency の違いが説明されている。
tendencyは、たとえばセンチュリーにある「赤ん坊は空腹になると泣くものだ」とか「弱い母音は消失する傾向がある」のように、本来的に、何かのおきる傾向のあること。
trend は「流行」や現在の「趨勢」(すうせい)や「風潮」などの傾向。ジーニアスを見れば「趨勢」や「風潮」の意味も書いてある。
なお、衣服の流行は fashion である(東京書籍3000、桐原3000)。一応、ジーニアスには、衣服だけでなく文学や芸術の流行も fashion ということもあると書いてあるが、しかしセンチュリーは採用していない。
なお、mode も衣服の「流行」の意味であるが、現代では廃れている表現だとジーニアスはいっているし、桐原と東京書籍の単語集に mode は無い。
しかし、旺文社1900にmode があり、「方式」「形態」などの意味である。後述の「携帯」の誤字ではなく、確かに旺文社1900のmodeの項目に「形態」と書いてある。
旺文社1900の単語集は入試準拠なので、おそらく教科書にはないが入試によくある表現なのだろう。総数1900のうちの844番目にmodeがあった。
旺文社1900のいうmode関連の派生表現のひとつで、携帯電話の「マナーモード」は silent mode である。
ほか、物理学の弦の振動などの「モード」もこの単語だったと思うが、辞書には無いので不明(ジーニアスとセンチュリーの両方とも確認したが見つからなかった)。
さて、tendency の話題に戻る。
さきほど trend は「趨勢」や「風潮」だと言ったが、だがジーニアスによると、現在の株価の傾向などで(トレンド trend ではなく) tendency を用いている例文もあり、実際には使い分けは明確ではない。
tendency の動詞形は tend であり、「傾向がある」の意味。というか、動詞 tend の名詞形が tendency である。
tendの意味も、本来的に "~をする傾向がある" という意味での「傾向がある」である。
tend to ~(動詞)「~する傾向がある」の形でよく使われる。
ほかにも、 tendに「世話をする」という意味もあるが、だがこれは、名詞 tender「やさしさ」の動詞形だとみなすべきだろう。
ややこしいことに、動詞 tender は「提出する」「支払う」の意味である。だが単語集に動詞 tender がないので、無視しよう。
一方、trendについて。
センチュリーによれば、「新しい流行」 a new trend とか使う。
東京書籍に the current trend 「現在の流行」という例文もある。
東京書籍によれば、「最近は小型車が売れている」的な意味の流行も trend である。
また、旺文社によれば、「最近は高齢者には運転をやめさせるのが傾向である」というのも trend である。
旺文社の例文を考えれば、和訳が「傾向」であろうが、内容が最近の風潮なので、trendを使うのが正しいわけだ。
形容詞 trendy 「流行の先端を行く」の意味である。
* 「流れ」
current, flow
flow は「流れる」と言う意味の動詞だが、名詞では川などの「流れ」を言う。
current は、「流れている」という意味の形容詞だが、名詞では「海流」や「電流」などの「流れ」も言う。
川も海流も同じ水の流れなのに、なぜか使い分けをするのである。
東京書籍3000でも桐原3000でも、flowの例文で、川の流れを扱っているので、そういう単語だと納得してもらうしかない。
英語というのは、あまり論理的ではなく、慣習などで使い分けが決まっている部分もある。
東京書籍に書いてあるが、気体の流れも液体の流れも flow である。
普通科高校では習わないが、工業高校などで流量計などの機器を扱う際、その流量計を英語で「フローメータ」などという。また、その計器で測定する流れのことは普通は「フロー」flow と読んでいる。
風の流れや川の流れという言い方ではなく、わざわざ「気体」「液体」と東京書籍が言ってるのは、たぶん、そういう流量計などを見越しての表記だろう。
実際、ジーニアスを見てると、「液体・気体の流出量(流入量)」という意味もかかれている。東京書籍はおそらく英和辞典のflowのこういう意味を参考にしたと思われる。
さらっと「流量計」と言ってしまったが、流体力学では流出量も流入量も区別せず、まとめて「流量」(りゅうりょう)と呼び、それ(つまり「流量」)を flow と言うのである。
実際、ジーニアスでは、たとえば人口の「流入」もflow であるし、センチュリーでは(石油らしき)ガロン単位の液体の「流出」もflow である。
そのほか、お金の「流れ」については、経済学ではカレントもフローもどちらとも使う表現なので、深入りしない。
さらに混乱させるが、discharge 「解放する」・「釈放する」、「解雇する」「解任する」の意味の単語(東京書籍の巻末)にも、実は「流れる」の意味がある(ジーニアス)。「アマゾン川が大西洋に注いでいる」という例文で、discharge を使っており、ここでは flow into と同じだと、ジーニアスは言っている。
煙などの排出も discharge であり、いったい流出なのか流入なのか、はっきりしない。
専門用語などで flow と区別したい場合、discharge を使うこともある。
だから、たとえば流体力学で、理論値と実測値との違いの比率のことを discharge coefficient といい、よく「流量係数」とか「流量係数」とか言う。分野によって和訳が違うので、和訳は気にしなくていい。証拠に英語版ウィキペディアの記事 [[:en:w:discharge coefficient]] (流出係数)があります。
あと、discharge には名詞の用法もある(ジーニアス)。東京書籍には動詞の用法「解放する」以下略しか書いてない。
そんなことよりも、「解放」「釈放」の意味を、液体の排出などと関連づけて覚えよう。なんか解き放たれて自由に動ける的なイメージが discharge である。
なお、日本でも、よく、解雇や解任のことを、比喩的に「自由の身」みたいとか「長い夏休み」みたいに言います。なので、そこから派生的に、discharge の複数の意味を把握できます。
洋の東西を問わず、人間の言語センスは似たようなもんです。(あるいは、もしかしたら日本人が英語discharge を真似たのかもしれません。)
「頭脳流出」は a brain drain という(旺文社1900、ジーニアス、センチュリー)。ややダジャレっぽい語感もするので真に受けるわけにはいかないが、drainの基本的な意味は「流出する」である。(なお、このように brain には「脳」の意味のほかにも「頭脳」の意味もある(桐原3000)。)
だが drain には、体力などを「消耗させる」という意味もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
drain my strength 「体力を消耗させる」
である(センチュリー。ジーニアスに似た例文)。
体力が流出していくイメージか。
台所の「排水口」とかも名詞 drain である。屋内の下水などに向かって流出させる側の台所の排水口が drain である。
その他、排水管が drain である(ジーニアス)。
* 傾向 tend, inclined
まず、tend は動詞。
inclined (インクラインド)は形容詞。
なので
be inclined to ~(動詞) で「~する傾向がある」
のように使う。inclined to do を使いたい場合、be動詞が必要。
一方、tend は動詞なので、be動詞なしで、
tend to ~(動詞) 「~する傾向がある」
である。名詞形はtendency 「傾向」である。
実は動詞 incline (インクライン)「傾ける」という単語があって、「傾ける」「その気にさせる」の意味である(東京書籍)。
坂(slope)などの物理的な「傾き」やその角度なども 名詞 incline である(ジーニアス)。
桐原は inclined などは紹介していない(桐原4500および桐原5500を確認)。
単語集にはないが、「話を聞こうと耳を傾ける」incline my ear to ~ 、みたいな表現にも incline を使う(センチュリー)。というか、おそらくこの英語表現が先にあって、それに合わせて日本で「傾聴」みたいな表現が生まれた可能性。
また、このように incline には、好意などによって、「関心を向ける」のような意味もある。
このためか、名詞形 inclination (インクリネイション)には「傾向」の意味のほかにも、「好み」の意味もある(旺文社)。
ただし、必ずしも inclination は「好み」とは限らず、たとえば「彼は太りやすい」のような体質や(ジーニアス)、「この車は横滑りしやすい」とか(センチュリー)、そのほか性質や、性向なども inclination である(ジーニアス)。
どちらにせよ、とりあえず inclination の中心的な意味は「傾向」だと覚えておけば問題ないだろう。
単語集にはないが、坂や屋根などの物理的な「傾き」やその傾斜の角度なども inclination という(ジーニアス、センチュリー)。
liable (ライアブル)は、好ましくないことをする傾向や、好ましくない状態になりがちな傾向のある場合に使う(ジーニアス、センチュリーで確認)。なお旺文社では発音注意している。
和訳では liable は単に「~しがちである」と訳す場合があるが(桐原4500、旺文社1900)、「好ましくないことをする傾向」だという条件をしっかりと理解しておこう。、
be liable to ~(動詞の原型)で「~(ミスなどの行動)をしがちである」
のように訳す。
ほか、典型的な例文
be liable to illness 「病気にかかりがちである」(旺文社、ジーニアス)
がある。なおこの場合、to が不定詞ではなく名詞に対する前置詞に変わっている。
なお、「ミスをする」make a mistake
または
make mistakes
である。なお、桐原3000およびジーニアスでは、make a mistake 「間違える」と訳している。
なので、ともかく
be liable to make mistakes 「ミスをする傾向がある」
である(旺文社)。
形容詞 prone (プロウン)は、望ましくないことについて「~の傾向がある」の意味(ジーニアス、センチュリー)。
病気になりやすいとか、怒りやすいとか、そういうのも prone を使える。例文は辞書を見て(著作権の都合)。
単語集には、なぜか、望ましくないことに使う前提が書かれていない(旺文社、東京書籍の巻末)。
だが、辞書には前提が書かれている。
単語集にある典型的な例文は、
be prone to error 「間違いを起こしやすい」
である(旺文社、東京書籍の巻末)。
to は前置詞でもよく、動名詞 to でもよい。つまり、prone to の後ろにくるのは、名詞 でも 動詞の原型 でも良い。
earthquake-prone 「事故多発地域」の意味である(センチュリー、旺文社)。
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mistake と error
ジーニアスによると、
mistake は不注意や勘違いによる間違い。
error は、計算の誤りや、裁判の誤審など。
・・・とのこと。
また、センチュリーいわく
「不注意な間違いをする」make a careless mistake
とのこと。
だから mistake は、「勘違い」とか(ジーニアス)、「誤解」「思い違い」とかで(ジーニアス、センチュリー)覚えたほうがいいかもしれない。
mistake を「誤り」「間違い」と訳しても間違いではない(ジーニアス、センチュリー)。そういう訳がジーニアスにもセンチュリーにもある。
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現在の
current , present, modern
current は、形容詞「現在の」が入試ではよく出るが、しかし名詞では「流れ」の意味である。
海流とか電流とかの流れにcurrentを使う。
東京書籍およびジーニアスが紹介しているが、「暖流」は a warm current である。
ついでにジーニアスが紹介している「寒流」は a cold current である。
current は、まず名詞「流れ」を覚えるべきであり、形容詞「現在の」はその派生として覚えるのが良いだろう。
ジーニアスで調べた語源でも、「走っている」→「流れている」→「現在通用している」というような意味の変遷らしい。
さて、current 関連の名詞として、単語集にはないが、電流の直流 D.C. とは direct current の略である。
交流 A.C. も Alternating current である(ジーニアスで確認)。
通貨はcurency (カレンシー)である。
単語集にはないが、国際的に安全な通貨のことを経済学ではハードカレンシーといい hard currency と書く。)
「現在の」を意味する形容詞には、current のほかにも present がある。
present は、たとえば英文法の「現在形」や「現在進行形」などの「現在」も present である。
「現在」のpresent と 「贈り物」の present とスペルも発音も同じである。また、「出席している」の形容詞 present と同じ単語である。
present と current のニュアンスの違いは、辞書では特に言及されてないが、current には「流通」や「通用」のような意味合いもあるというところだろうか。
* 現代
modern と contemporary
なお、modern は、「近代の」「現代の」という意味であり、歴史的なニュアンスで使う。
modern も単語集にあるので、覚えよう。
単語集にないが、たとえば「近代文学」modern literature のように(センチュリーで確認)。なお、「現代」はmodern times という。
桐原4500にあるが、(科目名ではない意味での)「現代社会」は、modern society である。
動詞 modernize は「近代化する」「現代化する」の意味である(東京書籍4500および桐原4500)。
しかし、contemporary という単語も存在し「現代の」という意味であり、しかも、旺文社いわく「現代日本文学」は contemporary Japanese literature である。
東京書籍4500いわく、contemporary と modern の違いは単に、芸術様式の話題では contemporaryが「現代の」の意味で使われるとのこと。
だからか、東京書籍・桐原・旺文社の3つともすべてに単語 contemporary art 「現代美術」がある。
その他、contemporary には「同時代の」と言う意味もあり、東京書籍いわく、「ピカソとダリは同時代の人」という内容で、語法 be contemporary with ~ を使っている。
* temporary
temporary は「一時的な」の意味の形容詞。
典型的な例文が
「一時的な仕事」 a temporary job
である(東京書籍、旺文社)。
なお、ジーニアスとセンチュリーでは、同じ a temporary job を「臨時の仕事」と訳している。
対義語は permanent である。
つまり、
temporary ⇔ permanent
である。
なお、いわゆる「アルバイト」は、英語で part-time job である(ジーニアス和英「アルバイト」で確認)。side job ともいう(ジーニアス和英)。
日本語の「パート主婦」のような、勤務時間の短い意味合いは、英語のpart time jobには無い。
そもそもアルバイトはドイツ語に由来する言い回しだし、しかもドイツ語では「仕事」という意味らしい(本書は英語の教科書なのでドイツ語には深入りしない)。
「永久歯」を permanent teeth という(ジーニアス、東京書籍)。
東京書籍いわく、「終身雇用」を a permanent job というとの事だが、しかしジーニアス英和やセンチュリー英和では確認できなかった。
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強制
force, enforce, compel , oblige
義務
duty
辞書によくあるcompel の典型的な例文が「病気のため仕方なく~せざるを得なかった」的な例文。こういうときにcompelを使うようである。
辞書によると、compel はforce よりも意味が弱く、oblige (オブライジ)よりも意味が強い、
普通、oblige (オブライジ)は「義務づける」と訳す。
単語集にはないが、思想の用語で「高貴たる者の義務と責任」と言う(英語ではなく)フランス語で noblesse oblige ノブレス・オブリジュ という単語があり、社会的エリートが兼ね備えるべき義務感のことを言う。
さて、英語では、名詞形 obligation が「義務」の意味。センチュリー英和で確認したが、法律的な「義務」も、道徳的な「義務」も obligation である。
桐原4500では obligationの意味に「義理」を加えて、「義務」「義理」がobligation だとしている。
旺文社1900では、 obligationの意味に「責任」を加えて、「義務」「責任」がobligation だとしている。まあ、「高貴なる者の義務と責任」が世界各国エリートの基礎教養なので、知的な英文ではそういうニュアンスで obligation が使われることも多いのだろう。
東京書籍4500 には、oblige の紹介は無い。
force は「強制する」の意味。
さて、「軍隊」「武力」も force である。
軍隊によって「~が強制された」という場合、どうすればいいのだろうか?
桐原4500では、force「強制する」の例文での「軍隊」を troop という単語で表現して、forceの同音意義語の問題をうまく回避している。
桐原の例文が「政府軍が反乱軍に降伏することを強制した。」と言う例文である。
なお「政府軍」は the government troops である。
反乱軍は the rebels である。「降伏すること」は to surrender である。
troop とか rebel とか、索引に無い単語ばかりである。
enforce は、強制一般の意味もあるが、法律によって強制する、というニュアンスがあり、例文もそういうのが多い。だがラグビーでエンフォースという用語がある。ラグビーの説明はしたくないので説明は省略。
センチュリーの英語によると、警察が市民に法を強制したりするのが enforce である。
桐原4500によると、法律を施行するのが enforce である。警官が法律を守らせる場合も、the police enforces the law のように、目的語は法律になる。
旺文社1900および東京書籍4500にも、似たような警官と法律の enforce 例文がある。
こういう事情もあってか、旺文社は1900はenforceの意味を「施行する」「実施する」としている。
桐原は、enforceの意味を「施行する」「遵守させる」としている。
なお、死刑執行で誰かを「処刑する」のは英語で execute (イクセキュート)である。
「死刑執行」「処刑」は execution である(桐原5500で「死刑執行」、旺文社1900)。
execute には、計画・命令などを実行したり、仕事を「成し遂げる」などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。ジーニアスによると「最後までやる」が原義のほうの意味とのこと。
処刑の意味は、処刑で「片付ける」的なニュアンスだろうか(特に言及されてはいない)。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。
計画などの実行で使われるといっても、ただし、こういう固い語なので、技術の必要な難しい計画などの実行で使われるのが普通である(ジーニアス)。
また、このことからか、企業の重役のことをエグゼクティブ executive ともいう(旺文社、桐原5500)。executive には名詞「重役」の意味のほか、形容詞「経営上の」「行政杖の」などの意味もある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。
さて、「義務」「強制」概念の話にもどる。
義務教育も法律で強制されているが、しかし旺文社の例文によると、義務教育には oblige を使っている。
センチュリーを読んでたら、未成年の子供が起こした事故の弁償も oblige である。
桐原だと「大臣は半年に一度、報告書を提出することを義務づけられていた。」の義務づけが was obliged to send in a report である。
まあ、大臣はエリートだからだろう。
センチュリーで「世論の批判のため引退を余儀なくされた」の「余儀なく」もoblige である。まあ政治家という、国家権力者の一員たるものの義務と責任的な意味合いだろう。
しかし東京書籍4500は、compel の例文で「世論が大臣を辞職に追い込んだ。」を 使っており、センチュリーに反している。
まあ、とくに統一的な用法は無いのだろう。
なお桐原は、「その法律が雇い主に、(※ 社員の)健康保険を掛けることを強いる」をcompel としている。「(※ )」内はwikiでの追記。
単語集にはないが辞書によくある典型的な例文が、病気で「~を余儀なくされる」をcompelで表現することである。
センチュリー風に He was compelled by illness to ~なら「彼は病気で~を余儀なくされた」である。
ジーニアス風に His illness compelled him to ~ なら、直訳すれば「病気が彼に~することを余儀なくさせた」だが、無生物主語の和訳が高校の授業で嫌われるので、「彼は病気で」と訳す。英文学とかだと無生物の主語とか普通にあると思うし、普通の日本語でも文学・文芸でなくとも「病気が彼に~を余儀なくさせた」とか通じると思うし、なのに、かたくなに無生物主語の和訳を認めない高校英語教師や塾講師などはどういう了見なのだろうか。理解しがたい。
ジーニアスは、本人の納得の上で余儀なくされる場合を oblige といい、そうでない場合つまり「本人の意思に反してさせる場合はforce や make を用いる」としている。
しかし、ジーニアスの例文では、税金を払う義務も oblige としている。
判断基準が不明である。
やはり、高貴たる者の義務と責任を基準に考えるのが良いだろう。
* 義務
duty, obligation
「義務」「義理」は英語で duty である。ジーニアスで確認したところ「義理」の意味もある。
on duty で「勤務時間中で」。
off duty で「勤務時間外で」
duty は、職務上の義務でも使われるが、道徳的な義務でも使われる。
その他、duty に「関税」の意味あり。桐原4500によれば、「ワインの関税」 duty on wine である。「免税店」は duty-off shop である。
obligation との違いとして、ジーニアスは obligation は「外的な事情から生じる義務」としているが、どうだろうか。ノブレス・オブリジとか、そうではないと思うが。
そう覚えるよりも do one's(myなど) duty で「~の義務を果たす」などの慣用表現で覚えるほうがよいと思う。なお、東京書籍4500と旺文社1900に、例文中に do one's duty がある。
obligation にはそういう平易な慣用表現は無いと思うので。
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「分類する」
sort, classify
「分類する」の使い分けは、あまりハッキリしない。
単語集の例文などを見ると、どうやら書店や図書館などで書籍を「分類する」は classify を使っているようだ。
旺文社では「本は作家の名前によって分類されている。」 The books are classified according to the author's name.
東京書籍では「本はテーマによって分類されている。」 The books are classified according to subject.
である。
ジーニアスでも、受動形でなく能動形でだが図書館での本の分類に classify を用いている。
なお、(英和ではなく和英辞典の)ジーニアス和英によると、ごみの「分別」は separate である。
sort には名詞で「種類」という意味もあり、ほぼ、「種類」の意味での kind と似た意味である。
a kind of ~ 「~の一種」の代わりに、a sort of ~ で「~の一種」と言う場合もある。
しかし、別の用法で sort of で「多少の」「いくらかの」という意味もあるので、文脈から判断すること。
class には「等級」と言う意味もあるので、「等級づけをする」なら classify のほうが望ましいだろう。
余談だが、classify には「機密の」の意味があって、旺文社1900で document を見ると、
leak classified document 「機密文書を漏洩する」
という例文もある。
動詞 leak は、液体や秘密などが「漏れる」とか「漏らす」の意味。東京書籍と桐原の3000語レベルにも4500語レベルにも書いてない。桐原5500に書いてある。
桐原5500の例文は秘密を「漏らす」ほうの内容。
なお、文書ではなく情報の「機密情報」については旺文社 leak を見ると、 a secret information と言っている。
桐原4500では、「機密情報」を confidential information と言っている(桐原4500のmake関係の熟語のmake use of ~ の項目)。
2010年にWikiリークという、各国政府などの機密情報をネット公開する海外サイトが世界的に話題になったからか、単語集では leak の例文が機密の漏洩ばかり。だが、もちろん液体などが漏れる場合にも普通に leak は使われる。
なお、wikibooksなど当wikiプロジェクトは、wikiリークとは全く別の組織。「wiki」とはソフト名の一種なので、まったく別の組織でも、wikiソフトを使っていると組織名がwikiなんとかと、似たような名称になることもある。
なおleakの名詞形は leakage であり、「漏れ」「漏出」「漏洩」の意味(旺文社1900)。だが、単語 leak 自体でも名詞の意味もあり、同じような「漏れ」という意味(桐原5500)。
「秘密」については、secret や classify の他に、confidence (カーンフィデンス)という単語もある。
だが、このconfidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
「信頼」と「自信」と「確信」については和訳でも同じ「信」の文字があるから、まあ連想できるとして(信頼の対象が自己になれば「自信」。「確信」とは、信じている自分への自信。など)、問題は「秘密」である。
信頼しあっている間柄での秘密、的なイメージで覚えるのが良いだろう。
形容詞 confidential の意味なら「内密の」というのがセンチュリー和英にもある。
だが、名詞の「秘密」のことを「内密」とは言わないので、confidence は「秘密」と訳すしかない。辞書もそうなっている。
ジーニアスによれば、「秘密文書」は confidential documents とのこと。
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確認
check, confirm , confident
check が「チェックする」である。
英語のチェック check はいろんな意味で使われ、意外と難しいので、日本語でそのまま「チェックする」と意味を覚えてしまうのが良い。東京書籍1800の単語集を見ても、checkの意味の説明で「チェックする」とそのまま書いてある。
check は「確認する」ことにも使われるし、確認したことを証拠に残すためのチェックマーク( ✓ )の記述にも使われるし、「点検する」ことにも使われるし、「照合する」にも使われるし、チェスの王手(いわゆるチェックメイト)にも使われる。このように意外と難しいからか、桐原4500では4500レベルとしてcheckを紹介している。
confirm が「確認する」「身元を証明する」である。(東京書籍4500)
チェックについては、チェックリスト check list が英語にもあることを知るべきだろうか。
工場労働など屋内での社会人の点検業務では、可能なかぎり、忘れのないように点検内容を一覧表の list リストにして、それにチェックマーク( ✓ )を入れることで漏らさずにチェックをするという方法がある。
なお、チェックマークを入れるための視覚欄(大きめな □ )のことを、チェックボックス check box といい、これも英語にある(ジーニアスで確認)。
こういうチェックリストやチェックボックスの存在を知っていれば、check の「点検する」や「照合する」の意味も覚えやすいだろう。
語学の勉強というのは、こういうふうに英語以外のビジネス知識なども必要なのである。
checkを「チェックする」と覚えればいいと言ったものの、ただし上述のチェックボックスやチェックリストのように、仕事でも知的な仕事なら check という英語は使うので、覚えておく必要があるだろう。
桐原4500では、「医者が患者の血圧を調べる」という内容の例文でチェック check を使っている。check はそういう専門性の高い用途にも耐えうる単語でもある。
ほか、小切手も check といい、同じスペルだが、説明を省略する。ホテルなどのチェックイン check in , チェックアウト check out も同じ単語だが、説明を省略する。
IT系でも、よく会員制webサイトの登録画面などで説明書きを読んだか確認するためのチェックボックスが、海外サイトではよく使われる。
社会人になって就職するなどして、品質検査の方法などを習っていないので、あまり「チェックとは何か?」とか深入りしても、埒(らち)が あかない。
confirm は、高校生には馴染みがないかもしれないが、IT系では意外とよく、会員制webサイトのパスワード登録の画面などとして、海外サイトではよく使われる。
身元証明の典型的な例文で、誰々の「身元を証明する」という例文があり、
たとえば東京書籍4500では
「彼女の身元を証明する」confirm her identity
がある。
旺文社の例文を少し改造して(「郵便局員が私の身元を確認した」という内容)、「彼が私の身元を確認した」なら He confirmed my identity
となるだろう。
「裏づける」の典型な例文が、裁判などでの「新たな証拠が彼の話を裏づけた」であり、東京書籍によれば、
「新たな証拠が彼の話を裏づけた」 The new evidence confirmed his story. である。
桐原4500にも、現在完了形であるが、ほぼ同じ英文がある。
confirm の名詞形は confirmation である。旺文社1900にだけ紹介されている(桐原4500と東京書籍4500はconfirmationを紹介していない)。
confident については、別の項目で説明した。confidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
単語集に共通の例文が見当たらないので、辞書などを購入して読んでほしい。
* 検査
なお、和英辞典で「検査」を見ると、testやinspectなど色々な単語がある。
testはどちらかというと「試験」である。
血液検査が blood test であり、聴力検査が hearing test だし、日本語では「検査」でも英語では test だったりする場合もある。
「テスト」と聞いて、日本の学校の学力試験しか思いつかないのなら、改めよう。英語では普通に、医療や工業などの検査でも test は使われるからである。
inspect は、査察官や検閲官をinsepector と言うので、そういうニュアンスもあるので、検閲・査察のニュアンスが強く、日本の「検査」には1対1には対応しない。
東京書籍と桐原の単語集には inspect がないので、気にしなくていい。米英の行政の事情を知らないと inspector などは理解できないだろう。日本の高校生には不要な知識であろう。inspector という、そういう高校で習わない行政用語があるという事だけを知っておけば十分だろう。
なお、実は旺文社1900に inspect と inspector がある。inspector には「検査官」の意味のほか、「警部」の意味もあるとのこと。
だが、そもそも、英語の文脈においける「警部」とは何かという問題がある。ジーニアスでinspectorを見ると、米では「警視正」、英では「警部」とのこと。まあ、警察組織の現場職での上のほうの人、ぐらいの意味だろうか。
なお、「捜査員」は investigator である。これだけだと難しそうだが、米国のFBIこと「連邦捜査局」が the Federal Bureau Investigation である(旺文社)。
「捜査する」は investigate である。
典型的な例文が
「警察がその殺人事件を捜査している。」 The police are investigating the murder.
である(桐原、ジーニアス)。
なお、federal (フェデラル)は形容詞としては「連邦の」という意味であり、名詞としては「連邦」の意味である(ジー二アス)。
もうひとつの典型的な例文が、
「警察がその自動車事故の原因を調査している。」 The police are investigating the cause of the car accident.
である(東京書籍、センチュリー)。事故なので、捜査ではなく「調査」。東京書籍でも「調査」になっているし、センチュリーでは「調べている」としている。
なお、「探偵」と「刑事」は detective である。英語では、「探偵」と「刑事」が同じ単語なのである。
動詞 detect の意味は、東京書籍いわく、何か見つけづらいものを「探知」「発見する」などの意味である。センチュリーいわく、隠されているものや悪事などを見つける場合に使うことが多いとのこと。
単語集にはないが、「探知機」が detector である(ジーニアスで確認できる)。ジーニアスいわく、金属探知機は a metal detector である。
この例のように、 detect で発見するのは別に犯罪事件の犯人でなくてもよく、たとえば桐原の例文では病院でのガン(癌) cancer を「発見する」ことを detect としている。
センチュリーいわく「ガス漏れを見つける」は detect a gas leak である。
センチュリーいわく、嘘を見破るのも detect である。東京書籍いわく、「スパイを見破る」は detect a spy とのこと。
locate という「位置する」と言う意味の動詞がある。名詞形 location が「位置」 の意味である。
この locate には、なにかの場所を「突き止める」という意味もある。
東京書籍が detect の単語の次に、locateの例文で「アジトを突き止める」を紹介しているが、著作権の都合があるので本ページでは紹介しない。
なお、アジトは a safe house である(東京書籍)。またアジトとは、犯罪組織や反乱組織などの「隠れ家」のこと。
なお、「隠れる」は hide である。
太陽が雲に「隠れる」みたいな平和的な「隠れる」も、犯人が「隠れる」も、 hide である(センチュリーで確認)。
「太陽が雲に隠れる」 The sun is hidden by clouds
である(ジーニアスとセンチュリーに、ほぼ同じ例文)。
なお、「隠れ家」「隠れ場所」には、hide-out という言い方もある(ジーニアスいわく「隠れ場所」)。旺文社では hide-out を「隠れ家」「潜伏場所」と紹介。
hide の活用は
hide - hid - hidden/hid
である。
さて、conceal という、「隠す」という意味の単語があり、物や秘密を「隠す」場合に使われる。
辞書を見た限り、conceal には、人が隠れるような用法はない。
単語集を見ると、conceal の例文で、感情を「隠す」ような例文もあれば(旺文社)、爆弾が「隠されていた」という例文もある(桐原)。
隠された秘密を「暴く」のは
reveal や uncover がある。
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暴露(ばくろ)
reveal, uncover, disclose
reveal は、意図的に秘密を暴いた場合のほかにも、不注意などで秘密が漏れた場合にも用いる。旺文社の例文も秘密が漏れた場合である。
名詞形 revelation である。
よくある例文は、
「真相を明らかにする」 reveal the truth
である(東京書籍に和訳・英文とも同じ文。センチュリーでは「真相を漏らす」と訳)。
そのほか、単語集にはないが、物理的に隠れているなどして見えなかったものが見えるよう現れる事も reveal というが、単語集にないので無視する。
なお、光や危険などに「暴露する」ことは expose である(桐原)。
暴露(ばくろ)は「ばくろ」と読む。「ぼうろ」(×)ではない。
disclose
意図的に秘密を暴いたり、あるいは自分や自組織の秘密を公表したりする場合は、 disclose のほうが適切かもしれない。
固い言い回しなので、暴露や公表や自白などの対象となる秘密は、たとえばセンチュリーでは「彼はスパイであったこと」だとか、「その男の正体」だとか、
あるいはジーニアスでは「真実を新聞に暴露する」とか、なんかそんな感じの秘密ばかりである。
名詞形「公開」「暴露」は disclosure である。
「情報公開」は disclosure of information である(ジーニアス、旺文社)。
東京書籍4500および桐原4500には disclose が無い。
uncover
「真相を明らかにする」 uncover the truth
のように使う(東京書籍)。桐原4500には例文なし。東京書籍は巻末おくりなので、解説なし。
uncover の語源は、見れば分かると思うが「カバーを取る」である(ジーニアスで確認)。
なので、単語集にはないが、容器などの「フタを取る」も uncover である(ジーニアス、センチュリーで確認)。
そして単語集(旺文社)にあるが、遺跡などを発掘するのも uncover である(旺文社)。遺跡を埋めている土などをフタに見立てて覚えよう。
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不安
anxiety, alarm
恐怖 fear、 horror
警報 alarm
警戒 alert
警告 warning, caution
旺文社1900によると、alarm の出題番号が549 で、alarm が「不安」「恐れ」を第一義で紹介されており、anxiety (「不安」「心配」)の形容詞 anxious の583番よりも alarm のほうが早い。
勘弁してほしい。
まずalarm は普通、警報器のことである。実際、東京書籍3000では、alarm は「警報器」「目覚まし時計」の意味でしか紹介していない。
桐原4500ですら、「驚き」「恐怖」の意味を紹介しているが、しかしalarmの第一義はあくまで「警報(器)」というのが桐原のスタンスである。
とはいえ、旺文社は大学入試の出題順に紹介しているだけである。つまり、日本の大学入試がロクでもないのだろう。
なお、ジーニアスによると、alarm の第一義は「驚き」「恐怖」である。なお、語源はイタリア語の「武器を取れ」all'armeである。
なるほど、alarm アラームの語尾 -arm が「武器」 arm と同じわけである。
現代では、普通、「驚いた」は be surprised at などを使うだろう。
どうしても「驚き」「恐怖」の意味で使いたいなら、死の恐怖のある文脈で使うと、頭良さそうに見えると思う。
ジーニアスの例文でも、「シカは驚いて逃げていった」の例文で in alarm という用法を使っている。狩人や肉食動物などによる死の恐怖を感じたシカ的な用法。
しかし、ジーニアスによれば、恐怖の意味での alarm は「fear より固い語」である。
fear (フィエア)は「恐怖」「不安」である。まずfear は「恐怖」で覚えよう。4500語レベルではなく、桐原3000と旺文社1400にfearはある。あと東京書籍4500。
典型的な例文が、「高所恐怖症です」であり、ジーニアスと東京書籍にそういう例文がある。
I have a fear of heights. 「私は高所恐怖症だ。」
である。
単語集にはないが、辞書によくある例文が「恐怖で顔が真っ青になる」であり、
turn pale with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。センチュリーが pale (ぺイル)である。
ジーニアスだと、white を使い、
turn white with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。
なお、形容詞 fearful で「恐ろしい」「恐れている」の意味。
なお、horror で、戦場での死の恐怖も表現できる。日本語の「ホラー」のような幽霊やら悪魔などのオカルト限定のような制限は無い。
fear とスペルの似ている fare(フェア) は「運賃」「なりゆき」であり、意味がまったく違う。
ほか、スポーツの「フェアプレーの精神」などの意味の「フェア」は fair であり、スペルがまったく違う。なお、この形容詞 fairは「公平な」の意味である(桐原4500など)。
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の 名詞 fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である(桐原4500)。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
なお、ジーニアス和英の affair の項目によると、「時事問題」は current affairs である。
「浮気」とか「不倫」とかも affair と言う。恋愛雑誌やらで時々「アフェア」とか言う単語があるのは、この意味だろう。
なお、「外交」を一言でいうと diplomacy (ディプロウマシ)である(桐原4500など)。「外交官」が diplomat である。形容詞 diplomatic は「外交の」である。
さて、「警報器」alarm の典型的な例文が
「火災警報器」 a fire alarm
である。これは東京書籍も桐原も紹介している。
なお、スペルの似ているアラート alert は、alert は名詞では「警報」「警戒」の意味だが、形容詞では「警戒している」の意味がある。(桐原5500、旺文社1900)
また、形容詞でalert は「油断しない」の意味もある(東京書籍4500)。
単語集の「警戒している」の例文では、よく警察官や兵士などの警戒が出てくる。
警察官の場合なら、
The police officer is alert ・・・
で、「警察官は警戒している」の意味になる。
つまり、
~(人) be alert
の語順になる。
warning は「警告」である。翻訳の都合で「警報」と訳したほうが自然な場合もあるが、warning の意味としてまず第一に覚えるべきは「警告」である。
東京書籍で「洪水」 flood を見ると、「洪水警報」 flood warning がある。辞書 warning では確認できなかったが(ジーニアスとセンチュリーで、warningとfloodの両方を確認)、しかしセンチュリーいわく「空襲警報」が air-raid warning なので、たぶん洪水警報も合っているのだろう。
warn は「警告する」であり、医師が患者に「酒を飲みすぎないように警告する」とか(センチュリー)、嵐の接近を警告するとか(センチュリーとか)、そういうニュアンスである。
warn ◯◯(人) of ~ で「◯◯(人)に~を警告する」である。
記法を変えれば、
warn A of B 「BについてAに警告する」
です(桐原、旺文社、東京書籍)。
東京書籍が紹介していますが、
warn me of the enemy 「敵がいるぞと私に警告する」
です。
なお桐原は、喫煙の危険性(risk)を警告する例文です。ジーニアスは、旅路か何かの危険(danger )を警告する例文です。危険という概念で統一的に説明できそうですが、直接的に言い回しを覚えたほうが早いでしょう。
of はよく「~の」と中学で教わりますが、それだと意味が通りません。
さて、inform 「(情報などを)知らせる」という単語にも、
inform A of B 「BについてAに知らせる」
という語法があります。
桐原が
inform him of the result 「彼に結果を知らせる」
のような例文を紹介しています。
なお、典型例の言い回しは、
Please inform me of the change in ~ 「~の変更を私に知らせてくれ」
です(旺文社、センチュリー)。
ともかく、warn A of B は inform A of B と関連づけて覚えましょう。
桐原がそういう覚え方を進めています(warn と inform を同一ページで教えている)。
ただし、東京書籍のようなcrisis (危機)など関連語の紹介は、桐原では同一ページにないですが。どの単語集も、一長一短です。
なお、東京書籍3000には、なんと inform の項目がありません。information はあるのですが。
なお、information は数えられない名詞なので複数形が無いので、「2つの情報」は two pieces of information と表す。「ひとつの情報」は a piece of information です(東京書籍3000)。
桐原は、remind A of B(思い出させる) や convince A of B(納得させる、確信させる) や inform A of B と warn A of B や suspect A of B (疑う)などをまとめて、
「関連の of」という概念を提唱しています。
ただ、そう解釈しなくても、
このうち、「警告する」warn と「思い出させる」remind も情報提供の一種ですので、
「情報提供の of 」とでも言える概念で、
remind A of B と inform A of B と warn A of B をまとめられます。
だとすると、暗記するのは残りの
convince A of B (Bを納得/確信させる)と suspect A of B (B(容疑など)の疑いをかける)だけに減らせます。
このうち、 convince は、他人に何かの納得をさせる際に、説得などの情報提供が行われるでしょうから、広い意味での「情報提供の of 」と言えるかもしれません。暗記の負担がこれで減ります。
だとすると、残りは suspect A of B 「AにBの疑いをかける」です。
この場合、なんの情報提供もしていません。
また、of B の部分は形容詞的な意味です。
made of ~ で、「~を材料に作る」とかの意味であり、完成品を一目で見て材料が分かるなら made of です。
材料が、完成品を一目みてもわからない場合は made from ~ です。
この suspect A of B と made of B の共通する「of B」で、「性質の of」とかの概念を考えてもいいかもしれません(英語学でどうかは知りません。自己責任で)。
ほか、英文法で、「It is 形容詞 of 人」と「It is 形容詞 for 人」の使い分けなどがあります。人の性質を言う場合は「of 人」です。これから類推する方法もあるかもしれません。
まあ、最終的には suspect A of B 「AにBの疑いをかける」を直接的に覚えるしかありません。
warn ◯◯(人) against ~ing で「◯◯(人)に~しないように警告する」である。
たとえば、よくある例文が、「彼は道路を横断しないように私に警告した」(ジーニアス)あるいは川を渡らないように私に警告した(東京書籍)、であり、
He warned me of against crossing the river. 「彼は川を渡らないように私に警告した」
である。
動詞および名詞の caution は、動詞としては、たとえば医者などが肝硬変の患者に「酒を飲むな」と注意・警告するときの「注意する」「警告する」が caution である(桐原5500)。東京書籍4500の例文も、薬の取扱いの注意を caution としている例文。
ただし、辞書では、警察などの警告・注意もcautionである。このため、warningとの区別は、なかなか難しい。
ジーニアスが言うには、cautionのほうがwarningよりも軽いとのこと。
形容詞 anxious (アンクシャス)は「心配している」「不安に思っている」である。
be anxious about ~ で「~を心配している」である。
He is anxious about ~ なら「彼は~を心配している」である。
よくある例文が、「彼は試験の結果を心配している」であり、東京書籍とジーニアスにそれに似た例文がある、
He was anxious about the result of exam. 「彼は試験の結果を心配している。」
となろう。(wikiオリジナル)
ジーニアスだと、母親視点の「息子のテスト」だが、まあこういう例文がよくる。
be anxious for ~ は「~を切望している」である。
桐原の「新しいコピー機が欲しくてたまらない」なら be anxious for new copy machine である。
ジーニアスだと(私は)「新しいコンピュータが欲しかった」なので、
I was anxious for a new computer. 「新しいコンピュータが欲しかった。」(※ ジーニアスanxious例文から引用)
である。
名詞形 anxiety で「不安」「心配」「切望」である。東京書籍4500には「切望」が書いてないが、しかし桐原4500と旺文社1900には切望が書いてある。
なお、 eager (イーガー) は「熱望している」である。切望 anxious とは、ややニュアンスが違う。
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武器・兵器
weapon, arm
大量破壊兵器は weapons of mass destruction であり、略称は WMD である(桐原4500、旺文社1900、ジー二アス)。
また、核兵器は nuclear weapons である(桐原4500、旺文社1900、東京書籍、ジー二アス)。
だいたい、arms だと、「腕」(うで)と まぎらわしい。
兵器には、なるべく weapon を使うのが無難だろう。
なお、動植物の角(つの)や爪(つめ)や刺(とげ)なども、weapon である(ジー二アス)。
weapon は、日本では「兵器」と訳される場合が多いが、しかし英語では weapon は広く攻撃のための道具を表す用語である。
単語集にはないが、山川の英語版・世界史にあった単語で、
rearmament が「再軍備」である(ジーニアス)。ナチスによるドイツの「再軍備」みたいな文脈で rearmament を使える。
ほか、disarmament が「軍縮」である。啓林館 Vision Quest I(P.111) が「軍縮」disarmament を紹介しています。
なお、名詞 army は「陸軍」「軍隊」の意味です(桐原3000、旺文社1400(緑)、東京書籍4500)。
「海軍」は navy (ネイビー)です(東京書籍、桐原)。
「空軍」は air force です(東京書籍、桐原)。
「軍事の」は military です(東京書籍、桐原)。
陸軍と海軍も空軍もまとめて「軍隊」と言いたい場合、army だと陸軍とまぎらわしいので、military force という場合もあります(東京書籍)。
ただし、「軍事力」も military force です(桐原)。
このため、翻訳などの際は、文脈にあわせて、うまく訳してください。
軍「隊」との混同を嫌ってか、単語を power を使って「軍事力」は military power という用法もある(ジーニアス military、センチュリー power)。
ほか、「軍隊」を the armed forces と言ってもいい(桐原、forces )
「兵士」は soldier (ソルジャー)です(東京書籍、桐原)。
東京書籍いわく、さらに「将校」(しょうこう)は officer (オフィサー)です。
とはいえ、「将校」(しょうこう)と言っても、何のことだか分からないのが普通の高校生でしょう。
軍隊の上層部や、将来的にそうなる見込みの高い軍隊の大学を出た軍人や、あるいは同程度に一定以上の階級の高い指揮官のことを、将校と言います。
最下級の階級である兵士は当然、将校ではないです。
「兵士長」とか「軍曹」とかの現場の下の方の中間管理職も、ふつうは将校とは言わないです。ただし、文脈によっては、「軍曹」なども将校という場合があるかもしれません。
『「将校」という単語くらい知っとけや。日本史の勉強すれば出てくるんだからさ~』というのが、東京書籍の心のさけびでしょうか。
戦後の自衛隊ではあまり「将校」とは聞かなくなりましたが、海外の軍隊の説明だと今でも使います。
戦前でも、よく二・二六事件とかで「青年将校」がどうのこうの、という解説を読みます。こういう英語を知っていると、英語力だけでなく日本史などの知識も披露できて、頭よさそうに見えます。
桐原いわく「兵役」(へいえき)は military service です。
「英語を勉強するなら、こんくらい知っておけや」という桐原の心のさけびです。
まず、諸外国でもヨーロッパなどで今でも徴兵制、つまり兵役があります。2020年代でも、スイス、オーストリアは徴兵制があります。
ここでいう service とは、公共の下僕のような意味もあるかと思います。
たとえば「召使い」は英語で servant (サーバント)ですが、なんと単語集に書いていません。
桐原の単語周いわく、serve は「仕える」とか「提供する」とかの意味です(桐原4500)。
今ではネットのサーバー server とか、派生の名詞が使われています(ジーニアス、センチュリー)。
ただし、ネットの情報提供については、「プロバイダー業者」などというように provide が「(情報などを)提供する」の意味で好んで使われる場合もあります(桐原)。
交通インフラや電力インフラなどの公共インフラなどの提供も service です(ジーニアス)。慈善事業も service です(センチュリー)。
「兵役」(へいえき)は military service を覚えるときも、そういうのと関連づけて覚えましょう。
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安売り・特売
フェア、セール、バザール
sale のみ高校英語
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
なお、セールは英語でも sale で「安売り」(桐原3000、東京書籍3000)や「特売」(旺文社1200)や「バーゲンセール」(東京書籍3000)の意味がある。sell とは別に、sale (セール)「販売」という単語がある(東京書籍3000、桐原3000)。
なお、セールスポイントは英語で selling point である(旺文社1200(黄色)、ジー二アスで確認)。
セールスポイントは和製英語。
なお、単語集にはないが、セールスマン(販売員)は英語でも salesman であるが、男女平等の観点から salesperson という表現が米英では好まれるだろう(ジー二アス)。
salesman は、外交販売員(日本でいう「セールスマン」)にも使われるが、英語では単なる店員も salesman で表せる。
複数形 sales で「売り上げ高」の意味もある(桐原3000)。なお桐原では「売上高」3文字ではなく「売り上げ高」5文字の表記。
単語集にはないだろうが、バザーとの違いについて触れる。
ジーニアスによると、英語の bazaar は、慈善などの目的のために特別に催される市場である。だから教会などがバザーするわけである。しかし、イランなど中東の商店街のことも bazaar である。英語の単なる「雑貨屋」のことも bazaar という。
バザーを「安売り祭り」みたいな意味で使うのは、どうやら和製のようだ。
啓林館 Vision quest( P.62 )で、ディスカウント discount 「値引き」、バーゲン bargain 「お買い得品」などが紹介されていました。
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必要不可欠
不可欠な
essential, vital, indispensable
必要な
necessary
搾る squeeze, extract
搾取する squeeze, exploit
桐原4500に vital の意味は「生命の」とあるので、まずこれで覚えよう。
また桐原4500いわく、vitality の意味は「生命力」である。
入試では vital の他の意味の「不可欠だ」「活気のある」などが問われるかも知れないが、まずはvitalの単語のイメージが生命力であることをつかもう。
vial → 「生命に必要」→「不可欠」という連想、
および
vital → 「生命力にあふれる」→「活気のある」という連想、
で覚えれば、暗鬼の負担が減るだろう。
旺文社1900の例文で、「防衛戦略が国家の安全保障にとって不可欠だ」という例文で「不可欠」を vital としている例文がある。
これだって、「国家の生存に必要」→「国防に不可欠」みたいなイメージで把握できるだろう。
なお、桐原4500は「自転車が生活に不可欠」で不可欠がvital、東京書籍4500は「外国語が教育に不可欠」で不可欠がvital、という内容。
ともかく、vital は「活気のある」という意味もあるが、「生命の」とか「不可欠な」のような意味もある。
別の単語の話をする。
もし、単に「活気のある」「元気はつらつな」と言いたい場合は、形容詞 vigorous (ビゴラス)という単語でも一応は表現できる。東京書籍は「活発な」「力強い」と紹介しており、「活発な運動」 vigorous exercise という例文がある(東京書籍4500巻末)。ただ、辞書で 名詞形 vigor (ビガー)や 形容詞 vigorous の用例を見ると、「激しい(スポーツなどの)運動」とか「猛烈な抗議」とか、やや意味合いが強い用例も多いので、注意が必要であろう。
Z会のTOEIC対策本では、同じ vigorous exercise という単語を、「激しい運動がもとで、疲労で倒れた」という内容の文章で用いている<ref>松本茂 監修『速読速聴・英単語 Core 1900 ver.4』、Z会、2014年3月10日 ver.4第7刷発行、P.382</ref>。
このように、vigorous exercise は、いい意味でも悪い意味でも使う。
肉体的に元気のあるだけでなく、精神的にも「精力的な」という表現でも vigorous が使える。
なお、「猛烈な抗議」などの猛烈でも vigorous あるいは名詞形 vigor を使う(ジーニアス、センチュリー)。
protest a plan with vigor 「計画に猛反対する」(センチュリー)
make a vigorous protest 「猛烈な抗議をする」(ジーニアス)
である。
essential は「不可欠な」という意味。
だが、「エッセンシャル・オイル」essential oil という芳香性の油を考えれば分かるように、なんだか抽出物みたいなイメージ。
名詞形 essence 「本質」「エキス」で覚えるほうが理解しやすいだろう。
(なお、名詞 extract にも「エキス」「抽出物」「抜粋」の意味がある。extract は動詞として「抽出する」の意味もある。(東京書籍が動詞を紹介。旺文社は名詞も紹介。桐原は紹介せず)。動詞と名詞とで発音が異なる。名詞は エキストラクト。動詞は イクストラクト。「抽出」「摘出」の行為自体は extraction という名詞である(旺文社)。)
あるいは、「必須アミノ酸」が essential amino acid である(ジーニアスで確認)。
抽出ついでに言うと、abstract も「抽出」という意味(桐原4500巻末)。abstract には「抽象的な」の意味もあるが、まずは抽出の意味で覚えよう。というか日本語でも、「抽象的」の「抽」の文字は、「抽出」の「抽」の字である。なお、冒頭のab-は、ここでは分離を意味する接頭辞。absent「欠席の」のabとabstractのabは同じ意味(桐原4500)。
エッセンシャルの話に戻ると、たとえば、生物学書の『キャンベル エッセンシャル生物学』 "Campbell Essential Biology" という500ページ以上ありそうな分厚い生物学書がある。(なお、amazon米国版では何故かこの本が18歳以上が購入禁止なのでリンクは紹介しない。)
エッセンシャルというのは、そういう感じの意味。
桐原では、「食事は不可欠だ」みたいな例文でも essential を使っている。
なお、「食事」は英語で meal (ミール)である(essential の文に合うかどうかは知らない)。
食事しないと死ぬので、生命維持の観点では vital でもあるが、しかしそういう死を防ぐためのものでも essential で言い表す場合もある。
さて、単語集によくある例文が、「~は健康に欠かせない」 be essential for good health であり、東京書籍と桐原がそうである。
東京書籍だと「運動は健康に欠かせない」、桐原だと「食事は健康に欠かせない」的な内容である。
運動 exercise なら、
Exercise is essential for good health. 「運動は健康に欠かせない。」(東京書籍4500より引用)
である。
「搾る」の extract を squeezeのニュアンスの違いについて。
extract は「抽出する」が第一の意味のようなものである。
-tract が「引っ張る」という意味でもあることから想像できるように(センチュリー)、extractは、目的物を、自分の方向に向かってこさせるイメージである。
だからextractで果汁を「しぼる」のは、その手段にすぎない。
だから、濃縮エキスの抽出のような、搾るだけでは不可能なことも、extract なら出来る。
ほか、薬品などを使って何かの成分を抽出するのも extract である(ジーニアスで確認)。
ほか、歯科医が歯を抜くのも extract である(センチュリー、ジーニアス)。
パソコンのファイルの圧縮・展開でいう「展開」も extract です。
いっぽう、extract には「抜粋する」の意味や、抜粋して「要約する」という意味もあります(センチュリー)。
抜粋すると情報量が減るのに、圧縮ファイルを展開すると情報量は増えます。
妙に感じるかもしれません。
しかし辞書でextract を調べると、秘密などの情報を「聞き出す」「暴き出す」のような意味もあります(センチュリー)。圧縮していて読み取れない情報を「暴き出す」ようなイメージでしょうか。
もっとも、最近のパソコンでは、オペレーティングシステムが高度なので、圧縮されたままでも読み取りのできる場合もありますが。
逆に、圧縮・展開の「圧縮」は compress です。
日本でも、機械などの空気圧縮機でいうコンプレッサーなどの外来語で有名です(ただし、高校生には目にする機会(チャンス)がないかもしれません)。しかし意外なことに単語衆にはcompressはありません。
高校・中学でIT教育が必履修になるなどしてもう年月も経ってますので、どうせあと10年か20年したら「圧縮」・「展開」などIT用語も英単語に加わるでしょうから、先手を打って、このページにまとめておきます(ならないとしても、もしその場合は実務では役立たずなので未来の高校英語の単語衆に価値ないので、価値ない単語集に従う必要ないです。私たちが目指すべきは、大学合格する英単語ではなく、仕事で使える英単語です。仕事を無視した英単語学習をしても最終的に淘汰されるだけの弱肉強食です)。
英語だと、たとえばジーニアスでは、自動車エンジンにおける空気の圧縮のことを compress で表現しています。
なお、空調機のエアコンの「コン」はコンディショナーの略ですので、混同しないように。
センチュリーを見ると、コンピュータ用語のファイル圧縮も compress だと書いてあります(センチュリー、ジーニアス)。
ほか、綿(わた、めん)などを圧縮して小さくするのも compress です(センチュリー)。
ややこしいことに、compress にも、話を「要約する」という意味があります(センチュリー、ジーニアス)。
いまどき、「要約」はsummary でしょうから、compress は綿やファイルなどを「小さくする」(つまり圧縮)の意味で覚えるのが良いと思います。
まとめると、
ファイルの「圧縮」は compress です。
ファイルの「展開」は extract です。
さて、「しぼる」の話題にもどります。
squeeze は、にぎるように力を内側に押し付けるイメージである。だから squeeze で、資金を「圧迫する」なども表現できる。
では、具体的に extract と squeeze のニュアンスの違いを見ていこう。
「エキス」や「抽出する」のextract について。
extract juice from a orange で「オレンジからジュースをしぼり出す」「オレンジの果汁を搾る(しぼる)」
の意味(センチュリーや旺文社)。
文脈によっては、oranges ではなく an orange でも構わない。ジーニアスでは、レモンの複数形 lemons から果汁を搾り取っている。
「搾る」は、squeeze もある。
果物などをしぼって果汁をとるのが典型的で、
squeeze a lemon 「レモンをしぼる」
が典型的(センチュリー、旺文社)。
果汁を明示したい場合
「オレンジから果汁をしぼる」squeeze juice from an orange と言える(東京書籍4500の巻末。ジーニアスだと lemon で似た例文)。
squeeze lemon juice on ~(食品など) で「レモン果汁を~にかける」である(桐原4500、ジーニアスに似た例文)。
「労働者をしぼりとる」「労働者を搾取する」のような表現でも、squeeze を使える(桐原5500、センチュリー)。
なお、いわゆる「ブラック企業」のような会社(労働者を低賃金で長時間働かせる工場など)は、英語では sweatshop (スウェトシャプ)といい、「搾取工場」などと訳される(旺文社1900)。sweat (スウェト)は「汗」という意味の名詞である(桐原4500)。東京書籍4500は sweat および sweatshop を紹介せず。
なお、動詞 exploit 「搾取する」である(旺文社1400(緑)、桐原4500)。
典型的な例文が、
exploit one's workers 「労働者を搾取する」
であろう(ジー二アス、東京書籍、旺文社に似た例文)。
ほか、exploit には、たとえば地熱発電や自然資源などといった資源などを「開発する」の意味や(旺文社1400、桐原4500)、機会などを「利用する」という意味もある(東京書籍4500)。
家計のやりくりなど、なんらかの資金のやりくりなどで、お金をなんとか「絞り出す」というのにもsqueeze は使える(センチュリー)。
ただし、ほかの意味で squeeze には予算などを「圧迫(あっぱく)する」という意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
資金のやりくりと、資金の圧迫では、ほぼ逆の意味になるので、読解のさいには文脈からどちらなのかを読み取ろう。
squeeze には「押し入る」「押し込む」や、人ごみや席などへの「割り込む」「割り込ませる」という意味もあり(センチュリーが押し入りと割り込み。ジーニアスは割り込み のみ)、旺文社が「押し入る」を紹介している。「圧迫する」から「押し入る」などを連想しよう。
indispensable 「不可欠な」は桐原5500巻末や旺文社1900本文と東京書籍4500巻末が紹介しているが、これを直接に覚えるよりも前に、まず、銀行などの「現金支払い機」dispenser (ディスペンサー)を覚えよう(ジーニアスで銀行の「現金支払い機が dispenser だと確認)。
動詞 dispense は、「分配する」とか、機械が「出す」という意味である(ジーニアス、センチュリー)。
なので、コーヒーなどの自動販売機も dispenser である(センチュリー)。
で、形容詞 dispensable は「それほど必要ではない」「なくても済む」の意味である。
「自分はなくても済むので(dispensable なので)、他人に分配できる(dispense できる)」→「分配する機械がデイスペンサー」とでも、こじつけて覚えよう。
で、in- はここでは否定の接頭辞なので、
indispensable 「必要なので分配するわけにはいかない」→「つまり、必要不可欠」→単に「必要不可欠」と言えば済む
のように indispensable を覚えるのが、関連の語彙も覚えられて一石二鳥だろう。
旺文社1900だけ、indispensable の項目で、派生語の dispense 「分配する」「施す」「~なしで済ませる」を紹介している。
桐原5500は、indispensable の類義語で、essential や integral を紹介している。
be indispensable for ~(ないと困る物) 「~は必要不可欠である」
のように使う(旺文社1900、東京書籍4500)が、文脈によっては for でなく別の前置詞や接続詞の場合もある(桐原4500)。
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要約
summary, brief
summary (サマリー)が「要約」の一般的な語でしょう(特に出典は無い)。
要約のまとめ方や業界によって、outline (アウトライン)や brief (ブリーフ)など、別の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
「要約する」の意味が、extract 、compress 、summarize などの単語があります。要約のことを summary (サマリー)と言います。サマリーの動詞形が summarize (サマライズ)です。
ほか、brief も、名詞では「簡潔な説明」の意味、動詞では(読みやすいように手短かに簡略化された説明にする、という意味での)「要約する」の意味です。
桐原4500が brief を「要約」の意味で紹介しています(桐原4500)。
in brief 「手短かに」
の意味です(桐原、旺文社)。
また、
keep it brief 「手短かにする」
です(東京書籍、旺文社)。it の部分は、必要に応じて適した目的語に変えます。
名詞形 briefing は、「簡潔な説明」の意味もありますいが、「事前の打ち合わせ」の意味でも使われます(旺文社)。
compress と extract は、現代ではコンピュータ上の処理で使うし、現代の商業の著作物の大半はパソコンで作られているので、やや使用の歳には注意が必要かもしれません。
summarize のほうがいいかもしれません。
一方、 summarize もまた、辞書や単語集では「要約」を名詞 summary と簡単に言いますが(桐原4500、旺文社1900)、実はサマリー summary と日本語の「要約」は微妙に違います。
英語では、1~2行ていどの短文で短くまとめることを summary と言うこともよくあります。brief だと「記者会見」など別の意味に誤解されるからか、本来なら "brief" というべき単なる1~2行ていどの事実報告でも英米では summary でそういう1行程度の事実報告を言い表す場合もあります。
brief だと、たとえば press briefing が「報道向け説明会」で使われたり(ジー二アス)、briefing session が「定例記者会見」だったり(ジー二アス)、ややニュアンスが「要約」とは異なります。全体像を理解しやすくするよりも、brief は短時間に発表することがニュアンスにあります。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。execution は「処刑」の意味です。
この例のように、summary は日本の「要約」とは、ややニュアンスが違う場合もある。
さて、米英の外交官の著作した回顧録(かいころく)の出版物で読んだのですが、
外交官は、定期的に サマリー summary という1~3行ていどの事実関係の報告を本国によく送るするらしいです。
日本語では、新聞やテレビのニュースにおける「短信」(たんしん)が短いので、近いでしょうか。
大使館の職員でもありますから記者会見(ブリーフィング)とは区別する必要もあるでしょうから、brief ではなく summary でそういう短いを言うのも合理的でしょう。
なお、「回顧録」(かいころく)は英語で memoir (メモワール)です(旺文社1900、ジー二アス)。単語集では、旺文社1900にのみあり、受験英語としてではなく英検準1級対策として紹介されている語です。桐原4500・5500および東京書籍4500にはありません。
外交官とか、この手の報告では、分析は極力交えず、事実だけを報告します。分析は、別途、本国のほうで行ってもらうのです。こうすることで、外交官は情報収集にのみ専念できます。
外交官は滞在先が友好国とは限りませんし、(自国以外との)紛争当事国などの場合もあります。もし友好国でない場合、もしかしたら滞在先の警察や軍隊によって通信が盗聴されたりしているかもしれません。そういう環境で、あまり分析を外交官側で行うべきではないでしょう。
なので、ともかく summary のほか、日本語には「要約」の他に適切な表現があまりないので、summary の訳は「要約」で通じますし、辞書や単語衆にも「要約」だと書いていますし、「まとめ」でも構いません(旺文社)。
「要約」のほか、ジーニアスには「概略」や「大要」、センチュリーには「概要」や「大略」なども書いてありますが、しかし上述のように、1~2行ていどに縮めて報告する書類形式というビジネスなど実務での背景がありますので、いちばん短い感じのしそうな「要約」が無難な表現でしょう。
実際、単語集にも、名詞 summary は「要約」で紹介されています。
これから紹介するのは高校範囲外の単語ですが、英語では、1行要約ではなくて、せいぜい5~8行くらいの文章で要点を列挙して書いたのは outline (アウトライン)などと言います(※高校の範囲外)。
アウトラインを書く場合も、できえば箇条書きにするなどして(ジーにアス)、全体構造を見やすくする必要があります。
ジー二アスには行数の条件は書いてないですが、普通、箇条書きされた説明は、長くて5~8行ていどのものでしょう。1行の箇条書きとか意味不明ですし、100行の箇条書きとか論外です。
ジーニアスいわく、そういう箇条書きされたものが本来のアウトラインとのことです。ジーニアスでは「概略」「概説」、センチュリーでは「概要」「あらまし」を outline
訳にしています。
outline の訳語を覚えるよりも、『箇条書きする等して手短かにまとめたものを「アウトライン」という』と覚えたほうが応用が利くでしょう。
仕事の報告での情報のやりとりなどで、もし1行要約だと短すぎて情報不足なときに、アウトラインによる報告が役立ちます。そういう使い分けをするのが大事です。
もしかしたら英米人のなかには、そういう使い分けをしない人もいるかもしれませんが、そういう人はレポートの書き方を知らない人であり、つまり知的レベルの低い人なので、相手する必要はないです。
まとめると、summary が「要約」の一般的な語だとみなせるでしょう。
要約のまとめ方や業界によって、outline や brief など、専用の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
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重要 crucial, important
決定的な crucial , decisive
4500語レベルの単語集に crucial (クルーシャル)と言う単語があって「決定的な」「主要な」という意味である。
だが、decisive という「決定的な」の意味の単語がある。(東京書籍4500に単語だけ紹介されている。旺文社1900の巻末の章に、単語だけ「決定的な」「断固とした」と意味が紹介されている。桐原4500にはない。桐原5500にある。)
ジーニアスいわく、「決戦」は a decisive battle である。
ジーニアスの例文では、decisiveは「将来を決定する」という意味もあると説明している。
東京書籍4500の crucial 項目の例文で、「そのオーディションに合格することは私の将来にとって決定的な意味をもっている」とある。
ジーニアスでcrucialを見たら、「重要である」という意味であり、例文が「我々が決勝戦に勝つには、彼の支えが重要である。」の「とても重要である」が crucial である。なお、「決勝戦」はその項目を見る限りは the final match である。
crucial の意味で、桐原と東京書籍には「決定的な」と書いてあるが、正直、decisiveのような断固とした気迫が足りない。「決戦」で負けると死ぬが、オーディションで負けたり「決勝戦」で負けても死ぬわけでもあるまい。
あまり論理的ではないが、decisive は、おそらくスペルが同じく"d"から始まる determination 「決心」「決意」の影響を受けてきたのだろうか。
動詞 decide と動詞 determine の違いについては、別セクションで語る予定。
crucial の意味は「非常に重要な」(桐原)で十分だろう。旺文社1900に至っては、「決定的な」の意味は紹介せず、crucial では「重要な」として紹介していない。
まあ、important よりかは重要度が高いつもりのニュアンスでしかないだろう。
旺文社1900では「書類を確認する際は注意することが重要である。」でcrucial を用いている。
桐原4500では「国際貿易はこの国の発展に非常に重要だ。」で crucial を用いている。
まあ、センチュリーcrucial の例文にあるように「彼のホームランは我々の勝利を決定的にした。」でcrucial を用いているように、命をかけるほどでもない野球の試合でも決定的な瞬間はあると思うので、そういう場合は crucial を使うのも良いだろう。
桐原5500にcrucial で「命にかかわる」の意味を紹介しているが、しかしジーニアス英和およびセンチュリー英和では確認できなかった。
そもそも vital という「生命維持に必要な」の意味の形容詞がある(センチュリーで確認)。
そもそも「重要」という概念自体、言葉の割には、vital のような生命への必要不可欠さが足りない。
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外国の
alien, foreign
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
「Foreign Affairs」は直訳すれば「外交の関心事」みたいな意味の雑誌名であろう。
なお、日本の「外務省」も英語版ホームページでは Ministry of foreign affairs である<ref>[https://www.mofa.go.jp/index.html "Ministry of Foreign Affairs of Japan" ] 2022年5月4日に確認. </ref>。
海外旅行とか海外出張とかでは必要な単語のひとつなので、頭の片隅に入れておこう。
ministry とはイギリス英語で省庁のこと。ただしアメリカでは、省庁を department と呼んでいる。
つまり日本政府は、「省庁」についてはイギリス英語を採用。
デパートなんて百貨店っぽい。なお百貨店は英語で department store である。
なおイギリスでも、新設の省庁については department を用いることもあると、ジーニアスは説明している。
さて、「省庁」の呼び名には、あまり深入りしてほしくない。
それより重要なのは、「大臣」 minister である。
大臣のことを minister という。単語集では「大臣」minister の項目に書いてあるが、「外務大臣」は foreign minister である。
今の単語集にはあまり書いてないが、昔はよく「総理大臣」は英語で the prime minister だと高校で習ったものである。いちおう、東京書籍の例文中に「総理大臣」the prime minister がある。桐原には書いてない。
説明の都合上、先に「省庁」 ministry を紹介したが、覚えるなら先に「大臣」minister から覚えたほうが良い。
語源としても、ラテン語で「従者」とかのことをミニステルと言うので、先に「大臣」→「省庁」の順番で単語ができたと考えるほうが合理的である。ジーニアスにも、ラテン語とは買いてないが、「召使い」がminister の語源だと書いてある。
prime については、主要という意味での「第一の」という意味である。センチュリーにある訳語だが、「第一位の」というのがニュアンスに近いだろう。
primeの語源はもともと、カトリックの日課の「最初の」礼拝のこと(ジーニアスで確認)。
primeはこういう意味なので、単に一番目であるだけでなく、さらに重要性の高いものに使われるというニュアンスがある。
ただし、実際の用例では、国家一番や世界一番でなくとも、たとえば肉が美味しい場合でも「極上の肉一切れ」 a prime cut of meat という風にも使う(ジーニアスで確認)。センチュリーにも似た例文がある。
「全盛期」、「絶頂期」という意味もあり、 in prime of his life(またはcareer) 「彼の人生(またはキャリア)の全盛期」みたいにも使う。
「全盛期」には、ほかに短い類義語が無さそうである。和英辞典で「全盛」を見ると、prime のほかに pride とか summer があるが、しかし英和でそれらの項目を確認しても、ニュアンスが違う。pride のほうは、pride of place という語句で「最高位」「最上位」という意味だし、summer は人生における「壮年」などの比喩でしかない。
名詞 foreigner は「外国人」 である。ただ、英語ではこの言い方は差別的な意味合いがあるとのこと。桐原3000いわく、なるべく、たとえば「カナダ人」 Canadian など具体的に言うべきとのこと。
alien
alien (発音: エイリアン)は「宇宙人」という意味があるので、なんとなく、あまりよくないイメージを読者は持ちがちかもしれないが、しかしジーニアスで確認すると、法律上の用語で「外国の」「異国の」という用法がある。
センチュリーによると、市民権をもたない外国人のことを alien と言うとのこと。
alien は、名詞も形容詞も同じスペルの alien である。
名詞 alien は「外国人」「宇宙人」の意味。
形容詞 alien は「外国の」「外国人の」の意味と、「異質の」「なじみがない」の意味。
よくある例文が「その習慣には、なじみがない」で、習慣 custom に alien で「なじみがない」という内容の英文を東京書籍とジーニアスで見かけた。
語法は、
~(習慣など) is alien to □□(人々)
で、
「~(習慣)は□□(の人々)には、なじみがない」の意味。
たとえば、 alien to us なら「私たちにとって、なじみのない」という意味(ジーニアスおよび桐原)。
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国内の
domestic, internal (※範囲外)
「国内総生産」GDPは gross domestic product のことである。domestic violence は「家庭内暴力」である。
「国内の」という意味での domestic が、「外国の」 foreign の対義語である。
domestic ⇔ foreign
さて、 「国内の」 を意味する形容詞 internal は、「国内問題」というとき internal affairs という(ジーニアス、センチュリーで確認)。
なお、数学の図形の幾何学の、「内角」も internal angle である(ジーニアスで確認)。
internal には医療などで「内服の」や「体内の」などの意味もあるが、共通の例文が確認できなかったので、説明を省略する。
なお外角は external angle または exterior angleである(ジーニアス和英で確認。英和にはない。和英)。
なお、「幾何学」は geometry (ジオメトリー)である(旺文社1900)。なお「地理学」はgeography (ジオグラフィー)である(桐原4500、東京書籍4500)。「地形」や「地勢」などもgeography である(東京書籍)。
geo- (ジオ)というのは「地球の」とか「地理の」という意味だが(ジーニアス)、幾何学にも使う。おそらく、古代のヨーロッパでは幾何学の知識を活用して、地図などを作成していたのだろう。
「ユークリッド幾何学」は英語で Euclidean geometry である(旺文社1900、)。「ユークリッド幾何学」というのは、日本では中学の数学で、図形の証明として習う、あの理論の体系のこと。「タレスの定理」とか「中心円の定理」とか、あそこら辺が「ユークリッド幾何学」。紀元前のギリシアの数学者エウクレイデスの名前にちなんで、英語読みでユークリッドになる。
なお、X-Y座標を使って計算する座標幾何学は、ユークリッドではなく「デカルト幾何学」という別の理論体系。デカルトは中世フランスの数学者。デカルトあたりが、座標幾何学の理論を整備しはじめたので。
さて、形容詞 interior は「内部の」という意味の形容詞だが(ジーニアス)、しかし普通は家や自動車の内壁に対して interior を使う(ジーニアス)。
ジーニアス英和の interior によると、幾何学の「内角」を interior angle で表してもいいとのこと。旺文社1900も東京書籍4500も、建築物の「室内の壁」を the interior walls としている。なお、東京書籍は「内部の壁」と和訳。
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生産量
output, production
「生産」を意味する production に、「生産高」の意味もある(ジーニアス)。なお、単語集では、prodcution の「生産高」の意味までは説明していない(東京4500、桐原4500、旺文社1900を確認)。
increase production で 「生産量を増やす」である(ジーニアス)。センチュリーでも、文章は違って完了形などになるが、「映画製作が減少」という内容の文で production を生産量の意味で使っている。
より平易に output でも「生産高」を言える(旺文社、ジーニアス)。
工場などの生産高から(ジーニアス)、芸術などの産物まで(センチュリー)、output で表現していい。
production や produce には、「大量生産」のようなニュアンスがある(東京書籍)。
なお「大量生産」は mass production である(センチュリー)。
なお、テレビ番組や音楽作品などの生産から、その生産された作品なども production である(ジーニアス)。
output の対義語は input である。
つまり
input ⇔ output
である。
input で、名詞としtrは、仕事や活動などへの資材や労働力などの「投入量」、コンピュータへの「入力」を意味する。また動詞としては、「投入する」や「入力する」の意味である(ジーニアス、センチュリー)。
旺文社の単語集には、inputに投入量の意味がないが、しかし辞書で「投入量」を確認できる。
同様に、対義語のoutput は、仕事や活動などの「生産高」や、コンピュータからの「出力」である。動詞としても同様に「産出する」(ジーニアス)や「結果を出す」(センチュリー)や「出力する」である。
input には、仕事・活動などへの援助としての情報提供やアイディア提供などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
東京書籍や桐原の単語集には input や output が見当たらなかった。だがこれからのIT時代、必要になる単語であるので、ぜひとも意味を理解しておきたい単語である。
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「外国」と「海外」
外国へ abroad
海外へ overseas
「外国に」「外国へ」は abroad であり、副詞である。
「海外に」「海外へ」は overseas であり、副詞である。
overseas は字ヅラだけ見れば、海を越えて外国に行くことだが、アメリカでは実際にはヨーロッパへ行くことに使われる事が多い(ジーニアス)。
travel overseas で「海外へ旅行する」である(旺文社)。
travel abroad で「外国へ旅行する」であるが、東京書籍では「海外へ旅行する」と訳している。
from overseas で「海外から」である(旺文社)。
abroad の典型的な例文が、
「私は外国へ(一度も)行ったことがない。」 I have never been abroad.
である(東京書籍、桐原)。東京書籍と桐原で、同じ英文。桐原のほうには和訳で「一度も」がある。
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結果
result, outcome, consequence
桐原4500と東京書籍4500の後半にoutcomeの単語の紹介があるが、良書とも解説を諦めている。
単に 結果のことを result だけでなく outcomeとも言うと、知っておくしかない。
consequenseは、単に「結果」を、固い言い回しにしただけであるが、東京書籍4500によると、「通例望ましく結果にconsequenceを用いる」とこのこと。
センチュリーと東京書籍に「深刻な結果」 a serious consequence と言う例文がある。
副詞 consequently は「その結果として」「したがって」の意味。
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考え
concept, notion ,ほか(idea, thought ,など色々ある)
concept は、たとえば相対性理論の考えだとか、割と抽象的なことに使う。桐原4500いわく、「アインシュタインの相対性理論の概念」は Einstein's concept of relativity である。
notion は、そこまで抽象的でなく、たとえば人生観(ジーニアス)とか宗教観(センチュリー)とか。
ジーニアスでは「人生は航海だという考え」の「考え」を notion としている。
旺文社だと「概念」と言ってるが、無視していい。
概念というより「観念」だろう。
あるいは「観念」という用語をしらない高校生に向けて「概念」と書いたのかもしれないが、そんな底学力層のことは読者は気にしなくていい。
その他、ジーニアスで「意見」、センチュリーで「意向」だと言ってるが、両辞書で説明が一致しないので無視する。
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「規範」と「基準」
規範 code
基準 normal
(学校などの)規律、しつけ discipline
普通 normal, ordinary
「行動」と「指導」と「行儀」、「実践」
行動 conduct(指導のニュアンス)、behavior (行儀のニュアンス)、practice(理論・理念の実践)
習慣・慣習 practice 、 custom、クセ habit
codeには「規範」「暗号」「法典」などの意味がある。
まず、codeの規範について。
ドレスコード dress code は「服装規程」のことである。「ドレスコード」「服装規程」とは、たとえばクラシック音楽コンサートホールとかの上流階級っぽい施設に入場しようとするとき、どんなに金を持っていても、もし服装が短パンとかジーパンとかだと入場を断られることがある。
成人男性の場合なら、背広とかのフォーマル formal な服装とかでないと、そういう場所には入場できないのである。そういうのをドレスコードと言う。
商業施設に限らず、たとえば冠婚葬祭(かんこん そうさい)とかの行事でも、その内容に見合った服装が求められる。
旺文社1900の例文が例文としてドレスコードを紹介しており、まさに大学進学を目指す階級にふさわしく、とても良い。
ダジャレだろうけど、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコード press codeという。普通に科目「日本史B」とか「日本史探究」で、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコードと言うと習う。ついでに覚えよう。英和辞典には press code は見当たらず、どうもGHQの造語っぽい。
ドレスコードの場合、codeは訳では「規則」や「規程」ではあるが、マナー的なニュアンスもある。
ジーニアスで確認したが「不文律」 code of silence という単語がある。
「行動規範」 は a code of conduct である。
ここら辺の表現が、上流階級に求められるマナー的な code であろうか。
その他、ビジネスライク名表現だが、「業務規程」 code of practice というのもある。
なお、「行動規範」 は a code of conduct のついでに言うと、「行動」conduct も類義語があり、behavior が類語後である。なお、旺文社ターゲット1400(中級の難度の本)が、conduct と behave を同じページで紹介している(おそらく旺文社もこれを類義語だと見なしているのだろう)。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多い.音楽の「指揮者」をコンダクター conductor と言うのも、これだろう。
The orchestra was conducted by Seiji Ozawa. そのオーケストラは小澤征爾によって指揮された。(東京書籍4500)
とか
conduct the orchestra オーケストを指揮する(桐原3000)
とか典型。
高校英語では出ないだろうが、物理学の電気伝導のことを conduct という事もある。conduct には、指導とか伝導とかのようなニュアンスがある。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多いが、必ずしもそうとは限らない
conduct interview インタビューを行う(東京書籍4500)
conduct research 調査を行う(旺文社1400)
のように調査研究を行うのに使う場合もある。
behave は、動詞「ふるまう」だが、ニュアンス的には「行儀」のニュアンス。
behave oneself で「行儀よくする」(桐原3000、旺文社1400)
I can't stand His behavior. 彼のふるまいには我慢できない. (東京書籍4500)
東京書籍の例のように、behavior そのものには、指導的なニュアンスは無く、行儀が悪い場合にも使うようである。
conduct は動詞。「行う」、「指揮する」。「指揮者」は語尾が異なり conductor である。
behavior は名詞で「ふるまい」「行動」。behaveは動詞で「ふるまう」。
ほか、practice に、理念や理論などの「実践」の意味があり、単語集にもあります(桐原4500、旺文社ターゲット1900)。
practical 「実践的な」「実用的な」という単語もあるので(東京書籍4500、)、これと関連づけましょう。ほか、思想用語ですが、プラグマティズムという語があり、米国的な実用主義のことです。なお、プラグマティズムはドイツ語やギリシア語が語源なので、高校生には深入りは不要。
熟語で put ~ into practice で「~を実践する」
put his new ideas into practice 「彼の新しいアイデアを実践する」(旺文社1900、ジーニアスに似た例文あり)
the idea to put his ideas into practice 「彼のアイデアを実行するチャンス」(桐原4500)
とか典型です。なお桐原3000にもpracticeがありますが、3000では練習の意味しか書いてません。
practice his religion 「宗教を実践する」(ジーニアス、桐原5500をもとに作成したオリジナル)
She practices vegetarianism. 彼女は菜食主義を実践している。(東京書籍3000そのまま)
ほか、
practical experience 「実地の経験」(東京書籍4500、桐原4500)
が典型です。
対義語は theoretical 「理論上の」です(東京書籍4500、桐原4500)。セオレティカルと、語尾がティカルになります。セオ「リカル」ではないです。セオ「レティカル」です。
「実用的な車」 practical car (東京書籍4500)、実地の経験ある大工 practical carpenter (三省堂グランドセンチュリー)
たぶん大工が高校範囲でないので、東京書籍が気を利かして car 「車」に置き換えたのだろうと思います。
なお、理科などの実験は experiment です(東京書籍3000、旺文社1900)。
旺文社1900だとpracticeとexperiment が同じページに書いてあり、おそらく、類義語のようなものと見なしています。
practice には「練習」の意味があります。というか、先に「練習」の意味のほうを、多くの中高生用の学校用の単語集では習います。
exercise にも「練習」の意味がありますが、上記のように practice は宗教や思想にも使うので、なんかニュアンスが少しだけ重いです。
また、単語集には無いですが、practiceには「慣習」の意味もあります。「練習」などの派生的に覚えましょう。
宗教とか地域文化とかそういう単語で practice が使われている場合は、宗教の実践なのか、それとも宗教の慣習なのか、どちらなのか判別が面倒です。このため、入試では要求されないでしょう。あまり特定の宗教に深入りするのも入試的にアレですし。
慣習・習慣 practice 、custom、habit
custom は、社会の習慣でも(東京書籍4500、旺文1900)、個人の習慣でも使う(桐原3000で個人の習慣を紹介)。
社会の慣習の意味の場合、custom と practice の区別は難しい。
custom やhabitは、意外と難度の高い単語と見なされており、東京書籍4500や旺文社1900など上級レベルの単語集でも紹介されてる。
habit は個人の習慣。個人の「癖」(くせ)が habit である。
このためか旺文社1900および東京書籍4500では対比として custom を「社会的な慣習」としているが、しかし実は個人の習慣にも custom を使う(桐原3000)。
the custom of visiting shrine on Wew Year Day 「神社を新年に参拝する風習」(旺文社1900)
the custom of giving year-end gift 「お歳暮を贈る慣習」(東京書籍4500)
もちろん日本以外の外国にも custom を使ってよく、
another country's customs 「他国の慣習」(桐原3000)
habit で入試で典型的なのが、個人の食習慣。
well-balanced eating habits 「バランスのとれた食習慣」(旺文社1900)
the habit of eating between meals 「間食の習慣」(東京書籍4500)
She has a habit of playing with her hair when she's nervous. 「彼女には緊張すると髪をいじるくせがある」(桐原3000そのまま) ※辞書を見ても他にろくな例文が無いので、そのまま紹介
habit of ~ing で「~する習慣」である(旺文社1900)。
She has a habit of speaking quickly when she is angry. 「彼女には起こったときに早口で話すくせがある」(東京書籍4500そのまま)
つまり単語集の典型例として、
He / She has a habit of ~ing ○○ when he/she is □□. 「彼/彼女には□□したときに〇〇を~するくせがある」
この桐原の例のように、無意識の「癖」にhabit を使う。
だが、他にも、喫煙とか麻薬とかそうのの悪癖にも habit を使う(ジーニアス)。この悪癖は入試には出ないだろう。辞書を見ても、麻薬とかそういうのの habit ばかりなので、桐原の髪の例文をそのまま紹介させてもらった。
しかし、良い習慣にも habit を使っても良い(東京書籍4500など)。
healthy habits 「健康的な習慣」(東京書籍4500)
habit of rising early 「早起きの習慣」(ジーニアス)、habit of getting up early 「早起きの習慣」(グランドセンチュリー)
「習慣」の意味で practice を使う場合、地域などの集団の慣習。宗教とか風土とか。 ※ 入試範囲外だが汚職などの悪風の場合も、practiceを使う(ジーニアス)。
マナー以外にも code は使い、「民法」は the civil code , 「刑法」は the criminal code である。
だが、「lawで十分じゃん?」と思ったのか、東京書籍4500ではcodeの項目を見ても「暗号」しか紹介していない。なお、桐原4500の例文が、アメリカの各州の刑法 criminal code の違いの話題(いわゆる「州法」)。
おそらく東京書籍は、マナーの話をしたいなら manner で済むだろう、という発想だろう。なお、manner も英語であり、東京書籍4500にもmannerが書いてある。
「暗号」については、典型的な例文が
「暗号を解く」 break a code
である(東京書籍4500, 桐原4500)。
normal (ノーマル)は、日常的には「普通の」「平均的な」という意味である。
だが、学問としては、労働などの「基準量」の意味を覚えておきたい。
日本では最近はすたれた言い回しだが、ソ連語の由来で「ノルマ」という、たとえば1日あたりの、しなければならない労働の最低量として「ノルマ」という語があった。
単語集にはないが、辞書で normal の意味に、数学の「直角の」という意味もある。おそらく、古代ギリシア人あたりが、角度の基準として直角(90度)を採用したのだろう。
なお、数値的な「平均の」を言いたいなら、 average である。形容詞「平均の」も名詞「平均」も average である。桐原4500では、normal のページといっしょにaverage も書いてある。
normal の対義語 abnormal は「異常の」「異常な」の意味である。
逆に考えれば、normal の意味は、「通常の」「正常の」でもある。桐原のnormal に「正常な」が書いてある。東京書籍の副詞 normally に「通常は」が書いてある。
ordinary 「ふつうの」「平凡な」は、よく「生活」と結びついて、ordinary life 「ふつうの生活」(東京書籍の訳)または「平凡な生活」(桐原の訳)
ordinary はこのように、並外れた部分がないというニュアンスがある。
逆に対義語の extraordinary は、「並外れた」の意味である。
「異常気象」は extraordinary weather である(東京書籍、ジーニアス)。
単語集にはないが、「臨時国会」も an extraordinary Diet session (ジーニアス)あるいは an extraordinary session of Diet (センチュリー)のように言えることも、覚えておきたい。なお、Diet とは、日本の「国会」のこと。外国の国会の呼び名は違っている場合も多いので、外国の国会のことを言いたい際には、その国ごとの呼び方を調べること。
そのほか、ルールに従わせるための統制や、そのための訓練のことなどを、 discipline という。
子供の「しつけ」や、学校の規律などが discipline である。
ジーニアスいわく 「学校の規律」 school discipline である。
また、センチュリーいわく「学校での規律」は discipline in school である。
子育てや教育にかぎらず、たとえば行政などの「金融統制」は financial discipline である(ジーニアス)。
そのほか、単語週では旺文社1900しか紹介していないが、大学での「学科」や「学問分野」のことも discipline という。辞書には普通に「学科」も「学問分野」も書いてある(ジーニアスで確認)。なお、実は旺文社では「学問分野」しか書いてないが、説明の都合で段落冒頭では「学科」も加えて紹介した。
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通訳と翻訳
「通訳する」「解釈する」 interpret
「翻訳する」 translate
「通訳」とは、普通、口頭での翻訳のこと。
だから翻訳サイトの「グーグル翻訳」も、べつに口頭でのやりとりではないので、英語では google translate なわけである。
「通訳者」は interpreter である。
「同時通訳」は simultaneous interpretation である(旺文社 simultaneous、ジーニアス、センチュリー)。
simultaneous は「サイマルテイニアス」と読む。シミュ~とは読まない。
名詞形の「通訳」「解釈」は interpretation である(旺文社)。
東京書籍と桐原だと「解釈」の意味しか紹介していないが、しかし上述のように「同時通訳」でも interpretation は使われるので、「通訳」の意味も覚えるべきだろう。
なお、数学の「連立方程式」は simultaneous equation である(ジーニアス)。
simultaneous の部分が「連立」である。 「方程式」は equation である。
翻訳者は translator である。
[[カテゴリ:英語]]
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設立
constitute と establish と found
found という動詞がある。動詞「見つける」find の 過去形foundとは別に、原形で「設立する」のfoundという動詞がある。
「設立する」は活用が、
原形 found - 過去形 founded - 過去分詞 founded
と変化をする。
foundの意味は「設立する」。「創設者」を名詞 founder と言うのを記憶の土台にすると、覚えやすいだろう。名詞 foundation で「基礎・基盤」や「建設・設立」などの意味。化粧でファンデーションとあるが、あれは和製英語ではなく、れっきとして foundation cream という英単語がある(ジーニアス英和で確認)。
ちなみに金融などで「ファンド」といわれる単語は fund (原形がfund )というまったく別の単語。組織などの「資金」「基金」が名詞でfundである。動詞 fund は、組織などに「資金を出す」こと(旺文社1400)。
なお、「基金の基金を集める」は raise a fund である(旺文社1400。ジーニアス)。また、raise money で「資金を集める」である(東京書籍4500。桐原4500)。
constitute は、議会や制度などを「設立する」。
なお、センチュリー英和によると、「議会を設立する」 constitute an assembly とのこと。
establish は、組織を「設立する」。たとえば桐原4500に「早稲田大学を設立する」という例文で establish が紹介されている。
ジーニアス英和によると、政府・学校・会社などを「設立する」のが establish である。
センチュリー英和によると、国家・政府などを「樹立する」のも establish である。
だが、それよりもestablishは、単語集にはないが、評判などを「確立する」の意味で覚えるほうが良い。
たとえば、センチュリー英和やジーニアス英和にあるが、国家体制など既存の「体制側」や「支配層」のことを establishment という。
いっぽう constitute には、こういったニュアンスはないだろうから。
set up
set up は「創業する」「創設する」の意味である。
このほか、set upには、テント(a tent)や看板(a sign)などを「立てる」という意味もある。
センチュリー英和にもあるが、コンピュータの初期設定のことを set up という。
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主張 claim と insist と argue と contend
議論する argue, discuss
センチュリー英和によると、claimは、当然の権利として「主張する」、あるいは事実であるとして「主張する」の意味。
claimとinsistのどちらにも、「要求する」の意味がある。
だが、claimの要求は、権利としての要求である(東京書籍4500)。
いっぽう insistの要求は、単に強く要求しているだけである。
insistは、特に、強く「主張する」意味である。
ジーニアス英和およびセンチュリー英和では、無罪の主張でinsist on が用いられている。
日本語の、批判のような意味での「クレーム」は、和製英語であり、センチュリー英和のclaimの説明によると、英語にこの意味はない。
なお、「文句を言う」は英語で complain である。
:(※ たぶん範囲外?)海外旅行などで「荷物の受け取り」のことを baggage claim という<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P140</ref>。このように、日本語の「クレーム」と英語のclaim は、だいぶニュアンスが違う。
記号「!」 のことを exclamation (イクスクラメイション)というが、これも動詞 exclaim (イクスクレイム)「さけぶ」の名詞形である。
なお、荷物 baggage は集合名詞なので たとえば複数の荷物を言うときは、 ~ pieces of baggage になる<ref>『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P153</ref>(桐原3000)。
発音注意であり、baggage 「バギッジ」である。
なおbaggageはアメリカ英語。イギリス英語だと luggage 「荷物」になる。
一方、「カバン」bagは具体的なカバンのことをいうので、普通に数えられるので、bagの複数形は bags である<ref>『All aboard! English Communication I』、東京書籍、令和3年1月29日検定済、令和4年2月10日発行、P145</ref>(桐原3000)。
さて、claim する人(主張者)のことは claimant である。
ただし、権利の主張などは、insistとclaimのどちらでも良い。
argue は、理由をあげて「主張する」の意味である(東京書籍4500)。argue that ~ で「~だと主張する」の意味である。argue with ~(人) で「~(人)と言い争う」の意味である(桐原4500および旺文社1400)。
なお、argueには、用法によっては、やや非友好的に「議論する」ニュアンスもある。ジーニアス英和にも、argue は「discussよりも非友好的」と記述がある。
たとえば検定教科書 "Standard Vision Quest I" でも、 argueは「言い争う」といった意味であると紹介する一方、discuss は「議論する」であると紹介している<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
ただし、実際には argue には「説得する」などの意味の用法もあるので、ニュアンスの違いはあまり明確ではない。
センチュリー英和に、弁護士の「弁論」をargueとした例文があったが、もし法廷闘争での敵対陣営同士の「弁論」ならargueのほうが、ふさわしいだろう。
なお、「口論する」は quarrel である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71</ref>。
contend は、(東京書籍4500いわく)「強く主張する」とか、(桐原5500いわく)「論争する」とかの意味。
桐原5500の例文にあるが、contend in court で「法廷で争う」。
旺文社1900によると名詞 contention で「主張」「論点」の意味。
旺文社1900とセンチュリー英和が紹介しているが contend that ~ で「~だと主張する」。
旺文社1900 で熟語 an issue of contention (「議論の対象となる問題」)が紹介されてるが、しかしジーニアス英和でもセンチュリー英和でも確認できなかった。
* 異議を唱える
challenge
challenge には課題や競技相手などに「挑戦する」の意味もあるが、議論などで相手に「異議を唱える」の意味もある。
たとえばジーニアス英和からの抜粋だが、 I challenged her. 「私は彼女に異議を唱えた。」
旺文社1900からの抜粋だが、 He challenged the common belief. 「彼は常識に異議を唱えた。」
センチュリーからの抜粋で、 He challenged my statement. 「彼は私の言うことに異議を唱えた。」
challenging で「やりがいのある」。東京書籍3000に例文がある。辞書を見ても、あまり例文が無いので、当ページでは紹介しない。
なお単語集にはないが、ジーニアスによると、競技などで challenger 「挑戦者」 ⇔ defender 「選手権保持者」(防衛側)
である。defender の項目で調べると書いてある。
競技では、challenge は試合を「申し込む」などの意味である。
たとえば、東京書籍3000の例文だが、
Dan challenged me to a game of tennis. 「ダンは私にテニスの試合を申し込んだ。」
また、センチュリー英和に似たような例文
I challenged Betty to a game of tennis. 「私はベティにテニスの試合を申し込んだ。」
がある。
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防御
defend , guard , protect
まず、「ガードマン」は和製。
guard だけで「警備員」の意味がある。特に、警備員であることを強調したい場合、 a security guard という(東京書籍、旺文社)。
a security をつけずに「警備員」と使用してもいい。桐原3000の英文は銀行の「警備員」に、 a security をつけていない。
さて、defend は動詞。guardは名詞および動詞。protectは動詞。
なお、guardian とは、未成年などの「後見人」のこと。旺文社1900ではguardian を「保護者」「後見人」と紹介している。
そのほか、センチュリーでは、たとえば世界平和の「守護者」とか、そういう意味の「守護者」のことを guardian という。そのほか、ジーニアスには guardian の意味のひとつに「保護者」と書いてある。
protect は、病気などから「守る」場合にも使えるが(東京書籍3000)、ジーニアスによると人間などの相手でも使っていいようである。
辞書や単語集では「保護する」と訳される場合もある。
名詞 protection は「保護」の意味。
辞書によると、関税によって国内産業を「保護」することも protect である。また、風雨からの保護の「雨よけ」「風よけ」も 名詞 protection である。
さて、ジーニアスによると、「家族を守る」でprotect one's family である。ジーニアスでは文脈は述べていないが、普通の感覚では、病気とかではなく犯罪などから家族を守ることだろう。
日光(sunlight, sun)から目を守ったり(ジーニアス、センチュリー)、肌を守ったりするのも(桐原4500)、protectである。
たとえば、 protect one's eyes from sunlight 「日光から目を守る」
である。
protect 〜 from B で、「〜(守られる対象)をB(危険側)から守る。」である。
なお、子育てなどでいう「過保護」は英語で overprotect である(桐原5500)。
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汚染
pollute と contaminate
違いは不明確。
桐原5500にcontaminate がある。polluteは桐原・東京書籍の4500にある。
一応、ジーニアス英和および桐原5500には、「毒物や放射能」による汚染を contaminate としているが、彼らがそういう説を言っているだけ。クラウン英和はその説を採用していない、
実際にクラウンの例文を見ると、車の排気ガス汚染で、contaminate という動詞を用いている。
:Car exhaust contaminate the air. 車の排気ガスは大気を汚染する。
という文がクラウン英和にある。
しかし東京書籍4500では、工場の煤煙による大気汚染が pollute である。
クラウン英和にある大気汚染 air pollution のように、そういう用語が既にあるので、実務では業界の用語ごと覚えるしかない。
※高校生としては、不正確かもしれないが、とりあえず「汚染」はすべてpolluteで覚えておいて、実務などで「この場合はcontaminete を使え」と修正された場合にだけ contaminate を使うのが良いだろう。
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傷(きず)
wound, injured, harm, hurt
動詞 wound は、刃物・銃などで「傷つける」、「負傷させる」。桐原3000だと「傷つける」、東京書籍4500だと「負傷させる」。
ジーニアス英和hurtの説明によると、戦いでの負傷には wound を使うとのこと。
hurt は、感情なども含む「傷つける」。偶然か英米人のダジャレかどうか知らないが、心のheart と、心を「傷つける」 hurt とで発音が近い。関連付けて覚えよう。
センチュリー英和だと、hurtには、「傷による苦痛に重点がある」とのこと。
名詞 injury が「けが」という意味。これが「けが」の基本的な単語である。
さて、~ be injured で「~が、けがをする」の意味である。
~ be injured in ・・・ で「~(けが人)が,・・・(原因)でけがをする」である。
単語集によくある典型的な例文が、
「彼はその事故でけがをした。」 He was injured in the accident.
である。
単語集では、自動詞 hurt で「痛む」の意味があり、東京書籍4500で例文を紹介。一方、桐原4500は例文なし。
「おなかが痛い」(※東京書籍4500)とか(靴擦れで)「かかとが痛い」(※センチュリー)とかでも、hurtを使っていい。
桐原4500に名詞 hurt で、「傷」の意味が紹介されている(例文なし)。東京書籍4500にはなし。
hurt には「けが」・「傷」・「苦痛」の意味がある。
「傷」の意味では、injuryとほぼ同義だと、ジーニアス英和が言っている。
hurtとpainの違いが気になるが、あいにく辞書には書いてなかった。
ややしいことに「痛み」を意味する名詞 pain には、「苦労」の意味もある。苦痛ではなく苦労なので、いい意味でも使われる。
なお、painは名詞の用法が基本的な意味だし、名詞の意味は「痛み」。
hurt は動詞の用法が基本的な意味だし、動詞の意味は「傷つける」。
辞書を見ると、実は動詞のpainもあるが、これは「痛む」の意味である。(「傷つける」ではない)painはあくまで「痛み」に関する単語
名詞 harm は「害」の意味。なお、harmful で「有害な」の意味の形容詞<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P111 </ref>。
東京書籍およびジーニアスによると、日光や光によって「目をいためる」のは harm である。
飲酒や喫煙などの「害」がharm 。桐原4500に喫煙の害。センチュリー英和に飲酒の害。
このように、比較的に痛みを伴わないものにも使われる。(センチュリーにもそう書いてある。)
だが、「目をいためる」ように、実際に痛いこともある場合にも使われるので、まあ傾向の程度。
ネットでときどき「有害コンテンツ」という用語があるが、「有害コンテンツ」も英語で harmful contents である<ref>高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P121</ref>。
ほか、旺文社1900のsubstance ’物質)の項目が言うには、飲食物などに含まれていたら困る「有害物質」は harmful substances である。
さて、動詞 suffer が「苦しむ」という意味だが、 be suffering from ~ で、「~(原因)で、苦しい(つらい)」的な意味。
東京書籍 be suffering from a toothache 歯が痛くてつらい
桐原 be suffering from a backache 背中が痛くて苦しい
などと訳している。
ジーニアスによると、 「風邪をひいている」 be suffering a cold のように痛み以外でも使っていい。ほか、「英国はインフレで苦しんでいる」 be suffering from inflation のように使ってもいい。
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やわらげる
relieve, ease
苦痛などを「やわらげる」は動詞 relieve である。
典型的な例文で、(風邪薬などで)「頭痛をやわらげる」 relieve a headache がある(東京書籍4500およびセンチュリー)。
誰が風邪薬を飲んで誰の頭痛をやわらげるのかによって、飲んだのが「私」だったら relieve my headache になったり、教材ごとに主語による多少の違いがある。
どちらにせよ、単に柔らかいわけでもなく、単に軽減するわけでもなく、苦痛などを減らすのが relieve である。
relieve A of B(苦痛など) で、「AからBを除いて楽にする」の意味。
熟語 get rid of ~ 「~を取り除く」と関連づけて覚えよう。実際、桐原4500がそういう構成である。
名詞形は relief であり、「安心」「緩和」「救援」などの意味である(単語集にある)。単語集にはないが、野球のリリーフも同じrelief である(センチュリーで確認)。
sigh with relief で「安堵(あんど)のため息をつく」である。sigh (発音「サイ」)は、動詞としては「ため息をつく」、名詞としては「ため息」である。
例文は、
She sighed with relief. 「彼女は安堵のため息をついた」
である(東京書籍4500 項目 sigh。旺文社1900 項目 sigh)。
ともかく、「安心」的なのが relieve のイメージなので、be relieved to ~(動詞) で「~で安心した」という形容詞的な用法になる。
というか、辞書ではジーニアス英和でもセンチュリー英和でも、 relieved を形容詞として紹介している。
ease (イーズ)という動詞および名詞がある。これも動詞ease は「やわらげる」「取り除く」の意味である。これは形容詞の「簡単な」 easyの、名詞計および動詞形である。
名詞 ease は「容易さ」「気楽さ」「軽減」の意味である。
This medicine eases the pain. 「この薬は痛みをやわらげる。」
のように使う(東京書籍および旺文社に似た例文)。
ジーニアスによると、頭痛 headache をやわらげるのに ease を用いてよく、旺文社によると胃痛 stomach pain をやわらげるのに ease を用いている。
このような薬による「取り除く」「やわらげる」の意味での ease は、ジーニアスによると、relieve とほぼ同義語とのこと。
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取り除く
remove, eliminate
remove は、「取り外す」の意味に近い。
たとえばパソコンのUSBスティックメモリなどを「リムーバル・メディア」などというが、取り外したあとに、別に捨てるわけでもなく、消去するわけでもない。
このように、remove は単に「取り外す」「取り除く」というニュアンスである。
名詞 removal (リムーバル)「取り外し」という単語も存在しています(東京書籍4500)。
形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」という単語もあります(東京書籍4500)。
「リムーバル」はけっして形容詞 removable(リムーバブル)「取り外し可能な」の誤記ではないです。間違えないように。
一方、eliminate は、取り除いたあとに、処分することを念頭に置いている。または、取り除いたあとに、再度の取り付けの意思がないものに使う。
なので、eliminate で取り除かれるものは、ゴミだったり、あるいは犯罪などの社会悪だったりする。
または、解決すべき問題を片付けることも eliminate である(東京書籍)。
だから eliminate の訳語は「取り除く」である。外すのではなく「除く」に、そういうニュアンスがある。
eliminate (A) from (B) で、「AからBを除去する」である。fromの後ろにあるBが、抹消されるべき対象である。
こういう単語なので、単語集にはないが、ジーニアスを見れば、敵軍などを全滅させる事も eliminate と言うこともある。
なお、生物種の「絶滅」は extinction (エクスティンクション)である。
熟語 get rid of ~ は、そこまであれこれと考えていない。remove的にも使われるし、eliminate 的にも使われる。あるいは、remove と eliminate の中間だと思っておけばいいかもしれない。
さて、 exclude は、「除外する」である。
これよりも、形容詞の exclusive エクスクルーシブの意味「排他的な」のほうが分かりやすいので、そちらを説明する。
exclusive 「排他的」とは、最初から内部に入れない、という意味である。
だからexclude は、最初から中に入れないように「締め出す」という意味もある(桐原で確認)。
excludeの「除外する」の意味については、可能性などを「除外する」という意味もあり、ジーニアスの例文だと、たとえば「明日、雨が降る可能性は除外できる」みたいな割と平和的な「除外する」にも exclude を用いることもできる。
そのほか、exclude は、見当などの際に「考慮に入れない」という意味もあり(ジーニアス、センチュリー、旺文社で確認)、たとえば旺文社の例文では「税金は価格から除外されている」という意味の英文で exclude を受身計で用いている。
なお、対義語は include であり、「含む」という意味である。
たとえば「税込み 5ドル」は
<nowiki>$5,</nowiki> tax include
である。
典型的な例文は、
「料金は税込みですか?」 Does the price include tax?
がある( ジーニアス(ただしpriceでなくrate)、 東京書籍(ただし「料金」でなく「価格」と和訳) )。
また、-clude とは「閉じる」の意味である。
だから、たとえば conclude は、話を閉じるので「結論づける」「締めくくる」の意味。conclusion は「結論」の意味。
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消去する
erase , delete
(※ 範囲外)火を消す extinguish
鉛筆で書いた文字を消しゴムで消すのが erase である。
また、消しゴムをアメリカ英語で eraser (イレイサー、イレイザー)という(東京書籍1800、旺文社1900)。なおイギリス英語では rubber である。
黒板ふきも eraser である(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
コンピュータのデータを消すのは、erase も delete も使われるが(ジーニアスで確認)、しかし現代では delete でデータ消去を表すのが普通である。
実際、パソコンのキーボードにも delete キーがある。
旺文社の例文も、メールの削除を delete で表現している。
なお、東京書籍と桐原の単語集には delete は見当たらない。
昔なつかしいテープのデータを消去するのには、erase が使われるようである(ジーニアス、センチュリーにerase でテープのデータを消す用法あり)。
erase で消すのは、文字のほかにも、感情を「消す」などの表現でも使われる(ジーニアス、)。
「記憶を消せればいいのに」みたいな表現でも erase を使う(旺文社、ジーニアス)。
辞書にはないが、delete はもともと動詞で「削除する」「消去する」の意味であるが、現代ではパソコンのデリートキーを表す名詞として、delete が名詞としても使われる(旺文社1900)。辞書のほうが遅れている。旺文社1900が正しい。
なお、名詞形 deletion 「消去」「削除」という単語もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
高校範囲外ですが、火を「消す」は動詞 extinguish (イクステングィッシュ)です。
extinguish は一見すると見慣れないですが、実は高校範囲の単語「絶滅」 extinction (イクスティンクション)の動詞形です。
extinction のスペルのままでは動詞の意味は無いです(センチュリー、ジー二アス)。
消防士による「消火する」から(ジー二アス)、たばこの火を「消す」まで(センチュリー)、extinguish で表現できます。
なお、extinct は形容詞「絶滅した」「消滅した」です。
ほか、生態系の「絶滅危惧種」は an endangered species である(桐原4500 species、ジー二アス endangered)。東京書籍と旺文社には、species の項目自体はあるが、絶滅危惧種はない。
なお、植物の「種」(たね)は、seed という別の単語である(東京書籍4500、桐原3000)。
典型的な例文は、
「農場に種をまく」 plant seeds in the field
である(東京書籍4500、桐原3000)。
plant は「種をまく」という意味の動詞。
field は「農場」である。
動詞として seed 「種をまく」という用法もあるが、旺文社以外1200は紹介していない。少なくとも、桐原3000と東京書籍4500には、動詞の用法が紹介されていない。
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疑い
suspect ,doubt
doubt ~は、「~が信じがたい」の意味。 → don't think に近い
たとえば doubt if ~で「~かどうか疑わしい」。doubt that~で「~でないと思う」である。
suspect ~ は、「どうも~のようだ」のような意味(ジーニアス英和) → think に近い
旺文社1400にあるdoubt 例文で、
doubt ifの例文「私は神が存在するかどうか疑わしく思う」I doubt if god sexists.
および
doubt that の例文 「私は神は実在しないと思う」I doubt that god exist.
が覚えやすいだろう。
suspect~ の 目的語(~)の部分は、原因や容疑などがくる。
例文として「食中毒を疑う」 suspect food poisoning とか(東京書籍4500)、
容疑者は名詞 suspect である。
このほか dubious と言う「疑わしいと思う」(桐原5500)という単語があるが、辞書の例文が不足していてよく分からなかった。単語集では桐原5500に書いてある。
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治療と回復
「治す」 heal, cure ,
「~'''が'''回復する」(自動詞)は recover
「~'''を'''回復する」(他動詞)は restore
「気分の回復」は refresh
「(健康などを)取り戻す」は regain
医療や薬などによって、けが や病気を「治す」一般的な語は cure である。
外傷を治す場合は heal が好んで使われる。
cure ~(人) の語順である。
けが を治す場合、
cure ~(人) of □□(けが・病気)
の語順である。
典型的な例文が
「その薬が彼の病気を治すでしょう」 The medicine will cure him of his disease.
である(ジーニアスの例文を改造し、「あなたの病気」から「彼の病気」に変更)。
桐原にも似た例文があり、
This medicine will cure him of the disease. 「この薬が彼の病気を治すだろう。」
とある。
his disease か the disease かなどの多少の違いはあるが、まあこんな感じの英文になる。
get rid of ~ などと同様に、ofの後ろには取り除かれるべき物が来る。
heal も同様、
heal ~(人) of □□(けが)
の語順である。
だが、東京書籍4500および桐原4500いわく、 heal the wound 「けがを治す」のように、ofを使わずに使われる場合もある。
recover は「回復する」である。
recover from ~ で「~から回復する」である。
動詞 restore は、
「秩序を回復する」 restore order
のような例文が辞書で典型的(ジーニアスとセンチュリーの両方にある)。
さて、旺文社 store 項目によると、パソコンなどで、データをバックアップすることは store である。
そして、単語集にはないが、バックアップをもとに設定データなどを自動的に「復元する」ことを restore という事がよくある。
辞書によると、古い建築物や美術品などを復元することも restore である。
東京書籍4500では、教会を修復するのを restore としている。その教会が古いかどうかは東京書籍4500には書いてない。
桐原では、桐原5500にrestoreが書いてある。
けがの回復ではなく、ちょっとした疲れやノドの渇きや気分などを、軽い飲食物や短時間の休養などで回復させるぐらいの場合は、動詞 refresh (リフレッシュ)で表せる。
旺文社1900がrefreshを紹介している。桐原・東京書籍は紹介せず。
ジーニアスいわく、冷たい水を飲むのも refresh である。
refresh は主語や述語の語順のつかいかわけが難しいので、例文を省略する。
センチュリーいわく、入浴で疲れをとるのも refresh である。また、ジーニアスでもセンチュリーでも、アルコールで気分を回復するのが refresh である。
そのほか、ジーニアスによると、コンピュータなどのディスプレイ上の画像が更新されるのも refresh である。これからのIT時代は覚えておきたい。
regain one's health で「健康を取り戻す」という慣用表現である(ジーニアス、旺文社1900)。
旺文社1900にしかなく、番号 1502 / 1900 の単語。少なくとも桐原4500・5500と東京書籍4500にはない。
He regained his health. 「彼は健康を取り戻した」
のように使う(センチュリー)。
「意識を取り戻す」 regain consciousness もよく使われる(ジーニアス、旺文社1900)。
たぶん She regained consciousness のように使う(旺文社に似た例文)。
また、この用例から分かるように、健康的なものを取り戻す場合、普通は主語が自身の健康を取り戻すのに regain を使う。
「自由を取り戻す」(センチュリー)とか「都市を取り戻す」(ジーニアス)とかの政治的なことも regain である。
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蓄え
store , stock
store は「店」という意味の名詞でもあるが、「蓄える」という意味の動詞でもあり、さらに「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもある。
なお、storeを「店」の意味で使うのはアメリカ英語。イギリス英語では店はshopである。桐原3000にも東京書籍3000にも書いてある。storeは3000語レベル。
stock は「在庫」や「株式」という意味の名詞でもあるが、「蓄え」「蓄積」などの意味の名詞でもあり、さらに商品を「店に置く」「仕入れる」などの意味の動詞でもある。桐原と旺文社は、「仕入れる」の意味まで単語を紹介している(ただし例文なしで単語のみ)。
stockは4500語レベル。
しかし単語集では、ややこしいので、stockについては、「株式」「在庫」の意味の名詞だとしてしか、紹介していない。しかし実はstockも動詞の用法があるのである。
センチュリーによると、食料の「蓄え」は、stock でも store でもよい。
たとえばセンチュリーのstockの例文は「我々の食料の蓄え」Our stock of food である。センチュリーのstoreの例文は(リスが冬に備えての)「食料を蓄える」lay in a store of food である。
このように、どっちでも食料 food を蓄えられるので、区別がつかない。
storeは別にリスのような動物限定というわけでもなく、たとえばセンチュリーで図書の「蔵書」 a book of store などの表現もある。
storeが店での商売関係というわけでもない(もし商売に限定だすると、図書の蔵書とかリスの食料とか、説明がつかない)。
なので、stock に「株式」「在庫」の意味があると覚えるしかない。
桐原および旺文社いわく、
be out of stock で「在庫が切れている」
の意味。桐原は例文も紹介。旺文社は例文なし。東京書籍は紹介せず。
例文は桐原も東京書籍も旺文社も、在庫の例文である。
単語紹介だけでが、桐原いわく「株式市場」stock market
旺文社いわく「証券取引所」the stock exchange
である。
語源を調べてみても、 stock の語源は木の「棒」stick と同じだと書いてあるだけで、stock と storeとの区別には役立たない。
さて、単語集にはないが、パソコンなどのハードディスクなどの貯蔵量のデータ記録デバイスのことをストレージ storage という。
ついで、単語集にある情報だが、 storage は、「貯蔵庫」や「保存庫」の意味で、東京書籍4500の巻末にだけ、解説なしで、単語と例文だけ書いてある。
辞書を確認のため見たが、ジーニアス英和は家具の「保管」を storage といい、センチュリー英和は単に「倉庫」を storage といい、あまり共通性はなさそうなので、深入りしない。
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愚か(おろか)
形容詞 foolish, stupid, silly, ridiculous などがある。
このうち、 foolish, stupid, silly, は、「愚かだ」「馬鹿げている」の意味。
このうち silly は口語調。
<nowiki>Don't be silly.</nowiki> で「馬鹿げたことを言わないで。」という典型的な例文があり、東京書籍4500でも紹介されている。
名詞foolが形容詞になったのが foolish である。
stupid は、辞書によると、foolish よりも、けなしの意味が強い。口頭では使わないほうが安全だろう。
ridiculous は、「不合理で馬鹿げている」という意味。センチュリーによると、ridiculousには、あざけりや物笑いの意味もあるとのこと。
単に「不合理だ」の意味なら、 absurd を使う。桐原5500にabsurdが書いてある。なるべくabsurdを使うほうが高尚だろう。
センチュリーによると、absurdは、不合理さ・非常識さを強調している。
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移行と移転と移動
migrate, transfer ,
桐原4500に名詞形migrant (移住者)が書いてありますが、英語では動詞 migrateとは「移住する」や、渡り鳥の「渡る」のことです。
しかし単語集にはないですが、そのほかにもmigrateには、IT用語では古いシステムに入っていたデータやプログラムを新しいシステムの中へと「移す」ことや、開発環境などのシステムを新システムへと「移行する」という意味もあります<ref>[https://www.otsuka-shokai.co.jp/words/migration.html マイグレーション | IT用語辞典 | 大塚商会]</ref>。
なお似た言葉にreplaceがありますが、これはサポート切れなどで古くなったりして(obsolete)使えなくなったソフトウェアなどを現在の稼働中の使えるバージョンのものに「置き換える」(replace)ことを意味します。
英語では、「『移住』にシステム環境『移行』の意味もある」と覚えることが本質的な理解でしょう。
なお、スペルの似ている immigrate に、(外国から)「移住する」の意味があります(桐原4500)。またなお、桐原4500にも書いてあるが、空港などの入国管理が名詞 immigration である。英会話の教材などでよく immigration が出てくる。
immigrate と migrate の意味の違いを把握するため、辞書の説明に逆らって、私たちは migrate は(環境を)「移行する」で覚えましょう。
これが、moveやtransfer と、migrate との違いです。
なお transfer に「転勤する」「転勤させる」の意味があります(桐原4500)。
「転勤させる」ほうは他動詞なのでtransferでもいいのは分かりますが、「転勤する」と「移住する」の区別が難しいです。まあ、おそらく他動詞からの類推か、慣用的にtransfer が定着しただけでしょう。
なお、辞書にありますが「転校」や(プロ選手などの)「移籍」もtransferです。
高校生物の遺伝に関連する細胞物質のひとつで、トランスファーRNA (transfer RNA)というのがあります。こういうのと関連づけて覚えましょう。
また、列車・バスなどの乗り換えも transfer です。
スペルの似た単語で、transport という動詞および名詞がありますが、動詞 transport は「輸送する」です。
transfer 「乗り換え」はおそらくtransport 「輸送する」との関連で定着した表現でしょうか。
単語集にも辞書にもないですが、インターネット用語で HTTP というのがありますが、これは「Hypertext Transfer Protocol 」の略です。データなどを「転送する」のも transfer です。
センチュリー英和によると、銀行口座に「振り込む」もtransfer とのことなので、おそらく「送金する」のようなニュアンスでしょう。
なお、ジーニアス英和およびセンチュリー英和によると、法律用語で、財産などを「譲渡する」もtransferです。
transition という名詞が別にあります。transition は、移行期にあるものについての「移行」のことです。桐原4500 では「議会制民主主義への移行」、旺文社1900では「自動運転車への移行」を例文にしています。
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決定
determine ,decide
辞書にはないが、determine は、断固とした決意で「決心する」「決定する」である。
形容詞 determined がセンチュリー英和によると断固とした決意の意味なので、動詞determineのほうもそういうニュアンスである。
あと、ジーニアス英和にあるが、判決を下すのも determine である。
あと、予備知識がないと気づかないだろうが、東京書籍4500にある例文のように、専門家などが原因などを「特定する」ことや、判定するのも determine である。
実際には、あまり断固としてなくても determine が使われるような例文もちらほらとあるが、あくまで派生的な用法だと思うべきだろう。
だから名詞形 determination は、「決心」「決意」と覚えるべきだし、実際に桐原4500や東京書籍4500でそういう和訳である。
be determined to ~(動詞) で「~する決心をする」
である。受身形で「決心する」になる。
たとえば
He was determined to ~ 「彼は~する決心をしていた」
のように使う。また、完了形にせず、過去形のままで使う(桐原4500の例文、ジーニアスの例文など)。
能動形でも「決心する」の用法もあるが、普通は上述のように受身形で使う(ジーニアス)。
検定教科書で三省堂 CROWN Iを読んでいると、高校1年でもう be determine to do を扱っている。
対する decision は、和訳は「決定」である(東京書籍4500)。桐原によるとdecisionは「決定・決断」だが、しかし上述のように、どちらかというとdesicionは比較的に「決定」のニュアンスのほうに近いだろう。
resolve でも「決意する」だが、東京書籍4500だと彼女をデートにさそう「決心」という例文であり、まったくもって断固とした必死さが足りない。
そんなのよりも、会議などの「議決」のことを resolution というのを覚えたほうが良いだろう。桐原4500に「決心」「決議」と単語の和訳だけ書いてある(例文はなし)。
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減少
decrease, decline , reduce, diminish
まず、高校英語で増減を表す場合につかう典型的な単語は、increase (「増える」「増やす」の意味)および、対義語の decrease(「減る」「減らす」の意味)である。
たとえば、三省堂『CROWN II』「英語表現」教科書では、パラグラフ・リーディング/ライティングの説明で、留学生に関する分析の文章を扱っているのだが、留学生の「増加/減少」<!-- 「/」は原著が全角文字なので、それに合わせた。 -->にそれぞれ increase/decrease という表現を使っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P81</ref>。
この例のように、 increase (増加)と decrease (減少)は対になって使える便利な表現であるので、まずはこれを覚えよう。
熟語というほどではないが、
~(主語) increased by □□(数値) percent.
で、「~が□□%上昇した。」である。たとえば上記のパターンで、東京書籍4500では「その商品の売り上げ」Sales of the product だし、旺文社199では「日本の実質GDP」Japan's real GDP である。桐原3000には数値上昇の例文なし。桐原は昔から単語集では定番だが、しかし桐原だけでは勉強できないこともある。
increase で増える数値はなにも百分率(パーセント)でなくてもよく、たとえばジーニアス英和では、「体重は2キロ増えて60キロになった」 increased by two kilograms to 60 kilograms.
という例文もある。
on the increase で「増大して」の意味。なお、ここでの increase は名詞。
東京書籍4500では「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
センチュリー英和では「大都会における犯罪は増加しつつある。」 Crime in big city is on the increase.
ジーニアスは on the increase の例文なし。このように、ひとつの英和辞典だけでは勉強できない。
別に on the increase を使わずとも、現在増加中のものは現在完了進行形で書いてもよく、桐原3000がそうであり、
「車の台数が増え続けている」 The number of cars have been increasing.
である。
ジーニアス英和にある説明だが、よく、The number of ~ increased. で「~が増えた。」と言う例文があるが、「The number of 」を省いて直接「 ~ increased. 」のように言ってもいい。
実際、東京4500の例文「自動車事故が増加している。」 Bike accidents are on the increase.
でも、 the number of は無い。
on the increase のbe動詞が単数形(is)なのか複数形(are)なのか食い違いがあるが、英和辞典を見ても、とくに言及はされていない。
increasingly で「ますます」の意味が紹介されているが(東京書籍4500。旺文社1900)、しかし例文は無い。
価値や能力を「高める」場合、enhance (エンハンス)という動詞が使われることもある。だが、辞書でも例文が少なく、あまりいい例文が見当たらないので、説明は省略。旺文社1900だと、603/1900の位置でenhanceを紹介している。だが東京書籍4500では、巻末ちかくで enhance を紹介である。桐原に至っては、4500語レベルではなく桐原5500の後半ちかくでenhanceを紹介である。
なお、遺伝学の用語でエンハンサーというのがあり、サイト『脳科学辞典』によると「 エンハンサーとは、遺伝子の転写量を増加させる作用をもつDNA領域のことをいう。プロモーターからの距離や位置、方向に関係なく働く[1][2][3]。サイレンサー(遺伝子の転写を抑制するDNA領域)とともに、遺伝子の発現調節で重要な役割を果たす。」とのこと<ref>[https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC 佐藤 達也、斎藤 哲一郎、『エンハンサー』、原稿受付日:2013年3月25日 原稿完成日:2015年1月15日]</ref>。
ほか、和製かもしれないが、音楽用語でDTM用語で、「エンハンサー」という機器がある。なお、近年ではエキサイターとも言うらしい。もしかしたら微妙に機能が違うかもしれないが、特定分野なので深入りしない。
サイレンサーというのは、銃などの減温装置などもサイレンサーというので、おそらく何かしら「エンハンサー」という機械装置が欧米にもあってそれを由来にした生物学用語なのだろうが、調べきれなかった。
なお、いくら銃に持ち運びできるような装置を取り付けても、さすがに無音にできるわけではないので(消音ではない)、「サイレンサー」という表現は誇大広告。近年は、銃の消音装置は「サプレッサー」 suppressor (「抑制するもの」というような意味)という。なお遺伝生物学では、過去の間違った学説にもとづく架空の分子に「サプレッサー」と言う用語が使われたことがあって、そのため、この語の使用をひかえている。
さて、decline は自動詞であり、つまりdeclineは「低下する」「減少する」の意味である。
declineの典型的な例文が「出生率は低下している。」であり、東京書籍4500では
The birth date is declining. 「出生率は低下している。」
である。
似た例文が、旺文社1400にもあり、
「出生率は低下し続けている。」 The birth rate continues to decline.
である(旺文社1400)。
なお検定教科書にも decline の単語は掲載されている<ref> 、『CROWN English Communication III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P45</ref>。和訳が検定教科書に書かれてないので不明だが、その検定教科書では経済の議論の紹介で decline が使われているので、「低下する」の意味にて decline を用いているのだろう。
decline には、申し出・誘いなどを「断る」の意味もあり、桐原4500に紹介されているのはこっちの意味だけ。
しかし、高校の検定教科書に、「少子化」 declining birth rate が照会されているので、「減少」の意味のほうもキチンと覚えよう<ref>高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P18 </ref>。
名詞形 declination が、ていねいな断りの意味。
reject (計画などの「拒絶」。※却下のような意味)や refuse (拒絶)だと意味が強すぎるのだろう。
reduce は「減少させる」。3R運動のリサイクル、リユース、リデュースのあれ。
「減少」は名詞 decrease と名詞 reduction がある。
reduction は、「削減」のニュアンスで使われることが比較的に多く、桐原4500および東京書籍4500の例文が経費削減である。
reduce costs で「経費を削減する」である。
このほか、diminish や drop や fall などがあるが、やや高校範囲を超える。一応、diminishは桐原5500および東京書籍4500には書いてある。(桐原4500には書いてない。)な
一応、diminish は、検定教科書『CROWN III』で使われている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P73</ref>。
CROWN III にある例文は
But the war 1990's, the threat of war diminished.
という文章(抜粋)である。検定教科書に和訳がないので答えは不明だが、「しかし、1990年代には、戦争のおそれも少なくなった」ような意味である。
直前の文章では、「20世紀は戦争が多く」みたいなことを英語で言っているので、おそらくそういう意味だろう。
辞書で diminish を確認したところ、ジーニアスもセンチュリーも悪い意味に使う例文のほうが多いが、しかしCROWN IIIの検定教科書によると、とくにdiminish には悪い意味合いは無いようである。
桐原5500に書いてある例文も、
We can diminish our fear. 「恐怖を減らすことはできる。」(抜粋)
なので、別にdiminish に悪い意味合いはない。
なお、桐原5500の例文は東北大の過去問。ネットでは「地方国立の入試英語なんて教科書レベル」などの言説もあるが、まあ確かに教科書にはdimisihも書いてあるものの、大分、学習量は大きい。
drop やfall は、旺文社1400の巻末にある類義語の章にだけある(本編には解説なし)。
dropは数量や人口、価格などの減少で使われる「口語的」な語(旺文社が「口語的」と言っている)。ただ、ノーベル経済学者クルーグマンのツイッターを読んでたら、「インフレの減速」のような意味で普通に drop を使っていた。
価格の低下だけでなく、派生してインフレの減速にもdropが使われることから、もしかしたら経済学などでは文語的に drop という単語が使われている可能性もあるかもしれない。
なお、「急騰する」は soar である(桐原5500、旺文社1900)。
単語集の例文だと完了形で have soared だが、急騰の結果として現在でも株価が高いなら完了形にするのが無難だろう。
インフレ率の上昇でも株価の上昇でも何でもいいが、たとえば旺文社1900が株価の上昇の典型的な例文
The stock prices of the company has soared . 「その会社の株価が急上昇した。」
である。
ジーニアスは野菜の価格の急騰、桐原5500は米価の急騰である。たとえばジーニアスでは
The price of vegetables is shoring. 「野菜の価格が急騰している。」
である。この野菜の例文のように、進行形ならもちろん、現在も急騰の真っ最中になる。
時制ついでに桐原5500の例文を紹介すると、
Figure showed the price of rice had soared to record levels. 「数字は米価が記録的な水準にまで急騰したことを示していた。」
である。
なお「痛い」soreと同じ発音である。
ついでに言うと、よく景気の先行きについての見通しで「悲観的」だの「楽観的」だのマスコミ用語でいうが、これは英語でもそう言い、
「悲観主義」は英語でpessimism (ペシミズム)である。
「楽観主義」は英語で optimism (オプティミズム)である。
スペルよりも、まずカタカナで『ペシミズム』『オプティミズム』と覚えてしまおう。社会評論などの書籍などを読んでいると、ときどき外来語として「ペシミズム」などの用語を使っている場合もある。
典型的な例文として
東京書籍4500で「ボブは自分の将来について楽観的だ。」 Bob is optimistic about his future.
である。
似たような例文が旺文社1900にもあり、「彼女は自分の将来について楽観的な気持ちだ。」 She feels optimistic about her future.
である。
桐原4500が紹介しているが、なにも将来でなく経済に楽観や悲観を感じてもいいのである。
桐原によれば、「彼はその国の将来について楽観主義を表明した。」 He has expressed optimism about the country's economy.
である。
wikiオリジナルの例文だが「トムは経済の先行きに悲観的だ。」なら、さしずめ Tom is pessimistic about the country's economy.
とでもなろうか。
なお、英和辞典を見ても、例文が「~は将来に楽観的だ」とか「将来に悲観的になってはいけない」ばかりである。optimistic などの単語が経済予想や株価予想に使えることすら、辞書だけでの勉強では全然分からない。とはいえ、あまり良い市販の英語教材がない。
ともかく、また、これらの例文のように、 be optimistic about ~ で「~に楽観的だ」となる(東京書籍4500)。悲観の場合も pessimistic で同様。
念のため、派生語も含めて一覧にすると、
optimism 「楽観主義」、
optimistic 「楽観的な」、
optimist 「楽観主義者」(旺文社1900に紹介あり)、
pessimism「悲観主義」、
pessimistic「悲観的な」、
pessimist 「悲観主義者」、
である。
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想像
vision, imagination, image
vision は「想像」の意味があるが、「見通し」の意味もある。もっとも、見通しの意味では名詞 perspective がさらに高尚。
なお、perspective はどちらかというと「視点」の意味である。大局的な視点=見通しのようなニュアンスが perspective である。東京書籍が(大局的な)「視点」、桐原が「観点」。だが、別に大局的でなくても美術の遠近画法のことを perspective というので、東京書籍の説明はいかがなものか。
from a different perspective で、「違った視点から」
たとえばジーニアスいなる例文think about the problem from a different perspective で、「その問題を違う観点から考える」となる。ジーニアスは「観点」、東京書籍4500は「視点」と訳しているが、別にどちらでもいい。
different の部分を別の形容詞にすれば、
from ~ perspective で、「~の視点(観点)から」になる。
なお、スペルの似ているprospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
たとえば形容詞 prospective は「有望な」の意味である。
ジーニアス英和によると、もともとはprospectは高いところからの「展望」のような意味だったようである。桐原4500にprospectが書いてある。
「見込み」outlook という単語もある(桐原5500 のprospect)。桐原5500では prospect の「見込み」の類義語として紹介されている。
もし、「観察力」とかを言いたい場合、observe 「観察する」である。
「洞察力」なら、penetrating 「洞察力のある」である(旺文社1900。桐原5500)。ただし、洞察力の意味での例文は単語集に無い。動詞penetrate には「浸透する」の意味もあって、そちらの例文が市販の単語集には書いてある。
もっと簡単な単語としては insight 「洞察力」という名詞があるので、これを使って洞察力を表現する方法もある。
なお、
語法 give A insight into B で「AにBの見識を与える」
である。
名詞 vision にも、「見通し」「洞察力」などの意味があるので、これでも洞察力を表現できるだろう。ただし、単語集にその用法での例文は無い。
旺文社1900によれば、 a one's(myなど) point of view で「〜の観点から」の意味。だが、これを直接暗記するよりも、まず名詞 view には、「眺め」の意味のほかにも、「見解」の意味があることまず知るべき。
慣用的に in my view, 「私の考えでは、」(ジーニアス、センチュリー)という表現がある。「考え」と訳しているが、「私の見解ですが、」くらいに訳したほうが分かり易いだろう。ただし、英語の view には、個人的な感情も含んで見方を示しているので、そういう意味で辞書では「意見」としたのかもしれない。
だが、 in my view は、ジーニアスによれば、in my opinion よりも控え目な言い回しとして使われる。
まあ、読者の自己責任で和訳してください。
単語集にはないが、viewpoint 「観点」という単語がある。ジーニアスの例だと、
From an economic viewpoint, 「経済的な見地からすると、」(その計画には利点がない)
と続く。
センチュリーだと、
〜 from the viewpoint of employees. 「従業員からの立場からみれば」(昇給はよいことだ)
となる。
旺文社の大学入試出る順シリーズに a point of view が書いてあるから、たぶん入試に良く出るんだろうが、正直言って瑣末な単語であろう。実際、桐原も東京書籍も a point of view を紹介していない。ジーニアスやセンチュリーにすら、少なくともview の項目には書いてない。辞書でpoint で調べると point of view が書いてあるが。
たとえば、センチュリー英和では「アメリカ人の視点から見ると、」(謝罪は自分の誤りを認めたことになる) From an American point of view, 〜
ジーニアス英和では「財政的見知では、」(これは由々しき問題だ) From a financial point of view, 〜
などの例文がある。
熟語 in terms of ~ で「~の点から」。なお terms はterm の複数形。東京書籍4500と桐原4500に似た例文があって、東京書籍「その計画は費用の点から現実的ではない」The plan is not realistic in terms of cost.
なんで terms と複数形なのか不明と思うだろうが、しかし英和辞典にも in terms of と複数形で紹介されているので、受け入れてもらうしかない。
いっぽう、桐原「この計画は時間と費用の関係で現実的ではない。」 This schedule <nowiki>isn't</nowiki> realistic in terms of time and costs.
term ついでに言うと、医療の末期医寮などでターミナルなんとか terminal 〜 とかあるが、辞書で確認すると用語term と末期terminal の語源は一応は同じだが、事実上は意味のまったく違う別の単語だと思うほうが良いだろう。東京書籍4500がそういう見解であり、「用語」 term と 「末期の」「終末の」 terminal を別々の項目として紹介している。
「末期の」の典型的な例文としては、「末期ガン」 terminal cancer がある(東京書籍4500. ジーニアス、センチュリー)。
桐原4500 では terminate 「終わりにする」が紹介。terminateの紹介位置が巻末ちかくの付録のため、例文なし。
駅や空港などのターミナル terminal も、同じスペルである。駅近くなどのターミナルも、もともとは何かの終着のことだったのだろう。
なお、駅が公共バスなどの終点である事例は多い。
そういうバスターミナルのことも、ジーニアス英和いわく a bus terminal であり、またはセンチュリー英和いわく単に terminal という。
センチュリー英和は、バスのターミナルを単に「終点」と訳している。
さて、term には、「用語」の意味の他にも、「期限」「期間」の意味がある。
形容詞 long-term で「長期の」という意味である(旺文社1900)。
単語集にはないが、termination 「満期」「満期の」という単語がある。term にはそういう、限度のある期間的な何かのニュアンスもある。関連づけて覚えよう。
小中高の学校の「学期」もtermであるが、普通は3学期制の「学期」のことをいう(ジーニアスsemester で確認。ほか旺文社 semester )。大学の「前期」「後期」といった2学期制の場合は semester という(旺文社、ジーニアス semester )。
なお、日本の大学は、年間で「前期」「後期」という2学期制である。少なくとも日本の大学はそうである。
英米では、「秋学期」the fall semester と、「春学期」 the spring semester という言い方をする。
普通、英米では、9月から翌年1月までが「前期」the first semester であり(センチュリーで確認)、「秋学期」the fall semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
普通、英米では、2月から8月までが「後期」the second semester であり(センチュリーで確認)、「春学期」the spring semester という言い方をする(センチュリー、旺文社)。
果たして大学でもし3学期制の学校があったら何というのかは知らない。まあ、単語なんて所詮は、社会の現状に合わせて言葉が作られるので、社会に存在しない制度の呼び名を考えてもラチがあかない。
imagination は「想像する行為」または「想像力」のこと。
image は、想像によって脳内に思い浮かんだ「像」や「印象」のこと。
動詞形は imagine である。実はimageも動詞とみる場合もあるが、しかしジーニアス英和ではimageの動詞用法は不採用である(ジーニアスでimageを見ても、動詞の用法は無い)。センチュリー英和だと、imageの動詞の用法が書いてある。
形容詞 imaginary は、「想像上の」「架空の」「実在しない」である(ジーニアス英和。センチュリー英和)。
ジーニアスでもセンチュリーでも、「創造」ではなく「想像上の」である。
スペルの似た imagery という単語があり、旺文社には『(集合的に)「比喩的表現」』と書いてある。辞書を見てもジーニアスでしか見つからず、例文もなく、よく分からないので説明を省略。
単語集にはないが、理科のレンズの実像(a real image)や虚像(a virtual image)などの「像」も image である(ジーニアス英和)。
旺文社1900にあるが、テレビの「画像」も image である。上述のレンズとテレビを合わせて考えれば、つまり、光学の像も image であるし、実際に英和辞典ではそう紹介している。
なお、イメージダウンなどは和製英語。イメージが悪化した場合は a bad image のように言う(ジーニアスで確認)。
なお、仏像とか銅像とか、ああいったのは「塑像」(そぞう)とか「彫像」(ちょうぞう)とかいうが、「塑像」・「彫像」の英語は statue (スタチュー)である。単語集を見ると巻末の索引に statue が書いてないので一見すると高校の範囲外だが、しかし自由 liberty で東京書籍4500を見れば「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P28に「自由の女神像」 the statue of liberty が書いてある。
このように、「自由の女神像」 the statue of liberty は事実上の高校必須の単語である。
liberty「自由」は普通、国家権力からの自由の事を言う。
だから liberal は形容詞「自由主義の」または名詞「自由主義者」の意味がある。(桐原4500が名詞「自由主義者」も紹介している。東京書籍は形容詞だけ。)
liberalism 「自由主義」である。
statue は、桐原の検定教科書『EMPOWER II』にも、P31に「ブロンズ像」 a bronze statue が書いてある。
光学ついでに言うと、「反射する」は reflect である。典型的な例文が、「日光を反射する」reflect sunlight である(東京書籍4500、センチュリー)。
ジーニアスには「鏡は光を反射する」
A mirror reflects a light.
という例文もある。
だが、桐原4500や旺文社1900では、reflectの、意見などを「反映する」の意味のほうが紹介されている。
とりあえず、ジーニアスによれば「世論を反映する」 reflect public opinion である。
センチュリーや桐原や旺文社を見ても、「反映する」は他動詞的に使うのか自動詞的に使うのか、能動形や受動形か、あまり使い方がはっきりしない。
reflect on ~で「熟考する」「回想する」の意味(旺文社1900では熟考、東京書籍では回想を紹介)。東京書籍のには例文あり。著作権のため本ページでは紹介しない。
名詞形には reflection と reflex がある。意味が微妙に違うので、必要な場合には英和辞典で確認せよ。
なお、単なる「視野」や「視界」のことは view である。だが、辞書でviewの項目を見ると、「見解」の意味が先に書いてある。少なくともジーニアス英和とセンチュリー英和はそうである。辞書よりも単語集で勉強しよう。
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可能性 possibility, probability, likelihood
成功の見込み、成功の可能性 prospect
潜在能力 potential
probability (プロバビリティー)は「見込み」「確率」の意味(旺文社1900)。数学の「確率」で probability が使われるので、もし確率ではない単なる「可能性」のことをいいたい場合は、別の言い回しが必要な場合もあるだろう。
関連語として、副詞 probably「たぶん」がある(旺文社、桐原)。
形容詞 probable (プロバブル)については
It is probable that ~ 「たぶん~だ」
の意味(桐原4500、旺文社に似た和訳)。
対義語 impossible (インポッシブル)「不可能である」も覚えておきたい。
ほか、prospect は、何か良いことの起きる「見込み」、成功の可能性のこと。
「可能性」を意味する likelihood (ライクリフッド)という単語もある(旺文社1900巻末)。副詞 likely 「ありそうな」の名詞形である。
possible (ポッシブル)について、
It is possible that 人 to do
で「人が do するのは可能だ」の意味(桐原4500、東京書籍3000)。
capability (ケイパビリテイー)は「能力」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
ability (アビリティー)は「能力」「才能」である(桐原4500)。可能性は関係ない。
「たぶん」を意味する副詞の maybe(メイビー) と perhaps(パハップス) と probably(プロバブリー) については、省略。書きたくない。
東京書籍3000が、ひとまとめで maybe や perhaps と probably を説明している。
東京書籍3000は紹介していないが、 likely (ライクリー)形容詞「ありそうな」、副詞「たぶん」という単語もある。
名詞および形容詞のpotential (ポテンシャル)は翻訳の都合で(名詞の場合なら)「可能性」と訳す場合もあるが、なるべく「潜在能力」 potential という訳で覚えましょう。
形容詞としての場合、「潜在的な」で potential を覚えましょう(桐原3000巻末)。
物理学の位置エネルギーのことを英語で potential と言いますので、科学的な専門用語でもあります。
桐原3000巻末のセンター試験特集によると、「潜在能力」などの意味ですが potential はセンター試験での出題をされた単語らしいです。
センター出題の背景事情として、ポテンシャルは物理学などで使う用語だという背景があります。
日本語でも、物理学の専門書などを見ると、普通に「ポテンシャルエネルギー」とか単に「ポテンシャル」などと言ったりもします。
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計画
scheme, plan, project
~するつもり intend , plan
桐原4500 が scheme を「たくらみ」の意味だけ例文で紹介している。勘弁してほしい。
まず、旺文社1900 が例文で、政府の「新しい住宅供給計画」を The new housing scheme といってるように、比較的にきっちりとした計画のことである。
桐原・旺文社の単語集にもあるように schemeに「体系」とかの意味もあって、だからニュアンス的には、体系だった計画のような感じがある。
念のためジーニアス英和を見ると、scheme の意味として「政府の公共計画」、「会社の事業計画」などが挙げられている。
そして、そういう派生として、「陰謀」(旺文社)、「たくらみ」(桐原)を覚えるべきだろう。語源はともかく。暗記の負担を減らす理解としては、たとえば
:陰謀は大規模・身の程知らず → 大規模な計画は scheme という → じゃあ陰謀も scheme でいいか
的な連想とかで覚えるのがラクかと。
高校生に語源の知識はいらないし、もし語源が「たくらみ」だというなら、そういう情報を先に教えるべきだし、念のためジーニアスで語源を見てもsdhemeの語源は『「形」が原義』とのことだし、あるいはもし有名大学が入試でscheme の「計画」の意味も出題せずにschemeの「たくらみ」を出題しているならその大学が批判されるべきだろう。
なので、ジーニアスもいってるように、scheme は plan よりも固い語である。
ジーニアス英和やセンチュリー英和にあるように 大綱とか図式とか、学問などの体系とか、教育体系とかも scheme という。
たとえばセンチュリー英和が教育体系なら an educational scheme だと言っている。
plan は「計画」をあらわす一般的な語(ジーニアス)。
project は、長期の「計画」を表す(東京書籍3000)。projectを「事業」「プロジェクト」などと訳す場合もある。東京書籍では「プロジェクト」という訳語を紹介している。
辞書では特にplan と project の違いは述べられていない。だが project の用例を見ると、橋やダムなど公共インフラの建設計画などがよく project で表現される。
「ダム建設の事業」 the project ro build the dam
である(東京書籍3000。センチュリーに似た例文)。
「橋の建設の事業」なら a project to build bridges である(ジーニアス)。
別に公共インフラでなくてもよく、ビルの建設計画でも良い。
なお、大規模な工事などを「計画する」という意味で動詞 project もある。アクセントが名詞と動詞とで異なる。
名詞は、プ「ラ」ジェクトの「ラ」にアクセントがある。なお、日本語では「プロジェクト」と書かれるが、英語ではどちらかというと「ロ」ではなく「ラ」であり、プロジェクトである(センチュリー、ジーニアス)。
動詞は、プロ「ジェ」クトの「ジェ」にアクセントがある。
学生などの研究課題も project という、
計画する plan , intend
動詞 intend to ~ 「~するつもり」は、計画だが、やや欲求・意思に重点を置いている。
動詞 plan は、計画性に重点を置いている。 plan to ~ は「~することを計画している」と訳すのが普通。(「~するつもり」ではなく)
plan a trip to Hawaii 「ハワイ旅行を計画する」(東書3000)
plan to go to Ireland 「アイルランドに行くことを計画する」(桐原4500)
進学などの予定は、intend も plan も使う。
Bob intends to learn karate in Japan.「ボブは日本で空手を習うつもりだ」(東書3000)
Most of these students intend to continue their education at university. 「ここの大半の生徒は大学へ進学するつもりだ」(桐原4500)
べつに進学や就職でなくても、
She intends to go to bed early tonight.「彼女は今晩早くねるつもり」(桐原1900)
Where do you intend to go to tomorrow? 「明日どこへ行くつもりだい」(ジーニアス)
のように intend は今日とか明日の予定でもいい。
名詞形は intention 「意図」である。単語集には例文は無し。高校レベルを超える。(いちおう、東書4500に「意図する」のintend の例文あり。)
ただ、どうしても「意図的」とか言いたい場合は、intentional とかintentinally みたいにその系統の語を使うのが安全そうである。
桐原5500 に deliberate 「意図的な」という語があるが(昔の上智大に出た単語らしい)、intention などとの使い分けが英和辞典を見ても言及されておらず、またネットで調べても情報が一致しない。あるサイトでは、欲求にしたがった意図だという主張もあれば、別のサイトでは熟考した上でも意図だという主張もあり、不一致である。
なお「配達」などの delivery とは語尾のvが違う。bとvの違い。
いちおう deliberate に「熟考した上での」という意味もあるが、しかし、あまり行儀のよろしくない行動にも deliberate の「意図的な」を使う例文もあるので(たとえば故意犯みたいな)。・
a deliberate insult 意図的な侮辱(ジーニアス)
the fire was stated deliberately その放火は意図的だった(グランドセンチュリー)
みたいな。
もちろん悪事だけでなく、良いことにもdeliberate を使ってよい。
a deliberate refusal よく考えた上での辞退(ジーニアス)
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陰謀(主に「共謀」)
conspiracy
たくらむ
scheme
高校英語としては、陰謀で覚えるのは conspiracy と、あとはschemeで十分だろう。
ジーニアス和英辞典によると。「たくらむ」には、plot, conspire , scheme , contrive ,hatch がある。
これらの単語には、陰謀以外の意味で使われるものあり、
比較的に簡単な単語なら、
plot は、よく数学的なグラフに「点を打つ」とかの意味で使われる。
なんと高校の単語集には plot がない(桐原3000・4500・5500と東京書籍3000・4500を調べた)。点 point とか教えてるのに「点を打つ」plot がないとは、英語教育の界隈はどういう了見か。反省を願う。中学数学レベルの簡単な英単語も教えられないくせに conspiracy とか教えているのか。
一応、「x軸」 x-axis とか「y軸」y-axis とかは、検定教科書で見かける<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression II New Edition』、三省堂、2022年3月30日 発行、P145</ref>。
ジーニアス英和で plot を見ると、「(裏切りの)陰謀」「たくらみ」が最初の意味だが、なんだかなあ。いまどき plot なんて数学の座標で使うのが人生で最初だと思うが。
センチュリー英和の言うように、地図や図面などに位置を書き込むことがプロット。
なお、小説などの筋書きも plot といい、センチュリーはこの筋書きの意味をplotの名詞の項目で最初に紹介している(動詞のほうは、「たくらむ」だけ紹介)。
しかしセンチュリーのほうだと、動詞には、図面や地図に位置を書き込むことの動詞がない。
本当もう勘弁してほしい。英和辞典ともあろうものが中学校レベルの英語くらい書けないのか。
scheme は上述のような体系的な「計画」だし、
hatch は(鳥などが)「ひなからかえる」「卵からかえる」「卵をかえす」とかの意味。船などの昇降口のハッチ hatch とスペルが同じ。
contrive には、(ジーニアス英和によると)「考案する」・「うまくやりとげる」の意味もある。
conspire が、「共謀する」の意味。桐原5500でも、conspiracy の例文の主語が複数形になっているので、和訳には「陰謀」とあるが内容は「共謀」である。
ちなみに「陰謀」の名詞は、桐原5500が紹介しているのは、intrigue (イントリーグ)とconspiracy (コンスピラシー)である。
これだと意味が強すぎるので(政府転覆とか)、ちょっと何かをたくらんでいるぐらいの場合に、scheme とか plot とかを使うとよいのだろう。
ジーニアス英和で intrigue を調べてみたが、例文がなく、よくわからなかった。なお、名詞も動詞も intrigue である。
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多様性
variety ,diversity
東京書籍4500は variety と diversity の違いの細かい説明をあきらめている。
diversity のほうが高尚な言い回し。
東京書籍の言うには、形容詞 variousが「いろいろ」「さまざま」。名詞 diversity が「多様性」である。
熟語 a variety of ~で「様々な」の意味(桐原4500)。
桐原4500および旺文社1900に至っては、そもそもdiversityの項目・ページではvarietyを紹介していない。
桐原4500 が「民族の多様性」 ethnic diversity という表現を使っている。
センチュリー英和がdiversityの項目で biological diversity 「生物学的多様性」という表現を使っている。
「生物多様性」のことを biodiversity または biological diversity という(旺文社1400)。
biodiversity は辞書(ジーニアス、センチュリー)に書いてある。
辞書のbio- の項目では、biological diversity は辞書では見つからなかった。
なお、ややこしいことに、diversity およびvariationには「差異」「相違」という意味もある。
和製英語のバライエティーおよにバリエーションは、やや意味が間違っている。
variation は、「差異」・「相違」・「変化」の意味(東京書籍4500および旺文社1900)。高校数学ではわかりづらいが、大学の数学で「変分法」という微分積分の発展的な分野のようなものがあって、これに variation という英語が相当している。( [https://kotobank.jp/word/%E5%A4%89%E5%88%86%E6%B3%95-131413 コトバンク『変分法』] )この変分計算では、関数中にある変数の代入値を少しだけ変化させたら関数がどう変化するかを考察しているので、英単語 variation の訳語のニュアンスに近い。
なお「微分」はdifferential、導関数はderivative なので、混同しないように(※ 大学受験に出ないので覚えなくて言い)。
桐原4500の例文にもあるが a diversity of ~ で「多種多様な~」の意味。 a diversity of wildlife で「多種多様な野生生物」と桐原4500が紹介。
なお余談だが、近年では国籍や性別(男・女のほかにも、さらにはLGBTなど)などの多様性のこともよく「ダイバーシティ」 diversity といい、よく人権などの関係した議論でこの用語護が出てくる。今後の公民科目などの範囲になるだろうから、本・英単語集のページでは深入りしない事にする。
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十分・充分
sufficient ,adequate, enough
sufficient ⇔ deficient
適切である suit, be adequate for,
enough は形容詞にも副詞にも使われる。
sufficient と adequate は形容詞。
ジーニアス英和に、adequate の類語が sufficient , enough だと書いてあるが、ニュアンスの違いは見当たらなかった。
形容詞 sufficient 「十分な」は enough よりも固い語である。
だが、その用法だけではない。
強制ではないが、sufficient は、質・量ともに十分な場合に好まれて使われるニュアンスがある(センチュリー)。
一方、単に量が多い場合や、特に質が問われない場合などに enough を使うという、使い分けがある。
be sufficient to ~(動詞) 「~するのに十分である」
である(桐原、東京書籍)。
sufficient の名詞形は sufficiency 「十分足りること」である(桐原)。
対義語は insufficient 「不十分な」、または deficient 「不足した」(デフシュント)である(東京書籍)。
センチュリーいわく、sufficient では質も問われるニュアンスがあることも合わせれば、対義語との関係は、
(質・量とも)「十分な」sufficient ⇔ deficient(質・量が)「不足した」
である。
センチュリーの訳語を比較した範囲では、insufficient よりも deficient のほうが絶対量の不足という意味合いが強そうであった。そのためか、deficinet は「欠乏」と訳されることもある(センチュリー)。つまり deficient 「欠乏した」「不足した」などの意味である。
名詞形 deficiency 「不足」「欠乏」「欠陥」という単語もある(旺文社 deficit 項目、センチュリー)。
ほか、貿易赤字などの「赤字」は 名詞 deficit (デフィシット)である。
つまり、「赤字」 deficit である。
「貿易赤字」は a trade deficit である(旺文社、センチュリー)。
数学用語だが、「十分条件」は sufficient condition である(旺文社1400)。なお、「必要条件」は necessary condition である(旺文社1400)。
sufficient O(目的語) to V(動詞の原形)
で、「Vするのに十分な量のO」
~ be sufficient to V
で、「~はVするのに十分だ」
be adequate for ~ は、「~に十分な」とのことだが(東京書籍)、しかしジーニアスを見ても例文がなく、よく分からなかった。
be adequate for ~には「~するのに適している」の意味もある(桐原)。
「適切である」を言いたいなら、動詞 suit (スート)ひとつで足りるだろう。
たとえば
「このソフトウェアはプログラミングに適切です。」 This software suits programming.
のように(wikiオリジナルの例文)。
suit 自体は桐原4500・東京書籍4500・旺文社1900の3冊とも紹介しているのだが、
しかし「適切である」の例文は、東京書籍しか紹介していない。
しかも、待ち合わせの時間が「好都合である」の訳。
違う英文だが、
(待ち合わせの時間を聞かれた返事で)「金曜日が好都合です」 Friday suits me.
のような使い方(オリジナル。ジー二アスに似た例文。センチュリーに似た例文)。
桐原が紹介している例文は背広のスーツだし、旺文社のは「訴訟する」の suit である。
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不足
lack , shortage
かつて受験英語などで「欠乏」lack ,「不足」shortageのような使い分けがあったが(実際、ネット検索するとそういう説明も出てくる)、しかしこの分け方は正しくない。なぜなら、英和辞典で lack の項目を見れば、単に不足している場合でも lack を使っているからだ。
lack と shortage の違いは、たとえば「同情に欠ける」とか「常識に欠ける」がlackである。
センチュリー英和を読むと形容詞 lacking の説明で、be lacking in common sense という例文で、「その学生は常識が足りない」という例文もある。
どうも、lack は、慣用句として、配慮が欠けている場合に使うのが英米では自然なのかもしれない。また、その言い回しが、配慮を欠けている事実自体を主張するおかにも、どうも不足の現状に対して非難や批判などのニュアンスも込めてlackが使われていそうである。
おそらく、辞書にあるlackの訳語の「欠乏」が間違っている。ジーニアスにもセンチュリーにも「欠乏」が書いてあるが、正しくは「欠如」(けつじょ)である。(ジーニアスに「欠如」が書いてある。)あるいは、辞書にはないが「欠落」あたりだろうか。欠乏の「乏」とは貧乏の「ぼう」である。
ジーニアスには、lackについて「十分にはないことをいう。まったくない場合はabsence」といっている。ジーニアスはせっかくここまで説明しておいて、なぜ「欠乏」という訳語を使い続けるのか。
欠席のことを be absent from (classなど)というが、上述のabsenceはその形容詞absentの名詞形。つまり、英語では「欠乏」と「欠席」とが同じ単語だという事。
absenceは、ゼロの状態だから、「ゼロでないけれど、大幅に足りない」みたいな表現には向かない。そういう深刻な不足を言いたい場合は、たとえば a serious shortage となるだろう。実際、センチュリ-のsortageの項目に例として a serious shortage (深刻な不足)や an acute shortage (深刻な不足)や a severe shortage (深刻な不足)などが 書いてある。<!-- 原著で訳語「深刻な不足」をそれぞれの単語に書いてあるので、けっしてwikiでひとまとめにしないこと。またニュアンスも微妙に違う。-->
さて、食料やら金銭やらが物理的に足りない場合は、どちらでもいいが、辞書を見る限り shortage のほうがそういう物資の不足での例文が多い。
たとえば東京書籍4500にあるが water shortage である。
食料不足は、東京書籍4500では The shortage of foodだが、センチュリー英和では food shortage である。
労働者不足が the shortage of labors である(旺文社1400(簡単なほう))。
医師不足が a shortage of doctors である(桐原4500)。 冠詞 a と the の違いは文脈に応じただけのものなので、読者は気にしなくていい。
なお、lack は動詞の場合もある。
単語集を見ても、lackとshrtageの違いとか、書いてない。まったく。
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直観と直感
intuitive(直観),
洞察
insight
英語というより日本語の問題なのだが、「直観」と「直感」では意味が違うので注意が必要である。
「直観」には、洞察力のようなニュアンスがある。
だから
直観の intuitive は、「直観的な」「直観力のある」などと訳す(東京書籍4500)。
名詞形 intuition だが、桐原5500の例文の和訳で(なお東大の過去問例文)「動物、中でも人間は起こりそうなことに関して鋭い直観力を発達させたと考えることができるだろう。」 We <nowiki>coudn't</nowiki> expect animals, especially humans, to have developed sharp intuitions about probably. とある。
英和辞典でintuitive などを見ても、ほとんど例文がないので(センチュリーには例文がなかった)、桐原のこの例文を学ぶのが良いだろう。
あるいは英和中辞典などを見れば例文があるのかもしれないが、さすがに高校英語でそこまでする必要はないだろう。
あと、東大は辞書を見ても満足に例文のない単語を大学入試に出しているわけだが、はてさて、見識が問われますなあ。まさか高校生に中辞典を買わせるつもりでもあるまいし。
もっとも、「洞察」「洞察力」については insight という別の専用の単語があり、普通に4500語レベルの単語集にある。
いっぽう、「直感」は、単なる勘に近い。和英辞典によれば、hunch とか scent が直感である。(高校の単語集にはない)
センチュリー英和によれば hunch は「虫の知らせ」で、口語のニュアンスがある。
scent には、名詞 scent には「勘」の意味もあるが、「臭い」とか「嗅覚」とか「香水」の意味なので、動詞scent には「かぎつける」の意味もある。
hunch も scent もこういうふうに口語っぽい内容なので、まあ単語集には出ないだろう。
そのほか、名詞 instinct (本能)にも「勘」の意味があるが、どちらかというとinstinctは「本能」で覚えたほうがいいだろう。
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結果
consequence , result
辞書にはconsequenceでは「結果の重要性を意識している。resultより固い語」とか書かれるが、
だが、東京書籍4500にはconsequenceは「通例望ましくない内容について用いられる」と説明がある。
実際、センチュリー英和で例文を見れば
「戦争の結果」In the consequence of the warだとか
ジーニアス英和だが「結果として戦争になった」have grave consequence (「重大な結果をもたらず」※戦争の婉曲表現)とか、
あと形容詞だが「天候不順の結果の食糧危機」food shortage consequent on bad water とか、
そんな例文ばかりである。
どうやら consequenceは、結果の深刻性を感じてほしい的なニュアンスのようだ。
なお桐原4500および旺文社1900みても、そういうニュアンス説明は無い。
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取得・獲得
acquire
acquire は、(技術・知識などを)(努力して)「得る」の意味。(東京書籍4500など)
典型的な例文で、
acquire a new skill 「新しいスキルを身につける」
がある(東京書籍4500。旺文社1400にも近い例文)。
「外国語を習得する」acquire foreign languages
という例文もよくある。(桐原4500。センチュリー英和aquireの項目)
辞書にはよくaquireの用法で「(知識などを)身につける」とあるが、しかし語学のようなレベルの「知識」である。
acquire には「習得」以外の用法もあって、
努力して大金や土地などを「獲得する」ことも acquire というが、単語集には例文がないので、説明を省略。桐原の単語集に「(努力して)獲得する」とだけ説明してあって、技術の習得の話をしてないのは、土地などの獲得を意識したものだろう。
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「異国風」
exotic
形容詞 exotic (イグザティック)は、通例では、欧米人の目からみて「異国風」という意味であり(旺文社)、けっして単に異国風なだけでなく、加えて、めずらしくて面白かったり興味をひかれる性質のことである(ジーニアス、センチュリー)。
具体的にいうと、日本国内で言うなら、京都などの寺社は exotic だろう(特に出典は無い)。日本に存在していても、東京の高層ビル群などは exotic には写らないだろう。
日本語でもローマ字読みで「エキゾチック」と言う。日本でも、よく文学評論とか芸術評論とかで使われる単語なので、覚えておきたい。もっとも日本で「エキゾチック」と言う場合、東南アジアや中東やアフリカなどの観光的な光景なので、英語とは微妙にニュアンスが違うが。
さて英語では、動物や植物が「外来種」や「外国産」などの場合も exotic という。農産物だけでなく、言葉が外国由来の場合も exotic という。
旺文社の単語集で、動物園の例で exotic と言っているのは、そういうニュアンスもあるだろう。
桐原と東京書籍の単語集では、exotic が見当たらない。
辞書によると、「外国の」・「外国人」という意味もあるとのこと。言葉が外国由来の場合も exotic というので、それと関連づけて「外国人」なども覚えよう。
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広さ
broad, vast
broad は、幅が「広い」。
典型的な例文が 「(道幅の)広い通り」 a broad street である(東京書籍4500および桐原4500)。
幅広い知識 a broad knowledge とか(ジーニアス)、「幅広い趣味」 a broad range of hobby とか(東京書籍4500)のように、物体以外の知的興味の広範さにもbroadを使う。
インターネットのブロードバンド broadband のブロードと同じ単語(東京書籍4500)。
vastは、面積が「広大な」である(東京書籍4500)。だが実際はセンチュリー英和では、ビル(建築物)や宇宙などもvastだとする例文を提示している。
broad の対義語は narrow 「狭い」。
体積が大きいのは huge 「巨大な」。(桐原4500。ジーニアス英和)
なお、「体積」は英語で volume である(旺文社1400、桐原4500)。volumeの意味は、「体積。容積。音のボリューム。本などの一巻。」の意味である。
turn the volume up で「音のボリュームを上げる」である(旺文社、東京)。
「音量を下げる」なら turn the volume down である(東京)。
コンテナの「容積」とかも、volume である(旺文社)。 the volume of the container 「コンテナの容積」である。
科学や工業などの「容積」「体積」でなくとも、たとえば「交通量」the volume of the traffic とか(東京書籍)、「ごみの量」the volume of garbage とかにも volume は使われる。
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娯楽
amuse , entertain
センチュリー英和によれば amuse は笑わせる事などのような意味での「楽しませる」。
entertain は、知的な面白さに重点がある。
entertain でよくある例文が、話や音楽で聴衆を楽しませる系の例文(東京書籍4500およびセンチュリー英和)。
たとえば entertain the audience で「聴衆を楽しませる」(東京書籍)。
また、熟語 entertain A with B で「AをBで楽しませる」。
センチュリー英和によれば Now let me entertain you with music. で「それでは音楽でお楽しみください」。
entertain には、自宅で客を「もてなす」の意味もある。
よくある例文が、ホームパーティなどで友人をもてなす系。
entertain their friends at their home 「友人をパーティでもてなす」(東京書籍)
entertain our friends at a party 「自宅で友人をもてなす」(旺文社1400)
ただし、実際の例文を見ると、あまり違いは明確ではない。
名詞形のamusement もentertainment も、それぞれ「娯楽」の意味で使われる。
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殺害
murder , kill
murder (マーダー)は「殺害する」の意味の動詞、および名詞としての用法では「殺人」一般の意味である。「殺人犯」はスペルが murderer (マーダラー)であり、スペルが微妙に違う。混同しないように。
「殺人未遂」は an attempt murder である(東京4500)。
「殺人事件」は a case of murder である。
なお、attempt は、困難なことを「試みる」という意味の動詞および名詞(東京書籍)。ジーニアスは、入念な計画と実施の必要な試みが attempt だと説明している。
名詞としての attempt は「試み」などと訳す。
典型的な例文で、
attempt to escape 「逃げようと試みる」
がある(東京書籍3000、桐原4500)。
脱走計画だとかそんなのだけでなく、ジーニアスいわく、エベレスト登頂の「試み」でも attempt とのこと。
90年代、かつて英語単語集に「massacre」(マサカ)という「大虐殺する」の意味の単語がよく載っていが、現代の単語州には無い。「まさか、人を殺すとは!?」という語呂合わせでよく紹介されてたものである。昔の単語集には、ちょくちょくコラム的にゴロ合わせなどが紹介されていた。
英和辞典(ジーニアス、センチュリー)で確認したところ、massacre に「大虐殺」の意味はあるが、一個人の「殺害する」のような意味は紹介されていない。語呂が不正確である。
しかし、近年に「虐殺」でよく目にするのは genocide である。ルワンダ虐殺とか、歴史的に名前が残っている事件の虐殺は genocide が普通であろう。検定教科書でもルワンダの虐殺について genocide という表記を行っている<ref>高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P75 </ref>。
kill や killerとの違いは、killは人間以外のものにも使う。人だけでなく、動物や植物、虫、植物なども、それらを殺したり、あるいはそれらに殺されたりする場合に、killである。
たとえば「魚を殺す」 kill fish である(東京書籍1800)。
それどころか、交通事故などで「死ぬ」場合も kill である。
be killed in ~(戦争や事故など)で「~で死ぬ」の意味。典型的な例文が「大勢の人がその戦争で死んだ。」 Many people are killed in the war. である。(桐原3000と旺文社1200に似た例文あり)
killer については単語集にはないが、名詞として「殺人犯」や「殺すもの」の意味のほかにも、形容詞として「致命的な」の意味もあり、たとえば「致死的な病気」 a killer disease などの例文が典型的。
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奪う・盗むなど
奪う
deprive
wikiオリジナルの例文だが、
The war deprived the children of the liberty. 「戦争が子供たちから自由を奪った。」
のように言う。
桐原4500に「戦争が、この子供たちからふつうの家庭生活を奪った。」 The war deprived these children of a normal home life.
とある。
旺文社1900では「軍隊が国民から自由を奪った。」 The military deprived the citizen of their liberty.
である。、
自由は別にliberty でなく freedom でもよく、たとえば東京書籍4500では、
「多くの子供たちが自由を奪われている」 A lot of children are deprived their freedom.
とある。
熟語 be deprived of~ で「~を奪われている」である(東京書籍4500)。
また、deprive A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(旺文社1900。桐原4500)。
盗む
rob , steal
動詞 rob は、ふつう、強盗とか 引ったくり とかスリに使う。スリかと思われる例文については、たとえば旺文社1900にある(電車で女性から財布を奪う例文)。
rob A(人) of B で「A(人)からBを奪う」である(桐原4500。東京書籍4500)。
東京書籍に典型的な例文「彼らは銀行強盗をした。」 They robbed the bank.
である。
派生語として、「強盗」 robber がある。「強盗事件」は robbery である(桐原4500。東京書籍4500)。
スペルの似ている rid という名詞・動詞があるが、「取り除く」の意味である。
熟語で get rid of ~ で「~を取り除く」である。
rob と rid は意味がまったく違うので、混同しないように注意。
なお、こっそりと者を盗む「泥棒」はthief (シーフ)である(桐原4500)。桐原3000を読めば、こっそり盗む者がthief であるし、ジーニアス英和の thief の項目にもそう書いてある。
なお、複数形は thieves である。ナイフの複数形の活用と同様。さすがにthiefの複数形を筆記で入試に出すのは瑣末すぎるので出題されないだろうが、まあ参考に。
こっそり「盗む」は steal である。桐原3000を読めば、stealの意味は「こっそりと」盗む、と書いてある。
なお、スペルの似ているsteel は「鋼」(はがね)。
さて、「盗む」stealの活用は、 steal - stole (過去形)- stolen (過去分詞)
である。
東京書籍4500の例文「泥棒が私のコンピュータを盗んだ。」 A thief stole my computer.
が典型的な例文であろう。
主語が被害者の場合、have ~ stolen になり、「~を盗まれる」の意味である。
典型的な例文
「私は自転車を盗まれた。」 I had my bicycle stolen.
がある。東京書籍4500と旺文社1400に、ほぼ同じ例文がある。
腕時計が盗まれるのも典型的で、センチュリー英和の桐原3000がそうであり、
「私は腕時計を盗まれた。」 I had my watch stolen.
である。
なお、ジーニアスにあるが、バーグラー burglar は「押し込みの夜盗」。センチュリ-によると、burglar は「(押し入り)強盗」。さすがにここまでは入試に出ないだろう。念のため桐原4500・5500と東京書籍4500を読んだが、もちろんバーグラー burglar は無い。
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気づく
notice, realize, recognize, perceive
「きびしい」
harsh, strict, severe, rigid
realize は、和訳では「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというと realize の意味は「認識を改める」である。
典型的な例文で、「彼は自身の過ちに気づいた。」 He realized his mistake.
みたいなのがある。
いっぽう、notice は単に、物事が目について「気づいた」という意味である。
なお、realize は英国では realise である。<!-- PC設定によっては realise でオートコレクト発動するが、これはイギリス英語をアメリカ英語では読み取れないため。 -->
なお、realize には(計画や夢などを)「実現する」という、まったく別の意味の用法もある。
たとえば「私の夢を実現する」なら realize my dream である(東京書籍4500)。あるいは realize my ambition である(旺文社1900)。
リアリティ reality という単語があるが、日本では小説や英語など創作物などの迫真性などのことをいうが、英語でもそのような創作物の評価における reality の用法はあるが(センチュリー英和で確認)、しかしもっと一般に「警官は彼が述べたことが真実かどうか疑った。」のような文章における「真実性」にも reality が使われる(センチュリー永和で確認)。
reality はけっして創作物に限った表現ではない。
旺文社1900では reality の意味を「現実(性)」としている。
実際、ジーニアス英和を確認すれば、そういう用法もあり、「人生のきびしい現実」みたいな例文でrality をジーニアスは使っている。
旺文社1900にも、harsh の項目で、a harsh reality 「厳しい現実」を紹介している。
なお、real と true の違いで、
true は主に話が「本当の」という意味で使う(東京書籍3000)。
いっぽう、real には、材質などが「本物の」という意味がある。
だから、real money 「本物のお金」とか、real diamond (本物のダイアモンド)などで使われる。
harsh「きびしい」(発音は「ハーシュ」)も、単語集に普通に書いてある。
気候が「きびしい」とか、批判や対応が「きびしい」などのことを harsh という。
東京書籍4500に a harsh winter 「寒さのきびしい冬」という例文がある。
旺文社1900に、harsh environment 「きびしい環境」と言う例文がある。
(桐原4500語レベルではなく、)桐原3000いわく、天候の場合は severe(シビア) でも「きびしい」を表現できる。東京書籍4500で確認したところ、批判の過酷な場合の「きびしい」でも severe を使うこともある。
harsh と severe のニュアンスの違いについては、特に書かれていない。
なお、規則などが厳格で「きびしい」と言いたい場合は strict である。
strict には、説明などが「厳密な」の意味もある。高校の分詞構文の単元で、
「厳密に言えば」 strictly speaking,
などを習うだろう。
ほか、形容詞 rigid (リジッド)でも「厳格な」を言える。単語集(旺文社1900、東京書籍4500、桐原5500)には、この厳格の用例が書いてある。
だが、それよりも物理学の「剛体」が rigid body として覚えたほうがいい。ジーニアスに、rigid は「剛体の」だと書いてある。
単に、「変形しづらい」みたいな意味での「固い」「堅い」のような意味が rigid である。
ジーニアスには、「変形しやすい」flexible の対義語であると紹介している。
規則の融通がきかないのが rigid だと、ジーニアスに書いてある。そういう意味である。
ほか、rigid には「顔がこわばった」「手足がこわばった」などの意味もある。
なお、rigid は発音注意の単語(旺文社)。
ほか、名詞形 rigidity 「厳格」「硬直」などの意味がある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。桐原だと「硬直」の意味が書いてないが、ジーニアスとセンチュリーの rigidity にしっかりと「硬直」が書いてある。
頑固オヤジみたいに「頑固な」「頑固である」と言いたい場合は stubborn (スタボーン)である(桐原、旺文社)。東京書籍は紹介してない。単語集にはないが、辞書で典型的な、「断固とした拒否(拒絶)」a stubborn refusal がある(ジーニアス、センチュリー)。そのほか、stubborn には軍隊などの(または軍隊などへの)抵抗が「不屈(ふくつ)の」という意味もある(ジーニアス)。
(厳格ではなく)「厳粛な」と言いたい場合は solemn だが(桐原5500)、あまり平易な例文が無い。
法律的な宣誓などが厳粛なことや、音楽などが荘厳なことまで、 solemn で表現できる(ジ-ニアス、センチュリー)。
「誓う」という意味の動詞 pledges(プレッジ)も、単なる約束 promise とは違い、厳粛 solemn に約束することであり、たとえば外交などの約束で使われる(旺文社1900の例文もそう、ジー二アスにもそういう例文あり)。その他、公約などで pledge 「約束する」を使う。または名詞として pledge には「公約」の意味もある。
※ ほか、批評が低評価で「厳しい」は damning (ダムニング)だが(センチュリー)、範囲外。
さて、virtual の話題。
ジーニアスを見れば、「仮想現実」 a virtual reality などの例文もある。
旺文社1900を見ると virtualの項目で、副詞 virtually 「事実上の」などもあるが、例文はない。東京書籍4500および桐原4500には例文は無い。桐原5500に副詞 virtually の例文あり、早大の過去問。
なお、桐原5500のviatually の項目いわく、「実質的には(≒practically)」「ほとんど(≒almost, as good as)」である。
念のため桐原3000および東京書籍3000を見たが、virtual などの紹介なし。
practical は「練習」 practiceの派生語。practice には「練習」のほか、理念・理論などの「実践」という意味がある。よって形容詞 practical には「実践的な」「実用的な」「現実的な」などの意味があり、よって副詞 practically には「実質的には」「実際的には」などのような意味がある。
余談だが、昨今、日本の芸能界では「リアリティ・ショー」などが問題になっているが、しかし英和辞典で見ると該当する単語は reality TV である(ジーニアス英和、センチュリー英和、の両方で確認)。
recognize は「気づく」などと訳される場合もあるが、どちらかというとrecognizeは「見分けがつく」という意味である。
「足音でジムだと気づいた」とか(ジーニアス英和)、「帽子でジェーンだと気づいた」(センチュリー英和)とか、そういうのがrecgnizeである。
センチュリーから例文を抜粋すると、
I recognized Jane by ~ で、「~でジェーンだと気づいた」
のようになる。
一応、recognize には、新政権の「承認」などの意味もある。
辞書によくあるのは、新政権やイスラエルなどが周辺諸国から承認 recognize を拒まれるという内容の例文。
自分の間違いを認めたり認めないのも recognize である。
ジーニアスの例文では間違いを認め、
「彼は自分の間違いを認めた」He recognized that he was wrong.
である。
センチュリーの例文では間違いを認めず、
「彼は自分の間違いをどうしても認めようとしなかった。」 He wouldn't recognize his mistake.
である。
桐原4500ではrecognize を「認識する」、旺文社1900ではrecognizeを「識別する」とあるが、上述のようなそういう意味である。
perceive 「気づく」について。
名詞形 perception が「知覚」の意味である。この名詞形を覚えるべきである。
「知覚」とは、たとえば桐原のperceive の例文に「ネコは色を知覚することができない」とあるように、そういう意味である。
旺文社と東京書籍は「気づく」の意味の perceive 例文を紹介しているが、桐原は「知覚する」の perceive 例文を紹介するスタンスである。
perception については「認識」の意味もあり、桐原・旺文社にも書いてあるが、しかし「知覚」を覚えれば連想できるだろう。一方、認識から知覚を連想するのは難しいだろう。東京書籍では、perceptionの「認識」は紹介しておらず、「知覚」だけしか紹介していない。このように、知覚のほうが、この語 perception の本質であろう。
* cognitive 「認知の」
cognitive という形容詞があり、旺文社では「認知の」と紹介され、東京書籍では「認識の」「認知の」と紹介されるが、しかし辞書を見ても説明が少なく、よく分からない。桐原に至っては、cognitiveを紹介していない(桐原5500,桐原4500,桐原3000で確認)。
東京書籍でも、巻末で解説なしで、単語と例文だけの紹介である。しかし、旺文社1900での番号は 279/1900 と、かなり前半のほうである。
旺文社1900いわく「脳の認知機能」 the cognitive function of the brain
東京書籍4500いわく「認知能力」cognitive ability
らしい。
どうやら、cognitive は心理学または脳科学などの専門用語っぽいニュアンスのようだが、しかし英和辞典では確認できなかった(ジーニアス英和とセンチュリー英和を見た上で)。
旺文社いわく、「軽度認知障害」が、mild cognitive impairment (MCI)とのこと。
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過酷な
terrible, severe, harsh
ひどい terrible, awful
terrible (テリブル)は翻訳の都合でときには「過酷な」と訳される場合もあるが(ジーニアス)、たとえば暑さがterribleなら「過酷な暑さ」と訳される場合もあるが、
しかし、very bad くらいが terrible のニュアンスである(ジーニアス)。
なので、 terrible は(程度が)「ひどい」と覚えるべきである。
実際、東京書籍4500も桐原3000も、 terrible の意味を「ひどい」としている。
東京書籍3000は「ひどい体験」をterrible な体験としている(著作権のため、本ページでは「体験」は和訳せず)。
こういうふうに使う。
ほか、副詞 terribly は、
たとえば
「とても疲れたよ」 I'm terribly tired.
のように(ジーニアスに同じ例文)、強調するのに使う。
実はよい方向を強調するのにも terribly は使う(ジーニアス、センチュリー)。 (著作権のため、本ページでは例文は紹介せず)
terrible は語そのものにveryのような強調の意味を含むので、terribleをveryで修飾できない。
同様に、delicious(とてもおいしい)、enormous(とても大きい)、huge(巨大な)、marvelous(すばらしい)、terrible(ひどい)、tremendous(ものすごい)、などの形容詞はveryでは修飾できない。これらの語を修飾するには、reallyやcompletelyなどを使う
名詞形 terror (テラー)は「恐怖」「テロ行為」という意味がある。
なので、terrible には「恐怖の」という意味もあるが、この場合は horrible (ホリブル)で表現するほうが誤解のおそれなく無難だろう。
名詞 territory (テリトリー)「領土」「なわばり」も覚えておきたい(桐原4500、東京書籍4500)。三省堂 CROWN I を見ると、もう高校1年で territory を教えている。動物などの「なわばり」も territory で表せる。
なお、「国境」は単に border で通じる。 American border みたいに、国名の形容詞のあとに border を言えば、それでアメリカ国境の意味になる。
severe と harsh は他の節で紹介したので省略。
「過酷な」と言いたい場合、まずは severe (シビア)の使用を検討するのがよいだろう。
痛みが「ひどい」場合は severe を使うほうが無難だろう。
a severe pain 「ひどい痛み」(ジーニアス和英)
である。
形容詞 awful (オーフル)「ひどい」は、悪い意味だけでなく、よい意味でも使われる(センチュリーで確認)。桐原3000語レベル、東京書籍4500語レベル。
よって、awful は terrible とほぼ同じ意味。
もともと名詞 awe が「畏敬」(いけい)の意味である。
だが、awful は、なんだか口語的に「ひどい」「すごい」「おそろしい」みたいな意味になってしまっている。
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全体の
whole,total
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思う
think, suppose
think は「思う」と中学で習うが、辞書で調べてみると、意外とthinkは確信の度合いが高い。
センチュリー英和なども解説しているが、「推測する」といいたい場合は、think ではなく suppose を使うのが適切である。
つまり、「推測する」は suppose である。
推測よりも、やや確信の度合いが高い程度の場合に think を使うのが適切である。
名詞 supposition で「仮定」の意味。
まったく意味の違う用法だが、熟語 be supposed to ''do'' で、「~(do)することになっている」の意味。
よくある例文は、「彼は7時にここに来ることになっていた。」の類。
He was supposed to come here at 7 o'clock.
である。だが、この過去形での「was supposed 」の文は、実際には彼は7時に来なかったことを含意している(ジーニアス英和より)。東京書籍4500に似たような例文があるが、しかし東京書籍4500では含意の件には触れていない。
センチュリー英和によると、be supposed to do は、「(慣習や法律などによって)...するものと考えられている。」とあるので、表面的な言い回しこそ控えめだが、実際の意図はやや強制的・義務的な主張のニュアンスが高そうである。
否定形 be not supposed to do にいたっては「~してはいけない」の意味である(東京書籍4500)。
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証明・証拠
証明・証拠 proof ,demonstration
evidence 証拠
役所などの証明書 certificate
(裁判所などで)証言する testify (※高校必修範囲外だと思ったら、三省堂 CROWN I にあった)
proof には、「証明」「証拠」の2つの意味があるが、なるべく「証明」のほうで覚えるべきである。
なぜなら、数学の「証明」のことを proof というからである(ジーニアスで確認)。
私たちは、高校卒業後もなるべく教育レベルの高い外国人の英文を読むべきであろう。そして教育レベルの高い人ならば、外国の中学高校の数学は習得しているはずなので、よって外国人の彼らには証明を proof という習慣がついているはずである。外国の中学高校レベルの数学の用語も知らない頭の悪い外国人の英文なぞ、読むに値しない。
なお、動詞 prove は「証明する」の意味である。
evidence が、証拠のひとつひとつのことである。ジーニアスによれば、proofは「evidence を積み重ねた最終的な証拠」のことであるとされる。
だが、それよりも、proofは「証明」であると覚える方がよいだろう。
また、少なくとも日本の学問の世界では、個々の実験事実や個別の統計のような、個々の証拠のことは evidence というのが普通である。英語でどういうのか知らないが。
桐原の単語集にあるが、裁判などの「証拠」も「証言」も evidence である。英語では、「証言」と「証拠」を分けずに evidence という。
単語集にはないが、どうしても発言による「証言」であることを強調したい場合は verbal evidence という(ジーニアス英和で確認)。
ジーニアス英和辞典で確認すれば、「証人」すらも evidence である。
prove to be ~ で「~だと分かる。」「~となる。」「~と判明する。」である。
辞書の例文が、事業などが prove to be a success 「成功となる」またはprove to be successful 「成功となる」である(ジーニアスとセンチュリーの両方)。東京書籍4500の例文もこの類。
桐原4500だけ He was proved to be innocent 「彼は無実だと判明した」である。
旺文社1900には、 prove to be ~ の例文は無い。
実はデモンストレーション demonstration 「証明」の意味がある。
一般的には、英語では、行動によって意志を表したり、あるいは、たとえば新製品の実演販売みたいに実演などによって説明すること等を demonstration という。
集団などのデモ行進も、同じ demonstration である。
センチュリーの例文だが、戦争反対のデモなら demonstration against the war である。
一般に、demonstration against ~で「~反対のデモ」である。
だから東京書籍にある「新空港に反対するデモ」なら
demonstration against the new airport
である。
能力の証明なども demonstrate であり、東京書籍に紹介されている。
旺文社1900でしか説明していないが、感情をあらわにすることも demonstrate である。だが、感情のデモは例文もないので、深入りする必要はないだろう。
動詞形は demonstrate である。
ジーニアス和英を見ると、実はdemonstraite やdemonstration には「論証する」などの意味もあり、旺文社1900が紹介しているが、しかし桐原も東京書籍も「論証する」の意味は紹介していない。
センチュリーは、証明についてのdemonstration の意味は、論証ではなく「実証する」であると説明している。
ジーニアスの例文を見ると、「哲学的論理」の論証の例文である。
demonstrate が「論証する」と言っても、どうやら、数学のような論証ではないようだ。
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仮定や論理的思考など
仮定する assume, suppose
当然と思う assume
仮定 assumption, supposition
推測 supposition
「推論する」 infer
仮説 hypothesis
動詞 assume は、「仮定する」「想定する」「決め付ける」などの意味。
共通するニュアンスは、ジーニアスいわく、明確な証拠がなくても想定すること。
名詞形が assumption である。
assume that ~ で「~だと思い込む」(桐原)または「~を当然のことだと思う」(旺文社)である。
たとえば、旺文社の例文「私たちは日本の列車がいつも定刻どおりに運行することを当然と思う」が assume that の例である。
ジーイアスによると、三段論法の「前提」などで、assumption が使われるとのこと。
このため論理的な議論ではassume や assumption が使われると思われるので、覚えておきたい単語である。
しかし、suppose にも「仮定する」の意味がある。
だが名詞形 supposition が「推測」の意味である。なので、suppose はどちらかというと「推測する」のニュアンスが強い。
桐原の単語集にはsuppose は「推測する」の意味しか書いてないが(東京書籍に至っては「思う」しかない)、しかしセンチュリーを見ればsupposeの意味として「推測する」のほかにも「仮定する」も書いてあるのが実態である。なお、旺文社1900でだけ、例文なしで「仮定する」の意味も紹介してえる。
「仮説」と「仮定」は違う。
「仮定」とは、たとえば「仮に○○だとしたら、□□は××になるはずだ」の前半「仮に○○だとしたら」のこと。仮に定めるので「仮定」というわけである。
一方、「仮説」とは、「~の原因は、□□が××だからだ。なぜならば(以下略)」という原因をとなえる主張のうち、まだ真実かどうかの評価が確定してない主張のこと。
「仮説」は英語で hypothesis である。
なので「仮説」は証明あるいは検証するためのものである。
「仮説を証明する」は prove a hypothesis である(旺文社、ジーニアス)。
ただし、実際には派生的に hypothesis でも「仮定」の意味もある(ジーニアス、センチュリー出確認)。
だが、単語集では hypothesis の「仮定」の用法は紹介されていない。あまり知的な用法だとは思われていないのだろう。「仮定」を言いたいなら assumption
で済むし、高度な学問をするなら「仮定」と「仮説」は分離すべきであるし。
infer という動詞があり、事実や根拠などをもとに「推論する」という単語である。
infer that ◯◯(文節) from ~ で「~を根拠に◯◯だと推論する」という意味である。
桐原5500も旺文社も、infer の例文では from で根拠を提示している。
そもそも日本語の「推論する」というのは、事実や根拠をもとに推理・推測することだと、広辞苑(1992年)にも書いてある。
広辞苑の例文にも「事実から推論する。」とある。
ともかく、このように「推論」は根拠とともに使うべき単語である。
infer で推論する内容は、べつに学問的な内容である必要はなく、たとえば「彼女の沈黙から怒っているのだと察した」とか(ジーニアス)、そういうのでも構わない。
infer にはこのほか、「暗示する」(= imply )という単語もあるが、imply という「暗示する」の意味の単語で代用できるので、説明を省略する。
名詞形は inference 「推論」「推理」であり(旺文社)、推論するという行為(旺文社、ジーニアス)または推論の結果によって得られた結論のことを言う(センチュリー)。
by inference で「推論によって」(旺文社)、「推測によって」(センチュリー)である。
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扱う
deal with ~, treat
treat は普通、厚遇する「扱う」の場合に使う。つまり、treatは「厚遇する」である。
ただし、和訳の都合で、「厚遇する」だと表現が硬くなる場合によく「扱う」と訳される。
だが、「扱う」で覚えてしまうと類似語とのニュアンスの違いが覚えづらくなってしまうので、treat は「厚遇する」で覚えよう。
治療の場合にも treat を使う。
dea with ~は、「~を処理する」「~を契約する」などの意味である。
典型的な例文が「苦情を処理する」 deal with complaints である(東京書籍4500。旺文社1900)。
ジーニアスで確認したところ、 deal with にも厚遇の用法もあるが、本ページでは触れないとする。
deal は「分配する」「配る」の意味である(東京書籍4500でも紹介)。
トランプなどの札を「配る」のが dealである。
だからトランプの札を配る人をディーラー dealer とも言う。
deal には「商取引」の意味もある。だから、ある種の商品の「販売人」「販売業者」のことを dealer とも言う。桐原4500が「販売業者」としている。ジーニアスは「販売人」。
同じスペル deal で 「量」の意味がある。
a good deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。
a great deal of ~ で「かなり多量の~」である(桐原4500)。東京書籍4500では、 a great deal of ~ で「非常にたくさんの~」としており、数えられない名詞に用いるとしている。
桐原の例文では、 a good deal of snow 「かなり多量の雪」、東京書籍の例文では a great deal of time 「たくさんの時間」、と訳している。
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分配・配分
distribute, deal
食料や出版物などを分配する場合、普通は distribute を使う(東京書籍4500)。東京書籍では「出版物」では「印刷物」としているが(例文でリーフレット leaflet を想定)、しかしトランプの札も印刷物であるので、このページでは「出版物」と表現した。
典型的な例文が
distribute food to the ~で「~に食料を配る」である。
辞書によっては「金を配る」場合もあり、その場合は
distribute money to the poor 「まずしい人に金を配る」である。(センチュリーを参考)
「子供たちにリーフレットを配る」なら、 distribute leaflets to the children となろうか(wikiオリジナル。東京書籍およびジーニアスの例文を参考に組み合わせ)。
東京書籍4500だけでなくセンチュリー英和でもリーフレット leaflets を配る例文である。
単語集にはないが、電気屋などで買えるテレビ信号などの分配器をよくよく見ると、ディストリビューターと言ったりしている。実際、ジーニアスで分配器 distributor である。
単語集にはないが、数学でいう確率分布などの「分布」も distribution である。しかし高校生に「確率分布」と言って通じづらい。
ジーニアスによれば、生物学などでの植物の「分布」も distribution である。高校生は植物のほうが覚えやすいだろう。
deal については「扱う」の項目で説明したとおり。トランプの札などを配ったりするのが deal である。
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比例
ratio, rate, proportion
3:2とか 4:7 とか、とにかく個別の比や比率のことは ratio (レイショウ)という。
そういった個別の比ではなく、たとえば数学で「AとBとは比例関係にある」のような「比例関係にある」のことを形容詞で proportional と言う。
名詞 proportion は比例関係。
そういうのではなく、たとえば利子率など何かの比率のことは rate (レイト)という。
なお、利子率や金利は interest rate という。ここでいうinterest は、「興味」の interest と同じスペル。
桐原4500によると、「失業率」は the unemployment rate である。
東京書籍4500によると、「出生率」は the birth rate である。
proportion には、全体の中で占める「割合」という意味もある。
桐原4500および旺文社1400に熟語 at any rate 「とにかく」が紹介されているが、例文は無い。
実際には ratio にも比例関係の意味があったり、proportion で個別の比に言及することもあるが、ニュアンス的には上記の感じのはず。
例文は省略。著作権的な問題をクリアできそうな典型的な例文が見つからなかったので、読者が単語集などで読者が自身で調べてほしい。
* 合理的
rational,
「合理的な」は英語で rational である。これ単独だと覚えづらいが、実は比率 ratio と冒頭のスペルが同じだし、発音も「レイショウ」と「レショナル」でほぼ同じである。
なお、数学の「有理数」も rational number であり、同じスペルの rational である。
だからか和訳も気をきかしてか、有「理」数となっているわけであろう。(ここら辺の話題は、数学英語の専門書に書いてある、有名な話である。)明治時代あたりの数学者に感謝しよう。
そして、「有理数」とは、整数の比例で表される数のことである。(数学的な厳密性は置いておく。)
つまり欧米人の数学のできる人は、「合理的な」=「整数の比例の」が同じ単語であると認識しているわけである。
こうやって考えると、「比例」ratioさえ知っておけば、そこから「合理的」 rational も普通に覚えられる。
なお、「非合理な」は irrational である。
さて、rational でよくある例文は、「合理的な決断」a rational decision である。東京書籍4500と桐原4500の両方に、「合理的な決断」 a rational decision が書かれている。
ついでに、「自然数」は a natural number である。単語集には「自然数」は書かれていないが。
「実数」は a real number である。
「自然数」も「実数」も、英語または対応するドイツ語あたりを、日本語に直訳しただけである。
なお、「論理的な」は logical (ロジカル)である。「論理」が logic なので、それから覚えよう。
reasonable (リースナブル)と言う形容詞には、「理にかなった」という意味があるが、しかし「値段が手ごろな」という意味もあるので、使いどころが難しそうである。
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出席
attend, present
形容詞 present は、「出席している」の意味もあるが、名詞形 presence に「存在感」の意味がある。
attend が、会議や授業などに「出席する」である。
典型的な例文が、attend the meeting 「会議に出席する」である(センチュリー、東京書籍4500)。
だが、attend school で、毎日規則的に「学校に通っている」の意味である(センチュリー、東京書籍4500)。
学校や教会に規則的に通うのは attend を使う。「教会に通う」の例文なら attend church である(センチュリー)。
授業の出席のattendの例文が、辞書でも単語集でも見つからない。
授業の出席については、present を使うのが安全だろう。
なので、辞書にはないが、どちらかというとattend は、出席するために「~に出ている」の意味ぐらいで解釈したほうがよいかもしれない。
名詞 attention が「注意」の意味である。attention が「注意」なのも、「注意を向かわせる」みたいな意味ぐらいで解釈したほうが、出席の「~に出ている」くらい
旺文社1900いわく、pay attention to ~で「~に注意を払う」である(なお、ここでのtoは(不定詞ではなく)前置詞の用法)。桐原によれば、attend to ~ともいう(toは前置詞としての用法)。
あまり attend と present の概念の違いがハッキリしていない。実務の際は、勤務先の業界の慣習などに任せて使い分けのが良いだろう。
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寄付
donate, contribute
単語集を見てたら、「勘弁してほしいなあ」とあきれたが、contributeには「寄付」の意味もあるが、現代のIT社会では普通はcontributeは「貢献する」の意味である。
「寄付する」はdonateである。
しかも、単語集には、contributeの項目を見ても、donateについては書いてない。donateの項目を見ても、contributeについては書いてない。
たとえばwebサーバなどのよく使われるOSのLinux(リナックス)の場合、寄付以外にも多くの協力活動があって(テストに参加するとか)、そういう諸々の協力活動の全体のことを contribute と言っているのが普通である。
そして、その協力活動の中のひとつに寄付もあって、その寄付が donate という言い回しである。
実際、debian(デビアン) というLinuxの一種のwebサイトはそうである<ref>[https://www.debian.org/intro/help Debian -- Contribute: How you can help Debian] 2022年5月1日に確認.</ref>。
ページ"Contribute: How you can help Debian"の中に、下記のようにいくつも項目があって、
<pre>
Contribute: How you can help Debian
Coding and Maintaining Packages
Testing and Bug Squashing
Writing Documentation and Tagging Packages
Translating and Localizing
Helping other Users
Organizing Events
Donate Money, Hardware, or Bandwidth
Use Debian
How your Organization can support Debian
</pre>
その項目のひとつとして"Donate Money, Hardware, or Bandwidth"があるという構成である。
もっとも、wikipediaのサーバを動かしているOSはDebianではなく Ubuntu(ウブントゥ)というイギリス製OSであるのだが、このUbunutの本家イギリス語版のwebサイトのページで寄付のページには contribute と書いてあるので<ref>[https://ubuntu.com/download/desktop/thank-you Thank you for your contribution | Ubuntu]</ref>、contributeで寄付を意味しても間違いではない。
よく、医療で「血液ドナー」とか何かの提供者のことをドナーdonorというが(旺文社1900)、これもdonateの派生である。
なお、donor の発音はドウナーである。旺文社1900では発音の注意をしている。
なお、ジーニアスとセンチュリーで確認したところ、blood donor とは単なる「献血者」のこと。クルマの「献血車」にあらず。
ジーニアス英和によれば、ドナーカード donor card も英語でそのまま通じる。
なお、桐原3000の donor 項目いわく、「血液バンク」は a blood bank とのこと(桐原3000)。
なお、名詞形は donation 「寄付」である。
単語集によると、make a donation で「寄付する」である(東京書籍、桐原)。
make a donation to our school で「学校に寄付する」。
make a donation to church で「教会に寄付する」
donate で使う場合、ジーニアス英和に donate a money to Red cross 「赤十字に寄付する」という例文があった。
debianのサイトでも donate a money と言っているように、普通は 「donate a 金または金額」のパターンである。
実際、センチュリー英和では donate $1,000 to a charity 「慈善事業に千ドル寄付する」である。
contribute で金銭を寄付する場合でも同様、 「contribute 金額 to 相手」のパターンである(桐原、東京書籍)。
contributeの単語集が金額の例ばかりであるが、センチュリーによれば a money で寄付してもいい。
センチュリーいわく contribute a lot of money to church 「教会に多額の寄付をする」である。
contribute には、なにか望ましくないことの「一因になる」という意味もあり、たとえば「二酸化炭素は温暖化の一因になる」とか(旺文社)、「砂糖は虫歯の一因になる」とか(センチュリー)、「喫煙がガンの一因になる」とか(ジーニアス)。
良いことの一因になった場合にもcontributeを使うが、ただし和訳の際、普通は「寄与した」と訳すだろう。
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闘争と努力 struggle, strive
努力する endeavor ,
不和と摩擦
strife, friction, conflict
紛争 strife, dispute
口論 quarrel, dispute
意見を戦わす dispute, tackle
「努力する」には、struggle と strive と endeavor があるが、高校生はまず struggle を覚えるのが良い。
strive だと、後述のように闘争の意味合いに解釈される可能性がある。
実際、単語集でも、struggle を先に紹介しており、strive はかなり後半で紹介する。
動詞 struggle は「もがく」「あがく」などの意味だが、「努力する」「奮闘する」のような意味もある。
病気や苦痛などから逃れるために「戦う」のような意味もある。
struggle to ~(動詞) で、「~するために努力する」である(東京書籍)。
struggle with ~ で「~と闘う」である。
struggle for ~で「~を求めて闘う」である。ジーニアスによれば、struggle for independence で「独立を求めて闘う」。旺文社によればstruggle for equal right で「平等権を求めて闘う」
名詞も struggle であり、「闘い」「努力」の意味である。
だが、生存競争を a struggle for existence という(旺文社1900にあり。ジーニアス、センチュリーで確認)。
あまり使い分け方ははっきりしないので、慣習に合わせるしかない。
単語集にはないが、権力闘争は a power struggle といったり(ジーニアス)、a struggle for power という(センチュリー)。
endeavor (エンデバー)は動詞で「~しようと努力する」、名詞では「(真剣で継続的な)努力」の意味だが(ジーニアス、センチュリー)、なぜか単語集には、あまり積極的に紹介されてない。endeavor は東京書籍では巻末おくりだし、桐原では5500おくりである。
アメリカの宇宙船の名前でエンデバーというのが昔あったので、特に悪い意味は無いだろう。
しかし、なぜだか、単語集はあまりエンデバーという単語を紹介していない。
動詞として使うときは endeavor to ~(動詞) 「~しようと努力する」
である(東京書籍、桐原、ジーニアス、センチュリー)。
strive という単語があり、これも「努力する」や「闘う」の意味である。桐原だと闘争の意味が書いてないが、東京書籍にきちんとstriveの「奮闘する」が書かれている。
これは比喩的な奮闘ではなく、後述するように名詞形で実際の戦争を扱う。
strive for ~で「~を目指して努力する」または「~を求めて努力する」の意味である。
旺文社1900には動詞 strive の項に、派生の名詞形 strife がスペルと和訳「争い」「不和」だけ紹介されている。
他の単語集には名詞形が書かれていないが、strive には実は派生の名詞形が2つあり、striving と strife である。
辞書にも、strife と strive の関係が書いてないが、明らかにstrife と strive はお互いに派生であろう。少なくとも旺文社1900は 名詞 strife は 動詞 strive の派生だという見解である。辞書のほうが頭悪い。
striving が「努力」の意味。 strife は「紛争」や「不和」など、ぶっそうな意味である。
辞書によると、政治闘争は a political strife である(ジーニアス、センチュリー)。
しかし、ジーニアスによれば、民族紛争などは conflict を使う場合もある。
山川出版の英語版・詳説世界史では自衛隊PKO派遣先の、いわば「紛争地帯」に相当する場所を conflict zone と言っている<ref>橋場弦 ほか監修『WORLD HISTORY for HighScool 英文詳説世界史』、2019年10月15日 第1版 第3刷発行、P.412</ref>。
一方、センチュリーだと、「その二国間には紛争がある。」There is strife between the two countries.
とある。
ジーニアスによれば、家族紛争を a family strife という。
dispute には、「紛争」「口論」「議論」「意義を唱える」などの広い意味がある(桐原)。「意義を唱える」は旺文社の解釈。
「議論」を訳す場合でも、「議論を戦わす」のように(東京書籍、センチュリー)、意見の対立に主眼が置かれている。センチュリーにいたっては、感情的な対立があるとのニュアンスがあるとまで述べている。
だからか労働争議を a labor dispute ともいう(ジーニアス、センチュリー)。
いっぽう、単に意見や議論を戦わせるだけなら、動詞 tackle である(センチュリー、桐原)。ジーニアスにいたっては、tackle の意味で「戦う」の言葉は使わず、tackle は意見を「論じ合う」だとしている。
センチュリーは、「賃上げ(on a raise)をボスにかけあう」を動詞 tackle としている。文脈は違うが、旺文社でも「予算」がどうのこうのと、tackle で金を話をしている。
動詞としては tackle には「問題に取り組む」という用法もある(桐原、東京)。
典型的な例文は、
tackle the problem 「その問題に取り組む」
である(桐原、東京書籍)。
なお、tackle は、ラグビーなどの名詞「タックル」、動詞「タックルする」と同じ単語でもある。
肉体的な単なる「闘い」「闘う」は fight とか battle で良いだろう。
「不和」については friction 「摩擦」を使うも言い換えもある。物理学の「摩擦」 friction と同じ単語である。
「静止摩擦」は static friction である(旺文社1900の static 項目)。ジーニアス・センチュリーのstatic 項目では見つからなかったが、たしかに静止摩擦は static friction だたはずである。
なお、「静電気」は static electricity である(旺文社1900、ジーニアス static 項目、センチュリー static 項目)。
さて、friction の話題に戻る。東京書籍4500と桐原4500・5500には、friction が載っていない。旺文社1900にだけ friction がある。
外交の「不和」には、friction を使える(ジーニアス、センチュリー)。というか、英語で「貿易摩擦」を trade friction と言う(旺文社)。ジーニアス英和やセンチュリー英和で貿易摩擦を確認したかったが、見つからなかった。辞書でfriction で調べてもtradeで調べても、ジーニアスとセンチュリーでは見当たらない。
和英のほうでジーニアス和英を調べると、「貿易摩擦」は trade friction または trade conflict というとのこと。
外交の不和で strife を使うと戦争の恐れの高い不和だと誤解されかねないだろうから、貿易摩擦のようなお金の問題では friction で十分だろう。
さて、努力について、 effort という名詞があるが、しかしこれは名詞である。
なのでeffortで「努力する」と言いたい場合、東京書籍やジーニアスによれば make an effort のようになる。意外と難しい。
effort to ~(動詞)で「~するための努力」である。
東京書籍にあるが、make a great effort 「大変な努力をする」のように、great などの形容詞がつくこともある。
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傾向 tendency, trend, inclination
流れ current , flow
「傾向がある」 tend(動詞), inclined (形容詞),
ミスなど好ましくないことをする傾向がある be liable to ~
その他、好ましくない傾向がある be prone to ~
センチュリー英和を見ると、trend と tendency の違いが説明されている。
tendencyは、たとえばセンチュリーにある「赤ん坊は空腹になると泣くものだ」とか「弱い母音は消失する傾向がある」のように、本来的に、何かのおきる傾向のあること。
trend は「流行」や現在の「趨勢」(すうせい)や「風潮」などの傾向。ジーニアスを見れば「趨勢」や「風潮」の意味も書いてある。
なお、衣服の流行は fashion である(東京書籍3000、桐原3000)。一応、ジーニアスには、衣服だけでなく文学や芸術の流行も fashion ということもあると書いてあるが、しかしセンチュリーは採用していない。
なお、mode も衣服の「流行」の意味であるが、現代では廃れている表現だとジーニアスはいっているし、桐原と東京書籍の単語集に mode は無い。
しかし、旺文社1900にmode があり、「方式」「形態」などの意味である。後述の「携帯」の誤字ではなく、確かに旺文社1900のmodeの項目に「形態」と書いてある。
旺文社1900の単語集は入試準拠なので、おそらく教科書にはないが入試によくある表現なのだろう。総数1900のうちの844番目にmodeがあった。
旺文社1900のいうmode関連の派生表現のひとつで、携帯電話の「マナーモード」は silent mode である。
ほか、物理学の弦の振動などの「モード」もこの単語だったと思うが、辞書には無いので不明(ジーニアスとセンチュリーの両方とも確認したが見つからなかった)。
さて、tendency の話題に戻る。
さきほど trend は「趨勢」や「風潮」だと言ったが、だがジーニアスによると、現在の株価の傾向などで(トレンド trend ではなく) tendency を用いている例文もあり、実際には使い分けは明確ではない。
tendency の動詞形は tend であり、「傾向がある」の意味。というか、動詞 tend の名詞形が tendency である。
tendの意味も、本来的に "~をする傾向がある" という意味での「傾向がある」である。
tend to ~(動詞)「~する傾向がある」の形でよく使われる。
ほかにも、 tendに「世話をする」という意味もあるが、だがこれは、名詞 tender「やさしさ」の動詞形だとみなすべきだろう。
ややこしいことに、動詞 tender は「提出する」「支払う」の意味である。だが単語集に動詞 tender がないので、無視しよう。
一方、trendについて。
センチュリーによれば、「新しい流行」 a new trend とか使う。
東京書籍に the current trend 「現在の流行」という例文もある。
東京書籍によれば、「最近は小型車が売れている」的な意味の流行も trend である。
また、旺文社によれば、「最近は高齢者には運転をやめさせるのが傾向である」というのも trend である。
旺文社の例文を考えれば、和訳が「傾向」であろうが、内容が最近の風潮なので、trendを使うのが正しいわけだ。
形容詞 trendy 「流行の先端を行く」の意味である。
* 「流れ」
current, flow
flow は「流れる」と言う意味の動詞だが、名詞では川などの「流れ」を言う。
current は、「流れている」という意味の形容詞だが、名詞では「海流」や「電流」などの「流れ」も言う。
川も海流も同じ水の流れなのに、なぜか使い分けをするのである。
東京書籍3000でも桐原3000でも、flowの例文で、川の流れを扱っているので、そういう単語だと納得してもらうしかない。
英語というのは、あまり論理的ではなく、慣習などで使い分けが決まっている部分もある。
東京書籍に書いてあるが、気体の流れも液体の流れも flow である。
普通科高校では習わないが、工業高校などで流量計などの機器を扱う際、その流量計を英語で「フローメータ」などという。また、その計器で測定する流れのことは普通は「フロー」flow と読んでいる。
風の流れや川の流れという言い方ではなく、わざわざ「気体」「液体」と東京書籍が言ってるのは、たぶん、そういう流量計などを見越しての表記だろう。
実際、ジーニアスを見てると、「液体・気体の流出量(流入量)」という意味もかかれている。東京書籍はおそらく英和辞典のflowのこういう意味を参考にしたと思われる。
さらっと「流量計」と言ってしまったが、流体力学では流出量も流入量も区別せず、まとめて「流量」(りゅうりょう)と呼び、それ(つまり「流量」)を flow と言うのである。
実際、ジーニアスでは、たとえば人口の「流入」もflow であるし、センチュリーでは(石油らしき)ガロン単位の液体の「流出」もflow である。
そのほか、お金の「流れ」については、経済学ではカレントもフローもどちらとも使う表現なので、深入りしない。
さらに混乱させるが、discharge 「解放する」・「釈放する」、「解雇する」「解任する」の意味の単語(東京書籍の巻末)にも、実は「流れる」の意味がある(ジーニアス)。「アマゾン川が大西洋に注いでいる」という例文で、discharge を使っており、ここでは flow into と同じだと、ジーニアスは言っている。
煙などの排出も discharge であり、いったい流出なのか流入なのか、はっきりしない。
専門用語などで flow と区別したい場合、discharge を使うこともある。
だから、たとえば流体力学で、理論値と実測値との違いの比率のことを discharge coefficient といい、よく「流量係数」とか「流量係数」とか言う。分野によって和訳が違うので、和訳は気にしなくていい。証拠に英語版ウィキペディアの記事 [[:en:w:discharge coefficient]] (流出係数)があります。
あと、discharge には名詞の用法もある(ジーニアス)。東京書籍には動詞の用法「解放する」以下略しか書いてない。
そんなことよりも、「解放」「釈放」の意味を、液体の排出などと関連づけて覚えよう。なんか解き放たれて自由に動ける的なイメージが discharge である。
なお、日本でも、よく、解雇や解任のことを、比喩的に「自由の身」みたいとか「長い夏休み」みたいに言います。なので、そこから派生的に、discharge の複数の意味を把握できます。
洋の東西を問わず、人間の言語センスは似たようなもんです。(あるいは、もしかしたら日本人が英語discharge を真似たのかもしれません。)
「頭脳流出」は a brain drain という(旺文社1900、ジーニアス、センチュリー)。ややダジャレっぽい語感もするので真に受けるわけにはいかないが、drainの基本的な意味は「流出する」である。(なお、このように brain には「脳」の意味のほかにも「頭脳」の意味もある(桐原3000)。)
だが drain には、体力などを「消耗させる」という意味もある(旺文社、ジーニアス、センチュリー)。
drain my strength 「体力を消耗させる」
である(センチュリー。ジーニアスに似た例文)。
体力が流出していくイメージか。
台所の「排水口」とかも名詞 drain である。屋内の下水などに向かって流出させる側の台所の排水口が drain である。
その他、排水管が drain である(ジーニアス)。
* 傾向 tend, inclined
まず、tend は動詞。
inclined (インクラインド)は形容詞。
なので
be inclined to ~(動詞) で「~する傾向がある」
のように使う。inclined to do を使いたい場合、be動詞が必要。
一方、tend は動詞なので、be動詞なしで、
tend to ~(動詞) 「~する傾向がある」
である。名詞形はtendency 「傾向」である。
実は動詞 incline (インクライン)「傾ける」という単語があって、「傾ける」「その気にさせる」の意味である(東京書籍)。
坂(slope)などの物理的な「傾き」やその角度なども 名詞 incline である(ジーニアス)。
桐原は inclined などは紹介していない(桐原4500および桐原5500を確認)。
単語集にはないが、「話を聞こうと耳を傾ける」incline my ear to ~ 、みたいな表現にも incline を使う(センチュリー)。というか、おそらくこの英語表現が先にあって、それに合わせて日本で「傾聴」みたいな表現が生まれた可能性。
また、このように incline には、好意などによって、「関心を向ける」のような意味もある。
このためか、名詞形 inclination (インクリネイション)には「傾向」の意味のほかにも、「好み」の意味もある(旺文社)。
ただし、必ずしも inclination は「好み」とは限らず、たとえば「彼は太りやすい」のような体質や(ジーニアス)、「この車は横滑りしやすい」とか(センチュリー)、そのほか性質や、性向なども inclination である(ジーニアス)。
どちらにせよ、とりあえず inclination の中心的な意味は「傾向」だと覚えておけば問題ないだろう。
単語集にはないが、坂や屋根などの物理的な「傾き」やその傾斜の角度なども inclination という(ジーニアス、センチュリー)。
liable (ライアブル)は、好ましくないことをする傾向や、好ましくない状態になりがちな傾向のある場合に使う(ジーニアス、センチュリーで確認)。なお旺文社では発音注意している。
和訳では liable は単に「~しがちである」と訳す場合があるが(桐原4500、旺文社1900)、「好ましくないことをする傾向」だという条件をしっかりと理解しておこう。、
be liable to ~(動詞の原型)で「~(ミスなどの行動)をしがちである」
のように訳す。
ほか、典型的な例文
be liable to illness 「病気にかかりがちである」(旺文社、ジーニアス)
がある。なおこの場合、to が不定詞ではなく名詞に対する前置詞に変わっている。
なお、「ミスをする」make a mistake
または
make mistakes
である。なお、桐原3000およびジーニアスでは、make a mistake 「間違える」と訳している。
なので、ともかく
be liable to make mistakes 「ミスをする傾向がある」
である(旺文社)。
形容詞 prone (プロウン)は、望ましくないことについて「~の傾向がある」の意味(ジーニアス、センチュリー)。
病気になりやすいとか、怒りやすいとか、そういうのも prone を使える。例文は辞書を見て(著作権の都合)。
単語集には、なぜか、望ましくないことに使う前提が書かれていない(旺文社、東京書籍の巻末)。
だが、辞書には前提が書かれている。
単語集にある典型的な例文は、
be prone to error 「間違いを起こしやすい」
である(旺文社、東京書籍の巻末)。
to は前置詞でもよく、動名詞 to でもよい。つまり、prone to の後ろにくるのは、名詞 でも 動詞の原型 でも良い。
earthquake-prone 「事故多発地域」の意味である(センチュリー、旺文社)。
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mistake と error
ジーニアスによると、
mistake は不注意や勘違いによる間違い。
error は、計算の誤りや、裁判の誤審など。
・・・とのこと。
また、センチュリーいわく
「不注意な間違いをする」make a careless mistake
とのこと。
だから mistake は、「勘違い」とか(ジーニアス)、「誤解」「思い違い」とかで(ジーニアス、センチュリー)覚えたほうがいいかもしれない。
mistake を「誤り」「間違い」と訳しても間違いではない(ジーニアス、センチュリー)。そういう訳がジーニアスにもセンチュリーにもある。
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現在の
current , present, modern
current は、形容詞「現在の」が入試ではよく出るが、しかし名詞では「流れ」の意味である。
海流とか電流とかの流れにcurrentを使う。
東京書籍およびジーニアスが紹介しているが、「暖流」は a warm current である。
ついでにジーニアスが紹介している「寒流」は a cold current である。
current は、まず名詞「流れ」を覚えるべきであり、形容詞「現在の」はその派生として覚えるのが良いだろう。
ジーニアスで調べた語源でも、「走っている」→「流れている」→「現在通用している」というような意味の変遷らしい。
さて、current 関連の名詞として、単語集にはないが、電流の直流 D.C. とは direct current の略である。
交流 A.C. も Alternating current である(ジーニアスで確認)。
通貨はcurency (カレンシー)である。
単語集にはないが、国際的に安全な通貨のことを経済学ではハードカレンシーといい hard currency と書く。)
「現在の」を意味する形容詞には、current のほかにも present がある。
present は、たとえば英文法の「現在形」や「現在進行形」などの「現在」も present である。
「現在」のpresent と 「贈り物」の present とスペルも発音も同じである。また、「出席している」の形容詞 present と同じ単語である。
present と current のニュアンスの違いは、辞書では特に言及されてないが、current には「流通」や「通用」のような意味合いもあるというところだろうか。
* 現代
modern と contemporary
なお、modern は、「近代の」「現代の」という意味であり、歴史的なニュアンスで使う。
modern も単語集にあるので、覚えよう。
単語集にないが、たとえば「近代文学」modern literature のように(センチュリーで確認)。なお、「現代」はmodern times という。
桐原4500にあるが、(科目名ではない意味での)「現代社会」は、modern society である。
動詞 modernize は「近代化する」「現代化する」の意味である(東京書籍4500および桐原4500)。
しかし、contemporary という単語も存在し「現代の」という意味であり、しかも、旺文社いわく「現代日本文学」は contemporary Japanese literature である。
東京書籍4500いわく、contemporary と modern の違いは単に、芸術様式の話題では contemporaryが「現代の」の意味で使われるとのこと。
だからか、東京書籍・桐原・旺文社の3つともすべてに単語 contemporary art 「現代美術」がある。
その他、contemporary には「同時代の」と言う意味もあり、東京書籍いわく、「ピカソとダリは同時代の人」という内容で、語法 be contemporary with ~ を使っている。
* temporary
temporary は「一時的な」の意味の形容詞。
典型的な例文が
「一時的な仕事」 a temporary job
である(東京書籍、旺文社)。
なお、ジーニアスとセンチュリーでは、同じ a temporary job を「臨時の仕事」と訳している。
対義語は permanent である。
つまり、
temporary ⇔ permanent
である。
なお、いわゆる「アルバイト」は、英語で part-time job である(ジーニアス和英「アルバイト」で確認)。side job ともいう(ジーニアス和英)。
日本語の「パート主婦」のような、勤務時間の短い意味合いは、英語のpart time jobには無い。
そもそもアルバイトはドイツ語に由来する言い回しだし、しかもドイツ語では「仕事」という意味らしい(本書は英語の教科書なのでドイツ語には深入りしない)。
「永久歯」を permanent teeth という(ジーニアス、東京書籍)。
東京書籍いわく、「終身雇用」を a permanent job というとの事だが、しかしジーニアス英和やセンチュリー英和では確認できなかった。
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強制
force, enforce, compel , oblige
義務
duty
辞書によくあるcompel の典型的な例文が「病気のため仕方なく~せざるを得なかった」的な例文。こういうときにcompelを使うようである。
辞書によると、compel はforce よりも意味が弱く、oblige (オブライジ)よりも意味が強い、
普通、oblige (オブライジ)は「義務づける」と訳す。
単語集にはないが、思想の用語で「高貴たる者の義務と責任」と言う(英語ではなく)フランス語で noblesse oblige ノブレス・オブリジュ という単語があり、社会的エリートが兼ね備えるべき義務感のことを言う。
さて、英語では、名詞形 obligation が「義務」の意味。センチュリー英和で確認したが、法律的な「義務」も、道徳的な「義務」も obligation である。
桐原4500では obligationの意味に「義理」を加えて、「義務」「義理」がobligation だとしている。
旺文社1900では、 obligationの意味に「責任」を加えて、「義務」「責任」がobligation だとしている。まあ、「高貴なる者の義務と責任」が世界各国エリートの基礎教養なので、知的な英文ではそういうニュアンスで obligation が使われることも多いのだろう。
東京書籍4500 には、oblige の紹介は無い。
force は「強制する」の意味。
さて、「軍隊」「武力」も force である。
軍隊によって「~が強制された」という場合、どうすればいいのだろうか?
桐原4500では、force「強制する」の例文での「軍隊」を troop という単語で表現して、forceの同音意義語の問題をうまく回避している。
桐原の例文が「政府軍が反乱軍に降伏することを強制した。」と言う例文である。
なお「政府軍」は the government troops である。
反乱軍は the rebels である。「降伏すること」は to surrender である。
troop とか rebel とか、索引に無い単語ばかりである。
enforce は、強制一般の意味もあるが、法律によって強制する、というニュアンスがあり、例文もそういうのが多い。だがラグビーでエンフォースという用語がある。ラグビーの説明はしたくないので説明は省略。
センチュリーの英語によると、警察が市民に法を強制したりするのが enforce である。
桐原4500によると、法律を施行するのが enforce である。警官が法律を守らせる場合も、the police enforces the law のように、目的語は法律になる。
旺文社1900および東京書籍4500にも、似たような警官と法律の enforce 例文がある。
こういう事情もあってか、旺文社は1900はenforceの意味を「施行する」「実施する」としている。
桐原は、enforceの意味を「施行する」「遵守させる」としている。
なお、死刑執行で誰かを「処刑する」のは英語で execute (イクセキュート)である。
「死刑執行」「処刑」は execution である(桐原5500で「死刑執行」、旺文社1900)。
execute には、計画・命令などを実行したり、仕事を「成し遂げる」などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。ジーニアスによると「最後までやる」が原義のほうの意味とのこと。
処刑の意味は、処刑で「片付ける」的なニュアンスだろうか(特に言及されてはいない)。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。
計画などの実行で使われるといっても、ただし、こういう固い語なので、技術の必要な難しい計画などの実行で使われるのが普通である(ジーニアス)。
また、このことからか、企業の重役のことをエグゼクティブ executive ともいう(旺文社、桐原5500)。executive には名詞「重役」の意味のほか、形容詞「経営上の」「行政杖の」などの意味もある(旺文社、桐原5500、ジーニアス、センチュリー)。
さて、「義務」「強制」概念の話にもどる。
義務教育も法律で強制されているが、しかし旺文社の例文によると、義務教育には oblige を使っている。
センチュリーを読んでたら、未成年の子供が起こした事故の弁償も oblige である。
桐原だと「大臣は半年に一度、報告書を提出することを義務づけられていた。」の義務づけが was obliged to send in a report である。
まあ、大臣はエリートだからだろう。
センチュリーで「世論の批判のため引退を余儀なくされた」の「余儀なく」もoblige である。まあ政治家という、国家権力者の一員たるものの義務と責任的な意味合いだろう。
しかし東京書籍4500は、compel の例文で「世論が大臣を辞職に追い込んだ。」を 使っており、センチュリーに反している。
まあ、とくに統一的な用法は無いのだろう。
なお桐原は、「その法律が雇い主に、(※ 社員の)健康保険を掛けることを強いる」をcompel としている。「(※ )」内はwikiでの追記。
単語集にはないが辞書によくある典型的な例文が、病気で「~を余儀なくされる」をcompelで表現することである。
センチュリー風に He was compelled by illness to ~なら「彼は病気で~を余儀なくされた」である。
ジーニアス風に His illness compelled him to ~ なら、直訳すれば「病気が彼に~することを余儀なくさせた」だが、無生物主語の和訳が高校の授業で嫌われるので、「彼は病気で」と訳す。英文学とかだと無生物の主語とか普通にあると思うし、普通の日本語でも文学・文芸でなくとも「病気が彼に~を余儀なくさせた」とか通じると思うし、なのに、かたくなに無生物主語の和訳を認めない高校英語教師や塾講師などはどういう了見なのだろうか。理解しがたい。
ジーニアスは、本人の納得の上で余儀なくされる場合を oblige といい、そうでない場合つまり「本人の意思に反してさせる場合はforce や make を用いる」としている。
しかし、ジーニアスの例文では、税金を払う義務も oblige としている。
判断基準が不明である。
やはり、高貴たる者の義務と責任を基準に考えるのが良いだろう。
* 義務
duty, obligation
「義務」「義理」は英語で duty である。ジーニアスで確認したところ「義理」の意味もある。
on duty で「勤務時間中で」。
off duty で「勤務時間外で」
duty は、職務上の義務でも使われるが、道徳的な義務でも使われる。
その他、duty に「関税」の意味あり。桐原4500によれば、「ワインの関税」 duty on wine である。「免税店」は duty-off shop である。
obligation との違いとして、ジーニアスは obligation は「外的な事情から生じる義務」としているが、どうだろうか。ノブレス・オブリジとか、そうではないと思うが。
そう覚えるよりも do one's(myなど) duty で「~の義務を果たす」などの慣用表現で覚えるほうがよいと思う。なお、東京書籍4500と旺文社1900に、例文中に do one's duty がある。
obligation にはそういう平易な慣用表現は無いと思うので。
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「分類する」
sort, classify
「分類する」の使い分けは、あまりハッキリしない。
単語集の例文などを見ると、どうやら書店や図書館などで書籍を「分類する」は classify を使っているようだ。
旺文社では「本は作家の名前によって分類されている。」 The books are classified according to the author's name.
東京書籍では「本はテーマによって分類されている。」 The books are classified according to subject.
である。
ジーニアスでも、受動形でなく能動形でだが図書館での本の分類に classify を用いている。
なお、(英和ではなく和英辞典の)ジーニアス和英によると、ごみの「分別」は separate である。
sort には名詞で「種類」という意味もあり、ほぼ、「種類」の意味での kind と似た意味である。
a kind of ~ 「~の一種」の代わりに、a sort of ~ で「~の一種」と言う場合もある。
しかし、別の用法で sort of で「多少の」「いくらかの」という意味もあるので、文脈から判断すること。
class には「等級」と言う意味もあるので、「等級づけをする」なら classify のほうが望ましいだろう。
余談だが、classify には「機密の」の意味があって、旺文社1900で document を見ると、
leak classified document 「機密文書を漏洩する」
という例文もある。
動詞 leak は、液体や秘密などが「漏れる」とか「漏らす」の意味。東京書籍と桐原の3000語レベルにも4500語レベルにも書いてない。桐原5500に書いてある。
桐原5500の例文は秘密を「漏らす」ほうの内容。
なお、文書ではなく情報の「機密情報」については旺文社 leak を見ると、 a secret information と言っている。
桐原4500では、「機密情報」を confidential information と言っている(桐原4500のmake関係の熟語のmake use of ~ の項目)。
2010年にWikiリークという、各国政府などの機密情報をネット公開する海外サイトが世界的に話題になったからか、単語集では leak の例文が機密の漏洩ばかり。だが、もちろん液体などが漏れる場合にも普通に leak は使われる。
なお、wikibooksなど当wikiプロジェクトは、wikiリークとは全く別の組織。「wiki」とはソフト名の一種なので、まったく別の組織でも、wikiソフトを使っていると組織名がwikiなんとかと、似たような名称になることもある。
なおleakの名詞形は leakage であり、「漏れ」「漏出」「漏洩」の意味(旺文社1900)。だが、単語 leak 自体でも名詞の意味もあり、同じような「漏れ」という意味(桐原5500)。
「秘密」については、secret や classify の他に、confidence (カーンフィデンス)という単語もある。
だが、このconfidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
「信頼」と「自信」と「確信」については和訳でも同じ「信」の文字があるから、まあ連想できるとして(信頼の対象が自己になれば「自信」。「確信」とは、信じている自分への自信。など)、問題は「秘密」である。
信頼しあっている間柄での秘密、的なイメージで覚えるのが良いだろう。
形容詞 confidential の意味なら「内密の」というのがセンチュリー和英にもある。
だが、名詞の「秘密」のことを「内密」とは言わないので、confidence は「秘密」と訳すしかない。辞書もそうなっている。
ジーニアスによれば、「秘密文書」は confidential documents とのこと。
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確認
check, confirm , confident
check が「チェックする」である。
英語のチェック check はいろんな意味で使われ、意外と難しいので、日本語でそのまま「チェックする」と意味を覚えてしまうのが良い。東京書籍1800の単語集を見ても、checkの意味の説明で「チェックする」とそのまま書いてある。
check は「確認する」ことにも使われるし、確認したことを証拠に残すためのチェックマーク( ✓ )の記述にも使われるし、「点検する」ことにも使われるし、「照合する」にも使われるし、チェスの王手(いわゆるチェックメイト)にも使われる。このように意外と難しいからか、桐原4500では4500レベルとしてcheckを紹介している。
confirm が「確認する」「身元を証明する」である。(東京書籍4500)
チェックについては、チェックリスト check list が英語にもあることを知るべきだろうか。
工場労働など屋内での社会人の点検業務では、可能なかぎり、忘れのないように点検内容を一覧表の list リストにして、それにチェックマーク( ✓ )を入れることで漏らさずにチェックをするという方法がある。
なお、チェックマークを入れるための視覚欄(大きめな □ )のことを、チェックボックス check box といい、これも英語にある(ジーニアスで確認)。
こういうチェックリストやチェックボックスの存在を知っていれば、check の「点検する」や「照合する」の意味も覚えやすいだろう。
語学の勉強というのは、こういうふうに英語以外のビジネス知識なども必要なのである。
checkを「チェックする」と覚えればいいと言ったものの、ただし上述のチェックボックスやチェックリストのように、仕事でも知的な仕事なら check という英語は使うので、覚えておく必要があるだろう。
桐原4500では、「医者が患者の血圧を調べる」という内容の例文でチェック check を使っている。check はそういう専門性の高い用途にも耐えうる単語でもある。
ほか、小切手も check といい、同じスペルだが、説明を省略する。ホテルなどのチェックイン check in , チェックアウト check out も同じ単語だが、説明を省略する。
IT系でも、よく会員制webサイトの登録画面などで説明書きを読んだか確認するためのチェックボックスが、海外サイトではよく使われる。
社会人になって就職するなどして、品質検査の方法などを習っていないので、あまり「チェックとは何か?」とか深入りしても、埒(らち)が あかない。
confirm は、高校生には馴染みがないかもしれないが、IT系では意外とよく、会員制webサイトのパスワード登録の画面などとして、海外サイトではよく使われる。
身元証明の典型的な例文で、誰々の「身元を証明する」という例文があり、
たとえば東京書籍4500では
「彼女の身元を証明する」confirm her identity
がある。
旺文社の例文を少し改造して(「郵便局員が私の身元を確認した」という内容)、「彼が私の身元を確認した」なら He confirmed my identity
となるだろう。
「裏づける」の典型な例文が、裁判などでの「新たな証拠が彼の話を裏づけた」であり、東京書籍によれば、
「新たな証拠が彼の話を裏づけた」 The new evidence confirmed his story. である。
桐原4500にも、現在完了形であるが、ほぼ同じ英文がある。
confirm の名詞形は confirmation である。旺文社1900にだけ紹介されている(桐原4500と東京書籍4500はconfirmationを紹介していない)。
confident については、別の項目で説明した。confidence は意味が「信頼」「自信」「確信」「秘密」と幅広い。
単語集に共通の例文が見当たらないので、辞書などを購入して読んでほしい。
* 検査
なお、和英辞典で「検査」を見ると、testやinspectなど色々な単語がある。
testはどちらかというと「試験」である。
血液検査が blood test であり、聴力検査が hearing test だし、日本語では「検査」でも英語では test だったりする場合もある。
「テスト」と聞いて、日本の学校の学力試験しか思いつかないのなら、改めよう。英語では普通に、医療や工業などの検査でも test は使われるからである。
inspect は、査察官や検閲官をinsepector と言うので、そういうニュアンスもあるので、検閲・査察のニュアンスが強く、日本の「検査」には1対1には対応しない。
東京書籍と桐原の単語集には inspect がないので、気にしなくていい。米英の行政の事情を知らないと inspector などは理解できないだろう。日本の高校生には不要な知識であろう。inspector という、そういう高校で習わない行政用語があるという事だけを知っておけば十分だろう。
なお、実は旺文社1900に inspect と inspector がある。inspector には「検査官」の意味のほか、「警部」の意味もあるとのこと。
だが、そもそも、英語の文脈においける「警部」とは何かという問題がある。ジーニアスでinspectorを見ると、米では「警視正」、英では「警部」とのこと。まあ、警察組織の現場職での上のほうの人、ぐらいの意味だろうか。
なお、「捜査員」は investigator である。これだけだと難しそうだが、米国のFBIこと「連邦捜査局」が the Federal Bureau Investigation である(旺文社)。
「捜査する」は investigate である。
典型的な例文が
「警察がその殺人事件を捜査している。」 The police are investigating the murder.
である(桐原、ジーニアス)。
なお、federal (フェデラル)は形容詞としては「連邦の」という意味であり、名詞としては「連邦」の意味である(ジー二アス)。
もうひとつの典型的な例文が、
「警察がその自動車事故の原因を調査している。」 The police are investigating the cause of the car accident.
である(東京書籍、センチュリー)。事故なので、捜査ではなく「調査」。東京書籍でも「調査」になっているし、センチュリーでは「調べている」としている。
なお、「探偵」と「刑事」は detective である。英語では、「探偵」と「刑事」が同じ単語なのである。
動詞 detect の意味は、東京書籍いわく、何か見つけづらいものを「探知」「発見する」などの意味である。センチュリーいわく、隠されているものや悪事などを見つける場合に使うことが多いとのこと。
単語集にはないが、「探知機」が detector である(ジーニアスで確認できる)。ジーニアスいわく、金属探知機は a metal detector である。
この例のように、 detect で発見するのは別に犯罪事件の犯人でなくてもよく、たとえば桐原の例文では病院でのガン(癌) cancer を「発見する」ことを detect としている。
センチュリーいわく「ガス漏れを見つける」は detect a gas leak である。
センチュリーいわく、嘘を見破るのも detect である。東京書籍いわく、「スパイを見破る」は detect a spy とのこと。
locate という「位置する」と言う意味の動詞がある。名詞形 location が「位置」 の意味である。
この locate には、なにかの場所を「突き止める」という意味もある。
東京書籍が detect の単語の次に、locateの例文で「アジトを突き止める」を紹介しているが、著作権の都合があるので本ページでは紹介しない。
なお、アジトは a safe house である(東京書籍)。またアジトとは、犯罪組織や反乱組織などの「隠れ家」のこと。
なお、「隠れる」は hide である。
太陽が雲に「隠れる」みたいな平和的な「隠れる」も、犯人が「隠れる」も、 hide である(センチュリーで確認)。
「太陽が雲に隠れる」 The sun is hidden by clouds
である(ジーニアスとセンチュリーに、ほぼ同じ例文)。
なお、「隠れ家」「隠れ場所」には、hide-out という言い方もある(ジーニアスいわく「隠れ場所」)。旺文社では hide-out を「隠れ家」「潜伏場所」と紹介。
hide の活用は
hide - hid - hidden/hid
である。
さて、conceal という、「隠す」という意味の単語があり、物や秘密を「隠す」場合に使われる。
辞書を見た限り、conceal には、人が隠れるような用法はない。
単語集を見ると、conceal の例文で、感情を「隠す」ような例文もあれば(旺文社)、爆弾が「隠されていた」という例文もある(桐原)。
隠された秘密を「暴く」のは
reveal や uncover がある。
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暴露(ばくろ)
reveal, uncover, disclose
reveal は、意図的に秘密を暴いた場合のほかにも、不注意などで秘密が漏れた場合にも用いる。旺文社の例文も秘密が漏れた場合である。
名詞形 revelation である。
よくある例文は、
「真相を明らかにする」 reveal the truth
である(東京書籍に和訳・英文とも同じ文。センチュリーでは「真相を漏らす」と訳)。
そのほか、単語集にはないが、物理的に隠れているなどして見えなかったものが見えるよう現れる事も reveal というが、単語集にないので無視する。
なお、光や危険などに「暴露する」ことは expose である(桐原)。
暴露(ばくろ)は「ばくろ」と読む。「ぼうろ」(×)ではない。
disclose
意図的に秘密を暴いたり、あるいは自分や自組織の秘密を公表したりする場合は、 disclose のほうが適切かもしれない。
固い言い回しなので、暴露や公表や自白などの対象となる秘密は、たとえばセンチュリーでは「彼はスパイであったこと」だとか、「その男の正体」だとか、
あるいはジーニアスでは「真実を新聞に暴露する」とか、なんかそんな感じの秘密ばかりである。
名詞形「公開」「暴露」は disclosure である。
「情報公開」は disclosure of information である(ジーニアス、旺文社)。
東京書籍4500および桐原4500には disclose が無い。
uncover
「真相を明らかにする」 uncover the truth
のように使う(東京書籍)。桐原4500には例文なし。東京書籍は巻末おくりなので、解説なし。
uncover の語源は、見れば分かると思うが「カバーを取る」である(ジーニアスで確認)。
なので、単語集にはないが、容器などの「フタを取る」も uncover である(ジーニアス、センチュリーで確認)。
そして単語集(旺文社)にあるが、遺跡などを発掘するのも uncover である(旺文社)。遺跡を埋めている土などをフタに見立てて覚えよう。
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不安
anxiety, alarm
恐怖 fear、 horror
警報 alarm
警戒 alert
警告 warning, caution
旺文社1900によると、alarm の出題番号が549 で、alarm が「不安」「恐れ」を第一義で紹介されており、anxiety (「不安」「心配」)の形容詞 anxious の583番よりも alarm のほうが早い。
勘弁してほしい。
まずalarm は普通、警報器のことである。実際、東京書籍3000では、alarm は「警報器」「目覚まし時計」の意味でしか紹介していない。
桐原4500ですら、「驚き」「恐怖」の意味を紹介しているが、しかしalarmの第一義はあくまで「警報(器)」というのが桐原のスタンスである。
とはいえ、旺文社は大学入試の出題順に紹介しているだけである。つまり、日本の大学入試がロクでもないのだろう。
なお、ジーニアスによると、alarm の第一義は「驚き」「恐怖」である。なお、語源はイタリア語の「武器を取れ」all'armeである。
なるほど、alarm アラームの語尾 -arm が「武器」 arm と同じわけである。
現代では、普通、「驚いた」は be surprised at などを使うだろう。
どうしても「驚き」「恐怖」の意味で使いたいなら、死の恐怖のある文脈で使うと、頭良さそうに見えると思う。
ジーニアスの例文でも、「シカは驚いて逃げていった」の例文で in alarm という用法を使っている。狩人や肉食動物などによる死の恐怖を感じたシカ的な用法。
しかし、ジーニアスによれば、恐怖の意味での alarm は「fear より固い語」である。
fear (フィエア)は「恐怖」「不安」である。まずfear は「恐怖」で覚えよう。4500語レベルではなく、桐原3000と旺文社1400にfearはある。あと東京書籍4500。
典型的な例文が、「高所恐怖症です」であり、ジーニアスと東京書籍にそういう例文がある。
I have a fear of heights. 「私は高所恐怖症だ。」
である。
単語集にはないが、辞書によくある例文が「恐怖で顔が真っ青になる」であり、
turn pale with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。センチュリーが pale (ぺイル)である。
ジーニアスだと、white を使い、
turn white with fear 「恐怖で顔が真っ青になる」
である。
なお、形容詞 fearful で「恐ろしい」「恐れている」の意味。
なお、horror で、戦場での死の恐怖も表現できる。日本語の「ホラー」のような幽霊やら悪魔などのオカルト限定のような制限は無い。
fear とスペルの似ている fare(フェア) は「運賃」「なりゆき」であり、意味がまったく違う。
ほか、スポーツの「フェアプレーの精神」などの意味の「フェア」は fair であり、スペルがまったく違う。なお、この形容詞 fairは「公平な」の意味である(桐原4500など)。
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の 名詞 fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である(桐原4500)。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
なお、ジーニアス和英の affair の項目によると、「時事問題」は current affairs である。
「浮気」とか「不倫」とかも affair と言う。恋愛雑誌やらで時々「アフェア」とか言う単語があるのは、この意味だろう。
なお、「外交」を一言でいうと diplomacy (ディプロウマシ)である(桐原4500など)。「外交官」が diplomat である。形容詞 diplomatic は「外交の」である。
さて、「警報器」alarm の典型的な例文が
「火災警報器」 a fire alarm
である。これは東京書籍も桐原も紹介している。
なお、スペルの似ているアラート alert は、alert は名詞では「警報」「警戒」の意味だが、形容詞では「警戒している」の意味がある。(桐原5500、旺文社1900)
また、形容詞でalert は「油断しない」の意味もある(東京書籍4500)。
単語集の「警戒している」の例文では、よく警察官や兵士などの警戒が出てくる。
警察官の場合なら、
The police officer is alert ・・・
で、「警察官は警戒している」の意味になる。
つまり、
~(人) be alert
の語順になる。
warning は「警告」である。翻訳の都合で「警報」と訳したほうが自然な場合もあるが、warning の意味としてまず第一に覚えるべきは「警告」である。
東京書籍で「洪水」 flood を見ると、「洪水警報」 flood warning がある。辞書 warning では確認できなかったが(ジーニアスとセンチュリーで、warningとfloodの両方を確認)、しかしセンチュリーいわく「空襲警報」が air-raid warning なので、たぶん洪水警報も合っているのだろう。
warn は「警告する」であり、医師が患者に「酒を飲みすぎないように警告する」とか(センチュリー)、嵐の接近を警告するとか(センチュリーとか)、そういうニュアンスである。
warn ◯◯(人) of ~ で「◯◯(人)に~を警告する」である。
記法を変えれば、
warn A of B 「BについてAに警告する」
です(桐原、旺文社、東京書籍)。
東京書籍が紹介していますが、
warn me of the enemy 「敵がいるぞと私に警告する」
です。
なお桐原は、喫煙の危険性(risk)を警告する例文です。ジーニアスは、旅路か何かの危険(danger )を警告する例文です。危険という概念で統一的に説明できそうですが、直接的に言い回しを覚えたほうが早いでしょう。
of はよく「~の」と中学で教わりますが、それだと意味が通りません。
さて、inform 「(情報などを)知らせる」という単語にも、
inform A of B 「BについてAに知らせる」
という語法があります。
桐原が
inform him of the result 「彼に結果を知らせる」
のような例文を紹介しています。
なお、典型例の言い回しは、
Please inform me of the change in ~ 「~の変更を私に知らせてくれ」
です(旺文社、センチュリー)。
ともかく、warn A of B は inform A of B と関連づけて覚えましょう。
桐原がそういう覚え方を進めています(warn と inform を同一ページで教えている)。
ただし、東京書籍のようなcrisis (危機)など関連語の紹介は、桐原では同一ページにないですが。どの単語集も、一長一短です。
なお、東京書籍3000には、なんと inform の項目がありません。information はあるのですが。
なお、information は数えられない名詞なので複数形が無いので、「2つの情報」は two pieces of information と表す。「ひとつの情報」は a piece of information です(東京書籍3000)。
桐原は、remind A of B(思い出させる) や convince A of B(納得させる、確信させる) や inform A of B と warn A of B や suspect A of B (疑う)などをまとめて、
「関連の of」という概念を提唱しています。
ただ、そう解釈しなくても、
このうち、「警告する」warn と「思い出させる」remind も情報提供の一種ですので、
「情報提供の of 」とでも言える概念で、
remind A of B と inform A of B と warn A of B をまとめられます。
だとすると、暗記するのは残りの
convince A of B (Bを納得/確信させる)と suspect A of B (B(容疑など)の疑いをかける)だけに減らせます。
このうち、 convince は、他人に何かの納得をさせる際に、説得などの情報提供が行われるでしょうから、広い意味での「情報提供の of 」と言えるかもしれません。暗記の負担がこれで減ります。
だとすると、残りは suspect A of B 「AにBの疑いをかける」です。
この場合、なんの情報提供もしていません。
また、of B の部分は形容詞的な意味です。
made of ~ で、「~を材料に作る」とかの意味であり、完成品を一目で見て材料が分かるなら made of です。
材料が、完成品を一目みてもわからない場合は made from ~ です。
この suspect A of B と made of B の共通する「of B」で、「性質の of」とかの概念を考えてもいいかもしれません(英語学でどうかは知りません。自己責任で)。
ほか、英文法で、「It is 形容詞 of 人」と「It is 形容詞 for 人」の使い分けなどがあります。人の性質を言う場合は「of 人」です。これから類推する方法もあるかもしれません。
まあ、最終的には suspect A of B 「AにBの疑いをかける」を直接的に覚えるしかありません。
warn ◯◯(人) against ~ing で「◯◯(人)に~しないように警告する」である。
たとえば、よくある例文が、「彼は道路を横断しないように私に警告した」(ジーニアス)あるいは川を渡らないように私に警告した(東京書籍)、であり、
He warned me of against crossing the river. 「彼は川を渡らないように私に警告した」
である。
動詞および名詞の caution は、動詞としては、たとえば医者などが肝硬変の患者に「酒を飲むな」と注意・警告するときの「注意する」「警告する」が caution である(桐原5500)。東京書籍4500の例文も、薬の取扱いの注意を caution としている例文。
ただし、辞書では、警察などの警告・注意もcautionである。このため、warningとの区別は、なかなか難しい。
ジーニアスが言うには、cautionのほうがwarningよりも軽いとのこと。
形容詞 anxious (アンクシャス)は「心配している」「不安に思っている」である。
be anxious about ~ で「~を心配している」である。
He is anxious about ~ なら「彼は~を心配している」である。
よくある例文が、「彼は試験の結果を心配している」であり、東京書籍とジーニアスにそれに似た例文がある、
He was anxious about the result of exam. 「彼は試験の結果を心配している。」
となろう。(wikiオリジナル)
ジーニアスだと、母親視点の「息子のテスト」だが、まあこういう例文がよくる。
be anxious for ~ は「~を切望している」である。
桐原の「新しいコピー機が欲しくてたまらない」なら be anxious for new copy machine である。
ジーニアスだと(私は)「新しいコンピュータが欲しかった」なので、
I was anxious for a new computer. 「新しいコンピュータが欲しかった。」(※ ジーニアスanxious例文から引用)
である。
名詞形 anxiety で「不安」「心配」「切望」である。東京書籍4500には「切望」が書いてないが、しかし桐原4500と旺文社1900には切望が書いてある。
なお、 eager (イーガー) は「熱望している」である。切望 anxious とは、ややニュアンスが違う。
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武器・兵器
weapon, arm
大量破壊兵器は weapons of mass destruction であり、略称は WMD である(桐原4500、旺文社1900、ジー二アス)。
また、核兵器は nuclear weapons である(桐原4500、旺文社1900、東京書籍、ジー二アス)。
だいたい、arms だと、「腕」(うで)と まぎらわしい。
兵器には、なるべく weapon を使うのが無難だろう。
なお、動植物の角(つの)や爪(つめ)や刺(とげ)なども、weapon である(ジー二アス)。
weapon は、日本では「兵器」と訳される場合が多いが、しかし英語では weapon は広く攻撃のための道具を表す用語である。
単語集にはないが、山川の英語版・世界史にあった単語で、
rearmament が「再軍備」である(ジーニアス)。ナチスによるドイツの「再軍備」みたいな文脈で rearmament を使える。
ほか、disarmament が「軍縮」である。啓林館 Vision Quest I(P.111) が「軍縮」disarmament を紹介しています。
なお、名詞 army は「陸軍」「軍隊」の意味です(桐原3000、旺文社1400(緑)、東京書籍4500)。
「海軍」は navy (ネイビー)です(東京書籍、桐原)。
「空軍」は air force です(東京書籍、桐原)。
「軍事の」は military です(東京書籍、桐原)。
陸軍と海軍も空軍もまとめて「軍隊」と言いたい場合、army だと陸軍とまぎらわしいので、military force という場合もあります(東京書籍)。
ただし、「軍事力」も military force です(桐原)。
このため、翻訳などの際は、文脈にあわせて、うまく訳してください。
軍「隊」との混同を嫌ってか、単語を power を使って「軍事力」は military power という用法もある(ジーニアス military、センチュリー power)。
ほか、「軍隊」を the armed forces と言ってもいい(桐原、forces )
「兵士」は soldier (ソルジャー)です(東京書籍、桐原)。
東京書籍いわく、さらに「将校」(しょうこう)は officer (オフィサー)です。
とはいえ、「将校」(しょうこう)と言っても、何のことだか分からないのが普通の高校生でしょう。
軍隊の上層部や、将来的にそうなる見込みの高い軍隊の大学を出た軍人や、あるいは同程度に一定以上の階級の高い指揮官のことを、将校と言います。
最下級の階級である兵士は当然、将校ではないです。
「兵士長」とか「軍曹」とかの現場の下の方の中間管理職も、ふつうは将校とは言わないです。ただし、文脈によっては、「軍曹」なども将校という場合があるかもしれません。
『「将校」という単語くらい知っとけや。日本史の勉強すれば出てくるんだからさ~』というのが、東京書籍の心のさけびでしょうか。
戦後の自衛隊ではあまり「将校」とは聞かなくなりましたが、海外の軍隊の説明だと今でも使います。
戦前でも、よく二・二六事件とかで「青年将校」がどうのこうの、という解説を読みます。こういう英語を知っていると、英語力だけでなく日本史などの知識も披露できて、頭よさそうに見えます。
桐原いわく「兵役」(へいえき)は military service です。
「英語を勉強するなら、こんくらい知っておけや」という桐原の心のさけびです。
まず、諸外国でもヨーロッパなどで今でも徴兵制、つまり兵役があります。2020年代でも、スイス、オーストリアは徴兵制があります。
ここでいう service とは、公共の下僕のような意味もあるかと思います。
たとえば「召使い」は英語で servant (サーバント)ですが、なんと単語集に書いていません。
桐原の単語周いわく、serve は「仕える」とか「提供する」とかの意味です(桐原4500)。
今ではネットのサーバー server とか、派生の名詞が使われています(ジーニアス、センチュリー)。
ただし、ネットの情報提供については、「プロバイダー業者」などというように provide が「(情報などを)提供する」の意味で好んで使われる場合もあります(桐原)。
交通インフラや電力インフラなどの公共インフラなどの提供も service です(ジーニアス)。慈善事業も service です(センチュリー)。
「兵役」(へいえき)は military service を覚えるときも、そういうのと関連づけて覚えましょう。
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安売り・特売
フェア、セール、バザール
sale のみ高校英語
商店の安売りなどの「フェア」は、「お祭り」という意味の fair であり、フェアプレーの単語とは同音異義語である。ジーニアスによると、英語以外の言語に feria (フェリア?)という「祭日」を意味する単語があるらしい。商店の安売りの他、ジーニアスによれば「博覧会」や「見本市」も fair である。
なお、セールは英語でも sale で「安売り」(桐原3000、東京書籍3000)や「特売」(旺文社1200)や「バーゲンセール」(東京書籍3000)の意味がある。sell とは別に、sale (セール)「販売」という単語がある(東京書籍3000、桐原3000)。
なお、セールスポイントは英語で selling point である(旺文社1200(黄色)、ジー二アスで確認)。
セールスポイントは和製英語。
なお、単語集にはないが、セールスマン(販売員)は英語でも salesman であるが、男女平等の観点から salesperson という表現が米英では好まれるだろう(ジー二アス)。
salesman は、外交販売員(日本でいう「セールスマン」)にも使われるが、英語では単なる店員も salesman で表せる。
複数形 sales で「売り上げ高」の意味もある(桐原3000)。なお桐原では「売上高」3文字ではなく「売り上げ高」5文字の表記。
単語集にはないだろうが、バザーとの違いについて触れる。
ジーニアスによると、英語の bazaar は、慈善などの目的のために特別に催される市場である。だから教会などがバザーするわけである。しかし、イランなど中東の商店街のことも bazaar である。英語の単なる「雑貨屋」のことも bazaar という。
バザーを「安売り祭り」みたいな意味で使うのは、どうやら和製のようだ。
啓林館 Vision quest( P.62 )で、ディスカウント discount 「値引き」、バーゲン bargain 「お買い得品」などが紹介されていました。
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必要不可欠
不可欠な
essential, vital, indispensable
必要な
necessary
搾る squeeze, extract
搾取する squeeze, exploit
桐原4500に vital の意味は「生命の」とあるので、まずこれで覚えよう。
また桐原4500いわく、vitality の意味は「生命力」である。
入試では vital の他の意味の「不可欠だ」「活気のある」などが問われるかも知れないが、まずはvitalの単語のイメージが生命力であることをつかもう。
vial → 「生命に必要」→「不可欠」という連想、
および
vital → 「生命力にあふれる」→「活気のある」という連想、
で覚えれば、暗鬼の負担が減るだろう。
旺文社1900の例文で、「防衛戦略が国家の安全保障にとって不可欠だ」という例文で「不可欠」を vital としている例文がある。
これだって、「国家の生存に必要」→「国防に不可欠」みたいなイメージで把握できるだろう。
なお、桐原4500は「自転車が生活に不可欠」で不可欠がvital、東京書籍4500は「外国語が教育に不可欠」で不可欠がvital、という内容。
ともかく、vital は「活気のある」という意味もあるが、「生命の」とか「不可欠な」のような意味もある。
別の単語の話をする。
もし、単に「活気のある」「元気はつらつな」と言いたい場合は、形容詞 vigorous (ビゴラス)という単語でも一応は表現できる。東京書籍は「活発な」「力強い」と紹介しており、「活発な運動」 vigorous exercise という例文がある(東京書籍4500巻末)。ただ、辞書で 名詞形 vigor (ビガー)や 形容詞 vigorous の用例を見ると、「激しい(スポーツなどの)運動」とか「猛烈な抗議」とか、やや意味合いが強い用例も多いので、注意が必要であろう。
Z会のTOEIC対策本では、同じ vigorous exercise という単語を、「激しい運動がもとで、疲労で倒れた」という内容の文章で用いている<ref>松本茂 監修『速読速聴・英単語 Core 1900 ver.4』、Z会、2014年3月10日 ver.4第7刷発行、P.382</ref>。
このように、vigorous exercise は、いい意味でも悪い意味でも使う。
肉体的に元気のあるだけでなく、精神的にも「精力的な」という表現でも vigorous が使える。
なお、「猛烈な抗議」などの猛烈でも vigorous あるいは名詞形 vigor を使う(ジーニアス、センチュリー)。
protest a plan with vigor 「計画に猛反対する」(センチュリー)
make a vigorous protest 「猛烈な抗議をする」(ジーニアス)
である。
essential は「不可欠な」という意味。
だが、「エッセンシャル・オイル」essential oil という芳香性の油を考えれば分かるように、なんだか抽出物みたいなイメージ。
名詞形 essence 「本質」「エキス」で覚えるほうが理解しやすいだろう。
(なお、名詞 extract にも「エキス」「抽出物」「抜粋」の意味がある。extract は動詞として「抽出する」の意味もある。(東京書籍が動詞を紹介。旺文社は名詞も紹介。桐原は紹介せず)。動詞と名詞とで発音が異なる。名詞は エキストラクト。動詞は イクストラクト。「抽出」「摘出」の行為自体は extraction という名詞である(旺文社)。)
あるいは、「必須アミノ酸」が essential amino acid である(ジーニアスで確認)。
抽出ついでに言うと、abstract も「抽出」という意味(桐原4500巻末)。abstract には「抽象的な」の意味もあるが、まずは抽出の意味で覚えよう。というか日本語でも、「抽象的」の「抽」の文字は、「抽出」の「抽」の字である。なお、冒頭のab-は、ここでは分離を意味する接頭辞。absent「欠席の」のabとabstractのabは同じ意味(桐原4500)。
エッセンシャルの話に戻ると、たとえば、生物学書の『キャンベル エッセンシャル生物学』 "Campbell Essential Biology" という500ページ以上ありそうな分厚い生物学書がある。(なお、amazon米国版では何故かこの本が18歳以上が購入禁止なのでリンクは紹介しない。)
エッセンシャルというのは、そういう感じの意味。
桐原では、「食事は不可欠だ」みたいな例文でも essential を使っている。
なお、「食事」は英語で meal (ミール)である(essential の文に合うかどうかは知らない)。
食事しないと死ぬので、生命維持の観点では vital でもあるが、しかしそういう死を防ぐためのものでも essential で言い表す場合もある。
さて、単語集によくある例文が、「~は健康に欠かせない」 be essential for good health であり、東京書籍と桐原がそうである。
東京書籍だと「運動は健康に欠かせない」、桐原だと「食事は健康に欠かせない」的な内容である。
運動 exercise なら、
Exercise is essential for good health. 「運動は健康に欠かせない。」(東京書籍4500より引用)
である。
「搾る」の extract を squeezeのニュアンスの違いについて。
extract は「抽出する」が第一の意味のようなものである。
-tract が「引っ張る」という意味でもあることから想像できるように(センチュリー)、extractは、目的物を、自分の方向に向かってこさせるイメージである。
だからextractで果汁を「しぼる」のは、その手段にすぎない。
だから、濃縮エキスの抽出のような、搾るだけでは不可能なことも、extract なら出来る。
ほか、薬品などを使って何かの成分を抽出するのも extract である(ジーニアスで確認)。
ほか、歯科医が歯を抜くのも extract である(センチュリー、ジーニアス)。
パソコンのファイルの圧縮・展開でいう「展開」も extract です。
いっぽう、extract には「抜粋する」の意味や、抜粋して「要約する」という意味もあります(センチュリー)。
抜粋すると情報量が減るのに、圧縮ファイルを展開すると情報量は増えます。
妙に感じるかもしれません。
しかし辞書でextract を調べると、秘密などの情報を「聞き出す」「暴き出す」のような意味もあります(センチュリー)。圧縮していて読み取れない情報を「暴き出す」ようなイメージでしょうか。
もっとも、最近のパソコンでは、オペレーティングシステムが高度なので、圧縮されたままでも読み取りのできる場合もありますが。
逆に、圧縮・展開の「圧縮」は compress です。
日本でも、機械などの空気圧縮機でいうコンプレッサーなどの外来語で有名です(ただし、高校生には目にする機会(チャンス)がないかもしれません)。しかし意外なことに単語衆にはcompressはありません。
高校・中学でIT教育が必履修になるなどしてもう年月も経ってますので、どうせあと10年か20年したら「圧縮」・「展開」などIT用語も英単語に加わるでしょうから、先手を打って、このページにまとめておきます(ならないとしても、もしその場合は実務では役立たずなので未来の高校英語の単語衆に価値ないので、価値ない単語集に従う必要ないです。私たちが目指すべきは、大学合格する英単語ではなく、仕事で使える英単語です。仕事を無視した英単語学習をしても最終的に淘汰されるだけの弱肉強食です)。
英語だと、たとえばジーニアスでは、自動車エンジンにおける空気の圧縮のことを compress で表現しています。
なお、空調機のエアコンの「コン」はコンディショナーの略ですので、混同しないように。
センチュリーを見ると、コンピュータ用語のファイル圧縮も compress だと書いてあります(センチュリー、ジーニアス)。
ほか、綿(わた、めん)などを圧縮して小さくするのも compress です(センチュリー)。
ややこしいことに、compress にも、話を「要約する」という意味があります(センチュリー、ジーニアス)。
いまどき、「要約」はsummary でしょうから、compress は綿やファイルなどを「小さくする」(つまり圧縮)の意味で覚えるのが良いと思います。
まとめると、
ファイルの「圧縮」は compress です。
ファイルの「展開」は extract です。
さて、「しぼる」の話題にもどります。
squeeze は、にぎるように力を内側に押し付けるイメージである。だから squeeze で、資金を「圧迫する」なども表現できる。
では、具体的に extract と squeeze のニュアンスの違いを見ていこう。
「エキス」や「抽出する」のextract について。
extract juice from a orange で「オレンジからジュースをしぼり出す」「オレンジの果汁を搾る(しぼる)」
の意味(センチュリーや旺文社)。
文脈によっては、oranges ではなく an orange でも構わない。ジーニアスでは、レモンの複数形 lemons から果汁を搾り取っている。
「搾る」は、squeeze もある。
果物などをしぼって果汁をとるのが典型的で、
squeeze a lemon 「レモンをしぼる」
が典型的(センチュリー、旺文社)。
果汁を明示したい場合
「オレンジから果汁をしぼる」squeeze juice from an orange と言える(東京書籍4500の巻末。ジーニアスだと lemon で似た例文)。
squeeze lemon juice on ~(食品など) で「レモン果汁を~にかける」である(桐原4500、ジーニアスに似た例文)。
「労働者をしぼりとる」「労働者を搾取する」のような表現でも、squeeze を使える(桐原5500、センチュリー)。
なお、いわゆる「ブラック企業」のような会社(労働者を低賃金で長時間働かせる工場など)は、英語では sweatshop (スウェトシャプ)といい、「搾取工場」などと訳される(旺文社1900)。sweat (スウェト)は「汗」という意味の名詞である(桐原4500)。東京書籍4500は sweat および sweatshop を紹介せず。
なお、動詞 exploit 「搾取する」である(旺文社1400(緑)、桐原4500)。
典型的な例文が、
exploit one's workers 「労働者を搾取する」
であろう(ジー二アス、東京書籍、旺文社に似た例文)。
ほか、exploit には、たとえば地熱発電や自然資源などといった資源などを「開発する」の意味や(旺文社1400、桐原4500)、機会などを「利用する」という意味もある(東京書籍4500)。
家計のやりくりなど、なんらかの資金のやりくりなどで、お金をなんとか「絞り出す」というのにもsqueeze は使える(センチュリー)。
ただし、ほかの意味で squeeze には予算などを「圧迫(あっぱく)する」という意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
資金のやりくりと、資金の圧迫では、ほぼ逆の意味になるので、読解のさいには文脈からどちらなのかを読み取ろう。
squeeze には「押し入る」「押し込む」や、人ごみや席などへの「割り込む」「割り込ませる」という意味もあり(センチュリーが押し入りと割り込み。ジーニアスは割り込み のみ)、旺文社が「押し入る」を紹介している。「圧迫する」から「押し入る」などを連想しよう。
indispensable 「不可欠な」は桐原5500巻末や旺文社1900本文と東京書籍4500巻末が紹介しているが、これを直接に覚えるよりも前に、まず、銀行などの「現金支払い機」dispenser (ディスペンサー)を覚えよう(ジーニアスで銀行の「現金支払い機が dispenser だと確認)。
動詞 dispense は、「分配する」とか、機械が「出す」という意味である(ジーニアス、センチュリー)。
なので、コーヒーなどの自動販売機も dispenser である(センチュリー)。
で、形容詞 dispensable は「それほど必要ではない」「なくても済む」の意味である。
「自分はなくても済むので(dispensable なので)、他人に分配できる(dispense できる)」→「分配する機械がデイスペンサー」とでも、こじつけて覚えよう。
で、in- はここでは否定の接頭辞なので、
indispensable 「必要なので分配するわけにはいかない」→「つまり、必要不可欠」→単に「必要不可欠」と言えば済む
のように indispensable を覚えるのが、関連の語彙も覚えられて一石二鳥だろう。
旺文社1900だけ、indispensable の項目で、派生語の dispense 「分配する」「施す」「~なしで済ませる」を紹介している。
桐原5500は、indispensable の類義語で、essential や integral を紹介している。
be indispensable for ~(ないと困る物) 「~は必要不可欠である」
のように使う(旺文社1900、東京書籍4500)が、文脈によっては for でなく別の前置詞や接続詞の場合もある(桐原4500)。
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要約
summary, brief
summary (サマリー)が「要約」の一般的な語でしょう(特に出典は無い)。
要約のまとめ方や業界によって、outline (アウトライン)や brief (ブリーフ)など、別の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
「要約する」の意味が、extract 、compress 、summarize などの単語があります。要約のことを summary (サマリー)と言います。サマリーの動詞形が summarize (サマライズ)です。
ほか、brief も、名詞では「簡潔な説明」の意味、動詞では(読みやすいように手短かに簡略化された説明にする、という意味での)「要約する」の意味です。
桐原4500が brief を「要約」の意味で紹介しています(桐原4500)。
in brief 「手短かに」
の意味です(桐原、旺文社)。
また、
keep it brief 「手短かにする」
です(東京書籍、旺文社)。it の部分は、必要に応じて適した目的語に変えます。
名詞形 briefing は、「簡潔な説明」の意味もありますいが、「事前の打ち合わせ」の意味でも使われます(旺文社)。
compress と extract は、現代ではコンピュータ上の処理で使うし、現代の商業の著作物の大半はパソコンで作られているので、やや使用の歳には注意が必要かもしれません。
summarize のほうがいいかもしれません。
一方、 summarize もまた、辞書や単語集では「要約」を名詞 summary と簡単に言いますが(桐原4500、旺文社1900)、実はサマリー summary と日本語の「要約」は微妙に違います。
英語では、1~2行ていどの短文で短くまとめることを summary と言うこともよくあります。brief だと「記者会見」など別の意味に誤解されるからか、本来なら "brief" というべき単なる1~2行ていどの事実報告でも英米では summary でそういう1行程度の事実報告を言い表す場合もあります。
brief だと、たとえば press briefing が「報道向け説明会」で使われたり(ジー二アス)、briefing session が「定例記者会見」だったり(ジー二アス)、ややニュアンスが「要約」とは異なります。全体像を理解しやすくするよりも、brief は短時間に発表することがニュアンスにあります。
summary execution で「即決処刑」である(ジーニアス)。 要約を意味する単語 summary には、形容詞として「略式の」という意味もある。execution は「処刑」の意味です。
この例のように、summary は日本の「要約」とは、ややニュアンスが違う場合もある。
さて、米英の外交官の著作した回顧録(かいころく)の出版物で読んだのですが、
外交官は、定期的に サマリー summary という1~3行ていどの事実関係の報告を本国によく送るするらしいです。
日本語では、新聞やテレビのニュースにおける「短信」(たんしん)が短いので、近いでしょうか。
大使館の職員でもありますから記者会見(ブリーフィング)とは区別する必要もあるでしょうから、brief ではなく summary でそういう短いを言うのも合理的でしょう。
なお、「回顧録」(かいころく)は英語で memoir (メモワール)です(旺文社1900、ジー二アス)。単語集では、旺文社1900にのみあり、受験英語としてではなく英検準1級対策として紹介されている語です。桐原4500・5500および東京書籍4500にはありません。
外交官とか、この手の報告では、分析は極力交えず、事実だけを報告します。分析は、別途、本国のほうで行ってもらうのです。こうすることで、外交官は情報収集にのみ専念できます。
外交官は滞在先が友好国とは限りませんし、(自国以外との)紛争当事国などの場合もあります。もし友好国でない場合、もしかしたら滞在先の警察や軍隊によって通信が盗聴されたりしているかもしれません。そういう環境で、あまり分析を外交官側で行うべきではないでしょう。
なので、ともかく summary のほか、日本語には「要約」の他に適切な表現があまりないので、summary の訳は「要約」で通じますし、辞書や単語衆にも「要約」だと書いていますし、「まとめ」でも構いません(旺文社)。
「要約」のほか、ジーニアスには「概略」や「大要」、センチュリーには「概要」や「大略」なども書いてありますが、しかし上述のように、1~2行ていどに縮めて報告する書類形式というビジネスなど実務での背景がありますので、いちばん短い感じのしそうな「要約」が無難な表現でしょう。
実際、単語集にも、名詞 summary は「要約」で紹介されています。
これから紹介するのは高校範囲外の単語ですが、英語では、1行要約ではなくて、せいぜい5~8行くらいの文章で要点を列挙して書いたのは outline (アウトライン)などと言います(※高校の範囲外)。
アウトラインを書く場合も、できえば箇条書きにするなどして(ジーにアス)、全体構造を見やすくする必要があります。
ジー二アスには行数の条件は書いてないですが、普通、箇条書きされた説明は、長くて5~8行ていどのものでしょう。1行の箇条書きとか意味不明ですし、100行の箇条書きとか論外です。
ジーニアスいわく、そういう箇条書きされたものが本来のアウトラインとのことです。ジーニアスでは「概略」「概説」、センチュリーでは「概要」「あらまし」を outline
訳にしています。
outline の訳語を覚えるよりも、『箇条書きする等して手短かにまとめたものを「アウトライン」という』と覚えたほうが応用が利くでしょう。
仕事の報告での情報のやりとりなどで、もし1行要約だと短すぎて情報不足なときに、アウトラインによる報告が役立ちます。そういう使い分けをするのが大事です。
もしかしたら英米人のなかには、そういう使い分けをしない人もいるかもしれませんが、そういう人はレポートの書き方を知らない人であり、つまり知的レベルの低い人なので、相手する必要はないです。
まとめると、summary が「要約」の一般的な語だとみなせるでしょう。
要約のまとめ方や業界によって、outline や brief など、専用の言い回しのほうが好まれる場合もあります。
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重要 crucial, important
決定的な crucial , decisive
4500語レベルの単語集に crucial (クルーシャル)と言う単語があって「決定的な」「主要な」という意味である。
だが、decisive という「決定的な」の意味の単語がある。(東京書籍4500に単語だけ紹介されている。旺文社1900の巻末の章に、単語だけ「決定的な」「断固とした」と意味が紹介されている。桐原4500にはない。桐原5500にある。)
ジーニアスいわく、「決戦」は a decisive battle である。
ジーニアスの例文では、decisiveは「将来を決定する」という意味もあると説明している。
東京書籍4500の crucial 項目の例文で、「そのオーディションに合格することは私の将来にとって決定的な意味をもっている」とある。
ジーニアスでcrucialを見たら、「重要である」という意味であり、例文が「我々が決勝戦に勝つには、彼の支えが重要である。」の「とても重要である」が crucial である。なお、「決勝戦」はその項目を見る限りは the final match である。
crucial の意味で、桐原と東京書籍には「決定的な」と書いてあるが、正直、decisiveのような断固とした気迫が足りない。「決戦」で負けると死ぬが、オーディションで負けたり「決勝戦」で負けても死ぬわけでもあるまい。
あまり論理的ではないが、decisive は、おそらくスペルが同じく"d"から始まる determination 「決心」「決意」の影響を受けてきたのだろうか。
動詞 decide と動詞 determine の違いについては、別セクションで語る予定。
crucial の意味は「非常に重要な」(桐原)で十分だろう。旺文社1900に至っては、「決定的な」の意味は紹介せず、crucial では「重要な」として紹介していない。
まあ、important よりかは重要度が高いつもりのニュアンスでしかないだろう。
旺文社1900では「書類を確認する際は注意することが重要である。」でcrucial を用いている。
桐原4500では「国際貿易はこの国の発展に非常に重要だ。」で crucial を用いている。
まあ、センチュリーcrucial の例文にあるように「彼のホームランは我々の勝利を決定的にした。」でcrucial を用いているように、命をかけるほどでもない野球の試合でも決定的な瞬間はあると思うので、そういう場合は crucial を使うのも良いだろう。
桐原5500にcrucial で「命にかかわる」の意味を紹介しているが、しかしジーニアス英和およびセンチュリー英和では確認できなかった。
そもそも vital という「生命維持に必要な」の意味の形容詞がある(センチュリーで確認)。
そもそも「重要」という概念自体、言葉の割には、vital のような生命への必要不可欠さが足りない。
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外国の
alien, foreign
米国の外交問題についての専門雑誌で「Foreign Affairs」というのがあるが、affair (アフェアー)とは「出来事」「関心ごと」の意味である。affair は別に恐怖とは関係ない。「Foreign Affairs」は戦争の話題が多い雑誌だが、しかし雑誌名は「恐怖」とは全く関係ないので誤解しないよう。
「Foreign Affairs」は直訳すれば「外交の関心事」みたいな意味の雑誌名であろう。
なお、日本の「外務省」も英語版ホームページでは Ministry of foreign affairs である<ref>[https://www.mofa.go.jp/index.html "Ministry of Foreign Affairs of Japan" ] 2022年5月4日に確認. </ref>。
海外旅行とか海外出張とかでは必要な単語のひとつなので、頭の片隅に入れておこう。
ministry とはイギリス英語で省庁のこと。ただしアメリカでは、省庁を department と呼んでいる。
つまり日本政府は、「省庁」についてはイギリス英語を採用。
デパートなんて百貨店っぽい。なお百貨店は英語で department store である。
なおイギリスでも、新設の省庁については department を用いることもあると、ジーニアスは説明している。
さて、「省庁」の呼び名には、あまり深入りしてほしくない。
それより重要なのは、「大臣」 minister である。
大臣のことを minister という。単語集では「大臣」minister の項目に書いてあるが、「外務大臣」は foreign minister である。
今の単語集にはあまり書いてないが、昔はよく「総理大臣」は英語で the prime minister だと高校で習ったものである。いちおう、東京書籍の例文中に「総理大臣」the prime minister がある。桐原には書いてない。
説明の都合上、先に「省庁」 ministry を紹介したが、覚えるなら先に「大臣」minister から覚えたほうが良い。
語源としても、ラテン語で「従者」とかのことをミニステルと言うので、先に「大臣」→「省庁」の順番で単語ができたと考えるほうが合理的である。ジーニアスにも、ラテン語とは買いてないが、「召使い」がminister の語源だと書いてある。
prime については、主要という意味での「第一の」という意味である。センチュリーにある訳語だが、「第一位の」というのがニュアンスに近いだろう。
primeの語源はもともと、カトリックの日課の「最初の」礼拝のこと(ジーニアスで確認)。
primeはこういう意味なので、単に一番目であるだけでなく、さらに重要性の高いものに使われるというニュアンスがある。
ただし、実際の用例では、国家一番や世界一番でなくとも、たとえば肉が美味しい場合でも「極上の肉一切れ」 a prime cut of meat という風にも使う(ジーニアスで確認)。センチュリーにも似た例文がある。
「全盛期」、「絶頂期」という意味もあり、 in prime of his life(またはcareer) 「彼の人生(またはキャリア)の全盛期」みたいにも使う。
「全盛期」には、ほかに短い類義語が無さそうである。和英辞典で「全盛」を見ると、prime のほかに pride とか summer があるが、しかし英和でそれらの項目を確認しても、ニュアンスが違う。pride のほうは、pride of place という語句で「最高位」「最上位」という意味だし、summer は人生における「壮年」などの比喩でしかない。
名詞 foreigner は「外国人」 である。ただ、英語ではこの言い方は差別的な意味合いがあるとのこと。桐原3000いわく、なるべく、たとえば「カナダ人」 Canadian など具体的に言うべきとのこと。
alien
alien (発音: エイリアン)は「宇宙人」という意味があるので、なんとなく、あまりよくないイメージを読者は持ちがちかもしれないが、しかしジーニアスで確認すると、法律上の用語で「外国の」「異国の」という用法がある。
センチュリーによると、市民権をもたない外国人のことを alien と言うとのこと。
alien は、名詞も形容詞も同じスペルの alien である。
名詞 alien は「外国人」「宇宙人」の意味。
形容詞 alien は「外国の」「外国人の」の意味と、「異質の」「なじみがない」の意味。
よくある例文が「その習慣には、なじみがない」で、習慣 custom に alien で「なじみがない」という内容の英文を東京書籍とジーニアスで見かけた。
語法は、
~(習慣など) is alien to □□(人々)
で、
「~(習慣)は□□(の人々)には、なじみがない」の意味。
たとえば、 alien to us なら「私たちにとって、なじみのない」という意味(ジーニアスおよび桐原)。
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国内の
domestic, internal (※範囲外)
「国内総生産」GDPは gross domestic product のことである。domestic violence は「家庭内暴力」である。
「国内の」という意味での domestic が、「外国の」 foreign の対義語である。
domestic ⇔ foreign
さて、 「国内の」 を意味する形容詞 internal は、「国内問題」というとき internal affairs という(ジーニアス、センチュリーで確認)。
なお、数学の図形の幾何学の、「内角」も internal angle である(ジーニアスで確認)。
internal には医療などで「内服の」や「体内の」などの意味もあるが、共通の例文が確認できなかったので、説明を省略する。
なお外角は external angle または exterior angleである(ジーニアス和英で確認。英和にはない。和英)。
なお、「幾何学」は geometry (ジオメトリー)である(旺文社1900)。なお「地理学」はgeography (ジオグラフィー)である(桐原4500、東京書籍4500)。「地形」や「地勢」などもgeography である(東京書籍)。
geo- (ジオ)というのは「地球の」とか「地理の」という意味だが(ジーニアス)、幾何学にも使う。おそらく、古代のヨーロッパでは幾何学の知識を活用して、地図などを作成していたのだろう。
「ユークリッド幾何学」は英語で Euclidean geometry である(旺文社1900、)。「ユークリッド幾何学」というのは、日本では中学の数学で、図形の証明として習う、あの理論の体系のこと。「タレスの定理」とか「中心円の定理」とか、あそこら辺が「ユークリッド幾何学」。紀元前のギリシアの数学者エウクレイデスの名前にちなんで、英語読みでユークリッドになる。
なお、X-Y座標を使って計算する座標幾何学は、ユークリッドではなく「デカルト幾何学」という別の理論体系。デカルトは中世フランスの数学者。デカルトあたりが、座標幾何学の理論を整備しはじめたので。
さて、形容詞 interior は「内部の」という意味の形容詞だが(ジーニアス)、しかし普通は家や自動車の内壁に対して interior を使う(ジーニアス)。
ジーニアス英和の interior によると、幾何学の「内角」を interior angle で表してもいいとのこと。旺文社1900も東京書籍4500も、建築物の「室内の壁」を the interior walls としている。なお、東京書籍は「内部の壁」と和訳。
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生産量
output, production
「生産」を意味する production に、「生産高」の意味もある(ジーニアス)。なお、単語集では、prodcution の「生産高」の意味までは説明していない(東京4500、桐原4500、旺文社1900を確認)。
increase production で 「生産量を増やす」である(ジーニアス)。センチュリーでも、文章は違って完了形などになるが、「映画製作が減少」という内容の文で production を生産量の意味で使っている。
より平易に output でも「生産高」を言える(旺文社、ジーニアス)。
工場などの生産高から(ジーニアス)、芸術などの産物まで(センチュリー)、output で表現していい。
production や produce には、「大量生産」のようなニュアンスがある(東京書籍)。
なお「大量生産」は mass production である(センチュリー)。
なお、テレビ番組や音楽作品などの生産から、その生産された作品なども production である(ジーニアス)。
output の対義語は input である。
つまり
input ⇔ output
である。
input で、名詞としtrは、仕事や活動などへの資材や労働力などの「投入量」、コンピュータへの「入力」を意味する。また動詞としては、「投入する」や「入力する」の意味である(ジーニアス、センチュリー)。
旺文社の単語集には、inputに投入量の意味がないが、しかし辞書で「投入量」を確認できる。
同様に、対義語のoutput は、仕事や活動などの「生産高」や、コンピュータからの「出力」である。動詞としても同様に「産出する」(ジーニアス)や「結果を出す」(センチュリー)や「出力する」である。
input には、仕事・活動などへの援助としての情報提供やアイディア提供などの意味もある(ジーニアス、センチュリー)。
東京書籍や桐原の単語集には input や output が見当たらなかった。だがこれからのIT時代、必要になる単語であるので、ぜひとも意味を理解しておきたい単語である。
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「外国」と「海外」
外国へ abroad
海外へ overseas
「外国に」「外国へ」は abroad であり、副詞である。
「海外に」「海外へ」は overseas であり、副詞である。
overseas は字ヅラだけ見れば、海を越えて外国に行くことだが、アメリカでは実際にはヨーロッパへ行くことに使われる事が多い(ジーニアス)。
travel overseas で「海外へ旅行する」である(旺文社)。
travel abroad で「外国へ旅行する」であるが、東京書籍では「海外へ旅行する」と訳している。
from overseas で「海外から」である(旺文社)。
abroad の典型的な例文が、
「私は外国へ(一度も)行ったことがない。」 I have never been abroad.
である(東京書籍、桐原)。東京書籍と桐原で、同じ英文。桐原のほうには和訳で「一度も」がある。
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結果
result, outcome, consequence
桐原4500と東京書籍4500の後半にoutcomeの単語の紹介があるが、良書とも解説を諦めている。
単に 結果のことを result だけでなく outcomeとも言うと、知っておくしかない。
consequenseは、単に「結果」を、固い言い回しにしただけであるが、東京書籍4500によると、「通例望ましく結果にconsequenceを用いる」とこのこと。
センチュリーと東京書籍に「深刻な結果」 a serious consequence と言う例文がある。
副詞 consequently は「その結果として」「したがって」の意味。
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考え
concept, notion ,ほか(idea, thought ,など色々ある)
concept は、たとえば相対性理論の考えだとか、割と抽象的なことに使う。桐原4500いわく、「アインシュタインの相対性理論の概念」は Einstein's concept of relativity である。
notion は、そこまで抽象的でなく、たとえば人生観(ジーニアス)とか宗教観(センチュリー)とか。
ジーニアスでは「人生は航海だという考え」の「考え」を notion としている。
旺文社だと「概念」と言ってるが、無視していい。
概念というより「観念」だろう。
あるいは「観念」という用語をしらない高校生に向けて「概念」と書いたのかもしれないが、そんな底学力層のことは読者は気にしなくていい。
その他、ジーニアスで「意見」、センチュリーで「意向」だと言ってるが、両辞書で説明が一致しないので無視する。
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「規範」と「基準」
規範 code
基準 normal
(学校などの)規律、しつけ discipline
普通 normal, ordinary
「行動」と「指導」と「行儀」、「実践」
行動 conduct(指導のニュアンス)、behavior (行儀のニュアンス)、practice(理論・理念の実践)
習慣・慣習 practice 、 custom、クセ habit
codeには「規範」「暗号」「法典」などの意味がある。
まず、codeの規範について。
ドレスコード dress code は「服装規程」のことである。「ドレスコード」「服装規程」とは、たとえばクラシック音楽コンサートホールとかの上流階級っぽい施設に入場しようとするとき、どんなに金を持っていても、もし服装が短パンとかジーパンとかだと入場を断られることがある。
成人男性の場合なら、背広とかのフォーマル formal な服装とかでないと、そういう場所には入場できないのである。そういうのをドレスコードと言う。
商業施設に限らず、たとえば冠婚葬祭(かんこん そうさい)とかの行事でも、その内容に見合った服装が求められる。
旺文社1900の例文が例文としてドレスコードを紹介しており、まさに大学進学を目指す階級にふさわしく、とても良い。
ダジャレだろうけど、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコード press codeという。普通に科目「日本史B」とか「日本史探究」で、第二次世界大戦の日本のGHQ占領期の言論統制のことをプレスコードと言うと習う。ついでに覚えよう。英和辞典には press code は見当たらず、どうもGHQの造語っぽい。
ドレスコードの場合、codeは訳では「規則」や「規程」ではあるが、マナー的なニュアンスもある。
ジーニアスで確認したが「不文律」 code of silence という単語がある。
「行動規範」 は a code of conduct である。
ここら辺の表現が、上流階級に求められるマナー的な code であろうか。
その他、ビジネスライク名表現だが、「業務規程」 code of practice というのもある。
なお、「行動規範」 は a code of conduct のついでに言うと、「行動」conduct も類義語があり、behavior が類語後である。なお、旺文社ターゲット1400(中級の難度の本)が、conduct と behave を同じページで紹介している(おそらく旺文社もこれを類義語だと見なしているのだろう)。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多い.音楽の「指揮者」をコンダクター conductor と言うのも、これだろう。
The orchestra was conducted by Seiji Ozawa. そのオーケストラは小澤征爾によって指揮された。(東京書籍4500)
とか
conduct the orchestra オーケストを指揮する(桐原3000)
とか典型。
高校英語では出ないだろうが、物理学の電気伝導のことを conduct という事もある。conduct には、指導とか伝導とかのようなニュアンスがある。
道徳的な「行動」に conduct を使うことも多いが、必ずしもそうとは限らない
conduct interview インタビューを行う(東京書籍4500)
conduct research 調査を行う(旺文社1400)
のように調査研究を行うのに使う場合もある。
behave は、動詞「ふるまう」だが、ニュアンス的には「行儀」のニュアンス。
behave oneself で「行儀よくする」(桐原3000、旺文社1400)
I can't stand His behavior. 彼のふるまいには我慢できない. (東京書籍4500)
東京書籍の例のように、behavior そのものには、指導的なニュアンスは無く、行儀が悪い場合にも使うようである。
conduct は動詞。「行う」、「指揮する」。「指揮者」は語尾が異なり conductor である。
behavior は名詞で「ふるまい」「行動」。behaveは動詞で「ふるまう」。
ほか、practice に、理念や理論などの「実践」の意味があり、単語集にもあります(桐原4500、旺文社ターゲット1900)。
practical 「実践的な」「実用的な」という単語もあるので(東京書籍4500、)、これと関連づけましょう。ほか、思想用語ですが、プラグマティズムという語があり、米国的な実用主義のことです。なお、プラグマティズムはドイツ語やギリシア語が語源なので、高校生には深入りは不要。
熟語で put ~ into practice で「~を実践する」
put his new ideas into practice 「彼の新しいアイデアを実践する」(旺文社1900、ジーニアスに似た例文あり)
the idea to put his ideas into practice 「彼のアイデアを実行するチャンス」(桐原4500)
とか典型です。なお桐原3000にもpracticeがありますが、3000では練習の意味しか書いてません。
practice his religion 「宗教を実践する」(ジーニアス、桐原5500をもとに作成したオリジナル)
She practices vegetarianism. 彼女は菜食主義を実践している。(東京書籍3000そのまま)
ほか、
practical experience 「実地の経験」(東京書籍4500、桐原4500)
が典型です。
対義語は theoretical 「理論上の」です(東京書籍4500、桐原4500)。セオレティカルと、語尾がティカルになります。セオ「リカル」ではないです。セオ「レティカル」です。
「実用的な車」 practical car (東京書籍4500)、実地の経験ある大工 practical carpenter (三省堂グランドセンチュリー)
たぶん大工が高校範囲でないので、東京書籍が気を利かして car 「車」に置き換えたのだろうと思います。
なお、理科などの実験は experiment です(東京書籍3000、旺文社1900)。
旺文社1900だとpracticeとexperiment が同じページに書いてあり、おそらく、類義語のようなものと見なしています。
practice には「練習」の意味があります。というか、先に「練習」の意味のほうを、多くの中高生用の学校用の単語集では習います。
exercise にも「練習」の意味がありますが、上記のように practice は宗教や思想にも使うので、なんかニュアンスが少しだけ重いです。
また、単語集には無いですが、practiceには「慣習」の意味もあります。「練習」などの派生的に覚えましょう。
宗教とか地域文化とかそういう単語で practice が使われている場合は、宗教の実践なのか、それとも宗教の慣習なのか、どちらなのか判別が面倒です。このため、入試では要求されないでしょう。あまり特定の宗教に深入りするのも入試的にアレですし。
慣習・習慣 practice 、custom、habit
custom は、社会の習慣でも(東京書籍4500、旺文1900)、個人の習慣でも使う(桐原3000で個人の習慣を紹介)。
社会の慣習の意味の場合、custom と practice の区別は難しい。
custom やhabitは、意外と難度の高い単語と見なされており、東京書籍4500や旺文社1900など上級レベルの単語集でも紹介されてる。
habit は個人の習慣。個人の「癖」(くせ)が habit である。
このためか旺文社1900および東京書籍4500では対比として custom を「社会的な慣習」としているが、しかし実は個人の習慣にも custom を使う(桐原3000)。
the custom of visiting shrine on Wew Year Day 「神社を新年に参拝する風習」(旺文社1900)
the custom of giving year-end gift 「お歳暮を贈る慣習」(東京書籍4500)
もちろん日本以外の外国にも custom を使ってよく、
another country's customs 「他国の慣習」(桐原3000)
habit で入試で典型的なのが、個人の食習慣。
well-balanced eating habits 「バランスのとれた食習慣」(旺文社1900)
the habit of eating between meals 「間食の習慣」(東京書籍4500)
She has a habit of playing with her hair when she's nervous. 「彼女には緊張すると髪をいじるくせがある」(桐原3000そのまま) ※辞書を見ても他にろくな例文が無いので、そのまま紹介
habit of ~ing で「~する習慣」である(旺文社1900)。
She has a habit of speaking quickly when she is angry. 「彼女には起こったときに早口で話すくせがある」(東京書籍4500そのまま)
つまり単語集の典型例として、
He / She has a habit of ~ing ○○ when he/she is □□. 「彼/彼女には□□したときに〇〇を~するくせがある」
この桐原の例のように、無意識の「癖」にhabit を使う。
だが、他にも、喫煙とか麻薬とかそうのの悪癖にも habit を使う(ジーニアス)。この悪癖は入試には出ないだろう。辞書を見ても、麻薬とかそういうのの habit ばかりなので、桐原の髪の例文をそのまま紹介させてもらった。
しかし、良い習慣にも habit を使っても良い(東京書籍4500など)。
healthy habits 「健康的な習慣」(東京書籍4500)
habit of rising early 「早起きの習慣」(ジーニアス)、habit of getting up early 「早起きの習慣」(グランドセンチュリー)
「習慣」の意味で practice を使う場合、地域などの集団の慣習。宗教とか風土とか。 ※ 入試範囲外だが汚職などの悪風の場合も、practiceを使う(ジーニアス)。
マナー以外にも code は使い、「民法」は the civil code , 「刑法」は the criminal code である。
だが、「lawで十分じゃん?」と思ったのか、東京書籍4500ではcodeの項目を見ても「暗号」しか紹介していない。なお、桐原4500の例文が、アメリカの各州の刑法 criminal code の違いの話題(いわゆる「州法」)。
おそらく東京書籍は、マナーの話をしたいなら manner で済むだろう、という発想だろう。なお、manner も英語であり、東京書籍4500にもmannerが書いてある。
「暗号」については、典型的な例文が
「暗号を解く」 break a code
である(東京書籍4500, 桐原4500)。
normal (ノーマル)は、日常的には「普通の」「平均的な」という意味である。
だが、学問としては、労働などの「基準量」の意味を覚えておきたい。
日本では最近はすたれた言い回しだが、ソ連語の由来で「ノルマ」という、たとえば1日あたりの、しなければならない労働の最低量として「ノルマ」という語があった。
単語集にはないが、辞書で normal の意味に、数学の「直角の」という意味もある。おそらく、古代ギリシア人あたりが、角度の基準として直角(90度)を採用したのだろう。
なお、数値的な「平均の」を言いたいなら、 average である。形容詞「平均の」も名詞「平均」も average である。桐原4500では、normal のページといっしょにaverage も書いてある。
normal の対義語 abnormal は「異常の」「異常な」の意味である。
逆に考えれば、normal の意味は、「通常の」「正常の」でもある。桐原のnormal に「正常な」が書いてある。東京書籍の副詞 normally に「通常は」が書いてある。
ordinary 「ふつうの」「平凡な」は、よく「生活」と結びついて、ordinary life 「ふつうの生活」(東京書籍の訳)または「平凡な生活」(桐原の訳)
ordinary はこのように、並外れた部分がないというニュアンスがある。
逆に対義語の extraordinary は、「並外れた」の意味である。
「異常気象」は extraordinary weather である(東京書籍、ジーニアス)。
単語集にはないが、「臨時国会」も an extraordinary Diet session (ジーニアス)あるいは an extraordinary session of Diet (センチュリー)のように言えることも、覚えておきたい。なお、Diet とは、日本の「国会」のこと。外国の国会の呼び名は違っている場合も多いので、外国の国会のことを言いたい際には、その国ごとの呼び方を調べること。
そのほか、ルールに従わせるための統制や、そのための訓練のことなどを、 discipline という。
子供の「しつけ」や、学校の規律などが discipline である。
ジーニアスいわく 「学校の規律」 school discipline である。
また、センチュリーいわく「学校での規律」は discipline in school である。
子育てや教育にかぎらず、たとえば行政などの「金融統制」は financial discipline である(ジーニアス)。
そのほか、単語週では旺文社1900しか紹介していないが、大学での「学科」や「学問分野」のことも discipline という。辞書には普通に「学科」も「学問分野」も書いてある(ジーニアスで確認)。なお、実は旺文社では「学問分野」しか書いてないが、説明の都合で段落冒頭では「学科」も加えて紹介した。
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通訳と翻訳
「通訳する」「解釈する」 interpret
「翻訳する」 translate
「通訳」とは、普通、口頭での翻訳のこと。
だから翻訳サイトの「グーグル翻訳」も、べつに口頭でのやりとりではないので、英語では google translate なわけである。
「通訳者」は interpreter である。
「同時通訳」は simultaneous interpretation である(旺文社 simultaneous、ジーニアス、センチュリー)。
simultaneous は「サイマルテイニアス」と読む。シミュ~とは読まない。
名詞形の「通訳」「解釈」は interpretation である(旺文社)。
東京書籍と桐原だと「解釈」の意味しか紹介していないが、しかし上述のように「同時通訳」でも interpretation は使われるので、「通訳」の意味も覚えるべきだろう。
なお、数学の「連立方程式」は simultaneous equation である(ジーニアス)。
simultaneous の部分が「連立」である。 「方程式」は equation である。
翻訳者は translator である。
[[カテゴリ:英語]]
kfbttd2hy2swygn8zm544emhpcu9394
日本国憲法第57条
0
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246602
2024-04-12T12:05:32Z
Tomzo
248
新規
wikitext
text/x-wiki
[[法学]]>[[憲法]]>[[日本国憲法]]>[[コンメンタール日本国憲法]]
==条文==
【会議の公開、会議録の公表、表決の記載】
;第57条
#両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
#両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
#出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
==解説==
{{wikipedia|日本国憲法第57条}}
==参照条文==
*[[国会法第62条]]
*:各議院の会議は、議長又は議員10人以上の発議により、出席議員の3分の2以上の議決があつたときは、公開を停めることができる。
*[[国会法第63条]]
*:秘密会議の記録中、特に秘密を要するものとその院において議決した部分は、これを公表しないことができる。
==判例==
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{{前後
|[[コンメンタール日本国憲法|日本国憲法]]
|[[コンメンタール日本国憲法#4|第4章 国会]]
|[[日本国憲法第56条]]<br>【定足数、表決数】
|[[日本国憲法第58条]]<br>【役員の選任・議院規則・懲罰】
}}
{{stub|law}}
[[category:日本国憲法|57]]
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